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1971-02-19 第65回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会農林水産委員会商工委員会連合審査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十六年二月十九日(金曜日) 午前十時四分
開議
出席委員
物価問題等
に関する
特別委員会
委員長
小林
進君
理事
青木 正久君
理事
砂田
重民君
理事
登坂重次郎
君
理事
松山千惠子
君
理事
武藤
嘉文
君
理事
武部 文君
理事
渡部 通子君
理事
和田 耕作君
上村千一郎
君
江藤
隆美
君
小坂徳三郎
君
佐藤
文生君
坂村
吉正
君 正
示啓次郎
君 向山 一人君 栗山 ひで君
田中
恒利
君
戸叶
里子君 松浦
利尚
君 池田
禎治
君
農林水産委員会
理事
安倍晋太郎
君
理事
小沢 辰男君
理事
丹羽 兵助君
理事
三ツ林弥太郎
君
理事
千葉
七郎
君
理事
小平 忠君
江藤
隆美
君 熊谷 義雄君
坂村
吉正
君 別川
悠紀夫君
森下
元晴
君
角屋堅次郎
君
田中
恒利
君
長谷部七郎
君 美濃 政市君
瀬野栄次郎
君 西中 清君 二見 伸明君 津川 武一君
商工委員会
委員長
八田 貞義君
理事
鴨田 宗一君
理事
橋口 隆君
理事
武藤
嘉文
君
理事
中村 重光君
理事
岡本 富夫君
理事
吉田
泰造君 石井 一君 稲村 利幸君 宇野
宗佑
君 海部 俊樹君 神田 博君
左藤
恵君 坂本三十次君
始関
伊平君 山田
久就君
石川 次夫君 中谷 鉄也君 松平 忠久君 松尾 信人君 米原 昶君
出席国務大臣
内閣総理大臣
佐藤
榮作君 大 蔵 大 臣
福田
赳夫君 厚 生 大 臣 内田 常雄君 農 林 大 臣
倉石
忠雄君
通商産業大臣
宮澤 喜一君
国務大臣
(
経済
企画庁長官
)
佐藤
一郎
君
出席政府委員
総理府統計局長
関戸 嘉明君
公正取引委員会
委員長
谷村 裕君
警察庁刑事局長
高松
敬治
君
経済企画庁国民
生活局長
宮崎 仁君
経済企画庁総合
計画局長
矢野 智雄君
法務省刑事局長
辻 辰三郎君
大蔵大臣官房審
議官
吉田太郎
一君
大蔵省主計局次
長 竹内 道雄君
大蔵省関税局長
谷川 寛三君
国税庁長官
吉國
二郎君
厚生省環境衛生
局長
浦田 純一君
厚生省社会局長
加藤 威二君
農林省農林経済
局長
小暮 光美君
農林省農地局長
中野
和仁
君
農林省畜産局長
増田 久君
農林省蚕糸園芸
局長
荒勝
巖君
食糧庁長官
亀長
友義君
水産庁長官
大和田啓気
君
通商産業省通商
局長
原田 明君
通商産業省企業
局長
両角 良彦君
通商産業省鉱山
石炭局長
本田 早苗君
委員外
の
出席者
農林委員会調査
室長
松任谷健太郎
君
商工委員会調査
室長
椎野 幸雄君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
物価問題等
に関する件 ————◇————— 〔
小林物価問題等
に関する
特別委員長
、
委員長席
に着く〕
小林進
1
○
小林委員長
これより
物価問題等
に関する
特別委員会
、
農林水産委員会
、
商工委員会連合審査会
を開会いたします。 先例によりまして、私が
委員長
の職務を行ないます。
物価問題等
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
委員長
から一言申し上げます。 現今、わが国における
消費者物価
は、
生鮮食料品
、
中小企業製品
、
サービス料金
、地代、家賃、
貸し間料等
を
中心
に依然騰勢を強め、
国民生活
を逼迫させており、いまや
物価
の安定は、全
国民
のひとしく願うところとなっております。 このような
国民
の要望にこたえるため、この
連合審査
においては、
物価
問題の実態を究明しつつ、これまでの
物価対策
の
問題点
を問い、より適切な
物価対策
のあり方について
調査
してまいりたいと存じます。
委員各位
の活発かつ建設的な討議をお願いいたします。 これより
質疑
に入るのでありますが、
質疑
時間につきましては、
関係委員長
及び
理事
の協議によりあらかじめ決定いたしました時間を、厳守していただくようお願いいたします。 なお、
政府委員
の
方々
は、答弁の際、そのつど官職、氏名を
委員長
に告げて、発言の許可を求めていただきます。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
砂田重民
君。
砂田重民
2
○
砂田委員
まず、
総理
にお
伺い
をしておきたいと思いますが、最近の
消費者物価動向
について、
総理
は、これをどう把握して
おいで
になりますか、総括的に
お答え
をちょうだいしたいと思います。
佐藤榮作
3
○
佐藤内閣総理大臣
いろいろ
経済企画庁長官等
からも、御
説明
すでにお聞き取りだと思いますが、なかなか
政府
が予想したとおり、あるいは予定したとおりには進まないで、
消費者物価
が上がっておる、これが現状でございます。これをどうしてもやはり、われわれの
見通し
のようにもっと低いところへとめたいと、ただいま
努力
中でございますが、ただいまたいへん開きがある、その点で申しわけなく思っておるような次第です。
砂田重民
4
○
砂田委員
二月十二日付けで、
経済企画庁
が
月例報告
を発表なさいました。四十五年の
消費者物価
は、
総合
で対前年度比、残念ながら七・七%も上がっている。この
企画庁
の
月例報告
によりますと、
中小企業性
の
製品
の八・三%、
サービス関係
の六・九%な
ども
その押し上げの要因になっておりますけれ
ども
、特に
農水畜産物
の一〇・九%、そのうち
生鮮食料品
が一六・八%、このアップが最も大きな
原因
になっているとされているわけでございます。 この
生鮮食料品
の中から
野菜
だけを抜き出して考えてみますと、四十五年は四十四年に比べて、
野菜
の
価格
の
上昇率
が三三%、四十五年度四月−十二月の
消費者物価上昇
に対する
野菜
も含めた
季節商品
の
寄与率
は、実に二五%に及んでおります。 四十六年度の
経済見通し
で、
消費者物価
の
上昇率
を
政府
は五・五%に押えたいとしておられる。これは相当な
政策努力
を前提とせざるを得ない。これは本
会議場
で
総理
もおっしゃったことでございますけれ
ども
、この
政策努力
の中でも、ただいま私が述べましたような
野菜
の
価格動向
を考えますと、
野菜対策
という
もの
が最重点の
政策
の
一つ
である、こう考えますので、私は、きょうは
野菜
の問題にひとつしぼって伺ってまいりたいと思うわけでございます。
野菜
の
値上がり
の
原因等
について、
農林省
も
経済企画庁
も、それぞれいろいろな見解を表明しておられるわけでございますけれ
ども
、きょう私に与えられました時間はわずか三十分でございますから、二月二日付の
農林大臣
の
野菜
の
価格
に対する
談話発表
、あるいは
経済企画庁
、
農林省
の
統計数字等
、私が
承知
をしておりますところを私のほうから申し上げまして、
問題点
を煮詰めて、
農林大臣
、
大蔵大臣等
にお
伺い
をしてまいりたいと思います。
野菜
の
値上がり原因
については、
農林省
も
経済企画庁
も、天候の不順をまずあげておられますけれ
ども
、そのほかに、
都市化現象
による
都市近郊産地
の後退でありますとか、
労働力
の不足、あるいは
需要
の
高度化
、
多様化
、さらには
大都市住民
と
中小都市生活住民
との
需要
の
平準化等
をあげておられる。こういう
需給両面
での構造的な変化、これが進んでいることが
野菜
の
価格
を上げている理由であるとされているわけでございます。これは要するに、
高度化
しつつ
増大
をしている
需要
に
供給量
が追いついていない、こういうことに帰するわけでございます。
農林省
の
統計数字
も、この
関係
を明らかにしているところです。私は、
流通
にも大きな問題があると思いますけれ
ども
、
需要
に
供給
が追いつけなかったときに、
流通部門
での欠陥という
もの
が非常に大きくあらわれてきている。何といっても、まず
需給関係
、これをたださなければ
野菜価格
の安定は期せない、こう考えるのでございます。先般、実は私
ども
の
物価
の
委員会
に、
生産者
、それから卸、小売り、
消費者
、こういう各
段階
の、
野菜
を扱っておられる
方々
に
おいで
をいただきまして、御
意見
を承ったわけでありますけれ
ども
、
生産者
も、
流通段階
の業者も、
消費者
も、それぞれの立場で
意見
は述べられました
もの
の、完全に
意見
の一致を見て同じことをおっしゃったのは、
供給量
をもっとふやしてもらいたい、こういうことであったわけでございます。 そこで、きょうは、私は
供給
の問題にしぼって伺ってまいりたいと思いますが、この際ひとつ
検討
を御一緒にいたしますのに、
野菜
を
三つ
の
タイプ
に
分類
をしておきたいと思うのです。まず第一に、トマト、キュウリなど、ある程度の
資本投下
を要するところの
施設園芸野菜
、第二の
分類
に、
タマネギ
でありますとか、
ジャガイモ
でありますとか、こういう比較的
貯蔵
のきく
野菜
、第三の
分類
といたしまして、大根、ハクサイ、キャベツのような、いわゆる
露地野菜
もの
、この
三つ
の
タイプ
に
分類
をして、
野菜
の
価格
を取り巻く
環境
のことを考えてまいりますと、第一の
施設園芸
もの
につきましては、これの
生産拡大
のための
農林省
の
施策
という
もの
は、
農民
の熱意とも相まって、私は成功をしてきておる、かように考えるのです。
作付面積
が、四十一年をピークにして減ってはおります
もの
の、反当収量という
もの
はふえてきている、このこと。さらに
野菜
全体の中では、
施設園芸
もの
の
野菜
の
価格
という
もの
が比較的安定をしている。これは、もう
政府
の
施策
が成功している
一つ
の例だと思うのです。さらに四十六年度では、
省力化
による
コスト引き下げ
をねらって、新しく
モデル団地
に
補助
をしていこう、これは
時宜
を得た
もの
だと考えます。ですから、
施設園芸
もの
については、この際ちょっと横に置いておきます。 第二の
貯蔵性
のある
野菜
については、
タマネギ
の
輸入
について、その決意に若干
農林省
に逡巡をされたきらいがあった。したがって、入ってくる時期をちょっと失しましたので、異常な高値を呼んだわけでございますけれ
ども
、間もなくこれは相当量入ってまいりましょう。落ちついてくると思うのです。
ジャガイモ価格
という
もの
も比較的安定を続けている。
貯蔵施設
の増強に
財投等
で応援をしていくという、こういう
政策
をより一そう拡充をされながら、
輸入
時期をあやまたずに運営して
おいで
になりますならば、この
貯蔵性
のきく
野菜
についても、一応妥当なところでこれからも
推移
をしていくんではないだろうか、かように考えられますので、第二の
分類
の
貯蔵性
のある
野菜
についても、これもきょうは、ちょっと横へどけておきます。 問題は、
露地野菜
の不安定さというところに一番大きな問題があると考えるのです。
露地野菜
という
もの
は、
気象条件
の
変動
に左右される度合いが強いのでございますから、
畑地かんがい
、あるいは
機械化
による
省力化
、こういう
努力
をしておられるのは、まことにけっこうではありますけれ
ども
、一番問題は
価格低落
時の
対策
、ここに大きな問題が残されている、そういうふうに私は考えるのでございます。
価格低落
時
対策
として
生産出荷安定資金協会
が行なっておりますところの
価格補てん事業
という
もの
が有効に働いていないから、
野菜価格
の暴騰、
暴落
の悪循環を断ち切れないで、
野菜作経営
が安定をしていない。
高度化
して
増大
していく
需要
に
供給
が追いつけない根本的な
原因
が、私はここにあるんじゃないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。特にその
影響
が
露地
もの
野菜
に異常に強くあらわれてきている。
露地
もの
野菜
が一番その
影響
を強く受けている。私は、
農林省
の、いま
三つ
に
分類
いたしました
野菜個々
についての
統計数字
を見ても、はっきりそういう答えが出ているのじゃないかという
気持ち
がいたすわけでございます。
露地野菜
の
作付面積
が四十一年度以来、これも減ってきて、昨年度では、四十一年度に比べますと九八%ぐらいにしか
作付面積
がなかったと思うのです。さらに、他の
野菜
に比べて
格別変動
が激しい。こういう状態は、
気象的現象
のみとは言い切れない。
価格低落
時に対する
不安感
が、
価格
が
低落
するかもしれないという
不安感
が、
農民
に
野菜作付
の
増大意識
という
もの
を起こさせていない、こういう結果になっているのではないだろうか。法律に基づかれて、
野菜
の
指定産地制度
という
もの
を
農林省
は持っておられます。
消費地産地
を指定して、これを四十六年度でさらに
拡大
していこうとしておられる、私はけっこうなことだと思うのです。さらに、
指定品目
の
拡大
も四十六年度ではかっていこうとしておられる、これも私は
時宜
を得たことだと思います。さらに、
協会
のいろいろやっております
事業
の中で、
需要見通し作成事業
にいたしましても、あるいは
安定的生産計画
、
出荷
にいたしましても、それぞれまことに適切な、有効な
事業
である、だれしもがそう認めているわけでございますが、しかしながら、こういったようなことよりも、むしろまっ先にまず
改善
すべきことは、やはり
低落
時の
価格補てん事業
の
内容
の
改善
ではないだろうか、そうであるべきはずだという
気持ち
がいたすわけでございます。少なくとも、
露地野菜
のみにしぼってでもこの
改善
はなさるべきだと思うのです。 具体的に申しますと、第一に、過去の
平均市場価格
の取り方が、過去八年間という点に
一つ
の問題があると思います。確かに八年
もの
間の、長い
期間
の
平均市場価格
ということでありますけれ
ども
、これはこの間、
物価補正
という
もの
をしておられると思います。長い
期間
であるけれ
ども
、八年前、七年前のその
数字
については、
物価補正
はなさっておられます。しかし、
物価補正
がしてあるという
説明
などは、
農民
には非常に理解がしにくい。八年も前の
値段
かと、直感的に安過ぎるという印象を与えてしまっている。私は、ここに
改善
すべき第一点があると思うのです。 二番目に、
保証基準額
の七五%というのは、私は正しい、いいねらいの
数字
だろうと思いますけれ
ども
、
最低基準
が五〇%であって、それ以下の
暴落
は見ない、この
仕組み
が、
農民
の
不安感
を除くのに、せっかくの
仕組み
という
もの
が役立っていない。
産地廃棄
の際の
補てん額
が二〇%にすぎないということも、同じようなことが言えるのではない、だろうか。 第三に、
補給交付金
の
現実
の支給される額という
もの
は、このようにして計算をされた額の八〇%しか支給されない、これが
改善
を
検討
されなければならない第三点であろうと思うのです。 難解で、しかもこのように低い
暴落
時の
措置
では、安心して
野菜づくり
に働こうという心理的な
好影響
を
農民
に持たせることができていない。ここに
露地野菜
という
もの
に対する
農民
の
生産意欲
を阻害している一番大きな根本的な
原因
があるという気がしてなりません。これらの点を
改善
なさるべきだと考えますけれ
ども
、この
改善
は、国が二分の一、県が四分の一、
生産者
が四分の一の
負担区分
の中で、国の
負担率
をふやして
措置
をされるべきであると考えるのです。それは
野菜価格
の高騰が、冒頭に私が申し上げましたような
消費者物価
の全体に及ぼし
影響度
、この強さから見ましても、あるいは
都市生活者
の
野菜価格
の安定を望む希望の強さから考えましても、このように国費が四十六年度で七億を予定されておりますが、たとえこれが倍の十四億になりましても、それはタックスペイヤーとしての
都市生活者
の望むところであって、歓迎するべきところであろうと思うのです。まさに国の責務といえることではないかと考えますから、国の
負担率
を高めることによってこの低
価格
時
対策
の
仕組み
を直していかれるべきだ、こう私は考えるわけです。
野菜
のふえてまいります
需要量
に
供給
が追いつけない。その
供給量
を確保するためのまず第一の基本的な根本はここにあるという
気持ち
がいたしますけれ
ども
、
農林大臣
の御所見を承っておきたいと思います。
倉石忠雄
5
○
倉石国務大臣
だたいまるる
お話
のございましたことにつきまして、私
ども
もまことに同感でございまして、本年、
野菜
が一時的に高騰いたしておりました
原因等
については、もういろいろ
お話
がございましたとおりでございます。 そこで、これをどうしても
改善
してまいるために、
施設もの
につきましての
状況
は、いま
お話
がございました。そのとおりでございまして、大体
計画どおり
に進んでおりますし、なお
指定産地
も、四十六年度
予算
では三十カ所ほどふやして、六百四十の
指定産地
にいたしました。それからまた
指定消費地
も、広島、
札幌等
を加え二カ所ほどふやしている。大体そういう
計画
は進めておりますが、御
指摘
の
露地野菜
につきましては、確かに
お話
のとおりでございます。ことに
一大消費地
でありますたとえば
東京
のような
都市
の
近郊
における農家という
もの
は、何と申しますか、その
値段
がよくなると
市場
に出して売りますし、それほどにならなければ自分のうちで食べてしまう、こういうような
もの
がかなりございます。しかも最近のような
都市
の
状況
になりますと、そういう
方々
も逐次、今度は
野菜づくり
をおやめになっていく。最近の
傾向
で見ておりますと、
東京
を
中心
にして考えますと、米が主でありました福島県とか東北の地域のほうに、そういう
野菜
の
生産地
が大きく移動してまいる
傾向
がございます。そういう
傾向
をキャッチいたしまして、だたいま
お話し
のようなことを加味いたしまして、
政府
といたしましては、やはり
価格補てん
について考慮しなければなりません。
お話
のとおりでございます。 で、まあ
指定野菜品目
を追加いたしましたり、それから
お話
のございました
資金協会
が行なう
価格補てん
、すべての
事業
の
資金
としては大体三十七億円ほどになるわけでありますが、御存じのとおり四十六年度
予算
に佳いままでやっておりませんでした地方の
県当局
が
補てん事業
をいたしますのにも
補助金
を出す形をとりまして、各県でもそういうことをやってまいります。 そこで、いまの
露地野菜
につきましては御
指摘
のとおりでございますので、私
ども
といたしましては、国全体の
経済政策
の中から考えてみますと、やはり
需要
に見合うだけの
生産
が行なわれるためには、いざという場合の
価格補てん
ということを考慮しなければなりません。これは外国でもやっておる
施策
であります。そこで試みに、昨年
高原野菜
につきまして
予算
を四千五百万ほどとりまして、これはまあ幸いにしてそういう実施をいたす
段階
に至りませんでしたけれ
ども
、ああいうようなことにつきまして十分にひとつ
検討
をいたしまして、過剰でありましたときには何かの
補てん策
を講じてあげるということにして、やはり
物価
全体から考えて、
消費者大衆
のことも考えてみますと、
消費
に見合う
生産
、しかもその
生産
を、ある程度ゆとりを持った
生産
をすることが必要ではないか、そういうような考え方で、
稲作転換
に対しまして、
野菜
の
面積
についても当初の
計画
より一万六千ヘクタールほど
拡大
をするようなことを
計画
に盛り込みましたのも、だたいま
お話し
のようなことを考慮いたしての上でございまして、
価格補てん
、そういうことについて、なお一そう
現実
に即したやり方をひとつ考えてやっていきたい、このように考えておるわけでございます。
砂田重民
6
○
砂田委員
価格補てん
のいまの
仕組み
を
改善
していくことには、
農林大臣
も、そういうふうにしていきたい、こうおっしゃったわけでございますけれ
ども
、
自由経済社会
の中で
野菜
を増産させていく、こういうふうなことは、やはり
政策
として打ち出すからには、
農民
にその
意欲
を持たせるべく心理的な
好影響
のある
政策
でなければ、そういう
現実
的な
措置
でなければ
誘導力
がない、こう私は考えるのです。私が御質問をいたしました
内容
、
農林大臣
が私と同じ
意見
で、これを
改善
をしていくという
お答え
をいだたいたわけでございますけれ
ども
、だれよりもだれよりも
農民
を愛するんだとたびたびおっしゃった
大蔵大臣
、
農民心理
についてはお詳しいと思いますので、これの
改善
については、
大蔵大臣
も御賛同をいだたけると思いますが、いかがでございましょうか。
福田赳夫
7
○
福田国務大臣
だたいま
砂田
さんから、
露地野菜
が大事な問題である、私もいま傾聴いたしたわけであります。その
価格
安定をどうするかという問題につきましては、いま御
承知
のような
価格安定資金制度
があるわけでありまして、これに対して
政府
は二分の一の
補助
をしておる。いまそれをまた改めて、なおさらに出資をふやしたらどうだろうというような
お話
もありましたが、大体この種の
資金
ができますのは、三
者分担
といいますか、三分の一、三分の一、三分の一というようなケースが多いのですが、お説のような、
露地野菜価格安定対策
が大事だという見地に立ちまして、特に国は二分の一の
補助
をするということにいたしておるわけであります。 いま七五%という
基準
を設けまして、それを下回るという場合、さらにそれに、その下回った額の八〇%ということになっておりますが、その点にもお触れになっておりますが、なおこの問題はこれでやってみる。四十六年度は相当の
改善
をしていることは、いま
農林大臣
から
お話
をしたとおりでございますが、やってみて支障がある、こういうことでありますれば、これは大事な問題ですから、もとより考えなければならぬ問題でありまするが、それじゃ逆にこの
価格
が暴騰した、
暴落
じゃなくて暴騰したという場合に一体どうするかというような問題もあるのです。そういう問題をどうするかということもお互いに
検討
しなければならぬ問題かと思いますが、なお
推移
を見て、大事な問題としての認識のもとに取り組んでいきたい、かように考えております。
砂田重民
8
○
砂田委員
暴騰したときの
措置
もあわせてお考えいただくのが私は当然だろうと思うのです。ただ、
暴落
時のいまの
補てん
のしかたが、
農民
に安心して
野菜づくり
をもっとたくさんやるという
気持ち
にさせていない、そこのところを御
検討
いただきたいと私は申し上げたわけでございますが、どうぞひとつその点、前向きに御
検討
いただきたい。強くお願いをしておきたいと思います。 話題を変えます。
総理
も、朝起きられますと歯をみがかれる。おそらく
チューブ
の
歯みがき
をお使いになっていると思いますけれ
ども
、あの
チューブ
の中に入った
練り歯みがき
という
もの
は、実は
チューブ
の容量に比べますと六五%ぐらいにしか入っていないのです。
総理
も、
歯みがき
を
総理
の御家庭でお買いになると、三五%は要らない
チューブ
を買わされておられるわけでございます。そうすると、箱も大きくなるわけですね。
一つ
の
歯みがき
だけを取り上げればたいしたことではないかもしれないけれ
ども
、これが一ダース、
ワングロス
となりますと一しかも、
歯みがき
だけではなくて、こういう
過大包装
があまりにも最近多過ぎる。まさにこれは、
社会的浪費
と呼んでもいいんじゃないかと思うのです。
消費
は
美徳
という時代になりましたけれ
ども
、
浪費
は決して
美徳
ではありません。
デパート
の中でむだなスペースを占めている。
輸送
にもむだな
輸送費
を払っている。それをすべて
消費者
が
負担
をしているのが現在でございます。 私
ども
が
デパート
でワイシャツを買いますと、
セロファン
の袋に入ってくる。その
セロファン
の袋に入った
もの
を
ボール箱
に入れてくれて、それを
デパート
の
包み紙
で包んで、それを
買いもの袋
の紙の袋にさらに入れてくれる。その
包装費
の
相当部分
を
消費者
は
負担
をしております。ワイシャツの一緒に
社会的浪費
を買わされている。持って帰りますと、たいていそれがごみになりますから、地方公共団体の清掃局がよけいな金を使って、われわれは地方税のむだ使いもまたしている。往復びんたでございます。私は、こういうことをいろいろな商品について
検討
するべきだと思うのです。
公正取引委員会
は
過大包装
について、昨年の暮れに
調査
を終わりました。
公正取引委員会
がおやりになる仕事は、不当景品不当表示防止法に基づく
もの
だけであろうと思いますけれ
ども
、それだけではなくて、そういった
社会的浪費
的な包装、容器という
もの
があまりにも多きになり過ぎてきた。やはり大量
生産
、大量
消費
時代、企業の間の競争が激しくなってまいりますと、そういうところで、
消費者
に対してのシェア競争がなおエスカレートしてきている。
物価
問題全体の中で財政
政策
あるいは金融
政策
全体についての非常にアカデミックな議論も、
検討
も必要でありましょうけれ
ども
、個々の商品の小さい問題についての
価格
対策
という
もの
を積み上げていかなければ、
政府
が発表なさる統計資料という
もの
と
消費者
が買い
もの
をするときの実感という
もの
は、だんだんかけ離れていってしまう。 私は手元に、神戸
消費者
協会
が調べました、贈答品の中身の
値段
と容器の
値段
の
分類
した
もの
の表を持っているのです。千円のお砂糖を買いますと、千円のうち、七百円中身の砂糖が入っていて、容器代が三百円。もっと激しいのになりますと、プラスチック容器等では、千円のお砂糖を買いましたならば、その中にお砂糖は四百四十八円しか入っていない、容器が五百五十二円だという極端な
もの
まで出てきているありさまでございます。 これは
消費者
の態度が悪いのか、あるいは企業の姿勢に間違いがあるのか。これは
公正取引委員会
が不当景品不当表示防止法というたてまえから
検討
なさるだけでは、私は解決しないと思うのです。むしろ通産大臣が持っておられますところの産業構造審議会に、こういうことは積極的に提起をなさって、やはり企業、
消費者
ともに議論をされる産業構造審議会のどこかの部会で
検討
をしていただかなければならない問題だと思うのでございますけれ
ども
、通産大臣はどうお考えになりましょうか、承っておきたいと思います。
宮澤喜一
9
○宮澤
国務大臣
その問題は以前からしばしば議論になっておりまして、私も、かつて
消費者
の団体の
方々
に、そういう一見むだだと思われる包装のある
もの
とない
もの
と二つ並べて、そして幾らかでも安ければ包装のない、つまり必要な部分だけを買っていかれるというようなことにならぬ
もの
でしょうかということをお聞きしたことがございますけれ
ども
、経験的にはそれはむずかしいそうでありまして、
消費者
という
もの
は、やはり包装という
もの
を買っていく部分があるんだそうでございます。これはたとえばテレビとか電気冷蔵庫で、スタンダード型という
もの
は御
承知
のようになかなか売れないわけでございます。どうしてもデラックスのほうが売れてしまうということと同じような原理があるそうでございますから、全くむだな
もの
を買っているということも言い切れぬのではないかと思います。いずれにいたしましても、不当表示あるいは不当景品ということにならないまでも、そういう問題はあろうと思いますから、
生産
側においても
検討
すべき問題だとは思いますけれ
ども
、
消費者
の心理は、全くただの
もの
を買っていくという感じでもないように聞いております。
小林進
10
○
小林委員長
砂田
君に申し上げます。あなたの持ち時間は終了いたしました。
砂田重民
11
○
砂田委員
終わります。
小林進
12
○
小林委員長
武部文君。
武部文
13
○武部委員 先般ある通信社が、
佐藤
四選後の内閣に何をやってもらいたいかというアンケートを発表いたしておりますが、その発表によりますと、まず
物価対策
五四・二%、公害一五・九%、農業二二・五、減税一二・七。
物価対策
という
もの
はことほどさように、
国民
の側から見てたいへん重大な問題でありまして、
佐藤
内閣に大いに期待をしておるわけでありますが、先ほど
砂田
君の質問に答えられて、
物価
問題については、残念ながら予想どおり進んでいない、大いに
努力
をしてもっと低いところに落ちつけたい、こういうような答弁がなされております。私は、今日まで
佐藤
内閣がとってきた
経済政策
の
見通し
と
現実
の姿という
もの
を比較してみると、非常に大きなギャップがあるということを
指摘
せざるを得ないのであります。 四十二年の
経済
社会発展
計画
で、
計画
期間
の終わりには三%程度に低下させることを目標とする。ところが、四十五年度の新
経済
社会発展
計画
では、この三%程度というのが今度は三%台ということに変わっておる。三%台ということは三・九まであるということです。これ
一つ
とってみても、非常に
内容
は変わってきておる。 ところが、
現実
はどうか。四十四年度の
佐藤
内閣の
消費者物価
の
見通し
は五%でありました。途中で五・七%に改定をいたしましたが、結果は六・四という
数字
となってあらわれました。四十五年度は四・八ということをいわれて、私
ども
は
委員会
で、四・八は全く架空な
数字
ではないか、こういうことを
指摘
いたしましたが、
企画庁長官
は、たいへんこれに固執をいたしておりました。結果は七・三%に改定をする、こういうことになったわけでありますが、とてもこれでおさまりそうにもない。すでに暦年七・七%という
数字
になってあらわれておる。これは全く
政府
の目標と逆行しておる。
政府
の
計画
という
もの
は完全に狂っておる。私はそういうことを
指摘
せざるを得ないのであります。できもしないような架空の
数字
を
国民
に示して、これを
政府
の公約だという。その公約が完全に果たされていない。
国民
を裏切っておる。一体この責任を
総理
はどのように感じておられるのか。これを最初にお
伺い
いたしたい。
佐藤榮作
14
○
佐藤内閣総理大臣
消費者物価
のわれわれが
計画
したところの
もの
と実際が非常に違っておる、こういうことを御
指摘
でございました。これについては、先ほど
砂田
君にも
お答え
したとおりに私思いますが、その
原因
は一体どこにあるのか。これはやはり、
原因
もあわして考えていただきたい。私は、
経済
成長その
もの
がわれわれの考えたより以上に成長が大であった、そういうことはやはり
消費者物価
にも
影響
している、これは見のがせない、かように思います。このほうは、とにかく幸いしたのだからあまり追及はしない、しかし
物価
のほうは、
国民生活
に直接
影響
を与えるから、そのほうだけをやかましくいま取い上げている、こういうことが実際だろうと思いますが、とにかく、いずれにいたしましても
計画どおり
にできておらないこと、これは何と申しても悪い、これは弁解にならない。ただ、私
ども
一言弁解したいのは、いわゆる統制
経済
あるいは
計画
経済
ではないんだ。そこで、
経済
も成長する、同時に、それに関連してのいろいろのひずみも生じてくる、こういうような問題がある。この点を御了承いただきたいと、かように思います。
武部文
15
○武部委員
総理
は、四十二年の施政方針演説で、とにかく五%という
消費者物価
の上昇は異常なことだということを演説しておられましたが、このごろでは五%はもうやむを得ぬ、五%はしかたがないというようなニュアンスに変わってきておる。そこで私は、
総理
の
物価
に対する認識に大きな疑問を持つのであります。 そこで、具体的にひとつお
伺い
をいたしたいのでありますが、今度の国会の
予算
委員会
の第一日目、与党の質問に答えて、
佐藤
総理
が
物価
問題に答弁しておられました。最初私は、私の聞き違いだろうかと思っておりましたが、議事録ができ上がってまいりましたので、これを読んでみたところが、私の聞き違いではなかった。そこでひとつ、
佐藤
総理
の
物価
問題に対する認識について、私は大きな疑問を持つのでお
伺い
をいたします。 この議事録によりますと、「ずいぶん
物価
も上がると、かように言われますが、金利を上回るような
物価
の上がりはまだ出ておらない。そういうことを考えると、やはり
国民
も貯蓄ということを意味のあることだと、かように考えておるように私は見受けております。しかし、
物価
の上がりが金利を上回るような状態ができると、これはたいへんだと思っております。」こういう答弁になっておるのであります。
総理
は、いまでもそう思っておられますか。
佐藤榮作
16
○
佐藤内閣総理大臣
いまもなお同じように考えております。
武部文
17
○武部委員 これは全くたいへんなことであります。定期貯金の利息は、一年
もの
で五・七%であります。利息は税引きで四・六%であります。これは、
大蔵大臣
が隣におられますが、絶対間違いない。大蔵省からはっきり確かめてきたわけであります。こういうようにはっきりと
数字
があらわれておる。あなたは、いまの日本の
消費者物価
は金利より上回っておらないとお思いですか。いまもそう思っておられますか。
佐藤榮作
18
○
佐藤内閣総理大臣
いまの
消費者物価
は、いわゆるいまの言われたような比べた
状況
のもとにおいては、
消費者物価
のほうが高い、これはもう御
指摘
のとおりであります。
武部文
19
○武部委員 そういたしますと、先ほど私が読み上げた、
総理
の松野委員に対する答弁は、間違いではないですか。間違いなら間違いと、はっきりここで訂正されたほうがいいのじゃないでしょうか。
佐藤榮作
20
○
佐藤内閣総理大臣
時期的に、長期的にそういう状態が続くか続かないか、ここに
一つ
の問題があると思います。これがいわゆるいま、今日問題になり、私
ども
はこういうような上がり方について取り組んで、それを下げようと、かようにしておるわけであります。だから、つかみ方というか、高いところでおつかみになると、ただいまのような御
指摘
になり、これはよろしくないということになります。
武部文
21
○武部委員 私は別に、今月の
物価
の
値上がり
の
数字
を言っているのじゃないのです。
総理
府統計局が発表した
数字
でも、四十五年、暦年七・七という
数字
をすでに発表しておるのです。
経済企画庁
もこれを認めておるのです。そうして、四・八という当初の目標を七・三に変えさるを得ない——七一三という
数字
に、
現実
に
経済企画庁
は改定をしたじゃありませんか。私は別に、いまこの瞬間の
数字
を言っているのじゃないのですよ。
総理
の言っていること、ちょっと私、理解できません。間違いなら間違いと、はっきり言われなければ、
総理
の見解は、金利よりも
物価
が上がっておらないのだからそんなに心配要らぬというような、そういう
もの
の考え方で
物価対策
をおやりになるなら、これは
国民
は、あなたにたいへん大きな不安を持つと思うのです。いかがでしょう。
佐藤榮作
22
○
佐藤内閣総理大臣
どうも、ことばが瞬間的だという、そういうことではございません。やはり
物価
の指数も、ある程度の
期間
をとって見ている。これがやはり一般の金利と比べて高い、それが非常に長期に続いている、こういうときに問題がある、こういうことを申すので、私はその点では、ただいまのように、瞬間的な、まあ秒速を言われるわけじゃないと私も思いますが、そういう
もの
ではないということを言っておるわけです。
武部文
23
○武部委員 私は、
総理
の答弁に満足いたしません。四十四年度の
物価
の上昇も六・四でありました。ことしはおそらく七・五になるだろう。これは
総理
府統計局の
数字
でも、そうなっておるのです。そういう点について
総理
が
予算
委員会
で答弁されたことについて納得いたしませんし、また、そういうお考えで
物価
政策
をおやりになるならば、これはいかにあなたがどのようなことを言われようとも、根底にそのようなお考えがあるとするならば、私は、
国民
は大きな不安を持つだろう、このことだけ申し上げておきます。 かつて、そこにおられる宮澤さんは、私
ども
の
委員会
で
企画庁長官
の時代に、
消費者物価
が五。五%を上回ったら、その
経済政策
は失敗だ、このように答えておられます。また同様に宮澤さんは、米あるいはみそ、パン、しょうゆ、
ジャガイモ
、肉といった、そういう
もの
だけは
値段
が動かない
もの
だというふうに
国民
が思い込める世の中にならなければ、政治がうまくいっているとはいえないと思うと、こういう発言をされました。私は全くそのとおりだと思う。現状はどうでしょうか。いま読み上げましたその物資は、全部大暴騰したり、あるいは
ジャガイモ
あたりに至っては大
暴落
をしたり、動く、動かないどころか、たいへんな動きをしておる。これはりっぱな政治ではない。このように言ってこれは差しつかえないと思うのです。 また同時に、そこにおられる
福田
大蔵大臣
も、金利を上回るような
物価
は万難を排しても避けねばならぬ、こういう発言をしておられるのであります。 このように、当面目標とするところは金利、少なくとも金利を上回るような
物価
という
もの
は全く失敗だということが言われておるにかかわらず、現状は七・七というような、あるいは八%が近いような
数字
になっておる。こういう点について、一体
佐藤
内閣は、その責任をどのように感じておるだろうか。また、責任を感じておるとするならば、一体どのような
政策
をとって
国民
の不安にこたえるだろうか、こういう点を、私は特に
佐藤
総理
にお聞きしたいのであります。 そこで、この
政府
の諮問機関であるところの第一次、第二次
物価
問題懇談会、あるいは
物価
安定推進
会議
、さらには
物価
安定
政策
会議
、こういう
もの
が一連の有効な提言を二十幾ついたしました。すでに御
承知
のとおりであります。一体、この提言はどのように実行されたのか、
総理
としては、この提言を実行したとお考えでしょうか、どうでしょうか。
佐藤榮作
24
○
佐藤内閣総理大臣
完全に実行したとはいえない。中には実行した
もの
もあるだろうと思いますが、これは
佐藤
企画庁長官
から具体的に答えさせたい、かように思います。 これは
政府
自身がその方向あるいは方針として授かっておる
もの
もございますから、その方針は十分尊重しておる、かように私は考えております。 具体的な事例については、
佐藤
君から
説明
させます。
佐藤一郎
25
○
佐藤
(一)
国務大臣
だいぶ以前からさかのぼっての
お話
でありますから、多岐にわたりますが、まあ一例をとってみますると
物価
安定
政策
会議
、この
物価
安定
政策
会議
ができまして、四回の勧告を行なっております。そのうち
一つ
は技術的な問題でございますが、その中でも、たとえば行政介入と
物価
というような問題について貴重な
意見
が出されております。 私
ども
も、これらにつきましては御存じのように
物価対策
閣僚協議会におきましてこれを十分に取り上げ、そうして、それぞれの所管省において、これの実行を目下やっておるわけでございます。 御存じのように、免許制度、許可制度、そうした行政介入が実は
価格
の硬直化をもたらしておる、これを排除すべきである、こういう勧告に対しまして、酒類の免許あるいは薬局の問題その他各種の行政介入、タクシー問題等について、われわれとしても具体的に実行を進めておるのであります。 あるいはまた、
野菜
の
流通
機構につきましては、御存じのように、いまわれわれは卸売
市場
法の成立を急いでおりますけれ
ども
、そうしたことを
中心
にして、あの提言が主たる
内容
としておるところの主たる
内容
について、それの実現をいまはかろう、こういう心組みでいるところでございます。 そうしたことで、
政府
といたしましてもそうした各種の提言については、十分にこれに耳を傾け、できるだけこれの実行をはかるようにやってまいる、そういう方針でいままでもまいりましたし、なお目下
検討
を続けている
もの
もございます。そうした
もの
についても、できるだけわれわれとしては、その実現について早急に処置してまいる、こういうつもりでおるわけであります。
武部文
26
○武部委員 いま第一次、第二次あるいは安定推進
会議
、
物価
安定
政策
会議
の提言について述べられましたが、私の
調査
したところによれば、ほとんど実効があがっていない、このように断言しても差しつかえないと思うのです。
総理
はかねがね、
物価
問題は議論の
段階
ではない、もうこれは実行の
段階
だということを言っておられる。だとするならば、私はこの際、
総理
が蛮勇をふるうというならば、この
物価
問題にこそ蛮勇をふるうべきだと思うのです。 そこで、さしむき、当面出されておる行政介入と
物価
という問題、この点について私は一、二、すぐにでもできる問題があるじゃないか。また、そのことが相当自由競争に
影響
を与えて、
価格
の
変動
に直接
影響
するところが大きいじゃないだろうかという点がありますので、この点を
一つ
、二つ申し上げて、見解をお
伺い
いたしたいのであります。
一つ
は、先ほどから
経済企画庁
長官も述べておられるようでありますが、ビール、酒の問題であります。 この問題は、私
ども
が何回か論議をいたしました際に、当時
政府
も、ビールの値上げあるいは酒の六十円の値上げにも、国税庁の行政指導があったじゃないかというような、いろいろなことがうわさをされました。また、ビールの値上げについては、
政府
みずからがビール会社に対して、値上げを思いとどまるように、こういうことを言われたけれ
ども
、これは実効をあげず、ついにさみだれ的に上がってしまったわけであります。このビール、酒の免許制度の問題がこの提言の中にございます。もちろん、この酒の免許を全面的に改正するということについては、いま直ちに
佐藤
内閣にそのことを要望することは無理のようであります。そうだとするならば、免許制度の緩和についてどのようなお考えがあるのか。先般、
経済企画庁
は、免許制度の
改善
について、国税庁に強く申し入れをしておるようであります。そういう点について、国税庁は渋っておる。 それならば、一体今日まで、酒の免許がどの程度緩和されたのか。こういう点をいろいろ調べてみると、
数字
に大きな疑問を持つわけであります。国税庁の発表の
数字
によりますと、この十年間に、小売り店の数がふえたのは約十五%であります。ところが、同じようにこの十年間に、ビールの
生産
量は四倍にふえておるのであります。加えて、
総理
がかねがね生協の育成ということを言っておられますが、生協に、この酒なりビールの免許を与えるべきではないか、こういう点で、生協はそれを全国各地で申請をする。ところが、これに対して免許がほとんど与えられない。きのうの私のところに来た報告によると、去年の四月からわずかに六件、生協に免許がおりておる。この程度であります。 少なくともいまの自由
価格
であるべきビールなり酒の
値段
が全く末端まで同一の
価格
である。それを打ち破るためには、少なくともこの免許制度を大幅に緩和をして、末端において自由に競争が行なえる、その中で
価格
の上下という
もの
が当然起きてくる、それをなぜおやりにならぬのか。私は、
総理
と
大蔵大臣
からお聞きしたいのであります。
福田赳夫
27
○
福田国務大臣
確かに大蔵省の指導、これはいままでというか、一昨年ごろまでは、免許をあまり与えないという方向だったと思うのです。過当競争を防止して、卸売り店、小売り店の業態が悪くなるということを防ぐというほうが重点だ。つまり酒税を確保する、こういう観点であります。しかし、
物価
問題が非常にうるさくなり、そして
経済企画庁
からの提言もある。そういうことで、そこで方針を変えまして、免許
基準
を緩和するとかという方向において緩和しよう、こういう
政策
というか、行政方針の転換をいたしたわけです。それでかなりふえるようになってきております。 それから、生協についていま六件という
お話
がありましたが、これは申請が、去年の四月から今日まで十一件あったのです。そのうち四件が、これは取り下げをしました。そして七件残ったわけでありますが、一件が不免許でありまして、六件が免許、こういうことになりまして、これも従来にない画期的なことなんです。これからも同じ方向でさらにこれを進めていきたい、かように考えております。
武部文
28
○武部委員
大蔵大臣
は画期的だとおっしゃるが、とんでもない話であります。あなたも御
承知
だと思うけれ
ども
、酒類の認可申請というのはたいへんめんどうなんですよ。こんなに厚い書類をそろえていかなければ、これは受け付けられないのですよ。そうして条件がまことにきびしい。そうして
国税庁長官
通達という
もの
が出ておる。これは
物価
の
委員会
で何回か論議いたしましたが、そういうめんどうなことをやるから、小さなところではできないのですよ。そういうやり方をしながら、六件とって、十一件のうち六件だから画期的だ、そんな答弁は私はいただけない。少なくとも今日、全国で十年間にわずかに一五%ぐらいしかふえていないのですからね。これはそのとおりなんです。そういう点から見ると、この提言に沿って大幅に制限あるいは条件、そういう
もの
を緩和をして、末端において自由な競争ができるように、私はこの提言を——これは直ちにできることだと思うのです。ぜひやっていただきたい。どうでしょうか。
福田赳夫
29
○
福田国務大臣
一面において酒税を確保する。あまり過当競争になりまして倒産、破産が出る、こういう状態でも困るのです。その辺を含みとしながら、しかし、
物価
問題も非常に重要な
段階
に入ってきた。それには末端の競争、これが大事である。そういう認識に立ちまして免許
基準
、これを緩和する、そういう方針転換をしましたのは最近のことなんですから、まあ、そうけばけばしい実績は出ておりませんけれ
ども
、もう少し
推移
をごらんくださいまし、こう申し上げます。
武部文
30
○武部委員 酒税、酒税とおっしゃるが、酒税は蔵元で取っておるのですから、末端の小売りには
関係
ないのですよ。蔵元で、すでに蔵出しのときにちゃんと酒税は取っておるのですから、それは理屈にならぬのです。 いま
一つ
、砂糖の
値段
。
佐藤
内閣の評判は下がっても砂糖の
値段
は上がるのでして、これはちょっと問題なんで、この「行政介入と
物価
について」の中に一項目ございまして、最低
価格
保証制度の
検討
というのがありますね。この中に、砂糖の
値段
に触れて提言がございます。 この砂糖の
値段
は、いろいろ調べてみると、
輸入
の
価格
はキロ約四十円です。(発言する者あり)
佐藤
じゃなしに砂糖です。(笑声)キロ四十円で
輸入
をするわけですが、それに関税が四十三円四十六銭かかって、調整金が一円三十二銭、いま四銭ぐらいだそうですが、これに
消費
税が十六円かかって、製造販売経費が十八円、これで合計百十六円七十三銭、
流通
経費が二十六円二十七銭、そうして
消費者
の目の前にあらわれると百四十三円ということになる。四十円の砂糖が百四十三円になる。 そこで、これは一体どういうことか。ここでその
内容
に触れておることは、これは明らかに国内糖を保護するための配慮だ、したがって、そのような配慮は別の面でやるべきじゃないか、そのしりぬぐいを
消費者
に押しつけるということは間違いじゃないか、こういう提言をいたしておりますね。チクロ問題で大騒動が起きました。したがって、チクロを使っておった
もの
は、全部砂糖にかえなければ売れなくなった。砂糖に全部これをかえたら
値段
がどんと上がったのです。ここで少なくともこの原価構成という
もの
にメスを入れて、この提言を実行するならば、少なくともここで約六十円の関税、調整金、
消費
税という
もの
は、これはほとんどなくなるはずなんです。こういう点は、この提言を実行することによって、砂糖を使っておるところのあらゆる商品の
値段
という
もの
は相当下がるのではないだろうか。こういう点は、内閣としてほんとうに決意を持ってやるとするならば、
物価対策
の一助になるのじゃないだろうか、私はこう思うのですが、御見解を承りたい。
福田赳夫
31
○
福田国務大臣
砂糖は一体どういうふうにいま使われておるかということを見てみますと、大体菓子なんです。七割ぐらいになりますか、もっとこえますか、そういう菓子なんです。砂糖の
値段
が幾らか下がったという際に菓子の
値段
が下がるかということを考えると、なかなかこれはむずかしい問題じゃないか。反面におきまして、この砂糖
消費
税、関税がどういう役割りをしておるかというと、いま御
指摘
のように、これは国家財政にも貢献をいたしておりまするが、同時に、国内糖の保護という役割りもしておるわけなんで、その両方の利害得失をはかりにかけた場合に、一体どっちがどうかという判定の問題になろうかと思うのでありまするが、どうも税を引いてみてもあまりききそうもない。そういう状態下において、財政上、あるいは甘味資源
対策
、国内糖の保護、そういう
政策
目標を困難にならしめて、さてどんな
もの
だろうか、こういうふうに考えておる次第でございまして、ただいまのところは、関税、
消費
税については、これを動かすというような考え方はとらないという方針でございます。
武部文
32
○武部委員 ですから、そういう考え方だから、提言をほんとうに真剣に考えておるのだろうかということに疑問を持つのです。この調整金という
もの
は、確かに一キロについて一円三十二銭とか、いま四銭ぐらいになっておるそうですが、すでにこれは約二百億以上の金が大蔵省にあるはずなんです。そうでしょう。二百億以上たまっておるはずなんですよ。あなた方は、
国民
からちゃんと取って、それを持っておるだけなんでしょう。そういう
もの
を
一つ
も利用しようとしない。ですから、この提言の中に書いてあるように、
消費
税の問題はまた別です。それから、関税なり調整金の問題もまた別な面です。しかし、この問題についてメスを入れようとするならば——あなたはお菓子お菓子とおっしゃるが、清涼飲料水、こういう
もの
にも全糖入りということにして、全部
値段
を上げたんですよ。全部チクロが入っておった、チクロはだめだ、全糖入りということを書いたとたんにさえ、向こうに負けておるじゃありませんか。そういうように、チクロが砂糖にかわったというだけでもたいへん大きな
影響
を与えたのですから、こういう問題についてはもっと真剣に取り組むべき必要がある、私はそう思うのです。 次に、
物価
指数のことについて見解を承りたいのであります。 先ほどから私は、七・七とかあるいは
政府
の言う四・八%とかいう
数字
を申し上げました。確かにこれは、一応いまの学問的な点から
総理
府発表の
物価
指数であります。いろいろ問題があるとは思いますが、三百六十四品目の平均の
数字
だということについては、一応、いまわが国では採用になっておる
数字
でありますから、これはとやかく、いまのところ申し上げません。しかし、一体それならば、いまの
物価
上昇、
物価
の問題は、この
物価
の平均の数でもって、政治がそれに易々としてこれを見ておっていいだろうかということに私は疑問を持つのであります。なるほど学問的な
数字
かもしれませんが、
現実
にいまの
物価
上昇の
内容
がどのように家計を圧迫しておるのか、
国民生活
に
影響
を与えておるのか、あるいは階層別にどういう
影響
を与えておるのか、こういうことについて詳細な
検討
をして、そうして
物価
上昇の
内容
が片寄っておる、こういう点に政治が目を向けていかなければならぬじゃないだろうか、私はそう思うのです。 ある銀行の
調査
によりますと、主婦の実感をつかむために、一年に百回以上家計簿に記入された日常購入品を十項目、これは
野菜
とか主食、肉あるいはお菓子、そういう
もの
について
調査
をしたところが、
総理
府統計局の発表
数字
の約一・五倍という
数字
が出ておるのであります。つい先日、二月三日に
物価
安定
政策
会議
に提出をざれた資料によりますと、最近一年間の
値上がり
のブラックリストが提出されたそうでありますが、この表によると、私が先ほど申し上げました銀行の
調査
と同じように、三百六十四品目のうち約百七十品目が前年比一〇%以上の
値上がり
をしておるということが、
調査
の結果出ております。最高は
タマネギ
で、何と前年に比べて一三二・五%の上昇であります。魚の最高はアジで、三七・六%の上昇であります。 このように、平均値はなるほど七・七かもしれませんが、
現実
に個別的な
物価
をずっと洗ってみると、一番
国民生活
に
影響
を与えておる
生鮮食料品
あるいは衣類、そういう
もの
に対する上昇はきわめて高いのです。こういう
もの
を一体これからどうするのかということに政治が目を向けていかなければならぬのじゃないか、私はそう思うのですが、
総理
はどのようにお考えでしょうか。
佐藤榮作
33
○
佐藤内閣総理大臣
いま武部君のあげられた数は、そのとおりだと私思います。また、最近、外国で
物価
の状態を私の党から行って調べて帰ってきた人の報告を聞くと、日本の場合に、日本の食品と申しますか、食事代が一番高い、この辺はとにかくくふうしないといかぬのじゃないか、いろいろの
もの
が高い高いというが、どうも食事代が一番高いように思う、こういうことを
指摘
しております。これなどは、ただいま言われるように、家計簿に最もたくさん載ってくる。それが魚であり、あるいは肉であり、そういうような形であらわれておるのだろうと思いますので、私
ども
は、これから取り組む場合に、やはり重点は何と申しましても家庭、しかも台所につながる
もの
、そういう
もの
についてわれわれの目を向けて、指導監督を十分にすることが必要ではないだろうか、かように思っております。
武部文
34
○武部委員 私が申し上げたいのは、教養娯楽費というような
もの
は、ある程度切り詰めることができると思うのです。しかし、
現実
にいま私が申し述べたような品目は、買わないで済ませることができない
もの
なんです。ですから、五分位階層別に調べてみましても、ほとんどどこも、食料品については同じなんです。したがって、低所得者層がこの
物価
の重圧を受けることは、この面からも明らかなんです。そういう点から、この
物価
指数の認識について、
国民
、特に主婦の皆さんという
もの
は、この
総理
府発表の
数字
という
もの
が実感とかけ離れておる、これは
数字
の魔術じゃないか、こういうことを言っておることは、私は当然だと思うんです。 そこで、昨年の通常国会の際に、この
物価
指数の問題に触れたわけでありますが、
総理府統計局長
は——現在の日本の
物価
指数のとり方は五年ごとにやっておりますね、五年ごとに改定をしておる。ところが、イギリスあたりは連鎖
基準
方式といって、一年ごとにこれは変えておる。こういうやり方をしておる。また、イギリスなりアメリカという
もの
は、家屋の購入費も
消費者物価
指数の中に入れておる。そうして、できるだけ
国民生活
の実感に即したような
物価
指数という
もの
を
検討
いたしておるのであります。したがって、通常国会の際に、
総理府統計局長
は、今後、ことし
物価
指数の改定の際に家屋の購入費という
もの
を採用したいということを言明されたのであります。そうして、三百六十四品目を大体四百二十品目ぐらいにこれをふやして、
国民
の実感に少しでも近づこうという
努力
をしておる。こういうことは私はけっこうなことだと思うのです。 去る十二月二十三日の
物価
安定
政策
会議
も、この住宅購入費について、
物価
指数に入れるべきだという提言をしておるのであります。これは
経済企画庁
長官も御
承知
のとおりだと思う。 ところが、奇怪なことに、与党の自民党の
物価
問題
調査
会がいろいろの理由をあげて、この家屋購入費は反対だ、これを
総理
府の
消費者物価
指数に入れることには反対だ、そうして近く正式に
政府
に対して反対を申し入れるということが報道されておるのであります。そうして、もしかりに家屋の購入費が
物価
指数に入るとなると、〇・四%程度
消費者物価
を上げることになり、ただでさえ
物価
指数が高くなっておるのに、こういう
もの
を入れたら八%をこえるという政治的な配慮があるのではないかとさえいわれておるのであります。もしこれが事実とするならば、まことに言語道断だと私は思う。学問的な、そういう専門的な
調査
、
物価
指数に対して、なぜ政治がそういう
もの
に圧力をかけて、
国民
の実感に密着するような
数字
の算出根拠にすら介入しようとするのか、私は、これが事実とするならばたいへんなことだと思うのですが、
総理
大臣はどうお考えでしょうか。
佐藤榮作
35
○
佐藤内閣総理大臣
家屋の購入費を
物価
指数に取り入れることが一体どういうような状態になるか、いわゆるそれが〇・四%上がるとか上がらないとかいう問題ではなしに、常時そういう
もの
が取引されているかいないかという、こういうような点から議論のあることは、私も
承知
しております。しかし直ちに、いま御
指摘
になりましたように、この統計資料に政治が介入するなと、かようなおしかりを受けるような問題ではないように思います。これは十分議論を尽くして、しかる上でこれを取り入れるかどうか。というのは、しょっちゅうあるような問題と、そうたびたび頻度のある
もの
でもない、こういう
もの
を一緒にして
物価
指数をとるということは、私、どうかと思うのです。だから、そういう点は議論があるだろうと、かように思います。 政治が介入する、こういうことではなしに、
消費者物価
をきめる
物価
指数をどういうような取り方をするか、こういうことが必要だろうと思います。私はむしろ、いまの情報化時代に、もっと頻度をたくさんすること、もっと続けて統計をとること、そのほうが望ましいのじゃないだろうか。いまの統計を
総理
府でとっているのにいたしましても、これが非常に短期に行なわれている、こういうことでは実態をつかむことはなかなかむずかしいのではないか、かように思います。これを
改善
するように申しましたから、最近は変わっておろうかと思いますが、こういう点が、やはりいま情報化の時代でございますから、もっと正確な統計をとる、そうしてその
数字
を基礎にしていろいろの
施策
を進めていく、こういうことにならなければいかぬ、かように私は思っております。
武部文
36
○武部委員 少なくともこの
消費者物価
の指数というようなことは、理論的、学問的な問題であります。したがって、この家屋購入費については、
総理
府統計局がいろいろな見解を述べ、また外国の例も
調査
をし、先ほど申し上げるように、イギリスなりアメリカはこれをとっているわけですし、また、いま
総理
は長期にということをおっしゃるが、五年ごとでは、いまのような時代にはそぐわぬじゃないか、五年ごとに統計を変えていくようなことじゃなしに、連鎮
基準
方式のように一年ごとにしたほうが、こんなに
変動
がきびしいのだから、それこそ実感に即したことになるのではないかという
意見
もあるのです。そういう理論的、学問的な問題に、与党の
調査
会が、そういう
もの
を入れるのはけしからん、反対だというようなことを
政府
に申し入れること自体、私はおかしいと思うのです。そんなことはあってはならぬことなんですよ。それは
数字
が上がるから、何か
数字
が上がっちゃ困る、だから下げておけというようなことがもし背景にありとするならば、私はこれは問題だと思うのです。ですから、これはあくまでも、さっきから言うように、理論的、学問的に
総理
府統計局にまかしておけばいい、何も政治が介入する必要はない、私はそう思うのです。
佐藤
経済企画庁
長官、いかがですか。
佐藤一郎
37
○
佐藤
(一)
国務大臣
いまの問題は、すでに
総理
が
お答え
になりましたように、全く政治的な意図を加えるべき筋の
もの
ではございません。純技術的に、客観的に、これを作成について考える、そういう意味において、いまいろいろと御
指摘
になった点は、
政府
においても
検討
の素材として
検討
はしているところでございます。そういう意味において、十分そういう点のお疑いのないように、われわれ絶対そういう角度からは
もの
ごとを取り上げておりません。いまの建築費の問題は、われわれとしましても、できるだけこの方向でもってやっていくべき
もの
であろうということで研究しているわけであります。
武部文
38
○武部委員 四十六年度の
消費者物価
の上昇
見通し
を五・五%にとどめたい、こういうことが
総理
の演説でなされました。先ほどから私申し上げるように、五・五という
数字
は異常であります。私は異常だと思うのです。
物価
安定
政策
会議
の議長をしておられる中山伊知郎さんが、われわれの
物価
問題
特別委員会
に参考人として出席をされたときにも、五%以上という
もの
はいけない、こういうことを述べておられました。また、五%以上
物価
が上がった、あるいは
政府
の
見通し
以上に
物価
が上がった、こういうときには、責任をとるためにも何らかの
措置
を
国民
にすべきではないか、こういう
意見
がありました。四・八と言った
数字
が七・七になった。だとするならば、
国民
に対する公約は、これはほごになったわけであります。その責任をとるために、少なくとも累進税の減免とか、あるいは所得税の減税を大幅にするとか、そういう点で責任をとるべきだ、こういう
意見
を戦わしたことがありますが、
大蔵大臣
は、この点についてどうお思いになりますか。
福田赳夫
39
○
福田国務大臣
責任とかなんとか、そういう考え方ではございませんけれ
ども
、結果においては、だたいまの
お話
のような
施策
をとっているのです。つまり四十六年度
予算
におきましても、それに関連いたしまして所得税減税をやっております。これは、四十五年度において三千億所得税減税をやった、そのあとにおいて引き続いて何のための所得税減税か、こういうことでありますが、これは私は、
物価
変動
、こういうことがあるから、どうしてもそういう
変動
下においては所得税減税を続いてやっていかなければならぬ、そういう見解に立ちまして、四十六年度減税——課税最低限を約一〇%方引き上げる、こういう
措置
をとったわけでありまして、四十六年度といわず、その後におきましても、
物価
の
変動
がありました場合には、税の面においてもまた対処していきたい、こういうふうに考えます。
武部文
40
○武部委員 この五・五%という
数字
は、目標としてあがったのは初めての
数字
だろうと思うのです。だが、はたしてこれが守り切れるかというと、残念ながら、いままでの四十四年ないし四十五年の経過から見て、とてもこういう
数字
でおさまるとは、おそらくや
国民
だれ一人思っている
もの
はいないと思うのです。 加えて公共料金の問題等についても、私は一言しなければならぬと思うのですが、昨年の暮れの公共料金抑制策、これが出ました。何回か
経済企画庁
長官ともやりとりいたしました。その直後一月の初めに、ごく一部分でありますが、バス料金の値上げが認可になりました。また、今度の国会には郵便料金の値上げ、あるいは電話の設備料の値上げ、電報料の大幅値上げ、さらには健康保険料、こういう
もの
がメジロ押しに出てきている。これは公共料金でございます。少なくとも三十四種類の公共料金という
もの
が
消費者物価
に与える
影響
という
もの
は非常に大きい。その中で直接
物価
指数に取り入れている
もの
は一九・五%でございますが、公共料金は便乗値上げを誘発するのです。そういう意味で、公共料金という
もの
が非常に重要だということを、何回も私
ども
は
指摘
をしてきたわけであります。この五・五%の上昇という
もの
は、まずこの公共料金の値上げからくずれていくではないか、私はそのように思うのです。 さらに、
東京
のタクシーが最低百三十円料金を約二百円に上げる、こういう申請を近くやろうという動きがあって、たいへん大きな世論を巻き起こしております。 こういう問題について、一体
佐藤
内閣としてはどういう態度をおとりになろうとしているのか。 さらに、これは通産大臣にお聞きをいたしますが、突如原油の値上げ問題が起きてまいりました。これが通告どおり二〇%ということになってくると、そのはね返りは電力料の値上げ、ガソリンの値上げはタクシー、バスに及ぶでしょう。さらに灯油の値上げ、こういう
もの
が当然起きてくると予想されるのであります。したがって、この五・五%の目標に押えるために、一体公共料金についてはどのような態度で臨まれるのか。加えて具体的には、タクシー料金の問題についてはどのようなお考えなのか。さらに原油の問題等については、これがこれからどういう行程をもってわが国の業界にやってくるのか。こういう点についてひとつ見解を承りたいのであります。
佐藤一郎
41
○
佐藤
(一)
国務大臣
いま
お話し
の公共料金でございますが、これはもちろん御存じのように、
政府
はこれをできるだけ抑制する、こういう方針できたわけであります。昨年の暮れに特に取り上げましたのは、御存じのように
予算
編成を前にいたしまして、各種の料金値上げのうわさが飛んだわけであります。やはり非常に心理的にもまずい問題でございます。
物価対策
について、やはり心理的なことも無視できない。そういう意味におきまして、私たちは、公共料金のウエート自身は、先ほど御
指摘
のようにあまり大きくはございませんけれ
ども
、その
影響
を考えながら、いわゆる抑制方針という
もの
を出したわけでございます。そして、主たる点についてはほとんど抑制の方針を貫いた、こういうふうに考えております。もちろん一、二例外がございましたけれ
ども
、少なくともそれらについても一年間は据え置いてまいる、そういう考え方を通したわけでございます。 先ほどいろいろと御
指摘
がございましたけれ
ども
、やはり従来の
傾向
、四十五年中の
傾向
等を見ましても、全体の
物価
の
上昇率
の半分前後くらいのところまでは、公共料金という
もの
をある程度押えていきたい、また、そのくらいのところに、たとえば四%くらいまでのところには押えられるであろう、われわれは十分そのつもりで見込んでおります。そういう意味で、
物価
政策
が公共料金の面から大きくくずれるという
お話
がありましたが、そういうことは絶対にないし、また、してはならないことであるというふうに考えております。
宮澤喜一
42
○宮澤
国務大臣
国際石油資本がガルフの国々と相談いたしました値上げを、そのままわが国の
需要
家に押しつけようというのであれば、それはきわめて迷惑なことでありますし、私としてはそういうことには賛成できないということを、すでに国内の精製業者の連盟にはお伝えをしてございます。また、
需要
家に対しては、私は、各
需要
家がそのような試みに対して極力抵抗すべきだというふうに考えております。先般、電力料金を引き上げることは認めないということを、しばらく前ですが、申し上げましたのもそのような含みでございましたが、灯油はそろそろ不
需要
期に入りますし、ガソリンでありましても、あれだけスタンドがございまして、しかも、売っている
値段
には数円の開きがおのおのの間にあるわけでございますから、気をつければ高い
もの
を買わなくても済む。軽油にいたしましても、これはバス会社等と比較的大口の取引でございます。ナフサは、とてもいま
負担
できる状態ではない。そういうことから、極力
需要
家が抵抗をすべきである、私はこういう考えております。
武部文
43
○武部委員 時間がございませんので、私はあと
一つ
二つにとどめたいと思いますが、
総理
は、かねがね
消費者
運動について非常に関心を持っておられるようであります。特に、生活協同組合の育成強化ということをたびたび言明しておられます。いま
消費者
運動があらゆる形で出ておりますが、その中で、
一つ
の組織形態を持っておるのは生活協同組合であります。この生活協同組合を、当面の
物価対策
の
一つ
の項目の中に
佐藤
内閣は入れておられるようであります。ところが、一向にこの実効があがらない。 一体、いまさしむき、
消費者
運動の中で生協がどういう役割りを果たしておるか。これは、ある地域においては
物価
値下げの役割りを果たしておるということを、行政管理庁自体が認めておるのであります。そういう面から見ますと、いま、生協法という
もの
が制定されて二十数年になりますが、その間わずか一回だけ改正されただけであります。二年ほど前に、生協法の改正をやるということの言明が厚生省からあったけれ
ども
、いまだにこの法改正がされない。さしむき、これをやるべきことは地域制限の撤廃であります。これだけ
経済
圏が発達しておるわけでありますから、地域制限という
もの
はもう撤廃すべきだという点について、厚生省はその
意見
を持っておるようであります。ところが、今回の国会にも、その法律の提案は見送られておるのであります。 さらに、
資金
面で多くの制限を受けておるのであります。生協をつくって、組合員から出
資金
を求めてやっても、なかなかその出
資金
だけでは運営は困難である。したがって、各種の公庫なりから融資を得て運用していきたいと思っても、いろいろ制限がある。そのために発展がたいへんおくれておる。通産省は、生協が発展することは小売り商を圧迫するとおっしゃるけれ
ども
、全国の約千六百五十の生協の現在の売り上げは、小売りの総売り上げのわずか一%足らず、ようやく一%です。そういう
もの
が小売りという
もの
を圧迫するような
数字
にはなっていないのです。 そこで、私がお願いしたいことは、さしむき地域制限の撤廃、さらには融資の制限緩和、同時に、先ほどから申し上げましたような
事業
範囲の
拡大
——酒の免許を生協に与えるとか、そういうようなことは、さしむきできることであります。そういう点をぜひひとつやっていただきたい。 さらにもう一点お願いをしたいことは、いま各地の団地で、奥さん生協という
もの
がだんだんでき上がりつつあります。ところが、これまた出
資金
に非常に不足をして、なかなか設立が困難である。たとえば二千人の生協をつくった、五千円の出
資金
を求めても、これは一千万円にしかならないのであります。建物あるいは土地、そういう
もの
を購入すると約四千万程度かかるはずなんです。それが一千万円しか金が集まらない。そのために奥さん生協という
もの
は誕生できないという
現実
の例があります。そういう点に
政府
が力を入れて、そういう団地生協の育成等には、融資のワクを
拡大
をするというような点を考えていく必要があるのじゃないか、私はこう思いますが、このことについて
政府
の見解を承りたい。 いま一点、厚生大臣がおられるようでありますから、重ねて答弁をお願いするわけでありますが、
消費者
保護基本法が制定されましたときに、有害食品の問題が取り上げられました。いまの日本の検査体制、試験体制という
もの
は、これは非常にお粗末である。国立衛生試験所
一つ
とってみても、完全にその試験を達成することは不可能だ。また、
輸入
食品の監視体制にしても、十一の港にわずか二十人の監視員しかいない。年間、十三万件にもわたる食品が日本の港に入ってくる。それをわずかに二十人の監視員が六%しかチェックできないという、まことにお粗末な監視体制であります。これでは有害食品の摘発は非常に困難である。また、わが国の食品衛生監視員の数にしても、専門はわずかに四千五、六百人です。二百五十万カ所にのぼる食品を扱う個所があるのに、わずかこれだけの衛生監視員で食品公害から
国民
を守ることができるだろうか。こういう点は、基本法制定の際に十分論議をしたところであります。 今回の国会にも、食品衛生法の改正の提案はなされておりません。また、統一食品法制定について、厚生省、
農林省
、
経済企画庁
が三者で論議をすることになっておるが、一体どのようになっておるのか、かいもくわかりません。食品公害は少なくとも
国民
の健康、生命に大きな
影響
を与える
もの
であります。この問題について、食品添加物の総点検等については、これからどのようなお考えでおやりになろうとしておるのか、この点をお
伺い
いたしたいのであります。
福田赳夫
44
○
福田国務大臣
まず、生協に対する金融問題でございますが、生協がだんだんと普及される、そういうことになりますと、金融問題という角度の問題がこれはまた問題になってくるということは、よく心得ております。これを一体、中小企業問題というきわめてむずかしい問題のあるさなかにおいて、生協を金融
政策
上どういう位置づけをするか、そういう問題になってくるわけなんでありますが、いま私
ども
も、どういうふうにするかということを
検討
いたしております。まだ
検討
を了しておりませんけれ
ども
、今後の生協の
消費者
問題の中における地位等を考えまして、何とか結論を得なければならぬかなと、かように考えておる次第でございます。
内田常雄
45
○内田
国務大臣
国民
の
消費
生活というような面から、私
ども
は、
消費
生活協同組合の機能の充実につきましてもいろいろ実は考えております。金融の面につきましても、御
承知
のとおり、
政府
が地方公共団体に
予算
でお金を回して、公共団体のお金と一緒にして生協に貸し出すそういう
予算
につきましても、四十六年度は、前年度に比べまして、相当これを増加いたすことにいたしましたし、また、開発銀行をある場合においては、生協の集発送センターなど相当設備の必要な
もの
について活用できる道を設けたいというようなことで、このほうも話を進めまして、金額のワクは設けませんけれ
ども
、開銀の融資対象ということで
関係
機関と話をつけているようなこともやってまいりました。 なおまた、私
ども
がいまの生協に関する法律をながめてみまする場合に、御
指摘
の地域の制限撤廃問題ばかりでなしに、生協法全体について見直したほうがいい点がほかにもございます。たとえば民法的な規定を準拠法とする生協の活動を、商法的な規定を準拠させたほうがいいというような
意見
な
ども
ございまして、これらの問題をも含めて、生協問題につきましては、残った問題は
関係
方面と協議をいたしておる次第でございます。 それから、食品衛生の問題につきましては、添加物の再
検討
、あるいはまた、その結果による規制、さらにまた、いまの食品衛生法という
もの
が、必ずしも食品全体に対する
消費者
の問題までも触れた指導的の立法でもございませんので、御
指摘
がございましたように、
関係
機関とも打ち合わせ中でございますので、これにつきましては、もう少し時間をかしていただきとうございます。 ただし、食品その
もの
、添加物その
もの
の再
検討
体制につきましては、私も厳重な指図を
関係
の機関にいたしておりまして、添加物な
ども
、今日ではアメリカよりも西ドイツよりも少なくなってまいりまして、かなり減ってまいりました。危険性がおもんばかれる添加物を削除するとかいうことばかりでなしに、無害の
もの
につきましても、無益な添加物の使用をやめさせたいというようなことで、近くお茶とか、 ノリとか、 ハチみつとか、あるいは砂糖とか、赤飯とか、さらにはまた、みそ、しょうゆというような
もの
につきましても、それが無害であっても、不必要な
もの
はやめろということで
検討
させております。そういう趣旨から、この一年くらいの間にも、
生鮮食料品
などにつきましては、無益な着色や、また漂白というようなことも、かなりやめてまいりましたことも申し述べさせていただきたいと思います。 いずれにいたしましても、前向きでこれらの問題に取り組んでまいる所存でございます。
武部文
46
○武部委員 これで終わります。
小林進
47
○
小林委員長
戸叶
里子君。
戸叶里子
48
○
戸叶
委員 私は、きょうは家庭の主婦の代表の立場から、たいへん今日悩まされております
物価
高、中でも
野菜
の問題につきまして質問申し上げたいと思います。 そこで、私も簡単に質問申し上げますが、時間が限られておりますので、簡単に
お答え
を願いたいと思います。 まず第一にお
伺い
したいことは、
佐藤
総理
が
予算
委員会
で、
野菜
という
もの
は安い
もの
だという考え方に問題がある、こういうふうに答弁をされました。私は、
野菜
という
もの
は、私たちの健康にたいへん必要な
もの
だし、毎日欠かすことができない
もの
だし、安い
もの
だというふうな考え方を持っておりました。ところが、
佐藤
総理
のこの答弁を聞いて非常にがっくりきました。政治家のつとめは、これほど必要な
もの
なのなら、やはり安くする方法を考えるのが政治家のつとめではないか、こういうふうに考えた
もの
ですから、たいへんにがっかりしたわけですけれ
ども
、
総理
は、
野菜
は安い
もの
でないという考え方を
国民
に今後も持たせようとされるのかどうか、この辺の真意のほどを、まず第一にお
伺い
したいと思います。
佐藤榮作
49
○
佐藤内閣総理大臣
たいへん主婦の立場でお尋ねになり、私も、その主婦の立場に理解を持って
お答え
をするつもりです。 ことに、最近のようになりますと、私はあまり肉をとらない、
野菜
を主としてとる、こういう状態でございますから、
野菜
がどういうように使われておるか、どうもいままでのところでは、一般に考えるのは、
野菜
という
もの
の取り扱いが非常にお粗末だ、したがって
野菜
が簡単に捨てられる、こういう
状況
をしばしば見受けるのです。もっと
野菜
を大事にしていただきたいと思う。これがまず第一の願いであります。 先ほど
砂田
君が、
野菜
についての分析をいたしました。そして
露地野菜
といわゆる園芸蔬菜と、こう区別して話をいたしました。私が申し上げるまでもなく、ただいまの
野菜
——
野菜
というか、それは多く、季節はずれの
もの
が食膳にのぼっておる。冬のさなかにおいて、まっかなイチゴが食べられるとか、あるいはキュウリが食べられる、おナスが食べられる、いわゆる気候、季節物とはだいぶ変わった
状況
で
野菜
が使われておる。いわゆる
露地野菜
、自然のもとで育つ
もの
、これは在来からのように相当安い
もの
だろう、かように考えますが、園芸蔬菜になってくると、これは相当施設を要する、そういう意味で金はかかるのだ。だから、やはり使い方もそういう意味で、大事に使ってもらいたい、むだをしないように——そういうところを実は私が申し上げたのでございまして、ただいま
野菜
は安いんだ、大事な
もの
だから安くしろ、こういうように言われることもわからないわけではございません。しかし、私が申し上げたいのは、ただいまのような
野菜
の
状況
だから、これがわれわれに最も必要な
もの
であるだけに、もっと大事な使い方をしろと、かように私は申し上げたいのであります。
戸叶里子
50
○
戸叶
委員
総理
大臣、たいへん上手にお逃げになりました。私
ども
が聞いている範囲におきましては、
野菜
を大切にしなさいというふうにはおっしゃらないで、大体みんなの考えている、
野菜
が安い
もの
だという考え方が間違っているのだ、こういうふうに答弁されたように思いますし、速記にも、私調べてみましたら、そう書いてありました。ですから、やはり
野菜
は高かったら安くするように、
総理
として考えていただきたい、おっしゃった態度を少しお変えになっていただきたい、こういうふうに思いますから、どうぞその点をもう一度
お答え
を願いたい。
佐藤榮作
51
○
佐藤内閣総理大臣
ただいま言われるように、さきの答弁が不十分であった、今日の答弁が正しい答弁だというように、どうぞ御理解をいただきたい。
戸叶里子
52
○
戸叶
委員 安心いたしました。 そこで、それでは具体的に何をしていただくかでございますけれ
ども
、問題はこれからなんです。
野菜
がどんなに必要で、しかも少しの金額でよく買われているかというのを、
政府
の統計で見てみました。そうしてみますと、一週間に購入する
野菜
の種類は六種類から大体九種類、それで週に三回買う人が二・一%、四回以上が六・四%、七回以上が一六・四%。ということは、つまり毎日買う人が圧倒的に多いということです。そして、一回の購入費という
もの
が、百円から二百円が最も多いという統計が出ております。毎日買って、一回の払いが百円から二百円、これが大衆の生活です。ところが、今日の
野菜
という
もの
を見ますと、はたした百円から二百円の間でどれだけの
野菜
が買えるかというと、非常に問題なんです。そこがまた大衆の生活である。この点もよく大臣は考えていただきたい。 私は、きのうの相場で見てみました。ところが、参考までにこれを見ていただきたいのですが、ニンジン、これが
一つ
二十円です。それから、このキュウリが一本幾らかおわかりですか——おそくなりますから申し上げましょう。四十三円です。それから、
タマネギ
が一個で三十八円です。さっきおっしゃいましたように、食べる
内容
が変わってきて、ハイカラな
もの
も食べるようになったというので、少しカリフラワーな
ども
買ってみました。ところが、これが九十円です。これだけで何と百九十一円なんです。これで一体幾人の人が食べられるか、たいへんな問題になってくるわけです。大根は、きのうは少し安くなりました。そこで、この大根を買ってみましたら、五十円です。私たちは大根を半分買うなんというのは、ほんとうにわびしいことだと思います。しかし、これはもう習慣になってきました。こういうふうに
野菜
という
もの
が上がってきたということを
現実
にお感じになって、そして考えていただきたいということを、私は示したわけなんです。 そこで、これほど大事であり、そしてまた必要な、そして高い
野菜
がどんなふうに動いているかということを見ますと、四十五年の
消費者物価
の
上昇率
が、四十四年と四十五年を比べて七・三%というふうに
政府
は言っていらした。ところが、四十歳代の家族で、子供二人の家計簿の百二十九件の統計を見ますと、一七%
値上がり
しております。これも、
経済企画庁
の
値上がり
率とはだいぶ違うわけです。こんなにも統計が違っているわけですけれ
ども
、そこで
野菜
について見ますと、四十五年度は、前年度比で四〇%の
値上がり
をしております。毎日わずかずつ、高くても買わなければならない
もの
が四〇%も上がっている。こういう現状を一体どういうふうにごらんになりますか。
佐藤
さん、御自分では、奥さまがいろいろよくやってくださるからお感じにならないかもしれませんけれ
ども
、たいへんな主婦の苦しみであるということを統計から見ても、わかっていただきたいと思うのですが、 いかがでございましょうか。
佐藤榮作
53
○
佐藤内閣総理大臣
ただいまるる
説明
をされて、私もたいへん勉強になっておりますから、どうぞ続けてやってください。
戸叶里子
54
○
戸叶
委員 いろいろと
総理
に
対策
を考えていただきたいと思って私は申し上げているのですから、私も、こういうふうにするのはいかがですかという
対策
などを申し上げながら、もう少し申し上げたいと思います。 そこで第一に、
野菜
がどうして高くなったのか、こういうことをいうわけですけれ
ども
、その中で、入荷が少なくなった、こういうふうなことを言われる人もございます。確かに私は、入荷が少なくなったということも
一つ
の理由になると思います。しかし、実際問題として、三大
野菜
といわれる大根とか白菜とかキャベツという
もの
を考えてみますと、一月の入荷量は、この
三つ
とも三倍近くふえております。それにもかかわらず、卸売り
価格
は最高でキログラム五円、最低で三円安と、ほとんど変わっていない。三倍近くも入荷がふえて、卸売り
価格
が五円から三円しか下がっていない。これも矛盾しているじゃないかというふうに私は考えるわけです。 そして、この大根の入荷量、一月の上旬、中旬、下旬、それから白菜の上旬、中旬、下旬、こういうのはみんな統計がございますけれ
ども
、何しろ時間が限られていて、私一々申し上げられませんが、そういうふうな状態でございますので、これだけの
もの
を買ってしまえば——これは別ですよ。つけ
もの
も食べられないという状態です。 白菜が、いま一株幾らするとお思いですか。おわかりになりますか、大体白菜がでのくらいしているか。ちょっと当ててごらんになりませんでしょうか。
佐藤榮作
55
○
佐藤内閣総理大臣
私は存じません。
戸叶里子
56
○
戸叶
委員 やはり
総理
大臣は一国の代表者でいらっしゃいますから、庶民の生活という
もの
、苦しみという
もの
を知る意味で、
野菜
もたまには研究していただきたいと思います。 白菜が、一株で買うと百六十円いたします。三株できのう四百円だそうです。一株買えば百六十円だと言われたそうです。半分お買いになれば百円ですと言われたそうです。白菜を半分買ってきても使いようがないからというのでお断わりしたんだそうですけれ
ども
、こういうふうに高いのですから、これだけ二百円で買ってしまいますと、今度はおつけ
もの
を別に買わなければならない。あるいはおみそ汁をつくるなら、大根をこの半分買えば、二十五円買わなければならない、こういうふうな状態ですから、高いということの
問題点
が一体どこにあるかということをちゃんと調べて、早く解決をしていただきたいし、もう来年はこういう思いをさせないようにしていただきたいということが、まず第一の私の願いでございます。私というよりも、たくさんの主婦の願いでございます。 そこで、いま申し上げましたように、入荷が多くても、卸売り
価格
という
もの
の下がるぐあいがたいへんに低いわけです。
大蔵大臣
は、日本の卸売り
価格
というのは非常に安いのだということをおっしゃっていらしたのですが、この中には
野菜
も入って、そういうことをおっしゃったのじゃないかと思いますが、この
現実
をごらんになれば、卸売り
価格
は必ずしも安いということはいえないのじゃないですか。いかがでございますか。
福田赳夫
57
○
福田国務大臣
卸売り
価格
というのは、大体七割ぐらい大企業
製品
価格
です。ですから、これは大企業のほうは、コストが高くなりましても、これを売り値に転嫁しないで済む、こういうような
関係
があろうかと思いますが、三割方、いろいろ御
指摘
のような農作物とかそういう
もの
も入ってくる、こういう
関係
です。しかし、全体とすると卸は、国際社会の中でわが国ひとりが安定している、こういう状態です。
戸叶里子
58
○
戸叶
委員 私が言いたいことは、入荷がふえても卸売り
価格
があまり下がっておらないという、こういう問題についてもぜひ考えていただきたい、これが第一点です。 それから第二は、
野菜
の好みが変わった、こういうことをおっしゃるわけですが、私のところもここにずっと、昭和四十年からつけた家計簿を持ってまいりました。ずっと調べてみますと、大体一軒のうちで買う
もの
は、幾ら好みが変わっても、大根、ニンジン、
タマネギ
、キュウリ、トマト、レタス、そういった普通の
野菜
だろうと思うのです。ですから、好みが変わったといいましても、それほど変わってないと思います。特殊な
もの
を食べるうちは別ですけれ
ども
、もう五年ぐらい前からそういう現象はあらわれております。 そこで、昭和四十一年ごろから、
野菜
の値の上がり方という
もの
がずっと激しくなってまいりまして、四十二年の家計簿を見ますと、もう大根は半分買いをしています。このころから、もうずっと大根が上がってきているわけです。ところが、その当時、近くのいろいろな近郷の地域という
もの
を見ますと、土地の
値上がり
で、いままで自分のうちの菜園などでつくっていた
野菜
という
もの
をやめてしまって、そうして土地を売るとか、あるいはまた、いままでつくっていた人も買うとか、そういう構造変化という
もの
があらわれてきているわけなんです。 ところが、
政府
自身は、幾たびか
野菜
の
値上がり
を追及いたしましても、天候に支配されます。——これもまあ一理あります。それから、食べ
もの
が
多様化
してきました、需給に伴いません、そういった答弁だけはいつでもしていますけれ
ども
、それじゃ、そういう答弁に見合うような何かの
施策
をしていただいたかといえば、何らそこに私は、行政指導をしたというような影が見当たらないわけです。このまま行かれますと、また同じようなことを繰り返すわけでございまして、過去のそういうことに対するきびしい反省をなさいまして、今後は
生産
動向とかあるいは
消費
動向の先取り
調査
というような
もの
を積極的にお進め願いたい。この点をまずお
伺い
したいと思います。
倉石忠雄
59
○
倉石国務大臣
少し具体的になりましたから、私のほうから申し上げます。
お話し
のとおり、いまの
生産
、
消費
の動向先取り
調査
、これは、私
ども
のほうではあとう限りやっております。ことに最近は、私のほうで
野菜対策
の、
価格
安定のための
調査
会をつくりまして、第三者の専門家、
消費者
代表、
生産者
代表等集まっていただきまして、るる実地に即して
検討
をいたさせておるわけでありますが、どうしましても、もうよく御存じのように、なかなかすぐに即効という
もの
は出てまいりません、
野菜
のことでありますので。しかし、先ほ
ども
御
指摘
のありましたように、やはり米の
生産
が減ってきたと逆な動向で、
国民
の食生活に変化が生じております。しかも、その中で私
ども
やはり見ますのに、たくさんとれ過ぎたときには翌年
暴落
いたします
もの
ですから、実は農林当局といたしましては、そういう
農民
の
生産
対策
について、非常に頭をいままで使ってきたことは事実であります。しかし、今日のように
物価
の問題、それからまた、
生産者
よりも
消費
される方のほうがはるかに人口も多いのでありますので、先ほど
砂田
さんにも申し上げましたように、私
ども
といたしましては、
消費
に見合う
生産
ということもさることながら、大体もっと十分に
生産
をさせるように指導をいたして、同時に
価格
の安定のためには特段な
措置
をしていくということのほうがむしろいいんではないか、これは私
ども
の発明ではなくて、諸外国でもやっておることのようでありますから、そういうことについて
努力
をしてまいりたいと思っておりますが、いま
お話
のございました先取り
調査
のようなことにつきましては、御
指摘
のように、私
ども
もその必要を痛感いたしておりますので、そういう方向でやってまいりたいと思っております。
戸叶里子
60
○
戸叶
委員
農林大臣
、ぜひそれを効果あるようにやっていただきたいと思います。 そこで、いま
消費
に見合う
生産
という
お話
がございました。このことについて、先ほど
砂田
議員も御質問になりました。それに対して
佐藤
総理
も、ごもっともだと思うという御
意見
、それから
大蔵大臣
も、
農林大臣
も、その御
意見
にはごもっともだと思いますというところまではよかったのですが、それを具体的にやっていただけるのかいただけないのか、そこまでは伺えなかったように思います。
検討
をいたしますというようなことでございました。 具体的に
砂田
さんがおっしゃいましたのは、
低落
時の
価格
対策
の改正というようなことでございましたが、それにつきまして私は単刀直入に
伺い
ますならば、まず
大蔵大臣
にお
伺い
したいことは、
野菜
生産
出荷
安定法という
もの
を改正をなさって、そうして
生産者
が安心して
生産
をできるように、そういうことをおやりになる御意思があるかどうか。それは
予算
が伴うことでございますから、
大蔵大臣
、
予算
をお出しになりますかどうか、この点をお
伺い
いたしたい。
農林大臣
にもあとから、それをお考えになるかどうか
伺い
たいと思います。——ちょっと、
大蔵大臣
がお金を出されるか出されないかわからないですから、それを先に聞かせてください。
福田赳夫
61
○
福田国務大臣
ただいまの
お話
につきましては、先ほど
砂田委員
に
お答え
したような考えです。
露地野菜
の
価格
安定、これは
露地野菜
の
生産
のために非常に大事なことである、そういうふうに考えまして、四十六年度におきましてもいろんな
改善
を加えていくというふうにいたしましたが、その
推移
を見まして、これはまた、おそらく
農林大臣
からいろいろ御提言があるだろうと思います。御提言がありますれば、これは真剣に対処していきたい、かように考えております。
戸叶里子
62
○
戸叶
委員 それでは、
農林大臣
にもうちょっと具体的にお
伺い
いたしますが、過去の
平均市場価格
の算定について適正化をはかるとともに、
保証基準額
及び
最低基準
額の決定にあたっては再
生産
の確保を含める
もの
とするというような
内容
の改正に踏み切られるかどうか、この点を
伺い
たいと思います。
倉石忠雄
63
○
倉石国務大臣
なかなかうまくいかぬ
もの
ですから、あまり大きなことを申し上げられないのでありますが、
大蔵大臣
の出身地も私の出身地も
野菜
の産地でありますので、選挙区の
関係
で少し知識を持っておるつもりでありますが、
戸叶
さんも同じことでありますけれ
ども
、時間が長くなる
もの
ですから、さっき
砂田
先生にも御
説明
申し上げなかったのでありますが、これはもう御存じのことだから省略いたしますが、いま最後におっしゃいましたようなこと、これは
野菜
についてなかなかそういうふうに
価格
の指定という、たとえば豚肉などで畜産振興
事業
団がやっておりますような
価格
補償というふうなことについては、法律でそういうふうにするというようなことについては、なかなかむずかしいことだと思いますが、もう御存じのように、さっき
お話
のありました
資金協会
等については、大体その
価格
の水準を見て、そうしてそれについて上下のことをはからうようになっております。その
補てん
をいたすようになっておりますからして、大体御趣旨においては、ただいま
お話し
のようなことが行なわれるようになりましたし、それから、ただいま御審議願っております四十六年度
予算
では、地方のつまり県知事が同様なことをやりますための助成、
補助金
を二億円ほど計上いたしており、これなどは地方庁もたいへん喜んで、張り切ってやってくれるわけでありますが、御
指摘
のような趣旨が行なわれますようにいろなん
施策
を講じてまいります。
戸叶里子
64
○
戸叶
委員 いまの問題で、
大蔵大臣
も、農村の選挙区をかかえていらっしゃるし、お金を握っていらっしゃる方ですから、お出しになる御意思がおありのようですから、どうぞここで答弁されたことを、前向きに約束を果たしていただきたい。これをまず第一にお願いします。 それから、私、
野菜
の
値段
のつけ方ということについていろいろ考えてみますと、たいへんふしぎに思うわけです。と申しますのは、
生産者
が
野菜
を
生産
して、それを農協が引き受けて、そして
市場
なり何なりへ持ってくるというふうな形で、
市場
から仲買い人、それから小売り商、何々と通して売るわけですけれ
ども
、
農民
の人は、自分たちが
野菜
をつくっても、その
値段
をつける中には参加していない。間に手数料だけでずっと運ばれていって、そしてロスとリスクという
もの
はだれが負うかというと、
農民
とそれから小売り商、それがかぶさってくるのが
消費者
、こういう形になって、間がずっと手数料だけで
価格
が決定されてくる。こういうことに私は少し矛盾を感じるわけなのです。そこで、
価格
の決定という
もの
にあたりまして、やはりある程度
生産者
、
消費者
、こういう人の
意見
という
もの
もいれられてしかるべきではないか。
市場
にだけまかせておくということがいいのかどうかということに、私はちょっと疑問を持つのですが、この点についてのお考えはどうでしょうか。 と申しますのは、実は灘の生協の人たちが、この
野菜
の
値上がり
ということでいろいろ苦しんで、そして研究をした研究発表という
もの
があるわけです。そこで、ある年に、百二十グラム入りのピーマンが初め十五円だった。ところが、その年のうちに七十円に上がった。そうすると、
生産者
は、安いときは買ってください買ってくださいと言うけれ
ども
、高いときにはいやな思いをして買ってもらわなければならない。こういうことを何とか直していこうじゃないかというので、
生産者
と
消費者
が話し合って、その間の
価格
を三十五円という
もの
にきめてずっと平均していったというような
数字
が示されております。 そういうふうなことを考えましたときに、ロスとリスクを負うのが
生産者
と小売り業である、そしてまた
消費者
がかぶるというような、その
価格
のつけ方という
もの
に矛盾はないかどうか、こういうことを感じるのですが、この点はいかがでございましょうか。
倉石忠雄
65
○
倉石国務大臣
私
ども
農林省
では、もう御存じと思いますが、かなり精密な地方の情報をキャッチし得るテレ
タイプ
その他、それから新しくまたコンピューターも装置されまして、全国のこういう農産物
価格
、それから集荷の
状況
等については、逐一中央においてわかるようになっております。それをまた地方のマーケット及び
生産者
団体に流しておりますので、そういう一般的
状況
につきましては、地方もそれをきわめて有効に使っておると思います。 ただいま最後に御
指摘
になりましたような取引の
関係
につきましては、これは実は継続審議でいまお願いいたしております
市場
法などのときに十分御審議も願い、御
説明
申し上げたいと思いますが、いま御
指摘
になりましたような問題の改革はしなければなりませんということで、あの
市場
法の中ではかなりそういう、いまおっしゃいましたような趣旨のことができますような考え方で取り入れておるのでありますが、いま
お話
のございましたように、私
ども
としては、
生産地
がだんだん大型化していくようにしむけておるわけであります。同時に、したがって専門農協というふうな
もの
が、逐次つまり集荷業者になります。それらがしつかりした
もの
ができてきて、そして
消費
地との間に直結した操作ができますように、そしてそれを受け取りました
市場
において合理的な操作ができますように、こういうふうに中間のロスをできるだけ節約してまいることに力を入れていかなければならない、こう思っておるわけであります。
戸叶里子
66
○
戸叶
委員 結論だけ
伺い
たいのですが、何らかの形で
生産者
なり
消費者
なりの声が
価格
の上に響くような方法はお考えになりませんか。結論だけでけっこうです、まだ質問はたくさんありますから。
倉石忠雄
67
○
倉石国務大臣
お説のようなことを、御
意見
を取り入れる
調査
会をその中につくってまいるつもりでございます。
戸叶里子
68
○
戸叶
委員 そこで、私は
一つ
提案したいのですけれ
ども
、
農林大臣
も
予算
委員会
で、集配センターのことをお述べになっていらっしゃると思うのです。集配センターは、
流通
機構の
一つ
として私も大切だと思います。こういう
もの
ができていくことはいいことだと思うのですが、ただ、集配センターなどでの
価格
の決定というところに、私は問題があると思います。集配センターという
もの
は、全販連がやっていることですから、やはり
農民
の生活という
もの
をよく知っているわけです。そして、
農民
が損をしないような形で
価格
をつけるでしょうし、それから
消費者
のことも考えての
価格
をつける。そういう意味で、いま私が申し上げましたような方式をとるのに一番ふさわしいところだと思うのです。ところが、集配センターできめる
価格
という
もの
は、
東京
の四大
市場
の仲値をとっている。その日の平均の仲値をとって、それを
価格
にしているということを聞くのですけれ
ども
、どうしてそういう形をとらなければならないのか、私はお
伺い
したいと思うのです。
倉石忠雄
69
○
倉石国務大臣
全販連が、
政府
も助成金を出しまして、板橋にお説のような集配センターをみずからやってみました。これは当初の方法といたしましては、
需要
家の注文を受けて、それに対して
生産者
たる農業団体の全販連が、その御注文に応じた品物を直結して出すという考え方で始まったようでありますが、やはり、やってみますというと、どうも
市場
におけるせりと同じような
状況
が行なわれておるようであります。私
ども
、これらにつきまして、日本国の長い間のああいう
市場
の取引という
もの
は、やはり自由
経済
のもとで自然にああいう
もの
が育成されてきたのではないか、なかなか容易なことでこれは変革してまいるということにはならないんじゃないかと思われるのでありますが、私は、いま
戸叶
さんで御
指摘
になりました、各地における
市場
の仲値を
中心
にしておるかどうかということについて、実はそこまで具体的に、今日よく存じておりませんけれ
ども
、せりで、 つまり
需要
供給
の
関係
で、あそこでやはり、当初の設立いたしました目的よりもさらに変化してきて、普通の
市場
のような取引が現在行なわれておる。現に私はあそこを見ておりますけれ
ども
、どうもそういう
傾向
が多いようであります。
戸叶里子
70
○
戸叶
委員 私が伺っておりますのは、その
値段
のつけ方が、築地、淀橋、神田、千住などの四大青果
市場
の取引の
値段
の平均の仲値であるということを聞いているわけですね。なぜその
価格
をとらなければならないのだろうかということに疑問を持つわけなんです。なぜそういう四大
市場
の
価格
の仲値をとらなければならないのだろうかというふうに考えるわけです。もっと自由な形でいいじゃないでしょうか。この点はどこかで指導をしているのでしょうか。それをまず
伺い
たい。
倉石忠雄
71
○
倉石国務大臣
需要
供給
の
関係
できまるようにしなければなりませんが、いまの
お話
のようなことでありますならば、十分ひとつ
調査
いたしまして、私
ども
、さっき申しましたように究極において中間のロス——つまり
生産者
と
消費者
が安心して取引されるような、そういう形に指導するようにいたしてまいりたいと思います。
小林進
72
○
小林委員長
戸叶
君に申し上げます。あなたの時間が参りました。それ一問で終わってください。
戸叶里子
73
○
戸叶
委員 それでは、時間がないですから、最後にまとめて申し上げます。
一つ
は、
指定産地
をきめられて、そして六百四十カ所をきめて、そこから
指定消費地
に出すようにというようなお考えですが、それがうまくいっておらない。これにも
野菜
の値をつり上げる
一つ
の理由があると思いますが、その問題は、いずれにいたしましても、聞くところによりますと、最初に
野菜
の
指定産地
として指定した第一次、第二次のところには、百カ所ぐらいは政治的な圧力できめたために、考えているだけの
生産
量のないようなところもあるということを聞いております。そこで、
指定産地
の再点検をぜひしていただきたい。これが第一点。 それから第二点は、いろいろな品物が多いわけですけれ
ども
、外国のように、一、二、三ぐらいの品種に分けて、たとえば
一つ
の品物に対して、分ける場合に、上中並というふうに分けて、そして日本のような、いろいろな種類に
一つ
の
もの
を分けるというような形をとらない。もう少し簡単に、規格の単純化というようなことを考えるべきではないか。これが第二点です。 それからもう
一つ
は、ある
流通
学者が、
市場
の人はたいへん投機的な精神に富んでいるというようなことを
指摘
しておりましたけれ
ども
、
野菜
の
市場
が、売り手
市場
になったり買い手
市場
になったり、目まぐるしいほど変化をしている。こういうふうな行き方に対して、やはり行政指導で、ある程度、一定
期間
安定させるということが必要ではないか、こう考えますので、この
三つ
の点にどうお考えになるかということを
農林大臣
に
伺い
、そして最後に
佐藤
総理
に、
野菜
はことしだけで、もう来年は絶対に上げないぐらいの決意のほどを伺って、私の質問は終わりたいと思います。
倉石忠雄
74
○
倉石国務大臣
指定産地
、
お話し
のように今年度
予算
、追加まで入れて六百四十カ所でございますが、御
承知
のように、これを指定いたしましても、いよいよ
もの
になってくるのは三年ぐらいかかっておるわけでありますので、だたいまは、大体フルに発揮いたしておるのは百十カ所ぐらいだと思いますが、逐次各地においてそういう
もの
ができてまいります。したがって、いま
お話し
のように、それが十分に
政府
側の、つまり
農林省
側の期待に沿わないようなことであるならば、われわれは取り消しもあえて辞さないぞということを先方にもよく申し伝えて、激励いたしております。 それから、
お話し
のように、なるべく規格性を持つことがいいのではないか、私
ども
も同感でございます。それはなぜかというと、その地域においての適作ということが大事なことでありますので、できる限りはそういうふうに指導いたしたいと思っております。 それからもう
一つ
の——何でございましたかね。
戸叶里子
75
○
戸叶
委員 投機性です。
倉石忠雄
76
○
倉石国務大臣
それは
流通
関係
のことでございます。それは、私
ども
といたしましては、
指定産地
には国費を使って、
補助金
を出しておるわけでありますから、
消費者
の立場を尊重して、
政府
がこのようにしてもらいたいというようなことに応じられないような投機的な行動という
もの
は、できるだけ避けてもらわなければなりません。それが……(
戸叶
委員「
市場
の投機性です」と呼ぶ)
市場
の投機のことにつきましては、これは御存じのように、卸屋が受け、仲買いがそれをやるわけでありますが、そこで強制もできませんけれ
ども
、もちろんスペキュレーションでなくて、比較的安定した
もの
が出せるように、もちろん平素もやっておりますが、これからもなおそういうことに
努力
をしてまいりたいと思っております。
佐藤榮作
77
○
佐藤内閣総理大臣
戸叶
君からいろいろ具体的な問題をお尋ねになり、また、
政府
からもそれぞれ
お答え
をいたしましたが、しかし、最後にいま
農林大臣
からも答えますように、なかなかすぐに効果を出しておらない、こういうような状態であります。その
指定産地
、それを
指定消費地
と直結しろ、こういう点も再
検討
しなければ、十分の効果があがらない。私は
農林大臣
にも言っているのですが、どうも
畑地かんがい
といって、畑についてのスプリンクラーをつけるという、それだけのことは考えるけれ
ども
、まだもっとあるのじゃないか。湿地帯の湿地を抜く、そうしてそれが畑になるような状態にしない限り、どうも指定
生産地
という
もの
も
拡大
できないのじゃないか、こういうことまで実は言っているような次第でございまして、これらの点は、
農林省
も専門的に、そういう意味の畑をつくることについての積極的な指導をしておるようでございます。これは
露地野菜
の
もの
でございますけれ
ども
、
もの
によっては、どうしても水分が多いと根が枯れますから、
野菜
が育たない、特殊な
野菜
しか育たない、こういうようなことがあるようでございます。これらの点は十分指導してまいるつもりであります。 それからもう
一つ
、だたいまの投機性、これはもう申すまでもなく、
流通
機構の整備にかかっておると思います。片一方で、
消費者
のほうでは
消費者
組合、これがよほど発達しております。それをさらにわれわれも育成していく。新しい時代の問題としてこれを育成していく、こういう態度をとりたいと思っております。これは特別な団体だ、あるいは特別なイデオロギーのもとで育ったのだ、こういうことではなしに、これはもう
消費者
の当然の、自分たちの保護をするというその立場から立ち上がるべき筋の
もの
だ、かように思います。これにやはり対応しての
生産者
の協同組合というか、そういう
もの
ができなければならない。先ほど来の指定
生産地
というところでは、
消費者
と直結できるような
生産者
組合、それらもやはり対応してできるようであります。こういうことが、今度は新しい
流通
機構を整備することにもなる。これが御
指摘
になりましたような、ピーマンの
値段
を三十五円のところでとめた、こういうようなところにも直結するかと思います。 まだまだいろいろと解決すべき、
改善
すべき問題があるだろうと思います。そういう点を十分に勘案して、私はできるだけ皆さんの御要望にこたえるというか、それよりもっと
消費者
の利便を増進するような、
消費者
の生活を守るという、そういうような施設をしたい、かように考えておりますが、ただいま申し上げますように、たいへん広範な
もの
であり、なかなかむずかしい問題だ。しかし、これでくじけるようなことがあってはならない、かように思っておりますので、決意だけを披露いたしまして
お答え
といたします。ありがとうございました。
小林進
78
○
小林委員長
午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ————◇————— 午後二時三十分
開議
小林進
79
○
小林委員長
休憩前に引き続き
連合審査
会を開きます。
質疑
を続行いたします。西中清君。
西中清
80
○西中委員 昨年の
消費者物価
の上昇は、たびたびと言われるとおりに、七・七%というまことに重大な、そしてきびしい情勢を迎えました。私
ども
国民
も、
物価
の上昇に対しての
政府
の
施策
という
もの
に対して、たいへんな期待をかけているわけでございます。しかしながら、
国民
の願いは毎年繰り返されてまいりまして、そのたびに私たちは裏切られてきた、こういうような思いも強く持っておる。これが政治全般への大きな不信になっておるということについて、まことに憂える
もの
でございます。もちろん
政府
としましても、数々の
施策
を実施するように
努力
をなされてきたということもあるでございましょうけれ
ども
、その実効はどうであったかということは、この
数字
が厳然として示しているところでございます。 まず、私は、質問にあたりまして、
政府
のこの
物価
抑制への姿勢をお
伺い
しておきたいと思うわけでございます。 すでにこの
物価
問題は、まことに古くからの問題でございまして、私は
総理
の談話なり、また答弁なりをいろいろと拝見をさしていただいたわけでございます。その中で、昭和三十九年の十一月には、
総理
は談話の中で、
国民
を脅かす
消費者物価
の上昇に対しては全力をあげて解決に取り組むと、まことに力強くおっしゃっていただいたわけでございます。そして四十一年の
国民生活
審議会総会では、
経済
成長で
物価
が上がれば、そこは政治の役目で、政治で
物価
を下げる、このように申されております。そして四十四年の八月になりますと、
物価
安定
政策
会議
の初総会で、成長のためにはある程度の
物価
上昇はやむを得ない、このようにおっしゃったわけでございます。そして四十五年十一月の衆議院本
会議
の答弁では、
物価
問題は
国民
の
消費
態度に負うところが大である、
物価
の安定は
国民
各位の協力によると。 もちろん、この短いことばの中に
総理
の真意が全部あるとは私は思いませんけれ
ども
、この四つの談話を並べてみましたときに、私
ども
は、政治の責任においてこの
物価
を下げるというのか、それとも
国民
の
消費
態度という
もの
が問題なのか、これは時代が変わったからこうなったんだというのか、はたして
総理
の真意は一体どこにあるのか、いまの真意はどこにおありなのか、この辺をあらためて明確にしておきたいと思うのでございます。
佐藤榮作
81
○
佐藤内閣総理大臣
いま、三十九年以後の私の発言を追って、いろいろ御
意見
を交えてお尋ねがございました。私の最近の発言が、
消費者
の態度にもあるというような言い方で、
政府
の責任を
消費者
に転嫁する
もの
じゃないか、こういうことを、他の席で皆さんからもおしかりを受けた、そのことは、私も記憶に新たなことでございます。 私は、この
物価
問題について、事実これと真剣に取り組んでまいりました。しかし、なかなか私
ども
の考えるようにもいかない点がございました。私は、
経済
成長の
段階
においてはある程度の
物価
上昇、これは許されるかと思いますが、しかし、それにしても最近の
消費者物価
の上昇は、これはとてもことばで
説明
のできるような状態ではない。
国民
の皆さん方は納得されない、かように私も思います。そこに政治の責任がある、かように思いますし、ことに最近、いままでの長い
経済
成長が停滞ぎみになっている、そういう際でありますだけに、今回の
物価
上昇の問題について、いままでのような態度で取り組むわけにはいかない。新しい観点からもこの問題と取り組まなければならない、かように実は思っておる次第でございまして、いま私
ども
が考えますことがはたして効果をあげることができるかどうか、そういう点も危惧なきにしもあらずでございますが、
政府
も一生懸命やるから、皆さん方もひとつ御協力願いますと、かように申し上げるのが真の心がまえであり、ほんとうの私
ども
の考え方であります。もちろん、
政府
が
政府
の責任を
国民
に転嫁する、さような考え方は毛頭ございませんけれ
ども
、
政府
もしっかりやるが、どうかひとつ御協力願いますと、かように申し上げるのが真の心がまえでございます。
西中清
82
○西中委員
総理
から決意をいただいたわけでございますが、そういう
総理
の
お話
を、
国民
は何回も聞いておるわけでございます。しかしながら、実効はなかなか伴って出てこないというところに、
国民
の不信があるわけでございます。
総理
がそういう姿勢でなお一そう
努力
するという、そういうことではなくて、私
ども
国民
が要求しておるのは、ほんとうにこの
物価
の高騰に対して、これは私たちの生活を守るための
一つ
の戦争だ、こういうたてまえで
政府
が特別の強力な
予算
を組むなり、また、あらゆる
施策
に対して抜本的な
対策
を立てるということが、最も望まれておるところでございます。今後ともその趣旨において、私
ども
の期待をなお裏切るようなことがあってはならない、重ねて申し上げる次第でございます。 ただ、私は、こまかい点についていろいろとお聞きをしたいわけでございますが、たとえば
農林省
の
野菜
の追跡
調査
ということもございましたし、今回の
予算
にはいろんな面の
予算
がついておる。まことに少額でございますが、ついておる。そうした
施策
の中で、ほんとうに実効がどの程度出てくるのかどうなのか。たとえば
野菜
の問題でございます。
野菜
の安定
供給
ということは、自民党、社会党各議員から
質疑
があったようでございますが、私も一言この際触れておきますが、
生産者
の
価格
の補償という
もの
は、
野菜対策
の最大重点
施策
として私たちも考えておる。ところが、現在の補償は、常に
指摘
があるように、農家に
野菜づくり
の
意欲
を失うような、まことに微々たる
状況
でございます。ですから、こうした面でも大幅な
予算
措置
が必要と思うわけでございます。午前中に答弁があったので、この点は強く要求するにとどめますが、この点を特に留意を願いたいし、私も、
農林省
の追跡
調査
とともに、あとを追いかけるようにして実は
調査
をいたしました。日にちがたつと、
野菜
が
生産地
では高いと言っている間に——私は私はここに一週間はかり、これにタッチをしたわけでございますが、すでにもう
生産
原価を割っておる。こういうような、高い高いといわれた
野菜
がそういう
状況
でございます。したがいまして、この点を強く要求しておくわけでございます。 そこで、この安い、もう採算を割った
野菜
が、今度は
消費者
の立場に立ってみますと、相も変わらず高いわけでございます。 そこで、私がきょうお尋ねをしたいのは、卸売り
市場
の問題でございます。特に中間マージンが非常に高いということについては、かねがね
指摘
があって、私
ども
も奇怪に感じている一点でございますが、この問題を、私たちはなお一そう掘り下げていきたい。 特に、
野菜
が
生産地
から入ってまいりまして、そして
消費者
に渡る間には、新聞等でも報道がございましたように、
東京
市場
に入った
野菜
が地方へ転送される。また、卸売り会社が自分の子会社に転送する。こういうような、いわゆる
消費者
に対する
価格
安定ということよりも、荷受け会社等がみずからの利益を生むためにこうした操作をしておるということが、盛んに報ぜられております。これは、ある面でいうと、この卸売り業界においてはもう公然の秘密になっている。私が聞いたところによると、たとえば静岡から
東京
に荷物を送る。
市場
は、その荷物が着くのを待っておる。これは
市場
の場長さんのおっしゃることです。あげて待っておるけれ
ども
、
生産地
が発送したとたんに、たとえばどこかの
市場
が非常に値が高いというと、車をUターンさせて別の
市場
へ持っていく。また、持ってきた荷物も今度は別の
市場
へ持っていく。こういうような操作がどんどんなされていく。ここに私は非常な
問題点
を感ずるわけでございます。 私は、この卸売り
市場
、特にその中にあります荷受け会社という
もの
について、非常な疑問を持っております。こうした問題が、この監督官庁であります
農林省
等ではっきりと取り締まりをするなり、転送についてきびしい条件を設けて、
値段
のつり上げをしないような処置を、現在実際やっておるのかおらないのか。また、どのようなことをいまお考えになっておるか。
農林大臣
からお聞きをしたいのであります。
倉石忠雄
83
○
倉石国務大臣
ただいま
お話
のありましたような御
意見
をしばしば承りますので、御存じのように私
ども
のほうでは、ただいま
市場
法の改正案も審議を願っておる最中でありますので、ずいぶん詳細にしばしば
調査
いたしております。そこで、ひとつそのほうをやっております事務当局から、いまの
お話
について御報告を申し上げたほうがいいと思いますから……。
小暮光美
84
○小暮
政府委員
転送の問題につきましては、御
指摘
のように、これを放置いたしますと
市場
の公正な取引に支障がございますので、それぞれの開設者、
東京
の場合でいえば
東京
都の
市場
の取り締まり当局が、この問題につきまして十分事前に準則をつくっております。この準則に基づきまして、日ごろ自分の子会社等にあらかじめ転送するということについて
計画
のありますような場合には、一月前に必ず
市場
長に申し出て、その承認を受けるという形に相なっております。それから、
生産者
が初めから、荷物を
一つ
にまとめて出しますが、この部分は神田におろさないで、三多摩のどこへおろしてくれということを、発送
段階
で指図した
もの
がございます。これは
生産者
の指図に従って通りますので、これは中央
市場
長の規制は受けません。しかし、いずれにいたしましても先取り転送は、
市場
の取引を乱さないように、
市場
長において監督するという形に相なっております。
西中清
85
○西中委員 大体予想どおりの御返事でございますが、そういったことも実際問題としては行なわれていることも、だれでも知っている。 私は、ここで別の角度から質問をしたいのでありますが、
東京
中央卸売
市場
本場で卸売り業者とその会社の株主、特に水産業者について、どういう会社が入っておって、どのような株をどれだけの株を持っておるか、その点をわかればお願いしたいし、また、大手会社の役員がその荷受け会社の株をどの程度持っておるか、お
伺い
したいと思います。
倉石忠雄
86
○
倉石国務大臣
事務当局から申し上げます。
西中清
87
○西中委員 時間がありませんから私のほうから申し上げますと、東都水産には日魯漁業三十九万数千株。それから大都魚類には大洋漁業が百万株、同社の重役が八十六万数千株、日本冷蔵が十七万五千株。中央魚類が、日本水産が五十二万株、日本冷蔵が十七万五千五百株。築地魚
市場
が、日本冷蔵が十七万五千株、その他明細はわかりませんが、やはり水産業者が荷受け会社の重役なり株主なり、また会社自体が多額の株を持っているわけでございます。 これは、それぞれ理由はあろうかと存じますが、いわゆる機能の変わった会社が資本の上で同一の姿をとっておる、ないしは深い
関係
があるという事実でございます。この中においてはたして荷主と卸売り業者が、公正な取引がこの
市場
の中でできるのかどうなのか、この点について
農林大臣
にお
伺い
したいと思います。
倉石忠雄
88
○
倉石国務大臣
私、いま株主構成、初めて承ったのでありますが、私はそういうことについて、私
ども
が監督いたしております
市場
の取引について支障を生ずることはないと思いますし、また、これからもそういうことについては、
市場
としての公共性を貫けるように、どこまでも私
ども
は指導いたしてまいるつもりであります。
西中清
89
○西中委員
市場
の
価格
形成の上でこの
生産
会社ないしは大手の水産会社、これは当然、もうけるためには高く売ってほしい。卸売り業者も、これは同じマージンがきまっておるわけですから、
もの
がどんどん
値上がり
していけば当然収入がふえる。この両者が、小売り店とか仲買い人という、小さな力しかない皆さん方を相手にして
価格
形成をしようと思えば、できないことはない。こういうような不自然なことが、いまの
市場
の中に厳然として残されておる。私はここにたいへんな問題があると思います。これは結局は、そういうことがあったならば
消費者
に大きな
物価
高、大きな
負担
としてはね返ってくる。でき得るならば、これは分離をしたほうがいいんじゃないか、こう言えば異論もあることも私は存じておりますが、少なくとも機能の違う会社は、やはりこれは分離をすべきではないか、こういう考えでおりますが、どうでございましょうか。
倉石忠雄
90
○
倉石国務大臣
いまずっと何十年かやってきております
市場
取引の慣習をごらんくだされば、もう御存じのとおりであります。したがって、荷受け人とその間に仲買い人、そしてせりをいたしております。私はやはりそれは、なるほど売るほうと買い手のほうでありますから、それぞれの立場の利益になるように活動し合うことは当然なことだ、やむを得ないことであろうと思いますけれ
ども
、やはり
需要
供給
の
関係
で、
価格
という
もの
は自然に落ちつくのではないか。その間に恣意的にいろいろな問題が入ってこないようには、もちろん私
ども
はじめ
東京
ならば
東京
都、それぞれの
関係
の行政監督者が十分な監督をしていかなければならないと思っておりますが、そのように考えております。
西中清
91
○西中委員 そのような監督をし、また公正な取引をするということについて、それは
農林大臣
の期待として私は聞いておきましょう。しかしながら、先ほどから申しているような形であれば、これは往々にして話し合いということは十分できる。同じ仲間内なんだから。 そこで私は、もう一歩進んでお聞きをしたいのでありますが、
東京
の中央卸売
市場
のほかに、全国にたくさんの
市場
がございますが、荷受け会社の役員として、荷主とか仲買い人が入っている例はございますでしょうか、どうでしょうか。
小暮光美
92
○小暮
政府委員
一例を申し上げますと、北九州では、地元の話し合いによりまして、
生産者
団体と小売りの団体と昔からございました問屋と、三者がそれぞれ資本を持ち寄って、中央卸売
市場
内で卸売り業務をやっておるというような例がございます。
西中清
93
○西中委員 その
市場
では公正な取引、公正な
価格
形成がなされると、このように言えますか。
小暮光美
94
○小暮
政府委員
中央卸売
市場
におきます卸売り業務のあり方につきましては、卸売り業を営む者は
農林大臣
の認可になっておりますことは御存じのとおり、その者が兼業をいたします場合、あるいは子会社をつくります場合、あるいは関連する
もの
との間で役員を交換いたしますような場合、それぞれしかるべき行政庁がこれをチェックするという形に相なっております。
西中清
95
○西中委員 それではお
伺い
をしますが、下関の魚
市場
の場合は、荷受け会社の役員の中に
生産
会社ないし荷主または仲買い人が役員として入っておりますか、入っておりませんでしょうか。
小暮光美
96
○小暮
政府委員
念のため申し上げますが、ただいままで私が申し上げましたのは、すべて現在の中央卸売
市場
法に基づいて
農林大臣
が監督いたしております中央卸売
市場
について申し上げました。現在御審議を願っております卸売
市場
法では、地方
市場
につきましても、今回の法案に根拠規定を設けまして、
農林大臣
が
関係
の都道府県知事と一緒に監督するたてまえにいたしてございますが、現状では、ただいま御
指摘
のようないわゆる地方
市場
につきましては、私
ども
直接の監督権を持っておりませんので、御
指摘
の点について、ただいまつまびらかにいたしておりません。
西中清
97
○西中委員 明快な
お答え
がございませんので私が申し上げますが、下関の魚
市場
の場合は、荷主側が六名、仲買いが二人、そしてその他が九名。もう
一つ
会社がございますが、これは直接私の話とは違いますので申し上げませんが、下関魚
市場
株式会社はこういう構成でございます。すなわち、品物が入ってきて、それを受ける側、これは荷受け会社でございます。それから、持ってくるほうの会社、今度はせりをするほうの仲買い人、これが
一つ
の会社の役員の構成をしております。こういう場合にほんとうに正当な、適正な
価格
形成ができるかどうか、私
ども
は非常な疑問を持っております。 ここで、私は
農林大臣
にお
伺い
したいのでありますが、こうした
関係
があるなしにかかわらず、卸売り業界におきましては、お互いがこうした業者の間等で話し合いなり暗黙の了解によって、不当な二重仕切り、すなわち三重伝票を切ってそのさやをかせぐというような、そういう行為をしている。または、架空名義の伝票を切って金をごまかすというようなことは、これはもう公然の秘密として、あたりまえのようにして、全国のあちこちの
市場
でなされているということがよくいわれておりますが、
農林大臣
はお聞きになっておりますかどうですか。
倉石忠雄
98
○
倉石国務大臣
そういう
お話
については聞いておりませんが、ただいま
お話
のございました下関の
市場
のことでありますが、これはいま
経済
局長
も
お答え
申し上げましたように、個々の件をよく存じませんが、これは御存じのように県の条例で監督されておるところでございますので、ただいま
お話
のありましたような件について、どのような
もの
であるかということについては、さっそく
農林省
において取り調べてみたいと思っております。
西中清
99
○西中委員 かつて
東京
におきましてはマグロ事件というのがございましたが、これもやはり、私が先ほどから言っているようなこの事例が適合するわけでございますが、
政府
はこのときに、こういう事件が起こらないように何らかの処置、言うならば類似の事件が全国にないかどうか、この監督をされた、点検をされた、こういう実績があったでしょうかなかったでしょうか。
農林大臣
。
倉石忠雄
100
○
倉石国務大臣
事務当局から申し上げさせます。
小暮光美
101
○小暮
政府委員
四十四年の二月に築地
市場
の水産物の部で、東都水産に不適当な事例がございました。これにつきましては、
市場
法に基づきまして厳重な処分をいたしましたほか、四十四年六月十八日付で卸売り業務の
改善
合理化
措置
につきまして、農林
経済
局長
通達を中央卸売
市場
の開設者に通達いたしておるわけでございます。
西中清
102
○西中委員 先ほど
農林大臣
は、これは地方の問題であるからというような趣旨の
お話
がございました。私が先ほどから申し上げておる意味は、
消費者物価
の高騰につながるような問題について、いま関連して
お話
をしているわけでございますが、いかにも私は知らないというような態度はとってほしくない。 そこで、私は、そのマグロ事件に類似した事件が下関魚
市場
の荷受け機関にある、その中の下関魚
市場
株式会社は二重仕切りを常時やっておる、多額の不正な金銭の横領が行なわれているという疑いを濃厚に持っております。
農林大臣
はこれは御存じですか。
倉石忠雄
103
○
倉石国務大臣
私が最初申し上げましたのは、山口県条例で県の監督を受けておるそういう性質の
市場
であるということだけ申し上げたのでありますが、もちろん大事な問題でありますので、十分
調査
をいたしまして、指導監督よろしきを得るようにいたしたい、こう申し上げたわけであります。 もう
一つ
、ただいまお尋ねのような件は、私まだ存じておりません。
西中清
104
○西中委員 私はここで、そのたいへんなからくりについて、証拠をもって
お話
をしてまいりたいと思います。
市場
に荷主が魚を持ってきたときに、せりにかけます。そしてその記録が、ここにせりの現場で書かれます。これがその手帳でございます。そして、それが終わりますと、このノートに転記されます。そして、このノートに転記された
もの
が、こういう仕切り伝票に記入されるわけでございます。これは仲買い人請求を出すための原簿であります。仕切り書であります。そして、これと同じ
もの
を荷主に渡してせりの結果を知らせる。これが全く同一であれば、正常な仕切りであるということはいえると思います。 こういうような
内容
でございまして、私はこの二つの仕切り伝票を計算をいたしました。これは最後の締めが二百八十六万六千七百円、どちらもそのようになっておる
もの
でございます。ところが、これを実際に計算をいたしますと、仲買い人に請求を出す、すなわち荷受け会社が金を仲買い人から受け取る分については二百八十九万七千六百五十円、三万九百五十円の差額があるわけであります。おそらくこれは、最後の帳じりを合わすためのこういうような不当な二重仕切りである、このように私は思うわけでございます。 先ほど私は、船を持って魚を積んでくるこの荷主と、それを受ける卸売り業者と仲買い人が
一つ
仲間であったならば、不正が行なわれる危険性があるということを繰り返し申し上げた。談合できる。こういうようないいかげんな二重仕切りを、
農林大臣
、どう思われますか。こういうことが、私は実は資料を持っておりますが、連日行なわれておる。これでもあなたは
農林大臣
として、私は知らぬのだ、山口県の問題なんだとおっしゃるのですか、どうですか。
倉石忠雄
105
○
倉石国務大臣
どうも山口県の下関の
市場
のことでして、私はなかなかそこまで目が届きませんが、その間に私
ども
が期待いたしておるような、正常な
市場
としての作業が行なわれておらないということでありまするならば、これは私
ども
にとっては困ったことでありますので、先ほど申し上げましたように、実情をよく調べまして、万遺漏なきを期するように指導監督を強化いたしてまいりたい。いま御審議願っております
市場
法等については、やはりそのようなことも十分念頭に置いてやっておるつもりであります。これまた別な機会に御協議を願うのでありますが、いまのようなことにつきましては、十分取り調べてみたいと思っております。
西中清
106
○西中委員 これは共栄水産の徳鵬丸という、こういう会社の仕切りでございます。仕切った会社は、先ほど言っているように下関の魚
市場
株式会社です。こういうことが行なわれて、実際問題として、これが事実であったならば一体どういうことになるか。警察庁長官から、こういう事実については一体どのような罪になるか、ちょっとお教え願いたいと思います。
高松敬治
107
○高松
政府委員
御
指摘
のような事案につきましては、一応形式的には、背任なり横領なりという
もの
の容疑があると思います。 ただ、私
ども
二、三、この種の事件のいままでの経験がございますけれ
ども
、いわゆる増し仕切り、減仕切りというふうな形の
もの
も行なわれておる。つまり荷主と荷受け会社、あるいは
市場
との間の契約の中身なり、あるいは商取引の
内容
なり、あるいは
一つ
の慣行なりというふうな
もの
があって、その
内容
いかんによってはそういう犯罪にはならないという場合も、これはあり得るわけでございます。
西中清
108
○西中委員 これは昭和四十二年十二月から四十三年十一月三十日まで一年間、四国方面の五隻の船の取引に対して、不正取得した金額全部、これが記録されておる
もの
です。この率は、取引総額三億五千六百万円のうち一・八%、六百二十二万円が、こういう二重仕切りによって不当に取得されているわけでございます。そして、これは毎日のようにあるわけでございますから、この率で単純計算いたしますと——この下関魚
市場
株式会社の年間取り扱い高七十億円、これは鮮魚だけでございます。それに対する一・八%ということになりますと一億二千六百万円の不正、こういうようなたいへんな問題でございます。こういうことについて、
農林大臣
は先ほどからおっしゃっておりますが、
佐藤
総理
、これは一体どのようにお考えになりますか、御
意見
をお
伺い
したいと思います。
倉石忠雄
109
○
倉石国務大臣
総理
の前に申し上げますが、よくまだ
調査
してみないとわかりませんが、御
指摘
の事柄が、つまり取引の間における仕切り書の改ざんであるということの御
指摘
であって、それが事実とすれば、これは放置しておくことのできない事柄でございますので、権威あるこの国会での御議論でありますし、至急に十分
調査
をいたしまして、それぞれ法に照らして正当にやってまいりたいと、このように思っております。
佐藤榮作
110
○
佐藤内閣総理大臣
いま
倉石
農林大臣
から
お答え
したとおりでございます。こういうことはよく調べまして、しかる上で処置をとる。もちろん西中君も権威のある場所で
お話し
ですから、これはいいかげんに私
ども
は扱わない。
西中清
111
○西中委員 さらに、こうした荷抜きとは別に、ここに
一つ
伝票がございます。この伝票は、宝丸という荷主になっておりますが、この会社ではこの船はございません。こういう架空の幽霊船をもって伝票が仕切られて、出金をされておる。これは
一つ
の裏口座として会社がプールをして、そして金がほしいときにといいますか、必要なときに引き出しておる、こういう事実もございます。そして、この金を仲間で分ける。ところが、ある人が初めてこの金をもらった。何の金であるかということはよくわからない。そこで、どうもおかしな金だからというわけで、会社に返そうとした。ところが、会社はそれを受け取らない。こうした事実を何とか
改善
したいというまじめな人が非常に苦しんで、どのように金を処理したらいいのか、いろいろと事情を聞いた結果、これはある前途有望な青年でございますが、困り果てて、昭和四十五年十一月二十日、山口地方法務局下関支局、ここに供託をしておる。金額は、一人は九千二百三十三円、一人は一万円、このようなお金をわずか一カ月ぐらいの間にもらって、そして供託をしておる、こういう事実があります。 ですから、私はここで申し上げたいことは、まじめに働く人が困るような、そういう
市場
において、みんながぐるになって公正な取引がなされておらない——考えてみますと、この金をつくるためには、やはりせりも高くしなければならぬ。それは仲買い人も荷受け会社も、ともに同じ会社重役をしておる。こういうようなケースがございますから、当然それは可能なんです。しかも、そこから金を抜かれて、
生産者
へは少なく金が送られておる。すなわち、この事実を私が申し上げておるのは、また、本日の
物価
のこの審査で申し上げておるのは、こうした荷受け会社の腐敗によって
生産者
も
消費者
も困っておるという事実でございます。しかもこの青年が、不本意ながらこういう金をつかまされて、悩みに悩んで供託をしなければならぬ、こういうことは、
一つ
の地方の問題とかどうではなくて、私はやはり大きな政治の上の
問題点
だ、このように思うわけでございますが、
佐藤
総理
いかがでしょう、これは。
倉石忠雄
112
○
倉石国務大臣
事柄がまだ詳細によくわかりませんけれ
ども
、先ほどの
市場
の関連の問題だと思っております。したがって私は、大事なことを御
指摘
になりましたのでありますし、山口
県当局
ともよく打ち合わせまして、
市場
としての公的な立場を十分に当事者に理解をさせまして、多くの人々の御期待にそむかないような
市場
運営ができますように、厳重に監督をいたし、指導してまいりたいと思っております。
西中清
113
○西中委員 こういうような問題に関しまして、私は、やはり税金の上でも関連して問題があるのではないか、このように思うわけでございますが、
国税庁長官
にお願いしたいと思います。
吉國二郎
114
○
吉國
(二)
政府委員
ただいま突然に
内容
を承りまして、私、詳細を存じておりませんが、そのような取引が行なわれていることがいわば慣行化しているといたしますれば、おそらく税務署では事実を把握しているとは思いますけれ
ども
、本日の事情を税務署に通達をいたしまして、さらに詳しく調べ、もし脱税の事実があれば適正な課税をいたしたい、かように存ずる次第でございます。
西中清
115
○西中委員 私は、ここでもう
一つ
問題として提起をいたしたいのでございますが、いま
農林大臣
からもいろいろと
お話
がございました。私はここに
一つ
の資料を持っておりますが、これはすでに税関のほうへ確認をいたしております。よろしいですね。これはやはり同じ
市場
においての取引でございますが、同じような形で荷抜きをいたしております。そして二重帳簿をつくっているわけです。そして、その取引先はどこかと申しますと、これは残念なことですけれ
ども
、韓国の船に対しても同じようにやっているのです。ちょっと
総理
、これを見てください。——私は、この卸売法につきまして、法はいま提案されておるからということでございますが、このようなことが、この法律でなかなか取り締まれるとは私は思っておりません。しかも
一つ
の、この業界においての半ば常識化しておるような、特にまた、これは典型的な例であろうと私は思いますが、しかもこれは、韓国の
輸入
についてこのような問題が起こっておるということを、私は
指摘
をしたい。この点、
農林大臣
どのように思われますか。これは国際信義の問題として私は申し上げておる。
倉石忠雄
116
○
倉石国務大臣
御審議願っております
市場
法は、かりにただいまのようなことが刑事犯を構成する
もの
とすれば、そういう
もの
を防ぐ対象につくっているわけではありませんで、
流通
をできるだけスムーズにやってコストダウンできるようにということでありますから、私
ども
、ただいま御
指摘
のようなことを全然想定はいたしておりませんけれ
ども
、
市場
について、監督は地方でありますから山口県、同時にまた、われわれもその監督をいたす立場におるわけでございますから、私
ども
は、十分にひとつ実情を
調査
いたしまして、多くの
国民
の期待にそむかないような運営のできるように、きびしく指導いたしてまいりたい。なお厳重に
調査
をいたしてみます。
西中清
117
○西中委員 先ほど来私は申し上げましたが、こうして
市場
の内部の機構等にも問題がある。もちろん、いまの卸売法は大正十二年にできまして、今日の社会の変化についていけない
内容
でございます。ですから、その法律を出すということはわかるわけでございますが、これはもう
一つ
、先ほどから言っているように、機構上にも相当な問題がございます。ですから、それを何らかの形で改正してはどうか、最初に私は申し上げました。その点についてもう一度、こういう問題を含めて——韓国船までごまかす、このような、言うならば国際信義上問題である。いわんやまた、お互い仲間内でせりをつり上げる、
価格
操作をする、さし値をする、こういうようなことが自由にできるような機構でございます。おそらく
消費者
とすれば、公正なせりによって公正な
価格
形成が行なわれているであろうと信頼すべき卸売り
市場
が乱脈では、たまった
もの
じゃない。一例をあげればこのような韓国の問題まで出てくるわけでございます。
総理
に、この点についてもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
佐藤榮作
118
○
佐藤内閣総理大臣
いろいろ西中君から、具体的な事実について教えられましたが、
政府
といたしましては至急に実態を
調査
する。そして取り調べなければならぬ。しかる上で処置をつける。これは先ほど来の
農林大臣
の一貫しての答弁でございます。これがいかにもその場のがれの答弁のようにお聞き取りをいただくと、
政府
としても立つ瀬がないのでございますが、私は、この席で
お話
でございますから、それだけの材料で直ちに
政府
の感覚、これを申し上げてもいいとお思いだろうと思いますけれ
ども
、
政府
としては、何といいましても具体的な事実について十分取り調べないと、それがまたいわゆる慣行、さようになっておるとすればなおさらのこと、それをだたしていかなければならないし、そのもとをよく調べてみるというこのことがまず大事だろうと思いますので、だたいまの資料等も十分参考にいたしますが、とにかく現場について至急に精査して、しかる上で結論を出したい、かように
お答え
を申し上げておきます。
西中清
119
○西中委員
総理
がそのように指示をしていただくのであればけっこうなんでございます。しかしながら、ここであらためてもう一度聞いておきますが、警察庁としてはこの事態をどのようにお考えになって、どのような処置をされるか、お
伺い
したいと思います。
高松敬治
120
○高松
政府委員
先ほど申し上げましたように、事態を
調査
をしてみたいと思います。だた問題は、荷主と荷受け会社との間の契約なり従来の商取引の慣行がどうであったかということが、一番問題になろうかと思います。それによってはあるいは犯罪を構成しない、こういう場合も考えられる、かように考えております。
西中清
121
○西中委員 国税庁は、税務の上からいろんな問題があるし、先ほど申しました関税の上からも問題があるんではないかと思いますが、その点について念を押しておきたいと思います。
福田赳夫
122
○
福田国務大臣
至急取り調べまして、もし間違いがありますれば適正な処置をいたします。
西中清
123
○西中委員 私は先ほどからいろいろとお聞きしてまいりましたが、いま
物価
の問題について、こうした中間における業者の
問題点
——もちろん、私が先ほどから言っておるのは限られた会社の、おそらくまた限られた何人かの問題であろうと思っております。全国にたくさんの仲買いの方がいらっしゃる。全部がそうであるわけではない。ただ、こうしたことが一部で行なわれる。もしもこれが、巷間でうわさされるような公然の秘密であるということになれば、私は問題であろうと思う。やはりこういう点では、卸売り
市場
を
政府
として点検をするなり、また、その点についての行政指導をするなり、こういう点については特に強く要求をしたいわけでございます。
農林大臣
、その点についてもう一度お願いしたいと思います。
倉石忠雄
124
○
倉石国務大臣
その下関の問題につきましては、ただいま
総理
大臣からここで
お話
がございましたその旨を受けて、すみやかに厳重に
調査
をいたします。 それから、全体の卸売り
市場
、これはいまかかっております法律に基づいていろいろ作業していただく
市場
でございますが、その運営につきましては、もちろん私
ども
、
経済
面でスムーズにいかれるばかりでなくて、先ほど来御
指摘
のようなことがかりにもあることのないように、全力を尽くして指導、監督は十分にいたしてまいりたい、こう思っております。
西中清
125
○西中委員 今日まで
物価
の上昇の
問題点
としては、
流通
機構を
改善
しなければならない、こういうように、繰り返し
問題点
が
指摘
されてきたわけでございますが、おそらく
総理
も、この点はお考えであったろうと思います。全体とは申しませんが、この代表的な魚
市場
である下関の
市場
につきまして、私はこのように、いろいろな証拠をもってこの問題を明らかにしたわけでございますが、今後
流通
機構の
改善
について、
総理
はどのような決意とお考えをもって臨まれるか、お
伺い
をいたしたいと思います。
佐藤榮作
126
○
佐藤内閣総理大臣
いま
物価
の問題がこれだけやかましい、やはり何といいましても、これは
生産者
、
消費者
、その中に立っての
流通
機構の問題、あるいは仲買い、あるいは卸等の問題がございます。ことに
生鮮食料品
がいまの一番の問題で、生活に直結する問題だというので非常にやかましくなっている、そういう際でありますだけに、魚の問題だとかあるいは
野菜
の問題、これは一般の衣類も同様にむずかしい問題ですが、それよりももっと、台所に直結するだけにむずかしい問題であります。したがいまして、新しい時代の新しい
流通
機構という
もの
が考えられる。これがもうすでに生協というような形でスタートしている。やはりこれが、
生産者
の団体もこれに対応する
もの
ができるだろう。在来の中小企業、ことに小売りなどに対しての
補助
、援護もいたさなければなりませんけれ
ども
、時世が変わってきている、それに相応した取引体系という
もの
が整わなければならないように思います。 そこで、だたいま問題になっておりますような点をも含めて、いずれにしても、公正な取引が行なわれるということが何よりも大事だと思います。明るみで、
国民
環視のもとで公正な取引が行なわれた、ここに初めて
国民
としても納得がいくだろうと思いますので、先ほど来あげられたような、特殊な人だけが知っておるというような事情では、これは納得がいかない。したがって、そういうような意味からも、誤解を受けないように、
生産者
、仲買い人、そういう
もの
の
関係
がせつ然と分かれておる、対立的な立場で取引が行なわれる、こういうのが望ましいことじゃないだろうか、公正な取引という
もの
はそういう
もの
ではないだろうか、かように、私はしろうとなりに実は考えておるのであります。それで、とにかく
国民
の前に、明るみに出しても何ら差しつかえない、またそこに出される、そういうような公正な取引が行なわれるということが望ましいのではないか、かように思っております。
西中清
127
○西中委員 そのように私が問題を取り上げましたのは、事をかまえる意味ではなくて、あくまでも
流通
機構という
もの
については、このような事件を起こす、ないしは行なっておる、こういう強い疑いを持ったわけでございまして、いわんや転送であるとか、その他仲買いの投機買いだとか、業者の投機売りだとか思惑買いとか、いろいろなことがいま
消費者
の、
国民
の大きな疑惑になっている。ですから、これは先ほどから、もしも事実ならば犯罪行為として構成するような
お話
でありましたが、こういうことが平気で行なわれるならは、いわんや法の網をくぐって——先ほ
ども
運送上の問題で、ある
市場
に寄って次に転送するのだ、こういう運搬上の問題だというような
お話
もありますけれ
ども
、やろうと思えばできぬことはないということは、また否定できない事実だと私は思います。こういうことで、
国民
の
消費者物価
という
もの
がはね上がっておる
段階
において、ほんとうに真剣な取り組みをしていただかなければならぬ。
総理
からもいま御答弁をいただきました。こういう問題で
国民
が疑惑を持っておる、これが事実なんですから。事実そういう感じで、中間マージンが非常に高い、こういうように私は考えておるわけでございますので、なお一そうの御
努力
をいだたくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
小林進
128
○
小林委員長
和田耕作君。
和田耕作
129
○和田(耕)委員 私も、いまの西中君が問題にいたしました中央卸売
市場
の問題あるいはその他の
市場
の問題につきまして、質問をしてみたいと思っております。 いま西中君が最後に申し上げましたように、
農民
が、自分でつくった品物が、小売り商に行けば三倍以上の
値段
で売られておるというこの事実を率直に見て、どうなっておるのだという感じを持って、そのまん中にある中央卸売
市場
の操作について疑惑を持っておるということは事実だと思います。いろいろな人からその話は聞きます。せんだっても、私のよくじっこんにしておる鳥取の農事指導員が
東京
に来ておりまして、それがよく話をしておりましたところが、とにかく自分たちが出した
野菜
がどういうふうな
仕組み
でやられておるのか、ほんとうによくわからないのだ、たぶん
市場
の中で、卸売りあるいは仲買い等の
段階
でいろいろな
価格
操作が行なわれ、あるいは、いま西中君が言われたような不正な問題がありはしないかという疑問は、かなり一般化した疑問だと思うのです。この点につきまして、西中君とは違った立場でお
伺い
してみたいと思うのです。 せんだって、四十五年、昨年の十月六日に
物価
安定
政策
会議
が「
野菜
の
価格
安定
対策
について」という提案を出しておりますけれ
ども
、この一番
中心
点は、やはりこの中央卸売
市場
の問題なんです。というのは、ここにもありますように、「今や、
野菜
の全国
流通
量の四五・八%(四十四年)を占め、とくに、そこで形成される
価格
は、
野菜
の
価格
形成全体にとっての
基準
としての役割を果たしており、地方
市場
その他の経路を通ずる
流通
に対して極めて大きな
影響
力をもっている。」こういうふうに、
政策
会議
の提言にもあるとおり、中央卸売
市場
は非常に大きな役割りを持っておる。午前中に
戸叶
委員の質問にもありましたけれ
ども
、あの農協のやっておる直接の農協の集配センター、あのようなセンターの取引の
基準
の
価格
が、やはり卸売
市場
の平均の
価格
を使っておるという話をきょう初めて聞いたのですけれ
ども
、つまり卸売
市場
における
価格
形成という
もの
が正しい形で行なわれておるのかという問題、この問題に焦点をしぼって、ひとつ御質問してみたいと思うのです。
総理
、今年初めの一月の上旬ですけれ
ども
、大根が一本二百二十円しているという報道が新聞に載りました。御記憶ですか。ちょっと
お答え
願います。
佐藤榮作
130
○
佐藤内閣総理大臣
よく知っております。
和田耕作
131
○和田(耕)委員 そのときの中央卸売
市場
、特に築地の相場、あるいは神田
市場
、あるいは淀橋
市場
の卸売りのできた
値段
はどういうふうな状態になっておるかといいますと、ちょうど
中心
になる築地
市場
は六十三円です。そしてそのときの神田の
市場
が三十八円です。淀橋の
市場
が四十円。つまり同じ中央卸売
市場
の一番
中心
になる二つの
市場
、築地と神田、一キロぐらいしか離れていないこの二つの
市場
で、正月の五日の三浦大根の
値段
が築地では六十三円、神田では三十八円、つまり倍も違うのですね。これはちょっと、しろうとが考えてみてふしぎに思いませんか。
倉石忠雄
132
○
倉石国務大臣
和田さんのお時間なるべく取らせませんから、その点について、ひとつ私のほうの事務当局から一青、だたいまの御
説明
をさせたいと思います。
小暮光美
133
○小暮
政府委員
本年一月五日の初市と申しますか、初めて
市場
を開きました日に、御
指摘
のような混乱がございました。その事情を簡潔に申し上げますと、混乱が起こりましたのは築地
市場
でございまして、一二十八トンの入荷でキロ六十三円という相場が出たわけでございますが、実はその前の十二月二十九日に、とめ市と申しておりますが、年末年始で五日休むために、最後の市が開かれました。このときには百八十三トン、いま申しました三十八トンに比べますとたいへんな量ですが、百八十三トンが築地
市場
に入荷しまして、その日であと五日間休みでございますから、当時としては、
生産者
の
気持ち
としてやむを得ず二十五円という相場になったわけです。そのことが、十二月二十九日の百八十三トン、二十五円が
影響
いたしまして、初市の一月五日に、築地には三十八トンしか入らなかった。そこで六十三円。しかしながら、同じ一月五日に神田、豊島、淀橋というほかの
市場
では、それぞれ三十八円、三十八円、四十円という相場に相なっております。
和田耕作
134
○和田(耕)委員 その
数字
は、私の調べた
数字
でも同じでございますけれ
ども
、それでは聞きますが、二十九日の一番納めの日の相場、いまおっしゃったとおり、築地の
市場
が二十五円です。このときに神田の
市場
は五十円です。これは逆に倍になっておる。神田の
市場
が五十円、築地が二十五円。一月の五日の相場は、築地の
市場
が六十三円、神田の
市場
が三十八円、これはどういうふうなことですか。
小暮光美
135
○小暮
政府委員
神田、豊島、淀橋は、十二月二十九日にはそれぞれ三百二十三トン、二百三トン、百八十六トンという入荷でございました。神田
市場
五十円、豊島
市場
四十五円といったような姿が、年末の通常の姿であったというふうに思われます。ただ築地
市場
は、前年同日八十八トンのところに百八十三トンという大量の入荷がございまして、短期的に値が下がったということでございます。
和田耕作
136
○和田(耕)委員 私、この二つの
数字
を見まして——この二つは、日本の
野菜
の一番代表的な
市場
なんです。しかも、これが一キロ前後しか離れていない二つの
市場
で、このような同じ日の、同じ朝のせりが倍も違う。逆に倍になっていますね。年末には築地が半分、五日には築地が倍。こういうふうな
市場
の
価格
構造という
もの
が、日本の全体の
野菜
の
価格
の一番標準的なところにおいて、このような二つのあまりに違いの激しい
価格
ができるということは、日本の現在の卸売
市場
というのが、
野菜
の需給という
もの
に見合った標準的な正しい
価格
形成ができる場所であるかどうかという問題ですね、こういう
数字
を見て、これについて端的に疑問をはさまざるを得ないのです。これは
農林大臣
、どう思っておりますか。
倉石忠雄
137
○
倉石国務大臣
和田さんと同じ御
意見
、ずいぶん承るわけであります。先月でありましたか、物特の
委員会
だと記憶しておりますが、小売り商組合長の大澤さんたちまで参りまして、ただいまの
お話
のようなことをだいぶ聴取され、
説明
されておったようでありますが、私
ども
が
市場
法の改正について、一番念頭に置いて研究いたしておるのもやはりその点でございます。 それで、御存じのように、先ほど
戸叶
さんの御
質疑
のときに、
戸叶
さん御自身からもちょっと
農林省
の統計をお出しになりましたけれ
ども
、とにかく自分のうちから百メートルないし五百メートル、よほど遠くて千メートルぐらいのところまでしか買い出しに
おいで
になりませんで、そして毎日買いが非常に多い。しかも、その買い出しに
おいで
になる奥さん方に、どういう標準で店を選ぶかということになりますと、品ぞろいであるということ、近所であるというふうなこと。和田さん御存じのように、
東京
都の小さな小売り店の組合に聞きましても、やはりお得意さんをとるには、どうしても五十品目以上並べておかなければだめだと言っております。御存じのとおりなんです。その間に非常にいろいろな重なったロスもあるわけでありまして、そこで、いろいろな小売り商に分配が多過ぎるのではないかというふうなことを申しておりますが、それにつきまして、最近大根、ニンジン、キャベツ、白菜、ネギ、レタス、トマト等、それぞれ詳細にわれわれが分析いたしたところを見ましても、たとえば大根で申せば、大根の高いときですけれ
ども
、六九・二%が産地
段階
で取っている。卸売り
段階
では同じときに七・二%、小売りは一五・五%、大体大同小異でございます。 いずれまた、こういう資料も和田さんにも差し上げたいと思いますが、私
ども
は、この中間におけるロスという
もの
がもしあるならば、どのように省くべきであるかということを、いまの
市場
法改正について非常に苦労してやっておるわけでありますけれ
ども
、大体において、今日の
野菜
の
価格
構成を見ますというと、ややこれとほとんど同じ方向でできているのではないか、このように感じておりますが、なお、その中間におけるロスを省くために、研究はさらに続けてまいりたいと思っております。
和田耕作
138
○和田(耕)委員 私は、年末二十九日の築地の相場、そして神田の相場、その他
東京
の七つの相場の資料をとってみました。これをとった意味は、月初めに大根が二百三十円もするという、これにびっくりしたのですよ。先ほ
ども
戸叶
さんのときに
お話
があったように、今年わりあい大根はいいのですね。つまり豊富なんですね。たくさんあるのに、たくさん
出荷
されてもおるのに、しかもこれが
値段
に反映しないというのは、この
市場
の
仕組み
にどこか間違いがある、どこか
改善
しなければならない点があるということに気がついて、それでこの
値段
を調べてみたのです。 それで、もっと大事なことは、この六十三円の相場を示した一月の五日のこれが
基準
になって、小売りの相場では、決してこの安い神田の三十八円が
基準
にならないのです。六十三円が、八百屋さんの店先に行きますと、これに小売り等のマージンが加わり——これは大体一キロの相場ですから、大根は、大きな大根になると二・五キロくらいになりますから、その二・五をかけるなりして二百二、三十円に、店屋に行けばなるのです。つまり小売り商では、大体六十三円の築地の相場が
中心
になって、そして売られていくわけですね。この安い神田の三十八円の相場が
基準
になっていないのです。こういうふうな意味で、これは単に、
市場
内のその日その日の集荷の状態によって
値段
が違うのだなんという単純なことではないのです。もっと
国民
にしてみれば、この築地が異常な形で
値上がり
した六十三円というのが
基準
になって、何十万という人が大根を買っている、その
基準
に右へならえで、たくさんの人が、安い神田
市場
から買った小売り商からも、高値と同じ
値段
で買っているのです。こういうふうな問題がありますので、こういうふうな異常な相場の出る
市場
機構の問題をもっと真剣に考えてみなければならぬ、私はそう思うのです。 そういうふうな意味で、重ねてなお事実をもう一ぺん聞いてみますけれ
ども
、この二十九日の二十五円の非常に安い相場、神田の五十円に比べて半値を出したときの荷受け人、つまり卸売り人が提供した三浦大根の数は、
農林省
ではわかっておりますか。 それともう
一つ
、五日の六十三円の相場を出したときの二つの拮抗した卸人が築地におるのですけれ
ども
、二つが出した
出荷
量はわかっていますか。
小暮光美
139
○小暮
政府委員
先ほど申しましたように、十二月二十九日の築地の大根の入荷量が百八十三トンでございます。その中で三浦大根が何トンか、ただいま資料を持ってきておりません。 それから、一月五日は三十八トンでございます。
和田耕作
140
○和田(耕)委員 あそこには、中央青果というのと築地青果という二つの大きな卸人がおりますけれ
ども
、この二つの卸人がどのような分担で、二十九日とそうして五日に
出荷
したのかということですね。
小暮光美
141
○小暮
政府委員
そこまでの資料を持ち合わしておりませんが、両者は、おおむね半々の数量を通常扱っております。
和田耕作
142
○和田(耕)委員 それでは私申し上げますけれ
ども
、二十九日には三浦大根を、中央青果は九十トン扱っておるのです。そうして、もう
一つ
の築地青果は三十五トンです。前者に比べて三分の一ですね。そうして、五日には中央青果は二十トン、築地青果は十二トン、こういうふうな形で出しておるのですね。つまり、この
数字
を見ると、これはまあ、この
出荷
者が、年末に安かったから、年初めの五日の相場には、安くなっては困るからというので少なく出したと思います。思いますけれ
ども
、ここらあたりはむしろ荷受け人、つまり卸売りのほうが良識があれば、毎年、毎日、毎日やっていることですから、どの程度に出せばあまり異常な
値段
が出ないであろうというふうな見当がつくはずですね。つくはずであるのにそれをしないで、こういうふうな非常に少ない数しか出してないということが、この、いまの五日の六十三円という異常な相場を出した直接の
原因
になるわけですね。 こういうふうなことからいろいろなことが想像されますけれ
ども
、つまり卸売り人の
価格
操作はできない、あるいはやってはいない、やらせはしないということをよく
農林省
もおっしゃるのですけれ
ども
、人間同士ですから、毎日、毎日電話で話し合っている相手なんですから、そういうふうなことが起こり得ると想像するのは当然のことですね。先ほど西中君からいろいろ下関の
市場
のことで話がありましたけれ
ども
、これは当然想像されていいことだと私は思うのですね。こういうような意味で、もっと荷受け人、つまり卸という
もの
についての地位の問題を、こういう例からも考えてみる必要がある。何となれば、先ほど申し上げたとおり、築地と神田のできる建て値、相場という
もの
は全国に
影響
を持つのです。これを
基準
としていろいろなところの取引が行なわれるのですから、もしこういうことがないようにするためには、卸人の資格なり、あるいはこれの監督といいますか、特に資格の問題についてもっと考えてみる必要があると私は思うのですね。そういうような意味で、先ほど西中君から魚のほうの例が出ましたけれ
ども
、この
野菜
のほうでも、数は多くはないのですけれ
ども
、そういう例はあるのです。大きな
出荷
者と思われるところが卸人になっている。特に直接農協自身が卸になっているのですから、こういう場合は、農協も他の
出荷
者も同じなんです。高く売りたいのは同じなんですから。農協が神田の
市場
では卸になっています。それから、どこでしたか、築地の
市場
の
一つ
の大手としては、日本冷蔵なり三井物産という会社が、この築地
市場
の
東京
築地青果という会社の大手の株主になっている。こういうようなことが、いまの卸の資格の問題として再
検討
されるべきじゃないか。もっと公的な、もっと公正な取引のできるような人が卸の役割りを果たすような考慮を、そろそろし始める必要があるのじゃないか、再
検討
する必要があるのじゃないか、こういうことを私は思うのですね。いまの西中君の質問と並んで、このような大事なところでの荷動き、
値段
の違いという問題の重要性から考えまして、そう思うのですけれ
ども
、
農林大臣
どうでしょうか。
倉石忠雄
143
○
倉石国務大臣
二つの面から
お話
がございました。取引の
状況
、それから卸売り人の資格、両方とも大事なことだと思っております。 取引
関係
のことにつきましては、
市場
法等では、そういうことについて重点的に気を使っておるわけでありますが、ただいまのような
お話
につきましては、十分私
ども
も念頭に置いて、当事者とも相談をいたしてみたいと思っております。
和田耕作
144
○和田(耕)委員 もう
一つ
、いまの年末年始の大事な
中心
の
市場
で出ている状態から私気のつくことですけれ
ども
、こういう状態が起こるもう
一つ
の
原因
は、狭い
市場
にいろいろなことで集められた荷物の集まりぐあいによって、
値段
がきまっていく。そういう場所ですと一あのときはちょうど雪が降りました。五日の前の日は雪が降りました。交通の繁雑なこともありました。確かにそういう事情も、この六十三円の相場には
影響
しているでしょう。こういう狭いところへ現物を集めてくる。この現物を見て、仲買いが寄って、そして相場を立てる、こういうところに、ちょっとしたはずみで集荷の状態が変わりますと、その
市場
の建て値は変わってきます。そういうふうな
価格
形成という姿をそのままにしておいて、中央卸売
市場
の
価格
形成という
もの
は適当であるかどうかという問題が出てくると思います。
東京
でいえば、関東地方の全域の大根なら大根の
供給
という
もの
がもっと頭に入って、
価格
形成に入ってくるような
仕組み
を考える必要があるのじゃないか、こう思うのですけれ
ども
、
農林大臣
どうでしょう。
倉石忠雄
145
○
倉石国務大臣
その点は、
政府
におきましても毎々考慮いたしておるところでありますが、御存じのように、大阪あたりはそういうことについて、また新しく北
市場
を建設いたすことになっている。非常によくやっておられますが、
東京
はいろいろな事情で、これは
東京
都がおやりになることでありますので、なかなか思うようにいっておりませんが、卸売
市場
におきましては、
お話
のように、広く、
需要
と
供給
を会合させて、公正妥当な
価格
が形成されるようになすべきである。したがって——また私とも、たまに築地、神田の
市場
に行ってみましても、あれは、いまの人口の半分ぐらいな
東京
時代の対象でああいう
もの
ができた。狭隘で、もう
お話
にもなりません。したがって、これを何とかしなければなりませんので、やはり私
ども
は、
政府
の助成もいたしまして、この
東京
都の外郭と申しますか、そういう地域に逐次そういう施設を講じて、いま和田さんのおっしゃったようなことに、大
消費
地である
東京
都民の期待に沿うようにしむけていかなければなるまい、このように思っているわけであります。
和田耕作
146
○和田(耕)委員 ちょうどいま
農林大臣
がおっしゃいました点ですけれ
ども
、一昨年の十二月に、中央卸売
市場
審議会というところで答申を出しておりますけれ
ども
、その中で、非常に力を入れて答申している
一つ
の項目がある。もっといまの場所を広くしろ、もっと
市場
の中の
市場
というような、文字どおりの中央卸売
市場
の名に値するような
もの
を、
東京
のようなところはつくったらどうなんだという提案がございます。ちょうど場所も、新しい埋め立てをしている大井のあの場所に、五十万坪ぐらいの敷地でもってそれをやったらどうなんだという提案がありますけれ
ども
、こういう提案は、非常に
時宜
に適した提案の
一つ
なんですね。これは
農林大臣
、至急にこの問題を具体化する御意思がございますか。
倉石忠雄
147
○
倉石国務大臣
消費者物価
を心配し、それからまた、
市場
のことを心配していらっしゃる
方々
、都民の多くの
方々
は、ただいま御
指摘
のような大井
市場
に待望しておりますが、とにかくあれは、
東京
都がその
気持ち
になってやっていただかなければ動かないことでありまして、まことに残念ながら、力及ばずして、まだそこまでいかないでおるわけであります。
和田耕作
148
○和田(耕)委員
東京
都との間に、何回かもう打ち合わせをなさったんですか。
倉石忠雄
149
○
倉石国務大臣
都知事以下の担当者とは、しばしばわがほうにおいても会見をいたしまして、多くの人々は、私
ども
の考え方と同様でございます。
和田耕作
150
○和田(耕)委員 それでは、格別こういう支障があるから、なかなかこの話の実現はできないのだという
問題点
がございますか。
倉石忠雄
151
○
倉石国務大臣
農林省
及び、先ほど
お話
がございましたような、私
ども
が
市場
のことについてわずらわしております学者先生方、専門家の考え方と、一致しておる方は非常に多いのでありますけれ
ども
、それが実行されるには、
東京
都当局がその意思になっていただかないとできないわけでありまして、築地の
市場
その他がみな、そういうことで
東京
都の管轄でございますので、残念ながらそのようにいっていないわけであります。
和田耕作
152
○和田(耕)委員
東京
都の美濃部さんが反対、あるいは、もっと違った方法があるんだというようなことをおっしゃりたいわけですか。
倉石忠雄
153
○
倉石国務大臣
東京
都知事は美濃部さんでありますので、美濃部さんが了解なさるということが、最終的には一番必要なことだと思います。
和田耕作
154
○和田(耕)委員 この問題は、いまの中央卸売
市場
の大きな欠陥、つまり正しい
価格
、需給を見た正しい
価格
形成をする場所として、現在の築地あるいは神田の
市場
は不適当であるということが、先ほどから申した
一つ
の例からもわかると思うのですけれ
ども
、何とかしてもっと便利な広い場所をつくって、この
市場
の問題の
一つ
の問題を解決しなければならない、私はそう考えます。 しかし、それだけでは、いまの中央卸売
市場
の当面している問題は解決できないと思います。私の考えますのは、こういう
一つ
の提案なんですけれ
ども
、品物の現物を限られたところへ持ってこなければ商売にならない、あるいは
値段
はきまらないというのでは、これはいかにも封建的、つまり前近代的な感じなんですね。もっと
野菜
の規格がしっかりしておれば、そして、たとえば三浦大根なら三浦大根という
もの
が、あるいは神奈川県のあるところの倉庫に何トンあるんだ、あるいは埼玉県のある大根が、埼玉のある倉庫に何ぼあるんだ、この見本はこれだ、こういうふうなことで、もっと広域的な範囲の
需要
と
供給
を頭の中に入れられるような形の広域化という
もの
が、ぜひとも必要だと思うのですけれ
ども
、
農林大臣
どうでしょうか。
倉石忠雄
155
○
倉石国務大臣
私
ども
も同感でございます。ことに大阪は、御存じと思いますけれ
ども
、大きな
市場
の中に小売りのアパートと申しますか、そういうような施設をうまくやっておりますので、
消費者
の便宜がはかられておりますが、
東京
は、とにかくああいう、
市場
が狭隘なので、とてもそんなことはできません。そういうような点も、私
ども
にとってはまことに残念千万だと思っておる
一つ
でございます。
和田耕作
156
○和田(耕)委員 いま、くだ
もの
の一部ではそういうふうな見本取引のような形でやっているんですけれ
ども
、
農林大臣
、この考えを、先ほど、非常にむずかしいことはよくわかりますけれ
ども
、
露地野菜
の範囲にまで広げていく。大根、白菜あるいはキャベツ、いま一番問題になるこの
三つ
の品目にも、いまの見本取引のようなことができるような——つまりこれはなかなか
輸送
の困難な品物なんです、この
三つ
の
露地野菜
という
もの
は。
輸送
が困難だからいまの思惑も入ってくるのです、ある日にある場所へ集めるというわけですから。そういう
もの
をもっと規格をきめて、そして
農林省
の人たちがしつかりと厳重に検査をして、そして、ある一定の規格の
もの
が、あるきまった場所に何トンあるんだ、ここには何トンあるんだ、ここには何トンあるんだというようなことを勘定に入れての
価格
形成ができるような方向にできないだろうかと私は思うのですけれ
ども
、大臣、どういうように思われますか。
倉石忠雄
157
○
倉石国務大臣
逐次盛んになってきております
施設もの
につきましては、
計画
的なことができると思います。けれ
ども
、
露地野菜
では、これはできる時期もいろいろ変化しておりますし、なかなか困難なことだと思いますけれ
ども
、見本取引の場外ストックポイントというふうなことは、将来やはり、だんだん盛んにしていかなければならない
施設もの
については、ぜひやってまいりたいということを、いま研究いたさしておるわけでございます。
和田耕作
158
○和田(耕)委員 私は、いま
農林省
でこの
野菜
問題について、あまり機構的に力が入ってないんじゃないかということで、事務当局の人に来てもらっていろいろ聞いたのですけれ
ども
、たしか、あの一局削減のときに園芸局をつぶしたですね。そして、あまりたいした発展性のない蚕糸の上にくっつけた。蚕糸のほうをぼろくそに言っているわけではないのですけれ
ども
、つまり蚕糸園芸局にしてしまったのです。
総理
の命令で一局削減のときに、これからだんだん忙しくなる園芸を、つぶしたというわけではないのですけれ
ども
、これを蚕糸のほうにくっつけた、こういうところに、
野菜
という
もの
に対しての
農林省
の考え方の一端がうかがわれるではないかということで、いろいろ聞いてみました。聞いてみましたところが、現在、非常に忙しい中から、相当他の個所のたくさんの人が
野菜
に参加しております。農林統計
調査
部の人員の中の約二割といいますから、一万一千人の二割の約二千二百人ぐらいの人が、この
野菜
の作柄あるいは
出荷
の
調査
に当たっておるようです。そのほか、たくさんの農事指導員のような人が現場におります。こういう人も協力しておるようです。しかし、現在のままでは、この協力が、残念ながら
野菜
の需給という問題に集中して効果があげられるような状態にないという、私はそういう判断をいたしますけれ
ども
、それはどうでしょうか。
倉石忠雄
159
○
倉石国務大臣
農林省
のことについていろいろ御研究いただいておる和田さんから、そういう御批判をいただくと、まことに残念なんですが、蚕糸園芸局は間口が広くなりまして、特に、私
ども
としては、たいへん活動いたしておると思いますが、それだけでは足りませんので、次官を長にいたしまして、
野菜対策
本部、
価格
安定の
対策
本部をつくりまして、ただいま
お話
のございました統計
調査
部、これは
総理
府の統計部長などでも、
農林省
の統計
調査
部の統計は国際的に非常に権威のある
もの
であるという御推賞すらいただいておるのでありますが、その人たちに、できるだけの余力を使ってひとつ情報の収集に協力せよということを命じました。同時に、次官が
中心
でありますが、蚕糸園芸
局長
を中核にいたしまして、
経済
局その他あらゆる機能を動員いたしまして、
野菜価格
安定のために機動的に働けるようにいたしておりますので、私
ども
といたしましては、この成果期して待つべき
もの
があると思っておりますので、どうぞ御援助のほどをお願いします。
和田耕作
160
○和田(耕)委員 それで、私、
一つ
の提案を申し上げますけれ
ども
、たとえば二千二百人の農林統計
調査
員の人が、
野菜
の問題の情報について協力をなさっているのは事実ですね。その協力のしかたが、たとえば
野菜
の作付が何ぼ、あるいは作柄がどうだ、あるいは
出荷
の
状況
がどうだという、一般的な
数字
として協力をしているわけですね。これでは、たとえばいまの築地あるいは神田の
市場
であれをしている人には、一般的な知識としては入りましても、それが
価格
形成の材料に入ってこないのです、その資料は。学者のいろんな研究の材料にはなりますけれ
ども
……。そこで、これを結びつけるためには、いま申し上げましたとおり、
野菜
を、見本取引の範囲を
拡大
していくということでなくて、もう少し規格の検査をするということが入ってきますと、地方にたくさんおる人が、ある
指定産地
に入っていって、このキャベツはどういう作柄だ、その
内容
は上中下に分けて、上が何ぼある、中が何ぼある、下が何ぼある、あるいは大根なら大根で、三浦大根の上が何ぼあるという、権威のある検査ができると思うのです。こういう検査ができますと、これぐらいの上の大根が、ある県のある倉庫には何ぼあるという資料になってきますと、これが
市場
における
価格
形成の要素になるわけです。いまそこが切れているわけです。ただ一般的な資料、一般的な知識を注入するだけであって、大事な
市場
の
価格
形成の材料には組み立てられていない、そういうふうな点がいろいろあると思うのです。そういうことで、やはり中央卸売
市場
における正しい
価格
形成のためには、そういうせっかくの御
努力
をなさっておられる人たちの力を、むだだとは申しませんけれ
ども
、
価格
形成のために動員するという、そういう集中力が必要だと思うのです。そういう点を、ひとつぜひ
農林大臣
にお考えいただきたいと思うのですけれ
ども
、どうでしょうか。
倉石忠雄
161
○
倉石国務大臣
先ほど、どなたかの
お答え
のときにも申し上げたわけでありますが、お説のようなことも非常に大事なことでありますので、数年前から逐次
予算
を
拡大
いたしまして、今日ではほぼ完成いたしておりますのは、米に限らず、すべての
野菜
その他——地方農政局が出先でありますから、その出先から、テレ
タイプ
で本省に全部集中されております。で、地方のマーケットの
状況
も逐次出てきております。それを中央に集めました
もの
を、今度は地方の
市場
及び
生産者
団体に流しております。したがって、いまどの地域に何がどのくらい存在しているかということは、全国のマーケットにおいて知り得る
状況
になっております。したがって、ただいま
お話し
のように、科学的に
市場
価格
操作といいますか、そういうことを察知できるような
仕組み
になっておりますので、なお、こういうことをさらに活発に生かしていかれるようにはいたしたいと思いますが、一応いまのようにはできているわけであります。
和田耕作
162
○和田(耕)委員 いろいろありますけれ
ども
、次の問題もありますので、この程度にしておきますけれ
ども
、これを要するに、現在の中央卸売
市場
の占めている役割りというのは非常に重大なんですね。つまり、ここで四五%以上の取引が行なわれるだけではなく、全国の
野菜
流通
のほとんど全体的な
価格
決定が行なわれる。しかし、現在の中央卸売
市場
では、先ほどの年末年始の例で申し上げたとおり、正しい
価格
形成は行なわれておりません。しかも、いろいろな問題が介在する余地があります。こういうことを直すということについて、今度の卸売
市場
法の改正については若干の問題が入っております。入っておりますけれ
ども
、非常に大事な問題が欠けておると私は思います。 その第一の点は、つまり、先ほどから問題になっている卸売人の地位をもっと公的な
もの
に変えるような、そういう考慮があってしかるべきじゃないか。少なくとも今後つくる
市場
については——従来には、いろいろそういう問題がありましょう。いろいろないきさつがありましょうが、今後新しくつくる
市場
については、卸売人の地位を、会社といろんなくされ縁のないような、もっと公的な人を任命するという
一つ
の考え方が当然入ってくる時期だと私は思うのです。 もう
一つ
の問題は、 いま申し上げましたとおり、ある限られた地域において集まった品物を頭に置いて
価格
をきめるのでなくて、そのときに関東なら関東にある大根なら大根、ハクサイならハクサイ、これの状態をよく把握して、これらの
もの
が
市場
の
価格
形成に入れるようなシステムをつくる、つまり広域的な
価格
形成ができるようなシステムをつくる、この二つの問題だと思うのです。 この二つの問題を、現在の卸売
市場
法の改正の
内容
の二つとしてつけ加える必要があると私は思うのですけれ
ども
、そういう考慮の余地はございませんか。
倉石忠雄
163
○
倉石国務大臣
市場
を構成いたします役員、それから問屋等、そういう
もの
、これはもちろん、
自由経済社会
のことでございますので、できるだけ安心のできるような
方々
に構成していただくように、私
ども
としては
努力
はいたしますが、とにかくこの
方々
は、お仕事はなるほどああいうお仕事であっても、きわめて公益性を持っておる仕事でありますので、そういう御自覚に基づいてしっかりやってもらいたいと思います。 後段のほうで仰せられましたようなことについては、運営について十分考えなければならない大事な問題だと思っております。
和田耕作
164
○和田(耕)委員 もう
一つ
最後に、先ほど申し上げたとおり、この答申にもありますように、大体答申の考え方は、大井
市場
という、つまり
市場
の上に立つ
市場
という考え方の
もの
ですね。つまりここを集散地にして、
東京
の七つ八つの
市場
に対して荷を流していく役割りと、ここで正しい
価格
形成をする役割りの
もの
だというふうに私は理解するのですけれ
ども
、大井にそういうふうな
もの
ができれば、大井のようなところこそ、町の業者が卸売り人になるというのではなくて、それこそもっと公的な卸売り人制度を、こういうところでは採用するという考慮が必要だと思うのですけれ
ども
、
総理
どうでしょうか。
倉石忠雄
165
○
倉石国務大臣
市場
のことですから、こちらが
お答え
いたしますが、たいへん大事なことを御
指摘
いただいたと思います。そういうようなことも十分に念頭に置いて、大井
市場
ができるだけ早くできますように、また、できるようになれば、いまのような御趣旨でひとつやってまいりたいと思っております。
和田耕作
166
○和田(耕)委員 以上で中央卸売
市場
の問題についての質問を終わります。 続きまして、管理
価格
と行政指導というような問題についての質問に移りたいと思います。 これはひとつ
総理
と、それから
農林大臣
、通産大臣、
大蔵大臣
に
お答え
いただきたいと思うのですけれ
ども
、数年前から
物価
問題懇談会、
物価
安定推進
会議
、
物価
安定
政策
会議
と、いろいろ名前は変わりましたけれ
ども
、学者諸君の答申の中に、できるだけ自由
市場
、つまり競争条件を整備するというたてまえに立って、役所の行政指導を廃止しなさいという提案があったように記憶しますけれ
ども
、経企庁長官どうでしょうか。
佐藤一郎
167
○
佐藤
(一)
国務大臣
お説のとおりであります。
和田耕作
168
○和田(耕)委員 その結果、最初にやりましたのが、
農林省
の——きょうは
農林省
のことに集中するのですけれ
ども
、牛乳の
価格
の問題について
農林省
の行政指導をやめるようにした。その結果、私は、牛乳の
価格
は下がらなかったと思うのです。行政指導があるときよりはむしろ上がったんじゃないかという判断をするのですけれ
ども
、
農林省
、どういう判断をされておりますか。
倉石忠雄
169
○
倉石国務大臣
牛乳
価格
は御存じのように、市乳とそれから原料乳と分けて、原料乳につきましては不足払い制度をとっておるわけでありますが、あのために下がってきたわけではありません。
需要
が落ちてまいりましたので、
価格
は、あのころから見ると、一応下がっております。
和田耕作
170
○和田(耕)委員 その後、たとえばビールの
値段
の問題もありましたけれ
ども
、ああいう問題も、
大蔵大臣
たいへん御苦労なすったのですけれ
ども
、うまくいかなかった。ああいうことも、もっと役所として——ただ行政指導、行政介入をやるなという学者諸君の
意見
に何か便乗しているみたいな感じを受ける、非難されるところだけはやめて、というような感じを私は受けるのですけれ
ども
、そうでなくて、もっと積極的に介入すべきである、私はそう思うのですけれ
ども
、
大蔵大臣
どうでしょう。
福田赳夫
171
○
福田国務大臣
いまビールの話が出ましたが、酒もあり、ウイスキーもある。それで、三十九年から自由
価格
になったわけですが、その後の
推移
を見ておりますと、酒などは、末端ではかなり
価格
差が出てきております。ところがビールにつきましては、どうも自由競争原理という
もの
の働きがない。なぜかというと、これはああいう寡占体制、そういう
もの
が非常に強く
影響
しておる、こういうふうな見方をしておるのです。 それで、
物価
政策
から見ますと、ビールの
価格
を自由化してしまった、こういうようなことになりますこと、これはちょっといま問題というか、反省しなければならぬ問題かと思うのでありますが、やはりこれは寡占体制下の
価格
形成、これをどういうふうにするかという角度で
検討
すべきか、こういうふうに存じまして、いま
公正取引委員会
当局等と相談をいたしておる、こういうことでございます。
和田耕作
172
○和田(耕)委員 先ほど
倉石
さんは、牛乳
価格
は下がり始めるだろうというのですけれ
ども
、あれから牛乳
価格
は、むしろずっと上がっているのですね。今年あたりまた、牛乳を上げるという話が出てくるんじゃないですか、
農林大臣
いらっしゃらないですか、事務当局の方おられませんか。
増田久
173
○増田(久)
政府委員
四十四年の春に確かに三円上がりました。それで、本年度も一部にそういううわさが流れておりますけれ
ども
、まだ確認はいたしておりません。
和田耕作
174
○和田(耕)委員 牛乳の問題は、私は
物価
委員会
でときどき取り上げるのですけれ
ども
、
農林省
の行政介入をやめたといっても、牛乳の小売り屋さんのほとんど全部は、五大メーカーの系列下にあるわけですね。この系列もきびしいですよ。販売契約がありましてね、販売契約には、牛乳屋さんの家屋敷を全部抵当に入れるのです。抵当権を取って販売契約をするのです。それほどきびしい結びつきが、牛乳屋さんとメーカーさんとの間にはあるのです。小売り店は、ほとんど全部そうなんです。こういう小売り店の構造、つまり、これは寡占体制が小売りの
流通段階
までずっと入ってきているということですね。こういう状態のもとで
農林省
が行政介入をやめたということは、値下げに対してほとんどいい意味をなさないのです。やめたところで、寡占体制がありますから、事実上話し合い体制はすぐできますから。二十円から二十三円に上げたときはそういう状態ですね。今年はないということですけれ
ども
、今後ある場合にも、そういうことはすぐ話し合いが行なわれるのです。したがって、行政介入をやめたら自由な競争条件が復活するというふうに考えることは、これは虚構なんですよ。そうではなくて、正しい行政介入があって初めて、
流通
過程に入ってきた寡占体制という
もの
をチェックできるのです。 私は、相当大きな部門においてそういう体制があると思うのですけれ
ども
、お酒なんかはどうですか。
福田赳夫
175
○
福田国務大臣
酒のほうは、ビールほどではないと思います。しかし、やはりある程度、一波万波を呼ぶというように、
一つ
の会社が
値段
を動かすというようなことになりますと、それがずっと波及していくという
傾向
はあるのです。しかし、それは末端へ行きますと、若干
価格
差現象という
もの
が出てくる。これは何といってもビールとは違いまして、寡占体制だというふうには思いませんけれ
ども
、ビールの
価格
問題につきましては、これはどういう形がいいか、公取ともよく相談してみなければならぬと思ってやっておるところでございます。
和田耕作
176
○和田(耕)委員 それは、酒屋さんのほうは、牛乳の小売り屋さんとは非常に様子は違っていると思いますけれ
ども
、しかし、ここでもプライスリーダーといわれる人たちの存在、こういう
価格
操作という
もの
は、すぐにでも行なわれるという体系にあることは事実でしょう。
福田赳夫
177
○
福田国務大臣
体制としてそういう状態にあるわけじゃないと思いますが、長い間の伝統というか、しきたりですね、それがある
もの
ですからそういう土壌というか、そういう中で
価格
の自由化が行なわれたという
もの
ですから、
一つ
の会社が
値段
を上げましたというと、慣習的にそれがずっと波及する、そういう癖がある。そういう癖を何とか直さなければならぬというのが、私
ども
の仕事であります。
和田耕作
178
○和田(耕)委員 そういう癖がある、慣習があるということですけれ
ども
、そういう癖があり、慣習がわりあい短
期間
に行なわれるという状態を前にして、大蔵省はこれに対して介入はやめました、自由
価格
にしましたということだけ申しますと、いかにも役所は自由
価格
、自由な競争を奨励するようなかっこうにはなるのですけれ
ども
、実態はちっとも変わらないのですよ、牛乳でもお酒でも。そうであるなれば、いままでの行政介入が悪いのは、
生産者
の立場を不当に——いままでは正当だったでしょう。
生産者
を
中心
に指導してきました。牛乳でもお酒でもそうです。しかし、今後は
消費者
を
中心
にして、
消費者
の利益を守るような形で、役所が業界を積極的に指導なさらないと、自由にまかしておけば上がるだけだというふうに私は思うのですよ。したがって、学者諸君が言うような、自由な競争条件を強化しなさいというこの
意見
の都合のいいところだけとって、実際は行政の責任をとるべきところはとらないというような面が出てくるという判断をするのですけれ
ども
、実は私は、現在の
価格
問題が混乱をする
一つ
の大きな理由は、
政府
のそういう態度にあると思うのです。私は、
政府
がもっと責任をとるべきだと思うのです。責任をとる体制で乗り出してくるべきだと私は思うのですよ。これはつまり現在の
価格
政策
に対して、自由な競争条件を強化しなさい、これは
一つ
の理由があります。ありますけれ
ども
、寡占的な問題、寡占的な
一つ
の
流通
問題がある問題に対しても、同じような感覚が入ってきたり、あるいはそうでないようなことが出てきたりという、その混乱があるのじゃないかと思うんですね。その問題について、ひとつもっとはっきりした態度を確立してもらいたい。
政府
としては、つまり正しい行政介入というあり方がどういうふうなあり方であるか積極的な、
物価
問題について
政府
自身が責任を持つんだという立場を明確にしてもらいたい、そういうふうに私は思うのです。
総理
大臣のひとつ御所感をお
伺い
したい。
佐藤一郎
179
○
佐藤
(一)
国務大臣
いまの
お話
は、出発点が提言から出ていますから、私から
お答え
しますが、確かに和田さんの御
指摘
のような問題、われわれも感じています。 そこで、あの提言は、こういう提言のしかたをしておるわけです。
一つ
は、行政介入というのはいけない。その行政介入は、直接的な介入と間接的な介入とある。そうしてまた、
経済政策
的な目的による
もの
と、それ以外の他の何らかの行政目的による介入とある。これらについてはできるだけ撤廃していったほうがいいというところの意味は、たとえば
事業
者の数を制限したり、設備の制限をしたり、あるいは
輸入
の制限をしたり、いろいろと
事業
自体に対して統制を施す、このことが、逆に
物価
の上昇という問題の見地からいいますと、
物価
について、むしろ抑制的よりも上昇させるような機能に働く。だたし、いわゆる大企業の
製品
その他いわゆる寡占
価格
の問題は別である。これについては、いわゆる管理
価格
の問題ということで、逆にむしろ行政介入をすべきである、実はこういう提言になっておると思います。 でございますから、むしろ和田さんの御
指摘
は、そこで他の、たとえば酒税の確保であるとか他の目的であるにせよ、せっかく介入する余地があった
もの
をはずすということがおかしい、こういう御
指摘
であろうと思います。だた理論的にいうと、そっちのほうの面の介入のしかたという
もの
は、できるだけ自由化していく。そしてあと、いわゆる管理
価格
的な
もの
についていかに対処するか、こういう新しい角度から別に問題を取り上げるべきである、こういう御
指摘
のように伺えるのであります。 おそらく、そういうふうな立場からしますれば、いま
大蔵大臣
が言われておりましたように、今後ビールの問題等につきましては、その業界の状態というような
もの
も十分
調査
しなければなりませんし、御趣旨の方向において十分
検討
に値する、こういうことになろうと思います。
和田耕作
180
○和田(耕)委員 長官の言われること、よくわかります。理論的にはそういうふうな分けた態度はできますけれ
ども
、たとえば牛乳の問題がそうでしょう。牛乳は、四つか五つの大きなメーカーの寡占体制ができている。小売り商のほうは自由にしなさいといったところで、小売り商の自由になりませんよ、もう厳重な系列ができておるから。お酒の問題でもそうでしょう。メーカーの
段階
では
一つ
の寡占的な問題ができつつあるけれ
ども
、小売り
段階
ではそうじゃないから、このほうは自由競争にして片一方は寡占だ、こういっても分けられないでしょう。これはカラーテレビとかそういう問題でも同じじゃないですか。カラーテレビのメーカーでは寡占体制ができている。この販売
事業
については、次第に系列化あるいはやみ再販のような問題ができている。こういうことですから、
流通段階
では自由化しなさい、メーカーに対しては干渉だという、理論的に二つに分けられることが、実際の
政策
として分けられるかということです。そういう混同が現在ありはしないか、こういうことを申し上げたのです。
小林進
181
○
小林委員長
和田君に申し上げます。あなたの持ち時間はあと二分であります。
佐藤一郎
182
○
佐藤
(一)
国務大臣
よく
お話
はわかります。そこで、牛乳の問題という具体的な問題についていいますれば、これについて一体御
指摘
のような、たとえば再販制度であるとか、その他いわゆる
流通
を阻害するような体制という
もの
があるかどうか、そうした問題として別に
検討
する必要があろう、こう思います。
和田耕作
183
○和田(耕)委員 もう時間もございません。まだ幾つかの問題がありますけれ
ども
、やめます。 最後に
総理
大臣から……。 先ほどの中央卸売
市場
の問題につきまして、私、現在の状態から出てきた
問題点
を
指摘
いたしました。したがって、中央卸売
市場
法という
もの
がいま出ておるわけでございますが、この問題を私が申し上げたような角度から、もう一ぺん、運営とい問題を含めて考慮してみる必要があるなというお考えであるかどうかということが
一つ
。 もう
一つ
。いまの寡占という問題についてのもっときびしい監視と申しますか、こういうような
もの
が必要である。つまりメーカーと小売りと離れていませんから、メーカーと小売りと離れたような立場で
政策
をとりましても、それはナンセンスになるのです。そういうような
もの
を含めて、寡占
対策
に対するきびしい態度をとる必要があると思うというようなことであれば、そういうことについての
総理
の御決意なり御感想を承りたい。
佐藤榮作
184
○
佐藤内閣総理大臣
ただいまの継続審議になっております
市場
法、これは早く通していただきたいと思いますが、私、いまいろいろ
市場
の問題について考えながら、独占的な
市場
、そういう
もの
でよろしいのか、やはり競争的な立場の
市場
をつくらなければならないのじゃないのか、そこらに
一つ
の問題があるように思う。もう
東京
の卸売
市場
、これはつくったときは五百万の人口だ、それを目当てにしてつくった、かようにいわれておりますが、今日は千五百万人、そういう
もの
で考えなければ
市場
の役目を果たさない、かように思いますので、これは早急に整備する必要がある。ただいまそういう意味で、それぞれの
市場
の用地取得なり、またはその他の運営方法等についても考えておるようでございます。 いずれにいたしましても、これは早急に公正な取引ができるように、またそういう意味で施設も整備する、こういうことでなければならぬ、かように思っております。 それから第二の、寡占の問題、寡占
事業
、こういう
もの
に対する監督、これは行政官庁としても、行政が介入しないにこしたことはございませんけれ
ども
、どうも寡占状態だと介入せざるを得ない、かように私は思いますが、その介入のしかたもいろいろあるだろうと思います。行政官庁自身が直接入るのか、あるいは公取自身がそういう
もの
について、現在の独禁法のもとでどの程度介入し得るか、これもよく
検討
しなければならぬと思いますが、いまの状態でなかなか公取水簡単にいけないような点がありはしないか。言いかえますならば、独禁法をまだまだもっと
検討
しないと十二分に腕がふるえない、こういう
もの
もあるのじゃないだろうか、かように思います。 最近の
経済
機構から申しまして、だんだんと大企業が出てくる。先ほど来
お話し
になりますビールだとかあるいは牛乳、そういう
もの
は、きわめて少数でビールあるいは牛乳を
供給
している、こういう状態でございますから、これに対して十分の行き届いた監視ができるようにしなければならぬ、かように思います。それらの点は、御趣旨もございますから、それらに沿って十分
検討
してみたい。
政府
はこれと十分取り組んで、
国民
の、
消費者
の立場に立って万遺漏なきを期したい、かように決意しておる状態でございますから、いましばらくまだ時間をかしていだたかないと、いま直ちに動き出す、こういう状態ではございません。
和田耕作
185
○和田(耕)委員 これで終わります。
小林進
186
○
小林委員長
美濃政市君。
美濃政市
187
○美濃委員 私、質問に入る前に、
農林大臣
にちょっとお
伺い
したいと思いますが、先ほどそこで
質疑
を聞いておりまして、
東京
都は八カ年
計画
で、かなり大規模な
市場
計画
を立てておると私
ども
は
承知
しておるのですが、何か
東京
都知事が
市場
問題に消極的なような表現をされたように聞いたわけですが、もう一回その点だけ、ちょっと確認しておきたいのですが……。
倉石忠雄
188
○
倉石国務大臣
簡単な往復のやりとりだ
もの
ですから、ことばが足りなかったかもしれませんが、ああいう
市場
は自治体の
もの
であることは、これはおわかりのとおりでございます。そこで
東京
都におきましては、
農林省
が昭和三十八年につくりました設備八カ年
計画
に対応いたしまして、
東京
都の八カ年
計画
をつくっておりましたが、大井の問題につきましては、
東京
都はプロジェクトチームをつくって
検討
中と聞いております。
農林省
側も同じくプロジェクトチームをつくっておるわけでありまして、先方の御
意見
がまとまれば、わがほうに
お話し
合いが出てくるわけでありますから、そうなりましたら、ひとつ両方とも相談をして、なるべく早く実現いたすことにしたい、こういう経過でございますので、それをひとつ御了解願いたいと思います。
美濃政市
189
○美濃委員 まず最初に、
野菜
の
生産
確保につきまして、先ほど来、十分な
生産
を確保する、こう
農林大臣
は言っておりますが、十分な
生産
を確保するいわゆる
生産
計画
、これはどのようにして立てるのか、どういう構想で
生産
計画
を立てようとするのか、それを
伺い
たいと思います。
倉石忠雄
190
○
倉石国務大臣
野菜
の
生産
確保のためには、先ほど来ここに
お話
もございましたように、まず第一にわれわれがやるべきことは、
生産者
サイドから考えましても
価格
の安定ということが必要である。同時にまた、食生活の好みが変わってきておりますので、それに対応いたしました将来の
見通し
を大体つけまして、それに合うように、しかも、その
野菜
の作目についてもある程度の
計画
性を持って
生産
対策
をやってまいりたい。しばしばいわれておりますように、
需要
に見合うだけの
供給
をやるために、ただいまできるだけ
計画
性を持った
生産
性を増していくようにいたしたい。そのためには
生産
対策
、それから
価格
政策
等も併用してやっていかなければならない、このように思っておるわけであります。
美濃政市
191
○美濃委員
計画
は
農林省
が立てると解釈してよろしゅうございますか。
農林省
が主体で
計画
を立てる……。
倉石忠雄
192
○
倉石国務大臣
もちろん第一の素案は私
ども
がつくりますが、やはり
予算
の
関係
もございますので、それぞれ
関係
省とも相談いたすわけでありますが、主として
農林省
が立案に当たっております。
美濃政市
193
○美濃委員 そこで
一つ
の問題が起きるわけですが、そういう
計画
に対して、従来から実需と
計画
があまり結びついてない。特に
生産者
に言わすと、これは大臣聞いておると思いますけれ
ども
、
農林省
の反対をするほうが安全だ、
農林省
の言うとおりやれば正直
もの
がばかを見るという考えが、
生産者
の間にかなり根強くあるのです。そうすると、机上プランで、実態にそぐわない
計画
のためにこういう状態が起きてくるのじゃないか、その
計画
を着実に実行すれば、たとえば過剰
生産
等が起きて、非常に安値が出て
生産
費は償えないという状態が起きるし、それを無視すると品が切れて、ことしの春先のような非常に暴騰が出る。こういうことを繰り返して——あとからまた
流通
の問題に入りたいと思いますけれ
ども
、今日、日本の
総合
の
物価
の足取りから見れば、
野菜
という
もの
は、
総合
物価
の平均の足取りの状態で動いたというときはほとんど少ない、限られた日数である。
もの
すごく安値で、とうてい再
生産
ができない
価格
になっておるか、もう
一つ
は、
もの
すごい高い
価格
で
推移
してきておる。非常に
変動
率が高い。これを何とかしなければならぬ、物的
流通
の革新をやらなければならぬと私は思うわけです。既定観念ではこれはとまらぬだろう、こう思うわけです。どうですか。
倉石忠雄
194
○
倉石国務大臣
四十六年度
予算
を御審議願っておるわけでありますが、私
ども
、
稲作転換
のために
一つ
の重点を置いておりますのは、
野菜
の
生産
拡充強化をはかること、その中には、例の
野菜
指定産地制度
の拡充を
一つ
やっております。それから、いままでは、果樹園等では
畑地かんがい
をたいへん喜ばれましたが、
野菜
にはなかなかそういうことを希望されなかった。しかるに今度は、
予算
編成にあたってかなり地方から希望がございましたので、
畑地かんがい
施設を積極的に
野菜
にもやります。それから、集中管理
施設園芸
団地の造成をしてまいりたい。それから、いま
お話し
の
野菜
集送センターといったような
もの
に力を入れて編成をいたしてまいろうといたしておるわけでありますが、私
ども
、いろいろ御批判もございましたけれ
ども
、長い時間かけまして、一応地方地方の実情を十分に地方の農業団体や自治体の長とも御相談をして、いわば地域分担的な研究をいたしました。ああいう
もの
に即しましても、やはりその地域にできるだけマッチしたような
野菜
生産
をやってまいりたい。 そこで、
野菜
という
もの
がいままで従的な
もの
でございましたが、従ではなくして、主要な農作物の中に考えて、ぜひひとつその
生産
を確保するようにいたしてまいりたい、こういう方向で考えております。
美濃政市
195
○美濃委員 しかし、そういう
政策
ももちろん否定はいたしませんが、この
段階
で、やはり
需要
と
供給
の組織的
計画
化という
もの
が必要だと思うのです。テーブルプランで立てた
計画
だけを進めてみても、これは実用から多少離れている
もの
が出てくる。ですから、
市場
を
中心
とした
需要
と
供給
の
計画
的組織化という
市場
の構成をひとつ考えなければならぬと私は思うわけです。そういう
もの
なくして、ただ安定安定といってみても、行政的につくった
計画
という
もの
は、やはり実際の動きと離れる場合が出てくる、こういう実例があると思うのです。
流通
問題で特に考えなければならぬのは、そういう形態をたどっておりますから——ここに
物価
安定
会議
から出ておる提言、これはこのとおりだと思うのです。
一つ
は「卸売
価格
の
変動
の現象は小売マージンを高くする要因の
一つ
となっている。それは、小売商が短期的にはかなり硬直的な値決めをする性向をもち、その場合、卸売
価格
の短期的
変動
に伴い生ずるリスクを回避するため、仕入
価格
の比較的高い水準に合わせて売価を定めようとするからである。」これは確かに現象としてあると思いますね。
市場
がかなり下がっても、小売り値は下がっていないという
現実
はあるわけです。先ほどからもいろいろ話があったわけです。こういう現象を解消するには、やはり絶えず
供給
と
生産
という
もの
、それから年間の
計画
だけでなく、日量の
出荷
が
計画
的に——ある日はその
市場
の
需要
額の倍も出る。ある日は出したあとは全く切れてしまう。先ほ
ども
どなたか大根の話があったようにあるときは百何十トンも入った。そして荷物がなくなって、近い日限の中においてそれがほとん
ども
う一〇%ぐらいしか入ってこない。そのときは暴騰する。これでは
需要
側の
消費者
も非常にありがた迷惑だし、
生産者
にもそういうことが出てきておる。そういう面は、
計画
的に
市場
の大体——日量の
消費
の要求を把握するというところまで、これは行政がなかなか入れないでしょう。年
計画
ぐらい立てておいて、おおよそこれくらいが要るだろうという
生産
計画
を立ててみても、そういう具体的な
もの
は、どうしても今後
市場
が
中心
になって、
需要
供給
の組織化、
計画
化という
段階
に入っていかなければ、この問題は私は解消されないのではないか、こう思うわけですが、どうですか。
倉石忠雄
196
○
倉石国務大臣
御存じのように、
指定産地
は四十六年度で六百四十でありますけれ
ども
、これはもう
指定産地
を指定いたします間の
調査
、それから、指定されまして実際に移っていきますにも、御存じのように三年間ぐらいは経過いたすわけでありますから、六百四十指定いたしましても、フルにその能率を発揮いたしておるのは、さだかに記憶いたしておりませんが、百十ぐらいかと思います。これから着々その
指定産地
の効果をあげてまいるわけでありますが、
指定産地
は国がいろいろ
補助
をし、めんどうを見ておるわけですから、そこの
指定産地
の作物につきましては、一定量義務的に、指定しておる
消費
地に配送しなければならぬことも御存じでございますし、また
指定消費地
も二カ所ふやしまして、たぶん全国で重要
指定消費地
が七カ所になっておると思いますが、そういうふうな大きな意味では、
計画
的にやっております。しかし、それは
指定産地
、
指定消費地
のことでありまして、
消費者
が
需要
する品物につきましては種々雑多でございます。したがって、そういうことの
需要
と
供給
にうまくマッチするには、ただいま御
指摘
のありましたように、
市場
がやはり大事な役目をいたすわけであります。したがって、私
ども
は地域分担というふうな日本の農業地図を作成いたしますにしても、あれは独断ではいけませんので、地方の県知事がそれぞれ、まあ北海道で申せば道知事が、北海道の将来の農業について、地区的に非常によく分けて
計画
をお持ちでありますが、そういう
もの
を参考にする。それから、その地区地区における農業団体の将来の展望等についても、それを取り入れる。そのようにいたしまして、
農林省
の出先がそれらのデータを技術的に集めまして、もう何らの作為を加えずにコンピューターでたたき出した
もの
が、ああいう
もの
でございます。 したがって、あれを発表いたしましてから日がたつに従って、初めいろいろ御批判がありましたけれ
ども
、やはり、なるほどこういうことだろうな——私
ども
は、これを決して強制しようなどという意思はございません。ガイドポストでありますから、できるだけこういう貴重な計算のもとに出てきた方向をひとつ尊重してやってもらいたい、こういうことで、基盤整備、構造
改善
等、ああいう
もの
を参考にして、農林
予算
の中に四十六年度も当初組んでおるようなわけでございまして、いま
お話し
のように、私
ども
といたしましても、
国民
の食べ
もの
に対する好みの変化を洞察いたしながら、将来もやはり地域的に、なるべくその地域に合うような
もの
をつくってもらい、同時に、こちらの希望しておる
消費
地のほうに出てまいることのできますような、そういう
仕組み
を逐次養成をしてまいりたい。国家の財政で
補助
しておる
もの
でありますから、そういう精神を尊重せずに、間違ってかってなことをおやりになるようなところはきびしく、あるいは指定を取り消すこともあるかもしれません。そのようにいたしまして、やはり
計画
的に
生産
を続けてまいりたい、このように思っているわけでございます。
美濃政市
197
○美濃委員 ただいま好みという
お話
がありましたが、調べてみると、日本の
野菜
の品種はかなり多いですね。そこで、質的に違う
もの
は当然時期別、品種別に
需要量
があることは、これは絶対に必要でありますけれ
ども
、たとえば、同系列の
もの
で若干アイデアの違う
もの
を
一つ
の品種として——まあ
市場
に出てくるのは三百数十品種と聞いておりますが、こういう品種について、種子
生産
の上や何かで、同系列の、栄養価も味もそう変わらない、ただアイデアだけが変わっておるのだというような品種を統合して、
多様化
を抑制する指導をお考えになっておるかどうか。それとも、多少のアイデアの違いでも、もう三百五、六十品種から四百品種になっても、何ぼでもこれは
多様化
していくことが正しいとお考えになっておるのか。これはやはり
生産
経費のコストの上からも
流通
の上からも、そういうことになると、どうしても割り高になるわけですね。コストダウンはなかなかめんどうになると思います。そうすると、そういう
多様化
という
もの
に対する
政策
指導のかまえですね、それはどうお考えになっておるか。まだまだ
多様化
することが必要なのか。それとも多少同系列で味やあるいは栄養価のそう変わらない
もの
は、やはり抑制して品種を統合することが
流通
や
生産
の
改善
になるのか。どの方向をお考えになっておるか。
倉石忠雄
198
○
倉石国務大臣
それはつくられる方の、まあ理屈からいえば御自由でございますけれ
ども
、あまり少量の
もの
で、そして少数の好みの
もの
しかないような
もの
は、やはりそろばんがとれませんので、おのずから
生産者
も、それから
生産者
団体も、そういう
もの
については自制していくのではないかと思いますが、何しろもう、大体指定
野菜
として指定いたしております十数品目という
もの
が、大ざっぱに申しまして一般大衆が一番好まれる
もの
でありますので、いま全国の
傾向
を見ておりますと、特殊な地域で特別な、独特な
もの
をかかえておられる以外は、大体いま申しましたような
傾向
ではないかと思っております。
美濃政市
199
○美濃委員 その
傾向
でなくて、
農林省
としての指導のかまえがあればということを聞いておる。指導理念です。どういう方向へ指導しようとするか。
倉石忠雄
200
○
倉石国務大臣
需要
が安定しておって、そして
供給
しておるほうの側から見ても農業
生産
として十分にペイできるような、そういう
もの
が安定してつくられることが望ましい。しかし、特殊なところもあります。たとえば、食い
もの
ではありませんけれ
ども
、最近著しい伸びを示し、また所得が非常にふえてきたのに花がございます。これなどは、愛知県などへ行ってみますと、いままで
野菜
をつくっておりました
もの
よりもはるかに所得が多くて、またしかも、これが非常に盛んになっている。あえて私
ども
は、そういうことについてとやこう申しません。それはそれなりの、やはり農家の所得がそれで安定しておればそういう
もの
もやるべきであるというので、四十六年度
予算
には、たしかそういうところを八カ所くらい、お手伝いをして、そういう
もの
を盛んにさせるようにいたしておるわけであります。
美濃政市
201
○美濃委員
経済企画庁
長官にちょっとお尋ねしますが、文化国家の
国民
総所得の中に占める標準カロリーの食費あるいは住居費、こういう比率という
もの
に対して、
経済企画庁
として大体標準はこうあるべきだという
もの
がありましたら、お聞かせいただきたい。
佐藤一郎
202
○
佐藤
(一)
国務大臣
いまエンゲル係数で
お答え
する以外にはありませんが、御存じのように、エンゲル係数は非常に低くなってまいりまして、大体三二、三%、先進諸国並みのところに来ております。それで、カロリー計算とか、そういう具体的な計算によるところの水準につきましては、これは
国民生活
審議会なんかでもっていろいろな試算をいたしておりますけれ
ども
、まあ今日の全体の日本人の食生活という
もの
は、相当高度になっていることはたしかであります。もちろん、内部におけるアンバランスであるとか、なおいろいろと問題はございますけれ
ども
、全体としての水準は相当のところに来ているということはいえると思います。
美濃政市
203
○美濃委員 参考のために、その他はどうですか。住居費、そういう
もの
は……。
佐藤一郎
204
○
佐藤
(一)
国務大臣
これは四十三年度の生活白書でございましたか、よく話に出ておりますいわゆる
国民
の福祉水準ということで試算をしたようなことがありますが、住居なんかについては、残念ながら、まだ相当おくれております。こうした水準を高めるということが、まあわれわれの
政策
の大きな目標に当然なってくるわけであります。
美濃政市
205
○美濃委員 いまの長官の
お話
は実勢ですが、実勢と
計画
とはどうですか。あるいは長期に対する七〇年代の
計画
、そういう
もの
は、どうあるべきだという
計画
がなければならぬわけです。実勢は実勢として、実勢と
計画
は全く一致しておるというお考えかどうか。
佐藤一郎
206
○
佐藤
(一)
国務大臣
これにつきましては、御存じのように住宅には住宅の
計画
があり、いわゆる一世帯一戸というような目標を掲げております。それぞれ必要に応じて
政策
目標は持っておるわけでございます。ただ、非常に具体的なこまかい
もの
について、すべて整っておるわけではございません。結局、全体としての所得水準という
もの
が昭和五十年において、新
経済
社会発展
計画
において、御存じのようにGNP一人頭で四千ドル。ですから、所得にいたしますと、大体その八割くらいのところの水準の
もの
を目ざしておるわけでございます。やはりそうした
国民
の一人頭の平均所得が高まってまいるということは、当然いま御
指摘
のような
内容
がそれに伴ってくるわけでございます。個々の物的な
もの
については、その行政投資の目標を五十五兆円というような
もの
をきめておりますが、それらが具体化されて、そうした高い
もの
が結果としてできてくる、そういうことになっております。
美濃政市
207
○美濃委員 次に、
お話
を聞いておりますと絶えず
生産
出荷
の安定を言われますが、これはいわゆる
農林省
の
計画
に従って
生産
した場合ですね。そうすると、大体のかまえとして
野菜価格
安定法は、あるいは業務方法書は、どの程度
改善
しようとするのか。いまの
野菜価格
安定
対策
というのは、
予算
をつけても、制度を直さなければ不
需要
額になってしまうと思うのですね。大体補償するに足らない。いわゆる国が主として
計画
を立てるということになると、その
計画
が過剰だった場合の責任は当然国が負うべきだと思うのですが、そうなるとちょっときびしくなりますから、表現はそういう道理になると思うのですが、そういうかまえの上に立って
野菜
の
価格
安定
対策
、現行の制度では、これはとても——
生産
過剰になって、あの程度の補償をしてもらっても、直接
生産
費すら、労費にはならぬのですから、結局は再
生産
不可能の状態におちいります。ですから、もっとどう
改善
するのか。いろいろ農産物の
価格
安定制度も十分とは言えませんけれ
ども
、しかし、農産物
価格
政策
の中で労費が加味されてないなどというような
もの
はないが、現在のあの制度では全然労費なんかはもう加味されない。直接かかった経費すらがなかなか困難ではないか、あの方式による、あの業務方法書による廃棄の補償を受けても。これはどの程度思い切って直そうとしておるか、アウトラインをお聞かせいただきたい。ただ、やりますという表現はわかりましたけれ
ども
、中身がさっぱりないのですから……。
倉石忠雄
208
○
倉石国務大臣
いまちょっと
お話
の中にございました廃棄の
お話
ですが、あれは実はわれわれが発明したわけじゃありませんで、外国ではああいうことをよくやっておりますので、わが国でもやはり
価格
補償のために必要ではないかというので初めて
予算
を組みましたが、幸いにしてああいうことをやる必要がなくなった
もの
ですから、実施はいたしておりませんでしたが、一般にはちょっと不評判のようでございました。けれ
ども
、私は将来の農業という
もの
を考えてみましたときに、
稲作転換
等で、しかも
国民
の
需要
がますます
増大
してまいります
野菜
関係
については、やはり安心して
生産
ができるように、しかも
需要
と
供給
がマッチするようにしてもらうためには、ある程度の考え方をやらなければいけないではないかということで、いまどういうことを考えられるかということにつきまして、ただいま持っております制度を一応基礎にして
検討
を続けておるわけであります。
美濃政市
209
○美濃委員 その
検討
は、現行制度は大臣おわかりのはずですから、構想としてかなり前向きにあれを
改善
する、その構想をここでちょっとお聞かせ願っておきたいと思う。構想としては、あれでは足りないからかなり前向きに直していくという発想である——結果は、まだ
検討
中であれはけっこうであります。発想だけをちょっとここでお聞きしておきたいと思います。
倉石忠雄
210
○
倉石国務大臣
去る十六日に、全国知事会をはじめ農業団体等二十五団体の代表者全部に
農林省
に集まっていただきまして、将来の農業
生産
対策
協議会というりっぱな
もの
をおつくりいただきまして、それで専門部会もつくられまして、
稲作転換
して将来の農村をどうしていくかということについて、たいへん御熱意をもって
検討
していただくことになりました。まことにありがたいことであると思っておりますが、そういう中で、ただいま申し上げましたように、やはり転作作物としての
一つ
の有力な
もの
である
野菜
でございますので、そういうところで、ひとつ十分専門家の
方々
の御
意見
も徴して
検討
いたしてまいりたい。私は形の上でそれの座長をつとめておりますので、あまり先走ったことを申し上げてしまうことはいけませんし、また別にそういう構想もないわけでありますが、申し上げましたような
方々
が集まって鋭意
検討
を続けていっていただくわけであります。
美濃政市
211
○美濃委員 先ほどからも話がありますように、私が申し上げておりますこともそうですが、今回出ております卸売
市場
法ですね、具体的な
内容
はいずれ別の日程になりますけれ
ども
、これらは
需要
と
供給
の組織的な
計画
化とかあるいはそういう点から見ると、
内容
は、私
ども
が見ると不十分なわけです。これはいろいろこれから審議の中で、不十分な点はやはり、
意見
の一致する点は修正する用意があるかどうか。法案全体は、現行法から見ると改悪ではないと思いますけれ
ども
、非常に問題になっておる点が解消されるに足る
市場
法の改正について、もっと
市場
が
供給
の
計画
的な組織とか日常のそれができるように、
市場
の構成もやはり
生産
と業界とが結合した、結びつきのある
市場
の運営体系に持っていかないとそれはできないわけですね、ばらばらでは。そして片や、せっかく多くの投資をして大
市場
をつくりながら、片や
生産者
とスーパーが直接結びついて、そのほうがいいんだというようなのは、私
ども
はどうかと思う。大きな
市場
を持つ以上は、
市場
を通すことによって
生産
は安定され、再
生産
は確保され、
計画
的な
出荷
ができる。それがスムースに消流体系に乗る。それはスーパーであっても、そこから仕入れを求めることが一番確実だ。一元体系にすることが、需給の体制なり、あるいは
生産
の確保なり、日々の
計画
的な
出荷
なりという
もの
が一番
計画
的に行なわれると思うのです。ロスのない体制ができると思うのです。そこまで
市場
性という
もの
を高める必要があるのではないか。
生産
とスーパ一が直結することが悪いというんではないんですよ。そういう煩瑣な
もの
にある程度ウエートを置く状態も起きておりますから、それを否定をいたしませんし、それをやめろというのじゃないが、
市場
という
もの
はもう少しそういう機能を持った体制にしなければならぬのではないか。それが物的
流通
の核心であろう。最近新聞を見ておると、政治の老化公害ということをどこかの新聞で見ましたが、発想という
もの
は少し若い気力を持たぬと、年とった方の発想は老化しておるんじゃないかと思うのですが、どうですか。
倉石忠雄
212
○
倉石国務大臣
市場
法についてたいへん御理解のあるおことばをいただいて感謝しておるわけでありますが、いずれ農水のほうでまた、詳細に御援助願えることだと思っております。 御
指摘
のように、私
ども
ずっと昔からのことを見ておりましても、物資という
もの
は、わが国のようなこういう
経済
社会におきましては、やはり
市場
という
もの
を合理的に活用するということが、
お話し
のとおり必要なことでございますが、あれを
農林省
が決定をいたしましてから新聞に発表いたしまして、それから一般の有力紙、それから業界紙と称せられる人たちも、ずいぶんいろいろな批判をお書きいただきました。できるだけそれを見ておるわけでありますが、いわゆる業界紙といわれる
方々
の論法を見ておりますと、
一つ
は問屋サイドで
もの
を見る方がある。仲買いサイドで
もの
をごらんになって批評される。それから
生産者
側、
消費者
寄り、それぞれそういう立場に立って御批判があるようでありまして、それを
総合
してみますというと、なかなか参考になります。ただいま御
指摘
のとおりでございますが、それやこれやをあわせてみると、今度の案というところがうまくできているじゃないか、正直なところ、そんなふうに感じておるわけでありますが、逐次取引
状況
等も、
需要
供給
の
関係
で変わってまいりますので、私
ども
は、法律というのは化石ではないのでありますから、逐次改めることにやぶさかではございませんが、いまのところでは、たいへんよくできている原案ではないか、こう思って、あれが成立することを楽しみにいたしておるわけであります。
美濃政市
213
○美濃委員 せっかくつくって出したのですから、大臣はそう言わなければならぬと思うが、これはいずれ別の機会にします。 次に、
物価
安定といいながら、
政策
を見ておると、
物価
不安定の方向へ動いてくる
もの
がありますね。
流通
か高くなる。それは
一つ
は、ここで申し上げたいのは米です。これは特に
大蔵大臣
も毎日お米を食べておるのですから。 いま
東京
都における自主
流通
は、
政府
払い下げから見ると、一万二千円ですから、約四千円ぐらい高いわけですね。
政府
の二重
価格
——余剰米の管理、そういう
もの
を除いて
価格
上の二重
価格
ですね、これを引いても、事実上、六十キロ当たり約三千円ぐらい高くなるわけですね、自主
流通
を進めると。最近主婦連や何かが、物統令を廃止して、そうして米を自由体系にするのは、
価格
が
値上がり
するから絶対反対であるという、これはもう一般的世論ですね、御存じのように。これはもうかなり、米を自由の体系にすれば必ず
流通
経費が上がる。
生産者
価格
は上がっておりません、大体
政府
買い入れ
価格
ぐらいで余剰米を集めるようですが。 それからもう
一つ
の流れとして、
政府
の払い下げた米の中のいい米は、これは自主
流通
といえないわけですね、やはり配給ルートに乗っておるから。やみ米と私
ども
は通称言います。いい米は精白にして、そしていわゆる高い
価格
で売れるような機構になっておりますから、その動きがかなり目立ちますね。どこからどこまで何ぼかということはちょっとできませんけれ
ども
、こういう現象が起きて、結局はこういう
政策
を続けていくと、
政策
としては
物価
を論じながら、行なわれる
政策
は
現実
にその
流通
経費が
増大
する方向へ、主食の米なぞが改悪されていく。これははっきり実績から出てきたわけです。これをどのようにお考えになっておられるか、両大臣からお願いしたい。
倉石忠雄
214
○
倉石国務大臣
もう申し上げるまでもなく、おわかりのことでございますが、自主
流通
には
政府
が特別な援助を与えておりませんから、普通の配給米とその点においては違うことは、もう御存じのとおりでございますが、しかし、
消費者
米価につきまして、いまの
お話
のように、物統令の適用を廃止いたしますのは、これはもうしばしば
政府
が申しておりますように、画一的な
価格
規制を改めまして、品質に応じた
価格
形成をはかりたい。今日のような何でもあります時代に、
消費者
の好みに応じて対価を払って、自分の好きな
もの
を買えるという時代に、主食である米については、いまだに、たとえは宮城県のササニシキをほしい、そういいましても、 いま入手するすべはございません。私は、これはおかしなことだと思うのです。七百万トン以上のストックを持っておって、しかも何でも選択が自由な時代に、私はやはり一この間も、実は私のところへ農業団体の方が
おいで
になりまして、自分のところの米は日本一の自慢のつもりでいるのに、いまだにそういう銘柄についてのお励ましの手段がとられないのは一体おかしいではないか。−新潟県なんかでもそういう話をしております。 私
ども
、やはり今日のような時代に、ストックが七百万トンもありますような時代でこそ、やはり
消費者
のサイドから考えて、
消費者
の好みに応じたような
もの
が、御希望のように手に入ることが望ましいんではないか。そこで、できるだけ大口精米なぞをつくるようにいたしたいと思うのでありますが、御存じのように、関西はまことにうまくやっております。大口精米は大阪なんかでもたくさんありまして、いまでも自主
流通
をじょう、ずにやっておりますが、残念ながら関東のほうは、大口精米というのは一軒か二軒しかございませんで、したがって、大口ができまして、好みに応じた
もの
を袋詰めにしてやるようになれば、私は、
消費者
が好まれる
もの
が手に入るようになるんではないか。そういうことのためにまず物統令をはずすべきであるということでありますが、いまちょっと
お話
のございました
価格
のことでございますが、
政府
といたしましては、とにかくそういう
状況
に応じて、いま
政府
の操作ができ得るストックを持っておるわけでありますから、十分にそういう
措置
を講じなければならぬと思っておりますし、どうせいたしますにつけても四十六年産米の出回るころまででありますから、それまでの間には、皆さん方のお知恵も拝借いたしまして、できるだけ競争原理が採用されて米価水準は上がらないように、最善の
努力
をした上でやってまいりたい、こう
努力
しておるわけであります。
福田赳夫
215
○
福田国務大臣
いま
農林大臣
から
お話し
申し上げたとおりに、私も考えておりまして、つけ加えることもないと存じますが、別のことばで言いますと、お米はいま統制下、管理下にあるわけであります。統制
経済
という
もの
は、これは大きな
経済
原則にのっとらないと持続できない。米の
価格
面を申し上げますれば、これは申し上げるまでもないんですが、うまい米は高く、まずい米は安く、こういうことが私は
経済
原則だと思うのです。ところが、いまの管理体制下では、うまい
もの
もまずい
もの
も、これは一緒だ。厳格には一緒じゃありませんけれ
ども
、大まかにいうと一緒の
価格
で販売されている。ですから、どうしてもそこにやみが起こるわけです。いま現在の管理体制下でも、うまい米に対しましては、法令に違反しますけれ
ども
、高い
値段
がついている、こういう状態です。それを本然のあるべき管理体制に直すには、
価格
問題をつまり管理体制の中に取り入れる、いわゆる
価格
メカニズムという
もの
がここへ入ってくるということでなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。私はそういう意味において、物統令を廃止するということはおそきに失するというくらいに考えておるのです。 それから、この問題は、米の管理体制上重要な
生産
調整に非常に
関係
を持ってくるわけです。つまり
生産
調整は、いま
農林省
を
中心
に一生懸命やっておりますが、やはりこれは基本的には
生産者
価格
、これが、うまい米は高く
政府
が費うが、まずい米は
政府
がそう高くは買いませんよということになりませんと、基本的な解決にならない。そこで、
政府
においてはずいぶん品質格差、銘柄格差、こういう
もの
で大幅に値幅のついた、そういう格差を設定しようという
努力
をしておったんですが、これは皆さんもよく御
承知
のとおり、今日のような状態ではない。そこでできるためにはどうするか、こういうと、やはり
消費者
米価を自由にして、そこで銘柄を
国民
全体にきめてもらう。銘柄による格差という
もの
をきめてもらう。そこで初めて
生産者
米価の格差も、これが解決するのです。これは需給調整というか、
生産
調整上非常に大きな役割りをするであろう、こういうふうに思うわけでありまして、結論的に言いますれば、私はもう物統令の適用廃止、これはおそきに失し過ぎたと思います。また同時に、いま
お話し
のような、
国民
がこれによって不安を持つとは思いません。もし需給が逼迫しているときにこういう
措置
がとられると、これは私が申し上げたような現象にはなりませんけれ
ども
、とにかく七百万トンの古米をかかえておるという態勢下において、これは心配はない問題である、かように確信をいたしております。
美濃政市
216
○美濃委員 需給上の問題よりも、
価格
が
現実
に上がりますね。きょうは
物価
ですから、
生産
調整や何かは、いずれ農政の場で申します。それは農業
政策
です。とにかく
現実
にかなり高い。中間経費が高くなるわけですね。これは
物価
安定とは逆行します。それはどう考えておるか。それはやはり、食管のほうが安定的に
国民
に
供給
されるということ。もう
一つ
、これは
物価
とはちょっと離れますけれ
ども
、非常に心配ですから御
意見
を伺っておきますが、農薬を禁止すると、これからの米についても、米だけに限りませんけれ
ども
、食味よりは耐病性でないですか。米についてのみ申し上げると、モチ米は非常にいもちに弱い。通例食味がいいといわれる米は、やわらかくて粘りのある米です。品種としては耐病性に欠けてきます。農薬は使ってはならないというのです。そういう矛盾した
政策
をとっておると、いもち病あたりも、一たん田にかかるとあとへ何か痕跡が残りますから、いまきつい農薬を使って——いもちというのはそうないですけれ
ども
、あれが出だすと圃場に残るわけですね、稲わらや何かに。そうすると、翌年もいもち病が発生しやすくなるんですよ。そうすると、病気のために、いまは過剰だけれ
ども
、とんでもない減産になってくるということも起きるので、農薬を使ってならないという公害上の制度をしくようになると、品種については食味よりも耐病性ということが
政策
に入ってこないと、
農民
はやりようがないということになりますよ。無理なことをいわれて、農薬は便ってはならない、そして食味にこだわって耐病性のない
もの
をつくれ、こういうことになると、そこにもう相いれざる矛盾が
一つ
出てくるわけです。こういう点は十分注意してもらわぬと、その
政策
上の大きな矛盾を押しつけて、そのために、いまは余っておっても将来取り返しのつかぬような状態が起きないとはいえませんから、やはり
政策
という
もの
は一貫しておってもらわなければ困ると思います。農薬を公害上使ってならないというなら、作物は耐病性ということをまず考えてもらわなければならぬ、こうなると思うのです。
倉石忠雄
217
○
倉石国務大臣
農薬につきましては、ただいま
お話し
のような問題で、ウンカが発生したというふうなときにBHCを使いまして、なるほど殺虫にはたいへん効果があったが、残留して牛乳にえらい被害があったという事実がございます。そういうようなことで、私
ども
としては、農薬取締法の改正を先般の国会でやっていただきました。そこで、ただいまは御
承知
のように、鋭意そういう害を伴わない農薬の開発について
努力
をさしておるわけでありますが、いま
お話し
のように農薬は使ってはならないということは言っておりません。指定いたして、使ってはならないといっているのはBHCでございます。したがって、そういうことのために起きるであろう危険性については、美濃さんと同じように、われわれも十分警戒をいたさなければなりませんので、
生産者
サイドから見まして、そういうことは十分念頭に置いてやってまいるつもりであります。
美濃政市
218
○美濃委員 最後に、これから肉の
需要
がふえますが、特に牛肉、まあ豚肉もそうですが、とにかく肉の
流通
が、大体
野菜
と同じように中間マージンが非常に多くて、特に
国民
栄養の上で非常によろしい牛肉が、卑近なことばでいえば絹
もの
価格
である。
生産者
価格
はそう高くない。どうなるのか、
市場
へ出てくると
もの
すごく高い。これはやはり、そうした米作転換等から畜産へとこういってみても、なかなかそれは一貫した
流通
の体系もできておりませんし、これをどういうふうに
流通
体系を変えるかということは、非常に大切だと思います。これについて、いま私
ども
は私
ども
なりの考えを持っておりますけれ
ども
、いま
政府
としては、肉類の
流通
改善
はどう考えておるか、これを伺っておきたいと思います。
倉石忠雄
219
○
倉石国務大臣
御存じのように、
稲作転換
から転換先作目の中の非常に有力な
もの
として、私
ども
はいま御
指摘
の肉、酪農に力を入れようといたしております。酪農の
お話
がございませんでしたが、ついでに申し上げますが、酪農についても私
ども
は力をうんと入れなければならないと思っております。 肉のことでございますが、御存じのように、食生活の変化に伴いまして
需要
がますます
増大
いたすと見込まれますので、牛肉
価格
の安定をはかるためには、国内の牛肉
供給
の
増大
をはかることが第一と考えてはおりますけれ
ども
、わが国の肉牛の飼養は、昔の役肉利用から肉専用への移行の過程にございまして、飼養規模が今日なお、御存じのようにきわめて零細でありまして、その
生産
基盤も弱体でございますので、
生産
基盤の強化、肉用牛資源の維持
増大
、肉用牛飼養経営の合理化などの
措置
を講じてまいっておるわけでありますが、近年牛肉
生産
は、たいへんな勢いで
増大
傾向
を示しております。ありがたいことであります。その
価格
も、四十三年までは年々上昇を見ましたが、四十四年にはやや低下
傾向
を見せて、その後おおむね現状は安定いたしておることも御存じのとおりでありますが、これらの
生産
面の
対策
とあわせまして肉牛の
生産
——農家所得の安定が牛肉の安定的
供給
をはかる上に必要でございますので、主要
生産
県におきまして、四十五年度から国及び都道府県の
補助
のもとに肉牛子牛及び乳用雄牛の
価格低落
に際しましては
生産者
に補給金を交付するなど、肉用牛
価格
安定
事業
を実施いたしております。四十六年度にはさらに対象県をふやしてまいって、この
事業
を
拡大
してまいるつもりでございます。先般私のほうでつくりました地域分担等につきましても、この肉用牛のことについては特段の力を入れておりますことは御存じのとおりでございます。
美濃政市
220
○美濃委員 以上で、大体時間が来ましたので質問を終わりますが、きょう申し上げた特に生鮮
野菜
関係
の安定をはかるためには、やはり
予算
措置
が必要だと思うのです。それらの
政策
に対して、
大蔵大臣
はひとつ、少なくとも
農林省
が要求する
もの
は一〇〇%評価する、この一言をいただきたいと思います。
福田赳夫
221
○
福田国務大臣
まあ一〇〇%というわけにもまいらぬかもしれませんが、できる限りの
努力
をいたしたい、かように存じます。
小林進
222
○
小林委員長
次回は、明二十日午前十時から
連合審査
会を開催することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十八分散会