○原(茂)
委員 決意の一端をお伺いできたわけでありますが、現在の産業構造の中から中小企業の位置というものを一応
考えてみる必要があるわけです。
内閣の、大体あすの中小企業に対する構想が、せんじ詰めてよく見ますと、新経済社会発展計画の中にあるわけであります。これは五カ年向こうの施策の方針なんですが、それを見ますと、現在まで中小企業に対する保護主義が少し過ぎていたのではないか、これを改める必要があるとおっしゃっている。それから現在までやってまいりました
一つの適応政策といいますか、これもほんとうに自主能力のある者が生存できる
ような
状態に持っていく必要があるという
意味で適応政策への転換ということを二つ目にうたっておられる。三つ目には中小企業のカルテルというものに論及をして、これを廃止するという方向が示されているのであります。この
一つ一つをとっても現在の中小企業に対する
政府の
考え方というものがいろいろな角度から批判ができると思うのですが、きょうそういうことにも触れている時間がない
ようでございますから、わが党が
考えております中小企業対策なりあるいはこの個々の重要な問題に対する問題等はやがて他の
委員会なり分科会あたりでもう少し掘り下げるということにしたいと思いますが、宿題の
ようで恐縮ですが、私は、たとえばいまの中小企業のカルテルなどに対する廃止という意向に関しては断固反対なんであります。独占企業の場合には独占価格というものを中心にしたカルテルが相当大きく物価にも影響しますし、生活への影響が強大になってまいりますが、中小企業にはそれがないのでありますから、このカルテルというのは違った理由から行なわれている。これを廃止して大企業と中小企業を同じ土俵に持っていってすもうをとらせ
ようという
ような新経済社会発展計画の中小企業に対する
考え方に対してはたいへんな問題があるし、疑義を持っておりますということだけ、これは
総理大臣あるいは大蔵大臣、通産大臣にもお
考えおきをいただきまして、別の機会に一点、一点掘り下げる
ようにこれからはいたしてまいりたいと
考えます。
きょうは、これから何を皆さんにお聞きをしたいかということだけ先に申し上げておきたいと思うのでありますが、まずいま申し上げました
ような中小企業の置かれている現状の中から、すべてその立場になり切って、健保の今回の改正に対する中小企業の負担が一体どの程度になるかということを、お
考えにはなっていると思うのですが、たいへんな負担が中小企業にかかるのであります。これが
一つ。
それから、自動車新税ですが、これも中小企業に対しては、たいへん大きな負担として新たにのしかかってくる重圧の
一つなんであります。
その次は、やはり特恵関税の問題があります。この特恵関税は、これからいよいよ実施されていくわけでありますが、この過程におきましては、逆にわが国の資本が外部に出てまいりまして、そこからまた
日本に逆輸入をするということまで含めた特恵問題というものは相当慎重に
考える必要があると思いますし、やはりこれも中小企業にとっては死活問題と言うこともできる部分が非常に多うございますので、この問題もお聞きをいたしてみたい。
次に、公害の問題でございますが、この公害というのは、実は中小企業に対する公害の施策が、あるいは
予算があることになっているのでありますが、何とかして防止をするための施策をしたい、設備をつくりたいと
考えましても、なかなかにその金が、大企業のほうがスムーズに入りやすくて、中小企業のほうが入りにくいという
状況がある
ように思うのでありまして、こういう点を、そうでなく、中小企業がもっと借りやすく、もっといい条件でできる
ように、しいて言うなら、私は、この中小企業の公害というのは、メッキを中心にきょうはお伺いをしてみたいと思うのですが、ずっとやってまいりましたメッキ工場ならメッキ工場、そこに公害が起きた。公害が起きることを承知の上で新たにこれからメッキ工場をつくるのじゃない、やっているときにいきなり起きてきた、零細企業の上に、小企業の上に。言うなら一種の天災と同じ
ような
考え方を、真に中小企業を思うなら
考えてやる必要がある。自力でこの排水等の除去なり浄化ができない、その
施設をする金を借りる条件もないという
ようなところに対しては、いわゆる天災救助法ではありませんが、心持ちとしては、ある種の天災にあったと同じ
ような
考え方での手当てというものが必要ではないかと
いうことを、ぜひ
考えていただきたいと思うので、これに触れるわけであります。
なお、中小企業の問題で人手不足の問題、非常に大きな問題であります。この労働力を確保するという問題が、単に賃金の条件が云々、企業の大中小が問題だというばかりではないのでありまして、やはり働く労働者の環境の整備をする必要があるという問題で、住宅の問題に触れたりしてお伺いをしてまいりたいと
考えるのであります。
この
ような中小企業の重圧の、もう
一つ間接的でございますが、全国にあります消防、火を消す消防団でありますが、この消防団員というのは、これはたいへんな数あるのですが、これに対する手当てというのは、たいへんな義務を負わしておきながら、一年間千円から千七百円ぐらい。一年ですよ。出動しても、手当てを出すところ、出さないところ——出すところでも百円ぐらいのもの、こんな
状態で、たいへん重労働というよりは、大きな公共的な義務を負っているのですが、これがまた中小企業に間接に大きな影響を与えています。これに対する待遇をもっと引き上げる、妥当なものにするための地方自治体への援助というものが中央から行なわれる
ようにしなければいけないのではないかということに触れてまいりたいと思うのです。
次いで、
沖繩の中小企業の現状と、やがて
返還後における中小企業を一体どういうふうに指導をし
ようと
考えておいでになるかをお聞きをしておきたいのであります。
それから日中国交回復の問題、これがいまたいへん大きな論議になっているわけでありますが、現在この中小企業が、日中の国交回復が行なわれたときには新たな市場を確保できることは間違いない。この道をまた開く義務が中小企業対策の
一つとしてあるのではないかというアングルからお伺いをしてみたい。
次いで、流通機構特に中小企業の中の小売り店、販売店でございますが、これが流通機構としては不可欠のものなんであります。現在物価が上がる、値上げをするというと、おろおろしておる間に販売店、小売り店に対してただ消費者の目が向けられて、いかにも消費者の敵ででもある
ような感じを何となく中小企業、特に小売り、販売店に向けられていく危険がある。私は、妥当な小売り店、販売店のマージンというものを確保してあげることが国の不可欠な流通機構としての小売り、販売に対する義務だと思いますので、この点相当時間をかげながらぜひ私の提案を受け入れていただく
ようにお願いをしてみたい、こう
考えます。
同じく中小企業の新しい市場をつくるという
意味で、対外援助の直接投資の中に、中小企業が新しい分野を開く道があるのじゃないだろうか。対外援助の
内容についてお伺いをしながら、この直接投資の中に中小企業を誘導していく道がないかということをぜひ御検討を願いたいと
考えるわけであります。
それからもう
一つは、防衛庁のいままでずっと装備されました兵器でありますが、飛行機その他を中心の兵器が、これはもう当然兵器である限り、われわれ一般の企業が償却をする年度で償却をするはずがない。たいへん短い年度で償却をするだろうと思いますが、機種別にその年度をお伺いしながら、今日まで相当多額ないわゆる廃棄処分なりあるいは使用不能という処分をされているに違いないのでありますが、これの処分をされる経路、この中にまた中小企業は新たに自分たちの産業分野を発見できるのではないか。ここにやはり新しい分野をつくってやる必要があるのではないかという角度からお伺いをいたしますので、あらさがしや何かではございませんから、そのつもりでこの問題にも皆さんの御審議をちょうだいいたしたい、こう
考えるわけであります。
それから大蔵大臣に円切り上げの問題でちょっぴりお伺いをし、最後にソビエトに対する
総理の姿勢についてお伺いをして終わりたいというのが私のきょうの予定でございますが、いままでお聞きしておりますと、たいへん
総理以下の
答弁が質問者の言っているよりも長い場合が多いのでありまして、とてもじゃありませんが、この二時間の間に全部審議がし切れませんので、どうかひとつ、私も簡潔にお伺いいたしますし、いまの
ように玉手箱ではありませんが、これだけ申し上げますということを全部申し上げましたので、あらかじめ御用意をいただけると思いますので、どうか簡潔な御
答弁がちょうだいできる
ようにお願いをしておきたい。か
ように思うわけであります。
そこでいまの中小企業に対する一番大きな問題は、やはり何といっても金融でございますために、金融の問題から先に入っていきたいと思うわけであります。
金融といいましても、金融全般について論ずることは、
先ほど言った
ようにいたさない予定でございますが、たとえば今回の
予算の中に中小企業対策費というのが五百七十九億円一般会計で組まれているのであります。この一般会計で五百七十九億円というものが組まれておりますほかに、財投からも六千七百億ぐらいですか、これが見込まれておるのであります。ただ中小企業対策費というのを、中を見たり、今日までの実績を見ましてちょっとふしぎに思いますのは、これは大企業のことを言っては、少しいきなりとっぴな論理になるかもしれませんが、少なくとも金融という点からいいますと、
政府の対策費のこればかりではなくて、もっともっと大きな資金を金融機関から仰ぎたい実情にあるわけなんです。そのときに大企業が占めている金融を受けている割合と、中小企業が受けております割合というものの比率なんですが、たいへんこの点は、これはもう専門の皆さんですから、あえて資料で数字を申し上げなくてもおわかりだと思いますが、
一つの例でいいますと、たとえば輸銀なり開銀なりの大口の貸し出し先の一、二件をとってみましても、今日、たとえば八百億円ですとか千五百億円、一企業に対してだけ貸し付けが行なわれているのであります。四十六年度の中小企業に対する一般会計の
予算というのを見ますと、
先ほど言った五百七十九億円、四百七十七万戸、三千五十万人も就業している中小企業に対する国の一年間の対策費よりも、一社に融通されている
政府機関からの金融の額のほうが倍あるいはそれに近く一社にだけ出されている。あえて、その企業がどこだという名前もここにありますが、それはきょうの
目的ではありません。こういう
ように
考えてきますと、何か中小企業に対する金融というものが、少し
政府の指導の力が足らないのじゃないだろうか、もう少し力を出していただく必要があるのではないかと思いますので、私のほうから申し上げるよりは、これは大蔵大臣から、中小企業に対する金融の基本的な指導方針というものを、いまの大企業に対するのと対比してひとつ御
見解をお伺いをしたい。