○
川島(一)
政府委員 三百九十八条ノ二十二の
消滅請求の
規定と、現行の
民法で
規定しております滌除
制度との
関係だと思いますが、似たような面はあるわけでございます。しかしながら、滌除の場合には、滌除の
請求をすることができる者が、その後不動産を取得した者に限られておるというような
意味では狭くなっております。それからまた方法などにつきましても、滌除の場合には、一定の金額を
定めて、これで
抵当権を滌除してほしいという通知をしたりいたしまして、これとはだいぶ別の
制度であるというふうに考えております。ただ、いずれも一定の金額を払いまして、そして
抵当権を
消滅させるという
意味では同じような機能を果たすわけでございまして、いずれも現実の利用権を持っておる者を保護するという
制度でございます。
この三百九十八条ノ二十二の
規定は、要するに
抵当不動産の所有者の場合を考えますと、百万円なら百万円の
担保価値を提供しているわけでありまして、それが
根抵当権によって
担保すべき
債権がその額よりも多いという場合に、現在の
制度では、百万円以上の額を払わないと
根抵当権を解放をしてもらえないという不合理があるわけでございまして、その不合理を是正しようというのがこの
規定の大きなねらいであるわけでございます。それと同時に、滌除と同じような
意味合いから地上権者、永小作権者などにも同じような
権利を認めたわけでございますけれども、賃借権を加えましたのは、この場合に同じように評価していいと考えたからでございまして、この点は
民法の制定当時、つまり源除の
規定ができました当時、賃借権についての考え方が現在と違っておったからではなかろうかという感じも、一面においてはするわけでございます。
それから
民法の滌除の
制度、これにつきましていろいろ批判があることはお説のとおりでございます。ただわれわれといたしまして、この
根抵当立法に直接
関係はございませんけれども、滌除
制度がどのような役割りを果たしているかということを、
金融機関にも多少当たって調査してみたわけでございます。その結果によりますと、学者が本に書いておりますような弊害というものは実際にはあらわれていない。のみならず、ほかの
制度との
関連において、どうも滌除がないとうまくやっていけないというような場合もございますので、この扱いにつきましては今後とも慎重に検討してまいりたいと思っておるわけでございます。