運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-05-06 第65回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月六日(木曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 砂田 重民君    理事 登坂重次郎君 理事 松山千惠子君    理事 武藤 嘉文君 理事 武部  文君    理事 渡部 通子君 理事 栗山 礼行君       上村千一郎君    正示啓次郎君       向山 一人君    粟山 ひで君       田中 恒利君    松浦 利尚君       有島 重武君    谷口善太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君  委員外出席者         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         参  考  人         (朝日新聞社取         締役業務局長) 富山 韶蔵君         参  考  人         (毎日新聞社役         員待遇経理局         長)      池田 友治君         参  考  人         (読売新聞社販         売局長)    上子 俊秋君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(新聞購読料値上げ問  題)      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として朝日新聞社取締役業務局長富山韶蔵君毎日新聞社役員待遇経理局長池田友治君、読売新聞社販売局長上子俊秋君、以上三名の方々が御出席になっております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  去る四月一日から一斉に値上げになりました新聞購読料の問題につきまして忌憚のない御意見を承り、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  なお、議事の進め方につきましては、まず、富山参考人池田参考人上子参考人の順序で御意見を述べていただき、次に、各委員からの御質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、富山参考人にお願いいたします。
  3. 富山韶蔵

    富山参考人 今回の値上げに関しまして、すでに三月二十日付の新聞社告に出ておりますので、大かた方々もうお読みになっているので、いま私が申し上げることは、あるいは皆さん方、重複していろいろおとりになるかもしれませんが、おさらいのためにもう一回、この値上げ理由を簡単に申し上げたいと思います。  大体要約いたしますと、まず第一点といたしまして、製作コスト上昇でございます。それから第二点といたしまして、戸別配達制度維持のための販売店経費増大というものがありまして、それの販売網維持のために相当ばく大な金がかかりますので、その点。それから第三点といたしましては、これだけの膨大な情報化社会膨張に対処できまするように、いろいろの設備関係、特に輪転機を中心とした設備関係の充実ということが第三点になってまいります。第四点としましては、これは大体現在の不況によるかげり現象として、広告の減収という問題が出てきております。  それで、大体この四点に関しまして簡単に御説明申し上げます。  まず第一点の、製作コスト上昇という問題でありますが、これは前年同期と比較いたしましても、印刷費というもののコスト膨張しております。大体印刷費でも二二%ぐらい膨張してきております。  それから取材経費膨張、この取材経費膨張という問題に関しましては、先ほども申し上げましたように、現在の情報化社会に対応するために、取材網というものを相当に張りめぐらさなければなりません。また、そういう取材のためのいろいろな経費、そういったうよなものが膨張してまいります。  それから、特に外国通信社、そういうものから来る通信費、そのほか電話料、すべて含めまして、そういう通信関係膨張というものがコストをやはり上昇させております。  それから、コストの中でわりあいに大きく占めますのが輸送経費であります。これは新聞販売店に届ける、そういったような輸送経費でありますけれども、元来発送関係輸送費というものは、大体トラック運賃がその中の八〇%を占めておりまして、あとの二〇%がほとんど国鉄あるいは私鉄というような状態になっておりますけれども、その八〇%のトラック代というものが二六%ないし三〇%、過去一年間ぐらいにおいて上昇しております。  そういうコスト内容というものは、まだこまかい点申し上げればいろいろございますが、これからも郵送料値上げが行なわれますでしょうし、それから、実際まだ未決定ではありますけれども、すでに国鉄運賃のほうから、現在キロ三円九十銭の新聞運送料金というものを五円にアップしてもらいたい、こういうような話も来ております。これは従来、昨年から国鉄との間に話し合いをやっております問題なので、これは当然、国鉄内容というものは皆さん方のほうがよく御存じでありますので、この内容に対してやはり私たちも応じなければいかぬというような考え方を持っております。  それから第二点としまして、戸別配達制度維持という問題でありますが、これがどの新聞業界におきましても一番頭の痛い点でありまして、朝日新聞社としましても、全国で約六万人の従業員を持っております、また六万人が最低限として、朝日新聞を配るためにそれだけの人員確保する。これが最低の人員でありますけれども、すでにこの従業員というものが、いろいろの点から約五千人ぐらい減少を来たしております。  しかも、この戸別配達制維持という問題につきましては、どうしても人的資源にたよらざるを得ませんので、やはり人員確保というものが最大の問題でありますが、従来はどちらかと申しますと、若年労働者というものを相当のパーセントで採用して、ある意味ではチープレーバーというような、これはあまり好ましからざる現象ではあったのですが、そういうチープレーバーにたよって新聞店経営というものが成り立っておったわけです。すでに皆さん方も御承知のとおり、この若年労働層というものが非常に枯渇してまいりまして、しかも、先ほど述べましたように六万人からの人員確保するということになりますと、その若年労働者を置きかえるのに、われわれの仲間で申しておりますいわゆるおとな従業員おとなの店員に切りかえていかなければならない。この点でまずはっきりおわかりになると思いますけれども、若年労働層からおとな従業員になるということは、それだけ賃金コストが高くなるということであります。  それからもう一つは、これもほんとうに好ましからざることなんですけれども、御承知のように新聞というものは、休刊日というものも非常に少ないわけでございます。そういう点で、いま労働条件といたしまして休暇が与えられないという状態は、人員募集の問題に対しましては一番ハンディキャップが重なってくるわけであります。  それからもう一つは、大体そのおとな従業員当たり賃金コストというものは、小企業賃金水準から申しますと、それほど私のほうでは低いという状態ではございませんけれども、賞与の問題になりますと、これは一カ月以下の賞与しか与えられていない。  休暇賞与、こういう問題の二点から、非常に人員募集というものが困難を来たしております。  まず、この週休制というごく初歩的な問題から、待遇を改善していかなければいけません。それからまた、賞与のアップという問題をやはり片づけていかなければいかぬ。こういうようなことをすべて整備してまいらないと、この戸別配達網というものが維持できない状態に、ここ数年来きております。それが最近にまいりまして、非常に急ピッチにこの条件が悪化してまいりまして、急速にこれを整備するという状態に追い込まれております。  それからもう一つは、この販売網維持という問題につきまして、従来から申しますと、まあ相当昔のことでありますけれども、大体この販売店経営をやりたいという人は、自分で金を持って、ある程度のそこの権利金みたいなものを払って、それで商売をやるという人も相当多かったわけですが、現在そういう者はほとんどございません。そういう点から、まず一番大きい問題は、御承知のように土地、家屋、そういうものが非常に上昇しておりますので、自分の資力をもってやることができませんので、どうしても本社のほうでこの土地販売店舗というものを確保してやらなければならないような状態になっております。東京周辺などは、御承知のようにどんどん膨張しております。その膨張している世帯に対して新聞を配るという問題につきましては、どうしてもそういう東京周辺などで店舗を整備して、社のほうがやってやらなければならぬ、こういう経費相当にかかってきております。  そういう点で、販売網確保という問題につきまして、どうしても整備するためには相当巨額の金が要る。こういうようなものが、やはり今度の定価値上げ内容でも大きな一つ理由のうちに入っております。  それから、第三点の設備関係でございますけれども、これは、いろいろの膨張している経費を、普通の企業でありますと、機械化という問題でこれを処理することができるわけでございますけれども、残念ながら新聞社経営というものは、非常に人力による部面が多いわけでありますので、これを機械化して、省力化の問題として片づけていくということが非常にむずかしいわけであります。それでもどうしても、これほど複雑な情報処理というものを片づけていくためには、やはりそういうことを言っておれませんので――私なんか社に入りましたときは、取材上の機械化といいますと、ほとんどツー・ト・ト・トの無電あるいは電話機といったような状態で、そのほかの機械というものはほとんどなかったわけでございますけれども、いまはもう非常に機械化されてきておりまして、高速プリンターあるいは漢テレ漢電、いろいろそういう取材の原稿が即時送れるものとか、あるいは写真電送機とか、そういう機械化はずいぶんやってきております。そういう一つの大きい取材網の、あるいはそういう情報処理する機械化というものが、ここにおいて新聞社体質を改善しなければ処理ができないような状態にまで、そのむずかしい、人力にたよっている取材の、あるいは新聞社内容におきまして、どうしても機械化していかなければならない体質改善の時期に来ておるわけでございます。  それからもう一つは、やはり印刷設備などの問題からいきましても、従来ページ数が少ないというようなときにおきましては、それほど高速輪転機は必要としなかったわけでありますが、新聞というものはどうしても時間に縛られて、非常にピーク産業でございます。そういう点で、どうしても、ある程度はそのピークに備えて設備をしなければならぬ。そのピークがどんどん重なってまいりますので、輪転機なども新鋭の輪転機を入れていかなければならぬ。こういうようなことで、輪転機の更改、更新というような問題も出てまいります。そういう設備上の関係が、ここ数年来急速に整備していかなければならない状態に来ております。  それから第四点としましては、この不況影響をもろに受けまして、やはり広告収入の増収をはかっていくということがここへ来て横ばい状態に入りまして、一方経費増大があるにかかわらず、収入のほうは――特にわが社におきましては、広告収入販売収入の比率は、大体広告が六に対して販売収入が四というような状態になってきております。その六のウエートをかけておる広告収入というものが横ばい状態に入りまして、経営内容というものが非常に窮屈になってきております。  この広告収入というものは――大体購読料広告収入の二本しかございませんけれども、この購読料をいままで相当低廉な価格に押えることができたのは――よく皆さん方は、広告が多過ぎるじゃないか、あるいはじゃまじゃないかというようなことを、これは一つの暴論に近いことだと思いますが、もしも広告がない新聞ということになりますと、現在の購読料は大体千五、六百円いただかないと、本社経営は成り立たないわけであります。そういう重要な広告収入が非常に横ばい状態に入ってまいりましたので、やはり講読料をどうしても多少上げていただかないとまかなえない。  以上述べてまいりまして、なぜそれじゃ、そういうようないろいろなことをやって企業努力でやらなければならぬのか、いろいろ利益のうちからやればいいじゃないかというようなことを、よく私も、何べんか今回の問題につきまして聞いておりますけれども、御承知のように新聞企業というものは、非常に利益率の低い企業でございます。大体うちなどでも、昨年前半あたりは最高の成績をあげておりますけれども、それについても、大体総売り上げに対しましてたったの、四捨五入して〇・四%くらいであります。普通の全産業利益率と申しますと、もちろん製造産業も入れましてですが、大体五%ないし六%くらいの利益率をあげております。それから見ますと、十分の一にも満たない利益しかあがっておりません。これは、新聞企業というものは利益を追求する企業ではないということをみずから戒めながらやっている結果、そういうことになりますし、それから、いろいろの点は皆さん方も大体においておわかりになるように、新聞社というもののいかに経費がかかるものであるかということは、おわかりになると思います。そういう点で、収入相当、われわれのほうでも年間八百億くらいの売り上げをやりましても、いま申し上げたような〇・四%くらいの利益しかありませんし、実際に株式の配当といったようなものでも、たったの二千八百万円しか年間において払っておりません。  そういったような、つめのあかをとぼすようなことをしながら新聞企業というものは続けておるわけでありますので、ちょっとした、たとえば今回の問題でも用紙代値上げというものがございますけれども、そういうちょっとしたコスト増大というものを来たしますと、たちまちにはね返ってまいりますので、それを受けるだけの日常の余力がありませんし、言うまでもないことでありますけれども、製品のストックというものができない商売であります。しかも、一人一人の購読料を上げ、あるいは広告料を上げながらやっておる底の浅い企業でありますので、ちょっとの影響というものがすぐ響いてまいります。  そういったようなことで、定価値上げの問題につきましては、皆さん方からいろいろ御批判はありますけれども、いま申し上げたような大ざっぱな話ではございますけれども、すぐその影響をかぶらざるを得ないのが新聞企業であるということで、以上申し上げましたようないろいろの値上げ理由に対しまして、どうしても吸収することができないゆえに、残念ながら今度の購読料の改定に踏み切らざるを得なかった、こういうことでございます。  あと御質問に応じます。
  4. 小林進

    小林委員長 次に、池田参考人にお願いいたします。
  5. 池田友治

    池田参考人 ただいま委員長から意見を述べよということでございます。私は、毎日新聞社経理局長をつとめております池田でございます。よろしく。  わが社の値上げにおきまして、先般社告をいたしました要点は四点ございます。それからまずお話し申し上げたいと思います。  一つは、取材整理工程関係、つまり新聞製作に関するところの知的生産としての経費が非常に増大しておるということが第一点であります。第二点は、原料費値上がりになったということであります。第三点は、配送費あるいは配送のための梱包諸資材、これが非常に値上がりを生じてきておるということです。第四点は、販売店経営並びに経営費が非常にかかるということから、販売店手数料をやむを得ず値上げせざるを得ない。そういうことがおもな理由になっております。  そこで私は、これらの各論に入る前に、新聞の相対的な立場というものを一、二点とらえて述べてみたいと思うわけです。それから、先ほど申し上げた四点についての各論を、毎日新聞社立場におきまして御説明申し上げたい、こういうふうに思います。  新聞の相対的な立場と申しますと、どういうことか。御承知のように、新聞は言論の自由と報道の機関という社会的使命を持っております。それが最も重要なことでございますけれども、しかしながら、言論の自由と報道という大きな任務を持つためには、企業体として、あるいは組織体としてどういう形態がよろしいか、こういうふうな考え方を持ちますと、どの社も同じではございますが、わが社も株式会社形態を持っておるわけです。したがって、株式会社形態というものは、法的に許されております営利企業でございますから、営利を追求して差しつかえないということになってくるわけです。ですが、営利をのみ専念して追求することが新聞社として正しいかという壁に、私なんかも、入社してすぐ考えざるを得なかった。ということは、その大きな社会的使命を十分その日その日に果たしていかなければいけないという相反する、ということは言いませんけれども、非常に変わった二つの内容を持ち合わしておるということがいえると思います。  そこで、毎日新聞社の場合は、重点を社会的使命の達成ということに置きまして、時々刻々、昨今のように情報化時代といわれる爆発的な情報をいろいろ整理、整とんいたしまして、価値あるものを読者の皆さんへ流していっておって、それによって使命を達成して今日までやってきた。しかし反面、営利企業としては健全な経営を進めていかざるを得ない。使命を達成するためには、健全な経営下でなければ使命が達成できない。こういうことは、私はどなたもおわかり願えると思います。そういうことで今日まで歩いてわけです。  先ほども申し上げましたように、昨今の情報化時代というものは、紙面をごらんになっていただきますとおわかりのように、爆発的な事件、情報というものが、世界の各国あるいは国内においてもたくさん起こっております。それを十分公正な立場で正しくキャッチいたしまして、そしてこれを報道しなければならない。そのためには取材の面に当たる、いうところの新聞記者というものは、よほど専門的な方も必要でございますし、それから人間的に幅のある記者も必要でございます。そういう知的水準の非常に高いりっぱな優秀な社員というものを、われわれは雇っていかなければならない。ところが、今日までの過程におきまして、わが社は、そういった人手をかりなければならない仕事、知的生産と称するもの、これをやっていく上におきましても、社内的には、合理化をはからなければ経営の安定というものは求めることはできないではないかということで、いろいろ合理化をはかったわけではございますけれども、何せ取材という、人間が動かなければ、知的水準の高い人が知的生産にタッチするのでなければ、十分な取材をなすことはできない、と同時に、判断力のある人がりっぱな判断をなさなければ、りっぱな報道をすることはできないということで、どうしても人手をかかえざるを得ないということになってくるわけでございます。  そういうわけで、新聞経営というのは非常に一つ問題点をとらえておるということは御承知願えると思いますが、そこで角度を変えまして、では、営利企業としての経営体としてはどのようなスタイルになっておるかということを、これから申し上げたいと思います。  全産業の総資本利益率、これを見ていただきますと、全産業毎日新聞社を比較いたしますと、四十五年度における全産業の総資本利益率に対しまして、わが社の場合は十分の一になっております。十分の一ということは、全産業の平均が三・二二%ということになりますと、一般産業におきまして最も低廉な、利益性の乏しい企業であるということがいえると思います。  そこで、その角度からもう一度見ますと、本社営業収入というものを指数でとらえてみますと、全産業におきましては二一二・二%ということになっておりますが、わが社の場合はそれを下回って一七九・二%というのが、四十五年の時代の営業収入ということになっております。したがって、こういう調子でございますから、新聞利益性が非常に乏しいということは、これで十分おわかり願えると思います。  新聞利益性が乏しいのは新聞社経営あり方によるのではないかという節もあるかと思いますけれども、なぜ利益性の乏しい新聞経営で今日まで歩いたかということは、先ほど申し上げました社会的使命を達成するということが第一点と、新聞そのものが、終戦後もよくいわれたのですけれども、ある意味において生活必需品、商品として見るならば非常に生活必需品的な色合いを持っておるというふうに解釈されております。私自身もそのように考えてはおります。したがって、この購読料というものをそうのべつまくなしに値段を高くするわけにいかないであろう、そういうことはわれわれも考えておるわけです。したがって、この過去において非常に低かった購読料、それを補う面をどのような角度からとらえたのかということがやはり問題になってくるのではないかと思います。  私どもの考え方では、大体三十八年ごろにおきまして、新聞購読料広告収入ウエートが逆転してきた、こういうふうに考えております。実態はそのようになっております。ということは、私も経理にタッチしておりますが、昭和二十七年ごろに、まだわが社の場合は、購読料のほうが約五五、六%、それから広告料広告収入、この面が四〇数%、それからあと本紙外、つまり出版関係、そういったものが若干、こういうふうな構成をもって歩いておったわけでございます。ところが、日本経済はどんどん高度成長していく。高度成長していく段階において新聞社側として考えなければいけないのは――高度成長に伴って購読料がどんどん上げられたら、それはけっこうであります。しかしながら、そうもいかない。そこで、できるだけ購読料を上げないで経営の安定をはかっていくということになりますと、勢い広告という面に、頭、目がみな向いてくるわけでございます。したがって、広告収入ということをとらえまして、これによって社会的使命を達成するためのもろもろの作業、仕事というものをやって、読者の皆さん、あるいは国民の皆さまへこたえなければいけない、こういうことで歩いてきたわけです。ところが、高度成長のおかげもございまして、三十八年ごろに至りましては、そのウエートは逆転いたして今日にまいっております。  ところが、広告収入という一つあり方をとらえて見てみますと、GNPの実質成長率、これと大体見合って今日まで流れてきております。今日といいますよりも四十五年の十一月時点までは、そのような平行といいますか比例的な歩き方で流れております。  よくいわれるわけですけれども、そうやって新聞社広告収入に目を向けるということは、広告スペース記事スペースよりも多いのではないかとおっしゃる向きもあるわけでございますけれども、今日まで統計をとりましても、大体四四%が広告スペースです。あと記事スペースというふうになっておるわけです。事実これが逆転いたしますと、商品価値内容的に変わってくるので、これはいけない。したがって、わが社の場合は、五〇%を絶対にオーバーしないというたてまえで今日まで歩いてきておるわけです。そういうことがいえてくるわけです。  そこで、先ほど申し上げましたように、各論に入らしていただきたいと思います。  まず取材整理工程関係の状況におきまして非常に経費がかかるという意味合いと、それから知的生産につきましては、人手を多く使わなければ使命を達成することはできないのだということは、概論的におわかり願えたと思います。しかし反面、合理化をやっておらないのかということがいえてくると思うのですけれども、わが社におきましては、十分その合理化を尽くしたつもりでございます。現在でもコンピューターだとかいろいろ使ってはおります。漢テレ、それから製作面におきましてはモノタイプだとか、いろいろな機械を導入してはございます。しかし、人が、記者が頭脳で判断し、足でかけずり回り、そして手でもって筆でもって書いていくという、その書いていかれた内容の価値というものについては、これはいかなる機械をもっても表現することができないわけです。したがって、国内におきましてもあるいは国外におきましても、重要な地域には、それぞれの重要な編集スタッフというものをそろえて配備しておかなければ、この膨大な情報をうまく整理して、価値ある内容のものを皆さんへ提供することができないというふうになっておるわけです。しかしながら、一方、機械で操作できるもの、処理できるもの、これは絶対にやらなければいけないということで、私どもは今日まで動いておりますが、その実態を申し上げますと、人数で申し上げますと、いまのまま、機械による合理化をはからなければ、概略何人の人間をたくさん持たなければいけないかということに集約できるのではなかろうかと思います。  現在わが社の実働人員は七千七百人でございます。ところが、編集、印刷、写真、それから発送あるいは事務部門、そういった大きな柱でとらえますと、機械を導入することによって企業合理化をはかった。金額ではございませんが、結論を申しますと、人数でいえば千六十四人、もし昭和三十年ころから思い切った合理化を今日まではかってこなければ一千六十四人というわけにはまいらないと思うのです。七千七百人が一万人あっても足りないのではないか、私は正直にそう思っております。それをいろいろな機械を導入し、人力を省くということによって千六十四人というものを多く雇わなくても済むし、逆に合理化によって少なく維持することができた。したがって、七千七百人の現状で動いていっている。私どものたてまえは、卒業者、定年ですけれども、卒業者ができますと、できるだけその補充を最小限に押えていくという行き方をもってとらえておるわけです。こういうことによって人件費の高騰、そういったものを合理化していきたい、こういうふうに考えておるわけです。これはちょっと横道にそれましたけれども、そういうことがいえます。  次に、原料の値上がりというものでございますけれども、これは製紙会社のほうから申し入れられたものでございまして、毎たび毎たび申し入れられておるわけでございますが、新聞講読料をそれによって上げるということは、新聞としては非常に慎重に考えなければいけないということで、私ども毎日新聞社の場合は、常にその要請にこたえなかったわけでございます。製紙側といたしましては、原木が高騰し、あるいは用紙をこさえる生産工程費というものが毎年毎年上がってくる、そうしてもうささえ切れない、したがって、どうしてもこれを上げてもらいたいということは、何回となく過去に、この一年の間言われてきておったわけですけれども、新聞そのもの使命というものが常に頭に浮かぶものですから、できるだけ合理化をはかって経営の安全をはかりたいというたてまえでもございますから、その要請にこたえなかった。今回の場合はそういった要請にこたえざるを得ない、こういう立場に立って、一つ値上げの要素といたしまして、私どもは皆さんの目の前に提供しておるわけでございます。  それから、次に来る問題は発送費と戸別配達、それと販売というものが、私の説明では若干まざることがあると思いますが、その点ごしんぼうを願ってお聞き願いたいと思います。  その前に、先ほどちょっと言い漏らしておりますので、つけ加えておきます。合理化新聞製作という面から逆にとらえていきますと、合理化ではございませんが、現在毎日新聞の場合は、百八十種類の新聞をこさえておるわけです。これは東京、大阪、西部、中部、北海道と、この五ブロックに分かれるわけでございますけれども、その中に、その一つ一つの紙面をごらんになっていただくとおわかりかと思いますけれども、各県、各地方には、それぞれ地方版という面を持ってございます。したがって、それらを統合いたしますと百八十種類というものになってくるわけです。  それから印刷工程で、非常に印刷、編集兼ね合いの問題点としてございますのは、大体午前零時から印刷が開始されて、四時以前におきましては、これはもうすでに刷り上がっておらなければいけない。そういう切り詰めた作業を現在やっておるわけです。その時間帯で働く社員、従業員というものは約二千人、これは毎日動いていっておるわけです。したがって、いかに合理化をやったにしても、よほどのことがない限り、その合理化の徹底ということは現在の新聞業態ではきわめて困難であろう、こういうふうに、私どもは新聞製作面と違いまして、経理という事務屋の立場から見ましても理解せざるを得ない、こういうふうに考えております。  次に発送関係でございます。戸別配達というものは、先ほどの説明もございましたように、現在の新聞企業として避けるわけにまいらない。私どもは昨年、社の世論調査を行ないました。何もきょうに始まったわけではございませんが、販売店経営というものが、あるいは販売費というものが非常にかさ高になってくる。と同時に、その戸別配達一本をとらえてみますと、現在の若年労働層、若年従事員、たとえば中学校だとか高等学校の生徒を新聞配達に雇っておるわけでございますけれども、そういった方々の人数が現在非常に少なくなってきておるということは、計数的にはっきりしてございます。したがって、こういう面からいろいろな合理化をはかっていかなければならないということがいえてくるわけでございますけれども、そのためには、わが社では戸別配達のために特殊なバイクあるいは車というものを開発いたしまして、これに乗って、少なくなった配達人の手不足をカバーしていっている。これはもう長年来研究を重ねまして、昨年から開発が成功いたしまして利用しておるわけでございます。  ところが、その前に考えなければいけないのは、新聞では、ある地点まで社から持っていく輸送方法でございます。これは三十年を境にして、まあ大体三十五年がいいんじゃないかと思いますが、それを境にして三十五年から以前を見ますと、輸送度合いというものは非常に少なかったわけです。つまり、トラック輸送というものと国鉄輸送というもののウエートは非常に違っておった。トラック輸送の場合は、昭和三十八年でとらえますと二三・七%、これが夕刊関係で、朝刊関係で二五・八%。本社からある地点まで、販売店などのその地点までですが、こういうウエートを占めておりました。現在におきましては、朝刊の場合をとらえますと、八一%というものはトラック輸送にたよらざるを得ないということになっておるわけです。夕刊でいえば六一%。こういうふうに、トラック輸送というものは非常に膨大化してきておる。これが大きな問題になってくるわけです。  それから、販売店から読者へお配りするということ、これで現在の戸別配達をやっておるわけですが、世論調査をいたしました結果、読者の大体九割に近いお方々は、現在の戸別配達というものは絶対に継続していただきたいという数字が出ておるわけであります。したがって、わが社の場合は、もう日本に新聞が始まって以来今日まで、戸別配達という方法で歩いてきておる。今後においても、ぜひとも読者の要望にこたえて、経営的には非常に経費負担は多いわけでございますけれども、何かそこに戸別配達というものを変えないで済むようなことがあるならば、その方法を見出して、そして経営の安全と読者の要望とをかなえていきたい、そして社会的な使命を達成していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほども少し触れましたけれども、たとえば販売店員の仕分けといいますか区分けをするとどういうふうになるかということを、若干申し上げておきます。  販売店員数は、私どものほうでは全国で五万五千人ございます。その中は、中学生が三八%、高校生が一七%、大学生が五%、以下、大体こういうふうになっているわけです。それを歴年で見ますと、以前――以前といいますか、三十七、八年から以前ですね、この時代におきましては、もっともっと中学生あるいは高校生のウエートが高かったわけでございますけれども、それが今日一般でいいますと、若年労働層の不足とでもいいますか、それから新聞配達という時間帯が非常につらいのかどうかわかりませんけれども、非常に少なくなってきておる。その少なくなってきておるのを、今日までの間に、その時点時点をとらえて合理化をはかってカバーしてきたというのが、配達部門に対するところの戸別配達の実態、従業員立場から見たところの実態、こういうことがいえる。こういうふうに考えております。  販売店数といえば、全国で約一万店あるわけでございます。したがって、その一万店の店数に対して大体五万五千人が動いていっておるのだ。しかも今日、私どもの場合におきましては中学生、高等学生あるいは大学生、特に大学生につきましては、勤労しながら勉学をしていくという方々を焦点にいたしまして、奨学生資金の援助あるいはその宿舎、そういったものを整備いたしまして、働きながら大学も卒業できるというふうに、われわれは設備と制度をこさえております。こういうことは、やはり新聞配達の業務をするわけでございますけれども、人間の非常な価値と、それから若人の将来の大いなる成長というものを願うがゆえに、こういった奨学生制度というものもわが社内に設けまして、そしてりっぱな人材が育つように、両方の面から考えて、こういう制度を考慮して現在施行しておるというのが実態になっておるわけでございます。  次に、販売手数料の増ということは、したがって、ただいまのような戸別配達だとか従業員というものを見ていただければおわかりだと思うのですけれども、この前に日本の新聞販売協会、これから、皆さまのお目にもとまっておると思いますけれども、二千部平均の販売店一つのモデルケースというものが出ております。これはむしろ販売協会が各新聞社へ、いろいろ販売店側に対するところの経営、補助とでもいいますか経営援助とでもいいますか、そういったものをもっとたくさん出せという要望の筋合いになっておるわけでございます。それからいたしますと、大体六百十円がなければ販売店側としてはなかなか経営は困難であるという数字になっておるわけです。しかし新聞社側は、その要望をそっくりそのまま迎え入れるということになりますと、現在よりももっと多くの購読料を取らなければとうてい対応できないということは一点になっております。  そこで、話を最初の話に返らさしていただきたいのですが、利益性の低い新聞企業でございまして、それぞれの四カ点の要望、値上げ要素というものをとらえてみますと以上のようなわけになるわけですけれども、では広告関係は、結論としてどういうふうに考えておるか、この点が残ってくると思います。  広告スペース率、掲載率が大体四四%、昨日の私どもの新聞をとらえますと三九%ということになります。これは昨日の紙面できっちり計算してございます。昨日五日は、二〇ページ出しましたですから百十九段、広告掲載率が三九・七%、こういうことになるわけです。ところが、これはテレビ関係のこともございまして、普通並みな状態に引き直してみますと、四三・七%というのが広告掲載率、スペース比ということになってくるわけです。そのように常に五割以内、つまり四三から四四、四五、四六、大体その辺で今日まで動いてきておるということと、昭和三十年を中心にいたしまして、おそらくアメリカの新聞と同じように広告ウエートは高くなるであろうと、私どもも予測してございました。それと同時に、日本の経済というものは高度成長、成長成長で今日まで、世界的な高度成長を遂げておる段階でございました。したがって、国内経済がいろいろな形をとろうとも、結果的には成長ムードであるということから広告に目を向けていって、これから上がってくる収入を土台に置いて経営の最小限の安定をささえ、そして読者の皆さまに喜んでいただきたい、りっぱな報道を送りたい、こういうふうに考えておったわけでございます。  ところが、三十八年で逆転した。四十五年、昨年でございますけれども、昨年の場合は景気状況が、国内におきましても非常に低調ムードでございました。今日もなおかつ続いてございます。特に大阪の万博が行なわれる直前あるいは万博の中間帯ごろまでは、大体低調ムードであったにしても、日本貿易が非常によかったということから、広告界は潤っておったわけでございます。私どももその潤いを受けたわけでございますけれども、それからあとというものは、急速な低調ムードが出てきておる。国家だとか、日銀が、金融の緩和というものを昨年の七月ころ打ち出しましたけれども、その時点におきましては、すでに資金的な緩和は、あれだけの数字では一瞬にして消えてなくなる産業界の状況下にあったと、私は判断しております。経済学者もそのように言ってございますし、数字をとらえてもそのような結果になっております。それから今日までは低調ムードで、それは公定歩合が下がっていっても、金融がある程度国家政策で緩和されても、それがわれわれ新聞界あるいは産業界の広告という面においてはね返ってくる時点は、まだ半年から七カ月くらいの余裕期間を持たなければ実質的にはね返ってこないというのが、過去から現在に至る、昭和三十年から今日までの間の日本の状況下になっております。そういうことです。  そこで、昨年の十二月以来をとらえてみますと、いままでは実質GNPと同じようなテンポで歩いてきたわけでございますけれども、それが将来とも、同じようなテンポで歩いていくならばさほどではなかったかもしれませんが、それから横ばいに、横ばいといいますか、むしろ下落の状況になっております。したがって、わが社の広告収入というものも、前年に比べますと一〇〇%を割っておるわけでございます。成長下にございましたならば、広告収入が一〇〇%をオーバーするのがたてまえになってくるわけです。たてまえになってくることによって、少ない新聞購読利益の中を、広告収入あるいはその他の面で利益性をもって補って、そして今日までの物価高に対応いたしまして、われわれは経営の安定をはかってきたというわけなんですが、残念ながら広告が非常に伸び悩んでおる。伸び悩むというよりもむしろ低下の方向をたどるのではなかろうか、こういうふうに判断してございます。  したがって、私どもは今度の定価値上げは、経理立場から申し上げましても、もう少し思い切って上げていただきたいというところであったわけでございます。そういうふうになってございます。経営の最小限の安定ということが、やはり新聞社社会的使命を十分達成させる大きな基盤であるという角度から、いかに営利企業の中の一員の経理マンである私といえども、それを実感としてあるいは使命感として持たざるを得ない。こういうふうに私ども社員一同考えてございます。  以上で私の言わんとするところは、説明のしかたは非常に不十分でございましたけれども、言わんとするところは御理解をしていただきたいと思うわけでございます。私の話を終えさせていただきます。
  6. 小林進

    小林委員長 次に、上子参考人にお願いいたします。
  7. 上子俊秋

    上子参考人 きょうここに出席いたしました新聞三社をめぐる経営環境というのは、いま富山さん、池田さんの話を聞いておりましても、非常に酷似しております。したがいまして、富山さんと池田さんのお話で、私の申し上げることもほぼ尽きるかと思いますけれども、読売新聞社立場から、三月二十四日に社告いたしました値上げ理由というのと、それが百五十アップにどう結びつくのかという点を、簡単に御説明いたしたいと思います。  二十四日に社告及び解説で読者皆さんに御案内いたしました内容の要点は、値上げ理由として、一つは、新聞用紙、インク代それから輸送費の増加、それからもう一つは、通信網その他施設の拡充、新聞製作費の増大、諸物価の高騰、三つ目が、新聞販売店経営難打開と家庭配達制度を維持するための販売店手数料の引き上げ、四つ目が、建てページの増加に伴う支出の増大、それから広告収入の伸び悩みという、大体これらの点がおもなところであります。それを具体的に、幾らの金額がそうなるのかということを申し上げます。  第一番目の用紙代輸送費、インク代の値上げによる一部当たりの経費増大は三十円、それから販売店手数料のアップ額は六十円、それから新聞製作費の増大、まあ通信網施設、建てページの増加といったふうなものを一切ひっくるめまして四十円、人件費の高騰分が二十円、以上百五十円、こういうふうな計算で百五十アップをきめたわけであります。  広告収入が月間一億数千万円、去年の十一月ころから毎月減ってきておるという点は、今度の値上げの中には含まれておりません。その後新聞広告料値上げを発表いたしました。この分はこれで補充をしたいというふうに考えております。  ただ、念のために申し上げますけれども、讀賣新聞の場合は、朝日、毎日と違いまして、東京本社と大阪本社及び西部本社経営は別であります。したがいまして、私がいま申し上げたこの数字は、東京本社経営を基礎にして申し上げたと御理解を願いたいと思います。  以上でございます。
  8. 小林進

    小林委員長 以上で参考人方々の御意見の御開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 小林進

    小林委員長 これより政府並びに参考人に対し質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。青木正久君。
  10. 青木正久

    ○青木委員 ただいま三社の代表の方から、購読料値上げの詳しい御説明があったわけでございます。  新聞というのは、御存じのとおり社会の公器でございまして、すべての国民が朝晩読んでいるわけでありまして、こういう新聞が、社会の公器として、これまでも物価対策をさんざん紙面で取り上げてきた。その新聞値上げをする。しかもその値上げの幅が二割という大幅なものになると、影響はきわめて大きい。われわれとしては、どんな手段を講じましても購読料値上げを避けて、やめていただきたかったわけでございます。新聞使命の重大性は、私どももよく存じているつもりでございます。しかし、値上げによる社会的な影響が大きいことを考えますと、この委員会におきましても、どうしても取り上げざるを得ない。  ただいま三人の方の御説明が詳しくございました。また、紙面の上でも、たとえば朝日新聞では、三月の二十日に購読料改定の社告がございました。さらに専務取締役の中川さんが、二十七日に「声」欄で、投書に答えて述べておられるわけであります。これらを見ますと、先ほどのお話のようないろいろな理由によりまして購読料を上げざるを得ない、こういうわけでございますけれども、上子さんからお話がございましたけれども、朝日新聞のほうでは、あげられました四つの理由ですね、製作費の高騰、それから戸別配達、販売店の費用、さらに設備の費用、あるいは広告の減収、この四つが百五十円にどう割り当てがいくのか、それをわかりましたらお答え願いたいと思います。
  11. 富山韶蔵

    富山参考人 今度の百五十円につきましては、上子参考人からたいへん詳しく申されたわけでありますが、百五十円の内容的に一番大きい幅を占めるのが、まず半分以上が販売店経費として、それの充足に充てられるということであります。それから、実際に人件費関係で約二十円、それから紙代で約十五円、それからあとの残りが大体設備関係に充足される、こういったようなことで、大ざっぱな話そうなると思います。
  12. 青木正久

    ○青木委員 取材の面あるいは販売の面という点で合理化を試みられている点のお話がございましたけれども、しかし、よく検討してみますと、取材あるいは販売の面で過当競争になっている点があるのではないか。聞くところによりますと、たとえば取材で申し上げますと、朝刊の締め切り、これは昔は朝の三時か四時ごろまでやっていたのですけれども、最近では一時四十五分ぐらいで協定をされている。そう協定をされますと、それに従って経費も浮いてくると思うのです。時代が変わりまして、いま速報はもっぱらテレビにたよる。新聞は解説が主体になってきた。新聞の性格もだんだん変わってきていると思いますけれども、テレビ時代になりまして、そういった意味合理化というものは、取材面あるいは販売面ででき得ないものかどうか。特に販売の経費が、今度も二〇%の中に大きな部分を占めると申しますか、販売の面で過当競争、これが過ぎているのじゃないかという、この点についての御感想をお願いいたします。
  13. 富山韶蔵

    富山参考人 先ほどからるる述べましたけれども、確かにこの合理化の問題というのは、わが社のほうでも、やりにくい面でありますが、非常に考えざるを得ない状態に立っております。特に取材面におきましては、御承知のように、全国に通信網というものを張りめぐらしてございます。これをほんとうから申しますと、非常に密なる取材をやるということになりますと、相当の配置というものをやらなければならぬわけでありますが、とてもそこまでできませんので、先ほどから申し上げております情報のはんらんという状態のときに、これはなかなかに人件費が要ることでありますので、そういうものに対応するために重点区域に――ほかのほうが重点区域でないと申すわけではございませんけれども、そういう主重点区域のほうにそれに準ずるようなところから人員を集める。あるいは通信局を廃止する、そういったような統合をやりまして、せいぜい御迷惑のかからないような情報網の確保ということを考えて、そういう配置状況の変更をやっております。  それから、実際に製作工程の問題におきましても、大体、毎日の池田さんが先ほど言われましたと同じようなことを私どももやっておりますけれども、たとえば発送機――従来発送というのは、非常に人力にたよっておったわけでありますけれども、最近、結束機、包送機、あるいは印刷と発送の間におきますカウンター・スタッカー、そういったような機械化をやって、膨張する仕事をある程度それで吸収する。それからもう一つは、従来でき上がってきました原稿を活字にかえる場合に、現在、機械相当活字の自動鋳造とかいろいろやっておりますが、そのあれでも、印刷と編集と両方にそういう設備を持っておったわけでありますが、それをパンチセンターというものをつくりまして、一カ所にまとめる。  それから、私のほうでは長期計画というものをやっておりますけれども、これにつきましても、人員増大というものが人件費に即つながってまいりますので、この人員増大というものを、五カ年計画におきまして相当数減らす計画を立てております。それに従って、大体その計画どおりに進めて、どちらかと申しますと、管理部門みたいな、製作と直接関係のないような管理部門の増大というものを非常に押えてやってきております。  それから、社内のことはまだいろいろございますけれども、販売網合理化という問題です。これはよくお尋ね受けるわけですけれども、先ほどから申し上げておるように、これはどうしても人力にたよらざるを得ないという問題が一番の悩みであるわけですけれども、その中で、たとえば運搬具、電気自動車の開発とか、あるいは自転車にかわるモーターがついたバイクとか、そういったものを配置する。あるいは、専売網をおのおのが持っているから、非常に人手がダブってかかるんではなかろうかという問題が、よく御質問を受けるわけであります。これは一面において、確かにそのとおりでございますけれども、現在におきましても、過疎地帯において、専売網を持っていたところを合売制に切りかえていくということもやっております。  それから、これは実際に将来の問題として考えていかなければ、とてもこの販売網維持できないであろうと思いますのは、やはり現在即そういう問題ができませんから、たとえばよくデパートなんかでやっておりますデポ形式ですね、一カ所に新聞を集めてそこから配達をやるというようなことも考えられるわけであります。これは省力化の問題には非常に寄与するわけでありますけれども、一面、この問題を取り扱いますと、先ほど申し上げましたように、新聞の、ある程度時間内に配達しなければいけないという制約の問題からいきますと、時間はかえって増大してしまう。それで皆さん方読者方々に到着する時間がおくれる。これでは、省力化はできましても、サービスの面において新聞の価値というものがなくなりますので、にわかにできないわけでありますが、将来はこういう問題も考えてございます。  それからもう一つは、やはり販売労務の中で配達、集金、拡張と、こういう三つの大きな仕事内容を持っております。この中でも集金業務というのは、どこの企業でもそうでありましょうが、なかなかたいへんな仕事であります。現在こういう集金業務につきましても、なかなかまだ普及はしておりませんけれども、振り込み制度をやっていただくとか、そういうことを徐々に手がけながら、なるべく集金業務というものを軽減をはかっております。  それから一方、東京の都内なんかで考えました場合にも、御承知のように、やはりドーナツ現象というものができてまいりまして、なかなか伸び悩むという地点が出てまいります。将来都内のそういうところにつきましては、われわれのほうで申すことばですが、ある特定の社と結んで複合専売をやるとかあるいは合売制度をやるとか、こういうことは将来やはり考えていかなければならぬ問題だと思っております。そういうところで合同でやることによって、今度は、膨張していく都の中心部のほうへそういう人員を配置していく、こういうことも考えられるわけであります。  ただ、合売をすれば、同じ四社なり五社なりが別々に配っているものが、それでうまくいくのかという問題ですが、これは少しこまかい話になりますけれども、ある一定の区域がございますと、そこの読者を一軒一軒やっていく場合に、全部が朝日新聞ならば、これは事は簡単なんでありますけれども、Aのところは朝日で、Bのところが毎日、Cのところが読売、次が東京というふうに、ばらばらになるわけであります。それからまた、併読されている方々も、いろいろ内容の組み合わせというものは別々でありますから、これを朝、店のところに新聞が着きますとまず組み直して、一つの区域ごとに従業員が受け持っておりますから、これを組み合わせるのがなかなか時間がかかりまして、しかも非常に複雑な構成になりますので、合売という問題は簡単にまいらないのですが、いま申し上げましたように、先行きはそういう問題もやはり考えていかなければならぬ、かように考えております。
  14. 青木正久

    ○青木委員 新聞というのは、出先の記者の集めてきたニュース、これを印刷をして、これをまた戸別に配達するのが現状になっているわけです。言うなれば非常に古典的な作業ですね。昔から本質的にはあまり進歩といいますか、変化をしていないような気がするわけであります。そこで、いまのお話のように、広告費が減収になってまいりまして、これが取材費の不足ということになりますと、ニュースが不完全になりそして、これは最も困る事態が起こる。したがいまして、新聞値上げというのは好ましくありませんけれども、ニュースが不完全になるということを考えますと、これはまた、ほかの企業とは全く違うという一面を持っているわけであります。しかし、外国の例を見ますと、だいぶ体系も構成も違いますけれども、欧米の経験から、新聞定価のことについて学ぶ点はあるかないか、あればどういう点があるか、この点を富山さんにお伺いしたいと思います。
  15. 富山韶蔵

    富山参考人 欧米諸国と日本の新聞形態ということ、特に配達の点につきましては、根本的に違いますのは、欧米諸国におきましては、従来から、一部売りの即売というものにたよって発展してきている新聞であります。日本の場合におきましては戸別配達ということを主眼といたしまして、これが日本の新聞の発展をしてきた理由でもありますし、今後といえども、この戸別配達制という問題の崩壊というものが即新聞経営の崩壊につながるほど大きい、重要な要素を持っているわけであります。  そういう点で、根本的に配達機構というものが違うわけでありますが、欧米諸国の場合におきましても、最近、やはり即売だけにたよっていることで伸び悩むという状態が、アメリカあたりでもあるやに聞いております。ところが、御承知のように一日五、六十ページもある新聞を戸別配達するということは、べらぼうに人員が要りますし、それからまた経費もかかるわけであります。それでもそういうことで、戸別配達をやろうという努力はしておるわけですが、先ごろも、私のほうから、アメリカの新聞配達の状況というものを見せにやったわけでありますが、これは日本の場合におきますと、御承知のように非常に道路が狭隘であります。路地へ入って、あるいはアパートの上から下へおりて上がってというような状態でやっておるわけでありますが、アメリカのほうは、皆さん方もごらんになっておられると思いますが、非常に道路事情がよろしいわけでありますし、それから、こまかい話でありますが、日本は、住宅地なんかへ参りますとへいなんかで囲っておりますけれども、向こうのほうは、住宅地なんかの場合におきましても、ほとんどへいというものはございません。そこで、新聞を自動車に載っけて、自動車からおりないでいきなりはうっていくだけと、こういう状態でやっておるわけであります。こういう点は、日本が学べといいましても、いまさら新聞社のために簡単に道路を広げるわけにもまいりませんし、そういう点で根本的に、どうしても人力にたよらざるを得ないわけであります。  そういう状態で、新聞の配達形態というのは根本的に違うわけでありますが、新聞経営内容から申しますと、世界的な傾向といたしまして、欧米諸国でも最近の傾向として――大体欧米の新聞というのは、日本の新聞より飛躍的に広告が多い。極端に申しますと、収入だけの問題をとらえますと、広告収入が八、九〇%で、あとの一〇%が購読料というような新聞があります。そういう点で、広告の減収というものが、世界的に、非常に新聞社経営を圧迫してきております。そういう点で経営の危殆に瀕して廃刊した例は、最近非常にたくさんございます。そういう状態で、たとえばザ・タイムズの場合なんかでいきますと、大体過去二年間において一〇〇%の値上げをやっております。それからニューヨーク・タイムズの場合でも、十セントの新聞が五割アップの十五セント、これは一部売りの十五セントであります。配達抜きで、大体即売の定価がそういったようなことで、各国とも、新聞経営は非常に苦しくなってきておりまして、世界的にも、我田引水のようではありますけれども、値上げの傾向をもってやっと新聞経営をささえている。ニューヨーク・タイムズでも、本紙だけにたよった経営は、つまり新聞だけの経営につきましては赤字を出しておるそうであります。そのほかにいろいろの出版物その他のいろいろの事業をやりまして、それでやっと赤字の補てんをやっているというのが外国の例でありますので、外国の新聞を日本の参考にするというものはほとんどございませんで、逆に、参考にいたしますと定価値上げにつながるということになるわけでございます。
  16. 青木正久

    ○青木委員 上子参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今度の値上げ理由一つに、建てページの増加があるわけであります。しかしながら、増ページは広告のためではないかという読者の声もありますし、ニュースをたくさん提供しようという趣旨はけっこうだと思いますけれども、多過ぎて読み切れないという声もあるわけであります。むしろ建てページを減らしてまた購読料も下げたらどうか、こういう声がございますけれども、この点どうお考えでございましょうか。
  17. 上子俊秋

    上子参考人 建てページの問題は、先ほどからいろいろ話が出ておりますように、最近は情報量が非常に増大してきておる。私どもの社の場合でいきますと、大体五百五十万の読者――部数にして五百五十万、一家庭で二人読めば千百万人になるわけでありますが、一人ずつ読むとしても五百五十万人という非常に多量な人たちにニュースを提供しなければいけない。その中にいろいろな方々がいらっしゃいますので、あらゆる情報をとにかく詰め込みたい。それから、大かた読者を満足させるためには、どうしてもページ数はふやさなければいけないという要請がございます。むろん広告収入のほうも、当然増ページすれば上がる。上がるわけですけれども、広告料が一定の程度確保されたとしても、増ページした場合は経費が非常にかかります。現在のところ、かりに四ページふやした場合、ふやさないときと比べて収入支出の比率はどうかというと、ふやさないときのほうが計算上は得であります。しかし、たくさんの読者の期待にこたえるという意味では、ある程度ふやさなければいかぬ。  それから、読み切れないという御質問に対しては、一体新聞は、全部すみからすみまで読まなければいかぬのかどうか。たとえば本を買っても、われわれは、必要なところしか読まないケースがいろいろあります。だから、何も無理して全部読まなくてもいいわけです。必要な情報だけを読んでいただけば十分価値がある、私はそう思っております。そういう意味で、率直に申し上げて、私ども自身が全部読み切れないのが事実であります。しかし、これは全体の、不特定というか多数の読者を満足させるためにはやむを得ないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  18. 青木正久

    ○青木委員 池田参考人にお伺いしたいと思います。  新聞用紙の問題ですけれども、先ほど池田さんは、製紙会社の値上げを全部のんでいるわけではないというお話でございますけれども、しかしながら、製紙会社のほうから言ってくれば上げざるを得ない。そうすると、いつになってもどんどん上がっていくということになると思いますけれども、製紙会社の要求を押えることが非常に大切だと思います。そういうことで、一つの方針か何かございますでしょうか。
  19. 池田友治

    池田参考人 青木先生の御質疑にお答えしたいと思います。  新聞社のほうが、製紙会社の用紙値上げ要請に対して押える方法があるかなきや、あるいはそれをしたかしないかというふうに、私はいまの御質疑を理解したわけでございますが、製紙会社のほうでは、現在の値上げ幅というものでは低いというのが実態でございます。昨年来から言われておるわけですけれども、連当たり百円以上のアップということが、製紙会社の一貫した考え方になっておるわけです。新聞社の場合は、それだけのものを全部請け負うということは、新聞講読料というものに対して非常に影響があるし、いろいろな面に作用する。そういうことで、できるだけ押えて押えて今日までやってきた。しかも、今回の場合は半額程度の値上げということになると思いますが、そういう状況下に押えてきておるということです。今後におきましても、もしそういう事態があれば、新聞社としては極力これを押えるであろう、これは言って差しつかえないと思います。そういう状況であるとお答えいたしておきます。
  20. 青木正久

    ○青木委員 富山参考人にお伺いします。  広告の問題ですけれども、先ほど六、四の関係だというお話がございました。しかし、この購読料の改定と並行して広告料金も引き上げるというお話を聞いておりますけれども、一体広告料と販売料の比率ですね、これはどのくらいが理想的なんでございましょうか。
  21. 富山韶蔵

    富山参考人 これは非常にむずかしい問題なんですが、わが社の場合でも大体、先ほどどなたかも御説明になりましたように、まず製品の内容ですけれども、新聞を製品とひとつ考えた場合に、これが――外国の例は、先ほどちょっと申し上げたように、膨大な広告料というものによって経営がささえられておるということを申し上げたわけですが、わが社の場合におきましても、製品価値を落とさない程度ということになりますと大体五〇%の記事量、フィフティー・フィフティーで記事量と広告量、これがわれわれのほうの原則になっております。なかなか五〇%ということになりますと、どうしてもそれ以上の収益をあげていこうということになりますと記事量を減らしていかなければならぬということになりますので、最盛期のときではどうしても別刷りにたよらなければならぬ。これは先ほど読売の上子さんが言われましたけれども、経費は確かにかかりますけれども、わが社の場合におきましては、別刷りをやる場合には、用紙代、いろいろの内容経費というものが広告料によってまかなえない場合には、絶対に特集を出すということを禁じております。そういうことで、あくまで別刷りをやる場合には、それがベイラインに入っておるという状態でないとやらないわけであります。  どのくらいのつり合いの――収入の度合いは六、四と申し上げておりますが、たまたま六、四になっておりますので、ということは、購読料のほうは御承知のように、値上げという問題になりますと、このようななかなかむずかしい問題を突破してやらなければならない状態であります。それともう一つ、やはり読者方の御負担というものが非常に影響を受けていくということにもなりかねませんので、できるだけこの購読料を押える、それで実際広告収入でかせいでいくということに相なるわけです。ところが、実際に六〇%あるいはそれ以上の広告収入というものに上げていく場合には、確かにその時点においては経営のあれはよくなってくるわけでありますが、一朝、前回の  オリンピック直後の場合あるいは今回の不況状態ということになりますと、それがすぐに広告料の減収というものにつながってくるわけであります。どこの企業でも、残念ながらいざというときに、予算の削減ということになりますと宣伝費の削減につながってくるわけであります。宣伝費の削減は、つまりわれわれ媒体の広告収入の減。ですから、それにたよればたよるほど、非常にこういう不況の波は大きくかぶらざるを得ない、こういう悪い面も出てくるわけでありますが、しょっちゅう不況ばかりあるわけではありませんから、どうしても広告収入にたよらざるを得ません。これはむずかしい問題でありますけれども、購読料というものが大体現在のような状態ということになりますと、やはりどうしても六〇%以上の広告収入というものを考えてまいりませんと新聞経営というものは成り立たないというふうに考えております。
  22. 青木正久

    ○青木委員 最後に、販売の点についてちょっとお伺いしたいと思いますけれども、いまお話を伺っておりますと、購読料値上げの大きな部分はやはり販売面にあると思うわけであります。前回の新聞値上げはたしか一昨年の十一月だったと思いますけれども、このときは朝夕刊のセットで九十円、今度は百五十円と、幅が大きいわけであります。この大部分が販売手数料、こういうことになりますと、この面の合理化の点が考えられるわけでありますが、上子参考人にお伺いしたいと思いますけれども、販売店人手は、これからますます不足してくると思います。といたしますと、やはり先ほどお話の出ました合配、これをもっと進めていくことが経費の節約になるんじゃないか。その見通しはどうかという点と、いま合配の率はどのくらいになっておりましょうか、それをお伺いしたいと思います。
  23. 上子俊秋

    上子参考人 先ほど富山さんが少し触れられたと思いますけれども、かつて新聞は戦争中、昭和十六年、政府の要請によって合配を実施いたしました。それが二十七年まで続いて、二十八年から、また現在のような専売制度が始まったわけであります。  合配のとき、御記憶だと思いますが、非常にサービスが低下いたしました。読者からたいへんおしかりを受けた。たとえば配達時間、これは同じ新聞配達もあったわけですけれども、一緒に配達する。どこかの新聞が、何か機械の故障で印刷がおくれる。それを待って一緒にやる。出勤前に読めない。夕刊の場合も同じことでありまして、非常にサービスが悪いということが一つ。  それから、合配にしたら一体経費の節約ができるのかという問題でありますけれども、新聞の部数がかりに現在のままと仮定いたしますと、一人の配達員が持てる部数というものは大体限られております。朝日さんと毎日さんとうちの新聞を一緒に持ったから、いままで一人で二百配達したのが六百になるというわけにもいかない。おまけに地域的には、配達順路というものが非常にめんどうなことでありまして、読売だけなら、次々と覚えておいて配っていけますけれども、この次のうちは毎日さんだ、その次は朝日さんだ、その次は朝日と読売をとっておる、その次はスポーツ紙が入っておるというふうなことになりますと、その仕分けをするために非常な時間を要する、よけいな人手もかかるというふうなことがございまして、おそらくいまの段階では、合配をしてみたところで、現在の専売よりも大幅に経費が節約できるかという点については、われわれはそうはできないというふうな考えを持っております。  もう一つの御質問の、合配の比率であります。これは、いまここに数字を持っておりませんが、非常に過疎地帯あるいは山村とか非常に交通不便なところは合配をやっております。しかし、これはほとんどとるに足りない数ではないかと思います。きょうはその率を持ってきていないそうでありますから、もし必要なら、後ほど調べて御報告いたしますけれども、ほとんどとるに足りない部数だと思います。
  24. 青木正久

    ○青木委員 富士さんにもう一点だけお伺いします。  販売の学生アルバイトがだんだん減ってきておる。また配達店員の賃上げなどで、戸別配達制度というものを維持することはなかなかむずかしくなってきておるわけであります。そこで、外国の事例あるいはほかの産業の例から見て、戸別配達サービスを続けながら、しかも値上げをしないでやっていけるという妙手はないものかどうか、この点を最後にお伺いいたします。
  25. 富山韶蔵

    富山参考人 これは新聞社経営、それから販売店経営という問題の内容によるわけでございますけれども、先ほどから説明しておりますように、あくまで新聞社というのは、利潤を追求するということはなるべく慎む、そういう形態をとっておりますので、利益率というものは非常に少ないわけでございます。それと一方、やはり販売店のほうでも、非常にいい地域、非常に経営のむずかしい地域、そういうところのばらつきが非常に多いわけでございます。  それで、いま、購読料につなげないで何かそういう合理化ができないか、あるいは配達網の維持ができないか。この問題がほんとうにうまく解決ができると――お知恵を拝借したいくらいのものでして、われわれのほうもこれにプロジェクトチームをつくりまして、どうすればここの配達網というものが維持できて、しかも、いま御質問の趣にこたえられるような内容が盛れるか。ところが、実際にいま新聞社、それから販売店の場合におきましても、一つの転換期にきておるわけでございます。従来は、先ほどるる申し上げましたように、やってこられたわけですが、ここに来まして急速に人的資源の枯渇、したがいまして、どうしても人件費の増大、ほとんど販売店経費の半数以上というものは、この人件費に費やしておるわけでございます。ですから、この人件費の高騰という問題が押えられるなれば、ある程度の経費増大というものを防ぐことができましょう。しかし、一方においてはやはり人的資源の不足という問題もありますので、どうしても、やむにやまれず人件費の高騰というものははかっていかなければいけませんし、それと、かりに人件費を押えるということになりますと、かりにいままでの給与、賃金体系というものが妥当だとするなれば、物価の上昇というものがあるにもかかわらず人件費を押えるということは、それだけ減収につながるわけでありますので、やはり物価上昇というこういう時期につきましては、その妙手というものは非常にむずかしいといわざるを得ないわけでございます。
  26. 青木正久

    ○青木委員 どうもありがとうございました。
  27. 小林進

    小林委員長 栗山礼行君。
  28. 栗山礼行

    ○栗山委員 きょうは朝日新聞の業務局長の富山さん、毎日新聞経理局長、役員待遇池田さん、読売新聞社販売局長上子さん、この三氏に参考人として御出席をいただきまして、まことに物特は物特なりに、御参加いただいた評価をいたしておるわけであります。  前段に、ちょっと私、御了解をいただいてまいりたいのであります。  私、一面政党人としての党務的要因を持っております。御承知のとおり、きょうは、私のほうの故西村委員長の党葬がございます。十二時前に青山に参加をいたさなくちゃならぬ、こういうふうな使命を持っておるわけであります。ただし、国会の議席を汚す者といたしまして、国会審議が重要でございますので、参加をいたしました。  特にこの問題は、皆さんにもっと早く、値上げを実施される前に御参加を求めたいという、委員長及び青木理事の、礼を尽くしましての御要請を申し上げたと、理事会で報告を受けておるのです。また、いろいろな皆さんの御関係で、物特の役割りとは何かということを御承知いただいておると思うのでありますけれども、御参加をいただけなくて、まことに残念な物特のあり方だ、物特の権威に関する問題だと、私は承知をいたしておるのであります。実は、皆さん専門家でございますから、私どもも国会法の定め等を勘案いたしまして、事実は、もうかかる上はやむを得ないのでないかというようなことで、そのワク内における証人招致を求めるということすら検討を加えざるを得なかったという経過も、直接間接に、鋭敏な、耳の早い皆さんでございますから、御承知のことであろうかと思うのでありますが、それはそれなりにいたしまして、ようやくきょう、値上げ実施後に至りまして御参加をいただいた、こういうことで、いやみを言うわけではございませんけれども、それなりに評価をいたしてまいりたい。  したがいまして、私は、実は多くのお尋ねを申し上げたい問題がございますが、時間上の制約がございますので、その意を得ないのであります。まあ経理局長というような経理マンでございますから、池田さんは懇切を尽くしまして、四十五分にわたりまして、いろいろ参考人としての値上げ理由の御説明をいただいた。まことに非礼な申し方をするようでありますけれども、何かわれわれが高等学校の先生に御講義をいただいておるような感すらございますほどに、懇切にわたるということでございましょうけれども、お話がございました。微力でございますけれども、われわれ、やはり国会の審議に参加をさしていただいておるという立場の者でございまして、一言おっしゃっていただければそれなりに理解もできよう。私は別といたしまして、その他の委員諸君の鋭い理解ができる点があろうかと思うのでありまして、私も問題点はたくさんございますが、きょうは十分意を尽くせません。したがって、ことば足らざるお尋ねを申し上げるということになるのでありますけれども、御親切のあまり、あまり長く時間をおかけをいただくということだけはひとつ御寛容な御理解をいただいての御答弁をちょうだいいたしたい、これが前段でございます。  経済企画庁の宮崎局長見えていますね。実は物特で、三月の二十日と記憶いたしておりますが、朝日新聞値上げ社告を発表されました直後において、いろいろ経済企画庁としての見解を承る委員会がございました。また、物価問題の所管の大臣としての見解等も、われわれは承ったのであります。きょうは長官がやむを得ない事情で御参加をいただけない、これは了解できるわけなんでございますが、私の承知をいたしますところによると、二十日午前十一時三十分から十二時まで、経企庁の記者クラブにおいて、事務次官が長官談話を発表されておる。同日の午後一時三十分から、経企庁におきまして、朝日新聞の責任者の富山締役業務局長、坂本業務局次長をお招き申し上げて、事務次官が値上げ問題の撤回を要請をされております。越えて二十五日の十一時から一時三十分まで、物価安定政策会議特別部会を開催されまして、朝日新聞の担当者でございます安井常務取締役、富山締役業務局長外二名から値上げ理由について御説明を徴し、特別部会としてのその間における質疑、懇談をされておる。したがいまして、特別部会は、いろいろ審議を求めまして、新聞に対しまして値上げを撤回するよう、また、他社に対しては追随値上げをしないよう求める趣旨の特別部会の意見を発表されておる、こういうことに承知をいたしております。同日の午後四時から、朝日新聞坂本業務局次長に、上記特別部会の意見を、あなたが、生活局長が手交をされておるやに承知をいたしておるわけでございます。同日午後四時三十分から六時にわたりまして、毎日新聞、読売新聞、日経、産経、東京の各新聞社に対しまして、経企の次官名をもって重ねて、追随値上げをひとつ自重をする、こういう御要請をされておるやに承知をいたしておるわけであります。  朝日新聞社値上げに対する経済企画庁長官の談話の要旨でございますが、一つは、「本日朝日新聞購読料の大幅値上げを発表したことは、まことに遺憾である。」  二つは、「新聞は、一般国民の日常生活に必要不可欠な物資であるばかりでなく、いわば社会の公器として健全な世論を指導、喚起し、物価安定のための環境つくりに多大の役割を果してきた。」――非常に強い評価をされておるのであります。「しかるに、政府が公共料金の抑制をはじめ物価安定のための最善の努力を傾注している現在、朝日新聞がこの三年間に三回にわたり大幅な値上げを行なおうとすることは、その与える直接、間接の影響が極めて大きいといわざるを得ない。」  三番目は、「のみならず、朝日新聞値上げは、購読者にとって全く一方的、抜き打ち的に行なわれようとしている。わたくしは、新聞が、企業として真摯な合理化努力を尽すとともに、値上げが真にやむを得ない場合においても、あらかじめ、その真にやむを得ない理由を具体的に世間に明示し、国民の十分な納得を得たうえで行なうことが必要であると考える。」  四番目、「以上の観点からみて、わたくしは、今回朝日新聞が一方的に発表した値上げを直ちに撤回するとともに、他紙が安易に追随値上げを行なうことのないよう自重自戒されんことを強く要望する。」以上のような内容によります談話を発表されておると承知をいたしておるわけであります。  物価安定政策会議の特別部会の意見書の要旨も、御承知でございましょうが、  「去る三月二十日朝日新聞購読料値上げを発表したことに関し、当部会の委員から特別部会を招集すべき旨要請があったので、本日午前十一時より臨時に特別部会を開催し、朝日新聞値上げ問題を調査審議した。  本日の部会は朝日新聞の責任者(安井常務取締役ほか三名)から値上げ決定に至った経緯、理由等について説明をうけ、主としてこの説明をめぐって討議が行われた。  その結果、当部会としては新聞経営をめぐる環境は容易でないことは認められるものの、朝日新聞が今回抜き打ちに二〇%もの大幅な値上げを行なおうとすることを是認することはできないという意見であった。  したがって、当部会としては同社が値上げの考えを再検討し、それを撤回することが望ましいと考える。仮りに同社が値上げを真にやむをえないとする場合においても、企業としての合理化努力を具体的に明らかにし、国民の十分な納得をうるよう努めるとともに、値上げ幅、値上げ時期等についても物価情勢を勘案して慎重な配慮が必要であると考える。  また、従来一紙が値上げを行うと地紙がこれに追随するというケースがみられたが、こうしたことのないよう他社の自重を望みたい。  本部会は、政府がこの趣旨にそって関係方面に対し所要の措置を講ずるよう要望する。」  こういうような、御参考人が御承知のように、経済企画庁の名において皆さんに勧告と要請をされておる、こういうことでございますが、局長、この事実に間違いございませんか。要点だけ……。
  29. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 経過につきましては、いま栗山先生の御指摘のとおりでございます。
  30. 栗山礼行

    ○栗山委員 これはもう参考人の三紙の代表でけっこうでございますが、以上のようなことをお受けになったということについて、御同意をちょうだいできますか。
  31. 富山韶蔵

    富山参考人 間違いございません。
  32. 栗山礼行

    ○栗山委員 公取委にお尋ねを申し上げますが、今度の値上げというものが、いわゆる事前談合によるものか、あるいはお示しをされているように、朝日新聞を主導役としてそれに同一歩調をおとりになったかどうかということにつきましては、私はよく存じません。もとより、この談合というものにつきましては、法の規定が存在することは私も承知をし、参考人承知をされておるのでありますが、が然、実施も四月、料金も同一、こういう経過を踏んでおるんですね。私は法律専門家じゃありませんから、常識論的に、あるいは政治感覚的に通念として見る場合に、この経過についてどのように理解をするかということについて、実は、いまなお、いささか苦悩をいたしておるわけであります。公取は、これについてどういう見解をお持ちになっていらっしゃるか。谷村さんがきょうお見えになっておらないから、あなたから結論だけ、私のお尋ねすることを法律的、社会通念的、常識的視野でどうとらえてみていらっしゃるかということを伺います。
  33. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  新聞値上げは過去、今回を入れまして六回ほど一斉値上げ、時期を同じゅうし――まあ発表の時期は多少ずれておりますが、値上げの時期は大体同じということで、今回を入れて六回ほど値上げをしてきておるわけであります。  一番初めは昭和三十四年の四月でございますが、この場合は公取におきまして、違反を疑うに足るという客観的な資料がございましたので、それをもとにしまして、審査部において立件をして審査をいたした。その調査の結果、審査の結果は、残念ながら違反事実がなしということで不問にいたしました。それからずっとあと五回ほどやっておりまして、大体同日づけで値上げをしてきておりまして、今回の値上げにつきましても、現在予備調査ということで調査をいたしておりますが、現在までのところ、まだ審査を開始するに足る資料がないということでございまして、はたしてプライスリーダーによる追随値上げであるのか、あるいは談合による、協定による値上げであるのかということは、現在まで、まだつかまっておりません。
  34. 栗山礼行

    ○栗山委員 よくわかりました。現在調査中である、この事実は間違いございませんね。――わかりました。  三参考人にそれぞれお尋ね申し上げるということは時間がございませんから、どなたかひとつ代表していただいたらけっこうだと思うのであります。  どうなんでしょうか。経済企画庁の長官が談話を発表され、行政分野のお招きについて、直ちに皆さんがそれぞれ応諾をいただける。国会の役割りは言うまでもございませんし、また、あなたに講義をするということでおしかりを受けましょうから申し上げにくいのでありますが、私は日にちの経過も存じておりますが、少なくとも物特の問題としてもゆゆしい問題の一つである。御意見を謙虚に拝して取り組もうじゃないかということで、礼を尽くしていろいろお招きを申し上げて、御参加を勧誘した、こういう経緯を、私も理事の一人としてこの問題に参画をいたしまして、伺っておるわけでございます。信頼する委員長、青木理事の言をそのまま、私は一〇〇%信頼をいたしておったのであります。いろいろ経過の報告がございます。なぜ立法機関であるこの委員会に今日まで御参加を得られなかったか、こういうことに、私、深い疑問と、また別な意味において、新たな新聞社の独自性の一つの観点があるのじゃないか、こういうような見解を深く持たざるを得ないのでありますが、これについて、私はひとつ素っ裸でその経過をお伺いいたしたい。  二点は、こういう物特という公の会合では困る、懇談会なら応じる、こういう御見解は、どういう一つの発想による御見解か、お伺いいたします。私はきょう、三人の参考人は営業担当だ、販売担当だ、業務担当だ、おれは経理担当だ、それぞれの役職はございますけれども、天下の朝日、毎日、読売を代表する一つ参考人という高い人格をながめておるのでありますが、毎日は、特に私の疑問についてお答えを願いたい。皆さんとしては、なぜ今日までずれて――四月実施をされる。そして集金もされる。その実施後にようやくに応じていただくという経過に立ち至ったか、こういうことについて簡明直截に、ひとつお答えをちょうだいいたしたい、かように思います。
  35. 池田友治

    池田参考人 ただいま栗山先生からの御質疑の中で、お話の中で、物特といいますかこの委員会に、なぜ四月以降今日まで延ばしたかというお尋ねなんですが、私も、その経過というものに対しましては、あまりよく事情はわからないのですが、大体本日ここに参る前にお聞きしましたところが、参加しなければならないのかという御返事を栗山先生に申し上げたということは、聞いておりません。ただ、私の知るところでは、四月二十六日でしたか、四月二十六日に日程が毎日新聞社としてとれないのか、こういうふうなお話があったように聞いております。そのときにはどういう事情であったかと申し上げますと、役員会が開かれて、それでできなかった。  それからもう一つは、三月時点でやはり、三月二十六日ごろだったと思いますが、そのころはどうかというお話があったように聞いておりますが、そのときは、大阪で役員会が開かれております。それと続いて選抜の開会式があったということでございまして、全部西下しておるというふうな事情であったやに聞いております。以上です。
  36. 栗山礼行

    ○栗山委員 朝日、読売は。
  37. 富山韶蔵

    富山参考人 私のほうは、小林委員長から要請がございまして、これは特に三月というのは、私のほうの総会がございます。月末に総会があるわけでございますが、これはちょっと恥ずかしい次第ですが、よそさんと違いまして私のほうの総会は、当節ちょっとやっかいな総会なんでございまして、そういうことでなかなか準備の問題。それともう一つ、この委員会出席するならば責任者が出席すべきであるというふうに考えております。その責任者がちょうど、その総会にどうしても専念しなければならない事情が家庭の事情としてございまして、まことに申しわけなかった次第ですが、そういうことで出席できませんでした。
  38. 栗山礼行

    ○栗山委員 討論の場でございませんし、御意見を徴するということでございますから、毎日の問題について池田さんから御回答いただかなくてもけっこうでございますが、四月二十六日に初めて承った、こういうお話でございましたが、私どもは、発表されまして、そして経済企画庁長官の意見を徴しまして、物特としていかに対処すべきか。したがって、実施をされるまでに、物特として謙虚に皆さん値上げ理由等を拝聴して、われわれとしても理解をし、さらに今後対処していきたい、こういうような経過を踏んでおりまして、存じないというような――二十六日というのは、幾回かの申し入れをいたしましたプロセスの一つの日時でございます。それから、あなたの資格からは存じておらないということで、討論はいたしませんけれども、私が申し上げたことは、一本勝負をいたしますから、あなたのほうは、なぜ応じなくちゃなりませんか、こういうことをあなたのほうの社を代表する方が仰せになった、これは事実でございます。これだけ申し上げて、意見は避けてまいりたい。また御答弁をいただくというような切り込みはいたしてまいりたくない、かように考えております。  いま富山さんのお話がございました。なかなか重役諸公は、それぞれの高度計画や繁忙な日程がございますが、私どもも、定例日というようなことのかみしもは着ておりません。御参考人の御参加をいただける日時等を勘案して、重大性にかんがみて開催して御意見を徴する、こういうことではかってまいった、こういうことでございまして、三月から四月、きょう五月の上旬に達したという経過が――私どもも私なりに時間を刻んだ一つの用がございますけれども、おいでをいただかなかった。国会軽視ということは私は申し上げたくないのでありますけれども、さような解釈を、疑惑を一面感ずる、こういう感がございます。どうもここでの富山さんの御答弁について、また再答弁を、ひとつ御意見を徴するということはいたしませんけれども、経過のゆえにはあまりにも納得ができがたい皆さんの御答弁であったということを、ひとつ銘記をしていただいて、今後進めてまいりたい、かように考えております。  佐藤さん留守だから、局長にちょっと伺っておきますが、そうすると、いまの経過は間違いない。いまのは間違いないが、結局、政府の物価政策の推進の一環としてお運びいただいたと思うのです。大体長官自身が談話を発表される。それから次官が会われておる。長官が熱意を持って、そして国務大臣であり、担当長官でありますから、みずからひとつ、公式非公式を問わず、この種の一つの見解を発表されるにあたってどのような努力をなさったか、こういうことに一つ疑問を抱くのです。  第二点としては、あなたがアシスタントとしてその所管を進めておられるのであるから、私は、そういう運びを行政の分野で長官を督励するという役割りを持つべきであった、かように理解をするのです。結果はダウンですわね。経済企画庁長官が、あるいはまた経済企画庁が、どれだけ笛吹けど踊らず、こういう事態になっておるわけでありますから、私は三点として、あなたに政治責任というようなことは、これは行政の分野でありますから申し上げませんけれども、ひとつ所管経済企画庁としての役割りを果たしておるか、あなたはどういう評価をされておるかということを、ひとつ自己反省を含めて謙虚に、ここで簡単に御説明を伺いたい。  ついでに申し上げます。  これは認可制の料金じゃございません。これはよく承知をいたしております。したがって私は、今後、あなたのところではいかないけれども、新聞料金というものは、私企業でありますけれども、いわゆる社会的公器、そして多くの庶民も新聞を、大きなみずからの教養やニュースとしてこれをとらえておる、こういうことに相なってまいると思うのですが、将来、経済企画庁として、新聞料金の認可制をひとつ検討しておるか、あるいはそういう考え方があるのかどうか。二、大蔵省等とはかって、もし私企業でこれだけ国民生活に深刻な影響を及ぼすものであるとするなら、税制及び財政上の面をもってこれらに対する対応策を検討するということを、経済企画庁としてお持ちになっておるのか、あるいはまた、そういう見解についてどのような所見を持っていらっしゃるか、大臣にかわって、ひとつ局長、お答え願いたい。
  39. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 今回の新聞値上げについての経緯は、先ほど詳してお読み上げになったとおりであります。  大臣談話の内容として出たことは三つほどあると思いますが、結果的には、四月一日一斉に値上げが行なわれてしまったということでありますから、私どもとしてはまことに残念だということでございますけれども、ただこの中で、この値上げ理由をできるだけ明示をすべきだということにつきましては、その後二十五日の特別部会、これは朝日新聞のほうから富山さんその他おいでいただきまして、相当の議論をさせていただき、またその後、読者の声に答えるというような形での発表もございました。若干その点は、従来とは違ってかなり懇切に行なわれた、こういう感じは持っております。  いずれにいたしましても、しかし結果的には、ああいった非常に差し迫った時期に値上げが行なわれて、そしていろいろの手は尽くしましたけれども、結局そのとおりに行なわれてしまったということについては、私ども物価関係の当局としては、いろいろ考えなければならない問題が残ったと思っております。この問題そのものにつきましては、特別部会のほうも、この五月の早々にもう一回行なうことになっておりますが、いろいろの面からのデータもある程度そろえまして、われわれとしても検討をしてみたいと思っております。  同時に、今後の問題でございますが、これは結局、先生も御指摘のように、同時一斉に値上げが行なわれたという形で、いわゆる管理価格問題として議論になっておる問題の一環でございます。私どもとしては、物価安定政策会議の中に第二調査部会を設けまして、昨年からこの問題に取り組んできております。この秋ごろに中間的な結論を出したいと思っております。こういった場を使いまして、私どもとして行政的に何をなすべきかというようなことも含めまして、今後の問題は考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  40. 栗山礼行

    ○栗山委員 総括した御答弁をいただいたので、それなりに理解をいたしたいと思うのですが、具体的に寡占価格としていくなれば、やはり料金は認可料金にすべきだ、そういうような論者もあるし、私自身もそのように感を強める。この点についてどういう見解をお持ちになっておるかということを申し上げまして、この点を重ねて問う。
  41. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この認可料金にすべきかどうかということにつきましては、利害いろいろございます。新聞については主管省は通産省でございますが、私ども、いま申し上げましたような、私どもの物価安定政策会議での検討というようなことにおいて、そういう行政的な問題も考えますが、同時にまた主管省の意見も十分聞きまして、そして今後どういうふうに持っていくか。私は、個人といたしましては、必ずしも認可料金ということがいいかどうかということについて、やや、むしろ否定的な気持ちを持っております。それ以外にいろいろの方法があり得るのではないか、こういう感じを持っております。
  42. 栗山礼行

    ○栗山委員 参考人にお伺いいたします。  これは共通の場だと思うんですね。朝日さんでも毎日さんでも読売さんでも産経さんでも、これは共通の場だと思うんですが、これは私企業でございますこと、経済サイドで取り組んでまいるべきものだということは、これは一面の企業体の本質であります。しかし、その企業体も、どのように社会に奉仕をするか、こういう性格、理念で取り組んでまいりませんと、営利オンリーだということの企業は反社会的な一つ企業に発展いたしますことは、これは御承知のとおりであります。多くの議論をいたしません。  そこで、お話を伺った限りにつきましては、値上げは、もう経済サイドでのものだけを私は伺うのです。大きな社会性の問題は一点も伺ったこともない。あるいは天下の公器としての自負心とそれについての、一、どう進めていくか。また、新聞社経営姿勢というものについて、あれやかやいろいろございます。いろいろ問題点をお伺いいたしましたから、これは重複いたしません。私もささやかな経営を、いろいろ苦労を重ねておりますので、最近の国内、国際の経済情勢や、いろいろ経済サイドで見る場合においてのみ、それはそれなりに私は理解をできると思うのです。しかし、これだけの多くの国民の購読、しかもその国民の憲法に保障されました言論の自由、同時にまた、公器として世論の指導的役割りを果たしていくという皆さんの誇り高い企業である、この観点からいくならば、やはりただ経済サイドで見ぬと、二つの面をかまえて、高い誇りと使命感を持って、いかに管理者がその経営姿勢を貫いていくか、こういうことを実は聞きたかったのです。私どもも喜んで賛意を表するということに相なったかもしれません。きわめて残念な値上げの経済的一つ条件のみでされた。広告収入その他購読料の対比もお伺いいたしました。いろいろ原材料、輸送体系の問題というような、いろいろお伺いいたしまして、御指摘になっていることに反論はいたしません。  そういたしますと、いま申し上げましたように、皆さんの、天下の公器というものを私企業でやっておる、しかもそれだけにきびしい経営の姿勢と内容が必要なのだということを、私は愚論として、信念として持っておるわけなのですが、どうもお伺いできなかったということが一つの残念な点でございまして、私はその点で、ひとつ皆さん経営姿勢、こういうような問題に、お伺いをいたしてまいりたい二点の問題がございます。  二点の問題は、いろいろ経企も触れておりますし、物価安定政策会議も触れておるのでありますけれども、突如として、ということです。しかも三年連続でございます。もしそうだと、多くの購読者を持っていき、多くの広告主といえども、これは、あなたのほうの商売のために奉仕する広告でございません、やはり社会的あるいは企業的な面からとらえた広告でございますから、私はそういう観点からながめたときに、なぜ国民の了解と理解と、説得をするようなコンセンサス――いわゆるこの値上げ内容をいろいろ社説、新聞で承ったのでありますけれども、私は、十分な一つ国民のコンセンサスを求めるという最善の処置をなぜとらなかったのか、あるいは、とる必要がないと皆さんが解釈されたのか、この点に非常に疑問を感ずるわけであります。もしこれ言論機関である、問答無用だということでございますなれば、これは言論自由の名による暴力であります。私はそのように解釈いたしております。やはり、いずれのことをいたしましても、民主主義は、どういう説得と内容をはかってまいるかということが基本になってまいらなければならない。いわんや大きな報道及び高い役割りを持っておる人たちが、十分なコンセンサスを求める最善の処置をとっていただくべきだったということを、私は考えるわけなのですが、経営姿勢の一つの問題にどのようにお考えになっていらっしゃるか。  それから二は、なぜ国民のコンセンサスを求めるべき一つの態勢を、熱情と英知を持ってお運びをいただかなかったのか。  この二点について、私は虚心に御答弁をちょうだいしたい。
  43. 小林進

    小林委員長 栗山君に申し上げますが、もう時間も十一時三十分を一時間経過いたしまして、西村委員長の葬儀の時間も迫って、おりますので、要領よくお進めいただきたいと思います。  参考人に申し上げます。どなたがお答えになりますか。――上子参考人
  44. 上子俊秋

    上子参考人 いまの御質問の前段のことについて、多少参考人として意見がございますので、申し上げさしていただきたいと思います。  この前呼んだときなぜ来なかったのか。それから政府が、経済企画庁長官が言ったときになぜそのとおりにしないかという、率直に申し上げるとそういうふうな御意見があったかと思いますけれども、前のほうは、たまたまその時期はどの社も責任者が出られない状態であったということで考えていただいてけっこうだと思います。  新聞社といたしましては、いまおっしゃったように、言論の自由を守る、あるいは世論の代弁者として行動するのが最大の使命でありまして、それを守るためにはやはり経営の独立がなくてはならない。いま栗山先生がおっしゃった料金の認可制ということになりますと、これは政府にその経営の基盤を握られるということ、われわれはいかなることがあろうとも、時の権力あるいはいかなる勢力とも等距離を置いて、第三者的というか、国民の代表として――代表ということはおかしいが、代弁者として、どこからも拘束されない自由を守りたい、そういう立場を貫いておるわけであります。したがいまして、呼ばれたからすぐ行かなければいかぬというよりも、新聞社としての独自の立場判断は当然あっていいのじゃないか、こういうふうに考えます。したがいまして、もし料金認可制という問題を持ち出されれば、われわれは全力をあげて反対するということだけは、ひとつここではっきりしておきたい。  それから、突如として値上げをされたというふうなことでございますけれども、われわれとしては、いま三年連続とおっしゃいましたが、これは間違いでございまして、三年連続じゃございません。昨年は値上げをしておりません。ぎりぎりのところまで何とかその値上げを回避できないか、読者立場を考えて、どうしたら値上げをしないでやっていけるかというふうなことを、あらゆる角度から検討し行動してきた。それがどうしてもだめだというところにきて初めて値上げを発表したわけでありまして、それも突如としてと言われる。まあ値上げの時点は突如かもしれませんけれども、内容的にはわれわれとしては十分説明をした。社告も出し、それから解説もつけた。それからそのほかに、御質問を持ってこられる方あるいは反対意見を持ってこられる方には、一々面会をして、十分説明をしたつもりでおります。そういう点で、ただいま栗山先生のおっしゃることには、必ずしもわれわれは賛成はできません。これは討論の場ではないそうでありますが、参考人として、あなたの御意見にはそのまま賛成するわけにはいかぬ、こう思っておるわけであります。  それから、国民の合意を、コンセンサスをどうしてとらないかということでありますが、多数の一般国民を相手に、これはそのほかに方法はない、社告をするか解説で説明をするか。ほかにどういう手段があるかという問題があるわけであります。しかも、かかる多数の国民が反対しておるというふうなおことばがあったかと思いますけれども、私の聞き違いだけならしあわせでございますが、四月の末から五月の初めにかけて新聞代、新料金の集金をいたしております。大多数の読者の方は別に問題を――それはだめだ、払えないとはおっしゃっておられません。そういう意味で、いま大多数ということについては私は多少異論を持つ、そういうふうにお考え願いたいと思います。
  45. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろ討論の場でございませんことを前提に申し上げて、私は経済企画庁のほうに伺っておりましたので、参考人に、認可制をどうとらえるかということについては一ぺんもお尋ねをしなかった、こういうことでございますから、頭脳明晰な方に誤解のないようにひとつお願いを申し上げたい。  いろいろお伺いをいたしたいことがございますけれども、また適当なときに、礼を尽くしてひとつ御意見を承る、こういう機会もあろうかと存じますので、これをもって質問を終わります。
  46. 小林進

    小林委員長 松浦君。
  47. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は最初に三人の参考人皆さん方に、お忙しい時期に本委員会に御出席いただきましたことを、物特の一人として心から感謝を申し上げたいと存じます。  ただ、いま栗山委員からもお話がありましたように、非常に残念に思いますことは、いま皆さん方がいろいろと値上げ理由をここで御説明になりましたが、そういった御説明が、値上げをする前、四月一日前に本委員会において行なわれておったら、ある意味では非常によかったのではないか。国会という場を通じて、皆さん方国民に向かって値上げ理由を開陳する、われわれもそれに対して質問ができるという機会が与えられておれば、私は非常によかったのではないかという一つの反省というか、残念だという気がしてなりませんので、参考人皆さん方に、気持ちとして申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、まず私が冒頭に皆さん方にお尋ねをしておきたいのは、実はこれは朝日の切り抜きでありますが、三月二十七日に、朝日新聞社値上げに対して、朝日を読んでおる購読者から、値上げ反対、思いとどまれという投書が抜粋して収録をされておるわけであります。この中で書いてあることは、いままで新聞社というのは物価問題の先兵であった。カラーテレビにしても何にしても、国民サイドに立って物価問題というのを積極的に取り上げて、運動の先頭に立ってくれた。ところが今度はおまえもか。――いろいろ値上げ理由はあるだろうけれども、それでは、いま皆さん方がこの場所で開陳をなさった、いまあなた方がそこで説明なさった、そういうことを理由にして物価が上がる、公共料金の値上げをする、そういう場合に、一体いままでの姿勢というものが変わらずに、ペンを折らずに、あたりまえに、そういう値上げはけしからぬという筆をとることが可能なのかどうか。そのことが、私は多くの国民の疑問だと思うんですね。いまそこで三人の皆さん方が開陳された、それと全く同じ理由値上げをしたことに対して、一体どういうペンをとるのか。そのことが、私は国民一つの大きな疑問だと思うんですね。この際でありますから、御出席いただきました三人の参考人皆さん方から、代表的新聞でありますから、それぞれ御意見を御開陳いただきたいと思います。
  48. 富山韶蔵

    富山参考人 いまの御指摘の御質問でございますが、確かに、ある程度は耳の痛い御質問だと思います。しかし、われわれといたしましても、物価の上昇というものについては賛成しているわけではございませんので、日常から物価問題というものを取り上げて、この問題に大いに反駁しております。先ほどから説明しておりますように、われわれのほうも一つ経営をやっている私企業でございます。その物価の上昇という問題については、当然われわれ、紙面の内容的には公器性とかいろいろございますけれども、経営の問題については、あくまで自主的の判断によって企業というものを経営していかなければならぬ。それにもろに物価の上昇というものがかぶってくる場合に、それではこれをどうやって防いでいくかという問題、いろいろ合理化の問題もありましょうが、この問題、清貧に甘んじて、もしもそのままがまんしておるとするなれば、経営の全体の――先ほど申しましたように、全国に六万人の配達員がおりますし、社のほうにおきましても八千、九千という従業員をかかえております。一応そういう問題について清貧に甘んじた場合には、経営の崩壊に帰するような結果にもなりかねないわけであります。ですから、そういう点で、先ほど上子さんも話しましたように、われわれのほうとしては、そういうペンを曲げないためには、経営の安全というものをまず確保しておかなければならぬということであります。ですから、われわれのほうはまず経営の安全を確保して、今後といえども、物価の上昇という問題、そういう物価問題については当然とるべきだと思います。あなたの御質問でありますと、今後は書かないのか、書かなければそれではいいのかという問題にもつながってくるわけではありますが、そういうわけにはまいりませんので、やはり是は是、非は非として、そういう点では新聞はあくまで戦ってまいるつもりでございます。
  49. 池田友治

    池田参考人 松浦先生の質問にお答えします。  大体富山さんと同じことでもございますし、私が最初述べました中で、新聞社会的使命というものは、やはり経営の安定体の上に立って十分な社会的使命が達せられるのだ。現在の状況は、逆に値上げをしなければ十分な社会的使命が達しにくい、そういう状況下にあるのだ、こうお答えしたいと思います。
  50. 上子俊秋

    上子参考人 同じようなことですけれども、事実だけを申し上げておきましょう。  先ほど公取の事務局長さんが、いままで、三十四年から五回か六回か値上げはあった――しかし、その間に新聞は相変わらず、物価騰貴に対しては筆を曲げないで戦ってきました。だから、今度値上げをいたしましても、同じようなことがいえると思います。以上です。
  51. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 三人の代表の方の決意、よくわかりました。ただ、この前、牛乳の値上げの問題を、参考人を呼んでここで意見の開陳を求めたわけです。そのときに、牛乳値上げをなさる方が何と言われたかというと、新聞社は二〇%値上げじゃないか。私のところはそれ以下ですよ。牛乳企業が崩壊するんです。ですから、ぎりぎりのところでこれだけの値上げをしたんです。新聞社値上げと比べてください。――こういうふうに、常に新聞社値上げというものと比較をしながら、物価というものに対しての言いわけをつくっていく。私は、筆を折る折らないということに対しては、おそらく折ってもらっては困りますし、いままでどおり国民サイドに立って、値上げをした以上はますます国民サイドに立ってがんばってもらわなければいかぬと思うのですが、そのことを理由にして値上げというものを正当化するという風潮というものも、実際に出てくるのです。それほど新聞というものは、今日では社会的な指導的な役割り、公器的な役割りというものを帯びておるのだということを、皆さん方にもう言わなくてもわかっておることですけれども、私たちもそう思いますので、まず冒頭の質問としてそのことを申し上げておいたのです。  それで、まず公取の事務局長にお尋ねをするわけでありますが、実は私が調べましたところが、先ほどお話しになりましたが、三十一年十月に三百三十円で価格を統一して、三十四年四月に三百九十円、一八・二%、それから三十七年十一月に四百五十円、一五・四%、四十年十月に五百八十円、このときには今度よりも大きい二八・九%の値上げ、四十三年十一月に六百六十円、一三・八%、四十四年十一月に七百五十円、一三・六%、そして今回の四十六年四月の九百円、二〇%。常に朝日、毎日、読売、産経というのは、上げた時期が同じ四月一日、常に期日は一定しております。上げた率もまた一定なんですね。御承知のように、四十年の十月ですか、四十年十月は社告も全く同じ日、上げた日も一緒、こういう事態があったのです。ところが、そのことが公取の指導を受けたのでしょう。四十三年の十一月から、社告の日付が違う、しかし値上げする時期は一緒、こういう事態が続いてきておるのですね。  私たちは、これはしろうとですからよくわかりませんが、やはり朝日、毎日、読売というと、販売部数、従業員の数、設備数などといっても相当違っておるのですね。発行部数などでも相当違っておる。にもかかわらず、同一時期に同一金額で、完全に足並みがそろっておるということは、プライスリーダーが働いたとかなんとかということは別にして、国民には非常に大きな疑惑を抱かせる。何かやみカルテルがあったのじゃないか、やみ協定があるのじゃないかという疑いを疑わせるのですが、公取は、そういうことは過去に絶対ない、そういう疑わしいことすらもない、そういうふうにお考えでありますか。
  52. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 先ほどこれはちょっと申し上げましたけれども、新聞値上げの問題につきまして、公取委で最初に事件として取り上げましたのは、昭和三十四年の四月のときの値上げでございます。それ以降六回の新聞の改定時期における公取委の調査、それから処理の結果について申し上げますと、三十四年の四月値上げの時期におきましては、これは立件をいたして審査をいたしました。その結果、違反事実なしということで不問にしたわけでございます。それから三十七年の十一月、これは審査ではなくて、調査課において調査をいたしました。審査を開始するに足る資料なしということで、不問にいたしました。それから四十年の十月、これは審査部において、任意審査ということで審査をいたしましたが、証拠不十分ということでございました。それから四十三年の十一月、これも審査部において、予備調査ということで調査をいたしたわけでございますが、審査を開始するに足る資料なし、つまり立件して審査をやるだけの資料がなかったということで、不問にしたわけでございます。それから四十四年の十一月、これも審査部における予備調査ということで調査をいたしたわけでございますが、これは四十三年の十一月のときと同じでございます。  それから今回の、四十六年の四月の一斉値上げ、これについて、先ほど申し上げましたように、予備調査を審査部においていたしております。現在までのところ、審査を開始するに足る資料はまだ集まっておりません。プライスリーダーによるものか、あるいは談合があったものかということを確認するに足るべき資料は、現在までのところ出ておりません。独占禁止法の運用といたしましては、かなり疑わしいと思われるような事情がある場合でございましても、客観的に違反の被疑事実を推認し得るだけの資料がありませんと、これは立件して審査ということをやるわけにいきません。また、立件して審査をいたしました結果、違反事実を立証するだけの証拠が得られない場合には、現在の独禁法では措置をとることができないということでございますので、以上の点を御了解いただきたいと思います。
  53. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そういうことは、ビールのときでも同じことなんですね。プライスリーダーが働く。今度は朝日でしたけれども、この前の値上げのときは毎日ですね。プライスリーダーが入れかわるだけのことで。  ところが、今度の場合、こういうのが出ておるのですよ、値上げ告示前に。これは朝日新聞の「定価改定苦情応答集」――マル秘ですがね。それから、読売新聞社の「購読料改定にあたって」ですね。これは社告する事前に販売店主、それから販売員に全部手渡されておるのです。  ですから、そういうことを考えますと、やはり規模が違うのだから――朝日は公称六百万部、七百万部といわれますね。それぞれ規模が違うローカル紙まで、右へならえで値上げをしてくる。値上げ幅も一緒。確かにプライスリーダーで証拠がないからということでこれまでずっときたとするなら、これからも私は、やはりこういう事態は続くのじゃないか、新聞に関する限り、あるいはビールもそうでしょうけれども。  だとするなら、実際に現在の公取というのは、もう新聞社に対しては全く無能力だ。能力がなければ、能力がありませんと言ってもらえばいいわけです。国民としては、公取というものがあるからこそ公取に対して質問するので、もうこの際、新聞社については公取は一切能力ありませんと、あなたがここで答弁されるなら、私は、そのとおり答弁してもらってけっこうだと思うのです。しかし、やはりこういうふうに、過去何回も同じことが繰り返されておるということについて、一つ一つのケースでなくて、全体のケースとして洗い直して、もう一ぺん議論をしていただく、検討してもらうということが、やはり国民サイドに立った公取の姿勢じゃないかというふうに思いますね。ですから、そのことが起こったケース一つ一つを近視眼的に見るのじゃなくて、もうこれだけ流れてきて、七回も値上げがあったわけですから、この七回の値上げの関連性というものをもう少し掘り下げて議論をしてみるというお考え方は、公取にないのかどうか。たまたま私はこのことを申し上げましたけれども、これは内容はたいしたことじゃないですから、このことは私はここで問題にしようとは思いませんけれども、しかし、そういう点について公取事務局長の答弁を求めたいと思うのです。
  54. 上子俊秋

    上子参考人 いまの松浦さんのお話、ちょっと間違いがありますので御訂正願いたいと思います。それは、それを配付いたしましたのは三月三十一日でございます。発表前ではございません。
  55. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、あなたがそう言われるのですから、水かけ論だから、ここではもうそのことは申し上げませんけれども、ただ、四十六年三月となっていることだけはお認めいただきたいと思うのです。
  56. 上子俊秋

    上子参考人 きょうは、私のうしろに開発部長が参っておりますけれども、実はこれが作成をして配付をした責任者であります。これはもちろん発言を許されぬのであろうと思いますが、それは日付が間違ったんだろうと思います。
  57. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生おっしゃるとおり、過去六回、同じような幅で同じような時期に値上げを、新聞はしてきております。個々の事件につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、こういうふうな過去からの経緯、今後もこういうことで推移するんじゃないかというふうな点、しかも十分な証拠はつかめない、これは、新聞だけじゃございませんで、ほかにもございます。ビールの場合もございます。はたして新聞の価格は管理価格であるのかどうか、寡占であるのか、寡占に基づく管理価格であるかどうかということについては、これから検討しなければいけないと思いますが、そういう、新聞に限らず、ほかの同じような問題も含めまして、いわゆる管理価格問題というのは、現在検討中でございますので、ただ証拠がないないということだけで済ますという気はございません。十分検討して対処してまいりたいというふうに考えます。
  58. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国民生活局長が来ておられますので、せっかくですから、あなたにも一つだけ質問をしておきたいと思いますが、先ほどの御説明、それから社告全部、それから社告理由、解説、こういったものを各社全部、三社のを読ませていただきましたし、いま御説明もよくお聞きしたわけですけれども、それぞれがやはり、言っておられることが一緒なんですね。新聞製作経費増大新聞用紙代値上げ、運送費の値上げ販売店経営難からくる配達手数料の増大広告収入の減収、この五点をあげておられるのですね。ところが、経済企画庁として、この二〇%の値上げについて、合理的な説明がこのことによってなされた、これだけの説明を聞いたら、二〇%の値上げはなるほどやむを得ぬのだというふうにお考えになったかどうか、そのことについて局長の御答弁をいただきたいと思います。
  59. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 本日、三人の参考人方々から御説明も伺いまして、いままで私が承知しておった以上のこともきょう拝聴できました。特に、読売新聞のほうでは、各項目ごとの数字をお述べになりました。私どもとして、そういった数字をいままでつかぬでおりませんでしたので、参考になりました。  しかし、いずれにいたしましてもその内容が、必ずしもこまかくわかっておりません。私どもとして、いままで、いろいろ収集し得る限りの資料で検討いたしたのでございますが、たとえば用紙代値上げ等については、ある程度これは基礎もわかっておりますから首肯できるのでございますけれども、人件費の問題あるいは販売店関係、いずれにつきましても、それぞれ何%の値上げが合理的、あるいは実際にやむを得ないのかというようなことについての、積算の根拠というものを持っておりません。そういったことから、全体としての値上げ幅がやむを得ないかどうかというようなことについての判断はできないというのが、私どものいまの状況でございます。なおこれは、さらに検討してまいりたいと考えます。
  60. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 新聞社経営というのは公開されておりませんですね。一般に全く公開されておらずに、実態について把握されておらないというのが私は現実だと思うのです。いま局長が、いま初めて聞いたという数字もあるぐらいでありますから、ましてや国民のほうは、なかなか実態把握ということはできない。ですから、一方的に値上げをぱあっと出されると、実態がわからない国民との間にコンセンサスを得ることは、私は率直に言って不可能だと思うのですね。  ところが、私はいろいろお聞きしてみますと、先ほど販売手数料を、今度の値上げ分から六十円を販売店に回す、こういうことなんですけれども、販売店皆さん方にお聞きすると、何か各社によってリベートがある、そういうふうにお聞きしておるのです。実際にそのリベートというのが出されておるのかどうか、その点について、もう皆さん方、直接的な担当者の皆さん方でありますから、リベートがあるのかないのか、その点を各社ごとにひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。なければない、あるならあるでけっこうです。幾らぐらい……。
  61. 富山韶蔵

    富山参考人 お答えいたします。  リベートという形、リベートという広範囲な意味に入るかどうかわかりませんけれども、現実の問題として販売店に補助という形、経営補助とか、たとえば賞与の積み立て金とか、いろいろそういったものにつきまして補助を出していることは事実であります。
  62. 池田友治

    池田参考人 松浦先生の御質疑にお答えいたします。  経理が公開されてないということなんでございますけれども、わが社の場合は、有価証券報告書も証券局に出してございます。それと、現在の会社形態から申し上げますが、どの会社でも貸借対照表と、こまかいことは集約いたしましての収支の関係は、株主諸公にお出ししてあるわけでございます。それと、わが社の場合は、公認会計士も入っているわけでございます。だから、経理は明朗なわけでございます。  ただ、ただいまリベートという問題が出ましたけれども、同じようなわけでございまして、販売店側の実態というものが非常に経営が苦しい。したがって、私が当初申し上げましたように、従業員の厚生施設あるいは労務対策費、こういったものを会社側でも、いろいろ経営補助という形において負担してございます。
  63. 上子俊秋

    上子参考人 大体朝日、毎日さんと同じようなものとお考え願いたいと思います。
  64. 小林進

    小林委員長 参考人に申し上げますが、企業の重大な利害に関することや秘密に関することは、お述べになる必要はございません。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 公取にこの際、もう一点お聞きをしておきたいと思うのですが、実は、私たちも経験をすることですけれども、新聞拡張が行なわれるのです。これは皮肉にとらんでくださいね。いまは足並みそろえて四月一日から二〇%値上げで、金額も一緒というところまでは足並みがそろうのですが、購読者に向かっては奪い合いですね、消費者に対しての奪い合い。これは各社一生懸命されるわけですが、その場合に景品つき拡張販売というのが行なわれる。非常に小さいところはタオルぐらい、ハンカチぐらいですね。ところが、東京のあるところに行くとビール一ダースとか――いや、現実にあるのです、それが。大田区のある販売店だそうですがね、現実にある。それほどの、そういうことをやって拡張している。まあ、出先に出ると戦争ですね。三人並んでおられるけれども、出先では戦争。そういう状態が行なわれておるのですけれども、こういった行為というのは不当景品類及び不当表示防止法の第二条、こういうことに関係をしてきて、若干問題があるんじゃないか。しかもそういったことが、間接的に販売経費増大ということをかもし出してきているんじゃないかという気がするのです。これは小さいかもしれません。そういうことについて公取は把握しておられるのか、現実にあったらどうされるのか、そのことについて御答弁いただきたいと思います。
  66. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 おっしゃるとおり新聞販売店、あるいは新聞本社かもしれませんけれども、拡張販売のために景品や便益の供与をするという事態は、現在でもあるのではないかというふうに考えますが、これは昭和三十年に、新聞業における景品類の提供を原則的に、特殊指定で禁止をしております。したがって、これと同時に公正競争規約というものが新聞業界においてできまして、全国的な公正取引協議会あるいは地区の公正取引協議会というもので、自主的にひとつそういうものを規制していこうじゃないかという、規約に基づく自主規制というものがありまして、それに違反した場合は、違約金が業界で、お互い同士で取れるというたてまえになっております。それから、現在はこの特殊指定が、景品表示法に基づく告示と特殊指定に切りかえられてきておりまして、ただ公正競争規約は現在もあるわけでございます。  おっしゃいますようななべかま合戦、これは過去においては、非常に大規模ななべかま合戦が見られたわけでございますが、現在は、そういう大規模ななべかま合戦というものは影をひそめておるわけでございます。ただ現在におきましても、局部的に地域を限って、あるいは散発的に若干の違反行為が見られる、そういう事実はこちらでもつかんでおります。これについては、公正取引協議会というものが第一次的に、いわゆる業界の自主規制によって規制をするというたてまえになっておりますので、まず協議会に自主規制をやらせて、それでどうしても直らないという場合は、公取みずから告示違反ということで処置をするということになっているわけでございまして、この点については直さした事例もございます。現在におきましても、まだわれわれの目の届かないところでそういう事例があるのではないかと思いますが、今後とも私どもとしては、実態を十分監視いたしまして、適切な措置をとらしていただくというふうに考えております。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 適切な処置をとっていただくと同時に、そういう行き過ぎた行為が逆に購読者にはね返るということにもなりかねないわけでありますから、せっかく業界できめた公正規約もあることでありますから、きょうの参考人皆さん方は、ぜひそういう点についてきちっと販売店のほうの指導強化ということも、希望としてお願いをしておきたいと思います。  そこで、実は先ほどから広告収入が減ったということを言っておられるわけでありますが、ところが昭和四十五年の上期の経営動向、こういったものを調べてまいりますと、実際には総収入は、前期に比べて四十五年の上期は一一・二%の増、前年同期に比べると一九・九%の増、それから四十一年上期以降四年間の増加平均は年率一五・七%、こういうふうに経営というものはずっと伸びてきておるのですね。平均、年率にして一五・七%増加をしてきております。広告収入は、昭和四十五年に、一年間の総額が約七千五百二十四億円、これは電通の調べです。こういうふうにいわれておるのですが、前年度対比で一八・九%ふえております。そのうち新聞が、その広告費の中のマスコミ媒体としては第一位を占めておる。総広告費の三五・三%、二千六百五十三億円というものが、昭和四十五年度、新聞広告として実は支出をされておるのですね。ところが前年度に比べて一七・九%、四十五年度は新聞広告の支出というのはふえているのですね、電通調べで。  今回、広告収入が減る減るという予想は、カーブが、急カーブというものが平均カーブに落ちてきた。これがまた、ぐっと急激にのぼってくるかもしれぬですね。いまは少しカーブが下がってきた程度で、これがまたきゅっと伸びるかもしれない。そういう予測はつかないのだと思うのですけれども、あまり広告収入が減る減ると、何かこう予想だけで値上げをしたのではないかという疑い。これから減るかどうかということが、一応電通の予算というものを見て減る減るというふうに理解をされたのではないかという気もするのですが、結果ではなくて、予想によって値上げがされておるというところも、私は、消費者は非常に理解できないポイントだと思うのです。  電通の調べによれますと――私は数字的なものをちょっと失念をして、その書類をなくしたのでお尋ねできないのですが、新聞広告値上げというものも現実になさっておるのだけれども、一体その広告値上げというのは、パーセントにして幾ら値上げの要求をなさっておるのか。前段申し上げたことと、いま申し上げた広告値上げの問題、要求なさった額、そのことについて、もしここで言っていただけるなら御発表いただきたいというふうに思います。どなたでもけっこうです。
  68. 池田友治

    池田参考人 松浦先生の質疑にお答えいたします。  広告収入が、四十五年度においては新聞界は、電通データに基づいても非常に伸びておるではないか、そして三十数%、これはもう全く、電通資料でございますから、仰せのとおりでございます。ただ、それでは、その四十五年度から以降今日までにおきましてどうなっておるのだというところが、やはり一つ問題点だと思います。冒頭に申し上げましたように、前年度に比べまして大体一〇〇%を割っていっているというところが、現在の広告収入の情勢になっておるわけです。そこで、広告収入販売収入の開きになるわけでございますが、広告ウエートというものが五〇%以上になっておることからするならば、広告収入が前年よりも一〇〇%を割ったということを算術的にごらんになっても、非常に経営体に与える影響は大きい、こういうふうにいえると思います。  それから、現在の広告収入値上げになっておると思うがどうか、何パーセント上げたか。これはいろいろ各社まちまちでし、占うが、一一%台をアップしてございます。一一%アップしたということが、直ちに四月なら四月、五月なら五月からそれだけの実績があがってくるのかという問題にもなるやに思いますけれども、それは、過去の実績から見ましてあがってきません。そういうのが広告界の一つの情勢になっております。それと同時に、やはり最初申し上げましたように、現在の経済の客観情勢というものが、全産業が、やはり広告費というものを節約しなければ、それぞれの立場において思ったような利益を期待できない、そういう状況下にあると思います。そのあふりがやはり新聞界にも訪れておるということがいえると思います。  そのように、広告の場合は経済環境に支配されることが非常に多いわけです。支配されるものを最も大きなウエートとして持っておるところに、若干の問題点があろうかと思います。したがって購読料値上げということになってくるわけですが、購読料値上げが極端に伸びると、いろいろ皆さん影響が多いということを考えまして、最低の値上げというふうに踏み切っているわけです。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 広告値上げについて平均一一%の値上げを要求なさった、こういうことでございますが、できればやっぱり広告値上げのほうも、もう少しアップさしていいのじゃないかという気がするわけです。これは意見になりますので、まあわれわれとしては、そういったことも検討していただくならば、今度の二〇%値上げ幅というものについても、ある程度パーセンテージというものを押えることができるのじゃないかという気もしますので、これは希望でありますけれども、できればそういうことも御検討いただけないだろうかというふうに思うのです。これは答弁は必要ありません。  それから、新聞用紙代値上げということを盛んに言われるのですが、新聞用紙代値上げというのは大体七%ないのじゃないか、七%弱だというふうに、新聞用紙代値上げについてはお聞きをしておるわけであります。どなたでもけっこうでありますが、富山さんに代表してお尋ねをしますが、七%ないのか、それ以上なのかをお答えいただきたいと思います。
  70. 富山韶蔵

    富山参考人 用紙代というものも、確かに今度の値上げの要因にはなっております。しかし、先ほどからずいぶんお聞きになっていると思いますけれども、社の支出経費の中で大体三〇%強ですね、そのくらい占めるのが用紙代であります。結局われわれのほうは、先ほどから申し上げているように、ほんとうからいきますと、相当利益の留保あるいは余力というものがありますと、そういうものは吸収できてくるわけなのでありますが、ぎりぎり決着の経営というものをある程度やっておりますので、この用紙代のことだけを取り上げて申せば確かに幅は少ないかもしれませんが、たちまち経費の圧迫をしていく、そういう状態が続いてきているわけです。過去の例におきましても、そういうものを吸収できるだけの余力というものがない、こういうことであります。はみ出した分については、どうしてもやはり圧迫を受けてくるので、そういう要素というものも加味していかなければ、値上げのときにはその御負担を願ってやっていかないと立ち行かないというのが、従来の状況であります。  それから、ちょっとこれは、いまの用紙代の御質問とは違いますが、広告の問題についてちょっと触れておきたいと思いますけれども、確かに、景気のかげりというものによっての広告の減収というものが、いまと同じ理由においてすぐ経営に響くということはありますが、最近の傾向として出てきますのは、いろいろ広告の手控えという問題が、景気の問題とは別個の問題として出てきております。ということは、新聞を見てごらんになっておると思いますけれども、薬品あるいは食品、そういったような広告というものは、従来は、新聞の媒体というものの部分でも相当の大きな部分を占めていたわけでありますが、最近は非常にその業界の方々が手控えぎみで、むしろ電波関係のほうに移っていっている。こういう要素で、伸び悩みという中には景気の問題もありますけれども、たとえば、いま自動車産業におきましても、いろいろ欠陥車問題とかそういったようなこともありまして、従来のような活発な広告というものは少し横ばい状態になっている。  それから、広告値上げに関しましては、即その値上げというものが響いてまいりません。大体契約ものにつきましては約六カ月の据え置きをやりまして、それでその値上げというものが、最終的に皆さんの納得を得て完成してまいりますが、やはり二年間くらいかかってくるわけであります。その間にやはり、広告をおやめになる方もありましょうし、いろいろ出てきちゃうわけですね。ですから、そういうので非常に時間がかかるわけでございますし、広告のほうをもっと上げて購読料下げる手だてはないかということでありますが、この問題につきましては、相手のほうも企業としての一つの予算というものをやっておられますし、そう広告ばかりに圧迫を加えておきますと、結果的には地盤沈下現象が起こりまして、広告の減収にもつながる。ですから、そこら辺のところは、従来広告の量によってかせいでいくという形を相当取り上げながら、購読料をできるだけ押えるという企業努力というものによって購読料を抑制してきたというのが現状であります。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 先ほど上子参考人の御意見の中に、ページ数をふやせばそれだけやっぱりコストが上がる、広告収入がふえるけれども、コストが上がるほうが大きい、こういうように言っておられたのですが、私が間違っておれば別ですけれども、一昨年、十六ページ建てが二十ページ建てになりましたね。それから昨年は、二十四ページ建てになったのです。ところが本年は、何か聞くところによると三十二ページ建てにしようという新聞業界の話がある。値上げするたびにページ数が非常にふえる。むしろ私はそういうことをやめて、いまの広告主体の日曜版、こういったものはもうこの際合理化してなくしてしまう。本体の本紙以外に日曜版などというのはもうやめてしまう。ページ数も、無制限にふやすのじゃなくて、一定限のところに押える。こういうことをすることによって、購読者に対する負担というものを少しでも軽減をしていくというようなお考え方があるのかどうか、その点を、どなたか代表してでけっこうでありますが、お答えをいただきたいというふうに思います。
  72. 上子俊秋

    上子参考人 最初の、三十二ページにするというお話は、どこでお聞きになったのか知りませんが、私どもはいまのところ、全然そういう考えは持っておりません。それが一つ。  それから、私が先ほど、建てページを四ページふやした場合には欠損だということを申し上げたのと、いま先生がおっしゃった広告主体の日曜の臨時の増ページ、これは別のものでございます。私の言っておるのは、二十ページから二十四ページにした、記事が主として印刷されておるページ数のふえた分を申し上げたわけで、広告主体の分は、これは明らかに広告料をかせぐというのが目的でございます。これは臨時の増ページというふうに御理解を願いたいと思います。  それから、カラーの日曜版をやめたらどうかというお話。これは非常にむずかしい問題でありまして、やはり新聞商品である以上は、多少装いをこらさなければならぬだろう。われわれせびろを着て、ネクタイなんか要らぬじゃないかと言ったところで、ネクタイを締めないとやっぱり世間は歩けない。テレビにしたって、白黒で十分だ、こう言ってみたところで、高い高いと言いながらカラーをお買いになってカラー化が進むという、何か世の中の進歩に合わせていろいろ変わっていくわけでございます。それを昔のとおり白黒だけでいいというのは、一体どんなものだろうかという疑問を私は持っておるのです。
  73. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 上子さんはやっぱり新聞人ですから、なかなかたとえ話がうまいのですが、新聞値上げとカラー、白黒とは別なんですよ。私たちが言っておるのは読者という立場経営という立場でなくて読む立場から考えるなら、ということで申し上げておるのです。だから、日曜版なんかなくしたほうがいいじゃないかということは、実際的に、そういう日曜版を読む人はあまりおらない。たとえですよ。ほとんどおらないということになって――本体も読むのにたいへんだと、さっきから言っておられるわけですから。専門家であるあなた方も見ないと言っておるのですから。見出ししか見ない場合もある、こうさっき上子さん言われた。そういう状態だから、むしろそういったことを排除することによってコストが安くつく、押えることができるというのなら、そういうことの方向も考えてもらったらどうだろうかということを申し上げておるわけでありますから、ひとつ誤解のないようにお願いをしておきたいと思うのです。  理事会の申し合わせ時間が来たそうですから、最後に取り急いで申し上げますけれども、先ほど青木委員あるいは栗山委員からもお話がありましたが、共同配達の問題ですね。やはり販売店が非常にコストを食っておる。ですから、販売店合理化をするためには共同販売というものを考えたらどうかという質問に対しては、いや、それは戸別でなければいかぬのだ。それぞれ事情があるでしょうけれども、そういう御答弁をなさっておるのですが、実は、私の手元にこういう資料が来ておるのです。  この資料は、四十六年三月二十九日、東京都新聞販売同業組合、東京都連合朝日会、東京読売会、東京都毎日会、東京会、東京サンケイ会連合会、都内日経会、あらゆる販売店主の皆さん方が、三月の二十九日に各新聞社に対して、これは東組発第六一号という文書で、この際あえて共配共集などの合理化を進めるとともに、販売の正常化を目ざしたいと考えますが、どうでしょうか――販売店みずからが、各系列販売店皆さん方が、この六一号文書によって、共配共集をやってくれ、そうしなければもうやっていけぬ、こういうことを出しておられるのですが、その点に対してはどういうふうにお考えになるのか。どなたからでもけっこうです、代表して御答弁をいただきたいというふうに思います。
  74. 富山韶蔵

    富山参考人 先ほどから御説明している中にもございますけれども、さっき上子さんからもちょっと触れましたが、戦時中、戦後、そこらで合売というものをやってきております。この場合に、やはり従来全然別個の形態の、たとえば――将来に向かってはそういうことも考えられるかと思いますけれども、いまは雑誌の場合でいきますと、日販とか東販とか、そういうところを通じて雑誌というものを売っております。こういう形態でも、将来はあるいは出てくるかもしれませんけれども、このときには、そういう形態になりますと、全く現在の部数というのは激減して、おそらくわれわれもここにこう出られないような、あるいは危殆に瀕して廃刊の憂き目にあうというような状態も出ないとは限らないわけです。  販売店のほうで望んでいることも事実であります。ところが現実の問題として、販売店の統合という問題を今度やる場合に、販売店はある程度自主経営というものを、本社との取引によってやっておるわけでありますけれども、これが合売ということになりますと、やはりそこに利害関係という問題が非常に出てまいります。販売店自体は、それは理想論として申しておりますし、それからわれわれのほうも理想論としては、そういう形態は将来とられるだろうというふうにも考えております。  この問題は、販売店の理解というものが相当にありませんと、本社の現状から見ていきなり合売に踏み切る、こういったような簡単な――書けば簡単なんですけれども、現実の問題として、なかなか合売制度というものがとりにくい。先ほど冒頭申し上げましたように、すでに過疎地帯においてはやっておりますし、それから東京の都内においてもそういう傾向は出てくるであろう。東京都内においても現実問題として、われわれこの三社の販売店の中に、ほかの東京新聞さんあるいは日経さん、そういったようなところの新聞を扱う、こういう複合専売的な傾向はだんだんとふえてきております。
  75. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、実はきょう、これが手に入ったのです。販売店の方にお届けいただいたのですが、こういう東京都内の販売店皆さん方自体が、もう共配共集でなければやっていけませんということを、ここで文書でいっておられるわけです。だとするなら、確かに新聞社には、新聞社サイドでいろいろお考えがあるでしょうけれども、やはりこういう共販制度をとることによって、国民が安く、しかも販売店合理化というものが可能であるとするなら、そういうことについて、いろいろ御意見があることはわかりましたけれども、将来の問題として御検討をいただきたい。またぞろ値上げ問題が出てくると困りますので、御検討をいただきたいということを希望として申し上げておきたいと思うのです。  最後に、労働省の方、来ておられますか。――これはきょうおいでの参考人皆さん方はあまり御存じないことだと思うのですが、実は私は、非常に先端をいく新聞社にしてはできが悪いと思うのですね、労働者の扱いというのが。実はここに、ある、昭和四十五年十月の給料支払い明細書をいただいておるのです。ところが、この中に切り取りというのがあるのですね。切り取りというのはどういうことかというと、配達員の人が配達して集金にいった場合に、たまたまその人が転勤しておらなかった、あるいは差額を払ってくれなかった、そういう場合には、これはあなたの責任ですよということで、その分を給料から天引いてしまうのですね。この人は、どういう理由かわかりませんが、四十五年十月の給料支払い明細を見ますと、その切り取りが何と三万二百九十円、差し引き支払いがマイナスの八千七百四十円。こういう極端なことが行なわれておるのですね。これは私は笑いごとではないと思うのです。販売店に働く労働者、従業員の改善ということで販売店に六十円回るとするなら、私はこれは明らかに法違反だと思うのですよ、切り取りなんかといって給料からそういうものを天引くことは。  御存じないから私が全部申し上げてしまうのですが、こういうこともあるのですね。実は働いておる皆さん方が大学に行ける、学びながら大学へ、学びながら高校へ、こういうふうにして向学心をあふって住み込みの配達員にするのですね。ところが、大体私立の大学にいくと四カ年で四十万円、入学金十五万円を貸し付けてくれるのですね。そこまではいいのです。ところが、若い人たちですから、場合によっては途中でやめていく場合がある。途中でほかにかわる場合があるのですね。そういう場合には、一カ月以内に全部返済を求める。それは学びながら働いておる人たちですから、おまえ入学金十五万円、一ぺんに払えやといったって、それだけのお金があるはずがない。ところが、実際にはそういう契約というものが――学びながらとか向学心という説明が先ほどありましたけれども、実態としては、販売店の中でそういうことがあるのですね。こういうことについては、やはり私は問題だと思うのです。  もう一つの問題は、その従業員の住み込んでおる部屋をよくするといって――住み込み店員の写真を持ってこいといってきょう持ってこさしたのですが、これは参考人皆さん方にもお見せをしますから、ぜひ見ていただきたいと思うのですが、これは宿泊設備ではないです。昔の蚕だなですね。一人の一部屋が、頭がつかえて寝れないのです。立てない。そういうことが実際に販売店員の、住み込む皆さん方の労働環境としてあるわけですね。これが三つ目の問題。  さらに問題は、販売店皆さん方に対して、今度片務協約。片務契約といって、おまえのところは二万なら二万の部数だ、買い取りだ。買い取り制度ですね。だから、新聞社の営業のほうだけが主導権を握って、おまえのところはこれだけ買い取れ。それが売れようが売れまいが、金は本社のほうに納めなければいかぬというシステムを、現実的に各販売店との間にとられておるのですね。  やむを得ず今回値上げをしたとするなら、そういった――いま言ったことは、皆さん方おそらく御存じなかったと思うのです。実際としては、こういうことがここにあるわけですね。ですから、そういう問題が改善されるように努力をしていただけるかどうかということを参考人皆さん方にお尋ねをするのが一つと、きょう来ておられる労働省の監督課長さんは、そういったことは法に照らして明らかに違反なんだから、こういう販売店の配達員の皆さん方従業員のそういった条件整備という問題について指導されるお気持ちがあるのかどうか。そのことを参考人皆さん並びに労働省にお尋ねをしておきたいと思うのです。
  76. 吉本実

    ○吉本説明員 ただいま先生から御指摘をいただきました事柄につきましては、過日、関係従業員の代表の方々からいろいろ事情をお聞きしまして、実は私どももたいへん驚いた次第でございます。  新聞配達員の労働条件確保あるいは福祉の向上につきましては、かつていろいろやってまいっておりまして、特に年少者の問題につきましては世上でもいろいろ問題がございましたので、その辺を中心といたしまして監督指導を実施してきた次第でございます。今日、大体大学生の人を中心にされているようでございますが、そういう人たちにこういった実態があるということで、さっそく新聞販売協会あるいは労働組合の代表の方に来ていただきまして、いろいろ事情を聴取いたした次第でございます。  その中で、まず第一点の切り取りの点につきましては、これは一般的問題というよりは、むしろ、先ほど来いろいろお話のあります新聞の販路の拡張の点につきまして、そういった点があるのではないかというように思われますし、それから、いわゆる奨学金の点につきましては、やはり従業員確保ということをはかるために、本社ともいろいろ連絡してできた制度でございますので、決して退職の自由を拒むような、そういう拘束的なものではない。そんなことをしたならば、この人手不足の時代にとても集まっていただけない、こういうようなことも言っておりました。  それから寄宿舎等の問題、具体的にいろいろな点がございますれば、私どもはいつでもその点についての調査をいたしたいというふうに思いますし、関係従業員方々には、具体的なところがございますれば、それを提示するようにというふうにお願いを申し上げている次第でございます。  そういったような形で、私ども監督指導の一つの重点的な対象といたしまして、こういったようなことを考えておるというような次第でございます。
  77. 富山韶蔵

    富山参考人 いま三点の御質問でありますが、第二点目の奨学資金問題については上子参考人からお話しするそうでありますが、第一点の切り取り問題というのは、朝日新聞につきましてはそういうことをやらしておりませんし、かりにもしもそういうことが行なわれるとしておりましたならば、即時それは禁止させるつもりでおります。  それから、第三点目の宿泊設備問題、この問題は、先ほどから私が申し上げておりまするように、住居の問題というのは福祉関係の問題として、販売政策の問題では、今後の大きな重点政策としてやっていかなければいかぬわけであります。それは写真をお持ちにならないまでも、逐次改善をしてやるようにやりますが、何さま全国で相当の軒数がありますので、急速にやろうとしますと、どうしても経営上の問題からいきまして問題がありますので、これはおっしゃるまでもなく、私のほうで相当の改善はやるつりもでおります。
  78. 上子俊秋

    上子参考人 切り取りの問題は、私のほうでも禁止はしております。ただ、新聞の店員というものについては、配達と拡張と集金という三つの業務がある。分かれているところもありますし、それを一人でやっているところもある。拡張をした場合は、ある程度の拡張料というものが出ます。それを目当てに、実際は拡張をしていないのに拡張をしたと称して、新聞を配ったような顔をしておって、さて期日が来ても、金はむろん取れないわけであります。要するに、そういう不心得な店員がいた場合にそういうことがあるかもしれないということは考えられますけれども、現実には、そういうことは耳にしておりません。  それから、奨学生に学費を貸してやっています。もしやめたら返せ、こう言うというお話でございます。私どもには、大学奨学生、高校奨学生、それから海外セミナーとかいろいろな制度がございますけれども、大学奨学生の例で申し上げますと、四年間配達業務に従事してくれれば、学費と入学金は差し上げる。貸与じゃありません。上げる。ただし、途中でやめた場合は返していただくというのが、最初からの募集のときの条項として入っております。一カ月以内というのは、私は実はあまりはっきりわかりませんけれども、たぶんそういうものが入っているかもしれませんが、それは初めから承知の上、こう考えていただきたいと思います。  それから、店員の宿舎の問題。その写真、あとで拝見さしていただきますけれども、場所によっては非常に狭いところもあろうかと思います。特に東京都内の場合は地価が非常に高い。たとえば四畳半借りても一万円も一万五千円も取られるという状態でございますので、いまの新聞代あるいは販売店の手数料では、そうぜいたくな施設ができないことは事実だろうと思います。それを一部屋ずつやるというふうなことにいたしました場合は、これは妙な言い方でございますが、もっと新聞代をいただかないとそういうことができないかもしれないというケースがあり得ると思います。  それから、販売店との契約は片務契約で二万なら二万買い取りだ、こういうお話でございますが、これはそうじゃございませんので、私どもの社では、毎日自由増減をいたしております。販売店が幾らほしい、あしたは何ぼくれ、あしたは何ぼくれというのが毎日入ってまいります。それをコンピューターにかけて必要な数だけ送っております。決して片務契約ではないと思っております。
  79. 池田友治

    池田参考人 松浦先生の御質疑にお答えいたします。  切り取りというのは、私は聞いたことがないのですけれども、うちの社ではございません。  それともう一つ奨学資金、これは大学に入って奨学資金をもらっている方が途中でやめられたとき、一カ月で返済せよという規定はございません。この制度に関しましてはわれわれも非常に関心を持っておりますので、いままで、途中でやめられたという方がおりましたならば、すぐ経理のわれわれにも知らしてくれるようにと言うております。ところが実例がないのです。もしそういう場合がございましたならば、よく本人の情勢、実情というものを考慮して、そして本人が立ち行くような方法を講じたい。これはもう、この制度をこさえるときから基本概念になっております。  それともう一点は、宿舎の問題でございます。十分全社にわたって完全な体制がとれているかということになりますれば、まだ若干はあるやに思いますけれども、大体三十八年時代から、販売店並びに店員の宿舎ということに関しましては、われわれ経理立場からも非常に応援してございます。したがって、非常によくなっているはずだというふうに私は確信しておるわけですが、いまお話のございましたようなことはまだ聞いてございません。あればすぐ耳に入るわけでございます。そういうわけで、ひとつ御理解願いたいと思います。
  80. 小林進

    小林委員長 参考人の方に申し上げますが、お約束の時間がたいへん超過をいたしました。なお、もう昼食の時間もたいへん経過をいたしておりまして、労働基準法違反はもちろん、人道上の問題もありますので、まことに申しわけございませんが、いましばらくごしんぼうをいただくことを御了解願いますとともに、質問者のほうは、ひとつ要領よく質問をまとめていただきたいと思います。
  81. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは簡単に質問いたします。  その一つは、参考人の方で、朝日の富山さんでけっこうですが、私が非常にふに落ちないのは、新聞をかえていった場合は一カ月ただなんですね。たとえばAという新聞を読んでいましても、途中で販売員が来て拡張して、Bという新聞にするとただなんですよ、一カ月。毎月毎月かえておったらずっとただだ。固定の客がずっと高い料金を払わされる。値上げした分を払っていかなければならない。こういう矛盾が現実問題としてあるのですよ、拡張の行き過ぎということで。こういった拡張の行き過ぎということも、逆に言うとやはりコストの大きな影響、販売拡張ということが逆に皆さん方経営を苦しめている原因をつくるわけですから、その点についても、どういうお考え方かということを簡単に御答弁いただきたいというのが一つ。  それから公取の事務局長に。実は、大阪の例の発言で物議をかもした比嘉さんですね、大阪主婦連の会長さん、あの人の談話をとると、六百六十円で、約一万世帯の人が新聞を講読しているというのですね。六百六十円、三回前の値段で据え置いて読んでおるというのです。ところが、この問答集によりますと、新聞価格というのは割り引いてはいけないことになっておりますから、割り引きはできませんと、こういうふうに指導要領として出されておるのですね。ところが、実際に読者販売店との間で、割り引いてくれといって話して成立した場合には、何も違法でないでしょう。そのことが違法であるという指導がなされておるのですよ。それは販売店本社とは別ですよ。読む本人と販売店の間にそういう話し合いができれば、これは違法じゃないですよ。ところが、それがここでは、あたかも違法であるということになっておりますので、そのことについての公取の見解、この二つをお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  82. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  いまの新聞購読料を値切る問題、これは読者からの要求の問題でございますけれども、この点につきましては、おそらく販売店あるいは新聞本社の側で違法の疑いがあると言っているのは、定価の割引ができないと言っております根拠は――公正取引委員会の告示がございまして、「新聞における特定の不公正な取引方法」、これは昭和三十九年の告示第一四号でございますが、これの第一項に規定がございまして、「日刊新聞の発行又は販売を業とする者が、直接であると間接であるとを問わず、地域又は相手方により、異なる定価を付し、又は定価を割引すること。」これを不公正取引方法として禁止をしておるわけであります。おそらくこれを根拠にしていると思われますが、ただ、この規定の趣旨は、これは地域あるいは相手方による差別対価を禁止しているということでございまして、読者からの要求による値引きまでいけないというふうにいっておる趣旨ではないと私は考えるわけでございますが、まだ十分検討し尽くしていない点がございますので検討したい。  それからもう一つの点は、新聞は独禁法の二十四条の二の規定によりまして、これは指定をまたないでも再販売契約行為ができる、いわゆる著作物の一つでございますので、そういう点から、値引きをしたらメーカーのほうから、発行者のほうからしかられるのではないか、契約違反でやられるのではないかという心配があるんじゃないかと思いますが、この点につきましては、新聞はこれは著作物の一つとして、指定をまたなくとも適法に再販契約ができるということでございまして、それで値引きをするかしないかは、これはいわゆる私契約上の問題である、公取がいいとか悪いとかいうことではないと思います。
  83. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 どうも参考人皆さんにたいへん申しわけない質問をいたしましたけれども、お許しをいただいて、心からお礼を申し上げたいと思います。終わります。
  84. 小林進

    小林委員長 有島重武君。  有島君に申し上げますが、富山参考人上子参考人が二時までで、御用事があるそうでございますから、もしなんでしたら、両参考人のほうの質問をむしろ前のほうにひとつおやりいただくようにお願いしたいと思います。
  85. 有島重武

    ○有島委員 いままでの各委員からの質問と私も重複する部分が、なお詰めたい部分がありますけれども、なるべく避けます。  一つ気になる点だけ先に申し上げます。  先ほど上子さんからのお答えだったと思いますけれども、   〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 国民の大多数がこの値上げには反対しておると、われわれは認識をしておるわけなのです。ところが上子さんのおっしゃるには、集金に行ってどんどん集金できるのだから、だから反対しているのではないのだ、そのように認識していらっしゃるというお話でございました、これはお改めになったほうがいいのじゃないかと思います。  これは、一つには新聞というものが、三大紙、五大紙となりますと非常に権威を持っております。それで、まあわれわれのところだと何だということができましても、一つには非常に高い権威をもう持っているいるんだ、ですから新聞がこういうふうにすることはしかたがないのだという印象を、国民全般がもう持ち出しているということが一つあるのじゃないかと思います。国民のみでなしに、いままでの問題でもって、公正取引委員会がもうほとんどそれに近いようなことを言っているのですね。無能力とまでは言わないけれども、いまの限界ではどうにもしかたがございません、だけれども、これでやめるのではなくてなおやりますと、非常に細々としたお答えですよね。そういった状況のもとでのお話である。  それからもう一つは、まあ朝日だけが上げたのだ、では安いほうに移ろうかと、みな思っているわけですよ。その理由についてはここでは論議しませんけれども、全部一緒に上げるのだから、しかたがないから、全然とらないわけにいかないから、だから払っているのじゃないですか。それを、あなたもさっきおっしゃったのですね、みな金を出しているのだから、あれは国民がみな賛成している証拠だと、そういう言い方はお間違いではないかと思うのでございますけれども、それが一つ。  それから、先ほど民意のくみ上げの方法が、もうこれ以上はしかたがないのじゃないかということを上子さんがおっしゃったと思うのですね。あれは栗山さんの質問であったと思うのですけれども、経営姿勢の問題と民意をくみ上げる、国民の意思をくみ上げる方法をもう少し考えられないかと言ったら、これ以上ないというようなことをおっしゃったのじゃないか。これ以上ないというふうなことでなしに、私たち政治をやっている立場でも、新聞の中から、国民の意思をくみ上げるよすがにずいぶんさせていただいているわけですよ。その新聞側が今度の値上げについて、ああいった、これ以上さらにまたやっていくという、前向きでないようなお答えというのはちょっとまずいのじゃないか。その二点がちょっと初め気になりましたので、それだけ御釈明いただきたいと思います。
  86. 上子俊秋

    上子参考人 第一点の、大多数の読者は黙って金を払ってくれているではないかという、確かにそのとおり申し上げましたけれども、これはだれにしても値上がりはいやでございます。しかし、まあある程度説明をして、もうやむを得ない、けっこうだという方が非常にたくさんおられるという意味でございます。  それから、いまの委員のお話で、一斉に上げたからという――これはまあこまかいことですが、まだ上げてない新聞もないわけではございません。東京にもございます。まあ一月おくれた、二月おくれたというケースはありますから、それは、上げてない新聞をとりたいという自由は残っておるわけでございます。五月以降、六月以降はまた事情は変わりますが。  それから第二点の、民意がほかにくみ取りようがないじゃないですかというような――ほかにございますかという質問を私が申し上げたのでございまして、ほかにあればお教え願いたい。  ただ、全国で三千七百万部という膨大な部数を持っている新聞、これはさっきも申し上げましたように、一部を二人で読めば、国民の半数以上がそれを見るということ、またそれが広告として使われているのも、その媒体価値が非常に高いという点から、新聞というのは、ある意味では一番有効な意思の伝達手段である。だから、ここで社告を載せ、解説をつけてお願いをするというほかにもっと有効な方法があれば、むろんそれは使いますけれども、現在のところはそれが最良であるという判断で、私はそう申し上げたのであります。
  87. 有島重武

    ○有島委員 まあお答えはみな記録に残りますから、もう時間がございませんから、そういうお答えであったということにいたします。  それから、ほんとうにもう時間がないので省略して言いますけれども、各新聞社にやはり系列会社というものをお持ちじゃないかと思う。たとえば、産経新聞グループなんというと、日本工業新聞それから文化放送、フジテレビ、ラクチョウビルですか、それからサンケイアトムズ、それからサンケイ出版局、二十社ぐらいお持ちのようでございますね。こういった、ここに来ていらっしゃる三社の各新聞社の系列グループといいますか、そういったものをおあげいただきたい。
  88. 富山韶蔵

    富山参考人 系列会社ということばに当てはまるか、そういう範疇に入らない取引関係にあるところもございますが、一応こっちが出資関係として関係しておりますのは、スポーツ紙の日刊スポーツ社、それから朝日ソノラマ、それからイブニングニュース社、それから、これはまあ系列というより出資関係ですが、ビデオパックという、最近できました会社に出資はしておりますけれども、いわゆるこれは系列というより、ほかの企業からも参加していただいておるので、こまかい出資関係のあれではちょっと失念しているかもしれませんが、新聞だけという点の系列でまいりますと、大体いま申し上げた三社関係が主たるあれです。  そのほかに、われわれのほうは、系列と申しますより、これは私の社ばかりでなしに、ほかの社の方々もあると思いますけれども、われわれのほうの販売店で引き受けして配達を扱っておるのは、これはずいぶんございます。株式新聞日本経済新聞それから日刊工業新聞、自動車新聞、もうこれは相当の数がございますけれども、これはいわゆる系列ということばではちょっと入らないと思います。取引関係だということだと思います。これはあくまで販売店の取引でございます。こちらが出資しておるのは、大体、新聞関係という意味では三社ぐらいでございます。
  89. 池田友治

    池田参考人 有島先生の御質疑にお答えいたします。  系列会社というわけですけれども、富山さんのように、新聞関係した系列会社ということは、系列会社のほうが新聞を発行しているというふうにとるのか、それ以外の生産品を取り扱ってもいいのかという問題があるわけですけれども、新聞関係で申し上げますと、スポーツニッポン新聞、これは東京、大阪、西部、そういうふうになります。これは厳密な意味の系列という、系列の限界点をどのようにとるかという点にあるかと思います。  それから、そのほか新聞関係のない系列会社というふうな考え方になりますと、浜田印刷機製造所、これは大阪に本店がございますし、それから東京では東日印刷株式会社、それから大阪では、さらに高速印刷株式会社といったものがあるわけです。  そのほかいろいろございます。全部あげれば時間がかかるんじゃないかと思いますけれども、どの点を限度としてものをごらんになるかという点で若干あると思いますが、おもなところはそういうところと御理解願えればいいと思います。
  90. 上子俊秋

    上子参考人 私はその辺があまり詳しくないのですけれども、スポーツ紙では報知新聞社。それからちょっと特殊なんですが、大阪本社と西部本社が別会社になっております。大阪本社は大阪読売新聞社というのが正式な呼称で、東京の読売新聞社とは別になっております。それから、世間で読売新聞西部本社といっておりますのは、読売興業、これは巨人軍なんかを経営している読売興業が経営者になっております。そのほかでは、日本テレビ、よみうりランド、それから地方では福島民友、これは読売の系列会社といっていいと思います。  その他こまかいところまでは、私よくわかりません。おもなところはそういうところです。
  91. 有島重武

    ○有島委員 こうしたことを伺ったのは、国鉄の赤字なんかの場合に、あるいは私鉄の赤字の問題なんかございますね、部分的に見ると赤字になる。もうかる部分は別な会社にしてやる、そういうようなことが往々にしてあるわけなんですね。  それで、経営の問題が出ました。さっき、利率が非常に低いのだというお話がございました。もう一ぺんそういったことも――そういったことが社説にどんどん出ていたわけです。そして、経営をもう少し大きい視野でもって考えなければいけない時代ではないかなどということが、各新聞の社説に出ていたわけです。そのとおりのことがおありになるのじゃないか。きょうはこまかい議論は全部省略いたしますが、そういうことが言いたいわけです。総じて、明治以来のずっと一つ新聞という形態が、いまやはりひとつ大きく考え直されなければならない時代に来ているのじゃないかということを痛感していらっしゃるのだと思うのですけれども、この辺でもって、それこそ抜本改正じゃないけれども、そういうことをお考えいただきたいと思います。  それから、広告代理店でございますね、広告代理店のリベートは大体どのくらいになっておりますか。
  92. 富山韶蔵

    富山参考人 大体一八%ぐらいでございます。
  93. 池田友治

    池田参考人 二三%と、われわれのところは考えております。
  94. 上子俊秋

    上子参考人 私の完全な所管外でありまして、詳しいことはわかりません。もし必要なら、間違えるといけませんから、あとで書類で提出いたします。
  95. 有島重武

    ○有島委員 代理店としては、いま二三%ないしは一八%とございますけれども、実質的にはどういうふうになっているかということは、これまた問題だと思うのです。そちらの広告収入の問題でございますね。そういった点も、ここでは時間がないという話で突っ込みませんけれども……。   〔武部委員長代理退席、委員長着席〕  それから、紙面に占める広告の比率でございますけれども、読売新聞の例なんかとっても、四十一年三月一日、十六ページで七ページ出ている。これは四三・八%。四十二年の三月一日同じく。それから四十三年、これは四四・四%となっている。四十四年だと五〇%になっている。四十五年が五〇%。ことしの三月一日、二十ページでもって一〇・二ページということで、五一%ということになっておりました。それから毎日新聞の場合も、五〇%以上には絶対ならないというようなお話でございましたけれども、去年までは四五%ということでしたけれども、ことし三月一日、二十ページでもって一〇・六ページということになっておりまして、五三%になっております。それから朝日も、昭和四十四年から五六%、それから四十六年も五八・五%ということになっておるようでございますね。
  96. 富山韶蔵

    富山参考人 先ほど私のほうで申し上げました、お聞きになったと思いますけれども、本紙に関しましては、五〇%以上の比率は変えていかない、これは現在でも鉄則でございます。いま五八%とか五六%といういろいろの数字を掲げられましたのは、要するに特集別刷り、広告特集とかそういうのが、これは大体広告の特集でありますから、そのパーセンテージが非常に高くなるわけです。そうでないとまたペイしませんので、そういう特集を出す場合には、完全にベイラインに入る状態で別刷りをやる、こういうことを先ほどお答えしたわけで、あらためてもう一回申し上げます。
  97. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、広告がいま、だんだん手控えの状態になっておるという傾向なんだということですね。にもかかわらず、新聞にはどんどんふえているということでございますね。新聞に掲載されている、ないしは別刷りとして出しておる広告の絶対量はどんどんふやしていらっしゃるわけですよね。ですから、さっきの、各社が広告を手控えているであろうという予想ならば、それを手控えていく方向をお考えにならなければいけないのじゃないですか。そういった点はどうなんですか。
  98. 池田友治

    池田参考人 広告段数が少ないのに紙面が常に二十四ページであるかという御質疑になると思うのです。現在の新聞社の最高発行ページ数は、朝刊で二十四ページが一番大きいようですね。そういうことになると思いますけれども、私のほうは、広告が少ないときは大体二十ページと二十四ページの間を下がったり上がったりしていくわけです。先ほどの先生のお話のように、あるときに五〇何%も、毎日新聞社広告段数で突破されておるといわれておりますけれども、私どもは、そういう段数のとらえ方ということではなしに、月間平均でとらえていく。そうして、最初申し上げたようなところは期別平均でとらえていく、こういうふうに考えています。したがって、原則としては、もう五〇%オーバーするところはほとんどないわけです。大体四三から四四あるいは四二。昨日の紙面を先ほど説明いたしましたけれども、それが四〇台を割っておる広告スペースでございます。それだけに見合った記事内容と、それから広告によって収入をかぜいでいるわけですから、広告収入がたくさんあるときには、二十ページの新聞があるいは二十四ページになったりする、こういうかっこうになっているわけです。それにしても、平均値をとらえますと四四%くらいにおさめている、こういうことなんでございます。
  99. 有島重武

    ○有島委員 時間のようですから、私はこれでもって終わりますが、くれぐれも経営面ということについて、もう一ぺん全般的にお考え直しをいただきたいと要望いたしまして終わります。
  100. 小林進

    小林委員長 これにて政府並びに参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。本問題の今後の調査のため、きわめて参考になりました。ここに委員会を代表して、委員長より厚く御礼を申し上げます。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時三分散会