○
大和田政府委員 赤潮は大村湾でもございますし、瀬戸内海でもあるいは伊勢湾でも相当深刻な問題になっておるわけで、瀬戸内海、伊勢湾の問題としては、やはり主として工場排水、あるいは都市屎尿等によりまして燐酸あるいは窒素分が海水の中に非常にふえる。それで水温でありますとかあるいは水の流れでありますとかビタミンB12等の刺激物資等の存在によりまして鞭毛虫と称するプランクトンが異常に発生をする。そういたしましてそのプランクトン自体が毒を持っております場合もございますし、プランクトンが大量に死んで、死ぬときに当然酸素を分解して酸素が欠乏するということになりますので、酸素欠乏によって養殖のハマチが死ぬ、あるいは海の中で泳いでおる魚類が死ぬという
事態が来るわけであります。
ところが、大村湾につきましては、別にまわりに大きな都会があるわけではございませんし、したがって都市の屎尿の問題がそんなに深刻であるわけではございません。また工場排水もございません。そこで、私
ども長崎大学の
先生方にお願いをして、大村湾における赤潮の分析調査をやってもらいまして、一〇〇%の確信を持って
先生方も言われないわけでございますけれ
ども、大村湾につきましては、古くから真珠の養殖をやっておるわけで、真珠の養殖による老廃物の堆積、それが一定の水温、あるいは雨が降って海底のどろが上へ上がるという、そういうような問題等がございまして、窒素、燐酸分が海中で相当豊富になるということで、先ほど私が瀬戸内海あるいは伊勢湾で申し上げたようなプランクトンが発生して、いわゆる赤潮の弊害が起こるということではないかということが、私
ども調査を委託した
先生方の結論でございます。ですから、赤潮は抽象的にいえば公害ともいえない、大村湾の事例などはまさにそういうことですし、学者の中でもっと議論をいたしておりますのは、たとえばアラビアのそばの紅海で相当赤潮ができる、別にあそこは真珠なんかの養殖をやっておるわけでもございませんし、都会がそばにあるわけではございません。これは全く自然的な何らかの理由で燐酸、カリ等のいわゆるプランクトンの栄養分が異常に発生する。異常に発生するために鞭毛虫類その他いわゆる赤潮をつくるところのプランクトンが異常に発生して、それが生きておる間に毒を出したり、あるいは死んだときに酸素を欠乏させたりして赤潮現象が起きるということのようでございます。
そこで、大村湾につきましては、湾の中央部で相当赤潮が起きるのが通例でございますので、最近私
ども長崎県の水産試験場とも相談をいたしまして、そういう地帯では真珠の養殖を少し移動させる、場所を変えるということの奨励をして、それはある
程度の実績があがっておるようでございます。学者の話によりましても、しかし赤潮というものは条件によっていろいろ種類の違うプランクトンが発生するので、そう簡単な対策というものもいますぐにはできないけれ
ども、私
ども広島にある南西海区水産試験場、それから東海区水産試験場を中心にいたしまして、大学あるいは県の水産試験場とも
連絡協調、共同研究の形で去年から相当力を入れて赤潮の研究をやっておりますので、そう時間をかけないで赤潮の発生原因の究明とその対策についての何らかの対策が立つというふうな見込みを持っておるわけでございます。