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1971-03-03 第65回国会 衆議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月三日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 高橋 英吉君    理事 小澤 太郎君 理事 鍛冶 良作君    理事 小島 徹三君 理事 田中伊三次君    理事 福永 健司君 理事 畑   和君    理事 岡沢 完治君       石井  桂君    河本 敏夫君       羽田野忠文君    松本 十郎君       村上  勇君    黒田 寿男君       松平 忠久君    林  孝矩君       青柳 盛雄君  出席政府委員         法務省刑事局長 辻 辰三郎君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局人事局長  矢口 洪一君         法務委員会調査         室長      福山 忠義君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   三宅 正一君     松平 忠久君 同日  辞任         補欠選任   松平 忠久君     三宅 正一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所司法行政に関する件  検察行政に関する件      ————◇—————
  2. 高橋英吉

    高橋委員長 これより会議を開きます。  裁判所司法行政に関する件及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑和君。
  3. 畑和

    畑委員 私は、きょうはしばらくぶりで検察行政あり方について質問をいたし、事実を少し究明してみたいと思うのです。  それというのは、長野県で起こった事件でございまして、現在公判が進行中の事件であります。したがって、そういう点も若干配慮はしながら、しかも私自身が実は弁護人についておるというようなこともございます。しかし、これによってその裁判を有利にしようとかなんとかというような狭い気持ちは毛頭持っておりません。ただ私がこの事件にその前から関係をして、そして弁護人についておるというような経過を通じて私が知り得たこと、そして単に弁護活動ということだけではこれは足りない、やはり私は国会議員の一人としてこうした検察あり方というものについて人権じゅうりんにも関係することでございますので、事実を究明したい、こういう立場であります。その点をまず御了承いただいておきたいと思います。  その事件と申しますのは、いま長野地裁裁判になっております。被告人米澤嘉久太という長野県の埴科郡戸倉町の人でありまして、役職としては長野埴科土地改良区というのがございます、その土地改良区の理事長をいたしております。そしてもう一人は宮入茂敏という方で、これまた同じく埴科土地改良区の専務理事でございます。この二人が起訴になっておる。その事実は、一つ公文書偽造、同行使、それから同時に、その結果登記原本不実記載をさせたという公正証書原本不実記載、同行使、それからそれによってさらに詐欺をしたという詐欺がついております。それが大体一つの事実でありまして、もう一つ米澤被告についてだけ、たまたま米澤被告が同時に北信ニット協同組合という協同組合組合長をいたしておるというようなことから、その職務の執行に際して、中小企業近代化資金、いわゆる共同施設資金を県からこの組合が無利子で借りた。ところが、実際にはその金はそういう施設には使ってない、帳面づらだけそうして合わせて、証拠書類をつけて詐欺を働いた、こういう大きくいりて二つの事実で起訴されておるわけであります。  実はこの件につきまして、これより前に白鳥園事件というのがありました。これは長野県の企業局がやっております温泉のレクリエーションの施設だと聞いておりますが、その白鳥園で水を買った。その売ったほうが本件土地改良区だということ、しかもそれを県のほうで支出した金をほかの会社で施設を建てたということにして金を編取をしたというようなことのようであります。そうしてこれは実際上は金銭上の問題は一つもないわけです。ただそういう形をとったということで、それは事実と違うということで企業局関係の職員が二人か警察のほうから書類を送検されて、検察庁のほうで審理をしてさらに再調べをして送検をされ起訴になっておる、こういう事件がございました。  この事件については、その一番上の上司というか、それが相沢武雄という企業局管理者でありまして、それがたまたま今度の知事の選挙に社会党推薦で出る予定になっておる、いまそういうふうなことになっておるようでありますが、その当時、その辺の政治的なねらいがあってこの事件がいろいろ騒がれたということのようです。しかも本件のほうで起訴になっております米澤嘉久太という人は県会議員でもありました。その相沢氏の参謀格というようなことで見られておった人であります。したがって、水の供給関係で何かこれのほうにも疑惑があるということで、これにも関連をして捜査が進められたようでありますが、相沢武雄氏には何ら関係もない、同時にまた、米澤という本件被告についても関係はないということが明らかとなりました。そうして実際の担当した人だけが書類送検して起訴になっておる、こういうことがありました。それがこの事件の前の事件であります。そうして前の事件は先ほど申し上げますように県警で捜査担当しておる、それを検察庁のほうに送って検察庁のほうでチェックをした、こういうことでございますけれども、本件のほうは直接検察庁事件捜査担当したということに意味があると私は思うのです。  それで、こちらの改良区のほうの事件概貌を申し上げますと、改良区の認可をされた地域の中に屋代用水というものがございます。ところでこの改良区は、最初は全体として認可になったのでありますけれども、その後一、二、三、四とこういうふうに分けて改良区の仕事をするように途中で変更になりました。それで各地域ごと改良が実施されていった。ところで、そのほかに県の施策として幹線水路幹線用水計画をされて、その幹線用水計画どおり実行をされておるならば、本件で問題になっておる屋代用水というのは早くからもう埋め立てをして、改良区の中に入れてやるはずであったが、その幹線水路ができ上がりがおそかったために、これをつぶすわけにいかぬというようなことで、ほかのまわり土地土地改良がなされましたが、これだけは残っておるというような関係で、その後幹線水路ができ上がったものだから、屋代用水の整理、埋め立て等が始まったということで、それを全然別に初めからやるべきであったのに、たまたま便宜上、そのまわり改良区の土地の交換ですか、換地ですか、それに含ませてやってしまったということになりました、そのために便宜というか、県からの登記所に対する通知書の別紙を差しかえて、誤謬訂正という通知でありますが、それを差しかえてやったものですから、そのとおり登記所が通ってしまった。したがって、いままで編入されておらなかったのがいつの間にか編入された形になって、その用水土地が、広い昔からの曲がりくねった川でありますから、その川を整理してまん中に一本道路を通した。相当広い道路です。私も見てきました。その隣に水路をあらためて新しくつくらしてやったものですから、幅は狭くて直線コースでよろしいということで、非常に土地が節約できるということで、余った土地を実は埋め立てをして、それを公売に付した。それで工場等を建てさせたということなんであります。それが改良区の資金になってちゃんと預金をしてある。ところが、これをほしいままにやって、その金約七千万円を被告らが着服をしたというふうに推認をした模様であります。そのように逮捕のときには新聞紙上等に大々的に報道をされておるわけであります。ところが、実際に調べてみると一銭も私しておらぬ。全部明細に、一銭も狂いはなかったということであります。しかもそういった仕事をやった人は実際の実行正犯とでも申しましょうか、実際に仕事をやりましたのは、その改良区の常務というか、その改良区の事業団体連合会というのが各県にございます。この事業団体連合会技師二人がそういったことは詳しいので、どこでも同じですが、その人たちに大体まかしておったわけでありまして、その二人が実際にはやっておるわけです。ところが、この二人は任意調べを受けてこの事件の発端となったのですが、この人たち起訴になっておらない。それからその次に調べられた改良区の技師、これは逮捕されまして相当長い間苦しめられたのですが、これも起訴になっておらない。また逮捕された専務、それから一番最後逮捕された理事長、この二人が起訴になっていま公判が開かれておって、冒頭陳述の途中であるというような事件経過になっております。  大体そういうことが事件経過でございまして、これは刑事局長も、私がこういう質問をするということで現地について照会等をして大体はお調べになっておると思いますので、いまさら私が言わないでもいいのでありますが、たまたま同僚諸君、お聞きになっている方々が事件をのみ込めないといけないと思いまして、相当時間がかかりましたが、概貌をまず申し上げたわけです。  そこで、私この事件が起きまして、釈放されてから起訴、不起訴という段階のときに、社会党長野本部要請によりまして——私はたまたま社会党本部憲法擁護あるいは弾圧対策委員長という職にあるものでありますから、その立場でそういう人権問題、弾圧問題として取り上げてもらいたいという話があって、私は長野に急行いたしました。そうしたところが、ちょうど担当検事二名と次席検事の合計三名で東京高検起訴、不起訴の稟議というか、それを仰ぎに行った留守で、ちょうど入れかえになりました。残念でありましたけれども、検事正に私のその趣旨を申し上げました。この事件起訴すべきものではないと私は思う。相当人権じゅうりん捜査もやっておるし、また大きな立場で考えてみても、政治的においが非常に濃い。と同時に、起訴に値しない事件であると私は思うからよろしく配慮願いたいということを申し上げました。それからまた、事件が拡大することをおそれて、同時に、私はあなた、刑事局長長野から電話を入れて、この問題はたまたまそちらの高検にいっておるから、ひとつアドバイスしてもらえまいかということをお願いいたしたのでありますが、その結果は翌日起訴ということになったわけであります。  そういうわけでありましたけれども、私もさらに詳しく知る必要もあるし、そういう現地要請もございましたので、私も弁護人の一員として加わることになりまして、そういう経過であるということを知り得たわけであります。これはあくまで裁判になっておりますから、公判模様以上のことは申しません。しかし、冒頭陳述段階において双方の意見が非常に鋭く対立をして、いまのところ冒陳の段階でも、もう検察庁はふらふらというところだと私は思っております。事件そのものにつきましは、われわれは確信を持っております。  ただ、私がきょう問題にしたいのは、もっぱら捜査にあたっての検察庁当局態度人権無視のことがなかったか、あるいは弁護人弁護権侵害をするような点がなかったか、総体として検事正をはじめとする検察当局事件に深入りし過ぎて、のっぴきならなくなって起訴をしなければならぬようになったというふうにすら判断される点で、検察庁あり方として、もっと冷静に処理すべきではなかったかというような、検察の姿勢のあり方ということについて中心にただしまして、警鐘を乱打したい、こういう意図できょう質問に立った次第であります。  そこで、申しますけれども、この事件は、大体西川和人という技師ともう一人近藤正直という両方とも連合会技師でありますが、この技師最初任意出頭調べました。それで最初は、彼らははっきりわれわれ二人で、技術者として詳しいものだから、それで便法として二人で考えてやったものですという供述をしておる。ところが、その後また呼はれてその逆の——逆のというか、自分たちだけではなくて改良区の幹部の人たちにも相談をしてやりましたという供述にひるがえっておるわけです。しかもその経過も、うちのほうの弁護士立ち会いの上で、こちらの被告人立ち会いの上のときに調査に呼んで聞いたところが、そういうことを明らかに言っておる。その二人が最初はやはり私たち二人だけでやったと言っている。そういう供述をしておる。ところが、検察庁証拠になった供述書は逆であります。それがもとになって坂口というあまり事情を知らない改良区の技師逮捕された。そして自白を強要された。その結果、最後には検察官の気に入るような自白、うその自白ということになったわけです。しかもその経過において弁護人とも接見させないというようなことで、裏においてはまた被疑者坂口技師に対しまして、おまえの証拠はたくさんあがっているので、もう弁護人は手を引いた、こういうことを言って、本人が失望して、そういう経過において実は自供をしておる。それで坂口技師は非常に気の小さい人ですから、自殺をしようとした。それでそのことをちらっと漏らしたものだから、検察官のほうからそれをさとされてそういうことがなしに済んだ。また注意もしたということで、結局そういう事なきを得たような事情がある。それでその上にさらに今度、その中間において宮入専務逮捕した。それで宮入専務に対しても同様な似通ったようなやり方で、やはり弁護権を制限しつつ、被告人を孤立させたような形で自白をしいたというような事実があるのであります。そして最後に、宮入を陥落させた上で理事長米澤逮捕しました。そして逮捕をして、しかも米澤にやはり同様弁護士接見をさせない。そこで一、二の例外を除いてほとんどについて弁護権の制限をして——承知のように刑事訴訟法によって接見禁止の場合といえども弁護人接見交通の権利がある。ただ捜査の妨害になってはいけないということで、御承知のように時間の指定を検事がすることになっております。それをしない。弁護人も会わない。電話をかけても出ない。弁護人も業を煮やしてみんな憤慨した。そこで東京弁護士を応援に求めて、それで実は本格的に取り組んだのであります。それでその結果が結局準抗告などしたりいたしまして、接見をきょうじゅうにすみやかにさせるべきだという裁判所決定をもらった。ところがその決定に反して、翌日の晩になってやっと米澤などにも接見をさせたというのであります。それから勾留理由開示の申し立てもした。ところがその直前に、さすがに裁判所のほうは宮入並び米澤勾留取り消しをやりました。そして突然、米澤宮入は出てきた。こういうことで検察側のほうは終わっておるのでございます。  そこで、先ほども申し上げましたけれども、そうした弁護権侵害——私も最近たまにはいろいろ事件担当もしますけれども、そういう例はない。ちゃんと刑事訴訟法に違反をいたしておる。何とかして弁護人に会わせない、会わせないでいてその間に陥落をさせる、こういうきたないおかっぴき根性、こういうことが私は今度のこの長野検察庁捜査の中にあらわれておると思うのであります。なぜもっと堂々とやらないのか。それは結局はやはり検察庁がみずから手を下したと  いうところにあると思います。東京特捜あるいは大阪の特捜、そういうところでは検察庁がみずからやる大事件等警察ができないと見てやると  いう場合があります。長野の場合もそのつもりでやったのだと思いますけれども、私は、思い上がりもはなはだしいと思うのです。大体白鳥園事件という警察が手がけてたいしてものにならぬ。前  の検事正は消極的だったそうです。ところが、あとでかわった検事正はがらりと変わって、白鳥園事件を徹底的に追及すると、まだ着任早々駅の記者会見でそう言うておるわけです。がらっと変わったそうであります。そうしてこの事件が起きた、こういうことなんでありまして、その辺の検察態度はこのままに無視できないというふうに思うのであります。この辺、あなたのほうでも一応の照会をしたと思うのですが、大体それに符合をするようなことがあったかどうか。あったというあれになっておるか、あるいは全然そういうことはないというのか。その辺。水かけ論とは思いますけれども、まず総体の問題について、こまかいところはあとで申しますが、その点について刑事局長の見解を承りたい。
  4. 辻辰三郎

    辻政府委員 ただいま御指摘の、現在長野地裁係属中の米澤嘉久太氏外二名にかかる公文書偽造、同行使詐欺等にかかわる事件でございますが、内容につきましては、ただいま御指摘のとおり公判係属中でございますので、私ども答弁は差し控えさしていただきたいと思うのでございますけれども、外形的な事実といたしまして、先ほど来御指摘三つ事件があるわけでございますが、この三つのうちの最初一つでございます白鳥園関係事件につきましては、これは検察庁警察から送致を受けた事件でございます。あと二つのいわゆる屋代土地改良関係事件と、それから北信ニット関係事件、この二つにつきましては、これは検察官事件を認知し、捜査をして起訴したという経過になっておるわけでございます。  これら三つ事件につきまして、先ほど申しました米澤氏外二名について一括して昨年の九月十六日に公判請求をいたしておるわけでございます。その事件の取り扱いの経過におきまして、ただいま弁護人との接見の問題であるとか、あるいは検事の取り調べの問題について意見の御開陳があったわけでございますが、私ども、外形的にその点について知り得たところは、ただいまも御指摘がございましたけれども、まずこの米澤嘉久太氏につきまして、弁護人との接見の問題について、昭和四十五年八月二十八日に長野地方裁判所刑事部が、「検察官は、弁護人等被疑者接見するについて、その日時、場所を指定しない限り、弁護人等被疑者との接見を拒否してはならない。」という決定が出されております。  それからなお、米澤嘉久太氏につきましては、ただいまも御指摘がございましたけれども、昭和四十五年の八月二十六日に勾留をされたわけでございますが、翌々日の八月二十八日に勾留取り消し裁判長野地方裁判所において行なわれておるという事実もございます。  それからもう一点、この宮入理事につきましては、勾留の延長が途中で打ち切られておるという裁判が出ております。  以上の事実は、外形的な経過としてはっきりいたしておるわけでございます。  それからなお、検事正が交代をいたして、あとから来た検事正がきわめて強いことを言ったという点についてでございますが、この事実につきまして、検事正は昨年の七月二十二日に長野地検着任をいたしております。このちょうど事件捜査の途中において着任をしたということは、これは外形的にはっきりいたしておるわけでございます。
  5. 畑和

    畑委員 いろいろ内容的なことについては刑事局長もそれほど知らないことが多いと思う。あなたの立場上やむを得ないと思いますけれども、そのほかいろいろ私こまかいこと若干申し上げます。捜査がいかにやり過ぎであったかということです。乱用であったかということ、捜査権乱用見込み捜査、そういった点、人権じゅうりんというような点を二、三申し上げたい。  米澤調べたのは伊藤検事であります。それで、逮捕をする前に各所を捜索をしました。これは捜索するのはあたりまえです、これはいいのです。ところが、その捜索も程度を越えておると私は信じております。やり方が少しきたない。  一つはこういうことがあります。米澤が八月二十五日の午前六時、任意出頭の当日、ちょうど自宅からもう出かけたときなんですね、むすこしかいなかった。ところが、そのむすこ米澤氏を隠したといって、むすこを強引に検察庁伊藤検事が同行をした。二時間ばかり取り調べた。もちろん調書はとっていないのでしょうがね、取り調べた。ところが米澤は、むすこ検事検察庁に着く直前にもう出頭しておったのです。それだのにちようどたまたま伊藤検事任意出頭を求めに行ったところがおらなかった、隠したのだろうというので、むすこを引っぱっていって、それで二時間も調べた。そのときには別のところに、もうその前に検察庁に行っておった、こういうことがあるのです。これなどはずいぶんひどいですな。こういう事実があったのかどうか。こういう事実、ひとつメモにしておいてもらって照会してください。ないと言うでしょうけれども、これはどうか。対質してもいいから、いずれあとでそういう機会もあろうかと思う。  それから同日、二十五日に米澤の妹の宅の田中とよみという、いいちゃんとしただんなさんがいるわけですが、そこの宅を捜索しました。これなども私は普通の場合としては行き過ぎだと思いますね。どうして捜索令状をとったのか、どうして簡単に出したのか、こういうことも私は疑問だと思う。それからもう一つひどいのは、上山田温泉の角八という焼き鳥屋、これを強制捜索した。その際、検察のだれが行ったか知らぬけれども、事務官か、検事か、だれか知らぬけれども、開口一番、おまえは米澤の二号だとどなった。角八のママから、失礼なことを言うな、私にもりっぱな主人がほかにありますと、こう言われて恥をかいてわびを入れた、こういうことです。さらに畳をめくって調べるぞと言っておどかした、こういう事実は厳然たる事実です。  一体こういうことをしていいのでしょうか。大体角八という、そういった——米澤も酒を飲んだりしますから、ときどき行くでしょう。そういうところを二号なりと断定をして、そこに金が隠してあるだろう——どうもそうらしいのです。預金通帳や金が隠してあるだろう。妹の田中とよみさんの場合も同じです。預金帳が隠してあるだろう、何でも隠してあるだろう。とにかく七千万円の着服横領したというのが見込みですから、その見込み捜査でやったのですから、こういうこともやりかねない。まことにお粗末だ。  それから妹田中に対しては、いま言ったとおり、たくさんの金が米澤から預かって預金してあるので調べると言って、預金書類等を全部数十通押収していった。これは人権じゅうりんですよ。  それからまた、調べるにあたっても、米澤は七月二十五日に逮捕されたときの調べで、屋代用水敷地あとの一まず山分けをして米澤名義になっていると大声で追及した、これは伊藤検事だ。私が黙っていると——すなわちこれは米澤の私に送ってきたものですが、米澤が黙っていると、それみろ、ほんとうだから何とも言えないじゃないかと、五、六回おどかした。これはそのとおりですな。こういう事実もあります。それはどろぼうやなんかなら別だけれども、ちゃんと県会議員を何期もやっている人です。良識ある人です。そういう人に対して、幾ら検察官といえども、言うべきことばでしょうか。こういうおどかしはきかないのです。かえって逆になるのです。したがって、私はそんなことは知らない。私の名義があったら、具体的に場所を示せと、逆に迫った。それはそうですよ。検事も困ってハッパをかけただけだ、検事は法律によってハッパをかけてもよいことになっていると釈明してあとは語らず。検事が黙秘だ。茶を飲めと言ってごまかした。それで米澤は、事件が終わってから明らかにしてみたいと申し込んだが、検事黙して語らず、こういうことなんです。  で、いま裁判所へ行って逆の立場になっています。この間、意見陳述の際も、被告人から検事は目の前でやられました。これはみっともないですよ。私はそれで検察官あり方について、その立場でぼくは言うのですが……。  それから、最初中村技師という人の任意出頭を求めてきたときなども、たくさんの人を連れてきて、それで検察事務官が来て車で連れていった。あたかももうそのとき逮捕状でも持っているかのごときようなかっこうで、それで連れていった。一時間ばかり調べて帰して、調書もとらずに、ただ大声をあげてどなっただけだ、こういうことです。それから、会計主任の人も勾留して、  一カ月近く毎日九時から午後七時ごろまで調べられた。これなどもうそではないはずです。で、すっかり疲れちゃって病気で倒れたということも言っております。  ともかく、この事件によってだれも損をしていないのですね。みんな感謝しておるのです。道路も、こういうりっぱな道路ができる、町道ができたわけです。それから水路もりっぱな水路ができる。で、余った土地改良区の財産としてそれを公売にして、埋め立てをして、それで各人に売っておるわけなんです。それは約七千万円、ちゃんと預金をしてあります。大体動機がないのですよ。詐欺、横領といったって動機がない。ところが検察官は、しいて動機は、退職金規程というのを改めるという考えがあった、だからそれだけもうけておいてそれを退職金に充てるつもりだった、だから動機があるんだ、こういうことを言っておる。こんな動機は私は考えられない。大体そういう点も十分に考えてやるべきだ。捜査の途中で、これはぐあいが悪いと思ったらシャッポを脱ぐべきだ。それを最後までかかわってやるのは私はどうかと思う。かえって検察側が不信を買うだけだというふうに思っております。こういう点もひとつ調べてください、さっき言ったいろいろな事実をですね。あなた、いまここで私が言っても、そういうことはありました、なかったとは言えないでしょう。とにかく一応そういうことがあったかなかったかということをひとつ調べてもらいたいと思います。  それからもう一つ、ほかの被告宮入やなんかでありますが、いろいろ同じようなことを言って、坂口主任技師に対しても先ほど申し上げましたようなおどしを使って、もうおまえの弁護士は手を引いたと言って、うその重圧を加えて自白を強要したというようなことですね。こういうこともひとつよく調べてもらいたい。それからそれの訂正を申し入れた。これも弁護士立ち会いで、弁護士も行っております。ところが、坂口に対してはとうとう訂正の調書はとらなかった。坂口は途中それがわかったわけです。あとでそういううそは訂正してくれ。弁護士と相談の上で、申し入れろ、こう言った、申し入れた。確かにメモか何かに書いたそうですが、とうとう訂正の調書はとらなかった。調書には出ていない。それはうそのそういう供述ですということを訂正をしてくださいと申し入れたが結局調書にはとらなかった、こういう事実。とってあればとってあったでそれがまたこちらの被告一つの有利な証拠になるんだが、それがなければそれきりなんだ。  それからこういうこともあります。宮入被告坂口から十日近くおくれて八月十一日逮捕されたが、面接早々雷のような大声で、理事会で説明したとおりもう一度ここでうその説明をしてみろと言われた。黙っていると、私の目を見すえて、おまえもおれの目をじっと見詰めていろ、目をそらすようだとおまえはうそを考えている証拠だと言われた。私は何も検事さんとにらめっこに来たわけではありませんと目をそらすと、それみろ、おまえの心臓は早鐘のように速くなっている、耳たぶもまっかになっている、そこの鏡を見てこいと言われて見たけれども、一つも赤くはなっていなかった。まあこの六十何歳の老人が、しかもこの地方としては相当教育もある人です。こういうことを言われた。明治三十九年生まれの老人を強盗や放火、殺人犯でも扱うような態度であり、何か催眠術でもかけられるような気持ちでした、こういうことを述懐して私に書いてよこしております。  水を一ぱいいただきたいと言っても、取り調べ中はだめだと言って水さえくれなかった。朝早く朝めし一ぜんだけで任意出頭で出てきたものだから、のどがかわいて声にならない、水を一ぱいいただきたいと言っても取り調べ中はだめだ。しかもこれはまだ逮捕状が執行される前の任意調査段階です。  それから取り調べ中、連合会の職員から便法で登記を済ませるよりしかたがないという話を聞きましたが、差しかえなどということは全くしろうとの私は知らないことですと言いましたところ、それ見ろ、問いに答えず語るに落ちるとはこのことだ、ちゃんと差しかえということを知っていたではないか、うそというものは隠せるものではない、こう言って大喝した、こういうやりとりがあるのです。  それからまた、さらに一つ驚いたことには、こういうことなんですね。取り調べ中の検事被疑者を前にして、事務官がたまたまいなかったのだそうですが、深々といすに寄りかかり約一時間も居眠りを続けていた、こちらから注意することもないので、はっと目をさまして、これは失礼とは一体どうしたことだ、こういうこともある。それは連日無理しる疲れているからそれもわかります。わかりますけれども、大いばりするからにはこういう失敗はしないほうがいい。やるとまずいですね。いばらなければいい。いばってやって、しかもこういう失敗をしておるわけです。これではやはり威信に関すると思います。  それから供述書等も、宮入被告の言うには、読み聞かせたのはただの二回だけだ。読み聞かせることになっているのに、一々読み聞かせないでもよいことになっていると説明したそうであります。こういう事実があると言っておるのですが、これはどうも私の心証としては心証十分なんですが、まあ検事はだれもそれに立ち会っておりませんからそうでないと言うかもしれませんけれども、私はこういう態度は非常にけしからぬと思う。検事の思い上がった態度、ここでひとつ締めておかなければならぬというのが実は私のきょうの質問の趣旨であります。これは必ずしも長野県だけではないと思う。ほかにもあろうと思います。やはり検察官はえりを正して検察仕事をやるべきだ。それでなければやはり信頼を得られないと思っております。  それからもう一つ、この北信ニットの起訴です。これも私は非常に問題だと思う。これは北信ニットの場合、実はこれから二年、三年くらい前、昭和四十一年くらいのところに専務理事が横領したのですね。五百万ばかり横領したのがあとでわかった。昭和四十三年ごろわかりまして告訴をしました。それでその結果その専務理事起訴をされて、結局結果的には二百五十万ばかり金をつくって払い、あとの残りはかんべんしてやって、そして執行猶予になっております。当時の専務理事の岩井常樹という人です。この事件のときに、たまたまその金を一体どうしたのだといったような、どこからあれした金だというようなことから、さっき起訴になっておる事実、すなわち中小企業の近代化資金を無利子で借りた、そういうことから出てきたのだと思いますが、そのときにそういったうその証拠や何かをつけてやった詐欺ですね。そのことも同時に供述したそうです。その人の判決があったのはこの事件の一年以上前です。二年近くになる。その時分に調べた事実で、しかも当時岩井専務についてはその事実については起訴いたしておりません。詐欺、横領だけで起訴しまして、そのことについては起訴しておりません。その当時米澤にも聞いておりません。それを今度の場合にいわゆる突っかい棒起訴だ、それで米澤にも前にも聞いておらない。それでずっと前の、いま言った事件で岩井常樹と共謀の上というので米澤嘉久太起訴をされておるのです。  これは明らかに米澤をねらったということ以外に考えられない。米澤一人なんです。米澤一人でもぐあいが悪いから宮入もお供をさせられた。専務理事と二人で起訴になった。この前の用水の問題でも本来の実行正犯連合会の職員二人ですよ。ほかの、この改良区の理事長なんか知るはずはないわけです。それだのにそれをねらって下からずっとやっていった。一番最初は大体うそのでっち上げだ。でっち上げ供述。それがもとになってだんだん次々と無理な自白を強要していって、最後米澤をしとめたと思ったら、あまり弁護権侵害によってとうとう裁判所は釈放してしまったので、その目的も達しないで終わった。それで起訴するかしないかというようなことの段階になって、最後にとうとう起訴したのでありますが、この最初の突っかい棒起訴についてはどう思いますか。私はこういうのはまことにきたないと思う。前の事件でこちらは被害者だ。そういうときの供述でもとっておってするのなら別なんだが、ところがその当時そうだとすれば、そのとき米澤起訴しなければならない。ところが、その当時米澤起訴しない、本人も起訴しない、その事実については。それをあとでこの問題のときにつけ足しに、ああいう供述があったわいということで、岩井の供述、それを証拠に持ってきて、それだけで起訴しているんですね。本人はもちろん自白なんかしていません、事実そうでないんだから。それでもあえて起訴しておるのです。そういうことなどは実にきたないと思う。最初改良区の事件なども、一体平地に波乱を巻き起こしたのはどちらだと私は言いたい。この間私、意見陳述のときに申しましたけれども、それはとりもなおさず検事じゃないか。それが無効だということになったら大混乱が起きるじゃないか。一体無効だということがあるのかどうか。検察庁に民事事件も起こりましょう。そのままになったら一体どうするんだ。これでも無効だということになれば、法律的にはあるいはそういうことになるかもしらぬけれども、みんなが満足して、みんなは幸福なんだ。金も一銭もふところにしていない。これこそ起訴便宜主義で、起訴しなければよかったと私は思う。しかも先ほど言ったとおり、最初実行正犯起訴しない。それから坂口技師起訴しない。そこで一番最高峰のやつだけねらった、こういうことであくまでやはり米澤をねらう。したがって、県知事選挙にまつわっておるというようなうわさがもっぱらのことは、これによってだれでもわかる、こういうように思うのです。  まあ、先ほどの例の突っかい棒起訴のことだけについてちょっとお聞きしたい。あるいはまた、その後のいま言った土地改良区の問題について、平地に波乱を巻き起こすようなことになったと思うのだが、そういうときこそ検察官としての大きな立場から、これは起訴すべきか、これはもう行政指導で足る問題だ、無理して私は詐欺、横領で起訴すべきではないと思うんですね。詐欺、横領で起訴したって、いま言ったとおり本人は知らない。一番実行正犯は、文書偽造については少なくとも連合会の職員ですから、それがくずれてくれば全部くずれるということになりますよ。その辺どう検察立場として扱うべきだったか、これでいいと思うかどうか、これをひとつ刑事局長にお伺いしたい。
  6. 辻辰三郎

    辻政府委員 ただいまいろいろと本件につきまして、検察あり方についての御意見を承ったわけでございます。私ども、もとより畑委員は具体的事件についての問題を問題にされておるわけじゃなしに、これを契機として検察官の取り調べであるとか起訴であるとかそういうものについて一般的、抽象的に御意見、御批判を賜わったものと私は理解をいたしておるわけでございます。  具体的なこの事件につきましては、先ほど来畑委員からも御指摘がございましたし、私も申し上げましたように、現在長野地裁係属中でございますので、その裁判の過程におきまして先ほど来の検事の、おっしゃるような取り扱いはあったかどうかとか、そういう問題はすべてそこで解明をしていただくべき問題であろうと考えておるわけでございます。それを離れました一般的な問題としての私どもに対する御注意、御意見であるというふうに拝聴いたしておるわけでございますが、この点につきましては、申すまでもなく刑事訴訟法にもございますし、検察官が取り調べにあたりましては被疑者その他の者の名誉を害しないように取り調べをやれとか、その他いろいろ捜査官として基本的な姿勢というものはございます。こういうことにつきましては、この上とも検察一般として戒心をしてまいるべきことであろうと考えておる次第でございます。  それから、北信ニット事件本件関係、北信ニット事件と前にあった北信の岩井氏にかかわる事件との関係はいかんという御指摘でございますが、この点私どもが調べますと、北信ニット関係の岩井常樹氏は背任罪で起訴されておりまして、これは四十五年の四月二十九日に長野地裁上田支部において懲役一年六カ月、三年間執行猶予という判決が確定をいたしております。これと、今回ただいま御議論いただいております米澤の北信ニット事件との関係、この具体的な問題につきましては、やはりこれは係属中の事件に関しますので、この際私どものほうでどういう関係になるかということを具体的に御説明申し上げるべき立場にないというふうに考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
  7. 畑和

    畑委員 刑事局長係属中の事件だからと盛んに逃げられるけれども、もし私が質問したようなことがありとすれば、ゆゆしき問題だと思います、検察行政として。ただ御警告としてひとつ承知いたして将来云々、というだけにとどまるのでなく、これはやはり厳重に法務省として検察庁に注意し、具体的にはこの問題をこういう事実があったかなかったかということについてもやはり調査をして、それで解決をする、こういう意味なら了解いたします。ただ裁判中だからというので逃げるのでは私は承知できない。裁判の問題とは別にして、さっきも言ったような捜査態度人権じゅうりん的なやり方、こういった具体的な事実を被告たちが訴えておりますから、そのことをあなたのほうではその立場になって、ひとつ検察官検察官という立場で事実を究明するということを考えておられるかどうか、それをひとつ承りたい。
  8. 辻辰三郎

    辻政府委員 本日、当法務委員会において畑委員からかような事実の御開陳及び御意見があったということにつきましては、法務省の私ども当然これはこういう事実をもとにして検察調査に当たる、あるいは検察庁に、きょうはこういう御議論があったがということでこれを知らすということは、もとより当然でございます。ただ具体的事件に関しまして、こういう事実があったかどうかということになりますと、これは現在具体的な事件として係属して、そこでまた議論をされておるわけなんでございますので、その点の実際そういう事実があったかどうかということは、やはり判決の結果に待つべき点が多いと思うのでございます。もとより、きょうこの席で御議論のございましたことは、私ども検察のほうにも当然伝えるつもりでおります。
  9. 畑和

    畑委員 ですから、係属中の事件だということが隠れみのになって、それじゃそれに関連するものはすべてやみからやみになっちまうんだということじゃぼくら承知できない。とかくそういうものだ。裁判中であるから、裁判中であるからということでよく逃げるのが通例になっております。ただ逃げさせませんということなんです。それを徹底的にあなた方は部内でやるという決意はございますね。
  10. 辻辰三郎

    辻政府委員 検察官が、一般的に申しまして捜査の過程において不穏当、不当なこと、不法なことをやったということが事実として確定いたしますれば、これは検察官の懲戒処分の問題も起きましょうし、場合によれば検察官が不適格であるという法的な措置もとられるわけでございます。問題は、その事実がやはり確定されなければいけないと思うのでございます。その事実の確定につきまして、係属中の事件でありますので、その点は裁判が確定するまでは差し控えるべきものであろう、こういう趣旨で申し上げておる次第でございます。
  11. 高橋英吉

    高橋委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。松平忠久君。
  12. 松平忠久

    松平委員 ただいまの問題について、ちょっと関連質問をしたいと思うのです。  検察庁の人事の異動について伺いたいのですが、人事の異動の発令があったという場合には、たとえば甲の地点から乙の地点へ転勤命令があったという場合には、それは最短距離でそこへ赴任するということになっておるのですか、あるいは最短時間で赴任をすることになっているのですか、どういう規定になっておりますか、それを伺いたい。
  13. 辻辰三郎

    辻政府委員 その点につきましては、もちろん転勤の発令がございましたら、原則として国家公務員の旅費といいますか、旅行規則と申しますか、通常最も経済的なルートで目的地に赴任をするということで取り扱っております。ただ、場合によりまして、この赴任の途中に、特に幹部職員になりますと、高等検察庁所在地等において、上司である検事長にいろいろな指示を受けるというような別の用務があります場合には、高検所在地に寄っていくというような場合もございますが、一般論としては、最も経済的な方法で短期に赴任をすることになっております。
  14. 松平忠久

    松平委員 具体的に御質問したいのですが、長野の、前の原検事正ですね、この方は七月二十三日で退職をいたしおりまして、——その点はどうですか、十三日でしたか、二十三日ですか。
  15. 辻辰三郎

    辻政府委員 原元検事正は四十五年の七月十三日付で退職をしたのじゃないかと思います。
  16. 松平忠久

    松平委員 後任に大分県の検事正の吉川検事正着任しておるわけですが、吉川検事正が大分の前任地を出発したのは幾日ですか。
  17. 辻辰三郎

    辻政府委員 ただいま、出発いたしました日については資料を持っておりませんが、先ほど申しましたように、この吉川検事正長野着任いたしましたのは七月二十二日でございます。これは吉川検事正が七月十三日付で長野検事正に発令されておるわけでございまして、二十二日に着任したわけでございます。私ども部内におきましては、発令後おそくとも十日以内に出発をすべしという内規がございまして、その内規に基づいて処理をしたというふうに理解をしております。
  18. 松平忠久

    松平委員 吉川検事正は、大分の検事正から長野検事正に転勤を命ぜられた際、東京に何日間滞在いたしておりましたか。
  19. 辻辰三郎

    辻政府委員 その点については現在調査をいたしておりません。
  20. 松平忠久

    松平委員 それは調査をいたしていただきたいと思います。と申しますのは、吉川検事正長野着任したのは、東京を回ってきておりますね。少なくとも東京から着任しているはずです。第二あさまという汽車に乗ってきております。したがって、直接長野に転勤して、直接長野着任したという事実はございません。そこで、二十三日に検察庁に入ったわけでありますが、二十二日の夕方長野の駅に着きまして、そこで駅長室で記者会見をしたときに、自分は白鳥園事件を徹底的に追及する、こういう発言を記者会見でいたしております。大分県の検事正が何で一体このことをよく知っているのか、私はここに非常に疑問を持たざるを得ない。東京でかなりの打ち合わせをしたのじゃないか、こういうふうに思うからであります。しかもこの検事正は、当時の小林法務大臣の郷里の人である。一番使いやすい者をばっと持ってきた。小林さんのやりそうなことだ。——そうして、そこまで言うと、少し皆さんお笑いですから取り消してもいいのですが、前歴がやはりあったから。  それで私が申し上げたいのは、いま言うようなぐあいに、白鳥園事件というものはもう起訴されておって、その限りにおいては、一段落ついておるにもかかわらず、自分はこれは徹底的に今度はやるんだということを、検察庁着任する前に駅の記者会見で言っているということは、だれかから耳打ちされたとしか考えられないというのが一般の疑惑なのです。疑惑ですからね、私はこれは事実だかどうかは知りませんが、少なくとも多くの人に誤解を与えている点は、まだ検察庁着任もしないのに、大分県から来たという人が何で一体白鳥園事件という、もう済んだものを、これを徹底的にさらに追及するんだなんということを言って第一声をあげたかということに対して、非常に疑問を持っているわけです。しかし、それをいまさら、やめた法務大臣に、われわれがここへ呼んで聞いたって、それはしらばっくれて、あの人のことだから言いっこないから、そんなことは私は質問することはいたしませんけれども、しかし、少なくとも吉川検事正東京に何日滞在したか、何のために滞在したかということは、一応調べていただきたい、こう思います。
  21. 辻辰三郎

    辻政府委員 東京における吉川検事正の滞在日数については調査いたしますが、ただいまも御発言の間で私ども気がつぎましたのは、まず、先ほど申しましたように、検察庁の幹部、検事正でございますが、検事正の場合には、新任地に至ります前に、その上司である高等検察庁に参りまして、本件の場合には東京高等検察庁ございますが、検事長から、上司としてのいろいろな指示を受けるということも行なわれるというのが通例でございます。また、この新旧検事正の間では必ず事務引き継ぎをいたします。この事務引き継ぎの場合に、相互に動くわけでございますから、そういう場合には適宜の場所で事務引き継ぎをいたしますが、その事務引き継ぎの場合に、自分の庁の重要な係属中の案件については、当然いろいろと遺憾のないように引き継ぎをするわけでございます。本件の場合も、すでに発令は七月十三日でございますので、吉川検事正としては、長野に足を踏み入れましたのはこれは二十二日の夜かもしれませんけれども、十三日からはすでに長野検事正でございます。どこかでおそらく前任の原検事正から事務の引き継ぎを受けて、この関係事件のことは承知をしておったと思うのでございます。  なお、この白鳥園事件がすでに七月二十二日のときには起訴されておって済んでおるという御指摘でございますが、事実はさようでございません。この白鳥園事件は、起訴いたしましたのが、先ほど申し上げましたように同年の九月十六日に起訴をいたしておるわけでございまして、まだ事件として済んでおったわけではございません。
  22. 松平忠久

    松平委員 それではもう一つ伺っておきたいんですが、原検事正と吉川検事正はどこで事務引き継ぎをしたか。それは長野ではないと思うのです。どこでされたか、それも一応調査していただきたいと思うのです。  それから、この際もう一、二点お伺いしたいんですが、これは新聞に出ておったのをもとにしまして、私が主任弁護士から聞いた話なんですが、起訴状の中で問題になっているのはいわゆる用水路なのでございまして、米澤事件の場合、この用水路につきましては、公有地を埋め立てをいたしまして、そしてそれを土地改良区のものとして売ったということなんですね。そこで、公有地というのは一体何なんだ、国有地なのか町有地なのかと、こういう質問をしたのに対して、第一次的には国有地、第二次的には町有地ということを検事は言っているのであります。ところが、それでははっきりしない、どこからどこまでが国有地であって、どこからどこまでが町有地なんだ、ということを言ったら、休憩を求めて、そして三時間ぐらいたってから、これは審理の過程において証明されてきます、証明されますと、こういう答えをしたのであります。そのときに裁判長は何と言ったかというと、これは民事事件じゃないよ、刑事事件じゃないか、刑事事件についてそういう答弁が許されるのか、あなたはそれでもってよく検事がつとまるね、ということを言われたということが新聞に出ているのであります。私は、担当検事に聞いてみたらまさにそのとおりでありまして、民事事件と刑事事件を混同して当たっておるような若い検事がいまでもいるんですか、そんな法律のイロハも知らないのが。いるとすれば、これは大ごとじゃないかと思うのです。このことについては何かお聞きになったことがございますか、どうですか。
  23. 辻辰三郎

    辻政府委員 この点について、そういう事実があったかどうかは私承知いたしておりませんが、およそ検事でございまして、民事と刑事の区別がわからないというような検事は絶無であるということは、私は確信をいたしております。
  24. 松平忠久

    松平委員 私もそうであってほしいと思うのですけれども、しかし、公判の新聞に出たところはそういうことであって、裁判長からたしなめられたという記事が載っておるのであります。したがって、検事の資格、そういうものも今日ではずいぶん低下してしまっているのではないか、こういうことにも受け取れるし、先ほど畑君の質問の中にも、いたけだかになって雷の鳴るような大きな声でどなってみたりするという、戦争時代といいますか、戦前の態度が抜け切らぬようなところもあるように見えるわけであります。  それから、さらには弁護士被疑者との接見を許さないというか、いつまでもほったらかしておく。こういうことは一体いまの法律のたてまえ上やっていいのですか、どうですか。それをもしやってはいけないというのであれば、やはりその検事は適格性を欠いているじゃないか、こういうふうに私どもは考えるわけなんです。まあ全般論としてお答え願いたい。
  25. 辻辰三郎

    辻政府委員 ただいまの点は、捜査中における被疑者弁護人接見の問題について検事やり方が悪いのじゃないかという御指摘であろうかと思うのでございますが、これは先ほど畑委員が御指摘になりましたように、刑事訴訟法の三十九条にきちっと規定がございます。この規定に基づいて処理するのが当然であるということでございます。
  26. 松平忠久

    松平委員 そうでありながらその法律をかってに解釈するというかあるいは無視するような傾向で、そうして接見を拒んできたというのが、畑委員から指摘がありましたとおりに、私どもも被疑者からも主任弁護人からも聞いているところなんですよ。そういたしますと、極度にそれを悪用するというか、そういう条文を悪用してそうしてうその自白を迫ったというようなふうにしかとれないのでありまして、ここにも非常に検事が柄が悪くなったというような印象をずいぶん与えているのではないか、こういうふうに思うのであります。  私は関連質問でありますから、そのほかは申しませんが、この事件の大要を私も大体において知っております。そうして、いまのその連合会と申しますか、一番そのもとになってこれを教えて、書類もつくってあったという人の話も聞きましたし、全部知っておりますけれども、それらの点からいいますと、結論的にはやはり畑委員と同じように、全般論としてもこれは検事の姿勢というものを再検討してもらわなければならない。もし、そういう間違った者があれば、これはやはり容赦なく処分をしなければならぬ、そうしてこそ初めていわゆる検察の民主化というか、あるいは逆に検察のファッショ化というかそういうものを防ぐことができるのではないか、こういうふうに思うのであります。  以上をもって私は質問を終わります。
  27. 畑和

    畑委員 いま松平委員からも関連質問で御質問がございましたが、松平委員の言われましたような政治的な背景がどうもふんぷんとしてにおい、かつまた、そういううわさが高いのでありまして、法務大臣あるいは某国会議員、そういった点がどうもいろいろうわさをされております。私は事実でなければよいと思っておるのでありますが、それがこの知事選にまつわっていろいろうわさがあるわけでありまして、こういうことからいいましても、この問題はこのまま見過ごすわけにはまいらぬ、私はこう思っております。先ほどもお話がございましたが、弁護士にも面会させない。担当弁護士がつくづく述懐いたしておりますことは、弁護人に会わせないで、また検事も会わないで、それよりもマスコミの新聞人とは盛んに会う、こういうのが述懐であります。この事件にまつわってもう大々的に新聞が報道をいたしております。このとおり、これは最初のですが、これが連日にわたってこうして七千万円横領だとかなんとかいって出ておるのであります。被告人に対して、被疑者に対して非常な名誉の棄損であります。しかし、これもただ新聞が書くはずがないのでありまして、これはやはり検事のほうが情報を提供する。書いてもらいたい、そういうことでおそらく刺激をあおるのだろうと思う。情報源は検事である。検事は盛んにみずからのやろうとすることを正当化しようとして、そういった世論をつくろうとしてマスコミに盛んに宣伝するということで逆に弁護人には会わない、こういうことになっておったと思うのでございまして、私はこの点からも、検察側やり方としては非常にまずいことだ、遺憾なことだと思っております。  こういう点で、警察側と違って検察側は非常に高い立場にある程度あるわけですから、そういう自分の立場を認識をして、事件にのっ込むようなことであってはならぬ、やはり反面において冷静な態度が必要だというふうに思うのでありまして、そういう点で、検察官態度やり方は、やはり適格を欠くと私思っています。したがって、私はこれだけではやっぱり済まないのではないか。被告人も適格審査会に申し立てをすると言うておりますから、いずれ検察官適格審査会で申し立てをされた上で調査がなされるであろう、そういうふうに私は思っております。  だいぶ長くなりましたから、以上で私の質問を終わりたいと思います。
  28. 高橋英吉

    高橋委員長 青柳君。
  29. 青柳盛雄

    ○青柳委員 最高裁の当局者にお尋ねをいたしたいと思います。  青法協に所属している裁判官あるいは青法協に所属している司法修習生の再任あるいは新任の問題について、もう何回か当法務委員会でもあるいはその他国会の予算委員会等で質疑が行なわれておりますけれども、依然不明朗なものがありまして、この問題は総理あるいは吉田事務総長の答弁で解決したというふうには考えられませんので、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。  そこで、まず簡単に質問いたしますが、ことしの四月十三日ごろに十年の任期が満了する裁判官の判事補の数は大体何名くらいか、おわかりになりますか。
  30. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 七十名でございます。
  31. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そのうち、現在までのところ再任の希望を申し入れている人の数は何名くらいですか。
  32. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 まだ全体のそういう申し出を締め切っておりませんので、いまのところ正確ななには出ておりません。
  33. 青柳盛雄

    ○青柳委員 現在までのところという条件をつけて質問しておるわけですが、それも集計できていないのですか。
  34. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 六十数名であると考えております。
  35. 青柳盛雄

    ○青柳委員 いつまでに締め切りを終わるわけですか。
  36. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 十三期の裁判官の任期終了は四月の十三日でございますので、少なくともそれの十数日前には手続を終了しなければいけないのではないかと考えております。
  37. 青柳盛雄

    ○青柳委員 まだふえる見込みがあるかどうかというようなことについては、まだわからないわけですか。
  38. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 御本人が再任希望をお出しになるわけでございますので、それが確定的にお出しにならないということになりますにはいま少し間があるのではないかと考えます。
  39. 青柳盛雄

    ○青柳委員 次に、二十三期修習生の中で、まだ第二次試験を終わってはいないようですけれども、まあそれは合格するという前提に立って、裁判官志望をしている者の数は現在のところ何名くらいですか。
  40. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 七十五名でございます。
  41. 青柳盛雄

    ○青柳委員 これから質問いたしますことは、いわゆる法廷などにおける宣誓証言ではありませんけれども、国権の最高機関である国会での答弁でありますから、その権威を傷つけないように良心に従って真実を述べてもらいたいと思います。なお答弁者は最高裁判所長官代理者であるという地位もお忘れにならないで、自分個人としてわからないというようなことで逃げないようにお願いしたいと思うのです。  再任希望者の中に、現在までのところ最高裁判所として青法協の会員であると認定している者は何名くらいありますか。
  42. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 十三期の再任希望者の中で青法協の会員であるということをいわれておりますのは八名でございますが、その各人につきまして個々に青法協の会員であるかどうかということは、私どもいろいろな関係でむしろお尋ねすることがどうであろうかというふうに考えておりますので、そういう意味合いでもって正確な数というものは把握していないわけでございます。
  43. 青柳盛雄

    ○青柳委員 再任にあたって身上調査をするというようなこともいろいろありましょうが、その参考のためにも青法協の会員であるということを本人の口から有無を確かめるというようなことも避けるわけですか。
  44. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 みずから青法協の会員であるというふうなことで、一般の公刊物等に寄稿なさっておったり意見を発表なさっておるような方は、いわゆる公表された資料、世間に出ました資料の中でおのずからわかるわけでございますが、そういうことがございませんと、私どもにはその特定の方が青法協の会員であるかどうかというようなことを知る手段がないわけでございます。したがいまして、その点について御本人にあなたは特定の会の会員であるかということを一般的に尋ねることはいたしておりませんので、青法協につきましてもそのことを御本人に確かめるというようなことはいたさないわけでございます。
  45. 青柳盛雄

    ○青柳委員 押し問答みたいになりますけれども、上司の方がありますね。再任を希望される方あるいは修習生の場合でも研修所の教官、そういう人たちが、本人の希望がかなえられるかどうかということについていろいろの面から本人の意向をただしてみるということがあり得ると私ども考えるわけです。そこで最近この青法協問題が非常に盛んになっておりますので、それに上司の人たちが無関心でいられるわけがないと思うのですね。だから公式に文書をもって回答を求めるというようなことはしないにしても、個人的といいますか、役所の先輩あるいは上司というような形で、どうなんだ、まだ入っているのか、それとも入ったことがないのか、脱会したことはないのかというようなこともあえて聞こうとしないという、そういう趣旨でしょうか。
  46. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官が青法協に加盟しておることは裁判官の職業倫理として好ましくないということは、すでに私どもの公式な見解であるわけでございますので、現地の同僚、先輩の方々が個人的に特定の裁判官が青法協に加入しておるということをお知りになった場合に、出てはどうかということをおすすめになるということはございますし、また、そのようにすることが裁判官としての職業倫理上妥当なことであるとは考えております。しかし、一般的な人事の問題といたしまして、そのことを御本人に、いわゆる行政上の問題として確かめるということはいたしていないわけでございます。
  47. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それではそういう趣旨で、最高裁が二十三期の任官希望者の中に青法協会員がおよそ何名いるというふうに認定しておられるのですか。
  48. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 率直に申し上げたところ、何名おられるか見当がつかない状況でございます。ただ青法協と思われる有志の修習生の方々から、任官差別反対というようなことでいろいろの陳情書とかそういうものがございます。また新聞紙上等でも出ておりますが、二十数名おるというように書かれておるのを拝見いたしますが、私どもには事の真相は一切わかっていない状況でございます。
  49. 青柳盛雄

    ○青柳委員 再任希望者は、先ほどのお話で四月十三日の十日あるいはそれより少し前までには申し出を締め切るということでございますが、そうすると現在のところ内閣に提出する指名の名簿、それの作成は完了していないわけですか。
  50. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。
  51. 青柳盛雄

    ○青柳委員 名簿が確定するまでにはどういう作業が行なわれるのか、それをちょっとお尋ねしたいと思います。
  52. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 御指摘がございましたように、御本人の再任希望を聴取いたします。それにつきまして個々の裁判官の問題でございますので、個々の裁判官につきましてあらゆる観点から再任することがいいかどうかということの検討を事務的にいたしまして、その結果を裁判会議に上程し、裁判会議で同じく個々の裁判官についてあらゆる観点から再任にふさわしいかどうかということの御審議をいただき御決定をいただいて、名簿を確定するという段取りでございます。
  53. 青柳盛雄

    ○青柳委員 その裁判会議にかける原案は、究極のところはだれが作成することになるわけですか。
  54. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 裁判会議にかけます原案は最高裁判所長官が付議するわけでございます。
  55. 青柳盛雄

    ○青柳委員 最高裁判所にも常置委員会というのがあるように聞いておりますけれども、長官が原案をつくる過程で常置委員会の人たちの議を経るというようなことはあるのですか。
  56. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 通常常置委員会は裁判会議が開けない場合の問題でございまして、開けます場合には常置委員会とは関係がございません。
  57. 青柳盛雄

    ○青柳委員 この裁判会議の場合、だれが拒否権を使ったとか、反対した、賛成したというようなそういう内容のことはもちろん公開できないと思いますけれども、一人一人についてすべての裁判官が発言の機会を与えられて発言するとかいうことで行なわれるものだろうと想像するのですけれども、そのとおりかどうかということと、それから最終的には多数決できまるのか、それとも全員一致を希望しながら、それに努力はするけれども、最終的には多数決になるのか、その辺のところを……。
  58. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 会議体でございますので、当然決定の方法があるわけでございますが、最終的には、会議体の一般の原則に従って決定されるというふうに御了解いただきたいと存じます。
  59. 青柳盛雄

    ○青柳委員 四月十三日の再任の人たちはその十数日前だそうでありますけれども、二十三期の新任の名簿を決定するのは大体いつごろですか。
  60. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 ただいま、本日まででございますが、二回試験の筆記試験をいたしておる最中でございます。その採点を終わりまして、合否の判定がなされるわけでございますが、その中からの任用でございますので、今月の末に採用の面接を行ないます。その採用の面接を終わりますと、それによって手続が終了するわけでございますので、今月の末ぎりぎりのころになりませんと、最終確定は出せないのではないかと考えております。     〔委員長退席、小澤(太)委員長代理着席〕
  61. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そうすると、大体新任も再任も今月末ごろが最終確定の時期あるいは来月の初めということに了解してよろしいわけですね。
  62. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 大体そのように御了解いただければよろしいのではないかと考えております。
  63. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そこで、最も肝心なお尋ねをするわけですが、今年度の再任あるいは新任にあたって、申し込みの締め切りをしたあとで、審議の結果その選考から漏れる、名簿に登載される可能性がないという人が何名か出るであろうということは、その蓋然性はあるというふうに見ておられますか。
  64. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 これは十分に御審議をいただいた結果でございませんと、私どもにはいかんともわかりかねる状況でございます。
  65. 青柳盛雄

    ○青柳委員 人事局は、この名簿の作成については、事務的な作業に参加され、そして原案が最終的に長官から裁判会議にかけられるときには、大体その内容は知っておるわけだろうと思いますけれども、その原案作成の準備の過程においても、これは問題だ、いますでに出ている希望者の中にも問題の人があるというようなことすらわからないというのでしょうか。
  66. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 事務的な観点から申しますと、いろいろの検討は十分いたすわけでございます。しかし、何ぶんにも裁判官の任命という裁判所といたしましては最も重要な問題でございますので、裁判会議におはかりをいたしまして、御質問があればそれについてお答えはいたしますが、十分に議論を尽くしていただいて、そしてそこでおきめいただくというのが、これまでの伝統と申しますか、慣例であると承知いたしております。
  67. 青柳盛雄

    ○青柳委員 その原案を説明されるにあたって、裁判会議に、希望者は実は何名あったのだが、しかし、その中から特定の何名かは排除したのだ、排除の理由はこれこれだというようなことも説明されるのでしょうか。
  68. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 再任の場合でございますと、任期終了の方がはっきりいたしておりますし、また名簿に何名を載せるかということは人数を勘定いたしますればはっきりしておることでございますので、私どもの事務的な手元で再任候補者名簿の原案から落とすというようなことはいたさないわけでございまして、全部裁判会議におかけいたしまして、十分慎重に御検討いただくというのがこれまでの慣例と存じております。
  69. 青柳盛雄

    ○青柳委員 再任の場合はわかりました。  新任の場合はいかがでしょうか。
  70. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 やはり裁判官の任用の問題でございます。  同様になされておるというふうに承知いたしております。
  71. 青柳盛雄

    ○青柳委員 非常に抽象的なお答えですけれども、希望者の名前は全部あげて——定員を越えるとか越えないということももう無視して、希望者の名前を全部あげて、その評価等もすべてくっつけて原案として出す、そういう趣旨でしょうか。
  72. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 御承知のように、欠員がある程度でございますので、定員オーバーという問題はないわけでございまして、全員の方について御審議をいただくということでございます。
  73. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そこで、この選考の基準が問題になるのでありますけれども、おそらく何らの基準もなしに選考を進められるということは常識的に考えられませんので、何らかの基準が明文化されているか、あるいは不文律で慣行的にでき上がっているかはともかくといたしまして、何らかの基準があると思いますけれども、その一般的な標準ですね、そういうものはどういうものであるか、説明していただきたい。
  74. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 なかなかむずかしいお尋ねでございますので、的確なお答えになるかどうかとは存じますが、結局詰めて申し上げますと、具体的な個々の人の問題でございまして、当該その人が裁判官として——判事補採用の場合には新任の判事補として、再任の場合には再任される裁判官としてふさわしい方であるかどうかということが一般的な最終的な基準であると申し上げ得るのではないかと存ずるわけでございます。私ども、修習生の会などに呼ばれまして、やはり同旨の、どういうふうにするのだということを修習生から聞かれることもございますが、その際には、君たちが一緒に修習しておって、君たちが一番よくわかっておるのではないか、この人なら裁判をしてもらってもいいと思われるような人、その人を選ぶのだというふうに申しておるわけでございます。非常に抽象的ではございますが、そういうことの中で基準というものをおくみ取りいただければ幸いかと思います。
  75. 青柳盛雄

    ○青柳委員 この採用の基準につきましては、議論が非常にまちまちといいますか、たくさん行なわれておりまして、最も徹底した議論では、何も弁護士になる者あるいは検事になる者、裁判官になる者の序列や適、不適というようなことはあまり言わないで、その上下を設けないで、そうして成績などということもあまり重視しないで、すべて法律できめられた欠格条件に該当しないということは当然のことでありますけれども、とにかく試験に合格する、また過去裁判官として別々に懲戒されるとか弾劾にかけられるというようなこともなく済んでいるような人は、すべて採用するというのが公平である、こういう議論もありますけれども、いまのように、裁判官としてふさわしいというような抽象的な概念でいきますと、主観的な判断がそこへまじってまいりまして、必ずいろいろの不公平というようなものがあらわれてくる、差別があらわれてくるというようなことが考えられるのですが、そういう差別はやむを得ないというふうに考えておられるのでしょうか。
  76. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 できるだけそういうことのないように、どなたがごらんになっても、なるほどふさわしい人物を選んだというふうにごらんいただけるように各人について慎重に検討されるわけでございまして、決して差別ができることをやむを得ないという意味で認容しておるというわけではございません。そういうことのないように精一ぱいできる限りの努力をして、慎重に御審議をいただいておるという状況でございます。
  77. 青柳盛雄

    ○青柳委員 時間がありませんから、私は最高裁からいただいた資料に基づいて確認いたしたいと思うのでございますが、再任の問題については、不幸にして昭和四十年から昨年までの分しかいただいておりません。そこで四十年、四十一年、四十二年はいずれも再任希望者は全員再任されているようであります。ところが、四十三年度になりますと一名、四十四年度は二名、そして昨年の四十五年度は一名もない、全員というわけで、四十三年、四十四年には一名あるいは二名というように排除されている事実がありますが、そのとおりでしょうか。
  78. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。
  79. 青柳盛雄

    ○青柳委員 その方の名誉にかかわるというようなこともありましょうけれども、それまではなかったにもかかわらず、四十三年、四十四年、こう出てきたというのには、何か不適格といいますか、不適当ですか、そういう事情が、十年間の活動の中で確認されたということでしょうか。
  80. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 最終的には再任されるにふさわしくない方と認められたということであろうかと存じます。
  81. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それから司法修習生については、これはもう二十四年の第一期から昨年の二十二期まで、ずっと表をいただいておりますから、一々読み上げることは避けますけれども、相当数がいつも不採用といいますか、名簿からはずされた結果、内閣から任命されないという形になっているのじゃないかと思いますけれども、これらの理由を、個人の名誉にかかわるようなことはともかくといたしまして、ただふさわしくなかったということに尽きるという以外の答弁はできないのでしょうか。
  82. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 そのように申し上げるよりほかないかと存ぜられますが、ただこの中には希望をお出しになりまして、その後どうも内心の意思を変更された方も入っておる数字でございます。したがいまして、本来ならば任官の希望願いをお取り下げになるべき筋合いのものが、もういいからそのままにしておくという方もあるわけでございまして、その数字のとおりというわけのものではないかと考えております。
  83. 青柳盛雄

    ○青柳委員 選考の具体的な理由は、ことに排除された人については、本人の将来のことも考えて、裁判所のほうからとやかく言うということはないと思いますし、また国会等における質疑にお  いても、個々の人についていろいろ言うことは避けるのが常識かもしれませんけれども、それにいたしましても、本人から、どうして採用されなかったのかふに落ちないというようなことで質問が出た場合には、知らせることにしておられますか。
  84. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 これまでは御本人に私どもの口から直接お知らせするということはいたしておりません。ただ研修所の教官等は合否の判定会議等にも御出席になっておりますので、ある程度の事情はおわかりになっております。で、教官等がそれとなくお考えをおっしゃっておるような場合があろうかとは思いますが、やはり人事の責任当局といたしましては、そのことを直接御本人に申し上げる——一人の方に申し上げることになりますと、あらゆる機会に全員の方に申し上げなければまたいけないという問題も起こりますので、現在のところ私どもの口から申し上げるということは差し控えさせていただいておる現状でございます。
  85. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そういう方々が先輩あるいは上司から聞いても、どうも納得がいかぬ。そして最高裁のほうでも必ずしも公式には回答してくれないというような場合、明らかに人権を侵害されたというふうに考えて、裁判に訴えていくというような事案があった場合には、当然これに対しては応訴して、その採用がされなかったのは正しいのだ、何ら違法な行為ではないのだということを答弁するという立場はとっておるのでしょうか。
  86. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 まだそのようなことがございませんので、その点につきましては十分に考えたことはございません。
  87. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そこで冒頭に申しましたけれども、本国会の予算委員会で、佐藤総理も青法協の会員であることは再任拒否の理由、新任拒否の理由にはしない。それから吉田事務総長は、青法協の会員であることだけでということで、拒否理由にはしないというような答弁でございました。いずれにしても青法協の会員であることだけでは差別はしないのだという。これはことばのニュアンスの違いのようでありますけれども、何か青法協の会員であって何にもしていない、ただ会員名簿に載っているだけだということは問題にならないけれども、その青法協の会員であるだけでなしに、積極的な会の活動をやっているというようなこと、あるいはそれに関連していろいろの言動があるというようなことは、これは別であるというような意味が含まれているかどうか、そこを確かめたいと思う。
  88. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 「青法協会員であるという理由だけで指名からはずすというようなことはいたしません。」というふうに総長はお答えいたしておりますが、これはそのとおりに御理解いただけばよろしいのではないかと考えておるわけでございます。
  89. 青柳盛雄

    ○青柳委員 これはマスコミの方々も、それから一般の関係者以外の者も、非常に神経を使っているところなんですけれども、、事実上は青法協の会員であるということが理由なんだけれども、それは表面には出さない。しかし、青法協の会員であることが、同時にその言動にあらわれてきているから、その言動のほうをとらえて不適格というふうに言うならば別に問題はないだろうというような、言ってみれば抜け穴のようなことが行なわれるのじゃないか。その具体的な理由について今度は説明を求めるというと、それはふさわしくないということなんだ、要するに内容は言えない、こういって逃げられたのでは、幾ら青法協の会員であるということは名簿から除く理由にはなっていないのだと主張されましても、すなおに受け取れないというのが現在の状況なんですよ。  もう時間もありませんから言いませんが、青法協がどんなに政府並びに裁判所内部で重大視され、問題視されてきたかということは言うまでもありません。周知のところであります。そういう状況の中で、たまたま青法協の会員が再任を拒否された、あるいは新任を拒否された、正確に言えば名簿から最高裁当局によって除かれたということがあると、これはもう被害妄想だなどということではなしに、やはり特定の団体に所属しているということ、すなわち青法協に所属している——政府や最高裁の当局が問題にしている青法協の会員であるということがやはり理由なんだな、こういうふうに思うのは自然な形だと思うのです。その辺のところを、そうではないのだ、そのことは全然関係ないのだと言い切れるだけの説明が、問題が起こったときにできるかどうか。最高裁はよくいろいろの問題が起こると広報活動をやります。新聞記者の人たちも盛んに取材に行かれますけれども、その場合にそういう疑問、疑惑を解くだけの具体的な方策ということを考えておられるでしょうか。
  90. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 私ども、表面の理由はこうであるが、内部の理由はこうであるというようなやり方をいたすべきものではないということは、十分にわかっております。また、これまでもいろいろと司法行政につきまして御批判なり御指摘があるようでございますが、私どもといたしましては、別に裏とか表ということがあるのではございませんで、あくまでも司法行政は、裁判というものの独立、裁判の迅速、的確な運営ということを期する縁の下の力持ちであるというふうに考えておるわけでございまして、そういった点についていささかも欠けるところはないと自負いたしておりますが、世間からいろいろと御批判があるとすれば、これはまた謙虚に耳を傾けるべきことであろうと思いますので、今後ともその点につきましては、十分本日の御意見等しんしゃくさせていただきまして、そういった疑念等の起こることのないようにいたしていきたいと考えておるわけでございます。
  91. 青柳盛雄

    ○青柳委員 私は、いま別に最高裁の態度について希望を申し上げたというのではなくて、青法協の会員であることを理由に切ったのじゃないのだ、それは誤解だ、そういうことはないのだと幾ら否認をしても、それだけでは世間は納得しないと思うのですね。だからそれとは無関係だ、別にあるのだというのだったら、別に何があるのかということはだれでも知りたいところだと思うのです。それをしもなおかつ何か人事の秘密とかいうことで言わないということになれば、これは切り捨てごめんじゃないか、やみ討ちじゃないか、全く何か自分たちのやることは何人も批判を許さない、ただ言うことだけを信じろ。たとえば思想^信条によって差別しない、性別によって差別しない、特定団体に加入していることをもって差別しない、これはりっぱな言い方です。それでしたのではない、ただそれだけでは——全面的に最高裁のやり方を信頼している状況のもとでは問題ないでしょう。しかし、いま非常に関心が集中しているその際に、たまたま青法協の会員であることが公知であった、その人が再任を拒否された、あるいは新任を拒否されたということになれば、やはりそうかということにならざるを得ないので、何か別にこれこれの行動がふさわしくないのだということによって、それがプライバシーの問題にわたるときには避けなければならないと思いますけれども、そうでない限り、たとえば事務総長の談話あるいは最高裁長官の談話などでは、青法協についていろいろ多くのことを言っておられます。また思想問題についても多くのことを言っておられます。それに関連するのだ、まあよくいわれている反体制的な思想を持っている、その言動がこれこれしかじかとしてあらわれている、これはプライバシーの問題ではないと思うのですね。そういうことが何かあって、それが真の不適任理由である、こういうようなことすら黙秘してしまうということでは、これはただ否認をするだけであって、何ら否認の差別待遇ではないというが、否認あるいは主張の裏づけを持たないものだと思うのですよ。世間ではとてもそれでは納得しないと思います。  それから先ほど、裁判ざたになったときには、それもなおかつ人事の秘密だといって答弁に応じないとか、あるいは無視するというようなことで一体済むものかどうか。そこまで考えてこの任用の公平性というものを確信をもってやるだけの自信があるのかどうか、それをお尋ねしたいのです。
  92. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、この任用の問題はあくまで制度の問題でありますと同時に、具体的には個々の人の問題でございます。私どもが採用あるいは再任をお断わり申し上げた理由等につきまして申し上げられないと申すところは、実は制度の問題であると同時に、個々の人の問題であるということに基因するわけでございます。申し上げたいと思うこともないわけではございませんけれども、それはある場合に申し上げ、ある場合に申し上げないということは、またそれなりに公平を欠きますので、どうしても一般的な問題としてお考えをいただくよりほかにしょうがないのではないかというふうに現在は考えております。しかし、御指摘の、訴訟が起こった場合にじゃどうするかというようなお尋ねになりますと、これはまた新たにその段階が起こりました際には、種々の角度から訴訟という面をとらえて検討いたさなければいけない問題でございます。いま訴訟の点につきましてまで、ここでどういうふうにするつもりであると申し上げるだけの用意を持ち合わせていない。御了承をいただきたいと存じます。
  93. 青柳盛雄

    ○青柳委員 私が訴訟のことを言いましたのは、何が行政庁の処分といえるかどうかわからないから、行政事件の訴訟対象になり得るかどうかというような問題なども踏まえて、裁判所から差別待遇をされた、人権をじゅうりんされたといってまた裁判所へ訴えるというようなことはおかしいんじゃないか、そんなことはあり得ないのだというような無責任な法律解釈をして、そしてそういう問題が起こったら考えてみようというようなことでは、公正な人事をやらないで何かもうオールマイティのような形で、これが相当法律手続にのっとって主張立証ができないような形のものだという前提に立ってやられてはたいへんだと思うから、言っているわけなんです。だから、起こったら研究してみましょうなんという態度ではなしに、起こっても絶対に自信が持てるというような形で、人事というものは厳粛な気持ちでやらなければいけないのじゃないか。何か司法権の独立だからというようなことで、結局は司法行政の独断というようなこと、こういうもので押し通していくと——司法権の独立というものが保障される最も重要なものは裁判官の身分なんですよ。もちろん、その人に対する補職の関係、転所の関係、これも重要ですけれども、その地位を与えない、あるいは奪うというようなことが軽々に行なわれるということになりますと、裁判官が憲法と法律と良心に基づいて独自にすべての判断を下すというようなことが、結局外部的な自分の処世の問題、世の中に生きていく問題とからんできて、これは人間ですから当然ですが、首を切られるということなら恐怖を感ずるし、変なところへ回されるということなら恐怖を感ずるというのは、これはどんなりっぱな人でもあり得ることなんです。だから、そういう権限を持っている最高裁の司法行政というものを人事権に乱用していけば、これは身分保障などというものは絵に書いたモチになって、結局は独立というものは失われていくということにならざるを得ないわけです。だからその点を私は少しくどくお尋ねしたわけです。  最後に一点だけお尋ねしたいのは、青法協の会員であるということだけではしないということは、その反対解釈をすれば、会員であって同時に積極的な活動家、これは例の裁判所法による積極的な政治活動というもの、そのものまではいかないけれども——それでいけば当然弾劾で罷免になるわけでありますけれども、そこにいかない程度の者を不適格者の中に含めるという、そういう含みがあるのではないかという疑いが相当にあるわけなんです。そういうことはあり得るのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  94. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 積極的に政治活動にそれが当たるならば、御指摘のように裁判所法五十二条の問題になろうかと存ぜられます。そこで、ここに先ほども申し上げました「青法協会員であるという理由だけで」と申す場合の青法協会員であるということは、当然ある程度の青法協会員としての活動というものも含まれるものであると存ぜられますので、そういう意味において御了解をいただければ幸いかと思います。
  95. 青柳盛雄

    ○青柳委員 まあある程度という条件がそこへついておりますから、役員であるというくらいなことは当然だとか、寄稿することも当然だ、それから青法協の会員として会の方針にのっとって、別に青法協は裁判官部会で何か決議をして、その決議によって拘束するというようなことはしてないようでありますが、そうでなくても青法協の会員として方向に従って平和の問題、民主主義の問題等で行動をしたというようなことは、青法協の会員としての行動以上のものであるというような変な解釈をして、そしてこれは排除理由になるというようなことがあり得るとすれば、これも非常にむずかしい問題ではありますけれども、やはり思想、信条などを問題にしている結果ではないかというふうにとられるわけですね。だから、そういうこともしないという含みがあるかどうか、それだけお尋ねして終わりにいたします。
  96. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 繰り返すようで恐縮でございますが、総長の申し上げておりますことは、青法協会員であるという理由だけではということでございまして、それを具体的に、さらに個々の問題に入りまして、いま御指摘のような点はこれはどうか、これはどうかということになりますと、そういった抽象的なことだけではいかんともきめかねる問題でございますので、やはり総長が決算委員会で申し上げましたように、青法協会員であるという理由だけで指名からはずすことはない、こういうことでひとつ御了解をいただきたい。  私どもは、御指摘もございましたけれども、決して人事行政を安易な気持ちでやっておるわけではございませんので、人事という問題は非常に根幹をなす重要な問題でございますので、一つ一つについて慎重に、できる限りの努力を傾注いたしまして事を進めておるつもりでございます。そのように今後もいたしていきたいと考えておるわけでございます。
  97. 青柳盛雄

    ○青柳委員 申しわけありません、あと一つだけお尋ねしておきますけれども、いままでに、憲法の規定に基づいて名簿を提出して、内閣のほうでその名簿の中から排除された、最高裁の名簿の中から任命するわけですから、それ以外に任命するということはないわけですから、その中から排除されたという前例がございますか。
  98. 矢口洪一

    ○矢口最高裁判所長官代理者 ございません。
  99. 青柳盛雄

    ○青柳委員 終わります。
  100. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員長代理 次回は来たる五日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会