○堀
委員 私、この間、長く池田さんのそばにおられた登坂議員に、池田さんはどのくらいたばこを吸っておられましたかと聞きましたら、ずいぶん吸ってましたが、一日に五十本以上吸っておったでしょうね、こういう話でございました。
そこで私は、実はいまお手元に具体的なデータを差し上げて、少しこれを申し上げたいと思います。一番ページの左のほうに、ガンによる死亡者、
昭和四十四年は、
昭和二十五年を一〇〇といたしまして、全部のガンは一八三です。胃ガンは一五八です。食道ガン一七一、肺ガンは九〇五にふえています。肝臓ガンは一五三、乳ガン一五七、子宮ガン七八、減っています。すい臓ガンが七七五とふえているわけです。
そこで、その右に、肺ガンによる死亡者数は、
昭和二十五年に千百十九人で、これを一〇〇といたしますと、四十四年は一万百三十人が実は肺ガンで死亡しておる、こういう状態であります。
今度その下に、専売納付金とたばこ消費税、財政がこの裏で
一体どういう金を
国民から吸い上げておるかというと、同じ
昭和二十五年を一〇〇といたしますと、四十四年に四一八、四倍以上実は財政資金をかせいでおるわけです。たばこの販売数量は、その右に書きましたように、一〇〇であったものが三二四、三倍に販売量をふやしておる。要するに、
政府が専売益金その他の財政
収入をふやせばふやすほど肺ガンの患者が急激に増加しておるということが、具体的にこの中で明らかになっておるわけであります。
そこで今度は、厚生省がん研究班の助成による「人がんの多発原因に関する研究班の調査」というのがありまして、主任は曽田国立公衆衛生院長でありますが、この「喫煙程度別にみた男子年齢職業標準化死亡比」というのを見ますと、
昭和四十年から四十三年までの統計でありますが、非喫煙者を一として、一日四十九本以下と一日五十本以上、こう分けて統計がとってありますが、総死亡、全体の
国民の死亡一に対しては、たばこを吸ったからといってふえているのは丁二九、二・一八であります。全ガンも一に対して二と二・二
○であります。肺ガンが一に対して七・〇八、二〇・二、すい臓ガンは一に対して三・二八、二二・二であります。要するに肺ガンとすい臓ガンが異常にふえてきておるということは、この統計からも明らかにたばこが原因である。さらにつけ加えておきますと、肝硬変もたいへん
影響を受けておりますから、ヘビースモーカーの方は、この
資料を見て十分御自戒なさるようにひとつ要望いたしておきたいと思うのであります。
そこで、それでは私は
総理にお伺いをしたいのでありますが、一般的に日本の
政府は、アメリカ
政府のいろいろなことについては非常に
意見を尊重しておられるのでありますが、ここに具体的にこういうふうに出ておるのであります。一九七〇年の四月一日の第九十一回アメリカ議会を通過しました「紙巻たばこ喫煙法(パブリック・ヘルス・シガレット・スモーキング、アクト・オブ・一九六九)」、その中で、喫煙と健康の
関連性の
立場上一九七〇年七月一日以降、包装に「警告-公衆衛生
局長官は紙巻たばこの喫煙があなたの健康に危険であると裁定している」と印刷すべきことを義務づけている。これはこのアクトの中の「ラベリング・セク四」というところに出ているわけであります。「ウォーニングーザ・サーンヤン・ゼネラル・ハズ・ディターミンド・ザット・シガレット・スモーキング・イズ・デインジャラス・ツー・ユア・ヘルス」とこうなっているわけであります。さらに「紙巻たばこの広告は、一九七一年一月一日以降どのような電波にものせることはできない。」ということで、「アンローフル・アドバーティスメンツ」ということで、「セク六」のところに罰則について一万ドルの罰金を付して実は
法律が通過をしておるわけであります。
御承知のように、われわれはすでにずっと前から、この一九六五年法というのが出ておったことを承知しておったわけでありますが、一九六五年七月十四日にアメリカ議会を通過いたしまして、大統領が七月二十七日に署名をいたしました前の
法律は、一九六六年一月一日以降、すべての紙巻たばこの箱に「注意-紙巻たばこの喫煙はあなたの健康を損う可能性がある」と印刷すべきことを義務づけていた。これがこれまで皆さん御承知になっている「コーショソーシガレット・スモーキング・メイ・ビー・ハザーダス・ツー・ユア・ヘルス」という文であります。
この五年間にどういう変化があったのか。「コーション」が「ウォーニング」に変わり、「シガレット・スモーキング・メイ・ビー」が「ザ・サージャン・ゼネラル・ハズ・ディターミンド」に変わり、それから「メイ・ビー・ハザーダス」が「イズ・デインジャラス」に変わってきておる。アメリカにおいてはすでに今日たばこの害というものが公的にオーソライズされて、
国民の健康を守るためにはこれだけのことをやるべきだということに実はなっておるわけであります。これは
民間のたばこに対する
政府の指導、日本の場合は
政府が率先して財政
収入をあげながら、
国民を公害に追い込んでいる。これほど結果が明らかな公害は私はほかにないと思うのでありますが、
総理大臣いかがでございましょうか。