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1971-04-28 第65回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月二十八日(水曜日)     午後一時八分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 砂田 重民君    理事 登坂重次郎君 理事 松山千惠子君    理事 武藤 嘉文君 理事 武部  文君    理事 渡部 通子君 理事 栗山 礼行君       上村千一郎君    向山 一人君       田中 恒利君    松浦 利尚君       谷口善太郎君  出席政府委員         農林省畜産局長 増田  久君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局官房総務         参事官     後藤 英輔君         経済企画庁国民         生活局参事官  山下 一郎君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 神林 三男君         農林省農政局植         物防疫課長   福田 秀夫君         参  考  人         (社団法人中央         酪農会議事務局         長)      西原 高一君         参  考  人         (雪印乳業株式         会社社長)   瀬尾 俊三君         参  考  人         (明治乳業株式         会社取締役市乳         販売部長)   菊池 二郎君         参  考  人         (森永乳業株式         会社取締役市乳         部長)     宮田 貞之君         参  考  人         (全国牛乳商業         組合連合会会         長)      田部  清君         参  考  人         (日本生活協同         組合連合会常務         理事事業部長) 勝部 欣一君     ――――――――――――― 四月二十八日  理事和田耕作君同日理事辞任につき、その補欠  として栗山礼行君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月三十一日  物価値上げ抑制に関する陳情書  (第一五九号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件(乳価問題)      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  おはかりいたします。  理事和田耕作君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、栗山礼行君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 小林進

    小林委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  本日は、特に乳価問題につきまして、参考人として社団法人中央酪農会議事務局長西原高一君、雪印乳業株式会社社長瀬尾俊三君、明治乳業株式会社取締役市乳販売部長菊池二郎君、森永乳業株式会社取締役市乳部長宮田貞之君、全国牛乳商業組合連合会会長田部清君、日本生活協同組合連合会常務理事事業部長勝部欣一君、以上六名の方から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  7. 小林進

    小林委員長 この際、簡単にごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  本日は、当面の乳価問題等につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、本委員会調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  なお、議事の順序につきましては、生産者のお立場からまず西原参考人、次いでメーカー側を代表して瀬尾参考人小売り商のお立場から田部参考人消費者のお立場から勝部参考人に、お一人それぞれ十五分程度に御意見をお述べいただき、その後、委員の御質疑にお答えいただきたいと思います。  それでは、まず西原参考人お願いいたします。
  8. 西原高一

    西原参考人 ただいま御指名を受けました中央酪農会議西原でございます。  私は、今回の生産者乳価の引き上げにつきまして、その理由生産者立場から申し述べさしていただきたいと思います。  御承知のように、生乳生産費を構成いたします要素は、飼育管理労働費飼料費、この中には購入飼料費自給飼料費が含まれております。その他光熱費賃料料金獣医医薬品費建物費農具費、地代、資本利子等がありますが、この費目の中で飼育労働費を除くほとんどの生産に要するものは、生産者努力ではどうすることもできない諸物価の高騰による影響を受けているものばかりであります。  乳価が二年据え置かれてまいりましたので、四十五年八月から十月の対四十三年の同月比でこの上昇の様子を見てみますと、労働費におきましては一二一・九%、飼料費につきましては一〇九・一%、光熱費につきましては一〇三・五%、賃料料金一〇七・七%、獣医医薬品費一〇八・二%、建物費一一〇・七%、農具費一〇五・一%等となっておりまして、費目合計では一一二・四%となっております。  特に配合飼料価格は、昨年一年間に二回の値上がりをいたしておりまして、トン当たり三千円から三千四百円へと、一一三・三%の値上がりでございます。農業の雇用労賃につきましては、この二年間に、一日当たり千百八十一円から千六百九十六円へと、一四四%の値上がりとなっておるわけでございます。  また、昨年来、BHC等有機塩素系農薬による牛乳の汚染問題が起こりました。これにつきましては、皆さんの御理解と御協力によりまして、ほとんど全面禁止に近い線まで持っていっていただいたわけでございますが、酪農民被害者でございまして、最初は稲わらが犯人であるということで、稲わら給与を禁じられたわけでございます。  御承知のように稲わらは、どこに行っても、安い価格でほしいだけ入手できるので、牛の飼育上必要な粗飼料は、ほとんど稲わらによってまかなわれていたわけでありますけれども、これが給与できないため、汚染されないきれいな稲わらや乾草を、遠く北海道や東北から買い入れて手当をするとか、あるいはヘイキュープベレット、これは飼料の名前でございまして、牧草を圧縮したものでございますが、これを緊急輸入する等をいたしたのであります。その結果、従来は、粗飼料としてキロ当たり九円ぐらいの稲わらが使用されていたものが、清浄稲わら需要が多いためにキロ二十五円となり、そのほか三十五円のヘイキュープ、三十二円のベレット等に置きかえられたわけであります。  これに加えて、特に都市近郊酪農家は、家畜のふん尿処理施設に金をかけなければならず、おまけに乳価は二年間据え置きにされている等の理由から、酪農に見切りをつけてやめていく酪農家が多くなってまいったわけであります。  大体農家の減少は、年々三ないし四%ぐらいずつ減ってはいますが、特に最近の特徴といたしましては、二十頭飼いあるいは三十頭飼いの大規模農家の脱酪農化が目立っております。したがいまして、いままでですと、酪農家戸数の減った分は多頭化で補うことができましたが、いまではこれを補い得なくなったという状況になっております。  このような傾向から、生乳生産量は、四十六年の二月の統計では、対前年比で全国平均が一〇二・一%となっておりますが、これを地域的に見ますと、平均よりも多い地域北海道のみでございまして、あとの地域については全部平均以下ということになっております。その中でも東山、近畿、四国等におきましては、前年以下ということになっております。  再び問題を生産費のほうに移さしていただきますが、私たちは、安易に乳価値上げにたよるという考え方は毛頭持っていないわけでございまして、どこの単協の会合に行ってみましても、生産コスト引き下げをするにはどうしたらよいかという点につきまして真剣に討議されているのを見ることができるわけでございます。部落座談会等酪農青年グループ方々が、経営の改善について夜を徹して議論をしている姿を見まして、酪農の将来にほのぼのとしたものを感じ、このような夢を育てることこそがわれわれの任務であるということを痛感している次第でございます。  それにつきまして一つの例を申し上げてみたいと思いますが、百キログラムの生乳生産いたしますのに要する労働時間は、四十年において一〇・一七時間かかっておりましたものが、四十五年には五・八六時間となっておりますので、四十年を一〇〇といたしました場合の四十五年度におきます労働生産性につきましては、約四三%も上がってきております。また、飼育頭数にいたしましても、四十年には全国平均で三・六頭でありましたものが、四十五年度では約六頭ということになっておりますので、その限りでは酪農というものが、生産性の高い、また今後も希望を持てる産業であるということがいえると思います。  しかしながら、一方におきまして、冒頭に申し述べましたような他の要因によるところの一般生産諸資材の値上がり分を吸収し切れない現実があるということでございます。  いま、かりに、搾乳牛八頭の酪農家の場合を想定してみますと、この経営への投資額は、土地代は別にいたしまして、牛代施設費を含めまして約三百六十五万円の資本が必要でありますが、これによるところの年間利益は、三百六十五日働きまして約七十三万円となります。ところが、この資本金三百六十五万円を銀行に預金いたしまして、月六万円の出かせぎに行きますと、年間利息と合計いたしまして百十七万円の収入となりますので、これだけで考えますと、酪農をやらないほうが有利であるという勘定になるわけでございます。今回乳価値上がりをいたしましたので、これを加えますと約九十七万円の収入となるということになっております。  四十五年度の飲用向け原料乳価格は、主要市乳地域――一都二府十四県でございますが、におきます指定団体取引契約乳価乳量加重平均では、一キログラム当たり五十三円五十銭ということになっておったわけでございますが、今回の値上げによりまして五十九円五十銭となるわけであります。この上昇率は六・八五%となりますので、他の農産物であるところの野菜、これにつきましては一三・一%値上がりをしております。果実の八・一%、花卉の一〇・二%、繭の八・六%等に次ぐものでございまして、まあ、農産物の中でもそんなに高いほうではないというふうに思っておるわけでございます。  また一般消費者物価上昇率は、年率で七・七%というふうにいわれておりますが、これに比べましても生乳は、年率に直せば約三・四%のアップ率となるわけでございます。  以上、乳価値上げの内容について申し述べたわけでございますが、生乳生産環境はまことにきびしいものがありますために、生乳生産の停滞、脱酪農化の現象が起こりつつありますので、これへの歯どめをする当面の一つの手段といたしまして、今回の値上げは万やむを得ない措置であったということを御賢察いただきたいわけでございます。  ただ、このように申し上げてきますと、今後もエスカレート式値上げされては困るという問題が出てくると思うわけでございますが、これにつきましては、基本問題として次のようなことをぜひ実現していただきたいと思っております。  まず、生乳生産上の問題点でございますが、生産コスト引き下げは、何といいましても飼育の多頭化をはかるということにあります。そのためには、生産基盤拡大することが必要であり、生産基盤拡大のためには、土地が必要であります。  私たち生産者団体では、農協によりますところの土地信託制度利用集団的飼料作物の栽培、調整貯蔵等を共同で行ないまして、それぞれ農民的な生活の知恵をもちまして生産基盤拡大あるいは土地効率化等をはかっておりますけれども、全般的に見まして思うように進んでいないのが現実でございます。  その原因は、御承知のように土地流動性がないということであります。先ほど申し上げましたように、農家は減少しておりますが、その多くは農家ぐるみ転業ではなくて、農地は老後の生活基盤として、老人から老人へと受け継がれていっている形の中で、言ってみれば永年転業ではなくて、一時的な転業であります。結局社会的に見て、農家が安心をして土地を手放せるという体制ができていないところに、この原因があると思われるわけであります。  特に都市近郊酪農においては、畜産公害防除に多くの資金を投じて、なおかつ先住民が追われるはめになっております。この点につきましても、公営事業によって畜産団地を造成して、集団移転を行ない、成功している例がありますが、ほんとうに牛を飼って生活をしたい人に、生きていく場を与えていただきたいわけであります。  これらのことは、酪農民の力だけでは限りがございます。このことは、土地効率利用食糧生産の均衡をはかる等の点で重要な問題でございますので、なお一そう大局的見地に立った施策を実施していただきたいわけでございます。  もう一つの問題といたしましては、国内産生乳市乳化促進であります。この目的は、国内産生乳を全部国際競争力の強い飲用向けにすることにあります。  生産者は、キロ当たり五厘ずつ出し合いまして、飲用乳消費促進事業を毎年行なっておりますが、これぐらいでは十分でなく、効果も少ないわけであります。現在政策需要として、生乳学校給食が実施されておりますが、私たちは、これに加えまして福祉牛乳と称しまして、幼児、妊産婦にも新鮮でおいしい牛乳が飲める制度をつくっていただくように、現在国にお願いをしているわけであります。  このように予算的な裏づけを伴った国の誘導政策によって、国内産生乳名実とも飲用向け優先にしむけられるよう、政策的なお力添えをお願いしたいわけであります。  このようにいたしまして土地に円滑なる流動性ができれば、経営近代化合理化は急速に進められ、生産コスト引き下げが可能となるわけであります。国際的競争力のある飲用乳消費拡大によって、それだけ割りの悪い加工原料乳が減るということになりますと、価格はバランスして経営も安定するということを確信しておるわけであります。  最後は国への要請ということになりましたけれども乳価値上げの必要なわけと、生産コスト引き下げ可能性について申し述べまして、私が与えられました課題に対するお答えにかえたいと存じます。  ありがとうございました。(拍手)
  9. 小林進

    小林委員長 次に、瀬尾参考人お願いいたします。
  10. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 雪印乳業瀬尾でございます。  本日は、このたびの牛乳値上げについて説明をせよとのお呼び出しを受けまして、私、業界代表者ではございませんが、いささか意とするところを申し述べまして、諸先生方の御理解をいただきたく参上いたした次第でございます。よろしくお願い申し上げます。  今日、牛乳につきましては、おりに触れ世論の批判を浴びるかっこうになっておりますが、これも、牛乳生活必需品として皆さまに広く御愛用いただいておる証左であると存じ、社会的責任を痛感する次第でございます。  しからば何ゆえに今回値上げをするのかとの御批判が出るわけでありまするが、私ども事情を、少々お時間をいただきまして御説明申し上げたいと存じます。  先生方もよく御存じのとおり、原料乳買い入れ価格は、乳製品回し原料乳が、いわゆる不足払い法によりまして、政府が決定いたします価格に基づいて取引されますのに対し、飲用回し原料乳は、自由取引がたてまえになっております。  ところで、原料乳生産者の所得と密接な関係があります乳製品回し原料乳保証価格は、四十五年にキロ当たり、二十一銭、四十六年に七十五銭値上げされましたが、飲用回し原料乳価は、四十四年四月に値上げされまして以来二年間据え置きになっておりまして、昨年暮れに、原料乳生産者団体から、キロ九円八十八銭の値上げ要求が出されておりました。  原料乳価値上げ必要理由につきましては、別途、生産者代表の方からこまかく説明がありましたのですが、諸般の事情を考慮いたしますと、何らかの手直しが必要であろうと私どもも判断いたしておりましたわけでございますが、三月末の保証価格決定待ちという形になって推移いたしたのでございます。  一方、当社経営状況から見ますると、過去二年間で、牛乳処理加工料は、労務費の三三%、運送費の五七%、設備費の一八%、包材費の一〇%をはじめとして大幅な増額になっておりまして、合理化もある程度限界に達しておりまするメーカー処理段階では、操業度をあげることにより若干の吸収はできるといたしましても、年々牛乳事業は、赤字が累積されるという結果を招来する状況になっております。  たびたび値上げするのに、メーカー段階牛乳赤字というのはおかしいではないかという御批判が当然あろうかと存じますが、実態は、値上げのつど、メーカー販売店生産者の双方の間にはさまれ、そのしわ寄せを受けて、配分が、望んでいる額よりずっと低い額で決定されているのが今日までの傾向でありまして、赤字解消されないままさらに諸経費増高分が加算され、相当大幅な赤字ができているというのが偽りのない姿でございます。  したがいまして、原料乳価値上げ分を含めまして、この際どうしても卸価格を引き上げなければならない必要性に迫られてまいったのでございます。  当初は、末端価格で百八十cc当たり四、五円の相場もうわさされておりましたが、いずこからともなく新聞紙上に、百八十cc当たり三円の指導価格めいたものが発表され、当社でも取引販売店皆さんと、この額、この線を中心として交渉を続けてまいりましたが、販売店側より、農薬被害のうわさも消えぬうちに値上げに入るのであるから、なるべく二百ccで三円の線に押えたい、そのためには卸価格値上げを二百ccで二円にしてほしいとの提案がなされまして、値上げによる消費減を極力防ぐ意味からも、最終的にその線で両者了解点に達したわけでございます。  その後、生産者団体原料乳価交渉に入ったのでございますが、赤字解消を願う私どもの思惑とは異なり、二百cc一本当たり三円の内訳としまして、原料乳生産者一円二十五銭、メーカー七十五銭、販売店一円ということになりまして、またしてもメーカー配分が一番少ないという結果に終わったのでございます。  お手元に差し上げました資料の、第一ページの表をごらんになっていただきたいと存じますが、一番左の小売り標準価格から、販売店マージン原乳生産者価格を差し引いたものが、メーカー処理費でございます。処理費と書いてございますが、実際の処理費はこれより高く、いわゆるメーカー取り分をここに載せてございます。一番右の、小売り価格に対する割合の欄をごらんいただきたいと存じますが、これが昭和三十年の二五%から年々減少してまいりまして、最近では一七%にまで下がっております。金額にしましても、十六年間でやっと五割アップの一円六十銭上がっただけでございまして、いかに私どもメーカー合理化に腐心はいたしておりますながらも、諸経費値上げを吸収いたしかね、赤字累積原因になっておりますことを御理解いただけるのではないかと存じます。なお、二ページ目の表でもおわかりいただけると思いまするが、諸外国と比べましても、日本メーカー取り分は最低の比率を示していることが御理解いただけるかと存じます。  次に、牛乳は、値上げのたびに社会問題化されますために、ひっきりなしに値上げしているかのようにお感じになる向きもあろうかと存じますが、第四ページから続く三枚の表でもおわかりのように、牛乳は、他の消費者価格に比べまして、決して高い上昇率は示しておらないのでございまして、つい先ごろ値上げされました新聞は、昭和三十年を一〇〇とする指数では二七三でありますが、牛乳は、今回の値上げを含めても二〇八であり、また他の公共料金と比較しましても、値上げ率は高くはございません。  また、月ぎめの牛乳代にいたしましても、第五ページにありますように、年々給料は上がっておりますので、月間給料に占める割合いは減ってきているという結果が出ております。さらに別の計算では、百八十ccの牛乳を一本購入いたしますのに、昭和三十四年には六分五十四秒働かなければならなかったのに対しまして、昭和四十四年では三分五十六秒働けばよいという結果が出ております。牛乳は相対的に安くなっているということが、資料によってうかがえる次第でございます。  以上、牛乳は決して高くないことをるる申し上げました次第でありますが、次に、乳業会社は、牛乳赤字だといいながら高い利益を得ている、株主にも高配当を出しているではないかと言われる向きもございますと存じますので、この点に関しまして、少しく御説明を申し上げたいと存じます。  六ページの表をごらんいただきたいと存じます。乳業三社と他の業界とを比較してみますると、医薬品三社では、売り上げ高では七割でありますのに、利益は四倍となっております。また、ガス二社では、売り上げ高が六割でありますのに、利益では三倍となっております。同様に電力三社では、売り上げ高は二倍でございますが利益は八倍にもなる、かような実績になっているのでございます。  また、同じ食品業界で比較いたしてみましても、乳業三社の売り上げ利益率一・三七%に対しまして、水産三社は一・八%、ビール三社は二・一%、油脂三社は三・〇%、製パン二社は三・四%と、それぞれ高い比率を示しておりまして、むしろ乳業会社は、売り上げ高の大きさに比較いたしまして、かなり低位の業績、すなわち百円の商売で一円そこそこの純利しかあげ得ておらないということが御理解いただけるかと存ずるのでございます。  さらに、株主配当にいたしましても、次表六の一にありますごとく、食品業界でも一二%の配当率平均値でございまして、今日では、信用上この程度配当率は必要とされているのでございます。  次に、乳業会社賃上げ状況は近年かなり高額になっているではないか、とのお考えの先生方もおられるかと存じますが、最近の労働力不足は、好むと好まざるとにかかわらず、たとえベースアップ生産性の伸びを上回ることになりましても、世間一般並み賃上げが必要となっております。また、七ページの表で説明申し上げておりますが、一般食品産業給与水準は、他産業と比較いたしますと低いのでありますが、乳業会社といたしましても、決して例外ではないのが現状でございます。  最後に、私どもといたしましても、赤字解消のためには、ただ単に値上げすればよいなどとは決して考えておりません。日本国民の健康、保健のために、少しでも安価な牛乳を供給すべきであることは論をまたないところでございまして、生産者メーカー販売店が相協力して、あらゆる合理化を進めていく必要があると存じております。  現在努力しつつあり、今後も推進すべき合理化の方途といたしましては、容器の大型化ワンウエー化があり、さらに、これらと並行いたしましての隔日配達がございます。私どもといたしましても、大型ワンウエー設備の拡充をはかり、常に需要に応じられる体制を進めてはおりまするが、いかにせん、私ども努力だけではなかなか推進は不可能でございまして、ぜひとも消費者皆さまの御理解と御協力を仰がねばならないわけでありまして、この点、従来にもまさる諸先生方の尊い御助言、御助力をちょうだいいたしたいと念じております次第でございます。  以上、意を尽くし得ない面もあるとは存じますが、業界の現状の説明と、もろもろのお願いを申し述べさせていただきました次第でございます。よろしくお願い申し上げまして、一応の説明を終わらせていただきます。(拍手)
  11. 小林進

    小林委員長 次に、田部参考人お願いいたします。
  12. 田部清

    田部参考人 田部でございます。  私は、牛乳値上げをされるたびに、皆さんからいろいろなことを言われる、一体牛乳というのはそれだけ言われなければならぬのかと、販売業者だけの立場に立ちますと、そういう考え方をするのであります。  と申しますのは、今日の日本の政治が生産者中心に行なわれて、末端の流通に対して何の手だてもしてないじゃないかということが第一でございます。牛乳の末端の値上げお願いするときには、そのたびごとに、すべての責任が小売り業者にあるというような消費者の考え方で、非難をされてまいったのであります。生産者の分、牛乳会社の分、私らがわずかいただく分をひっくるめて、私らがその責任を持ってきたということで、いつまでも牛乳屋がいろいろな面において、対消費者の問題では矢面に立たされてきたじゃないか。最近の牛乳値上げの問題につきましても、四円とか五円とかいう話がいろいろできまして、過去二十年間値上げの経過は、ほとんどの場合、生産者値上げがあり乳業会社の積み重ねがあり、その上に、お前らもこれぐらいはどうかということできまってまいります。これが過去の実態でございまして、一時期だけは、小売り屋がしんぼうができないので、小売り屋主導型といわれるような形の値上げがたった一回ございます。その場合でも牛乳販売店は、三円をお願いしたときに、その一円九十銭までは乳業会社にお渡しをして、非難を浴びながら一円十銭だけをもらってきたというのが実態でございます。  いつも私は思うのでございますが、こういう形で生産者値上げお願いされると、非常にもっともな場合が多うございます。乳業会社も、合理化の極点にあるから、どうしても値上げをしなければいかぬということは、いま瀬尾社長のお話のとおりでございまして、皆さんも、雪印乳業資料をごらんになって、もっともだというお考えになるか、どうも合点がいかぬというお考えになるかは、あとで皆さんのほうの御質問を受けるようでございますが、一応はそういう形で、最も零細な何万かの小商人は常に、値上げをしろと言われてきたわけでございます。  今回私どもが、四円、五円の値上げの風潮に対して、私はそれはきらいだ、もうこの辺で――生産者は、法律の保護のもとに多元集荷、一元販売ができているのだ。ところが、私らの場合は何にもないから、せめて今日の時点で消費者お願いをするとするならば、特に関西地区におきましては、BHCとかいわゆる農薬の問題で消費者に多くの御迷惑をかけているので、できるだけ値上げはしたくないという考え方でおります。私どもは、そういうことの安全宣言を厚生省なり農林省の大臣がして、消費者が安心できるようになった時点で消費者お願いするのが筋だということで、二月二十三日に大阪府におきましては、御堂会館で全員総会を開いて、われわれの考え方はこうだということを発表をいたしてまいりました。私どもは、四円とか五円とかいうのがいろいろな新聞あるいはテレビ等で出されるたびごとに、そういうムードにひっかき回される牛乳販売店に対しては、できるだけ今回はわれわれの力で、乳業会社のいうとおりの価格は絶対聞かないのだ、われわれは一回は消費者に対して、利益を無視してでも還元したいという気持ちが強うございましたので、私どもはどうしても、そういうような高価な値上げをすることはできないということと、日本乳業界が積み重ねだけでこれからいったら、一体牛乳は何ぼになるのだろうか、私どもはそれを考えるときに、はたしてわれわれ牛乳屋が、世間から何ぽかでも御苦労さんと言っていただけるような状態にはならぬものだろうかということを考えて、私どもは、四円あるいは五円説に対して、まっこうから反対をしてまいったのであります。そこで、われわれが自主的に、これ以上は値上げをしてはならぬのじゃないかというような考え方でいろいろと情報を集めまして、傘下の組合に対しては情報を流してまいりました。  それで私どもは、どうしても最終は最小限度におさめるということになりますと、最終の決定と申しますか、いわゆる乳業会社メーカー団体いわゆる系列の団体との話し合いで、ある程度の合致点にはなりましたけれども、当初に乳業会社からのお願いが、二円五十五銭というのが出たわけです。そうして四円、五円の説が出てまいったのでございます。それに対しては、私どもはそういうような大幅な考え方で、牛乳不信が――現在において、何かどこかで、ちょっとだけ安心やということだけでございます。私は、厚生大臣が、安心なら安心と言いなさい。農林大臣が、安心なら安心と消費者にどうして言わないのだ。先だっても民社党の佐々木良作先生が、いま牛乳を飲んでいいのか悪いのかわからぬじゃないかということを、放送の討論会でおっしゃっております。ぼくはそのとおりだと思う。牛乳屋さん、この牛乳を飲んで子供はだいじょうぶですか、私は妊産婦で、もう一本飲みたいと思うけれども、奇形児が出るようなことがないかという質問があったときに、だれがないと言ってくれる。いままでないから飲んだらどうだというようなことで、日本政府の行き方が、私は当然問題だと思うわけでございます。  BHCの問題についても、一昨年の暮れから始まっている。私どもは、BHCについては、乳業会社生産者に強い姿勢で当たってもらいたい。同時に日本政府に対して、これをどうするんだということを強く要請をしてくれと、ぼくらは言ってきた。ところが、現実はいままでかかって、いまなお大臣がはっきりしないじゃないか。世界各国にそういうような統計がないからどうもできないんだということであるなら、何でもアメリカに統計を頼むのかどうか。アメリカがくしゃみしたら日本人はみなくしゃみしなければいかぬのか。こういうような形の行政は私どもを不幸に追い込んで、私どもの販売はかなり減退をいたしたのであります。  この責任は、私、遠慮なく言うならば、乳業会社のだらしのない態度もあります。生産者はそれを知らなくて、政府がもっと強く、こうするべきだという決定を早くどうして出せないか。出せばいいじゃないか。われわれがBHCを牛乳に入れておるわけでもないし、乳業会社も入れておるわけでないし、農林省が、この農薬がいいと言うてすすめた中に入っていたということなんでしょう。それなら私どもは、もっと早く皆さんお願いをして、早く安全基準を出すようにしていただいたほうがほんとうはよかった。私はいろいろと皆さんお願いをいたしまして、乳業界全体があげて請願をいたしまして、諸先生方努力によって製造、販売、使用の禁止が一応通達をされるようになりましたが、なぜもっと早くしてくれないか。私らがあれだけ頼んでいたじゃないかということを、ほんとうはいまでも恨みに思うわけでございます。東京に参りまして、いろいろと官庁にお伺いいたしましても、きわめて無責任だとぼくは思う。小商人がなまいきなことを言うようだけれども、私らは消費者あっての牛乳屋なんだから、消費者牛乳に不信を抱いているのを、どうしてもっと積極的に取り払ってくれなかったか。なお今日、厚生大臣も何も言わないじゃないか。だれか課長くらいが、もういいんでしょうくらいしか言ってないじゃないか。農林大臣も何も言ってないじゃないか。なぜ言わないのだ、ぼくはそう思う。もし言うてくれるならば、いままでBHCを心配してやめた大事なお得意が、ぼくは帰ってくると思う。  だから、私は、いまの時点で乳業会社がいろいろな計算をお出しになるけれども牛乳はもっと売れるという考え方でお考えになっているのか、もう牛乳はこれが頂点だというお考えになって、自分らのいわゆる卸売り価格をわれわれに要求されたのか、それが知りたい。私は、BHCの被害が非常に大きい地区でございましたので、この安全宣言があるなら、たちどころに一割や一割五分は帰ってくるのではないか。そうした上に立つならば、二円三十五銭とか二円四十五銭というものは、ちょっとだけ調子が悪いのではないか、世間もそれは聞きませんよということで、われわれの今後の乳業界のあり方は、すべて消費者を一応最大の考慮に入れていろいろな点を考えて、それぞれ三団体で自粛して牛乳消費拡大努力をしていきたい、かように思うのであります。  詳しい値上げの話の経過などは申し上げる必要もないし、牛乳販売業者としても、皆さんそれぞれ各地でベースアップの要求がありますときには、私らの零細な小商人の中における従業員も、なお一そうおやじをおどかしておるというような形が多いのであります。  きのうも東京のある乳業会社に行ったときに、帰りしなに、その会社のいわゆる争議をやっておられる、ベースアップのなにをやっておられるのが、かわいい女の子もおっさんもみんな固まって、うろうろうろうろ何町も、要求貫徹をしましょうと言っておる。いまどれくらい出ておるのか私知りませんけれども、おそらく一万円をこすだろうと思う。こさなかったらストをやるということが、はっきりしておるわけです。  一方で、ストをやらして一万何千円のベースアップをして、片一方で、牛乳は一銭も上げたらいかぬという話があるなら、こんなばかな話がどこにあるか、私はそう思う。一方も押えてくれて、一方も最小限度に押えたらどうだという話は、世間に通用する。片っ方は取るだけ取れとけしかけて、そうしていわゆる乳業会社に対して、おまえのところは合理化で何でもかんでも吸収せいと言われることは、これは今日の段階では無理だと思う。  牛乳は毎年上がってきているけれども、いつまでも上げるのかという御意見もあろうかと思いまするが、私どもは、この前の乳価値上げ以来、協業化をやりたい。一つの路地に、かりに明治さんも森永さんも雪さんも配るようなことのないように、一カ所におろして一つの路地に配れるようにしたいと言ったときに――瀬尾社長は、いま、合理化協力してやるとおっしゃったけれども、今日までは、協力したことが一回もなかった。協業化をやったらつぶれ、またそれを繰り返して、いろいろと隔日配達をお願いし、協業化に協力していただけるんなら、私どももそれなりの労賃が省略できるので、御協力をいただきたい。社長の段階では、いろいろとりっぱなお話があるけれども、下のほうへいくと、二十年来同じ形で、おのれの系列販売店が雑種になることを好まぬ傾向があって、直接的に牛乳を送入しないというんでなしに――この間私どもが神奈川の地区でお聞きをしましたが、業者が集まって、大きな冷蔵庫をつくって協業化をしたいといって、それを旗上げをしたら、協業会社とは取引をしないんだから、従来どおり個々の販売店に持っていって、そこからその大きいところへ運んで、それで配達をしているのが現状で、ようやく最近はつぶれなくなりましたというのが、つい先般の報告でございます。  だから私どもは、毎年値上げをするんでなしに、協業化に対して政府乳業会社も、そして消費者の御協力をいただくならば、私どもの配達の労賃が幾らか減ってくるならば、その点を消費者に還元することができるじゃないか。牛乳のいわゆる集金代を消費者が郵便局に納めてくれるなら、その分も引こうじゃないか。私どもは、何といっても消費者があっての販売店でございますし、その点十分考えて、私ども合理化努力をしたい。ただ、合理化をするのを妨げている要因を皆さんのほうで排除していただくとともに、でき得ることなら私は、大阪でも特定の地区だけで、もし経済企画庁が許すならば、いわゆる合理化カルテルを認めてやって、それでどれだけまで合理化ができるかというテストケースをやらしてほしい、かように考えておるわけでございます。  時間がまいりましたので、また質問がございました機会に私どもの希望を申し上げさしていただきたい、かように思う次第でございます。(拍手)
  13. 小林進

    小林委員長 次に、勝部参考人お願いいたします。
  14. 勝部欣一

    勝部参考人 時間がないようでございますので、簡単に申し上げます。消費者立場から意見を述べさせていただきます。  私どもといたしましては、昭和三十年から十円牛乳運動を、婦人団体あるいは団地の自治会等と組みまして、生活協同組合としましてやってまいりましたが、これは主食に次ぐ国民の主要な食料であるという観点で、やはりそれを国内で自給すべきである。しかも酪農民との間に直結をして、なるべく安い牛乳を大量に飲むということでもってお互いの合理化をはかっていこうという趣旨で運動を進めてまいりまして、幸いにも、先ほど来お話がありましたように、消費者価格それ自身は相当な安定をさしているという実績を、私どもはある程度持っているというふうに考えております。他の農産物と比べてみますと、牛乳価格で三十一年から比べますと一六四という程度で、タマネギなんかが四六四というぐあいに上がっておりますのに比べますと、まあまあわれわれとしましての努力のかいがあった。その間ずいぶんと途中の乳業メーカーなり小売り業者の方々には、いろいろな御迷惑をかけましたけれども、やはり消費者の強い要求というものが現存するということの中から、それは成功したと考えております。  また私ども最近では、生協のマークをつけました牛乳でも、三・四%のテトラのものを、十七円から高いところで二十円ということでもって、北海道なんかやっておりますし、あるいは首都圏でも三・二%の乳脂肪のものが最近できるようになっております。そのように直結をして、その間消費者も、ただ店へ買いに来るということでなくして、やはり共同購入という形でもって、主婦だけではなくて、ときには主人なり子供なりも手伝って、とにかく牛乳価格を上げないのだということでもって努力をする。そういうさまざまな努力が積み重なってこういう結果ができているというぐあいに考えております。  やはり私どもとしましては、その根本の考え方としましては、いわゆるビタミン添加とかあるいは色づきの牛乳とか、あるいは還元牛乳とか、そういったようなものはいっそやめたほうがいいのではないか。いろいろなごまかしのものをちょっと入れて高い値段で売るというようなことはやめて、牛乳本来の栄養が十分あるわけですから、それでもって白い天然牛乳を飲もうということでもってやってまいりました。特に日本は、やはり傾斜地が多いのですから酪農に適しますし、そういう点で日本人の食生活を栄養豊富なものにするためには、輸入食料にたよらないで、国内で酪農を振興させて、われわれはそれを食べていくということが一番いいのではないか。米作の転換の問題だとか、あるいは出稼ぎの問題がありますが、そういうことではなくて、やはり農民の人たちが、ほんとうに各地元で豊かに暮らしてもらえるということも、望みとしてあったわけでございます。  そういう点で、私どもとしましていろいろな問題点と対策というのを考えますが、現在あります値上げの問題につきましては、私どもとしましては、酪農民の、先ほどもお話のありましたような諸コストのアップという問題で、その点での乳価値上がり分というものは、ある程度考えなければならないのではないかというぐあいに相談はしておりますが、ただ流通関係あるいはメーカー関係の経費というものが、値上がり分に便乗されるということは、どうもがまんできない。やはり私どもとしましては、どうしてもこういうような値上がりは反対で、やはりもっと話し合いが先にあってしかるべきではないか。あるいは政府の施策というものが、もっと抜本的にされていいのではないかというぐあいに考えます。特にえさの問題が非常に高くなっているというぐあいに聞いておりますが、この点での関税の引下げの問題なり、あるいは国内の飼料の大量生産、あるいはそれを安くできるような諸施策、そういったものがぜひ農政においてされる必要がありますし、あるいは労賃アップの問題ということを聞いておりまして――私ども実際酪農のこと聞きますと、休めない、うちは実は乳を毎日出しているので休めないのだと言われます。そういうことについては、やはり先ほどもお話がありましたように、農協で集団的に牛を飼う、そして大量に飼う。そしてそれで、みなが交代で休日がとれる。そういうことも含めまして、初めて安定的な牛乳価格というものができるのではないかというぐあいに考えております。  それから、ある程度のやはり二重価格といいますか、価格支持というものは、諸外国どこの国でもやっております。争ういうようなことについてのこともやってやるということで、現在の加工乳につきましての保証というものにつきましては、やはり輸入差益でもって補てんされておりますが、これはわれわれとしましては、そういう粉乳とかあるいは酪農品というものを外国から買い入れた差益でもってまかなうというようなことは、実に情けないことではないかなというぐあいに考えております。こういうのは、やはり政府自身の予算でされるようにしていただきたいというぐあいに思います。  それからメーカー利益は、私どもとしましては、先ほどのお話もありますが、相当出ているので、そこでぜひ吸収していただきたいと思いますし、小売りの問題は、専売制ということのお話がいま田部さんからもございましたけれども、やはり専売制は、もはや時代におくれているのではないか。やはり消費物資のほうも、いろいろなスーパーマーケットあるいは私ども生協、そういうところでは、何でもよくて安いものであれば、どの銘柄品でも扱えるわけでございます。そういう時代でございますから、専売制というものは、もういかにも古い制度ではないか。やはりそういう点は、早くまとまって協同組合をつくられて、そして何でも扱えるということでもってやはり競争ができてくるということでないと、時代に合わないのではないかと思います。  そういうようなことについて、あるいは消費者サイドに対しまして、冷蔵施設の設置、そういったものについて、前にそういうことを農林省がやられておりますが、そのときはずいぶん効果があったと思います。そういうものがないと、やはり生産者サイドばかりの施策だといけないというぐあいに考えております。  いずれにしましてもイギリスで現在百八十cc十四円、デンマークで十二円二十銭。イギリスでは乳幼児はただである。こういったようなことが実際にできる、そういう消費者サイドを含めた総合農政を私どもとしてはぜひ望むものでございますし、西独等では、実ははかり売りも許可されています。日本だけは、厚生省はどうしても許可しない。こういうことはやはり間違いであるというぐあいに思います。  そういうことで、先ほどもお話がありましたような農薬の問題なり、あるいは幼児のポックリ病の問題なり、そういうような国民に非常に不安があるということで、それの消費減退というのは国民の栄養低下になりますし、ぜひともこれはやめて、そういうことについて、ひとつはっきりと政府の施策を出していただきたい。  以上でございます。
  15. 小林進

    小林委員長 これにて参考人方々の御意見の御開陳は終わりました。  この際、暫時休憩をいたします。    午後二時一分休憩      ――――◇―――――    午後三時七分開議
  16. 小林進

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより政府並びに参考人に対し、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。青木正久君。
  17. 青木正久

    ○青木委員 各参考人皆さんには、たいへん御苦労さんでございます。休憩前にお話を伺いまして、納得できる点もございますけれども、なかなかわかりにくい点もございますので、何点かにつきまして御質問を申し上げたいと存じます。  まず、牛乳小売り価格を三円上げるというわけですけれども、その値上げの問題につきまして、牛乳だけにいたしますとそういう点もあると思いますけれども牛乳というのは、先ほど来のお話にありますとおり、米に次ぐ、一般大衆の方の愛用されている問題であります。これはやはり、物価全体に与える影響というものがかなり大きいのではないか。三円上げますと大体〇・二ポイントくらい引き上がるという計算も出ているわけであります。こうなりますと、物価対策上は非常な問題が残るわけでありまして、こういう点考えまして、三円というふうにおきめになっておるようでございますけれども、この値上げの幅をこれから縮められるようなお考えはないかどうか。これは生産者代表西原参考人にお伺いしたいと思います。
  18. 西原高一

    西原参考人 当初私ども、原価計算をいたしまして、キロ当たり九円八十八銭の値上げを各メーカーさんに要求をいたしたわけでございますが、これは一合に直しまして一円八十五銭でございます。その後各生産者が寄りましていろいろ検討をいたしました結果、とにかくできるだけこれを詰めないことには、消費者皆さんにも御迷惑をかけることになるということで、検討をいたしまして、要するに飼料費等につきましては、できるだけひとつ自分たちが安い飼料をつくってまかなうということで、一合当たり一円五十銭に切り詰めたわけでございます。そういうことで、メーカーさんのほうに、切り詰めた一円五十銭という価格を要求をいたしたという次第でございます。
  19. 青木正久

    ○青木委員 先ほど田部参考人からもお話ございましたけれども牛乳値上げにつきまして、小売り店からかなりの反対、抵抗があったというわけでございます。牛乳の消費の傾向を見ますと、最近は減退ぎみになっているのではないか。そういう状況を見ますと、今回の値上げはかえって逆効果になるのではないか。むしろ、現行価格を維持しつつ、いろいろな合理化努力をされまして、そして牛乳の需給の伸長をはかるというほうが得策ではないか、こういう意見もあると思いますけれども、この点につきまして、田部参考人から御意見を伺いたいと思います。
  20. 田部清

    田部参考人 いま先生のお話は、牛乳の値を上げると、消費がこれ以上減退して、かえってマイナスじゃないかという御意見のように承りますが、私ども乳業会社から買うのが二円の値上がりでございましょう。これを認めなければ牛乳はおろしてもらえないということが事実なんですよ。先生がおっしゃるように、これがなかったらどうやと言われても、私ども取り分は一円しかない。そうでしょう。三円のうち一円だけがぼくらの取り分である。同時に、たくさんのお得意をかかえておりますので、一円が、必ず全部上がるとはきまっていないわけです。たとえは、たくさんおとりになっているところが、一円まけといてくれぬかと言われると、いや、もうあんたには売りません、というような強い商売をしておりませんので、われわれの常識では、毎回の値上げを通じて、一番いいときが八〇%の値上がりができて、あとの二〇%はいろいろな条件で上がらない場合が多いわけでございまして、一円というのは、八十銭をたてまえの私らの取り分だという計算をしておるわけでございます。  ただ、先生のおっしゃるように、私らだけが三円もらえるのなら、もっとまからぬか、そんなに上げなくてもいいじゃないかというお話はわかるのですが、乳業会社さんに私らがお払いするのが、もう二円というのがあるのですよ。それをどうしたらよろしいかと、ぼくのほうは逆に先生にお伺いしなければならぬように、結局は一軒一軒を歩いて回って、お得意にお願いをして回る、それだけの努力も必要でありますし、ただ、先生は、いま消費が伸びていないときに牛乳を上げるのは得策ではないのじゃないかと、御親切に教えていただいておるわけでございますけれども、私どものいまの考え方では、人手が不足をして、お得意さまにいろいろとお願いに行く人がおらないということと、BHCの不安によるところの減退があるのだ。私は、この価格がかりにきまりましたならば、従業員に対しても、世間並みに近いとは申せませんけれども、何ぽかでも給料を増してやることができるでしょう。それぞれの業界が一万円近いお金を支払いをされるということであるなら、せめて牛乳屋もそれに近いような、同じようにはいかなくても、八割でも六割でも支払いをしてやれるならば、従業員はそれなりに働いてくれる。売れていない原因の多くは、BHCの問題牛乳に対する不安の問題が第一、第二は人手が足らぬというこの問題でありますので、私どもは、この際は、先生方の御理解をいただいて、やむを得ず値上げをさしていただいて、その上で、先ほども申しましたように、経済企画庁が合理化カルテルを、大阪じゅうのうちの一地区でいいから許可をしてくれぬか、そうしたら、私どもは最大の努力をして、そうして私ども消費者に対するサービスを還元できるようにしたい、こういうお願いを持っておるわけでございまして、零細な小商人でありますので、こうしようかというても、十人のうちで一人が反対をするとそれができないので、合理化カルテルを一応認めていただいて、私らが理想として、牛乳をもっと引き上げられるのなら、こういう形で一回やらしてみてくれ。あかなんだらやめてくれたらいいじゃないか。何カ年間、一年なら一年の期限を切ってでもいいから、それを経済企画庁が認めてくれるんなら、その間私どもは精力的に、そういうような合理化できる要素を全部取り上げてみて、そうしてそのメリットがあるなら消費者に還元するようにしたい。こういうことだけを一回さしていただきたい、こういうお願いをいたしておりますので、おまえのほうでもっと下げたほうがいいじゃないかと先生おっしゃられるのは、非常に御理解のあるおことばであって、喜んではおりますけれども現実乳業会社が二円持っていくのですということだけを御了承いただくならば、おのずと解決ができた答えが出ると思うのでございます。
  21. 青木正久

    ○青木委員 値上げの問題につきまして、農林省は標準価格の設定というようなことをやっておりまして、これが四十二年ごろですか、廃止されたようですけれども牛乳のような生活必需物資については、政府のほうで何かの形で行政指導を行なったほうがいいのではないかという意見もあるわけです。今度の牛乳値上げ問題につきまして、農林省からどのような指導があったのか、あるいはなかったのか、その点につきまして、瀬尾参考人から御意見を伺いたいと思います。
  22. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 今回の価格値上げにつきまして、格別指導というものはございません。ただ、新聞紙上に、先ほど申し上げましたように、何となく指導価格めいたように三円、三円と流れまして、これが基準になった。その中で皆さんが了承し合って分け合いをきめた、こういう段階になってきているわけでございます。
  23. 青木正久

    ○青木委員 そうすると、この点は何か標準となるようなものを出したほうがいいとお考えですか、今後の問題として。
  24. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 この牛乳価格の決定は、いつもメーカーが取りきめの代表選手になっているわけでございますが、こういうことは、私考えまするに、これはかねて申し上げていることですけれども、どうもおかしなかっこうだ。だれが代表になってもいいわけだと思いまするけれども、中心にいる関係で、こちらから買いこちらに売るという関係で、メーカーがそれになっているわけなんですが、こういうかっこうで、お互いに感情を害しながらも値段をきめていくというのはおもしろくない。むしろ加工原料乳価格のように、法的な基準か何かありますとか、あるいは、たとえば不足払い法による安定指標価格のような関係、あるいは保証価格のような関係、ああいうようなきめ方がきまっていて、そのときのいろいろな経済情勢やその他の問題を数字的に十分お調べになる力のあるお役所などで調べる方式というものをきめていただくほうが、皆さん御了解する点で、疑いを持たないで御了承できる点におさまるのではないかという意見は、かねて持っておるわけでございます。
  25. 青木正久

    ○青木委員 そこで、今回の値上げ幅の配分を見ますと、メーカーのほうの手取りは百八十ccで六十七銭五厘ですね。これを三大メーカーだけで計算いたしましても年間七十億円の増収だ、こういうふうに伝えられております。先ほど瀬尾参考人からもお話がございましたけれども、社会的な常識で、一二%くらいの配当は現状から見て当然だ、こういうお話でございますけれども、また一方、この増収分を、いまやっておりますところのベースアップに振り向けるのではないか、そういう批判もあるわけであります。このメーカー取り分は、いままでいただいた資料を見ましても一番多いように思いますけれども、その点どうお考えですか。
  26. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 七十億円というのはどういう数字か知りませんけれども、私たち三社、三大メーカーと申しますか、三社では――三社の場合ですと平均そうなるそうでございますが、別に、ベースアップにそれを振り向けるとかなんとかという目標でやっておるのではないのでありまして、総体的に、諸経費もすべてやっております。値上がりのカバーをするわけでございます。  それから、さらに御理解をいただきたいのは、これは二年越しの経費赤字をここで一応解消したいというわけでありますけれども、今度の値上がり分でございますと、過去に持ちました赤字の約半分ぐらいを解消できるような立場で、その上に残ったものにさらに今年の値上がり分が加算されると私どもは考えております。そういうような数字になるはずでございます。
  27. 青木正久

    ○青木委員 西原参考人にお伺いしたいのですけれども生産者側の手取り、百八十ccで一円十二銭五厘ですか、これは、政府が前に加工原料乳について設定した保証価格の引き上げ額、百八十cc当たり十四銭ですか、これよりもかなり大きいわけで、さらに、これまでのアップ率に比べて非常に高いわけですけれども、こういうところにちょっと無理があるような気がしますけれども、いかがですか。
  28. 西原高一

    西原参考人 ことしおきめ願いました四十六年度の加工原料乳価格は、キロ当たり四十四円四十八銭ということでございます。これを、先ほど申し上げました一都二府十四県、これは大消費地を中心にいたしましたその近郊の酪農家でございますが、それの平均キロ当たり五十三円五十銭ということになっておりまして、今回一合当たり一円十二銭というのは、キロ当たりにいたしまして約六円ということになりますので、約六十円、五十九円五十銭ということになるわけです。  その加工原料乳との差額が大体十五円ということになるかと存じますが、これは御承知のように、加工原料乳地帯と申しますのは北海道、東北等の、土地の条件が非常にいいところで、労賃も比較的安いというようなことで、生産費が安くついておるわけでございます。しかしながら、これをかりに北海道から東京のほうに原乳を持ってこようということになりますと、運賃が札幌を中心にいたしまして、平均でございますが、約十六円ぐらいかかりますので、六十円四十八銭ぐらいに、東京に持ってくるとつくということになるわけでございます。東北で、岩手を中心に考えてみますと、飲用向け乳価が、大体四十八円内外で取引をされておるわけでございますが、これを東京に持ってまいるということになりますと、大体十三円ぐらいの輸送費がかかるということでございますので、これも大体六十円の余をこすということになりまして、地域におきます生産費の差というものと、その運賃というものの違いがそこで出てきておるというふうでございます。  都市近郊におきましては、それだけ生産費も、――自給飼料等が少なくて、購入飼料等の給与率が非常に多い、労賃も高いということで、生産費のほうが、加工原料乳地帯に比べて高くついておるというのが現状でございます。
  29. 青木正久

    ○青木委員 そういたしますと、やはり田部参考人にお伺いしたいのですけれども、いままでもさんざん論議され、また指摘されている点で、配達コストの問題ですね。配達制度をもっと合理化をする。大型の容器にするとか、先ほどもお話が出ましたが、一日おきに配達するとか、ワンウエー化を推進するとか、いろいろいわれておりますけれども、こういう点につきまして瀬尾参考人からは話がありまして、田部参考人は、何もしてないじゃないかというお話もございましたが、これをやはり実現しなければ、値上がりを押えることはできないのではないか。これを実現する見通し、配達制度合理化、この見通しは今後いかがですか。
  30. 田部清

    田部参考人 ぼくが先ほども申し上げましたように、零細な小商人の集団と、いわゆる乳業会社の系列というのがございまして、この系列をつくるために、おそらく乳業会社はばく大なお金を使ってきておると思うのです。したがって、一つの町内に雪の牛乳も入る、明治も入る、いろいろなことが現実で行なわれておる。それをやめて一カ所でやりたい。しかし消費者は、私は雪のがほしいのだ、明治のがほしいのだという方がございますので、一カ所に集乳をいたしまして、いわゆる協業化をして、そうして配達をさしてくれるならば、その限りにおいてだけでも何ぼかのメリットが出るのじゃないか、私はそう思っておるのであります。この前の値上げのときにも、私どもはそれをお願いいたしました。自来、大阪でも協業会社もいろいろとできましたけれども、残念ながら乳業会社の御協力が得られなかったばっかりに、あっちこっちでそういう協業会社はつぶれてしまった。そういう結果、協業会社の恐怖症になってしまった。  私はあらためてお願いしますが、瀬尾さんもここでおっしゃっていたように、そういうような形さえできるならば、私どもは、ある程度の配達賃がいわゆる省略できてくるので、消費者に返せるようになる、ということは、値段をこれからそんなに上げなくてもいけるじゃないかという考え方を持っているわけでございますが、これには日本政府も、部分的ないわゆる合理化カルテルを認めてやって、おまえらも安心して、そういうふうに一回やってみたらどうかということ。乳業会社も進んで――みんなが一カ所に大きな冷蔵庫をつくくったのだから、そんなところには牛乳は置きません、いままでどおりの小さいところへ置いていきますというような形で、ありていに言うたらじゃまをしているのじゃないか、私はそう思う。私どもにしてみたら、今日の一円とか五十銭とかいうのは、個々に考えてみたら、落ちていた一円なんというものは拾い手がありませんよ。数が多いから、先ほどのお話しのようなたくさんの数字が出るのでありますが、私どもとしては、そうした点を認めていただけるなら、合理化を徹底的にやらしてみて、この地区でこうしたらこれだけのメリットが出たから、消費者に返せるようになるのだから、ほかでも見習いなさい、こう言えるわけなんですよ。そうさしてくれと、ぼくはお願いをしているわけなんです。そうすることによる以外に、いまのままではどうにもならぬということだけを申し上げておきたい、かように思うのであります。
  31. 青木正久

    ○青木委員 瀬尾参考人いかがですか、その協業化というのはできないものですか。
  32. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 これは必ずしもできないとは思いませんが、ただ――私たち実験したことがあります。現にやってもおります。函館地区でそれをやりました。ところが、協業化をやりましたが、地区によりまして伸びたり縮んだりいたします。そうなりますると、また内部の造反ができましたり、それをやり通すということがなかなかむずかしいという問題も実はありまして、私たちそれに踏み切るのに、自信あって、あなた方だいじょうぶですよ、合理化ができますよと言い切れないところに、一緒になって相談に乗るということになり切れない事情も、過去において経験しているということなんでございまして、いまの段階でなかなかむずかしいこともある。しかし、田部さんは、ある関係筋のほうでの御認可がいただけるならば自分もやってみたいということを、盛んにおっしゃっております。やってごらんになることも必ずしも悪くないと、私は思っております。
  33. 青木正久

    ○青木委員 最後田部参考人、もう一つお伺いしたいのですけれども、配達料を別建てにすること、これはいかがでしょう。
  34. 田部清

    田部参考人 いま私ども、組織としてそういうようなことを決定はいたしておりませんけれども、当然私どもは、いわゆる配達賃と店頭で渡す場合と区別をいたしますると、先生のおっしゃるように消費者理解を深めることができるから、ぜひそういう形の指導をしたい、かように思っております。
  35. 青木正久

    ○青木委員 終わります。
  36. 小林進

    小林委員長 武部文君。
  37. 武部文

    ○武部委員 参考人の方には、たいへんお忙しいところ、ありがとうございました。  実は四十二年の値上げのときに、皆さんにおいでをいただきまして、いろいろあの値上げの内容について御意見を承ったわけでありますが、あれから一回の値上げがございました。今回三円の問題が出たわけでありますが、四人の方の御意見を聞いておりますと、勝部参考人立場は別にいたしまして、生産者メーカー、あるいは小売り、それぞれの立場から、値上げのやむを得ない実情をお述べになったわけでありますが、特にその中で、あるいはやり方によっては、その値上げを食いとめることができたのではないだろうかと思われるような意味の御発言がございました。たとえば生産者段階においては、えさの問題なり等についてお話がございました。また、田部参考人のほうからも協業化その他の問題で、そうしたことが行なわれたとするならば、あるいは値上げ幅をある程度押えることができたのではないだろうかと思われるような御発言もあり、瀬尾参考人のほうからは、容器の変更といいましょうか、大型化、ワンウエーあるいは隔日配達というようないわゆる合理化、そうしたものが進んでくるならば、ある程度値上げ幅を押えることもできるじゃないだろうか、こういうような点もございました。しかし、現実にはすでに三円という値上げの幅が、皆さんのほうでほぼきまっておるようであります。  そこで、最初にお伺いをいたしたいのは、今回百八十ccで、一円十二銭五厘が生産団体のほうの手取り、メーカーが六十七銭五厘、一円二十銭が小売りというかっこうになったわけでありますが、百八十ccと二百ccの上がった後の配分は、三者でどういう金額になるのか。これはどちらからでもけっこうですから、御説明いただけませんか。
  38. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 二百ccの配分でございますね。二百ccの配分は、生産者に一円二十五銭……
  39. 武部文

    ○武部委員 ちょっとお待ちください。一番最後の小売り段階において、たとえば二十六円になったといたしますと、それが三者の取り分は金額にして幾らになるのか、こういうことでございます。たとえば小売り段階は、いままで八円なら八円だった、今度は一円上がって九円だと、そういう金額でございますね。
  40. 田部清

    田部参考人 二十三円として三円の値上げを御承認をいただけると、二十六円になります。そのうちで、乳業会社にお支払いをするのは、十四円十銭に対して、いわゆる市乳の百八十でありますと一円八十銭の支払いをいたしますので、その差額の一円二十銭が、いわゆる消費者との間の利益ということになるのでありますが、私どもは、その二百ccの場合も三円上げますし、上げたいと思うのですが、それと百八十ccも三円を上げたい。ところが、仕入れの価格がある程度違いまするけれども、二百ccという何ぼか大きな容量を飲んでいただく方には、それだけの算術計算だけで上げていくのでなしに、よけいを飲んでいただいているのだから、その場合も三円にお願いをしたい。一番小さいのも三円をお願いしたいという考えでおります。いま、二十六円になったときに、小売りの値段は全部で何ぼになるか……
  41. 武部文

    ○武部委員 田部参考人、けっこうです。  農林省おられますか。農林省わかっておると思うのですが……。
  42. 増田久

    ○増田(久)政府委員 現行から先にまず申し上げます。百八十ccで、生産者価格が現在十円五銭、それで卸が十四円十銭、それで小売り価格が二十三円ということでございますが、それが今度は生産者価格は十一円十八銭、それから卸価格が十五円九十銭、小売り価格が二十六円ということでございます。  それから、二百ccを現行で申し上げますと、生産者価格が十一円十七銭、卸価格が十五円四十銭、そうして小売り価格が二十五円、こういうことでございますが、今度の改正で、生産者価格が十二円四十二銭、それから卸価格は十七円四十銭で、末端価格が二十八円ということになるわけでございます。
  43. 武部文

    ○武部委員 私がお尋ねしたいのは、いわゆる田部参考人のところの小売り段階では、一体百八十cc一本でいままで幾らだったのか。それが今度一円上がるわけですね、だから幾らになるのだと、それを聞きたいのです。
  44. 田部清

    田部参考人 申し上げます。十円十銭になります。
  45. 武部文

    ○武部委員 この牛乳値上げは、先ほど青木委員からもお話がございましたように、物価の問題にとりますと、〇・二%消費者物価を上げる、ほぼそういう数字になるということになりまして、特にこれは主食に次ぐものだから、私どもとしては、消費者物価が非常に上がっておる段階で、家庭に非常に浸透しておるこの乳価の問題というのは、物価問題上も、ほかのものと違って重要な要素を持っておる。したがって、きょうおいでをいただいて、いろいろ聞いておるわけであります。  そこで、いままでに何回かここで、当委員会で問題にいたしたわけでありますが、一体、この流通段階において相当な経費が要っておるけれども、このものを何とか合理化をして、流通機構の中で幅を下げることはできないだろうかというような点を、何回か論議をいたしたところであります。したがって、直接には私どもも工場を見していただき、ワンウエー容器も具体的に説明をいただいておるわけですが、いまびんで配達をしておる比率と、それから紙容器にかわってきた比率とは一体どのくらいなのか。もちろん紙容器の中にも、三角形なのもありますし、長方形のもありますし、また、ほとんど直角に近いような容器もあります。しかし、現実にびんからああいうワンウエーの容器にだんだんかわってきつつあるし、そういう努力をしておるのだとおっしゃっておるわけですが、一体それは、総体的に取り扱う数量の中でどの程度そのようになったのか、この点は数字として、パーセントでけっこうでありますが、お知らせいただきたい。
  46. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 ただいまでは、紙容器は全体の一〇%程度でございます。
  47. 武部文

    ○武部委員 相当努力をされても一〇%くらいだ。これですと、そうコストの引き下げにはならぬような気もいたします。問題は、このワンウエー容器が、これから先三大メーカーの手によって、一体どういう計画で合理化に向かって進んでおられて、いつごろにはどのくらいになるというような見通しでもあれば、お伺いをいたしたい。
  48. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 紙容器の機械でございますね、紙容器へ詰めます機械は、いま使用しておりますテトラパックというのは、あれはスウェーデンから入っております。その他、イギリスのものもアメリカのものも一部入っておりますが、スウェーデンのものが一番多いようでございますが、あれは機械を売られるのではないのでございますね、ロイアルティーなんです。年間ロイアルティーで貸し付ける、リースのようなものでございますが、これは固定しておりまして、機械が入りますると、その日からロイアルティーを取られる。これは売る量にかかわりがない。それから、それを動かしまして生産したもの、この生産した量に対しまして、また紙代がかかりますが、その紙代も固定化して、量が多くなったからまけてくれるというのも、多少のことはありますけれども、大きな差はない、こういうような状態であります。  それから、機械の能率でございまするが、能率はほとんどフルに使いましても、かねて申し上げてもおりましたが、大体一時間に四千何百個というような程度でありまして、びん装とは比較にならないように能率が悪いのです。したがって、いまの段階で能率一ぱいに働かしても、なかなかその機械を使っての原価を下げるという段階にいきませんので、実は、機械会社のほうといろいろな交渉を続けておりますが、なかなか向こうはまけてくれません。  私たちの希望しておりますのは、日本で何かこれに対する対策が出ないだろうかということです。ただいま、ある紙会社が機械メーカーとタイアップしまして、大型のもので機械が開発されました。まだ実際に使われておりませんが、披露されましたので、私ども使ってみたいと思っておりますが、これは幾らか外国のものより安くなるようであります。これはロイアルティーでなくて、機械を売ってくれるようでありますので、こうしたものを使いこなしますると、これは償却ができるということであります。  それからもう一つお願い申し上げたいと思うのは、私ども、この機械開発に対しまする政府の補助でも出しまして研究開発をお願いいたしたいものだ。あるいはまた、外国のパテントなどを買い取るときに、買い取るような補助も政府にやっていただいて、何とか日本の機械メーカーにつくってもらって、国内の機械を使って何とかコストダウンのできるような方法はないものか、こういう希望を抱いておるわけで、これは、かねて関係筋にもお願いはいたしておる筋でございますけれども、まだ実行に移されてない。なかなか、その合理化の線がめんどうだということは申し上げられると思うのでございます。
  49. 武部文

    ○武部委員 そういたしますと、メーカー段階でワンウエー容器にして、びん洗いのいろいろなああいう手間が省けるということにかりにしたにしても、いまの段階で紙容器になったにしても、メーカー段階でその合理化の成果があがって、それが末端の小売り価格といいましょうか、メーカーの手取りの中で値段が下がっていくというようなことは、いまのところ、当面考えられないということは、いまの御説明でわかりますが、だといたしますと、ワンウエー容器あるいは大型化ということになれば、これは配達段階、小売り段階において、いままで毎日二回、朝行ってまた夜とってくる、あるいは次の日にそれを持って帰るというような点について、その手間が省けるということになれば、小売りの段階において大型化なり、あるいはワンウエー容器というものが普及すれば、あるいは隔日配達ということになれば、小売り段階においてはある程度金額が下がってくる、下げることもできるのだというふうに理解してよろしいか、この点は田部参考人
  50. 田部清

    田部参考人 紙容器にしたら紙代が高くつくということは、先生らも御存じだと思うのでございますが、リッターの容器にして七円幾らの紙代がかかっている、それを販売業者が全部吸収しなさいというような形に対しては、若干抵抗を試みております。お互いに何ぼかずつ持ってこれを進めていくというならわかるけれども、全部販売店に持たすというような状態は、私どもは納得しがたいのでございます。したがいまして、この点についてはまだ結論を得ておりませんので、七円幾らのものをみんな牛乳屋に持たすというような考え方、従来の考え方は、この辺で一応考え直していただいて、そうして乳業会社も前向きで――私ども詳しい数字はわかりませんけれども、ただ、私らがお払いをしているリッターについて七円幾らというのは、これは間違いなく払っているわけでございます。これを全部小売り屋がいつまでも背負っていけ。合理化した分は、それだけいま払っている分から何ぽか減らしていくようにしなさいという、それならそれでいいけれども乳業会社がどうしてもっと積極的に、われわれが協業化をしようとするときに力をかしてくれなくて、手前の系列の販売がくずれることをおそれて前向きの姿勢でないということが、合理化を妨げておる要因の大きな一つである、私はさように考えておるのであります。
  51. 武部文

    ○武部委員 実はそこが問題なんでして、先ほども田部参考人から、協業化をすることについては、メーカー協力を得なければいかぬ、こういうお話がございました。いずれ私ども問題にしようと思っておる新聞代の問題でも、この話が出ておるのです。新聞の配達にしても、ここは毎日新聞だ、ここは朝日だ、ここは読売だということでなしに、そういうことができないものかというようなことすら話が出ておる。同じことだと思うのですよ。これはあなたのほうから見れば、当然メーカーにそういう協力がなければならぬ。これはいま瀬尾参考人のほうでは、函館でしたか、一ぺんやったけれども、なかなかむずかしいという話がありますが、いずれにしても、そういうむずかしさがあっても、それを何らかの形で乗り越えていかなければ、いつまでたっても私はこの問題は解消しないと思うのです。したがって、協業化の問題は、あとで申し上げたかったのですが、将来このままの形でいけば、また来年、また再来年、同じ結果がずっと積み重なってきて、いつもこのような問題が絶えず起こってくると思うのです。それを何らか抜本的に、これは政府もそうでありますが、力を入れて、そういう合理化の問題に取り組み、あるいは、ある程度の予算が必要ならばそれも出すというような点で、画期的な改正をやらなければ、このまま同じことが続くというふうに思うので、一応の御見解を承ったわけであります。  そこで、時間の関係もありますし、同僚議員から値段のことについて質問がございますので、私は競合することを避けまして、あと二つ、三つお尋ねいたします。  先ほどの御説明の中に、BHCの問題がお二人の方から出ました。このBHCの問題は、当委員会で、消費者保護基本法の制定の際にも、その後にも、非常に議論のあったところであります。いまお述べになりました点を聞いておりますと、このBHCの問題から消費の伸びが非常に悪い。そういう点で、値上げをするにしても、消費者になかなか理解してもらいにくいし、何かうしろめたいような気持ちもするというような、率直な御意見もございました。  そこで、このBHC問題というのは、直接値段とは関係ないようだけれども、実はこの問題とも私は深い関係を持っておると思うのです。たとえば、消費の伸びが二%ぐらいしか伸びていない。ところが、この間当委員会でちょっと問題にしたわけですが、愛知県のある学校では、許容量が多かったために、給食からそれを全面的に禁止をした、そういう報道がなされました。そうすると、各学校にもそれが波及するというかっこうもありまして、これがやっぱり問題なんです。そこで、きょうは農林省と厚生省に同席をしていただいたわけでありますから、皆さんの御意見もわかりましたので、お聞きをしたいと思うのです。  最初に厚生省にお伺いしたいのですが、厚生省は三月四日、環乳第二十四号という通達を各都道府県知事なり指定都市の市長に出しておられます。これは「牛乳中の農薬残留の減少対策の強化について」こういう通達でありまして、この内容は、相当問題になる内容があるのです。そこで厚生省にお伺いしたいのは、こういう通達を都道府県知事なりその他に出されたという経過は一体どうなのか、なぜこういうものが出たのか、それをひとつ伺いたい。
  52. 神林三男

    ○神林説明員 実は、私どものほうでは牛乳中のBHCの減少対策といたしまして、四十五年の四月二十七日に環乳第二十八号、同じく四十五年七月二十三日に環乳第六十四号を出しまして、都道府県知事に対しまして、各地区に対する減少対策をとってまいったわけでございますが、その結果は必ずしも著しい減少は見られなかったわけでございまして、農林省に対しましても、さらに農薬の使用についてひとつ強い規制をとっていただくようにということも要請してまいったわけでございます。  それで、その結果というわけではございませんが、一応農薬取締法の一部改正というようなものもこのときに行なわれまして、そして御案内のとおり、四十六年の二月二十七日に農林省では、農政局長あるいは畜産局長、蚕系園芸局長、林野庁長官の連名で「有機塩素系殺虫剤の使用および使用不能農薬の処分について」の通知が出たわけでございます。それに基づきまして、私たちといたしましてもこの通達の実施の協力をはかるということは一つございますが、もちろん厚生省側として、この際減少対策についてどういうふうな措置をとるべきかということで、この通達が出されたわけでございます。
  53. 武部文

    ○武部委員 私は、この通達が出る前に厚生省が農林省に対して、BHCの規制について相当強く申し入れをしたということを聞いておるのです。しかし、現実にこのBHCの規制というものがなかなか効果をあげない。そこで厚生省としては、厚生省の所管としてはこういうものを出さざるを得なかったというふうに理解をしておるわけですが、そういう経過があったわけですね。
  54. 神林三男

    ○神林説明員 厚生省といたしましては、一応農薬の全面禁止あるいは使用制限というような点はとられておったのでございますが、ずっと各月の各県のデータというようなものを見ますと、必ずしも急激な減少が見られない、あるいは横ばいであるというような都道府県もございましたものですから、これに対しまして私たちのほうといたしましては、従来、しかもなま乳を中心にして検査を都道府県にお願いしておったわけでございますが、この際責任分野をひとつはっきりいたしまして、私たちのほうではなま乳でなくて、われわれが直接飲むいわゆる市乳中心に切りかえてやっていこうじゃないかということが一つでございまして、しかも、一応なま乳につきましては、今後農林部局のほうでひとつやっていただきたいということになったわけでございます。  それから、検査につきましては、やはりわれわれがずっと調べておりますと、一応従来どおり、西日本のほうが東日本に比べて下がり方が緩慢であり、値も高い。これはもちろんベータBHCでございますけれども、そういう結果が出ておりましたものですから、この地区には特に毎月一回、ひとつ検査をして報告をしていただきたいということを、都道府県側に対してやったわけでございます。  それからもう一つ、この内容で、私たちといたしましては、従来は私たちのほうの衛生部局で、主としていま言ったようになま乳について、原乳について検査をやっておったわけでございますが、やはりこれは、役所だけでやって効果があるというものではない、この際ひとつ民間側も大いにみんなで協力して、官民あげてこの運動を推進させて、早いところ減少させようということでございまして、ひとつメーカー側も自主検査の体制をとっていただきたいということになったわけでございます。そしてその場合、検査をやった結果ずっと下がらないというような事態が続いておるならば、受け入れ拒否というようなことも、あるいは県として当然指導していかなくちゃならぬ。これは特に消費者立場から、当然そういうことが必要じゃないかというふうに感じたわけでございます。  それからもう一つ、第三点といたしましては、従来私のほうも農林省のほうも、いろいろ通達を出しておったわけでございますが、必ずしも所期の効果がなかなかあがってこないというようなことは、これはやはり、末端における通達の受け取り方というようなものが各省ばらばらであるということでございまして、これに対してはよく第一線が、農林省側も厚生省側もひとつ協力をしてほしいという、大体三点でございます。  そういうことで、厚生省として何とか減少をさせたいという意図からこの通達が出たわけでございます。
  55. 武部文

    ○武部委員 原乳に対するBHCの取り締まり等については、農林省が所管ですね。したがって、そういう所管である農林省の措置が手ぬるくて、いつまでもいわゆる市販の牛乳の中からBHCが出てくる。そして消費者は、それについて非常に不信なり不安を持っておるというところから、当面一番末端で売られていく製品についてのBHCの所管である厚生省としては、いつまで待っておったってぐあいがよくならぬ。そこで手ぬるいからこういう通達を出したというふうに私は理解するのです。理解できるのです、この内容を見ますと。これはあくまでも農林省の責任なんです、あとで申し上げますが。農林省が、農家のところででき上がるそういう牛乳のところでBHCの問題を、水ぎわ作戦でこれをとめておったならば、厚生省のところまでこれは問題は起きないはずなんですね、末端の製品の中に出てくるわけがないのですから。それがいつまでたっても出てくるから、あなたのほうはこういうものを出したと思うのです。  そこで、話が前後いたしますが、あなたのほうではいわゆるBHCの許容基準というものをつくるとかつくらぬとかというようなことが、この委員会でも話が出ておったわけですが、厚生省としては、BHCの許容基準についてどう考えておるのですか。
  56. 神林三男

    ○神林説明員 実は現在、これは国立衛生試験所におきまして、動物実験の結果をいま調査中でございまして、おそらく五月中にはこのめどがつくものと私たちは考えております。
  57. 武部文

    ○武部委員 それでは、五月中に許容基準を、たとえば〇・何PPMとか――それはいわゆる末端における、売られていく製品の中のBHCの許容基準ですか。
  58. 神林三男

    ○神林説明員 現在私たちは、今後これは製品についての、特に消費者が直接摂取するところの製品についてのものをつくりたいというふうに考えております。
  59. 武部文

    ○武部委員 そのPPMの単位はいまのところは五里霧中ですか。全然考えていませんか。
  60. 神林三男

    ○神林説明員 これは動物実験の結果によりましてきまるものでございまして、現在動物実験は、一応実験動物は全部殺してございますけれども、これを一々顕微鏡で組織学的に検査をしておる最中でございます。だから、現在その数字は、まだ申し上げる段階ではございません。
  61. 武部文

    ○武部委員 三月十九日に倉石農林大臣は、参議院の予算委員会でわが党の田中寿美子議員の質問に答えて、BHCについては、森林に散布を約六カ月間猶予をいただきたい、それ以外は全面禁止だということを、はっきりと答弁をされました。そうなってくると、これは全面禁止であります。全面禁止ですから、全面禁止ということになれば、この厚生省が考えておるようなことは起きてこないことに結果はなりますね、そういうことに。そこで全面禁止なんということが出てくるわけはないのですから。ところが、相も変わらずこういうものが出ておる。三月十九日の日に、倉石農林大臣はそういう言明をしておられる。きょうは四月二十八日です。全面禁止の通達というものを都道府県にお出しになっておりますか。
  62. 増田久

    ○増田(久)政府委員 先生おっしゃいましたとおり、森林のほうに若干の猶予期間を置いた例外があるわけでございますが、その他につきましては、全面禁止ということの関係の省令を四月一日に施行いたしておりまして、五月一日からこれは効力を発生する、こういうことになって、その関係の指導通知もすでに出されておるわけでございます。
  63. 武部文

    ○武部委員 したがって五月一日からの実施ですが、私の聞くところでは、各都道府県あたりには、この全面禁止に関する正式な通達といいますか、そういうものが届いていないようでございます。私の県もそうでありました。  そこで、それは水かけ論になると思いますが、いずれにしてもこのBHC問題については、私どもから見れば、農林省が森林に対して六カ月の猶予を持たせたということについては、たいへん問題が残っておるのです。それは新聞の報道にもあるように、なぜ森林だけ六カ月間の散布を認めたのか。七千五百トンという在庫については、これは少なくとも三倍以上の在庫が各農家の現場にもあるじゃないか。あるいは中央の在庫、末端の農家の在庫、農協、そういうものを全部調べてみると、三倍位上あるじやないか。それは各都道府県の農協あたりが処理をしておる数字が出てきたのを推定しても、そういうことになるのです。そうすると、この六カ月間という余裕を持たせた以上、私どもは、現在残っておるものが使われてくるのじゃないかという心配を持つのです。そうすれば、必ずこれは土壌にしみ込んで、またぞろ出てくる。こういうために、厚生省としては、農林省のやっていることがどうも信用ならぬとみえて、私はこういうことを出したんじゃないだろうかというふうにも思えるんです。  しかし、それはお役所同士の話ですから、それはそれとして、この厚生省が出しておる自主検査の問題ですね。あなたはいま、民間に協力してもらって自主検査をして、できるだけBHCをなくするようにするんだ、こういうことをおっしゃっておりますが、私はこの項目を読んでみまして、はたしてこれが実現するだろうかということを考えるのです。これを読んでみますと、「牛乳処理業者等における生乳、製品等の自主的検査を励行させる方途を講じ、残留量の減少しないものは受入れを拒否する等の措置をとらせるよう指導すること。」厚生省としては、何とかしてBHCを少なくしたいという、おそらく善意に基づいてこれは出されたものと思うのです。しかし、現実にそれならば、牛乳処理業者であるメーカーは自主規制を自分のほうでして、検査をして、これは入っておりますからだめですといって、酪農農家から持ってきたものに、このものは受け取り拒否ですということが現実問題としてできるだろうか、私はその点に非常に疑問を持つのです。この問題で正常な取引ができるというふうにお思いでしょうか。これはひとつ、中酪のほうから最初にお伺いしたい。
  64. 小林進

    小林委員長 ちょっとその前に農林省に申し上げますが、先ほどの通達の期日、いつ一体出されたのか、どういう内容なのか、文書をもって委員長まで提出を願いたいと思います。
  65. 西原高一

    西原参考人 生産者団体のほうでございますが、このBHCの検査体制というのは、実は検査の機械が大体全国で、衛研のものを合わせまして百台ぐらいしかない、こういう現状の中でございますので、日常の取引ごとにこれを検査をするというようなことはとうてい不可能である。そういうことになりますと、検査をして、たとえば不幸にしてBHCの残留があった、これが基準よりオーバーしたものであったということになりますと、次の検査をするまで待たなければいかぬ。その間は取引停止だということになりますと、おそらく一月ぐらいは、BHCが含有しているかどうかわからぬような生乳について、待たなければいかぬという問題が出てくるというふうに考えております。
  66. 武部文

    ○武部委員 私もそうだと思います。そういうような自主規制、自主検査ということが、現実問題としてメーカーの側で、こういう長年の取引をしておって、あなたのほうの通達のようなことが一体できるだろうかということに疑問を持ったわけですが、いま生産者側からお話がございました。メーカーの方どうでしょうか。
  67. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 これはなかなかむずかしい問題なんで、私、実は、きょう、この会合が終わりましたあとに、生産者の代表としての森さんにその問題で会うつもりでおりました。  問題と申しますのは、われわれは製品を市場でピックアップして検査を受けるわけでありますが、ところがそれは、実際の検査は、先ほど西原参考人がおっしゃったように、三日もかかる。市場には製品が出ているということで、その責任を負わなければならぬということになるわけですが、何ぶんにも検査に三日もかかるようなものでありますので、順当に検査をしたとしても、なかなかむずかしい問題が起きる。  それからさらに、私どもも各工場に据えたいと思って、設置の認可申請をいたしております。ところが、あれは何か放射能関係の――ガスクロというのは放射能を使う機材なそうでして、そういうために認可が非常におくれているということ。それから検査員の資格が要るということ、この養成がたいへんなんでございます。そういうことで、おくれるんじゃないかと心配しております。  それから、現在の台数につきましては、先ほど西原参考人から申し上げたようなことで、私ども持ってはおりまするけれども、台数は非常に少ないので、実は困っておる。  さらに問題といたしましては、土地に残留がないのだろうかということは、御質問をかねてしておりますけれども、はっきりした御返事をいただいてないので、私ども検査しておりましても、ある程度の残留はまだありますので、この点は心配しております。  それから、その薬品、農薬を農家でほんとうに持っていないのかどうか。農家のほうで持っている問題があるんでないか。それからもう一つは、薬局で家庭で買える。庭木にかけるというと、判を持っていけば買えるという話も聞いております。これはほんとうかうそか、私は存じませんが、そういう話も聞いております。  それから、めったにないことと思いますが、輸出品があるのです。これが何か横流しになってないかということも心配するわけでございます。その辺も一ぺん御調査を願いたいと思うわけですが、こうしたものがあるいは――農家は、これは虫を殺すには最高の品物と思って、それこそ神さまのように思っている農薬でございますから、使いたいという方もあるようでございますが、わずかでも牛を飼っている酪農家の近所の残滓などに使う場合に影響をするのではなかろうかということを心配しております。  こういうことがありまして、これからどういうふうに進むかわかりませんけれども、なかなかこれはあとを引く問題じゃないかと思って心配いたしております。いずれにいたしましても、牛乳取引が円満にいくことを願っておるわけでありますが、問題がどういうように解決するかを心配しておる段階であります。
  68. 武部文

    ○武部委員 ガスクロは百台ぐらいしかない。そうしてそれは、一回の検査料だって相当な金もかかるわけですね。そういう点で、さっきから言うように、厚生省は善意でこれをお出しになったと思うけれども、私は、これはほとんど実現不可能なことになりはしないか。しかし、さればといって、ほうっておくわけにはいかない。そこで問題は、先ほど言うように、厚生省よりも、もう一歩前の農林省段階においてこれをとめなければ、幾ら厚生省ががんばったって、次から次へと出てくるんじゃないか。そのことは何回か討論しておるわけですから、もうそれ以上申し上げませんが、一応倉石農林大臣が全面禁止を約束したわけであります。そうすると、いま一体中央にどのくらいの在庫があるのか。流通段階においてどのくらいの在庫がいまあるのか。いまお述べになった輸出の問題ですね、輸出はいいんだということになっておったわけですから、そういうものがやはり網の目をくぐって、安い、よくきくというので、やはり農家に何らかの形でそれが行っておるんじゃないかということも、これは想定できるのです。それから、かりにこれから、全面禁止になったわけですから処置しなければならぬとなると――私の県では、すでに数メートル堀ってコンクリートの中に入れて、一生懸命これをいま廃棄処分にしておりますが、そういうような処置をするためには、現在どのくらい出回っておるのか、そういうことは農林省として知っていますか。
  69. 福田秀夫

    ○福田説明員 農林大臣が先ごろ、予算委員会でお答えいたしましたことにのっとりまして、先ほども御答弁いたしましたが、四月一日に新しい農薬取締法が施行になると同時に、BHCを作物残留性農薬に指定いたしまして、林業のスギタマバエ等ごく一部の対象と使用方法を限定したわけでございます。その通達をすぐ県に出しますと同時に、十四日の日に全国の県の課長、係長を全員招集いたしまして、通達文書の解説を行ないまして、同時にまた手渡すこともいたしました。  それからBHCの中で、スギタマバエ、マツノキタマバエ等々林業のわずかばかり許された対象害虫に対する登録をとっていない銘柄がたくさんございます。そこで、こういった林業の許された適用害虫の登録をとってない銘柄の登録は、全部四月十日までにメーカーから返納いたさせしました。その返納銘柄の一覧表を、近日中に官報へ告示する予定であります。  それから、そういう対象害虫の登録をとってある銘柄につきましても、それ以外の対象害虫等を容器、包装等から抹殺しなければ売ってはならないという販売制限並びに販売禁止の省令を、四月十七日付で出しました。同時にその解説文書を事務次官通達で出しまして、各県に送付いたしました。それから局長通達をまた同時に出しまして、そのようにして使わなくなったもの、登録を取り上げ、かつまた販売禁止した農薬の処分について通達を行ないました。それは、これらの農薬を多量に集めると、科学的な方法で処分が困難になるので、なるべく少量の方法で、毒劇物法の廃棄の基準に違反しないような方法で、現場の衛生部局、農林部局の職員の指導のもとに処分をするようにというようなことで、一カ所の職員の量がおおむね二、三百キロ等々、かなりこまかい具体的な指示等もいたしました。これも各県の職員を全部招集いたしまして、そのことに関する解説、説明会を行なったわけでございます。  それから、どのくらいあるか。これは各県の協力を得まして、各県に通達を出しまして、各県に現在確保しているBHCの量というものを、県から徴収いたしましたことと、それから農業団体等から在庫量を調べましたこと、あるいは製造メーカーから調べましたこと等々、各方面から調べましたものを調べますと、おおむねつじつまが合いまして、先ほどお話がございました七千五百トンぐらいあるということでございます。ただし、いま申し上げましたように、林業に使えないものは登録を全部抹消いたしまして、販売を禁止させておりましたので、林業に使えるものはきわめてわずかだと思っております。  それから、輸出でございますが、輸出は原則としてよろしいということになっておりますが、いま現在は、輸出用もほとんどつくっておらないようでございますし、輸出も最近はあまりないやに聞いております。また輸出用のものも、登録を取り消されておりますと、国内で販売いたしますと罰則がかかりますので、販売ができないということになっております。  その他末端の改良普及員、病害虫防除員等を動員いたしまして、一般農家が手持ちのものも廃棄するような指導をいたしておりますし、代替農薬等についての指導も行なっております。  以上でございます。
  70. 武部文

    ○武部委員 あと一つ二つです。  そこにいらっしゃる三団体の皆さんから、このBHC、特に原料乳のBHCについて公的な機関において、いわゆる公営機関の責任において残留量を実施してくれ、こういう要望が出ておるというふうに聞いておるのです。これは農林省に対して出ておる。一体いまそういうように、各県においてBHCというものの残留量をチェックするという体制ができておるのかどうか、そういう体制はどのようになっておるのか、これをお伺いしたい。
  71. 増田久

    ○増田(久)政府委員 先ほど西原参考人からいろいろお話し申し上げました点とも関連するわけでございますが、われわれのいま把握しております設置台数は、県の衛生部関係は、おおむね各県とも整備をしたようでございます。それから農林関係も全県に設置はいたしましたけれども、約半分はまだ設置したばかりで、先ほど問題になりました人の問題というものが、まだ十分ついていない、まだ養成されていないというようなことで、まだ実働には入っていないというような実態でございます。  確かに先生おっしゃいますとおり、公的機関でこういうものをやるようにという強い生産者メーカーその他からの御要望があったことは事実でございますが、われわれの基本的な考え方は、そういう公的機関をつくるよりも前に、やはり根っ子をなくすということにわれわれ最重点を置いたわけでございまして、先ほどからお話が出ておりますとおり、全面禁止ということに相なったわけでございますので、率直に申し上げまして、まだ土壊残留の問題あるいは乳牛の体内残留の問題、そういった問題は、私はまだ検討すべき点が残っているように考えておりますけれども、そういうことも含めまして、急速になくなり、近い将来には、これは完全になくなるのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
  72. 武部文

    ○武部委員 根っ子をなくすことは、私どもが強く主張してきたことなんですね。それが今日まで、あれは昭和四十四年の十二月ですか、朝日新聞がBHCの問題をスクープしまして、あれからすでに一年半たっているのですよ。一年半たったって、いまだにこういうふうにBHCの問題がやかましくなって、それが牛乳を飲む人たちにとっては、安心して飲めない、不信感がある。これがずっと続いておるのです。それで、おそらく土壊にまだ相当あるから、来年のいまごろにないという断定はできないと思うのですよ。そうすれば、検査機関も当然必要だが、根っ子の問題をどうしても、これはいち早く断絶しなければならぬ。そういう点について、私はいままで農林省がやってきたいろんな通達や――ここに通達文書がありますが、そういうものを見ても、必ずしも私どもが期待をしておるようなことになっていない。したがって、出てきた製品について、厚生省のほうは一生懸命で、そうしたものはだめだからもとへ戻せと言う。もとへ戻せと言ったって、酪農民が持ってきたものを、何十年も取引しておるのに、おまえのところには何PPMよけいにあったから、もう受け取りはやめました、持って帰れ、そんなことは現実にできませんよ。ですから、そういうことではなしに、あなたがおっしゃるような、いわゆる水ぎわにおいてこれを禁止するということでない限りは、安心して飲めるような牛乳にならないと思うのです。ですから、きょうお述べになった参考人の方が、お二人とも、たまたまBHCのことをお述べになったわけです。私ども、ずっとこの問題を皆さんとやりとりしておったわけですから、非常に関心を持って聞いたわけですが、ぜひそのようにしていただかなければならぬ、こう思います。  時間がたちましたから、最後に一点だけお伺いいたしますが、協業化の問題あるいは合理化の問題、こうしたことは、これから各メーカーなり、あるいは小売りの段階皆さんにとっても、相当大きな課題であります。また生産者皆さんにとっては、いまのBHCにかわるべき代替農薬の開発については、おそらく農林省に相当強い要請があるだろうと思うのです。そういうものが解決していけば、この乳価の問題も、いままでのようにずっと毎年毎年、物価が上がったら、ほら上がったというような、そういうことではないようになっていく可能性が強いと思うし、ぜひそうしてもらわなければならないと思います。  さしむき心配なのは、今度乳価が、かりに皆さんが要望しているように上がった場合、バター、チーズとかその他の乳製品が便乗して、これが値上げを誘発するのではないかというような懸念もございます。したがって、この点についてバター、チーズあるいはその他の乳製品をおつくりになっているメーカー側は、そうしたものの今後の値段についてどのようにお考えになっているか、これを最後にお聞きいたしておきます。
  73. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 その他の乳製品の諸経費値上がりも、もとより現実にあらわれているわけであります。すでに御承知と思いますけれども、私どもトップメーカーといたしまして、バター、チーズの値段は、一般家庭用につきましては、三十七年以来今日まで九年間価格を据え置いております。これは量産もできましたし、また、いろいろな機械の合理化も進めましたし、そういう効果である程度吸収してまいりましたが、もういよいよ工場を指定いたしまして、単独生産工場にして合理化も非常に進んだ結果、あと新しく工場を建ててフルに生産させる以外に、新しい乳量が新しく供給されて、新しい工場でフルに生産される以外に合理化の方法がないくらいまでになってきているわけであります。  いろいろと乳価が上がり、しかも乳価も、三十七年から比べますと、形の上では三五%の値上がりでありますけれども、実際には、途中で脱脂乳との配分関係で比率が変わってきております。実質からいきますと、四十数%の値上がりになっているわけでありまして、そういう面を考慮いたしまして、これは便乗ではなく、実際に御調査を願って値上げを許可していただかなければならぬ段階にきたと、私は考えております。  それから、チーズなどにつきましても、これは外国がすでにトン当たり百ドルも上がってきた、こういう事実もございます。これはEECの関係の乳製品が、いわゆるバター・マウンテンというほどたくさんだまっておりましたものは、解消されてくる段階が見通しがついたということで、チーズにして輸出していたものが、そうして補助金を出してまで輸出していたものが、ぐんぐん上がってきた傾向に実際になっております。国産品を使ったために関税を一〇%に落していただく方法もありますけれども、それでも追いつかなくなってきたということもありますので、これらにつきましては、直ちにどうするということではありませんけれども、いま私どもでもお願いの筋を検討している段階で、これは決して便乗ではありませんことを御理解願っておきたいと思います。
  74. 武部文

    ○武部委員 参考人皆さんには、ありがとうございました。
  75. 小林進

    小林委員長 関連を許します。松浦利尚君。
  76. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 時間がありませんから、自席で四点ばかり簡単に質問させていただきたいと思います。  一つは、実はどうも理解ができないわけですけれども乳価値上げのたびごとに、消費者として、国民の皆さん方自身も非常に不可解に思いますことは、メーカー側はすでに四月八日に、卸売り価格値上げを発表なさっておられるわけです。その発表した内容というのは、原乳価格が値上がりをする、あるいは合理化をする、あるいは人件費のアップ、こういうことで卸売り価格というものを値上げをしますということを、四月八日にすでに発表なさっている。ところが逆に、実際に原乳価格の決定を見たのは、四月の二十二日に、きょうおいでの中央酪農会議の全国乳価対策協議会と五大乳業メーカーとが話し合いをして、最終的に原乳価格というものがきまっておるのですね。普通われわれが常識で考えるなら、原乳価格の値上げというものがきまったあと、これだけ卸売り価格を上げますというのが通常の価格のあり方だと思うのですが、そういう点が私は非常に不明朗に感じます。どなたでもけっこうですが、代表してその点を、メーカーのほうから御説明をいただきたいと思います。
  77. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 先ほど最初の段階で、私、説明の中で申し述べたのでありまするが、昨年の秋から、生産者のほうから値上げを要求されておりました。そのときに、九円八十八銭という価格での値上げを要求されておりましたのですが、だんだんと期日が過ぎまして、その後期日も非常に切迫してまいりまして、生産者の団体の方々では、四月一日から絶対に上げろという声で、私どもに、ときによっては百名以上、ときによっては数十名おいでになりまして、私、おのおのお目にかかって話し合いをしたというシーンもあったわけであります。  しかし、それはそれといたしまして、とにかく値上げをきめろ、こういう強い要望がございました。私どもも、今日の段階ですと、市乳関係の原料乳生産者は、先ほどの農薬の被害対策その他の問題で二年越しでもありますので、どうしても値上げをしなければならぬと思っておりますので、できるだけ早く値上げをしてさしあげたいということから、紙上には、確かに四月八日に発表はいたしました。いたしましたが、実行は五月一日からにいたしております。これは四月中に、そこで急いで価格の決定をした、こういうことにななっております。
  78. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの価格の発表のしかたですね。四月八日にメーカーが先に、そういう内容だから値上げをしますという卸価格を発表して、あとから生産者団体との話し合いがきまってくるということは、何か過去にいろいろいきさつがあったでしょうけれども、いろいろ接触はあったにしても、消費者にとっては何か不明朗な感じを与えますから、そういったあり方というのは、これから根本的に改めてもらいたいと思うのです。生産者のほうも困ると思うのですよ。一方的に、これ以下だ、これだけだとこうきめられたら、実際に生産原価を割ったコストであっても従わざるを得ないというか言いなりになるということで、自主性というものが侵されてきますので、価格の上げ幅についてはいろいろありますけれども、私はまず、決定のあり方に再考をお願いしたい。これが一つです。  それからもう一つは、実はこれは新聞で報道しておるので、私ははっきりしたことは把握できておらないのですが、昨年学校給食用のミルク容器、ガラス容器が、百八十ccから二百ccに全部統一されましたね。ところがメーカー側では、この際、百八十cc容器はこの二、三カ月で廃止をして、全部二百ccにしようという動きがある。将来は統一して二百ccに容器をしてしまいたい、こういううわさがもうすでに流されておる。だとしますと、消費者のほうは、三円値上げどころか五円の値上げ牛乳を押しつけられる。百八十cc買おうと思ってもないわけですからね。二百ccしかない。最低二百ccの容器を買おうとすれば、実際は三円だけれども、われわれ消費者は、五円値上げの市乳というものを押しつけられる結果になるのですが、容器を二百ccに統一して、百八十ccは廃止するというようなお考え方がメーカー側にあるのかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたい。
  79. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 これはやはり合理化一つの考え方として、百八十ccを大型容器二百ccにいたしたのでありまして、値上げの操作とかその他の考えは一つもございません。  それから学童給食の問題につきましては、文部省その他の方々の御指導もありまして、二百にいたしました。それから市場では、いま東京ではほとんど九〇%が二百ccになりました。地方の一部、いなかの少ないところで、まだ手のつけていないところもございます。大体関西も、七五%ぐらいまでになったはずでございます。だんだんとそういうふうにかわってきております。これは一ぺんにびんができません。自然にかわっていって、逐次やって、そして百八十ccのびんを廃棄しておる。こういう段階で逐次やっておるということでございます。
  80. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それはわかるのです。学校給食が統一されたことも理解しているのです。ただ問題は、百八十ccの人が現在おるわけですね。それを使っておる人がおるわけですよ。そういう人たちは、二百ccにかわられたら、数字的には現状の五円値上がりということになるでしょう。そうでしょう。それは百八十ccの人も三円でいいのですか。
  81. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 これは私ども、二百ccの場合には一割一分足すという考え方をいたしておりますが、これは販売段階におきましてある程度端数が出た場合に、それを消費者との間にどういう取引をいたしておりますか、私は存じませんけれども、私たち卸価格におきましては、百八十ccに容量の一・一プラスをした価格で卸をする、こういう打ち合わせができておるわけでございます。
  82. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは瀬尾さんのところの資料なんですよ。これは私の見間違いかもしれませんが、二百ccが三円値上がりするのでしょう。そうすると、百八十ccも三円値上がりするのでしょう。百八十ccは容器がなくなるのでしょう。
  83. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 いや、まだあります。
  84. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 まだあるといっても二、三カ月したらなくなるでしょう。そうすると、百八十ccを買おうと思ったってないわけでしょう。その人たちは二百cc買わなければいかぬでしょう。そうすると、結果的に五円になるじゃないですか。その人たちは三円でいいのですか。あなたの説明を用いておると、百八十cc飲んでおった人は、百八十ccがなくなって二百ccになったら三円でようございますというように聞えるから、もう一ぺん聞くけれどもどうですか。
  85. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 私のほうでは中身の計算をいたしておりますが、末端の販売状況については、私のお返事はちょっと申しかねます。
  86. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃ販売店の代表の方、いま申し上げたメーカーの方は、それは私どもと関係ない、こう言われましたので、あなたのところにバトンが行くのですけれども、おこらぬでひとつ答えていただきたい。  百八十ccがなくなって二百ccだけになったら、当然二百cc分払わなければいかぬでしょう。三円値上がりする。百八十ccで三円値上がりしておるのだから、百八十cc飲んでおる人は五円値上がりだ。簡単にそういう計算になるのでしょう。ならないですか。
  87. 田部清

    田部参考人 いま先生のおっしゃる、百八十ccの場合にどうして五円になるのか、百八十ccは五円になっておりません。百八十というのは従来の価格で売っておりましたので、五円にはならぬのですよ。今度上がるのが初めての三円になるわけです。百八十の場合ですよ。二百の場合には、一割一分の牛乳がよけい入っているから、その分をお願いをした。先生がいま問題にされるのは百八十がもうなくなるのじゃないかということで、百八十をとっている人は二百に切りかえて、三円また上がると五円になるじゃないかというお話になりますので――私ども関西の地区におきましては、百八十ccしかやってない処理業者がずいぶんあるのです。大手三社の場合には、できるだけ二百にかえたいということでいろいろ販売店を指導されましたけれども、大阪で中小プラントが三十カ所ほどございまして、そこは二百ccを一回もやってないわけです。だから、瀬尾さんの、二、三カ月したらなくなるのじゃないかというのは、瀬尾さんはえらいから知らぬのじゃないか。そんなわけにいかないのでありまして、やはり百八十というのは、消費者が希望されたら、おそらくいかに大メーカーといえども、五円の値上げになるようなことをすぐにおやりになるようなばかげた商売はしないだろう、私はさように考えておるわけでございます。
  88. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いまの説明でよくわかりました。中小の方が百八十ccを維持しておるということについては、賛意を表したいと思います。大手のメーカーは、百八十ccが必要な人たちもおるわけですからね、一方的に、これだけしかないのだからこれを飲めというようなことはなさらないように、やはり中小メーカーの考え方にこの際従っていただきたいと思うのです。  それから三番目にお尋ねしたいのは、生産者の言われることはよくわかるのです。飼料代が非常に高くなってきておる。外国からの輸入飼料を使っておられる。そのことは非常によくわかります。ところが、ここでメーカーの方にお尋ねをいたしておきたいのですが、私が調べますと、雪印は雪印の系列の飼料会社を持っておられますね。明治は明治で、ちゃんと持っておられる。森永は森永で、同じ資本系列の飼料会社というものをつくっておられるのです。やはり生産者メーカーがそういうふうに、原乳価格の交渉までするように密接な関係にあるとすれば、生産者飼料代のコストで悩んでおるとすれば、その飼料を安く供給できるような、飼料のコストを下げるような努力というものが、これは株式会社がお互いに違いますけれども、同列資本という形の中でそういったものに対する合理化、そういったものに対する努力、こういったものはメーカー側でお考えになったことがあるのかどうか、その点ひとつ伺いたいと思います。
  89. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 私のほうで、飼料会社を経営しておる会社も、関連会社にございます。北海道にございます。内地にも工場を持っておりますが、これはこれとしてですが、飼料会社は、これは北海道のホクレンでもやっております。北海道では、ホクレンが大部分の飼料を販売しているようでございまするが、飼料会社の間の競争もなかなか激しいようであります。かってに、たくさんの利益を得るために値上げをするなんということは、とうていできないようであります。やはり飼料会社といたしましても、そんなに大きな利益をあげているような値上げはいたしておらないようでありますが、最近、輸入いたします飼料も非常に値上がりしたようでありまして、それに伴っての値上げは、これは皆さんいたしておるようでございます。  それから、さらに、私どもの系列の飼料会社が販売する際に、どうしても他の飼料会社の製品に押されるということで、特別価格で流さしたという処置をとったこともございます。協力はいたしておりますけれども、それだけに、やたらにやって私ども経営に響くようなこともさせられないということで、ほどほどにはやっておりまするけれども皆さんのほうには大きく響くような、あるいは半値で売るとか三分の一で売るような、そういうことはとうていできないということでございます。ほどほどにはいろいろと助力をしておるということでございます。
  90. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その問題については、さらにメーカー側努力をしていただく。国の助成策その他については、また次回、農林その他物特で、政府に対していろいろと議論をしていきたいと思います。  最後になりますけれども、実はおたくの資料で、三大乳業メーカーですね、昭和四十四年度で純益が四十九億一千二百万円。ことしの三月ダイヤモンド社から出された「会社要覧」によると、三社合計でやはり約三十三億から三十四億の純益を実質的にあげておられる。しかも、配当は一割二分の高配当をなさっておるということであれば、これは私たちの希望でありますけれども、この三円の値上げ配分のうちに、二百ccで七十五銭のメーカー手取りというものがあるわけですね。この七十五銭というものをメーカーがなぜ必要とするのかということについて、おたくからいただいた資料、これをちょっと――きょういただいて、目を通しただけでわかりませんけれども、それを見ただけでも、七十五銭という根拠は非常に薄いんですね、これは四十四年の資料ですけれども。実際に四十五年の資料を見ましても、依然として赤字になるという状況はない。現実に三十三億から三十四億の、これは純利益ですからね。それで一割二分の高配当をやっている。こういう資料が出なければ私はわからなかったのですけれども、これをたまたま出していただきましたので、見させていただいたのですが、だとするならば、この七十五銭というのは、どうも消費者としても、あるいは国民としても理解ができない数字じゃないかという気がするのですが、これがほんとうに必要だということについて、簡単にちょっと説明をしていただきたい。
  91. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 ここに出ております利益率は三社の合計でありまするけれども、私どもでは、資本金は七十五億でございます。これに対して一割二分の配当が九億かかります。これを差し引きますると、六億が残るだけでございます。これで法定の積み立て金その他、会社を健全経営するための積み立てその他もやらなければならぬ、こういうことになります。そういたしますると、余裕というものは幾らも残らないわけでありまして、先ほど武部先生でしたか、数字が出ましたけれども、七十五銭を各社で取り扱っている数字にかけますと、非常な大きな金額になるわけでありまして、これはとうてい吸収はできかねるということを、最初のごあいさつのときにも申し上げておるわけでございますが、これは計算上すぐわかることでございます。  それで、私どもは多角経営をやっておりまして、他のほうの事業から飲用牛乳関係の事業に相当の利益を流して、ようやくつじつまを合わせざるを得ない状況になっておるということで、その結果でこれだけになっておるということであります。つまり、先ほども申し上げましたが、百円の商いをしてたった一円そこそこの利益をいただいておる。実は四十五年度の勘定がきょうの取締役会で出たのでありますけれども、今年の売り上げは、私のほうでも約百六十億の売り上げを増加いたしております。昨年は千三百億何がしでありましたが、ことしは千五百億ちょっとオーバーしております。ところが利益は下がっております。昨年は一・三%ほどありましたのが、今年は一・一%の利益が残った。つまり、ほんとうに百円商いして一円十銭の利益が残った、こういう割合になります。そのような割合で、七十五銭をそれから天引きしてしまうということは、決算上におきましてもとうていできないということになるわけであります。
  92. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 よくわかりました。ただ、四円どうしても値上げせぬとだめだというメーカー側の主張が、小売り店の皆さん方の猛反撃を食って、三円ということに落ちつきましたね。それでは、また猛反撃があって、二円ということに落ちつく。そうすると、具体的に根拠があれば、そう簡単に、これはもうこれでようございます。――いま言われたようなかっこうであるとするならば、これはもう四円でどうしてもやる、こういうふうになるので、そこにやはり余裕があるから、三円になったり二円になったりすることが可能だと思う。だから、私はここであなたと議論しようとは思いませんが、まだ資料もいろいろおありでしょうから――いま表面的に出た資料を表面的にお話ししたので、まだ具体的にいろいろあるでしょうけれども、いずれにしても、できれば五月一日から実施するという方向が出されておるのですが、もう一ぺんそういったことを再検討していただいて、計数の整理をしていただいて、こういうことだから値上げをいたしますということを、具体的にメーカー側生産者側、あるいは販売店側皆さん方が数字をあげて、やはり国民を納得させるようにしていただきたい。私は、それがやはり親切なやり方だと思う。するかしないかは、メーカー側皆さんの自主的な判断ですから。これは要望ですから、ひとつそういう方向で御努力をいただきたいと思う。   〔瀬尾参考人「ちょっと御返事しておきたい    と存じます」と呼ぶ〕
  93. 小林進

    小林委員長 私語を禁じます。発言を求めてください。
  94. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 四円と主張していたのを三円に下げたくらいじゃないか、まだ余裕がないかというお話でございますが、四円と申し上げたときは、あの時点で私どもの会社では、二円五十銭の卸価格、こういうふうに販売店の方と交渉しておりました。ところが、その内容としましては、私どもは、ことしは経費として一円ちょうだいしたい。そこで、その二円五十銭の根拠は、生産者の方が、一円五十銭以下は絶対引けないという御要望がありまして、合わせて二円五十銭を販売店の方に認めていただきたいと思いまして、交渉しておったわけです。そこで、私のほうで一円、販売店で一円となりますと、それでは少ないという話で、販売店が一円五十銭になりますと四円になる、こういうことになります。その際に、先ほど田部さんもおっしゃいましたが、前の農薬の信用もまだ回復していない際だから、この際はひとつ値上げをできるだけ締めようじゃないか。何となく、百八十ccで三円というのを二百ccで三円にとどめようじゃないかというごりっぱな意見が通りまして、生産者の方も御理解し、私どももそれに従いまして、結局卸価格を二円にしぼった。そして片一方には一円二十五銭、私のほうは七十五銭と、お互いに二十五銭ずつ収入減になった形で妥協した、話し合いがついた、こういう経過を経たわけでございますので、余裕があって下げたのでなく、ほんとうを申しますと、泣き泣き下げて、今年はこのくらいでがまんしよう、また認めていただくこともあろうかと、こういうことでございます。
  95. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 泣き泣き認めたことはわかりましたが、問題は、やはり国民を納得させる。やはり牛乳というのは、国民の健康に直接的関係がありますし、これから消費量が伸びるのです。先進諸国に比べて、牛乳の消費量というのはわが国は少ないわけですから、まだまだ伸びるということを前提にするなら、やはり国民の了解なしに、メーカーサイドだけでものごとを判断するということは、私は誤ると思うのですね。これは意見ですけれども、先ほど申し上げましたように、値上げをするそのことについて再度御検討いただくということと、もし値上げをされる場合には、もっと詳細に国民に知らしめていただきたいということなんです。  それから、先ほど武部委員の質問で、加工乳の値上げを考えておられる、こういうふうに言われましたですね。バター、チーズ……。(瀬尾参考人「乳製品でございます」と呼ぶ)
  96. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 乳製品の値上げをすると言われたのですね。
  97. 小林進

    小林委員長 私語を禁じます。発言を求めてやってください。
  98. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 失礼しました。  乳製品の値上げをする、こういうふうに言われましたですね。そうすると、実際に乳製品の値上げを予定するのはいつごろからでございますか。そして、上げ幅はどのくらいですか。
  99. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 これは当局とも御相談しようと思っております。十分に内容を検討していただく段階に入りたいと思っております。まだ、幾らを認めていただくか、幾らを発表するかということは考えておりません。ただ非常に――事実、九年間値を上げておりません。これは日本銀行の統計でも農林省の統計でも、はっきり出ております。バターの二百二十五グラムは末端は百八十円、それ以下に安く売られておりますけれども、私のほうの考えではそういうことで、デパートでは百八十円で売られております。これを九年間続けておるが、合理化を進めたために、わずかではありまするけれども値上がりをしていながら、今日では、原材料の関係でどうしても認めていただかなければならぬ段階にきたということを御披瀝申し上げたのでございます。
  100. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、私は公取のほうにお願いをしておくのですが、昭和四十四年二月にバターの価格に関する調査を行なっておりますね。バターに関する調査を行なって、これはマル秘で、部外に一切発表しないということで押えられた内容のものなんですが、この問題についても、今後この委員会でやはり議論せざるを得ない状況が出てきておると思うのです。ですから、そういった面についてもこの際公正取引委員会に申し上げておいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  101. 小林進

    小林委員長 渡部通子君。
  102. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 参考人の方には、たいへん時間が長時間にわたりまして恐縮に思います。先ほど委員方々からいろいろ質問も出ましたので、私もダブらない程度で何点かお伺いをいたしたいと思います。  いま松浦議員の発言にもございましたですけれどもメーカーの苦しい経営内容ということもわからないわけではないのですけれども、やはり私も、いただいたこの資料を見た範囲におきましては、牛乳自体が赤字が累積していらっしゃるというお話でございますけれども乳業会社全体としてはたいへんな利益をあげていらっしゃる。先ほど消費者側の勝部さんのお話でも、かなりメーカー利益をあげている、ここで吸収できないはずはないというお話でございました。赤字だとすると、先ほど多角経営で埋めていらっしゃるということでございましたけれども、アイスクリームあたりでもうけていらっしゃるのかなというふうに考えざるを得ないわけでございまして、私は、牛乳というものはやはりもっとたくさん飲みたいし、少なくともこれから夏になってまいりますと、一〇〇%色づきのような果汁分の少ないジュースなどを子供が飲むよりは、多少BHCの心配がございましても、やはり牛乳をたくさん飲んでもらいたいというのが私ども親の願いでございまして、そういう意味で白いなま乳、白い牛乳をたくさん飲ませたいという、これは参考人方々も私どもも同じ意見、その共通地盤に立って私、申し上げたいのですけれども、そうすると、牛乳は非常に利益が少ない。アイスクリームあたりはうんと利益がある。どうしても店頭アイスクリームを売りたがるという、そういう状況になると思うのですね。今度アイスクリームの利益牛乳赤字を埋めていらっしゃるのか、この辺が、消費者側に牛乳を飲ませたいというメーカー側の御意図がほんとうに通っているかどうかということが、私は非常に疑問に思うわけです。会社全体が黒字である、牛乳赤字である、こうおっしゃる具体的な資料――私ここで伺いたかったのですが、たいへんに時間が詰まっておりますので、今後資料としてお出しいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  103. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 これは多角経営のどの事業から埋めているかということは、私はここでは申し上げられないのであります。それはなぜかと申しますると、いろいろな事業をやっておりまして、その何の商品から、あるいは何の事業からもうけているかといいますと、そんなによそのものまで補助するような企業なら、その事業の製品をもっと安くせよとかいろいろなことをいわれます。そうでなくても、いま利益をあげておる企業で、いろいろと他から競争が激しくなってきている、外資も入った事業もある、こういう段階があります。経営上そういうことを明らかにできないということでありまするが、私は、この前の三月の末の審議会のときに、農林省の方に、市乳事業等につきましては、農林省のお役人さんになら公開いたしますと申し上げております。どうぞごらんくださいと申し上げております。ですから、その点は、この前公取の方がお見えになったときも、全部お見せいたしております。そして、いかに原料乳が上がっても上げてないのはこういうわけでございますという数字を、明らかにお見せいたしております。そういう点での御理解を得たい、こういうふうに考えて、先ほども申したわけでありまするので、一般に公開いたしますと、何の事業から埋めたということになると、またそれに対する攻撃が、消費者方々から必ず出るわけでございます。これは私どもとしては、それがなかったら、市乳というものはほんとうに事業をやめなければならぬことになります。会社の中では非常な大きな事業になっております。三分の一以上の仕事になっております。その中でまるまる赤字を補っているのに、その補っている事業にまた変なことになりますと――赤字解消した上でなら、そちらのほうを値下げするなり何なり、またできますけれども、これは会社の経営が成り立たなくなりますので、非常に危険度も増しますわけでございます。御理解をいただくためにならお役所の方に公開はいたしますと、私は申し上げているくらいでございます。したがいまして、ここで何の品物から――ただいまアイスクリームとおっしゃいましたが、何の品物からこうして埋めておるということは申し上げられないし、どれだけの金額ということも申し上げられません。私は局長さんに、はっきりそう申し上げております。
  104. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 それはそれでけっこうです。  先ほど合理化の話が出まして、容器の大型化、それからワンウエー化、隔日配達等によって、今後値上げをなるべくしないようにしたいというお話でございましたが、ワンウエー化あたりは、一体進んでいるのかどうかということは非常に疑問でございまして、やはりごみ処理の問題等がからんでおりますし、そういう意味で、むしろびんのほうに逆戻りをしているのではないか。したがって、先ほどおっしゃいましたワンウエー化等によって今後の値上げを食いとめるということは、一体この合理化は具体的にいつごろをめどに実施できるのか。そういう自信がおありなのかどうか。これに対して消費者協力を得たいという先ほどのお話もございましたけれども、その点で自信がおありかどうか。
  105. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 先ほども申し上げましたが、現在使っている機械で、現在の紙容器を使っておりましては、合理化のめどというものはなかなか見通しがつかないと私は申し上げております。事実なんでございます。そこで、それにかわるものということで、国内で生産される紙にかわるほかのものでもいろいろ検討いたしました。いろいろな材料がございます。ところが、これでだいぶ合理化ができるのでありまするけれども、公害問題で条件をつけられております。それで、ほかの商品には使われておるものでありますけれども牛乳だけには、公害をさらに増すから使っていけないというおしかりを受けて、許可にならない、こういう段階でございます。公害を防ぐような方法ができたら使ってもいいけれども、それを確認されない限りにおいては使わせない。また、牛乳関係の仕事で使っている方はあるのですけれども、それは先に許可をとってやっている。これも何かお約束はしているそうでございまするけれども、私たち、まだその容器を使う場合の公害対策のめどがつきません。そこで使えないでおるというのが事実でございます。もしそういうことになりますと、あるいは国内で紙容器のいい機械ができてコストダウンができるというならば、さっそく私は取り上げたい。しかし、いまのものをキャンセルしてスクラップにして、非常な大きな損を出してまで使うということにはちょっと疑問がありまするけれども、できるだけ機会をつかんで機械をかえて、国産のコストダウンのできるものにかえたいとは考えております。
  106. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 ワンウエー化合理化ということはほとんど見通しがなし、そういう実情だと思うわけです。要するに今度は、配達段階における合理化ということになってくると思うわけでございます。確かにこれが、小売りの段階でもう少しできるかどうかということを田部さんにお伺いしたいのですけれども、非常に労働力不足をしている。牛乳配達などというのは朝になっておりますが、朝四時ごろから配達員を雇うということは、非常にたいへんではないか。こういった点で、もう少し夕方配達にしてもよかろうし、二日分まとめてくださっても一向にかまわないでしょうし、夕方配達にすれば、夕方のアルバイトならやろうという学生さんもいるのではないかと思うわけです。それから一本配達しても五本配達しても、全然手間賃が同じでございますが、五本取っている家が、一本取っている家と同じ配達費用というものを負担しているという、まあこまかく言えば切りがないと思うのですけれども、そういった点の配達の合理化というものが、現実問題としてできるのかどうか。その辺で多少なりとも経費が浮くのかどうか。先ほど瀬尾さんが、容器の拡大化とワンウエー化と隔日配達、こういったことによって将来値上げを防ぎたいとおっしゃった。それが私たちにとって唯一の希望ですよ。また来年も上がるのじゃないか、再来年も上がるのじゃないかということを思っているわけですから。瀬尾さんがおっしゃった三つの問題、ワンウェー化は少なくともだめだ。そうなれば、配達段階における合理化が一体できるのかどうか、これを伺いたいのです。
  107. 田部清

    田部参考人 いまの御質問に対して、私は、配達の経費が節減できるならば安くなっていくという考え方を持っております。瀬尾社長は、紙容器の紙代が高いからこいつはうまくいかないのだという、一応お考えのようでございます。私もそのとおりと思います。パルプ代が高くなりますと紙代が高くなって、乳業会社が買うのが高くなる、これはもう当然であります。ただ、私ども先生方お願いをしたいのは、私らだけの牛乳だけが上がらずに、ほかのものは何ぼでも上がるのをどうにもならぬというのは、これはどういうことなんだろうか。私の家内がよく申します。私のところは長年牛乳屋だけれども牛乳ばかりを飲んでいるのじゃないのだ。いろいろなものを市場に行って買ってきて、従業員の給食もしているのですよ。あなたはたよりない。どうして牛乳値上げで文句ばかり聞くのだ。家の得意先は、あなたが牛乳を上げているように思っているがどうなっているのだと、こう言うのですよ。たとえば私鉄にしたってそうでしょう。先生らが反対をされたか賛成されたか、私は知りませんよ。しかし、上がったのは事実だ。ガソリンも上がりますよ。自動車も上がります。何でも上がってくるときに、おまえらだけは合理化し、何ぼでも下げなさいというようなことは、現実には通らないわけです。お互いにいわゆる従業員を何人か使っていて、従業員の労賃が上がればそれだけ、牛乳販売店の主要なる経費がいわゆる人件費であるなら、これを上げざるを得ない。それをどうかして合理化して吸収できるようにしたいということについて、乳業会社にもお願いをし、先生方お願いをして、できるだけ合理化できる方法を幾つか出すから、どうかその点について政府協力をしてほしいし、先生方政府に言っていただいて、一回地区だけでやってくれたらどうか、あいつはやりたいと言っているのだ――私は何がしか理想主義者でございまして、現実の問題とどこでかみ合わすかということについて非常に苦労はいたしますけれども瀬尾先生がおっしゃるようなことは、瀬尾さんの今日の経営方針だけをおっしゃっておるので、たとえそんな話があっても、私どもはどうしても合理化をしなければいかぬとするならば、瀬尾さんの考え方を改めてもらうようにお願いをしたい、かように思っております。  今度値上げをいたすにつきまして、どこかの地区で、びんのままで合理化をさしてもらっているところがあるのですよ。というのは隔日配達ですよ。今度は、いわゆるメーカーさんに払う分で、それを消費者の方が御協力をいただいておるのだから、販売店取り分は取らずにやっていきたいという発言がございます。これだけをお考えいただきましても、消費者の御協力があり、乳業会社がじゃまをしないように、経済企画庁もそれに協力をしてやろうという姿勢があるなら、そういう地区もできておるということを皆さんに御報告申し上げて、そうして、やり方によってやれるのだ。隔日配達に御協力をいただくなら、一本のところは二本置いてこれる。そうすると、先生らのおっしゃるのは、五本分置いても一戸は一戸じゃないか。ところが、従業員はそうは申しません。長い間の習慣で、一つが何ぼ、二つ置いたら何ぼでなしに、容量が大きくなっても一戸は一戸だ、おまえ配れと言っても、なかなかそういうわけにいきませんので、その点については、一・五の配達賃をやるからこうしたらどうか、その分だけを消費者に還元できるようにしたいということで、先ほどから何回か申し上げましたように、協業化をやろうとしてはつぶれ、また、現実にはどうしてもやらなければいかぬというので、あちらこちらで一生懸命にやっておるのが現状でございます。  ただ、そういう考え方で先生らに特にお願いをしたいのは、こういう考え方で私どもはおりますので、できることなら、先ほどから申し上げまするような、特定の地区にそういうような合理化をするんなら、これだけのことは経済企画庁はめんどうを見てやれと言うていただければ、喜んで私どもは各地でモデルケースをつくって、そして牛乳屋もつぶれないように、消費者にもメリットが還元できるようにする、そうさしてくれ、これが私どもお願いでございます。  なお、ついでに私、厚生省にお願いをするのでございますが、なぜ突然びっくりしたように、ワンウエー容器を進めなさいと言ってきたことが、公害の名において一発にやめておしまいになるのか。この間テレビを見ておりますと、大阪地区の処理業者に何件かは許可するというのが、NHKのテレビで出ております。その後許可にならないのはどういうのだ。大臣が言い違えたからそれを守らなければいかぬという考え方なのか。その容器を焼却すると言っているじゃないですか。しかも、その中小のメーカーが四千万、五千万の金を入れて、そのままほこりをかぶっている状態を、今日まで指導された厚生省はどんな考えを持っているか、そんな指導のしかたでいいのかどうか、私はそれを聞きたい。大臣がつまらぬことを国会で言うたばっかりに、大臣がやめるまでは待たすのか。そういう態勢が整うたら、大臣がやめなくてもやればいいじゃないか。それぐらいの責任を持たぬなら弁償してやれ。東京へ来るたびごとに、皆さんのところへ、何も恩も義理もないのに、機織りバッタみたいに頭を下げて、何とかしてくれと言うと、調子に乗って許可しないのか、ぼくはそう思う。済まぬけれども田部さん言ってくれ……
  108. 小林進

    小林委員長 参考人に申し上げますが、きょうはあなたに、厚生省に対する御質問をお伺いしているのではございません。委員の質問にお答えください。
  109. 田部清

    田部参考人 ちょっと先生に申し上げますが、牛乳を……ちょっと待ってちょうだいよ、えろう済みませんけれども
  110. 小林進

    小林委員長 それは委員長に発言を求めて言ってください。あなたがかってに発言してはいけません。
  111. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 私の質問に対するお答えは冒頭にございましたので、それで十分でございますが、いま牛乳値上げだけを責めているということについては、これは間違いでございまして、この委員会ではあらゆる値上げを取り上げておりまして、この次も新聞値上げ等を取り上げることになっておりますけれども、とにかく私ども若干なりとも、消費者皆さんの側に立っていまの値上がりムードというものを、一つでもいいから、一個の商品でもいいから引き下げていきたい、こういう気持ちで、この委員会としては、委員長をはじめとして進んでおりますので、その点、あまりひがまないようにお願いをしたいと思うのです。  それでBHC問題、先ほど武部委員からございましたので、私、一点だけ追加をさせていただきたいのですが、BHCに対する消費者不信をなぜ除かないかという、先ほど御発言がございました。私もこれは大いに賛成でございまして、これは先ほどお話がございましたけれども、大体厚生省のBHCの許容基準というものが、いままでの常識で〇・一PPMなんです。ことしの予算委員会の大臣の発言は〇・〇五PPMなんです。ですから厚生省が、多く見積もっても大体〇・一、少なく見積もれば〇・〇五PPMぐらいに基準量を置くであろうということは、これは国じゅうの常識になっておるわけです。先ほど数はおっしゃらなかったけれども。そうしてみますと、大体西日本牛乳なんというのは全然だめなんですよ、基準量からいってみると。ですから、厚生省がこの許容基準をどう出すかということを、非常に三者とも御心配をしていらっしゃると思うわけですし、それよりも世の中の、いままで牛乳を飲んでいた私たちのほうがよほど注目をしているわけです。ですから、もし許容基準をほんとうにお出しになるのならば、それに対して消費者を納得させるだけの――先ほど安全宣言というお話をなさいましたけれども、この程度ならだいじょうぶでしょうというような、厚生省としてのそれに対する対応策がおありなのかどうか。それなしに許容基準だけを発表なさるということは、これは全く国民いじめじゃないかという気がいたします。  その一点伺いたいのと、それからBHC問題では、メーカー側さんでも、チーズやマーガリンなどはよくテレビ広告などもなすっていらっしゃるのですけれども牛乳についての広告というものは、私たちは見たことないわけです。牛乳を飲ませたい、こういうお考えでいらっしゃるのならば、BHC問題等も含めて、もう少し牛乳自体を国民に飲ませるようなPRというものを、ほかの商品と比べて、もっとおやりになったらどうか、私はこれを非常に疑問に思います。  BHC問題について、この二点を厚生省とメーカーさんにお願いいたします。
  112. 神林三男

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  厚生省の公式の見解といたしましては、昨年四月に開かれました食品衛生調査会でも、残留農薬部会と乳肉水産食品部会の一応の御意見といたしましては、長崎の一・二八PPMをとった。これが全国の平均で一番高かったわけでございますが、いま直ちに危険でないという見解が出ておるわけでございまして、現在も一応、いま直ちに危険でないという見解はあるわけでございますが、非常に抽象的な表現でございまして、いま直ちに危険でないということが、逆に消費者皆さまには、一体どうなんだろうという非常に疑問の点もございますから、それに対しまして、私たちは一応学問的に、純科学的に、動物実験というものを通しましてこれを調べまして、その結果につきまして、これは学問でございますから、私たちは一応それに従っていきたいというふうに考えておるわけでございます。先ほども申し上げましたとおり、これにつきましては、現在国立衛生試験所で一応調査中でございます。
  113. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 牛乳の消費運動にさっぱり活動していないというお話でございましたが、やらないわけではないのでございますけれども、目立たないかも存じません。これも赤字が重なっているために、それの上にまたさらに費用をかけられないというのが実情でございますが、ただし乳業協議会でやっておりまする共同での宣伝には負担の金額を出して、それぞれの活動はいたしております。全然やってないということではございません。やはり利益のないものになりますると、売れれば売れるほど赤字が重なっていく、実際の話がそうなります。売りたくないのではありませんけれども、そういう安全の宣伝とかなんとか、そういうことに対しては、事実宣伝をいたしてはおります。それからさらに、BHC問題のあるときに、あつかましく宣伝広告するわけにもいかないということも、一つ原因になってはおります。それも事実でございます。
  114. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 厚生省の御回答はたいへん不満足ですけれども、それ以上は現在申せないのだろうと思います。ですから、それは今度安全許容量が出た段階において、またいろいろと議論をしたいと思います。  いま瀬尾さんのほうからはからずも、あまりもうからないもの、売れれば売れるほど赤字が出るという本音を伺ったような気がするわけで、私、この辺はとても残念に思います。ですから、これこそ多角経営の他の部分からの移動を考えても、牛乳というものは、BHCの現在のおりからとおっしゃるけれども、それでも私は、やはり一〇〇%色づきジュースよりはいいと思っているのです。もっと飲んでもいいと思っているわけなんです。そういう意味では、製造元さんでいらっしゃるわけですから、もう少しじょうずにPRをしていただきたいし、喜んで国民が飲めるようにしていただきたい。やはり店頭などを見ておりましても、どうしても牛乳というよりはジュースを飲んでしまうというのが現在の実情ではないか。私は、この大消費運動というものは、私たち協力しなければなりませんけれども、そういうムードをどうメーカーさんがつくっていくかということが一番大事ではないかと思うわけで、その点は、たいへん矛盾したことでございますけれども、お骨折りを願いたいと思うのです。  それからもう一点、ちょっとお伺いをいたします。  西原参考人のほうに伺いたいのですが、先ほどのお話の中で、今後の値上げは困るということに対する対応策をお話しいただきまして、それは私たちの最高の疑問点を突いたことで、私も非常にありがたいのですけれども、多頭化をしなければならないというお話がありました。加工乳地帯なら別ですけれども、いまの市乳地帯においての多頭化ということは、とても考えられないと思うわけですね。どう見ても、この辺にそんな土地はありませんし、また工場の進出等によって公害問題等もありますから、そういった中で、一体西原参考人がおっしゃったような多頭化ということが期待できるのかどうか。加工乳地帯ならば多頭化できると思うのですけれども、大消費地への輸送は一体可能なのかどうか。そういった点で、先ほどおっしゃった今後の対応策に実行の見通しはおありなのかどうかです。
  115. 西原高一

    西原参考人 都市近郊の酪農家が多頭化をし、生産合理化ができるかどうかという御質問だと思いますが、都市近郊の酪農家は、確かに土地そのものが非常に狭い関係もございまして、多頭化には限度がございます。私たちお願いを申し上げておりますのは、要するに畜産団地等を公害の心配のないところに造成をいたしまして、そういうところに集団移転をするというような方法を、私たちみずからもとっておりますが、これはやはり個人の力には限度がございますので、国のほうでもひとつお力添えをいただきたい、また公共団体にもお力添えをいただきたいというふうに思っております。  もう一点は、都市近郊の酪農で、現にかす酪農と申しまして、いろいろな残滓が都市近郊でたくさん出るわけでございますが、そういうものについては比較的安く入手をできるということもございますので、数に限りはございますけれども、ある程度の多頭化ができる。それは数に限りがあると申しますのは、どこの酪農家もそういうことができるということではございませんが、ある程度の多頭化は可能であるというふうに見ておるわけでございます。
  116. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 もう一点、最後に。  先ほど福祉牛乳ということをおっしゃいましたね。これは私はたいへんいいことだと思うわけです。学校給食に加えて、乳児とかとおっしゃいましたけれども、妊産婦等にぜひ無料で福祉牛乳というようなものが与えられれば、これはたいへんいいことだと思いますが、これに対しては、厚生省の御見解はいかがでしょうか。
  117. 神林三男

    ○神林説明員 私、ちょっとその趣旨がわかりませんですけれども……。
  118. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 先ほど西原参考人のほうから、学校給食に加えて、消費の促進のために福祉牛乳ということが考えられるというお話があったわけなんです。乳児等に牛乳が安くとか、あるいは無償でとか分け与えられるようになればいいというお話がありました。妊産婦等にもあわせて実施している自治体も現にございますけれども、そういったことが、消費運動として国家的に大いに振興されるということは、ありがたいことだと思うのですけれども、厚生省に御見解がおありでしょうか。
  119. 神林三男

    ○神林説明員 その問題につきましては私の所管外でございまして、私、純然たる衛生問題の担当の局の者でございまして、一応児童局のほうの問題になると思いますが、帰りまして、よく児童局のほうに私のほうから連絡をいたしましてから、御返事したいと思います。
  120. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 以上、終わります。
  121. 小林進

  122. 栗山礼行

    栗山委員 参考人の方がたいへん長時間に及んでおりますが、私が最終の質問者でございますので、しばらくひとつお許しをいただきたいと思います。  農林省の増田畜産局長がお見えになっていらっしゃいますか。――ちょっとお伺いを申し上げてまいります。  先ほど、参考人全国牛乳商業組合連合会会長の田部参考人から、協業化問題その他容器問題等について、メーカーにもお願いを申し上げ、あるいは農林省の畜産局にもいろいろお願いを申し上げておる、こういうお話でございました。これは若干通産省のほうにも関係をいたすと思うのでありますけれども、あなたのほうは、どのような陳情と要請をお受けになって、それをどう受けとめて、どう処置をいたしてまいったか。私の聞くところによりますと、増田さんより以前の局長の時代から、かなり久しきにわたって同一の陳情なり要請を申し上げておる、こういうふうに私承っておるのでありますが、増田畜産局長から、いま申し上げましたような、どのような内容で、それをどう受けとめてどう処理したか、こういうことについてまずお伺いを申し上げたいと思います。
  123. 増田久

    ○増田(久)政府委員 先ほど田部参考人からも、このお話がございました。先生御質問のとおり、前回の値上げの際に特に紙容器の負担の問題につきまして、いろいろメーカーさんと小売りとの間に問題があったのは事実でございます。私どもといたしまして、それを幾らどうのと、こういうことをこまかく言うわけにもなかなかまいらないと思いますけれども、今度も、もし値上げがされるというようなことであるならば、この際にこの問題を解決してほしいということは、関係者の方に強くお願いをしておるところでございまして、先ほど田部参考人からお答えがございましたとおり、現在メーカーさんとの間で、この問題について話し合いを進めている段階でございます。
  124. 栗山礼行

    栗山委員 結論的に言うとどうなんでしょうか。  第一点は、適切な行政指導という形においてアドバイスをして、関係者間における話し合いを進めるという形をとってまいっておるのであるかどうか。いまお伺いいたしますと、いろいろお願いをいたしておるけれども一向らちがあかないんだ、こういうようなお話がございました。その点を明確にしていただきたい。
  125. 増田久

    ○増田(久)政府委員 確かに紙容器の問題については、それ自体非常にむずかしい問題が率直に言ってあると思うわけでございます。と申しますのは、その紙容器だけの取引価格でありますと、そこのところに幾らの負担だという話がいろいろ出てくる問題だと思うわけでございますが、御承知のとおりメーカーと小売りの間では、いろいろの商品について取引がございます。そういたしますと、商売でございますから、こっちで損をしてもこっちで得をするというようなかけ引き、といっては何でございますが、いろいろなそこに取引が現実問題としてある。そういう中で総合的に解決されなければならない問題だろうと私は考えるわけでございます。そういう意味で、私どもから、全体の取引の中でこの問題、いままでのような対立関係ではなく、お互いに、それは満足とまではいかないまでも、この問題をできるだけ前向きで解決し、そこにある了解点に達するということにぜひこの際してほしいということを、強くお願いしておるわけでございまして、現在、田部さんのほうなりメーカーさんの間でそういう問題がいろいろと進められておるということを、先ほど申し上げたわけでございます。
  126. 栗山礼行

    栗山委員 たいへんくどいようなんですが、その行政分野において、これは限界があると思うのです。業者間の契約によって行なわれる、こういうたてまえの原則がございますから、私よく存じておるのだが、しかし、そのワク内において関係の契約行為のコンセンサスを十分行なってまいるということが、乳価に直接及ぼす問題だということを考えますと、結論を伺いますが、両者の完全なる合意に達するという見通しを、いまあなたはお持ちであるかどうか。
  127. 増田久

    ○増田(久)政府委員 ただいま鋭意折衝中であるというふうに聞いておりますので、ごく近い将来、これは了解点に達するものと私は期待をしておるわけでございます。
  128. 栗山礼行

    栗山委員 経企のほうから山下国民生活局参事官がお見えになっていらっしゃると思うのですが、経企のほうはこの問題について、何か商業組合のほうから御要請がございましたか。先ほど、経済企画庁はだめだと。私も、経済企画庁は、物価問題を所掌する経済企画庁が一体何をしているのだという感を持ち、佐藤さんにもそういう激励もし、苦言も呈しておるのであるけれども、私の伺ったところによると、いみじくも参考人のほうから、経済企画庁のほうにもお願い申し上げた、こういう話が出たわけであります。この問題について陳情及び要請をお受けになったかどうか、また、受けてそれにどう対処せられたか、お伺いいたします。
  129. 山下一郎

    ○山下説明員 私の承知しております限りでは、先ほど田部参考人のお話の、ある地区について合理化カルテルをつくることについて企画庁にもお話になったけれども、ということをおっしゃっておりましたけれども、その件につきましては、企画庁で何らかの話を伺ったということを私、現在承知をいたしておりません。  それから、田部さんのおっしゃいます合理化カルテルというのがどのようなものであるかわからないのでございますけれども合理化カルテルについてのお話でございますと、経済企画庁でなくて公正取引委員会のほうでございますので、その辺いかがかというふうに思います。
  130. 栗山礼行

    栗山委員 公取お見えになっておりますね。いまのようなお話の問題でございますが、この問題は、公取としての、どうお受けになって、それからその見解、それから今後どう進めていくべきか、こういう点をひとつ明瞭にお答えをいただきたい。
  131. 後藤英輔

    ○後藤説明員 先ほど参考人からのお話の中の合理化カルテルという内容につきまして、どのような内容をおさしになって、また、それについて私どものほうとどのようなお話があったのか、実は私存じておりませんので、その後のお話を伺っておりますと、ワンウエー容器の採用についての何か業者間での話し合いが実現できるような、そういう道ではなかろうか。それがはたして独禁法の二十四条の四で認められております合理化カルテルに該当するものであるかどうか。これは具体的にお話をよく伺ってみなければわからないと思いますけれども、おそらくいまのようなことが、何か業者間の皆さんのお話し合いによらなければできないことであるとすれば、これは合理化カルテルに乗る性質のものではなかろうかというふうに思っております。
  132. 栗山礼行

    栗山委員 田部参考人にお伺いをいたします。  なかなか鋭い政治感覚で、政府物価政策の貧困、政治の貧困についてお触れになり、私どもも謙虚にお伺いいたしました。野党は野党なりに反省深いものがございましょうし、与党は与党なりにひとつ検討を深めるものがございましょう、政治論といたしましては。行政当局もおそらくそういうことであろうかと思うのであります。きょうは、そういうような政治論を展開する場面でございませんので、いろいろ傾聴をいたしまして伺ったわけでございます。  田部さんにちょっとお伺いいたしますが、あなたの組合では、協業化問題ということについていろいろメーカーにもお願いした。しかし、メーカーはシェア競争のみに重点を置いて、そして、むしろそういう方向づけの問題については聞いてくれなかった。こういうふうに私は受けとめた。まあ間違いであったかもしれないけれどもメーカーにも確かに一貫性がございますから、シェア競争だけにされずして、やはりもう少し大きな視野から、流通機構の方向づけというものについて検討されなくちゃならないのでありますけれども、企業的セクト、こういうような一つの状態の中でいろいろ御見解があったようにも私は思うんですがね。ただしかし、田部さんみたいな政治論を展開される人が――小売りのそういう協業化問題というものについては、実は通産省の中小企業分野に属する問題、しかも中小企業庁の組織下に属する問題であります。特にこれは資金の問題あるいは組織については、手を受けて待っておる。中小企業及びそういう流通機構の分野における近代化というものについては助成措置もあるわけだし、いろんな貧困な施策の中に進められておる問題等もあるのでありますが、田部さんは、中小企業庁にもそういう要請をされ、そしてお運びになったのかどうか。この点ちょっと、あなたの政治のくろうとらしい一つ意見を伺う中で、その問題が一向出てまいらなかったので、御参考までにお伺いいたします。もう要点だけでけっこうです。
  133. 田部清

    田部参考人 ただ現実に、私どもにお金を貸してやろうというお話がございましても、市場が非常に混乱しておりまして、判を押すとお金を返さなければいかぬということで、それに踏み切る勇気が非常に少ないのが一つでございます。  なお、乳業会社に対してこういうことをお願いをしたい。前回の値上げがありまして後に、本席の瀬尾参考人に私お目にかかって、こういう形はどうだろうかというお話をしたところが、社長のお話では、きわめてけっこうなことやというお話をいただいたのでございますが、下のほうにおりていくとどうにもならぬような状態で、私どもはそれができない。極端に言いますと、協業化をするところのいわゆる業者が何人か集まりまして、そこの選ばれた社長がどこのマークの牛乳を売っているかによって、足を引っ張ったり何ぼか応援したりするということでつぶれていっているわけでございます。
  134. 栗山礼行

    栗山委員 これは各メーカー別、業者間、こういう特質がありますが、しかし、やはり業者としては共通的な基盤と、それから業者の利益と同時に、やはり国民の栄養とそれから健康、こういう一線に立っておるのですから、協業化の問題については皆さん自身の足元を整える、そして誇りある組織と意欲と方向づけをするということがやはり基本だ、これが私は少し見落とされておるのじゃないかというような感じがいたします。討論はいたしません。  それから、メーカーの問題につきましては、メーカー利益になること、共通の利益になることについては、とかくシェア競争も、いいと思っていない、思っていないけれども、やらざるを得ないということで御無理をされておる。こういうところであろうかと思うのであって、ギブ・アンド・テークでありますから、利益に反するということなら別として、ひとつ大きなメリットに属することは、やはりそれは意を通じて賛成を求めるという努力をすべき問題じゃなかろうかと私は思うので、これ以上のことをあなたにアドバイス申し上げるということは、参考人にたいへん失礼だということになると思うけれども、お話を伺っている限りについては、何かどこか見落とされているような問題が存在するのじゃないか、こういうことで、私はもう中小企業論者であり、それの専門でございますから、若干そういう問題に触れてお許しを賜わりたい。  ついでにひとつ瀬尾参考人から。いま申し上げましたように協業化の問題、それから容器問題が出てまいります。まあおそらく畜産局長は、近いうちに、契約行為であり、最大限の助言と行政の方向の分野をわきまえつつ努力をいたしておる、こういうことでございますので、私、たいへん進み過ぎた意見でいかがかと思うのでありますけれども、これは必ず流通機関の人たちメーカーとの間において、良識的合意に達するという立場で折衝され、その見通しを持っていらっしゃるかどうか、この点をお伺い申し上げておきます。要点でけっこうです。
  135. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 実は田部さんの御意見は聞いたばかりで、社内の話をまだ聞いておりませんものですから、私、はっきりしたお返事を申し上げられないで失礼いたした次第でございますが、おことばもございますので、これから社内の統一をはかりたいと存じます。
  136. 栗山礼行

    栗山委員 そこで、あなたは雲の上の人だというようなことばが出たと思うのです。やはり経営管理の最高責任者でありますから、上のほうでわかって末端がわからぬというばかなことはないので、それは経営管理能力のない企業のいうことでありまして、しかもまた、瀬尾参考人までそれを伺っておらぬというようなものが、企業の責任をはたしてどうして持っていけるのか、こういうような意見も私からは生まれてこなくちゃならぬ、こういうことでございますが、以上のようなことを突っ込みませんけれども、企業責任者が企業の内容について存知しておらない、こういうことで、暴走であります。無原則で企業されておるということはない。しかも経営収支の問題や契約化の問題、経営近代化ということについては、とうとうとあなたの識見を伺うのでありますけれども、私の質問についてそういうような分裂症的なお答えをされるというのもいかがなものかと思うのでありまして、三メーカーとの関連もいろいろございます。一つ状況も、私も企業を苦しんだ一人でございますから承知をいたしておりますけれども、やはり謙虚に意見意見として、どう良識と合意を求め得るかということでお運びをいただかなくちゃならないのではないか、かように苦言を呈せざるを得ないのでありますが、これはもう、呈して、御意見があれば伺うし、なければ、私の書生論として、あえてひとつ権威ある雪印の大社長さんに私の意見を申し上げておきたい。
  137. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 私申し上げましたのは、田部さんのきょうお話しになったことに限って申し上げたのでありまして、経営全体については、雪印の経営については責任者でありますので、これはもう詳細知るのがほんとうでございます。実は私、申しわけするのじゃありませんけれども、実は一年半病院に入院しておりまして、つい先月の中ごろから出社したということで、最近留守中のことをいろいろと聞きただしておるわけでありまして、そこまでまだ聞いておりません。これはまことに申しわけない話でありますけれども、一年半留守にしたということで、この事情も御理解していただきたいと思います。きょうは弁解ではございませんけれども……。
  138. 栗山礼行

    栗山委員 まあ最近年寄りは非常に大事にしなくちゃならぬということで、その時代に入ってきておると思うし、御老体のようだし、お話を伺うと、それはもう御病気であって、会社の管理の運営について不十分な状態であったと。これ以上追及いたしません。しかし問題は、あなたを補佐する副社長か、あるいは関係常務か専務がいらっしゃるはずなんだから、必要度において、重要なところはひとつ御報告申し上げ、あなたが把握されるということが必要なわけでありますけれども、まあそういうことになりますと相当進んだ意見になるので、私はこれ以上申し上げませんが、いま折衝中だということを伺っておりますし、役所の意見もお聞きのとおり。それから、あなたのほうの先兵として一線役割りを進める業者関係も、相当その点を要望されておる、こういうことでございますから、それを謙虚に受けとめて、いまからでもひとつ御検討をお願いするということを、お願いを申し上げておきたい。  容器代の問題が出てまいりまして、私も一言これを言わざるを得ないのであります。百八十ccの問題とか五合びんの問題とか、いろいろ問題がございましょうけれども、聞くところによりますと、容器代について、紙容器について五〇%を負担してくれということは、先ほどからもいろいろ議論がございましたし、質疑がございましたから申し上げませんけれども、ちょっとあり得ないことだと思うのですが、これはっきりしていただきたいのですが、業者間の契約行為の問題の中にもし不合理があれば是正しなくてはならぬということで、業者にメーカーが契約される代金の中にびん代と紙代とアルファして、それが原価計算として業者が負担をさせられておる。こういうふうなことは、私はもうデマでありたいということを望んでおるわけでございますが、もしそうだとすれば、これは二重取りなんであります。もしその事実ありとするなら、二重取りなんです。牛乳が百八十ccでびんへ入れられて、そうして、また、さらに使わないものの紙袋の容器を、それもひとつ原価計算の算定基準の中に入って推し進める。どう考えてもあり得ざることなんでありますが、巷間伝えられ、私どもの耳にも入る、こういうことでございますので、この点は、私は、もう畜産局にもそういう問題等についてお耳に入っておると思う。私どもも直接陳情なり意見を伺っておる、こういうことでございますので、これは畜産局長。それから、やはり田部さんのようなそういう勇者がひとつ大胆に、メーカーに遠慮をされないで――かまうことはないのです。これはもう生産、それからこういう関連が一企業の要素をなしておるということでございますから、おれは雪印の系列なんでにらまれやせぬか、それなら右に行ってもいいし、またほかへ行ったらよろしいのであって、やはり小売り業者が自主性をお持ちになって、言うべきことはやっぱり語るべきだ、こういうふうに思うのであります。たいへんこれは巷間伝えられ、また、私の頭が悪いせいでそういうふうに伺い違いをいたしたのかしりませんけれども、畜産局長はこれをどのようにお聞きになったか。あるいは田部さんの契約単価をおきめになる過程の中で、そういう容器代について、二重容器代ということがメーカーの算定基準になっておる、こういうふうなことが私の間違いかどうか。またひとつ瀬尾参考人につきましては、そういうことが事実あり得るのかどうかということをお伺いいたしたい。
  139. 増田久

    ○増田(久)政府委員 先ほど私、容器の問題をお答え申し上げたわけですが、その中に頭にありましたことは、実は先生のいまの紙容器の問題であるわけでございます。それで、紙容器だけを原価計算を積み上げて取引契約をきめるという、率直に申し上げてそういう性質のものでもないわけでございますので、そこの間にメーカーさんと小売りの間でいろいろと、その問題について現在折衝しているし、また、この問題を早急に解決してくれということを私はお願いをしておる。それが近く解決されるものと私は期待しているということを申し上げたわけでございます。
  140. 田部清

    田部参考人 ワンウエー容器の問題は、紙とプラスチックと二つございまして、プラスチックは、先ほど申しましたように一時ストップをいたしております。あとは紙容器だけでございます。たてまえとしては、われわれがお願いをしておりますのは、紙容器代の半分だけを販売業者が負担するから、あと半分は乳業会社で負担をしてほしいというたてまえをとっておりまして、その点につきまして乳業会社もいろいろと考えておるようでございますので、やがて円満な解決ができるであろう。  先生の御理解いただいておる、びん代が五十八銭とか六銭というのと紙とダブって乳業会社が取っているのじゃないかということが、いろいろと地区の業者から議論が出ております。ただ私どもは、いわゆる容器と中身とを全然別個にして話をしようじゃないかという考え方が一つでございます。乳業会社は、中身と容器もひっくるめたような状態で一応の解決をしたいというお話でございました。
  141. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 私どもの製品の原価計算の構成でありまするが、びん装と紙容器の充てんと、コースがダブるものがございます。それは牛乳を殺菌いたしまして、びんの口元にいくまでとそれから紙の容器の口元にいくまでは、ほとんど同じコースを通ります。そこでぴんと紙が入れかわるわけであります。私どもはその違いを乗せておりますが、紙に入りびんに入ったものが、今度倉庫に入ります。それから流れていくものは、またダブるわけであります。その段階になって、私たちの原価構成を指図しております。ですから、その間でぴんと紙とがダブるということは、牛乳殺菌とか運送とかその他のことで経費が同じようなコースをたどるということで、ダブっておるということではないことだけ御承知おき願いたいと思います。
  142. 栗山礼行

    栗山委員 大体それで、その本旨がわかりました。しかし、なおそこに私の不可解なる問題がございます。びんは再利用できるのです。もちろん集配する、消毒もする、選びんもしなくちゃならぬという問題もございます。それから紙の問題は、一回きりでありますから、再使用できない。しかし価格が非常に違う。先ほどあなたでありましたか、紙容器というものは、諸般の状況から約一割程度しか、大体現時点において利用ができないのだ、こういうふうな問題がございます。おそらく原価計算というものの基準は、一回きりのものと再利用できるものとをミックスされて、それが原価計算というシステム化されているのではないか、こういうふうな疑惑の念を、私もささやかな経営者の一人として、オーソドックスな計算をされておるのじゃないかという感を持つわけであって、しかし、そのことはいろいろ討論になりますから、これを避けてまいりたいと思うのでありますけれども、やはり原価計算というものは、もっと合理性で科学的で、経済サイドで取り組んでまいらなくちゃならぬということは、これは鉄則でございますから、かりそめにもそういうふうなことで流通機構に影響を与え、それが消費者価格にはね返ってくるということはあってならないのだ、こういう私の愚論を持つわけでありまして、これは答弁を要しませんが、私の意見としてこれを強く申し上げてまいりたい、こう考えております。  それから、こういうことをちょっと伺いたいのですが、メーカーの名前は申し上げません。しかし、飲料牛乳というものについては、やっぱり季節的な需給の変化がございます。それから都市の需要度というものが、私は集計持っておりませんけれども、そのシェアが高いのではないか、かように考えるのであります。  これは厚生省のほうで聞かなくちゃならないのだが、一つの規格の基準がありまして、それでそれを適正に検査されているかどうか、そういうチェックの要素があるかどうかというようなことについても、厚生省にお伺いしてみたいと思うのだけれども、時間がありません。これはいずれ別途な形において、おそらく末端行政については、そういうふうな個々のメーカーについてそれだけの基準をきめて、そしてこれが適正なものだというようなことをしていらっしゃらないのでないかというような感じもいたしますが、きょう、これはもう厚生省にお伺いいたしません。  ただ、こういうことがあるんですね。私どもはできるだけ、盛夏にのどを潤すというようなことで、至るところで、たとえば駅へ参りますと、まず飲むのは牛乳だ。そういう着色及び加工牛乳ということでなくて、飲料牛乳を飲んでまいるという一人でありますが、夏の非常に需要の高いときには、全くこれが牛乳だろうか、こういうような疑いを持つのであります。これは別に科学的なものではなくて、もっと科学としてすぐれた、人間の味覚というものについては、私は高度のものだ、こう理解いたしておるのでありますが、まあ三大メーカーがそういうことをされておるとは思わないけれども、しかし現実牛乳を、そういうふうに潤すわれわれとして、よけい売れるときには、一つの規格、基準から脱した非常に水っぽい牛乳を飲まされるということを、私は幾年か経験をいたしておるのです。こういう点について、これはもう感覚です。味覚論であります。だけれども、これは私だけでなくて、夏には牛乳を飲んだらだめだぞと、こういうようなことがいわれる。しかし、ほかのコカ・コーラとかその他あるが、まずわれわれはやっぱり牛乳を飲んでまいるという――年齢的な条件がございまして、一日に六、七本、いまでも飲んでおりますが、夏はほかのものは飲まない。サイダーやコカ・コーラというようなものは飲まなくて、牛乳を飲んでおる、その経験からまいります。  私は都市中心にいろいろ生活をいたしておるものでありますから、もう夏になって最需要期にわたっては、非常に牛乳の味覚が悪い、こんなものが牛乳かと、こういう感を深めるのでありますが、この点について、これは厚生省から、味覚の問題でありますから、どういうような歯どめをされておるか。皆さんも人間でありますから、鋭い味覚を持っていらっしゃると思うのですが、これは一ぺん伺っておかなくちゃならぬ問題だ。  メーカーとしては、三大メーカーに申し上げるのではございませんが、その他の中小の、あるいはローカルメーカーもございますから、私は、どこの牛乳がうまいぞ、大体どこの牛乳は飲んだらいかないぞということを、家内や子供にいろいろアドバイスをいたしておるのであります。そのメーカーの名前は申し上げませんが、極端なるものがあるということを、やはり心しなくちゃならぬ。これはメーカー側の――あるとかないとかいう、三大メーカーにそれを指摘するわけじゃないけれども利用するわれわれが、もう味覚的にそれを感じておる、こういうことでございます。これはぜひその御見解を、業者側の代表として伺ってまいりたい。厚生省はこれについてどのように御見解をお持ちになるかということを伺って、私の質問を終わってまいりたい、かように考えております。
  143. 神林三男

    ○神林説明員 現在、牛乳及び加工乳につきましては、食品衛生法の七条で……(栗山委員「知っている。そんなことはよろしい。」と呼ぶ)それで、  一応乳脂肪三%、無脂乳固形分は八%という規格がございまして、これは都道府県の第一線におられます監視員が、一応きめられた試験法で検査をしております。もちろん、違反があれば、それについて処分をするというふうになっております。もちろん、牛乳は非常に重要な食品でございますから、われわれは今後重点的に検査も続けていきたいというふうに考えております。
  144. 瀬尾俊三

    瀬尾参考人 私たち、しょっちゅう東京都の方の検査も受けております。これはいつおいでになるかわかりません。工場においでになって抜き打ち的に検査されております。いままで一度も指摘されたことございませんので、その点だけ申し上げます。
  145. 栗山礼行

    栗山委員 以上で質問を終わります。
  146. 小林進

    小林委員長 これにて参考人及び政府委員に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。本問題の今後の調査のため、きわめて参考になりました。特に、このたびの値上げに対しては、各委員それぞれ有力な御意見の開陳があり、各分野において、もっともっと合理化や値下げのために努力をすべき余地のあることが明らかになりました。それぞれ参考人においては、生産者メーカー小売り商においてさらに努力を重ね、値上げについては慎重にかまえられるように要望いたします。  ここに委員会を代表して、参考人各位に対し、委員長より厚く御礼を申し上げます。      ――――◇―――――
  147. 小林進

    小林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  きのうの理事会の申し合わせのとおり、物価問題等に関する新聞値上げの件について参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十六分散会