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1971-05-12 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十二日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中村 弘海君    中山 正暉君       永山 忠則君    野呂 恭一君       村田敬次郎君    豊  永光君       綿貫 民輔君    下平 正一君       土井たか子君    山本 幸一君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇三号)  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第七二号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案華山親義君外六名提出衆法第二一号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桑名義治君。
  3. 桑名義治

    桑名委員 昭和三十八年の十二月に第九次の地方制度調査会答申が出まして、当時の早川自治相が提唱いたしました自治体EEC方式でございますが、これが一応日の目を見ずに終わったというのは、おもな理由はどういう理由日の目を見なかったのか、その点を自治省はどういうふうにお考えになっていられるのか、まずその点から伺っておきたい。
  4. 宮澤弘

    宮澤政府委員 当時、ただいま桑名委員指摘の、府県につきまして、府県の現在の規模なり何なりを前提にしながら府県同士が共同して計画をつくり、仕事をする仕組みとしてのいまの府県連合というような考え方があったわけでございます。同時に府県のいわば合併という議論があったわけでございます。そういう両方議論についていろいろ検討が行なわれました結果、都道府県につきましては、都道府県の自主的な合併というものを推進をすべきであるというような考え方が指導的になりまして、やがて都道府県合併を促進するための立法措置に至っていく、こういう経緯ではなかったかと存じます。
  5. 桑名義治

    桑名委員 そうしますと、一部事務組合のような広域的な行政、一部の行政を拡大するというのではなくて、あくまでも市町村合併をするということが最前提になった方式であったために、日の目を見なかったということでありますか。
  6. 宮澤弘

    宮澤政府委員 御質問都道府県についての御質問だったと思いますが、都道府県連合というよりも、むしろ都道府県の自主的な合併を促進すべきではないかという考え方が指導的であったというふうに私ども考えています。
  7. 桑名義治

    桑名委員 そうしますと、今回の法改正は第十三次の調査会答申を受けた、こういうふうに言われてもおりますが、今回の十三次の答申のいわゆる連合と第九次の答申とのねらいといいますかあるいは示すところというのは、どういうところに差があるわけですか。
  8. 宮澤弘

    宮澤政府委員 九次の答申の場合は、先ほど指摘のように、府県中心にものを考えているわけでございます。今回のものは市町村中心にものを考えているわけでございます。そういう府県市町村というような相違はございますけれども地方公共団体が共同して計画をつくり、それに基づいて仕事をしていこうという考え方自身は、私は考え方の流れとしてはそんなに違ったものではないと思います。ただ、当時の都道府県連合につきましては、共同して仕事をする範囲なりあるいは共同して計画をする範囲というものが、府県区域全般にわたってほとんどいろいろな計画を共同してやるというところまではおそらく現実認識としては至っていなかったのではないかと思うのでございます。そういう意味合いで、同じ広域的に処理する必要のある事務を総合的に計画して処理をすると申しましても、総合的、計画的に処理をする仕事範囲というのは、ただいま市町村段階考えられておりますようなものよりも、当時の事実認識としては多少狭かったのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  9. 桑名義治

    桑名委員 昨日の参考人方々の中の特に柴田氏、恒松教授あるいは安養寺氏、こういった方々が、基本的には賛成あるいは基本的に反対というそれぞれの意見がございましたけれども、しかしながら、賛成方々の中でも、いわゆる運営いかんによってはその自主性がそこなわれる、あるいはまた地方自治に対する悪影響というものを十二分に考慮をしながら運用をしていかなければならないという、悪影響という面についてのいろいろな意見が述べられておりました。こういった立場から今回の連合ということを考えた場合には、これは十二分に注意をしていかなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、それに引き比べまして、連合がもし発足をすれば、全国の二百六十になんなんとする広域市町村圏内市町村の重要な仕事はすべて連合に取り上げられてしまう、こういうふうに私は思うわけです。実質的には各市町村有名無実になってしまうのではないかと思うわけでございますが、この点について自治省としてはどういうふうにお考えになっていますか。
  10. 宮澤弘

    宮澤政府委員 広域市町村圏というものを中心にして考えた場合に、この制度が発足すると市町村の重要な仕事はすべて連合に取り上げられてしまうのではないか、市町村有名無実になるのではないか、こういう御指摘でございます。先週もこれにつきましていろいろ御議論があったわけでございますが、私は、あるいは私ばかりでなく、私ども全般認識といたしまして、現在の市町村処理をするのが適当な仕事というものは非常に多くあるわけでございます。同時に、市町村単独処理するのは適当でない、あるいは共同で処理をしたほうが住民に対するサービスも向上をする、こういう仕事も現在次第次第に出てきているわけでございます。そういう共同的な仕事を従来は一部事務組合処理をしてきたわけでございますが、今回はそれを、従来の一部事務組合処理をしてもよし、あるいは従来の一部事務組合を機構的に統合したもので処理をしてもいい、こういう考え方を導入しようと思うわけでございます。少なくとも現状認識に立ちます限りは、市町村の重要な仕事がすべて連合処理されるというような事態には立ち至らないと私どもは思うのでございます。この前も申し上げましたように、現在、市町村単位住民の身近で処理をするのに適当な仕事というものは一ぱいあるわけでございます。市町村区域を越えて、合理的に処理するのが適当な幾つかの仕事が総合的な計画のもとに連合処理するものになっていくであろうということは言えるわけでございますけれども構成市町村存在自身有名無実になるというようなことはあり得ないと私は思うわけでございます。
  11. 桑名義治

    桑名委員 では、この連合に対する住民監視あるいはコントロール、こういったものはどういうふうに運営をしていくようになるわけですか。
  12. 宮澤弘

    宮澤政府委員 これも先週御議論のあったところでございますが、おっしゃいますのは、地方自治法に定められております直接請求というような制度との関連の御質問だと私、思うのでございます。連合も一部事務組合でございますが、一部事務組合について直接請求制度がどういうふうに及んでいくかということにつきましては、かねてからいろいろ議論のあったところでございます。これにつきましては地方自治法二百九十二条の規定で、一部事務組合につきまして、市町村の加入するものにあっては市町村規定というものが準用をされる、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、形式的には一応市町村に関する規定がすべて準用されるという形になっているわけでございます。しかし、従来からの考え方、解釈といたしまして、一部事務組合につきましての直接請求というものは、一部事務組合執行機関なり議決機関なりの構成員が直接公選の場合——組合規約でそういうふうにすることもできるわけでございますが、その直接公選の場合には準用がある、こういうふうに考えられるわけでございます。  その理由はどういうところにあるかと申しますと、なるほど形式的には市町村に関する規定準用されるわけでございますけれども自治法の直接請求規定を見てまいりますと、御承知のように、地方公共団体議員と長の選挙権を有する者がいわゆる直接請求権利を有する、こういうふうに書いてあるわけでございます。そこで、先ほど申しましたように、一部事務組合規約執行機関議決機関構成員を直接公選にした場合は、まさに選挙権を有する者が出てまいりますので、直接請求規定適用がある、こういう考え方をいままでしてきたわけでございます。  しかしながら、先週も申し上げたわけでございますが、これにつきましても多少議論のあったところでございますし、今回連合というような制度考えてまいりますと、連合である一部事務組合処理する事務通常の一部事務組合よりもふえてまいりますし、それから一部事務組合自身も毎年数がふえているというのが現状でございます。そこで、おっしゃいますように、地域住民のこれに対する関与の方法というものを政策的にも考えていかなければならないということから、私どもといたしましてはこの際、直接請求に関するもののうちで事務監査請求という権利がございます。それから条例の制定、改発という制度があるわけでございますが、これを一部事務組合について適用をするという考え方のもとに法律構成をいたしているわけでございます。
  13. 桑名義治

    桑名委員 そうしますと、議員選出方法というのは、大体どういうふうにお考えになっていますか。
  14. 宮澤弘

    宮澤政府委員 一部事務組合につきましては、組合議会組織なり議員選任方法というのは組合規約で書かれることになっております。そこで、各地のいろいろ実情に応じてさまざまな選出方法をとっているわけでございます。まあ普通一般的に多いと思われますのは、構成市町村議会議員のうちから選任をするというようなものが普通であると思います。
  15. 桑名義治

    桑名委員 先ほどからの御答弁で、連合が発足しても実際には有名無実にはならない、あるいは住民監視とかそのコントロールについては直接請求監査請求等ができるので、これも十二分にチェックすることができる、ただし、直接請求については多少異議がある、こういうふうなお話でございますし、あるいは議員選出方法にしましても、直接の選挙あるいは各構成団体からのいわゆる話し合いによる人員構成によって議会構成することができる、こういうお話でございますが、現実に資料によりますと、三条市でも現在一部事務組合がどのくらいあるかといえば、約八つ事務組合ができているわけですね。この一つ一つを見てみますと、各市町村の最も重要事項でもございますし、また最も住民と密着をした事業が非常に行なわれている、こういうふうに私たち考えざるを得ないわけでございます。そうすると、いま局長から御答弁のありましたように、その各構成団体市町村有名無実にはならないということは、実態的にながめたときに、どうしても私たちは納得しがたいわけでございます。あるいはまた住民監視コントロールの件について直接請求もしくは監査請求という二つ方法でなされたとしても、現在存在する各市町村自治体議会チェックをするという立場から見ますと、手続的にもこれは非常に複雑でもありますし、あるいは時間的にも非常に多くの時間がかかる。こういったことで最も不適当であるというふうにわれわれは考えざるを得ないわけでございますが、その点についてどういうふうにお考えになりますか。
  16. 宮澤弘

    宮澤政府委員 おことばを返すようでございますが、三条燕地区圏域におきまして確かに組合はたくさんございます。しかし、それは現地の実情、必要に応じましてこういうものが出てきたわけでございます。これを見てみますと、比較的環境衛生関係のものが多うございます。そのほかにもいろいろございますけれども、しかし、こういうものも各個市町村処理をいたしますよりも、関係市町村が共同して処理するほうが適当であるということからこういうものが生まれてきたわけでございます。これは今回の提案で御審議を願っております法案とは直接の関係はございません。こういうものが各地実情に応じて必要であるからできてきたんだろうと思うのです。しかし、こういう一部事務組合ができましても、これを構成しております市町村におきましては、先はどから繰り返して申し上げておりますけれども、数多くの市町村単独処理をするのに適当な、またはふさわしい仕事を持っていくというように私は考えておるわけでございます。  そこで、こういう一部事務組合につきまして構成自治体議会でのチェックというものがなかなか行なわれないじゃないかという御質問、御意見でございます。この点につきましては、昨日の柴田参考人もそういう御発言をしておられたわけでございますが、柴田参考人の御発言の中にもございましたように、一部事務組合構成をいたしております執行機関なり議決機関の職員というのは、各構成市町村市町村長なり議員というものが出ておるのが普通でございます。そういう意味合いで、運用の問題というふうに柴田参考人もきのう言っておられたというふうに考えられるわけでございますが、同時に制度的にも、たとえば一部事務組合運営に要する経費につきましては関係市町村分担をする、これがまず原則的なたてまえになっているわけでございます。この分担金につきましては、通常毎年予算で定めるわけでございます。関係市町村議会で、一部事務組合にどのくらいお金を出すかというような予算議決をするのが普通でございます。そういう際に、組合運営全般につきまして予算を通じて審議をする機会というものがあるわけでございます。そういうような運営の問題を通じて、一部事務組合構成市町村の間の密接な関係というものを確保しておく必要があると思うのでありますが、しかし、昨日の参考人の御意見にもございました、またただいまの桑名委員の御意見もございます。私どもは、私ども指導態勢といたしましても、一部事務組合構成市町村の間が密接な関係で、連絡がうまくいきますような指導態勢を今後さらに強化をしていく必要があるというふうには感じている次第でございます。
  17. 桑名義治

    桑名委員 そこで、一部事務組合の場合、これが議員構成を行なっている場合には、それぞれの一部事務組合代表議員が出るわけですね。そうなるでしょう。ところが、連合の場合になると、五つなら五つ連合した場合にはまとめて一人の議員が出てきて、この五つの一切の権限、いわゆる審議権限を一人の議員が持つことになる。そうなってきますと、先ほど申し上げましたように三条市におきましては約八つの一部事務組合を持っておるわけでございます。いままではそれぞれについてそれぞれの議員構成をしておったわけでございますけれども連合になりますとそれが一切を含めて代表議員がそれを掌握すということになる、審議をするということになる。そうなってきますと、実際問題としてこれは明らかにいわゆる構成団体議会の壟断になる、私たちはこういうふうに考えなければならないと思うのです。いままでは一部事務組合のそれぞれに担当の議員がついておった。ところが、それが連合になりますから、一切合わせて全部の権限を一部の議員が掌握し、審議を進めていく、そういう形になってしまうと、これは明らかに構成団体議会とこの連合との政治的な聖断になる、私たち実態的にこういうふうに考えざるを得ないわけであります。その点についてどういうようにお考えですか。
  18. 宮澤弘

    宮澤政府委員 まずこういう連合制度ができました場合に、私どもは、事情が許す限り圏域内の一部事務組合というものをなるべくこういうものにまとめるのが適当である、したがいまして、そういう考え方を出すのは当然であると思いますけれども、しかし、各地域実態がいろいろございます。私ども地域実態はわかりませんが、一部事務組合としてはなお残るものがあるのは当然だと私は思うのです。したがいまして、この法律ができましたならば、圏域内の一部事務組合がすべて統合されるということを私どもは期待しているわけではございません。しかし、それはそれといたしまして、こういうものができました場合に、いままで幾つかの一部事務組合があった、それが一つ組織になるということが当然あり得るわけであります。その場合の御質問でございますけれども、申し上げるまでもなく、組合議会構成につきましては、先ほども申しておりますように、規約規定をすることになっております。したがいまして、何人議員を出すかというようなことについてはもちろん関係地方団体の相談の上できめられるわけでございます。それでございますから、仕事が複数的に大きくなりますならば、従来の各個の一部事務組合でありますならば、関係市町村から組合議会議員に一人とか二人とか出していたものを、二つ以上の仕事処理するような連合である一部事務組合組合議会につきましては、あるいは四人なり五人なり関係市町村から出すということも十分考えられるわけでございます。そういうような組合議会議員の数というものを見ますことによって、必ずしも御説のようなことには私はならないのじゃないか、こういうふうに考えます。
  19. 桑名義治

    桑名委員 そこで、私は現在の市町村実態の中から考えまして、そういう私の先ほど申し上げたような危惧が十二分にあるわけです。なぜかと申しますと、今回の選挙の内容を見てみましても、町長が二人出て、二人の町長候補が全部逮捕されたとか、あるいは町会議員が五葉松をとって現在逮捕されているとか、あるいは買収選挙というのは、実態的に見た場合には目をおおうばかりの実情であるわけです。私も今回の市町村選挙についていろいろとこの目でつぶさに見てきたわけでございますけれども、たとえば一つの町について申し上げると、町長派というのが十六の議席のうち十二だ、あるいはあとの三はノンセクトでどうでもいい、反対しているのはたった一人しかいない、そういうような町の議員構成が見られるというのがいまの実態なんです。そういった実態から考えた場合に、今回の一部事務組合というものをながめてみますと、これは利権のからむような仕事が非常に多いわけです。だから、そういった町の実態の中から考えますと、当然こういった選出されてくる議員というものが一部の権力者によって牛耳られるというおそれが十二分にあるのです。ところが、一部事務組合のように個々別々に分断されておりますと、そういうおそれというものが非常に希釈されてくる、こういうふうに私たちは思うわけです。だから、法を制定する場合に、確かに一つの論理的な根拠がなければならないわけでございますけれども、あくまでも町の実態というものの上に立ったいわゆる法の作成でなければ実態にそぐわないような形になってくる、こういうことも考えられるわけでございます。そういったところから私は先ほどから申し上げているので、一部の議員にこの一部事務組合連合というものが牛耳られるという、それはとりもなおさず住民の意思が反映をされない、そういうことをそういった実態の上から申し上げておるわけでございますが、その点についてどういうようにお考えになりますか。
  20. 宮澤弘

    宮澤政府委員 今回の選挙で二人の町長が出たというような御引例もあったわけでございますが、三千数百の地方公共団体がございますので、いろいろな運営が事実上行なわれている、これはそうであろうと思うのであります。私どもといたしましても、公正に行政運営できるように考えているわけでございますけれども、何ぶん多くの地方団体でいろいろな実情がございますので、各地域まちまちであろうと思います。今回の改正は、こういう考え方というものをとり得るということを示したわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、地域実情地域実態地域関係人たちの意向というものを基礎にして、こういうものができましたから関係区域の一部事務組合を新しい連合としての一部事務組合に統合しなければならないという考え方ではないわけでございます。関係地方団体からも、こういう制度をつくってほしいという要望もございますのでこういう制度をつくったわけでございますけれども、昨日参考人の御意見の中にもありましたように、わが国は各地域によっていろいろ地域の発展の状況もまちまちでございます。事情もまちまちでございますから、その事情に即してこういう制度をおとりになるところもあると思います。あるいは当分の問いままでの一部事務組合がそのまま残っているというところがあっても、これは決してふしぎではない、私はこういうふうに考えているわけでございます。
  21. 桑名義治

    桑名委員 さらに私がおそれることは、そういうふうに一部の議員権限が集中をしていく、それと同時に今回の法改正の中では、構成団体議員管理者になりあるいは理事会に入ることができる、こういうように、いわゆるいままでのたすきがけに、さらに横のたすきがかかってくる、こういう方向になってまいりますと、先ほどから申し上げるように、一部の議員にすべての権限が集中した上に、いわゆる管理者立場議員立場と、両方立場を兼任するということになれば、議会というものが有名無実になるということもこれは当然考えられるわけでございます。そういった面について、なぜこういうふうな方向に持っていったのか、そこら辺の自治省考え方を明確にしてもらたいと思います。
  22. 宮澤弘

    宮澤政府委員 ただいま御指摘の二百八十七条の二の四項の規定連合議会議員というものは管理者あるいは理事と兼ねることができるというのが確かに新しい規定でございます。なぜこういう規定を入れたかという御質問でございますが、大臣の提案理由でも御説明申し上げましたように、今回の法改正は第十三次の地方制度調査会答申基礎にいたしているわけでございますが、地方制度調査会答申をごらんになりますと、かなり自由にものを考えておりまして、いろいろ自由な制度がとれるような方法制度化するという答申を打ち出しているわけでございます。その中に、執行機関議決機関とを合わせ有するような機関を置くことも考えたらいいじゃないか。外国にございます一種の委員会制でございましょうか、議決機関となると同時に執行権限も有する、そういうような合わせ有するような機関考えたらどうであろうかというようなものも答申に載っているわけでございます。私ども答申基礎にしていろいろ研究をいたしたわけでございますが、わが国の、まあ制度的な考え方といたしまして、少なくとも地方制度につきましては、議決機関執行機関がおのおの独立の機関として置かれているという考え方というものがまだ一般にあるわけでございます。しかも地方自治法ばかりでなく、各種の法令も議決機関執行機関が別にあるということを前提にして立てられているというのが実情でございまして、この際地方自治団体実態に応じて弾力的ないろいろな制度がとり得るという考え方自身は尊重するにいたしましても、議決機関執行機関とを一緒にしたような機関を設けるということはどうであろうかということで、それにつきましては、この際それを取り入れることはいたさなかったわけでございます。いたさなかったわけでございますけれども、いわば一種の議院内閣制的な考え方議決機関執行機関との間になお少し連絡と申しますか、道をつけていくという考え方というのは、御承知のように、国政におきましてはそういう考え方でございますけれども地方公共団体におきましても、そういう考え方と申しますか、そういうものがとり得るような道を開いておくことも一つではなかろうか。またそれが地域によりましては実情に即するものであるかもしれないということから、議決機関執行機関とは明確に区分をいたしておりますけれども議決機関構成員執行機関として兼務できるというような規定を、いわば一つの新しい考え、新しい試み、地方団体実態によってはそれをとってもいいというようなことで導入いたしてきたわけでございます。  ただし、その前提といたしましては、議決機関執行機関があくまでも別個の機関として存在するということが前提でございますが、そこで、「ただし、政令で定める場合にあっては、この限りでない。」というふうな規定を設けております。これは議決機関のうちの半分近いような人たち執行機関を兼ねるというような事態は、議決機関執行機関を別に置くというたてまえを実質的にくずす危険もございますので、そういうことはないようにしたい。しかし実際問題といたしまして、たとえば広域市町村圏で申しますならば、関係市町村長あるいは関係市町村議会の議長なり副議長なりという人たち組合議決機関構成する、その中で中心になる市町村の長が管理者になるというようなことが運営実態として行なわれている場合もございます。そういう場合には、この規定を使ってもらうこともできるのではないかというふうに考えております。
  23. 桑名義治

    桑名委員 先ほどから何度も申し上げておるわけでございますが、一部事務組合連合した場合には、一部の議員にたくさんの審議権が重なってくるということになれば、なお一そうチェック機関を厳重にしなければならない、こういうふうに私たちは逆に思うわけです。ところが、新しい試みと言いながら、こういうふうな事柄ができるようになってまいりますと、先ほど地方自治体のいわゆる実態選挙を通して申し上げたわけでございますが、そういう実態の中で、はたしてこういった制度が十二分に皆さん方の意見をいわゆるしんしゃくをしながら運用されていくかどうかという点につきましては、まだまだ時期尚早の感じが大いにするわけです。その点について局長はどういうふうに思いますか。
  24. 宮澤弘

    宮澤政府委員 私は全般的に見ますならば、こういう制度をつくりまして、この制度によって地方自治体の行政運営というものが非常に混乱におちいるというようには考えていないわけでございます。ただ、ただいま御指摘議会議員執行機関との兼務の問題、この点につきましては、御指摘もございましたし、実は初めてのいわば先駆的な制度でございますから、私どもはこういうものがうまく運営されることを期待いたしております。場合によりましては、おっしゃいますような弊害が出てくるかもしれない。この点は私どもは十分今後この運営につきまして監視と申しますか、指導をしていきたいと思うのであります。初めての制度を入れる場合には、おそらくそういうある程度の危険というものを考えていかなければならない。先駆的な制度でありますから、うまくいけばいいのでありますが、場合によりましては、桑名委員指摘のように、議決機関執行機関との間の癒着的なこと、そこから問題が起こるというような危険というものがないとは言えない。こういうものはやはり事務運営の円滑化というものを期するという点でつくっているわけでありますが、円滑化の反面には、いまおっしゃいましたような癒着というものが必ずしもないとは言えない。その点につきましては、御指摘もございましたが、私どもは十分新しい制度運営の動向というものに関心を持ち、注意を払っていきたいと思います。
  25. 桑名義治

    桑名委員 だから、私は先ほどから申し上げているように、こういった癒着という問題、結局こういった制度を設けることはメリットが多いかデメリットが多いか、この点も私は注目をしていかなければならないと思うのです。そうした場合に、ただ法制上の問題でなくて、私は、実態的な把握なり認識というものがまだまだ不十分ではなかろうか、こういうふうに思をわけです。事実、いま局長のおっしゃったように、癒着の問題が非常にいまわれわれ心配している問題でございます。先ほど申し上げたように、審議権はいわゆる一部の議員に重なる。しかも市町村議会議員構成というものは、各市長あるいは各町長に属するいわゆる与党的な議員が非常に大多数を占めている。その中の議員が特にまた多くの審議権を持つ。そして、選出されてきたそういった議員管理者あるいはまた理事会にその議員が参画することができる、こうなってくれば、二重、三重にいわゆる綱渡りをしなければならないというようなおそれが十二分に出てくる。これはただ管理者との癒着の問題が心配だということではなくて、こういった実態は、すなわち地方住民の意思が反映をされていかないというおそれが十二分に出てくる。で、私は、先ほど申し上げておりますように、そういうメリットとデメリットと両方を比較をした場合には、いまの場合はデメリットのほうが多い、こういうように思うのであります。そういう立場から、この条文については十二分に再考していかなければならないのじゃないか。監督するといったって、中身までなかなか監督できるものではございません、運営上の問題は。出てきてびっくりしなければならないというような実情におちいってしまうのじゃないか。  それじゃ、監督すると言いますけれども、具体的にどういうふうな監督をし、どういうふうな指示をしていくつもりでございますか。
  26. 宮澤弘

    宮澤政府委員 もちろん制度でございますから、メリットとデメリットはおっしゃるとおりだと思います。この条文の運用につきましては、私も、御指摘のように、初めての制度でもございますし、注意をしていかなければならないと思います。私どもは、御承知のように、一般的な監督権を持っているわけじゃございませんけれども、もしこの法案がこういう形で成立をいたしました場合に、この法案の施行につきまして関係者いろいろ相談をいたすわけでありますけれども、そういう際には、特にこの問題は初めての制度の導入でもあるし、執行機関議決機関との癒着というようなデメリットの面があるので、その運用については、県の当局あるいは市町村の当局においても十分注意をしてほしいという注意を喚起することを再三行ないたいと思うわけでございます。
  27. 桑名義治

    桑名委員 さらに重ねまして、連合の共同処理する事務を変更しようとする場合においては、「あらかじめ、連合規約で特別の定めをしているときは、その議会の議決をもつて関係地方公共団体の協議に代えることができる。」こういうふうな、さらにつけ加えて弾力的な条項が設けられているわけですね。そうすると、私は、二重、三重にわたってこういうような弾力的な条項が設けられておるということは、さらに先ほど申し上げたような住民の意思との断絶がここで行なわれていくのじゃなかろうか、こういう心配をするのですが、この点についてどういうふうにお考えですか。
  28. 宮澤弘

    宮澤政府委員 二百八十六条の後段の規定でございますけれども、これは先日も申し上げたと思うのでございますが、連合計画をつくりまして、どの範囲仕事を共同して処理をしていこうかということを考えます場合に、その時点で共同処理をしていくということがきまっているものもございます。ある施設については次の年度、あるいは市町村については次の年度からいこう、そういうことで、もう仕事が進行しているけれども、施設の完成なり何なりを待って次の年度からやっていこうというような場合におきまして、従前のように一々規約改正、個々の構成市町村議会の議決を経ることなく、あらかじめ連合規約でそういう定めをしているときには連合議会の議決でよろしいということでございまして、連合規約でそういう特別の定めをするわけでございます。それにつきましては関係市町村議会の議決も経ていることでございますので、したがいまして、この規定運用によって、そうとっぴなと申しますか、不適当な事態が起こってくるというふうには私ども考えていないわけでございます。
  29. 桑名義治

    桑名委員 だから、私はいろいろ申し上げているように、これは二重、三重の弾力的な条項が多過ぎるということなんですよ。だから、当初申し上げましたように、こういう連合をつくるならば、なお一そうコントロール機関あるいは監視機関というものを厳重にしておかないと、不測の事態が起こる場合が十二分に考えられるし、あるいは住民との断絶あるいは構成団体の意思が十二分に反映されないおそれが出てくるわけでありますから、この二重行政、三重行政の問題については前々からいろいろ論議が尽くされましたので、これまで付言はいたしませんけれども、しかし、実際に今回のこの法改正一つ一つの項目の上から拾い上げた場合には、そういうふうなおそれが十二分にできるわけですが、こういった条項についてさらに修正をする意思が、いま局長には全然ございませんか。
  30. 宮澤弘

    宮澤政府委員 一つ制度でございますので、桑名委員おっしゃいますように、メリットもデメリットもある。私どもも、こういう制度がもう一二〇%完全であって、これについて間然するところないというふうには思っておりません。しかし、それにつきましては、この制度運用にあたって、ただいま御指摘のいろいろな問題は注意をしてまいりたいと思うのであります。原案について、いま政府が御提案を申し上げておりますような形で御議決を願いたいというふうに私は考えているわけであります。
  31. 桑名義治

    桑名委員 そうしますと、一番最初に申し上げましたように、いわゆる住民監視あるいはコントロールについては直接請求あるいは監査請求というものがある。こういう二つ制度にしましても、先ほどから多少議論しましたように、時間的な経過や、あるいは事務的な複雑な要素を十二分に含んでおりますし、十二分な監視あるいはコントロールがしにくい。それに加えて議員管理者との間の、いわゆる兼任、兼務ができるというような立場、あるいは一番最後に申し上げましたように、連合の共同処理をする事務の変更については、特別の定めあるをしているときは連合議会の議決をもって関係地方公共団体の協議にかえることができる、こういうように、もうどれを取り上げてみましても、住民とこの連合との密接なつながりというものが非常に希薄になってきている、むしろ地方自治の破壊につながっていくのではなかろうか、こういうふうに私は杞憂をするわけです。もちろん、ねらいとするところは、経済的な効果あるいは行政的な効果をねらっていることは当然わかります。しかしながら、それをあまりに追求した結果、いわゆる地方自治を破壊したのでは何にもならないと思う。  そういった立場で、私はいろいろと質問を申し上げたわけでございますが、この点はまだまだ時間もあることでございますし、今後十二分にこの問題をさらに配慮していただきたいということを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 菅太郎

  33. 土井たか子

    ○土井委員 地方自治法の一部改正に関しまして、基本的な問題を一つお尋ねしたいと思うのです。  改正案における連合を見ますと、これはあくまで一部事務組合を手直ししたものであるというふうに考えられておりますし、それから一部事務組合の一種であるということが前提になっているということらしいのでございますが、どうも中身を見ますと、その点がはっきりしないのは、片や総合的な広域行政機構としての機能を強く持たせようということも打ち出していらっしゃるわけなんです。県と市町村との中間にこういう強力な連合がつくられるということでございますから、住民サイドから考えてまいりますと、この際行政の重複というものがあるのじゃなかろうか、また、いろいろ行政事務上渋滞を生ずるというおそれがありはしないか、いろいろ不安な点が考えられるわけなんです。  そこで、ずばり一言、私はこの点をはっきりさせていただきたいと思うのですが、連合方式というのは総合事務形態かどうかということなんです。あるいは広域市町村行政執行機関かどうかということなんです。ひとつその連合の性格について、この際まずはっきりさせていただきたいと思うのです。
  34. 宮澤弘

    宮澤政府委員 連合の性格、法律的には、土井委員は御専門家でいらっしゃいますが、ただいま御指摘がございましたように、一部事務組合であります。そこで、現在、御承知のように、おのおのの市町村がいろいろ仕事をしているわけでございますけれども市町村区域を越えて共同して処理をする必要のある仕事がずいぶんふえてまいりました。現在、一部事務組合というものは二千六、七百あったと思うのでありますが、そういうように市町村区域を越えて共同して処理する必要性というものがだんだん出てきているわけでございます。今回の連合と申しますのは、同じ一部事務組合でございますけれども、そういういままでの幾つかの一部事務組合を統合して仕事をすることもできるというような意味合いになっているわけでございます。  そこで、これが府県市町村との間の一つの機構であるのか、あるいは総合的な事務組合であるのか、こういう御質問でございます。私どもは、これは府県市町村との間の一つの機構であるというふうには考えていないわけでございまして、市町村が共同して事務処理する仕組み、そういう仕組みはいかなる形であるにしろ必要だと思うのでありますけれども、そういう仕組みであると思うのであります。ただ、その仕組みが、関係市町村区域にわたりまして総合的な計画をつくっていく、そういう総合的な計画に基づいて仕事計画的、共同的にやっていく、こういうところに意味があるわけでございます。そこで、仕事を共同的、計画的にやっていく場合に、各個市町村計画に基づいて仕事をする場合もございましょう。そういう場合がむしろ多いかもしれません。あるいは連合自身が計画に基づいて共同処理機関として仕事をする場合もある、こういう関係になっているわけでございます。
  35. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃ、その辺をもう一つ簡単にお知らせいただきたいと思うのですが、広域市町村行政の、そうすると執行機関ということになりますか、それとも重点は総合事務処理というところにあるのですか、いずれでございますか。
  36. 宮澤弘

    宮澤政府委員 執行機関か総合事務処理か、あるいはちょっと御質問の要点、私わかりかねる点があるのでございますけれども関係市町村区域につきまして総合的、計画的な仕事をするための計画というものを前提にいたしまして、関係市町村の同意を得たものについて共同して仕事処理する仕組みである。これ自身が特別地方公共団体でございますので、議会もあれば執行機関もあるわけでございます。狭い意味での執行権限だけを持つわけではございません。意思機関執行機関両方含んだ事務処理機関である、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  37. 土井たか子

    ○土井委員 それでは重ねてこの辺の問題なんですが、その際、事務範囲というのは全般の事業に及ぶのか、それとも特定的な事業のみに限定するということが原則として考えられるのか、一体いずれの立場ということが、この際この問題の取り扱いの場合の基本にございますか。
  38. 宮澤弘

    宮澤政府委員 計画自身は関係市町村区域全般というものを前提にして、おそらく重要な項目についての計画を相談し合うと思うのであります。しかし、その仕事処理する場合におきましては、関係市町村の間で広域的に処理をする必要があると認められたものだけが共同処理という連合一部事務組合としての連合処理権限の中に入ってくるわけでございます。それは御承知のように、組合規約の中で共同処理する事務というものをはっきり書きますので、そこではっきり出てくるわけでございます。それ以外のものというものは、当然従前の構成市町村処理をしていくということになってくるわけでございます。
  39. 土井たか子

    ○土井委員 そういう処理については、今度の市町村連合では管理者にかえて理事会を設けることができますね。そうしてその執行権限を包括的に事務局長を設けて委任することができますね。さらに連合議員というのは互選で理事会メンバーにもなれますですね。決議機関執行機関というものがこの際密着をする、ドッキングするということも考えられるわけなんですね。そういうことから考えてまいりますと、どうも私は原則的に申しまして、この際はっきり確かめておきたい問題が一つあるのです。憲法からいたしまして、地方公共団体とは違い特別地方公共団体というのが、憲法上の地方公共団体のものの考え方から特に区別していろいろと取り扱いをされる根拠というのはどの辺にあるかという点をわれわれもひとつお教えいただきたいのです。
  40. 宮澤弘

    宮澤政府委員 どうもお教えいただくのは私のほうであろうかと思うのでございますけれども、私ども考え方といたしましては、憲法でいっております地方公共団体、その議決機関なり執行機関なり、住民選挙を行なうということを前提にしております地方公共団体と申しますのは、いわば普遍的、一般的な存在である、普遍的、一般的な権能を有する存在というものが憲法でいっている地方公共団体である、こういうふうに私ども考えているわけでございます。そこで、地方自治法の中でも普通地方公共団体、特別地方公共団体という区分をいたしているわけでございます。特別地方公共団体は、何らかの意味で地域的にあるいは権能的に普遍的、一般的でない、特殊的、個別的、制限的なものというようなものが特別地方公共団体であって、これは憲法でいっております地方公共団体というものとは必ずしも合致しないというふうに私は考えておるわけでございます。
  41. 土井たか子

    ○土井委員 包括的、一般的でなくても、個別的であり、特定的でございましても、憲法九十二条にいうところの地方自治の本旨にもとるようなこの特別地方公共団体に対するものの考え方というのは、本来私は認められてしかるべきではないと思っておりますが、この点いかがでございますか。
  42. 宮澤弘

    宮澤政府委員 私はこの憲法の「議會の議員及び法律の定めるその他の吏員は、……直接これを選擧する。」こういう条文に着目をして、そこに重点を置き過ぎて御答弁を申し上げ過ぎたきらいがあると思うのでありますが、おっしゃいますように、特別地方公共団体、普通地方公共団体両者を問わず、やはり地方団体組織運営というものは地方自治の本旨に基づいて定められなければならないと思います。
  43. 土井たか子

    ○土井委員 そこでさらにその点を具体的にお示しをいただきたいと思うのですが、地方自治の本旨というのは、一体どういう点にございますか。
  44. 宮澤弘

    宮澤政府委員 これもたいへんむずかしい問題でございますけれども地方公共団体各地方の実情に応じまして地方の人々が自分たち仕事をなるべく自分たちの手のうちで処理をしていくということが地方自治の本旨ということであろうと思います。
  45. 土井たか子

    ○土井委員 一言で申しますと、住民の自治というサイドですね、その問題は。
  46. 宮澤弘

    宮澤政府委員 住民の自治というお話がございましたけれども、多少昔風の表現でございますけれども地方自治の本旨というのは、やはり住民の自治と団体の自治というような二つの要素があるというふうに考えてもよかろうかと思います。
  47. 土井たか子

    ○土井委員 本来いまおっしゃったような団体の自治、住民の自治というものを具体的に生かすことのために執行機関、議事の議決機関、それぞれについては住民の直接選挙制というものが確立されているのではございませんでしょうか。
  48. 宮澤弘

    宮澤政府委員 私の知識でございますけれども住民の自治というものは、やはり住民が直接地方自治行政につきまして、その意向を表明するような仕組みを確保していくということが住民の自治であろうと思うのでありますし、団体の自治と申しますのは、やはり地方団体自身がなるべく自主的な判断でその現実実態に応じて仕事ができるような仕組みを考えていくこと、これが団体の自治であろうかと思います。
  49. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、自治大臣に少しお尋ねしたいのですが、地方自治法のたてまえからいたしますと、現在の一部事務組合につきましても、選挙管理委員会を任意で設けることができます。住民の一般選挙によることを規約で定めさえすればできることになっています。しかし、その規約自身は自治大臣または知事の許可を必要としているわけでございます。今回のこの連合につきまして、こういう点については自治大臣としてどういうお考えをお持ちであるかどうか。やはり一部事務組合の従来のいきさつからしまして、欠陥がありとするなら、その点を是正するということを前提に今回の連合制というものを考えられている向きというものが、一番最初に私申し上げましたようにございますから、その点からいたしましてどういうふうにお考えでいらっしゃるか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  50. 宮澤弘

    宮澤政府委員 まず私から御答弁を申し上げまして、場合によりましてなお大臣に御質問願いたいと思います。  いまの一部事務組合規約というものは、市町村の加入するものにあっては都道府県知事、それから都道府県が加入するものにあっては自治大臣の許可を受けるということになっております。やはり特別地方公共団体として一つ行政の単位でございます。行政の単位をどうつくるかということでございます。おそらくこの場合の知事の許可というものは、国から委任をされた許可権限、性質だろうと思うのでございますが、国といたしましても、一つの団体が創設をされるということについて関心を持つのが至当であるということで許可制度になっていると思うのでありまして、この際この許可制度改正をするという気持ちはございません。
  51. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、いまの連合制をお考えになる場合にも、管理者並びに理事等々についてのあり方、それに対しての構成、こういうことはこれで十分だというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  52. 宮澤弘

    宮澤政府委員 たいへん恐縮でございますが、御質問の意味、必ずしも理解いたしませんので、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
  53. 土井たか子

    ○土井委員 この連合制は住民の直接選挙ということを問題にしておりませんね。理事並びに管理者考えてまいりますと、先ほど申し上げましたとおりに、執行権と議決権というふうなもののかね合いというものが問題になる一方で、やはりその人選ということを問題にする場合に、住民の意思の反映ということが忘れてはならない大切な側面だと思うわけですが、そういう点からいたしまして、いま質問申し上げたわけです。
  54. 宮澤弘

    宮澤政府委員 御質問の趣旨、わかりました。一部事務組合につきましては、組合議会なりあるいは執行機関というものの組織選任方法というものは組合規約にまかされているわけであります。これはやはり地方の実態に応じていろいろな形がとり得るという考え方がこういうことになっているんだろうと思うのであります。御承知のように、一部事務組合という制度は、地方制度が発足いたしましてからはずっと何十年か日本において行なわれてきているわけでございまして、こういう形を踏襲して今日に至っているわけでございます。そこで、この規約の中で公選制をとるということはもちろん可能でございます。公選制をとることもできれば、それ以外の選任方法をとることもできる。現実におきましてはそれ以外の選任方法がとられておりますところが大部分でございます。私どもは、組合規約というものは、これはこれで適当ではないかというふうに考えております。
  55. 土井たか子

    ○土井委員 公選制をとることは可能であるということより、むしろ公選制をとらなければならないとか、公選制をとることが望ましいというお考えをお持ちでいらっしゃいませんか。
  56. 宮澤弘

    宮澤政府委員 一般論といたしまして、公選制をとることが望ましいというふうには考えておりません。
  57. 土井たか子

    ○土井委員 その理由をお示しいただきたいと思います。
  58. 宮澤弘

    宮澤政府委員 なるほど公選制をとるということは、住民の意思を反映するという面から申しますならば、それはそのとおりであろうと思うのであります。しかし、先ほど来申し上げておりますように、一部事務組合と申しますのは、住民の意思によって構成されております各構成団体人たちが相談をしてつくる仕組みでございます。その仕組みをどう構成をするかということは、関係地方団体方々が相談をしたところでやりましても、私はそれはいいのではないか。相談をしたところで、公選制をとらないということが、そういう一つの判断でありますれば、それはそれでいいのではないかというふうに考えるわけでございます。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 いま考えられます連合の共同事業の中身を見ますと、日常私たちの生活に直結する事務というものが大体中心になるということは、もう必定でございます。たとえば清掃工場、下水道処理場、社会福祉施設、病院、保育所、学校給食センターなんかをあげていくことができると思うのですが、こういうふうな事務を取り扱う際に、たとえば住民に対するサービスの中身について、あるいは受益者負担というふうなことの立場から、いろいろな料金引き上げということが問題にされる際、住民側からの住民の意思の反映ということはどういうふうに考えられておりますか、また料金の引き上げなどについてのチェックをするような方策というものがどういうふうに講じられておりますか、ひとつお教えいただきたいと思います。
  60. 宮澤弘

    宮澤政府委員 しばしば申し上げておりますように、今回の連合というのは、性格的には従前の一部事務組合と同じでございます。したがいまして、従前の一部事務組合におきましても、同じような問題というものは常にあったと思うのであります。そこで、たとえば一定の施設なら施設をつくります場合、その使用料というものを引き上げるというような事態が起こりますといった場合には、これはその施設の使用料でございますから、各市町村運営をしております場合はその市町村の条例で定められるわけでありますけれども、一部事務組合運営をいたします場合には、一部事務組合の条例で定められるわけでございます。一部事務組合議会の議決を経て条例で定められるわけであります。したがいまして、市町村議会審議が行なわれるという意味合いにおきましては、一部事務組合議会でも審議が行なわれるわけでございます。そこで、そういう場合にいまの使用料というようなことについての住民との関係というようなことにつきましては、関係市町村から出ております議会構成員というようなものが十分審議をいたすわけでございます。それを通じて住民の意向というものを確保する以外になかろうと思うのであります。  ただ、先ほど来、私申し上げておりますように、全般として一部事務組合の数もふえてまいりました。それから、今回連合というようなことで、単一の事務ばかりでなく複数の事務処理をするというようなことになってくるわけでございます。そういう意味合いで、住民につきましては事務の監査の請求、それから条例の制定、改廃の請求、そういうものにつきまして、今回それを制度化をするということをこの委員会の席上でも申し上げているところでございます。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 今回のは、これは地方自治法改正でございますから、現行の地方自治法よりもなおかつやりにくいように、繁雑な方向へこの法律を変えるということは、私は改正ではあるまいと思うのです。そういう点からしますと、現在の一部事務組合につきましては、従来からその点について一連の、これはやりにくいとかもう少しこの点に手直しが必要じゃなかろうかと思われる側面というものは、いま申し上げているような点ではありはしないかと私自身考えているのですが、それは、一部事務組合がきめる負担金というのは、地方税徴収と同じように市町村から強制徴収されます。加入している市町村議会が負担金を削除したり減額したりいたしましても、市町村長には原案執行権というものがございますから、その議会に再議に付しましても承認されないときはこれは長の不信任につながるということになってくるわけでございまして、だから、この点、実際例を見た場合には、市町村議会は事実上負担金の承認議会となるというむきが非常に考えられてきたのじゃなかろうかと思うわけです。ですから、そういう点からしますと、先ほど住民からはいろいろ条例の廃止であるとかあるいは直接請求の道を講ずるような御配慮があるような御発言がございましたけれども、リコール制なんということをこの節明らかに考えておく必要がありはしないかということを私自身思うわけですが、この点いかがでございますか。
  62. 宮澤弘

    宮澤政府委員 先ほどの御発言の中で、組合の経費を各構成市町村分担をするわけでございますけれども、強制徴収ができるというふうには私ども考えておりません。これは何かのお間違いではなかろうかと思うのでございます。  それはそれといたしまして、リコールの問題でございます。先ほど事務監査請求なり条例の制定、改廃の請求なり、その部分の直接請求については申し上げたわけでございますが、御質問はおそらく人的な直接請求、リコールだと思います。そこで、実は私先ほど桑名委員に対してお答えをいたしたわけでございますが、現在のリコール制度と申しますのは、地方公共団体議員と長の選挙権を有する人が直接請求権利を持っているわけでございます。申し上げるまでもなく、選挙前提にいたしまして住民選挙で選んだ人たちの途中の仕事ぶりについていろいろ注文を出す、矯正をするというのがリコール制度、直接請求制度の基本の考え方であるわけでございます。  そこで、なるほど基本的には長と議員選挙権を有する者が直接請求権限を有するわけでございますが、そういう基本の考え方に立ちまして現在のリコール制度というものを分けますと、大体二種類になっていると思うのでございます。一つは、まさに自分たちが選んだ人たち仕事ぶりが当初の期待に反するということから、そういう人たちをもう一度戻すと申しますかリコールするというものが一種類でございます。もう一つは、仕事のやりぶりに関連をいたしまして、やりぶりを明らかにすると申しますか、仕事のやりぶりにつきましての事務監査請求、条例の制定、改廃の請求、こういうことがあろうかと思います。  そういたしますと、先ほど来るる申し上げておりますように、一部事務組合というものにつきましては直接公選ということを前提にしているわけではないのであります。そこで、私は先ほどいわゆるリコールには二種類あるということを申し上げたわけでございますけれども、選んだ人をもう一度呼び戻すということは、その趣旨なり何なり、あるいは手続的な面にも問題があるわけでございますが、これについて適用をすることは不適当ではないか。仕事の中身自身につきましては、本来普通の市町村処理をしておりましたものが一部事務組合に移っていくという意味合い監査請求なり条例の制定、改廃の請求をするというようなことを考えるべきではないか、こういうふうに私は思っております。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 直接公選制による人でなければリコールに適さない、端的に言うと、そういうふうな御発言かと思うのですが、ならば、憲法十五条にいう「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」という点はどうなりますか。
  64. 宮澤弘

    宮澤政府委員 それは私も明確なる答弁ができないのでありますが、やはり考え方の基本的な、思想的なことを述べたのだと思うのでございます。公務員というのは国民のすべてにサービスをするものとして、その存在の基本は国民自身にあるという考え方といいますか、そういうものを述べたものであるというふうに私は思います。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 少し例は違いますけれども、最高裁判所の裁判官につきましても、これは国民が直接公選制で選んでいるものではない。しかし、国民は審査する権利を持っていますね。いわゆるリコール制だと私は思うのです。同じような意味で、この節いまの連合について人的な関係で問題にできはしないか。いかがでございますか。
  66. 宮澤弘

    宮澤政府委員 国民審査の問題について、どういう趣旨でどういうことからなっておりますか、土井委員と御議論をするほどの知識は私はないわけでございますが、一部事務組合につきましては、実は過日来から申し上げておりますように、また本日も私が申し上げたところでございますけれども地方自治法全般のたてまえといたしまして、選挙権を有する者が自分たちが選んだ人についてそれを差し戻すというのがリコールの基本的な考え方だ、そういうものを基礎にしてものを考えるほうが適当ではないか、こういうふうに私は思っているわけでございます。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 私は、あくまで適当なものの考え方というものは、この節やはり住民の意思を最大限に尊重するというところにあろうかと思うものでございますから、すべからく、この連合制をお考えいただく場合にも、あらゆる部署に住民の意思というものが反映されるようなルートを確保しておくということの御配慮をぜひぜひお願いしたい問題だと私は思うのです。そういう点からしますとなお一つ欠けていやせぬか。リコール制が全くできる問題ではないということならばこれは問題外でございますけれども、そうではなく、なおかつ一考を要する問題だと私は考えておりますから、先ほどから少しお尋ねをしてみたわけです。  それからあと一つどうしてもお尋ねをしておきたいのが、今度は連合内の職員の問題なんです。職員は市町村から出向する場合もございましょうし、市町村と兼務であるという場合もございましょうし、また専任として新規に採用される職員もあろうかと思います。こういう職員間における労働条件あるいは給与それ自身が一定していないということを一応前提として考えておかれなければいけないのではないか。その際高低があるということからいたしますと、現実組合に加入していない場合も多いということを一つ予想いたしまして、労働条件なり給与内容などを考えてまいります場合にはっきりした歯どめ、チェックをしておかないと、低いところに合わして考えられるというふうな不安も私はあろうかと思うのです。この点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ひとつお聞かせいただきます。
  68. 宮澤弘

    宮澤政府委員 一部事務組合の職員は、ただいま土井委員もおっしゃいましたように、固有の職員という者もございますれば、あるいは関係地方公共団体から出向なり兼務をしているという者もあり得るわけでございます。その際の給与その他の勤務条件のきまり方、きめ方の問題についての御質問だと思います。  御承知のように、一部事務組合自身が給与その他の勤務条件をきめます場合は条例できめるわけでございます。それは国なりほかの地方公共団体との権衡を十分考えてやるわけでございます。ほかの地方公共団体の中には、もちろん、一部事務組合構成いたします市町村というものが基本的な要素としても入ってくるだろうと思うのでございます。そこで、一部事務組合自身がそういういろいろな事情考えてきめていくということになろうと思うのでありますけれども、低いところに合わすようなことになっては困るとおっしゃいましたが、そういうことも困るかもしれませんけれども、世の中に間々ありますように、高いところに全部合わせてしまうということもあまり形式過ぎる。その辺は各構成市町村なり何なりの実態に応じて、一部事務組合自身が判断をして適当な措置をとることを私どもは期待をいたしたいのであります。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 この問題はたいへん大きなことだと私自身は考えております。と申しますのは、今回の連合制をおとりになる場合にも、行政事務の能率化ということと、一面、民主的な運営が忘れられてはならないという側面がございますから、その職員が行政の機能あるいは行政能率というものを向上させることに専心努力のできるような状況ということを考えてまいりますと、やはりこの点ははっきりと法制化すべきじゃないか、一つのこういう基準というものをこの節はっきり打ち出すべきではないかというふうに考えているわけでございますが、こういう点はいかがでございましょう。
  70. 山本明

    山本(明)政府委員 お答えいたします。  連合に職員を置く場合に、プロパーの職員と、それから派遣で行くという二通りあるわけでございます。そこで、給与その他の勤務条件につきましては、先ほど局長からお答えいたしましたように、条例できめることになるわけでございますが、この場合には、給与にいたしましても勤務条件にいたしましても、地方公務員法でうたってございますので、当然これが適用になるわけでございます。そうしますと、現在ございます一部事務組合あるいはいわゆる市町村と何らこれは変わりがないわけでございます。その場合に勤務条件にしろそれから給与にしろ、国あるいは他の地方公共団体との均衡を失しないようにということに書いてございますから、そういうかっこうで均衡をはかっていく。当然われわれとしては構成市町村のそういう条件を十分考慮に入れながら考えていくべきだろうと思います。そこで問題は、派遣されたという場合でございます。この場合には、先生も御承知のように、地方自治法の二百五十二条の十七、いわゆる派遣の規定がございます。これによりますと、派遣するにあたりましては、派遣を受けたほうの団体が給与、手当、旅費を負担する、それから退職手当等はその派遣をするほうが負担をするという負担の規定が書いてございます。いわゆる身分取り扱いにつきましては第四項に持ってまいりまして、政令にゆだねまして、関係団体の協議に、要するに連合と各構成団体との協議によってきめることができるということになっておりますから、われわれといたしましては、その間に協議をすることによりまして、いまおっしゃいましたような問題は調整ができるのではないか。現にいままで一部事務組合がございます。それがそういうかっこうで調整をしておるわけでございます。これは一部事務組合でございますから、ただ連合という名前がございますけれども実態地方自治法上からは一部事務組合でございますので、従来その規定によって調整をしておるということでございますから、私はそう問題は起こらないのではないかと思います。調整規定が全くなしであるというならば別でございますけれども、調整する規定がございますので、それによってできる、こういうふうに考えております。
  71. 土井たか子

    ○土井委員 連合職員がその節そういう問題について直接交渉する相手方というのはだれになりますか。
  72. 山本明

    山本(明)政府委員 連合の当局でございます。当該連合の当局になろうと思います。
  73. 土井たか子

    ○土井委員 その節、連合当局というのは自主的にそういう交渉などに応ずるということは確保され得るでしょうか。いかがでしょうか。
  74. 山本明

    山本(明)政府委員 それは当然地方公務員法の適用を受けてまいりますから、一部事務組合、いわゆる地方公共団体でございますから、地方公務員法の適用を受けまして交渉に応ずることができると思います。
  75. 土井たか子

    ○土井委員 さらに一つお尋ねしておきます。共済制度の問題なんですけれども、これは都市とそれから市町村とでは共済の中身が違ってくる。連合事務局内でこの問題が取り扱い上ばらばらになりはしないか、混乱を来たしはしないかという不安を感ずるわけですが、この点はどういうことになりますでしょうか。
  76. 山本明

    山本(明)政府委員 共済組合法の第三条の一二項で、一部事務組合等につきましては、政令で定めるところによってそれぞれ属する共済組合が協議できめることができるようになっております。それを政令で受けまして、七条で、いまおっしゃいましたように都市共済と市町村共済がある場合には、協議をして都市共済にあるいは市町村共済に移行する、こういうことができるようになっておりますから、御心配のようにばらばらなものが入ってくるということにはなっておらない。大体現在のところは、そういう場合には都市共済のほうに協議によって移っていくというのが実情のようでございます。したがって、その面は私どもは、これは現在法律があります。一部事務組合についての法律は全部できておるわけでございまして、連合が一部事務組合でございますから、それをそのまま適用する、こういうかっこうになるわけでございます。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 連合というのは一部事務組合なんですね。ずばり一部事務組合そういうふうに理解していいわけでございますか。
  78. 山本明

    山本(明)政府委員 これは私どもの担当じゃございませんけれども、私はこの法律を読んでみますと、一部事務組合である、このように了解をいたしております。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 一部事務組合であって従来の一部事務組合とはまた違うという点もあるわけですから、その点がどうも、一番最初に申し上げたように、はっきりしないという点なんですね。そこで、その辺が浮き彫りにされない限りは、どうもあいまいもことしていて、もうひとつ私ははっきりつかみ切れないのですが、この連合方式というのは、要するに総合事務形態それ自身をいうのであるか、それとも広域市町村行政執行機関のあり方として問題にしているのか、いずれかという点、いずれに重点を置くということになっているのか、その点をもう一度お聞かせいただきたいと思うのです。
  80. 宮澤弘

    宮澤政府委員 まず最初に、これは一部事務組合そのものでございます。法律的には一部事務組合そのものでございまして、二百八十五条をごらんいただきましても、これこれこういう一部事務組合という表現をいたしまして、「(以下「連合」という。)」というふうにしているわけでございます。しかし、従前の一部事務組合に多少幾つかの特例的な、付加的な規定を設けているという点において、従前の一部事務組合と異なった面を持っておりますけれども、基本的な法律上の性格は一部事務組合でございます。法律上もそういうことを明記しておりますので、この点は間違いがないところでございます。  そこで御質問でございますが、実は冒頭にもお話がございまして、どうも私も御質問のお気持ちを十分理解をしていないのかと思うのでありますけれども、今回のこういう一部事務組合としての連合の仕組みというのは、総合的な計画、あるいは総合的計画的に事務処理するための一つの仕組みでございます。したがいまして、私どもはこういう仕組みが、いま全国各地で行なわれております広域市町村圏などで活用されることを期待をいたしますけれども、同時に広域市町村圏ばかりでなく、都市の連合でございますとか、あるいは一定の地域におきます広域市町村圏以外の総合的な計画に基づく仕事処理、たとえば多摩ニュータウンでございますとかあるいは研究学園都市でございますとか、そういうところにおきましても、こういう仕組みというものが活用されることを期待いたしているわけでございます。今回の一部事務組合である連合というのは、仕事処理するための一つの仕組みである、こういうふうに御理解を願いたいと思うのでございます。  御質問の意図にはたして沿っているかどうかわからないのでございますが、あるいは私の御答弁が的をはずれておりましたならば、再度恐縮でございますが御質問をいただきたいと思います。
  81. 土井たか子

    ○土井委員 これは仕事処理していく上での機能的な側面というものを非常に重視されているという点はよくわかるわけです。ところが、これは従来の一部事務組合からしますと、やっぱり事務内容というものが一定であったわけですね。明らかにされていたわけです。ところが、今度はこれを総合的に取り扱うということになってまいりますと、どうもこれは私の杞憂であればけっこうなんでありますけれども市町村事務内容というものが、いわば連合の下請と申しますか、連合によってもう代替されてしまいはしないかという側面が出てくるということに私は非常に不安を感じているわけなんですが、その点はどうなんでございますか。
  82. 宮澤弘

    宮澤政府委員 先ほどから総合的な事務組合であるかというような、御質問の中にそういうおことばがございまして、お聞きになっておりますお気持ちがだんだんわかってきたわけでございますが、計画自身というものは、広域にわたる総合的な計画を共同して作成をするという意味で、関係地方団体全部に関係をするものでございます。ただ、それに基づいてどういう仕事をどう共同処理していくかということは、もっぱらその地域実態に応じて、関係地方団体が、この仕事は共同処理をしていく、これはもう各個市町村でやるというような考え方で仕分けをしていくべきものでございます。  そこで、それでは共同処理をする連合である一部事務組合のほうが関係市町村よりも優位な立場に立つのではないかというようなお気持ちからの御質問もあったかと思うのでございますけれども、基本はやはり構成市町村でございます。構成市町村が、数カ市町村にわたって共同で処理をするほうがよろしいというようなものを共同処理をする仕組みがこの一部事務組合である連合ということで、連合のほうが優位に立って関係市町村のほうが風下に立つと申しますか、そういう関係というものにはならないと私は思います。
  83. 土井たか子

    ○土井委員 ということであれば、特に連合事務の内容については特定明示の必要がありはせぬかという意見も当然出てこようかと私は思うのですが、その点はどのようにお考えになりますか。
  84. 宮澤弘

    宮澤政府委員 具体的な事務処理は、先ほど来申し上げておりますように、関係市町村が共同して相談をしてきめるわけでございます。そこで、組合規約の中にも、共同処理する事務は一体何をやるかということを書くことになっているわけでございます。あらかじめこれは明示をすべきものでもないし、またすることのできるものでもないと私は思います。
  85. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、再度繰り返しになりますけれども、そうであるならば、この総括的に委任されている内容についての事務処理なり事務取り扱いが、具体的に住民意見というものを尊重して、それを根拠に運営されなければならないという地方自治の本旨から考えていった場合に、はたしていまのようなシステムのままでよいかどうかという問題が再度出てこようと思うのです。そういう点から、私はきょうは、このリコールということについてお考えになる余地があるかどうかということについて質問させていただいたのでありまして、やはり住民の意思の反映ということについて十全な方策を講ずるということは至上命題だと私は思いますので、その点についての御配慮、いまのままでよいかどうかということに対する再吟味を、ぜひこの際強く要望したいと思います。  なおかつ、私、お伺いしたいことがございますが、五十分という時間の制約を受けておりまして、まさしくいま五十分たちましたので、これで質問を打ち切りたいと思います。ありがとうございました。
  86. 菅太郎

    ○菅委員長 林百郎君。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 最初に自治大臣にお尋ねしますが、いまの段階でこういう連合という構想を自治省が打ち出してきた根本的な理由はどこにあるのですか。何でこういう制度を設けなければならないことになってきたのですか。
  88. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 いろいろ各地方公共団体、それも市町村構成しておるわけでございますが、やはり社会経済の進展の現況に応じまして、広域的に、総合的にいろいろ計画を立て事務処理していく必要が出てまいりました。この実情を踏まえまして、従前の一部事務組合では応じ切れない面がございますので、その点を考えまして、御提案申し上げたような地方自治法の一部改正案を出したわけでございます。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 こまかい点はまた事務当局に聞きますが、新しい社会的ないろいろな諸条件が発生してきたので、従来の一部事務組合では応じ切れない事態が発生しているということは、具体的にはどういうことをさすわけなんでしょうか。
  90. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 やはり従来の一部事務組合では、事実上、一つ一つ事項によりましてくくっていかなければならない。今回のものならば、それを包括的につかまえまして、そして連合的な処置をすることが便宜であるというような点に着目したわけでございます。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 包括的に総合的に計画的に連合が方針を決定していく。そして具体的なものでは不十分だということになりますと、連合できめた総合的かつ計画的な行政運営というものは、内容が特定されてないままで、どういうことがきめられるかわからないが、そこで総合的かつ計画的にきめられたものの具体的な内容に、連合組織している地方自治体がそれに対して執行の責任を持つということになると、先ほども各委員が言われているように、やはり総合的かつ計画的、包括的な計画をきめる連合のもとに従来の地方自治体が置かれる、そして地方自治体の自主性というものがそこなわれる、そういう懸念はありませんか。
  92. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 その点につきまして、いろいろ各委員から御懸念の点等あるいは疑わしき点等につき御質疑があったわけでございます。いろいろ制度上のことでございまして、メリットもあればデメリットもあるという論議等もかわされたわけでございますが、要は、私やはり各もとの市町村の自由なる意思に基づく議決により、規約に基づいてこの仕組みを取りきめるわけでございますから、そこに根拠がありまして、いろいろその規約のつくり方によるわけでございまして、そのもとの権限は各市町村にありますから、その点から申しまして、理論的にこの連合が主となって従来の市町村がそのもとの従になるという関係にはならない、こういうふうに理解をいたしております。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 メリット、デメリットということが優先するのではなくて、憲法で規定されている地方自治体の自治権というものがそこなわれるかどうかということがまず優先されて、そういう範囲の中でメリット、デメリットが考えられなければならない。ところが、大臣の答弁によりますと、メリット、デメリットという考慮のもとで、それが先行し優先されて、そして地方自治体の本来の自治権というものの存否が、この連合によってどういう影響を及ぼすかということについての配慮がむしろ後退しているように思うのですが、その点はどうなんですか。  連合構成しているそれぞれの自治体自主性が尊重される、こういうことが侵されるいろいろの制度が今度の連合の中に持ち込まれているように私思うわけです。そのことが重要であって、そういうことが自治体の自治権を保障するということによって守られて、その保障の中でメリット、デメリットというものは考えられなければならないのじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  94. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 まさに林先生おっしゃるとおりでございまして、私のさきのお答えの表現がまずかった、誤解を招いたところがあろうと存じます。  デメリット、メリットということは、結果的にいろいろ批評をして考えられるので、法の仕組み、理論といたしましては、そういうものを中心考えたわけじゃなくて、もちろん地方自治行政の本旨に基づきまして、住民の自由なる意思というものを中心考えるべきもので、その点やはり規約の作成につきましては、各公共団体の自由なる意思によって、その合意のもとにつくられるという点におきまして、この地方自治行政の本旨とこの連合との関係考えられておるものと思うのでありまして、以上のような意味におきまして、これは決して地方自治の本旨にもとっておるものではない、こう考えるのでございます。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっといま宮澤さんが退席されましたので、もう一つ大臣に……。これは先ほど土井委員も聞かれておったのですけれども連合なるものが、地方公共団体が「協力して、住民の生活圏の広域化に対応する総合的かつ計画的な行政運営」をはかるということになりますと、「総合的かつ計画的な行政運営」というのは、共同から出てくるわけなんですね。しかも、それの執行権を連合が持っておるということになりますと、憲法で規定されておる公務員並びに議員に対する選挙権あるいはリコール制というものによって国民の監視権というものがこれに与えられなければ、相当強力な権限、場合によっては構成しておる市町村を越えた総合的かつ計画的な行政運営がなされるわけなんですから、憲法で規定されている、議員並びに吏員は、「その地方公共団体住民が、直接これを選挙する。」この保障なくしてこの強力な権限連合に与えるということは、憲法の精神に反するという疑いは十分持ち得ると思いますが、その保障についてはどういうようにお考えになるわけですか。その連合構成しておる議員並びに理事者が選挙されるからいいというだけで済まない。その人たち住民から選挙された権限を越えた権限を決定し執行していくわけなんですから、それに対する住民監視権あるいはいわゆる直接選挙権限あるいはそれに対するリコールの権限というものが与えられ、保障されなければ、これは憲法の精神に違反するという疑いが持たれるわけじゃないでしょうか。その点はどうお考えになりますか、大臣にお尋ねします。
  96. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 私は法律の専門家でございませんので、あるいは多少見当違いがあるかもしれませんが、私は、やはりそういう点は十分注意をしなければならぬ点だろうと思っております。そこで、今回の法改正でも、二百九十三条の二におきまして、「地方公共団体組合に置かれる機関組織及び運営その他本章の規定適用に関し必要な事項は、政令でこれを定める。」その政令の中で、先ほど来からしばしば問題になっております直接請求であるとか直接監査の規定を入れていくという考えでございまして、直接リコールの点については多少問題が残っておりますけれども仕事そのもののやり方につきましてはこれで救われていくというふうに考えております。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ宮澤さんにお尋ねしますが、この二百八十五条を見ますと、自治省側の答弁は、これは一部事務組合なんだ、一部事務組合に手直しをしたのだということの線を必死になって守っておられるわけなんですね。しかし、一部事務組合ならば、その一部事務組合構成している各地方自治体の共通の要求に基づく事務を行なうのが一部事務組合なんですね。ところが、今度の連合を見ますと、これは二百八十五条にあるわけですけれども、「共同処理しようとする事務が他の市町村の共同処理しようとする事務と同一の種類のものでない場合においても、これを設けることを妨げるものではない。」ということになりますと、要するに、自分のほうはその共同事業に対して要求はしておらない、しかしそれも拘束されるということになると、従来の一部事務組合規定とは異質のものがここへ出てくるのじゃないですか。これは単に一部事務組合の手直しというだけでは済まないことになると思いますが、この点どうですか。
  98. 宮澤弘

    宮澤政府委員 林委員からいろいろお話があったわけでございますが、基本的な考え方といたしまして、林委員から先ほど、この連合というのが構成の各市町村を越えた権限を持ち、それでそれを執行していくのではないか、こういう御指摘がございましたけれども、私どもはそういうふうには考えていないわけでございます。まず、その計画でございますけれども計画につきましては、なるほど関係市町村が共同して総合的な計画をつくっていくわけでございます。これはやはり地域全般にわたる総合的な計画でございますから、各地域の特殊性を入れながら、しかし全体として一つのまとまったものになっていかなければならぬということで、関係市町村の主張することも、それから同時に全体の立場もあわせ入れながら計画というものをきめていく、しかし、計画をきめるのは、やはり関係市町村の合意というものが、当然事実上なければならないわけでございます。そこで、その計画自身は、なるほどそういう手続を経て関係市町村実態に応じてきめてまいります。しかし、執行はすべて一部事務組合である連合がやっていくわけではございませんで、組合規約で共同処理するときめたことを執行していくわけでございます。  そこで、御質問の中で、同一種類のものでなくてもよろしいということから、関係市町村の中で、自分のほうはそれはやりたくなくても強制的に拘束されることになるのじゃないか、こういう御指摘がございましたけれども、そういうことは全くないわけでございまして、共同処理する事務関係市町村が協議によってきめるわけでありますから、自分のほうが全くやりたくないものまで、無理に含まれるものではございません。関係市町村の自主的な判断で、これはひとつ全体と一緒に共同してやっていこうというような場合には共同してやっていくということでございまして、ほかの市町村がやるから自分のほうも強制的にそれに入らなければならない、あるいは法律的にそういうことになっているということでは全くないわけでございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 いま宮澤局長答弁されるような保障は、この条文の中から出てこないのじゃないでしょうか。「連合については、市町村の共同処理しようとする事務が他の市町村の共同処理しようとする事務と同一の種類のものでない場合においても、」ですね、だから、ある市町村はこういう共同処理をしようとする事務を求める、他の市町村はそれと異質の市町村の共同処理をしようとする事務を持つ、それが同一の種類でない場合においてもこれを設けて行なうことができるとあるわけなんですから、異質なものが併存して、そしていずれかが優先する場合があり得るのじゃないですか。いずれかが優先すれば、この共同処理事務を欲しない他のもののほうは、それに対してある一定の責任は負わされる、そうしてみずからは求めておらない共同処理連合がやるということになるのじゃないでしょうか。たとえば一部の自治体中心となり、特に都市が必要とする事務を行なうために組合となった他の関係町村はこの協力者になる、要するに中心的な都市の事務処理のために、その共同に関係しておる他の関係町村が協力者になる、こういう可能性が出てくるのじゃないですか。そのことは、きのうの参考人の久喜さんでしたか、はっきりそういうような意向を示しているわけなんです、愛の手を差し伸べるとかなんとか。自分では愛の手を差し伸べるつもりだって、差し伸べられたほろの町村が、それを愛の手として引き受けるか、あるいは秩父市を中心とした都市計画に対して他の町村が協力をしいられるようになるか、わからないわけなんです。だから、これは従来の一部事務組合とは違って、中心的な都市になるその都市の事業に他の町村が協力させられる、そういう側面がここから生じてくるのじゃないでしょうか。
  100. 宮澤弘

    宮澤政府委員 二百八十五条のただいまの御指摘規定でございますけれども、これはそういうただいまおっしゃったような趣旨ではないのでございまして、かねて申し上げておりますように、いままで一部事務組合と申しますのは、各関係する市町村が共通の同じ仕事をなし合わなければ一部事務組合構成できない、もう昔からそういうことで解釈をされ、運用をされてきているわけでございます。したがいまして、たとえばA、B、Cという三つの市町村が水道の事業を一部事務組合処理をする。それからA、B、C、Dという四つの市町村が今度は下水の事務をしようという場合に、Dという市町村は、下水の事務は共同処理をいたしますけれども、水道の事務は自分の市町村処理をしたい、そういう場合には、A、B、CとDという二つ組合一つの機構の中にまとめることはできなかったわけでございます。それが現在の広域市町村圏におきまして、一つ圏域の中で十も二十も一部事務組合という組織が錯雑して存在をしているということになってきているわけでございますし、その辺が、関係市町村といたしましても、できるものならばなるべく機構を総合化して合理的な運営をしていきたいという希望が出てきたところでございます。そういう趣旨のために、この規定を設けているわけでございます。この規定自身が、自分のほうは共同処理したくなくても、ほかの関係市町村の意向で共同処理を強制されるようなことになるというふうには全くならないと思うのでございます。共同処理をするかしないかということは一部事務組合規約で書くことでございますので、関係市町村が、自分のほうは共同処理はしない、単独処理をしていきたい、あるいは従前の一部事務組合をそのままにしておいていきたいというようなことでございますれば、そうなってくるわけでございます。もっぱら規約関係市町村の意思に基づいて問題がきまっていくわけでございまして、この二百八十五条のただいま御指摘のような規定は、そういうふうに私どもは解釈できない、また解釈すベきものでもないというふうに考えているわけでございます。参考人としての秩父の市長のおっしゃることは、愛の手とかいろいろな表現を使って言っておられたわけでございますけれども、私ども承った限りでは、周辺の市町村自身が、自分の施設を持つよりも秩父の施設を利用して共同で処理をしていくことが周辺の市町村のためにもなるのだというようなことで話し合いができているのだ、こういうふうに私ども了解をしたわけでございます。周辺の市町村がいやだというにかかわらず、無理無理共同処理機構の中に入れられている、入ってきてしまったということではないというふうに考えております。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 私は宮澤局長と解釈が違いますが、私の言うような場合があり得ると思うのです。この二百八十五条を見ますと、「広域にわたる総合的な計画を共同して作成し、これらの事務の管理及び執行についてその計画の実施のために必要な連絡調整を図り、並びにこれらの事務の一部を広域にわたり総合的かつ計画的に共同処理するための市町村の一部事務組合(以下「連合」という。)については、市町村の共同処理しようとする事務が他の市町村の共同処理しようとする事務と同一の種類のものでない場合においても、これを設けることを妨げるものではない。」とありますから、「総合的かつ計画的に共同処理」というものは、ある中心的な市町村が下水道を望む、他の町村はむしろ町村道の舗装あるいは上水道を望むというような場合に、この優位的な、中心的な、中核的な市が望む下水道の設置という方向で共同が決議をすることはできる。そうすると、下水道よりも町村道を舗装したい、あるいは上水道をほしいという町村は、その共同で決定された中核的な市の下水事業に協力がしいられることになるということは、この条文から当然出てくるように私は思いますけれども、まあ、こればかりやっていますと、もうこれで時間をとってしまいますから、次に移ります。  その次の二百八十六条の一項後段、「連合の共同処理する事務の変更又はこれに伴う規約の変更について、あらかじめ、連合規約で特別の定めをしているときは、その議会の議決をもつて関係地方公共団体の協議に代えることができる。」これも非常に重要な改正で、連合をつくった自治体の協議を経ずしても処理する事務を変更することができるという規定、従来このような場合には関係地方公共団体の協議によって決定する、あくまで関係地方自治体の自主性を尊重していたのでありますけれども、今度はこういう立場をとることになって、連合規約で特別のきめがある場合には、連合議会の議決でもってもう関係地方公共団体の協議はしなくてもできるのだ、こう書いてあるわけなんですから、ここできめられるならば、関係地方公共団体の独自的な要求というものはこれで抹殺されてしまうことになるのじゃないでしょうか。これと私のさっき聞いたのと合わせてみれば、連合構成している地方自治体の独自性というものが非常に薄らいでくるということは、これと関連しても言えるのじゃないでしょうか。
  102. 宮澤弘

    宮澤政府委員 先ほどの問題、もうこの際議論をしないとおっしゃいますからくどくど御答弁を申し上げませんけれども、私どもは御心配のようなことにはならないと思うのでございます。  そこで、ただいまの二百八十六条でございますが、これは御指摘のように、あらかじめ連合規約で特別の定めをしておりますと、連合議会の議決で規約の変更というような効力を生じてしまう。元来でございますれば、共同処理する事務を変更するということは規約の変更でございまして、関係市町村議会の議決が必要であるわけでございますけれども、この場合には、あらかじめ連合規約で特別の定めをしておりますと、連合議会の議決でそういう効力を生ずる、これは御指摘のとおりでございます。それでは、そういうことで関係市町村の意思というものが無視されるのではないかということでございますけれども、これは連合規約で特別の定めをしております場合にそういう効果が生ずるわけでございます。連合規約自身、これは関係市町村が協議をいたしまして、関係市町村議会の議決を経、協議をしてきめるわけでございますから、関係市町村自身が、そういう場合にはひとつけっこうだというふうに授権をした場合にのみ動く規定でございます。  それから、それではどういう場合に授権をすることが予想されるのかということでございますけれども、これは計画的に仕事をしてまいります場合、過日も申し上げたことでありますけれども、たとえば屎尿処理を共同してやっていこうという場合に、屎尿処理施設の充実に応じて共同処理する区域もだんだん広まってくるわけでございます。本年度は圏域内の五カ町村が共同処理をしていこう、しかし来年度は施設もできるので、残りの三カ町村もそれに従ってやっていこうということをあらかじめ規約できめますならば、来年度になりまして三カ町村も共同処理機構の中に入ってくる、こういうことでございます。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕 そういうような、関係市町村自身がある程度将来を考えて具体的に判断をした上できめることでございます。関係市町村連合がそういう規約で授権した場合にのみ動くわけでございます。関係団体の自主性も尊重しながら、同時に能率的な事務処理をやっていこうというための規定であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし、これは連合議会の議決できめるわけでしょう。だから、必ずしも満場一致じゃないんだから、議会の議決できめられれば、それに同意しない市町村も拘束されるのじゃないですか。従来ならば関係市町村が協議して、十分意見の交換をなし得たわけなんです。
  104. 宮澤弘

    宮澤政府委員 それは連合議会の議決できまるわけでございますが、そういうことをあらかじめ関係市町村としては授権をしている場合でございます。あらかじめ連合規約で特別の定めをしているときでございます。関係市町村が、さっき私が一つの実例を申し上げたわけでございますけれども、そういう事態を予想して、そういうことについてはひとつ連合議会の議決にまかせようではないかということを、連合規約で特別にきめております場合にこれが動くわけでございます。連合規約で特別の定めをすることは、当然関係市町村の意思、関係市町村議会の議決が前提になります。そういうことで、私は関係市町村の意思も尊重しながらといいますか、それを基本にしながら、実態に応じた仕事ができるような仕組みであるというふうに御理解をしていただきたいということを申し上げたわけでございます。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 連合をきめる場合は、総合的かつ計画的な行政運営につとめるということで、非常に抽象的で、まだ具体的な事業内容がきまらない場合もあり得るわけなんですね。だから、連合に加盟した自治体は、まだどういうことがきまるかわからないという形でこういう条項に賛成する場合もあるわけなんですね。それがいよいよ具体的な事業を始める場合に、議会の議決でもって関係地方公共団体の協議にかえることができるということになると、事柄が具体的になればなるほど、地方自治体の自主性というものが否定されてくることになるのじゃないでしょうか。宮澤さんに言わせれば、それはもう連合に入ったのだから、入ったときからそういうことは覚悟の上じゃないかということで、一たん連合へ入ってしまった以上は、一部の市町村と異なる事業も行なわれるし、あるいは構成している地方自治体の協議にかわる議決をすることもできるというようなことで、ずるずる連合へ深入りさせられていく道になるのじゃないでしょうか。
  106. 宮澤弘

    宮澤政府委員 連合に入ったときから覚悟の上でそうなるとおっしゃいましたけれども、そうは私はならないと思うのでございまして、仕事の手順から申しますと、まず全般的な計画ができる。そういたしますと、その計画に基づいて何を共同処理していくかということが、今度は相談になるわけでございます。そこで、共同処理していく項目がはっきりいたすわけであります。関係市町村がいやなものは共同処理をいたしませんし、共同処理でやっていこうというものの項目がはっきりするわけでございますけれども、その場合に、いまは共同処理できないけれども来年になれば当然できるではないかというようなものについては、いま申しました授権の規定が動き得る余地がある、こういうことでございますので、連合に入ったからもうすべて連合議会でまかなわれてしまって、関係市町村自主性が全く失われるということは、これは私どもは予想しておりません。原則といたしましては、共同処理する事務というのは規約できめるわけでございますので、その際に関係市町村が協議をする。しかし、そのうちである例外的なものについて授権したものは、各市町村に持ち帰らなくてもできる。しかし、授権するかしないかは各市町村の自主的な判断によるのである、こういうことでございます。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、授権するかしないかのときには、まだ具体的な事業内容が決定しない前に、総合的かつ計画的に規約がきまるわけなんですから、それがだんだん具体化していくわけなんですから、具体化していく段階では、こういう授権の規定についてあなたも賛成されているのだから、いまになってそういうことを言っても、これは授権の規約でやっていきますということになり得るのじゃないですか。最初から一部事務組合みたいに、共同の事業について各関係市町村が一致していることをやっていくならわかりますよ。しかしそうではなくて、総合的かつ計画的にということを前提にしてます連合ができ、そしてその連合の中には一部の市町村の要望が、一部事務組合の場合のように共通しなくてもいいというようなことがある。さらには連合の議決で協議は省くこともできるということになって、最初は非常に総合的な、計画的な運営をしようということで始まったものが、具体化していくに従って、それを構成している地方自治体の自主性というものが発揮できないような方向へ深入りしていく、そうしないという保障は私はここにないと思うのですよ。たとえば二百八十七条の二を見ましても、「連合規約には、前条第一項各号に掲げるもののほか、連合の作成する広域にわたる総合的な計画の項目について規定を設けるものとする。」だから、総合的な計画というような非常に広範な一般的な計画をここできめることもできるわけなんですから、そこで、どこの市町村を先にやるとか、どこの市町村に何をどうしてやるかということはだんだん具体化していくわけですから、そういう場合に、授権の規定があるとかあるいは一部の市町村と共同でなくてもできるのだということで、強行していくことができるのじゃないですか。そういう意味で、もう一度補足しますが、連合構成している地方自治体の独自性というものは、連合へ入ることによって漸次その自主性というものが連合へ移行していくということは、これはやっぱりこの体系の中では否定できない。各委員もその点をみんな質問しているんじゃないですか。
  108. 宮澤弘

    宮澤政府委員 計画自身は地域の整備のための総合的な計画でございます。したがって、各地域の特殊性なり独自性なんというものを前提にしながら、同時に全体として一つのまとまったものでなければならないわけでございます。各市町村のいろいろな主張と、それから全体の要請との間の調整というようなものは十分行なわれる必要があるし、行なわれなければならないと思いますが、そういう計画に基づいて事務処理いたします場合には、共同処理するというものが幾つかある。それ以外のものはもちろん関係市町村が独自で処理をするわけでございます。そこで、何を共同処理するかということを、今度は計画の実施の段階に応じて関係市町村の間で相談がだんだんできていくわけでございます。その相談の過程で具体的に共同処理するプログラムに応じて、ことしはできないけれども、来年はこの市町村が入ってくる、その市町村もひとつ来年にはやろう、施設もまたそこで間に合うというような問題、この授権の規定が動いてくると思うのでございます。いきなり初めからすべて授権をしてしまうというようなことは、私ども考えられない。具体的な仕事につきまして、そういうものをいつからやっていくか、それならばそれについてそのときに手続をとらなくても、いまあらかじめ包括的な授権をしておこう、こういう運営が行なわれるというふうに私ども考えております。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、私のほうの立場からいわせれば、同じ疑念が二百八十七条の二の「連合規約には、その議会の議決すべき事件のうち当該連合組織する市町村の一部に係るものその他特別の必要があるものの議決の方法について特別の規定を設けることができる。」要するに「当該連合組織する市町村の一部に係るものその他特別の必要があるものの議決の方法」までを連合がきめることができるという、こういう規定があるでしょう。これはどういう必要でこういうことを設けたわけですか。
  110. 宮澤弘

    宮澤政府委員 まさに連合というものは関係市町村構成をされるわけでございますので、連合の一体性ということも考えなければなりませんが、同時に関係市町村自身の独自性というものをある場合においては担保する必要があるというようなことから、こういう規定を設けたのでございます。これは先ほど林委員御指摘になりました二百八十五条の今回の連合の性格を書いたあとに、「市町村の共同処理しようとする事務が他の市町村の共同処理しようとする事務と同一の種類のものでない場合においても、これを設けることを妨げるものではない。」という規定を設けているわけでございますけれども、これとも関連をいたしてくるわけでございます。つまり、こういうふうにお考えをいただきたいのでございます。今回の連合は、いままでの一部事務組合というものがこの中に吸収をされるということが期待をされているわけでございます。そういたしますと、自分のほうが共同処理する権限なり権能がないものにつきましても、たとえば連合議会の議決に参画をするということがあり得るわけでございます。しかし、そういう共同処理する権能、本来的にそういう立場にないものの意向よりは、まさに連合で共同処理する団体の意向というものがその場合には優先をされなければならないということから、たとえば十カ町村で連合構成をいたしておりましても四カ町村が広域消防の一部事務組合をつくっているといった場合に、広域消防についてのたとえば条例でございますとかというようなものを議会で議決をいたします場合、普通でございますと、構成十カ町村のうち六カ町村は広域消防には直接の関係がない。四カ町村はまさに自分たち連合で共同処理いたしていくということでございます。その場合には、議会の議決というものは、四カ町村を含む過半数というような特別の規定を設けることができるということを予想いたしておるわけであります。関係地方団体が必ず同じ仕事を持ち寄らなくとも、連合という機構を構成できるというところから、実はこういう規定を設けました。構成市町村の格別の利害について配慮する必要があるということから、この規定を設けたわけでございます。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 当該連合組織する市町村議会の議決の方法についてまで特別の規定を設けることができるということになるわけでしょう。これは規約によって連合なんですね。そういうことでしょう。連合規約には、その議会の議決をすべき事件のうち「当該連合組織する市町村の一部に係るものその他特別の必要があるものの議決の方法について特別の規定を設けることができる。」だから実質的にはその連合組織している市町村議会の議決の方法についても、特別な規定連合規約によって連合議決機関できめることができるということになるんじゃないですか。だから、その連合組織している当該市町村議会の議決権というものがこれによって奪われるという事態が考えられるんじゃないですか。
  112. 宮澤弘

    宮澤政府委員 この書きました趣旨は、実は趣旨の上から申しますと全く逆の趣旨でございまして、多少林委員のおっしゃることの中にも私は誤解をされている面があろうと思うのでございますが、これは連合規約には、その議会の議決すべき事件でございますから、連合議会で議決すべき事件、つまり先ほど私がちょっと例にあげましたけれども、たとえば連合の条例というようなものは連合議会の議決すべき事件であります。そういう連合の条例というようなもののうちで、「当該連合組織する市町村の一部に係るもの」すなわち先ほど私は十カ町村の市町村連合を組燃している、四カ町村が広域消防をやっている、共同処理をしているということを申し上げたのでございますが、まさに「当該連合組織する市町村の一部に係るもの」と申しますのは、いま申しました十カ町村のうち四カ町村が広域消防の事務を共同処理をしておるもの、そういうもの、こういうふうに読んでいただきたいし、またその趣旨でこの法律規定が制定をされているのでございます。趣旨といたしましては、むしろ逆に、そういう場合にはなるほど連合の一体性ということが必要であるけれども構成市町村、共同処理をしていく市町村代表者あるいは市町村の意思というものを重点的に考えていかなければならないということで、こういう規定を設けておるわけであります。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、連合構成している自治体のうちで、その事務について意見が異なっている場合、この規約は具体的にはどういうように適用されてくるわけですか、行なう事業について。私が最初にお聞きしましたように、市町村を通じて同一でなくてもいいということがある。しかし同一でない場合には、この規定は具体的にはどう適用されてくるか。
  114. 宮澤弘

    宮澤政府委員 先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、今回の連合というのは、各構成市町村がみな同じ仕事を共通に出し合う、これがいままでの一部事務組合のあり方でございますが、そうでなくともよろしいということを申し上げたわけでございます。したがって、十カ町村では、連合をつくっておりますある四カ町村が消防事務を共同処理をするということになると、ほかの六カ町村は消防事務単独処理する。しかし四カ町村だけが消防事務を共同処理している、こういう場合でございますので、そういう例を前提にいたしますならば、そういう消防事務に関するものについての議会の議決すべき事件、条例なら条例につきましては、その四カ町村を含んだ全部の議会の過半数と申しますか、いまの自治法では過半数の議決が前提でございますから、同じ過半数議決でもその四カ町村、これはまさに共同処理をしておりますから、そういう四カ町村を含んだ過半数の人が賛成をしなければ議決としても有効ではないという、そういう規定連合規約の中に設けることができるということでございまして、むしろ個別の構成町村の意思というものをある場合には優先させなければならないという趣旨から設けた規定でございます。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、その四カ町村がやろうとする消防事務が否決された場合はどうするのですか。あなたはいまそれが議決された場合のことを言っていますけれども連合議会で否決された場合はどうなるのですか。六カ町村はやる必要がない。四カ町村はやろうとする。そうすると、その四カ町村のやろうとする意思を尊重する、そこで連合議会の議決を必要とする、否決された場合はどうなるのですか。
  116. 宮澤弘

    宮澤政府委員 いまの消防事務なら消防事務、どの事務でも同様でございますけれども関係市町村が個別で処理をいたします場合にも、条例が必要である。その条例を出します場合に、その議会の議決が要るわけでございます。その場合に、可決、否決両方あるわけでございますけれども、この場合の連合におきましては、ほかの市町村も入っておりますので、私がさっき申しましたように、まさに関心を持っておる当該市町村を含む過半数の議決が必要であるという担保規定を設けているわけでございます。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、私の言うのは、構成している議会の議決よりは、連合議会の議決のほうが優先してしまうのじゃないですか。議会でそういうように議決されてしまえば、その四カ町村は消防事務をやりたくても、連合議会で否決されれば、もうできなくなってしまうわけですよ。そのことは当該四カ町村の議会の議題にはならないことになるのじゃないですか。そういう意味で連合構成している自治体議会自主性、権能というようなものが連合に奪われてしまうということが、そこから出てくるのじゃないですか。
  118. 宮澤弘

    宮澤政府委員 一部事務組合事務処理するわけでございますから、一部事務組合で共同処理いたします以上は、関係市町村としてはその事務処理の権能なり何なりというものは、一部事務組合に移っていくわけでございます。そこで、先ほど来いろいろ御議論がございますように、何を共同処理していくかということが非常に重要なことでございまして、先ほど林委員は、ほかの市町村の意思によって当該市町村の意思と関係なく、自然に連合の中に引き込まれて、自分たちは共同処理するつもりがなくても、共同処理するようなことになってしまうのではないかということでございますけれども、それはそうではございませんで、組合規約で共同処理する事務を書くわけでございます。共同処理するかしないかということは、関係市町村の意思に基づいて、関係市町村議会の議決を経てやるわけでございます。しかし、共同処理するというふうにきめました以上は、その事務処理の権能というものは個々の市町村というものを離れて、一部事務組合に行くというふうになるわけでございます。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 その点は論議を重ねると限りがありませんから、次の問題に移りますが、この二百八十七条の二の場合ですね。これは理事者と議員との権限の混合の問題として、各委員からも質問があったわけですけれども、この二百八十七条の二の四号とそれから五号に関して質問をしたいのですけれども、このことは一部事務組合の場合においても、行政実例で、昭和二十八年九月二十二日付で、一部事務組合議会議員が、当該組合管理者と兼ねることは適当でないということが当然として示されているわけなんですけれども、このことが今度は明確にここで規定されている。多くの点で非常に重要な権限を持つ連合が、あえてこの昭和二十八年九月二十二日の行政実例を無視して審議と管理の混同を規定しようとしたのは、これはどういうわけなんでしょうか。
  120. 宮澤弘

    宮澤政府委員 ただいまお示しのような考え方昭和二十八年でございますか、いたしておりますことは事実でございます。それはやはり当時といたしましては、執行機関議決機関構成員というものははっきり分かれているべきではないかという考え方が基本にございました。同時に組合規約というものがどの程度まで自主的にそういうところに及んでいくかということについても議論があったところであろうと思うのでございます。それに対しまして今回こういう規定を入れましたのは、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども地方制度調査会も、議決機関執行機関というものをあわせ持ったような委員会制度というものを提案いたしておりますけれども、まだわが国実態としてそこまで行くのは適当でないという私どもの判断をいたしまして、しかし、場合によりましては、議決機関のある人数の人たち執行権限を持つメンバーを兼ねるということが適当であるならば、そういう道も開いておくことも一つではなかろうか、こういう判断のもとにこういう規定を設けたわけでございます。  先ほどから御指摘がございますように、今度の規定はいわば一種の先駆的な規定でございますから、この運用につきましては、私ども十分注意をしていきたいと思うのでございますけれども一つの新しい試み、実態に応ずる新しい試みとしてこういう制度をとっていきたいというようなところにつきましては、その道を開いたということであります。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 その道を開いたのではなくして、これは議決機関執行機関とを混同させる、これは正しくない方途だ、こういうように思うわけです。  時間がありませんので次に移りますが、この重任の事務局長の問題ですね。これは今月の「住民と自治」の中で書かれておる。成蹊大学の佐藤さんも記者の質問に「専任の事務局長が実権をにぎり、官僚支配がつくられるということは考えられないでしょうか。」ということに対して佐藤教授が「その危険は充分にあります。たとえばいまの教育委員会がそうです。実際上教育長が強い権限をもっていて、教育委員会というのは形式的なものになってしまっています。これは、行政というのは専門的なものだから素人の住民は口出しさせずに、なるべく住民の利害が錯綜する政治的な問題から行政をきりはなして、効率的に行政を執行しようという発想です。アメリカでは「市支配人」という形で、これが行なわれています。」とあります。しかし、これはいまの日本にあてはめることは適当であるかどうか、私はその点に非常に疑問を持つものです。いまの日本の地方自治体で市町村長に要求されているのは、行政合理化を手ぎわよく進めていくような能力ではなく、政治的な住民の利害を民主的に調整し解決していく能力だ、こう言って、非常にこれが官僚的な行政支配の危険性を含んでおる。ことにこれが天下りで、事務局長自治省あたりの役人が天下りで来るというようなことになりますと、それが実際上の実を握る。ちょうど教育委員会というものがあっても、実際は教育長が強い権限を持つと同じだということを言っているわけですが、そういうことにならないという保証がありますか。あるいはこれを、もう一度補足しますが、そういう天下り人事をしないというような保証はありますか。
  122. 宮澤弘

    宮澤政府委員 ただいま佐藤教授の論文をお読みになったわけでございますが、外国の市支配人というのは、私ども研究不十分でございますけれども、外国の市支配人というようなものを考えているわけではございません。外国のシティーマネージャーというのは、これは本来的、本質的にかなりの権限を持っておりまして、たとえば予算なり条例なりを議会に発案をする権限もあるようでございます。そういうようなものを考えているわけではないわけでございます。  それから教育長のお話がございましたけれども、教育長は国の地方教育行政制度といたしまして教育委員会なり教育長という制度をとっているわけでございますが、事務局長は、連合規約の中で、そういう制度がひとつよろしい、関係者の話し合いの中でそういうことを考えていこうという場合には、連合規約事務局長を置くことができる、事務局長を置けばこういうことになるということでございます。関係地方団体のこれまた自由な判断ということでございまして、私ども事務局長を積極的に置けというようなことを指導するつもりはございません。いわんや私どものほうの職員が事務局長の職を占めるというようなことを現在はいささかも考えておりません。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、最後に大臣にお聞きしますが、結局連合構想というのは、昭和四十四年五月三十日、経済企画庁から発想されました新全国総合開発計画の中に、こういう考えもあるのですね。「将来においては、モータリゼーションの晋及をはじめ、新しい交通通信手段の発達によって生活圏が広域化するが、このようなモータリゼーション等の進んだ段階における広域生活圏を一次圏として国土を再編成する。」私はこの新全総を実行するための新しい国土再編成計画にのっとってこういうものは出てきているというように考えているわけです。共産党も住民の生活圏の拡大、交通、情報網の発展などの中で、広域的な行政の必要を全面的に否定するものではないけれども、広域的な行政が必要であるかどうかということ自体はそれぞれの自治体とその住民が民主的に決定するものであって、もし必要としても、だれがどうしてどういうやり方でやるかということは、関係自治体住民が民主的に協議して行なうものであって、それが地方自治体の本来の姿だと思うのですね。住民参加の民主的自治の基本でなければならない。こういう意味で、今度の自治省で出している連合という構想は、住民と地方行政を切り離し、地方自治体と地方行政を切り離す、こういう危険性が方々に見られている。自治省と私の見解と相違している点もありますけれども方々にそういう点が見られておるわけなんですね。こういう点について大臣はどうお考えになるのか。  これは先ほど私の引用しました成蹊大学の佐藤教授も、「どうしても市町村が広域的に処理をしなければならない事務というのは、自治体事務全体からみれば、きわめてかぎられているのではないかと思います。」あと、省きますが、「本来は町村の教育委員会を充実すべきなのです。病院や診療所などでも、医師不足とか財政問題などをちゃんと解決して、できるだけ狭域に数を多くおくべきなのです。だから広域的な処理をしなければならない事務が若干増えていることを理由にして、そこからただちに総合的な広域処理中心とした自治体連合」にきりかえるべきだという発想はおかしいと思います。まして合併という発想は大変問題をもっていると思います。」だから、むしろ狭い地域住民の生活を充実さしていくということですね、そのことが中心にならなければならないのであって、広域的に処理しなければならない事務が若干ふえたからといって、いまの自治省考えているように広域行政、広域行政、さらにはそれを強化した連合構想まで打ち出すということは、これは地域住民立場からいえば、その利益に沿っておらないものになるのではないか、こういうように思いますけれども、自治大臣はどうお考えになりますか。  こういう地方自治体の本来の自主性権限を奪い、そしてむしろ狭い地域における地域住民の利益を十分に守るということが地方自治体の本来のあるべき姿であるにもかかわらず、大きな企業、新全総でいうならば、大企業が要求する広域的な事業が若干ふえてきたからといって、地方行政のあり方全体をそちらの方向へ持っていくというこういうやり方は、これはほんとうの地方自治体のあり方、そして地域住民の利益のための地方自治体のあり方に反するものと考えますけれども、最後に、大臣、どうお考えになりますか、この点。
  124. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 抽象的には先生と同じ考え方発言に私もなると思います。しかし遺憾ながらこの二百八十五条、あるいは二百八十六条のいわゆる先生の言う後段とか、あるいは二百八十七条の二の特別の規定を設ける条項等の解釈につきまして、私どもはそういう解釈にはこの文面からはならない意味にとれると読み取っておるのでございます。遺憾ながらそこが先生と見解が異なっておりますが、元来自由なる住民の意思から出ておる市町村地方公共団体の議決、それに基づいてでき上がるこの連合規約、それに基づきまして行なっていく連合処理、これは決して地方自治の本旨にもとるものではないと私たち考えております。そして、これを強制しなければならぬというふうに考えておるわけではございません。広域的な行政処置を要するもの、これが全部であるとも考えておりません。むしろ必要な、そして重要な、単独地方公共団体処理すべき事務がなおたくさん残っておる。そういう点から見ましても、この連合制度規定が地方の自治行政を扼殺していくものでもないと考えております。要は議決による規約のつくり方であります。この規約のつくり方及びこれが運営につきまして、やはりその内容、それは各住民の意思からできておる市町村議会の議決、すなわち意思によっておるわけでございますから、これがその内容よろしきを得なければ、それは間違った方向へ行くおそれなしといたしません。そこにやはり住民の自由なる意思が働く機構が残っておるわけでございまして、あくまでもその内容の充実、強化を期していかなければならないことは当然でございますけれども、機構そのものから地方自治の本旨、住民の自由なる意思を拘束していく、そして新しい連合組織がむしろ本来の市町村の姿を変えていくんだというような仕組みにはなっていないと考えております。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 時間が来ましたから、これで終わります。
  126. 古屋亨

    ○古屋委員長代理 午後二時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十分休憩      ————◇—————    午後二時十五分開議
  127. 菅太郎

    ○菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件、ついておはかりいたします。  ただいま大蔵委員会において審査中の自動車重量税法案について、連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、開会日時等につきましては両委員長協議の上決定いたしますが、明後十四日金曜日に開く予定にしておりますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  129. 菅太郎

    ○菅委員長 地方自治法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  130. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最初これは宮澤さんに聞くほうがいいだろうと思いますが、第二百八十五条の改正ですが、地方自治法の第二百八十五条組合の法人格、「前条第一項乃至第四項の規定による地方共団体の組合は、法人とする。」、こう書いてあります。今度の第二百八十五条を見ますと、たいへん長くなっておるわけですが、「前条第一項乃至第四項の規定による地方公共団体組合は、法人とする。」という字句はなくなっているのですね。何でこういう修正をされたのですか。
  131. 宮澤弘

    宮澤政府委員 これはいわば技術的な修正でございまして、一部事務組合が法人であるということはいささかも変わりないのでございますが、改正前と申しますか、現行法でございますと、御承知のように、ただいま御指摘の二百八十五条「地方公共団体組合は、法人とする。」という規定がございます。それから同時に地方自治法の第二条は、普通地方公共団体、特別地方公共団体あわせて第二条の第一項に、「地方公共団体は、法人とする。」という規定がございます。したがいまして、従前の二百八十五条というのはいわば重複して規定をされていたわけでございまして、重複をして規定をされておりました沿革等を検討いたしてみますと、従前の市制、町村制というようなところから地方自治法に移ります際のいわば規定の整備の問題にあったと思います。地方自治法の第二条で普通地方公共団体と特別地方公共団体をあわせ法人とするという規定があります。この際この規定を削除するということにしたわけであります。
  132. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それはわかっているのです。わかっているのに何でそういう規定をいままで置いておく必要があったのですか。削るわけですか、必要ないわけですか。地方自治法改正というのはしばしば提案されたのですから、いままで盲腸みたいなものを置いておったのがむしろおかしいのではないか。ちょうど長野財政局長がおりますから、長野財政局長にお尋ねをしましょう。前のことだから、長野前行政局長にお尋ねしましょう。
  133. 長野士郎

    ○長野政府委員 私も、いまいきさつをお尋ねになりましても、少しはっきりお答えができないところがあるかもしれませんが、この組合規定と申しますものは、地方自治法ができます前は市制、町村制で考えられておったけれども地方自治法府県制、市制、町村制を一緒にした、と言っては語弊がありますけれども、そういうことで全地方団体の総合立法を考えるというような組み合わせができたわけでございます。その際に、従来からありましたような規定の中で、必要なものにつきましては規定をそのまま残していくというようなことで、性格が変わってもいけないとか、いろいろな事情から考えられた上で、私はいまのような条文を引き続いて置くことにしたというふうなことがいきさつだと思っております。
  134. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いきさつはわかるわけですが、いままで要らぬものを何で長々と置いておいたのか、うっかりしたわけですか。それともやはり二百八十五条の規定を置いておくとすれば、両方置いておいたほうが至当だというので置いておいたのだろうと思うのですね、うっかりしたのではないというなら。それなら何もここで削る必要ないでしょう。どうなんですか。
  135. 宮澤弘

    宮澤政府委員 おそらく従前におきましても地方公共団体、特別地方公共団体のうちの一部事務組合規定について改正規定を設ける際には、この規定と同じような検討をいたしたのだろうと私は推測をするわけでございます。いままで地方自治法改正は何回かございますけれども、一部事務組合に関する今回のような改正というのはあまりございませんでした。従前におきましても、まああったところで別にそれが特に支障になるというわけではございません。しかし、今回一部事務組合に関する規定に手を入れました際に、この規定自身この際整理をするということにいたしたわけでございます。
  136. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 この点、私は、行政局より財政局のほうが正直でよかったと思うのですね。ことしの地方交付税法改正の際に、本来整理しておくべきものをうっかりしておって、整理をしましたと、こう正直に言って御提案されたのですが、どうも行政局というのは率直さが足りぬのじゃないかと思うのです。いままでどうしてもこれを置かなければ困るなら今度もそのまま続けておくし、当然すみやかに整理すべきであった、なくてもいいんだということだったら、いままで整理するのをついうっかりしておったので申しわけなかったくらいのことを言ったっていいと思うのですね。どうなんですか。
  137. 宮澤弘

    宮澤政府委員 前の経緯をお尋ねでございましたが、私はあまり前の経緯を存じません。いままで一部事務組合に関する規定の整理というものについて、今回ほどの手を入れませんでしたので、今回手を入れたということを申し上げたわけでございます。法律的に申しますれば、先ほど申しましたように、第二条に規定がございますので、二百八十五条の規定は要らないわけでございます。そういう意味では、すみやかに整理をすべきであったかと思います。
  138. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 すみやかに整理すべきだったのを、うかつにして今日までつい残しておったことに対して今度整理することにした、こういう趣旨だと思いますので、了解をいたします。  ついでに聞いておきますが、宮澤さん、どうでしょうか。そういう重複規定というのはほかにございますか。整理すべきものはもうございませんか。
  139. 宮澤弘

    宮澤政府委員 かねがね地方自治法の所管をいたしておりますので、担当課においてはいろいろ研究をいたしておりますけれども、いまここでそういう重複規定、具体的にこれがまだ整理漏れがあるというようなものについて御答弁申し上げるようなものは、まだ私は承知いたしておりません。
  140. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それでは、その次にお尋ねをしたいと思いますが、当委員会でしばしば議論になりました蒸し返しになるわけでありますが、今度の連合で問題になりますのは、直接民主主義の精神が連合の場合どうも薄れるのではないかということが各委員から御指摘になりました。私もその点を懸念いたしております。  そこで、山本委員の質問に対しまして宮澤さんがお答えになったわけでありますが、第二百四十二条、住民監査請求、それから第二百四十二条の二の住民訴訟、これにつきましては「地方公共団体住民は、」ということであるから、従来一部事務組合についても住民訴訟ができるし、住民監査請求もできる。ところが七十四条、直接請求、条例の制定または改廃の請求、それから七十五条、監査の請求とその処置、これにつきましては、「選挙権を有する者」ということばがあるので、これは一部事務組合にはなじまないというか、該当、しない。ただし、今度の連合を設けるにあたって政令でもってこの点を何とかいたしたい。条例の出定または改廃、それから監査の請求についてはできる道を開きたいというお答えだったのですね。とするならば、どうなんでしょうか。法律を変えて、地方公共団体住民は、というふうにきちっと直したほうがいいんじゃないかと思うのですが、それじゃぐあいが悪いわけですか。
  141. 宮澤弘

    宮澤政府委員 この問題につきましては、すでに何回か御答弁を申し上げているわけでございますけれども、いままでの考え方をもう一度簡単に申し上げますと、地方自治法の二百九十二条で、一部事務組合につきましては、市町村の加入するものにつきましては市町村に関する規定準用されるわけでありますが、そういたしますと、形式的に市町村に関する規定でございますからかなり広く準用される。この法律市町村に関する規定が一応全部準用されるということがまず前提になるわけでございます。それに対しまして、これまでいまの直接請求につきましては、一部事務組合管理者なり議会議員を直接公選にしている場合には、直接請求規定は動くけれども、それ以外の場合には動かない、そういうように解釈をし運営をしてまいりましたのは、結局地方自治法に定めます直接請求という制度は、選挙権を有します者が、一度選挙したあとでいろいろな手だてというものを講ずるために認められた制度である。やはり選挙公選ということを前提にした制度である。加えて、先ほど準用ということを申し上げましたけれども選挙権を有する者といった場合におきましても、組合規約管理者なり組合自体の議員というものを直接公選している場合には、選挙権を有する者というものに、準用する場合におきまして、きわめて乗りやすい、こういうこともあったろうと思います。  そこで直接請求規定適用いたしますのは、自治法におきまして選挙をする、選挙前提になるという考え方というものを基本にすべきであろうと私は思います。その際に、先ほども土井委員の御質問に対して私はお答えをいたしたのでありますけれども、現在の地方自治法の直接請求には大別をいたしますと二つのグループがあるだろう。一つは、選挙権を有する者が自分が選んだ者自身を呼び返す。もう一つは、そういう基本的な、根本的に呼び返すということではなくて、事務運営の途上にあたって住民が直接に請求する、つまり事務監査請求なり条例の制定、改廃の請求、こういうことだろうと思います。そこで、その二種類というものを考えました場合に、本来的に公選制度というものを前提にした場合におきましては、地方自治法の一部事務組合というものは、組合機関組織なり選任方法というものを規約にまかせているということでもございますし、これは現在のところはそういうものを適用するのはどうであろうか。通常事務につきまして事務監査なり、条例の制定、改廃の請求につきましてはうまく乗ってきやすいと申しますか、一部事務組合制度と、そのほかの一般の市町村に関する制度がかみ合いやすい、なじみやすい、こういうふうに考えるわけでございます。
  142. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それを政令だけで手直しするのはどうか、こう思うのです。長を解職するということはしばらくおきまして、条例の改廃あるいは監査というものについて行ないます場合、法律をこのままにしておいて政令だけで手直しするということがはたしていいのか、法律についても普通公共団体のみならず特別地方公共団体についてもできるのだ。その場合の監査請求なり条例改廃の直接請求なりを起こせる者は、連合なら連合、一部事務組合というような特別の公共団体、そこの住民あるいはその選挙権を有する者というふうに、法律の面も関係部分を整理したほうがいいのではないか、こう私は思うのですが、その点はどうですか。
  143. 宮澤弘

    宮澤政府委員 なるほどそれは一つ考えだと思います。ただ、現在一つ制度があり、それについての考え方の筋というものがあるわけでございますが、それでは先ほど来申し上げておりますように、一部事務組合につきましては地方自治法市町村に関する規定準用になるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、一応直接請求に関する規定というものは形の上では準用でございます。さっき私ちょっと申しましたけれども住民が直接選んでいる人を呼び返すという直接請求の部分というものは、これは一部事務組合のいまの構成なり趣旨から申し上げて、趣旨上はいってこない。そういたしますと、監査の請求なり条例の制定、改廃の請求なり、これはある一つ市町村処理をしておりました仕事が一部事務組合のほうに行くわけであります。そのもとの市町村処理をしておりますれば、住民としてはそれについてものが言える。それがほかのところへ行くわけでございますから、これについては趣旨の上からいってもやはり何か住民がものが言えなければおかしいのではないかという趣旨の上での議論というものは、さっき二つのグループがあるということを申し上げましたが、出ると思います。しかし、そこまでは行けるのでありますけれども、いまのそれが準用で読み切れるか——いまは準用という法律規定でございます。読み切れるかと申しますと、たとえばいまの監査請求なり条例制定、改廃の請求をいたそうといたしますと、署名をいたしますが、署名で五十分の一というようなものについて告示をするということになっておりますけれども、どこがどう告示をする、あるいは署名の審査をするといった場合に、選挙管理委員会というものが一部事務組合の必置機関でございませんので、どこがやるというような問題がすぐ出てくる。手続的な問題が出てくるわけでございますが、それにつきましては準用ということではちょっと読みづらいというか、読めないと思うのでございます。準用と申しますのは、一部事務組合がいろいろやります場合に、一般の市町村規定を借りてきて、その適当なモディファイをしながら適用するというのが準用の趣旨でございます。そういたしますと、たとえば関係市町村選挙管理委員会にその仕事をさせるという必要が出てくるわけでございます。ちょっといまの準用という規定でそこまでは読めないわけであります。そこで準用規定というものを基本にいたしながら、二百九十三条の二の規定を設けまして、そういう場合に準用で読めない部分を政令で手続的なものを書いていこう、こういうことでございます。つまり監査請求なり条例の制定、改廃請求につきましては、私は趣旨の上からは、いまでも一部事務組合についてそういうものが手続的に動き得るものであったと思うのであります。それが不備であったと申しますか、手続が設けられていなかった、そういうふうに考えていいのではなかろうか。御承知のように、自治法本法におきましても、直接請求の手続的な規定はだいぶ政令に譲っておりますが、そういうことから申しましても、山口委員の御指摘になるような初めに制度をつくるといたしますれば、いまおっしゃったような考え方も出ると思うのでありますが、現在の法律制度前提にして考えますならば、こういうことで趣旨が全うできるのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。
  144. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 さっき私が指摘をいたしました百八十五条のようなものについては御丁寧に繰り返し書いておって、そして最も重視をしなければならぬ直接民主主義、住民権利の面については、どうも丁寧に書くのはいやだということは、私は少し筋が違っておるのではないかと思います。しかし、これは意見でありますから、そういう考えであることを申し上げておきたいと思いますが、それではその政令案というのは、この部分についてはいつごろ私どもにお示しをいただけますか。
  145. 宮澤弘

    宮澤政府委員 考え方の骨子は先ほど申したとおりでございますけれども、法制局とも御相談をいたしますので、多少時間がかかると思います。
  146. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 きちっとした政令の文章になっているものは、それは法制局の打ち合わせその他で時間がかかると思いますが、こういうことをしますという要綱的なものは、もう繰り返し宮澤さんから御答弁いただいておるわけですから、即刻だってお示しになれるでしょう
  147. 宮澤弘

    宮澤政府委員 大体の骨子でございますけれども、政令におきましては、まず直接請求をする権利を持つ者と申しますか、選挙権を有する者というものは、先ほど申しましたように、本来的にございませんけれども、それをどういうふうに読みかえて適用するか、と申しますか、その辺がどういうような適用関係になるかということが一つであろうと思うのでありますけれども、それにつきましては、組合組織いたします市町村議会議員及び長の選挙権を有する者。その総数の五十分の一というのも、いまの組合組織いたします市町村議員及び長の選挙権を有する者の五十分の一、こういうふうに考えるべきであろうと思うのであります。それから五十分の一の数というものを手続的にあらかじめ告示しておく必要が、御承知のようにございます。これは組合組織いたします関係市町村選挙管理委員会が、現在の直接請求制度であらかじめ告示をしております数がございます。その告示をした数の合計数というものの五十分の一にするという規定を設ける必要があろうと思うのであります。それから直接請求の場合には、請求代表者証明書の交付事務でございますとか、あるいは申請書の確認事務というようなものがございますが、これは関係構成をいたします市町村選挙管理委員会に求めるというふうにしたらどうかと思うのでございます。それから署名簿の審査がございますけれども、これも関係構成をしている市町村選挙管理委員会に求めるというように、関係市町村選挙管理委員会を中心に手続規定を設けるということで、先ほど来申し上げておりますような趣旨の手続規定が整備され、運用が確保できる、こういうふうに思います。
  148. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 聞いておりましてわかりましたが、ひとつそういう程度——それは書いてあるものをお読みになっておるようですから、その書いてあるものを印刷して委員全体にひとつ配ってください。そのほうが、この問題についてはずいぶん審議も集中いたしましたので親切だと思いますので、お願いをいたしておきます。  それから七十四条ですが、これを見ますと、「地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。」こう書いてあるわけですね。将来連合がかりにできたと仮定いたしますと、連合で一体どういう事務を扱うことができるかどうかということはまた議論したいと思いますが、おおよそ常識的に考えられるものとしては、ごみとか屎尿とか、そういった清掃関係のものを広域的に扱うということ、これが一番あり得ることだろうと思います。それから上下水道等について連合が扱うということも、これは広域行政にふさわしいものとしてなじむだろうと思うのです。そういたしますと、将来連合ができた場合に、住民の不満等を想定いたしますと、こういうものを共同処理する、そして手数料等が非常に上がったということになると、住民の不満というのは当然出てくるだろうと思うのです。ところが、そういうものについて、ごみの収集、手数料が上がった、直接請求しようと思っても、これは除くというのでは、住民としては非常に残念だというふうにたぶん住民方々は思うんじゃないかと私は思うのですね。この際使用料、手数料を除くなんというけちな条項はすっぱり削除をするという気はございませんか。特に連合等ができました場合、せっかく直接民主主義の道も開こう、こういう宮澤さんのきわめてりっぱり精神が、しかるに一番起きやすい問題については除かれておるということでは、私はどうも住民を尊重するということにはならぬと思うのですね。いかがでしょうか。
  149. 宮澤弘

    宮澤政府委員 山口委員十分御存じのように、これは連合だけに格別適用されるものではございませんで、共同処理をしようと、各市町村単独処理をしようと、地方税なり分担金、使用料、手数料等々に関する条例というものは、直接請求の対象から除かれていくわけでございます。この趣旨もあえて申し上げるまでもなかろうかと思うのでありますけれども、やはり人間の感じと申しますか、一般の気持ちといたしまして、負担というものはなるべく少ないほうがいい、しかしサービスは大いにしてほしい、こういう気持ちが底辺にあることは事実でございます。そういたしますと、住民が負担を負うことに関する条例につきましては、負担を安くしてくれるものなら賛成をしようというような傾向になりやすいということから、こういう条文が設けられたものだろうと思うのでございます。まだやはりわが国におきましては、そういう権利を主張し、義務を負うという関係におきまして、高いサービスを望む、同時にやはりそれ相当の負担をしなければならないのでありますが、負担につきましては安ければ安いほどいい、一律、形式的にそういう風潮がないとも言えませんので、現在のところこの規定を削除するというつもりはございません。
  150. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間の節約上あまり論争は避けたいと思うのですが、宮澤さんの言わんとするお気持ちはよくわかるのであります。しかし、五十分の一で直接請求が成立したら直ちに条例を変えなければならぬかどうかというと、そうではないので、議会に対して条例改廃の直接請求をやれば、議会審議をするということなんですから、連合の場合もそうでございまして、連合のいわば議会審議をし直すということなんであります。サービスは多くて負担は少ないほうがいいということで、かりにこの種の運動が頻発をしたといたしましても、それでもって直ちに使用料、手数料が下がるということはないわけなんですから、いわばそういう意味では、地方自治というのは民主主義の学校ともいわれておるわけですから、そういう学校の意味で大いにこの直接請求などが行なわれてこの民主主義の訓練をするということも、私は一面地方自治の重要な役割りではないかと思うのです。リコールのようにずばり、何といいますか解職請求をやって、三分の一以上になれば今度は投票ということとは違うわけですから、いま私が申し上げた趣旨を十分配慮してしかるべきではないかという意味で実は申し上げたつもりですが、そういう点ではいかがでしょうか。
  151. 宮澤弘

    宮澤政府委員 なるほど、おっしゃいますように、解散の請求でありますとか、あるいは解職の請求というように、住民自身の投票で最終的にものをきめるというものでないことは事実でございます。議会の議決によって最終的に判断されるというものであることは事実でございますし、また地方公共団体運営につきましては、いろいろな方面からいろいろの議論が起こることも、これも議論のないところに進歩がないという意味合いにおきましてはおっしゃるとおりだと思いますけれども、その場合の議論の起こし方なり何なりというものにつきましても、やはり一定の秩序というものがあってしかるべきだと私は思うのでございまして、先ほど来申し上げておりますように、やはり負担を軽くするというようなことにつきましてはおそらくだれでも賛成ということになってしまいやすいことでございますので、おっしゃることもわからないことはございませんけれども、いまこの規定について手を入れるというようなつもりはございません。
  152. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうもいまの御答弁を聞きまして残念な気がいたしますが、しかし、私としては、やはりごみ、屎尿あるいはその他の使用料、手数料についても、地方自治体は民主主義の学校という意味から、直接請求も起こし得るというふうにしておいたほうが、これは直接民主主義の学校としての地方自治本来の役割りを十分発揮していくという面でも非常に効果があることだという意見でありますことを申し上げておきたいと思います。  それから次に、連合処理する事務でありますが、岩手町の町議会の議長さんでしたか、連合ができることによって議会の権能というものが非常に少なくなっていく、本来議会が果たすべき執行権に対する監視というような面が非常に欠落をしてくるという点を懸念しておられました。全くごもっともな御意見と思って拝聴をいたしたわけでありますが、規約でもってその事務範囲はきめることになるのでしょうけれども、これがあまり広範になりますと、まさに自治体が形骸化するという心配があるわけであります。しかし、どの事務をそれじゃ連合にまかせるかということは、地方自治体がこれは自由裁量すべき問題であって、とやかく押しつけることはいかぬと私は思うのですけれども、しかし、これがあまりに広範な面にわたっていくということは、私は非常に問題があるだろうと思うのです。したがって、こういうもの以外は連合事務にすべきではないという一つの歯どめといいますか、範囲をある程度限定をすると申しますか、それは何も自治体に押しつけるというのじゃなくて、要するに、あまり連合事務に移していくということは問題があるということについては、お互い懸念をしなければならぬのじゃないかと思うのですね。この点に対する宮澤さんのお考えはどうでしょうか。
  153. 宮澤弘

    宮澤政府委員 まず前段の御質問と申しますか、御意見でございますが、議会監視機能が薄くなるということでございますが、これも申し上げるまでもなく、一部事務組合自身議決機関執行機関構成されておるわけでございます。一部事務組合議決機関構成員の態度と申しますか、事務処理の姿勢ということによって、だいぶその辺の監視機能というものについての動き方が違ってくると思います。昨日の参考人も、運用の問題でもあるが、ということを言っておられたわけでございますけれども、その辺たぶんに私は運用の問題があろうと思います。  それはそれといたしまして、いかなるものが一部事務組合である連合事務処理をするのにふさわしくて、いかなるものが個々の市町村処理するのにふさわしいか、その辺の歯どめというような考え方から、区分というものがあるのかないのか、あるいはそれについてどう考えるかという御質問でございます。  抽象的、一般的に申し上げますならば、個々の市町村区域を越えて数カ市町村が共同で処理するほうが住民に対するサービスの実があがるというものでありますれば、これは共同処理をするほうが適当であろう、こういうことになるわけでございます。はたしてそれがどういうものであるかということは、私はやはり各地事情によっても違ってくると思うのでございますけれども、ずっと経験を積み、何年か実績をつくってまいりますと、その間におのずから、一般的に連合処理をするのにふさわしい仕事、それから個々の市町村というものが処理するのにふさわしい仕事というものが出てくるだろうと思うのであります。すでにいままで、たとえば広域市町村圏というようなところで処理をしております事務の態様を見ておりますと、たとえば小学校なり中学校なりというものは個々の市町村処理している場合がこれは多いわけでございますけれども、理科教育センターでありますとかいうようなものにつきましては、関係市町村がこれを共同して設けるというように、おのずから個々の市町村処理をするのが適当でありふさわしい、それから共同処理のほうがサービスの提供も厚くなるし、効率的にもなるというものができてくるだろうと思うのであります。もう少し実態の推移を見ながら私どものほうでも研究をしていきたいと思っております。
  154. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これは自治省の姿勢にもよると思うのですが、広域市町村圏をつくる、そうしますと、財政上の援助もするという一種のえさを与えるわけですね。そうすると、それに飛びついていかなければ損だということになるわけであります。そうしてまた、連合というものを法律で出しますと、指導がかりになされるということになると、できるだけどうも連合でやったほうがいいようなことで、連合方々にできる。何と申しますか、自治体というものが絶えず住民のほうに目を向けて望ましい運営がされていればそうそう問題はないと思うのですが、つい中央のほうに顔を向けて運営するということになりますと、とめどもなく連合のほうに事務が移っていくということになっては困るのではないかという懸念が、これが杞憂に終わればたいへんけっこうなわけであります。そういう気持ちがいたしますものですから、若干意見を申し上げたわけであります。  そこで次に、公務員部長もおられますから職員団体の関係についてお尋ねをしたいと思うのです。先ほどわが党の土井委員がこの問題についてお尋ねをいたしておりました。さらにこまかい点を若干お尋ねしたいと思うのですが、連合ができる、そうしますと、それを構成する各自治体から出向する職員がある、あるいは兼務をする職員がある、それから連合自体の職員というものが当然できますね。この場合、連合の職員というのは当然職員団体としての登録をして、そして地公法上交渉する権利というものを確保するわけでありますが、出向ないしは兼務をしております職員、これらの方々の身分は、それぞれのもとの地方公共団体にあるわけですね。しかし、現実に出向、兼務をしております職員の方々にとってみれば、この勤務条件あるいは給与条件等がばらばらでは、これはやはり職員の人たちとしてもおもしろくないことは当然なわけで、したがって出向ないしは兼務しております職員としても、同一の労働条件、同一の勤務条件、給与条件というものを要求したいというのは、私は当然だろうと思うのです。こういうことに対して、当然連合の当局と交渉できる、こういうふうに先ほど土井さんに対してお答えになりましたが、その場合、これは登録は一体どういうことになるのですか。またこれは登録とは関係がないのだということになりますと、いわば登録された職員団体ということになりませんから、交渉についてもいわば当局の裁量の範囲にとどまって、おれは交渉なんか受けたくないということになれば、ちょうど日教組と文部大臣のようなことでありまして、おれは会いたくないと言えばずっと会わぬでいるというようなことにもなるわけで、こういう点は一体どういうことになるのですか。少なくとも公務員部長としては、連合の当局と交渉できるのだ、こう言い切ったわけでありますから、その点の保障というものは当然法律的に考えられてしかるべきだと私は思うのです。この点はいかがでしょうか。
  155. 山本明

    山本(明)政府委員 お答えいたします。  連合構成しておる市町村から連合のほうに、先ほどおっしゃいましたプロパーな者は別といたしまして、派遣になりますと、連合で身分を取得いたします。それから派遣するほうの団体の身分も取得するわけであります。そうしますと、われわれの考えは、連合に派遣された者は連合で身分を取得しますから、これらが一つの職員団体をつくれば、これは当然登録されるのでありまして、そこで登録されたものが連合の当局と交渉するということによって、先生のおっしゃいましたような非登録だから云々というような問題は出てこないのじゃないか、このようにわれわれは考えております。そういう面で、先ほど土井先生にも、連合の当局と交渉ができます、こういうことをお答え申し上げたわけでございます。
  156. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、その場合の登録をする相手の人事委員会ないしは公平委員会、これは一体どこの人事委員会、どこの公平委員会に登録をするということになりますか。
  157. 山本明

    山本(明)政府委員 連合の場合に、一部事務組合でございますので、従来どおり、一部事務組合は人事委員会じゃございませんで、公平委員会に登録をするということにいたしております。それによってやってもらうことにいたします。
  158. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 その公平委員会はどこの公平委員会になるわけですか。
  159. 山本明

    山本(明)政府委員 連合でできる公平委員会でございます。市町村構成団体をもって形成される連合、そこの公平委員会、これに登録するというかっこうになります。
  160. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 その連合に公平委員会をつくるというのは、一体法律的にはどこの規定が生かされて準用なら準用ということになるのですか。
  161. 山本明

    山本(明)政府委員 連合先ほども申しましたように、一部事務組合でございますので、普通地方公共団体と特別地方公共団体とございますから、それとの関係におきまして、地方公務員法第七条の第三項に、地方公共団体組合でございますから、この組合で、条例をもって公平委員会を置くものとする、こういうことでできるわけでございます。
  162. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 一部事務組合というのも、自治省から資料をいただきましたようにたくさんありますね。その場合、公平委員会を置いている一部事務組合というのは、現況一体幾つございますか。
  163. 山本明

    山本(明)政府委員 一部事務組合がつくっておる数をちょっと、私、詳細に承知いたしませんが、全般的な傾向といたしましては、委託をしておるということが実態であろうと思っています。第七条の四項で、一部そういうかっこうで共同で置くか、あるいは他の地方公共団体の人事委員会に委託をして処理することができることになっておりますから、おそらく市町村関係におきましては、県のほうに委託をしておる、あるいは共同で措置をしておるというかっこうだろうと思います。ちょっと数字は詳しくいたしませんので……。
  164. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 その点は今後職員団体として当然——この法律が通るか通らぬか保証の限りではありませんから、それ以上議論するのはどうかということも考えないじゃありませんが、せっかく審議しておるのですから通るものと仮定いたしまして、通ったとすれば、職員の団体交渉は一体どうなるということは、当然職員とすれば大いに懸念をすることでしょうし、参考人でも安養寺自治労書記長が非常に心配をしておられましたから、ひとつ地公法七条四項に基づく一部事務組合の公平委員会の設置状況、委託状況を資料としてひとつ配付をいただきたいと思います。よろしいですね。  それからついでに聞きますが、地方公務員の給与が高いか低いかということはよく議論になるのですが、その場合、よくラスパイレス方式で云々ということがいわれますが、国家公務員に比べてこの市の職員はラスパイレス方式でいってどの程度の状況にあるのか、町村は一体どの程度の状況にあるのか、いかがですか。
  165. 山本明

    山本(明)政府委員 ラスパイレスで比較をいたしました指数を申し上げますと、昭和四十三年の実態を申し上げますと、市では一〇七・九でございます。それから町村が八九・四こういう実態でございます。
  166. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 たいへん違うわけですね。それで連合考えました場合、一つ中心の市がございまして、そうしてまわりの幾つかの町村が一緒になって連合構成するということが通常な姿だと思うのですね。そういたしますと、市のほうは一〇七・九だ、町村のほうは七九・四だということになれば、当然格差があるわけですから、そういう格差のあるところから職員がそれぞれ出向なり兼務をいたしまして、この連合事務をやるということになれば、私は格差を解消してくれというような気持ちが出ることは、これは当然だろうと思うのです。ストライキというお話もありましたが、最近のストライキはいろいろな分野に伝播をいたしまして、最近は自民党内におきましてもストライキがあるやに新聞でも大きく報道されている。そういう時代でありますから、このような格差があればいろいろな意味での紛争が起きる、あるいは交渉があるということは当然だと思いますので、そうした場合、山本務員部長は、連合ができた場合にそういう格差のある諸君が一緒に働いているということについては一体どうお考えですか。当然そういうものについては勤務条件、給与条件等もやはり同一にすべきだというお考えでございますか。
  167. 山本明

    山本(明)政府委員 われわれが現実地方公共団体を指導します場合には、やはり国家公務員に準じて給与はきめていただきたい、これは基本的な指導の方針でございます。ただ、準ずるという場合におきましても、その地方の特殊な状況いわゆる地場産業との関連等がございますから、その中できめられてくる給与というものはあるいはあるだろうけれども、その辺のところはきわめて適正な判断をして適正な給与をきめていただきたい、こういう指導をいたしておりますので、一部事務組合でありましても、それから連合でありましても、府県でありましても、市町村でありましても同様な指導をしてまいりたい、こういうように考えております。
  168. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 自治省の御指導を見ますと、低い市町村のほうを引き上げることのほうはあまり御熱心でなくて、東京等の高いほうを押えるということにやや御熱意が集中しがちでございまして、そういうことについてはどうもよろしくないということをしばしば申し上げておりますので、そういうことを念頭に置かれて、いままで一部事務組合の場合は、一部事務組合として登録をして、交渉して勤務条件その他いろいろ改善をしていくという動きも少なかったかと思いますけれども、ここで連合ということになれば、当然そういうことはより広範に行なわれるだろうということを念頭に置かれて、ひとつ十分な御指導をいただきたいと思います。  次に共済ですが、都市共済がございますね。都市共済は大都市はこの都市共済に入っておることは承知しておりますが、政令都市以外の都市で都市共済に入っている数というのはどのくらいございますか。
  169. 山本明

    山本(明)政府委員 ちょっとつまびらかにいたしませんが、約八十くらいございます。
  170. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 八十くらいあるといいますと、結局それでは都市共済に入っております自治体中心になりまして、その周辺の町村を含めて連合をつくるということは十分想定をされるわけですね。そうした場合、この都市共済の場合、短期給付は健康保険組合でやっているわけですね。片方は短期給付がある。そうした場合、たいへん問題が出るのではないかと思うのですが、この点は一体どう指導し、処理されるおつもりですか。
  171. 山本明

    山本(明)政府委員 先ほども土井先生にお答えいたしましたように、現在地方公務員等共済組合法の第三条の第三項で、一部事務組合の職員は政令で定めるところによって当該一部事務組合等を組織する地方公共団体の職員を組合員とする組合のうちいずれか一つ組合組合員となることができる、しかもそれは政令によってきめることになっておるわけでありまして、政令の第七条に持ってまいりまして、いわゆる都市共済とそれから市町村共済という二つの共済に入っている場合には、組合組織する管理者、一部事務組合管理者とそれから当該一部事務組合組織する地方公共団体の長と協議をしてきめることができる、都市共済に行くか市町村共済に行くかということをきめることができることになっておるわけでございます。大体の傾向としては、おっしゃいましたように、協議によりまして都市共済、例の健保のほうに行ったほうが本人の負担が少なくて済むというような実態もございまして、大体は都市共済のほうに行く、こういう実態でございます。われわれは、これはどっちに行ったがいいということは自治省では指導する気持ちは持っておりません。むしろこの法律のとおりに協議をして、それぞれ職員の利益をどのようにしたらいいかという話し合いの結果によってきめていただく、このように考えております。
  172. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間もありませんから、一応問題点を指摘するのにとどめておきたいと思います。  財政局長がおいででありますからお尋ねをいたしたいと思うのですが、広域市町村圏の設定をいたしますと、主として道路財源といたしまして平均三億交付税で見るということになっておるそうであります。いわば広域市町村圏が現在まで百幾つになりますか設定されましたのも、主としてこれに魅力を感じておるという面があるんじゃないかと思います。  財政局長にお尋ねする前にまず行政局長にお尋ねしておきたいと思うのですが、結局この広域市町村圏が三百三十ないし三百四十できると予想されておるようでありまして、わが国広域市町村圏列島になるということを過般申し上げておきましたが、広域市町村圏に入らぬ地域というのもあるわけですね。大都市ないしは大都市周辺。大体広域市町村圏列島にわが日本はなるようでありますが、その中でも幾らか虫食いといいますか、幾らかそういう中に入らぬ部分というものは当然起こり得る。それは一体どういう地域ということになりましょうか。
  173. 宮澤弘

    宮澤政府委員 御指摘のように、大都市なり大都市周辺地域というものにつきましては、広域市町村圏的な考え方をそのまま適用するわけにはまいらないという考え方でいままで指導をしてきているわけでございます。そういたしますと、その部分につきましては、やはり大都市制度あるいは大都市周辺の制度といたしまして、今後それに最も適合したような共同処理方式なり何なりというものを考えていかなければならないと思います。今回御提案を申し上げております連合も、大都市周辺におきます市の共同処理方式ということで活用してもらう余地はあると思うのでありますけれども、何かやはり広域市町村圏とは別な広域的な仕事処理方式というものを今後考えていかなければいけないと思います。
  174. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 連合制度はそういう面にも活用できると思いますが、ところが問題は広域市町村圏ですね。そうしますと、全国に三百三十ないし三百四十の広域市町村圏ができた。そこには交付税でもって一圏域平均三億の財源措置をする。普通交付税でもって手当てをするわけだろうと思いますが、そうしますと、そういった恩恵にあずからぬ地域というのが当然できるわけですね。これはかつて土地開発基金のときにも議論したのでありますが、交付税というものはいわば補助金的性格で、この地域にはやるがこの地域にはやらぬということをすることは、本来の交付税、財政調整機能としての交付税、これを逸脱するものじゃないか。特に交付税法にはその使途を特定しちゃいかぬということが書いてあるわけですね。そうしますと、この広域市町村圏に対して一圏域三億配る。最初は五十近くですか、次は今度七十幾つですかということになりますと、そういった特定の地域にだけいわばこれは道路に使う道路財源だというような形で配ることは、これは交付税本来の目的から逸脱することになるんじゃないか。しかも最終的に自治省考えておる構想からいっても、その恩恵にあずからぬ地域というものができるわけなんですから、これはたいへんおかしいと思うのですね。いかがですか、その点は。
  175. 長野士郎

    ○長野政府委員 広域市町村圏につきましては、もう私が申し上げるまでもなく、最近の社会事情の変化の中で、生活圏域行政圏を越えて非常に大きく伸びていっておる。こういう現実に着目をいたしまして、そうして広域的な行政処理の必要というものを考え、これにどう対応していくかという問題でありますが、この場合にやはり生活圏の中のいわゆる生活関連道路といいますか、そういうものについての整備ということが大きく要求をされてくるわけでございます。この点について必要な財源措置を考えていくということが、どの程度全体との関連において適当であるかという問題だと思うわけでございます。その点につきましては、いろいろな御議論が確かにあるわけですが、交付税法の改正あるいは地方財政計画等におきましても、この点についてはやはり措置をすべきもの、そして市町村道路の性格からいって、生活上の道路とその整備の必要というものは長期的にも必要だということで、道路の整備率は非常におくれているわけでございますから、そういうものの一つの対応としてこれは考えていく。  それ以外のところはどうなるかという問題が確かにあるわけでございますが、これらの点につきましては、やはり過疎地域あるいは離島関係あるいは人口急増地域、大都市圏地域それぞれについての特殊な財政事情に応じまして考えていかなければならない。全般的に考えるべき交付税制度が特定の対応をあまり強くすると、そこに問題が起きはしないか。確かに御指摘の点は私ども考えなければいけないと思います。ただ、最近の地域社会の変貌といいますか、それに伴う地域的な財政需要というものは、単に地域的ということだけで見過ごすわけにいかない、地域の特性が非常に大きな差がございます。これにどういうふうに対応していくかということは問題でございまして、御指摘のような御懸念私も全然ないとは申しません。しかしながら、現実においてはそれでもなお財源措置としては不十分だということもあるわけでありますが、全般としての状況の中で、広域市町村圏の整備という問題を取り上げました場合には、私どもとしては、現在不十分ではありますけれども、この程度の生活関連道路の整備というものはやはり措置をしていかなければならぬのじゃないか。これは単にひもつきということではなくて、やはり道路の延長でございますとか人口などを基礎にいたしまして措置しておるというようなことでございます。したがって、そういう面では一般的な財源措置というふうにお考えを願いたいと思います。
  176. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 後段の一般的な財源措置だ、別に使途を制限し、条件をつけるというような、地方交付税法第三条に違反するようなものではないのだ、その点は了解をいたしますが、問題は、広域市町村圏といっても、法律的な根拠があるわけではなくて、行政指導でやっているわけですね。広域市町村圏に入れば、この生活関連道路というか、ここへこれだけの財源を付与します。いや、私の団体は広域市町村圏はきらいだ、入らぬということになると、来ない。しかし、そういう団体であっても、生活関連道路というのはないかといえば大いにあるわけでありまして、道路整備の必要性というのは別に何ら変わるところがない。したがって、法律でもない行政指導である広域市町村圏というものに指定をされるかされないか、その範囲の中に入るか入らぬかで差別をされるというところに私は問題があるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがなんですか。
  177. 長野士郎

    ○長野政府委員 広域的な行政処理の必要というものを一つ踏まえまして、そして都市と農村の一体的な広域行政の展開というような場合に、これを総合的に計画的に考えていくような地域考え方というものをある程度優先して考えていくということは、これは全体のたてまえの中で極端になっては、それは確かに御指摘のような問題があると思いますけれども、ある程度は許されなければならない。そういうことによって、合理的な観点、長期的な観点から計画的に整備を進めていく。これは広域市町村圏に入る必要がない——入る必要がないところにはいろいろな事情があると思いますが、実際客観的にそういう必要のないところについて、それ自身の問題としてどう考えていくかという問題は確かに残ると思います。たとえば、市町村合併が非常に大規模に行なわれておりまして、実質上は広域市町村圏という考え方でよかったところが、現に一つの市地域になってしまったというようなところもあるわけでございまして、こういうものについての実態は変わらないと私どもは思いますから、そういうものについては、やはり考えていくべきものは同じように準じて考えてまいりたいと思います。  しかしながら、客観的にそういうことでなくて、非常に主観的な要素、いろいろな事情もあると思うのですが、そういうことで、当然に広域的な一つ圏域として行政施策というものが整えられてしかるべきであるようなところが何かの事情で入らないというような場合は、むしろ体制そのものを、何かの理解を進めまして、一つの整備された形の中で推進されるように、むしろそちらのほうの整え方が必要ではないだろうか、これについての理解を十分進めていただきたいという面もありはしないかと私は思っております。
  178. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうなってまいりますと、私は連合についても同じようなことが懸念されるのですが、脱退というのは一体どういうことになるのですか。山本委員も指摘されたように、社会経済のこういう激変する時代ですから、当然広域市町村圏に入っておったほうがいいと考えられて一たん入りましても、その後コンビナートができたとか、いろいろな問題がありまして、当然当該の広域市町村圏、あるいは制度として連合の中に入っていることはぐあいが悪い、抜けてむしろ他のほうに入ったほうがよろしいということは起こり得るし、またそれと同じような事情考えられると思うのです。その場合に、脱退という手続、これは規約でもってきめるべき問題になるわけですか、どうでしょうか。
  179. 宮澤弘

    宮澤政府委員 たびたび申し上げますように、連合も一部事務組合でございます。一部事務組合についていまの脱退の問題がどういうことになっているかということであろうと思います。  一部事務組合は、関係地方公共団体が共同して仕事を共通的に処理をしていく、こういう仕組みでございます。したがいまして、構成団体、どことどことで構成をするかというような基本的なものは、組合規約の基本事項でございます。組合規約につきましては、各構成市町村の意思に基づいて、合意に基づいて決定をされるわけでございます。したがいまして、一度一部事務組合をつくりまして、その構成員の変更ということになりますならば、規約の変更でございますので、関係市町村の合意のもとにこれを行なうということでございます。  そういうことになりますと、いま山口委員御指摘のように、関係市町村の合意がなければ脱退できない、こういうことになるわけでございますけれども組合というもの、あるいは組合規約自身が一種の合同行為でできますものでございますので、それの変更につきましては、法律的にはそういうふうに解釈をせざるを得ないと思います。  ただ、現実の問題といたしまして、そういう客観的な情勢が非常に変わってきているといった場合には、おそらく構成市町村の間でそういう共通の事実の変更についての認識があるだろうとは思いますけれども、形式的に、法律的に申しますならば、規約の変更でございますので、関係市町村の合意が必要になるわけでございます。
  180. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 わかりました。  しかし、合意が得られなかったという場合もあるわけで、そういう場合は分担金を払わないとかなんとか、これははやりのストライキということになるわけだろうと思いますが、しかし合意がなければ脱退ができないということでなしに、当然規約の中に脱退も想定して、脱退する場合はこうだというような規定をあらかじめ置いておくというような指導もする必要があるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  181. 宮澤弘

    宮澤政府委員 おっしゃることもわからないではないのでございますけれども、あらかじめ一つ計画をつくりまして、あるいは通常の一部事務組合でございましても、ある一つ仕事を完成をしあるいはそれを運営するという各地方団体の合意から出発をしていくわけでございます。いろいろ施設をつくりましたり、それに基づいて施設の運営をやっていくわけでございますので、途中で各個別の地方公共団体の意思だけで構成のメンバーが変わってくるというようなことを規約で書くことを認めるというようなことについては、私はやはり消極的に考えざるを得ない。みんなで始めた仕事でございますので、その仕事をどうやっていくか、あるいはその仕事構成員をどう変えていくかというようなことも、やはりみなが合意のもとにやっていくというのが当然であろうと思います。
  182. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 財政局長に申し上げておきますが、どうも最近の交付税は、本来の財政調整機能というものからやや逸脱をいたしまして、土地開発基金に見られるごとく、あるいは事業費補正に見られるごとく、補助金的性格を強めている。同じ意味で、この広域市町村圏に入らなければ、一圏域平均三億といった道路整備の普通交付税のかさ上げもやらないということでは、私はやはり問題があると思います。当然、広域合併をいたしまして、広域市町村圏に入らなくともすでに十分な要件を満たしているという自治体もあり得るかもしれませんし、あるいはその他いろいろな事情広域市町村圏に入らぬという地域もありましょう。また自治省みずからが認めているように、大都市並びに大都市周辺の地域につきましては、広域市町村圏にいわばなじまないというところについて道路財源が行かないということもまたおかしな話でありまして、その点は、交付税本来の趣旨というものを十分踏まえて、その措置につきましても当然考慮すべきものは考慮をしていくということを強く要請をいたしておきたいと思います。  最後に、自治体関係がありますので、ちょっとお尋ねしたいと思います。  国民背番号の問題ですが、この国民背番号制度といわれているもの、行政管理庁では、わが国における個人コードの設定の現状というふうに言っておられるそうでありますが、これはどのような自治体をモデル地区として、また今後どのような自治体を指定地区としてこの問題を進めていこうとしておられるのか。また、この個人コードの設定が国民背番号制度だというふうに国民からもいわれておるわけでありますが、その内容は一体どういうものなのか、まず御説明いただきたいと思います。
  183. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  個人コードの問題でございますが、これにつきましては、昭和四十三年八月に、電子計算機の政府部内における利用の効率化につきまして閣議決定がございました。三つほどその内容がございまして、その項目につきましてそれぞれ電子計算機の利用の効率化をはかっていくという閣議決定でございましたが、この中に、政府部内のいろいろと電子計算機に入れます資料の分類あるいは帳票の統一という項目が一つございまして、これによりまして、資料の共同利用あるいは相互交換ということが容易になる、また、行政事務運営が非常に合理化されるということから、標準化の方針を立てまして、これを推進していたのでございますが、いろいろな部門がございまして、その一部門といたしまして、たとえば地域の分類でございますとか、商品の分類でございますとか、いろいろな資料の分類、帳票方式がございますが、その中で、国民につきまして、たとえば運転免許の番号あるいは保険の番号あるいは食糧配給台帳の番号、それぞれみな違った番号を使っておられましたが、これを統一することによって、行政府部内での資料の効率的な利用は飛躍的に増大される。一方、コンピューターの導入によりまして、そういう資料の面でも当然合理化が要求される。コンピューターの導入によって行政事務を簡素、能率化するということは、必然的に各種資料の帳票の統一、標準化ということが要求されるということで、研究を進めてまいっているわけであります。現在の段階では、現在国民にいろいろな行政分野によって異なった番号がついておりますものを、できるだけそれを一本化したほうが便利であるという意味で、そういう一本化にどういうようなやり方が適当かという検討をしている段階でございます。  当初御指摘がありました、どの市町村をモデルにしてやるかということにつきましては、まだ決定いたしておりませんし、また、どういう方向でその番号を考えるかということによりまして、モデルとしての市町村をきめて、そういうモデルをつくってやる必要があるかないかもきまってくるということでございまして、まだモデルの市町村をどこにするかということをきめる段階ではございません。
  184. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 当初、東京都墨田区役所、広島市役所を指定する考えでおったようでありますが、いろいろな事情がございまして、今日まで指定を行なっていないというふうに聞いておるのですが、そうですか。
  185. 河合三良

    ○河合政府委員 そういうことをきめておりません。
  186. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 次に山形県庁、青森、米沢、広島、尼崎、西宮、こういうところに対して指定をしようという考えがあるやに聞いていますが、それもございませんか。
  187. 河合三良

    ○河合政府委員 それもございません。ただいまお並べになりました市町村につきまして、米沢市役所にしましても、西宮市にいたしましても、あるいは広島市にいたしましても、すでにその市といたしましてその市民の行政に関する番号を一本化いたしておりまして、そういうことを市の範囲内では実施しているところでございます。私どもといたしましては、別にそれをモデル地区に設定するということを全くきめておりません。
  188. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 昭和四十五年十一月ですか、事務処理用各省庁統一個人コード設定に関する研究開発会議中間報告書というのを出されたようでありますが、それは出されたわけですね。
  189. 河合三良

    ○河合政府委員 お答えします。  ただいま御指摘の報告書は、経営情報開発センターに委託をいたしまして、その研究をしてもらいました段階でのその協会の中間報告としては出ております。
  190. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 その中に、背番号については十四けたの数字でもって国民全体の背番号をつけたらどうかという提案、それから背番号制の利用可能機関行政事務例としては、警察においては指紋、犯罪手口照会、法務省においては犯歴、出入国管理、保護観察、大蔵省においては所得税、自治省においては地方税というようなものを例としてあげていると承っているのですが、そのとおりですか。
  191. 河合三良

    ○河合政府委員 ただいまの前段のお話でございますが、これはただいまの協会の調査でございまして、政府としての見解ではございません。  また、後段の御指摘の点につきましては、ただいまおあげいただきました業務の種類につきましては、個人を対象とするものとしてはかくかくしかじかがあるということでございまして、統一番号をそういう業務に付してこれを利用するという意味ではございません。
  192. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 背番号専門家の中山委員もおられるそうですが、残念ながら中山委員に質問するわけにいかぬので、行政管理庁のほうにお尋ねをいたしますが、いま私が例としてあげたようなものが背番号として全部十四けたの数字の中に入るということになりますと、いわばプライバシーとのかね合いにおいてもいろいろ問題が起きるのではないかということを懸念いたします。  防衛庁についてはどうなんですか、これはそういった例というものはあげられていないですか。
  193. 河合三良

    ○河合政府委員 例としてもあげておりませんし、また、ただいまおあげになりました例について、統一コードを適用するという意味であげておるわけではございませんで、個人を対象とした業務としてはこういう業務があるという例としてあげたわけでございます。  また、十四けたというお話でございましたが、九けた、十二けた、十四けた、幾つ方法があって、その一つ方法として十四けたというのもある。これは技術的なつけ方によりましていろいろと違ってくると思いますが、十四けたということにきまっているわけでもございません。各国の例を見ましても、九けた、十けた、十一けたといろいろな数がございまして、統一はされておりません。
  194. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、こういった背番号を実施するというお気持ちは、一体行政管理庁はあるのですか。いろいろ研究はされているのですから、ある程度そういうことをやろうという前提で研究をされているのでなければ、税金のむだづかいということになるわけですから、当然考えておられるだろうと思うのですが、おるとすれば、一体いつごろこの国民背番号というのを実施するおつもりなんですか。
  195. 河合三良

    ○河合政府委員 ただいま御指摘のとおり、そういうことは行政事務の簡素合理化に非常に役に立つのではないかという想定のもとに研究をいたしておりますので、もちろん今後慎重な検討はいたしますけれども、私ども事務当局といたしましては、これは当然政府部内の行政事務の簡素合理化に役立つという考え方で検討を進めているわけでございます。ただ、その際も、これはあくまでも政府部内の事務処理の便に供するということに限定をしているつもりでございます。  また、いつごろからという御質問でございますが、これにつきましては、実は四十五年、四十六年、二年間政府部内のコンピューターの合理化、使用の能率化ということに関連いたしまして、二省庁以上に関連いたします行政事務の、熟していないことばではございますが、よく使われます行政事務のシステム化ということにつきまして、行政管理庁が中心になりまして各省庁と研究をするような研究費をもらっておりまして、当然この項目の中の一つとして同一コードの問題を研究対象として取り上げておりまして、四十五年、四十六年と検討いたしておりますが、いつからということをまだはっきり自信を持って申し上げられる段階ではないのです。ただ、できれば、行政事務の簡素、能率化に役立つと考えますので、できるだけ早く着手すべきではないかというふうに思っております。ただ、これは政府全体に関する問題でございますので、当然閣議決定なり閣議の了解なりをとっての上で実施に移すということと理解をいたしております。
  196. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 もうすぐやめたいと思いますが、問題は自治省はどう考えているかということをお尋ねしたいと思うのです。いままでの行政管理局長お話では、政府部内のシステム化というものに関連をいたしまして、同一コードの検討をされておるということです。具体的に言えば、府県市町村、こういったもののシステム化の一環として国の行政官庁間で同一コードをつくる。同時に自治体にもこれをおろしてやっていこうという考え方は、自治省賛成なのか反対なのか。またそういうことを一切考えていないのかという問題です。
  197. 宮澤弘

    宮澤政府委員 この件の所管は官房でやっておりまして、本日担当がおりませんので、私、かわって御答弁をいたします。  自治省といたしましては、まだ現段階では各地方公共団体が電子計算機を使いまして事務処理を合理化するということについていろいろ指導をし、共同をしているという段階でございまして、おそらくいまの背番号化というような問題につきましては、まだそこまで検討をし、議論をするところには至っていないと私は思うわけでございます。各市町村なり府県なり、特に市町村におきましては、先ほどお話がございましたけれども住民関係事務処理いたします場合に、電子計算機にのせるという場合になりますと、やはりコード化をする必要があるということから、そういう事務処理方向に進んでいることは事実だと思うのでございます。私どもは国全体をあげまして背番号をつけるというようなことにもしなるといたしますならば、御指摘のようなプライバシーの問題、これは先進国におきましてもいろいろ問題があるところのように聞いておるわけでございます。その辺のことは十分考えていかなければならないと思うのでありますけれども、おそらく自治省に関します限りにおいては議論がそこまで行っていないというふうに私は理解をいたしております。
  198. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 市町村でコンピューターを導入いたしましていろいろシステム化をやっている。こういった自治体でやっているコード化と、政府部内で同一コードの研究をされているようですが、これをリンクするということになれば、まさにこれはプライバシーの侵害ということになると私は思うのです。したがいまして、この点につきましては行政局長はきわめて慎重な態度で対処をすると言っておりましたが、大臣に最後にお尋ねしておきたいと思うのです。  そういったプライバシーの侵害と国民に疑惑視されるようなことについては、ぜひともこれはやらぬように大臣としては対処をいただきたいと私は思うのですが、大臣の所信を承りまして、質問を終わっておきたいと思います。
  199. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 慎重に検討していきたいと思います。
  200. 菅太郎

    ○菅委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。      ————◇—————
  201. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、内閣提出にかかる昭和四十一年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び華山親義君外六名提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野呂恭一君。
  202. 野呂恭一

    ○野呂委員 私は、地方公務員等共済制度の一部改正案の審議を通しまして、すみやかに改正すべき点、または取り扱いについて是正すべき点などにつきまして、きわめて概括的に、附帯決議のあるものを中心として数項目に分けて関係当局の見解を伺い、その実現の方法についても御意見を承っていきたいと思うわけであります。もちろん、私が指摘いたしまする問題は当委員会でたびたび論議されているわけでございまして、その問題点を簡潔にお伺いをいたしますから、その後の検討の経過であるとか、あるいは見通しなどについて明快にお答えを願いたいと思います。  項目別の質疑に先立ちまして、委員会における附帯決議というものについて政府の心がまえをまず伺いたいと思うのです。  国会の審議における附帯決議の重要性は論議の余地のないことでありますが、毎国会、附帯決議が付せられますと、これを十分尊重して実行に移さなければならないということが強く指摘されておるにもかかわりませず、ややともするとこのことが軽視されるばかりでなくて、なかなか実行に移されない。附帯決議というものはほとんど与野党一致の形で行なわれる場合が多いわけでありまして、法案の委員会議決における私は条件的なものではないかと思うのです。したがいまして、附帯決議に示された問題がすみやかに実行に移されなければ、それは国会軽視につながる問題にもなるわけであります。委員会において直ちに修正さるべきものは修正されるでしょうし、また近き将来において解決されるものとして、国会の意思として附帯決議を付して法案を議決するわけでありますから、政府はこれをどのように扱っていくか、附帯決議が議決されたその時点において政府の心がまえというものが常に明らかにされなければならないと思うわけであります。ところが、そのときわざわざ大臣が御発言になりまして言うのには、ただいまの附帯決議につきまして政府といたしましてはその趣旨に沿って善処いたしますと、全く通り一ぺんのことばだけに終わりがちでございます。提案説明を国会用語でお経読みというならば、短いけれども、この大臣の発言は一体何読みということになるのかということであります。まあ、附帯決議における大臣の発言はもちろん委員会におきまする法的なものではないし、したがいましてこれは自主的な発言であり、それが慣行となったということでありましょうが、いずれにしても、慣行とはいいながら、あまり通り一ぺんの善処しますということでなくて、附帯決議に幾つかの項目がありとするならば、それぞれの項目についてその見通しなり、あるいは善処することについての意見なり、あるいは附帯決議に対する政府の心がまえというものが国民の前に明らかにされなければならないと思うのであります。どの委員会におきましても、趣旨を尊重して善処します、これではいかにも形式化されてしまって、附帯決議を実行しようとする心がまえ、あるいはその責任が何か満たし得ないという感を深くいたすわけであります。たとえば退職年金等のスライド制の問題につきましても、当地方行政委員会において何回となく附帯決議をしているが、いまだその実現を見ていない。もちろん法案審議を通してこれらの問題が論議をされておるわけでありますが、その附帯決議の時点において、政府発言が、いうならば、その締めくくり的な性格を持つべきものだと私は思います。より具体的に誠意ある発言でなければならないのではないか。こういう点はまずこの地方行政委員会から正していって、国民の前にこの附帯決議に対する政府の姿勢というものをまず明らかにしていくということが必要ではないか。この点、大臣がお見えになりますので、大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  203. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 附帯決議に対する大臣の所信表明が、いわばマンネリズムにおちいっているではないかというおしかりでございます。一部にそういう感を免れない点もあろうかと存じます。しかしながら、お経読み的に言っておけばそれでよいというふうには決して考えておらないのでありまして、附帯決議はもちろんのこと、質疑を通しましていろいろ貴重な御意見を承り、これに対する政府側の意向を表明したものにつきましては、私といたしましては一々必要なものは手帳に書きとめておきまして、次の機会あるいは予算措置等を通じましてこれが実現をはかっておるつもりでございます。現に今回の予算措置におきましても、そういう点を幾つか処置をいたしております。したがいまして、法案に付せられました附帯決議の趣旨の尊重、実現はもちろんのこと、心からこれが趣旨の達成、実現に考慮をしておるところであります。  ただいま御指摘のありました退職年金制度等のスライド制につきましても、また同様でございます。この点につきましてはいろいろグルーブ別に処置をすべきものがあり、その間の共同処置につきいろいろ技術的な困難等があるわけでございまして、積極的に前向きに関係者はいろいろ検討をいたしております。各省間の意見の調整ということもありまして、いまだこれが実現をされていない点は、財政上の関係もございますが、遺憾でございますけれども、決してこれを等閑に付しておるわけではないのであります。関係機関を設けてせっかく検討をいたしておるわけでありまして、これらの点につきまして必要があれば、事務当局から詳しく御報告を申し上げたいと存じます。
  204. 野呂恭一

    ○野呂委員 それでは項目別に質問に入りたいと思いますが、先ほど大臣も御指摘になりました退職年金等のスライド制についてまずお尋ねをいたしたいと思います。  昭和四十二年に発足を見ております公的年金制度調整連絡会議、この会議で共通性を持った各グループに分かれて年金のスライド等の問題がかなり前向きに検討されておるということを承っておりますが、公務員の共済制度関係の検討の進みぐあいは一体どうなっているか、これはひとつ公務員部長にお尋ねいたします。
  205. 山本明

    山本(明)政府委員 退職年金等のスライド制につきましてお答えを申し上げたいと思います。  おっしゃいますとおり、四十二年からこれは連絡会議が発足いたしましたけれども、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合さらには民間グループ、厚生年金等がありまして、なかなか十分な結論は得られないということで、本年からグルーピングをして検討をすることにしたらどうだろうか。それは一つは公務員の年金グループでございまして、国家公務員の共済それから地方公務員の共済、それから公共企業体職員の共済、さらに恩給と、こういう公務員グループが一つ。それから厚生年金、国民年金、船員保険というこの民間グループ。それからもう一つは、これは共済でもちょっと特異なものでございますけれども、私立学校の教職員共済、農林漁業団体職員共済のグループがございますので、このグループ。それからさらに、これは労災、公務員災害、いわゆる災害関係にも同様な問題がございます。その四つのグループに分けまして、現在検討を行なっているわけでございます。  公務員グループ関係といたしましては、大蔵省、自省治、恩給局等が中心になりまして、まず公務員年金のスライド制のあり方、まあ物価の上昇あるいは給与のベースアップ等がございますので、そういうものの中からどのようなかっこうでスライド制を決定したらいいであろうか、あるいは当然そうなってきますと、年金の額の算定の方法とも関連をしてまいります。そういう問題につきまして早急に結論を得るように、かなり急ピッチで現在作業を進めておるわけでございます。四十二年から発足して非常におくれておりましたけれども、本年に入りましてから公務員グループに関する限りにおきましては、非常なスピードアップでその問題の検討をしておるということが現状でございますので、今後ともさらに引き続いて検討を進めて早期に結論が出るように努力いたしたい、このように考えております。
  206. 野呂恭一

    ○野呂委員 たいへん急ピッチで努力をされておるということでございますが、この退職年金制度のスライド制の問題はかつて藤枝自治大臣が、三年以内に国の方針を出すということを言明したいきさつもあるし、また前国会におきましても山中総務長官は、諸外国の例を検討しながら、今後それこそ急テンポな作業で方向を打ち出すための努力をするということについて約束をされておるわけであります。すべて公的年金制度に属する年金額の改定は、その基準をつくり、その方式をきめていくことはたいへんむずかしいわけでありますが、この点はどの程度にまで調整が進んでおるかということについてお伺いをいたしたいと思います。
  207. 山本明

    山本(明)政府委員 先ほどもお答え申しましたように、本年に入りまして二回この問題を検討いたしております。それは先ほど申しましたように、スライドをする基準といいますか方法先ほど申しましたように、物価の上昇あるいは給与のベースアップ等、何を根拠にしてスライドをしていったらいいだろうか、具体的にどのような方法をしたらいいかということがいま話し合われておる段階でございまして、実はまだここでどのような方法であるというお答えができない段階でございますので、御了解をいただきたいと思っております。
  208. 野呂恭一

    ○野呂委員 そこで本年の二月、総理府の社会保障制度議会昭和四十四年度及び昭和四十五年度における私立学校教職員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律の制定についての答申が出ておるわけであります。この答申はかなりきびしい答申でございまして、「年金額の改訂については、物価上昇の趨勢からみてやむを得ない面はあるが、本審議会が毎年繰り返して勧告をしているにもかかわらず、依然として恩給の改訂に追随する方法を踏襲している点はまことに遺憾である。とくに本審議会昭和四十二年六月の勧告に基づいて設置した公的年金制度調整連絡会議が末だ何等の結論を見ることなく今日に及んでいることは怠慢といわざるを得ない。」まことにきびしい指摘でございますが、「怠慢といわざるを得ない。」というこの社会保障制度議会意見に対してどうお答えになられるのか。きょうは総理府の審議室長が用務があって御出席いただけないようでありますので、公的年金制度調整連絡会議のメンバーである行政局長に、この審議会答申に対する意見に対して、かわってお答えを願いたいと考えます。
  209. 宮澤弘

    宮澤政府委員 先ほど務員部長から申し上げたわけでございますけれども、この問題は実は影響するというか、関係している範囲が多うございまして、たとえば公務員だけの問題でございますと、地方公務員と国家公務員というようなことで比較的調整がしやすいと申しますか、話の筋道を合わせやすいのでございますけれども、今度は厚生年金等を主とする民間の年金のグループの改定がございます。それ以外に、先ほど務員部長が申し上げましたように、二つばかりのグループがございます。おのおのこれができました制度の趣旨なりあるいはその沿革なりというものが異なっているわけでございます。元来そういうものを一つの連絡調整機関で調整をしようということがそもそも無理であったのかもしれないのであります。そこで、いまグループごとに分けて、比較的共通なものから出発をしていこう、こういうことでございます。  私ども考えますのに、公務員関係というものにつきまして、比較的調子が合いやすいと思うのでございますけれども、しかし、それにいたしましても、スライド制をいたします場合に、たとえば財源をどうするかというようなことについては、実にいろいろ意見があることは御承知のとおりでございます。極端に申しますと、たとえば大蔵省はお金は出したくないというようなことでございますので、公務員関係につきましても基本的にそういう問題が出てまいります。確かにいままでかなり長い時間をかげながら、あまり見るべき成果がなかったということはたいへん遺憾であったと思うのでございますが、先ほど藤枝大臣なり山中総務長官の発言を御引用になりましたように、責任ある立場方々がそういう発言をいたしましても、なかなかそれが解決に至らないという非常なむずかしさがあることはひとつ御了知を願いたいと思うのでございます。しかし、それにいたしましても、もうそろそろ遠からずこれについて結論を出さなければならない時期であることは、私どもも十分承知をいたしておるわけでございます。
  210. 野呂恭一

    ○野呂委員 すべての制度に共通する年金額改定の基準あるいは方式を定めることはたいへんむずかしいことなんですが、スライド制の問題については、まず恩給関係を片づけて次に公務員共済制度といったように、順次解決したらどうですか。いかがでしょう。
  211. 山本明

    山本(明)政府委員 恩給だけ考えたらどうだという御意見一つあるのでございます。といいますのは、これは人数が限定されておりまして、むしろだんだん少なくなっていく。むしろそういう余命のない方から早く考えていったらどうか、こういう御意見も一部出ておるのでございますけれども、それも一つ方法だと思います。しかし、恩給関係のほうだけでおさまる問題ではなくて、たとえば地方公務員にしましても国家公務員にいたしましても、恩給法の準用といいますか、そういう関係の人がおるものですから、常に恩給と共済との関連は持ちながら検討していかなければならない。こういう点がございまして、あわせて検討をすべきだという意見一つあるわけでございます。そこのところはちょっと私の部局は担当の部局ではございませんので、公的年金制度調整連絡会議におきましても、この問題については、できるだけ恩給と共済とは一本にして片づけていきたいという御意向のようにわれわれは承っておるのでございますが、先生のおっしゃいましたのも一つ方法ではあろうと私も思いますけれども、今後どういうかっこうでこれは展開しますか。かなり恩給と共済との関連がございますので、直ちにここでそれがいいというふうにちょっとお答えできないわけでございますけれども、さらに検討させていただきたいと思っております。
  212. 野呂恭一

    ○野呂委員 先ほど申し上げましたように、社会保障制度議会答申の中で、年金額の改定は、恩給改定に追従する方法を依然として踏襲しているのはまことに遺憾である、こういっているわけでありますが、ほんとうにこれはいつまでも恩給改正のはね返りの形で改正していかなくちゃならぬというのは、私としても全く遺憾というほかはないわけでございます。この答申の精神といたしましても、また、当委員会ではたびたびこういう問題について論議をし尽くされているわけでありますから、指摘されている各種年金の給付額の調整等については、すみやかに全体にわたる調整原則を確立して具体的な処置を実現すべきであるということを、この問題について強く要望しておきたいと思うのであります。  次に、やはり前国会の附帯決議の第一項にございます「地方公務員共済組合の短期給付にかかる組合員の掛金率が一定限度をこえることとなるときは、組合員の負担を軽減するため適切な措置を講ずることとし、これに要する費用については国が所要の財源措置を講ずること。」、この問題ですが、その後検討された結果、どういうことになりましたか。
  213. 山本明

    山本(明)政府委員 附帯決議の趣旨もございまして、われわれといたしましては努力をしてまいっております。根本的にはやはり医療保険制度改正という問題があろうと思いますけれども、当面われわれが附帯決議の趣旨に従いまして現在検討しておりますものは、共済組合の短期給付を政府管掌の健康保険の給付水準に置きかえまし一計算をしてみますと、そこに必要な掛け金率が出てくるであろう。ところが、それぞれの市町村実態によりまして、特別に特殊な地域の発病率の問題だとかあるいは掛け金の額の問題だとか、掛け金の基礎になる給与の額の問題等ございまして、政府管掌健保の掛け金率よりも高くなるというものが現実には出てまいるわけでございますが、そのこえた部分に対しまして、自治省令で定めまして、一定のこえた分について、ある一定の額までは八割見る、それより高くなった場合にはまるまる見る、こういうような、市町村から補助をする一つの基準をつくってみよう、そしてその財源は財政局のほうにお願いいたしまして、特別交付税で見てもらうというような方法がとれないだろうかということで、現在検討をしておるのでございます。  いずれにいたしましても、この問題、もう少しお待ちいただきまして、われわれといたしましては、いま言いました一定の段階をつくって、それに対する補助率の妥当な率をつくりまして、そして本年から適用することを実は考えておるわけでございます。もっとも、実績によってこれは補助をするというかっこうにしなければ、概算で補助をしまして、あとでまた返してもらうというようなことになりますと問題がございますので、われわれといたしましては、本年の実績を明年度におきまして財源措置は考えていこう、補助は本年度に地方公共団体から共済のほうに補助をする、こういうようなかっこうを考えてみようかというので、せっかくいま努力をしておるところでございます。
  214. 野呂恭一

    ○野呂委員 そうすると、これは省令できめるわけですね。ことし中にこれは確実にやりますか。
  215. 山本明

    山本(明)政府委員 昨年からもこれにつきましては何とかしたいということで、今年度中に、去年から見まして来年度になるわけでございますけれども、何とかしたいということをお答えいたしておりますので、これはいまのところは本年度中に自治省令でその基準をつくりたい、このように考えております。
  216. 野呂恭一

    ○野呂委員 次に、遺族給付を受ける遺族の範囲の拡大の問題、これは今回の改正案によって、配偶者については無条件に遺族とするということになっておるわけですが、配偶者以外の遺族については、他の年金制度関係から見ましても、主として組合員の収入により生計を維持していた、こういうことを必須条件としている限り、今回その扱いが除外されておるわけでありますが、「組合員又は組合員であった者の死亡当時主としてその収入により生計を維持していたもの」、これに該当しないものは具体的にどういうものなんです。
  217. 山本明

    山本(明)政府委員 おっしゃいましたように、遺族につきましては、配偶者を別にいたしまして、従来からございます、主として組合員の収入により生計を維持していたという要件をつくっているわけでございますが、この認定につきましては政令にゆだねられているわけでございます。  そこで、われわれの考えておりますことは、一つは所得制限があるわけでございます。これは現在のところは、給与法上の扶養手当の対象となるものを対象にいたしまして、所得の上限は十七万七千円になっておるわけでございますが、きょうび十七万七千円というのは非常に低い額でございます。所得税法上の扶養控除の対象となる被扶養者の所得の上限額が三十一万七千円でございます。したがって、われわれといたしましては、所得税法上の所得の上限額を使おう、これによりまして十七万七千円が三十一万七千円というかっこうで上げられると同時に、扶養関係につきましても、最近の扶養状況は変わってまいっておりますので、従来は本人が扶養の半分、五〇%以上を持った場合という過半のパーセンテージになっておったのでありますが、今度は扶養を中心として、その人が主体として扶養する、たとえば具体例で申しますと、三人おられて本人が四〇%、次男が三〇、三男が三〇という場合ですと、従来は五〇%以上ではございませんので遺族にはならなかった、ところが今回は、扶養の主体として四〇%が中心になっておりますから、そういう主体としてなっておる者を認定をしていこうではないか、こういうことで議会の皆さま方の決議の趣旨に従いまして広げていく。これは政令におきましてそういう認定をして、できるだけ広げる方法でこの問題の対処をしていきたい、このように措置をいたすつもりでございます。
  218. 野呂恭一

    ○野呂委員 問題はその生計維持関係の認定にかかっているわけでありますが、最近の組合員あるいは家族の生活の実情というものを十分に勘案していただきまして、弾力的に認定をしてもらうようにすみやかに政令の改正をお願いいたしたいということを強く要望いたしたいと思うのであります。  続いて年金制度施行前の市町村の吏員及び雇用人としての在職期間で地共法の施行日に引き続き得なかった者、これを地共法の組合員期間に通算する措置、このことについてお尋ねをいたしたいと思います。  今回の恩給法の改正に合わせまして、満鉄等の雇用人期間の通算条件が緩和されておりますが、地共法の施行前に在職した市町村職員の在職期間のうち年金制度適用されていなかった期間については組合員期間に通算されていない。御承知のとおり、町村の吏員及び市町村の雇用人については国、都道府県または市の職員と異なって、年金制度の実施がたいへんおくれてきたわけでありますから、現行の年金制度ではたいへん不利な条件になっておると思います。ことに町村吏員の年金制度は、昭和十八年四月に町村の一部事務組合として町村吏員恩給組合が設けられて、初めてここで実施を見たものだということになっておるわけであります。  なお、一部の町村ではさらにおくれて昭和二十七廣四月の旧町村職員恩給組合法の施行時まで加入していない、こういうものもあったということでありますし、旧町村職員の年金制度に至りましては昭和三十廣一月一日に施行された旧市町村職員共済組合法によってやっと年金制度が設けられたわけでございまして、こんなに年金制度の発足がおくれたために不均衡な取り扱いを受けておる吏員及び雇用人の数をどの程度に見込んでおるのか、この点をまずお伺いしたい。
  219. 山本明

    山本(明)政府委員 数は吏員と全部合わせまして一万二千人であります。
  220. 野呂恭一

    ○野呂委員 そうなりますと、これらの人々をいまの時点で地兵法の組合員期間に通算する措置をとるといたしまして、財源的には大体どの程度を考えなければならぬか。
  221. 山本明

    山本(明)政府委員 概算でございますが、大体一億五千万程度であろうと思います。
  222. 野呂恭一

    ○野呂委員 いずれにしても年金制度の発足がおくれたために生ずる他の年金受給者との格差というものは、通算措置が講じられていない責任ではないと私は思うのです。やはり制度上の不備であると考えてまいりますと、この問題は国または地方公共団体の責任によって解決する必要があるのではないか。この点いかがでございましょう。
  223. 山本明

    山本(明)政府委員 お答えいたします。  おっしゃいましたように、満鉄等の雇用人が通算になっておるわけでございますけれども、それとの比較で大蔵省あたりは言うのでございますが、市町村の吏員あるいは雇用人の場合におきましては、本人の意思によって退職していったのではないか、満鉄の場合のような敗戦という本人の意思によらない問題が一つあるのじゃないか、これが一つでございます。それから在職期間が共済法施行のときに引き続いておらぬじゃないかというような問題等がございまして、かなりむずかしい状況でございますが、しかし、われわれといたしましては先ほどおっしゃいましたように、年金制度の実施が現におくれておったということ、あるいは本人の意思によったといっても、中には市町村合併によってやめていった人、あるいはちょうどあのころの財政の状況の悪いころに整理されたようなかっこうでやめていったというような人も多いわけでございます。一律に本人の意思によってやめていったんだからということで済ますわけにはいかぬのではないだろうか。できますだけ通算措置をとることによって、本人にプラスになるならば、努力をしてやるべきではないかということで、国家公務員の共済組合関係の担当をいたしております大蔵とも話し合いを進めておる段階でございますが、なかなかむずかしゅうございまして、できますだけ早急にこの問題も詰めまして、来年度あたりくらいには、その実現を期したいということで、せっかくその努力をしておるところでございます。
  224. 野呂恭一

    ○野呂委員 満鉄等の雇用人の問題が常に比較になるわけでしょうが、これは終戦という特別な事情であって、本人の意思ではない。しかし、いまお話しになりましたように、市町村の職員の場合においても町村の合併が行なわれている、あるいは財政再建整備にかかりましてやめざるを得なかった、これは本人の意思でないわけです。これはその立場が違っておると思うのですけれども、これはせっかくひとつ努力をされて、すみやにか改正を願わなければならぬ大きな理由ではないかというふうに考えております。  同時にこの問題に関連してくることは、沖繩の本土復帰を目の前にして、沖繩公務員共済制度を受け入れる準備が進められておるようでございますが、本土においてこの種の通算の措置ができておらないとたいへん困る問題が起こってくるのではないか。沖繩における年金制度は、昭和四十一年に施行されておるわけですが、沖繩では通算措置はできているわけですね。これはどうです。
  225. 山本明

    山本(明)政府委員 沖繩にもこのような共済制度があるわけでございます。その共済制度の中では、過去の市町村におきます職員の期間というのは通算をしておるということでございますので、本土とはいささか均衡を失しておるという感じはいたすわけでございます。
  226. 野呂恭一

    ○野呂委員 沖繩の復帰が行なわれますと、本土においてこれらの処置ができていないと、たいへん沖繩の人が権利を失ってしまうという問題が起こってくるわけでありますから、その場合どうしても解決をする必要に迫られておるのではないか。いま申し上げましたように、この三点ともにこの通算の処置をすみやかにやっていかなければならぬと思うのですが、どうでしょうか。大蔵当局はいろいろな面で反対をしておるようですが、確約できますか、これはひとつ来年に必ずやると。
  227. 山本明

    山本(明)政府委員 数が多いことでもございますし、一方財源がそう高くかかるわけでもございませんので、大蔵とただいま折衝しております段階におきましては、来年一つのめどがつくであろう、こういうような考え方を持っております。できますならば、われわれ努力をいたしまして、明年度からこの実現ができるように努力をいたしたい、そのように考えております。
  228. 野呂恭一

    ○野呂委員 次に、地方住宅供給公社の職員の団体共済制度適用についてお伺いしたいのでありますが、地方住宅供給公社は、地方住宅公社法に基づいて都道府県あるいは政令指定都市に設けられた特殊な法人でありますし、その業務は地方公共団体の所管の仕事の代行であると考えられるわけであり、また職員の給与の取り扱いも地方公務員に準じて行なわれているわけでありますから、当然この職員については共済制度適用して、地方関係団体職員共済組合の加入を認める必要があると考えるわけであります。また今度できました地方道路公社の職員とともに共済制度適用について今国会においてあるいは議員修正が行なわれるのではないかと私は考えておるわけですが、たびたびの附帯決議の事項にもかかわりませず、今回の改正案にどうして政府提案をなし得なかったか、この点をひとつお伺いしておきたい。
  229. 山本明

    山本(明)政府委員 おっしゃいましたように、住宅供給公社あるいは地方道路公社の業務の内容が、地方公共団体の業務に準ずるような仕事をいたしておりますので、また実際に働く場におきましては、地方公共団体の職員と混然一体となって仕事をしており、かつこれらの地方公社の職員の給与、勤務条件等、全く地方公共団体のそれを準用しておるという実態でございますので、われわれといたしましては、住宅供給公社及び地方道路公社職員につきましては、団体共済制度適用いたしたいということで努力をしてまいっております。  ただ、その場合に、ただ単に団体共済制度適用するというのでは意味がありませんで、過去にそれぞれの公社の職員が厚生年金の被保険者であった期間の厚生年金の積み立て金がございます。これを団体共済に移管をいたしまして、全部通算をしたいというのが実はメリットになるわけでございまして、その努力をしておるわけでございます。一方、昨年、一昨年と農林漁業団体職員共済組合制度適用を受ける職員の中に、過去の積み立て金はそのまま厚生年金に残して、そして新たに農林共済の適用を受ける職員とした措置がとられておりますので、厚生年金の積み立て金を団体共済に移すことがきわめて困難な状態であります。厚生省とも話をしておるのでございますけれども、厚生年金は厚生年金としてあるいは給付の額の差額は基金制度を設けることによって補えるのじゃなかろうかというような御意見等もございまして、問題は積み立て金の移管の問題が自治省と厚生省と十分な調整がとれないというのがその実情でございます。実際にこれを移管しなければメリットがないわけでございますので、われわれといたしましては、厚生省ともさらに話を続けまして、わずか二千人、両方合わせまして四千人程度の職員になるであろうということが考えられますものですから、できるだけ団体共済組合適用を受けるように努力をいたしたい、こういうように考えております。
  230. 野呂恭一

    ○野呂委員 次に、年金改定の方法についてお伺いをいたしたいと思うのであります。従来から行なわれております改定の方法は、恩給年額の改定の取り扱いに準じて、いわゆる二万円ベース給付額を基礎として改定されておる。これはたいへん複雑で、私ども自体もたいへん計算がややこしいわけでありますが、ことに一般の受給者についてはわかりにくいことは当然でございますが、恩給改定の事務の簡素化のためにも、退職時に決定した年金額に一定の率を乗じた額とする、こういう単純な方法に改定すべきではないかというふうに考えますが、この点どうお考えになりますか。
  231. 山本明

    山本(明)政府委員 それは先生のおっしゃいますように、いまの年金の計画をいたします場合には、個々の職員を全部洗い出しまして最初から計算をしていっておるわけでございます。われわれといたしましては、たとえば昭和四十年の年度の年金を受け取る人は何倍すればいい、一定の率をかけてあるいは昭和四十二年の人は幾らにすればいいというので、少なくとも年度と率を簡単に計算のできるような方法をとろうではないか、それがより能率化になりまた合理的な仕事ができる、このように考えまして、先般来関係各省と相談をいたしておりますが、への場合に、何年度の年金についてはどれだけの率だという、その率の計算が非常にむずかしい問題でございます。それぞれの立場からいろいろな御意見が出てくるわけでございます。ただいまのところは、来年度から実施をするということを大体大蔵省のほうともめどをつけまして、具体的にはそれぞれの率が大蔵と十分話し合いができて確定をできるような段階、これをぜひとも来年度までに進めていきたい。そうしますれば、年金を受ける方自身がおわかりになる、自分は何年度にやめてどれだけもらっておるから、どれだけ今度は年金をもらえるだろう、こういうかっこうになると思いますので、これはぜひともやってみたいということで努力はしておるところでございます。
  232. 野呂恭一

    ○野呂委員 次に、地方公務員が在職中死亡した場合における遺族年金受給資格の緩和の問題であります。  地方公務員が在職中死亡した場合に、その遺族に遺族年金の受給資格が発生するのは、組合員期間が十年以上でなければならぬということになっておるわけですが、これはどういう理由に基づいておるのか、この点ひとつ御説明を願いたいと思います。
  233. 山本明

    山本(明)政府委員 遺族年金の受給資格が過去の国兵法におきまして、在職二十年以上とされておったわけでございます。それを新しい共済制度に移りましたときに、二十年というのでは非常に長過ぎるということから、せめてその半分ということで十年とし、さらには財源率の計算の観点からも十年というかっこうにしたのだというふうに承っておりますが、いずれにしても、そこのところにぴたっとした合理的な十年という数字ではないようでございまして、やはり沿革的な問題と財源率の観点から十年というふうにしたようにわれわれは承っておるところでございます。
  234. 野呂恭一

    ○野呂委員 そこでこの問題は、厚生年金制度において被保険者期間が六カ月以上、こういうことになっておるわけです。これに比較するとその取り扱いがたいへん不均衡になっておることは否定できないと思います。厚生年金制度との均衡を考慮するならば、組合員の期間十年以上という条件を緩和して、思い切って短縮すべきだと考えるが、この点についてどう考えるか。
  235. 山本明

    山本(明)政府委員 おっしゃいましたように、厚生年金は六カ月という期間でございますので、十年と六カ月では非常に共済は不利でございます。したがって、これを下げようというふうにいま考えております。その場合に、どこまでこの年限を下げるかという問題が一つございます。たとえば非公務の場合の廃疾年金につきましては一年というのが一つ年金制度の中にございます。したがって、厚生年金とは必ずしも同じでなくても、共済の中で非公務の場合の廃疾年金が一年の期間でございますから、その辺に合わせるのが一つの合理的な線ではないだろうかなという気はいたしておりますけれども、これは国家公務員共済組合等の関係もございますので、関係省庁と十分連絡をとってまいりたい、このように考えております。
  236. 野呂恭一

    ○野呂委員 最後に、地方議会議員年金制度改正の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  まず、地方議会議員共済会の収支が、都道府県市町村それぞれ昭和四十六年度から単年度収支が赤になっていくと、昭和五十年度にはその積み立て金を使い尽くしてしまって、給付の継続ができないんじゃないかということがたいへん心配されておるわけでありますが、この単年度の赤字の見込み額について、具体的にお示しをいただきたいと思います。
  237. 山本明

    山本(明)政府委員 お答えをいたします。  地方議員の共済会は、都道府県の共済会と市の共済会と、それから町村の議会議員の共済会と三つございます。都道府県につきましては、四十六年度に単年度赤が大体二億程度出るであろう。これがそのまま参りますと、現在積み立て金が十一億ほどございますので、それを取りくずしまして、昭和五十一年にはまるまる積み立て金も費消いたしまして、三億六千万ほどの赤字が出るのではないだろうか。それから市のほうにつきましては、四十六年が六億五千万ほどの単年度赤でございます。これは五十年になりますと十億七千万ほどのまるっきり赤字になりまして、積み立て金はなくなって、それだけが赤字になるのでございます。それから町村議会の共済会につきましては、四十六年は四億九千万程度の単年度赤でございますが、昭和五十年に至りまして十億の赤であるということでありまして、大体四十六年から単年度赤が始まり、そして昭和五十年ないし五十一年にいま申しましたような十億から三億六千万程度の赤字になるというのが現在のところの収支の見込みでございます。
  238. 野呂恭一

    ○野呂委員 なかなかたいへんなことですが、そこで、これに対する自治省としての対策、もちろんこれは掛け金の引き上げの問題も起こってくるでしょう、あるいは給付に対する調整の必要もあるわけです。一方地方公共団体のほうの負担は当然されなければならぬ。この点どういうように考えられておるか。
  239. 山本明

    山本(明)政府委員 おっしゃいましたように、このような昭和四十六年に単年度赤であり、昭和五十年ないし五十一年に全く積み立て金がなくなりまして赤字になる状況でございますので、これに対しましては、一つには、やはり経営努力といいますか、共済会自身の努力が必要であろうかと思います。掛け金を上げるなりあるいは給付の歯どめをするなりして自己努力をする必要があろう。と同時に、一方では、すでに現在の共済組合法の百六十七条によりまして、そういう赤字が出た場合におきましては、地方公共団体が負担をする措置ができるようになっておりますので、そういう面からも措置をすることによって、この共済会が空中分解といいますか、つぶれてしまうことのないように考えていかなければならないのではないか、かように考えております。
  240. 野呂恭一

    ○野呂委員 この措置がたいへんおくれてきた理由はいろいろとあると思うのですけれども、当初地方議会の年金制度創設の当時は、いわゆる地方議員互助年金法によるものであった。したがいまして、これは議員の掛け金だけで運営するということをたてまえとしてきた。その後三十七年に新法制定に際して、従来の任意加入制を改めて、これは義務づけられてきた。こうなると、公費負担が規定づけられてきておるのですから、地方議会議員の年金制度に対する地方公共団体の財政措置というものが当然なされなければならぬのじゃないか。にもかかわらず、いままでこういうのを捨てておったということははなはだ遺憾なことだと思うのです。したがいまして、これはどうしても今国会で解決すべきではないか。場合によっては、これも議員修正の形に生まれてくるということも考えておりますが、それに対して、いままでこういうたいへん放置しておったというその責任を免れ得ないと思いますが、これについてのお考えをひとつ聞きたい。
  241. 山本明

    山本(明)政府委員 これは先ほど先生がおっしゃいましたように、互助会的な性格で発足をし、その後におきまして地方公共団体の負担をすべき規定は入っておりますけれども、赤字が出た段階におきまして、その措置をするという考え方でこの規定が入ったようにわれわれは承っておるわけであります。そうしますれば、その赤字が出た段階におきまして地方公共団体が負担をするということが一つ方法ではないだろうか。しかし、そういうことがわかっておるならば、その時点で負担をするよりも、長期的な展望に立って地方公共団体が負担すべきじゃないだろうかという御意見と、二つあろうかと思います。一方には、共済会自体が掛け金を上げるなりあるいは給付の制限をするなり歯どめをするなりして努力するという問題もあるだろうと思いますが、その辺なかなか共済会自体の努力が従来まだそこまで踏み切られておらなかった。本年に入りましてようやくそういう財政の状況を見て、何とか自分らも努力しなければならないのだという前向きの姿勢を示してきております。したがって、そういう段階におきまして、そういう努力をすることに対しまして、地方公共団体の負担をどのように考えたらいいだろうかという問題があるわけでございます。それにいたしましても、いま申しました長期的な展望に立つ負担の方法と、それから赤字が出た場合における一時的な対症療法的な意味での負担の方法二つあるわけでございまして、そこのところがまだ最終的には固まっておらないという状況でございますので、今回政府の提案いたしました法律案の中には入っておらないというのが実情でございます。
  242. 野呂恭一

    ○野呂委員 最後に、地方議会議員の在職期間について都道府県、市及び町村相互に通算できるように検討する、この附帯決議が第四十八国会、第五十一国会につけられているわけです。この点について政府の見解をただしたいと思います。
  243. 山本明

    山本(明)政府委員 これは先ほども言いましたように、共済会が都道府県それから市、町村、その議会議員さんの共済会として単独に発足したものでございます。それを通算するということになりますと、結局市町村から県のほうに上がっていくということがあろうと思います。そうした場合には、いまの実態、実績の中から計算をしてみますると、都道府県議会議員の掛け金率が百分の二ないし三上がってくるということになるわけでございます。そうしますれば、都道府県議会のほうでは市町村から来た者をつなぐことによってそれだけの掛け金率が上がることについての問題があるわけでございまして、この問題はなかなか共済会自体の話し合いでございますのでむずかしいということが実情でございます。お互いにふところぐあいがございますので、他人の分までしょって出すかということになりますとなかなかむずかしいので、私もその実情はよくわかりますから、これはもちろんできないものであろう、このように考えております。
  244. 野呂恭一

    ○野呂委員 以上、私は附帯決議を中心として、きわめて概括的でございますが、問題点を拾い上げてお尋ねをいたしたわけでございますが、この附帯決議に指摘されておる事項の解決はたいへんむずかしい問題も中にあると思う。したがいまして、最初に大臣にお尋ねいたしましたとおり、最近は附帯決議というものがたいへん多くつけられている。したがってその実行を迫られる、こういった場合に、よほどこの附帯決議に対して政府側としては、この問題についてはこういう見通しでいけるのではないか、しかしこれはできないということも、附帯決議がつけられた時点において私はむしろ明らかにしていくほうがいいのではないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、最後に、締めくくりとして大臣のこの附帯決議にいろいろ示された事項の今後の実行方についての御所見を伺って、私の質疑を終わりたいと思います。
  245. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま附帯決議の最近の御要望、内容につき一わたり洗われた感がございます。その案件は八件ないし九件あるように存じております。いかがおとりになったかとも存じますが、大体最後のものを除きまして、八件のうち私は五件については大体の成案、見通しがついておるという印象も受け、そういう分類もできるかと思います。残り三件につきましていまだ検討中である、もちろん五件も検討中でございますが、ほぼ見通しがついた、また近く実行が可能であるという見通しがついた、こういう状況かと思います。三件につきましてもせっかく誠意をもって前向きに検討しておるわけでございまして、以上の検討内容に徴しましても、政府が決して等閑に付しておるわけではない。これの実行につき御趣旨を尊重すべく最善の努力をしておる。そしてまたその過半数につきある程度の曙光を得ておる、こういうことでございまして、ひとつ政府側の誠意と努力をお認め願いたい。しかし、これをもって足れりとするわけではございません。今後、未解決のものにつきましてもさらにさらに関係方面とも検討、協議を重ねまして、御趣旨に沿いたいと思っております。  なお、不可能なことと思われるものにつきましては、初めからその意を明らかにするがよかろうというお示しでございまして、これらの点につきましても、ひとつ十分検討をさせていただいて、そして誠意のある政府の態度をはっきりさせていくということにつとめたいと存じます。
  246. 野呂恭一

    ○野呂委員 大臣の御発言のとおり、いろいろお尋ねをいたしましたが、地方共済制度に関する附帯条件は、ほかのものと比べてとにかくその実現がきわめてよく行なわれておるということを多として、私の質問を終わりたいと思います。
  247. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、明十三日午前十時から理事会、同十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十五分散会