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藤井議員 ただいま議題となりました
貸金業者の
自主規制の
助長に関する
法律案について、その提案の理由及び内容を御説明いたします。
貸金業につきましては、
昭和二十四年に貸金業等の取締に関する法律が制定せられ、当時の
金融梗塞に伴い乱立した暴利をむさぼる悪質な
貸金業者を取り締まり、その公正な運営を保障するため、大蔵大臣への届け出制等が設けられたのであります。
しかしながら、この届け出制は、
昭和二十九年に出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律が制定されるとともに廃止され、単に貸金業の実態を把握するための届け出制ということに改められて今日に至ったのであります。
したがって現行法のもとにおきましては、貸金業は純然たる自由営業とされているのでありますが、貸金業の現状を見ますと、現実に届け出をしている業者数は約八万名であり、このほかに届け出をしていないいわばやみの業者もばく大な数に達していると想像されているのでありまして、かような状態を放置しておくことは、悪質不正業者のばっこをますます
助長するおそれがあり、ひいては貸金業の公正な運営にも少なからざる支障を及ぼすことが憂慮されるのであります。
よって、貸金業の庶民
金融に占める現実に顧み、この際貸金業に関する特別法を制定し、
貸金業者の団体の設立についての根拠規定を設け、団体の自主的な活動を推進して
貸金業者の自粛を促すとともに、団体に行政指導の補助的な役割りを果たさせることにより資金需要者の保護と貸金業の適正な運営をはかり、もって不正
金融の防止に資するため、ここに本法案を
提出いたした次第であります。
次に、本法案の内容について御説明いたしますと、まず第一に、
貸金業者は、都道府県の区域ごとに庶民
金融業協会と称する民法第三十四条の規定による法人を設立することができることとし、また、庶民
金融業協会は、全国を単位として、全国庶民
金融業協会連合会と称する民法第二十四条の規定による法人を設立することができることといたしております。
第二に、庶民
金融業協会への入会または退会は、原則として自由でありますが、庶民
金融業協会に入会している
貸金業者でなければ庶民
金融業者の名称を用いて貸金業を行なうことができないことといたしております。
第三に、庶民
金融業協会の会員は、貸金業を行なうについて、法令を順守するとともに、顧客に対しできるだけ低廉な金利によって資金を提供し、業務を適正に運営するようつとめなければならないこととしております。
第四に、庶民
金融業協会は、貸金業の適正な運営と不正
金融の防止に資するため、必要な調査、指導、連絡、勧告その他の業務を行ない、また、全国庶民
金融業協会連合会は、庶民
金融業協会の運営に関する連絡調整を行なうものといたしております。
第五に、都道府県知事は、庶民
金融業協会に対して、必要な報告を求め、または必要な指導、助言及び勧告をすることができることといたしております。
第六に、庶民
金融業協会及び全国庶民
金融業協会連合会でない者は、これと同一の名称を使用してはならない二とといたしております。
最後に、民法第三十四条その他に規定する主務官庁は、庶民
金融業協会については都道府県知事とし、全国庶民
金融業協会連合会については大蔵大臣といたしております。
以上が二の
法律案の内容の概略でありますが、何とぞ慎重審議の上、御賛成あらんことを希望いたします。