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芳賀委員 具体的な問題として、たとえば
昭和四十二、四十三、四十四年のこの
生産の基礎になる開田面積が相当変わってきておるでしょう。特に東北、北海道を中心に、この三カ年間は毎年三万ヘクタール程度開田が行なわれておるわけですね。だから東北、北海道の地域では大体三年間に十万ヘクタールの新規開田、いわゆる水田の面積増が行なわれておるのです。しかし全国的に見ると、年間約二万ヘクタールぐらい転用あるいは壊廃で減少を示しておるわけだから、差し引きということになれば、当該三カ年で一万ヘクタールぐらいしか伸びていない。だから毎年水田面積がふえる。ふえれば
生産量もふえるということになるわけですね。また水田面積が転用、壊廃等で減少した地帯は耕作面積が減るから
生産量も減り、また売り渡し
数量も逓減するという結果になるわけでしょう。だから三年間だんだん面積がふえた、
生産がふえた、売り渡し
数量がふえたという地帯は、三カ年平均の平均売り渡し
数量ということになれば、それでは実態に合わないということに当然なるでしょう。また面積が減り、
生産も売り渡し
数量も必然的に減った地帯の平均売り渡し
数量ということになれば、現時点においては、それは過大な売り渡し
数量になり、限度
数量になるということにもこれは当然なるわけでしょう。それはあり得ることだし、常識的にわかるでしょう、そういう点は皆さんは専門家ですからね。面積の増減の問題からくる不合理性。もう
一つは全国的にはこの三カ年間は大体千四百万トン程度の総
生産を維持してきたわけですが、しかし地域的になると、北海道、青森県、東北の一部等においては、
昭和四十四年は相当冷害が深刻だったわけです。特に北海道の場合には大体七分作程度ですから、収穫が激減した場合の売り渡し
数量というものは、平常を欠いた異常な売り渡し
数量の減少ということになるわけです。ところが今度の場合には四十、四年の冷害凶作が実績年の中に入っておるわけでしょう。冷害年を除いた平常な三カ年間の売り渡し
数量の平均であるということになれば、まだ大きな変動はこないとしても、もう明らかに冷害が原因になって売り渡し
数量が激減した、そういう年度もこの三カ年の中に取り入れて、その平均実績がこれだけである、それからことしの期待される
生産調整の
数量というものは四十五年度に実際現存しておった耕作
農家の水田面積に、ことしは四十五年度の共済組合の基準反収をかけた、そういう一定率の計算によって
生産調整数量をきめるということになれば、
生産調整数量は、
昭和四十五年度の実面積を基礎にして一定の反収をかけて二〇・三%をきめる。売り渡し実績は冷害を加味した非常に正常を欠く少ない
数量でやって、それから
生産調整数量を引けば、限度
数量というのは過小になるにきまっておるのです。まさか四十六年度に北海道あるいは東北が大冷害になるというような期待とか
見通しでそういう限度
数量をきめたのではないと思うのですね。だから一定の
生産調整の
数量に対しては、押しつけじゃなくてこっちから
協力するということで計算をしても、どうしても実態に合わぬという結果が生ずるわけでしょう。そういうことはあり得るでしょう。
そこで、もう時間がありませんから、実例を
一つ示しておきたいと思います。
これは北海道のKという町でありますが、四十五年の水田面積は統計
調査部の
調査によりまして二千八百七十ヘクタールあるわけです。そうして昨年は北海道は平均すると大体三〇%の減反率でありましたが、このK町においては二八%の減反率でありまして、八百七ヘクタールの
生産調整を行なったわけです。二千八百七十ヘクタールから八百七ヘクタールの
生産調整を行なった残り二千六十三ヘクタールの作付を昨年完了いたしまして、そして
生産をした結果、昨年の売り渡し
数量は、これは農協並びに業者の集荷
数量を合わせますと大体十三万五千俵程度の米が去年は出荷されておる。二八%、約三割減反をして、それで十三万五千俵をこえる
政府に対する売り渡しが行なわれておるわけであります。ですから、ことしのこれに対する限度
数量というものは、北海道一律ということになれば、
生産調整は、昨年よりも少ない約五百七十ヘクタールということになるわけであります。これは昨年よりも二百三十ヘクタールくらい少ない減反ということになるわけです。そこへことしの限度
数量の割り当てが五千六百九十一トン、これは俵数に換算すると約九万五千俵ということになる。去年約三割の減反をして十三万五千俵の米が売り渡されておって、ことしそれよりも一割少ない減反率でやればいいわけでありますが、九万五千俵、そういう限度
数量ということになると、ことしは少なくても限度外の
数量というものが自家用米等を正常に控除しても約二千四百トン、これが示された限度をこえる
数量ということになる。俵数に換算すると四万三千俵の米が限度を越えて出てくるわけですね。だから二〇・三%の減反を忠実に
協力しても、示された限度
数量によるとなお二千四百トン、四万三千俵の米は余ってくるということになる。だから
農林大臣が余るはずがないといかに強調しても、この町村あるいは個々の
生産者にこのような政令の方式でおろした場合に、こういう現象が随所に生まれるということになる。それを忠実に是正するという努力をしないで、これもめんどうくさいから一律
生産調整でやる、凶作を含めた売り渡し
数量もそのまま計算に入れて、これだけしか買わないのだというような実情に沿わない割り当てをした場合においては、それを了承する、それに基づいた申し込みをしますということにはなかなかならぬわけですね。だから私が言った方程式を当てはめた場合には、こういう大きな間違いというものは生まれないのですよ。そうじゃないですか。これは
一つの例ですけれ
ども、市町村あるいは個々の
生産農家、善良な
生産者に対してこういう問題が出てくるわけですからね。たいへんなことになるのですよ。午前中に
松沢委員が言ったとおり、こういう
状態では町村長としても
政府に
協力して割り当てをすることができないでしょう。実態をわかって割り当てできないという場合にはこういう
数量の割り当て作業というものはできません、知事にお返ししますということをいわざるを得ないわけですね。
地方自治法の百四十六条がどうだなんておどかしたって、地元住民の立場に立った自治体の長というものは、何も
政府の命令だけを伺って、場合によっては罷免されたらたいへんだなんて思っていないのですよ。罷免したところで、地域住民は、やはり地元の利益を守り、発展を守るというき然たる態度で抗議をした場合においては、これは全面的に地元の支持があるということは疑う余地がないわけですからね。政令を見ただけでもこういう問題というものは幾多あるわけですから、その点はそういう問題に当面した場合にはどうするかというような点についても、あらかじめ市町村長等に対しては、あるいは農協等の関係団体に対しては、そういう場合には実情に合致したような修正を行なって、正当な限度
数量を市町村長の権限において決定しなさいというような指導というものをやらなければいかぬと思うのですよ。その点が
一つですね。
それから今度の政令にも前の政令にもありますけれ
ども、事前売り渡しの限度
数量に対して妥当を欠く割り当てが行なわれた場合には、それに対して異議を申し立て、一定の手続をしてそれを変更してもらうことができる、こういう点は今回の政令の改正にもちゃんとうたってあるわけですね。従来のいわゆる増額補正あるいは減額補正というものはできることになっておるし、また不服の申し立てもできることになっておるわけですが、今回の場合には、当然行なわなければならぬ変更の申し出等についても、政令にはそれをうたってあるけれ
ども、それは
農林大臣が必要と認めて告示した場合でなければやってはならぬということになっておるのは一体どういうわけですか。当然やらなければならぬことを
農林大臣が認めなければやってはならぬということでそれを抹殺するようなやり方はおかしいじゃないですか。私が言ったような間違いは出てくるわけだから、その場合には変更の手続がこれこれの方法でできるということを政令でわざわざうたっておいて、そのあとで、ただしこれは
農林大臣が諸般の事情というものを勘案してどうしても必要だと認める場合以外はできないということを政令でうたってあるじゃないですか。こういうような冷酷無情な強制的な割り当てあるいは取り扱いというものはいまだ例を見ないわけでありますが、それらの点について
政府から明快にしてもらいたいと思う。
それからもう
一つ不服の申し立てができるということになっておるが、この申し立ての相手の機関は行政不服審査法に基づく不服の申し立てをやるということになるのかあるいはそれ以外の方法で不服を申し立てるのか。時間の関係で重要な三点を
指摘したわけですが、それらに対して明快な説明をしてもらいたいと思う。