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1971-02-25 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十五日(木曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 小濱 新次君    理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    國場 幸昌君       高鳥  修君    中村 弘海君       永山 忠則君    野呂 恭一君       豊  永光君    綿貫 民輔君       中井徳次郎君    華山 親義君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         自治省税務局長 鎌田 要人君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   華山 親義君     山本 幸一君   桑名 義治君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     華山 親義君   矢野 絢也君     桑名 義治君 同月二十五日  辞任         補欠選任   華山 親義君     美濃 政市君 同日  辞任         補欠選任   美濃 政市君     華山 親義君     ————————————— 二月二十四日  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第七二号) 同日  特別区の区長公選制度実現に関する請願(大久  保直彦紹介)(第一一二〇号)  同(河野密紹介)(第一一二一号)  同(和田耕作紹介)(第一二三一号)  風俗営業等取締法にモーテルの規制移管に関す  る請願大久保武雄紹介)(第一一二二号)  同(中島源太郎紹介)(第一一二三号)  同(中島茂喜紹介)(第一一二四号)  同(武部文紹介)(第一一二五号)  同(柳田秀一紹介)(第一一二六号)  同(佐々木義武紹介)(第一一八〇号)  同外三件(櫻内義雄紹介)(第一一八一号)  同(長谷川峻紹介)(第一一八二号)  同外二件(林義郎紹介)(第一一八三号)  同(松山千惠子紹介)(第一一八四号)  同外三件(粟山ひで紹介)(第一一八五号)  同(水野清紹介)(第一二四六号)  同外三件(大野市郎紹介)(第一二四七号)  同外一件(松澤雄藏紹介)(第一二四八号)  ドライブイン等において酒類の販売を禁止する  法律の制定に関する請願永田亮一紹介)(  第一一八六号)  同(西宮弘紹介)(第一一八七号)  同(松山千惠子紹介)(第一一八八号)  同(鈴木一紹介)(第一二三〇号)  クリーニング業事業税軽減に関する請願(箕  輪登紹介)(第一二四五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)  地方税法の一部を改正する法律案華山親義君  外五名提出衆法第四号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び華山親義君外五名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 十九日の本会議におきまして、地方税法の一部を改正する法律案につきまして山口議員から地方税に関する部分についての質問に対しましての大臣の御答弁があったわけでございますが、それに関連いたしまして、今後の地方行政あり方等につきまして御質問申し上げたいと存じます。  地方税に関する部分といたしましては、第一点としては国と地方との抜本的財源配分の問題と、第二点といたしまして、住民税課税最低限といま問題になっております住民税付加税化の問題につきましての質問があったわけでありますが、この二点につきましての答弁としては、第一点につきましては自治大臣からの御答弁はなかったわけでありますが、大蔵大臣からいわば消極的な御答弁があったわけでありまして、依然として地方財政は好転をしている、したがって税源配分については国と地方との関係については考え余地はない、ただ地方公共団体相互間、府県市町村間においてはこれは自治大臣とも相談して十分検討すべき問題であるというふうな御答弁があったのであります。従来の国庫補助金の問題あるいは交付税取り扱いの問題につきましては、大蔵自治両省の折衝の過程におきまして、私ども大蔵大臣からいろいろ地方行政につきましてあるいは地方自治体について十分な理解を持っておるという言明があったわけでありますが、やはり国庫立場においてこれを処理しようという姿勢であったことはいなめないわけでありまして、税源配分につきましても、国との関係は全然考慮の余地がないというふうな御答弁があることも予想しておったわけであります。自治省としては、これらの問題に関連いたしまして、今後地方自治体内政の年として重要な使命を果たさなければならないということで、公害問題をはじめといたしまして、あるいは国民生活本位内政を推進していきます上において、地方自治体の果たす役割りにかんがみて、財源という問題についても非常に御配慮になっておる。長期財政ビジョンというような問題も早くから想定されまして、そうしてこれらの内政を推進していきます上に、地方一般財源としての地方税の問題あるいは交付税の問題あるいは地方債問題等につきましても、今後十分国の配慮がなければならぬというようなことを大臣も言明し、また自治大臣としても推進をしてこられておるわけであります。  私は、やはり今後の税制の問題を考える際に、国税の問題ばかりでなくて、国と地方との税の配分問題につきましても十分お考えになっておられる、かように考えるわけでありますが、本会議におきましてこの点の御答弁をいただいておりませんので、これは昨年も御質問申し上げた問題ではありますけれども大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思っております。
  4. 秋田大助

    秋田国務大臣 最近におきます社会、経済のいろいろ激しい変化、また政治行政内政充実が叫ばれており、かつその中におきましても地方自治体の活動すべき分野がだんだんと拡張されつつある傾向がございます。公害問題とかあるいは交通問題等、もちろん国が補助負担程度を厚くいたしまして、地方公共団体権限委譲に基づくいろいろの事務量の増大に対処をして措置すべきものがあると同時に、地方公共団体の自主的な財源強化いたしまして、これら時勢要望に応ずる必要があると思っております。すなわち、事務配分量の練り直し、これに基づく税源財源処置見直し等、不断に時勢におくれないようなくふうをし、改善を加えていく必要があろうと思うのでございます。  この点にかんがみまして、交付税制度、ことにこれが特別会計に三税三二%を直入する問題かねて固有地方団体財源というものを確立いたしまして、これが自主性発揮見地に立って、いろいろ税制のあるいは財政の運用をはかるべきこと、これらについて考えておるところでありまして、一般的に国と地方との事務配分改善に伴いまして地方財政地方自主財源強化しなければならないと考えております。  また、地方税制の内部におきまして、府県市町村関係におきましては、市町村財源充実強化を一般的にはかっていかなければならない。この点につきましては、四十三年、四十四、四十五、四十六年と逐年市町村税源強化充実を具体的にはかってまいったところでございます。なお、国税地方税との関係におきまして、例の住民税付加税論というような議論がいま個人的段階においていろいろ云々されておりますが、これに対しましては、御承知のとおり、自治省といたしましては、地方自治確立見地から、独立税制度確立という見地から、付加税的な取り扱いをされることはおもしろくないと考えておりますので、これらの点につきましては、必要に応じて大蔵省とさらにいろいろ検討をいたしまして、地方自治確立の精神にふさわしい地方税制確立を期しているところでございます。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 六十三国会の地方税法の一部改正の際にもこの点は申し上げたのでありますけれども地方と国との財源配分の前提として、行政事務配分ということが従来から地方制度調査会その他各調査会からもいわれておるわけであります。当然そういうことでなければならぬと思うのでありますけれども地方行政事務配分という問題は、なかなかむずかしい問題でこれが急にそう進むとは思えないのであります。できるだけ地域住民に密接した事務を、市町村府県という順序で早く配分することが先決だと思うのでありますが、それにいたしましても、いろいろいまの国の財政が硬直化しておるという態勢、たとえば国鉄の問題あるいは健保の問題あるいは米の問題というふうに、いろいろ赤字要因になっておる問題が未解決で来年度に持ち越しておる。あるいは公共事業、特に道路財源等も国の政策が固まらないうちに自動車重量税というものの創設ということで、いわば国の財政上の見地から税制調査会あたりでは今後の税制考えておるようであります。したがって、従来私ども言っておりました行政事務配分に伴うその税制改正という問題よりも、すでに国の立場からいわゆる国の税制の再検討ということがどんどん進んでおると思うのである。  その中において自治省では、早くから地方財政長期の展望に立って、どうしても地方公共団体でもってしなければならぬという事務に対応する財政問題を考えたい、固有財源としての地方税等充実しなければならぬという方向で進んでおられると思うのであります。私はその方向はいいと思うのであります。根本的に行政事務配分ということに関連いたしまして、配分の基準の改正問題に関しましては、いわゆるナショナルミニマムだあるいはシビルミニマムだという見地に立っての事務配分が好ましいというような論議も昨年はなされたわけであります。その論議論議として私はいいと思うのでありますが、とりあえず国の税制改正方向財源確保ということで進んでおる今日、いわゆる国民生活優先立場からいくと、一応これだけの仕事がある、このためにも将来の地方税制考えなければならぬのだということを言い出しておられることは、私は非常に賛成であります。しかし、それはそれなりに市町村におきましては住民税あるいは固定資産税が中核の財源であり、府県といたしましては府県住民税事業税というようなものが中心をなしておると思うのであります。一体どういう骨組みでどういうふうな方向地方税制考えていくかという一つ目安を早く立てられる必要があるのではないか。そういう目安をどこに置いてどういうふうに大臣あるいは税務局長はお考えになっておられるか、その一つ見通しですね。こまかいことはけっこうだと思いますが、国の税制改正関連いたしまして、地方税はこうあるべきだ、長期ビジョン仕事のほうはいろいろ考えておられますが、それに見合う見通しですね。そういうものをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  6. 鎌田要人

    鎌田政府委員 基本的な考え方はただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございますが、具体的なそれが中身をなすものといたしまして、私ども事務段階でかなり勇敢な提案と申しますか、検討をいたしたいと思っておるわけでございます。  まず基本的に、何と申しましても都市税源充実、そういう面に関連いたしまして、法人課税というものをもっと地方税源の中でも多くできないか。現在交付税制度があるとは申しますものの、国と地方との所得税源配分ぐあいというものを見てまいりますと、最も伸長性に富むといわれまする法人税におきまして、国の六七対地方が三三という割合でございます。また個人所得税源につきましては、国の七七に対しまして地方が二三という状況でございます。伸長性に富む税源でございまする所得課税あるいは消費課税というもののウエートをもっと地方税においても高めてまいりたい、これがまず第一の基本的な考え方でございます。  第二の問題といたしましては、これも昭和四十三年の税制調査会答申にも触れていただいておるわけでございますが、事業税におきまする付加価値要素の導入という問題と積極的に取り組んでまいりたい。これにつきましては、国税におきましていわゆる消費税としての付加価値税という山のを取り上げてまいりたいということを非常に強く希望いたしておられるようでございます。それとの関連の問題もございます。  それから第三番目の問題といたしましては、道路財源充実ということがやはり一番の大きな急務ではなかろうか。特に市町村道路税源道路目的税というものをふやしてまいる。これはことしも私ども現実的な提言をいたしたつもりでおりましたけれども、例の自動車新税との関係で実施を見送っておりますけれども、この方向というものはさらに進めてまいりたい。  それから最後に、シャウプ税制関係で、市町村の基本的な税に据えられました固定資産税特に土地保有課税というものが評価その他の関係もございまして、そのウェートというものを減じてまいっております。この土地保有課税というものをどういうふうに将来考えてまいるかというところが、固定資産税を補強しながら有力な市町村の税にするというための有効な手段ではないだろうか。  大要大きな点はそういうところを考えておるところでございます。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいま地方税の将来の構想としての各税につきましてのお話がありましたが、おそらく国税のほうの検討というものはすでに税制調査会で進めておられまして、あるいは付加価値税中心とするいろいろな問題これは国の財政を非常に打開していかなければならぬというたてまえから進めておられると思うのでありますが、いまお話を聞きました線で、自治省におかれても行政需要に見合う地方税というものについて積極的に進めていくという姿勢をもって進んでいただきたいと考えております。  そこで、税制調査会性格なんですが、いろいろ税制調査会は、来年度予算税制改正関連いたしまして、長期税制という問題についての検討もされたようでありますが、例年予算編成時期になりまして、税制調査会政府諮問機関としてどうあるべきかということの答申をされるわけなんです。昨年のごときは、自民党の党内の政策ベースと一緒になりまして、どうも税制調査会政治に多少追随あるいは影響を受けるというようような感じがするわけであります。この点が一つ。  もう一つは、地方税につきましての調査もなさっておられるようでありますけれども、どうも国税中心調査が進められる、それに伴っての地方税をどうするかという問題が論議されておるような印象を私ども受けておるわけです。したがって、ほんとうに地方税あり方についての検討をするということについては、税制調査会の機能といいますか、中に部会その他ができておられるとも思いますけれども地方公共団体立場に立っての地方税のあるべき姿、それらを検討する部会を設けられることが必要なのか、あるいは別の機関を設けることが必要なのか。私の記憶違いかもわかりませんが、地方制度調査会が、税制調査会以外に、交付税性格その他についての論議を取りまとめて答申をしたような記憶があるわけなんです。いわば、地方制度調査会地方公共団体の側に立ってのあるべき姿、行財政等についての答申を願える調査会ではないかというふうな感じがするわけであります。  そういう意味におきまして、この税制調査会あり方といいますか、それらをもう少し、国と地方公共団体との調整といいますか、そういうことについて公正にというと語弊があるかもわかりませんけれども、適正に検討答申を願えるような方向にいくべきではないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、この点の御意見を承りたいと思います。  それというのも、依然として大蔵省当局あたりは、地方団体は非常に財政が好転しているんだ、国はいろいろな難問をかかえて苦しんでいるんだ、いわば国税の将来ということを考えればいいのであって、地方公共団体財源あるいは税源については府県市町村調整をはかればいいんだというような考え方が、どうも抜け切らないのではないかという感じがするわけであります。そのことが端的に十九日の大蔵大臣答弁となってあらわれているような気がいたしますが、何かその点につきましてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 秋田大助

    秋田国務大臣 税制調査会国税に寄り過ぎている、また政党ベースに寄り過ぎてはいないかという御心配と、地方制度調査会等とも関連をいたしまして、これがあるべき姿を考えて、いろいろの御批判でございました。  私は、税制調査会税制調査会としまして、党の税調にわずらわされることなく、独自の立場に立つべきものであり、またその見地において活躍を願っておると考えておりますが、また税制調査会におきましては、広く国、地方を通ずる税制につきまして公平な御検討をされておるものと確信をいたします。これらの点につきましては、さらにわれわれの努力を要するところがあろうかと存じます。現に、昭和四十三年七月発表されました税制調査会の「長期税制あり方についての答申」におきましても、税制調査会は、「住民生活に密接した地方行政地方団体の責任において円滑に行なわれ、住民の負託にこたえることのできるようにするためには、地方行政の遂行に必要な財源は、できる限り住民地方団体に対して直接負担する地方税によることが望ましい。この点からみて、地方財政についてその健全化効率化を進める一方、地方税充実を図る必要があると考えられる。」と申されておることに徴しましても、およそ税制調査会の意のあるところは十分察し得ると思います。  この点につきましては、先ほども申し上げましたとおり、今後われわれもさらに努力をいたしまして、税制調査会を通じて日本の国、地方を通ずる正しい税制あり方が、将来、健全な正しい適切な長期見通しのもとにまた各年度の具体化がはかられるよう、さらにさらに努力をしてまいりたいと感じております。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 税制調査会で公正に地方税を国の税制改正と同じウエートを置いて考えていただけましょうか。もう一度大臣のお考えを承りたいと思います。
  10. 秋田大助

    秋田国務大臣 いろいろ誤解もあり、外部からのお見方もあろうかと思いますが、元来国、地方を通じまして適切な事務配分のもとに適正な税制改善というものがはかられるべきものであり、また、税制調査会においてその観点において御審議を願っておるものと確信をいたしております。しかし、この点につきましてさらにさらにわれわれの意見を強力に反映をする努力を重ねなければならない、こう考えております。
  11. 山本弥之助

    山本(弥)委員 将来の地方税考えます際に、現在では税は国民負担考えて一応どのくらいが妥当であるかということを考える、それを国と地方とに配分することに相なろうかと思うのでありますが、現在の税制のたてまえでは国が七割弱、地方が三割という体制になっておるわけであります。地方交付税地方公共団体固有財源であるという考え方に立ちますと、その比率は変わってくるわけであります。山口議員質問は、一応半々くらいはどうかというような質問をしておるわけでありまして、地方税交付税考えますと、大体二対一というふうに、地方公共団体全体から考えますと、税に対して交付税がその半分というふうな数字が出ておるわけであります。公共団体全体から考えてみますと、おそらく府県におきましては、自主財源が七割見当のところとそれから一割見当というふうな非常な開きがある。市町村におきましても、おそらく貧弱町村におきましては一割前後というところから六、七割というふうな自主財源を持っておる市もあろうかと思うのです。一がいに財政計画では二対一というふうなことになって、大体六割が交付税を含めて自主財源ということになっておるわけですが、交付税自主財源でありまする限りにおいては、私は、交付税地方税との比率ということはあまり問題にしなくてもいいのではないかというふうな感じもするわけであります。  ただ、今後の国税あり方からいいますと、いわば三税というものが高度成長関係で伸びてきておる。直接税、間接税半々だったのが、直接税のほうのウエートが高くなってきておるということが、場合によっては今後の交付税の額の問題にも関連を持ってくるのではないか、かように思うのであります。  大体の見通しとして、この交付税自主財源比率をどうするということは、非常にむずかしい問題ではありますし、しかも地方税普遍性からいきますと、現状におきましても、どんな税を設けても自主財源歳入の一割にしかならぬという町村も出てくると思うのであります。税としては普遍性を持たせるということが必要だろうと思うのでありますが、それにしても交付税との関連において、先ほど局長から法人税関係を今後地方税として強化していく、事業税の付加価値的な要素を加味していくというふうなお話がありまして、これらの税が強化されますと、いわば大都市はある程度まで交付税——いまでも交付税大都市は少ないと思うのでありますが、大都市から中都市にかけまして、いわゆる自主財源行政水準を向上させるという体制ができ上がるのではないか。それから一割くらいの自主財源を持っておる町村では、もうどうにもなりませんので、これは同じ固有財源としての交付税に依存せざるを得ないわけであります。  それらの判断あるいは府県の大部分交付税に依存するというような判断から、大体目安からいくと、自主財源をどういうふうに——六割の自主財源財政計画であり、そのうちの四割が地方税に依存しておるわけであります。むずかしい問題でありますが、一応の目安として、地方税充実をはかるという目安からいくと、どういうふうなお考えでお進めになろうとしておるのか、その辺を大体目安がありましたらお聞かせ願います。
  12. 秋田大助

    秋田国務大臣 なかなかむずかしい問題でございまして、例の税制調査会でも「地方税の総量はいかにあるべきか、地方歳入中に占める地方税割合がどの程度のものであるべきかは、国と地方団体の分担する事務分量等とも関連し、必ずしも一義的に決めることは困難である。」こうおっしゃっております。なかなかこの問題は一つの数値によって、このパーセンテージが妥当であるというふうにきめかねる性格のものであろうと思います。  しかし、自主財源確立強化によりまして、増高していくまた時代の要望であります内政充実地方行財政健全化充実化に資し、かつそれに対応していかなければならないわけでございます。したがいまして、その観点から地方交付税率強化ということは、われわれといたしまして望ましいと考えておりますけれども、この点につきましては、もちろん大蔵省とも各年問題にもなるところでございます。今後沖繩の復帰その他公害、交通行政等に対処する点から申しましても、多々ますます弁ずるわけでございまして、これらの点につきまして、目安という点については必ずしも一致した見解があるわけではございません。今後あらゆる機会を通じましてこれが強化につとめてまいりたいと考えております。  なお、事務的見地から事務当局から補足説明をいたさせます。
  13. 鎌田要人

    鎌田政府委員 若干、補足にならないかもしれませんけれども、技術的な点を申し上げますと、先ほど先生御指摘になりましたように、国税地方税の現在の配分割合は七対三でございます。これに交付税を含めますと、国四八対地方五二ということになります。結局、税と交付税関係をどう考えるかということが基本になろうと思います。税をふやしてでも、逆に申しますと、交付税を減らしてでもこの独立税というものをふやしていくべきだ、これがやはり基本的にはあるいは正しい考え方ではなかろうかというふうに思います。先ほど大臣からも御説明申し上げました、かつて昭和三十七年でありましたか、税制調査会地方税地方歳入に占める割合をせめて五〇%まで持っていく、こういう一つ目安をお出しになられたことがございます。そういう考え方で補助金の整理あるいは逆交付税、こういったものも含めての自主財源強化ということに相なろうかと思います。  いま五〇%というところの目安を私どもといたしましては有力な手がかりといたしておるわけでございますが、戦前におきまして昭和四年から十年、わが国が一応戦前との比較をいたします場合の基準にとっております年度で、地方税の占めておりました一番高い年度というのが四六%でございます。現在三九%、四〇%近いところまで追い上げてまいったわけでございますが、あと一〇%程度ウエートというものを高めることを当面の私ども努力目標にいたしたいと考えておる次第でございます。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その際に、今後消費税間接税性格が強くなると思うのでありますが、貧弱町村におきましての住民税というのは、どうも課税最低限を上げてまいります際には、期待が持てないような不安があるわけであります。そういたしますと、いろいろいわれております普遍的な財源としてたばこ消費税だとかあるいは酒の消費税だとか、そういった問題も検討する必要があるのではないか。たばこ消費税はかつて不況の際に創設せられまして今日に至っておるわけでございます。国との関係においても国庫納付金と半々くらいになっておるということだろうと思うのであります。しかし、これは何も国の納付金とのことにこだわる必要はないので、普遍的な財源といたしまして、貧弱団体にしても町村等に普遍的に収入になってまいりますので、そういったたばことか酒とか、そういった消費税についてもう少し検討を加える必要があるのではないか、かように考えますが、どうでございましょうか。
  15. 秋田大助

    秋田国務大臣 詳細の点につきましては事務当局から補足説明いたさせたいと思いますが、消費税的なものを地方税の中にさらに組み入れて、そして税源充実強化をはかるということが必要かと思います。たばこにつきましては、この間社会党の堀君でございましたか、予算委員会でこれの害をもう少し明示しろというような説もあり、これが増徴を期することは国民全体の健康その他から真剣に考える必要がある。そういう余裕がありますかどうか、問題があろうと思いますが、しかし、消費税体系の改善、それから地方税への導入等につきましては十分考慮をする余地があろうかと思います。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 将来の税制地方税あり方につきましては、国税との関連におきまして受け身にならないように今後も積極的に十分御検討を願い、地方公共団体行政水準を向上できる財源確保に御努力を願いたいと要請申し上げておきます。  次に、本会議の御答弁でちょっと意見が分かれたと思うのでありますが、住民税課税最低限付加税化の問題でありますが、大蔵大臣答弁は、この点につきましてはむしろ積極的でありまして、どうも含みからいいますと、課税最低限については引き上げることによりましていわば住民税の現年課税あるいは付加税化ということについてのお考えが基礎をなしておるというふうに考えるわけであります。もう一つは、住民税をそういう性格にすることによりまして、いわば税制の中央集権化ともいうべき体制をも考えておられるのではないかというふうな感じがいたしたわけであります。したがって、この件につきましては、大蔵大臣は積極的な答弁をなすっておられるわけであります。これに対しまして、自治大臣はむしろ消極的に、住民税性格の点あるいは地方自治体財源確保という見地から、責任がある答弁をなすったように私には受け取れるわけでございまして、ことに付加税化の問題につきましては、地方公共団体の自主性の立場からいいまして、これについては大蔵大臣と所見を異にするという御答弁がなされたことにつきましては、私ども非常に意を強うするわけでございます。  しかし、この課税最低限の問題は、私は所得税と住民税性格は違いはあると思います。確かに所得税は応能主義に基づいておりますし、住民税は、広く地域住民が地域の行政水準を向上させることに協力する、そのことが住民自体の利益にもつながるのだという応益性というものを加味しておるというので、課税最低限は必ずしも一致しなくてもいいという考え方に立つわけであります。  それと同時に、やはり私は地方公共団体財源確保という問題も確かに重要な問題だと思います。あとでこの機会に数字を局長からお聞かせ願いたいと思うのでありますが、課税最低限を上げましても、所得税におきましては納税者はさらに百数十万はふえるのではないか、こういわれておるのであります。おそらく住民税も、これに伴って当然納税者はふえるのではないか。課税最低限を上げましても納税者はふえる、かように感じますが、どの程度ふえるかということをお聞かせ願いたいと思います。  それから、ふえますけれども、先ほどちょっと私触れましたように、地方公共団体は非常な内容の相違がありますので、納税者が減り、あるいは住民税の増収も期待できないというような町村があるのかどうなのか、あればどのくらいの町村がそういうふうになるのかということを事務的にお聞かせを願いたいと思います。  そこで、課税最低限の問題で、逐次という大臣の御答弁でありましたが、私は税の性格の問題よりも、この際、所得税にいたしましても、住民税にしても、非常に税が重いと感じておる住民に対しましては、生活費に課税しないというたてまえから、やはり課税最低限は上げていかなければならぬ。現在の所得税の考え方は、やはり生活に食い込むような課税をしないということで課税最低限考えておるのではないか。そう考えますると、住民税もそういう考え方は貫かなければならぬ。それからいくと、生活費には課税しないというたてまえで、課税最低限を早く現行の所得税の最低限に近づけさせるという努力が必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、この点、さらに御所見をお聞きいたしたいと思います。  なお、付加税化につきましては、反対をしておられるので、私、この点は大臣からさらに決意をお聞かせ願えればいいのですが、私どもは絶対反対でございます。徴収費の関係からいいましても、これは付加税にしなければ徴収費がかさむという性格のものではありませんから、自治体の自主性からいいましても、やはり付加税でなくて、独立の住民税として存続しなければならぬ。  また、将来所得税と住民税との関係におきましある程度まで考えを変えるべきではないかという問題。所得税の場合には、ある程度まで地方税に譲りまして、住民税のほうに譲って、ある程度以上を所得税にするというふうな考え方もあり得るのではないか。そういうふうに考えまする際には、当然付加税という考えを捨てるべきであるし、また今日問題となっておりますような所得税と住民税との関係におきましては、やはり市町村としての住民税、その次には府県としての住民税ということで、所得税と府県住民税市町村住民税のある程度まで重複はやむを得ないにしても、相当高額所得から国税府県税、市町村税というふうな考え方に立って、私どもそれの具体的な腹案というものはまだ練っておりませんけれども、そういう考え方に立たなければならぬのじゃないか。そうすることによって初めて付加税とかあるいは課税最低限ということが問題にならない税の体系になるのではないか、私はかように考えるわけであります。  それらの点につきましての御見解を承りたいと思います。
  17. 秋田大助

    秋田国務大臣 住民税の所得税付加税制度というものが地方自治のたてまえからも好ましくないということはかたく考えておりまして、場合によりましては、この点は十分大蔵省とも話し合いたいと思いますが、大蔵当局におきましては、心理的な税の重圧感の緩和とか、あるいは徴収事務の簡素化あるいは徴収費用の節減というような、どちらかといいますと、われわれからいえば、便宜主義的な考え方から住民税の所得税に対する付加税制度、こういうものをお考えになっているようでございます。この点は、今後とも適切な意見によって大蔵、自治当局相一致した見解に立つように努力をいたしてまいりたいと考えております。  しこうして、課税最低限の問題に関連をいたしまして、住民税と所得税との限界に関しましていろいろ御示唆に富む御提案をただいまいただきましたが、これらの点につきましても、今後われわれといえども検討をいたしてまいりたいと思います。  しこうして、課税最低限の引き上げをなるべく短年度のうちに、近い将来に所得税のそれに近づけるということは、住民の負担軽減の上から異存はございません。  ただ、理論上これらを一致せしめなければならないことはないという点と、地方財政に及ぼす実際上の収入の状況という点を勘案しながら進んでまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  18. 鎌田要人

    鎌田政府委員 数字の点を補足申し上げます。  現行の、改正前の制度で来年推移するといたしますと、住民税所得割の納税者数は約三百二十万ふえます。それがただいま御審議をお願いいたしておりまする改正案の結果によりまして、三百三十万ふえるべきところが百十三万人しかふえない。パーセンテージにいたしまして一二%四十五年度に対してふえるべきものが四%しかふえない。差し引き二百十七万人というものがこの改正によって課税対象から落ちる、こういう数字になっております。  ちなみに団体の数でありますが、四十五年七月一日現在の私ども調査によりますと、四十五年度で所得割の納税義務者が前年度に対しまして減少いたしております市町村が全市町村の二割近くございます。三千二百八十市町村のうち五百九十九市町村、特にその五百九十九市町村の大部分町村でございまして、五百六十三町村ということになっております。  それから課税最低限と最低生活費の関係でございますが、所得税の課税最低限というのが、公式的にいまや最低生活費というものよりはやや上回ったものになっておる、こういうことがいわれておるわけでございまして、一つ目安といたしまして給与所得者、夫婦子三人で生活保護基準あるいは基準生活費あるいは標準生計費こういうものを比較いたしますと、こまかい数字の説明は省略させていただきますけれども、いずれも上回っておるという状態でございます。  なお、最後にお述べになられました所得税の中で低いところは地方税に、高いところは国税にと申しますのは、私寡聞にして知りませんが、たしかスウェーデン方式ということでスウェーデンでやられておるということを聞いたことがございます。一つの今後の住民税のあるべき姿として私ども検討いたしてまいりたいと思っております。
  19. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間の関係がございますので、他の議員に譲ることにいたしまして、事業税でございますが、事業主控除を引き上げて三十六万ということで事業税の軽減をはかったのでありますが、事業税につきましては、これは納税者の立場からいいますと、所得税あるいは住民税と重複しておる課税であるというふうな印象を受けておるわけでありまして、法のたてまえからいいますと、事業を行なうという事実に対して課税をしておるのだ。その地域で事業を行なうことにつきまして地域の行政の便益に対して納税をしておるのだという税の性格からいくと、物税だというようなふうにいわれておるわけでありますけれども、現実には、一部の業種を除きましては、税のたてまえは所得課税になっておるわけでありまして、したがって他の税と重複しておる、重税であるという印象を受けておるわけであります。おそらく将来の税の体系からいきますと、事業税につきましてはどういうふうな課税方法をとるかということにつきましては、いろいろむずかしい点もありますが、当然検討すべき問題だと思います。しかし、現実にはそういう納税者の印象のみならず、実態であるわけでありまして、その実態にかんがみまして、ことに中小企業は、非常な今後の経済情勢の推移によりましては、金融面におきましても一番先に苦しい立場に立つ、いわば倒産がふえているというのも中小企業でありますけれども、その中小企業の中で特にあるいは有限会社とか株式会社に切りかえ得ないような個人事業者の場合は、私はやはり重税だという印象をぬぐい得ないのではないかと思います。  したがって、私ども税の本質その他に関係なく、事業主控除の引き上げをもう少し思い切ってやるべきだという考え方に立っておるわけでありますが、その目安を所得税の課税最低限、所得税を納めなければ個人事業税も納めないようにしてあげたいというふうな、腰だめ的な考え方に立っておるわけであります。毎年五万とか四万ということではなしに、せめて個人事業者に対しましては、私はもう少し英断的に事業主控除の引き上げを行なうべきではなかろうか。  そして減収については、先ほど局長からお話がありましたように、昨年は一応住民税の法人割につきまして、市町村に有利なような操作がなされたわけであります。ことに大都市の場合等は、今後計画を進めてまいります上に、昭和五十年あたりには七千億の赤字が出るのだというふうな数字をあげているようであります。先般中山さんからも、大都市の苦衷を相当訴えておられたようであります。そういった法人割は大都市中心におそらく配分になるものだと思います。そういったことで、むしろ事業税の事業主控除を引き上げ、将来性格等がはっきりしてまいると思うのでありますけれども、それまでの腰だめからいいましても、英断的な措置をとり、それらの上に、さらに私は法人割の税率を昨年に引き続きなぜことしもおやりにならなかったかというふうな感じがするわけであります。  経済界もいま不況を克服しよう、景気が多少後退しておる、これを食いとめようというふうな態勢にあるかと思うのでありますけれども、決して不況とは言い得ない状況であって、減益である、減益であるという宣伝をしておりますけれども、多少の減益はありましょう。しかし、これが今回の予算等が通過いたしますれば、おそらく下期には立ち直るというような情勢にありましょうし、もっと法人課税強化する、ことに市町村財源強化するという意味におきましても、法人税の税率を高める、この二つの措置をなぜとらなかったかと思うのでありますが、これはぜひ英断的にとるべきではないかと思います。
  20. 秋田大助

    秋田国務大臣 事業税の事業主控除の大幅な引き上げ、われわれそれもある程度考えておりますが、もっと英断的にやったらどうだというお話でございました。また、この点につきましては所得税の欠格者だからそういう問題、そういう階層の事業税等についても、それに対応した考慮をしろという御意見もございますけれども、やはり事業税性格という点と、地方財政に及ぼす影響等を実際的に考慮いたしておりますけれども、今後これが低減につきましては、引き続き検討し、また実現をしてまいりたいと思っております。  もう一つは、法人割の点でございます。これらはやはり地方税、ことに市町村税におきましてはこの点を考慮しなければならないと考えておりますが、今日のところ、いろいろ景気の動向等も考慮いたしておるわけでありまして、将来の方向といたしましては、大体同じような考え方に立って、今後検討し、処置してまいりたい、こう思っております。
  21. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いまの法人割の問題は、国税のほうは暫定的に二年ということで、地方のほうでは永久的ということでありましたね。どうなるかわかりませんけれども、二年経過後に法人税のほうでそういう格差があります際には、ぜひ強力に法人割の課税率を高めるという努力を強く要望しておきます。  大臣の時間がありますので華山先生に譲りますけれども、ことしは固定資産税がいろいろ議論のあるところであります。この点につきましては他の委員から質問申し上げることになろうと思いますが、この固定資産税の問題につきましては、従来地方公共団体としては工場誘致ということで相当減免をしてまいっておる団体が多かったと思うのでありますが、これはまあ公害対策その他と関連いたしまして、この際固定資産税を利用しての工場誘地条例というものを地方公共団体としては再検討の時期に入っておると思うのであります。現状どうなっておるかということをお聞かせ願い、農地に対する固定資産税の問題につきましては他の委員に譲りたいと思います。  それからもう一点、国民健康保険税ですが、今度は課税限度額を八万円に高めたのでありますが、国保税は、従来相互保険のたてまえからいうと当然だといいますけれども、多少社会保障を加味する低所得者層の相互保険という考え方に立ちましても、今後社会保障の性格を高めなければならぬという考え方に立ちますと、財政が苦しくなれば国保税あるいは保険料に依存すればいいという考え方は限度に来ておると思うのであります。したがって、これは医療保障の抜本改正がなければ解決つかない問題ではあろうかと思いますけれども、国保税と関連して何らか交付税の操作等も考えてもらいたいと私は思っております。  今日、地方では、老人の給付の問題も、国の方針に従って財政が苦しくてもやらざるを得ないということに追い込まれておるわけでありまして、ことに国保が中心であるところの農村におきましては、老人と女子供が残されておるというときに、老人の病気というものは致命的になる。いわば農作業にも影響があるし、その看病に手間をさかなければいかぬということで、岩手県におきましても、おそらく市町村の三分の一は、十割とまでいかないまでも、これは逐次七割給付を高めておるわけです。しかも来年度におきましては、県の援助によりまして、多少の制限はありますけれども、全県の老人の給付をある程度まで高める、年齢の制限がありましても十割給付に踏み切ろう。かつて岩手県は乳児の死亡率が高いときに乳児の十割給付に一県全市町村踏み切って、もう相当の年数がたっておるわけであります。老人問題につきましても同じような状態でありますので、そういうふうな県等の協力によりましてこれは実施をしようという機運に出ておるわけであります。  全国どうなっておるかということも一応調べたのでありますが、全国的にも逐次この問題はふえてきておる。これは交付税の対象にならぬということでありますけれども、もうぼつぼつ私は、そういった市町村の実態、とにかく老人が病気になってもらっては困るんだ、早く直さなければいかぬのだというふうなことで、他の行政水準の伸びが多少減ってもこれを伸ばさなければならないという実態から、無理して財源措置をしておるというのが地方公共団体の実態でありますので、これはある程度まで、保険税の改正とまではいかないまでも、抜本改正以前に交付税その他で考うべきではないか、かように考えるわけであります。  その二点だけお聞かせ願いまして、質問を終わります。
  22. 鎌田要人

    鎌田政府委員 お答えいたします。  企業誘致条例によります地方税の減免状況でございます。これは昭和四十三年度の数字でございますが、府県で三十一億八千五百万、市町村で二十二億五千九百万という数字に相なっております。税目別にこまかく分けてございませんが、市町村のこの二十二億五千九百万のほとんど大部分固定資産税であろうというふうに推定をいたしております。  それから国民健康保険税の関係でございます。私ども努力にかかわりませず、この保険税の水準というものは依然としてただいまも解消されないということでございます。ただいまお述べになられましたような点につきまして交付税で措置をするということについての御提案がございました。私ども検討いたしますが、やはり問題は、こういう国民健康保険の現在の制度の仕組み、運用のやり方というものでは、しょせん保険料、保険税というものに最後のしりがいくかあるいは一般会計に結局持ち込まれるかということの繰り返しにかるのではないだろうか。そういう意味合いにおきまして、基本的には、現在厚生省で調査会を設けて御検討になっておられるようでございますけれども、標準保険料制度というものを設定されまして、それに対する不足分というものは財源措置を講ずる、こういう仕組みが基本ではなかろうかというふうに存じます。
  23. 菅太郎

    ○菅委員長 華山親義君。
  24. 華山親義

    華山委員 実はこのごろ自民党のほうから聞こえるのに付加価値税ということが言われておるようであります。研究していらっしゃるそうですけれども、自民党のほうで言っていらっしゃる付加価値税とは、どういうふうなことを言っておられるのか、私には門外漢なものですからわかりません。しかし、付加価値税というのは、これはもう私から申し上げるまでもなく、シャウプ勧告におきまして事業税として考えられた税金。付加価値税というものはどういうふうなことに税をかけるのかというふうなことにつきましては、これはもう局長以下よく御存じのことだろうと存じますが、そういうふうなことで、自民党のほうでお考えになっている付加価値税というものが、国税としてお考えになっているのか、それが取引税のような形でお考えになっているのか。  いろいろなことがありますけれども、もしも付加価値税というものが、これがとれるかとれないかというふうなことは別問題といたしまして、付加価値税ということをとりますと、現在持っているところの事業税の欠点というものは一ぺんに解決する。付加価値税をとりますと、いまのように法人と個人事業に対していろいろな区別を設けるということもなくなる。そしてこれが中小企業のほうには軽くなってくるはずです。そういうふうなこともありますし、付加価値税によりますれば、労働者の多い会社、企業、また事業の大きいようなところ、それがもうけようともうけまいと——もうけることが多いか少ないかということによってかかるわけじゃないわけです。それで現在、法人事業税につきまして、たとえば小さなところで、岩手県の釜石のように持っているところで製鉄事業がよいと岩手県の財政がよくなる、製鉄事業が悪くなると岩手県の財政が悪くなる。こういうふうな財政の安定を傷つけるようなことのない、いい特色を持っていると私は思います。これが採用されなかったことについては、私はやはり一理があると思いますけれども、そういうふうなこと。また現在農業に対してはなぜ事業税がないのか、そういうふうな問題も付加価値税ということから考えますと、解決もしやすくなるのではないかと思うのでございます。  話が少し事務的といいますか、専門的になりますので、現在お聞きになっているとすれば、どういうふうに自民党のほうで取り扱われ、またどういうふうな事情になっているのか。これに対する事業税としての付加価値税についての評価というものを局長から伺っておきたい。
  25. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私、自民党でございませんので、自民党の考え方というものはちょっと申し上げられないのでございますけれども政府税調におきまして、付加価値税について議論というのがなされております。これは考え方の基本といたしましては、わが国の現行の直接税と間接税割合というのは、戦前に比べても、あるいはアメリカを除きます、あるいはイギリスを除きますヨーロッパ諸国に比べましても、直接税の割合が高くなっておる、こういうことから直間比率というものをある程度変えてまいる。先ほど山本先生からも御指摘がございましたけれども、将来的に税収を確保する、こういう面から、付加価値税——この付加価値税と申しますのは、いわゆる消費税ベースの付加価値税でございまして、フランスをはじめとしてEEC諸国でとっておる方式のようでございます。  御指摘になられましたように、同じ付加価値税と申しましても、消費税ベースの付加価値税、それから企業課税としての付加価値税——企業課税としましても、付加価値税は私どもが元祖だ、そういう気持ちを持っておるわけでございまして、昭和二十五年に国会で御審議をいただきまして、現行の地方税事業税にかわるものとしての付加価値税というものでございまして、二十九年まで実施が延期されましたままついに廃止を見た、いわばまぼろしの税ということになっておるわけでございます。私どもあのときに付加価値税を実施しておけばよかったという感じは非常に強く持っております。税制調査会昭和四十三年の長期答申におきましても、事業税付加価値要素を導入すべきだ、こういう提案もあるわけでございまして、これはやはり地方税といたしましても当面の大きな課題として取り組んでまいりたいという気持ちを持っておるところでございます。(「間接税ですりかえようとしている。」と呼ぶ者あり)
  26. 華山親義

    華山委員 いまうしろのほうからお話がありましたけれども付加価値税というのは、いまおっしゃったとおり、ややもすると間接税の観念が出てくるわけです。ところが、シャウプの勧告では御承知のとおりそういうものではない。もしも間接税になりますと、これはいろいろな意味で物価にも影響してまいりますしなんですが、同じ間接税ということばで一体どういうことを言っているのかということをお聞きしたわけなんです。根本は、これは日本では地方税から出てきている観念なんです。それですから、そういう話があったとすれば、あなた方は非常な関心をお持ちになっているだろう。自民党のほうで言っていられるということから、あなたのほうも自民党の考え方はどういうことなのだろうかということで御研究になっておると思って、私、聞いているのです。そのくらいのことはどこの党であろうとも、社会党がものを言ったって、社会党は一体何を考えているんだというくらいのことは考えてもらわなければ困るのですよ。自民党のことだからおれは知らぬなんということでは私はいかぬと思う。ここで論議されたから、共産党のこととか社会党のこととかいうことではないと思う。自民党のことを言ってまことにおかしいかもしれませんが、政調会長、政調副会長以下が奥さん方までみな連れてヨーロッパに行って、そしてこのことを研究しておいでになったのだから、相当な結論を得てこられたのだと思う。どういうことをお聞きになったか、向こうがお答えにならなければしかたがないけれども、私は関心をお持ちになるべきだと思う。  付加価値税というものは、いまあなたのおっしゃるように、ヨーロッパ式では、私、知りませんけれども間接税になるのですね。これは物価にも影響しますし、私もたいへんなことだと思う。ことに間接税としての付加価値税ということになりますと、これは大企業がいい。中小企業は悪くなる。末端の小売り店には最も多く税がかかってくる。そしてそれが物価に影響するという性格を持っていると私は思う。そういう意味ではなしに、シャウプの言ったような付加価値税、こういったものをやると、逆の現象を生ずる。物価に転嫁することはできません。そういうことで中小企業には軽くなる。いまのような事業税のいろいろな矛盾もここで解決ができるのじゃないか。いまそうだから付加価値税ということについてとれということを私は一がいには申しません。ただ相当の関心だけは持っていただきたい。その点どうでしょうか。私は自民党のことだから知りませんなんて無関心では困ります。
  27. 鎌田要人

    鎌田政府委員 非常に強烈な関心を持っているわけでございます。ただ、御案内のとおりいま私どもがいわゆる議題として伺っておりますのは、実は政府税制調査会、ここでもやはりアメリカとヨーロッパの付加価値税の実情調査に研究班を派遣いたしておるわけでございます。  そこで議論になっておりますところを中心にして申し上げますと、ただいま御指摘になりましたような形での売り上げ税——御存じのとおり、消費税でございますというと、いわゆる累積式、それから単段階税、付加価値税、この三つがあるわけでございます。その付加価値税というものを売り上げ税のいわば純化された形、最終の消費者に転嫁するという形での税ということで考えておられるわけでございますが、諸外国を見てこられた諸先生方の説によりましても、売り上げ税とか一般消費税の伝統のありますところで付加価値税に切りかわる、そういう形で付加価値税に切りかわるということについては比較的スムーズにいける。ただ、物価が値上がりぎみのときにこれをやると、便乗値上げを誘発するおそれがある。こういったような御指摘があるようでございます。  私どもはいまだに非常に残念であったと思っております事業課税としての付加価値税、これにつきましても、御案内のとおり、最初は控除法を採用いたしましたが、次に加算法を採用いたしたわけでございます。この控除法の形になりますと、かなりいまいわれております売り上げ税あるいは消費税としての付加価値税に共通する要素が出てくる。事実あのときにシャウプさんは、勧告の中で、取引高税の純化がされたものだという表現を使っておられたわけでございます。したがいまして、やるということになりますと、税制調査会のこの前の答申にもございますような加算法の付加価値税というものを中心にして検討することになろうかというふうに考えております。  決して無関心とかいうことでございませんで、最も強烈な関心を持ってこの推移を見守りながらわれわれも検討いたしておるということは、誤解のないように強調いたしておきたいと思います。
  28. 華山親義

    華山委員 とにかく事業税ということにつきましては、これは所得税が現在のところはもとになっている、それから住民税もそうだというふうなことでございまして、何か所得税の付加価値税みたいなかっこうになっておる。それだから、こんなものは国でやったほうがいいんじゃないかというような、住民税と同じようなことも出てくるようなわけですね。  そういうふうなことで、これは非常な論議を呼ぶ問題でございますから、付加価値税につきまして直ちにそれに踏み切れなどということは私も言いかねます。私も党員ですから、党を離れてそういうことを言えるわけでもありません。言えませんけれども自治省といたしましては、付加価値税という名前は同じでも、内容の違った意味の付加価値税論が相当出てきているのが事実でございますから、これについては相当関心を持っていただきたい。そして、この付加価値税というものがどういう形で行なわれるか。もしもこれが国税で行なわれるものであるならば、私は、地方税で行なってしかるべきではないか、こういうふうに考えたいわけであります。  自治大臣も、付加価値税なんて申し上げましても、これはシヤウプの勧告は二十数年前のことですからね。私も、古本を出してきて、ここに来る前にゆうべ見てきたようなわけで、なかなかむずかしい理論でございますから、大臣にこれをひとつ研究してもらいたいなんということは私申し上げませんけれども、そういう問題があるということは概念的にひとつ気にとめておいていただきたい、こういうことをお願いしたいわけであります。いま、この場所で申し上げるのはいかがかと思いますけれども、ここには自民党や、またいろんな党の方がいらっしゃいますけれども付加価値税というものは本来地方税的なものである、かけようによっては地方税的なものであるということをやはり御認識を願っておきたい。
  29. 秋田大助

    秋田国務大臣 付加価値税という議論が近来たいへんやかましゅうございます。これに呼応して所得税、消費税体系のものがあり、事業税体系、地方税体系のものがあるという程度のことしか私も知識がございませんけれども、いろいろ議論のある問題でございまして、これが実施につきましては、もちろん十分な研究、検討調査の結果によらなければならないし、また、いろいろ準備段階もあるのではなかろうか。しこうして、事業税にこの付加価値税的なものを加味するということが大きな地方税の今後の問題であるということも承知いたしておりますので、大いに関心を寄せ、また自治省としても検討してまいりたいと考えております。
  30. 華山親義

    華山委員 シャウプの勧告につきましては、いろいろ日本の税制ができておりますが、そういうことで流れてきて、ずいぶん変化もございますけれども、一番大きい点は、この付加価値税地方税に取り上げられなかったということだと私は思う。取り上げられなかったことには取り上げられなかっただけの理由があると思いますけれども、これは地方税といたしまして非常に大きな問題だろうと思いますので、今後の動向に十分に気をつけていただきたい、こういうふうにお願いをいたします。  それで、これは税とは直接の関係がないわけでございますけれども、シャウプの勧告を二十何年ぶりかでちょっとのぞいてみますと、そこに寄付金のことが書いてあるんですね。寄付金をやめろということが書いてある。いまでもまだ続いているわけです。その際に、シャウプが寄付金をやめろということにつきまして言っていることは、その当時、教育制度が変わって、各市町村で学校建築を始めた、そうして金がかかった。国の財政も乏しいというようなことから、学校建築に寄付金を集めた、あるいは警察に寄付金を集めたということが根源だというふうにここに書いてありますが、その通りだと思うのでございます。私は、これは税の問題ではありませんけれども、寄付金というものは税と非常に違った体系をもってくるわけです。いろいろな地位とか、そういうふうなことから、税の原則から離れたような基準で割り当てられるというふうなこともありますので、これはひとつ今後、必ずしも税のほうと関係があるわけではありませんが、寄付金が少なくて済むような税のあり方、また寄付金が少なくて、あるいはなくて済むような交付税あり方、こういうふうなことをやはり自治省全体として気にとめていただきたいと思うわけであります。私の記憶によれば、戦前はこういうことはあまり聞いておりません。戦後にこういうことができたわけでありますけれども、日本の経済が発展しましても、まだ残っている。私は、何かそこに、貧弱な町村固有財源が少ないからじゃないか、そういうふうな気もいたしますので、その点につきましては特に関心を持っていただきたいと思うわけであります。  これはしかし、税ばかりじゃありません。交付税の問題もありますから、一がいに税ばかりとは言えませんけれども、長い間自治省においでになったわけでございますから、その点どういうふうにお考えになりますか、ひとつ局長からお答え願います。
  31. 鎌田要人

    鎌田政府委員 直接の主管ではございませんが、寄付金を中心といたしまするいわゆる税外負担の解消につきましては、毎年度地方交付税を出しながら解消をはかってまいったところでございます。昭和三十五、六年。ころは、たしか二百億をこえる税外負担があったと思うわけでありますけれども、逐次これが解消をされつつございまして、四十四年度におきましては六十七億円というものが解消されておるというふうに承知をいたしておるわけでございます。  御指摘のように、そのような寄付金を中心とする税外負担というものをとらざるを得なくしておるような原因というものはいろいろあろうと思います。もともと本来財源措置をすべきものがない、あるいは補助等にかかわるものにつきましては、補助の単価なり、あるいはその単位といったものの不足というものもございましょうし、その税、財政広く通じまして、これが是正を引き続きはかってまいりたい。御趣旨の点につきましては、よく省内外とも連絡をいたしたいと存ずる次第でございます。
  32. 華山親義

    華山委員 それから、私、最近の税に関する事情をひとつ申し上げておきたいと思います。それに対してどうするか、私には、いまとりあえずこういうことをやってくださいということも言えないのでありますが、農村地帯の現在の米の状況が御承知のとおりになっております。そういう結果起きたのは、いままでの米を中心にしていた中堅的な農家を持っている市町村、したがって財政的にもわりあいに堅実であった市町村財源を失いつつある。非常に貧弱なところ、これはまことにお気の毒なところでございまして、これは何とかしなければいけないのですけれども、そういうところでは農民はあまり税金を納めておりません。したがって、今度のようなこの米の問題等が起きましても、影響あってもそうたいして多くないわけでございます。ところが、わりあいに中堅農家が多くて耕作面積も大きくて税金を納めていた、したがって、それらの町村はわりあいに堅実な財政を持っていたというところが、いま減反あるいは米価を上げないというふうなことから収入が減っておるわけです。そして、いいことには違いありませんが、最低限が上げられておる。そういうことでいままで税金を納めてた人で納めなくてもいいような人が次第にふえてきているわけです。そういうことで、いままでは堅実な農村が財政面においても破綻に瀕しつつあるのではないか、こういう面があるわけです。  これは税で救えるかと申しますと、私もこれを考えてみるけれども、税で救えるような性質のものではありません。そこには別にゴルフ場があるわけでもないし、何かそれにつきまして税制上うまい方法はありませんか。
  33. 鎌田要人

    鎌田政府委員 先ほど四十五年度の住民税で、四十四年度に比較いたしまして、納税義務者数が減少いたしておる市町村が全市町村の二割弱あったということを申し上げました。その大半が、五百五十町村余りでございますけれども、この町村である、こういうことを申し上げましたのでありますが、おそらくただいま御指摘になられましたような状況とからみ合っておるものだろうと思うわけでございます。で、結局そういういわば何と申しますか、平場の中堅農村的なところの財政状況に落ち込みがある、税収入に落ち込みがある。やはり基本収入になっております住民税課税最低限の引き上げ、それから固定資産税、特に土地に対する固定資産税の伸びというものがきわめて低い。こういったものがそういったことの中心をなすものではなかろうかというふうに考えます。  したがいまして、現在税目、税でこれを補強するということになりますと、たとえばたばこ消費税、こういったものを持っていくということになりましても、現在たばこ消費税の総量というものは、これは国と地方との間でほぼ半々になっておりますので、これ以上上げることは現実問題としてかなり困難があろうかと思います。したがいまして、当面のこれが急を救う措置といたしましては、交付税配分におきましては、たとえば農業行政費のかさ上げと申しますか、そういうものを行なう。あるいはそういう町村でございますと、結局雇用の機会がございませんので、人口がどんどん減っていく、こういう状況にあるわけでございますので、人口急減の補正、こういったような形で当面は交付税財源の補てん、補強ということをやっていかざるを得ないのではなかろうかというふうに考えております。基本的には税制としてどういう形のものが考えられるか。結局、所得課税あるいは消費課税、こういったものに重点を置かざるを得ないわけでございますけれども、そういったものを長期的な展望で、しかも偏在是正というのも考えながら考えていかざるを得ないと思いますけれども、当面火急のものといたしましては、交付税その他の財源で手当てをするというよりほかには現実的にはないだろうと思います。
  34. 菅太郎

    ○菅委員長 関連質問として、中井徳次郎君の発言を許します。
  35. 中井徳次郎

    ○中井委員 地方行政委員会に久しぶりに参りまして、どうも十年ばかりこの委員会を留守にいたしておりまして、途中の経過等も詳細承っておりませんので、不勉強でまことに申しわけないのでありますが、一点だけちょっと参考までにお尋ねいたしたい。事実をお尋ねいたしたいと思うのでございますが、先ほど華山先生から御質問がありました寄付の問題であります。寄付の問題につきましては、大体寄付金なんかもだんだん減っておるということも承っております。あなたの御答弁のとおりであると思いますが、ただ一つ戦前から寄付を受け付けますのに、県や市町村におきましては寄付採納願などというものがありまして、せっかく寄付したいと思って寄付に行ったら、寄付採納願を出せというようなことで、そんなばかげたことはないじゃないか。善意の寄付をなにするのに寄付採納願とは何事であるかというので、ずいぶん前から私この委員会でそんなことを主張いたしておりました記憶があります。それを思い出しました。その制度が現在もうなくなっておるかどうか、もう自治省のほうの御指導でそういうことはやめにせいというて、全国に通知でも出されているのかどうか、これはそういうことは各市町村の自由であるからとほっておかれて、いまだにとっておられるところがあるのかどうか。その辺のところ経過をちょっと聞かせていただきたいのでありまして、もしまだそんなことをしている市町村が全国のどこかでもありましたら、はなはだもってどうも民主主義の今日けしからぬことだとも思いまするので、その経過等を聞かしていただきたいと思うのでございます。もし、そういう制度がもういまはないというのならたいへんけっこうなことでありますし、そういう制度がまだ残っているなら、残っている何かそれはそれなりの理由があるだろうと思うので、そういう理由等もお聞かせいただければ非常にけっこうだと思います。この一点だけお尋ねをいたします。
  36. 鎌田要人

    鎌田政府委員 この寄付採納願、私どももはなはだ民主化の今日においておかしな表現だという感じを持っておりますが、現実に市町村においてなお採納願というものを出さしておるかどうかという点につきましては、現在、私、ここに資料の持ち合わせがございません。したがいまして、調査をいたしまして次回に御報告申し上げたいと思います。  それから、なお関連いたしまして、自治省の指導といたしましては、いわゆる平均的な行政水準を維持するための施設、こういったものに寄付を求める、あるいは強制割り当てに、あたりまえのことでございますけれども、類するような形で取っちゃいかぬ、こういう指導は年来繰り返し行なっておるところでございます。
  37. 中井徳次郎

    ○中井委員 どうもいまの答弁では——そうすると、府県はもうそういうものをとっておらぬですか、ちょっとお尋ねいたします。
  38. 鎌田要人

    鎌田政府委員 府県市町村を含めて、調査いたしまして御報告いたします。
  39. 中井徳次郎

    ○中井委員 そんなものを調査する必要ない。何しているのだ、いまごろまで。わかっているはずだ。まだあるのだね。けしからぬと思うのだ。たとえば高等学校なら高等学校を建てる。それは県立の高等学校である。そうすると、市町村に負担がかかる。付近住民市町村に負担がかかる。で、おまえのところは五百万円出せ、おまえのところは三百万円出せ、早く出せ、早く出せと言ったから、出したのだ。それに寄付採納願を出せとは一体何事だ、それは。そんな知事がおったら、もうその知事はぼくは首にしたいと思う。その次の選挙ではそんな者は落としてやったらいい。それくらいの住民意識の盛り上がりを私は期待する。それは皆さんも同じだろうと思うんだ。これは秋田大臣も御同感だろうと思うので、私は特に声を張り上げて申し上げたのですが、もしまだ残っているんなら、どうぞ一刻も早くそういうことをやめてもらう。それはいろいろ手続もありましょう。ですから、金額五百万円だというて四百九十五万円持ってきて、あと半年貯金してくれたら五百万円になるからそれで納めてくれとか、いろいろ市町村によってはありますよ。そういうことはそういうこととして別にやればいいので、寄付採納願いとは何ごとであるか。私は実は、昔、自治体の長をしておって、ばかばかしいことで非常に苦杯をなめたんだ。  私はもう一つついでに申し上げておくが、自治体の長が折衝するところは府県であり、中央へ来たら、せいぜい自治省でいいと思うんだ。ところが、最近はどうですか。道路だったら建設省、起債といったら大蔵省自治省の諸君まで、大蔵省へ行ってくださいなんて言っている。何だ、そんなけちなことで。そういうことはいかぬ。私はここ十年そんなことで大蔵省なんかに行ったことはありませんよ。私は自治省の諸君には頼んだことがある。それは前にもこの席におったときに宣言しておる。そういうようなことで自治省の権威が保てるか、諸君大いにがんばってもらいたい。それで、そのためにおれの出身地のところが何ぼ損をしてもそんなことは知らぬ、かまわぬという度胸で、ぼくは今日までがんばっておりますよ。もちろん大蔵省にも行く、建設省にも行くが、それはそんな市町村府県から頼まれて行ったわけじゃない。個人のことやなんかのことなら私は行きます。行きますけれども、いやしくもそういうときには絶対行かない。いまでもその態度でおるのです。  したがいまして、これは変な話に脱線しましたが、そんな寄付採納願いなどという封建的なものがいまだにもしあるなら即刻改めていただきたい、これを特に申し上げておきたいと思います。秋田さん、どうですか。
  40. 秋田大助

    秋田国務大臣 学校寄付の問題等につきましては、この委員会でもしばしば問題になりまして、先般も御質問がありまして、強制寄付あるいは寄付採納願でございますか、そういう点についてまだ旧来の陋習が残っておるように存じます。数字的見地につきましては調べたい、こう局長が申しております。この制度、悪習のあることは事実のようでございますので、御趣旨に従いまして指導をしてまいりたいと思います。  なお、一般に自治省の権威を高めるような風習の確立につきましては、まことにありがたいおことばでございまして、われわれも今後大いにそのように心がけ、指導してまいりたいと思います。よろしく御指導、御鞭撻をお願いいたします。
  41. 華山親義

    華山委員 いま中井委員からお話しのあった点でございますが、これはシャウプ勧告に出ているんですね。シャウプさんが、一行が各地を回ったときの状況を書いておりますけれども、寄付金については自発的に出たものということでやっているというふうに書いてある。いまでもこちらから求めたのでなくて、自発的におやりになったのだ、こういうようなことを言いますけれども、この自発的というのがくせものなんです。それですから、自発的だったということのために、いま中井先生がおっしゃったように、採納願なんというものをわざわざ出させるんじゃないかと思う。  寄付金のことはこれで打ち切りますが、先ほど局長のおっしゃった、なぜそういう農村地帯において税金の落ち込みがあるかという原因の中に、米作地帯等においては米の値段が上がらない、減反がある、それが一つの原因であるということを申し上げておきたい。したがって、いわゆる反別の広い規模の農家の多い模範的な農村において税が減ってきているということが、最近顕著に出ておりますから、その点はやはり御注意になったほうがいいんじゃないか、こういうふうに申し上げておくわけであります。  それから七、八年前に、償却資産に対する税については原価主義をとっていらっしゃるわけですね、これはときどきは調べたらいいじゃないかというようなことを申し上げたのでありますけれども、そのときの御答弁では、卸売り価格が上がっておらないから帳簿価格でいいんだ、そういうふうなことであらためてまた評価をし直すということはしないということを言っておりますけれども、あの当時から見ますと、卸売り価格も相当上がってきたと思うのです。私は、この償却資産につきましても、一ぺん再評価をすべき時期にきているんじゃないか、こういうふうに思われますが、いかがでしょうか。まだその時期ではない、それをやるにはたいへんなことになるのだというふうなことで、やはり帳簿価格なり原簿価格なりで続けておやりになりますか。
  42. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まず基本的には、前回申し上げましたときに比較いたしまして、卸売り物価指数の推移というものはほとんど差異がない、変動がないということを事実として一つ申し上げておきたいと思います。  それからこの償却資産の評価につきまして、いわばかつての再評価的なことをやるということにつきましては、御案内のとおり、あの終戦直後の簿価と現実の価格との乖離というものにつきましては、固定資産税の評価の面におきましても再評価をいたしたわけでございまして、それから後はいわば一種のノーマルなベースに乗りまして、取得価格から経年減価を落としている。結果的には帳簿価格に原則としてのせるというこの制度確立してまいっておるわけでございまして、償却資産の評価ということになりますと、ちょっとそれ以外に現在評価の方法としては考えられないのではないだろうかと思います。したがいまして、現行の評価の基準を根本的に改めるということは現在考えておりません。
  43. 華山親義

    華山委員 じゃ、これで終わります。      ————◇—————
  44. 菅太郎

    ○菅委員長 参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案及び華山親義君外五名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、期日、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会