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1971-04-14 第65回国会 衆議院 文教委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月十四日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 八木 徹雄君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 櫻内 義雄君    理事 谷川 和穗君 理事 山中 吾郎君    理事 正木 良明君 理事 鈴木  一君       有田 喜一君    稻葉  修君       小沢 一郎君    塩崎  潤君       高見 三郎君    野中 英二君       堀田 政孝君    松永  光君       森  喜朗君    川村 継義君       木島喜兵衞君    小林 信一君       三木 喜夫君    有島 重武君       多田 時子君    山原健二郎君       安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 坂田 道太君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         文部政務次官  西岡 武夫君         文部大臣官房長 安嶋  彌君         文部省初等中等         教育局長    宮地  茂君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ――――――――――――― 三月二十七日  学校の砂場施設整備に関する請願(伊藤卯四郎  君紹介)(第三〇三七号)  同(青柳盛雄君紹介)(第三一一〇号)  同(浦井洋君紹介)(第三一一一号)  同(小川新一郎君紹介)(第三一一二号)  同(北側義一君紹介)(第三一一三号)  同(小林政子君紹介)(第三一一四号)  同(坂井弘一君紹介)(第三一一五号)  同(鈴切康雄君紹介)(第三一一六号)  同(田代文久君紹介)(第三一一七号)  同(多田時子君紹介)(第三一一八号)  同(谷口善太郎君紹介)(第三一一九号)  同(津川武一君紹介)(第三一二〇号)  同(鶴岡洋君紹介)(第三一二一号)  同(寺前巖君紹介)(第三一二二号)  同(土橋一吉君紹介)(第三一二三号)  同(林百郎君紹介)(第三一二四号)  同(東中光雄君紹介)(第三一二五号)  同(不破哲三君紹介)(第三一二六号)  同(古川雅司君紹介)(第三一二七号)  同(松尾正吉君紹介)(第三一二八号)  同(松本善明君紹介)(第三一二九号)  同(松本忠助君紹介)(第三一三〇号)  同(三原朝雄君紹介)(第三一三一号)  同(山原健二郎君紹介)(第三一三二号)  同(米原昶君紹介)(第三一三三号)  各種学校制度確立に関する請願(野中英二君  紹介)(第三一〇八号)  同外七件(澁谷直藏君紹介)(第三一〇九号) 四月二日  学校の砂場施設整備に関する請願外一件(合沢  栄君紹介)(第三二五四号)  同(青柳盛雄君紹介)(第三二五五号)  同(今澄勇君紹介)(第三二五六号)  同(浦井洋君紹介)(第三二五七号)  同(小川新一郎君紹介)(第三二五八号)  同(北側義一君紹介)(第三二五九号)  同(小林政子君紹介)(第三二六〇号)  同(佐々木良作君紹介)(第三二六一号)  同(坂井弘一君紹介)(第三二六二号)  同(鈴切康雄君紹介)(第三二六三号)  同(田代文久君紹介)(第三二六四号)  同(多田時子君紹介)(第三二六五号)  同(谷口善太郎君紹介)(第三二六六号)  同(津川武一君紹介)(第三二六七号)  同外一件(塚本三郎君紹介)(第三二六八号)  同(鶴岡洋君紹介)(第三二六九号)  同(寺前巖君紹介)(第三二七〇号)  同(土橋一吉君紹介)(第三二七一号)  同(中川嘉美君紹介)(第三二七二号)  同(林百郎君紹介)(第三二七三号)  同(東中光雄君紹介)(第三二七四号)  同(不破哲三君紹介)(第三二七五号)  同(伏木和雄君紹介)(第三二七六号)  同(古川雅司君紹介)(第三二七七号)  同(松本善明君紹介)(第三二七八号)  同(松本忠助君紹介)(第三二七九号)  同(門司亮君紹介)(第三二八〇号)  同(山原健二郎君紹介)(第三二八一号)  同(米原昶君紹介)(第三二八二号)  同外一件(和田耕作君紹介)(第三二八三号)  同外一件(渡辺武三君紹介)(第三二八四号)  同外一件(安倍晋太郎君紹介)(第三三八九  号)  同外一件(稻村左近四郎君紹介)(第三三九〇  号)  各種学校制度確立に関する請願外二件(澁谷  直藏君紹介)(第三三九一号)  和裁を学校教育必修科目として採用に関する  請願(植木庚子郎君紹介)(第三四四八号) 同月六日  学校の砂場施設整備に関する請願(竹入義勝君  紹介)(第三四六八号)  同(中川嘉美君紹介)(第三四六九号)  同(伏木和雄君紹介)(第三四七〇号)  同(松尾正吉君紹介)(第三四七一号)  同(麻生良方君紹介)(第三四九九号)  同外一件(有田喜一君紹介)(第三五〇〇号)  同外一件(上村千一郎君紹介)(第三五〇一  号)  同外一件(内海清君紹介)(第三五〇二号)  同(鬼木勝利君紹介)(第三五〇三号)  同(瀬野栄次郎君紹介)(第三五〇四号)  同(曽祢益君紹介)(第三五〇五号)  同(竹入義勝君紹介)(第三五〇六号)  同(西尾末廣君紹介)(第三五〇七号)  同外一件(浜田幸一君紹介)(第三五〇八号)  同外一件(古内広雄君紹介)(第三五〇九号)  同外一件(石井桂君紹介)(第三五四〇号)  同外一件(石井一君紹介)(第三五四一号)  同外一件(浦野幸男君紹介)(第三五四二号)  同(鬼木勝利君紹介)(第三五四三号)  同外一件(神田博君紹介)(第三五四四号)  同外一件(木野晴夫君紹介)(第三五四五号)  同外一件(北澤直吉君紹介)(第三五四六号)  同外一件(小宮山重四郎君紹介)(第三五四七  号)  同外一件(小山長規君紹介)(第三五四八号)  同外一件(河野洋平君紹介)(第三五四九号)  同外一件(坂本三十次君紹介)(第三五五〇  号)  同外一件(進藤一馬君紹介)(第三五五一号)  同外一件(菅波茂君紹介)(第三五五二号)  同外一件(瀬戸山三男君紹介)(第三五五三  号)  同(瀬野栄次郎君紹介)(第三五五四号)  同外一件(田中榮一君紹介)(第三五五五号)  同外一件(高見三郎君紹介)(第三五五六号)  同外一件(千葉三郎君紹介)(第三五五七号)  同(鳥居一雄君紹介)(第三五五八号)  同外一件(中山正暉君紹介)(第三五五九号)  同外一件(丹羽喬四郎君紹介)(第三五六〇  号)  同外一件(橋口隆君紹介)(第三五六一号)  同(二見伸明君紹介)(第三五六二号)  同外一件(別川悠紀夫君紹介)(第三五六三  号)  同外一件(前田正男君紹介)(第三五六四号)  同(武藤嘉文君紹介)(第三五六五号)  同外一件(村上信二郎君紹介)(第三五六六  号)  同外一件(粟山ひで君紹介)(第三五六七号)  同外一件(森田重次郎君紹介)(第三五六八  号)  同(矢野絢也君紹介)(第三五六九号)  同外一件(山田久就君紹介)(第三五七〇号)  同(伊東正義君紹介)(第三五九〇号)  同外一件(伊藤宗一郎君紹介)(第三五九一  号)  同外一件(植木庚子郎君紹介)(第三五九二  号)  同外一件(内海英男君紹介)(第三五九三号)  同外一件(小川半次君紹介)(第三五九四号)  同外一件(小渕恵三君紹介)(第三五九五号)  同外一件(大竹太郎君紹介)(第三五九六号)  同外一件(大西正男君紹介)(第三五九七号)  同外一件(奧野誠亮君紹介)(第三五九八号)  同外一件(加藤常太郎君紹介)(第三五九九  号)  同外一件(金丸信君紹介)(第三六〇〇号)  同外一件(亀山孝一君紹介)(第三六〇一号)  同外一件(熊谷義雄君紹介)(第三六〇二号)  同(桑名義治君紹介)(第三六〇三号)  同外一件(佐々木秀世君紹介)(第三六〇四  号)  同外一件(坂村吉正君紹介)(第三六〇五号)  同外一件(田中伊三次君紹介)(第三六〇六  号)  同外一件(竹下登君紹介)(第三六〇七号)  同(鳥居一雄君紹介)(第三六〇八号)  同外一件(中尾栄一君紹介)(第三六〇九号)  同(中島源太郎君紹介)(第三六一〇号)  同外一件(野中英二君紹介)(第三六一一号)  同外一件(福田繁芳君紹介)(第三六一二号)  同(二見伸明君紹介)(第三六一三号)  同外一件(本名武君紹介)(第三六一四号)  同外一件(増田甲子七君紹介)(第三六一五  号)  同外二件(松野幸泰君紹介)(第三六一六号)  同外一件(松本十郎君紹介)(第三六一七号)  同外一件(森喜朗君紹介)(第三六一八号)  同(矢野絢也君紹介)(第三六一九号)  同外一件(山下元利君紹介)(第三六二〇号)  同(渡部一郎君紹介)(第三六二一号)  同外二件(安里積千代君紹介)(第三六八六  号)  同(池田禎治君紹介)(第三六八七号)  同外一件(川端文夫君紹介)(第三六八八号)  同(河村勝君紹介)(第三六八九号)  同(寒川喜一君紹介)(第三六九〇号)  同(栗山礼行君紹介)(第三六九一号)  同(桑名義治君紹介)(第三六九二号)  同(山田太郎君紹介)(第三六九三号)  同(渡部一郎君紹介)(第三六九四号)  同外一件(阿部文男君紹介)(第三七四〇号)  同外一件(天野光晴君紹介)(第三七四一号)  同(新井彬之君紹介)(第三七四二号)  同(浦井洋君紹介)(第三七四三号)  同外一件(大野市郎君紹介)(第三七四四号)  同外一件(小沢辰男君紹介)(第三七四五号)  同外一件(唐沢俊二郎君紹介)(第三七四六  号)  同外一件(仮谷忠男君紹介)(第三七四七号)  同(小林政子君紹介)(第三七四八号)  同(河本敏夫君紹介)(第三七四九号)  同外一件(左藤恵君紹介)(第三七五〇号)  同外一件(佐伯宗義君紹介)(第三七五一号)  同外一件(塩谷一夫君紹介)(第三七五二号)  同外一件(正示啓次郎君紹介)(第三七五三  号)  同外一件(園田直君紹介)(第三七五四号)  同外一件(竹本孫一君紹介)(第三七五五号)  同(田代文久君紹介)(第三七五六号)  同(谷口善太郎君紹介)(第三七五七号)  同(津川武一君紹介)(第三七五八号)  同外一件(辻寛一君紹介)(第三七五九号)  同(寺前巖君紹介)(第三七六〇号)  同(土橋一吉君紹介)(第三七六一号)  同外一件(中島茂喜君紹介)(第三七六二号)  同外一件(永田亮一君紹介)(第三七六三号)  同(丹羽久章君紹介)(第三七六四号)  同外一件(西村英一君紹介)(第三七六五号)  同外一件(羽田孜君紹介)(第三七六六号)  同外一件(長谷川峻君紹介)(第三七六七号)  同外一件(服部安司君紹介)(第三七六八号)  同(林百郎君紹介)(第三七六九号)  同外一件(原健三郎君紹介)(第三七七〇号)  同(東中光雄君紹介)(第三七七一号)  同外一件(福田篤泰君紹介)(第三七七二号)  同(不破哲三君紹介)(第三七七三号)  同(正木良明君紹介)(第三七七四号)  同外一件(増岡博之君紹介)(第三七七五号)  同(松澤雄藏君紹介)(第三七七六号)  同(松本善明君紹介)(第三七七七号)  同外五件(三原朝雄君紹介)(第三七七八号)  同外一件(安田貴六君紹介)(第三七七九号)  同(山原健二郎君紹介)(第三七八〇号)  同外一件(吉田実君紹介)(第三七八一号)  同(米原昶君紹介)(第三七八二号)  同(青柳盛雄君紹介)(第三七八三号)  同(有島重武君紹介)(第三八四四号)  同(新井彬之君紹介)(第三八四五号)  同外一件(江藤隆美君紹介)(第三八四六号)  同(寒川喜一君紹介)(第三八四七号)  同(河村勝君紹介)(第三八四八号)  同(栗山礼行君紹介)(第三八四九号)  同外一件(小峯柳多君紹介)(第三八五〇号)  同外一件(高橋英吉君紹介)(第三八五一号)  同外一件(田澤吉郎君紹介)(第三八五二号)  同外一件(西村直己君紹介)(第三八五三号)  同(福永健司君紹介)(第三八五四号)  同外一件(古屋亨君紹介)(第三八五五号)  同(正木良明君紹介)(第三八五六号)  同外一件(森山欽司君紹介)(第三八五七号)  同外一件(矢野絢也君紹介)(第三八五八号)  同外一件(渡辺美智雄君紹介)(第三八五九  号)  各種学校制度確立に関する請願外八件(小川  半次君紹介)(第三五一〇号)  同外二件(谷垣專一君紹介)(第三五一一号)  同外五件(田中伊三次君紹介)(第三五一二  号)  同(小沢一郎君紹介)(第三六二四号)  同(亀岡高夫君紹介)(第三六二五号)  和裁を学校教育必修科目として採用に関する  請願(田中伊三次君紹介)(第三六二二号)  同(森下國雄君紹介)(第三八六一号)  なぎなたを高等学校正課教材として採用に関  する請願外三件(亀山孝一君紹介)(第三六二  三号)  養護教諭全校必置に関する請願(有島重武君  紹介)(第三八六〇号) 同月九日  学校の砂場施設整備に関する請願外一件(足立  篤郎君紹介)(第三九〇二号)  同(有島重武君紹介)(第三九〇三号)  同外一件(伊能繁次郎君紹介)(第三九〇四  号)  同(卜部政巳君紹介)(第三九〇五号)  同(勝間田清一君紹介)(第三九〇六号)  同(川村継義君紹介)(第三九〇七号)  同(中井徳次郎君紹介)(第三九〇八号)  同外一件(小島徹三君紹介)(第三九〇九号)  同外一件(小宮武喜君紹介)(第三九一〇号)  同外一件(鈴木一君紹介)(第三九一一号)  同(中村弘海君紹介)(第三九一二号)  同外一件(成田知巳君紹介)(第三九一三号)  同(芳賀貢君紹介)(第三九一四号)  同外一件(葉梨信行君紹介)(第三九一五号)  同(藤田高敏君紹介)(第三九一六号)  同(堀昌雄君紹介)(第三九一七号)  同外一件(矢野絢也君紹介)(第三九一八号)  同外一件(吉田之久君紹介)(第三九一九号)  同外一件(山本幸雄君紹介)(第三九二〇号)  同外一件(豊永光君紹介)(第三九二一号)  同(和田一郎君紹介)(第三九二二号)  同外二件(安宅常彦君紹介)(第三九六七号)  同外一件(赤城宗徳君紹介)(第三九六八号)  同外二件(井岡大治君紹介)(第三九六九号)  同外一件(大橋武夫君紹介)(第三九七〇号)  同外一件(岡田利春君紹介)(第三九七一号)  同外三件(川崎寛治君紹介)(第三九七二号)  同外一件(北山愛郎君紹介)(第三九七三号)  同(古寺宏君紹介)(第三九七四号)  同外一件(田川誠一君紹介)(第三九七五号)  同外一件(武部文君紹介)(第三九七六号)  同外一件(渡海元三郎君紹介)(第三九七七  号)  同外一件(中垣國男君紹介)(第三九七八号)  同外一件(濱野清吾君紹介)(第三九七九号)  同外一件(早川崇君紹介)(第三九八〇号)  同外二件(福井勇君紹介)(第三九八一号)  同(藤田高敏君紹介)(第三九八二号)  同外一件(向山一人君紹介)(第三九八三号)  同外一件(早稻田柳右エ門君紹介)(第三九八  四号)  同(赤松勇君紹介)(第四〇三一号)  同外一件(池田清志君紹介)(第四〇三二号)  同(石川次夫君紹介)(第四〇三三号)  同外一件(小澤太郎君紹介)(第四〇三四号)  同外一件(大坪保雄君紹介)(第四〇三五号)  同(勝間田清一君紹介)(第四〇三六号)  同外一件(鹿野彦吉君紹介)(第四〇三七号)  同外一件(川村継義君紹介)(第四〇三八号)  同(久野忠治君紹介)(第四〇三九号)  同(古寺宏君紹介)(第四〇四〇号)  同外一件(小山省二君紹介)(第四〇四一号)  同外一件(砂原格君紹介)(第四〇四二号)  同外一件(關谷勝利君紹介)(第四〇四三号)  同外一件(谷川和穗君紹介)(第四〇四四号)  同(田畑金光君紹介)(第四〇四五号)  同(中井徳次郎君紹介)(第四〇四六号)  同(芳賀貢君紹介)(第四〇四七号)  同外一件(羽田野忠文君紹介)(第四〇四八  号)  同(広瀬秀吉君紹介)(第四〇四九号)  同(古川喜一君紹介)(第四〇五〇号)  同外一件(古川丈吉君紹介)(第四〇五一号)  同外一件(松浦周太郎君紹介)(第四〇五二  号)  同外一件(松山千惠子君紹介)(第四〇五三  号)  同外一件(山口敏夫君紹介)(第四〇五四号)  同外一件(渡辺栄一君紹介)(第四〇五五号)  和裁を学校教育必修科目として採用に関する  請願(小峯柳多君紹介)(第四〇五六号) 同月十日  学校の砂場施設整備に関する請願(青柳盛雄君  紹介)(第四一二六号)  同(有馬元治君紹介)(第四一二七号)  同外一件(赤松勇君紹介)(第四一二八号)  同外一件(石井光次郎君紹介)(第四一二九  号)  同(石川次夫君紹介)(第四一三〇号)  同(浦井洋君紹介)(第四一三一号)  同外一件(川村継義君紹介)(第四一三二号)  同外一件(木島喜兵衞君紹介)(第四一三三  号)  同(小林政子君紹介)(第四一三四号)  同外一件(鯨岡兵輔君紹介)(第四一三五号)  同外一件(黒田寿男君紹介)(第四一三六号)  同外一件(後藤俊男君紹介)(第四一三七号)  同外一件(坂元親男君紹介)(第四一三八号)  同(田代文久君紹介)(第四一三九号)  同(田中武夫君紹介)(第四一四〇号)  同(谷口善太郎君紹介)(第四一四一号)  同(津川武一君紹介)(第四一四二号)  同(寺前巖君紹介)(第四一四三号)  同(芳賀貢君紹介)(第四一四四号)  同(土橋一吉君紹介)(第四一四五号)  同(林百郎君紹介)(第四一四六号)  同(広瀬秀吉君紹介)(第四一四七号)  同(東中光雄君紹介)(第四一四八号)  同(古井喜實君紹介)(第四一四九号)  同(古川喜一君紹介)(第四一五〇号)  同(不破哲三君紹介)(第四一五一号)  同(松本善明君紹介)(第四一五二号)  同(安井吉典君紹介)(第四一五三号)  同(山原健二郎君紹介)(第四一五四号)  同(米原昶君紹介)(第四一五五号)  同外一件(佐藤観樹君紹介)(第四二三四号)  同外一件(斉藤正男君紹介)(第四二三五号)  同外一件(高田富之君紹介)(第四二三六号)  同(田代文久君紹介)(第四二三七号)  同(田中武夫君紹介)(第四二三八号)  同(土橋一吉君紹介)(第四二三九号)  同(山原健二郎君紹介)(第四二四〇号)  同外一件(岡崎英城君紹介)(第四二八七号)  同外一件(金子岩三君紹介)(第四二八八号)  同外一件(田中恒利君紹介)(第四二八九号)  同外一件(千葉七郎君紹介)(第四二九〇号)  同外一件(前尾繁三郎君紹介)(第四二九一  号)  女子教育職員育児休暇制度法制化に関する請  願外一件(安里積千代君紹介)(第四一五六  号)  同(赤松勇君紹介)(第四二九三号)  同(木島喜兵衞君紹介)(第四二九四号)  同(鈴木一君紹介)(第四二九五号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四二九六号)  同(土井たか子君紹介)(第四二九七号)  同(古川喜一君紹介)(第四二九八号)  同(正木良明君紹介)(第四二九九号)  同(山中吾郎君紹介)(第四三〇〇号)  同(山原健二郎君紹介)(第四三〇一号)  同(山本弥之助君紹介)(第四三〇二号)  同(横山利秋君紹介)(第四三〇三号)  和裁を学校教育必修科目として採用に関する  請願(前尾繁三郎君紹介)(第四二九二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月三十一日  私学助成費増額に関する陳情書外二件  (第一四五号)  各種学校制度確立に関する陳情書  (第一九四号)  同  (第二三一号)  女子教育職員育児休暇法案に関する陳情書外二  件  (第一九五号)  日本私学振興財団法の一部改正に関する陳情書  外七十三件  (第一九六号)  幼稚園教育の振興に関する陳情書  (第一九七  号)  義務教育費負担軽減に関する陳情書  (第二三二号)  宗教情操教育に関する陳情書  (第二三三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  国立及び公立の義務教育学校等教育職員の  給与等に関する特別措置法案内閣提出第六三  号)      ――――◇―――――
  2. 八木徹雄

    八木委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求の件についておはかりいたします。  文化財保護に関する件、特に飛鳥、藤原地域文化財保護に関する問題調査のため、明十五日、文化財保護に関する小委員会参考人として奈良女子大学教授門脇禎二君の出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八木徹雄

    八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  4. 八木徹雄

    八木委員長 国立及び公立義務教育学校等教育職員給与等に関する特別措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。谷川和穗君。
  5. 谷川和穗

    谷川委員 私は最初、衆参両議長並びに内閣総理大臣意見申し出をなさいました人事院総裁を中心に、幾つかの点についてまず質問を申し上げさせていただきたいと思います。  私どもはかねてから、教育の場に携わる方々、教職は他の一般職の公務員とはいろいろな面で違うところがあるのじゃなかろうかというような基本的な認識を持ってきたわけでございます。そして教育界には、しかしながら教師の勤務の態様がどうあるべきか、たいへん長いことこれは論議の非常に盛んな問題であったわけでございまして、その論議が分かれていたがために、どうしても教員に対する待遇改善措置とか教師像確立とかいう問題については、いままでなかなか一致することがなかったわけでございます。今回、言うならば第三者機関である人事院制度について意見申し出をされた。しかもそれは、労働基準法というような非常に大きな法律の最も基本的な問題点にも触れておりますし、さらには教師教育労働を内と外と包括的にとらまえるというような、諸外国でもいままでこの点についていろいろ論議されてきた問題について、非常に直截に判断をお出しになっておられるようでありますし、さらに、伝え聞くところによりますと、ここに至るまで各方面、特にたとえばこの措置をしようと思えば、意見申し出に従った何らかの制度を改善するために新しい踏み出し方をしようと思えば、たとえば財政当局などが、その適用範囲だとかあるいは命じ得る範囲だとか、こういったものが人事院勧告の事項になるというような問題については、いろいろと財政当局財政当局なりの問題点の指摘もあっただろうと思いますし、あるいは地方自治体地方自治体なりのいろいろ問題の提起もあったんだろうと思うのです。こういうような中で人事院制度の創設について意見申し出をされたということに対して、私どもはまことにこれを多としております。しかし反面、私どもといたしましては長年教師像確立ということが今日の教育界の中で最も大事な問題であるということも考え合わせておりまして、実は先般二月八日に両院並びに内閣総理大臣に向けて人事院から提出されました意見申し出の内容につきましては、どうもその辺においてまだ何となく、こうわれわれが平素主張してきた問題が、はたしてこれはどうなるんだろうかというような感じ方から、必ずしもこれに対して満足ではなかったわけでございまして、中には非常に強い不満をあらわした関係者もおったようなことでございます。まあしかし、この段階ですでに法案となって人事院意見申し出はこの国会へ提出され、当委員会で本日から実質審議に入るわけでございます。したがって、最初に人事院総裁にお伺いをいたしたいのでございますが、この時点において意見申し出をなさったその基本的な考え方、特に教職、これの周辺をとらまえて、どういうような基本的な考え方でこの意見申し出をなさったかということが第一点。  それから第二点として、第三者機関である人事院意見の提出をなさったわけでございますが、それをフォローして文部省がそれを法案にまとめ上げた。今回提出されておりまする文部省提案の法案に、人事院としては、原則としてこれは人事院意見申し出の線に沿っておる、そういう意味では満足だというようなお感じでおられるのか、その辺を最初にひとつ御答弁いただきたいと存じます。
  6. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 多少沿革的に考えますと、御承知のように、私どもがこの問題を指摘いたしましたのは昭和三十九年でございます。昭和三十九年当時、教員の超過勤務手当の問題ということは相当世間でも問題になっておったという事実がございました。これは主として地方の先生方ではありまするけれども……。超勤手当の問題について当時の勧告と同時に提出いたしましたわれわれの報告書の中でこの問題をとらえまして、超過勤務手当制度というものがある以上は、正規の超過勤務命令が出た以上は当然超過勤務手当を支給すべきである、片やもっと根本的に、この教員の勤務時間その他勤務の特殊性ということにさらに掘り下げて検討をしていく必要があるだろう、再検討の必要があろうということを指摘いたしまして、そのころから実は、この超過勤務手当という制度は教員の方々にはなじまないんじゃないかという気持ちを持ちながらそういう問題提起をしたわけです。したがいまして、その後、給与勧告をめぐっての国会の御質疑等にもこのことはうかがわれているわけです。そのときにも私どもは、どうも超過勤務手当制度になじむかなじまないか、そこのところだというようなことを申し上げてきた。これは速記録にも出ているはずですが、申し上げてきたわけです。したがって、問題意識はそのころからずっと持ち続けてきておる。当時、そういう点もありまして、中村文部大臣のころでありましたが、その報告書を出しますと同時に中村大臣のところへ私自身が伺いまして、こういう根本問題をひとつお互いに洗おうじゃないですか、国立の場合はわれわれの所管ですが、地方公務員の、地方の公立学校の先生の場合はこれはわれわれの所管ではないので文部省でお調べ願うほかはない、またこれは膨大な人数もおられるのですから、ひとつ精密な調査をやっていただけぬものでしょうかと申し上げましたところが、中村文部大臣たいへんそれに同感されまして、それは大賛成だ、さっそく予算をとってやりましょうということで、これまた主計当局の手配もあったでしょうが、相当の予算をおとりになって、そうして精密な調査をやってくださいました。  片やそういう動きもあって、御承知のように、先年政府案としてちょっと出たこともありますけれども、この関係の政府案が出たこともありますけれども、われわれとしては、かたわらじっくりと腰を据えて、これは問題問題ですからよほどの確信を持たない限りは打ち出せないということで、ずっと検討を続けてまいったわけでありますけれども、大体——大体じゃない、もうはっきりとわれわれとしての結論は出たということで、今度意見申し出という措置に踏み切ったわけです。これは意見申し出、新聞では当然、勧告というふうに見出しなどで扱われております。意見申し出といたしましたのは、給与問題以外にも御承知のようにちょっと触れている点がありますものですから、われわれとしては「意見の申出」という表題にはいたしましたけれども、実質的には国会、内閣にも提出してこれは給与勧告と同じ重要な扱いとして、また内容も重要なものでありますからして、その実態においては、法律的性格においては給与勧告の場合と全然変わりはない。したがってぜひ完全実施をお願いしたいということを、ついでにここで大きな声で申し上げておくわけであります。  それは別といたしまして、基本的な考え方としていまお尋ねがございましたが、要するに教員の仕事の特殊性、これは特にさかのぼれば教育の特殊性ということになると思います。私どもは虚心たんかいにこれを考えまして、教員というものは、大体普通の指揮命令のもとに働いている行政職の方々とは違った面がある。すなわち、これらに比べると、教員の方々の自発性あるいは創造性という面に基づく勤務というものが、相当に教職については期待されておるのではないかというようなこと。さらにまた、夏休みその他の長いお休みをお持ちになっておる。この長期の学校の休業期間における勤務の実態というような面においても、これはわれわれ行政職がやっておる勤務の実態とは基本的に違うというような点を大きく踏まえて見ますると、やはり一般の行政事務に従事する職員と同じ扱いにするのは不合理ではないか。すなわち、特に時間的な管理という面におきまして、一般行政職と同じ扱いにするのはどうか。それから先ほどおことばがありましたけれども、そういうことも踏まえまして、勤務時間というのが一応ありますから、われわれは当面勤務時間というものをめどにはいたしますけれども、その勤務時間も外ばかりの問題ではない。内の問題と外の問題、内外にわたってその勤務の実態というものをわれわれとしてはつかまなければいけないということであります。したがいまして、すべての勤務時間、ことに一応の所定の正規の勤務時間を越えた部分について、これを時間的に計測をするというような面も含めて、要するにその勤務について厳格な時間的管理を行なうということを必ずしもそのまま前提にはできないんじゃないかということになりますと、勤務時間を越えて何時間働いたからという、時間的の計測のもとに支払われる超過勤務手当の制度というのは、これはなじまぬという結論に到達いたしました。これは私ども自信を持っております。  そういう結論に基づいて今回の措置を申し上げた。したがって、私どもは、勤務時間の外へ出たとかなんとかいう問題ではなしに、教員の勤務の特殊性というものを、正規の勤務時間の内と外にまたがって包括的にこれをとらえ、そしてこれを再評価する。その再評価の結果、今回のような教職調整額というものをここに差し上げるという形が望ましい形ではあるまいかということで、意見申し出を申し上げたわけです。  これは私ども、先ほどおことばにもありましたように、第三者機関として少なくとも勧告同様の措置をとりました以上は、ぜひこれは完全実施していただかなければならぬ。給与勧告のほうは、幸い昨年ようやく完全実施をしていただいたわけです。その調子でこれも完全実施をぜひしていただかなければならぬということで、文部省案が一体どういうことを書いてあるかということで、それは完全実施されておるかどうかということの第一段階は文部省案ですから、そういう意味で拝見いたしました。これは、われわれの趣旨は十分取り入れられておる。ただ、私どもの所管は国立学校だけであります。文部省案には地方の公立学校の分も含まれております。この分については勧告、意見申し出という関係はございませんけれども、少なくともわれわれの提出した意見申し出はそのまま完全に取り入れられておる。今後は国会でそのままこれが可決成立されればまさに完全実施をしていただけるということになるわけで、この際強い要望を持っておるわけでございます。
  7. 谷川和穗

    谷川委員 先ほど総裁は、意見申し出という形になったが法律的には勧告と同じなんだ、こう言われましたが、人事院の勧告、こう言いますと、われわれのすぐ頭にくるのは八月に行なわれる給与勧告です。こういうような新しい制度を創設するというようなことも人事院の仕事の中にあるのか、やはりそれを第三者機関たる人事院がせねばならない義務があるのか、この辺はどうでございましょうか。
  8. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ごもっともな御質疑でございますが、私ども第三者機関としての人事院の公務員法上の使命は、世に労働基本権の代償機関だとか団交権の代償機関だとかいうことでいわれておりますように、私どもはそういう役割りをやはりになっておる、法律もそのたてまえででき上がっておるということでございますから、今回の問題などはまさにそれに該当するものといたしまして、たとえば調整額のほうは、これはもうはっきり給与の問題でありますから問題ありません。さらにそれにプラスして、これもいわゆる世にいう歯どめの条項というようなものもございます。人事行政上のわれわれの意見の提出権というものが、国家公務員法にはっきり書いてございます。これもそれにのっとって御提出を申し上げたということでございます。  給与勧告も、もちろんこれは例年のことで、八月勧告というおことばがございましたけれども、これも私どもとしてはそれと同種の任務であると思います。ただし、これは関係の向きが全公務員に及ぶような、たいへん重大な結果をもたらすようなものでありますから、えてして給与勧告は非常にはでに扱われているということだと思うのです。こういう点は、またそういう意味で各方面に対する影響、ことに納税大衆に対する納得性なども十分考えなければいけませんものですから、たびたび申し上げますように、民間調査というものを非常に精密にやりまして、七千の事業所にわたってことしもこれからやるわけでありますが、正確なるデータを踏まえて、そうして民間水準がこうなっておりますから、公務員諸君の給与もせめてこの水準まではぜひ追いつかせていただきたいということで勧告を申し上げておるわけでございますために、いろいろな作業の手順からいって八月になるということでございます。  今度の場合は、民間との比較というような問題とはこれは性格の違う問題でございます。これは、教員の方々に対してどういう制度が一番適切であるかということに主眼を置いての措置でございます。そういう意味での八月勧告との結びつきというものは、われわれとしては考える必要はない。ほんとうを言えば、善は急げというような一言で尽きるような性格のものであるという意味でありますから、今回は別途この措置を申し上げたということになるわけでございます。
  9. 谷川和穗

    谷川委員 それでは、ほかにこれと類似した例はございますか。
  10. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは最近の例で、前の国会の例でございましたか、たとえば公務災害補償法関係の改正など、これはお金の関係には直接には結びつきませんけれども、やはり間接にはお金の関係があるわけであります。  それからなお、外国その他に国際協力のために派遣される公務員のいろいろな処遇の問題、これも昨年われわれとしては、意見申し出ということで立法を要請いたしました。これもそのまま完全に法律として成立しております。その種の例はたくさんございます。
  11. 谷川和穗

    谷川委員 先ほどの御答弁の中にも、教員のやっている仕事というのはほかの公務員とはちょっと違うという意味の御発言もございました。また勧告の内容といいますか、意見申し出の内容にもそのことははっきりと文章でもございますが、この問題に関連して二、三点この際お伺いをしておきたいと存じます。  昨年の十一月五日に、文部大臣の教育問題に関しての一番大きな諮問機関であります中央教育審議会が、「初等・中等教育の改革に関する基本構想」という中間報告を出してございます。その中には、わが国では伝統的に教職に対する信頼と尊敬がきわめて厚かった、これが第一に置かれております。しかし、教職の社会的地位は、国民の教育水準の上昇と教職以外の専門的職業の増加に伴って、むしろ相対的には低下しつつあるのだという一つの警鐘を鳴らしておるような判断をいたしております。そして、教員のやっておる仕事そのものについては、「本来、教育の仕事は、人間の心身の発達に関するきわめて複雑高度な問題を取り扱うものであり、」本質的に非常にむずかしさを要求されているものなんだ、こういう認識をしておるようでございます。私どもは基本的にこの認識について賛成をいたしております。おそらく今回意見申し出をされました人事院におかれましても、以上のような基本的認識においては、われわれが判断していると同じような筋で判断をしていただいていることだと思います。  いま私、ここでお伺いしたいことは、さらに突っ込んで、この中間報告の中にもその種のことばが出てまいりますが、教員のやっておる仕事は、高度の専門性と管理指導上の責任に対応する十分な給与が受けられるように給与全般の体系を改める必要がある。ユネスコ、ILOの教師の地位に関する勧告の中でも、この教師のやる仕事の専門性ということをとらまえて、そしてこれが一般公務員と違うのだという形の勧告になっておるかに私は記憶いたしておるのでございますが、先ほど総裁の御説明の中にも、あるいは人事院意見申し出に添付して公表されました今回の措置に対する説明文書の中でも、教職の特殊性、職務と勤務の態様の特殊性について、たとえば一つには、先ほどちょっと総裁が言われましたが、教員の自発性あるいは創造性、こういったものに基づく勤務に期待する面が非常に多いのだということを言っておられます。私は、これにもう一つ考えなければならぬ問題があるのじゃなかろうかと思うのです。それはどういうことかといいますと、この勤務の態様の特殊性あるいは職務の態様の特殊性のほかに、たとえば教育公務員特例法の第一条にはっきり「責任の特殊性」ということばがございますし、さらに第十九条には、その第一条のとらまえ方を踏まえてだと私は判断いたしておるのでございますが、特に研修というところに項を立てて、常に研究と修養を怠ってはいけない、そういう種類の職務なんだという書き方がございます。私はそういう意味からいって、今回人事院が職務と勤務の態様の特殊性に基づいて新たな制度を創設する必要があるのだ、こう言い切っておられるこの職務と勤務の態様の特殊性というものについて、総裁はどういうふうにお考えになっておられるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  12. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お尋ねの点は、御趣旨は全く同感でありますが、私どもはこれを現象的にとらえて職務と勤務の態様の特殊性ということを表現しただけであります。その職務の裏に当然伴っておる責任というものは、われわれとしてはいまお述べになりましたような重要なものをそこに持っておる。これは私はほかの場合いつも言っておるのですけれども、とにかく学校の先生、ことに義務教育の先生ほど大事なお仕事で責任の重い仕事はないだろう。とにかく新しいいまの憲法によって国民は主権者になった、その将来の主権者を育て上げられる仕事というのは、ほかのいかなる公務員をさがしてみても、それほど重要な、しかも重い責任に属するような仕事をされている人はないとさえ言えるのではないかということをかねがね申し上げておるわけでございます。そのくらいにこれは大事なお仕事であるというふうに私は考えておるわけでございます。
  13. 谷川和穗

    谷川委員 ただいまの問題について、実は私はなぜこういうような質問をさせていただいたかといいますと、職務と勤務の態様の特殊性、この二つだけで新たに教職調整額というような制度を設けるということになりますと、これも先ほどちょっと総裁触れられましたけれども、長期の休業期間、おそらくこの長期の休業期間には、明らかに正規の時間をこえての勤務というものは存在しない。これはだれが見たってそうだと思う。夏休みに超勤があるということは考えられないと思います。もしそれがあるとすれば、校長の学校管理運営上何かどこかに間違いがあるんだ、こういう感じすらいたします。いずれにいたしましても、この長期の休業期間においてすら、今回の教職調整額を支給された者に対しては、言うならば超過勤務手当を一緒にここで吸収してしまう。もっとこれは簡単にいえば、同じ労働者であるのに、ただ勤務と職務の態様が違うのだというだけで休業中でも超勤手当に見合うようなものをもらえるのか。われわれみたいに文教関係の中におる者は、教育というのは大事なんだ、それでいいんだというように簡単に言い切れるかもしれませんが、ほかのほうから見れば、何かこう教育の場にある者が不当に保護されているといいますか、というふうな印象すら受けるんじゃないか。したがって私は、この職務と勤務態様の特殊性に基づくほかに、もう一つもう一段高い国民全体に対する責任というものが教育職の中では強く要求されているこういう職なんで、ただ単に超過勤務を吸収するというだけの問題じゃないんだというような説明のほうが何か説明としては通りやすいように感じるのですが、その点いかがでしょうか。
  14. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 最後におっしゃられた点が結局まあポイントで、これは私、同感に思いますけれども、いま谷川委員のおっしゃるのは非常に次元の高いところをおっしゃっている。われわれはちょっと次元の低いところをねらって表現しておるものですから、品が悪いかもしれませんが、勤務の態様ということは、やはり夏休みの場合における勤務の態様というのは普通の行政職の場合とは違うだろう。しかし、遊んでおられるかというと、われわれの調べたところでも決して遊んではいらっしゃらない。一生懸命自主的な研修その他によってやはり勤務はしていらっしゃる。態様は違うというような考え方からこれを把握した表現になるわけですけれども、しかし、これだけのこの四%、これは四%と申しますけれども実質的には六%になり、年金や退職手当までこれははね返るのですから、たいへんな、私どもとしては相当な思い切った優遇措置だと思っておるのですが、それの裏には、やはりいまの次元の高いおことばで表明されたそういう考え方も、また私が先ほど申しましたような気持ちというものには含まれているのです。勤務時間の内外というものを超越したもう一つの再評価というものをそこに加えてのものだというふうにおとりいただいても、これは決して間違いでないというふうに考えます。
  15. 谷川和穗

    谷川委員 そういたしますと、勤務時間の内外を包括したこのたびの制度だということは、必ずしも超勤に見合うための制度であるだけではないんだ、こういうふうに判断してよろしいのですか。
  16. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そこが一番大事なところでありまして、はっきり御認識いただきたいと思います。超勤手当制度をやめたからそれに見合うものとして今度の調整額をここで設けたというようなものでは決してない。これは勤務時間外におけるサービスを目当てにして、そして超勤手当の代替物としてわれわれが意見書をお出ししたのでは決してございませんので、内外と言っておるのはそこを非常に言っておるわけです。包括的に勤務そのものを再評価してというのは、勤務時間を超越した形でのこれは評価であり、また措置である、これは一番大事なところでございます。
  17. 谷川和穗

    谷川委員 まことに明快な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。実は私、これを少し重ねて続けてお伺いいたしましたのは、私どもの頭の中には、やはり教職というものはその他の一般職の公務員のやっている仕事とは違う、同じ公務員であっても違うし、それから教職全体、私立学校まで含めて考えた場合に、教員のしておられる仕事というものは違うんだ、こういうことは基本にございます。したがって、今回の人事院措置を契機にして、次の改革に向かってそれがどうつながっていくかということが、一番われわれにとって関心のあることでございます。そういう意味でお尋ねをさしていただいたわけでございます。  一番最初に私は、この意見申し出を、この時期に人事院が衆参両院並びに内閣に提出されたことの御努力を多とするという意味のことを申し上げましたが、しかし反面、われわれとしてはまだまだ不満もあるし、二、三この際伺って明らかにしておきたい点もあるのだ、こう申し上げました。  その点についてちょっと申し上げますと、第一に、やはりいろいろ考え合わせてみましても、少なくとも給与というのは勤務態様、勤務のあり方、その条件、こういったものに当然つながってくることであって、それを考えるとむしろこの際、給与の上に教職調整額というような上のせ方をせずに、思い切ってひとつ別建てで教職については新しい給与体系を確立すべきときが来ているのじゃなかろうか、むしろそういう時期がもう近づいているのじゃなかろうか、こういうことが基本にございます。そういう意味で、われわれとしては、人事院がこの際そういう意見申し出をしていただくなら、そこへむしろ突っ込んでいただいたほうが道が早かったのじゃなかろうかという感じの不満が一点ございます。  それからもう一点でございますが、教職、教育というものをとらまえるのになぜ義務教育だけとらまえたのか。しかも実際からいうと、この教職調整額の支給については、中心は義務教育だけれども、上には義務教育でない高等学校教育というのがちゃんと乗っかっておる。高等学校教育まで乗っけるなら、それなら教職全体をこの際基本に考えて、その中からとりあえずこれだけというような置き方をされたらどうだったんだろうかというような感じ方がございます。  この点については、具体的に申し上げますと、添付されました別紙の特別措置要綱の中に、第一の「趣旨」に「国立の小学校、中学校高等学校ならびに盲学校、聾学校および養護学校の小学部、中学部および高等部の教員の職務と勤務の態様の特殊性に基づき、給与についての特例等を定めるものとすること。」こうございまして、それにのっとった文部省提出の法律の条項も、第一条ではそれと似たような書き方になっております。私はむしろ、法律の書き方としては、これは文部省にお尋ねするほうが筋かと思いますが、人事院が提出されました特別措置要綱に従って文部省のほうができておりますので、むしろ書き方としては、義務教育学校等教育職のそういう特殊性だけとらまえるなら、かりに、この法律は義務教育学校等教育職員の職務と勤務態様の特殊性に基づき、そしてそこへ、とりあえず国立及び公立の云々と、こういうようなかぶせ方をしたほうが、将来私は問題を整理するのに非常に問題整理がしやすいと思っておるわけでございます。  実はこれは、なぜこんなことを私が申し上げましたかというと、去る六十三国会でいろいろこの問題に関心を持ち、それから非常にある意味で心を痛めておる文教関係者がそれぞれ寄り寄り集まって、いろいろな角度から論議をいたしました。これはある意味で超党派で論議をいたしました。そのときの考え方といたしましては、いま申し上げました私の発言いたしたようなとらまえ方になってございます。そういう意味で人事院側から、これは公立のほうまでとても手も足も出ないので、やるべきでないというようなお話もございましたでしょうが、私は、教育職というもの、教員のやっておる仕事というものの重大性をとらまえて引きずり上げたという意味の職務と勤務態様の特殊性ということを主張されるならば、法律としてはあるいは要綱としては、むしろそういうふうに置かれておいていただいたほうがよかったのじゃなかろうかという意味のことを感じております。  それから、これはむしろお聞きしたいことなんでございますが、時間外勤務の問題、正規の時間をこえて行なわれる勤務の問題、今度人事院の提出されましたこの意見申し出、これですべて一本として、正規の時間をこえた時間外勤務の問題についてはここでセットできるものなのかどうか。もう一ぺんお伺いいたしますと、正規の時間をこえての勤務の中にもやはり時間はあるのだろう、何時間勤務したとか、何時間は勤務しなかったとか、こういう議論は今回のこの意見申し出ですべて明快に内外包括されて解決するものなのだ、こういうように総裁は御認識なさっておられるか。いまの点は私の質問でございます。前の二点はお答えいただかなくてけっこうでございます。現在私が質問いたしました最後の一点、これについて御答弁いただきたいと思います。
  18. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 こまかく場面場面をとらえてストップウォッチをながめて、これで何分というのがはかれることもそれはあり得るわけです。しかし、われわれとしては、先生方の仕事、勤務全体をとらえて、先ほど申しましたように全体として時間的計測にはなじまないというたてまえで来ておりますから、いまお尋ねがありましたように、一応正規の勤務時間というものがあって、それをこえていろいろお仕事をされるという場面がそれはあり得ると思いますけれども、それについて何時間というような時間的計測をここでするにはもうすでになじまないのだ、そういうことはしないのだ。これはたとえば裁判官、検察官などの俸給制度をごらんになれば、そうなっておりますね。俸給そのものは相当高い。ですから、行く行くは先生方もそういうようにしてあげたいと思いますけれども、時間計測とかいうことは全然超越して、超過勤務手当も何も出していないということであります。形は給与制度としてあるわけでありますからして、それと同じ考え方でおるということでございます。
  19. 谷川和穗

    谷川委員 なおあと二、三伺っておきたいという問題の中に一つあることは、われわれは教育というものはまことに重大なものなんだ、これをおろそかにすることはできないのだ、しかも教育という問題の内容を考えた場合には、もうそれこそ幼稚園から大学あるいは大学院まで、あるいは社会教育、すべて事教育に関しては同じように問題はあるのだ、しかし、その中で特にこれを公の支配という問題から、また学校教育だけでとらまえた場合には、先ほど総裁も何といっても義務教育レベルの教育が一番重大な影響力を持つというような御認識の御発言がございましたが、私どもといたしましてはかねがねから、しからばなぜ小学校の校長さんはどんなに努力して偉い人でも大学の学長さんとは違うのだ、大学の学長さんが受けておる待遇まではいかないのだ、これを断定しなければいけないのだ、むしろ明治初期といいますか明治の教育改革の初期、つまり三十年から四十年くらいにかけては、小学校の校長といえども他の教育職の最高のレベルまで到達し得るような方方すらおったように私どもは聞いておるわけでございまして、この際やはりこういうことを考えた場合には、確かに大学の学長などは指定号俸という形で別個に扱われているなら、同じように、小中学校義務教育の校長先生の中で特にすぐれた先生方は同じところまで上がれるような制度もあわせて考えたらどうだろうかというようなことを強く主張もいたしてまいりました。  さらにもう一点、われわれとしては、何といってもやはり教育は人である。人の問題の中で一番大事なことは、やはり人が集まっておる教育の場所、学校という職場、その職場の管理運営については非常に強く近代化というものが要求されてきているのではないか。そういうことになれば、明治から今日まで、ただ一律に学校の先生は教室で何人かずつの生徒を担任するという責任が平等であるという意味で学校の先生方の責任というものは議論されてきているけれども、それ以外に何か一つの教育政策がきめられて、政策としてそれが返ってくるというフィードバックというようなことを考えれば、常にその中間におるような人々も、当然やはり責任の度合いというものはこの際考えられていくべきじゃないだろうかという議論もあるわけでございます。こういった問題についてわれわれはかねがねから議論してきたのでございますが、今回のこの人事院意見申し出の中には、そういった問題、われわれが平素論議をいたしてまいりました教育全般の問題については触れておいでにならない。そういった点が、私どもといたしましてはいささか不満な点でございます。しかし、先ほど総裁の御答弁の中にも、やはり今回の意見申し出のとらまえ方としては教職というものの重要性あるいはその特殊性ということがございましたし、おそらく今回のこの措置が法律として制度化されれば、文部省においても、新たにさらに中教審の答申も近々出るようにも承っておりまするし、これに従っていまわれわれが主張したようないろんな問題点も込めて新しい構想を発表されることだと思います。したがって、私は、いまのような問題点については、いまここでは触れることは避けますが、ただ総裁にはっきり申し上げさせていただきたいことは、われわれとして、第三者機関である人事院が新しい教職調整額という制度を創設されるという意見申し出をこの時期にしていただいたということに対しては非常にその御努力を多といたしますが、われわれとしては、何かもう少し突っ込まなければならぬ問題点が残っているのではなかろうかという感じを持っております。  それでは続いて次にまいらせていただきますが、今回のこの措置と、昭和四十三年五十八回国会で文部省が提出いたしました政府案、いわゆる教育公務員特例法の一部改正、教特法の改正案というふうにいわれました法案との相違をちょっと拾い上げてみまして、一番最初に目がついたことは、四十三年に文部省の提出しました政府原案では同じような調整額の措置がございましたが、これは当分の間、俸給の百分の四に相当する額の特別手当を支給するのだ、「当分の間」ということがございます。しかし、今回人事院のほうで意見申し出として提出されました中に別紙で添付されておりまする特別措置要綱並びにそれに従ってつくられた文部省の法案の中には、「当分の間」は落ちておる。これはもう制度として確立するのだという感じのものが出てきております。したがって、人事院としては、この四十三年のころには「当分の間」があったのだけれども、今回「当分の間」を落として、そしてこれを特例を定めるという特別措置として要綱をつくられたのは、やはり教職について新しい制度確立することを強く期待されて出されたものか、その辺について御答弁いただきたいと思います。
  20. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 今回の意見申し出、おそらく法律案も同様でありましょうが、これはこの限りにおいてはもう確立したものだというたてまえで私ども意見申し出ております。ただ、いま御指摘の四十三年か何かの「当分の間」という文部省案は、これはどうも人事院の関係も多少からまっておったのじゃないかと思います、そこまではっきり言っていいかどうか知りませんけれども。われわれとしては、これは大体人事院の勧告を待ってやられるべきことじゃないのかというようなことがまず気持ちとしてあったわけですね。しかし、意見はお聞きくださいました。文部大臣から、人事院のこの法案についての意見ほどうかというお尋ねがありまして、まあそれにも関連して、これは本来やはり人事院で十分検討すべきことだ、したがって、文部省案としては「当分の間」という謙虚な形でひとつやってみよう。それでわれわれも文教委員会に呼び出されて、どうだこうだと盛んに、灘尾さんの横にすわらされて詰め寄られたわけですけれども、これはわれわれとして及第でもない、落第でもないということを申し上げた記憶、これはちゃんと速記録に出ておりますから、そのとおりなんです。それでわれわれとしては、その責任があるから今後じっくり検討します、しかし「当分の間」というこの措置としては、これに必ずしも反対ではないということを申し上げた。そういう意味で、この「当分の間」ということは、相当意味があったことばではないかというふうに思います。いまやそうではございません。
  21. 谷川和穗

    谷川委員 それではお伺いさせていただきたいと思うのでございますが、俸給に関する調整額、この支給については一般職の公務員の給与に関する法律、特にその第十条に出てまいっておりますが、それを今回の人事院の特別措置要綱においても教職調整額とされております。ただ単なる調整額じゃなくて、教職調整額、これは人事院意見申し出の一番最初のやはり職務と勤務の態様の特殊性というものをつかまえて、教職調整額という一つの、そういうことばが当たるかどうか知りませんけれども、法概念というものをここで確立するような意味をすら持っているような、ただ単なる調整額と違うという感じすら持っております。ただ、ここで私がお伺いいたしたいことは、なぜそれを教職手当とせずに教職調整額というものにしたのか、その点について御説明をいただきたいと存じます。
  22. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お答えになるかならないかわかりませんが、四十三年の当時の文部省案では手当ということでありました。私ども拝聴しておるところでは、これはむしろ正規の勤務時間外の勤務に対する、いわば超勤手当に対する身がわりというようなどうも色彩もあったのじゃないかというふうに受け取っておったわけですけれども、私どもの立場は、基本的にはそれとは全然違うわけです。先ほど来るる申し上げましたように、先生方の勤務の実態、その特殊性そのものをずばり勤務時間の内外を超越して再評価した場合に、これだけの措置は必要であろうということから出発しておりますために、したがって、超過勤務手当のなりかわりとかなんとかいう概念は全然ない。そこで、今度はわれわれの一つの大きな特徴は、本俸そのものをこれでかさ上げした形になる。それで、これは先ほど谷川委員がおっしゃったように、それなら俸給表そのものを直せばいいじゃないかというお話はこれにつながるわけです。これはちょっと話が飛びますけれども、先ほどの御質問に答えることになるわけですけれども、俸給表そのものを直すには他の教育職の俸給表があります。大学の場合、高専の場合とあります。これはいずればもっと根本的に洗わなければならぬ、それからのことだということで、俸給表そのものを直すということはこの際手控えた。そこで、調整額という形にしましたけれども、これは実質的には俸給表を直したものと同じ重さを持つものだ。したがって、先ほど来申しましたように、いろいろな手当に全部これははね返る。退職手当にもはね返る、年金まではね返る。したがってたいへんな優遇措置にもなるわけですから、根本のねらいはそういうところから来ておる。
  23. 谷川和穗

    谷川委員 「意見の申出」の中に「超過勤務手当制度は適用しないこととする」、この超過勤務手当制度は適用しないということは、超勤命令はもう出さないということなんですか。この点について御説明いただきたいと思います。
  24. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは大事なことのようですが、御承知のように、超過勤務手当制度は、超勤命令を出して、それによって正規の勤務時間をこえて勤務をしたら、これこれ時間計測のもとにこれこれ手当を差し上げますという制度です。その手当制度をここでは適用しないというのでありますから、場合によって超過勤務命令が出るということは、これは当然あり得るわけです。したがいまして、超過勤務命令が出てもこれはいま言った教職調整額で、もちろんこれは、内外を問わずと言っているのはそこのところを言っているわけです。なお、先ほど問題となった調整額は時間内だけをとらえてのもので、この場合の教職調整額は内外を問わずのほうですから、そういう意味で重要な意味を持っておるということを御理解いただきたい。
  25. 谷川和穗

    谷川委員 そうなると一番問題といいますか、心配する向きもあるわけでございますけれども、そうすると、正規の時間をこえて勤務するその命令は、出る限りそれに従わなければならぬ。しかし、どんな命令が——どんな命令というのは、一日どんな長い時間になっても、要するに無定量命令が出てきても今回の四%の措置で全部これはカバーされちゃうのか、こういう心配についてはいかがでございましょうか。
  26. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 よくそういう御心配を耳にいたしますが、私どもが直接所管申し上げておる国立学校の付属小、中、高校の学校の先生方の場面を見ますと、これは申すまでもなく昭和二十二、三年以来労働基準法を離れてしまって、三六協定も何もなしに超過勤務命令を出せる形になっている。そうして手当のほうはどうなっているかというと、これは御同様、手当のほうは予算上もそう措置していない状況であります。そういう状況のもとに今日まで来ておるわけであります。これは、いま言ったように無定量の勤務を強制されたらどうか。無定量の勤務を強制されるようなことになるならば、これは人事院に行政措置要求で提訴してくるというような、提訴する道があるわけです。これは私は非常に重要な歯どめだと思っております。これは、われわれの中立機関の立場から、むちゃな勤務を強制する命令を出したのではないかということが審査の結果わかれば、そういう点は改めてくださいと文部大臣に対して強く申入れます。こういう制度があるのですが、その制度さえ、いままで一度も国立学校に関する限り用いられたことがない。不満、措置要求がわれわれの手元に来たことはないのであります。そんなことは実際は私はあり得ようはずがないと思いますけれども、しかし、御心配は御心配で、ただ心配しなさんなということだけでこれは済むことではないと思いますから、私どもは、いま申しましたような行政措置要求という有力な歯どめがあります上に、さらに文部大臣から超過勤務を命ずる場合について範囲をきめていただいた上で、われわれが協議に応じよう、協議の上できめようといった万全の措置をしているのが今回の提案でございます。
  27. 谷川和穗

    谷川委員 いま最後の点で総裁が触れられた中に、さらにそういう心配があるから、今度は文部大臣から協議してもらって、そうしてそれをきめておこう、こういう御発言がございましたし、法案の内容もそうなっておりますし、それから要綱もそうなっておると思いますけれども、しかし、私の感じからすると、やはり人事院の機能、職責、職務、そういったものからいうと、むしろその範囲人事院がおきめになって、文部大臣と協議されるというような流れが何かあたりまえのような感じがいたしますが、その辺いかがなんでありますか。
  28. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 一応問題になる御指摘だろうと思います。  ただ、私どもは時間計測になじまぬという、根本はそういうことですから、時間計測になじまぬというたてまえからいいますと、われわれが所管するのは大体何時間以上働いてもらっては困る、たとえば普通の超過勤務命令の場合においても、職員の健康、福祉を害しないようにしろ、これは一種の歯どめでございますから、これは人事院規則に出ております。それが時間計測になじまないというのですから、大体どういう場合には教育上の要請に基づいて命ずるか、どういう場合には命じないかという、これはまさに文部行政の分野であります。われわれはそこまで立ち入って、この場合はいかぬぞ、この場合はいいぞということを言ったら、文部行政に対する侵害行為にすらなる。中立機関というそこの分をわきまえなければならぬ。しかし、ほってはおけないということがみそでして、やはり協議はしていただかなければならないというのがほんとうのところです。
  29. 谷川和穗

    谷川委員 よくわかりました。  それでは、ちょっとひねった質問をさしていただいて恐縮なんですが、そうやって文部大臣が人事院総裁と協議されてきまったその正規の時間をこえてする勤務の範囲、この範囲の中で行なわれる、この時間の中で行なわれる勤務は超過勤務と呼ばれるものなのですか。
  30. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ことばの定義から申しますと、なかなかこれはなんですけれども、要するに正規の勤務時間というのほ一応きまっていますから、それを動かさないわけですから、今度は正規の勤務時間をこえてぜひこれだけの仕事はしてくださいよという一種の命令だということを、われわれは考えておるわけです。
  31. 谷川和穗

    谷川委員 私、実はこのことを質問いたしましたのは、昨年十二月三日に、第八十二回日本教職員組合、日教組の中央委員会において、測定可能な時間外労働には超過勤務手当を、測定不可能な超過勤務労働については特別手当を要求するというふうに伝えた記事がある雑誌に載ったのがございました。この点について、関連して人事院はどういうふうにお考えになっておられるか、それをちょっとお伺いしたがったものですから、いまのような問い合わせのしかたをさせていただいたわけでございます。この点についてお答えをしていただきたいと思います。
  32. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いや、ある雑誌どころではない、私どもしょっちゅう教員団体の方々とお会いして、そういう御要望はじかに承っております。御趣旨も、またその理由も承っておるわけであります。しかし、私どもの立場とは根本的にどうも違う。先ほど来申し上げましたように、私どもは、時間計測をやり始めたらこれは切りがないことになる。大体達観して——全体としてとらえた場合には時間計測になじみませんという立場をとりませんと、先ほどのたとえば検察官なり裁判官の場合でも時間計測になじまぬ部面もあるのじゃないか、超勤よこせということになり得るかもしれません。筋は違うのだということ、基本的の立場の違い、考え方の違いを申し上げて極力御説明申し上げてきたわけですが、そういう御要望のあることは十分承知いたしております。
  33. 谷川和穗

    谷川委員 なるほど確かに裁判官、検察官の話が出ますとよくわかるような感じがいたします。ただ、いままでの超勤問題、超勤問題といってそのことだけで考えておると、何か論理のがんじがらめになってしまうような感じがしたものですから、ちょっとお尋ねしたわけです。  それで一点お伺いいたしますが、教職調整額を四%にしたのについては、何か根拠はおありになるのですか。その点について答弁いただきたい。
  34. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 昭和四十一年に、文部省のほうで公立及び国立を通じまして包括的な勤務実態調査がございました。その結果の四%ということを尊重したものでございます。しかし、私どもの場合には、手当ということじゃなくて、勤務時間の内外を通じまして包括的に基本給として評価するという点でこれを本俸評価ということにいたしてございますので、手当ベースといたしますと六%ということになるわけでございますが、これは地方におきます事務職員の超過勤務手当水準とほぼ一致しておるということも考慮してございます。
  35. 谷川和穗

    谷川委員 いまの局長の答弁をお伺いしておっても、私はやはり、手当じゃなくて調整額であったほうがよかったなということを感ずるわけでございます。  その次にお尋ねをいたしたいと思いますが、適用範囲問題でございます。  まず第一に幼稚園です。今度の適用範囲義務教育高等学校、こうなっておりますが、そのすぐ下の幼稚園、これは幼児教育問題がいまやまさに非常に重大な問題になっておりまするし、ただそういう幼児教育が重大だとか重要だとかいうだけじゃなくて、一般の普通の幼稚園の場合に、これは確かに実態調査もなかっただろうと思います。だから、超過勤務があるのかないのか、それも実態調査では済んでないのかもしれませんからそれは別とするし、また一般の幼稚園でも、普通の幼稚園でも、これは私立の幼稚園だとか公立の幼稚園を除いて、今度は国立だけでも人事院のお仕事の中の明らかな分野だと思いますが、国立の付属の幼稚園、どこかの大学の付属のまたそれにくっついた幼稚園ということを考えてみると、ところによってはその上にある小学校の校長さんが幼稚園の園長さんを兼ねているところもあるし、先生が行ったり来たりしているところもある。そういうことを考えると、同じ人が片一方は校長、片一方は園長をやっていて、そして自分のところにいわば部下といいますか、何人かの先生方がおられて、あるときは小学校、あるときは幼稚園に行っておる、そして動かしておられる。それがまた教育上効果がある。あるいは、中には教員の研修のようなものについてすら、非常に大きな効果があるというような場合が現実にあるだろうと思うのです。そういう国立の幼稚園くらいはこの中へ入れても、私は差しつかえなかったのじゃなかろうかというように感じます。また逆にいえば、入れなければ混乱を来たすのじゃなかろうかという心配ができるのじゃないだろうかということが一つ出てきます。  もう一つ、普通の幼稚園じゃなくて特殊教育の幼稚部、これを考えてみれば、確かに普通の幼稚園は免許はそれぞれ独立していると思いますけれども、特殊教育の幼稚部の場合に、たしか私の記憶に間違いなければ、特殊教育の免許は一本に縦につながって、それが特殊教育振興の一つの基本になっておった考え方じゃなかったかと思う。だから、私は今回の措置においても、その他について非常に広く広がっていくものもいろいろあるかもしれないけれども、せめて付属の国立の幼稚園それから特殊教育の幼稚園、これは入れておってもよかったのじゃないだろうかという感じがいたしますが、その点についていかがでございましょう。
  36. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 幼稚園の問題で御指摘のとおりあると思いますし、われわれも注目はしておるわけであります。その今回の措置の周辺の問題になりますと、幼稚園をはじめといたしまして高等専門学校なり大学なりと、同じ教育関係の職務にしたところで、一連のものがずっとまだ対峙しているものがたくさんございますので、やはりそれぞれについて勤務の性格はだいぶ実情が違うのじゃないかというようなこともよほど踏まえて検討した上でありませんと踏み切れないものですから、この際は意見申し出の対象になった学校だけに限定いたしましたけれども、これでおしまいというわけでは決してございませんから、なお今後実態の究明その他に努力してまいりたい、そういう気持ちでおるわけであります。
  37. 谷川和穗

    谷川委員 いまの総裁の御答弁の中に、勤務の態様についてやっぱりちょっと違う点もあるという御答弁もあったような感じがいたしますので、私はこれは、半分は老婆心みたいなものですが、心配なものですから申し上げておきます。  当委員会でほかの法案を審議いたしましたときに、高専の問題が出たのであります。高等専門学校は、三年間は高等学校と同じである。あと二年のっかる、これは短大と同じかもしれない。しかし、高専を三年間過ぎてかりに四年制大学のほうに進学ということが認められるとすれば、少なくともその三年間やっておるということについては、基本的なとらまえ方としては高等学校と同じじゃないか。第二点としては、高専の講師は、たしか私ども調査では、高等学校の先生よりほんの少し、わずか百円か二百円ぐらいだけれども、やっぱり高専ということで、いままで高等学校の先生だった人が高専に移られて高専の講師になると、ほんの少しだけれどもそこで待遇は変わってくる。今回この措置高等学校は上がっていってしまった、高専は残されているのだということになる。しかも、国立の電波高専が今度この四月から、法律が通りましたから高専になる。いままでの高等学校におりさえすれば——これは給与の問題でそういう表現はいけないかもしれないが、いずれにしても、むしろ高専でいままでそういう形で措置されておったのが今回は落とされておれば、これは逆転してしまうのではなかろうか。したがって、おそらく人事院におかれてもその辺の問題をお考えになっておられたのだろうと思いますし、先ほどから総裁の御答弁をお伺いしておりましても、これでおしまいだと思っているのではないのだというお話がございましたので、この法律ができて——この法律ができない間は、いたずらに広げていけばそれだけますますいろいろな問題が起こってきて、法律の筋というものがある意味では混乱をするかもしれませんから、私はそれは申しません。しかし、この法律が成立したら、どうぞひとつ至急その周辺の問題については措置するのだという、この点についてはこの場で念を押さしていただきたいと思うが、いかがでございますか。
  38. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど申し上げたとおりでございまして、われわれさらに勉強をいたしまして結論を急いで、そしておことばにあったように、教職の関係の俸給表そのものをきれいに直せるような段階に持っていきたい、そういう気持ちを持っております。
  39. 谷川和穗

    谷川委員 先ほどの文教委員会における審議は、これは文部省に対しての森委員からの御質問で、当衆議院文教委員会の本年二月十九日です。これに対して文部省の側から当時御答弁になられましたのは宮地局長、村山局長、このお二人が討論の中に入っておられたと思いますが、文部省のほうも、ひとつこの問題については重ねて私のほうからも要請をさせていただきたいと思いますが、この法律ができて制度確立した場合には、早急に文部省は文部省なりに人事院に対しても強く要請をお願いいたしたい、こういうふうに考えます。  それでは次に申し上げたいのですが、特殊勤務手当の支給の問題、これは私の感触をこの場所で申し上げます。そしてあえて御答弁はちょうだいしなくてもけっこうでございます。時間の関係もございまするし、次に文部大臣のほうにも御質問をいたしたいことがございますので、私の感じをそのまま率直に申し上げさせていただきたいと思うのでございます。  これは、今回の提出されました法律案あるいは人事院意見申し出に添付されました特別措置要綱に直接関連のあるものではないと思いますので、私の感じているままを率直に申し上げます。特殊勤務手当をむやみやたらに拡大すべきではない。これが基本的な第一点。第二点は、特勤手当そのものの性格を詳細に調べてみると、何かこれはちょっと言い過ぎで恐縮かもしれませんが、人事院は事が起こると特勤手当に逃げ込もうとしておる。いままで逃げ込んでこられたというような感じがいたします。特勤手当については、一般職の職員の給与に関する法律十三条ではっきり言われておって、そこには著しく危険、不快、不健康、困難な勤務で、かつその特殊性を俸給で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員には、その勤務の特殊性に応じて特勤手当を支給するのだ、こう書いてある。そして人事院規則九−三〇、これに特勤手当がずらっとございますが、その中で教育関係で入っているのが三つ。二つが昭和三十七年に入って、一つが昭和四十年に入っている。昭和四十年に入ったのが教育実習手当、そして三十七年に入った二つが多学年手当と海員実習授業手当、この三つ。そうしてその他の特勤手当というのは、これはまことに不快、不健康あるいは著しい危険、たとえば高所作業、深所作業、坑内作業、爆発物取扱手当、死刑執行、死体処理、伝染病、検疫、潜水、ボイラ、これと教育の三つを並べているのは、どう考えても私は何かはっきりしません。私はむしろ、かりにこうした手当は、教育という仕事の中身は非常に複雑であるし、また困難の度合いも多いし、その他いろいろあるということであるならば、勤勉手当を考え直してそっちへ入れていくとか、あるいは新たに別の考え方で全部教育に関係するものを集めて何かの手当化を考えるべきであって、いたずらに特勤手当の範囲を、少なくとも現行法以上に拡大すべきではないということを基本的に感じております。これは時間がございませんし、将来の問題でもあるし、それから私といたしましては文部省にお尋ねしたい二、三の点がございますので、この辺で次に移らしていただきたいと思います。  次に、文部省に対して質問に入らしていただく前に、労働省にお尋ねをいたしたいと思います。  今回文部省が提出いたしました法案と中央労働基準審議会との関係はどうであるか。この辺についてお尋ねをしたいと思います。
  40. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  中央労働基準審議会におきましては、この法案につきましては、前回の例もございまして非常な御関心を持っておられますので、二月八日の先ほど来御論議があります人事院意見申し出につきまして、当日の審議会におきましてそういった意見が出たことの報告をし、また人事院からその内容についての御説明をお伺いし、またそれについての質疑も行なわれたところでございます。それから二月の十二日に、さらに人事院につきましてのいろいろな御質疑を継続し、文部省からも、法案が十六日めどということでございますので法案の要綱につきましての御説明をし、それについての質疑が行なわれたところでございます。それによりまして、中央労働基準審議会といたしましては、こういった関心のあることにつきまして、委員の全会一致をもちまして一つの建議を提出した、こういうふうな形でございます。  その建議は、御承知のとおりでございますが、二つの点でございまして、一つは一般的なことでございますが、「労働基準法が他の法律によって安易にその適用が除外されるようなことは適業でないので、そのような場合においては、労働大臣は、本審議会の意向をきくよう努められたい。」これが一点でございます。それから二点といたしまして、「文部大臣が人事院と協議して超過勤務を命じうる場合を定めるときは、命じうる職務の内容及びその限度について関係労働者の意向が反映されるよう適切な措置がとられるよう努められたい。」こういう形で建議がなされて、それに基づきまして労働大臣として所要の手続をとった、こういうことでございます。
  41. 谷川和穗

    谷川委員 その問題は、一番大きな問題は建議の問題だと思うのですけれども、その建議については、これはどう取り扱われたのか。これを文部省に伝達をされたのか、伝達されたとすればどういう形で文部省に伝達されたのか。そうしてそれはいつの時点だったのか。文部省が法案作成に入る前だったのか、ある程度文部省が法案を作成されたあとで文部省に届けているのか、その辺のことをちょっとお尋ねしたいと思います。
  42. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  ただいまの建議は、正式には十二日の審議が終わりまして、十三日付で石井会長から労働大臣に建議がなされたわけでございますが、その当日付で労働大臣から文部大臣に対しまして、この建議の趣旨を十分尊重されるよう要望するという形で、文書で文部大臣に対しまして御要請を申し上げたという点が一点でございます。  それから、その法案の作業にあたりまして、建議の内容が反映されるように文部当局といろいろと案文につきまして御協議をいたしまして、その法案の作成の際に、ただいまいろいろ御審議になっております第七条の後段に、「この場合においては、教育職員の健康と福祉を害することとならないよう勤務の実情について充分な配慮がされなければならない。」というような原文を設けたという点が一点でございます。  それからまた、この運用につきましては、文部省に対しまして労働省としてこの建議が十分反映されるようにお願いをし、文部省は関係教育職員の意向を反映することにより勤務の実情について十分配慮することといったようなことにつきまして了解し、その趣旨の実現につとめる、こういうようなお話でございまして、そういった観点で労働省としては了解した、こういうことでございます。
  43. 谷川和穗

    谷川委員 それでは文部大臣にお尋ねしたいと存じます。  私ども、ただいまこの委員会でこの法案の審議に入りながら、過去を振り返ってまことにいろいろの思いがいたします。多年の懸案とすら表現していいのじゃなかろうかという感じがいたしております。それは、人事院意見申し出に基づいて文部省が法案を策定された、この時期に人事院から意見申し出のあったことについて、またその内容について、ひとつこの際文部大臣の御所見を拝聴いたしておきたいと思います。
  44. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 教育をやる場合には、何を申しましてもよき人材を教育界に求める、またあるいは定着させるということが非常に大事であることは申すまでもないことでございます。またそのためには、やはり教職員が安んじてその自発性あるいは創造性をもってわれわれの次の世代の子弟の教育に当たってもらうというためには、相当の教職員の待遇というものを確保してあげるということが第一であるというふうに私は就仕以来考えておりまして、したがいまして、この教職員の待遇改善については、もう人事院御当局に対しましても再三にわたって御陳情申し上げたわけでありますし、また直接この問題と関連はいたしませんけれども人事院勧告の完全実施につきましても、私は自分なりに最大限の努力をいたしたつもりでございます。その趣旨は、ただいま申しましたことからなのでございます。  そういうわけでございますが、先般予算編成のときに、実は人事院総裁から今回教職員調整額四%を考えておる、ついては、予算ということについても配慮をしてもらいたいというお話がございまして、私は、予算編成に際しましてその用意をいたしたような次第でございます。いずれ勧告があるものと期待をいたしておりましたら、今回の人事院意見ということに相なったわけでございます。一応私どもといたしましては、先ほど先生が御指摘になりましたように、たとえば校長の指定号俸の創設であるとかあるいは中間管理職に対する給与改善措置とか、まだその他にもいろいろ御要望申し上げておったこともございまして、この御意見というものは百点満点われわれを満足させたものだというふうには思っておらないのでございますが、しかしながら、教職員の超過勤務問題に関する給与改善が中心となっておりますし、文部省がかねてから要望しておりましたことに対する教職員の特殊性というものに焦点を合わされまして、そしてかなりの年月を経て精査をされた、その結果、言うなれば自信を持って御意見を申されたことでございますので、私どもといたしましては何とかして当面の超勤問題も解決をいたしたい、こういうような考え方から今回の人事院の勧告を十分尊重していくという決心をいたしまして、完全実施のために実は法案を用意したということでございます。
  45. 谷川和穗

    谷川委員 ただいま文部大臣の御答弁の中にも、長年精査して人事院が努力なさったという御発言がございましたが、私の記憶に間違いなければ——これは先ほど人事院総裁の御答弁の中にもちょっと出てまいったのでたぶん間違いないと思いますが、人事院のほうでこの問題について公式に初めて外に向かって論議されたのは、昭和三十九年六月の給与勧告の時点だと思うのです。それから考えるとまさに六年ばかり、足かけ七年人事院としてはまことに御努力をいただいて、いまこの時点でこういう意見申し出をしていただいた。それを土台に文部省が積極的に法案化されたという御努力に対しては、実は私は基本的にはこういうことを感じております。  一番最初に指摘さしていただいた点でございますが、教員の待遇改善だけがすべてだと私は思っておりません。教育の質的向上というか内的充実というものは、教員の待遇改善さえやればそれがすべてだとは決して私は思っておりませんけれども、やはり一人でも多く有能な人材を教育界に確保したいという点から、それが最も基本的な文教政策の一つであるとかりに考えた場合には、一番最初に指摘さしていただいたように、論議が非常に鋭く分かれてしまっておったためにどうしてもなかなかうまいぐあいに橋がかからなかった、なかなか前に行きづらかった、それが中間機関といいますか第三者機関といいますか、人事院制度創設の意見申し出をされたことによって、いまこの委員会に法案提出をされて論議される段階に至ったということにおいては、私は、何か非常に大きな将来の明るい問題を示すような感じがしておるようなことでございます。  一点つくづく感じますことは、文教全体に集まる金の問題、予算額総額の問題です。確かに文部省予算総額は伸びてもおります。ただ一点、私感じますのでございますが、日本の国の経済成長に見合ったその勢いで、あるいはそれを越した勢いで文教関係政策費というものは伸びて当然なんだ。いまやまさに、そういう意味では教育は国民的に関心がある。そういうことから考えてみますと、文部省の提出した公の文書の中にすら——あえて中にすらと申し上げたいのでありますが、たとえば道路予算の伸びなどと比べてみれば、昭和三十七年以降この十年間の伸び率だけで計算してみれば、文教予算は必ずしもそれに見合った伸び——私は道路が悪いということは申しておりません。ただやっぱりいろいろ考えてみますと、これを機会にひとつ思い切って文教には金を集めて、いまこそ大きく分かれた論議というものがだんだん集約されつつあるわけでございます。これで前に行けるという感じを私は非常に強く感ずるわけでございますから、そのことをこの際に申し上げさしていただきたいと思うのでございます。  ところで一点お伺いしたいのでございますが、さっき労働省からの御答弁の中にもございましたけれども、労働大臣に対する中央労働基準審議会の建議というものが「関係労働者の意向が反映されるよう」、こういうことだったということであって、それは二月十三日の時点で書面で労働大臣に届いておるということであるそうでございますが、法案作成の段階において、この「関係労働者の意向が反映されるよう」ということについてどのようにおつとめになられたのか、努力なされたのか。  それから関係労働者、こう言ってもこれはもう、それこそまことにたくさんだと思うのです。極端なことを言うと、何も国立公立ばかりでないかもしれない。この中央労働基準審議会の建議の中には、必ずしも関係者という意味の中にはこの法案の対象だけの関係だといわれないのかもしれませんが、その関係労働者といっても、個々にはとてもこれはお会いもできないだろうし、連絡もつかないはずだろうと思っております。したがって文部省としては、この法案作成の作業中に各職員団体の意向を徴したり話し合いをしてこられたのかどうか、その辺のことを文部省にお伺いしたいと思います。これは文部大臣からでなくても、関係局長でもけっこうでございます。
  46. 宮地茂

    ○宮地政府委員 いまの点でございますが、実は労働省の中央労働基準審議会、さらに先ほど労働省のお答えになられました労働省と私たちとの直接の話、いずれも、たとえば審議会の建議では「文部大臣が人事院と協議して超過勤務を命じうる場合を定めるときは、」云々ということで、法案作成にあたってということではなくて、直接にはこれから法案が通りまして大臣が人事院と協議いたしますそのときの心がまえが指摘されておるわけでございます。しかし、それとは異なりまして、文部省といたしましては、この人事院勧告が出ましてそれを法案にするまで期間が非常に短うございましたが、いろいろな団体、たとえば組合のような日教組あるいは日高教、右派、左派があるようでございますが両派、さらに日教連、新教組、こういった組合のような方々の御意見、さらに小学校、中学校高等学校の校長会とか教頭会、教育長、委員長の会とか、いろいろな私どもが接触し得る範囲の方々の御意見は十分お聞きして法案を作成いたしました。  なお、人事院総裁と協議するのは、今後法案が通りまして、文部省として十分中央労働基準審議会の御意向、それを伝達された労働省の意向には十分沿って、関係者の意向が反映されるようにつとめたい。そのことが、法案の中にもございます勤務の実情について十分配慮するということばで、これはもと原案にございませんでしたが、労働省のこういうことを承りまして、原案に入れたのもそのためでございます。
  47. 谷川和穗

    谷川委員 実は私、建議の中の頭だけを意識的にのいてお尋ねいたしましたのは、いずれにしても四十一年以来の経過もあるし、人事院意見の申し入れをなすったし、それから労働省が非常に努力をされて中央労働基準審議会のほうへこの問題をずっと流していかれて、それでこのほうから建議という形で出てきたというようないきさつもこれあり、二つあるような感じがいたしましてお尋ねしたのです。一つがこの建議の内容そのもので、今後の問題として文部大臣が人事院の総裁と内容について、超勤を命ずることのできる範囲について協議をされるときには、当然のことだと思いますが、関係労働者の意向を尊重するといいますか、反映するように適切な措置をとらなければならぬ。それと同時に、この建議の裏にはもう一つ、法案作成の過程においても、できることならそういう努力をしていくべきじゃなかろうかというような感じもあるんじゃなかろうかと思って、私もそういう質問のしかたでさしていただいたわけでございます。いまの御答弁で、短い時間ではあったけれどもできるだけの努力をしたということのようでありましたので、それは了解をいたします。  文部大臣に一つお尋ねをいたしたいのでございますけれども、すでに担当局長の御答弁にもあったように、いろいろな問題がそれぞれにあるとすれば、こっちからもできるだけ積極的に意見を聴取いたしたいということで、関係労働者といいますか——関係労働者ということはが使われておりますけれども、結局はそれを代表する方々ということだと思うのですが、非常に忙しい短い期間にもかかわらず、文部省としてはあげて努力をしてきた。私どもはその努力をまことに多といたします。したがって今後の問題として、公立の教職員団体の中で一番大きな団体といえば何といっても日教組でございますが、日教組等の問題についてはいろいろ法的な問題もあるいは制度上の問題もあるし、過去のいきさつもそれぞれあると思いますが、この問題についても文部大臣としては、今後この法律が成立して人事院総裁とその内容について協議をされる前には十二分に連絡をする御努力がおありになるのかどうか、それについて御答弁いただきたいと思います。
  48. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先ほどからいろいろお話を申し上げておるように、教職員の特殊性あるいは特殊の勤務ということからいたしまして、それだからといって私たちは無定量の超勤をしいるという気持ちは毛頭ございませんわけでございまして、むしろ真に創造的自発性に基づいた教育をやっていただくために、どうやって先生方を守っていくかという立場にあるのが私どもでございます。そういうわけでございますから、このことにつきましては、ただいま中央労働基準審議会からの建議もあるわけでございますから、教職員のいろいろの方々とお会いをしまして、それを反映させるということにつとめたい、そして万遺憾なきを期したいというふうに考えておる次第でございます。
  49. 谷川和穗

    谷川委員 昭和四十三年四月の五十八国会へ提出されました政府提案のいわゆる教特法一部改正法案の中では、既存の教育公務員特例法という法律の一部を改正して、勤務の態様の特殊性に基づいて、当分の間、俸給月額の百分の四に相当する教職特別手当を支給する、こういう形になっております。今回の法案では、給与その他の勤務条件についての特例を定めるという人事院意見書に添付されました要綱に基づいて、勤務の態様の特殊性ばかりでなくて職務の態様の特殊性もあって、職務並びに勤務の特殊性二つを重ねておって、しかも正規の勤務時間をこえて行なわれる勤務については、さきに五十八国会へ提出された教特法の政府原案では読みかえ規定だけでおったのを、今回は、国立では人事院と協議して定めた場合に限るのだ、それからその他の学校公立では、その国立の例を基準として条例で定めた場合だけに限るのだというふうに、はっきりワクをはめております。これでこの点については私は非常にすっきりしたという感じがいたしております。  ただ、この際に二点ばかりそれに関連してお伺いをしておきたいことは、文部大臣が人事院と協議して定める国立の場合の内容について、この段階ではどのように考えておられるのか。  さらにもう一つ、それとはちょっと次元の違う質問でございますが、かりにそういう形で国立の内容はある程度きまってきても、協議ですから、今後しなければならないので、どうきまるか知りませんけれども、それはきまってきた後のことでございます。法案第十一条では「条例で定める場合に限る」とありますけれども、この条例のことがどうなるんじゃろうか。条例というのは各県それぞれきめるわけでございまして、しかもそれは、各県のそれぞれの住民が県議会を通しでそれぞれの地方自治の本旨というものが働くのだろう、住民意思というものが働くのだろうと思うのです。そうすると、各県の条例で定める場合だけに限るのだということになると、各県で超勤を命ずることのできる条例を定めるにあたって、一つにはたとえば人事委員会と協議するようなことが必要なのかどうか、これが一点。もう一点は、国立の例にのっとるとこういうけれども、各県それぞればらばらに条例をきめていくそのときに、各県でその超過勤務を命ずる範囲が異なるおそれはなかろうか。この辺の二点ですね。  まあ国立問題は、人事院との今後の協議問題ですから、わからぬといえばそうかもしれませんけれども、いずれにしても、国立の場合には人事院と協議するにあたってどう考えておられるのか。それから公立の場合にはいまのような問題、この点について御答弁いただきたいと存じます。
  50. 宮地茂

    ○宮地政府委員 人事院と協議いたしますその内容は、実はまだ全然考えておりませんと申し上げるといかにも事実に即しません。十分検討はいたしております。しかしながら、これは文部省といたしましてまだ十分検討もしますし、そのためには関係省の意向も十分反映していく必要がありますし、さらに人事院としても関係者の意向は十分お聞きになられますし、そういうことで、いまこのようなことをと申し上げるのはかえってあまり意味がないと存じますので、差し控えさしていただきたいと存じます。  それから第二点でございますが、これは法案にもございますように文部大臣が人事院と協議して定めます場合、この形はどのようにいたしますかまだ最終的な考えを持っておりませんが、省令ということじゃなくて、文部大臣告示でいいんではないかというふうに考えております。なお十分検討いたしますが、その文部大臣が定めました例を基準として各県で定めてもらうということでございます。したがいまして、基準とするということには絶対に幅がないということではございませんが、だれが見てもあまりにもかけ離れることは基準になりませんので、おのずから文部大臣が人事院と協議して定めたものとほぼ同じようになるであろうということを期待もいたしますし、そのように想像もいたします。  それから地方で条例を定めます場合の形でございますが、法律といたしましては、条例自体に文部大臣が人事院と協議して定めますその内容を定めることを法律では要求いたしておりまして、その場合の形式、手続は規定いたしておりません。したがいまして、人事委員会と県の教育委員会が御協議なさるというふうな場合があっても差しつかえないと思いますが、なさらなくてももちろんいいというふうに解釈いたしております。
  51. 谷川和穗

    谷川委員 「例を基準として」という以上は、上もあるし下もある。これはまだ少し時間もあることですから、この法案が成立するまでの間にはまだおそらく他の委員からも御質問があって、それに対して文部省から明快な御答弁があるだろうと思います。  私の頭の中にあるのは、たとえば東京都のようなところですでに何らかの同種の手当が出ているというような場合に、例を基準としてやったら、さらにその手当は今度の措置で吸収されるような条例になるだろうか。これは東京都のなさることですからわかりませんけれども、そういうことを考えてみますと、それぞれの県によってばらつきがあると、やはり問題が勤務の内容の問題条件の問題ですから、必ずしも好ましくないのじゃないだろうか。したがって、この十一条の例を基準とするという考え方は、この問題に関しては全国でその例をほんとうに基準とするということをきちっといったほうがよかろうという感じが一点いたします。  そこで、立法技術上の問題ですが、実は私自身も、はたして、待てよ、そうなるかなということをいま頭に置きながら教えていただきたいと思ってお伺いしたのですが、それでは給与、勤務条件の問題なんだから、これはもちろん別々、ばらばらであってはいかぬ、日本全国どこでも同一のものであったほうがよろしいということになれば、法律の中に明記してしまうことです。したがって、関係労働者の意見聴取制度を法律上設けておいたらどうなのか。この法律の中にこれを明文化することについては、これは国家公務員と地方公務員によって場合が違うと思うのですが、これはごく簡単でけっこうでございますが、御答弁いただきたいと思います。
  52. 宮地茂

    ○宮地政府委員 今回の文部大臣が人事院と協議して定める例を基準として条例で定めるということと非常に似たような形ですでに行なわれておりますのは、公立学校の先生の給与の種類と額は、国家公務員である国立の先生の給与の種類と額を基準として条例で定めるということになっております。ところが実態は、ほぼ基準としてと常識的に言えるようでございますが、しかし、中には東京都などは三号俸も高い。はたしてこれが基準として定めると言えるであろうかといったような感じがするものもございます。したがいまして私ども、この法案が期待いたしておりますのは全く国と同じであるということは期待いたしておりませんが、例を基準としてあまり上下のないということを期待いたしておると思います。そういうことからいたしますと、法律にそのことを書くということも一つであろうと思いますが、ただ国家公務員、地方公務員は一応身分も違いますので、地方の実情等を全然無視してきめるということがあるいはどうであろうか。むしろ国のことをきめて、それを基準として多少の幅をもっておきめいただくのが筋ではなかろうかという考えで法律案は作成されております。
  53. 谷川和穗

    谷川委員 私の質問には的確にお答えにならなかったと思うのですが、私自身がこれはどうかなと思いながら質問したのですけれども、私はこんなことを感じているのです。  文部大臣とそれから人事院総裁は、国立問題なんだからこれは協議をしないときめられない。しかし、それに従った例として、基準として今度地方に行ったときには地方住民の意思というものがあって条例がきまる、条例できめるということは地方住民の意思がそこに参加するのだ、つまり当事者間だけの問題ではないのだ、使用者と被用者といいますか、とにかく当事者二者間の中で勤務条件その他をきめるわけにはいかないのだというのが、これは教育公務員だけではなくて、すべての地方公務員の給与の内容あるいは勤務条件の決定のしかたなんだということだと、法律ではこの程度しか書けないものかなという感じがいたして、そういうことをお聞きいたしました。  そこで、そうであるとすれば、それを踏んまえて各県ごとは、これは勤務条件なんだからばらつくということは必ずしもよろしいとは私は思っておらないので、これはむしろ立法意思として決定すべきなのかもしれませんが、ここでそれこそそのままストレートに、例を基準としてきめてもらいたいということが望ましいということに落ちつくのじゃなかろうかという感じがいたしております。  時間がありませんので、次にまいらしていただきたいと存じます。歯どめの範囲問題ですが、地方公務員法の五十五条には、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し交渉の申し入れがあった場合は、その申し入れに応ずべきことを地方公共団体に義務づけておる条項があります。そうすると、地方公務員である教育公務員に関する時間外勤務を命ずることのできる歯どめの範囲をきめるにあたっては職員団体の意見を聞くこと、むしろこれをこの法律の中にそのまま地公法の精神を引っぱってきて、これは書かないでもあたりまえのことだとは思いますけれども、むしろ書いたほうが職員団体としては安心ができるということになるのかどうか。この辺の問題はどうでございましょうか。
  54. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お尋ねの今回のものを含めまして勤務条件については、確かに地方公務員法の五十五条の規定で当局との交渉の内容になり得ると思います。したがいまして、五十五条の規定で、それぞれ当局と交渉の地位に立つ登録団体が交渉なさるということは法律の定めでございます。したがいまして、今回のいま御審議いただいておる法律にそれと同じことを書くということは、立法技術上も——これは、言うならばいま書いておりますのは一種の特例法で、特例を書いているものでございます。したがって、他の法律に書いてあることで当然それが適用されるべきものは適用になるし、その上に、特例を書いてある特例法の中にまた一般法に書いてあるものを書くということは立法技術としてはおかしいということでしょうが、書いて書けないものでありますか、むしろ法制局的な知識のある方から御答弁いただいたほうがいいと思います。ですから、端的に申し上げますれば、地公法の五十五条の交渉事項にはなるわけですから、その五十五条の交渉事項にならないという解釈の方は今回の法律に書いたほうがいいというお考えが出るかもしれませんが、これは法解釈として交渉の対象にはなり得るということでございますので、私どもはその必要はなかろうというふうに考えたわけでございます。実施上法律のほかにも、もちろん先ほど来のいろいろ関係者の意向を十分聞くということは従来からもやっておりますし、一々法律では書かれなくてもできる。これは勤務条件の問題でございますので、関係者の意向は十分反映していくという心がまえを持っております。
  55. 谷川和穗

    谷川委員 国立に関してでは、第七条に、勤務の実情についてもさらにまた十分な配慮がなされなければならぬというかぶせ方が一つございます。これはさっき局長がほかの問題について答弁されたときにも触れておりますから、私はまあここで時間の関係もあるので先に進ませていただきたいと思いますが、やはりこの勤務の実情についても十分に考慮されなければならぬというのは、先ほど答弁のあったとおり私としては了解をさせていただいて、まだほかの委員のほうからも、おそらくこの問題についていろいろと違った角度から質問があろうかと思いますので、私は別の問題にここで移らしていただきたいと思います。  あと一、二点。一点は今回の改善に要する経費の問題。一体これで実際問題として、教員の待遇改善待遇改善というけれども、個々の教員にとってどの程度の給与改善となる見込みであるか、この時点でお答えできればひとつお答えいただきたいと思います。  ただここで一つはっきり申し上げさせていただきたいと思うのですが、われわれとしては、教員給与改善というものは八%くらいを目途としてやればいいのじゃないかということを基本的に考えながら議論してきたのです。したがって、四%程度ではわれわれとしては不満だというのです。先ほど人事院給与局長のお話でも、実は四%だけれどもいろいろはね返り分を計算すれば、実質六%程度というようなお話もちょっとございました。そういうものを踏んまえて、大体どのくらい個々の教員について給与改善となるのか、これを御説明いただきたいと思います。
  56. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お答えいたします。  今回の調整額は手当でございませんので、四%でございますが、御指摘のように実質六%になります。去る三月末に国会で御審議いただきました四十六毎度予算にも、この所要財源は可決されておるわけですが、一応来年の一月から三月までの三カ月分の予算を計上いたしております。国といたしましては三十九億九千八百万円でございます。それに地方の所要財源が約六十二億ございます。したがいまして、国、地方を通じまして三カ月分の予算総額は百二億余りでございます。  ところで一人どのくらいかというお尋ねでございますが、たとえば中堅教員、経験年数十六年くらいの方の平均本俸と思われますそういう方の月給は、現在七万六千円程度であろうと思いますが、この方がこの教職調整額を受けるようになりますと、月額で四千四百円の増となります。年額で五万三千円。さらに退職される方の手当、年金に響いてまいりますが、勤続三十五年で退職された方、一応十万八千円の方と仮定いたしますと、今回の法律の結果、約二十四万円余り増額支給になります。それから年金のほうは、同じく三十五年勤続の方がやめて、いまの手当をもらわれ、さらに年金をもらわれます場合の年金額は、月額二千六百円、年間三万一千二百円の年金がプラスされる。これは小中でございますが、高等学校の先生の場合はそれよりも若干よくなるということであります。
  57. 谷川和穗

    谷川委員 私はここで非常に大きな問題があると思っているのは、私立学校との問題でございます。それだけ公立学校の先生方は優遇措置を受ける。実は六十三国会、ちょうど一年前、いろいろなところで議論をされておった議員立法の法案の骨子は、その第一条に、義務教育学校教育職員は、教育基本法の精神を体して社会公共に奉仕すべき崇高な使命を有するものであるとの見地に立って、その職責にふさわしい専門職としての地位を確立するための制度の樹立を期しつつ——ここから先ですが、当面必要な措置として、給与その他の勤務条件に関し特例を定めることを目的とした立て方を内々はいたそうやという話までいっておったわけでございまして、かぶせ方はさつき論議させていただきましたけれども高等学校を除いて義務教育だけを取り上げてみても、やはりこれは非常に大事なところへ来ているのだということで、まず最初に大きくとらまえて、それから当面としてこれだけやっていこうというふうに整理して、今回の法律の立て方というのは、その点先ほどちょっと私触れさせていただきましたように、第一条で最初から国立及び公立義務教育学校の先生方の職務と勤務の態様の特殊性を引っぱり出して、それに対して一種の特例を設けるのだという、国立公立のワクの中での議論になっておる、そこが違うような感じがするのです。  そこで実は私は、基本的には義務教育は、憲法二十六条を引っぱってきても、公立学校国立学校へ行かせようが、私立の学校へ行かせようが、そんなものは父兄の教育権、父兄の子供を教育する権利、選択の自由の問題なんだ。国家のいわゆる教育政策から見れば、どこで子供さんを預かって教育しようがそんなものは変わらないのだ、こう思っております。だからこそ、その憲法二十六条にある法律の定めるところによると、「國民は、法律の定めるところにより、その能力に應じて、ひとしく教育を受ける権利」、二十六条の頭の法律の定めるところで、たとえて言うならば教科書無償法、私立、公立国立も入れて。それから理科教育振興法第九条、「公立又は私立」と私立まではっきり入っている。産業教育振興法第三章第二節、「(私立学校に関する補助)」、わざわざ節を立てておる。ただ義務教育費国庫負担法は、第一条に精神をぼっと置いておって、国民あるいは国家的視野というものを打ち出しておりながら、第二条で「公立の」という、まあ私立を抜いておるという形の経緯、いきさつがある。しかし、これはみんな法律の定めるところなんだ。したがって、義務教育私学に国家が思い切っていろいろな形で補助、助成をしていってちっとも差しつかえないのだ。むしろそれをしなければならない責任がある。いままでは財政的な問題もあっただろうと思うのです。それが法律の定めるところということで、義務教育費国庫負担法の第二条も——二十六年だったと記憶しますが、残ったままになっているのだと思うのです。もうそろそろこういうような法律を、国立公立で出していこうという時点ならば、当然それに見合って、私立の少なくとも義務教育だけを議論しても、義務教育レベルがそこまで大事ということならば、私立を一緒にしてもいいんじゃないかという感じがいたしております。今度の場合には高等学校措置が入っておりますから、私はここで義務教育私学の教育権論争をしようとは思っておりません。  ただ一ぺん指摘をいたしたいのは、去る二月の十七日の文教委員会において河野委員の質問に対して宮地初中局長の御答弁の中に、高等学校以下の経常費補助は昭和四十六年度地方交付税に九十億円を積算しているが、あくまで包括的に実績主義で、公立に四%出すから——これは四%のいま言った教職調整額のことだと思いますが、公立に四%出すから今度は私立に四%を加えるという計算はちょっとできない、しかし、九十億円でかりに四%に当たる分ということを計算すれば、三カ月分でざっと八千万くらいになる、したがって九十億円の中で当然そういう経費は見得ると考える、これが宮地局長の御答弁でございました。ちょっと意地の悪い計算を私やってみたのです。  それでは、今度は逆算してみよう。どうもそういうことばかりやっちゃいけないのかもしれませんけれども、それじゃ八千万を土台にして、これは三カ月分だ、これを逆算すると、昭和四十六年度文部省の私立学校高等学校以下幼稚園まで、積算の基準というのは実績主義というならば、給与総額が四百五十億円だという逆算が成り立つということになります。その計算の過程はめんどうくさいから申し上げませんが、私のやった計算では四百五十億になります。言いかえれば、文部省の私学の実績に基づく給与総額は、幼稚園から高等学校全部入れて四百五十億円になる、こういうふうに政府が認定をしたのだというふうになる、なりかねない御答弁であったように私は感じております。これではぽっと——ぽっとと言うと失礼かもしれませんが、公立国立——国立は小さいから公立はたいへんだと思いますが、それにさっきお話がございましたけれども、国と地方で百二億、これが一年の四分の一分だから、四倍すれば四百八億の金を平年度出していこう、こういう政策がいまここに打ち出されようとしているときに、義務教育私学をここで積み残していってしまって八千万、これで三カ月分だから何とかこれでいけるのじゃないかと思うという形の御答弁は、私自身は何か限界があるというか、むしろもっと積極的にこの際、高等学校以下の私立学校、特にその中の義務教育私学については、文部省としてこの法律が制定されて国公立に対して制度確立したら、やはりあわせて考えていかなければならない問題にいま立ち入ろうとしているんだ、私は基本的にそう感じています。これはむしろ私立学校教育振興に非常に御熱心な文部大臣から、将来の考え方として——もちろん私は、いまの制度を全部くずして新しい制度に吸収していけということを早急に申し上げているのではありませんが、私はその時期は近いと思っておりますけれども、そういうことは別にいたしましても、義務教育私学あるいは高等学校以下の私学教育問題について、将来について文部大臣どうお考えになっておられるか、この辺の御答弁をひとつお伺いいたしておきたいと思います。
  58. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 教職員の役割りというのは、国もまた公立も私立も、その国公私立という分け方において違いはございましょうけれども、しかし、その果たす役割りは非常に重要であるという点には変わりはないわけでございまして、いま御指摘のような考え方も成り立つかと思うのでございます。でございますけれども、今回提出をいたしました法案それ自体に、当然なことながら私学というものは含まれておらない。しかし、やはり公立においてこういう教職員の調整額というものが支払われるということになりますと、私学側においても何らかの措置を考えなければならぬということになろうかと思います。  この場合に、御承知のような非常な財源難に悩んでおります私学というものでどうやるかということかと思いますが、やはりそれに対して私たちが財源的な措置を、単にこれだけという端的なものではございませんにしても、私学全体に人件費を含む経常費助成という形で、大学にやりましたと同じ趣旨で、この高等学校以下の私学に対しまして昨年より地方財政の積算の基礎の中に入れておるわけでございます。これを充実していくという方向も一つございましょう。それからもう一つは、いま御指摘になりましたように、義務教育という観点でこれをとらえるという考え方も一つあろうかと思います。この点につきましては、私どものほうでも実は検討をいたしておるわけでございまして、この法案が成立いたしました暁には、やはりそういうようなことも含めまして真剣に考えていかなければならぬ課題であるというふうに思っておるわけでございます。
  59. 谷川和穗

    谷川委員 教員免許が赤と白か何かがあって、片方を持っておるのは私学しか行かない、片方を持っておる者は国公立しか行かないというふうに分けておるということであるなら、私は何も言わぬと思うのです。学校教育法第一条に基づいて全部できた学校の中で、片方の先生はどんどん待遇がよくなる、同じ免許を持っておっても片方の先生は逆に下に落ちるかもしれない状態だったら、どうして私学教育が成り立つか。私はやはり公立——特に公立だと思いますが、公立の教員給与の待遇改善は、必ずあすの日にも私学の教員給与の待遇改善には、どうしてもこうしてもはね返らざるを得ないものを持っておるのだと思います。したがって、文部省におかれましてもこれはひとつ、むしろ管理局の問題かもしれませんが、この問題が整理できて法律ができ、制度確立しましたら、教職の職務と勤務の態様の特殊性というものは国公私全部にかぶさってくる、基本的には私どもそう判断しております。その努力を願いたいと存じます。  最後に一つ、これはどなたから御答弁いただいてもけっこうでございますが、これで超勤訴訟はどうなるのかということを御答弁いただきたいと思います。
  60. 宮地茂

    ○宮地政府委員 一言の御質問でございますのでちょっとはっきりいたしませんが、いま現に超勤訴訟が進行しておるのがございます。これは、この法律が通ったからといって消えるものではなかろうと思います。当事者が取り下げられれば別でございますが、消えるものではないと思います。しかし、この法律が施行されます四十七年一月からは、そういう問題は起こり得る余地がないというふうに考えております。
  61. 八木徹雄

    八木委員長 午後一時三十分再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ————◇—————    午後一時五十一分開議
  62. 八木徹雄

    八木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国立及び公立義務教育学校等教育職員給与等に関する特別措置法案を議題とし、質疑を続行いたします。山中吾郎君。
  63. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この法案について疑問のある点を中心にお聞きしたいと思いますが、まず文部大臣にお聞きしたい。ずばりこの法案の目的をひとつお聞きしたい。
  64. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 教職員の超過勤務問題を解決いたしますことは従来からの懸案でございます。政府におきましても、昭和四十三年の第五十八回国会に教育公務員特例法の一部を改正する法律案を提出するなど、いろいろと努力を重ねてきたところでございます。このたび小学校、中学校高等学校等の教育職員につきまして、その職務と勤務態様の特殊性にかんがみまして、超過勤務手当制度はなじまないのでその制度は適用しないこととするとともに、新たに俸給相当の性格を有する給与として教職調整額を支給することとする等の措置を講ずることが必要であるとの人事院意見申し出が行なわれました。この意見は、先ほどもお答えを申し上げましたように、従来からの懸案であり、当面の緊要な課題である超過勤務問題の解決に役立つものであり、また、政府といたしましても従来から人事院の勧告を尊重するという態度をとってきておることにかんがみまして、右の人事院意見に沿って必要な立法措置を講ずるためにこの法律案を提出いたした次第でございます。
  65. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣のいまのお答えの中に、教員の地位の向上、待遇改善という目的はないのですか。
  66. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 教職員の待遇改善の一環であることは当然のことだと考えております。そしてまた、この法案は法案といたしまして、先ほど来私から申し上げておりますように、教育界に人材を確保するために相当思い切った待遇改善をやる必要があるということはかねがね私が申し上げておるところでございまして、そのことも一応念頭に置きながらこの法案を提出いたした、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
  67. 山中吾郎

    山中(吾)委員 御答弁にまことに私、失望したのですが、この法案の目的に教員の地位向上、待遇改善という大きな柱があって、この法案が具体的に出ておると考えておったのでありますが、そのことが影が薄くなって超勤制度そのものだけが主たる目的というようなことでは、この法案の評価は非常に低くなると私は思うのですが、もう一度大臣にお聞きしたい。
  68. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 実はこの法案それ自体に即して申し上げたわけでございますが、しかし、私たちの考え方の中には、午前中にも申し上げましたように、何をおいても今日教育界に人材を確保するということが非常に必要である。ところが、御承知のように、非常な経済成長に伴いまして一般産業界が非常に活発な経済活動を続けておるがゆえに、どうしてもそちらのほうへ人材が流れていくということは否定できない、おおうことのできない現実でございます。しかしながら、国家百年の大計を考えた場合には、教職者にすぐれた人材を確保するということはきわめて必要であり、そしてまた、その教職という職が魅力のある職場であり、かつまた次代の青少年をつちかう、あるいは人間形成に直接関係する重要な仕事であるということ、そういう魅力のある職場にするということ、あるいはその職場に奉ずるということが自分の生きがいである、そういうようなものにしていくためには、相当思い切った待遇改善措置をしなければ人材は集まらないのではないかという基本的な考え方を私どもは考えておるわけでございます。そのことにつきましては、私たち政府といたしましても、単に義務教育学校の先生方の勤務の実情だけではなくて、やはり幼稚園から大学までに至る勤務の態様等についても調査をしなければなりませんし、またその他の職種との均衡等についても研究をいたさなければならないわけでございますが、しかし、われわれ文部当局といたしまして、教職員を預かる文部省といたしましては相当思い切った待遇改善を考える必要があるということでございまして、この今回出しました法案だけでもう終わるというような考えでないということだけは、はっきりひとつお認めをいただきたい、かように思う次第でございます。
  69. 山中吾郎

    山中(吾)委員 教職調整額四%を実現するということの目的が、教員の待遇改善ひいては地位の向上、そして社会的評価を高くしていい教員を集めるという、教員に対する目的の一端として出ておるというのであるかをはっきりお聞きしたいと思っていま言ったのですが、大体そういうように受け取って次に移ります。  さらに超勤手当がなじまない、これは人事院総裁のほうの見解を聞く方向になると思うが、その前に大臣のほうで、超勤手当というものがなじまないという思想をこの法案に盛り込んでおるわけでありますが、この中に教師観の変革が入っていますか入っていませんか。
  70. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 教師観の変革とおっしゃるお尋ねの意味が実はわからないわけでございますが、むしろ私は、お尋ねになっておられる山中さんと私とは、その教師観において変わっておらないのじゃないかというふうに思っておるわけなんです。とにもかくにもこの小中校の、特に義務教育の人間形成の一番大事な子供たちを対象としておるという重要な職分である。これにはやはり普通言われるいわゆる労働者という概念とは、少なくとも——一般的に先生あるいは師弟関係とかいうことばがあります。そしてそれがかなりの普遍性を持っておるように、実態としてそういうような職分である。たとえばお医者さんにいたしましても先生、こういうようなことばによってあらわします。あるいは宗教関係に携わっておられる方々に対しては聖職というようなことばがございますけれども、しかし私は、むしろ専門職としての職分という意味において特別の職務であるというように理解をいたしておるわけでございます。
  71. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この問題についてもう少し明確にしなければならぬので、この考え方で私の法案の評価が変わるのですが、あとに保留しておきたいと思う。  私、前に申し上げますが、この法案について質問を申し上げる私の態度は、あくまでも教育政策の立場から質問したい。次元の低い選挙対策とか政党的利害の打算によらないで、純粋に質問するつもりですから、お聞きを願いたいと思うのです。最近、人間形成という一つの重要な仕事がイデオロギーの谷間に埋没するようなことがあってはならないという心配もありますし、そのために教育政策がどこかで曲げられるというようなことがあり、本案にそういうようなことが出てきては相ならぬというようなことを考えて御質問するのですから、そういうつもりでお答え願いたいと思うのです。  そこでいま、私、この法案の目的というものを大臣に御質問申し上げたのは、やはり第一には、教師待遇改善という一つの大きい眼目が背後にあって、その次に教師の特殊性その他ということについてのやはり一つの思想があり、そのときに教師観というものにある程度違ったものがあれば、明確にしないといけないと思ったわけです。そういうことを考えた。そのほかに選挙対策というような次元の低いものはないだろう、あるいはあり得ないということを前提としていきたいものですから、一応お聞きしたわけです。  そこで教員の待遇改善というものが、この法律の規定そのものの出方が微温であっても何であっても、そこに眼目があるということを大臣のお答えとして私受け取ってお聞きしていきたいと思うのですが、日本の教育、政治の中における教育の地位というもの、あるいは日本の憲法、教育基本法に基づく教育の重要性というところから、教員の待遇その他についての到達点といいますかビジョンといいますか、一体どの辺まで持っていくことが文部大臣の終着駅として考えておられるか。これは政党の中にも論議があり、あるいはこの法案が何回か出たり入ったりする中においても論議があり、あるいは剱木文部大臣が試案として、給与体系は教師の場合は独自の体系が必要だというような案が出たりしたはずです。そういうことについて、もし坂田文部大臣がこの給与改善の終着駅——この法案に基づく四%が終着駅ではないはずですから、それについてひとつ腹に考えておる到達点があればお聞きしておきたい。
  72. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私個人といたしましては、いろいろ考え方を持ったこともきざいます。しかし、文部大臣でございますし、しかも現実問題としてこの法案の御審議をわずらわしておる。そしてまた、その御審議をわずらわすにつきましては、人事院からのいわば申し出ということをまず完全実施をするという立場で臨んでおるものでございますから、いろいろ個人的には考え方は持っておりますけれども、ここでそれを申し上げることは差し控えたい、かように考えます。しかしながら、先ほど申しましたように、これだけでわれわれは満足しておるのじゃない。相当思い切った待遇改善をはからなければならない。そういう位置づけを教職員にしてもらわなければならない。そのための前提として、やはり人事院からの申し出というものは、ほかの一般行政職あるいは一般の地方公務員とは違った職務の態様である、あるいは勤務の態様であるということに焦点を合わせられて申し出をされておる、こういうふうに私は理解をいたしております。
  73. 山中吾郎

    山中(吾)委員 もう一つ念を押して聞いておきたいのですが、午前中、谷川委員のほうからの質問の中に、「初等・中等教育の改革構想」における教員給与の扱い方の中間報告ですが、教員給与についての基本的な給与体系を改めなければならぬという報告があって、人事院総裁意見を聞いておったわけでありますが、この中教審の報告について、文部大臣、これについて賛意を表せられておるかどうか。
  74. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 この中教審の第二十五特別委員会の中間報告に、「本来、教育の仕事は、人間の心身の発達に関するきわめて複雑高度な問題を取り扱うものであり、哲学的な理念と科学的な方法の総合という本質的なむずかしさをもつものであって、その困難さに対応できるほどに教育に関する研究を進め、その専門的水準の向上をはからなければならない。」、そういうようなことから、特に「在職中つねにみずから研修に努め、より高度の専門性を身につけて、その地位に自信と誇りをもつて活動するためには、その研修、待遇などについて根本的な改善をはかる必要がある。」と申し述べておるわけでございますが、これはまさに私の気持ちと同じだと、このように理解を願いたいと思います。
  75. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この法案の背後に、この法案をささえる文部大臣の思想は、この中間報告の思想というものがあるのだというふうにいま伺ったのですが、よろしゅうございますね。  その次に、ILO、ユネスコの教員の地位に関する勧告がありますが、ここにも教員の地位、待遇改善、いろいろの思想がありますが、これについてはいかがですか。
  76. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 やはりこの中に、「指導原則」といたしまして、教職というのは専門職と認められるということがはっきり明記してございます。「教職は、きびしい不断の研究により得られ、かつ、維持される専門的な知識及び技能を教員に要求する公共の役務の一形態であり、また、教員が受け持つ生徒の教育及び福祉について各個人の及び共同の責任感を要求するものである。」云々というのがございますが、やはりこの点もそのように考えるわけでございます。
  77. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この法案のバックとしての思想を私は確認いたしました。  そこで、文部大臣にはまたあとでお聞きすることにいたしまして、人事院総裁にお聞きいたしたいのですが、人事院意見の中に柱となっておるのが、「教員の自発性、創造性に基づく勤務に期待する」、ここにあると私は見たのですが、この教員の自発性、創造性ということの中にあなたの教師観があるわけでございますか。総裁の「教員の自発性、創造性に基づく勤務に期待する」という、これは説明なんですが、意見書ずばりは、その内容に入っていないで、「職務と勤務の態様の特殊性に基づき、」という意見具申なんです。これは単なる職務の態様の特殊性なのか、あるいは他のものと違って、あるべき教師というものについての一つの独特の教師像をお持ちでこれが出ておるのか、それをお聞きしたいわけです。
  78. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いまお尋ねのように、あるべき姿ということであろうと私は考えておるわけでございます。そして、現にそういうものとして一応働いていらっしゃるんじゃないかということの上に立って、そういうような意見申し出ができ上がっておると申し上げてよろしいと思います。
  79. 山中吾郎

    山中(吾)委員 もういまいわゆる聖職観なんということを考えておる人はないと思うのですが、教師の聖職観ということばをまだあちらこちらで使う人もあるのですが、これについて総裁はどうお考えですか。
  80. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私自身はさっぱりわかりませんということでございます。
  81. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その点についてはぼくもさっぱりわからぬものだから、聖職観というのは内心の問題で、自分が教育に生きがいを感じ、よい人間を残すことが人生の最上だと考えた人は聖職であり、そうでない者はそうでないので、こんなものを制度をつくる場合に一つのつくる動機にされるようなことでは、もう時代錯誤もはなはだしいと思ったからお聞きしたので、その答弁は私と同じだと思います。私も答弁すればそうなる。ただ、問題は、専門性ということがよく強調されて、この法案にしても専門性が強調されておると思うのですね。専門性ということが強調されることが、いわゆる労働性というものが否定されておる概念と解釈している人もある。私は、専門性と労働性というのは二律背反でないと思うのですが、そこを総裁の御意見をはっきり聞いておきたいと思います。
  82. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 このことばの問題は、いろいろな定義が成り立ち得るので、私自身も、ああも考えられようか、こうも考えられようかということでございまして、近ごろ専門性ということばは確かに使われております。たとえば私どもの給与勧告の場合でも、局長、課長というような役付にならなくても、その人は専門的に非常に重要な仕事をやっておられる。専門性に着目してひとつ優遇しようじゃないかということは、これは内々では言いますけれども、さて開き直って専門性とは何ぞやと言われたときにはどうしようかしらんと、内心危惧の念を持ちながら臨んでおる。したがって、そのものずばり先生方はどういう任務でどういう仕事をやっていらっしゃるかということを踏まえて議論するのがいいので、いろいろな形容詞を使いますとわからなくなるという危惧を持っているわけです。
  83. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その答弁ではこっちもわからなくなるのですが、たとえば頭脳労働をさしているのか、あるいはその職業に必要な特に高い教養を持っている者をいうのか、ぼくもはっきりわからないのですが、たとえばある大学の学部を卒業した者が、同じ学問をした者が会社の社員になれば専門性でなくて、教員になったら専門性だといわれるのは、教師からいったらちょっと迷惑だと思うのです。専門性をダシにして超過勤務手当などなじまないということになればこれはおかしい、それでお聞きしたのですが、そうでないのですか。
  84. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いまのお尋ねのような意味であれば、専門性だからというようなことで今回の申し出の基礎にはなっておらぬ、そのものずばりであくまでも貫いておるというふうに御了解願いたいと思います。
  85. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それから、教師が労働者であるかないかというようなことばが、どうも語感の問題でよけいな論議がたくさんされておるのですが、そのことばは別にして、教師は憲法二十七条、二十八条に基づいて、いわゆる憲法用語では勤労者としての、それが二十八条によって本質的には労働基本権その他が保障されておる、そういう意味における労働者であるということは認めますか。
  86. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 二十八条は、実は私、得意の壇場なんですけれども、勤労者と書いてございますが、当時はこれは労働者と書こうかという気分もありましたけれども、労働者ということばが当時なじんでおりませんでしたので、たとえば肉体労働者の方だけに限られても困る、頭脳労働者の面が抜けても困る、それから労働者というのは何かさげすんだようにとられるのではないかというようなこともいろいろ考えまして、勤労者といたしましたので、これは非常に広い概念である。したがって、いまお尋ねの学校の先生方といえども、これは勤労者にまさに入るというふうに考えております。
  87. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうすると教育労働者とか——教師という一つの特殊性を、労働の内容を教育労働者とか、使っておる語感は別として、憲法上における労働基本権を本質的に保障されたものであるということを総裁は確認された。それでよろしいですね。  そこで、人事院の説明について疑問の点を最初総裁中心にお聞きしたいのですが、きょうは総裁が答弁の花形であります。  この「教員の自発性、創造性に基づく勤務に期待する」、私もこれは大賛成だ。これでなければ、人間形成というものは、生き生きとした教育活動は出ない。だから、強制されて、いやいや勤務することによって人間形成に影響力を持った活動はないだろうと思うのですが、これが超過勤務手当制度になじまないと直結しておるのですか、それがちょっと疑問なんです。
  88. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 教員の職務と勤務の態様ということは、たびたび申しますけれども、これはとにかく普通の行政職等と比べていただけばきわめて明確ではないか。いまお述べになりましたように、創造性とかいうようなこと、その他の面からいいましても、行政職の場合に、一人々々がみな創造性を発揮してもらったのでは、上の者の命令は行き届きません。役所は動きません。ところが、先生方は、とにかく教壇に立つ限りにおいては、それはもちろん大体の方針というものはありましょうけれども、それに即してやはり自分の個性を発揮して、大いに教育の方向で貢献していただくという面が一つあります。それからもう一つは、何時から何時まで、これは授業時間はしようがありません、授業時間ははっきりきまっておりますから。それ以外の時間をどういうように活用していただくかという場合に、これはやはり行政職の人とはまた違った面があるのではないか。また、必ずしも学校内で机にかじりついていらっしゃらなくても、おできになる仕事というものはあるのではないか。そういうものは、時間の割り振りその他によって、融通のつき得る職場ではないかということをいろいろ総合いたしますと、特にいやがりますのは、夏休みということを申しますと非常にいやがるのですが、夏休みのごときは、行政職とは完全に違います。もちろん遊んでいらっしゃるわけではないということははっきりしていますけれども、しかし、つとめ方の上においてはたいへん違うという面をいろいろ総合してみますと、正規の勤務時間から一時間、二時間というようなことで、ストップウォッチを持ってその分が幾らかというような計算には、これは初めからなじまぬのではないか。先ほど申し上げましたように、三十九年のわれわれの報告でこれを指摘いたしましたときから、すでにひそかにそういう気持ちは持っておりましたけれども、いままで満を持してあらゆる実態を調査してまいった結果、もう自信ができた、そう申してだいじょうぶだということで今回の意見申し出になったわけであります。
  89. 山中吾郎

    山中(吾)委員 夏休みが入ってきたので少し混乱してしまったのですが、自発性、創造性というものに期待する勤務である、そういうことは、他から強制されてはつらつたる教育活動なんてできるものではない。だから教員の性格が、みずからこれが正しいという確信を持ち、教師のエネルギーというものは自分の教えていること、自分のやっていることが普遍的真理であるという確信があって、それに対してエネルギーが出るのであり、また自分のそういう人生の信条その他というものが出ていくところに創造性が出るんだ。機械相手の仕事ではないんだ。そういう意味において、外から命令されてそして自分では納得しないでやるというふうな行動は、教師の場合には不適当なんだという総裁の主張と見たわけです。ところがこれを見ると、したがって超勤命令はなじまないと書いておればぴったり私は論理的に頭の中に入るのだが、手当がなじまない、というのは合わないですね。教員の自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいから超勤命令はなじまない、したがってこれに対して独特の、という論理ならわかるのですよ。そうでなくて、「超過勤務手当制度はなじまない」のではどうもわからないのですが、それをわかるように説明してください。
  90. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 なかなか鋭い御指摘だと思います。私どもの考え方は超勤手当にはなじまない。超勤命令になじむかなじまないかは、これまた別の問題だと思います。たとえば創造性、自発性というのがありますが、創造性、自発性で、もう超勤命令が出る前にほんとうに自発的に仕事をやっておられれば超勤命令を出す余地がない。これはたいへん理想的な姿だ。しかし、校長さんなり何なり、その学校の統括の責任を持っておられる方が、どうしてもこの場合には残ってやっていただかなければならないという必要に応じて、それちょっと残ってくださいよと言うのは、またちっともかまわないです。その場合に今度は先生方が、待ってました、おれたちもそう思っていたということで、進んでその命令に従って仕事にお励みになる。これがりっぱな姿であって、その場合の超勤手当の問題は私は全然別の問題で、もっと次元の低い問題だというふうに考えております。
  91. 山中吾郎

    山中(吾)委員 質問のしかたをほめていただいたのだが、いまのようにやってくれ、やろうかというのは命令じゃないと思うのです、お互いに了解してやるのですから。命令によって先生を動かすということは理想でないというのが、やはり総裁の教師観からいった理想であり、それが望ましい、これはまず確認をされておりますか、その点は。  そこで、今度超勤制度そのものは、私は公平の原則に基づいた制度だと思うのですね。Aという人間にある仕事を命令しないでBという人間に独特の一つの仕事を頼めば、本人はおれによこせとか、やった者が三十分やったから何ぼだと計算してやれば、こんなものは教育活動にならない。給与体制としては、Bという人間に特定の仕事を正規の時間をこえてやらすならば、それに応じて、働きに応じて報いるという給与の公平の原則に基づいて手当を出すのはあたりまえなんです。出さなければ、そこに不公平というものから精神的なやはり不平不満というか、そういう職業心理学の問題として人間のひずみが生まれるというところから、超過勤務を命令すれば公平の原則に基づいて報いるというところで手当が出ておるんだ、こう思うのです。したがって、この超過勤務をA、B、Cの人間のうちのAという人間に命じて、そして手当を出さないということは、職務いかんにかからず、あらゆるものにおいて手当がなじまないという論理はどこにもない。そうすると、人事院総裁のお考えの中に、どこか給与というものに錯覚があるのじゃないか。そこで、この法案の中に、私がすっきり頭に入るとすれば、創造性、自発性というものを期待する教育及び教師の活動であるならば、超過勤務命令はなじまない、しかし、やむを得ず命令を出した場合には、公平の原則によって、修学旅行に行かない者と行く者とで、行った者にはやはり手当を出すのはあたりまえなんですね。それも出す必要ないという論理がどうして出るのか。その論理がこの法案の中に矛盾のままに出ておるので、どうも私はしっくりいかない。それはいかがでしょうか。
  92. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私はもう先ほど申しましたように、先生方の場合は、自発性、創造性というものは基本であり、またその方向でそうあるべきだということを堅持しておるわけですから、したがって、先ほどたまたま命令がましいことが出ても、待ってましたという形でこれをこなされるということになりますれば、皆さんが自発性、創造性に燃えておられるならば、自分だけ自発性が発揮されて隣の人は自発性を一向発揮していない、不公平じゃないかという気持ちがそこに浮かんでくる場面というのは、これはまた私の言う理想的な場面ではない。自分が率先してやろう、隣の人はあるいは遊んでおられるかもしれない、隣の人の分を自分がやるということになるかもしれない、不公平だからお金をその分はこっちがもらいたいというのは、まだ私の理想から言うとほど遠いと思うわけです。
  93. 山中吾郎

    山中(吾)委員 受け取るほうの教師のほうからおっしゃるとそうなるので、客観的にA、B、Cという人がおって、Aという人間に特別の仕事をやるように命じた場合には、使用者の側から公平の原則に基づいて手当を出すということがなければ、給与の公平なんという原則が吹っ飛んでしまうのではないか。だから私は、教師道という点から、自分が特に一定の仕事をしたからその仕事をしておるときに、ああ一時間やったから百円になったと計算してやるなんということは、それは望ましくない。そういうことで教育はできない。当然です。教師道の問題なんです。いま給与の制度問題と言っておるわけですから……。超勤というのは、特に勤務時間より超過をしてある人間に仕事をやらしたのですから、それに対して給与制度として少なくとも一定の手当を渡すということはもう当然じゃないか。それを教師があるべき姿から見る見方を、精神的にもこうなければならぬというものを、そのまま今度は超勤手当のときに、支給しないでもいいという論理を使用者側から考えるときに持ってきたところが間違いじゃないですか。ところが出さなくていいとおっしゃるのだから……。こういう矛盾した法案、聡明なる人事院総裁がそれをお考えにならないというのはふしぎでしょうがない。その辺の論理を明確にしてもらいたいと思うのです。そうしないと、教育政策の立場からいっても、給与の公平の原則からいっても、どうも私はこの法案には納得しない。論理の中に間違いがあるのではないかと思うのですが、これはいかがでしょう。
  94. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 昭和三十九年に私ども意見書で問題を指摘して以来いままで何をやっておったかということになりますが、これは先ほど来申し上げておりますように、先生方の労働、職務の実態、勤務の態様などを克明に調べた結果得た結論であります。  結局それは、先ほど申しましたように、先生方の勤務というものは、自発性、創造性もさることながら、時間的計測になじまない。勤務時間というようなものは、これは一種の仮の線であろうと思いますけれども、それの境目の内外にまたがってこれをどうこう、その外に出たからどうという問題ではないだろう。勤務の中でも、先ほど申しましたように、時間の割り振り等における調整というものもあり得るじゃないか。勤務密度は、一般の行政職のように、終始勤務時間は一応同程度の勤務密度でつながっておるというようなものとは著しく違うということからいいますと、時間計測をもとにしての一時間当たり幾らというような、そういう給与にはなじまない。したがって、その勤務時間の内外にわたる先生方の職務の実態あるいはその性格あるいはその態様というものを包括的にこれを再評価して——再評価ということがなかなか大事なことでございます。再評価した結果、いままでの給与について私どもの提案によれば四%、これは俸給としての四%はぜひこれをプラスする、かさ上げをするというだけの必要があるということで今後の措置になっておるわけであります。時間計測になじむかなじまぬかということでは、なじみません。しかし、勤務時間の内外を通じての職務の評価ということで四%というかさ上げの結論が出てきたというふうに御理解いただきたいと思います。
  95. 山中吾郎

    山中(吾)委員 どうもわからないのですが、ある人間に特定の仕事を多くやらしたときに何もやる必要がないという論理がわからない。そこで、総裁のお考えになっておるのは、私一番最初に申し上げたように、超過勤務命令が何もないというならわかる。しかし、災害その他でどうしてもやらなければならぬときがあるのでしょう。これは労働基準法にもある。それは大学の教授であろうが何であろうが、そういう人には、本人がよこせと言うようなことについての精神的批判ではなくて、給与制度として渡さなければならないという、公平の原則に基づいた給与制度というものは否定はできないのじゃないか。ただ教育活動そのものの性格からいって一時間何ぼ、二時間何ぼというかっこうの、そういう計算のやり方はちょっとまずいのじゃないか。それならば虚心たんかいに論議をしてもいいと思うのですけれども、あなたの意見の中には、手当がなじまないというか、金をやるのはなじまないということがあるでしょう。給与制度としてはそんなおかしいことはないじゃないですか。算出の基礎については、やはり別な角度で考えなければならぬというならわかるのですよ。そうでないものですから、そしてこの法案は、命令を出してもやらないのだという法律です。教師の学習会において、教師はそういうものでないという教師論の論議ならわかるのですよ。これはそうではない、給与制度なのですから、私はどうしても納得しない。再考される余地はないですか。
  96. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 自信満々としておりまして、再考の余地はいまのところございませんけれども、しかし、お金になじまないということは決して言っていないわけです。いまの四%、実質六%というのは、まさにお金そのものの問題として私どもが御提案申し上げているわけですから、そのお金を差し上げるについての計算の尺度を、一時間、何時間というようなことで計算するのにはなじまない。お金には十分これはなじみ得ることでありますから、とにかく実質六%、これは先ほど来お話がありましたが、たいへんな優遇だと私は思っております。
  97. 山中吾郎

    山中(吾)委員 変なところで自信満々たるものですね。これは先ほどの御説明のように、調整額は、一番最初の経過からいえば、中村文部大臣のときに超過勤務手当を出すという方針で調査費を計上して調べたところが、実態はそうであったというところから来た沿革はぼくもよくわかっておる。ところがだんだんと変化をして、それはそういうのでなくて、いわゆる教職調整額として本来は本俸に繰り入れる性格というものにして、そしてこれがこの法案に来ておるという説明が出ておるわけですね。したがって、A、B、Oという者にかかわらず、これは教師の特殊性に基づいて、超過勤務命令を出した者も出さない者も平等にやるのでしょう。だから私は、待遇改善として一歩前進したものだと解釈して、文部大臣の答弁には賛意を表したわけです。非常に普遍的である。しかし、ビジョンはなければならぬから問いただしておったのであって、だから給与改善としての四%はわかる。しかし、それを今度は、ある人間に命令をしてやらした者とやらぬ者というものについて超過勤務手当制度ができた。公平の原則に基づいたものは別途の問題じゃないですか。それをごっちゃにしてしまって自信満々と言われているのですが、そんなことで自信満々とされては私はまことに迷惑なんですが、まだ自信満々ですか。それはどうもおかしいのじゃないですか。
  98. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私どもは時間計測になじまないということから出発しておりますから、超過勤務手当の場合について幾らということは私どもの立場からは言えませんけれども、しかし、お金はわれわれはあくまでも重要視している。お金というものは、これは少しでも多いほうがいい。この点においてはおそらく御見解が同じだと思う。その点からこれはわれわれ、いままで国立の先生方は超勤手当訴訟というのは一件もお出しになったことはありませんけれども、地方の先生方がお出しになってところどころで勝利をおさめている、おかちとりになっている、幾らおかちとりになったろうということを調べてみますと、たとえば四月から十月までの超過勤務として一人当たり百何十円というのがありますね。パーセンテージにしたら、たとえば修学旅行というのが最近入るようになりましたが、修学旅行を入れても〇・四%なんです。超過勤務の訴訟でお勝ちになってなおかつそうです。お金の面から議論を進めるならば、それとこの四%、これは先ほど初中局長が答えましたように平均でいって月に三千円、四千円でしょう。月に三千円、四千円のプラスになって、おまけに退職手当のほうまで二十何万円がふえるというのに比べたら、いままでの訴訟の経過一つをとらえてみましても、お金のほうからいってもたいへんな優遇措置だということは十分御理解願いたいと思う。
  99. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そこは理解をしているのです。その実態を見て、そしてその奥の思想は、やはりいろいろの理屈をつけても教員の待遇改善をしようというところから来て四%、それを今度は本法と同じ性格の調整額にして実質六%になるようにしたという思想は、いろいろの理屈をつけたかどうか別にしても、いろいろな理屈をつけて大蔵省の主計官がそれらの点を納得させるようにして、とにかく四%待遇改善した。それだけはその分は進歩して、その分だけはいわゆる物質的に充実したということはいえる。否定も何もしてないのですよ。ただ、ぼくの言うのは、超過勤務制度というものは、いまのようにすべての教員に全部渡すものでなくて、一つの仕事を特に命じた者に対して公平の原則で渡す手当でしょう。ある者に命令してやらした者にも、やらぬ者にも——とにかくやらないのと同じことだという考え方は、帳消しにするということはおかしいじゃないか。おかしいでしょう。これは何ぼ論議してもおかしいのだ。  そこで、あなたのほうで今度は、勤務時間という現在の労働基準法の一つの時間制度がある。時間制度があることが実際の教員の勤務実態には合わない。内外で働いているなにもある。その実態に即して給与改善するのだということならば、今度は、一方に労働基準法に基づいて拘束時間があるから、その線においてまたいろいろの論議が出るのだし、するならば、あなたの論理の奥に、授業時間を拘束時間にしてあとはいまのような勤務時間、拘束時間をなくするのだ、これが前提としての論議だというならまたわかるのです。それはどうなんです。
  100. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほどビジョンと仰せられました。ビジョンということばは私は使いたくない。一種のイメージ、いまおっしゃったようなことは一つのイメージとしては、将来の理想としてそういうふうにあるべきじゃないかなというふうにひそかに考えております。
  101. 山中吾郎

    山中(吾)委員 こういう具体的な法案ができたら、ひそかとかイメージじゃなくて、その背景に具体的にこういうものがあるというぐらいのことを言わないと、私は非常に論理的におかしいと思う。それから、これは意見を発表される前に人事院においては独自に教員の勤務の実態調査をされたわけですか、あるいは西洋あたりの調査をしたと聞いたのですが、それは調べたのですか。
  102. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 外国の制度調査いたしましたし、それからわれわれの所管しております国立大学の付属小、中学校の方面も調査をいたしました。
  103. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その報告は国会に出していただけますか。
  104. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 必要なものについてお出ししたいと思います。
  105. 山中吾郎

    山中(吾)委員 西洋の調査をされた中で、大体教職関係の者は、やはり授業時間というものが集中的な教育活動の表現であり、その授業を持つために二時間、三時間と授業準備をし、研究をする。その研究によって授業が充実し、生きたものになるから、その隠れたる授業時間以外の勤務はどこからどこまでということのけじめをつけるわけにはいかない。自宅でやってもどこでやっても、それは教職の特殊性という点から、むしろいまのように朝の何時から何時まで監視、監督して、どこの場所でどう勉強せいというのは不適当だという考えで、総裁は拘束授業時間というものは理想であるということを発表されておるように聞いたのですけれども、そういうのはひそかじゃなくて、そういう確信のもとに総裁は考えてきているんじゃないですか。
  106. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 発表した覚えはございませんが、こういうような種類のお尋ねにたまたま際しまして、ひそかなるイメージを述べておるということはございます。  いま外国の例をお引きになりましたけれども、大体そういうような例も多うございます。ただ、外国の例で驚いたのは、案外学校の先生たちの給与ば低いなという感じを持ちました。これは外国もお気の毒だなという感じを持ちましたけれども、大体根本的なことは、いまのようなことが大部分であるように思います。
  107. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そこで勤務手当の問題について、少し総裁は無理をして、えらい確信を持っておるという言い方をされるのですが、災害の場合特別のとき、あるいは修学旅行にしても、あるいは特別試験の監督を命じて他の者は何ら関係ないというような場合に、それに応じた、計算のしかたは別にしても、何らかの手当は出さなければならないということは、これは見解の相違とか何かの問題じゃなくて、当然の給与制度の原則だと思うのですが、これはどうですか。労働基準局長、おりましたね。あなたのほうで答えてください。
  108. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 労働基準法あるいは労働関係法全般のたてまえからいたしまして、私どもは、勤労者にその勤務条件に応じて適正な労働条件が保障されるということが基本的な考え方であろう。ただ、勤労者あるいは労働者の全体にも、いろいろな職務あるいは勤務の特殊性によりまして、その保障の態様についてはいろいろな法律で規定しておりますので、それぞれの態様に基づきまして適正な条件が保障されるということは当然行なわれるべきことであろう、こう思っております。
  109. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そういういまの何らかの形で報酬をするという原則は否定できないと思うのです。中身の方法その他は別です。その辺を総裁は、立て方はいろいろあると思いますけれども、四%の中にいまのところ入っておるからというふうなことで、原則的なものの考え方を否定するということはおかしいと思うのです。だから、理想的に拘束時間というものを前提として、いまの現実の大学の教授のように週六時間ぐらいの授業、そしてあとは自分の研究その他自由にやるという場合には超過勤務なんて命ずる余地がないのですから、命令がないから実は勤務手当というのが考えられないのだ、命令を出す限りについては特定の人間に命令するのですから、何らかの報酬というものを考える制度というものは否定できないのだ。だから小、中、高の場合についても、一方の拘束授業時間というものを命じて、たとえば小学校の先生は週二十二時間とか、中学校は十八時間とか、そしてその自発性、創造性に基づいて二十四時間そのために努力している人もあるでしょう。しかし、それ以外には自発性、創造性というものを全面的に認め、給与制度として豊かな給与を渡す、そのことは命令ではないんだ、だから勤務手当というものももちろん考えられないのだ、あくまでも勤務命令がなじまない、給与制度としては手当がなじまないという思想ではないのだ。それは私は当然最小限総裁の考えがなければどうしても納得しないのですが、もう一度お答えください。
  110. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 命令ということをどうしてそれほどお気にされるのかよくわからないのですけれども、命令ということば自身が、あまり語感のよくないことばであることはわかります。たとえば指示と置きかえていただいてもけっこうです。こうしてほしいという意思表示、それがどうしてあってはいけないかという気がいたします。一喝して、大きな声で命令するというようなことでどなりつけるような形は、一つの命令の態様ではありますけれども、そういう形ばかりが命令ではない。してくださいよという形も命令であります。ネコなで声でこうしてくださいよと言うのも命令である。そして先生方が自発性、創造性に燃えて、待ってましたとばかりにそれに応じた処置をしていただく。それはりっぱな職場じゃないかというふうな気がしてなりません。
  111. 山中吾郎

    山中(吾)委員 職務命令を出して違反した場合には罰則があるという法律論をやっておるのであって、総裁がそんな世間話みたいな話をされるのは、これは初めから答弁にはならないのじゃないか。私の言うのは、大きい声で言おうが小さい声で言おうが、命令文書によろうが、そういう恣意ということによる話をしているのじゃないのですよ。話をそらしては困ります。わかってほかのことを言っているのなら、これは別ですがね。そういう意味じゃないですよ。法律上の命令ということですよ。そのときにその人がやった場合に、給与制度として手当はやらぬでもいいという論理は成り立たないのじゃないかと言っているのです。現在の給与体系で何らかの報酬がですね。同じようなことを言われても同じことなんだが、もう一度お聞きしましょう。
  112. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 命令は、確かに法律的な意味ではおっしゃるとおり。その意味でまたいいのですけれども、その命令が、出してはいけないという理屈につながらぬだろうということを私は申し上げておるわけです。それに基づいてとられた処置、勤務について、時間計測でそれをどうということはなじまない。これは先ほど来谷川委員にお答えしたのでありますけれども、そういう制度のもとにあるものとしては、たとえば裁判官というものがそうですね。命令はされる、しかし超過勤務手当は支給しない。これは法律にちゃんと書いてある。そういう態様のものもあるわけであります。裁判官の場合も、創造性、自発性というものが相当あるのじゃないかと思います。判決の場合について、一々上からの指図によって判決するということはあり得ませんから、そういう意味で共通するものが他にも制度としてはございますということを申し上げたわけです。
  113. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そのくらいにしておきましょう。  次に、今度は、教職調整額の支給という一つの思想がここに生まれてきたのでありますが、調整ですから、あくまでも現行労働基準法、現行の給与体系を前提としたものですね。調整ですから、現行給与体系の中で一部職種に基づいて違った点があるので調整額を出した。現在の給与体系を否定する思想は少しも調整額にはない。これは間違いないでしょうね。——そこで、この給与体系というものを根本的に考えるというときになりますと、やはり授業時間を拘束するとかそういう独特の給与法の改正その他が問題になるのであって、そのままですから、超過勤務制度そのものをまっこうから否定するという法律をそこに結びつけるということが、どうしても私は納得できない。その辺の論理をひとつ説明してください。
  114. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは先ほどるる申し上げたことに尽きるのではないかと思いますけれども、結局職務と勤務態様の特殊性というふうなことからいって、正規の時間をこえた分についてこれを時間計測をして、それに相応する手当額を算定して支給するという制度には、どうしてもわれわれとしては、これはなじまぬということを考えてのものでございますということを申し上げておるわけですが、またもう一つ押して聞いてみてください。
  115. 山中吾郎

    山中(吾)委員 どうもこの法案が出てくる経過に紆余曲折があるものだから、一番最初は、四%という算出の基礎は超過勤務として支給するということで、これは文部大臣あたりから出て、だから超過勤務手当に相当するものとして四%という思想がずっと流れてきたわけですね、初期には。ところが、どこからか変質をして、超過勤務と無関係に教員の勤務実態そのものに基づいて、だから本質的には給与の改善だ、給与の改善でずばり四%、実質六%を出すという途中の思想から、いま出てきている思想はそうだと思う、変化があったと思う。それは総裁もおわかりだと思う。  そこで、今度は給与改善という、ずばり出てきた。この意味において教職調整額という名前が出てきたんだ。そのときに今度は、最初の沿革というものから、超過勤務手当に相当するものだから超過勤務手当は否定するんだ、その理屈だけがくっついてきた、まだ残っているんだと私は思う。そうでなくて、ずばり待遇改善ということならば、超過勤務手当の制度についてどうするかというのは別個に論議して法改正すべきだ。そしてもう一つは、超過勤務手当を支給するのは適当でないということと、与党の中においても、そのかわりに待遇改善をもっと思い切ってやって、超過勤務命令も出さないで、全体として自発的に動けるようにするというので二号俸引き上げるとかもっと抜本的な改革というものがあって、それを前提として、むしろ超過勤務は否定してしまえという論にだんだん移行しておるうちにいまのようなものが出てきた、四%。二号俸とか三号俸上げて、そして超過勤務というふうなものの手当を否定しようとすることと、表裏一体の論理がだんだんと高じてきて調整額の方向に行ったときに、調整額が単なる四%だけで、超過勤務手当の否定まで一緒にここに巻き添えを食って入ってきた。二号俸、三号俸というのは給与体系そのものの抜本的改革ですから、そのときに超過勤務手当というものを否定することが同時に論議されるのはいいですけれども、微温的な四%だけが出てきた、同時に二号、三号上げてという抜本的な給与体系の論理の裏にあった超勤の否定が、一方のほうが微温的なままに残っておるのに超過勤務まで否定する制度に結びついてきた、こういう二重構造があると思うのです。したがって、この法案が暫定的な時限法的に出てきているなら私は論理的にはわかる。ところがずばり、けさほど谷川委員が質問したのに対してもこれはもう完結された法案だということで、しかも最初の論理の抜本的改革と表裏一体で、超過勤務手当否定という論理がそのまま出てきていないのに完結されたと言われてくれば、われわれは、どうもこの法案については時限法的なものとして説明されればわかるのですが、そうでないものだからなおわからない。その辺は、大蔵主計官にも聞いておいてもらわなければいかぬので私はわざわざ来てもらったので、四%で完結されて先生の超過勤務手当も否定すれば、超過勤務の実態に応じた四%だけが計上されて、法的には無定量に手当をやらないで勤務命令が出されるような地位の後退をさしておいて、これは完結されたんだというなら待遇改善にもならないし、そうして四%によって超過勤務否定の材料に使われただけでこれ以上発展性がない法律だ。それじゃ先生は目も当てられないじゃないかと私は思うのです。そこのところが、この法案を私は高く評価できない。あるいはこれが、三年の間に教員の給与体系の吟味をするんだと附則にもあって、暫定的にというのならまだわかる。総裁自身は、これでずばりこのとおりだとけさ言われた。そう言うならば超過勤務手当というものは残すべきじゃないか、そしてその給与体系が完成したときに解くのならわかる。いままでそういう思想だった。だから方向性について、いままでの経過の中に非常に片手落ちな方向性が入っていると私は思うのですが、どうですか。
  116. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私ども学校の先生方の給与の改善に努力しておることは、これは年々の給与勧告にもあらわれておるところであります。また、勧告のつど教員の団体の代表者の方それから文部大臣、熱心に引き上げのほうを要望してこられた。われわれはそれに応じてできるだけ改善につとめておりますし、それはそれとして、今後もその努力は続けてまいります。それに今度は、この問題をきっかけとして、この面からの改善が一つそこに加わってきたというふうに御理解いただきたいと思うのです。  この際の改善のポイントは、かつての文部省案にありましたような超勤のかわり、したがって普通の手当であってほかにはね返りも何もしないというようなたったの四%では決してない、四%ではありますけれども、これは先ほど谷川委員にもお答えしましたように、ほんとうならば、俸給表の中に四%分だけその数字を盛り込んだりっぱな給与体系の形をつくり上げるべきなのが理想でありますけれども、それが今度は違った部面で、先ほど話が出たように幼稚園の場合もありましょうし、高等専門学校の場合も大学の先生の場合もある、俸給表というのはたくさんありますから、それとのバランスからいいますと、この際これがプラスアルファの形にはしておいて、いずれ俸給表の中に組み込むのは、それらの教職の方々についての結論を得たときにきれいに表に入れればいいじゃないかということが一つのポイントになっております。したがってまた、普通の給与勧告による給与の引き上げはどんどんものを言うわけです、そのたびごとに四%というのが。成長していくわけですね。そういう形になっておる。二元的とかなんとかおっしゃいますけれども、これはわれわれとしては、その意味で今回の措置は二元的かとお尋ねになれば、それはやっぱり二元的だと申し上げたほうがいいと思うのです。すなわち少しでも改善したいという意欲に燃えている、それにプラス先生方の勤務の実態、特殊性というものをとらえてみて、超過勤務手当はこの際支給することを制度的にとめるけれども、しかし勤務の実態からいって、勤務時間の内外を総合してその評価をした場合にこれはいままでのままではいかぬ、もう少し評価がえをして高くすべきだという、ことで、いま申しましたような四%という数字が出てきた。したがいまして、今後の問題としては、超過勤務手当の支給というのはございませんけれども、この四%ということはそれらも含めて、勤務時間外のものも含めた、また勤務時間内におけるものの評価も含めてこういう形になっておる。したがって、そういう制度はほかに例がないかといえば、先ほど申し上げましたように、検察官あるいは裁判官というのはそういう給与表土の例があるわけですから、一つも不自然な形ではないじゃないか。だから、将来またさらにこの改善を伸ばしていく、この四%を伸ばすということは別といたしまして、基本的な給与改善としては、どんどんこれにかぶっていくというふうに希望をお持ち願いたいと思うわけであります。
  117. 山中吾郎

    山中(吾)委員 法律に保障がないために、法案の審議の中に希望を持てと言うが、私はそういう保障がないものだからそのために念には念を押していまお聞きしたのですが、持てと言われてもなかなか持てないのです。文部大臣もそのうちかわるだろうし、人がずっとかわっていきますし、大蔵省の確証も得ていないものですから、そこで吟味をしておるわけです。特にいけないと思うのは、こういういわゆる実質的には暫定的な四%というものをここに加えることによって、現状をそのまま残さないで、さらに狭めておる。労働基準法の第八条の十二号に相当する教員をわざわざ十六号に読みかえて、いままで災害その他の場合以外には超過勤務命令を出せないものも出せるように拡大してしまって、手当をとっておいて、各組合と三六協定に基づいてしかできないものをもっと拡大してやれるようにしてしまった。三十六条、三十七条というものを完全に排除して教員の給与関係の地位というものをずっと後退させてしまった。なおいけないことがここに入っていると思うのです。  そこで、労働基準局長にお聞きしたいのですけれども、この給与に対する意見具申が先ほど労働基準局のほうであった。午前中回答されましたね。その一つは、他の法律でかってに労働関係の法案を変えることは望ましくない。そういう趣旨からいいますと、あまりにも変え方がひどいのではないかということです。それから労働者、関係者の意見の反映がこの法案に一つも出ていない。どこかに反映する余地があるか。これは文部大臣と人事院がやってもいわゆる実際には反映するのだ、人事院は中立機関である、ちゃんと聞いてやりますというのは事実上の問題であって、法的には、いわゆる労働基準法の第八条の十二号を読みかえて十六号にして超過勤務における立場を拡大して、しかも三六協定はできないというふうにおき、手当は出さないという変革ですね。この法案については、あなたのほうから出しておる意見具申からまことに距離の遠い法案だと私は思うのです。その点についてはいかがですか。
  118. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、人事院からこの問題に対しまする政府に対しての意見の申し入れがございまして、直ちに中央労働基準審議会のほうにおはかりをいたしたわけでございます。と申しますのは、こういう申し入れがあった。労働省も政府の部内の一員といたしまして、勧告を受けた場合には当然これを尊重していくという基本的な方針で対処しなければならない。ついては、予想される法案で地方公務員法の一部を改正して、それによって基準法の超過勤務に関する部分の適用がはずされるということになるであろう。当時は予測でございましたが、その問題についての御審議を願ったわけでございます。  そこで、ただいま先生御指摘のように、中央労働基準審議会としては、一つは、全般的の問題として基準法の規定が事実上ほかの法律等によって適用されているというものがございます。そういうのがかってにいろいろされては、中央労働基準審議会としては意見を言う場も持たない。これでは困るではないかということで、その点が一点でございます。それから、なお具体的な問題につきましては、実はいろいろな御意見がございました。  ただ、この問題については、従来から非常にいろいろないきさつのあった問題でございます。先般この問題が起こったときにも、中央労働基準審議会は徹夜で審議をしたような経緯がございます。そこで今回の場合には、人事院が長い間いろいろ御研究なさって、この問題について、特に教員の勤務の問題について新しい角度から、あるいはいままで等の現状に照らしてそれを検討し直されて、この問題について新しい申し入れをされる。このことについては、中央労働基準審議会としては直接権限ある機関として措置すべきものではなかろう。したがって、それ自身については、中基審としては意見はちょっと言う立場にはないのじゃないか。ただ、その結果といたしまして超過勤務の適用規定がはずれるという場合には、それなりの歯どめをしてもらう必要がある。それは、基準法の基本的な精神は、やはり労働条件につきましては労働者の意見が十分反映されるということ、それによって適正な条件が確保されることが望ましいというのが、法律の適用があろうがなかろうが基本的な姿勢である。したがって、いろいろ教員の勤務の特殊性等につきまして新しい姿勢で臨まれる、これは労働省直接の問題ではございませんが、その結果として労働条件に影響を与える場合には、やはり基準法なりあるいは労働関係全体の法律の基本的精神が生かされるということが必要だ。そのための歯どめを十分してもらわなければならぬということで、労働大臣に対しまして中基審の意見具申があったわけでございます。私どもは、その建議を受けまして文部省にもその旨申し入れて今回の法案の提出、こういうことになったわけでございます。
  119. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうして法案がここに出てきた段階だと思うのですが、労働基準法の第一条に、この法律で定める労働条件の基準は最低のものだという大原則がある。そこで、この法案の中に、超勤について関係労働者の意向を反映する三六協定も否定をし、それから十二号を十六号に読みかえるということによって超勤命令の範囲を拡大する。法律論ですよ、事実があるかないかは別です。そうして手当は支給できない。これは一方、教職調整額というのは超過勤務手当でないと明確に言っておるわけですからね。超勤制度そのものからいって非常に無権利状態になっておる。無権利状態にされた。ことに教員というのは教養があるものですから、教養のあるものが構成しておる社会は参加と承認がないとうまくいかない、これは実質上社会生活の秩序からいって。そういう心理学的なものを含んで考えても私は最もまずいものが出ておると思う。そこで、この法案が、労働基準局の意見具申というものからいって非常にその意見と合わないものが出てきたと思う。それはみなおわかりだと思うのです。そこで、正式にこの法案の出た段階において、この審議を取り上げてやるということにおきめになったのでしょう。これはいかがですか。
  120. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 中央労働基準審議会では法案の提出されます前に、最初は二月八日、これは人事院から申し入れがありました日でございます。それから十二日、これは法案が大体十六日目途に出るという予定でございましたので、その前にということで十二日に御審議を願いまして、それで建議がその夜中に出されました。それから、それを受けまして私、文部省ともいろいろお話し合いをして、そうして法案が出されて、その後三月十一日に中央労働基準審議会が開かれました。これはほかの案件もございましたのですが、そのときに先般建議を受けましてから法案の提出されるまでの経緯を説明いたしまして、そのときにいろいろな御意見がございました。そこで、いま先生のおっしゃったように、もう一度その審議をすべきではないかという御意見もあったわけでございますが、審議の結果、労働大臣としていろいろ建議を受けましても、実は法案は国会に提出されたあとでございますので、その問題について的確な措置ができるという行政上の保証はございませんものですから、そこで、審議は国会の場に移されたので中基審としてはそれを見守ろうではないか。その中でいろいろな点が明らかにされるであろうし、それを待って審議会としてまた必要があれば問題の審議をするということになりました。その三月十一日の日にはそういう経緯で、直ちには再度審議をするということにはならなかったわけでございます。
  121. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうすると、審議の過程を見ておって、必要があるかないかということを勘案しながら審議をやるということにきめておる。間違いないですね。
  122. 岡部實夫

    ○岡部(實)政府委員 さようでございまして、それは会長に一任して、会長がその状況を見てやるということでございます。
  123. 山中吾郎

    山中(吾)委員 委員長にお願いしておきますが、労働基準審議会のほうがいま私とやりとりしたとおりですから、必要によっては会長を参考人に呼んでいろいろお聞きしたいと思うので、配慮していただきたいと思います。
  124. 八木徹雄

    八木委員長 あとで理事会で相談いたしまして、善処いたします。
  125. 山中吾郎

    山中(吾)委員 次に、人事院総裁に、今度は少し角度を変えまして、国家公務員と地方公務員との勤務条件というのは非常に差があると思うのですが、その実態をどの程度認識されておるのか、お聞きしたいのです。
  126. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 試験をされたようなことになりまして、合格できますかどうですか。いまのこの問題に焦点をしぼってよろしゅうございますね。それならば大体お答えできると思います。  国立学校の先生の場合には、基本的な問題としてまず労働基準法の適用を全然受けておらない。これは昭和二十二、三年来ですから、もう長い間労働基準法の適用から離れておる。したがって、三六協定がなければ超過勤務が命ぜられないというような拘束も全然ない。普通の行政の職員と同じように、三六協定なしに超過勤務命令のもとに立ち得る立場にある。しからば超過勤務手当のほうはどういう措置をしてあるかというと、これははなはださびしいことでありまして、論文審査の手当だとか試験のときの採点の手当くらいしかないでしょうね。その点においては地方と実質的にほとんど同じような扱いを受けて、しかも自発的か何か知りませんけれども、大体居残りの勤務をされておる。われわれの調べたところによると、相当居残りをやっていらっしゃる。しかしながら、先ほども触れましたように、超過勤務手当をよこせという訴訟はいままで一件も出ていない。  それからもう一つ、これはあとでまた十分説明させていただきたいと思いますが、過度の労働を命ぜられたという場合については、行政措置の要求を人事院に対して提訴できる道がありまして、ほかの場合には六百何十件、七百件近い提訴がいろいろの場合にあります。過重労働をしいられたとかなんとかいうのがありますと、われわれはそれを審査いたしまして、なるほどこれはもっともだ——そこに至るまでに、職員を現地に派遣して実情を調べて、どういう理由で勤務を命じたか、実際職員の配置転換その他の方法はとれなかったかというようなところまで微細に点検して、そしてなるほどこれは管理者が悪いというときには、勧告を出して是正を求めるというような形で現に実効をあげておるわけです。行政措置要求の制度というのはいままで案外認識されておりませんけれども、これは過酷な労働の強制に対しては相当大きな歯どめになる。これは人事院が健在である限りだと私は思います。われわれは健在であります。したがいまして、そういうものはいつでも持ち出していただきたい。よその部面の職場ではずいぶんありますけれども、幸か不幸か、国立学校の先生方からは、過重の超過勤務を命ぜられたという措置要求の不服の訴えは全然ございません。これが現実ですね。  片や地方公務員のほうの方々は、いまおっしゃるように、労働基準法の適用を受けておる。超過勤務を命ずる場合には、三六協定を結んだ上で命じなければならぬというのが法のたてまえです。しかし、裁判の結果によれば、現実にはどういう形の命令であるか知りませんけれども、超過勤務手当を支払うべきだという判決が方々で下っておる。これが現実である。したがって、制度的には片や労働基準法の適用がいままである。国立学校のほうは、前から労働基準法なり三六協定の問題とは離れておる。しかし、われわれの知る限りにおいては、その辺はきわめて無事に来ておる。過酷な超過勤務命令を出されたという不満の訴えも、全然ないという事実の認識をここで申し上げさしていただきたいと思います。
  127. 山中吾郎

    山中(吾)委員 事実認識を中心に答弁されたのですが、事実認識からいうと、国立のほうは労働条件というものが実情からいって非常に改善されておる。事実上は授業時間が拘束時間といういい習慣ができておって、地方の公務員のようにいわゆる勤務時間中は監視、監督の中でいなければならぬというような習慣が克服されておるから、そういうことからいま言ったような実態が出ておるんだと私は思うのです。そこは実態が違うんだということは、総裁は認識されておりますか。その点はされておられればいいのです。
  128. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 でありますから、私どもの立場としては、たとえば国立学校の場合は、いまのお話ですと理想的に近い形だとおっしゃるとすれば、地方のほうもそういうふうにしてほしいものだ。それは文部大臣に大いに努力を要請しなければならぬことだろうと思います。
  129. 山中吾郎

    山中(吾)委員 事実がそうなってからこの法案が出るんなら私はよくわかるんだが、逆行しておるもんだから総裁に意見を聞いておるのですが、さらに事務職員の関係からいっても、国家公務員の場合は完全な事務局があって、国立大学を見ると教授と事務職員の数が同じくらいあるんじゃないですかね。非常に能率的にしておる場所で、教授の数の二分の一ぐらいは事務局ができておる。したがって、教育関係以外の雑務その他については、国立学校の場合は、付属の小中学校にしても書類その他の取り扱いは非常に少ない。ところが地方においては、現在の学校教育法に原則として事務職員は置かなければならぬという本則があるにかかわらず、「当分の間」というものを悪用して四半世紀、事務職員を必置にしないで来ておる。そういう関係から、実態的にいって地方公務員は非常に超過勤務をしているんだ。非常な差があると思うのです。それを法律形式上から国家公務員並みということでこの法律が出る。そうして超過勤務命令は出せる、手当はやらぬとかいうふうなことは——国家公務員というものと地方公務員が大体条件が同じだから例によるという法律ができておると思うのですが、非常に差があると思うのです。この点はどう思いますか。
  130. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私は基本的な考え方として、超過勤務手当としてお金をやれば、幾らでも働かしていいというようなものではないと思うのです。あらゆる面からそういう無理な勤労をしいるようなことのないようにということがあくまでも主眼であるべきで、お金を出すからというようなことで、お金との結びつきでそういうことを考えていくとたいへんスポイルされた形になりやしないか。看護婦さんの深夜の勤務なんかのように、お金を幾ら出したってとても健康はもちませんよという場面に追い込まれておるケースもわれわれ知っておるもんですから、そういう点ではお金の問題を離れてそのものずばり、そういうことのないようにという施策が私は必要だろうと思うわけであります。したがいまして、いまの事務職員の問題も、これはっとに私は気にしておったところなんです。いまの文部大臣になられてからは、いまお話しのように公立学校のほうもずいぶん整備されていますからいいのですが、毎々、文部大臣にお会いするたびごとにたいへん賃上げの陳情を文部大臣から受けますけれども、これは賃上げばかりではありませんよ、そういう点にもひとつ十分御配慮を願いたいということをかねがね申し上げてきておるわけです。それはそれとして、まずまずの方向で現在進んでおると思いますけれども、そのほうの努力は地方においても大いにやっていただきたいというように思います。
  131. 山中吾郎

    山中(吾)委員 一例を申します。これは岩手県のいなかの小さな小学校の女の先生なんです。学級担任の行なっておる雑務は一体どのくらいあるかということを聞いてみた。旅費の関係、俸給、共済、互助、電話料、図書費、理科実験費、視聴覚費、修学援助費、給食費、修養会出席、統計、教科書事務、学校安全会の事務、その他往復文書、PTAの会計がある。それから上から来る各文書の受付、こういうものが、教育活動以外の事務職員がないために仕事としてある。こういうのが実態なんです。国家公務員の場合はほとんどないと思うのです。そういうことで、こういう実態の相違があるときに、地方公務員の超過勤務手当というものをなくされて、そうして法律上は自由に幾らでも命令を出すことができる、単なる歯どめというのは、文部大臣と人事院で中央できめた基準によって条例をつくらすというだけの法律なんです。そういう意味において非常に地方公務員にとって過酷になると私は思う。  そこで、この法案は、このままでは教員の待遇改善それから労働条件を改善してやる、そして自由なほんとうの教育活動に専心せしめる法案としての前進基地にはならないんだ、そういう評価をせざるを得ない。そこで文部大臣にお聞きしたいのですが、事務職員の必置の法改正の意図があるかどうか。
  132. 宮地茂

    ○宮地政府委員 事務職員につきましては、実は事務職員に限りませず教諭でも養護教諭につきましてはまだ暫定的な措置で、私ども理想といたしましては、これらの職員はぜひ学校に置きたいという希望を持っております。また努力も続けております。しかし、学校規模もいろいろございますが、さらにその他の直接生徒の教育に当たる学校の先生方の定数も増加しなければいけないということで、私どもの意欲、将来の到達目標は山中先生と全く同じでございます。ただ、行政を進めていく上におきましては、やはり年次計画を立てて努力目標に一歩一歩一日も早く近づきたい、こういうことでございます。
  133. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その程度の答弁では、国家公務員に並んでこの法案をずばり成立せしめるということは非常に地方公務員に対して過酷である。超過勤務に対する何らかの歯どめというものはもっとこういう実態に即して明確なものにしなければ、国家公務員に準ずる思想で地方公務員にこれをやるのは過酷であると私は思う。この法案と同時に事務職員の必置に法改正をするという、一緒に提案しているなら私は考え直す、そういうふうに思うので、いまの局長のような前進というふうなことでは、この法案というものはそういう法案の周辺にある条件について整備をしない限りは、恒久法として出すことはどうも教育政策上前進基地にはならないと私は思う。文部大臣にまずこの学校教育の改正について、大臣としての御意見をここでお聞きしておきたいと思います。
  134. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 事務職員その他の職員左充実していくというような事柄は、仰せのとおりでございます。したがいまして、私どもも、定数法の改正も年次計画を立てながらやっておるわけでございますが、さらに、中教審の幼稚園から高等学校まで、あるいは大学それ自体に対する制度改革の最終答申がこの五月の末には行なわれるわけでございます。それにつきましては、長期の教育計画というものをわれわれは策定をいたしたい。あるいはこれに必要な経費、条件整備のための必要経費を年々どれくらい考えていったらいいかというような計測もいたしたい。したがって、それは国民総所得に対して何%くらいずつを考えていったらいいかというようなこともやりたいと思っておるわけでございまして、たゆみなき教育政策の前進あるいは条件整備の前進ということは、片時も忘れておるわけではございません。  しかしながら、ただいま御審議をわずらわしておりますこの法案が出たためにいかにも教育政策上非常にマイナスになる、あるいは全国の教職員の方々に対してより以上の過酷な労働をしいるというような印象の御発言でございますけれども、少なくとも私たちの目ざすところはそういう気持ちではない。それはしかし、客観的にはちっとも出ていないではないか、君の言う話だけはわかる、しかし、この法律にはどこにもそうないではないか、場合によってはそれをマイナスファクターに転じ得る要素があるのじゃなかろうか、こういう御議論のように承るわけでございます。しかし、先ほど人事院総裁もおっしゃいますように、私は先生方を守る立場にあるわけでございまして、いやしくもこの法案が通ったからといって、鬼の首を取ったように教育委員会あるいは学校長をして先生たちを追いまくるというようなことは毛頭考えていないわけでございまして、むしろこのことが給与改善の一環になるんだという強い確信を実は持っておるわけでございます。しかもこれだけではないのだ、これから先、これを一つの前進基地として教職員の待遇改善についても抜本的な考え方を私たちは次々に示していこう、こういうことを繰り返し申し上げておるわけでございます。  しかもその歯どめにつきましても、人事院と私と協議をしてきめるということになっておるわけでございます。人事院は中立的な立場で、何も文部省の言うことだけをお聞きになりません。その実、今度の意見にいたしましても、先ほど申しますように、われわれが考えたことも満たしていないところも実はあるわけで、その点ははなはだ不満なのでございます。そういうことで、またあるいは教職員の方々も人事院に対して相当のことをおっしゃったに違いない。しかし、それに対しましても、あるところは認められたかもしれませんけれども、あるところは認められないということで、多少不満は残っておるのじゃなかろうかというようなことからいたしますと、少なくとも佐藤人事院総裁は中立的立場に立って教職員を守ろうという立場に、はっきり言っておありだと私は思うわけでございます。そういう人事院と私たちとが勤務の内容、範囲あるいは限度について協議をする、こういうことでございます。幾らわれわれがこうしてくださいと言いましても、かたくなな一面もございますし、また、一面においては非常にものわかりのいい総裁が、そう非公正なことをやられるとは思えないわけでございまして、ぴしゃっとやられるときはいつでもぴしゃっとやられるのじゃなかろうか。しかし、この人事院総裁が承諾をされると言ったからには承諾をされることもあるわけでございますから、そのためにはいろいろの資料を備えまして、客観的に総裁を説得するだけの努力は積み重ねていかなければならぬというふうに私どもは考えておるわけです。同時に、その協議をして承認を得なければこれは成立をしない。のみならず、また労働省におかれましては中央労働基準審議会におきまして二つの建議がなされておるわけです。しかも関係教職員の方方、いろいろの方々ともよく話を聞いて、そして協議をしてもらいたい、またその意思が反映できるようにしてもらいたいというこの建議に対しましても、私たちは率直にこの方向で行きたい、こういうことなんです。  山中さんに申し上げておきたいと思いますけれども、われわれ文部省も、いままではいろいろ御批判を仰ぐようなこともたまたまあったかとも思います。一生懸命にやっておるつもりでございますけれども、しかし、人間のやることでございますからたまには間違ったこともございましょう、あるいは反省すべき点もあったろうと思いますが、少なくとも私どもは、これからの文教政策というものがいかに政治の上においても大事かということを考える場合において、そのにない手である教職員には、いい先生方を確保するということがまず至上命令だと考えておるわけです。その方方が働きやすい、あるいは安心してその職場に専念できる、あるいは魅力のある職場にするということは、何をおいても文部大臣としての私の職務であり、文部省としての責任である、かように考えて実は今度の法案を提出し——先ほど局長から申し上げましたようなお金が来年の一月から入ってくるわけでございます。これは確かにいままでの超勤では、命令を出す出さぬは別といたしまして、あるいは出すようになりましてもその総額というものは、これだけの額にはあるいはならないのじゃないかと思うのです。その額も、四%とはいうものの本俸の四%でございますから、そのはね返り分もございますから全体としては六%である。それが年金にも退職金にもはね返っていく。さらに、これから先ベースアップ等があるならば、これは生きていくわけです。そして、それは単にこの法律ではそうでございますけれども、なおかつ、その上にわれわれは抜本的な給与改善というものに意欲を燃やしておるわけであります。でございますから、与党といわず野党といわず政府といわず教職員といわずあるいは人事院といわず、もう一生懸命になってこれからともにともに教職員の待遇をよくするということ、あるいは教育条件をよくするということにつとめたいと思っておるわけで、これを通したから無理やりに労働をしいる、そういう前近代的なやり方というものは考えてもおそろしいことでございまして、やるべきことではないのではないかと私は思うのです。また、そういうようなことは、今日の世の中においては、何といいましても教職員組合もございましょうし、世間の目もございましょうし、野党の皆さん方の鋭い御批判の目もあるわけでございますから、あり得ない。しかし、何といったって人間のやることでございますから、万に一人か二人ぐらい、べらぼうな教育長やあるいは学校長がないとはいえない。そういう場合には、先ほど申されたような行政措置等の救済措置もあるわけでございます。国会の場もあるわけでございます。また、私たちはいつでも皆さん方の御批判の矢面に立つわけでございますから、この法案が通ったからといって、それによっていままで以上にぎゅうぎゅうと先生方の労働をしいていくというようなことにはつながっていかない。法律そのものを冷酷無情に見るならばおっしゃるとおりだと思いますけれども山中さんの常識からいうならば、そういう批判は起こり得ないなと心の中ではひとつ感じていただきたい、こういうふうに思うのでございます。
  135. 山中吾郎

    山中(吾)委員 文部大臣は珍しく真情を吐露したわけですが、総裁も非常にかたくなだとおっしゃった。にもかかわらず、私はこの法案に不信感があるので申し上げたいと思うのです。  それは、学校の場合には新しく学校給食とかいろいろな仕事が入ってきて——一般の予算の場合は事務職員一名とか必ず入れるのですが、学校の場合は仕事だけ入って定員増はないのですね。気がついてみたときには、教育活動の周辺のいろいろのものが入っていた。その一例として、学校教育法には事務職員を必置にしておるけれども、必置をしないでおる。ことに小中学校では、大きくても小さくても独立の学校ですから、事務はみな同じなんです。文書から何からみな来るのです。そういう現状というものが前提としてあるときにこの法案が出ますと、校長も何とかこの学校の経営をやりたいというので、事実仕事があるものですから先生に強制をしてやらせなければならない。先生は、また事実目の前にあるときに、ほうっておくわけにいかぬというのでまた追い詰められていく。結果として、超過勤務手当は出さないけれども自由にやれるとかいうふうなすきがある法案の中では、善良なる者がお互いに仕事に追い詰められて、お互いに労働過重になるという危険が十分あるのです。  そこで、たとえば第七条の例でも、文部大臣が人事院と協議するというだけでは、いま言ったような真情、理想主義的な文部大臣とかたくなな人事院総裁が何ぼ話したってだめだと私は言うのです。だから、法律そのものの中に少なくとも基準と限度がなければ——週何時間以上はだめたというぐらいにしておかなければ、この法案のために前進基地でなく後退基地になる。何となれば、大蔵省のほうは完結法案だ、これで終わりだということで一応査定の思想が確定しておれば、そうして皆さんのほうで必要に迫られて超過勤務を出していって、小さな学校においては労働過重でもつじつまを合わしていく、外から見るとそれでいいじゃないかということになる。定員増しなければならないんだという刺激は、この法案からは当分出ないというのです。これで四%の調整額というものがあって、しかも暫定的に、教育条件が整備したあとに超過勤務手当の制度をなくするという余地を残しておけば、定員増の刺激としての法案の機能は出る。  大蔵省の主計官にお聞きしますが、現在の小中学校で、事務職員は学校教育法で必置だが、必置になっていない。そうしていろいろの仕事というものがどんどん入っても定員増が出ない。超過勤務手当はこれ以上出す必要がないものだから、そこでつじつまを合わしていくということで済ましていくことになれば——大蔵省のほうでは、労働条件を改善するのはほんとうは定員増しかないのです。超過勤務というのは、労働基準法によってつとめてしてはならない、万やむを得ないという制度なんだから、そういう超過勤務にほんとうの歯どめがない限りは、個々の教員が何倍かの仕事を背負ったまま、それで外から見れば一応何とかなっておるということになって、そこに定員増のなには出てこないと思う。大蔵省のほうでは、今後さらに教員の定員増とか給与体系の改善その他について、この法案を暫定的な法案として考えて今後の改善をすることを前提として予算折衝その他をされてきたのかどうか、あなたに聞きたいと思う。
  136. 原徹

    ○原説明員 今回のこの法案でございますが、私ども実は予算折衝のときに、完全に超過勤務に代替をするものであるならば、従来からのお話にもありましたはね返りのない四%ということでいいんじゃないかという意見がございました。まあしかし、この問題は解決しなければならない大事な問題であるし、教員の勤務の特殊性にかんがみて、いわゆるはね返りのあるものにして実態的には六%になる。超過勤務手当だけの代替であれば、私どもははね返りなしでいいんじゃないかというふうな気がいたしたわけでございますけれども、事柄の重要性にかんがみて、教員の勤務の特殊性、それに待遇改善ということも含まれていまの実質六%というふうになったわけでございまして、かなりまあ大乗的見地と申しますか、に立ちましてお認めしたような次第でございます。  今後の問題でございますけれども、教員の給与体系、これはもちろん全体の公務員の給与体系の中でどういう位置づけをするかという問題もございますでしょうし、それはまたそれで年々人事院勧告によって少しずつの改善を見ているわけでございますから、私どもの立場としては、ただいまの段階でどうということは申し上げられませんが、そういう人事院の勧告が出るわけですから、それを尊重すべき立場にあると存ずる次第でございます。
  137. 山中吾郎

    山中(吾)委員 人事院総裁、いま主計官の意見を聞いたのですが、あなたはもっと、これでもう完結してずばり終わりだと答えられたのですが、この教員の給与改善のため、今後どんどん勧告していくというかたくなな御精神をお持ちでしょうか。
  138. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そっちの方面では決してかたくなではないので、ぜひこれを実現してくれといって大蔵大臣なり何なりに押しかけていくときに、かたくなになっておるわけでございます。(笑声)
  139. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、そういうことが前進基地になるために、この法案の中に刺激になるようなものがもっと入れられなければならぬと思っておるので質疑をしたわけですが、この点について、教育政策の発展のためにこの審議の過程の中でいろいろな角度から質疑があると思いますが、文部大臣も率直に誠意を持ってわれわれの質疑その他について答える気持ちなのかどうか、お聞きしておきたい。
  140. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私どもといたしましては、人事院のこの意見というものを踏まえまして、これをどのように最大限に完全実施するかということに苦心をいたしたわけで、そういたしましてその苦心の存するところは、単にわれわれ文部省だけの独善的な考え方ではいけませんので、各省とお話ししたことはもとよりのこと、先ほど局長から申し上げたように教育関係者の方々の御意見も承って、そしてこの法案をこしらえたわけです。でございますから、ただいまのところでは、るる山中さんの御質問を受けましたけれども、私は、ただいままでの山中さんの御意見では、まだまだこのほうがいいのであって、まだベターな案というものをくみ取るとことが実はできなかった。しかし、今後いかような御質疑があるかもわかりませんし、ああそれはいい考えだということがあれば、私も、かたくなな面もありますけれどもまた柔軟な面もあるわけでございますから、十分ひとつ傾聴いたしまして善処いたしたい、かように考えております。
  141. 山中吾郎

    山中(吾)委員 ぼくの質問の中で、まだこの法案について考え方が変わらないということですから、私は変わるまで質問しなければいかぬ。質問は終わりにしません。  そこで、結論的に申し上げますけれども、日教組の諸君がこういう法案に対して発表した中で、超過勤務について測定できぬものはそれは調整額で、測定できるものは超過勤務で支給すべきだという考え方は、私は最も常識的だと考えたんですよ。教職の中には確かに測定できないものがある。しかし、できるものはまた明確にあるわけです。そこで、超過勤務手当というふうなものは、特に勤務時間外に命じて、そして測定できるような中身は、他の職種と同じようなものもありますから、それは出すべきだというのは当然なんだ、そういうふうな一つの思想というものはやはり常識的には考えるべきではないか。そのあとで待遇改善というものを豊かにすることによって——もうそういうふうなことは考えないで、本来自発性、創造性という一本でというふうな一つの終着駅も考えることは、私はそれも正しいと思うのです。この法律そのものが、私は、そういう意味において一つの終着駅というのを大きくバックに構想しながら前進基地として考えていくということが法律そのものの中に証明されるものならば、すばらしい価値のあるものだと思うのです。そういうことについて現行の、このままの法律においてはその心証を得ない。文部大臣は、ぼくとの話で中身まできっちり入っていないけれども、まだそこまで共通の広場がないようだから、私はこれは保留しておきます。  そこで、きょうは私はこのくらいで保留しておきますが、委員長にお願いしておきたいことは、あくまでもこの法律が終着駅でなくて、教員の待遇改善あるいは生活向上、さらによい教師を吸収するという教員政策全体の問題として、納得する方向に論議が終わるまで慎重に審議をされて、あるいはまた委員会でなくても理事会その他において論議をして、委員長もその点について十分弾力性を持って、この法律が価値のあるものとして前進する方向に委員長も配慮を願いたい、そういうことを要望いたしまして、一応文部大臣がまだ納得しないようですから保留して、納得するまで継続することを要望して、本日は終わります。
  142. 八木徹雄

    八木委員長 委員長としましては、いまおっしゃった基本的な態度は同感でございます。理事会でよく相談いたしまして、質疑は十分尽くしたいと思いますし、対応策も考えてみたいと思います。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会