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1971-04-13 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月十三日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中村 弘海君    中山 正暉君       永山 忠則君    野呂 恭一君       村田敬次郎君    豊  永光君       綿貫 民輔君    土井たか子君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       林  百郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁交通局長 片岡  誠君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         文部省体育局学         校保健課長   橋本  眞君         運輸省自動車局         整備部車両課長 飯塚 良政君         建設省都市局公         園緑地課長   川名 俊次君         建設省道路局路         政課長     宮繁  護君         建設省道路局企         画課長     井上  孝君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君     ――――――――――――― 三月二十六日  地方財政法の一部を改正する法律案華山親義  君外六名提出衆法第二〇号) 同月二十九日  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案華山親義君外六名提出衆法第二一号) 同月二十七日  ドライブイン等において酒類販売禁止する  法律制定に関する請願柳田秀一紹介)(  第三〇三二号)  同(柳田秀一紹介)(第三〇六八号)  同(櫻内義雄紹介)(第三〇九七号)  同(田中榮一紹介)(第三〇九八号)  同(濱野清吾紹介)(第三〇九九号)  同(山田久就君紹介)(第三一〇〇号)  地方公務員退職年金受給者医療制度改善に関  する請願山本幸一紹介)(第三〇三三号) 四月二日  地方公務員等共済組合法改正等に関する請願  (山口鶴男紹介)(第三二五三号)  ドライブイン等において酒類販売禁止する  法律制定に関する請願谷垣專一君紹介)(  第三三八五号) 同月六日  ドライブイン等において酒類販売禁止する  法律制定に関する請願竹下登紹介)(第  三五八六号)  同(粟山ひで紹介)(第三五八七号)  同(池田禎治紹介)(第三六八二号)  同(ト部政巳紹介)(第三六八三号)  同(河村勝紹介)(第三六八四号)  同(桑名義治紹介)(第三六八五号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第三七三六号)  同(田中六助紹介)(第三七三七号)  同(三原朝雄紹介)(第三七三八号)  風俗営業等取締法にモーテルの規制移管に関す  る請願渡辺美智雄紹介)(第三八四一号)  市街化区域農地に対する固定資産税に関する請  願(高橋英吉紹介)(第三八四二号) 同月九日  ドライブイン等において酒類販売禁止する  法律制定に関する請願大橋武夫紹介)(  第三九五一号)  同(武部文紹介)(第三九五二号)  同外一件(小山省二紹介)(第四〇二八号) 同月十日  ドライブイン等において酒類販売禁止する  法律制定に関する請願古井喜實紹介)(  第四二三一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月三十一日  地方債わく拡大等に関する陳情書  (第一三三号)  地方財政運営円滑化に関する陳情書  (第一三四号)  旅館及びホテル等防災設備費助成に関する陳  情書  (第一三五号)  町村税財源充実強化等に関する陳情書  (第一三六号)  山岳遭難救助のためのヘリコプター常駐に関す  る陳情書  (第一三七  号)  公共用地先行取得債わく拡大等に関する陳情  書  (第一六九号)  地方交付税率等引上げに関する陳情書  (第  一九〇号)  零細事業者に対する税負担軽減のための地方税  法改正に関する陳情書  (第一九一号)  区長公選制実現等に関する陳情書  (第一九二  号)  市街化区域内農地に対する固定資産税等に関す  る陳情書(  第二二六号)  地方議会議員共済制度改善に関する陳情書  (第二二七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第九三号)      ――――◇―――――
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案について補足説明を聴取いたします。後藤田警察庁長官
  3. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明いたします。  第一は、交通管理のための規定整備についてであります。  その一は、歩行者通行の安全の確保のための規定整備についてであります。  まず、第八条及び第九条の改正規定並びに第十三条の二等の規定は、歩行者通行の安全と円滑をはかるため車両通行禁止されている歩行者用道路等通行する歩行者については、右側端通行義務横断歩道による道路横断義務道路斜め横断禁止等歩行者通行方法に関する規定を適用しないこととするとともに、警察署長がその沿道に車庫がある等のやむを得ない理由があると認めて許可をした車両歩行者用道路通行することができることとするが、警察署長許可を受け、またはあらかじめ禁止対象から除外されていることにより歩行者用道路通行する車両には特に歩行者に注意して徐行しなければならない義務を課そうとするものであります。  次に、第二条第一項第三号の四の規定は、歩行者通行の用に供する等のため歩道の設けられていない道路路端寄りに設けられた帯状の部分道路標示により車道と区画されたものを路側帯ということとし、第十条、第十七条、第十七条の三、第四十七条等の改正規定は、路側帯のうち歩行者通行に十分な幅員のあるものは歩道同一に取り扱い、また車両原則として路側帯通行してはならないこととするとともに、特に道路標示によって禁止される場合を除いて、軽車両は著しく歩行者通行を妨げることとなる場合のほかは路側帯通行することができることとし、路側帯が設けられている場所において車両停車または駐車をするときは路側帯に入り、かつ、他の交通妨害とならないようにしなければならないこととしようとするものであります。  次に、第十八条第二項、第三十八条第一項等の改正規定は、車両等注意義務として、車両等歩行者側方を通過する場合には、歩行者との間に安全な間隔を保ち、または徐行しなければならないこととし、また、横断歩道に接近する場合には、横断歩道により横断しようとすそ歩行者がいるときは横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならないこととしようとするものであります。  次に、第十条第一項ただし書き及び第十二条第二項の規定並びに第十四条、第四十四条第三号等改正規定は、歩行者通行方法について、がけ等があるため道路右側端通行することが危険であるときその他やむを得ないときは道路左側端に寄って通行することができることとし、交差点において道路標識等により認められているときは斜め道路横断することができることとするほか、横断歩道の手前だけでなく先方についても五メートル以内の部分については停車及び駐車禁止する場所にするなど、歩行者の安全に関する規定整備しようとするものであります。  その二は、都市交通対策の推進のための規定整備についてであります。  まず、第四条第一項及び第二項並びに第百十条の二第二項の改正規定は、都市における交通混雑に対処するため、車両通行禁止その他の道路における交通規制は、区域を定め、または対象を限定して行なうことができることとするとともに、広域にわたり道路交通に著しい影響が及ぶおそれがある自動車通行禁止を行なおうとするときは、都道府県知事等意見を聞かなければならないこととしようとするものであります。  次に、第四十九条及び第五十一条の改正規定並び新設の第百十三条第二項及び第百十九条の二の規定は、駐車対策を推進するため、駐車時間の制限の実効の確保の手段としてパーキングメーターを用いることができることとし、パーキングメーター設置されているときはこれを作動させなければ駐車してはならないこととするとともに、違法駐車車両の移動、保管等に要した費用を定額によって徴収することができることとし、駐停車違反罰則強化し、これを三万円以下の罰金から五万円以下の罰金に引き上げようとするものであります。  次に、第二十条の二、題三十一条の二等の規定は、公共輸送機関優先確保するため、路線バス等優先通行帯を設けることができることとし、他の自動車路線バス等後方から接近してきた場合に混雑のためその優先通行帯から出ることができないこととなるときはそこを通行してはならず、また、その優先通行帯通行している場合において後方から路線バス等が接近してきたときはすみやかにその外に出なければならないこととするとともに、停留所から発進する乗り合い自動車進路変更を他の車両は妨げてはならないこととしようとするものであります。なお、第二十条第二項の規定により、路線バス等専用通行帯を設けることもできることとされております。  その三は、その他の交通方法等に関する規定整備についてであります。  まず、車両等交通方法に関する規定合理化についてであります。  第二十条第一項ただし書き規定は、多車線道路における通行区分合理化するため、同一方向に三以上の車両通行帯が設けられているときは、その最も右側車両通行帯追い越し車線とし、それ以外の車両通行帯については、自動車はその速度に応じて通行することができることとしようとするものであります。  第二十五条の改正規定は、車両道路外に出るため左折または右折をする場合の方法について規定するとともに、道路外に出るため左折または右折をしようとする車両道路左側端中央または右側端に寄ろうとして合い図をしたときは、その後方にある車両は、その速度または方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除いて、合い図をした車両進路変更を妨げてはならないこととしようとするものであります。  第二十八条、第二十九条及び第三十条の改正規定は、追い越し禁止する場所においては、追い越しのため、進路変更し、または前車の側方を通過してはならないこととする等追い越しに関する規制合理化しようとするものであります。  第三十六条、第三十七条及び第四十三条の改正規定は、交差点における優先関係については、先に入った車両等優先及びすでに右折している車両等優先を廃止し、優先道路等通行する車両等優先左方車両等優先直進車両等優先等に限るとともに、交通整理の行なわれていない交差点内において車両等が一時停止すべき場所を指定することができることとする等交差点における交通方法合理化しようとするものであります。  第二条第一項第三号の二の規定は、本線車道とは高速自動車国道または自動車専用道路本線車線により構成する車道をいうものとし、第七十五条の五、第七十五条の六、第七十五条の七、第七十五条の十等の規定は、本線車道における横断禁止本線車道に入る場合等における他の自動車との関係本線車道の出入の方法本線車道における故障等の場合の措置等について、高速自動車国道自動車専用道路とを同一に取り扱い、それぞれ規定整備しようとするも一のであります。  また、第二十四条、第二十六条の二第一項等の規定は、車両等運転者は危険を防止するためやむを得ない場合を除いて急ブレーキをかけてはならないこととするとともに、車両はみだりにその進路変更してはならないこととしようとするものであります。なお、みだりに進路変更してはならない義務違反につきましては、罰則を付さないこととしております。  第五十条等の規定は、交通整理の行なわれている交差点において、前方交通状況によりその中に入った場合には停止することとなり交差道路における車両等通行妨害となるおそれがあるときは、車両等は信号が青の場合であっても交差点に入ってはならないこととし、また、横断歩道踏切または道路標示によって区画された消防署の前等の場所についても、前方交通状況によりその中で停止するおそれがあるときは、車両等はその場所に入ってはならないこととしようとするものであります。  第五十二条第二項、第五十三条第三項等の改正規定は、他の車両等の直後を進行する車両等の灯火の減光等義務新設するとともに、車両運転者が不要な合い図をすることを禁止しようとするものであります。  第六十二条等の改正規定は、交通公害防止徹底をはかるため、騒音防止装置またはばい煙等発散防止装置保安基準に適合しない車両を直ちに整備不良車両とするとともに、これらの装置不備車両運転に対する罰則を現在の整備不良車両運転に対する罰則同一にしようとするものであります。  第七十一条第四号等改正規定並びに同条第四号の二及び第五号の二の規定は、運転者順守事項として、積載物飛散防止義務自動車のドアを開き、または車両等からおりる場合の安全確認義務等現在各都道府県公安委員会規則規定されている事項法律規定することとするとともに、自動車または原動機付自転車から離れるときは、その車両装置に応じ、その車両が他人に無断で運転されないようにするため必要な措置を講じなければならない義務を新たに設けようとするものであります。なお、自動車または原動機付自転車から離れるときの義務違反につきましては、罰則を付さないこととしております。  第七十五条の十一の規定は、高速自動車国道及び自動車専用道路においては、自動車運転者座席ベルトを装着し、また同乗者に装着させるようにつとめなければならないこととしようとするものであります。なお、この義務違反につきましても、罰則を付さないこととしております。  次に、道路標識及び道路標示活用をはかるための規定整備についてであります。  第十七条第五項、第三十三条第一項、第三十八条第一項、第四十三条第一項等の改正規定は、車両が入ってはならない道路部分しま状道路標示で表示することができることとし、また、踏切横断歩道または交差点において停止する場合の停止位置を表示する停止線を設けることができることとしようとするものであります。  また、第八条第一項、第二十二条第一項、第三十条、第四十四条、第四十五条第一項等の改正規定は、その場所に適用されている交通に関する規制内容運転者等に明確に示すため、交通規制道路標識または道路標示によることを原則とし、道路標識等がない場合は法定規則に従うこととするなど、道路標識等活用をはかることとしようとするものであります。  次に、交通規制権限等に関する規定整備についてであります。  第五条第一項の規定は、通行禁止のほか駐車禁止等規制についても、期間の短い交通規制都道府県公安委員会が政令で定めるところにより警察署長に委任することができることとしようとするものであります。  第百十四条の三の規定は、高速自動車国道または自動車専用道路における道路使用許可等警察署長権限については、都道府県公安委員会の定めるところにより、これらの道路における交通警察に関する事務を処理する警視以上の警察官に行なわせることができることとしようとするものであります。  第二条第二項、第百十条の二第三項から第七項まで等の規定は、道路法規定に基づいて道路管理者設置した車道中央線車線境界線車道外側線等区画線中央線車両通行帯路側帯等を表示する道路標示とみなすこととするとともに、車両通行帯設置法定最高速度をこえる最高速度指定等現在も道路管理者意見を聞かなければならないこととされているもののほか、通行禁止横断歩道設置等についても道路管理者意見を聞かなければならないこととし、さらに高速自動車国道または自動車専用道路における通行禁止追い越し禁止等については道路管理者に協議しなければならないこととする等道路管理者等との関係について規定整備しようとするものであります。  その四は、交通方法等に関する規定体系整備についてであります。  第一章から第三章まで、第四章第一節及び第四章の二につきましては、交通方法に関する規定の理解を容易にするため、全体の体系整備し、歩行者及び運転者順守義務に関する規定都道府県公安委員会等交通規制権限に関する規定とを分離して規定しようとするものであります。  これに関連して、第四条、第五条及び第六条の規定は、現在各条項に別々に規定されている都道府県公安委員会警察署長及び警察官等交通規制に関する権限をそれぞれ同一の条文にまとめて規定しようとするものであります。  第二は、運転者管理のための規定整備についてであります。  その一は、運転者等に対する講習に関する規定整備についてであります。  第七十四条の二第七項、第九十八条第六項及び第百一条の三の規定は、運転免許証の更新を受けようとする者が講習を受けるようにつとめる義務指定自動車教習所管理者技能指導員等講習を受けさせる義務及び自動車使用者安全運転管理者講習を受けさせる義務を新たに設けようとするものであります。  また、第百八条の二の規定は、これらの講習を新たに都道府県公安委員会が行なうこととするとともに、都道府県公安委員会が行なうこれらの講習の実施を総理府令で定める者に委託することができることとしようとするものであります。なお、運転免許停止等の処分を受けた者に対する講習についても、規定整備することとしております。  その二は、正しい交通知識徹底をはかるための規定整備についてであります。  第百八条の規定は、道路通行する者が正しい交通方法を容易に理解することができるようにするため、国家公安委員会がわかりやすい表現を用いて交通方法に関する教則を作成し、これを公表することとしようとするものであります。この教則内容は、法令で定める道路交通方法のほか、自動車のエンジンの無用なからふかしをしないこと等法令規定されている事項以外で道路通行する者が励行することが望ましい事項及び自動車等構造制動距離等自動車等運転に必要な知識についても定めることとしております。  第九十七条の改正規定は、法令試験及び構造試験に分けて行なっている現在の学科試験を統合して、自動車等運転に必要な知識試験とし、その試験交通方法に関する教則内容範囲内で行なうこととしようとするものであります。なお、これに伴い、運転免許試験の一部免除を定める第九十九条第一項について規定整備を行なうこととしております。  その三は、その他運転免許に関する規定整備についてであります。  第八十五条第五項、第九十六条、第九十九条第一項等の改正規定は、運転資格適正化をはかるため、大型自動車免許受験資格等として必要な自動車運転経験から小型特殊自動車運転経験を除外するとともに、短期間の外国旅行中に外国免許を取得した者については運転免許試験免除をしないこととするよう規定整備しようとするものであります。  その四は、事業所における安全運転管理強化に関する規定整備についてであります。  第七十四条の二第五項及び第六項の規定は、安全運転管理者の処理すべき事項範囲を明確にするため、これを総理府令で定めることとし、安全運転管理者を選任している自動車使用者安全運転管理者に対しその事項を処理するため必要な権限を与えなければならないこととしようとするものであります。  最後に、附則の規定についてであります。  第一条の規定は、この法律施行期日について規定しようとするものであります。  第二条の規定は、交通規制権限に関する規定改正違法駐車車両に対する措置費用の額に関する規定新設及び車両総重量が十一トン以上の大型自動車等、一定の大型自動車運転資格に関する規定改正に伴い、必要な経過措置を設けようとするものであります。  第三条及び第四条の規定は、道路交通法駐車に関する規定改正により同法に現行の自動車保管場所確保等に関する法律内容の一部が規定されることとなることに伴い、同法について必要な改正をし、これに伴う必要な経過措置を設けようとするものであります。  第五条の規定は、この法律施行前にした行為に対する罰則の適用について、必要な経過措置を設けようとするものであります。  第六条の規定は、消防法公職選挙法道路整備特別措置法等道路交通法規定を引用している法律について、道路交通法改正に伴う所要の改正をしようとするものであります。  以上が、道路交通法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞ、よろしく御審議をお願い申し上げます。
  4. 菅太郎

    菅委員長 以上で補足説明は終わりました。     —————————————
  5. 菅太郎

    菅委員長 これより質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村田敬次郎君。
  6. 村田敬次郎

    村田委員 それでは私は、ただいま御説明のありました道路交通法の大改正につきまして御質問をいたしたいと思います。  道路交通安全交通の問題は、御承知のように、人と車と道という三つの要素からなる問題でございまして、御承知のように、車の増加数というものは、昭和三十五年が三百三十万台、昭和四十五年には一千八百六十万台という、わずか十年の間に五倍以上のいわば飛躍的な増加をしておるわけであります。また、人口増は徐々に行なわれ、同時にいわゆる都市化の現象というものが非常にはなはだしくなっておりまして、特に東海道メガロポリスの地域であるとか、そういったいわゆる大都市を中心にする過密化というものが非常に進行しておるわけでございます。したがいまして、車が飛躍的にふえ、人口はまた都市化に伴って大都市周辺に集中をしていくとなれば、それに対応するいわゆる公共投資状況でございますけれども、これがなかなか追いつかないといったようなアンバランスのために、交通事故死というのは急速に増加をしております。昭和三十五年には一万二千人であったものが、十年後の四十五年には一万六千八百人となっております。さらに五年後の昭和五十年には二万人に達するであろうという見通しになっておるということでございます。  こうした交通安全対策の問題について、今般道路交通法を大改正いたしまして、これによって相当程度の効果をあげようという意欲はよくわかるわけであります。この道路交通法改正につきましては、第一に人間優先徹底しておるというのが大きな特徴だ。たとえば昨年あたりから東京などで歩行者天国実現をいたしまして、通園、通学道路から自動車を締め出し、歩行者の自由を確保する試みが行なわれるようになったのでございますが、いずれも従来の法律の拡大解釈か、法的裏づけが弱いままで行なわれた。これがあらためて法的根拠が明文化されたわけでございまして、考え方ではなくて、法的にはっきり位置づけられたのは何としても大きな前進であろうと思います。  それからもう一つ、公共輸送優先の考え方が明示をされたということであります。これはバス優先レーンの採用がそれでございますが、東京では現在でも七路線三十六キロについて実施され好評だといわれておるわけでございまして、そういった性格からしてももっと推進してよいのではないかと思われるわけでございます。  こういったわけで、道路交通法改正は、昨年の八月の飲酒運転禁止、少年への反則金制度適用に始まりまして、昨年の暮れには自動車公害の規制が行なわれ、今回のこの改正案によって歩行者天国であるとか、都市交通対策であるとか、ドライバー教育等が加わって、法的な整備は一応これて相当整備をされてきたというふうに思われるわけでございますけれども、これで四十六年度を初年度とする交通安全五カ年計画に対処して、はたしてこの道路交通法改正交通戦争の有力な抑止力となるかどうか。道交法というものが交通事故防止に果たす役割りについては限界があるんじゃないかというふうにも思われるわけでございまして、まず大臣から、この法律によって交通安全対策というものがいかに推進されるか、それについての見通しを承りたいと思います。
  7. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 大体、道交法は昭和三十五年に制定されまして以来たびたび改正をしてきておりますが、これは都市化の現象が急激に進んだり、経済、社会の情勢が変動するに従いましてそれに適応するための改正をしたのでありまして、従来たびたびの改正で、いま申し上げたような事情に即応するための改正をしたのでありますけれども、さらに今回、まあ抜けたところと申しますか、予想し得ざるいろいろな事情について、またさっきお触れになりましたような法の盲点とでも申すべきところを明確に定めたということによって、相当の効果をあげ得るも一のと存じます。
  8. 村田敬次郎

    村田委員 先般三月の三十日に中央交通安全対策会議交通安全の基本計画を発表したわけでございます。これはさきに成立をした交通安全対策基本法に基づいて陸、海、空の安全施策を集大成したというわけでございますが、五カ年間に歩行者死亡事故の半減を目ざしておるということで、非常にこれは政府としては意欲的な計画だと思うわけでございます。  ところで、この予算でございますが、この予算について五千三百五十億円というものが一応計上をせられておる。この予算要求については、実はこの倍額程度の予算要求をして交通事故の半減を目ざしたのであるけれども、予算のほうがむしろ半減をいたしまして、これではたして交通事故が半減するかどうかということを心配するわけでございますが、この交通安全基本計画、そういったものによって今後の施策というものが万全を期すると考えておられるか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  9. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 当初の計画は、警察独自の立場で、自動車新税などの財源に期待して策定したものでございますが、現段階では、当初計画の規模に見合うだけの新規財源の措置を講ずることが困難となりまして、御指摘のように、遺憾ながら計画規模を縮小せざるを得なかったものでございます。しかしながら、交通安全対策の必要性にかんがみまして、財政事情の許す範囲内においてできる限りの規模の拡大につとめました結果、補助事業では六百八十億円、地方単独事業では九百二十億円、合計一千六百億円と閣議了解されました。これは三カ年計画の事業規模に比較しまして三・五倍に拡大されておりまして、事業内容においても交通管制センター二十八都市交通事故防止に直結する信号機、道路標識道路標示設置等につきましては、当初計画の七〇%程度は見込まれておることになっております。したがって、本計画と並行して行なわれます道路管理者側の五カ年計画による歩道等の整備交通取り締まり、運転者教育等の諸施策と相まちまして、弱い立場にある歩行者に関する事故につきましては、大体半減を目標として努力してまいる所存であります。遺憾ながら、車対車の事故防止については、所期の計画よりいささか下回ることはやむを得ないかと存じております。
  10. 村田敬次郎

    村田委員 ただいま申し上げましたこの交通安全基本計画については、いままで各省各庁で取りまとめられたいわばその施策をぐあいよく羅列をしたものという批判もあるわけであります。確かに総合的な施策としては、陸上、海上、航空の名分野にわたって一応の計画は網羅をされたわけでございますけれども、言うならば、この計画が発表せられましたときの新聞論調等にも見られますように、いわゆる狭小過密な国土において今後ますます大型化し、高速化し、そして多様化をしていく船舶や航空機の問題あるいは自動車交通の問題、そういったものを前提として考えていきますと、そういった従来の施策の単なる集約、整理だけでは根本的には交通安全策というものの解決はつかないのではないか。  そういった意味で、先ほど申し上げました道路交通法改正とも関連をするわけでございますが、一つ一つは確かに十分検討をされておっても、交通体系構造的な変化を把握してかかるのでなければ、いわゆる前向きの施策とならないのではないかという批判が、これは一般的にあるわけでございます。そういったものに対して構造的に、立体的に対処する姿勢というものを大臣はどういうふうに考えておられるか、さらにお伺いいたします。
  11. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 政府委員からお答え申し上げます。
  12. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 おっしゃるように、まさに今日の交通事情を考えますと、単なる当面の措置だけで十分であるとは考えられません。そこで、政府といたしましては、全体の交通体系をどのように考えていくかということで、現在交通の総合対策を、経済企画庁が中心となりまして、関係省庁から人を出して、そこで鋭意検討をしておるような次第でございます。  そこで、やはりそうした場合には、たとえば昭和六十年なら六十年というのを一つの目安に置きまして、そのときにおけるわが国の総合的な交通総需要がどのようになるか、その総合的な交通需要を海、空、陸、陸の中には自動車、鉄道、こういった機関別に分けて、その機関別がどのようにそれを担当するか、さらにはまた、全国的な輸送はどういう機関にどのようにやらせて、総需要がどうなるか、地域別にはどのようになるかといったような観点から、全体の交通政策の見通しを立てることになっていくかと思います。その上で、積極的な諸般の施策を進められることは当然でございます。  私どもは、警察の立場というものは、マイナス行政といいますか、消極行政でございます。そこで、私どもの立場の希望は、こういった積極行政を進める場合にとかく忘れられがちなのはそういった積極的な行政を進める際に不可避的に生ずる社会的なマイナス面、これをどのように埋めるのか、これが忘れられがちであったのは否定し得ない現実だと私は思います。  そこで、今回の総合交通政策の中には、そういった場合の社会的な費用、当然避けてはならないマイナス面を埋めるための社会的費用をどのように見積もって、それをどのような財源で考えていくか、こういうことを当然中に入れてもらいたいということで、私どもも、その政府の中の総合対策委員会に入って現在計画を練っておるところでございますが、具体的内容については相当時間がかかろうか、かように考えます。
  13. 村田敬次郎

    村田委員 当然、後藤田長官がおっしゃいますように、こういった総合的な交通対策というものは、経済企画庁がいわば幹事役になって政府全体の取りまとめをしていかれるというのは、私は非常にポイントを得ておると思うのです。言うなれば、三月三十日に発表された交通安全基本計画というものはその母体をなすものであって、これにもっともっと大きく前向きにプラスアルファをされていくのだ、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  14. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 さような運びに相なっていくことを私も一期待しております。
  15. 村田敬次郎

    村田委員 ところで、この交通安全基本計画の予算でございますが、先ほど私もちょっと触れましたが、交通安全施設等整備事業五カ年計画におきましては、これは昭和四十六年の二月十二日の閣議了解でございますが、いわゆる特定交通安全施設等の整備事業の規模を二千九百三十億円とする、それから地方単独交通安全施設等整備事業の規模を二千四百二十億円とする、したがいまして、四十六年度以降五カ年間の施策の合計が交通安全施設等整備事業五カ年計画では五千三百五十億円というふうに伺っております。警察庁の所管に属するものはそのうちの千六百億円であるかと承知するのでございますが、これのみでその基本計画の五カ年の経費は足れりとしておるのでございますか。あるいは、これ以外に何かまだプラスアルファされるものがあるということでございますか。
  16. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私どもは、現状では千六百億の予算でやってまいる、かように考えております。ただ、交通の事情は、急激に予測し得ざる変化を来たしておるのが過去の経験だと思います。したがって、そういう事態になれば、その段階で考えるということもあり得ると思っております。
  17. 村田敬次郎

    村田委員 きょうは内閣総理大臣官房の交通安全対策室長の須藤さんがおいでになっておられると思いますが、いま警察庁長官のほうから警察庁関係の千六百億についてのお見通しがあったわけでございますが、それ以外の総合的な経費を含めてどういうふうにお考えになりますか、伺いたいと思います。
  18. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 お答えいたします。  都道府県公安委員会関係交通安全施設の整備事業五カ年計画につきましては、先ほど警察庁のほうから御答弁があったとおりでございますし、それ以外にも、同じ二月十二日の閣議におきまして、道路管理者分のほうがやはり二千二百五十億円、それからさらに地方単独事業につきまして道路管理者分が約千五百億円というふうに見込まれておるわけでございます。  これ以外に交通安全基本計画のもとをなします具体的な裏づけといたしましては、踏切道の改良促進という問題があるわけでございます。お手元に、きょうお配りをいたしましたが、去る二月八日に、交通対策本部決定といたしまして、踏切事故防止総合対策というものを決定いたしております。これは四十六年度を初年度といたします向こう五年間にわたります踏切事故の防止についての総合対策の方針を決定いたしたものでございます。  ただ、踏切事故防止につきましての五カ年間分の予算につきましては、まだ決定的にきまっておるということではないのでございますが、四十六年度の予算におきましては、お手元に昭和四十六年度陸上交通安全対策関係予算調書という資料をお配りいたしてございますが、この資料の二枚目に、踏切保安設備の整備、運輸省関係、それから次に踏切道の立体交差化等、これは建設省関係の予算というものがいずれも計上されておるわけでございます。踏切道の関係につきましては、まだ五カ年間の予算規模というものは決定するには至っておりませんが、今次国会におきまして踏切道改良促進法というものが、やはり総合防止対策と歩調を合わせまして、昭和四十六年度から向こう五年間延長されるということになったわけでございまして、これに基づいてやはり今後財源措置がなされるというふうに考えておる次第でございます。
  19. 村田敬次郎

    村田委員 須藤室長の説明を了承したわけですけれども、つまり交通安全施設等整備事業五カ年計画の五千三百五十億円、さらに踏切関係の経費等があるわけでございますが、これは交通安全対策の推進に応じて、さらに総理府として予算等については、必要な部分は今後もこれを増加していくということになるだろうと思うのですが、その点の見通しはいかがですか。
  20. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 われわれとしてもできるだけ交通関係の予算の増額につきましては、関係省庁とも十分相談の上、努力してまいりたいというふうに考えております。
  21. 村田敬次郎

    村田委員 私はきょう沖繩関係の質問をいたしたいと思っておるのでございますが、その前提としてちょっとお伺いしておきたいのです。  新道路交通条約及び標識信号条約といったようなものがあるということを承っております。これはどのようなもので、これに対して加入する方針、そういったものについて政府はどういうふうにお考えになっておりますか。
  22. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 現在ございます条約は、一九四九年にジュネーブで作成されました道路条約と道路標識及び信号に関する議定書、これでございます。ところで、その後、世界各国とも交通事情がたいへん変わってまいりましたので、一九六八年、ウイーンで国連の会議がございまして、そこで現行条約に全面的な改正を加えるということで、新しい道路交通条約と新しい道路標識及び信号に関する条約、これが作成をせられました。内容は、要するに、道路条約のほうは交通ルール、それから車両構造装置に関する統一をはかるための規定、それから国際的に通用する国際運転免許証に関する規定、こういうものが内容になっておるのですが、現行条約との違いは、交通ルールに関する部分が非常に具体的になっておるということが大きな特色でございます。それから道路標識及び信号に関する議定書のほうは、今度条約になるわけですが、これはやはり道路の標示とか標識とか信号機、こういうものの様式、それからその意味合い、これを国際的に統一する必要がある、こういった内容に相なっております。  現行条約にはわが国は加盟をいたしております。そこで、新しい条約のほうですが、これについては各国ともまだほとんど批准をいたしておりません。わが国もこれにはまだ入っておりません。しかし、国際交通の現状にかんがみまして、私どもとしては——この新しい条約の内容、それから標識等の意味合いなんかが、現在日本のやり方というものは、そういった国際的なものとそう大きく違いはございません。もちろん右、左通行区分なんかは、国によって違いますからありますけれども、おおむね変わってない。したがって、私どもとしては、この条約には入って、そして対処してまいりたい、現在こういう考えでおります。
  23. 村田敬次郎

    村田委員 私は先般沖繩に衆議院から議員団として派遣をされまして、沖繩の現地を視察してまいりまして、復帰対策等について研究をさせていただいたのでございますが、その際に、いま長官がちょっとお触れになりました道路右側通行、左側通行の問題に私どもは当面をしたのでございます。沖繩復帰対策要綱の第一次分、これは四十五年の十一月二十日の閣議決定でございますが、この五によりますれば、「交通・通信」の欄に、「道路通行区分」といたしまして、「沖繩における車両および歩行者通行区分は、復帰後も一定期間、現状どおり(車両は右、歩行者は左)とする。」こうなっておるのでございますが、この意味はどういう意味でございますか、まずそれからお伺いしたいと思います。
  24. 片岡誠

    ○片岡政府委員 その意味は、先生も御承知のとおり、現在沖繩では車両は右、歩行者は左という通行区分になってございます。沖繩復帰後も一定期間沖繩の現状どおりとして、一定期間経過後内地と同じような通行区分にいたしたい、こういう趣旨だろうと思います。
  25. 村田敬次郎

    村田委員 復帰後も一定期間現状どおりということは、いま局長の御説明で了解したわけでございますが、そういたしますと、一定期間置いた後に、車両は左、歩行者は右という内地並みの通行に変わるという意味でございますか。
  26. 片岡誠

    ○片岡政府委員 そのようでございます。
  27. 村田敬次郎

    村田委員 この一定期間というのは、大体何年くらいとお考えになっておるわけですか。
  28. 片岡誠

    ○片岡政府委員 大体私どもは三年くらいを当初考えております。復帰後、現地の交通状況あるいは現地の方々の要望、意見というものを十分勘案をいたしまして、慎重に対処していきたい、このように考えております。
  29. 村田敬次郎

    村田委員 沖繩に参りまして、実は私この問題に非常に興味を持ちましたので、タクシーに自分で乗ってみて、タクシーの運転手の意見も聞いてみました。そうしたら、右側通行から左側通行に変えるなんということはできることではない、第一われわれが一々全部車を買いかえなければならぬことはたいへんなことだ、そんなことをやってもらっては困る、悪いことまで内地と同じに変えなくてもけっこうなんですということを、その運転手は申しております。そのことばを要約すれば、いわゆる沖繩の本土化ということが日本国民の願望でございますが、交通の左側、右側方法に限っては本土の沖繩化ということのほうがむしろ合理的なんじゃないかという意味のようでございます。  沖繩交通の事故件数というものを見てみますと、日本の内地よりも一般的に少ないというふうに私どもは聞いておるのでございますが、その点はいかがでございますか。
  30. 片岡誠

    ○片岡政府委員 沖繩の死者につきましては、大体本土並みだと思いますけれども、負傷者の数は大体二分の一くらいのようでございます。
  31. 村田敬次郎

    村田委員 現在、御承知のように、世界で車の右側通行をやっておる国のほうが多いわけであります。御承知のように、ヨーロッパ大陸は全部右側通行でございますし、あるいはアメリカもそうですし、中共、韓国も車の右側通行ということを聞いておりまして、むしろ車両の左側通行をしておる国は、日本、それからイギリス、オーストラリアあるいはケニア、ネパール、パキスタン、インドといったような、いわゆる日本と旧英国の属領といったところが中心であるというふうに聞いておりまして、最近の例ではヨーロッパのスウェーデンが、御承知のように、一九六七年に左側通行から右側通行に切りかえたわけであります。これは資料によりますと、一九二七年から実に四十年間にわたる検討をしてきたわけでございますが、その間非常な検討を要し、そしてついに一九六一年には北欧協議会及びヨーロッパ協議会の諮問会議等において、ヨーロッパにおける道路についての統一ルールの重要性を強調するということになり、スウェーデンとしてはついに一九六〇年の十二月に国家道路庁の副長官が交通省の要請に従って通行方法改正、所要の経費の検討を始めた、その間に国会のほうは本件をできる限りすみやかに解決するように表決をしたということで、いろいろな準備の結果、右側通行に踏み切ったわけでございます。こういたしましてスウェーデンは、ヨーロッパにおける残された唯一の車両の左側運行の国であったのでございますが、右側通行に切りかえた。そして右側通行に切りかえた後の結果はどうかと申しますと、一九六六年の死者が千三百十三人、切りかえ後の一九六八年の死者が千百三十三人であって、実に約一四%の死者の減を見ておるのであります。これは何といっても、現在のように車両増加する趨勢からいえば非常に画期的なことである。したがって、車両右側通行に伴ってこういうふうに変わったものかどうかという問題について、もちろんすぐイコールであるといえるかどうかは別といたしましても、右側通行が世界の大勢であるといったような状況からすれば、わざわざ沖繩が現在右側通行をやっておるのを左側通行に切りかえる必要があるかどうか。そういった問題について、これは大臣の御意見をちょっと承っておきたいと思います。
  32. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 本土における通行方法を切りかえる考えはございません。もともと通行方法はルールの取りきめで、習慣の問題にすぎないと思います。海を隔てて孤立するわが国のような島国にありましては、切りかえに伴う膨大な費用の処置や混乱を来たしこそすれ、何の実益もないものと一応考えます。
  33. 村田敬次郎

    村田委員 現在の段階でおっしゃる大臣の答弁としては、そう言わざるを得ないのかもしれませんが、現在のように、ジャンボが就航し、またコンコルドが飛び、世界がますます狭くなっていくというときになりますと、国際交通ということもいよいよ活発化するということははっきりわかることでございますし、また世界各国の交通のルールの統一化といったようなことから、国々によって違う道路交通規則、そうしたことによって引き起こされる交通事故、そういったものを防止しなければいけないといった見地から、先ほど私が御質問いたしました国連のいわゆる道路交通に関する条約、道路標識及び信号に関する条約等の作成といったようなこともあると思うのです。したがって、たとえばイギリスはドーバー海峡を隔ててヨーロッパと接しておるわけでございますから、もしドーバー海峡を海底トンネルでつなぐというような事態、これはすぐ目の前に考えられることなので、そうすれば、スウェーデンが結局右側通行に踏み切らざるを得なかったような理由で、イギリスもおそらく右側通行に変わるのは時間の問題ではないかと思うのです。そうなれば、アジア大陸でも中国が右側通行であり、韓国が右側通行であるという現実から申しますれば、いわゆるアジア・ハイウェーというようなものが将来できるとすれば、それは当然右側通行になるであろう。そうすると、日本だけが島国だから取り残されて、左側通行でいいというような、国際情勢の現実から遊離したようなことが許されるかどうか。これは私は大臣の将来を見る目という意味でのお答えを要求したいのです。きょうの施策の問題ではありません。
  34. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お示しのような世界の大勢と申しますか、それがそういうふうになりました暁においてどうするかということは話が別かと思います。本土全体が現行制度のもとに動いておる。沖繩復帰に備えて本土をむしろ沖繩並みに変えるということは、あまりにも犠牲が大き過ぎて時期的にはいかがか。将来の問題としては検討を要することかと思いますが、一応先刻お答えしたように思います。
  35. 村田敬次郎

    村田委員 私はこの問題は、将来を見通す目という意味で問題を提起しておきたかったのです。したがいまして、いますぐに日本全国を右側通行にするという問題は、もちろん行政の最高責任者としてそういったことがお答えできないことはわかっておりますけれども、世界的な情勢からいえば、むしろジャーナリズム等の指摘をするのは、道路車両右側通行というのが国際的な趨勢なんだ。したがって、それに対応することも、やはり革新といったような立場でお考えにならなければならない時期が来ておるのではないかということを申し上げたかったわけです。  さて、沖繩問題に返りますが、先ほど交通局長の御答弁で、三カ年くらいでひとつ左側通行、本土並みに切りかえたいというお考えが示されたわけでございますが、これにつきましては、当然三年たてば内地並みになるということであれば、先ほども述べた、たとえば車両の形態にいたしましても、私の乗せていただいた沖繩のタクシーの運転手さんが言ったように、形態も変わってまいりますし、それからいわゆるつけかえの費用、いろいろな問題でたくさん費用が要ってくると思うのでございます。そういった費用についてどのくらいかかると思っておられるか、またその費用をどういうふうに処置されるおつもりであるか、それを伺っておきたいと思います。
  36. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 通行区分を切りかえるということになりまして大きな問題になります点は、ハスの入り口を切りかえなくてはならないという問題が最も大きな問題の一つです。それから標識を変えていく問題、それからインターチェンジの問題こういうふうな大きな問題があるわけでございます。先ほど警察庁のほうからも御答弁がありましたが、大体三年を目途といたしまして、その間に準備期間を置きまして、本土と同じように切りかえをいたしてまいりたいと思っておりますが、それにつきまして、まずバスが約八百台ほどございます。八百台ほどのバス、これが一斉に切りかえをやる、こういうことになると思いますが、そうすると、その前にバスの入り口を変えるということができればいいのですが、なかなかできない。それから、両側にバスの出入り口を設ける。これは、沖繩のバスはワンマンバスでございますので、両方に出入り口を設けておくというわけにもいかないという問題があるわけです。そこで、それじゃ左側に出入り口をつけて、しばらくの間安全地帯を置いて、そこで左からおりさせるということをやるということも考えられておりますが、いろいろ考えなくてはならぬと思いますが、いずれにいたしましても、切りかえるということになると、八百台のバスを、新車一台四百万円といたしますると、三十二億円という費用がかかるという問題があるわけであります。そのほか、標識の問題等、いろいろありますが、これらの問題につきましては、対策庁といたしましては、原則的な考え方としては、できるだけこの切りかえによって地元民に負担をかけないで切りかえていきたいという考え方で進んでいきたいと思うのですが、それにつきましては、関係省庁と今後この問題を十分に詰めていきたいという方途でおりまして、いまのところまだそれをどういうふうにするかという具体策までは至っておらないということですが、考え方の根本といたしましては、以上のようなやり方でいきたいと思っております。
  37. 村田敬次郎

    村田委員 大事な問題ですから、もう一回確認します。  いま例として、バスの入り口のつけかえとかインターチェンジとかおっしゃられたのですが、おそらくこれは全般的に内地並みにするということになれば、信号機のつけかえにせよ、あるいは道路の標識にせよ、一般に交通安全施設といわれるもの全部を変えなければいけないわけですから、相当な経費が要ると思うわけです。これは、いまの御答弁では、住民の負担にはならないように措置をするというふうに了解してよろしゅうございますね。
  38. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 なるべくそういう考え方をモットーとしていきたいと思っております。
  39. 村田敬次郎

    村田委員 これは大事なことなんで、なるべくでは困るのですが、なるべくですか。
  40. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 個々的に詰めなくてはわかりませんけれども、考え方としてはそういう考え方でいきたいと思っております。いろいろ問題が出てくると思います。
  41. 村田敬次郎

    村田委員 そういたしますと、長官の御答弁は、なるべくだけではなくて、全般的に個人の負担にはならないように考えてやろうというあたたかいお気持ちだ。そういたしますと、市町村の経費もかかる。おそらく復帰をいたしますれば、沖繩県ということになると思いますが、そういう県や市町村の経費につきましては、どういうふうに措置をするお考えでございますか。いまちょうど自治省の長野財政局長がおいでになっておられますから、承りたいと思います。
  42. 長野士郎

    ○長野政府委員 いまの交通関係の右左が変わってくるというようなことは、原則としては沖繩復帰に伴う問題でございます。したがいまして、そのために要する経費というものにつきましては、先ほどは住民に負担がかからないようにというお話でございましたが、私どもといたしましては、やはり地方団体にも負担がかからないようにすべきである、これは当然国の責任において措置をするものであるというふうに考えております。
  43. 村田敬次郎

    村田委員 後藤田長官、そうなりますと、もっばら警察庁のほうでとっていただく経費が多かろうと思いますが、その辺のお見通しはいかがでしょうか。
  44. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 趣旨としては、長野財政局長それから沖繩北方対策庁長官の言ったようなことが筋道だと思います。私の立場としては、できるだけそういう筋道に沿って主張をいたしたいが、いろいろ困難な事情もあろうかと思います。
  45. 村田敬次郎

    村田委員 それから、この際承っておきたいと存じますが、やはり沖繩に参りましたときに非常に問題になったことでございます。と申しますのは、現在返還交渉が急激に順調に進んでおって、五月には調印されるというふうにも聞き及んでいるわけでございますけれども、沖繩におきましては、御承知のように、道路管理者は米軍、琉球政府、市町村というふうに分かれておるわけでございます。特に米軍管理の軍道路は、沖繩における幹線道路の大半を占めております。これは、私、実態を視察いたしましたとき、バスで移動をいたしましたが、軍道路を通ることはきわめて多いわけでございます。これらの道路の延長は百十キロメートル以上にも及ぶというふうにも聞いておりまして、この軍道路の所属というものが一番大きな問題であろうと思います。また、交通安全対策にとっても大きな問題だと思うのでございますが、この軍道路の管理権が本土に復帰した場合に一体どういうふうになるか、これは非常に重要な政治問題だと思いますので、これについて、返還交渉の現在の時点で、どういうふうになっておるかをお答えいただきたいと思います。
  46. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 直接私のところでやっておりませんので、詳しくはわかりませんが、大蔵省及び外務省筋から漏れ聞いたところによりますと、軍道路とそれから軍営繕道路と二種類あるのですが、この二つにつきまして、資産の買い取りという交渉を現在向こうさんとやっておるという状況を聞いております。それが具体的にどの程度進捗いたしておりますかどうかは心得てはおりませんが、返還協定がきまるまでには目安がつくのじゃないか。返還になりました後、これらの軍道路をどのようにするかということにつきましては、それのどのくらいになりますか、約半分くらいはおそらく国道になるんじゃないかと思っております。あとは県道、市町村道にもなるものがあると思いますが、そのように区分けをいたしていきまして、国、県、市町村それぞれで管理をしていくという形態になっていくと思います。
  47. 村田敬次郎

    村田委員 そういたしますと、いま岡部長官がお答えになりましたように、大体内地の道路管理区分に応じて、国それから県、市町村の管理区分で今後はやっていくようにしていくんだということでございますね。
  48. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 そのとおりでございます。
  49. 村田敬次郎

    村田委員 資産の買い取り問題これは非常に重要なんでございますが、有償であるという原則が決定したのでございますか。
  50. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 その点もまだ決定はいたしておりません。決定をいたしておりませんというか、進行状況を詳しくは私のところでは存じません。
  51. 村田敬次郎

    村田委員 沖繩道路右側通行が左側通行に切りかわるのに伴いまして、これを三カ年間で大体やっていきたい。その経費については個人の負担にならないようにひとつ国でめんどうを見ていくという原則でやっていくんだということで、自治体の負担にもならないようにしていくという原則を確認させていただいたわけですが、さらにそのつけかえ、いわゆる道路通行区分の変化に伴って行政指導の面はどういうふうにやっていかれるおつもりであるか、それを具体的に承りたいと思います。
  52. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 それは本土の場合と同じように、県警本部を中心として、県及び市町村その他交通安全協会等あるいは学校等を通じまして、啓蒙宣伝をして、事故のないようにいたしてまいりたいと思っております。
  53. 村田敬次郎

    村田委員 その場合に、沖繩交通事故というのは、いま内地より少ないのですから、右側から左側に切りかえることによってふえたということになると、これはたいへんなことになるので、そういうことは絶対ないようにしていただきたいと思いますが、それについての覚悟を承っておきたいと思います。
  54. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 これは非常にむずかしくて、おそらく事故はふえてくるのではないかと思うのです。というのは、現状を見てまいりますと、取り締まりを非常にシビアにやっておりますし、軍関係のほうがパトロールをやったりあるいはガードマンを配置したり、本土よりは非常に厳格ですし、それから琉警の取り締まりも非常にシビアにやっておる。割り込み、追い越し等の違反、スピード違反等ないのを見ると、これはまさにそういう点から取り締まりが非常に徹底しておると思うのです。将来、この軍のほうがどういうふうになりますか、その方面の取り締まり等が全然なくなったということになると、そういう取り締まりの人員体制の面でも非常に手薄になってくる。これをどうしていくかという問題等いろいろ山積いたしまして、復帰したときに警察庁並びに琉警、特に警察庁の交通安全対策の御指導を私たちのほうからお願いいたしたいと思っております。私たちも万全を期して、ひとつ事故が多くなるというふうなことのないようにいたしたいと思っております。
  55. 村田敬次郎

    村田委員 いまの岡部長官の御発言、たいへん気になります。事故がふえていくようになるのではないかとおっしゃったのですか。そうであるとすれば、いまのアメリカ軍がやっておれば事故が少なくて、日本の警察がやったなら事故が多くなるだろうということになりませんか。
  56. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 そういう意味を申し上げておるのではございません。これ、何といいましても交通の取り締まりは、警察官が多く出動しておる、この数が非常に大きな事故違反や事故のないところに通じますので、そういう意味を申し上げておりまして、質的なことを申し上げたのではございません。警察官がただ漫然と道路を歩いているだけでも事故は違うと私は思います。
  57. 村田敬次郎

    村田委員 そうであれば、日本に移管になりましてから、アメリカ軍がやっていたよりもさらに能力の優秀な日本の警察官によってその交通事故を減らすような方向にぜひ努力をしていただきたいと思うわけですが、長官、いかがでございましょう。
  58. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 沖繩交通事故の現状は、日本より少ないのは事実です。その理由は、いま岡部君がお答えしたように、取り締まりが非常にきついということも一つの原因であろうと思います。しかし、根本は、車が少ないのです。内地と車の混雑の度合いが違う、私はそういうことだと思います。移管に伴って、右側の車の通行を左に変えるから事故がふえるなんということは、これは私は考えられない。左右の通行ということは、これは習慣の問題であって、交通工学的に見ても、そういうデータは一切学問的にこれは出ておりません。したがって、先ほど来の御意見もいろいろございましたけれども、欧州大陸と日本は根本的に違うということ。したがって、あなたが御質問になったようなことを想定すれば、世界的条約でもできればまた別として、日本のこの交通のルールをいま変えるなんということは私は全く考えていないわけです。  そこで、沖繩の復帰に伴って通行方法を変える、これはまさにメリットが非常に少ないことなんですね。だから、それは沖繩の方にはほんとうに気の毒だと私は思います。しかし、それは今日道路条約の中を見ても、一国の中で通行方法は統一しなければならぬということははっきり明示せられておる。また道路交通法の性格から見て、一国の中で、沖繩が復帰すれば、猶予期間は別として、当然私は小は大についていっていただかなければならぬことはやむを得ないのではないかという考え方です。  そこで、今度は切りかえの際に事故がふえるかふえないか。私は切りかえによって事故がふえるなんということは全然考えていない。ただ、その過渡期においてはよほど気をつけなければならぬ。これはふえるかもしれぬ。しかし、それが落ちつけば全く同じことである。  同時に、今度は沖繩の一般の交通情勢ですが、車がふえるだろう、それから米軍も従来とは変わってくるだろうといったようなことを考えると、警察としてはやはり交通事故の抑制について当然全力をあげてやらなければならぬ。私どもをしては全力をあげて沖繩警察を支援してまいりたい、かように考えております。
  59. 村田敬次郎

    村田委員 いまの後藤田長官の御答弁はよく了解をいたします。事故数は、琉球政府の統計によりますと、自動車千台当たりの死者数が一九六二年には沖繩が二・七人です。それから日本が四・六人だ。やはり日本が非常に多い。それから六七年の統計では日本が一・七人で沖繩が一・二人ということで、やはり日本のほうが相当多いということになっておるわけでございます。右側通行がはたしてほんとうの意味で交通安全対策にプラスになるかならないかという問題は、確かに統計上車の右側通行のほうが交通事故が少ないのだというデータはなかなか出ないと思います。したがいまして、私が先ほど荒木国家公安委員長に御質問をいたしましたのは、ヨーロッパあるいはアメリカそれからアジア大陸等の趨勢が右側通行であるから、近い将来に国際条約その他の点でそういうことになるかもしれない。そういうことについての考え方を承ったわけでございまして、現在の日本の状況で直ちに右側通行云々という問題が出てこないということはよく承知をいたしております。沖繩の問題につきましては、左側通行に切りかわるのについて、先ほど来御要望申し上げておりますように、住民の方々それから沖繩の市町村あるいは沖繩県に対して、それが財政負担にならないようにひとつ十分政府として措置を願いたいということを御要望申し上げておきます。  それから、せんだって新聞に大きく出ておったのでございますが、高速道路における警察体制の整備方針といった問題、これにつきましては、まだ国会の委員会で質問されるのは初めてであると存じますので、ひとつぜひ承っておきたいのでございます。  今後は高速道路が非常にふえてまいります。そういたしますと、高速道路における警察区分というものが、いままでのような愛知県警察であるとか三重県警察であるとか、各県ごとに区分をされた警察体制では十分ではない。これは言うまでもないことであります。そういった場合に、いわば警察の広域行政と申しますか広域パトロールと申しますか、そういった体制が当然必要になってくると思うのでございますが、その高速道路についての警察体制の整備方針の問題。  それから日本の高速道路にはいわゆる休憩所が非常に少ないのじゃないかと思うのです。ヨーロッパの高速道路、アウトバーンを走ってみればすぐわかることでございますが、そういったヨーロッパの道路行政に比べて交通事故対策が十分でないのではないかと思うのでございますが、それについての所見もあわせてお伺いをしたいと思います。
  60. 片岡誠

    ○片岡政府委員 高速道路におきます警察体制におきましては、今年四月一日から次のような措置をとることといたしました。  まず第一に、高速道路を管轄する警視庁それから都道府県警察本部の交通部に高速道路警察隊を設けて、要員とか装備、器材の充実をはかることとした。  第二に、高速道路における警察活動の運営の広域的あるいは一体的な確保をはかることが必要でございますので、関係都道府県相互間の協力援助あるいは連絡調整が十分に行なえるようにいたしますとともに、府県警察が相互に権限を行使できる範囲を従来の二十キロメートルから五十キロメートルに広げました。  それから第三としましては、やはり高速道路におきます警察活動は都道府県警察が単位であるということは大前提でございますけれども、その間の一体的な運用が十分はかれますように、警察庁さらに管区警察局の指導体制を強化していく。そうして管区警察局に高速道路管理官という職を置きまして、その管理官が各府県高速道路警察隊との連絡調整、あるいは場合によりましては指示をすることによりまして、一体的な運営をはかれるようにした。  なお同時に、その高速道路におきます警察活動に必要な経費を国費支弁とすることによりまして、活動の強化をはかっていく、そういう措置をとりました。
  61. 村田敬次郎

    村田委員 休憩所の問題はいかがですか。
  62. 宮繁護

    宮繁説明員 高速自動車道路におきますドライバーの休憩場所としての設備が少ないというお話がございました。ちょっといま手元に数字がございませんけれども、一応何キロに一カ所という基準を設けて設置しているはずでございますけれども、いま御指摘のように、諸外国の例等もお話ございましたが、やはり安全で快適な運転をさせるために、特にりっぱなものというよりも、適当なものをこれからも数をかなりふやしていく考えでおります。
  63. 村田敬次郎

    村田委員 まだたくさんお聞きしたいことがあるのですけれども、時間がきてしまったので、きょうはもう一問か二問しかできないと思いますが、この法律案をお出しになるときに、非常に問題になったと思うのですが、路上練習の義務化及び指定教習員制度の新設については、警察庁では検討中だったというふうに聞いておるわけでございますけれども、このたびの道路交通法改正に盛り込まれていないというのはどういうわけでございますか。
  64. 片岡誠

    ○片岡政府委員 路上練習を強化する、義務化する。それから路上試験をやっていくということにつきまして、私ども案を考えたわけでございますけれども、その案の中に、そういう路上練習を義務化する場合に、練習を指導する人を十分に確保する必要があるのではないかということで、個人の指定路上教習員制度というものを盛り込んで案を検討いたしております。ただ、その案を関係向き、第一線あるいは関係方面にはかっております過程で、個人の指定教習員制度をつくると、それが将来わりあい近い機会に検定権を持たす必要が出てくるのではないかという点もございまして、私どもはそういうものではないことをよく説明はいたしたのでございますけれども、現在の指定自動車教習所の中の一部の方あるいは非指定の自動車教習所のほうにも問題がございまして、よく私どもは趣旨の徹底をはかったつもりでございますけれども、時間的に若干間に合わない面もございましたので、一応今回の法改正からは見送りまして、今後さらに趣旨の徹底をはかり、なお検討すべき点があれば検討しながら、今回は見送りましたが、近い将来に路上練習を義務化していくという方向で実施してまいりたい、このように考えております。
  65. 村田敬次郎

    村田委員 交通安全対策問題は、いわば一国の行政の一つの中心点でございますので、まだまだ聞きたいことはたくさんございますが、本日はこれにて終わらしていただきます。
  66. 菅太郎

  67. 土井たか子

    ○土井委員 まず警察庁の片岡交通局長にお尋ねいたします。  交通事故の発生件数を年齢別に見ていった場合に、どの年齢に一番発生率が高いかということをまずお伺いしたいと思います。
  68. 片岡誠

    ○片岡政府委員 一般的な交通事故そのものの年齢別につきましては、やはり活動する年齢の人が高いと思いますけれども、歩行者事故についてまず申し上げたいと思います。  歩行者事故につきましては、人口の年齢層を分母にとりました比率をとってみますと、一番高いのが三歳、四歳、その辺の幼児、それから七十歳ばかりの老人。大体カーブとしましては、三歳、四歳辺に大きな山がありまして、それから次第に低くなりまして、十四歳ごろが一番低くなって、それから次第に上がりながら六十から七十で急カーブになりまして、また大きな山が七十代ぐらいに出ております。大体そういうことでございます。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 いまお答えになりましたような通行者について、特に発生率の高い年齢などを意識して、このたびの法改正の中ではどのような配慮がございましたでしょうか。ひとつその点からお聞かせいただきたいと思います。
  70. 片岡誠

    ○片岡政府委員 まず最初に幼児の問題でございますが、幼児の事故を分析いたしますと、自宅へら百メートルぐらいの距離で事故にあっている人が六割ぐらいも占めております。幼児の場合は、活動範囲が相当限定されておりまして、大体自分の家の近くで遊んでおって、あるいは何かの用事で出かけていって事故にあっているという現状でございます。したがいまして、私どもは、先般来いたしております裏通り対策と申しますか、生活道路対策と申しますか、道路そのものを幹線道路と生活道路に分けまして、その生活通路から通過交通をシャットアウトしていくという方向の施策をいたしております。  今回の法律案の中にも、そういう裏通りあるいは細街路の通行禁止を十分できるようにして、ただ、どうしてもやむを得ずそこに車を持っている人が来た場合には、警察署長許可でステッカーをつけて入れるようにして、通過通行はシャットアウトするという規定を設けてございます。それを的確にいたし、まして裏通り対策を十分やりまして、子供さんたちあるいはお年寄りの場合も、自分の家の周辺で車にはねられる危険がないような状態をつくっていきたい、このように考えております。
  71. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御趣旨はよくわかるのですが、ならば、その裏通りの通行については警察署長許可がなければ通行できないと一応原則的には考えることができるわけでございますね。そうしますと、その場合の警察署長権限、つまり許可基準と申しますか、そういうものが具体的に明らかにされていないといけないと思うのです。それは特例を認めるということでなしに、その内容を特設しなければいかぬと思うのですね。そのことについては別に政令で定めるということになると思うのですが、現にこの法律施行されるまでにはおそらく政令も準備されるでしょうけれども、その点についていまの基準を特設するという点は、どういう車両については通行許可するとか、どういう場合に限って許可するとかというふうな、限定措置の具体的な内容についてはもうあるお考えがおありになるはずだと思うのでありますが、いかがでございますか。
  72. 片岡誠

    ○片岡政府委員 二つの場合が考えられると思います。一つは、署長の許可にかかわらしめないで、交通規制そのものからあらかじめ除外していく車がございます。たとえば郵便車であるとか清掃車のように、車の形態をだれが見てもすぐわかるような車、そういう車は、この通りの車両通行禁止をやるときに初めから除外例として除いておきます。それから車の形だけではわからないような、たとえば乗用車であれば、だれが乗っているか、どういう目的に使われているかということはわかりませんので、そういうものについては署長の許可にかかわらしめていくという基本的な考えでございます。  その署長の許可の基準として少なくとも最低限言えることは、その沿道に車庫を持ち車を持っている人、まずそれは通行ができるようにしなくてはなるまいと思います。ただ、そこの家にたずねてきた人をどうするかとかあるいはタクシーを乗り入れるときはどうであるとか、タクシーの場合にも病人を運ぶときにはどうだろうかとか、これは非常に芸のこまかい問題になってまいろうと思います。それから、その地域、地域の性格、そこが住宅地帯であるか商業地帯であるかあるいは工業地帯であるかという点によってもまた様子が変わってまいろうと思います。したがいまして、基本的な基準につきましては、私ども第一線を指導してまいりますけれども、さらに府県公安委員会の基準をきめて、最終的には署長が管内に住んでおられる方々と十分話し合って、納得ずくでそういう最終的な基準はきめていくというやり方が一番妥当ではないか、そのように考えております。
  73. 土井たか子

    ○土井委員 その場合に問題になりますのは、これは一応歩行者道路と考えての上の話ですから、あくまで歩行者優先という原則を曲げてはいけない問題だと思うんです。ですから、いまの基準を特定される場合にも、歩行者の立場というものを何よりも重要に考えて、そういう立場で特定の基準をはっきりと確かめられるということが大事じゃないかと私は思いますから、その辺ずさんにお考えにならないように、ひとつしっかりとお願いしたいと思います。  それから、いまの幹線道路のほうの問題なんですが、幹線道路につきましては、いまどういう措置が考えられているわけでございますか。
  74. 片岡誠

    ○片岡政府委員 幹線道路につきましては、安全かつ円滑に車が通行できるような手だてを考えていきたい。したがいまして、幹線道路のほうは安全施設を完全整備していく。これは道路管理者と協調してやるわけでございますけれども、歩道はつけていく、横断歩道整備する、信号機も整備する、ところによれば横断歩道橋なり地下道も整備するということで、歩行者も安全だけれども、車も円滑に流れるというような基本的な考え方だと思います。  ただ、幹線道路の場合に、非常に渋滞した幹線道路を流す場合に、できれば信号機の処理あるいは交差点の処理をうまくして、すべての車が円滑に流れるような努力はまずいたしたいと思いますけれども、それでもなおかつ問題があるときには、何らかの車を優先させて通すという施策もあわせ考えていかざるを得ないと思っております。
  75. 土井たか子

    ○土井委員 幹線道路も、たいへん交通ひんぱんな場所についての事例をどうしても考えておかなければならないと思うのです。いまの横断歩道で間に合う場所はまだそれでもましだと思うのですけれども、どうしても横断歩道で十分に効果をあげ得ないという場合には、おっしゃったとおり、横断歩道橋を設置するということがどうしても必要になってくるだろうと思うのです。いま場所によって違いがあると私は思いますが、主要幹線で非常に交通ひんぱんな場所と、それから交通がさほどひんぱんでない場所と一応考えられるところと、それからゆるやかだというふうに考えられる場所と、歩道橋の利用率はかなり違いますか、どうでございますか。その点いかがでございますか。
  76. 片岡誠

    ○片岡政府委員 御承知のように、交通が非常に、車両交通もひんぱんである、それから歩行者横断利用も非常にひんぱんである、たとえば大阪でいえば阪急百貨店の前であるとか、あるいは東京でいえば五反田、渋谷その他そういうターミナルのところでは横断歩道橋が十分に活用されていると思います。それからもう一つ、そういうひんぱんではないけれども、学校あるいは幼稚園のそばであって学童あるいは園児の安全をはかるために設けられた歩道橋については、学童、園児が有効に使っていると私は思います。しかしながら、ところによりますと、必ずしもその横断歩道橋の利用率がよくないというところも現にあると私は思います。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 これは運転者の側からいろいろ意見を聞いてみますと、横断歩道橋があって、かえってあぶない場所というのが最近目立つというような意見を私はよく聞くのです。特に先ほどおっしゃいました通行者の中で、交通事故の発生率からいうと多いと考えられている幼児であるとか老人なんかは、横断歩道橋の利用をおっくうがったりあるいはこれに事実なじまなかったりいたしまして、たいてい横断歩道橋のある付近で事故が起こっている。こういう事例というものは、それを利用していないというところに主原因があったりいたしますので、やはり横断歩道橋の問題というものがこのままでいいかどうかという問題は一つあると思うのですね。ただ、ここで一つ申し上げたいのは、今回の法改正で第二条の三項の一などを見ますと、「次に掲げる者は、歩行者とする。」という中に「身体障害者用の車いす又は小児用の車を通行させている者」というものが入っておりますけれども、これは一応歩行者とみなすわけですから、こういった方々がいまのような方式の横断歩道橋については利用できるかどうかという問題が現にあると思いますが、いかがでございますか。
  78. 片岡誠

    ○片岡政府委員 現行法と中身は同じなのでございますけれども、そのような人たちは横断歩道橋を十分に渡るものとは私は考えておりません。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 といたしますと、そういう人たちはその交通ひんぱんな場所には出かけられないようにということでございますか。それとも、出るということはちょっと遠慮していただきたいということになるわけでございますか。
  80. 片岡誠

    ○片岡政府委員 私の所管ではございませんけれども、横断歩道橋で、ひんぱんなところでしかも利用率の多いようなところでは、外国の例にもありますように、日本でも若干でき始めているようでございますけれども、そういうスロープ式のものをつくったり、あるいは場合によれば、エスカレーター式もあるのかもわかりませんが、身体の条件の悪い方々も横断歩道橋を利用できるような形態のものがあっていいと私は思っておりますが、あとは道路管理者のほうから……。
  81. 宮繁護

    宮繁説明員 いま横断歩道橋の利用につきましていろいろ御答弁がございました。建設省といたしましても、いままでは数をふやすということで精一ぱいでございまして、全国で大体五千以上横断歩道橋ができたわけでございます。しかし、利用者の側の方で、いまお話がございましたような身体障害者の方で車いすで利用される方には、いまの階段方式では横断歩道橋は通行できません。そういう意味で、これからはスロープ式のものと、あるいはたとえ階段でありましても、老人の方や子供さんが渡りやすいように傾斜をゆるやかにするとか、そういうようなものをつくっていきたいと考えております。ただ、スロープなんかにいたしますと、若干沿道沿いの人家の前を横切ります距離が長くなりますので、いろいろ問題等もございますけれども、特に子供さんの通行の多い場所とか、あるいは付近に特別な施設がありまして身体障害者の方の車いすの通行が多いような場所につきましては、いま申し上げたようなことも考えていきたい、こういうふうに思っております。
  82. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁も、それは一そう考慮して、より実効性のある交通安全環境をつくるということの一環としてある問題だと思うのですが、やはりこれは歩道橋を必要なだけつくるということは私は目下急を要する問題だと思いますけれども、そういう意味で、いまの御答弁の趣旨を伺うことができるわけです。  そういたしますと、さらに交通安全の環境をつくることから考えまして、利用率の高い、実効性というものをより多くあげる安全対策としては、いまあるような歩道橋、さらにはいまおっしゃったような改善された歩道橋のみで十分かどうかということも考えていかなければならないと思います。そういうことについて、いかがでございましょう。それ以外に何か歩行者の安全対策として、特に先ほどから問題にしている幹線道路交通ひんぱんな場所で、考えられる方策というものはないものでございましょうか。
  83. 片岡誠

    ○片岡政府委員 先ほどの繰り返しになるかと思いますけれども、交通ひんぱんな道路では、歩行者の通る道とそれから自動車の通る道とをできるだけ、できれば完全に分離していく。これは縦の方向にも横の方向にも分離していくということが一番基本だと思います。縦の方向に分離するのには歩道をつけていく。歩行者の通るのは歩道である、車の通るのは車道である、これを完全に分離するというのが一つと思います。それから横の方向は、横断歩道をつくって信号機を整備していく。しかし、おっしゃるように、交通量の多いところでは横断歩道橋にしたり地下道にして、立体的に分離していくということができれば一番望ましいと思います。そういうこととあわせて行なって、——これは名古屋市でやって、非常に成功していると思いますけれども、幅員が片側二車線以上、往復四車線もあるような道路では、名古屋市では市街街路でありましても中央分離帯をつくっております。そしてその上に金網をつくっております。これは自動車の夜間の眩惑防止にもなると同時に、事実上歩行者横断を物理的にとめていっているわけでございます。横断歩道橋以外では渡れないように、まん中へ行っても網があるものですから向こうへ渡れない、こういうやり方をとっております。これは東京、大阪にもあまりなくて、名古屋市に非常に普及しておりますけれども、いい知恵だと私は思いますので、そういうものを方々に普及していけば、あるいは横断歩道橋外横断による事故が相当数防げるのではないか、このように思います。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 いまおっしゃったのは一つの例でございますけれども、その網を張って、むしろ半ば強制的に、歩道橋のほうに向かわなければ横断できないという方向で強制するというのも、もはや手だてとしてはそこまできていると思いますけれども、しかし、もう一つ、心理的な抵抗なしに利用できるような横断のあり方がありはしないかということで、私たちなんか考えるのは、地下道方式なんでございますが、現に地下道方式というものが問題にされて年久しいにもかかわらず、これが歩道橋ほどにはあまり活用されていないと思うのです。活用というのは、現に建設されていないと思うわけですが、その点について、何が原因になっているかという点なんかでおわかりになれば、この際お伺いしたいと思います。
  85. 宮繁護

    宮繁説明員 現在ございます横断歩道橋の数は、先ほどちょっと申し上げましたように、約五千数百でございます。そのうち先生いま御指摘の地下の横断通路が約四百カ所くらいございます。地下でございますと、やはりあまり抵抗がございませんで、いろいろ渡りやすいわけでございますけれども、実は、こう申してはなんでございますけれども、一カ所当たりの単価が、普通の地上式のものでございますと大体一千万円くらいかかりますけれども、地下に入れますと、大体その三倍から四倍くらいかかるわけでございます。金額が多くかかりますので、あとの維持費が若干多くかかります。  それから最近はよくなりましたけれども、一時これは管理面の不備もありまして、夜、娘さんなんか一人で地下道を通るのがこわいとか、いろいろございましたけれども、そういう点もかなり改善されました。私ども道路管理者といたしましては、いまのところは駅前の繁華街、市街地の場合にそういった地下の横断歩道をつくるようにいたしておりますけれども、今後そういった地下が適当であるような個所につきましては、上に出ております横断歩道橋じゃなくて、多少お金がかかりますけれども、地下道もつくってまいりたい、こんなふうに考えております。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 おもな理由は経費ということだと思うのですが、その辺はむしろ人命尊重の点からいいますと、打開する問題ではなかろうかと思います。やはりそういう点で自治省あたりが予算をどう考えて取り組むかという姿勢の問題としてもあろうかと思いますが、そういうことについてはいままでいかがお考えでいらっしゃいますか。担当の方、自治省はいらっしゃらないですか。
  87. 菅太郎

    菅委員長 財政局長がいままでいたのですが、帰りました。
  88. 土井たか子

    ○土井委員 これは弱りました。地行の委員会なんだから、いらっしゃらないというのはむしろおかしいと私は思うのです。
  89. 菅太郎

    菅委員長 それでは質問しておられる間に呼びましょう。
  90. 土井たか子

    ○土井委員 それでは時間の関係で、質問を先に進めたいと思います。  それで、いまの交通安全対策からいいまして、小さい子供たち、特に毎日通園、通学をしなきゃならない子供たちの安全対策というのを重視して、忘れてはならない問題だと思います。  そこで、幼稚園や小中学校の通学、通園児に対する対策として、文部省のほうではいままでおもにどういうふうなことをお考えになっていらっしゃるかという点などを、あらましでけっこうですから、まずお伺いしたいと思います。
  91. 橋本眞

    ○橋本説明員 お答えいたします。  まず学校におきますところの交通安全教育と申しますのは、児童、生徒の心身の発達段階に応じまして、自分のみならず、人の命も尊重するという観点で交通安全教育を行なっております。それからまた、学校そのものの設置につきましては、これは直接私の所管ではございませんけれども、新設の場合には、学校施設指導要領というのがございまして、その中で、学校の敷地といたしまして安全なところでなければいけないという指導をいたしております。それからまた、通学区というふうなものが義務教育についてはございますけれども、そういったものにつきましても、交通の安全とか、あるいは子供が通いますところの距離の問題とか、そういったことを勘案しながら、市町村の教育委員会等で通学区をきめておるということになろうかと思います。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 いまおっしゃいました前半の学校教育内容の問題は、人の命を大切にするということを大いに教育する、それは大事なことだと思いすすけれども、しかし、児童だとか園児なんかの立場においては、むしろ自己防衛をしなきゃならないという立場にあるわけでありまして、そういうところからすれば、守ってやらなければならないという側面のほうを、むしろ私は重点に置いて考えなければならない問題だと思います。ですから、子供にそういう教育を施すという主眼は、現在学校に通う場合に、いかにして人の命を大切にするかといといことで、他人に対して自分がどう対処するかということよりも、環境整備をわれわれがやって、そして子供たちに対して安心して通学でき、通園できるような環境整備をまず心がけないと、私は言う資格はないと思うのです。だから、そういう点からしますと、いま学校周辺なんかを考えました場合に、交通が非常にひんぱんな場所では、先ほど来おっしゃいましたとおりに、歩道橋の設備なんかもだんだん考えられて、しかもそれが十分なものになるように配慮されておりますけれども、しかし、なおかつ考えてまいりますと、どうしても幹線道路横断しないと自分の小学校に行けない、中学校に行けないということが、校区の関係できめられておるといった場合、しかもいままで校区は地理的条件できめられていたわけですから、この際、交通事故発生率が激増しているということにかんがみて、徹底した交通安全という立場から考えていったら、交通安全対策を基準に置いた校区の取り扱い方というものに立ち返って、再検討を進めてもいいのじゃないかという考えを持っているのですが、文部省とされましては、こういうことについてはいかがお考え  ですか。
  93. 橋本眞

    ○橋本説明員 校区の指定につきましては、私先ほど申しましたように、直接の所管でございませんけれども、現在市町村の教育委員会、あるいは特殊な学校につきましては都道府県の教育委員会が、法令規定に基づきまして、実態に即してやっておるという形になっております。その場合の基準になりますのは、学校への距離とかあるいはその間の、先生のおっしゃいましたような交通事情とか、そういったこと等を勘案するわけでございますが、そこで一番基本になりますのは、子供の心身の発達に応じたところの日常の通学といいますか、距離的な問題とか、そういうふうなことがありますから、そういうふうなものが保障されるということが、日常のことでございますので、一つの基本的な問題になろうかと思います。ただ、そういった場合に、いろいろな事情を勘案いたしました場合でございますが、いま先生おっしゃいましたような、交通安全というふうな点についての配慮と申しますか、そういうものも一つの大きな要素になっておると思います。  ただ、その交通安全に対する配慮ということだけでは、いま申しましたように、割り切れない問題も中にあろうかと思いますけれども、そういった場合には、たとえば通学路におきますところの交通規制と申しますか、あるいは通学路というところに、特にお願いいたしまして歩道橋をつくるとか、そういった施設設備を強化していくというふうなことを道路管理者とか、あるいは警察、公安委員会関係というようなところにお願いしておるという実態だろうと思います。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 いままで都道府県の教育委員会のほうでいろいろケース・バイ・ケースで事案を勘案して、適当な措置を講ずるように指導しているとおっしゃるのですが、学習指導要領なり何なり、文部省の各都道府県教育委員会についての、いままでの教育内容についての指導というのは、私たちが見ておりまして、どうかと思われるぐらいにびしびし指導をおやりになるのに比べますと、こういう交通安全対策についてどういうふうに取り組むかということは、どうももう一つ十分に取り組まれていないような向きを私は見るのです。いままで教育内容については、半ば干渉というような批判を受けるぐらいにいろいろやられているわけですが、こういう問題こそひとつぴっちりやっていただくのが、私は、民主教育あるいは子供の健康や命を守る第一歩だと考えるのだけれども、どうもおやりになっていただきたいことについては手ぬるくて、どうかと思うようなことについては必要以上にいろいろと御指導を賜わっている向きがあるようです。こういう点については文部省さんのほうの姿勢一つで、各都道府県の教育委員会の取り扱い方というのがだいぶ違ってくるのじゃないかと思いますので、ひとつ校区のあり方についての再編成ということについても、少々距離が遠くなる短くなるの問題じゃないので、地理酌条件ということももちろんあるとおっしゃいますけれども、少々距離が遠くなったって、より安全であるというのにこしたことは私はないと思います。ですから、そういう点からしますと、父兄の気持ちとしては、交通安全対策というものを十分に考えた上での校区の編成というのは大歓迎だと思うのですが、ひとつそういう点についての御配慮をいただきたいものだと思うのです。  それから、先ほど通学路におけるいろいろな安全対策をお述べになりましたが、そこで一つお聞きしたいのは、通学路で緑のおばさんだとか、あるいは交通指道員というものを通学時に出して、学童や園児なんかの交通整理に当たるという地域があることは御承知ですか。
  95. 橋本眞

    ○橋本説明員 存じております。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 その緑のおばさん、交通指導員というのは、身分はどのようになっていますか。
  97. 片岡誠

    ○片岡政府委員 それは区々でございます。ところによりますと、正式の市町村の職員になっている場合もございますし、教育委員会の場合もございます。それから臨時職員の場合もございますし、雇いになっている場合もあるということで、地方地方の事情によって区々でございます。
  98. 土井たか子

    ○土井委員 その立場で、交通規制に対する権限があるということが認められておるわけですね。
  99. 片岡誠

    ○片岡政府委員 交通規制あるいは交通取り締まりに対する道交法上の権限はございません。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 では、いま実際上緑のおばさんや交通補導員というものが、通学時の園児や学童を相手に交通整理に当たるということなんでございますから、この問題についてはやはり交通規制という意味をなさないかどうか、ひとつお答えいただきたい。
  101. 片岡誠

    ○片岡政府委員 主として学校の近くの横断歩道の学童保護に当たっているのが実情だと思います。したがいまして、横断歩道に対しては道交法上の歩行者保護の規定がございます。横断歩道を人が渡ろうとすれば、車は必ず一時停止しなければならない。その横断歩道を人が通るぞということを必ず運転者にわかりやすく知らして車をとめて、車がとまったのを見て子供さんを渡すという事実上の行為をしている。したがって、横断歩道の保護につきましては、道路交通法できちんと規定がしてございますから、それを個々の子供の判断にまかせないで、おとなである緑のおばさんたちが車のほうに、横断歩道に人がいるぞということを確認さして、車をとめて渡すというのが現在の事実上のやり方でございます。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、その緑のおばさんなり交通補導員なんかの指導に過誤があって、そしてその結果事故がひき起こされたといたします。それじゃ、その責任はいずれにあるわけでございますか。
  103. 片岡誠

    ○片岡政府委員 基本的には事故を起こした運転者にあると私は思います。ただケース・バイ・ケースで違うと思いますけれども、現にやっているのは、自動車がやってくるかどうかを見て——信号機もない横断歩道の話をしておりますが、信号機があれば信号機に従って車をとめさす。歩行者があるのに信号機を無視してやってけがさせれば、自動車運転者の責任です。それから信号機がない場合には、自動車が来た場合に旗を出したりあるいは手で合い図をして車をとめて、そして確認してから子供さんを渡しているわけですから、かりにそこに事故が起こった場合の責任そのものは、緑のおばさんに来るのではなくして、車を運転して事故を起こした、子供をひいた自動車運転者にある、このように考えております。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 もちろん緑のおばさんや交通補導員については、交通規則等々の一応の知識を授けるというふうな機会は十分に持った上で整理に当たらせるということになっているはずでございますね。私は本来こういう問題は交通警察官が取り扱うべき問題じゃなかろうかと思うのです。ただ、特にこういう通園時あるいは通学時に緑のおばさんや交通補導員がこういう問題に当たらなければならないということは、本来やらなければならない交通警察官の数が不足しているために、こういう据置が話せられたのたといういきさつが幸えられるわけでございますが、その点についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  105. 片岡誠

    ○片岡政府委員 御承知のように、交通巡視員制度というものを一昨年から設けたわけでございまして、現在四千五百名の交通巡視員の定員のワクが全国にございます。これは主として学童の保護の任務に当たり、あわせて駐車違反の取り締まりもやるという制度でございます。現に勤務員が街頭に出始めておりますけれども、この制度ができて、学童、幼児の保護の面では相当手厚くなってまいったと思います。従来、仰せのように、警察官も出ておりますけれども、それだけで十分な保護ができなかったために緑のおばさんのような制度もできましたし、ほんとうに自発的にPTAのおかあさん方が学童の保護をしておられるところも地方に行きますとまだ相当ございます。そういうことで警察の本来やるべきことは、私どもも定員をふやしたりあるいは交通巡視員制度をつくるなりして強化してまいりたいと思いますけれども、現状はまだ必ずしもそれで十分でないというところでこういう制度が生まれ、あるいは自由意思でおかあさん方が学童保護に当たっておられるという形だと私は思います。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 いまの警察人員の問題になってまいりますと、むしろ人員増強ということにすぐに走りがちなんですけれども、現在ある定員の範囲内でも、私は取り組むことをしていこうとすれば、もっともっとできるのじゃないかと思うのです。特にいま申し上げているような通学、通園時にある児童や園児に対して警察が配慮をして、交通警察官に保護に当たらせるということを安全対策の上でもっと講じていくということ、それはいまの警察の人員をふやさなくたってできることじゃないかと思っているのですが、いかがですか。
  107. 片岡誠

    ○片岡政府委員 これは一時的に、たとえば安全運動の期間中だけやるというのではだめだと私は思います。恒常的にそういう体制をとるのには、いまの定員の中ではすべてをカバーすることはむずかしかろうと思います。しかしながら、私どもとしては、少なくとも学校周辺の地域につきましては、朝の通学時にできるだけ多くの警察官を、交通係だけでなくて、各署、駐在所の警察官をも横断歩道に立てて学童の保護に当たっていくという方向で第一線の指導をいたしております。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 いま警察行政の中で、交通安全対策というのは非常に重要ではあるけれども、最重要になっているかどうかということが、私、実は問題だと思うのです。警察人員のワクというものにはやはり限界があるわけですから、その中でこういう交通安全対策を最重要にするかどうかということで配分のワクもおのずから変わってきはせぬかという気がするのですが、こういう問題はどういうことになりますか。
  109. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 もちろんおっしゃるように、警察官の総定員のワクはきまっておりますので、その定員のワクをそのときどきの治安の情勢に応じて合理的に配分して使っていく、これは大前提でございます。  今日、交通の重要性ということは私どもでは第一に置いております。そういう意味合いから、交通にはできるだけの人員を配置する、こういうことをやっておりますけれども、実際問題として年間の取り締まり件数が五百万件、こういった数でございます。そうしますと、内部の取り締まりの事務の処理、取り調べその他の処理人員に追われて街頭に立つ警察官が不足してくる、こういう悩みを持っております。内部で合理化をやるにしてもやはり限界がある。全体としては警察の人員は今日不足をしていると考えております。したがって、警察の人員はやはりふやさなければならぬ、こういう考え方でございますが、他面国全体の労務給源その他を考えますと、警察官というものは仕事の性格上、とんでもない者を採用するというわけにはまいりません。やはり質というものを考えていかなければならぬ。そういうことを考えると、労務給源の面から一つの壁に突き当たってくる。そこで、子供さんの保護の仕事であるとか老人の手を引くとかといったような仕事は、外に出る仕事ですから気の毒とは思いますけれども、警察もこの際婦人の労働力の活用というものをもう少し考えていかなければいかぬであろう、こういうふうに一つは考えます。  と同時に、昨年からお願いしましたような交通巡視員の制度、これも今日大体九割が婦人だと思いますが、そういう制度をつくって、主として通行の保護と同時に駐車違反の取り締まり、こういったような比較的定型的といいますか、そういう仕事をお願いするということでふやしておるわけです。私はそういったことで警察官全体もふやしたい。しかし、中身は婦人労働力の活用ということを考えていいのじゃないか。同時に、交通等については、いわゆる警察官と違った身分を持った警察職員も充実をしていく、こういう線でいくのが一番いいのだ、こういうふうに考えております。
  110. 土井たか子

    ○土井委員 婦人労働力の活用というのは、外見はまことにけっこうなんでございますけれども、しかし、要するに、それは、男性が警察官については適当なんであり、確保できないという御趣旨から、ならば婦人のほうに回そうじゃないかというふうなことで求められているのが婦人労働力に対しての要求だと私は見ているのです。いまの答えから申しましても、そういうような趣旨だと思いますが、そういうことで交通安全対策としっかり取り組めますか。
  111. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 警察の仕事というのは非常に激しい仕事でございます。したがって、婦人の生理的条件というものを私どもは考えざるを得ない。そこで、やはり男子警察官を主流として考えるのが当然で、別段婦人をべっ視する意味で、男子が足らぬから婦人、こう申しておるわけではございません。仕事の性質上、そういうことで婦人警察官というものをもう少し活用したらどうだろうか、私はこういう考え方ですから……。
  112. 土井たか子

    ○土井委員 そういうことになってきますと、だんだん婦人問題ということに問題が発展してまいりますからそういうことについては別の機会に私はゆっくり論じたいと思いますが、きょうはもう時間の制限もありますから、先を急ぎまして、ひとつ最後に私、お尋ねしておきたいことがあるのです。  それは、この法律改正によりますと、百九条の二に「公安委員会は、総理府令で定めるところにより、車両運転者に対し、車両通行に必要な情報を提供するようにつとめなければならない。」という条文がございます。そして片や四条の五を見ますと、「道路標識等の種類、様式、設置場所その他道路標識等について必要な事項は、総理府令・建設省令で定める。」とございます。これについてひとつお伺いしたいことがあるのですが、よく自動車通行いたしておりますと、たとえば東京から横浜や川崎のほうへ向かって走っている途中に、横浜まで何キロとか川崎まで何キロという標識がございます。あれがどうも県道と国道によって、同じ川崎といい、同じ横浜といっても、どこを目標地点として、東京のある特定の地点からはかられるのか、その目標地点というものが一定してないようなんです。現にそういうことで、兵庫県下にございますキロ数を表示しております道路標識を見ますと、まことにずさんだという事実が明るみに出まして、県道と国道とでこの取り扱いが違っているじゃありませんかというので、ずいぶん問題にされているという実例がございます。これにつきましては、今回こういう法律で取り扱うのに、一応様式だとか種類だとか道路標識等について必要な事項というのは総理府令・建設省令で定めるということになるわけですから、この取り扱いの具体的な、どこに目標地点を置くかという基準なんかについても、やはりこの際明らかにしておく必要があるのじゃないかと思うのですが、こういうことについて何かお考えになっていらっしゃるかどうかをひとつお伺いいたします。
  113. 宮繁護

    宮繁説明員 ただいまお話のございました道路標識の件でございますけれども、標識につきましては、公安委員会設置いたします規制標識、たとえば駐車禁止というような規制のための標識と、道路管理者設置いたします案内標識、いまお話しの横浜まで何キロというような標識、それから、踏切がありますというような警戒標識。いま申し上げました案内標識、警戒標識につきましては道路管理者設置いたしております。いま御指摘ございました、兵庫県の例でございましたある地点まで何キロというのは案内標識でございまして、道路管理者設置いたしております。それで一応、たとえば横浜なら横浜まで何キロという場合には、市役所とか、そういった行政の中心地点までの距離を表示することにいたしております。  ただ、いま先生から具体的に、標識に出ておる距離が少しおかしいんじゃないかというお話がございましたが、実は道路を改築いたしますと、距離が長くなったり短くなるというような例もありまして、あるいはそのときに一緒に標識も直さなければいけないものをそのままに設置しておったというような例かとも思いますけれども、そういう点につきましては、今後十分調査いたしまして、ドライバーの方、一般市民の方に迷惑のかからないようにいたしてまいりたいと思っております。
  114. 土井たか子

    ○土井委員 いまおっしゃったようなそういう道路標識について、この距離が市役所なんかを中心にはかるとかいうふうなことがはっきりされていればいいのですが、事実は、調べてみますと、違うようでして、国道と県道で、たとえば建設省が国道で求められているのがいわゆる幹線道路の分岐点までの距離をはかっていたり、それから県道では同じ地名についての距離を掲げます場合に、一番兵庫県境に近いところを基準にはかったり、そういう点からいいますと、これは全然てんでんばらばらなはかり方をしているわけでございまして、いまお答えになりました趣旨とはちょっとキロ数の取り扱い方が違うということを私は申し上げているので、その点この際統一しておく必要があるのではないかと思います。いかがでございますか。
  115. 宮繁護

    宮繁説明員 いま御指摘のような点十分検討いたしまして、基準等もやや不整備の面もございますならば、そういう点も整備いたしまして、統一的に距離の標示ができるようにいたしたいと思っております。
  116. 土井たか子

    ○土井委員 まだほかにこまごまとした問題がありますけれども、一応これできょうは私、質問を終わりたいと思います。
  117. 菅太郎

    菅委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ————◇—————    午後一時三十九分開議
  118. 菅太郎

    菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、連合審査会開会に関する件についておはかりいたします。  道路交通法の一部を改正する法律案について交通安全対策特別委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたならば、これを受諾することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、ただいま議決いたしました交通安全対策特別委員会との連合審査会の開会日時につきましては、両委員長協議の上決定いたし、公報をもってお知らせすることといたしますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  120. 菅太郎

    菅委員長 道路交通法の一部を改正する法律案について、質疑を続行いたします。土井たか子君。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 午前中お伺いしたいことがございましたが、御出席がなかったので、ひとつ保留にしておりました問題をこの際お伺いしたいと思うのですが、県道、市町村道における歩行者の安全対策からいたしまして、地方財政の上で、いままでどういうふうな配慮を特に講じられてきたかということを、ひとつお伺いします。
  122. 森岡敞

    ○森岡説明員 交通安全施設の整備の財源につきましては、一つは、地方で単独に実施いたします事業の財源に充てるため、特別交付金といたしまして地方に交付をいたします反則金収入をもって、単独事業を推進していくということにいたしております。いま一つは、補助事業、単独事業を通じまして、地方交付税の基準財政需要額に必要な所要額を算入してまいる。さらに起債の面におきまして、かなり大規模な、歩道橋でありますとかいうものをつくります際に地方債の充当をするというふうな措置をあわせまして、財源措置はかなり適切にとってきておる、こういうふうに考えております。
  123. 土井たか子

    ○土井委員 その起債の部面で、いま問題にされました歩道橋なのですが、現に歩道橋の改善ということがしきりにいわれておりますし、さらに状況によりますと、人道、歩道について、やはり条件からすると歩道橋よりも地下道のほうが思わしいという条件がある場合が多々あると思うのです。たとえば商店街のまん中だとかあるいは歩道の幅が広くないとかいわれるような場合——店舗が前にある、やはり歩道の利用度からいって、できる限りその面積を歩道橋のために広くとらないというふうな点から考えて、地下道の設営ということを要求する向きが多いと思うのですが、いままでにそういう要求に十分こたえてきてなかったというきらいがありはしないかと思うのです。考えてみますと、おそらくは歩道橋よりも地下道のほうが経費が多くかかる。大体歩道橋一基について一つ地下道をつくろうとすると、経費が概算三倍から四倍くらいかさむということでございますが、そういうことについてはいままでどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  124. 森岡敞

    ○森岡説明員 補助事業について申し上げますと、交通安全施設整備法で、地下歩道につきましても補助対象にすることになっております。補助率は通常二分の一でございます。また単独事業につきまして、いま御指摘のように、経費がかなりかかるものですから、横断歩道橋のほうをやはり早くたくさんつくるというふうに、いままでの行き方はなってきておると思います。その結果、それほど多くはございませんが、四十五年度でも、地方債の申請がありまして地方債の充当をいたしましたのが、単独事業で二、三件ございます。おそらく御指摘のように、今後そういうものはふえてまいるというふうに考えます。その市町村の財政の状況ないしは事業の規模などを十分見まして、必要なものは地方債を充当していくということで措置してまいる必要があろう、そのように考えております。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 地下道についての要求がふえてくるという側面はもとより事実でございますが、さらにそれを積極的に促進するという姿勢をとっていただいて、それをやはり財源確保という方向でひとつぜひとも御努力いただきたいというふうなこととで午前中は話を進めてきたわけでございますが、この節、やはり交通安全対策の中では、歩行者保護という側面から、この問題はかなり積極的に、しかも徹底的に取り組まれていいのじゃないかと私は考えております。その点の御配慮をひとついただきたいと思います。
  126. 森岡敞

    ○森岡説明員 交通安全施設の整備につきましては、緊急措置法に基づきまして、各府県、市町村でそれぞれの計画を立てまして、それをいわばまとめ上げまして交通安全施設整備計画というのをつくってまいります。そういう過程におきまして、御指摘のような点も十分留意しながら、関係各省と相談いたしまして万全を期していきたいというふうに考えます。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃこれで終わります。
  128. 菅太郎

  129. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 交通安全につきまして、警察は非常に御努力を願っておるわけでありますが、昨年の春秋の交通安全週間もそう成果をあげたとは私ども思えないわけでありますが、本年も非常にマンネリズムにならないように苦心をなすって、前期、後期に分けられまして、前期は子供の安全を守る、後期は不当なあるいは無謀な運転等の取り締まりをやるというふうなことで御努力を願っておるわけでありますが、選挙期間に際会した関係もありましょうが、新聞等で見ますると、昨年同様、成果があがったとも思えないという記事を見ておるわけであります。これにつきまして、どういう結果になりましたか、お聞かせ願いたいと思います。
  130. 片岡誠

    ○片岡政府委員 大体御指摘のございましたように、今回は少し構想を改めて、前期、後期というふうに分けまして、前期につきましては、ちょうど学童の入学時でもございますので、学童保護とあわせて歩行者の保護を重点にしたキャンペーンをいたしたわけでございます。その中で老人と子供というものを特に強調いたしたわけでございますが、不幸にして四月五日から四月十日までの六日間の交通事故の発生状況は、人身事故が一万七百五十五件、前年比六百五十六件増でございます。それから死者が二百五十三人、これも前年比二十一人増。負傷者が一万三千七百九十一人、これも前年比七百二十三人増という不幸な結果に相なったわけでございます。一週間の問題でございますので、なかなか確たる原因もわからないのでございますが、ちょうど先生御指摘のように、選挙運動期間中でもございましたし、したがいまして、警察官の配置も若干そちらのほうに食われておったという面もあろうかと存じますし、またマスメディア、マスコミも主として選挙のほうに取材あるいは報道の力が注がれておったというような面もあるいはあったのではないかというふうに考えております。私どもとしてははなはだ遺憾でございますが、これからも引き続き、特にまた後期の安全運動を控えまして、何と申しましても歩行者、特に老人と幼児の交通事故の防止に努力を続けてまいりたいと思っております。
  131. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今回の道交法の改正は、従来からいわれておりましたように、歩行者の安全の確保あるいは都市交通対策の推進といたしましては、公共輸送機関優先確保、さらにはいま問題になっております運転者管理のための規定整備という重要な点につきまして、全面的な改正——おそらくいままで毎年の部分的な改正を、今回の改正によりましてある程度まで道交法の改正はかっこうがついたという改正ではなかろうかと思っておりますが、しかし、これらの改正によりまして、交通安全週間は相当の交通警察官を動員せられまして、事故の減少あるいは撲滅をはかるという努力をしていただいているわけであります。それにつきまして昨年よりはむしろ情勢は悪くなっておるという状況であるわけでありますが、法の改正あるいは交通安全対策本部の各省ばらばら行政を統合せられましての交通安全基本計画の策定というふうな、私は相当積極的な姿勢をとられ、またあとで御質問いたしたいと思いますが、交通安全施設整備五カ年計画というものも作成せられておるわけです。実際に取り締まりの衝に当たっておられる公安委員会なり、あるいは警察庁とされまして、当面死傷者あるいは交通事案の減少という、あるいは死傷者のごときは半減というような目標のもとにおやりになると思うのであります。春の状況だけでは判断つかぬと思いますけれども、一応かっこうの上でこれらが整備せられまして、交通警察あるいは機動隊を動員せられまして、今後交通対策に力点を置いて進められるという体制で、五カ年計画策定の初年度において、ことしこそはある程度まで事故を減少できるというふうな御判断に立っておるかどうか。これはなかなかめんどうな問題でございますけれども、一応私はそういうふうな決意でかからなければならぬと思うのであります。そういうお見通し等についてお聞かせねがいたいと思います。
  132. 片岡誠

    ○片岡政府委員 先生御承知のように、一昨年に比べての昨年は、一昨々年に比べての一昨年よりも増加傾向は鈍化し始めております。本年に入りましても一月から三月までの累計におきまして、発生件数において一・一%、それから死者数において二・二%負傷者数において三・二%、発生件数、死者、負傷者ともども幸い昨年に比べて減少傾向を示しております。私どもとしましては、この減少傾向の時期をとらえて、さらに事故が減少するように、何とかしてことしは昨年よりも相当数事故全般としても減ったという形に追い込みたいと思っております。特にその中でも弱い道路利用者である歩行者、午前中から言われております老人、幼児、その辺の事故につきましては、絶対数を減らすということで力を入れてやりたいと思っておりますし、また私どもが力を入れればやり得るものであるというような、そんな確信をもって現在仕事を進めております。
  133. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 交通安全施設の整備にいたしましても、多少景気の好転を促進する必要があるということで、公共事業の早期発注というようなことが政府でもらわれておるわけでありますが、本年度の予算からいいますと、私ども必ずしも施設整備費が十分とはいえないのではないか、かように考えるわけであります。どうかこれらを最優先的に、早期に施設が整備できますように、私は、警察庁とされては最優先的に整備に着工願いたい、そのことが多少とも、不十分な予算でも早い施設の整備によりまして交通事故を防ぐことができる。施設の整備をいたします間も、やはり依然として、それだけ施設のあり方によりましては交通は渋滞する場合もあり得るわけでございます。どうか早目に最優先で施設をしてもらいたいということを要望しておきます。  それから、この交通安全基本計画で対策本部にお聞きしたいと思うのでありますが、いろいろまとまってりっぱな文章になって出ておるわけでありまして、これから陸上交通の安全につきましては、第二節の「講じようとする施策」を総合的に推進されるものと思うわけでありますが、問題は、これらの施設整備の面と、いまのモータリゼーションの時代における自動車増加との関連でございます。いま景気は多少後退をしているようでありますが、総理の所信表明等によりますと、五年もたてばいまのGNPをさらに倍にすることができるというような、経済成長面におきましては前途に非常に明るい希望を持っておられるようであります。したがって交通体系における輸送機関としての自動車の役割りもこれに伴って大きく伸びるのではないか、いわば自動車増加していくのではないか、その増加に対応して交通安全基本計画というのはどういう考え方でできておるのか、その考え方をお聞かせ願いたい。
  134. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 お答え申し上げます。  このたび中央交通安全対策会議で決定をいたしました交通安全基本計画でございますが、この計画は大体におきまして、自動車交通の面におきましては今後自動車台数は相当伸びるのではないか、それで、自動車の台数の伸びと交通事故による死傷者数の推移というものが、非常に密接な関連を示しておるというふうに見ておるわけでございます。われわれといたしましては、大体昭和五十年におきましては自動車は約三千万台というようなところの数字になるのではないかというふうに考えまして、それに応じまして一体交通事故はどのくらい発生が予想されるかということをいろいろ計算をしたわけでございます。結局昭和五十年におきまして自動車台数がそういうふうになりますと、交通事故による死者が約二万人程度になるのではないか、そのうちの歩行者の死者が約八千人をこすのではないか、負傷者に至っては約百七十万人に達するのではないか、こういうような一応自動車台数の伸び、それに伴う交通事故の増加というものを予想いたしまして、それに基づきまして安全計画というものを立案した次第でございます。
  135. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 昭和五十年に三千万台といいますと、現在約一千八百万台です。倍までいきませんが、倍近くなるわけですね、そうして死者が二万人というお話でしたが、それに対応するもろもろの計画というのは、現在の一千八百万台の自動車、これに対する現在の交通安全対策それ自体が、現在の一万幾らの死者が当然だというようなことであればこれは問題ないと思うのですけれども、これも相当減少しなければならぬということで取り締まり当局が努力しているわけなのですね。そういうときに、現在でも一方交通、あるいは子供、老人の安全のために規制をやるわけです、裏通りは車を通さないとか、あるいは大量輸送機関の優先交通確保する。大量輸送機関の優先確保ということは、それだけ一般自動車交通が渋滞するかもわからぬ、条件が変わらなければ。そういうことをしてまでも死傷者をなくそうという努力をしているわけですから、これらのことを考え合わせますと、三千万台になるという昭和五十年——五年後ですが、そういうことに対応しての整備計画といたしましては、予算の裏づけも十分ではないわけですね。三千万台になる対応について、一千六百億の整備計画をやって、その五カ年計画が完了した場合に二万人の死者を減らしていけるというようなお見通しが出てまいりますものかどうか。私は、趨勢の数字よりも、交通安全対策の目的を果たすということが重点じゃなかろうかと思うので、もしそれが必要であるとするならば、五年後の三千万台にあるいは交通事情が伴わないということであれば、警察の要求する予算というものはもう少し大振りに増額して、五カ年計画でなくて三カ年計画で早く完了するということでなければ、現在の情勢より悪くなるというふうな感じがするわけですよ。  まず対策本部のほうから、趨勢に対応してどう考えていくか。これは政府としても交通事故の対策については相当重点を置いていると思うのですけれども、その見通しですね。それから公安委からは、警察として交通取り締まりをしてまいります上に警察の期待するような、いわば国民に安心感を与えるような取り締まりが現在の予算あるいは整備状況その他で可能であるかどうか、その辺の見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  136. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 今度の四十六年度から始まります五カ年計画を実施しない場合には、先ほど申し上げましたように、交通事故による死者が約二万人、そのうち歩行者が八千人程度ということになります。実は、この五カ年計画を実施した場合に一体どの程度の効果があるかということにつきまして、私どものほうで関係省庁、さらに学者等の意見も加えまして一応この効果というものを試算したわけでございます。その試算した結果を御説明申し上げますと、五年後の昭和五十年に八千人をこす歩行者の死亡者が出る、それがその五カ年計画を実施した場合には、これはあくまでも計算ではございますが、四千六百五十二名のマイナス、これだけ減らせるのではないかというふうに計算をしたわけでございます。その内訳を申し上げますと、都道府県公安委員会の管理にかかります信号機その他の安全施設で千七百七十五名の減、それから建設省と道路管理者の管理にかかります歩道等の安全施設における効果でございますが、これが二千五百四十六名。パーセントにいたしますと、信号機等で三八・二%、歩道その他で五四・七%。そのほかで七・一%、三百三十一名程度のマイナス、これは踏切の立体交差、構造改良その他の対策による数字でございます。  これはあくまでも従来の安全施設の事前事後の調査、さらには学者等の計算も入れて出した数字でございます。もちろん交通事故につきましては、いろいろな要素が複雑にからみ合って発生するわけでございまして、安全施設だけで完全に事故を撲滅するということは無理があるかと思いますが、一応この安全施設でこの程度の効果があるんじゃないかという計算をした次第でございます。もちろんわれわれといたしましても、今後の交通事情によりまして、ものごとをすべて弾力的に対策をしていくということが必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
  137. 片岡誠

    ○片岡政府委員 いま対策室長のほうからお話がございましたが、私どもとしましては、このまま放置すれば昭和五十年には八千人になるであろうという歩行者事故を四千人以下に、できれば三千五、六百人ぐらいにまで押え込むということを至上命令として考えておりますし、またそれは可能ではないか。ただ、自動車同士が衝突したり自動車が単独で起こす事故につきましては、先生御承知のように、年間十数%の伸び率で自動車が急激に増加しております。この状況からしますと、自動車一台当たりの事故を減らすことは可能でございます。しかしながらその絶対数を減らすというのは相当至難なわざであろうと私ども思います。しかしこれも、現状以上に増加することをできるだけ抑制していきたいという方針で仕事を進めております。またその程度は可能ではなかろうかという考えに立って仕事を進めております。
  138. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうしますと、警察の取り締まりからいえば、自動車同士の事故はともかくといたしまして、歩行者の事故については、現在の安全対策施設が整備されれば減少することができるということは、ある程度まで見通しが立っていると言えるわけですね。そういうことであれば、ぜひそういうふうな努力を願いたい。私どもはどうも予算から見まして不十分じゃないかという感じが深いのでありまして、あとからではおそいわけでありますので、本年度は五年計画の初年度でございますが、警察の立場といたしまして十分検討せられまして、これを三カ年計画に縮めるなり、あるいは年度途中においてことしの状況を見て来年度から五年計画の整備費を増額するなり、当然取り締まり面から見ての要望をなさるべきではないか、かように私は考えますので、その点の要望を十分していただきたいと思います。  なお、施設整備内容についてお聞きする時間も与えられていないようでありますが、せっかく建設省からお見えになっておりますので。道路にいたしましても、農村地帯は別といたしまして、交通量がふえると思われる大都市を初めといたしまして中都市等の国道あるいは二級国道、主要県道といった幹線道路ですね。岩手県におきましても、主要県道等につきましては相当舗装、改良がなされて整備はいたしております。しかし、集落のところは人車道の分離というところまで手が回っていないわけなんですね。この五年計画で少なくとも人車道の分離というようなことができるものかどうか。それからもう一つ。いまのやり方は今度の改正法にもあるわけですが、線を引くとかあるいはコンクリートのブロックを一定の間隔に並べまして人車道を分離するという方法をよく小都市ではとっておるわけなんですよ。盛岡のような中都市におきましても、そういうところが相当あるわけなんですね。これはある意味において、場合によっては危険ではないかというような感じが私どもしておるわけなんですが、そういうことも人道ができたんだということに入れますると、私は将来の問題は、事故の減少なんというのは思いもよらぬというような感じがするわけです。今度の総合計画では、文部省は教育の立場から学校教育あるいは社会教育等をやっておられますが、もう一つついでに建設省にお聞きしておきますが、古くから児童公園等の整備ということについても一整備を急いでおられるようであります。今年度の予算におきましても、相当の個所、児童公園というものの整備を考えておられる。もちろん、こういうふうに交通事故のふえない以前には、いま幼稚園に行っております幼児教育といますか、通学をしておられる児童に対する交通教育というものは行なわれたわけでございますが、学校に行っていないお子さんも、子供のときに知らず知らずのうちに交通道徳を身につけるという体制のために、この交通公園というようなものの整備を推進するという計画がもう数年以前からあったと思うのであります。これがどの程度に推進をされておるか、その辺の点をお答え願いたい。
  139. 井上孝

    ○井上説明員 御指摘の道路のことについて私からお答えいたします。  今度の五カ年計画によります歩道の達成の目標でございますが、ただいま御指摘のような小都市の市街地を含めまして、交通安全施設整備の観点から指定をされました道路——これは交通量と事故率から指定をいたしましたが、指定されました進路のそういう市街地部分につきましては全線一〇〇%歩道設置するということを目標にしてやっております。  なお、御指摘の、ブロックを点々と置きまして歩車道を分離しておりますところがだいぶございますが、これもやはり私どもとしては、一応歩道設置した区間というふうにみなしておりますけれども、これは決して十分な交通安全をはかれるものでございません。私どもとしてはやはりマウントアップと申しますか、車道より一段高くした歩道、これが原則でございます。ガードレールで分離をいたしまして車が飛び込まないようにしたのがその次でございまして、どうしても、沿道の店とか人家の自動車の利用とか荷物の積みおろしとか、そういうような観点からガードレールをつくったりできない場合、いたし方なくああいう措置で少しでも安全をはかるという観点でやっております。そういうやむを得ないところに限ってああいう措置を講じておるという状況でございます。
  140. 川名俊次

    ○川名説明員 児童公園の件でございますが、児童公園につきましては、誘致距離約二百五十メートル、一カ所〇・二五ヘクタール、七百五十坪でございます。これを標準といたしまして人口一万人に四カ所をつくるという計画のもとで実施をいたしております。現在全国一万三千カ所程度の児童公園の整備がなされてきております。最近におきましての交通事故対策といたしまして、特に児童公園につきましては最重点を置きまして、公園予算の約四分の一をこの費用に充当いたしております。四十六年度につきましては国費約十二億でございます。それとあと少年のための少年運動公園、ベースボールのグラウンドでございますが、こういうものの経費を入れますと、公園予算の約五〇%が青少年のために投入されている。整備につきましては、できるだけ早い機会に適所につくっていくという方針で進んでおります。  交通公園につきましては、先ほどお話ございましたように、三十八年に交通公園設置運営要領というものを次官通牒といたしまして各都道府県知事に流しまして、この要領に従いまして現在四十五カ所ができ上がっております。明年度は一カ所をつくる予定でございますが、これが大体三千万ないし五千万程度の経費がかかります。用地は別でございます。したがいまして、一カ年で完成させるということがなかなかむずかしい問題でございますが、二ないし三カ年計画に基づきまして実施をしてまいりたい、こういうように存じております。
  141. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、五年間に児童公園は人口一万人について四カ所というものは達成できるわけでございますか。  それからもう一点、いまの交通公園というのは、四十五カ所といいますと、今後の計画からいきますとどういうことになりましょうか。人口二十万以上の都市にはほとんど一カ所くらい交通公園ができ、逐次十万台の市にまで及ぼしていくという計画がおありになるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  142. 川名俊次

    ○川名説明員 児童公園の整備計画等を含みます公園の整備計画につきましては、現在まだ政府案といたしましての長期計画あるいは五カ年計画といったものを持っておりません。現在立案すべく準備をいたし、検討中でございます。四カ所と申し上げましたのは、私どもの現在の構想といたしまして、昭和六十年を目途に考えておる考え方でございます。  第二点の交通公園につきましては、当面は大都市特に七大市を中心として出発をいたしまして、三十万、二十万という都市に逐次おろしておるわけでございます。これも一定の計画と申しますか、当該地域の御要望に基づきまして予算の範囲内で取捨選択、緩急の順序をつけまして、逐次実施をしていくという状況でございます。
  143. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういった施設を、どうか建設省におかれましても計画的に推進を願いたいと存じます。  なお、道路局にお聞きしたいと思うのですが、現在大都市からその周辺都市あるいは十万以上の都市人口が集中しつつあるわけでございますが、ことに地方都市におきましても相当人口が集中してまいっておるわけであります。そのための住宅の建設ということが積極的に必要になってくるわけでありますが、公団営につきましては、私は公団の団地といいますか、その関連の道路あるいは団地内の幹線道路、そういうところは人車道に分離し——生活道路自動車の制限と同時に、ある程度まで危険のないところは人車道の分離という必要はないかもしれませんが、そういうことの方向に行っていると思うのでありますけれども、最近民間の宅地業者が積極的に人口増加に対応し、宅地の需要に連れまして、宅地造成、住宅の建設ということをやっているわけなんですが、今度の選挙であちこちの路地に入ってみましても、公害の住宅団地に比べますと、幹線道路との関連も全く不十分であると同時に、これは市町村の行政の一環だろうと私は思うのですけれども、不十分である上に、将来消防自動車が入っても困るようなところは、団地が大きくなればなるほどある程度まで幹線道路というものは打ち込まなければいかぬし、歩車道の分離ということも考えておかなければならぬ。こういうふうな印象を強く受けたわけであります。既存のところからそういうところに自動車が入っていく可能性が多くなる。またそういうところほど自家用車もふえるであろうということが想像されるわけであります。建設省とされても、道路構造といいますか、そういうものを歩行者の安全という見地から考えておられると思うのでありますけれども、今後そういった地帯の問題につきまして宅地造成に関連いたしまして、交通の安全対策を少なくとも事前に十分監視、指導をする必要があると思うのですが、そういう点を十分おやり願っておるかどうか、現状はどうなっておるかお聞かせ願いたい。
  144. 井上孝

    ○井上説明員 先生御指摘のように、民間業者によります宅地造成につきましては、そこにできます道路は、まず細街路でございますと私道でございます。実は道路局は道路法による道路しか地方行政上管轄がございませんので、手が伸びないわけでございます。ただ、それにつきましては、建築基準法によりまして、最小道路幅がきまっております。  それからもう一つは、都市計画の観点から、そういった市街化するところは、先行的に都市計画決定をいたしまして、重要な道路は計画決定をして網をかぶせております。そこにはもちろん家が建てられない。家が建てば道路になるように築造するということで、民間業者の宅造には処しているという実態でございます。  ただ、私どもの道路局といたしましては、昨年の十月に閣議で決定をいただきました道路構造令、これは道路の築造の技術的な基準で幅員とか勾配をきめております。そういう構造令を大改正いたしまして、主として人と車、あるいは自転車、歩行者自動車の分離ということを主体とした構造改正をいたしまして、ことしの四月から施行になっております。私どもとしては、道路法上でつくっていく道路はもちろんのことでありますけれども、各道路管理者でございます末端の市町村長さん、そういった末端のところでも、こういった民間業者の宅造の際、その他市町村道を整備する際に、この構造令に準拠してやっていただくということを期待もいたしますし、また行政的に指導してまいりたいというふうに考えております。
  145. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 大体わかりました。いずれまたお聞きする機会があろうかと思います。  そこで、もとの問題に戻りまして、三千万台の自動車増加、これは運転手が当然必要になってくると思うのでありますが、運転手の質の低下その他いろいろな問題も出てくるわけでありますが、この三千万台というのはいまの経済情勢からいって必要やむを得ない数字なのか、あるいはそういう趨勢なのか。もしその趨勢がある程度まで施設の整備とかみ合わない場合、あるいは国土の狭い日本におきましては別にかわる対策を考えるというようなことから、合理的に台数というものを、うしろ向きになるかもわかりませんけれども、この程度までは抑制してもいいんだというふうな検討は、対策本部ではなさっておられないのか、ただ趨勢と経済発展の関連からこの程度はどうしても必要な台数ということになるのか、ほうっておけばそういうふうになるだろうということなのか、その辺検討されたことがあるわけですか。
  146. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 いまの御質疑非常にむずかしい問題でございますが、私どものほうといたしましては、やはり現在の日本の国民所得あるいは経済発展というようなものについて考えますと、自動車というものはこのままいけば相当伸びるのではないか、やはり自動車の持つ特別なモビリティーといいますか、運転してどこへでも任意の場所に移動できるという自動車の持つ特性というものから考えまして、今後自動車を持ちたいという国民は相当多い。したがって、ほうっておけば、今後日本の経済の伸びも考えますと、三千万台程度になるのじゃないかという推定をしたわけでございます。もちろんこれは不急であるとかあるいは要らないのじゃないかとか、別にそういうような価値判断をしてそういった数字を出したというわけのものではないわけでございます。ただ、現在の日本の体制下におきましては、これを押えるといいますか、それは非常にむずかしい問題ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  147. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私、むずかしい問題だと思うのでありますけれども、うしろ向きに減らすということ自体が、いまの情勢からいってなかなか困難な問題かもわかりません。しかし、警察の確信がおありになっても、おそらく二万人になったり二万五千人の死者が出るということになれば、これは何としても四千人減らす五千人減らすといわれても、そういう結果になれば、死者を出さないという努力と同時にほかの手を打たなければならぬ。たとえば大衆交通機関の優先交通ということになれば、自家用車に乗らぬでバスに乗ることが便利でいいんだという一つのあれなんですね。それはある意味においては自家用車を買わなくても大衆輸送機関によって済まされる。大きくいえば、地下鉄が整備されれば自家用車を買わなくてもいいということとも関連いたして、いわば自動車の入り得ない生活道路規制を続けていくことによって、いろいろその辺にある自動車を必要とする店舗あるいはその他の事務所がその他のところに移転せざるを得ないということも考えられるわけであります。いわば、不要とはいえないまでも、ある程度まで不急の自動車規制をするということと、今度の改正法は大きく関連を持っておるのじゃないか。これは公害との関連で昨年改正が行なわれましたが、それらということになれば、広域的な交通規制も行なわれる。いわば自動車を持っておっても利用できないあるいは不急の自動車規制をせざるを得ないということも間接的に行なわざるを得ないのじゃないか。広域的な規制も、自家用車はお考えになっておられるかどうかわからぬが、ある程度まで都心の乗り入れを規制する、パーキングは周辺に置く、あるいは大局的に見れば、都市の改造等に関連いたしまして、自動車を多く持たざるを得ない者は都心から郊外に移転させるんだというふうな体制というものも、私は考えておくべきではないかと思うのであります。要は、今後どうしても自動車がふえる趨勢はやむを得ないとしても、人命優先あるいは歩行者優先というような考え方に立てば、何らかの方法で自家用車は間接的に抑制せざるを得ないということになると思うのです。そのことから考えますと、一連の考え、たとえば今日道交法の改正運転者の管理のための規定整備等によりまして講習強化する、あるいはさらに免許を受けるときには講習を受けさせる、あるいは指定教習所の技能指導員の講習をやる、あるいは自動車を何台以上持っておる者の安全運転管理者権限強化するというような問題等を考えますと、運転者もある程度規制する、それによって自動車増加を食いとめるという一連の方法があると思うのです。これはどうしても私は強化してもらわなければならぬと思うのです。  今日教習所というのは非常にふえているわけですね。急にふえているわけですね。ここ何年間に中都市におきましても、一カ所くらいであったのが二カ所、三カ所になっている。五、六万の都市でも二カ所になっているとか三カ所になっている。盛岡市内においてはもう数カ所以上になっているんじゃないか。それはそれだけの希望者があり、あるいはそれだけ自動車を買うことになると思うのです。そうなると、そういうのが運転している車が事故の原因をつくるということになるわけであります。私は自動車のふえるのがやむを得ないとするならば——指定教習所のふえているというのは、やはりもうかる、営利的に採算がとれるということが一面あって、損をしてまでも公共団体とかあるいは公益法人以外が教習所をどんどんつくるということではないと思うのであります。もうからなければつぶれていくと思うのですが、もうかるということは、ある程度まで、極端にいえば、粗製乱造せざるを得ないという実態にあるんではないか。そうすると、そういう面の十分な内容の指導監督、あるいは要員を、公安委員会によりまして技能指導員等も承認をするわけですが、持ってなければ再整備を命ずるということになっておるようでありますが、やはりその技能指導員も十分公安委員会講習を何回もいたしまして指導すると同時に、徹底した運転者を養成するという方向に行きませんと、これはいろいろりっぱな対策をおやりになりましても、次から次に総合的な対策としてはあっちこっちに欠陥が出てまいりまして、おそらく警察庁の事故を減少し、死傷者を減少させるという確信というのはぐらついてくると思います。こういう指定教習所の強化ということを、午前中も質問がありまして、交通局長から答弁もありましたので、私は触れませんが、私は思い切っておやりにならぬといかぬのじゃないかと思うのでありますが、指定教習所等に対する監督指導という面につきまして、今後どういうふうにおやりになりますか。
  148. 片岡誠

    ○片岡政府委員 指定自動車教習所でございますが、現在実際免許証を毎年交付する、新しい免許証を持つ者の八五%ぐらいは指定自動車教習所の卒業生でございます。したがいまして、初心者の教育機関としては何と申しても一番中核になる機関だと私ども思っております。したがいまして、この指定自動車教習所の指導育成あるいは監督の強化ということにつきましては、常時私どもも力を入れておるところでございますが、今回の法改正を御提案申し上げておる中で、一番指定自動車教習所で中心になって教育をやっている指導員でございますが、法令、技術、構造、そういう指導員の資質の向上をはかりたいということで、この指導員に対する公安委員会講習を全面的に強化していく、そして指定自動車教習所管理者はこの公安委員会講習を受けさせなければならないという義務を課すことにいたしております。この指導員、中には非常にりっぱな指導員が多いと思いますけれども、やはり能力からいって見劣りがしたり、あるいは教え方について問題のある指導員も、たくさんの中にはあろうと思います。そういうものの資質の向上をしていくというのが一つの方向でございます。  それから同時に、現在指定自動車教習所の教育の中で、最低二十七時間の実技の教育をしておりますけれども、その中で路上練習を大体六時間ないし十時間義務化されております。路外の練習よりもこの路上練習のほうに将来はウエートを次第に移していって、ほんとうに道路上で安全に運転できるという初心者を次第につくっていくという方向に今後とも指導してまいりたい、このように考えております。
  149. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いま技能指導員は教習所ごとに必要な数を置くことになっていると思うのですが、その場合に、技能指導員にふさわしいかどうかということは公安委員会が認定するわけですね。そして教習所ごとにやっておるわけでありますか走る程度まで、必要な要件というものを整備されまして、このごろはまあはやりみたいになっておるわけでありますが、何々士、みんな一つの資格で、必ずしもそれに右にならえするというわけではありませんけれども、ある程度まで運転ができるということではなくて、やっぱり指導員のわけですから、りっぱな資格基準というものを整備して、それはどこの教習所でも通用できるような、いい指導員が引っぱりだこになるようなことになれば、指導は強化されて——いい指導員がいる、りっぱな、技術的にもあるいは指導もいいんだというようなのが、競争してそういう者を置くというような教習所になってほしいと私は思うのですが、そういう意味で、そういう一定の資格要件のもとに、どこへ行っても通用する指導員というような制度はお考えになりませんか。
  150. 片岡誠

    ○片岡政府委員 現在先生おっしゃいますように、この技能指導員につきましては公安委員会で審査をいたしテストをやっております。これは教え方、それから実際に車を運転してみて、そういう教え方も技能も十分であるかどうかというような実技も含めてテストをやっておりますが、各県で基準が若干ずつ異なっております。したがいまして、一つの県で審査を受けて指導員になりましても、よその県に行く場合には必ずしもそのまま通用しないというのが現状でございます。もろとも十数県ではお互いにその審査はするけれども、よその県で指導員をしていた人については、書面審査だけで済ましているというような扱いをしている県もございますけれども、若干区々でございます。私どもとしましては、審査の基準を全国的に同じような方向に、しかもレベルを高めるという形で指導してまいって、一つの県で審査に合格した人は、よその県に行ってもりっぱに通用するというような方向で行政指導してまいりたい、そのように考えております。
  151. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうしますと、一定の資格を持った者として、公的に認定するというふうな制度の整備というものはお考えになっておりませんか。全体のレベルを向上させるという指導だけにとどめる。看護婦の資格みたいな、そういったりっぱな資格として認定するというような制度をお考えになるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  152. 片岡誠

    ○片岡政府委員 とりあえずその行政指導でレベルアップをまずはかっていきたい。そしてそれで十分でないという点がございましたら、その時点になって検討いたしたい、現在はそのように考えております。
  153. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に安全運転管理者権限強化ということは、私は事業所の従業員の運転手の交通道徳を高める上において非常にいいことだと思うのであります。しかし、これは事業主あるいは使用主の考え方によって、安全運転管理者権限強化されても、実際実効があがるかどうか、実効をあげることが目的のわけですね。それで十分これの指導といいますか、これは労働省になりますか警察になりますかわかりませんが、指導と、多少事業主の意に反しても管理者がりっぱに事故を起こさないという——これから事業の発展に伴いまして自動車もふえると思うのであります。やはり交通事故を起こさない、そのためには会社の経営上から運転者のことを十分考えていく。これは労働条件にも関連してくると思うのです。そういうことについては十分御指導を願わなければ実効があがらないと思うのであります。それと同時に、管理者が、運転者の労働条件あるいはその他特に必要な問題はどの程度か——国鉄では事故の起きないような、一定の基準で運転時間だとか休養時間というようなものが厳重に励行されておるわけでありまして、そこまで厳重にやらないまでも、稼働時間だとか、あるいは疲労回復、あるいは疲労の上で注意義務が十分でないというような体制で運転させることは事故のもとでありますので、それらの労働条件なり、あるいは一応平均の稼働時間あるいは疲労度が極端にならないような基準というようなものをつくりまして、管理者にそういった指導ができるかどうか、よく調査を願いまして、それからさらに一定の運転者の労働条件の中にそういったものを基準として示すというような体制に持っていくことが、事故を防ぐ大きな力になろうかと思います。そういうことをすべきだと思いますが、いかがでしょう。
  154. 片岡誠

    ○片岡政府委員 私、仰せのとおりだと思います。そういう点につきまして、たとえば拘束何時間であるとか、あるいは実働何時間、その中で実ハンドル時間を連続何時間ぐらいにすべきであるとか、あるいは高速道路の場合であれば、たとえば連続走行キロ二百キロなら二百キロとすれば、必ず十分休憩をとるとか、そういう具体的な数値についても研究が国鉄その他で十分行なわれているようでございますし、あるいは長距離のトラックの場合にも相当厳密な労務管理が行なわれているようでございます。したがいまして、私どもの法律対象になっておりますのは、自家用の自動車でございますので、そういう営業用の自動車に比べれば、若干いままでルーズな面もあろうかと思いますので、したがいまして、営業用の運行管理者に該当するぐらいの権限をこの安全運転管理者に与えて、企業主に対してもある程度その職務に関しては独立して権限を行使できるような仕組みにしたいと思っておりますし、それから具体的な運行計画を立てるにあたってのそういう労働条件についてのきめ方その他につきましても、今後講習その他を通じて十分に指導してまいりたい、そのように考えております。
  155. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 最後にお聞きしたいと思いますが、いまの事故は運転者の側におきましても歩行者の側におきましても、わが国の急激なモータリゼーションの結果、いわゆる交通道徳といいますか、交通常識というものが対応しないままに来たというきらいが確かにあると私は思います。それをいま交通安全対策本部を中心といたしまして、府県、市町村にそういうものがあって、施設を含めましてあらゆる角度から交通安全対策をやっておられるわけです。しかし、今日この交通問題は国民あるいは地域住民ぐるみ取り組まなければならない問題だと私は思います。それは児童の父兄側にいたしましても、あるいは直接ハンドルを握っている自家用車の運転者にいたしましても、あるいは被用者としての営業運転者にいたしましても、すべてを網羅してこの問題に取り組むという姿勢が必要ではないか。そして早く自動車増加に対応するような交通常識を身につけるということが、施設の整備と関連いたしまして重要になってくる、こう思います。そこで、対策本部は、やはり中央官庁の相互連絡というようなことでできておるわけでありますが、各県の公安委員会に、私はできれば法的な機関にいたしたいと思うのでありますが、それまででも、公安委員が交通問題にもっと取り組むのだという姿勢から、一般地域住民との接触をはかるという意味におきましても、交通安全協議会あるいは審議会というようなものを公安委員会設置いたしまして、そして常に各方面の協力をはかる必要がある。交通問題につきましては、交通安全協会というのがありまして、全国の交通安全協会には国の予算から補助金を出しまして、交通に関連する情報あるいは宣伝活動をやっておられるようであります。各県にも交通安全協会があって、警察の傍系団体みたいなかっこうで、いま交通安全に取り組んでおります。私は、決して悪いとは申しません。それなりに効果をあげておると思う。しかし、じかに各層の声を公安委員会が——多少人数が多くなってもいいと思います。あるいは手当等も増額になっても、そういうことに惜しむべきではないのであります。各層を網羅した委員を任命いたしまして、そして協議会あるいは審議会というかっこうで、あらゆる角度からこの交通事故を減少させる、あるいはなくするということに、公安委員みずからが積極的な姿勢を示す。私は、極端なことを言えば、交通警察官は、誠意をもってやれば、多少ことばは荒くても——何といっても地域住民のためですから、死傷者をなくするという意味では、態度とかなんとかいうようなことよりも、誠意をもって交通事故をなくするということであれば、それはやさしいことばを使えとか、そういうことでなければ民主警察ではないというようなことは私は考えません。国民のためであればことばはどうでもいい、ほんとうに誠意をもって当たればいい。そういうある程度まで信念に燃えた交通警察官を養成するということからいっても、そういうことばとかなんとかいうことの弁護をする委員会にもなると思うのです。公安委員会みずから、交通事故をなくしていこう、警察官は多少乱暴な口をきくかもわからぬが、死者ができたり負傷者ができたら取り返しがつかぬのだ、とうとい人命の取り返しがつかぬのだ、こういうことで皆さん方にお願いするのだというような姿勢を、私は公安委員会はとるべきだと思う。そういう意味合いにおきまして、そういった広い協議会を設けるべきである。なお、今後信号機にいたしましても、道路標識にいたしましても、おそらく交通の取り締まりの基準は信号機だとかあるいは道路標識等というものに依存をしてまいると思うのであります。そういうものをよりよきものにする、あるいは十分認識をしてもらうということからいいまして、広い各層の、あるいは家庭の主婦がおっていいわけです。あるいは現業の運転者がおっていいわけであります。そういった方を委員とする協議会あるいは審議会というものをつくって、公安委員みずから交通問題に取り組むのだというような、強い姿勢がいまは必要ではないのか、かように考えておるわけであります。そういう審議会をぜひつくってもらいたいと私は思っております。御見解を承りまして、質問を終わらせていただきます。
  156. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 私のほうから一言お答え申し上げたいと思います。  まさに交通事故の防止につきましては、御指摘のとおり、全国民がこの問題に徹するということが何よりも大事なことは、申すまでもないところでございます。私どものほうは、交通安全に関しまして関係中央各官庁、各省庁の連絡、調整をやっているわけでございますが、それ以外に交通安全対策基本法の仕事を担当しておるわけでございますし、各都道府県におきまする交通安全対策の主管部局というものの指導もやっておるわけでございます。すでにほとんどの府県には知事を会長といたします交通対策協議会ができておりますが、昨年の六月に交通安全対策基本法が制定されましてからは、交通安全対策基本法に基づきまして、都道府県に都道府県交通安全対策会議というものを設けることにしております。これは知事を会長にいたしまして、県の教育委員会の教育長、あるいは警察本部長その他のメンバーを入れまして、これが一つの組織として都道府県の交通安全対策会議というものを構成いたしまして、交通安全計画を策定するということになっております。さらに市町村においてもこういうものを置くことができるようになっておるわけでございます。大体におきまして、現在ほとんどの都道府県に総本部あるいは企画室等に交通安全対策室というような組織がすでにできておるような次第でございます。私どものほうといたしましては、こういった都道府県の組織というものに対しまして、今後さらに指導を強めてまいりたいというふうに考えております。  また、私どもこの指導に当たりまして、単に都道府県段階だけで交通安全の仕事をするだけでなくて、市町村というものもほんとうに交通安全のために動員できるようなことを考えた上での対策を立てるように、これを交通安全の指導の中心にしておるというようなところでございます。御指摘の点につきまして、今後とも一そうの努力を払う所存でございます。
  157. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 長官にひとつ御答弁願います。
  158. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 いま須藤室長のほうから御説明がございましたけれども、これは役人が中心の会議でございます。先生おっしゃいますような地域住民あるいは実際にハンドルを持っている人あるいは婦人といった、そういう団体を代表するあるいは学識経験者といった方々が必ずしもメンバーでございませんので、現在私どものほうは、御承知のことだと思いますけれども、たとえは警視庁の場合は交通モニター制度をとっておりますし、それから県によりますと、安全対策の推進協議会というような形をとったり、いろいろ県によって形は違いますけれども、輸送機関の業界の代表者あるいは労働組合の代表者の方々とか、議会の代表者の方とかあるいは歩行者の立場の代表といったような方々を構成員とする会議あるいは委員会形態で、公安委員会かあるいは警察本部長が交通行政をやる場合の諮問機関的な組織が現にございます。またそれを私どもは有効であると思いますし、伸ばしていきたいと思っておりますが、ただ、これを法制上取り上げるということは現段階では考えておりませんし、また法制的な制度にするのがはたしていいのかどうか。むしろ目的に合致した、そのときそのときの、構成員も変えながら、一番目的に合ったような生きた活用をしていくということも二つの考えではなかろうかと思っておりますので、先生のおっしゃる趣旨は私もよくわかっておりますし、そういう面で私どもも指導してまいりたいと思っております。
  159. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いまのお話は、任意の協議会みたいなものは各県にあるわけですか。——それの活用をはかりながらいまの問題を積極的にお考え願いたいと思います。公安委員というのは民間から選ばれるべき——私は場合によっては公選のほうが好ましいと思うのでありますが、知事の任命でも、とにもかくにも民間から出る公正な機関なわけですが、どうも公安委員が表面に出てくるということはほとんどないわけですね。もっともあまり公安委員が出てくると、指揮系統その他もうまくいかぬのかもわかりませんけれども、しかし、民主警察を確立していくというときには、一般の声を聞くということ——公安委員会が第一線に出て最も重要な問題については、そういう意見を聞くということが必要ではないか。私は警察の事故を減らすことについての自信に信頼をいたしますけれども、これは容易ならぬ問題だと思いますよ、この交通事故をなくするといういまの趨勢から考えますと。予算も十分だ、人車道の分離も一〇〇%五年間でできると言っておりますけれども、予算要求は査定を受けているわけでありますが、半分になってもいいのだ、やるのだという気持ちは、これは予算の範囲内でやるという努力はけっこうですけれども、今後の五年間の情勢というのは、いろいろな意味におきまして非常に変わるのじゃないか。そういたしますと、事故がふえてまいりますと、施設が十分でないということの非難も当然受けましょう。受けますが、現実に取り締まっておる警察官に対する非難が当面きびしくなる。その非難に対してどう民間の協力を求めていくかというときには、単に人集めで任意的に相談するということではなくて、お願いしているのだという正式の機関で公安委員会が一般の住民の方々と話し合う、それがいまの交通事故をなくするという最も重要な警察の当面している問題なんです。公安警察の問題も、赤軍派だとかなんとかいろいろな問題もありましょうけれども、一応平静に向かいつつあるような、ゆだんはならないけれども、平静に向かいつつあるという情勢に、いま死傷者を多く出しておる交通問題を、警察の取り締まりの立場からこれにどう対処するかということは当面の重要問題である。したがって、そのためにはやはり一般の司法警察とかの協力も必要ですが、これは限度があると思うのです。交通問題だけはいかにみんなのふところに飛び込み、みんなの協力を得ても十分だということは言い得ないわけでありまして、従来の行きがかりにとらわれることなく、正式に皆さんの協力を求めるという組織を確立するということは私は必要ではないかと思いますので、十分検討を願いまして、そういう体制を早くつくっていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
  160. 菅太郎

    菅委員長 和田一郎君。
  161. 和田一郎

    ○和田(一)委員 最初に交通局長にお尋ねいたしますけれども、いままでの各委員の方々の質問を聞いておりまして私も感じるのですが、いかに法律が変わっても、また道交法が改正されても、その法を運用するのは人であるという問題ですね。私はそれが一番大事だと思います。交通事故も、よく見ますと、結局は運転者の不注意です。また不届きしごくな考え方の人もいる。そういう面でそこにもつともっとウエートを置いていかなければならないのじゃないか。そういう意味で、実は先ほどテレビで放送しておりましたけれども、けさ八時ごろですか、新潟県の六日町だと思いましたね。あそこで十九名の小学校の子供たちが横断をするために待っているところヘライトバンが飛び込んで、そして五人の子供たちが二カ月から六カ月の重傷だという。いまのおかあさん方が一番心配なのは何かというと、行っていらっしゃいとわが子を送り出して、帰ってくるまでがほんとうに心配だ。私は先ほどニュースを見ていまして、何とこの運転手は非常識きわまるじゃないか。そこでアナウンサーの解説によりますと、前の車が、子供が横断しかけたのでとまった。ほかの車がとまっているのに、その間隙を縫ってうしろから突っ込んできた。完全な非常識。しかも免許取りたて二カ月だ。たとえ何十年の熟練者であっても、またきのう取りたての人でも、一たん自動車を乗り出せば同じなんです。そういう変な、まあわれわれから言えば、不適格者にどうして免許を与えたかということが問題じゃないかと思うのですね。その辺をもっとさかのぼって強力にやっていかなければ何にもならないと思うのです。そういう意味で、きょうの六日町の事故の概要をひとつ説明していただきたい。
  162. 片岡誠

    ○片岡政府委員 いまお話のございました事故の概要で、第一報として入っておりますのを簡単に御説明します。  けさの午前八時二十五分ごろ、新潟県の南魚沼郡六日町の国道七号線の路上で、いま申されましたように、集団で登校中の児童の中に突っ込んだわけでございますが、横断歩道の手前で一時停止をしないで突っ込みまして、大腿部骨折などで四名が重傷、他の十五名が軽傷、計十九名の子供さんたちがけがをしたわけでございます。その運転手自身は現在逮捕いたしまして取り調べ中でございます。道交法違反並びに業務上過失傷害罪などで取り調べをいたしておりますが、その後、その状況そのものにつきましてはまだその程度しかわかっておりませんが、横断歩道には信号機がなく、また交通整理員もいなかったということのようでございます。
  163. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いまの御報告または報道だけで考えますと、あそこのところは横断歩道設置していなかったらしいのです。何も書いていなかったらしいのですよ、NHKのニュースを見ますと。横断歩道をつくってもらいたいという申請のほうも、ただ声だけあがっておって、そういう働きをしていなかった。そういうこともアナウンサーの解説は言っておりました。テレビの写真を見ましても、そこにまんだらの横断歩道のペンキが塗ってなかったのですね、見ましたところによりますと。ですから、その面もあると思うのですね。横断歩道をつくってなかったという一つの面もある。もう一つは、どう考えましても、結局は運転手の無謀な操縦です。そうしますと、先ほど山本先生からもるるお話がありましたけれども、現在指定教習所ですか、よく看板を見ますと、実地試験免除と書いてあります。私は大体いまから十八年くらい前に免許を取ったわけです。その時分は警察でやっている試験場へ行って免許を取るわけです。一回でパスできることはほとんどなかった。普通で六、七回、最悪の場合は十回くらい行かなければもらえなかったのが昔の免許証ですね。ところが、いまは何十時間か乗れば実地試験免除というのですね。以前のほうが道路はよくなかったかもわかりませんけれども、車の数は少なかった。いまのほうがもっともっと技術的には向上していなければならないわけですよ。それなのに免許証はばかに簡単にもらえるというのです。その点私は非常にふしぎに思うのです。大体八五%が指定の教習所でやる、あとの一五%というのが公安委員会のところの試験場を通るわけですね。じゃ、大体どういうのを基準にして免許を与えるのかという問題になってくると思うのですね。その点についてはどうでしょうかね。
  164. 片岡誠

    ○片岡政府委員 指定自動車教習所の場合は、最低二十七時間の実技の教科課程を組んでおるわけであります。現実には、大体通常いわれておりますのは、その人の年齢と同じ期間だけの時間数を技能の練習をしないと免許証は取れないということなんです。たとえば二十五歳の人であれば最低の二十七時間で取れるけれども、五十歳の人がやれば五十時間はかかるというのが大体常識になっているようでございます。それから試験場での試験は、いまでもおそらく数回受けないと通らないような状態だと私は思います。と申しますのは、試験場へ受けに来るときには十時間くらい練習して受けに来るというようなケースが相当ございます。試験場へ何回でも行って、落っこちては受け、なれていって、そして通っていくというのが、直に試験場に受けに来る場合の大体通常のやり方だと私は思っております。  それからもう一つは、指定自動車教習所の場合は、御承知のように、技能検定員というのが別に指導員以外にございまして、そして検定員の検定のしかたは、大体試験場の試験官のやる試験のやり方と同じ水準でやるという指導を現在もしておりますし、大体二十七時間やればすぐ全部卒業できるというような仕組みでは必ずしも指定教習所は運用されていなくて、場合によりますと、指定教習所を卒業するのに、女の方なんかではやはり四、五十時間かかって実際に練習をして、やっと卒業できるという方も相当数あるようでございます。これも非常にむずかしい問題でございまして、じゃ、長くやればやるほどいいのかというと、これは逆に指定教習所がもうけ過ぎているのじゃないかという別の面の批判もまた出てまいります。したがいまして、私どもとして指導しております基準は、試験場における試験官と同じような基準で、公正に技能検定員が検定をやるという方向で現在も指導しておりますし、今後もそういう方向で指導してまいりたい、こいうふうに考えております。
  165. 和田一郎

    ○和田(一)委員 私も自分が何もうまいからというわけではありませんけれども、ずいぶんへたな人もいるわけです。よくこんなのが免許証をもらっているな、一ぺん長官を乗せて走ってもらいたいくらいですよ。実際問題として何回も落っこってはそこで練習していくというのは、私は極端だと思うのです。これはいわゆるお金がない方じゃないかと思うのです。教習所は高いのです。少なくとも十万から十五万払わなければ免許証を取れないわけですよ。それだけかかっちゃうわけですよ。何十時間習ってもへたな人はへたですね。じゃ、そこでもうけ過ぎているじゃないかという、いまあなたのおっしゃった議論は、私は一番いいのは、いずれにしても免許証というのは公安委員会が発行するわけですよ。公安委員会で、教習所を出た人も全部やったらどうですか、もっときびしく。国政モニターが最近交通を調査されましたね、いろいろな問題を。これでも、免許取得を厳格にしろと言っている。私はこの点で事故は半減できるのじゃないかと思うのです。その点、ひとつ長官、どうでしょうか、その考え。  まあ教習所はいろいろな情実も出てくるのじゃないかと思いますし、大体ちまたでいわれているのは、二十何時間乗ればもらえるんだということ、しかも大々的にでっかい看板で、実地試験免除です。それが一番魅力です。そういう点で、教習所を通ってきた者を厳格に公安委員会で検査する、へたな人はもう一ぺんやり直してもらう。そうしなければはっきりとしたものは出てこないと思うのですね。長官、ひとつ答えてください。
  166. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 運転免許については、日本の場合はいろいろ欠点もありましょうけれども、誤外国と比べますと、非常にやかましい国だと私は思います。しかし、まあ御説のように、自動車の教習所、指定のものを卒業した者についても全部公安委員会試験をするというのもまた一つの方法だと思いますけれども、私はやはり諸外国と比べて日本の特色は指定教習所制度があるというととだと思います。したがって、将来とも指定教習所をよくしていくという方向で問題を解決すべきではなかろうか。したがって、また指定教習所に対する監督指導という面は従来以上に強化をする必要があるだろう。同時にまた、指定教習所に行き得ない人をどのように救済するか。これについてはやはり路上の運転義務づけ、同時にこれを指導する一定の資格を持った者というような制度をつくってやっていくのが一番いいのではなかろうか。公安委員会がすべて試験するというのももちろん一つの方法ですけれども、今日七百万の受験者がございます。こういう点等を考え、さらにはまた日本的な一つの今日のやり方といった面も考えまして、現在の制度を生かしながらやっていくのが一番いいのではないか、かように考えております。
  167. 和田一郎

    ○和田(一)委員 今回わが公明党で交通安全対策の実態調査、いわゆる意識調査ですけれども、やりました。それでこういう結果が出ております。質問は、四十二年一月以降あなた自身または身の回りの方で事故により死亡されたりけがをされた方がありますか、こういう質問です。それに対していわゆる事故経験者の有無ですけれども、回答者の五三・四%があるというのです。ですから、国民の二人に一人が事故を経験している。長官もそちらのほうは専門家でございますから、いまのそういうおことば、当然だと思いますけれども、二人に一人が事故を経験している。私も実は事故を経験しておるのです。これはとにかく苦しいですよ。事故を経験していない人はわからない。自分であって自分でないような状態のときがあるのです。そういうことから考えまして、人命尊重というのは、これはことばの上だけですよ。私は運転者徹底的にチェックする必要があると思うのです。そういう点で一番いい方法は、長官もそれがいいというような発言もいまちょっとありましたけれども、何とか厳格にやってもらいたい。実地試験のほうも、教習所から実地試験免除をされて巣立っていく人に対しては、そこへたとえば専門の交通の方を派遣して、経費は人件費だけでいいのですから、そこで見たっていいじゃないですか。何十日と一諸に乗っていますと、情実ということも出てくるのじゃないですか。そういう面でこの点はひとつ御一考願いたいと思います。そしてもう少し論議を進めてからまた長官にその点について御答弁していただきたいと思います。  いまうしろのほうに運輸省の方がいらっしゃいますので、お聞きしますけれども、極端に低くしている座席があるのですね。乗ったことがありますか。とにかくハンドルを持ちますと、目の高さがフェンダーですよ。かっこいいんだそうです、若い人は。私なんか乗ってみますと、実に危険です。もうこの辺が目の高さです。しかもスプリングを普通のやわらかいのをはずして、短いかたいスプリング、いわゆるスポーツ・スプリングにするのだそうです。それで行きますと、急カーブが切れるのだそうです。急カーブを切るとキーッと音がしますね。それがかっこいいんだそうです。そういう神経。人の歩いていないところ、道路以外でやってもらえればいいと思いますけれども、そういったのがちまたにうろうろしている。ああいうことは安全性について実際問題としてどうですか、その点ひとつお答え願いたい。
  168. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 先生のいまお述べになりました車は、スポーツカーのようなものだと思いますけれども、現在はスポーツカー等につきましては、新型の自動車として性能等は本省において審査してから販売するようなルールになっております。それでございますけれども、一応市販されてユーザーが買われてからスプリングをかえたりそういうこともあるとは思います。この点につきましては、なかなかその実態を調べることがむずかしいというふうな状況でございますが、そういうふうなことは自動車メーカーが自動車をつくるときの製作意図に反して使われておるような状況でございますので、自動車メーカー等を通じ、あるいはその他の団体、関係官庁等と十分連絡をとりまして、車のメーカーが意図した構造で使うということは、今後とも行政指道していきたいと思います。  それから座席が非常に低くて視野が目の辺から上にあるということでございますけれども、スポーツカー等につきましては、加速度を出すということ……(「目の上だったら見えぬじゃないか」と呼ぶ者あり)非常に座席が低いのは見えにくいというお話でございますけれども、競走用自動車については、空気抵抗を少なくするために、流線型にするというような方向で車を製作しておりますが、普通市販されている自動車につきましては、前部視野について不十分であるということは非常に少ないと思います。しかしながら、この点についてもそういう点を十分注意しながら、今後車の構造等について審査その他の方法をやってまいりたいと考えております。
  169. 和田一郎

    ○和田(一)委員 競走用自動車のことをお伺いしているのじゃなくて、そういうのがちまたに走っているのです。買ってから改造するのです。それも普通の乗用車を改造するのです。スプリングをかたくしまして、短いのを使いますと、ものすごく振動があるのです。ですから、アスファルト以外ではとてもじゃないけれども無理です。いなか道ならおなかががたがたつかえるくらいです。きわめてスピードが出るそうです。しかもスピードを出しながらカーブを切れるわけです。そういうことで若い人たちがそういうようにしたがるのです。それじゃ、それで安全かという問題なんです。いま新聞を見ますと、たいがいの新聞に自動車の広告が出ていますよ。どれを読んでも垂涎三尺でしょう。買いたいなという気持ちが出てくる。渋いような、年配の方に向くような車もありますけれども、若向きのが多いのです。最近乗用車だってうしろが競走自動車型になりましたね。うしろの窓がふさいである、そういうのもあるわけです。いずれにしましても、結局はどんな車を持ったって乗る本人の問題です。普通の自動車にタイヤの幅の広いのをくっつけて乗っているのもあるのです。そういうことは運輸省として野放しにしていいのでしょうか。タイヤの幅を広くすれば抵抗がそれだけ大きいものですから、スリップが少ないということで、早く発進できる。だから短時間で何十キロにも行くという。町の中でこんな必要が現在ありますか。そういうのが野放しになっているところにこの交通事故がおさまらないのです。結局は交通事故というのは人の問題です。あくまでも一人の問題。そういう感覚の方に免許証を与えるということが問題だと思うのです。かっこいいですよ。それでけがさせられたのじゃ、こっちはたまったものじゃないです。私も実は、かっこいい、無免許で、しかもげたをはいた、そういう青年にうしろから追突された経験があるのです。そういうようにめちゃめちゃなんですよ。そういう点でスピード感をあおるような、また若者のそういう冒険心をあおるような車を野放しにしておいていいものかどうかということを私は運輸省の課長さんにお聞きしたわけです。しかも現在たくさん走っていますから、ガソリンスタンドに行けばスプリングは取りかえられるのです。乗ってごらんになったことがありますか、課長さん。
  170. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 そういう車は、まだ私自身乗ったことがありません。
  171. 和田一郎

    ○和田(一)委員 お年寄りですから……。(笑声)  じゃ、運輸省のほうとしては、そういう車の安全性はどうかということはお考えになったことはあるのですか。
  172. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 メーカーが設計した車、その懸架装置、特にスプリング等をかってにかえるというようなことについては、使いようによっては危険な場合もあると思います。
  173. 和田一郎

    ○和田(一)委員 じゃ、メーカーがちゃんとつくったのを取りかえるということは危険性があるから、今後どうされるおっもりですか。
  174. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 私どものほうでやっております車両検査等でも、自動車検査官が車の下のほうから見まして下回り等は検査しております。それで一応目に見える範囲で、どうもこれはおかしい危険そうだというふうなものについては、これは不合格にしたり、あるいはもう一度再検査をしたりというふうなことをしております。ただ、実際上の問題といたしましては、市販されて、カーキチと申しますか、車に熱心な若者等が自分でスプリング等をかえてしまうということについては、これはなかなか発見がむずかしいというふうなこともございますけれども、そういう車についてメーカー等を通じ、あるいは整備関係の団体等も通じまして、そういうふうな改造等がないようにというふうなことについては、今後指導するようにいたします。
  175. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それはほんとうですね。いま、今後指導するというふうにおっしゃいましたけれども、いままでは何もやってなかったわけですからね。それで車検のときは、これは整備工場から持っていかなければだめなんですね。整備工場のほうでちゃんとやって、黄色いのを塗りまして、きれいに——きたない車でも黄色く塗ってあれば車検を通った車なんです。そのときだけなんです。車検をもらったら、まずスタンドでリフトで上げてスプリングを簡単に取りかえられる。ですから、そういう部品をつくるのをやめさせれば一番いいのじゃないですか。その辺をひとつ厳格に、またそれが危険性があるか安全かということもがっちり検査して、さっそく手を打っていただきたいと思うのです。
  176. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 十分検討いたします。
  177. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それからもう一つ、トラックの特に荷台の改造をしているのが相当ある。これは運輸省にお聞きしますけれども、特にダンプカーが富士山型というのですか、富士山型に積むのです。そうすると、横側はいいわけですけれども、前とうしろがくずれるおそれがあるわけです。だから、前とうしろをぐっと上げちゃうのです。見上げるようなダンプカーが走っておるのです。あれは一目瞭然で、規定積載量の二倍から三倍まで積めるとわかっちゃうのですね。それなのにどうしてそういったことをやらせるかという問題なんてすね、どうなんですか、それは運輸省のほうでは。
  178. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 ダンプの差しワクと称します、いま先生のおっしゃいました荷くずれ防止装置でございますけれども、この点につきましては、昭和四十一年の十二月十七日付の通達でダンプカーの事故防止の差しワクの禁止というふうな通達が出ておりまして、これでもって私どもあほうは、差しワクをつけるということは禁止をするような行政指導をしております。そしてこれは現在でもその方針は変わっておりませんで、そういう方針でやっております。  それからなお、車検を済んだりしてからかってに使用中につける車があるということでありますけれども、この点につきましては、私どものほうの自動車検査官が、警察とこれは共同して街頭検査をする際に、差しワクをつけておるダンプカーについては整備命令をかける等の措置を講じまして、改善方をはかっております。
  179. 和田一郎

    ○和田(一)委員 では、交通局長のほうは、それはどういうふうに取り締まっておるのですか。
  180. 片岡誠

    ○片岡政府委員 積載違反については、御承知のように、台貫所を設けたところで取り締まりをしております。  差しワクの問題は、保安基準に定められた装置を備えつけていないわけでもなし、十分調整をはかられるかどうかという問題についても問題がありますし、その辺取り締まりについては若干問題があろうと思います。御承知のように、今回の改正で、保安基準に適合をしておるかどうかというふうに道交法自身の手当てもいたしましたので、これ自身が保安基準に明確になっておれば、これは基準違反としての取り締まりが従来よりはあるいは適確にできるように相なろうと思います。
  181. 和田一郎

    ○和田(一)委員 保安基準というのはあれですか、たとえば地上から二メートルとか二メートル五十とか、そういうふうなことですか。
  182. 片岡誠

    ○片岡政府委員 全体の高さ、それから幅、長さもございますし、それ以外に道路運送車両法に基づく保安基準のきめ方によってはっきりきまれば、それの違反という形で、私どもは道交法上の取り締まりが可能になってくると思います。
  183. 和田一郎

    ○和田(一)委員 私、前にもこの問題でお聞きしたこともあるのですが、実際問題として定量をオーバーしなければダンプの業者は食っていけないのが実際なんですね。しかも交通が激しくなっておりますから、たとえば砕石の産地から東京にいままで往復を二回やっていた、それができなくなってきて、それでオーバーしておる。そういったことを今後は逆に業者は見込んで、運賃を下げるということも行なわれまして、ダンプの運転手さんは食べるのがたいへんです。それでいずれにしても、積載量を違反しなければ生活が成り立たないというのが現状でございます。その積載量を違反できるように差しワクがはっきりしておる。それは必ずしも看貫に乗っけなくても、私はいいと思うのですが、どうなんですか。
  184. 片岡誠

    ○片岡政府委員 私どもは、積載違反として取り締まりをするときは、やはり正確に幾らオーバーしておったという立証が刑事事件として必要だと思います。  それからもう一つは、なるほど仰せのようなことだ、私も実態はそうだと思いますが、私どもとしましてはやはり積載違反そのものが、安全な運転の角度からいっても、危険な問題だと思いますし、たとえ骨材の値段が上がるようなことがあっても、厳格に取り締まりをやっていくという考えでおります。
  185. 和田一郎

    ○和田(一)委員 とにかく積載量違反でブレーキなんかききっこないですから、運輸省の方の御答弁もありましたとおり、ひとつ至急に検討してもらいたいと思います。  それからもう一つは、大臣に今度はお聞きしたいのですが、最近の報道で、新入生がおかあさんに連れられて、入学の帰りか何かちょっと忘れましたけれども、おかあさんが弟とおにいちゃん、いわゆる一年生ですね、手を引っ張って横断歩道を歩いておった。弟がかけだしたので、こういうかっこうになって、弟が前に行って、そして兄貴は普通の速度で歩いておった。そこに回ってきた車にひかれて、おにいちゃんが死んじゃったというのが出ていました。私、ほんとうに痛ましい事故だと思うのです。正規の横断歩道を歩いておったのです。それでひかれて死んでおるのですね。しかも、母親の目の前で。こんな痛ましい事故、私、ないと思うのです。  よく横断歩道のところに黄色い旗がありますね。あの旗は、たとえば何とかクラブであるとか、また何とかという団体からほとんど寄付された黄色い旗なんです。その子供たちがその旗をちゃんと上へ持っておれば、運転手にはたとえ小さな子供であっても、その旗は確認できたと思うのですね。だから、横断歩道には必ずあの旗を置く。しかも、あれは消耗品ですから、どんどんかえていけばいいんですから、これはひとつ予算を出して完備すべきじゃないかと私は思うのですけれども、その点どうでしょう、大臣。
  186. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 横断歩道に備えつけてある黄色い旗、なるべく備えたほうがベターであると思います。しかし、運転者が、子供がその旗を持っていようといまいと、横断歩道のところで注意義務を果たせば、事なきを得たかと思います。それでも万全を期する意味においては、旗を備えておいたほうがいい、備える措置を講じたほうがいいと思います。
  187. 和田一郎

    ○和田(一)委員 おっしゃるとおり、私はベターにしていただきたいと思うのですね。それでは、現在のあれは、どういうところから予算が出ているかという問題で、どうなっていますか、現状は。
  188. 片岡誠

    ○片岡政府委員 多くは安全協会、これは県単位あるいは地区の安全協会、あるいは近くの町内会とか、それからあるいは有志の寄付、大体そういう形で出ているものだと、私、思います。
  189. 和田一郎

    ○和田(一)委員 あれ、一本幾らぐらいしますか。
  190. 片岡誠

    ○片岡政府委員 私、つまびらかにしませんが、おそらく数十円でできるのもじゃないかと思います。
  191. 和田一郎

    ○和田(一)委員 大臣、一本数十円でできるんだそうです。これはひとつ大臣の努力で——もうほんとうに子供たちがかわいそうなんです。しかも、あの旗は持って帰るんじゃなくて、往復しているわけですから、そんなに要らないわけです。まあ破損もあるでしょう。交通安全協会であるとかということでしたけれども、いろいろ聞いてみますと、あれはほとんど寄付ですね。これはひとつ大臣、ベターにするのが一番いいとおっしゃったけれども、私はベターにしていただきたいと思います。このことは考えていただけませんでしょうか、この点について。
  192. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 これは、やはり交通安全協会それ自身、もしくは安全協会の世話で寄付にしたほうがよくはなかろうかと思います。寄付する人も関心を持つ。寄付されたものであるということを利用者も知る。運転者もそれとはなしにわかってくる。事の重大性を認識させる意味においても、寄付のほうがかえってよくはないかと思います。
  193. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、置いてあるところと置いてないところができるわけです。しかも、寄付を強制するというわけにいきません。その点について何か考えられませんでしょうか。それは寄付もいいと思います、確かに。地域住民がそういう意識で置くのですから、いいと思いますよ。しかし、置いてないところはどうなるか、寄付のないところはどうなるか。まさか公安委員会のほうから寄付を出せというわけにはいかぬと思う。その点について何らかの手を打てませんでしょうか。
  194. 片岡誠

    ○片岡政府委員 できれば大臣がおっしゃるように、そういう有志の寄付によるのがいいと思いますが、また先生のおっしゃるように、それじゃ欠けるところもあろうということで、そういうところは各県にある安全協会でよくにらんで補完していくというようなやり方で、十分やっていけるのじゃないかと思いますので、そういう方向でひとつ指導していきたいと思います。
  195. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いま大臣がおっしゃいましたとおり、たとえ旗があっても、また旗を掲げておいても、結局は運転者の問題だという大臣からのお話がありましたけれども、長官、いかがでございましょうか。運転者の先ほどの問題で、いわゆる免許を与える問題で、いろいろ厳格にされるというお話がありましたけれども、公安委員会で検査するというのは問題かもわかりませんが、いまのような、または行政指導ぐらいでは、そういう——何といいますか、私はいまの免許のとり方は昔から考えればずいぶん簡単だと思うのです、ただ金とひまがかかるだけの問題です。それよりもほんとうに免許証をとる試験はむずかしいという、そういう意識を与える必要があると思うのです。大臣も、たとえ旗があったって運転者の問題だとおっしゃいました。その点について警察のお考えをもう一ぺん聞かしていただきたい。
  196. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 要するに、交通事故というものはモラルの問題だと思います。その中の一つは、まず運転者になるというときに、そういったモラルを守られる人間であるかどうかということも非常に重要な要素だと思いますが、私は、試験制度そのものについては、今日ほぼ確立しておる日本のやり方、諸外国と違ってやかましいそのやり方、その中身を改善していくということがベターではなかろうか、かように考えます。
  197. 片岡誠

    ○片岡政府委員 若干補足して御説明いたします。先ほどの指定教習所の試験の場合に、何かなれがあるのではなかろうかというようなお話があったと思いますが、指導員が一人の、たとえば私を教えた場合には、検定員は全然教えないで試験官のような立場で、自分の教えた人は絶対検定しないという運用を現にやっております。  もう一つは、ときどき試験場の試験官が参りまして立会検査と申しますか、立ち会って試験の検定のやり方を検査しております。それから、場合によりますと、免許証を試験場へもらいに来たときに集めまして選別して、ご本人の了解を得て試験場で技能テストをしてみて、その指定教習所で検定を受けた者がほんとうにどのレベルまで達しておるかという、そういう検査のしかたもときどきやっております。抜き取り検査のような、そういうやり方をやっておりますが、私は指定教習所の卒業生が、試験場に直に試験を受けに来ておる者と比べて、そう安易に卒業させられているとは思っておりません。ただ、先生の御指摘がありました問題なのですが、私も要は人間の注意、人間の問題だと思います。ただ、アメリカでもよくいわれるのですけれども、キャン・ノット、ドゥ・ノット、ウイル・ノットというような言い方でよく説明されますが、運転できる技能につきましては、キャン、できるかできないかということ、それのテストなり教育は十分できると思います。それからドゥ・ノットというのは、法規を十分知っておるかどうか、それに従って運転するかどうか、これも教育なりあるいは学科の試験でテストのほうもできると思います。問題は、ウィル・ノットという範疇に属するものだと思うのです。法規も知っておる、運転技術も持っておる、しかしああやって法規違反をやったり乱暴な運転をする。これは教育でもなかなか困難な問題だと思いますし、それを一回の試験で見分けるというのも、これは困難な問題だと思います。問題は能力もあるし法規も知っておるのだけれども、そのとおりにやらない人たち、そういう運転者に対してどういう対策をしていくかというのが私の頭痛の種であります。それをどうしていくかという問題が最大の問題ではなかろうか、そのように考えております。
  198. 和田一郎

    ○和田(一)委員 運輸省に聞きますけれども、ラジアルタイヤというのが盛んに宣伝されていますね。あれはどういう意味で——ラジアルタイヤがいま盛んに売り出しが始まっておるのですが、説明願いたい。
  199. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 ラジアルタイヤは、車が高速を出す場合、走行安定性が普通のタイヤよりはいいというふうなことで、これが使用されております。
  200. 和田一郎

    ○和田(一)委員 高速というと、大体何キロぐらいですか。
  201. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 法令上のことばではなくて、通俗的なことばで申し上げますと、数十キロ以上走った場合には、ラジアルタイヤのほうが普通のタイやよりはいいということでございます。
  202. 和田一郎

    ○和田(一)委員 数十キロというのは、大体どの辺を数十キロというんですか。
  203. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 高速道路でございますと百キロということでございますけれども、タイヤの性能から申し上げますと、数十キロ以上、それから百、口前後まで出した場合には、ラジアルタイヤはその性能を発揮するというふうなことでございます。
  204. 和田一郎

    ○和田(一)委員 普通の道路でラジアルを使って——高速時の安定性を保たなければならないというのでラジアルタイヤをどんどんいま宣伝しておりますけれども、じゃ、いままでは交通事故はどうだったかという問題ですね。とにかく六十キロが最高でしょう、普通の路上では。しかも市街地は四十キロ、五十キロです。あのラジアルタノヤは確かにそういう性能はあるかもわからない、百キロ以上になれば。普通は必要ないのじゃないかと思うのです。ああいうことでどんどん宣伝をする、そちらのほうに私は問題があるんじゃないかと思うのです。そういう人たちは、これは喜べますよ。しかも発進時にスリップのあれが少ないらしいですね。だけれども、相当にあれは調整が微妙らしいですけれどもね。そういうことをいまどんどん宣伝してやる必要があるでしょうか。どう思いますか。
  205. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 高速道路でなくて、普通の市街地中の道路を走る場合には、ラジアルタイヤ等は使わなくても——使わなくてもというよりも、こういうふうなものでなくて、普通のタイヤで十分だと思います。
  206. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、普通のタイヤというのは大体縦じまになっているのです。ラジアルタイヤというのはぼつぼつになっているのですね。そうすると、その走行性はどうなんですか。高速性よりも走行性のほうは。
  207. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 高速時には、ラジアルタイヤ等を使う場合には、ちょうど自動車がぴたっと道路に吸いつくような高速走行性はあるというふうなことだと思います。
  208. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いずれにしましても、これから科学が進んでまいりますから、いろいろな安全性も考えられるでしょうけれども、あまり若い人を刺激するようなそういうことはやめてもらいたいと思うのですけれどもね。運輸省はどうなんですか、そういう考え方は。先ほどのスプリングの問題であるとか、座席を取りかえたり、またマフラーを抜き取って大きな音をさせたり、それからひどいのは、前のバンパーを取ってしまって走っているのもありますね。それからペンキで色を塗っている。とにかくいろいろなふうに改造しているのがあります。それは自由かもわかりませんけれども、しかし、そういう部品をつくるとか、また極端な宣伝をするとか、若い方々のそういう心をそそるという、こういう考え方がなくなれば、私はもっと事故が減るんじゃないかと思うのですが、運輸省、どうでしょうか。これは局長もひとつお答えいただきたいと思います。
  209. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 この種の問題につきましては、これは二、三年前もこういう問題がございまして、私どものほうといたしましては、通達を用品業界とかあるいは部品業界等に、この種の射幸心と申しますか、そういう若者を惑わすような、こういうようなものについては好ましくないというふうなことについては通達をいたしました。  それから自動車工業会等のメーカー団体につきましては、自動車の性能だとか、そういうふうなことを誇張するような過大宣伝、そういうふうなものは十分考えて、しないようにしてもらいたいということを、これは通達あるいは会合、そういう際におきまして、そういう筋からはそういうふうな指導は何回かやっております。
  210. 片岡誠

    ○片岡政府委員 若い人たちはやはりスピード感といいますか、特に加速性能のいい車を好むようですし、またそこをねらっての広告というものが多いように私も見受けます。しかし、私どもとしては、そういうスピードを楽しむのは道路以外の施設で楽しんだほうがいいことだと思いますし、道路上はやはりスピードの加速性能よりも、たとえばオートクラッチのような安全な運転ができるような方向へ担当行政庁も指導していただきたいと思いますし、私どもも側面的にそういう方向にいくようにやっていきたいというふうに考えております。
  211. 和田一郎

    ○和田(一)委員 では次にいまた話題を変えまして、高速道路での事故ですけれども、これはものすごい悲惨な事故があるらしいのです。高速道路ではほとんど死亡事故につながるというんですね。たとえば名神を走りましてもまたは東名を走りましても、大体百キロが最高です。あの高速道路を百キロでなくて八十キロくらいに落とせませんか。その点どうですか。たとえ事故が起きてもそこまではつながらないのじゃないかと思いますが。
  212. 片岡誠

    ○片岡政府委員 御承知のように、高速道路の制限速度としては、百二十キロとか百キロとか八十キロとか、大体三つに分かれておるようでございます。私どもは、百二十キロ区間はございますけれども、現在規制としてはこれを百キロに押えて考えております。百キロくらいは、天気がよくて車さえ整備されておれば、そうそれ自体危険なことは私はないと思います。ただ問題は、車がよく整備されてなかったり、それから高速走行の初歩的なテクニックも十分わきまえない人が運転しておるというところにあろうかと思いますし、特に雨天その他道路条件、交通条件の非常に悪いときに、晴天のときのような走行——車間距離のとり方一つにしても、そういうような走行をしているということも事故の原因になっておるということも考えられますが、そうでなくて一般的に百キロそれ自体を必ずしも下げる必要はないのじゃないか。  ただ、私ども現在考えておりますのは、これは道路公団と一緒にそちらの方向で検討しておるわけですけれども、霧が出たあるいは雨が降って路面がぬれてきたというような場合には、速度標識そのものを可変式にしておいて、そのときには八十キロにしろ、六十キロにしろというような案内も兼ねたような交通規制を、道路条件に合ったようなあるいは気象に合ったようなやり方をしていくということによって事故の減少をはかってまいりたいというふうに考えております。
  213. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いまの局長のおことばで、整備されていればだいじょうぶだ、整備されていない車に乗っかったりまたはへたな運転をした場合はあぶないだろうということですけれども、結局ぶつかるのは両方とも悪いのじゃなくて、片一方が悪いのですね。片一方はちゃんと運転しておって、やられて死んでしまうわけです。これはえらい迷惑——迷惑どころじゃない、どうしようもないわけです。こういう点もあるわけですね。いまの高速道路というのは信号もなくスムーズに走れるというのが高速道路であって、普通の道路はスムーズに走れませんから、その点だけでも十分恩典があると私は思うのですが、スピード性についてひとつもう一ぺん御検討願いたいと思います。  もう一つお聞きしますけれども、トラックの運転台。これは運輸省にもお聞きします。トラックの運転台が高いですね。特にキャブオーバーというのは高いです。二階に乗っかって運転しているようなものです。最近できた車は相当下のほうにあるのがあるのですね。特に起重機なんか積んであるのは、乗用車と同じような運転台ですね。あれはどっちが安全性があるのですか、運輸省の課長さん、わかりますか。
  214. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 最近大型車両運転台が低くなっているというのは、大型クレーンカーと申しますか、あの種のものです。そしてあの種のものは運転台を前に出しまして、そしてぐっと低くしてあります。そしてこれは普通の前車軸の前のほうに運転台をつくってておりまして、これは車両構造上から検討してみますと、前二軸の場合に、その運転台が下げられるような、強度上はそういうふうになっております。そして現在のところでは、車両構造上前軸が単軸の場合、一つの軸の場合には運転台をずっと前に出して低くした場合に、前のオーバーハング状に運転台があるのですが、その強度が、一軸では現在ではちょっと保てないというふうなことでございます。ですが、この運転台を低くしたほうがいいか、あるいは現在のように高いほうがいいかということは、これは現在専門家の間でもいろいろ議論が分かれているようでございます。運転台だけ低くしまして、その上のほうにまだ車両構造物があるといったような場合には、たとえばガード等を通る場合にはぶつかってしまうというようなこともあって、運転台というふうなものがどの程度にあったらいいかということは、車の視野の問題とも関連しまして、現在いろいろ検討をしてみたいということをいたしております。
  215. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それからガードレールの問題。これは警察のほうにお聞きしますけれども、ガードレールが道路の両端にあるわけです。実は一昨年くらい前ですけれども、私のほうの近くで、子供たちが通学するときに、五、六人一列になってガードレールのくさりにくっつくようにして歩いてきた。カーブになっております、そこへ車がまっすぐ突っ込んできて、ガードレールと自動車にはさまれてめちゃめちゃ、というよりもからだがぐにゃぐにゃになってしまった。ガードレールさえなければ、たんぼのほうに飛びおりられたわけです。そういう事故もあるのです。ガードレールというのは、自動車さまのためにあるのか、人間のためにあるのか、どっちでしょう。
  216. 片岡誠

    ○片岡政府委員 私、両方あると思います。町の中で歩道をつくる場合に、歩道ができないようなところにガードレールを置きまして、ガードレールの外は道交法上歩道と見るといったような場合、あるいは歩道があっても横断歩道横断が名いようなところでは、ガードレールを歩道の上に置いて、そして車と歩行者を区別して、車から歩行者を守るという使い方もございます。しかしながら、御指摘になりましたような場合は、これは本来自動車が外に転落することを防止するために、あるいは自動車の視線誘導のためにつくったガードレールだと思います。おそらくそのときつくった道路管理者は、歩行者がそこを通ることを念頭に入れてなかったのだと思います。したがいまして、むしろ本来あるべき姿は、そのガードレール自身が悪いのではなくして、歩行者の通るべき道を別につくるなら、そのガードレールの外につくるのが本来の考え方ではなかろうかと私は思います。
  217. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そのガードレールが悪くなくて、自動車運転者が悪かったといってしまえばそれまでなんですけれども、いずれにしても子供たちを守るとか、または歩行者を守るとか、そういうのに徹して、ああいうガードレール等は設置しなければならない。それはそちらも同じ考え方だと思います。  そこで、路側帯ですか、今度そういう法改正になりますが、路側帯というよりも、外側線であると私とったのですが、道路の両側に白い線を引きますね。あの線の外側が路側帯になるわけですね。その路側帯が極端にとれないところが一ぱいあるわけです。ほんの道路の路肩一ぱい一ぱいに線が引いてあるのですね。一体何のために線があるのかというようなところもあるわけですね。そういうような場合はどうなるのですか。
  218. 片岡誠

    ○片岡政府委員 そういう場合には、歩行者はその路側帯の外を歩けという規定には今度はなっておりません。歩行者が通れる十分な幅がある場合には、線の外側を路側帯として、歩行者はそこを歩くように。ただ、車のほうは車道外側線、エッジラインですね、その線から外にはみ出て通行してはいけない、そういう使い方をしております。さらに路側帯の幅は相当広いところもございます。広いところでは、場合によったら自転車もその外側を通るというような、具体的なおのおのの場所状況によって整備のしかたを変えていきたいと思います。
  219. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そこで、そういうところではやむを得ない場合がありますけれども、大体メートルないし五十センチくらいの路側帯がある、そういうところに白い線を引くわけです。白い線を、先ほどのガードレールをそこに置いて、完全に歩車を分離する。またはガードレールでなくて、丸い、背の低い鉄柱が埋まっていますね、いずれにしてもそういうふうにはっきりしないと、さらに道路自体が狭く感ずるのではないかということも考えられますけれども、ガードレールのつけ方ですが、とにかく歩行者を守るというそういう方向に、これからどんどん持っていっていただきたいと思います。ガードレールというのは一メートルどのくらいでできるものですか。
  220. 片岡誠

    ○片岡政府委員 実はガードレールをつくっておりますのは道路管理者でございまして、私、正確な数値存じておりません。あとでまた御報告いたします。
  221. 和田一郎

    ○和田(一)委員 三千円かそこらでできるようですがね。たいした金額ではありませんので、全道路に、家の出入り口などはあけましても、これだけでも完備してしまえば、相当歩行者に対する事故はなくなるのじゃないかと私は思いますが、この点についてはさらにひとつ御検討願いたい。  それから通学道路について。通学道路整備のことでいままでいろいろな計画をおつくりになっておりましたけれども、きょうのいわゆる六日町の事故、これは明らかに通学道路の事故です。そこに横断歩道もない。しかもそこは国道らしいのです。たくさんの子供たちが学校に行くためにそこをひやひやしながら渡る。そういうふうにいまだに通学道路整備されておりません。相当目こぼしといいますか、ずさんといいますか、あると思うのです。これはひとつ道路管理者のほうにも局長のほうからうんと警告——警告ではおかしいのですけれども、連絡していただくと同時に、特にそういう危険な個所に、先ほどもどなたかから話がありましたけれども、制服のおまわりさんに立っていただいたらどうでしょう。
  222. 片岡誠

    ○片岡政府委員 二つに分けてお答えします。  初めの、そういう危険な、本日の六日町のような事故に対する対策としまして、先般の道路法改正で、道路管理者のほうが歩行者専用道路あるいは自動車専用道路をつくるという改正をやっております。この発想は、いま申したように、非常に交通のひんぱんな国道を通って登校せざるを得ないような学童のために、近くの、それと並行する町村道を簡易舗装でもして、自転車と歩行者はそちらへ回す、国道のほうは自動車オンリーにする、そういうことを具体的にやる仕組みはつくったわけでございます。それから、今度の五カ年計画の予算の中にもそれを盛り込んでおるようでございますので、道路管理者のほうの努力も、やっとこれからそういう形で地についてくることだと思います。私どものほうも、できるだけそういう要望もいたしますし、それから、できるだけ登校時間帯に警察官を立てるように指導してまいりたいと思います。
  223. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんから、あと一問だけで終わらせていただきます。  最近欠陥車のことで相当騒がれまして、運輸省でいろいろ検討されておりますけれども、何かホンダN360という車の大きな事故があって、そしてそれをどこかで検査されておりましたけれども、その結果がどうなったかということをひとつお知らせ願いたいと思います。  さらに、もう一つ、ニッサンエコーという、これはバスだと思うのですけれども、これがたくさんの人を乗せて落ちた、それも欠陥車であったという騒ぎがあったように、私、記憶しておりますけれども、その点についても、どのようになっているか、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  224. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 ホンダN360につきましては、これは軽自動車でございまして、たしか昭和四十一年ごろに、新型の型式認定ということで、その際には、高速時における走行安定性ということは審査しておりませんで、その他のいろいろな試験は合格しております。そして、その後いろいろ新聞に上等で欠陥車じゃないかというふうな記事が出まして、それから正式裁判となったと記憶いたしますが、現在東京地方検察庁から、私どものほうは付属の交通安全公害研究所というのがございますが、そこに鑑定の依頼がございまして、昨年の十二月にその試験が行なわれたと聞いておりますが、その結果については、まだ公表されておりません。そういう状況でございます。  それから、あとはマイクロバスのニッサンエコーでございますが、あの件につきましても、私どものほうの審査では、これはプロペラシャフトの危険回転数と最高速度が出る場合のプロペラシャフトの回転数とのパーセンテージが、それが一つの問題点でございますが、この点につきましては、新型自動車の私どもの審査時にはぎりぎりで合格をしております。ただ、その後事故が発生いたしまして、欠陥車問題ということで、この点につきましても東京地方検察庁から交通安全公害研究所に鑑定の依頼が来ておりまして、その結果がまだ公表されていないということになっておるわけでございます。
  225. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それはいつごろ出るのですか。
  226. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 これは鑑定でございますので、私どもも行政庁といたしましては情報を聞くという程度でございまして、東京地方検察庁のほうで直接私どもの交通安全公害研究所と連絡したというかっこうになっておりますが、ホンダN360についてはもうそろそろ発表されるころだと聞いておりますけれども、正式には聞いておりません。それからエコーも近いとは聞いておりますけれども、正式の期日はいつかということについてはまだ情報を入手しておりません。
  227. 和田一郎

    ○和田(一)委員 とにかく車の安全性については運輸省は責任があるのですから、どんどんそういったことは情報を得て、そしてもうどんどん生産している会社に注文をつけて、とにかく人命尊重の立場から大いに張り切ってもらいたいと思います。  以上で終わります。
  228. 菅太郎

    菅委員長 次回は、明十四日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五分散会