○久保
政府委員 その前に、いま一個師団の場合の船舶の数の御
質問に対して、いまもらった資料によりますと、四十隻と想定しておるようであります。ただ、これは大きさが書いてありませんので、あまり
意味がありません。
そこで、限定された態様でありますが、言うまでもなく、二次大戦の前と二次大戦後の戦争の態様はずいぶん違っております。二次大戦前でありますと、ヒトラーでありましてもナポレオンでありましても、モスクワまで行ってそれを攻め落とさないと国は滅びなかったわけであります。
つまり城下の盟を立てさせ、その国の全土を占領するといったような事態、しかも無制限にその戦争が行なわれる。それは期間的にも手段的にも、
つまりある時期にはガスも使われたこともあったわけですが、そういう
意味で無制限な手段が使われておった。全土的な、国土全部を占領するということが目的とされた戦争が通常であったというふうに私どもは
理解するわけです。しかも軍事能力だけでなくて、あらゆる手段がそこに動員された。したがって二次大戦のときに総力戦という
ことばがたしか使われたと思いますけれども、そういったような事態と二次大戦後では違うのではないか。これはもちろん必ずしも将来の
情勢を特定のものときめつけることは困難であります。無理がありましょう。そこである
程度のバッファーを
考えておかなければいけませんでしょうけれども、しかしわれわれが限られた予算の中で
防衛力を
整備するという場合には、やはり起こり得そうなこと、可能性のその中でも強そうな事態について
考えるのが通常でありましょう。そうすると、二次大戦後の戦争というものは、この前は例示をいたしました。ほかにも例はありますけれども、ああいったような戦争が二次大戦後は行なわれておる。そこで
日本についてどういうことかと申しますと、たとえば
日本で北からも陸上攻撃が行なわれる、あるいは西についても中部
日本についても上陸作戦が行なわれる、
つまり日本全土を占領するというような趣旨の戦闘が行なわれるということは、われわれは
考えない。あるいはまた、
日本の侵略のためには半年も一年も二年もかかってもよろしいからとにかく侵略するんだ、といったような事態は
考えない。これはいずれも三次防でいうところの通常兵器による局地戦の事態でありますけれども、その事態であってもなおかつ非常に広範な長期的な戦争、戦闘様相は
考えられない。そこで、われわれ現在
考えるところでは、そういった事態は
考えない。三次防の
防衛力整備の場合には、実体的にはそんな大規模なものを
考えておったわけでは実はない。そこで実体に合わせまして三次防における表現をもう少ししぼって
考える。しぼって
考えると、一応の
防衛力の
限度と申しますか目標数値というものがでてくる。その
限度というものをしぼらないとなかなか出てこないという
意味で、しぼってみたわけです。
そうすると、ただいまも
長官が申されましたように、
日本の上陸作戦が
考えられるとすれば、一定地域、特定の地域である、一
方面であるというようなこと、それから手段としましてはもちろん核兵器は使われないというようなことでありましょう。それから期間的には、いま申し上げたように半年も一年も続くというような事態は、あり得るかもしれませんけれども、可能性の少ないものと
考えて、
防衛力整備の前提としては、そういったきわめて長期的なものは
考えない。比較的短期的なものを
防衛力整備のほうでは
考える。ですからもし実際の
防衛戦争、
防衛戦闘というものが長期化すれば、そのときに運用として
考えていかねばならないわけでありますが、
防衛力整備の前提としてはそういう限ったものを
考えていくというようなことであります。