○芳賀
委員 農林大臣にお尋ねしますが、昨日
農林大臣が
米価審議会に
諮問をされたわけですがその
諮問の主文によりますと、これは全く従来の米審に対する
諮問とは異質のものであるということがいえるわけです。したがって、これは
食糧管理法の趣旨に反する
諮問だと
指摘しても差しつかえないと思うわけであります。理由といたしましては、ことしの
諮問は「
昭和四十六年産の米穀の
政府買入価格については、米穀の
需給の均衡を図るため米穀の
生産調整が行なわれている本年の
需給事情に即応して
生産費および所得を考慮して
決定することにつき、
米価審議会の
意見を求める。」これは最初から米審に対して
据え置きを押しつける強迫的な
諮問であるということは明らかであります。これを
諮問の末尾を変えて、たとえばこういうことにすれば、
昭和四十六年産の米穀の
政府買い入れ価格については、米穀の
需給の均衡をはかるため米穀の
生産調整が行なわれている本年の
需給事情に即応して
生産費及び所得を考慮して
決定することとして、そのあとへ
米価審議会長小倉武一と署名すれば、これはこのとおりの
答申ができるということになるわけです。最初から
答申をこのようにしろということを強要した、これは強迫的な
据え置きの
諮問であるということはもう弁明の余地のないことであります。こういうことをやるから、ことしは特に新聞、テレビにおいても決して三年
据え置き論を支持しておらぬでしょう。三年
据え置きのごまかし
米価をつくって米審に
諮問をしたということを一斉に論評しておるわけです。こういうごまかし
米価を強要して
諮問をするということになれば、米審の
意見を尊重して
政府が実行
米価をきめるということにはならぬということは、米審の
委員全員がもう最初から
承知しておるわけです。だから昨日は
生産者代表の
委員である全中の宮脇
委員をはじめ、四名の
委員が、このような三年連続
据え置きのごまかし
米価を最初から
諮問するようなことであっては米審においてまじめな論議をする必要がない、これを撤回して、
食糧管理法に基づいた正しい
諮問を
米価の試算においても提出するのでなければ
審議会に参加はできない、退場する、こういう正式な発言が宮脇
委員を代表して
生産者委員から述べられたことは、その席におらぬからよく知らぬなんというとぼけたことでは済まぬわけです。しかもその際宮脇
委員は、今回の
据え置き米価はにしきのふくろに馬ふんを包んだようなそういうものである、これは酷評というより至言だと思うのですよ。ふくろだけはにしきでりっぱなものであっても、その中身というのは馬ふんである、馬のくそを包んであるというような、そういうごまかし
米価というものを米審にあなたが
諮問をしたわけだから、これを根本的に是正しない限り
生産者代表の
委員は
審議に応ずるわけにはいかぬと、こういうことになっておるわけです。
大臣は、本日午前中は当
委員会に、午後は参議院の
農林水産委員会において
米価に対する説明あるいは
答弁をすることになっておるわけであって、それが終わってから
米価審議会に出かけて、そこできのうの
生産者代表の意思表明に対して
政府としてどうこたえるかという、そういう用意をしなければ米審には行けないということになっておるわけです。これは全然
答弁の必要はないです。これは実態がそうですから。
しかも
据え置き米価については、いま同僚の
松沢君からも
指摘したとおり、
昭和四十六年度の
食管会計における
予算米価というものは、従来の
予算米価とは違うわけです。もちろん
予算に計上した
米価でありますけれ
ども、これは必ずこのとおり実行するということを佐藤総理の国会における施政
方針、特に財政担当の福田大蔵
大臣は、三月二十四日の
予算第二分科会において私の質問に答えて、今年の
政府の計上しておる
予算米価というものは、これは単純な
予算米価ではない、もちろん手続としては
米価審議会にこれを
諮問して米審の議を経てからきめるのであるけれ
ども、これはあくまでも
政府の既定
方針に基づく
米価据え置きということで実行する、米審に対しては
政府の
据え置き米価の
諮問を出して、それを
政府が極力説得して必ず
据え置きの
答申を得て実行するということを、これは国会の
予算分科会において明らかにしておるわけです。あるいはまた
農林大臣のしばしばの発言によっても、前年度と同様の
米価水準を
据え置きするということをあなたは言明をしておるわけです。
しかも米審開会に先立って四月二十三日の
閣議においては、
農林大臣が
閣議に対して、二十六日から始まる米審に対しては、
据え置き米価を試算してこれを米審に
諮問するということを説明して
閣議の
決定を得たということは、これは事実であります。だから米審に臨むにあたっても、
政府が必要な参考的な数種の
米価案というものを出して、そうして米審の中で十分議論をした結果、結論が出た場合にはそれを尊重してきめるというようなものではないわけです。こういうことは、いかに
農林大臣が本
委員会において、あるいは米審において一般
国民に対して、米審の結論を待ってそれを尊重してということを言っても、もう既成事実として、ことしはあくまでも
米価は据え置くということになっておるので、そういうことであるならば、何も米審が真剣な議論をする必要はないということにこれは当然なるわけです。
そこでお尋ねしたいのは、どういうわけで三年間期せずして
政府の試算
米価というものは
据え置きになっておるか、ここに
据え置き米価の
内容を究明する必要があると思うわけです。これは数字にわたるわけですからして内村次長からでよろしいが、どういうわけでことし三年連続の
据え置きの
米価というものが、
食糧管理法の第三条第二項の規定に基づいて当然試算をしたと思うわけでありますが、どうしてそういう三年連続の答えが出たかということについて、これは明確にしてもらいたいと思います。
昨年私は当
委員会において、四十五年度の
米価というものは、
生産費・所得補償
方式の
内容の試算を変更することによって六十キロ
当たり八千二百七十二円に据え置いたが、それを
昭和四十三年までに採用した試算によった場合には幾らになるかと聞いたら、その質問に対して
農林省としては、その場合には六十キロ
当たり一万三十三円になります。これは去年の
据え置き米価に比べて一俵
当たり千七百五十八円不当に据え置いたということになるわけです。それからさらにこれを四十四年
方式によった場合には幾らになるかということを尋ねました際に、これは六十キロ
当たり九千二百五十円になります。そうすると、
据え置き米価に対して約一千円の不当な値下げという結果が出ておること、これは
農林省の説明によって明らかになっておるわけであります。この場合、本年度の
米価だけを聞いても正確度を期するわけにはいきませんので、ここでまず第一には、四十三年までに採用したいわゆる限界
生産費標準偏差一
シグマ方式によった場合には、去年はこれは一万三十三円になったわけだから、ことしは
物価、労賃の上昇を勘案した場合には一体幾らになるか。四十四年の〇・五四
シグマ方式でやった場合、昨年は九千二百五十円であったのがことしは幾らになるか。もう一つは、昨年二年連続の
据え置きをして、いわゆる
シグマを零にして、あるいはまた
生産性向上のメリットの二分の一も取っ払ってしまう、あるいは
付帯労働費も全部これは認めないというような形で四十五年の試算が行なわれたわけですが、この四十五年
方式でやった場合に、ことしの
米価は幾らになるか。つまり、今年度の
据え置き米価を入れると四通りの
米価というものが当然出てくるわけでありますから、これに対して年次別に正確な数字を示してもらいたいわけであります。