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伊藤(惣)
委員 私が聞いたのはそんなことじゃなくて、まず一
塩素でできる
ガスの
種類はたくさんあります。たとえばCO
Cl2、これはホスゲンになります。それから
CH2CH2
Cl、これはイペリットになります。これは
びらん性の
ガスですが、そのほかに
嘔吐性の
ガスに
ジフェニルクロルアルシンというのがあります。これも
塩素が
原料であります。さらに、エチルジクロルアルシン、C2H5AS
Cl2、それから
催涙性のあるもの、クロルアセトン、これなんかも
塩素がその
原料になっております。
そして、これはそのくらいの知識では何を聞いてもわからないと思いますから申し上げますが、「
日本列島」という本があります。この中で、これは
ベトナムに就航した元LST三五〇号に乗った
事務長の広
居欣一さん、松戸に住んでおりますこの方の
証言がここに書いてあります。それによりますと、「
日本から運ばれるものの大部分は、小銃、
機関銃などの弾薬、
小型爆弾、それに車両、
サンドバッグなどの
軍需品、貨物の
内容はすべてクラシファイド(機密)なので、およそのことしかわかりませんが、正体不明の
ドラムかん三、四十本、
催涙ガスらしい
大型ボンベなど、こういうものを運んだことがある。」、こう言っております。
そしてさらに、一九六六年から今日に至るまで、
ベトナム戦争では大規模な
ガス戦が展開されておる。これは数多くの
新聞に出ております。私が申し上げておるのは、
枯れ葉作戦とは関係がない。かつて
楢崎委員が二四Dとか二四五Tとかおっしゃいました、そのものとは全然別な
性格のものです。特に、当時の一九六六年の毎日
新聞にはこういうことが書いてあります。「ベトコンゲリラを撃退するため、地下道で非
致死性ガスと煙幕を使ったところ、
豪州兵一人が死亡、六人が病院に収容される
事件が十一日
サイゴン北西部で起こった。」、こういうような報道も行なわれているわけであります。
そして、去年の七月に
大型ボンベがあったという
一つの
証言をした方の話にもありますように、おそらくこの
塩素というのは非軍事的ではなくて、ほかの
目的をもって
ベトナムに直接輸送されている
疑いがある。しかも、私は何も
塩素ガスがそのまま使われるとは思わない。何らかの形でそれが合成され、
ベトナムの砲弾あるいは手投げ弾、
迫撃砲、
戦車砲、
りゅう弾砲というものの
材料として使われている
疑いを私は持つものであります。そうして私が一番注目いたしますことは、
塩素ガスによる
中毒症状というものを
専門家に聞きました。これはにおいがあるし、しかも色も出るしわかる、
先ほど言ったあの
症状は別の
性格のものである、たとえば
米軍が
ベトナムで大量に使っております
神経ガス——神経ガスといっても非
致死性のもの、たとえば
幻覚剤、
種類で言うと
神経ガスの
種類ですが、
沖繩で問題になった
GBガスとか、ああいう
種類のもののいわゆる
中毒症状と似た
症状があるわけであります。われわれ
国会議員といえ
ども、あの
基地に対しては
立ち入り調査権がない、さらに調べようと思っても刑特法にもひっかかる、そういう点で明らかではありませんが、疑問はまだまだたくさんあります。たとえば、
先ほど施設庁長官が、
苛性ソーダ水溶液であると言った、そこに
塩素ガスがある。私は、この
写真を見て感じますことは、どう考えても
納得がいかないといいますか、
長官の
説明にはふに落ちない点がある。たとえば、勘ぐれば、
苛性ソーダというものは何になるか、これはたいへんな
毒ガスの
原料でもあるのです。たとえば、
苛性ソーダというものからは
中毒性の
青酸クロルがつくられるのです。それから工程中に
塩素が関与して
ジフェニルクロルアルシンという
嘔吐性の
ガスがつくられる。さらに勘ぐれば、食塩に
苛性ソーダをまぜれば
塩素ガスがとれる。
われわれはいつも百メートル以上の距離からしか見ておりませんから、そんなことは全然わからない。この
答弁書にもありますように、関口さんという人が当時の模様をこう言っております。あの遠くから見た穴のあいている三千ガロンのキャパシティーと書いてあるあの
容器の中に、
米軍は
毒ガスマスクをつけて入っておった、そうして上から白い煙がちょいちょいのぼった、ということになりますと、いま言った
苛性ソーダ水溶液ということと話が合わない。これは聞いた話でありますし、
証言ですから、どこまで正確かわかりませんけれ
ども、そうすると、
塩素ガスを野積みしているということは単なるカムフラージュであって、実はそれ以外の
ガスまたはたいへんな
ガスの
原料をあそこへ
搬出搬入している、そういうことも勘ぐれる。しかも
米軍の
CBR部隊というのは
ドッグ部隊と言うのです。なぜか、
CBRがあるところには必ず犬がいるというのです。あそこは常時犬で警備しているわけですよ。しかも
日本人労務者が帰る五時半ごろには座間からわざわざ数頭入ったおりを幾つも持ってきている、
警察犬を放しておる。しかもその出し入れが、
先ほども言いましたように、どうして
日本人労務者を使わずして
夜中の、深夜、深夜もいいところです、十一時から一時くらいまでの
間搬出搬入が行なわれている、そういう
隠密性は
納得できないわけであります。したがいまして、現在のような
答弁で、現在の
被害者がはたして補償されるのか、されないのか疑問であります。またいいかげんな
調査で、人の話を伝え聞きで聞いて、それを信用するということもおかしい話であります。私は、この問題について、先日の
委員会において、
政府の
調査を聞いた上で
納得がいかなければ
国会から
調査団を派遣してもらって、詳細にそれを
調査し、そして現在の
問題点を明らかにする、
被害があれば十分なる
対策をとる、こうすべきだ、そのことを私は要求してきました。しかも
塩素ガスがカムフラージュであって、実は別なものが、たいへんなものがある、こういうことを言う人もいるわけであります。このジュネーブ議定書にある
塩素というのは、持ってはならない
毒ガスであります。現在は局間にまたはいろいろな工業に使われるというならば——それはよく知っておりますよ。
塩素変じて味の素になる。ちゃんと数字が合っておりますよ。このくらいの
塩素でこのくらいの味の素ができる。工業用に使っておるとするならば、何に使っているのですか。
水道の
殺菌用である、問題にならないくらい少ない。年間二百本である。十一月からことしの二月まで事実三百本以上納入している。しかも、私から言わせれば、そのほかにも
静岡と
川崎からも二百本を納入した。そうすると、二百本に加えましてこの蒲原の第一化成からは三百何本別に……。そうしますと五百本以上納入したことになる。こんなことは
答弁になりません。しかも
塩素ガス以外の
中毒症状のような、そういう
被害者が現実の問題としている。私はこの間も申し上げましたけれ
ども、やはりこういうジュネーブ議定書に例示されておる
毒ガスは、
日本にあってはならない、置いてはならない。
日本の平和と
日本人の命を守るためには、こんなものは断固撤去すべきだ。もしこれを認めることがあれば、
沖繩においていま現在あります
毒ガス問題にしても、これは工業用に使うのだから置かしてくれと言われた場合に断わる理由がなくなる。そうすれば撤去はさらにおくれるという事実がある。さらにまた
ベトナムで戦争が行なわれておりますが、最近では終息には向いておりますけれ
ども、しかしながらそこに、世界じゅうから非難されている毒
ガス戦争の
毒ガスを
日本に置くことを許し、
日本から供給している、こういうことになれば、
日本の国際的な信用もたいへん問題になります。そういういろいろな観点から、私は、この問題についてはぜひとも
国会から
調査団を派遣して詳細に
調査し、その後において善処したいことを要望するわけでありますが、それについて
委員長取り計らい願いたいと思うのです。