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1971-03-25 第65回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十五日(木曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 砂田 重民君    理事 登坂重次郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 武部  文君 理事 渡部 通子君    理事 和田 耕作君       小坂徳三郎君    正示啓次郎君       粟山 ひで君    戸叶 里子君       松浦 利尚君    栗山 礼行君       谷口善太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君  委員外出席者         参  考  人         (物価安定政策         会議特別部会         長)      松隈 秀雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件(新聞購読料値上げ問  題)      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日は、特に新聞購読料値上げ問題につきまして、物価安定政策会議特別部会長松隈秀雄君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 小林進

  5. 武部文

    武部委員 去る三月二十三日の理事懇談会におきまして、先般、四月一日から新聞購読料が大幅に値上げをされるという社告が出ました問題をめぐって、いろいろ論議をいたしました。その結果、本日の委員会に、新聞購読料値上げ問題について朝日新聞毎日新聞読売新聞三社の出席を求めて、値上げ理由等について説明を求めることに、各党一致いたしたのであります。その後の経過について、委員長説明を求めたいと思います。
  6. 小林進

    小林委員長 委員長より経過の御報告を申し上げます。  二十三日の当物価問題等に関する特別委員会理事会において、本二十五日ないしは二十六日委員会を開催することを予定し、この委員会朝日新聞毎日新聞読売新聞三社の責任者から参考人として御出席をいただき、四月一日から値上げを予定されておる新聞購読料値上げの問題についての内容の御説明を承るように、委員長から三社の出席方を特に要請せよという、こういう理事会申し合わせがございました。  その申し合わせに従いまして、委員長は、委員部の中西君を同道いたしまして、二十三日の正午過ぎから午後二時にかけて、朝日新聞読売新聞毎日新聞の順序で歴訪をいたしまして、それぞれ理事会申し合わせを申し述べて、出席方要請いたしました。  朝日新聞においては中川専務常務取締役安井桂三郎氏、秘書室長太田博夫氏三者に面会をいたしまして、それぞれ理事会要請を申し述べました。これについてはいろいろ話し合いましたが、結論においては、二十五日、六日の委員会には出席いたしかねるというお断りのお話がございました。なお、そのお話を受けて役員室を退去してきます道すがらといいましょうか、その道中において、どうも消費者等値上げの問題についてやりとりをするということは、新聞社として好ましくないし、消費者代表等とやりとりしても、結果的にいい結論が見出されるとも考えられないので、消費者出席がなければ若干考慮の余地があるのではないか、こういう非公式なお話がございました。そこで委員長といたしましては、若干独断のきらいはありましたけれども、これならば、ひとつ消費者代表出席はこれをやめまして、関係新聞三社だけの方々参考人としておいでいただくようにひとつ取り計らう、こういうふうに決心を変更いたしまして、直ちにそれを、朝日新聞秘書室長を通じて申し入れをいたしました。再考していただけないかどうかということを要請しながら、次の読売新聞に参りました。  読売新聞では、高田千代松秘書課長に面接いたしまして、同じく今度は、消費者あるいは第三者立場での学者等出席要請を取りやめにいたしまして、新聞社三社だけの参考人として御出席をいただいて、値上げ問題についての御意見を承りたいという話を申し述べました。読売新聞においても、重役は全部忙しいことでありまするから、なかなか出席は困難と思いまするけれども要請趣旨は伝えて、後刻御返事をいたします、こういうことでございました。  次に毎日新聞に参りまして、毎日新聞では、秘書室長小野富治氏と秘書室次長清水貞夫氏、両氏に面接をいたしまして、同様の申し入れをいたしました。これについても、重役はもろもろの行事があって、目下大阪へ西下中である、連絡もとりづらい、後刻御返事をいたします、こういうことでございましたので、やむを得ず帰ってまいりました、二十三日の二時からの本会議場にやっとすべり込んだという状況でございます。  その御報告を二十四日の本委員会理事会に御報告をいたしまして、理事各位の御意見を承りました。そのときにも理事は、やはり三社には必ずきょうの委員会、それが不可能ならば、二十六日の委員会に御出席要請すべきである。委員長の、消費者代表あるいは第三者代表出席、それを省略して関係新聞社三社だけを参考人として出席していただくというその配慮は、理事会としては了承しよう。ついては、きょう二十五日なり二十六日の委員会には、必ず三社の代表出席をしていただくように、もう一度努力をせよ、という委員会申し合わせを受けました。なお、委員長努力には、特に新聞社関係には造詣の深い、経験の深い青木委員をもアシスタントとしてひとつ御努力をいただくようにという、こういう理事会申し合わせがございました。  その申し合わせに従いまして、きのうまた一日、委員長といたしましては、三社に、きょうの委員会に御出席方を強力に要請をいたしました。なお、青木理事からもたいへん御協力をいただきました。その結果、きのうのうちに三社から回答が寄せられました。  その回答を申し上げますと、読売新聞からは、高田秘書課長を通じて、二十五日には出席いたします。総務局長佐々木芳雄君が出席をいたします。ただし、次の条件が必要であります。一つ、三社すなわち朝日、毎日、読売出席をすること、第二には、三社以外、消費者代表同席者のないこと、この二つの条件がいれられれば、二十五日には総務局長佐々木芳雄君が出席をするという御返事がありました。なお二十九日、これも三社――朝日、毎日、読売が一緒ならば、二十九日の理事懇談会出席をいたします。その二十九日の場合には、販売局長の上子俊秋君が出席をいたします。そのためには二十八日、上子君が出張先から帰京するように手続をいたしますという、こういう回答読売新聞から寄せられました。  朝日新聞は、太田秘書室長を通じて、二十五日は出席できません。理由別紙のとおりである。二十九日の理事懇談会にならば出席いたします。その際には中川専務理事出席をいたします。その別紙理由というのは次のとおりであります。  「朝日新聞では、二十五日常務会、二十六日取締役会、二十七日臨時株主総会大阪で行なわれます。したがって責任ある役員は、この間西下いたします。  購読料問題は、社に取って最高の経営政策の重要問題であります。  この問題について責任ある発言をすることは、代表者がいないので不可能であります。二十五日貴委員会出席することはできませんから、よろしく右事情を御賢察の程お願いします。」  こういう回答委員部に寄せられますとともに夜、朝日新聞政治部長畠山氏が委員長の会館の室へ見えられまして、これと同様な申し入れがございました。なお、二十九日の理事懇談会は、非公式ならば出席をいたします。これは編集局長の御指示を得て、政治部長が特に敬意を寄せに参った次第です、ということでございました。  次は、毎日新聞でございますが、毎日新聞は、小野秘書室長を通じまして、二十五日は出席できません。理由別紙であります。二十九日、理事懇談会ならば出席できると思います。出席者は後ほど協議いたします。こういうことでございまして、その別紙にいう理由は、  「二十五日開かれる衆議院物価問題等に関する特別委員会弊社代表出席するようにと要望されましたが、毎日新聞社は、大阪本社で、二十四日常務会、二十五日取締役会、二十六日生産協議会を開き、次いで二十七日には、選抜高校野球大会開会式甲子園球場で挙行します。  この間、責任者は、東京から離れておりますので、直ちに御要請にはお応えできない事情にあります。この点、御賢察の上御了承下さるようお願いいたします。」  こういう回答が寄せられたわけでございます。  したがいまして、本朝の理事会にはこの三社の回答を持ち寄りまして、理事皆さま方におはかりをいたしました。その結果、きょう三社の御出席をいただかないことははなはだ遺憾であるということが一つであります。それから二十九日の、三社共同の意見として寄せられた、理事懇談会ならば出席をいたしますというこの回答につきましては、理事各位からそれぞれ、国会正式機関理事懇談会というものはない、国会には理事懇談会という正式の機関はない、そういうことでございますから、この懇談会出席をするというこの回答は、残念ながら、物持の理事会としてはお受けすることができない。――繰り返して申し上げますが、それは国会の正式な機関ではないからであります。もしこれをお受けするということになれば、何も国会でなくても、どこかの座敷でもいいし、あるいは夕めしを食いながらでもいいということになるのでありますから、これは国会としてはお受けするわけにはいかないということでございます。  以上、申し落としがあるかもしれませんが、一応経過についてのお答えにかえる次第でございます。
  7. 武部文

    武部委員 一応、私ども決定に基づいて委員長がいろいろ努力されたことについての経過は、いまお聞きしたとおりのようでございますが、私どもとしては、今回の新聞代値上げ問題について、たくさんの意見を持っております。また経営実態についても、三者から説明を受け、いろいろ質問をいたしたい、そういう願いで満場一致決をいたしたことが、残念ながら、いまの経過を聞きまして、本日の委員会参考人として出席できない、こういうことになったようでございますが私どもとしてまことに遺憾であります。あと具体的な問題については、それぞれの立場から質疑を続行いたしたいと思いますので、一応経過説明をお聞きしたわけであります。
  8. 小林進

  9. 栗山礼行

    栗山委員 三新聞の突如の購読料値上げ問題につきまして、理事会で再三これを御協議いただいて、値上げを実施されるまでに、各三新聞の責任ある方々から参考に御参加をいただいて、物特としてこの問題の検討を深めてまいろう、こういうことで、いろいろ理事会において御協議をいただきました。その過程において佐藤経済企画庁長官も、重大性にかんがみまして、経企庁としての所信を国民に示された、こういうことは御承知のとおりでございます。  そこで、いま経過説明をお伺いいたしまして、はなはだこれは残念至極でありまして、矛循撞着もはなはだしいというような感を受けますような三新聞回答であったように承るわけでございます。そこで、私は委員長に御提案を申し上げて、御採択をぜひともいただきたい、こういうふうに考えておるのでありますが、その中心は、きょうは公取及び佐藤経済企画庁長官また、わざわざ参考人の御招致をいただいたのでありますけれども、短い時間をひとつ割愛いただきまして、暫時特別委員会を休憩して、急遽ひとつ理事会を開いていただきまして、理事会の中で、これはもう国会の大きな問題だ、こういう立場から、各党の国会対策委員長サイドでこの問題を御協議をいただいて、値上げの実施に至るまでの問題について――関係新聞関係諸公の招請をはかってまいるということについての委員長努力を、われわれは多といたすのでございますけれども、ただいまのような御報告の中でこれを認めるわけにはまいりません。したがって、物特の問題だけでなくて、国会でこの種の問題をどう進めてまいるか、こういう重要な課題があろうかと思います。できますならば、ひとつ委員長の御同意をいただいて、直ちに休憩、理事会を開いて、申し上げましたように国対委員長サイドにおいて、いかにあるべきかということで、ひとつ参考人の御参加を求めるという御配慮をいただきたいということを御提案申し上げて、御採択をお願い申し上げたい。  以上でございます。
  10. 小林進

    小林委員長 ただいまの栗山委員発言につきましては、この委員会の終了後に緊急理事会を開きましてこれを取り上げることにいたしまして、せっかく松隈参考人にもおいでいただいておるのでありますから、委員会はこのまま続行することにいたしたいと思いますので、さよう御了承いただきたいと思います。     ―――――――――――――
  11. 小林進

    小林委員長 この際、簡単にごあいさつを申し上げます。  松隈参考人には、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  当委員会は、物価安定のため鋭意努力をいたしておるのでありますが、今般相次いで発表になりました新聞購読料値上げは、消費者物価に与える影響はまことに大なるものがあります。この問題についてすでに審議を行なった物価安定政策会議特別部会部会長をなさっておられる参考人から、忌憚のない御意見を承り、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  12. 松隈秀雄

    松隈参考人 ただいま委員長から御紹介をいただきました松隈でございます。  去る三月二十日、朝日新聞購読料値上げ発表がございました。同日さっそく、佐藤経済企画庁長官の談話の御発表もあったのでありますが、特別部会委員の間から、この問題の重要性に顧みまして、特別部会を招集して審議をしてほしいという御要望がございましたので、二十二日、とりあえず特別部会を招集いたしました。  当日は、朝日新聞責任者安井常務取締役ほか三名から、値上げ決定に至った経緯理由等につきまして説明を受けました。主としてこの問題をめぐって討議が行なわれました。その結果、当部会といたしましては、新聞経営をめぐる環境は容易でないことは認められるものの、朝日新聞が今回抜き打ちに二〇%も大幅な値上げを行なおうとすることを是認することはできないという意見でありました。  したがって、当部会といたしましては、同社値上げ考えを再検討し、それを撤回することが望ましいと考えました。かりに同社が、値上げを真にやむを得ないとする結論であるとした場合におきましても、企業としての合理化努力を具体的に明らかにし、国民の十分な納得を得るようにつとめますると同時に、値上げ幅値上げ時期についても、物価情勢を勘案して慎重な配慮が必要であると考える。また従来、一紙が値上げを行なうと他紙がこれに追随するというケースがあったから、こうしたことのないよう、他社の自重を望みたい。特別部会といたしましては、政府がこの趣旨に沿って、関係方面に対し所要の措置を講ずるように要望する、こういうことを取りまとめた次第でございます。  もし、さらに内容のこまかいことについて御質疑があれば、当日どんな意見が出たかということをお答えしてもよろしいと思っております。まず簡単に要旨だけを申し上げた次第でございます。     ―――――――――――――
  13. 小林進

    小林委員長 次に、この問題について、経済企画庁長官に対し発言を求めます。佐藤経済企画庁長官
  14. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 もうすでに、経緯等についてはお話があったと思います。  まあ私ども、実は新聞値上げ問題を非常に重視しておりますゆえんは、何といいましても新聞というものは公器である。まあ形の上では私企業の関係料金ということになるのでありますけれども、その実態は、公共料金とも称すべき実態を持ったものである、こういうふうに私たち考えております。  また同時に、新聞においては、多年この物価問題について、消費者の見地からいろいろ報道もされ、啓蒙的な役割りも果たしてきていただいておる際でございます。そういうことを考えますると、やはり今回の値上げというものは、他の物価にも心理的に非常に大きな影響をもたらすものでございます。もちろん今日の事態において、経営等において決して容易でない、こういう事情はわからないでもないのでありますけれども、しかし、そうした重要な地位にある新聞といたしましては、もうすでに、ごく最近で三回目の値上げにもなるわけであります。そうしてまた、その値上げ幅も相当大きなものでございます。そうしたことを考えまして、われわれとしてはぜひこの際自重を望みたい、こういうことで要請もいたしたわけでございます。  特に従来の傾向といたしまして、一社が値上げをいたしますと追随値上げが起こりがちである、こういう過去の事例というものも十分われわれは頭に入れなければならないと思うのでございます。  そうした意味におきまして、今回の値上げはまことに遺憾である、今後もなお新聞社自重を望みたい、こういう意見でございます。     ―――――――――――――
  15. 小林進

    小林委員長 これより政府並びに参考人に対し質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。砂田重民君。
  16. 砂田重民

    砂田委員 松隈先生おいでをいただいて、まことにありがとうございました。  ただいまお話を承ったわけでございますけれども物価安定政策会議特別部会朝日新聞出席要求をされまして、朝日新聞から、もう少しこまかい事情をお聞きになっていると思うのでございます。今日、新聞社出席をいただくことができませんでしたので、新聞社から直接承りたいと思っておりましたことが、できません。関係新聞のほうから物価政策会議に御説明のありましたこと、また、その御説明を聞かれまして特別部会としては一つの御判断を下されて、それを経済企画庁に建言と申しますか、それをしておられるのでございますから、その経過等について、いま少し具体的なお話松隈参考人から伺わせていただきたい、かように考えるものであります。
  17. 松隈秀雄

    松隈参考人 ただいま砂田委員の御質問がございましたので、先ほどの結論を導きましたことに関係のあるおもな意見というものを参考までに申し上げてみたいと思います。  朝日新聞は、製作、配送費が高くなり合理化努力を上回っているということを、値上げ理由といたしておるのでありまするが、過去及び将来にわたる合理化努力がどのようなものか、具体的に必ずしも明らかにしておりません。新聞経営が記事の採取あるいは配達等、人力に依存するということは、ある程度わかるのでございますけれども合理化が行なわれているということが、具体的にはっきりしない。このままでありますると、人件費は年々上がる傾向にありますので、これでは新聞値上げというものは毎年繰り返されるのではないかという心配を、非常に多くいたしたのでございます。  それから朝日新聞は間近の決算期、これは四十五年の五月一日から四十五年の十月三十一日でありまするが、株主総会業務報告を見ますると、発行部数は六百万部台に定着し、広告収入も、懸念された景気のかげりにもかかわらず大幅増収を達成し、人件費その他の支出増を克服して好成績をあげることができたと述べている。このような状態において、広告収入の伸び悩み等を理由一つとして購読料改定を行なうということは、どうも納得しがたいということであります。  それから、新聞社経理内容は、一般の会社と比べて非公開の部分が多く、経理採算面から値上げが真に必要であるかどうか、計数的に把握しがたい状況にあるという考えの方が多かったのであります。かりに値上げ理由をそのまま認めるといたしましても、二〇%という値上げ率はあまりにも過大ではないか、これを是認することは非常にむずかしい、こういう意見であります。  それから、次の意見は、新聞日常生活に必要不可欠なものである。そのCPIウエートも一万分の百九十七ということで、個別品目では最も高いものの一つであります。かりに新聞社が、朝日新聞にならい、すべて二〇%の値上げを行なうとすれば、CPI全体で約〇・四%引き上がるという試算も、経済企画庁のほうから示されました。そうしますと、政府消費者物価を五・五%に押える、こう声明しておられるのに、新聞値上げだけで〇・四%つけ加わった日には、もうすぐ五・九%になるじゃないか、こういうことで経済企画庁物価担当の係にも、すぐ委員から、これはたいへんですよと、その席でもすでに警告が出た、こういうようなわけでございます。  それから、従来から新聞は、物価安定のためにある程度積極的キャンペーンを行なっておった。物価安定の旗持ちだったのです。その新聞値上げをするということになれば、値上げを待っているものにとってはえたりかしこしですよ。便乗値上げの懸念は多分にある、こういうことを感じて――ことに、物価安定政策会議の中の特別部会には、消費者代表の方がたくさんおる。婦人代表も相当おられる。家計にも響くということから、なかなか強い意見が出たというのもごもっともな次第と、御了承願えるかと思うのでございます。  それから、朝日新聞値上げはやや抜き打ちの感がある。もっとも、従来ですと値上げ幅と時期だけですが、今回は、さすがにその理由を少し書いております。その点は、良心的といえば良心的かもしれませんが、それにしても、値上げの十日前に一方的に行なわれるというようなことでは、あまりにも突然ではないか。もう少し消費者意見を聞くとか、何とかそこに余裕と申しますか、とるべき措置はあっていいのではないか。大体このような意見特別部会で出まして、その結果、最初に申し上げたような意見経済企画庁長官申し入れて、政府善処方を要望する、こういうことになった次第でございます。
  18. 砂田重民

    砂田委員 ただいまお話を承りまして、物価政策会議消費者代表も入っているからというお話がございましたけれども新聞社代表の方も物価政策会議には入っておられますか。
  19. 松隈秀雄

    松隈参考人 言論機関と申しますか、報道機関代表の方も入っておられます。したがいまして、この結論を取りまとめるにあたりまして、全員一致というようなことばは避けたのでございます。しかし、冒頭に申し上げましたように、この際値上げは望ましくない、真にやむを得ないといたしましても、時期あるいは値上幅等についてはもっと慎重な考慮が必要だという、その結論を出すことに反対とまではおっしゃらない、こういうような状況でございます。
  20. 小林進

  21. 武部文

    武部委員 いま松隈参考人から、経過内容についてお話を承りました。たまたま朝日新聞先がけをしてこれを発表したために、そういう経過になったと思いますが、御案内のように、その後、毎日、読売、日経、相次いで改定を広告いたしております。したがって、これは同じケースになろうかと思います。先般ビール値上げの問題が起きましたときに、これと同じようなことが起きたのではないか、全くこれはビール値上げと同じケースだというふうに私は思います。朝日新聞とキリンビールが、同じような先がけをやったのではないかというような気もいたすのであります。  そこで、きょうは新聞社の方がおいでになりませんので、まことに残念でありますが、私も疑問に思いますことがたくさんございますので、この際お聞きをいたしたいと思います。  この各社の値上げ理由を読んでみますと、若干相違はございますが、内容的にはほとんど大差はございません。広告料の伸びがとまった、減少の傾向にある、人件費が高くなった、あるいは合理北がなかなか思うようにいかない、また用紙が値上がりをした、いろいろなことがいわれておるのであります。  そこで、いま、幅とか時期とかということについて慎重に配慮をすべきではないかというようなお話がございましたが、私どもとしては、今回の二〇%の値上げというものが一体何の根拠に基づくものかということについて、たいへん大きな疑問を持つのであります。先ほどもお述べになりましたし、ただいま配付になりました経済企画庁長官の談話の資料によりましても、この新聞代値上げ状況というのは、三大紙はずっと引き続いて値上げをいたしております。特に今回は二〇%であります。これと、いまの新聞社経営状態というものとをどう比較したらいいか、それを知りたいがゆえに、三社の皆さんの出席を実は求めたのであります。  そこで、最初にお伺いいたしますが、いま朝日新聞が六百万台ということを言われたわけであります。これは、参考人松隈先生に御質問するよりも、経済企画庁のほうに御質問いたしますが、毎日新聞読売新聞、さらには、今回値上げを広告いたしました日本経済新聞発行部数は、一体どのくらいでしょうか。
  22. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいま手元にあります資料で申し上げますが、これは日本新聞年鑑、昭和四十五年版でございます。これによりますと、昭和四十四年十一月、月間平均で見まして、発行部数は、朝刊でいいますと、朝日新聞が五百七十二万部、読売新聞が五百四十三万部、毎日新聞が四百六十三万部、日本経済新聞が百十六万部となっております。このほか夕刊がございまして、朝日新聞は三百八十万部、読売新聞が三百一千四万部、毎日新聞が二百八十五万部、日本経済新聞が八十万部、こういう数字になっております。
  23. 武部文

    武部委員 私どもの聞いております発行部数は、いまお述べになりましたような部数よりもある程度上回っておるように聞いておるのであります。これはどこの新聞もそうですが、私ども地方におっても、地方の新聞も、発行部数をあまり発表したがらないのであります。したがって、これよりもある程度上回った数字ではないかと思いますが、一応経済企画庁からお聞きいたしたわけです。  そこで、今度は広告費についてちょっとお尋ねいたします。  昭和四十五年度で約八千億円の広告費が使われたといわれております。その中で、新聞の占める広告費というのが一番高い数字を示しておると思うのですが、どのくらいな数字になっておりましょうか。御存じでしょうか。
  24. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いまちょっと媒体別の数字を持ち合わせておりませんが、広告費の比率の最も大きなものが新聞であるということは間違いございません。その数字につきましては、調べまして御報告申し上げます。
  25. 武部文

    武部委員 私の調査いたしましたところでは、新聞の広告費は三五・五%、テレビが三二・三%、ラジオは四・六%というふうになっておりまして、新聞報告費が一番多いのであります。  そこで、ちょっとお尋ねをいたしますが、きょうは新聞をみんな持ってきたのですが、いつか当委員会でちょっと論争したことがありまして、そのときといまと、どういうふうに相場が変わっているかということをお聞きしたいのです。たとえばこの一ページ大の新聞広告ですね、これは一回大体どのくらいな広告費になっていると、経済企画庁は見ておりましょうか。御存じありませんか。
  26. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 そういった形の数字は、いま持ち合わせておりません。
  27. 武部文

    武部委員 これは二年か三年前だったのですが、私どもは、大体一回五百万ということをやったことを一記憶いたしております。そのときも、五百万という数字の発表についてあまり自信がなさそうな答弁でありました。大体あまり公表されておりませんから、私どももよく承知できませんが、この広告費は、いまうしろのほうでもいろいろ言われておりますが、一千万近いということは定説であります。ところが、きょうの新聞、みな二四ページであります。二四ページでありますが、この中でそういう広告費――たまたま朝日を言うのですが、相当広告が、これも一ページ、これは半ページ、これもほとんど一ページですね。それから、ここはアパーとか求人の広告、これも全部広告ですね。この二四ページ中、どの新聞もそうでありますが、広告の占める割合というのは三分二以上ございます。そうすると、広告費というものが相当なウエートを占めておる。先ほど松隈先生からお話がございましたように、朝日だけとってみても、広告料は大幅に増収になっておる、こういうことが先ほどの、昨年、四十四年五月から十月の数字の中に出ておるわけですね。それを今回のこの各社の理由の中では、すべて全部広告費はもうとまってしまって、下がる傾向にある、こういうことをいっておるのですが、現実に広告費の増収ということと、それから朝日新聞の方が御出席になって、そのような意見に対してどういうお答えをされたか、それをちょっとお聞きしたい。松隈参考人にお願いいたします。
  28. 松隈秀雄

    松隈参考人 広告費は、最近のページの中に占める割合も多いので、減収の憂いはないのではないかという委員質問に対しまして、景気にかげりが出てきたので、伸び悩みという心配をしておる、こういう答弁がございました。したがいまして、これは現実どう動くかということは、今後の情勢で判断するほかないのでありますが、少なくとも従来のような伸びは、ここしばらくのところ、景気の情勢によってはむずかしいかと思うのですが、減収が大幅に出るというようなことは、委員としては常識的には受け取りかねる、こういう空気でございました。
  29. 武部文

    武部委員 私どももそのように思います。  そこで問題は、先ほどお述べになったように、この各新聞社の経理が非公開である、そのためにこの内容を把握しがたいということをおっしゃったのでありますが、私どもも、いろいろ新聞経営実態について承知したいと思って、いろいろ資料を取り寄せようと思いましても、実はそのものがないのであります。ほとんど入手できないのであります。  一体経済企画庁は、このような新聞社経営をどの程度御存じなのか。いまいろいろ部会で御議論があったようでありますが、そのような議論の場でも、経理内容についてなかなか把握しがたい。同時に、広告一つとってみても、新聞社の方が言っておられることと、皆さんの意見あるいは実績等から見て、どうも議論が平行線、かみ合わない。こういう点について、一体経済企画庁はどのようにお考えになっているだろうか、私はそれをちょっとお伺いしたいのであります。
  30. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘のように、新聞社の経理につきましては、中央紙であれば一社だけが、これが公開になっておりまして、有価証券報告書等からその経理内容を見ることができるわけでございますが、これ以外につきましては、そういった形のものが出ておりませんので、いろいろの資料から、その状況をまる程度推測をしておるという状況でございます。  全体として見まして、特に公表されておる一社の状況を見ますと、配当率あるいは利益率等の点から見ると、それほどいいというわけではありませんけれども、いずれにいたしましてもちゃんと益を出しておりますし、配当もしておるということでございまして、それほど心配すべき状況ではないのではないか、こういうふうに見ておるわけでございます。最近のところの動きにつきましては、いま広告収入の問題が議論になりましたように、そういった面での経理の悪化ということがいわれております。また経費の増加の問題も、だいぶいろいろと内容的には御説明があったわけでありますが、それが全体としての損益計算でどうなるのか、こういうことは、ちょっと私どもとしてはつかめないわけでございます。
  31. 武部文

    武部委員 話が前後いたしましてたいへん恐縮でございますが、この部会で論議をされましたときに、二四ページという新聞のあり方、こういうことについて何か御議論があったかどうか。  今回の値上げ理由一つの項目として、四ページ八十円かかるのだということが、ある新聞社のところに載っておりまして、四ページに必要な一部当たりの費用は八十円近くになると、ここに書かれております。この二四ページというのは、一昨年の春、一六ページの朝刊を二〇ページにふやし、さらに昨年の六月、これを四ページふやして二四ページ、こういうふうになってきたわけです。二四ページという新聞については賛否両論あると思うのです。内容的に見てもそうであります。  一体この二四ページという新聞の発行のあり方、さらには四ページで八十円かかるというようなこと、それと今回の値上がりの問題、さらに広告の占める割合、そういうようなことについて、何か部会のほうで論議があったかどうか、それをちょっとお聞きしたい。
  32. 松隈秀雄

    松隈参考人 部会出席された委員の中から、新聞紙が近年増ページと申しますか、ページ数をふやしていく傾向が目につくが、あれは必ずしも消費者としては好ましいと思わない。ことにそれが購読料値上げにつながるような場合には、再考してほしいのである。それから、記事をもう少しコンパクトに詰めれば――広告のほうは収入との関係で、あるいは減らせないのはやむを得ないということはあるにしても、記事の扱い方等によっては、もう少しページ数を減らすことができるのじゃないか。たとえば夕刊の例で、ニュース写真が大きいのが載りますね。あれだけのニュース写真でなくても、国民状況はわかるはずだ。それは全く一例でありますが、紙代が高くなったというならば、もう少し企業努力としてページ数を減らす。しかし、報道の実質は減らさない。こういうくふうはあるべきじゃないか。今回そういう点について何も触れていないというのがいかぬ。それから、新聞によっては、色刷りの家庭版等を出す。これはやはり経費の増加につながると思うのですが一色刷りまでを読者として望んでおるか。それが新聞社の購読者に対するサービスとしてならば、これはありがたくちょうだいするけれども購読料値上げということであれば、その辺は合理化していただくほうが消費者の望むところである。こういうような意見は出ております。
  33. 武部文

    武部委員 経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、あなたが談話を発表されたのは三月二十でありますが、このときは朝日新聞だけであります。御案内のように、先ほどから私が申し上げるように、あと、あなた方がお考えになったとおりの追随値上げと申しましょうか、そういうことが現実に発表されまして、四月一日から同様に歩調をそろえて値上げをするという段階になってきたわけであります。  いま松隈先生からもお話がありましたように、現在の物価上昇の中で、この新聞代値上げがこれからの物価上昇にどういう影響を与えるかということについて、私どももたくさんの疑問と不安を持つのであります。そういう面で〇・三九四ですか、約〇・四%近く消費者物価指数に影響する結果に、もう具体的になってきたわけであります。長官は五・五%というかつてない高い目標、これを四十六年度の消費者物価の指数として発表されました。もちろん私どもは過去の経緯から見て、これが五・五にとどまるとは思っておりません。そんなことは毛頭信じておりません。それにしても、なおそれを〇・四も上回るようなことが、あなた方がおっしゃったすぐその下から出てきた、これはたいへんなことだと思うのです。いま松隈先生がおっしゃったように、これは便乗値上げに絶好の口実を与えるものだと思うのです。そういう意味で、いま佐藤長官は、はなはだ遺憾だとおっしゃった。確かにこれは私企業ですから、そういう面で、あなた方の公共料金を抑制するというような立場とおのずから違うかもしれません。しかし、遺憾だというような程度で済まされるものではないと思うのです。  そういう点で、一体この相次いで値上げ発表をしたこの段階で、経済企画庁長官としては、この現実をどう把握をし、それに対してどう対処しようとしておられるのか、それをひとつお聞かせを願いたい。
  34. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いまお話がございましたように、朝日新聞については談話を発表したわけですが、なお、従来の例からいたしまして、引き続いて引き上げをするというようなことも十分考えられるわけでございますから、そういう意味で、私どものほうから文書をもって主要な各社に対して、値上げ自重するようにという要望書を出しました。われわれとして、できるだけその趣旨を徹底させなければいけない、こういう意味でございまして、目下のところ、われわれとして、これ以上意見の表明のしようはありません。そういう意味において、これを強く要望する書類を出して今日に至っておるわけであります。  私どもといたしましては、今後こうした事態に対してどういうふうにやるか、さらに要望を重ねて強く表明するか、そこいらのところを目下検討しております。遺憾ながら、いまの立場といたしましては、そうした方法をとる以外にはちょっとないわけであります。今後こうした問題についてどうするかについては、やはりまた検討しなければならぬと思います。
  35. 武部文

    武部委員 検討しておられるうちに四月一日が来ると思うのですよ。すぐ目の前に来ておるわけですね。きょうは二十五日であります。そういう段階で、値上げは遺憾である、検討する、あるいはこれからも要望をする、こういうことであっては、はっきり言って、キリンビールと同じ結果になってしまうじゃないか。そこで、いま値上げを広告しておる三社、日本経済を合わせて四社、この新聞社に対して、再度政府としては、現実の消費者の声あるいは総合部会で論議をされた点、こうした点を勘案をしながら、強い態度で、要請あるいは値上げを思いとどまるように、そうしたことをおやりになる意思があるのかどうか、これをもう一回承りたい。
  36. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 それでありますから、私たちとしても強くそれを表明しているわけであります。これについては幾ら繰り返してもいいことでございますから、私たちとしても、今後この要望は重ねるつもりでおりますけれども、いま御指摘のような強い気持ちでもって当初から臨んでおります。
  37. 武部文

    武部委員 さっきから申し上げるように、現実に値上げまでにあと六日しかないわけですね。そうすると、いまあなたがおっしゃったようなことはいつごろおやりになるつもりですか。
  38. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いますでに発表されておる以外の社も相当ございます。われわれとしてはいまのタイミングを考えながらやっていこう、こう考えております。
  39. 武部文

    武部委員 どうもタイミングということがよくわからぬのですが、さっきから申し上げるように、これはもう時間的に余裕がないのですよ。また、それをねらってやったのじゃないかというふうにも思えるのですね、四月一日というのはもうすぐなんですから。あなたは、いわゆる抜き打ち的にということをおっしゃっておるわけですが、そういうことがあるわけですから、企画庁長官としては、もっと明確な態度でこの問題に対処してもらわなければならぬ。私は、おそらく消費者はそれを強く要望しておると思うのです。  同僚議員からたくさん質問があるようでございますから、私は公正取引委員長にお伺いをいたしたいと思いますが、この新聞の販売というものは、再販とどういう関係がありましようか。あなたは、これは再販価格だというふうにお考えになりませんか。
  40. 谷村裕

    ○谷村政府委員 御指摘のとおり、再販価格に相当すると思います。
  41. 武部文

    武部委員 そこで、キリンの問題を先ほど持ち出したわけでありますが、今回の新聞代値上げは、いままでの経過から見て、きわめて巧妙な独禁法違反だというふうに私は思うのですが、これについてどうでしょうか。
  42. 谷村裕

    ○谷村政府委員 新聞を含みまして著作物は、いわゆる独禁法の二十四条の二の四項によりまして、特に指定を必要とせず、さような著作物については、その事業者が再販売価格を決定しこれを維持することができるということになっております。ただし「第一項と同様とする。」と書いてございますから、一般消費者の利益を不当に害することとなる場合はこの限りでないというふうに読めるかと思います。その点が一つの問題になるかと思います。
  43. 武部文

    武部委員 したがいまして、この点について公正取引委員会としては、調査をする意思がありますか。
  44. 谷村裕

    ○谷村政府委員 この点とおっしゃったのが、もし再販価格という立場からということであれば、それについては、消費者の利益を不当に害することとなるものであるかどうかということを、私どもとしては、必要とあれば調査しなければならないと思っております。
  45. 武部文

    武部委員 現在の段階で、そういう疑いはお持ちではございませんか。
  46. 谷村裕

    ○谷村政府委員 まだ私自身、委員会としてはかったこともございませんから、的確なお答えを申し上げられませんが、少なくとも国民各位からさようなことについて――先ほどもいろいろとお話がございましたが、はっきりしないじゃないかということが、疑念が持たれていることがあるとすれば、その点を明らかにしたほうがいいのではないかというふうに私は思います。
  47. 武部文

    武部委員 終わります。
  48. 小林進

    小林委員長 渡部通子君。
  49. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 おもなことについては、大体武部委員のほうから質疑の中に出てまいりましたけれども、私も若干の質問をさせていただきます。  本来ならば三社を対象に聞かなければならないことを、松隈先生や公取委員長や長官に伺うということは、若干筋違いということにもなりますけれども事情をなお詳しく知っておられるお立場と見て、国民が知りたがっているようなことについて、私も伺いたいと思います。  企画庁がくだすったこの資料を見ましても、いまの新聞料金の値上げが非常に不当な上昇率であるということは、よくわかりました。四十年からの消費者物価指数の推移と、それから三大紙の価格の指数の推移というものをお出しいただいたわけでありますけれども、四十五年現在をとりますと、消費者物価指数のほうは一三〇くらいのところにとどまっておりますのに、新聞のほうは一六〇くらいまで上がっている。こういうことは、新聞が非常に公共的な性格を帯びているという意味においても、私は大いに反省をしていただかなければならないと思うわけでございます。なお、先ほどから松隈先生等の意見を聞いておりますと、そうここで急に値上げをしなくても、もう少し考えていただけるのではないか、これは客観的な事実として、思えるような気がいたします。  私も、増ページということについて非常に疑念を持つわけでございまして、確かに情報化時代ですから、情報をたくさん提供しようということだと思うのですが、情報があり過ぎて、国民はいま困っております。そこへ持ってきて値上げの一番の原因になってくるのが、増ページをいたしましたということが、必ず理由にくっついてまいります。しかしながら、最近の平均をとってみますと、二四ページ、別紙八ページ、こういうものがついてまいりますと合わせて三二ページ、これを週刊誌大に四つ折りにいたしますと、一二八ページでございますね。こうなりますとりっぱな一つの雑誌でございまして、毎日これだけのものを提供されても、むしろ国民は、買ったはいいけれども読み切れない、これが実情だと思うわけです。しかも、その中で三分の二、二分の一以上が広告である。こうなってまいりますと、この新聞のあり方というものについて、もう一歩検討されてもいいのではないかと思うのです。  先ほど松隈先生お話ですと、色刷りも不必要だと思うというお話もございました。これが経費増に加算されますけれども、色刷りの経費増というものはえらいものでございまして、それを三色入れたか、四色入れたか、六色入れたかということになりますと、それはたいへんな経費増でございます。  やはり私は、こういった新聞の過当競争というものが読者にしわ寄せをしてきている、これが今回の値上げであろうと思うのです。企画庁長官、その点について御意見に変わりはないと思いますが、いかがでございますか。
  50. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは新聞経営あるいはまた新聞の編集のあり方、いわば新聞のあり方全体に関する問題でございますから、なかなか複雑でもあり、総合的な問題として簡単な結論を出しにくいと思うのでありますけれども、しかし、やはり国民が真に要望するそうした要望にこたえ得るものでなければ、社会的な公器としての存立性というものは疑われるわけでございます。そういう意味におきまして、はたして社会の要望にぴたりとこたえた出し方がなされておるかどうか、こういうことだろうと思います。  そういう意味において、確かに、たとえば広告面があまりにも多い、あるいはまた増ページ増ページといって刊行しておるけれども、やはり今日においては、その質も当然問われていいわけでございます。やはり一種のサービス産業でございますから、そういう意味において質、量ともにやはり社会の要望から見て、はたして行き過ぎている点がないかどうか。確かに、御指摘のような点も私も感ぜられるように思いますし、そういうような意味からいって、なおそうした面の合理化ということも、十分あわせて検討をしていただいてよろしいのではないか。私どもは、いわゆる物価の見地だけでこれを考えておりますけれども、そうした全体の業種のあり方という意味においては、これは所管大臣とも十分相談し、そうした点についても意見を徴して、その上でもって政府としても考えをきめていかなければならぬ、こういうふうに考えられます。
  51. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 今回の値上げの大きな原因としては、各社とも用紙代の値上がりということをいっております。これが購読料の――毎日においては四〇%ですか、それから日経等においては五〇%を占めておるということでございますが、はたして用紙の値上がりというものが、どのくらい購読料に反映をするものか、どうかこれをもし経済企画庁でお調べでございましたら、ひとつ発表していただきたいと思います。
  52. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 用紙の価格を、原材料の値上がりその他の理由値上げをしたいということが、製紙関係のメーカーから新聞社のほうにお話があって、交渉中ということを伺っておりましたが、つい最近、最初に値上げ発表されました朝日新聞等においては、その引き上げの幅がきまったようでございます。その数字は、一連当たりの価格で、四十四年十一月千五百二十五円ということになっておりますが、それが四月から五十円引き上げられるということになったように伺っております。一連と申しますのは、四ページにして千枚でございます。したがいまして、一カ月に直してみましても、大体一部当たりについて十数円程度ではないか、こういうふうに私どもは一応計算をいたしております。
  53. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 それが新聞社側の発表と、私は少し食い違っているように思うのです。新聞社の主張するほど用紙値上がりというものが、一部当たりの価格にそれほど影響するものではないということ、それが明らかになったと思うわけです。そういった意味で――それ以上の経営内容がわからないので、何とも申し上げようはないのですけれども、これをもって考えれば、値上がり幅が少し大き過ぎるんじゃないか、こう言わざるを得ないと思います。  それから、企業の合理化努力が明らかにされておらないという、先ほどの松隈先生お話でございました。確かにこれはもう少し、私も国民の前に明らかにしてほしいと思うのです。宅配等がございますので、人件費が上がるということはわかりますけれども、われわれがわかる範囲でも、もう少し合理化されていいんじゃないか。丸の内に合販というのがございますけれども、これは一つ考え方として――やはりうちで五つとっておりますと、五人の配達人が毎朝かけてくる。そういったような点で、合販制のような販売制度をどうお考えになるか。なかなか簡単なものではないと思いますけれども、できる部門もあるのではないか。そういった点も企業努力一つとして評価されていいんじゃないか。あるいは団地あたりで一軒一軒回らなくても、団地には固めて置いて、みんなそこの一カ所にとりに来るというような、こまかい点でございますけれども、そういった面の企業努力というものは、一体新聞社側では行なわれているのかどうか。そういう点はお話に上がりましたでしょうか。松隈先生にひとつ……。
  54. 松隈秀雄

    松隈参考人 先ほど申し上げましたように、特別委員の中には消費者代表の方もおられますので、配達の面でもう少し合理化の余地はないかという意見が出ました。たとえば、販売店がいま、それぞれ独立しておる。それがために同一の家に対して、たとえば朝日新聞も配達してくれば、別の人がまた読売新聞も配達してくる。これをせめて地域別に配達を同一人でやる。そのかわり、持って歩く部数は減りますけれども、そういうことのくふうはできないか、いわゆる共同販売店の組織はどうかという質問が出たのですが、それに対しまして朝日新聞社のほうは、いま独立の販売店を持っておるのがたてまえで、わずかな共同販売店があるにすぎない。その共同販売店に頼むと、そこで競争が行なわれて、まかり間違いますと、自分のところの新聞はあまり熱心に売ってくれない。こういう心配があるために、どうも共同販売店に踏み切れないんだ。やはり自分の直系と申しますか、特約と申しますか、そういう販売店を置いて、重複しようが配って歩かざるを得ない、こういう説明をしておりました。それに対しまして、ただいま渡部委員からお話のありましたように、その事情はわからぬでもないけれども、しかし団地等であれは、集配所というようなことについて購読者も協力しないわけではない。そういう点について、その問題を取り上げての購読者と申しますか、消費者の意向調査等を何にも行なってくれないのは、先ほどからお話の出ているように、どうも一方的じゃないか、こういう意見でございました。  それから、先ほど、ページを増すことは問題だという御指摘がありましたが、それにも関連しまして、ページを増すということは、同時に販売経費の増加につながるんじゃないか。ああページがふえてくれば、配達人も、もと三百部運べたものが二百部になっちゃう。こういうことで、これまた配達費にも影響するので、ますますページを競争的にふやすということについては、十分考慮してほしい、こういう御意見委員の中から出ております。
  55. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 公取委員会に伺いたいのですが、四十年ごろに、カルテル違反の疑いで新聞料金値上げをお調べになったと伺っておりますが、そのときの事情、またはお調べに踏み切った理由等、その辺の事情お話しいただきたいと思います。
  56. 谷村裕

    ○谷村政府委員 新聞値上げ等につきまして、公正取引委員会が独禁法違反の疑い、すなわち、それは協定、不当な取引制限に該当するほうでありますが、話し合いがあったのではないかということで立ち入り検査をいたしましたのは、昭和三十四年のときの件でございます。昭和四十年にやはり値上げが行なわれましたときには、そういう法律上の手続をとらずに、いわば任意調査ということで、事情聴取と申しますか、そういうことをいたしておると思います。その内容等については、いま手元にございませんが、四十年のときはそういう形で、任意調査と申しますか、そういうことをいたしたというように記憶いたしております。
  57. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 もしその辺の事情がはっきりわかりましたら――いま公取委員長はおわかりでないということでございますが、後ほどでもけっこうでございますから、ひとつそれをお聞かせいただきたいと思います。先ほど武部委員質問にもございましたけれども、明らかにこれは協定ではないか。これはだれの目にもはっきりしていることでございまして、こういった点では、私、重ねての質問は避けますけれども、価格協定について、あるいは再販の商品であるという意味からも、公取委員長には、もう少し権限を強く発動していただいて、この問題についての調査をお願いをしたい、これを強く要望する次第でございます。  重ねて、これもやはり経企庁長官に要望ということになりますけれども、やはり消費者サイドに立っての新聞料金に対するチェックですね、これを長官にぜひお願いをしたいと思います。  確かに、いままで新聞の姿勢、各新聞社の姿勢というものは、物価問題についてはいつも消費者の味方としての旗持ちであった、先ほどの御説明のとおりでございます。やはり今回御自分のところだけが、非常に抜き打ちでこういう手段に出られたということは、新聞社自身の生命を失うことになるのではないか。こういう意味で、私は非常に残念だと思います。やはり新聞社には、新聞という性格上いつも庶民の味方、それで公共機関として、厳然と公平を保っていただきたい。こういう意味で、長官に強い態度で善処していただくように最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  58. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御要望、よく承っておきます。確かに、先ほど渡部さん御指摘になりましたように、最近における上昇のカーブを見ましても一般の物価指数に比して、あまりにも高い上昇カーブである。やっぱり新聞のあり方の根本から検討してもらいたいと思います。そうしないと、さっき話が出ましたように、毎年上げざるを得ないようなことになってくるというようなことになると、これはたいへんな問題だと思います。そういう意味においても、これは基本的にひとつ考えてもらいたい、こういうふうに考えます。
  59. 小林進

    小林委員長 和田耕作君。
  60. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 松隈参考人がお急ぎのようでございますから、松隈さんに一、二御質問さしていただきたいと思います。  朝日新聞事情を聴取なさった政策会議の席上で、朝日新聞のほうでは賃上げということが、非常に苦しくなる原因なんだという理由一つになっているのですけれども朝日新聞の賃金水準と申しますか、現在の状態についてお聞きになりましたか。
  61. 松隈秀雄

    松隈参考人 今回の購読料値上げ一つの要因として、人件費の値上がりというところの説明はございましたが、具体的に、賃金水準が幾らであるという数字は伺っておりません。ただ、販売店なんかの場合におきまして、中学校卒業生が非常に減ってきて、そうして、それよりも年をとったおとなを使うということになると賃金が上がるということ。それから、他の労働界においては休暇が多い。ところが新聞は休みなしということで、休暇がないために雇用条件をよくしなければならないという点で、これが相当賃金と申しますか人件費の引き上げに影響がある、こういうような説明はございました。
  62. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは世間の評判ですけれども朝日新聞はとりわけ、新聞業界では賃金の水準が高いということをいわれておるのです。そういう問題を政策会議で問題になさったことはありますか。
  63. 松隈秀雄

    松隈参考人 賃金水準の比較表のようなものは、参考資料として経済企画庁のほうからも配られておりませんし、ただいま申し上げましたように、具体的に、他と比べてどの程度の高さにあるかというような数字的な説明はございません。
  64. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ちょっとこの問題に関連しまして、長官、いまの問題を企画庁としてお調べになったことがありますか。
  65. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 今度の値上げ、いろいろ紙代の問題もございますし、広告収入の減少の問題等もいろいろ議論になっていますが、一つ御指摘になったように賃金問題これが非常に大きな原因だということでありまして、私も直接、話も聞いてみたりいたしました。その説明によりますと、大体値上げの中で用紙代に二割以上ぐらい先取りされて、あとの半々を本社と販売店で分けるぐらいの経営内容というような感じであります。それで結局、本社のほうの人件費と販売店の人件費の両方、人件費問題があります。  いま朝日で非常に高いとおっしゃっているのは、私も専門家でないので詳しくは知りませんが、本社関係のものも相当あると思いますが、新聞経営というものは、いわゆる長時間にわたっての勤労体制、率直に言うと、しょっちゅう働いてなくとも、夜間においても相当の人間を張りつけておかなければならぬというような勤労体系の現状を前提にいたしますと、本社関係においても、人件費の値上がりというものが相当になる。それから、特に販売店系統でございまして、いま松隈部会長からも御説明いたしましたけれども、従来は中学生を使っておった。ところが、最近はおとなを使うというような問題もあり、いずれにしても、なかなか人手を収集するということのために人件費が要る。  それならば、いまのような、だれから見ても合理的でないといわれるようなこの販売体系そのものを、やはり検討すべきじゃないか。そうすると先ほどのお話のように、各社ごとに販売系統を持つ。昔は一緒であった時代があったわけでありますが、それがだんだん分割されまして、そうして一社専門の系列化式が行なわれてきておる。こういうような基本的な点を考えなければ、われわれが牛乳の問題なんかを議論する際にも、これは答えられないじゃないか、こういうようなことで、われわれとしてもいろいろと疑問も出しておりますが、実情はそういうことで、やはり販売のあり方というような点が相当人件費と結びついて、コスト高の原因になっているというふうに大体考えられます。
  66. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 新聞の現在の日本の社会における地位というのは、非常に重要な地位を持っているわけですね。そして国民も、特に政治家その他役人の人たちも、新聞には一目も二目も置いておる。学者諸君もそうです。そういうような状態のもとでのこの値上げなわけですね。したがって、いまの賃闘の問題について春闘なんかも行なわれるさなかですから、問題にしにくい問題ではありますけれども、これは当然物価安定政策会議としては、物価安定の重要性にかんがみ、もっと突っ込んだ調査をしなければならないと私は思うのですけれども松隈参考人はどういうようにお思いになりますか。
  67. 松隈秀雄

    松隈参考人 物価安定政策会議、その中での特別部会でございますが、これは緊急な物価問題を取り上げまして政府意見を具申する、こういうことになっておりまして、今回の新聞購読料値上げにつきましては、先ほど来からお話のありまするように、社会的に見てきわめて重要な問題であり、また物価問題の上からも重要な問題でありまするので、政府申し入れを行なった次第でございます。  この結果、政府がどういう処置をとられますか、その処置の状況、それからその後に、お話のように四月一日が来てどういう事態が出現するか、それのいかんによりまして、さらに特別部会を招集して、事態に対してどういう態度をとるべきかということを慎重に検討したいと考えております。
  68. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 特にこの問題は、長官も松隈参考人も御理解いただくように、いまの日本の物価の問題については、賃金と物価という問題が一つの焦点になりつつある。特に大企業の場合にそういうような問題が行なわれつつある。あるいは所得政策その他の問題も議論されている。しかし、それはいろいろ世論等の問題があって、なかなか公の場で議論するような段階、状態ではない。こういう場合こそ経済企画庁あるいは物価安定政策会議が、この問題の重要性にかんがみて、この問題をもっと突っ込んで検討していただくことが必要だと思うのです。  新聞社値上げ理由が幾つか、四件、五件ありますけれども、先ほどから議論がありますように、広告料の問題については、新聞は広告料は減収の見込みだといっても、現実には減収ではなくて増収である。ただ、かげりを予想しての伸び率が減るという見込みだ、こういうことであるし、他の問題についても、その大きな問題ではない。特に賃金の問題が、おそらく新聞社が問題にしている中心じゃないかと思う。こうなりますと、つまり、この要求をそのまま認めますと、賃金と物価の悪循環という問題が如実に出てくるわけです。ここ三年間ずっと大幅に上げている。毎年毎年賃金の問題が中心になっておるということをそのまま見過ごしますと、物価と賃金の悪循環というものが、もう舞台の上にずっとのぼってくるという問題もあるので、この問題については、政策会議も企画庁も、もっと真剣になって取り組んでもらいたい。私は、そのことを特に要望しておきたいと思います。長官、ひとつ御所見を伺いたた。
  69. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは重要な一環でございますが、特にいま申し上げましたような点において、人件費の問題のウエートの非常に高い部面もあるわけでございますから、そうした点、これは流通機構の一つの問題で、そういう意味においくわれわれもこれは十分注意しなければならないと考えております。
  70. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 松隈先生、もうけっこうでございます。
  71. 小林進

    小林委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  松隈参考人には、長時間にわたり貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。本問題の今後の調査にきわめて参考になりました。ここに委員会代表して、委員長より厚く御礼を申し上げます。(拍手)  なお引き続いて政府に対する質疑を続行いたします。和田君。
  72. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 次に、私は公取委員長に御質問申し上げたいのですが、先ほど武部委員あるいは渡部委員からの御質問がありましたけれども、この問題は、国民の目から見れば、はっきりと独禁法違反であるという印象が強いのですね。これは委員長、そういうふうにお考えになりませんか。
  73. 谷村裕

    ○谷村政府委員 独禁法違反というのが、いわゆる不当な取引制限、俗にいうやみカルテルという意味でおっしゃっていらっしゃるかと思いますが、何と申しますか、最近のような経済社会で、ある種の事業分野におきましては、必ずしもはっきりと協定をしているとかどうとかということがなくても、学者たちが申します意識的平行行為と申しますか、そういうことでもって動いていく姿が見られるわけであります。そういうことを、すべて独禁法違反の問題になるとして、何でもそういう目で見てやっていくということが一つの行き方であるかどうかということについては、私はいろいろ問題があろうかと思います。  ですから、私は、個別のそういう問題につきましては、それをどう考えて自分はどう思うということは、個別の個々の問題については申し上げないほうがよろしいと思っております。ただし、私ども委員会といたしまして、何らかの端緒と申しますか、そういうことをつかめば、それは当然国民の前に明らかにしていかなければならないことであろうかと思います。ですから、たとえば、こんなところで申し上げて恐縮でございますが、先般の石油精製業者等につきましては、その直前まで、私は何にも申し上げることなかったわけであります。そういう意味で、個別の問題についておまえどう思うかという御質問に対しては、お許しいただきたいと思います。
  74. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 新聞書籍等については独禁法の対象外というような項目があると、先ほど委員長おっしゃいましたね。しかし、国民はそういうことを知らないのですよ。しかも、現在の新聞値上げという問題が、物価値上げに対して大きな影響を持っておる。大きなシェアを持っている三大新聞が、一方的に、しかも独断的に値上げをしたということは、国民に対して非常に大きな悪い印象を与えていると私は思うのです。しかも、これに対して、独禁法の違反の事項として調査ができないということになりますと、これは、法律のこまかい条項を知らない国民から見れば、たいへんな不安を持つし、不信感を持つと私は思うのです。もし、こういう、内容的にははっきりした独禁法の違反である問題を、現行法で取り締まれないなれば、早急にこの問題についての、取り締まれることのできる法律改正なり新しい措置なりを今後やるべきだと私は思うのですが、その点、どういうように長官お考えですか。
  75. 谷村裕

    ○谷村政府委員 和田委員の御質問の意味を、私がもう一ぺん説明しながら申し上げたいと思いますが、独禁法の問題として、新聞関係では二つあると私は思っております。  第一は、一般のいわゆる大企業あるいは寡占企業等々に見られるような意味においてのはっきりとした価格協定とかそういうふうな事実がなくても、おのずから協調的な行動がとられるという問題、それが独禁法違反として具体的な証拠なり何なりの問題があるかないかという、独禁法の条文で申しますと第三条後段の違反という問題でございます。そして新聞の問題は、常に、過去において行なわれてまいりましたときにも、ちょうど、武部委員がおっしゃいましたように、ビールの問題であるとか、それと同じような意味において一種のカルテル行為があるのではないかという点、これが御指摘の一つであるかと思います。  第二に、ちょっと独禁法の適用がないというふうなことでお触れになりました問題は、これはもし新聞が、販売店等を通じて売っておりますときに、最終の販売価格を発行者である新聞がきめているという、いわゆる再販売価格維持行為に該当しているという点であるとすれば、それは独禁法上は当然著作物として認められておるものであるという意味で申し上げたわけでございます。新聞の販売形態が、いわゆる委託販売であるのか、それとも販売業者に売り渡して、販売業者において売るという形になっておるのか、それは契約の内容を見なければ、それぞれの新聞についてわかりませんけれども、御指摘の独禁法の例外というふうなことをおっしゃった意味は、決してカルテル行為等については例外でも何でもありません、当然独禁法の対象になりますが、再販売価格維持、すなわち、たとえば九百円なら九百円という小売り値段をきめて、そしてそれを維持するように、もし小売り店なり販売店なりに対する拘束をしておるとすれば、それは一般の再販とは違って、著作物であるということによって、法律上、先ほど申し上げました二十四条の二の第四項によりまして認められているということを申し上げたのでございます。  しかし、私どもといたしましては、さようなものでありましても、再販を認める場合に「一般消費者の利益を不当に害することとなる場合、」そうでないようにしなければならないという法律の規定になっておりますから、もし今回の値上げがそういう意味で、一般消費者方々立場から見て納得がいかないという問題があるとした場合には、ちょうど普通の一般の再販品、すなわち、かりに薬などの指定商品等について、不当に高い値段とか不当に高いマージンを取っているような場合には、これを規制しなければならないだろうというふうにいわれているその前提としての調査が必要でございますが、そういう意味での新聞事業の経営内容等に対する調査ということも、あるいは必要ではないか、かように実は思っていたわけでございます。  そして、たまたま、先ほどいろいろお話がございましたが、どうも資料が不足である。経理内容も、有価証券報告書等によって、あまり表に知られていないというようなことであれば、いまその点について調査をする権限を持っておりますのは私どもではないかと思っておりますので、先ほど申し上げましたように、これはまだ委員会にはかったりしているわけではございません、私の見解を申し上げているわけでございますが、必要に応じて、そういうことを調査するということも考えてみてはどうか、こう思っていると申し上げたわけでございます。
  76. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう一つ質問いたしますが、再販商品で、品目別に見て、新聞より以上に値上げ幅の大きいものはありますか。
  77. 谷村裕

    ○谷村政府委員 具体的な数字を私は記憶いたしておりませんが、過去三年なら三年、あるいは四十年からなら四十年からのあれをとってみた場合に、たぶん再販品では、新聞の値上がりが非常にはげしいというふうに、一般的に記憶いたしております。
  78. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 たしか朝日新聞だったと思いますけれども、ある日の社説に、再販商品に対してきびしい取り締まりをしろということがあったように私は思うのです。これは、その他の問題もそうですけれども、そういうふうにしろと社説でいっていることと、現実にこういう値上げをするということとの関係が、私はどうしても納得できない。また公取が、これを厳重な調査をすることなしにこのまま見のがすとすれば、その他の再販商品に対して、公取が権威のある調査なり発言はできなくなるのじゃないですか。
  79. 谷村裕

    ○谷村政府委員 和田委員の御指摘の点は、私はごもっともなことであるというふうに思います。同感いたします。
  80. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは、この問題だけについても、至急に効果のある措置をとっていただきたいと思います。
  81. 谷村裕

    ○谷村政府委員 どういうふうにするかということを、いまここでは御答弁者し上げませんが、とにかく私どもとしては、そういう問題意識を持って対処するということを申し上げておきたいと思います。
  82. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの再販の問題について、社説で、非常にきびしい態度でこれを取り締まっていけという主張をしておるその新聞社が、このような問題を起こしておる。これは全般的な問題としても当てはまってくるわけですね。先ほど松隈参考人お話がありましたけれども、つまり新聞は、物価値上げを押えるその旗を握っておる、これは事実だと思います。過去のいろいろな例においても、新聞がこの問題について大きくキャンペーンをするということは、大きな影響力を持っている。ある物価の恣意的な値上げに対してチェックする働きを持ったというのは事実だと思いますけれども、この問題こそ、全般的な問題として重視すべきだと思うのです。おそらく新聞社の中では、経営者の方々と論説委員あるいは一線の記者の人たちとは、かなり違った感じを持っていると私は思うのです。それは当然だと思うのですけれどもそういうふうな状態で、この問題を詳しく検討することなしに、新聞社の目に見えないものでいえない大きな力を背景にしてこういうものを通せば、新聞社自体の自殺行為になる、私はこう思うのですね。新聞社の記者諸君も論説委員の諸君も、違ったことをいままで言っているわけです。しかも自分の社がこういうことをやることに対して、社自体からの反省が起こるのは私は当然だと思うのですね。そういうことを言っても、それは一つの要望になるわけですけれども、そういうふうな反省の機運なり、あるいは自分の会社でやっていることが間違っておるという点を明らかにするような空気をつくるためにも、ぜひともこの問題については、あらゆる方法を通じて実態を明らかにしなければならないと思うのです。  そういう点で企画庁長官、先ほど委員からいろいろな発言がありましたけれども、長官がなされた声明はたいへん妥当だと思います。しかし、あの声明だけでは、かつてビールの問題のときに、宮澤長官が相当のキャンペーンをいたしましたけれども、結局何にもならなかった。この問題は、ビールの問題なんかよりはもっと大きな問題なんですね。したがって、物価の問題について責任を持っている長官は、第二、第三の措置をとる決意をしてしかるべきだと私は思うのですけれども、そういう意味からの長官の決意を重ねてお伺いしたいと思います。
  83. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 われわれも、物価問題における新聞重要性というものは十分認識しておるつもりであります。また過去の経緯から見ますると、ほかのサービス料金もしくは公共料金から比べても、新聞の値上がり率というものは顕著なものがございます。それぞれの業界に特殊な事情があるとは申せ、これはもっと根本的に考えてもらわなければ困る、こういう気持ちを強く持っております。そういう意味におきまして、今後もこれに対して警告を発するとともに、今後こういうことを一体どういうふうにするか、これはまた業界自体の問題でもございますけれども、ひとつ十分検討をしてもらわなければならない、こういうふうに考えております。
  84. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 特に、新聞社責任者参考人としてここへお呼びするということについての先ほどの委員長からの経過報告の中に、消費者運動家と同じ場で議論をすることは避けたいという非公式な話のようですけれども、そういう気持ちがあったという御報告でございましたが、この問題は私は重大な問題だと思うのですね。とにかく、半年ほど前からの松下電器を中心としたあの運動に対して、新聞社は先頭に立ってキャンペーンをした。むしろ消費者運動を、正しく立ち上がるようなことを期待しながら、その二歩も三歩も前に立って、それを組織する機運をどんどんつくってきた。その新聞社自体が、この問題が起こった場合に、消費者運動の指導者と同じ場でこの問題を討議することはしたくないという。何事かと私は言いたいのですね。これは一つの例ですけれども、そういうふうな意味での今後のこの問題の影響は、非常に大きいと私は思います。これは新聞社の一線の記者からも当然そういう問題が起こってこなければ、新聞社自体、何をいっているかわからない、何をやっているかわからないという問題が出てくるわけです。こういう問題については、私どもも、こういうことを言っちゃ損だとか、こういうことを言っちゃ得だとかいう判断は全然ございません。日本の民主政治を守るための大事なことなんですから、政府ももっと大きな決意をもってこの問題について、善処というよりは、もっと効果のある世論指導に向かって前進していただきたいというふうに私は考えるのです。  公取委員長に重ねて決意をお伺いしたいのですけれども朝日新聞が先導して二〇%の値上げをすることを発表したことに対して、読売がこれに追随した、毎日が追随をした、日経が追随をした。また、その他の中央紙、地方紙もずっと追随してくるということになると、この価格の引き上げの運動というのは、カルテル行為という問題が一つある。一つはプライスリーダという問題がある。このどちらに当たると思いますか、現在の状態を見て。
  85. 谷村裕

    ○谷村政府委員 いずれとも決しかねると思います。
  86. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 カルテル行為であれば、これははっきり独禁法の違反になります。プライスリーダーという問題になれば、どうなりますか。
  87. 谷村裕

    ○谷村政府委員 いま、表面の現象だけでは、何ともわからないと思います。やはり表にあるいはカルテルがあって、それがプライスリーダーという形でもって動いたかもしれませんし、そうでなくて、いわゆる意識的並行行為と申しますか、協調的な行為がおのずからとられたのであるかもしれません。これはやはり、表面の現象だけでは何ともわからないと思います。
  88. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 事態は非常に短い間に起こっているわけですね。この三、四日前にこの問題が起こって、そして実施は、四月一日から値上げをする。この三、四日のうちに各社とも連なってきた。これはどう考えましても、内容的に見て独禁法違反なんだということになる。しかも、その問題を公取委員長は、ずばっとこの問題が取り上げられないような問題が、いろいろな法律の要件の中にあるということになれば、今後こういう寡占価格問題について、有効な処置が現在の法律のたてまえから見てとれると思いますか。あるいは、もっと違った法律改正等の問題が必要だと思いますか。
  89. 谷村裕

    ○谷村政府委員 この点につきましては、先般、たしか予算委員会でありましたか、あるいは物価等の連合審査の場でありましたか、いろいろと政府側に対して御質問があり、最終的には総理が、検討の必要な問題であるというふうにお答えになっていらっしゃいますので、私自身の答えから申しますと、やはりそういう方向で問題をある程度考えなければならないものがあるというふうに、私は思っておりますが、総理の先ほどのおことばは、そういうことも含めて検討しなければならないと思うという御答弁だったと、私は思います。
  90. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私は、新聞問題の重要性にかんがみまして、特にこの国会でも、政府は、至急にこの問題についての、寡占価格に対しての効果のある取り締まりのできる措置を講ずべきだと思います。幸い各党としても、三党共通のこの問題についての提案をいたしておりますけれども、ぜひともひとつこの国会で――これは各党とも、与党さんのほうも大体好意的な態度をとる、ここにおられる砂田君なんかは、そういうふうな感じを持っていると思いますけれども、そういうようなことについて、ぜひともひとつ長官、積極的な御検討をいただきたいと思うのですが、どうでしょう。
  91. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 実は、独占禁止という見地だけからはこの問題をなかなか解決し得ないということは、やはり非常に理論的にもむずかしい問題を含んでいます。そういう意味で、実は私どもは、物価安定会議にいまこれを委嘱しまして、この問題についての基本的な究明をしているわけです。やはりこういう問題については、かりに今後そうしたものを、制度的なものとして確立するということにもしなれば、よほど理論的究明をしませんと、これはなかなか混乱を起こします。そういう意味においても十分ひとつ究明をしたい、そう考えている最中でございます。
  92. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そしてもう一つ、突然の値上げという問題があります。これは確かに、国民が判断をする余裕のない、また、政府当局なり国会がこれに対して有効な対策をとれないような短い時期に、しかも非常に強力な立場を持っておる新聞社が、そろってこういう態度をとるというこの問題を、やはり問題にしなければならぬと私は思うのですけれども、私は特に、新聞経営者の中には、自分たちは違った立場の人間であるという意識があるのじゃないかという感が深いのです。しかも、そういうふうな感をそのまま通すことは、新聞社のためにもならないと思います。この問題については、総理自体が、この問題の重要性にかんがみて意見を言うべき時期だと思います。長官ひとつ、総理自体がこの問題についてはっきりと意志表示をするということについて、進言する御意思はありますか。
  93. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 この問題については、総理にも十分御報告をいたしますし、そういう意味において、また総理自身の感じをお持ちになるかもしれません。どういうふうな形で出るか別としまして、十分総理との間においても、この問題についての状況報告その他遺漏のないようにしたい、こう思っています。
  94. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 終わります。
  95. 小林進

    小林委員長 関連質問を許します。栗山礼行君。
  96. 栗山礼行

    栗山委員 私は関連質問でございますから、公取委員長に一言だけ。  過般、非公式の懇談会でございますが、非常に公取委員会としては御活躍をいただいておるけれども一つの限界があるのじゃないですか、制度上の問題について新たな検討を加えなければ、あなたの健闘がむなしく終わる、こういうふうなことを少し懇談で申し上げたのでありますが、いまの長官及び公取委員長お話を伺いまして、私は真摯に公取委員会の与えられたワク内における最大の努力をしていただき、なおまた、みずからの内容にかんがみて、あるべき姿についての方向にいろいろと直接、間接お運びをいただくということで、御健闘を謝しつつ、今後の大きな課題が残っておるということだけ申し上げて、重ねて一ぺん所見を伺っておきたい、かように考えております。
  97. 谷村裕

    ○谷村政府委員 言い出しますといろいろ長くなるのでございますが、私どもが、現行の独禁法によって与えられております権限を、その目的に従って厳正に実行していくということ、これはもとよりでございますが、公正取引委員会の仕事をしておりまして、なおかつそれを越えて、いろいろとむずかしい問題が現在の経済社会の中には出てきているということも、私自身としては感じております。それに対して、どういう姿で政府全体が取り組む形をとるのかということ、これは一公取の問題ではなしに考えているというふうに申し上げておきたいと思います。
  98. 栗山礼行

    栗山委員 長官、私、同僚の各位からこの問題でいろいろ質疑をされましたので、中身の問題を避けてまいりたいのであります。ただ、お伺いいたしまして、なかなかりっぱな談話の要旨であったと私は承知をいたしますが、それなりに大きな評価をしてしかるべきだ、このように考えておりますけれども、御答弁を承っております感じでは、どうも佐藤長官のき然とした決意の内容がうかがえない。しばしば、ひとつ善処、検討を加えていく、こういう答弁に終始をいたしておる。これは佐藤さん、うまく逃げ切るな、率直に申し上げまして、私はこういう実感を持ったのであります。  私は、そこで重ねて、自分の腹及び、こういう委員会でございますから、この問題はまかしてくれ、おれ自身が政治生命をかけて、ひとつ皆さんに拍手かっさいを求めるような成果をあげてまいるのだというようなことは、なかなか御答弁をいただけると考えておらないのでありますけれども、ただ、一般的にあなたに対する評価は、私が申し上げますと、経企の長官になられましたときに、やれやれ、こういう大きな期待感と安心感を持って臨んでまいった、こういう経過がございますし、国民の評価にいたしましても、私はあなたにおべんちゃらを申し上げるのでないけれども、そういう国民佐藤長官に対する期待感というものは非常に大きなものであった。ところが、いろいろながめてまいりますと、数々の経済企画庁としての、いわゆる物価の上昇率の問題一つとりましてもたいへんな大きな変化でございまして、いろいろ御答弁をされておりますけれども経済企画庁としての取り組み方の甘さでありますか、あるいはもっと極端に言いますと、政策的な一つの目標点であったと、こういうふうな結果に終わってまいるというように考えております。これは、私、やはり政治責任をとらなければならない大きな問題だ、こういうふうに考えております。  特に私、最近痛感いたしましたことは、公共料金におけるあなたの取り組み方の姿勢について、これは長官やるなということで、公共料金値上げを一年間停止をする。こういうようなことでお取り組みをいただいたのでありますけれども、結局関係閣僚会議及び閣議の内容によって――その内容をよく存じませんけれども、あなたの努力がむなしい一つの結果になりまして、いま国会審議をいたしておりますような郵便法の一部の改正の問題、あるいは電話等の料金問題及び設備料の問題、こういうふうにして問題が進んでおる。このときにも申し上げたのでありますけれども、現に、政府が主導型の物価上昇の方針は避けてまいるということを、しばしば弁明されたのでありますけれども、こういうことの醜態は一体何ですかということを私どもはお尋ねをしなければならぬと、こういう経過があるわけでございます。  物価問題の所管としての経企庁について非常に大きな失望を禁じ得ないというのが、国民の偽らざる感情だということを、率直に、やはり長官は耳を謙虚に傾けてまいらなくちゃならぬ、かように考えるわけなんでありますが、今度の問題にいたしましても、私は、今度こそこの問題は、委員会自体も物特の使命にかんがみて、いろいろ小林委員長が苦労され、委員会としての真摯な協議をしておるのでありますけれども、元来委員会の問題よりも政府物価政策の問題もっと大きく言うならば、日本の政治の問題の、大きな激変に対処する政治の方向路線の問題財政金融、税制等の問題の中からこれを取り組んでまいらなければ、私は物価問題はナンセンスだ、こういうような主観的な認識等もいたしておるのでありまして、私は、この前の懇談会で申し上げましたように、長官、今度は――私は物特であまり質問いたしませんが、同僚の和田委員が出ておりますから質問いたさないのでありますけれども、所得政策論をもって、ひとつあなたの真摯な御答弁を伺おうと思うというようなことで、お話を申し上げた。これは今度開かれまする物特において、各般にわたります所得政策論の問題についてお伺いいたしたいと思うのでありますけれども、それはそれとして、あなたの決意がただ、ひとつ善処及び検討というようなことに終わっておって、この問題についてどう対処するかということについての決意の内容ということでない答弁に終わっておる。こういうようなはなはだ遺憾な受けとめ方を、私はいたしておるのであります。礼を失するようでありますが、そうじゃないんだということでありたいと思うのでありますけれども、この問題は、おれの政治生命をひとつかけてやると――御承知のように、私は長官より年がいっておるのでありますが、とかく最近の政治は、あるいは行政は、政治の責任がございません。行政の政治の所在がございません。そういうところに今日のような無方針、無原則、無定見な、今日の社会構造と世相の実態に進んでまいったということは、これは御承知のとおりであります。何といたしましても政治家はえりを正しまして、自己の公約と使命についてそれを忠実に行なう。もしそれがいられないとするなれば、みずからの政治の責任を明らかにする。これが今日一番欠けておるところに政治の混迷化をいたしておるというように、私は理解をいたしております。野党の無力も、私みずから責めと痛感をいたしておるのでありますけれども、三百三名の与党の一つの政治の姿勢というものについてそれなりに、日本の民族的な誇りと国家、国民に対処するという大責任を、ことさらに持っていただかなくちゃならぬ、こういうふうに痛感をいたすのであります。  問題は違いますけれども、過般参議院において山中長官と矢山議員のやりとり、この問題は、もとよりこれはことばの問題でございまして、大きな政治論の問題とは理解をいたしておりませんけれども、自動延長された内閣の閣僚も、本国会が終わりますと交代する、こういうようなまぎわになっておるのでありますが、せめて経済企画庁の不信を解消し、そしてあなたが国民にこたえる。経済企画庁の方向として、長官がこれにどう対処するか、いかなければ、あなたはやめてでもその責任を負う、こういうような強い決意を私は求めたいのでありますが、御所見を伺いましょう。
  99. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 公共料金の先般の問題につきましては、私自身非常に遺憾と思っております。ただ私は、電信電話等の関係については、これは全然後退した気持ちを持っておりません。それは今後合理化をはからなければ時を失する、こういう感じを同時に私は持っておりますから。そして、とにかく公共料金の抑制というものは、やはり一つのタイミングが大事なのであって、これを永久に、いつまでも金縛りにできるというわけのものでもない。ですから問題は、そのタイミングをどうはかるか、こういう問題でありまして、そういう意味においても、電信電話については、一面において合理化を頭に置きながら、しかし一面において、差しあたっての引き上げということは断わる、こういう私自身の考えがそこにありましたから、私は、それについては後退を感じておりませんが、郵便料金について三種、四種の例外ができたことは、まことに遺憾であります。  これはいろいろな経緯がありまして、いま申し上げることもございませんけれども、しかし、全体として予算の編成の直前に問題を提起し、それによって、新聞紙等でもってむしろ過大にうわさされておったものを、とにかく、その大部分において引き上げを阻止するという態勢においては、私は成功したと思っておりますけれども、その評価というものはなかなかきびしいことも存じております。  そこで、新聞の問題でありますけれども、私も今度、過去の経緯からずっと見まして、確かに新聞の上がり方というものが、ほかのものよりひどい。これは一体どういうところに由来しておるのであるか。これはいろいろ原因はあると思います。経営のあり方にも問題があるのでしょう、あるいはまた、業態の特殊性というものもあるでしょう。しかし、いずれにしても今日最も公共性の高い事業であり、かつまた、先ほどから議論がありますように、かねがねコンシューマリズムというものを提唱し、そして常に、あの物価問題についても啓蒙的な役割りを果たしてきてくれておる面を持っておる新聞でございますから、やはりそうした安易な値上げというものは、非常に影響するところが大きい。そういう意味も兼ねて、何とかして――こうしたままでずるずるいってもらっては困る。まあ抜き打ちという問題もございます。ずいぶん、いろいろな値上げに際して、もっと消費者と話し合うべきであるという提唱が新聞自身によって行なわれているのですから、やはりそういう意味においても、手続自体にもいろいろ問題があると思います。これらについては、十分今後新聞自身にも、こうした機会を経て反省を求めるということになろうと思うのですが、そのほか、やはり毎年値上げをするというようなことに一体どうしてなっておるのか。ここいらについてやはり根本的な反省と検討がなければ、いつまでも、ただ人件費が上昇したからという理由に押し流されてしまうわけです。それでは他の業界と選ぶところのない結果になるわけでして、そういう意味もありまして――これはもちろん政府が、特に言論を扱う業界でありますから、そのビヘービアについては、よほど慎重でなければ私はいかぬと思いますけれども、いたずらに政府が介入的な言動を弄するということは、一種の誤解を招くかもしれませんが、しかし、これは物価問題という別の見地でございますから、十分な反省を求めたい。それに対する十分な警告を発したい、そうしてまあ、あり方そのものについてみずからこれを問うて、そして十分検討するように、そうした態勢に持っていかなければいかぬ、そういうふうな感じを持っています。  いまわれわれが法律的にどうとかいう話でもありませんし、なかなか新聞についての所管というものさえばく然としておって、まあ形の上で通産省ということになっておるそうですから、われわれとしても、これの検討については十分そこらのところも頭に入れて、そして今後のあり方について、これは新聞自体にも十分反省してもらう、その社会的な立場の重さということを考えて、ぜひそうしてもらう以外にないと思っていますが、そういう方向にわれわれも持っていきたい、物価安定会議委員からの要求もあったのでありますけれども、われわれも、そういう意味においてこれを取り上げたわけでございまして、やはり今後もそうした形でもってわれわれのなし得る、できるだけのことをやっていく、こういう決意を持っておりますから、その点についてはひとつ御安心を願いたい、こう思っております。
  100. 栗山礼行

    栗山委員 まあ、あまり異なった発想での御意見を伺わなくて、やや懇切に、これからの考え方なり対処のしかたということについて御答弁いただいた、こういうことでありまして、私は率直に申し上げて、いろいろ引例いたしました事柄についても、あなた方の点数については、国民は辛い点数を持っておる。あなたについて過大な点数をつけた者が、今日、経済企画庁としてはほんとうにダウンした評価をしておるということで、こういうことに思いを深めていただきたいということで、あえて苦言を申し上げたのですが、この問題について検討と善処ということだけでは、三、四日に迫ります問題の対処にならぬ。  そういたしますと、私、言論機関であるということもよく承知いたしておりますが、その問題は、憲法なり言論機関という特殊な政策にかんがみまして考慮を新たにする。ただし、料金の問題とは別な角度から、これは論点を深めていかなくちゃならぬ。いま地方選挙、参議院選挙と、こういうことで、与党さんとしては何としてもひとつ与党の勢力圏を確保したいと、こういうような考え方が、もし助平根性があるといたしますなれば、少なくともこれはなれ合いであって、警告をし、ひとつ善処はいたしておるけれども、これは政治に失望を禁じ得ないという結果に陥るのではないか。こういうことを含めまして、私は、うまくいかなければ責任をとりなさい、これだけの勇気を持ってあなたが臨んでいただかなければいかぬという、決意をお伺いしたかった。もしうまくいかなかったら、私は、自分としての政治責任は、数々の問題があるから政治責任をとりたいのだというところまで、ひとつ新たなる決意をお伺いしたい、こういうことで、あえて関連質問を申し上げた次第でありまして、私の御質問についてお答えをいただいておるとは理解できませんので、重ねて、その一点についてお伺いしたい。
  101. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御要望は必ずしもよくつかめてないかもしれませんが、まあわれわれとして、やはり国会としてもこういうふうに取り上げていただいたということは、非常に感謝しております。いずれにしても、こういうふうにして、社会機関としての、公共機関としての新聞のあり方というものについて、これだけ真剣に御検討いただいているわけですから、われわれとしても、十分そうした立場に立って、今後こうした問題に対処していく、こういうつもりでございます。まあわれわれとしても、今後なお、もし追随値上げというようなことが起こるということでありますれば、十分の警告も発せなければならぬし、そうした強い政府の気持ちというものを十分伝えたい、そういうふうに考えております。
  102. 栗山礼行

    栗山委員 たいへん貴重な時間を拝借いたしまして、あとは参議院の予算委員会等がございますようでございますから、これ以上申し上げません。多大のひとつ佐藤長官の御努力と成果を期待いたしまして、私の関連質問を終わります。
  103. 小林進

  104. 谷口善太郎

    ○谷口委員 長官、参議院に行かなければならぬのですか、四十五分とか聞いているのですが…。
  105. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 ええ、分科会に行かなければ……。
  106. 谷口善太郎

    ○谷口委員 だから、私は、あなたに一、二点あったんだけれども、やめますよ。行ってください。  ただ、委員長に申し上げますけれども、こういうあとの時間の制限のあるときに、あとに回っている質問者が十分に質問できないというような状況になるのはうまくないので――私は、四十五分に企画庁長官が参議院にいらっしゃることを知らなかった、いまそのことを聞いたのです。ここらはやはり、今後の運営上ひとつうまくやってもらいたい、こういうふうに思います。
  107. 小林進

    小林委員長 谷口君に申し上げますが、委員長も、企画庁長官が四十五分に参議院に行かれるということは知りませんでした。委員長も、谷口君と同様、不満であります。今後委員長も大いに善処したいと思いますから、この席は、委員長に免じて御理解をいただきたいと存じます。
  108. 谷口善太郎

    ○谷口委員 公取委員長に伺いますが、あなたもいらっしゃるのですか。あなたも同じ時間に参議院に行かなければならぬのですか、少しあるのですか。
  109. 谷村裕

    ○谷村政府委員 一時から参議院に行くのです。
  110. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうですか。それでは、これも簡単に聞きます。  先ほどから、今度の新聞購読料値上げの問題について、やはり独禁法の上からカルテル行為じゃないか、これはプライスリーダーシップじゃなかろうかというふうなお話も出ておりまして、これに対して公取としてどういう対処をするかという話が出ております。その御答弁で、委員長はなかなか巧妙で、しかもうんちくのある答弁をされているのです。その中で、委員長はまた、こういうことをおっしゃっている。この間の石油の問題について、公取がああいう動きをする前には何も公式に発言しなかったけれども、やったこともあるということをおっしゃったから、そこらを考えまして、今度の場合も何かの行動に、つまり調査をするとかいう行動にお出になるというふうに理解してよろしいかどうか、その点を伺っておきたい。
  111. 谷村裕

    ○谷村政府委員 そういう御質問には、どうも答えられないわけなんでございます。谷口委員がどう御理解になるかは、もう谷口委員の御随意でございます。私は、これ以上のことをちょっと申し上げられません。
  112. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そこのところが、きょうの全委員の関心のあるところなんです。それはお答えできないという委員長のお立場もわからぬこともないけれどもこの際、先ほどおっしゃったように――三十二年ですかのときには、法律に基づいて調査に乗り出した、そのあとには任意の調査をやったということをおっしゃった、いずれにしましても同様の事態です。同様の事態というよりも、今度はもっと深刻な問題として国民は受けとめておる。こういうときにやはり公取だけが法律に基づいて、条件さえあれば調査するという権限を持っているということでありますから、状況の判断からいって、当然調査されるべきであるし、そういう決意を持っているであろう、また、そういう決意をもってやってもらいたいというのが、先ほどからの委員全体の期待なんですね、これにお答えできないということであればしかたがありませんけれども、そこのところに問題があるということを委員長としてはっきり確認していただいて、しかるべく対処していただきたいというように思います。  お時間ないそうですから、どうぞお帰りください。  通産省がおられないようですから、私、ここで問題を提起しておきたいと思うのです。  これは、政府も、そういう点問題があると思うので、問題提起しておきたいと思いますが、先ほどから、今度の新聞購読料値上げに関連しまして、新聞労働者といいますか、新聞関係者の労賃の問題が出ておりました。私の知っている限りでは、新聞関係の記者その他労働者の賃金は、そう不当に高いものだと思っておりません。だから、この問題はあらためてやる必要あると思いますが、同時に、今度の購読料値上げ一つ理由になっている真意、つまり新聞用紙の値上げの問題をいっております。新聞用紙を含めまして、製紙大資本の最近十年間のいろいろな紙の値上げ、この状況には国民としても納得できないものがあります。特に最近、これは余談になるようなことでありますけれども、公害問題で、かなり公害防止施設をやらなければならぬということを理由にして、たとえばちり紙なんかも上げるというようなこともあらわれているわけでありまして、新聞用紙を含め、紙全体に対する製紙独占資本の支配という問題があるわけでありますので、この問題について通産省その他がどういう指導をやっているか、どういうふうにチェックしているかという問題も、実は聞くつもであったのですが、おいでにたらないから聞くわけにいきませんが、ここらもやはり、新聞購読料値上げの問題が起こった時期に、私どもとしては、その原料になる紙の問題にまで入っていく必要があるのではないかというように思いますので、そういう機会をつくってもらいたいと思います。  以上で終わります。
  113. 小林進

    小林委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四分散会