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1971-03-04 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月四日(木曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       高鳥  修君    中村 弘海君       中山 正暉君    永山 忠則君       野呂 恭一君    豊  永光君       綿貫 民輔君    土井たか子君       中井徳次郎君    山本弥之助君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君  出席政府委員         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         大蔵大臣官房審         議官      吉田太郎一君         自治政務次官  大石 八治君         自治省税務局長 鎌田 要人君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       山本 宣正君         通商産業省企業         局企業第二課長 福川 伸次君         通商産業省公害        保安局鉱山課長 伊勢谷三樹郎君         通商産業省公益         事業局業務課長 北山 昌寛君         参  考  人         (全日本農民組         合連合会中央常         任委員)    梅原  昭君         参  考  人         (全国市長会代         表)      金子小一郎君         参  考  人         (大阪大学経済         学部教授)   木下 和夫君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     松村 正治君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 三月二日  風俗営業等取締法にモーテルの規制移管に関す  る請願外四件(安里積千代紹介)(第一三三八  号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三五五号)  同外四件(小沢辰男紹介)(第一四五三号)  同外七件(戸叶里子紹介)(第一四五四号)  ドライブイン等において酒類の販売を禁止する  法律の制定に関する請願小坂善太郎紹介)  (第一三五四号)  同(木村武雄紹介)(第一四五五号)  同(山中吾郎紹介)(第一四五六号)  同(始関伊平紹介)(第一五〇〇号)  同(古井喜實紹介)(第一五〇一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)  地方税法の一部を改正する法律案華山親義君  外五名提出衆法第四号)      ――――◇―――――
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び華山親義君外五名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案について参考人の御出席を求めております。  参考人は、全日本農民組合連合会中央常任委員梅原昭君、全国市長会代表神奈川藤沢市長金子小一郎君、大阪大学経済学部教授木下和夫君、全国農業協同組合中央会常務理事松村正治君、以上四名の方々であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。両法律案につきまして、それぞれのお立場から、何とぞ忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお議事の順序でありますが、初めに御意見をそれぞれ約十五分程度取りまとめてお述べをいただき、次に委員諸君からの質疑に対してお答えをお願いしたいと存じます。  それから、御意見開陳順序は、梅原参考人金子参考人木下参考人松村参考人順序お願いをいたします。  それでは梅原参考人お願いをいたします。
  3. 梅原昭

    梅原参考人 御紹介をいただきました梅原です。  私は、特に市街化区域農地に対するいわゆる宅地並み課税の問題について意見を申し上げたいと思います。  まず第一番目に、宅地並み課税と一口にいわれておりますけれども、これが実施に移された場合に、農民に対する税金というのは具体的にどの程度のものになっていくのかということを初めに申し上げてみたいと思います。  資料委員皆さん方に差し上げておると思いますが、一枚刷りのものがございます。これは大阪二つの例をとりました。大阪であろうとどこであろうと出てくる答えにつきましては、ほとんど大差のない数字が出てくるはずであります。農地宅地として評価された場合に、二万一千円と評価された場合が第一の場合であります。四万六千六十円、この端数が出ておりますのは、それぞれ具体例をもとにしてやっておりますのでこんな端数が出ておりますけれども、その場合と、二つの例をとっております。  二万一千円の場合をごらんいただきますと、これがA農地に入った場合、B農地に入った場合、C農地に入った場合、そのいずれかに入るわけですけれども、入った場合を計算いたしてみますと、五十三年度で一反歩当たりですけれども税額約十万円になるわけであります。これはA農地に入った場合、B農地に入った場合、C農地に入った場合で、それぞれ少しずつ宅地並み課税実施に入る時期は違ってまいりますけれども、数年のズレはありましても、結局一反歩当たり十万円程度税金になってくるということであります。それが第二の場合の評価額四万六千円の場合になりますと、同じ時点に一反歩当たり二十二万円の税金になってくるという結果が出てくるわけであります。  これの計算の前提としておりますのは、実は今後評価がえが行なわれないという前提で試算をしたところこういう数字が出てくるわけでありまして、現実には四十八年、五十一年、それから五十四年と、三年ごとに固定資産税評価がえが行なわれるわけでありますから、その結果出てくる税額というものは、この表に示されるよりももつと大きな金額になります。かりに、もしもいままでと同じような評価がえが行なわれ、その結果固定資産税額が年々四割ずつふえていくといたしますならば、一番下の注のところに書いてありますように、第一の場合には、先ほど十万円と申し上げましたけれども、十万円のかわりに二十一万円という金額になってまいります。また二の場合には二十二万円と申し上げましたけれども、そのかわりに五十四万円という金額が出てまいります。いずれにいたしましても、こういう十万円あるいは五十万円というような税金になってくるわけでありますけれども大阪の場合でいいますと、米をつくっておりますと、税務署の査定するところの農業所得というものは一反歩当たり五万円足らずであります。つまり五万円足らず農業所得に対しまして、少なくとも十万円以上の税金がかかってくる。場所によっては二十万、三十万という税金がかかってくるという結果を生むわけであります。これは政府の今国会に提出されております方法によって当てはめてみますと、こういう金額がいやおうなしに出てくるわけであります。  そこで、思い出すわけでありますけれども、戦前に悪名の高い、封建的といわれました小作制度がございました。その小作制度のもとにおける小作料でさえも、収穫したものの中の半分は耕作人手元に残してまいりました。ところが、今度のこの宅地並み課税は、農民手元には一物さえも残さないわけであります。こういう農民手元に何ものも残さないような税金、そして税金によっていやおうなしに、農業という自分がみずから選んだ職業を強制的に否定されなければならない。こういう税金になりますと、はたして税金という名に値するものかどうかという点を感じさせられるわけでありまして、これはもはや税金ということばで表現すべき筋合いのものでなかろうというふうに考えるわけであります。  次の問題といたしまして、宅地並み課税が適用されようとする市街化区域農地、つまり、宅地並み課税によって抹殺されようとしている市街化区域農業というものは、一体どういうものなのかということについて、私のおります大阪に例をとりながら若干申し上げてみたいと思います。  御承知のように、大阪人口は七百数十万ございますけれども、七百数十万の大阪府民が消費しております野菜というものは非常にばく大な量にのぼりますが、その中の四割、半分近くのものは大阪府下農民生産をいたしております。ややもしますと、大阪というようなところは農業なんというものはほとんどないのではないかというふうに間々見られがちでありますけれども、大消費地である大阪野菜の実は四割を供給しておるのだということを、まず含んでおいていただきたいと思うわけです。したがいまして、現在野菜値段というものが、単に農民の問題、消費者の問題というだけではなしに、一つの政治問題になりつつあるようなときに、この宅地並み課税実施されようとしているわけでありますけれども、この野菜生産地というものは、またほとんどが市街化区域の中にあるということをひとつお考え願いたいと思うのです。大阪の場合、市街化区域調整区域面積がほぼ半分ずつです。どちらにも入ってないという農地はほとんどございません。どちらかに入っております。野菜生産地市街化区域にほとんど入っておる。つまり野菜の四割を生産しておる生産地というものはほとんどが市街化区域の中に入っておる、こういうふうな状態でありまして、税金によって数年のうちにもし市街化区域農地がつぶされる、いやおうなしに離農を迫られるということになりますならば、必ずいま政治化しつつある野菜価格がさらに暴騰を見る。もちろん野菜価格はそれだけが値段を上げさせている要因ではありませんけれども、さらに野菜の供給を少なくし、値段を高くするということは火を見るよりも明らかだと思うのであります。したがって、こういう大きな問題になって野菜の問題というふうなものを考慮に入れない宅地並み課税ということには大いに疑問がある、私はそう考えているわけであります。  そういうのをもう少し具体的に、市街化区域の中でも最も典型的な大阪市というものをあげて皆さん方に御理解を深めていただきたいと思うわけであります。おそらく大阪以外の方であれば、大阪府の中の大阪市に農業があるということはあまりお考えにならないかもしれません。しかし、実際には、大阪府下のあらゆる地域に比べまして、大阪市内農家専業率というものは一番高いわけであります。いわゆる農業地帯といわれるところはほかにはありますけれども、そこに比べてもなお大阪市の農業のほうが農家専業率は一番高いわけです。また別の数字で申し上げますと、大阪市の耕地面積というものは、大阪府全体の中でわずかに四%にしかすぎません。ところが、大阪府が調べたところによりますと、一年間に三百万円以上の農産物を販売しておる農家、近ごろのことばでいいますと一万ドル農家、こういわれるいわば最高水準農家だというふうに言ってよろしいかと思いますが、大阪府下の中で三百万円以上の農産物を販売しておる農家の実に三〇%が大阪市内農民であります。この辺の数字から見ますと、いわゆる純農村地帯においては考えられないような現象都市近郊に出ているわけでありまして、極端な言い方をしますならば、都会に近ければ近いほど専業農家が逆に多い、優秀な農家が多い。わずかの面積から非常に収益の上がる農業をやっている最も近代的な農業というものが都市のすぐそばにおいて発展をしておる。そしてこの宅地並み課税によってまさにつぶそうとしているのは、そういう農業であるということであります。間々にして新聞などによりますと、都会の周辺の農家というものは、土地値上がりを待って、ペンペン草をはやしておるということがいわれております。一部にそういう農家がないとは申し上げません。しかし、いま申し上げたような面が非常に強くあるということ、この点を見のがして、ただ土地値上がり待ちだというような評論にだけ惑わされてしまいますならば、都市近郊農業というものは、ここ数年足らずして消滅してしまうであろうということを声を大にして申し上げたいわけであります。  次の問題といたしまして、いま私が申し上げましたのは、宅地並み課税そのものについて近郊農業立場から反対であるということを申し上げたわけですけれども、かりにやむを得ないといたしましても、課税技術上から見ても非常に大きな問題があるということを申し上げてみたいと思います。これも抽象論でなくて、具体例をあげて申し上げてみたいと思います。  大阪には、大阪市がございまして、その東側に人口五十万ほどの東大阪市というところがございます。大阪市の一番東大阪市寄りのところ、これの農地宅地としてみなして評価された場合に、予想される価格というものは約四万六千円であります。これは先ほど資料として差し上げた中の第二に入っておるのがそれであります。したがいまして、それに接続をいたします東大阪市のほうもまた約四万六千円であります。接続しておりますから評価額がほぼ同じになるのは当然のことでございます。ところが、今度の宅地並み課税によりますと、すべての土地がA、B、Cのうちのどれかに当てはまる。どれに当てはまるかによって宅地並み課税実施される時期が数年食い違いが出てくる。こういうふうなことになってくるわけですけれども大阪市内の四万六千円の土地C農地に入ります。ところが、東大阪市の四万六千円の農地A農地に入ります。なぜこういう矛盾が出てくるかと申しますと、大阪市の場合には、全域市街化区域でありますが、宅地平均価格が十一万二千円であります。したがって、それの半分ということになりますと五万六千円ですが、五万円以上はAだということになりますので、二分の一以下であり、しかも五万円以下である四万六千円というものはC農地になります。C農地ということになると、一番最後から宅地並み課税実施するというランクに格づけをされます。ところが、東大阪市は、先ほど申し上げましたように、人口五十万ほどのかなり大きな町でありますけれども、ここの宅地平均価格が四万五千円であります。したがいまして、四万六千円という価格は、東大阪市の中では平均価格よりも高いわけでありまして、これは問題なしにA農地に当てはまる、こういうふうなことになるわけであります。同じ評価額のものが一方においてはA農地になり、一方においてはC農地になるという矛盾した現象が出てまいります。  ここで思い出しますのは、昭和三十九年に、御承知のように、土地についての評価がえが全面的に行なわれました。土地評価売買実例方式によってきめるべきだという原則が定められました。そのとき、売買実例価格を採用すべきだという政府の主張のもとになりましたのは、三つございましたけれども、その中の一つは、いままでの評価のしかたであれば市町村間のバランスがとれない、したがって、それを是正するために売買実例価格を採用するんだ、こういうことがいわれてきたわけであります。ところが、いよいよ今度宅地並み課税実施するということになりますと、そういう前の話はどこかへ行ってしまいまして、市町村間のアンバランスというふうなものは気にする必要はないということで、いまのような結果が出てくるわけでありまして、ある場合には市町村間の均衡を言い、ある場合には市町村問均衡は問題にならないと言う、こういう政府考え方というものは、まことに御都合主義というしか言いようがないと思います。  以上申し上げましたように、私は、市街化区域農業というものはあってもいい、なくてもいいという、いわゆる盲腸のような農業ではなくて、都市生活にとっては必要欠くべからざるものでありまして、そこには最も執心な農家がいるということを申し上げたいのであります。したがって、これを強制的に離農に追い込むような宅地並み課税に反対せざるを得ないのはもちろんでありますし、しかもその上、課税技術上から見ても拙劣といわざるを得ないようなこのやり方に対しては、どうしても賛成いたしかねるということを申し上げて、私の意見の陳述といたします。(拍手)
  4. 菅太郎

    菅委員長 次に、金子参考人お願いをいたします。
  5. 金子小一郎

    金子参考人 神奈県藤沢市長金子でございます。  私は、政府の案に賛成をいたすものでございます。  その理由として、現在の農地農地以外の土地、すなわち宅地固定資産税を課する場合の評価額が、前者におきましてはかなり低くなっております。しかもその税額も、昭和三十八年以来そのままに据え置かれておるのであります。  試みに、最近本市におきますところの学校用地として買収いたしましたその価格固定資産税との比較を申し上げたいと思います。取得時期は最近、昭和四十六年二月であります。取得価格単価といたしましては平方メートル当たり二万五千百九円、坪にしますと八万二千八百五十九円であります。この固定資産税評価額は幾らかと申しますと、平方メートルで五十一円であります。坪に直しますと百六十八円。これが固定資産税であります。そういうわけで、この評価額買収価格を割ってみますと倍率が出てまいりますが、これが四百九十一倍に当たっておるのでございます。その固定資産税税額は幾らかと申しますと、単価の平方メートル当たり六十一銭、坪に直しまして二円一銭であります。こういうふうなはなはだしいところの例が、現在藤沢ではもうあたりまえになっております。  その次に都市計画街路を同じように買収したのでありますが、これにつきましては、やはり同じように昭和四十六年の二月であります。その単価は、畑で平方メートル当たり三万八千八百七十三円、坪にいたしますと十二万八千二百八十円、これで買ったのであります。その固定資産税評価は、平方メートル当たり四十六円、坪にしまして百五十二円になります。したがって、その評価額買収価格を割ってみますと、八百四十五倍というふうな大きなものになっております。この税額を申しますと、平方メートル当たり六十七銭である、坪にしますと二円二十一銭。こういうふうな固定資産税であります。  こういうふうな農地宅地との比較をさらに申しますと、昭和四十五年度の評価額でありますが、農地は百二十六円二十一銭、これは坪単価であります。宅地は一万八千四百四十四円、その比例を申しますと百四十六倍という宅地価格であります。四十五年度の税額において、大体一平方メートル当たり一円五十四銭、そうして宅地のほうにおきましては五十六円六十銭であります。税額にしまして三十六倍に当たっております。こういうふうな例があるわけです。もう一つの例を申しますと、農地が百四十三円、宅地が二万三千二百二十九円。これを同じく農地評価でもって割ってみますと百六十二倍ということになっておる。同じ固定資産税でありますけれども、それだけの違いがあるわけであります。もう一つの例で申しますと、一円七十四銭が農地であります。宅地は百十八円十五銭、税額において六十八倍という相違があるわけであります。  こういうふうな非常な不均等な税率になっておっております。こういう事例から見ましても、固定資産税適正化をはかることは、これは当然でありまして、妥当なものと考えざるを得ません。固定資産税法の改正ということは、私どもは賛成するわけであります。  特に都市計画法市街化区域は、大体十年間で都市施設の整備がされることになっておるのでありまして、その農地は届け出をするだけで宅地に転用することができるわけであります。しかも政府案のごときA、B、Cの三段階の農地が、それぞれ漸を追うて評価額を引き上げていくことになってくるわけでありまして、いわゆる財政学的にいうところの急激な増税とはいえないものであります。これは適当な処置であると考えざるを得ないわけであります。  本市におきましては、すでに前から、国鉄以南既成市街地及び湘南海岸までのいわゆる高級住宅地帯地域に存在するところの畑、山林、これは平地林でありますけれども、付近の宅地評価額の七五%もしくは八〇%であります。もうすでにそういうところに介在している畑や平地林は、そういうふうなパーセントの評価をしておる、そうして課税をしております。田は五〇%の課税をすでにいたしておるわけであります。これは、市街化区域とか調整区域とかいうことがない以前からそういうふうにしておるわけであります。  なお、ここで特に申し上げることは、神奈川県は、この市街化区域内になるべく多くの、いわゆる生産緑地団地をつくっておきたい、かような考えでありますし、本市におきましても同様であります。大体三ヘクタール以上――三町歩ですが、三ヘクタール以上の農地団地がありますし仮定しますと、この地区の耕作者がそろって十年以上農耕を継続するという契約をするところの、いわゆる農業協定というものを締結いたすことを奨励しており、またこれを育成しております。もしそういうふうなことになりまするならば、この農地は十年間以上、すなわち、言いかえれば農地並み課税、つまり調整区域並み課税をし、場合によっては都市計画税も取らない、こういうふうなことをするわけであります。そういうことになりますれば、安心してこの人たち農業ができるわけであります。ただし、団地でないといけないところに多少の難点があるかもしれませんけれども、これは当然いたし方がないと思います。うねうね曲がったところのヘビののたくったようなところに介在している農地をいつまでもそういうふうにすることができないことは、これは当然であります。したがいまして、これから宅地化そうとするところにある団地、言いかえればいま言ったような団地農業協定によって保護できれば、その農業者は安心して農業ができるわけでありまして、決して農業者を圧迫するものとは考えられないものでございます。  そういうふうなわけでありますし、その他私どものほうにおきましては、特にこの緑地をなるべく市街化区域内において残さなければいかぬ、こういうふうなことから、いわゆる山林におきましても、これが大体傾斜しておるところの山林でありますならば、これをもし宅造会社に買収されて宅地にされますと、土砂くずれその他の問題も起こってきますし、緑地そのものも減少してまいりますので、これを私どものほうでは、ほとんど全部に対しまして、傾斜地の山林に対しましては全伐を禁じて、そのかわりに、ある認定したところの間伐は許す。したがって、そこに収益阻害を生じますから、その阻害に当たる分に対しまして、一種の、借地料とは違いますけれども補償金を交付する、こういうふうなやり方をするわけでございまして、これによって市街化区域内の緑地相当保全ができるという見込みを立てておるわけであります。こういうふうな例がございまして、こういうことに対しましては、同じく私どもは、ちょっとこの場では違いがあるかもしれませんけれども、こういうふうな山林あるいは保護されたところの農地に対しましては、場合によっては、これは相続税さえまでも多少加減してはどうかという、これはよけいなことですけれども、そういう考えさえ私は浮んでおるわけであります。これを諸先生方に一応参考までに申し上げたいと思うわけであります。こういうふうなわけでありまして、生産緑地をたくさんつくることによって、そこに住むところの住民に生活上の潤いを与える、こういうふうにやるつもりであります。  それから、このことに関しまして、人口急増の都市の例を申しますと、この人口急増の都市におきましては、税収の増加よりも財政需要の増加のほうがはるかに大きいことは御承知のとおりであります。したがって、小中学校の新設増築をするにしましても、土地価格の高いために、昭和四十六年から五十五年までの問に、本市におきましては約二百億の巨費を費やして学校の新築、増築等をするわけであります。また同じくこの都市づくりをするにあたりましては、都市化に対しましては、環境の施設の整備あるいは公害、交通対策、あるいはその他の都市施設をしますために、約七百五十億円ぐらいの、これは最低でありますけれども、金がかかります。これに先ほど申したとおり、二百億の学校の費用を加えますと、九百五十億円という金がかかるのであります、これは藤沢市の例でありますけれども。  そうしますと、ここに問題があることは、十年間に都市づくりをするところの仕事をしろという一つの命令でもあり、また同時に、それをわれわれとしては予想しまして計画を立てておりますけれども、おそらくこれは不可能だと私は思う。はっきり申しますと、この都市化、市街化区域にされたところの土地を、十年間にすることさえ不可能だと思います。そうなりますと、整備を、されないところの市街化区域の中に残る地所が、十年間の以外に出てくるわけであります。こういうふうなことによって、その土地に対しましては、それに接近するところの市街化調整区域土地評価額と非常な大きな差をつくるのは、これはどうかと思う。この点は私ども考えざるを得ないと思うわけであります。しかしながら、この点は、いろいろな条例その他のことによりましてやれるのじゃないかというふうに考えております。  いずれにしましても、かようなことから問題になっておることは、土地区画整理事業をどうしてもどんどん進めていかなければ、この十年間にはやり得ないことは当然でございます。したがって、土地区画整理というものは大体減歩を必ずしなければならないものであります。言いかえれば、一割から三割ぐらいあるいは四割ぐらい、平均して二割ぐらいの減歩をしなければ区画整理というものはできません。これを私どもはなるべく十年間のうちにやりたいという希望を持ってやることは、私どもの、整然たるところの街区を持ち、そうして清らかなところの市街並びに緑、それを保存するところの仕事というものは、これはわれわれが後代に残すべきところの大きな仕事でなければならぬわけであります。こういうふうな点から考えてみますと、この未整理であるところにどんどん農家がかってに家をつくられてしまったのでは、これは困るわけであります。いわゆるスプロール化現象がどんどん起こったのでは、これは困るわけであります。こういうふうなことから、そこにこのスプロール化現象を何とかして食いとめなければいかぬところが問題であると私考えております。この点につきましては、あるいは建築基準法の建蔽率の減少をするとか、あるいは場合によっては、先ほど申したような傾斜地の林地につきましては、相続税の減免問題等も起こってくるのじゃないかと思いますけれども、これはよけいなことですからただ一言申し上げるにすぎません。  いずれにしましても、今回の措置によって農家の税負担に及ぼす程度が一体どのくらいか、これを私はよく調べたのでありますが、専業農家は大体一万六千九百三十二平方メートルの土地を持っておりまして、これは坪数になりますと五千百二十二坪であります。この所得金が七十八万五千五百五十一円というふうな数字に当たっております。その固定資産税は七千八百四十円であります。固定資産税がそうでありまして、都市計画税は千百二十円、こういうふうなわけでございます。これが改正された場合にどうかということになりますと、固定資産税が九千四百四十円に当たりまして、都市計画税が四千四百十円に当たります。したがって、前者は合計八千九百六十円であり、後者、つまり改正後は一万三千八百五十円というふうなことになります。言いかえれば、税金において五四%の増加ということになってくるわけであります。その税の負担の割合から申しますと、この所得に対しまして、あるいはその面積に対しまして、税の負担というものは一・一%にすぎない。   〔委員長退席、砂田委員長代理着席〕 かりにこれが改正されましても一・八%というふうなわけでありまして、それほどの大きな負担にはならないという私どもの見積もりであります。  兼業をかりに仮定した場合にどうかと申しますと、兼業しているところの農家を調べたのでありますが、これによりますと、大体それの持っている地所が三千五百十八坪、平方メートルにして一万一千六百三十平方メートル、不動産の所得は、貸し家を持っているのであります、これが二百五十五万六千九十四円というものになります。それから農業の所得が二十七万六千六百七十三円、合計しまして二百八十三万二千七百六十七円であります。これに対しましては五千二百八十円という税になっておりまして、それが改正されますと九千七百七十円、こういうふうなことになります。したがいまして、パーセントは前者を一〇〇%にしますと確かに後者は二一〇%というふうなことになってきます。つまり言いかえると、専業農家のほうよりも兼業農家のほうが高くなる。しかし、これは当然であってしかたがないわけです。いずれにしましても、農業の所得の点から見ますと、一方につきましては二・二%、片方は四・六%ということになるわけでございます。  こういうふうな点から見まして、都市計画税課税区域に限定することとした政府の原案には賛成いたしますと同時に、本市としては、昭和四十六年度よりこの趣旨に沿ったところの課税をいたしたい、かように思うわけであります。  以上、時間がありませんので、それだけ申し上げまして、ここに参考人としての陳述をするわけであります。  以上でございます。(拍手)
  6. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 次に、木下参考人お願いいたします。
  7. 木下和夫

    木下参考人 御紹介にあずかりました木下でございます。  お求めの地方税法の一部を改正する法律案のうち、市街化区域内の農地に対する固定資産税及び都市計画税につきましての課税適正化をはかる措置に関する政府案について、参考人としての意見を申し上げます。  まず、現行の地方税制度を前提にいたしますと、御承知のように、宅地につきましては、その評価額値上がりの倍率に応じた負担調整措置がとられておりますが、農地につきましては、すべて評価額のいかんを問わず、昭和三十八年の租税負担のまま据え置くという特例的な軽減措置が採用されております。このような特例措置と申しますのが今後とも継続いたしますれば、一種の既得権になるおそれがあるかとも思います。本来こういう特例措置というのは、できる限り早く停止して、固定資産税都市計画税の本来あるべき姿に戻すのが望ましい姿でありますが、しかし、だからと申しまして、農地のすべてについて直ちにこの措置を全廃するということになりますと、まだまだ多くの問題が残されておると考えなければならないと思います。したがいまして、今回、特に市街化区域内の農地につきまして、固定資産税及び都市計画税課税を、その周辺の宅地に対する課税均衡のとれたものにするということにつきましては、税負担の公平という見地から見た場合、また土地問題に対処する土地税制のあり方という見地から見た場合でも、早急に実現されるべきものであると考えます。  現実の状態について若干推測を加えてみますと、東京都内におきますところの昭和四十五年度の課税の実態で見てみますると、農地の三・三平方メートル当たり固定資産税額及び都市計画税額の合計は、隣接の宅地税額比較した場合、約十分の一から極端な場合には約二百分の一となっております。全国平均では、農地の坪当たり固定資産税及び都市計画税の合計は、隣接の宅地税額に比べて約三十分の一ぐらいではなかろうかと推定をいたしておるわけであります。こういうような負担の不公平をそのままにしておくといいますことは、これは一般の納税者の立場から見まして、とうてい納得のできないというところであります。  また、土地政策という立場から見ましても昭和四十四年の一月経済審議会の土地政策研究委員会が出した報告書をはじめとして、同年の二月に出されました東京問題専門委員第五次助言、この助言におきましても、いずれも市街化区域内の農地について、時価評価を基礎として固定資産税及び都市計画税の引き上げを提言しておるのであります。また税制調査会の答申は、昭和四十三年七月以来、前後三回にわたりまして同じ趣旨のことを述べております。一般納税者の立場から見て、この特別の軽減措置を早くもとに戻すということは、これは多数の意見の賛同するところではないかと推測するわけであります。  ところが、この考え方に対しまして反対論が当然出てきておりますが、その中の反対論の一つとして代表的なものと考えられますものを見てますと、都市的な施設が整いますのは、おそらくこれは十年も先のことである。それであるのに、現在の時点で宅地並みの課税を行なうのは不公平だという内容を持った反対論でございます。しかし、この反対論は、農地課税標準が、すでに都市的施設の整った宅地と同じ価格評価されるかのような、全くの誤解に基づいております。その理由は、本案によりますと、都市的施設が整っていない農地評価は、すでに都市的な施設の整っている土地評価に比べて当然大幅に低くなるはずであります。したがって、現時点で、都市化された宅地並みの課税がすべてにわたって都市化されていないところにも行なわれるということはあり得ないことでありまして、この点で、この反対論の論拠というのはいささか誤解に基づいておるんではないかというふうに考えます。また、一般に市街化区域内の都市的施設の整備につきましては、本来地域住民がすべてその負担を分担すべきであるのが道理だと思います。農地の所有者だけがこの都市的施設の整備の財源の負担につきまして極度に軽くて済むということは、とうてい世論の受け入れるところではないのではないかと考えるわけでございます。  さらにいま一つの問題は、さきに指摘いたしました税制調査会の答申の内容を検討いたしますと、市街化区域のうち、都市施設が整備された地域における農地等を対象として、課税適正化をはかることとするという旨述べられている問題についてであります。この答申の中身は、もう少し詳しく申し上げますと、税制調査会の答申は、固定資産税及び都市計画税課税適正化を、市街化区域のすべてについてではなくて、そのうち都市施設がすでに整備された地域のみに限定しておるわけであります。しかし、私の考え方を申し上げますと、課税適正化というのは、このような都市的施設がすでに整備された地域のみに限定せず、市街化区域のすべてについて行なわれるべきであると考えるのであります。  その理由は、第一に、昭和四十五年度の評価がえによりまして、宅地農地との評価額の開きがますます大きくなっております。そのために固定資産税及び都市計画税の負担の不均衡が一そう高まっておるという事実であります。第二に、市街化区域内の農地は、今後は届け出だけで宅地に転用することができるようになったことは皆さまが御承知のとおりであります。第三に、市街化がおくれております地域農地につきましては、相当期間税負担を据え置く等の負担緩和の措置がとられておるということであります。また第四にあげたいと思いますのは、前に述べましたように、市街化がおくれております地域農地評価は、市街化が進んでいる地域農地に比べて当然評価額が低くなるということであります。以上の四点を基礎にいたしまして、この四点を考慮いたしますれば、前に述べました税制調査会の答申にもかかわらず、この措置は市街化区域のすべての農地について適用されるようにすることが妥当であると考えるわけでございます。  もちろんただいまの議論は、税の負担の公平あるいは土地政策の一環としての土地税制の問題という見地から申し上げたわけでありまして、一国の農業政策のあり方といたしましては、別途に、長期の農業のあり方に関するビジョンを基礎にいたしまして、総合的な施策が推進されるべきことは申すまでもありません。たとえば、農地売り渡しに対する公共機関の買い取りあるいは賃貸住宅の経営等への融資、あるいは利子補給、さらに農業適地における代替地の提供あるいはあっせん、また職業転換のためのあっせんあるいは指導その他の総合的な施策が推進せられる必要があることは申すまでもないのでありますが、本案の税制の面についてはその大綱において賛成をいたしたいと思います。  なお、政府案に関しまして問題となり得る点を二点だけ付け加えさせていただきます。  第一の問題は、政府案によりますと、市街化の進展の度合いに応じて逐次税負担の増加を求めるところの、いわゆる負担の激変緩和措置というものを講ずることとされております。しかし、前に述べましたように、市街化がおくれている地域農地については、おのずから評価額は低くなるのでありますから、政府原案におけるほど長期にわたって緩和措置をとるということは行き過ぎではないかという点でございます。また土地政策としての立場からこの問題を見ましても、このような長期にわたる負担の激変緩和措置というものが講じられました場合には、期待し得べき効果というものは、ほとんどなくなるのではないかというおそれさえあるわけであります。したがって、緩和措置の期間につきましては、私の意見では、政府案よりも短縮すべきではないかと考えております。  第二の問題は、都市計画法に基づくところの区域設定の線引きにおきまして、本来ならばむしろ市街化調整区域に入ることが適当であると客観的に考えられるような農業適地さえもが、何らかの理由に基づきまして市街化区域内に取り入れられている場合があろうかと思う点であります。もしこれがそうでございますれば、将来区域の見直し等が行なわれる際に、そこから生ずべき問題の処理のために適切な対策を講じておく必要があるのではないかという点でございます。  以上で参考人としての公述を終わります。(拍手)
  8. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 次に、松村参考人お願いいたします。
  9. 松村正治

    松村参考人 全国農協中央会の松村でございます。  現在本委員会で審議されております地方税法の一部を改正する法律案につきまして、私は主として、政府の改正法案の附則第十九条の二以降に追加されました「市街化区域農地に対して課する昭和四十七年度以降の各年度分の固定資産税の特例」という事項について意見を述べさせていただきたいと思います。  私ども系統農協の基本的態度ということをまず申し上げてみたいと思いますが、私どもはかねてから、市街化区域内の農地固定資産税については、現に農業生産の用に供せられている農地については、転用、潰廃の届け出がなされるかあるいは農業生産以外の用に供されるに至らない限り、固定資産税都市計画税課税にあたっては、宅地並み課税は行なわないよう主張してまいったものであります。したがって、今回の改正案につきましては基本的には賛成いたしかねるというの、が、われわれの基本的態度でございます。  私は税の専門家でもありませんので、税理論はよくわかりませんが、本来固定資産税というものは収益的財産税であるということで、やはり税を負担し得る能力、すなわち担税能力に応じて課せられるべきものと考えております。つまり土地については、その土地を使用することによって何らかの収益を生みます。その収益力に応じた課税がなされるべきだというふうに考えております。しかしながら、現行の地方税法では、固定資産税課税標準となる価格は、三十九年度の改正以降いわゆる「適正な時価」によることとされております。ところが、農地については、その低収益性と、三十九年の評価がえの際宅地に比べて地価の上昇率が低かったという理由で、特例措置として三十八年度の税額が据え置かれてきておりますことは御案内のとおりでございます。このため、最近世論の都市地域農家に対する風当りがきわめてきびしくなってきていますが、市街化区域内に入れられても、自分としてはどうしても農業を継続していきたいという農家もたくさんいることは、先ほどの梅原参考人の具体的な例についてもおわかりのように、はっきりしていると思います。農家はいま非常にきびしい状態に置かれておりますが、そういう農業を続けていきたいという農家については、農地農業生産手段でございますし、農民生活源でございますので、土地が幾らに値上がりし、評価額が幾らに値上がりしようとも、農業生産を続ける農民にとっては実際関係ないわけでございます。そして、農家がよけいに土地を持っているということは、これは農民である以上、農家である以上、やむを得ない当然の結果でございます。したがって、実際実現しない利益を基準にして一般の宅地と同じような課税をしているということはやはり不合理であって、農地として使用されている限り、現行の特例措置は継続されるのがやはり基本的立場ではないかというふうに考えております。  しかし、私は一方においては、税の公平な負担ということについての税理論というものを全面的に否定するものではございません。農地といっても、地価の値上がりを期待して、荒れほうだいに放置して、いわゆる擬装農地とわれわれは申しておりますが、そういうような土地まで優遇してくれというようなことは絶対に申しません。そういうことが一つございます。  それから、基本的な態度は別としても、現在政府法律案が提案されている現段階においては、われわれとしても、この改正法案について具体的な問題の指摘ということをやはりする必要があると思いますので、いまからその問題について触れていきたいと思います。  政府の改正案によりますと、市街化区域農地を、すでに市街化されたところの農地と、市街化が進みつつある農地、そしてまだほとんど市街化されないところの農地というふうに、A、B、Cの三つのランクに分けてございます。そして市街化の進展の度合いに応じて、その負担の激変緩和の調整措置がとられるというようなことは、かりにこの税法が実際施行される場合には、やはり必要な措置ではないかと思います。  また、この改正法案の中で明確にしていただきたい点並びに問題に思われる点についても若干申し上げてみたいと思います。  まず第一点でございますが、一つは、市街化区域農地評価の問題でございます。市街化区域農地については「状況が類似する宅地価格に比準ずる価格によって評価を行なう。」こととし、この場合「造成費に相当する額を控除する」というふうなことで書いてあるようでございますが、この場合、いわゆる状況が類似する宅地価格でございますが、どうやって求めるかということがきわめて重要な問題になると思いますので、この点を明確にする必要があるのではないかと思います。実際具体的な例等をとっていけば、梅原参考人からも申し述べられましたけれども、これを抽象的に考えてみましても、A農地のように市街化が進んでいるところは、比較的近傍の宅地価格はとりやすいようですが、市街化が全く進んでいないところの、状況が類似する宅地価格をどうして求めるのか。その場合は、その農家の住宅の敷地価格に比準ずることになると思われますが、その農家の住宅が遠く離れていて、しかも比較的条件のいいところで正常価格が高い場合は、かなり不合理な結果が生ずるというようなことに結局なるわけでございます。したがって、評価にあたっては、実情に即したきめのこまかい行政措置というものが必要かと存じます。また、そのために関係農業者の意思を反映させるとともに、評価の公正を期するため、固定資産評価員には農業者農業団体の代表を加えていくようにぜひとも指導していただきたい。そういうことによってそういう先ほど申しました不合理を解消していただきたい、そういうように思います。  また、評価の際の差し引かれる土地造成費のことでございますが、これについても幾つかの問題がありますが、特にこの場合は、土地区画整理の場合に減歩が生じますので、この分もやはり造成費の中に加えていただくということが適当であろうかと存じます。  第二は、農地区分の問題でございます。A農地については、いわゆる既成市街地としての条件が整備しているところというふうに思われますので、原則として、これを実行する場合はある程度やむを得ないと考えますけれどもB農地につきましては、宅地平均価格の二分の一以上で平均価格未満の農地でありますから、必ずしも市街化が進行しているとは限らないところまで含まれることになる危惧がございます。これは大いに危惧がございます。したがって、据え置き期間を一年ぐらい延長して、昭和四十九年度から出発するというような形をとっていただくことが適当ではないかというふうに考えます。それからC農地につきましては、五十年まで据え置きとされておりまして、五十五年度で宅地並みにするということであり、しかも自治大臣の助言による減免措置も講じられておりますので、現段階では問題はないようでございますけれども、この場合でも、自治大臣が助言する場合の客観的な基準を設定する必要があると考えるわけでございます。この場合、当然市町村長からの状況の報告に基づいて適切な助言をすることになると思われますが、それについては、市町村長の政治的判断に支配されて地域によって不公平が生ずることのないよう、たとえば市町村長の諮問機関のようなものを設置して、この中に農業者農業団体の代表というものを加えて、民主的に措置してもらいたい、そういうふうにされることが適当ではないかというふうに考えております。その場合市町村にとりましては税金が減るわけでございますので、そういう場合には、場合によっては財政的な配慮というものも若干必要になってくるのではないかと思います。  第三には、基準年度における評価がえの問題でございます。現行法では土地、家屋については原則として三年ごとに評価がえを行なうこととされております。次は四十八年度が評価がえの基準年度ということになりますが、負担調整措置がとられている間は、さらに評価がえをするといたしますと、一そう仕組みが複雑になり混乱を招くおそれがございますので、負担調整措置がとられている十年間は、極端な特別な事例がない限り評価がえは見送るということが適当かと考えます。  また、改正法案附則第十九条の三の第三項では、特別の事情がある場合は、基準年度においてA、B、Cの農地区分を変更することができることとされておりますが、一たん区分したものについて、C農地であったものをA農地なりB農地に変更することは、農家を困惑させることになりますので、極端に課税上の均衡を失するような特別の事態が生じない限り、極力これを変更しないようにするのが適当だと思います。  第四には、昭和四十七年度以降に市街化区域農地になった場合の取り扱いの問題でございます。現在都市計画区域が設定され、市街化調整区域に入っているところが、農家が希望しないのに市街化区域に編入されたとか、あるいは都市計画区域の変更によって、すでに決定されている区域が拡大して市街化区域になった場合は、一挙にA、B、Cの各年度の負担調整年度に適当させて課税するとされておりますが、極端な場合、四十九年度以降において市街化区域に変更せられ、それがしかもA農地に該当されたとすれば、負担調整措置が全くないまま、すなわち宅地並み課税になるということも考えられる問題でございます。課税技術上複雑な問題もあるかもしれませんが、これはやはり、新たにこういうことのないような措置が適当かと思います。したがいまして、改正法案附則第十九条の三の第四項の場合の、新たに都市計画の都市区域設定がされて、市街化区域に線引きされた農地の場合と同様に、その年度を四十七年度と読みかえて、A、B、Cの各農地の据え置き期間及び負担調整措置というものを適用さしていくべきであろうというふうに考えます。  第五には、A、B、C農地という農地区分についての不服申し立ての問題でございます。市街化区域農地をA、B、Cランクに格づけされるわけでございますが、納税者がそれに対して不服がある場合、改正法案では、現行地方税法第四百三十二条によって固定資産評価審査委員会に審査の申し出ができないようなふうになっているようでございますけれども、A、B、Cのランクづけにあたっても、当然審査請求ができるよう措置すべきであると考えます。またA、B、Cランクづけにあたっては、事前に関係農業者に十分周知徹底させるよう取り計らっていただくことが適当かと存じます。  第六は、先ほど金子参考人のほうから申し上げたことにも関係ございますが、市街化区域といえども生産緑地なるものを都市施設の一環として積極的に残していくという施策がとられるべきだという点でございます。いわゆる市街化区域における生産緑地の問題でございます。市街化区域といえども、意欲的かつ高水準の農業経営がかなり比重を持っていることは、先ほどの梅原参考人の例においてもおわかりだと思いますが、都市開発の現況から見て、なお相当期間農地が存続するものと考えられます。都市地域農業が、都市住民に対する生鮮食品の供給、都市における緑地機能の保全、さらには防災、公害防止等にきわめて重要な役割りを果たしてきている現実を無視するわけにはまいらないと思います。現在NHKで大地震が来たときのことについて取材しているようでございますが、実に身ぶるいするような問題でございまして、こういう防災の問題というようなこと一つ考えましても非常に大きな問題があると思います。特に現在の大気汚染をはじめといたしまして、都市環境は年々悪化してまいっております。そういった中で、都市の中に花卉、花木、植木、野菜、そういうような緑地の保全、これは市民農園というようなものでもいいと思いますが、そういう集団、一つの固まりを、緑地として残すということは、都市のサイドから見ても絶対に必要になってくると思います。したがいまして、市街化区域農地は、単にこれは消してしまって家を建てるのだということを期待するだけではなく、むしろ積極的に生産緑地として位置づけていく施策がとらるべきであろうと考えます。そして、これによって自然の保全を行ない、都市農業との調和をはかりながら、住みよい良好な環境のもとでの健全な都市づくりを進めるということが必要であると考えます。したがいまして、そのためには生産緑地は極力集団化して大きいものにすることが望ましいには違いありませんが、農地の交換分合等による集約化はなかなか困難でございますので、おのずから限度もあります。したがって十ヘクタール未満でも、農家が希望する以上、極力これを認めて、その立地、作目につきましても、都市側と農業側が協調する形で選定し、都市施設の一環として助長育成していくという積極的な姿勢が必要ではないかと思います。公園設置の最低基準は四ヘクタールであると聞きますが、神奈川県では、現在四ヘクタールというようなことでこういうことを進めている実例もございます。したがいまして、とにかくぜひともこういうことを積極的に考えていく必要があると思います。  また、政府与党においても、昨年の十二月二十一日の税制調査会で、農住構想を推進するというようなことがございました。四つの点がございましたが、そのうちの四番目が農住構想を推進するというようなことでございましたけれども、それは明らかに、いま私が申し述べました農住構想の農の部分が生産緑地に該当するものでございますので、発想は全く同じでございます。したがいまして、特にこの点につきましては農地としての考え方を貫いていただく。そして、一たん緩急ある場合には、そこに逃げ込むというような体制が必要ではないかと思います。したがいまして、税制面から農業を締め出そうとするのではなく、都市計画の具体的な方針がまず明示され、マスタープランが明示されまして、一方において政府が、都市農業のあり方、それに対する施策を明らかにするのが先決であり、税はあくまでそれらの施策の補完的役割りを果たすにとどめるべきであろう、そういうふうに考えております。税はあとからついていくものだ、まず施策があるべきだ、そういうふうに考えます。  第七番目には、高圧電線下の農地課税問題でございます。これは申すまでもございませんが、高圧電線の下にある土地は補償を受けているわけでございますが、そういう土地は建築が制限されており、農地としてしか利用ができないところもありますので、これらの農地については、市街化区域といえども農地としての課税が継続されるべきだと考えます。  第八には、都市計画税についてでございますが、都市計画税は原則として市街化区域において課税することとされていますが、特別の事情がある場合においては、市街化調整区域においても条例で定める区域内において課税することができるとされております。市街化調整区域は、本来市街化を抑制する区域でありますから、少なくとも市街化調整区域農地については、いかなる場合でも課税をしないということだけは、この際はっきりすべきが適当であろうと思います。  以上で私の陳述を終わります。(拍手)
  10. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 以上で、参考人各位の御意見の御開陳は終わりました。
  11. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 これより、参考人各位に対しまして質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、質疑の際は、参考人の御氏名をまずお示し願います。  なお、質疑者の方にお願いをいたしますが、各党から質疑者が出ておりますので、なるべく簡潔に質疑なさるようお願いをいたします。  中山正暉君。
  12. 中山正暉

    ○中山(正)委員 本日は、御多忙の中を当委員会のために四先生お出ましをいただきましたことを、まずもって委員の一人として厚く感謝を申し上げたいと思います。  まず梅原先生にお伺いを申し上げたいと思いますのですが、終戦直後の政策の間違いが一つあったと私は思う。それは、農地解放というものが行なわれていながら、宅地解放というものが行なわれなかった。農地を持っている方々は、非常な宅地並みの値段で売買をしておられる。宅地に賃貸住宅を持っていらっしゃるような方々は、家賃の値上げも思うにまかせず、いろいろと御苦労をなさっていらっしゃる面がある。私の知っております実例でも、休閑地として持っておられましたのを、結局まあ御自分の農地として持っておられて、それをたいへんな高額な値段でお売りになった実例、終戦前後の混乱の時期にそういうこともあったのでございましょうが、そういう実例も知っておりますし、それからまた、市内の農業協同組合の預金高は、ほとんど土地売買をした金をそのまま入れておる。大阪から梅原先生もいらっしゃっておられるわけでございまして、大阪市内の区役所の中にも農業委員会のあるところがまだ数カ所――二十二区の中で六区か七区でございましたかね、そのぐらい残っておるように思うわけでございます。そういうことで、大阪市内の問題として、また大阪府下とのかね合いで御意見をおっしゃいましたわけでございますが、その際考えられますことは、大阪府という単位で考えてみますと、三〇%でございますか、市内の野菜の需要量を供給しているということでございますが、しかし、近郊、近畿一円から東部市場や、そしてまた中央市場に入っておるのでございまして、大阪府下を単位にとるといささか単位として、範囲として狂いが生じてくるのではないかというようなことをばく然と思うわけでございます。それから御意見の中にありました大阪市内に隣接する東大阪市では、片一方でA農地になり片一方でC農地になる。私は都市の規模として適正な規模を持っていないんじゃないかと思うのです。あれほど狭い過密都市でありながら、周辺に二十七の衛星都市を持っている。これは御意見から派生して私いま考えておりましたことでございますか、そういう意味で、都市としての適正な規模を――最後に御意見を述べられました松村先生もおっしゃいました。まず市街化区域ということをはっきりしなければいけないんだ。その中でまた細分化された地方自治体の組織というものがよけいにその矛盾を来たしておるのではないかと思うわけでございますが、一番最初に御意見をお述べになりましたので、あとの三先生の御意見をお聞きになったはずでございます。  そこで、宅地並みの水準で財産価値に着目して課税するこの固定資産税というものは、今回の改正は、私はむしろおそきに失したのではないかというふうに見ておるわけでございますが、いまの先生方の御意見をお聞きになったあととして、ひとつ、なお御意見がございましたら、農業者立場から見て、農地宅地並みに取り扱っていく上の不合理ですね、いまのお立場でどういうふうにお考えになっておられますか、ちょっと御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 梅原昭

    梅原参考人 初めに、大阪府下農民が三〇%ではなくて四〇%生産していると申し上げましたのは、この資料は私がつくりましたのじゃなしに、大阪府の農林部が公表している数字でございまして、実は数年前までは大阪府下の五〇%生産しておりましたけれども、近ごろはやはり人口がふえてまいりますし、そういう関係で比率が若干下がって四〇%の生産量、こういうふうなことになっております。  それからお尋ねの点、ほかの参考人意見を聞いておまえの当初の考え方はどうだ、こういうふうな御質問であろうと思うのです。いろいろ三人の参考人の御意見、少しずつニュアンスの違いがあると思いますけれども、人の名前ではなくて考え方の問題として申し上げたいと思いますが、一つ共通しておりますのは、農地に対する固定資産税宅地固定資産税とまず比べてみて、宅地に比べて農地固定資産税は安いではないか、つまり税金均衡がとれていないではないかという、その辺の発想というものが前提になっているような感じがするわけです。したがって、その不均衡を是正しよう、こういう議論になっていくのではないか。そこで、農地宅地固定資産税の違いというもの、これは御指摘のあったように違いはあるわけです。私が差し上げた資料でもその点は出ておるわけです。違いはあるわけだけれども、その違いというものが直ちに税の不均衡ということになるのかどうか。その辺のところちょっと意見を申し上げてみたいと思うのです。  一つの問題は、先ほどの四〇%と関係する問題ですけれども農業都市近郊において、都市近郊においてというよりも、都市において全く役に立たない存在であるならば、私はおのずから別個の議論というのが出てくると思うのです。たださっき申し上げましたように、同じことを繰り返しませんけれども都市生活にとって都市近郊農業というものは非常に大事なものである。その中でも野菜という面を考えてみれば、市街化区域農業というものは非常に重要な位置を占めている。これがもしなくなってしまった場合に、さっきもちょっと申し上げましたけれども、いま野菜が高い高いといって大騒ぎになっているが、もっと暴騰を生ずるような問題が出てくる。そういうものを心に入れた場合に、直ちに宅地固定資産税農地固定資産税比較して、不均衡だ、だから是正しろということが言えるかどうか、一つ問題があるのじゃないか。  それからもう一つは、これは農協の松村さんもおっしゃいましたけれども、不均衡という場合には、収益のことをやはり考慮に入れてもらわないとこれは困ると思うのです。たとえば宅地の場合、工場を建てればそこから百万円の収益があるというところと、都市生活にとってプラスになるけれども農民にとって所得としては一万円しかあがらないというところと比べてみまして、百万円の収益のあがるところと同じように税金を払わないから不合理だということがはたして言えるのかどうか。その一万円の収益というものが、国民経済から見て全く役に立たぬことをやっているのであれば、さっき申し上げましたように話は別だと思うのですが、非常に大事な、生産的な仕事をやっておる、かくべからざる仕事をやっておる、しかし、大事なものではあるけれども収益があがらないという場合に、工場からあがる収益と同じだけの税金を払いなさい、それを払わないから均衡がとれておらない、だからこれを是正しなさい、こういう発想のしかたというものについては、ちょっと納得いたしかねる。農業者立場からという御意見でございましたけれども農民立場からしますと、都市近郊農民都市のためにプラスになる仕事をやっているという点を、もう少し評価していただきたいなというのが率直な感想でございます。
  14. 中山正暉

    ○中山(正)委員 私も都市近郊農業というものを否定するものではございません。逆に都市近郊都市生活者の台所に新鮮な野菜を供給していらっしゃる方々に対して、私はむしろ感謝の念を持っておりますし、物価が高い、物価値上げを抑制するということでございますが、逆に言いまして、冬にスイカが食べられるというのも私はその方々の御努力のたまものである、別に皮肉ではございませんで、そう思っておるわけでございますが、逆にしかし、都市近郊農民の方々のうちで、いち早く土地を売ってしまわれて、都市近郊農民はもう不動産屋になったのだというような極端な話もあるわけでございますが、現実に昔二束三文で土地を取り上げられて、その旧地主の目の前で非常に高額な値段土地が売買されているということも、何か私ども政治をする者の一人として、私は特に都市出身者でございますので農業のことがよくわからないのでございますが、しかし、一般人の一人としても矛盾を感じるのです。そこで、いささか派生をする問題であるかもわかりませんが、この地方税法の改正案について、従来から懸案となっておりました市街化区域内の農地課税適正化がはかられること、これは昨年の八月の閣議決定を見た地価対策についての考え方にもあるように、地価対策の推進の一環として税制調査会の答申においても述べられておりますが、周辺の宅地等との間に税負担の均衡をはかるための市街化区域内の農地にかかる固定資産税都市計画税課税を、昭和四十七年度から段階的に適正化するということで、地価対策としては、本来このような宅地供給の促進のための税制上の措置のほかに、公的土地の保有の拡大、それから大規模宅地開発の推進のほか、土地の仮需要の抑制、それから有効利用の促進などの諸施策も含めまして、総合的に実施せられるべきものであると思うわけでございます。特に農地課税適正化をはかるためには、市街化区域内における都市づくりのビジョンとともに、先ほど申しておりました農業のあり方の策定、近郊農業というのはどうあるべきか、総合農政全体の問題からからんでくる問題だと思います。そこで、私は、今回の改正地方税法が適用される昭和四十七年度までに、緊急に総合的な地価対策及び市街化区域内における都市づくりのビジョン、それから農業のあり方を策定する必要があると思うのでございますが、農業関係の専門家である梅原先生に限らず、何か御意見がございましたら、参考人のお立場から市街化区域内、特に大都市における農業のあり方についてお答えが願いたいと思います。固定資産税というのは、財源不足に悩んでおります大都市にとりましては非常な大きな税目であるわけでございますので、そこらのかね合わせから、大都市農業というものは将来どうあるべきかということを、総合農政の一端として都市立場からひとつどうお考えになっておられますか、御意見がお聞かせ願えましたらありがたいと思います。
  15. 梅原昭

    梅原参考人 こういう席ですから、あまり大ぶろしきは広げたくないと思います。きょうの問題に関係のある事項に限って申し上げたいと思います。  大都市近郊で、中山さん御承知のように、まだ水田があるわけですね。大都市の近郊で水田をつくっているというのは、いまのような米の生産調整という問題は別にしましても、やはりこれは都市近郊らしい農業とは言えないのじゃないかという気がするのです。やはり都市近郊の、最も都市近郊らしいものは、先ほど申し上げたような、都市に対して生鮮食料品を供給をする。市街化区域ということで言いますならば、やはり野菜が主力だと思うのです。ここで野菜を――野菜と一口に言いましても、キャベツ、白菜というふうな遠くから持ってこれるものと、ホウレンソウのような遠くから持ってこれないものがあるわけです。都市近郊、たとえば大阪のようなところでつくらなければならないのは、遠隔地からは持ってこれない、足元でなければつくれないという、そういう野菜ですね。これが大阪農民が力を入れてつくらなければならないものなんではないかというふうに思うのです。そういうものが現実に主力になりまして、さっき申し上げましたように、七百万府民の四割ほど供給をしておるわけですけれども、少なくともそういうものは育成助長すべきなのではないか。だから、そういうものについても、都市立場から見て最も必要だと思われる野菜を供給するような畑、そういうものについてまでも税金でつぶしていくというのは、はたしていかがであろうかという感じがしてしようがないわけです。やほりその面は育成していくべきじゃないか、これが都市近郊の中心をなしていくべきではないかという考えを持っております。
  16. 中山正暉

    ○中山(正)委員 委員長から時間のことでの御注意もございましたので、時間的に節約をいたしたいと思います。  せっかくの機会でございますので、木下先生に、ひとついまの問題から、都市の出身者としてお伺いをいたしておきたいと思うのですが、御承知のように、大都市は非常に財源不足に悩んでおります。その上、先ほども話を出しましたように、A農地C農地、道一つ隔てて差が出てくる。これは都市の組織というものが適正な組織になっていないのではないか。大都市大阪人口が激減をしておりまして、名古屋市に追い越されるのではないか、日本第三の都市になるのではないかという話もあるわけでございます。ところが、流入人口といいますか、昼間人口は百五十万人くらい近郊から入ってまいります。そうして、そのために非常な投資をしていかなければならない。大都市を持っておる府県はみな裕福で、交付税ももらっていない不交付団体であって、そうして大都市が交付団体に成り下がっているという哀れな現状を示しておるわけでございます。そういう面から、大都市税財政制度というのを一体どういうふうに、この問題から派生をして恐縮なんでございますが、簡潔にひとつ御意見をお聞かせ願えれば――固定資産税というのが大きな大都市の税源でございますので、その問題に関連をいたしまして、大都市制度というのはどういうふうにお考えになっておられますか、この質問で終わりたいと思いますが、ひとつお答えを願いたいと思います。
  17. 木下和夫

    木下参考人 御指名になりましたのでお答えしないわけにいきませんが、第一の問題でございますが、たとえば、いまの都市の行政区域というものが現実に適合しにくいという点で、再編成をやるべきだということを念頭に置きながらの御質問だろうと思いますけれども、今回の都市計画法に基づく線引き作業と申しますのは、都市計画の問題でございまして、そこまで私は問題を拡大して考えてはおりません。都市計画をもっと広域的な見地から行なうということがさしあたり必要かと思いますけれども、現在の行政区域をそのままどうするというような問題には直ちにつながるものではなかろうと考えております。  それから第二に、大都市の財源ということでございますが、これは今後実態に即して新規の財源もやはり考えなければなるまいということは、大都市内に居住する住民の平均所得水準が低くて、周辺部に高い所得がどんどん逃げておりますので、勢いそれから税負担が平均的に低くなる、収入が減る、増加率が少ないという結果をもたらしている。しかるに都市的施設は非常に行政需要として大きいという難問がございますから、先般、昨年の十一月でございましたか、地方制度調査会の答申の中に出ておりますように、区域の問題を離れましても、大都市特有の財源、たとえば事務所、営業所等に対する新規の課税というような考え方は私は賛成でございます。固定資産税の問題と直結いたしませんけれども、従来大都市ではもっと固定資産税収入があってしかるべきであったのが、非常に僅少にとどまっておるという印象はぬぐいされないものがございます。お答えになりますかどうかわかりませんが……。
  18. 中山正暉

    ○中山(正)委員 大都市出身議員でございますし、当地方行政委員会にも大都市出身の議員が非常に少なうございますので、多勢に無勢でございまして、まことに質問時間も短縮をされております次第で、要を得た質問になりませんでしたが、非常に貴重な御意見をお聞かせいただきましたことを厚く感謝いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。たいへんありがとうございました。
  19. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 山口鶴男君。
  20. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間の関係もありますから、簡潔にお尋ねをいたしたいと思います。  今度の固定資産税市街化区域内の農地宅地並み課税の問題は、政府与党の土地対策の貧困というものがやはり問題ではないか。土地利用計画も立てていない。それからさらに、土地値上がりというのは、そこに道路ができた、あるいは鉄道ができたというような、土地所有者とは関係ない、いわば公共投資によって地価の値上がりが起きているわけでございまして、そういった開発利益をたまたま当該地域土地を持っておった人間が私するところに、問題があるわけでございまして、これらの問題をやはり基本的に解決をしていかなければならない。しかるに、この土地対策の問題を固定資産税のみによってやろうというところに、今回の立法の無理がある、かように私は考えるわけであります。その点、梅原参考人の御所見をひとつ承りたいと思います。  それからさらに、基本的にお話を伺いまして非常に参考になったと思っておりますが、百歩譲って、私どもとすれば、あくまでも農業を継続したいという気持ちの方は、かりにこの税法が通ったとしても、農地並み課税をやはり保証するということが必要ではないのか、かように思います。その観点で、十ヘクタール以上の農地については、継続する者は調整区域にする、十ヘクタール以下であっても生産緑地といいますか、施設緑地という形で農地並み課税を保証する等の措置を、私ども強く要求をいたしておるわけでありますが、梅原参考人として、少なくともこの程度の保証は最低必要だというお考えがあれば、ひとつ承りたいと思います。  次に、金子参考人にお尋ねしたいと思うのですが、具体的な例をお示しをいただきました。専業農家、兼業農家、二倍程度の増税になる、こういうお話でありますが、これはA、B、C、いずれの農地を想定しておられるのか。それからさらに、農地の格づけによって、四十七年から、四十八年からというふうに変わってくるわけでありますが、一体四十六年に対して具体的に四十七年あるいは四十八年、四十九年といういずれの年を想定しての比較でございますか。また、三年ごとの評価がえがあるわけでありますが、そういったものは一体考慮をいたしておるのか。ばく然とした比較でありますので、具体的にひとつお示しをいただきたいと思います。  それから木下参考人にお尋ねをいたしたいわけでありますが、確かに税の不公平という点は、私どもすべてこれを否定しようということではありませんが、ただ、私どもが審議しております地方税法の中には、単に固定資産税のみならず、すべての点において、不公平というものがあるわけです。国税の特別措置がそのまま地方税にも持ち込まれております。地方税のみの特別措置、たとえば電気ガス税につきましても、四百四十一億円というものが実は減免をされておるわけであります。したがって、税の不公平に言及されるとするならば、単に市街化区域内の農地宅地比較して不公平だということではなしに、他の不公平に着目することのほうが必要ではないかと私は思います。この点の御所見を承りたいと思います。  それから、十年間に都市的施設をやっていこうというのですが、建設省の推計でも五年以内に少なくとも上下水道、道路等の整備をやるのには六兆四千億円の投資が必要である。現在都市においてすら日本は下水もほとんど普及してないという状況です。十年間に都市的施設を整備するとすれば二十兆円にのぼる投資が必要だということであります。そういった投資がはたして可能かどうか。現在の状況から見ましてひとつお考えを承りたいと思います。  それから、東大阪大阪市とのアンバランスの問題を梅原参考人が指摘されました。これは私は、やはり大きな問題だと思います。現行の行政区域、またA、B、C農地のランクのしかた、これによっては梅原参考人が指摘するような大きなアンバランスを生ずるおそれは多分にございます。こういったアンバランスについて一体どうお考えでございますか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。  松村参考人からは、いろいろお話をいただきました。具体的な提言もいただきました。時間の関係で松村参考人に対するお尋ねはやめておきたいと思います。
  21. 梅原昭

    梅原参考人 簡単に意見を申し上げたいと思います。  まず地価問題ということで見た場合、なぜ大都市周辺の地価がこんなに高くなっていくのか。何か新聞などによりますと、いかにも農民が売り惜しみをしておるから値段が高くなっておるのだというふうな風潮の書き方になっておるのですけれども、客観的に見ますと、もう十年以上にわたって高度成長政策が続けられてきた。その結果、既存の大都市の周辺に資本が集中するような政策がとられてきた。これがやはり一番大きな原因ではなかろうかと思います。そのためにあと何年かしますと、いわゆる太平洋ベルト地帯といわれるところに日本の人口の八〇%が集中するであろう、そういうふうな見通しさえいわれておる。こういう点が一番問題なのであって、したがって、いわゆる過密といわれるもののうちはらに過疎問題が出てくる。過疎が生じた結果として地価の上昇という問題が出てきておる。基本的にはそういうことであって、したがって地価問題を基本的にどうするのかということになれば、その辺の基本的な経済政策を一体どうするかという問題を素通りにして地価対策は立てられないのではないかという感じがいたします。  山口さんのおっしゃった、開発利益の問題を固定資産税にしぼるという点についてはどうなんだ、こういうふうな問題でありますけれども、鉄道が敷かれる、道路が通る、そういう土地所有者が直接投資をしたのでない公共投資によって土地値段が上がっていく。それを土地所有者がいわゆるひとり占めをするという問題についてはどうなんだ、こういうふうな問題であろうと思いますけれども、たとえば農民土地を売った場合ですね、金が入る。その場合に税金を一体どういうふうに取るのかという問題、あるいは宅地になった場合に、それに対する税金をどうするのか。これはおのずから別個のものがあると思うのです。ただ、私は、これは国の政策という立場から見ましても、さっきも申し上げことですけれども近郊農業というものが必要である。しかもその農民自身が続けたいということで一生懸命やっておる限りにおいては、それを強制的にやめさしてしまうようなやり方税金によってやめさしてしまう、こういうふうなやり方はとるべきでないというのが、先ほどから申し上げておる私の考え方であります。  二番目の問題としまして、少なくともどういうことが確保される必要があるのかというような意味でのお尋ねかと思いますけれども、最低限二つの問題はここで確保しておいていただく必要があるのではないかというふうに思います。先ほどから申し上げておりますように、基本的に宅地並み課税それ自体には反対でありますけれども、少なくとも次に申し上げる二つの点だけは確保されるべきだと思います。第一番目は、先ほどほかの参考人のほうからも御意見が出されておりますけれども政府案との関連で申し上げますと、附則の二十九条の五というのに、市街化がまだあまり進みそうもないような地域に対しては自治大臣があまり税金が高くならぬように減免の助言をすることができる、こういうふうな規定が入っているわけでありますけれども、こういう規定を入わざるを得ないということ自身が、実は宅地並み課税に対する自信のなさ、説得力のなさというものを私は表現しているんではないかと思います。ですから、こういう適切な助言をすることができるというような、してもいい、しないでもいいというふうなものではなしに、これはいままで政府が国会でも約束をしていたように都市施設が整っておらないところ、具体的に言いますならば、上下水道、ガスというふうなものが整っておらない、したがって宅地とすることがふさわしくないところについては、宅地としての税金は取らない、このことを何らかの形で明確にすべきではないかというふうに思います。いままでスプロール、スプロールとこういっているわけですけれども、上下水道もガスも通っていないようなそういうところについてまで、宅地にすればなるんだということで宅地並みの税金を取るということ自身が、私は論理として矛盾をしておる、こういうふうに思います。それが第一であります。  それから第二番目の問題、これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども近郊農業という立場から見た場合に一番必要なのは、市街化区域の中でだけ限定して申し上げますと、やはり野菜だと思うのです。地域によって多少の違いがありますけれども、そういう都市生活にとって最も必要だと思われる作物をつくっているような畑ですね、そういうものはやはり宅地並み課税から除外をすべきではないか。都市生活にとってぜひとも必要だと思われるものをつくっているものについてまで、それを税金でやめさせるというのは全く不当ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  22. 金子小一郎

    金子参考人 お答え申し上げたいと思います。  これは私も実は係の課長に先に聞いたのでありますが、この比較につきましては、台帳にはC農地をもとにしてやったのであります。それからもう一つは、将来のことですが、これが非常にむずかしい問題になってきておるわけでございまして、専門の課長といえども実はわからない点があるわけです。というのは、現時点での推計ということは非常にむずかしい点があります。というのは、基準年度の改正というものがなければ、その後でないと負担調整の調べができないのであります。その処置があって初めて将来の推計ができるわけでありますけれども、この基準年度の改正に対する負担調整の処置がはっきりしていない、したがってこれに対してはいまのところ推計のしかたがない、こういうふうに思います。
  23. 木下和夫

    木下参考人 お答えいたします。  税における公平と不公平という議論は、私ども税を勉強いたしております人間にもきわめてむずかしい問題でございまして、はっきりした共通の議論というものはなかなかできないと思います。ただ、少なくとも言えることは、税における公平というのは、同じ課税標準に対しては同じ課税上の取り扱いをするということだろう、これが基本だと思います。そして課税標準が大きいものにはそれだけよけい負担をさせるという累進課税その他の公平という考え方も出てまいります。いま問題になっております税の不公平、公平の議論は、まさに同じ課税標準に対しては同じ税制上の取り扱いをすべきだという議論でございます。そういう面に限定をいたしますと、おっしゃいますように、固定資産税ばかりでなく国税、地方税を通じてさまざまの不公平というものがあることは私どもも十分存じております。しかし、もし先ほどおっしゃいましたような議論を突き詰めていきますと、ほかに不公平があるから固定資産税の不公平だけを議論してこれを手直しするというのはおかしいという議論ならば、それがもし意味のある議論であるならば、すべての不公平は放置しておけということになってしまいます。だから、私ども固定資産税についてしゃべれということを御下命ございましたので、固定資産税というところから出発いたします。  それには見方が二つあるだろう。一つは税の負担の公平の問題もう一つ土地政策として、土地政策のたくさんあるプログラムの一つとして固定資産税考えた場合にどうこれを評価するかという立場からお話を申し上げましたので、固定資産税で不公平を是正するとすれば、この措置は妥当であるという判断になったわけでございます。  以上でございます。
  24. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 木下参考人にはあと二つお尋ねしたわけでございますが、やはり私どもとすれば、市街化区域に入りました農地につきましても、従来からの税制調査会の答申その他は、都市的施設というものが具備されている農地については当然宅地並みの課税がしかるべきではないかというのが趣旨だったと思うのです。現実にわが国の市街地であります地域におきましても都市的施設というのは非常におくれている。この際、この新都市計画法に基づく市街化区域というのが百十八万ヘクタール、そのうち三十万ヘクタールが農地であります。これらの膨大な地域都市的施設を進めていくということは現実になかなか困難ではないだろうか。そういった点で一応政府も見通しは十年間に二十兆というようなことをいっておるわけですけれども、そういったものがはたして可能であり、十分都市的施設が整備されていくだろうかという点について、特に御感想があれば承りたい。
  25. 木下和夫

    木下参考人 先ほど忘れまして申しわけございません。  その点につきましては、すでに先ほどの公述のときに申し上げた四点でございます。しかし、その中で一番重要と思われる点だけをここで申し上げますと、市街化がおくれております地域農地評価につきましては、市街化の進んだ地域農地に比べて当然評価額が低くなりますので、その点、不当に市街化のおくれている地域課税の重圧がかかるというおそれはないという判断をしております。  第二には、市街化がおくれております地域農地についてはかなりの期間、税負担を据え置くという措置が織り込まれておりますので、この点もいま申し上げました点に加えて急激な不当な課税が行なわれる予防は十分講じられておるというふうに判断をいたしております。
  26. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 時間の関係もありますから、もういいです。
  27. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 和田一郎君。
  28. 和田一郎

    ○和田(一)委員 数点ちょっとお聞きいたします。  最初に金子市長さんにお聞きしますけれども、市長さんは全国市長会の代表という立場でおいでになっていらっしゃいますので、そういう面で全国的なことをちょっとお聞きしたいのです。  先ほどのお話でございますと、いわゆる藤沢市周辺ということに重点を置かれたように私お聞きしたわけでございますけれども、全国をずっと見ますと、中小都市が相当ございます。現実に見ますと、ビルの建っているすぐうしろがたんぼであるというところが一ぱいあるわけです。しかも大体道路に面したところがずっと家が建っておって、一たん道路から入ると全部農地である、そういうところがほとんどだと思うのです。しかし、いままで線引きの問題でいろいろあちらこちらでも問題がありましたけれども、とにかく市街化区域に入りたいという意思は農家の方もあったことは事実ですね。ですから、案外市街化区域がそういう面でも広げられている面があると思うのです。そういうところはどうでしょうか。先ほどの藤沢市だけの御意見ではなくて、そういった面での御意見をひとつお聞きしたいと思います。
  29. 金子小一郎

    金子参考人 これは全くごもっともで、実は私の狭い経験からいくと、自分の市が主になりますので、全国的なということになってくるとややその点おわびしなければならぬところがあるかもしれません。ただ、しかし、この新都市計画法というものをつくった理由というものの中には、もちろん非常に古い都市計画法、大正八年というのですからずいぶん古いものであります、したがって、これに対してはいわゆる民主的でない点があるということから、新都市計画法ができたには違いありません。しかし、ここに特別の問題としては、先ほどから論議されておるところの市街化区域調整区域二つに分かれているのが大きな構想であると考えるわけです。したがって、これをきめる場合におきましては、その当該の府県からの素案というものもありますし、市自体からの、私は市でございますが、市町村自体からの素案もあるわけであります。それをもとにいたしまして、各農村部落を回りまして、そしてこれに対しますところの考えを聞いて、そうしてこの素案がよろしいか素案が悪いかということについて、再三にわたって公聴会を開くわけであります。いままでの手段としては、やったわけであります。ほかでも私はやはり同じだと思います。そうしますと、その市なら市に適当なところの市街化区域と市街化調整区域というものが当然そこに設定せられたものと解釈せざるを得ないわけであります。これがまた当然だと思う。もしそうでなければおかしなもので、強圧的にやったかあるいは漫然としてやったかということになりますけれども、おそらくそういうことはあり得ないという前提が起こるのではないか。そうなりますと、やはりその市に適したところのやり方によってこの市街化区域を将来りっぱな都市施設を講ずる、十年間のうちに講ずるということは、これは当然考えられるわけであります。こういうふうなことから判断すれば、私が先ほど申したようなわけでありまして、農地宅地との大きな納税あるいは評価の違いがあるということは、ほかの市においても、多少の差はあっても相当なものがあるということを認めざるを得ないと思うわけであります。したがって、そこにやはり市街化区域に編入をしたところの農民というものは、将来はそこは市街化になるのだという覚悟をもってそこに編入されたであろうし、もし反対した人は、当然永久にあるいは長く農業をやるのだから、ここは調整区域にしてもらいたいというふうなことでやったと解釈する以上は、やはり同様なやり方で十年間のうちにこれをやるということになりまするから、大本的には私の先ほど申した理由とあまり違ったことはないのじゃないか、かように考えております。
  30. 和田一郎

    ○和田(一)委員 御意見をお聞きしておくだけにいたします。  次に、木下先生にお聞きいたしますけれども、今回のこの税法の改正をよく見ますと、いままでも梅原、それから松村先生方からの御意見にありまたしように、やはり農業を希望する方が相当多いわけです。そういったところで、回りの客観情勢によってきめられてしまった、回りの近傍宅地価格によって値段が上がってくる、そのために農業をやめなければならない、こういう問題があると思うのですね。ですから、どうでしょう。客観情勢ばかりにあやつられて、そうして自分の意思が全然反映されない、そういうふうにとるべきものが相当あると思うのです。さらにこれは憲法に保障されておりますいわゆる職業の選択の自由、そういう問題に対して先生の御意見を伺いたいと思います。
  31. 木下和夫

    木下参考人 お答えいたします。  職業選択の自由に関する憲法の問題は、私はしろうとでございまして、とうてい正確な法律用語でもってお答えすることはできませんが、まさに異論のないところで、しかし、この税がそこまで、いわば職業の選択に介入するというおそれがあるとは私は考えておりません。むしろたとえば国土の全体について土地をいかようにもつと有効に利用していくべきかという見地から、それの一環としての政策というふうに私どもは理解すべきではなかろうか。そうでなければ、たとえばどこの国でも、都市の計画を立て国土の計画を立てますときには、必ずプランニングが必要です。   〔砂田委員長代理退席、委員長着席〕 あるいは地域によるゾーニングというものが必要になってきます。これをもってすぐに職業選択の自由の否定だとか、あるいは無理に押しつけて税でもって職を変えさすというふうに受け取られるならば、一切の計画は、これは不可能になります。やはり個別的な利益というものと社会的な利益というものを調和させなければいけない。そういう点で考えていただきますと、私は、この税が現在のところ、いやがるものを強制して無理に職業転換させる結果になるとは思っておりません。
  32. 和田一郎

    ○和田(一)委員 すみませんが、もう一問木下先生にいまのことでお聞きしたいのですけれども、全体的な見方からすれば、そういうことも成り立つと思いますが、現実に自分はあくまでも農家をやっていきたい。しかしたまたま市街化調整区域じゃなくて、市街化区域の中に入ってしまった。しかもその農地税金が上がる。そういう現実が多々あるのです。例を一つとって恐縮でございますけれども、そういう例の場合に、確かに梅原さんからもお話しあったとおり、農業生産の収入と税金とがとんとんというような場合も出てこないとも限らない。そういった場合に対する御意見をいまお伺いしたわけなんですけれども、その点について。
  33. 木下和夫

    木下参考人 お答えいたします。  固定資産税という税の本来の趣旨が、その仕事、その固定資産を利用して獲得する収入というものは直接に関係を持っておりません。その所有する資産の適正な時価において課税をするということになっておりまして、たてまえとしては財産税でございまして、取得税あるいは所得税ではないということであります。したがって、その例をさがせば多々あると思います。たとえば賃貸料なしで土地を貸しておるという古いしきたりを受け継いで、賃貸料なしで貸しておるというケースが農村に参りますとたくさんございますが、そういうものでも家主ないし地主が固定資産税を払っておるというケースもあり得るわけであります。だから、現在この問題が起こったからすぐに収入に食い込むという固定資産税の負担があれば、私ならばそのような経済計算はできないわけでありまして、もし収入に食い込むような固定資産税の負担があるならば、私はもっと収入の上がる方法を講じます。その土地なりその他を利用して、もっと収入のある方法を講じます。私はそういう考え方でこの問題を見ている。
  34. 和田一郎

    ○和田(一)委員 どうもありがとうございました。
  35. 菅太郎

    菅委員長 小濱新次君。
  36. 小濱新次

    ○小濱委員 重複を避けまして二、三質問を申し上げたいと思います。  最初に梅原参考人にお尋ねしたいと思います。いろいろと貴重なデータを示されて宅地並みの課税に対する御意見を拝聴いたしました。これは私どもがいろいろと地域別に取り寄せたデータもほぼ同じのような内容を示しておりまして、非常に大きな問題であると私ども考えております。この点について、先ほどの木下参考人の御意見の中でも、反対の意見の中にその論議がかわされているけれども、いろいろの対策が示されるので、これは誤解と、こういうふうに考えているというような御意見がございました。そういうことでいろいろと農業を営んでおられる方々からの御意見もわれわれも聞いておるわけですが、この法案も近日もう採決をしなくちゃならない段階を迎えておる。そういうことで、われわれもその結論を急がなくちゃならないわけですけれども、もう少し農民に対して納得のいくような――この内容が非常に見通しがないとか非常に不安であるとか、こんとんとしているとか、こういう声でわれわれは訴えをされるわけですが、そういうことの理解を深めていくという対策をこれは一日も早く進めてもらわなくちゃならなかろう、こう思うわけです。その点の理解ができ得れば、この問題もおのずから解決が示されるだろう、こう思うわけですが、またそうなれば、違った面での意見もまたそこに織り込まれていくであろう、こういうふうに私は考えているわけです。ひとつ農民組合連合会という立場で、この対策をわれわれは強く要望したいと思うわけですけれども、御意見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  37. 梅原昭

    梅原参考人 いまの質問の意味がどうも十分よくとれないのですが、恐縮ですけれどももう一度。
  38. 小濱新次

    ○小濱委員 おそれ入りました。簡単に申し上げますと、市街化区域内の農家がすごい反対をしているということで、もっと理解をさせる必要があるのではないか、組合の立場からどうか、こういう内容でございます。
  39. 梅原昭

    梅原参考人 私個人の考え方といたしましても、また私が所属しております全日本農民組合というふうな立場からしましても、宅地並み課税というものは市街化区域においてすべきではない、こういうふうな考え方でおります。  その理由については、先ほど来申し上げておりますように、簡単に言いますと、近郊の農業というものは、都市そのものにとって必要なのだ、あってもなくてもいい盲腸のような存在ではなく、なければならない都市生活の一部を構成しているのだ、そういうものを取り去ってしまったあとに出てくる都市というものは、一体はたして何であるのか。こういうふうな立場から、宅地並み課税というものはすべきではない、こういうふうな考え方を持っておるわけであります。  それからもう一つ税金の負担の面からいきましても、たとえば先ほど来出ておるお話で、都市施設があまり進んでいないところについては、固定資産税評価額自体が、都市施設の整っているところに比べて同じではない、低いわけだから、そういうものについてはあまり農業をしたいという者について税金の重圧ということは考えられたいのではなかろうか、こういうふうな御意見もありましたけれども、たとえば具体的な例として、坪当たり評価額一万円のところをとってみます。私は、市街化区域の中で宅地として評価した場合に、一万円というところは決して高いところではなかろうと思うのです。どちらかといえば、評価額としてかなり低いところだろうと思います。そういう区域は、都市施設の整備されておらないところと見ていいだろうと思いますが、そういうところで十年とたたないうちに、これは都市計画税固定資産税と両方合わせますと、一反歩当たり四万八千円の税金になるわけです。四万八千円の税金というのは、農業所得に比べてどうなのかと言いますと、先ほど大阪の場合には、水田の場合五万円足らずだと言いましたけれども大阪以外の場合であっても、せいぜい六、七万というところが普通一反歩当たりの所得だろうと思います。だから六、七万、あるいはせいぜい高くて十万円の所得のところに対して四万八千円、つまり約五万円程度税金がかかってくる。しかもこの五万円程度税金というものも、四十八年度、五十一年度、五十四年度に行なわれるであろう評価がえを無視して計算してみても、なおかつそれだけの税金になってくる。そういう評価がえが三年ごとに行なわれるわけですね。現実には五万円以上の税金になってくることは明らかだ。こういうことになれば、都市施設の整備されておらない一万円というふうなへんぴなところであっても、結局何年か後には農業所得と同じぐらいの税金になってしまう。もちろん言うまでもなく、固定資産税というのは所得に対してストレートにかかる税金ではございませんけれども、それにしても農民は一体何によって税金を支払うかといえば、農業から得たもうけによって税金を払う以外にないわけでありますから、結局税金によって、へんぴなところといえども都市施設の整備されておらないところといえども、結局十年もたたないうちに強制的に追放されざるを得なくなる。  こういうふうな内容のものになってまいりますので、私個人といたしましても、私の所属しております農民組合の立場からいたしましても、こういう宅地並み課税というものについては賛成をいたしかねる。したがいまして、私たちが農民政府立場に立って説得をするのではなくて、むしろ農民立場に立って、ひとつ政府考え方を改めてもらいたい、こういうふうにお願いをしたいところでございます。
  40. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへんありがとうございました。  木下参考人にお尋ねしたいのですが、先ほどの大阪の例でも、全体の四〇%近くが、市内でできた蔬菜というか農産物を利用されているという話がございました。横浜でも大体四割少し程度のようであります。どこでも、この地域市街化区域になって宅地ということになってきますと、さてその蔬菜の対策が今度は非常に大きな問題にかわってくるわけで、そこで物価の高騰につながるのではないか、こういうことがしばしば論議をされているわけでございます。経済学の立場から、ひとつ見通しについて御意見を聞かしていただきたいと思います。
  41. 木下和夫

    木下参考人 御質問の件、十分なお答えができる学識もございませんので御不満が残るかと思いますが、私どもの台所に到着いたします野菜を見ました場合、その中ではたしてどのくらいの部分が近郊と申しますか、あるいは市街化されておる地域生産された野菜があるかという比重を考えてみます場合、非常に少ないのではないかと思います。たとえば、私は兵庫県に住んでおりますが、山陰とか九州とかあるいは四国とか、遠隔地から送られてくるいわば集約的なさまざまの蔬菜類が、台所に入ってまいります野菜の大部分ではないかという印象がございます。これはおのずから経済の競争のもとに、そういう効率的な適地生産、大量生産の配分ができつつある姿であって、将来は私はそういう姿が農業のあり方として好ましいかどうか、これは長期的に検討しなければならぬ、別でありますが、事実はそうだと思います。したがって、私どもの日常の生活において口に入るところの蔬菜が、一体近郊で栽培されなければならないかどうかという問題はあらためて検討しなければならぬ。私は、現在のところはそれほど重要性を持たせるものではないように思います。  それから第二点は、価格への転嫁の点でございます。これは、もし市場というものがうまく機能しておりますれば、価格が高くなったら売れないということになるわけでございますから、価格は上げられないという問題が、おそらく農家の方々には非常に重圧になってまいりますでしょう。少なくとも固定資産税のコストを蔬菜の価格の中に計算に入れられます限り、非常に大きなウエートをそれが占めますならば、価格は上がらざるを得ない、上げざるを得ない。ところが、需要のほうでそれを買わない、もっと大量に集約的に生産する、遠隔地から送られてくる蔬菜のほうがかえって安いということになると、これは競争ができないわけであります。そうすると、おのずからそこで、たとえば先ほども申し上げましたように、私は直ちにそうなるとは思いませんが、かりに収入に食い込んでしまう、全部ゼロあるいはマイナスにしてしまうような固定資産税の負担があるとしたならば、それは当然その土地をもっと別の用途に使ったほうがいいという判断をなさると思います。それが私が先ほどから申し上げております、国全体の土地の有効な利用につながる。これを命令やあるいは特定の規制行政でもってやらずに、いわば誘導をするというのが私は望ましいやり方だと思います。  以上でお答えといたします。
  42. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへんありがとうございました。  次に、金子参考人にお尋ねしたいのですけれども、先ほど松村参考人も非常に強調しておられましたが、この生産緑地の件でございます。こまごまと先ほどは御説明をいただいたわけです。団地内の緑保全のことについてはいろいろと考えておったようでございます。たとえば農家との契約を考えていく、あるいはまた農地並み課税とか、あるいは都市計画税も取らない、そういうことの将来性を先ほど述べておられましたけれども、だいぶ研究をしておられるように私は話を聞いておったわけでございます。  そこで、これは参考人から、この緑保全に対する基本的な考え方というのですか、藤沢ではどういう御構想をお待ちになっておられるのか。大都市周辺の都市でございますので、これは非常に関心が深かろうと思うわけですが、でき得ればひとつ具体的に内容をお示しいただきたい、こう思います。
  43. 金子小一郎

    金子参考人 ただいま小濱先生からの御質問がございました。第一番の生産緑地という、団地に対するところの助成の考えについてはすでに申し上げましたので、重複を避けますけれども、さらに緑の保全の方法、これについての御質問です。これは先ほど申し上げましたようなわけで、私どもとすると、市街化区域が将来都市整備されますと、そこにどうしても区画整理やなんかも起こると同時に、宅造会社等がどうしても来るわけですね。これを何とかして防がなければいけない。これには、普通の平地ならばよろしいけれども、先ほど申したように、傾斜地のようなところまで宅造されてしまったのではゆゆしい大事が起こるおそれがある。それのために、先ほど申したような手段によって保全をしよう、こういうふうなわけでございます。したがって、これに対しましては、政府としても、これから多く生ずるであろうところの都市化の傾向にあります中において、緑の保全ということを第一に考えていただかなければいけないのじゃないか。これに対しましては、先生方におかれましても、さらに一そう、この固定資産税を度外視しても、ひとつ考えていただきたいと私は思うわけであります。したがって、これと関連しておりまするからただ申し上げただけであって、これはぜひともやりたい。  先ほど申したとおり、こういうふうな緑地を全部買い上げれば一番いいのです。だが、これはたいへんな金がかかってしまうわけです。先生も御承知かもしれませんが、藤沢市に新林公園という公園の予定地がございます。これを買うのにどうしても四億円くらいかかってしまうわけです。それではたいへんなんです。そういうところは指定してありますから買うつもりでおりますけれども、そうでないところをなるべく緑地にしようとする場合には、どうしても借りなければならぬ。そこが非常にむずかしい点なんです。これをひとつ先生方も大いに考えて、将来の都市化の中でオワシスであるところの緑を保存させるという方法において、いかにすべきかという、あらゆる点についてのお考えを具現していただきたい。  でありますから、先ほど申したとおり、よけいなことですけれども、たとえばそういうふうなところは、市に提供して貸したというようなところにおきましては、全伐を禁じておるのですから、これに対するところの助成をしなければならぬ。あるいは場合によっては、山林というものは、先生方も御承知のとおり、植林してから大体四十年から五十年たたなければほんとうの意味の生産が出てこないのです。山林というものは長期的のものであります。でありますから、今日のように苗が高く、人夫賃が高いということになってきますと、林地というものの造成が非常にわずらわしくなってくるのです。私の経験によりますと、大正の時分に買った苗というものは、松苗で千本一円五十銭から二円五十銭くらいだった。杉苗はその六、七倍。ヒノキはその三倍か四倍くらいだったのです。しかもそのときには、下の草を刈るのに日当が八十銭から一円くらいだった。それを仕立てて今日ようやく売ることになってきたのです。ようやく生産されるようになってきたのです。だから、いま二千倍から千倍の違いがあるわけです。今日苗を植えますと、松苗が一本二円五十銭、三円です。一日植えれば三千円なり二千円なりの金がかかってしまう。こういうふうな状況であるわけです。ですから、植林を身にしてみてやらないという傾向があるのです。それが平地林ならばまだやりますけれども、傾斜地においてはほうっておくという傾向がある。これは私は嘆かわしいと思う。結局はそれを売りたいのです。金にしたほうが得です。植林というのはこれから金のかかる仕事です。ですから、どうしてもわれわれとして緑の保存をするには、多少何かしらの方法をもって保護してやらなければいかぬというのが、私のねらいであり、将来国としても考えていただかなければならぬ問題であり、先生方としても考慮を払っていただきたいと私は思うのです。こういうわけですから、ちょっと申し上げたわけでございます。あるいは御質問には当たらないかもしれませんけれども、どうぞその点御了承願いたいと思います。
  44. 小濱新次

    ○小濱委員 どうもありがとうございました。
  45. 菅太郎

    菅委員長 門司亮君。
  46. 門司亮

    ○門司委員 あまり長く聞くと参考人の人権じゅうりんにもなるかと思いますので、できるだけ短く話をしたいと思います。  最初に、全体の参考人の方に聞いておきたいと思いますことは、いろいろ意見の相違はあるようでありますが、はっきりしていないのが、こういう法律案の出た発想について、どういうふうにおのおのの立場でお考えになっているかということが、一応わかるような気もいたしますけれども、なおこの機会に、四人の参考人の方でおのおのの立場から批判というか、あるいは御意見を述べていただきたいと思います。
  47. 菅太郎

    菅委員長 時間が迫っておりますから、簡単に結論をおっしゃっていただきます。
  48. 梅原昭

    梅原参考人 一言で申し上げますならば、この法律というものは、都市農業というものが必要ないということを前提にして進め、対策を立てている法律案でありますから、都市農業都市生活の中の一部である、不可欠なものである、どうしても必要だ、こういうふうな前提に立つ私どもとしては、宅地並み課税というものについては反対だ、そういうふうな立場から反対だというのが私の考えです。
  49. 金子小一郎

    金子参考人 今日までの国の政策において、産業、特に工業の政策が非常によく行なわれた。その結果、次第に都市というものに向かって人口が集中してきた。こういうふうなことによりまして、農村地帯農民が、農民ばかりではありませんが、都市のほうへ流入してきた。したがって、一応人口がふえてきた。勢い土地値段が高くなってくる。そうしますと、そこにおるところの農民自体も工業あるいはその他の事業場に従事する。こういうふうなことによって農業人口というものが減ってきた。もう一つは、先ほど申し上げたとおり、大正八年にできたところのあの都市計画法なんというものはもう古いものである、したがって民主的の都市計画法にしなければいけないこういうふうなことからできたものでありまして、先ほど申したとおり、その中心となるものは、市街化区域調整区域を画然として分けて、市街化区域には将来人口をそこに定着させて、整然たる市街地にしたい。それから一方、調整区域は将来にわたって農業構造改善事業のようなやり方をもって、農民を十分に保護しながら、生産力を上げて、もってその所得額が都市生活の所得と変わらないようにしよう、こういうふうなことによっての、二つのことから考えられてできたものだと考えざるを得ない。したがって、この市街化区域におきましては、当然いつかはこれが市民の住むところの市街地になるものである、こういうふうな考えから起こったものでございまして、したがって、長くなりますけれども市街化区域をきめるにあたりましては、その地域外の農民あるいは地域内の農民、各種の意見を聞いて初めてそこに設定されたものである、こう考えまするので、したがって、この市街化区域のできた理由というものは、そのところにあるのではないか、かように思うわけであります。  以上です。
  50. 木下和夫

    木下参考人 お答えいたします。  発想については、私は立法に携わっておりませんので、むしろこの改正案の役割りあるいはこれをどう見るかということでお答えさしていただきたいと思います。  それは先ほどもたびたび繰り返しておりますように、二点ございます。一つは急速な都市現象が進んでおるのに対応して、十分な公共施設あるいは社会資本の充実を地方自治体が現在やるだけの財政的な能力になかなか恵まれない。そこで、都市化というのは、さしあたり都市的施設の充実でありますが、これはそこに土地をお持ちの方々にかなりの利益というものをもたらすものである。住民の全体の福祉の向上のために、それらの人々に、その所有者に対してそれぞれ応分の負担を求めるという財源を考えていいじゃないか。その場合におくればせながらも、いままで残されておった不公平を是正しようというのが一つと思います。  それから第二は、先ほどからもたびたび繰り返しますが、全国の土地政策の一環としてこれを利用する。一環といいますと、非常に重要な一環であるかどうか、これは問題がございますけれども、しかし、これを何がしか土地政策に利用し得る余地があり得ることは、これはわれわれが十分検討した上で共通の結論で出ておるわけであります。すなわち、少なくとも市街化区域内の農地については、時価評価を基礎にすべきであるという線であります。そういう線がいわば土地政策について何がしかの貢献をするいとうことを期待しておるというのが第二のいわば評価であり、役割りではないかと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、この法律の運用次第では第二の目標はなかなか実現できないおそれがございます。
  51. 松村正治

    松村参考人 先ほど申し上げましたが、土地政策の面から申し上げて、ほとんど公園も少なく、ただ家だけが横にいつまでも続いているというような、東京みたいな都市というものは基本的にはやはり間違っているのじゃないか、都市政策の面でもそういう考えを持っております。それから農業の面にしても、都市住民と十分マッチし得るならマッチし得る農業の意味というものが都市住民のサイドの問題としてはあるという考えでございますので、基本的にはやはり農業生産の用に供している間は固定資産税都市計画税というものは課税しないのが妥当ではないかというふうに考えます。もしこれを実施する場合でも、先ほど申しましたように、私の考え方を申し上げますれば、生産力というようなことで農業を保護し、都市住民も保護する。地震が一ぺん起こってきた場合等にそこに逃げ込めるというような問題、緑の保全の問題等ございますので、そういうふうに考えております。
  52. 門司亮

    ○門司委員 いま松村さんからせっかくお話を伺ったのでありますが、私の聞いておりますのは、政府の出してきた発想がどこにあるかということでございますけれども、きょうは時間もございませんから、それ以上追及もいたしませんし、また再質問をすることも避けたいと思います。  次の質問に移りたいと思いますが、四人の方々のおのおのの、政府がこういう案を出してきたという問題の構想に対する考え方と、それから木下さん、松村さんのいわゆるこの法律の、出てきたは出てきたとして、そしてこれの効果がどうあらわるべきかというような御意見は一応伺ったのでありますが、もう一つこれを学者としての立場から、一応私は木下参考人にお伺いをしておきたいと思いますことは、なるほど土地に対しまする税金というものについては、一応固定資産税というのがございます。しかし、これは財産税ではございませんで、ある意味における物件税であります。したがって、百万坪土地を持っている人も一坪土地を持っている人も、千分の十四は十四であって税率は何ら変わらないのであります。これは税率は平均化しておりますので、これを私ども財産税と見るわけにいかない。財産であるとするならば、当然そこに累進課税がなければならない。今日の土地に対しまする問題としての唯一の財産税というのは、相続税だけであります。相続税は加算されることになって、累進課税になっておる。  そういう理屈は別にいたしまして、この土地にはもう一つ税金がかかっております。いわゆる不動産取得税という税金がかかっております。土地の移動の際の税金であります。問題はこれであります。農地を持っているから見込み課税なんということを言っておりますけれども、一体見込みで税金をかけるというようなことが税法上許されるかどうかということであります。税金を取りたければ、移動するときに不動産取得税という税金がほかにあるのでありますから、そのときにかければいいのであって、おまえのところはこれだけの価格があるはずだということで生産――土地というのは、御承知のように、一つ生産手段であります。土地自身にはたいしたものはない。しかし、その土地を利用することによって、生産によっておのおのの所得が変わってくる。都会土地は、その土地を高度に商工業に利用するときに、どんなに高くても、採算ベースが引き合いさえすれば、初めて土地が売れるわけであります。同じように、農村としてやはり土地一つ生産手段であって、その上につくった品物が引き合うか引き合わないかということです。そう考えてまいりますと、見込み課税というのはその辺に非常に大きなあいまいさがある。おまえの土地はこれだけだからこれだけ税金を納めなさい。しかし、そこから生産されるものは一体どうなるのだ。これは生産が引き合わなければ、納めよといったって納めようがないでしょう。だから、税金が高ければ、しかたがないからこの土地を売ってしまえということで農民追い出し政策なんということばがございますけれども、そうだと思うんですよ、実際は。そういう結果になるということは必ずしも好ましいことではないか。また農民としても理解ができにくいのではないかというような気がいたしますというが、それは現実だと思うのです。人間は収益によって生活をしなければなりませんので、税金が非常に高くて自己の生活ができなければ、その職業を放棄する以外に手はございません。そうすると、今日の憲法との関係がいささか問題になってきはしないか、こういうことが一応考えられてまいります。  そこで、農村のこうした一つ税金について、この税金は見込みといいますか、何だか妙な字を使っておりまして、見込み税だとか見込み課税だとか言っておりますけれども、一体こういうものが税法上許されるかどうかということです。私は税金というものはもう少しシビアーなものであると考えている。でなければ取れないはずだと考えている。売ればなるほど百万円価値があるかもしれない。しかし、税金は現金で納めなければならない。売らなければ税金は納められない。だから、土地政策と申し上げましても、土地政策の裏に隠れたそういうものがありはしないかということを私は考えるのです。  少し私の説明のほうが長くなって恐縮ですけれども、この見込み課税というものが学問的に見て一体正しいかどうかということについて、もし御意見を聞かしていただければ非常に幸いだと思います。
  53. 木下和夫

    木下参考人 門司先生が固定資産税をもって財産税ではないと見ておられる御意見はかねて拝承しておりますが、私はこの税の成立のいきさつから見ましても、これを財産課税と思っております。これはおそらく議論は果てしないと思いますが、問題は、もっと具体的な問題にしぼってまいりますと、いまお述べになりました御意見の中に、土地の地目あるいは土地の利用形態というようなもの、あるいはもっと突き詰めれば、収益性というようなものと一定の関連を持たなければならない。地目は、たとえば農地であったならば農地として課税をするのがあたりまえだという御意見のようであります。しかし、いまの地方税法の中における固定資産税の規定をごらんになりますと、土地の利用状況とか地目というようなもので課税標準が制約されるという問題は全然出てないわけです。固定資産税はもともとシャウプ勧告によって成立したのでありますが、シャウプは日本に一般に財産税をつくることを考えておったわけであります。日本の税の風土では、所有権がはっきりしていないものに課税することは非常にむずかしいということがわかりまして、貴金属や預金や現金というようなものを全部省きました。残ったものが何かといいますと、所有者がはっきりしておる固定資産になってしまった。そういういきさつを考えましても、私は固定資産税の本来の性格は財産課税であると思っておりますし、それは適正な時価というものを課税標準にしなければならない。もし現実にその収益なりあるいは価値というものが発現されたときでないと課税できないというならば、これは売買のときしかとらえようがないということになります。この場合、その土地が、売ろうとすればそれだけの値段がつくということは、言いかえれば、それは時価でありますから、それを基礎にして課税することは、少なくとも租税理論と、それからいま申し上げました、いまの固定資産税に関する地方税法の規定に反するという心配はないと私は考えております。
  54. 門司亮

    ○門司委員 これも議論すれば果てがないのであります。売買のときに時価にかけておるのに不動産取得税という税金が県税としてございます。これは明らかに売買したときの価格で、したがって、固定資産税評価額とは非常に違うことで税務署は実際に取りにきますからね。固定資産税と同じように不動産取得税を取ってくれれば非常に助かるのですけれども、実際は、片一方のほうはかげんしているから安いのだ、実際の売買はこうだからといって、ちゃんと税務署は取りにくるのですよ。土地にはこういう三つの段階にいま税金がありまして、非常に複雑なんです。だから、私はこれ以上聞きません。  それから、いまシャウプ勧告と言われましたけれども、税制体系全体から見ますと、どこの国でも同じことですが、土地に対する租税というのは、日本には神武天皇以来あるのですね。いわゆるみつぎものというものは土地を対象にいたしております。封建時代の大名が持っているのは石高、これは農民からの収奪でありまして、これも土地が対象であります。土地に対する課税というのは非常に古いのでありまして、これはいまごろ考え税金ではないのでありまして、その当時はそれ以外になかったから、みんな土地にかけたので、その理論を推し進めていけば、土地は国有だという理論が生まれてくるわけであります。そういうふうにやはり税は考えるべきだ。しかし、少なくとも、国の土地を一応私有財産として認めておる今日の状態というもの、私はこれ以上議論はいたしませんけれども、いまの先生のお話をそのままここで聞くわけにはまいりませんが、しかし、これ以上討論はいたしません。  その次に、全体の参考人の方にもう一つ聞きたいと思いますけれども、いままでの意見をずっと聞いておりますと、生産緑地が必要であるとか、あるいはいろいろのことが言われております。私ども都市の中に緑地の必要なことは当然認めております。しかし、農業に対しまする生産緑地と申し上げましても、一体農業自身というものがどこまで持続するかということであります。おそらくいま五十、六十のおじいさんたちは、これは自分一代百姓をしたいということになるでしょうけれども、一体そのむすこさんが百姓をするでございましょうか。それからその次に出てくるのは、相続税のときのいわゆる均分相続。この場合に、農用緑地だから均分相続ごめんだということができますか。あまりにも理想に走った制度を設けておくと、それは必ず蹉跌が出てくる。もう少し現実のものを見つめる必要がありはしないか。相続税のときに、どんなにやかましいことを言ったって、いまの相続税法が残っておる限りにおいては、均分相続されるにきまっておる。そういう場合には一体どうするかということ。したがって、もしこういう法律をこしらえようとするならば、やはりそういう制約をする法律がほかになければこれだけを野放しにしておくというわけにはなかなかまいらない。人間はいわゆる労力によって生活しなければなりませんから、一つ生活手段としての農業であります。したがって、農業生活手段を補うことができないということになれば、農業はやめる以外に手はないのであります。どんなに緑地が必要だからといって市が要求いたしましても、自分が生活できなければ、これはやめる以外に手はないでしょう。  そこで問題になってきますのは、持続の問題を一体どう考えておるかということであります。これは最後のきめての非常に大事な問題だと私は思っておる。そうして五年か八年かたったら何が何だかわけがわからぬようになってしまったということになると、これまたこういうていさいのいい、というとおこられますけれども、理想的なことを言って、いよいよやってみて五年か十年たったら、何が何だか、どこへいったかわからないということになると、これまた私は困った問題だと思う。したがって、法律をこしらえなければならない私ども立場としては、ただ現在の次元における現象だけをとらえて議論するわけにはなかなかまいらない。  だから、四人の参考人の方に、御迷惑ではございますが、この農業を主体とした生産緑地というものが一体持続される可能性があるかないかということについて、御意見を聞かしていただければ非常に幸いだと思っています。
  55. 梅原昭

    梅原参考人 おっしゃるように、たいへんむずかしい点を含んでいると率直のところ思います。ただ、話の前提がちょっと食い違うかもしれませんが、生産緑地にだけ限って問題を処理するということにして、生産緑地という制度を設けるならば、それによって、熱心に農業をやろうとする者は救済できるかのごとき様子を見せようと思うと、どうしてもこれは無理が出てくるということではないかと思います。現実に、生産緑地に限らず、何ヘクタールということでまとまらないけれども、やはり熱心な農家がいるというのが現実の姿なんですね。ですから、現実にある姿、それを、その中でやりたいというものをどういうふうに生かしていくのかということが、やはり問題なのではないか。それに対して追い打ちをかけるというか、とどめをさすような今度の制度に対しては、ごめんだということをさっきから申し上げているわけですが、それを、生産緑地を設けるから、したがってそれによって何らかの救済が行なわれるのだというふうな考え方を立てようとすると、どうも無理が出てくるのではないだろうか。いまお話に出ましたような問題がいろいろ出てくるのであって、だから生産緑地方式というのは、一つの方法ではあるかもしらぬけれども、それがあるために何かすべてが救済されるかのごとき、そういうふうな考え方を持つべきではないのではないか、こういうふうな印象を持っております。
  56. 金子小一郎

    金子参考人 門司先生に申し上げます。私は非常に門司先生を敬服している一人であります。これは申しわけないのですが、ちょっと反対を申し上げたいと思います。  たとえば生産緑地の永続性というふうな問題あるいはその他近郊農業者の永続性の問題をお取り上げになって、これははたして長く続くかどうか。これは現実的に申しますれば、確かに長く続かないと私は思います。これは確かにお説のとおりだと思います。ただ、しかし、われわれとして考えることは、なるべく農業そのものと農地とを保全したいというのが私自身の考えであり、おそらく政府も、この市街化区域を設けたとはいいながら、少なくとも調整区域というものを画然としたところに、私は農業保全ということを相当考えているのじゃないかというふうに私自身は思うわけであります。  そうしますと、農民自体が市街化区域を欲したというふうな農民人たちというものは、やはりそこはどうしても将来市街化区域にされてもしかたがないし、自分自身もそれによって何らかの手段を持って、それをもとにして生活をやろうという考えがあるに違いないと思っておる。というのは、私はたびたび、自身で、調整区域市街化区域にするときに回ってみて、農民の心を探ったのであります。これはもうほとんど毎晩のように私は市の職員と一緒に歩いて回ってみたのですが、そのときにやはり問題になるのは、たとえば半ばの人たちは市街化がよい、半ばの人はそうでないという、この二つのところは、むしろ調整区域にすべきものだというふうに判断して、私のほうでは調整区域にしました。ただし八割も九割も、どうもわれわれとしては市街化区域にしてもらったほうがいいのだというふうなところは、そこに調整をしましたけれども、一応市街化区域に直したというふうなことをしたのでございます。  こういうふうなことから申しましても、先ほど申したとおり、その中にせめて三ヘクタールなり四ヘクタールなり以上の生産緑地を持つということは、確かに、オアシスであり、非常の場合にはそこに避難民の集合ができるというふうなことから考えてみましても、そういうふうなものはぜひ必要だ、これに対しては及ばずならができる限りの保護政策を講じたい、かように考えておるわけでございます。しかしそれでもなおかっ、どうもわれわれとしてはもうだめだというわけで、まわりが整備ができたときに初めてどうもしようがないからといってかぶとを脱いだ場合には、これは当然市街化区域としての扱いをせざるを得ないというわけでございます。  したがって、先ほどの小濱先生ですか、財産税か収益税かというふうなお尋ねに対しましては、私はやはり財産税なりと考えざるを得ません。というのは、消費生活に使っている自身の家そのものは収益は全然ありませんけれども、とにかく生活しておりますから、これは財産税として認めざるを得ませんから、固定資産税を取るわけでございます。こういうふうなことから判断いたしましても、その点御了承を願いたいと思います。
  57. 木下和夫

    木下参考人 答えを求められました結論は、長期的に生産緑地はどうなるかという見通しについてであったと思いますが、私はそれは漸次減少するであろうと思います。  それにつけ加えて二点ほど申し述べさしていただきたいと思いますが、第一点は、市街化区域内で緑地が必要でないということはさらさら申しておりません。それが生産緑地である必要はないと思います。したがって、緑地が保存さるべきであるという必要は十分認めなければなりません。  それから第二点は、もしほんとうに生産緑地として農業を継続していきたいという農家の方であるならば、おそらく市街化調整区域に入れられるようないわば線引きが行なわれたはずではなかろうかと思うのであります。生産を続けたい、ほんとうに農業を今後もやりたいのだといわれる方々かなぜ市街化区域の中に取り込まれておるのかということが、私にはよくわからないわけでございます。もしそれほど積極的なお気持ちがあるならは、市街化調整区域の中に入っておるはずであろう、このように考えております。その点を付言いたします。
  58. 松村正治

    松村参考人 生産緑地の問題は、都市側の要求と農村の要求、両方をマッチさせるという意味におきましては、交換分合等を通じて農地の側としても努力してそれを集団化する、そして一たん緩急ある場合の防災なり、あるいは緑地の保全というようなことに資するという方針であるべきだと思います。農民側の一方的な意見というのではなくて、両方の利益に合致するという意味で非常に妥当なものだと思います。  ただ、門司先生のおっしゃるように、あと継ぎの問題でございますけれども、これは都市農家に限らず、農村でも事実問題がございます。それは同じような問題があると思います。しかし、都市の場合は空間というものが絶対に必要でございます。そういう意味においては都市計画法の五十六条で、いよいよの際にはこれを買収するぐらいの決意で地方行政機関はこの指導に積極的に対応してもらう。それも公園というよりも、そういう農業もそこで一緒に成り立つというようなことにするならば、価格に比べて運賃部分が非常に大きなウエートを占めるものは生産緑地の中で十分成り立ち得ると私は思うのです。そういうものは、野菜でいえば、葉ものとかそういうものかもしれません。そのほかに花木あるいは市民農園というものでもいいかと思います。私はそういうふうに広く生産緑地というものを考えております。
  59. 門司亮

    ○門司委員長 過ぎましたからこれで終わりにいたしますけれども、いまの参考人の御意見は御意見として承っておきたいと思います。この問題は非常に大きな問題がいろいろ伏在しておりますので、参考人の御意見を私ども審議の過程においてさらに議論いたしたいと考えております。きょうはどうもありがとうございました。
  60. 菅太郎

    菅委員長 林百郎君。  林君、時間が迫っておりますから、なるべく簡明にお願いいたします。参考人の皆さん、もうちょっとごしんぼう願いたいと思います。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 では一人ずつ簡単にお聞きしていきます。  まず梅原参考人ですけれども市街化区域農業経営をしている人たちは、農業を片手間にやっているんだ、そして土地値上がりを待ってこれを売ろうとしているんだというような、何かそういう世間の誤解があるし、またそういう意見が非常に強く出ている場合もあるわけですが、私は長野県ですけれども、たとえば八ケ岳全体が入ってくるなんという市もありますから、必ずしも大阪や東京だけが市街化区域で問題になるわけではないわけです。しかし、一般的にいって、市街化区域でなお農業を経営しているという人たちは、採算も相当に合うし資本主義的な投資もしておるし、農業として残りたい、農業を守りたいという人で、そういう人がいま市街化区域の中で農業経営を守っておるというのが一般的ではないでしょうか。それは個々のこまかい例外は一、二あるのです。しかし、いまなお市街化区域でも農業を経営しているという人は、相当資本も投下しているし、そして採算の点でも合理的な考慮を持っておるし、農業を守りたいという人が一般的ではないかと思いますが、その点はどうお考えになるのでしょうか。
  62. 梅原昭

    梅原参考人 先ほども大阪市の例でちょっと申し上げたわけですけれども、いま農林省あたりが最も目標にしておりますいわゆる一万ドル農業に達している農家大阪府下で数百戸あるわけですが、その中で大阪市という全く全域が市街化区域に含まれ、今度の法律改正案が適用されたならば、すべて宅地並み課税実施されるその地域の中に実に三〇%の人が含まれているわけですね。さっきも申し上げましたけれども農地面積にすると、大阪府下の耕地の四%にしかすぎない。その四%のところに一万ドルの販売高を持つ農家の三〇%が大阪市内に集中しておる、こういうふうな現象ですね。ですから、御意見がありましたように、市街化区域農民というのは土地値上がりを待っておるという点は、全く根拠がないとは思いません。そういう一面があることを否定はいたしませんけれども、しかし、おもな流れは一体どちらなんだということになってまいりますと、いまの一万ドル農業で表現をされるような、そういう熱心な農家、非常に資本の投下もし、しかもそういうところでは、年寄りではなくて、若い人が多いですね。いまは純農村地帯に行っても比較的若い人が少ないわけですけれども野菜生産地、しかも資本を投下して温室であるとかそういうふうなものをやっている人は、年寄りよりもむしろ若い人たちが多いわけです。町の周辺といえども若い人が農業経営の中心になってやっているというのが、市街化区域の中に非常に多いわけでありまして、そういう人たちの熱意というものは生かしていきたいものだ、そういう人たちの熱意というものが税金で殺されるようなことがあってはならないというのが、私たちの考えであります。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 次に、金子参考人にお尋ねいたしますけれども金子参考人は本法案に賛成である、しかし、緑地帯として、十ヘクタール単位ぐらいのできたら集団的な農地にして、それを市街化区域の中に残しておきたい、そしてそれを保護していきたいというような一面も御主張なさっているようでありますが、しかし私たちの率直な考え、これは木下参考人もおっしゃっているのですけれども、本法案が施行されますと、これは所得から生活生産手段に税金が食い込んでいくというようなことになりますから、農民としてはこの法案が施行されれば、市街化区域内の農民農業経営を放棄せざるを得ないような方向へ漸次いくのではないかというように思うわけなんですが、さっき金子参考人は、学校建設とか公共用に土地もほしいので、そういうような土地をもし農民が手放すような場合には、そういう方向へも取得していきたいというようなお話がありましたけれども、しかし、この法案には、この法律によって土地を手放すような結果になった場合の農民土地がどこにいくかということについては何の規定もなくて、ただ、宅地並みの税金を課して、結局宅地化の方向へ農民が進むようにということを税金の面で促進させていくということに私は考えているわけなんです。ところが、宅地がないとか、あるいは学校敷地がないといいますけれども、しかし、不動産会社が買い占めている土地というものは非常にたくさんあって、結局、農民がかりにこの法案によって、もう採算が合わないからといって土地を手放した場合、不動産会社がそこへ入っていって、そしてそれを買い占めてしまって、さらに五年十年それの値上がりを待つというようなことになれば、これはあなたの言う、この法案によって、市街化区域内の農地をもっと公共的な有効な利用方面へも考える側面があるのじゃないかということは、全く立ち消えになってしまうことになるわけなんですけれども、こういう面について、あなたは、何か考慮をする必要があるとお考えにならないんでしょうか。たとえばある週刊誌を見ますと、「西武新宿線にある所沢団地は二十年前にはイモ畑で、西武はこれを坪二、三百円で買った。その土地の半分を住宅公団に坪九百円前後で売ったのだが、昨年秋、西武は残り半分の空地の分譲を始めた。その価格が坪十一万円から十二万円。七十坪程度土地付き建売り住宅が千百万から千五百万円。こうしたやり方が電鉄会社の常套手段なのだ。」というようなことが週刊誌に出ておるわけです。しかも最近は、土地が投機の対象として採算に合うということで、驚くことなかれ、資生堂とか大日本印刷だとか東映不動産だとか、こんなところまでが土地の投機に資本の手を伸ばしてきている。その土地投機のために億以上の資本金を持っている会社をこの週刊誌で数えてみますと、四十九もあるわけです。かりにこの法律で、農民がもう採算が合わないから土地を手放すというようなことになって、そういう不動産会社が先に手を回して、ずっと買い占めてしまって、そしていま言ったように、西武じゃありませんけれども、二、三百円で買ったイモ畑を十一万円で、土地をつけて千五百万円で売るなんということになれば、これはたいへんなことになってしまう。これは土地の利用からいっても、生産手段としての農地として保護してやることのほうが、国家的な見地からいっても重要なことになるわけなんですけれども、あなたが、市長として、公共用地がほしいということをお考えになっている。これによってもし農民土地を手放した場合には、いま藤沢市としても公共用地として土地がほしいので、そういう方面に利用したいというお気持ちは非常に強いし、また、われわれ地方行政委員として全くよくわかるところでありますけれども、しかし、お隣の鎌倉市で、不動産会社が全く市の意図するところと逆行して、虫食う鎌倉市というような、テレビで放送になるようなことまでされているというところを見ますと、そこのところを考慮されなければ、この法案が、あなたの御賛成なさって意図するところとは全く逆な、国家的な見地から見ても不合理な方向にいく危険があると思いますが、そういう点について、全国市長会の代表として、何かお考えがおありになりますならば、参考までに聞いておきたいと思うんです。
  64. 金子小一郎

    金子参考人 林先生に対して、私、はなはだどうも答弁が悪いかもしれませんが、お答えいたしたいと思います。  いまのお話の中に、たとえば不動産会社が買い占めたというふうなお話があったわけですが、(林(百)委員「可能性があるということです。」と呼ぶ)可能性ですか。これは、御承知のとおり、先ほどもしばしば申し上げたとおり、市街化区域をつくるときのことでありますけれども、そのときにすでに買っておれば別の問題でありますけれども、その後におきましては、市街化区域以外の調整区域等にも手を出すような不動産会社があったりする、これはもう私どもは断固としてこれを許しませんでした。つまり、これは農村地帯です。農村地帯というのは保存しなければいかぬ。ただし、先に買ってしまったとかりに仮定したところが市街化区域の中にあった場合におきましては、これはいかんともすることができない。ただ、これに対しましては、私どもは、非常な大きな規制を申しております。たとえば下水道をつくれ、あるいは学校の用地を提供せよ、あるいはこれこれの幅員の道路をつくれ、こういうふうな各種の条件を付しまして、そしてこれを開発させるというふうな方針をとっております。ですが、これはもうすでに農民の手にないものでありますから、これはいたし方がないと思いますけれども、ただ、農民のこれからやることがどうか、こう考えておりますが、これについては、私が先ほど申したとおり、なるべく早く区画整理その他の都市基盤の整備の仕事を全力をあげていたしまして、そして、そういうふうなものの手に入らないような、むしろこちらから整然たる市街化をはかる、こういうふうな方針で藤沢市はやっております。  現在、小さな市ではありまするけれども、すでに完成した区画整理並びにみずからやっているもの並びに組合をつくらせてやっているところの区画整理、これが一千万平方メートルに及んでおりまして、六十平方キロの小さな市といたしましては、全国的にも少ないのじゃないかということを私は自負しているものであります。というのは、いま言ったとおり、そういうふうなものを不動産会社の手に入れさせたのでは、先ほどのような弊害が起こるおそれがありますのでやっておるわけであります。こういうふうなことから申しましても、この点につきましては、不動産会社にはこれから断じて買い占めなどはさせないという方針でやるつもりでありますし、するようなことはあり得ないと私は思っております。また同時に、これからの考えといたしましては、たとえばその土地をかりに農民自体が手放すにいたしましても、やはり一つ団地を持ってみずから工作をするんだというふうな希望がありますれば、あくまでも私どもはこれを保護し助長する政策を立てるつもりでございます。  ただ、政府として考えていただきたいことは、むしろ市街化調整区域をくずさないことです。いままでの市街化になったところは、農民自体が承知したのだからこれはしかたがないですけれども、これからのところをくずさせるような方針をとるようなことでは、私は困ると思うのです。でありますから、何といっても全国的にまだまた調整区域のものは非常に多いと思います。私どものほうでもやはり調整区域のものは多い。半分くらいかもしれません。しかし、調整区域がたくさんありますからこれはくずさない、農民を保護する、こういうふうな方針でやるつもりでおります。したがって、お答えにはあるいはちょっと触れない点があるかもしれませんけれども……。  もう一つは、農民土地を売った場合におまえどうするんだというようなお話でございます。これは公共用地で買った場合に農民のほうで、いわゆるかえ地を欲するわけです。そういう場合には一体どうするかというのが一番問題になります。ところが、これをするには勢い市街地の中にはなかなかないんです、かえ地をしようとする人は。市街化区域の中でそれを買うんですから、今度はそれを市街地の中で買おうという人はなかなかない。そうすると今度は調整区域のほうを買わざるを得ない、その人は。これは私のほうでは、農民自体が自作をするのかどうかということを確かめて初めて、ではそちらのほうを市で買って交換しよう、市街化調整区域のほうと。そしてそちらを与える、こういうふうな方針をとっております。そうしませんと保護ができないわけでございます。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので……。いろいろ公共的な立場を代表して、もし本法案によっていやおうなしに農地を放棄せざるを得なくなったような農民があるとして、その土地が、いままで有効的な農業生産として使われていた土地が、不動産会社の利益の対象として消え去っていくというようなことは農民としても耐えられないことだと思うので、そういう点について全国市長の代表として、公的な規制、そういう農民が泣く泣く手放した土地については、こういうような立法措置によって、将来ともその農地を守ってきた農民のために公共用地として生きていく道を開くような方法を講じてもらいたいというような御意見が、もう少しはっきりお聞きできるかと思ったんですけれども、時間がありませんので、もうこれはこれでけっこうでございます。  それから木下参考人にお尋ねしますが、これは門司委員も質問があったんですけれども、そもそも税金というものは、それは固定資産税――対象が財産税にしろあるいは物件税にしろ、収入から生活費あるいは生産費を差し引いて所得にかかってくるのが、いかなる種類の税金でもそれが本質だと思うんですね。ところが、先ほどのお話にもありますように、もう所得をこえた額の税金が将来考えられるというような、そういう税体制をつくるということですね、本法によって。こういうことは本来の税体制からいって許されないことではないでしょうか。  それと、税金というものにはおのずから上限があって、その人の生活費やあるいは生産手段にまで食い込んでいくような税体制を、どういう名目にしろ、立てるということは、これはもう税の本質からいって許されないものじゃないかというように私たち考えられます。そうしてことに本法のように、この土地が、先ほども論議になっておりますけれども土地価格が潜在的には幾らだ。たとえば潜在的には十何万だといっても、これはまだ顕在化していないわけなんですからね。潜在的にそういう土地価格があるんだから、その潜在的な価格税金をかけてくる。しかし、顕在的にはそこでは一ヘクタールまあ米とするならば平均して六十万円ですか、先ほどの梅原参考人のお話だと一反歩七、八万円の所得だとおっしゃる。顕在的にはそうなっているのに、おまえの土地は潜在的には坪十何万の値打ちがあるんだからそれで税金をかけてくるという。そういうことは税体制からいって許されないことではないでしょうか。私はそう考えますけれども……。
  66. 菅太郎

    菅委員長 林委員、御説明はなるべく簡潔にお願いします。御趣旨はわかっていますから。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  学者だから、そう言わなくてもおわかりでしょうけれども、どうも私はあなたの言うお話が税体系からいって、もしそんなことが許されるなら、杯百郎は将来億万長者になって、おまえは年の所得が一億になるから、いまから税金をかけると言われると同じことになる危険がありますので、まあ非常に卑俗な例ですけれども、その二つの点について。
  68. 木下和夫

    木下参考人 お答えいたします。  私は先生方の御議論にもかかわらず、固定資産税は資産の保有税である。占有者に課税するという例、イギリスの例などもございますが、日本の場合は、資産の保有者にかかる税であるという議論を変えません。それで、これは将来とも勉強いたしますので、今日のところは変える余裕はございません。そうしますと、たとえば相続税でも潜在的な、顕在的になっていないわけですが、課税されております。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 それは所得になるですもの。相続人が所得としてとるのですから。
  70. 木下和夫

    木下参考人 いいえ、所得ではございません。所得でなくて資産でございます。だから、財産所有税である以上は、実現しなくても課税の標準になり得るというのは、いわば財産税という見方をとっておりますから、当然出てくる結論でございます。矛盾はございません。  それからもう一つの問題は、所得をこえた税額になったら困るということでございますが……。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、困るんじゃなくて、そんなやさしいことばで私は言っていません。そんな不合理な税体制はないではないかと言っているのです。
  72. 木下和夫

    木下参考人 これは私先ほどから計算の基礎をはく然と伺っておりまして、その計算をもう少し追跡してこまかく議論しないとわからない。少なくとも所得は変化しないという前提があると思うのです、あの計算では。それから何年目ぐらいから標準的な農家を想定して、売り上げ高を全部出して、農産物価格は全然変化していないという前提があるわけです。そういう計算をもう少し詰めてみませんと、私はあれがそのまま正しいということはいまのところ言えません。あるいは正しいということに同意するかもしれませんし、あるいは異論が出てくるかもしれません。しかし、この税の本来の趣旨は、市街化区域の中に編入されたということは、これは当然現在農地であっても、宅地その他として市街化区域の中で利用されることを期待して編入されたはずなんです。それでないならば、私は市街化調整区域に入っていたと思うのです。その辺の判断の問題がずいぶん違うと思うのです。先生の御判断と私の判断とは違います。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 もう時間がありませんから簡潔に申しますが、それはしかし市街化区域に編入されたからといって、だから農民がみずから経営している農業を放棄して、その土地宅地にしなければならないという義務を負っているわけではありません。それはもう憲法で職業選択の自由は保障されているわけですから。たとえば平均して一町歩……。
  74. 菅太郎

    菅委員長 林委員に申し上げますが、討論をやられては困りますから、質問の範囲にとどめてください。時間も迫っておりますから。討論会ではありませんから。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 私のときばかり、委員長、そういうことを言う。  それでは、都市区域で平均して米作収入で一町歩六十万とする。ところが、ここへ土地宅地として利用して家を建てさして、そして地代として所得する場合は六百万、一坪二千円。そういう六十万と六百万を、潜在的には六百万になる可能性があるから、現実の所得は六十万だけれども、六百万として課税するということは、これは私はいかにも不合理だと思いますが、どうですか。時間の関係がありますから、討論しちゃいかぬと言いますから、この点だけお聞きしておきます。事実はそうなっているわけですから。
  76. 木下和夫

    木下参考人 私はたびたび繰り返しますけれども固定資産税は資産の保有税だという考え方を現在持っております。したがいまして、潜存的価格というものに課税をしても私は理屈としては通るとしかいま申し上げられません。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わります。委員長、どうして私のときばかりそんなに制限するんですか。
  78. 菅太郎

    菅委員長 いや、あなたのときが一番時間が長いのです。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 ではこれで終わります。  松村参考人にお尋ねしますけれども市街化区域内の農地から生産される野菜生産は、全野菜生産のどのくらいの比率を占めているか、そしてこれをもし中止するというようなことになれば、これは現在問題になっている野菜価格に影響するということがあり得るということは考えられるのじゃないかと思います。簡単に言って、もし市街化区域農地を全部宅地にするというようなことで、ここからの野菜生産が途絶されるというようなことになりますと、やはり野菜価格に影響してくると思いますが、その辺はどうお考えになりますか。皆さんの御意見もありますから、これで終わります。
  80. 松村正治

    松村参考人 いま梅原さんその他から御意見もございましたように、大体三割ないし四割くらいの野菜が供給されているというように聞いておるのです。したがって、これは価格に比べて運賃部分が非常にレートの高いもの、そういうものはやはり都市近郊でつくったほうが非常にいいし、御存じのとおり、輸送関係その他もございますので、神田市場なんかに入る蔬菜なんかにいたしましても、千葉その他の近郊からの個人出荷も相当ございます。そういうことで、全然影響がないということは言えないと思います。しかし、どれくらい影響があるかというようなことは、ちょっとここでは申しかねます。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 終わります。
  82. 菅太郎

    菅委員長 塩川正十郎君。簡単に願います。
  83. 塩川正十郎

    ○塩川委員 資料の点についてお聞きいたしたいと思います。  この資料梅原参考人からいただいたのですが、拝見いたしますと、「宅地なみ課税による税金」と書いてあるのですが、その一番目の評価額が二万一千円の場合に五十五年で十万九百円、こう出ておるのですが、これは税金が十万九百円ということでありますか、どうでありましょうか。そういたしますと、この評価額二万一千円は坪当たり評価額で、税金が坪当たり年額十万九百円ということでしょうか。その点ちょっとお聞きいたしたいと思います。
  84. 梅原昭

    梅原参考人 説明不十分で失礼いたしました。評価額二万一千円の場合というのは、坪当たり宅地として評価された場合に二万一千円、こういう場合です。下に出てまいりますA、B、Cそれぞれ何円というのは、固定資産税都市計画税を合わせた税額で、その単位は一反歩当たり農地に対する税額ということです。一反歩です。つまり三百坪ということになります。農業所得との関係で、一反歩というので計算をいたしました。
  85. 塩川正十郎

    ○塩川委員 わかりました。  もう一点だけ確認をしておきたいと思うのですが、大都市大阪野菜の供給の四割は周辺地からの供給である。そのうちほとんどが市街地地域からの供給であるということでありましたが、これは事実そうであろうかどうかということであります。それを一つ確認しておきたいと思います。  それからもう一つ、三百万円以上の収入のある農家、それが市街地地域に多いということでありましたが、それは事実であるかどうか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  86. 梅原昭

    梅原参考人 あとのほうの三百万云々、これは持ってきておりますけれども、「大阪農業」という、大阪府が発行しましたこの最新の統計資料によってそういうふうになっております。  それから、第一番目の御質問と申しますか、確認ですが、これは正確に言いますと、七百数十万の大阪府民が消費する全野菜消費量のうち、約四〇%を大阪府下農民生産をする、しかもその野菜生産のほとんど大部分は今度の市街化区域に含まれた、つまり今度の法律によって宅地並み課税実施されるその地域の中で生産をされる、こういうことを申し上げたのです。
  87. 塩川正十郎

    ○塩川委員 それは何か統計はありますか。
  88. 梅原昭

    梅原参考人 それは、大阪府の農林部が発表しております。
  89. 菅太郎

    菅委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位に申し上げます。長い時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後二時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ――――◇―――――    午後二時七分開議
  90. 菅太郎

    菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び華山親義君外五名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案の両案に対し、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  91. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 資料要求を先にいたしておきましたので、御協力を申し上げる意味で、できるだけしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  まず、総理府からお見えだと思いますのでお伺いいたしますが、沖繩返還協定の作成の作業も進行をいたしておるようであります。突如アメリカのほうで五億ドルないし六億ドルよこせというようなことを言ってきておるので、外務省もだいぶ苦労をしておるという話も聞いておるわけでありますが、返還協定と並びまして、沖繩の本土復帰に伴いまして、各種の法律の整備というものは当然なされなければならない重要な課題であると思います。琉球政府におきましても、これら制度上の問題につきましては、政府に対しましていろいろな意味での要請をいたしていると思います。また沖繩県民の諸君も、あるいは復帰協あるいはその他の団体におきましてさまざまな要求を出しておると思います。政府におきましては、近く沖繩復帰対策要綱の二次分ですかを決定すると聞いているわけでありますが、特に私ども現在地方税法を審議いたしておりますので、沖繩の税制、それと本土の税制とが相当の違いがある。琉球政府政府税の中には、本土の国税に相当するものと府県税に相当するものとがある。また市町村税につきましても、本土の市町村税と相当な違いがあるものもあります。特に沖繩県民の間から、固定資産税につきまして、これを直ちに本土並みにいたしました場合著しい増税になる、したがってそれについては、当然著しい増税になるということについては避けてもらいたい、当然調整措置を講じてもらいたいという要求もあります。また、県民税に相当する税金沖繩にはございません。したがいまして、直ちに本土の県民税を適用することはやめてもらいたい、それを一挙に行ないます場合は住民の負担になるという声も高いわけであります。私も先月の末に沖繩に参りまして、そういう意見もずいぶん聞いてきたわけでありますが、近く政府がきめる見通しでありますこの要綱の中に、地方税の関係のものにつきましては、どのような形で要綱を決定される予定でありますか。  また、沖繩の税制と本土の税制の違いがあるわけでありますが、これにつきましては沖繩県民の意向を聞いてどのような配慮をしようといたしておりますのか、一応お答えをいただきたいと思います。
  92. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 先般一月に第一次の復帰対策要綱を出しまして、その際には、たとえば漁業権といったような海に関する問題でございますとか、あるいは復帰後の国の現地に対するめんどうの見方と申しますか、復帰後の組織体制というようなものをどういうふうに考えるかというようなことは、まだ入っておりません。そこで、第二次と申しますか、残しました問題はできるだけ早く県民の方々に知ってもらう、それによって安心してもらうために、現在まとめにかかっているところでございます。三月中に第二次案をまとめまして、お示しすることになると思います。その際に、御指摘の税問題につきましても、国民一人一人の最大の関心事でございますので、極力私どもとしては第二次の三月のまとめの中に入れたいということで、現在詰めを急いでおるところでございます。しかしながら、事、税の問題でございますので、あくまでも無理をしてはいかぬということで、十分納得のいくような線でやってまいりたい、こう考えております。  そこで、原則論につきましては、大蔵省あるいは自治省等によく御相談してやっておるのでございますが、たてまえとしては、やはり同じ日本の一県なのでございますので、本土の税制を一体的にそのまま適用していくことを原則に考えながら、しかしながらものによりましては、たとえば国税の物品税をどう考えるか、あるいは石油税が揮発油税になる場合をどう考えるか、いろいろ現実の問題があると思います。そういうふうな問題も含めまして、個々の消費者にとって負担加重あるいは経済の振興にとって必ずしも支障を来たさないように、できる範囲の配慮はぜひしていかなければならない。どの程度までできるかということを現在検討いたしておるところでございます。  県民税につきましては、これは所得全般の問題でございますから、当然創設されるべきものでございます。そういう観点に立って判断しておるわけでございます。  固定資産税につきましては、これは自治省からお答えになるべき性質のものだと思いますけれども評価等についてどのように考えるかというようなことも含めて、慎重に判断してまいりたいというふうに考えております。
  93. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 山中総務長官が沖繩へ参りまして、特にみやげ店その他の状況を考慮して、フリーゾーンをしばらく置いてもよろしいというようなことは明確に言われたわけでありますが、一般沖繩県民の感情からいたしますと、そういったフリーゾーンのほうは直ちに政府として明確な方針を出しておきながら、一般大衆の負担する税金については特例措置、特別措置というものを認めないで、直ちに本土のものを適用するということについては、県民感情として割り切れぬ部分が相当あるということは、私は当然ではないかというふうに思うのです。一部の業者にだけは特例をいち早く公約をして、一般大衆の課税については知らぬ顔ということでは、やはり問題ではないだろうか。  それからさらに、県民税創設の経過を見ますと、所得税を減税して、所得税の一部をいわば府県税に移譲したという形で県民税の創設がなされました。ですから、かりにもし県民税を考えるという場合におきましても、所得税の一部を移譲するという形で所得税と県民税合わせましても従来の所得税よりは決して増税にならない、むしろ軽減になるという点で保証されなければならぬと私は思うのです。これらの点に対する総理府並びに自治省の考えがあればひとつお聞かせを願いたいと思います。
  94. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 個々の国税あるいは地方税、特に創設すべき県民税ないしは財源確保の見地から考えていかなければならないところの市町村民税、そういうものの体系そのものについては大蔵省なりあるいは自治省なりにおいてお考えになられるべきものだと思いますけれども、基本的な考え方としては、両方通じまして住民に対する負担の関係が増税にならないように判断していくべきものではないだろうかというふうに私どもとしては考えております。
  95. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 大局的なと申しますか、全般的なことにつきましてはただいまお答えがあったわけでありますが、一番問題になりますのは、沖繩県が返ってまいりました場合に、市町村税――現在県税相当分として政府税が取りあるいは市町村税に入っておるものがございます。あるいは全然ないものがございます。そういう新しい税目の創設をどうするかという問題それから政府税から移し、あるいは市町村税から移すその移し方をどうするかという問題。それから三番目といたしまして、現在あります税目におきましても、税率が、あるものは本土よりも高いものがございます、あるものは低いものもございます。あるいは諸控除等につきましてはおおむね本土よりも低いわけであります。その辺のところを全部総合いたしまして、政府税、県税、市町村税全体を通じての負担というものを考えながら、税制の問題を考えてまいらなければならぬと私ども思っております。  そこで、ただいま問題として御指摘になっておられますところの県民税でございますが、これは復帰と同時に私どもは創設をしていただきたい。これは県の――県と言ってはまだ早いのでありますが、琉球政府の私どもが接触いたしております方々の気持ちといたしましても、沖繩県になったそのときから、県民税と申しますか、そういうものを創設するということについては大体私どもと合意に達しておると思っております。なおことしの二月二十四日に、琉球政府の税制審議会の答申というのがありまして、それを私どもも拝見させてもらっておるわけでございますが、その考え方は、所得税の中に県民税相当分の負担も考慮して云々、こういうことを考えておられるようでございますし、私どもも、所得税を減税されるそのときに、内地並みの所得税に下げてもらいますと県民税の取り前がなくなるわけでございますので、減税の際に県民税分を頭に置いて減税をやっていただいて県民税を創設していただく、これが一番スムーズじゃなかろうかというふうに考えております。  それから固定資産税の問題でございますが、これは御案内のとおり、現在土地、家屋につきましては、琉球政府におきまして内地並みの評価基準によって評価の作業を現在一生懸命やっておられます。  それから償却資産につきましては、評価基準という統一的なものはございませんで、個々の市町村で苦心してやっておられるようでございますが、大体の姿といたしましては、いま私どもが内地――内地といいますか、いま国内でやっておりますところの大体簿価並みの評価というところまでいき得るように思います。  そういうことでございますので、復帰の初年度におきましては、やはり現在の固定資産の評価なり、あるいは問題の税率が一つございます。税率が〇・八%でございますので、それとの関連の問題がございますけれども考え方といたしましては、復帰の初年度におきましては、復帰時点の沖繩やり方でやってまいる。四十八年度は本土を通じまして-本土のほうは基準年度になるわけでございます。その際に、例の負担調整措置の問題もからんでまいりますので、その四十八年度の問題につきましては、現在、本土と一環の中でどういうふうに無理なく移ってまいれるかということを私どもも検討いたしておる段階でございます。
  96. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 税務局長は、先月の二十四日に答申されました沖繩の税制審議会の答申もお持ちのようであります。   〔委員長退席、砂田委員長代理着席〕 その個々の内容をごらんいただくことも必要でありますが、そこに前文がついておりますね。前文の中には、われわれ沖繩県民は何も好んで本土から切り離されたわけではないのだ、したがってそういう経過というものを考えますならば、本土の制度だからといってそれを直ちに沖繩に適用し、県民の負担が著しく高くなることについてはわれわれとしては承服しがたいのだ、という趣旨の文章がついております。私は、やはり沖繩税制審議会が答申をいたしましたその前文の趣旨、考え方というものを、ぜひとも自治省においても、それから総理府においても十分考慮をいただきたい。沖繩の税制につきましては、またいずれ私ども地方行政委員会で十分議論しなければならぬ問題だと思いますから、以上のことを強く申しまして、時間がありませんから、この点については終わっておきたいと思います。  次に、電気ガス税の問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。  資料をいただきまして、各国における電気またはガスに対する課税の状況、そして非課税措置をどうしているかというのを拝見いたしました。これを見ますと、アメリカ合衆国あるいはドイツ、フランス等、拝見いたしますと、日本の企業に対する電気ガス税の非課税措置というのは非常に懇切丁寧をきわめているのじゃないか。そういう意味では、わが国の電気ガス税の非課税措置というものは、他の欧米諸国に比べて企業を非常に優遇し過ぎているのではないかという感じがいたします。この点、政務次官もおられますが、どうですか、どういう御感想をお持ちでありますか。
  97. 大石八治

    ○大石政府委員 いま私も初めて見ているのですが、品目でいえば非常に多いように感じますが、たとえばアメリカ合衆国は、工業用燃料として使う場合は全部だと書いてあるので、これのほうが包括的で全部じゃないかというふうに感じておるわけですが、ほかの国を見た場合でいうと、多少違うような感じもいたしますが、税制全体の中で考えなければなりませんので、いまそうだというふうに的確に返事できませんが、品目だけでいうと、そういう感じはいたします。
  98. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 通産省の公益事業局、いますね。おたくのほうは電気担当ですから、各国の電気ガス税の非課税措置等については十分詳細な検討をしておられるのじゃないかと思うのですが、わが国の制度は、他国に比べて企業を優遇し過ぎておるのじゃありませんか。
  99. 北山昌寛

    ○北山説明員 電気に対する消費課税につきましては、大体海外では地方税の形になっておりまして、実は私のほうで詳細つかんでおりません。
  100. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 電気の料金はどうですか。わが国と欧米諸国と比べまして、わが国のほうが著しく高いという状況ですか。
  101. 北山昌寛

    ○北山説明員 産業用でございますね。――電気料金につきましては、各国ともやはりコスト主義によっております。したがいまして、カナダ等の水力地帯は安くなっておる。それからまたイギリス等の石炭火力の多いところは高いというのが現状でございます。主要国をとってみますと、大体日本は中間くらいというふうな感じでございます。
  102. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 この工業用の電気料金の状況が中くらいということになれば、他国よりも著しく非課税措置を強化するということも、これはやはり問題があるのじゃないかと思うのです。通産省も何人かの課長さん見えておられるのですが、そういう点は、わが国と他国との工業用電力の料金の比較、それに伴う非課税措置の比較というものは、当然やっておられると思うのですが、そういう点、詳細にわかっておる方があれば、ひとつ御説明いただきたいと思います。自治省の側でも当然税金をいただくほうでありますから検討しておると思いますので、当局でけっこうでございますから、御説明いただきたいと思います。
  103. 福川伸次

    ○福川説明員 産業用の電力につきましては、ただいま公益事業局のほうから御説明になったとおりでございます。私どもといたしましては、電気とガスが重要な産業の基礎資材であるというような観点、あるいはまた新規に開発されました基礎資材というような意味で、電気ガス税を非課税にいたしまして、日本全体の産業のコストを低減し、また国民生活にそれを反映させようということで、非課税措置をとっておるわけでございます。諸外国におきましても、税制の体系は、たとえば間接税体系の国もございますし、直接税体系の国もございます。また電気に関しましても、あるいはスイス、あるいはフィンランド、オーストラリア等々、国によっては非課税措置をとっておる国もございます。わが国におきましては、重要な基礎資材部門ということで、製品等については措置がとられておりませんが、基礎資材部門につきましては、低コスト、低価格で供給するというような視点で非課税措置をとっておるということで、日本の税体系の中でそういうこととも関連させて考えるべきではないか、かように考えておるわけであります。
  104. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 電気ガス税の非課税品目の問題でございます。いろいろ考え方があろうと思うわけでありますけれども昭和二十三年に電気ガス税を地方税として創設をいたしました当初からの一貫した制度創設の考え方、運用の考え方といたしましては、やはり生産用途に課税をせられるものについては、極力これを実情に即した形で制約をしてまいるということで、工業用のガスというものは最初から課税をしておらないわけでございます。そのような考え方の基礎にありますのは、いわゆる原料課税になるということを極力排除する、こういう思想があるわけでございますし、そういった考え方というのは、やはり電気ガス税というものを消費税という形で純化していく、こういう考え方からいたしますと、是認せられるところではないだろうか。ただ、その場合、他方におきまして消費課税に純化するといいながら、それならば今度は低額の所得者の電気ガスの消費というものは、それでは課税しっぱなしでいいか、こういう問題がございまして、ちょうどはさみのもろ刃みたいなもので、電気ガス税というものが右からと左からはさまれておるようなかっこうでございまして、その中でどういうふうに電気ガス税の負担を適正にし、合理化してまいるか、こういうふうに考えておるところでございます。したがいまして、例の里要基幹産業に使用する電気、あるいは新規製造血目で国民経済の上からウエートの高いもの、こりいう縛りを一つかけまして、それにさらにおおむね五%以上、こういう二つの縛りで非課税品目というものを定めておる。あるいはまたその規格にはずれたものははずしてまいっておる。こういり努力を続けておるところでございます。
  105. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 理屈をつければいろいろあるだろうと思うのですが、ただ住民感情としてずばり言えることは、最近公害の問題が住民の大きな関心の的であり、また各地におきまして、公害追放の住民運動が発展しつつあることはよく御案内のとおりだろうと思うのです。電気ガス税の非課税措置を受けておりますものを見ますと、たとえば亜鉛鉱並びに亜鉛地金というのが非課税措置になっています。御案内のように、亜鉛鉱を処理すれば当然カドミウムが出てくるわけでありまして、カドミウム公害というものが各地で起きておる。住民の側から見れば、公害をあの企業は出す、ところが生産に使っている電気ガス税については非課税になっておるということでは、これは住民感情から見て、現実私は非常に割り切れぬものがあるだろうと思うのですね。それからさらにずっと見てまいりますと、アセトアルデヒドが非課税になっている。水俣でこのアセトアルデヒドをつくっている過程で例のメチル水銀の問題も起きた。そうなりますと、結局そのような公害を出している企業について、公害を出す仕事をやっておったのが電気ガス税は非課税ということでは、住民の諸君も大きく疑問を持つことは当然だろうと思うのですね。   〔砂田委員長代理退席、委員長着席〕  それから、最近廃棄物公害が大きな問題になりました。現に東京湾も、塩化ビニールあるいはポリエチレンといったような合成樹脂でまさに埋まっておる。太平洋の相当広範な地域にもそういったものが漂って、いろいろな意味で問題を起こしている。さらに、これらのプラスチック製品を自治体でもって清掃業務で燃しているわけでありますが、そういたしますと、塩化ビニールを燃せば塩素ガス、塩化水素ガスというものが大量に出る。公害をばらまく。それからさらにポリエチレン等、あるいは発泡材であるものですね、プラスチック、こういうものを燃すのにはばく大なカロリーが要って、自治体の焼却炉がすぐこわれる。ところが、これらのプラスチック製品をつくる際の電気については非課税になっているということでは、これはまた住民の側から見て割り切れぬ気持ちがするのは当然だと思うのです。  いま世界各国の工業用の電気料金が一体どうであるか、またこれらの各国の非課税品目が一体どうなっているかということは、ひとつ自治省においても十分御検討をいただきたい。通産省においても御検討をいただきたいと思いますが、同時に、いまのような公害を出す企業に対して電気料金は非課税になっている。その周辺の住民は公害でおかされているということについて、当然私どもは思いをいたさなければならぬと思うのですが、この点、政務次官の率直な御感想を承りたいと思います。
  106. 大石八治

    ○大石政府委員 感じはわかますけれども、非課税のことと公害とすぐ結びつけてというふうにそこを歩いている住民が、けしからぬと言うことはわかりますけれども、非課税だというところにすぐなると、ちょっと筋道としては、その部分の電気ガス税が非課税ということと公害とすぐ結びつくかどうか。そこは、税金のことをあまり知っていらっしゃるからそう思うので、住民のほうならば、あそこには電気を送るなというようなことを思うほうが普通の感情ではないか。住民感情というお話ですから、感情としてそうなると思います。感情とすれば、電気を送るな、工業用水を送るなというふうに思いそうだと私は思います。
  107. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私が、どういうものが電気ガス税が非課税になっておるか知っているからそういうことを言うので、一般の国民の人は知らぬから云々というようなお話もありましたが、そういうのは江戸時代からの、民はよらしむべし知らしむべからずというような封建的な思想なんであって、いまやわが党の地方議員の努力等によりまして、どういうものが非課税措置になっておるかというようなことは、日本国民、住民の方々もだいぶ私は承知してきているのだろうと思うのですよ。また、知らなければ問題がないだろうというふうなことは、お考え方としてどうかということを考えますがこれ以上こういうことを申しておりましても時間がかかりますから、次にお尋ねしたいと思うのです。  特に通産省の鉱山課長さんにお尋ねしたいと思いますが、亜鉛鉱及び亜鉛地金、銅鉱及び銅地金、これは電気ガス税の非課税の範囲に入っておるわけであります。これは自治省の税務局に聞いたほうがいいのならば、そちらでお答えをいただきたいのですが、カドミウムというのはここに書いてありませんけれども、亜鉛鉱を処理するならば、当然一緒にカドミウムも製錬されるということですから、カドミウム製錬に関係する電気ガス税についても当然非課税になっているというふうに私は考えるのですが、それでよろしゅうございますか。
  108. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 私、技術はちょっとわかりかねますので、通産省の方が参っておりますので、後刻調べまして御返答をいただきます。
  109. 菅太郎

    菅委員長 通産省はお答えになりますか。
  110. 福川伸次

    ○福川説明員 カドミウムに関しましては、御指摘のとおり、鉱石の中では亜鉛と一緒に出てまいります。したがいまして、途中の鉱石の中で分ける過程におきましては、これはお話しのとおり、一緒になります。分けましたあと、製錬する過程におきましては別の工程をたどる、かように記憶いたしております。
  111. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 亜鉛鉱の処理には、湿式の製錬の方法と乾式の製錬の方法がありますね。亜鉛鉱を焼きまして乾式製錬いたします場合、そこに使う電気は非課税になっているということになれば、当然製錬の過程におけるカドミウムに対する電気についてもその部分は非課税で、地金ということは書いてありませんから、最終的に分離をして地金にするときには、使用する電気については非課税措置ではないということになるかと思いますが、相当部分がとにかく非税課になっておることは事実ですね。  さて、そこでお尋ねしたいと思うのですが、神通川のイタイイタイ病をはじめといたしまして、最初は宮城県の鶯沢、それから群馬県の安中、そして長崎県の対馬、大分県の奥嶽川がカドミウムの汚染地区として要観察地域に指定をされ、その後冨山県の黒部、それから福島県の磐梯町、さらに福岡県の三池ですか、という地域が逐次要観察地域に指定をされて、カドミウム公害が各地で問題になったわけでありますが、最近群馬県で特に古河鉱業の足尾銅山が原因ではないかと見られるカドミウム汚染が問題になっています。足尾銅山の鉱害といえば、まさにこれは百年の公害でありまして、わが国の公害第一号、公害の原点といってもいいところだと思うのでありますが、ここで、この鉱山が原因と見られるカドミウム公害が群馬県の太田市周辺で問題になっております。  そこで、通産省のほうにお尋ねしたいと思うのですが、通産省のほうでもお調べいただいていると思いますが、このカドミウム汚染地区と、従来からいわれておりました足尾銅山の銅によるところの、いわば鉱毒の汚染地区、これとは一致をいたしておりますか、どうでしょうか。
  112. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 お答えいたします。  このたび起こりました渡良瀬川のカドミの公害地区は、従来からございました銅の鉱害地区と全く同じところでございます。
  113. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 現在足尾銅山で製錬をいたしております銅の鉱石、これはどのような鉱石であり、カドミウムが含まれていると思うのですけれども、どの程度含まれておりましょうか。
  114. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 足尾鉱山は、御承知のように、銅の鉱山でございまして、カドミの含有は、私どもの調べております範囲では、鉱石の完全分析によりますると二PPMから多くても六PPMというような大台で、非常に少ないわけでございます。  なお御参考のために申し上げますが、亜鉛鉱に含まておりますカドミの品位は〇・二%ないし〇・三%ということことでございますので、これをPPMになおしますと大体二〇〇〇PPMないし三〇〇OPPMであるということでございます。
  115. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 亜鉛鉱に比較してカドミウムの含有量は低いということは私も了解をいたします。ただ問題は、私も化学を勉強したことがあるのですが、やはり銅、亜鉛、カドミウム、それから砒素、鉛というものは比較的一緒に出る可能性の強いもの、また化学的な性質からいいましても、非常に似ているわけですね。そういうことから、共存しやすいということは当然考えられるだろうと思うのです。現在足尾銅山が処理をいたしております黄銅鉱の中におけるカドミウムの含有量は少ない。しかし、あそこは百年にわたって、あるいは江戸時代から操業しておったところでありまして、非常に長い歴史を持っているわけですね。百年をこえる歴史を持っている。したがって、その間、銅鉱石の性質というものも、当然現在のものとは違った性質の銅鉱があったのではないかということも言われるでしょう。それからさらにわが国の場合は、まあ亜鉛鉱もそうですが、海外から輸入している鉱石を処理するというのが大部分です。銅の鉱石につきましても、当然この足尾銅山から出るものばかりではなしに、海外からのいわば輸入鉱を処理するという量も相当あったのではないかというふうに思います。これらの状況はどうでしょうか。輸入鉱がいつごろどの程度入り、さらにその品位というものは一体どういうものであったか、おわかりになればひとつお答えをいただきたいと思います。
  116. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 お答え申し上げます。  足尾の製錬所におきましては、昭和二十八年から輸入鉱を処理いたしております。現在におきましては、毎月の量で申しまして三千トンくらいの銅が出ておりますが、そのうち足尾の鉱石から出ます銅がおおむね四百トンくらい、あと故銅、スクラップから出るものが四、五百トンございますので、残余が輸入鉱石。輸入鉱石の比率のほうが高いというのが現状でございます。  それから輸入鉱中のカドミウムの含有量につきましては、これは国内鉱の銅鉱よりは高くて、一、二高いものがございまして、一〇PPMくらい含有しておるものがあるということを聞いております。ただし、私どもではまだ現在分析をいたしております最中で、正式なデータは私は持っておりません。
  117. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 現在足尾銅山の排出口から出ますカドミウムの量、これはどの程度ですか。安中あるいは黒部等の場合は、これは乾式製錬もやっていますから、排煙によるカドミウム汚染というものは考えられますが、今度の太田の場合は、神通川の婦中町周辺と同じように、これは排水によるところの汚染、こう考えるのが妥当だと思いますが、そうなりますと、排出口におけるカドミウムの含有量は一体どのくらいであるかということがやはり問題だと思いますが、その点はどうでしょうか。
  118. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 現在の足尾鉱山からの排水中のカドミの含有量は、一番山元ではかりましたところで〇・〇一PPM以下でございます。申すまでもございませんが、排出基準は〇・一PPMでございますので、それをはるかに下回っておるということが言えると思います。なお、鉱山から約四十キロ下流の利水地点におきましての測定では〇・〇〇二PPMという大台でございまして、これまた環境基準の〇・〇一PPMをはるかに下回っておるというのが現状でございます。
  119. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 安中その他、他の地区におきましても、現在のこの排出基準ですね、〇・一PPM、それから環境基準であります〇・〇一PPM、これは守られているというのが現状ですね。しかし、残念ながら汚染地区になっている、要観察地域になっている。したがって、その原因は何かといえば、それ以前の排出量が非常に多かった。それが長年にわたって蓄積をしたということが当然原因として考えられると思うのですね。足尾の場合はとにかく百年をこえる長い歴史を持っているわけでありますから、当然現在は排出基準がそれは守られているかもしれない。しかし、それ以前は一体どうだったのだろうかというところにやはり現在の汚染の原因があるのではないかしいうふうに考えるわけでありますが、その点はどうでしょうか。  それからさらに足尾には古い堆積場が相当あるということを聞いております。そういった古い鉱石、まだ製錬技術が幼稚でありました時代の鉱滓ですね。その中に占める銅あるいは砒素、鉛、亜鉛、カドミウムというものの含有量も相当あるのではないかということが考えられるわけでありますが、そういった堆積層に雨が降って、それがオーバーフローして川の中に流れるというものの中に相当高いカドミウム濃度があるんじゃないかということも考えられるのですが、それらの点は調査をなされましたか。
  120. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 先生のお尋ねは、たぶん渡良瀬川のカドミウムの汚染原が足尾鉱山ではないかという御推理でお尋ねになっていると思うのでございますが、まず第一に、過去の排水関係はどうであったかという御質問には、御承知のように、カドミウムというものが公害の原因として問題になりましたのは、一番早い時点で考えましてもいまから七、八年ぐらい前ということでございますから、それ以前についてはカドミウムの含有というのは当然意識のうちになかった。加えまして、分析技術が非常に低かったわけでございますから、そういうものを検出することもまた不可能であった。したがって、現在よりも水質が悪かったのであろうということは想像するにかたくないところであります。しかしながら、もともと足尾銅山の鉱石中のカドミウムの含有量はきわめて低いわけでございまして、それが害をなすかというところには、私はいささか問題があるのではないかと思っております。  しかし、同時に考えなければいけませんことは、先生もおっしゃっておられますように、カドミについては蓄積性というのがございますので、たとえ微量であっても、非常に長い年月の間には蓄積するではないかということになるわけでございますが、この辺の問題になりますと、一朝一夕に結論を出すことは非常にむずかしい問題であると私は思うわけでございまして、私どもの現在までの調査の結論といたしましては、今回のカドミウムの汚染については、足尾鉱山は全く白であると言い切ることはできないというのが現状でございまして、なおかつ調査は進めておりますので、その調査の結果から、今後原因が何であるかという点をもう少し明確に詰めていきたいというふうに考えております。
  121. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 太田周辺のカドミウム汚染の原因に対して、足尾鉱山が白とは言えないということですから、黒と考えられないこともないということだろうと思いますが、そのことは私が冒頭お尋ねしたように、もし足尾銅山の銅の鉱毒汚染地と、それから今度発見されましたカドミウムの汚染地とが大きくくずれておるということならば、これは足尾が黒でないということも言えると思うのですが、しかし、鉱山課長も明確にお答えになったように、銅の鉱毒汚染地と今度のカドミウム汚染地とが重なっているということであるならば、当然今回のカドミウム汚染の原因は足尾銅山である。しかも銅石に対してカドミウムが微量ではあるが含まれているし、また輸入銅の中にはそれ以上のカドミウムが含まれている。過去における製錬技術の未熟さというものもお認めになっているわけでありますから、当然、白とは言えぬということは、足尾銅山が今回のカドミウム汚染の犯人あるいはその原因者である、言いかえれば、黒であるということがほぼ言えるということではないかと私はは思うのですが、その点はいかがですか。
  122. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 渡良瀬川の地形について若干御説明しなければならないわけなんですけれども、足尾鉱山から渡良瀬川が群馬県に入りまして平野部に入りますのがちょうど今回の汚染地でございまして、それより上流はわりに、急峻な谷川である。したがいまして、水による汚染という場合に、当然その汚染が一番最初にあらわれる地域がいまの地域であるということで、カドミウムの汚染地域と銅の汚染地域が当然重合すべき地形であるというふうに私は考えます。ただし、今度の汚染地域の上流には桐生市がございまして、その桐生市には、まだ私どもの調査が完全に行き届いていないわけなんでございますけれども、メッキ工場というものが、私どもの調べている範囲でも九つばかりございます。それが現在のカドミウムのメッキをやっておるという事実はございませんが、過去においてカドミウムのメッキをやっていたという事実もあるやに聞いておりますので、先ほどよく調査をしましてということを申し上げたわけなんですが、それは、そのようなことも含めて結論を出していきたいというふうに考えておるわけでございます。重合はむしろ地形的にそうなるべきであろう、水による公害ならばそうなるべきはずだということを申し上げておきます。
  123. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 とにかく銅の汚染地区と今回のカドミウム汚染地区とが重なっている。群馬県内もそうでしょうし、当然栃木県にも同じ条件があるのではないかと思いますが、そうなれば、かりに下流地区にかつてカドミウムメッキをやっておった工場があったにせよ、それは当然カドミウム汚染の一つの要素にはなったかと思いますけれども、しかし、その汚染源の大部分の原因というものは、やはり足尾銅山によるものであるというふうに見るのが正しいんじゃないかと私は思います。現に三月一日、足尾銅山の責任者を群馬県が呼びまして、いろいろ話し合いしたようでありますが、そのあと足尾銅山の責任者が新聞記者会見をいたしまして、現に足尾銅山が処理しておられる黄銅鉱には、二ないし六PPM程度のカドミウムが含まれている。かりに二PPMと計算をいたしまして、毎月九千トンの銅鉱石を処理しているということでありますから、単純に計算すれば月十八キログラムのカドミウムが出るということは当然言えるわけで、これが四PPMということになるならばこの倍三十六キログラム、六PPMということになれば十八キログラムの三倍ということになるわけでありますから、やはり相当量のカドミウムがこの川に流れ、そして下流に堆積をするということは言えるわけでありまして、会社としても月十八キログラムないしそれ以上のカドミウムを流している、現に出ているという事実は認めたようでありますから、その点は私がただいま申し上げた考え方というものについて、鉱山課長さんは否定なさらぬだろうと思うのです。その上に立って調査、研究されること大いにけっこうであります。ただいま私が申し上げた、これは類推でありますが、類推に対して正しいかどうか。いわば原因の大半、ほとんど大部分というものはやはり足尾銅山の責任ではないかということについて、鉱山課長の重ねての御見解と、今後どのような手続でその原因究明をきちっとおやりになるのか。どのような機関で、およそどの程度の期間をもって原因究明をされるつもりか、この点もあわせてお尋ねをいたしたいと思います。
  124. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 私先ほど申し上げましたようにいまの段階におきましては、足尾鉱山が今回のカドミ汚染につきまして全く白であるとは言えないということしか申し上げられません。なぜならば、もう少し私のほうがいろんな意味において調査を進めまして、実証を握りました上においては明確にお答えができますが、現在の時点においては、まだそこまで調査が進んでおりませんので、御容赦願いたいと思うわけであります。  それからもう一つの点は、実は渡良瀬川の銅の問題のときにいろいろ問題がございまして、そのときには、経済企画庁に当時置かれておりました、いまでも置かれておりますが、水質審議会というものがございまして、その水質審議会の第六部会でこの問題が取り上げられまして、昭和三十八年から四十二年にわたりまして約十五回の会議を開催して、いろいろな排出基準の問題及び原因の究明という問題に当たってきたわけでございますので、私どもとしましては経済企画庁、それから農林省等と御相談の上、水質審議会におきまして、今度のカドミウム問題につきましてもその原因なりあるいは排出規制の問題を審議していただくのが最も適当ではないか、こういうふうに考えております。
  125. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 昭和四十二年以来この渡良瀬川の水質基準をきめ、そしてまたこの鉱毒地区をどのように土壌汚染をなくするための措置をやっていくかというようなことをきめたわけでございまして、それからすでに四年の期間が経過しているわけでございまして、しかもこの間、各地でカドミウム汚染が問題になっている。しかも私が申し上げましたように、銅とカドミウムというのは化学的な性質も似ておるわけですから、銅が問題になるということはやはりカドミウムもあるいは問題があるのじゃないかというふうに考えるのは、私は化学的な意味での常識だろうと思うんですね。しかるに四年間放置をして、いまになってカドミウム汚染ということが問題になったということは、どうも少しお役所仕事過ぎると申しますか、少しのんびり過ぎておったんじゃないか、この点は私は遺憾に思います。  それから同時に、白ではないというのですから、当然黒と考えられないこともないということだと思うのですが、なかなか黒ということばをお使いにならぬようでありまして、その点遺憾ですが、しかし、私が黒と言えといっても、まあ黒と言う気持ちがなければ言いっこないわけで、白とは言えないということですから、常識的にいえば黒と考えられないこともないという意味で理解をしておきましょう。しかし、通産省のお役人ももう少しはっきりものをおっしゃってもいいんじゃないですか。白とは言えないということは、黒と考えられないこともないということと同義じゃありませんか。
  126. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 実は私が申し上げておりますことは、問題が起きましてから少なくとも物量的な調査が、まだ日が浅うございまして、もう少し物量的なデータがはっきりしましたところで、もっと明確にお答えできるということでございます。   〔「薄墨色だろう」と呼ぶ者あり〕
  127. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 地方行政委員二十数年間の歴史を持ちまして、やがて二十五年の表彰にもなるでありましょうし、同時にそれは地方行政委員会二十五年永続の表彰にもなる門司大先輩が、薄墨である、こう判断されましたから、これはまさに地方行政委員会における権威ある判断が下されたものと考えてよろしいんじゃないかと思います。よく地方行政委員会の判断はそうだということを念頭に置いて、ひとつ課長さん、やってもらいたいと思います。  厚生省にお尋ねしたいと思うのですが、原因究明はともあれ、玄米から〇・九三PPMにものぼる汚染米が発見をされた。要観察地域を指定いたします基準は〇・四PPMということを承っておるわけでございまして、しかも食品衛生法に基づく有毒物質、これは玄米一PPMということですから、まさに有害物質一PPMすれすれの汚染米が発見された。非常な汚染だと思います。当然この地域は要観察地域として今後十分な調査をすべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  128. 山本宣正

    山本説明員 お答えいたします。  私ども県から報告を受けまして、米の中のカドミウムの濃度が、私どもが要観察地域としての調査を開始する一つのめどとなっております〇・四PPMをこえているものがあるということでございますので、これについてさらに詳細な調査をするように、県当局のほうに指示いたしております。県のほうも、その線に沿った調査をこれから進めるということでございますが、内容といたしましては、要観察地域の指定にあたりましては、米の中の含有量だけではなしに、要するにその地域の人の食生活を十分考えまして、飲食物から取り入れるカドミウムの量がどの程度を越すかということをめどにいたしまして地域の指定をするという手順になっておりますので、そういう意味でのデータをそろえるための調査を早急に県にしていただくように指示をしている段階でございます。
  129. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ついでですから公害課長さんに聞きますが、土壌汚染防止をいたします場合、米しか基準がないというのはたいへん問題なんですね。この地域は水田地域ですからいいのですが、安中その他の地域では畑作が非常に多い。麦についても基準はきめたいといっておるのですが、どうですか。麦の基準はどうしますか。最近各地で米よりも高い汚染度の麦あるいは野菜等が続々発見されておるときに、いつまでたっても米以外の基準をつくらぬというのは、私は怠慢だと思うのです。せめて麦ぐらいはもう早急にきめるのだろうと思うのですが、これはどうですか。
  130. 山本宣正

    山本説明員 私からお答えいたしますよりも、食品衛生課長からお答えしたほうが正しいのかと思いますが、私といたしましても考えておりますことは、現在までのカドミウム汚染による中毒症のおそれというのは、飲料水から取り入れること、それから米が食生活の中で非常に量として多いわけでございますので、これを主眼にして考えるということでございます。安中地域につきましても、麦の食生活の状況を調べましたが、米に比まべすとその比重が少ないということでございますので、現在まできめておらないということでございます。いま少しこの問題につきまして、稲のは場合にはかんがい用水からの吸収ということがあるいは考えられるかと思いますが、麦の場合にはどういった経路のものであるか、土壌にはどういう経路で――土壌の中へ汚染はおそらく大気汚染からくるであろう、こう思うわけですが、そういったようなことも十分検討してきめていかなければならないんじゃないか、私はそう考えます。
  131. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 汚染地域が発見されたわけでありますから、すみやかにひとつ十分な調査をいたしまして、地域住民を安心させる措置を一日も早くとっていただくことを強く要請をいたしたいと思います。  それでは、この問題はこの程度にいたしておきたいと思いますが、とにかくこのように公害が問題になる企業、その企業がすべてこの電気ガス税の非課税品目になっているということにつきましては、私ども国民の代表として非常に割り切れぬ思いがする。このことはひとつ自治省もよく国民の声として念頭に置いていただきたいと思います。  それから、通産省のほうにお願いをしておきたいと思いますが、各国の電気料金の価格、それから非課税品目の状況、自治省から資料をいただきましたが、どうも十分でありませんので、これはひとつ通産省の側のほうが、そちらが本職なのですから、ひとつ十分調査をいたしまして、もちろんアメリカなんかは州で法律をきめているという点がありまして、直ちに連邦政府法律を見ただけではわからぬという点もよくわかりますけれども、日にちは若干かかってもけっこうでありますから、今後の洗い直しのために私ども十分検討さしていただきたいと思いますので、資料提出お願いをいたしておきたいと思います。  最後に、固定資産税の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。この関係につきましては、各委員からいろいろな形でお尋ねがございました。したがいまして、重複を避けましてお尋ねをしたいと思うのですが、とにかく本日参考人の各位が申されましたように、農業を継続したいという方がすべて市街化調整区域のほうに入っているというわけじゃありません。本人は農業をやりたくても、諸般の事情から市街化区域の中に入ったという方々もあるわけであります。しかも参考人の方々も強調されましたが、これらの農地が当該都市の新鮮野菜の供給というものに大きな力を持っているということも明らかであります。したがいまして、市街化区域に入りました地域におきましても、あくまでも農業を継続されたいという希望を持っている方は、農地としての固定資産税評価をやっていくということが私はどうしても必要だと考えます。そういう意味で自治省もいろいろ苦労されたようでありますが、まず第一は、このC農地については昭和五十一年から逐次宅地並みの課税をしていく。したがって、今後五年間ありますから、見直しの場合に、そういう希望の方々は市街化調整区域に入れていくという措置をおとりになりたいということでありますが、しかし、その場合も、では直ちに市街化調整区域の中に飛び地として入れるかということになると問題になる。飛び地として認めるためには、十ヘクタール以上の集団農地でなければいかぬ。十ヘクタール以上の集団農地農業を引き続いて継続したいという方は、水玉模様でもって市街化調整区域に指定していく。しかし、十ヘクタール以下の、たとえば一戸か二戸の農家の方、農地にいたしまして三ヘクタールあるいは二ヘクタールという方でも農業を続けてやりたいという人がある。この場合の保障は一体どういうことになるわけですか。
  132. 大石八治

    ○大石政府委員 私ども前提考えているところは、都市計画区域をきめて、その中で市街化区域調整区域をつくるということは、つまり虫食い現象を起こしてしまって、しかもどこまでが都市計画区域であるのかわからないということになれば、いわゆる地方自治体が都市化のためのいろいろの諸投資をすることについて非常に不合理になってしまうわけです。したがって、市街化区域というものを限定して、そこにはいわゆる集中的に下水道なりあるいは道路整備をしていくということを考えたわけでありまして、先ほど参考人からのお話もありますように、住民のいろいろな意見を聞いて、そこでその大部分の考え市街化区域というものになるということの上で市街化区域を決定したわけであります。市街化区域というものの解釈が、十年以内にはいわゆる住宅なりその他都市計画上の諸施設でそこが埋まるものという前提が実はあるという点をぜひ御理解をいただきたいと思うのです。  しかし、いろいろな点でそうばっかりもいかない部分もあり得るということで、いわゆる五年以内の見直しの場合に、全体的の見通しからいって、ここは市街化区域にはならないというときに調整区域に編入する。しかもなお同時に、いわゆる都市計画の全体構想がこわされないという意味で水玉模様の調整区域もつくろう。その場合は、ある人たちが、自分はここの土地だが、そこに行ってやりたいとか、私は出たいという人もあると思うのです。しかし、それを一括して、約十ヘクタールくらいの団地として調整区域的な扱いをするという考え方でありまして、農業をやりたいと思っておる人を残してやれよというふうにだけなりますと、今度は逆に都市計画区域というものがどうにもならない。これは今度はその都市計画区域の中で農業をやりたいという人の場合には、いわゆるこれは農林省の方針と、実際にはその都市の政策というか、行政指導になると思うのですが、調整区域なりその他の農地のあっせんをするとか、いろいろな形でそれをやるということにいたしていただきたい。その経過の中で直ちに調整区域に編入しにくいというようなところにおいては、いわゆる税制上の助言を大臣がするということでございますので、どうしてもやりたいという個人がいれば、直ちにそれが調整区域なり何々になっていくというふうになると、いわゆる都市計画というものを、法をつくって市街化区域調整区域までつくっていこうとすることと非常に矛盾をいたしますが、そういう点等いろいろの事情を考えて、いまお話しのようなA、B、Cに分けて、またそれでこういう措置、こういう措置、こういう措置ということでやっていくというふうに考えているわけでございます。
  133. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 自治省のほうからいただきました資料の(1)、(2)はいいわけですが、(3)ですね。「地方税法上の「市街化区域農地」の範囲から除かれる農地」。これが先ほど私がお尋ねをした十ヘクタール以下二ヘクタール、三ヘクタールというような農地で、しかも農業を継続してやりたいという方を除いたと思うのですが、これによりますとa、b、c、dとありまして、一つは、参考人の方々のことばでは生産緑地、言うならば、緑地の区域として、この都市計画法の第五十五条第一項の規定による都道府県知事の指定、建築制限を当然受けるわけでありますが、受けたものについては税法上市街化区域農地の範囲から除いて、いわば調整区域並み農地、いわゆる課税農地としての扱いを受けるということで確認をしてよろしいわけですね。それから次に、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法の保存地区の区域内の農地」、これも同様だ。それから「首都圏近郊緑地保全法、近畿圏の保全区域の整備に関する法律の近郊緑地特別保全地区の区域内の農地」。具体的には政令できめるというのですが、どういう形で政令できめるわけですか、お尋ねしたいと思います。これも要するに、税法上市街化区域農地の範囲からはずれる扱いを受ける。それから最後に「文化財保護法の史跡、名勝又は天然記念物である農地」、これも政令で定めるそうでありますが、その定め方をお聞きをいたしますと同時に、この地域はやはり除かれるというふうに確認をしてよろしいわけですね。
  134. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 ちょっとくどくなりますけれども、ただいま御審議をお願いいたしております地方税法の改正案の附則十九条の二というのがございます。そこで、市街化区域内の農地の定義規定を置きまして、その中で、カッコしまして「同法」と申しますのは、都市計画法でございますが、「第四条第五項に規定する都市計画施設として定められた公園又は緑地の区域内の農地で同法第五十五条第一項の規定による都道府県知事の指定を受けたもの」という先生のおっしゃったとおりの文言になっておるわけでありますが、「その他の政令で定める農地を除く。」こういうことにしておるわけでございます。趣旨は全くただいま御確認になりましたとおりでございまして、地方税法施行令でこの趣旨の規定を、法律が通りました暁には制定いたしたいと思っております。
  135. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それで税法上市街化区域から除くというんですか。その除くを認定するのは、市町村長というようになっているわけですが、もちろんその基準は政令その他によって縛りはあるんだろうと思いますが、私は農業をやりたい、そうしていま申し上げた各種の法律、政令等によってこの市街化区域農地からはずされるということになるわけですが、その希望した場合に、それを除外することを認定するものは一体だれなのかということです。
  136. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 資料提出を申し上げましたこの(3)のb、c、dは、これは地域が定まっておりますので、そのままこれを引っぱることによりまして、認定を要しないわけでございます。それからaのいわゆる施設緑地と私どもが申しておりますものでございますが、これは都道府県知事の指定を受ける。受けますというと、対象からはずれていく、こういうことになります。指定というものがかかります。
  137. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 しかし、一般農家の皆さんがのこのこ県庁へ行って、これをはずしてくれというわけにはなかなか現実上まいらぬわけですね。したがって、当然私はそういった法律上の規定、知事の権限ということを踏まえた上でさっき聞いたつもりなんですが、結局法律的には知事の指定や何かだろうと思いますけれども、現実に本人が希望する、そうした場合、当然固定資産税を課するのは市町村長ですから、市町村長が認めて、その手続を当該県その他に対してやるということの中で、これが除外されるということになるんじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  138. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 そのとおりでございます。
  139. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 その場合は、私はやはり農業をやりたいという人の希望が十分いれられるかいれられないかということが私は問題だと思うのです。当然私は、希望した方の希望というものはいれるべきだと思うのですが、その点の考え方を、またそれに対する運営上の指導といいますかについては、自治省としてはどうお考えですか。
  140. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 この制度は、都市計画制度上の問題でございます。私どものほうで都市計画法の規定に基づきまする指定というものを、ああせい、こうせいということを直接助言、監督ということはできないわけでございます。したがいまして、これは建設省の指導の方針に相なると思います。こういういわゆる施設緑地というものを考え出しましたのは、前々申しておりますように、輿林省、建設省、私ども合議の上でこういう案を出したわけでございます。  ただ、具体的な都市計画の運用の問題でございますので、その場合におきまする運用といたしましては、市町村として都市計画の事業の上でここは緑地として残したい、いわばこういう意向と、それからただいま仰せになりました営農を継続したいという方々と、そこである程度調整と申しますか、ぽつんぽつんとやられてもしようがないわけでございましょうから、ある程度のまとまりを持ってということも必要でございましょうし、その辺の運用のところにつきましては、なお建設省とも十分に打ち合わせいたしまして、そごのないようにいたしたいと思います。
  141. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 都市計画法は建設省が所管しておりますので、その機関委任された事項に対して、何といいますか指導するのは建設省、それはわかります。ただ、地方税法の扱いの問題にもなわけでありますから、当然地方税法の扱いということになれば、自治省がこれは指導すべき事柄でありますから、建設省と打ち合わせて十分な通達を出すことも必要でありますが、同時に、税法上の扱いとしてはこうなっているんだ、そうして希望する場合はこういう方法があるんだということは、やはり自治省として税法上の扱いの問題として十分指導すべきだと思うのですが、その点はいかがですか。
  142. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 この法案の成案を得ました段階では、私どものほうの事務連絡という形で実はただいまの十ヘクタールの問題あるいは施設緑地の問題等を含めまして、連絡をすでに市町村長のほうにはいたしてございます。さらに法律が成立をいたしました暁におきましては、運用の適切ということにつきましてさらに遺憾のない指導をいたしてまいりたいと思います。
  143. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最後にこれの2ですね。「C農地のうち、都市計画に関する基礎調査の結果、周辺の市街化につき相当長期の期間を要し、しかも市街化調整区域に編入することもも不適当であると認められるものについては、自治大臣は、市町村長に対し必要な減免の措置を講ずるよう助言することができる。」参考人の方が助言しなければならぬというくらいにすべきだということを言われた方もありましたが、これは地方自治という観点からいえば、市町村長が言わぬのに命ずることはどうかと思いますから、気持ちとして私はわかるという意味で受け取りましたが、ただ、そこで問題なのは、はたして百十八万ヘクタールの市街化区域に入るであろうと見られる地域ですね。しかもその中に農地が三十万ヘクタールある。このよりな膨大な市街化区域がはたして都市的施設といりものが十分に整備されていくであろうかという点については、私も率直に懸念を持っております。現在下水道の普及率は非常に低いわけでありますし、ましてやガスのごときはほとんど普及してないというのが――大都市は別でありますか、その他の都市ではそういう状況であります。したがって、都市的施設というものはこれはなかなか整備されていくことが困難ではないだろうか。建設省が持ってまいりました計画では、昭和四十五年から五十年までの六年間六兆四千億円の投資が見込まれる、昭和五十一年以降を含めました十年間では二十兆円の投資が見込まれる、こういう話でありますけれども、しかもその投資の割合は既成市街地が四割、新市街地が六割だ、こういうわけでありますが、なかなか現在の地方財政――大蔵省のほうはあとでまた聞きますが、大威省のほうは地方財政は成長したとかりっぱになったとか言っているんですが、現在そうじゃない。そういう中で、はたして都市的施設が十分行なわれていくであろうかということは、率直に懸念をいたしております。そういう懸念があるからこそ、この二項を自治省としてもお考えになったと思うのですが、したがって、これについて都市的施設がなかなか進まないという地域、しかもC農地、これについてはひとつ十分なる助言をいたしまして、この第二項が現実に市町村において実施されるように私はこれはぜひともやっていただきたい、かように思うのです。この点のお考え方はどうでしょうか。
  144. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 この附則二十九条の五の規定でございます。私どもは率直に申しまして、この規定の発動の必要を見ないような形で市街化というものが進んでいってほしいという気持ちを持っておるわけでございます。だんだんにこの市街化区域内の農地、特に営農を強く希望される方々に対する措置というものを私ども考えてまいったわけでございまして、それで大体問題の解決は尽きるのではないだろうかという気持ちすらもあるわけでございますが、なお最後の、いわばささえと申しますか、一種のセービングクローズと申しますか、そういう形でこの規定を置いたというのが、率直に申しまして立法の趣旨でございます。したがいまして、C農地がいよいよ滑走を終わりまして離陸を始める段階におきまして、なおかつこのような状態が残るということは、実は私どもといたしましてはまさに希有の事例であってほしい。しかし、希有でありましても、こういう事態があります場合におきましては、適切な助言をすることによって負担の軽減を考えてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  145. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いま一つ参考人の方が提起されたのですが、東大阪大阪市で参考人の方が提起したような形で、坪当たり四万数千円というような同じ価格であっても、大阪の場合はCに入るのですね。東大阪の場合はAに入る。これは市街化区域内の土地平均価格の差によるのだろうと思いますが、木下教授が盛んに税の公平を強調しておられましたが、そういった公平の見地からいっても、こういうアンバランスが起きることは私は問題だと思うのです。行政区域上どうしてもそういうことが起こり得ると思うのですが、この点は自治省としては一体どうお考えですか。またどう措置されるつもりですか。
  146. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 この問題は、実は当委員会で前にもお尋ねがございまして、そのときにも申し上げたわけでございますが、A、B、Cのグループ分けということにつきましては、実は当初からこの問題があったわけでございます。結局、日本全国通じての一本の柱を立てて、それで区分をするか、あるいは市町村ごとに区分をするかという点につきましては、いわば基本のところから議論があったわけでございますが、私ども考え方といたしましては、固定資産税市町村課税をいたしておるわけでございますので、その中におけるいわばバランスというものを考えてまいらなければならない。そういうことからいたしますと、当然個々の市町村単位で考えてまいるということが基本ではないだろうか。  ただ、そこで、いわゆる絶対額の柱を一つ立てましたのは、まさに東京なり大阪なりでございますと、銀座とかあるいは梅田とか、飛び切り地価の高いところも入っての平均の価格でございますので、いずれも十一万――十一万という農地は遺憾ながら日本全国どこにもないわけでございまして、東京なり大阪なりというものが一番こういう必要が叫ばれておりながら、いまの一般ルールに従いますと、かえってA農地に入るところは一つもない、こういうまことに納得できない形になるものですから、そこは五万円と一万円という柱を立てたわけでございますが、その中では市町村の中でA、B、Cというバランスをとっていく。これは固定資産税が国税であれば別でございますが、市町村単位で取っておるということであれば、そこは割り切らざるを得ないのではないかというのが私どもの判断でございます。
  147. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大蔵省にお尋ねしたいと思うのですが、こういう形で市街化区域に入りました農地につきましては、固定資産税の税負担が著しくふえるわけであります。そういう中で大蔵委員会が今月の二日開催されまして、大蔵省は次のような答弁をされたというのですね。地価公示制度が発足したので、今後地価公示地点がふえたら公示価格による評価額を一元化すべきであり、その方向で努力をする、こう答えたというのです。そうしますと、相続税評価額固定資産税評価額に差がございます。地価公示制度が発足し、公示地点がどんどんふえたときにはこれを一元化するということになれば、今度の固定資産税の改正によって市街化区域に入った農地固定資産税は著しくふえる。またこの評価額の一元化ということが行なわれれば、さらにこれによって著しい増税が期待されるということでは、一般国民の方々にとって非常にたえられぬ気持ちがするのは当然ではないかと私は思うのです。一体この一元化を直ちにやるつもりなんですか。そしてそれは相続税評価額の高いほうへ持っていって右へならえするという考えなんでしょうか。この点はどうです。
  148. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 三月二日の大蔵委員会で主税局長がお答え申し上げましたのは、相続税固定資産税評価額に、同じ時価といいながら乖離があるのはおかしいではないかという御質問に対してお答え申し上げたわけでございます。ただその趣旨といたしまするのは、特に新しいことを含めて申し上げておるわけではございませんで、従来から政府のとってまいりました方針を踏まえて申し上げたわけでございます。  山口先生も御承知かと思いますが、三十年代以降固定資産評価調査会などの答申におきましても、できるだけ相続税固定資産税評価を統一すべきであるという方針がきめられておりまして、それに基づきまして鋭意いろいろの作業を続けてまいっておるわけでございます。また、昨年の八月の閣僚協議会の地価対策に関しまする決定におきましても、公的土地評価適正化と統一化ということが早急に検討すべき施策であるという決定を見ておるわけでございまして、そういう政府の方針を踏まえまして、今後その方向で努力してまいりたい、かように答えたわけでございます。  ただし、そのときに主税局長が申しておりましたのは、それをそれぞれの税の適正な負担にどう求めるかということは、それぞれの税のたてまえのもとに税率で調整されるべきではないかということでございます。また現実にそういう方向でやるわけでございますが、御承知のように、現在の地価公示という制度がまだ千カ所足らず、九百七十カ所という程度にしか評価が進んでいないということでもございますし、できるだけ早く全国の地価に対する評価というものが客観的にきめられて、国民のそれぞれの土地なりに対する価格の認識が統一されることが望ましいということでございますので、主税局長が申しておりましたのも、従来のそういう政府の方針と別に、いますぐ何か特別具体的に措置したいということを申しておったわけでもございませんことをつけ加えておきたいと思います。
  149. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 固定資産税が今回の措置によって上がる、また相続税の高いほうへ評価額が一元化されるということでまた固定資産税が上がるというふうに一般の国民が心配するおそれがあっては問題ではないかという趣旨でお尋ねをしたわけですが、自治省にお尋ねします。  やがて地価公示制度が発足いたしまして、いま地点が全国で九百七十地点だそうですが、これがやがて四万、五万という地点に公示が行なわれるということは将来当然考えられるでしょう。そうした場合に、一番高い相続税評価額にこの評価額をもっていくというようなことを自治省は考えておられるわけですか。それからまたそうした場合、税負担の増高は税率等で調整して押えるのだというような考え方を持っておられるのですか。  それから重ねて聞きますが、こうなってきますと、土地はどんどん上がりますね。あとの家屋と償却資産は、これは上がっていくわけじゃないわけですから、そうしますと、固定資産税の中で土地固定資産税だけはどんどんふえていくという傾向にいくのではないかと思うのですが、これらは、いずれも千分の十五という一つの税率で処理することが、はたして望ましいかどうかということも将来検討しなければならぬと思うのですね。それからまた、評価がえをいたしまして逐次価格が上がっていきます。かつて免税点を引き上げましたが、当然この固定資産税宅地、家屋、償却資産、特に土地に対する免税点というものは、相当引き上げるべき必要があるじゃないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
  150. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 まず第一点の地価公示制度との関係でございますが、御指摘のように、現在の時点でございますと、地価公示は九百七十、聞くところによりますと、四十九年度では一万二千、こういうことのようでございます。固定資産税のいま課税をいたしておりまする筆数が一億五千六百万ございます。それで、この評価をいたします場合のスタンダードにいたしております標準地が二十六万カ所でございますが、ちょっとこれはどうしようもない。あまりに課税が違い過ぎまして、いまの段階ではちょっと無理ではないかと思います。ただ将来、地価公示のこの地点というものが、ある程度こちらの標準地として使えるような形になるかどうか、その推移との関連があると思います。  ただ、いかにいたしましても、先ほどからお話が出ておりまする都市の税源。市町村の税源というものの伸びが非常に悪い。もうこの一番の原因は、固定資産税の伸びが低い、その中でも、さらにまた土地の伸びが昭和三十年からやっと二倍程度でございまして、その辺のところをどういうふうに考えたらいいのかという基本的な問題も一つあると思います。ある程度いまの評価というものは上がる傾向に持っていかざるを得ないだろうと思います。その場合、税率の問題は当然からんでくると思います。評価がある程度上がってまいりますと、税率との調整の問題これは当然日程にのぼるということは、お約束できると思います。  それから、その場合に、家屋、償却資産と土地とのバランスの問題をどうするか。これは実は過去におきまして、土地評価を上げます際に必ず出る議論でございます。土地と家屋と償却資産と、それぞれ税率を異にしてもいいではないかという意見もございますけれども、そうなりますと、ちょっと固定資産税と事業税なり、そのほかの税とのバランスといいますか、税目の組み立て方の問題にからんでまいるものですから、その辺のところも考えてまいりませんと、へたして固定資産税の体系をつぶしてしまう、こういうことになってもいかがかという懸念もございまして、その辺につきましては、なお慎重に考えてまいりたいと思っております。
  151. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最後に、これだけ聞いて終わりたいと思いますが、私、去る二月の十九日、衆議院の本会議におきまして、地方税、地方交付税、地方財政計画につきまして質問をいたしました。その際、付加税方式の問題をお尋ねいたしたわけであります。私は地方自治の本旨というものを考えます場合、当然自治体が課税権を持ち、徴税権を持つということは、地方自治体の当然持っていなければならない権限ではないか、これを取り上げるというようなことは、まさにずばり地方自治の本旨を乱るものだという考えを実は持っております。これに対しまして、残念ながら福田大蔵大臣は、付加税方式にすると地方自治の本旨にもとるというような考え方は、あまりに保守的過ぎるのではないかというような答弁をいたしました。私のほうが福田さんよりは進歩的だと実は思っておるのですが、たいへん遺憾に思いました。自治省としてこの付加税方式に対しては、自治の本旨にもとるということは当然お考えだろうと思うのです。この点、秋田自治大臣もはっきり答えられておるわけでありますがこの際、あらためて自治省の事務当局並びに、きょうは大蔵省の税務当局の方がお見えのようでありますから、地方自治の本旨とこの付加税方式というものについて一体どうお考えなのか。私どもとすれば、そのような付加税方式をとっても地方自治の本旨にもとらぬというような、またそういうことを考えるのは保守的などという、そういう考え方には絶対に承服できません。与党としても、この考えにはまさに賛同しておられると思うのでありますが、そういう立場で、ひとつ自治、大蔵両省の御見解を伺って終っておきたいと思います。
  152. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 自治省といたしましては、これは、もうくどく申し上げる必要もないくらい明白に付加税というものに反対でございます。地方税制の過去の歴史をとってまいりましても、やはり地方自治の拡充というものと表裏いたしまして、ある意味において地方税制の歴史というのは、付加税からの解放の歴史であったと思うわけでございますが、いまここで時計の針をもとに戻すようなことは、私どもといたしましては絶対にすべきではないし、またやれもしないという気持ちを持っていることだけを申し上げておきます。
  153. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 地方税と国税の関係については、先生御指摘のように、いろいろ考えるべき問題が多かろうと思います。ただ、私のほうの大臣が、地方税を国税の付加税にすると申しておりましたのも、全部の話ではもちろんございません。所得税と個人住民税のように、税源をいわば同じくするものについては、できるだけ統合をはかることが望ましいではないか、こういう趣旨でございました。こういう問題については、地方自治との関係あるいは地方財源の問題等検討を要する点が非常にに多いわけでございまして、地方税と国税の関係にとどまらず、現在の時点におきまして、今後の税体系、たとえば直接税、間接税との関係をどうしていくか、その他いろいろな従来の戦後の日本の税制を基本的に見直すべき時期にきているわけでございまして、そういう基本的な問題を一応根本的に検討し直そうという立場で、現在税制調査会におきまして検討しているわけでございます。その一環といたしまして、これらの問題についても、今後検討を続けていくということを考えているわけでございます。
  154. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 御答弁があれでしたから、一言言っておきたいと思いますが、自治省の答弁にありましたように、むしろ付加税方式のほうが戦前の体制に戻るというのですから、そっちのほうがより保守的なのでありまして、あえて言えば反動と言ってもいいかと思うのでありまして、私の付加税化は地方自治の本旨にもとるという考え方が保守的などという考え方は、私はこれは返上したいと思います。  やがて、これはまた福田大蔵大臣に当委員会に来ていただきましたときに議論をいたしたいと思いますが、結局国税、地方税を通じて見直さなければならぬ、私はそのとおりだと思います。その場合、特に強調したいのは、いまの法人税は国が七〇%以上取りまして、府県が二〇%、市町村に対しては、わずか六%程度の配分しかないわけです。そういうところに大都市財源の窮乏の原因がある。そして政令都市がすべて交付団体に転落している。固定資産税の伸びが悪いなどと申しましたが、しかし、それを固定資産税でカバーしようなんていうことは、なかなかたいへんなのでありまして、それよりは、この際法人税に対して徹底的なメスを入れる、配分に対して当然根本的にこれを改めるということが必要である。せっかくそれらを検討するということならば、法人税の配分について大蔵省もひとつ十分検討していただきたいことを強く要請いたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  155. 菅太郎

    菅委員長 門司亮君。
  156. 門司亮

    ○門司委員 私は、最初に聞いておきたいと思う、というよりは、むしろこういうことのないようにしておいてもらいたいということをまず申し上げます。  政府からもらっておりますこの「地方税法の一部を改正する法律案関係資料」と書いてあるものですけれども、私のところにきているのは四ページ抜けているんですよ、まん中が。いまそっちへ返しておきましたから、証拠物件が要るんなら、そこをひとつ見ておいてください。こういうずさんやなり方をしてもらっちゃ審議も何もできはしない。審議やり直しをこれから要求しようかと思ったぐらいですけれども、どうもおかしいと思ったら、四ページ抜けちゃっているんです。こういうことのないようにひとつ頼みます。  最初に聞いておきたいと思いますことは、税のほうの問題で政府資料について一、二聞いておきたいと思います。それは市町村税の中で純固定資産税と書いたところで、土地に対する固定資産税の割合が二八・六%というので一番ふえているんですね。これは評価がえからくるものですか、今度のいま問題になっております農地税金をたくさんかけるからこういうことになったのか、一体どっちが原因なんですか。この財政計画の七ページです。
  157. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 お答え申し上げます。  土地の税収が伸びておりますのは、御案内のとおり、昨年基準年度で評価がえをいたしたわけでございまして、それに伴いましてその宅地の税負担が一ぺんに急激にふえるのを避けるために、御案内のとおり、一割、二割、三割、四割の四つのグループに分けまして、年次ごとに税負担をふやしてまいっております。その結果でございます。
  158. 門司亮

    ○門司委員 ところが、この中で見なければなりませんのは、償却資産が減っているんですね。伸びは、なるほど二〇・二%伸びているが、税法上からくる処置として、これは十億ですか、減っているんですね。これは一体どういうわけなんですか。大体生産設備というもののこういう償却資産はふえていると私は考えているんだが、これが減っているのは、一体どういうわけなんですか。
  159. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 全体としてはふえておるわけでございます。千五百三十億が、この現行制度のままでございますと約三百十九億ふえまして千八百五十億になっておるわけでございます。その数字から、ただいま御審議をいただいておりまする税制改正におきまして、公害関係の施設でございますとか、あるいは例の日本自動車ターミナルでございますとか、あるいは立体交差化施設でございますとか、こういうものを非課税にいたしましたり、あるいは課税標準の特例を設けたりいたしまして、その結果によりまする減収が十億出まして、それで千八百二十九億の税収になる。制度改正に伴う減でございます。
  160. 門司亮

    ○門司委員 その次にもう一つ資料で聞いておきたいのは、ここにある例の市町村法定外普通税及び旧法による税というのが、これがまたふえているんですね。ごくわずかではありますよ。二億九千六百万円ということだが、しかし、全体からいえば、この数字は二五・五%ふえているわけですね。税外負担はできるだけ少なく、いわゆる法定外の独立税というのはできるだけ少なくしていこうという方針だと私は思うのだが、これがふえるというのはどういうわけですか。
  161. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 市町村の法定外普通税でございますが、これは毎年七月一日現在で課税状況調査をいたしまして、それに基づきまして税収を見積もっておるわけでございます。ただいまここに書かれておりますのは四十五年七月一日の実施状況による税収でございます。  法定外普通税につきましては、新しく四十五年中に許可をいたしたものは、私の記憶では四十五年に新しく法定外普通税をふやしたものはございません。課税客体の増に伴うものであろうと思います。
  162. 門司亮

    ○門司委員 これは許可をしたものはないというのだが、法定外普通税というのはできるだけ少なくしていこうというのが税法上のたてまえからすれば当然であって、いかに地方の自治体に自治権があるといっても、日本の現状からいって、行政組織のたてまえからいって、法定外普通税というような税金がふえるということについては私どもはどうかと思う。以前はずいぶんありましたよ。法定外普通税の種目にしたところで百以上あった時代もあります。ありますけれども、その時代は最も地方財政が困窮しておって、どこにか税金をとらなければならぬということで、むちゃくちゃに税金をかけたことがございます。しかし、現在大蔵省は、地方自治体の財政はよくなっている、こういっているのですからね。その中で法定外普通税をまだとらなければならないようなことは、私はあまり感心しないと思うが、しかし、これ以上時間もございませんから、この点の追及はいたしません。  問題になりますのは、最後に私はこの問題だけに限って聞いておきたいと思いますことは、ここに税収の伸びが書いてあります。税収の伸びを見てみますると、結局どういうことになっているかといえば都道府県税あるいは市町村税金の平均というのがここに出ております。その中で、この場合は市町村税が二三・一%ふえておって、都道府県税が一七・八%ふえておる、こういうふうに書いてあります。この欄だけ見れば、地方の市町村税がふえたように一応見えますが、ここで問題になりますのは、税の配分の方法であって、ことしの税の総額は国民総所得の一九・二%ということを国の予算書には書かれておる。その中の配分は一体どうなります。そして大体国のとっている税金は一三・二%だと思うのだが、残りはやはり去年と同じことで、ちょっとも地方税の割合はふえていないという、私の計算では大体そうなると思うのですが、これはそのとおりですか。
  163. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 ことしで、国民所得の一九・三%が税金でございます。国が十三・三%、府県が三・三%、市町村が二・七%、こういう勘定に相なっております。
  164. 門司亮

    ○門司委員 大体私の計算と同じことになるのだが、そうすると、ここでいう市町村税の伸びが二二・五%であって、府県税の伸びが一八・二%というこの数字とのかね合いは一体どうなるのです。これは総体がワクがちっとも伸びていないで、ここまでくると何だか市町村のほうが伸びているように見受けられるのですけれども、これは一体どこにからくりがあるのですか。
  165. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 からくりはこういうことではなかろうかと思います。ただいま申し上げましたのは国民所得に対して税金の占める割り振りでございまして、それは先生の計算のとおりでございます。それから、そのあとの府県税が一七・八%、市町村税が二三・一%の伸びと申しますのは、去年に対しますることしの税収の伸び率でございます。  ついでに、その隣に書いてございますように、その結果は、地方税全体で府県税の占める割合が五五・二%、市町村税の占める割合が四四・八%でございます。四十五年度におきましては、府県税と市町村税の割合が五六・三対四三・七でございまして、結局これはまさに短期的な現象でございまして、四十五年から四十六年にかけましては法人の伸びというものが非常に落ち込んでまいりまして、市町村税の伸びのほうがむしろ府県税の伸びよりも上回ってきておる。これが結局この数字の結果になってあらわれてきておる、こういうことでございます。
  166. 門司亮

    ○門司委員 一向わからぬのですが、結局どんなことがあっても総体的のものが去年と同じだということになれば、大体同じようでなければならぬと思うのですが、その中でこういう形が出てくる。私はからくりと言ったけれども、どこかにかおもしろいものがひそんでいると思うのです。しかし、ここでそういうことを議論していても始まらないと思うのです。この問題は非常に大きな問題でありまして、去年の国税が住民所得に占めておりまする割合は、大体一二・六%であったと思います。そうして比率はやはり三・三が府県で二・七が市町村だということになっておった。ところで、ことしの税総額のふえただけは国税がふえたという比率になると考えるのですが、一体大蔵省、こう考えておいていいですか。数字がそうなっているんだから、それ以外に答弁のしようもなかろうと思うけれども
  167. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 国税の伸びが一九・六でございますか、大体地方税の伸びもそのくらいのように理解しております。少々低い程度でございます。大体そういうことで、お答えになっておるかどうか……。
  168. 門司亮

    ○門司委員 そういうことでなくて、要するに税収、国民の納税の額は、国民所得に対して去年よりも約〇・六%ふえております。そのふえた分だけは、割合からいきますと国税にふえているということです。地方税のほうは去年の四十五年度も税総額からの割合は府県税が三・三%で市町村は二・七%でちっとも割合はふえていない。だから、ことしの税総額によるふえた率だけは国税がふえたということは、これは数字が明らかにそう書いてあるんだから、大蔵省からそういうものを発表しているんだから、間違いないと思うのだけれども、そのとおりに解釈する以外にないのです。
  169. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 四十五年度の予算の租税負担率、これは結局補正を組みまして税収の改定を行ないました場合に、十三・二%が国税の負担になっておるわけでございます。同様に、四十六年度の予算見込みといたしましては、国民所得のことしの見込みに対しまして一二・二%、その限りにおいては国税の負担は同様であるということだと思います。
  170. 門司亮

    ○門司委員 それは予算の内訳と言いわけにちゃんと書いてあります。ところが、それではことしも補正予算をしたらどうなります。そのバランスはまたくずれるのですよ。いわゆる政府の出しております、大蔵省の出しておる数字は当初予算でこうなっておる。いまここでわれわれが議論しているのは当初予算で議論している。大蔵省は去年の当初予算ではそう書いておったけど、去年よりも税金を〇・六%よけい取ったように見えるのは、それは補正予算を入れるからそういうふうに見えるのであって、当初予算においては国、地方の配分関係は変わらないということが、言いわけはあなたのほうの予算に書いてあるのですよ。だから、私が大蔵省に聞きたいのは、そういう言いわけを予算書に書くというなら、ことしも補正予算を出さぬかということです。補正予算をお出しにならないということがはっきりしていれば、ややそういう理屈も一応言えるが、補正予算を出したらまた比率がうんと変わってくる。こういう大蔵省の国民の税負担に関する数字上の言いわけみたいなもの、ごまかしみたいなことはやめてもらいたいと思うのです。われわれはここではあくまで当初予算で議論しているんですから。当初予算でこうなったけれども補正があったからこうなったのだということになれば、議論の焦点をここで変えなければならぬ。地方税のほうにしても補正予算に沿って交付税はふえておりますし、地方税は新しく補正予算を出しませんから、財政計画のほうでは。出てくるのは交付税がふえるだけなんです。税のほうには関係はない。これは各都道府県、市町村でやっております。だから、大蔵省のその考え方は私は正しいとは言えないと思うのだけれども、大蔵省、いかがでしょう。そういうことで通るのですか。
  171. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 別にごまかそうというつもりで書いておるわけではございませんので、統計といたしましては、各年度の確定数字しか使えないということだと思います。そういう意味におきましては、当初対当初ということも一つの見方である、確かに仰せのとおりだろうと思います。そういう意味におきまして、四十六年度の負担率というものが絶対このとおりに推移すると私どもも申し上げる確信は持っておりません。ただ、そういうことをお含みになって御検討いただく場合に、それを私どもとして決してそれはございませんと申しておるわけではございませんことを御了承願います。
  172. 門司亮

    ○門司委員 どうもこういう論議はあまり長くはやりたくないのですけれども、審議をいたします場合に、地方税と国税を比較する場合に、大蔵省からああいう予算書を出していただきますと、こっちは当初予算で議論しているときに、大蔵省から補正予算も加えた前年の実績額なんということで出てきますと、何だかいまの税の配分の割合などはおかしなことになるのです。その点で一応聞いておって、したがって、補正があるなしにかかわらず、数字の上ではことしの国民の税負担のふえた分は国税が当初予算においてはふえたと解釈して差しつかえない。だから、地方税については税負担は去年より〇・六%ふえたが、実際は地方税には影響がなかった、こういうことに大体数字上私はなろうかと思います。  そういう問題を当初に聞きまして、それからあとの問題でありますが、税金についての、ことに地方税法についてはいろいろ問題がありまして、聞きたいことはたくさんありますが、きょうは時間もございませんし、そう長く聞いているわけにはまいりませんが、先ほど参考人からいろいろ話のされておりました点等についてもう少し確かめておきたいと思います。  そのことで心配になるのが一つありますので聞いておきたいのですが、かつて例の、いまの線引きの法案であります市街地に対しまする法律の出たときに、建設省から出た書類の中に、たとえば市街化区域になっても税法上の変化はないというような通達をしたことが私はあると思う。これはどういうふうにいまなっていますか。自治省のほうでかなりお困りになったと思うのです。建設省の案が先に出てしまって、そうしてこういう税金をあとできめるようになってきている。あれはどういうふうに始末されましたか。
  173. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 都市計画法の審議の際に建設省のほうでお出しになられたと申しますか、言っておりましたのは、いわゆる都市計画の線引きを行なって、道路、街路、下水等の都市施設が整備されたところは別だけれども、そうでないところについて、線引きによって一ぺんに宅地並みに税金が上がるということはありません、こういう趣旨のことをお出しになっておられるようであります。これは御案内の、その前後いたしまして政府の税制調査会におきます土地税制なりあるいは固定資産税についての御答弁の中におきましても、やはり市街化区域内の農地都市施設の整備されたものについては宅地並みの負担を求める云々というのもございます。そこで、私どものほうといたしましては、市街化区域の中で都市施設の整備されたところ、そういうところと整備されないところというものの区分けというものができるかどうか、こういうことにつきましていろいろと調査と検討いたしたわけでございますが、結論的には、これはできる話ではないわけでございまして、どこまでそういういわゆる再線引きというものができるかということは、これは率直に申しまして、放棄せざるを得ない技術的な制約があるわけであります。かたがたその後の客観情勢の相違といたしましては、昨年の八月十四日でございましたかの地価関係の閣僚協議会におきまして、御案内の地価の緊急な安定ということに資するために固定資産税都市計画税農地に対する保有課税適正化をはかる、こういういわば政府の方針というものが打ち出されたわけでございます。そこで、私どもといたしましては、ただいま御指摘になりました都市計画法の審議の際の経緯というものも織り込みながら、この固定資産税の問題につきましては、市街化区域農地の所在する環境の宅地化の進みぐあいによりまして、A、B、Cの区分けをして漸次負担を求めていく。あるいは先ほどから再々申し上げておりますような自治大臣の助言に至りますまでのもろもろの考え方、こういうものはすべてそういう当時の都市計画法審議の際の方針と申しますか、考え方というものに対して、できるだけ忠実でありながらこういう制度化をしていこうということでございまして、ただいまるる申し上げましたようなことで一応処置がつくのではないかというふうに考えております。
  174. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、建設省が府県に出したあの通達は無効だというふうに考えていいか、端的に言えばですよ。いろいろ理屈もあろうかと私は思いますけれども、そう考えていないと、あとの政策が非常にしにくいというか、もし建設省のあの通達が生きているとすると、私はかなりめんどうなものになろうかと思いますが、自治省としては、あの通達は認めないということに端的に解釈していってよろしゅうございますか。
  175. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 建設省の方がおられないところで申し上げるのはちょっと恐縮でありますが、私どもは、昨年の八月十四日のあの閣議了解の線によりまして重大な事情の変更があった、こういうふうに考えております。ただ、都市計画法審議の際にああいう議論があったことも事実でございますから、それをできるだけ織り込む形でやっておる。こういうことで、あの当時必ずしも通達ではお出しにならなかったと思います。私どもは通達とは理解いたしておりませんで、国会審議の経緯ということでできるだけ尊重して織り込んでおるというふうに考えております。
  176. 門司亮

    ○門司委員 どうもその点が歯切れが悪いのですがね。私は確かに通達だと考えておりますが、そういうことを声明しております。それは次官通達であるとかあるいは局長通達であるとかという正式な形はとっていないかもしれませんが、声明していることは事実なんです。閣内でそういうものの影響がありますと、農村はかなり惑わされるのですね。そういうことが今度の線引きの問題等についての必要以上の混乱を来たしておる原因ではないかと思うのです。  これもまた議論していると長くなるから、このぐらいにしておきますが、関連して出てくるのが、まだ約三五%近いものがいわゆる線引きが行なわれていない。それから法律による十万以上の都市というのは、これから近いうちに私は幾つもできると思うのです。そうなってくると、まだ線引きの完了しておらない道程の中で、先ほどの、建設省はそういう通達を一応出しておる、しかしそれは違うんだ、閣議決定でこうなったからこうだというようなことがかりにあると――現実にいまあるのですが、そうなってきますと、あとの三十何%、約三五%くらいだと思いますが、線引きの終わっていないところ、東京などはまだ完全に終わっていないのじゃないですか、こういうところに及ぼす影響というものは一体どういうふうにお考えですか。これは私はっきり言っておきますけれども、私がなぜそんなことを言うかというと、建設省からそんな意見が出てくるということになりますと、農民のほうでは、税金がちっとも上がらないなら、土地がいろいろな規制を受けないでお金になるなら、一日も早くそっちのほうに入れてくれたほうがよろしいというようなことで、現実の問題としてかなり政府の意図に協力したと思うのですね。ところが、今度のように税金がたくさんかかるようになりますと、政府にだまされたという気分が出てくる。そういう政府にだまされたというような気分が出てきますと、これから先の線引きの問題に非常に大きな支障を来たしてしまって、ある地区においてはこの法律が動いていく、ある地区においてはこの法律が動かない、そうして一体土地が売れるのか売れないのか、どうすればいいのかという妙なものが出てくると思う。元来そういう点について自治省はどうお考えになっていますか。
  177. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 建設省の通達の問題でございますが、先ほどから、私も率直に申しまして、歯切れが悪いと思いながら御答弁申し上げておるわけでございますけれども、この時点におきましては、都市計画法の審議の際の建設省のお考え方というものは変わってきておると思います。したがいまして、この法律で打ち出されておる考え方というものが建設省を含めまして政府の統一した意思ということに相なっておるわけでございますので、その点ははっきり申し上げてもいいのではないかと思います。  ただ、歯切れが悪くなりますのは、その四十三年の当時の経過というものもございますので、この改正の中あるいは改正をめぐりまして、私どもといたしましては、いろいろのくふうをこらしておるということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、これによりまして今後の都市計画の線引きに悪い影響が出てくるのではないか、この点私ども建設省のほうから一〇〇%聞いておるわけではございませんが、たとえば東京都の場合の線引きはまさにこの問題がある最中において行なわれたようでございますけれども、この点が支障になりまして線引きが進まない、あるいは全然できないということではないように私ども伺っております。
  178. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、線引きの完了するのはいつごろだという見通しですか。県によってはまるきり何もやってないところもあるように聞いておりますが、これが完了しないうちに法律が先走って、課税するほうが先走ってしまうとやりにくいのじゃないですか。ものがきまらぬうちに税金を先に取ることだけ考えて、農民の意思がはっきりしない、地方の自治体の意思もはっきりしないのに、その前に税金をかけてしまうということはどうかと私は思うのです。そんな理屈は別にしても、線引きが全部終わる時期の見通しは、一体いつごろになる予定ですか。
  179. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 ことしの八月一ぱいで完了させたい、そういうことを建設省は申しております。
  180. 門司亮

    ○門司委員 どうも税金をきめる自治省としては、建設省との間をもう少しはっきりしておきませんと、いま申し上げましたように、線引きは終わっていない、おれたちの土地がどうなるかわからないという過程で、税金のほうが先にきまってしまうというのは――きめるのならあの法律をこしらえるときにぴしゃっときめてしまえばよかった。建設省の言うとおりに、かけないならかけない、かけるならかけるとはっきりやっておいたほうがよかったと思うのです。結局税金のほうが先にきめられて、あとで農民のほうに影響を及ぼす、その場合の農民考え方というのは、当然利害を考えてまいります。利害を考えてくるということになれば、こういう法律をこしらえた趣旨と相反する結果が出ないわけにはまいりません。政府としては、できるだけ市街化区域をこしらえて、そうして秩序のある都市開発をやりたいという。これはごく善意に考えて私はそうだと思うのです。悪意に考えれば、農民を追い出す法案だということになろうかと思いますが、そう無理に悪意に考えなくても、ごく善意に考えて、都会都市形成の中で秩序のある開発をしていきたい、それにはこういうものをこしらえて、従来の都市計画に基づく区画整理をさらに前進させたい、こういう一つのものの考え方には私ども別に反対する必要もなかろうと考える。しかし、結果においてはそれが逆に出てきて、農民のほうでは、どうも税金を高く取られるのなら、おれたちのほうは市街化区域はごめんだということになってくると、事、志と違った結果が当然出てまいります。だから、その辺の調整をどうされるかということであります。この辺の調整は一体どうなりますか。だから、私が調整をどうされるかというむずかしい質問を避けてお聞きしておきたいというのは、もし農民のほうでそういう意識が出てきて、これ以上市街化区域の設定がおくれると――いま八月だといわれておりますけれども、私はおそらく八月にはできないと思うのです。これは一部分でなくて、ほとんど全県下ができていないのが二つか三つありはしませんか。そういうところはそう簡単にはいきませんよ。私も二、三県を回っタこともありますけれども、東京や横浜や大阪とは私どものほうは違います、市街地になってあしたから土地がそんなに高く売れるなんということはそう考えられませんというような都市が地方にはないわけではありません。だから、そういうことを考えていきますと、どうもここでこの税金をきめるということが少し早過ぎるような気がするのですけれども、しかし、もう矢はつるを放れておりますので、いまからそれを幾らごまかそうといったってなかなかごまかすわけにいかぬと思うのですが、その辺の考え方はどうなんですか、必ず八月までにやれるという自信がありますか。
  181. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 八月までにできるかどうかということにつきましては、私どもはこれは確信をいたしておるわけでございますが、現実には、結局市町村あるいは県、こういったものの進め方にかかわるわけでございます。  ただ、線引きが全部終わってからこういう制度を考えてもおそくはないではないかという点につきましては、私どもは、どんなにおそいことがあってもことしのうちには片づくであろう。そうなりますと、四十七年一月一日現在の土地につきましてこの制度を動かしてまいるということになりますと、評価の準備あるいはA、B、Cの振り分け、こういった作業をしなければなりませんので、そのための準備、手続というものを円滑に進めてまいるためには、どうしてもこの段階でこの法律を通していただいて動けるようにしていただきたい、こういう気持ちでございます。
  182. 門司亮

    ○門司委員 方針を先にきめてそうしてそれからいくというのも一つ考え方ですから、私は、最初からこれならこれでよかったのです。ところが、途中でこうなってくると、さっき言いましたように、農民の思惑というものが違ってくるということであって、非常にやりにくい形が出てきはしないかということで、私はお聞きしたのであります。  それから、さらに聞かなければなりませんことは、先ほど山口同僚からも聞いておったのでありますが、農地に対しましては、汚染地区であっても――ことに私の住んでいる神奈川県の小田原市の一部分では、非常に毒素が含まれているので、自家用にも米を食べられない、小田原の市役所がそれを買い上げるという形で、そういう土地があるのですね。そういう土地に対する固定資産税というのはどうするつもりですか。これはほとんど売れないということになりますと、収穫がないということなんで、これは何か考えておりますか。こういう公害と固定資産税というものの考え方。しかもその公害はただ単に市街化区域の中だけではない、外にもあろうかと考える。固定資産税の中では、そういうものを考えて幾らか処置をいたしておりますか。
  183. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 そこが今回の改正規定の対象になりますところかどうか、ちょっと私、実情がわかりませんので的確なお答えはできないかと思いますが、総体的な問題といたしまして、そこが公害で汚染をしておるということになりますと、その土地評価額というものはおのずから下がらざるを得ないだろうと思います。その下がった評価額というものを基礎にして課税が行なわれる、こういうことに相なろうと思います。
  184. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと局長、はき違えておるんじゃないかと思うのですけれども、この法律というよりもむしろ、いまの市街化区域云々でなくて、そういうところができているということですね。だから、これはある意味における災害ですね。同時に、当然固定資産税は免除すべきだという議論が出てくるのです。そういう意味において聞いているのであって、収益のないところに、何か非常に大きなほかの負担をしなければならないというところに固定資産税をかけるわけにもいかぬでしょう。いかぬとすれば、そういうところは免除するなら免除するということをはっきり言っておいてもらえばそれで済むのです。
  185. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 私はそこがはっきりわかりませんのでと申しましたのは、実はそこをたとえば市が買い上げる。市が、何といいますか、お見舞いという形で何らかの、補償ということばは適切でないのかもしれませんが、そういう措置をとられたという場合に、その中身との関連で税の減免を行なうかどうかという問題はきまってくるのではないかというふうに考えます。
  186. 門司亮

    ○門司委員 私はこの問題はもう少し深刻に考えておいてもらいたいと思うのです。公害によって、できたお米が百姓も食べられないなんということで、これを市が買い上げるなら、それだけ収入があるのだから税金をかけてもいいという、徴税の関係からいけば、そういう理屈も一応私は成り立つかと思う。しかし、実際の問題としては、そういう土地は米をつくることのできない土地ですから、そういう点についてはもう少し税法上のかげんがあってもいいんじゃないかと私は思う。これは先ほどの水田だけではありませんで、それらの被害が天然的にあろうとなかろうと、いかなるものがあろうと、公害によって作物ができないというような土地は、土地としての価値がないということであって、そういうところに税金をかけるのはいかがかと思います。  それから、時間もございませんので、あまりやかましい理屈を長く申し上げていることはできないと思いますが、一つだけ最後に聞いておきたいと思いますことは、大蔵省の意見として、国の意見として一応考えてもらいたいと思うのです。それは先ほどから議論になっておりますみなし課税についてです。いわゆる宅地とみなすということで税金がかけられるかどうかということであります。  先ほどの参考人のお話の中には、たとえば不動産取得税にしてもあるいは相続税にしても、そのくらいな価値があるから税金をかけるということがなされているという学者の意見もございましたけれども、私はそうは考えてはいないのであって、あの場合は財産が移動するのであります。Aの財産がBに移動する場合においては、ちゃんと価格が出てくるはずであります。出てこないわけにはまいらぬのであります。だから、これに税金をかけるということと、それから相続税にかけるということは、相続税という税金の本質からいっても一これは日本における唯一の財産税であります。いわゆる財産によって累進課税をしている。物にかけたわけではない。財産全体に税金がかかってくる。そしてそれは累進課税である。これは財産課税だから累進課税だと言ったほうがよろしいかと思いますが、そういう性格を持っております。ところが、財産が移動するわけでもなければ、そこから余分な収益があるわけでもない。にもかかわらず、それをみなしてかけるということについては、架空なものに税金をかけるというような気がするんです。これはみなしているのですから、現実にはないのだから。財産が移動する場合には、移動するという現実があるのだから、これは相続税というような形で取られる、あるいは不動産取得税というような形で取られる。これは現実があります。ところが、みなし課税というものは何も現実がないんですね。ただ政府がみなしたのだからということで、政府の一方的権力で税金を取っていこうとする。住民には私は納得がいかぬと思うのですよ。このみなし課税というのを、大蔵省は税体系の中でどう思いますか。  これは地方税だというようなお考えがあるかもしれぬけれども、税の全体の体系というものを考えていくには、私は大蔵省のほうが自治省よりもはるかに機能を持っていると思うのです。少なくとも国税庁という一つの大きなものを持っている。大蔵省はどう思いますか、こういうみなし課税が一体税の中で成立するとお考えですか。
  187. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 御質問を私があるいは誤解しておるかもしれませんが、みなし課税というのは、相続税の場合の評価の問題を先生が御指摘になっておるのか、あるいは固定資産税宅地、要するに市街化区域の中での農地評価のことをお話しになっておりますのか、私よくつかまえておりませんが……。
  188. 門司亮

    ○門司委員 私はいずれの場合とも指摘はいたしておりません。みなし課税というような架空のものが税法上成立するかどうかということです。
  189. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 みなし課税と仰せになっておるのは、おそらく固定資産税でございますと適正な時価、相続税の場合でございますと取得の際の時価というものを判断する場合に何を基準に置いて考えるか、こういうことかと思われるわけでございますが、私ども固定資産税についても、財産課税の一種である、したがって正常な取引価格に基づいて課税標準が決定されるというように考えておりますし、相続税についても同様に考えておるわけでございます。したがいまして、その正常な価格をいかにきめるかというところで、先生の、農地宅地並みに考えるかどうか、こういう問題になろうかと思います。  その場合にたとえば市街地内の農地とそれから純農地という場合と違うではないかという御意見も、おそらく現在の農地法の制度のもとにおいては、確かにそういうふうに考えられるわけでございます。たとえば正常な取引と申しましても、そういう市場がない場合に、あるいは農地法の制約のもとに移転がきわめて小部分である場合に、掲載される価格というものがはたして正常かどうかということで、これを修正しているというのが現在の固定資産税農地に対する評価の問題であろうかと思います。同様のことが、たとえば市街化区域内における農地農地として考えていくのか、あるいはその土地を正常に利用した場合あるいは期待収益的に考えて、それをもとにして取引が行なわれるのであるから、その取引価格というものから考えていくかということで、固定資産税なり相続税評価が行なわれるべきものでございます。したがいまして、一がいに宅地とみなす、あるいはみなし課税ということが一義的に行なわれているものというようには私ども考えておりません。
  190. 門司亮

    ○門司委員 何が何だかちっともわからないのですが、私が言っていますのは、たとえば固定資産税にしてもあるいは土地にかかる税金で、相続税にしましても、それから例の県税であります不動産取得税というようなものが、形が変わってくると一つの財産として評価せざるを得なくなってくる。ところが、みなしというのは何にも変わらないのです。財産が移動するわけでもなければ何でもない。そのままの姿で、ここのおまえのところは市街化区域になっているから宅地とみなす、こういうのですね。ところが、税金を納めるのは一体何で納めますか。お金で納める以外にないでしょう。そうすると、これは必ず収益との関係が出てくるでしょう。応能の原則に必ずそこから出てこなければならない。税金を納めることができない。収益がないんだ。その中からこれだけの税金を払えということになれば、いやがおうでも土地を売る以外に税金は納められないでしょう。これがいまの相続税に対する、農村にとっては一つの大きな問題です、均分相続をいたしておりますから。結局農地を保有しようとすれば、事前にきょうだいどもに分けないという約束をするか、あるいはお金をどうするかということになってくる。この土地政策と税対策と社会政策というものの三つのかね合いからどうするかということなんです。土地はできるだけ国有にしようというたてまえから、税制をどう立てていくかということ、これが一つの税制のたてまえであります。これはちょうど例の終戦後日本で行なわれた一つの税制がそれであります。あの当時はいわゆる地主に再評価税という形で一応取ったのでありますが、地主は土地を売らなければ税金が納められない。そこで物納をする。物納をすればいわゆる国の土地がそれだけ保有がふえてくる。これは私は税の一つの行き方だと思う。いまの日本憲法では、税によって私有財産を没収してはならぬとはっきり書いてあるから、国がいかなる国家権力を発動しても、無償で取るわけにはいかない。しかし、税法上の措置として国有地をこしらえようとすればできます、その税金が違法であるかないかという議論は別として。特に土地に対してはそういう議論が成り立つわけであります。  そこで、農地におきましても、農地からくる収益というものが税金と見合わないということになってまいりますと、いやおうなしに税金のほうで土地を売るというような結果が出てくる。ここに今日の農村の連中が反対しておる一つの最大の理由があると私は思う。税金が高くなって農業収益と比べてみてどうしても税金を払えないじゃないか。税金が払えないから、持っていれば損だから売ってしまうという精神、そういうことをいう、少し言い過ぎたといわれるかもしれませんが、そういう背景があると私は言えると思う。いわゆる市街化区域に早くしたいという一つの背景はないわけじゃないと思います。そこで迷惑するのは農村であります。農民であります。  私はやはり応能の原則と、税の徴収の原則からいきますと、国民の負担し得る税制というものが必要じゃないかということであります。ところが、市街化区域でどんなに百姓をしておったところでどうにもならない。現在農村における固定資産税を三十八年度にああいうものをとったということは、農村のつくっております品物というのは、そうむやみに上がらないものだ、騰貴することは非常に困難だ。したがって、農村からくる収益というものはきわめて少ないのだ。個々の農家を調べてごらんなさい。先ほどの参考人意見で、一万ドルをこえる農家がある、こう言っておりましたけれども、これは私は農家の経営の方法によってはあると思いますよ。しかし、それは全体の農家ではない。そこで、税金をかけますには、何といっても現実の問題としては、農家収益の中から払い得る税金というのが正しい税金の取り方ではないかということである。市街化の土地はこれとは異なって、御承知のように、何も地主が汗水流してかせいでいるわけではありません。これは他人に転嫁できるわけでありますから、私は市街地において地主が大きな固定資産税を払っているとは考えておりません。帳面づらでは払っているかもしれませんが、現実にはそれを借りている人が払っているのは間違いありません。ところが、農村の場合はそうはいかぬ。自分の土地の上にできた、収納された農作物の価格によってのみこれを支払うことができる、こういうことを考えてまいりますと、このみなし課税というのは、全く架空なものに税金をかけるという理論が成り立つのではないか。だから、もし税法を、さっき申し上げましたように、政府が過酷な税金をかけることによって農地を早く手離すだろう、そうすれば市街地は早く発展するだろうというからめ手からの理由があるなら、そこをはっきり言っていただきたい。それも一つ考え方であります。しかし、農民はそれを承服しないでありましょう。  だから、大蔵省の税の体系として聞きたいのは、こういうみなし課税、いわゆるこうみなすという課税が一体どこの国にかございますか。それから日本の税法の中のどこにかありますか。農村は、農地農地としてのたてまえの上から固定資産税をかけておりますし、山林山林としてのたてまえの上でかけておる。宅地宅地としてのたてまえの上で税金をかけております。みなしという税金が、税法の中のどこにかあるなら、この際はっきり示しておいてもらいたいと思います。
  191. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 たびたび申し上げておりますが、みなし課税とおっしゃいます趣旨がよくわからないのでございますが、市街化区域の中での農地固定資産税評価の場合なのか、あるいは相続税評価の場合なのか、そこのところが多少よくわからないわけでございますが、みなしと申しますよりは、その土地の市場価格あるいは市場価値をどう考えるかということでございまして、それをみなしという――みなし課税とおっしゃいます意味がよくわからないのでございますが……。
  192. 門司亮

    ○門司委員 みなし課税というのをここの委員会で自治大臣はそう言っているのです。そういうことばを使っているのです。いわゆる宅地とみなすということでしょう。現況はそういうことですよ。農地宅地とみなしてその税金をかけるから、みなし課税と言われているのです。これが農地だというなら農地税金をかけたらいいじゃないですか。何もそれにだれも文句を言っていない。しかし、現況は農地であるものを宅地とみなして、宅地並みの税金をかけるから問題が起こってくる。こういう形がどこにかあるかということです。現実と離れたそういう問題――これは評価でありますから、ここは将来宅地になるだろうから評価はあるかもしれません。しかし、現実は農地であることに間違いありません。土地というものはやはり使用目的によりみな違うわけでございまして、だから、現況農地宅地としての税金がかけられるかどうかということです。このみなすということばがわからなければ、こういうものがもしできるとすると、いろいろなものが出てきますよ。これが出てくると私はえらいことになると思う。そういうことで、現況農地に対してこれを宅地として一体課税することが可能であるかどうかということですね。これはそういうことをやった例がどこにあるか。あったらひとつ示しておいてもらいたい。これが初めだとすれば、もう少し掘り下げて、そう簡単にこの法律を通すわけにいかない、もう少し掘り下げてみなければいけない。
  193. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 自治大臣の発言から問題が出ているようでございますので、自治省のほうから御説明申し上げたいと思います。  これは釈迦に説法のたぐいとなると思いますが、固定資産税課税標準でありまする価格は、これは適正な時価ということになっておるわけでございますが、農地に対しまして現在の評価考え方は、昭和三十六年に評価基準をつくりましたときに、農地として正常な売買実例価格というものを基礎において評価をする。ただ、その場合におきまして、その実例価格による評価が非常に高くなるものがございますので、そこで、限界収益率というものを乗じまして、あるべき価格の五五%で農地価格を定めてまいったわけでございます。それは当時、農地につきましては農地法の厳重な転用制限というものがある、そのほかのいわゆる土地というものとはこの形が違っておる、こういう前提があったわけでございます。ところが、都市計画法の施行によりまして、市街化区域内の農地というものにつきましては届け出をもって宅地になれる、こういうことでございまして、現在の農地評価前提になっておりまする考え方というものが基本的に変わってまいった、こういう認識に立っておるわけでございます。したがいまして、そういう土地に対していかなる評価をするか、その評価に基づいてどういう課税標準を定めてまいるか、こういうことが今度のこの十九条の二以下の規定の改正の趣旨でございます。その場合に、課税標準としては状況類似近傍の宅地価格というものから造成費を差し引いたものを課税標準にする、こういう考え方になったわけでございまして、それを非常に、何といいますか、わかりやすく、宅地並みの課税あるいは宅地とみなして課税、こういうことを申し上げたものですから、みなし課税ということに相なったのかと思いますけれども考え方といたしましては、農地課税標準の基礎でありまする評価市街化区域農地については、このような形で求めてまいるという評価考え方だというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。
  194. 門司亮

    ○門司委員 造成費をこの中から差し引くということは、一つの行政的な措置であって、税金をかけようとすれば当然のことなんですね。ところが、問題は現況農地についてのものですね。これはさっきから言っておりまするように、税金を払うということになりますとお金が要るのですよ。これは上でつくっている収益と相反する税金をかけられたのでは、税金の納めようがないでしょう。どこから持ってきて税金を納めるのですか。宅地になる場合はそれだけ高く売れるのですから、そのときは現金が入ってくる。さっき言ったように、価値が変わってくる。価値が変わってくるとき、所有権の移動するとき、このときは税金をかけても差しつかえない、出てくるのだから。農地はその機会がないのですよ。現実は農地であって、これをそのまま置いておいたのでは、その土地から本人に収益というものは別にあるわけではない。だから、移動する場合の税金というのは一応考えられる。そのときの正しい評価というものは、売買の価格というものは一応考えられる。そうしてそれに何%か何十%か税金をかけるということも、納めるほうもたいして苦痛ではないはずです。ところが、みなされるということになると、現実に収益がないのだ。現実には農地なんだ。しかしおれのところは宅地なんだ。もしこの税金が非常に大きな税金になってくれば、どんなに百姓が一生懸命にやったって、これは追っつきはしません。その収益の中から税金は払えないです。収益の中から税金が払えないようなことがよろしかどうかということです。これは大蔵省に私はその点を聞いておきたい。収益のないところから税金を取り立てることができるかどうかということなんです。  元来、土地に対する税金というのは、いまに始まった税金じゃありませんで、世界のどこに行ったって、日本だってそうなんだ。従来は土地にしか税金課税する方法はなかったのであります。これはもう神武天皇以来私はそうだと思う。ことに封建時代の武家政治の時代などはいわゆる農村に税金をかけて、石高幾らというのはこれは農村でしょう。そしてこれが税金としていろいろな政治がやられておったことは事実であります。だから、土地に対する課税というのはずっと古い昔から実はあるわけであります。ところが、その中でこういうふうに、将来ここは市街地になるであろうから高い税金を取るのだというような例がいままであったら示してもらいたいと、こう言うのです。もしこの税金が初めてだとすれば、私どもはこれには相当検討を加える必要のあることである。いわゆる担税能力を越えた税金の徴収ができるかどうかということです。売ってしまえば高く売れるのですから、そのときは担税能力がありますから、これは幾ら税金をかけようと、八割かけようと九割かけようと、まだ一割残るから担税能力がある。現況農地であって、農地からくる収益ではとても宅地並みの税金は払えないということになれば、一体どうなるのですか。それが払えなかったら早く売ってしまえというのでは、そのために許可をはずしたんだ、届け出でよくしたのだということになると、これはえらい問題が起こってくる。だから、そういう架空なものに、そうなるであろうという想像のもとに、一体税金というものがかけられるかということです。私はそういうものに税金をかけるわけにはいかぬと思うのです。もしこういう税法がこのままかりに通って施行されてごらんなさい。おまえの店はこれだけ売れるはずだなんて税金をかけられたら困るじゃないですか。だから、私の言っておりまするのは、そういう架空なものに税金をかけることがよろしいかどうかということであって、私は移動する場合にはとやかく言うわけじゃない。大体税金というものはそういうものだと私ども考えておる。税金を納める財源というかの捻出のできないところに税金をかけるということは、私は非常に無理な問題があると思う。  だから、はっきりこれは自治省に聞いておきますけれども、建設省なら建設省に聞かなければなりませんが、この法律の出てきた構想は一体どこにあるかということです。発想はどこにあるかということです。いま申し上げましたように、こういう架空な状態にありながらこれに税金課税することによって、農民土地を持っていることは損だ、早く売ったほうがよろしいのだという観念を植えつけて、そうして土地を早く売らせようとするのが一体どこにあるのか。その辺の、この税金の出てきた構想、目的をひとつもう少し明確にしておいていただきたい。
  195. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 この考え方の出てまいりました基本は、再々申し上げておりますように、固定資産税課税体系の中で、同じ土地に対する課税の中で、農地とそれ以外の土地との負担の不均衡というものはあまりにもはなはだしい、その負担の不均衡というものがある程度まで許容されるというのは、農地法の規定によりまして厳重な転用の制限がある、こういうことであったわけでございますけれども、その制限がはずれたところについては、少なくとも負担の不均衡を回復をする、負担の不均衡の是正ということが基本の考え方でございます。それにあわせまして大きな意味での土地政策と申しますか、そういう面からあわせて土地の供給の促進というものをはかっていく、こういうことでございます。
  196. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、端的にこう解釈すればいいのですか。市街化区域には農地はない、こういうことになるのでしょう、結論は。そう解釈しておいてよろしいんですか。
  197. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 市街化区域内に農地がないという前提ではございません。農地はやはりあるわけでございますが、農地としての負担の求め方といたしましては、市街化調整区域と違いまして、市街化区域内においては、状況の類似する宅地に準じた評価、それに基づいた負担というものを求めよう、こういう考え方でございます。
  198. 門司亮

    ○門司委員 先ほどから聞いておりますと、結局みなし課税というのは、農地でないとみなさなければ――農地でないとみなしておるからかけておるのであって、農地とみなすというなら当然こんな税金をかけられるはずがないですよ。こういう理論はありますよ。私はいまあなた方の言おうとする理論はわかっております。たとえば隣合わせて宅地に私が家を建てた。造成費は多少違うかもしれないが、地価は大体同じだ。そうして私のところは宅地としての税金を払っておる。片方は現況が農地で菜っぱが植えてあるから、大根が植えてあるから、おまえのところはこういう固定資産税だ。これはおかしいじゃないか、売買理論としては同じではないか、こういう理論はありますよ。これはしょっちゅうみんなそう言っていますよ。  そういう理論があるにしても、その理論にこたえてやろうとすれば、移動するときに税金を取るべきである。現在取っているわけでしょう。不動産取得税というのはそのために取っているじゃないか。不動産取得税の性格を調べてごらんなさい。いわゆる所有権の移動のときに税金をかけているでしょう。それは固定資産税と別にかけているのでしょう。どうしてもあそこの税の考え方、いわゆる相続税一つ考えて、その次に不動産取得税を考えて、そして固定資産税というのを考えて、その上に立って議論をしていくと、どう考えても今度の場合おかしいのですね。農地である場合においては、これは農地としての税金をかけても、それが宅地になった場合に、そのときにちゃんと固定資産税の何年分にもひとしいようなかなり高い税金、不動産取得税というものを納めているのですね。  ただ不動産取得税が都道府県税である、固定資産税市町村税である、こういう税配分の関連性はありますよ。そうして実際は市街化に対するいろいろな施設というものは市役所がやらなければならない。だから、この市街化が進めば水道が必要だ、下水が必要だ、いや道路が必要だ、これはみんな市役所の仕事なんだということはわかるのです。もしそれがそうだとすれば、税の配分を変えればいいんだ。いわゆる県税として不動産取得税を取っているのを市におろすのかどうかということです。私は、そういういき方のほうがほんとうは正しいのではないか。財産が移動するような場合はこれはしようがありません。その価格に対して税金をかける、また売る場合には税金が納められる、事実上の収益があるのでありますから。ところが、そういう過程を踏まないで、一方には不動産取得税があって、そして実質上の価値の移動のとき税金をかけていく制度はちゃんとほかに設けてあるわけです。この辺私はどう考えてもその税金はおかしいと思っているのですよ。  実際そうすると、どういうことになるかといいますと、やはり税金自体の体系の中でかなり複雑なものが出てくるということで、これは大蔵省にほんとうはもう少し議論をしなければならぬのでありますけれども、大蔵省がもし見込み課税なんというものを認めるということになると、これは税法上の問題として私はえらいことになろうと思いますよ。収入があろうとなかろうと、収益があろうとなかろうと、おまえのところに認めるんだ、見込むんだというような税金の立て方というものは、これはもうみなし課税なんというものはやめておいてもらわなければ、税の体系の中にとてもこんなものが組み入れられる筋合いではないと私は思います。きょうはもう五時になりますので、これ以上私は聞きませんけれども、そういう点を機会があれば大蔵大臣と自治大臣に出てもらってはっきり、一体税の法則の上から、こういうみなし課税なんというものができるのかどうなのか、この理論をもう少し聞かない限りは、いまからこの税法を審議するわけにはいきません。
  199. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 それでは最後にお答えさせていただきます。  固定資産税というものは、そもそも財産価値に対する課税である。その財産価値をどう使用、収益するかという問題で、正当に収益、使用されるものならば、それに対してそれが正常な取引価格に反映されるべきものである、こういう考え方で固定資産税ができておるものだと思います。したがいまして、決して個別の具体的な土地を、たとえば空間地であるものを通常の宅地とみなすことがいいとか悪いとか、あるいは宅地の中における農地農地とみなさないといけないということでは、固定資産税というものの考え方自身が非常に問題があると思います。むしろ固定資産税というものはそういうものではなくて、財産課税として、正当に使用しておる場合に通常起こるべき収益をもとにして正常な市場価値を把握する、それに担税力を見出すというのが固定資産税ではないか、かように考えております。
  200. 門司亮

    ○門司委員 そういう議論になると、少し長く時間をかしてもらわなければならぬと思います。一体、固定資産税という税の性格、税というものの性格の基本のものは何なんです。税には原則があるでしょう。一つは応能の原則ですよ。応能の原則の前提となるものは、その税金が納められるだけの収益があるかないかということですよ。もう一つの問題は、そのもの自身についての価値判断がどうであるかということ。税金には、私は幾つかの種類があると思う。おのおのの性格を持っておる。固定資産税の性格というものからくる一つのものの考え方の中に、農地というものに対するものの考え方の中に、税法上どういう措置がとってあるか、あなたのほうが御存じだと思うわけです。  農地というもの、農村というものに対して税法上の処置のとってあるのは――事業税はどうなんです。農村はなぜ一体事業税を納めないのです。この税理論はどこから出てきているか。土地自身には何らの価値がないのである。土地の上に、農民が耕して種をまいて、肥培管理を行なってはじめて収益があるのである。土地生産の手段であるとしか考えられない。しかし、それが個人と個人との間に売買される場合には、当然値段がついてくることはあたりまえである、いわゆる所有権の移転でありますから。所有権の移転の際には、そういうものを勘案して、ここに肥培管理をしてはじめてこれだけの収益がある、土地の地力によって値段が変わってくるのは当然であります。私は、農村課税についてはもう少しお互いが、固定資産税がどうだとか不動産取得税がどうだとかというような、そういう体系をとっていく必要がありはしませんか。一般の中小の商工業者で問題になるのは、そこに一つの問題があるからです。八百屋さんあるいは魚屋さんは、みんな家族総出で、労力の実態というものは農村とちっとも変わらない。しかし、片方は少なくとも生産手段としてお金が動いている。物を仕入れてきて、それに何%かの利潤をかけて、これが収益になっておるということです。一方は資金が動いておるから、それを事業として事業税をかけておるのです。農村に事業税をかけないということは、農地自身については、これは生産手段の一つの問題であって、農地自身が収益を生むわけではないからですす。農地は、草をはやしてほっておいても何にもならない。  だから、私は、固定資産税の性格というものは、そういう農村課税に対する一つの性格の上に立った議論をしなければならないのである。したがって、農地といいますか土地については、税金の種類がたくさんあるでしょう。田に対する税金もあるでしょうし、畑に対する税金もあるでしょうし、あるいは山林もあるし雑種地もあるし荒蕪地もあるし、おのおの性格が違う。したがって、農村に全部固定資産税を同じようにかけているわけじゃないでしょう。みんなその土地の目的によって違っておる。非常な収益をあげているゴルフ場なんか、税金を見てごらんなさい。雑種地でしょう。これは土地自身が収益を生むわけではない。一つ生産手段としての土地はあるが、土地をほうりっぱなしにしておいたんでは何にもならない。こういう点は、税全体の理論の中から考えてくれば、そういう理屈が出てくると私は思うのです。もし、あなたのほうのような意見でこの固定資産税を見るということになると、ただ価値判断だけである。価値のつくときは、移動するときである。農地というのは、移動のときには確かに価値があります。それは値段がつくにきまっておる。  だから、そういうものに対して一応どういう税金をかけるかということと、もう一つ固定資産税というのは、さっき申しましたように、土地にかける税金というのは――土地は国有であります。日本の国のできたときから土地はあるのである。だれが一体日本の土地というものをこしらえたか。地主がこしらえたわけじゃないでしょう。歴史の過程の中でその土地を処分する権利を地主は持っているのであって、土地自身は日本の国土であるということに間違いはないのである。したがって、旧来からそこに税金をかけていって、貢物という字が使われておる。日本の国土を利用して農耕がやられておる。したがって、そのみつぎものを政府に納めて、それによって納めて、それによって国政をやっていくということが長い間の歴史なんです。これは日本ばかりじゃない。どこの国でも同じことです。私どもは、そういう固定資産税についてはずっとさかのぼった、土地にかける税金についてはさかのぼった問題というものをずっと検討する必要がある。そこからくる理論としては、その土地がどれだけ収益を生むかということです。ところが、農地に対しては、いま申し上げましたように、何が収益を生みますか。労力が加えられて初めて収穫があって収益がある。都会土地とはそれは違う。都会土地は、土地を持っているということだけで、他人に貸しておけば、そこから土地収益を上げてまいります。農耕しなければならぬものと同じような考え方で税理論を議論されるということは、私はいささかどうかと思う。
  201. 菅太郎

    菅委員長 門司委員に申し上げますが、理論が非常にまだ煮詰まらぬところにありますが、ひとつきょうはこの程度で打ち切っていただきまして……。
  202. 門司亮

    ○門司委員 私もこの程度でやめようと思うが、ああいう議論をするからおさまらなくなる。
  203. 菅太郎

    菅委員長 それでは、また明日もございますから、引き続いて質問を続行してもいいし、あるいは大臣のお見えになる機会もございますから、そういうところにまた譲っていただきまして、おおむね時間が参りましたから。
  204. 門司亮

    ○門司委員 それじゃ、委員長の命令に従いますけれども、ああいう妙な答弁をされると私は迷惑だと思うんです、実際。それじゃ、きょうは委員長の命令に従います。
  205. 菅太郎

    菅委員長 それでは、この程度で本日の質疑は打ち切ります。  次回は、明五日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二分散会