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正木委員 このたびの移送が幸い事故なく行なわれた。これは非常に喜ばしいことでありますが、しかし、内容をしさいに点検いたしましたこの
調査研究報告書におきますと、いわゆる危険は、毒ガスのことですから、しょっちゅうある。これは別として、この輸送の方法等について非常に危険なものが実際あったわけです。それが事故につながらなかったということについて、これは偶然の幸運であったわけでありますが、だからといって、この第一次の輸送と同じような輸送方法並びに経路というようなことで、今後のものが無事故で終わるということでありません。したがって、この第一次の輸送において実際に経験した数数の問題というものをやはり
一つ一つ検討し、それを練り上げ、そうして要求すべきことはしっかりと米軍に要求をしてもらわなければならぬわけです。そうして万全を期し、無事故を期してもらわなければならぬわけであります。
それで、ここで問題点を、幾つかあがっておりますので、それを要約して申し上げますと、先ほどの検知器は簡単な二種類のものしがなかったということがございます。さらに、万一の事故発生に対してはどうするか、人間及び家畜に対する対処方法はどうかということを
調査団が米軍にいろいろと
質問をいたしておりますが、これは何もなかったそうであります。また、危険の予想地域というものを明示してその範囲内の
人たちは避難されなければならぬから、それを事前に明示しなさいということを要求したけれ
ども、これは事故は起こらないのだということで、これは答えられなかった。
一つ一つの最初計画を立てたのと実際に行なわれた輸送の事実とにも相当大きな問題がありまして、
一つは、毒ガス輸送のあのトレーラーというのは大体平均二十キロで走行すべきであるということが最初に取りきめられておったのにもかかわらず、その監視者の測定によりますと、四十キロで走っておる。しかも非常に危険な斜面を走る場合があります。そのときには幸い安全運転はなされたけれ
ども、最初に約束された制限速度二十キロが四十キロというふうにオーバーしたというような問題があります。またジョンストン島へ運ぶため港で輸送船に積み込む場合、向こうの天願桟橋というのですか、これは非常にあやふやな、完全な設備の整った桟橋でありません。したがって、九台のトレーラーがそれぞれ一台ずつその桟橋に乗っかって、そうして積みかえをやるということになっておる。それが一台済んでからまた次の一台が入るというような形で船への積みかえをやらなければならないというふうに最初は計画されておったのにもかかわらず、そういうことが
実行されずに、あの桟橋に並べるだけの車が全部入ってしまった。ああいう貧弱な桟橋でありますから、もしかりにあの桟橋がこわれたということになるならば、これは非常に大問題になるし、その毒ガスを詰めた砲弾が、もしもこれからガスが出たということが想定されますと、あのHDという毒ガスはずっと水の表面に広がる特性を持っておりますから、非常に大きな被害を及ぼすということになったのであります。幸いその桟橋がこわれなかったので事故が起こりませんでしたけれ
ども、こういう点についても万全を期す、慎重を期すという点についてはきわめておろそかであったということがいわれるわけであります。同時にまた、この輸送路の路肩、道の斜面でありますが、非常に弱くて、これも幸い事故が起こらなかったけれ
ども、今後は十二分に注意をしなければならないということであります。
それともう
一つは、非常に重大なことでありますが、最初トレーラー十台でこの百五十トンの毒ガスを運ぶということになっておったのに、当日はトレーラーが九台になりました。なぜ九台になったのかということが非常に重大な問題になってくる。このことが屋良主席からランパートに照会をしても、なぜ九台になったのかということは、ランパートさえ知らなかったというような事実が発見されております。そういうふうに、アメリカの部内においてもその連絡がきわめて密接ではなかったというようなことが行なわれております。
同時にまた、もし万一この輸送の途中、または積みかえの途中、こういうときに万一の事故が起こったときのいわゆる救急
対策というものは、はたして万全が期せられておったかというと、そうではない。おそらく米軍におけるところの救急
対策は、米軍の救助だけで手一ぱいであって、住民側へ及ぶような
対策ではなかったということがいわれております。弾薬庫の中におけるところの毒ガス砲弾の点検が、すべてに行なわれていない。今後運び出される毒ガスがどのような形態であり、先ほ
ども申し上げましたように、重量が砲弾をくるめての重量なのか、中の毒ガスだけの重量なのかも明らかにされてない。そういうような
状態で、まだまだ米軍に秘密主義的なところがあって、非常に問題があるということ、それと、いわゆる砲弾としての耐用年度がそろそろ来かけておるというような、まだ十年ぐらいあるらしいですが、通常の砲弾だったらもう五年ぐらいあるらしいですが、中に入っておる毒ガスというものが非常に、化学薬品でありますので、その侵食が激しい。したがってその点について、これはどの程度のものかということを実地に調べてみなければなりません。もし砲弾に亀裂があったり侵食が起こったりして、それが外に浸出している、にじみ出ているというようなことがかりにあるとするならば重大な問題でありますが、このことも十分にいまだ行なわれていないということであります。そういう意味で非常に大きな問題が起こっております。特に先ほ
ども申しましたが、繰り返して申し上げて、今回運び出されたHDという毒ガスは、いま沖繩に貯蔵されておる毒ガスの中では一番毒性の低いものであるということです。そういうものであり、同時にまた、砲弾としての耐久の非常にいいものだけをよって運び出したのではないかということが心配されておりますが、それの確認はされておりません。そういう意味から申し上げまして、移送路の経路についても問題でありますが、これは先ほど
長官がおっしゃいましたので十分御承知であろうと思いますので、この点については省きますが、こういう点が事実大きな問題として残されたわけであります。ただそれが事故につながらなかったということだけで今後の安全
対策に万全を、安全
対策をおろそかにしていいということではありませんので、この点について申し上げておきたいと思うわけであります。
そこで、この
調査研究報告書は、今後の問題としてこういう点を問題にいたしております。
まず第一に、大前提として、地域住民の安全
対策というものの万全が期せられなければならぬ。それが最優先に行なわれなければならぬということであります。また具体的な問題といたしましては、住民サイドにおけるところの科学
調査団というものをつくれ、そうして事前
調査と点検をより正しい形で行なうべきである。そうして必要以上の不安というものをなくさなければならぬということを提言をいたしております。同時にまた、米軍は可能な限り輸送計画全般を公開しろ、そうして協力を求めなければならぬ。今回の第一回の移送というものについてはこの点について欠けるうらみがあったので、その点一そうオープンにやらなければならぬということを強調いたしております。同時にまた、住民の避難
対策というものについての考慮というものを十二分にやらなければならぬ等々の問題が出ております。
そこで特に外務大臣と総務
長官にお願いしたいわけでありますが、この研究報告が米軍側に要請する事項というものをずっと列挙いたしております。その中の
一つは毒ガス警報機、神経ガスのための——今後運び出される神経ガス、これは猛毒のやつです。警報機とか検出器材を提供させること、次は住民に対する米軍の技術的、応急
措置を提供させること、特にG系、V系、今度運び出されるのはG系とV系の神経ガスですから、これに消去剤、もし事故が起こったときにその毒性を消してしまう薬がございますが、それを十分に用意しなければならぬということをいっております。特にGBとVX、今後運び出される毒猛の神経ガスについては、密閉して安全輸送のできるようなコンテナ車の開発をしなければならぬのじゃないかということを提言いたしております。
それから先ほど総務
長官が
指摘なさった安全輸送路の確立と建設、そして
調査団は毒ガス剤移送を核実験並みにとらえて保安体制を高めてほしい、それくらいの
考え方でなければたいへんなことになる、ということを警告いたしております。また実施通告期間を早目にして、住民側の安全
対策が十分立てられる余裕を与えてほしい、これらの提言をしておるわけであります。私はこの問題について、もっとこまかく詳しく、むしろこういうことを知っているかとかああいうことを知っているかという形で
質問をしようと思いましたが、しかしこの問題はむしろ沖繩県民の安全という点から
考えて、私はあらゆる人がこれに協力をして、そしてこの毒ガスなんというような殺人兵器を、先ほど
長官がおっしゃったように、自分の家の床の下に爆弾が入っていたらどうするんだ、それと同じ気持ちで不安な毎日を送っている沖繩の
人たちの気持を
考えたときにどうすべきかということを、まず
考えなければならぬ。そういう
立場から言いまして、私はこのようにむしろ提言という形で
皆さん方に申し上げたわけであります。この点は単に沖繩の問題であるというふうに片づけずに、ああ毒ガスかというような
考え方で過ごさずに、どうかひとつ
政府の
総理以下
関係の大臣は米軍と交渉すべきことは強力に交渉していただきたい。そうして沖繩の毒ガスを一日も早く撤去できる体制というものをつくり、また事実安全に撤去できるように努力をしていただきたい、このように
考えて申し上げたわけであります。どうかひとつ、
総理以下、
関係閣僚の御答弁を最後にいただきたいと思います。