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1971-03-05 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月五日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       中村 弘海君    中山 正暉君       永山 忠則君    豊  永光君       下平 正一君    土井たか子君       細谷 治嘉君    山本弥之助君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         自治政務次官  大石 八治君         自治省税務局長 鎌田 要人君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第三課長   平尾 照夫君         農林省農政局参         事官      岡安  誠君         農林省蚕糸園芸         局野菜花き課長 小原  聰君         建設省計画局宅         地部宅地政策課         長       大河内正久君         建設省都市局参         事官      石川 邦夫君         自治省税務局府         県税課長    近藤 隆之君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   土井たか子君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     土井たか子君     ————————————— 三月四日  消防防災体制整備強化等に関する請願(赤城  宗徳紹介)(第一五四〇号)  ドライブイン等において酒類の販売を禁止する  法律の制定に関する請願井岡大治紹介)(第  一五四一号)  同(山本政弘紹介)(第一五四二号)  同(亀岡高夫君紹介)(第一五四三号)  同(野田武夫紹介)(第一五四四号)  風俗営業等取締法にモーテルの規制移管に関す  る請願外一件(天野光晴紹介)(第一五四五号)  同(中曽根康弘紹介)(第一五四六号)  同(戸叶里子紹介)(第一五七三号)  同(阪上安太郎紹介)(第一七〇八号)  同(竹内黎一君紹介)(第一七〇九号)  特別区の区長公選制度実現に関する請願山本  政弘紹介)(第一五七二号)  特別区の自治権拡充に関する請願(有島重武君  外一名紹介)(第一六五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)  地方税法の一部を改正する法律案華山親義君  外五名提出衆法第四号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び華山親義君外五名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 時間が十分ありませんので、すでにかなり論議が尽くされておるのでありますが、二、三お尋ねいたしたいと思います。  最初に、今度の地方税法の中で重要な問題は、農地に対する固定資産税の問題が出ているわけですけれども、これに関連して、市街化区域調整区域線引きがたいへんおくれておりますね。市街化区域で現に農業をしておった人が、農業をやるために調整区域のほうに土地を買い求めて移転をしていった、この場合の税金はどうなりますか。
  4. 平尾照夫

    平尾説明員 これは御案内特別措置法規定によりまして、市街化区域から農地を移転しまして、市街化調整区域のほうに入るということでございますと、例の買いかえの特例によりまして、税法の格別の減免措置を講ずるということになっております。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 ところが、予定よりもその線引きがおくれておるわけですよ。そのために、予定どおりいくということで、大体四十五年一月一日ですかを境にする、こういうふうになっておるわけですけれども現実には大蔵省主税局長かあるいは国税庁長官通達で、現況によってやるというわけで、線引きがおくれているところはその恩恵にあずかれない。言ってみますと、法律規定を省令なり通達等原則がくつがえってしまっている現象が各地で起こっているわけですよ。御存じないですか。
  6. 平尾照夫

    平尾説明員 私、直接の担当でございませんので、詳細を承知しておりませんが、私が聞いております範囲においては、一応法律要件に適格なものをいま買いかえの特例特別措置を講ずるということでございますから、その要件解釈の問題であろうかと思います。解釈といたしまして、明らかに線引きが行なわれたものについて格別問題はない。  線引き前における問題につきましては、具体的にどういうふうに扱いをしておるか、おそらく解釈として法律適格要件に入らないということであれば、そこに問題があるというようなことはあろうかと思います。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、四十五年一月一日に大体線引きが完了するということで、それを境目にして大体税の特例を適用していただくということになるわけですけれども通達現況によるということでありますから、おくれているところはその恩典にあずかれない、こういう事態が起こっております。これはあなたのほうでここですぐ結論は出ないでしょうが、大蔵委員会でも問題になっておるところでありますから、ひとつ十分に御検討いただいて、そして法の規定どおり、おくれておるということは農家の責任じゃないわけですから、そのとおりやっていただきたい、まずこれを強く要望しておきたいと思います。  その次にお尋ねいたしたいのでありますが、自治省からいただいた資料によりますと、四十六年度租税特別措置国税において四千三百九十四億円、地方税において千三百八十三億円、こういうことになっておるわけですね。大蔵省、これは御存じですか。
  8. 平尾照夫

    平尾説明員 大蔵省のほうで、国税関係数字は私ども手元に用意いたしておりますが、自治省から出ました資料はまだ拝見いたしておりません。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 国税関係はこれでいいのでしょう。
  10. 平尾照夫

    平尾説明員 はい。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、お尋ねしたいのでありますけれども交際費課税特例というところが、国税において千百九十六億円、地方税において五百六十七億円、三角になっておるわけですね。これはどうして三角にしたのですか。
  12. 平尾照夫

    平尾説明員 御案内のように、目下提案をいたしております国税関係法律におきまして、前々から御論議のございました交際費課税につきまして、世間の社用消費であるといういろいろな批判を踏まえまして、原案として提出しておりますのは、交際費否認割合を六〇%から七〇%にする。逆に申しますと、経費としていままで見た分をそれだけ下げるわけでありますから、言ってみれば、減税裏返し増税になるわけであります。その金額がそこにあらわれている数字であります。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 減税裏返しというのはおかしいと思うのです。租税特別措置法のこの問題に対する条項からいきましても、交際費については課税する。それを特別措置一定の、四百万円プラス資本金掛ける〇・二五ですか、プラスという形で、あとのものに損金算入率というのがあるわけですね。ですから、これは租税特別措置で、逆に私が言いたいのは、本来交際費については課税すべきであるけれども損金算入によって、恩恵を受けたその他の部分、たとえば一兆円のうち損金算入のものがあるわけですね、それは当然ほんとうにかかるわけですから、その部分を書くべきであって、理屈上、千百九十六億円の裏のほうのやつを三角じゃなくて書かなければならぬのだと私は思うのです。これを三角しますから、事実上はこれ以上の交際費課税特例が行なわれておるにかかわらず、これは三角でありますから、数字は非常にかっこうがいいわけですね。租税特別措置では四千三百九十四億円しかしておりません租税特別措置恩恵ということは、そうじゃなくて、この千百九十六億円の裏のほうの金は、当然それらの租税特別措置を受けて減免されておるわけで、この数字を書くべきでありますから、この数字ははるかに大きい数字になる。地方税においても同様。こういうふうに申さなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  14. 平尾照夫

    平尾説明員 確かにお説のような考え方もあろうかと思います。御承知のように、交際費は一応科目といたしましては損金科目でありますから、法人税法においてはそれを損金として全額見る。しかし、あえて先ほど申しましたいろいろな事情を勘案いたしまして、過去この損金の不算入割合というものを定めているわけでございます。この不算入割合を六〇%から七〇%に引き上げる。ただ、御案内のように、毎年各年度の、たとえば本年でございますれば、昭和四十六年度租税特別措置による減収額試算というのは、各年度税制改正によりますその年度平均ベースに直しました減収額をここにあげる。ほかの減収についてもみな同様でございますけれども、根っこの額は表に出てこないというのが従来の慣例でございまして、したがいまして、本年分について特に増税になるのはこの分である——ちょっと失礼しました。思い違いをいたしましたが、ここに掲げております千百九十六億円は、全体としての交際費否認に基づきます増税額そのものでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 ですから、書くべきであって、この数字——四十五年度租税特別措置における減税額試算というのは、三千八百四十一億円というのが国税の場合ですね。ことしは四千三百九十四億円になったのですから、さらにこの租税特別措置による国税減収というのは年々大きくなっていっているわけですね。その数字というのは、この交際費課税についての特例三角をしたのは誤りだ。事実上特例によって減税をされたといいますと、幾らかということになりますと、この三角というのはどうも数字を小さくするためのごまかしにすぎない。本来交際費にかけるものである。それが特別措置でかけられなくなったわけで、かけられない部分があるわけですから、その部分をこれは租税特別措置減免したわけで、それをあげるようにしていただきたい、こう私は思うのです。これはたいへん疑問がありますから、こんなことで時間を食っていてもしようがありませんから、ひとつ強く御検討をお願いしたいと思います。  そこで、大蔵省自治省にお尋ねしたいのでありますけれども、この租税特別措置について毎年のように減収額試算、こういう形であります。ところで、これは一体試算でありますから、見込みであります。実績は一体どのくらいの減収になっておるのか。これなかりせば交際費についてはもっとふえるだろうという、そういう仮定の問題は推定になりますから、そうではなくて、交際費等がこれは見込みをもとにして計算しているわけですから、その年の実績では、たとえば四十五年度実績では一体幾らになったのか。この表に対比すべき数字、いわゆる試算実績との比較表国税地方税にわたって出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  16. 平尾照夫

    平尾説明員 租税特別措置によります減収額試算というのは、ある意味において一定仮定を置きまして、他の事情によって変わることなければ今度の税制によってかくかくの改正をした、それによって幾ら減収額が出てくる。それで、これは三角になっておりますのは、減収からいいまして増収でございますけれども、これは従来の慣例上そういうぐあいにあげておるわけでございますが、そういう形で推算をしておりますので、現実の問題として、過去長い間そうでございますが、実績比計算はいたしておりませんので、実績が出てきた場合これとどういう対比になるか、この辺はわれわれも資料としてつかんでおりません。また考えようによりましては、こういう税制措置ができたから、経済構造パターンといたしまして、この措置に対して一定構造シフトが起こるということもございますから、年度初めにおいて試算をしました一定仮定が、現実の執行の段階あるいは現実にものごとが運用されている段階において、変わっていくということがございますから、自後の推算がかりにできるといたしましても、当初額と必ずしも一致するという保証はないかと思います。
  17. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方税関係実績でございますが、いままでそういうことを調べたことがないようでございます。と申しますのは、結局非課税なものですから、横着言ってしかられるかもしれませんが、もともと調べない、そういうことで把握ができない。課税標準特例あたりになりますと、これは二分の一、三分の一という問題でありますから、これはあるいはこれからそういう項目を指定して必要に応じて調べてみる必要があろうかと思います。
  18. 細谷治嘉

    細谷委員 たとえば交際費課税でありますと、四十五年度なら四十五年度実績が九千五百億、こう出ますと、それに基づいて損金算入にしたらどうなのか。実績はちゃんと大蔵省租税特集の中にもあるわけですから、これに基づいて、見込み交際費が九千億であった、事実は九千五百億使われたということになりますと、この実績は変わってくるわけですから、そういう数字を出していただきたい。これがなければもっと交際費は減っただろう、ふえただろう、そういう推定を加えますとわからなくなりますから、実績に基づいた計算をなさって、資料として国税地方税について出していただきたい。これは四十六年度でありますから、たとえば四十四年度、四十五年度はどうなっておるか、試算実績乖離はどうなっておるか、これを出していただきたいと思います。
  19. 平尾照夫

    平尾説明員 御要望でございますけれども、確かに交際費のようなものについては資料がございます。ものによっては調査ができるものもできないものもいろいろございますから、一がいに申せませんが、またものの種類によりましては、ただいま申し上げましたように、パターンシフトがございますから、実績推算乖離を出すということ自体が非常にむずかしいということもございますので、項目によってそういう推算ができるものにつきましては、資料があるものにつきましては、四十四年度について何らかの用意ができるかと思いますけれども、全損金にわたってということはなかなかむずかしかろうと思いますので、御了承願いたいと思います。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ項目によってでもけっこうであります。ひとつ出していただきたい、こう思います。  次に、お尋ねしたいのでありますけれども、いま地方税法審議しておるわけですけれども、他の法律で独自に地方税法の改変が行なわれようとしておる法律は今度の国会にどういうものがあるのかおわかりになりますか。いま地方税法審議をやっておりますけれども地方税法以外で地方税そのもの収入関係しておるような法律はどういうものがあるのか、大体減収額というのはどういうものになるのか、こういう点をお尋ねしたいと思うのです。
  21. 近藤隆之

    近藤説明員 今回の国会に出される予定法律、まだ出てないものもございますので、われわれのほうで全部現在の段階では把握しておりませんが、われわれが現在承知しております関係では、たとえば地方税法の一部改正を行なっておりますのに預金保険法、これは事業税で、預金保険機構というものができるわけでございますが、それが収益事業を行なう場合には課税しますけれども、それ以外の場合には非課税というような規定でございます。それから海洋水産資源開発促進法という法律が出ておりますが、これでは海洋水産資源開発センター、これの事業税。それから海洋科学技術センター法というのが出ておりますが、海洋科学技術センター事業税。それから児童手当法、この児童手当につきましては公課禁止ということになっておりますので、地方税関係非課税になります。現在大体承知しておりますのがその程度、まだ今後出る法案で若干あるかと思います。  それから地方税法改正を伴いませんけれども、ほかの法律地方税減免した場合に交付税措置をする、地域開発関係でそういうような措置をとっているのがございますが、この一種といたしまして農村地域工業導入促進法、これが事業税不動産取得税固定資産税について減免した場合に交付税措置するというのがあるというふうに承知しております。  なお、減収額につきましては、地方税法の一部改正を行なっておりますのは、それぞれの新しくできる機構の問題でございまして、事柄の性質上、ほとんど当然収益事業を行なわないものだと思います。それから農村地域工業導入促進法につきましても、御承知のように、まだ全然地域指定も行なわれておりませんので、減収額という形では試算いたしておりません。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 直接地方税法の一部改正という中に織り込まれないで、他の法律他省法律といいますか、そういうもので地方税法改正が行なわれるものもある。もう一つは、地方税法改正にはよらぬで、言ってみますと、他の法律で、地方団体条例等減免した場合には交付税措置をするということでありますから、これはやはり直接地方税収入関係してくるわけですね。その実例をあげていただいたわけでありますが、御指摘の農村地域工業導入促進法というものの第十条に事業税不動産取得税固定資産税、こういうものについて減免をやった場合には交付税で見る、こういうふうな形の法律が出されております。  そこで、収入減収はどれくらいになるかわからないというのでありますけれども政務次官、私はこの辺の見解をひとつお聞きしたいのですよ。地方税そのもの改正されるわけですね。それが地方税法の一部改正という法律の中で行なわれないで、他の法律の附則か何かでやられてしまう。そうしてあと地方税法の整理をした際に気がついたらば、地方税法審議した場でないところでもう改正が行なわれてきたということについて、少し問題があるんではないかと思うのでありますけれども、どうでしょうか。
  23. 大石八治

    大石政府委員 お話、聞いていて、実はその法律案をつくるときには、関連の問題で、各省間においてこういうふうなやり方でいきたいという協議をいたしておりますから、政府間においては知らない間ということは、いまのたとえば農村工業導入等につきましては、知らない間にということは実はないわけであると思います。しかし、御質問を聞いていて、委員皆さんに、地方税法関係する法律はこういうことが別にありますという資料を差し上げるほうが親切である、要項のようなことでその部分についていわゆる材料としてお示ししておくほうが親切であるなという感じはいたします。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの政務次官のお答えの、農村地域工業導入促進法の十条に基づく地方税法第六条の規定によって、地方公共団体条例減免をした場合には交付税措置をするんだ、これは言ってみますと、少し間接的なんですよ。しかし、直接に地方税に及んでくるわけですけれども、いま府県税課長ことばですと、ダイレクトに地方税そのもの地方税の一部を改正する法律案の中では審議されないで、他のところで変わってくるということになりますと、私は問題があるんじゃないかと思う、現にあるわけですから。これではこの限界が、少しことばはきたないですけれども、ノーズロでありますと、地方税法審議をしておっても、それは住民税とか固定資産税とかのことはやっておりますけれども、ほかのほうで租税特別措置で影響を受けてくる、減収が起こってくる。それは租税特別措置法という法律でやってくるわけですから、これはいかんともしがたいと思うのですけれども、ダイレクトにそうでない、全部にかぶせるものじゃなくて、事業法的なもので地方税減免が行なわれるということになりますと、そしていつの間にか地方行政委員会が気づかぬところで、翌年の法律が整理されたときには、ここも変わっておった、こういうことになりますと、いまのところその減収額収入数字は多くはありませんけれども、私は問題があろうと思うのですよ。ですから、この際、この問題を明確にしておきたい、こう思うのです。政務次官ことばは、間接的な交付税にからまってくる、条例が間で介在するものの話になりますけれども、私の直接なものについて自治省は一体どう考える。アイデア受けましたということでは……。これは政府の問題であって、国会の知らぬことですから。この点をお答えいただきたい。
  25. 大石八治

    大石政府委員 詳しくはなお事務当局からお話し申し上げますが、私、その法律をつくる場合に、ほかの省にまたがることをいわゆる改正法という形の中でやることは、何か技術的に実際問題として、たとえば自治省で出す法律でも、ほかのことの部分を入れている場合もあるんではないだろうかというふうに実は思います。したがって、一つ法律があるときに、一切の問題をこっちの法律に全部出さなければならないというのは、法案をつくる技術上の問題もあるんではないかという感じがいたします。そこはまた説明を申し上げさしていただきます。ただ、知らぬ間にということのないようなことは、私どもはやはり議会に対してすべきであろう。ことに担当委員会皆さんには、そういうことは知らせておく必要があるなというふうに考えます。
  26. 近藤隆之

    近藤説明員 ただいま政務次官がお答えいたしましたとおりでございますけれども原則として地方税法の中で修正するのが当然のことだと思います。そういう方針でやっておるわけでございますが、ここで地方税法のほかの法律改正しておりますもの、先ほど申しましたもので内容御承知のとおり、新しい機構をつくる……。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの点は、時間がありませんから、資料を出していただきたい、こう思います。  資料を出していただきますけれども、問題は片づいていないわけだ、政務次官のは。そういうことも立法技術上事務的にあるだろう。しかし、当該委員会にはわかるようにします、こういうことでありますけれども、これは地方税法一体として、長い、おそらく日本でも一、二を数える条文の多い法律なんでありますけれども、私は直接に地方税法改正が行なわれるまでは、条例等を介して地方税収入に及んでくるというものでないものは、これはやはり地方税法改正というその中でいろいろ審議するということを貫くべきであると私は思うのでありますけれども、いかがですか。
  28. 大石八治

    大石政府委員 基本的にはそのとおりだろうと思います。話が横道にそれて申しわけないわけでありますが、実は農村導入のときにも私はそういう感じがいたしたわけですが、あれは条例でやるということでもありますし、あるいはしろうとの私にはわかり切らぬいわゆる立法技術上の問題で、そういうふうにする場合があるのかというふうに思いますが、原則論的には細谷委員の言うとおりだろうと思います。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 こういう問題になりますと、おそらく地方税関係するものは自治省が、税務局長が、国税関係するものは大蔵省が、それぞれの省から合い議を受けて、そしてやっておると思うのでありますけれども、私は国税そのものがやられる場合には、たとえば租税特別措置法の定めるところによるということになりますと、おそらく租税特別措置法のどっか変わってくるんだろうと思うのですよ。そういう形できちんと税そのものがダイレクトに改正を受ける場合にはその法律でやっていただきたい。この原則をひとつ今後貫いていただきたいということを強く要望をしておきたいと思うのです。よろしいですか、大蔵省自治省
  30. 鎌田要人

    鎌田政府委員 基本的にはまさにおっしゃるとおりでございまして、おそらく先生、他の経緯でも御案内のとおり、昔は地方税がそれぞれ各省法律でいじられておったものですから、ある程度地方税法をまとめる段階までのものは全部これは地方税法でやる、こういうことを戦後ずっと一貫してやってきたつもりでございます。  ただ、御案内のとおり、地方税法の中で住民税減税でございますとか、電気ガス税の減税でございますとか、四月一日からこの減税を実施したいということがございますと、どうしても早目に地方税法は出ます。したがいまして、それまでの間に整理できるものは全部入れるわけでございますが、たとえばいま例に出ました農村地域工業導入促進法でございますと、先週閣議決定になる。こういうことでございますと、やはり技術的に織り込めないものがどうしても若干は出ようかと思います。そこいらのところを取り扱いをどういうふうにしたらいいのか、私どもも先生のいまの御趣旨を体して検討いたしたいと思います。基本はおっしゃるとおりでございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 こういう問題は、閣議決定は地方税法の決定よりおくれましても、他省とかかわりのある問題についてはすばやく詰めをやるわけですから、私が申し上げた原則はくずす必要は起こらないのじゃないか、こう思うのです。  そこで、これは農林省にお尋ねします。  ダイレクトの問題はそれで済んだわけです。間接に、この農村地域工業導入促進法というものの第十条で「地方税の課税免除又は不均一課税に伴う措置」こういうものが出たわけですが、これから指定等が行なわれるわけでありますから、四十六年度に税の減収というのは起こっていない。あるいは交付税措置——交付税法はこれから審議するわけですから、すぐ直接かかわり合ってくるわけですけれども、これもいろいろ問題がありますね。たとえば言ってみますと、地方税条例で定める、これは地方団体を間に介します。しかし、交付税のほうはダイレクトにかかってくるわけですね。指定した、そしてこの導入が行なわれますと、ダイレクトに交付税は配ってやらなければならぬということになるわけですね。翌年度に清算するんだということでは、これは法律上は許されないと思います、技術的な問題は別にして。これも、私はいま地方税法審議でありますから申し上げませんけれども、地方交付税に直接かかわってくるのですから、地方交付税の中で審議が済んじゃってから地方交付税数字が変わってくるような、そういうものが出てくるというのは、私はこれは問題があると思うのですよ。この辺いかがですか。
  32. 大石八治

    大石政府委員 問題点はあるように思います。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、農林省おいでですから、一、二お聞きしたいのであります。  地方税の課税免除で、事業税不動産取得税固定資産税、こういうものを地方公共団体条例で課さなかった場合には、地方交付税を配ってやる、保証すると、こうなっているわけですね。基準財政需要額に計算をしていく、こういうことになるわけでありますから、具体的に言いますと、市町村の場合七五%というのが保証されるわけです。これは交付税に直接かかわってきます。そこで、この場合にこの三つの税をお選びになった根拠、これをお尋ねしたいと思います。
  34. 岡安誠

    ○岡安説明員 いまお話しございました農村地域工業導入促進法につきましては、従来なかなか工場立地が困難でございました農村地域といいますか、山村過疎地帯、そういうところに立地してもらいまして、工業の計画的な地方配分と同時に、その地域におきます農業構造改善、さらには雇用構造の改善等、あわせて行ないたいということを考えているわけでございます。しかし、従来そのままではなかなか工場が行かなかったところがございます。いろいろ促進措置といいますか、それを講じなければ立地していただけないものもございますので、この法律では計画をつくりまして、その計画に即しまして、工場が立地した場合には税制とか金融上の優遇措置を講ずるということにいたしまして、その中の一つといたしまして、いまお話しの地方税関係減免があった場合には交付税で補てんをするということを十条で規定いたしておるわけであります。  従来工場の立地した場合の誘因といいますか、いろいろ検討してみますと、第一には、交通事情その他土地の問題、その優位性ということが問題でございますし、それから水の問題、さらには労働力の問題等が確実でなければ、なかなか立地はできませんけれども、あわせまして、やはり税とか金融上の優遇措置というものが、工場が地方に立地する場合にきわめて有力な誘因になっているという例がございます。特に先ほど御指摘の三つの税につきましての減免と、それに伴います交付税の補てんということによりまして効果をあげております例といたしましては、過疎地帯の法律とか、それから低開発地域の工業開発の促進法ですか、そういうような例もございますので、そういう例にならいまして、この法律も優遇措置を講じてまいった、かように考えております。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省にお尋ねいたしますが、現存事業税不動産取得税固定資産税の三つについて課税免除または不均一課税に伴う措置という交付税措置をやっている法律は何と何ですか。
  36. 鎌田要人

    鎌田政府委員 過疎法と低工法、この二つでございます。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 過疎法はおととし議員立法でできたものでございますが、ずっと前にできました低開発地域工業開発促進法、低工法、これについても三税があります。私は開発立法を見てみた場合に、無数と言いますけれども、ずいぶんたくさんの開発立法があります。この三税をこういう措置を講じようというのは、いままでは低工法と過疎法の二つしかない。これが一つ加わろうとしているわけです。多くの場合には事業税がはずされております。不動産取得税固定資産税は新産都市にいたしましても工特でも三分の二までは出ておるわけですけれども、低工法についてはこの三つがありません。この三つのうち事業税、他の法律にない、過疎法にしかないものがどれほど効果をあげたのか。低工法というのは全国の面積の六割が指定されておるわけですね。しかし、あまり効果がない。私は端的に言うと、現時点に即するために農村地域工業導入促進法というものが農林なり通産なり関係省の合意のもとにできたことについては私は賛意を表しますけれども、低工法の上にこれは事実上乗っかるわけでしょう。そうなってまいりますと、低工法というのはあまり効果がなかったのではないか、こう思うのでありますが、この効果についてどう評価しているのか、ひとつ大蔵なり自治省なりの御意見を簡単にお聞きしたいと思うのです。
  38. 鎌田要人

    鎌田政府委員 たいへんむずかしい問題でございまして、低工法というものが効果があったかなかったかという点の評価につきましては、これは実は私のところで低工法を所管しておるわけでございませんのでお答えにくうございます。ただ、私どもは基本的に税の機能といたしまして、税制で税金をまけてやる、それでこの企業を引っぱってくる、こういう効果というのはそう高くはないと思います。ただ、現在のわが国のいわゆる都市化の反面、過疎化の現象、こういうものを見ておりますと、これは私の個人的な意見になりますけれども、このままほうっておいていいのだろうか、これ以上人口が過疎地域から流出をいたしまして、過去五年間において、今度の国勢調査におきましてはついに千になっておるわけでありますが、そういう状態というものをほうっておいていいのだろうか。他方におきまして、工場分散という問題がございますし、公害のない企業というものが市町村に分散をしていく、そこで地元の雇用というものを吸収する、それによって人口の流出現象を食いとめる、これはやはり国全体が取り組まなければならない問題ではないだろうかという気持ちがいたします。  ただいま御指摘になっております規定につきましては、率直に申しまして政府部内においてはずいぶん議論がございました。ずいぶん議論がございましたけれども、私どもはやはり大局的な見地からこういう規定があることによって、百ではないにしても、五十でも六十でも企業の地域分散、公害のない企業が地方に出ていく、それによってただいま申しましたような効果があるならば、税制としてもお手伝いをすべきである、こういう基本的な考えに立ったわけでございます。
  39. 平尾照夫

    平尾説明員 私のほうは直接低工法を所管しておるわけでございませんから、この問題についてお答えをするのはいかがかと思います。ただ、同じような問題は、単に国内だけではなくて、低開発国にもそういう問題がございます。それについては種々学者の論議がございますけれども現実問題としてタックスヘブンとか特別の償却を認めるとかいうような措置が進んでいるのは事実であろうと思います。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 なかなか効果は測定できないけれども、全国の土地の六〇%を占めた低工法というのが昭和三十六年かにできまして相当の年月がたちますけれども、過疎立法をしなければならぬ、あるいはこの工業導入促進法というあれをつくらなければならぬということは、顧みてあまり効果がなかったのではないか、こう思うのです。この低工法はおそらく企画庁の主管の法律ではないかと思うのであります。  そこで、私はお尋ねしたいのでありますけれども、私はこの法律事業税を入れたことについては賛成なんです。賛成なんでありますけれども、なぜ低開発と過疎だけであって、他の新産と工特、あるいはいまたいへんな問題になって今度の国会で十年間法律を延長しようという産炭地域振興臨時措置法、こういう問題との関連においていささか問題があろうかと思うのです。ここでは三税を取り上げて、そして産炭地等完全な過疎化が起こっておる現象、しかもスクラップ・アンド・ビルドなんですね。これは社会全体の中ではスクラップ化しつつある。過疎もそうです。スクラップ化しつつある。しかし、スクラップ・アンド・ビルドとは言っていないわけです。石炭はもう確実にスクラップ・アンド・ビルドをやって、スクラップ化していっているわけです。ですから、いろいろ問題があるわけでありますけれども、そういう問題、あるいは新産と工特あるいは首都圏整備、近畿圏整備、中部圏整備、こういう法律の中で、どういう標準でこの法律では三つだ、この法律では二つだ、その二つについてもいろいろな条件をつけていくということをとったのか、この辺をひとつ解明していただきたいのです。いかがです。
  41. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは先生も御案内だろうと思いますが、制度をつくるときには純粋に理論だけでまいりませんで、ある程度実際的な要素もからみ合ってでき上がってまいるわけでありますが、大ざっぱな基準といたしましては、私どもはこういう地域立法の場合の税制のいわゆる誘引的な効果という場合でございましても、事業税というものは実は入れるべきではないと基本的に考えております。事業税はもうけがあれば払う、こういうたてまえでございますから、少なくともただいま申しました誘引効果という面におきましては、固定、不動産というものを減免するということが筋だろうと思います。そういった意味合いにおきまして、新産、工特あるいは首都圏、近畿圏、こういうところにおきましては事業税というものをはずしておる。いま問題になっております低工あるいは過疎、こういうところでございますと、さらにもう少し強い誘引効果というものを与えなければ企業が来ないであろう、こういうことでもう一つ加えておる。  そこで、実は私も御質問をいただきながら困ったなと思っておりましたのは、産炭地域でございます。産炭地域は、おそらくいま申しました二つのグループのどちらに当たるか、どちらに近いかということになりますと、これは私も昔から産炭地振興の問題にはちょっとかかわり合ったこともございますが、やはり過疎なりあるいは低工法なりというほうに近いということになるのだろうと思います。実はこの問題につきましては、今度の改正法のときに議論をいたしたのでございますが、いままでどおり事業税を落とすということで政府部内の話し合いがついたわけでございまして、いま御指摘のような状態になっておるわけでございますけれども、なお、その点につきましては、私どもも考え方を整理してみたい、率直に申し上げたところはそういうところでございます。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 率直な御意見を聞いた。産炭地域振興臨時措置法の際に国会のほうからは、産炭地域の臨時措置法という法律の性格からいって事業税は加えるべきではないか、こういう議論が国会の与野党一致した議論であったわけです。ところが、いやこの事業税というのは地方税じゃないか、利益があった場合に事業税というのは問題が起こってくるんだ、問題は法人税なり所得税などに対して国のほうがやらぬということになれば意味がないんだ、法律上そういうものに事業税を加えるということには断固反対すべきだというのが自治省の考えですよ。それが今度は竿頭一歩を進めたわけですよ。私はこの問題について事業税を加えることについて賛成なんでありますけれども、そうなってきますと、自治省の考えが変わったのか。変わらないとするならば、実態からいってどうも不均衡なものになっているじゃないか。しかも、産炭地域振興臨時措置法は、これから十年間延長しよう、いままで五年、五年の刻みでやってきたのに、これから十年間延長しようというときに、何にもなしに、予算が一割五分か二割ふえました、それで十年間延長するのだ。そして、そういうことについてはとられないで、同じような形が過疎法なり低工法なり、そして今度こういうものが——この法律が重なりあっていくことに私は疑問がありますよ。過去の問題について整理すべきという議論がありますけれども、ちょっとその辺の問題の取り扱いが、自治省は一貫性がないのじゃないか、こういうふうに思います。この点でひとつ明確にして、これをこうやったのならば、やはりスクラップ・アンド・ビルド、そしてこれから十年間、重油の関税を大部分投げ出してやっているこの産炭地等の振興のためにも、この事業税を加えるべきというのは当然な結論として出てくると思うのであります。いかがですか。これは税務局長政務次官にお尋ねしておきたい。
  43. 鎌田要人

    鎌田政府委員 産炭地域につきましては、私もいま率直にお答えを申し上げましたように、問題の所在を私どもは認識しておるつもりでございます。ただ、もう少しふえんさせていただきますと、大体産炭地域でございますから、これは人口が減少をしておる。人口が減少をしておるわけでございますから、過疎地域と非常に重なり合う部分が実は多いわけでございます。そういった面で、実質的な不利というものはないのではないだろうか。  それから第二点といたしましては、大体産炭地域の場合でございますと、例の公共事業のかさ上げがあるわけでございます。たとえば低工法でございますと、そういうものがございません。それから過疎地域でございますと、若干の補助率の引き上げはございますけれども、いまの座炭地域でとられておりまするような財政力に応ずる公共事業負担のかさ上げというものがない。その辺との、他の財政制度とのからみというものでもひとつ考えてみる必要があるのではないだろうか。いずれにいたしましても、産炭地域の実情というものを、ただいまの税制事業税の問題と考え合わせまして、ひとつ検討いたしたいというところでございます。  それで、自治省の考え方が変わったのかということにつきましては、これは私どもは変わっておりません。こういう税を条例減免をして、それを交付税でカバーするという、実はこの一番基本的な考え方自身につきまして、私どもは、これが乱に流れるということになりますと、地方財政全体として、結局、一種の共食い現象になるわけでございますので、こういうものよりも、もっと変わった形での財政援助というのが基本的には必要でないだろうかという、そういう考え方に立ちまして、この制度というものはできるだけ広げたくないという基本的な方針は一貫しておるつもりでございます。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 一貫しておるにしても——それは一貫はしておるでしょうけれども、いろいろたいへんな論争があったようですけれども、これが入ったのですね。ですから、今度これができますと、三本になるわけですよ。税の体系としてはおかしいですよ、これは。これはかさ上げ方式とかあるいこれも六条の——六条問題については、条例で定めて交付税にまたはね返ってくるわけですから、これは問題があります。これはやはり低開発あるいは過疎、石炭、それから農村工業導入法というのは、私は、同じような性格、同じようなレベルのものだと思うのです。ですから、過去にできたものでありますけれども、バランスをとってやるべきではないか。産炭地に進出した企業からも非常に強い要望があるわけですから、この辺はずいぶん問題になっておったところでありますから、その辺のやはり検討——過去のことはおれの考えどおりであって、今度のやつはまけられたのだ、こういうことでは通りませんから、ひとつ御検討をいただきたいと思うのです。政府次官、どうですか。これはこのままじゃおかしいですよ。
  45. 大石八治

    大石政府委員 事業税については、私も実は消極的な考え方であります。ただ、まけたといってはおかしいのですが、それは私はこう解釈したのですが、今度の指定をされるところというのは、もう抜かすというのが全部あるわけです。そうしますと、概念としては、あんまり大きな企業は行きにくいといいますか、だから、中企業のようなものが行くのではないか。それを誘引するのには、やはり事業税のというところもあって、私は、自治省としては、今度の導入法に対してそこをやったのではないかと思うのですが、そういう点で、この事業税部分も入ったのではないかと思うのです。ただ、産炭地の問題については、いろいろ御指摘もありますから、検討をいたしたいと思います。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 きょう詰めるわけではありませんけれども、産炭地域振興臨時措置法というのが、いままでは五年、五年というのを大幅に十年延長しようという段階でありますし、これは低工法がひっかかるだろうとか、今度のこの農村工業導入法がひっかかるだろうとか、そっちへくっつければいいじゃないかという、そういう筋のものじゃありません。それならば、そんな法律はもう要らぬわけですから、廃止して整理なさったほうがいいわけです。それは廃止するということじゃなくて、やる以上は、それはそれとして立っていくようにしてやるべきである。そういう法律の中において二つの指定を受けた場合には、ベターなほうにくっつくということは、これは法律上明記しておけばいいわけですから、その辺御検討をいただきたいと思います。  そこで、時間もありませんから、私は、いろいろとお尋ねしたいのでありますけれども、この自治省からいただきました「地方税に関する参考計数資料」、ぺらぺらっと私はめくってみました。めくってみまして感じましたことは、たとえば二三ページに、都道府県の税収入というのは、四十四年度には三七%になっておるわけですね。市町村の税収入というのは三四%になっております。ところが、これを一九ページ、二十六年、いわゆるシャウプ税制が発足いたしましたころと比べてみますと、都道府県の税収は三四であります。ですから、都道府県は、四十四年度と比べると、三%構成比が上がっておるということであります。ところが、市町村のほうは、四十六であったものが三四となっております。全体的な地方債全体を入れますと、これも明瞭であります。これだけ二十六年から今日、二十年間に変遷をしてきております。これについてどうお考えでしょうか。
  47. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のとおりでございます。前にもこの委員会で御指摘があったわけでありますが、シャウプ勧告のときは、当時、国税減税、県税は据え置き、市町村税で四百億の税収を与える、こういうことであったわけであります。それがこの昭和二十六年度の姿に出てきておるんだろうと思うのであります。その後におきまして、ただいまのように、市町村税の割合というものが低くなってまいっておりますのは、これはまあいろいろ原因がございますが、何と申しましても大きな原因は、それから数ページ繰っていただきまして二八ページから二九ページでございますが、ここに三十年度を一〇〇といたしました各税目ごとの指数がございます。いろいろこまかい注釈をその下につけてございますが、大ざっぱに申しまして、県税の伸び率というものが十一・七五倍、市町村税のほうが五・八一倍、結局伸びが非常に低い。その伸びの、片や高く片や低い原因は、これはやはり法人課税、こういったものが県税の中では多くを占めておるわけでございますが、ここの伸びというものが非常に高い。市町村税の場合でございますと、税収の中核をなしておりまする固定資産税の伸びというものが、土地、家屋、特に土地の伸びというものが低い。土地はこの十四年間にわずかに二倍ちょっとしか伸びておらないわけでございまして、この辺の税目の構成、税目の選び方に問題があるのではないだろうかということを、前から申し上げておるわけでございます。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 この二十年の間にずいぶん大きく税の変遷が行なわれてまいったということは、この数字から明らかである。  そこで、この五二ページを見ますと、全国的なあれを見ますと、国税がおおよそ六五、都道府県税がおおよそ二〇、それから市町村税がおおよそ一五、こういう形になっております。四十四年度こういう現状になっておるわけです。ところが、試みに大阪を見ますと、国税が七〇です。都道府県税が十八です。そして市町村税は幾らかというと、およそ一二ですよ。神奈川県を例にとってみますと、国税が六九、都道府県税が一七、そして市町村税が一四です。全国平均でありますと、六五、二〇、一五となっておりますけれども、大都市を控えているところの神奈川県なり大阪を見ますと、国税は大体七〇、そして一七か一八というのが都道府県、そして市町村には一二か一四、この程度しか行ってないのですね、これは県別に見てです。ですから、もっとはっきり言いますと、大阪市なら大阪市、横浜市なら横浜市を例にとってみますと、国税が七五くらい、そして都道府県税がおおよそ二〇くらい行っているのですよ。そして残りの一〇くらいが、横浜市なり大阪市なり名古屋等に入っておる、こういう現況になっておることは御承知のとおりであります。こういう事態を一体どうお考えなのか、お尋ねいたします。
  49. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この事態に対する認識ということでございますが、これは先ほどからのお話とも関連すると思うわけでございますけれども、やはり一つは、国と府県、市町村間の税源の配分の基本的なあり方の問題があろうかと思います。それから、なおそれより基本にございますのは、結局、戦後これだけ地域開発ということで努力が行なわれてきたわけでございますけれども、経済のいわゆる地域的な不均衡発展と申しますか、こういう現象はやはりなくならないで、人口と富の地域集中というものがどうしても続く限りは、逆に申しますと、地方独立税というものと地方交付税というもの、いわゆる調整財源と独立税源というものをどのようにかみ合わしていくかという問題に基本的には帰着するように思います。  そういう前提の中で、現在、市町村の税源あるいは府県の税源というものをさらにふやしてまいるということになりますと、やはり基本的には法人課税というものに着目せざるを得ない。国と、府県と、市町村との法人税源をどのように割り振ってまいるか、それとのからみ合いにおきまして、交付税で法人税の三二%が地方税に行っておるわけでございますから、それとのからみ合いというものをどういうふうに考えてまいったらいいのか、非常にむずかしい問題があろうかと思います。これを見ての感想ということになりますと、大体そういうことになろうかと思います。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 これはあまりに大きな問題で、政務次官も的確に答えられぬし、大蔵省来ておりますけれども、これは大蔵大臣でなくては答えられぬだろうというから、これ以上は申し上げませんけれども、この二十年間を例にとっただけでもたいへんな変遷が起こっておる、こういうことを私は指摘しておきたいと思うのです。  そこで、これに関連してお尋ねいたしたい点は、二十九年に警察法が改正になりましてから、シャウプ勧告の重要な市町村税の柱でありました住民税が、一部県に移りました。当時のいわゆる府県民税と市町村税というものの比率は、ずばりいうと、おおよそ府県民税が二割程度市町村から行って、七割は市町村に残っておったはずですよ。現在は府県民税はどういう状態になっておりますか。  現在は、私が四十四年度実績で調べますと、大体、実績は、市町村住民税に対して県民税は五五%ぐらいになっておるわけです。半分以上になっておるわけですね。二割移ったわけでありますけれども、半分以上にいま県民税がなっております。地方財政計画によりますと六対四ですよ。実績は若干それに乖離がありますけれども、そういうかっこうになっております。  住民税というのは、性格が、住民の皆さんが共同して負担していく筋のものだ、ですから所得再配分なんというのは所得税ほど及ばぬでいいのだ、応益でという性格が濃いのだ、こういうことを言っております。そうなってまいりますと、市町村と県との間の応益性ということになりますと、これは国に対する国民、府県に対する住民、市町村に対する住民ということからいけば、常識的に応益性の一番大きいのは市町村ですよ。その次に府県だと思うのです。その府県と国との間には一定の連関性というのはないわけですね。私はこれは問題だと思うのです。いかがですか。
  51. 鎌田要人

    鎌田政府委員 住民税の問題でございますが、私の記憶に誤りがないといたしますと、二十九年の県民税をつくりましたときの、府県と市町村との配分は、たしか当時市町村民税のほうが、大ざっぱに所得税に対する割合で申しますと二〇%、府県税が八%だったように思います。でありますから、四割程度のものになっておろうかと思います。  いま私、御質問いただきながら簡単な筆算をいたしましたので、計算間違いしておるかもしれませんが、県民税と市町村民税と法人税割りまでひっくるめますと、約八千八百億四十四年度の決算でございます。その中で県民税三千二百六十億余りでございますので、三七%程度のものになっておるんじゃないかと思います。いまの県民税、市町村民税、それから国税——所得税あるいは法人税、こういったものの配分というものが現状でいいかどうかという点につきましては、いろいろの議論があろうかと思います。事業税がそれに入っておるわけでございますが、四十六年度の財政計画で個人と法人に対する国と府県と市町村の割り振りというものを見てみますと、個人所得課税に対しましては、国が七七、県が一〇、市町村が一三。法人に対しましては、国が六七、県が二六、市町村が七、こういう関係でございまして、個人所得に対しましては、国が七七に対して地方が二三。法人に対しましては、国が六七に対して地方が三三、こういう割合でございます。ただ、これに交付税のいわゆる三二%というものを加えてみますと、所得課税の場合で国が五二・四対地方が四七・六。法人の場合でございますが、国が四五・六に対しまして、地方が五四・四、こういう形に相なるものでございますから、先ほど申しましたようなその辺のところも含めながら、検討をいたしたいということを申し上げておるわけでございます。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 時間もないようでありますが、鎌田さんが二十九年に言ったときは、大体市町村住民税に対して都道府県民税個人分というのは、二割か二割五分くらいだった。あなたの記憶は、当時あなたが市・町村税課長をしておりましたから、三十七年に府県民税のそれが変わったその段階で一挙に増税になって四割になったのであって、その辺はあなたの思い違いじゃないか。今日では十対六、こういうかっこうになっておることは、私も一覧表をつくってきております。そういうことであります。  そこで、いろいろ質問があるわけですけれども、もう理事から時間がないというわけでせき立てられておりますから、やめたいわけでありますけれども、私は、このあなたのほうで出ている「地方税」という雑誌を見ても、たとえば課税最低限の引き上げということになりますと、一番伸びが期待される自主財源としての住民税ということになりますと、さなきだに困難な財政事情の方向をとっておる、自主財源の欠乏を来たしておる市町村によけいしわ寄せがいっているわけですが、そういうことがさらにこの問題を引き続かしていっておる。したがって、当時考えられておる税体系がこわされてきておる、こう私は思うのですよ。  それからもう一つ、法人税というものは、国が大体七割五分から八割近く取る、それから都道府県が二〇数%取る、残りの六%ぐらいしか市町村に来ていないわけですね。そうして府県はどうかといいますと、法人事業税も取っておる、法人住民税も取っておる、所得割りを取っておる、この辺は私は問題があろうと思うのですよ。昨年国が法人税率を上げた際のはね返り分については、市町村の法人税割りに全部一〇〇%それをやったのですけれども、この段階で整理する必要があるんじゃないか。たとえば国は、シャウプ税制の際の付加価値税、これは事業税に変わりました。その後に法人の県民税が出たわけですけれども、県には二つあるわけですね。その辺に問題があると私は思うのですね。しかも国の課税客体、府県の課税客体、市町村の課税客体、同じなんですよ。ですから、いま付加税論、こういう問題が非常に起こっておりますが、この辺私は、税の仕組みというものを変える段階にあるんではないか、こう思います。こういう点について、ひとつ大蔵省なり自治省のお考えを聞かしていただきたい。
  53. 鎌田要人

    鎌田政府委員 このいまの国と府県と市町村、特に府県と市町村の間の御指摘がございましたが、これは考え方の問題であろうと思うわけでございますが、事業税というものをどういうふうに考えるか、それから県の住民税というものをどのように考えるかという問題でございます。二十六年に現行の地方税制ができましたときに、県は中間的な地方団体である、こういうわれわれの認識とはやや違う認識のもとに住民税というものがなかった、それがやはり府県というものの自治体の性格にかんがみて適当ではないということで、二十九年に県民税をつくったわけでございまして、やはり県民税、事業税というものを県が持つという形は、私は決して間違っておらなかったと思うわけでございます。問題は、事業税というものを付加価値税に、あの当時やはり断行すべきであったという感じは持っているわけでございます。法人に対します課税の割り振りにつきましては、先ほどから申しておりますような事情を踏まえながら、これは国も含めて再検討すべき時期に来ているというように考えます。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、いろいろ質問したいし、特に自動車税の問題なり、あるいは今日公害防止等の事業を推進するために大部分の負担をしなければならない地方税制をどうすべきか、この辺にいろいろな問題があるわけですけれども、時間がありませんからやめます。  最後に一つだけ聞いておきたい。昭和三十二年か三年に大規模の償却資産を、市町村は評価能力がないという大義名分のもとに府県税に移したわけですね、一定の条件のもとに。その条件もいろいろと今日まで変えられてまいりました。きょういただいた資料を見ますと、なおこの税額が、たとえば町村あたりでは府県のほうによけい取られてしまっているわけですね。おかしいと思うんですね。市の分でありますと、三分の一程度府県にいっておりますけれども、町村の場合でありますと、三分の二が県に取られてしまっているわけですね。私は問題があると思うんですね。今日、評価能力がないなんてことをおっしゃらないで、これは、もう府県に上積み分をやらないで、すべて償却資産については、原則に戻って市町村税にするということが正しいあり方ではないか。おそらく自治省は、そうするととてつもなく自主財源がふえる市や町が幾つかある、こういうことをおっしゃるのではないかと思うのですけれども、税の形上、これは大規模償却資産というのは、すべて固定資産税は市町村税でありますから、移しがえをすべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  55. 鎌田要人

    鎌田政府委員 大規模の償却資産に対しまする特例の制度ができましたのは、市町村に評価能力がないということよりも、むしろ特定の市町村にたいへんな財源というものが、当時、特に電源開発が行なわれているときでありましたから、そのたいへんな財源が集中するということから、この財源というものを適正に配分するということで、最初は、御案内のとおり電源開発でございますと、下流の市町村に配分する、こういったようなこともやっておったわけでございますけれども、どうしても適正な配分ができないということから、むしろそれを県に吸い上げまして、それで県が関係市町村に対し事業の形でバックする、こういういわゆる税源の適正配分ということでこの制度をつくったように記憶をいたしております。その後御趣旨のような点で市町村の取り分というものをだんだんふやしてまいったわけでございまして、現在市では三つしか残っておりません。町村で御指摘のような形になっておりますのは、たとえば電源開発の所在する町村でございます。そういうところでございますと、町村に残しましてもなおかつ吸い上げ分がかなり多くなる、あるいはまた最近の例でございますと、特定の名前を出して恐縮でございますが、千葉県の君津、ああいうところでございますと、大きな償却資産が参りまして、それでその町村にある程度十分だと認められる財源を残しましても、なおかつ県の吸い上げ分が大きくなる。それは何も県がとってそのままというわけじゃありませんで、事業や施設の形で周辺の市町村にそれがバックされる、こういう仕組みをとっておりますので、いましばらくこの制度の推移というものを見守ってまいりたい。いまこの制度をやめてしまいますと、市町村間の財源の偏在というものはちょっと大き過ぎるのではなかろうかという感じがいたします。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 これも税体系全体の中で、しかも電源開発の問題は二、三年前に手直しをしたいきさつもあるわけであります。総計四十億程度ですよ。これはやはりきちんと体系を改めるべきじゃないかということを申し上げて、いろいろと質問したいのでありますけれども、時間が参りましたから、きょうは一応ここでやめておきます。
  57. 菅太郎

    ○菅委員長 和田一郎君。
  58. 和田一郎

    ○和田(一)委員 前回は固定資産税とそれから電気ガス税を中心にお尋ねいたしましたけれども、一番問題になるのはいわゆる住民税です。住民税のことについて触れておりませんので、ちょっとここでいろいろお聞きしたいと思うのです。  住民税は毎年毎年減税というふうになっておりますけれども、所得税のほうの減税と、それから住民税のほうの減税と、いつも問題になります。いままでの各国会ごとの地方行政委員会の附帯決議の中にも、所得税の減税を勘案して最低限を引き上げる、こう出ておりますけれども、今回の減税の案はどういうふうな考えをもとにきめられたか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  59. 鎌田要人

    鎌田政府委員 住民税の課税最低限につきましての、基本的な考え方ということになろうかと思いますけれども、私ども住民税の課税最低限というものにつきましての基本的な目安といたしましては、一つは、これはあるいは考え方の相違ということになろうかと思いますが、住民税の性格というものから見まして、所得税の課税最低限というものと一致させるということはいかがなものであろうか。ある程度国民の生活水準なり、あるいは所得水準なり、あるいは所得税の課税最低限というものは、もちろん判断の要素になるわけでございますが、一致させるということについてはいかがなものであろうか、そういう中で、住民税減税というものを行なうということになりますと、どうしても基本的な三控除、基礎控除それから配偶者控除、扶養控除ということになるわけでございますが、その控除の引き上げの度合い、それから減税の度合い、こういうもの等を勘案しながら、基礎控除一、配偶者控除二、それから扶養控除二、こういう線を出すわけでございます。これによります減収額住民税の自然増収に対する割合は、おおむね三一%程度になろうかと思います。
  60. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それで、基礎控除というのは、そもそもどういうものであるか。控除することはわかりますけれども、どういうふうな考えのもとに基礎控除額をきめるか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  61. 鎌田要人

    鎌田政府委員 基礎控除は、ちょっと教科書的な説明になって恐縮でございますが、やはり所得税あるいは住民税におきまして、その納税義務者のいわば最低生活費と申しますか、そういうものを保障する、こういう考え方をおよその目安に置きまして控除をする、こういう考え方であろうと思います。また、そういう考え方でこの制度の運用をいたしておるところであります。
  62. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それでお聞きしたいのですが、基礎控除が、今度は十三万が十四万になりました。それで、昭和四十五年の人事院勧告のときに、四月の成人一人の標準生計費というのが出たわけです。自治省もそれで算定されているのだと思うのですけれども、それを見ますと、全国平均で一カ月一人が二万一千七百七十円、一年間で二十六升一千二百四十円となるわけです。そうすると、二十六万一千二百四十円というのが一年間の成人一人の最低の生計費だ。いま局長はその点を守っていくための基礎控除だとおっしゃった。ところが十四万からかかっております。これは完全に生計費に食い込んでいる。この点どうでしょうか。
  63. 鎌田要人

    鎌田政府委員 標準生計費でございまして、最低生計費ではないわけでございます。むしろ、その場合に最低生活費ということになりますと、標準生計費のほうがかなり高いのではないだろうかという感じを私ども持っております。むしろ生活保護基準に見込んでおります生活費、こういったものが、現在の段階におきましては、最低生計費といわれるものに相当するものではないかという感じを持っております。
  64. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、生活保護の一人の最低生活費は幾らでしょうか。
  65. 鎌田要人

    鎌田政府委員 独身者を、いま実は資料を私手元に持っておらないのでございますが、四十五年の夫婦子三人のところで申しますと、五十六万五千七百三十五円という数字になっております。
  66. 和田一郎

    ○和田(一)委員 独身者でやっていますから、独身者でやってくださいよ。
  67. 鎌田要人

    鎌田政府委員 独身者は、いまちょっと調べさせておりますが、なかなか出てこないようでございますので、時間の余裕をいただきたいと思います。——まことに恐縮でございますが、独身者の資料をここに持ってきておらないようでございますので、すぐ電話して問い合わせます。——失礼いたしました。四十六年度の生活保護基準は、おそらくこれは一級地の額であろうと思いますが、二十一万四千七百四十円でございます。なお、住民税の課税最低限は二十九万四千三百九十三円となっております。
  68. 和田一郎

    ○和田(一)委員 大臣が来ましたので、大臣が終わってからやりたいと思います。
  69. 菅太郎

    ○菅委員長 大臣への質疑が終わりましたら、質問を続行することを許します。  秋田自治大臣が出席されましたので、自治大臣に対する質疑を行ないます。なお、理事会における申し合わせの時間内でお願いいたします。山口鶴男君。
  70. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 地方税法審議をいたしてまいりまして、特に都市計画法に基づく市街化区域内の農地固定資産税の扱いにつきましては、非常に問題がございます。昨日も、参考人の方々が参りまして、特に全日農あるいは農協中央会など実際に農業を営んでおります方々の代表の参考人は、この問題につきましていろいろと疑問点を出しておったわけであります。その点を整理いたしまして、以下数点大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一は、市街化区域内でありましても引き続き営農を希望する方々が所有している農地につきましては農地並みの課税をなすべきである、かように参考人の各位も申しておりますし、私も同意見であります。  これに対して、自治省としてはこれらの方々に対して具体的な措置を検討しておられるわけでありますが、その具体的な考慮、どうするのか、ひとつ大臣のほうからお答えをいただきたいと思います。
  71. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 およそ四つの場合があろうと思います。一つは、市街化区域の見直しの措置でございまして、少なくとも五年ごとに市街化区域の見直しをして、その際市街化の見通しのつかない地域は市街化調整区域に変更をする、こういうふうにして市街化調整区域に変更されれば固定資産税は増加しない、農業が依然として続いてできる。また第二番目には、十ヘクタール以上の集団農地で長期にわたって農地のまま保全することが確実と見られる農地につきましては、市街化調整区域に編入する措置をとる道がございますので、この方法によって農業が維持できるという場合があり得るわけであります。また、都市計画上の緑地として適当な農地につきましては、可能な限り都市計画の施設、緑地として計画を決定して、同時に建築制限区域の指定を行ないまして、この農地については税負担を据え置く措置を講ずる、この場合農業が維持できるわけであります。さらに市街化区域農地につきましては、市街化の見直しを行なった結果、市街化になお相当の時間を要する、しかも市街化調整区域に編入することも不適当であると認められるものにつきましては、自治大臣が必要な減免措置を講ずるよう市町村長に対し助言することができるという法律規定がございますので、これらの運用によりまして農地としての存続を期待できるというわけでございます。  このほか、代替地を求めて農業を維持するということでよろしい場合には、いろいろ代替農地のあっせんも申し上げるということによりまして、相当程度——その状態によりまして、なるほどこれならば農業を維持していくのもごもっともだということが地方団体でも認められるような場合、あるいは本人の御意思があるのも周囲の状況上無理からぬという場合は十分許されるわけでございまして、これらの方法によりまして大体農業をしたいという場合の御希望がかなえられるものと考えております。
  72. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ただいま大臣から御答弁をいただきました事項につきましては、十分関係者に徹底するよう、自治大臣として都道府県、市町村に対しまして十分行政指導を徹底していただきたい。強く要請をいたしておきます。  それから、自治大臣の助言が考えられておるわけでありますが、この場合、それからさらにこの基準年度における特別の事情がある場合の農地区分の変更、これらにつきまして、市町村長がかってに行なうということでは問題があるわけでございまして、公平を期する観点から、市町村長の諮問機関を設置をいたしまして、民主的に取り扱うという措置が必要ではないのか、この点を特に全国農協中央会でも要請しているわけでございまして、この点に対する大臣のお考えはいかがでしょうか。
  73. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 もちろん、自治大臣の助言あるいは指導におきましては、市町村からの申し出もあり、また知事の意見等にもよることでございますが、十分実情に適合をした、しかも公平な助言、指導につとめ、長い間農業に従事されてこられました方々のことを同時に厚く考えていくような措置になるように指導してまいりたいと考えております。
  74. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 次に、市街化区域農地に関する固定資産税、都市計画税の課税標準の基礎となる状況類似宅地並びに造成費に相当する額、これの評価につきましては、市町村間またはその内部で不均衡が生じましては問題だと思います。したがいまして、これらにつきましては、客観的な基準を設定すると同時に、またこれに関連して関係農業者の意見も十分反映さして、評価の公平を期するということも必要でありますから、市町村の固定資産の評価員には、必ず農業者あるいは農業団体の代表を加える、かような措置をとることが私は適当ではないか、かように思います。この点に対する大臣の御見解を承りたいと思います。
  75. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 各地区によりまして評価基準がまちまちにならないように、この点指導についてつとめてまいりましたが、今後も努力いたしますとともに、評価員につきまして、農民の利益を守るように、そういう方々の代表者を入れるという御趣旨と存じますが、もちろん公平な立場の人、また経験も有し、これらの評価をするに適当な方を選んでおるわけでありまして、この人数がたしか一名ということでありまするので、この点を十分考慮しつつ、できれば農民の代表的な方で、しかも学識経験もあり、公平な立場に立ち得るという人であれば最も望ましいので、そういう基準によってそういう評価員等を出すよう、できるだけ指導をしてまいりたいと考えております。
  76. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ただいまの大臣の御答弁、ひとつ十分市町村に徹底いたしまするように適切な助言をいただきたいと思います。  それから次に、今回の法律改正によりまして、市街化調整区域農地につきましては、原則として都市計画税を課さないということになったわけでありますが、原則として課さないわけでありますが、場合によっては課することもあるということで、相当広範な市街化調整区域農地について、都市計画税が課されるということでは、やはり問題だと思います。この点につきましては、できれば、市街化調整区域内の農地については都市計画税を課さぬという明確な方針が立てられてしかるべきだと思います。この点、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  77. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 市街化調整区域内におきましては、原則として都市計画税は課さないということでございますが、しかし実情をいろいろ考えてみますと、二十ヘクタール以上の用地造成ができるようなものは、都市化要件の下水施設も完備しておる、こういうものができないとは限らないわけでございます。こういうものができる場合のことを考えますと、ここにやはり都市計画税は場合によっては例外的に課せられるということがむしろ公平じゃないか。そういうものについては全く課さないということでは、不公平になるということも考えられますので、そういう例外的な場合には、条例によって課し得る道も残しておくということはひとつ御了解を願いたい。しかし、原則的には課さない、こういうことがむしろ時宜に適しているのではなかろうかと考えられますので、この点御了解願いたいと思います。
  78. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 市街化調整区域というのは、開発を押えるわけでありまして、そこに都市計画税が課せられるということはおかしいわけであります。ただいまの大臣の御答弁を承りましたが、そうしますと、二十ヘクタール以上で開発をする地域、この場合だけは都市計画税を課することがあるが、それ以外の場合は課さないのだ、こう理解してよろしいような答弁であったと思いますが、それでよろしゅうございますね。
  79. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 大体それでけっこうでございます。
  80. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それから当委員会でもしばしば議論をされたことなんでありますが、市街化区域内でありましても、高圧送電線の下では建築規制がしかれておるわけでありまして、この場合農地としてしか利用し得ないという土地もあるわけであります。したがって、高圧送電線下の農地につきましては、農地としての税負担を据え置くということが当然ではないか、かように思うわけでありまして、その点ひとつ大臣の明確な御答弁をいただきたいと思います。
  81. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 事案を考えてみますと、高圧線下でございますから、どうせ評価は相当安くなると考えられるのであります。同時にまた、事情によりましては農地そのままに置いておいたほうがいい、事情によっては住宅用地に適さないという場合もあるいはあろうかと存じます。したがって、高圧線下におけるものにつきましては、評価も安くなるだろうし、場合によっては農地にするのが適当であるという行政上の運用の必要な場合もあるでしょうし、これらにつきましては、その事宜、その事情に適し、利用の実態に応じて適正な評価のできるよう指導をしてまいりたいと考えます。
  82. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 高圧送電線下の土地につきましては、建築規制がしかれておって、農地としてしか利用できないわけでありますが、評価が安くなるからいいのではないかという程度でなしに、やはり実質的に農地としての税負担程度に押えるという措置でなければならぬだろうと思うのです。事務当局でもけっこうでありますから、ひとつこの点ははっきりお答えをしておいていただきたいと思います。
  83. 鎌田要人

    鎌田政府委員 高圧線下の土地につきましては、市町村の実情によりまして、がけ地等補正を行なっておるところでございます。ただいま大臣からお答え申し上げました、評価が低くなるという面もございますし、これらのがけ地等の補正という形での——ちょうどがけ地に家が建つのと同じような形の補正でございますが、そういうことの指導もいたしまして、実質上負担の激増を来たすことのないように指導いたしたいと思います。
  84. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最後にお尋ねをいたしたいと思いますが、参考人各位も強調されたわけでありますが、都市地域の農業が都市住民に対する生鮮食料品の供給、緑地機能の保全、災害、公害防止等に重要な役割りを果たしている、こういう現状は私ども見のがすことはできないと思います。したがいまして、市街化区域内で、しかも十ヘクタール未満の農地におきましても、農家があくまでも営農を希望するという場合におきましては、これは先ほど御答弁もありましたが、都市施設の一環といたしまして、あくまでも生産緑地として位置づけて、そしてこれを助長する施策をとることが必要ではないか。特に、最近生鮮食料品、野菜の値上がり等が大きく問題になっているときに、やはりこの点は十分配慮すべきではないかと思います。先ほど大臣の御答弁である程度理解はいたしておりますが、特にそういう希望が参考人各位から表明されましたので、最後に、この問題に対する大臣の考え方をひとつお尋ねをいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  85. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 御趣旨は十分理解ができます。たとえ十ヘクタール未満でございましょうとも、しゃくし定木的に取り扱わずに、いまの施設、緑地の制度を十分活用してまいりたい。また、実態に応じまして、減免の助言の規定もございますので、こういうものの活用によりまして、円滑にしてかつ円満な運用を期してまいりたいと考えます。
  86. 菅太郎

    ○菅委員長 小濱新次君。
  87. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣に、二、三点お尋ねしたいと思います。  ただいま、課税については公平を期していきたい、こういう御答弁がございました。いろいろ私どもが耳にしておりまするところで、この都市計画法に関する四十三年度審議の過程で、衆参両院、ここの附帯決議の内容であるとか、保利官房長官の御答弁の中に、課税については、うんと、何倍にもするというようなことは断じて考えていない、こういう記録があるわけですが、きのうの参考人の意見からも、私どもが入手をしたその資料の中からも、驚くような、まあ酷というような、そういう内容の課税の訴えがあるわけです。こういう点で日本の農業ということを考えたときに、この問題については、重税であつれきを農民に押しつけているような面があるわけです。こういうことからも、農業従事者はたいへん動揺しているようであります。不安、見通しがない、こういうことで私どもにいろいろと訴えを起こしておりますが、こんなときにこそ、私は、政治のあたたかな処置が必要ではないか、こう思うわけですが、ひとつ大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  88. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいまも山口先生にお答えをいたしましたが、なるべく実態に応じまして農民の方の、農業を持続したいという意思を、可能な限りにおいて事情に応じその御意見をいれたいという処置を考えて、その配慮をすみずみまで行き渡らしておるつもりでございます。したがいまして、そういうものに対する課税というものは決して高くならない。また、実情に応じて減免の助言をすることもでき、それによっての措置もできるわけです。したがいまして、そういうものについて、ただいまもお話のような、べらぼうな、農業を圧迫するような課税措置になるとは考えられないわけでございますが、しかし、残ったものにつきまして十数倍、数十倍、伝えられるところによって数百倍の課税額になるということはあり得るかと存じます。しかし、それにつきましては、やはり都市化現象の事情に応じて近傍宅地との均衡をはかるべしという時代的要請もありまして、なるべく固定資産課税上の一般的な配慮をいたしつつその課税にひとつ応じていただかなければならない次第でございます。したがいまして、農業をされるものにつきまして課税がべらぼうに上がるということはないもの、しこうして、万やむを得ないものにつきましては、激変緩和の措置をとり、年限の余裕をとり、その間にいろいろ見直しの制度等も活用することによりまして、実態に適した措置を講じつついくというわけでございますから、これらの全体のしかた、規定等の中に十分農民諸君の利益を考えましたわれわれの配慮のほどをひとつおくみ取り願いたいと思う次第でございます。
  89. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほども調整区域内の農家の問題が出ました。市街化区域に認めていきたい、こういう御意見を伺ったわけですが、遠く離れたそういう調整区域内で営業を営んでいる農家の人が農地を売りたい、こう希望している人がいるわけですね。こういう人に対する考え方はどうでしょうか。
  90. 鎌田要人

    鎌田政府委員 農地の買い取り請求、要求と申しますか、という点につきましては、市町村等におきまして、先ほどから御説明申し上げておりますが、土地開発基金なりあるいは先行取得債、こういった形で用地の取得というものには応ずる、こういうことを指導いたしております。  それから、先般農林省の担当官のほうからも説明を申し上げたわけでございますが、今度はそれを売って市街化区域外の地域に農地を新しく取得する、こういう場合の取得のあっせんにつきましても、農業委員会等を通じて十分な指導をしたい、こういうことを政府部内で相談をいたしておるところでございます。
  91. 小濱新次

    ○小濱委員 きのうも藤沢の市長の意見の中にあったわけですが、都市開発、都市計画に利用できる大規模な土地の入手はなかなか困難だ、四億の金を出すのにだいぶ苦しんでいるという話が出ておりました。今回の法律で土地の大量放出ということが当然考えられるわけですね。この問題と並行して都市計画の推進と生活環境の整備のために政府並びに地方団体ではどうしても土地基金等の用地先行取得の体制を整えてやらなければ、これは自治体としても計画を実施することは困難であろうと思うわけですが、これは大きな金額を必要としますので、この点について伺っておきたいと思います。
  92. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 土地開発基金及び先行取得債につきましては、自治省として従来から非常に意を用いているところでありまして、予算上の措置等も講じておりますが、さらに実は自治省といたしましては、中央にこれに関係する金融公庫等をつくりまして、ただいまお話しの資金の潤沢なる供給等にも資したい。また同時に法制の整備をいたしまして、これらの開発公社みたいなものに、従来よりは少し余裕を持って土地を先行取得できるような制度等の確立等も計画したわけでありますが、いろいろそういう公庫の設立につきましては、政府機関等の合理化、整備をやっておるというたてまえから、これは認められなかったわけであります。何かこれにかわる方法ということで、これはまだ政府部内でいろいろ検討をし、話が続いておるわけであります。実は今回地方自治法等の改正によりまして、ただいま申し上げました開発公社等にも法的性格を与えて、ただいま先生お示しのような仕事ができるようにしたいとも考えて、いろいろ検討いたしておるところでございます。いずれにいたしましても、お話しのとおり、これらの土地先行取得に要する資金の潤沢化並びにこれが事業の円滑な遂行につきましては、今後とも十分配慮をしてまいりたい。いろいろ御鞭撻、御指導もあわせてお願い申し上げる次第でございます。
  93. 小濱新次

    ○小濱委員 強く御努力されますことを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  94. 菅太郎

    ○菅委員長 門司亮君。
  95. 門司亮

    ○門司委員 大臣に率直に聞きますが、私は大臣のこの問題に対する心がまえを最初に聞いておきたいと思うのです。この問題が出ましたのは、税制調査会から一応答申がされて、それに基づいておやりになっておるようでありますが、一体政府の姿勢としては、諮問機関の答申に対して、大臣どうお考えになっておるかということです。たとえば選挙制度審議会等の答申は一向政府は取り上げない。そしてこういう問題は即時にお取り上げになる。私はこの税金は、地方税法の一部改正ではありますけれども、新しい課税だと見るべきだと考えております。大臣もいつかおあげになったように、みなし課税なんというものを議論するということになりますと、それはとんでもない議論が出てくると思う。これは新しい税金として取り扱わなければならない。そういうものが端的に出てきた理由というものがどこにかございますか。一方においては、答申は、なるだけ政府に都合の悪いことはやめておく、政府に都合のいい、税金の取れるほうについては即時これをやるということ、どういう考え方ですか。まずその辺の心がまえだけを一応聞いておきたいと思います。
  96. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 選挙制度審議会の答申は尊重するといいながら一つも尊重しないじゃないか、銭の取れるほうはさっそくやるということに関し、基本的な政府の姿勢を問うというお話でございます。しかし選挙制度審議会の答申も十分尊重いたしておるつもりであります。遺憾ながらいろいろ事態のやむを得ざる変化等によりまして、先般参議院の地方区定数是正に関する答申そのものを採用できなかったという事情につきましては、ひとつ御了解を願いたいと思います。  さて、この税制調査会による答申、四十三年度答申が出ておる。またこれについて閣議決定等もあるわけであります。むぞうさに、銭の取れる市街化区域における農地課税の問題等を安易に取り上げられたようにおっしゃいますが、われわれの思いとしてはそう簡単に取り上げたつもりはございません。この問題につきましては、御承知のとおり、農業利益代表の方々及び関係者、また都市における都市政策に熱心な方々、こういう方々からの御要望、各種の相反する御要望もございます。この間に税制と土地政策とをいかにかみ合わしたらいいかというようなものにつきましては非常に苦心もいたし、考えまして、むしろなぜ早く出さないかという御要望等もありまして、ようやくにしてわれわれは苦心の末、調整案を出した、こういう感じなのでございます。率直にわれわれの感じを申し上げました。
  97. 門司亮

    ○門司委員 そういう答弁はあろうかと私は考えております。しかしこの税がきまりました最終的のこれの背景は一体どこにあるのかということであります。この具体的な背景としては、結局答申に基づくいわゆる市街化区域といまきめておりまする地域については、御承知のとおり十年以内に都市化するであろうということが答申の前提であります。したがってこれを促進することのために、かつての新都市法といっております法律ができて、その中で農地の転用について許可制を廃止したのであります。これは経過ですからおわかりでしょう。そういたしますと、十年以内に大体都市化をするということを前提として、それを促進することのための農地の許可制を廃止するということになりますと、何もこういう税金を新しくかけなくてもいいのじゃないですか。十年以内に都市化して、その土地が住宅地に変わる可能性がある。そのためには第一段として農地の転用許可を要らなくした。そうすればその時点において実態に沿って税金をかけていけば、それで事足りるのじゃないですか。A、B、Cとか分けておりますけれども、これらの問題についてもみんな年度に割り当ててある。これを考えてまいりますと、この税金の考え方というものは非常に矛盾したものを私は含んでいると思うのですよ。いま申し上げましたように、十年以内で都市化することの促進のために農地法の適用を除外しているということです。そうすればそれでいいじゃないですか。そうして宅地になったときに税金をかけていけば、何もこういう変な問題は起こらぬはずである。にもかかわらず税金をかけられるというところに私は妙な考えがあると思うのでありまして、それが俗にいわれるみなし課税という形にあらわれるのでしょう。実態とは違って宅地とみなすということであります。私はこういうことを考えてまいりますと、法ができた過程からくると、今度の課税というものは無理だという感じがしますが、そういう感じはしませんか。十年以内になるのだという前提ですから……。
  98. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 そういうお考え方もあろうかと存じますが、しかし一方において、やはり十年後にそうなるとは申しながら、現にもうなっておるところもございまして、そういうところはどうしても売り惜しみをされる。そうするとそこに付近、近傍との課税評価上の不公平もある。そうして都市化しましても売らずにがんばって、農地としてやって、売り惜しみをして、評価額の上がるのを待つというような点を考慮いたしまして、やはり社会的な観念等から世論もやかましくなりまして、こういう課税をひとつすべきではないのだろうかというような要望にこたえたつもりでございまして、やはりそれは十年たつと都市化するのだから、やる必要はないのだという議論もありますが、一方にただいま申し上げましたような事情でこういう改正をすべしという世論の要望も十分強いものがあるので、これにこたえたつもりでございます。
  99. 門司亮

    ○門司委員 これ以上押し問答はしませんが、私はそういう感じがするのです。十年以内になるというなら、順次転用したところからかけていけば片づく問題であって、法の内容を見ても大体それくらいの年限がかかるように書いてある。無用の摩擦を起こす必要は毛頭なかったと思う。  それからもう一つこの機会に聞いておきますが、いろいろいまの売り惜しみ、どうこう言われておりますけれども、この問題の背景にもう一ついまの売り惜しみの問題があります。ところが現実には土地を買い占めているのはだれかということですね。だれが一体土地を買い占めておるのか。草のはえておるのがたくさんある。こういう問題を政府はどうお考えになっておりますか。これらの問題についてはやはり税金をかけるべきだ。いつまでも、農地の転用を許可してもらって、家を建てないでほうっておく。そして造成会社等が値上がりを待っているのが私はあると思うのです。そういうものを先に処分したほうが、世間の感情というものはやわらいでくると思うのですよ。そういう考え方はどう思いますか。
  100. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 その考え方は確かに理屈はあろうかと思います。その点につきましてもひとつ検討してみたいと思いますが、やはり今度の措置もそういうことの一助にも、ある意味においてなっているのじゃないか。投機の対象に買い占めをされておる、そして従来の名義人のままいろいろされている場合もあるし、また農業等をしておるという場合もあろうし、やはりそういうものの一助にもこの改正はなるのじゃないか。今日の場合、少ない場合かもしれませんが、そういう点も考えられると思うのでございます。
  101. 門司亮

    ○門司委員 私は農村が土地を売り惜しむというより——ほんとうの農民が売り惜しみをして草ほうぼうはやしている土地はないかと思っている、いま草のはえている土地は、おそらくそういう形で農民の手から離れている土地だということが言えると思うのです。そういう実情について、ひとつ自治省として調査しておいてくれぬかな。神奈川県だけでよろしいから。あまり遠いところに行ったって話にならぬ。一番近いところ、農地に一番関係の激しいところ、どのくらい農村の土地が遊んでおるか、農民の土地が遊んでおるのか、それ以外の土地が遊んでおるのか。これをきめるまでにひとつできるだけ考えておいてもらいたい。  それからもう一つの問題は、先ほど山口委員から聞かれました高圧送電線の下ですけれども、ここは国鉄と東電と二つあるのですね。日本には、実際に電燈会社と、国鉄もかなり高圧線を持っている。そしておのおの土地の補償がしてある。建築法の規制を受けているということで家を建てられなくなる。したがって家が建てられないという前提のところは土地が売れやしない。学校の運動場にしようかという話も一時ありましたけれども、これもあぶないからやめておけということで、使いようのない土地なんです。そういうところにいつまでも、土地利用のたてまえから何か野菜がつくってあるというようなところも同じようなものの考え方は、私は誤りだと思うのです。答弁は求めませんけれども、ひとつそういう考え方で自治省はいってもらわぬと、現在土地の完全な利用ができないということで補償をもらっているのですから、そういう土地を、完全利用ができる土地と同じように考えているのは私は誤りだと思うのです。この辺だけはひとつ十分考えておいてもらいたい。  それから最後にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、先ほどから話されております問題の中心になるこういう形の税金というものは一体何かということですけれども現実離れをしたみなしという形の税金のかけ方があるかということ、私はこの点はどう考えてもわからない。きのうですか、大蔵省の諸君に聞いてみましたところが、これは一つの財産税だ、こう言うのですね。財産税というものの概念は一体何だということですね。財産税というものの概念は、資本課税という概念でしょう。税の体系を分類していけば、財産税という性格はどこにもないのであって、資本課税であるという概念に私は入らなければならぬと思うのです。いわゆる財産というものでありますから……。そうすると農村における今日の土地というものは、そういう一つの資本価値としての働きを一体しているかどうかということです。これはきのうの大蔵省の答弁を聞いてまいりますと、それらの概念的の問題はもう少し研究する必要がある。資本課税であるのか、あるいは単なる財産課税であるのか。財産だから財産税だというなら、私はものの見方が誤りであると思う。財産税というものの根底にはやはり資本ということばがつくはずである。なければ財産とは言い得ないということである。こういう議論がちっともされておりません。したがって、これについて大臣の概念というものは、この税金というものをどういうふうにお考えになっておるか。ここまできますと、このみなすということばは非常に大きな疑惑のあることばであります。税体系の中で、はっきり割り切れないことばです。税はあくまでも現実的でなければならない。それを、みなされて税金をかけられたら国民はかないませんよ。全くこれは暴政もはなはだしいと思うのですよ。どんな悪代官といえども私はこんな税金はかけなかったと思いますよ。土地に対する税金はいろいろあります。太閤検地があり、あるいは家康の検地があり、信長の検地があり、いろいろな検地がある。そして五尺八寸で一坪を計算したこともあります。六尺三寸でやったこともある。それは悪大名のやったことである。今度の場合、これをみなして課税するということは、それとちっとも変わらぬ。みなしてかけるのですから、現実離れがしているということである。だから私はさっきから申し上げておりますように、そういう摩擦を避けるには、答申にあるように、十年以内に大体都市化するというなら、これは都市化することのために新しい法律で、農地のそういう許可に対する申請というものは必要がないようにして、いわゆる農地が宅地に早く転用できる処置を一方に講じたのでありまするから、私はそれで大体事が足りるのではないか。そうして宅地化したときに税金をかけていけば、それで何らの摩擦はないはずである。そうして都市化にも何らの影響を及ぼさないわけである。だから私は、そういう意味からいいますと、この税金を大臣は一体どうお考えになっておるかということです。税の概念についてどうお考えになっているかということを、もう時間もありませんが、ごく簡単にひとつ、御説明できるなら御説明をしてもらいたい。
  102. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 先生御納得のいくような説明はとてもできるはずはございませんが、しかし提起されました問題は、奥の深い問題であろうと思います。しかし、この税金はまあ財産税として考えておるわけでございます。しかし先生の御所論は、こういうものについて、財産税とはいいながら、やはりこれの資本力というものは着目されるべきであるという御所論かと思います。それらの点につきましては、さらにさらに検討させていただきたいと思います。  現実市街化区域内の、ことに農地につきましては、みなすということでは、はなはだけしからぬじゃないか、また先生のこれらの土地の固定資産税等に対する御所論からいえば、ますますそのことが痛切に感じられる次第であろうかと存じますけれども市街化区域内の農地につきましては、ここにみなすと申しながら、農業を現にしておるわけではございますけれども、そこにやはり宅地との連関性という特殊な事情等がございまして、私はこれは封建時代の悪代官といえどもやらなかった悪政の表現であるとは思っておりません。むしろ時代に即しました新しい行き方ではないか。ある意味におきましては、諸先生方も十分御納得のいかれる新しい行き方を保守党が示したものとしてひとつ考えていただければ、御了承願えるのじゃないかと思います。
  103. 門司亮

    ○門司委員 それから委員長に要求しておきますけれども、これは私はあくまでも新税としてひとつ検討してもらいたいと思うのです。あまり急がれていってもらいたくないのです。どうも、ほんとうに前代未聞なんですよ、こういうみなし課税なんというものは。物があってそれの税金が非常に重いというのなら話は別ですが、物がないところにそういうことになっているのだから、みなすということになると非常に大きな悪例を将来に残すと私は思うのです。だから私は、これはあまり急がないで、十分検討していただきたいと思います。
  104. 菅太郎

    ○菅委員長 和田一郎君。
  105. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それでは先ほどの続きを質問いたします。  いま、そちらのほうから調べていただいたのでは、生活保護世帯で一人が一年間二十一万四千七百四十円ということになっていますね。先ほどの局長のお答えでは、基礎控除というものはもう生計費を見てのことであるとおっしゃったわけです。ところが、その生計費というのは一人が二十一万四千七百四十円、これは一級地で最低です。それから人事院勧告のほうはこれは標準だ、こういうことでありますけれども、二十六万一千二百四十円、ところが基礎控除は十四万、完全に生計費に食い込んでいることになる。この点についてどうでしょう。
  106. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この基礎控除とただいまの生活保護基準との関係でございますが、先ほどの答弁で若干言い足りなかった感じがいたすわけでございますけれども、この最低生活費というものを考えながら、それを一つの目安にしてということを申し上げたわけでございます。現に、たとえば所得税の場合の基礎控除は、今度一万円上がりまして十九万円になったわけでございますが、やはり必ずしも生活保護基準とぴったりに、あるいはそれよりも上に基礎控除というものを持っていっているわけではない。やはり標準的なところ、たとえば夫婦子三人とか、夫婦子二人とか、そういったところで一体どこいらくらいまでは税金がかからないことが適当であるか、いわゆる課税最低限というものがむしろ生活保護基準というものと比較されるべきものではなかろうか、こういうふうに考えますので、その点少し先ほど私の説明不足でございますので、補足させていただきたいと思います。
  107. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そういう局長のお考えが、いわゆる所得税のほうの課税最低限と住民税の課税最低限と近づかない一つの大きな根本的な点だと思うのです。  もう一つは、サラリーマン減税ということがいわれております。とにかく高い、サラリーマンにはいわゆる商売でいえば原価計算がないということです。私考えるのですけれども、基礎控除は確かに生計費だ。私は先ほどの鎌田局長の答えでいいと思うのです。生計費に決して食い込むべきでない。先ほどの答弁の一番最後に、課税最低限が一人で二十八万幾らとございましたね。ちょっとその点言ってください。
  108. 鎌田要人

    鎌田政府委員 二十九万四千三百九十三円でございます。
  109. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それにはいわゆる給与控除であるとか社会保険の控除が入っているわけですね。
  110. 鎌田要人

    鎌田政府委員 そのとおりでございます。
  111. 和田一郎

    ○和田(一)委員 結局サラリーマンでもいろいろなものが要るわけですよ。食べるだけじゃだめなんです。服を買ったり、くつを買ったり、帽子を買ったり、ネクタイを買ったり、そういうための給与控除とか社会保険控除、そういうふうにこれは措置されているわけなんでしょう。その額が高い、低いは別にしまして、そういう面に対しての控除であると思うのです。そうすると、基礎控除というのはあくまでも生計費じゃないですか、その点どうでしょう。ですから、住民税が一般の税金に対してものすごい重税感をみんなが持っているわけです。この点ひとつ考え直す必要があるじゃないかと思うのですけれども、この点について局長どうでしょうか。
  112. 鎌田要人

    鎌田政府委員 結局住民税の本質と申しますか、性格の問題になるような気がするわけでございます。所得税の場合でございますと、日本全国というものを相手にいたしまして、いわゆる所得再分配機能というものを営んでおるわけでございますけれども住民税でございますと、大が人口三百万をこえる市、あるいは小は最高七、八千あるいは一万、こういった町村に至りますまで、それぞれの市町村がそれぞれの住民を対象にして負担の分任を求めるということでございますので、それを全国一律的な控除額という形できめることには、私はやはり基本的にそういった意味での無理はあるのではないだろうか。そこでやはりそういった全国一本での基準というものを定めます場合には、やはりそれぞれの個々の地方団体におきまして負担の分任の趣旨というものをそこなわないようなきめ方ということになってまいりますと、おのずから所得税よりも低からざるを得ない。ただその場合におきまして毎度申し上げておりますように、所得の水準の状況、生活状況あるいは財政状況というものを考えながら、その範囲でやはり年々引き上げを行なってまいる、こういうことにならざるを得ないのではないだろうかというふうに考えます。
  113. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この議論をしておりますと長くなりますからやめますけれども、いずれにしても、いまの局長の御答弁はずいぶん私の質問とは違うんですね。何も全国一律にしろとは言ってないわけです。そういう意味の議論ではなかったんです。基礎控除というものは、いわゆる生計費に食い込んじゃいけないんじゃないか、そういう点でもっと基礎控除を引き上げるべきじゃないか。去年からことしでわずか一万円しか上げてない。とにかく半分くらい生計費に食い込んでいるんですね。この点についてはひとつ今後大いに議論してまいりたいと思うのですけれども住民税についてさらにまた一そうの御研究をお願いしたいと思うのです。  次に行きますけれども、自動車取得税というのがありますが、今回は全然手はつけておりませんけれども、これはどうなっていますか。五十八国会の当委員会の附帯決議には、「自動車取得税の免税点等について、検討を加え、とくに免税点については、明年度においてその引上げをはかること。」こう出ておりますね。     〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕 それからやはり六十一国会の衆議院の附帯決議で「自動車取得税については、国民生活の実情を考慮しつつ免税点の引上げについて検討すること。」とあります。この点についてはどういうお考えなんですか。
  114. 近藤隆之

    近藤説明員 御承知のように自動車取得税につきましては、四十四年度改正によりまして十万円から十五万円に引き上げられておるわけでございます。それによりまして、現在、中古車の価格がほとんど動いておりませんので、自動車におきまして六八%、軽自動車は九八%、全体で七七%までが課税最低限以下である、非課税というような状況になっておりますので、もう少し推移を見たいと思います。
  115. 和田一郎

    ○和田(一)委員 今度自動車新税ということがいわれていますね。自動車というのは実際大衆化しているわけですよ。これはこの委員会でやるのは論外でありますけれども、いずれにしても一つ大衆課税がふえるということですよ。そういう一面で自動車も一般化している。しかも衆議院では、国民生活の実情を考慮しつつ免税点を引き上げろ、こういうふうにいっているんですから、これはもう大衆化しているということをひとつ考えなければならないんじゃないかと思うのです。幾ら中古車の値段がどうのこうのというよりも、買わなくてもいい人が買っているというのが現在の実情なんです。そういう点についてのお考えはどうなんですか。これはひとつ局長のほうに伺いたい。
  116. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私は、この自動車取得税の免税点十五万円という額は、ただいまおしかりをいただいたようでございますが、現在、中古車というものまで含めて考えますと、決して低い額だと見ておりません。それから自動車取得税の性格というものを考えてまいりますと、むしろ社会資本の整備のおくれというものが基本的な問題だと思うわけでございますが、反面やはり自動車というものが非常に大衆化しておる、そのことのいわゆる国民の生活水準の向上ということの関連におきましての評価は別といたしまして、少なくとも自動車がこれだけふえてまいっておりますことが、やはり道路の損傷なりあるいは自動車公害なり、こういったものの原因になっていることも間違いがない事実でございますので、自動車課税というものは、もちろん重税におちいってはならないわけでございますが、目的税的な面での自動車税というものの課税につきましては、地方税のベースでも拡充をはかってまいりたい、そういう考え方で、実は先般来地方の道路目的財源の充実ということで考えていろいろと検討いたしたこともあるわけでございますが、基本的な考え方といたしましては、そういう考え方を持ちながら、免税点の問題につきましても、附帯決議の趣旨も尊重しながら、検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
  117. 和田一郎

    ○和田(一)委員 あと一問聞きます。  最近の報道に、自治省では市町村税の定着ですか、それをはかるために、また市街地の事業所だとか店舗を対象にした課税であるとか、または新規住民に対する入市税などを新たに検討する、こういう報道があるのですけれども、これはどういうことですか、説明していただきたい。
  118. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっとその報道につきましては、私ども全く関知しないところでございます。  ただ御案内の地方制度調査会が昨年の暮れに答申を行ないました。この答申におきましては、いわゆる大都市財源の付与ということとあわせまして、大都市から企業というものが地方に分散をしてまいる、こういったことを促進するという政策効果もあわせ持ちまして、いわゆる事務所、事業所に対しまする特別課徴と申しますかということを勧告されておるわけでございます。おそらくその趣旨というものが拡大をされて推測記事として出たものではなかろうかというふうに考えております。
  119. 和田一郎

    ○和田(一)委員 「入市税など新たな税収確保についても検討していく方針」、ここに出ているのですけれども、入市税というのはどういうことなんですか。
  120. 鎌田要人

    鎌田政府委員 中世紀のようにそれぞれの領土というものを持っておりまして、そこへ出入のチェックというものができるという時代は別でございますけれども、今日のこの時代に入市税というのはちょっと考えられないと思います。むしろそういう趣旨から、この昼間人口と夜間人口というものの流入流出の問題もございますので、そういった趣旨というものも考えながら法人課税、あるいはいまの事務所・事業所課税、こういうことが出ておるわけであろうと思います。——いま新聞をいただきました。「自治省、定着化図る」、「財源充実へ入市税も検討」、これは全く検討いたしておりません。事実無根でございます。
  121. 和田一郎

    ○和田(一)委員 大臣お帰りになりましたので、事実無根であるということを政務次官のほうからさらにひとつ確認してください。
  122. 大石八治

    大石政府委員 入市税なんというのは全くこれ、いまのお話ももう少し読ましてもらいたいと思っておりますが、具体的に検討しているかいないかといえば、そういうことはいたしません。
  123. 和田一郎

    ○和田(一)委員 では以上で終わります。
  124. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 林百郎君。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 時間の関係上、私は市街化区域内の農地に対する固定資産税の問題と、それからもう一つは公害の発生企業の公害排除の施設に対する免税の問題と、この二点にしぼって質問したいと思うわけです。これは門司委員からも昨日の参考人以来出ておるのですが、自治省の考え方を聞きたいのですけれども、まあ農業を営んでおる農地一つの生産手段なんですね。その農地から生産された農産物が一つの商品になるわけなんですね。この商品を販売して、そこから必要経費、生計費を引いて所得が出た場合に税金をかけるというのが、税金のこれは基本的な原則だと思うのですね。所得へかけるのが税金だと思うのですよ。われわれの生存権そのもの、生産手段そのものへ、製品としてまだ価値化されない生産手段そのものにまで食い込んでくる課税というものは、これは税体系からいってもあり得ないものだと思うのですね。ところがこのたびの市街化区域農地固定資産税を宅地並みにするということは、これはたとえば一ヘクタール市街化区域で建物を建てて地代を取れば、坪二千円取ったとしても年に六百万、ところがここで米作をしているとすればいいほうで六十万、全国平均だと四十五万ということになるわけなんですけれども、そういう潜在的な価値があるからといってそれをもう顕在化した価格として評価して課税するということは、これは生産手段そのものを破壊することになるので、農業の生産そのものを破壊することになるのじゃないですか。だから自治省としてはもう市街化区域内の農業というものはやめてもらいたいのだ、だから税金の面でこれを破壊していくのだ、こういうようにとってもかまわないのですか。私はどうしても、今度の市街化区域内の農地固定資産税を宅地並みにする、そして実際は農業経営をしている一ヘクタール六十万平均の収入を六百万の収入ありとみなして税金をかけるということは不合理だと思いますが、どうでしょうか。
  126. 鎌田要人

    鎌田政府委員 問題が二つあるように思うわけでございます。  一つは、きのうからの議論を伺っておりまして感じたわけでございますが、固定資産税というのはもうけがあって、もうけから払う税だというそこの認識が、いささか私ども所見を異にするわけでございまして、固定資産税は、やはり所得課税というものを、税制の仕組みでございますので、所得課税を中心にしながら所得以外の課税、間接税その他の課税で補完をする、こういう形の税である。したがいましてこの税の本質といたしましては、財産を所有しておる、固定資産を所有しておるという事実に着目をいたしまして、その資産の価値にこの課税標準を求めて課税をする、こういうことでございまして、事業税あるいはそのほかの所得課税とは違うというふうに考えるわけでございます。このことは固定資産たとえば家屋の場合でも土地の場合でもそうでございますが、たとえば不動産の賃貸ということを目的にしない、いわゆる自分で自分の土地と家を持っておる、こういう人たちにも固定資産税がかかっておるわけでございます。そういったことからいたしまして、私はもうけがなければ払わない、もうけから払う税だというものでは、固定資産税はなかろう、こういうように考えるわけでございます。  それから第二点といたしまして、今般の農地課税との関係の問題でございますが、これは昨日も申しましたように、基本的に農地に対する固定資産税の課税というものが、農地以外の固定資産税の課税との間に著しい不均衡というものを生じている。その不均衡というものはどこに原因があったかと申しますと、やはり農地法の厳重な規制というものをかぶっておった、それが都市計画法というものができまして今後十年間に市街化区域内というものを計画的に市街化を促進してまいる、その見地から、農業というものは市街化調整区域でおやりなさい、こういう国の政策意図というものがあると思うわけでございます。そういった意味合いにおきまして、市街化区域内における農地については宅地と均衡のとれた負担というものを求めていく。農業生産というものを一生の業として農業生産に専従をするためには、市街化調整区域というものがあるわけでございまして、そこには従来どおりの農地としての課税というものを行なう、こういう形で考えておる次第でございます。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 これは自治省の税務局で編集した地方税・財政用語辞典を見ますと、この中の固定資産を見ますと、有形固定資産としては土地、建物、建築物、機械装置、船舶、車両、運搬具、工具、器具類、こういうような、みな価値を生み出すものなんですよ。たとえば工具類にしてもそれから車両にしても船舶にしても、そこから収益をあけて、そしてその収益の中から償却を差っ引いたり必要経費を差っ引いたりして——これは商品としてみなされるものですね。それから無形固定資産として特許権、営業権商標権、地上権、水利権、鉱業権とありますが、みんなそれが価値を生み出す。その価値によってこれへ固定資産税をかけても、生み出す価値によりましてそれが埋められるというものが、固定資産税の評価になっているわけなんですね。だから、その生み出す価値以上のものを生み出すもの自体にかけるということは、たとえば船舶に固定資産税をかけるのですけれども、船舶が一年にかせぐ以上のものを固定資産税としてかけていますか。そんなことはないでしょう。それから車両だってそうでしょう。車両が一年であげる所得以上に評価して、それへ固定資産税をかけるということはないわけでしょう。だから、もしあなたのいうような政策的な都市計画法によって、市街化区域内は都市形成として、国の政策としても立てられているんだということになれば、そこへ農地を持っている農民が自主的にそれを売って、そしてその潜在的な価格を顕在化したときにかければいいのであって、憲法で規定されている職業選択の自由によって、その中でもなお農業経営をやっていようという者に対して、おまえのところは米をつくれば六十万だけれども都市化すれば六百万になるから、六百万の収益をあげるということで評価して税金をかけるということは、固定資産税の固定資産の定義からいっても、また固定資産税原則からいっても、自治省自体がいままで考えていた固定資産税の概念からいってもはずれるものじゃないでしょうか。どうして、その価格を顕在化して坪十万なり十一万なりで売ったときに税金を取るなら取るということではいけないのでしょうか。どうして、六十万しか収益がないものを六百万も収益があがる可能性があるからといって、その可能性に税金をかけなければいけないのでしょうか。そんなに性急な都市化を、市街化区域内の農地に対して税金の面でテコ入れしていくという必要があるわけでしょうか。これは、いろいろ申しますと、やはり自治省の責任はかりでなくて、自民党の政策として、安い賃金の労務者をほしいということで、農民を低賃金の労働者化するということで、農業を放棄させるような政策を一方ではやっている。一方では、新全総を見ますと、新全総では十年間に住宅地を十五万ヘクタールにする。工業用地は二十万ヘクタールにする。新全総というのは、これは大企業のコンビナート構想に基づくものですが、こういう全般的な自民党の労働政策あるいはコンビナート政策、こういうものの一環として今度の市街化区域内の農地に対する固定資産税をかけるということが出てきたのであって、本来の純粋の課税の原則、純粋の固定資産税原則からいったら、やはりゆがんでいるといわざるを得ないのじゃないですか。固定資産税の妙な例を一、二とってきますけれども、その固定資産税だって、固定資産税が生み出す利益を計算に入れて、これだけの固定資産税をかけても、その利益から埋められるということを考えてかけているのが従来の固定資産税の大きな部分じゃないですか、私はそう思います。どうしても今度のこの税体系というものはやはりゆがんだものだ。自治省自体もそうお考えにならないでしょうか。
  128. 大石八治

    大石政府委員 ちょっと、市街化区域内の宅地、農地の問題からいろいろ御意見を伺っているわけですが、たとえば商店街がありまして、その中に並んでサラリーマンが住んでいる。自分の宅地であります。評価がえがどんどん進みまして、もちろん隣の商店なりがありまして固定資産税は上がるわけでありますが、この月給取りは月給がふえなくても、並びの評価によって彼の宅地に対して固定資産税は評価が上がって、彼の税金が実は高くなるわけであります。そういう意味で商売がどうであるかないかということは関係ない。たとえば赤字の会社であっても、赤字の個人経営の場合でも固定資産税はかかるという性格が固定資産税の中にあるわけであります。今度の場合はそういう意味でかかるわけですけれども、そういう観念は同じであります。ただ農地であったものを宅地並みに評価するのは、そこに問題があるのではないかというお考えでありますけれども、実は都市計画をつくるということ自体の中に、そのことがまずあると思うのであります。それがなければ、いわゆる農村地帯なりいろいろのところでも虫食い現象的に非常にランダムにむしばんでしまう。そういうことは効率が非常に悪いしあるいは都市施設をやる場合でもむだになってしまう。そういう意味で目的的にひとつ土地利用計画をつくるという意味で都市計画を立て、そして調整区域市街化区域にするというふうにするわけです。ですからその市街化区域のところというのは、原則的には市街地になるところですというのが先に原則にあり、これが皆さんとの相談の上で、それが事実として線引きが行なわれる。ですからそこは市街地になるところですという前提があると思うのです。農地のほうは税務局長からもお答えしてありますとおり、農地法で規定されておりまして、それをほかに利用したいけれどもできないという束縛があるわけであります。したがって農地として使用せざるを得ないといってはおかしいのですが、そういうかせがそこにかかっているという意味でいろいろ評価をして見てみましても、事実上農地としてする以外にない、つまり自由がきかないということだろうと思う。今度宅地化されたほうは、これは農地法をはずしまして、あなたは自由に何でもできるのですということになったわけであります。しかも従来宅地との不均衡という問題が社会的に出ておりますので、この点を是正する意味を含めて今度の税の仕組みというものをつくったんだというふうにお考えをいただきたいと思います。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 商店街でサラリーマンが土地を持っていても、それは商店街並みの固定資産税がかかっていますが、これは原則からいって商店街に土地を持っていても、そのサラリーマンはその自分の持っている土地なり家屋を商店に貸して、そこから市街地並みの収益をあげるからそこへ税金をかけてもよろしいという、そういうことがあるわけなんですよ、ところが農民というのは、これは実際に農業生産をそこでやっているわけなんですからね。しかも憲法によっては職業の選択の自由があって、市街化区域だから農業をやっちゃいかぬということはないわけなんですから、だからあなたの引例は非常に例外的な例を持ってきて一般化する論理で、それは私納得できないと思います。これは重ねていくと、これだけでも時間がかかってしまいますから次に移ります。  そこで念のために聞いておきますが、一体市街化区域農地を宅地並みで評価していくと地価で何倍くらいになり、固定資産税では現在の何倍くらいになっていますか。これは年度順にわかったら言ってみていただきたい。年度順でわからなかったら、わかる範囲で説明してください。新聞でも出ているところですけれども、念のために。
  130. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先般資料として御提出申し上げたわけでございますが、時間の関係がございますので、結論的に申し上げますと、全農地で平均的なところで申し上げますと、大都市が評価額が大体百倍、これは四十五年度に比べてであります。それから都市が四十七倍、町村が三十倍、全体平均いたしまして四十九倍、こういうことに相なります。  それから税金につきましては、これは年度ごとに漸増してまいりますので……。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ年度別に言ってみてください。四十七年から五十五年まで、できたら言ってください、何倍になるか。
  132. 鎌田要人

    鎌田政府委員 固定資産税と都市計画税と合わしたところで申し上げます。A農地、四十九年度で百倍になります。それからB農地で、これは五十一年度でこの負担調整措置が終わりますが、やはり百二十倍程度になります。それからC農地で、五十五年度で一円八十銭の九十二円でありますから、五十倍ということに相なります。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 大石さん、こういうように、それは理屈はあったにしても、五、六年の間に税金が百倍にもなる、こういう税金のかけ方は、これが課税のプリンシプルからいって、それはいろいろ言いますよ、しかし実際国民は納得しないということだけ言っておきますよ、あと論理を展開するとまた論争になるから。  そこで農林省に聞きますが、これも時間の関係上、三問をまとめて言いますから答えてくれませんか。市街化区域内の農地の野菜の生産は全野菜生産の何割ぐらいに当たるかということが一つ。それからこの法律が適用されて、いま言ったような固定資産税が五十倍から百倍になった場合あるいはこういう市街化区域内の農地の野菜生産が放棄された場合、野菜の農産物の供給と価格にどういう影響を及ぼすとお考えになるか。それから現在市街化区域内で農業を営んでおる農民は、この土地を手放そうと考えているのか、あるいは市街化区域になってもなお農業を経営しているという人は、ここへ投資もし、採算も相当合い、それから確実な市場も近くに持っているから、農業を経営したいという人が多いのではないかと思いますが、その辺はどうか。この三つの点、時間の関係上まとめて聞いて恐縮でございますが、農林省から答えていただきたい。
  134. 小原聰

    ○小原説明員 野菜の関係についての前の二つの御質問にお答えいたしたいと思います。  まず市街化区域でどのくらい野菜が作付けられているかという点でございますが、市街化区域に入る農地面積の推定が、農林省の農地局のほうでいたしたものがございます。これもいま線引きの作業を続行中でございますので、正確な面積ではございませんが、大体三十万ヘクタールぐらいではないかと見ておるわけでございます。そのうち野菜がどのくらい作付けられているかということについては、これは直接の数字はございませんけれども、東京、神奈川、大阪といいますと、大体市街化にほとんど入ってしまう。この東京、大阪、神奈川の三都府県で申しますと、耕地の面積が約十万ヘクタールでございます。野菜の栽培面積、最近年次で申しますと三万四千ヘクタールぐらい、これは延べの面積でございます。野菜の場合には一年二作、三作というのがございますが、延べの面積で見ますと、十万ヘクタールに対して三万四千ヘクタールということで、三割ちょっとということになるわけでございますが、この割合で三十万ヘクタールの市街化区域に入る農地のうち、この三都府県と同じような割合で野菜が作付けられていると仮定をいたしますと、九万五千ヘクタールぐらいの延べ面積になります。野菜の延べ面積は六十九万ヘクタールぐらいでございます。したがいまして、その割合からしますと、一割をちょっとこえるということになります。この東京、神奈川、大阪の場合も、市街化区域、これは大体線引きが引かれる前から市街化されているところが多いわけでございますが、一度に野菜の面積がなくなるということではございませんで、いままでの傾向から申しますと、年五%ぐらいずつ野菜の作付け面積が減ってきておる。この五%ということで計算をいたしますと、市街化区域の野菜の面積九万五千ヘクタールに対しまして、五%の割合で減ってまいりますということで計算をしますと、約五千ヘクタールということになります。五千ヘクタールに対して六十九万ヘクタールということですと、約〇・七%ということで、一%未満ということになるわけです。  これが野菜の需給にどういう影響を与えるかということにつきましては、農林省の施策といたしましてもできるだけ遠隔地帯なり中間地帯に新しい野菜の産地をつくってまいるということで、いろいろ施策を進めております。こちらのほうの施策のテンポとも関係いたしますが、これまでもずいぶん新興産地ができてきておりますから、この〇・七%ぐらいの減少は埋めて余りあるほど、ほかの地域で野菜をつくっていただくということでやっておりますので、市街化区域になったからといって、すぐに野菜の価格が上がるという直接の関係はないのではないかというふうに見ております。  あと農業経営の点につきましては、農政局のほうから参事官が御出席になっておられますので……。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうように毎年毎年五%、あなたの数字からいうと。しかしそれは土地の面積だけからいっていますから、生産量の点から何にも答えていないわけでしょう。だから野菜の生産が、たとえばトン数ならトン数、何年すればトン数は幾らで、それが市街化区域農地から幾らできていて、それが幾ら減っていくということはないのですか。そういう数字はないのですか。それが価格に全然影響しないなら、あなたの言うように余りある、市街化区域農地が減っていっても余りあるほど野菜の生産地がふえていくというなら、供給はどんどんふえていって野菜の値段が毎年毎年下がっていかなければならないのに逆に上がっていくのはどういうわけですか。あなた何か自治省と別に連絡したわけじゃないでしょう。あなたの答弁、納得できないですね。
  136. 小原聰

    ○小原説明員 野菜の全体の生産量は四十四年で申しまして約千五百万トンくらいございます。市街化区域関係につきましては直接そういう数字はございませんが、面積の割合からいたしますと先ほどの割合ということになるわけでございます。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 資本を投下して生産力を上げているようなそういう土地と、たとえば長野県なら長野県の八ケ岳のすそ野、焼け畑みたいなところと、面積だけ比較していたら同じですよ。しかし大阪だとか東京だとか京都だとか、こういうところの農民というのは資本主義的な農業経営で資本を投下して生産力を上げているんですよ。そういうところが減っていって長野県の八ケ岳のすそ野のイノシシの出るようなところがふえた。これはあなた生産量に大きな影響があるのじゃないですか。そういう計算を私は聞いているんですよ。土地の面積のそんな算数的なもの聞いているわけじゃないんですよ。非常に資本主義的な近代的な農業経営で生産力を上げておる市街化区域農地からの野菜ものが、毎年毎年いままではこの法律がなくても五%減っている。もしこの法律によってそれが加速度的に減っていった場合に野菜の生産に影響ないのか。ひいては野菜の価格に影響がないのか。生産量からいってどうなっているんですか。わからないならわからないでいいですよ。
  138. 小原聰

    ○小原説明員 影響がないというふうに申し上げておるのではございません。かなりの影響が出てくることが予想されるわけですが、その影響を放置するということでなくて、市街化でつぶれる面積より多くほかの地域で生産するような施策を農林省としては積極的に進めてまいりたいということを申し上げた次第でございます。
  139. 岡安誠

    ○岡安説明員 市街化区域内の農業がどうなるかというような御質問でございますが、私どもにとりましてはたてまえは市街化区域というものはほぼ十年内に市街化がはからるべき地域でございますから、その中におきましては農業というものはほとんどなくなるというようなことを考えております。     〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕 しかし三十万ヘクタールに及ぶような農地のすべてが十年以内になくなるとは考えられないわけでございまして、その間におきましてはやはり見直しその他の措置もございますので、一部につきましては調整区域に移るということもございましょうし、また施設緑地等にかわってくるのもございましょうし、さらには今後の検討にまたなければならないかと思いますけれども、それらの施設以外に生産緑地というような考え方が必要となった場合にはそういう緑地として残るということも考えられます。しかし全体といたしましては、そういう市街化区域内の農業というものはこれが市街化をしてしまいますので、だんだん減っていくというふうに私どもは考えております。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 いま市街化区域内でもなお農業経営を営んでいる農家というものは、農業を継続する意思が強いと農林省はお考えになっているかどうか。市街化区域の中の線引をされても農業経営をしていくという農民は、農業を継続していきたいという意思が強いかどうか。これは参考人としてお呼びになった方の御意見では、むしろそういう地域には若い人たちが農業経営にいそしんでいて、やはり確実な市場もあることだし、資本投資も過去に十分してあるので、むしろ農業経営を継続したいという意思が強いのだ、こういうことだったのですが、農林省としてはどうお考えになっているか。何か建設省の言うようなことを農林省が言っているからあらためてあなたにお聞きしたいのですが、どうですか。
  141. 岡安誠

    ○岡安説明員 市街化区域内でもっ 今後とも長期にわたりまして農業を継続したいという農家があるとするならば、私どもが考えておりますのは、そういう農家は相当資本装備も高度化されまして、高級化といいますか集約的な農業経営をやっている農家に限られるのではなかろうかと考えられるわけでございます。と申しますのは、税金のみならずほかの面におきましても相当な不利益が出てきますから、どうしても労賃その他におきましても、農業を経営する場合にあたりましては、不利益な条件が重なりますので、それが克服できるような農業というものでなければなかなか存続することは困難である。しかしそういうものは将来は多少残るというふうには実は考えております。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、そういう市街化区域の中でもあくまで農業をやっていきたい——これは同僚の山口委員も熱心にお聞きになった点ですけれどもダブらないようにお聞きしたいと思いますが、どうしても農業をやりたいという農民、これに対しては将来どういう保証をしていくつもりですか。自治省と建設省両方にお聞きしたいと思う。私はどうなっても農業経営を継続していきたい、資本も相当投下してあるし、生産も相当あがっておるし、そうして確実な市場もあるしするから、農業経営を継続していきたいという場合の保証ですね。そういう農民に対してはどういう保証があるのですか。それはもうかまわない、これはもう市街化区域で当然都市化される、この覚悟の上だから、そういうものに対しては考慮する必要はないというようにお考えになっているのですか、どうでしょうか。これは自治省と建設省両方に念のためにもう一度お聞きしておきたい。
  143. 鎌田要人

    鎌田政府委員 再三申し上げておることでございますけれども市街化区域内において営農の意思があり、また将来とも農業を継続したい、こういう方々がもっぱら多いのは、私どもの分類におきますC農地ではなかろうかと思うわけでございます。そういうC農地でございますと、五十一年度から課税が始まるわけでございますので、市街化区域、これの見直しの一環として市街化調整区域にその際に編入がえされる、これが一つ。それから第二点といたしましては、この市街化区域内におきましても十ヘクタール以上の団地というものによりまして農業経営をやる。その場合には相当長期にわたって農業から離脱されないという前提に立って市街化調整区域に水玉模様で落とす、これが第二点。第三点といたしましては、いわゆる都市施設緑地施設として都道府県知事の指定を受けて建築制限を一方で受ける、そういうことを前提にいたしまして農地並みの課税を受ける。これは市街化区域農地からはずれるわけであります。それから最終の問題といたしましては、C農地に対しまして、市街化の進行が遅々として進まない、なおかつ自分のところだけ調整区域にぽこんと抜ける、こういうことができない場合におきましては、実情に応じて自治大臣が適切な減免の助言をする、こういったことを考えておるわけでございます。  なお、農林省からお答えがあると思いますけれども、農住構想の推進あるいはこの農地の買い取り交換のあっせん、こういうこと等もあわせて考えられるということになろうかと思います。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 建設省答える前にちょっと……。この「市街化区域内の農地に対する固定資産税の課税にかかる特別の取扱い等」この資料の中にあなたのおっしゃるように「十ヘクタール以上の集団農地で長期にわたり農地のまま保存されることが確実と認められ、市街化調整区域に編入される農地」こうありますが、十ヘクタール以上の集団農地で長期にわたり農地のまま保存されることが確実と認められるところは市街化調整区域に編入されるという法的な保証がありますか。これはちょっと建設省にお聞きしたいのですけれども
  145. 石川邦夫

    ○石川説明員 この「長期にわたり」と申しますのは、われわれおおむね十年間以上を考えておるわけでございます。法的な保証と申しますのは、特に法的に十ヘクタールというふうな表現はございませんけれども、集団的な農地は……。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 もし都市計画法なり施行令なりに法的な根拠があったら言ってください。十ヘクタールなんて数字ありますか。
  147. 石川邦夫

    ○石川説明員 十ヘクタールはございません。集団農地ということばです。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃそれでいいのです。そうすると、十ヘクタールというのは、これはどこが責任が持てるわけですか、十ヘクタールで。しかも長期にわたり、しかも確実と認められ、市街化調整区域に編入される農地というのは、自治省が責任を持つのですか、建設省が責任を持つのですか。
  149. 石川邦夫

    ○石川説明員 これは市街化区域の変更になります。したがいまして、現在設定しておりますのと同じ手続によりまして、編成がえと申しますか、大きな変更をまた行なうわけでございます。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、どこが責任を持つのですか。たとえば、長期にわたりとか、確実と認められるとかそういう確認をして、十ヘクタールにまとまっておれは、これは調整区域に編入するということは、どこが確認をし、どこが責任をもって編成がえを指示するんですか。
  151. 石川邦夫

    ○石川説明員 建設省が農林省と協議いたしまして、この区域の変更につきましては承認いたします。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、十ヘクタールというのは何できめられているんですか。
  153. 石川邦夫

    ○石川説明員 現在、市街化区域の設定の際に、集団農地はできるだけ調整区域に持っていくというふうな指導通牒が出されております。そして、こういう方針に従って市街化区域調整区域の設定が行なわれているわけでございますが、その中でも特に生産性の高い農用地で、将来とも特に必要があるというふうなものにつきましては、十ヘクタールでも調整区域にするというふうな指導を行なっておるわけでございます。
  154. 林百郎

    ○林(百)委員 すると、それは行政指導ということで、政令や別にいろいろあるというわけじゃないんですね。法律の根拠を聞いているんです。何か自治省が自分でやるようにいままでずっと言っていたが、自治省なんか全然関係ないんだよ。
  155. 石川邦夫

    ○石川説明員 十ヘクタールということばは、先ほど申し上げましたように指導で行なっております。
  156. 林百郎

    ○林(百)委員 行政指導だね、それは。
  157. 石川邦夫

    ○石川説明員 さようでございます。それから集団的な農地ということは、先ほど申し上げましたように都市計画法の施行令にございます。
  158. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、農林省にお聞きしますが、「長期にわたり農地のまま保存されることが確実と認められ」るというのはどういう基準になりますか。これも政令か何かにあるんですか、行政的な認定権でやるんですか。
  159. 岡安誠

    ○岡安説明員 これも、先ほど建設省の参事官がお答え申しましたとおり、ほぼ十年以上にわたりまして、なお農地のまま存続される、というふうなことでございまして、これは別に法律その他があるわけではございませんので、事実認定の問題というふうに考えております。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 自治省資料では、市街化区域内の農地に対するこのたびの課税がいかにも保護されるようなことがいわれておりますけれども、これは非常に広範な行政的な認定権の弾力性のあるものなので、こういうことが書いてあるけれども、これはいま申し上げたようなもので、政令に根拠があるわけじゃない。ましてや法律に根拠があるわけじゃないということを自治省もよく知っておいていただきたいと思うんですね。  そこで、さらに建設省にお聞きしますが、市街化区域農地を農民が手放す場合に、いま土地が足りない足りないといいますが、私も実は、きのう参考人に聞いたのですが、大企業が不動産買いを非常にしているわけですね、要するに、安定した投機の対象として。たとえば、この前も言いましたけれども、資生堂や大日本印刷、東映不動産までが出ておる。億以上の資本金を持っている四十九の会社が不動産買いに手を出しておる。各私鉄会社、三井不動産、三菱、ずっと買い上げをしている。二、三百円で買った地所を七、八年ころがしておくと、十一、二万にもなるという。もしこの法律がこういうことで、もう市街化区域内では、都市化されることを覚悟の上でやっておるのだから、もう土地は手放すべきだというような自治省の考えで農民が土地を手放した場合、こういう不動産会社がずっと手を回して買い込んでいって、坪二、三千円で買ったものが十何万にもなる。それにちょっとした家を建てれば千五百万から二千万もする。そういうような不動産会社がそういうところへ手を伸ばして買いあさることをさせないような立法的な措置が何かにありますか、建設省にお尋ねしたいんです。農地法は、御承知のとおり農地法の四条からこの市街化区域内の農地の売り渡しははずしておりますから、これは自由に売れるわけですからね、だれにでも。そういう場合、こういう不動産企業、大独占が買いあさって、ころがしておいて土地の値上がりを待つというようなことを阻止するような立法的な措置はありますか。
  161. 大河内正久

    ○大河内説明員 現在、そういう立法措置はございません。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 自治省にお尋ねしますが、あなた方は、これはどうせ都市化するところだと言うけれども、都市化するということで手放したところで、今度はそのまた十倍、二十倍というような値段で不動産会社が土地を一般の人に売る、こういうことを促進する道にもなりませんか。それをどう自治省としては防ぐつもりですか。いまやそのことによって国民は、せっかく家を建てたくても土地の値上がりのために家が建てられないという現状でしょう。農民は農業をやりたいけれども、おまえのところは市街化区域だから市街化並みに評価する、というので、手放さなければならない。不動産会社はそれを買う。そして今度は何十倍の値段で国民のほうはそれを買わされるというような事態になったら、どうなるのでしょうか。
  163. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私どもは、この問題につきまして、最初からこれで土地対策をやろうということは、何も正面の大きな理由として考えておるわけではございませんで、結局固定資産税の課税客体としての土地、その土地の中での農地とそれ以外の土地の評価との課税のアンバランス、これの是正ということを税制の問題として考えておるわけでございます。あわせてただいまの土地政策、こういったようなお話がございましたが、そういった面で土地の供給の増加ということにこれがつながるということであれば、税制のいわゆる促進的効果といいますか、補完的効果というものが果たされる、こういう理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、この結果提供せられる土地、それがただいま御指摘のような不動産業者等のいわゆる仮需要と申しますか、こういうものの対象になってそれが高く売られる、こういうことになりまする場合に、税制の面として発動できるところは、やはりこの譲渡所得に対する重課、この所得課税の面で考えてまいる、こういうことがやはりいまの問題の補完的な役割りとして出てまいるだろう、こういうふうに考えます。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう問題があるということですね。そういう重要な問題があるということを自治省に考えていただいて、結局この法案の結果するところは、農民に農地を手放させて、市街化区域なんだから、都市形成にその土地を提供させるべきだ、ここまではいいですよ。これが末端まで国家の公共的な理念が貫かれるようになっているんならいいけれども、さてこの法律によって、自治省のいうように、市街化区域の農民だから、市街化の農地は手放して調整区域へ移れといったって、ところが、そこでまた何倍ものもうけをする者に自治省が手をかすことになるんじゃないですか、そのことを私は言っているわけなんです。その結果に対して、どう自治省は責任を負うかということを私は先ほどからお尋ねしているわけですけれども、これはそこまで自治省に負えと言ったっていろいろの要因がありますから、私は言いませんけれども、結果的にはそうなっちゃうんですよ。きのうも言いましたけれども、坪二、三百円のイモ畑を買った西武がもう今日ではそこを坪十二万円程度で売って七十坪程度のところへ家を建てて千百万円から千五百万円で売っているのですね。これはもとは農地だったんです。このことがこの法律によって促進されないという保証は何もないといういまの建設省の御意見になると、ここをよく自治省に知っていただきたいと思います。  あと時間がありませんので、技術的な点を自治省へお尋ねしますが、附則の二十九条の四「市町村長は……自治省令で定める一定の期間を限り、その徴収を猶予することができる。」これはどういうことなんですか。いつまで猶予するということなんですか。
  165. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いわゆるB農地でございますと、昭和五十二年の三月、すなわち五十一年度一ぱいということでございます。それからC農地でございますと、五十六年の三月、五十五年度一ぱい、こういうことでございます。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、私はこれは、もし土地でも手放してまとまった金が入ってきたときまで猶予すると考えたんですが、いまあなたのいった年度までだというと、そのときまで猶予されていても、そのときまとめて、いままで猶予されたものをまとめて払わなければならないことになるわけですか。
  167. 鎌田要人

    鎌田政府委員 結果的にはそういうことに相なります。その納付の際には分割納付の方法はもちろんあるわけであります。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃあちっとも猶予じゃなくて、結局ある時期になるとまとまって何倍ものものを払わなければならない。いやでも応でも差し押えを受けて土地を手放す、その促進のてこになりませんか。これは、何か市町村長が見ていて、まとまった金が入ったときに私は払うものと思うのですけれども、その徴収を猶予するのは「一定の期間」と書いて、あなたのいうようなことは書いてないわけですから、そうでなくて、そんな年限を切って、だんだん固定資産税が高くなるときの最後の一番高いときに、まとめていままで猶予したものを一括して払えなんといえば、これは払えなくなるじゃないですか。
  169. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは御案内のとおり、小作料につきましては、契約関係にございますので、一般のいわゆる地代、家賃の問題に比べましてそれだけ転嫁がむずかしかろう、当然こういう形で円定資産税額が上がってまいりますれば小作料も当然上げるという契約の更改が、私は必要になるだろうと思うわけであります。徴収猶予と申しますのは何もまけることじゃございません。いま手元に金がない、それを結局一定の期限待ってやるわけでございますから、その点は徴収猶予が終わったときには既往の分もまとめて納めるということは、私は当然ではなかろうかと思います。
  170. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、小作料に転嫁させるように小作契約を改定して、固定資産税が上がったからそれを小作人に転嫁させなければならないから、その間猶予する、そういうことですか。
  171. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いろいろの形が考えられるだろうと思います。小作料の契約の改定ということがなかなかむずかしかろう、そういうことで徴収猶予をしておるわけでございます。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 むずかしいからその期間内にやれということでしょう。すぐやるのはむずかしいからその期間内に漸次やれ、そういうことで猶予を与えている、あなたはさっきそう答えたじゃないですか。
  173. 鎌田要人

    鎌田政府委員 そういうこともございましょうけれども、それまでの間に契約の解除という事態もあるでございましょうし、いろいろの事態が想定できるわけでございます。そういうことを前提にして、徴収猶予ということを考えておるわけでございます。
  174. 林百郎

    ○林(百)委員 結局その農地を占有して実際農業経営をしている者を、小作人の場合でも追い出してしまうということで、だんだん農地を取っていく。そして不動産会社のふところをふやす。そこまではあなたは言いませんけれども、結果的にはそういうことになってしまうということになると思いますね。  その次に附則の二十九条の五、これも山口委員がお尋ねになりましたのでダブらないようにしたいと思いますけれども、自治大臣の助言、「適切な助言をすることができる」という「適切な助言」というのはどういう意味であって、これは市町村長をどういうように拘束するんですか。
  175. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この規定は前々から申し上げておりますように、大体いままでそのお手持ちのプリントの前に書いてあるようなことで、市街化区域内の農地に対する手当てというものはほぼ尽きておるのではないだろうか。ただその時点におきましても、これは将来のことでございますから、昭和五十一年度という時点をいま見通すということは、これはわれわれなかなか困難でございますので、その時点において予測できなかったような事態、これに対処するためのいわば最後のセービングクローズといいますか、押えという気持ちで実はこの条文は設けておるわけでございます。したがいまして現在の段階で具体的にどういうケースがあるかということは、ちょっと的確に判定をすることはむずかしいと思います。市町村長がこういう実情を勘案いたしまして、固定資産税減免について当然これは相談をおかけになられると思います。府県を通じておかけになられると思いますが、それに対して私どもが適切なる対応の姿勢をとりたい、こういう趣旨でございます。
  176. 林百郎

    ○林(百)委員 どういうケースが来るかわからないけれども、最後のセービングクローズとして立法したんだという、それはちょっとおかしな話ですね。われわれにはわからないわけです。そうすると市町村長はこの適切なる助言に必ずしも拘束されないこともあり得るんですか。それとからんで、三十条に「政令で定める」ということがありますね。附則の三十条、「附則第十七条から前条までに定めるもの」、これを見たいんです。実はこれがないものだからこういう質問も出てくるわけですけれども、この政令の草案というものはできているのかどうか。要するに附則二十九条の五の自治大臣の「適切な助言」というのは市町村に対してどういう拘束力があるのかないのか。それから政令ではこれかどういうように定められるのか。  それから委員長にお願いしたいのですけれども、この附則の三十条でいまも私が聞いたようなことは、政令への委任であると書いてありますので、この政令の草案を資料として当委員会提出させていただきたいと思います。
  177. 鎌田要人

    鎌田政府委員 二十九条の五の規定につきましては、もちろん助言でございますから市町村長に対しましては命令するという意味での法的な拘束力というものは、これはもちろんございません。ただこの規定の創設の趣旨、経過、こういうものからいたしまして、市町村長に対する助言というものは私どもは一〇〇%守られるものだと確信をいたしております。  それから三十条の政令の内容と申しますのは、これは全く技術的な補完をなすものでございまして、たとえば市街化区域農地に状況類似する宅地、これも結局基準ということで価格を求めるわけでございますが、その類似宅地が非課税地になった。そういう場合には基準の方法がございませんので、そういう場合にはどういう手続をするかとかあるいは端数計算でございますとか、そういういわば本法の規定に漏れておりますものについての技術的な補完をなす規定でございまして、現在検討中でございます。
  178. 林百郎

    ○林(百)委員 いずれにしても附則二十九条の四の市町村長が「一定の期間を限り、その徴収を猶予する」とか、あるいは附則二十九条の五の自治大臣は「適切な助言」を市町村長にすることができるというようなことも、この文面で見ますと、「額の算定その他これらの規定の施行に関し必要な事項は、政令で定める一とありますから、そういうことも含めて政令で定められるものと私たち考えておりましたので、この際委員長にお願いしたいのですが、この政令を、いまある程度の要綱でもいいですから当委員会資料として提出させていただきたいとお願いして、私はこの問題についての質問は終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
  179. 菅太郎

    ○菅委員長 出せますか。
  180. 鎌田要人

    鎌田政府委員 そういうことでまだ最終的なものではございませんけれども、それをお含みおきの上で資料提出いたします。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 では時間の関係あと一問題だけお尋ねしたいと思います。これは公害企業の固定資産税の免税の問題ですが、現行地方税法の第三百四十八条第二項六号の二の「工場排水等の規制に関する法律第二条第一項に規定する製造業等の公共の被害防止のためにする同条第三項に規定する汚水処理施設」及び同条六の五の「公共の危害の防止のためにする大気汚染防止法第二条第四項に規定するばい煙処理施設で自治省令で定めるもの」これらの施設に対する固定資産税非課税になっていることは御承知のとおりですね。これはどういうわけで非課税にしたのですか。まず現行法のいきさつを聞きたいと思います。
  182. 鎌田要人

    鎌田政府委員 公害問題に対処するために公害防止のための施設というものは、本来それぞれの企業の責任と負担において当然設置せらるべきものでございますが、法律規定によりまして設置を義務づけておる、かつそれがいわゆる企業の採算ベースというものから見まして著しく重い負担を課する、こういうものにつきまして、税制上負担緩和の措置を講ずることによって公害防止施設の設置の促進をはかるという趣旨で設けられたものと考えております。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 御承知のとおり、今回の改正案で新しく非課税に追加されたものは、三百四十八条二項六の二「水質汚濁防止法第二条第二項に規定する特定施設を設置する工場又は事業場で政令で定めるものの公共の危害防止のためにする汚水又は廃液の処理施設及び下水道法第十二条第一項に規定する公共下水道を使用する者が設置する除害施設で、自治省令で定めるもの」これが一つ。また同項六の四で「公共の危害の防止のためにする大気汚染防止法第二条第三項に規定するばい煙処理施設で自治省令で定めるもの」また同項六の六に「公共の危害防止のためにする廃棄物の処理及び清掃に関する法律第十五条第一項に規定する廃プラスチック類処理施設で自治省令で定めるもの」となっている。これは法令をそのまま読んだわけですけれども、ところがさきの六十四国会では公害問題が非常に重点的に討議されて、公害基本法をはじめ多くの公害諸法が改正、新設されたわけですね。その中で一番問題になったのは、公害基本法の経済条項の削除をめぐる論議だったわけですけれども、この論議の中で最も強調された一つは、企業と政府とが癒着するという問題、これは社会党の石橋書記長も具体的な石業産業の例で質問したところであり、さらにこういう企業と政府の癒着を排除して、企業擁護の立場ではなくて人間の生命と健康、生活環境を守ることを優先するということであったわけであります。そして企業の責任を明確にする、こういうことであったと思います。この立場は基本法だけでなくて、公害諸法はもとより公害に関係するすべての法律の中にも生かされなければならないことだと思います。  ところが先ほどの自治省の答弁を伺いますと、公害企業の固定資産税非課税とするということでありまして、これでは現行法と今回の改正案との間には基本的姿勢に変化がないように思われるので、その点をただしたいのでありますが、もし真に政府が六十四国会での公害論議を真剣に受けとめて、経済の発展との調和の条項を除いたいきさつに学ぼうとするならば、当然公害における企業責任を明確にして、企業活動によって大きな利潤を得ている企業の公害施設は一切みずからの負担にして、固定資産税の免除等はすべきでないと思う。市街化区域内の農民には百倍にもなるような税金を今後かけようとしているのに、大きな利潤をあげている大企業の、しかも国民の健康と生命を守るために当然自分の責任において設置すべき施設に対しては固定資産税を免除すべきではない。ところがこの改正案は、公害発生大企業の処理施設の固定資産税非課税にして、公害企業の責任をあいまいにして、依然として企業擁護の立場をとっているといわざるを得ないのでありますが、これは大きな利潤をあげているところでありますから当然課税すべきものであって、免除する必要がないではないか。ただし中小零細企業に関しては、別に長期低利の融資とか財政的援助を十分行なって経営活動が成り立つようにすべきなのは当然でありますけれども、大企業に対してはなすべきではない。ということは、これは自民党の諸君にははなはだ恐縮でありますけれども、二十五日に発表をした昭和四十五年度の上半期の政治資金報告を見ますと、自民党への寄付金は財団法人国民協会で四十三億五千五百八万九千円ですけれども、その先を見ますと、公害発生の元凶の一つである電力会社の連合体の電気事業連合会と製鉄メーカーの団体である日本鉄鋼連盟がともに二億円ずつ、巨額の寄付をしている。それから交通事故と一酸化炭素をまき散らしておる自動車メーカーの団体である日本自動車工業会が一億七千七百万円の献金をしておる。鉛——加鉛ガソリンの張本人である石油連盟が五千万円、昭和電工が三百二十万円、ヘドロの犯人といわれている大昭和製紙が二百四十万円など公害企業こそがメジロ押しに大口寄付をしているわけです。こんなに何億という献金を自民党の国民協会にできるような大企業の固定資産税を免除して、そして農民に対しては今後五十倍から百倍の固定資産税をかけていくというのははなはだ不条理ではないですか。経済との調和条項を除いたということをほんとうに自分省がお考えになるならば、公害を発生する大企業の公害排除の施設に対する固定資産税の免除はやるべきでないと思いますけれども、その点どうでしょうか。これは大石さんと局長の両方にお聞きします。
  184. 鎌田要人

    鎌田政府委員 公害対策の第一次的な責任が企業にあるということは、これは何人も疑わないところであろうと思います。特に最近のこういった急激な環境汚染という事態になりますと、公害発生源というものに対する急激な手当てというものが必要であろうと思うわけでございます。ただこの場合におきまして、企業として当然やるべきことのほかに、やはり国なり地方団体なりが税制の面で考える点があるべきことは、御案内のとおり公害対策基本法の中に、公害防止施設の整備について国及び地方団体が必要な税制上の措置を講ずるようつとめなければならないという条文もございます。やはりそういった点からいたしまして、かたがた現在これだけ公害問題がやかましいときに、現行法にあるものまではずしてしまうということは、これは考え方として私は確かに成り立つと思うのですけれども、いまあるものまでこれだけ公害問題がやかましいときに規定を取ってしまうというのは、かえって地方税制自身が公害問題に対して冷淡なるがごとき感じを与えるのではないだろうか、こういう感じがするわけでございまして、その対象といたしましては、現行の規定法律改正に伴いまするものに廃プラスチック類処理施設というものを加えまして、その中身といたしましては法令によって設置を義務づけられ、また企業の収益目的というものでなく、かつその税負担の軽減が公害防止施設の設置を促進するという効果の認められるものについて、しぼって規定をいたしたつもりでおります。
  185. 大石八治

    大石政府委員 もちろん公害対策の基本法に、税制の面でわれわれがつとめるという一つの指示がありますし、それ自体義務づけられた施設でありますし、中小企業等の問題当然ありまして、含めてわれわれはこういう措置をするという態度は一応私ども許されることであろうというふうに考えます。
  186. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ私、これで質問を終わりますが、適切な措置をしろというのは全部税金を免除しろということではないし、またもしあなたの言うようなきめのこまかいことを言うならば、中小企業、資本金幾ら以上の会社についてのどういう施設は免除するとやればいいのであって、上半期に何億円という献金のできるような公害発生企業にまで固定資産税を全部免除してやる、それは受益者負担になるかあるいはだれかに転嫁されてくるのですから、そういう点でいま大石さんや局長の言った答弁は、前の国会で、企業と政府の癒着という点で経済条項を取り除いた、この精神が全然理解されてないというように私は考えまして、非常に大きな不満を持ちます。そのことを申し上げて私の質問を終わります。
  187. 菅太郎

    ○菅委員長 これにて内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。  次回は来たる九日火曜日午前九時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時十三分散会