○坂田国務大臣 事務職員その他の職員左充実していくというような事柄は、仰せのとおりでございます。したがいまして、私
どもも、定数法の改正も年次計画を立てながらやっておるわけでございますが、さらに、中教審の幼稚園から
高等学校まで、あるいは大学それ自体に対する
制度改革の最終答申がこの五月の末には行なわれるわけでございます。それにつきましては、長期の
教育計画というものをわれわれは策定をいたしたい。あるいはこれに必要な経費、条件整備のための必要経費を年々どれくらい考えていったらいいかというような計測もいたしたい。したがって、それは国民総所得に対して何%くらいずつを考えていったらいいかというようなこともやりたいと思っておるわけでございまして、たゆみなき
教育政策の前進あるいは条件整備の前進ということは、片時も忘れておるわけではございません。
しかしながら、ただいま御審議をわずらわしておりますこの法案が出たためにいかにも
教育政策上非常にマイナスになる、あるいは全国の教職員の方々に対してより以上の過酷な労働をしいるというような印象の御発言でございますけれ
ども、少なくとも私たちの目ざすところはそういう気持ちではない。それはしかし、客観的にはちっとも出ていないではないか、君の言う話だけはわかる、しかし、この法律にはどこにもそうないではないか、場合によってはそれをマイナスファクターに転じ得る要素があるのじゃなかろうか、こういう御議論のように承るわけでございます。しかし、先ほど
人事院総裁もおっしゃいますように、私は先生方を守る立場にあるわけでございまして、いやしくもこの法案が通ったからといって、鬼の首を取ったように
教育委員会あるいは
学校長をして先生たちを追いまくるというようなことは毛頭考えていないわけでございまして、むしろこのことが給与改善の一環になるんだという強い確信を実は持っておるわけでございます。しかもこれだけではないのだ、これから先、これを一つの前進基地として教職員の
待遇改善についても抜本的な考え方を私たちは次々に示していこう、こういうことを繰り返し申し上げておるわけでございます。
しかもその歯どめにつきましても、
人事院と私と協議をしてきめるということになっておるわけでございます。
人事院は中立的な立場で、何も文部省の言うことだけをお聞きになりません。その実、今度の
意見にいたしましても、先ほど申しますように、われわれが考えたことも満たしていないところも実はあるわけで、その点ははなはだ不満なのでございます。そういうことで、またあるいは教職員の方々も
人事院に対して相当のことをおっしゃったに違いない。しかし、それに対しましても、あるところは認められたかもしれませんけれ
ども、あるところは認められないということで、多少不満は残っておるのじゃなかろうかというようなことからいたしますと、少なくとも
佐藤人事院総裁は中立的立場に立って教職員を守ろうという立場に、はっきり言っておありだと私は思うわけでございます。そういう
人事院と私たちとが勤務の内容、
範囲あるいは限度について協議をする、こういうことでございます。幾らわれわれがこうしてくださいと言いましても、かたくなな一面もございますし、また、一面においては非常にものわかりのいい総裁が、そう非公正なことをやられるとは思えないわけでございまして、ぴしゃっとやられるときはいつでもぴしゃっとやられるのじゃなかろうか。しかし、この
人事院総裁が承諾をされると言ったからには承諾をされることもあるわけでございますから、そのためにはいろいろの資料を備えまして、客観的に総裁を説得するだけの努力は積み重ねていかなければならぬというふうに私
どもは考えておるわけです。同時に、その協議をして承認を得なければこれは成立をしない。のみならず、また労働省におかれましては中央労働基準審議会におきまして二つの建議がなされておるわけです。しかも関係教職員の方方、いろいろの方々ともよく話を聞いて、そして協議をしてもらいたい、またその意思が反映できるようにしてもらいたいというこの建議に対しましても、私たちは率直にこの方向で行きたい、こういうことなんです。
山中さんに申し上げておきたいと思いますけれ
ども、われわれ文部省も、いままではいろいろ御批判を仰ぐようなこともたまたまあったかとも思います。一生懸命にやっておるつもりでございますけれ
ども、しかし、人間のやることでございますからたまには間違ったこともございましょう、あるいは反省すべき点もあったろうと思いますが、少なくとも私
どもは、これからの文教政策というものがいかに政治の上においても大事かということを考える場合において、そのにない手である教職員には、いい先生方を確保するということがまず至上命令だと考えておるわけです。その方方が働きやすい、あるいは安心してその職場に専念できる、あるいは魅力のある職場にするということは、何をおいても文部大臣としての私の職務であり、文部省としての責任である、かように考えて実は今度の法案を提出し——先ほど
局長から申し上げましたようなお金が来年の一月から入ってくるわけでございます。これは確かにいままでの超勤では、命令を出す出さぬは別といたしまして、あるいは出すようになりましてもその総額というものは、これだけの額にはあるいはならないのじゃないかと思うのです。その額も、四%とはいうものの本俸の四%でございますから、そのはね返り分もございますから全体としては六%である。それが年金にも退職金にもはね返っていく。さらに、これから先ベースアップ等があるならば、これは生きていくわけです。そして、それは単にこの法律ではそうでございますけれ
ども、なおかつ、その上にわれわれは抜本的な給与改善というものに意欲を燃やしておるわけであります。でございますから、与党といわず野党といわず政府といわず教職員といわずあるいは
人事院といわず、もう一生懸命になってこれからともにともに教職員の待遇をよくするということ、あるいは
教育条件をよくするということにつとめたいと思っておるわけで、これを通したから無理やりに労働をしいる、そういう前近代的なやり方というものは考えてもおそろしいことでございまして、やるべきことではないのではないかと私は思うのです。また、そういうようなことは、今日の世の中においては、何といいましても教職員組合もございましょうし、世間の目もございましょうし、野党の皆さん方の鋭い御批判の目もあるわけでございますから、あり得ない。しかし、何といったって人間のやることでございますから、万に一人か二人ぐらい、べらぼうな
教育長やあるいは
学校長がないとはいえない。そういう場合には、先ほど申されたような行政
措置等の救済
措置もあるわけでございます。国会の場もあるわけでございます。また、私たちはいつでも皆さん方の御批判の矢面に立つわけでございますから、この法案が通ったからといって、それによっていままで以上にぎゅうぎゅうと先生方の労働をしいていくというようなことにはつながっていかない。法律そのものを冷酷無情に見るならばおっしゃるとおりだと思いますけれ
ども、
山中さんの常識からいうならば、そういう批判は起こり得ないなと心の中ではひとつ感じていただきたい、こういうふうに思うのでございます。