○
美濃委員 第二の
生産者の不安は、これは飯米程度の兼業
農家は、おそらく生活の主体は賃金が多いわけですから、きわめてのんびりしておると思うのです。これが、同じあれでも東北あたりの出かせぎ
農家になると、夏は専業で、それで所得が足らぬから冬かせぐわけですから、これは状態が違いますけれども、都市近郊の飯米限度の
生産農家というものは、その生活の所得構成から見て、そうこのことに悩んでいないと思うのですよ。
政府が買っても買わぬでも、
米価が上がっても上がらぬでも、自分のところで食べるのですから同じなんです。賃金が物価にスライドしてベースアップが行なわれれば、米の部分は、価格問題や食管問題とは全然別なことなんですね、飯米だけをつくっておる
農家というのは。そうじゃなくて、米の専業
農家になりますと、全エネルギーと自分の経営の全経済をかけておるわけですから、これから先どうなるのか——去年は食管を守るというたてまえの上に立って、
過剰生産で余っておる米を無理につくって、そして財政上の負担をかけるということも、やはりこれは
考えなければならぬ。そのことによって食管が守られるならば
生産調整にも応じようというすなおな気持ちで大体のところ応じたわけで、全国的には目標を達成したわけです。それでもなおかつ
政府の
買い入れ制限の措置が出てきた。あるいは物統令をはずしてしまう。今日、食管がありますから、米を取引所に上場するということはできないし、それから、かろうじて残っておるのは、指定集荷業者でなければ集荷できない、これだけで、あとは物統令を廃止して
買い入れ制限をすれば、これは食管会計でなくて間接
統制ですね。そして
政府の
買い入れ量は、大正七年に米騒動が起きて、その後につくられましたいわゆる間接
統制の
買い入れ量から見ると、あの当時の国民数、あの当時の
生産量に対する
政府の
買い入れ量から見ると、五百八十万トンは若干多いという程度ではないですか。それだけのことで、来年はそれもなくなっちゃうのじゃないですか、いまの状態でいくと。どうなんですか、来年は
政府の
買い入れ量をもう少し減そうと
考えておるのじゃないですか。どうなるのか、そこに
農民の不安があるのですね。そしてお互いの意識として、もうこれでは米の政策は信ずるに足らない。また、そういうふうに米
生産の破壊政策がとられておるのです。最終は倒産するかもしれない。どうせ倒産するのであれば、ことしは手一ぱいつくって、あとどうなるか、先は先だ。そんな
生産調整に応じても、一年一年こういうふうに米作破壊の方式をとられてくるのであれば、ことしは
生産調整に応じないで、つくれるだけつくる、こういう意識だと思うのですよ。それで
生産調整を意識的に拒否してきた。拒否してきていない県もあるかもしれませんよ。だけれども、私どものところでは、私は、心配ですから道庁にも電話をかけて聞いてみたんですが、北海道では大体去年のような状態で、
生産調整は市町村の協議が進んでいないということです。それはなぜかというと、米の政策に米作
農民は最大の不信感を持っておる。政策、信頼に足らず。ですから、つくれるだけつくって先は先だ、野たれ死にかもしれぬというせとぎわに追い詰められたということです。この心理わかりますか。
政務次官、わからぬですか、この米作
農民の窮迫した心理というものは。わからぬで政策をとるんじゃまずいと私は思うのです。窮迫した心理というものがわかっておるか、わかっておらぬか。