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鳩山政府委員 昭和四十六
年度予算及び
昭和四十五
年度の
補正予算につきまして、ただいま
大蔵大臣から御
説明いたしたとおりでございますが、なお細部にわたる点につきまして補足して御
説明申し上げます。
お手元に「
昭和四十六
年度予算の
説明」という冊子がお届けしてあると思いますが御参照いただければ幸いでございます。
まず、
財政の
規模等でございますが、
一般会計予算の
国民総
生産に対します比率は、四十六
年度予算では一一・二%となります。ちなみに、四十五
年度につきましては、今回提出いたしました四十五
年度の
補正予算を追加いたしますと、その比率は二・二%、ちょうど同じ比率ということになるわけであります。
また、中央、地方を含めた
国民所得計算上の
政府財貨サービス購入の
増加率は、四十五
年度に対しまして、
経済成長率一五・一%を若干上回ります一五・四%と相なる
見込みでございます。
次に、
歳入のうち
税外収入につきましては、五千九百二十二億円でありまして、四十五
年度当初
予算に対し三百二十九億円の
増加となっております。
税外収入の内訳は、専売納付金が二千九百四億円、官業益金及び官業収入二十六億円、
政府資産整理収入百六十七億円、雑収入二千八百二十五億円となっております。
公債発行額につきましては、四十五
年度当初
予算と同額の四千三百億円を予定しておりますが、その結果、
公債の依存度は、四十五
年度当初
予算の五・四%から四・五%に低下いたします。
前
年度剰余金の受け入れ九百五十八億円は、四十四
年度決算の結果新たに生じた剰余金でございます。このうち、二百六十億円は地方交付税、
道路整備費等の
財源に充てられまして、これを差し引きました残額の二分の一相当額三百四十九億円は、財整法第六条の規定によりまして、
国債償還の
財源として
国債整理基金特別会計へ繰り入れることといたしております。
次に、
歳出につきましては、
社会保障関係費一兆三千四百四十一億円は、四十五
年度当初
予算に対しまして、二千三十三億円、一七・八%の
増加となっております。
生活保護のうち、
生活扶助基準の
改定は一四%としておりまして、東京都の標準四人世帯を例にとりますと、生活扶助のための支給額は、月額三万四千百三十七円から三万八千九百十六円に増額されることになります。
社会福祉施設整備につきましては、老人、心身障害者の
施設等の大幅な増強を行なうことといたしまして、このため、四十五
年度を三十億円上回る八十三億円を計上いたしております。
児童手当につきましては、十八歳未満の
児童が三人以上いる場合の義務教育終了前の第三子以降の
児童につきまして、月額三千円を養育者に支給するという基本的な構想のもとに、四十七年一月から、このうち五歳未満の
児童についてまず
実施に移すことといたしております。このため、給付費等の
財源として、
一般会計より、厚生保険
特別会計児童手当勘定へ三十一億円を繰り入れることといたしております。
福祉年金につきましては、各年金額の月額三百円の引き上げ、扶養義務者所得制限の緩和等の
改善をはかることといたしております。
また、
厚生年金につきましても、年金額を平均一〇%程度引き上げる等の
改善につとめております。
政府管掌健康保険につきましては、単
年度収支の
均衡回復を目途として、
所要の
改善合理化措置を講ずることといたしておりますが、その一環として、定額補助の定率補助への切りかえを行ないまして、二百七十五億円の国庫補助を行なうことといたしております。
文教及び
科学振興費一兆七百八十九億円は、四十五
年度当初
予算に対しまして、千五百三十億円、一六・五%の
増加となっております。
公立
文教施設の
整備につきましては、社会増地域を
重点に
事業量の
増加をはかるほか、新たに、
児童生徒急増市町村の公立小中学校
施設の
整備の円滑化をはかるため、二十億円の特別
整備事業費補助を計上いたしております。なお、
児童生徒急増市町村が公立小中学校校地の取得のため起こした既往の地方債の利子につきましても、
所要の
助成を行なうことといたしております。
私学の
振興につきましては、特に、四十五
年度から開始しました私立大学等の経常費に対する
助成をさらに
拡充いたしまして、百九十八億円の補助を予定いたしております。
時代の要請に即応した
科学技術の
振興をはかるために、
動力炉の
開発につきまして二百七十三億円、
宇宙開発につきまして百二十四億円を計上いたしますほか、
海洋開発、
大型工業技術開発等につきましても、その
推進につとめております。
公共事業関係費一兆六千六百五十六億円は、四十五
年度当初
予算に対しまして一八・一%の
増加となっておりますが、災害復旧等を除く一般公共
事業費では一九・七%の
増加となっております。
まず、
下水道をはじめとする
生活環境施設整備につきましては、特に
重点を置き、四十五
年度当初
予算を四〇・四%上回る八百八十二億円を計上しております。このうち、
下水道整備事業につきましては、
総額二兆六千億円の第三次
下水道整備五カ年
計画を策定することといたしております。
住宅につきましては、建設総戸数九百五十万一尺このうち
公的資金による
住宅三百八十万戸の第二期
住宅建設五カ年
計画を策定することとし、この初
年度として、四十六
年度におきましては、
公的資金による
住宅六十四万四千五亘戸の建設を予定いたしております。
一般会計におきましては、
住宅対策費として四十五
年度当初
予算を二一・五%上回る千百五十九億円を計上しております。
次に、
道路整備事業費といたしましては、六千九百四十三億円を計上しておりますが、その
財源構成は、特定
財源五千九百五十三億円、一般
財源九百九十億円となっております。
さらに、
港湾、漁港、
空港につきましては、四十五
年度に対し二〇・四%増の千四百十四億円を計上しておりますが、このうち、
港湾、
空港につきまして、それぞれ、
総額二兆千億円の第四次
港湾整備五カ年
計画及び
総額五千六百億円の第二次
空港整備五カ年
計画を策定することといたしております。
次に、
経済協力の
推進と
貿易の
振興についてであります。
日本輸出入銀行につきましては、貸し付け
規模を四十五
年度の四千三百億円から五千三百五十億円に拡大することといたしまして、六百五十億円の産投出資を予定しております。なお、他の主要債権国と協調いたしまして、インドネシアの債務履行の円滑化をはかるため、同国の中央銀行に対しまして日本輸出入銀行が行なう貸し付けの
財源として、
一般会計から同銀行に四十二億円を貸し付けることといたしております。
海外経済協力基金につきましては、投
融資規模を四十五
年度の七百三十億円から八百九十億円に拡大することといたしまして、三百三十億円の
一般会計出資を予定いたしております。
次に、
中小企業関係でございます。
中小企業振興事業団につきましては、
公害防止施設等のための特定
高度化資金をはじめとして
事業規模の拡大をはかることといたしまして、このため、
一般会計からの出
資金を四十五
年度の二百五十七億円から三百二十二億円へ増額しております。
国民金融公庫等
政府関係
中小企業金融三機関に対します
財政投融資計画額は、五千六百四十二億円でありますが、その内訳は、
国民金融公庫が二千七百七十六億円、
中小企業金融公庫が二千七百三十六億円、商工組合中央金庫が百三十億円となっております。
中小企業信用保険公庫への出
資金は、百十億円を計上しておりますが、その内訳は、保険準備基金が四十億円、
融資基金が七十億円でございます。
次に、
農林漁業関係でございます。
米
生産調整奨励補助金は、稲の作付を休止する方法によりまして米の
生産を減少させた者に対しては、当該減産にかかる稲の不作付地十アール当たり平均三万円、それから市町村、農協等への寄託を行なって長期間
計画的に休耕する者等に対しましては、十アール当たり平均三万五千円、それから永年性作物または一定
規模以上の面積をまとめて他作物への作付転換を行なった者に対しましては、十アール当たり平均四万円交付することといたしております。
なお、以上のほか、農産物の需給の動向に対応しまして、水稲から他作物への転換を
促進するため、
総額四百二億円にのぼる
経費を計上いたしております。
農業
基盤整備につきましては、農道
整備、圃場
整備、畑作
振興、草地
開発等の各
事業を
拡充し、四十五
年度に対し一八・一パーセント増の二千二百三十三億円を計上いたしております。
農林漁業金融におきましては、
農林漁業金融公庫の
融資ワクを四十五
年度の二千三百億円から二千六百二十億円に拡大するとともに、農業近代化
資金の
融資ワク三千億円を確保いたしております。また、漁業近代化
資金の
融資ワクを四十五
年度の二百五十億円から三百五十億円に拡大いたしております。
次に、
沖繩復帰対策につきましては、本年七月からはじまる一九七二琉球会計
年度におきまして、
一般会計からは、前
年度に対しまして六四%増の四百二十七億円、
財政投
融資からは、前
年度に対し倍増の百四十億円の援助を行なうことを予定し、それぞれ
所要額を計上いたしております。
次に、以上の
説明と重複するところもありますが、
公害対策と
物価対策について、補足して
説明いたしますと、
公害対策につきましては、
一般会計、
特別会計を通じまして、四十五
年度を三九・七%上回る九百三十一億円を計上いたしております。また、
財政投融資計画においても、対象
事業費として、四十五
年度当初を四九%上回る千七百二億円を予定しております。
さらに、
物価対策に関係ある
経費につきましては、低
生産性部門の
生産性向上、
住宅及び地価の安定、
労働力の
流動化促進等のための
経費を、
一般会計、
特別会計を通じ合計いたしますと、四十五
年度を二五・三%上回る八千百七十五億円となります。
次に、
昭和四十五
年度補正予算につきまして、補足して御
説明いたします。
まず、
一般会計について御
説明いたします。
歳入につきましては、
租税及び
印紙収入の追加が三千十一億円でありますが、その内訳は、
所得税八百一億円、法人税千三百九億円等であります。
税外収入の追加百二十二億円でありますが、これは日本専売公社納付金の
増加によるものであります。
また、
公債金五百億円を減額いたしまして、
昭和四十五
年度の
公債発行
予定額は三千八百億円となります。
次に、
歳出面につきまして申し上げます。
給与改善費千六十五億円は、第六十四回国会において成立いたしました給与関係法に基づく
公務員の
給与改善等のため必要な
経費であります。
義務的
経費の追加百六十五億円は、生活保護費、
国民健康保険
助成費等の義務的
経費の精算等のため必要な
経費であります。
食糧管理特別会計におきましては、
過剰米の処理及び
国内米の
買い入れ数量の
増加等によりまして、同
特別会計食糧管理勘定の損失額が
増加する
見込みとなりましたので、
一般会計から同
特別会計調整勘定に七百三十億円を繰り入れることといたしております。
万国博覧会跡地購入費八十三億円は、万国博覧会の跡地の一括的な利用の確保をはかる見地から、同跡地のおおむね二分の一を購入するため必要な
経費であります。
地方交付税交付金千八十七億円は、
所得税、法人税及び酒税の増収を
歳入に計上いたしましたことに伴う
増加額七百八十七億円と四十五
年度の特例
措置としての
地方交付税交付金の減額を修正することに伴う追加交付額三百億円との合計額であります。
次に、
歳出追加の
財源に充てるため、既定
経費の節約及び不用額の減額によりまして、四百四億円の修正減少を行なうこととしたものであります。
以上で私の
補足説明を終わります。