運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-02-23 第65回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十三日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       阿部 文男君    笠岡  喬君       辻  寛一君    中山 利生君       葉梨 信行君    山口 敏夫君       川崎 寛治君    木原  実君       横路 孝弘君    鬼木 勝利君       山田 太郎君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         総理府統計局長 関戸 嘉明君         科学審議官   石倉 秀次君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    柳川 成顕君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   伊藤宗一郎君    稻村左近四郎君 同月十九日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     野中 英二君 同日  辞任         補欠選任   野中 英二君     山口 敏夫君 同月二十二日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     赤澤 正道君   山口 敏夫君     松野 頼三君 同日  辞任         補欠選任   赤澤 正道君     鯨岡 兵輔君   松野 頼三君     山口 敏夫君 同月二十三日  辞任         補欠選任   山田 太郎君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   渡部 一郎君     山田 太郎君     ――――――――――――― 二月二十二日  旧軍人に対する恩給改善等に関する請願外一件  (竹下登紹介)(第八六二号)  同外一件(箕輪登紹介)(第八六三号)  靖国神社国家管理反対に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第八六四号)  同(浦井洋紹介)(第八六五号)  同(小林政子紹介)(第八六六号)  同(田代文久紹介)(第八六七号)  同(谷口善太郎紹介)(第八六八号)  同(津川武一紹介)(第八六九号)  同(寺前巖紹介)(第八七〇号)  同(土橋一吉紹介)(第八七一号)  同(林百郎君紹介)(第八七二号)  同(東中光雄紹介)(第八七三号)  同(不破哲三紹介)(第八七四号)  同(松本善明紹介)(第八七五号)  同(山原健二郎紹介)(第八七六号)  同(米原昶紹介)(第八七七号)  同(佐藤観樹紹介)(第八七八号)  同(横路孝弘紹介)(第八七九号)  同(青柳盛雄紹介)(第一〇二五号)  同(小林政子紹介)(第一〇二六号)  同(佐藤観樹紹介)(第一〇二七号)  同(田代文久紹介)(第一〇二八号)  同(津川武一紹介)(第一〇二九号)  同(土橋一吉紹介)(第一〇三〇号)  同(東中光雄紹介)(第一〇三一号)  同(山原健二郎紹介)(第一〇三二号)  同(横路孝弘紹介)(第一〇三三号)  兵庫県浜坂町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外一件(佐々木良作紹介)(第八八〇号)  同(有田喜一紹介)(第一〇二二号)  兵庫県温泉町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外一件(佐々木良作紹介)(第八八一号)  同外一件(有田喜一紹介)(第一〇二四号)  兵庫県出石町、但東町の寒冷地手当引上げ等に  関する請願外四件(佐々木良作紹介)(第八  八二号)  同外五件(有田喜一紹介)(第一〇二〇号)  兵庫県朝来郡の寒冷地手当引上げに関する請願  外一件(佐々木良作紹介)(第八八三号)  同外三件(有田喜一紹介)(第一〇二一号)  兵庫県青垣町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(佐々木良作紹介)(第八八四号)  同外一件(有田喜一紹介)(第一〇二三号)  旧軍人の一時恩給改定に関する請願宇野宗佑  君紹介)(第八八五号) は本委員会に付託された。      ――――――――――――― 二月二十日  旧軍人に対する恩給改善等に関する陳情書外五  件  (第一号)  同外十四件  (第五六号)  旧軍人の一時恩給改定に関する陳情書  (第二号)  同外八件  (第五五号)  退職公務員に対する恩給及び年金スライド制  完全実施等に関する陳情書  (第三号)  法務局職員の増員に関する陳情書  (第四号)  同  (第五九号)  靖国神社国家護持早期実現に関する陳情書  (第五七号)  山田弾薬庫跡地平和利用に関する陳情書  (第五八号)  水戸対地射爆場の全面返還等に関する陳情書外  二件(第六  〇号)  元上海共同租界工部局職員恩給積立金等に関  する陳情書  (第六一号)  恩給共済年金スライド制確立等に関する陳  情書(第六四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五三号)  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八号)      ――――◇―――――
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 天野公義

    天野委員長 趣旨説明を求めます。山中総務長官
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明いたします。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額増額であります。  恩給年額については、恩給審議会から恩給法第二条ノ二に規定されているいわゆる調整規定運用基準を示されるとともに、その運用前提として現在の恩給年額を適正なものとする必要がある旨の答申をいただきました。そこで、政府としては、その答申趣旨に基づき、昭和四十五年度増額措置の追完分として、恩給年額を、昭和四十四年十月当時の仮定俸給年額の二・二五%増として計算して得た年額昭和四十六年一月分から増額することとし、さらに、昭和四十四年度における公務員給与消費者物価等の上昇を勘案して、恩給年額を、昭和四十六年一月分以降の恩給年額の八・四%増とした年額昭和四十六年十月分から増額することとするものであります。  その第二点は、文官等恩給の不均衡是正であります。  その一は、昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた文官等恩給の格づけ是正であります。  昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた長期在職文官等恩給基礎俸給の格づけを旧基礎俸給年額が千百四十円以下のものについては二号俸、旧基礎俸給年額が千百四十円をこえ千六百二十円以下のものについては一号俸、それぞれ是正することとするものであります。ただし、昭和二十二年七月一日から昭和二十三年六月三十日までの退職者については、昭和二十二年六月三十日以前の退職者との給与均衡を考慮して、必要な調整を加えることとしております。  その二は、昭和二十三年七月一日以後退職した文官等恩給是正であります。  昭和二十三年六月三十日以前から引き続き在職し、同年七月一日から同年十一月三十日までの間に退職した文官等で、同年六月三十日に退職したものとすればその恩給年額が現に受ける恩給年額より多額となるものについては、同日に退職したものとした場合の恩給を給し得ることとしていますが、この措置を同年十二月一日以後退職した文官恩給についても適用することとするものであります。  その第三点は、公職追放者に対する一時金の支給であります。  連合国最高司令官の命令に基づくいわゆる公職追放に関する法令規定により、在職年三年以上七年未満で退職した公務員またはその遺族に、追放解除時のベースにより計算した一時恩給または一時扶助料相当額の一時金を支給しようとするものであります。ただし、年金恩給または共済年金を受ける資格者を除くこととしております。  その第四点は、夫に対する扶助料給与条件緩和であります。  夫は、不具廃疾生活資料を得る道がないことが扶助料給与条件となっておりますが、公務員たる妻の死亡当時から不具廃疾である夫については、不具廃疾である限り、扶助料を給し得るように条件緩和しようとするものであります。  その第五点は、旧軍人等戦地外戦務加算年及び各種職務加算年の算入であります。  年金恩給資格要件については、旧軍人、旧準軍人または旧軍属の実在職年に付すべき加算年のうち、戦地外戦務加算年及び辺陬または不健康地勤務加算年その他の各種職務加算年をも、基礎在職年に算入しようとするものであります。  その第六点は、旧軍人等に対する一時恩給等支給であります。  実在職年三年以上七年未満下士官以上の旧軍人で、下士官以上としての在職年が一年以上のものまたはその遺族に、昭和二十八年旧軍人恩給出発時のベースにより計算した一時恩給または一時扶助料支給しようとするものであります。ただし、年金恩給または共済年金を受けている者を除くこととしております。  なお、旧軍属についても、これと同様の措置を講じようとするものであります。  その第七点は、戦犯拘禁期間通算制限の撤廃であります。  在職中の勤務関連する事由により戦争犯罪者として拘禁された者の拘禁前の公務員としての在職年を計算する場合には、拘禁前の公務員としての実在職年普通恩給についての最短恩給年限に達していないこと及び普通恩給についての最短恩給年限に達するまでを限度とすることという制限のもとに、当該拘禁期間通算することとしておりますが、これらの制限を撤廃しようとするものであります。  その第八点は、職務関連傷病者に対する特例傷病恩給支給であります。  旧軍人または旧準軍人昭和十六年十二月八日以後本邦、朝鮮、台湾及び満洲等の地域における在職期間内において、その職務関連して負傷し、または疾病にかかった場合においては、これらの者に対し、公務傷病者に給せられている増加恩給または傷病年金年額のそれぞれ七割五分に相当する額の特例傷病恩給を給しようとするものであります。この場合において、特例傷病恩給受給者扶養家族があるときは、公務傷病恩給に準じ扶養加給を給し、第二項症以上の特例傷病恩給受給者には、特別加給を給することとしております。  その第九点は、外国政府職員等抑留または留用期間通算であります。  外国政府職員等として昭和二十年八月八日まで在職していた者が、引き続き海外において抑留または留用された場合には、当該抑留または留用期間外国政府職員等在職期間と同様、公務員期間通算しようとするものであります。  その第十点は、外国政府職員等在職期間通算条件緩和であります。  外国政府職員等として昭和二十年八月八日まで在職していた者の在職期間公務員期間通算する場合には、外国政府職員等となる前の公務員としての在職年普通恩給についての最短恩給年限に達していないことが条件となっておりますが、この条件を廃止することとし、また、公務員から外国政府職員等となった者で、外国政府職員等として昭和二十年八月八日まで在職していたものの当該職員期間公務員期間通算する場合には、これらの職員となるため公務員を退職したことが条件となっておりますが、事実上外国政府職員等となるため公務員を退職したものと認られる者についても、この通算措置を及ぼそうとするものであります。  その第十一点は、恩給外所得による普通恩給停止基準緩和であります。  一の恩給年額増額措置に伴い、恩給外所得による普通恩給停止に関する普通恩給及び恩給外所得についての基準額を引き上げるとともに、その停止率についても、現行の二割ないし五割を、この停止制度創設時の率二割に改めようとするものであります。  なお、以上述べました措置は、昭和四十六年十月一日から実施することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  5. 天野公義

    天野委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  6. 天野公義

    天野委員長 総理府設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。
  7. 木原実

    木原委員 設置法改正案中身に触れまして若干の質問を申し上げたいと思います。  今度の設置法改正の中で国立公文書館に関する項目があるわけであります。公文書館設立という問題につきましては、かねて民間の学界その他からも強い要望がありますし、私自身も多少の関心を持って、この種の公文書館設立することを要望してまいった一人でございます。  そこで、設立に伴いまして運用の問題があろうかと思うのです。大臣趣旨説明にもございましたように、保存管理ないしは利用、こういう側面があるわけですが、運用を誤りますと、どうも古い文書の倉庫になるおそれがある。そういうことになったのではせっかくの施設が生きないわけでございますので、これからの運用にあたって、重点をどういう方面に置いて運用していくのか、その辺の御見解を承っておきたいと思います。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 まさに御指摘の点は、注意して出発にあたらないといけないと思います。ことに、これについては逐年予算化いたしまして、三十九年から取りかかってようやく完成をいたすわけでございますから、中身もそれにふさわしいものにしないといけません。ことに諸外国等の実例が数多くございますし、むしろ先進諸国と申しますか、歴史の古い国で国立公文書館らしきものを持っていなかったのが、わが国としては諸外国に対してちょっと恥ずかしいような現状でございますから、各国の先例等も十分ございますので、それらのものを前提にして、何のために公文書館をつくったのか、そして、だれのためにそれを運用し、どういうことを目的として活用を続けていくのかという点は、今後慎重に検討いたしてまいりたいと存ずる次第でございます。これについては虚心たんかい、民間やあるいは国会はもちろんそうでありますが、御意見を聞きながら、今後の運営というものを一方的に設定しないでいきたいと考えておる次第でございまして、あくまでも公開していく、国民のために置かれるものである、そして諸外国から見ても恥ずかしくない内容のものにしたいと考えております。
  9. 木原実

    木原委員 収容の対象になる公文書ですね。参考資料によりますと、従来、永久保存であるとか何年保存であるとかという重要度が、各省庁ごと、各機関でいろいろ行なわれていた。そういうことで、従来のものはそういう系列で保存されておるものがあり、あるいは企画されたものがある、こういう形になっていると思うのですが、将来の問題として、公文書を収録する場合の選択について、また何か新しい基準でもおつくりになるわけでございますか。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 これも厳密に基準というようなものでいいのか、あるいは運営方針の中でよろしいのか、各省庁意向等も十分尊重しなければならぬと思います。ことに、これは後世に伝え、あるいはそれを保存し、公開し、活用することにおいて非常に価値のあるものである。ところが、ある役所において永久部外秘というようなことにしておる書類がある場合に、それでは一体永久とはいつまでであるのか。文字どおり永久なんというものはあり得ないわけでありますから、諸外国においても、五十年ぐらいたったならば秘扱いのものも収録していくとか、いろいろなこともやっておるようでありますから、わが国においても、それらのものも含めて——それぞれの各省において感触の非常な差異がございますので、それらの点をなるべく統一をして、特別な文書でない限りは大体この基準で集めることにしたいという話し合いを、これからしていきたいと思っておりますが、大体において、各省限りで、公文書館という公のものには文書が出ないというものの数をなるべく少なくしたいと考えておる次第でございます。
  11. 木原実

    木原委員 特に外交関係軍事関係ないしは警察庁というようなところは、機密の関係も多いと思うのですけれども、扱い方につきましては、なおそれぞれ各省庁のセクトも残るでしょうし、利用者の側からすれば、こうしてほしいという希望もあろうかと思うのですが、これはひとつ、基準というと少し語弊があるかもわかりませんが、利用者の便ないしは新しい運用の中での位置づけのようなものをぜひ考慮していただきたいと思うのです。  そこで一つ気になりますことは、たとえば外交文書、あるいは内閣文書もそうですけれども、それの古くからのものがあるのですが、その最も古い文書貴重文書というようなことになりますけれども、それはさかのぼっていけば、年代的にいいますと、やはり維新後の明治のごく初期のものからでございますか。その以前はどうですか。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、おおむね、日本近代国家として法制その他が整った明治以後のものが圧倒的なウエートになるだろうと思いますが、かといって、いまの内閣文庫には古い、たとえば北方領土の資料等についてはずいぶんいろいろな古文書等がございます。そういうようなものも当然引き継いで運用をしてまいりますし、近代国家以前の徳川幕府、あるいは場合によってはある藩の公的な文書等も、そこに収録していくことになろうかと思います。
  13. 木原実

    木原委員 利用者にとりましては、学術的ないし文化的な性格を持つということになりますと、できるだけ近代日本黎明期のものを系統的に収録をしてもらいたい。そのためには内閣文庫の問題もありますけれども、各大学等にもありますし、それらの関係等もあろうと思いますが、この辺もひとつ御注意をいただきたいと思います。  そこでもう少し気になりますことは、系統的にといいますか体系的にといいますか、つまり整理、管理をされるという場合に、そういう姿があってほしいと思います。それで、ここに若干数字が出ておりますけれども、御承知のように戦災で消滅をしたものないしは敗戦で意識的に焼却をし、あるいは棄却をしたもの、散逸をしたもの、いろいろあると思うのですが、たとえば、かなり重要なものでどの辺の文書が、ある意味では公然と失われたか、そういうことについての調査みたいなものはあるのでしょうか。
  14. 柳川成顕

    柳川説明員 ただいまの関係調査はございません。
  15. 木原実

    木原委員 そうしますと、それらについてはもう復元探索をする方法も全然ないわけですね。
  16. 柳川成顕

    柳川説明員 そういう文書につきましてもだんだん調査いたしまして、多少リコピーなり複製の資料があるかと思いますので、調べてできるだけ公文書館に入れていく措置をとりたいと思っております。
  17. 木原実

    木原委員 もう一つ占領下にあったとき、各種公文書押収をされたり、ないしは提出を命じられたりして、それらのもので返ってきていないものもかなりあるんじゃないですか。占領軍の中のある種の機関か何かが、かなり持っていったというような話をわれわれずいぶん聞いたこともあるのですが、それらについては、調査ないしは返還は済んでいるのですか。
  18. 柳川成顕

    柳川説明員 そこあたりの関係も、調査あるいは返還の要求ということを個々の省庁では多少やっておるかもしれませんけれども、公文書館の準備の段階としてはいたしておりません。
  19. 山中貞則

    山中国務大臣 私からちょっと。その問題は主としてアメリカだろうと思いますので、外務省のほうで、そういう国立公文書館ができることに伴って必要となる資料等を、アメリカとしても戦争資料その他でもう編さんを終わっているでしょうから、そういうものの原本をなるべく返してほしい、できなければコピーでも返してほしいという折衝はするように努力いたします。
  20. 木原実

    木原委員 これは大事なことでして、参考資料を読んだのですけれども、そういう失われたものに対する輪郭、それから調査復元、こういった面についての運用上の方針というものが、どうもあまり見当たらないのでたいへん気になったわけですけれども、そうしますと、特に私ども覚える範囲の中では戦災ですね、それから意識的に棄却をいたしましたね、ないしは混乱期散逸をした、そういう部門、それから占領時代に、占領軍当局によって押収ないしは提出を命じられたまま未返還のもの、これらがたいへん気になるところなんですが、しかもそういうものの中で、歴史として記録にとどめておく、保存をしておく価値のあるものが多いんじゃないか、こういう感じもするわけです。ですからこれは、長官の御発言ございましたけれども、あらためて調査方法を立て、探求ないしは返還の交渉をやって、せっかくできるわけですから、あのときはもう海外にとられていってしょうがなかったのだ、それだけでは運用上ちょっとまずいのではないか、とう考えますので、ひとつぜひ御努力をお願いいたしたいと思います。  それから、地方との関係運用上どういうことになりますか。たとえば自治体の中で、自治体の費用でもって公文書館をつくるような県が一、二あるわけですけれども、こういうものができましたので、国として地方関係のものについては助成をしていく、ないしは奨励をしていく、こういう方向はどうですか。
  21. 山中貞則

    山中国務大臣 これは地方とも非常に有機的な連絡を保っていかなければなりませんし、むしろ地方自治体側公文書館設置要請も非常に強かったわけですから、いままで国になかったのが今度できるわけですから、そういう意味の連携がうまくいくようにしたいと思うのですが、地方文書というものは、やはり根拠は国の法令その他によるものが大部分でございますから、一応関連性の必要なものは集めるとしましても、やはり一義的には国の公文書というものにとどめるのが原則だろうと思います。
  22. 木原実

    木原委員 そうしますと、開館の予定は、四十六年度末ないしは四十七年度からでございましたかしら。
  23. 柳川成顕

    柳川説明員 四十六年七月一日からの予定にいたしております。
  24. 木原実

    木原委員 わかりました。いずれにしましても、私が申し上げたかったのは、特に提出をしたと見られる貴重な公文書等についての復元返還ないしは探求措置をぜひひとつつけ加えてやっていただきたい、こういうことを要望いたしておきたいと思います。  その次の問題に移りたいと思うのですが、同じく今度の改正案関連をいたしまして、海洋開発審議会と名称を改めまして再出発する、こういう問題でございます。これまたたいへんに新しく、しかも重大な問題を内包していると思います。特に海洋開発につきましては、日本はたいへんおくれてスタートした立場にあります。そういうようなことですから、ここ数年来急速に進んでおりますけれども、どうも少し問題がちぐはぐになってきているような感じがします。海洋開発はたいへん広範な問題を含んでおりますけれども、せんじ詰めてまいりますと、海洋開発の中には、資源の確保、経済基盤を確保するための資源の新しい探索、そういうような側面だとか、あるいは軍事的な要請による側面だとか、いろいろあると思うのです。ただ、先般出されました審議会からの答申ないしは実行計画等を見ましても、すでに開発に伴う、これは長官の仕事と関係があるわけですけれども、公害の問題、そういうものがほとんど欠落をしているような状況ですね。あるいはまた海洋開発についての政府の基本的な理念みたいなものがどうも不明確だ。いろいろ調べてみますと、石油鉱区の掘さくというようなことについてはたいへん進んでいるような感じがするわけです。しかし、だんだんしぼってまいりますと、どうも石油開発優先みたいな線も見られる。すでにわれわれは、海でなくて地上において、ここ十数年来御承知のように経済開発の推進をしてまいって、今日さまざまな問題を結果としてかかえるような側面を持っておるわけです。海の中で再び開発に伴って愚かなことを繰り返すことがあってはならぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんです。そこで、審議会が新たに発足をするということに関連をしまして、海洋開発についての、いわば政府の基本的な方向といいますか、そういうものは何か、この際きちんとまとめて明らかにしておく必要があるのじゃないか。たとえば海洋開発基本法、こういうような形でも集約をされる、何かそういう努力の方法があってもよろしいのじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  25. 山中貞則

    山中国務大臣 総理府設置法の一部改正のうち、ただいまの問題点は科学技術庁でありまして、できれば西田長官の御列席もともに得てやりたかったのでありますが、きょうは局長が参っております。ただし、政府の基本的な考え方の問題ですが、やはり外国を武力で侵略できない国という、専守防衛の日本でありますから、われわれの生きる道というものの探求に、経済大国への道もあるという意味でありましょうし、かといって、世界の国々が競っていどんでいる分野について、日本人の頭脳と科学技術で決してひけをとらないという分野が残されていると思います。その一つ海洋開発の分野があろうかと思います。さらに、蛇足でありますが、原子力の平和利用あるいは月に人間が行ったとしても、なお宇宙は未知の神秘な世界である、日本も第二号の宇宙衛星を打ち上げたというようなことを考えますと、やはりある意味日本の進むべき道、国民が新しい国家としての平和な目的に夢を持ち得る共通の目標設定等について、海洋というものは無視してならない分野だと思うのです。それが、いま海に注ぐ日本人の目は、どうしてもいまおっしゃったように資源とかというものを探求する角度から入りかけておるわけでありますが、しかし、諸外国もまだ完全に海洋開発に取り組んだ国はないとしても、アメリカあたりにおいてはすでに数歩日本より前進しておりますので、日本としては、海洋国家として、そうして技術能力の高い国民として、海洋の神秘にいどむ姿勢というものは、やはり国策の大きな一本の柱であろうと思うのです。しかし、一歩誤るとエコノミックアニマル的な対象としてとらえる、海洋を資源ということのみにとらえてはならないのだということは、十分戒心していかなければならぬことだ、私もさように思います。  こまかい審議会その他の問題については、科学技術庁のほうより答弁をさせます。
  26. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 先ほどのお尋ねでございますが、まず順を追って御答弁申し上げますと、公害問題が欠落しているのではないかということでございます。先ほどお触れになりました海洋科学技術の開発実行計画、これの見直しを毎年やっております。四十五年度の実行計画では、確かに御指摘のように脱落しておりました。四十六年度予算を目途といたしました実行計画の中には、公害問題に着手するために、海洋における公害をどのようにして調査、監視するかという方法論から入るような開発計画が入っております。  それから、第二の海洋開発についての基本的な理念でございますけれども、ただいま総務長官からも答弁がありましたように、海洋を、ただがむしゃらに資源だけを目途として開発をするということをいたしますと、御指摘のような点が出てくることは、わが国ばかりでなく、現在世界各国の関心事となっております。したがいまして、国連におきましても、海洋開発につきましては、一つは、海洋の開発は平和的な利用に徹すること、それから第二には、海洋環境を破壊しないことという柱を立てております。そのように、現在世界では、またわが国の中でも、海洋開発の基本的な理念がいまつくられつつある段階でございます。科学技術庁はじめ、海洋開発関係している省庁といたしましては、その辺の動向をわきまえて、わが国としての基本的理念を、これはわが国の立場も含めてつくらなければなりません。そのような作業を進めてまいる所存でございます。  なお、鉱区の掘さくそのほかのことにつきましては、ただいま申し上げましたような点で確かに現在ちぐはぐな点がございますので、今回御提案申し上げております海洋科学技術審議会海洋開発審議会に拡大改組いたします大きな理由の一つは、従来海洋科学技術審議会におきましては、海洋科学技術だけの可能性を検討しておりましたが、科学技術の開発というものは、御承知のようにそのときどきにおきまして革新的な飛躍がありますので、そこで御指摘のような段差が出るおそれがございます。しかし、この科学技術から出てまいります可能性は、海洋開発を具体化する段階では、いろいろと制度の問題、あるいは財政の問題等々がございます。そのほうで調節をいたしまして海洋開発が円滑にいくように進めてまいりたい、そのような趣旨から海洋開発審議会と拡大改組するわけでございます。なお、その審議内容につきましては、御指摘のような御懸念のないように、海洋開発計画について総合的かつ基本的な問題を審議していくということで、御指摘のような点に遺漏のないようにしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  27. 木原実

    木原委員 これは、私もしろうとなのですけれども、ここ数年政府が実際にタッチをした側面を見ますと、たとえばこの石油の大型掘さくといいますか、そういう方面にはたいへんにこの予算もついている。御案内のように、この海洋開発ということは、たいへん複雑な要素を持っております。国際的な関係から、技術の開発から、さまざまな分野にわたった側面があると思うのです。しかも、やはり相当な投資を必要とする。ですから、現在海洋開発に関心を持っておる巨大企業がかなり先行投資的なものでやっているような側面もありますね。しかし、いずれにせよ、たいへんな金を食う仕事であることは間違いありませんし、そういう意味では、まさに国が大きくタッチしないと解決ができない側面があると思う。ところが、長官もお触れになりましたように、経済開発優先で、そういう巨大企業の開発意欲にかりに政府が引きずられていく、こういうような愚だけはぜひきびしく考えていただきませんと、結果においてはたいへんな荷物を国民が背負い込むことになる、実はこういう感じがするわけなんです。ですから、私は、適切かどうかわかりませんけれども、やはりこの基本法のようなものをきちんとつくって、原子力基本法については、平和利用前提にした三つの原則があるが、こういうようなものをきちんと準用をしながら、国民の前に海洋開発の方向というものをやはりきちんと示していく、そういう努力をやりませんと、いろいろおっしゃいましたけれども、実際この数年来の中身を見ますと、どうも石油優先だ。水産関係に言わせますと、石油開発をやったところで、大枚の金をつぎ込んで、それでこの日本近海で、かりにいま考えられておるものが完全に成功したとしても、せいぜい日本の石油需要の四〇%ぐらいじゃないか、しかもペイするものはきわめてわずかだ、こういう非難もあるわけです。海洋のたん白資源を確保するためには、もっと安い金で、もっとやることがあるじゃないか、こういう議論もわれわれは聞くわけです。反面また、そういう水産関係の利害といいますか、そういうものに引きずられて、今度は大陸だななんかの問題が、なかなか解決がつかない困難な入り組んだ関係があると思うのです。ですから、そういうことについても、これこそまさに政治の問題ですから、やはりきちんとした方向をまず打ち出す努力をやりませんと、このままずるずるといきますと、これはどうも取り返しのつかぬことになるのじゃないか、こういう感じがするわけです。せっかく意欲を持って、審議会を拡大改組をするということならば、まず、もうかなりの努力と実績がこの数年来蓄積をされておるわけですから、諸外国の例もあるわけですから、そういうものについての努力の方向といいますか、アプローチの方向、こういうものを考える期時じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  28. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 大型掘さく装置はたいへんな経費が必要であろう、確かに御指摘のとおりでございますけれども、これは、必ずしも大型掘さく装置だけでなく、御承知のように海洋開発技術につきましては、これは一つのシステム技術なんでございます。したがいまして、この大型掘さく装置の開発の段階でいろいろ出てまいります、たとえば水中でさびない鋼材の開発とか、あるいは水中にどのようにして電源を送るかというようなことは、必ずしもこの大型掘さく装置ばかりでなく、かなり波及効果のあるような形になろうかと思います。この大型掘さく装置だけで金がかかるということは事実でございますけれども、その波及効果を考えますと、いろいろな面に出てくるのではないかとわれわれ確信しておる次第でございます。  なおしかし、この大型掘さく装置をつくることによって、御指摘のように、海底鉱物資源開発と水産開発との間で、経費、利益の関係から考えて、水産資源開発のほうが手近ではないかという御指摘でございますが、当面はそういうような問題もあろうかと思います。なお、四十六年度の予算で申し上げますと、政府関係の予算が総額約六十六億でございますが、そのうち、海底鉱物資源関係の予算、それから水産関係の予算はほぼ同額でございまして、必ずしも重点が、方向が一方に傾いているというような施策にはなっておりません。しかしながら、将来、この大型掘さく装置等ができまして、それが海底を撹乱し、それによって水産の上に被害が出るというようなことは、これはわが国のような水産国としてはまことに恥ずかしいことでございますので、われわれ、この大型掘さく装置の開発にあたりましても、そういうような公害を一切出さないようなシステムを開発するということにいたしておるわけでございます。しかしながら、先ほど来御指摘のありましたもろもろの点につきましては、海洋科学技術審議会を、幸いに海洋開発審議会に拡大していただきますれば、その土俵の中で十分御審議がいただけるのではないかというように考えております。
  29. 木原実

    木原委員 そこで、気になることがあるのですけれども、たとえば、いままでの審議会のメンバーは、新しく改組されますと、おそらくかわると思いますけれども、これは学者の方々——これらの人たちについての論評は差し控えたいと思いますけれども、大体メンバーの構成を見ますと、学者の関係の方々と関連企業の代表の方々、それに役所関係の方々、こういう構成でしたね。ある意味では、その中には一番重視すべき技術関係の代表がまだ入っていない。これはあとでいろいろ御質問申し上げたいと思うのですけれども、たとえばかなりな分野にわたって大枚の金を投資する、しかも、いまは現実に大きな企業の海洋開発がかなり進んでいる。その海洋開発、いろいろ波及効果のことを言われましたけれども、技術開発等に伴いまして、いまのような形で、いわば政府と企業の密接な関係がありますと、たとえば、せっかく開発した技術なんかも、何か企業の私的な機密事項に蓄積をされてしまって、いわゆる公開が行なわれないのじゃないか。大枚の税金を投入しながら、結局は、その波及効果を含めて、特定企業の技術開発に奉仕をする、こういう側面があるのじゃないか、少なくともこのメンバーを見ただけでもそういう感じがするわけです。また、海洋開発の現状などを仄聞しましても、そういう心配があるわけです。ですから、これはメンバーの構成の問題に触れますけれども、そういうことも含めまして、たとえば原子力基本法で言いますと、平和利用前提にして自主的にとか民主的にとか、あるいは公開とか、こういう原則を幾つか並べております。これにもすでに公開の問題が出ておりますけれども、しかし、少なくとも国が投資をして開発をした分野については、すべての国民が均てんを受けるような、そういう意味で、技術については公開をするとか、あるいは外国との関係がさまざまにありますから、やはり自主的な立場を堅持していくとか、原子力基本法の三原則に多少とものっとったような原則をきちんとした形で表明する必要はないかどうか。そういうことはどうでしょうか。
  30. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 まず従来——まだ存置してあるわけでございますけれども、海洋科学技術審議会のメンバー、委員でございますが、二十名のうち、私の記憶では七名が学界の先生方、それから七名が御指摘の海洋関係関連のある産業界の技術者、経営者、それから六名が関係省庁の次官で構成されているかと思います。  まず、この学界の先生方につきまして申し上げますと、海洋開発の根幹をなしましたのは、御承知のように海洋学でございますので、海洋学の関係の方をお招きしている。それから今度は、海洋開発が一九五〇年代に入りまして新しいフロンティアとして出てまいりましたのは、海中におきますいろいろな工学、エンジニアリングが進んだためでございます。そのような意味で、エンジニアリングの関係を扱っておられます大学の先生方をお願いしております。申し落としましたが、その中に海洋法の先生が一人おられます。それから業界といいますか産業界の関係でございますが、この方々は、先ほどの御趣旨のように、政府の実施いたします海洋科学技術の開発が産業界に貢献するというような意図からお願いしたのでございません。企業の中におりますその方面の権威の方々をお願いしたというように御理解をお願いいたしたいと思います。  それから役所の関係でございますが、海洋に関係があります六省庁の事務次官が入っております。その中に、御指摘のように防衛庁の事務次官が入っておりますが、この海洋科学技術審議会昭和三十六年に発足しておりますが、その時点におきまして、残念と申しますか、当時、関係省庁の中に海洋科学技術に関する蓄積があまりございませんで、防衛庁の関係では、防衛庁の任務と関連して多少海洋科学技術に関する蓄積がございましたので、その科学技術的な蓄積を海洋の民生的な開発のほうに役立てようということで、むしろお手伝いを願うということからお願いをした次第でございます。  それから、今後海洋開発を進めていく場合に、原子力基本法に盛られたような精神が必要ではないかという御指摘でございますが、これは私もそのような形で整備をしていくべきであるというように考えておりますが、先ほど申しましたように、海洋開発につきましては、皆さんの頭の中に海洋開発というものがありますが、これを単に科学技術的な視点ばかりでなく、いろいろな視点から見て日本の国民のために役立つ海洋開発にする、この意味では自主的な海洋開発にすべきであるという考えが出てくるわけでございます。この日本の国民のためになるような海洋開発の姿はどういうものであるか、その開発分野は具体的にはどうなるかということは、今後海洋開発審議会において、十分各階層の御意見を聞く段階で逐次熟していくべきものであろうというように考えております。  それから第二のことでございますが、広く各界の意見を聞くというような形でやることによりまして、国民各層の海洋開発に対する理解と支持、また場合によりますと、それが脱線しないように関心を持っていただくということはきわめて必要であろうと存じます。  また最後に、広く知らせる。個々の企業の秘密の中に埋め込まれてしまうのではないか、埋め込まれるおそれがあるのではないかというようなことでございましたが、従来も、政府の資金で行なっております海洋開発につきましては、それぞれ関係省庁から、内容によりましては事実各企業に委託研究をさせる、あるいは委託製作をさせるということをやっておりますが、その段階ではすべて報告書をとっております。その報告書につきましては、いつでも公開できるような形になっておりますし、また海洋開発計画そのものにつきましては、先生もすでに御承知かと思いますが、たくさんの印刷物をつくっております。これらもすべて手に入るようになっております。私のほうといたしましては、決して海洋開発につきまして非公開というようなことではなく、むしろ公開することによって国民各層に関心を持っていただき、その国民各層の支援のもとに海洋開発を進めていきたい、そのように考えております。御了承願います。
  31. 木原実

    木原委員 どうも私が質問をする前のことまで御答弁があったのですが、ともかく私がはっきりさしてもらいたいことは、方向性の問題が一つあると思うのです。これは非常に多岐にわたりまして、海洋はやはり観光資源だと考えておる人もいるし、これはもう非常に広がっておるわけなんです。ですから、それらをきちんと整理をして、そういうものを基本法として集約をして、国民の前に——海洋日本ですから、アメリカとも違い、お隣のソ連とも違う。ともかくこういう形で海洋開発に国民として取り組んでいくのだ、こういうことで、その中で、たとえば技術についてはこういうことでやっていくのだとか、そういうものを集約をして基本法を——すでにもう基本法のようなものを整備をして国民の前に示す段階ではないのか、こういうことなんです。その中でも、私が多少心配をするような問題についても、やはりきちんと一つの宣言法として解決をしてもらいたい、こういうふうに考えるわけなんです。これからもおそらく多額の予算を食うだろうと思うのです。それだけにこの段階できちんとそうしませんと、何か企業に引っぱられて銭を出しているのではないかといわれるあれもあるし、水産界が騒げば、そっちにも養殖漁業をやるのだということで、農林省がまた動く、こういうことでは、海洋開発の看板を掲げましても、それこそばらばらになってしまう、こういう心配があるわけです。ですから、念を押すようですけれども、きちんとした方向性を打ち出す基本法のようなものを整備していく、そういう御意思があるかどうかということをお伺いしておるわけなんです。
  32. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 ただいまの御質問でございますが、御指摘のように、海洋開発につきましては確かにいろいろな部門もございます。その部門の重要性は、それぞれ各国々によって事情が違います。したがいましてわが国としましても、わが国の国情に合った、また国民の大多数の支持が得られるような海洋開発をやっていくということは、私もきわめて重要だろうと思います。それで従来やってまいりました海洋科学技術審議会では、それぞれの分野の開発に対して、科学技術の面から見ればこれだけの可能性があるという可能性を打ち出しているわけでございますが、その可能性が全部出てまいりますと、あわがかみ合いますようにかみ合ってしまいます。したがいましてそれをかみ合わせないように、要するにことばをかえていいますと、その間にトラブルが起こらないようにやっていくためには、海洋開発の総合的、斉合的な開発計画を立てる必要があろうかと思います。  それからまた、その開発計画を立てるのに際して、目標はどこにあるかということの御質問だと思います。私の現在の判断では、現在各方面の海洋開発に関する関心は、それぞれの分野においてきわめて高まった、しかしその各分野をどのように斉合的に調整するかということは次の課題であろう。その次の課題の段階で、海洋科学技術の面から可能性は出てきている。しかしその可能性に対してワクをはめるということが、今後財政なり制度なりの問題として出てくるのではなかろうかと思います。  それで、その二つの点につきましては、はなはだ残念なことでございますが、これまで国の中で——政府の中でと申したほうが的確かと思いますが、十分な審議が済んでおりません。したがいまして、今回審議会を海洋科学技術審議会から海洋開発審議会に拡大改組させていただきまして、その土俵で審議を十分願って、その上で基本法が必要であるか、あるいは基本法の目標がどうであるかということを政府としてはきめてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  33. 木原実

    木原委員 あなたから御答弁をいただくのは少し無理かと思いますが、私は、そういう調整的なことは大事でしょうけれども、やはりきちんと方向を出しませんと、すでに混乱が起こっているのだ、こういう感じがするのでお尋ねをしているわけですが、それはまさに科学技術庁の本来の仕事であろう、こういうふうに考えるわけです。  そこで長官に少しお伺いをしておきたいのですが、それと関連をしまして、私も驚いたのですけれども、海洋開発と称する分野がほとんどの省庁にわたっているわけです。これほど多岐にわたって仕事が分散をしているものはないと思うのです。私ちょっと気になるので調べてみましたけれども、たとえば開発計画の大綱のようなものをつくるのは大体科学技術庁だ。それから厚生省には、たとえば海中公園みたいな公園の問題があります。それからまた水産庁は、これは申すまでもございません。諸般のことをやっております。それから通産省は、たとえば石油鉱区の問題であるとか、あるいは大型の資源開発ですね、そういう本のの仕事をやっておる。それから海上保安庁、これまたいろいろと海洋開発関連をする測量その他の問題をやっている。それから気象庁は、海洋気象と関連をして、いろいろデータの開発、整理その他をやっている。あるいはまた労働省は、潜水夫等の問題、たちまち人の問題です。あるいはまた建設省は、別の意味で海洋の構造物その他の問題を取り上げておるとか、あるいはまた郵政省あたりも、海中の通信の問題でいろいろと開発の問題をかかえている。そのほかにも調べれば、文部省関係その他も出てくると思うのですが、これでは、長官も先ほどおっしゃったように、たいへん大きな国民的課題、まさに新しい第二の人類の夢を託するような海洋開発といううたい文句があるわけですけれども、いかんせん行政面ではまず多岐にわたっている。だから私が基本法のようなものを整備してきちっとしなさいということの中には、こういうふうにばらばらになっている機構の統一を直ちになさいとは言いませんけれども、しかしながら総合的なプロジェクトを何かやはり政府機関の中に設ける。基本法が単に宣言法ではなくて、そういう意味合いを持つんだということになりませんというと、いま審議官がいろいろおっしゃいましたけれども、科学技術庁の調整に余るんじゃないかと思うんですね。これから仕事が進めば進むほど、そういう可能性というものが増大をしていくような感じがいたします。現におそらく仕事の上で混乱があるのじゃないかと思います。そういうことになりますと、やはり海洋開発ということに関連をしまして、行政面での多岐にわたる分散、そういう関係のものを、長官は環境庁をおつくりになったわけですけれども、やはりそれにふさわしいようなもの、何か総合的な開発推進機構といいますか、政府もやはりプロジェクト調整チームのようなものをつくってやっていく必要があると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 これは西田大臣からお答え願うのがほんとうだと思うのですが、そのような実態は確かに存在しておりますし、事務当局においても答弁もいたしましょうが、事務当局同士の連絡はやっているようです。しかしながら、やはり先ほど私が冒頭に申しました日本の今後の国策の大きな柱の一つであることが間違いないとするならば、どういう姿勢でいくのか、科学技術庁長官は、科学技術の開発に関しては、内閣法第六条による、総理は、各省庁の長たる大臣を閣議で決定された方針に基づいて指揮するという、新しくできる環境庁長官と双壁の権限、総理大臣に行使を意見具申する権限を与えられているわけですから、もしそれらのところで差しさわりがあれば、科学技術庁長官たる国務大臣が、総理という内閣を掌理する立場の権限の行使を願い出ることができると思うのですが、国民常識的に見ました範囲では、いまのところ海洋開発関係は、まだその段階以前の状態で、各省てんでばらばらに手探りをしているのじゃないだろうかというふうに思うのです、これはたいへん失礼かもしれませんが。ですから、ばらばらにやられては海洋の、たとえば油井一つ掘るにしましても大問題ですから、新しくできる環境庁等は、海洋汚染防止法というものによって、そういうものが水産動植物なりあるいは海洋環境というものの自然を破壊することのないように当然チェックしていくことになると思いますけれども、各行政がそのようなばらばらな状態で行なわれていることは、もとに戻って、日本は海洋国家として今後の海洋開発はどのような方向、目的をもって進むのかという大本がきまっていないということだから、各省がそれぞれ自分の分野においてそれぞれの仕事をばらばらにしているのだろうと私は見ておりますが、的確な答弁は西田大臣のほうにひとつお願いしたいと思うのです。
  35. 木原実

    木原委員 長官のところは、何か貸し座敷みたいなもので、審議会も何か座敷を貸している程度のことなんですが、しかしいつかも長官は、私にだって座敷を貸すだけが能じゃないのだ、ものを言う権利があるのだと、何かのことでおっしゃったことがありますけれども、私もちょっと調べてみまして、せっかく大上段に振りかぶっているのに、あまりにも、行政面一つをとりましてもそうだし、現に行なわれた仕事をとりましても、何かまだ小舟で海に乗り出した、波にもまれている、こういう側面があるものですから、ぜひひとつこれは長官も御協力願って、ともかくきちんとしたものを出す努力をする、それに伴って機構の金は出しているわけですから、政府がやはりしていく、こういうことで、ひとつぜひ御努力を願いたいと思うのです。  それからもう一つ委員の構成の面なんですが、先ほど審議官のお触れになりました防衛庁が参加しておるということですね。これはいろいろ議論のあるところだと思うのです。あそこにはいろいろな海に関するものを蓄積をしておりますし、現に施設も持っております。ですから、あるものは使え、こういうことだと思うのです。ですから、これをいま論議をする段階でないといえばそれまでだと思うのですが、ただアメリカ等の事例を考えますというと、どうもアメリカの海軍がやはりかなりな金を使っていますね。ですから、これはおそらく一部ではなくて、公然とと申してもいいと思うのですけれども、アメリカの非常に進んだ海上開発というのは、その軍事的な背景というものがかなりの大きなウエートを占めているのじゃないか、こういう感じがするわけです。われわれは、言うまでもありませんけれども、平和国家ですから、あるいは非軍事国家ですから、少なくとも海洋開発について軍事的に利用される側面、これについては、出発当初から十分なやはり一線を画しておく必要があるのじゃないのか、こういう感じがするわけです。ですからいまは、先ほどもちょっとお触れになりましたように、まだ防衛庁にある人員や資材や設備、そういうものを使うのだ、こういうことなんですけれども、しかしわが国の自衛隊もわれわれの委員会でしばしば問題になるわけですけれども、かなりな成長の度合い、それがまた海との関連ということになりますというと、ある意味では技術なんというものはもろ刃の剣でもありますし、ほしいものはほしいということになってくると思うのです。ですから具体的なことになりますと、委員会の中に防衛庁の代表が入っておるということについて、少なくともやはりあまり疑わしいことのないように、何かそこに一線を画していくという必要があるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  36. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 今回、海洋科学技術審議会海洋開発審議会に改組いたしますと、従来は海洋科学技術だけを審議していればよろしかったわけでありますけれども、先ほど来再々申し上げておりますように、総合的な開発計画、あるいは国際制度的な問題ないしは日本の産業経済と海洋産業をどのように結びつけるかという新しい場面の御審議を願わなければなりませんが、反面委員会委員の人数は、また多くいたしますとなかなか明快な結論が出ない点もございますので、従来どおり二十名で構成をしてまいりたい、こう考えております。かつ、委員会は国民各層の意見を聞いて慎重に審議していただくということをたてまえにいたしますので、海洋開発審議会に改組いたします段階で、政府職員委員から全部ドロップするつもりでございます。
  37. 木原実

    木原委員 そうしますと、少なくとも委員の中には防衛庁のメンバーは含めてはいない、こういうことですね。——特に、これはメンバーのことを申しましたけれども、あわせてやはり平和利用に徹する、そういう側面、すでに尖閣列島の問題等についても、国際的に、たいへん何かわれわれにとって好ましくない疑いをかけられる、こういう側面もありますし、この点については、これからのやはり海洋開発の方向として、きちんとした位置づけをやってもらいたい、こういうふうに考えます。  それから海洋汚染の問題、これは長官のお仕事のほうとも関係があるわけですけれども、昨年の秋の国会で海洋汚染防止についての法律もできあがったことですし、これからの運用の問題もあるのですが、どうもやはり新しくできたあの法律も、必ずしも十分でないような感じがいたします。いずれまた政府のほうでも修正の機会、改善の機会がおありかと思いますけれども、たとえば農薬等の関係ですね、これは別に農薬の規制の法案があるわけですけれども、しかしながら現実の問題として、農薬等による海中への浸透、農薬だけではございませんけれども、河川を通じて海に流れ込む、あるいはまた海洋投棄の問題等についても、特に開発に伴う公害、たとえば油井を掘さくをしておる途中の事故とか、あるいはそうでなくとも、新しく構造物を入れること等によっての影響とか、いろいろな形で汚染の度合いが少なくとも進む状況にあるわけですね。そのことがいろいろな形を通じて、魚の関係その他でまた人体にも影響してくるということは御存じのとおりなんです。そこで海洋汚染の防止法が新しくできたのですが、もう一つの問題として、国際的に海洋汚染防止についての何か新しい条約といいますか、協定といいますか、そういうものを近い将来につくろうという動きがあるのは御案内のとおりなのです。そうしますと、国際的なレベルの中でこれがうまくいきますというと、国際的な条約のようなものができる、そういう際には、いわば日本の独自な立場もありますけれども、進んで国際的な条約機構に参加をしていって国際的なレベルの中でわれわれの国も海洋汚染の防止に努力をする、こういう方向だと考えてよろしいですか。
  38. 山中貞則

    山中国務大臣 海洋汚染の国際条約については、わが国ではすでに国会の御協力によりまして、国際海洋油濁防止の条約内容全部を盛り込んだ上に、さらに廃棄物も規制する海洋汚染防止法をつくりましたので、国内体制が整ったことを前提として、臨時国会でも申しましたとおり、すでに閣議決定をいたしまして、国会に提案をいたしまして条約の批准に関する件が出ております。これを国会で批准していだだきますと、アイスランドがすでに批准を終わっておりますだけで、日本が世界第二番目の批准国ということになります。その意味では、諸外国に先んじて国内法も整備し、条約も批准したということになろうかと思います。  なお、海洋汚染防止法と環境庁の権限でございますが、海洋汚染防止法の権限は、全面的に環境庁が所管することになります。したがって規制その他も全部やるわけですが、取り締まり面等については、海上保安庁というやむを得ざる機構がございますので、これはそちらのほうに残しますけれども、たとえば先ほど私が触れました、石油の開発等に伴って海底の油田を開発するという場合等については、一義的には通産省の鉱山法というものが——大陸だなであれば、日本の技術はまだ百メートルくらいしか掘れないらしいのですが、外国資本でなければ百メートル以上のところはなかなか掘れないという情けない状態であるとも聞いておりますけれども、どこの技術でやるにしても、科学技術庁が発明した技術が幸いにして実用化すれば、日本の近海は日本の手でということになりましょうが、そのときには、通産省の基本の法律の運用のあり方について、環境汚染を防止する立場、海洋汚染防止法という法律を専管する環境庁として、通産省に対してものを言っていくということになろうかと考えます。農薬については、登録事務までやりますと、これは薬と同じでたいへんな専門家をかかえた分析をしなければなりませんので、登録の事務はやりませんので、農薬の残留とかあるいは直接被害とかいうもの等の、いわゆる公害と称される分野の問題は環境庁のほうが所管をする、それでものを言って、農林省のほうが取り消したり、あるいは使用停止を命じたりするという仕組みにしておるつもりでございます。
  39. 木原実

    木原委員 海洋汚染は、すでに御案内のとおりたいへん広範に進んでいるわけでして、われわれそのあとを追っかけているということですね。そうしますと、いまの段階の中では、そういう国際的な条約の中にも積極的に参加をしてまいる、こういうことなのですが、私も詳細を存じないわけですけれども、国連の環境会議といいますか、そういう方面で新しく汚染防止条約のようなものを、七二年度ぐらいまでを目途につくろうという動きがあるやに聞いております。この関係はどうですか。
  40. 山中貞則

    山中国務大臣 これは一九七二年にスウェーデンのストックホルムで予定がされておるわけで、その準備は、すでに下打ち合わせ等が進められておるわけであります。これは現在の条約である海洋油濁防止というものよりも、それを改正する動きではなくて、各国の海洋汚染防止その他環境保全に対する挑戦あるいは阻止、そういう体制を国際的に議論しよう、単に一国のみの問題ではない——島国日本はまだ一国の問題としてとらえられる問題が大部分ですが、さりとても、公海たる太平洋その他の海については、日本独自でかってなことをすることは、いいことならかってなことをしていいのですが、悪いことのかってなことはできない海でありますと同様に、ヨーロッパ等においては国境が陸続きでありますから、スウェーデンが完全に自分の海と空を、湖も含めてきれいに守ろうとしても、ドイツの工業地帯、イギリスの工業地帯からの気流に乗った汚染が上空をおおえば、これはどうにもならないという問題が非常に深刻な問題のようです。そういう意味で国際的な防止の足並みあるいは提携連絡というものを密にしたいということの会合のようでありますが、いまの国際的な各国の環境汚染の具体的な取り組み方を見ますと、おそらくその会議において日本は相当なイニシアチブをとれる国になれるだろうと私は思っておるわけでございます。
  41. 木原実

    木原委員 わかりました。  最後に大陸だなの問題について若干お伺いをしておきたいと思います。  これもたいへん複雑な問題がありまして、なかなか甲論乙駁のあるところなのですけれども、しかしもう大陸だな宣言をやるという時期に来ておる、こういうことでもないのですか、どうですか。
  42. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 大陸だなの問題につきましては、御承知かと思いますが、昨年また新しい考え方が出てきたわけでございます。と申しますのは、従来大陸だなは大体等深線二百メートルまでの沿岸海底を大陸だなにする、しかし一部の国は、それよりも深いところでも、技術開発能力があれば自国の大陸だなとして宣言してもよろしいという大陸だなの考えがあったわけでございます。  ところが、この大陸だなの考え方につきましては、世界の国々から二つの批判が出てまいりました。一つは、それでは大洋の海底というものは先進国に専有されてしまうのではないかということから反対が出てまいりました。それからまた、二百メートルの等深線ということでやりますと、アフリカの西海岸、それから南米の西海岸の国々では、海洋から海底が急斜面で大洋底へ落ち込んでおりますので、ごくわずかのところしかない、したがって、そのような深さで大陸だなというものを規定するよりも、距岸距離、岸からの距離で規定したほうがよろしいというような反対意見等がございまして、大陸だな条約ができており、かつ批准国も逐次ふえておりますが、ここのところでちょっと停滞したような形でございます。  それで、それを打開するために、昨年五月に、米国のニクソン大統領から、大陸だなと大洋底の間に国際信託海底を設けようではないかという新しい提案が行なわれました。これでは等深線二百メートル以深のところは、先進国といえども放棄をしようではないかということ。それから先、この国際信託海底が公海の海底に接するところをどうするかといろ問題で出てまいりました。この議論を新しくやる段階になってきたわけでございます。したがいまして現状では、この大陸だなというものを批准するとか批准しないとかいうことでなく、新しい考え方も入れてわが国がどのような方針を打ち出すかという事態を迎えていると考え  ております。
  43. 木原実

    木原委員 なかなかこれは複雑な問題で、ここで私がお伺いして結論の出るような性格のものではありませんけれども、そうしますと、そういう新しい考え方を入れながら、大陸だな問題については政府としても近い将来に一定の——不動のとは申しませんけれども、方針は策定をして出す、こういう段階だと理解してよろしいでしょうか。
  44. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、このニクソン提案の国際信託海底を含む考え方、この問題をどうするかということで、国連の海底平和利用委員会が拡大会議を持って検討するというようなことでございますので、政府といたしますというと、少なくともその委員会に対して国としてどういう態度をとるかということを、早急に詰めなければならない状況にあるというように伺っております。
  45. 木原実

    木原委員 それでは、この辺で終わりたいと思いますが、ただひとつ御要望を申し上げておきたいと思います。審議会が新しく改組をして発展をする、たいへん意欲的なことだと思うのですが、一つは、せっかくの機会ですから、先ほど来申し上げましたように、海洋開発についてのきちんとした国の政策の方向、こういうものをやはりすみやかに確立をしてもらいたい、これがまず第一点です。それから、この際に何よりも平和利用という側面を、これまたひとつきらんとした方向で打ち出してもらいたい、こういうことです。それから、審議会のメンバー等についても、ありていに申しまして、政治的ないしは経済的なひものつかない——すぐれた技術者がたくさんいるわけですから、そういう方たちを包含をしながら、ひとつりっぱな人選をして、少なくとも国の政策が一歩でも二歩でも前進をするような、そういう構成でやってもらいたい。こういう要望を申し上げておきたいと思います。  いろいろとお伺いをしましたけれども、私もしろうとなもので意を尽くしませんけれども、ひとつ審議会がそういう形で運営されるように希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  46. 天野公義

    天野委員長 鬼木勝利君。
  47. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 山中長官に久々にお目にかかりました。きょうは本会議もございますので、その程度でひとつきょうは御無礼したいと思います。  今度の設置法の一部改正で、三点あるようでございますが、まず、総理府の附属機関として国立の公文書館を設置する、たいへんけっこうなことだと思うのでございます。提案理由説明の中にも「国立公文書館の設置については、かねてから、各方面より強く要請されておりました。」と、このように説明がございますが、これは私はずいぶん長いことではないかと思います。公文書館設立ということに対しては、政府は今日まで非常に消極的であったと私は解釈せざるを得ないと思うのです。今回山中長官の非常な御熱心な意欲によってこういうことになってきたのではないかと私は思うのです。昭和三十四年十一月に学術会議会長から勧告を受けておった。しかるに今日まで延引をしておった。ところがこの説明には、かねてより各方面より強く要請されておった——かねてでなくして十年以上も前からこういうお話はあっておるゆいかなる理由によってこのように延引したか、しかも各国、もう八十カ国からりっぱな公文書館ができておるにもかかわらずです。そういう点について、まず長官の御見解を承りたいと思います。
  48. 山中貞則

    山中国務大臣 これは確かにおくれ過ぎておると私も思います。予算だって三十九年から一億つき始めてやっと完成の域に到達するわけでありますから、いやにゆっくりしたペースだと私も思うのです。ただこれは、日本でつくります場合に、関係各省のいろいろな文書その他が、うっかりすると倉庫みたいなところにほうり込まれておるような現状なんかもありますし、そういうものの整理等の調査、特にただいま御指摘になりましたように、おおむね世界の歴史の長い国家はほとんど、あるいは先進国家はもちろん、そういうものをみな持っておるというようなこと等の調査、そういうもの等も必要でございます。でありますが、完成が今日までおくれているということは、歴史の長い国家としてはたいへん立ちおくれた行政であったという点は認めざるを得ないと思います。
  49. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私はこの問題についていろいろ勉強さしていただいたのでございますが、東京教育大学の和歌森という先生も、この公文書館の発足に対して新聞発表をしていらっしゃるようでございます。昭和三十四年十一月にこういう勧告が出ておる。ようやく今日竹橋の近くの美術館の隣に近代的な公文書館ができるようになった。まことに欣快にたえぬというような意見が新聞紙上に発表されておるようでございます。  大体、公文書館というものについて、過去におけるところの予算を私は一べついたしましても、いま長官がおっしゃったようにまことに微々たるものであって、ほとんどこれの保存ということには国自体が放置しておる、各省でかってにこれを保存しておる、こういう政府としての姿勢が私はどうしても納得がいかないのですね。しかもいま長官が、各国を調査した、こうおっしゃっておるけれども、あんなこと調査しなくたって、各国にあることはわかっておるのですからね、見に行って確かめなくたってあるということはわかっておる。それがなぜ今日までそういうことに対してもう少し真剣に取り組まなかったか、その点についてもう一度、どういう理由でそういうことになったのか、ただいま長官の御答弁——長官を責めるわけではありませんけれども、あなたが十年も二十年も長官をなさっておったわけではないんだから、あなたを責めるわけではございませんが、どういう理由であったのか、こういう大事な公文書を放置しておったその理由、根拠について長官の御見解を承りたい。
  50. 山中貞則

    山中国務大臣 これは率直に言って、長い歴史を持ち、しかも現在は近代国家である日本が、そういう諸外国に比してまず自覚が少なかった、そうしてそれに対する対策が立ちおくれたということは事実だろうと思います。私も就任しましてすぐ、宮中の敷地内をお借りしております内閣文庫に行ってみました。まことに日本の、長い歴史を持つ国の古文書等保存するものとしてお粗末きわまるところに、そういう状態のまま推移しておる、まことに遺憾なことだと私は思いました。  そこで、幸いにして、結果的には一応これが七月一日から発足できる運びになりましたので、今日までの立ちおくれについては弁解の余地はないと思うのですが、しかし、これからつくるものについてはりっぱな内容のものにしなければなりません。私も和歌森教授とは友だちでもありますし、また歴史学界の方々とも直接お会いもいたしまして、専門の方々の運営その他の御議論も十分承っております。またその新聞に書かれました内容も、私もまた別便で、とくと見ろということで送付もいただきました。先生の御意見も私もわかり、和歌森先生の御意見もわかっておるつもりでございます。また政府としては、なるべくそういう趣旨を取り入れたものにしたいと考えておりますので、今後のあり方等についての問題に十分手落ちのないようにしていかなければならない、そしておくれもやはり取り戻していきませんと、和歌森教授がその中に述べておられるように、諸外国歴史学者が日本に来て国立公文書館を見せろと言ったら、恥ずかしくて顔から火の出る思いをしたという表現であったかと思いますが、これは恥ずかしいのは国だと思うわけであります。その意味で、できます以上は、恥ずかしくない、諸外国に劣らないりっぱなものに急速に整備したいと念願をしております。
  51. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 長官のおっしゃることは大体そうだろうと思うのですが、そこで、四十六年の七月から出発する、そのようにございますが、建物はまことにりっぱなものができた、しかし一体これをどうして運営していくかという、いわゆる国立公文書館の将来に対するビジョンというか、そういうことが一切説明がない。先般から総理府のえらい人を呼んでいろいろお話を聞きましたけれども、そういう将来のことに対しては何もない。あるかもしれぬけれども説明してくれない、聞いてもわからぬ、これではしょうがない。あとで順を追ってお尋ねいたしますが、将来に対するところのビジョン、たとえていいますならば、どういうふうに運営していくかというような点について大綱を長官説明願いたい。なおまた、詳細はこまかくお尋ねいたしたいと思いますけれども、一切そういう点がつまびらかでない。総理府の役人を呼んで聞いたけれども、非常に不親切きわまりない。長官はなかなか御親切で温情があります。どうもそういう点が私は不満。長官、どうぞその点を……。
  52. 山中貞則

    山中国務大臣 これは御理解願いたいと思いますが、そうはでな、ここで政策を樹立して、立案して何かをやるというものではありませんので、たいへんその意味ではじみな仕事に属するものだと思いますが、しかし近代国家であって、しかも歴史が長い国である日本がどのような国立公文書館を持つか、これは諸外国から見ても専門の方々には興味のあることでありましょうし、もちろん国としても、それらしきものにふさわしいものをつくらなければならぬと考えております。したがってそれらの運用についても、これは当然、まず資料の収集、保存、あるいはそれらの分類、それを利用するさせ方、あるいは公開の原則、そういうようなもの等に従っていかなければならぬと思いますが、高度の近代技術を行使してマイクロ化したりなどの作業等も取り入れながら、やはり利用するに際し、ただ保存されているだけでなくて、それが各省庁の今後の行政の上にも、どういう歴史があっていまのわれわれの行政があるかというような問題に、次への新しい発展の場合に、公文書館自体は指図しませんが、公文書館に問い合わせをした場合に、直ちにその回答資料がもらえるというようにしたいし、また国際的な交流というようなことを将来考えていくべきものであろうと思っておるわけでございます。
  53. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私のお尋ねしましたのは、いまのは長官の抽象的な御答弁でございましたが、個々にわたってお尋ねしたいと思います。この説明にも少しあるようでございますが、各省庁から移管を受けた公文書類を保存、整理する。そうしますと、移管を受けないところの公文書各省でかってに保存をするのか。むろん、それは公文書館に公部収集するということになると、各省がいささか不便な点もあるいはあるかもしれぬ、そういう点を私もやや了承することはできるのですが、そこに何らかの基準があってしかるべきだと思うのですよ。もしこういうことで、各省庁からの移管を受けた公文書ということになるならば、これは公文書館が国の大事な公文書永久保存しようというたてまえからした場合に一歩後退であり、一歩譲った形に私はなると思うのですよ。だったら各省がこれは出すな出すな、こういうことになった場合に、何らそこに基準がない。何も総理府が頭から命令的にぱっぱとやれと申しておるのではないけれども、ここに何かはっきりした基準が私は必要だと思うのですね。そうしないと、各省はかってに出さないということになれば、これはぜひ公文書館に必要だ、ここへ置いておかなければならない、また学界方面その他からもぜひそれがほしいといわれても、各省から移管を受けなければ、公文書館にこれを収集することができないという不便がある、そういう点が非常に政府が消極的だと私は思うのですね。何も権限を行使しろとは私は言っているのじゃありませんけれども、本質的な立場から考えた場合に、公文書館設立趣旨、その使命から考えた場合に、いささかこれは消極的ではないか、こういうふうに考えますが、長官いかがでしょうか。
  54. 山中貞則

    山中国務大臣 これはもう全部どうぞ移管いたしますという役所もあるでしょうし、中には、外務省あたりは、永久秘なんという書類も私の知っている範囲内ではあり得ると思うのです。ですから、役所ごとにいろいろとそういう意味扱い方の違いがあると思うのですが、しかし部外秘なら部外秘というような問題で、じゃあ何年たったら部外秘でなくなるのかというような問題等は、まさにおっしゃるとおり公文書館ができましたのを機会に、できますならば、そういう部外秘であっ  ても何年たったらそれは移すのだ、あるいは永久秘とあってもこれを公文書館に何年くらいたったら移してしかるべきものである、諸外国の例その他もございましょうから、そういうものを十分念頭においていかなければならないことだと思うのです。また、公文書館は原則として公開でありますから、全部どんな資料でもオープンにするのだが、全部オープンにされては困るのだという役所も出てくると思います。ですから、一応はいま先生おっしゃったような運営方針ということで出発をいたしますが、しかし、やはりいま言われたようなこういう書類は、各省お家の事情もあるだろうけれども、出しなさいというような基準を当然つくらざるを得ないだろうと思っている次第でございます。
  55. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 その点は大臣と私と同感でございまして、まことに私も満足いたします。ところが、だんだんお話を聞いておりますと、全貌がかすかながら出てまいりましたが、この公文書類の保存については、集中的に保全、管理を行なうなど手厚い措置を講じて外国はやっている、しかし、わが国にはそういう施設がないから、そこで公文書館を設置してここへ収集するのだ、こういうことが表に出ていますが、ウエートは一体どこにおいてあるのか。保存するということも、これは非常に大事なことでございますけれども、公文書保存ということにウエートを置いて、倉庫化するような考え方がむしろおありであれば、私はこれはとんでもない間違いだと思うのです。「これに関連する調査研究及び事業を行なう」、こういうふうに書いてありますけれども、あくまで私は、調査研究機関ということが非常にウエートが大きくならなければならぬ、かように感じておりますが、そういう点については、いま長官もおっしゃったからお読みいただいておると思いますが、学界の学者連中、東大の小西という教授や先生方も、あくまでこれは調査研究ということが重大なるウエートを占めているのだ、こういう意見を発表しておられる。これが倉庫化するようであったら、単なる図書館みたいな、ただ保存しておけばいい、そうして公開してみんなが読めばい、のだというようなことでは、どうも公文書館設立趣旨に私はもとると思うのですよ。あくまでその点について、はっきりした見解を長官はこの際国民に知らせていただきたい。いやしくも国立でございますから、保存に主体を置くのか研究調査に主体を置くのか。そういう大事なものであるからこれを保存するのだ、これなら理屈はわかるのです。だけれども、これを全部国で大事に保存する、そうして研究もさせる、研究のために保存するのであるか、その点をはっきりひとつ御見解をいただきたい。
  56. 山中貞則

    山中国務大臣 これはいまお話しがあったとおりで、保存とか閲覧とか、あるいはいろいろな分析整理、それから利用のためのサービス、こういうことをやるわけでありますから、そういうことをさらに合理的に、あるいは科学的な分析等も加えてどのようなことが一番能率的であり、効率的であるかの研究、これは続けなければなりませんが、ただ公文書館が研究機関であるというと、それでは何を研究するのだというので——図書館みたいにただ書類を集める場所であってはならない、これはよくわかります。利用価値の高いものでなければならない。しかし、研究機関といっても、そこでまた新しい公文書を何か研究してつくり出すわけではございませんので、研究機関意味が、あるいは取り違えを私もいたしておるかと思いますが、いま言ったような業務に対する調査研究というものは絶えずやらなければならぬだろうと思っておる次第です。
  57. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、だから私は、何もことばじりをとるわけじゃありませんけれども、この趣旨説明なんかを拝見しましても、「各省庁から移管を受けた公文書類を整理し、保存するとともに、これらを閲覧に供するなどその幅広い活用をはかり、あわせて、」——「あわせて、」とこうあるのです。つけたりで、「あわせて、これに関連する調査研究及び事業を行なう」こうありますので、私どもがこれを拝見した場合に、どうもその点が納得がいかないような気持ちがするのです。これは日本歴史学的な問題からいたしましても重要な参考書類も私は多いと思う。あるいは考古学的な面から考えてもですね。そういう点からして、あまねく一般の国民、学者はこれを要望しておるのですよ。その点を私は長官にはっきり申し上げたのであって、何も公文書館そのものが研究機関だというのじゃなくして、内容運営を私は申し上げておる。その点長官まだ私の意思が通じませんか。
  58. 山中貞則

    山中国務大臣 わかりました。通じました。、「あわせて、」とあって、趣旨説明ではつけたりであるということですが、まあそう意識して使ったことばじゃないので、男と女と合わせれば夫婦ということですから、これはどっちが大切というものでありませんので、ただことばをそういうふうに使っただけで、法律用語としては、第十一条に「国立公文書館は、国の行政に関する公文書その他の記録を保存し、閲覧に供するとともに、これに関連する」——「ともに」となっているのです。「これに関連する調査研究及び事業を行ない、あわせて」——今度は「あわせて」ですね。「あわせて総理府の所管行政に関し図書の管理を行なう機関とする。」、こういうことでありますから、私の趣旨説明の文章というものが少し実態に合わなかったと言われればそれまででございますが、決してそれをつけたりと考えておるわけではございません。並列でございます。
  59. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私も、意思が通じたと言われるからこれ以上言うことはないが、前もって、ことばじりをとるわけではないということをはっきり申し上げておる。だから、「あわせて、」ということになると、どうもつけたりのような感じがしないでもない。いささかこれは表現がどうかと思うという点を申し上げたのであって、はっきり長官のいまの御説明で私もわかりました。  そこで、この問題をずっと論究していきたいと思いますが、公文書館運営機構あるいは組織についてでございますが、先ほど長官が、世界各国から立ちおくれておることは事実だ、認める、こう仰せになっておりましたが、将来は各国の公文書館にも遜色のないように、その機能を十分発揮していただかなければならないのでありますが、これは、私は運営の妙にあると思うのですね。そこで、どのようにして運営していかれるか。あとでも申し上げますけれども、人員は三十八名集めるんだというようなお話を簡単に聞きましたが、小西教授あるいは和歌森教授も、その点について強く論究されておるようでございますが、一体どのようにこれを運営していかれるのか、その点について御答弁願いたいと思います。
  60. 山中貞則

    山中国務大臣 これは三十八名という定員でいたしますと、なかなか格づけが困難であります。しかし、国立公文書館という格づけは非常に高いものでなければなりません。そこらのところは予算のときにもいろいろと議論をしたわけでありますが、人多きがゆえに格が高いわけでもありませんので、やはり国立公文書館としてふさわしい格づけとして、八条機関ということで、みなしごみたいな存在にならないようにきちんと位置づけをいたしました。それに従って、館長はもちろんですが、庶務課、公文書課、内閣文庫ということで、いままであります内閣文庫のほうもやはりその中の大きな柱として引き継いでいくということでございまして、諸外国に立ちおくれておりますが、人員がそうよけい最初から要るわけでもございませんので、将来は充実の必要もあろうと思いますが、現在はこの程度の陣容で発足しても、八条機関としてのきちんとした機関でございますので、そうおかしな存在ではないと考えておるわけでございます。
  61. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 長官説明がなかなか巧みで、そして抽象的で、私はそういうことにはあまり満足できないのです。たとえば一これはたとえばですよ。これはこうせよと私が申し上げているわけではない。また私がせよと言っても、すぐあなたがすなおに聞かれる方でもないが、たとえて言うならば、この公文書館をスムーズに運営していくため、将来運営委員というような、あるいは運営委員会というものでもおつくりになるようなお考えがあるかないか。これとても、あなたはつくると言ったじゃないか、私はそんなことは言いませんよ、これはたとえばの話なんだから。軽い気持ちで、どういうふうに運営していこうか、あなたの脳中にある秘策、ビジョンがありましたら、ちょっとお漏らし願いたいと思います。そうしなければ、ただこのままで人間を三十八名集めたから、それは八条機関でしっかりしているとおっしゃるけれども、そういうものをしろうとばかりがうようよしたって何にもなりはしない。ただ人間だけそろったって——いやこれはまだとなたがおいでになるかわからぬから、何もそういう皆さんを私はどうだこうだ言っているのじゃないけれども、たとえばの話、だからその内容はどういうようなことをなさるのか、私はこれは相当高度な組織、機構でなければならぬと思うのですよ。その点どうでしょうか。
  62. 山中貞則

    山中国務大臣 歴史学界とかあるいは和歌森教授のそういう新聞の意見発表、公的な開陳というものの中にも、そういう運営機関をつくれという御意見の提言等がございます。これはやはり謙虚に耳を傾けて、どのようなものがそれになじむものであるかどうか考えなければならぬと思いますが、現在のところは運営委員会みたいなものをつくるということの前の段階でございまして、まず何よりもそういう各省ばらばらの文書というものをどのように体系立てて収集し保存するかというところが手始めの仕事でございます。それらをどうするかについては、これから先の検討課題ということでございまして、初めからそういう委員会等をつくって出発するというところまではまだ詰めておりません。
  63. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうだろうと思いますが、私が申し上げておるのは、ただ建物を建てて、じゃこれで出発するのだ、みんな承知せよ、人間は三十八名用意したぞ、これでは私どもとしましても困る。冒頭に私が申し上げましたように、将来のビジョンは少なくともこういうことを考えておるとか、あるいはこういう姿にしたいとかいうようなことはあってしかるべきだと思うのですよ。ただ建物を建てた、人間だけ集めて、入れといって、入って何をするのか、どういうことをやるのか。これは個人の家庭においてだって私はそうだと思うのです。ですから、将来のビジョンについてどういうふうなお考えがあるのかないのか、そういう点を順を追っていまお尋ねしておるわけなんです。いま長官は、まず建物を建ててそういう形をつくることが大事だ。むろんそうでしょう。これはもとがなければ末はないのですから、これが一番大事だと思いますけれども、あすのこともやはり私は考えてほしいのです。あすはどうなるのだ。いわゆる将来ということも、責任者である長官ならば、おれはこういう考えを持っている、おれの考えはどうだろうというくらいなことを、山中長官ともある方が、卓越した識見はおありのはずなんだから、そういうことをお尋ねしておるのですよ。先ほど申しましたように、調査研究というような点も非常な大きなウエートを占めておりますので、長官も諸外国公文書館なんかも調査したと仰せになっておるが、三十八名集める、一体どういう人を集めるのか。アメリカあたりでは、こういう専従職員の方は、保管官とかあるいは記録官というような格づけをして、そして考古学あるいは歴史学というようなものに通じた専門家をそろえておるというようなことも聞いております。だから、三十八名という方をお集めになるというのだが、一体どういう方をおそろえになるつもりか。ただ単に配置がえで人員をそろえるだけで、各省からあちらこちらから連れてくるとか、あるいは総理府内でプールして入れかえるとか、そういう人をそろえるだけで能事足れりというような考え方は、これは公文書館そのものを軽視したやり方だと私は思う。これに対して長官のお考えはどういうお考えであるのか。  先ほども申しましたように、これは図書館あたりの司書とは意味が違うのだから。そこへ並んでおられるえらい方は皆よく御承知で釈迦に説法だと思うのですけれども、図書館の司書とは全然意味が違う。それを図書館の司書みたような——司書が悪いと言っているのじゃない、分野が違う。職能が違う。図書館の司書もりっぱな方々ばかりでしょう。何も私は図書館の司書をどうだこうだと言っているのじゃない。だけれども、全然性質が違うということを私は申し上げておる。そういう点はよくおわかりあってなさるのであるか。その三十八名の方のいかんによっては私は異論がある。そんな安易な考えでも持っておられたらとんでもない。どうでしょう長官
  64. 山中貞則

    山中国務大臣 まずはっきりしておりますことは、いまの内閣文庫ですね、この人たちも長年のそういう練達の士でありますから、公務員でありますけれどもやや特殊な能力を持っておる諸君であります。これは内閣文庫長というもののもとに一応柱が立ちますので、これらの人たちはそのまま仕事をしてもらうことになると思いますが、残りについては、最初はまず各省からいろいろの書類その他を集めてきて、それを整理して系統立ててという作業が当分続くだろうと思うのです。でありますので、いまのところは、やはり公務員の身分たるべき者というものが現在の三十八名で占められるというふうにお考えいただく以外にはない。最初から頭でっかちのものをつくってみても、いまのところ内容がそれに伴わないということでございますから、これは逐次整備されていくことに、政府も国会もともにつとめていくべきことであろうと思いますから、将来はそういう諸外国の最も望ましい形態というものをそれぞれとりながら、わが国のりっぱな政府立のものであるにふさわしいものにしたい。もちろん、各省に置かれているような国会図書館の支部みたいな程度のものとは全然考えておりません。これは格が違う、質が違う、またそういう重みが違うという意味で、私も御趣旨には同感でございます。
  65. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 創設したばかりでいまから出発するのであるから、体系ばかり整えても頭でっかちで内容が伴わないというのはよくわかります。まさにそのとおりだと思う。  いま段階的にやっていく、逐次諸外国の例にならってやっていくというようなお話がございましたので、その点は了承いたしますが、私が最初申し上げたように、将来はこのように考えておるというビジョンをいまお聞きしておるのであって、いま直ちにやれと言っているわけでもないし、そういう点も偶然よくあなたと話が一致していくのだが、最後まで一致するかどうかそれはわからぬが、単に、この趣旨説明にも書いてありますように、国の政治、経済、社会、文化等の各分野における貴重なるところの資料、この事務処理の便宜のためにまず三十八名を置いておくのだというように当分は理解してようございますか。
  66. 山中貞則

    山中国務大臣 最初はやむを得ずそういう出発になろうかと思います。しかしわが国は二面性を持っておりまして、非常に長い歴史を持っておる国であるということの特徴と、半面、・近代国家になってそういう公文書類等が整備されてきた。いわゆる太政官令等から始まった歴史は僅々百年余りであるという、また非常に浅い近代国家としての国家形態の歴史が半面あるわけであります。ですから日本の場合には、それらの二面性を踏まえて、独特の、ユニークな国立公文書館というものに将来なるであろうと私は思うのです。またそうしなければならない。諸外国も、そういう古い封建時代の歴史の長い日本と、近代国家になって急速に国家形態が整ったあとの日本の伸長ぶりというものに対しては注目をしているところでありますから、公文書館等のそういうような分類のしかた等についても、日本らしい特徴のあるものにしていきたい。これはやはり諸外国からも日本公文書館を見たいというような希望者が来るような内容にしなければならないと思うのです。しかし、さしあたり来年度の四十六年度予算でまとまりました内容というものでは、まず何年がかりかで建物をつくって、そうして今度はそれを運用する人たちを、まず最初の仕事始めとして三十八名というものが置かれたということでありますから、これは永久に三十八名でやっていくというものではございませんので、四十六年度において出発は三十八名で出発をいたしますということでございますから、これからやはり、ただいま申し上げましたような日本の独特のりっぱな公文書館をつくり上げることに、人員、予算、内容ともに努力を傾けていくべき事柄であろうと思うわけであります。
  67. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だから私がもうくどく申し上げておるように、こうした公文書館というようなものをつくって、いまから出発するのだ。でございましたら、そういう点を、将来はこうしていくのだ、将来はこういうふうになっていくぞというようなことを親切に教えていただかなければ、われわれが審議する上において非常に不便を感ずるのです。そのために政府委員調査員なんかのえらい役人がいるのに、そこへずっと並んでいるだけでは、これは意味をなさない。国会で審議をしていただくというのならば、もう少し、このように考えておりますので十分ひとつ御検討を願いたいという親切がなければいけない。長官はまことに微に入り細にわたって御説明になっておる。雄将のもとに弱卒なしというけれども、弱卒ばかりではなはだけしからぬ。  先ほど長官がおっしゃったから、もうこれは蛇足かもしれませんけれども、小西教授がおっしゃっておるのです。「いざ建物ができて、さてこれをどう運営して行くのか、その点についてまだよくきまっていないようである。国立公文書館というのは、政府機関公文書類を、整理・保管し、原則としてこれを公開する任務を持つもので、図書館・博物館と三位一体をなす文化機関である。」こういうふうなことが出ておる。だからやはり、ただ建物ができてどうだということでなくして、いまだんだん長官の御所見をお伺いしまして将来性もはっきりわかるようになってまいりましたが、図書館やあるいは博物館と三位一体となる、こういう各方面の希望もあるようでございますが、そういう点もお考えになって将来はこういうふうにやっていきたいという何か腹案でもございますか。そういう点についてもちょっと長官の御見解を承りたいと思います。
  68. 山中貞則

    山中国務大臣 私が事務当局に答弁いたさせませんのは、鬼木先生の高邁なる内容の御質問に対して、やはり責任ある国務大臣たる私が答弁するのがよかろうと考えて、小さい問題まで御答弁をいたしておるわけでございますので、その点は、尊重をいたしまして答弁をしておるということで御理解を願いたいと思います。なお、私がこまかな問題で御答弁いたしかねるときは事務当局に答弁をお許しを願いたいと思います。  ただいまの、これは個人の御意見でございますから、三位一体という表現でもけっこうでありますし、また三本柱という意味でもけっこうでありましょうが、要するに、そういう相互の間の有機的な国としての関連も持って運営していかなければならないだろうという御提言だろうと思うのです。これは当然そうなることだと思います。現在では国会図書館にのみ保存されておる分野のもの、あるいは博物館でなければないようなもの等で、国立公文書館ができれば公文書館のほうに系統立っておさめられるべきが正しい古文書等が存在しておると思いますから、それらは当然、国の名において、よく相談をいたしながら、ばらばらでないような運営というものがなされなければならぬと私も考える次第でございます。
  69. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 別に私は高邁な考えを持っておるのじゃないのですが、おほめのことばをいただいて、まことにうれしく感じますが、決して高邁な考えを持っておりませんので、いろいろお尋ねしております。  今回の三十八名の人員の措置については大体わかりましたが、これもいま直ちにどうということじゃないかもしれぬと思いますが、一般が心配しておりますのは、館長は一体どういうふうにしておきめになるのか、これはいますぐだれだと、そういうことを聞いているのじゃありませんよ。大臣級とか次官級とか局長級とかいろいろあると思うのですが、館長の人選については一体どういうお考えを持っておられるのか。学界もそうでございますが、国民がこういう点に注目をいたしておりますのは、過去においてもよく——これも表現、ことばが悪いかもしれませんよ。次官の古手とか、ことばが言い過ぎであれば取り消しますが、率直に申し上げまして、そういう古手のいわば世俗で言っておりますおば捨て山というようなことに公文書館利用されるというようなことになれば、これはとんでもないことだと私は思うのです。そうでなくして、あくまで国民の期待に沿って、専門家の堂々たる、だれが見ても納得のできる、優秀な、新進気鋭な、斯界のオーソリティーというような方を館長にすべきだ。その点先出方の意見も、新聞にはっきり載っておるんだから、別に私が言うというわけでもないのですよ。粗略な人事で、古い事務次官級のおば捨て山の一つにすることなどまさかあるまいとは思うが、やはり念を押しておきたい、こういうことなんですよ。これは、山中長官はまさかそんなことはありやしないと思うのですがね。しかしおれがやるのじゃないとおっしゃるかもしれないけれども……。そういう点を、私もむろんそうでございますけれども、学界あるいは国民大衆が非常に危惧いたしておりますので、私がこれを代弁したにすぎないのですが、しかし、私自身もその点は断じてそういうことがあってはならない、かように存じております。これとても将来のことで、いま直らにどうということじゃない。将来おれはそのように考えておる、全く同感だ、そうおっしゃると思いますが、どういうふうにおっしゃるか、一応お聞きしておきます。
  70. 山中貞則

    山中国務大臣 これは事務次官クラスの古手とかあら手とか、それはいろいろありましょうが、問題は、事務次官をしておった者が直ちに適任であるかどうかの問題だと思うのです。じゃ、これはりっぱな人だからといって和歌森教授を館長に来てくれませんかと言ったって、それはとても、教育大学のりっぱな、そうそうたる名の通った先生が、じゃおれが国立公文書館長になろうと言われはしないわけですから、これは実際には言うことはやすくして選ぶのはむずかしいと思うのです。しかし、かつて役人であったからといって、中には捨てがたい人物もおるわけですね。うば捨てじゃなくて捨てがたい人物もおる。ということは本人の人物の問題だと私は思います。役人であって、どこかの事務次官をしておったから、あれが遊んでおるから連れてくるというようなことは、これはこの公文書館ではあってはならない。私もそう思います。しかし、事務次官クラスの者であった場合には絶対にだめだということはちと——私としてはその人物がよろしければよろしいという気持ちでおりますので、お話もありましたが、私一人できめるわけではございません。当然総理まではいかなくとも官房とよく相談をして、国として選ぶにふさわしい人物であるかどうかは、先入観を持たずに話し合いをして、白羽の矢を立てたいと考えております。
  71. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、私が申し上げたのもそのとおりであって、だれが見たってあの人ならば人物、手腕、力量、人格、識見りっぱだ、こうみなが納得する方をということを私は前提として申し上げておる。そういう点においては本質的にあなたのお考えと一緒だと思う。次官であろうが大臣であろうがそれはかまいません。ただ養老院みたように便宜上その人の身の振り方のためにおば捨て山——従来おば捨て山といわれておる意味は、それは長官もおわかりのはずです。そういうことになってはならないということをみんな危惧しておる。あなたのお考えと全く同じです。これは万人が納得すれば何も問題はないわけです。それを納得しないのに、けんけんごうごうたる中でそういうのを任命するようなことが過去にあったから、往々にして国会で問題になったのだから、ああ天下り人事だとか情実人事だということがあったのだから、そういう点をわれわれは非常に危惧しておるのであります。非常にたくみに長官はおっしゃったけれども、結局私の考えと同じじゃないですか。だから、ことばの表現が非常にたくみにするりするりと抜けていかれますけれども、もう一度その点をひとつはっきりしておかなければならないと思います。
  72. 山中貞則

    山中国務大臣 これは言い回しが微妙にならざるを得ないわけですね。学者の方を持ってきますということをかりに私がここで明言したら、鬼木先生は満足されるとしても、じゃその学者はだれだということになれば、これは世間全部納得するという人はいないと思うのです。かつて国立国会図書館の館長に金森先生なんというりっぱな人をいただいたこともありました。しかし最近は、衆参両院の事務総長上がりが交互に就任するというようなことになっているようにも思うのです。そのことがいい悪いは別であります。ですから、そういうことにならないように、その人はかつてはどういう人であったけれども、しかしそういう男はどんな——これは男女含めてでもいいですが、その人物がふさわしい人物であるか、このことは十分に判断をするつもりでございます。
  73. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それはあなたのおっしゃるように、百人が百人、十人が十人全部が賛成、みながいいということがあればこれが最も理想ですけれども、それは多少の異論のある方もいる。これは世間一般の通例なんですよ。だから、おおむね筋の通った、そして納得をするような人事をやっていただきたいという私の真意がまだ御了解できませんか。いかがですか、長官
  74. 山中貞則

    山中国務大臣 そういうつもりで人選をすることに私の段階ではいたしたいと思います。
  75. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 これでようやく完全に意見が一致しましたので、長官はちょっと……。  そこで政府委員にお尋ねしますが、先ほど長官は、これは非常にじみな仕事だと仰せになった。むろんそのとおり。何もこれは表面に出たはなやかなお仕事ではありません。こつこつと、ししとして学究的にやっていく、これはほんとうにじみな仕事でございますけれども、重大な一部面を受け持っており、しかも私は高度な仕事だと思っておるのです。そういう高度な仕事をなさる方は、いわゆる全生命を打ち込んでやっていただかなければならぬ、このように思っておるのですが、そういうような人々を——これは統計職員養成所を研修所にするとか、各省で養成、養成、研修、研修、間もなく研修が大学校というふうにわけのわからぬことばかりやっておるようだが、これはまあ、私があまりよくわけがわからぬということであって、あなた方はよくわけがわかっておるのでしょうが、そういう育成機関とか養成機関というようなことを将来何か計画しておられますか。先ほど、三十八名の者はいままで公文書なんかを整理しておったような者を、多少の経験のある者をみな引っぱってくるのだということを言っておられましたが、将来はそういう養成あるいは育成でもするようなお考えでも何かあるのか。その点について……。
  76. 柳川成顕

    柳川説明員 ただいまのところ、先ほど長官が御答弁いたしたとおりでございますが、将来専門家がどうしても必要になるという段階が当然まいると思っております。そういう段階がまいりました際は、そういう専門家を養成する組織なり機関なり、あるいはそういう手続というものを進めてまいりたいと考えております。
  77. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、これは非常にじみな仕事だ、しかも大事な高度な仕事だということを先ほど長官が発言されたのですが、こうした公文書館勤務する職員諸君に対して優遇措置は考えておられるのか。むろんそれは公務員法によって、給与の問題だから人事院とかいろいろなことがあると思いますけれども、総理府なのだから、あなたたちのお考えによってはまたそれを検討すればいいのだから、そういう考えはあるかないか。じみな仕事だから陰のほうに置いておいて何も優遇しない、そういう点についてどういうふうにお考えか。これは将来のビジョンを聞いているのです、あなた方が何も言われないから。そういうお考えがあるのかないのか、どうですか。
  78. 柳川成顕

    柳川説明員 ただいまのところ一般行政職の職員をもって充てる予定にいたしております。将来の問題につきましては、ちょっと即答いたしかねるわけでございますが、非常に高度の資格を持つ専門家をこれに充てるというようなときがまいりました際は、優遇措置というものも考えてまいりたいと思います。
  79. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 将来考えたいということですね。いつ考えるかということをお尋ねします、これは議事録に残りますからね。そうしますと、この三十八名を大体あなた方は今度公文書館に集める、配置転換をするということですが、一応その構想はできておりますか。いまから三十八名をどこからか持ってくるという計画ですか。一応本人にも当たって、内諾でも得てやっておられるのか、これからそうされるのか、これから物色されるのか。その点大事なところだし、それによってまたあとからずっと私はお尋ねすることがあるから……。
  80. 柳川成顕

    柳川説明員 先ほど長官が答弁いたしましたとおり、内閣文庫関係につきましては、大体そこの職員が参る予定になっております。それから公文書課と庶務課等につきましては、これから考えてまいりたい、かように思っております。
  81. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、仕事はじみだ、しかも陰でこつこつとやらなければならぬ、何の優遇もないとすると、三十八名の方は喜んで参りますか。配置転換なんということで、自分の意思に染まないようなことを押えつけてやるつもりですか。しかも、先ほど長官は、将来は私がお尋ねしたように専門の知識を持った人と入れかえていくと言う。だから私が申し上げたように、保管官とか記録官という格づけでもする考えがあるかどうか、それに対する的確な答弁はありませんでしたけれども、将来はおっしゃるように専門家をだんだんそろえていきたいと言う。こうなりますと、いま公文書館に集めるという三十八名の方は、いわばつなぎであって、当分来ておけ、またしばらくすると、今度はどこかへやられるということになりかねないと思うのですよ。そうすると、だれが喜んでそういうところに行くか。優遇もしない。そういう点については、あなた方はただ単なる命令でどこへ行け、ここへ行けと、本人の意思に反してでもやるつもりですか。そういうところが微妙なところなんですよ。そういう公文書の整理だとか研究だとかを非常に興味を持って好いている方、趣味のある方は喜んで行かれるかもしれない。だけれども、あなた方は偉いからしっかり勉強もされたと思うが、総じてああいうじみな仕事で、書物ばかりに朝から晩まで取り組むようなのはあまり好まないのです。私ども大学時代なんかあまり勉強しなかった。だからといって落第したわけではない。優秀な成績で出たが、勉強はあまりしなかった。ですから専門的な、好きな、趣味のある人でなければ好んで行くわけではない。そうすると、三十八名の配置転換は一体どういうふうなことでやられるのでしょうか。半ば強制的にそこへ向けていかれるのですか。これはあなたをやかましく責めるのじゃないですよ。これは大事なことだから、どういうふうにお考えになっておるのか。
  82. 柳川成顕

    柳川説明員 大体庶務課の系列でございますと、これは一般行政の附属機関の庶務と大差ございません、というより全く同じと考えていいかもしれません。しかしながら、公文書課の系列でございますが、これは将来の公文書館運営の中核をなしていく系列でございまして、ここには、いま現在公文書館について経験のある職員はおりませんが、公文書行政につきまして相当の識見のある者を充てていきたいというふうに考えております。ただこれは人事の問題でございまして、長官以下の御決定になるところでございますので、われわれとしてはそういうところを選定してまいりたいというふうに考えております。
  83. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 すこぶる答弁が不徹底です。私が言っているのは、建物ができた、出発するんだ、人を入れるのだ、そういう抽象的なことではいけない。どのようにしていたしますか。じゃはっきりひとつお尋ねしましょう。その三十八名は、もし各省からお採りになるというならば、その人員の配置は何省から何名、総理府から何名、そういう計画をひとつ出してください。おっしゃってください。本人に当たっておるなら当たっておる、当たっておらないなら当たっておらない、これから当るなら当たる。できなかったらそれはどうします。あなた方は三十八名集めてやるんだ、それでわれわれにすみやかに賛成していただきたい。賛成はしたが実際はできないというようなことになった場合はどうなるか。それを無理やりに、強制的に、本人の意思に反していやだというのを連れていくのか、押え込むのか、そういう点をお尋ねしておる。それでは出発はできぬじゃないですか。だから私はそれを言っているのです。あなた方がスムーズに出発ができるように私は協力しているのですよ。責めているように見えるけれどもさにあらず。その点もう一度お伺いします。
  84. 柳川成顕

    柳川説明員 三十八名のうち二十六名は、総理府の既存の定員の振りかえでございます。それから十二名が新規増ということでございまして、二十六名につきましては、総理府の中から出すかあるいは各省に協力を依頼するか、そんなかっこうになると思いますが、十二名の新規増につきましては、いろいろの分野から選考するというようなかっこうになりまして、配置が済むと思うのでございます。  それで、先ほどのお尋ねでございますが、強制的にあるいは無理やりというようなことは決してないわけでございまして、そういう識見のある者を配置するという考え方でございます。
  85. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、二十六名は総理府から操作をする、それは大体話はついておりますか。
  86. 柳川成顕

    柳川説明員 まだ検討中の段階でございます。
  87. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 総理府の二十六名も検討中だ、新規増は十二名だ、そうしてあなた方はこれを認めてくれ、賛成してくれ、まだ操作はできていない、入るべき人間の操作もできていない。むろん正式なことはできないでしょう。一応内諾だとかあるいは計画というものがまだできていない。この十二名の新規増という内容はどういうことですか。総定員法に関係なく、定員内においての新規増の操作ですか。これは行管のほうから割り当てとか振り当てというようなことを言っておりましたが、行管のほうから割り当てるとか振り当てるということに対して私は問題がある。あなた方は行管のほうから振り当てられれば唯々諾々としてそれを採るのですか。いまあなたのおっしゃったように、そういう公文書に対して識見のある、経験のある人だとおっしゃっておるが、そういう内容の検討もしないで、行管のほうから割り当てがくれば、はいと唯々諾々としてそれを受け取るのですか。その人自体をどうだこうだと私は言っているのじゃありません。そういう点はどういうふうになっているのですか。
  88. 柳川成顕

    柳川説明員 行政管理庁の定員計画に従ったこれらの増員でございます。
  89. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、それは人員の配置とかあるいは総定員法の内において行管が全部にらみ合わせて、ああやるんだ、こうやるんだ、それはわかっているのです、私がいま言っているのだから。しかし個人個人、個々の人に対してはあなた方は検討しておるかというのですよ。あなたは先ほど、識見があり経験のある人を採るのだと言う。何も経験はない、識見もない、本人はいやだというのでも、行管のほうから十二名新規増だ、これを回すといえば、すぐそのままうのみにして採るのか、そういう点は——どちらでもいいですよ。私はどちらがいいとか悪いとか言っているんじゃない。あなたたちがどういうふうにして操作されるのか、その点をお尋ねしておるのですよ。どうもはっきりしませんね。
  90. 柳川成顕

    柳川説明員 この十二名は新規に採用できる職員でございます。したがいまして、どこから回ってどこの行政機関の者が来るといっ種類の職員ではございません。
  91. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうすると、行管のほうとしましては、公文書館にこれを回すのだ、この人は十分こういう点に経験がある、こういう識見がある、それをよく見きわめて回すのですか。ただ数を合わせるために回すのですか。そういう点であったら私は各省間の行政はばらばらだと思う。横の連絡が何もないと思う。その点をちょっとお尋ねしておきます。
  92. 柳川成顕

    柳川説明員 ちょっと先生誤解していらっしゃるのではないかと思うのでございますが、この十二名は、各省の中から十二名採ってくるということではございませんで、新規の増でございます。したがって新規職員として、そういう政府関係職員から選ぶということには拘束されずに採用することができる職員でございます。それが十二名、こういうことでございます。
  93. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だったらなおさらだ。これから白紙の人を新規に採用する、総定員法内に触れないようにして新規にやるというのだったら、そういう人たちをあなた方はよく検討した上で採用するのかということを聞いているのです。
  94. 柳川成顕

    柳川説明員 もちろんよく検討した上で採用いたしたいと思います。
  95. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうすると、総理府内の二十六名と、それから新規増の十二名の三十八名が、大体において当分の間はそれになれた人だ。新規の人は、あなた方が検討してこの人ならできる、適材だ、こう見きわめた人だ。一応当分はこのままでいけるという適材を集める、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  96. 柳川成顕

    柳川説明員 おっしゃるとおりでございます。
  97. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうなりますと、今度は専門官を将来は置くということになった場合に、そういう人たちはまた配置転換ということになるのですね。そうすると当分は腰かけということになるわけだな、その点は。これははっきりしておかぬと、簡単にいきませんよ。
  98. 柳川成顕

    柳川説明員 十分専門家になり得る素地のある者を選びたいと思っております。
  99. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 なかなか調子がいいが、現実問題としてそういうことはできるかな。だったらそういう人たちは、私が先ほど申しましたように、全生命を打ち込んで一生を通じてここでじっくり勉強していくというような見込みのある人を三十八名集める、こういうことだな。
  100. 柳川成顕

    柳川説明員 先ほど御説明しましたとおり、公文書関係職員が将来の公文書館運用の中核をなすわけでございますので、これにつきましては十分そういう将来専門家になり得る素地を有し、しかも現在においても、経験はございませんが、相当程度の識見がある、ないしはそれに近い類似の知識を有しておる、こういった人たちを集めてまいりたいと思います。したがって将来専門家というようなものができてまいった際も、それらのものをむしろ指導していけるような形に育ち得る人たちを採用してまいりたい、かように考えております。
  101. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、これはたいへんくどいようですけれども、どうも答弁が徹底せぬようだから私は申し上げておるのですが、そうすると、将来高度の専門官もどんどん置くというような場合に、かりに本人の意思に反して、また配置転換で配置がえをぼんぼんするというようなことはやってもらいたくないのです。本人の意思に反してですよ、いま採用している人を。だから私はさっき言ったように、養成機関でもつくるのか育成機関でもつくるのかと言ったら、あなたはそういうのはいま考えてないと言う。そうすると、いまこの人は将来この仕事には適材だ、将来伸びる人だ、そういうことを見きわめて採用する。新規十二名もやる。なお総理府関係もそういうふうにやっていく。ところが専門官なんかをどんどん置くというような場合にも、将来本人の意思に反して——ああそうですか、それじゃけっこうです、私は出ますといえば別ですが、本人の意思に反して、腰かけみたような不安はない、このように理解していいんですかということなんです。最後にひとつ。
  102. 柳川成顕

    柳川説明員 大体そういうふうな運営をしてまいりたいと思います。ただ人事行政全般、国立公文書館だけではなくて総理府全体の人事の問題もございますので、多少配置がえによって動く者も将来できてくる、かように思います。
  103. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 どうも答弁がぼくのあれに沿わないな。まあしかし、いずれにしても将来それは配置転換もあり得るかもしれない。けれども本人が、あなたのおっしゃるように、この人はこういう公文書調査研究というようなものに適材だ、非常に文化的な方面に趣味を持っている、自分はここで一生懸命やろうと思っておる、そういう人をあなたたちが集めた。ところが、その人の意思に反して、その配置転換とか配置がえということは将来あり得るかもしれませんよ。あり得るかもしれないから私は尋ねているのですがね。だけれども意思に反して、おりたいというものを人員の配置の都合で出すようなことは将来ないように、そういう点はよくひとつ考慮しておられるかということを聞いているんです。もうこれ以上あなたに聞いても、これ以上答弁はできないと思うからそれでいいが、いずれにしましても、先ほどから私はくどく申し上げておるように、この公文書館というものは、先ほど長官も、世界でも優秀な公文書館になるであろうと思います。——大体、なるであろうというのは私は気に入らぬ。優秀な公文書館になしますというあれがあればいいけれども、なるであろうなんという消極的な……。まあそれはいいが、建物も建てられていよいよ出発するというのですから、公務員諸君も、国の重大な、重要な部面をわれわれは担当するんだという、非常な意欲と喜びと期待と希望を持ってやるように私はやってもらいたいと思います。ただ単に三十八名の人員を集めればいいというようなことでは、これははなはだよろしくない、こういうことを申し上げておるのですよ。その点をおわかりですか。参事官。
  104. 柳川成顕

    柳川説明員 先生の言われることに全く同感でございます。
  105. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 時間がだんだん差し迫ってきましたので、長官もおられませんので、公文書館の問題については大体この程度にしておきまして、次に移りたいと思うのです。  次に、今度は統計職員養成所を統計研修所に改めるという問題ですが、五十年の伝統と歴史を持った統計職員養成所を統計研修所と改める、そのゆえん、根拠ですね。養成所と研修所とはどう違うか。養成所は研修しないのか。どうも私どもそういう点がわからないんですね。養成所と研修所はどう違うか。統計職員を養成する。何を養成するのだ。養成所では研修しないのか。そういうところにひとつ的確な説明をしてもらいたい。長官はいまお帰りになったばかりでお疲れであればどなたでもけっこうです。
  106. 山中貞則

    山中国務大臣 これは何も名前を変えなくたってできないことはないと思うのです。しかし実体がやはり時代の要請に沿って単に統計職員の養成だけじゃないんだということであれば、それにふさわしい名前も必要であろうということでしたわけであります。各省がこぞっていま自治大学校とか警察大学校とか防衛大学校とかいろいろなものをつくっておりますが、これも統計大学校なんということでどうだというような話も実は内輪ではしたわけですけれども、何もそういうような名前をつけたからといって、それが実体を伴うものじゃあるまいということで、さしあたり実務というものが拡大するということに従って、それにふさわしい名前にとどめたというだけのことでございますので、そう格段に大きな変化と申しますか、これによって必要のないものをつくったということではないとお考えいただきたいと思います。
  107. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 長官の御説明も、先ほどから申しますようにまことに常識的なお考えで、どうも私らぴんときませんが、養成所を研修所にする。何も名前を変える必要はないと思うけれどもというふうなお話でございますが、私がお尋ねしておるのは養成と研修とどう違うか。研修ということは養成しないのか、養成というととは研修しないのか、もう少しはっきり御説明願いたいですね。そういうありきたりの常識問題でこういうことをおっしゃっても、いまおっしゃるように、各省がこぞって大学だとか何とかいっておる。そうすると養成所というのと研修所というのはどう違うのか。私ども考えますならば、いま長官の、別にこれは長官にどうというわけではないけれども、問うに落ちず語るに落ちるで、大学なんかつくっておるから、では研修所ということにしておいてこの次は大学にするこれは下地か、そういうふうに解釈していいか。他の省がみんな研修所、研修所、それがみんなしばらくすると大学校、大学校、大学というと大学令によってやらなければならないから、校という字をつけて大学校、すこぶるこそくなことをやっておりますが、何がゆえにそういうことをしなければならぬかという的確な根拠、これを科学的に私は分析をしていただきたいと思う。長官いかがですか。
  108. 山中貞則

    山中国務大臣 ですから、私は各省がやっているような安易なことは私自身が認めないで、新しい時代に対応するような内容のものにふさわしい名前に変えたということです。ということは、統計職員養成所ですから、これは統計職員を、ほんとうに新規採用職員等の基礎技術の養成をする場所でございましたから、今日ではすでに統計職員になっている者も、あるいは統計に直接従事しないでも、統計を駆使するいろいろの科学技術その他が発達してまいりましたので、やはり全体の総合的な、統計職員の単なる技術者の養成というのにとどまらず、それの応用、利用あるいは管理システム、そういう問題等広く研修もしますが、養成ももちろんしていきますけれども、そういう意味ではもっと時代にふさわしい統計というものの養成機関をつくりたい、研修機関としたいということでございます。やはり統計というものはいままでわが国はあまり大切にしていないきらいもあります。かといって、私どもの国の統計は世界の統計の中で最も進んだ統計がなされておるわけであります。そのような進んだ統計の実態を持ちながら、それを日本の行政の上に広範に利用していく面においてやや欠ける点がある、あるいは専門の知識その他に欠けるために、応用その他において統計職員以外ではなかなかそういう分野についてはよくわからないということで、せっかくの新しい時代への対応をすべき姿勢が、世界に冠たる統計の実態を持っていながら利用されていかない。私は統計に非常に興味を持っておりまして、数字というものはものを言いません。しかし数字ほど雄弁に、それからものごとを引き出していくことのできるものはまたございません。それがすなわち端的に統計をどのように活用するかということにかかっているのだろうと思います。ですから、統計というものは大いに国政の場で活用されなければなりません。単に数字がどうであるからというだけの集計発表にとどまるべきものなら、これはもう統計職員だけでけっこうでありますけれども、統計というものはものを言わぬが、しかしそれをしてりっぱに活用するということにおいて数字を使うならば、統計というものはまことに興味のあるものであり、政治家はすべからく、その行政も含めて統計というものの価値を再認識すべきである、私自身はそういう信念を持っておりますので、この統計研修所というものは大いに役に立つものであるというふうに考えておるわけでございます。
  109. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 統計も大事な役割りを占めておることは、長官がおっしゃらぬでも、私も統計学は相当研究したことがありますので、よくわかります。しかも今日の電子計算機の発達とかあるいは情報化社会の進展、ここに説明に書いてある。そこで、その統計の研修の需要が非常に拡大した、それはよくわかります。統計学がいかに大事であるかということは、それはもう私よくわかります。しかしながら、いままで統計職員の養成所であったものを、もっと幅広く一般の職員に対しても統計学を研修させるんだ、これもわかります。これもわかりますが、養成所を研修所にされた、だったら私がお尋ねしたいのは、内容をどのようにお変えになっておるのか、修業年限はどうだ、教科課程、カリキュラムはどうだ、研修後の身分の位置づけはどうなる、あるいは教授陣はどうだということ。そういうような前の養成所を研修所とするというが、名は体をあらわすといいますから、ただ名前だけ変わって体は変わらない、それではおかしい。どのように変わってどうなった、このようにしました、統計学は今日非常な急速な発展をしておりますので、時代に即応してこのようにいたします、したがって養成所を今度は研修所として、教授陣はこうだ、教科課程はこうだ、時間数はこうだ、収容人員はどうする、そういう説明は何もないでしょう。そろいう点は内容はどういうふうに変わっておるのか。皆さんの御説明を聞いていると、養成所よりも今度の研修所が一段高きにあるような受け取り方を私らはします。だったら内容はどのように高くなっておるのか、カリキュラムの一端でも私はお聞きしたい。
  110. 関戸嘉明

    ○関戸政府委員 先生のただいまの御質問でございますが、ただいま長官が御説明申し上げましたが、養成所から研修所というふうに名称を変更することにつきましては、教科内容等の変更がなければ、ただ名前を変えただけじゃ意味がないじゃないか、こういうことだったと思いますが、私ども現在、職員の養成所という名称によりまして統計職員を養成しておりますが、国の行政機関におります統計事務に従事しておる職員につきましての特殊な技術的な訓練ということに重点を置いておりますので、一般的な統計の解析でございますとかあるいは最近情報化社会になってまいりましたが、電算機によるシステムアナリストというような者につきましては、直接に統計職員をそのものずばりとして養成するのにはいささか広範な問題になりますので、主として統計技術を教えまして、その調査内容でありますとかあるいは調査方法でありますとかいうような統計表作成の技術論ということが中心になっておりますが、研修所という形で、統計職員のみならず一般行政機関にも従事しております国の職員あるいはその他地方公共団体の職員に対しましても統計の研修を行なっていきたいということを考えました場合には、その教科内容におきまして、やはり記述統計あるいは推測統計あるいはその解析、分析等の手段方法、もっとわかりやすく簡単なことばで申し上げますれば、でき上がった統計の見方あるいは利用のしかた等にまで範囲を広げまして研修を行なっていきたい、このように考えております。それがただいま養成所から研修所へ変更いたします内容の一端でございます。
  111. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 あなたいま立て板に水を流すようにスムーズに言われたが、では今度養成所から研修所に変わったその研修所の要覧、要綱といいますか、一覧表ができていますか。
  112. 関戸嘉明

    ○関戸政府委員 計画いたしております研修所の内容要覧という御質問でございましたが、一応私どものほうで将来研修所という形になりました場合に教科内容をどういうふうに変更する、現在こういうことに重点を置いておるが、今回研修所に改まった場合に、どの点に重点を置いて強化してやっていくかということにつきましての一覧表を、後日作成して御提出申し上げたいと思います。
  113. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そういうのは、できてからつくったのでは審議できないじゃないですか。あなた何を言っているのですか。養成所を改めて研修所をこのようにつくります、カリキュラムはこうでございます、教授陣、修業年限はこうでございます、変わった部分はこうでございます、収容人員はこうでございますという一覧表を出して、このように変えます。あなた、おかしなことを言いますね。きまったらそれからつくりますなんてふざけたことを言うものじゃありませんよ。あなた何を言っているのですか。はっきりしなさい。
  114. 関戸嘉明

    ○関戸政府委員 私の表現で非常に失礼いたしましたが、きまったらということではございませんで、私どもがいま考えております、将来研修所においてはこういうことをやる、従来やっております養成所等におきましてはこういうことである、この一端を先ほど申し上げたわけでありますが、一応私ども研修所になりました場合、先ほど教科内容の一端を申し上げましたが、時間数その他におきましては、一応従来やっております時間数、あるいは月数等におきましても、従来も六カ月二回ということをやっておりましたが、それらの大体の計画は、期間あるいは時間数等においては従来を踏襲いたしまして、統計一般の理論を研修いたしますカリキュラム等を時間数の中で割り振ってそれらの教科を付加する、こういう計画でまいりたい、このように考えております。
  115. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私はそんなことをぐじゃぐじゃ聞いてるんじゃありませんよ。今度の研修所はこういうふうにやりますという一覧表、要覧ができてるか、なぜそれを資料として出さないか、審議できないじゃないか。大体できておりますなんてあなた言われるが、じゃわれわれはこれは大体審議して結論を出さなくていいですか。そういうあなたの答弁は、児戯にひとしいような答弁で、横で長官は笑っておられるじゃないですか。
  116. 関戸嘉明

    ○関戸政府委員 先生御指摘の要覧、一覧表をつくりまして御審議を願いたいと思います。後日御提出いたしたいと思います。
  117. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 じゃ早急に資料として出してください。前の養成所の場合の一覧と今度の研修所の一覧は——名は体をあらわす、名前だけ変えるようなことで、内容は何も変わらないというようなことで、それは承知しろなんて言ったって、そんなこと承知できるはずはない。そんなことは三歳の童児でもわかるじゃないか。学校が一年進級して三年になった、ところが教科書は昔のままだ、そんなばかな話があるわけはないでしょう。そんなことが通るわけはないでしょう。その点をひとつはっきりしてもらいたい。
  118. 関戸嘉明

    ○関戸政府委員 先生おっしゃるとおりでございますので、後日資料といたしまして、養成所の内容と研修所になった場合の内容の違いを御提出したいと思います。
  119. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それでは、まだいろいろお聞きしたいことがありますけれども、それを出していただけば、それによっておのずから内容を検討しますので、それはそれとして、今度はその次に、海洋科学技術審議会海洋開発審議会に改める、こういうお話でございますが、先ほど長官にもお話し申し上げましたように、海洋開発がいかに大事なことであるかということは異論のないところで、まさにそのとおりでございますが、海洋科学技術審議会というものが、いままで審議会をやられて、そしてどういうことを答申されたか、経過ですね、それをひとつ簡単にお話しを願いたい。
  120. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 御質問の海洋科学技術審議会は、昭和三十六年の五月に発足いたしました。これまでに三つの諮問を受けて、それぞれ答申を出しております。  第一の諮問は、昭和三十六年七月十八日に、「海洋科学技術の基本方策について」ということでございます。この基本方策につきましては、これまでに三回答申がございます。  第一次答申は、昭和三十八年六月七日に「海洋科学技術に関する総合調査研究計画」という形で出されております。この答申は、海洋開発をやりますのに、まず海のことをつぶさに知らなければいかぬという立場から、一般の海洋の定期調査はどのようにあるべきかということ。それから第二は、水産関係の海洋調査研究をどのようにやるか。これは水産資源別にやるべきであるということが打ち出されております。第三には、沿岸の海岸の総合調査をやる。これは沿岸一般につきましての調査のほかに、特に開発予定されておりますところに対しては、その開発の参考になるような調査をやる。沿岸の開発は御承知のように、港湾とか漁港とか海岸保全とかあるわけでございます。そういう点についての総合調査が必要である。それから第四には、日本近海の深海でございますが、これらの総合調査をやっておく必要があるのではないか。三十六年ころには、御承知のように、深海にいろいろな新しい資源があるというようなことがわかりましたし、あるいは深海を、現在ではあまり重視されておりませんけれども、危険なものの捨て場所にしようではないかというような考え方もあったものでございますから、とにかく日本近海があんな形に使われては困るというような意味から、深海の総合調査をやっておこうというのがございます。それから、日本の水産業に特に関連しまして特定水域、たとえば親潮海域とかあるいは黒潮海域、日本海というようなところに対しての調査を実施いたしていこう。それから、沿岸大陸だなの地形、地質を将来の大陸だな開発前提として調査する必要がある。またそれにあわせて、沿岸大陸だなには海底資源としてどのようなものがあるか、とにかく調査をやって、海洋をよく知っておこうということがございます。  それから第二に、そのような調査を実施するために基本的な施設の整備をする必要があるということで、これを三つに分け、一つは洋上での調査関係をどのようにして強化していくか、それから第二には、陸上での調査の施設をどのように強化していくか、それから第三には、そのころから芽ばえましたデータブイでございますが、データブイにいろいろな自動観測器をつけまして自動的に観測するものでございますが、このようなデータブイの開発の必要があるというようなことを答申いたしております。  それから基本方策の第二の答申としましては、昭和三十九年九月二十八日、「海洋科学技術に関する審議体制および海洋科学技術に関する資料処理体制の確立強化」ということで、主として海洋科学技術を推進する上での各省庁の共同的な動きを強化する、その一環としまして、たとえば、文部省にございます科学研究費、それから科学技術庁にございます特別研究促進調整費、こういうような経費を使いまして、海洋科学技術に関しての総合的な調査研究推進体制を強化すべきであるということがございます。  それから海洋科学技術に関しますデータの処理につきまして、中核的なデータセンターをつくる必要がある。少なくとも一般海洋データについてのセンターをつくること、それから水産に関するデータのセンターをつくる必要性が指摘されております。この海洋データセンターにつきましては、昭和四十年に運輸省の中に海洋データセンターが誕生いたしたのでございます。それから水産データセンターにつきましては、当時の答申内容と多少こまかい点では違っておりますが、昭和四十六年度の予算要求としまして、水産庁から水産資源調査開発センターの予算要求がなされております。このほか、このような海洋情報につきましての情報交換をどのようにやったらいいか、またそのような情報を蓄積し、利用する場合の連絡調整業務をどのようにやったらいいかということのために、各省庁の間で動く常置部会をつくったらどうかというような御答申もいただいております。  それから、さらに昭和四十一年十月の二十日に第三次答申としまして、「第一次答申において示された総合調査計画の実施方策」につきまして答申が出されております。  第一次答申におきまして海洋に対しての各般の調査研究が必要であるということが指摘されましたが、それを実施するために、まず第一に調査研究組織を強化する必要がある。そしてその中で、総合調査研究計画については、関係機関の協力体制を強化するという必要性が指摘されております。それからまた観測の計画化。それまでは関係省庁の中で行なわれております諸般の調査が、必ずしも計画に基づいて行なわれておりませんでしたので、それに対して計画性を付与する。またあわせて、国際関係とのデータの交流も考えまして、観測測器の標準化をする、あるいは観測方法を標準化するというようなことの必要性が指摘されております。それから、そのような調査研究を総合的に推進するために体制を強化する必要がある。その体制としては、まず第一に実施計画をつくるべきであるという御指摘をいただいております。あわせて、調査を実施いたします際に、調査研究施設の強化。具体的に申しますと、当時東京大学の海洋研究所ができた直後でございますが、そういう海洋研究所の強化、それから関係省庁が持っております海洋関係調査業務の施設等の強化、それからまた、海洋開発に必要な大型共用施設を開発する必要がある、こういう御指摘をいただいております。これに関連しましては、潜水調査船の「しんかい」ができましたり、あるいは昨日新聞でごらんかと思いますが、海底居住施設及びその付属施設の建造もこの答申に基づいて進められたわけでございます。それから第三には、役所の中の機能整備強化の問題がございます。これに基づきましては、科学技術庁それから通商産業省等に海洋開発室が設置されましたほか、関係省庁におきましても海洋科学技術担当の窓口ができてきたということになっております。そのほか、三号答申では人材養成、それから国際協力の推進といったようなこともいただいております。  それから、この第一号諮問に関連いたしまして、第二号諮問といたしまして、緊急に行なうべき重要研究及び調査という諮問が出されておりまして、それに対しましては、三十六年十月二十五日に、海洋科学技術の振興のため緊急に行なうべき問題として、重要な調査研究及び関連設備、体制の強化方策についての答申をいただいております。  それから、四十三年の十月二十一日に、先ほど申しました第一号諮問の第二次答申を受けまして、海洋開発のための科学技術に関する開発計画を諮問いたしまして、これに対しまして、四十四年になりまして、海洋開発の今後十カ年の方向を展望しました五つのプロジェクトを含みます実施計画の答申をいただいたわけでございます。それに基づきまして、関係省庁の中で海洋開発実行計画を毎年見直してつくってまいるようにいたしております。  以上がこれまでの海洋科学技術審議会からいただきました答申、及びそれに基づきまして政府が処置してまいりました幾つかの具体例を申し述べた次第でございます。
  121. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 その答申内容は私もここへ持ってきておりますが、非常に詳細、詳しく御説明があったからわかりましたが、実はもう約束の時間がほとんど来ましたので、その答申に対して、各項目についてどのように答申を受けてやられたかということを実はお聞きしたいのですよ。シラミつぶしに私は聞きたいのですが、いかんせん時間がありませんので、最後の四十四年の七月の答申、つまり五項目の答申に対して計画がなされておるとただいまお話があったのでございます。四十四年度を初年度として、昭和五十年までにこういう五項目の答申を織り込んで計画をいたしておる、さように御説明があり、私もさよう承知しております。この五項目の答申に対してどのように対処されるのかということを、実は一々この五項目でお聞きをしたいのでございますが、時間がありませんので申し上げますが、四十五年度の予算が四十九億、四十六年度が八十七億、こういうふうになっておりますが、結局五カ年のこの計画は、全体の総トータルで何ぼの予算で計画しておられるのですか。
  122. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 この第一次実行計画をつくります際に、いま御指摘のように昭和四十四年度を起点としまして五カ年、したがいまして四十八年が一応の終了年度になるわけでございますけれども、ものによりましてはさらに二カ年程度を必要とするものがございます。一応この実行計画では、昭和五十年度程度までを見通してそれぞれの作業計画がつくられております。この作業計画につきましては、総額として、詳しい積算はございませんが、大体の計算でございますと、約三百五十億程度になろうかと思っております。
  123. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで、三百五十億でどの程度にどういうことを海洋開発をするのか。つまり、海洋開発の手段として科学技術審議会があった、私はそういうふうに解釈してもいいのではないかと思うのです。つまり、海洋開発と科学技術審議会とは切っても切れぬ関係がある、関連性がある。そこで当然ここに海洋開発の総合性ということが今日問題になった。むしろおそきに失しておるのだと私は思うのです。ですから、この計画に対しては賛意を表するものですが、五カ年計画で三百五十億で、はたしてこの審議会答申に沿うことができるか。今度また海洋開発審議会というものができて、これで処置されるか。これは十分皆さん方のほうで自信があるんだとは思いますが、一次、二次と答申があって、三次と答申があっておる。いまお話のあった調査施設、すべての実施計画を総合的に皆さん方がつくられたのだと思いますけれども、過去におけるところの審議会答申を私よくつまびらかに知りませんが、研究してみますと、初年度四十八億、四十六年度が八十七億、そして最後が三百五十億でこれをやるのだ。これは一々項目について私は質問したいのですが、これで十分海洋開発ができる、総合的な開発ができる、このようにお考えですか。
  124. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 海洋開発のことばにつきまして多少この際申し上げておきたいと思いますが、この第一次実行計画は、海洋開発の科学技術だけの面でございますので、ここで出てまいりますものは、先ほど申しましたように、海洋開発の基本となります海洋に関します諸調査と、それから海洋開発を進めていく上での手法の開発が済むということでございますので、世間一般がお考えになっておりますように海洋開発が具現化するという段階までの経費投入ではございません。その点、この際一言申し上げておきたいと存じます。  それから、それでは先ほど申しました三百五十億程度の金で五カ年間にどのくらいのところまで見当がつくのかということでございますが、御承知のようにこれには五つの課題がございます。  第一は、日本周辺大陸だな海底の総合的基礎調査ということでございますが、これによりまして、大体日本周辺の大陸だな、これが約二十万平方キロございます。これにつきまして、海の基本図といっておりますが、大体どのくらいな深さで、どの辺はどのような地質構造であるということがわかる程度、それからまた、どの程度の鉱物資源の埋蔵がありそうだという程度の見当がつくかと思います。それから沿岸漁業に対してどの辺が適地であろうかというようなことも含めまして、周辺の海底の模様がわかるというようにお考えいただいてよろしいかと思います。  第二の海洋環境の調査研究及び海洋情報の管理ということでございますが、これは、日本海を含めまして日本周辺の海域、大づかみに申しますと日本海溝というのが日本の束のほうにございます。それから西、大陸までのところにおきます海洋気象、海象というものがわかるような体制ができるということでございます。  それから、第三の資源培養型漁業開発のための研究というのは、これは御承知のように、養殖漁業は、ハマチをはじめいろいろなものが、実験的にはごく小規模に培養できますものを含めますと二十数種類に達しております。それを従来の天然的に適したところばかりでなく、新しく増養殖池をつくりまして、そこで増養殖するような技術まで含んで確立をしたい。  それから、第四の海底石油掘さく装置でございますが、これは、大体水深二百メートル程度までの海底を目標として海底に設置した掘さく装置で八千メートルぐらい掘れる機械のデザインをきめようということでございます。  それから第五課題でございますが、これは、海洋開発に必要な先行的、共通的技術の研究開発でございます。その一つは潜水技術を確立する。大体この年次までに百メートルから百五十メートルぐらいのところまでの潜水技術が確立できるのではなかろうかというように考えております。そのほかにいろいろな海洋観測のための機械の開発もございます。  以上、五つの大きなもののほかに海水の淡水化がございます。これはすでに三千トンのプラントの建設に入っておりまして、将来の造水コストに対して見通しが得られるだけの試験研究の成果は出てくるであろう。  そのほか二、三ございますが、大体そんなような見当で進める予定でございます。
  125. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だから私は、この五カ年計画によるところの海洋の活用とか、あるいは資源利用、活用、こういうような点について総合的に海洋開発をするんだということに対しては賛意を表します。  そこで、今度海洋開発審議会ということになりますと、科学技術審議会とまた観点が違ったことになってくると思うんです。むろんこれは海洋開発審議会からも相当の要求あるいは希望が私は出てくると思うんです。それに対して相当の予算措置が必要ではないか。今日のようなことでは、諸外国と比較もしてあるようでございますが、いままでのは、これは単にその場の一時しのぎの予算であったと思います。今度のように計画的な、総合的な考え方に立った予算ではないと思う。しかしながら非常に低位にあるのですよ。四十四年度が三十二億で四十五年度が四十九億。でございますから、これに対しては相当の大幅な予算措置を講じて、徹底的に海洋開発ということをやっていただかないと——資源に乏しいわが国は、海洋開発ということに目を向けることは、これは最も時宜に適した、時代に即応した考え方だと私は思うのですが、それには予算の裏づけというものがなければならぬ。この点についてはひとつ長官の御見解を承りたいと思うのです。
  126. 石倉秀次

    ○石倉政府委員 海洋開発につきましての予算の御質問がございましたが、われわれ事務担当としましては、まず海洋開発がほんとうに各界の御納得の得られるような形に持っていく、それがてことなってといいますか、それが根底となって予算が十分にいただけるというような形で、海洋開発を担当するものとしては考えておるわけでございます。来年度も国の予算が総額で先ほど八十億というお話でございましたけれども、要求に対しましてはほとんど八〇%ぐらいお認めいただいております。今後もそのようなぺースで努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  127. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 約束の時間二時まで十分、本会議が二時からということでございますので、せっかく長官がお見えになっているのでいろいろ御見解を承りたいのでありますけれども、これで私の質問を終わりたいと思います。たいへんありがとうございました。
  128. 天野公義

    天野委員長 次回は、来たる二十五日午前十時、委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十九分散会