○甘利
参考人 お答え申し上げます。
まず、
非常障害時対策の
概要について申し上げます。
国際通信の
非常障害対策と申しますと、一応地震、風水害に対する一般的な防災措置、中央
電報電話局の機能を喪失したときの対策、また国内関門局、国境局間相互の連絡線の障害対策、さらには国際間の伝送路であります海底ケ-ブルあるいは
衛星回線の障害対策、このように四つに大別してそれぞれ対策を立てております。地震、風水害に対しましては、たとえば大手町の局舎のようにゼロレベルに近いところにございます局に対しましては、いかなる場合にも浸水しないように、それぞれシャッターなり適当な措置をしております。また、地震に対しましては、関東の地震、あの
程度の地震に対しては構築物、建築物、それぞれ耐え得るような設計をいたしております。さらに十勝沖地震あるいは最近のロサンゼルスに起きました地震、そういったものも十分参考にしまして、これらに対して機器
設備、電源
設備等が破壊されないような補強工作をいたしております。
次に、一番われわれ心配しております
中央局の機能が喪失するような災害が起きた場合に対する対策でございますが、これは先ほど問題になりました関門局の二元化といったような問題が解決されれば、非常に大幅に
改善されるわけでございますが、現在までのところはトラフィックがそれほど多くない
状態で集中化の方向で進んでまいっておりましたので、その場合における障害対策としては、
広帯域時代ということを考えますと、非常に小規模な最低限の施策しかできておりません。たとえば
東京の
中央局が機能を喪失した場合には、埼玉県にあります小室の受信所、ここを一応本社の
中央局の代替局としまして、ここで
電話六
回線、
電報の送受が五
回線、それから横浜の
電報電話局におきまして電信が五
回線、それから小室と大阪局の間に電信二
回線、
電話一
回線が相互に送受できるようにいたしております。
電信
回線におきましては、若干の待ち時間をしんぼうすれば相当な疎通力になるわけでございますが、最も弱点となっておりますのは
電話関係でございます。それで応急の
施設としまして、四十五
年度におきまして無線単なるものをつくりまして、これがいわゆる臨時の営業局所になるような機能を持っております。
電話の交換が六座席ございまして、これによって小室を通りまして対米四
回線、香港一
回線、スイス一
回線というような疎通をすることができるようになっております。また別に小室局から発信すれば、
茨城の
衛星通信所で十二
回線程度の
電話が行なわれるようになつております。しかし、いずれにしましても、こういうスケールでは、平素非常に大容量のトラフィックを扱っております、特に
東京局の災害に対しては、おそらくその災害時には一時に通話の申し込みがラッシュしまして、ほとんど使いものにならないというようなことになるのじゃないかと心配しておりますが、これは国際
回線ではございませんが、ロサンゼルスの場合でも、一時にその通話の申し込みが災害時に殺到してどの線もみなビジーになっているというような
状態がございました。あのときは日本からの対米
回線もそういうことでロサンゼルスにはなかなか通じないというような事態もございました。これに対してロサンゼルスでは、移動用の小容量の交換機をトレーラーで引っぱって応急の通話を疎通したというような例もございますので、こういうことも今後参考にしていきたいと思っております。
要するに、現状におきましては、電信
関係につき、ましては、大阪が健在であって以上の
施設がフルに働きますと、かなりの、一〇〇%とまでは申し上げられませんが、八、九〇%までの
電報の疎通は可能ではないか。
テレックスのほうも、大阪の十九
回線が生きておりますので、これに
東京方面から回送することのできる十二チャンネルを加えますと、どうやら、この
テレックス加入者の罹災
程度いかんによりますが、全体としては二〇%ないし四〇%の
テレックスの疎通が可能ではないかと思います。しかし
電話につきましては、常時三日
回線以上の
回線を
運用しておりますのに五、六
回線というようなことではわずか一、二%で、これはあまり期待できません。以上のような
状態が現状でございます。今後
広帯域で相互間に相補完できるような局が多元的にできますれば大幅にこれは改良されると思います。
次に、四十六
年度の措置といたしまして、今回は主として
衛星ケーブル相互間のバックアップは、国際間で国際
会議を開きましてお互いにバックアップできるという体制になっております。したがって、それに必要とする端局
装置関係を
設置いたします。また非常時における自家発電
設備の増力、それから私
どもの持っております
衛星局及び海底線の陸揚局と電電公社の線とが、これは二、三年前から二
ルート化するように施策を進めてまいりましたが、残っております
山口、
茨城、直江津のマイクロを
設置しまして二ルートにいたします。また河内の
送信所が一応その
業務を上野の無人
送信所に全部移管できましたので、その河内の局を利用しましてここに電信を取り扱う
装置を
設置いたしまして、十二チャンネルの電信が疎通できるようにいたします。その際、現在
太平洋ケーブルが二宮に上がって
東京にきておるのですが、
東京の機能が喪失した場合には、それを小田原で切りかえて大阪のほうに回しまして、それによってこの河内の電信
回線を生かす、こういう
計画で、これは四十六
年度に実施いたします。そのほか、浜田、
山口と大阪以西の局から
東京にきております連絡線は、これを大阪に立ち寄れるようにしまして、そこで大阪局で
運営できるような切りかえをする、こういう
計画をしております。
以上が、四十六
年度におきます
事業計画としての
内容でございますが、その
総額は約四億二千八百万円、かようなことになっております。