○土橋委員 私とあなたとものの考え方が平行するのだ、こういう
お話のようでございますが、私は平行するんじゃなくて、ことさらに郵政大臣は平行さしておるんじゃないか。賃金が非常に上がってきて、先ほど
お話があるように八〇%先は人件費が占めている。その賃金が上がってくる基本は、物価が上がるから当然賃金を上げざるを得ないという問題になってくるわけである。何も労働者の罪では
一つもないわけですよ。また都市化をする現象だって労働者には何の罪とがもない問題です。交通がふくそうする問題だって、労働君には何にも罪とがのない問題である。結局国がそのような政策を打ち出しておるというところにその大きな原因があるわけである。それならばその責任をとるべき内閣が租税をもってある
程度の負担をしてあたりまえじゃないですか。これがどうしても平行だというのであれば、郵政大臣はことさらに平行論をたてまえとして答弁をされておる、かように私は解釈せざるを得ないのであります。物価と郵便料金の値上げについては、大体この
程度にして、次の問題に移っていきたいと思います。
次の問題は、突如として第三条で、「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」こういう料金に関する定義がこつ然として今回国会にあらわれてきた。私は
条文をずっと調べてみたけれ
ども、郵便法の第三条の
規定にはどういう
規定があったかと思って見ると、十年前の六法を調べてみても何とも書いてない。もうそのときすでに削除されておる。そうすると、郵便の料金というものはどういう計算であなた方は算出しておるかという点をお聞きしたい。
——時間を節約する関係上、私のほうから申し上げますが、これは受益者負担を中心とする原価主義をとって料金を
算定しておるのかどうか。すでに四十三、四十四
年度の一種から五種、特殊郵便物、特殊扱いの料金表をもらいました。それで四十三
年度と四十四
年度を比較すれば、要するに四十四
年度が計算が若干多くなるわけです。したがって、収支の関係が減るものと、多少ふえるものが出てくる、こういう関係になっておるわけです。従来の郵便料金の
算定は受益者負担で、それが原価主義をとってつくっておるのかどうか。もしそれが個別的な原価主義でとっておるとすれば、一種あるいはまた速達、書留、これらのものは常に黒字であるのに、なぜ黒字の郵便料金をさらに上げてくるような不都合なことをするのか。受益者負担の原則に反するではないか。受益者負担を中心とする原価主義の観点から見まして一体何をやっておるのか。そうすれば、これは個別的な原価主義ではなくて、総合的などんぶり勘定的な原価主義をとってきているんじゃないかということが考えられる一わけです。
そこで問題は、この間の
委員会でも問題になったように、第一種と第三種の問題をなぜ切り離さなければならぬのか。もしどんぶり勘定でいくというならば、その
根拠は一体何であるのか。ただ、郵便物が要するに一般の、他の
方法においても、送達ができるということを
一つの
根拠にしておるけれ
ども、郵便法第一条はそんなことはいっていないわけです。郵便物を概念的に
規定しておるわけですから、こういう点から料金算出の基本的な態度は一体どういうことで
算定をしておるのか、ましてや第一条の
規定が安い料金で、そうしてあまねく、多くの地域に広く行きわたるようにという基本原則を掲げておるわけです。そうするとこの
条文は受益者負担についてもある
程度制限を加えなければならない
条項の趣旨を持っておるんじゃないか。ましてや財政法三条の
規定は厳として
法律主義をとっておるわけですね。これは御
承知のとおりだと思うのです。その
法律主義をとっておるものを、今度郵便料金に関するずっと
あとのほうの
規定がありますね、そういう
規定で省令に委任をする。しかもこれは禁止
規定である。しなければならないと書いてある。つまり国家独占企業の料金というものは必ず
法律できめるか、国会の承認を得なければならないと書いてある。なぜ省令に委任するような安易な態度をとるのか。これは財政法違反であると思う。憲法八十四条の租税
法律主義の
規定や財政法の第三条の
規定というのは厳格に解釈して、常にこういう料金は
法律によるか、国会の承認を得なければならぬということが中心になっておるわけです。その
法律に省令委任をする、委任をするということは、許されないじゃないか。法理上から見ても、そういう解釈のできる余地はないのです、しなければならないと書いてあるわけですから。そうすれば、郵便料金の問題はそういう法理上の観点からいってもそうであるし、また普通常識で、たとえばたばこ専売だとか国鉄の寝台賃が随意になっておりますとか、急行券が随意になっておりますとか、こんな説明をこの間しておった。よく考えてください。これは公社化しておる企業を中心としてそれがやられておる事業体であるわけです。片方は国家独占企業として、どうしても国家がやらなければいかぬということを
法律に
規定し、憲法でもそれを裏づけするような
規定があるわけです。したがって、専売公社やあるいは国鉄と同じように安易に料金を省令委任をして、そして経理
局長の説明によると、いつでも応変に秘密の営業ができると同時に、そういうものは常に情勢に応じ変動ができるような体制をとっておる、こういう説明をしておる。そうすれば、まさに
法律をもって省令に委任をする態度でこういうことをやっておるということは、明らかにこれは佐藤内閣の新全総やあるいは新社会経済発展
計画などと即応して、そして突如としてこういう第三条の
規定を持ち出してきて、いまごろになってその
内容がいわゆる受益者負担あるいはこの受益者負担の中の原価主義において、一体どういう
内容をとっておるのか。この三条は受益者負担の限度を越えておるわけです。
どういうところが越えておるかというと、「その健全な運営を図ることができるに足りる」、こういうつけ足しまで加えておるわけです。そうすれば、これは郵政事業は国家の特別独占企業としてやる範囲を越えて、営利的なものを
目的とする、そういう
内容でなければならぬということを、この第三条の
規定はうたっている。そうすれば
法律的な観点から見ても、非常に矛盾をした
内容を含んでおるこの第三条ではないか。こういう
法律をつくることによって、郵政事業というこの百年間の事業を、一挙に要するに佐藤内閣のいわゆる高度経済成長政策に符節を合わせる体制をとっておるのではないか。これは許しがたい
法律の違反じゃないか。また、
わが国の特別会計制度の基本を、この第三条によって根本的に破壊をしてきているのじゃないか、こういうふうに私は考えざるを得ないのであります。したがって、この第三条の
規定を突如として設けた、こういう点が佐藤内閣の高度経済成長政策とかたく結んでおるのじゃなかろうか、こういうふうに考えて、この
規定についても私はいろいろ考えてみました。しかし、これはいま申し上げるような憲法の
規定や郵便法の
規定から見ても、異質のものをここへ掲げてきておる、かように私は解釈しておるのですが、郵政大臣はどう考えておるのか。