○石倉
政府委員 御質問の海洋科学技術
審議会は、
昭和三十六年の五月に発足いたしました。これまでに三つの諮問を受けて、それぞれ
答申を出しております。
第一の諮問は、
昭和三十六年七月十八日に、「海洋科学技術の基本方策について」ということでございます。この基本方策につきましては、これまでに三回
答申がございます。
第一次
答申は、
昭和三十八年六月七日に「海洋科学技術に関する総合
調査研究計画」という形で出されております。この
答申は、
海洋開発をやりますのに、まず海のことをつぶさに知らなければいかぬという立場から、一般の海洋の定期
調査はどのようにあるべきかということ。それから第二は、水産
関係の海洋
調査研究をどのようにやるか。これは水産
資源別にやるべきであるということが打ち出されております。第三には、沿岸の海岸の総合
調査をやる。これは沿岸一般につきましての
調査のほかに、特に
開発を
予定されておりますところに対しては、その
開発の参考になるような
調査をやる。沿岸の
開発は御
承知のように、港湾とか漁港とか海岸保全とかあるわけでございます。そういう点についての総合
調査が必要である。それから第四には、
日本近海の深海でございますが、これらの総合
調査をやっておく必要があるのではないか。三十六年ころには、御
承知のように、深海にいろいろな新しい
資源があるというようなことがわかりましたし、あるいは深海を、現在ではあまり重視されておりませんけれども、危険なものの捨て場所にしようではないかというような考え方もあったものでございますから、とにかく
日本近海があんな形に使われては困るというような
意味から、深海の総合
調査をやっておこうというのがございます。それから、
日本の水産業に特に
関連しまして特定水域、たとえば親潮海域とかあるいは黒潮海域、
日本海というようなところに対しての
調査を実施いたしていこう。それから、沿岸大陸だなの地形、地質を将来の大陸だな
開発の
前提として
調査する必要がある。またそれにあわせて、沿岸大陸だなには海底
資源としてどのようなものがあるか、とにかく
調査をやって、海洋をよく知っておこうということがございます。
それから第二に、そのような
調査を実施するために基本的な施設の整備をする必要があるということで、これを三つに分け、
一つは洋上での
調査関係をどのようにして強化していくか、それから第二には、陸上での
調査の施設をどのように強化していくか、それから第三には、そのころから芽ばえましたデータブイでございますが、データブイにいろいろな自動観測器をつけまして自動的に観測するものでございますが、このようなデータブイの
開発の必要があるというようなことを
答申いたしております。
それから基本方策の第二の
答申としましては、
昭和三十九年九月二十八日、「海洋科学技術に関する
審議体制および海洋科学技術に関する
資料処理体制の確立強化」ということで、主として海洋科学技術を推進する上での各
省庁の共同的な動きを強化する、その一環としまして、たとえば、文部省にございます科学研究費、それから科学技術庁にございます特別研究促進
調整費、こういうような経費を使いまして、海洋科学技術に関しての総合的な
調査研究推進体制を強化すべきであるということがございます。
それから海洋科学技術に関しますデータの処理につきまして、中核的なデータセンターをつくる必要がある。少なくとも一般海洋データについてのセンターをつくること、それから水産に関するデータのセンターをつくる必要性が指摘されております。この海洋データセンターにつきましては、
昭和四十年に運輸省の中に海洋データセンターが誕生いたしたのでございます。それから水産データセンターにつきましては、当時の
答申の
内容と多少こまかい点では違っておりますが、
昭和四十六年度の予算要求としまして、水産庁から水産
資源調査開発センターの予算要求がなされております。このほか、このような海洋情報につきましての情報交換をどのようにやったらいいか、またそのような情報を蓄積し、
利用する場合の連絡
調整業務をどのようにやったらいいかということのために、各
省庁の間で動く常置部会をつくったらどうかというような御
答申もいただいております。
それから、さらに
昭和四十一年十月の二十日に第三次
答申としまして、「第一次
答申において示された総合
調査計画の実施方策」につきまして
答申が出されております。
第一次
答申におきまして海洋に対しての各般の
調査研究が必要であるということが指摘されましたが、それを実施するために、まず第一に
調査研究組織を強化する必要がある。そしてその中で、総合
調査研究計画については、
関係機関の協力体制を強化するという必要性が指摘されております。それからまた観測の計画化。それまでは
関係省庁の中で行なわれております諸般の
調査が、必ずしも計画に基づいて行なわれておりませんでしたので、それに対して計画性を付与する。またあわせて、国際
関係とのデータの交流も考えまして、観測測器の標準化をする、あるいは観測
方法を標準化するというようなことの必要性が指摘されております。それから、そのような
調査研究を総合的に推進するために体制を強化する必要がある。その体制としては、まず第一に実施計画をつくるべきであるという御指摘をいただいております。あわせて、
調査を実施いたします際に、
調査研究施設の強化。具体的に申しますと、当時東京大学の海洋研究所ができた直後でございますが、そういう海洋研究所の強化、それから
関係省庁が持っております海洋
関係調査業務の施設等の強化、それからまた、
海洋開発に必要な大型共用施設を
開発する必要がある、こういう御指摘をいただいております。これに
関連しましては、潜水
調査船の「しんかい」ができましたり、あるいは昨日新聞でごらんかと思いますが、海底居住施設及びその付属施設の建造もこの
答申に基づいて進められたわけでございます。それから第三には、役所の中の機能整備強化の問題がございます。これに基づきましては、科学技術庁それから通商産業省等に
海洋開発室が設置されましたほか、
関係省庁におきましても海洋科学技術担当の窓口ができてきたということになっております。そのほか、三号
答申では人材養成、それから国際協力の推進といったようなこともいただいております。
それから、この第一号諮問に
関連いたしまして、第二号諮問といたしまして、緊急に行なうべき重要研究及び
調査という諮問が出されておりまして、それに対しましては、三十六年十月二十五日に、海洋科学技術の振興のため緊急に行なうべき問題として、重要な
調査研究及び
関連設備、体制の強化方策についての
答申をいただいております。
それから、四十三年の十月二十一日に、先ほど申しました第一号諮問の第二次
答申を受けまして、
海洋開発のための科学技術に関する
開発計画を諮問いたしまして、これに対しまして、四十四年になりまして、
海洋開発の今後十カ年の方向を展望しました五つのプロジェクトを含みます実施計画の
答申をいただいたわけでございます。それに基づきまして、
関係省庁の中で
海洋開発実行計画を毎年見直してつくってまいるようにいたしております。
以上がこれまでの海洋科学技術
審議会からいただきました
答申、及びそれに基づきまして
政府が処置してまいりました幾つかの具体例を申し述べた次第でございます。