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1971-04-13 第65回国会 衆議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月十三日(火曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 草野一郎平君    理事 安倍晋太郎君 理事 小沢 辰男君    理事 仮谷 忠男君 理事 丹羽 兵助君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 千葉 七郎君    理事 斎藤  実君 理事 小平  忠君       江藤 隆美君    鹿野 彦吉君       熊谷 義雄君    齋藤 邦吉君       坂村 吉正君    瀬戸山三男君       別川悠紀夫君    森下 元晴君       山崎平八郎君    角屋堅次郎君       田中 恒利君    芳賀  貢君       瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君       二見 伸明君    合沢  栄君       津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    新保 實生君         北海道開発庁主         幹       村上  進君         林野庁長官   松本 守雄君         水産庁長官   大和田啓気君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長   松任谷健太郎君     ――――――――――――― 三月二十九日  野菜生産出荷安定法の一部を改正する法律案  (角屋堅次郎君外十三名提出衆法第二八号) 同月二十七日  BHC等有機塩素系農薬全面禁止に関する請  願(合沢栄紹介)(第三〇三五号)  同(塚原俊郎紹介)(第三二二七号)  同(中川一郎紹介)(第三二二八号)  同外三件(森山欽司紹介)(第三二二九号)  国有林野活用に関する法律案成立促進に関  する請願天野光晴紹介)(第三二三〇号)  同外七件(稲村利幸紹介)(第三二三一号)  同(亀岡高夫君紹介)(第三二三二号)  同外八件(熊谷義雄紹介)(第三二三三号)  同(佐々木秀世紹介)(第三二三四号)  同外三件(竹内黎一君紹介)(第三二三五号)  同(田澤吉郎紹介)(第三二三六号)  同(羽田孜紹介)(第三二三七号)  同外二件(森田重次郎紹介)(第三二三八号)  同外十五件(森山欽司紹介)(第三二三九号) 四月二日  国有林野活用に関する法律案成立促進に関  する請願外三件(小坂善太郎紹介)(第三四四  三号)  同(澁谷直藏紹介)(第三四四四号)  同外一件(早川崇紹介)(第三四四五号) 同月六日  国有林野活用に関する法律案成立促進に関  する請願外一件(井出一太郎紹介)(第三五二  七号)  同外二件(熊谷義雄紹介)(第三五二八号)  同(齋藤邦吉紹介)(第三五二九号)  同外二件(竹内黎一君紹介)(第三五三〇号)  同外二件(向山一人紹介)(第三五三一号)  同外六件(森田重次郎紹介)(第三五三二号)  同外四件(亀岡高夫君紹介)(第三五七五号)  同外一件(伊東正義紹介)(第三六四〇号)  同外三件(佐々木秀世紹介)(第三六四一号)  同外二件(早川崇紹介)(第三六四二号)  同外四件(本名武紹介)(第三六四三号)  同外七件(増田甲子七君紹介)(第三六四四号)  同外八件(松澤雄藏紹介)(第三六四五号)  同(粟山ひで紹介)(第三六四六号)  同外四件(森田重次郎紹介)(第三六四七号)  同(小平忠紹介)(第三七一七号)  同(斎藤実紹介)(第三七一八号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三七一九号)  同(鶴岡洋紹介)(第三七二〇号)  同(二見伸明紹介)(第三七二一号)  同外十四件(池田清志紹介)(第三八二一号)  同外三件(小平忠紹介)(第三八二二号)  同(齋藤邦吉紹介)(第三八二三号)  同外四件(正示啓次郎紹介)(第三八二四号)  同(菅茂波紹介)(第三八二五号)  同外二件(瀬戸山三男紹介)(第三八二六号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三八二七号)  同外一件(浜田幸一紹介)(第三八二八号)  同外十五件(粟山ひで紹介)(第三八二九号)  同外二件(森田重次郎紹介)(第三八三〇号)  同(安田貴六君紹介)(第三八三一号)  同外七件(江藤隆美紹介)(第三八八〇号)  同外五件(田澤吉郎紹介)(第三八八一号)  同外一件(増田甲子七君紹介)(第三八八二号)  同(森田重次郎紹介)(第三八八三号)  同外十三件(森山欽司紹介)(第三八八四号)  BHC等有機塩素系農薬全面禁止に関する請  願外三十一件(木野晴夫紹介)(第三五七六号)  同(大竹太郎紹介)(第三六四八号)  同外一件(大橋武夫紹介)(第三六四九号)  同(金丸信紹介)(第三六五〇号)  同外一件(木部佳昭紹介)(第三六五一号)  同(櫻内義雄紹介)(第三六五二号)  同外三件(竹下登紹介)(第三六五三号)  同(中尾栄一紹介)(第三六五四号)  同外一件(早川崇紹介)(第三六五五号)  同(松野幸泰紹介)(第三六五六号)  同外二件(武藤嘉文紹介)(第三六五七号)  同(池田禎治紹介)(第三七一六号)  同外二件(小沢辰男紹介)(第三八一三号)  同外一件(大野市郎紹介)(第三八一四号)  同外三件(鍛冶良作紹介)(第三八一五号)  同外一件(佐伯宗義紹介)(第三八一六号)  同(塩谷一夫紹介)(第三八一七号)  同外二件(園田直紹介)(第三八一八号)  同外一件(細田吉藏紹介)(第三八一九号)  同外五件(吉田実紹介)(第三八二〇号)  同(金丸徳重紹介)(第三八八五号)  同(矢野絢也君紹介)(第三八八六号) 同月九日  BHC等有機塩素系農薬全面禁止に関する請  願(足立篤郎紹介)(第三九四〇号)  同(西田八郎紹介)(第三九四一号)  同(大石八治君紹介)(第四〇〇〇号)  同(小林信一紹介)(第四〇〇一号)  同外二件(遠藤三郎紹介)(第四〇九七号)  同外一件(渡辺栄一紹介)(第四〇九八号)  国有林野活用に関する法律案成立促進に関  する請願外一件(天野光晴紹介)(第三九四二  号)  同外三件(稲村利幸紹介)(第三九四三号)  同(小宮武喜紹介)(第三九四四号)  同(鈴木一紹介)(第三九四五号)  同(和田一郎紹介)(第三九四六号)  同(佐々木義武紹介)(第四〇〇二号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四〇〇三号)  同外二件(田中正巳紹介)(第四〇〇四号)  同外一件(羽田孜紹介)(第四〇〇五号)  同外一件(八田貞義紹介)(第四〇〇六号)  同外五件(向山一人紹介)(第四〇〇七号)  同(安田貴六君紹介)(第四〇〇八号)  同外十九件(小沢一郎紹介)(第四〇八九号)  同外一件(笹山茂太郎紹介)(第四〇九〇号)  同外一件(始関伊平紹介)(第四〇九一号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四〇九二号)  同外三件(塚原俊郎紹介)(第四〇九三号)  同外三件(坊秀男紹介)(第四〇九四号)  同(松浦周太郎紹介)(第四〇九五号)  同外九件(渡辺肇紹介)(第四〇九六号)  高隈山系自然休養林として指定に関する請願  (池田清志紹介)(第四一〇四号)  農業改良及び生活改善普及職員設置費に対する  現行国庫補助率の維持に関する請願池田清志  君紹介)(第四一〇五号) 同月十日  BHC等有機塩素系農薬全面禁止に関する請  願(寒川喜一紹介)(第四二〇五号)  同(和田耕作紹介)(第四二〇六号)  国有林野活用に関する法律案成立促進に関  する請願合沢栄紹介)(第四二〇七号)  同外一件(坂元親男紹介)(第四二〇八号)  同(向山一人紹介)(第四二〇九号)  米価の物価統制令適用廃止反対に関する請願  (田代文久紹介)(第四二一〇号)  同(谷口善太郎紹介)(第四二一一号)  同(松本善明紹介)(第四二一二号)  同(和田耕作紹介)(第四二一三号)  同(辻原弘市君紹介)(第四三七二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月三十一日  米の生産調整に関する陳情書  (第一五五号)  同(第二〇七号)  過疎単作地帯の農民に対する財政援助に関する  陳情書  (第一五六号)  造林補助事業推進に関する陳情書  (第一五七号)  漁業災害復旧対策強化に関する陳情書  (第一五八号)  BHC等有機塩素系農薬全面禁止に関する陳  情書(第二〇五  号)  食糧管理制度堅持等に関する陳情書  (第二〇六  号)  国有農地の払下げに関する陳情書  (第二〇八号)  同  (第二四三号)  国有林野活用に関する法律案成立促進に関  する陳情書外一件  (第二〇九号)  食糧管理制度堅持に関する陳情書  (第二四〇号)  配給米物価統制令適用除外反対に関する陳情  書(第二四一号)  米の生産調整等に関する陳情書  (第二四二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  漁港法の一部を改正する法律案内閣提出第三  二号)  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四〇号)  海洋水産資源開発促進法案内閣提出第五八号)  農林水産業振興に関する件(国有林野事業の  作業員取り扱いに関する問題)      ――――◇―――――
  2. 草野一郎平

    草野委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。松本林野庁長官
  3. 松本守雄

    松本(守)政府委員 国有林野事業作業員取り扱いにつきまして申し上げたいと思います。  国有林野事業の基幹的な作業員勤務形態取り扱いについて関係省庁と協議いたしましたところ、次のような見解を得ましたので、御報告をいたします。  国有林野事業の基幹的な作業員は、その雇用及び勤務態様からすれば、長期継続勤務となっていること等、常勤職員に類似している面があるものと思量されます。しかしながら、これらの基幹的な作業員制度的に常勤職員とすることについては、国家公務員体系にかかわるなかなか困難な問題でもあるので、慎重に検討してまいりたいと存じます。
  4. 草野一郎平

    草野委員長 角屋堅次郎君より発言を求められておりますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいま林野庁長官から、過般わが党の長谷部委員のこの問題に対する政府統一見解要求に対して御答弁がございました。  ただいまの答弁によりますと、国有林の基幹的な作業員雇用及び勤務態様が、長期継続勤務であり、常勤職員と同様の状態にあることを認めながら、制度的に常勤職員とすることは国家公務員体系にかかわることだから困難である。しかしながら、この問題は数年来の非常に重大な懸案問題でもあるので、前向きに慎重に検討いたしたい。こういうことを言っておるわけでありますが、本日の段階では、具体的な解決策については明示されておらないわけであります。問題はいかにして制度的な矛盾を解決するかということにあるのでありまするから、検討の焦点をここにしぼっていただきまして、特に本問題に関連をいたしまして、三月二十五日、本委員会における林業振興に関する決議の第五項にもこの点を強く要請しておる点でありますので、この第五項の趣旨を十分生かしながら、速急に具体的な前向きの解決策をぜひ示してもらいたい、この点について政府に強く要請いたしておきます。      ————◇—————
  6. 草野一郎平

    草野委員長 漁港法の一部を改正する法律案水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び海洋水産資源開発促進法案の各案を一括して議題とし、趣旨説明を聴取いたします。倉石農林大臣
  7. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 漁港法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  国以外の者が北海道において漁港修築事業を実施する場合の国の負担及び補助割合につきましては、従来北海道開発推進をはかる見地から他の公共事業と並んで特例措置を講じてきたところであります。しかし、道財政の状況、他の補助制度との均衡等を勘案し、かつ、事業運営効率的促進をはかる趣旨をあわせ考慮いたしますと、漁港修築事業につきましても北海道における公共事業全般にかかわる国庫負担等特例に関する調整措置の一環として、昭和四十六年度から国が全額負担しまたは補助する部分の負担または補助割合を引き下げることが適当であると考えられるのであります。  このような考えのもとに漁港法に所要の改正を加えるため、この法律案提案いたした次第であります。  この法律案は、国以外の者が北海道において施行する漁港修築事業に要する費用のうち、外郭施設または水域施設修築に要するものにかかわる国の負担割合または補助割合について現行法全額とあるのを百分の九十に改めることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその主要な内容でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  次に水産業協同組合法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  水産業協同組合は、漁民及び水産加工業者経済的社会的地位向上水産業生産力の増進をはかることを目的とする漁民及び水産加工業者協同組織として、昭和二十四年に発足して以来、わが国経済及び水産業の歩みとともに発展してまいりました。  しかしながら、近年における水産業をめぐる諸条件は、漁場条件の悪化、労働力逼迫等きわめてきびしいものがあります。これら諸条件の変化に対処するとともに、増大する需要にこたえて水産物供給を確保していくため、水産資源開発促進漁業経営近代化等のための諸施策を強力に推進する考えでありますが、同時に漁業協同組合その他水産業協同組合経済活動を強化し、その健全な発達をはかることが必要であると考えるのであります。このため、組合育成強化については種々の施策を講じてまいりましたが、さらに、組合組織水産業漁民及び水産加工業者実態に即応するものとし、かつ、組合運営が一そう活発な経済活動を行ない得るように水産業協同組合組織運営に関する制度を改める必要があると存ずるのであります。これがこの法律案提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、漁業協同組合法人組合員資格についての改正であります。漁業経営体は、各階層を通じて資本装備高度化経営規模の拡大が進行しており、特に比較的規模の大きい経営体法人経営への移行が進んでいることにかんがみ、漁業を営む法人の正組合員資格准組合員資格制限を緩和することとしたのであります。  第二は、組合管理についての改正であります。  すなわち、組合管理運営円滑化に資するため、組合役員選出方法について、総会における選挙によるほか、総会外選挙及び総会における選任もできるようにするとともに、総代会機能を拡充し、組合解散合併及び漁業権とこれに関する物権得喪変更に関する議決以外の議決または選挙総代会においてもすることができることとしたことであります。  また、連合会会員につきましては、一会員一票制についての特例を設けることといたしております。連合会会員であります漁業協同組合規模に格差があり、従来の一会員一票制では実質的な平等が確保されがたい実情も見られるようになってきておりますので、今回、これについて特例を認めようとするものであります。  第三は、水産加工業協同組合に関する改正でありますが、水産加工業における法人経営体実態にかんがみ、組合組織を強化するため、法人組合員資格制限を緩和することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、海洋水産資源開発促進法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  近年、水産物に対する需要増大を続けておりますが、わが国漁業を取り巻く内外の諸情勢には、きわめてきびしいものがあり、需要動向に即応した水産物生産が必ずしも十分に行なわれていない実情にあります。  このため、沿岸海域における水産動植物増殖及び養殖を計画的に推進いたしますとともに、重要な漁場における他産業との必要な調整制度を定め、また、海洋における新漁場開発のための調査等を行なう海洋水産資源開発センターを設立することによりまして、海洋水産資源開発及び利用合理化を積極的に促進し、漁業の健全な発展と水産物の安定的な供給に資する必要があると考えられるのであります。  このような考え方に基づきまして、ここに海洋水産資源開発促進法案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一は、海洋水産資源開発基本方針についてであります。農林大臣は、水産物需要及び生産動向に即して、海洋水産資源開発をはかるための基本方針を立て、これを公表するものといたしております。  第二は、沿岸水産資源開発区域及び開発計画についてであります。都道府県は、開発基本方針に即して、一定沿岸海域で、水産動植物増殖または養殖推進することにより漁業生産増大をはかることが相当と認められるものを、沿岸水産資源開発区域として指定するとともに、その区域における水産動植物増殖または養殖推進のための開発計画を立てることといたしております。また、開発計画の達成をはかるため開発区域内における海底の掘さくその他海底の形質の変更等行為につきまして、届け出をさせ、必要な勧告をすることができる旨を規定いたしております。  第三は、一定重要漁場における他産業との必要な調整についての制度であります。開発区域以外の一定海域で、海底の地形、海流等自然的条件がすぐれている漁場を指定し、その漁場において行なう漁場としての効用を著しく低下または喪失させるおそれのある海底の掘さく等の特定の行為について届け出及び勧告制度を定めることといたしております。  第四は、海洋水産資源開発センターについてであります。この開発センターは、海洋水産資源開発をはかるための調査等の業務を行なうことを目的とする法人として設立いたそうとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  8. 草野一郎平

    草野委員長 以上で各案の趣旨説明は終わりました。  引き続き水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び海洋水産資源開発促進法案の両案について補足説明を聴取いたします。大和田水産庁長官
  9. 大和田啓気

    大和田政府委員 水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容の概略を御説明申し上げます。  第一は、漁業協同組合法人組合員資格制限を緩和したことであります。まず、法人の正組合員資格につきましては、現行では漁業を営む法人であってその常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船合計総トン数が三百トン以下であるものとなっておりますが、使用する漁船合計総トン数については千五百トン以下に引き上げることにいたしております。また、准組合員資格につきましても、漁業を営む法人は、現行では、常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、使用漁船合計総トン数がいわゆる地区漁業協同組合にあっては千トン以下、業種別漁業協同組合にあっては二千トン以下であるものとなっておりますが、使用する漁船合計総トン数につきましては、地区漁業協同組合業種別漁業協同組合のいずれにつきましても、三千トン以下に引き上げることといたしております。水産加工業を営む法人につきましては、漁業協同組合准組合員資格が常時使用する従業者の数四十人以下となっておりますが、水産加工業協同組合組合員資格改正にあわせ、百人以下に引き上げることといたしております。  第二は、漁業協同組合管理及び運営円滑化するための諸措置であります。  その一は、正組合員議決権及び選挙権の行使について、代理人が代理し得る正組合員の数を四人までに引き上げることとし、これに伴い、代理人となることができる者を、その組合員と世帯を同じくする者、その組合員の使用人または他の正組合員に限ることといたしております。  その二は、組合役員選出方法についてであります。すなわち、選出方法は、現行では総会における選挙に限られておりますが、総会外における選挙及び総会における選任もできることといたしております。  その三は、総代会機能を拡充することとしたことであります。すなわち、総代選挙組合解散合併及び漁業権またはこれに関する物権設定得喪変更を除き、すべての事項につき、総代会においても、議決または選挙できることといたしております。また、河川組合については、河川組合実態を考慮し、漁業権またはこれに関する物権設定得喪変更についても総代会議決し得ることといたしました。なお、これに伴い、総代会を設けた場合には、通常総会開催義務を免除することといたしております。  次に、総代会を設置し得る組合は、現行では正組合員数百人をこえる組合となっておりますが、これを二百人をこえる組合に引き上げることといたしております。総代の定数については、現行では正組合員数二百人をこえる組合は五十人以上あればよいこととなっておりますが、これを正組合員数四百人をこえる組合は百人以上あればよいことに改めることといたしております。  その四は、漁業協同組合連合会会員議決権及び選挙権について一会員一票制に対する特例を設けたことでありますが、会員漁業協同組合である場合にはその正組合員数会員連合会である場合にはその直接または間接の構成員たる漁業協同組合の正組合員数等に基づき、議決権及び選挙権を付加して与え得ることといたしております。  その五は、剰余金配当についてであります。組合剰余金配当する場合は、まず出資額に応ずる配当を行なわなければならないことになっておりますが、これを事業利用分量に応ずる配当とのいずれについても組合実情に応じ行ない得ることといたしております。  その六は、組合経営実態にかんがみ、組合が従わなければならない財務基準として政令に定めることができる事項を拡げることにいたしたことであります。  第三は、水産加工業協同組合に関する改正であります。  まず、法人組合員資格につきましては、現行では水産加工業を営む法人であって、その常時使用する従業者の数が四十人以下のものとなっておりますが、これを常時使用する従業者の数を百人以下に引き上げることといたしております。  次に、組合の行なう事業は、組合員事業に必要な施設に限られておりますが、これを組合員生活に必要なものについても行ない得ることとし、また、教育情報事業については、技術の向上に関することのみではなく経営向上に関することについても行ない得ることといたしております。  そのほか、漁業生産組合漁業協同組合連合会水産加工業協同組合、同連合会及び水産業協同組合共済会に対しましても、おおむね漁業協同組合についてとった諸措置に準じた措置をとることとしております。  以上をもちまして、この法律案提案理由補足説明といたします。  次に、海洋水産資源開発促進法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  この法律案提案する理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一章は、この法律案目的とこの法律案における用語の定義について定めた総則的な規定であります。  第二章は、海洋水産資源開発をはかるための基本方針に関する規定でありまして、農林大臣は、水産物需要及び生産動向に即して基本方針を立て、これを公表することといたしております。  第三章は、沿岸水産資源開発区域の指定、沿岸水産資源開発計画の作成及びこれらに関連する諸措置に関する規定であります。  その一は、沿岸水産資源開発区域の指定についてであります。都道府県は、その沿岸海域のうち、水産動植物増殖または養殖推進することにより漁業生産増大をはかることが相当と認められる一定区域を、農林大臣に協議して、沿岸水産資源開発区域として指定することができることといたしております。  その二は、沿岸水産資源開発計画の作成についてでありまして、都道府県は、開発区域を指定したときは、その開発区域について、水産動植物増殖または養殖推進して漁業生産増大をはかるための沿岸水産資源開発計画を立てなければならないものといたしております。  その三は、開発計画の達成のために必要な諸措置についてであります。  まず、開発区域内において海底の掘さくその他海底の形質の変更等行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事にその旨を届け出なければならないものとし、この場合において都道府県知事は、必要な勧告をすることができることといたしております。  次に、都道府県知事は、開発計画の達成をはかるため、開発区域及びその周辺の水域において水質その他の水の状態及び水底の底質の悪化の状況を監視するようにつとめることといたしております。  そのほか、開発計画の達成をはかるために必要な国及び都道府県の援助措置を定めております。  その四は、指定海域についてであります。開発区域以外の一定海域で、海底の地形、海流等自然的条件がすぐれているため漁場としての効用が高く、かつ、漁業生産において重要な地位を占める海域として指定するものにおいて、海底の掘さく等の特定の行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事にその旨を届け出なければならないものとし、この場合において、都道府県知事は、必要な勧告をすることができることといたしております。  第四章は、海洋水産資源開発センター制度について定めております。  海洋水産資源開発センターは、海洋水産資源開発をはかるための調査並びに情報または資料の収集及び提供等の業務を行なうことを目的として、その設立に際し、政府及び民間の出資をもって、設立されるものといたしております。  以下本開発センター組織等の概要を御説明申し上げます。  その一は、海洋水産資源開発センターの設立に関する事項であります。開発センターは、海洋水産資源開発について学識経験を有する者十五人以上が発起人となり、農林大臣による設立の認可を受ける等所定の手続を経て設立されることといたしております。  その二は、開発センター管理に関する事項でありまして、開発センターに役職員のほか、海洋水産資源開発について学識経験を有する者のうちから任命された評議員二十人以内で組織する評議員会を置き、開発センター運営に関する重要事項審議することといたしております。  その三は、開発センターの業務に関する事項であります。開発センターは、海洋水産資源開発をはかるため、海洋の新漁場における漁業生産の企業化のための調査並びに海洋水産資源開発に関する情報または資料の収集及び提供の業務を行なうとともに、農林大臣の認可を受けて海洋水産資源開発をはかるために必要な業務を行なうことができることといたしております。このほか、開発センターは、委託を受けて海洋水産資源に関する生物学的調査を行なうことができることといたしております。  その四は、開発センターの財務及び会計等に関する事項であります。開発センターの予算、事業計画及び資金計画についての農林大臣の認可等のほか、開発センターの業務の公正な運営を確保するため、農林大臣が必要な監督を行なうことといたしております。  第五章は、補則に関する規定であります。  農林大臣は、工場、事業場からの排出水の排出等の行為に起因して海洋における漁場の効用が著しく低下し、または喪失するおそれがあると認められるときは、関係行政機関の長等に対し、水質汚濁防止法等の法令の規定に基づき、その防止のために必要な措置をとるべき旨の要請をすることができることといたしておりますとともに、農林大臣または都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長等に対し、必要な資料の提供等の協力を求めることができることといたしております。  第六章は、罰則に関する規定であります。  以上をもちまして、海洋水産資源開発促進法案についての補足説明を終わります。
  10. 草野一郎平

    草野委員長 以上で補足説明は終わりました。     —————————————
  11. 草野一郎平

    草野委員長 引き続き、三案に対する質疑を行ないます。森下元晴君。
  12. 森下元晴

    ○森下(元)委員 わが国は世界第一の漁業生産額、世界第二の生産量を誇る水産王国であるとともに、その消費の面におきましても、国民食生活の中で動物性たん白質の五五・五%までが水産物でありまして、海洋民族といわれるにふさわしい、魚と国民との強いつながりがございます。しかしながら、最近物価問題の中で、生鮮食料品の値上がり、特に魚の値上がりがひどいといわれておりますが、それによって特別に生産者でございます漁業者、漁民が恵まれ、潤っておるかというと、決してそうでなく、逆に漁業労働力の不足、物価、賃金の高騰、公害による沿岸漁場の悪化、また遠洋漁業に対する国際的な制約の強化など、漁業を取り巻く環境は日増しに悪化の一途をたどっております。漁業をどうするかという問題は、いまやわが国の食料品政策における重要なる課題になってまいりました。  次に、漁業対策で見のがせない問題は、若い漁業者をいかに確保するかということ、次に、工業化地域、都市地先の漁業対策をいかにするかという問題、また、新しい漁場開発生産基盤の整備、そうして、流通の合理化等の内部問題から領海、専管水域、大陸だな等の外交上の問題、また、公害問題、レジャーとしての遊漁人口の増加等時代の進展に伴う新しい問題が次々と起こりまして、解決を迫られております。従来のからを破った新しい漁業政策を打ち出すべきときがきたように思うのであります。ちょうどこの転期にあたりまして、今回三法案が提出され、ただいま提案理由説明があったわけでございますけれども、まことに時宜を得たものであって、その趣旨に賛意を表明するものでありますけれども、私は若干の質問をいたしたいと思います。  時間の制約がございますので、お答えはなるべく簡明でけっこうだと思います。  初めに、海洋水産資源開発促進法案につきまして、倉石農林大臣に質問をしたいと思います。  最近における水産物需要増大に対して、生産がなかなか追っつかない現状にございますが、この法案を提出するにあたって、これに対処するための漁業振興等に関する基本的な方針をどのようにお考えになっておるか伺いたいと思います。
  13. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 最近における水産物需要は、お話のように国民の生活水準の向上によりましてきわめて高度化、多様化しつつ増大を続けておりますが、公害等による漁場環境の悪化、国際規制の強化等漁業をめぐる内外の諸情勢にはきわめてきびしいものがございまして、水産物の国内生産は、増大する需要に必ずしも十分に対応いたすまでには至っておらないわけであります。このような情勢に対処いたしまして、漁業の健全な発展と水産物の安定的な供給をはかりますために、水産資源開発等によりまして生産の増強につとめますとともに、あわせて漁業所得の向上につとめてまいらなければならないと存じます。このために増養殖の計画的推進、新漁場開発などによる水産資源の維持増大、漁港等の漁業生産基盤の整備等、技術の向上それから沿岸漁業構造改善事業推進等によりまして、沿岸中小企業の近代化、水産物流通加工の合理化、中小漁業の従事者の福祉の向上等をはかることによりまして、これらの諸施策を円滑に実施するための財政、金融措置の充実につとめてまいりたいと思っております。
  14. 森下元晴

    ○森下(元)委員 特に沿岸漁業は、公害等によりまして非常に漁場で狭められております。また資源上の制約もありまして、生産がなかなか伸び悩んでおります。これに対処するために、沿岸漁業振興策をどのようにお考えになっておりますか、大臣の御答弁をお願いします。
  15. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 沿岸漁業振興につきましては、国民経済の成長に即応いたしまして、沿岸漁業の近代化をはかり、その生産性の向上によって沿岸漁業者の生活水準を他産業従事者と均衡させますとともに、新鮮でバラエティーに富んだ魚介類の供給確保をはかることを基本方針といたしております。そのために、漁港及び漁港関連道の整備、それから水産動植物の増養殖の計画的推進、それから漁業公害対策、水産動植物の保護、培養対策を推進いたしますとともに、四十六年度からは第二次沿岸漁業構造改善事業を実施いたしまして、漁場改良造成事業、共同利用施設の整備等を一そう推進することといたしております。また、金融面におきましては、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営構造改善資金等の活用等をはじめといたしまして、四十四年度から発足いたしております漁業近代化資金融通制度の充実によりまして円滑な資金の融通をはかっておるところでありますが、漁業災害補償制度につきましても、四十六年度は二年魚ハマチ養殖を新しく共済の対象といたすなど、制度の充実をはかることといたしております。  そのほか、水産業改良普及職員制度の充実によりまして、沿岸漁業経営の改善、技術の普及につとめておる次第であります。
  16. 森下元晴

    ○森下(元)委員 総括的な大臣に対する質問は終わりまして、続きまして開発区域等の関係事項につきまして、水産庁長官にお尋ねをしたいと思います。  開発区域として指定されるのはどのようなところであって、指定によっていかなる効果が生ずるのか、また数県にまたがる区域指定計画が必要な場合、そういうような場合が生ずるのではないか、この問題につきましてお尋ねいたします。
  17. 大和田啓気

    大和田政府委員 開発区域の指定でございますが、これは沿岸漁業において増養殖を進めるのに自然的条件あるいは漁業者の経営条件等から見てきわめて大事な区域というのを指定をいたしたいと思います。この指定は、また別途第二次構造改善事業を今年度から実施に移しておりますので、事実上の問題といたしましては、大体すぐれた漁場というのは第二次構造改善事業の中にすべて含まれておるわけでございますから、その中で特に増養殖のために必要な区域というものが開発区域として指定されるということになると思います。  指定の効果でございますが、そこにおいて増養殖が進められることは当然でございますが、今度御審議をわずらわしております法案によりますと、たとえば増養殖をする上にきわめて必要な海域であっても、いきなり砂利業者が砂利を取って水面をよごすという問題もあり得るわけでございますから、そういう場合につきましては都道府県知事に届け出をさせまして、その結果、増養殖にとってきわめてまずいような事態が起こりますれば知事がこれに勧告する。そういうことで、公害防止のためには昨年の国会でいろいろな法律が成立いたしましてそれの実施が一番重要でございますけれども、それとあわせて、開発区域について増養殖を進める上の必要な措置をとることといたしたわけでございます。  それから開発区域で増養殖をする魚種の問題でありますが、当面の問題としてはたとえばクルマエビのようにあまり遠くへ逃げないものの増殖というのがまず行なわれると思います。したがいまして、都道府県知事限りで指定をして行政をすることに私は大体差しつかえないと思いますけれども、将来の問題といたしましては、当然タイでありますとか、その他相当広く回遊をする魚について増殖をするということも行なうべきことでございますから、その際には、いまの法律では特別の規定はございませんが、隣接の県知事同士がよく相談をしてお互いにやっていけば、それほどまずい事態にはならないのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  18. 森下元晴

    ○森下(元)委員 公害の問題に触れたいと思います。先ほど大臣から関連の答弁がありましたけれども、実はもう少し具体的にお答えを願いたいのです。  沿岸海域における公害の発生の現状から見て、本法案ではどのような措置考えておるか。たとえば原子力発電の温排水の漁場条件への影響はどうであるか。いろいろ利点もあるし、また公害もあると思うのです。  もう一つの問題は、最近未来産業の一つでございます海洋開発海底開発、これが非常に進出せんとしております。非常に動きが顕著でございます。これと漁業との調整をどういうふうにしてはかっていくか。石油開発なんかも最近は山陰の山口県沖で西日本石油という会社が盛んに触手を動かしておるようでございますけれども、本法案ではどのような処置を講ずることになるか。また指定海域として具体的にどのような処置を考えているか。この問題につきまして御答弁を願います。
  19. 大和田啓気

    大和田政府委員 まず沿岸の公害対策でございますが、先ほど申し上げましたように、水質汚濁防止法でありますとかあるいは海洋汚染防止法でありますとか、そういう公害関係法の厳正な実施ということが私はまず一番大事だと思います。それにあわせまして、先ほど申し上げましたように、開発区域につきましては知事に対する届け出あるいはそれに基づく勧告という制度もございますし、それからさらに水質の汚濁あるいは低質の悪化等についてこの法案によりまして知事が監視をすることになっておるわけでございますし、また農林大臣が各行政機関の長に対して、水質の汚濁等について非常に問題がある場合は善処方を要請する規定もございます。それらすべてが、法案ができましたから公害問題が解決するということではなく、私はあります法律を厳正に実施することが大事だと思いますが、今回の法案につきましても相当な配慮をいたしたつもりでございます。  それから第二番目の海底の油田の問題でございますが、これも御指摘のように、島根県の浜田沖で西日本石油開発株式会社がすでに試掘を始めておりますし、私どもにとりましてもこれから相当こういうことが各所で起こるわけでございますから、あらかじめ十分の対策を講ずる必要があるというふうに考えまして、今度の法案におきましても指定海域といいますか、重要な漁場を政令で指定いたしまして、そこで石油の採掘をするような場合には、知事あるいは場合によりまして農林大臣届け出をする、これに基づいて必要な勧告を知事あるいは農林大臣がするということでございます。  それから、これは法律の規定でございますが、実は通産省と去年の暮れ以来相当突っ込んだ話し合いをいたしまして、私のほうからは関係区域漁業の情勢をよく通産省に通知する、通産省からは石油開発の計画について十分の情報を提供するということをまずやりまして、そうして西日本石油開発のように具体的に試掘あるいは今後採掘ということになるわけでございますが、公害が起こらないように通産省としてはできるだけ指導する。もし不幸にしてそういう公害が起こりました場合には、適正な補償をするように企業を指導する。また水産庁といたしましては、できるだけ円満に話し合いができるような土俵づくりについて努力をするという話し合いをいたしまして、その第一の適用例が先ほど申し上げました浜田沖の石油の試掘でございまして、まずまずそう大きな問題にならないで、円満に解決を見つつあるというふうに考えております。
  20. 森下元晴

    ○森下(元)委員 次に、開発センターの問題で御質問したいと思います。  本法案で海洋水産資源開発センター制度を確立する理由、それと開発センターについての予算措置はどうであるか。また、増養殖推進はその業務に含まれておるかどうかということを長官にお尋ねします。
  21. 大和田啓気

    大和田政府委員 昭和三十年代から水産庁としては新漁場開発ということでかなりの努力をいたしておりますが、特に昭和四十三年からだんだん国際情勢が漁業にとって緊迫化してまいったものでございますから、相当遠いところへ補助ないし委託の形で新漁場開発をやっておったわけでございます。その結果、たとえば大西洋のニューファンドランド島沖でございますとか、あるいはニュージーランド沖でありますとか、そういう地帯に有望な漁場が見つかって、すでにかなり漁船が魚をとっておるわけでございます。ただ、私どもがいままでやっておりましたテンポでこの問題を取り上げるといたしましては、国内的には先ほどお話がございましたように、水産物の増産がきわめて必要だということ、それから各国の事情を見ましても、日本に次いでの漁業国といわれるソ連あるいはアメリカが猛烈な勢いで国が力を入れて新漁場開発をいたしておるわけであります。特にソ連のごときは三千トン級の調査船を四、五隻、あるいは大西洋あるいは太平洋の南部にぶち込んで相当新漁場開発をやっておりますので、いままでのような形で国が補助あるいは委託ということで、いわば政府がうしろへ下がった形で新漁場開発をするというのではテンポがおそ過ぎるのではないか。もっと責任を国がとって、国営ということには、漁船を動かすわけでありますから国が直接やることはなかなかむずかしいわけでありますが、国が相当力を入れた民法法人でない特別の法人、これは私ども認可法人と呼んでおるわけでございますが、国が出資をし、民間からも出資を受け、国が相当な補助をして、国が力を入れて新漁場開発をしなければ日本の水産業というのは立ちおくれるのではないかという、いわばそういう気持ちが今回の開発センター制度を具体化したわけでございます。  それで予算でございますが、四十六年度の予算といたしましては出資金が一億、それから事務人件費等が約七千万円ほど、事業費の補助が三分の二で九億ほどで、大体十一億程度の予算といたしております。  それから増養殖の問題をこのセンターで扱うことが適当かどうかということは、私ども実は去年の夏以来の懸案で、ずいぶん中で議論をいたしたわけでございますが、増養殖のほうは現在瀬戸内海の栽培漁業センターで瀬戸内海関係の大体十三、四の府県について増殖をやっておりますし、四十六年度の予算で日本海の各県について増養殖を進める、いわば栽培漁業を進めるための基礎調査を始めまして、増養殖についての技術的な研究を深めることが必要であると同時に、全国的に見てどういう規模なりシステムでやるかということはなおかなりの時間をかけて私ども研究をしないと、そう急に全国的な規模でこれを始めるということについてはまだ問題がございますので、海洋水産資源開発センター事業といたしましては、増養殖事業は入れておらないわけでございます。これは栽培漁業に関する調査研究あるいは実施についての私どもの大体の腹がまえができましたときに、どういう規模なりあるいはシステムでやるかということはその際また検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  22. 森下元晴

    ○森下(元)委員 新漁場の問題についていま長官から触れられましたので、これに関連してお尋ねしたいと思います。  この新漁場開発によって、わが国の漁業が遠洋漁場に進出していくわけですが、他の国との水域問題の処理その他国際協調の方式をどのように考えておられるかどうか。最近、これとは逆なケースでございますけれども、ソ連の船団が日本の沿岸へ盛んに進出いたしまして、いろいろトラブルもあるようでございます。この問題につきまして御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  23. 大和田啓気

    大和田政府委員 先ほどもお話がございましたように、日本の水産業生産額で世界第一位であるばかりでなしに、海洋漁業として他の追随を許さない地位にあるわけでございまして、他国との交渉あるいは友好関係の維持ということが、日本の水産業を維持発展させるために私は非常に大事なことであろうと思います。そのために現在各国で領海の拡大あるいは漁業水域の設定ということをやっておるわけでございますが、私どもそのつど、たとえばオーストラリアでありますとか、ニュージーランドでありますとかあるいはアメリカでありますとか、新しく設けられた漁業水域の中に入り込んで現在やっております漁業の確保につとめておるわけでございます。  一番大きな問題は、漁業水域、領海あるいは大陸だなの問題を国際的に扱います一九七三年の世界国際法会議でございまして、私ども領海三海里ということでやっておりますけれども、その海洋会議における全体の議論の動きを見ながら、必ずしも三海里ということに私どもこだわらないで、できるだけ合理的な線で落ちつくことに努力をいたすつもりでおります。  また、ソ連船の問題は、ソ連船は大体昭和三十年ぐらいから北海道の東部にあらわれて、最初はサンマをとっておったわけですが、だんだんに金華山沖あるいは常磐沖、銚子沖、さらに進んで伊豆の銭州でサバを網でまくというようなことが二年ほど前にございまして、ことしも一万トン級の母船それから二、三千トン級のトロール船、五、六百トン級のまき網の船が、相当多数常磐沖から銚子沖に参って、場合によりましては、日本の漁民の敷設しました漁具を破壊するというような事態が起こったわけでございますが、漁況の関係でございますか、三月の末から四月にかけましては、ソ連船は現在日本の沖から姿を消しておるようでございます。今後の長期的な問題といたしましては、公海内においてソ連が漁業をやります限りは、私ども特別にこれに対して抗議をするということはまいりませんけれども、しかし、日本の漁船なりあるいは漁具に対して被害を及ぼす場合、あるいは銭州でサバを網でまきましたように、資源保護のために日本ではまき網を許さないで一本釣りだけを許しておりますようなところで網でまくというような事態、資源保護上の必要がありますれば、これは厳重にソ連当局に対して申し入れるつもりでやっておるわけでございます。
  24. 森下元晴

    ○森下(元)委員 了承いたしましたけれども、困った問題でございます。日ソ間の経済交流が非常に進んでおりまして、友好ムードも深まる中で、漁業問題に関してのみ、どうも冷たい関係にあるのは、両国にとってまことに残念であります。わが国の近海におけるソ連漁船の進出状況についてはいま説明を受けて承知いたしたわけでございますけれども、大船団を組んで、最も近いところでは三、四海里までサバを追って陸地に接近する。最近は伊豆半島まで南下しておるようでございますけれども、これによって沿岸漁民からの被害届け出などもございまして、近海漁業、沿岸漁業等においてまことに憂うべき事態が発生してきた。損害の賠償とか領海十二海里への変更要求の声も出ておりますけれども、いま長官がおっしゃったように、公海漁業の自由原則を主張してきているだけに、まことに痛しかゆしの難題でございます。それに反しまして、現在北洋の漁業交渉が難航しておるようでございます。いまなお妥結できない。さきにソ連が大陸だな宣言を行なって、水深二百メートルまでの沿岸大陸だなの主権を主張して、特に日ソ・カニの交渉については非常に難航しておる。この北洋カニ漁業のために、約四千四百人の漁船員がいまだに待ちわびておる姿はまことにあわれでございます。ソ連がカニを大陸だな資源であると一方的にきめつけておる、こういう態度、いわゆる権力的に規制をしようとする態度は、両国友好のためにしごく残念である。この漁業資源の確保が国際的に問題視されているときに、政府漁業先進国として態度を明確にして、また主張は強く行なうべきである、これは私の意見として申し上げたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、大規模魚礁地帯、いわゆる魚のアパート、こういうような大構想が出ておりまして、海の土地改良事業ともいうべき大構想があるように聞いておりますけれども、積極的に漁業生産増大をはかるために、このような構想に対して水産庁はどのように取り組むか、お聞かせ願いたいと思います。
  25. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども大型魚礁あるいは並み型魚礁という形で相当漁場改良の予算も組んでおりますし、第二次構造改善事業ではさらに一そうそのテンポを早めるつもりであります。いまお話しの問題、おそらく全漁連を中心として、日本列島を鉄鋼の古船その他を埋めて大きな輪をつくって、大きな魚礁をつくったらどうか、そういう御提案で、私ども技術的に見てなかなか問題も多いようでございますので、いま水産庁の技術者にその検討をやらしておる最中でございますが、とにかく、その案の採否は別といたしまして、大型魚礁あるいは並み型魚礁を大いにつくって、増養殖を進めて水産物生産増大につとめるということは、私ども今後もきわめて強くやってまいるつもりでおります。
  26. 森下元晴

    ○森下(元)委員 先ほど私は国際的な紛争の問題を申し上げたのですが、実は国内的にもいろいろ海区の問題等でトラブルがございます。その中でもいわゆる大海区制度——このことばが法律語であるかどうかわかりませんけれども、いわゆる工業化して補償をもらって船を近代化して、そして純漁業地帯にかなり領域を侵犯している事実があるようでございます。特に四国の高知県、徳島県は非常に被害を受けておるように聞いております。例年そういう陳情もございますし、いわゆる大海区制を将来また採用するのではなかろうかという不安な気持ちがいっぱいあるわけなんです。これについてどうお考えになるか、御答弁願います。
  27. 大和田啓気

    大和田政府委員 いまのお話はまき網あるいは底びき網とそれから沿岸漁業とのいわば調整の問題だろうと思います。事実四国あるいは和歌山県等におきましてときどきそういう問題がありますことは承知をいたしております。私どもこれから長い目で見ての漁業といたしましては、当然労力不足ということ、漁船がさらに近代化されるということが考えられますので、いまお話しのような操業区域の拡大ということは、私は方向としてはそれが筋だろうと思います。ただ、その場合も沿岸漁業との調整ということを絶えず頭に置いて措置したい。沖合い底びきなりあるいはまき網なりだけの立場に立って問題を処置するつもりは私どもはないわけでございます。沿岸漁業との調整は十分とってまいりたいというふうに思います。
  28. 森下元晴

    ○森下(元)委員 続いて、水産業協同組合法の一部を改正する法律案について質問をしたいと思います。  初めに大臣に御質問と思っておりましたけれども、ちょうどお見えにならぬようでございますので、長官に質問します。  水産業協同組合に対する水産行政の基本方針について、また水産業協同組合に対してどのような施策を講じてきたか。
  29. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども、水産業協同組合、特に漁業協同組合は、やはり今後も漁民経済の中核として国としてできるだけ応援をして強くしていきたいというふうに思います。いままでいろいろな法律によります合併促進でございますとか、あるいは漁業近代化資金制度の充実でありますとか、あるいは漁業協同組合を含めて産地の冷蔵庫あるいは製氷施設等の充実、あるいは第二次構造改善事業におきましても漁業協同組合に相当なウエートを置いて仕事をしてきたわけでございます。今後とも、漁業協同組合ばかりではございません、漁業生産組合でありますとかあるいは水産業加工協同組合でありますとか水産業協同組合一般につきまして、十分国としての援助をやっておくつもりでございます。ただ、あくまで協同組合でございますから、国が一々手をとり足をとりあるいは国家的な機関にこれを育て上げるということは、私は邪道だと思いますので、協同組合という限界で国として十分の応援を今後も続けていきたいというふうに考えております。
  30. 森下元晴

    ○森下(元)委員 次に、三十七年度の改正のときに、本委員会におきましてこういう附帯決議をつけております。「中小漁業者のための組織の在り方についても、今後の漁業の発展に即応し得るようすみやかに検討を加えるべきである。」その検討の結果、法人組合資格の条件の引き上げを中心とする今回の改正がなされていると思いますけれども、そのうちで、引き上げの理由だけについてお答えを願います。
  31. 大和田啓気

    大和田政府委員 いままで漁業協同組合の正組合員、常時従事者三百人以下、かつ使用する船舶三百トン以下というふうにいたしておりましたのを、今回千五百トン以下というふうに改めたわけでございますが、これは漁業がだんだん進歩発展をしていきます過程で、相当大型の漁業者が出てきたということが現実でございまして、今度新しく正組合員になれる階層というのは、大体たとえばカツオ、マグロ等でいいますればその中堅の企業でございまして、これらにつきまして、協同組合の外にその人たちがいることあるいは准組合員のままでいるということよりも、むしろ協同組合の中に入れてそこで事業利用してもらうし、また協同組合としてもその経済力を利用するという、そういうことが賢明ではないかということ、これが今回法人会員の資格の引き上げをいたした理由でございます。
  32. 森下元晴

    ○森下(元)委員 次に、総代会の権限の拡大、それから役員総会における選任総会外選挙、それから連合会における一会員一票制の特例等、組合管理に関しまして相当の改正がなされておりますが、その基本的な考え方また今後の指導方針についてお尋ねいたします。
  33. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁業協同組合等の構成あるいは運営等の改正は、大体は農業協同組合法の改正に準じておるわけでございますが、ただ漁業協同組合を農業協同組合と同じに取り扱ったという、そういう形式的な問題ではございませんで、漁業協同組合も非常に緩慢でございますけれども合併が行なわれて、たとえば組合員千人をこえるという漁協が全国で二十六すでにあるわけでございまして、漁協合併ということも今後なかなかむずかしいけれども、私どもは相当な熱意で、またこれは系統組織も同様でございますが、合併の問題は進むだろうと思います。さらに、農協と違いますことは、漁協が離島を含めて組織をつくっている場合もございますし、また非常に交通不便なところが例多いわけでございますので、そういう組織上の実態に即して管理をできるだけ簡便にする。しかし組合民主主義の姿勢はくずさない、そういうことが今回の管理運営に関する改正の基本的な態度でございまして、私ども組合民主主義をそこなわないで、できるだけ身軽にというと語弊がございますけれども、管理運営をできるだけ実際的に処していくということの方針は、今後も指導方針として守っていくつもりでございます。
  34. 森下元晴

    ○森下(元)委員 最後に、漁港法に関連いたしまして質問をします。  第四次漁港整備計画も第三年度目に入るわけですが、北海道の漁港整備の進捗度は他の地域に比べてどうなっているか、また今回の措置によって、北海道の漁港整備が促進されることになるのかどうか、この点について長官に質問します。
  35. 大和田啓気

    大和田政府委員 漁港整備計画、修築事業だけではございませんで、改修事業あるいは漁業改良事業を含めまして見ますと、二千百億の事業費に対しまして、四十六年度の予算で、全国的には大体進捗率は四五%でございます。しかし北海道につきましては四七・七%になるような予算になっておるわけでございまして、私ども北海道だけ別に特別に進めるのではなくて、全体としての第四次漁港整備計画の完遂ということを目標にして、四十七年度、四十八年度の予算編成に当たるつもりでございますが、実際問題として、北海道が他に比べて多少進んでおるというのが現状でございます。
  36. 森下元晴

    ○森下(元)委員 ちょうど時間が参ったようでございますので、私の質問はこれで終わりたいと思いますけれども、この画期的な新しい法案を通すことによりまして、いわゆる転機に参った日本の新しい漁業、これに大いに期待するわけでございますけれども、いわゆる国際問題から国内問題、また公害問題、いろんな大きな漁業をはばむ障害がございます。そういうものを取り除いて、水産国日本にふさわしいような行政をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  37. 草野一郎平

    草野委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕