○岡崎安佐子君 最近のあれもこれもと気違いじみた物価の上昇は、家計をあずかる私たち主婦にとって全く頭の痛い問題でありまして、生鮮食品のみならず、私たちの一番おそれていた
公共料金の値上げという問題が出てまいりました。すなわち、健康保険
料金、
電話料金、タクシー
料金などの一時に押し寄せつつある値上げに加えて、いま最も身近く迫った
郵便法改正による
料金値上げの問題でございます。私たちは、今後どのようにして生活していけるのだろうかと、暗たんとしたこのごろの気持ちでございます。
いままでの、さすが
公共料金だけあって、
郵便料金は安いという安心した通常観念を破って、その
料金が、昭和四十一年には二八・八%値上がりし、またこのたび平均三五%という、かつてない大幅な値上げを規定された
改正法案が今国会に
提出されるということは、私たち主婦にとって大きいショックでありました。すなわち、
佐藤総理は、昨年十二月、消費者団体の代表に対してはがきや封書の値上げは生活に
影響が大きいので上げないと約束されましたし、また経済企画庁長官は、
公共料金を一年間値上げストップしたいと言明されておりました。にもかかわらず、今回の
郵便法改正は、こうした公約を破るものであり、
国民無視もはなはだしく、この
公共料金の値上げは一般物価の値上げに大きく
影響してくることは当然でありましょう。しかも、この
公共料金の引き上げは、家計においては低い所得者ほど圧迫を受けることが、第一銀行の調査で統計の上に出ております。すなわち、昭和三十八年の
公共料金を百としますと、低所得者層は三三・九%上昇したのに対し、高所得者層は三〇・二%の上昇で、この差だけ低所得者のほうが
公共料金の被害が大きいことになっております。すべて物価の基準となる
公共料金の値上げ抑制こそ、物価安定の基本ではないでしょうか。
公共料金という政府みずからの手でできる物価対策をやらないで、どうして他の物価を押えることができるでしょうか。
本日は、公聴会を経済の都といわれる
大阪で開いていただき、私たち主婦の率直な
意見を聞いてくださることと私は喜んでまいりました。ぜひ私
どもの切実な訴えを国政に反映していただきたいことを心から訴えるものでございます。
今回の
郵便料金値上げについては、全く安易に企画されたものであるとの印象が非常に私は強く感じられます。
まず、
郵便料金のうち、第一種の封書については十五円から二十円、二三%の値上げになり、第二種のはがきは、七円が十円に、実に四三%の値上げ幅であります。第三種の新聞、定期刊行物は、驚くなかれ平均二倍の値上げ、第四種等については、一・五倍から二倍の値上げとなり、小包
郵便物では平均八〇%の値上げ率になっております。値上げ理由は、赤字解消のためということではありますが、このような措置についてはあくまでも慎重であるべきで、これが回避のためには最大の努力を尽くすべきが当然と
考えられるのであります。
また今回の
改正は、第三種、第四種等の
郵便物まで、いままでは
国民の代表である国会できめられるようになっていたものを、どうして
郵政省だけで値上げできる省令
事項となさるのですか、私たちにはその点理解できないのであります。これでは、国会を抜きにして、いつでも自由に値上げできることになり、明らかに国会軽視でもあり、野党はもちろんでありますが、与党の自民党の議員さんがこれを認められることは、みずからの国
会議員としての
審議権の放棄となりはしませんでしょうか。これはたいへんなことだと私は思うのです。
公共料金は、
国民の代表である国会で正々堂々と
審議をしてきめることが、議会制民主主義のルールではないでしょうか。これを無視されようとする今回の
改正には、私たちはどうしても納得できないのであります。
次に、封書、速達は、十分採算がとれてもうかっておるようであります。ただ、第三種、第四種などは、政治的に配慮されて安い
料金にすると国会できめられているのでありますから、これは政治の責任において一般会計から穴埋めするのが当然ではないでしょうか。政治、経済、教育などの機会均等等ですべての
国民が
公共の福祉に浴せるようにとの憲法精神から見ても、特に配慮された政策
料金である以上、ここから出る赤字をもうかってる封書や速達にかぶせるのは、とんでもない話でございます。これは当然一般会計から応援すべきで、
国民大衆が広く利用している他の
郵便物にはね返らせることは、許されないことと思います。ぜひ値上げはやめていただきたいと思うのです。
最近、特に盛んになった通信教育をはじめとする
郵便物の利用は、社会的にも個人的にもどんどんふえていっておりますのが
現状です。これがみな大幅な値上げとなって家計にはね返ってくるのではたまりません。私たちは、もうこれ以上物価の値上がりはごめんです。その上に
考えられることは、今回の値上げによって
郵政省は
郵便物数の
伸び率を大幅に少なく見ておられるということで、これはすなわち私たちの自由な
意見を交換し合う通信の制限となり、これこそ全く言論の抑圧と言わざるを得ません。
次は、
郵便の配達速度の問題でありますが、いまから七百年前の鎌倉時代でも、すでに京都の六波羅から鎌倉まで飛脚が四日で
郵便を届けたと
記録されております。スピード時代と言われる現代でありながら、ひどいときは、同じ市内でも五日も一週間もかかっております。
ここで、私たちが
郵便の遅配のためにどんなに迷惑をこうむっているかという、最近の実例を一、二聞いていただきたいと思うのであります。目下受験シーズンですが、私の友だちの子供さんがある学校を受験いたしましたが、合格の通知をいただくための切手を速達料にして内申書とともに同封して出しておきました。ところが、同じ受験した二人の子供は普通
郵便の切手を入れておいたのですが、その二人には合格通知が来たのに、速達にしておいたその子供さんの家にはまだ通知が来ませんでした。その間、本人も親も非常に心配しておりましたところへ、ようやく合格通知が参りました。一刻も早く知りたいと思って速達にしたのに、普通
郵便と同じ配達になったわけです。何のために高い速達料を払っていたかわかりません。また、島根県からお正月のためにあん入りのおもちを
大阪へ送ってきたのですが、一月十五日過ぎても着かないので
郵便局へ問い合わせに行くと、小包は着いたままになっていたのです。持ち帰って中を見ると、おもちはかちかちで、あんはすゆくて食べられなくなっていたそうです。
このような
状態で、
郵便はおそいものと半ばあきらめを押しつけられているきょうこのごろでありまして、
郵便局へ行っても、急ぐ
郵便は速達でと言われる
現状で、そのために私たちは速達で出すのが普通の感覚にさせられてしまっている
状態ではないでしょうか。前回四十一年の
改正で速達料が七割近い値上げが強行され、現在は五十円となっております。実際の
郵便物の
伸びをごらんになったらわかるとは思いますが、普通
郵便の何倍も速達はふえているではありませんか。これだけ見ましても、私
ども国民は、すでに実質的値上げを押しつけられているのであります。これだけ
サービスが悪く、無責任な当局が、その上にまだ値上げをされるというのは、どういうことでしょうか。かつて四十一年の値上がりのときも、
サービスをよくするということで値上げされたにもかかわりませず、ますます
サービスは低下しておりますので、今回も
郵政省の
サービス改善が信じられないのは、私一人ではないと思います。
今回の
改正は、どこをとってみても、広く利用している一般
国民大衆のほうに値上げをしわ寄せし、赤字で
郵政省自身が困っているときに、一方ではまだ大口利用の
企業優先の割引
料金を継続し、その上新設まで
考えられているということは、どうしても納得できないし、政府の
国民不在の政治姿勢を端的にあらわしているとしか言えません。
郵便番号を記入することも、私たちにとってはずいぶん手間のかかることですし、ことしの年賀状もほんとうに手間がかかりました。しかし、私たちは一生懸命協力しております。にもかかわらず、
公共事業ということの上にあぐらをかいて、赤字になれば簡単に値上げをすればよいとする政府の横暴な態度は、全く許せないと思うのであります。それに、先ほど例をあげましたように、良心的な
サービスが全くなく、不親切で無責任な
郵政省の現在のやり方、その上に大衆を無視したこのたびのかってな値上げには、何としても私たち主婦は絶対に反対であります。
以上、
意見を申し述べて終わらせていただきます。