○中村(重)委員 この一五%の値下げということは値下げではないのだということ、それは現金正価と実勢
価格というものの違いがあったのだから、実勢
価格で販売をしておるのに、現金正価というものをつけて、あたかも値下げをするようなやり方でそういう表示をしていることが、いわゆる
公正取引委員会の
指摘、
警告という形であらわれたわけです。したがいまして、現に売られておる
価格が実勢
価格であるから、その実勢
価格に近づいたからといって、それが値下げということにはなりません。その点をどのようにお
考えになっておるかということが問題であります。それから、そのことが及ぼす
影響というものがいかに重大であるかということを、通産省はどのようにお
考えになったのでしょうか。
私は、これらの問題が出始めた当時、これほど大きくクローズアップしなかった当時、宮澤通産大臣御承知のとおり、
商工委員会で、
公正取引委員会が二重
価格を撤廃をさせるということは当然なんだ。これは景表法違反であるから、当然おやりになる必要がある。だが、しかし、通産省が行政指導されることは、その行政指導というものが通産省
価格となり協定
価格を生み出すおそれがある。そのことを慎重にお
考えになって指導なさらなければいけないということを、私は御注意を申し上げた記憶があります。その際あなたは、すべての会社が話し合いをしてやるなんということはないでしょうと、きわめて楽観的なことでございましたが、残念ながら私は、そういうようなことになりつつあるということを申し上げなければならないわけでございます。
それは具体的な例でもってあとで申し上げますが、いずれにいたしましても、私の
調査をいたしました点から判断をいたしますと、今回の通産省の指導というものは
価格の下ざさえになった、そういう
役割りを果たしておるという事実。それから、現金で仕入れて販売をしておるところの業者、この業者は、より安く売っておったものを安く売ることができなくなったという結果が生まれてきたということであります。これはむしろ値上げというような大きな
役割りを果たしておるわけであります。先ほども私は公正取引
委員長に、公取の職員が
調査をした、いわゆる量販店と小売り店との
調査に分けて
調査をなさったのではありませんかと申し上げたのは、そのことなんです。むしろあなたのほうの
調査が正確を期するならば、系列店と非系列店とどのような違いがあるか。いわゆる神田、秋葉原、ああいうところは非系列店でございますから、そこら
あたりの実勢
価格がどういうものであったかというような形で
調査をされるならば、私がいま
指摘をいたしておりますようなことが明らかになってきたであろうと思うわけであります。少なくとも五十坪以下であるとか五十坪以上であるとかいうような形でされたところに、系列店と非系列店というような形になりませんでしたから、正しい実勢
価格というものの
調査ができなかったという点は、
一つの問題点としてあらわれ、そのことが弊害となってこれからかもし出されてくるということを
指摘しなければならないわけであります。
そこで、先ほど通産大臣が表をもって、こういうものがこう下がったんだとおっしゃいましたから、それでは私も申し上げてみますが、具体的な例で申し上げますと、たとえば東芝の19型カラーテレビD5Dの現金正価というものは、十八万六千円でございます。系列店では、二二%のマージン、これに八%のリベートがございますから、これを差し引きますと、いわゆる仕入れ
価格というものは十三万二百円でございます。ところが、実勢
価格と称する小売り
価格は十五万八千二百円でございます。一方、現金仕入れの自由販売業者の現金正価は、同じく十八万六千円でございます。仕入れ
価格は九万五千円、現金で決済をするのでありますから、このくらい安いわけでございます。そこで小売り
価格は十一万三千円、この
格差は、何と四万五千二百円でございます。現金正価との開きというものが四〇%ある。一五%の値下げをなさいましたが、いま申し上げましたように、自由販売店と称するものは、四〇%の値下げをさせなければ実勢
価格というものにならなかったということであります。
このように系列店と非系列店との違いがあるということを真剣にお
考えにならなければ、一五%の値下げになったのだ、一五%の値下げになったのだと、あたかもほんとうに値下、げになったかのようなことでこのことを評価をする、こういうことでこの後の行政指導をするということに対しては、きわめて重大な問題点であるということを
指摘しておきたいと思います。
それから、新機種としてこれから売り出されるのは、メーカーによって20型が主軸であるところもある、あるいは18型が主軸であるところのメーカーも実はあるわけであります。しかしながら、これから19型というものはどんどんなくなってまいりまして、大体20型がこれからの主軸をなすであろうということは間違いございません。同じく東芝の20型――この東芝というものは、現在全体のメーカーで月産五十万台くらい生産されておるのでありますが、そのわずか四%ないし五%というきわめて小量生産であります。その20型の現金正価は二十万五千円であります。系列店のマージンが、先ほど申し上げましたように、二二%と八%を含めますと三〇%の仕入れ
価格十四万三千五百円、一五%の小売り
価格は十六万四千円でございます。自由店の仕入れ
価格は十一万八千円、小売りが十四万ないし十四万三千円でございますから、
格差は二万一千円ないし二万三千円、実はこういうことになっておるわけであります。
ですから、このようなことを御
調査になっておるのでございましょうか。私がただいま申し上げました、一五%、これは値下げではなくて、現に売られておる
価格に近づけたにすぎないのだということが間違いでございましょうか。