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鍛冶委員 自由民主党、
日本社会党、
公明党及び
民社党四党を代表いたしまして、私から
附帯決議案の
趣旨を
説明いたします。
まず、案文を朗読いたします。
民事訴訟法等の一部を
改正する
法律案に対する
附帯決議(案)
一、
決定、
命令の中には、
判決におとらぬ重要なもののあることにかんがみ、
裁判所は、本
改正による
記名押印方式の実施にあたり、適正な運用がなされるよう
配慮すべきである。
二、
政府及び
裁判所は、
司法制度の
改正にあたり、
在野法曹と密接な連絡をとり、
意見の
調整を図るように努めるべきである。
右決議する。
以上でございます。
申し上げるまでもありませんが、
裁判は、
決定であろうが
命令でありましょうが、
裁判でございまするから、
国民の信頼を得るということが何よりも大切なことだと存じます。それには、その
裁判をなしたる
裁判官が、自分でやったものであるということの
責任をとる
意味において、みずから
署名捺印するということが私は大
原則であろうと考えるのです。またその
半面裁判官というものはみずから
裁判に
署名捺印をするということが
一つの誇りであらなければならぬ。こういう
意味におきましてできるものならばすべての
裁判に
署名捺印をすることは、最もいいことだと私は思うのであります。しかし、だんだん事件も多くなりまするし、また、それほど
責任を負わなければならぬほどの重大でないものもあるものですから、そういうものにまで一々やっておっては繁雑でありましょうから、それほど
国民の
権利義務に直接
関係のないものならば、
記名はひとつ別にいたしまして、
捺印だけは
責任をもってやるということに変えたらよかろうというのが本
法律案の出されたゆえんであろうから、この点にも一理あると思いまするが、問題はどの点までが必要であって、どの点からそれでやってよろしいかという、このことをこの間からいろいろ
審議いたしておりまするがなかなかそのめどはつかないのであります。
そこで、いろいろ考えました結果、
法律は
原案どおりに通しまするが、ここに書いてありますとおり、
判決に劣らぬ重要なもの、
国民の直接の
権利義務に重大な
影響を及ぼすようなものに対しては、できるだけみずから
署名捺印をするようなことにしてもらいたい、こういうのがこの
附帯決議の
根本精神であります。
この
附帯決議がありますると同時に、今後
裁判所におかれましても、だんだんいい
慣例をつくりまして、おのずからここらまではやらなければならぬ、ここらからはいいものだという、だれが見てもこれならというふうに納得のいくような
慣例ができることを希望してやみません。また、そのようにつとめられることも、ここに書いてはありませんが、その
意味においてわれわれはこれに
賛成するものでありますから、どうかそういうことにつとめていただきたいのであります。
それから第二の点は、いまさらここで申し上げることではございませんが、今後
司法のすべては
法務省、
裁判所、
在野法曹の
弁護士会、この三者がうまくいくことでないと、りっぱにいくものでないことはいまさら申し上げるまでもありません。どうも出るたびごとにぼつぼつやることは、私ははなはだ残念だと思いますので、われわれもできるだけのことをつとめまするが、今後は一そうこの点おつとめくださいまして、うまくいかぬようなときには、失礼ながらわれわれもその中に入れていただいてもよろしゅうございますから、それでスムーズに
法律も通り、
行政事務までもりっぱにいくようにやっていただきたいと、この機会に
附帯決議としてこれを出した次第でございます。
どうぞそのおつもりで、今後スムーズにいくことをひとえに希望いたしまして、
附帯決議の
趣旨説明といたします。