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1971-05-19 第65回国会 衆議院 内閣委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十九日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君    理事 鈴切 康雄君       阿部 文男君    伊藤宗一郎君       加藤 陽三君    笠岡  喬君       辻  寛一君    中山 利生君       山口 敏夫君    大原  亨君       楢崎弥之助君    横路 孝弘君       伊藤惣助丸君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 内田 常雄君  出席政府委員         厚生大臣官房長 高木  玄君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省薬務局長 武藤琦一郎君         厚生省社会局長 加藤 威二君         厚生省児童家庭         局長      坂元貞一郎君         厚生省援護局長 中村 一成君         特許庁長官   佐々木 学君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      相原 三郎君         大蔵省国際金融         局外資課長   道正 信彦君         自治省財政局地         方債課長    石見 隆三君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   笠岡  喬君     村上  勇君   横路 孝弘君     赤松  勇君 同日  辞任         補欠選任   村上  勇君     笠岡  喬君   赤松  勇君     横路 孝弘君 同月十九日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     楢崎弥之助君   佐々木更三君     大原  亨君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     佐々木更三君   楢崎弥之助君     川崎 寛治君     ――――――――――――― 五月十七日  靖国神社国家護持早期実現に関する請願外二  十一件(林義郎紹介)(第六三四八号)  同外六件(藤枝泉介紹介)(第六三四九号)  同外一件(亀山孝一紹介)(第六六三七号)  同外十五件(中村弘海紹介)(第六六三八号)  靖国神社国家管理反対に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第六三五〇号)  同(浦井洋紹介)(第六三五一号)  同(小林政子紹介)(第六三五二号)  同(田代文久紹介)(第六三五三号)  同(谷口善太郎紹介)(第六三五四号)  同(津川武一紹介)(第六三五五号)  同(土橋一吉紹介)(第六三五六号)  同(寺前巖紹介)(第六三五七号)  同(林百郎君紹介)(第六三五八号)  同(東中光雄紹介)(第六三五九号)  同(不破哲三紹介)(第六三六〇号)  同(松本善明紹介)(第六三六一号)  同(山原健二郎紹介)(第六三六二号)  同(米原昶紹介)(第六三六三号)  同外二件(上原康助紹介)(第六三六四号)  同外二件(土井たか子紹介)(第六三六五号)  同外一件(和田耕作紹介)(第六三六六号)  同(浦井洋紹介)(第六五一〇号)  同(東中光雄紹介)(第六五一一号)  同(松本善明紹介)(第六五一二号)  同(米原昶紹介)(第六五一三号)  同外一件(和田耕作紹介)(第六五一四号)  同(青柳盛雄紹介)(第六六三九号)  同(浦井洋紹介)(第六六四〇号)  同(小林政子紹介)(第六六四一号)  同(田代文久紹介)(第六六四二号)  同(谷口善太郎紹介)(第六六四三号)  同(津川武一紹介)(第六六四四号)  同(寺前巖紹介)(第六六四五号)  同(土橋一吉紹介)(第六六四六号)  同(林百郎君紹介)(第六六四七号)  同(東中光雄紹介)(第六六四八号)  同(不破哲三紹介)(第六六四九号)  同(松本善明紹介)(第六六五〇号)  同(山原健二郎紹介)(第六六五一号)  同(米原昶紹介)(第六六五二号)  同(鈴切康雄紹介)(第六六五三号)  特定郵便局長恩給通算に関する請願小沢辰  男君紹介)(第六三六七号)  同(田村良平紹介)(第六三六八号)  同(中川一郎紹介)(第六三六九号)  同(根本龍太郎紹介)(第六三七〇号)  同外一件(小澤太郎紹介)(第六六五四号)  同外一件(加藤六月君紹介)(第六六五五号)  同(村上信二郎紹介)(第六六五六号)  元満州拓殖公社員恩給等通算に関する請願外  一件(中川一郎紹介)(第六三七一号)  同外二件(藤本孝雄紹介)(第六五一五号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案反対等  に関する請願和田耕作紹介)(第六三七二号)  国家行政組織法改正反対等に関する請願上原  康助紹介)(第六六五七号)  同外二件(大出俊紹介)(第六六五八号) 同月十八日  靖国神社国家護持早期実現に関する請願(高  鳥修紹介)(第六七七三号)  同外十一件(松本十郎紹介)(第六七七四号)  同外十件(山崎平八郎紹介)(第六七七五号)  靖国神社国家管理反対に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第六七七六号)  同(浦井洋紹介)(第六七七七号)  同(小林政子紹介)(第六七七八号)  同(田代文久紹介)(第六七七九号)  同(谷口善太郎紹介)(第六七八〇号)  同(津川武一紹介)(第六七八一号)  同(寺前巖紹介)(第六七八二号)  同(土橋一吉紹介)(第六七八三号)  同(林百郎君紹介)(第六七八四号)  同(東中光雄紹介)(第六七八五号)  同(不破哲三紹介)(第六七八六号)  同(松本善明紹介)(第六七八七号)  同(山原健二郎紹介)(第六七八八号)  同(米原昶紹介)(第六七八九号)  同(田邊誠紹介)(第六七九〇号)  同外六千四百六十九件(和田耕作紹介)(第六  七九一号)  同外九件(上原康助紹介)(第六九一四号)  同(河村勝紹介)(第六九一五号)  同(平林剛紹介)(第六九一六号)  恩給共済年金の調整に関する請願井岡大治  君紹介)(第六七九二号)  特定郵便局長恩給通算に関する請願外二件  (久野忠治紹介)(第六七九三号)  同(齋藤邦吉紹介)(第六七九四号)  同外一件(白浜仁吉紹介)(第六七九五号)  同(田村元紹介)(第六七九六号)  同(高橋英吉紹介)(第六七九七号)  同(坪川信三紹介)(第六七九八号)  同(廣瀬正雄紹介)(第六七九九号)  同(小川平二紹介)(第六八〇〇号)  同(上村千一郎紹介)(第六九一八号)  同(島村一郎紹介)(第六九一九号)  岐阜県白鳥町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺栄一紹介)(第六八〇一号)  岐阜県馬瀬村の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺栄一紹介)(第六八〇二号)  岐阜県郡上郡の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺栄一紹介)(第六八〇三号)  岐阜県上矢作町等の寒冷地手当引上げ等に関す  る請願古屋亨紹介)(第六八〇四号)  岐阜県小坂町等の寒冷地手当引上げ等に関する  請願渡辺栄一紹介)(第六八〇五号)  岐阜県金山町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺栄一紹介)(第六八〇六号)  岐阜県大和村の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺栄一紹介)(第六八〇七号)  岐阜県和良村の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺栄一紹介)(第六八〇八号)  岐阜県高鷲村の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺栄一紹介)(第六八〇九号)  元満州拓殖公社員恩給等通算に関する請願  (塩崎潤紹介)(第六九一七号)  旧軍人に対する恩給処遇改善に関する請願  (池田清志紹介)(第六九八二号)  恩給共済年金受給者処遇改善に関する請願  (池田清志紹介)(第六九八三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十七日  靖国神社国家管理反対に関する陳情書  (第三五四  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第七五号)      ――――◇―――――
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 大臣、この間どうもだいぶお忙しいようでございましたから、一つ最初に承っておきたいのですが、新聞に「ホメタ薬はインチキ、どうなってるの厚生省局長さん」というので、これはあまり衛生上よくない話なんですよ。これは戸澤さんというのですか、こんなになかなか好男子に写っているんだけれどもね。これ私のところに電話がかかってきたり手紙が来たりしましてね、どうも事のいきさつを明らかにしてくれぬかというので、私も長いおつき合いだから、あまりこんな話をしたくないよう女気がしておったのだけれども、はっきり聞いておかぬといかぬ。一体どういういわれ因縁故事来歴があってこういうことに在ったのかということです。  中身はこういうことです。「「ニコチン解毒にすばらしい効果がある」と厚生省現職局長が宣伝に一役買った」というのです。ところがその口中清涼済が全くきかないんだ。その効果はない。しかも無許可で製造したというのですね。許可をとっていないのです。それで「医薬部外品化粧品を無許可製造したり、誇大広告不正表示をしていた四業者にたいして、厚生省は十四日、最高二カ月の製造販売停止などの行政処分を決めた。」というのです。あなた、おきめになりましたか。
  4. 内田常雄

    内田国務大臣 おおむね大出さんがいまおっしゃられたとおりで、私は私情を交えずに、薬ではなしに、たしか医薬部外品と称されるものだったと思いますけれども、その部外品処置薬事法違反する状況に対して、従来の薬事法違反の例によりまして行政処分をすることに、承知判こを押しました。そのときに、いまあなたがおっしゃられるように、これはプライベートの関係はあったでございましょうけれども厚生省の一官僚がそこの社長さんと親しいということで、何かの会合でおせじを言ったということが以前にあったことを想起しました。私が悪い大臣でありますならば、こんなことで荒立てるとまた大出さんから御批判を受けるようなことになるから、まあこんなものの処分はしばらくやめておけ、こういうことで握りつぶすか見送ったかもしれませんけれども、私は、薬に対する正しい行政上、これは行政処分をしたほうがよろしいということで、薬務局が案を具申してきたものを決裁をした、そういうまざまざとした記憶を持っております。
  5. 大出俊

    大出委員 これは新聞が取り上げた記事ですから、よく皆さんの側で、ここが違う、あそこが違うというふうにおっしゃる傾向があるのですね。ところがいまのお話は、おおむね御指摘のようなことだった、こういう御答弁です。おおむねそうなのか、ほんとうにそうなのか。あとのほうを読みますと、「十四日、最高二カ月の製造販売停止などの行政処分を決めた。この中に、昨年十二月、厚生省戸澤政方保険局長メーカー側主催の新製品発売記念パーティーに出席して、激賞した口中清涼剤ニコサンFT」が含まれていたもの。この皮肉な結果に、当の戸澤局長は「薬の予備知識もなく、メーカー側のいう効能を受け売りしただけ。まことに申しわけない」と小さくなっていた。」というのですね、表題だけを読むと。中身は詳しく書いているのですがね。中身に問題があるのですけれども、どうもこれは衛生上あまりいい話じゃないですな。こともあろうにこれは無許可でやっている。ここではっきり書いてありませんが、厚生省では新薬発売記念パーティーというところに局長さんがちょいちょいおいでになる慣行があるのですか。
  6. 内田常雄

    内田国務大臣 それとこれとは無関係でございまして、局長が出席したのはけしからぬということは、今度の製造会社に対する行政処分とは別に、それよりも前の、そういう祝辞ですか、おせじを述べたというときに、いやしくも厚生省のしかるべき地位にある者が、個人的関係とはいえ不用意な発言をなすべきではないということで、強く本人戒告をいたしておったことがございました。たまたまそれだから今度は薬屋のほうも両罰主義行政処分をしたということではございませんので、その薬屋薬事法上の何がしかの処置が違法であったということをとらえまして、私どものほうの当該担当官吏が、行政処分をすることが適当であるという判断のもとに案を具申してきたので、私はそれはそうやりなさい、局長をかばう、あるいは厚生省ていさいをかばうということよりも、薬事法違反事案に対しましては事の軽重に応じて必要なる行政措置をとるのが正しい行政のやり方だと考えて処置をとった、こういうわけでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 私は長年内閣委員会におりますから、私の性格は皆さん御存じだと思うのですが、何か大臣、いまのお話はさっぱりはっきりせぬですな。それとは違うんだ、冒頭にそういう言い方をされるけれども、冗談じゃないですよ。違いはしないですよ。そういういいかげんなことを大臣言つちゃ困るじゃないですか。昨年の十二月の十日の昼、東京赤坂のホテル・ニュージャパンで芸能人などを招いてニコサンFT発売記念パーティーを開いたでしょう。そこへ勤務中に抜け出して出かけていって、ニコチン解毒のすばらしい効果がある、これでたばこを安心して吸えると局長話したのでしょう。違うのですか。
  8. 内田常雄

    内田国務大臣 そういうことがあったようです。当時も新聞あるいは週刊誌に出たそうであります。そういう事実があったから報道されたと私は思いますが、大出さんが最初にお尋ねの行政処分案件は、そういうことがあったからそれに対する処罰等をやったのではなしに、それとは全く無関係に、当該製品メーカー薬事法上の違反行為があったから処分をしたというわけであります。ですから最初には一つ薬事法上の問題ではない、厚生省役人がそういうところへ不用意に出ていっておせじを言うことがいいか悪いかという問題が一つあり、またそれとは別に、製薬会社がいわゆる部外品にとった措置薬事法上の違反があった、こういう事実があって、別の問題である。しかし別の問題であるけれども事案は同じ会社にかかるものですから、いま大出さんが述べられたような批判厚生省が受けることになるわけでございます。私が行政処置をとったその行為はそれで正しいと私は思いますが、同時にまた、それとは別の案件でありましても、厚生省役人が薬の知識もないのにお祝いの会に出ていって批判を受けるような祝辞を述べたということについては、その本人に対して十分自戒すべきことを戒告すべき事案であるし、私もまた当該官吏の上司として一半の責任があるものと考えまして、そのことにつきましては深くみずからも戒め、また部下にもそういうことが再びないようにつとめさせる責任がある、かように私は思っております。
  9. 大出俊

    大出委員 私は個人の問題を言っているのじゃないのですよ。ここにも「医薬犯濫のなかの棄民」「あふれる薬品、乱診乱療の横行は、決して生命尊重とあいいれない。効率主義生産力第一主義による、生命の価値の序列づけと差別こそが事態の本質なのだ。」といって、ずいぶんこまかく薬務行政について書いてある。たいへんなものです。ずいぶんこまかく調べたものだと思って感心しているのです。これを質問すれば二時間や三時間かかると思いますが、一つ一つ私承ってみたいと思っている。厚生省のやっていることはでたらめでたらめ、一体何をやっているんだと言いたくなる。そこへもってきてニコサンFT自体が無許可だという。そんなところへ勤務時間中飛び出していって一席ぶって、売れ行きのお手伝いをしてあげる必要が厚生省はどこにあるのです。何か知らぬが、あなたの話を聞いていると他人事みたいなことですが、あなたが最高責任者ですよ。何を言っているのです。ほかにもあるけれども、これはおたくはこういうことをちょいちょいやるのですか。これは一体この会社とどういうつながりがあるのか。いま何かそこの社長さんと懇意だったからとか言うが、高梨正雄さんという方がやっている東京都中野区弥生町四の一四の一、同足立足立三の一〇の六、ニューヴァロー化成ニューヴァロー化成はだれか知らぬけれどもあと何人もありますがね、四社だ。これは私はいまのあなたの言うことではどうも納得できない。これは国民がいまサリドマイドの裁判の成り行きを見たって、あんなふざけたことはだれが考えたってない。常にどうも厚生省というのはへっぴり腰で、そこへもってきてこういうことがあって、いま話していると何か知らぬけれどもさっぱり——もう少しはっきりしてください。これはどう考えるのですか。
  10. 内田常雄

    内田国務大臣 ただいまはっきり申し上げたとおりでございます。そういう厚生省役人祝賀会に行っておせじを述べたということを、私はその当該医薬部外品会社行政処分をする以前にそんなことを聞いております。そこで、たびたび申しますが、その官僚を私のところへ呼びまして、世間誤解批判を招くようなことは、特に医薬部外品厚生省所管行政につらなる関係事案でございますので、たとえ平素どういう懇意の関係があったかは別として、世間批判誤解を受けることがないように、言動は十分戒心をしてほしいということを、厳重に戒告をいたしたことがございます。そのことをたぶん御指摘だろうと思いますので、その当人はもちろんのこと、類似のようなことがゆめ今後ないように、十分私としては監督上戒告をいたしましたし、今後もまたいたしてまいりたいと思っております。
  11. 大出俊

    大出委員 企業と官庁癒着という問題は、公害の問題を取り上げても、石原産業事件ではありませんが大きな問題になっておる。特にいま医薬品の問題をめぐってこれだけ大きな世論が起こっている、そういうやさきに、これは厚生省の相当な地位の方が、製薬会社社長さんと知り合いだったからというようなことで、しかも昼ごろの時間にあわてて飛び出していって一席ぶって激賞したと書いてある。これはまるっきり製薬会社厚生省癒着じゃないですか。こういうふざけたことがあってはいけない。とんでもない話だ。まず厚生省自身の姿勢を正してもらわなければ、設置法など出されてみても審議のしようがないじゃないですか。公衆衛生全般にわたる衛生審議会厚生省自体衛生上まことによろしくないです。私は時間の関係でがまんするところはしますがね。こういう点だけは私は放任できないことですよ。これはあらためて時間を見てやりますが、時間がありませんから、とりあえず問題提起をするだけにいたしておきます。  ところでこの間、途中になりましたが、環境庁設置にかかわる先般の公害国会清掃法改正が行なわれまして、廃棄物を含めての法律になったわけでありますが、これからも肩入れをするということをおっしゃって退席をされたわけであります。そこらをもう少し詳しく承りたいわけでありますが、この間私、横浜市における廃棄物処理施設についての予算の中身を実は申し上げたのですが、三十六億もかかるごみの焼却場に対する奨励補助金と称するものがわずかに三千万である。これはあれですか、今度法律改正されましたが、やはりこういうものの考え方を踏襲をされる、そう考えていいのですか。
  12. 内田常雄

    内田国務大臣 廃棄物処理施設については補助金を出し、また財政投融資で起債に応じて、その設立を助成するはずでございます。
  13. 大出俊

    大出委員 委員部に承りたいのだけれども大蔵省自治省の方はいつごろ来ますか、ちょっと時間を聞いてください。——それでは大蔵省自治省まだちょっと時間がわからぬというので、その間もったいないですから、大原さんのほうを先にやっていただきましょう。
  14. 天野公義

  15. 大原亨

    大原委員 厚生大臣国会もいよいよ最後になりましたが、私は、この国会の議論を通じて厚生大臣所見をお伺いしたいのです。  第一は、あなたも一年有余にわたって厚生大臣をおやりになったわけですが、明けても暮れても、厚生省医療保険の問題に取り組んで、これに忙殺されている。しかも、医療保険に対する対策というものは、まるで後手後手であって、赤字対策に終始をしている。そういうことで、児童手当等で若干の端緒を、いままでの懸案について若干の前進の足がかりをつけたけれども、しかし全体としては社会保障というものが非常に停滞をしておる。医療保険の問題に足を引っぱられて、そして全体の社会保障前進は遅々として進まない、こういうことが私は厚生行政実態であると思う。少なくとも日本政治の中においては、厚生省はフットライトを浴びて、かなり進歩的な政策官庁としていろいろな任務を果たしてきたわけです。あるいは官僚諸君もそれぞれ自分の使命感に徹してやってきたと思うのですが、最近では各方面から袋だたきにあったようなかっこうになりまして、そして伸び伸びとした積極的な政策が示されてい互い、こういうことが実態ではないかと思うわけです。  厚生大臣はいままでを顧みてどのような所見を持っておられるか、まず最初にお聞きしたいと思います。
  16. 内田常雄

    内田国務大臣 健康保険法改正医療保険の立て直しというものも非常に重要な課題で、私どもは、医療行政をあずかる以上、避けて通ることはできない問題であると考えます。しかし、それはそれとして、重要問題として国会とも協議をいたしつつ進めてまいりたいと思っておりまするし、またその他社会福祉のいろいろな広い面がございまして、日本社会福祉レベルというものは、欧州の諸国等と比べまして必ずしも進んだ状況にないことは、御指摘を受けるまでもなく私ども承知をいたしておりますので、社会福祉レベルの引き上げ、充実というようなことにつきましてもできるだけつとめてまいるべきだ、かように考えながら、微力でありますが、行政を進めておるところであります。
  17. 大原亨

    大原委員 昭和四十二年に健康保険法の一部改正あるいは特例法改正、あるいは昭和四十四年にも同じようなことを繰り返して、また昭和四十六年、本年の国会におきましても同じような赤字対策を繰り返しているわけです。医療保険がこんなに欠陥がたくさんあるのに何ら——たとえば僻地医療一つをとってみてもそうですが、毎年毎年赤字対策ばかりに忙殺されておる。そして社会保障の総合的な観点での改善についての計画が議論されないということは、これはまさに佐藤内閣歴代保守党内閣政治の非常に大きな欠陥を露呈しているものであると私は思う。結果といたしましては日本経済大国になったけれども国民所得に対する社会保障給付費、あるいは振替所得で計算してもよろしいが、それは大体ヨーロッパの各国の十数カ国の三分の一とか二分の一とかいうふうなものにとどまっておる。大蔵省もきょういまお見えになっておりますが、大蔵省財政面だけから消極的に厚生省を締め上げる。厚生省はその場限りの政策をやる。そういうことであって、何ら日本経済成長に見合うような、あなたの親分の池田さんが言ったような、経済が大きくなったならばだんだん生活がよくなるというふうなことは大うそっぱちであったということは——いまになってはなくなった人を、私は同県人ですからあえて批判しませんが、子分や皆さん諸君がみんな悪かったことになるだろうと思うのだけれども、それにしても全くうそっぱちであった。こういうことになっていると思うが、所見はいかがでしょうか。
  18. 内田常雄

    内田国務大臣 所見は若干違います。と申しますのは、日本社会福祉というものはEECとか北欧諸国に比べますと、ああいう先発諸国に比べて後発の国といわざるを得ない。これは私は認めますけれども、近年、国会、政府等をも含めまして、国民社会福祉に対する意識が非常に向上いたしてまいってきておるわけであります。でございますので、これらの面につきましても、政府もまた国会の皆さま方からの御激励にこたえてやるべき措置を逐次積み上げてきておると私は考えますが、ただし、日本経済成長が非常に早かったために、いまおっしゃるように、日本国民総生産等に比べますと、振替所得の割合とかあるいは社会保障支出費の割合というものが、あまり伸びてい危いような形になっております。しかしこれは絶対額においては相当伸びておりますことは、大原さんも御承知のとおりであり、またわが国は社会構造、家庭構造等にもかなり欧米と違うところがございまして、社会福祉の対象として論ぜらるべきものが、いい悪いは別といたしまして、家庭内の家族的な措置をもってカバーをされてきたようなそういう特殊の国情などのございますことも、従来は考えなければならぬ点であったと思います。しかし今日家族等につきましても、核家族というような状況が著しくなってまいりましたし、また家族扶養、家族福祉というようなことが社会福祉に置きかえられるような時代になってまいりましたから、これからいよいよ私ども社会福祉の充実に対する仕事が大きくなってきておることを私も自覚いたしますので、御激励にこたえて、これは医療保険ばかりではなしに、事実また厚生省の予算一兆三千億ございますが、その相当大きい部分が医療保険の助成費に食われているというようなことだけでもなかなか前に進めませんので、医療保険についてもやるべきことはやりながら、先ほど来申しますように、御激励にこたえて社会福祉の向上ということも、これからも大いに私はやりたいと努力を続けます。
  19. 大原亨

    大原委員 あなたがどういう壮大な構想で反論されるのかと思ったら、非常に貧弱な論拠であったということを非常に遺憾に思う。あなたの論駁の要点は、日本には家族制度の伝統的なそういう風習があったから社会保障前進社会保障がよくなくてもよかった、極端にいうとそういう意見であります。しかし今日は、好むと好まざるとにかかわらず、高度成長で人口の流動が始まりまして、過密、過疎になっていて、農村には年寄りが残っておる。働き手は都会に出る。都会では住宅難、過密、いろいろな生活条件が悪い、そういうことで家族は分離する、老人家庭がたくさんになってくる、あるいは病気がいろいろ複雑になってくる、こういうこと等を通じまして、たくさんの問題が残っておるわけですから、これを国の政治責任でカバーするということ、これが新しい政治の方向です。そういう高度成長に見合うような福祉行政の展望というものがないというところに、後手後手になっておるということがあるのではないか。ただし、この論争は、きょうは論争をやるのがきょうの目的ではありませんから、少し本論に入ってまいります。  私がきょう御質問いたしたい点は、いまも話がございましたが、薬務行政について、厚生省がやっている薬務行政の中ではたして今日の管轄が妥当でありやいなやということであります。というのは薬務局の中には、御承知のように通産省等がやっておりまする企業の助長行政の面もあるわけです。あるいは横割りの国民の立場から、医療や保険の立場から横割りの立場でそれを監視するというふうなそういう立場もあるわけであります。そういたしますと、そこに企業の助長と、そしてお互いに国民の健康の立場からやる厚生行政との間においては矛盾を来たすのではないか。もしそういう矛盾をかかえたままで薬務行政を進めるという場合においては、矛盾を克服するようなそういう方針がなくてはならぬのではないか、こういうように私は思うわけです。その点に対しまして、厚生大臣は、いままでの大臣の経験の中からどのようにお考えになりますか、お答えいただきたい。
  20. 内田常雄

    内田国務大臣 大原先生は社会福祉あるいはまた医療薬務行政等については非常に造詣の深い方でございまして、私とあなたと問答をいたすのはきょうが初めてではございません。私が大臣に就任をいたしまして後、一年数カ月のほとんどの期間を通じましてあなたの御所見も承ってまいり、また意見を交換する機会もございまして、私はあなたから啓発されました点が実は多々ございましたことをここで大いに感謝をいたすものでございます。結論だけ申し上げますと、いまあなたが述べられたことに関します限りは、私は全く同感でございます。ことに、私は従来薬務行政医療行政等に直接縁故がなかっただけに、とらわれざる白紙の気持ちを持って、しかも何もわからないということじゃなしに、私は私なりに勉強もし努力もいたす、そういう意欲も持ちまして、実は厚生諸行政にも対処いたしてまいったことは、半分くらいは大原先生も私の批判ばかりなさら安いでおまえのやっていることも認めるとおっしゃってくださればと思うわけでございます。  いまの薬務行政につきましては、おっしゃるとおり助長行政と管理監督行政と両面がございますが、一口で申しますと、私は国民に安心して信頼されるような薬をつくり得るような企業を育てるような助長行政をやるべきであるということをまず一つ考えます。たとえば、助長ということは、やはり薬というものは慢性毒性の研究も安全性の研究も必要でございますし、あるいは有効性の実験も必要でございますから、そういう試験や実験ができるような施設を持たせるような形で製薬企業というものを指導すべきだと考えますし、またこれまでしばしばあなたもおっしゃったように、またあなたの友だちがおっしゃるように、薬が非常に多過ぎる。しかもそれらの有効性等につきまして二重盲検法等の採用が必要であるということも私は気づきまして、実はかなりやかましく担当の薬務局方面も指導をいたしておりまするし、また業界にも実は当たっておるわけであります。これは一年半の間に一挙に全部できておりませんけれども、そういう方向に向かっての努力や反省が行政官庁の中におきましても、また製薬業界におきましても起こりつつあることも私は感じておるところでございますので、さらにこれに十分の検討を加えながら、所期の方向を進めてまいりたいと思います。
  21. 大原亨

    大原委員 いま健康保険法が社会労働委員会審議をされようとしているわけです。それにも関連があるわけですけれども、きょうは薬務行政、特に医薬品の自由化に関連をしての医薬品メーカーの体質改善の問題に焦点を当てて議論をしたいと思います。  日本医療保険欠陥、医療制度の欠陥というのは、いつもいうように常に医療を求める側、患者負担とか保険料を支払う側、そういう側だけに片寄って、そして赤字対策を繰り返してきた。相原主計官がおられるが、大蔵省の圧力によって赤字対策ばかりやってきた。社会福祉医療行政をどういうふうに進めるかという大局的な観点を見失っておる。したがって、技術が非常に低く評価されている。そして売薬医療によって医療保険というものが崩壊寸前になっておる。身体に対する環境汚染や直接汚染の問題とも関連をしてそういう医療の医薬品による事故等も続発している。つまり結論的に言うと、日本の医療の中で病院や診療所医師の世界、それと医薬品の世界、そういう世界においては悪貨が良貨を駆逐している。グレシャムの法則が支配している。ですから国民の立場に立つと、全く納得のできないようなことがたくさんある。そういう問題について私どもが総合的にメスを入れていかないと、日本医療保険の改革はできない。そういう面においては単なる党派にとらわれないあるいは一つの圧力団体にとらわれないそういう改革案を政党は責任を持って提示すべきである。そういうことをやらないで、一部の圧力団体等に屈服して、一つ一つを手直しをして目先だけの修正案に追い回されているからだんだんと矛盾が大きくなってきている。だから医療保険改正をやればやるほど矛盾が大きくなってきているのがいまの実情ではないか。これは党派の問題ではない。われわれにも反省すべき材料がもちろんあると思うけれども、そういう点ではわれわれは医療保険法の構想を示して、いままでとはかなり違った観点からこの問題を取り上げようとしておるわけですが、医薬品の業界においても悪貨が良貨を駆逐している。良心的なメーカーというものは成り立っていかないようになっているのではないか、こういう大きな欠陥があるというふうに私は考えるが、この問題についてはこまかな議論は別にいたしまして、厚生大臣はどのようにお考えか、ひとつ所見を聞かせてもらいたい。
  22. 内田常雄

    内田国務大臣 医療の組織あるいは体制、これは公費医療とか保険医療等を含めましての将来構想というものは、ぜひ総合的にこれの建て直しといいますか、確立をはかるべきだと思います。ただ、いま大原さんが抽象的におっしゃられたことと、また私がばく然と考えていることと一致する面も一致しない面もあると思いますが、このままでいいと私は決して考えません。  さらにまたきわどい接触面も、保険医療と公費医療との接触面もあると思いますので、正直に申しますと、これは大蔵省がどういうかは別にいたしまして、これは大蔵省は財政的見地から意見も出すでしょうけれども、私厚生大臣といたしましては、公費医療をもって論ずべき面というものもいままでよりもさらに整理をしつつ、対象も広くとれるであろうというふうに感ずるものでございまして、それらの再検討も当局に命じておるわけでございます。もちろん老齢者につきましては、公費医療の面を大幅に取り入れるべきだと私自身は考えます。ただし二年前、私どもの先輩が関係審議会に諮問をいたしておりますところは、老人保険につきましてもやはり保険医療ということで、老人保険制度というものを一つのアイデアとして、試案として諮問にくっつけておるようでありますが、これはしかし時世がだいぶ変わってきているような面もあるように思いますし、関係審議会も公費医療についての意見というものを昨年私どもに示してきておりますが、そういうよう主点につきましてもより根本的に考えてまいりたいと私は思います。ただし昭和四十二年の特例措置、また四十二年の特例を本法に入れかえたような措置をもって、保険医療の体制がそのままいけるということは、これは自他ともに思っておらなかったところでございまして、国会におきましても、政府は少なくとも最も近い機会に抜本改正の機会を示すべしという御要望もございましたし、また厚生省も二年以内にその方向を示すというようなことを国会でも述べておるわけであります。しかし関係審議会にはいろいろの意見もございますし、本来複雑多岐の面もございますので、その抜本改正の報告につきまして、まとめた御答申もいただけないままに報告すると、政管健保等は財政的に崩壊するというような事態もありましたので、私は抜本改正への地ならし、これは第一着手ということばを使ったり第一歩というようなことばを使ったりしていろいろな方面から御批判を受けたりおしかりを受けておることは承知なんですが、少なくとも抜本改正の地主らしということで今度の法律案を出しておるというわけでございまして、それ自身が抜本改正の全部とは思いませんので、今後ともこの地ならしの上に本建築を——皆さま方の御意見や、関係審議会も熱心に審議をしてしかるべく早く答申を下さるということになっておりますので、これの本建築に取りかかりたいと思います。また薬のことにつきましては、日本にはとにかくかつて許可した薬が十万以上もあるということでございますし、薬価基準なんかに登載されておるのも六千とか八千とかいう数字でありますし、かつまた従来はそれに加えてかなり毎年いろいろ主薬の承認もいたしておったことでありますし、このまま放置いたしますとそれはますます薬の品種が累積するだけでありますので、この辺でもう腰を落ちつけて、過去に累積した薬の整理とか、あるいは今後新しく承認する薬の承認のあり方について、昭和四十二年に新方針をきめたということを私は当局から説明を受けておりますけれども、四十二年からもう四年もたっておりますから、またそれは大原さんの熱心なる御意見もありますので、大原説も取り入れつつ、私はそういう承認につきましてもやはりもう一ぺん見直すべき時期だということをたいへんやかましく実は申し入れておるわけであります。ことにその間、地方への製造承認の委譲というようなことも、すでに委譲してしまったものはしようがないが、風薬にいたしましても胃腸薬にいたしましても、簡単なものは地方限りでどんどん承認するということにつきましても、私は検討すべきだ、こういう気持ちも持ちまして、一応いまのところ新しく地方委譲の対策を再検討をさしておる、こういうようなこともいたしております。要はあなたがおっしゃられたそのままではありませんが、それは大いに私どもの反省材料として、これは政党政派を乗り越えて、薬の行政や薬に対する国民批判、信頼度というようなものに十分こたえてまいる、こういうつもりでやってまいりましたし、今後私は、厚生省におることもないでしょうが、もしおります限りは努力をもちろん続けてまいるつもりであります。
  23. 大原亨

    大原委員 質問を進めてまいりますが、昨日も法務委員会で、私は、公害の無過失責任の問題で、食品公害、薬品公害、野党三党が出しております案を中心として政府側にも質問いたしたのであります。野党の出しております案を私は万全なものではないと思っております。各方面からいろいろな意見が出ておる。しかしサリドマイドの問題にいたしましても、キノホルム整腸剤でスモン病の問題にいたしましても、いわゆるアンプルのかぜ薬等にいたしましても、医薬品のそういう事故等もかなり起きておる、裁判等も起きておるわけであります。そこで私は、こまかい質問はいたしませんが、食品衛生法については、これは改正するということで、改正の目安をかなり具体的に示しておるわけであります。薬事法について、私は、薬事法の総点検をすべきである、改正をすべきである、どういう点をどのように検討しているか、これは議論をいたしまして、かなり長いのでありますが、そういう点についてあらましを政府委員のほうから御答弁いただきたい。
  24. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 薬の問題につきましては、先生御指摘のように、いろいろ問題があるわけでございますが、薬事法改正する必要があるかないかということにつきましては、昨今来検討を進めております。現在の薬事法で、たとえば政令でありますとか、省令でありますとか、あるいはその他告示等を含めまして、運用点につきましても、私は相当の運用上改善をはかるべき、薬事法の厳格なる運用と申しますか、あるいは薬事行政の科学的な水準の向上という点につきましても、だいぶ改善する点があるということで、現在そういうような運営面における改善点を研究を続けております。なおかつそれで不十分な場合には、当然先生の御指摘のように法律改正等も積極的にやらなければいけない、かように考えております。
  25. 大原亨

    大原委員 この問題だけ時間をとるわけにいきませんが、たとえば私はこういう問題があると思うのです。最近の新聞で、裁判で非常に悲惨な場面が出ておりますが、サリドマイドの問題にいたしましても、大日本製薬がサリドマイドを発売いたしまして——これは厚生大臣に申請いたしまして、厚生大臣は薬事審議会にかけて許可いたしました。日本薬事法によると、薬品の許可の申請はメーカーの申請による申請主義、そうして文書による申請である。したがって、書類審査をいたしまして薬を許可することになるわけです。しかしサリドマイドを発売いたしまして——発売のしかたが問題です。医薬分業がなされていないということも問題です。そういう点は問題ですが、とにかくサリドマイドを妊産婦が睡眠薬に利用いたしますと、その胎児が奇形児になる、そういう問題が出てまいりました。その問題がだんだんと社会問題になりまして、特に西ドイツのレンツ博士等の学説等を契機にいたしまして、サリドマイドと奇形児の因果関係が明白になってきた。しかしながら日本厚生大臣も被告側に立っておる、メーカーだけでなしに厚生大臣も被告側に立っておる、これは外国の立法例を見てもおかしい。というのはメーカー厚生大臣が被告になって、被害者が原告になっている。そうすると弱い被害者はメーカーと政府を相手にして裁判しなければならぬということになる。許可した政府に責任がある、民法による不法行為の共同責任であるというふうにいわれておるけれども、しかしそれはおかしい。厚生大臣は大日本製薬がサリドマイドを申請するときにあたって、その資料の中に妊産婦に対してサリドマイドを連用すると奇形児が生まれるというふうな研究資料が当時なかった。もしメーカー責任法律上明確であって、そういう問題について完全な資料を出すあるいは副作用について追跡をする責任がある、こういうふうなことになっておるならば、厚生大臣はその当時許可した書類の範囲内で責任を負うのであって、もし大日本製薬が申請いたしました書類に不備があるならば、その点については企業側の責任を追及すべきである。被告になるのはおかしい。これは私がスイスに行きまして西ドイツに行きまして調べてみましても、そういう法律ができているところもあるし、法律ができていなくても企業が全部の責任を負うことは当然であるといっている。厚生大臣はそういう場合に被害者の立場に立って被害者に助勢すべきである。そして裁判が長引くならば、この医療に対しては国家補償の精神でメーカーにかわって払いながらメーカーに補償させるというふうな方法もあるだろう。そういう手を打たないで、サリドマイドにおける被害の子供が、当時胎児でありましたから、もうだんだんと青年になりつつあるわけでありますが、その親権者等に対しまして敵対関係において裁判を続けるというふうなことはおかしいわけです。企業責任が明確でないから医療事故がどんどん出てくる、医療品事故が起きてくるということもある。日本の医薬品企業の体質にかかわる問題もあるから、そういうこと一つをとってみても法律改正法律の運営が必要であって、企業責任を明確にするということを通じて、野党が出しているような医薬に対する無過失賠償責任の問題などは、これは明らかにこの薬事法の運営の中で、政府が行政措置の中で、行政取り締まりの中で措置をすることができる、こういうことになって医薬品業界から起きている野党案に対する不満というものもなくなってくるだろう。薬事法については薬効の問題もあるので、たとえばアメリカはメーカーの申請主義ではないのです。第三者の研究機関においてこれを点検する、あるいは客観的な二重盲検法を採用する。そういうことをきびしくして、いままで野放図に放任をされている——十数万、こんなでたらめな国はない、フランス等でありましたら、新薬を許可いたしましたら、いままで寝ておる薬なんかは全部回収していって、全体としては薬の許可品目というものは一、二万にとどまっているというのが実情です。日本は、一回許可されると、それを模倣いたしますれば幾らでも企業ができるということで、メーカーの数も外国の十倍近い数になっている。政府は全然監督もしていない、そういう実情ではないか。だから私は、薬事法について、それらの問題を踏まえて積極的に抜本的な改正をすべきであると思う。われわれ野党が薬の公害の問題について無過失賠償責任の対象とした、政府は原案を出さないけれども、そういうことは一つ対策であって、薬事法改正する、食品衛生法を改正して、ほんとうに国民の健康本位の、納得できるような立場に立って、被害者の意思が貫徹できる、救済できる、こういう取り締まり法規にすべきであると思うけれども、そういう改正については考えていないのかどうか、お答えいただきたい。
  26. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 企業の許可につきまして厳正に四十二年からだんだん行なっておるわけでございますが、先生御指摘のように、メーカーの申請に際しましてだんだんときつい条件を加えておりますが、なお改善をすべき点が多々ございます。毒性試験でありますとか催奇性の問題でありますとか、従来からだんだんきびしくしておりますが、先生いま御指摘のように、たとえば前に一度許可をいたしました薬でありますと、他のメーカーはすべて試料なしで許可をもらう、あるいは副作用の報告義務等につきましても、現在新薬につきましては二年間の義務を課しておりますが、それをさらにいろいろ検討いたしますとか、現在の法律の運営でもさらに改善をすべき点は多々あるわけでございます。いま、メーカーの数が非常に多い、しかも監督が不十分であるというような御指摘でございますが、こういう点につきましても、たとえば許可の際の構造設備基準等も実はまだまだ基準を強化する必要があるということで、相当数多くの現在の規制の基準等もレベルアップする必要があるということを私は痛感いたしております。そういうことをやりましてもなおかつ先生御指摘のような法律改正が必要であるかどうかということにつきましては若干時間をかしていただきまして研究いたしまして前向きに取り組みたいというふうに考えます。
  27. 大原亨

    大原委員 いまの法律、政令は戦後のどさくさのときに起きてきたわけです。しかし、いまや日本の高度成長と同じように医薬品の企業の生産高は世界第二です。量は第二であるけれども質はだめです。日本の薬は大体インチキくさいというようなことが相場になっているわけです。だから企業の体質を改善しなければならない。漫然と戦後の惰性を今日まで続けてはならぬということであります。特に化学やその他が発達いたし、いろいろな化学物質を使う。身体に対する直接間接の化学物質による汚染が始まっておる。そういうときですから、そういう点を綿密に検討しながら、薬事法については抜本的に改正すべきである。これをしかるべき機関にはかって、最も近代的、科学的な薬事法をつくるべきであると思うわけです。これは私は、医療保険の抜本改正、医療の抜本改正の中では非常に大きな分野であると思う。厚生大臣、いかがですか。
  28. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほども述べましたこととも関連いたしますし、重複いたしますが、私は白紙の状態で一万メートルくらい高いところから、いまの薬事行政あるいはまた薬事法の構造等を見おろした気持ちになってみますと、これはできるだけ早い機会に再検討をして法律改正に及ぶような、そういう作業を開始したほうがいいというふうに実は思うようになってまいっております。ことにまた無過失賠償責任の方式等につきましては、あなた自身がおっしゃっていましたように、食品、薬品等をああいう公害に伴う無過失賠償責任の体系の中に入れることは、事柄自身についても適当でないと思われることを感じておるものでございますが、それは薬事法等における行政管理の仕組みの面において対応できる、また対応すべきことではないかというあなたのお説そのままではございませんけれども、私はそういうことに耳を傾けることが必要だと正直に思っております。
  29. 大原亨

    大原委員 大気の汚染や水質の汚濁やあるいは食品公害、薬品公害というように、野党三党の案は広範な公害に対する無過失賠償責任を出しているのです。しかし薬は、薬自体は毒である面と、毒を使えば薬になる、薬効を発揮して治療の面に役立つという二つの面がある。この二つは一つなんです。ですから薬のマイナスの作用の面、サリドマイドが催奇性を持っているということ、そういうことだけを取り上げて無過失賠償責任を追及するということになると、医薬品の開発を妨げるということになる。これはメーカーの諸君や薬剤師の諸君や学者の諸君が言われていることが当たると思う。しかしいまのようなでたらめな薬事行政では被害者を保護できないじゃないか。こういうことで、野党三党による案は医薬品問題を提起しているわけです。ですから食品衛生法などと同じように薬事法を抜本的に改正するという気がまえがないと、野党の案に対して皆さん方から批判をすることはできない、こういうように私は思うのです。  そこで医薬品の体質の改善の問題ですが、いよいよ第四次の自由化の中で医薬品に対する資本自由化、いま五〇%ですが一〇〇%自由化が迫ってきているわけであります。この自由化に対しましては、こまかな点はあとで質問するといたしまして、医薬品の自由化に対しましては概括的に厚生省としてはどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたい。
  30. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 昨日外資審議会で第四次の自由化の問題が取り上げられましたが、日本の薬業界は一兆円の成長を遂げつつあります。中身は先生がおっしゃったとおり、半分ほどは外国の影響をいろいろ受けておるわけでございます。中身につきましてもいろいろ問題があるわけでございまして、特に技術開発力とかあるいは内部の蓄積等はまだまだ不十分でございます。やはり薬の問題は技術の問題が第一番に考えなければならない問題でございまして、こういう点につきましては、外国の企業と比べてまだ不十分でございます。したがいまして、自由化の問題につきましてはやはり慎重な態度で臨みたい。この問題は、もうしばらくは企業の技術の開発力の増強という見地を強めるまでは現在の体制でいきたいというふうに考えております。
  31. 大原亨

    大原委員 私は結論としてそう思っているわけではないが、医薬品については自由化する、あるいはWHOその他国際的なそういう保健機構の確立をしていく、そういうことで国際的な観点で医薬品についての保健上の基準や監督を強化していく、そういう国際的なことは私は避けて通る必要はないだろう、原則として正しいことであろうと思う。しかしいままで申し上げたように、日本の医薬品は確かに高度成長して、アメリカに次いで世界第二位であるけれども、しかし輸出は、三%ないし四%しか輸出をしないということになっている。ものすごい勢いで日本の病院や診療所に対して売り込み競争をやっている。これはもう弊害がきわまっている。そういう実情です。ですから私は、日本の医薬品は外面からいうならば、企業としては生産量が多くなっているんだから、株の値段を見てみましても、三百円、四百円、五百円、六百円というのがあるわけです。ですから私は、こういうふうに積極的に、日本の医薬品企業の体質を改善するような助長行政厚生省が持っておることの是非は別にして、そういうことをどんどんやっておいて初めて自由化の問題について発言力があるのではないか。いまのようにどたんばにおいてこの問題を提起して混乱させて、どういう現象が起きるかということになれば、私はマイナス面が起きてくるだろうと思うわけです。いままでやることをやってないのじゃないか。薬事法の問題でも私は申し上げた点であるし申し上げたい点であります。そういう点が努力が足りない。非常に安直なメーカーが多くなっている、簇生している。これは薬価基準の問題、健康保険制度の問題、薬の値段のきめ方の問題があるだろう。あるだろうけれども、それにしても新薬として薬価基準に登載する問題もあるだろうし、それにしても日本の医薬品企業の質ということになれば、これは非常に大きな問題である。したがって私は、いまのような現状で資本の一〇〇%自由化をやるならば、いろいろなマイナス面が起きてくるのではないかと思う。これは一方でいうならば厚生大臣の怠慢である。であるけれども、現状は現実の事態である。医薬品の資本の一〇〇%の自由化をやっていかなるマイナス面が起きてくるのか。いまのままで自由化を一〇〇%やれば、どんな面でマイナスが起きるのかという点について、問題点を整理しておられてしかるべきだろうと思う。大体第一次、第二次、第三次の自由化においては、医薬品は、五〇%自由化までは自由化の目玉商品だというふうにいわれた。医薬品については五〇%の自由化をやっておりますよというのが、自由化をやっておる一つの大きな宣伝になっていた。しかしながらそれに見合うような日本の医薬品企業の体質改善がなされていないのではないか。このままで自由化したならば、マイナス面が起きるのではないか。予想されるマイナス面とはいかなるものであるかという点についてお答えいただきたい。
  32. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 完全自由化、つまり資本の自由化をいたしますと、どういうふうなことが考えられるか。第一には技術開発力の成長等につきまして、いわゆる成長率というものが衰える、いわば現在でも日本の企業は外国の影響を受けておりますけれども、さらにその度合いが深まりまして、いわゆる独自の成長力というものがなくなるのではないかということを心配いたしております。  それから現在、ものの自由化は行なわれておるわけでございますが、実態的にも日本の薬の半分は外国の薬の影響を受けております。それに現在外資系の会社が約七十八社ほど参っておりますが、こういう点がさらに業務拡大をはかりまして、外国の資本の影響が非常に強くなる。たとえば価格等につきまして国際的な影響が非常に起きてくる。したがいましてまた医療上の問題が価格の面等からもいろいろ出るのではなかろうかというふうに私は考えております。
  33. 大原亨

    大原委員 いまのお答えは、ものの自由化、技術のほうはすでに自由化されておるあるいは原料等を輸入している。輸入して日本で製品をつくっている、あるいは資本の自由化は五〇%やっておるわけで、いまのお話のように七十八社くらい入っている。それを基盤にして資本の一〇〇%自由化をやるならば、外国資本が日本の市場を席巻するのではないか。一般に外国は日本よりも技術が優秀です。そのためにそれが資本を持ってきたならば、日本メーカーは大体においてぺしゃんこになるだろうと思われるわけです。そのことが国民にとっていいことであるならば何ら問題はないであろう。しかしながらわれわれは国民経済の観点から、国民医療の観点から考えてたとえば日本の市場を大部分支配するようになって、そして独占価格、寡占価格で値段を引き上げるということに表れば、国際的な独占価格の問題が起きてくるだろう、そういう問題をたくさんかかえておるわけであります。この問題については、最終的には外資審議会の答申で大蔵大臣がきめるのではないかと思うのですが、大蔵省はこの問題についてどういうふうな認識を持っているのですか。医薬品の資本の一〇〇%自由化についてどのような見解を持っておりますか。
  34. 道正信彦

    ○道正説明員 ただいま御指摘の点でございますが、大蔵省といたしましては、先ほども厚生省のほうからお答えがありましたように、昨日外資審議会を開きまして、第四次自由化の進め方について諮問したわけでございます。その方針の中には、まだ五〇%まで自由化していないというような業種につきまして、これを極力自由化いたしまして、自由化しない業種の数を非常にしぼるということを主眼としておる。同時に、現在五〇%自由化しておるというような業種につきましてこれを一〇〇%まで持っていくということにも格段の努力をするというような基本方針をきめたわけでございます。ただいま御指摘になりましたように、医薬品の業種につきましてどういうふうにするかということでございますが、一次、二次、三次と、一次で五〇%に自由化した業種でございます。二次、三次の場合におきましても、これを一〇〇%まで自由化できるかできないか外資審議会の席におきまして議論が重ねられたわけでございます。そういうような情勢は現在もそう変わっていないということはございますけれども、第四次自由化はいままで行なわれました自由化の総まとめといたしまして、締めくくりといたしまして格段の努力をしたいというような見地からもう一回厚生省のほうで検討していただいておるというふうに考えておりますし、それから各省間あるいは外資審議会における議論が六月、七月と繰り広げられるわけでございまして、その席で具体的にきまっていくというふうに考えておるわけでございます。
  35. 大原亨

    大原委員 医薬品の自由化は今日までかなりのテンポで進んできたわけです、資本についても技術についてはもちろんですが、しかし大体いわれておるのは、私が調べてみると、自由化の目玉商品のようになっているというのは、厚生省が案外このことについて、実情について、政府の部内におきまして議論をしていないわけです。最近これはたいへんだということになっておる。日本は技術が非常に低いわけです、模倣ばかりしておったわけですから。そしてマスコミに乗せてじゃんじゃん国内で消費しておったわけです。そのことが日本医療保険の赤字の原因になっているわけです。先ほど申し上げたように、医薬品メーカーの中では悪貨が良貨を駆逐するようになっている。研究開発の能力とか、副作用の追跡能力というものが非常に弱い。企業の責任が不明確だ、こういうことがあるわけです。これはすべて政府の責任です。厚生大臣責任です。責任ですが、そのままでもし自由化したならば、これは国際的な独占価格の問題を含めて日本の市場というものがどうなるかという問題にもなるわけです。ですからその実情は十分自主的に判断しながら、日本の医薬品行政の体質を改善していくということに厚生省が十分の努力をするという観点で総合的な見通しを立てるべきである、こういうふうに国民の立場から考えるのでありますが、いかがですか。
  36. 道正信彦

    ○道正説明員 ただいま御指摘のとおりで、厚生省のほうでそういうような長期的な見通しに立ちまして日本の医薬行政を見ておるということは、現に厚生省のほうでやっておられるというふうに私ども考えております。そしてこの結論が六月にでも出てまいる、その結論を見ました上でわれわれはさらに検討していきたい。それからまた外資審議会における議論もその前提で始まるのではないかというふうに考えております。
  37. 大原亨

    大原委員 問題は、薬務局長もお答えになりましたが、日本の医薬品企業の体質をどう改善するかという問題だと思うのです。体質の問題は何かというと、技術とか開発とか研究とか、そういう研究部面に日本の企業が努力をしているかどうか、日本の政府が努力しているかどうかということです。これは普通の企業とは違って特別な規制を受けるわけであります、医薬品は。というのは国民医療にかかわる問題ですからね。  そこで、私は一つは、体質改善をする問題としては特許法の問題があるのではないかと思う。きょうは特許庁長官の列席をいただいておりますが、特許法をどうするかということは、厚生省自体の問題でありますが、その権限は特許庁が持っているわけであります。  日本は医薬品については、長官も御承知のように製法特許になっておるわけです。法律の仕組みにつきましては、専門的なことは抜くといたしまして、製法特許になっておる。ですが、製法特許は幾らでも模倣できる仕組みであります。一つの薬品をある会社が研究費をかけて開発いたしますと、後発メーカーはその製法の過程を改正していけば、これは新薬として同じように許可されることになります。だから開発努力をするよりも、外国から技術を輸入して広告宣伝に乗せて安直に商売したほうがもうかる。そういうことで、日本の医薬品の企業はもうかっておるわけです。  そういうことでありますが、ヨーロッパの主要先進国でやっておるように、製造特許だけでなしに、物質特許をこの際医薬品についても適用すべきではないか。この問題は私も特許法の改正の際にも、私の結論的な意見としてではなしに議論をしたことがありますが、特許庁はこの問題についてはその後どういうふうに扱っておるか、お聞かせいただきたい。
  38. 佐々木学

    ○佐々木政府委員 御指摘のように、医薬につきましては現在方法の特許だけでございまして、物質特許はございません。しかしその後国会の諸先生方の議論等もございましたので、特許庁といたしましては厚生省の担当の方々、それから特許庁の医薬担当の審査官、それから業界の方々と、四十四年の半ばから四十五年にかけまして検討会をいたしまして、かりに物質特許を認めるという場合にはどういう問題点があるかという検討をしておった次第であります。  なお、この法律改正につきましては、審議会の答申も必要でございますので、本年の三月下旬、工業所有権審議会が開かれましたが、その審議会では取り上げるべき議題にはまだ決定しなかったのでございますけれども、次回の審議会でおそらく検討すべき項目として医薬特許の問題が取り上げられるのではなかろうかと考えております。この審議会で結論を得ますれば特許法の改正というふうになるかと思います。
  39. 大原亨

    大原委員 たとえばこのままで物質特許を審議会で採用するということになれば、いつごろを目標に実施されますか。
  40. 佐々木学

    ○佐々木政府委員 これはいろいろ問題点がございまして、たとえば現在までも物質特許が認められていない理由といたしまして、国民の健康、保健という公益上の点もございます。この点につきましても、いわゆる厚生省もいろいろ御意見もあろうかと思いますが、それから特許庁サイドといたしましても、医薬について物質特許を認めた場合でも、その医薬特許の精密性と申しますか、それについてはどの程度にするか、あるいは特許権をどうするか、それから医薬用途の表示方法をどうするか、たとえば現在の薬効分類表にはいろいろの分類がございますが、その場合に中分類でいくのかあるいは小分類でいくのかといったような問題、あるいは医薬についての発明の同一性をどういうふうに考えるか、あるいは発明の新規性についてはどういうふうに考えるか、非常にこまかい特許審査上の問題も残っておりますので、早急というわけにはまいりませんが、私どもの希望といたしましては、あと二年くらいで審議会の結論を得て、そして法律化していきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  41. 大原亨

    大原委員 厚生省はどう考えておりますか、いまのは。
  42. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 医薬につきましての特許の問題は、十年くらい前までは関係業界、関係者も、いろいろいま特許庁長官がお答えになりましたように非常に問題がございまして、どちらかといえば消極的でございます。しかし最近は、研究技術開発力がまだ十分で危いとはいえ、昔からすればだいぶ出てきたわけでございます。そういう点でやはりさらに技術開発力を増強するという観点からしますれば、やはり物質特許の方向でいきまして、そして努力をすることのほうが、企業の成長なり技術の開発に大いにプラスになるという考え方に変わってきておりますので、物質特許につきましては、以前よりもずっと積極的になっております。
  43. 天野公義

  44. 大出俊

    大出委員 大蔵省の相原さん、また自治省の石見さん、時間の関係があるというお話しがありましたので、先ほどお見えになっておりませんでしたから、こちらに譲りましたけれども、せっかくお見えいただいてあまりお待たせできませんので、ちょっと私のほうからさっきの質問の続きを聞かせていただきたいのでありますが、清掃法公害国会改正されまして、廃棄物処理というところを重点に、これから処理基準を環境庁がきめて、あと自治体の相当な負担になるというわけであります。そこでまず承りたいのは、現在一般家庭廃棄物等の処理場をつくる、自治体がそういうことをやる場合に、奨励補助のような形になっていると思うのでありますが、また起債という問題があるわけでありますから、そこらは一体大蔵省、予算の側で現状をどのようにお考えになっているか。補助金にしてもあるいは起債その他についても、たいへんめんどうな問題がある、補助金が少な過ぎる、そこらの点をまず伺いたいと思います。
  45. 相原三郎

    ○相原説明員 大蔵省のほうからお答えさせていただきます。  四十三年度をまず例にとりますと、ごみ処理施設につきましては七億、採尿処理施設が二十二億七千八百万、相当採尿処理施設と差があったわけでございます。これは当時の状況から考えますと、ごみの問題よりは採尿処理が非常に緊要であるということで、こちらに重点的に金がついたということだろうと思います。四十六年度の姿から見ますと、四十三年度に七億のごみ処理施設が十五億九千万になっております。そしてこのほかに産業廃棄物処理施設分として一億円別途計上しておる、したがって、両方で十七億近くのものが計上しておるわけであります。一方採尿処理施設を見ますと、四十三年に二十二億七千八百万であったものが、二十六億七千万と増加しておりますが、ごみ処理施設のほうの増額がきわめて著しいという姿がごらんいただけると思います。こういうぐあいで、私たちといたしましても努力しているわけでございますが、ただ、おっしゃいますように、実情を聞きますと、非常に単価が低いということでわれわれも責められているわけでございます。四十五年度、四十六年度両年度につきましてごみ処理施設について相当充実しておるわけでございます。ことに四十六年度に関しましては、公害問題もうるさくなったということで相当注意を配り、厚生省とも十分御相談の上この金額になったわけでございますが、何しろ非常に希望が多いので、したがって、どうしても希望を満たすためには若干単価の点で御不満の点も出てくるということで、そのほかは起債で十分できるということで努力いたしておりますが、この問題は、なお今後の問題として十分考えたいと思います。
  46. 大出俊

    大出委員 相原さん、いま、公害問題がうるさくなった、こういう御発言がありましたが、これは、うるさくならぬとおやりにならぬということですね。これは妙な話でございまして、大臣にも一言申し上げておきたいのだけれども、うるさく言わぬとおやりにならぬということになると——さっきも、実はいろいろなことがあったものですから、一言うるさく言うておかぬとものごとは決着がつかぬものですからぼんぼんと言ったのです。それだけのことでありますが、やはり言うところはうるさく言わぬといかぬようでございまして、例をあげて申しますと、これは何ともひど過ぎるという感じがするのです。私は横浜に住んでおりますから横浜の例で恐縮なんだけれども、旭工場というのを、ごみ処理施設ですか、建設をする。これは合計三十六億五千二百五十四万九千円、こういう数字になるのです。用地購入費が四億二千七百七十六万八千円、用地の造成費が三億六千八百七十三万五千円、そして施設の建設費が十一億三千三百八十五万、焼却装置が十五億二千四百九十万、共通工事費が一億九千三百四十一万五千円、事務費が三百八十八万一千円で、合計三十六億五千二百五十四万九千円かかるのですね。これは実は一つの自治体でやろうとするとたいへん苦しいわけですよ。一つじゃ済みませんからね、もう一ついまつくっておりますが、これが大体完全にでき上がって、どのくらいの能力があるかというと、二十四時間稼働で、五百四十トンのごみの焼却処理ができる、こういうわけです。ところが、この財源の内訳は、国庫補助がわずかに三千万なんですよ。三十六億五千万からかかるところに、国庫補助三千万。それから、県費で補助してもらっているのが一億二千六百万。それでも県が一億二千六百万出しているわけですね。市債が十九億六千七百万、市費が十五億二千九百万、こういうことなんです。端数がありますが……。そうすると、この内訳を見て、これは起債を求めれば、これは借金ですから、現在の家庭の一般の廃棄物の処理にあたっても、財源的には非常に苦しい中で相当な無理をしてやっているわけであります。そこで、横浜市のごみというのは、一般家庭廃棄物でございますけれども、一日に二千五百トンある。今回、これはくどいように申し上げておりますけれども法律改正をされて、産業廃棄物を含めて、つまり地上にある廃棄物のすべてが一般廃棄物、産業廃棄物になるわけですから、政令でどこに線を引くかという問題はありますけれども、市の分担部分が、ふえればといって減らない。そうなると、いまの処理能力は、片っ方がまだ全部できておりませんから、二つの工場を合わせて九百トンぐらいしか処理能力がない。どこかに廃棄場所をつくって捨てなければならぬわけでありますが、その場所が、横浜市内に、どこをどう考えても、反対が強く、全くどうにもできない。そうすると、これから先ふえれば、埋め立て権をいただいて、埋め立て地域をつくって、そこに公害防止の装置をつくった中に、海の中に捨てる以外に手がない、こういうことになるわけであります。だから、そうなれば焼却施設をもっとつくらなければいかぬわけでありますけれども、ところが、いまのような国の、つまり奨励、補助だからこのくらいやっておけばいいだろうというかっこうになっている、これじゃどうにもならぬというふうに考えているわけであります。そこへ政令が出てくれば、これは内田大臣のほうの分野でございますけれども、出てくれば、何かたいへんなものをまた考えなければならぬというので、いま横浜市と神奈川県で打ち合わせて進めておりますのは、神奈川県産業廃棄物処理公社みたいなものをつくろうと、いま計画をぼつぼつ考えてきているのでございますけれども、概算で三百億円かかるのですね、ちょっと考えても。進めていくともっとふえちゃうのじゃないかと思っているわけです。ところが、公害国会での大蔵大臣の答弁の中身からすると、法律はこうなったのだ、本来は自治体がやるべきなんだということで、すべて自治体におっつけたといわんばかりの答弁が実は幾つも出ている。時間がございませんからこまかく申し上げませんが……。そうなると先々たいへん心配しなければならぬことに去るし、三百億かけて三倍の処理公社をつくっても、いまの状況からすると五十一年でなければ発足できない。そうなると、これはよほど国が考えてくれぬと、それは厚生大臣の立場からすれば、所管ですから、この間肩入れをもっとしたいとおっしゃったけれども、そういう気持ちで進めても、大蔵省が切ってくるということになると、せっかくの公害行政が進まない。環境庁がこの点については最終処理基準をきめることになっているが、どうきめても、それにマッチしない。なぜならば、中小の工場は、法律が通っているわけですから、市にやってくれと言うに違いない。大企業のほうは金を出すから何とかしてくれと言うに違いない。そうなると、それこそにっちもさっちもいかぬことがで費上がりかねない、こういうことであります。ですから、先ほどの話のうるさくなったということですけれども、確かにこれはお説のとおりたいへんにうるさくなっているから、自治体のほうもうるさく言われるわけでありまして、だから、そこらのところをひとつ考えて、もう少しそこの考えの基本になるべきものをどうするかという点を確立する必要がある、こう思うのですね。また別な機会に大臣には質問しようと思っておりますけれども、いまの点についての御意見をいただいておきたいのであります。
  47. 相原三郎

    ○相原説明員 うるさくなったという表現はたいへん——職人はそういう表現を使いまして……。非常に要望が強くなったということでございまして、ただいま御指摘の点はまさに最近の廃棄物の処理に関する大きな趨勢であろうと思います。一つの市町村ではどうにもならない、したがって広域的に処理しなくちゃならないということで、現に大阪府が始めたようでございます。これに対して一億という予算を計上しておりますが、そこで問題になりますのは、産業廃棄物でございますから、産業もそれ相応の負担をすべきではないか、したがって国庫として見るべきものはやはり二次処理の部分ではないかということで、その辺を中心として考えているわけでございますが、確かに今後の方向としては、廃棄物処理の一つの大きな流れでございますから、そういう新しい時代の傾向というものは、大蔵省としても十分見て、ものを考えていくということだろうと思います。十分検討させていただきたいと思います。
  48. 大出俊

    大出委員 いま産業も処理をしなければならぬというお話で、確かにこれは新法のたしか十三条でございましたかの冒頭のところに第一次的に企業の責任は明らかになっているわけであります。そこでまた産業の側が金という問題を、これは工場地帯のある横浜でございますから、産業サイドからは金を出すからやれという声もある。そうするとそこの金のところは、どこがどういうふうにして金を一般産業から取るのですか。そこらはどうなるのですか。これはまずもって厚生省の側から承りたい。
  49. 浦田純一

    ○浦田政府委員 産業廃棄物の処理につきまして、それにかかる費用をどうするかという点のお尋ねでございますが、ただいま実はこれらの問題について、来年度の予算要求、ひいては新しく長期計画を策定するにつきまして、産業廃棄物の処理体制をまず確立しなくちゃならぬということで、現在、五月中にその計画を持っている都道府県のほうから計画案を提出させておるところでございます。それに基づきまして、予算提出に間に合うように私どもとしては費用の問題につきましても考えてまいりたい。  なお、これはいわゆる公害対策全般の問題にも関連いたしますので、関係の省、ことにただいま公害対策本部その他関係の省とも十分に検討してまいりたい。いわば費用負担の分担の割合ということになりますので、そのようにしてまいりたいと考えます。
  50. 大出俊

    大出委員 いまのお話なんですが、たとえば日石なら日石、横浜の根岸にありますが、集合煙突をつくって、秒速六十メートルで吹き上げる。それで逆転層の上に出すということで、あの施設全部を入れますと、日石の会社側が負担している金が八十億なんですよ。公害対策で大きな会社はそのくらいの公害施設をつくってもいいわけですけれども、しかし中小になってきますと、そうはいかない。そうなると、住民の側からすれば、それは法律に基づいて市がやれ、あるいは県がやれ、こうなる。その場合に、これは確かにほつぽっておけないから、何かやらなければならぬことになるわけだけれども、その場合にどういう費用分担というかっこうに具体的にはなるのか、そこらがさっぱりわからぬわけだけれども、どうお考えになっておりますか。
  51. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ただいま産業廃棄物の処理をどのようにしていくかということにつきましては、まず収集の体系、それからそれを処理する、それから最終処分する、このような段階があるわけでございます。少なくとも最終処分ということにつきましては、これはどうしても埋め立てとかその他適地を確保しなくちゃならぬという点で、これはやはり公共団体の責任において処置すべきものではなかろうかというふうに一応考えております。  また、施設でございます。これはどうしてもやはりここで処理する廃棄物のうち、純然たる市町村の事務にかかるものも入ってくるわけでございますし、また、それ以外にいわゆる中小企業のほうから入ってまいります廃棄物もあるわけでございます。その点は調査によりまして、明確に分けられるのではないかというふうに考えております。したがいまして、それに応じまして、当然公共団体のほうで大部分は見る。  また、収集の体系につきましても同じようなことがいえるかと思います。いわば重量制と申しますか、それと、その廃棄物の種類によりまして、重量制に何らかその辺のところに比率をかけて考えていく。大体以上のような考え方で処理していけばよろしいかということで、実際の計画案について検討してまいりたい、このように考えております。
  52. 大出俊

    大出委員 いろいろ問題がありますが、時間の関係もございますから、自治省に承りたいのです。この起債の問題等があるわけでありますけれども、さっきお話があったように、これだけ強い世論が巻き起こっているわけでありますが、それだけに今度の法律に基づく自治体の責務というものも非常に大きくなっているわけでありまして、ここらのところは、また基本的に承っておきたいのですが、どういうふうに自治省としてはお考えでございますか。
  53. 石見隆三

    ○石見説明員 お答え申し上げます。  いまお話がございましたように、最近、市町村、特に都市におきまして排出されますごみの量が非常にふえてきておりまして、あるいはまたその質におきましても従来のようなごみ処理の方法ではとうてい処理し切れないようなごみが出てきておるわけでございます。  このような状況から、市町村におきましては、特に都市におきましては、そのような事態に対処しましてのごみ処理施設の整備ということを非常に進めてきておるわけでございまして、自治省といたしましては、このような産業廃棄物も含めましてのごみあるいは屎尿処理につきましては、一般的には地方交付税などの一般財源の強化をはかってまいっておりますが、先生お話がございましたように、建設費につきましては、地方債によって措置してまいっておるわけであります。四十六年度の地方債計画におきましては、ごみ処理施設としての資金としまして約二百二十億円準備いたしております。これは四十五年度に比べまして二九%余りの増ということでございます。御案内のように、これは、全額政府資金で充てておるわけであります。この二百十九億円、約二百二十億円の中には、従来のような方法で処理できないテレビとか冷蔵庫というようなものを処理いたします粗大ごみの処理のための資金といたしまして、この中に約十億円余り別ワクにとっております。これは主として大都市を中心にいたしまして今後充実してまいりたいというふうに考えておるわけであります。  なお、この二百二十億円の清掃事業債のほかに、四十六年度から、新規のものとしまして、産業廃棄物の処理施設の整備のために別途二十億円この上に上積みいたしております。これは先ほどもちょっとお話がありましたように、本年度はとりあえずは大阪におきます施設でございます。今後、愛知あるいは横浜というようなものが、どんどん整備していきたいという計画もおありのようでございますので、今後の各地方団体の事業計画を見まして、四十七年度以降の分についても十分措置してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  54. 大出俊

    大出委員 時間の関係があるようでございますから、深追いはいたしませんが、地域自治体の側から見ておりますと、これは住民の流入という問題もありますけれども、特に最近は、いまお話しの処理しにくいごみがたくさん出てきているわけですね。全くどこへ行ってもその問題が地域住民の間では大きな問題になっているわけですね。これを自治体がやる。確かにやらなければならぬ責任がありますが、むしろそれよりは、やはり国が前に出てものを片づけていくという、そういう姿勢がまず必要だろうと思うわけでありまして、そこらのところは、この間えらい短い時間に−これは私ども委員会のセットのしかたも悪かったので、大臣もまた健康保険法がございますから心ここにあらずの感じになっておったような観がありますけれども、まあ肩入れしますということで、ぱっと行かれてしまったものですから、そこらのところで大臣、いまのような答弁が出てきているわけでありますけれども、ここから先は政治的な判断、決断の問題になるわけでございますので、ひとつ思い切って前に出て処理をさせるあるいはする、こういう姿勢をぜひおとりいただきたいと思うわけでありますが、大臣から一言。
  55. 内田常雄

    内田国務大臣 産業廃棄物にいたしましても、また一般廃棄物にいたしましても、最近おびただしい数量が、先般御論議がございましたとおり、排出されますので、これの処理というものが地域住民にとりましても非常に大きな問題であり、また、厚生省といたしましても、いろいろの見地からこれに着眼し、その処置につきまして方向づけをとらざるを得ないとは私考えております。でございますので、大蔵省が申されましたように、従来は補助金の総額もまことに僅少であったと思いますが、今後、うるさいのは地方住民ばかりでなしに、厚生省も相当うるさく大蔵省に実は言うつもりでおりますので、大蔵省としても、これは理解のある人々もおらぬことはないわけでありますから、あんまりたくさんはおらぬようですけれども、これらの方々が事態を認識されまして、私どものほうのそういううるさい肩入れに対しましてもこれは協力をしていただけることと考えます。  ただし、一方においては、先般論議をいたしましたように、ことに一般廃棄物につきましては、それは市町村の固有事務であるというような面から、あまり厚生省等が前へ出過ぎて、市町村の固有事務の範囲をおかしたりあるいは自治労等の希望を阻害するようなことあるべからず、こういうような実は事態も、御承知のとおりございましたので、いまのおことばの中に、国が前へ出て片づけるつもりで、こういうことでもございましたが、その辺やはか、分野、協力関係もあるようでございますので、そういうことも頭に置きました上で、私どももできる限り、地方公共団体に応援するというよりも、厚生省自体国民の健康や国民の生活を守っていく役所といたしまして、みずからの仕事とも考えまして肩入れをする。ただしこれは、三分の一補助になるのか二分の一補助、これは私は無理であると思いますけれども、法制上の補助などの形がとれるのかどうか、ここでは言明は申し上げられませんけれども、先般も述べましたように、概算要求の時期もだんだん近くなっておりますし、事実また私どもが、廃棄物につきましては単にいまの横浜の三十六億計画とか、大阪の計画ばかりでなしに、全国にわたりさらにここ数年の年次計画のようなものも、縦横に編成をいたしました長期処理計画というようなものも積み上げまして、それを大蔵省にもぶつけつつあるというのが実情でございますので、これまたかっこいい処理をいたしてまいりたいと思います。
  56. 大出俊

    大出委員 肩入れの中身をこまかくいま御説明いただいたのでありますが、大蔵省にももののわかる方々がたくさんふえていただかぬと困るわけでありまして、そこで口を出していただかぬでもいいのですが、金のほうは出していただかないと困るので、私が前に出て申し上げておりますのは、口を出して金を出さぬという旧来のやり方はやめていただいて、金は出すが口は出さぬというほうがいい。つまりその辺のところを、これは市町村にすれば、国にやはりある水準以上のものは補助してもらう、そういうことでないと、これは税金配分の問題まで触れてものを言わなければならぬことになるので、住民の側からすればこれだけ税金払っているのに何だということになるから、そういう意味で、ぜひひとつこれは大蔵省自治省皆さん含めまして大臣にもそれこそうるさく言っていただいて、うしろのほうにおいでになる方に。そして大蔵省にもののわかった方がふえるようにしていただいて、口はあまり出さんでけっこうですが、金を出していただくように、ぜひこれは前に進めていただきますようにお願いいたしまして終わります。
  57. 大原亨

    大原委員 あと二つほどですが、引き続いて質問いたします。  薬事法改正になると思うのですが、医薬品メーカーの研究費、売り上げの何%、あるいはこういう医薬品をつくるものはこういう研究施設、こういうふうにやはり研究費について、たとえば一般の企業が公害の問題を、対策費を、つまり生産設備ではマイナス面ですが、それをやるように、研究費について、製造所を許可するそういう基準の中にきびしい基準を設けてやるべきではないか。そうすると中小企業が困るという問題がありますが、しかしこれはやはり研究開発とか、副作用の追跡というのは当然のこれは医薬品メーカー責任ですから、もし単独企業でできない場合は、協同組合をつくって共同の研究施設をつくる、そういう法律の運営のしかたがあるわけですから、私はその点について十全の措置をして、そして日本の医薬品の企業の体質改善についてメーカーに対して責任ある措置をとらせる。そういう競争に耐えないようなものについては中小企業対策をこれは別個になすべきだ。そういう問題があるからといって、日本の医薬品企業の体質の改善をおくらせるべきではない、特に自由化に対してはそうではないか、こういうふうに思います。その点について御所見を伺いたいと思います。
  58. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 薬事法という法律は、いわゆる保健衛生法規でございまして、いわば保健衛生上の観点からいろいろな規制を行なっております。たとえば医薬品の製造所の構造、設備等につきましても、主として衛生的な観点からの基準が書かれておりまして、その中身等はいわゆる抽象的なものでございまして、たとえばどういうふうなものを備えつけなければいけないとかという点につきましては、いわゆる企業の研究開発といいますか、安全な医薬品を生産するに足る設備が備わっているかどうかという観点からの面が確かに不足しております。研究所の設置を製造業の認可の条件とするというふうに現在はなっておりませんけれども、いわば直接的な保健衛生上の面ではなくして、そういうふうな総合的な研究所を備えて、ひいては安全なる医薬品を生産することを確保するという観点から、そういう研究所の設置の義務を薬事法上の一つの基準として取り入れるかどうかということにつきましては、先生のような前向きの御議論も最近は非常にふえておりますので、ただいま検討しているわけでございますが、従来の薬事法の性格からすれば入っていなかった、しかしその点は検討の余地があるというふうに現在のところ考えております。
  59. 大原亨

    大原委員 これは厚生大臣が医薬の許可の問題を持っている。と同時に医薬品の製造についても許可するわけです。ですからその際には少なくとも、技術開発の面もさることながら、副作用の追跡についても企業の責任を明確にできるよう左、そういう体制がないと私は医薬品のメーカーとしては不適当である、こう思うのです。たとえばサリドマイド一つとってみてもそうです。これからの新薬もそうです。それから薬の複合的ないわゆる事故の問題もそうです。いままで戦後荒廃期から非常にどさくさの形で立ち上がったメーカーがたくさんあるわけですが、その中にはいいのも承るし悪いのもある。体質を変えていくようなことはそういう側面からも必要であろう。それらの問題と一緒に厚生大臣、何といっても国民の立場から見て、やはり医薬品の許可について、たとえば外国でいろいろなデータが出たら、日本許可した薬の十万以上もあるような薬から、どんどん万でも五万でも一ぺんに削っていくことができるわけですから、そういう整理のしかたもやるし、なお新しい薬品については薬効についてのきびしい基準も設けるし、あるいは薬価基準の登載についても、新規算入のメーカーが自由にどんどん入っていけて、そうして先発のメーカーの技術を食っていくというような、そういうようなこと等も問題はあるわけです。ですから私は大きな企業だけに味方するような、そういう点になると議論になるけれども、そうではなしにやはり良心的なメーカーは保護していく、そうして何も技術の開発をしないで、ものまねだけでマスコミに乗せて薬を売りまくる、あるいは医薬品の中に入っていくというようなことについては避けていく、私はそういう政策をとる必要があるだろうと思うわけです。そういう面等を考えながら日本の医薬品のメーカーの質をこの際改革するような、そういうことをやって国際的に評価できる先進国に、経済大国にふさわしいような経済の質というものを確保していくことが必要であろう、私はこう思うわけであります。  私はそういう点を最後に申し上げまして、こまかな点はまた別の機会に譲ることにいたしまして、厚生大臣所見を伺いたいと思います。
  60. 内田常雄

    内田国務大臣 私は大原さんに迎合して申し上げるわけではございませんが、先ほど来申し上げましたように、あなたの御所論に大いに傾聴をいたしてまいっておるところがあるということは申し上げたとおりでございますが、ただいまの御所論につきましても、これは私もあなたから教えられるのをまつまでもよく、いろいろ感ずるところが実はございます。私が勉強いたしてみましても薬品の製造事業というものは厚生省許可事業であって、しかも二年ごとの更改許可というようなことになっております。私は二年ごとの更改許可というのはむしろ短か過ぎるくらいに思いまして、三年でも五年でもいいじゃないかと思う。そのかわりそれは単なるめくら判許可とか伝承的許可では表しに、そういう際に、いまあなたが御指摘になりましたような安全性等につきましての研究の施設というようなものの整備を条件として取り入れるような考慮もあってしかるべきではないかというようなことさえも私自身は実は考えておるものの一人でございます。これはしかし厚生省の事務当局に、私が述べたとおりそのままいけるものかどうか、検討させなければなりませんが、そういうことも承知をいたしておりまするし、またこれもさきに述べましたように、十万件をこえる薬の中には、実際には活用されていない薬の銘柄もたくさんあるはずでございますし、またその取っときの十万件よりもさらに進んだいい薬がたくさん承認をされているはずでございますから、そこに私は整理ということばをここで使うことは差し控えますが、検討の余地があることも事務当局に指示いたしまして、各メーカーにつきましてメーカーごとにどれだけの承認の薬の銘柄を持っておるか、それは一体どういう範囲に属するものかということをわかりやすく整理をしたものを出させておりまして、そういうものもおおむね実は集まりつつあります。これは私が厚生大臣としての指示でやらしていることでありますから、何ならいっかまたごらんに入れ得ることもあるかと思いますが、そういうことをにらんでみますると、私はいまあなたがおっしゃる線に沿っての厚生行政の進め方というものが、その方向に行き得るものであることも御納得できるとも考えておりますが、要はあなたのお説を傾聴をいたしました。また私ども政治責任行政責任をもちまして、御批判のありますやるべきことにつきましては、勇敢にかつまた徐々にやってまいる所存でございます。
  61. 大原亨

    大原委員 最後に一つちょっとつけ加えておきますが、それらの問題を含めて薬務行政の中で、やはり懸案の、世界はもう全部といってもいいほどやっているんですから、たとえば医薬分業よどもやるべきです。そうしないとやはり医療事故を防ぐということができない。やはり医師は直接薬を媒介しないで直接技術で患者に接する。そういう医者と患者の人間関係を確立する。こういうことはやはり悪貨は良貨を駆逐するという面からも、国民の医療の上からも大切です。ですからそれは医療保険の抜本改正にかかわる問題です。そういうことについては、いままでかつて国会で大問題になったものだから、もうみんな触れたがらない。避けて通る。それであってはいけない。大体医薬分業していないのは、日本日本の植民地であった台湾と韓国だけです。フィリピンなんかもやったわけですから。フィリピンなんかと言ったらフィリピンの人がおこるけれども、やっておるわけです。ですからそういうことはやっぱり超党派的に考えて、やるべきことはやるべきだ。そして医療に対する責任の分野をきちっとして、そういうことを通じて、必要な医療であるならば国民は保険料を上げましょう、患者負担をしましょうということになるのです。そういう方向づけを、せっかくいままで厚生行政と熱心に取り組んでこられたわけですから、厚生大臣がひとつあとによき方向を残してもらいたい。まあいついつまでもあなたが厚生大臣であることを希望するけれども——いついつまでもということではよい、社会党が政権をとったら別だけれども、とにかくちょっとわかったと思ったらすぐ厚生大臣がかわってしまう。園田厚生大臣、ちょっと調子のいいことを言っていたけれども、すぐかわってしまった。斎藤厚生大臣、鈴木善幸。坊厚生大臣ども非常に性質のいいほうだったけれども、あなたとよく経歴が似ておった、財政問題の通だったけれども、そういうふうにすぐかわってしまうのだ。それで医療費の値上げばかり繰り返しておる。抜本改正についてはへっぴり腰だ。大臣責任持たぬから官僚責任持つわけがない。もしかわるとこてんぱんになる。そういうことじゃないですか。ですから私は健康保険の改正審議を急ぐよりも、そういうことをきちっとあなたが根性をきめてやられる、そういうことが急がば回れということわざがあるとおりではないかと思うわけですね。  最後に私の所見を申し述べまして、あんまり小さい目先のことは無理せぬようにひとつ発言しておきまして、終わります。
  62. 天野公義

    天野委員長 午後一時三十分委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕