○倉石国務大臣 いろいろ美濃さんの御
意見を拝聴いたしたわけでありますが、輸出が増大すれば農作物の輸入が当然にふえてくるんだという、そういう御
意見については私
どもはにわかに賛意を表するわけにいきません。なるほどそれは、われわれが比較的
開発のおくれておる国々に物資を輸出いたした場合に、この
人たちは支払い外貨をとるためには自分の国で一番大きい一次産品を輸出した代金で支払うかもしれません。しかしわがほうがわがほうの
農業政策上必要と認めないようなものは入れる必要がないのでありますから、御存じのように、一番のサンプルは米であります。米をわれわれは特殊な事情で
日本にないようなものて、たまに若干のものは許可をする場合もありますが、いま
日本人の主食としている米の自由な輸入ということをだれも考えてはおらないでしょう。いまグレープフルーツのお話がありました。私
どもは、わが国のかんきつの生産にどのような影響を持ってくるかということを考慮しながらこういうものの自由化についても判断をしていくことは御存じのとおりであります。
私は先ほど来お話を承っておりまして、わが国の生産というのは、まだやっぱりここしばらく一〇%程度の経済成長率を見込んですべての
計画を立てておるのでありますから、ただいまここで
企業局長がお答えいたしておりましたように、国全体としては一定の
計画のもとに生産を上げようとしておるわけでありますことはいま答弁のありましたとおりであります。したがって、われわれはそういう経済の進歩していくテンポの中で
農村というもの、
農業者というものを考えて、みた場合に、これはもう少しやはりその
労働力を活用することが相互に利益ではないか。さっき御質問の中にありました新学卒が求人より求職者のほうが多いというお話、私聞き違いかどうか知りませんが、きょう労働省がおれば数字をもってお答えできると思いますが、そういうお説は私ただいま初めて承ったんでありまして、まだまだ中学、高等学校、ことに高校の卒業生につきましては、ことしすでに新卒についての求人と求職の割合の数字も発表されておりますが、そういうことにつきまして、私
どもはむしろそういう
農村から出ていく
労働力というものは太平洋メガロポリスといわれるような
地域、これがだんだん大きくなっていく、そしてわれわれから見ればそういう
地域にぜひ集まっておらなければならない必要性のない
企業がかなりこういう密集地帯に集まってきております。そういうようなものはなるべく地方に分散するほうがいいんじゃないか、これは地方の
農業団体等でも昨年本
委員会で
農協法、
農地法の御
審議を願ったときにも
農業団体等は言っておられました。またこの現在御
審議願っております
工業導入化の
法律案に対しても
農業団体等は私
どもに盛んに声援を送っておりますゆえんのものは、私がいま申し上げておりますようにやはり米を中核にいたしまする米生産につきましては、この
農業生産につきましては私
どもは自由化などを考えておりませんし、基本法に基づいて
規模拡大をし、自立経営
農家を育成していくというたてまえに何らの変化がないのでありますからして、こういうことは当然お認めいただけることでもあり、また御賛成をいただけることでもあると思いますが、その他の農産物につきましては、しばしばここでも
政府側からもお答えいたしておりますように、私
どもが国民生活上必要であり、また国内で生産することが望ましいと思われるような農作物につきましては、あらゆる手段を講じて援助をいたしておることは御存知じのとおりであります。そういうものに競合してくるであろうと思われる低
開発国からの輸入、向こうからいえば輸出、そういう希望に対しましては、しばしば申し上げておりますように、関税
制度であるとかあるいは課徴金
制度を弾力的に適用することによってわが国の農産物の生産を援護していく、こういうことは
政府もしばしば申し上げているとおりでありますので、まあ経団連とかそういう財界のお話がありましたが、経済合理主義だけで
農政がやれるならばきわめて楽なものでありますけれ
ども、私はそういうものではないのじゃないかと思うのです。これは
日本だけじゃございません。どこの国でも農作物につきましてはある程度の保護政策をいたしながら、自分の国の人々の食べる食糧その他につきましては格段の保護政策をとっておるのでありますから、そういうことについて私
どもは別段うしろ暗いところは国際的に見ても何もないわけであります。ただ、いま申し上げておりますように、私
どもが米及びその他われわれの必要とする、しかもわが国の
農村で生産してもらうことがきわめて妥当であると思われるようなものの生産には全力をあげてやりますが、なおかつしばしば申し上げておりますように兼業が八割もあるのでありますから、その中の二種兼業の人々はやはり出かせぎをなさるとか、あるいはまたそういう
機会がなければむだに
労働力を使っておられるわけでありますので、そういうものをできるだけ効率的に活用することによって
所得がふえるようにしたらどうだろうか、こういうことを考えておるわけであります。
それから最初お話のありました新しくそこに出てくる
労働力につきましては、こういう空気の悪いところへ集まるのでなくて、なるべく自分の家から通勤できるようなふうに産業を分散いたして、自宅から通勤できるようになれば、やはり過疎の問題も逐次解決していくのではないだろうか、そういうことで、この産業をなるべく平均化して分散していこら。それは先ほど申し上げましたように私
どもは新しい設備が出てくることでもよい、増産しようとする産業が出てくるのでもよろしいし、地場の産業が
拡大していこうとする
計画でも歓迎するのでございまして、いま申し上げましたように、やはりできるだけ
労働力を効率的に動かして
農村の
所得を増強すると同時に、やはりそれと並行して構造改革等をいたしまして
農業生産をもあわせて増強していくことが本法のねらいであるということは提案
理由の説明にも申し上げておるとおりであります。