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門司委員 私はきょうはこういう議論をするつもりじゃなかった。政務次官に来ていただいて、そして内情だけをお訴えをして、今後の予算処理について配慮してもらいたいというのが、私のきょうの大臣ないしそれから次官に来ていただきたいという、こういう趣旨であった。最初からこういうむちゃなことを言うつもりじゃなかったのだけれども、まるで大蔵省の認識というものが、それほど大蔵省の事務官の諸君の認識が不徹底だというなら、これは考え直さなければならないのです。いまの交通災害を見てごらんなさい、だれのせいなんです。交通もやはり警察で取り締まる、警察でいろいろなことをやらなければならない、いまの警察は自治体警察。政治の機構の中で、どんなに小さな機構でも、自治法の中に書いてあるように、その地域における生命、財産を守らなければならないという、これが地方の自治体の政治上における任務であることはだれでも知っている、わかっている。しかし、それではもういけないという時代に来ている。ささやかな要求だけれども、わずかに四十八億しか要求していない。これでも私どもの
委員会では足りない、こんなことではどうするのだ。見てごらんなさい、はしごは七階、せいぜい十階ぐらいまでしかいかないでしょう。建物は四十何階かできている、これの救護対策というものをどうするかということである。こういう建築法というものを、国はやはり認めているでしょう。窓のない家がどんどんできている、この中の消火というものはどうするつもりかということである。これは国の
法律に基づいてできているんですよ。こういう建築の様相もどんどん変わってくる、しかもこの内部の装置というようなものが、こういう家具のようなものでも、昔の燃焼物と今日の燃焼物と違うのである。そういう形がどんどん出てきておる状態の中で、一体生命、財産をどうするかということである。去年火災だけで死んだ人は千六百人をこえております。損害は何千億になっている、これは国の損害ですよ、
地方自治体の損害じゃないということ。
また、いま議論されておるような、この地震対策なんということになったら、一体どうするかということである。これを
地方自治体が
消防を持っているから、
消防はいいんだという事務的なものの考え方、私はここで
消防の事務的な議論をしようとは考えていない。われわれも国会議員として長い間ここにいる以上は、それくらいのことはわかっている。これは次官に聞いておいていただきたいのですけれども、この程度の――程度というと諸君はおこるかもしれないが、認識の諸君が、こういう将来の日本の、大きな災害がくるのであろうといって国民全体が危慎している、これに対して手を打つかということである、そういうものに対して、そんなことは
地方自治体の仕事だから、組織法にそう書いてあるからそれでいいのだというような認識では、私は大蔵省にまかしておくわけにはいかぬ、諸君にまかしておくわけにいかぬ。だから、これ以上私はきょうは聞きません。中川さんも御迷惑でしょう。お約束の時間も五分過ぎておりますから、これ以上私は聞きませんけれども、ひとつ十分現状というものを認識をして、そうして地方の自治体に対する、
消防の能力に対する補助をするというようなことだけではなくして、もう少し考えてもらいたい。
それからもう一つ、私は次官に率直に頼んでおきたいと思うことは、今日の
消防組織自体の中には、いろいろ問題はあるかとは思うけれども、
地方自治体においても財政は非常に逼迫している。いわゆる
消防の自主財源というものを持っておらない。したがって、従来長い間の懸案になっているのであって、自治省としても大体二回ぐらいは――私は三十二、三年の時期だったと思うのだが、
消防財源の充実のために、目的税として、そうして、いまの損保協会といいますか、損保会社の持っておる利益というもの、不特定多数の人の拠出したお金が特定の人の所有に帰しておるということはいささかどうか、生命保険のほうは、これは一つの個人の財産ですから問題はございませんが、火災保険の形はそういう形で相互的にいわゆる保険制度というものができておる。いわゆる掛け捨てということは、これは不特定な人のお金を集めて、そうして特定の人がそのお金を、全部利益を独占するということはどうかという疑念が出てくるのである。したがって相互扶助の問題としての保険制度になっている以上は、生命保険のほうは一面は相互的の扶助であり、一面は個人の財産であるのだが、火災保険はそうなってないじゃないか、一日でも日限が切れれば、前に幾らかけておってもそれはだめになるのだという、こういう性質のものであって、余ったからといってそのお金を本人に返すわけではない。だとすると
消防の充実の目的として、損保会社からその利益の何分かは、いわゆる
消防を充実するというための目的税として取ることはできないかという議論はしばしばされているのである。しかもさっき言ったように、自治省としては二回ぐらいは確かに私は立案したと思う。きょうは主計局の諸君でありますから議論はいたしません。これは銀行局の諸君に来てもらわなければならぬのであるが、そういう形で何とかそこに財源を見出す必要がないか。ことに、明治四十二年までは日本は損保会社がみずから
消防施設を持っておった、その記録ははっきりしているのである。しかも、その記録の中で、その損保会社の総会の会議録を見てみると、そこには、みずから
消防組織を持つことが国のためでもあり、自分のためでもあるということが、損保会社の総会の重役の発言の記録の中にはっきりしている。こういう経緯をたどっておるということ。したがって私は、そういう一つの目的税というようなものがあって、そうして国民全体に
消防に対する観念を植えつける必要がありはしないかということ、こういう考え方等も、きょうは次官もお忙しいでしょうから、一応問いておいていただきたい。
いま日本の最も重大なものは、交通の災害と
消防であります。日本は戦争をしない、戦争は一番.大きな人殺しですから、この人殺しである戦争をしないということを日本はきめているのだから、その次に、人間の生命と財産を奪うものは、一つは現在の交通事故、一つは火災であります。したがって、平和国家ということをいうならば、この交通災害をなくするということと、火災に対する万全の処置を講ずるということ、いまの自衛隊に使っているお金をこっちにみんな持ってきてごらんなさい、どんなものができ上がるか。私はそうしてもいい、戦争をしないという憲法を持っているのだから。自衛隊などは要らぬ。ただ国を守らなければならぬから幾らか認めておるようなものの、実際において戦争をしないのならこれは軍備は要らぬのだから、戦争以外に生命、財産を守るというのは、天災地変に備えることである。その天災地変に対して出動するのはだれかといえば、ほとんど
消防でしょう。平和国家における最も大事な問題だと私は考えられる。日本の
消防の実態というものは、先進諸国に対して非常に劣っておることは皆さんも御承知のとおりであります。したがってこれを何とかしなければならないというのが、私だけではなくて
委員諸君全体の意見だと思うのです。きょうは非常に憎まれ口を聞きましたけれども、ひとつわれわれの真意のあるところを理解していただいて、ひとつ
消防に対しては、
消防が何らか行政組織の中でひとつ根本のような――どうもこれは非常時でなければ出てこない仕事ですから、常時にはあまり関心を持たれないのだけれども、それは非常に誤りであって、ぜひひとつそういうことを、次官から大臣にもひとつお取り次ぎ願って、そして私の質問は一応終わります。
〔古屋
委員長代理退席、
委員長着席〕