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1971-05-10 第65回国会 衆議院 大蔵委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十日(月曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君    理事 竹本 孫一君       奥田 敬和君    坂元 親男君       高橋清一郎君    登坂重次郎君       中島源太郎君    坊  秀男君       森  美秀君    阿部 助哉君       佐藤 観樹君    平林  剛君       藤田 高敏君    堀  昌雄君       貝沼 次郎君    坂井 弘一君       春日 一幸君    小林 政子君  出席公述人         東京大学名誉教         授       今野源八郎君         明治大学商学部         教授      清水 義汎君         横浜国立大学経         済学部教授   井手 文雄君         会  社  員 西内  一君         全日本トラック         協会会長   高橋憲太郎君         日本自動車連盟         常任理事    マキノ正美君  出席政府委員         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主税局長 細見  卓君  委員外出席者         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 本日の公聴会意見を聞いた案件  自動車重量税法案内閣提出第三九号)      ————◇—————
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  自動車重量税法案について公聴会に入ります。  本日御出席願いました公述人は、東京大学名誉教授今野源八郎君、明治大学商学部教授清水義汎君、横浜国立大学経済学部教授井手文雄君、会社員西内一君、全日本トラック協会会長高橋憲太郎君及び日本自動車連盟常任理事マキノ正美君の各位であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。  御承知のように、本案は今次の税制改正の一環として、道路その他の社会資本充実の要請を考慮し、新たに自動車に対して、道路運送車両法の規定による検査または軽自動車の使用の届け出の際に、その重量に応じ自動車重量税課税することとする必要があるとして、政府から提出されたものであります。  当委員会といたしましては、本案審議にあたり広く各界からの御意見を求めるべく、ここに公聴会を開会いたした次第であります。  何とぞ、公述人各位におかれましては、本案についてそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、もって本案審査参考に資したいと存ずる次第でございます。  なお、御意見の開陳は一人十五分程度におおさめいただくよう特にお願いを申し上げます。  この際、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、公述人委員に質疑をすることができませんので、あらかじめ御承知おきお願いします。  それでは、まず今野公述人からお願いいたします。
  3. 今野源八郎

    今野公述人 今野源八郎でございます。  新たに自動車重量税法案を提案されるのでありますけれども本案にはいろいろ重大な、税法上並びに交通政策上の問題が含まれております。したがいまして、私は若干の修正意見を加え、またかなりきびしい条件を付することで、財源上どうしても必要であるというならば、やや消極的ではありますけれども、賛成するというふうな多少複雑な気持ちで参りましたことを正直に申し上げます。  私は本案についての問題点として最初に幾つかを述べさしていただきますが、すでに自動車関係税におきましては八種類ございます。また加えまして、日本には有料道路制度というものがあり、その料金は先進国の平均の料率に比べて三倍も高い。これは建設費が三倍高いことによっておりますけれども、そういう状態のもとで、交通機関にあまり多種類の、しかも相当結果的に高額の税負担を課するということは、やはり交通機関利用、そして国の下部構造整備という点から見てかなり問題でなかろうかと思います。  次に、このような重量税を課するということは、重量税とはいっておりますけれども重量車にかけるというだけではなくして、小型車あるいはそれよりも大衆の足になっております軽自動車にもかけるわけでございます。したがいまして、かなりの大衆課税的な面を持っております。また、すでに自動車につきましては物品税あるいは自動車取得税あるいは自動車税その他がありますので、この重量税軽自動車から小型自動車等々を含めてかけるということになりますと、結局自動車税をほかの名前で二度取りするというようなことにもなりかねないのであります。もちろん性質上は本税は権利の取得税と申しますか、自動車利用する、いわばフランチャイズタックスということもできるかと思いますけれども、それは理屈でございまして、実質的な負担としますと相当重いことになります。  わが国自動車に関する税制が、初期の、自動車をぜいたく視する時代から、道路利用税としての近代的な税の思想まで含めまして、かなり複雑な体系を持っております。先進国の場合は自動車税というものを道路利用税として一元的にかけているというような傾向がだんだん強くなっております。言いかえますと、第一次大戦ごろ自動車をぜいたく視したときに、登録税とかいろいろな手数料とか、自動車保有税をかけたのでありますが、その後ガソリン税燃料消費税が入ってまいりましたときには、すでに道路利用税としての思想からであります。  さらに第三のカテゴリーといたしまして、最近は道路利用とその利用にウェートをつけまして、重量、大きさ、あるいは利用の時間と空間的なウエートをつけて取るというような、いわばサードストラクチャーのタックスシステムというものが取り入れられてきております。本税はそういう意味では一面進歩的な面も持っておりますけれども、やはり大衆車にもかける、その税率はあまり高いとはいえませんけれども、そういう意味で、従来の税体系整理する——財源を得るためにかけるというならば、もう少し整理した上でかけられるべきものというのが本来の筋でなかろうかと思います。  なお、わが国税制にはいろいろな先進国に比べて問題がございます。あるいは不均衡がございます。たとえば営業車税率自家用の二分の一というようなことは先進国にはないわけでございまして、そしてまた重量トラックディーゼル油税が比較的安いというようなことも、これも外国の、先進国の立法に比べますと問題があるわけでございます。営業車あるいはパブリックキャリアというものを、プライベートキャリア自家用に比べて何か特別扱いにするということは日本の伝統でありますけれども、これはわれわれが貧しかった時代一つの遺物ではなかろうかと思うのです。結局われわれのリヤカーでも自転車でもオートバイでも自動車でも、国民社会的な輸送力を構成している一つ手段でありまして、言いかえますと交通機関であります。でありますからもはやぜいたく品ではない。日本に千数百万の車があるということは、また世界に二億の車がある、アメリカに一億の車があるということは、これは国民的な生産力でありまして、鉄道海運飛行機と同じように国の総合的な輸送力を構成するいわば社会的な輸送手段、そしてその機能は生産的な機能と流通的な機能あるいは文化的、社会的な機能を持っております。で、ややもすればパブリックキャリアだけ、つまり公共の便宜と必要があるものに認めるという、公共機関だけを優先するような傾向がございますけれども、これはガソリン配給時代とか、そういうときは別といたしまして、今日のような自由な社会になってまいりますと、そういう区別をしている国はないんじゃなかろうかと思います。その辺もかなり問題があると思います。でありますから今後この税率を適用されるにあたりましては、やはりどこまでも自動車重量税という趣旨を十分お考えいただきたいと思います。  なお、本税の用途につきましては別に法案にはうたっておりませんけれども、「道路その他の社会資本充実」というふうになっております。新聞紙の伝えるところによりますと、何かこれを鉄道とか、あるいは道路以外のいろいろな目的にお使いになるやに出ておりますけれども、私は自動車財源というものをほかの交通機関にまで使うということに疑問を持つものであり、あるいはむしろ反対の立場をとりたいと思います。もしこの税を一般税として、つまり一般財源に入れられるならともかく、これを交通特別会計というようなものに持っていこうということであるならば、かなりこれは複雑な交通政策上の問題を持っている。  運輸省におかれましては、あるいは国会の先生方におかれましては、わが国総合交通体系をおつくりになるということでございます。けっこうなことでございますが、交通政策あるいは体系には総合性が必要でございます。しかしあまりにそれをリジッドにかた苦しく考えますと非常な問題が起きる。というのは交通体系というものはフィジカル体系であると同時に、つまり物体系、物理の体系であると同時に経済的な体系でありますから、経済成長に応じまして、あるいは国民の所得に応じまして、あるいは国民一人当たりのGNPの増加、あるいは純国民生産増加に応じまして、国民交通消費のパターンが変わってまいります。いわば経済交通市場日本交通市場、それが国際の交通市場につながっておりますが、そういう国際化された交通体系の中で、あるいは交通市場の上に乗っかったフィジカルなシステムでなければならないのでありまして、たとえば、ただ鉄道だけがいいとか、海運だけがいいのだとか、あるいは地下鉄だけが必要であるというものではない。すべての国民にとってはいろいろな多元的な交通機関の選択が認めらるべきものでなかろうか。安いからいいというだけのものではない。普通の在来線に対して新幹線あるいは飛行機があれほど利用されているというのは、やはりベネフィット、便益が大きいからでありまして、安いということであれば歩くことが一番安い。しかし間に合わないから飛行機で飛んで歩くというもので、われわれの一人当たりの一分間の生産性が高くなればなるほど生産性の高い交通機関を使うということは、先進国後進国あるいは発展途上国交通体系を比較していただきますと非常に明瞭であります。われわれはいまや世界日本として生産性を高めつつありますが、同じように交通生産性を高めますためには、やはり技術革新を取り入れた陸海空の総合的な、と同時にそれは合理的な交通体系が必要であり、いつも技術進歩を取り入れるということが必要かと思います。そういたしますと、あまりにリジッド交通体系を、十年二十年先を考えられるということには疑問がありますし、過去の体系でもそうリジッドではなかった。もちろん市場構造だけの作用にまかせることには問題がございますけれども、それは政府がある程度の指導、あるいはガイディングポストを設ければよろしいのでありまして、これを強制するというようなことになってはかえって私は交通の隘路が生ずるのではなかろうかと思います。  そういうことでございますので条件といたしましては、私はこの財源道路及びその安全施設等に主として使うということで、他の交通機関にもしお使いになるのなら、交通体系全部の水揚げをプールして使うというようなことであればですけれども、この自動車新税だけを、わずかのこの財源をいろいろな交通機関こま切れに分ける——主として道路だというお話でございますけれども、そういうことにつきましてどういう比率で分けるかということにつきましては、いまの経済学ではなかなか分ける判断の基準というものがむずかしいのでございまして、ややもすれば選挙対策とか行政的なものに振り回される懸念もございますので、伝統的な道路特別会計とか航空特別会計をおつくりになっておりますけれども、そういうことか、あるいはむしろ一般会計に繰り入れられておかれる、そして大所高所から財政当局が判断して配分されるということであればまだ納得的でなかろうかと思います。  しかし、道路は今後公害防止あるいは交通事故防止のために膨大な経費を必要といたしております。大都市交通公害のために道路を拡幅することも必要でしょうし、先進国のように公園式道路を取り入れることも必要だと思います。そういたしますと道路だけでも今後膨大な資金が要るわけでございます。さらにこのような税金を今後再び税率を上げるとか、そういうことのないことを私は望みたいと思います。最近、最初にも申しましたように自動車を取り巻く批判が非常にきびしい。それはある意味では正しいのでございますけれども、しかしどこまでも自動車というものはやはり私どもの大事な交通機関でありまして、交通機関に優劣をつけるという時代ではないと思います。したがいまして、交通機関に非常に高い税率の税を課するというようなことになってまいりますと、結果的にやはり交通進歩を阻害するということになりかねないと思います。  重量税につきましては、重量に比例してかけるという今回の重量税のようなものもありますが、あるいはアメリカ等におきましては累進的にかけるというようなことも考えられております。日本では従来営業車に対して、あるいは重量車に対して甘かったわけでありますから、それを修正するという限りにおいてはこれは進歩的な思想を持っていると私は思います。しかしただ取りやすいところから取る。そして何か赤字線の補てんとか、伝えられるようなところに使われるということになりますと、それは交通政策上ただいま申し上げたような意味で問題があるということを申し上げたいと思います。  なお総合交通体系として鉄道あるいは地下鉄自動車代位し得る。したがって代位の原理、つまりサブスティテェーション・プリンシプルが妥当するから、公害の多い自動車を押えて、そして鉄道関係に、つまり鉄軌道交通機関に金を回すという議論はかなり強いのであります。しかし道路機能と、鉄道機能あるいは地下鉄機能は、それぞれ似た面もございますけれども、全然違った面もございます。そういう意味で、完全に木綿と、スフとかあるいはダクロンが代位するというような意味での代位はないということでございまして、どこの国の交通体系を見ましてもそれぞれの交通体系があるということでございます。日本の今後の経済成長は十五年間に、昭和六十年までに現在の二倍ないし三倍近い成長を遂げるといたしますと、日本交通需要もまた量的に増大するだけでなく、質的にも非常に高度化してまいると思います。そういうときに私どもはやはり非常に便利な交通機関として自動車を使っていく、前向きに使っていくということが必要であり、日本交通において自動車使いにくいというようなことにならないように、ぜひひとつ御考慮いただきたいと思います。  なお自動車関係の税だけではなくて保険料も上がっておりますし、あるいは自動車工業自身公害防止のために新しい投資をし、研究投資をしている。三千億、四千億の研究投資をし、それを実用化するためにはさらに何兆円かの投資が必要であるというようなことも控えております。これは国際的な問題でございます。また堅牢な、そしてひっくり返っても十五分たっても火が出ないとか、あるいは公害の少ない自動車をつくるということになりますと、ますますコストも高くなり、また運転者の費用も上がってまいります。それはそれだけで済むものではなくして、やはり国民経済的な問題でございますので、今後の自動車税制のあり方につきましては、従来の混乱した八つの種類の税、今度加えて九つというふうなばらばらの税体系をひとつ整理して、合理的なものをつくり上げていただきたい、そう思います。  こういうことで、私は本案に対しましてはなるべくならば、財源が間に合うならば、重量税という、つまり重量車に限るということが望ましいと思います。大衆の車も含めて徴税するという財政上の理由があるならばやむを得ないと思いますけれども、しかしどこまでも道路資金あるいは道路関連資金としての用途をお考えいただきたいということと、自動車税の中の混乱と、そして自家用車に重くて営業車に軽い、あるいはパブリックキャリアに比較的軽いというような古めかしい思想はこの際整理をお願いしたい。さらに、総合交通体系がきまらないうちにこのような税を取って、しかも何か地方のトンネルを掘ったりあるいは赤字線に補給するというようなことになりますと非常に交通政策上の混乱も出てくるということを、重ねて私の意見として申し上げさせていただきたいと思います。したがいまして、自動車のこの税源は、もしお取りになるとするならば一般会計にやはり入れていただくものであり、大所高所からその配分はできるだけ合理的にお考えいただきたいと思います。
  4. 毛利松平

    毛利委員長 次に、清水公述人にお願いいたします。
  5. 清水義汎

    清水公述人 清水でございます。  私は重量税の問題につきまして、中心交通政策上の見地から、意見を申し述べたいと思います。  最近、この十数年の間、特にモータリゼーションの発達の中で路面交通に非常に大きな問題が出てきたのは周知のことでございます。現在、自動車数は約千六百万台を超過するといわれておりますが、建設省の推計によりますと、昭和五十年には二千四百六十万台、六十年には三千五百万台だというふうにいわれております。一方、道路に対しましては従来十数兆円の金が投資をされておりました。特にこれが幹線道路中心にきわめてばく大な金額投資をされておるわけでございます。  ところが、わが国都市及び道路の状況を見ておりますと、このような道路投資が必ずしもプラスの面だけを出さない。このことは具体的には毎年の交通事故増加都市における交通公害激化という形で具体的に現象化しておりますし、また経済的には路面交通における機能麻痺という問題が公共輸送体系機能を喪失させておる。単に交通機能の喪失だけではなくして、最近におきましてはややもすれば都市中枢機能麻痺という危険すら感じさせておるということに私どもは気がつかなければならないと思います。  この点につきましては、運輸省昭和四十五年の十一月に総合交通政策についてと題してその考え方を明らかにしておりますが、その中では自動車増加を抑制する態度を明らかにしております。すなわち自動車輸送の限界について指摘し、あるいは環境破壊の問題について指摘をし、交通事故について問題を指摘し、そして総合交通体系の必要を指摘されております。このような原則的な点につきましては私も全く同意見を持つものでございますが、それと今回の自動車重量税との関係が、私の手元にある資料の中では必ずしも明白ではないということでございます。  特に、現行自動車関係税を見てまいりますと、先ほどの公述にもございましたように八種類自動車関係税がございますが、この内容を見ておりますと、物品税を除きましてはそのほとんどが道路特定財源ないしは道路財源としての目的税として設置をされております。特に自動車課税物品税につきましては、現在のモータリゼーションなり総合交通体系なり、こういう問題に対処しようという形の中での課税の発想ではございません。御承知のように、これは戦時中に一つ増税策としてスタートした歴史的な背景がございます。しかも全部の金額からいたしますと、道路財源としては相当高額な税金現行自動車関係税の中でも徴収をされております。しかも車種別という形で分類をしておりますが、この車種別自家用貨物かという車種別でございます。あるいは排気量別で考え、いわば自動車社会的用途別というものを考えていないわけでございます。  具体的に申しますと、物品税の場合を見ますと、トラックなりあるいは路線バス免税になる。あるいはライトバンの車も免税になります。しかし反面、タクシーに対しては乗用車と同じように課税をされておる、こういうような問題もございます。こういう点を考えますと、特に総合交通体系との関係の中で、従来の自動車関係税整理統合と合理的な改正というものを踏まえた中で、自動車関係税をどうしていくのかという点で議論をされていかなければならないと思います。  特に重量税で問題になりますのが、重量というものを基準税金を取るという考え方であります。御承知のように、現在路面交通の中でトラックそれからタクシーというのはきわめて重要な社会的な役割りを果たしております。東京都内を見ましても、現行状態を見ますと、路線バスを上回るような輸送量タクシーが行なっておる。このことは、一面におきましてはタクシーのきわめて社会的な需要必要度が高まっておるという反面、いかに路線バス公共輸送的な機能麻痺しておるかということを実証しておることでございます。あるいは都市内におけるところの貨物輸送その他を見ておりますと、すべてトラックにこれが移されておる。そういう点を考えますと、これらのトラックなりあるいはバスというものは、自家用乗用車を主軸としたモータリゼーション激化被害者であるというふうにいわなければなりません。この被害者重量税という中で税金をかけられますと、被害という意味ではダブルパンチを食ってしまう。しかもこれが一般市民の生活なり、日常必要物質というもの輸送というものに重要な影響力が出ることを当然考えなければなりません。そういう面では、私はこの重量税というものが単にトン数、重さ、車の大きさというものを基準にして取ることについては賛成いたしかねるわけでございます。むしろ私は、現在の自動車というものを考える場合に、過去の自動車というものに対する哲学を根本的に変える時期に来ているのではないかと思います。  また、道路に対しましても大きく考え方の転換が必要だと思うわけでございます。交通体系を考えますときに、どの輸送手段をどの地域においては基幹部門として考えていくのか、あるいはどのような輸送手段補完部門として位置づけていくのか、そして補助交通機関というものはどのような輸送手段に担当をさしていくのか、この辺の輸送手段任務分担明確化ということが、現在非常に必要に迫られているというふうに考えるわけでございます。そういう点を考えますと、現在鉄道というものを優先すべきである、あるいは自動車というものを優先すべきである、こういう二者択一の論議は必ずしも現実的に通用はしないと思います。それぞれの輸送機関の持つ特性、機能、これを最大限に発揮せしむるような交通体系の編成というものがきわめて重要になる。そしてそのためにはどのような形で財政的な裏打ちをするかということでございます。  そういう点を考えますと、従来の交通関係税道路にきわめて重点的に配分をされておる。しかもそれが幹線道路である。御承知のように大半の道路市区町村道でございます。首都圏は、東京の場合には道路はわりあいと都心部においては整備をされておるといわれておりますけれども、三多摩を含めて考えますと、数十%の道路幅員三メートル五十以下の道路であります。しかもこれらの道路側溝つき幅員三メートル五十でございます。全国的な規模でながめますとこの種の道路が非常に多いという日本の現状の中で、幹線道路のみを整備いたしましても路面交通の問題は解決がつかないということになりますし、また他面、道路を建設することによって新たな自動車需要を巻き起こしてくる、そしてそれが新たな矛盾をつくり出すということに気がつかなければなりません。また他面におきましては、特に過疎地帯におきましては公共輸送機関そのものが未整備のために、自家用車利用せざるを得ないという地域のあることも見のがすことはできないわけであります。そういう点を考えますと、自動車関係税の使途につきまして、それぞれの機能、地域の特性等に合わしましてきわめて具体的な、しかもきめのこまかい使途というものを考えられる必要が現実においては出てきているのではないかというふうに考えるわけでございます。  自動車の発達しておりますイギリスにおきましては、一九〇〇年の初頭にすでに自動車関係税が法律上制定され、税金が取られております。しかしイギリスにおきましても一九二〇年代の議会におきまして、道路の特定財源として自動車関係税を徴取することが必ずしも自動車の発展と交通総合性の中でプラスにはならないという議論の展開から、一九二六年を契機にいたしまして自動車関係税一般会計へ振りかえている。そこで、毎年度の議会の審議の中でその支出の重点項目をきめていったといういきさつもございます。  現在、交通の危機が叫ばれ、公共輸送機関の合理的な再編成が叫ばれている中で、ぜひとも総合交通体系との関連の中で、現行自動車関係税を含めて十分な御検討の上、現状に合ったような改正、改善をされますことを心から期待をいたしまして、私の意見を終わらしていただきます。
  6. 毛利松平

    毛利委員長 次に、井手公述人にお願いいたします。
  7. 堀昌雄

    ○堀委員 委員長、議事進行について発言……。  本日は定例日でない日に委員会を開いて公聴会を行なわれまして、せっかくこれだけの公述人の御出席をいただいておりますのに、審議の促進を求めておる自民党が、過半数の、半分の定員を満たさずして審議を行なっておるということは、私は公述人の皆さんに対してたいへん申しわけない。自由民主党はすみやかに定足数をそろえて、審議を再開されるまで休憩されることを望みます。
  8. 毛利松平

    毛利委員長 このままで、定員がそろうまで暫時休憩いたします。    午前十時四十七分休憩      ————◇—————    午前十時五十一分開議
  9. 毛利松平

    毛利委員長 再開いたします。  次に、井手公述人にお願いいたします。
  10. 井手文雄

    井手公述人 井手でございます。  このたびの自動車重量税一般財源ということになっておるかと存じますけれども道路その他の社会資本充実という要請にこたえて設けられたものでございまして、実質的には特定財源、一種の目的税と存じます。  そこで最初に、道路整備というような事業の財源といたしまして、一般財源によるべきか特定財源によるべきかというような問題を考えてみたいと思います。  この自動車重量税道路その他の社会資本充実という要請にこたえて設けられたということは、その背後に受益者負担の原則というようなものの導入というものがあるだろうと思います。私は、最近いわれておりますところの受益者負担の原則、あるいはそれと関連いたしまして目的税の創設ということは、それ自体として反対いたすわけではございませんし、新税の創設につきまして、あるいは増税等におきまして、その負担者を説得するという場合に受益関係がはっきりいたしておれば非常に都合がいいと存じます。むだな、納税反対というようなものに対する説得というような必要もない、比較的協力、共感を得るんじゃないかと存じます。ただ問題は、そういう受益関係がはっきりしているかどうかということでございます。受益関係がはっきりしている、あるいはそれが計量的に把握されるということであれば、受益者負担の原則というものが非常に望ましいし、目的税あるいは受益者負担金の新設ということも非常にけっこうであろうと存じます。  ただ、この受益関係、国が与える財サービスをめぐる受益関係というものが、実ははっきりしているようでなかなかはっきりいたしておりません。道路につきましても、道路自動車利用するのだから自動車関係税金でその費用をまかなっていけばいいじゃないかというような発想だろうと思いますけれども、一応そういうことはもっとものように思いますけれども、しかし、よく考えてみますというと、道路からの受益者というものは自動車によってその道路を使用する道路利用者だけではないと思うのです。道路整備される。そうしまするというと、当然開発利益というものがそれによって生じてきますからして、地主さんも受益者であろうと思いますし、あるいはまたその新しい道路の沿線の企業においても直接、間接いろいろの便益を受けるわけです。あるいはまた一般消費者もいろいろの生鮮食料品その他を迅速に新鮮なうちに入手できるというような便益もありますし、あるいはまた地域開発のための先行投資的な道路の建設であれば、これは全国民の利益ということになるだろうと思います。これからはこういう先行投資的な道路建設ということも多いんじゃないかと存じます。  こう考えますと、道路からの受益関係というものは、次々にたどっていきますというと、結局国民全体に拡散してしまうという心配も——心配といいますか、そういうことがいわれるわけです。ですからして、私は受益者負担の原則というようなものの導入には決して反対ではございませんし、それが可能であれば積極的にそういう原則によって課税なり課徴金を徴収されることも非常によろしいかと思いますけれども、問題はそういう受益関係の確認あるいは計量的な捕捉と計量化ということが問題でありまして、それが今日の経済理論あるいは財政学の理論においてはなかなかむずかしい問題である。むずかしいけれども、しかしこれは精力的に取り組んで追求していかなければならぬ問題であります。ですから、私は、できるだけ国の財サービス、国が提供する財サービスをめぐる受益関係というものを確実にとらえるというこの作業なり研究をまずやるべきである。現状において道路をめぐる受益関係というものは必ずしもはっきりしていないわけでありますからして、現在すでに自動車関係課税によって道路財源をほとんど一〇〇%近くまかなっておりますけれども、それにさらに今度新しい自動車重量税というものを加えて、いよいよ自動車関係税金によって道路費をまかなうということは、先ほどから申しておりますところの受益関係の不明確化ということと関連いたしまして疑問があるわけです。この点をひとつ十分にお考え願いたいと存じます。  それから、この新税は四年間で大体五千億の収入が予定されておりまして、年収一千二百五十億円でございますが、この千二百五十億円という増収が、はたしてこの新税の創設を待たなければどうしても不可能であろうかということでございます。これは従来の税制、特によくいわれておりますところの租税特別措置による減収が相当なものである。現在の税制というものが租税特別措置によりまして負担の公平を欠く、それが減収になる。ですからして、公平化することによって増収が得られるという一石二鳥の道がここにあるわけです。私はこの場合も、租税特別措置が決して何から何まで悪いとは言わぬわけでありまして、これからの新しい国際化を控えまして、日本経済の進むべき方向なり内容と関連しまして、新しい段階の特別措置が幾らか必要なものが生ずるということは認めますけれども、従来の租税特別措置にはすでに使命を終わっておるものあるいは効果がないもの、そしていたずらに既得権益化しておるもの、これが相当あるではないか。ですから、まずこの程度の収入の確保という場合に、安易に新財源あるいは新税に求めるということではなくして、従来の税体系の合理化の中からそういう財源を求める、こういう努力があってしかるべきで、それでもなおかつ財源が不足すれば、それは新税というところに道を求めるということが適当ではなかろうかと存ずる次第でございます。  それから、いまの問題と関連いたしますが、道路整備事業、これは第六次道路整備五カ年計画、十兆円をこえる金額と存じますけれども、それについて三千億前後の財源不足ということで、それが一つの動機となってこの重量税の創設ということになったと存じます。この十兆幾らという金額でございますが、御承知のように、道路事業費の中では用地取得費というものが非常に大きなウエートを占めております。土地の値上がりというわが国の特徴的な現象によりまして非常に取得費が高い、こういうことがございます。地価抑制政策というものを徹底的に行なわないで、現状のままで道路整備をやれば次から次に道路事業費というものは金額的には拡大していくということになる。そうしてそれは新しい財源を見つけて、その財源道路事業をまかなっていく。そうすれば、また新しい計画によってまた道路事業費がふえて、また新しい財源を調達しなければならない、こういうことになるわけです。適正な土地政策というものを考えて、そうして道路整備計画を策定する。そうしてぎりぎりこれだけの経費が必要であるということとの関連において新税を考える。新税の創設ということは相当重大でございますから、それだけの慎重さが必要ではないか、こういうふうに思います。  教科書的なことを申し上げて恐縮でございますけれども財政学の古い教科書には、量入制出原則とか量出制入原則ということが書いてありまして、私経済は量入制出原則によるのだけれども財政は量出制入原則によるのだ、そこが違いだということがいわれております。しかし財政におきましても、財政支出がまず先行的に決定されて、財源がそれから調達されるというようなことは、時と場合によっては財政といえども許されないのじゃないか。やはり財源との関連において収入もチェックしていく。そうすれば財政の非効率化とかあるいは放漫化ということも避けられる。高福祉高負担ということ、これは私は賛成でありまして、当然そういう方向に国家は行くわけであります。国民もそれに応じて高い負担をすべきである、これは当然でございますけれども、いま言いましたように財政は量出制入の原則なんだと言うて、まず歳出が一方的にきめられて、たとえばいまのようにほとんど用地取得に相当の部分を食われる、そういう関係においての金額道路事業費というものをそのまま認めて、財源をあとから渉猟していくということでは財政の非効率化を招く。いたずらに税負担が高くなることを拒否するということではございませんけれども、そういう財政の非効率化と関連する税負担の上昇ということは、国民といたしましてはやはり批判しなければならぬ、これが義務であろうか、こういうふうに存じます。  それから、道路中心といたしました社会資本の立ちおくれということは、これはもうわれわれ十分に承知いたしておりますけれども社会資本というものは道路ばかりではありませんし、そのほかにいろいろの社会資本がありますし、それからまた先ほどの公述にもございましたように、道路と申しましてもいろいろの道路がございます。ですから道路整備計画におきましてはどういう道路を優先的に整備するかとか、あるいは社会資本整備社会資本充実というのはまずどこからやっていくか、あるいはどういう関係、バランスにおいてやっていくか、いろいろの社会資本をどういう関係において整備していくか、そういう総合的な社会資本充実、計画の一環として道路整備計画というものが行なわれなければならぬか、こういうふうに思います。ただ道路中心といいましても、現在のようなハイウエーあるいは高速道路あるいは一級道路、そういう道路だけに新しい財源を次々につけ加えていくということでありますと、財政の硬直化あるいは他の社会資本整備ということが立ちおくれて、その間非常にアンバランスが生ずるのではないか、こういうふうに存じます。どういうような社会資本をどの程度にというその価値順位、価値の優先度、政策目的としてのいろいろの価値の優先度を決定していく、そういうこととの関連において道路整備計画を立て、そうして財源を考えていく、こういうことが必要ではないか、こういうふうに思います。  市町村道が非常に立ちおくれているというようなことが先ほどの公述にもあったかと思いますけれども、この場合は自動車関係の特定財源の中でこれに関連してちょっと申しますと、国の場合が八〇%くらい特定財源で国道関係は補てんされ、それから府県段階で七〇%くらいですか、それから市町村道の場合は一六%くらいしか特定財源が割り振られてないということじゃなかったかと思います。これは地方道路譲与税というものが府県段階には行きますけれども、市町村段階には配付されないというようなことが原因になっているかと思います。こういうようにすでに現行の特定財源配分関係においてもいろいろ問題があるわけです。これは究極的には国と地方との間の財源配分でございましょうけれども、それから交付税なり譲与税制度の問題でございましょうが、こういうようにまだ現行税体系の中で非常に手をつけなければならないものがございます。そうしてそれによってある程度社会資本道路の適正な充足、整備ということができるわけです。それが、財源の割り振りでも非常にアンバランスになっている現行税体系にあまり反省が加えられないで、新税がそのまま早急にあさられているような印象を受ける次第でございます。  それから、この税と関係いたしましては、すでにお二人の公述人からもお話がございましたように、現行自動車関係の税というものは非常に複雑で、八種類ある。そして奢侈品課税か資産課税かあるいは道路利用課税か非常にあいまいなものがある。負担能力を考えて徴収しているのか道路利用しておるということで徴収しているのか、非常にあいまいなものがいろいろあって、そしてその幾つかが道路のための特定財源ということになって、あるものは目的税、あるものは目的税じゃないけれども特定財源、それから今度は、たとえば自動車税とか軽自動車税というものは一般財源であって、目的税でもなければ特定財源にもなっていない。一体この辺のところがどうなのか。どういうような税だから特定財源にするのか、目的税にするのかあるいは一般財源に回すのか。そうして現行自動車税というのは一体どういうプリンシプルといいますか考え方によって課せられているのか。自動車を持っているから負担能力があるというのか。道路利用するから課するのか。道路利用するから課するということになりますと、あるいはまた道路を損傷するからという一種の公害税みたいな、そういう思想もあるのか。営業車とかトラックというのは非常に軽くなっておるというところを見ますと、利用者税でもないし損傷税、公害税でもないような気がします。非常にその辺のところがアンバラだ。もう少しはっきりした考え方を持って現在の複雑した八種類のこの自動車関係税というものを洗い直しまして、もう少し簡素な体系に立て直すというようなことが一つ。それをそのままにしておいてまた重量税ということになりますと非常に混乱をする。一体自動車に対する課税は幾らぐらいが必要なのか、どういうような車種に対してどういう負担関係において課したらいいのかとか、あるいは利用者税としてやるのか、あるいは負担能力、応能原則という観点からやるのか、非常にその辺があいまいだ。新しい税をかける前に既存の複雑した無秩序な自動車関係税を再検討し、簡素に一本化していくということ、その中で負担関係なりその理由なりをはっきりする。そういうはっきりしたプリンシプルにおいて自動車関係税を課する。そういうこととの関連において、どうしても重量税が必要であるということならそれはもうそれでいいわけですけれども、そういうことはしないで、道路財源が必要だからというようなこと、しかもそれが受益者関係がはっきりしない、いろいろな疑問があるという場合でございますからして、そこに疑問を持つわけでございます。  それから最後に一言、原油引き上げというような問題がございますが、それと関連しましてガソリン代も上がりましょうし、バストラック代も上がりましょうし、いろいろ物価にはね返る現象が起こるかと思いますけれども、そういうことの中で、むしろそのエネルギー課税ガソリン税なり軽油税なり、エネルギー関係の税を引き下げなければならぬじゃないかというような問題も出てきておる。そうしないというと物価騰貴に拍車をかけるという心配も出てくる。こういう微妙なときに、いま言ったようないろいろの前提となるような作業を飛び越えて、ただ自動車に税をかければいいというようなことだというと、物価問題からいっても非常に重大な結果をもたらすのではなかろうか、こういうふうに思います。  以上をまとめまして、新しい自動車重量税の中には、いろいろそれは認むべき点もあります。けれども、結論として時期尚早と申しますか、いろいろのその前にやるべき準備作業を抜きにしてこういう自動車重量税を設けるということに対して疑問を表明いたす次第でございます。
  11. 毛利松平

    毛利委員長 次に、西内公述人にお願いいたします。
  12. 西内一

    西内公述人 先ほど来専門の御先生方が、それぞれ御専門の立場から公述なさいましたわけでございますが、私は一般市民立場から賛成の意見を述べさせていただきたいと思います。  われわれ一般市民が日常生活におきまして最近非常に感じておりますことは、たとえば道路交通の渋滞でございますとか、あるいは電車は満員だとか、あるいは住宅難でなかなか家が得られないというような生活環境の悪化に対しまして、なかなか改善の実があげられないというのが一番痛感しておる点でございまして、これにつきまして、何とかして一日も早くこういった問題を早急に解決してほしいといったことが、私ども市民の切なる願いでございます。  このような社会資本充実のために、政府におかれましては最近、いまも先生方お述べになりましたように、高福祉高負担というようなことがいわれておりまして、今回の自動車重量税法案もその一環であるというふうに理解しております。もちろん、私どもは少ない負担でより高い福祉を享受できればそれが一番好ましいわけでございまして、行政の効率化等をはかりましてぜひその方向に努力をしていただきたいのでありますが、それにも限度があると思いますので、場合によりましては必要最小限の負担増というようなものもやむを得ないのではないかというふうに考えております。  しかしそれはあくまでも、負担増といいましても合理的なものでございまして、広く一般市民から合意の得られるものでなければならないのではないかというふうに考えております。そのために、先ほど御指摘がございましたが、私は原因者負担あるいは受益者負担の強化を進めていただいて費用負担の公正化をはかっていただくことが、私ども市民として一番理解しやすいやり方ではないかというふうに考えております。  ヨーロッパなんかですと、市民が都市での共同生活の長い伝統を持っておりまして、権利とともに義務を果たすという市民の自覚というものが確立されておりますが、わが国では残念ながら市民の自覚が確立する前に都市化が非常に急速なテンポで進みまして、権利とそれに伴う義務を果たすというような対応関係が必ずしも確立されておらないというのは、たいへん残念なことでございますが事実でございます。今後も非常に都市化のテンポが早いものでございますから、私ども消費行動の共同化というものは都市におきましてますます進んでいくと思われます。  その中にありまして最近非常に問題なのは、若い人を中心に価値観というものが非常に早いスピードで変わっておりまして、国民のニーズというものも非常に多種多様なものに変化してまいっております。そのために、このような中で一番国民に納得のいく方法は何かというふうに考えますと、私はやはり自分のあと始末は自分でつけるという原因者負担なり受益者負担という考え方が一番公平で、国民にわかりやすい話ではないかというふうに考えております。  だいぶ前置きが長くなりましたのですが、それで本件の自動車の問題について考えてみますと、現在自動車の激増が特に大都市におきまして交通麻痺を引き起こしたり、あるいはそのために都市高速道路の建設でございますとか、あるいはバイパスの建設と、非常に巨額の隘路打開投資を必要としております。それから一方におきまして交通事故は非常に多うございますし、排気ガスやあるいは騒音の問題等、それから広くいえばわれわれの住居環境というものがそのために非常に悪化するなど、世間一般でいわれますような自動車公害というようなものを引き起こしております。しかし、私思いますのに、自動車の保有者はこれらの自動車公害なんかの社会的費用のすべてを負担しておるわけではございませんし、また隘路打開投資につきましても一般租税によってまかなわれる部分が非常に多いということは、私どものようなしろうとでも存じておる事柄でございます。  それで今般、自動車のもたらしますいろいろな社会的費用とか、あるいは道路建設その他の社会資本充実のために本税を設けて対処するという案が提出されたわけでございますが、私は以上申し上げましたようなことにかんがみまして、次のように考えて賛成でございます。  先ほど例に出ておりました、今般の新税創設の直接の動機になりました道路整備五カ年計画の財源問題を例にとって考えてみますと、新税の創設によるか、あるいはわれわれ一般納税者の一般の負担によるか、あるいはその他の方法によるか、方法は三つしかないわけでございます。かりにいまその他の方法がないとすれば、私ども一般納税者の一般的な負担によるか、あるいは自動車の使用者に負担を求めるか、その二者選一であろうかと思いますが、私は公平の原則から考えまして、原因者負担あるいは受益者負担ということを進めていただくほうがより私どもに理解しやすい事柄ではないかと思います。これは決して一般の税金での協力を惜しむというわけではありませんが、それには非常に相当の根拠を示していただきたいと思いますし、またその一般の税金は非常におくれておるといわれております身体障害者の問題とかあるいは老人の問題のような、まさに社会保障、社会福祉のために重点的に回してもらいたいというのが私ども市民の意見でございます。  それで、ちょっと残しましたその他の方法について、それでは方法はないのかということについて門外漢ながら感想を述べますと、一つ有料道路制度の強化ということが当然考えられると思います。この点につきましては、有料道路制度の強化というものは、この制度が受益と負担と非常に正確に対応させておりますので、私どものような受益者負担を強化してほしいという立場から見ますときわめて好ましい制度でございます。しかしながら今般の新しい五カ年計画におきましては、以前の五カ年計画に比べまして有料道路制度の強化というものは非常にはかられておりまして、この面での努力は非常に尽くされているように思います。それから自動車公債というような考え方がございますが、公債発行というものは、私ども市民といたしますとどうしてもやはりインフレがおそろしいという感じがいたします。それから先ほど来御指摘のございましたその他の自動車関係税につきましては、皆さんおっしゃるとおり一般国民には非常にわかりづらい体系となっておりまして、その再検討をしていただきたいと思うのでありますが、このようないろいろな税金、あるいは先ほど申しました有料制度あるいは公債等の方法によりましては、今般の新しい税がねらいといたしております道路の直接費用だけでなくて、間接的な社会的なコストの負担を求めていくというような目的になかなか沿い得ないのではないかというふうに考えております。  私は正直申しまして車を持っておりません。そのためにおまえはそんなことを言うのではないかと思われるかもしれませんので、私ここへ参ります前に、まわりのマイカーの同僚四、五人にアンケートしまして大体の感触を聞いてまいりました。そのマイカーの人々におきましても、常日ごろやはり高い負担はしたくないというかたわら、非常に迷惑をかけているとか、それ相当の受益をこうむっているという点につきましては私ども意見が同じでございまして、今回の新税の場合におきましては費用負担もそれほど大きくはないということでございますので、基本的には賛成していいのではないかというマイカーの人々の意見が非常に多いように見受けられました。ただその連中も、本税が一つねらいにいたしております直接的な費用だけでなくて、間接的な費用の負担もするのだから、その負担に見合った意義のある分野に税金を使ってほしいということは彼らも一致して申しておったところでございます。  そこで次に、自動車重量税法案のその資金の使途について申し述べたいと思います。  私、先ほど来申し上げておりますように、原因者負担の強化とかあるいは受益者負担の徹底という立場からいたしますと、当然のことといたしまして、自動車の走行がもたらしております道路の建設とか維持管理、あるいはそのほかの交通事故対策等、多くの社会的な費用の充足に使っていただきたいと思うのがこれは大原則でございます。特に本税は単に、前半述べました道路建設とかその維持管理というだけでなくて、後者、すなわち交通混雑とかあるいは交通事故、安全対策等、自動車社会的な費用負担を求めたものでございますから、その後者に十分の御配慮をいただきたい、そういう形で使っていただきたいと思うのでございます。  そこで申し添えますならば、特に私ども日常生活におきましてそういった問題について何が切実な問題か、その感じているところを述べますと、やはり一番大きい問題は、しょっちゅうテレビで報道されます踏切の事故でございます。こういったようなものについては早急に立体交差等の対策を進めていただきたいと思いますし、交通安全の面ではさらに信号機でございますとか標識というような交通安全施設はもちろん十分整備していただきたいと思うのであります。それから沿道の居住環境の整備につきましても、これも配慮していただきたいというふうに思っております。それから私ども市民でも最近の都市交通につきまして理解のしかたが、これはジャーナリズムなんかで伝えられるところでも、トリップというような形での理解というものがベースになっておりまして、また日常生活における実際の行動におきましても、いろいろな交通機関をセットにして行動するということが普通になっておりますから、このような点についても十分配慮していただきたいと思います。  簡単でございますが、どうもありがとうございました。
  13. 毛利松平

    毛利委員長 次に、高橋公述人にお願いいたします。
  14. 高橋憲太郎

    ○高橋公述人 私、高橋憲太郎でございます。  本業は川崎において川崎運送株式会社の社長をいたしておるものでございます。自動車重量税法案につきまして、運送事業者の立場からいたして次の理由によりまして反対の意見を申し述べさしていただきます。  まず、自動車に対する税制の問題でございまするが、前公述人から御指摘のように、八つの自動車税があるわけで、具体的に申しますならば、揮発油税、地方道路税、石油ガス税、自動車税、軽自動車税、軽油引取税、自動車取得税、それに物品税、このような税金自動車に課せられておることは御案内のとおりでございます。内容的には国税があり地方税があり、そしてまた目的税や普通税がある。このような、体系的にもまことに断片的でばらばらなかっこうをいたしておるような実情でございます。したがいまして、このようなことでは資金の効率的な運用が阻害されるのみならず、勢い過重な増徴に走る傾向が生じ、税制均衡を阻害しているのははなはだしいといわざるを得ないと思うのでございます。これをこのままにいたされまして、そしてまた今回さらに新税を創設せられようという、これは適当でないと存じます。具体的な交通政策を樹立せられ、それにふさわしい税制整理し、交通政策と税の関係を明確にされるべきではなかろうかと存じます。  次にこの法案の提案理由を見ますと、「道路その他の社会資本充実の要請を考慮し、新たに自動車に対して、その重量に応じ、自動車重量税を課す」こうあります。これは重量税による税収を、自動車のみならず、鉄道あるいは地下鉄等の整備財源にも充当するということであろうと思われますが、自動車から得たものを、自動車が利益を受けることの全くない鉄道その他の資金に回すということは、納税者として納得のいかないところでございます。トラック運送事業者としては、トラック事業から得られた財源が事業の発展伸長に役立つように使われるならばともかく、自動車輸送を圧迫し、さらにはその利便と発達をもぎ取ろうとするような税制にはどうしても反対をせざるを得ないのでございます。  次に税率についてでありまするが、営業用の自動車は一般公共の用に供する公益性の強い車両でありますので、税法上相当の保護があってしかるべきではなかろうか、かよう考えられるわけでございますが、この法案では自家用も営業用も同一の税率となっておりまするが、上述の趣旨を取り入れ、営業用の車両は自家用の車両よりも低額にしていただくのが至当ではなかろうか、かよう考えるわけでございます。このことにつきましては、運送事業者は車両を相当多数持っておるわけで、一台持ちの自家用でございまするとこういうものに対しても負担能力がございまするが、十台とか二十台、三十台ないしは五十台、百台と相なりますると、なかなか負担能力がなくなるということは理の当然であろうと思うのでございまして、この点についての御配慮をわずらわしたいと思うのでございます。  そしてなおまた、現況トラック事業者には、このような新税に対しまするところの担税能力がない、このようなことを申し上げたいと思うのでございます。トラック事業は申し上げるまでもなく非常に経営規模が弱小でございまして、なおまた労働集約産業でありながらも労働力が非常に不足をいたしております。いうところのかっこいいところの事業ではございません。したがいましてこれが確保につきましては相当高額な給与を払わなければ相ならぬ。かようなことからいたしまして、人件費をはじめとする営業経費が非常にかさんでまいっております。最近の経営は悪化の一途をたどっておるというのが現状でございまして、全国トラック事業者の数は現在二万三千八百社ほどございまするが、内容的に資本の規模で見ますると、資本金五百万円以下のものが、地場トラックと路線トラックとありますが、地場においては七二%、路線トラックにおいては三六%というような、また車両規模では二十両以下のものが地場トラックでは八七%、路線トラックにおいては五八%を占めておるというような、きわめて零細企業者が大部分でございます。  このような状態であるために、自己資金に乏しく、また運賃の支払いが翌月払いとかあるいは手形払いとかで、ほとんどがそのようなために融資にささえられて経営をしておるというのが現状でございます。運転手不足は保有車両の休車を余儀なくされて、そして収入が減っておるというような現状でございます。なかなか容易なものではございません。  われわれのトラック事業者としてただ一つの収入の源でありまするところの運賃もなかなか容易に上げていただけなかった。昭和三十九年に一部の改定がありまして、八年、九年ぶりでようやく今年に入り一、二の局単位の運賃の改定が行なわれましたが、その額は八、九年たってわずかに一四%ないしは一五%の値上げであるという、物価指数の上昇からいたしましていかに低額の運賃改定であるかということがおわかりになっていただけるのではなかろうか。全国的にまだまだそのような低額の運賃すら値上げをしていただけないという、いわゆる公共事業という、公共料金の抑制という、こういうような御当局の御趣旨にわれわれは順応いたしておるわけでございまして、深い御理解をいただきたいと存じます。  以上申し上げましたような理由によりまして、はなはだ簡単ではございまするが、われわれは本税に対して反対の意を表するものでございます。  ありがとうございました。
  15. 毛利松平

    毛利委員長 次に、マキノ公述人にお願いいたします。
  16. マキノ正美

    ○マキノ公述人 社団法人日本自動車連盟常任理事マキノ正美でございます。  このたびの自動車新税につきまして、日本自動車連盟におきましては「自動車新税に関する請願書」なるものをまとめておりますので、これをまず読み上げさしていただき、さらに意見を申し添えたいと思います。    自動車新税創設反対に関する請願陳情   当連盟は国際自動車連盟(FIA)および国際旅行同盟(AIT)に加盟するわが国を代表する唯一の自家用自動車のユーザー団体であり、現在の会員数は約四十万名に達し、自動車利用者の権益の擁護とこれに伴なう各種公益活動を行なっております。   昭和五十年にはその会員数も百万名が予想されております。   さて、今回の自動車新税の創設につきましては、自民党はじめ、各政党および政府機関等各方面に要望してきたところでありますが、今国会上提にあたりここに全国の自家用自動車ユーザーを代表し、再度新税創設に絶対反対の意を表し、請願陳情を行なうものであります。   理 由  1 自動車関係諸税の税体系整理明確化すべきである。    現在の自動車関係諸税は、物品税乗用車のみ一五−四〇%)、自動車取得税(取引価格の三%)、自動車税自家用乗用車は年間一万八千円−九万円)、軽自動車税(軽四輪乗用車は年間四千五百円)、揮発油税(一リットル当り二十四円三十銭)、地方道路税(ガソリン一リットル当り四円四十銭)、軽油引取税(一リットル当り十五円)、石油ガス税(一キログラム当り十七円五十銭)の八種類にもおよび、その内容が複雑多岐にして自家用乗用車とその他の各種自動車税率がまことに不均衡である。この上更に新税を追加創設することは納得できない。    よってこれらの自動車関係諸税の税体系を公平かつ納得のいく税制整理明確化すべきである。  2 道路財源自動車利用者だけが負担すべきではない。    道路の建設は社会資本充実であり、いたずらに自動車利用者だけにその負担を課すべきではない。道路自動車のほか自転車または歩行者も利用している。高速道路自動車専用道路は料金収入によって償還可能であり、長期的に利用する道路財源を現在の利用者に過重に負担させることは納得できない。昭和四十四年度の自動車関係の税額は一兆百二十四億円と道路投資額九千七百二十億円を上廻っている。  3 自動車利用者の税負担は過重である。    自動車税の一台当りの負担額は購入初年度において、乗用車が十四万一千円、中型トラックが二十万一千円、大型トラックが三十九万二千円となっており、価格五十万円相当の乗用車にあっては五ケ年間に一台分の税負担となっている。低所得層に普及している乗用車利用者にとっては、既存の税金の上に更に新税を課せられることはまことに苛酷極まりない。    また、営業用、事業用自動車にあっては必要経費として認められている税金および自賠責保険料等は自家用乗用車保有者には所得控除の対象にもなっておらず、税負担の限界を超えている。  4 これ以上自動車に過重な税を課し、しかも道路以外の鉄道にまで財源を使用することは不合理極まりない。    自動車関係諸税が道路投資額を上廻っている現状にもかかわらず、この上に新税の財源目的道路以外の新幹線、国鉄在来線地下鉄、更には港湾施設等の整備に使用されることは、受益者負担の原則に反し絶対に承服できない。    地方市町村、離島等過疎地帯の何等上記施設の恩恵に浴さない地域の自動車利用者にも負担をかけることにもなる。  5 新税は物価の高騰をまねき国民生活を圧迫する。    新税創設により国内貨物輸送の根幹となっているトラックの運賃、大衆輸送機関であるバスタクシー等の料金値上げを招くこととなり、物価高騰に拍車をかける結果となり国民生活を圧迫する。                   以 上  以上でございますが、ただいま読み上げました中にありますように、八種類税金がかけられています。四十三年七月には自動車取得税の創設、四十四年十一月には自賠責保険料の大幅引き上げ、引き続いて昨年は任意保険料の約一・九倍という引き上げになっているので、本法案によりさらに自動車の使用者に税負担をしいるべきではないと考えます。先ほど、五十万円程度の車を買った場合に、約五年で同額の税金を払うことになると申し上げましたが、さらにこのほかに通行料、保険料、登録届出手数料、保管場所の費用、車両検査手数料、定期点検の手数料、運転免許証交付の手数料など、税金と変わらない費用が必要でございまして、自動車所有者にとってはたいへんな負担になります。  それから、諸外国に比べまして日本自動車税が安いのではないかというような声を耳にいたしましたが、私の手元にあります資料によりますと決してそうではございません。日本アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、この五カ国の例を見ますと、年間税負担額と一人当たり国民所得を比較してみますと、イギリスに次いで二番目、それから修正年間負担税額と一人当たり国民所得を比較してみますと、断然日本がトップになってございます。それだけ高く税金を払っているということになります。  それから、一つ参考になるかと思いますが、物価また所得の差が地域によってはっきり区別されているものにAIUの海外旅行の傷害保険、この保険料を見ますと、アメリカを一〇〇にいたしますと日本が六七%、それからヨーロッパを一〇〇にいたしますと日本が八〇%、そのように所得の差が違うということはこの面でもわかるかと思います。  以上でございます。
  17. 毛利松平

    毛利委員長 これにて公述人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  18. 毛利松平

    毛利委員長 これより、公述人に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。佐藤観樹君。
  19. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 先生方にいろいろとお伺いをしたいのでございますが、時間の制限がございますので簡単にひとつお話をお聞かせ願いたいと思います。  まず、清水先生にお伺いしたいのでございますけれども、今後の総合交通体系と申しますか、問題になっている自動車、これが国民交通体系の中で一体どういうふうに位置づけられていくべきなんだろうか。それはもちろん自動車でございますので道路も密接に関係してくるわけでございますけれども、物を運ぶのに鉄道がいいのか自動車がいいのか、あるいは人を運ぶのに特に都市においてタクシー、ハイヤーあるいはバス地下鉄、いろいろな交通機関があるわけですけれども、そういう中にあって自動車というのはどういうふうに位置づけられていくべきなんだろうか。交通行政の専門でございます先生の御意見を御開陳願えればと思います。
  20. 清水義汎

    清水公述人 時間がございませんので、きわめて原則的な考え方を申し上げたいと思います。  御承知のように自動車は非常に機動性に富んでいる。それから小口輸送という特徴を持っております。しかし、日本的特徴の中でどう考えるかということを頭に置きませんと、欧米のような状況をすぐ日本へ持ってきて自動車役割りということを議論することはできないと思います。なぜかと申しますと、日本の長い交通の発達史の中では馬車時代がございません。いわゆる江戸時代からすぐ明治時代へ入った。しかも明治時代鉄道中心主義。しかも明治維新の時期におきましては、資本の前期的蓄積が非常に低い段階で資本主義の体制に入った。しかも交通鉄道中心主義で発達をした。いわば日本の明治以降の経済の発展は、極端に申しますと、交通の側面から見ますと国鉄をにない手として形成され、発展を遂げてきた。このことは都市の構造一つ見ましても、鉄道型の都市として発展をしてきている。道路は人間の歩く道路として支配的である。最近人車分離といわれますけれども、まず車道をつくれということが理論的には正しいわけでありまして、道路そのものが、先ほど申し上げましたように側溝を含めて幅員三メートル五十以下の道路というものはそもそも車の走る機能を持たない道路であります。  そういうことを考えますと、今後の総合交通体系の中で特に自動車を一体どう考えるか。私はまず、公共輸送機関としてのバスというものを考えますと、巨大都市、大都市におきまして高速鉄道のあるところでは、高速鉄道の補完的機能としての役割りをまず持たせるべきじゃないか。それから中小都市におきましては、むしろここでは基幹輸送部門として路線バスを配置すべきではないか。  それから観光バスにつきましては、これは特にコーチツアーなり市内観光の手段として重要な役割りを持たしていかなければならぬと思います。  それから三番目にはタクシーでありますが、タクシーの場合には大まかにいいまして三つの形態に分かれて考えていかなければならぬだろう。  一つは大都市の現在の流しタクシー中心とするタクシーであります。しかしこの場合でありましても法人と個人が分かれておりますが、法人と個人そのものがタクシー営業の実態にもうすでに格差が出てきている。この辺をどう調整をしていくかという問題がございます。  それからもう一つは、団地と高速鉄道との間の輸送でございますけれども、場所によりましてはバス輸送需要ほどの輸送量はない、しかし日常の鉄道と団地の輸送の中で規則的な公的な輸送機関が必要だというところでは、相乗りタクシーというようなものを新しい一つの企業形態として考えていかなければなりませんでしょうし、あるいはディマンドバスのような形が必要になってくる。  それからもう一つは、一番問題は自家用乗用車であります。自家用乗用車の場合に、現在ナンバープレートを単純に二つにしか分けていない。いわゆる営業用と自家用という白ナンバーと青ナンバーの二つしかございません。しかし現在の自動車機能というものを考えた場合に、ナンバープレートを含めて社会的用途別に分類をもう少ししていかないと、規制をかける意味においても非常にやりにくいだろうということになってまいりますが、その場合に社会必要度合いの一定の基準を設けまして、それによって公共輸送機関を阻害しないという一定時間、一定エリアにおいての対策というものを考えていかなければならない。そうなりますと、自家用車の場合におきましてはレジャーとして利用される側面、それからもう一つは、わが国においてはパーク・アンド・ライド方式というのは非常にむずかしいのではないかと思いますので、むしろキス・アンド・ライド方式、場所によってはパーク・アンド・ライド方式を持たしていくという中で、それぞれの輸送機関の特性、社会的要請度というものを有機的に結合させた体系の再編成というものが必要になってくる。以上は旅客輸送でございます。  貨物につきましては、国鉄、航空機、海運、それからトラックというものの輸送分野の確立と調整の問題が今後非常に大事になってくるのではないか。この両者間にある程度競争の原理を導入することが必要だという論者もありますけれども、しかし、あえて競争ということばを使うのであれば、公正競争も必要でありますし、同時に過当競争を抑制するような公共統制というものが配置された中でコントロールをしていく必要があるのではないか。  非常に原則的な大まかな意見でございますが、基本的には私は以上のように考えております。
  21. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 第二点目は、今野先生と井手先生にお伺いをしたいのでございますけれども、実は税制面において自動車というのは非常に現在かけられ過ぎているのではないかと私は思うのでございます。たびたびお話にもございましたように、現在八つの税目がかけられ、しかもその目的というのが非常に種々雑多、全く私は混乱しているのではないかと思うのです。去る三日前の金曜日の委員会でも福田大蔵大臣も、自動車というのはもう必需品である、奢侈品ではないんだというふうに述べられておりますし、いまの自動車の普及率から見るならば、私は、奢侈品ということの観念でものを考えていてはいけない時代になると思うのです。しかし自動車には物品税がかけられ、またさらに今度の場合には——いままでの税制ですと、トラックなどに揮発油税あるいは物品税がかけられてこなかったというのは、やはりこれは産業政策上の理由からだと思うのですけれども、今度は安くなっているところに逆に、先ほど先生方も言われましたように、重量税という、重さによって、つまり道路の破損の度合いによって税金をかける。いままで低くしてあったところに今度は重い税金をかけるという、税金の取り方としては全く混乱をしているのではないかと私は思うわけなんです。  その辺の観点について私は両先生と御意見を一にすると思うのでございますけれども、それではもう一歩前に進めまして、しからば自動車というものの税制整備するということならば、現代的な感覚で自動車税金を取る場合には一体どういうふうに考えていったらいいのか。一つは、たしか今野先生だと思うのでございますけれども道路利用税、こういう考え方もあると思うのですが、確かにこれだけ混乱している現在の自動車に対する税金を具体的にすっきりとしたものにする、こういうためには現在の自動車のものの考え方から発想して、税金というものは一体どうあるべきだと先生はお考えになっているかをお聞かせ願いたいと思います。
  22. 今野源八郎

    今野公述人 お答えいたします。  自動車の性格あるいは経済的、文化的機能をどう認めるかということ、これは非常に問題があると思います。同じ公述人の中でも清水さんと私は、お聞きのように違っております。自動車ぜいたく品であった、あるいはいわば第二次的な交通機関であるという時代は私は過ぎ去っていると思います。もちろん自動車でもレジャーに使うものがあります。しかし、そのレジャーも労働生産性を高めるために使っている面もございます。建設省が行なったパーソントリップ、自動車の、どういう目的に使っているかということの調査がございます。つい最近新しい統計が新聞にも発表になっておりますけれども、ほとんどがビジネスに使っているわけでありまして、それは土曜、日曜にレジャーに使うかもしれません。レジャーが日本人にとって悪いという時代ではなくなっている。余談でありますけれども、私が交通の勉強を始めた、大学を出た間もないころに、伊豆の伊東に行く電車、あれはレジャーの電車だからはずしてもいいじゃないかという議論が戦争中ありました。しかしわれわれは、交通機関というものを使っての日本経済発展の現象、生産活動、流通活動というものをマクロとして、またミクロとして見る場合、経済現象として認める場合に、これはレジャーでこの部分は新婚旅行だからよしたほうがいいとか、これは病人を運ぶとか、そういうふうな分け方をしないのでありまして、結局大所高所から輸送機関として、輸送の機械として認める。船が機械であれば自動車も機械である。もちろんそれを悪用する人もありましょう。しかし、われわれこの自由な世界で自由な競争をしていくのに、そんなに規制というものはできない。もちろん必要な規制は私は必要だと思います。自動車鉄道のバランスも必要でしょう。飛行機とのバランスも必要でしょうけれども、要するに国民的な輸送機関として認める、機械として、マシンとして、トランスポートミーンズとして認めるということでありますならば、これを税の対象とするというのはやむを得ずするのでありまして、われわれの財源が少ない場合、それはいろんな名前で取るのもいいと思いますけれども、だんだんこれから日本が、われわれの所得が高くなり、あるいは財源を他の財源からも得られるようになりますれば、あまり交通機関に税をかけないほうがいいということであります。  結局、交通機関というものを——私は実は四十年間交通政策を講義したり勉強してきた一人の学者でございますけれども交通機関をいじめたり重税をかけるというのは歴史でありました。それは、たとえばイギリスは馬車に重税を課したことがございます。それはどうしてかと申しますと、産業革命が起こる前に、時代で申しますと十五、六世紀から十七世紀、十八世紀にかけてでありますけれども、イギリス人というのは日本人と同じように、ものの考え方がある面では非常に保守的な面がございます。道路をいためるのは馬車だというので、馬車に重い税金をかけましたり、あるいは馬車の大きさを制限いたしました。そうしますとどういうことになったかと申しますと、やっぱり輸送コストが高くなる。あるいは、つまり馬車のブロード・フィールド・ワゴンというのがありますけれども、細いわだちの馬車ですと道路をいためる、ですからローラーのような車を引っぱれば道路はいたまないというたいへんうまいくふうなんですけれども、しかも馬の足は道路をいためるから引く馬の頭数を制限したわけです。ちょうど日本の小型車というのは多少似た発想がございまして、小さな国に小さな道路だから小型で間に合うといってああいう小型をつくった。これは国際競争をするということになりますとかなり問題がございます。車体ばかり大きくて、それに二〇〇〇cc以下の小さなエンジンをつけて加速が非常にむずかしいとか、そういうものになってまいりますとかなり問題がございます。やはりわれわれ貧乏だった関係から、貧乏な国には狭軌鉄道でいいというふうな考え方、細い道路でいいという考え方、これは貧乏であった時代の産物だと思いますが、こうなってまいりまして、アメリカを追い抜くか抜かないかは別として、世界の何番目かの大国になろうというときに、自動車を目のかたきにしてこれを押えるということには、私は限度があるのじゃないか。  結局、交通機関というものは輸送機関でありますが、同時に生産過程の中に入っているものであり、生産的な機能を営み、流通的な機能を果たしているものですから、私は税はきわめて合理的なものであってほしい。たとえば今度の重量税のようなものをおかけになっても、それは過渡的なものとして、やがて、ほとんど全部の公述人からお話がありましたように、税の体系の合理化と近代化ということを進めていただきたい。その近代化という考え方の中に、大正時代に始まったような自動車をぜいたく視するというような考え方から、道路利用するということに対する道路の特別利用者と、さらに営業車は営業のために道路利用するというので——われわれ納税者の税金で、先祖以来の税金で何千年かにこの道路体系ができたわけです。イギリスの道路もドイツの道路もそうでございますけれども。ですから先祖の遺産である道路資産をわれわれはいま使っている。われわれがいまつくるのは、これは共同の交通資産として将来の子孫に残していくものです。ですから場合によっては私は道路公債でも、財源関係でやむを得なければよろしいのじゃないかという気がいたしますが、できればわれわれの蓄積の中から、税金道路をつくるのならそれもけっこうだと思います。  要するに、将来に寿命は、ローマの道路のように何百年か残るわけでございます。舗装は、いたみますから更新していかなければならぬのであります。日本でそんなに道路投資するのはけしからぬという話もございます。しかし自動車時代になって、われわれが自動車を使わないで、あるいは飛行機を制限するとか自動車を制限して、それでアメリカやドイツと対抗して生産性を上げていくことができるのかどうかということが、私は基本的な大問題でなかろうかと思います。これは自家用車とか営業車というのでなくて、やはり古いドイツの歴史学者が申しましたように、進歩的な国民は常に進歩的な交通機関を使う。その逆もまた真である。日本人は進歩性があるのならば、やはりわれわれは翼を持つ、飛行機を持つということも必要でしょうし、あるいは足にもエンジンをつける、自動車を持つということも必要だと思います。そういう意味でいつも前向きにどうかお考えいただきたい。しかし、自動車道路をこわしたり、道路利用いたしますから、それなりの負担をすべきである。もし社会的費用が発生するとするならば、私はそれを負担すべきだとは思いますけれども、しかしあいまいな社会費用ということでやたらと負担を強制するのは、やはり経済進歩あるいは公正の原則から見て問題があろうかと思います。  それで、先ほどから御質問の要点に返りますと、結局そのぜいたく税的な自動車税からだんだん道路利用税にしていくということになりますと、重量というものに、つまり増分費用と申しまして、軽い車だったら舗装はこれくらいで済むわけなのですが、ダンプとか、さらに三十トン、五十トンという、あるいは二百トンということになりますといろいろタイヤの数を、たくさん車輪をつけますけれども、その増分の費用、インクリメンタルコスト、あるいはそれだけものを運ぶ、営業のために運ぶということでありますならば、それだけのベネフィットを得られるわけですから、それに応じた税金をかけるというのはやむを得ないのじゃなかろうか。そういうふうになってきているのが欧米の大体の自動車税。ですから自動車税というのはもうぜいたく税ではなくて、自転車税的にだんだんなってくる。それはわれわれの所得がだんだん上がってくればそうなる。したがいまして、どうしても道路を占有する面積なり長さなり、あるいはそれが使う時間なり、そういうタイムとスペースとウエートをとった税体系をつくっていただきたい。それが私は合理化の方法であり、その参考としてはアメリカもイギリスもドイツもあると思いますし、大蔵省はそれに対して十分御研究になっていらっしゃるようでございます。私は、今度の税がどういう形でどうなるかは別問題といたしまして、いままで大正時代から積み重ねてきた、間に合わせ間に合わせに、今度だけ今度だけで積み合わせてきたこの九種類に近い税金というものをぜひ体系化していただきたい。  日本自動車時代、好むと好まざるとにかかわらず、われわれの足にエンジンをつけた、機動性を人間に与えるということが私はやはり大事なことであり、労働者としてのわれわれがモビリティー、移動性が高くなるということは、それだけ生産性が高くなることであります。なお、東京には自動車があふれて迷惑だというふうな向きが多いのですけれども、これは地方へ行ってごらんになりましたら、夜中に病人が出ても、何か起きても、自分の交通機関を持たないときには、バスもございませんし、鉄道も非常に不便ですし、結局は自分の交通機関にたよらざるを得ない。その上で公共交通機関を考えるというのが各国の例でございまして、これはうちを持つと同じように必需品になっている。必需品になっています。世界三十何億のうちにすでに二億の車が走っているのは、これはただレジャーではございません。やむを得ず、あるいは必需品として発達していくのでなかろうかと思います。   〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕 そういうことをお考えいただきますと、私は自動車というものはほんとうの交通機関になっている、そういうことから税制をお考えいただきたいと思います。  御清聴ありがとうございました。
  23. 井手文雄

    井手公述人 大体ただいまのお話と結論的には同じことになるのでございますけれども、現在の自動車に関連する税金は、自動車を持っておるからかける、それから道路利用するからかける、こういう二種類になるかと思います。  その前に、少しまた教科書めいて恐縮でございますけれども、租税制度というものは根本的には公平でなければいかぬ。それでその公平を期するためには直接税が非常に適当である。所得税というような、総合課税主義であり累進税率が適用される、こういうような所得税、直接税が望ましいとされておりまして、それを中心として税体系ができております。ただ所得税だけでありますと、課税捕捉漏れということで脱税あるいは税を免れる人もありますので、そこにいろいろの流通税、消費税あるいは財産税というようなものが補完的に設けられておる。そうして税体系ができておるように思います。酒を飲むということは、酒を飲む行為というのが悪いというよりも、酒を飲む行為は背後に所得が存在しているわけですから、その所得を捕捉するという意味で酒に対する税金がある。ですから所得税を免れました所得でありましても、酒を飲むとかぜいたく品を購入するとか、そういう消費行為にあらわれてくる隠れた所得がそこにあらわれてくるから、そこをつかまえる。消費という事実行為あるいは資産を持っておるという事実に着目して税金をかける、そういうことで負担の公平がはかられる。所得が変じて資産になったり消費という行為になったりする、そこをつかまえて、そっちのほうから税金を、消費税なり財産税なりをかけますと、所得税の課税漏れというものを補てんすることができる、こういうような仕組みがあるかと思います。  自動車を持っておるから税金をかける。自動車税自動車取得税というようなもの、これはどういうわけでかけてあるのだろうか。自動車を持っておるからそこに課税物件としての所得の存在がある。だからそこに税をかけるということは応能原則からきているともいえますね、この自動車税にしましても自動車取得税にしましても。それから物品税乗用車は、これは奢侈的な消費財物品に税金をかけるというのが物品税。そうすると乗用車というものを人が持っておって、それを消費している、これは奢侈品である。だから奢侈品課税といいますけれども、その背後にはそういう奢侈品を消費する力、つまり税の源としての所得が存在する、そういうことでかけているのじゃなかろうか。つまり物品税としての自動車税も、地方税の自動車取得税、それから自動車税、こういうようなものも、ぜいたく品消費する、あるいは自動車という奢侈品を所有しておる、保有しておる、ということはその背後に税源としての所得が存在する、それをとらえて課税するということは、税負担の公平ということが望ましい、こういうことがあるのじゃなかろうかと思うのですね。それから揮発油税とか軽油引取税とかいうことになりますと——地方道路税も揮発油税ですけれどもガソリン税とか軽油引取税、こういうようなものは、これは道路というものを利用するとか破損するとか、そういう利用するからという受益者負担的な考え方ではなかろうか。受益者負担的な考え方、応益原則ですね、一方のほうは。一方は応能原則、自動車を持っておるから、あるいはぜいたく品を使うから税源としての所得があるのだ。応能原則と応益原則が混在して、いろいろな自動車税体系とまで言えませんけれども、そういうものができ上がっていると思うのです。  ところで、この税制というものは非常に公平でなければいけないという観点から見まして、自動車を持っておるからとか自動車消費するから、それに課税することが応能原則にかなうかというと、先ほどからしばしばお話がございましたように、現在所得水準が上昇し、必需品化している。農村地帯においてはまさに必需品であるとか、あるいはまた自動車乗用車というようなものをこれからの新しい段階における輸送機関であると考えなければならないとか、そういうような段階になってきたわけで、現に年所得百五十万以下の者で自動車を持っておる率が七二%くらいになっておるということで、たいへん大衆化しているわけです。それが現実であり、そういう傾向がますます進んでいく。所得の低い百五十万以下の者が自動車を持っておるのはけしからぬというのではなしに、年収百五十万以下の者でも乗用車を持つ段階になってきた。こういう経済、人間社会の発展といいますか、そういう方向でものを考えていかなければならない。そうしませんというと、すべて封建時代の静かな社会のほうがよかったというようなことにもなるわけです。こういう考え方から見ますというと、自動車を持っておるからそれに課税することが応能原則に合致するとは現在では言えなくなってきておるわけです。自動車があまり多過ぎて非常に人間不在の道路だ、人間は歩くこともできない、こういうことで自動車抑制論的立場からの課税という考え方もあり得るかもわかりませんけれども、それはたとえば、先ほど申されましたように、非常に過疎地域とか農村地帯ではどうしてもそれがなければどうにもならないという必需品化しております。今度は過密地帯ではそうではないのじゃないかといいますが、そうなれば、過密地域に自動車を乗り入れてはいけないというように行政的な措置もあり得ると思うのですね。すべて一律に税金をかけることによって一般的に自動車を抑制する、そうじゃなくて、特定の地域に自動車の乗り入れを禁ずるとか、そういう行政措置も考えていい。何でも税金で政策目的を達成しようということは、これはあまり好ましいことではないと思います。  それで、いまからの自動車課税としましては、応能原則という点から、自動車を保有しておるということで、従来の奢侈品、前段階的な、いままでの経済的に発展しなかった時代考え方で、自動車を保有する、自動車消費するということが税源たる所得の所在を意味し、それに課税することが応能原則に合致するというようなことは少し改めねばならないと思うのですね。新しい段階に即して、自動車を保有する、自動車消費することがどの程度応能原則と関連するかということを新しい段階においてよく考えて、応能原則見地から自動車課税をやるならやる。従来のような考え方で、もし自動車保有税あるいは自動車消費に対する課税を安易に、負担行為の原則という観点で課税するということであれば、これは非常に大きな間違いではないかと存じます。  それで、むしろそういう応能原則的な観点からの自動車税というよりも、やはり道路利用するとか、あるいは道路を破損するとか、あるいは公害の原因になるという、そういう意味において利用者税、道路利用税とか、公害の発生者、原因者課税とか、あるいは道路を破損する、その費用を補償するとか、償うとか、そういう観点からの自動車税という方向にウエートを置いたほうが好ましいのではないか。これも先ほども申しましたように、受益者負担の原則というむずかしい問題がございますけれども、そういうことを踏まえながら、ぎりぎりこの程度のことは自動車所有者も納得できるであろうという、まあそれは合意というものも必要でございまして、何でも受益者負担の原則で拡大解釈してはいけませんけれども、そこをぎりぎりのところで、そういう観点からむしろかけるならかけるという、そういう体系に持っていったほうが望ましいのじゃないか。しかしそうなりますと、今度は揮発油税とかあるいは軽油引取税というものが非常にいまでもいろいろ文句が出ておるのに、重い重税になるのじゃないかというような反対も出るかと思いますけれども、しかしそれはやはりそういう方向へ持っていくとするならば、ある程度の負担はしょうがない。それから軽油引取税のようなものはいままで不当に軽かったわけですから、その辺のバランスをとる。  それから道路を破損させる、そういう観点からそれを償わせるという意味ならば、重量税もやはり比例課税ではなくて、ある程度累進的な課税——これは単に自動車の重さに比例して破損度が変わってくるのじゃなしに、何倍か何十倍か、とにかく自動車一トンと十トンとでは、単に一方が十倍だけ道路を破損するというのじゃなしに、その何十倍かの破損度があるというようなことも聞いております。ですからして、そういう意味においては非常に累進的なものになっていくけれども、そこまでいかなくても、若干の重量税的なものに累進課税を加味する、累進課税を導入するということは必要だと思います。ただし、その重量税の問題は、先ほどから申しましたように重量税としての新税ということになりますと、先ほどからいろいろお話がございましたように、その前にいろいろ打つ手がございます。そういうことを踏まえながら、大体こういうような方向で再編成していくべきじゃなかろうかというふうに、思いつきでございますが申し上げました。
  24. 藤井勝志

    ○藤井委員長代理 ちょっと公述人の方にお願いをいたします。時間の制約がございますし、あとにまだ質疑者が残っておりますので、お答えをできるだけひとつ簡潔にお願いを申し上げたい、このように思います。
  25. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私の最後の質問は高橋さんにお願いをしたいわけなんですが、実は私も今度の法案についていろいろ調べておりますけれども、私は別に業界と関係がないのですけれども、ハイヤーにしろタクシーにしろ、あるいはトラックにしろバスにしろ、決して現在の運賃というものは十分認められているとは思わないし、それから運賃体系というものをこのままに据え置かれていくと——私も国民の一人でございますから安いにこしたことはないのですけれども、このままではどんどんつぶれていくところが多くなるのじゃないかと思うのです。高橋さんのところは何台ぐらい車をお持ちだか、私も存じませんのでわかりませんですが、現在政府のやっておる物価対策というものは押えるだけで、安くするような助成策というのは私は何にもやっていないと思うのです。  それで最後に高橋さんにお伺いしたいのは、現在高橋さんのところで、この自動車新税が通るということになりますと、一体年間どのくらいの——ざっとでけっこうでございますが、どのくらいの税金を納めなければいけないか。それがどのくらい経営というものに逼迫感を持たしてくるか、その辺についてお伺いをしたいと思うのです。
  26. 高橋憲太郎

    ○高橋公述人 ただいまのお尋ねに対してお答えいたします。  私のところのトラック台数は大小くるめまして二百台ほどございます。したがいまして、これを平均いたしましてどのような税率になりまするかわかりませんが、平均いたしましてかりに五万円といたしましょうか、となりますればすぐに一千万円だということになります。この一千万円というものは、私の会社が五千万円の資本金でございますので、したがいまして、いまトラック事業のほとんど大半が赤字経営であるということ、こういうところからまいりまして、この負担が容易ではないということが言い得ると思うのでございます。簡単でございますが……。
  27. 藤井勝志

    ○藤井委員長代理 藤田高敏君。
  28. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 今野先生、清水先生、井手先生、三名の方にそれぞれ御見解を承りたいと思うわけでありますが、まず第一に、先生方の御意見を拝聴いたしておりますと、今回の新税問題についての当否については、他に財源を求めるところがなければ、そういう前提が率直に申し上げてついているやに、ニュアンスの違いはありますけれども、そのように私は判断をしたわけであります。と申しますのは、道路整備をやる財源が他にあるとするなれば、ここまで悪評を買っておる自動車関係に新たな税金を設けなくともよろしいんではないか、こういうふうにも聞こえたわけであります。そういう立場から申しますと、若干本日のこの公聴会のワクからは、専門的なワクからははずれるかもわかりませんけれども、私どもはすでに国会の場において論議をしてきておるところでありますけれども自動車関係だけの税制の洗い直し、再検討という前に、国の歳入歳出面全体にわたっての再検討の中から今回の自動車新税の是非について一つの結論を出すことが必要ではなかろうか。と申しますのは、たとえばこれは先生方によってもあるいは私どもとの立場においても見解を異にするかもわかりませんが、たとえば歳入面において、法人税についてはいま少しく諸外国に比べて引き上げる必要があるのではないか。あるいは特に社会的にも問題になっておる租税特別措置のうち、交際費に対する適正な課税の問題、こういう問題にいわゆる国民的な立場から適切な税制改正が行なわれるなれば、ことし必要でありますところの四百億程度の財源、あるいは来年度以降は約千二百五十億程度であるといわれております、この新税によって調達される財源、こういうものは歳入面における税制改正によって調達することは可能であるという一つの観点があるわけであります。  そういう観点と、いま一つは、これは非常にばくとした言い方でありますが、問題の国防費の関係であります。これは前年度対比において約一千億の増加を満たしておりますし、来年度以降は例によって五兆八千億の第四次防衛五カ年計画が着手されようといたしておるわけでありますが、こういう歳出面との見合いにおいて、どうしてもこの新税が必要であるかどうか。そういう観点の検討というものを抜きにして、非常に限られた限度の中で、先ほど来から全体的には私は反対の御主張が多かったと判断をするわけでありますが、そういう非常に悪評を買っておるこの新税を、極端に言えば無理をしてまで認めるような方向というものは、国勢伸長の立場から考えてもとるべき方策ではない、このように考えるわけでありますが、このような私たちの、私たちというよりも私の見解に対する三先生方の御見解をまず伺って、そしてその後この新税関係に限定した私の質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  29. 今野源八郎

    今野公述人 私は交通政策の専攻でございますから、経済学者の一人ではございますが、財政学者がおられますので、財政学者からあるいはもっと適切なお答えがあるかと思いますけれども、私個人的には、法人税からの税収をはかるということは賛成でございます。  もう一つは、税収もさることながら、先ほどもちょっと申し上げましたように、道路の寿命というものはこれは何百年でございますので、やはり土地の税金、つまり道路敷地の用地費まで償還しなければならぬというふうな、いまのたとえば有料道路考え方というものも、これは改正をする必要もあるのではなかろうかと思います。そういうことを考えますと、道路公債あるいは自動車債券等の発行も、金融市場の状況を見まして発行しても、別にインフレになるという時代でもなくなっているのではなかろうかという気が、私、個人的にはいたします。  それから道路は、これだけ経済力のついた日本としましては、過去の道路蓄積資産が少ないために非常に先進国におくれておりますので、私は道路整備をしていただきたいことを主張するものでございますけれども、考えてみますと自動車だけが道路の受益者ではなくて、沿道の土地の値上がりあるいは土地の利用のパターンが変わってまいります。東名、名神、みなそうです。何十倍、何百倍となりますが、あそこから税金を取る方法がないか。取ってはおられますけれども、あれをひとつお考えいただきたい。これは不完全ながら、アメリカや各国ではいろいろ考えたりあるいは方法をある程度とっております。たとえば道路が広くなることによって公害が発生してほこりが入ってきたり、そういうマイナスの面もありますけれども、ふしぎなことに、大体道路が広がったり高速道路ができますと地価が飛び上がる。この最大の受益者ともいえる者から取らずに、軽自動車からまで八種類もの税金をいろいろ取り上げるというのはちょっとひっかかると申しますか、複雑な気持ちに私はなるわけでございます。  私は別に保守反動でも非常に進歩派でもございません。ごく月並みの学者でございますけれども、その辺で、つまり土地の使用価値が高くなる。土地の使用価値が高くなるから交換価値としての価格が高くなるわけです。それだけのランドユースのパターンが変わるわけですから、それに対して、つまり両側何百メートル、あるいは一キロ、二キロ、非常に広い範囲にわたって地価が上がってきます。そういうときにやはり何らかの形で吸収していただく方法を今後お考えいただきたいというのが、私のつけ加えたお願いでございます。
  30. 清水義汎

    清水公述人 御質問の趣旨は二つの要点になっていると思います。一つは、歳入面から見た重量税に対する価値判断をどうするか、もう一つは歳出の面という二つの面で御質問でございます。私も財政上の問題、税法上の問題は専門外でございますので、きわめて常識的な考え方になるかと思いますが、初めにお断わりしておきます。  まず第一点は、交際費、法人税等の関係でございますが、これは先般もマスコミに報ぜられましたように、交際費等、接待費で落とされる金額が、料亭、キャバレー等でわが国では年間約一兆二千億というように報ぜられました。これは一年間の法人の株式配当一兆数千億と比べまして四千億くらいしか差がない。こういうあり方というものは私は一市民といたしまして常識的にきわめて不可解、こういう点はやはり常識の線にのっとった行政指導が必要になってくるのではないか、かように考えます。  もう一つは、現在の自動車関係税、これを交通調整の面から経済規制の面でかけるというのは、私は第二次的な問題点ではないか。第一次的にはそれらのものは運輸調整なり交通規制である程度コントロールできるのではないか。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕 それから同時に、そういう点を考えますと、現在の道路投資幹線道路に対する金額、この幹線道路重点投資策というものを今後このまま続けていっていいのかどうか。ちょうどイギリスにおける一九二六年から一九三〇年代にかけました論議、これを現在わが国でも日本的な形で検討してみる時期に来ているんではないか。そういう面では自動車関係税だけミクロ的にとらえましても、不足しているというふうには必ずしも言い切れないのではないか。  もう一つは歳出でございます。国防費の問題でございますが、これは私ども一つ国民経済学的な立場で、一般論としては、国防費が増加されてまいりますと福利厚生面、平和経済面においては相当しわ寄せされてくるというのは、これは資本主義国家におきましても社会主義国家におきましてもすでに常識でございますので、そういう面が増額されていくとなれば、これは交通関係だけではなくして、きわめて一般国民生活、福利厚生面においては重大な影響が当然くるものではないかというふうに考えております。
  31. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 時間の関係がありますから、質問点をかいつまんで申し上げたいと思います。  先ほどからの御意見を拝聴いたしておりましても、率直に申し上げて、これは学者先生に対して失礼な言い方かもわかりませんが、道路整備によって受益を受ける者はだれであるかという受益者の範囲、受益者というものに対しての概念規定というものが若干私は先生方によっても違いがあったように思いますし、またニュアンスの上においても違いがあるように思うわけであります。これは私ども、政治家の立場からたいへん簡単な割り切り方をさしてもらえば、道路整備によって受益を受けるものは国民全体ではないか。いわば自動車だけがその道路整備によって受益を受けるのではなくて、先ほどどなたか先生がおっしゃっておりましたが、道路整備が行なわれることによって民間の企業が開発される、あるいは地域開発がなされる、あるいは一般の消費者にとっても利便がもたらされる。もちろん、先ほど今野先生でしたか、マイナスの要因もそれはあると思うのです。しかし全体的に見た場合には、産業全体の立場から見てもその波及効果というものは国民全体に及ぶものではなかろうか。こういう概念的なものについて、国民的合意ではありませんが、一つの基本概念というものが整理できれば、私は今回の自動車新税のように、いわゆる道路整備をやるために、それによって受益を受けるものが自動車が一番大きいんだという形の中で、自動車だけが不合理な上に不合理な税制をおっかぶせられてねらい打ちをされるというようなことがなくなってくるんじゃないか。そういう点で、学者先生というのはなかなか慎重に御説明されるわけでありますけれども、そのあたり、いま少しく学者的な立場で、すっきり割り切った考え方を御説明いただければ、われわれこれから残された審議期間の中で検討する場合にも非常に好都合ではなかろうかというふうに考えます。この点が一点。  それと、このことに関連をして私は、道路整備によって受益を受けるものは国民全体であり産業全体であるという観点からいきますなれば、ことしの予算措置としては一般会計の中に入れておるわけであります。これを来年度以降政府がどうやるかは、これは佐藤内閣の胸三寸にあるわけですけれども、大体伝えられるところによると、来年度以降はこれを特別会計にやるのじゃないか、こう伝えられております。私の主張から申しますなれば、道路整備なんというのは、特別会計にしてそして特定財源をあさるような形で道路整備をやるのではなくて、一般財源の中からもっと思い切ってこの道路中心とした社会資本充実に当たっていくべきではなかろうか。そういう観点からいけば、これは会計上、財政上の処理の問題に関連をするわけでありますが、特別会計とするよりもやはり一般会計として、弾力性のある運用をやる財政運営のほうがより適切ではないかと思うわけでありますが、それについての御意見を聞かしていただきたい。  最後に、時間の関係で質問点だけ集約いたしますが、社会資本充実という観点からいきますなれば、先ほど今野先生はいわゆる交際費と公債と判断違いをされて、いわゆる公債説のほうを御答弁いただいたと思いますが、これは私の意見は出しません。出しませんが、いわゆる公債によって、公債財源によって道路整備充実をはかるべきではないかという説があります。この説に対する御意見を聞かしていただきたいのと、いま一つは、道路関係というのは国の財源によってやるべきものであって、極端にいえば民間資本によってはやるべきではない、民間資本は道路関係に介入すべきでないという非常に古い概念が一方ではあるように見受けるわけであります。私は先ほどの、道路整備によって受益するのは産業全体だという立場から考えるなれば、民間資本の導入ということもこのあたりで十分考慮に入れた政策検討というものがあってよろしいのではなかろうか。こういう観点から今回の新税に対する考え方をお聞かせいただければはなはだしあわせだと思います。  以上三点……。
  32. 毛利松平

    毛利委員長 公述人は……。
  33. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 失礼しました。今野先生と清水先生にお願いいたしましょう。
  34. 今野源八郎

    今野公述人 この重量税がかりに通ったというような場合には、私は一般会計に入れるべきだと思います。しかし、いままであります道路特別会計というものの歴史的な存在価値というものは、日本とかあるいはアメリカの東部の諸州とかいうところではやはりある。なぜあるかと申しますと、非常に急いで自動車時代を迎えて道路整備するというときに、自動車から税金を取るほうが、受益者、おまえのためになるのだからというふうな形で取るというほうが取りやすいということもございます。もちろんドイツとかイギリスとかの場合は一般会計でまかなっている、というのはこれは非常に歴史的な背景があるわけでございまして、もしわれわれも徳川時代から道路整備がなされていれば、やはりイギリスやドイツのような形でもよかったと思うのです。御存じのようにイギリスの場合には、舗装道路ができましたのはもう十七世紀ごろからできておりまして、何百年かにわたって道路整備をしてきております。ドイツもまたそうでございますし、フランスもそうでございますが、特に御存じのようなドイツの高速道路、アウトバーンはいろいろな国家目的のために国費をもってつくられている、あるいは道路債券をもってつくられている。ところが日本では敗戦後に、金がないというときに何とかして道路をつくろうということで、たまたまガソリン税というものが非常にいい財源でありましたために、それをほかの目的に使う、つまり教育費に使うとか、とにかくガソリン税が引っぱりだこになっているようなときに、道路という社会資本充実がやがて日本経済成長下部構造になるという認識から道路整備特別会計をつくられたというのも一つの卓見であったし、非常にプラスだったと私は思います。同じように最近は航空の特別会計をおつくりになるそうでございますが、原則的に申しますと、やはり一般会計の中であまり特別会計をつくりますと財政の硬直化になりますから、私はあまりつくらないほうがいいと思います。しかしこういう特別な場合、短期間に航空の地上施設なり、あるいは空中の安全施設をしなければならぬとか、いろいろなレーダー施設をしなければならぬとか、道路整備をしなければならぬというような場合には、それなりの意味、歴史的な意味はあると私は思います。  なお、懸案の鉄道とか、あるいはその他の交通機関整備という、社会資本交通資本の整備のために、これを交通特別会計にされるということにつきましては、先ほど申し上げましたように私はそれは反対でございます。というのは、何だかわからなくなってしまうほど混乱する。それから、それを判断する基準というものがない。それは努力をして計数的に計量的に捕捉はある程度できますけれども、非常にそれはむずかしい。そして第二の食管会計とか、あるいは第二の赤字線の問題をかかえているだけに非常にむずかしいことになるし、総合交通体系そのものが、資金配分とか何かはルーズな形ではできますけれども、どれがいい交通機関でどれが悪い交通機関なんてものはない。結局われわれはうちを出てから、あるいは貨物輸送する場合に、インターモーダルトランスポートと申しまして、連続的な交通体系でありまして、うちから停車場まで来るのは自動車。歩くわけにはいきませんし、馬車を使うわけにはいきませんから。それは税金が重いとか、鉄道は有用であるとか、飛行機はどうだとかということは格づけはできない。それは国民経済の発展の段階に応じて変動、発展するものであるということからしまして、そういう無理に政治的に位置づけをするということはどこの国でも非常に無理だ。また現にやって成功した例はあまりないということを申し上げたいと思います。  なお、先ほどちょっと一つ落としました。自動車が第一の利益者ではなくして、国民全体、産業全体ではないか。私はそう思います。しかしながら自動車道路利用して直接走行便益を得ている。それから荷いたみがないとかいろいろなことで、自動車を中間としましてその地元なりあるいは国全体なり、鉄道だけに張りついていた産業立地が自由選択的になるとか、港湾から奥地が開発されるとかいうものが出てまいりますので、いわば間接的と申しますか、重要な開発利益ではございますけれども、そういう意味自動車がまず第一の利益者ということになるのではなかろうかと思います。
  35. 清水義汎

    清水公述人 御質問の全部に必ずしもお答えできないわけでございますが、三点について意見を述べさせていただきたいと思います。  まず第一点は受益者負担の概念をどう考えるかということ。私は、従来使われていた受益者という概念はきわめて狭義な意味の受益者しか指定をしていないというふうに考えております。いわば交通機関の受益者というものは利用者に限定されて考えておる。たとえば大都市の通勤電車の旅客は現在受益者どころではございません。これはむしろ被害者になっているわけでございます。そこで受益者というものを考えます場合に、一つ道路及び交通機関利用する利用者でございましょう。それからもう一つは、たとえば道路が開発される、鉄道が開発された場合に、その沿線の企業あるいは土地所有者は、自己の努力あるいは投資というものとは無関係に投機的に地価が上がるような場合がございます。あるいは市場が拡大をされる場合がございます。これらの者も現代的な条件の中では受益者として考えていかなければならぬ。いわば利用者としての狭義の意味での受益者と、いま申し上げた受益者と、この二つの意味が内容的には含まれているのだというふうに私は考えております。  それから第二点は、一般財源として考えたほうがいいか、特別財源がいいかという、私もこれは一般財源として考えたほうが適当だというふうに考えております。といいますのは、ほかの国の例を見ましてもこの種関係のものにつきましては、たとえば道路五カ年計画であるとかあるいは総合交通体系わが国で申しますればいま御議論になっております総合交通体系だとかいうようなものが論議をされ、その計画が議会において決定をされ、あるいは年次において修正をされるという中で予算の支出について十分御論議になりまして、年度年度の最も必要適切な内容を盛った形で議決をした上で支出をきめていくという方向のほうが、むしろ理想的ではないかというふうに考えております。  それからもう一つは、道路に対する民間資金投入と民間有料道路のような考え方に対してどうかということでございますが、レジャー道路であるとか、あるいは特殊な道路で、それが地域あるいは地域住民の生活なり環境を阻害しない範囲においては、有料道路の一部は民間において原価主義の原則の中で建設をしていくという方向も、現在のモータリゼーションの中では考えていいのではないか。道路というものは基本的には公共的施設でございますけれども、しかし一部特例を除いてはそういう方向も考えていく中で、これは企業ベースの中で処理をし、利用する者は原価主義で支払っていくというような方向を考えることも、私は決して誤りではないというふうに考えております。
  36. 毛利松平

    毛利委員長 松尾君。
  37. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 最初に一点今野先生に伺いたいのですが、まず先生からは冒頭に、本自動車重量税法案については修正ないしきびしい条件で、複雑な気持ちで賛成なんだ、こういうおことばがございました。しかし、先生の御意見と、それからただいまお答え等を伺っておりますと、どうも、どういう点に賛成をなさるのかという点が私にはわからなくなりまして、むしろ全部反対じゃないか、こういうふうに私は伺ったわけです。交通機関にとにかく高額の税金をかけることは問題だ、こういう御意見ございましたですね。これも結局、先生はこういうことは反対だという御意見であろうと思うのです。ただ、その高額の税金をかけるのが反対だという趣旨が、いま高橋公述人からあった三千何百のトラック業者等はもう倒産に近い。それから全自動車ユーザー等が、あるいは保有者がことごとくもう手一ばいの税金をかけられている。こういう中で、こういうものをはっきりつかんだ上で、大衆課税であるから反対だという御意見なのか。としたならばこれを修正すれば賛成なのか。その点が私にはどうもはっきり受け取れないわけです。  それからもう一つは、将来六十年代には二倍、三倍に経済が伸びていく、こういう中で自動車というものが非常に重要な位置づけをされるというお話がございまして、そういう将来の見通しの上から、現段階ではやむを得ないけれども、こういう重量税法案というものに反対なのか。あるいはまた大正時代から積み重ねられたところのめちゃくちゃな現税制、八種類税制というもの、これを整備しなければ反対なのか。こういう点がどうも私にははっきり受け取れなかったものですので、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  38. 今野源八郎

    今野公述人 お答えいたします。  私、全く複雑な気持ちでございまして、第一、その修正をお願いしたいというのを具体的に申しますと、この法律の一番最後に理由というところがございまして「道路その他の社会資本充実の要請を考慮し、」というのがありますが、私の気持ちとしては「道路等の充実」というふうに直していただきたい。これを青函トンネルに持っていったり、どこへ持っていくんだかわからない。交通と名のつく関連にみんな持っていかれるようなものを自動車から取っていただくということには、どうも国民の一人として、あるいは交通学者として反対というのがはっきりした気持ちでございます。  それじゃ賛成の部分はどこだと言われますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、日本税体系の中に重量税的な、つまり道路利用税としてのウエートをつけて、つまり加重をして幾らかのプラスアルファをつけて取るということが初めてここへ出てきたということは、やはり進歩のきざしがあるということで私は賛成だ。しかしそれもトラック業界その他に非常に大きな影響がありますので、あまり多くないということであって、しかも財源がいまこの場になってどうにもならない——私個人としても、法人税その他、あるいは土地の値上がりから税金を取るとか、いろいろ歳入の方法はあると思いますけれども、この段階でこれを何とか通さざるを得ないということであれば、道路等の安全施設あるいは道路公害、大都市において特に高級な道路をつくっていただく。地震がありましても、あるいはその他天災、人災がありましても、あまり人が死ななくてもいいような、そして道路によって人が助かるような、そういう火災、地震その他を考えたときの道路というものは残念ながらいま日本にないわけでありまして、これは保険料を払うような意味でも、非常に幅の広い道路なり森林をまわりに置きましたような、ベルリンのまん中にありますような道路とか、あるいはパリを東西に切っているような道路というのは東京にも大阪にもございません。これはやはり私はつくっていただきたい。そういうことは、これだけこれから裕福になろうというのであれば、計画でも持っていただきたいのです。道路をつくれば車が出てくるということでありますけれども、これはいろいろな問題がございますけれども、私は、やはり広い道路というものは日本経済成長一つのシンボルでもありますし、国民の安全というための保険料でもあろうかと思います。  それで、それじゃ条件とはどういう条件かということなんでございますが、私は先ほどから、取るのなら一般税として取るということ、もう一つは、これは将来とも営業車自家用税率先進国並みに改正してほしい。ディーゼル油税を。これもトラック業界には悪いんですけれども、しかられるかもしれませんけれども、やはりわれわれ一般国民道路営業車がお使いになるということは、営業のためにお使いになっていらっしゃる。なるほど免許証は公共の便宜と必要性に応じて、パブリック・ニーズ・コンビーニアンスのために営業を許可されているということは、公共運送人としての責任がございます。しかし、裏は営業で配当をしておられるわけですから、商行為をなさっておられるわけですから、われわれのつくった道路を営業にお使いになっていらっしゃるから、その営業に見合った、道路利用されるトン・マイル税なりあるいは売り上げ税というものを営業税とはまた別に払うというようなのが世界の大体の傾向になりつつある。そういうのもあるいは過渡的かもしれません。土地の値上がり等からもっと税を取れれば、それも非常に軽減されてもいいと思いますけれども、いろいろなそういう日本の税のひずみを直すという条件つきで私は承認したいということなのでございます。先ほどからいろいろな人が申し上げていることなんですけれども……。
  39. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いまお伺いしたわけですが、どうも条件というものがいまの新税を認める条件ではないように私は伺ったわけです。これは見解の相違かもしれませんけれども……。  そこで、いまの今野先生のお話によりますと、ほかに財源がなければということでありましたが、先ほども藤田委員から、財政収支全体から見て考えるという点が欠けているではないかという意見がございました。これに対して私も同感でありますので、新法案に盛られたこの額、初年度で約四百億、平年度で一千二百五十億、こういうものがはたして現在の税全体の体系の中からでも考えられないものか、それからさらに歳出面でも考える余地があるのではないか。こういうことは私は感ずるのですが、専門の井手先生から、ほかにこのくらいの財源を捻出する余地があろうかなかろうかという点についてお伺いしたいと思います。
  40. 井手文雄

    井手公述人 初めに、財源がほかにあるかないかということでございますが、初年度四百億、平年度で千二百五十億の収入でございますが、この千二百五十億について申しますと、先ほどもちょっと申しましたように、租税特別措置を先ほどのような理由で洗い直す、あるいは整理、合理化する必要がある、そういう段階に来ておるわけですけれども、なかなかそれが手についていない。これをやれば千二百五十億は優に捻出できるのではなかろうか。  それから、法人税の問題も先ほど問題になりましたが、これは三五%、昨年久しぶりに増率されたわけでございますが、昨年の場合は多少は景気を抑制するということ、あるいは民間部門と公共部門との間の資源の再配分をはかる、こういうようなことで三五%の部分が三六・七五でございましたか、引き上げられましたけれども、これはやはりそういう資源の再配分あるいは景気調整ということと同時に、また適正な法人税の負担関係ということを考えながら適当な税率を考えるべきだ。もちろん景気調整も全然考えないわけではありませんので、非常に不況になれば減率をするということもありますが、税率を引き下げるということもございますけれども、これは一般的にいってもう少し上げることも可能ではないか。それが法人、個人間の負担のバランス調整にも役立つ。この点は法人擬制説か法人実在説かというような問題とからみまして、税理論上むずかしい問題でございますけれども、一応そういうことをおきまして考えまして、法人税のほうからも若干の収入はあり得るし、租税特別措置法の全面的洗い直し、これは先ほどございましたような交際費課税の強化を含めましてやることによって十分に調達できるのではないか、こういうふうに思います。  それから、もう一つは歳出でございましたか、歳出も、私先ほど触れましたけれども、量出制入原則と量入制出原則——こまかいことはもう時間がございませんからここで申しませんけれども、私は現段階においては国家といえどもやはり収入源、収入の力というものを考えながら歳出を考えるということも必要ではないか。つまり一方的に歳出を優先的に先決していく、歳出経費先決型ということになっているわけです。社会資本が非常に不足している。道路も不足している、ほかの社会資本も不足している、だからこれだけの財政支出は必要だ、財源はあとに続いてこいというように経費先決型になっておるし、また財政学者の中にもそういうことを主張する人も多いわけです。確かに社会資本は不足している。しかしそれだからといって一方的に経費先決型で、歳入はそれに続け、財源はどこかさがしてこいというようなことでは、これは国民を納得させるような財政の体質にもならないと思うわけでございまして、やはりこれは歳入と歳出とは同時的に調整しなければならぬというわけです。そうして歳入面から歳出をチェックするという面もあって初めて財政支出の効率化ということができるわけです。ですから、そういうことで財政の体質を改善する。財政支出を効率化すれば、現在のような道路整備五カ年計画の財源はそういう効率化の中からも幾分か出てくる。それから歳入面で、税制面の先ほどのような改定によっても出てくる、こういうふうに思います。  それから防衛費の問題が出ましたけれども、特に防衛費とかそういうことではなくて、もう少し、何をやるべきか、国家として財政政策として何を優先的に実現すべきかという国家目的といいますか、実現すべきいろいろの価値の優劣、優先度をもう少し科学的に検討しなければならぬと思うのですね。ただ感覚的に、どういう面で欠乏しておるからそっちのほうへ支出をしなければならぬとか、こういうこともしなければならぬということではなしに、もう少し優先度、実現すべきもろもろの価値の優先度を決定する、正確に科学的に決定する。そういう価値順位の中で防衛費がどうなるか、あるいはまたその他いろいろの国民厚生福祉の面でどれだけ財源配分すべきかということになるわけです。ところがそういう点が非常に欠けているんじゃないか。財政、予算の編成ということも非常にそういう点が欠乏している。非常に一生懸命おやりになっておられますけれども、やはりそういう点が学問的にも実際面においても欠けておるわけですからして、その点を十分に考えなければならない。そうすればおそらく国民が最も要求しておる価値というものの実現にウエートを置いた予算の編成ができるのじゃないか。さらに資源の最適配分も可能ではないかと思います。PPBSとか、ああいうものの導入というものもございますけれども、それを単にコンピューターとか機械にたよるのじゃなしに、ああいうコンピューター等々によって結論が出るというのは、それを利用しながら、しかしその前提としてさらにいえば、人間が結局どういうものを実現すべきかという価値判断、根本は人間である。しかしそれを新しい方式によって、PPBS等によって科学的に裏づけていくということになるのじゃなかろうかと思います。そういうことになってくれば、防衛費というものが過大であるとかあるいはそうでないとか、あるいはもっとほかに回すべき使途があるのではないかということも当然出てくる。その辺のところが非常にあいまいになっておる、こういうふうに存じます。——この程度でようございましょうか。
  41. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 時間が限られて、もう請求されておりますが、もう一点。  今度の新税創設の背景になりましたものは、現在の社会問題の一つの大きな問題として道路環境を急速に整備していかなければならないということが背景になっておるわけであります。これはもうだれ一人異論を唱える者はないわけでありますけれども、この道路に対する財源を何に求めるかということが非常に議論のあるところでありまして、一般道路財源については先ほどからも論議されました、受益者負担といっても自動車ばかりではない、社会開発にも続いて一般国民も受けるんだ、こういう面がありましたし、直接受益、間接受益を考えれば、非常にこの受益という面を取り上げて自動車にだけかけるということは問題があります。それからもう一点は損傷負担という問題がありまして、これは高橋さんにはおこられるかもしれませんけれども、比較的にいままでトラックが安かった。重量トラックが安かった。しかし損傷面で考えるとトラック道路を破損している、こういった非常にむずかしい問題をはらんでおりますので、この道路財源には、一体受益者負担という面では直接、間接をどう配分するのか。あるいは損傷という面ではトラックにあるけれども、現実に輸送という社会輸送機関はどれだけ考えなければならないかというむずかしい問題があるわけで、この一般道路財源にはどういう方向で何を充てるのが適切かという点につきまして、ごく簡単に今野先生、清水先生、井手先生にお願いしたいと思います。
  42. 今野源八郎

    今野公述人 やはりさしあたっては、私、道路利用者税として、利用及び便益の度合いに応じてかけるというのが第一のプリンシプルだと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、道路の受益者というものは自動車だけではない。ですから、取られれば都市計画税のような、つまり沿線の土地の所有者あるいは借地人、建物、そういうものにかけるということを今後もっとくふうすべきだと思います。しかしさしあたりは、やはり道路整備特別会計もありますので、自動車からある程度は出さざるを得ない。しかし、その出し方がいままでのような自家用に重くて営業車に軽いとか、あるいはいろいろな名目を通してたくさんの税の種類をつくってきたというようなやり方では、今後やはり問題があろうということでございます。  それで、道路鉄道あるいは海運、航空とはそれぞれ違った機能を持っております。似たような機能もございますけれども、やはり代位もできませんので、私は長い目で見ればもう一つは、税だけじゃなくて、公債なり債券なりの発行、それは民間資本あるいは金融市場を通じて調達をするというやり方もよろしいんじゃないか。そうしませんと、道路の直接の利益者が不当なと申しますか、一時にその時代だけの——今度は時間的な単位で申しますと、いまのわれわれだけで、日本の今後五十年残る道路を全部われわれのポケットから出さなければならないのかということになりますと、やはり問題になってくるということもございますので、そういう意味では、金融財政事情が許せば道路債券なり道路公債というものも、減債基金の制度を設けてつくられると思いますけれども……。
  43. 清水義汎

    清水公述人 この道路に対する財源を何によって調達をするかという限定で議論をいたしますと、結局道路特別財源というような発想でものを見ざるを得なくなってくると思います。私はこの問題に関しまして簡単に御参考に供したいと思いますのは、イギリスの道路財源についての例でございます。  一九〇九年に自動車燃料税と自動車税を、これは受益者負担という形で、最初は全額を道路特別会計という形で道路財源にしておった。ところが一九二六年にチャーチルの提案が出てまいりました。これが私は非常に重要な意味を持っておると思いますが、これは二つの理由で提案いたしました。その一つは、自動車の急速な普及は好ましくない。それから二番目は、鉄道を保護する必要がある。この二つの主要な理由で、一般会計にこのロードファンドの収入の一部、これはガソリン税収の三分の一であります、これを一般会計に繰り出すことにいたしました。その後一九三六年、チェンバレンは、一般会計にすべて入れてしまう、そして議会の審議、議決により、そのつど一般会計から道路特別会計に繰り入れ額をきめるのだという解釈なり考え方に変更しております。  そういう点で考えますと、特定財源をもって道路だけで処理をしてしまうという問題ではなくなってきているのじゃないか。少なくとも現在、道路の問題は都市問題にも関係ございます。地域開発にも関係ございます。国民経済全般にも関係をしていくということになりますと、もちろん道路というものをミクロ的に見ながらその財源というものも考えていかなければなりませんでしょうが、基本的にはより総合的に、むしろマクロ的に道路をどう考えるのか、国民経済的にどう考えていくのかという点で考えますと、むしろ一般会計の中から、毎年の議会の審議と議決によってそのつど重点的な、しかもでき得れば従来のような積み上げ方式ではなくして、重点的な方式で特別会計への繰り入れを決定をしていくという方式が、この道路財源としてのあり方の中で必要になってくるんではないか。同時にその場合に、公共輸送自動車については減免措置というものも検討をしていかなければならない問題ではないか。直接、間接の還元をしていくという方式も当然公共大衆輸送機関の維持のためには必要になってくるのではないか。イギリスの場合には、ガソリン税の場合には営業用の自動車については二分の一還元という方式をとっているわけでございます。  簡単でございますが……。
  44. 井手文雄

    井手公述人 国の財政支出をどういうような財源でまかなうかという場合に、一つ考えられることは、租税でまかなうか料金でまかなうか、租税主義か料金主義かということが一つございます。これはまずきめなければならぬと思うのです。たとえば国鉄の場合、料金主義でいくならば、経営収支償う程度の運賃を取ればいい。しかし、それを非常に公共的な事業だと見るならば半分の運賃、あるいはむしろただで乗せる。極端に公共的なサービスは無料であるべきなんですね。もっとわかりやすくいうならば、たとえば市電や都電、これを経営が成り立つようにするためには何十円という料金を取らなければいけない。それも一つ考え方です。しかし、非常にこれが公共的なものであるならばただで乗せるべきであって、そのかわりにその運営は税金で運営する。税金というのは、結局ただということはございませんけれども、個別的に乗る者だけが、利用する者だけが払うという料金じゃない。ですから結局、国家の経費のうちで、料金でまかなうものと租税でまかなうものとをまず分けて見なければならぬ。この辺の理論が非常に不徹底になっていると思うのです。  それで、料金じゃなくて、税金でまかなうべき部分がこれだけだとするならば、その税金はどういう形で取るべきかということでございますが、先ほどから申しましたように、受益関係がはっきりしておる場合には応益原則によって徴収してもいいわけです。しかしその受益関係が非常にあいまいである限り、原則としては私は能力原則といいますか、応能原則で徴収するべきである。応能原則に従って公平な税制のもとに税金を徴収して、それによって税金でまかなうべき部分はまかなう、残りは料金でまかなう、こういうこと。  そうしますというと、結局、道路の場合においても特定財源一般財源かというときに、基本的には一般財源でなければならない。それはもちろん一般会計においての一般歳入から支弁さるべきである。特定財源のように特定の租税収入の一部を特定の支出に向けるということは、これは財政民主主義あるいは民主的な予算制度にもとると思うのですね。メン・アフェクタシオンの原則からいいましても、特定の資金を特定の財源のために保留することは民主的ではない、こういうことになっております。租税というものは大体無目的に、全体として八兆円なら八兆円というものを支出の財源にするということで、本来租税というものは目的がないものなんですね。何々目的のための租税というものは、よほど特殊の場合にそうあるべきである。それをすべてひもつきの目的税、所得税は何々目的である、あるいは酒税は何の財政支出に向けるというふうにきめてかかるということは、これは財政民主主義に反するということになるわけですからして、原則として私は一般財源によるべきである。しかし受益関係がはっきりしている場合に限って応益原則によって、受益者負担の原則によってまかなってもよろしい。ただ現在の道路の問題は、先ほどから申しましたように非常に受益関係が拡散して全国民的に及ぶ傾向がありますので、よほどこれは慎重にしなければならぬ、こういうふうに存じております。
  45. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 最後に一点、高橋公述人にお伺いしたいのですが、全国で二万三千八百社ほどのトラック業者が非常にいま経営がたいへんだというお話がありました。先ほどの公述人諸先生の御意見の中にもそれぞれ、この新税を設けることは物価の引き上げに影響する、はね返りがある、こういう御意見も伺ったわけですが、かりに今度の新税が創設された場合に、トラック業界では運賃その他にかけることなしにどこかで吸収できるかどうか、その点をひとつ一点最後に伺って私の質問を終わりたいと思います。
  46. 高橋憲太郎

    ○高橋公述人 ただいまのお尋ねに対してお答えをいたしたいと存じます。  冒頭に申しましたように、運賃の大幅の改定が認可されない以上、現在もう近代化あるいは合理化を非常に進めて今日までまいっておりまして、それも限度にきておると思います。したがいまして、ただ一つの収入でありまする運賃を増額していただく以外にはちょっと支出の道がないということを申し上げて差しつかえないと思います。例を人件費の問題にとりまするならば、昭和四十三年度におきまして三五%ぐらいが収入に対する人件費でございましたが、本年、四十六年度におきましては五〇%というような増額を示しておるわけでございます。なおまた、トラック事業につきましては、先ほど申し上げましたような税のほかに、いろいろな税といいますか、措置が講ぜられておるというようなこと等で、約一〇%ぐらいは税負担に相なるであろう、こういうようなことからして、なかなか担税能力がないということを申し上げたいと思います。
  47. 毛利松平

    毛利委員長 竹本君。
  48. 竹本孫一

    ○竹本委員 最初に今野先生にちょっとお伺いしたいと思います。  それは、私がずっと前に読んだ本で、いま著者も忘れてしまったのですけれども、金本位制が論ぜられたあとを受けてですけれども、もうこれから先は金本位制ではだめだということから説き起こしまして、結論は、経済の発展というものは輸送交通というものが決定的な条件をなすのだ、したがって将来、つまらない、あるいは無原則なインフレを押えるためには、経済の実態を一番あらわすものは輸送であるから輸送本位制にしろ。アメリカの書物でございましたけれども、そういうものを読んだことがある。  自来、私は輸送という問題について目を少し開かしてもらったわけでございますけれども日本経済の場合、あるいは高度成長の問題の場合、あるいは日本だけではありません、ソ連の計画経済の場合におきましても、一番隘路になるのは常に輸送だと私は思うのです。日本経済もいますでに世界第二とか第三ということになりまして、二十一世紀は日本の世紀だといわれるハーマンカーンさんの言うようになるかならないかは別として、これから経済が大きく伸びていかなければならぬというところで、一番大事な問題はやはり輸送の問題、交通の問題だ。先ほど先生のお話のあった交通機関の問題だ、そういうふうに思いますから、私はそういう意味で特に流通革命ということを言いたい。先ほども哲学の転換ということも、どの先生からでしたか、お話がありましたけれども、そういう意味で私は経済政策を考える場合に、一番基本的な認識を変えなければならぬ点は、生産重点主義の従来の考え方から、消費の重要性を説くのもいいでしょうけれども経済を伸ばしていくという面だけに限定して考えてみれば、流通革命、輸送の問題が一番大切だ、そういうふうに私は考えておるわけです。輸送本位制になるかならないかは別としまして、輸送というものを中心にこれからの経済政策は考えなければならぬというふうに考えますが、そういう点から見れば、日本経済政策、いろいろ計画もありますが、その中で一番立ちおくれておるものはやはりこの点ではなかろうか。特に今野先生はその道の専門家でございますので、そういう点をどういうふうに見ておられるか、承りたい。  特にまた、そういう政策、交通政策あるいは総合交通体系といったようなものが非常に立ちおくれておると言われるならば、そのポイントを三つばかりひとつ具体的にお示しを願いたい。そういう立場から、いわゆる自動車新税というものについて、先ほども生活の必需品だとかいろいろお話がありましたけれども、その進歩的な交通機関を使うということについてむしろ奨励しなければならないときに、この新税はマイナスの効果がある意味においても反対すべきではないかと思いますけれども、その点についても先生の御意見をまとめてお伺いいたしたいと思います。
  49. 今野源八郎

    今野公述人 お答えいたします。  交通の重要性、これはお説のとおりでございまして、日本人と申しては語弊がございますけれども、われわれ小さな島国に住んでおって、船があれば輸送が足りたということもあると思うのですけれども、欧米の先進国の場合には、経済成長の場合に非常に交通というものを重視する。いま御引用されましたアメリカのような大陸で、自分で鉄道つくり道路をつくっていかなければならなかった。交通機関の創設、開発に国運を賭しての時代があった。そういうエネルギッシュな交通路の開発というのが、港湾をつくり、船をつくり鉄道をつくった時代の明治で何か息が切れちゃって、私たちがやり出したころにはその惰性で、そういうことを言っては悪いのですけれども、国も役所も国民も安心して、鉄道も船もあるということで来たような気がいたします。  ところがその間に御指摘のような流通革命、自動車、航空機が発達してまいりまして、全く日進月歩でございます。それで結局日本で一番欠けておりますのは、運輸行政の批判になって悪いのですが、やはり運輸業者の育成を通じて日本輸送力を高める、これは日本の資本主義の発達がそういう沿革からきているのでやむを得なかったと思うのですけれども自家用国民的な輸送力という考え方が非常に少なかったということであろうかと思います。それでいまでも税制にもそういうことが残っていると思うのです。そういうことで、日本鉄道とかトラック業界、バス業界、海運業界の方が非常な貢献をされたとことは認めます。しかし同時に、船にも自家用船があり、だんだん自動車の九九%が自家用というふうになってまいりますと、やはりアングロサクソンやゲルマンの考え方のような国民的な輸送力、あるいは社会的な輸送力として全体を把握する。マクロ的にも、そうしてミクロ的にもあまり差別をつけない。ただライセンスを持っているか持ってないかということでは多少は考慮をする。しかし、たとえば生産性公共交通機関においては高いといいますけれども、それは水揚げが高いということで、先生方自家用の、かりに一日何回きり乗らなくても、その水揚げを金銭的に比較することができない価値を持っていると思います。で、結局アメリカやイギリス、ヨーロッパの交通政策考え方は、自家用はすべての国民に持たせる。そのほうが一番安全だし、国はとても人の足までめんどうを見られない。足りないところを公共機関でやりましょう。それが人災があっても天災があってもそれ以外にない。だから道路はいずれにしてもつくらざるを得ないというのが考え方のようでございます。  私、一年に一回ぐらい外国に出てそういう議論を役所に行って聞いておりますけれども、たとえばアメリカへ参りまして、まだ高速道路道路をつくるんですかと言うと、とにかくつくらなければわれわれが政治をやっていられないぐらい突き上げられてくる。それはやっぱりそれだけの需要があるからだと思います。ということは、ただ好きとかきらいとかではなくて、経済がダイナミックになってきて、人間、労働者としての、あるいは労力としてのわれわれの移動性を高める、しかも安くして早くする。また物の流れも、いまの流通革命のように安く、早く、しかもよどまずに流れるということになってまいりますと、これは輸送戦略というのは生産戦略と同じように大事になってくる。近ごろのはやりで申しますとロジスティックと申しまして、もともとロジスティックということばは兵隊に飯を食わしたり何かする戦略からきている。兵糧や必需品を配給すること、輸送することからきておりますけれども、たとえば、これをつくります場合に、どうして輸送するかを考えてから生産するというようなものはインダストリアル・ロジスティックであります。またそれをどうしてマーケットに早く運ぶかというのはマーケット・ロジスティックでございます。ですから生産と流通というもの、消費というものはもう裏表になっておるのです。  私は日本の物価高というものを突き詰めてみますと、いろいろな、インフレという金融サイドのこともございましょうけれども、生産は非常に合理化されてますけれども、御指摘のとおり日本の流通革命あるいは交通革命がおくれている、過去の惰性の上に乗っかっているということだと思います。たとえばトラックは普及した、バスは普及した、自動車はなるほどふえました。しかし道路がこんなに悪い国はございません。私は道路の現況というものは、ヨーロッパ、アメリカについて申しますといまから四十年前の状態だと思います。ちょうど私、ナチが高速道路をつくるころにドイツにおりましたけれども、あのとき国道はほとんど全部舗装されておりましたし、イギリスもフランスも舗装されてない国道をさがすことはむずかしかった。すでに数千キロのアウトバーンなり自動車道路が戦前にできておったわけでございます。それから比べますと、繁栄する日本ではございますけれども、流通革命の基盤としての交通路が隘路だらけでございます。これは道路でも港湾でも空港でも、つくれば金がかかります。しかしつくらなければこういう犠牲が出てくる。つまり流通コストが高くなるということに非常に問題がございます。流通とかあるいは交通というものは、がまんをすればいいという時代ではない。それは家もなく、着るものもなかった戦後のまだ惰性であって、何かぜいたくだという考え方じゃなくて、やはり世界の流通革命の中に日本もその一環として乗っていくということだろうと思います。そうしなければコストが安くならないし、野菜も東京に簡単には流れてこないというふうな仕組みになり、在庫投資が非常に多い。ということは、これは外国の学者がみんな日本の流通コストが高いのに驚いているわけでございます。これは品物が、生産の量のほとんど半分ぐらいがどこかで在庫になっている、あるいは輸送の上に、オンレールなりあるいはオントラックに乗っかっているということは金利を食っていることで、結局流通コストが高くて、消費者コストが高くなることでありまして、やはりこれは後進国の特徴でございますけれども、これを十年ぐらいの間に解決をしていただきたい。  もう一つは、日本は国内だけを見ておりますと、どうにか新幹線ができたり整備されているようでございますけれども、やはり陸海空の連絡、つまり道路と港、あるいは道路と空港、あるいは鉄道道路との結びつきがきわめて悪い。われわれ、マイカーを捨ててバスで来いとか鉄道に乗ってこいといいますけれども、大体車を置いておくところがどこの鉄道の沿線にもございませんので、これは国鉄か、どこでやるかは別問題として、パーク・アンド・ライドを可能にするならそういう施設もしていただきたい。要するに、交通路線とその結節点との関係が非常に悪いわけでございまして、そういう意味では、海陸一貫輸送とか、あるいはわれわれが一分を節約して乗り継ぎで目的を達するというようなときには、非常に不便な形になっている。具体的に申しますと、横浜に上がった八×八×四十フィートのコンテナが乗れる高速道路がない。高速道路は高速道路で横浜インターで切れちゃって、十六号は御存じのような……。川崎にも港湾道路がなかったり、横浜にも、全国ほとんど港湾に道路がないとか、空港に高速道路がくっついてない。最近つくってはおりますけれども。そういうことで、ばらばらなところに総合性を持たせることはやはり必要ですけれども、しかし、何でも鉄道が万能であるとかあるいは道路が万能だとか、そういうものではなくて、みんな国民サイドで見れば、やはり国民立場から交通体系を考えていただきたいということでございます。  もう一つは、国際化時代日本交通体系が国際化されてないということです。たとえば幕末に五つの開港場を設けたわけでございますけれども、ヨーロッパやアメリカとは違いまして、国際空港を持っている都市というのは東京以外にはない。これでは進歩も保守もないわけでして、結局国際化都市を持たない国では困る。たとえばアメリカは国際空港が四十五の都市にございます。北海道にも新潟にも仙台にも、あるいは九州、四国、関西にも国際空港都市が必要であり、どこからでもアメリカとかヨーロッパに飛行機が飛び出せるようなことにしなければいけない。沖繩を控えた全国、非常に細長い国でございまして、やはり飛行機による連絡というのは人間も貨物も非常に今後発展してくるのではなかろうかと思いますので、どうか国際化時代に対応した開放体制で、ほんとうにわれわれが世界の情報化時代を受け入れ、またわれわれが世界の中で活躍できるような、そういう交通体系をおつくりいただきたい。  少し離れたことを申しましたけれども御質問にお答えしたつもりでございますが、なおコストの問題でございます。交通機関にコストをかける、負担させるということは問題ではございますけれども、しかし、資本主義社会だけではなくて、社会主義社会でもやはりコストは各自が負担するというのは、これはやむを得ないことでございまして、特別な支払い能力がなければ補助するということはけっこうでございますけれども。そうしませんと、極端な話、非常に有力な大産業資本とかそういういう人たちが国鉄を利用したり、あるいは力の強い人が利用して、われわれ大衆税金を納めたり、補助金を乏しいものから出すということにもなりますので、やはり私はコストプリンシプルというものは経済の原則でなかろうかと思います。しかし、その場合にやはりベネフィット、受益の範囲においてということだろうと思います。  ありがとうございました。
  50. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間がありませんから、次へ参ります。  西内公述人一つお伺いしたいのですが、先ほど公述人の御意見を承りまして、非常にまじめな、良識的な御意見だと思いました。しかし、これは先ほども建設公債の問題とか税制改革の問題だとか、あるいは歳出面におけるいろいろな問題というようなことが議論をされましたけれども、そういう問題を抜きにして端的にお伺いしたいのでございます。他の公述人から先ほどもお話がありましたように、いま五十万円の自動車を買えば、五年間には五十三万円ぐらいの税金をあれこれ含めて負担しなければならぬ。トラックの場合でも、百三十万円のものを買えば大体百三十万円ぐらいの税金をいろいろな形で負担しなければならぬ、こういうことになっているようでございます。道路は大いにほしいんだ、必要だ。そのためには財源も要る、社会資本充実には財源が要る。しかたがないから何か負担しなければならぬではないかという、非常にすなおな御意見でございますけれども、すでに自動車は五十万円ならば五十万円以上の税金を五カ年間には負担しておるという事実を御存じの上でそういう御意見を出されたのであるか、ただ一般論として出されたのであるか、端的にその点だけ伺いたいと思います。
  51. 西内一

    西内公述人 一般市民でございますので、あまり詳しいことはわかりませんでございますが、ただ私どもの存じている範囲で申し上げますと、いま御質問のございましたような点は重々承知いたしております。先ほど来各学識経験者からお話がございましたように、非常に自動車関係税体系が複雑でございまして、なかなかそこのところが私どもにもわかりづらいのでございますが、先ほど引かれた例でございますと、たとえば物品税というようなものは必ずしも受益者負担とか、そういったような観点から課税されているわけではございませんで、これは奢侈税としてまた別途かけられているとか、そこら辺でいろいろなたてまえの違いがありますので、そういうような意味におきまして、私はまだまだ負担していただいていいのではないか。  それから、よけいなことになるかとも思いますが、先ほど来、その他の歳入面、たとえば交際費でございますとかその他、そういうようなものの課税を通してもっと財源を捻出するとか、あるいは支出のサイドで軍備その他につきましてもう少し節約をはかって財源を浮かせるとか、そういうようなお話がありましたのでございますが、私の立場からいたしますと、そういうようなものはもっともっと、さっき申しました社会保障なり社会福祉なり、そういうまさに一般国民負担しなければならない目的に大いに使っていただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。
  52. 竹本孫一

    ○竹本委員 さらに、次は高橋公述人にお伺いをいたしたいと思います。  トラック営業者の問題でございますけれどもトラック関係には中小零細の企業が多いのだというお話が先ほどもありました。全体の平均ではなくて、普通のトラック業者というのは大体何台ぐらいのトラックを持ってやっておるかということと、それからそういう平均的な、あるいは代表的な中小の業者というものは、先ほどもちょっと経営が非常に苦しいのだというお話がありましたけれども、その営業の収支といったようなものについて何か具体的に御意見が承れればありがたいと思います。
  53. 高橋憲太郎

    ○高橋公述人 お答え申し上げます。  トラック事業者の全国の車両数は三十六万台、これが現在の所有車両でございます。そのうち中小企業——中小企業と申しますると百台持ち以下をさしております。その事業者が所有しまする車両数が三十万台、こういうことに相なっております。なおまた、トラック事業の大半が中小企業であるということ、これにつきましては毎年近代化五カ年計画の実態調査を行なっておるのでございますが、その結果の数字は、百台持ち以下の事業者が九八%、なおまた十台持ち以下の事業者が実に七〇%、こういうような数字でございますので、いかにトラック事業が零細企業をもって網羅されておるかということがおわかりになることと存ずるのでございます。  なおまた、昭和四十二年、これは抽出調査でございますが、全国の四百の事業者から抽出調査をいたしました結果は赤字経営、すなわち利益を計上でき得ない事業者が五一%。これはトラック事業ばかりではなく、いわゆる自動車事業、先ほどお話のございましたバス事業にしても、ないしはハイタク事業にいたしましても同様の赤字会社があるであろう、こういうことは推測されるわけでございますが、それはいずれもやはりわれわれ事業者の経営が苦しいということ、これは一にかかって運賃が公共料金の抑制というこの線に強く押えられまして、なかなか意のごとくならないという現況でございます。したがいまして、年々歳々われわれ事業者の倒産の数がふえておるということが、いかにわれわれの経営が苦しいかということを如実に物語るものであろう、こう申し上げましてお答えにかえたいと存じます。
  54. 竹本孫一

    ○竹本委員 さらに高橋さんにもう一つお伺いしたいのですけれども、収支決算が赤字であるというお話をただいま承りましたけれども、そのほかに資金繰りの面ではどういうことか。たとえばトラックの料金の支払いは手形でもらうけれども、人件費その他は大体現金でどんどん出ていくといったようなことのために特にそれが苦しくなっておるというような面があるのかないのか。資金繰りの面からの御意見をひとつ伺いたいと思うのです。
  55. 高橋憲太郎

    ○高橋公述人 お答えを申し上げます。  われわれトラック事業者といたしましても、やはり近代化の線に沿って大いに努力をいたしております。したがいまして、全国で今日、現在二万三千八百社のうちで五百ぐらいの協同組合をつくりまして、そして共同購入あるいは共同配車あるいは共同金融というように、自主的に、運輸省の御指導のもとに一生懸命でやっておるわけでございますが、しかしながら金融の面におきましてはなかなか意のごとくなりません。したがいまして、商工中金あるいは市中銀行からの融資も中小企業なるがゆえになかなか容易でないということはお察しができようと思います。ことに運賃の面でございまするが、現金というようなことにはまいりませんし、月末にでもお金がもらえればよいほうで、やはりごたぶんに漏れず二カ月は早いほう、三カ月、四カ月というような手形の決済であるということ。にもかかわりませず、ただいま仰せのように、人件費その他等々現金で支払わなければならぬ面がございますので、手形の割引その他等々、これまた中小企業でございまするので、大企業と違いまして金利も高いというような状況であることで御理解を願いたいと思います。
  56. 竹本孫一

    ○竹本委員 もう一つだけで終わりにしますが、いろいろの御努力があるわけだろうと思いますけれども、今度の新税がかけられてくると、先ほども一千万円というお話がありましたけれども、四万円、五万円というのがトラックにかかってくる。十台持っていれば四十万、五十万、百台持っていれば四、五百万の負担がふえる。これを合理化、近代化の企業努力によって消化し得る余地はもうないのであるか。したがって、ないとすれば運賃の値上げかあるいは倒産か、そういうことに行く以外には全然方法がないということになるかどうか。先ほど来お話もありましたけれども、最後にもう一度念を押して承っておきたい。
  57. 高橋憲太郎

    ○高橋公述人 お答え申し上げます。  トラックの現状、まさにその二つに尽きると思います。
  58. 竹本孫一

    ○竹本委員 最後にマキノ公述人一つだけお伺いをしたいのですが、先ほど五つの点を指摘して反対の議論を承ったわけでございますけれども、これは連盟のマキノさんが常任理事として頭の中で考えられた反対点であるのか、あるいは大衆の中から出てきたいろいろの意見を何らかの形において吸い上げられて集約された意見であるのか、その点が一つ。  それからもう一つは、いまお話の指摘されたような問題について、大衆にも一種の啓蒙運動と申しますか、そういう努力をされておるのであるか。されておるとするならばそれの反応、反響はどういうものであるか。こういう点をひとつ承って終わりにいたします。
  59. マキノ正美

    ○マキノ公述人 お答えいたします。  私の個人の考えでまとめたものではございません。いろんな意見をまとめまして、それでJASニュースというのを毎月発行いたしております。それにいろいろと投書をいただいてまとめたものでございます。  それから一般大衆でございますけれども、先ほどから申し上げましたように、低所得層が持っております一般大衆車でございますので、これ以上かけられますと持てなくなる。レジャーということばもございますけれども、働いた後のレジャーでございまして、別に毎日レジャーを楽しんでおるわけではございません。  と同時に、もう一つ申し上げたいのは、税の不均衡でございますけれども、町の方またメーカー方が外国からレースのために使用する車として、これはナンバーをつけて町で走る車ではございません。研究のために使う、クローズドサーキットで使います自動車などにおきましても、輸入税などはナンバーをつける車と同じように取られている。こういう点の不合理さも伝えてくれということばも聞いております。  お答えになったかどうか知りませんが、お答えといたします。
  60. 毛利松平

    毛利委員長 小林君。
  61. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間がございませんので、三点の問題について端的に今野先生と清水先生と井手先生のお三方に御質問をいたしたいというふうに考えております。  私は道路建設の問題等考えてみますときに、社会資本の中でこれが非常に立ちおくれているということがいわれている中で、道路公共投資というようなものは、第一次から第六次五カ年計画といわれるものに至るまで相当膨大な投資が行なわれてまいったわけでございます。しかし一面、自動車の保育台数というものも年々これが増大をいたしてまいりまして、今後の生産台数というものの見通し等見てみましても、この状態をそのままにしておいて、そしてはたして第六次五カ年計画というようなものができ上がった段階でも、おそらく現在のモータリゼーションのこの路面の渋滞の問題というようなものは解決ができないのではないだろうか、こういうふうにも考えておりますし、したがって生産台数等については当然現状では規制をする必要があるのではないか、こう思いますけれども、この点につきまして御意見をお伺いいたしたいというふうに思います。  それからやはり道路の問題につきましては、いま総合交通体系というようなことが論議されております中で、これが今日までに至ったのは、一つにはやはり交通事故の激増の問題ですとか、あるいはまた公共交通麻痺状態だとか、こういったものがいわゆるクローズアップされてまいりまして、大きな社会問題に現在なってきておるわけでございます。こういったようなことを考えてみますときに、やはり何といっても、生活道路と地域では呼んでおりますけれども、この生活道路というようなものをやはり中心に、生活環境の整備ということも含めて早急に解決をしていくことが、当面の緊急のいま課題になってきているんではないだろうか、私はこのように考えておりますけれども、この問題について御意見をお伺いいたしたいと思います。  それからもう一つは、モータリゼーションのこの問題についていろいろといま論議が行なわれ、総合交通体系というようなことも論議をされているわけでございます。こういった中で自動車というものが道路建設の財源になるというようなことになれば、むしろもっとこの問題については規制もしていかなきゃいけないんじゃないかという意見もございますけれども、逆に自動車そのものが税源であり財源であるというようなことになれば、これは制限なり規制なりどころか、今後の財源としてますますこの生産というようなものを増加させていくというような動きも出てくるんじゃないだろうか、こういうことも考えられますので、この三点についてお伺いをいたしたいと思います。
  62. 今野源八郎

    今野公述人 お答えいたします。  モータリゼーション道路投資以上であるということ、それに対して規制するのかしないのかという、その考え方が第一点の御質問だと思います。モータリゼーションは、いろいろな方からお話がございますように、そしてただいま先生から御指摘がございましたように、交通事故公害も非常に発生しております。そういうものをマイナスとしますと、マイナス面をなるべく少なくするということはもちろん心要です。それでは逆に、自動車なしで日本のこの生産性が上がるのか、あるいは流通革命なり交通革命が遂げられるのか、新幹線や港だけでいいのかということになりますと、いまの時代に全国的なモータリゼーションの規制をしている国というものは英米先進国ではない。それはそれなりの理由がある。つまり、利益のほうが大きいということだろう。先ほどから道路の開発効果その他がございましたけれども、とにかく東京だけを見ておりますと公害が発生しておりますけれども、全国を見ますと、中小都市地下鉄も何にもないところを見ますと、自動車時代になって受けた便益、鉄道時代から自動車時代になった過去五十年間に受けた便益というようなものもまた評価していただきたいと思います。そういうことで、経済成長あるいは交通成長一つの現象としてモータリーゼーションという現象が出てきているのでありまして、これは一つ経済現象、文化現象でありまして、これを全面的に規制するということには私は問題がある、むしろ反対でございます。  それでは、大都市でこのままにしておいていいのかということになりますと、それも問題でございまして、時間と区域あるいは道路によって規制せざるを得ないということもネセサリーイーブルかもしれません。必要な悪として規制もやむを得ないかと思いますけれども、一体それでは、先ほども申し上げましたけれども、私たち何が起きても、一体医者のところへ行ったり、必要なところへ行くのにだれがわれわれを乗せてくれるのか。公共交通機関があるというのは大都市あるいは中都市だけでございまして、夜中にいろいろな、お産があってもけがをしても、やはり自分の交通機関にたよらざるを得ない、というのは自己の交通機関というものを、やはり馬車の時代からあるいは自転車の時代からわれわれは持ちたかった。それがたまたまエンジンがついている。そのエンジンは、いま発展途上ではあると思いますが、公害が出るということは不幸なことでございますけれども、これは今後の投資なりあるいは道路そのものの改善によってある程度防げるのじゃなかろうか。私は楽観はいたしませんけれども、そしてまたそれならばこそ、大都市に公園もつくり、あるいは幅広い道路も必要でなかろうか。どこでその均衡を見出すかというのは、私は日本経済力なり日本人のものの考え方がきめるというふうに思います。  生活道路が必要だということは申し上げるまでもございません。その生活道路というのは歩く道路だけではなくて、地震があっても火事があっても、われわれを病院に運んだり、あるいは食糧を私たちのところに持ってきてもらうということ。震災のあとで自動車の価値が見出されたというのは、架線が全部だめになり、あるいは発電所がだめになったときに、ガソリンの問題は危険な問題はございますけれども、とにかくバスなり自動車というものの価値が関東大震災のときに認められたということも、ひとつ歴史の教訓としてお考えいただきたい点だと思います。もちろん自動車時代自動車の使える都市をつくるということが、どちらかと申しますと私は理想だろうと思います。  それから最後の点でございますけれども自動車財源として考えて奨励する云々というお話でございます。やむを得ず自動車財源としては利用されておりますけれども、どうも交通機関そのものが国の財源であるという考え方は、ごく限られた意味きりないのではなかろうか。しかし、もちろん自動車道路利用さしていただいているわけでございまして、そういう意味においてあるいは社会費用も一部負担することは当然でございますから、ある程度の税を負担するということはやむを得ないことだと思いますが……。
  63. 清水義汎

    清水公述人 第一の道路建設と自動車関係でございますが、御承知のように、特に都市部におきましては最近道路建設というものが、投資の絶対額からいたしましても投資効率からいきましてもきわめて不経済な形になっている。都市によりましては地下鉄建設費のほうが道路建設費より安いというようなところまで出ています。このような問題は一体どこからきているかと申しますと、土地価格との問題であります。現在のような形の土地価格を放任をしていく中で道路建設がどんどん行なわれてまいりますと、それによって地価が無原則的に増大をしていく。ものすごい地価の暴騰になっている。そのことが今度は経済心理的には逆に、現在の毎年伸びていきます物価騰貴にもきわめて大きな影響力を与えてくると思います。そういう点では、道路建設の問題につきましては、すでに都市開発と並んで土地価格問題とあわせて、政策的に早急に検討をしなければならない時期に来ているのではないか。  それから、同時に、自動車との関係でございますが、社会主義国家のような計画経済のできるところでございますと、きわめて生産規制等も安易にできるかと思いますが、現在のわが国のような経済体制、社会体制の中で、理論としては成立はいたしますけれども、現実的にはなかなかむずかしいのではないか。そうなりますと、この自動車との関係におきましては、自動車交通の秩序化が必要ではないか。従来あまりにも無秩序的な自動車交通のはんらんがさまざまな弊害をもたらし、本来、文明の利器として人間の生活に幸福を与えるべき自動車が、むしろ弊害を与えつつあるということでございます。そういうことで考えますと、自動車を従来のようにかってに自由にだれでも持てるという考え方についての反省が必要になってくるのではないか。そうなりますと、当然自動車メーカーのほうでは、相対的に市場が狭まってまいりますから、生産の自主調整をせざるを得なくなるだろう、こういうふうに私は考えております。  それから二番目は、総合交通体系の中で生活道路整備の問題でございますが、これは先般通りました交通安全基本法に基づきますところの交通安全対策基本構想が、各都道府県及び市町村においても現在立案中だというふうに考えております。この中でやはり生活道路というものを住民の日常生活からどう防衛していくのかということがきわめて重要な問題でもございますし、警察庁あるいは警視庁等がすでに交通規制の中でも、生活道路については人間優先の規制を検討をするということを発表をしております。そういう意味では、生活道路というものを生活環境確保のためにどうしていくのかという点で考えていかなければなりませんが、そのためには都市構造なり各単位エリアの再開発等の問題ともからめて処理をしていかなければならない。これがきわめて重大だというふうに私は考えております。  それから三番目の問題でございますが、先ほど私は公述をいたしましたときにも、建設省のほうで考えている自動車台数の伸びの数字を申し上げました。もしそういう形を仮説にして自動車重量税を考えているといたしますと、現在のわが国の地理的な条件道路的な条件、自然的な条件の中で、きわめて自動車交通は決定的な危機に入るんではないか。これは諸外国と違いまして、人口密度、土地面積、道路面積との関係で物理的な限界がございます。そうなりますと現在以上にさまざまな弊害が出てくることは当然予想されるわけであります。そういう中で、自動車増加さしていくという方向の中で自動車重量税を考えるとするならば、もしそれが取れたといたしましてもそれ以上の弊害が出るだろう。その弊害を防ぐためにはより新たなる財源を必要とするようなことになりやしないか。ちょうど取り締まりを強化することによって、反則金で交通安全施設を、もしそれのみで考えるとするならば、交通違反者がたくさん出なければ安全施設が強化できないことになります。そういたしますと、もし安全施設ができた場合には交通違反者は交通安全の最大の功労者であるというようなことにもなりかねないわけでありまして、この点についてはきわめて計画的に検討をする必要があるというふうに考えるわけでございます。
  64. 井手文雄

    井手公述人 第一問の生産台数の規制の問題でございますけれども、確かに、道路整備しましてもそれ以上に自動車がふえるということになるんじゃないか。その点で自動車の生産台数を規制すべきだということでございますけれども、これは自動車産業というものがありまして、これがこれからの日本経済の発展、国際社会の中でどのように発展し、成長していくか。その中で日本の産業構造がどういうふうにあるべきか、そういうこととの関係自動車産業というものをどういうふうに位置づけていくかということとも関係すると思います。国内だけではなしに、輸出もされておるわけでございまして、そういう高度の産業政策あるいは経済政策の観点から考える要素が非常に強いということが一つ。それから、そういう場合でも直接的な統制ではなくて、やはり一つ経済法則によって生産台数はおのずから増減があるわけでして、そこに特に奨励をしなければならぬ、特に押えなければならぬという何かのっぴきならないことがない限り、直接的な生産台数の規制というようなことを国からやる必要はないし、やるべきでもない、こういうふうに考えております。そのうちにおのずから、たとえばモータリゼーション道路との問題につきましても、なるほど無限にモータリゼーションが進行するとも思いますけれども、また一面においてはやはり物理的な制約、あるいは各自、自動車を持つことに対して、たとえば一家で二台、三台と、とめどもなく持つということに対するむしろ不便さも加わりまして、そこにおのずから規制が、みずから自己コントロールというものが行なわれていくんではないか、こういうふうに考えております。ですからいま直ちに生産台数の規制の必要ありやなしや、こういうようなことまでは当面考えなくていいんじゃかと思っております。  それから生活道路の問題でございますけれども、生活道路は先ほどもちょっと触れましたように、大体国道などよりも市町村道が中心になっております。ですからそういう意味におきましては国、地方の財源の強化、交付税の制度あるいは地方譲与税の制度、あるいはより根本的に国と地方との間の職分、仕事及び財源の再配分、こういうことが非常に根本的に必要であろうと思います。そしてまたそういうことが適確に行なわれるためにはやはり、何といいますか、社会資本に対する、どういう社会資本が優先的に当面行なわれるべきかという一つの価値判断の問題になってくるわけで、われわれはいまから、こういう国の政策を考える場合に最も適切な価値序列の決定、こういうことが非常に必要であろうと思います。具体的には、特にこれは地方財政と国家財政との問題が非常に関係してくるんではないか、こういうふうに思っております。  それから三番目の御質問の御要旨がちょっと私あれしまして、失礼でございますけれども、ごく簡単に……。
  65. 小林政子

    ○小林(政)委員 いわゆるモータリゼーションの解決ということをはかっていくためには、自動車というものが財源といいますか税源になっているというようなことでは、これはやはりこの問題を解決していくということにならないんじゃないか。その点については、いかがお考えでしょう、御意見を承りたい、こういうことです。
  66. 井手文雄

    井手公述人 自動車財源になっておればモータリゼーションの規制ができないということでしょうか。つまり御趣旨は、自動車関係税財源として道路整備をやればモータリゼーションの規制が行なわれるということでございますか、行なわれない……。
  67. 小林政子

    ○小林(政)委員 ある程度矛盾があるのではないかということです。自動車がふえなければ、財源が入らなくて道路がよくならないじゃないですか。
  68. 井手文雄

    井手公述人 自動車モータリゼーションを抑制する、そうすれば税収も減る、そういう自己矛盾ですね。それはございますね。たとえば輸入関税の場合でも、関税収入がなくなって財政収入が欠乏しますけれども、輸入を阻止せよという目的は達成されるのと同じことで、この場合にもモータリゼーションか税収か、こういうことになるわけで、もしこの抑制ということに課税目的があるならば、税収が激減して道路財源が枯渇しましても、抑制が目的であればこれは財源を犠牲にしてもそれで目的は達せられた、こういうことになりますね。しかし自動車モータリゼーション化を抑制するために課税をするということが一つの税の目的であると同時に、道路財源としての徴収もしたいということであれば、これは二つの目的一つの税にかけておるわけでありまして、同時に両方とも十分な結果を得られるということにならないと思います。そういうことでよろしゅうごさいましょうか。——この辺で失礼します。
  69. 毛利松平

    毛利委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  以上をもちまして、自動車重量税法案についての公聴会は終了いたしました。    午後二時十分散会