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大出委員 最後にしますが、
大臣が言わんとするところは
大臣の
立場でわかります。わかりますが、あらゆる角度から
検討してみて、物価問題の閣僚協議会というのは、物価がいかにも上がってしょうがない、どこかを下げなければならぬ。いまの各種製品というものは
輸送コストそのものが一番大きなウエートを占めていることは事実なんで、そこに焦点を当てた論議をされているのだから、
輸送コストを下げようということはつまり
料金、運賃
政策ですね。これが占める比率が低くなっていけば物価は下がるという原理、原則でものを
考えている。だから
大臣が幾らそう言われてもそこに中心が置かれざるを得ない。荷主に対して弱過ぎる
運送事業者なんだから、極端に弱過ぎるのですから、その
運送業者が多少ともよりどころになる
法律上の条文を切ってしまうということは、以前の問題だとおっしゃる、
法律があってもとおっしゃるが、それならなぜ
法律どおり運用されないかと言いたい。それがそうならない。しかたがないとおっしゃるなら、
法律は要らないのです。そうでしょう。だからここにある定額制という問題が
輸送業者の側に幾らかでも足がかりになっている限りは
——本来ならもっと大きな足がかりにならなければいかぬのです、この
法律を適正運用すれば。それができないというのが現実だ。ぼくだって
法律どおり世の中が動いていないということは知っているからその非は責めないけれ
ども、しかし足がかりになっているものを切ってしまうということは
考えなければならぬ。この間私がいろいろやりとりしたときにこの席で、そういう中小、零細な
運送業者に対しては別表助成の方法がある、たとえば金融
措置であるとか中小企業対策であるとかあるとおっしゃるなら、なぜそれを事前に総合的にお
考えになって、こういう零細、中小の
運送業者が成り立つようにしてあげないか。ないではないか。
タクシーの場合だって、上がったばかりの
料金をまた上げようとしたという段階で初めて年度末金融対策を
考えるなどということを政府は言い出す。そんなことは初めから
考えていかなければならぬ。
考えておけば、上げたばかりでまた
タクシー料金を上げようとは言いはしない。そうでしょう。そこに手落ちがありはせぬか。
もう一つだけ言わせていただきますが、この間も例にあげたけれ
ども、陸上の
質問をしていますから陸上
運送のほうをあげるとかどが立ちますから海上をあげますと、下請のはしけ回漕をやっている回漕業者がある。十六隻の船を持っている。私も税務署とずいぶん話し合ってみた。十六隻あった。が、第十六何々丸という船が実際にはない。帳簿上だけです。これは古くして新しい問題ですよ。じゃ十六隻目の船のない帳簿は一体どうなっているかというと、つまり人件費、油代などといって落としているのだけれ
ども、その金は実際には船がないのだからそこに使っていないことだけは間違いない。元請、仕事をくれるほうに営業係長、課長さんがおる。つかみでそこへ三十万、五十万の金を預ける。荷をもらうそのつど持っていかなければ、くれない。それが長年、三年間積み重なった。それは架空の船名で帳簿をつくっている、そこで落としてきたわけですよ、
処理のしょうがないから。税務署がこれを調べてわかった。船がない。三年さかのぼって七百万税金をとる。過少申告加算税をそれに上乗せをする、こうなった。つぶれる。税務署のほうも知っているわけだから、あなたは一体どこに金を幾らやったか言ってくれ。言ってくれれば、もらったほうが過少申告なんだから、そっちから取る、おたくの会社から取りません。しかし言ってしまえば二度と再び仕事はくれない。村八分です。そこで会社はつぶれても言わない。あの男はいい男だ、よくがんばって言わなかったということになって金を回してくれる、荷を回してくれるというので何とかやれる。つまり一番弱いところに一番
しわが寄っているのが
現状なんですね。いまの中小、零細の
運送事業という形のものは海上でも陸上でもそういう商慣行が成り立っているわけですよ。そうでしょう。だからいまのようなことが起こるわけです。
法律以前の問題という以上に
法律の運用は一体どこへいったのかということになる。つまりそれほど弱い中小の
輸送業者、
運送業者に対してよりどころに多少ともなるものを何ではずそうとお
考えになるか。つい口がすべって適正運用されてないからというおことばもあった。適正運用されてないというのは
行政機関の責任じゃ雇いのか。
運輸大臣だって
行政長官でしょう。そこは一体どこへいってしまったのだということになる。だから私は、大きいところは別として、そういう中小の、景気が下向いてくると成り立たなくなるところに、きょう、あす困るのだから、なおそっちに
しわが寄るというふうに
考えざるを得ないことはなさらぬほうがいい。だからその前にやはりどうすればそれが成り立つかの
政策論争が必要ではないのか。将来の
輸送形態を
考えたら、かつての港湾の三・三答申じゃありませんけれ
ども、事業の集約まで出てきましたが、やはり
そこらのところまで突っ込んだ論争がなければ、簡単に
許認可のほうへ持ってきてこういうものを突っ込んで
出してくるというのは筋が違いはせぬかと言いたいというわけですよ。だからわれわれあまりそのほうを専門にやっている人間じゃないところにこういうような
しわを寄せて苦労をさせないで、
運輸委員会になぜお
出しにならぬかと言いたいところです。だからそこの弱さというもの、決定的に弱いという現実を
大臣やはりお
考えをいただいて、その弱いところをじゃ
運輸行政の面でどうしてやるか。適正な
料金、適正な利潤なんといったって、適正な利潤をもらえないからいまのようなことになる。そこをどうお
考えになるかという点を言っておる。私も何も単に理屈を言うつもりはない。そういう弱い層を何とかしてあげたいと思うから、ものを申し上げている。そこのところを最終的に御
答弁いただきたい。決して
法律条文をあっち向いたこっち向いたと論争しているのじゃない。現実にそう弱いのだから、その成り立たなくなるところをどうすればいいか、ここの問題です。