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1971-04-13 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十六年四月十三日(火曜日) 午前十時三十一分
開議
出席委員
委員長
菅
太郎
君
理事
小澤
太郎
君
理事
大西 正男君
理事
塩川正十郎
君
理事
砂田 重民君
理事
古屋 亨君
理事
山口
鶴男
君
理事
小濱 新次君
理事
吉田 之久君 亀山 孝一君 高鳥 修君 中村 弘海君 中山 正暉君 永山 忠則君 野呂 恭一君
村田敬次郎
君 豊 永光君 綿貫 民輔君
土井たか子
君
山本弥之助
君
桑名
義治
君 和田 一郎君 門司 亮君 林 百郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
国家公安委員
会委員長
)
荒木萬壽夫
君
出席政府委員
内閣総理大臣官
房交通安全対策
室長 須藤
博忠君
警察庁長官
後藤田正晴
君
警察庁交通局長
片岡 誠君
沖繩
・
北方対策
庁長官
岡部
秀一
君
自治省財政局長
長野 士郎君
委員外
の
出席者
文部省体育局学
校保健課長
橋本 眞君
運輸省自動車局
整備部車両課長
飯塚 良政君
建設省都市局公
園緑地課長
川名 俊次君
建設省道路局路
政課長
宮繁
護君
建設省道路局企
画課長
井上 孝君
自治省財政局財
政課長
森岡 敞君 ――
―――――――――――
三月二十六日
地方財政法
の一部を
改正
する
法律案
(
華山親義
君外六名
提出
、
衆法
第二〇号) 同月二十九日
地方公務員等共済組合法等
の一部を
改正
する法
律案
(
華山親義
君外六名
提出
、
衆法
第二一号) 同月二十七日
ドライブイン等
において
酒類
の
販売
を
禁止
する
法律
の
制定
に関する
請願
(
柳田秀一
君
紹介
)( 第三〇三二号) 同(
柳田秀一
君
紹介
)(第三〇六八号) 同(
櫻内義雄
君
紹介
)(第三〇九七号) 同(
田中榮一
君
紹介
)(第三〇九八号) 同(
濱野清吾
君
紹介
)(第三〇九九号) 同(
山田久就君紹介
)(第三一〇〇号)
地方公務員退職年金受給者
の
医療制度改善
に関 する
請願
(
山本幸一
君
紹介
)(第三〇三三号) 四月二日
地方公務員等共済組合法改正等
に関する
請願
(
山口鶴男
君
紹介
)(第三二五三号)
ドライブイン等
において
酒類
の
販売
を
禁止
する
法律
の
制定
に関する
請願
(
谷垣專一君紹介
)( 第三三八五号) 同月六日
ドライブイン等
において
酒類
の
販売
を
禁止
する
法律
の
制定
に関する
請願
(
竹下登
君
紹介
)(第 三五八六号) 同(
粟山ひで
君
紹介
)(第三五八七号) 同(
池田禎治
君
紹介
)(第三六八二号) 同(
ト部政巳
君
紹介
)(第三六八三号) 同(
河村勝
君
紹介
)(第三六八四号) 同(
桑名義治
君
紹介
)(第三六八五号) 同(
宇都宮徳馬
君
紹介
)(第三七三六号) 同(
田中六助
君
紹介
)(第三七三七号) 同(
三原朝雄
君
紹介
)(第三七三八号)
風俗営業等取締法
にモーテルの
規制移管
に関す る
請願
(
渡辺美智雄
君
紹介
)(第三八四一号)
市街化区域農地
に対する
固定資産税
に関する請 願(
高橋英吉
君
紹介
)(第三八四二号) 同月九日
ドライブイン等
において
酒類
の
販売
を
禁止
する
法律
の
制定
に関する
請願
(
大橋武夫
君
紹介
)( 第三九五一号) 同(
武部文
君
紹介
)(第三九五二号) 同外一件(
小山省二
君
紹介
)(第四〇二八号) 同月十日
ドライブイン等
において
酒類
の
販売
を
禁止
する
法律
の
制定
に関する
請願
(
古井喜實
君
紹介
)( 第四二三一号) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
三月三十一日
地方債
の
わく拡大等
に関する
陳情書
(第一三三号)
地方財政運営
の
円滑化
に関する
陳情書
(第一三四号) 旅館及び
ホテル等
の
防災設備費助成
に関する陳
情書
(第一三五号)
町村税財源
の
充実強化等
に関する
陳情書
(第一三六号)
山岳遭難救助
のための
ヘリコプター常駐
に関す る
陳情書
(第一三七 号)
公共用地先行取得債
の
わく拡大等
に関する
陳情
書 (第一六九号)
地方交付税率等引上げ
に関する
陳情書
(第 一九〇号)
零細事業者
に対する
税負担軽減
のための
地方税
法改正
に関する
陳情書
(第一九一号)
区長公選制
の
実現等
に関する
陳情書
(第一九二 号)
市街化区域内農地
に対する
固定資産税等
に関す る
陳情書
( 第二二六号)
地方議会議員
の
共済制度改善
に関する
陳情書
(第二二七号) は本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
連合審査会開会
に関する件
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第九三号) ――――◇―――――
菅太郎
1
○
菅委員長
これより
会議
を開きます。
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 本案について
補足説明
を聴取いたします。
後藤田警察庁長官
。
後藤田正晴
2
○
後藤田政府委員
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、補足して御
説明
いたします。 第一は、
交通管理
のための
規定
の
整備
についてであります。 その一は、
歩行者
の
通行
の安全の
確保
のための
規定
の
整備
についてであります。 まず、第八条及び第九条の
改正規定並び
に第十三条の二等の
規定
は、
歩行者
の
通行
の安全と円滑をはかるため
車両
の
通行
が
禁止
されている
歩行者用道路等
を
通行
する
歩行者
については、
右側端通行
の
義務
、
横断歩道
による
道路横断
の
義務
、
道路
の
斜め横断
の
禁止等
の
歩行者
の
通行方法
に関する
規定
を適用しないこととするとともに、
警察署長
がその沿道に車庫がある等のやむを得ない理由があると認めて
許可
をした
車両
は
歩行者用道路
を
通行
することができることとするが、
警察署長
の
許可
を受け、またはあらかじめ
禁止
の
対象
から除外されていることにより
歩行者用道路
を
通行
する
車両
には特に
歩行者
に注意して徐行しなければならない
義務
を課そうとするものであります。 次に、第二条第一項第三号の四の
規定
は、
歩行者
の
通行
の用に供する等のため
歩道
の設けられていない
道路
の
路端寄り
に設けられた帯状の
部分
で
道路標示
により
車道
と区画されたものを
路側帯
ということとし、第十条、第十七条、第十七条の三、第四十七条等の
改正規定
は、
路側帯
のうち
歩行者
の
通行
に十分な幅員のあるものは
歩道
と
同一
に取り扱い、また
車両
は
原則
として
路側帯
を
通行
してはならないこととするとともに、特に
道路標示
によって
禁止
される場合を除いて、軽
車両
は著しく
歩行者
の
通行
を妨げることとなる場合のほかは
路側帯
を
通行
することができることとし、
路側帯
が設けられている
場所
において
車両
が
停車
または
駐車
をするときは
路側帯
に入り、かつ、他の
交通
の
妨害
とならないようにしなければならないこととしようとするものであります。 次に、第十八条第二項、第三十八条第一項等の
改正規定
は、
車両等
の
注意義務
として、
車両等
が
歩行者
の
側方
を通過する場合には、
歩行者
との間に安全な間隔を保ち、または徐行しなければならないこととし、また、
横断歩道
に接近する場合には、
横断歩道
により
横断
しようと
すそ歩行者
がいるときは
横断歩道
の直前で停止することができるような
速度
で進行しなければならないこととしようとするものであります。 次に、第十条第一項
ただし書き
及び第十二条第二項の
規定並び
に第十四条、第四十四条第三
号等
の
改正規定
は、
歩行者
の
通行方法
について、
がけ等
があるため
道路
の
右側端
を
通行
することが危険であるときその他やむを得ないときは
道路
の
左側端
に寄って
通行
することができることとし、
交差点
において
道路標識等
により認められているときは
斜め
に
道路
を
横断
することができることとするほか、
横断歩道
の手前だけでなく先方についても五メートル以内の
部分
については
停車
及び
駐車
を
禁止
する
場所
にするなど、
歩行者
の安全に関する
規定
を
整備
しようとするものであります。 その二は、
都市交通対策
の推進のための
規定
の
整備
についてであります。 まず、第四条第一項及び第二項並びに第百十条の二第二項の
改正規定
は、
都市
における
交通
の
混雑
に対処するため、
車両
の
通行
の
禁止
その他の
道路
における
交通
の
規制
は、区域を定め、または
対象
を限定して行なうことができることとするとともに、広域にわたり
道路
の
交通
に著しい影響が及ぶおそれがある
自動車
の
通行
の
禁止
を行なおうとするときは、
都道府県知事等
の
意見
を聞かなければならないこととしようとするものであります。 次に、第四十九条及び第五十一条の
改正規定並び
に
新設
の第百十三条第二項及び第百十九条の二の
規定
は、
駐車対策
を推進するため、
駐車
時間の制限の実効の
確保
の手段として
パーキング
・
メーター
を用いることができることとし、
パーキング
・
メーター
が
設置
されているときはこれを作動させなければ
駐車
してはならないこととするとともに、
違法駐車車両
の移動、
保管等
に要した
費用
を定額によって徴収することができることとし、駐
停車違反
の
罰則
を
強化
し、これを三万円以下の
罰金
から五万円以下の
罰金
に引き上げようとするものであります。 次に、第二十条の二、題三十一条の二等の
規定
は、
公共輸送機関
の
優先
を
確保
するため、
路線バス等優先通行帯
を設けることができることとし、他の
自動車
は
路線バス等
が
後方
から接近してきた場合に
混雑
のためその
優先通行帯
から出ることができないこととなるときはそこを
通行
してはならず、また、その
優先通行帯
を
通行
している場合において
後方
から
路線バス等
が接近してきたときはすみやかにその外に出なければならないこととするとともに、停留所から発進する
乗り合い自動車
の
進路
の
変更
を他の
車両
は妨げてはならないこととしようとするものであります。なお、第二十条第二項の
規定
により、
路線バス等
の
専用通行帯
を設けることもできることとされております。 その三は、その他の
交通方法等
に関する
規定
の
整備
についてであります。 まず、
車両等
の
交通方法
に関する
規定
の
合理化
についてであります。 第二十条第一項
ただし書き
の
規定
は、多
車線道路
における
通行区分
を
合理化
するため、
同一
の
方向
に三以上の
車両通行帯
が設けられているときは、その最も
右側
の
車両通行帯
を
追い越し
車線
とし、それ以外の
車両通行帯
については、
自動車
はその
速度
に応じて
通行
することができることとしようとするものであります。 第二十五条の
改正規定
は、
車両
が
道路外
に出るため
左折
または
右折
をする場合の
方法
について
規定
するとともに、
道路外
に出るため
左折
または
右折
をしようとする
車両
が
道路
の
左側端
、
中央
または
右側端
に寄ろうとして合い図をしたときは、その
後方
にある
車両
は、その
速度
または
方向
を急に
変更
しなければならないこととなる場合を除いて、合い図をした
車両
の
進路
の
変更
を妨げてはならないこととしようとするものであります。 第二十八条、第二十九条及び第三十条の
改正規定
は、
追い越し
を
禁止
する
場所
においては、
追い越し
のため、
進路
を
変更
し、または前車の
側方
を通過してはならないこととする等
追い越し
に関する
規制
を
合理化
しようとするものであります。 第三十六条、第三十七条及び第四十三条の
改正規定
は、
交差点
における
優先関係
については、先に入った
車両等
の
優先
及びすでに
右折
している
車両等
の
優先
を廃止し、
優先道路等
を
通行
する
車両等
の
優先
、
左方
の
車両等
の
優先
、
直進車両等
の
優先等
に限るとともに、
交通整理
の行なわれていない
交差点
内において
車両等
が一時停止すべき
場所
を指定することができることとする等
交差点
における
交通方法
を
合理化
しようとするものであります。 第二条第一項第三号の二の
規定
は、
本線車道
とは
高速自動車国道
または
自動車専用道路
の
本線車線
により構成する
車道
をいうものとし、第七十五条の五、第七十五条の六、第七十五条の七、第七十五条の十等の
規定
は、
本線車道
における
横断
の
禁止
、
本線車道
に入る場合等における他の
自動車
との
関係
、
本線車道
の出入の
方法
、
本線車道
における
故障等
の場合の
措置等
について、
高速自動車国道
と
自動車専用道路
とを
同一
に取り扱い、それぞれ
規定
を
整備
しようとするも一のであります。 また、第二十四条、第二十六条の二第一項等の
規定
は、
車両等
の
運転者
は危険を
防止
するためやむを得ない場合を除いて急ブレーキをかけてはならないこととするとともに、
車両
はみだりにその
進路
を
変更
してはならないこととしようとするものであります。なお、みだりに
進路
を
変更
してはならない
義務
の
違反
につきましては、
罰則
を付さないこととしております。 第五十条等の
規定
は、
交通整理
の行なわれている
交差点
において、
前方
の
交通
の
状況
によりその中に入った場合には停止することとなり
交差道路
における
車両等
の
通行
の
妨害
となるおそれがあるときは、
車両等
は信号が青の場合であっても
交差点
に入ってはならないこととし、また、
横断歩道
、
踏切
または
道路標示
によって区画された消防署の前等の
場所
についても、
前方
の
交通
の
状況
によりその中で停止するおそれがあるときは、
車両等
はその
場所
に入ってはならないこととしようとするものであります。 第五十二条第二項、第五十三条第三項等の
改正規定
は、他の
車両等
の直後を進行する
車両等
の灯火の
減光等
の
義務
を
新設
するとともに、
車両
の
運転者
が不要な合い図をすることを
禁止
しようとするものであります。 第六十二条等の
改正規定
は、
交通公害
の
防止
の
徹底
をはかるため、
騒音防止装置
または
ばい煙等
の
発散防止装置
が
保安基準
に適合しない
車両
を直ちに
整備不良車両
とするとともに、これらの
装置不備
の
車両
の
運転
に対する
罰則
を現在の
整備不良車両
の
運転
に対する
罰則
と
同一
にしようとするものであります。 第七十一条第四
号等
の
改正規定並び
に同条第四号の二及び第五号の二の
規定
は、
運転者
の
順守事項
として、
積載物
の
飛散防止義務
、
自動車
のドアを開き、または
車両等
からおりる場合の
安全確認
の
義務等
現在各
都道府県公安委員会規則
で
規定
されている
事項
を
法律
に
規定
することとするとともに、
自動車
または
原動機付自転車
から離れるときは、その
車両
の
装置
に応じ、その
車両
が他人に無断で
運転
されないようにするため必要な
措置
を講じなければならない
義務
を新たに設けようとするものであります。なお、
自動車
または
原動機付自転車
から離れるときの
義務
の
違反
につきましては、
罰則
を付さないこととしております。 第七十五条の十一の
規定
は、
高速自動車国道
及び
自動車専用道路
においては、
自動車
の
運転者
は
座席ベルト
を装着し、また
同乗者
に装着させるようにつとめなければならないこととしようとするものであります。なお、この
義務違反
につきましても、
罰則
を付さないこととしております。 次に、
道路標識
及び
道路標示
の
活用
をはかるための
規定
の
整備
についてであります。 第十七条第五項、第三十三条第一項、第三十八条第一項、第四十三条第一項等の
改正規定
は、
車両
が入ってはならない
道路
の
部分
を
しま状
の
道路標示
で表示することができることとし、また、
踏切
、
横断歩道
または
交差点
において停止する場合の
停止位置
を表示する
停止線
を設けることができることとしようとするものであります。 また、第八条第一項、第二十二条第一項、第三十条、第四十四条、第四十五条第一項等の
改正規定
は、その
場所
に適用されている
交通
に関する
規制
の
内容
を
運転者等
に明確に示すため、
交通
の
規制
は
道路標識
または
道路標示
によることを
原則
とし、
道路標識等
がない場合は
法定
の
規則
に従うこととするなど、
道路標識等
の
活用
をはかることとしようとするものであります。 次に、
交通規制権限等
に関する
規定
の
整備
についてであります。 第五条第一項の
規定
は、
通行
の
禁止
のほか
駐車禁止等
の
規制
についても、期間の短い
交通
の
規制
を
都道府県公安委員会
が政令で定めるところにより
警察署長
に委任することができることとしようとするものであります。 第百十四条の三の
規定
は、
高速自動車国道
または
自動車専用道路
における
道路使用
の
許可等
の
警察署長
の
権限
については、
都道府県公安委員会
の定めるところにより、これらの
道路
における
交通警察
に関する事務を処理する警視以上の
警察官
に行なわせることができることとしようとするものであります。 第二条第二項、第百十条の二第三項から第七項まで等の
規定
は、
道路法
の
規定
に基づいて
道路
の
管理者
が
設置
した
車道中央線
、
車線境界線
、
車道外側線等
の
区画線
を
中央線
、
車両通行帯
、
路側帯等
を表示する
道路標示
とみなすこととするとともに、
車両通行帯
の
設置
、
法定
の
最高速度
をこえる
最高速度
の
指定等
現在も
道路
の
管理者
の
意見
を聞かなければならないこととされているもののほか、
通行
の
禁止
、
横断歩道
の
設置等
についても
道路
の
管理者
の
意見
を聞かなければならないこととし、さらに
高速自動車国道
または
自動車専用道路
における
通行
の
禁止
、
追い越し
の
禁止等
については
道路
の
管理者
に協議しなければならないこととする等
道路
の
管理者等
との
関係
について
規定
を
整備
しようとするものであります。 その四は、
交通方法等
に関する
規定
の
体系
の
整備
についてであります。 第一章から第三章まで、第四章第一節及び第四章の二につきましては、
交通方法
に関する
規定
の理解を容易にするため、全体の
体系
を
整備
し、
歩行者
及び
運転者
の
順守義務
に関する
規定
と
都道府県公安委員会等
の
交通規制権限
に関する
規定
とを分離して
規定
しようとするものであります。 これに関連して、第四条、第五条及び第六条の
規定
は、現在各条項に別々に
規定
されている
都道府県公安委員会
、
警察署長
及び
警察官等
の
交通
の
規制
に関する
権限
をそれぞれ
同一
の条文にまとめて
規定
しようとするものであります。 第二は、
運転者管理
のための
規定
の
整備
についてであります。 その一は、
運転者等
に対する
講習
に関する
規定
の
整備
についてであります。 第七十四条の二第七項、第九十八条第六項及び第百一条の三の
規定
は、
運転免許証
の更新を受けようとする者が
講習
を受けるようにつとめる
義務
、
指定自動車教習所
の
管理者
が
技能指導員等
に
講習
を受けさせる
義務
及び
自動車
の
使用者
が
安全運転管理者
に
講習
を受けさせる
義務
を新たに設けようとするものであります。 また、第百八条の二の
規定
は、これらの
講習
を新たに
都道府県公安委員会
が行なうこととするとともに、
都道府県公安委員会
が行なうこれらの
講習
の実施を
総理府令
で定める者に委託することができることとしようとするものであります。なお、
運転免許
の
停止等
の処分を受けた者に対する
講習
についても、
規定
を
整備
することとしております。 その二は、正しい
交通知識
の
徹底
をはかるための
規定
の
整備
についてであります。 第百八条の
規定
は、
道路
を
通行
する者が正しい
交通方法
を容易に理解することができるようにするため、
国家公安委員会
がわかりやすい表現を用いて
交通
の
方法
に関する
教則
を作成し、これを公表することとしようとするものであります。この
教則
の
内容
は、
法令
で定める
道路
の
交通
の
方法
のほか、
自動車
のエンジンの無用なからふかしをしないこと等
法令
に
規定
されている
事項
以外で
道路
を
通行
する者が励行することが望ましい
事項
及び
自動車等
の
構造
、
制動距離等
、
自動車等
の
運転
に必要な
知識
についても定めることとしております。 第九十七条の
改正規定
は、
法令試験
及び
構造試験
に分けて行なっている現在の
学科試験
を統合して、
自動車等
の
運転
に必要な
知識
の
試験
とし、その
試験
は
交通
の
方法
に関する
教則
の
内容
の
範囲
内で行なうこととしようとするものであります。なお、これに伴い、
運転免許試験
の一部
免除
を定める第九十九条第一項について
規定
の
整備
を行なうこととしております。 その三は、その他
運転免許
に関する
規定
の
整備
についてであります。 第八十五条第五項、第九十六条、第九十九条第一項等の
改正規定
は、
運転資格
の
適正化
をはかるため、
大型自動車免許
の
受験資格等
として必要な
自動車
の
運転
の
経験
から
小型特殊自動車
の
運転
の
経験
を除外するとともに、短期間の
外国旅行
中に
外国免許
を取得した者については
運転免許試験
の
免除
をしないこととするよう
規定
を
整備
しようとするものであります。 その四は、
事業所
における
安全運転管理
の
強化
に関する
規定
の
整備
についてであります。 第七十四条の二第五項及び第六項の
規定
は、
安全運転管理者
の処理すべき
事項
の
範囲
を明確にするため、これを
総理府令
で定めることとし、
安全運転管理者
を選任している
自動車
の
使用者
は
安全運転管理者
に対しその
事項
を処理するため必要な
権限
を与えなければならないこととしようとするものであります。 最後に、附則の
規定
についてであります。 第一条の
規定
は、この
法律
の
施行期日
について
規定
しようとするものであります。 第二条の
規定
は、
交通
の
規制
の
権限
に関する
規定
の
改正
、
違法駐車車両
に対する
措置
の
費用
の額に関する
規定
の
新設
及び
車両
総重量が十一トン以上の
大型自動車等
、一定の
大型自動車
の
運転資格
に関する
規定
の
改正
に伴い、必要な
経過措置
を設けようとするものであります。 第三条及び第四条の
規定
は、
道路交通法
の
駐車
に関する
規定
の
改正
により同法に現行の
自動車
の
保管場所
の
確保等
に関する
法律
の
内容
の一部が
規定
されることとなることに伴い、同法について必要な
改正
をし、これに伴う必要な
経過措置
を設けようとするものであります。 第五条の
規定
は、この
法律
の
施行
前にした行為に対する
罰則
の適用について、必要な
経過措置
を設けようとするものであります。 第六条の
規定
は、
消防法
、
公職選挙法
、
道路整備特別措置法等道路交通法
の
規定
を引用している
法律
について、
道路交通法
の
改正
に伴う所要の
改正
をしようとするものであります。 以上が、
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
のおもな
内容
であります。何とぞ、よろしく御審議をお願い申し上げます。
菅太郎
3
○
菅委員長
以上で
補足説明
は終わりました。 —————————————
菅太郎
4
○
菅委員長
これより
質疑
を行ないます。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
村田敬次郎
君。
村田敬次郎
5
○
村田委員
それでは私は、ただいま御
説明
のありました
道路交通法
の大
改正
につきまして御質問をいたしたいと思います。
道路交通
、
安全交通
の問題は、御
承知
のように、人と車と道という三つの要素からなる問題でございまして、御
承知
のように、車の
増加数
というものは、
昭和
三十五年が三百三十万台、
昭和
四十五年には一千八百六十万台という、わずか十年の間に五倍以上のいわば飛躍的な
増加
をしておるわけであります。また、
人口増
は徐々に行なわれ、同時にいわゆる
都市化
の現象というものが非常にはなはだしくなっておりまして、特に
東海道メガロポリス
の地域であるとか、そういったいわゆる
大都市
を中心にする
過密化
というものが非常に進行しておるわけでございます。したがいまして、車が飛躍的にふえ、
人口
はまた
都市化
に伴って
大都市周辺
に集中をしていくとなれば、それに対応するいわゆる
公共投資
の
状況
でございますけれども、これがなかなか追いつかないといったようなアンバランスのために、
交通事故死
というのは急速に
増加
をしております。
昭和
三十五年には一万二千人であったものが、十年後の四十五年には一万六千八百人となっております。さらに五年後の
昭和
五十年には二万人に達するであろうという見通しになっておるということでございます。 こうした
交通安全対策
の問題について、今般
道路交通法
を大
改正
いたしまして、これによって
相当程度
の効果をあげようという意欲はよくわかるわけであります。この
道路交通法
の
改正
につきましては、第一に
人間優先
が
徹底
しておるというのが大きな特徴だ。たとえば昨年あたりから東京などで
歩行者天国
が
実現
をいたしまして、通園、
通学道路
から
自動車
を締め出し、
歩行者
の自由を
確保
する試みが行なわれるようになったのでございますが、いずれも従来の
法律
の拡大解釈か、法的裏づけが弱いままで行なわれた。これがあらためて法的根拠が明文化されたわけでございまして、考え方ではなくて、法的にはっきり位置づけられたのは何としても大きな前進であろうと思います。 それからもう一つ、公共輸送
優先
の考え方が明示をされたということであります。これはバス
優先
レーンの採用がそれでございますが、東京では現在でも七路線三十六キロについて実施され好評だといわれておるわけでございまして、そういった性格からしてももっと推進してよいのではないかと思われるわけでございます。 こういったわけで、
道路交通法
の
改正
は、昨年の八月の飲酒
運転
の
禁止
、少年への反則金制度適用に始まりまして、昨年の暮れには
自動車
公害の
規制
が行なわれ、今回のこの
改正
案によって
歩行者天国
であるとか、
都市交通対策
であるとか、ドライバー教育等が加わって、法的な
整備
は一応これて相当
整備
をされてきたというふうに思われるわけでございますけれども、これで四十六年度を初年度とする
交通
安全五カ年計画に対処して、はたしてこの
道路交通法
の
改正
が
交通
戦争の有力な抑止力となるかどうか。道交法というものが
交通
事故
防止
に果たす役割りについては限界があるんじゃないかというふうにも思われるわけでございまして、まず大臣から、この
法律
によって
交通安全対策
というものがいかに推進されるか、それについての見通しを承りたいと思います。
荒木萬壽夫
6
○荒木国務大臣 大体、道交法は
昭和
三十五年に
制定
されまして以来たびたび
改正
をしてきておりますが、これは
都市化
の現象が急激に進んだり、経済、社会の情勢が変動するに従いましてそれに適応するための
改正
をしたのでありまして、従来たびたびの
改正
で、いま申し上げたような事情に即応するための
改正
をしたのでありますけれども、さらに今回、まあ抜けたところと申しますか、予想し得ざるいろいろな事情について、またさっきお触れになりましたような法の盲点とでも申すべきところを明確に定めたということによって、相当の効果をあげ得るも一のと存じます。
村田敬次郎
7
○
村田委員
先般三月の三十日に
中央
交通安全対策
会議
が
交通
安全の基本計画を発表したわけでございます。これはさきに成立をした
交通安全対策
基本法に基づいて陸、海、空の安全施策を集大成したというわけでございますが、五カ年間に
歩行者
死亡事故の半減を目ざしておるということで、非常にこれは政府としては意欲的な計画だと思うわけでございます。 ところで、この予算でございますが、この予算について五千三百五十億円というものが一応計上をせられておる。この予算要求については、実はこの倍額程度の予算要求をして
交通
事故の半減を目ざしたのであるけれども、予算のほうがむしろ半減をいたしまして、これではたして
交通
事故が半減するかどうかということを心配するわけでございますが、この
交通
安全基本計画、そういったものによって今後の施策というものが万全を期すると考えておられるか、まずそれをお伺いしたいと思います。
荒木萬壽夫
8
○荒木国務大臣 当初の計画は、警察独自の立場で、
自動車
新税などの財源に期待して策定したものでございますが、現段階では、当初計画の規模に見合うだけの新規財源の
措置
を講ずることが困難となりまして、御指摘のように、遺憾ながら計画規模を縮小せざるを得なかったものでございます。しかしながら、
交通安全対策
の必要性にかんがみまして、財政事情の許す
範囲
内においてできる限りの規模の拡大につとめました結果、補助事業では六百八十億円、地方単独事業では九百二十億円、合計一千六百億円と閣議了解されました。これは三カ年計画の事業規模に比較しまして三・五倍に拡大されておりまして、事業
内容
においても
交通
管制センター二十八
都市
、
交通
事故
防止
に直結する信号機、
道路標識
、
道路標示
の
設置等
につきましては、当初計画の七〇%程度は見込まれておることになっております。したがって、本計画と並行して行なわれます
道路
管理者
側の五カ年計画による
歩道
等の
整備
や
交通
取り締まり、
運転者
教育等の諸施策と相まちまして、弱い立場にある
歩行者
に関する事故につきましては、大体半減を目標として努力してまいる所存であります。遺憾ながら、車対車の事故
防止
については、所期の計画よりいささか下回ることはやむを得ないかと存じております。
村田敬次郎
9
○
村田委員
ただいま申し上げましたこの
交通
安全基本計画については、いままで各省各庁で取りまとめられたいわばその施策をぐあいよく羅列をしたものという批判もあるわけであります。確かに総合的な施策としては、陸上、海上、航空の名分野にわたって一応の計画は網羅をされたわけでございますけれども、言うならば、この計画が発表せられましたときの新聞論調等にも見られますように、いわゆる狭小過密な国土において今後ますます大型化し、高速化し、そして多様化をしていく船舶や航空機の問題あるいは
自動車
交通
の問題、そういったものを前提として考えていきますと、そういった従来の施策の単なる集約、整理だけでは根本的には
交通
安全策というものの解決はつかないのではないか。 そういった意味で、先ほど申し上げました
道路交通法
の
改正
とも関連をするわけでございますが、一つ一つは確かに十分検討をされておっても、
交通
体系
の
構造
的な変化を把握してかかるのでなければ、いわゆる前向きの施策とならないのではないかという批判が、これは一般的にあるわけでございます。そういったものに対して
構造
的に、立体的に対処する姿勢というものを大臣はどういうふうに考えておられるか、さらにお伺いいたします。
荒木萬壽夫
10
○荒木国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
後藤田正晴
11
○
後藤田政府委員
おっしゃるように、まさに今日の
交通
事情を考えますと、単なる当面の
措置
だけで十分であるとは考えられません。そこで、政府といたしましては、全体の
交通
の
体系
をどのように考えていくかということで、現在
交通
の総合対策を、経済企画庁が中心となりまして、
関係
省庁から人を出して、そこで鋭意検討をしておるような次第でございます。 そこで、やはりそうした場合には、たとえば
昭和
六十年なら六十年というのを一つの目安に置きまして、そのときにおけるわが国の総合的な
交通
総需要がどのようになるか、その総合的な
交通
需要を海、空、陸、陸の中には
自動車
、鉄道、こういった機関別に分けて、その機関別がどのようにそれを担当するか、さらにはまた、全国的な輸送はどういう機関にどのようにやらせて、総需要がどうなるか、地域別にはどのようになるかといったような観点から、全体の
交通
政策の見通しを立てることになっていくかと思います。その上で、積極的な諸般の施策を進められることは当然でございます。 私どもは、警察の立場というものは、マイナス行政といいますか、消極行政でございます。そこで、私どもの立場の希望は、こういった積極行政を進める場合にとかく忘れられがちなのはそういった積極的な行政を進める際に不可避的に生ずる社会的なマイナス面、これをどのように埋めるのか、これが忘れられがちであったのは否定し得ない現実だと私は思います。 そこで、今回の総合
交通
政策の中には、そういった場合の社会的な
費用
、当然避けてはならないマイナス面を埋めるための社会的
費用
をどのように見積もって、それをどのような財源で考えていくか、こういうことを当然中に入れてもらいたいということで、私どもも、その政府の中の総合対策
委員会
に入って現在計画を練っておるところでございますが、具体的
内容
については相当時間がかかろうか、かように考えます。
村田敬次郎
12
○
村田委員
当然、後藤田長官がおっしゃいますように、こういった総合的な
交通
対策というものは、経済企画庁がいわば幹事役になって政府全体の取りまとめをしていかれるというのは、私は非常にポイントを得ておると思うのです。言うなれば、三月三十日に発表された
交通
安全基本計画というものはその母体をなすものであって、これにもっともっと大きく前向きにプラスアルファをされていくのだ、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
後藤田正晴
13
○
後藤田政府委員
さような運びに相なっていくことを私も一期待しております。
村田敬次郎
14
○
村田委員
ところで、この
交通
安全基本計画の予算でございますが、先ほど私もちょっと触れましたが、
交通
安全施設等
整備
事業五カ年計画におきましては、これは
昭和
四十六年の二月十二日の閣議了解でございますが、いわゆる特定
交通
安全施設等の
整備
事業の規模を二千九百三十億円とする、それから地方単独
交通
安全施設等
整備
事業の規模を二千四百二十億円とする、したがいまして、四十六年度以降五カ年間の施策の合計が
交通
安全施設等
整備
事業五カ年計画では五千三百五十億円というふうに伺っております。警察庁の所管に属するものはそのうちの千六百億円であるかと
承知
するのでございますが、これのみでその基本計画の五カ年の経費は足れりとしておるのでございますか。あるいは、これ以外に何かまだプラスアルファされるものがあるということでございますか。
後藤田正晴
15
○
後藤田政府委員
私どもは、現状では千六百億の予算でやってまいる、かように考えております。ただ、
交通
の事情は、急激に予測し得ざる変化を来たしておるのが過去の
経験
だと思います。したがって、そういう事態になれば、その段階で考えるということもあり得ると思っております。
村田敬次郎
16
○
村田委員
きょうは
内閣総理大臣官
房の
交通安全対策
室長の須藤さんがおいでになっておられると思いますが、いま
警察庁長官
のほうから警察庁
関係
の千六百億についてのお見通しがあったわけでございますが、それ以外の総合的な経費を含めてどういうふうにお考えになりますか、伺いたいと思います。
須藤博忠
17
○須藤政府委員 お答えいたします。
都道府県公安委員会
関係
の
交通
安全施設の
整備
事業五カ年計画につきましては、先ほど警察庁のほうから御答弁があったとおりでございますし、それ以外にも、同じ二月十二日の閣議におきまして、
道路
管理者
分のほうがやはり二千二百五十億円、それからさらに地方単独事業につきまして
道路
管理者
分が約千五百億円というふうに見込まれておるわけでございます。 これ以外に
交通
安全基本計画のもとをなします具体的な裏づけといたしましては、
踏切
道の改良促進という問題があるわけでございます。お手元に、きょうお配りをいたしましたが、去る二月八日に、
交通
対策本部決定といたしまして、
踏切
事故
防止
総合対策というものを決定いたしております。これは四十六年度を初年度といたします向こう五年間にわたります
踏切
事故の
防止
についての総合対策の方針を決定いたしたものでございます。 ただ、
踏切
事故
防止
につきましての五カ年間分の予算につきましては、まだ決定的にきまっておるということではないのでございますが、四十六年度の予算におきましては、お手元に
昭和
四十六年度陸上
交通安全対策
関係
予算調書という資料をお配りいたしてございますが、この資料の二枚目に、
踏切
保安設備の
整備
、運輸省
関係
、それから次に
踏切
道の立体交差化等、これは建設省
関係
の予算というものがいずれも計上されておるわけでございます。
踏切
道の
関係
につきましては、まだ五カ年間の予算規模というものは決定するには至っておりませんが、今次国会におきまして
踏切
道改良促進法というものが、やはり総合
防止
対策と歩調を合わせまして、
昭和
四十六年度から向こう五年間延長されるということになったわけでございまして、これに基づいてやはり今後財源
措置
がなされるというふうに考えておる次第でございます。
村田敬次郎
18
○
村田委員
須藤室長の
説明
を了承したわけですけれども、つまり
交通
安全施設等
整備
事業五カ年計画の五千三百五十億円、さらに
踏切
道
関係
の経費等があるわけでございますが、これは
交通安全対策
の推進に応じて、さらに総理府として予算等については、必要な
部分
は今後もこれを
増加
していくということになるだろうと思うのですが、その点の見通しはいかがですか。
須藤博忠
19
○須藤政府委員 われわれとしてもできるだけ
交通
関係
の予算の増額につきましては、
関係
省庁とも十分相談の上、努力してまいりたいというふうに考えております。
村田敬次郎
20
○
村田委員
私はきょう
沖繩
関係
の質問をいたしたいと思っておるのでございますが、その前提としてちょっとお伺いしておきたいのです。 新
道路交通
条約及び標識信号条約といったようなものがあるということを承っております。これはどのようなもので、これに対して加入する方針、そういったものについて政府はどういうふうにお考えになっておりますか。
後藤田正晴
21
○
後藤田政府委員
現在ございます条約は、一九四九年にジュネーブで作成されました
道路
条約と
道路標識
及び信号に関する議定書、これでございます。ところで、その後、世界各国とも
交通
事情がたいへん変わってまいりましたので、一九六八年、ウイーンで国連の
会議
がございまして、そこで現行条約に全面的な
改正
を加えるということで、新しい
道路交通
条約と新しい
道路標識
及び信号に関する条約、これが作成をせられました。
内容
は、要するに、
道路
条約のほうは
交通
ルール、それから
車両
の
構造
、
装置
に関する統一をはかるための
規定
、それから国際的に通用する国際
運転免許証
に関する
規定
、こういうものが
内容
になっておるのですが、現行条約との違いは、
交通
ルールに関する
部分
が非常に具体的になっておるということが大きな特色でございます。それから
道路標識
及び信号に関する議定書のほうは、今度条約になるわけですが、これはやはり
道路
の標示とか標識とか信号機、こういうものの様式、それからその意味合い、これを国際的に統一する必要がある、こういった
内容
に相なっております。 現行条約にはわが国は加盟をいたしております。そこで、新しい条約のほうですが、これについては各国ともまだほとんど批准をいたしておりません。わが国もこれにはまだ入っておりません。しかし、国際
交通
の現状にかんがみまして、私どもとしては——この新しい条約の
内容
、それから標識等の意味合いなんかが、現在日本のやり方というものは、そういった国際的なものとそう大きく違いはございません。もちろん右、左
通行区分
なんかは、国によって違いますからありますけれども、おおむね変わってない。したがって、私どもとしては、この条約には入って、そして対処してまいりたい、現在こういう考えでおります。
村田敬次郎
22
○
村田委員
私は先般
沖繩
に衆議院から議員団として派遣をされまして、
沖繩
の現地を視察してまいりまして、復帰対策等について研究をさせていただいたのでございますが、その際に、いま長官がちょっとお触れになりました
道路
の
右側
通行
、左側
通行
の問題に私どもは当面をしたのでございます。
沖繩
復帰対策要綱の第一次分、これは四十五年の十一月二十日の閣議決定でございますが、この五によりますれば、「
交通
・通信」の欄に、「
道路
の
通行区分
」といたしまして、「
沖繩
における
車両
および
歩行者
の
通行区分
は、復帰後も一定期間、現状どおり(
車両
は右、
歩行者
は左)とする。」こうなっておるのでございますが、この意味はどういう意味でございますか、まずそれからお伺いしたいと思います。
片岡誠
23
○片岡政府委員 その意味は、先生も御
承知
のとおり、現在
沖繩
では
車両
は右、
歩行者
は左という
通行区分
になってございます。
沖繩
復帰後も一定期間
沖繩
の現状どおりとして、一定期間経過後内地と同じような
通行区分
にいたしたい、こういう趣旨だろうと思います。
村田敬次郎
24
○
村田委員
復帰後も一定期間現状どおりということは、いま局長の御
説明
で了解したわけでございますが、そういたしますと、一定期間置いた後に、
車両
は左、
歩行者
は右という内地並みの
通行
に変わるという意味でございますか。
片岡誠
25
○片岡政府委員 そのようでございます。
村田敬次郎
26
○
村田委員
この一定期間というのは、大体何年くらいとお考えになっておるわけですか。
片岡誠
27
○片岡政府委員 大体私どもは三年くらいを当初考えております。復帰後、現地の
交通
の
状況
あるいは現地の方々の要望、
意見
というものを十分勘案をいたしまして、慎重に対処していきたい、このように考えております。
村田敬次郎
28
○
村田委員
沖繩
に参りまして、実は私この問題に非常に興味を持ちましたので、タクシーに自分で乗ってみて、タクシーの
運転
手の
意見
も聞いてみました。そうしたら、
右側
通行
から左側
通行
に変えるなんということはできることではない、第一われわれが一々全部車を買いかえなければならぬことはたいへんなことだ、そんなことをやってもらっては困る、悪いことまで内地と同じに変えなくてもけっこうなんですということを、その
運転
手は申しております。そのことばを要約すれば、いわゆる
沖繩
の本土化ということが日本国民の願望でございますが、
交通
の左側、
右側
の
方法
に限っては本土の
沖繩
化ということのほうがむしろ合理的なんじゃないかという意味のようでございます。
沖繩
の
交通
の事故件数というものを見てみますと、日本の内地よりも一般的に少ないというふうに私どもは聞いておるのでございますが、その点はいかがでございますか。
片岡誠
29
○片岡政府委員
沖繩
の死者につきましては、大体本土並みだと思いますけれども、負傷者の数は大体二分の一くらいのようでございます。
村田敬次郎
30
○
村田委員
現在、御
承知
のように、世界で車の
右側
通行
をやっておる国のほうが多いわけであります。御
承知
のように、ヨーロッパ大陸は全部
右側
通行
でございますし、あるいはアメリカもそうですし、中共、韓国も車の
右側
通行
ということを聞いておりまして、むしろ
車両
の左側
通行
をしておる国は、日本、それからイギリス、オーストラリアあるいはケニア、ネパール、パキスタン、インドといったような、いわゆる日本と旧英国の属領といったところが中心であるというふうに聞いておりまして、最近の例ではヨーロッパのスウェーデンが、御
承知
のように、一九六七年に左側
通行
から
右側
通行
に切りかえたわけであります。これは資料によりますと、一九二七年から実に四十年間にわたる検討をしてきたわけでございますが、その間非常な検討を要し、そしてついに一九六一年には北欧協議会及びヨーロッパ協議会の諮問
会議
等において、ヨーロッパにおける
道路
についての統一ルールの重要性を強調するということになり、スウェーデンとしてはついに一九六〇年の十二月に国家
道路
庁の副長官が
交通
省の要請に従って
通行方法
の
改正
、所要の経費の検討を始めた、その間に国会のほうは本件をできる限りすみやかに解決するように表決をしたということで、いろいろな準備の結果、
右側
通行
に踏み切ったわけでございます。こういたしましてスウェーデンは、ヨーロッパにおける残された唯一の
車両
の左側運行の国であったのでございますが、
右側
通行
に切りかえた。そして
右側
通行
に切りかえた後の結果はどうかと申しますと、一九六六年の死者が千三百十三人、切りかえ後の一九六八年の死者が千百三十三人であって、実に約一四%の死者の減を見ておるのであります。これは何といっても、現在のように
車両
の
増加
する趨勢からいえば非常に画期的なことである。したがって、
車両
の
右側
通行
に伴ってこういうふうに変わったものかどうかという問題について、もちろんすぐイコールであるといえるかどうかは別といたしましても、
右側
通行
が世界の大勢であるといったような
状況
からすれば、わざわざ
沖繩
が現在
右側
通行
をやっておるのを左側
通行
に切りかえる必要があるかどうか。そういった問題について、これは大臣の御
意見
をちょっと承っておきたいと思います。
荒木萬壽夫
31
○荒木国務大臣 本土における
通行方法
を切りかえる考えはございません。もともと
通行方法
はルールの取りきめで、習慣の問題にすぎないと思います。海を隔てて孤立するわが国のような島国にありましては、切りかえに伴う膨大な
費用
の処置や混乱を来たしこそすれ、何の実益もないものと一応考えます。
村田敬次郎
32
○
村田委員
現在の段階でおっしゃる大臣の答弁としては、そう言わざるを得ないのかもしれませんが、現在のように、ジャンボが就航し、またコンコルドが飛び、世界がますます狭くなっていくというときになりますと、国際
交通
ということもいよいよ活発化するということははっきりわかることでございますし、また世界各国の
交通
のルールの統一化といったようなことから、国々によって違う
道路交通
規則
、そうしたことによって引き起こされる
交通
事故、そういったものを
防止
しなければいけないといった見地から、先ほど私が御質問いたしました国連のいわゆる
道路交通
に関する条約、
道路標識
及び信号に関する条約等の作成といったようなこともあると思うのです。したがって、たとえばイギリスはドーバー海峡を隔ててヨーロッパと接しておるわけでございますから、もしドーバー海峡を海底トンネルでつなぐというような事態、これはすぐ目の前に考えられることなので、そうすれば、スウェーデンが結局
右側
通行
に踏み切らざるを得なかったような理由で、イギリスもおそらく
右側
通行
に変わるのは時間の問題ではないかと思うのです。そうなれば、アジア大陸でも中国が
右側
通行
であり、韓国が
右側
通行
であるという現実から申しますれば、いわゆるアジア・ハイウェーというようなものが将来できるとすれば、それは当然
右側
通行
になるであろう。そうすると、日本だけが島国だから取り残されて、左側
通行
でいいというような、国際情勢の現実から遊離したようなことが許されるかどうか。これは私は大臣の将来を見る目という意味でのお答えを要求したいのです。きょうの施策の問題ではありません。
荒木萬壽夫
33
○荒木国務大臣 お示しのような世界の大勢と申しますか、それがそういうふうになりました暁においてどうするかということは話が別かと思います。本土全体が現行制度のもとに動いておる。
沖繩
復帰に備えて本土をむしろ
沖繩
並みに変えるということは、あまりにも犠牲が大き過ぎて時期的にはいかがか。将来の問題としては検討を要することかと思いますが、一応先刻お答えしたように思います。
村田敬次郎
34
○
村田委員
私はこの問題は、将来を見通す目という意味で問題を提起しておきたかったのです。したがいまして、いますぐに日本全国を
右側
通行
にするという問題は、もちろん行政の最高責任者としてそういったことがお答えできないことはわかっておりますけれども、世界的な情勢からいえば、むしろジャーナリズム等の指摘をするのは、
道路
の
車両
は
右側
通行
というのが国際的な趨勢なんだ。したがって、それに対応することも、やはり革新といったような立場でお考えにならなければならない時期が来ておるのではないかということを申し上げたかったわけです。 さて、
沖繩
問題に返りますが、先ほど
交通
局長の御答弁で、三カ年くらいでひとつ左側
通行
、本土並みに切りかえたいというお考えが示されたわけでございますが、これにつきましては、当然三年たてば内地並みになるということであれば、先ほども述べた、たとえば
車両
の形態にいたしましても、私の乗せていただいた
沖繩
のタクシーの
運転
手さんが言ったように、形態も変わってまいりますし、それからいわゆるつけかえの
費用
、いろいろな問題でたくさん
費用
が要ってくると思うのでございます。そういった
費用
についてどのくらいかかると思っておられるか、またその
費用
をどういうふうに処置されるおつもりであるか、それを伺っておきたいと思います。
岡部秀一
35
○岡部(秀)政府委員
通行区分
を切りかえるということになりまして大きな問題になります点は、ハスの入り口を切りかえなくてはならないという問題が最も大きな問題の一つです。それから標識を変えていく問題、それからインターチェンジの問題こういうふうな大きな問題があるわけでございます。先ほど警察庁のほうからも御答弁がありましたが、大体三年を目途といたしまして、その間に準備期間を置きまして、本土と同じように切りかえをいたしてまいりたいと思っておりますが、それにつきまして、まずバスが約八百台ほどございます。八百台ほどのバス、これが一斉に切りかえをやる、こういうことになると思いますが、そうすると、その前にバスの入り口を変えるということができればいいのですが、なかなかできない。それから、両側にバスの出入り口を設ける。これは、
沖繩
のバスはワンマンバスでございますので、両方に出入り口を設けておくというわけにもいかないという問題があるわけです。そこで、それじゃ左側に出入り口をつけて、しばらくの間安全地帯を置いて、そこで左からおりさせるということをやるということも考えられておりますが、いろいろ考えなくてはならぬと思いますが、いずれにいたしましても、切りかえるということになると、八百台のバスを、新車一台四百万円といたしますると、三十二億円という
費用
がかかるという問題があるわけであります。そのほか、標識の問題等、いろいろありますが、これらの問題につきましては、対策庁といたしましては、
原則
的な考え方としては、できるだけこの切りかえによって地元民に負担をかけないで切りかえていきたいという考え方で進んでいきたいと思うのですが、それにつきましては、
関係
省庁と今後この問題を十分に詰めていきたいという方途でおりまして、いまのところまだそれをどういうふうにするかという具体策までは至っておらないということですが、考え方の根本といたしましては、以上のようなやり方でいきたいと思っております。
村田敬次郎
36
○
村田委員
大事な問題ですから、もう一回確認します。 いま例として、バスの入り口のつけかえとかインターチェンジとかおっしゃられたのですが、おそらくこれは全般的に内地並みにするということになれば、信号機のつけかえにせよ、あるいは
道路
の標識にせよ、一般に
交通
安全施設といわれるもの全部を変えなければいけないわけですから、相当な経費が要ると思うわけです。これは、いまの御答弁では、住民の負担にはならないように
措置
をするというふうに了解してよろしゅうございますね。
岡部秀一
37
○岡部(秀)政府委員 なるべくそういう考え方をモットーとしていきたいと思っております。
村田敬次郎
38
○
村田委員
これは大事なことなんで、なるべくでは困るのですが、なるべくですか。
岡部秀一
39
○岡部(秀)政府委員 個々的に詰めなくてはわかりませんけれども、考え方としてはそういう考え方でいきたいと思っております。いろいろ問題が出てくると思います。
村田敬次郎
40
○
村田委員
そういたしますと、長官の御答弁は、なるべくだけではなくて、全般的に個人の負担にはならないように考えてやろうというあたたかいお気持ちだ。そういたしますと、市町村の経費もかかる。おそらく復帰をいたしますれば、
沖繩
県ということになると思いますが、そういう県や市町村の経費につきましては、どういうふうに
措置
をするお考えでございますか。いまちょうど自治省の長野財政局長がおいでになっておられますから、承りたいと思います。
長野士郎
41
○長野政府委員 いまの
交通
関係
の右左が変わってくるというようなことは、
原則
としては
沖繩
復帰に伴う問題でございます。したがいまして、そのために要する経費というものにつきましては、先ほどは住民に負担がかからないようにというお話でございましたが、私どもといたしましては、やはり地方団体にも負担がかからないようにすべきである、これは当然国の責任において
措置
をするものであるというふうに考えております。
村田敬次郎
42
○
村田委員
後藤田長官、そうなりますと、もっばら警察庁のほうでとっていただく経費が多かろうと思いますが、その辺のお見通しはいかがでしょうか。
後藤田正晴
43
○
後藤田政府委員
趣旨としては、長野財政局長それから
沖繩
・
北方対策
庁長官
の言ったようなことが筋道だと思います。私の立場としては、できるだけそういう筋道に沿って主張をいたしたいが、いろいろ困難な事情もあろうかと思います。
村田敬次郎
44
○
村田委員
それから、この際承っておきたいと存じますが、やはり
沖繩
に参りましたときに非常に問題になったことでございます。と申しますのは、現在返還交渉が急激に順調に進んでおって、五月には調印されるというふうにも聞き及んでいるわけでございますけれども、
沖繩
におきましては、御
承知
のように、
道路
の
管理者
は米軍、琉球政府、市町村というふうに分かれておるわけでございます。特に米軍管理の軍
道路
は、
沖繩
における幹線
道路
の大半を占めております。これは、私、実態を視察いたしましたとき、バスで移動をいたしましたが、軍
道路
を通ることはきわめて多いわけでございます。これらの
道路
の延長は百十キロメートル以上にも及ぶというふうにも聞いておりまして、この軍
道路
の所属というものが一番大きな問題であろうと思います。また、
交通安全対策
にとっても大きな問題だと思うのでございますが、この軍
道路
の管理権が本土に復帰した場合に一体どういうふうになるか、これは非常に重要な政治問題だと思いますので、これについて、返還交渉の現在の時点で、どういうふうになっておるかをお答えいただきたいと思います。
岡部秀一
45
○岡部(秀)政府委員 直接私のところでやっておりませんので、詳しくはわかりませんが、大蔵省及び外務省筋から漏れ聞いたところによりますと、軍
道路
とそれから軍営繕
道路
と二種類あるのですが、この二つにつきまして、資産の買い取りという交渉を現在向こうさんとやっておるという
状況
を聞いております。それが具体的にどの程度進捗いたしておりますかどうかは心得てはおりませんが、返還協定がきまるまでには目安がつくのじゃないか。返還になりました後、これらの軍
道路
をどのようにするかということにつきましては、それのどのくらいになりますか、約半分くらいはおそらく国道になるんじゃないかと思っております。あとは県道、市町村道にもなるものがあると思いますが、そのように区分けをいたしていきまして、国、県、市町村それぞれで管理をしていくという形態になっていくと思います。
村田敬次郎
46
○
村田委員
そういたしますと、いま岡部長官がお答えになりましたように、大体内地の
道路
管理区分に応じて、国それから県、市町村の管理区分で今後はやっていくようにしていくんだということでございますね。
岡部秀一
47
○岡部(秀)政府委員 そのとおりでございます。
村田敬次郎
48
○
村田委員
資産の買い取り問題これは非常に重要なんでございますが、有償であるという
原則
が決定したのでございますか。
岡部秀一
49
○岡部(秀)政府委員 その点もまだ決定はいたしておりません。決定をいたしておりませんというか、進行
状況
を詳しくは私のところでは存じません。
村田敬次郎
50
○
村田委員
沖繩
の
道路
の
右側
通行
が左側
通行
に切りかわるのに伴いまして、これを三カ年間で大体やっていきたい。その経費については個人の負担にならないようにひとつ国でめんどうを見ていくという
原則
でやっていくんだということで、自治体の負担にもならないようにしていくという
原則
を確認させていただいたわけですが、さらにそのつけかえ、いわゆる
道路
の
通行区分
の変化に伴って行政指導の面はどういうふうにやっていかれるおつもりであるか、それを具体的に承りたいと思います。
岡部秀一
51
○岡部(秀)政府委員 それは本土の場合と同じように、県警本部を中心として、県及び市町村その他
交通
安全協会等あるいは学校等を通じまして、啓蒙宣伝をして、事故のないようにいたしてまいりたいと思っております。
村田敬次郎
52
○
村田委員
その場合に、
沖繩
の
交通
事故というのは、いま内地より少ないのですから、
右側
から左側に切りかえることによってふえたということになると、これはたいへんなことになるので、そういうことは絶対ないようにしていただきたいと思いますが、それについての覚悟を承っておきたいと思います。
岡部秀一
53
○岡部(秀)政府委員 これは非常にむずかしくて、おそらく事故はふえてくるのではないかと思うのです。というのは、現状を見てまいりますと、取り締まりを非常にシビアにやっておりますし、軍
関係
のほうがパトロールをやったりあるいはガードマンを配置したり、本土よりは非常に厳格ですし、それから琉警の取り締まりも非常にシビアにやっておる。割り込み、
追い越し
等の
違反
、スピード
違反
等ないのを見ると、これはまさにそういう点から取り締まりが非常に
徹底
しておると思うのです。将来、この軍のほうがどういうふうになりますか、その方面の取り締まり等が全然なくなったということになると、そういう取り締まりの人員体制の面でも非常に手薄になってくる。これをどうしていくかという問題等いろいろ山積いたしまして、復帰したときに警察庁並びに琉警、特に警察庁の
交通安全対策
の御指導を私たちのほうからお願いいたしたいと思っております。私たちも万全を期して、ひとつ事故が多くなるというふうなことのないようにいたしたいと思っております。
村田敬次郎
54
○
村田委員
いまの岡部長官の御発言、たいへん気になります。事故がふえていくようになるのではないかとおっしゃったのですか。そうであるとすれば、いまのアメリカ軍がやっておれば事故が少なくて、日本の警察がやったなら事故が多くなるだろうということになりませんか。
岡部秀一
55
○岡部(秀)政府委員 そういう意味を申し上げておるのではございません。これ、何といいましても
交通
の取り締まりは、
警察官
が多く出動しておる、この数が非常に大きな事故
違反
や事故のないところに通じますので、そういう意味を申し上げておりまして、質的なことを申し上げたのではございません。
警察官
がただ漫然と
道路
を歩いているだけでも事故は違うと私は思います。
村田敬次郎
56
○
村田委員
そうであれば、日本に移管になりましてから、アメリカ軍がやっていたよりもさらに能力の優秀な日本の
警察官
によってその
交通
事故を減らすような
方向
にぜひ努力をしていただきたいと思うわけですが、長官、いかがでございましょう。
後藤田正晴
57
○
後藤田政府委員
沖繩
の
交通
事故の現状は、日本より少ないのは事実です。その理由は、いま岡部君がお答えしたように、取り締まりが非常にきついということも一つの原因であろうと思います。しかし、根本は、車が少ないのです。内地と車の
混雑
の度合いが違う、私はそういうことだと思います。移管に伴って、
右側
の車の
通行
を左に変えるから事故がふえるなんということは、これは私は考えられない。左右の
通行
ということは、これは習慣の問題であって、
交通
工学的に見ても、そういうデータは一切学問的にこれは出ておりません。したがって、先ほど来の御
意見
もいろいろございましたけれども、欧州大陸と日本は根本的に違うということ。したがって、あなたが御質問になったようなことを想定すれば、世界的条約でもできればまた別として、日本のこの
交通
のルールをいま変えるなんということは私は全く考えていないわけです。 そこで、
沖繩
の復帰に伴って
通行方法
を変える、これはまさにメリットが非常に少ないことなんですね。だから、それは
沖繩
の方にはほんとうに気の毒だと私は思います。しかし、それは今日
道路
条約の中を見ても、一国の中で
通行方法
は統一しなければならぬということははっきり明示せられておる。また
道路交通法
の性格から見て、一国の中で、
沖繩
が復帰すれば、猶予期間は別として、当然私は小は大についていっていただかなければならぬことはやむを得ないのではないかという考え方です。 そこで、今度は切りかえの際に事故がふえるかふえないか。私は切りかえによって事故がふえるなんということは全然考えていない。ただ、その過渡期においてはよほど気をつけなければならぬ。これはふえるかもしれぬ。しかし、それが落ちつけば全く同じことである。 同時に、今度は
沖繩
の一般の
交通
情勢ですが、車がふえるだろう、それから米軍も従来とは変わってくるだろうといったようなことを考えると、警察としてはやはり
交通
事故の抑制について当然全力をあげてやらなければならぬ。私どもをしては全力をあげて
沖繩
警察を支援してまいりたい、かように考えております。
村田敬次郎
58
○
村田委員
いまの後藤田長官の御答弁はよく了解をいたします。事故数は、琉球政府の統計によりますと、
自動車
千台当たりの死者数が一九六二年には
沖繩
が二・七人です。それから日本が四・六人だ。やはり日本が非常に多い。それから六七年の統計では日本が一・七人で
沖繩
が一・二人ということで、やはり日本のほうが相当多いということになっておるわけでございます。
右側
通行
がはたしてほんとうの意味で
交通安全対策
にプラスになるかならないかという問題は、確かに統計上車の
右側
通行
のほうが
交通
事故が少ないのだというデータはなかなか出ないと思います。したがいまして、私が先ほど荒木
国家公安委員
長に御質問をいたしましたのは、ヨーロッパあるいはアメリカそれからアジア大陸等の趨勢が
右側
通行
であるから、近い将来に国際条約その他の点でそういうことになるかもしれない。そういうことについての考え方を承ったわけでございまして、現在の日本の
状況
で直ちに
右側
通行
云々という問題が出てこないということはよく
承知
をいたしております。
沖繩
の問題につきましては、左側
通行
に切りかわるのについて、先ほど来御要望申し上げておりますように、住民の方々それから
沖繩
の市町村あるいは
沖繩
県に対して、それが財政負担にならないようにひとつ十分政府として
措置
を願いたいということを御要望申し上げておきます。 それから、せんだって新聞に大きく出ておったのでございますが、高速
道路
における警察体制の
整備
方針といった問題、これにつきましては、まだ国会の
委員会
で質問されるのは初めてであると存じますので、ひとつぜひ承っておきたいのでございます。 今後は高速
道路
が非常にふえてまいります。そういたしますと、高速
道路
における警察区分というものが、いままでのような愛知県警察であるとか三重県警察であるとか、各県ごとに区分をされた警察体制では十分ではない。これは言うまでもないことであります。そういった場合に、いわば警察の広域行政と申しますか広域パトロールと申しますか、そういった体制が当然必要になってくると思うのでございますが、その高速
道路
についての警察体制の
整備
方針の問題。 それから日本の高速
道路
にはいわゆる休憩所が非常に少ないのじゃないかと思うのです。ヨーロッパの高速
道路
、アウトバーンを走ってみればすぐわかることでございますが、そういったヨーロッパの
道路
行政に比べて
交通
事故対策が十分でないのではないかと思うのでございますが、それについての所見もあわせてお伺いをしたいと思います。
片岡誠
59
○片岡政府委員 高速
道路
におきます警察体制におきましては、今年四月一日から次のような
措置
をとることといたしました。 まず第一に、高速
道路
を管轄する警視庁それから都道府県警察本部の
交通
部に高速
道路
警察隊を設けて、要員とか装備、器材の充実をはかることとした。 第二に、高速
道路
における警察活動の運営の広域的あるいは一体的な
確保
をはかることが必要でございますので、
関係
都道府県相互間の協力援助あるいは連絡調整が十分に行なえるようにいたしますとともに、府県警察が相互に
権限
を行使できる
範囲
を従来の二十キロメートルから五十キロメートルに広げました。 それから第三としましては、やはり高速
道路
におきます警察活動は都道府県警察が単位であるということは大前提でございますけれども、その間の一体的な運用が十分はかれますように、警察庁さらに管区警察局の指導体制を
強化
していく。そうして管区警察局に高速
道路
管理官という職を置きまして、その管理官が各府県高速
道路
警察隊との連絡調整、あるいは場合によりましては指示をすることによりまして、一体的な運営をはかれるようにした。 なお同時に、その高速
道路
におきます警察活動に必要な経費を国費支弁とすることによりまして、活動の
強化
をはかっていく、そういう
措置
をとりました。
村田敬次郎
60
○
村田委員
休憩所の問題はいかがですか。
宮繁護
61
○
宮繁
説明
員 高速
自動車
道路
におきますドライバーの休憩
場所
としての設備が少ないというお話がございました。ちょっといま手元に数字がございませんけれども、一応何キロに一カ所という基準を設けて
設置
しているはずでございますけれども、いま御指摘のように、諸外国の例等もお話ございましたが、やはり安全で快適な
運転
をさせるために、特にりっぱなものというよりも、適当なものをこれからも数をかなりふやしていく考えでおります。
村田敬次郎
62
○
村田委員
まだたくさんお聞きしたいことがあるのですけれども、時間がきてしまったので、きょうはもう一問か二問しかできないと思いますが、この
法律案
をお出しになるときに、非常に問題になったと思うのですが、路上練習の
義務
化及び指定教習員制度の
新設
については、警察庁では検討中だったというふうに聞いておるわけでございますけれども、このたびの
道路交通法
の
改正
に盛り込まれていないというのはどういうわけでございますか。
片岡誠
63
○片岡政府委員 路上練習を
強化
する、
義務
化する。それから路上
試験
をやっていくということにつきまして、私ども案を考えたわけでございますけれども、その案の中に、そういう路上練習を
義務
化する場合に、練習を指導する人を十分に
確保
する必要があるのではないかということで、個人の指定路上教習員制度というものを盛り込んで案を検討いたしております。ただ、その案を
関係
向き、第一線あるいは
関係
方面にはかっております過程で、個人の指定教習員制度をつくると、それが将来わりあい近い機会に検定権を持たす必要が出てくるのではないかという点もございまして、私どもはそういうものではないことをよく
説明
はいたしたのでございますけれども、現在の
指定自動車教習所
の中の一部の方あるいは非指定の
自動車
教習所のほうにも問題がございまして、よく私どもは趣旨の
徹底
をはかったつもりでございますけれども、時間的に若干間に合わない面もございましたので、一応今回の
法改正
からは見送りまして、今後さらに趣旨の
徹底
をはかり、なお検討すべき点があれば検討しながら、今回は見送りましたが、近い将来に路上練習を
義務
化していくという
方向
で実施してまいりたい、このように考えております。
村田敬次郎
64
○
村田委員
交通安全対策
問題は、いわば一国の行政の一つの中心点でございますので、まだまだ聞きたいことはたくさんございますが、本日はこれにて終わらしていただきます。
菅太郎
65
○
菅委員長
土井たか子
君。
土井たか子
66
○土井委員 まず警察庁の片岡
交通
局長にお尋ねいたします。
交通
事故の発生件数を年齢別に見ていった場合に、どの年齢に一番発生率が高いかということをまずお伺いしたいと思います。
片岡誠
67
○片岡政府委員 一般的な
交通
事故そのものの年齢別につきましては、やはり活動する年齢の人が高いと思いますけれども、
歩行者
事故についてまず申し上げたいと思います。
歩行者
事故につきましては、
人口
の年齢層を分母にとりました比率をとってみますと、一番高いのが三歳、四歳、その辺の幼児、それから七十歳ばかりの老人。大体カーブとしましては、三歳、四歳辺に大きな山がありまして、それから次第に低くなりまして、十四歳ごろが一番低くなって、それから次第に上がりながら六十から七十で急カーブになりまして、また大きな山が七十代ぐらいに出ております。大体そういうことでございます。
土井たか子
68
○土井委員 いまお答えになりましたような
通行
者について、特に発生率の高い年齢などを意識して、このたびの
法改正
の中ではどのような配慮がございましたでしょうか。ひとつその点からお聞かせいただきたいと思います。
片岡誠
69
○片岡政府委員 まず最初に幼児の問題でございますが、幼児の事故を分析いたしますと、自宅へら百メートルぐらいの距離で事故にあっている人が六割ぐらいも占めております。幼児の場合は、活動
範囲
が相当限定されておりまして、大体自分の家の近くで遊んでおって、あるいは何かの用事で出かけていって事故にあっているという現状でございます。したがいまして、私どもは、先般来いたしております裏通り対策と申しますか、生活
道路
対策と申しますか、
道路
そのものを幹線
道路
と生活
道路
に分けまして、その生活通路から通過
交通
をシャットアウトしていくという
方向
の施策をいたしております。 今回の
法律案
の中にも、そういう裏通りあるいは細街路の
通行
の
禁止
を十分できるようにして、ただ、どうしてもやむを得ずそこに車を持っている人が来た場合には、
警察署長
の
許可
でステッカーをつけて入れるようにして、通過
通行
はシャットアウトするという
規定
を設けてございます。それを的確にいたし、まして裏通り対策を十分やりまして、子供さんたちあるいはお年寄りの場合も、自分の家の周辺で車にはねられる危険がないような状態をつくっていきたい、このように考えております。
土井たか子
70
○土井委員 いまの御趣旨はよくわかるのですが、ならば、その裏通りの
通行
については
警察署長
の
許可
がなければ
通行
できないと一応
原則
的には考えることができるわけでございますね。そうしますと、その場合の
警察署長
の
権限
、つまり
許可
基準と申しますか、そういうものが具体的に明らかにされていないといけないと思うのです。それは特例を認めるということでなしに、その
内容
を特設しなければいかぬと思うのですね。そのことについては別に政令で定めるということになると思うのですが、現にこの
法律
が
施行
されるまでにはおそらく政令も準備されるでしょうけれども、その点についていまの基準を特設するという点は、どういう
車両
については
通行
を
許可
するとか、どういう場合に限って
許可
するとかというふうな、限定
措置
の具体的な
内容
についてはもうあるお考えがおありになるはずだと思うのでありますが、いかがでございますか。
片岡誠
71
○片岡政府委員 二つの場合が考えられると思います。一つは、署長の
許可
にかかわらしめないで、
交通
規制
そのものからあらかじめ除外していく車がございます。たとえば郵便車であるとか清掃車のように、車の形態をだれが見てもすぐわかるような車、そういう車は、この通りの
車両
の
通行
禁止
をやるときに初めから除外例として除いておきます。それから車の形だけではわからないような、たとえば乗用車であれば、だれが乗っているか、どういう目的に使われているかということはわかりませんので、そういうものについては署長の
許可
にかかわらしめていくという基本的な考えでございます。 その署長の
許可
の基準として少なくとも最低限言えることは、その沿道に車庫を持ち車を持っている人、まずそれは
通行
ができるようにしなくてはなるまいと思います。ただ、そこの家にたずねてきた人をどうするかとかあるいはタクシーを乗り入れるときはどうであるとか、タクシーの場合にも病人を運ぶときにはどうだろうかとか、これは非常に芸のこまかい問題になってまいろうと思います。それから、その地域、地域の性格、そこが住宅地帯であるか商業地帯であるかあるいは工業地帯であるかという点によってもまた様子が変わってまいろうと思います。したがいまして、基本的な基準につきましては、私ども第一線を指導してまいりますけれども、さらに府県公安
委員会
の基準をきめて、最終的には署長が管内に住んでおられる方々と十分話し合って、納得ずくでそういう最終的な基準はきめていくというやり方が一番妥当ではないか、そのように考えております。
土井たか子
72
○土井委員 その場合に問題になりますのは、これは一応
歩行者
道路
と考えての上の話ですから、あくまで
歩行者
優先
という
原則
を曲げてはいけない問題だと思うんです。ですから、いまの基準を特定される場合にも、
歩行者
の立場というものを何よりも重要に考えて、そういう立場で特定の基準をはっきりと確かめられるということが大事じゃないかと私は思いますから、その辺ずさんにお考えにならないように、ひとつしっかりとお願いしたいと思います。 それから、いまの幹線
道路
のほうの問題なんですが、幹線
道路
につきましては、いまどういう
措置
が考えられているわけでございますか。
片岡誠
73
○片岡政府委員 幹線
道路
につきましては、安全かつ円滑に車が
通行
できるような手だてを考えていきたい。したがいまして、幹線
道路
のほうは安全施設を完全
整備
していく。これは
道路
管理者
と協調してやるわけでございますけれども、
歩道
はつけていく、
横断歩道
は
整備
する、信号機も
整備
する、ところによれば
横断歩道
橋なり地下道も
整備
するということで、
歩行者
も安全だけれども、車も円滑に流れるというような基本的な考え方だと思います。 ただ、幹線
道路
の場合に、非常に渋滞した幹線
道路
を流す場合に、できれば信号機の処理あるいは
交差点
の処理をうまくして、すべての車が円滑に流れるような努力はまずいたしたいと思いますけれども、それでもなおかつ問題があるときには、何らかの車を
優先
させて通すという施策もあわせ考えていかざるを得ないと思っております。
土井たか子
74
○土井委員 幹線
道路
も、たいへん
交通
ひんぱんな
場所
についての事例をどうしても考えておかなければならないと思うのです。いまの
横断歩道
で間に合う
場所
はまだそれでもましだと思うのですけれども、どうしても
横断歩道
で十分に効果をあげ得ないという場合には、おっしゃったとおり、
横断歩道
橋を
設置
するということがどうしても必要になってくるだろうと思うのです。いま
場所
によって違いがあると私は思いますが、主要幹線で非常に
交通
ひんぱんな
場所
と、それから
交通
がさほどひんぱんでない
場所
と一応考えられるところと、それからゆるやかだというふうに考えられる
場所
と、
歩道
橋の利用率はかなり違いますか、どうでございますか。その点いかがでございますか。
片岡誠
75
○片岡政府委員 御
承知
のように、
交通
が非常に、
車両
の
交通
もひんぱんである、それから
歩行者
の
横断
利用も非常にひんぱんである、たとえば大阪でいえば阪急百貨店の前であるとか、あるいは東京でいえば五反田、渋谷その他そういうターミナルのところでは
横断歩道
橋が十分に
活用
されていると思います。それからもう一つ、そういうひんぱんではないけれども、学校あるいは幼稚園のそばであって学童あるいは園児の安全をはかるために設けられた
歩道
橋については、学童、園児が有効に使っていると私は思います。しかしながら、ところによりますと、必ずしもその
横断歩道
橋の利用率がよくないというところも現にあると私は思います。
土井たか子
76
○土井委員 これは
運転者
の側からいろいろ
意見
を聞いてみますと、
横断歩道
橋があって、かえってあぶない
場所
というのが最近目立つというような
意見
を私はよく聞くのです。特に先ほどおっしゃいました
通行
者の中で、
交通
事故の発生率からいうと多いと考えられている幼児であるとか老人なんかは、
横断歩道
橋の利用をおっくうがったりあるいはこれに事実なじまなかったりいたしまして、たいてい
横断歩道
橋のある付近で事故が起こっている。こういう事例というものは、それを利用していないというところに主原因があったりいたしますので、やはり
横断歩道
橋の問題というものがこのままでいいかどうかという問題は一つあると思うのですね。ただ、ここで一つ申し上げたいのは、今回の
法改正
で第二条の三項の一などを見ますと、「次に掲げる者は、
歩行者
とする。」という中に「身体障害者用の車いす又は小児用の車を
通行
させている者」というものが入っておりますけれども、これは一応
歩行者
とみなすわけですから、こういった方々がいまのような方式の
横断歩道
橋については利用できるかどうかという問題が現にあると思いますが、いかがでございますか。
片岡誠
77
○片岡政府委員 現行法と中身は同じなのでございますけれども、そのような人たちは
横断歩道
橋を十分に渡るものとは私は考えておりません。
土井たか子
78
○土井委員 といたしますと、そういう人たちはその
交通
ひんぱんな
場所
には出かけられないようにということでございますか。それとも、出るということはちょっと遠慮していただきたいということになるわけでございますか。
片岡誠
79
○片岡政府委員 私の所管ではございませんけれども、
横断歩道
橋で、ひんぱんなところでしかも利用率の多いようなところでは、外国の例にもありますように、日本でも若干でき始めているようでございますけれども、そういうスロープ式のものをつくったり、あるいは場合によれば、エスカレーター式もあるのかもわかりませんが、身体の条件の悪い方々も
横断歩道
橋を利用できるような形態のものがあっていいと私は思っておりますが、あとは
道路
管理者
のほうから……。
宮繁護
80
○
宮繁
説明
員 いま
横断歩道
橋の利用につきましていろいろ御答弁がございました。建設省といたしましても、いままでは数をふやすということで精一ぱいでございまして、全国で大体五千以上
横断歩道
橋ができたわけでございます。しかし、利用者の側の方で、いまお話がございましたような身体障害者の方で車いすで利用される方には、いまの階段方式では
横断歩道
橋は
通行
できません。そういう意味で、これからはスロープ式のものと、あるいはたとえ階段でありましても、老人の方や子供さんが渡りやすいように傾斜をゆるやかにするとか、そういうようなものをつくっていきたいと考えております。ただ、スロープなんかにいたしますと、若干沿道沿いの人家の前を横切ります距離が長くなりますので、いろいろ問題等もございますけれども、特に子供さんの
通行
の多い
場所
とか、あるいは付近に特別な施設がありまして身体障害者の方の車いすの
通行
が多いような
場所
につきましては、いま申し上げたようなことも考えていきたい、こういうふうに思っております。
土井たか子
81
○土井委員 いまの御答弁も、それは一そう考慮して、より実効性のある
交通
安全環境をつくるということの一環としてある問題だと思うのですが、やはりこれは
歩道
橋を必要なだけつくるということは私は目下急を要する問題だと思いますけれども、そういう意味で、いまの御答弁の趣旨を伺うことができるわけです。 そういたしますと、さらに
交通
安全の環境をつくることから考えまして、利用率の高い、実効性というものをより多くあげる安全対策としては、いまあるような
歩道
橋、さらにはいまおっしゃったような改善された
歩道
橋のみで十分かどうかということも考えていかなければならないと思います。そういうことについて、いかがでございましょう。それ以外に何か
歩行者
の安全対策として、特に先ほどから問題にしている幹線
道路
の
交通
ひんぱんな
場所
で、考えられる方策というものはないものでございましょうか。
片岡誠
82
○片岡政府委員 先ほどの繰り返しになるかと思いますけれども、
交通
ひんぱんな
道路
では、
歩行者
の通る道とそれから
自動車
の通る道とをできるだけ、できれば完全に分離していく。これは縦の
方向
にも横の
方向
にも分離していくということが一番基本だと思います。縦の
方向
に分離するのには
歩道
をつけていく。
歩行者
の通るのは
歩道
である、車の通るのは
車道
である、これを完全に分離するというのが一つと思います。それから横の
方向
は、
横断歩道
をつくって信号機を
整備
していく。しかし、おっしゃるように、
交通
量の多いところでは
横断歩道
橋にしたり地下道にして、立体的に分離していくということができれば一番望ましいと思います。そういうこととあわせて行なって、——これは名古屋市でやって、非常に成功していると思いますけれども、幅員が片側二
車線
以上、往復四
車線
もあるような
道路
では、名古屋市では市街街路でありましても
中央
分離帯をつくっております。そしてその上に金網をつくっております。これは
自動車
の夜間の眩惑
防止
にもなると同時に、事実上
歩行者
の
横断
を物理的にとめていっているわけでございます。
横断歩道
橋以外では渡れないように、まん中へ行っても網があるものですから向こうへ渡れない、こういうやり方をとっております。これは東京、大阪にもあまりなくて、名古屋市に非常に普及しておりますけれども、いい知恵だと私は思いますので、そういうものを方々に普及していけば、あるいは
横断歩道
橋外
横断
による事故が相当数防げるのではないか、このように思います。
土井たか子
83
○土井委員 いまおっしゃったのは一つの例でございますけれども、その網を張って、むしろ半ば強制的に、
歩道
橋のほうに向かわなければ
横断
できないという
方向
で強制するというのも、もはや手だてとしてはそこまできていると思いますけれども、しかし、もう一つ、心理的な抵抗なしに利用できるような
横断
のあり方がありはしないかということで、私たちなんか考えるのは、地下道方式なんでございますが、現に地下道方式というものが問題にされて年久しいにもかかわらず、これが
歩道
橋ほどにはあまり
活用
されていないと思うのです。
活用
というのは、現に建設されていないと思うわけですが、その点について、何が原因になっているかという点なんかでおわかりになれば、この際お伺いしたいと思います。
宮繁護
84
○
宮繁
説明
員 現在ございます
横断歩道
橋の数は、先ほどちょっと申し上げましたように、約五千数百でございます。そのうち先生いま御指摘の地下の
横断
通路が約四百カ所くらいございます。地下でございますと、やはりあまり抵抗がございませんで、いろいろ渡りやすいわけでございますけれども、実は、こう申してはなんでございますけれども、一カ所当たりの単価が、普通の地上式のものでございますと大体一千万円くらいかかりますけれども、地下に入れますと、大体その三倍から四倍くらいかかるわけでございます。金額が多くかかりますので、あとの維持費が若干多くかかります。 それから最近はよくなりましたけれども、一時これは管理面の不備もありまして、夜、娘さんなんか一人で地下道を通るのがこわいとか、いろいろございましたけれども、そういう点もかなり改善されました。私ども
道路
管理者
といたしましては、いまのところは駅前の繁華街、市街地の場合にそういった地下の
横断歩道
をつくるようにいたしておりますけれども、今後そういった地下が適当であるような個所につきましては、上に出ております
横断歩道
橋じゃなくて、多少お金がかかりますけれども、地下道もつくってまいりたい、こんなふうに考えております。
土井たか子
85
○土井委員 おもな理由は経費ということだと思うのですが、その辺はむしろ人命尊重の点からいいますと、打開する問題ではなかろうかと思います。やはりそういう点で自治省あたりが予算をどう考えて取り組むかという姿勢の問題としてもあろうかと思いますが、そういうことについてはいままでいかがお考えでいらっしゃいますか。担当の方、自治省はいらっしゃらないですか。
菅太郎
86
○
菅委員長
財政局長がいままでいたのですが、帰りました。
土井たか子
87
○土井委員 これは弱りました。地行の
委員会
なんだから、いらっしゃらないというのはむしろおかしいと私は思うのです。
菅太郎
88
○
菅委員長
それでは質問しておられる間に呼びましょう。
土井たか子
89
○土井委員 それでは時間の
関係
で、質問を先に進めたいと思います。 それで、いまの
交通安全対策
からいいまして、小さい子供たち、特に毎日通園、通学をしなきゃならない子供たちの安全対策というのを重視して、忘れてはならない問題だと思います。 そこで、幼稚園や小中学校の通学、通園児に対する対策として、文部省のほうではいままでおもにどういうふうなことをお考えになっていらっしゃるかという点などを、あらましでけっこうですから、まずお伺いしたいと思います。
橋本眞
90
○橋本
説明
員 お答えいたします。 まず学校におきますところの
交通
安全教育と申しますのは、児童、生徒の心身の発達段階に応じまして、自分のみならず、人の命も尊重するという観点で
交通
安全教育を行なっております。それからまた、学校そのものの
設置
につきましては、これは直接私の所管ではございませんけれども、
新設
の場合には、学校施設指導要領というのがございまして、その中で、学校の敷地といたしまして安全なところでなければいけないという指導をいたしております。それからまた、通学区というふうなものが
義務
教育についてはございますけれども、そういったものにつきましても、
交通
の安全とか、あるいは子供が通いますところの距離の問題とか、そういったことを勘案しながら、市町村の教育
委員会
等で通学区をきめておるということになろうかと思います。
土井たか子
91
○土井委員 いまおっしゃいました前半の学校教育
内容
の問題は、人の命を大切にするということを大いに教育する、それは大事なことだと思いすすけれども、しかし、児童だとか園児なんかの立場においては、むしろ自己防衛をしなきゃならないという立場にあるわけでありまして、そういうところからすれば、守ってやらなければならないという側面のほうを、むしろ私は重点に置いて考えなければならない問題だと思います。ですから、子供にそういう教育を施すという主眼は、現在学校に通う場合に、いかにして人の命を大切にするかといといことで、他人に対して自分がどう対処するかということよりも、環境
整備
をわれわれがやって、そして子供たちに対して安心して通学でき、通園できるような環境
整備
をまず心がけないと、私は言う資格はないと思うのです。だから、そういう点からしますと、いま学校周辺なんかを考えました場合に、
交通
が非常にひんぱんな
場所
では、先ほど来おっしゃいましたとおりに、
歩道
橋の設備なんかもだんだん考えられて、しかもそれが十分なものになるように配慮されておりますけれども、しかし、なおかつ考えてまいりますと、どうしても幹線
道路
を
横断
しないと自分の小学校に行けない、中学校に行けないということが、校区の
関係
できめられておるといった場合、しかもいままで校区は地理的条件できめられていたわけですから、この際、
交通
事故発生率が激増しているということにかんがみて、
徹底
した
交通
安全という立場から考えていったら、
交通安全対策
を基準に置いた校区の取り扱い方というものに立ち返って、再検討を進めてもいいのじゃないかという考えを持っているのですが、文部省とされましては、こういうことについてはいかがお考え ですか。
橋本眞
92
○橋本
説明
員 校区の指定につきましては、私先ほど申しましたように、直接の所管でございませんけれども、現在市町村の教育
委員会
、あるいは特殊な学校につきましては都道府県の教育
委員会
が、
法令
の
規定
に基づきまして、実態に即してやっておるという形になっております。その場合の基準になりますのは、学校への距離とかあるいはその間の、先生のおっしゃいましたような
交通
事情とか、そういったこと等を勘案するわけでございますが、そこで一番基本になりますのは、子供の心身の発達に応じたところの日常の通学といいますか、距離的な問題とか、そういうふうなことがありますから、そういうふうなものが保障されるということが、日常のことでございますので、一つの基本的な問題になろうかと思います。ただ、そういった場合に、いろいろな事情を勘案いたしました場合でございますが、いま先生おっしゃいましたような、
交通
安全というふうな点についての配慮と申しますか、そういうものも一つの大きな要素になっておると思います。 ただ、その
交通
安全に対する配慮ということだけでは、いま申しましたように、割り切れない問題も中にあろうかと思いますけれども、そういった場合には、たとえば通学路におきますところの
交通
の
規制
と申しますか、あるいは通学路というところに、特にお願いいたしまして
歩道
橋をつくるとか、そういった施設設備を
強化
していくというふうなことを
道路
管理者
とか、あるいは警察、公安
委員会
関係
というようなところにお願いしておるという実態だろうと思います。
土井たか子
93
○土井委員 いままで都道府県の教育
委員会
のほうでいろいろケース・バイ・ケースで事案を勘案して、適当な
措置
を講ずるように指導しているとおっしゃるのですが、学習指導要領なり何なり、文部省の各都道府県教育
委員会
についての、いままでの教育
内容
についての指導というのは、私たちが見ておりまして、どうかと思われるぐらいにびしびし指導をおやりになるのに比べますと、こういう
交通安全対策
についてどういうふうに取り組むかということは、どうももう一つ十分に取り組まれていないような向きを私は見るのです。いままで教育
内容
については、半ば干渉というような批判を受けるぐらいにいろいろやられているわけですが、こういう問題こそひとつぴっちりやっていただくのが、私は、民主教育あるいは子供の健康や命を守る第一歩だと考えるのだけれども、どうもおやりになっていただきたいことについては手ぬるくて、どうかと思うようなことについては必要以上にいろいろと御指導を賜わっている向きがあるようです。こういう点については文部省さんのほうの姿勢一つで、各都道府県の教育
委員会
の取り扱い方というのがだいぶ違ってくるのじゃないかと思いますので、ひとつ校区のあり方についての再編成ということについても、少々距離が遠くなる短くなるの問題じゃないので、地理酌条件ということももちろんあるとおっしゃいますけれども、少々距離が遠くなったって、より安全であるというのにこしたことは私はないと思います。ですから、そういう点からしますと、父兄の気持ちとしては、
交通安全対策
というものを十分に考えた上での校区の編成というのは大歓迎だと思うのですが、ひとつそういう点についての御配慮をいただきたいものだと思うのです。 それから、先ほど通学路におけるいろいろな安全対策をお述べになりましたが、そこで一つお聞きしたいのは、通学路で緑のおばさんだとか、あるいは
交通
指道員というものを通学時に出して、学童や園児なんかの
交通整理
に当たるという地域があることは御
承知
ですか。
橋本眞
94
○橋本
説明
員 存じております。
土井たか子
95
○土井委員 その緑のおばさん、
交通
指導員というのは、身分はどのようになっていますか。
片岡誠
96
○片岡政府委員 それは区々でございます。ところによりますと、正式の市町村の職員になっている場合もございますし、教育
委員会
の場合もございます。それから臨時職員の場合もございますし、雇いになっている場合もあるということで、地方地方の事情によって区々でございます。
土井たか子
97
○土井委員 その立場で、
交通
規制
に対する
権限
があるということが認められておるわけですね。
片岡誠
98
○片岡政府委員
交通
規制
あるいは
交通
取り締まりに対する道交法上の
権限
はございません。
土井たか子
99
○土井委員 では、いま実際上緑のおばさんや
交通
補導員というものが、通学時の園児や学童を相手に
交通整理
に当たるということなんでございますから、この問題についてはやはり
交通
規制
という意味をなさないかどうか、ひとつお答えいただきたい。
片岡誠
100
○片岡政府委員 主として学校の近くの
横断歩道
の学童保護に当たっているのが実情だと思います。したがいまして、
横断歩道
に対しては道交法上の
歩行者
保護の
規定
がございます。
横断歩道
を人が渡ろうとすれば、車は必ず一時停止しなければならない。その
横断歩道
を人が通るぞということを必ず
運転者
にわかりやすく知らして車をとめて、車がとまったのを見て子供さんを渡すという事実上の行為をしている。したがって、
横断歩道
の保護につきましては、
道路交通法
できちんと
規定
がしてございますから、それを個々の子供の判断にまかせないで、おとなである緑のおばさんたちが車のほうに、
横断歩道
に人がいるぞということを確認さして、車をとめて渡すというのが現在の事実上のやり方でございます。
土井たか子
101
○土井委員 そうしますと、その緑のおばさんなり
交通
補導員なんかの指導に過誤があって、そしてその結果事故がひき起こされたといたします。それじゃ、その責任はいずれにあるわけでございますか。
片岡誠
102
○片岡政府委員 基本的には事故を起こした
運転者
にあると私は思います。ただケース・バイ・ケースで違うと思いますけれども、現にやっているのは、
自動車
がやってくるかどうかを見て——信号機もない
横断歩道
の話をしておりますが、信号機があれば信号機に従って車をとめさす。
歩行者
があるのに信号機を無視してやってけがさせれば、
自動車
の
運転者
の責任です。それから信号機がない場合には、
自動車
が来た場合に旗を出したりあるいは手で合い図をして車をとめて、そして確認してから子供さんを渡しているわけですから、かりにそこに事故が起こった場合の責任そのものは、緑のおばさんに来るのではなくして、車を
運転
して事故を起こした、子供をひいた
自動車
の
運転者
にある、このように考えております。
土井たか子
103
○土井委員 もちろん緑のおばさんや
交通
補導員については、
交通
規則
等々の一応の
知識
を授けるというふうな機会は十分に持った上で整理に当たらせるということになっているはずでございますね。私は本来こういう問題は
交通警察
官が取り扱うべき問題じゃなかろうかと思うのです。ただ、特にこういう通園時あるいは通学時に緑のおばさんや
交通
補導員がこういう問題に当たらなければならないということは、本来やらなければならない
交通警察
官の数が不足しているために、こういう据置が話せられたのたといういきさつが幸えられるわけでございますが、その点についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
片岡誠
104
○片岡政府委員 御
承知
のように、
交通
巡視員制度というものを一昨年から設けたわけでございまして、現在四千五百名の
交通
巡視員の定員のワクが全国にございます。これは主として学童の保護の任務に当たり、あわせて
駐車
違反
の取り締まりもやるという制度でございます。現に勤務員が街頭に出始めておりますけれども、この制度ができて、学童、幼児の保護の面では相当手厚くなってまいったと思います。従来、仰せのように、
警察官
も出ておりますけれども、それだけで十分な保護ができなかったために緑のおばさんのような制度もできましたし、ほんとうに自発的にPTAのおかあさん方が学童の保護をしておられるところも地方に行きますとまだ相当ございます。そういうことで警察の本来やるべきことは、私どもも定員をふやしたりあるいは
交通
巡視員制度をつくるなりして
強化
してまいりたいと思いますけれども、現状はまだ必ずしもそれで十分でないというところでこういう制度が生まれ、あるいは自由意思でおかあさん方が学童保護に当たっておられるという形だと私は思います。
土井たか子
105
○土井委員 いまの警察人員の問題になってまいりますと、むしろ人員増強ということにすぐに走りがちなんですけれども、現在ある定員の
範囲
内でも、私は取り組むことをしていこうとすれば、もっともっとできるのじゃないかと思うのです。特にいま申し上げているような通学、通園時にある児童や園児に対して警察が配慮をして、
交通警察
官に保護に当たらせるということを安全対策の上でもっと講じていくということ、それはいまの警察の人員をふやさなくたってできることじゃないかと思っているのですが、いかがですか。
片岡誠
106
○片岡政府委員 これは一時的に、たとえば安全運動の期間中だけやるというのではだめだと私は思います。恒常的にそういう体制をとるのには、いまの定員の中ではすべてをカバーすることはむずかしかろうと思います。しかしながら、私どもとしては、少なくとも学校周辺の地域につきましては、朝の通学時にできるだけ多くの
警察官
を、
交通
係だけでなくて、各署、駐在所の
警察官
をも
横断歩道
に立てて学童の保護に当たっていくという
方向
で第一線の指導をいたしております。
土井たか子
107
○土井委員 いま警察行政の中で、
交通安全対策
というのは非常に重要ではあるけれども、最重要になっているかどうかということが、私、実は問題だと思うのです。警察人員のワクというものにはやはり限界があるわけですから、その中でこういう
交通安全対策
を最重要にするかどうかということで配分のワクもおのずから変わってきはせぬかという気がするのですが、こういう問題はどういうことになりますか。
後藤田正晴
108
○
後藤田政府委員
もちろんおっしゃるように、
警察官
の総定員のワクはきまっておりますので、その定員のワクをそのときどきの治安の情勢に応じて合理的に配分して使っていく、これは大前提でございます。 今日、
交通
の重要性ということは私どもでは第一に置いております。そういう意味合いから、
交通
にはできるだけの人員を配置する、こういうことをやっておりますけれども、実際問題として年間の取り締まり件数が五百万件、こういった数でございます。そうしますと、内部の取り締まりの事務の処理、取り調べその他の処理人員に追われて街頭に立つ
警察官
が不足してくる、こういう悩みを持っております。内部で
合理化
をやるにしてもやはり限界がある。全体としては警察の人員は今日不足をしていると考えております。したがって、警察の人員はやはりふやさなければならぬ、こういう考え方でございますが、他面国全体の労務給源その他を考えますと、
警察官
というものは仕事の性格上、とんでもない者を採用するというわけにはまいりません。やはり質というものを考えていかなければならぬ。そういうことを考えると、労務給源の面から一つの壁に突き当たってくる。そこで、子供さんの保護の仕事であるとか老人の手を引くとかといったような仕事は、外に出る仕事ですから気の毒とは思いますけれども、警察もこの際婦人の労働力の
活用
というものをもう少し考えていかなければいかぬであろう、こういうふうに一つは考えます。 と同時に、昨年からお願いしましたような
交通
巡視員の制度、これも今日大体九割が婦人だと思いますが、そういう制度をつくって、主として
通行
の保護と同時に
駐車
違反
の取り締まり、こういったような比較的定型的といいますか、そういう仕事をお願いするということでふやしておるわけです。私はそういったことで
警察官
全体もふやしたい。しかし、中身は婦人労働力の
活用
ということを考えていいのじゃないか。同時に、
交通
等については、いわゆる
警察官
と違った身分を持った警察職員も充実をしていく、こういう線でいくのが一番いいのだ、こういうふうに考えております。
土井たか子
109
○土井委員 婦人労働力の
活用
というのは、外見はまことにけっこうなんでございますけれども、しかし、要するに、それは、男性が
警察官
については適当なんであり、
確保
できないという御趣旨から、ならば婦人のほうに回そうじゃないかというふうなことで求められているのが婦人労働力に対しての要求だと私は見ているのです。いまの答えから申しましても、そういうような趣旨だと思いますが、そういうことで
交通安全対策
としっかり取り組めますか。
後藤田正晴
110
○
後藤田政府委員
警察の仕事というのは非常に激しい仕事でございます。したがって、婦人の生理的条件というものを私どもは考えざるを得ない。そこで、やはり男子
警察官
を主流として考えるのが当然で、別段婦人をべっ視する意味で、男子が足らぬから婦人、こう申しておるわけではございません。仕事の性質上、そういうことで婦人
警察官
というものをもう少し
活用
したらどうだろうか、私はこういう考え方ですから……。
土井たか子
111
○土井委員 そういうことになってきますと、だんだん婦人問題ということに問題が発展してまいりますからそういうことについては別の機会に私はゆっくり論じたいと思いますが、きょうはもう時間の制限もありますから、先を急ぎまして、ひとつ最後に私、お尋ねしておきたいことがあるのです。 それは、この
法律
改正
によりますと、百九条の二に「公安
委員会
は、
総理府令
で定めるところにより、
車両
の
運転者
に対し、
車両
の
通行
に必要な情報を提供するようにつとめなければならない。」という条文がございます。そして片や四条の五を見ますと、「
道路標識等
の種類、様式、
設置
場所
その他
道路標識等
について必要な
事項
は、
総理府令
・建設省令で定める。」とございます。これについてひとつお伺いしたいことがあるのですが、よく
自動車
で
通行
いたしておりますと、たとえば東京から横浜や川崎のほうへ向かって走っている途中に、横浜まで何キロとか川崎まで何キロという標識がございます。あれがどうも県道と国道によって、同じ川崎といい、同じ横浜といっても、どこを目標地点として、東京のある特定の地点からはかられるのか、その目標地点というものが一定してないようなんです。現にそういうことで、兵庫県下にございますキロ数を表示しております
道路標識
を見ますと、まことにずさんだという事実が明るみに出まして、県道と国道とでこの取り扱いが違っているじゃありませんかというので、ずいぶん問題にされているという実例がございます。これにつきましては、今回こういう
法律
で取り扱うのに、一応様式だとか種類だとか
道路標識等
について必要な
事項
というのは
総理府令
・建設省令で定めるということになるわけですから、この取り扱いの具体的な、どこに目標地点を置くかという基準なんかについても、やはりこの際明らかにしておく必要があるのじゃないかと思うのですが、こういうことについて何かお考えになっていらっしゃるかどうかをひとつお伺いいたします。
宮繁護
112
○
宮繁
説明
員 ただいまお話のございました
道路標識
の件でございますけれども、標識につきましては、公安
委員会
が
設置
いたします
規制
標識、たとえば
駐車
禁止
というような
規制
のための標識と、
道路
管理者
が
設置
いたします案内標識、いまお話しの横浜まで何キロというような標識、それから、
踏切
がありますというような警戒標識。いま申し上げました案内標識、警戒標識につきましては
道路
管理者
が
設置
いたしております。いま御指摘ございました、兵庫県の例でございましたある地点まで何キロというのは案内標識でございまして、
道路
管理者
が
設置
いたしております。それで一応、たとえば横浜なら横浜まで何キロという場合には、市役所とか、そういった行政の中心地点までの距離を表示することにいたしております。 ただ、いま先生から具体的に、標識に出ておる距離が少しおかしいんじゃないかというお話がございましたが、実は
道路
を改築いたしますと、距離が長くなったり短くなるというような例もありまして、あるいはそのときに一緒に標識も直さなければいけないものをそのままに
設置
しておったというような例かとも思いますけれども、そういう点につきましては、今後十分調査いたしまして、ドライバーの方、一般市民の方に迷惑のかからないようにいたしてまいりたいと思っております。
土井たか子
113
○土井委員 いまおっしゃったようなそういう
道路標識
について、この距離が市役所なんかを中心にはかるとかいうふうなことがはっきりされていればいいのですが、事実は、調べてみますと、違うようでして、国道と県道で、たとえば建設省が国道で求められているのがいわゆる幹線
道路
の分岐点までの距離をはかっていたり、それから県道では同じ地名についての距離を掲げます場合に、一番兵庫県境に近いところを基準にはかったり、そういう点からいいますと、これは全然てんでんばらばらなはかり方をしているわけでございまして、いまお答えになりました趣旨とはちょっとキロ数の取り扱い方が違うということを私は申し上げているので、その点この際統一しておく必要があるのではないかと思います。いかがでございますか。
宮繁護
114
○
宮繁
説明
員 いま御指摘のような点十分検討いたしまして、基準等もやや不
整備
の面もございますならば、そういう点も
整備
いたしまして、統一的に距離の標示ができるようにいたしたいと思っております。
土井たか子
115
○土井委員 まだほかにこまごまとした問題がありますけれども、一応これできょうは私、質問を終わりたいと思います。
菅太郎
116
○
菅委員長
午後一時三十分に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十八分休憩 ————◇————— 午後一時三十九分
開議
菅太郎
117
○
菅委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 この際、
連合審査会開会
に関する件についておはかりいたします。
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
について
交通安全対策
特別
委員会
から
連合審査会開会
の申し入れがありましたならば、これを受諾することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
菅太郎
118
○
菅委員長
御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 なお、ただいま議決いたしました
交通安全対策
特別
委員会
との連合審査会の開会日時につきましては、両
委員長
協議の上決定いたし、公報をもってお知らせすることといたしますので、さよう御了承願います。 ————◇—————
菅太郎
119
○
菅委員長
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
について、
質疑
を続行いたします。
土井たか子
君。
土井たか子
120
○土井委員 午前中お伺いしたいことがございましたが、御出席がなかったので、ひとつ保留にしておりました問題をこの際お伺いしたいと思うのですが、県道、市町村道における
歩行者
の安全対策からいたしまして、地方財政の上で、いままでどういうふうな配慮を特に講じられてきたかということを、ひとつお伺いします。
森岡敞
121
○森岡
説明
員
交通
安全施設の
整備
の財源につきましては、一つは、地方で単独に実施いたします事業の財源に充てるため、特別交付金といたしまして地方に交付をいたします反則金収入をもって、単独事業を推進していくということにいたしております。いま一つは、補助事業、単独事業を通じまして、地方交付税の基準財政需要額に必要な所要額を算入してまいる。さらに起債の面におきまして、かなり大規模な、
歩道
橋でありますとかいうものをつくります際に
地方債
の充当をするというふうな
措置
をあわせまして、財源
措置
はかなり適切にとってきておる、こういうふうに考えております。
土井たか子
122
○土井委員 その起債の部面で、いま問題にされました
歩道
橋なのですが、現に
歩道
橋の改善ということがしきりにいわれておりますし、さらに
状況
によりますと、人道、
歩道
について、やはり条件からすると
歩道
橋よりも地下道のほうが思わしいという条件がある場合が多々あると思うのです。たとえば商店街のまん中だとかあるいは
歩道
の幅が広くないとかいわれるような場合——店舗が前にある、やはり
歩道
の利用度からいって、できる限りその面積を
歩道
橋のために広くとらないというふうな点から考えて、地下道の設営ということを要求する向きが多いと思うのですが、いままでにそういう要求に十分こたえてきてなかったというきらいがありはしないかと思うのです。考えてみますと、おそらくは
歩道
橋よりも地下道のほうが経費が多くかかる。大体
歩道
橋一基について一つ地下道をつくろうとすると、経費が概算三倍から四倍くらいかさむということでございますが、そういうことについてはいままでどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
森岡敞
123
○森岡
説明
員 補助事業について申し上げますと、
交通
安全施設
整備
法で、地下
歩道
につきましても補助
対象
にすることになっております。補助率は通常二分の一でございます。また単独事業につきまして、いま御指摘のように、経費がかなりかかるものですから、
横断歩道
橋のほうをやはり早くたくさんつくるというふうに、いままでの行き方はなってきておると思います。その結果、それほど多くはございませんが、四十五年度でも、
地方債
の申請がありまして
地方債
の充当をいたしましたのが、単独事業で二、三件ございます。おそらく御指摘のように、今後そういうものはふえてまいるというふうに考えます。その市町村の財政の
状況
ないしは事業の規模などを十分見まして、必要なものは
地方債
を充当していくということで
措置
してまいる必要があろう、そのように考えております。
土井たか子
124
○土井委員 地下道についての要求がふえてくるという側面はもとより事実でございますが、さらにそれを積極的に促進するという姿勢をとっていただいて、それをやはり財源
確保
という
方向
でひとつぜひとも御努力いただきたいというふうなこととで午前中は話を進めてきたわけでございますが、この節、やはり
交通安全対策
の中では、
歩行者
保護という側面から、この問題はかなり積極的に、しかも
徹底
的に取り組まれていいのじゃないかと私は考えております。その点の御配慮をひとついただきたいと思います。
森岡敞
125
○森岡
説明
員
交通
安全施設の
整備
につきましては、緊急
措置
法に基づきまして、各府県、市町村でそれぞれの計画を立てまして、それをいわばまとめ上げまして
交通
安全施設
整備
計画というのをつくってまいります。そういう過程におきまして、御指摘のような点も十分留意しながら、
関係
各省と相談いたしまして万全を期していきたいというふうに考えます。
土井たか子
126
○土井委員 それじゃこれで終わります。
菅太郎
127
○
菅委員長
山本弥之助
君。
山本弥之助
128
○山本(弥)委員
交通
安全につきまして、警察は非常に御努力を願っておるわけでありますが、昨年の春秋の
交通
安全週間もそう成果をあげたとは私ども思えないわけでありますが、本年も非常にマンネリズムにならないように苦心をなすって、前期、後期に分けられまして、前期は子供の安全を守る、後期は不当なあるいは無謀な
運転
等の取り締まりをやるというふうなことで御努力を願っておるわけでありますが、選挙期間に際会した
関係
もありましょうが、新聞等で見ますると、昨年同様、成果があがったとも思えないという記事を見ておるわけであります。これにつきまして、どういう結果になりましたか、お聞かせ願いたいと思います。
片岡誠
129
○片岡政府委員 大体御指摘のございましたように、今回は少し構想を改めて、前期、後期というふうに分けまして、前期につきましては、ちょうど学童の入学時でもございますので、学童保護とあわせて
歩行者
の保護を重点にしたキャンペーンをいたしたわけでございます。その中で老人と子供というものを特に強調いたしたわけでございますが、不幸にして四月五日から四月十日までの六日間の
交通
事故の発生
状況
は、人身事故が一万七百五十五件、前年比六百五十六件増でございます。それから死者が二百五十三人、これも前年比二十一人増。負傷者が一万三千七百九十一人、これも前年比七百二十三人増という不幸な結果に相なったわけでございます。一週間の問題でございますので、なかなか確たる原因もわからないのでございますが、ちょうど先生御指摘のように、選挙運動期間中でもございましたし、したがいまして、
警察官
の配置も若干そちらのほうに食われておったという面もあろうかと存じますし、またマスメディア、マスコミも主として選挙のほうに取材あるいは報道の力が注がれておったというような面もあるいはあったのではないかというふうに考えております。私どもとしてははなはだ遺憾でございますが、これからも引き続き、特にまた後期の安全運動を控えまして、何と申しましても
歩行者
、特に老人と幼児の
交通
事故の
防止
に努力を続けてまいりたいと思っております。
山本弥之助
130
○山本(弥)委員 今回の道交法の
改正
は、従来からいわれておりましたように、
歩行者
の安全の
確保
あるいは
都市交通対策
の推進といたしましては、
公共輸送機関
の
優先
確保
、さらにはいま問題になっております
運転者管理
のための
規定
の
整備
という重要な点につきまして、全面的な
改正
——おそらくいままで毎年の
部分
的な
改正
を、今回の
改正
によりましてある程度まで道交法の
改正
はかっこうがついたという
改正
ではなかろうかと思っておりますが、しかし、これらの
改正
によりまして、
交通
安全週間は相当の
交通警察
官を動員せられまして、事故の減少あるいは撲滅をはかるという努力をしていただいているわけであります。それにつきまして昨年よりはむしろ情勢は悪くなっておるという
状況
であるわけでありますが、法の
改正
あるいは
交通安全対策
本部の各省ばらばら行政を統合せられましての
交通
安全基本計画の策定というふうな、私は相当積極的な姿勢をとられ、またあとで御質問いたしたいと思いますが、
交通
安全施設
整備
五カ年計画というものも作成せられておるわけです。実際に取り締まりの衝に当たっておられる公安
委員会
なり、あるいは警察庁とされまして、当面死傷者あるいは
交通
事案の減少という、あるいは死傷者のごときは半減というような目標のもとにおやりになると思うのであります。春の
状況
だけでは判断つかぬと思いますけれども、一応かっこうの上でこれらが
整備
せられまして、
交通警察
あるいは機動隊を動員せられまして、今後
交通
対策に力点を置いて進められるという体制で、五カ年計画策定の初年度において、ことしこそはある程度まで事故を減少できるというふうな御判断に立っておるかどうか。これはなかなかめんどうな問題でございますけれども、一応私はそういうふうな決意でかからなければならぬと思うのであります。そういうお見通し等についてお聞かせねがいたいと思います。
片岡誠
131
○片岡政府委員 先生御
承知
のように、一昨年に比べての昨年は、一昨々年に比べての一昨年よりも
増加
傾向は鈍化し始めております。本年に入りましても一月から三月までの累計におきまして、発生件数において一・一%、それから死者数において二・二%負傷者数において三・二%、発生件数、死者、負傷者ともども幸い昨年に比べて減少傾向を示しております。私どもとしましては、この減少傾向の時期をとらえて、さらに事故が減少するように、何とかしてことしは昨年よりも相当数事故全般としても減ったという形に追い込みたいと思っております。特にその中でも弱い
道路
利用者である
歩行者
、午前中から言われております老人、幼児、その辺の事故につきましては、絶対数を減らすということで力を入れてやりたいと思っておりますし、また私どもが力を入れればやり得るものであるというような、そんな確信をもって現在仕事を進めております。
山本弥之助
132
○山本(弥)委員
交通
安全施設の
整備
にいたしましても、多少景気の好転を促進する必要があるということで、公共事業の早期発注というようなことが政府でもらわれておるわけでありますが、本年度の予算からいいますと、私ども必ずしも施設
整備
費が十分とはいえないのではないか、かように考えるわけであります。どうかこれらを最
優先
的に、早期に施設が
整備
できますように、私は、警察庁とされては最
優先
的に
整備
に着工願いたい、そのことが多少とも、不十分な予算でも早い施設の
整備
によりまして
交通
事故を防ぐことができる。施設の
整備
をいたします間も、やはり依然として、それだけ施設のあり方によりましては
交通
は渋滞する場合もあり得るわけでございます。どうか早目に最
優先
で施設をしてもらいたいということを要望しておきます。 それから、この
交通
安全基本計画で対策本部にお聞きしたいと思うのでありますが、いろいろまとまってりっぱな文章になって出ておるわけでありまして、これから陸上
交通
の安全につきましては、第二節の「講じようとする施策」を総合的に推進されるものと思うわけでありますが、問題は、これらの施設
整備
の面と、いまのモータリゼーションの時代における
自動車
の
増加
との関連でございます。いま景気は多少後退をしているようでありますが、総理の所信表明等によりますと、五年もたてばいまのGNPをさらに倍にすることができるというような、経済成長面におきましては前途に非常に明るい希望を持っておられるようであります。したがって
交通
体系
における輸送機関としての
自動車
の役割りもこれに伴って大きく伸びるのではないか、いわば
自動車
も
増加
していくのではないか、その
増加
に対応して
交通
安全基本計画というのはどういう考え方でできておるのか、その考え方をお聞かせ願いたい。
須藤博忠
133
○須藤政府委員 お答え申し上げます。 このたび
中央
交通安全対策
会議
で決定をいたしました
交通
安全基本計画でございますが、この計画は大体におきまして、
自動車
交通
の面におきましては今後
自動車
台数は相当伸びるのではないか、それで、
自動車
の台数の伸びと
交通
事故による死傷者数の推移というものが、非常に密接な関連を示しておるというふうに見ておるわけでございます。われわれといたしましては、大体
昭和
五十年におきましては
自動車
は約三千万台というようなところの数字になるのではないかというふうに考えまして、それに応じまして一体
交通
事故はどのくらい発生が予想されるかということをいろいろ計算をしたわけでございます。結局
昭和
五十年におきまして
自動車
台数がそういうふうになりますと、
交通
事故による死者が約二万人程度になるのではないか、そのうちの
歩行者
の死者が約八千人をこすのではないか、負傷者に至っては約百七十万人に達するのではないか、こういうような一応
自動車
台数の伸び、それに伴う
交通
事故の
増加
というものを予想いたしまして、それに基づきまして安全計画というものを立案した次第でございます。
山本弥之助
134
○山本(弥)委員
昭和
五十年に三千万台といいますと、現在約一千八百万台です。倍までいきませんが、倍近くなるわけですね、そうして死者が二万人というお話でしたが、それに対応するもろもろの計画というのは、現在の一千八百万台の
自動車
、これに対する現在の
交通安全対策
それ自体が、現在の一万幾らの死者が当然だというようなことであればこれは問題ないと思うのですけれども、これも相当減少しなければならぬということで取り締まり当局が努力しているわけなのですね。そういうときに、現在でも一方
交通
、あるいは子供、老人の安全のために
規制
をやるわけです、裏通りは車を通さないとか、あるいは大量輸送機関の
優先
交通
を
確保
する。大量輸送機関の
優先
確保
ということは、それだけ一般
自動車
の
交通
が渋滞するかもわからぬ、条件が変わらなければ。そういうことをしてまでも死傷者をなくそうという努力をしているわけですから、これらのことを考え合わせますと、三千万台になるという
昭和
五十年——五年後ですが、そういうことに対応しての
整備
計画といたしましては、予算の裏づけも十分ではないわけですね。三千万台になる対応について、一千六百億の
整備
計画をやって、その五カ年計画が完了した場合に二万人の死者を減らしていけるというようなお見通しが出てまいりますものかどうか。私は、趨勢の数字よりも、
交通安全対策
の目的を果たすということが重点じゃなかろうかと思うので、もしそれが必要であるとするならば、五年後の三千万台にあるいは
交通
事情が伴わないということであれば、警察の要求する予算というものはもう少し大振りに増額して、五カ年計画でなくて三カ年計画で早く完了するということでなければ、現在の情勢より悪くなるというふうな感じがするわけですよ。 まず対策本部のほうから、趨勢に対応してどう考えていくか。これは政府としても
交通
事故の対策については相当重点を置いていると思うのですけれども、その見通しですね。それから公安委からは、警察として
交通
取り締まりをしてまいります上に警察の期待するような、いわば国民に安心感を与えるような取り締まりが現在の予算あるいは
整備
状況
その他で可能であるかどうか、その辺の見通しをお聞かせ願いたいと思います。
須藤博忠
135
○須藤政府委員 今度の四十六年度から始まります五カ年計画を実施しない場合には、先ほど申し上げましたように、
交通
事故による死者が約二万人、そのうち
歩行者
が八千人程度ということになります。実は、この五カ年計画を実施した場合に一体どの程度の効果があるかということにつきまして、私どものほうで
関係
省庁、さらに学者等の
意見
も加えまして一応この効果というものを試算したわけでございます。その試算した結果を御
説明
申し上げますと、五年後の
昭和
五十年に八千人をこす
歩行者
の死亡者が出る、それがその五カ年計画を実施した場合には、これはあくまでも計算ではございますが、四千六百五十二名のマイナス、これだけ減らせるのではないかというふうに計算をしたわけでございます。その内訳を申し上げますと、
都道府県公安委員会
の管理にかかります信号機その他の安全施設で千七百七十五名の減、それから建設省と
道路
管理者
の管理にかかります
歩道
等の安全施設における効果でございますが、これが二千五百四十六名。パーセントにいたしますと、信号機等で三八・二%、
歩道
その他で五四・七%。そのほかで七・一%、三百三十一名程度のマイナス、これは
踏切
の立体交差、
構造
改良その他の対策による数字でございます。 これはあくまでも従来の安全施設の事前事後の調査、さらには学者等の計算も入れて出した数字でございます。もちろん
交通
事故につきましては、いろいろな要素が複雑にからみ合って発生するわけでございまして、安全施設だけで完全に事故を撲滅するということは無理があるかと思いますが、一応この安全施設でこの程度の効果があるんじゃないかという計算をした次第でございます。もちろんわれわれといたしましても、今後の
交通
事情によりまして、ものごとをすべて弾力的に対策をしていくということが必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
片岡誠
136
○片岡政府委員 いま対策室長のほうからお話がございましたが、私どもとしましては、このまま放置すれば
昭和
五十年には八千人になるであろうという
歩行者
事故を四千人以下に、できれば三千五、六百人ぐらいにまで押え込むということを至上命令として考えておりますし、またそれは可能ではないか。ただ、
自動車
同士が衝突したり
自動車
が単独で起こす事故につきましては、先生御
承知
のように、年間十数%の伸び率で
自動車
が急激に
増加
しております。この
状況
からしますと、
自動車
一台当たりの事故を減らすことは可能でございます。しかしながらその絶対数を減らすというのは相当至難なわざであろうと私ども思います。しかしこれも、現状以上に
増加
することをできるだけ抑制していきたいという方針で仕事を進めております。またその程度は可能ではなかろうかという考えに立って仕事を進めております。
山本弥之助
137
○山本(弥)委員 そうしますと、警察の取り締まりからいえば、
自動車
同士の事故はともかくといたしまして、
歩行者
の事故については、現在の安全対策施設が
整備
されれば減少することができるということは、ある程度まで見通しが立っていると言えるわけですね。そういうことであれば、ぜひそういうふうな努力を願いたい。私どもはどうも予算から見まして不十分じゃないかという感じが深いのでありまして、あとからではおそいわけでありますので、本年度は五年計画の初年度でございますが、警察の立場といたしまして十分検討せられまして、これを三カ年計画に縮めるなり、あるいは年度途中においてことしの
状況
を見て来年度から五年計画の
整備
費を増額するなり、当然取り締まり面から見ての要望をなさるべきではないか、かように私は考えますので、その点の要望を十分していただきたいと思います。 なお、施設
整備
の
内容
についてお聞きする時間も与えられていないようでありますが、せっかく建設省からお見えになっておりますので。
道路
にいたしましても、農村地帯は別といたしまして、
交通
量がふえると思われる
大都市
を初めといたしまして中
都市
等の国道あるいは二級国道、主要県道といった幹線
道路
ですね。岩手県におきましても、主要県道等につきましては相当舗装、改良がなされて
整備
はいたしております。しかし、集落のところは人
車道
の分離というところまで手が回っていないわけなんですね。この五年計画で少なくとも人
車道
の分離というようなことができるものかどうか。それからもう一つ。いまのやり方は今度の
改正
法にもあるわけですが、線を引くとかあるいはコンクリートのブロックを一定の間隔に並べまして人
車道
を分離するという
方法
をよく小
都市
ではとっておるわけなんですよ。盛岡のような中
都市
におきましても、そういうところが相当あるわけなんですね。これはある意味において、場合によっては危険ではないかというような感じが私どもしておるわけなんですが、そういうことも人道ができたんだということに入れますると、私は将来の問題は、事故の減少なんというのは思いもよらぬというような感じがするわけです。今度の総合計画では、文部省は教育の立場から学校教育あるいは社会教育等をやっておられますが、もう一つついでに建設省にお聞きしておきますが、古くから児童公園等の
整備
ということについても一
整備
を急いでおられるようであります。今年度の予算におきましても、相当の個所、児童公園というものの
整備
を考えておられる。もちろん、こういうふうに
交通
事故のふえない以前には、いま幼稚園に行っております幼児教育といますか、通学をしておられる児童に対する
交通
教育というものは行なわれたわけでございますが、学校に行っていないお子さんも、子供のときに知らず知らずのうちに
交通
道徳を身につけるという体制のために、この
交通
公園というようなものの
整備
を推進するという計画がもう数年以前からあったと思うのであります。これがどの程度に推進をされておるか、その辺の点をお答え願いたい。
井上孝
138
○井上
説明
員 御指摘の
道路
のことについて私からお答えいたします。 今度の五カ年計画によります
歩道
の達成の目標でございますが、ただいま御指摘のような小
都市
の市街地を含めまして、
交通
安全施設
整備
の観点から指定をされました
道路
——これは
交通
量と事故率から指定をいたしましたが、指定されました
進路
のそういう市街地
部分
につきましては全線一〇〇%
歩道
を
設置
するということを目標にしてやっております。 なお、御指摘の、ブロックを点々と置きまして歩
車道
を分離しておりますところがだいぶございますが、これもやはり私どもとしては、一応
歩道
を
設置
した区間というふうにみなしておりますけれども、これは決して十分な
交通
安全をはかれるものでございません。私どもとしてはやはりマウントアップと申しますか、
車道
より一段高くした
歩道
、これが
原則
でございます。ガードレールで分離をいたしまして車が飛び込まないようにしたのがその次でございまして、どうしても、沿道の店とか人家の
自動車
の利用とか荷物の積みおろしとか、そういうような観点からガードレールをつくったりできない場合、いたし方なくああいう
措置
で少しでも安全をはかるという観点でやっております。そういうやむを得ないところに限ってああいう
措置
を講じておるという
状況
でございます。
川名俊次
139
○川名
説明
員 児童公園の件でございますが、児童公園につきましては、誘致距離約二百五十メートル、一カ所〇・二五ヘクタール、七百五十坪でございます。これを標準といたしまして
人口
一万人に四カ所をつくるという計画のもとで実施をいたしております。現在全国一万三千カ所程度の児童公園の
整備
がなされてきております。最近におきましての
交通
事故対策といたしまして、特に児童公園につきましては最重点を置きまして、公園予算の約四分の一をこの
費用
に充当いたしております。四十六年度につきましては国費約十二億でございます。それとあと少年のための少年運動公園、ベースボールのグラウンドでございますが、こういうものの経費を入れますと、公園予算の約五〇%が青少年のために投入されている。
整備
につきましては、できるだけ早い機会に適所につくっていくという方針で進んでおります。
交通
公園につきましては、先ほどお話ございましたように、三十八年に
交通
公園
設置
運営要領というものを次官通牒といたしまして各都道府県知事に流しまして、この要領に従いまして現在四十五カ所ができ上がっております。明年度は一カ所をつくる予定でございますが、これが大体三千万ないし五千万程度の経費がかかります。用地は別でございます。したがいまして、一カ年で完成させるということがなかなかむずかしい問題でございますが、二ないし三カ年計画に基づきまして実施をしてまいりたい、こういうように存じております。
山本弥之助
140
○山本(弥)委員 そういたしますと、五年間に児童公園は
人口
一万人について四カ所というものは達成できるわけでございますか。 それからもう一点、いまの
交通
公園というのは、四十五カ所といいますと、今後の計画からいきますとどういうことになりましょうか。
人口
二十万以上の
都市
にはほとんど一カ所くらい
交通
公園ができ、逐次十万台の市にまで及ぼしていくという計画がおありになるのかどうか、お聞きしたいと思います。
川名俊次
141
○川名
説明
員 児童公園の
整備
計画等を含みます公園の
整備
計画につきましては、現在まだ政府案といたしましての長期計画あるいは五カ年計画といったものを持っておりません。現在立案すべく準備をいたし、検討中でございます。四カ所と申し上げましたのは、私どもの現在の構想といたしまして、
昭和
六十年を目途に考えておる考え方でございます。 第二点の
交通
公園につきましては、当面は
大都市
特に七大市を中心として出発をいたしまして、三十万、二十万という
都市
に逐次おろしておるわけでございます。これも一定の計画と申しますか、当該地域の御要望に基づきまして予算の
範囲
内で取捨選択、緩急の順序をつけまして、逐次実施をしていくという
状況
でございます。
山本弥之助
142
○山本(弥)委員 そういった施設を、どうか建設省におかれましても計画的に推進を願いたいと存じます。 なお、
道路
局にお聞きしたいと思うのですが、現在
大都市
からその周辺
都市
あるいは十万以上の
都市
に
人口
が集中しつつあるわけでございますが、ことに地方
都市
におきましても相当
人口
が集中してまいっておるわけであります。そのための住宅の建設ということが積極的に必要になってくるわけでありますが、公団営につきましては、私は公団の団地といいますか、その関連の
道路
あるいは団地内の幹線
道路
、そういうところは人
車道
に分離し——生活
道路
は
自動車
の制限と同時に、ある程度まで危険のないところは人
車道
の分離という必要はないかもしれませんが、そういうことの
方向
に行っていると思うのでありますけれども、最近民間の宅地業者が積極的に
人口
の
増加
に対応し、宅地の需要に連れまして、宅地造成、住宅の建設ということをやっているわけなんですが、今度の選挙であちこちの路地に入ってみましても、公害の住宅団地に比べますと、幹線
道路
との関連も全く不十分であると同時に、これは市町村の行政の一環だろうと私は思うのですけれども、不十分である上に、将来消防
自動車
が入っても困るようなところは、団地が大きくなればなるほどある程度まで幹線
道路
というものは打ち込まなければいかぬし、歩
車道
の分離ということも考えておかなければならぬ。こういうふうな印象を強く受けたわけであります。既存のところからそういうところに
自動車
が入っていく可能性が多くなる。またそういうところほど自家用車もふえるであろうということが想像されるわけであります。建設省とされても、
道路
の
構造
といいますか、そういうものを
歩行者
の安全という見地から考えておられると思うのでありますけれども、今後そういった地帯の問題につきまして宅地造成に関連いたしまして、
交通
の安全対策を少なくとも事前に十分監視、指導をする必要があると思うのですが、そういう点を十分おやり願っておるかどうか、現状はどうなっておるかお聞かせ願いたい。
井上孝
143
○井上
説明
員 先生御指摘のように、民間業者によります宅地造成につきましては、そこにできます
道路
は、まず細街路でございますと私道でございます。実は
道路
局は
道路法
による
道路
しか地方行政上管轄がございませんので、手が伸びないわけでございます。ただ、それにつきましては、建築基準法によりまして、最小
道路
幅がきまっております。 それからもう一つは、
都市
計画の観点から、そういった市街化するところは、先行的に
都市
計画決定をいたしまして、重要な
道路
は計画決定をして網をかぶせております。そこにはもちろん家が建てられない。家が建てば
道路
になるように築造するということで、民間業者の宅造には処しているという実態でございます。 ただ、私どもの
道路
局といたしましては、昨年の十月に閣議で決定をいただきました
道路
構造
令、これは
道路
の築造の技術的な基準で幅員とか勾配をきめております。そういう
構造
令を大
改正
いたしまして、主として人と車、あるいは自転車、
歩行者
と
自動車
の分離ということを主体とした
構造
の
改正
をいたしまして、ことしの四月から
施行
になっております。私どもとしては、
道路法
上でつくっていく
道路
はもちろんのことでありますけれども、各
道路
管理者
でございます末端の市町村長さん、そういった末端のところでも、こういった民間業者の宅造の際、その他市町村道を
整備
する際に、この
構造
令に準拠してやっていただくということを期待もいたしますし、また行政的に指導してまいりたいというふうに考えております。
山本弥之助
144
○山本(弥)委員 大体わかりました。いずれまたお聞きする機会があろうかと思います。 そこで、もとの問題に戻りまして、三千万台の
自動車
の
増加
、これは
運転
手が当然必要になってくると思うのでありますが、
運転
手の質の低下その他いろいろな問題も出てくるわけでありますが、この三千万台というのはいまの経済情勢からいって必要やむを得ない数字なのか、あるいはそういう趨勢なのか。もしその趨勢がある程度まで施設の
整備
とかみ合わない場合、あるいは国土の狭い日本におきましては別にかわる対策を考えるというようなことから、合理的に台数というものを、うしろ向きになるかもわかりませんけれども、この程度までは抑制してもいいんだというふうな検討は、対策本部ではなさっておられないのか、ただ趨勢と経済発展の関連からこの程度はどうしても必要な台数ということになるのか、ほうっておけばそういうふうになるだろうということなのか、その辺検討されたことがあるわけですか。
須藤博忠
145
○須藤政府委員 いまの御
質疑
非常にむずかしい問題でございますが、私どものほうといたしましては、やはり現在の日本の国民所得あるいは経済発展というようなものについて考えますと、
自動車
というものはこのままいけば相当伸びるのではないか、やはり
自動車
の持つ特別なモビリティーといいますか、
運転
してどこへでも任意の
場所
に移動できるという
自動車
の持つ特性というものから考えまして、今後
自動車
を持ちたいという国民は相当多い。したがって、ほうっておけば、今後日本の経済の伸びも考えますと、三千万台程度になるのじゃないかという推定をしたわけでございます。もちろんこれは不急であるとかあるいは要らないのじゃないかとか、別にそういうような価値判断をしてそういった数字を出したというわけのものではないわけでございます。ただ、現在の日本の体制下におきましては、これを押えるといいますか、それは非常にむずかしい問題ではないかというふうに考えておる次第でございます。
山本弥之助
146
○山本(弥)委員 私、むずかしい問題だと思うのでありますけれども、うしろ向きに減らすということ自体が、いまの情勢からいってなかなか困難な問題かもわかりません。しかし、警察の確信がおありになっても、おそらく二万人になったり二万五千人の死者が出るということになれば、これは何としても四千人減らす五千人減らすといわれても、そういう結果になれば、死者を出さないという努力と同時にほかの手を打たなければならぬ。たとえば大衆
交通
機関の
優先
交通
ということになれば、自家用車に乗らぬでバスに乗ることが便利でいいんだという一つのあれなんですね。それはある意味においては自家用車を買わなくても大衆輸送機関によって済まされる。大きくいえば、地下鉄が
整備
されれば自家用車を買わなくてもいいということとも関連いたして、いわば
自動車
の入り得ない生活
道路
の
規制
を続けていくことによって、いろいろその辺にある
自動車
を必要とする店舗あるいはその他の事務所がその他のところに移転せざるを得ないということも考えられるわけであります。いわば、不要とはいえないまでも、ある程度まで不急の
自動車
の
規制
をするということと、今度の
改正
法は大きく関連を持っておるのじゃないか。これは公害との関連で昨年
改正
が行なわれましたが、それらということになれば、広域的な
交通
規制
も行なわれる。いわば
自動車
を持っておっても利用できないあるいは不急の
自動車
は
規制
をせざるを得ないということも間接的に行なわざるを得ないのじゃないか。広域的な
規制
も、自家用車はお考えになっておられるかどうかわからぬが、ある程度まで都心の乗り入れを
規制
する、
パーキング
は周辺に置く、あるいは大局的に見れば、
都市
の改造等に関連いたしまして、
自動車
を多く持たざるを得ない者は都心から郊外に移転させるんだというふうな体制というものも、私は考えておくべきではないかと思うのであります。要は、今後どうしても
自動車
がふえる趨勢はやむを得ないとしても、人命
優先
あるいは
歩行者
優先
というような考え方に立てば、何らかの
方法
で自家用車は間接的に抑制せざるを得ないということになると思うのです。そのことから考えますと、一連の考え、たとえば今日道交法の
改正
で
運転者
の管理のための
規定
の
整備
等によりまして
講習
を
強化
する、あるいはさらに免許を受けるときには
講習
を受けさせる、あるいは指定教習所の技能指導員の
講習
をやる、あるいは
自動車
を何台以上持っておる者の
安全運転管理者
の
権限
を
強化
するというような問題等を考えますと、
運転者
もある程度
規制
する、それによって
自動車
の
増加
を食いとめるという一連の
方法
があると思うのです。これはどうしても私は
強化
してもらわなければならぬと思うのです。 今日教習所というのは非常にふえているわけですね。急にふえているわけですね。ここ何年間に中
都市
におきましても、一カ所くらいであったのが二カ所、三カ所になっている。五、六万の
都市
でも二カ所になっているとか三カ所になっている。盛岡市内においてはもう数カ所以上になっているんじゃないか。それはそれだけの希望者があり、あるいはそれだけ
自動車
を買うことになると思うのです。そうなると、そういうのが
運転
している車が事故の原因をつくるということになるわけであります。私は
自動車
のふえるのがやむを得ないとするならば——指定教習所のふえているというのは、やはりもうかる、営利的に採算がとれるということが一面あって、損をしてまでも公共団体とかあるいは公益法人以外が教習所をどんどんつくるということではないと思うのであります。もうからなければつぶれていくと思うのですが、もうかるということは、ある程度まで、極端にいえば、粗製乱造せざるを得ないという実態にあるんではないか。そうすると、そういう面の十分な
内容
の指導監督、あるいは要員を、公安
委員会
によりまして
技能指導員等
も承認をするわけですが、持ってなければ再
整備
を命ずるということになっておるようでありますが、やはりその技能指導員も十分公安
委員会
が
講習
を何回もいたしまして指導すると同時に、
徹底
した
運転者
を養成するという
方向
に行きませんと、これはいろいろりっぱな対策をおやりになりましても、次から次に総合的な対策としてはあっちこっちに欠陥が出てまいりまして、おそらく警察庁の事故を減少し、死傷者を減少させるという確信というのはぐらついてくると思います。こういう指定教習所の
強化
ということを、午前中も質問がありまして、
交通
局長から答弁もありましたので、私は触れませんが、私は思い切っておやりにならぬといかぬのじゃないかと思うのでありますが、指定教習所等に対する監督指導という面につきまして、今後どういうふうにおやりになりますか。
片岡誠
147
○片岡政府委員
指定自動車教習所
でございますが、現在実際免許証を毎年交付する、新しい免許証を持つ者の八五%ぐらいは
指定自動車教習所
の卒業生でございます。したがいまして、初心者の教育機関としては何と申しても一番中核になる機関だと私ども思っております。したがいまして、この
指定自動車教習所
の指導育成あるいは監督の
強化
ということにつきましては、常時私どもも力を入れておるところでございますが、今回の
法改正
を御提案申し上げておる中で、一番
指定自動車教習所
で中心になって教育をやっている指導員でございますが、
法令
、技術、
構造
、そういう指導員の資質の向上をはかりたいということで、この指導員に対する公安
委員会
の
講習
を全面的に
強化
していく、そして
指定自動車教習所
の
管理者
はこの公安
委員会
の
講習
を受けさせなければならないという
義務
を課すことにいたしております。この指導員、中には非常にりっぱな指導員が多いと思いますけれども、やはり能力からいって見劣りがしたり、あるいは教え方について問題のある指導員も、たくさんの中にはあろうと思います。そういうものの資質の向上をしていくというのが一つの
方向
でございます。 それから同時に、現在
指定自動車教習所
の教育の中で、最低二十七時間の実技の教育をしておりますけれども、その中で路上練習を大体六時間ないし十時間
義務
化されております。路外の練習よりもこの路上練習のほうに将来はウエートを次第に移していって、ほんとうに
道路
上で安全に
運転
できるという初心者を次第につくっていくという
方向
に今後とも指導してまいりたい、このように考えております。
山本弥之助
148
○山本(弥)委員 いま技能指導員は教習所ごとに必要な数を置くことになっていると思うのですが、その場合に、技能指導員にふさわしいかどうかということは公安
委員会
が認定するわけですね。そして教習所ごとにやっておるわけでありますか走る程度まで、必要な要件というものを
整備
されまして、このごろはまあはやりみたいになっておるわけでありますが、何々士、みんな一つの資格で、必ずしもそれに右にならえするというわけではありませんけれども、ある程度まで
運転
ができるということではなくて、やっぱり指導員のわけですから、りっぱな資格基準というものを
整備
して、それはどこの教習所でも通用できるような、いい指導員が引っぱりだこになるようなことになれば、指導は
強化
されて——いい指導員がいる、りっぱな、技術的にもあるいは指導もいいんだというようなのが、競争してそういう者を置くというような教習所になってほしいと私は思うのですが、そういう意味で、そういう一定の資格要件のもとに、どこへ行っても通用する指導員というような制度はお考えになりませんか。
片岡誠
149
○片岡政府委員 現在先生おっしゃいますように、この技能指導員につきましては公安
委員会
で審査をいたしテストをやっております。これは教え方、それから実際に車を
運転
してみて、そういう教え方も技能も十分であるかどうかというような実技も含めてテストをやっておりますが、各県で基準が若干ずつ異なっております。したがいまして、一つの県で審査を受けて指導員になりましても、よその県に行く場合には必ずしもそのまま通用しないというのが現状でございます。もろとも十数県ではお互いにその審査はするけれども、よその県で指導員をしていた人については、書面審査だけで済ましているというような扱いをしている県もございますけれども、若干区々でございます。私どもとしましては、審査の基準を全国的に同じような
方向
に、しかもレベルを高めるという形で指導してまいって、一つの県で審査に合格した人は、よその県に行ってもりっぱに通用するというような
方向
で行政指導してまいりたい、そのように考えております。
山本弥之助
150
○山本(弥)委員 そうしますと、一定の資格を持った者として、公的に認定するというふうな制度の
整備
というものはお考えになっておりませんか。全体のレベルを向上させるという指導だけにとどめる。看護婦の資格みたいな、そういったりっぱな資格として認定するというような制度をお考えになるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
片岡誠
151
○片岡政府委員 とりあえずその行政指導でレベルアップをまずはかっていきたい。そしてそれで十分でないという点がございましたら、その時点になって検討いたしたい、現在はそのように考えております。
山本弥之助
152
○山本(弥)委員 次に
安全運転管理者
の
権限
強化
ということは、私は
事業所
の従業員の
運転
手の
交通
道徳を高める上において非常にいいことだと思うのであります。しかし、これは事業主あるいは使用主の考え方によって、
安全運転管理者
の
権限
は
強化
されても、実際実効があがるかどうか、実効をあげることが目的のわけですね。それで十分これの指導といいますか、これは労働省になりますか警察になりますかわかりませんが、指導と、多少事業主の意に反しても
管理者
がりっぱに事故を起こさないという——これから事業の発展に伴いまして
自動車
もふえると思うのであります。やはり
交通
事故を起こさない、そのためには会社の経営上から
運転者
のことを十分考えていく。これは労働条件にも関連してくると思うのです。そういうことについては十分御指導を願わなければ実効があがらないと思うのであります。それと同時に、
管理者
が、
運転者
の労働条件あるいはその他特に必要な問題はどの程度か——国鉄では事故の起きないような、一定の基準で
運転
時間だとか休養時間というようなものが厳重に励行されておるわけでありまして、そこまで厳重にやらないまでも、稼働時間だとか、あるいは疲労回復、あるいは疲労の上で
注意義務
が十分でないというような体制で
運転
させることは事故のもとでありますので、それらの労働条件なり、あるいは一応平均の稼働時間あるいは疲労度が極端にならないような基準というようなものをつくりまして、
管理者
にそういった指導ができるかどうか、よく調査を願いまして、それからさらに一定の
運転者
の労働条件の中にそういったものを基準として示すというような体制に持っていくことが、事故を防ぐ大きな力になろうかと思います。そういうことをすべきだと思いますが、いかがでしょう。
片岡誠
153
○片岡政府委員 私、仰せのとおりだと思います。そういう点につきまして、たとえば拘束何時間であるとか、あるいは実働何時間、その中で実ハンドル時間を連続何時間ぐらいにすべきであるとか、あるいは高速
道路
の場合であれば、たとえば連続走行キロ二百キロなら二百キロとすれば、必ず十分休憩をとるとか、そういう具体的な数値についても研究が国鉄その他で十分行なわれているようでございますし、あるいは長距離のトラックの場合にも相当厳密な労務管理が行なわれているようでございます。したがいまして、私どもの
法律
の
対象
になっておりますのは、自家用の
自動車
でございますので、そういう営業用の
自動車
に比べれば、若干いままでルーズな面もあろうかと思いますので、したがいまして、営業用の運行
管理者
に該当するぐらいの
権限
をこの
安全運転管理者
に与えて、企業主に対してもある程度その職務に関しては独立して
権限
を行使できるような仕組みにしたいと思っておりますし、それから具体的な運行計画を立てるにあたってのそういう労働条件についてのきめ方その他につきましても、今後
講習
その他を通じて十分に指導してまいりたい、そのように考えております。
山本弥之助
154
○山本(弥)委員 最後にお聞きしたいと思いますが、いまの事故は
運転者
の側におきましても
歩行者
の側におきましても、わが国の急激なモータリゼーションの結果、いわゆる
交通
道徳といいますか、
交通
常識というものが対応しないままに来たというきらいが確かにあると私は思います。それをいま
交通安全対策
本部を中心といたしまして、府県、市町村にそういうものがあって、施設を含めましてあらゆる角度から
交通安全対策
をやっておられるわけです。しかし、今日この
交通
問題は国民あるいは地域住民ぐるみ取り組まなければならない問題だと私は思います。それは児童の父兄側にいたしましても、あるいは直接ハンドルを握っている自家用車の
運転者
にいたしましても、あるいは被用者としての営業
運転者
にいたしましても、すべてを網羅してこの問題に取り組むという姿勢が必要ではないか。そして早く
自動車
の
増加
に対応するような
交通
常識を身につけるということが、施設の
整備
と関連いたしまして重要になってくる、こう思います。そこで、対策本部は、やはり
中央
官庁の相互連絡というようなことでできておるわけでありますが、各県の公安
委員会
に、私はできれば法的な機関にいたしたいと思うのでありますが、それまででも、公安委員が
交通
問題にもっと取り組むのだという姿勢から、一般地域住民との接触をはかるという意味におきましても、
交通
安全協議会あるいは審議会というようなものを公安
委員会
に
設置
いたしまして、そして常に各方面の協力をはかる必要がある。
交通
問題につきましては、
交通
安全協会というのがありまして、全国の
交通
安全協会には国の予算から補助金を出しまして、
交通
に関連する情報あるいは宣伝活動をやっておられるようであります。各県にも
交通
安全協会があって、警察の傍系団体みたいなかっこうで、いま
交通
安全に取り組んでおります。私は、決して悪いとは申しません。それなりに効果をあげておると思う。しかし、じかに各層の声を公安
委員会
が——多少人数が多くなってもいいと思います。あるいは手当等も増額になっても、そういうことに惜しむべきではないのであります。各層を網羅した委員を任命いたしまして、そして協議会あるいは審議会というかっこうで、あらゆる角度からこの
交通
事故を減少させる、あるいはなくするということに、公安委員みずからが積極的な姿勢を示す。私は、極端なことを言えば、
交通警察
官は、誠意をもってやれば、多少ことばは荒くても——何といっても地域住民のためですから、死傷者をなくするという意味では、態度とかなんとかいうようなことよりも、誠意をもって
交通
事故をなくするということであれば、それはやさしいことばを使えとか、そういうことでなければ民主警察ではないというようなことは私は考えません。国民のためであればことばはどうでもいい、ほんとうに誠意をもって当たればいい。そういうある程度まで信念に燃えた
交通警察
官を養成するということからいっても、そういうことばとかなんとかいうことの弁護をする
委員会
にもなると思うのです。公安
委員会
みずから、
交通
事故をなくしていこう、
警察官
は多少乱暴な口をきくかもわからぬが、死者ができたり負傷者ができたら取り返しがつかぬのだ、とうとい人命の取り返しがつかぬのだ、こういうことで皆さん方にお願いするのだというような姿勢を、私は公安
委員会
はとるべきだと思う。そういう意味合いにおきまして、そういった広い協議会を設けるべきである。なお、今後信号機にいたしましても、
道路標識
にいたしましても、おそらく
交通
の取り締まりの基準は信号機だとかあるいは
道路標識等
というものに依存をしてまいると思うのであります。そういうものをよりよきものにする、あるいは十分認識をしてもらうということからいいまして、広い各層の、あるいは家庭の主婦がおっていいわけです。あるいは現業の
運転者
がおっていいわけであります。そういった方を委員とする協議会あるいは審議会というものをつくって、公安委員みずから
交通
問題に取り組むのだというような、強い姿勢がいまは必要ではないのか、かように考えておるわけであります。そういう審議会をぜひつくってもらいたいと私は思っております。御見解を承りまして、質問を終わらせていただきます。
須藤博忠
155
○須藤政府委員 私のほうから一言お答え申し上げたいと思います。 まさに
交通
事故の
防止
につきましては、御指摘のとおり、全国民がこの問題に徹するということが何よりも大事なことは、申すまでもないところでございます。私どものほうは、
交通
安全に関しまして
関係
の
中央
各官庁、各省庁の連絡、調整をやっているわけでございますが、それ以外に
交通安全対策
基本法の仕事を担当しておるわけでございますし、各都道府県におきまする
交通安全対策
の主管部局というものの指導もやっておるわけでございます。すでにほとんどの府県には知事を会長といたします
交通
対策協議会ができておりますが、昨年の六月に
交通安全対策
基本法が
制定
されましてからは、
交通安全対策
基本法に基づきまして、都道府県に都道府県
交通安全対策
会議
というものを設けることにしております。これは知事を会長にいたしまして、県の教育
委員会
の教育長、あるいは警察本部長その他のメンバーを入れまして、これが一つの組織として都道府県の
交通安全対策
会議
というものを構成いたしまして、
交通
安全計画を策定するということになっております。さらに市町村においてもこういうものを置くことができるようになっておるわけでございます。大体におきまして、現在ほとんどの都道府県に総本部あるいは企画室等に
交通安全対策
室というような組織がすでにできておるような次第でございます。私どものほうといたしましては、こういった都道府県の組織というものに対しまして、今後さらに指導を強めてまいりたいというふうに考えております。 また、私どもこの指導に当たりまして、単に都道府県段階だけで
交通
安全の仕事をするだけでなくて、市町村というものもほんとうに
交通
安全のために動員できるようなことを考えた上での対策を立てるように、これを
交通
安全の指導の中心にしておるというようなところでございます。御指摘の点につきまして、今後とも一そうの努力を払う所存でございます。
山本弥之助
156
○山本(弥)委員 長官にひとつ御答弁願います。
後藤田正晴
157
○
後藤田政府委員
いま須藤室長のほうから御
説明
がございましたけれども、これは役人が中心の
会議
でございます。先生おっしゃいますような地域住民あるいは実際にハンドルを持っている人あるいは婦人といった、そういう団体を代表するあるいは学識
経験
者といった方々が必ずしもメンバーでございませんので、現在私どものほうは、御
承知
のことだと思いますけれども、たとえは警視庁の場合は
交通
モニター制度をとっておりますし、それから県によりますと、安全対策の推進協議会というような形をとったり、いろいろ県によって形は違いますけれども、輸送機関の業界の代表者あるいは労働組合の代表者の方々とか、議会の代表者の方とかあるいは
歩行者
の立場の代表といったような方々を構成員とする
会議
あるいは
委員会
形態で、公安
委員会
かあるいは警察本部長が
交通
行政をやる場合の諮問機関的な組織が現にございます。またそれを私どもは有効であると思いますし、伸ばしていきたいと思っておりますが、ただ、これを法制上取り上げるということは現段階では考えておりませんし、また法制的な制度にするのがはたしていいのかどうか。むしろ目的に合致した、そのときそのときの、構成員も変えながら、一番目的に合ったような生きた
活用
をしていくということも二つの考えではなかろうかと思っておりますので、先生のおっしゃる趣旨は私もよくわかっておりますし、そういう面で私どもも指導してまいりたいと思っております。
山本弥之助
158
○山本(弥)委員 いまのお話は、任意の協議会みたいなものは各県にあるわけですか。——それの
活用
をはかりながらいまの問題を積極的にお考え願いたいと思います。公安委員というのは民間から選ばれるべき——私は場合によっては公選のほうが好ましいと思うのでありますが、知事の任命でも、とにもかくにも民間から出る公正な機関なわけですが、どうも公安委員が表面に出てくるということはほとんどないわけですね。もっともあまり公安委員が出てくると、指揮系統その他もうまくいかぬのかもわかりませんけれども、しかし、民主警察を確立していくというときには、一般の声を聞くということ——公安
委員会
が第一線に出て最も重要な問題については、そういう
意見
を聞くということが必要ではないか。私は警察の事故を減らすことについての自信に信頼をいたしますけれども、これは容易ならぬ問題だと思いますよ、この
交通
事故をなくするといういまの趨勢から考えますと。予算も十分だ、人
車道
の分離も一〇〇%五年間でできると言っておりますけれども、予算要求は査定を受けているわけでありますが、半分になってもいいのだ、やるのだという気持ちは、これは予算の
範囲
内でやるという努力はけっこうですけれども、今後の五年間の情勢というのは、いろいろな意味におきまして非常に変わるのじゃないか。そういたしますと、事故がふえてまいりますと、施設が十分でないということの非難も当然受けましょう。受けますが、現実に取り締まっておる
警察官
に対する非難が当面きびしくなる。その非難に対してどう民間の協力を求めていくかというときには、単に人集めで任意的に相談するということではなくて、お願いしているのだという正式の機関で公安
委員会
が一般の住民の方々と話し合う、それがいまの
交通
事故をなくするという最も重要な警察の当面している問題なんです。公安警察の問題も、赤軍派だとかなんとかいろいろな問題もありましょうけれども、一応平静に向かいつつあるような、ゆだんはならないけれども、平静に向かいつつあるという情勢に、いま死傷者を多く出しておる
交通
問題を、警察の取り締まりの立場からこれにどう対処するかということは当面の重要問題である。したがって、そのためにはやはり一般の司法警察とかの協力も必要ですが、これは限度があると思うのです。
交通
問題だけはいかにみんなのふところに飛び込み、みんなの協力を得ても十分だということは言い得ないわけでありまして、従来の行きがかりにとらわれることなく、正式に皆さんの協力を求めるという組織を確立するということは私は必要ではないかと思いますので、十分検討を願いまして、そういう体制を早くつくっていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
菅太郎
159
○
菅委員長
和田一郎君。
和田一郎
160
○和田(一)委員 最初に
交通
局長にお尋ねいたしますけれども、いままでの各委員の方々の質問を聞いておりまして私も感じるのですが、いかに
法律
が変わっても、また道交法が
改正
されても、その法を運用するのは人であるという問題ですね。私はそれが一番大事だと思います。
交通
事故も、よく見ますと、結局は
運転者
の不注意です。また不届きしごくな考え方の人もいる。そういう面でそこにもつともっとウエートを置いていかなければならないのじゃないか。そういう意味で、実は先ほどテレビで放送しておりましたけれども、けさ八時ごろですか、新潟県の六日町だと思いましたね。あそこで十九名の小学校の子供たちが
横断
をするために待っているところヘライトバンが飛び込んで、そして五人の子供たちが二カ月から六カ月の重傷だという。いまのおかあさん方が一番心配なのは何かというと、行っていらっしゃいとわが子を送り出して、帰ってくるまでがほんとうに心配だ。私は先ほどニュースを見ていまして、何とこの
運転
手は非常識きわまるじゃないか。そこでアナウンサーの解説によりますと、前の車が、子供が
横断
しかけたのでとまった。ほかの車がとまっているのに、その間隙を縫ってうしろから突っ込んできた。完全な非常識。しかも免許取りたて二カ月だ。たとえ何十年の熟練者であっても、またきのう取りたての人でも、一たん
自動車
を乗り出せば同じなんです。そういう変な、まあわれわれから言えば、不適格者にどうして免許を与えたかということが問題じゃないかと思うのですね。その辺をもっとさかのぼって強力にやっていかなければ何にもならないと思うのです。そういう意味で、きょうの六日町の事故の概要をひとつ
説明
していただきたい。
片岡誠
161
○片岡政府委員 いまお話のございました事故の概要で、第一報として入っておりますのを簡単に御
説明
します。 けさの午前八時二十五分ごろ、新潟県の南魚沼郡六日町の国道七号線の路上で、いま申されましたように、集団で登校中の児童の中に突っ込んだわけでございますが、
横断歩道
の手前で一時停止をしないで突っ込みまして、大腿部骨折などで四名が重傷、他の十五名が軽傷、計十九名の子供さんたちがけがをしたわけでございます。その
運転
手自身は現在逮捕いたしまして取り調べ中でございます。道交法
違反
並びに業務上過失傷害罪などで取り調べをいたしておりますが、その後、その
状況
そのものにつきましてはまだその程度しかわかっておりませんが、
横断歩道
には信号機がなく、また
交通整理
員もいなかったということのようでございます。
和田一郎
162
○和田(一)委員 いまの御報告または報道だけで考えますと、あそこのところは
横断歩道
を
設置
していなかったらしいのです。何も書いていなかったらしいのですよ、NHKのニュースを見ますと。
横断歩道
をつくってもらいたいという申請のほうも、ただ声だけあがっておって、そういう働きをしていなかった。そういうこともアナウンサーの解説は言っておりました。テレビの写真を見ましても、そこにまんだらの
横断歩道
のペンキが塗ってなかったのですね、見ましたところによりますと。ですから、その面もあると思うのですね。
横断歩道
をつくってなかったという一つの面もある。もう一つは、どう考えましても、結局は
運転
手の無謀な操縦です。そうしますと、先ほど山本先生からもるるお話がありましたけれども、現在指定教習所ですか、よく看板を見ますと、実地
試験
免除
と書いてあります。私は大体いまから十八年くらい前に免許を取ったわけです。その時分は警察でやっている
試験
場へ行って免許を取るわけです。一回でパスできることはほとんどなかった。普通で六、七回、最悪の場合は十回くらい行かなければもらえなかったのが昔の免許証ですね。ところが、いまは何十時間か乗れば実地
試験
免除
というのですね。以前のほうが
道路
はよくなかったかもわかりませんけれども、車の数は少なかった。いまのほうがもっともっと技術的には向上していなければならないわけですよ。それなのに免許証はばかに簡単にもらえるというのです。その点私は非常にふしぎに思うのです。大体八五%が指定の教習所でやる、あとの一五%というのが公安
委員会
のところの
試験
場を通るわけですね。じゃ、大体どういうのを基準にして免許を与えるのかという問題になってくると思うのですね。その点についてはどうでしょうかね。
片岡誠
163
○片岡政府委員
指定自動車教習所
の場合は、最低二十七時間の実技の教科課程を組んでおるわけであります。現実には、大体通常いわれておりますのは、その人の年齢と同じ期間だけの時間数を技能の練習をしないと免許証は取れないということなんです。たとえば二十五歳の人であれば最低の二十七時間で取れるけれども、五十歳の人がやれば五十時間はかかるというのが大体常識になっているようでございます。それから
試験
場での
試験
は、いまでもおそらく数回受けないと通らないような状態だと私は思います。と申しますのは、
試験
場へ受けに来るときには十時間くらい練習して受けに来るというようなケースが相当ございます。
試験
場へ何回でも行って、落っこちては受け、なれていって、そして通っていくというのが、直に
試験
場に受けに来る場合の大体通常のやり方だと私は思っております。 それからもう一つは、
指定自動車教習所
の場合は、御
承知
のように、技能検定員というのが別に指導員以外にございまして、そして検定員の検定のしかたは、大体
試験
場の
試験
官のやる
試験
のやり方と同じ水準でやるという指導を現在もしておりますし、大体二十七時間やればすぐ全部卒業できるというような仕組みでは必ずしも指定教習所は運用されていなくて、場合によりますと、指定教習所を卒業するのに、女の方なんかではやはり四、五十時間かかって実際に練習をして、やっと卒業できるという方も相当数あるようでございます。これも非常にむずかしい問題でございまして、じゃ、長くやればやるほどいいのかというと、これは逆に指定教習所がもうけ過ぎているのじゃないかという別の面の批判もまた出てまいります。したがいまして、私どもとして指導しております基準は、
試験
場における
試験
官と同じような基準で、公正に技能検定員が検定をやるという
方向
で現在も指導しておりますし、今後もそういう
方向
で指導してまいりたい、こいうふうに考えております。
和田一郎
164
○和田(一)委員 私も自分が何もうまいからというわけではありませんけれども、ずいぶんへたな人もいるわけです。よくこんなのが免許証をもらっているな、一ぺん長官を乗せて走ってもらいたいくらいですよ。実際問題として何回も落っこってはそこで練習していくというのは、私は極端だと思うのです。これはいわゆるお金がない方じゃないかと思うのです。教習所は高いのです。少なくとも十万から十五万払わなければ免許証を取れないわけですよ。それだけかかっちゃうわけですよ。何十時間習ってもへたな人はへたですね。じゃ、そこでもうけ過ぎているじゃないかという、いまあなたのおっしゃった議論は、私は一番いいのは、いずれにしても免許証というのは公安
委員会
が発行するわけですよ。公安
委員会
で、教習所を出た人も全部やったらどうですか、もっときびしく。国政モニターが最近
交通
を調査されましたね、いろいろな問題を。これでも、免許取得を厳格にしろと言っている。私はこの点で事故は半減できるのじゃないかと思うのです。その点、ひとつ長官、どうでしょうか、その考え。 まあ教習所はいろいろな情実も出てくるのじゃないかと思いますし、大体ちまたでいわれているのは、二十何時間乗ればもらえるんだということ、しかも大々的にでっかい看板で、実地
試験
免除
です。それが一番魅力です。そういう点で、教習所を通ってきた者を厳格に公安
委員会
で検査する、へたな人はもう一ぺんやり直してもらう。そうしなければはっきりとしたものは出てこないと思うのですね。長官、ひとつ答えてください。
後藤田正晴
165
○
後藤田政府委員
運転免許
については、日本の場合はいろいろ欠点もありましょうけれども、誤外国と比べますと、非常にやかましい国だと私は思います。しかし、まあ御説のように、
自動車
の教習所、指定のものを卒業した者についても全部公安
委員会
で
試験
をするというのもまた一つの
方法
だと思いますけれども、私はやはり諸外国と比べて日本の特色は指定教習所制度があるというととだと思います。したがって、将来とも指定教習所をよくしていくという
方向
で問題を解決すべきではなかろうか。したがって、また指定教習所に対する監督指導という面は従来以上に
強化
をする必要があるだろう。同時にまた、指定教習所に行き得ない人をどのように救済するか。これについてはやはり路上の
運転
の
義務
づけ、同時にこれを指導する一定の資格を持った者というような制度をつくってやっていくのが一番いいのではなかろうか。公安
委員会
がすべて
試験
するというのももちろん一つの
方法
ですけれども、今日七百万の受験者がございます。こういう点等を考え、さらにはまた日本的な一つの今日のやり方といった面も考えまして、現在の制度を生かしながらやっていくのが一番いいのではないか、かように考えております。
和田一郎
166
○和田(一)委員 今回わが公明党で
交通安全対策
の実態調査、いわゆる意識調査ですけれども、やりました。それでこういう結果が出ております。質問は、四十二年一月以降あなた自身または身の回りの方で事故により死亡されたりけがをされた方がありますか、こういう質問です。それに対していわゆる事故
経験
者の有無ですけれども、回答者の五三・四%があるというのです。ですから、国民の二人に一人が事故を
経験
している。長官もそちらのほうは専門家でございますから、いまのそういうおことば、当然だと思いますけれども、二人に一人が事故を
経験
している。私も実は事故を
経験
しておるのです。これはとにかく苦しいですよ。事故を
経験
していない人はわからない。自分であって自分でないような状態のときがあるのです。そういうことから考えまして、人命尊重というのは、これはことばの上だけですよ。私は
運転者
を
徹底
的にチェックする必要があると思うのです。そういう点で一番いい
方法
は、長官もそれがいいというような発言もいまちょっとありましたけれども、何とか厳格にやってもらいたい。実地
試験
のほうも、教習所から実地
試験
免除
をされて巣立っていく人に対しては、そこへたとえば専門の
交通
の方を派遣して、経費は人件費だけでいいのですから、そこで見たっていいじゃないですか。何十日と一諸に乗っていますと、情実ということも出てくるのじゃないですか。そういう面でこの点はひとつ御一考願いたいと思います。そしてもう少し論議を進めてからまた長官にその点について御答弁していただきたいと思います。 いまうしろのほうに運輸省の方がいらっしゃいますので、お聞きしますけれども、極端に低くしている座席があるのですね。乗ったことがありますか。とにかくハンドルを持ちますと、目の高さがフェンダーですよ。かっこいいんだそうです、若い人は。私なんか乗ってみますと、実に危険です。もうこの辺が目の高さです。しかもスプリングを普通のやわらかいのをはずして、短いかたいスプリング、いわゆるスポーツ・スプリングにするのだそうです。それで行きますと、急カーブが切れるのだそうです。急カーブを切るとキーッと音がしますね。それがかっこいいんだそうです。そういう神経。人の歩いていないところ、
道路
以外でやってもらえればいいと思いますけれども、そういったのがちまたにうろうろしている。ああいうことは安全性について実際問題としてどうですか、その点ひとつお答え願いたい。
飯塚良政
167
○飯塚
説明
員 先生のいまお述べになりました車は、スポーツカーのようなものだと思いますけれども、現在はスポーツカー等につきましては、新型の
自動車
として性能等は本省において審査してから
販売
するようなルールになっております。それでございますけれども、一応市販されてユーザーが買われてからスプリングをかえたりそういうこともあるとは思います。この点につきましては、なかなかその実態を調べることがむずかしいというふうな
状況
でございますが、そういうふうなことは
自動車
メーカーが
自動車
をつくるときの製作意図に反して使われておるような
状況
でございますので、
自動車
メーカー等を通じ、あるいはその他の団体、
関係
官庁等と十分連絡をとりまして、車のメーカーが意図した
構造
で使うということは、今後とも行政指道していきたいと思います。 それから座席が非常に低くて視野が目の辺から上にあるということでございますけれども、スポーツカー等につきましては、加
速度
を出すということ……(「目の上だったら見えぬじゃないか」と呼ぶ者あり)非常に座席が低いのは見えにくいというお話でございますけれども、競走用
自動車
については、空気抵抗を少なくするために、流線型にするというような
方向
で車を製作しておりますが、普通市販されている
自動車
につきましては、前部視野について不十分であるということは非常に少ないと思います。しかしながら、この点についてもそういう点を十分注意しながら、今後車の
構造
等について審査その他の
方法
をやってまいりたいと考えております。
和田一郎
168
○和田(一)委員 競走用
自動車
のことをお伺いしているのじゃなくて、そういうのがちまたに走っているのです。買ってから改造するのです。それも普通の乗用車を改造するのです。スプリングをかたくしまして、短いのを使いますと、ものすごく振動があるのです。ですから、アスファルト以外ではとてもじゃないけれども無理です。いなか道ならおなかががたがたつかえるくらいです。きわめてスピードが出るそうです。しかもスピードを出しながらカーブを切れるわけです。そういうことで若い人たちがそういうようにしたがるのです。それじゃ、それで安全かという問題なんです。いま新聞を見ますと、たいがいの新聞に
自動車
の広告が出ていますよ。どれを読んでも垂涎三尺でしょう。買いたいなという気持ちが出てくる。渋いような、年配の方に向くような車もありますけれども、若向きのが多いのです。最近乗用車だってうしろが競走
自動車
型になりましたね。うしろの窓がふさいである、そういうのもあるわけです。いずれにしましても、結局はどんな車を持ったって乗る本人の問題です。普通の
自動車
にタイヤの幅の広いのをくっつけて乗っているのもあるのです。そういうことは運輸省として野放しにしていいのでしょうか。タイヤの幅を広くすれば抵抗がそれだけ大きいものですから、スリップが少ないということで、早く発進できる。だから短時間で何十キロにも行くという。町の中でこんな必要が現在ありますか。そういうのが野放しになっているところにこの
交通
事故がおさまらないのです。結局は
交通
事故というのは人の問題です。あくまでも一人の問題。そういう感覚の方に免許証を与えるということが問題だと思うのです。かっこいいですよ。それでけがさせられたのじゃ、こっちはたまったものじゃないです。私も実は、かっこいい、無免許で、しかもげたをはいた、そういう青年にうしろから追突された
経験
があるのです。そういうようにめちゃめちゃなんですよ。そういう点でスピード感をあおるような、また若者のそういう冒険心をあおるような車を野放しにしておいていいものかどうかということを私は運輸省の課長さんにお聞きしたわけです。しかも現在たくさん走っていますから、ガソリンスタンドに行けばスプリングは取りかえられるのです。乗ってごらんになったことがありますか、課長さん。
飯塚良政
169
○飯塚
説明
員 そういう車は、まだ私自身乗ったことがありません。
和田一郎
170
○和田(一)委員 お年寄りですから……。(笑声) じゃ、運輸省のほうとしては、そういう車の安全性はどうかということはお考えになったことはあるのですか。
飯塚良政
171
○飯塚
説明
員 メーカーが設計した車、その懸架
装置
、特にスプリング等をかってにかえるというようなことについては、使いようによっては危険な場合もあると思います。
和田一郎
172
○和田(一)委員 じゃ、メーカーがちゃんとつくったのを取りかえるということは危険性があるから、今後どうされるおっもりですか。
飯塚良政
173
○飯塚
説明
員 私どものほうでやっております
車両
検査等でも、
自動車
検査官が車の下のほうから見まして下回り等は検査しております。それで一応目に見える
範囲
で、どうもこれはおかしい危険そうだというふうなものについては、これは不合格にしたり、あるいはもう一度再検査をしたりというふうなことをしております。ただ、実際上の問題といたしましては、市販されて、カーキチと申しますか、車に熱心な若者等が自分でスプリング等をかえてしまうということについては、これはなかなか発見がむずかしいというふうなこともございますけれども、そういう車についてメーカー等を通じ、あるいは
整備
関係
の団体等も通じまして、そういうふうな改造等がないようにというふうなことについては、今後指導するようにいたします。
和田一郎
174
○和田(一)委員 それはほんとうですね。いま、今後指導するというふうにおっしゃいましたけれども、いままでは何もやってなかったわけですからね。それで車検のときは、これは
整備
工場から持っていかなければだめなんですね。
整備
工場のほうでちゃんとやって、黄色いのを塗りまして、きれいに——きたない車でも黄色く塗ってあれば車検を通った車なんです。そのときだけなんです。車検をもらったら、まずスタンドでリフトで上げてスプリングを簡単に取りかえられる。ですから、そういう部品をつくるのをやめさせれば一番いいのじゃないですか。その辺をひとつ厳格に、またそれが危険性があるか安全かということもがっちり検査して、さっそく手を打っていただきたいと思うのです。
飯塚良政
175
○飯塚
説明
員 十分検討いたします。
和田一郎
176
○和田(一)委員 それからもう一つ、トラックの特に荷台の改造をしているのが相当ある。これは運輸省にお聞きしますけれども、特にダンプカーが富士山型というのですか、富士山型に積むのです。そうすると、横側はいいわけですけれども、前とうしろがくずれるおそれがあるわけです。だから、前とうしろをぐっと上げちゃうのです。見上げるようなダンプカーが走っておるのです。あれは一目瞭然で、
規定
積載量の二倍から三倍まで積めるとわかっちゃうのですね。それなのにどうしてそういったことをやらせるかという問題なんてすね、どうなんですか、それは運輸省のほうでは。
飯塚良政
177
○飯塚
説明
員 ダンプの差しワクと称します、いま先生のおっしゃいました荷くずれ
防止
装置
でございますけれども、この点につきましては、
昭和
四十一年の十二月十七日付の通達でダンプカーの事故
防止
の差しワクの
禁止
というふうな通達が出ておりまして、これでもって私どもあほうは、差しワクをつけるということは
禁止
をするような行政指導をしております。そしてこれは現在でもその方針は変わっておりませんで、そういう方針でやっております。 それからなお、車検を済んだりしてからかってに使用中につける車があるということでありますけれども、この点につきましては、私どものほうの
自動車
検査官が、警察とこれは共同して街頭検査をする際に、差しワクをつけておるダンプカーについては
整備
命令をかける等の
措置
を講じまして、改善方をはかっております。
和田一郎
178
○和田(一)委員 では、
交通
局長のほうは、それはどういうふうに取り締まっておるのですか。
片岡誠
179
○片岡政府委員 積載
違反
については、御
承知
のように、台貫所を設けたところで取り締まりをしております。 差しワクの問題は、
保安基準
に定められた
装置
を備えつけていないわけでもなし、十分調整をはかられるかどうかという問題についても問題がありますし、その辺取り締まりについては若干問題があろうと思います。御
承知
のように、今回の
改正
で、
保安基準
に適合をしておるかどうかというふうに道交法自身の手当てもいたしましたので、これ自身が
保安基準
に明確になっておれば、これは基準
違反
としての取り締まりが従来よりはあるいは適確にできるように相なろうと思います。
和田一郎
180
○和田(一)委員
保安基準
というのはあれですか、たとえば地上から二メートルとか二メートル五十とか、そういうふうなことですか。
片岡誠
181
○片岡政府委員 全体の高さ、それから幅、長さもございますし、それ以外に
道路
運送
車両
法に基づく
保安基準
のきめ方によってはっきりきまれば、それの
違反
という形で、私どもは道交法上の取り締まりが可能になってくると思います。
和田一郎
182
○和田(一)委員 私、前にもこの問題でお聞きしたこともあるのですが、実際問題として定量をオーバーしなければダンプの業者は食っていけないのが実際なんですね。しかも
交通
が激しくなっておりますから、たとえば砕石の産地から東京にいままで往復を二回やっていた、それができなくなってきて、それでオーバーしておる。そういったことを今後は逆に業者は見込んで、運賃を下げるということも行なわれまして、ダンプの
運転
手さんは食べるのがたいへんです。それでいずれにしても、積載量を
違反
しなければ生活が成り立たないというのが現状でございます。その積載量を
違反
できるように差しワクがはっきりしておる。それは必ずしも看貫に乗っけなくても、私はいいと思うのですが、どうなんですか。
片岡誠
183
○片岡政府委員 私どもは、積載
違反
として取り締まりをするときは、やはり正確に幾らオーバーしておったという立証が刑事事件として必要だと思います。 それからもう一つは、なるほど仰せのようなことだ、私も実態はそうだと思いますが、私どもとしましてはやはり積載
違反
そのものが、安全な
運転
の角度からいっても、危険な問題だと思いますし、たとえ骨材の値段が上がるようなことがあっても、厳格に取り締まりをやっていくという考えでおります。
和田一郎
184
○和田(一)委員 とにかく積載量
違反
でブレーキなんかききっこないですから、運輸省の方の御答弁もありましたとおり、ひとつ至急に検討してもらいたいと思います。 それからもう一つは、大臣に今度はお聞きしたいのですが、最近の報道で、新入生がおかあさんに連れられて、入学の帰りか何かちょっと忘れましたけれども、おかあさんが弟とおにいちゃん、いわゆる一年生ですね、手を引っ張って
横断歩道
を歩いておった。弟がかけだしたので、こういうかっこうになって、弟が前に行って、そして兄貴は普通の
速度
で歩いておった。そこに回ってきた車にひかれて、おにいちゃんが死んじゃったというのが出ていました。私、ほんとうに痛ましい事故だと思うのです。正規の
横断歩道
を歩いておったのです。それでひかれて死んでおるのですね。しかも、母親の目の前で。こんな痛ましい事故、私、ないと思うのです。 よく
横断歩道
のところに黄色い旗がありますね。あの旗は、たとえば何とかクラブであるとか、また何とかという団体からほとんど寄付された黄色い旗なんです。その子供たちがその旗をちゃんと上へ持っておれば、
運転
手にはたとえ小さな子供であっても、その旗は確認できたと思うのですね。だから、
横断歩道
には必ずあの旗を置く。しかも、あれは消耗品ですから、どんどんかえていけばいいんですから、これはひとつ予算を出して完備すべきじゃないかと私は思うのですけれども、その点どうでしょう、大臣。
荒木萬壽夫
185
○荒木国務大臣
横断歩道
に備えつけてある黄色い旗、なるべく備えたほうがベターであると思います。しかし、
運転者
が、子供がその旗を持っていようといまいと、
横断歩道
のところで
注意義務
を果たせば、事なきを得たかと思います。それでも万全を期する意味においては、旗を備えておいたほうがいい、備える
措置
を講じたほうがいいと思います。
和田一郎
186
○和田(一)委員 おっしゃるとおり、私はベターにしていただきたいと思うのですね。それでは、現在のあれは、どういうところから予算が出ているかという問題で、どうなっていますか、現状は。
片岡誠
187
○片岡政府委員 多くは安全協会、これは県単位あるいは地区の安全協会、あるいは近くの町内会とか、それからあるいは有志の寄付、大体そういう形で出ているものだと、私、思います。
和田一郎
188
○和田(一)委員 あれ、一本幾らぐらいしますか。
片岡誠
189
○片岡政府委員 私、つまびらかにしませんが、おそらく数十円でできるのもじゃないかと思います。
和田一郎
190
○和田(一)委員 大臣、一本数十円でできるんだそうです。これはひとつ大臣の努力で——もうほんとうに子供たちがかわいそうなんです。しかも、あの旗は持って帰るんじゃなくて、往復しているわけですから、そんなに要らないわけです。まあ破損もあるでしょう。
交通
安全協会であるとかということでしたけれども、いろいろ聞いてみますと、あれはほとんど寄付ですね。これはひとつ大臣、ベターにするのが一番いいとおっしゃったけれども、私はベターにしていただきたいと思います。このことは考えていただけませんでしょうか、この点について。
荒木萬壽夫
191
○荒木国務大臣 これは、やはり
交通
安全協会それ自身、もしくは安全協会の世話で寄付にしたほうがよくはなかろうかと思います。寄付する人も関心を持つ。寄付されたものであるということを利用者も知る。
運転者
もそれとはなしにわかってくる。事の重大性を認識させる意味においても、寄付のほうがかえってよくはないかと思います。
和田一郎
192
○和田(一)委員 そうしますと、置いてあるところと置いてないところができるわけです。しかも、寄付を強制するというわけにいきません。その点について何か考えられませんでしょうか。それは寄付もいいと思います、確かに。地域住民がそういう意識で置くのですから、いいと思いますよ。しかし、置いてないところはどうなるか、寄付のないところはどうなるか。まさか公安
委員会
のほうから寄付を出せというわけにはいかぬと思う。その点について何らかの手を打てませんでしょうか。
片岡誠
193
○片岡政府委員 できれば大臣がおっしゃるように、そういう有志の寄付によるのがいいと思いますが、また先生のおっしゃるように、それじゃ欠けるところもあろうということで、そういうところは各県にある安全協会でよくにらんで補完していくというようなやり方で、十分やっていけるのじゃないかと思いますので、そういう
方向
でひとつ指導していきたいと思います。
和田一郎
194
○和田(一)委員 いま大臣がおっしゃいましたとおり、たとえ旗があっても、また旗を掲げておいても、結局は
運転者
の問題だという大臣からのお話がありましたけれども、長官、いかがでございましょうか。
運転者
の先ほどの問題で、いわゆる免許を与える問題で、いろいろ厳格にされるというお話がありましたけれども、公安
委員会
で検査するというのは問題かもわかりませんが、いまのような、または行政指導ぐらいでは、そういう——何といいますか、私はいまの免許のとり方は昔から考えればずいぶん簡単だと思うのです、ただ金とひまがかかるだけの問題です。それよりもほんとうに免許証をとる
試験
はむずかしいという、そういう意識を与える必要があると思うのです。大臣も、たとえ旗があったって
運転者
の問題だとおっしゃいました。その点について警察のお考えをもう一ぺん聞かしていただきたい。
後藤田正晴
195
○
後藤田政府委員
要するに、
交通
事故というものはモラルの問題だと思います。その中の一つは、まず
運転者
になるというときに、そういったモラルを守られる人間であるかどうかということも非常に重要な要素だと思いますが、私は、
試験
制度そのものについては、今日ほぼ確立しておる日本のやり方、諸外国と違ってやかましいそのやり方、その中身を改善していくということがベターではなかろうか、かように考えます。
片岡誠
196
○片岡政府委員 若干補足して御
説明
いたします。先ほどの指定教習所の
試験
の場合に、何かなれがあるのではなかろうかというようなお話があったと思いますが、指導員が一人の、たとえば私を教えた場合には、検定員は全然教えないで
試験
官のような立場で、自分の教えた人は絶対検定しないという運用を現にやっております。 もう一つは、ときどき
試験
場の
試験
官が参りまして立会検査と申しますか、立ち会って
試験
の検定のやり方を検査しております。それから、場合によりますと、免許証を
試験
場へもらいに来たときに集めまして選別して、ご本人の了解を得て
試験
場で技能テストをしてみて、その指定教習所で検定を受けた者がほんとうにどのレベルまで達しておるかという、そういう検査のしかたもときどきやっております。抜き取り検査のような、そういうやり方をやっておりますが、私は指定教習所の卒業生が、
試験
場に直に
試験
を受けに来ておる者と比べて、そう安易に卒業させられているとは思っておりません。ただ、先生の御指摘がありました問題なのですが、私も要は人間の注意、人間の問題だと思います。ただ、アメリカでもよくいわれるのですけれども、キャン・ノット、ドゥ・ノット、ウイル・ノットというような言い方でよく
説明
されますが、
運転
できる技能につきましては、キャン、できるかできないかということ、それのテストなり教育は十分できると思います。それからドゥ・ノットというのは、法規を十分知っておるかどうか、それに従って
運転
するかどうか、これも教育なりあるいは学科の
試験
でテストのほうもできると思います。問題は、ウィル・ノットという範疇に属するものだと思うのです。法規も知っておる、
運転
技術も持っておる、しかしああやって法規
違反
をやったり乱暴な
運転
をする。これは教育でもなかなか困難な問題だと思いますし、それを一回の
試験
で見分けるというのも、これは困難な問題だと思います。問題は能力もあるし法規も知っておるのだけれども、そのとおりにやらない人たち、そういう
運転者
に対してどういう対策をしていくかというのが私の頭痛の種であります。それをどうしていくかという問題が最大の問題ではなかろうか、そのように考えております。
和田一郎
197
○和田(一)委員 運輸省に聞きますけれども、ラジアルタイヤというのが盛んに宣伝されていますね。あれはどういう意味で——ラジアルタイヤがいま盛んに売り出しが始まっておるのですが、
説明
願いたい。
飯塚良政
198
○飯塚
説明
員 ラジアルタイヤは、車が高速を出す場合、走行安定性が普通のタイヤよりはいいというふうなことで、これが使用されております。
和田一郎
199
○和田(一)委員 高速というと、大体何キロぐらいですか。
飯塚良政
200
○飯塚
説明
員
法令
上のことばではなくて、通俗的なことばで申し上げますと、数十キロ以上走った場合には、ラジアルタイヤのほうが普通のタイやよりはいいということでございます。
和田一郎
201
○和田(一)委員 数十キロというのは、大体どの辺を数十キロというんですか。
飯塚良政
202
○飯塚
説明
員 高速
道路
でございますと百キロということでございますけれども、タイヤの性能から申し上げますと、数十キロ以上、それから百、口前後まで出した場合には、ラジアルタイヤはその性能を発揮するというふうなことでございます。
和田一郎
203
○和田(一)委員 普通の
道路
でラジアルを使って——高速時の安定性を保たなければならないというのでラジアルタイヤをどんどんいま宣伝しておりますけれども、じゃ、いままでは
交通
事故はどうだったかという問題ですね。とにかく六十キロが最高でしょう、普通の路上では。しかも市街地は四十キロ、五十キロです。あのラジアルタノヤは確かにそういう性能はあるかもわからない、百キロ以上になれば。普通は必要ないのじゃないかと思うのです。ああいうことでどんどん宣伝をする、そちらのほうに私は問題があるんじゃないかと思うのです。そういう人たちは、これは喜べますよ。しかも発進時にスリップのあれが少ないらしいですね。だけれども、相当にあれは調整が微妙らしいですけれどもね。そういうことをいまどんどん宣伝してやる必要があるでしょうか。どう思いますか。
飯塚良政
204
○飯塚
説明
員 高速
道路
でなくて、普通の市街地中の
道路
を走る場合には、ラジアルタイヤ等は使わなくても——使わなくてもというよりも、こういうふうなものでなくて、普通のタイヤで十分だと思います。
和田一郎
205
○和田(一)委員 そうしますと、普通のタイヤというのは大体縦じまになっているのです。ラジアルタイヤというのはぼつぼつになっているのですね。そうすると、その走行性はどうなんですか。高速性よりも走行性のほうは。
飯塚良政
206
○飯塚
説明
員 高速時には、ラジアルタイヤ等を使う場合には、ちょうど
自動車
がぴたっと
道路
に吸いつくような高速走行性はあるというふうなことだと思います。
和田一郎
207
○和田(一)委員 いずれにしましても、これから科学が進んでまいりますから、いろいろな安全性も考えられるでしょうけれども、あまり若い人を刺激するようなそういうことはやめてもらいたいと思うのですけれどもね。運輸省はどうなんですか、そういう考え方は。先ほどのスプリングの問題であるとか、座席を取りかえたり、またマフラーを抜き取って大きな音をさせたり、それからひどいのは、前のバンパーを取ってしまって走っているのもありますね。それからペンキで色を塗っている。とにかくいろいろなふうに改造しているのがあります。それは自由かもわかりませんけれども、しかし、そういう部品をつくるとか、また極端な宣伝をするとか、若い方々のそういう心をそそるという、こういう考え方がなくなれば、私はもっと事故が減るんじゃないかと思うのですが、運輸省、どうでしょうか。これは局長もひとつお答えいただきたいと思います。
飯塚良政
208
○飯塚
説明
員 この種の問題につきましては、これは二、三年前もこういう問題がございまして、私どものほうといたしましては、通達を用品業界とかあるいは部品業界等に、この種の射幸心と申しますか、そういう若者を惑わすような、こういうようなものについては好ましくないというふうなことについては通達をいたしました。 それから
自動車
工業会等のメーカー団体につきましては、
自動車
の性能だとか、そういうふうなことを誇張するような過大宣伝、そういうふうなものは十分考えて、しないようにしてもらいたいということを、これは通達あるいは会合、そういう際におきまして、そういう筋からはそういうふうな指導は何回かやっております。
片岡誠
209
○片岡政府委員 若い人たちはやはりスピード感といいますか、特に加速性能のいい車を好むようですし、またそこをねらっての広告というものが多いように私も見受けます。しかし、私どもとしては、そういうスピードを楽しむのは
道路
以外の施設で楽しんだほうがいいことだと思いますし、
道路
上はやはりスピードの加速性能よりも、たとえばオートクラッチのような安全な
運転
ができるような
方向
へ担当行政庁も指導していただきたいと思いますし、私どもも側面的にそういう
方向
にいくようにやっていきたいというふうに考えております。
和田一郎
210
○和田(一)委員 では次にいまた話題を変えまして、高速
道路
での事故ですけれども、これはものすごい悲惨な事故があるらしいのです。高速
道路
ではほとんど死亡事故につながるというんですね。たとえば名神を走りましてもまたは東名を走りましても、大体百キロが最高です。あの高速
道路
を百キロでなくて八十キロくらいに落とせませんか。その点どうですか。たとえ事故が起きてもそこまではつながらないのじゃないかと思いますが。
片岡誠
211
○片岡政府委員 御
承知
のように、高速
道路
の制限
速度
としては、百二十キロとか百キロとか八十キロとか、大体三つに分かれておるようでございます。私どもは、百二十キロ区間はございますけれども、現在
規制
としてはこれを百キロに押えて考えております。百キロくらいは、天気がよくて車さえ
整備
されておれば、そうそれ自体危険なことは私はないと思います。ただ問題は、車がよく
整備
されてなかったり、それから高速走行の初歩的なテクニックも十分わきまえない人が
運転
しておるというところにあろうかと思いますし、特に雨天その他
道路
条件、
交通
条件の非常に悪いときに、晴天のときのような走行——車間距離のとり方一つにしても、そういうような走行をしているということも事故の原因になっておるということも考えられますが、そうでなくて一般的に百キロそれ自体を必ずしも下げる必要はないのじゃないか。 ただ、私ども現在考えておりますのは、これは
道路
公団と一緒にそちらの
方向
で検討しておるわけですけれども、霧が出たあるいは雨が降って路面がぬれてきたというような場合には、
速度
標識そのものを可変式にしておいて、そのときには八十キロにしろ、六十キロにしろというような案内も兼ねたような
交通
規制
を、
道路
条件に合ったようなあるいは気象に合ったようなやり方をしていくということによって事故の減少をはかってまいりたいというふうに考えております。
和田一郎
212
○和田(一)委員 いまの局長のおことばで、
整備
されていればだいじょうぶだ、
整備
されていない車に乗っかったりまたはへたな
運転
をした場合はあぶないだろうということですけれども、結局ぶつかるのは両方とも悪いのじゃなくて、片一方が悪いのですね。片一方はちゃんと
運転
しておって、やられて死んでしまうわけです。これはえらい迷惑——迷惑どころじゃない、どうしようもないわけです。こういう点もあるわけですね。いまの高速
道路
というのは信号もなくスムーズに走れるというのが高速
道路
であって、普通の
道路
はスムーズに走れませんから、その点だけでも十分恩典があると私は思うのですが、スピード性についてひとつもう一ぺん御検討願いたいと思います。 もう一つお聞きしますけれども、トラックの
運転
台。これは運輸省にもお聞きします。トラックの
運転
台が高いですね。特にキャブオーバーというのは高いです。二階に乗っかって
運転
しているようなものです。最近できた車は相当下のほうにあるのがあるのですね。特に起重機なんか積んであるのは、乗用車と同じような
運転
台ですね。あれはどっちが安全性があるのですか、運輸省の課長さん、わかりますか。
飯塚良政
213
○飯塚
説明
員 最近大型
車両
で
運転
台が低くなっているというのは、大型クレーンカーと申しますか、あの種のものです。そしてあの種のものは
運転
台を前に出しまして、そしてぐっと低くしてあります。そしてこれは普通の前車軸の前のほうに
運転
台をつくってておりまして、これは
車両
構造
上から検討してみますと、前二軸の場合に、その
運転
台が下げられるような、強度上はそういうふうになっております。そして現在のところでは、
車両
構造
上前軸が単軸の場合、一つの軸の場合には
運転
台をずっと前に出して低くした場合に、前のオーバーハング状に
運転
台があるのですが、その強度が、一軸では現在ではちょっと保てないというふうなことでございます。ですが、この
運転
台を低くしたほうがいいか、あるいは現在のように高いほうがいいかということは、これは現在専門家の間でもいろいろ議論が分かれているようでございます。
運転
台だけ低くしまして、その上のほうにまだ
車両
構造
物があるといったような場合には、たとえばガード等を通る場合にはぶつかってしまうというようなこともあって、
運転
台というふうなものがどの程度にあったらいいかということは、車の視野の問題とも関連しまして、現在いろいろ検討をしてみたいということをいたしております。
和田一郎
214
○和田(一)委員 それからガードレールの問題。これは警察のほうにお聞きしますけれども、ガードレールが
道路
の両端にあるわけです。実は一昨年くらい前ですけれども、私のほうの近くで、子供たちが通学するときに、五、六人一列になってガードレールのくさりにくっつくようにして歩いてきた。カーブになっております、そこへ車がまっすぐ突っ込んできて、ガードレールと
自動車
にはさまれてめちゃめちゃ、というよりもからだがぐにゃぐにゃになってしまった。ガードレールさえなければ、たんぼのほうに飛びおりられたわけです。そういう事故もあるのです。ガードレールというのは、
自動車
さまのためにあるのか、人間のためにあるのか、どっちでしょう。
片岡誠
215
○片岡政府委員 私、両方あると思います。町の中で
歩道
をつくる場合に、
歩道
ができないようなところにガードレールを置きまして、ガードレールの外は道交法上
歩道
と見るといったような場合、あるいは
歩道
があっても
横断歩道
外
横断
が名いようなところでは、ガードレールを
歩道
の上に置いて、そして車と
歩行者
を区別して、車から
歩行者
を守るという使い方もございます。しかしながら、御指摘になりましたような場合は、これは本来
自動車
が外に転落することを
防止
するために、あるいは
自動車
の視線誘導のためにつくったガードレールだと思います。おそらくそのときつくった
道路
管理者
は、
歩行者
がそこを通ることを念頭に入れてなかったのだと思います。したがいまして、むしろ本来あるべき姿は、そのガードレール自身が悪いのではなくして、
歩行者
の通るべき道を別につくるなら、そのガードレールの外につくるのが本来の考え方ではなかろうかと私は思います。
和田一郎
216
○和田(一)委員 そのガードレールが悪くなくて、
自動車
の
運転者
が悪かったといってしまえばそれまでなんですけれども、いずれにしても子供たちを守るとか、または
歩行者
を守るとか、そういうのに徹して、ああいうガードレール等は
設置
しなければならない。それはそちらも同じ考え方だと思います。 そこで、
路側帯
ですか、今度そういう
法改正
になりますが、
路側帯
というよりも、外側線であると私とったのですが、
道路
の両側に白い線を引きますね。あの線の外側が
路側帯
になるわけですね。その
路側帯
が極端にとれないところが一ぱいあるわけです。ほんの
道路
の路肩一ぱい一ぱいに線が引いてあるのですね。一体何のために線があるのかというようなところもあるわけですね。そういうような場合はどうなるのですか。
片岡誠
217
○片岡政府委員 そういう場合には、
歩行者
はその
路側帯
の外を歩けという
規定
には今度はなっておりません。
歩行者
が通れる十分な幅がある場合には、線の外側を
路側帯
として、
歩行者
はそこを歩くように。ただ、車のほうは
車道
外側線、エッジラインですね、その線から外にはみ出て
通行
してはいけない、そういう使い方をしております。さらに
路側帯
の幅は相当広いところもございます。広いところでは、場合によったら自転車もその外側を通るというような、具体的なおのおのの
場所
の
状況
によって
整備
のしかたを変えていきたいと思います。
和田一郎
218
○和田(一)委員 そこで、そういうところではやむを得ない場合がありますけれども、大体メートルないし五十センチくらいの
路側帯
がある、そういうところに白い線を引くわけです。白い線を、先ほどのガードレールをそこに置いて、完全に歩車を分離する。またはガードレールでなくて、丸い、背の低い鉄柱が埋まっていますね、いずれにしてもそういうふうにはっきりしないと、さらに
道路
自体が狭く感ずるのではないかということも考えられますけれども、ガードレールのつけ方ですが、とにかく
歩行者
を守るというそういう
方向
に、これからどんどん持っていっていただきたいと思います。ガードレールというのは一メートルどのくらいでできるものですか。
片岡誠
219
○片岡政府委員 実はガードレールをつくっておりますのは
道路
管理者
でございまして、私、正確な数値存じておりません。あとでまた御報告いたします。
和田一郎
220
○和田(一)委員 三千円かそこらでできるようですがね。たいした金額ではありませんので、全
道路
に、家の出入り口などはあけましても、これだけでも完備してしまえば、相当
歩行者
に対する事故はなくなるのじゃないかと私は思いますが、この点についてはさらにひとつ御検討願いたい。 それから
通学道路
について。
通学道路
の
整備
のことでいままでいろいろな計画をおつくりになっておりましたけれども、きょうのいわゆる六日町の事故、これは明らかに
通学道路
の事故です。そこに
横断歩道
もない。しかもそこは国道らしいのです。たくさんの子供たちが学校に行くためにそこをひやひやしながら渡る。そういうふうにいまだに
通学道路
が
整備
されておりません。相当目こぼしといいますか、ずさんといいますか、あると思うのです。これはひとつ
道路
管理者
のほうにも局長のほうからうんと警告——警告ではおかしいのですけれども、連絡していただくと同時に、特にそういう危険な個所に、先ほどもどなたかから話がありましたけれども、制服のおまわりさんに立っていただいたらどうでしょう。
片岡誠
221
○片岡政府委員 二つに分けてお答えします。 初めの、そういう危険な、本日の六日町のような事故に対する対策としまして、先般の
道路法
の
改正
で、
道路
管理者
のほうが
歩行者
専用
道路
あるいは
自動車専用道路
をつくるという
改正
をやっております。この発想は、いま申したように、非常に
交通
のひんぱんな国道を通って登校せざるを得ないような学童のために、近くの、それと並行する町村道を簡易舗装でもして、自転車と
歩行者
はそちらへ回す、国道のほうは
自動車
オンリーにする、そういうことを具体的にやる仕組みはつくったわけでございます。それから、今度の五カ年計画の予算の中にもそれを盛り込んでおるようでございますので、
道路
管理者
のほうの努力も、やっとこれからそういう形で地についてくることだと思います。私どものほうも、できるだけそういう要望もいたしますし、それから、できるだけ登校時間帯に
警察官
を立てるように指導してまいりたいと思います。
和田一郎
222
○和田(一)委員 時間がありませんから、あと一問だけで終わらせていただきます。 最近欠陥車のことで相当騒がれまして、運輸省でいろいろ検討されておりますけれども、何かホンダN360という車の大きな事故があって、そしてそれをどこかで検査されておりましたけれども、その結果がどうなったかということをひとつお知らせ願いたいと思います。 さらに、もう一つ、ニッサンエコーという、これはバスだと思うのですけれども、これがたくさんの人を乗せて落ちた、それも欠陥車であったという騒ぎがあったように、私、記憶しておりますけれども、その点についても、どのようになっているか、ひとつお知らせ願いたいと思います。
飯塚良政
223
○飯塚
説明
員 ホンダN360につきましては、これは軽
自動車
でございまして、たしか
昭和
四十一年ごろに、新型の型式認定ということで、その際には、高速時における走行安定性ということは審査しておりませんで、その他のいろいろな
試験
は合格しております。そして、その後いろいろ新聞に上等で欠陥車じゃないかというふうな記事が出まして、それから正式裁判となったと記憶いたしますが、現在東京地方検察庁から、私どものほうは付属の
交通
安全公害研究所というのがございますが、そこに鑑定の依頼がございまして、昨年の十二月にその
試験
が行なわれたと聞いておりますが、その結果については、まだ公表されておりません。そういう
状況
でございます。 それから、あとはマイクロバスのニッサンエコーでございますが、あの件につきましても、私どものほうの審査では、これはプロペラシャフトの危険回転数と
最高速度
が出る場合のプロペラシャフトの回転数とのパーセンテージが、それが一つの問題点でございますが、この点につきましては、新型
自動車
の私どもの審査時にはぎりぎりで合格をしております。ただ、その後事故が発生いたしまして、欠陥車問題ということで、この点につきましても東京地方検察庁から
交通
安全公害研究所に鑑定の依頼が来ておりまして、その結果がまだ公表されていないということになっておるわけでございます。
和田一郎
224
○和田(一)委員 それはいつごろ出るのですか。
飯塚良政
225
○飯塚
説明
員 これは鑑定でございますので、私どもも行政庁といたしましては情報を聞くという程度でございまして、東京地方検察庁のほうで直接私どもの
交通
安全公害研究所と連絡したというかっこうになっておりますが、ホンダN360についてはもうそろそろ発表されるころだと聞いておりますけれども、正式には聞いておりません。それからエコーも近いとは聞いておりますけれども、正式の期日はいつかということについてはまだ情報を入手しておりません。
和田一郎
226
○和田(一)委員 とにかく車の安全性については運輸省は責任があるのですから、どんどんそういったことは情報を得て、そしてもうどんどん生産している会社に注文をつけて、とにかく人命尊重の立場から大いに張り切ってもらいたいと思います。 以上で終わります。
菅太郎
227
○
菅委員長
次回は、明十四日午前十時から
理事
会、十時三十分から
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五分散会