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1971-02-10 第65回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十日(水曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 青木 正久君 理事 砂田 重民君    理事 登坂重次郎君 理事 松山千惠子君    理事 武藤 嘉文君 理事 武部  文君    理事 渡部 通子君 理事 和田 耕作君       上村千一郎君    坂村 吉正君       正示啓次郎君    向山 一人君       田中 恒利君    戸叶 里子君       松浦 利尚君    有島 重武君       栗山 礼行君    谷口善太郎君  委員外出席者         農林省農林経済         局企業流通部市         場課長     石川  弘君         農林省蚕糸園芸         局野菜花き課長 小原  聰君         参  考  人         (全国販売農業         協同組合連合会         青果部長)   榊  春夫君         参  考  人         (全国中央市場         青果卸売会社協         会副会長)   金井 実次君         参  考  人         (全国青果小売         商組合連合会会         長)      大澤常太郎君         参  考  人         (下馬生活協同         組合専務理事) 竹井二三子君     ――――――――――――― 二月四日  物価安定に関する請願(天野光晴紹介)(第三  〇四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件(野菜価格及び流通機  構の問題)      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  本日は、特に野菜価格及び流通機構問題等について、全国販売農業協同組合連合会青果部長榊春夫君、全国中央市場青果卸売会社協会会長金井実次君、全国青果小売商組合連合会会長大澤常太郎君、下馬生活協同組合専務理事竹井二三子君、以上四名の方々参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。     ―――――――――――――
  4. 小林進

    小林委員長 この際、簡単にごあいさつを申し上げます。  参考人方々には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  申すまでもなく、最近における野菜高値は、国民生活に重大なる影響を及ぼしておりますが、当委員会といたしましても、この国民の声にこたえ、野菜流通機構に直接携わっておられる方々から忌憚のない御意見を承わり、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。  なお、議事の進め方については、まず、生産者立場から榊参考人卸売り立場から金井参考人小売り立場から大澤参考人消費者立場から竹井参考人の順序で、お一人十五分以内で御意見を述べていただき、次に、各委員からの御質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、榊参考人にお願いいたします。
  5. 榊春夫

    榊参考人 榊でございます。どうぞよろしく。  野菜価格問題がたいへんやかましくなってまいりまして、いろいろな角度から価格問題を御検討なさっているわけでございますが、私ども生産者立場から考えますと、野菜高値というものは、必ずしも一部のだれか不心得な者があって、これが犯人で価格が高いというふうなものとは、ちょっと考えられないわけでございます。非常に競争関係の激しい流通事情の中で、そういう特定の者がひとり暴利をむさぼるというようなことは、ちょっと考えられない事情にあると思っております。むしろ野菜がこのように高くなっておりますのは、やはり生産流通事情の構造的な変化があってそうなっているのではないだろうか、というふうな感じがいたすわけでございます。  むずかしい理論的なことはわかりませんけれども、二、三、そういう点で、気のついたところを申し上げてみますと、まず第一には、消費高度化多様化というようなことがいわれているわけでございますが、一口に申し上げるならば、これは消費者が非常にぜいたくになっているということであろうかと思います。  それはそれでけっこうなんですけれども、それでは、そういう高度化し、多様化した需要に対応するための生産を進めていきますためには、生産技術の面においても、従来と格段の高度化が必要である。また、資本投下の面におきましても、急速に資本増大を要するような事態になってまいっております。  そういうことで、高度の技術資本投下をうまく運営していくために、われわれ生産者といたしましては、生産団地育成ということで対応してやっているわけでございまして、言いかえますならば、だれでもつくれるような野菜作というものは、これは過去の例が物語っておりますように、一度豊作になりますと、たいへんな暴落を来たし、その翌年は作付が急速に減少して、また暴騰を繰り返すというふうなことがあるわけでございますが、こういうふうに投術が進み、資本投下が必要になってくるということになりますと、生産者自体も、非常に生産の安定ということを必要とするわけでございますが、それにいたしましても、やはり技術高度化し、資本をよけい必要とするということになりますと、どうしても生産費の面におきましては高くつかざるを得ないというふうな状況があろうかと思うわけでございます。  その次には、野菜生産産地移動というような現象が、かなりあらわれております。  自給生産をやっておりました農家作付が急速に減退をする、あるいは都市周辺における野菜作というものが減少をいたしまして、中遠距離の産地作付増大をしていくというふうなことがございます。統計等で見ますと、作付面積の増が足踏み状態になっていて、反収が上がって生産増が維持されておるというふうなデータが出ておるわけでございますが、これも言いかえますならば、非常に減少する部分増大する部分とがあって、そのプラス・マイナスの均衡の上に産地移動という現象があらわれておるということでございまして、こういうふうな産地移動変化というふうな実態に即した生産対策を講じませんと、やはり豊富な野菜供給ということが非常に困難になっていくのではないかというふうに考えております。  次には、労力不足という問題がございます。  先ほども申し上げますように、生産技術が進みまして、だれでも必ずしも野菜作ができるということでない状況のもとにおきまして、労力不足というものが大きく野菜増産影響をもたらしております。これは物理的に労働力がないということではございませんで、やはり野菜作というものが経済的に引き合わないという、最も経済的な意味における労力不足であるということが非常に重要であろうかと思います。  そういうことでございまして、せっかく生産団地育成いたしましても、二戸の農家作付反別というものが、労力事情によって非常な制約を受けておるということがございます。一反歩か二反歩もつくればもうせいぜいで、あと耕地はあるのだけれども、同じものをさらにつくるということが非常に困難だというふうな事情がございます。最近青田売りというようなことがいわれておりますけれども、これは、昔のいわゆる窮迫販売のような意味における青田売りではございませんで、もっぱら、収穫労働が十分に調達できないために起こる労力対策として、青田売りが行なわれておるというふうな事情にあろうかと思うわけでございます。  こういうふうな諸事情を勘案してみますと、やはり野菜増産が非常に困難だ、また、高かるべくして高いんだというふうな事情があるのではないかというふうに考えられるわけでございます。  次に、流通面の問題でございますが、野菜のことでございますので、やはり鮮度の保持あるいは保管適性というような面におきまして、いろいろと問題があるわけでございます。これに対処していくためには、低温流通方式とか、いろいろ技術的には可能な方法があるわけでございますけれども、そういうふうなことを経済的に成り立たせる条件というものが、十分に熟していないという点がございます。  私ども生産者団体といたしましては、需要に見合った生産をし、すべての生産者が、安定した価格でこれを完全に売りさばくということがどうしても必要なことでございますけれども、そういう鮮度の問題なり保管の問題からいたしまして、十分に調整的な機能を発揮してやっていくことができない、なかなか、私企業の立場で、そういうことを十分にやるだけの経済的な裏づけができないという点に、いろいろと問題があるのではないかというふうに思っているわけでございます。  それで、出荷調整ということを申し上げますと、何か生産者が、価格を引き上げるためにいろいろなことをやるんじゃないかというふうな見方をされるわけでございますけれども、ただいま申し上げますように、私どもといたしましては、すべての生産者が安定した価格で売りさばいていけるということが出荷調整の基本でございまして、そういう線に沿っての対策がいろいろと必要ではないかというふうに考えているわけでございます。  そういう観点から、特に野菜生産出荷安定法内容等考えてみますと、指定産地育成をしていくという点におきましてはかなり有効な施策であるというふうにに考えておりますけれども、日常の出荷を調整する、需給のバランスのとれた出荷をしていくという立場から考えてみますと、指定産地に対する義務づけというものが十分でないんじゃないかというふうな感じがいたすわけでございます。たとえば調整保管を実施するとか、あるいは廃棄処分をするというようなことまで含めて計画的な出荷をやっていく、あるいは出荷調整のための指図に従っていくというふうな、指定産地の義務づけというものがどうしても必要ではなかろうかというふうに考えております。同時に、指定産地にそういう重い義務づけをする以上は、その義務づけに対応した手厚い保障措置というものが伴わないと、十分なことができないのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。  出荷に対する義務づけ、それに相応した保障措置というものを確立していただくことが前提となりまして、もう一つ重要なことは、その出荷調整責任の主体というものをはっきりしていく必要があるのではないか。全国的な視野に立っての出荷調整需要に見合った出荷を確保していく。こういう措置をとるためには、生産者団体全国機関役割りというものがきわめて重要なものになってくるのではなかろうか。私どもの働きの足りない点もあると思いますが、そういう機能を大いに助長していただくというふうな施策が必要ではないかというふうに考えているわけでございます。  なお、流通機構の問題に関連いたしまして、今回卸売市場法の改正が進められているわけでございますが、過去の実績に徴しまするに、こういうふうな法律に規制された流通機構というものは、経済事情変化に応じてとかく硬直的なものになりやすいきらいがあるのではなかろうかという気がいたすわけでございまして、先年、農林省助成を得まして、私のほうで集配センターを設置いたしまして、生産者団体みずからが品ぞろえをして、小売り段階直結をして販売をしていくというふうなことを実験的にやったわけでございますが、その実績にかんがみまするに、やはり経済事情にマッチしたそういう新しい流通方式を確立をしていくというようなことも、きわめて重要なことではなかろうかというふうな感じがいたします。決して市場法制度そのものを軽視するわけではございませんけれども、やはり情勢にマッチした新しい流通あり方というものを、柔軟な態度で育てていく必要があるのではないかというふうな感じがいたすわけでございます。私ども集配センターで業務を開始しまして、まる二年と二カ月ほどたつわけでございますが、その間の実績から見ましても、小売り段階の仕入れの合理化なり、あるいは小売り店経営近代化あるいは合理化ということに非常に役立っているのではないか。小売り段階からも非常に歓迎されておりますし、産地からの出荷もそれを十分裏づけしているわけでございまして、これも一つの例として、大いに今後も助長していくべきものではなかろうかという感じがいたしておるわけでございます。  そういうふうな流通機構の弾力的といいますか、柔軟な姿勢で情勢変化に対応してやっていくことが必要だという点を最後につけ加えまして、私の意見を終わらせていただきます。
  6. 小林進

    小林委員長 次に、金井参考人にお願いをいたします。
  7. 金井実次

    金井参考人 私、ただいま御紹介にあずかりました中央卸売り市場関係金井でございます。ただいま生産者立場から、榊さんがいろいろと御発言になりましたので、私は、中央市場関係を中心としてお話を申し上げてみたい、かように存ずる次第でございます。御承知のように中央卸売市場は、消費高度化多様化に備えまして、全国各地から青果物を集めて卸売りをいたしておるのでございます。大阪の例をとりましても、東京も大阪と同じでございますけれども全国三府四十三県のうちで、取引のない県というのは二県か三県でございまして、ほとんどの各県と取引をいたしておるわけでございます。もちろん野菜につきましても、主要品目だけでも数十種類ございます。全部の品目を合わせますと三百以上になるのではないかと思うのですが、それらのものを全国各地から集荷をいたしまして、そうして消費市民供給をしていくということが卸売会社の大きな使命でございまして、一つの義務であると私は考えておるのでございます。数十品目、数百種類に及びまする野菜、くだものを一カ所に集めまして、そうしてそれを短時間に、現在の中央市場あり方にいたしますと、それだけのものを二時間ないし三時間に価格を決定をいたしまして、そうしてこれを仲買い人さんの手を経て消費者手元にお届けする、少くとも午前中にそれらの仕事を全部終了せなければならぬということでございます。これはもちろん、生鮮をたっとぶ、時間に余裕がないという商品の特殊性から、そういう制度が続いてきておる、こういうことでございます。  したがいまして、全国各県から毎日数十種類、数百種類に及ぶ品種を集めまして、そうして短時間に価格をきめて、それが午前中に消費者手元に届くという形態をとります限りにおきましては、現在の中央卸売市場機構というものは、私、他にかえがたいよい点を持っておるのではないか、かように考えておる次第でございます。これは決して私は、我田引水的に申し上げておるわけではございません。そういう形が長年続いてきておるということにかんがみまして、それにやはりある程度の合理性というものが伴っておるというふうに、私は信じておる次第でございます。  この責任を遂行するために、われわれといたしましては、生産者の皆さんから安定的な数量の供給を受けるということが、一番問題でございます。簡単に申し上げますと、やはり需要に応じた生産というものが伴わない限り、なかなかこの価格の安定ということはむずかしいのではないか、私はかように考える次第でございます。  ところが、この需要に応じた生産の確保ということが実際問題としてなかなかむずかしいということが、現在までの事情であったのではないか、かように考えます。たとえば、いろいろ最近問題になりました大根等につきましても、最近になりましては、すでに平常の価格に戻っております。昨年よりか少し下がっているのじゃないかと思います。こういうように短期間に変動があるというふうな品物、特に大根とかハクサイとかカンランとか、そういう性質のものでございますけれども、バレイショのように多少長期的の計画を立てられるものにつきましては、これも御承知だと思いますけれども、昨年から比べますと、相当安い価格をずっと持続いたしておるのでございます。高いものもあれば安いものもあるというふうな形が、今日すでにできておるわけでございまして、全部が全部、私といたしましては高いものではない、かように了解をいたしておる次第でございますが、やはり結局、この需給の安定というものが価格につながってくる、こういうことが一つの大きな原則であろう、かように考えますけれども、この混乱をなくしますためには、生産対策ということが一番必要であろう、こういうふうに考える次第でございます。  これは、先ほど榊さんから、いろいろ生産者立場から御希望なり御意見が出ておりましたので、それで尽きておると思うのでございますが、私といたしましても、やはりそれらの点につきまして、政府のほうでも十分にひとつ御協力いただきたい、かように考えます。政府におかれましても、すでに野菜生産地の拡充であるとか、あるいは指定品目をふやしたり、あるいは施設園芸助成、それから野菜価格の安定、価格補てんというような事業を地方自治体と共同なり、またいろいろおやりになっておるのでございますが、ぜひこれらのものを拡大強化していただきまして、生産者自体が安心して野菜をつくり得るという状態をひとつぜひお考えいただきたい、かように存ずる次第でございます。  四十三年におきましては、各種の品目野菜が非常に暴落をいたしまして、畑で捨てるというふうなことがありましたが、これは二年前のことでございます。こういうことを繰り返しておるということは、すなわち生産者も、野菜をつくれば、一つのばくち的なようなことになるというふうな不安も一部にあることは事実でございます。したがいまして、野菜をつくっても最低の収入というものが得られるというふうな制度をこの際お考えいただきまして、それを基礎にすべての施策を発展さしていただくことが一番いいのではないか、私はかように考えておるのでございます。  それから、私どもといたしましては、この流通の問題、いろいろございまするけれども卸売会社といたしましては、やはり流通コストを下げていくという点について、もっと考慮を払うべき必要がある、かようには考えております。生産団体のほうからもおっしゃいましたけれども、最近の人件費の高騰というようなこともございまするし、いろいろ問題点はございまするけれども流通コストの問題につきましても、われわれはやはり下げていく必要があるということは十分認識はいたしておるのでございまするけれども、この点につきましては、この際、ひとつ諸先生方も一度、早くから市場のほうに来ていただきまして、市場実態というものをひとつぜひごらんいただきたい。いかに乱雑な、設備の古い市場取引形態であるかということを、ひとつぜひごらんいただきたい、かように考える次第でございます。現在の市場というものが、いかに非近代的な設備の中であれだけの仕事をしておるかということにつきまして、ひとつぜひごらんいただきまして、その実態を十分ひとつお調べいただきたい、かように存ずる次第でございます。  私ども、商売でございますから、朝早く市場へ参りましても、なかなか歩行に――一分、左右前後に注意をいたしませんと、自分自体がけがをするというふうな状況でございます。そういった非常に混雑した、狭隘な市場の中で作業しておるわけでございまして、省力化あるいは機械化考えましても、現在の市場設備ではどうにもならぬのでございます。数十年前に建てた建物をそのまま使っておる。多少手直しはいたしておりますけれども、現在の市場の姿というものが――これは運営でございません、市場建物が、いかに非近代的で、時代から取り残された姿でそのままに放置されておるかということは、ぜひひとつ諸先生方市場を、御迷惑でございましょうけれども、朝早くひとつ――これは午後になって見ていただきますと何にもなりませんので、少なくとも朝四時か四時半ごろまでに市場のほうに来ていただきまして、そうして実態をひとつ十分御調査いただきたい。これが流通コストのためにどれだけはね返ってきておるかというふうなことも、これは諸先生方、それをごらんになれば一目瞭然で、ある程度、これではなということをすぐにお考えになるのではないか、私はかように考える次第でございます。したがいまして、これらの点につきましては、開設者である地方自治体並びに国のほうで非常に力を入れていただきまして、われわれが省力化をしょう、また機械化をしてやっていこう、また低温設備考えていかんければならぬというようなこともいろいろ考えておりましても、そういう場所というふうなものももちろんございませんし、どうにもならぬ、動きがつかぬということが市場実態でございますので、世の中が非常に高度成長いたしておりまするけれども高度成長から一番おくれておるのは市場建物である。人とか運営ではなくして、市場建物高度成長に一番おくれておるのではないかというふうに私といたしまして考えておりますので、ぜひひとつこの点につきましてもお考えをお聞かせいただきたい、かように考える次第でございます。  中央市場というところは、生産者の方は高く売りたいという御希望がございます。消費者の方は安く買いたいという御希望がございます。それがぶつかるところが中央市場でございます。したがいまして、両者相反する立場におるものがぶつかり合いまして、そして、そこで集荷され、価格がきまって、それが仲買い人さんあるいは小売り商さんの手を経て消費者にいく、こういう形でございますので、なかなかむずかしいという点はございますけれども、やはりああいう設備がなければ、多種多様化したものを短時間にさばいて価格をきめるということは、設備と申しますより、中央卸売市場機構というものはどうしてもやはり必要であろう、こういうふうな問題でございます。  中央市場の、公正取引をせんければならぬというふうないろいろな問題がございまするし、私どもといたしましても、取引の改善、合理化につきましては、これから十分配慮し――従来も配慮してきたつもりでございますが、将来につきましても配慮をせんければならぬとは思っておりますけれども、やはり現在の市場の、いろいろいわれておりまする産地との直結産地から消費者直結してはどうかというふうな問題もございます。私、これにつきましても、必ずしも否定的ではございません。これは結果といたしまして、そうどちら――中央市場のほうの流通形態が現在は主力でございます。これのやり方と、生産者消費者直結して、どちらがいい結果が出るかということは、これは生産者並び消費者がおきめになったらいいのではないか、かように考えております。決して私はそれを否定し、または批判するつもりは毛頭ございません。やっていただいてけっこうではないか。私としてはそういうふうに考えております。結果としましてはどちらがいいか。現在の中央卸売市場機構に欠陥があるのか、直接取引したほうが生産消費の両面にわたって有利であるのかということは、これは少し時間をかけましたならば結果が出てまいると思います。その点で私としては、やはり自然に結果のよいほうに変わっていくのではないか、かように考えておりますので、産地直結とか、また産地が直売されるということについては、決して否定的ではございません。まあ、賛成で、大いにやってくださいとは申し上げませんけれども、おやりになることはけっこうだというふうに私としては考えておりますので、その点につきましてもよろしくお聞きおき願いたい、かように考えます。  それで、いろいろ申し上げてまいりましたけれども物価安定政策会議の提言もございますし、いろいろな意見が最近出ておりまするけれども、これらの問題につきましては、先生方も御存じのとおり、現在中央卸売市場法案というものが国会に提出されておりまして、継続審議になっております。この中にあの程度の、提言されておりまする主要な部分につきましては、ほとんどその中に網羅されておる、かように私、考えております。したがいまして、私どもといたしましては一日も早くあの法案を通していただきまして、そうして、いろいろ盛られておりまする法案の内容に従いまして、新しい角度から業務規程の改正も、これからあると思います。新しい中央市場あり方ということがあの法案の中に盛られておりますので、法案の趣旨に沿いまして、私ども今後大いに、政府のほうの御指導を得まして改善をしていきたい、かように考えておりますので、最後にお願いでございましたけれども市場法案をぜひひとつ早期に通過さしていただくように先生方にお願いしておきたい、かように存ずる次第でございます。  いろいろ申し上げまして恐縮でございましたが、また後ほど、御質問等がございましたら、お答えさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  8. 小林進

    小林委員長 次に、大澤参考人にお願いをいたします。
  9. 大澤常太郎

    大澤参考人 私、大澤でございます。ちょっとのどを手術しまして声が出ませんから、お聞き苦しいでしょうけれども、どうぞじょうずに聞いていただきたいと思っています。  先輩の方からいろいろ生産市場関係のお話がありましたから、私は小売り関係について、ちょっとお話しをいたしてまいりたいと思います。  私ども小売り商は、東京では私どもの組合外の者もいますから、小さい、行商まで入れますと約一万二千人くらい。それから全国では、やはり小さい、車を引いて売って歩いているのまで入れますと約八万ばかり。それだけの者が、東京は東京でまとまり、さらに全国全国でまとまりまして、連合会ができております。その連合会を私が引き受けておるわけであります。  私どもの業者は、あきんどは元にありというから、仕入れが一番大事なのです。さりとて、零細な業者が多いものですから、いまのはやりの産地直結だとか、産地へ買いに歩くとかということは、できる者もありますけれども、大部分ができません。そこで、全国にある市場を利用しまして、大部分の者は市場から買っておる。御案内のとおり、年を通じますというと約四百種類からありますから、少しずつの品物をまとめるには、どうしても市場以外では用をなさない。そんなことでやっておりますが、ただ違う点が二つある。  それは地方は地方の事情がありますけれども、特に大都市を比較しますと、関西と東京、これを中央市場取引で見ますと、東京は仲買い人というものはございますけれども、大都市のわりあいには少ない。少ないのはどういうわけかというと、東京は、小売り商消費者の代買い人という考え方で、ほとんどが中央市場に直接参加をして買っております。関西は御承知のとおり、もう全部仲買いが買って、仲買いから仕入れをして、そして売っておる。ここが関東と関西の違いですな。  そんな関係取引をしておりまして、東京で申し上げますと、中央市場の取り扱いが千五、六百億あります。それから、そのほかにもまだ、三多摩であるとか、中央市場に入りそこなった昔の類似市場その他のものを加えますと、全部では約五十ばかりあります。そこで私どもの組合員はみな買いまして、それに加えて、最近は青果物だけではない、やはりパパママ・ストア式に、店に余裕がある者は関連商品の販売もいたしておりますから、大体一年に二千億ぐらいの売り上げを得ております。東京の話ですよ。二千億円の売り上げをしております。  そんなことで、市場を一番たよりにしまして、大体のものを市場から仕入れまして、そして販売をいたしておるわけであります。  それから、いま前の方からもお話がありましたけれども、その買う気持ちは、特に東京は、消費者の代買い人として、自分たちが中央市場のせりに参加をするのだから、消費者本位でなければいけないというので、なるべくいい品物をなるべく安く買いたいという気持ちで、みなせりに参加をいたしております。仲買いは要らないじゃないかという話もありましたけれども、いま申し上げました一万からの小売商の中には、ほんとうの小さい業者もおりまして、一人でもってそうたくさん、何から何まで買うわけじゃありませんから、少量に分けてもらうのは、仲買い人が買ったものを少しずつ、希望だけ買うほうが便利だというので、仲買いを利用しておる人が多いと思う。そういうようなことで、市場にもよりますけれども中央市場から買っておりますものは、仲買いと小売り商で半々くらいでしょう。そういうようなことでやっておるわけであります。  ただ、われわれによって値段が左右できないというのは、なるべくいい品物を安く買って、そうして安く売ろうという考え方でいる者が集まって、そしてせりですから、それで価格ができるのです。需給関係というものはなかなかむずかしいものでして、しろうとが考えたようなわけにいきません。自分が買いたいという値段でも、それ以上にせり値を突く者があれば、そのまた上やりを突いていかなければあぶれてしまいますから、自分は買えないのだ。そういうようなことで、落ちつくところに落ちつくわけです。  御案内でしょうけれども中央市場は規則といたしまして、ある品物を最高幾らということでいくわけですけれども、かりに十円といきます。十円が一番最高のせりだとするというと、十円でぱっと落とすのじゃないのです。きまるのじゃないのです。それを三回繰り返す。十円、十円、十円、まだないかというわけで、三回繰り返して念を押しまして、その上が出なければそれで落札する、こういうような規定になっておりますから、それによってやっておる。  それから、さっき金井さんから、何しろ狭隘だというお話がありましたが、神田の市場は日本一の売り上げをしておるのですけれども、狭くてしかたがない。とんでもない話があった。この間も、市場の中で仲買いの車にぶっつけられて、小売り屋が一人死んだんです。ですから、なかなか余裕のある買い出しはできません。そこで、なるべく早く市場に買い出しに行かなければいかぬというので、たいがい、勉強の人はうちを出るのが四時です、遠くからも来ますから。四時にうちを出まして、そして五時までには市場に来る。おそい者でも六時、もうせりが始まりますから。そういうようなことで、それから始まるセリでもって買い歩くわけですけれども、そのときの状況によって、なかなか思うように楽な買い出しはできない、こういうことです。これが実情です。  それから、いま、まるで私どもは、小売り商が被告人みたいなことを新聞なんかに書かれます。新聞社いるでしょうから……。私も、朝起きて新聞見て、実際憂うつなんですよ。何も自分が高く買ってきて高く売っておるわけでもない。きめられた二割か三割の利益でもって売っておるのに、元があるのに、それをまるで小売り商が犯罪人のように、いわゆる追跡調査だとか、まるで悪人か犯罪人でも追っかけるようなそういう形。ちゃんと正式に税金を払って、そして自分では消費者本位の安売りの商売をしようと思ってやっておるのに、私は実に残念なんです。けれども、何しろ世論がこうやかましいですから、何かひとつやりたい。自分でできなければ、卸、仲買いと相談をして、協力してもらって、犠牲的に商売をしようと思って、実はいろいろ考えてみた。ところが、残念ながらいまの状態ではできない。何しろ相場というものは――元がない、品物がないのですから。市場に出てくれば、市場の相場というものは入荷のいかんによって決定するのですから、なかなか安いものが買えない。  実は数年前、やはり物価が高くて困ったときに、私どもいろいろ主婦連の方や何かと相談をしまして、経済企画庁にも行って相談をして、何かこの際安売りの方法を打ち出そう、どうしたらいいだろうと相談の結果、実は東京は割引デーというのをやったのです。毎月一回木曜日。そしてずいぶん長くやってきました。これは非常に評判がよかった。定価の一割引き。八百屋がそれをやったものですから、魚屋もやる、肉屋 もやる、鳥屋もやる、しまいにはつくだ煮屋もやるというので、東京で一カ月のうちに十五団体が、日を変えて安売りデーをやった。これが評判になりまして、全国で二百五十の団体が安売りデーをやった。私はあのときに非常に愉快だったことは、東京都の当時の経済局長は常陸という人でしたが、この人が熱心に毎日、私らと一緒に八百屋の店を回って歩いて、まじめにやっておるかどうかということをすっかり調べて歩いて、非常にごきげんもよかったから、私も非常に喜んでおったわけです。  ところが、どういうかげんか知りませんけれども、それを相談なしでぱっとやめられてしまった。だれがやめさせたのかというと、いまの知事がやめさせてしまった。前の知事は、御承知の東竜太郎さんです。消費者の団体によばれて歓迎されて、ごちそうになったこともありますよ。賞状をもらったこともありますよ。ところが、いまの知事さんになってから、どういう関係か知らないけれども、やめろというのでやめさしてしまった。相談も何もなくやめてしまった。  そんな関係で、私は、そういうことを二度繰り返してやる勇気はない。ということは、一万人からの人に納得させなければ、利益を代表するものが、一割割り引いて売れということはできないんです。商店街だとか特定の人がやる分には、だれでもできる。けれども、東京のすみずみまで、全部の人が同じように看板をあげて、同じような販売の方法をやって安売りするということはできない。そこで、私は四十日ばかりかかって東京じゅうの各支部を回りまして、みんなに納得さして、一年じゅう消費者のおかげでわれわれは生活をしておるのだから、一日ぐらい無口銭で売ってもいいじゃないか、こんなに物価が高いといって騒いでおるのだから、みんながまんしてやってくれということを頼みましたら、みんな賛成してくれました。賛成してくれてふたがあいたわけです。それがそういう結果になってしまった。何てだらしがないことだというので、私は利益代表ですから、下の組合員から突き上げを食って困った。  そんな関係で、いまさらそんなことを繰り返すことはとてもできない。けれども、何かしなければならぬからというので考えたのが、実はタマネギとジャガイモをホクレンからまとめて、五千万か六千万持っていって買ってこよう。そして運賃がかかりますから、ひとつ運賃は卸のほうに相談して、卸のほうで心配してもらおう。仲買いにも手伝ってもらおう。そうして最後の販売は無口銭でもよし、最小限度の手数料ぐらいでもって販売するようにして消費者は喜ばれようじゃないかということを考えまして、産地を回ってみた。いいことですねとほめてはくれるけれども産地ではみんな売ってくれない。品物がそれほどあり余るわけじゃない。そういうような考え方とは私ら生産者はちょっと違うのだ。やはり生産者は幾らか余裕のある生活がしたいから、自分でつくったものは少しでも高く売りたい。さっき話が出ていたように、あれがほんとうの気持ちだ。だから、現金をぶつけてくれて、まとめて買ってくれるものに、市場相場を無視してうんと安く売るということはできない。いま手元にある品物を市場に出す場合には、一ぺんに出すと値が下がってしまうから、出荷の調整をはかって価格を維持させようと思って苦労してやっておるのだから、金もほしいし、まとめて買ってもらいたいけれども、どうもいまの場合そういうことはできないと、どこへ行っても断わられてしまう。とうとうこれは実現しないですよ、市場の相場で買うなら同じことですから。  それで、卸のほうにもせっかく相談したのだけれども、しかたがないから、じゃ何かほかのことを考えようというので、その後またいろいろのことを考えておるのですが、何しろ原価があるものですから、原価が安く買えなければしかたがない。どんなぐあいにわれわれの手数料がかかるかということは、生産者が物をつくって、いろいろな段階を経て、包装したり何かして、運賃をかけて市場に出す。市場で売ってもらえば、野菜は八分五厘手数料を払わなければならぬ、こういうことです。  それから、私どもは、どんな年をとった人間でも、八百屋を昔からやっておりまして熟練工ですから、市場に行って十分買い出しはできる、どんな人でも。けれども、中には病人もおりますし、それから、年をとってわれわれみたいになると、自動車の運転をして二トン、三トンの品物を積んでくることもできない。もしそういうような人が運送屋に頼むと、リンゴ一箱三十円、ダイコン五本まるきでもって三十円、こういうような割合で運賃をとられる。トラックでもって神田の市場で買い出しをする者が、新宿まで持っていってもらえば二千五百円、立川まで持っていってもらえば五千円、これが運送の相場です。これはだれでも、買った品物は自分で始末する。いまの市場の規則では、売るまでは責任卸売り人にある。売ってしまえば売ったとたんに、その一切の責任はみんな買い手にあるのですから、買った品物は、自分で遠くの自動車の置き場まで持っていって、それに積んで帰ってこなければならぬ。よその商品のように、買ったものをうちに届けてくれたり、運送するときに手伝ってくれたりするのじゃないのですから。自分の買ったものはみんな自分でやるんだから。そういうようなことで、引き取りということは相当にたいへんな仕事です。  それから、その次は何かというと、買った品物が大体水ものですから、このごろは、汽車で来るよりは、自動車で来るもののほうが三分の二あるそうです。これが遠くからゆられてくるのですから、品物の目方が減ってしまう、目切れというやつです。容器には十五キロとか二十キロとか書いてありますけれども、それは幾日か日がたって、プラットホームに積んでおいたり、あるいは自動車で東京まで持ってくると目方が減る。これは必ず減る。ふえっこないのですから。それと腐りです。買ってきたものをそのまま売るのじゃないのですから、仲買いと違うのですから。すっかりばらして、お客さんの料理のしいいようにそれを整理して売るのですから。ですから、ロスと目切れでもって約一割近く出る。  それから今度は、そのときに、皆さんそんなことお考えないかもしれないけれども、ごみが出るのですよ。このごみがどのくらい出るかというと、去年の東京の中央市場のごみの費用が一億三千万ですか、それから中央市場以外にたくさんの市場がありますから、その市場のごみ代を調べてみますと、両方で二億かかる。ごみ代を負担していないのは消費者だけですよ。売るやつはみなごみ代を払っている。八百屋は、このくらいのバスケット一ぱい三十円から三十五円。自動車一ぱい自分で積んで持っていっても、ごみ捨て場に持っていくと千円払わなくちゃならない。これがなかなかたいへんな負担ですよ。ちょっと売れるうちになると五万、十万、もっと大きいやつがありますよ。どんな小さい八百屋でも、ごみの出ないという店は一つもないですから。そういうようなごみ代も出る。そういうものを含みますと、約一割出るということです。  それからその次に、ここにちょっと持ってきましたから置いていきますが、お客さんが、昔のように手づかみで持っていかないですよ、コンニャク買っても何でも。これは卵の入れものですが、置いていきます。これもそうです。これはみんな札が入ってるから、あとでごらんなさいませ。それから、コンニャクを入れるやつからミカンを入れるやつ。何でもかんでも、みんなお客さんに入れてあげるのです。手づかみで持っていってくださいよなんて言ったら、そんな八百屋、買いに来ませんよ。それから、こんなハイカラなものができました。あとで何かに利用ができる。これが卸相場だ一個四円です。これはみんな札がついていますから、ごらんくださいまし。  こういうようなのが大部分使われておるわけです。  それから、果物になりますと、包装をしてくれというので包装をします。包装してひもでゆわえてくれというと五円かかりますから、これが、店によってですけれども、一割まではかかりませんけれども、大体五分や六分はかかる。これもそうです。山積みなんかはこれに入れる。  ですから、まず最初に申し上げた運賃、それから目切れ、ロス、ごみ代――ごみ代というのはおかしいけれども、ごみも払わなければならない。それから、これがお客さんへの包装紙。  それから、手間賃ですよ。いま八百屋の奉公人なんかなり手がないですから、安定所に頼みにいったって、何の商売、八百屋、ああ八百屋さんはあきらめてくれ、こう言うのですよ。集団で来た従業員でも、みんな集まって、おまえ八百屋かといってばかにされるというのです。骨が折れるし、朝四時、五時に起きて、労働時間は十二時間。五時ころに市場に行って夕げまで商売すれば、どうしても十二時間くらい働かなければならない。ばかにされる。どうしたって、泊めてやって、めしを食わせて、着せてやって、給料払う、たいへんですよ。お役所やなんかの給料も、初任給聞いたら、四、五万で来るそうですね、大学出た人が。八百屋はそんなことでは来ませんよ、あんなくたびれる商売。ですから、ちょっと運転でもできるようになると、十万円から払わなければならぬ、主人のかわりに買い出しでもできるようなやつは。そんなことですから、なかなか人件費も高い。そういう人が、こうやって一日に何百人ものお客さんを一人で商いできるものでもありませんから。お客さんの気に入ったのをついて歩いて売るのですけれども、そういう人件費。  それから税金ですよ、事業税その他。家賃は別ですよ。  そういうことの計算をこまかにしますと、二割や三割もうけて、目切れ、ロス、ごみでもって一割くらい出て、運賃は、頼めばそういう話です。けれども、自分で運転していけますよ。どんな年寄りでも、みんな自分で運転免許証持っているから、みんな自分で運転してきますが、昔からやっている労働ですから、なれていますから驚かない。  私も実はいま、あれはないけれども流通改善協会というものを農林省から頼まれてやっているんですよ。どういう団体かというと、物価問題に協力させるため、ばらばらじゃしようがないから、食料品全部が一本になれというので、お米屋から酒屋、菓子屋、八百屋、魚屋、肉屋、鳥屋、卵屋、そういうような市場も入れると、二十九団体ありますよ。全部で七十万人いるんです、その組合に。その組合が、昨年の五月の十三日に東京で旗上げしまして、いまやっているのですが、私が見た目では、八百屋ほど勤勉な業者は少ないですね。朝四時に起きて、五時に買い出しに行って、十時間も十二時間も一日働いて、それできたないかっこうして、もう頭を下げて歩かなければ商売にならないのですから、そういう商売はないですよ。これ以上無理なことを言ったら、奉公人は来ません。ですから、よほどじょうずに使って、そして将来の相談でもして、家を心配してやるとか、女房を心配してやるとかなんとかしなければ、とてもだめですよ、来ないですよ。人手不足の対策として、ずいぶん地方も回っていろいろ頼んでみるけれども、「八百屋さんですか、八百屋はどうも」――これですね。地方に行って、八百屋の兄さんや弟が安定所の職員をやっている人なんかに頼んでもだめですよ。みんなお断わり。そういうように、ほんとうに最低の生活をして、最低の売り上げをして、最低の商売をしているのですから、これはよほど皆さんも考えていただかなければならない。いまの組合は、中小企業協同組合法という、小さいものを基本に、一人前にして食えるようにしてやってくれということを頼まれて、組合が世話をしているのですから、そういうことを考えると、実際、私は組合を代表しているから言うのではありませんが、八百屋ほどばかばかしい商売はないと思っております。  八百屋をしたつもりでもってほかの商売をやったら、必ず成功する。いま私のうちで家内がぐあいが悪いので、秋田から人を頼んでいる。耳が悪くて、おばあさんで、六十幾つでもって幾らかというと、二千六百円ですよ、めしを食わして。亭主も来ているが、亭主はマル通に行って働いて三千五百円。せがれも出てきておる。丸井に行っておって、これも三千円くらいもらっているのではないですか、労働ができる。そうすると、米の転作でもって見込みのないようなものをつくるよりも、三人そろって東京に来て一日に一万円ずつでも入れば、そのほうがいい。それですから、農村の労働というものがだんだんと都会に移って、御案内でしょうが、ことしは八十五万だというのですね、去年からことしにかけて。そういうように労働者がだんだん都会へ入ってきてしまう。そのほかに、いま申し上げたようななにがあるでしょう、季節労働者が百万人もある。そういう生産をしていたという人がみんな消費者になって買うのだから、逆になってしまったのだから、だから品物が足りないのもあたりまえだ。農林省も非常に苦心しておりますよ。農林省も苦心しておることはよく知っているし、私らも手先で動いておりますから、いずれは何とか間に合ってくる時代が来くると思いますから、それを楽しみにしてわれわれはいまがまんしている、しんぼうしているのだ。ほんとうなら、もう出かせぎと同じように、八百屋なんかの労働をしているようなつもりでもってよそへ行って働けば、下っぱの人はもっといい商売になるかもしれない。そういうわけでございます。  まことにすみませんが、質問してください。幾らでも材料がありますから……。
  10. 小林進

    小林委員長 ただいま大澤参考人が包装用の品物を陳列されたよう。ございますが、参考人が品物をお出しになるときには前もって委員長の許可を得ることになっておりますので、この問題は委員長の事後承諾ということで、委員の皆さま方から御了承をいただきたいと思います。  次に、竹井二三子さんにお願いをいたします。
  11. 竹井二三子

    竹井参考人 私は、山の手にある下馬というところで、生活協同組合の責任を持たしていただいている竹井でございます。  野菜価格の問題をいろいろと追及していくときに、私たちがいろいろやってき、試みてきた中から、こういう問題があるのじゃないかということを、これは主婦の立場消費者立場でいろいろつかんでいるわけです。それを知っていただくために、ちょっと私どもの規模といいますか、活動の規模を申し上げますと、昨年の三月までは組合員が三千人でございました。そして野菜の取り扱いが、一カ月せいぜい二百万前後でございました。そうして、どこへ品物を買いに行くかと申しますと、淀橋の市場へ職員が、せりに毎日参加していたわけでございます。こういうことをしていたのでは、とてもじゃないけれども市場価格に振り回されて、よくて安いものなんか買えないという組合員の声が出てまいりまして、もっと産地から直接ものを引っぱるようなことができないかということで、北海道から、紋別の農家からジャガイモをとったこともございました。それから、土浦から白菜をとったこともございました。それから、山梨からブドウをとったこともございました。それからまた、山梨の農家から梅干しをとったこともございました。  これはこれなりに、いろいろ農民の訴えと、そして私たちの切実な願いとが一緒に結びついて実行したのですけれども、その中にいろんな多くの問題を持っていたわけです。それは、一番ぶつかりましたのはロットという問題でございます。一つのものをとるのに一定の単位があるわけです。北海道からものをとろうと思えば一車、それは十トンとか十五トン、それからトラックで来ても二トンなり四トンなり、そしてそれがどかんと山の手の町の中のお店の前に――タマネギでも十五トン、五トン車三台ですね。それがどかんと一ぺんにおろされたら、一体これをどう主婦たちで処理しようかという問題があって、これは非常な苦労をしたわけです。  それで、どうしても組合員をふやさなければ、二千人や三千人のところで何かやっても、これは苦労ばかりで、とてもじゃないけれども経済行為にはならないということが、みんなの中で話し合わされて、去年の十月の末に急遽上町というところに一店舗かまえて、組合員が自然にふえたのを待って、ただいま約六千名近くなっております。それから野菜の取り扱いも、最低で月五百万くらいにはなりました。それから車も、二トン車を二台新しく購入しまして、そして毎日満載とはいいませんが、暮れなんかは足りなくて、二トン車が二つ、四トンですね、満載になるほど持ってまいります。これは淀橋でせっていたのでは、大きな買い手が入った場合には、われわれの手には決して安く入りません。それから、純粋に八百屋さんから上がった職員ならともかく、われわれしろうとからいろいろせりを覚えてそこの中に参入していく場合には、とても無理なので、連合会、それから全販との話し合いで、ただいま戸田橋のセンターを利用して、毎日戸田橋まで二トン車二つ、職員が朝早くから走っているわけです。  そういうことをやりながらいろいろとつかんだのは――私どもは、消費者がきりきり舞いして、そして安くていいものを買うことがすべてだとは思っておりません。これは当然政治がやってくださることであり、政治を動かすのは議員の先生方ではないかと、私たちは多く期待はしておりましたけれども、何年たってもそれが決して、こうなったからこうなったというものがないわけです。ですから消費者も、手をつかねていて、政府の悪口ばかり言ってみたり、議員さんをやじってみたりしても、これはどうにもならない。やはり自分たちは自分たちで、できる限り生活を守る活動をどこまでできるかやってみようということでいろいろやった結果でございます。そういう意味で私たちの組合員は、自分たちでもこれくらいのことはできるじゃないか、それから、これだけの問題を把握しているではないか、政府は何をしているのだ、議員さんの先生は一体何をしていらっしゃるのだろうというのが、たいへん申しわけないですけれども、卒直なわれわれのいまの感想でございます。  まず、この間農林省でもいろいろ――追跡ということばをいま大澤さんのほうからしかられましたけれども、いろいろ調査をしてみて、結論は、需給のバランスといいますか、それがとれていないのだ、それだからこんなに値段が上がるのだということをおっしゃいましたけれども野菜消費の量というのは、そんなに年がかわり、それから人がかわれば変わるものであろうかと、非常に私、疑問を持つわけです。それは絶対変わりません。人間が生きていく上に基本的に摂取しなければならない量というのは、特にたん白、それから野菜という点では必要なのです。それは嗜好があり、それから地方の特殊性が少々あり、家庭の生活レベルの違いはあるでしょうけれども、それは数字に出てくるようなものではなくて、基本的に野菜はこれだけとらなければ、人体を維持していく、子供の生命を育てていく上に必要なものであるという数量がはっきりしているはずです。私たちは政治家ではありませんから、日本全国野菜消費がどれだけだという数字はわかりませんけれども、家庭の中で子供を養い、私たちが生存していくのにどれだけ必要かということは、しっかりといつも踏んまえて暮らしているわけです。その野菜消費の量というものは、黄色野菜ですね、色のついた野菜が百グラム、その他の野菜が二百グラム、それからイモ類が百グラム、それからくだものが百グラム――最低どこの家庭でも一人一日とらなければならない量というものは、人間が生存し始めてきてからきまっているのじゃないか。それはだれがきめて、だれが数字に出したということではなく、やはりそれだけのものを消費しなければ続いていかないわけですね。そういう点で、いまになって生産需要とのバランスがとれていないということで政治ができるのかしらということは、主婦であれば、ほとんどの方がそう言います。  私どものところでは、ただそれだけを言っていてもしかたがないので、日本生活協同組合連合会で、家計の調査というのをずっとここ数年続けているわけです。消費動向がどうなっているか――個人の家計簿だけではなくて、どうなっているかということをずっと調べてきたのですが、その中で野菜消費について申しますと、昭和四十二年の十月には大体――この調査の対象になる人を先に申し上げておかなければなりませんが、四十代のサラリーマンと子供が二人くらいある家庭といことにしぼって、北海道から九州まで家計調査をしているのですが、四十二年に野菜消費が二千四百四十三円、四十三年は二千三百六十九円、四十四年が二千四百七十四円、そして四十五年の十月は三千四百六十九円と大幅に上がったわけでございます。ですから、四十二年、四十三年、四十四年くらいは、野菜のとり方が足りない、値段が上がるといいながら、まあまあ何とかくふうの中で吸収してきた数字じゃないかと思うのですが、それを一人一日当たりに割りますと、四十二年が十九円、四十三年が十八円、四十四年が十九円、四十五年が二十七円というふうになっているわけでございます。このいろいろな費目の中で、主食なら主食の費目の中で、お米、パン、うどんなんかとの対比を比べてみましても、全体的な食費の上がりは一二五%でございました、四十四年と四十五年の対比が。その中で、野菜とくだものだけが一四〇%なり一四一%という上がりを示しているわけです。これは、物価の値上がりがすぐそのまま上がってきたかといえば、そうでなくて、主婦というのは、やはりいろんな必要なものを全部出して、最後は食費のところでまかなってしまうということで、かなり質を落としたり、量を減らしたり、くふうしながら出てきたアップというのがそれですから、かなり野菜、くだものの値上がりが食費の中にいろんな影響を及ぼしているということがいえると思うのです。この野菜の値上がりが、単に野菜だけではなくて、いろいろ加工される加工食品の中にも値上がりになってくるわけですけれども、それはいま申し上げる必要がないと思いますから申し上げませんが……。  で、私たちがこういう現状の中で活動してきて何をつかみ取ったかと申しますと、まず一番最初に私たちがぶつかった問題は、野菜価格そのものが、生産者の方自身がおきめになることができない仕組みになっているということですね。これはふしぎだなということを私たちが感じるわけです。ただいまもお話聞いていまして、非常に資本投下も大きくなったし、技術も高度になって、そして昔のようにおてんとうさま相手でやっていた農業ではなくて、農業経営というはっきりした経営の形をとってきているのに、その方たちが自分の製品に対して価格が自分たちできめられないとは何事だろうという一つの疑問があるわけです。  それから、その価格がどこできまるかといえば、市場というところできまるわけです。この市場できまるときには、せり合って、低いところに落ちるのではなくて、当然高いところに落ちるわけです。ですから、これはすべて生産者側にはよく、生産者側から考えられた法律で、なるべく高く、なるべく高くというのがこのせりという制度ではないか。そうしてみれば、消費者から見ればこの市場法そのものが、こんなに物価が高くなったときに、物価対策という意味では逆作用をしているのではないかということを、まず私たちが考えたわけです。これが、どこか悪いとかいいとかということでなくて、この市場法そのものが大正十何年くらいにできたと聞いておりますし、大正十何年といえば私たちが子供のころのことでございますが、そのころの食糧事情、生活環境とは、いま全然変わっておりまして、消費の傾向も住まいの状態もいろいろ変わって、生活のしかたが変わっている中で、そういうときにできた農家を守るための、聞けば零細農民を保護するために出てきた法律だというふうに聞かされることもございますので、それを一応基本に据えてできた市場法というものが、こういう複雑な物価問題をかかえているときの法律としては、それでいいのかしらということを思います。ですから、いまそれを改正されようとしていらっしゃいますし、その改正の中身を見ましたが、基本の立っている立場というのはちっとも変わっていないので、いわば末梢というか、そういうところを少してこ入れする程度のものではないだろうか。そうしてみれば、あんまり大きな期待はではない。先ほど、ことしの一人当たりの野菜消費のアップが四〇%以上だと申しましたが、来年になってこれがもっと落ちつくかといえば、そうじゃなくて、ことしに出てきた現象というのは、ますますそれに拍車をかけて来年、再来年と続いていくのではないだろうかというようなことを、私たちは何となく不安に思うわけでございます。  それからもう一つ、その中でせりがどういう状態で行なわれて、そうしてそれが適正なことであるのかないのか。いろいろせりに参加する中で私たちが職員の嘆きを聞いておりますと、決して公正な取引ばかりだとはいえないわけです。これは制度が悪いということではなくて、運用が悪くて、それをてこ入れしていくというか、改めていくこの行政力というか、それはほとんど及ばないということではないかというふうに思います。具体的にどういうことがあったかと申し上げるまでもなく、やはり市場での取引が絶対に公正であるといえない。そういうところで価格がきまって、そうしてそれが基準になるわけですね。それは私たちが産地と直をやっても、すべてそれに因縁的に振り回されるわけです。いえば、いま全販との取引も、私たちは――生産者団体の方がいらっしゃいますが、実感としては、商社がやっていらっしゃることとあまり変わりがないのじゃないか。われわれが願っている生産者消費者の結びつきというのは、農民にもよく、消費者にもよくと一このよくというのは、できるだけもうかればいいということでなく、消費者もなるべく、もうただでもいいのだということではなくて、長い目で両方にいい価格安定というのを願っているわけです。そういう意味で、いま全販から取引しているけれども、あんまり妙味とメリットがないねと。そうすれば、当然よ、全販というのは生産者の団体なんだから、やはりそちら側が少しでも利益になるようにと考えられるのがあたりまえで、そこできめられてくる値段というのも、その市場のせり価格を基準にしてきまるのだから、あまり大幅なメリットはないというようなことになってきたわけでございます。  それから今度は、産地直をやると、農家直をやろうとしても、そこに輸送の問題とかいろいろなものがあって、紋別からジャガイモをとったときにも、話はできましたが、輸送ルートがすべて大手に押えられていて、なかなか鉄道も船もとれなくて、一年は泣き寝入りで流し、次の年は、しかたがなく船で東京港まで持ってきた。そうすると、雨にたたかれたりいろいろなことになって、結果としては、かなりイモがこわれたり割れたりしたのが出て、出たけれども、結局は安く買って、農民の方も喜ばれてよかったねというようなことから、何とかしてほんとうの――連合会は農民の方を組織していらっしゃって、連合会の利益、農民の利益につながることは当然ですけれども、私たちの考えるのは、連合会の利益よりも、個々の農民の方の利益と個々の消費者の利益が何とかして結びつく道はないだろうかということを、非常にいま熱望しております。  その次に、等級だの形だのがいろいろ複雑に分かれていて、そうして、最近はそれが非常にきれいな形で包装されてまいりますけれども、一体この必要はあるだろうかということなんです。等級がいろいろあっても、末端の組合員、私たち消費者の手に渡るときには、等級の必要性というようなものはそんなにないわけです。それから、箱のりっぱさもあまり必要ないので、産地と直をやるときには、選別もよろしい、箱も古い箱を利用、それから古い袋利用でよろしいというようなことでやるわけですけれども、規格ですね。選別規格なんかがもう少し何とか消費者の利益に結びつくように、農民の利益に結びつくようにならないだろうかということを、いま考えております。  まだ問題もいろいろございますが、そこで私たちが、どういうふうになれば野菜価格の安定ができるだろうかということを、消費者なりに考えたのですけれども、まず生産ですね。これがいまの消費動向、そうして需要に見合うような計画生産が、何らかの形でやっていただけないか。それは、計画生産ということは、もう数年も前からいわれているのですけれども消費動向の変わり方というのはすごいテンポでまいりますので、やはり先取りをした生産計画ができませんか、そういう調査はいまの日本の政府の力ではできないのでしょうかということなんです。あとを追いあとを追い行く調査ではなくて、五年くらい前の消費動向を先取りした調査をしてて、そうして計画をして、そうして大いに農業団体なんかの御指導を仰いで、そういうことができないだろうかということです。  それから、お米との関係で、あれだけお米に政府のお金が入り、それから農民の方も一生懸命やってきてくだすったし、いまここへきてそれが余って減反だなんということになる以前に、お米は、やはり同じ農民のふところに入るお金なら、何とか野菜とお米と総合的なことで入りませんでしょうかというようなことを、私たち感じているわけです。それから、出荷のことですが、せっかく計画生産がなされても、出荷がうまくまいりませんと、それが思惑で動かされるという事実も私たち見ておりますので、全国的にこの出荷のコントロール、こんなに交通が便利になったのですから、もう少しその辺をうまくできる機構をつくっていただけないだろうか。  それから、先ほども申しました市場法の改正は、市場法そのものが立脚する立場を変えていただいて、物価安定という立場で何か抜本的な御検討がいただけないものだろうかということです。  それからまた、国全体が生産消費両面で価格安定をするというところまでにはかなりの日時を要するでしょうから、消費者団体、生活協同組合だけとは申しませんが、そういうまとまった、組織された消費者団体に生産者の直――農家なり、いろいろ無理があれば、農業協同組合または全国連合会なんかとの結びつきを、何か特別な配慮といいますか、そういうものでやりながら、実益と今後の方向を指向する一つの試金石として御利用いただくようなことを、もっと積極的にお願いいたしたいと思います。  たいへん散漫になりましたが、これで終わらせていただきます。
  12. 小林進

    小林委員長 以上で参考人方々の御意見の御開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 小林進

    小林委員長 これより政府並びに参考人に対し質疑を行ないます。武藤嘉文君。
  14. 武藤嘉文

    ○武藤委員 時間がないそうでございますから、私は、皆さん全部にお願い、御質問することを羅列をいたしますので、あとでそれぞれお答えをいただきたいと思います。  いまお話をいろいろ聞いておりまして感じましたことは、お互いにとにかく価格を安定をして、そして消費者も安定した価格で常に買えるように、同時に生産者、農民もある程度の安定した価格でやれるように、こういう御希望が、生産側からもまた消費側からも、そういうお話が偶然一致したわけでございます。私自身も、非常にそういうことが望ましいと思っております。  その観点からそれぞれにお話を承りたいと思いますが、まず榊さんに承りたいと思いますのは、そういう意味からいって、先ほども生産側で価格がきめられないという問題がございました。特にこれは、消費者側からもそういうお声があったわけでございますけれども生産側できめられるのかどうか。あるいはもしきめられないとした場合、たとえば、いまいろいろと政府でも検討していただいておりますけれども一つ野菜のガイドポストといいますか、ある程度の表示価格でもきめて、それに応じていろいろ取引も行なわれ、また消費者にそういう形で渡っていくような一つの指示価格みたいなもの、標準価格みたいなもの、こういうことをやるのがいいのか、それをまず承りたいと思います。  それから、同じく榊さんに。  いま消費者のほうから、包装とか選別とか、そういうことは必ずしもいまのような形では必要がないというような声がございましたが、私どもは、かえってそういう面からいけば、消費者のためにやっておられるのだろうと思うのですけれども消費者側で必要ないということであるならば、そういうことはもっと簡素化できないのかどうか。  それから、生産者側で小売りとの直結をやられたということですけれども直結の場合に、それはどの程度価格面で安くなったのか、その実績をお持ちになっておられるのか、あるいはその場合は、鮮度というものにおいては消費者から喜ばれたのかどうか、この点を承りたいと思います。  それから、金井さんのほうに承りたいと思いますのは、金井さんにはたいへん申しわけございませんが、私は、どちらかというと、中央卸売市場というものはあまり必要がない、こういう考え方に立っておる一人でございますので、たいへん恐縮でございますが、そういう観点からお話を承りたいと思いますのは、市場というのは、ある程度は私は必要かとも思うのです。しかし、先ほどお話の出ておりますように、東京都においても、中央卸売市場以外にいろいろの市場があるわけでございますが、私は、各地方都市にも市場があることは承知をいたしております。ですから、どうしても市場というものが流通機構上必要であるならば、各消費地の、それも先ほどお話しの神田というような都心に何も必要がないので、なるべくならば消費都市の周辺部に、必要に応じた最低の市場だけをおつくりをいただいて――しかも、その市場が狭隘であるということも、私ども承知をいたしております。なるべくたとえばコンベアシステムを入れて、たとえば仕入れたものが、先ほどお話しのトラックなり入ってきたら、それがずっとせりの間もコンベアに乗りながら行って、そしてまた末端で、直接今度は八百屋さんのお車ならお車にすぐ入る、こういう形の市場をつくったら、先ほどのようないろいろの問題もなくなるんじゃないかと思うのですけれども、そういう非常に新しい設備市場を、できるだけ各地方都市なりあるいは中央の都市の周辺に必要最低限の市場だけつくれば、必ずしも私は中央卸売市場というものは、必要ではないんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。その点について御意見を承りたいと思います。  それから、従来野菜暴落した年もあります。確かに、先ほど竹井さんから御指摘をいただきましたように、総理府の統計を見ておりましても、四十年以降、この四十五年が一番高くなっております。ちょうど先ほど何かデータが、家計調査をおやりになったのと、たまたまどうもよく似たのが政府の統計でも出ておりますけれども、だから、四十五年について特に高い――これはすべての野菜が高いわけでございますけれども、この四十年から四十五年を見ますと、たとえば一番ひどい例がタマネギで、四十四年が、四十年と比べて価格が六五%に落ちておる、三五%落ちておるというケースが出ております。あるいはキャベツなどは、従来は大体一年おきに暴落をしておったわけでございます。そういう暴落をしたときに、先ほどどなたかのお話もございましたが、キャベツなどを捨てた生産者が相当あるわけでございますけれども、これは金井さんのほうか、あるいは次の大澤さんでございますか、どちらでもけっこうでございますが、一体それは末端の小売り価格に反映しただろうか。安くはなっただろうけれども、片方はただで捨てた人がある。しかし、いろいろ政府の統計を見ておっても、最低六五%にしか下がっていないということになりますと、どうも暴落しただけ末端の価格には――下がっておるけれども、そのままなかなか反映しなかったのではなかろうかと思います。こういう点は一体どこにネックがあったのか、これをもしお聞かせいただければ幸いかと思います。  それから、次いで大澤さんにお聞きをしたいのは、自発的な割引販売ができなくなったというお話、これはたいへん私ども残念に思いますが、先ほど私が少し申し上げました、政府で標準価格でもきめるというやり方でもしたら、八百屋さんはそれでいいのかどうか、こういう問題と、それから、いま消費者のほうからは、必ずしも包装がそうりっぱでなくてもいい――これは、生活協同組合をおやりになっておられる竹井さんでございますので、生活協同組合のお立場からおっしゃったのかもしれませんけれども、私どもも、これはあとで竹井さんにもお願いをしたいのでございますが、もう少し消費者考えていただいて、何も野菜あるいはその他の生鮮食料品をきれいな包装に入れなくてもいいんじゃないかという感じがしますけれども、いま大澤さんは、消費者が買ってくれないからという声をおっしゃいました。その点、どうも竹井さんのほうと少し意見が違うようでございますが、ほんとうに消費者が買ってくれないのか、あるいは業者の競争上そういう形になっておるのか、その辺もう少し承りたいと思います。  それから、竹井さんに承りたいと思いますのは、これは、生活協同組合というより消費者のお立場でお話を承りたいと思いますが、まあ私ども農家の方に承りますと、たとえば大根にしても、ニンジンにしても、タマネギにしても、粒をある程度そろえないといけない。先ほどの選別と関係がありますけれども、粒をそろえなくてもよければ二割や三割は正直安くなるという農家の方の声を、私よく聞くわけでございます。そういう点は榊さんにも、もし何でしたら、あとで御発言をいただきたいと思いますが、私どもは、価格をもっと下げる意味において、先ほどの栄養の面からいって、食べて同じものであるならば、いわゆる腐ったものでなければ、少し形が悪かろうが、少し小さかろうが大きかろうが、これは関係ないと思うのです。そういう面をもう少し消費者に理解をしていただく必要があるのではなかろうか、こういうことを思いますことと、いま大澤さんにもお話し申し上げましたが、そういう包装――ほんとうに私は、たとえば外国なんかは、全然きたないものが平気で、スーパーマーケットに行っても――このころアメリカでもわりあいきれいに風袋しておりますけれども、以前見たときには、アメリカのスーパーなんか、きたないものが平気でぱっと入れられて、それを買っていくということが平気でなされておったわけですけれども、私は、多少こみがついておったって――先ほどのお話ではたいへんごみが多いということですが、少しぐらいごみがついておったっていいんじゃなかろうか。これはきょうの話題ではございませんが、魚屋さんがわざわざ、冷凍の魚を買ってきて、それに水をかけて溶かしてから店頭で売っておる。あれなんか逆でございまして、冷凍のままのほうがよほど鮮度が高いわけなんで、あれなんかも、聞いておると、消費者がかちかちのものじゃ買ってくれないから、水をかけてわざわざ溶かして売っておるのだという話をよく聞くのです。これなんかは、そういう面からいけば、鮮度からいったって、こちこちのものを買って、それをそのまま持ち帰って冷蔵庫に入れたほうが、よほど鮮度はいいわけなんです。それだけの手間が省ける。そういう点、消費者と直接生活協同組合と、一緒にやっておられ、特に家庭の主婦として、そういうことについてどうお考えになっておるのか承りたいことと、もう一つ、これは政府にある程度お聞きしたいのでございますが、生産出荷というものがうまくコントロールできればいい、こういう話は皆さんから出たわけですけれども、そういうことがどうも――先ほどの竹井さんは、ある程度消費は一定しておるということでございますが、政府ではなかなか消費の見通しがつくり得ないという話を私ども聞くわけなんですけれども、ぜひそういうことであるならば――竹井さんの御説が正しいのか、私もしろうとですから、よくわかりません。しかし、もしそういうことが正しければ、当然これは、ある程度の人口増だけを考えていけば、消費の見通しははっきりとつくわけですけれども、そういう面で、政府でなかなか消費の見通しが現在のところ確立したものはないと私どもは聞いておりますけれども、現在政府のほうで、その辺はどう作業を進めておられるのか、また、そういうものはできるのかどうか、これをぜひ聞かしていただきたい。  以上御質問をさしていただいて終わります。
  15. 榊春夫

    榊参考人 ただいま御質問の第一点の、生産者側で価格はきめられないのかという問題でございますが、私どものやっております集配センターでは、相対でもって価格を自主的に、相手方と話し合いの上ですが、決定をして取引をしておりますので、生産者サイドで価格をきめることは十分できるわけでございます。ただ、後ほどの問題にもございますように、生産者団体が自主的に価格をきめると申し上げましても、しょせん、現在形成されている価格というのは需給均衡の価格でございまして、たとえば生産費所得補償方式ではじかれたような価格が常に維持できるかどうかということになりますと、いまの自由競争の中での取引としましては、そういうことは実際上は不可能であろうというふうに考えております。ただしかし、そういう再生産が十分可能な価格水準に維持されなければ、需給の不均衡ということで、やはり消費者に高いものを供給せざるを得ないような事態が出てくることは間違いないんではないかというふうに考えております。  次に、包装、選別の簡素化の問題でございますが、竹井参考人からもお話がございましたように、私どもも包装、選別については、できるだけ簡素化を進めたいというふうに考えております。冒頭に申し上げましたように、農家にとりましては、労働が一番集中いたしますのはまきつけの時期と収穫の時期でございます。特に収穫の時期には労力が集中いたしまして、たいへんな苦労をするわけでございます。また、それに伴う包装あるいは選別の施設、発送のための施設、そういうふうなものにも多額の投資を必要とする状況でございまして、できるだけこれを簡素化していく必要があるというふうに考えております。従来は、市場出荷を主体に包装、選別ということが行なわれておりまして、農家の関心も、もっぱら市場においてそれがどう評価されるかということを中心に包装、選別の方法が決定されてきたというふうに私どもは思っております。消費者代表からお話がございましたように、ほんとうの意味消費者希望する包装、選別のあり方というものを、今後大いに開発していかなければならぬ。消費者の声に十分耳を傾ける必要がある。そして、それはおおむね合理化の方向を目ざしているようだということで、私どもも、消費者団体の方々と十分協力をして、そういう方向に進めていきたいというふうに考えております。  それから、全販連がやっております直販施設でございますが、これも冒頭で申し上げましたように、完全に荷ぞろえをして、過不足なく注文に応じていくということを最も重要な機能考えております。そこにおける取引が高かったか安かったか、こういう問題でございますが、私どもの理解する限りにおきましては、安ければ生産者が納得いたしませんし、高ければ消費者に納得していただけないという立場で売りさばきをいたすわけでございますので、全販連の扱いますものといえども、世間で一般的に通用する価格の水準からそれた価格での取引ということは、実際は不可能でございます。その点はひとつ十分御理解をいただきたいと思うわけです。  ただ、私どもが最も努力をいたしております点はどういう点にあるかと申し上げますと、現在の市場における取引価格状況を見ますと、その日その日の、まあ、せつな的な需給関係といいますか、たまたまその日大量の物が入った、あるいは買い手が集まりが少なかったというようなことから乱高下を繰り返している市場価格に対して、われわれの相対取引においては、一定の価格水準は維持するけれども価格のフレというものをいかにして最小限度にとどめていくかということに、努力の重点がございます。価格面については、そういう姿で生産者消費者双方にこたえていきたいというのが私ども考え方でございます。  ただ、内容的には、市場におきます取引と私のほうの取引は違いまして、調整保管をして販売することもいたしますし、あるいは小売り店の注文に応じて、消費者向けの包装品にして提供するというようなこともいたしております。場合によっては配送の仕事までいたしております。そういう内容のサービスにおきまして、市場仕入れの場合とは相当中身が違っております。したがって、特に予約購買というようなことで前もって購買の計画を立て、それに応じた集荷をいたしまして、前日注文を聞いておいて、その物をちゃんとそろえて翌日お渡しするというふうなことになってきますと、仕入れに要する労力というものもたいへん節約できるはずですし、また、そのことによって集中仕入れができて、系列の各小売り店における販売の政策というものが一元的に管理できるというような、いろいろな利点がございまして、商品そのものの価格の高下ということもございますけれども、それ以上に、小売りの経営の合理化という面では格段の内容的な差がある。そういう面においてかなり改善に役立っているのではないかというふうに、私ども考えております。
  16. 金井実次

    金井参考人 武藤先生から、中央市場は要らぬのじゃないかというふうなお話がございました。私、ちょっと真意をはかりかねておると申しますと、ちょっと失礼かもしれませんけれども、先生は、周辺のところにたくさんの市場をつくれば中央市場というのは要らぬのじゃないかというふうな御発言だったように思うのですけれども、先生のお考えというものは、中央卸売市場法という法律の適用を受けない市場を周辺につくったらいいというお考えかどうか。現在は、東京都内にも八カ所か十カ所市場がありまして、これは全部、中央卸売市場法の適用を受けているわけです。ですから、中央卸売市場が要らぬということは、法律の適用を受けない市場を周辺にたくさんつくったら、中央卸売市場というようなものは要らぬのじゃないかという御意見かどうか、ちょっとその点が、真意がはかりかねますので……。
  17. 武藤嘉文

    ○武藤委員 私の申し上げているのはこういうことなんです。私は、法律とかなんとか――法律は、もし必要ならば変えればいいんです。ですから、原則としては、そういう卸売り部門というものはあまり要らない。なるべくならば生産から消費直結したほうが、中間が少なくなるので……。しかしながら、物によっては、流通上どうしても必要なものがある。先ほど消費者のほうからもお話がございました、たとえば一括して仕入れなければならない。そうすると、直結小売り屋さんではなかなか仕入れられない。こういう物理的な要求によって卸というものがおのずと生まれてくるべきであって、卸市場が最初からそういう法律できめられて、市場があるから市場でやるのだぞということではなしに、一つの自然の物の流れとして卸市場考えていけばいいのじゃないか。だから、私は、現在は法律がありますけれども、現在の法律とかなんとかという考え方でおるわけじゃございません。あくまでも物が流れていく流通段階で、これはどうしても直接生産から消費へ行けない、あるいは生産から小売りへ行けないという必要に応じて卸市場というものが生まれるべきである。いままでの考え方で立っていくというわけではなしに、今後のあり方としては、そういう卸市場というものが望ましいのではなかろうか。そういうものがあるならば、なるべくあまり中央へ持ってこなくて、全国から集荷するのではなしに、生産地消費地というものがなるべく近いところでやったほうがいい、運賃だって安く済むのではないか、そういう考え方で申し上げたわけなんです。
  18. 金井実次

    金井参考人 武藤先生からのお話を聞かしていただきまして、またちょっとことばを返すようではなはだ恐縮なんですけれども、直接生産者から消費者につなぐというルートが一番いい、私もそれはそのとおりだと思う。それは、そういうことの形態を経て、現在の卸売り市場という制度が大正十二年にできたということなんです。それまでは全くそういうことではなしに、自然発生的な市場というものがあったわけです。ここにいろいろな弊害があり問題点があるということで、大正十二年に初めて中央卸売市場というものができて、そうして現在のような形を組み立ててきたわけですよ。ですから、先生は、もとの昔の形に返すというふうなことのように――違うかもしれませんけれども、昔は先生のおっしゃっていましたような形で、この青果物というものは流れておった。それが、それではやはりいけないということで中央卸売市場法というものができて、一カ所に物を集めて、そうしてそこで価格を形成して、それが消費者手元に流れるという制度が、いろいろな歴史を経て生まれてきたわけでございます。  ですから、先生のおっしゃいますように、中央市場なんか要らぬ、なければそれでもいいということでうまくいくのでしたら、私もそれでけっこうだと思うんですよ。しかし、現在の時点では、先ほどちょっと申しましたように、たとえば中央卸売市場関係にしましたら、大体一日二時間か二時間半の中に、二億円とか二億五千万円ぐらいの青果物をせりして売ってしまうわけですから、そういう制度、それから品ぞろえというものがそういうふうになったら――五種類や十種類野菜の集荷だけでしたらできますけれども、あれだけたくさんの、何百種類のものは、やはりどうしても一応は、むだなような考えはしますけれども、一カ所に集めて、そこで価格の形成をするという形は、未来永劫に必要ではないか、かように私としては考えています。そこは先生とだいぶ違うところでございますが、そういうことでございますので……。
  19. 武藤嘉文

    ○武藤委員 お立場ですから、よくわかります。
  20. 大澤常太郎

    大澤参考人 先ほどの話で、四十五年ですか、タマネギが非常に下がった……
  21. 武藤嘉文

    ○武藤委員 四十四年。
  22. 大澤常太郎

    大澤参考人 四十四年に六五%になった、そのときに小売り屋は値を下げて売ったかどうかということでしょう。
  23. 武藤嘉文

    ○武藤委員 そのときじゃなしに、もっと前にキャベツが暴落したときなんかも含めてお話をいただきたいのです。
  24. 大澤常太郎

    大澤参考人 それは、私は数字を持ってきませんでしたから、こまかいお話はできませんが、元が下がれば必ず下げています。ということは、小売り屋というものは多過ぎるほどあるのです。御承知のとおり、いま小売りが多過ぎるから、小売り近代化をはかろうじゃないかということが委員会でまとまりまして、整理統合しようという話が今度出ているわけです。昔のように、うちはあそこの八百屋から買うのだときめて取引があるわけじゃありませんから、だから、場所によると隣から隣に八百屋があるところがありまして、みな競争が激しいですから、元が下がってよそのうちが安く売っているのに、自分のところだけは下げずに売るなんということは、絶対にできません。これは申し上げておいていいと思うんですね。  それから包装の問題、さっき包装のお話がありましたね。生産者のほうの包装のことは、竹井さんにあなたから質問があったんですね。それで、私のほうも包装しなくていいといえば、ソ連みたいになってしまうのです。ソ連は、みんなお客が網袋を持って買いにくる。一切サービスなしです。ところが、いまの場合では、東京ではそういうわけにはいかないのです。百貨店がああいうサービスをしていますし、スーパーがそれに負けないようなサービスをしている。三越なんかもこの間、どろ大根をだいぶ売りましたけれども、デパートに行くお客が、どろ大根を買ってむき出しで持って帰るなんということは、おそらくできないでしょう。ですから、やはり百貨店でやっていることをスーパーが見習って、今度はそれと競争している小売り商が、商いをするのですから、包装しないといけない。それで、特にさっき、包装の見本を持ってきてごらんに入れたのです。(武藤委員「それは消費者の好みじゃなしに」と呼ぶ)
  25. 小林進

    小林委員長 委員長の発言を求めてください。
  26. 武藤嘉文

    ○武藤委員 消費者の好みに応じてやるのじゃないですな。
  27. 大澤常太郎

    大澤参考人 それが消費者の常識になったのです。コンニャクなんか……。
  28. 小林進

    小林委員長 参考人に申し上げますが、発言を求めてください。相対ずくの御答弁は、この国会ではひとつお控えいただきまして……。
  29. 大澤常太郎

    大澤参考人 そういうわけですよ。サービスですよ。お客さんの好むというほどのことはできないが、さっきの程度のことはいまやっておるということです。  それから、冷凍品のお話がありましたが、青果のほうも三年ほど前から、科学技術庁のほうで、コールドチェーンを研究したいから、おまえの組合で引き受けてやってもらいたいということで、百軒ばかり指定をしまして、お役所と一緒になってコールドチェーンの研究をしました。ところが、非常に成績がよかったというのですね。消費者が喜んでくれたというので、それが結局、現在は農林省に移りまして、農林省のほうでいま冷凍食品のお世話をしてくれておりますし、私のほうもその経験がありますから――だんだん食料品の販売の日が、休みが多くなってきました。昔は盆と暮れだけだったのです。八百屋は二日しか休まなかった。それが週休制になりまして、今度は祝祭日も休めというので休んでいるわけです。このごろになると、土曜日も休んだらどうだという意見が出てきました。お客さんに御迷惑をかけますから、そこで冷凍食品を八百屋の売りものとしてひとつやろうというので、農林省から金を貸してくれますけれども、うちのほうの組合にも金がありますから、それを安い金利で業者に貸しまして、冷凍機を、いわゆるストッカーとかあるいは冷凍ケース、販売ケース、そういうものを買わせまして、ここのところで百軒ばかり始めました。だんだん売れていくような様子です。でも、まだまだアメリカなどに比較すると、六十分の一か七十分の一ですよ。ですけれども、将来を見越して、私どもはどんどんこれを、販売を拡張して一般家庭にまでも買ってもらうようにというのでやっておりますが、買ってもらう上におきまして、魚屋さんと違って八百屋のほうは、冷凍したものをそのまま袋に入れて持って帰ってもらっています。お客さんのほうでどういうふうにしますか、そのまま売っております。戻さないのです。それを御承知おき願いたい。
  30. 竹井二三子

    竹井参考人 先ほど、選別の問題と包装の問題で、消費者がはたしてそうなのかということですけれども、私、消費者のすべてがそうだとは言いませんが、消費者教育ということばがあるとおり、やはり、こうすれば合理的な生活ができるのだという指導は、これは役所もしなければいけないし、私たち消費者の活動家もしなければならないわけです。  そういう点で、消費者はよくて安ければいいのです。形ばかりよくて、高くて中身が悪いのがいいという消費者は、百人いれば、百人のうち一人もいません、それがほんとうに、どれがよくてどれが安いのかという見きわめがつきにくいような振り回しというのが、いまは横行しているわけです。それは消費者が悪いのか業界が悪いのか、どちらだかわかりませんけれども、やはり両方でやっていかなければいけない。ほんとうに品質本位で、価格本位で求めていくならば、すべての消費者はそうなる。  着色料の問題も、三、四年前は、それをいろいろな場で言えば、そういうことを言うのはあなた方主婦連の幹部ばかりです、一般の消費者のほうは、どこでも色のついているほうがよけい売れますよというのが普通でしたけれども、このごろ、タラコの色のついたのを買いたいといってさがす消費者はいません。それと同じように、社会全体がそうなればなる。  ですから、選別の問題も、何のために選別されるか、いまの現状を知れば、そんなものは要らない、みんなそう言うと思います。  それから包装も、そこでかかる経費とか、労働力不足のおりの人件費考えたら、それは高くつくのはあたりまえで、むしろごみを持って帰って、ごみ捨てに消費者も困っているわけです。ですから、それはある程度必要なものと不必要なものの分け方をしっかりしていただければ、私は必ず消費者は大歓迎すると思います。
  31. 小原聰

    ○小原説明員 武藤先生の最後の御質問に簡単にお答えいたしたいと思います。  現在農林省で行なっております野菜需要見通しは、野菜生産出荷安定法第三条に基づく見通しでございまして、第三条に基づきまして、指定消費地域における指定野菜需要見通しを作成し公表いたしております。  これを簡単に申し上げますと、指定野菜は現在十一品目ございますが、それも年間の需要ということではなくて、指定野菜出荷時期ごとに行なっております。たとえばキャベツですと、春キャベツ、夏キャベツ、冬キャベツというぐあいにきまっておりまして、それぞれの指定消費地域ごとに出荷時期別の指定野菜のおよそ五年後の需要見通しを立てております。これを立てる際には、学識経験者の御意見を聞いておりまして、消費者代表の方にも御参加をいただいております。  最近の条件の変化と申しますか、各参考人からも御意見がございましたように、最近、たとえば農家の自給用の生産が減るというようなことが、非常に野菜需給に大きな影響を与えている。この面については、私どもも数字的にいままで十分明らかにしておらなかったわけでございますが、単に大消費地域における指定野菜需要見通しだけでなくて、それを取り巻くそれ以外の地域、それから、そういう生産なり供給側の変化というものも十分今後研究をいたしまして、これを生産対策の面にも反映していかなければいけないと、いま考えている次第でございます。
  32. 武藤嘉文

    ○武藤委員 いまの中で、私先ほどお願いした、政府である程度の価格の方向をきめるというようなことに対しては、皆さん方御賛成なのか御反対なのか。安定のためにやる価格ですね。先ほども生産者できめるけれども、それもなかなか、いわゆる再生産のできる価格であるのかどうか、非常にその辺はむずかしいというお話も榊さんからございましたが、そういう点は、もちろん再生産ができる、しかしながら暴騰しないような、一つの押えになる抑止効果を持った価格をつくったら、そういう点については、生産者もいいのか、あるいはそれぞれ販売業界の方もいいのか、消費者もいいのか、これがちょっと承りたかったのですが、どなたからも御発言がなかったのでそれをお願いしたいことと、それから農林省にお願いしておきたいのは、確かに野菜出荷安定法ですか、あれに基づいてのことがあることは承っておりますけれども、私は、全国的に一つ野菜生産を指導する意味においての消費の動向というものは、やはり示すべきではなかろうか。特に指定産地、指定市場以外のところにだって、けっこう野菜はつくっているわけで、先ほどのキャベツを捨てなければならないというのは、そういう指定産地でない、また大消費地の市場に出せない人たちが相当捨てたというふうに私どもは聞いておるので、そういうものは将来出せないだろうか、こういうふうに聞きたかったわけです。
  33. 榊春夫

    榊参考人 ただいまの標準価格というお説でございますが、私どもといたしましては、そういう価格をきめることによってどういう影響が出てくるかという観点からいたしますと、標準価格を公表するということよりも、やはり需給の均衡をどうやってはかっていくか、出荷調整というような機能をどういう方法で高めていくかという実態のほうを、現状よりも相当改善していかないと、そういう価格だけできても何ともならぬのじゃなかろうか、こういうのが端的な気持ちでございます。  標準価格というような考え方と、現在の野菜法における補償基準価格というものがどういう関係になりますか、現在の野菜法の基準価格というのは、過去に実現をした価格の平均値でもって出しているわけでございまして、それがはたしてほんとうに再生産を維持するだけの価格水準であるかどうかということについては、十分な検討を要する問題であろうと思います。それで、出荷調整をどういう方法でやっていくか、そういう面の検討とあわせて、どういう水準に安定させていったらいいかということは、両面の対策が十分並行していかなければいけないんじゃないかというのが、私の意見でございます。
  34. 竹井二三子

    竹井参考人 価格安定ということは、非常に消費者も望むことです。シイタケなんかでも、二十円台で買えるかと思うと百円近くなったりすると、やっぱり困るわけです。高いときには、食べないでいられるものと食べなければならないものとありますので、キャベツなんか百五十円もするようになったら、ほんとうに困るわけです。ですから、年間を通して安定していればいいわけですが、消費者のほうは、高いところに安定していっては困るわけです。それで、いままでさんさん――農水産物はもちろんですけれども、工業製品なんかも、ややもすれば高いところへ高いところへと安定していく作用というのが当然働くと、私たちは考えているわけです。だから、どうしたら安いところで安定するか。その安さも納得がいけばいいわけです。消費者だって、ゴリ押し、めちゃくちゃ言う消費者じゃないんですから、どうしていただけば妥当なところで適正価格に安定するかということをいろいろ考えますけれども、それはそれなりに、生産のところでやはり大いに合理化を進めていただかなければ、安いコストが出ないと思うのです。ですから私は、生産費というものは当然ありますし、それから、農民の方が再生産意欲を燃やして、どんどんつくっていただくための利益というものも必要だと思うのです。それを認めるためには、どうしたら合理化ができるかということを、農民の方も行政のほうも大いに考えていただいて、そしてすぐれた品種、それからそれがたくさんとれて、人手がよけいかからない、当然それには資本も要ることでしょうから、その資本は安い金利かまたは無利息か、またはいろいろな形でそういうものを出していただいて、生産合理化というものを進めていただいて、そのコストに適正な利潤をつけて出していただいたら、これが正しい価格なんだということも、消費者は納得できると思います。
  35. 大澤常太郎

    大澤参考人 ちょっと私からも申し上げておきますが、多数の業者が、仕入れ場所としては市場が一番品ぞろいもいいという、こういうことをさっき申し上げておきました。  いま市場では、中央市場は四つの条件があるのですね。せり、相対、入札、定価売り、許されているのがこう四つあるのです。だから、四つの方法の中で、その荷物の出荷量のいかん、それからその状況によって当局が見定めた上で利用することは、一向差しつかえないと思いますよ。けれども、私ども考えてみて、長年の経験の上からいって、せりを重点に置く必要はないというようなことは私はないと思うのです。両方満足しますから。足りないですから買うほうもあきらめますよ、品物がなければ。そういうことですから、いまの制度より、もっと消費者が満足し生産者が満足するような方法があれば、変更していただいても差しつかえありません。だから、いま許可されておるのはせり、相対、それから入札、正札、定価売りですね、こういうふうに相場が出されておりますから、それをまた、いろいろその時期によってやっていただくこともいいと思うのです。  それから、標準価格というお話がありましたが、これは、河野一郎さんがやったときに、非常に熱心で、市場によく来ました。それで、標準価格をつくろうじゃないかというようなことで、その日その日の市場の相場を中心にして、役人と、それから卸と仲買いと小売り屋の代表が集まりまして、それで、小売り屋がどのくらいもうかる、仲買いがどのくらいだというようなことで、標準価格というものをつくったのですよ。それで標準店というものをつくりまして、河野さんは、昔の相撲の幕みたいな旗、あんなのを一軒一軒みな寄付してくれたのですよ。それも用いられたのですけれども、それも撤廃されました。現在でも、まるっきり市場に標準価格というものがないわけではありません。卸、仲買い、小売り、それから都のほうが入りまして、その日その日の大体中心になる市場の入荷価格、そういうものを見定めて、それで価格をこしらえています。ほんとうの標準価格です。前の標準価格はそれで売らしたのですから。そういうわけでございます。
  36. 小原聰

    ○小原説明員 先ほどの武藤先生の最後の御質問に、補足的に御説明いたしたいと思いますが、これまで私ども全国的な野菜生産指導にあたっては、指定消費地域の需要見通しというものを参考にして、それに準じて指導してまいったわけでございますが、最近の状況を見ますと、そういう大都市以外に、地方の中小都市なりあるいは農村での野菜消費というのがかなりふえてきておるということが、私ども実態把握からも出ておりまして、そういう最近の野菜需給両面にわたる構造的な変化と申しますか、そういう条件の変化というものをもっと突き詰めて検討し、それを将来の長期的な野菜対策に反映をさせたいということで、現在農林省に設置されております生鮮食料品価格安定対策本部でも、鋭意検討を進めておるところでございます。
  37. 小林進

    小林委員長 それでは、戸叶里子君。
  38. 戸叶里子

    戸叶委員 参考人の皆さまには、たいへん御苦労さまでございます。たいへんいろいろな御意見を承りまして、お一人に一、二点ずつ質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、榊さんにお伺いをしたいと思いますが、いま農村の近くの町でさえも、農家から直接野菜を持ってきて、青年団などがこのあっせんをして野菜を売ると二割、三割安い、こういうようなことで非常に評判で、たちまち二、三時間で売れるというような状況をあちこちで示しております。東京などでも、そういうことをしますと成功しているわけです。  そこで、外国なんかの例を見ますと、農業協同組合のようなところが、やはり消費者直結した販売方法をとっているところがあると思うのですけれども、日本では――日本ではというよりも、榊さんたちのお立場では、そういうことをなさる御意思はないかどうか。そしてまた、できないのかどうか。その辺のところを伺いたい。もう一つ、そういうふうな生産者消費者とが直結した販売方法ということは、好ましいことであるかないか。この三つの点をまずお伺いしたいと思います。
  39. 榊春夫

    榊参考人 生産者消費者直結と申しますか、流通経路の短縮による合理化ということは、私どもも基本的には賛成でございます。しかし、その実際的なやり方という点になりますと、いろいろ問題が出てまいると思います。  何と申しましても野菜販売ということになりますと、消費者の利用の便宜ということから考えましても、やはり必要な品目を全部品ぞろえをして、いつの時間でも利用にこたえられるような販売の体制というものを整えて臨まなければ、たまたま臨時的にそのときある需要をまかなうというだけでは、業務としてこれを継続することにはならないと思います。  そういう意味におきまして、野菜のようなものを供給するのは、店舗経営という方式がぜひとも必要であろうというふうに私は考えますし、その店舗に供給する方法としては、現状の小売りの店舗というのは、大澤さんからもいろいろお話がありましたように、きわめて零細な規模の小売り店が多いわけでございまして、そういう人たちが安直に仕入れできる体制ということになると、卸売り市場なり、あるいは私どもがやっております集配センターなり、そういうふうなところにちゃんと荷ぞろえをして、その需要にこたえられる体制というものをしてかからないといけないのじゃないか。たまたま単協とある店舗とを結びつけをするというようなのがございますけれども、季節の推移とともに、その農協から供給を受けられる期間というものは、ほんの一カ月か二カ月で産地移動してまいります。いろいろな品目をそういう姿で産地直結でやっていこうとしますと、かえってその調達のための経費がかさみまして、決して経営の合理化にはならないであろう。そこのところは、もち屋はもち屋の機能でもって組織的に結びついていくというものでないと、ほんとうの意味合理化には進まないんじゃないかというふうに、私どもとしては考えております。
  40. 戸叶里子

    戸叶委員 原則的には賛成をされたけれども、いまのような複雑な問題をかかえているのでできないということでございますが、農村にすぐついている地方の町などでは、そういうことが成功しているわけですね。そういう点から見ましても、全部の消費者のほしい野菜を一度に並べるということはむずかしいと思いますけれども部分的に、たとえばたくさんとれた大根とかあるいはキャベツとかいうようなものを扱うということは、あってもいいんじゃないかと思うのですが、そのことでもむずかしいというふうにお考えになりましょうか。
  41. 榊春夫

    榊参考人 いまお話しの姿というのは、おそらく生産者の個人的な出荷の姿ではないだろうかというふうに、私どもとしては思うわけです。すでに、単協段階等でまとめて出荷をする体制からいたしますと、そういうところの業務の中で、二、三の小売り店への供給を引き受けるということは実際やっていますが、業務からしますと非常に異質な仕事であって、これをきめこまかくこなしていくことはなかなかむずかしいじゃないかというふうに、私どもとしては思っております。相当な量にまとまったもので、継続的に荷受けできる体制のところであれば、共同販売段階でも対応のしようはあると思うのですけれども、そういうことは、現実にはなかなかむずかしいのじゃないかと思います。
  42. 戸叶里子

    戸叶委員 お考えのほどは伺っておきたいと思います。  そこで、私、最近たいへんふしぎに思いますのは、タマネギなんですけれども、タマネギというのは、いま日本で需要をまかなうだけ十分ないわけですか。最近、九千五百トンですか輸入したということも聞いておりますけれども、輸入してもなおかつ需要に間に合わないのでしょうか。値が下がらないという現象を来たしておりますけれども、この理由は一体どういうところにあるのかということが非常にふしぎに思えるわけで、この点をちょっと説明していただきたいと思います。
  43. 榊春夫

    榊参考人 私も詳しいことはわかりませんけれども、従来からタマネギの流通につきましては、ある年は非常に暴騰し、あるときは非常に暴落をするということを長年繰り返してきた品目でございまして、生産者が安心をして作付できるという姿にはほど遠かったのじゃないか。かなり投機的な要素の強い作目であったと思います。  そういうことからいたしまして、私どもといたしましては、こういう貯蔵性のかなり高い品目でございますから、ある程度の数量を調整保管をして、そうして需給のバランスをとりながら供給していくというふうな体制を早くとって、安定した価格を実現していけば、生産は十分確保できるんじゃないかというふうに考えておりますが、残念ながら、いまの野菜法のもとでの補償制度程度の措置では、生産者が十分安心をして生産できるという体制ではないような気がいたします。  それから、先ほども収穫労働のことで申し上げましたのですが、特にタマネギにつきましては、青田売りという現象がかなり出ております。これも、一つには、生産者団体収穫労働を何とかまかなう方法はないのかということがございます。私どもも、何かそういう方策はとれないかということで研究もしてみておるのですが、短期間に集中する労力を提供することは、きわめてむずかしい状況にございます。それが若干投機の要素を持ちやすい基盤になっておるということについても、私どもとしてははなはだ残念に思うわけですけれども、そういうことで、きわめて不安定な生産状況にあるということはまず間違いないと考えております。
  44. 戸叶里子

    戸叶委員 このタマネギの問題は、私はあとでほかの時間をいただいて、農林省のほうに聞こうと思いますから、きょうは多く聞きませんけれども、いま需要に間に合うだけの数量がないのかあるのか。最近輸入をしたようですが、それで間に合うのか間に合わないのかということだけ、参考までに伺いたいと思います。  それからもう一つ調整保管ということばが出ましたけれども、その調整保管の場合に、だれかが出てきてうまく保管してしまって、そして値を上げているということを私は聞くわけなんです。そういうところをもう少し取り締まっていけば、あるいは何とかほぐしていけば、もっと消費者に安いタマネギが出てくるんじゃないかと思うのですけれども、この点もお考えになっていただきたいと思うのです。  それで農林省のほうに、この問題はあとで伺いますから結論だけでけっこうですが、一体いま間に合うだけあるのかないのかということだけ伺いたいと思います。
  45. 小原聰

    ○小原説明員 現在、国内の供給可能量の見方が非常にむずかしいわけでございますが、私どもの見方からいたしますと、やはり輸入を必要とする状況であるということでございます。現在まで、一月中に九千五百トン輸入されましたけれども、二月六日、九日に入りましたものを含めますと、現在一万九百六十七トンが輸入されております。今後台湾からも一万七千トン程度、それからそれ以外からも六千トン以上入る見込みでございまして、これによって、国内のタマネギの需給が逼迫することを何とか避けたいと考えておる次第でございます。  それから、タマネギについていろいろ投機性が入り込む余地がある、あるいは業者がそういう思惑的な動きをするということにつきましては、やはり基本的には、需給が逼迫をいたしますとそういう動きが助長されるということでございますので、私どもとしましては、そういう需給が逼迫しないように供給をもっと増大する、あるいは需要に見合った計画的な生産、計画的な出荷をすることが、こういう動きを押える基本ではないかと考えておる次第でございます。
  46. 戸叶里子

    戸叶委員 消費者から見ますと、たいへんタマネギの問題はふしぎに思う問題で、何か万博があったからタマネギが高くなったというような、魔法使いの言うようなことで宣伝をされてきたままになっていて、万博が終わってもちっとも下がらないということで、ふしぎに思っているわけですね。だから、こういう問題をやはりはっきり解明していかなければ納得できないと思います。  これはまたあとで伺うことにいたしまして、たとえは大根なとも――私も、昭和四十年ころからの家計簿を、この間ずっとめくってみました。そうすると、四十一年ぐらいから大根は上がっております。四十二年ぐらいになると、半分買いをうちあたりではしています。それで、ああ、なるほど、これは野菜が高いんだなと思った。それからずっと、ほとんど下がっておりません。最近幾らか下がってきているようですけれども、これがまた、このままでほんとうに安定していってくれるかどうかということに非常に不安を持つわけです。ですから、安くなったとき――大根の値というものは、私たちの認識からいえば、もっと下がるべきだと思いますけれども、そういう下がったときの値段をずっと維持していくような方法というものが考えられないものかどうかということを、私は疑問に思うのですが、そういう点もぜひ研究をしていただきたいと思うわけです。これは、これ以上伺わないで、あとで伺うことにいたします。  そこで、金井さんにちょっとお伺いいたしたいのですが、先ほど野菜価格問題等で、卸売市場法を早く通してくれというような御意見がございました。私も、物価の委員長のときに卸売市場を見まして、たいへんに狭いし、それから交通の問題やらいろいろ解決しなければならない問題はあると思っております。あると思っておりますけれども、いま卸売市場法を直したからすぐに価格影響するということにはならないんじゃないか。卸売市場法を通したから価格が安定してきたというふうには、どうも結びつかないのですけれども、そういう点、さっきちょっとそんなことがあったように伺えたのですけれども、私の聞き違いだったでしょうか。  その点をちょっとお伺いしておきたいのと、もう一つは、たとえばトマトだとかいろいろなものをずっと調べておりますと、転送野菜というのが非常に多いと思うのです。産地から東京の市場に来て、また産地の近くの市場に持っていくという、こういうことをやはり直していかなければ、どうしても運賃がよけいかさむんじゃないか。ですから、その点をどうお考えになるか。それからもう一つは、転送する野菜というものが全体の何%ぐらいあるか。聞くところによると、半分以上だということも聞くのですけれども、その辺のことも正確な数字を教えていただきたい。これをまず伺いたいと思います。
  47. 金井実次

    金井参考人 戸叶先生から、中央卸売市場法を改正すれば価格が安定するんじゃないかというふうなお尋ねだったと思うのですけれども……
  48. 戸叶里子

    戸叶委員 いや、私が聞いたんじゃない。そういうふうに承ったから、ほんとうですかと聞いたんです。逆ですから、どうぞ……。
  49. 金井実次

    金井参考人 現在の上程されておりまする、御審議いただいておると思います中央卸売市場法、あの中には、従来の市場法とだいぶ変わった要素を盛り込んでおります。したがいまして、たとえば相対売り、買い付けというふうな問題、それから、いろいろせりのやり方等の問題につきましても、従来と違ったニュアンスのなにを織り込んでおりますので、おそらく大きく業態というものが改善されてくる、こういうふうに思うのです。しかし、それが直ちに野菜価格の安定に結びつくかというふうには、ちょっと考えられないのではないかと思います。野菜価格の安定ということは、私が一番思いますことは、野菜がある程度高値に安定しておっても、これはあまり評判にならぬのじゃないか。ところが、暴騰、暴落があるから、やはり一番問題がここに出てくるんじゃないか。ですから、ある程度安定をさすということは一番大事なことなんで、われわれも、それにつきましては十分努力もしなければならぬし、役所の御指導もいただかなければならぬし、産地の御協力も得なければならぬと思いますけれども、今度の中央卸売市場法ができたから直ちに野菜価格が安定するという線には、私は結びつかないのではないか。これにいろいろな施策というものが並行して行なわれなければいかぬのじゃないか。  これは余談ですけれども、先ほど武藤先生は、指示価格というようなものを出したらどうか、再生産に結びつく価格を出したらどうかというふうなお考えだろうと思うのですが、価格を出しただけでは、これは無意味じゃないか。やはり価格を出した以上には、暴落した場合にはどういうふうな補償をするんだ、高いときには、そのかわりこうするのだということが伴わなければ、指示価格だけ発表したって、こんなものは無意味だと思う。ですから、指示価格を発表した場合には、一定の数量に――米の問題ではありませんけれども、いろいろな問題を考えて、やはり最低の補償というようなことも考えなければならぬ。もちろん米のように全部買い上げるとか、全部補償するわけにいきませんけれども、いろいろ方法はあると思いますけれども、そういうこと。そのかわり暴騰したときにはどうするというふうなことがやはりついて回らぬことには、指示価格だけでは効果がないと思います。  これはちょっと余談になりましたが……。それから、第二点の転送の問題でございます。これはいつも問題になっておるのでございますけれども、これは私の見解といたしましては、なるほど戸叶先生がおっしゃいますように、たとえば一たん東京なら東京、大阪なら大阪に入ってきたものが、さらに生産地の近くに転送される、非常にむだじゃないか、そのとおりなんです。ところが、生産者の側からいきましたら、ある程度大都市へ持ってきたほうが価格が安定するという線は、どうしても免れないんですね。たとえばカンランにしても大根にしても、いろいろありますけれども、それを現中央市場の大都市へ持っていかずに近郊に持っていく。トラック一台持っていく。価格は大都市よりも安くなる憂いが多分にある。ですから、むしろ大都市へ一ぺん持っていって、そこで立った価格を標準にして他へ転送したほうが安全だという気分が、生産者の大多数にあると思います。非常にむだなようなお考えですけれども生産者立場からいけば、特に高いときにはそういう傾向が出てくる。ですから、中央卸売市場が、入荷量があまり変わっていないのに値段が非常に違うじゃないかというような御議論も出ているわけですが、それは、そういう現象が出ているのです。特に、高いときには大都市へ出しておいたほうが、生産者立場からいけば楽なんです。言いかえますと、地方の都市ではそれだけの価格が出ないということです。ですから、中央市場に送っておいたほうが安全だから、中央市場に行く。そのごく一部分だけが転送される。こういう価格形成の取り方をしているから、そういう結果が出てくるのじゃないかと思います。ですから、生産者自体も、中央市場に出すよりも直接持っていったほうが手取りが多いという実証があれば、今日の生産者の各位――まあその点、全販連さんも指導をされておりますし、そういう矛盾が出てこないと思う。生産者の方も非常に賢いですし、いままでのような個人行動ではなしに、みな農協とかなんとかいうところにまとまっておりますから、そういうことはしないと思う。しかし、やはり自分の手取りというものから考えれば、相当な数量のものは大都市の市場へ持っていって、そこで値づけをしてもらったほうが安全だという気分がありますから、どうしても転送ということが消えないのじゃないか、こう思います。  それで、数量ということを戸叶先生おっしゃいましたけれども、私は東京の例は知りませんけれども大阪の例からいきましたら、そういう例はごく微々たるものでございます。東京の場合は私はよく存じませんけれども大阪の場合は、中央市場大阪市内で売られているものは約半分でございます。それからその半分以上は、近府県と府下に流れております。そういうことでございまして、転送ということは、大阪市場から考えましたら、数量的にはそう問題にならぬ、何%と申し上げる数量ではないと思います。
  50. 戸叶里子

    戸叶委員 いまの転送の問題ですけれども、たとえば東京まで持ってこなくても、生産地のすぐ近くの卸売市場へ持っていって、そこでしたらもっと安く、手間も省けるし、時間も省けるのではないか、私たちはそう思うわけです。そういう点は考え方が違うかどうかわかりませんけれども、私たちはそう思います。わざわざ東京まで持ってこなくても、近くの中央市場へ持っていって、そこで値はちゃんと――こちらとはつながっているのですから、いまコミニュケーションが発達しているのですから、幾らでも中央の値段はわかるのです。ですから、そこできめれば、それだけ運賃の問題、手間の問題も省けるのじゃないかというのが私たちの考え方ですけれども、その点は、実際の数字なり何なりをとってみなければわからないと思いますから、これはあとの研究課題に残したいと思うのです。  そこで、さっき、暴騰した場合にはそれなりの政策を考えなければいけない、こういうことですが、たとえばタマネギのような、卸値がある一定の価格をこした場合には、いま荷受け機関のマージンが八・五%ですけれども、それをある程度流動的にして、そのマージンを上げたり下げたりするようなことを、市場法の改正の中でやはり考えることが必要じゃないか。そうでなければ、価格の安定ということに近くならないのじゃないか。そのマージンの上げ下げといいますか、そこの流動性というものを持たしたほうがいいんじゃないかと思いますけれども、この点はいかがでございましょう。
  51. 金井実次

    金井参考人 タマネギの問題でございますが、タマネギは、御承知のとおり台湾だけ規制しておるわけでございまして、先ほど小原課長さんが御発言になりましたように、現在入っておりますのは全部アメリカとかニュージーランドとか、そこらのものでございます。これらのものは自由なのでございます。きょう、あしたやろうと思えば、だれでもやれるのです。一つも制約はないわけです。台湾のほうはそうはいきませんけれども、ほかの、いま現在入っておるタマネギというものは、これは何ら制約を受けているわけではございません。どなたでも、だれでも、希望があればすぐに引けるわけです。それを、どうして入ってこないのだろうかとか、いろいろ新聞紙上なんかにも書かれておりまするけれども、やろうと思えばどなたでも、資格も何にも要らぬわけで、すぐにでも輸入できるわけです。台湾はそうはまいりませんけれども。  それで、タマネギの問題でございますけれども、これは実際私たち専門家、というと語弊がありますけれども、行き過ぎかもしれませんけれども、こんな価格が出るということは、おそらくだれもが予想しなかったのじゃないかと思います、昨年の七月、八月くらいの時点におきましては。これは専門家といえどもこういう価格を予想できなかったということで、自分の不明をわびるよりしかたのない結果にはなっているのですけれども、それほどタマネギの実際はむずかしいわけでございます。  ですから、いろいろ商人が投機的なことをやっておるのじゃないかというようなこともありますけれども、これなんかも、実際問題といたしましてはごく一部分でございまして、ああいうふうにいろいろ伝えられているようなことは私はないと思います。現に中央市場関係、私の会社なんかでも、そういう思惑は一箱もいたしておりませんし、買って貯蔵して、そうして売るという時期をねらっているということもいたしておりません。一部商社とかそういう方にそういう動きは多少ございまするけれども、これは先ほど申しますように、やろうと思えばだれでもやれる業態でございまして、何ら制約は受けぬわけでございまして、そういうことによくなれている商社がそういうことをやっているということで、 ことしなんかでも、現在のところでは、輸入しましてもある程度引き合わなければ、幾ら門戸を開いておいても輸入ができ得ないという形になっておりますので、門戸をあけたからどんどん入ってくるというわけのものでもございません。アメリカの価格と日本の価格とがどうなっているかということによって、輸入されるかどうかということがきまるわけでございますので、門戸があいているからどんどん入ってくるというものではございません。やはりニュージーランドなりアメリカの原価と、日本で売られている価格の差がどうなるのか、利益があるのかないのかというようなことから、やはり輸入するかせぬかということがきまってくるのでございまして、東京都が特別の補助金でもつけて、輸入せいということがあれば別でございますけれども、一般民間人にまかしておく限りは、採算ベースに乗らないものは輸入しないということになってくるとぼくは思うのです。  手数料を下げて、そうして流動的にやったらいい、こういうことは、私どもとしては、お役所のほうがそういうことであれば、われわれのほうはすべてお役所の監督下に運営をされているわけでございますから、この品目について、この時期に限って手数料を下げよという御指示がございましたら、われわれはそれに従わさしていただくということだと思います。
  52. 戸叶里子

    戸叶委員 わかりました。  これは農林省のほうであとで――いまお答えいただけますか。
  53. 石川弘

    ○石川説明員 いまのお尋ねは、たぶん日曜日の新聞の報道というようなものが基礎にあるのだと思いますが、私ども考え方を少し申し上げますと、あの記事の内容は、中央卸売市場の手数料率が高いから、商人系の出荷者は、中央市場を避けて地方の卸売市場出荷をしている。したがって中央卸売市場出荷されるタマネギの量がふえないから、料率を下げれば中央市場にもっとタマネギの入荷があるであろう、そのことがタマネギの値段を下げる効果にプラスではないかという手法だと私は考えております。  その事実につきまして、私どもも調べておりますけれども、私ども、まず一般論で申し上げますと、中央卸売市場は、先ほど皆さん方の御指摘がありましたとおり、自分たちの需給圏以上の集荷力を持っている、それが転送という形で逆送されるというのが、中央市場がかねがねいわれている機能です。非常に大きな集荷力を持ち、したがって生産者あるいは出荷者にとっても魅力のある市場であるということが、中央市場の本質でございます。タマネギにつきましてもその事態は全く同様でございまして、国内産タマネギにつきましても、やはり出荷の中心というのは、特にこういう不足の事態では、中央市場に主力を置いて出荷されているのが実情でございます。  そういう状況のもとで、それでは輸入タマネギがどのように出荷されているかということを数字で見ますと、私どもが統計調査部等の協力を得ました数字では、大都市の中央卸売市場、これは統計の分析では一類都市といわれておりますが、そういう一類都市に出荷されておりますタマネギの数量は、通常一類都市が卸売りをします野菜の数量、これは大体五〇%をちょっと割ったくらいの数字でございまして、その数字とほぼ一致しております。したがって、大都市の中央卸売市場を輸入タマネギが避けるという現象はまずないわけでございます。  それでは、なぜ商人系の出荷者があのような形のことをおっしゃったかといいますと、現在のタマネギの不足の条件のもとでは、地方の卸売り業者は、タマネギの手当てを受けることがたいへん困難でございます。したがいまして、それを輸入業者から買いまして何とかそういう数量の確保をしたいという、どちらかといいますと売り手の有利な、売り手市場が形成されていると判断すべきだと思うわけです。そういう場合に、商人系の出荷者は、中央卸売市場で形成されました価格を使いまして、大体いまタマネギの相場はこういう相場だ、こういう相場で買ってくれという買い付け方式を地方の卸売り業者に勧誘するというのが通例でございます。しかも非常に売り手の強い状態でございますから、買い付けましたときの買い付け益を中央市場のマージン率よりももっと有利にする、したがって商人系の出荷者の手取りをより多くするように交渉するような条件ができ上がっている、そのように見るべき状態だと考えております。したがいまして、中央市場の手数料が高いから地方に流れるという論法は私は当たってはいない、事実としても違っていると考えております。  その次に、それでは手数料率はどうあるべきかと申しますと、御承知のように手数料といいますのは、販売いたします生産者、あるいは今度のタマネギの場合はそういう輸入いたしました商人の人、そういう人たちの販売の手数料として、委託を受けました、あるいは買い付けました卸売り業者が幾ら生産者に戻すかという料率でございます。したがいまして、第一義的には、消費者価格影響するのではなくて、生産者手取りに影響するものでございます。しかし、結局は生産者の手取りを確保することによりまして、消費者価格にも反映することでございますから、私どもは、なるべく安い料率で中央市場を経由して流通させることが望ましいと、基本的に考えております。  そこで、現在の八・五%というものの中には、大型の出荷者を優遇いたしますため、大型の出荷者が継続的に市場出荷してくれますことを勧誘いたしますための出荷奨励金という制度がございまして、各種の実質割引をいたしております。そういうことから、大型の出荷者というものが中央市場出荷いたしました場合は、あの名目の八・五%ではなくて、きのう発表いたしました各段階別の手数料でもおわかりのように、タマネギは、あの調査では六・七という手数料率になっておりますが、そういう手数料で割り安に、なるべく安いように流通させているのが実態でございます。  八・五%そのものがいいかという判断に入りますと、これはタマネギがどうかとか、ジャガイモがどうかという話ではございませんで、全卸の経営というもの、それから第一義的には農民の手取りをなるべく確保するという観点で、一体どこまでぎりぎりやれるかという判断をすべきだと考えております。その種の検討は、毎年毎年厳密にいたしております。  御承知のように、四十三年に野菜価格が一般的に暴落をいたしまして、卸売り人の収益というのは激減いたしました。しかし、四十四年度に価格上昇、数量増に伴いまして、それが持ち直してきているというのが現状でございます。しかし、収益の増の面から申しますと、端的に言いますと、価格上昇とか数量増がそれだけ収益の増に働きますが、今度は逆に支出の面から申しますと、御承知のように、市場における労働力をよけい使ういまの流通の中では、労賃の上昇部分がたいへんな経費の増となってあらわれてきております。この二つは相殺されて、卸売り人の収益もある程度確保し、健全経営をして、生産者に迷惑をかけないような体制づくりをしながら、一体下げられるかどうかというのが判断の基準点でございます。その点私ども慎重に検討いたしますが、直ちにこれを何%動かすというような数字は、ここには出てまいっておりません。  それからもう一点重大なことは、御承知のように今度の卸売市場法案の中では、安定的な販売を確保する面から、委託による集荷、せりによる販売のほかに、買い付けによる集荷、相対による販売ということを、広範囲にある程度広げてまいるような法制を考えておりますが、この委託販売から買い付け販売に移ります場合には、これはもう理の当然でございますが、利益率は低下するというのが、過去の実績においても、あるいは買い付けの多い水産におていも明らかでございます。したがいまして、この時点で、特にあのタマネギの問題を契機にして料率を動かすというようなことは、私どもとしてはとれない立場でございます。
  54. 戸叶里子

    戸叶委員 時間がないですから、簡単にあと二点ほど伺いますけれども、そうしますと、いま結論的に言えば、タマネギとかなんとかいう問題じゃなくて、野菜の値が上がったり下がったりする、それによって荷受け機関の手数料というものは、いつのときにも、大体今後も動かないという結論ですか、それともときによっては動くというのか、返事だけでけっこうです。  それからもう一つは、タマネギが、先ほど何万トン、何万トン輸入されるということになって、需給に見合うだけのものが確保されるわけですね。そうすると、価格が安くなる、安定した安くなる価格になるのは、大体ことしのいつごろでしょうか。それだけをまず伺っておきたいのです。
  55. 石川弘

    ○石川説明員 価格が上がったら手数料を割り引くということは、価格が上がったときに農民手取りを多くするという形になるわけですね。逆にいって、価格が下がったら、それじゃ上げていいかといったら、価格が下がって農民が非常にお困りのときに、卸売会社がより多くの手数料を収受していいかという感じでございまして、私どもはそうではなくて、卸全体の経営の中でできるものがあれば、要するに手数料率を下げることによってより安い流通ができれば、そういう時点がくれば、それは当然検討すべきものだ。農林省としましても、三十八年に引き下げを一回いたしたこともございます。それから、その後引き下げをしていないのではなくて、先ほど申しました大型出荷者の出荷の奨励でございますね、交付金という形で、現実の手数料の割引行為はいたしておるわけでございます。その度合いはかなり強まっておりまして、実質の料率は下がっておるわけでございます。
  56. 戸叶里子

    戸叶委員 タマネギの問題、 安定について……。
  57. 石川弘

    ○石川説明員 これは私の立場で、上がる下がるということを当てるようなことは不可能でございまして、これはやはり、先ほど野菜課長がお答えしましたように、そういう需給の均衡をなるべく――いま高いという、要するに二千円、現在千九百円ぐらいになっておると思いますが、そういう価格水準は高い水準と理解しておりますので、それをなるべく落ちつかせるような努力は、供給面、輸入とかそういう供給面、あるいは取引の面でも指尋をいたしていくつもりでございます。
  58. 戸叶里子

    戸叶委員 先ほど、その問題ではないのですが、お聞きになっていらっしゃったように、竹井さんがたいへんいい御意見をお吐きになりまして、ことに生産動向の先取りの調査というものがしてもらえないものだろうか、こういうことを言われたのですが、もうすぐ目の先のタマネギの問題で輸入も入ってくるのだというようなことがわかっていれば、当然そのくらいの見通しというものはおわかりになると思いますから、その点などもあわせて研究をしていただきたいし、それから、竹井さんのおっしゃったような生産動向を先取りした調査、こういうようなものもぜひやっていただきたいということを私、この機会に要望したいと思うのです。  それから、小売りのほうでお骨折りをいただいております大澤さんにひとつ御質問をしたいのですが、先ほど、いろいろ御苦労のほどは伺いました。そしてまた、小売りをしていらっしゃる方というのは零細企業の人が多いですから、いろいろな面では苦労されておるとは思います。ただ、私どもが伺いたいのは、ロスだとか、さっきおっしゃいました目切れだとか、それからごみ代とか手間賃、まあ、いろいろあるわけですけれども、そういうようなものを全部ひっくるめて、そうして一応生活費等もくるめてのマージンということになるわけだと思うのですけれども、その場合のマージンは、野菜は、ものによって違うのでしょうか、それとも一律にマージンをおきめになるのでしょうか。たとえば、非常に目切れだとかロスの多いものに対してはこの程度のマージンで、そうでないものはこうだというように、分けていらっしゃるのか。その辺をちょっと伺いたいと思います。平均どのくらいのマージンか、お差しつかえなければ、ちょっと伺わしていただきたい。
  59. 大澤常太郎

    大澤参考人 なかなかむずかしい問題ですけれども、場所によって違うのですね。ということは、東京都民でも、地区によって客種が違うのですよ。少しぐらい品物がくたびれていても、みんな安いほうがいいというところもありますし、いいものでなければ売れないというところもありますね。それから売る方法でも、やはり現金で買ってくれるところと、貸し売りで売る場合がありますね。そういう場合もあるし、それから、買ってきたものを、お得意へ御用聞きして配達するというような場合、多少はそういうことで差がありますが、大体は三割、青果のほうは三割ということに東京ではいっていますが、まあそんなものでしょう。税務署の調べではもっと安いですよ。いろいろなロスがたくさん出るから、いろいろな費用がかかりますからそうですが、とにかく、さっきお話ししたように、運賃、目切れ、ロス、ごみも出ますし、それから包装紙、販売の手数料、そういうようなものと、最後に税金もありますから、たいしてうまいものではありませんね。そういうことです。
  60. 戸叶里子

    戸叶委員 ありがとうございました。  一点だけ竹井さんにお伺いしたいと思いますけれども、たいへんいいお仕事をやっていらっしゃって、すばらしいのですが、皆さん方が地域の小売りで買う場合とそれから生協でお買いになるのとの価格の違いというものは、大体おわかりになっていらっしゃいますか、ものによって。たとえばごく代表的なものでもいいのですが、大まかでけっこうです。二割とか一割とか、そういうことでけっこうですけれども、その点が伺いたいこと。  それからもう一つは、生協ですから、前もって希望をとって荷物をおとりになるのでしょうから、ロスは出ないと思いますけれども、もしかして売れないような場合も出てくることが考えられますか。そうしたらその場合はどうなさるか。参考までにそれだけ伺いたいと思います。
  61. 竹井二三子

    竹井参考人 野菜にしぼってですか。それともいろいろ……。
  62. 戸叶里子

    戸叶委員 野菜にしぼってお聞かせいただきたい。
  63. 竹井二三子

    竹井参考人 先ほども申しましたように、ただいま全販を通してあれしておりますので、全販の価格そのものが、やはりその日の市場価格が基礎になるものですから、そんなに大幅に安くはできません。いま大澤さんのほうから、大体八百屋のほうは三割とおっしゃいましたので、生協あたりの場合は、とまるところが一割八分ぐらいまではどうしてもとめないと、生協経営がやっていけないわけですから、その辺なんです。ですから、小売りでの経営努力というのは、ほんとうに一割を下げるのがもう精一ぱいで、私どものほうの職員も、朝はうちを六時半に出て、夜は九時で済んで帰っていく。ですから、十四時間労働なんて、労働基準局の方いらしたらおこられるような仕事をしながら、その一割を詰めているというようなところでございます。  それから、産地直で――産地直というか、農家直でやりますのは、これはかなり大幅な安さでできます。ですから、ルートによって違いますけれども、一昨年のように、北海道連からタマネギ、ジャガイモをとったときなどは、市価の二割安、三割安くらいまではできますね。それから、いまやっております梅干しなどは三分の一の値段で、これは経済行為ですから、いろいろな相手方の条件もあるわけです。それで、農家のほうも、梅はとれたけれども、梅を出す流通ルートはみんなもうきまったところで押さえられて、はたから入り込む余地がない。ですから、とれたものは泣く泣くでもさばいてしまわなければ困るというようなことで、そのために買い手を見つけたいというような場合には、ほとんども価格はこちらまかせみたいなことでやられますので、こちらもあまり農家を泣かせることはできませんが、まあまあこれならしかたがないと向こうが思われるような値段を出しますから、ものによっては三分の一でやれます。  それから、暮れにいたしましたおもちの共同購入ですが、これは山形の農協と直接いたしたのですけれども、でき上がった一キロのもちが、私どものところでは四百円が通り相場でございました。それがわれわれのところに入りましたのが、二百六十円でいいといったのを、計算して二百六十五円に買い上げましょうといって――これは連合会があっせんしたのは二百六十五円なものですから、五円上げて買ってあげて、組合員に出したのが二百九十五円でございますから、四百円と二百九十五円の差でございます。  そういうふうに、ものによって違いますし、取引条件によって大幅に違います。日常のルートでくるものは一割安くするのが精一ぱいですが、産地直を大幅に行なった場合は、三割、半分、三分の一などという場合もございます。
  64. 戸叶里子

    戸叶委員 どうもありがとうございました。
  65. 小林進

    小林委員長 それでは、渡部通子君。
  66. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 きょうはたいへん長時間になって、お疲れのところを申しわけございませんが、二、三、私もお伺いをさせていただきたいと思っております。  最初に、榊さんにでございますが、確かにおっしゃるとおり、指定産地をどう義務づけていくか、あるいはそれに見合う補償をどうするか、これが一番、産地育成ということで大事なことになってくると思うのです。そういう意味で、まず補償ですが、農家の方が安心して野菜をつくれるのに、いまの補償基準価格というものはどのくらいアップして差し上げればよろしいのかという点、その現場の声をひとつ聞かせていただきたいのです。  それから、指定産地に指定された場合に、確かに農林省はその予算をつけました、しましたということになるのですけれども農家個人にとってどんなメリットをお感じになるのかどうか、その二点をまず伺わせてください。
  67. 榊春夫

    榊参考人 いまの補償基準価格をどの程度にしたらいいかという問題でございますが、私も具体的な資料を持ち合わせておりませんし、また、品目によってもかなり差のある問題だと思いますので、ばく然とした感じだけを申し上げますと、いまの価格よりはかなり引き上げなければ、ほんとうの生産の安定は期せられないのじゃないかという、ばく然とした感じでございますが、そんな感じがいたしております。  指定産地制度をとることによって農家はどういうメリットを得ているか、こういう点につきましては、現状における野菜生産のしかたというのは、集団産地育成してやっていく。それにはいろいろと技術指導をやったり、出荷なり保管なりのためにいろいろと施設をしたりというようなこともございます。また、もっと大きな問題といたしましては、生産基盤の整備というような仕事も、この団地形成の中で当然行なわれていく仕事になります。したがいまして、そういう点ではかなり効果のある施策になっていると思います。しかし、ただいま前段でお尋ねのありました価格補償という点になりますと、現在指定野菜の中で安値補てんの対象になっている品目は、品目としても数が少のうございます。また補てんの割合にいたしましても、はなはだ不十分なもののように考えまして、そういう価格補償等の点においては、農家がそのために計画出荷をどうしてもやっていかなければいかぬのだ、あるいは指定消費地にぜひとも出荷していかなければならぬのだという強い義務感を抱くほどの内容にはなっていないのじゃないかというふうな感じを受けております。
  68. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 榊さん御自身にお尋ねするのは御無理だったかと思うのですけれども、私が農家の方たちにずっと当たった感覚では、指定産地にされてもあまりありがたくない、そういうお気持ちが強いようでございます。これは価格補償の点が一番強いかもしれませんけれども、確かにかんがいだとか整備だとか、そういった全体としてのメリットはあるかもしれませんけれども農家個人に対して、お百姓さん一人一人の、ああ指定産地になってありがたいやという気分は、これはやはり価格補償にしかないのではないか。そういう意味では、非常に国の施策としてはおくれをとっているように思うのです。むしろ指定産地なんかはずされてしまっても、自分の勘でもうかる道を、来年も作付考えようというような空気のほうが強いのではないか。実はこれは、農家御自身の声を私はここで伺いたかったのですが、ちょっと榊さんのお立場では御無理かとも思いますが、概略のことはわかりました。  いま補償の品目が非常に少ないというお話でございました。確かにこれは、私は農林省に伺いたいのですが、今回ふやしてやっと九品目ということでございますね。私は、やはりこれはせめて指定品目全部くらいは価格補償の対象とすべきですし、それから産地廃棄処分制度等も、いまは夏秋キャベツについて群馬、長野、兵庫の三県だけということになっておりますけれども、その辺の見通しですね、もう少し大幅にしていただけるかどうか、これは農林省に伺いたいと思います。
  69. 小原聰

    ○小原説明員 まず、現在野菜生産出荷安定資金協会が行なっております価格補てん事業の対象品目の点でございますが、四十五年度現在では、キャベツ、タマネギ、ハクサイ、ニンジン、キュウリ、ネギの六品目を対象にいたしておりますが、四十六年度からは、いろいろ問題の多い大根、トマト、レタスの三品目をつけ加えることとしております。この事業は、単に国だけでやるという事業ではございませんで、出荷者団体の積み立てによるわけでございます。その部分が四分の一、それから県の負担割合が四分の一、国が二分の一ということになっておりますので、そういう出荷者団体の受け入れ体制ということも考えて、受け入れ体制の整ったところから、また、その価格安定の必要の強いものからということで、逐次拡充をしてまいっておりまして、四十六年度には全体で九品目になるわけでございます。まだ不十分だとおっしゃる点、私どもも十分今後、これをもっと拡充する方向で考えてまいりたいと考えております。  それから第二の、産地廃棄の制度でございますが、御承知のように昨年、四十五年度の予算で、夏秋キャベツについて実験的な産地廃棄の特別の価格補てんの事業が仕組まれることになったわけでございますが、これは暴落に備えての制度でございまして、昨年、四十五年中にはこの産地廃棄を必要とするような暴落がなかったということで、この積み立てられている金はそのまま、今後の暴落が起こった場合に、出荷調整上やむを得ず行なう産地廃棄について、その発動を見ることになるわけでございます。私どもとしては、まず夏秋キャベツで実際にやってみて、その効果なり、いろいろな点を十分検討した上で、これの制度化なり、これをほかの品目に広げることについて慎重に検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  70. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 ちょっと追加して伺いますが、国の負担率が二分の一ですね、それで生産者御自身の負担率が四分の一になっているのですが、あれは、もう少し国の負担率を上げられませんか。
  71. 小原聰

    ○小原説明員 現在のところ国の負担率をふやすことになっておりませんが、EECとかヨーロッパの各国で行なっている価格補てん事業を見ますと、これは産地廃棄が主体になっておりまして、全額生産者の積み立てということになっておりまして、国がこういう価格補てん事業に対して負担をしているのは日本だけというような実情でございます。ほかの農産物に比べまして、国の負担割合が少ないという御意見があるわけでございますが、今後制度全体の問題として、私どもとしては検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  72. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 それは私、諸外国はどうだかわかりませんけれども、日本の国の現状としては、ぜひもう少し国としても、そこの価格の負担をしていただきたいと思うわけです。  そういう努力を前提に置いてということになるかもしれませんけれども、これは榊さんにもう一点、指定産地から指定消費地への出荷ですね、いま二分の一当たりが義務とされているようでございますけれども、それを五分の三くらいにふやすということは考えられないか、その点はいかがでございますか。
  73. 榊春夫

    榊参考人 指定消費地への義務づけでございますが、これは御案内のように需給計画を立てまして、出荷計画に従った計画出荷をするように制度上仕組まれているわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、その計画の実施を確保する体制というものがはなはだ不完全であるというふうに私は考えております。指定生産地に対する義務づけも足りないし、その出荷を確保していく実施団体というものが必ずしも明確でない。その責任の所在がはなはだどうもあいまいではないかという感じがいたしております。  なお、いわゆる指定消費地というものの七割なり八割なりを指定産地出荷品でもって確保していこうという農林省の御方針で進められておるわけで、その点については、私もたいへんけっこうなことだと思いますが、何せ中央卸売市場全体の流通量というものが、野菜の全体の流通量からいたしますと半分をちょっと割る程度の数量にしか足りないわけですね。しかも、その中央卸売市場の中で六、七割しかまだ出荷されていない。こういうふうな状況下で指定産地の義務づけというものを強めるということになりますと、つまりアウトサイダーのほうが非常に多いわけでございまして、そういう人たちが安定した価格取引できるようにしてやるために、指定産地が相当な犠牲を払う。出荷調整のためにいろいろ経費をかけたり、あるいは廃棄処分をしたりというようなことが起こるわけでございまして、そういう意味におきましては、外国の例の紹介もありましたけれども生産者負担でそういう補てん事業をやっていく、しかもその当該の指定産地生産者だけの負担でこういう事業を進めていくということは、ほんとうに力の入った仕事にはならないのじゃないか。やはり全体でもって経費というものをまかなって、特にそういう義務出荷をする人たちが不利益をこうむらないようにという措置が十分に講ぜられないと、出荷調整という仕事はうまくいかないのじゃないかというふうに私は考えております。
  74. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 御意見、よくわかりました。  金井さんに一点伺いたいのですが、せりの問題でございます。確かにせりは、公平という意味では非常にいいことかもしれないのですが、安定を欠くという点ではたいへんなデメリットがある、こういうふうに私たち理解をしております。先ほど、建物の悪い話がいろいろございました。それは私もよく承知をしておりまして、狭いこともお気の毒だし、ほんとうに非近代的ですし、盗難があるという話もよく聞きましたし、駐車場まで持っていくのにも骨を折っていらっしゃいますし、そういう点はよくわかりますが、建物は直せばいいのですけれども、せりというそれ自体の流通構造の問題ですね、これをどうお考えかということを伺いたいのです。  それで、やはり需給調整機能を持つ卸売り人が即せり人であるというところに、消費者側から見れば非常に不満を感ずるわけですね。これはどうしたって高いほうに落ちつくしかないわけでございます。せり人という立場をもう少し変わったものにするという意見はいかがなものでしょうか。公的な意味を持たせるとか、あるいはせり人の立場生産者側から独立をさせるとか、そういうせりの問題について、いまの提案に対してはどういう御意見をお持ちでございましょうか。
  75. 金井実次

    金井参考人 ただいま渡部先生から、せりの問題どうかというお話がございましたのですが、私はやはり、先ほどから再々申しておりますように、現在全面的にせりをやめるというわけには、実際問題としてはなかなかむずかしいのではないか。これは、多種多様のものを短時間に処理して価格をつけなければならぬという問題点がございますので、せりというものは、やはり中央市場においては主流であるという考え方はいたしておりまするけれども、しかし、こればかりではいけない。やはり今度の法案の中にうたわれておりますように、相対取引とか買い付け制度とかというものを拡大強化をして、なるべく暴騰、暴落を防いで需給機能を持たしめるような形に持っていくということを、われわれといたしましても念願といたしておる次第でございます。  渡部先生おっしゃいました、せり人の人格を変えたらどうかということでございますけれども、これは今度の改正の法案の中でも、登録制をとるということで、従来のせり人制度とは多少違った方向を打ち出されておるのでございまして、今度は従来よりも厳格になっていくということは思うのでございまするけれども、これを別人格にするというふうなことは、私は実際問題として非常に至難ではないか、こう思う。  せりの価格の決定というものは、先ほど申しますように、高く売ってもらいたいという生産者と、安く買いたいという消費者がぶつかるところでございますので、これはやはり産地からいきましたら、信頼する卸売会社に荷物を委託で送ろう、こういう形になるわけでございます。したがいまして、やはりせり人というものはその卸売会社に席を置いて、そうして産地の信頼にこたえて荷物を集めるということが、私は一番先決問題であろう。どういたしましても、やはり産地から荷物を中央市場に送ってもらうということが前提でございますので、そのせり人のよしあしというものは、会社の経営の面とは別にいたしましても、産地に対してはやはり非常な反映をする力を持っておるんじゃないか、こういうふうに思います。  したがいまして、せり人を別の機関に置くということであれば、私は、極端な議論かもしれませんけれども市場に幾つも会社を置く必要はないんじゃないか、要するに単数にしてしまって、競争さす必要ないじゃないかというふうに私としては考えるのでございまして、やはり現在の複数制度のもとで、市場内で幾つもの会社が競争し、また市場間の競争があり、都市間の競争が荷受け会社の卸売り人の中にはあるわけでございますので、それらを有機的に、合理的に産地と連携して、信用を保ちながら毎日の販売価格をきめていくという点につきましては、やはりせり人を別の人格にするというふうなことは私はちょっとむずかしいんではないか、かように考えております。
  76. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 たいへん時間がないそうでございますので、竹井さんに一点お伺いいをいたしたいと思います。  先ほどおっしゃったように、確かに価格が、卸売市場価格によって産地直送などの場合にも左右されるという点、私も、それは非常に残念だと思うわけなんです。現実に生協あたりで価格をおきめになるとき、ケース・バイ・ケースでしょうけれども、大体どういうふうにしておきまりになるか、どこの意見が一番強く入ってくるものなのか、その価格の決定の重さみたいなものをちょっと教えていただきたいのです。
  77. 竹井二三子

    竹井参考人 私どもも、そんなに多品種にわたって方々産地とは、まだやれるところまでいっておりませんけれども、まず、その産地直を私どもやる場合には、出荷組合ですね、農協か、そうでなければ、今度ほんとうの農家との話し合いをするわけです。それで、そういう場合は電話か、そうでなければ向こうからおいでいただくかして、責任者ですね、そして私が責任を持っておりますから、責任者といろいろ話をして、この人たちとならほんとうに全面信頼で取り組めるという前提がないとできないのです、お互いに何か裏切られただの、両方で裏切られたみたいなことになって、そんなはずじゃなかったみたいなことができますので。そしてお互いに、農民にもよく消費者にもよくという思想の統一をいたしまして、それから具体的に価格交渉に入っていくのですけれども、私たちが尊重するのは、一体このジャガイモならジャガイモをつくるときに、市場価格には支配されない、ほんとうに農家がほしいという価格はどうなんですかということから始まるわけです。  そして、そこで出てきた価格が一応――私たちだって、市場価格を無視してはできませんので、それよりも高い場合は、それは全然話になりません。そういうことは農家のほうでも知っていてくださいますから、そんなことはだめだということになって、結局、少なくともいまよりは安くなければ意味がないわけで、一割安いか二割安いか三割安いかということなんです。  その交渉を進めていく場合に、やはり理念にあるものは市場価格ですけれども農家の方も、では、今後のことがあるから、これで泣きましょう、というと変ですけれども、泣きましょうとおっしゃった場合は、生協のほうでも普通の手数で二〇%かけてやるものは、産地直の場合は一〇%に押えたり、ものによっては素通しのこともあるわけです。ですから、そうしてお互いに、理念がりっぱに経済行為として実を結ぶようになるまでがんばろうよというような話し合いを、生産者と私たちでやって、そうして組合員にも、こういうわけで来た品物だから、百グラムずつ買わないで、みんな十キロ買ってくれとか、それから、一つの班のところで、隣近所みんな集めて共同購入してください、こういう値段で出ますからといって予約をとって、来たらばーんとそこのところへ何百キロも卸すような方法をなるべく進めながら、消費者合理化に協力する、それから農家もあまり欲ばらない、生協もそのために労力奉仕をするというような考え方を貫きながらいまやっているので、そうででもないと、実益だけを追ったんでは、もう産地直なんかこりごりだみたいな話が出ますので、ですから、そういうことをいたしますし、それから、場合によっては、生産者は、非常にとれ過ぎたから、値段はもうそちらにおまかせしますというものもあるわけです。そういうものは、こちらで向こうの運賃やらいろいろ聞いて、そしてそのときの市場価格参考にしながら、まあ三割、半値になれば最高でしょうね。だから、いろいろのケースがあるのですけれども、いまは将来というか先のことを理想を描きながらお互いにやっている。  それで、そのために私たちも条件を整える。冒頭に申しましたように、そのために組合員の数をふやして、それだけの経済力を持とう。場合によっては、農家を泣かす場合には、持っていらしたらすぐに支払ってあげるわけです。それはもう全部現金です。何十万でも、全部現金でお払いしましょう。それから、ある程度農家にメリットがあるなと思うと、支払いはサイトをもって振り込みますというような支払いのことまで条件に含めて交渉いたします。
  78. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 ありがとうございました。  参考人方々にはそれだけ伺いたかったのですが、竹井さんのお話を伺っておりまして、私もそれを踏んまえて農林省に幾つか伺いたいと思っておりましたので、それは後の機会に譲るとして、ただ一つ、等級の問題ですね、形。そういったものが、確かに消費者の側としてもあまりメリットはない。必要はあるのかというお尋ねでございましたが、生産者の側でも、あれがあるためにたいへん共販に乗りにくいとか、あるいは、ああいう手間を考えれば、青田買いでも何でもしてもらっちゃったほうが得だとか、生産者側にもそういう意見がございます。ですから、そういった等級とか形の、現在のサイズ問題に対してどういうお考えをお持ちであるか。  それから、計画生産消費動向を先取りできないかという御質問がございました。  この二点について農林省の御説明をいただきたいと思います。
  79. 小原聰

    ○小原説明員 簡単にお答えいたします。  規格の問題につきましては、農林省といたしましても、できるだけ簡素化をするということでこれまで指導を進めてきておりますが、四十五年度からは、全国的な統一規格をつくる作業を進めております。  規格というのはできるだけ簡素なかっこうにして、選別等もできるだけ手間を省くようにいたすことが望ましいわけでございますが、やはり現在の大量取引ということを前提にいたしますと、規格がそろったものは、その規格に応じて値段がきまるといういまの市場取引を前提に考えなければいけないと思われるわけでございます。そこで、規格がなくていいということにはならないので、できるだけ規格を簡素化するという方向で、私ども全国的に規格の標準化を進めてまいりたいと考えております。  それから、計画生産、計画出荷につきましては、需要見通しを行なうほか、生産出荷協議会というものをそれぞれの指定野菜作付前、出荷前に開きまして、そこでいろいろな情報を持ち寄り、市場側からは需要の見通しのお話を聞き、各産地生産なり出荷の計画を出していただいてやっておるわけでございますが、こういう生産出荷協議会の運営をもっと充実いたすことによって、先生のお話のある先取りという点について今後十分対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
  80. 小林進

    小林委員長 和田耕作君。
  81. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ごく最近、一線の農事指導員の数人の人と話し合っておりまして、疑問に感ずる二つの点をお伺いしたいと思いますけれども、最初に金井さんにお伺いしたいのですが、暴騰、暴落の中で投機、スペキュレーションが行なわれておるというふうに、一線の農事指導者の人たちは感じておるわけです。しかし、投機といいましても、株の相場の場合は、上がるときも下がるときも投機ができるのですけれども、、この場合は上がるときだけしかできないのじゃないですか、投機がもしあるとすれば。その点どういうふうに……。
  82. 金井実次

    金井参考人 投機ということばでございますけれども中央市場卸売り会社自体の性格といたしまして、これはお役所のほうから厳重な監督も受けておりまするし、もちろん開設者、東京でいえば東京都ですし、大阪でいえば大阪市なんですが、開設者から、必ず年に一回の検査も受けておりますし、また農林省からも、これは毎年ではございませんけれども、各都市一週間くらい、係官が四、五名来られまして、あらゆる帳簿の点検をされるわけです。この検査なんか、私から言わしめれば、国税庁よりかきついなということをいつも言うているくらいの検査を受けておるわけです。それで、そういうことからいたしまして、中央卸売市場の会社が投機的にものごとをやっているというふうには、私は全然考えておりません。これは事実そういうことはないというふうに御解釈願ったらいいと私は思います。  ただ、たとえば輸入の問題につきましては輸入商社、あるいは産地にはいろいろ産地業者もおりますから、それらのものが先高を見越して買い占め、ある程度買って貯蔵して、高くなったら売ろうという動きはございます。ですから、先生のおっしゃいますように、株のように下がるときは全然ないので、高くなったら売ろうというだけの一方的な行為だ、かように考えるわけでございますけれども中央市場における卸売り会社、農林省の監督を受けておる会社がそういうことはしておらない。だだ産地における業者がそういうことをやる。その荷物が地方の市場に行ったり、また個人に行ったり、また中央市場の会社に委託したりということはされている、私はこういうふうに考えております。
  83. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 地方の農民あるいは農民の直接の指導者などは、つまりスペキュレーションが、必ずあるに違いない、やっておりますよと、こう言っておるのですね。しかし、どういうふうにやっておるかということはよく知らない。農林省も監督はしているけれども、しかし、あの数の少ない人が市場の監督なんかできはしませんよと、こう言っているのですね。しかも、このスペキュレーションというのは、下げるときのスペキュレーションがあればまだあれですが、あるとすれば上げるときばかりですね。しかも、たくさんの関係者がこういうふうな疑問を持って見ているという問題は、今後私どもは調べてみたいと思いますけれども、その点について金井さんの感想を承っただけなんですが、もう一点、もう時間もありませんので、榊さんにお伺いしたいのです。  これも一線の農事指導員の言っていたことなんですけれども農林省も農協も、たとえば指定の産地あるいは野菜団地、こういうところには関心を持つけれども、一般の農家に対して、野菜をつくりなさいという指導を一ぺんも聞いたことがない、こう言うのです。野菜をつくったら下がるからあぶない、農林省責任を持ちませんぞ――増産をしなさいという指導を一回も受けたことがない、こういう話を私聞いたのです。その人はまた、野菜団地の値段が下がったらいかぬからということもあるのじゃないかということも言っておったのですけれども、先ほどからお話を承っておりますと、野菜団地あるいは指定の地域に対して十分な責任のある指導もできないままに置いて、しかも一般の農民には、野菜をつくりなさいという指導もしていない。こういうところに、現在の野菜の暴騰という一つの背景があるのじゃないか。もっと徹底すれば、指定産地に対してもっと手当てをする、あるいは義務づけをする、あるいは野菜団地の問題をもっと目をかけて見る、こういうことが行なわれておれば、こういう政策の累積によってもうそろそろ安定しそうだと私は思うのです。これも徹底したことをやらない。一方、値くずれすると困るから野菜をつくってはいけない、そういうふうな指導を一方的に一般の農民にはする。こういうところに問題があるということを、私でなくて一般の農民、指導員の人たちがそう感じておる。こういう問題はどうですか。
  84. 榊春夫

    榊参考人 確かに御指摘のような、一般の人たちへ幅広く増産を呼びかけていく、あるいはそれを指導していくという体制はとられていないのじゃないかと私も思います。  これはやはり長年の間副業的にといいますか、生産を惜しみました結果が、毎年暴騰、暴落を繰り返す、過剰、不足繰り返しになっているという苦い経験から、指導する立場の人も、また一般の農家の方も、そういうことに耳を傾けなくなっているということも確かに一つあると思いますし、また、実際一般の農家野菜作を始めようとする場合に、やはりそれをやるには相応の技術なり、あるいは荷物のまとまりなどがなければ、いまの流通に十分対応していけないというような事情がございますので、やはりだんだんそういうことになっているのだと思います。その点は、昔の野菜供給の体制とはかなり違った中身になっているだろうと思います。  今後の施策としては、やはり集団産地育成に重点を置いた指導が必要であろうというふうに、私どもとしては考えております。
  85. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 たとえば昨年の減反政策ですね、相当たくさんの米作地が休耕あるいは転作をしている。この場合に、減反をした地域の農民に対して、野菜をつくりなさいということは一言も言っていないのですね。きょうは、政府のほうには質問はお互いに差し控えようということですから、農林省はあとからあれしますけれども、しかし、農民は相当数、減反の反別を野菜に向けていますね。農林省の逆をいったほうがもうけるという感じが、また一方にあるわけです。これは去年、おととしだけじゃなくて、むずかしくなったのは四十年、もういまは五、六年たっています。そういうところに問題がある。これは農林省の片棒を一本、農協もかついでいるのじゃないかという感じがするのですが、それは農協も農民を保護するということですから、わからぬことはないのですけれども、しかし、この問題はやはり農林省とともに考えてみる必要がある。特に、いまあなたが後段に言われた、今後指定産地あるいは野菜団地の問題を中心にやっていく、これは私は賛成ですけれども、これをただ、野菜があまりでき過ぎるとお百姓さんが困るということだけをずっといまだに考えてきているというところに問題が出てくる、そういうふうな感じがするわけで、ちょっとお伺いしたわけでございます。  農林省の方には、また機会をあらためて御質問いたしますから、よろしくひとつお願いいたします。
  86. 小林進

  87. 谷口善太郎

    ○谷口委員 参考人の皆さん、どうもおそくなりまして恐縮です。私、簡単に三点ほど、お一人の方に一問ずつお尋ねしようと思います。簡単に申します。  竹井さんにお尋ねしたいのですが、せりでは必ずしも公正な取引ばかりではないというふうな御発言がございましたが、実は私どももいろいろ資料を見ますと、需給関係のアンバランスで野菜が不足しているというにしては、昨年からことしにかけては上がり方が非常にひどいという政府の資料もございまして、取引の上でいろいろ、たとえば転送をするとか、あるいは取引所のいろいろなやり方でうまくないことがあって上がったのではなかろうかという疑問を持っております。そこで、そういう実情について御存じでしたら、若干われわれに教えていただきたいということ、これがあなたへの質問です。  それから第二点ですが、これは大澤さんにお尋ねしたいと思っております。  これは、いろいろお聞きしたいのですけれども、東京都の安売りデーに関することですが、東知事のときに安売りデーを始めて、全国に広がって非常に消費者から喜ばれた。ところが、美濃部さんになってからこれを禁止された、しかも相談なしに禁止された、こういうお話でありました。  私びっくりいたしまして、実はいますぐ東京都について調べてみました。確かに業者団体を指導されて、安売りデーというものをつくることがいいだろうということで、そういう施策をおとりになったのは東さん時代だったようであります。ところが、やってみると、実際は割り引きする店舗がだんだん減っていくという実情があって、そこで美濃部さんが、四十三年の一月から二月にかけて、モニター一千名を動員しまして調査をした。その結果、やはりこれをずっと続けていきたいというふうにいっておられるお店が、実行されておったお店の中の一六・三%にすぎなかった。消費者意見を聞いてみると、安いけれども、品物があまりよくない、量目も不足があるという、そういうことも中にはあるのでということで、あまり評判がよくなかった。そこで業者の方々に集まっていただきまして、そして御相談なすったようであります。集まったのは卸売り業者が十六、仲買い人、こういう方々の御協力がないとだめなので、そういう人も含めてだと思いますが、業者の方々に集まっていただきまして、そしていろいろ調べてみましたところ、卸売り業者あるいは仲買い人の協力がないので、負担がほとんど小売りの負担になっているというような実情がわかった。それから、消費者の関心が薄れているということで、これはあなた方の業者ではないかと思いますが、団体と協議した結果、続けていこうというのが青果、とうふ、油、それから食鳥といいますか、ブロイラーなどだと思いますが、こういう団体で四団体、それから、税金などをまけてくれれば続けられるというのが七団体、三団体はもうやめてほしい、一団体は不明だった、こういう結果が出たので、皆さんと御相談の結果やめることにした、決して強制的ではないのだという、そういう調査の結果が東京都の回答です。  強制的で、一方的に業者に相談なしにきめたというようなお話がございましたが、そこらの事情をもう少し詳しくお話し願いたい。  もう一点ございますが、これは榊さんは、何かお忙しく、一時ごろまでということだそうで、もしきょう御都合が悪ければ、御回答はけっこうです。けっこうですが、私ども特にお聞きしたいと思っておるのは、何か機会があったらお願いしたいと思いますが、今度の市場法の改正の問題ですね。法律に規制された流通機構では経済条件で硬直する危険がある、そういうふうな弊害が出るというようなおことばがあったような気がするのです。私どももちょうどいま、この市場法は継続審査中でございまして、十分に生産者消費者、それからまた流通機構でいろいろ仕事をなすっているような方々に間に合うような、そういう市場法にしていきたいと思っておりますが、そういう点からも申しまして、ここらの事情をもう少し詳しく御説明いただいたら、非常に助かると思います。  以上、三点お三人の方に……。
  88. 竹井二三子

    竹井参考人 市場で必ずしも公正な取引が行なわれているとばかりはいえないじゃないかというような点ですけれども、私もときどき、責任がありますので、職員について、朝、市場へ行ってみることがあるのです。そうしますと、山といいますか、持ってきた品物が何か、整然とはどうひいき目で見てもいわれないような形に積み上げられていて、そしてそのせりが、どこから順番に始まるのかよくわからないわけです。始まったところへ買い出し人が飛んでいってせりに参加していくわけです。そうやっているかと思うと、またもう向こうで、片一方が始まっているわけですね。そうしますと、もちろん品物が幾つもあるからやむを得ないんでしょうけれども、一人で行ったんじゃ二つ一ぺんに買えないわけです。ですから、どうかすると、きょうはどうしてもゴボウがほしいと思っていても、一生懸命ネギのところをやっていると、ゴボウは買いそびれて、きょうはゴボウはありませんといって帰ってくることがたびたびでしたし、何人かで手分けしてせりに参加できればいいですけれども、そんな規模でないところもたくさんあるんじゃないかと思うのです。そういうところで、せりの時間とかやり方だとか、置く場所だとか、そういうものも、もうちょっと何かルールがあって――あれがルールだといわれればルールなんでしょうけれども、何とかならないかしらというのは感じるわけです。決して近代的に見えません、あのやり方を見ていますと。  そして、せりがどうして始められるかというと、せり人がぴょこぴょこ出てきて、ぱっと手をあげて、こうやるわけですね。それが基準でせり上がっていくわけですから、何を基準にそのせり人がきょうの値段を出されるのか、ちょっとその辺――きのうの値段を参考にされるのか、その日の入荷の状況を見て、ああきょうはこれぐらいというのを、どなたか会社の指図でされるのか、その辺は何にもよくわからないわけで、それでぱっと値段を出されたら、そこへまた方々からせり人が、やあやあやあといってやり合って、そして何かきまってしまう。だから、そのせっていくときの基準がどうして公正にきまるのか、ちょっと消費者にはわからないわけです。  それから今度は、聞いてみますと、大口の買い出し人がいるわけですね。まあスーパーなんか何人も何人も来ますし、それかと思うと、一人で商売をやっているような八百屋さんもたいへん来ますし、一日に何百万も売るような八百屋さんと、一日に二万円ぐらい売る八百屋さんも、一緒のところでせりが始まるわけです。そうしますと、うちなんかもほしいなと思っても、それが買えなくて、あとで聞いたら、そのせった値段よりも割り引いて、あとで戻しがあるという話も聞くわけです。かりにその日この山が、一山が何万なら何万ときまって、それでせったようになって落札はしていますけれども、事実は、何かそれよりももう少し安くなっているんだというような話も聞きます。ですから、それがどういうことで行なわれるかわからない。それも、そういうこともあるのかなと思うことは、その日せりますでしょう。せって値段が出て、その値段が代払い機関へいくんですけれども、せったときに自分が確認していた値段と、それから請求伝票についてくる値段と違うことがあるんです。ですから、それは安くなればけっこうですけれども、安くなったからそれでいいというもんじゃなくて、せりできまった価格というのはこんなあいまいなものかなという疑問を感じるわけです。  それからまた、せってその辺へ置いておくと盗まれるなんということは、しょっちゅうなんです。これは大都会のまん中で、しかもああいう市場の中で、せったものを――それは自分の車に運ぶのがまごまごしているからだって、私なんか職員におこりますけれども、まごまごしていれば、せって置いておいた品物がどっかへ持っていかれて、わけがわかんなくて、まあいえば犯人の追及のしようもないし、訴えようもない、みんな泣き寝入りみたいな、そういうのが大都会のまん中で横行しているということは、その市場そのものが何か伏魔殿じゃないかというような感じさえするわけです。ですから、市場へ行くといえば、あぶないぞ、盗まれるなというのが先に立って、うちなんかも、職員にボーナスを支給した翌日、自分のカバンの中ヘボーナスを入れていって、車の中へちょっと置いておいた間にこっそり盗まれて、おまえがぼやぼやしているからだって言われて、かわいそうだから、カンパしてボーナス分をあれしてやろうといって、みんなでカンパしてボーナスを埋めてやった例もありますし、市場へ行くのに、ともかく現金を持っていったらあぶないぞみたいなことが通りことばになるようでは、これは近代的な流通の場とはいえないのではないか。そういう問題を一ぱい持っているわけです。
  89. 大澤常太郎

    大澤参考人 ちょっとお答えしますが、谷口さん、安売りデーの禁止を言ってきたということ、それは、私が組合の代表者ですから、私が知らないのですから、ほかの者からそういう話がありましたのですから、それを御承知を願いたいと思います。  それから、他の団体がもっとやっていたいとかなんとかいうお話があったようですが、他の団体のことはよく知りません。私は、自分の組合のことだけ責任をもって申し上げます。  それから、その催しについては卸は協力してくれないというのじゃないのです。卸も協力してくれました。それから生産者もしてくれました。それを実施する前に、中央市場出荷をする九百の生産者の団体に向かって書類を出しました。私も訪問をしました。それは木曜日にやったのですけれども、もし木曜日に、せっかくの催しの日に荷がないと、安売りデーの目的を達成することができませんから、そこで私は、安売りデーのときには私どもは一割安く買うというのじゃないんだ、自分の利潤を一割下げて販売をするのだから、生産者には御迷惑をかけないから、ぜひこの実施については協力をしてもらいたいということを、生産者に書類を出しまして、それから全販連や何かには私が参りまして、よくお願いをしました。生産者から来ている手紙がありますけれども、協力してくれました。卸のほうも、ああいうことをするには相当費用がかかる。一万人の店へポスターあるいは看板をかけなければなりませんし、それからまた、いろいろな宣伝をしなければなりませんから、そういうような宣伝に対する援助は卸がやってくれました。  そういうことです。それでよろしゅうございますか。
  90. 谷口善太郎

    ○谷口委員 ええ、けっこうです。
  91. 榊春夫

    榊参考人 市場取引は、経済事情変化に柔軟な対応ができないのじゃなかろうか、これは、私の申し上げているのも憶測でございまして、今日までの中央卸売市場法のもとでは、確かに私どもが実験的にやりましたような相対取引なりあるいは予約取引というふうなものが十分に対応できなかった。そのために、実験事業として集配センターというような事業が計画をされ、実行されたということであると理解いたしております。今後のことでございますから憶測になるわけでございますけれども、たとえば現在集配センターでやっております一つの事柄を取り上げてみましても、たとえば小売りの要請によって生産者出荷しました商品形態を改めて、消費者向けの包装品にして供給をするというふうな事柄をとってみましても、新しい市場法がどういうふうに実際の運用がなっていくか十分には心得ませんけれども、たとえば、ある生産者出荷したもののうち一部がせりにかけられる、一部は加工処理を施して他のものに供給するというようなことが、公平な取引という原則の中でどういうふうにして実行されるのであろうかということについて、私どもとしては非常な不安を持っております。やはり公開の市場でございますから、公正であると同時に、すべての出荷者に対して公平な処理が行なわれなければならぬと思うわけでございますが、同じ条件で委託されたものの中で、あるものは卸売り人の判断によって加工処理をされ、あるものはせり売りにかけられるというようなことの結果をどういうふうに処理をするかというような点を考えてみますと、やはり一定の取引ルールの中で行なわれる公的な機関の取引としては、柔軟な対応が困難ではなかろうかというふうな感じがいたしております。私ども生産者団体でございますから、生産者が会員として十分経営の内容なり事業の進め方なりについて、監督といいますか目の届いている団体とすれば、そういうふうなことも十分生産者の、出荷者の理解と協力のもとに柔軟な対応ができていくと思うのですけれども、いま申し上げますような一例から見ましても、そういうふうな取引は今後ますます必要であるということになっていった場合に、新しい市場法の中でどういうふうに対応されていくか、かなりむずかしい問題があるのではなかろうかというふうな感じがいたしております。
  92. 谷口善太郎

    ○谷口委員 私は実はこれでやめてもいいのですが、お聞きしたいことが実はたくさんあるのです。いまのお話からもいろいろなところを聞きたいのですけれども、お時間がないそうですからこれは遠慮いたしますが、ただ先ほど、小売商組合の連合会の会長でいらっしゃる大澤さんのお話の中で、青果物に関しては自分が組合の代表であるから、それに東京都から何もなかった、よその団体のことは知らぬ、こうおっしゃいました。よその団体のことは、私もここでお聞きする気はございません。東京都のほうからいえば、業者団体に集まってもらってよく相談して、実情はこうであるという相談をしてやったのだという報告を、公式に私の党のほうへ持ってきております。あなたは、ここの国会の公式の場所で、都は相談なしにかってにやったのだ、こういう食い違いがあることが明らかになったことだけここに申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  93. 大澤常太郎

    大澤参考人 重ねて申し上げておきますが、私の組合においでくださると、そのときにその仕事を受け持ってくれました常陸という局長が責任者で、それから私に感謝状が来ていますから、そういうようなものを参考に見ていただくとわかると思います。
  94. 小林進

    小林委員長 これにて参考人及び政府委員に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり、昼食の時間をも割愛して、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。本問題の今後の調査のため、きわめて参考になりました。ここに委員会を代表して、委員長より厚くお礼を申し上げます。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後一時五十九分散会