○長野政府
委員 現在、いま御
指摘がございましたが、四十四年度の決算で見ますと、
地方の公営
企業の中の交通事業でございますが、交通事業につきましての累積欠損金は四十四年度の決算におきまして、総額におきまして、千三百三十一億円という膨大な赤字に実は相なっておりますから、特定の
都市の
お話のようでございましたが、そういうところにおきましても、相当大きな赤字が交通事業についてあるということは御
指摘のとおりだと思います。
この点につきまして、交通事業の問題には、大きく分けまして二つ問題があろうかと思います。それは一つは、事業自体の経営の合理化という点の問題でございます。その点につきましては、こういう事態になりまして、いろいろな交通条件が変化をいたしておりますから、これに対応しての合理化を徹底していくということが必要である。
しかし、もう一つは、
企業の外部からの原因というか、責任といいますか、そういう問題がありまして、これも大きく分けて、二つあると私は思います。
一つは、公営
企業の性格からいたしまして、やはり
住民の足を確保するという必要からいたしまして、いわゆる不採算路線でありましても、先ほ
どもお話がございましたように、通勤だけに利用するようなところでありましても、非常に
住民の足の確保という点から必要であるというような意味で、
行政目的を達成するというような意味で、極端に言いますと、いわゆる
行政路線と申しますか、そういう形の営業を続けていかなければいけないというようなものがございます。これは、バス事業の
企業としての性格から、かつ独立採算ということを原則とするというたてまえから
考えました場合には、それが全部その中にすっぽりはまり切らない性質を持つわけでございます。
さらにもう一つは、全く
企業外の影響でございますが、現在のように、路面交通というものが非常に自動車交通の錯綜によりまして、渋滞をしております。そこで、バス路線の経営の能率というものがどんどん下がってまいっております。過去十年の間に比較しますと、大体能率が二割程度落ちておるというのが各
都市の共通の現状でございます。
こういうようなこと、つまりバス事業そのものの
企業としての
立場以外の原因と事情によって課せられておる経営の困難というものと
企業自体の困難、両面あるわけでございます。
〔古屋
委員長代理退席、
委員長着席〕
企業以外の原因と申しますか、
行政目的なりそういう事情によって課せられているものにつきましては、やはり
行政的な援助なり一般的な、一般会計等による負担の余地というものは相当認めていかざるを得ない。そういう意味で、負担区分の明確化ということを
考えていくということに相なるわけでございます。
それから全体として、路面交通全体の将来の問題というものから
考えますと、大きな
都市を
中心としましては、現在地下鉄に切りかえをする、それからまたバス路線のいわゆる区間の再編成をいたしまして、長距離のバス路線というものは経営的にも能率的にも非常に悪うございますので、短距離の路線に路線がえをする。しかしながら、そうはいいながらも、バス事業というものの必要性というものは、幾ら地下鉄を行なうにいたしましても、これは
大都市に限られるわけでございます、どうしても必要になってまいりますし、不可欠のものでございますから、そういう意味で、バス事業の原因以外のところから出てくるものにつきましては、やはり一般会計で負担するというようなことも
考えなければならない。しかし、特定の路線につきましては、弾力的に受益者負担といいますか、そういう
考え方も併用いたしまして、全部の路線について料金が画一的であるというようなことでも今後の経営は困難かと思いますので、やはり受益に従って特別な料金の体系等も弾力的に
考えていくというようなことも必要ではなかろうかと思います。
同時に、交通対策全般との
関連において、バス事業の経営悪化を防いでいくという点につきまして、
お話は国としても
考えるべきではないかということでございますが、現在それが始められましたのは地下鉄について始められたというような状況でございますけれ
ども、これは今後の問題としてなお検討していかなければならないことだろうと思っております。