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1971-02-16 第65回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十六日(火曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 塩川正十郎君    理事 砂田 重民君 理事 古屋  亨君    理事 山口 鶴男君 理事 小濱 新次君    理事 吉田 之久君       亀山 孝一君    中村 弘海君       中山 正暉君    野呂 恭一君       安田 貴六君    豊  永光君       綿貫 民輔君    下平 正一君       華山 親義君    山本弥之助君       桑名 義治君    和田 一郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         自治政務次官  大石 八治君         自治大臣官房長 岸   昌君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君         自治省財政局長 長野 士郎君         自治省税務局長 鎌田 要人君         消防庁長官   降矢 敬義君         消防庁次長   皆川 迪夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      後藤  正君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員異動 二月十二日  辞任         補欠選任   豊  永光君     上林榮吉君 同日  辞任         補欠選任   上林榮吉君     豊  永光君 同月十六日  辞任         補欠選任   華山 親義君     山本 幸一君 同日  辞任         補欠選任   山本 幸一君     華山 親義君     ————————————— 二月十三日  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第四  八号)(予) 同月十六日  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五二号)(予) 同月十日  特別区の自治権拡充に関する請願麻生良方君  紹介)(第四一八号)  同(川端文夫紹介)(第四一九号)  同(門司亮紹介)(第四二〇号)  同(外一件和田耕作紹介)(第四二一号)  同(和田春生紹介)(第四二二号)  交通管制システム整備五カ年計画の促進に関す  る請願向山一人紹介)(第四二三号)  ドライブイン等において酒類の販売を禁止する  法律の制定に関する請願亀岡高夫君紹介)(第  四九五号)  同(森下元晴君紹介)(第五六六号)  同(小峯柳多君紹介)(第六〇九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。  秋田自治大臣所管行政の説明に対して質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 先般の自治大臣所信表明を伺いまして、従来もそういうふうな機運が醸成されつつありましたけれども、昨年からことしにかけて、いわば七〇年代を迎えまして、地方公共団体が、地方自治の本旨に従って本来の姿を取り戻す機運になってまいっておる、いわば地方自治が本来の姿へ大きく変わりつつあるというふうな感じがいたしまして、私は地方自治のために非常にいい傾向にあるというふうに痛感をいたしております。  過去におきましては、経済成長のために、地方公共団体企業優先という考え方のために、いわばこれに追随してきた傾向があり、国のとっておりました方針と同じように、地域住民福祉を向上するということは、いわばその都市経済力を持たせなければならないというふうな考え方で、非常に無理な——府県にいたしましてもあるいは市町村にいたしましても、企業誘致ということで日もこれ足らずというような動きをしたわけであります。一方財政的にも国に依存いたしておりますので、地方の自発的な住民の意向を吸い上げて行政をやるといういとまがなくて、いわば中央から補助事業を確保するということが、地方公共団体首長の最も重大な使命であるというふうな考えに立って地方公共団体運営してまいったのであります。  昨年の臨時国会における公害立法等におきましても、その背景は地域住民生活あるいは健康を守るという突き上げによりまして、大きく国の政治が、公害立法をいたしまして、積極的に公害対策に取り組まざるを得ないという態勢になってまいりましたし、また、物価問題にいたしましても、従来物価を押えていくという政治基本方針があったにもかかわらず、物価はウナギ登りに上昇をいたしまして、地域住民消費者運動というようなかっこうで、物価問題と真剣に取り組むことを要請するというふうな動きになってまいったのでありますが、これによりまして本来の姿に返ってまいった。いわば地域住民生活環境をよくし、また、地域住民の健康を守るという本来の使命に立ち返ってきた。  自治省としてもそれらを助長する。今回初めて大臣所信表明の中にコミュニティの育成というふうなお考え表明されておりますが、確かにいままでの地域開発というふうなことに重点を置いた考え方が、住民生活優先という考えで対処されていこうというふうなお考えになっておりますことは、私どもも、今後地方自治体がそういう考え方基礎といたしまして、地域住民要請のもとに、あるいは市民運動だとかあるいは消費者運動だとか、その他地域の活動に根ざしながら地方公共団体発展をはかるべきであると考えております。  これらの点につきまして、所信表明でありますので、非常に簡潔に文章にして御表明を願ったわけでありますが、今後の地方自治体に対します大臣のお考え、今後の構想というものにつきまして、長期の展望に立った構想を、この機会に少し詳しくお聞かせを願いたい。
  4. 秋田大助

    秋田国務大臣 やや詳しく展望を聞かせろというお話でございますが、一応私の考えております、これから施策してまいろうとする私の考え方基礎について申し上げてみたいと存じます。  確かに日本の国家は過去軍国主義であった。それの反省の上に立ちまして、戦後経済主義であったと私は思います。ただいま山本先生からるるお話のありましたとおり、企業誘致を最も大事とし、これの要請のもとに国民経済発展をはかり、地域開発をはかるという態度があったわけでございます。しかしながら、一九七〇年代に入りますと、もはやそういう過去の態度は許されないのであって、やはり住民福祉、これが国家目的でありまして、内政充実時代といわれるゆえんもそこにある。  しこうして内政のうちの重要な部分、むしろその実施部分を分担いたします地方行政といたしましては、ますますこの内政充実本義をとらえて、この本義に即した行財政の運用に当たってまいらなければならぬ。その際に中心になる観念は、軍国主義国家観念に発するものではもちろんありません。経済至上主義に発する行政でもないと思います。やはり住民福祉ということを真に把握いたしまして、経済との関係、その他との関係をしっかり自覚をいたしました地方行政でなければならない、私はこういうように考えております。  その際に一番問題になりますのは、最近問題になっておる公害対策の問題が中心であり、交通安全の問題もそうでありますし、物価の問題もそうでありましょう。しかし、すべて住民福祉中心考えていく、こういう行財政でなければならない。自治省が近年手がけてまいりました過疎・過密、広域市町村圏問題等を処置するにつきましても、これが基本観念をもって対処すべきものであると存じております。  こまかに申しますと、過去一年不肖を顧みず、私、自治相の責めに任じてまいりましたのでございますが、過密・過疎あるいは広域市町村圏の問題、大都市の問題、大都市と周辺の衛星都市との関係等、いろいろ問題は多岐にわたりまして、これらの諸問題につき、いよいよきめこまかに施策を施してまいらなければならないと思いますが、しかし、この間に処して、いま申しました住民福祉本義というものをかたくとらえて、いかなるものを処置する際にもその考えで当たりたい、こういうふうに考えております。  まだいろいろ問題点はございますが、おいおい御質問もありましょうから、それに応じて所信を展開したいと存じます。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 だだいま大臣から今後の地方自治あり方につきましての御決意を承ったわけでありますが、私どもも、地域集団生活はその生活環境ばかりでなくて、そこの職場という、いわば生活の手段としての職場という問題があるわけでありまして、それらの問題も確かに重要な問題でありますが、ただいまいろいろ問題になっております内政の年としての国民福祉ということにつきましては、それを現実に地域住民と密接いたしまして担当しております地方公共団体が、福祉重点を置いて地方行政運営していくということについて、きめこまかな御努力を願うということでございますので、ぜひそういう方向で行ってもらいたい、かように存じております。  そしていままでこういうふうな大きな転換をいたしましたことは、もとより高度経済成長の大きなひずみがあらわれたということではありますが、それに対処いたしまして一部の府県あるいは市町村におきましてこれに積極的に取り組むという姿勢を見せたわけでありますが、何といいましてもやはり、行き過ぎがありましたけれども、各地域における住民運動あるいは市民運動というものが大きく、いわゆる地域住民不在傾向にある中で、そういう問題が公害だとかあるいは物価その他の問題、交通事故というような問題で大きく動いてきたということが、今後地方自治体が積極的に住民の健康を守り、あるいは生活環境の改善をはかっていく、あるいはシビルミニマムを保持することに全力を尽くすという態勢に動いていったということがいえるのでありまして、私は今後こういった運動はますます積極的に取り組む姿勢地方公共団体になければならない、かように考えておるわけでありまして、ある程度までこれを押えるというようなあり方ではなくて、そういう運動に積極的に公共団体が対応していくという姿勢のもとに取り組まなければならぬというふうに考えるわけでありますが、大臣、その点につきましてはいかがでございましょう。
  6. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説に対しまして大体異議はございません。しかし、ここに注意すべきことは、住民意思を尊重しなければならないことは申すまでもありませんし、またそれの自由な伸長を期していかなければならないことも異論はございませんが、自治ということは住民のわがままかってを伸ばしていいということとは違うと思うのでありまして、自由なる住民意思は、もちろんそれは尊重しなければなりませんが、その住民意思はその町、その市、その県、その国、地球、国際、全体との連帯意識につながる健全にして正しい自治観念に発する自由なる意思であると私ども思考をいたすのでありまして、またそういうことを考えられた自由意思によって自由なる住民意思が述べられ、それに即して地方自治が健全な発達をするということが望ましいと考えられる次第でございます。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 もとより地域住民運動行き過ぎであるとか、あるいはほんとう地域住民の、地域社会のための運動であるかどうかということの判断は、私、非常にむずかしいと思うのであります。しかし、常に地方公共団体がそういった市民運動を吸い上げるんだという心がまえが必要なのであって、おのずから運動が正常であるかあるいは軌を逸するかというような問題につきましては、私はあまり気に病まぬで、できるだけそれを吸い上げていく、正しく地方行政の中に反映するという、いわば非常な努力地方公共団体首長なりあるいは議員の間になければならぬのじゃないか。常に中央補助行政、あるいは中央の政策に追従するというかまえであるならば、私は、決して正しい正常な市民運動も盛り上がってこない。いわば地方公共団体地方自治に対する信頼を失うということがあってはたいへんだと思うのであります。もうすでに話題にのぼってケリのついた問題でありますが、議会政治形骸化ということがいわれておるときに、議会制民主主義を否認するような発言が大臣の中からなされるというような時代にもなっておるわけでありまして、地方自治こそいわば民主主義を基調とする今後の地方自治発展の中に重大な問題でありますので、これらにつきましては、私は今後ともそういう姿勢でかかっていかなければならないと考えておるわけであります。  そこで、地方行政につきましても、あるいは地方自治の問題にいたしましても、多少私は発想を変えなければいかぬのじゃないかと思うのであります。いままで権限にいたしましても、地方権限を委譲するという問題がやかましくいわれてきておるわけでありますが、なかなかこれが実現していない。こういう問題も自治省中心になられて操作をされましたが、これまた中途はんぱに終わる。毎年許認可に関する改正案が出されておりますけれども、どうでもいいようなことが、おそきに失するような問題が処理されるだけで、積極的に地方自治体を信頼して権限を委譲するという大きな措置がとられておりません。これらも私は、こういう内政の年といわれておる七〇代に、地方公共団体がその使命を果たさなければならぬという重要なときに、もう思い切った権限委譲というようなことを積極的に実行されていいのではないか、かように考えます。  また人事にいたしましても、いずれは話題になるときがあろうかと思いますけれども、私は自治省から副知事、あるいははその他各省から関係部長、課長というものが地方公務員のほうに転出をし、また国家公務員に舞い戻るというような事例があるわけであります。市町村でもそうでありますけれども府県におきましては相当な数が重要なポストについておるわけであります。これらも私は、今後の地方自治からいいますと、いわば地元だけではなくて、いろいろな地域の実態を十分把握した新しい感覚からその地域行政を見直すということも必要であろうかと思います。  しかし、自治省で全国の地方自治体の実情を把握するという意味で、むしろ地方採用自治省で再教育をする、あるいは採用の際も、できるだけ地方採用した者を見習いとして自治省採用するというふうに、自治省の役人を府県に回し、そしてさらに自治省に返すということではなくて、地方公務員地方公共団体公務員としてよりよくその実力を発揮できるという体制から、逆のほうの考え方にすべきではないか、かように考えるわけであります。  おそらく毎年大学卒自治省採用しておられるわけでありますが、そういう相当数地方に当然派遣するというようなかっこう人事異動のために、どういうふうな採用をしておられるのか、自治省が必要とする要員のみを採用しておるのか。当然いままで出した者を返すために、その穴埋めをするということで、余分の人員を採用しておられるのか。その辺のことはあとで答弁願えれば答弁していただきたいと思いますけれども、そういうことはどちらでもいいと思いますが、私はむしろ地方公務員本位に、それを国家公務員に転勤がえをする、またもとに戻る。いわば国家公務員本位ではなくて、地方公務員として、地方自治体と運命をともにするというふうな体制のもとに人事交流をはかるというふうなあり方が好ましいのじゃないか。そういう、問題。  あるいは、自治大臣は法務大臣を兼ねておられるようでありますが、朝鮮人国籍問題等も、これは委任事務でありますので、法令に従いまして正しく運営することが望ましいわけであります。しかし、いろいろな通牒その他によりまして、私ども政治的と考えておりますけれども政治的な通達によりまして——地方自治体がその良心に従ってこれらの戸籍事務運営できるという体制にすべきである。おそらくいま通達違反ということが法務省考えられておりましょうけれども法務省におきます通達違反をすることが、こういう登録事務を実施いたします市町村長の責任において、これが良心にかない、法令にもかなうという確信を持って運営しておると私は思うのであります。そういう委任事務にいたしましても、法令ほんとう趣旨に従うような、政治的配慮のない、良心に従って市町村長がその事務をし得るというふうな体制を今後はつくっていかなければならぬと思うのであります。  一、二の例を申し上げたにすぎないのでありますが、今後ほんとう地方自治体がその自主的運営によりまして地域住民福祉のための行政を推進するということからいいますと、そういった国の立場に立った発想よりも、地方自治体立場に立った発想——いわばいろいろな事務的の、どうでもいいようなことでも、常に自治体の立場に立った発想に基づきまして運営をせらるべきである、こういうふうに考えることが、今後地方自治体育成、強化にもなるのではないか、私はかように考えますが、その点につきましても自治大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 秋田大助

    秋田国務大臣 もちろん地方行政地方公共団体のための地方行政であり、地方財政でなければならないと存じますが、同時に、国との関連全然なしということはあり得ないのでございまして、この間の調整と申しますか、調和は十分とれて、しかも地方のことを考えられた行政が行なわるべきでありまして、人事交流につきましても、中央から地方へ単なる天下り人事をわれわれはやっておるつもりはございませんし、また地方の人材を中央に吸収いたしまして、その知識を中央からの行政に反映をさすという道も従来講じておるところでございます。  ただいま問題になっております国籍登録事務につきまして、それを問われましたが、国からの委任事務に反してもそれがよろしいのであるという表現において地方行政の行為が是認されるというようなことは、これはちょっとおかしいと思うのでありまして、やはり委任されました事務地方行政固有事務との相関、調整の中に円満、健全な国籍登録事務が行なわれるべきであり、またその措置法務省としても講じておる所存でございます。  要は、地方行政におきまして、地方公共団体の利益また住民福祉中心考慮をすべきは当然でありますが、やはり国との関連十分考慮をしながらその間の調整をはかることが必要かと存ぜられるのでございます。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 地方公共団体といえども国政の中で地方自治運営しておるわけでありますので、私は国政との関連において地方行政運営に当たるべきであるということについては異議はございません。私の申し上げておりますことは、国の政治が常に正しいということではない。国の政治をより前進させるとか、あるいは是正していくということは、いままで例は少ないわけでありますけれども地方自治体が国の行政に前進をして実施することによりまして、国の制度を変え、あるいは法律改正に持っていった例は多いわけであります。そういう姿に常に国の政治があるべきだということを申し上げたいわけであります。  公害の問題にいたしましても、いままで地方公共団体権限があるかないかという問題がありましたけれども、それを地域住民のために推進をしてきた。そういったことが結局国の考え方を大きく変え、法律によりまして大幅に地方公共団体権限を委譲せざるを得ないということになっておるわけであります。だから、私はむしろそういうことを十分自治大臣としてはお考え願いたい、こういうことを言っているわけであります。  事務的にお伺いいたしますけれども、先ほどの、自治省が新卒を採用なさるときには、地方自治体に対する出向といいますか、そういうためにも、そういうことを配慮しての採用もしておられるのですか、どうですか。
  10. 岸昌

    岸政府委員 先ほどお尋ねのございました、自治省採用しております職員考え方でございますが、私どもといたしましては、基本的には地方公共団体中心となり、地方公共団体発展のために尽くし得る人物を地方団体にかわって、あるいは地方団体を代表して採用しておる、こういう考え方でおるわけでございます。お尋ねの点につきましても、そういう地方におきます需要を十分考慮いたしまして、採用いたしておる次第でございます。
  11. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そのお考えを、私、徹底を願いたいと思うのでありますが、しかし、私の申し上げているのは、むしろ地方公共団体におきましてそういう将来のいわば重要な地位につくべき者を採用し、それを逆に自治省のほうである期間養成するというふうな——これは本人の希望にもよりましょうけれども、そういう発想転換をはかることによって、地方公務員に生涯をかけるという考え方に立つ幹部職員を養成するのであれば、常に地方公共団体の側から、国政の足らざる点あるいは国政地方公共団体のためにむしろ足かせになっておるという点を見ることができる。国で採用してそれが出向の形になると、今度は必ず国に返ってくるということを考えるということになりますと、それは人間であります以上、感情もありましょうし、弱点もあるわけですから、私は、地方公共団体に在職中は、地方公共団体のために全力を尽くすという考えに皆さま方立っておられると思います。思いますが、しかし、何となしにそのことは、地方公共団体と国との間が大きく意見が食い違うという場合には、やはり国の側に立っての考え方にならざるを得ないということは、私は人情だと思うのであります。したがって、今後そういうふうに余分に自治省大学卒地方公共団体のために採用しておるということであるならば、むしろ、逆に、地方公共団体側採用し、それをさらに当該地方公共団体のためになるように、国で再教育するとか、あるいは高度の研修をするとか、あるいは出向しないまでも、国の費用で研修を徹底的におやりになるとか、そういったふうに、考え方を多少変えるべきではなかろうか。それでこそ初めて、地方自治発展につながる地方公務員というものがつくられていくのじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますが、そういうお考えはございませんですか。
  12. 岸昌

    岸政府委員 御指摘趣旨はよく理解できるわけでございます。また、現在におきましても、自治省といたしまして、そういう努力をいたしておらないわけではないわけでございまして、地方団体における中堅職員を、あるいは幹部職員自治大学校において教育をいたしております。また、それぞれの課におきまして、研修生として採用をいたし、研修をしておる例もあるわけでございまして、そういう点につきましては、御指摘のとおり、今後さらに努力をいたし、充実をしてまいらなければならないと思います。  しかし、全部をそればかりに徹することがはたしてよろしいかどうか。そういう制度のほかに、やはり自治省の行ないます機能といたしましては、地方公共団体相互間において交流をする、あるいは国の仕事地方公共団体仕事との双方を経験して、より広い立場、より広い視野から地方行政発展に寄与する、こういう制度もあってよろしいのではなかろうか、かように考えておるわけでございまして、両者を併用して、よりよき公務員採用、よりよき地方自治発展のために努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これ以上くどく申し上げませんが、そういう併用の制度もあっていいんじゃないかという官房長さんのお話でございますので、私は、併用いたしますにいたしましても、常に地方公共団体の側に立っての養成ということに重点をむしろ今後指向願いたいということを要望申し上げておきます。  次に、地方自治体の複雑多岐な地方行政を推進いたします上に、広域行政の必要であることは私ども認めておるわけでありますが、これはあくまで地方自治体住民自治という立場に立って、当該自治体で十分住民のためになし得ない行政を広域的に処理をしていくという考え方に立ちまするときに、当然、広域行政ということを、そういう考え方で進めるという意味の広域市町村圏問題等も、私どもはその意味におきましては、今後地方行政行政水準を向上させる上において非常にいいことだと思っておるわけであります。従来もいろいろ上水道だとかあるいは下水道、じんかい処理場あるいは屎尿の終末処理場というようなものが、何らかのかっこうで共同処理をされてまいっておるわけでありますが、これらの問題をさらに拡大いたしまして、二、三年前から広域市町村圏行政が進められておるわけであります。まだそうだっておりませんので、そう効果があがっているというふうには考えられませんけれども、本年に百ですか九十五ですか、指定をすることによりまして、ほとんど全国に広域市町村圏というふうな体制がほぼできあがるというふうに考えられるわけであります。あと一年もたちますれば、全国的に広域市町村圏というものが相当動いてくる、かように考えるわけであります。  そこで、いままでの短い期間でありますけれども広域市町村圏の実績といいますか、非常に地方自治を生かしながら効果のあがっている実績等につきまして、一、二それらの問題につきましてお聞かせ願いたいと思っております。
  14. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいま山本委員指摘のように、まだ発足をいたしましてごくわずかでございます。したがいまして、大いに効果があがっているというようなことを申し上げるのは、まだ口幅ったいとは思うのでございますが、御承知のように、四十四年度から指定をいたしまして、四十四年度に指定をいたしましたのが五十五圏域であります。五十五圏域が計画に従って四十五年度から事業を開始いたしたわけでございます。その実績も、まだ年度途中でございまして、確定的なものではございませんけれども、大体数字的に申しますと、五十五圏域で広域市町村圏の事業といたしまして五百五、六十億円の仕事をいたしております。平均をいたしますと一圏域十億円程度の仕事を計画いたしまして、だだいまその計画に従って仕事をやっているということでございます。したがいまして、それに基づきます具体的な効果その他は今後出てくるわけでございます。  ただいま申しました五百五、六十億円のうちの六割ないし七割ぐらいが道路でございます。道路の点につきましては、やはり広域市町村圏の計画にのっとって仕事が進み、かなり改善されつつあるということは私は申し上げてよかろうと思います。
  15. 山本弥之助

    山本(弥)委員 今回、この広域市町村圏都市連合みたいなかっこうで法制化されるということでありますが、いずれまた、その法制化のときにいろいろ御意見を承るわけでありますが、原則として、私はそういった連合方式というふうに移行し、これに参加する地方自治体の自主性も失わないで広域的な仕事を、いわば末端の連合によりまして効果をあげていくという方向は、当然そうならなければならぬ、かように考えておるわけであります。  ところで、広域市町村圏以外に、いわゆる広域団体の広域行政の問題でありますが、今回、従来の惰性ではないかと私どもは了承しておるわけでありますが、広域的地方公共団体としての府県自治能力を充実強化するために都道府県の合併に関する特例措置の早期実現、こういうふうな大臣お話がございましたが、今日の府県自治能力の充実ということ自体、これは私はもっと現在の府県自治能力を強化する方法がいろいろあろうかと思うわけでありますが、それらが、財政上の問題にいたしましても、先行すべきである、そういうふうに考えるのであります。まして先般の十三次大都市制度に関する答申におきましても、永野商工会議所会頭から、道州制の問題の話が出るなどいたしたわけでありますが、今回の答申は、結論といたしましては「道州制、都府県合併等のような地方制度基本的構造にかかわる改革の問題については、さきに答申を行なったところであるが、その後における社会経済情勢の変化に対応し、大都市制度の問題と並行してこの際根本的な再検討を加える必要がある。」こういうふうな答申がなされまして、「さらに基礎的、実証的な研究を行ない、その利害得失を明らかにするとともに、これに基づく国民的合意の形成をまつことが適当である」というふうな答申がなされておるわけであります。何年か前にこれを委員会におきまして論議をいたしましたときに、阪奈和あるいは愛知を中心とする三県の合併等が急を要するということで、この法案が提出されたわけでありますが、その後愛知、岐阜、三重等の問題も私どもそう性急にこれの実施を要請されてもおりませんし、また阪奈和に至りましては、同じ答申書の中で、今度は和歌山県をはずしまして、大阪府、奈良県、兵庫県の府県連合方式というようなことも打ち出されておりますし、東京を中心とする地域におきましては、やはり都県連合という構想が答申されておるわけでございます。  こういう答申を尊重されるとするならば、どういう意図で大臣はこの「都道府県の合併に関する特例措置の早期実現」というふうなお考えになっておられるか、あるいはこれら大都市中心とする府県合併以外に、私どもの東北だとかあるいはすでに人口減少をしております、一都市にも及ばないような人口になりつつある鳥取や島根の問題その他が急を要する問題になっておるのかどうなのか、その辺の関係も私どもは疑問を持っておるわけでありますけれども、これを推進なさるというお考えにつきまして、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  16. 秋田大助

    秋田国務大臣 この点につきましては、たいへんいろいろ御議論があるところでございます。だだいま先生からの御指摘のありましたとおり、府県連合は地方制度調査会の指摘するところもあります。私といたしましては、やはり時代の進歩とともに広域行政がしかれるのは当然でございますが、同時に、ある程度の府県合併が望ましいのではなかろうかという従来からの考えがございまして、その考えによっておるわけでございまして、ひとつ連合等の組織、そういうもの一切を含めて、現在よりは、もう少し広い地域単位に地方府県行政が行なわれるのが望ましいのではなかろうかという大体の考え方に従いまして、その点を推進してまいりたい、こう考えておるわけでございますが、この点につきましては、いろいろの御議論がございますので、それらを十分踏まえながら順次進んでまいりたい。そう急速な、是が非でもいま直ちにやらなければいかぬというようなせっぱ詰まった気持ちはございませんが、しかし、大勢それに向かいまして順次促進をさるべきものではなかろうか、そういう気持ちでございます。
  17. 山本弥之助

    山本(弥)委員 だいぶどうも苦しい御答弁のようでございますので、差し迫った問題ではないというふうな意味を正直に受け取りまして、これ以上この問題につきましては御質問申し上げることを避けたいと存じます。  次に、いろいろ新全総計画だとか社会経済発展計画等が策定されて出ておるわけでありますが、それらに関係いたしまして、各府県市町村におきましても、何年か前に地方自治法の改正も行なわれまして、いわば地方公共団体は、いわゆる長期展望に立って、将来の発展方策といいますか、住民福祉を含めましてそれらの構想を練り、その構想に基づき実施をしていこうという趨勢になっておるわけであります。また、自治省におかれましても、昨年の十月でございましたか、必要な国民生活の水準を維持するための地方財政の目標といいますか、地方財政の長期ビジョン、そういう長期ビジョンのもとに財政運営の計画化をはかっていきたいというふうなお考えも発表しておられるわけであります。確かに今後の地方行政は、いわば健全財政もさることながら、ある程度まで長期ビジョン——非常に社会経済が激動しておりますので、住民福祉中心とする地域の施策を進めてまいります上に、長期展望に立った一つの計画を持ち、その計画に検討を加えながら、地方行政住民意思を尊重しながら進めていくということでなければならぬと思うのであります。  そこで、私、この点特にお聞きしたいと思うのでありますが、それは、三十年代以来非常に人口が激動しておるわけでありますが、このことが当然過密、過疎の大きなひずみを生じた原因になっておるわけであります。いわば産業の、企業家のペースによりまして企業立地が人口を大きく移動させたということはいなめない事実であるわけであります。したがって、都市周辺におきましては、今回も当然、当該地方公共団体の責任でなく、いわば地方公共団体が総合的な運営にも支障を来たすような、学校をつくっていかなければならぬというふうな事態のために、土地の購入に対し補助金を出しあるいは利子補給をするという制度が出ておるわけであります。これは当然な措置だと私は思うのであります。しかし、それにいたしましても、ある程度まで人口のUターンの現象が出ておるとはいいながら、昨年の国勢調査におきましても、依然として人口の移動ということは行なわれておるわけであります。その人口の移動をとう食いとめていくかということが——私は正常な移動であればいいわけでありますけれども、いわゆる激動という大勢の中におきましては、地方自治体といたしましては、長期展望を立てる際に非常にその問題が基本的なものになるのではないか、かように思います。ことに、地方制度調査会におきましては、答申のつど、国の責任において人口と産業の地方分散あるいは人口の適正配分というようなことを答申しておるわけであります。長期構想を立てることが必要であればあるほど、その基本となるところの人口がどういうふうな趨勢をたどるか、あるいは産業がはたしてどういうふうに分布されるかということについての一つの国の施策が必要ではないか、かように私は考えております。この点につきまして、大臣、どういうふうにお考えになっておられますか。
  18. 秋田大助

    秋田国務大臣 たいへんむずかしい問題でございまして、的確にいまの人口移動の趨勢をどういうふうにとらえ、どういうふうにこれを転換させることができるか、数字的に合理的な説明をしながら説明できるかという点については私も自信がございません。しかし、それなしでしからばどうして長期ビジョンを立てるかということにもなりましょう。しかし、まあ大体十カ年で過密・過疎対策、特に過疎対策を総合、具体的に実施することによりまして、今日のようなはなはだしい都会集中の傾向だけはとめ得るのではないか、またとめ得るようにいたしたい、こういう大体の考え方でやっておるわけでございまして、その間の数字的な説明等につきましては、今後の実施段階を通じながら、試行錯誤の段階においてひとつ新しい道を具体的に発見してまいりたいと考えておりますが、この過疎問題にはことのほか力を入れて施策をいたしてまいりたいと考えております。
  19. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ある程度人口にしろ産業にしろ、適正分布をはかるということにつきましては、私は現在の体制では非常にむずかしい問題をはらんでいると思います。しかし、何らかの方法で行政的に一つの施策を実施しなければならぬと思うのでありますが、すでに首都圏の中におきましてもあるいは中部圏、近畿圏におきましても、工業立地を禁止するというような方法をとられておりますが、さらにそれを一歩前進させるということが必要であるわけであります。従来の新産都市だとか工特都市とかいうふうな育成の問題もありましたが、どうもいまのところ、ある程度まで地方都市——地方中核都市ばかりじゃなくて、地方都市にまず人口を分散させたい、あるいは地方都市に人口をある程度まで定着させておきたいというふうな考え方自治省は立っておられると思いますが、そういうふうなことでしょうか。行政局長からひとつ事務的にお答え願いたいと思います。
  20. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 事務的にお答えを申し上げるべきことかどうか疑問に思うわけでございますが、私の立場なり私の考えから申しますれば、まさにおっしゃるとおりだと思います。今後、地方中核都市のみならず、相当な蓄積のありますそれ以外の地方都市というものに人口を定着させていくということが、国土全般の均衡のとれた発展につながるわけでございますし、それがまた地方自治充実という立場からいっても、その方向を指向すべきだと思っております。  したがいまして、行政あるいは財政上の措置というものを、そういう地方都市圏と申しますか、そういうものを充実する方向に重点を置いて考えるべきだというふうに思っております。
  21. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いままで人口を定着させる、あるいは人口の移動の原因であるところの産業の適正配分をするという考え方に立っての行政措置は、各市町村でも府県でも、工場誘致条例というふうな制度によりまして、乏しい財源から固定資産税を減免する、あるいは土地のあっせんをする、関連道路を建設するというふうに、いわば財政の苦しい団体が誘致をはかるという方法をとってきたわけなんですね。それが成功した事例もありますけれども、依然としてその点はうまくいってない。ましてそういう方法によりますと、誘致された企業というものに対する当該団体との癒善といいますか、そういうことによりまして公害というものがなおざりになってくる、あるいは雇用について既存の企業に悪い影響を与える、あるいは景気の変動によりましてその工場を閉鎖するというふうな、いわば地方工場が景気変動の調整役をするというふうな役割りまで果たしたような印象を私ども受けておるわけであります。  今後は国の責任において工場の分散をはかる。公害地方にまき散らされても困るわけであります。これは自治省も力を入れておられますし、地方公共団体自身も、公害の防止ということにつきましては今後十分力を尽くしていくという体制にあるわけであります。何らかの公害防止をはかりながら、国の力で、いわば工場の密集しておる地帯を国なり当該公共団体の税制措置、金融措置等によってむしろ分散を地方にはかっていくというふうな、逆の政策が打ち出されなければならぬと思うのでありますが、この点どういうふうにお考えになっておりますか。  今後具体的には、ある程度まで成り行きにまかせるということではなくて、積極的に国なり地方公共団体——公害の発生しております公共団体は、いままで工場の大工業地帯を造成したところは、公害防止という見地でさらにまた多額の公害防止の投資をやらなければならぬと私は思うのでありますが、そういうことを今後避けるためにも、ある程度まで分散をはかるということについて、国が何らかの税制上も、金融上もあるいはその他都市政策の手を打たなければならぬのじゃないか、かように思うのでありまして、何かその辺の構想を、将来の展望に立ってお考えになっておりませんでしょうか。
  22. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 私はお説はそのとおりだと思います。地方の整備、充実をはかりますには、やはりそこに働き場所というものがなければならないわけでございます。したがいまして、働き場所を地方に分散させると申しました場合には、ただいまの経済社会の情勢から申しまして、無理無理首に綱をつけて引っぱっていくわけにはまいりませんので、やはり企業といたしましても地方へ行ったほうがよりメリットがあるというものを考えていく必要があるわけでございます。そのためには、いまおっしゃいましたように、一つは金融なり税制なりというものでメリットを与えるということだと思います。  御承知のように、現在わが国の制度では、そういうものがいささかございますけれども、どうもまだその点は徹底を欠いているのではないか。やはり国土全般という問題を考えました場合には、国といたしまして、もう少し、いまおっしゃいましたような金融なり税制なり、そういうような一種の誘導的な施策というものを強化する必要があるというふうに私は考えております。  その上にさらに、ただいま山本委員も御指摘になったわけでございますが、そういう場合に考えますことは、地方におきますそういう企業なり工場なりの配置が公害の拡散につながったりあるいは自然の破壊につながっていくということでございますと、これは元も子もなくなるわけでございます。そういうことは今後やはり地方側として十分戒心をしなければならない基本的な問題だと思いますけれども、そういう基本に立ちながら、国全般といたしまして、もう少し誘導的な施策を積極的に講じる必要がある、私はそういうふうに思います。
  23. 山本弥之助

    山本(弥)委員 時間がありませんので、最後に、過疎対策でございますが、今回さらに二百六十程度増加をいたしまして、全市町村の三分の一が過疎対策地域に指定されるということになっておるわけであります。この過疎地域というのは、農村地帯でございますから、今日の混迷しておる農業問題が解決しない限りは、ほんとうの意味の過疎対策というものは万全を期しがたいというふうに考えてまいっておるわけでありますが、それにいたしましても、過疎地域にある程度まで重点を入れて国も考えなければならぬということは当然であります。  そこで、今後の趨勢といたしましては、農政の混迷あるいは農村地帯がある程度まで豊かになるためには、農業人口の減少ということも避けられないのではないかというふうな、私、考えがするわけであります。そういたしますと、今後重点を置かなければならぬ点は、いわゆる農村地帯における集落の崩壊といいますか、それを再編成していくということが、やはり過疎対策の中心的な問題になろうかと思うのであります。  今回から、集落再編成につきまして三分の一の補助金を計上されておるわけであります。集落再編成一カ所といたしましては、二カ年にわたって六千万円でしたか、これでは非常に少ないような感じがいたしますけれども、今後漸次この集落の再編成についての指導も必要でありましょうし、また財政的な援助も必要であろうかと思うのであります。とりあえず本年度二十カ所分だと、私、記憶しておるのでありますが、集落再編成が必要でありながら、なかなか農村というのはこういう問題に取っ組みが積極的ではないわけなんです。きわめて条件が適合しておるところは別でありますが、私、前に例を申し上げましたように、岩手県の沢内村は、県道がございまして、雪深い山村であって、その県道に枝線がある、だから、その村の使命としては、医療問題、冬季交通の確保。そういうことからいいますと、重点的に集落の再編成をせざるを得ないという非常にいい立地条件に恵まれておるわけであります。  今後、必要でありながら、これを実施に移すとなりますと、非常にめんどうな問題が出てくると思います。現在二十カ所と予定しておられますが、全国的にいまのところどういう情勢にありますか、集落の再編成に積極的に過疎地域対策として取り組んでおる、意欲を見せておる地域はどのくらいありますか、ちょっとお知らせを願いたい。
  24. 立田清士

    ○立田説明員 集落整備事業でございますが、現在過疎地域になっております市町村が約七百七十あるわけでございます。そのうち、現在の市町村計画で、集落整備についてまだいろいろな検討点があって、あげておられないところが実は多いわけでございますけれども、計画として現在市町村が、五カ年間の計画にさしあたりなっていますが、それで約百数十くらいの市町村がそういう計画をしておられます。しかし、これはなおいろいろ具体的なお話が進んでいけば、さらに五カ年間でその数はふえてくると思います。  さしあたり四十五年度——先ほど御指摘のように、法律のできます前に行なわれておるところも実はございます。それから、四十五年度、現にそういう集落整備の事業をやっておられるところはわずかでございますがありますが、来年度においてある程度、市町村数にいたしまして数十くらいのところがそういう計画をお持ちでございまして、現に各地元の過疎地域市町村、それからそこの集落の間で、いろいろのお話し合いが進んでおるところが、まだ数は正確にははっきりいたしませんけれども、あるという状況でございます。したがいまして、現在集落整備事業については、地元の住民の方とそれからその過疎地域市町村あるいは県も入りましていろいろの話し合いを進めておられるところが出てきております。  そういう状況で、今後の方向としては、御指摘のとおり、集落整備事業が一つの過疎対策の柱になってくるのではないか、そういうふうに考えます。
  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 消防に対する質問もいたしたいと思いますが、いずれ消防委員会もございますので、せっかくおいでを願いましたが、時間の関係上割愛をいたします。
  26. 菅太郎

    ○菅委員長 山口鶴男君。
  27. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣お尋ねしたいと思います。  本年度の自治省関係の予算の御説明をいただきましたが、大臣としては、本年度自治省関係予算につきましては、何を最重点として取り上げられ、何を確保するために一番力を尽くされましたか、その点をまず御説明いただきたいと思います。     〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕
  28. 秋田大助

    秋田国務大臣 まず過密・過疎広域市町村圏等の施策を進めておりますので、これらの観点から、過疎問題については例の辺地医科大学の創設の問題、過密対策につきましては、むしろ人口急増都市における中小学校義務教育施設の中でも、用地の公共団体の獲得についての財政援助の問題、それから一般に土地対策の問題もありまして、市街化区域内における農地課税に対する処置の問題、関連して公共用地の先行取得に対する何らかの制度の確立を実施してみたいという点、それから最近頻発する、ことに人命を損傷することのはなはだしい、また死者を出すことのはなはだしい火事に対しまして、消防対策、また伝えられる大震災等に対する対策等について施策を設け、予算措置をひとつ今日から十分に措置をする等々、いま卒然として思いつくままに申し述べたのですが、ただいま申し上げました数点に私としては力を注ぐとともに、住民の負担軽減という点から、住民税の課税最低限の引き上げ等々を中心にした減税の点を相当重視いたしまして、これが実現に努力をいたした次第でございます。
  29. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それぞれに御努力をいただいたことを御報告いただきました。  従来、国と地方との財源の貸し借りが問題になっておりましたが、本年はそういう遺憾なことがなかった。この点は私ども非常に高く評価をいたしたいと思っております。  予算委員会でまたいろいろお尋ねしたいと思いますので、ごく簡単にいたしたいと思いますが、いま大臣が言われました過疎地域振興対策に必要な経費、それから広域市町村圏、それから僻地病院の医師養成の問題、過密対策としてあるいは人口急増対策としての公立学校の用地取得に関する問題、それから消防施設整備、特に大震災等の対策、公共用地取得に関する問題等、いろいろお話をされたのでありますが、その自治省が昭和四十六年度予算に要求されたのと、実現いたしました額とを比較いたしますと、どうも大臣重点としてお述べになりましたものが、何といいますか非常に減っておる。要求いたしました額に比べまして予算計上額がたいへん少ないというものがございます。これは大臣の責任というよりは、大蔵省の責任もあるのだろうと思いまして、主計官にも来ていただいております。  公害対策等にはお触れになりませんでしたが、要求されたのが四億二千五百万円、これに対しまして実現いたしましたのが三千二百万円、過疎対策につきましては、山本先生が質問されましたが、御要求をされたのは十三億三千三百万円に対しまして、実現いたしましたのが二億四百万円、広域市町村圏はやや似ておりますから省きますが、僻地における医師の養成につきまして二十億二千四百万円を要求されまして、つきましたのが十分の一の二億。それから人口急増地域の公立学校の用地取得につきましては、要求をされましたのが六十八億九千四百万円、実現をいたしましたのが十億。大震災対策について二億五千二百万円要求されたようでありますが、どうもこれは項目としては全く姿を見せていないというようなことでありまして、せっかく大臣が、就任以来、僻地医師の養成につきましては非常に御熱意を示され、いろんな構想も御発表になった。私ども高くこの評価もし、敬意も表しておったのでありますが、そういったものが、どうも十分の一しか認められぬ。大蔵省はたいへんつれないという気がするのですが、主計官、どうしてこれほど大臣が一番強く要請をいたしたものを十分の一に値切るというようなつれないことをされたのですか。それから、僻地振興につきましても、六分の一以下になっておるというようなわけでございまして、こういう点は、一体どんなものさしでおやりになったのですか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  30. 後藤正

    ○後藤説明員 概算要求は、先生も御案内のように、対前年度の二割五分というふうな要求額に一応御協力願っておるわけでございますが、自治省は、御案内のように、交付税交付金がございますので、要求額としては、いろんな施策を踏んまえて、精一ぱいの御要求がなされておるというのが要求の実情でございます。  それにつきまして、僻地医療の問題でございますが、これは自治大臣も非常に御熱心ですし、僻地医療確保というものは国の施策としても非常に重要であるということで、二十億の要求がございましたのですが、これはやはりいろんな実際の施策の効果なり、あるいは私学法人といったようなものの基本的な建設にかかるいわば財政援助のバランスの問題なり、いろんな問題点はございましたが、やはり施策として非常に重要であるということから、一応定額という考え方で、今後三年間にわたり十億円を出していくということで、初年度として二億円という予算額を計上した次第でございます。  それから、先ほどの集落再編成の問題でございますが、土地の問題につきましても、一市町村当たり六千万、それから市町村数というふうなものも四十市町村というふうな御要求がございました。しかし、集落再編成等の問題につきましては、実際問題として、昨年は委託費をつけまして実態調査をしてもらったわけでございますが、いわば居住と申しましょうか、先祖伝来の土地を離れるというふうなことについての住民感情、いろいろの問題もございまして、いま山村振興等でモデル的にやっておられるところもございますが、やはり相当の説得とか熱意とか、いろいろな問題を積み上げながらでないと、なかなかそういう整理も進んでいかないというようなことで、ことしにつきましては、事業費は一応六千万ということで、山村振興とのバランスをとりながら、補助率を定額事業費六千万の三分の一、それを二年間で分割して十市町村というような計上をモデル的にいたしたわけでございます。
  31. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 また福田大蔵大臣にも来ていただく機会もあるでしょうから、そこで議論をするといたしまして承っておきますが、せっかく大臣が、自治省の予算要求として、いわばいまはやりのことばでいえば目玉商品ともいうべき重要な柱に幾つかの問題をお立てになって御努力をした、それに対して大蔵省がつれない態度で大なたをばっさりふるわれたということは、私どもも非常に残念に思っております。同時にまた、本日は自治省の幹部の皆さん、総出でおられるわけでございますが、そういう役人の方々の補佐もやや足りなかったのではないか。この点、遺憾であるということを申し上げておきます。せっかくの大臣の御熱意を、実現しなかったとは言いませんが、しかたがやや足りなかった点が残念に思う次第であります。  次にお尋ねしたいのは、大臣は法務大臣も兼ねておられるわけでありますが、その原因になりました例の小林発言、国会を軽視して、国会に予算をかけることをお祭り騒ぎと言ったというようなことはけしからぬ、これが第一だったと思います。第二は、これは私ども地方行政に大きく関係があることだと思うのですが、知事選挙の応援に行きまして、いわば中央に顔のつながりのない人だと損をしますよ、ということをきわめて露骨な形で発言をされた。そういう意味では、私ども地方自治を守る、こういう立場の者からいたしますと、非常に遺憾だと存じます。  さて、そこで、そういう小林発言が具体的にはいろいろな形で事実となってあらわれているのではないかという気がいたすのであります。ある新聞に、「東京事務所の実態」という調査がございました。大臣の御出身であります徳島県におきまして東京事務所の一年間に使っておられます経費が五千百二十七万円。政務次官もおられますが、政務次官の御出身地である静岡、東京にはたいへん近いのでありますが、三千八百九十万円。私の出身地の群馬も東京に近いし、大蔵大臣も出ておるわけなんでありますが、二千二百五十一万円という経費を使っておられる。総理大臣が出ておる山口県におきましても五千七十九万円を東京事務所でお使いになっているという実態報告がございます。なぜこういうものが要るのか。それぞれの事務所で言っていることばを収録をしてあるようでありますが、「中央省庁に日ごろから顔をつないでおかないと、福祉施設一つつくるにも予算獲得がうまくいかない」「県の事業に国の金をうまく持ってくるには、結局、中央省庁や自民党本部への顔つなぎ活動がものをいう」というようなことを言っているわけであります。その顔つなぎ料として五千万円あるいは二千万円という金を使っておるというのが実態だと思うんですね。  自治大臣、どう思いますか。こういった東京事務所等の経費というものは、自治大臣としては不要なものだ、かように思いますか、それとも小林発言に見られるように、これはきわめて有効適切な経費であるとお思いでありますか。いずれであるか、ひとつお答えをいただきたい。
  32. 秋田大助

    秋田国務大臣 全然なしでいいというわけのものではないと私は思います。他省はいざ知らず、自治省におきまして、相手により県により処置を異にするようなことはございません。これは前々申し上げておるとおりありませんが、自治省といたしましては、口幅ったいようでありますが、やはり地方公共団体の指導に任じておるわけでございまして、いろいろこちらの意向を正確にお伝え申し上げなければならないこともあります。したがいまして、その連絡が密接なることを要するわけでございまして、その意味におきまして、やはり連絡機関があることは望ましいことであろうと思います。ただ、効率的な運用は当然はからるべきでございまして、その点は申すまでもないことでございます。
  33. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私が言いました二つのいずれかの中間であるような御趣旨のように受け取りました。  こういうこともあるのです。「夜の陳情 予算ぶんどり合戦には夜の陳情がはばをきかす。中央省庁の局長、部課長クラスは赤坂、築地、神楽坂の料亭で、また実務を担当する課長補佐や係長クラスは町の料理屋で、というのが相場という。予算編成期ともなると、中央官庁の役人から「今夜はヒマです」と、暗示の電話が東京事務所にかかってくることも多い。」こうあるわけですね、どうですか。自治省では特にさいふを握っておられる財政局長、また大蔵省代表として主計官、お二人の御感想をひとつ承りたいと思います。
  34. 長野士郎

    ○長野政府委員 私もその新聞記事は拝見しました。けれども、私どものところを中心にして考えました場合には、いまの予算編成期は大繁忙でございまして、とてもそういうひまも何もございません。そういうことと実態はたいへんかけ離れておるというような印象をそこから受けた次第でございます。
  35. 後藤正

    ○後藤説明員 私どものほうに、いま東京事務所が出入りすることはほとんどございません。
  36. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いまでなくて、もう少し前はどうですか。
  37. 後藤正

    ○後藤説明員 地方財政が相当苦しいころには、国のいろんな施策等に関連しまして、いろんな打診がございましたけれども、最近はあまりそういう傾向はございません。
  38. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これは自治省だけ、あるいは自治大臣だけが、何といいますか、ある程度連絡に必要な経費はやむを得ないだろうというお話がございましたが、それを越えて過大な経費を東京事務所が使うということについては、大臣も決して好ましくないというお考えのようであります。しかし、そういうお考え方自治大臣お一人がとっても、これはなかなか解決しないと思うのです。当然こういう問題は、閣議の席において議論をいただいて、そうして中央官庁は歩調をそろえて、こういったむだな経費はやめるべきだ、またやめても差しつかえないような体制をつくっていくということが必要ではないかと思うのですが、そういった意味で、政府としてこういった東京事務所のあまりにも行き過ぎあり方に対して、規制をするということを提案し、政府としてそのような施策をとるお考え自治大臣にございますか、御決意を承りたいと思います。
  39. 秋田大助

    秋田国務大臣 たしか昨年でございましたか、予算獲得に関しまして、あまりにも多数の方が地方から東京へ出られることにつきまして野党側から御指摘があり、これに対する適当な措置をとるべきであるがどう考えるかという御趣旨の御質問がございました。それに対しまして、地方団体に対して、ひとつこの点は十分注意をされたいという旨を口頭でしたか、それぞれ適当に伝えたわけでございます。  幸いにして本年度予算のときにはその傾向がだいぶ改まったのではなかろうかと思っておりましたが、ただいまは、ただ予算だけでなく、常時の東京事務所の点についてでございます。自治省関係といたしましては、適当な機会に適当な措置をとりたいと、こちらの考えを示してひとつ御善処を願いたい、こういうことをいたす所存でございます。
  40. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 自治省でなしに政府全体として、私はそういう姿勢をとっていただきたい。一般質問等に総理が出ませんから、官房長官にでも出ていただいて、その点はまたその機会に政府に対して強く要請をいたしたいと思います。  それでは次にまいりまして、本年に入りまして知事選挙が各地で行なわれました。地方統一選挙でもまた各地域でも知事選挙が行なわれると思います。見ますと、現職の知事さんが強いといいますか、そういう傾向が見られるようであり、特に京都、愛知、奈良、そのほかあると思いますが、六選の知事が続々と誕生をしているという現状であります。したがって、私どもこの地方行政委員会におきまして、知事の多選禁止をやったらどうか、これを法律としてひとつ出したらどうかというような議論をいたしまして、篠田自治大臣のときであったと思いますが、篠田自治大臣は多選禁止には賛成であるという明確な御答弁をされ、また与党の中にも野党と一緒になって、多選禁止の法律をつくろうかという点で、御努力をいただいたということを私は記憶をいたしております。  私はやはりこの際、地方自治というものをきちっとするためには、できるだけ基礎自治体である市町村権限を強化する、また広域的な自治体であります都道府県権限も強化をする、またそれに見合った財源措置をするということが正しいと思います。同時にまた、特に知事等につきましては、相当な権力も握るわけでありますから、権限は強くするかわりに、多選は禁止をする。三選禁止あるいは四選禁止、いろいろ議論はあろうと思いますが、禁止をするということは私は正しいのではないかという気がいたします。大臣としては、知事の多選禁止に対してどのようなお考えがございますか。
  41. 秋田大助

    秋田国務大臣 大臣としてこの際申し上げることははばかりたいと存じますが、個人的意見といたしましてならば、差しつかえないということならば、個人的には多選はなるべく避けたがよろしいという私の考えを持っております。
  42. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 個人的意見ならば多選は避けたほうがよろしいというような小さな声でなしに、反対だくらいの明確な意思表示があってしかるべきではないかと思いましたが、それは個人的なことですから……。  大臣としては言えないというお話でございましたが、ひとつこの点は、かつて歴代の自治大臣の中にもある程度明確な一つの方針というものをお持ちになった方もあったようでありますから、自治省内部におかれましてひとつ十分御検討をいただいたらどうか、提案をひとつ申し上げておきたいと思います。  ぼつぼつ時間でございますから、簡単なお尋ねを二つばかりしたいと思いますが、所信表明で各般のことについて触れておられます。法律案も何本かお出しになるようでございますが、法務大臣自治大臣を兼務されておりまして、自治省が提案を予定しておられる法律案を、それをわが地方行政委員会で支障なく審議をするということは、率直に言ってむずかしいのではないか。結局、大臣地方行政委員会に出席することが非常に少ないという中で、現在自治省がお考えになっているような法律案をすべて当委員会で処理することはたいへんむずかしいのではないかという感じが私はいたします。  大臣、自分が法務大臣を兼務しておるので、自治省関係法律はあまり通らないでいいのだ、こういうおつもりでございますか、あるいは自治大臣中心考え自治省関係法律を通すためには自治大臣に専任をされたい、こういうおつもりでございますか、お答えいただきたいと思います。
  43. 秋田大助

    秋田国務大臣 それは自治省関係法律法務省関係法律も、提出をいたしました法案は一〇〇%通過させたいと存じますが、またさせなければいかぬと存じますが、さてそれには兼任でどうかということにつきましては、これはおのずから常識的な判断がありまして、政府においても十分その点は考えておることと存じます。
  44. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 わかりました。ただ自治省が提出予定しておられる法律をみんな通すことはむずかしいのではないかという気がいたしますが、昨年のような形で終わったほうがよろしいのではないかという感じもするのですが、その点はいかがでしょうか。
  45. 秋田大助

    秋田国務大臣 これは今後のことでありまして、われわれとしては万全を期して出したものは全部通すというつもりでかかっております。
  46. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 出したものは通すが、出さぬものはこれは通らぬということで、まあいろいろ意味がとれますので、その点でひとつ大臣のお考え方を聞いたということにいたしておきましょう。  最後に、公害対策の問題でありますが、山中公害担当大臣が、盛岡へ参りまして発言をしておられるのを新聞で拝見いたしました。ずばりお尋ねしますが、山中大臣の発言では、今度自治省が提出されようとする公害対策に関する地方自治団体の財源措置法律ですね、これは公害防止計画を総理大臣が勧告し、承認をする地域だけに限らず、基本法二十三条に基づく財源措置をも含めて提案をするようなふうに、私ども新聞で拝見いたしました。そのように了解してよろしゅうございますか。
  47. 秋田大助

    秋田国務大臣 そのように御了解願ってけっこうでございます。
  48. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これでけっこうです。
  49. 古屋亨

    ○古屋委員長代理 和田一郎君。
  50. 和田一郎

    和田(一)委員 時間がありませんので、要点だけひとつお聞きしたいと思います。  自治大臣所信表明の中に、公営企業のことでこのようにおっしゃっているわけです。「経営基盤を強化してその健全化をはかるため、公営企業会計に対する一般会計の負担をさらに合理化する」とおっしゃっているわけですね。具体的にどういったことか、ちょっとおっしゃっていただきたいのです。
  51. 秋田大助

    秋田国務大臣 この公営企業の経営にあたりましては、一般会計との経費の負担区分を明確にして、何でもかんでも一般会計から出すというものではございませんが、性質上企業において負担することが適当でない経費、または客観的に見て企業の収入によって見ることが困難であると思われる経費等につきましては、一般会計から繰り入れを行なう等の措置を講ずることが必要であると考えまして、そういう考えに基づきまして地方財政計画の策定にあたっておるのでございまして、すなわち公営企業に繰り入れ金を持ってきて、それでもってある種の公営企業の利子等の負担軽減に資するという措置を講じておるわけでございます。
  52. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、利子のほうも強化するけれども、それ以外に企業だけじゃまかないきれないところの経費は一般会計で出す、こういうようなお考えのようですけれども、そうなりますと、それではいままでのようにいわゆる独立採算制という考え方を少しおゆるめになった、こういうふうに理解していいのでしょうか。
  53. 秋田大助

    秋田国務大臣 そうではないのでありまして、やはり独立採算制のたてまえは固く維持をいたしておりますが、しかし、全部が全部、それじゃ、それに関係するものを独立採算制だから企業利潤の中から生み出せというては無理なものがあろう。そして企業の立て直しのために一般会計から持ち込んだ金によってするのがこれは適当だというものについてのみそういう措置をとるという考え方でございまして、独立採算制の考えを放てきをした、あるいは一部それを放てきしたというような考え方ではございません。
  54. 和田一郎

    和田(一)委員 この論議はだいぶ時間がかかりそうですけれども、たとえば各地方公共団体の中にあるところの公営事業、これに対して各自治体の一般会計から多少出してもいいじゃないかということですけれども、それでは、その国家的ないろいろな経済の推移であるとか時代の進化のためにどうしようもなくなった現象で赤字になってくる、また持ちこたえられなくなってくる。これは、地方公共団体の責任じゃないわけなんですね。そういう例があるのです。そういう場合のお考えはどうなんでしょうか。あくまでも一般会計から出せ、こういう議論になってまいりますと、結局その地方の社会資本の低下であるとか、または住民福祉の低下ということを来たしてくるのではないか、このように思うのですけれども、そのような国家的なあるいは社会全体的な原因によるところの経費負担、それはどういうふうに考えられますか。
  55. 秋田大助

    秋田国務大臣 まあ地下鉄とか広域的な水道事業というようなものについては、これは幅広く一般会計からの繰り入れという考え方を入れております。しかし、その他のものについてこれはいろいろ事情事情によると思うのです。一般的に社会的原因が相当ある部分は独立採算制だけによるのは無理じゃなかろうか、こういう御発言でございまして、たとえば賃金をどうしても上げなければならぬという場合に、それじゃ運賃を上げなければならぬ、しかし公共料金はストップだというような場合ですね。そういう場合に、これは独立採算制でどうしても一般会計から繰り入れをするとか何かの措置をしてはいけないのかどうかというような場合は、これはやはりそのときの事情によって考えなければならぬ場合が出てくるだろうと思うのです。
  56. 和田一郎

    和田(一)委員 国のほうからですね。
  57. 秋田大助

    秋田国務大臣 ええ、そういう場合もあるだろうと思うのですね。一がいに言えないと思います。
  58. 和田一郎

    和田(一)委員 だいぶ核心をついた御答弁をいただいたのですけれども、たとえばバス事業、いわゆる交通事業ですね。これはいまのところにっちもさっちもいかなくなっている状態なんです。ものすごい赤字です。いろいろありますけれども、内部的な要因も外部的な要因もある。とにかく自動車が走れない、バスが走れないということで、特にバスの問題を中心にしますと、ラッシュで全然動かない、時間的な問題はゼロだということ。お客さんが敬遠するということ。それからさらにお客さんが減ってくるということと、もう一つは、今のところはほとんど通勤通学の片道輸送だ。それからその他の輸送機関との競合がある。さらに不採算路線が少なくない。外部要因がいろいろあるのですが、運賃値上げが公共料金として抑制されている。こういう状態が現在の特にバス輸送——軌道の場合は、これは時代の波に押されてほとんどこれから姿を消していくわけですけれども、ではバスのほうも時代の波に押されて消えていくのかというと、そうじゃない。これがなくなったらどうしようもないのです。ほんとうに最後の頼みの綱が、現在の都市交通の中ではバス輸送なんですね。ところが、現在ものすごい赤字でにっちもさっちもいかなくなっております。どこそこの町ということは申しませんけれども、バス事業だけで四十四億六千六百万円の累積欠損額がある。バス事業をやっている公共団体は、これは幾らもありませんから、そうなりますと、一つの団体で二億も三億も、大きいところは十億以上も欠損額がある。どうしようもない、こういうことです。それについても、結局運賃の問題になってくるでしょうけれども、いまも自治大臣がおっしゃったように、そういうところは、国でもめんどうを見ていかなければならないことだろうという御答弁がございましたけれども、この地方公共団体の公営企業の中のバス事業に対しては、どういうふうに救済されるおつもりか。いまのところ、財政再建計画というのがございますけれども、再建計画をしてもらっているところでもどんどんとまた赤字なのですね。ですから、現在の計画は、焼け石に水というように私は思うのですけれども、それについてひとつ大臣のお考えを……。
  59. 長野士郎

    ○長野政府委員 現在、いま御指摘がございましたが、四十四年度の決算で見ますと、地方の公営企業の中の交通事業でございますが、交通事業につきましての累積欠損金は四十四年度の決算におきまして、総額におきまして、千三百三十一億円という膨大な赤字に実は相なっておりますから、特定の都市お話のようでございましたが、そういうところにおきましても、相当大きな赤字が交通事業についてあるということは御指摘のとおりだと思います。  この点につきまして、交通事業の問題には、大きく分けまして二つ問題があろうかと思います。それは一つは、事業自体の経営の合理化という点の問題でございます。その点につきましては、こういう事態になりまして、いろいろな交通条件が変化をいたしておりますから、これに対応しての合理化を徹底していくということが必要である。  しかし、もう一つは、企業の外部からの原因というか、責任といいますか、そういう問題がありまして、これも大きく分けて、二つあると私は思います。  一つは、公営企業の性格からいたしまして、やはり住民の足を確保するという必要からいたしまして、いわゆる不採算路線でありましても、先ほどもお話がございましたように、通勤だけに利用するようなところでありましても、非常に住民の足の確保という点から必要であるというような意味で、行政目的を達成するというような意味で、極端に言いますと、いわゆる行政路線と申しますか、そういう形の営業を続けていかなければいけないというようなものがございます。これは、バス事業の企業としての性格から、かつ独立採算ということを原則とするというたてまえから考えました場合には、それが全部その中にすっぽりはまり切らない性質を持つわけでございます。  さらにもう一つは、全く企業外の影響でございますが、現在のように、路面交通というものが非常に自動車交通の錯綜によりまして、渋滞をしております。そこで、バス路線の経営の能率というものがどんどん下がってまいっております。過去十年の間に比較しますと、大体能率が二割程度落ちておるというのが各都市の共通の現状でございます。  こういうようなこと、つまりバス事業そのものの企業としての立場以外の原因と事情によって課せられておる経営の困難というものと企業自体の困難、両面あるわけでございます。     〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕 企業以外の原因と申しますか、行政目的なりそういう事情によって課せられているものにつきましては、やはり行政的な援助なり一般的な、一般会計等による負担の余地というものは相当認めていかざるを得ない。そういう意味で、負担区分の明確化ということを考えていくということに相なるわけでございます。  それから全体として、路面交通全体の将来の問題というものから考えますと、大きな都市中心としましては、現在地下鉄に切りかえをする、それからまたバス路線のいわゆる区間の再編成をいたしまして、長距離のバス路線というものは経営的にも能率的にも非常に悪うございますので、短距離の路線に路線がえをする。しかしながら、そうはいいながらも、バス事業というものの必要性というものは、幾ら地下鉄を行なうにいたしましても、これは大都市に限られるわけでございます、どうしても必要になってまいりますし、不可欠のものでございますから、そういう意味で、バス事業の原因以外のところから出てくるものにつきましては、やはり一般会計で負担するというようなことも考えなければならない。しかし、特定の路線につきましては、弾力的に受益者負担といいますか、そういう考え方も併用いたしまして、全部の路線について料金が画一的であるというようなことでも今後の経営は困難かと思いますので、やはり受益に従って特別な料金の体系等も弾力的に考えていくというようなことも必要ではなかろうかと思います。  同時に、交通対策全般との関連において、バス事業の経営悪化を防いでいくという点につきまして、お話は国としても考えるべきではないかということでございますが、現在それが始められましたのは地下鉄について始められたというような状況でございますけれども、これは今後の問題としてなお検討していかなければならないことだろうと思っております。
  60. 和田一郎

    和田(一)委員 時間がございません。本会議がありますので、もう終わらないとあれですから、この問題はまたあとでゆっくり聞きたいと思うのですけれども、その前に一言だけ。  住民の非常な強力な要請によってできたところの系統が全体の三三%にものぼっているのです。これはこの足をとってしまうと、どうしようもない。さらに現在の公営バスが一両当たりのお客さんを運んでいる平均を見ますと、国鉄が百名なんだそうですが、公営バスが百九十一名、民営バスが百三十九名、だから公営が一番効率がいいのです。現在は非常によろしいということ。しかも住民の非常な要請によってやっておるところの、どうしてもなければならないところの路線、こういうものをかかえているところはものすごい赤字であるということ。これは自治省としても大きな責任もあると思います。この問題については次の機会にひとつ具体的にお聞きしたいと思いますので、本日は、これで一応保留をして、やめておきます。  終わります。
  61. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、来たる十九日金曜日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十八分散会