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1971-05-18 第65回国会 衆議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十八日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       奥田 敬和君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    木村武千代君       坂元 親男君    高橋清一郎君       地崎宇三郎君    登坂重次郎君       中島源太郎君    中村 寅太君       原田  憲君    福田 繁芳君       坊  秀男君    松本 十郎君       森  美秀君    吉田 重延君       吉田  実君    阿部 助哉君       佐藤 観樹君    平林  剛君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       坂井 弘一君    春日 一幸君       小林 政子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主計局次         長       竹内 道雄君         大蔵省主税局長 細見  卓君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第二課長   高橋  元君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         建設省道路局次         長       吉田 泰夫君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 五月十五日  税関等に保管する引揚者の物資処理に関する請  願(鹿野彦吉君外一名紹介)(第五八四五号)  個人企業税制改正に関する請願小平久雄君紹  介)(第五八四六号)  映画等入場税減免に関する請願小平久雄君  紹介)(第五八四七号)  国家公務員共済組合法等改正に関する請願外一  件(広瀬秀吉紹介)(第六一五八号)  国民金融公庫融資取扱窓口の拡大に関する請願  (下平正一紹介)(第六二七九号) 同月十七日  国家公務員共済組合法等改正に関する請願(広  瀬秀吉紹介)(第六六八四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  貸金業自主規制法制化反対に関する陳情書  (第三一五号)  貸金業金利引下げに関する陳情書  (第三一六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  自動車重量税法案内閣提出第三九号)      ――――◇―――――
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  自動車重量税法案を議題とし、質疑を続行いたします。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 今日までだいぶ長い時間かかりましてこの新税の討論をやってきたわけでありますが、私もまた委員長から、二時間半質問したじゃないか、こう言われておる。そしてまた連合審査でもあれだけいろいろな方々が立って質問しておるけれども、実際言うて、この新税に対して抱く疑惑といい疑問点というものが、私は一つ解明をされていないと思うのであります。もう一ぺんそういう点でお伺いをするのでありますけれども、この新税は、道路社会資本を充実するという目的でその財源が必要だ、こういうことで新税を創設されたことには間違いございませんね。
  4. 福田赳夫

    福田国務大臣 間違いはございません。ただし、一般財源として受け入れておりますので、目的税とはいたしておりません。
  5. 阿部助哉

    阿部(助)委員 一般財源に入れる入れないは次の問題といたしまして、はっきりとその目的道路及び社会資本ということになっておるという点で、目的は明確なんですね。これがかりに、皆さんそう言うと、そんなばかなことはないといままでおっしゃっておるけれども、一般財源に入れれば、一般財源のワクの中で、これが防衛費に回されるか、何に回されるか、全部一緒くたになってしまうわけなんです。そこで、私が念を押しているのは、道路及び社会資本という点で間違いがないかということを私は確かめておる。
  6. 福田赳夫

    福田国務大臣 さような意味では間違いはございません。
  7. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすれば、この税の性格というか、普通税目的税という観点からいけば、目的税であることには間違いございませんね。
  8. 福田赳夫

    福田国務大臣 目的税という形をとっておりません。
  9. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣専門家でありましょうが、専門である担当の主税局としてはどうなんですかね。主税局がこの新税を設ける場合に、すなおに伝統的な財政教科書に従っていくならば、これは目的税にするのが当然じゃないか。それを一般税としなければならないのは何か特別な政治的な理由があるのだろう、こう思うのですが、何かあったのですか。これはすなおに皆さんが、われわれが手にすることのできる財政教科書でいくならば、明らかにこれは目的税であるべきである、こう思うのですが、それを普通税にし一般財源に入れるということには何か理由があるのですか。
  10. 細見卓

    細見政府委員 大臣がこの席からしばしば申し上げておりますように、目的税とかあるいは特別会計とかいうようなことでなくて、一般財源に入れて、一般的に国の必要な経費に充てるという税であるわけでありますが、ただしかし、この新税を起こす背景となりましたものは、道路その他の社会資本の不足というものを何とか調達したい。そのためにどういう税が適当かということで考えたときに、それは、道路との受益とかあるいは原因者負担とかいうような観点から、道路使用者つまり車にその負担を求めようとしたわけでございまして、そういうことが即目的税でなければならないということでなくて、目的税と申しますのはかなり技術的に、こうこうこういう財政支出目的のために特定財源を調達するというのが目的税でございまして、税の性格目的税になるとかならないとかということではないと思います。
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 何かいろいろとわからないことを言っているのですが、大臣答弁とちょっと食い違ったんじゃないですか。一般財源に入れて、一般財源としてこれをいろいろと使うんだということになれば、大臣の先ほどの答弁と食い違っておるんじゃないですか。
  12. 細見卓

    細見政府委員 この税を起こしました目的は、道路その他の社会資本の充実ということを考えておるわけでありまして、大臣と全く同じことを申しあげておるつもりでございます。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そういうことをやっておると、また委員長が言うような一時間半で終わるわけはないんでして、それでは目的税とは一体どういうものなんですか。
  14. 細見卓

    細見政府委員 特定支出目標といいますか、項目を置きまして、それを調達するためにだけ財源を調達する、その支出に充てるためにだけ財源を調達するというのが目的税であるわけであります。
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 その点はそうでしょう。いろんな教科書——これは一つのあれでありますが、目的税とは「国又は地方公共団体特定財政需要を支弁する目的をもって課される税であるが、」こうなっておるのでして、あなたのいま言ったとおりなんです。  そうすると、当然これは大臣がおっしゃっておるように道路及び社会資本というふうにはっきりしておるのですよ。それで、これは防衛費や何かのほうに回さないんだということははっきりしておるんじゃないか。そうすると、これは本来は性格目的税、そういう性格なんじゃないかということを私はお伺いをしておるのです。
  16. 細見卓

    細見政府委員 税法立法の趣旨といたしまして、あるいは背景といたしまして、どういう財源を調達するためにこの税を設けたかというと、阿部委員がおっしゃっておるような狭義意味目的税というのとは概念が違うわけでございまして、外国の自動車関係の諸税などにつきましても、これを道路その他の建設費に充てるためというふうに非常に狭義目的税的に使っておるあるいはアメリカのタイヤ税のようなものもございますし、一方、そうでなくて、自動車負担をおおむね道路投資に還元するというような形で一般財源形式をとっている、要するに財政運営あり方として、目的税的に非常に拘束されたと申しますか、狭い範囲で財源調達とその支出等考えるか、若干余裕を持って、より一般的な角度の検討をも含め得るような形で財源を調達するか、その違いであろうと思います。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そこをかってにあまり広げられたんでは、財政民主主義という原則からはずれていくんじゃないですか。そういう形でやれば、皆さんのような考えで幅を広げれば何でもできるでしょう。これは昭和十二年の支那事変特別税法というものを設けて臨時軍事費をまかなっていった、そのうちにだんだん変わっていったというようなことで、いままでも戦争中であるとかということになるといろんなことでかってな税金をつくっていくわけです。いまそういうことのないようにということで、戦後の財政法もできたんだろうと私は思うのです。それを、今度この新税をきっかけにいままでの民主的な財政運営を、皆さんはこの自動車新税をつくることによってこれからくずしていこうという考えなのかどうかということに私たちは不安を持っておるわけでありまして、その点で私はお伺いしておるのです。  何かこの税は一つ性格がはっきりしないでしょう。なぜ自動車から取らなければいかぬか。受益者負担のような話もする。その点をついていくと今度は原因者負担のような話もする。登録税だというような話もする。そうして目的ははっきり示される。いままでの経過からいってみても道路財源だと言われておった。それが皆さん提案をされる段階では、これを一般財源に繰り入れるというようなまやかしをやっておるわけです。それだからいままでの連合審査会質問にしても、ここにおける質問にしても、みんなその点で質問がなされておるけれども、それに対して明快な回答が与えられない。新税でありますから、しかもこれはいままでの原則体系というものをくずしていったのでは、日本のこれからの税制というものには不安を持たざるを得ないのでありまして、細見さんの答弁では、こんなにこの税の体系原則もくずしたようなやり方をここでやられたのでは、これからどうなるかわからないという不安をわれわれは持っております。そういう点でもう一ぺん、性格登録税だと皆さん言うなら、一歩譲って登録税ならその論議を私はいたします。しかしそれは登録税であろうと何しようと、道路及び社会資本という形で皆さん目的を明確にしておるでしょう。それだからまた今度は、来年からは特別会計にするかどうかを検討しましょうという話まで出ておるでしょう。それは不明確だ。不明確だからこそ来年からこれを手直しして特別会計に入れるかどうかというようなものを検討しましょうなんという話をしておるわけでありますが、新税でありますから、もう少しその点で明確にして提案をすべきである、こう私は思うのでありますが、いかがですか。
  18. 細見卓

    細見政府委員 自動車に対します税が適正な負担であるかどうかということを御判断願うのは、従来の税法と同様、今後も引き続きこの委員会において御審議願うわけでございますから、新しい自動車重量税が特に財政民主主義というようなものに対して悪い影響を持つというようなことでなくて、むしろ逆に、よくいわれますように、目的税を設けるということは、それぞれの支出が非常に固定化いたしまして財政を硬直化し、あるいはまたその間における国会審議等によりましても、目的税的に事業を遂行いたしておりますと途中の変更がむずかしい。そういう意味でむしろ一般的な財源として、歳入は税法を御審議願い、また歳出は予算を御審議願うという形で、全部を流動的、総合的に御判断願う。これがむしろ民主主義にかなっておるわけでございまして、この税を目的税にしないということが財政民主主義を破壊するというようなことにはならないので、むしろ自動車に対する負担が適正なものであるかどうかという観点で御審議願いたいものだと思います。  その場合に、自動車に対する負担が適正なものであるかどうかということになりますと、現実自動車の直接に受益いたします道路建設あり方とかあるいはそのおくれとかというようなことを総合的に御判断願って、自動車負担を求めるか、一般国民所得税あるいは法人税というような形で負担を求めるか、これは御論議のあるところでございますが、私どもはこの際は自動車負担を求めるべきであろうということでいたしておるわけでございますし、特別会計云々の議論は、新しい段階におきます交通政策考えていきます場合には総合的に考えてやっていかなければならない。そういう総合的な交通政策を実施するにつきまして、一般会計からの支出という形がいいのか、特別会計を設けてその形で行なっていくのがいいか。これは新しい時点で、新しい問題として御検討願うということでありまして、特別会計云云の問題が目先にぶら下がっているから特に問題がこじれておるとか、あるいは性格をあいまいにしておるとかということでなくて、新しい観点総合交通をどうやっていくのがいいか、その会計制度はどうすればいいのかという形で、新たな問題として御検討願うのが筋であろう、かように考えております。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 片さんは、理屈の上ではこの委員会あるいは国会に全部げたを預けて、そしてここでそれをきめればいいじゃないか、こういう答弁のようでありますけれども、それは理屈の上では議会はなるほど国の最高の議決機関です。だけれども実際はなかなかそうはいかない。しかし、皆さんが責任をもって提案をするには、やはり原則体系というものを踏まえておやりになるのでしょう。そうじゃないのですか。これは財源が必要だから出した、あと国会のほうで皆さんがやればいいじゃないか、こういう態度で税制を創設されるのですか。
  20. 細見卓

    細見政府委員 しばしば申し上げておりますように、この税は既存の税体系にも当てはまりますし、また将来の税体系考えましても、税体系をゆがめるものになるというふうには考えておりません。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それだから、この問題ははっきり目的を示しながらなぜ一般財源に入れたかということに対しては、あなたがいまのような答弁をされても私も納得しないし、いままでも納得されないわけです。  それじゃもう一つ伺いしますけれども、この前の連合審査のときには登録税的だというのですか、登録税と同じようなものであるという答弁をなさったようでありますが、これは登録税一種だ、こういうふうなお考えですか。
  22. 細見卓

    細見政府委員 登録税一種——もし登録税というのを登記所において現実に行なわれております、いわゆる現存の登録税というものに限るならば登録税的、要するに税のカテゴリーとしては登録税であろう、かように考えております。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 登録税だといたしますと、ブルドーザーやキャタピラのついておる車両といいますか機械は、なぜ課税をしないのですか。
  24. 細見卓

    細見政府委員 これは、この自動車重量税道路走行する自動車課税の対象といたしておる。つまり非課税にいたしておるというわけでございます。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 じゃ、なぜ非課税にしたのですか。
  26. 細見卓

    細見政府委員 この自動車重量税が主として道路走行することを目的としておる自動車につきまして、その車検を授与され、あるいは登録をされることによって走行が可能になる、その点に着目いたしまして、主として走行目的とする自動車ということにいたしたわけで、いまおっしゃっておるような自動車は、走行というよりはむしろ作業を行なうということが重点で、もちろん中には自分で走れる機能を備えておるものもございますが、多くは別途の輸送する自動車に載せて地点間の移動が行なわれるというようなものが多いわけで、現に、地方税でございまする自動車税におきましても、これらの自動車自動車税カテゴリーではなくて、償却資産として扱われておるところから見ましても、考え方は一貫しておるのではないかと考えております。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 登録税とすれば、主として走行するというか、走行する可能性を持っておるものには一応課税するのがあたりまえじゃないですか。じゃ、走行するから税を重量におおむね比例して課税するとなれば、これはやはり走行キロ数検討をしなければならない、こう思うのです。ところが、登録ということになれば、その可能性を持っておるものにはこれはかけなければいかぬじゃないですか。ところがそれは非課税にして、走るということでほかの車にかけていくとすれば、この点からいってもやはり道路というものがそこに頭にあるからなんです。そういうことになりませんか。可能性ということで重量にかけるとすれば、キャタピラのついておる車にもやはりこれはかけるのが趣旨一貫しておるのじゃないか。理屈の上ではそうなるのじゃないですか。
  28. 細見卓

    細見政府委員 連合審査のときにも申し上げましたように、キャタピラのついた車を地点地点とを移動いたしますときには、輸送車に載せまして運搬するわけで、その輸送車につきましては、御承知のように総重量主義によっておりますので、そういうキャタピラつきの重い車を輸送するようなものはそういう重い重量を運ぶ総重量に応じて課税されておるわけで、それらの車も、少なくともそういう輸送車に載せて道路を走っておる限り、形を変えまして道路損傷に対する負担はいたしておる、こういうことが言えようかと思うわけです。
  29. 堀昌雄

    堀委員 関連。主税局長はこれまで、道路を使用するというか、走行する権利を与える車検にかかわる登録税、こういう表現をとっておるわけです。ところが、トラックに載せるとか載せないとかいう実態の話は、法律論議の前では意味がないのです。法律論というのはきわめて形式的なものですから。ですから、その点をまず明らかにしておかなければいかぬ。あなたは場所によっては法律論で、法律的には形式的にはこうでございますというのがあなたの定義ですよ。しかし、あなたがいま言うトラックの上に載せるとか載せないというのは実態論で、これと話が違うのです。そこで、道路を使用して走行する権利を与えるのが車検だから、この間の連合審査のときに、内藤委員質問のときに私が特に尋ねてくれと言ったのは、この例外になっておるものに車検が実は規定されておるわけですね。運輸省いますか。いまの特殊自動車車検を必要とする理由を、あなたのほうからちょっと言ってください、法律的に。
  30. 隅田豊

    隅田説明員 大型特殊自動車車検をいたしますのは、道路に出る可能性のあるもの、道路を走る可能性のあるものは一応全部車検をするということになっておりますので、非常に珍しいケースでも、たとえ一回でももし道路に出るとすれば一応車検をとっていただいて走らなければならない、こういうことでございます。
  31. 堀昌雄

    堀委員 要するに、道路を走るということが法律的に認められておる車両についてはすべて車検が要る、こうですね。いいですね。道路を使用して走るという権利をその車両に認める場合には——自動車のようなものですよ。電車なんかは軌道の上だから話は別だけれども、そういうものについては車検を必要とする、こういうことでいいですね。もう一ぺん、ちょっと正確に……。
  32. 隅田豊

    隅田説明員 ちょっとことばが足りなかったので補足さしていただきますが、たとえば小型特殊自動車とか軽自動車のように、一部のものにつきましては、道路を走ることを車検をなしに認めている種類もございます。
  33. 堀昌雄

    堀委員 そのことはあとから私触れようと思ったのです。だから、道路を走る中で、軽自動車のようなものについては車検を必要としない、届け出だけで処理をしておる。それには皆さんのほうでそれなりの法律的な理由があるのだろうと思うけれども、少なくともいまこの法律で規定しておるものは、細見さんがこれまで言ってきたように、法律的に道路を使用する権利を与える車検というものに対する登録税だという法律的定義からすれば、法律的にはそれに対するエクスキューズはあり得ない、こう考えておるわけです。法律的にはあり得ない。それではなぜ、そういう法律的用語を使ってそうやっておるのにいまあなた方が除外しているか。私は税を課するのが法律的概念として当然だと思うのです。どうでしょうか。
  34. 細見卓

    細見政府委員 車検につながりまして法律的概念をきめれば、いま堀委員のおっしゃるようなことであろうと思いますが、この税を課します目的が、先ほど来申し上げておりますように、自動車走行というものが道路の混雑とかあるいは補修とか交通安全とかいろいろな問題を起こしておる、そういう社会的コストに対して負担を求める、その負担の求め方を車検にとる。その車検の中で、主として道路を走るもの、それにとったわけで、したがいまして、立法論としてここに大型特殊自動車非課税にいたすということを政策論として取り上げているわけで、堀委員のおっしゃる車検自動車重量税ということであればおっしゃるような概念も成り立つわけです。そこで、立法論からして非課税規定を入れた、こういうわけであります。
  35. 堀昌雄

    堀委員 実はあなたがこの法律的形式概念を持ち出してきたのは、そういう政策論が前にあって、いろいろここでごたごたするものだからあなたがそれをひとつ横へ整理しようということで——私は過去においてちゃんとメモしてあるのだが、そういうふうに問題をこうやってきちんと処理をしました、こういう言い方で法律論を出してきているわけだから、その政策論なら政策論で初めからいいのですよ。しかし、政策論では片がつかないので、あなたが形式的法律論を出してきた以上は、どう考えてもそれは私はおかしいと思う。これが一つある。  それからもう一つ、いまの軽自動車車検になっていない理由、これはどういう理由ですか。これは運輸省のほうでお願いいたします。
  36. 隅田豊

    隅田説明員 現在までのところで軽自動車車検になっておりませんのは、現在車検性格上、これは保安上の担保でございますが、現在の統計上の数値、その他から見まして、軽自動車はいままでのところでは車検をやらないでも、整備上の原因によりますところの事故防止という観点から見まして、保安を担保できる、こういう考え方でございます。
  37. 堀昌雄

    堀委員 細見さん、いま要するに車検というものが何のために行なわれているかというのの解明がありましたね。車検というのは、あなたの言うように道路を走ることに対する権利を付与するものになっていないのですね。要するに走行上、保安上の処置として車検制度が設けられて、おるわけでしょう。ところが、あなたはそれを何回もコメントしているように、道路を走る権利を与えるのが車検で、その権利に対する登録税だ、こう言ってきているわけですよ。要するに、それは法律論的にいえば、この税は車検に対しての登録税じゃないのですよ。そこのところをあなたは訂正する必要がある。要するに車検というのは道路を走るものの保安上の問題であって、道路を走るものに対する権利を付与する制度でも何でもない。ただ、要するに保安上の問題として二つに区切られて、そして保安上の問題で危険のあるものを走らせてはならないという意味車検があるのでしょう。これは道路を走る権利でも何でもないのですよ。いいですか、要するに危険なものを走らしてはならないという意味での走れる権利を認めておるけれども、あなたが一般的抽象概念で言うように、要するに道路を走る権利でも何でもない。もし道路を走る権利ということになれば、軽四輪だって道路を走る権利はあるわけでしょう。そうではなくて、保安上の問題を処理をするという、こういうことになっているところに車検上の問題がある。あなたが言いたいのは便宜上車検という制度を利用した登録税。それでなければ、届け出のほうは車検がないのだから。そうでしょう、車検制度のない軽四輪のほうも取ろうとしているじゃないですか。そういう意味で、あなたが言うような、道路を使用する権利を確保する車検に伴う登録税だという解明をあなたは改めなければならないでしょう。あらためて答弁してください。
  38. 細見卓

    細見政府委員 私も専門家でございませんが、道路運送車両法というのにございまして、「自動車軽自動車及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)」ですが、「自動車は、この章に定めるところにより、運輸大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。」走ってはいけないと私どもは思うわけで、これがまさに反射権として走行権利がある。反射的に出てくる、それが車検だ。保安上の制限を解除して走ることができる反射的な権利、こう申し上げておるわけであります。  それから軽自動車のほうを申し上げますと、九十七条の三に、「軽自動車は、その使用者が、その使用の本拠の位置を管轄する陸運局長に届け出て、車両番号の指定を受けなければ、これを運行の用に供してはならない。」したがって届け出が走行できる反射的権利をとる根拠である、こう申しておるわけであります。
  39. 堀昌雄

    堀委員 あなたはこれまで届け出のほうを一回も言ってないのだ。要するに道路走行権利を与える車検に伴う登録税だ、こういうふうに言っているわけだ。いまの法律用語はそうなっているけれども、しかし、いま二つに分かれておるのは、私はいまの運輸省答弁のとおりだと思う。われわれは自分で運転していてもそうだけれども、車検を受けるということは、車体に不足の条件があれば、そのことは同乗しておる者にも危険を与えると同時に、そうでない者にも危険を与えるわけだから、そういう危険を防止するという意味で、保安上の担保として検査が行なわれておることは間違いがない。だからそれによってあとで出てくる一種権利、こうなっているわけですね。だからその限りでは、私はあなたが前段でずっともっともらしく言ってきた、道路を使用する権利を与える車検に伴う登録税という表現は、これは間違いだと思うのだ。だからひとつあなた、いまでなくていいから、そこで十分考えて、瑕疵のない法律的定義をもう一ぺんあとで言ってください。いますぐ答えろと言ったらまたひっくり返さなければならぬから、今度はどこから突っ込まれても問題のない、この法案についての法律的定義を、ちょっと時間を与えますから、協議の上答弁してもらいたいと思います。関連質問を終わります。
  40. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまも関連質問にありましたように、どうも答弁はその場その場の、質問を何かはぐらかすような形で答弁がなされておるような気がしてならないのであります。それで、先ほども社会的コストだというようなことを言い、あるいはまたこの法律受益者負担であるような話があってみたり、あるいはまた原因者負担であるような話があってみたり、何かそのときそのときに答弁があっちへ行ったりこっちへ行ったりしておるような感じがするのですが、その点でもう一ぺんこれを整理してひとつ御答弁願いたい。
  41. 細見卓

    細見政府委員 それでは、従来申し上げておりましたことが断片的でございましたので、いささか形式的になりますが、全部読み上げさしていただきます。  「自動車走行は、道路建設、改良、維持をはじめとして、道路混雑、交通安全、交通事故等に関連して社会に多くの負担をもたらしている。また、道路その他の社会資本の充実に対する要請が強く、特に道路については、第六次道路整備五カ年計画の財源の問題があり、緊急にこれらの要請に応える必要がある。このような観点から、広く自動車の使用者に対して自動車重量に応じて必要最少限度の負担を求める必要があると考えられる。」これが提案理由でございます。  それから自動車重量税性格につきましては、「自動車重量税は、自動車車検を受けまたは届け出を行なうことによって走行可能になるという法的地位あるいは利益を受けることに着目して課税される一種権利創設税であり、従来、各種の権利の得喪、移転等に際して課税が行なわれている登録免許税と類似しているものであると考えている。」こういうわけでございます。
  42. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたのおっしゃる登録税というものはいま読み上げたところのどこから出てくるのですか。
  43. 細見卓

    細見政府委員 これは最初の阿部委員の御質問にもお答えしましたように、登録税というのは現在登記所において行なわれるものを狭義登録税と申し上げておるので、それを現段階では登録税的と申し上げるし、また税のカテゴリーとして登録税というものを考えるのなら登録税である、こういう意味でございます。
  44. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま読み上げた中にもあり、いままでしたいろいろの質問にもありましたけれども、第六次五カ年計画を遂行するために財源が足らないということが大きな原因だ、こう思うのでありますが、それならば、この前もただしたのでありますが、こういう新税をつくるならばその前にもう一ぺん既存の税の洗い直しをもっと徹底的にやる。皆さんはおやりになったと答弁するけれども、もっと徹底的に既存の税制を洗い直すというのは当然の仕事じゃないんですか。
  45. 細見卓

    細見政府委員 主税当局者に対する心がまえという意味での御注意と承ります限り、私どももその点は常に心がけなければならないことだと考えております。
  46. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それをやっておるとすれば、いまおおむね平年度で一千億あれば道路の五カ年計画の財源だけは出てくるだろうと思うのです。そうすればこれだけ——皆さんはこの委員会でなかなかはっきり言わないけれども、新聞等では、いまドルが集まってきておる、それで輸出関連の特別措置は直ちにやめるみたいな報道があるわけです。これをひとつ洗い直して、これをやめにしたらどうなんだ。前から約束しておるところの貸し倒れ準備金を手直ししたら一体どうなんだ。そうすればこれぐらいの財源は、これだけ問題を起こしておる不明朗な自動車新税をつくらなくても出てくるんじゃないですか。これぐらいのことは皆さんのほうで見当がつかないはずがない。なぜそれをやろうとしないのですか。大臣、これはいかがです。これは大臣の腹一つで出てくるんじゃないんですか。
  47. 福田赳夫

    福田国務大臣 国が行なう施策は道路ばかりじゃないのです。またその他の社会資本ばかりじゃないのです。あるいは社会保障諸施設、あるいは文教の諸施設、多々あるわけでございます。そういうような次第でありますので、いろいろくふうをいたしまして不要不急の諸施設は取りやめる、また特別措置も毎年毎年洗い直しをいたしまして財源の充実をはかる、こういうふうにするのでありますが、それはそれでありまして、いま道路が非常に立ちおくれておる、これの取り戻しをしなければならぬ。その他交通関係の諸施策も同様である。そういうことを考えますと、財政を総合勘案いたしまして五カ年計画を遂行するにはどうしても三千億円の財源不足を生ずる、これを充実しなければならぬ、こういうところに立って考えておるのです。阿部さんは特別措置なんか大いに整理せい、こういうお話でございますが、それはそれとしてこれを大いに推し進める考えです。
  48. 阿部助哉

    阿部(助)委員 何かぼやっとごまかしてしまったみたいな答弁ですが、いま道路財源が必要だという具体的な要求があるわけですね。片一方ではまた円の切り上げ問題云々で皆さん非常に頭を悩ましておる。そうして輸出関係の特別措置を廃止しようという具体的な検討をしておられるようだ。こういう具体的なもの同士がかみ合えば何も自動車新税をつくらなくていい。国が社会保障であるとかいろいろな政策をやらなければいかぬというのなら、それはそれでその時点でまた既存の税制も洗い直せばいいし、また新たに税金を設けなければいかぬ場合も、増税をする場合もあり得るでしょう。それはそれなんだ。だけど当面皆さんが、第六次道路整備五カ年計画というもので金が足らない、それ自動車だ、こう言うならば、主税局長がおっしゃるように既存の税制を洗い直すのが当然なんだというのならば、いま洗い直さなければならない段階へ入っておるでしょう。輸出関連の特別措置であるとか貸し倒れ準備金の課税だとかいう問題は洗い直すという約束もしておるところなんです。新聞の報道によれば輸出関連だけでおおむね一千十億ぐらいの金が出てくるといわれておる。そうすれば自動車新税をつくらなくたって道路財源の金は出てくるんじゃないですか。その上でさらに社会保障の問題だ、そのほかの政策問題だというときにはまたそれなりにお考えになるのが当然なんであって、何もいま、問題の多いこの自動車新税にたよらなくてもこれは出てくるではないか。頭のいい大蔵大臣がそれぐらいのことはわかっておると私は思うんです。それとも何かほかに含みがあるならそれはそれにして、いま新しく大衆課税といわれる自動車新税によってまた大衆から税金を巻き上げなければいかぬという理屈にはならないんじゃないかというのが私のお伺いしたいところなんです。
  49. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は道路のことばかり考えているわけじゃないんです。社会保障の問題だとか、あるいは税の問題といたしまして所得税の減税という問題があります。これは毎年毎年推し進めていきたい。そういうような考えを持っておるわけなんです。そういうものを総合いたしますと、今後見通し得る数年の間は、租税負担全体といたしましては、所得税減税をいたしましても二、三%ぐらいふえなければ財政の求められるところの需要にはどうしても追いつかぬ、こういう見通しを持っているんです。ですから特別措置の整理あるいは不要不急経費の抑制、そういうようなことはいたしますよ。いたしますが、それはそれでまた別途いろいろな需要があるわけなんです。社会資本の充実、そういうことを考え、特に道路の、あるいは交通のことを考えますととてもいまの財源ではやっていけない、こういう見通しなんです。そこで新税をお願いする、こういうことなんで、まあ道路だけここでとって財政論、こういうわけにはいかない。私はもっと幅広く減税のこともあるいは社会保障のこともあるいは農山村、漁村のことも中小企業のことも、いろいろ総合いたしまして財源が必要である、こういうふうに考えておるわけです。
  50. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いや、私は何も社会保障の問題を考えるなとかなんだということじゃないんです。いま道路財源が足らないと、こういっておる。それならばそれで、いろいろな政策を考えてもやはり新税をつくる場合には既存の税をもっと徹底的に洗い直すべきである。その洗い直し方が足らないじゃないか、こういうことを指摘をしておるわけなんでして、社会保障の問題だとかいろいろな問題に問題をすりかえられては論議にならないんですよ。私の申し上げておるのは、もう何べんか申し上げるように、こういう新税をつくる場合にはもっと徹底的に既存の税を洗い直したらどうなんだ。いま洗い直さなければいかぬときに来ておるでしょう。一つはこの輸出関連の特別措置、これはいろいろな外貨、の保有の問題等もからんで、皆さんはもう洗い直さなければいかぬところにきておるでしょう。貸し倒れ準備金は前からこれは洗い直しますということで、約束をしておるでしょう。まずそういう緊急のものを処理すればこの財源は出てくるのではないか。その上で、社会保障が必要だとか、何かそういう政策は必要だということでまた新税の問題が出てくれば、それはまた十分に論議をし、討論をするのはけっこうですよ。だけれども、それをしないで、安直に道路及び金が足らない、だから自動車税だ、こういう形でやってくるのは既存の税の洗い直し方が足らないのじゃないか、こういうことを私は申し上げておるわけでして、この点ここで詰めてもなかなかきちんとした答弁はないだろうけれども、私は当然いまの不要不急といいますか、そういう税を洗い直すべきだということを指摘したわけでして、その点は御了解いただけるのじゃないかと思うのです。
  51. 福田赳夫

    福田国務大臣 既存の税の洗い直し、これはもう賛成です。今後とも大いに努力をするつもりでございます。しかし、だからといって、それができないからできるのを待って新税だというわけにはいかない。先ほども申し上げましたとおり総合的に考えますときに、幾ら努力をいたしても新税を設定しなければ社会資本の充実が立ちおくれる、こういうふうに考えます。
  52. 阿部助哉

    阿部(助)委員 登録税の問題はまた堀委員からあと質問をされると思いますので……。  もう一つ伺いしたいのは、こういう税をつくってまいりますと、大臣の頭の中には、いろいろな政策をやるためにはさらに財源が必要だということになってくると、この次には付加価値税というような形で税の増徴が行なわれるのではないか、こういう感じがするわけですが、そこはいかがです。
  53. 福田赳夫

    福田国務大臣 今度の税は付加価値税とは全然関連づけて考えておりません。ただ、付加価値税というのはこれから検討しようと思っておる、これを採用するかしないか。採用するとしても、一、二年という問題じゃないと思うのですが、しかしそれに阻害を与えるような新税はいかぬ、こういうふうな考え方をいたしております。
  54. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これで私の三つ用意した一つが終わったわけなんですが、次に二つ目に入ると、これまた二時間ぐらいかかるのだけれども、少しはしょりまして一つだけ……。  この前もちょっと触れて、中断をしたのでありますが、いよいよ税調も七月で任期切れであります。どうもこの採用の面で、一人一人私は名前をあげて皆さんにお伺いしようと思ったのだけれども、時間の関係でやめますが、非常に片寄ったというか、そういう感じがするわけであります。どの委員といって、時間がないので非常に抽象的に申し上げますが、委員の顔ぶれを見ると、大体政府の方針に沿うような人たち、そしてまた間接税、付加価値税を推進すべきだというようなメンバーだけ——だけと言うと語弊があるのですが、非常に多く任命をされておるという点で、どうも問題があるのではないか。あまり抽象的に言うと皆さんまたピントのはずれた反発をするからもう少し申し上げますと、福良さんは御承知のように佐藤さんのブレーンだ、こういわれておるのだが、売り上げ税の実施を機会あるごとに強く主張しておられる。木下さんは間接税課税の再検討などということで、やはり売り上げ税がいいのだ、こう言っておる。館さんは館さんで、やはり付加価値税の新設を主張しておる。こういう形で、どうも付加価値税の増徴に対して賛成の方があまりにも多いのじゃないか。私はこの任命のあり方、また電気から一人、化学から一人、何から一人というような財界の代表というような形、こうやってみると、間接税賛成者がほとんど大半を占めておるような人選をしておるのだけれども、こういうこの七月で終わる税調のメンバーをまた皆さんは希望されるのだろうけれども、この任命の基準を少し大臣からお伺いをしておきたいと思うのであります。
  55. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、いまの税制調査会の委員の人選は妥当である、こういうふうに考えておりますが、これを任命いたします基準は、各界各層にわたって学識経験の豊かな方である、こういうことであります。
  56. 阿部助哉

    阿部(助)委員 各界各層とおっしゃるけれども、これはあまり各界各層になっていないのですよ。一番大ぜいを占める勤労者の代表みたいなものはたいへん少のうございまして、各省次官の古手の方々、あるいはいま申し上げたように、学者というのになると間接税に賛成するような方々が多い。しかしこの論議をいまここでしていきますとまた何時間もかかります。時間がだいぶないということでありますし、理事会の約束もあるそうでありますからこれで一応終わりますけれども、今度の自動車税というものは、皆さんのいままでの御説明からは、税体系を乱すものではございません、幾らこう言ってみても、私たちにはどうしてもそれは理解をするわけにいかない問題でありまして、私たちは非常に不満であり、また私の質問も第二部、第三部が残ったままで残念ながら終わりますけれども、税体系を乱さないように。体系を乱すということは国民に納税の観念を薄れさせることなんだ。体系だ、原則だということは、国民に納税の理解と合意を得るということだと思うのです。取れるところから取るだとか、気に食わないやつから税金を取るのだという形でもしこれが考えられるとすれば、たいへんなことになります。そういう点で私は、税の体系だ、原則だというものを常に踏まえて新税考えていただきたいということを強く要求して、私の質問を終わります。
  57. 毛利松平

  58. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 建設省にきょういただいた資料で質問をいたしますが、「道路原単位の推移」がきょう資料で出されておるわけですが、昭和三十六年で一台当たりの道路原単位が百八万円になっている。四十五年度現在で四十九万円というように、この十年間に道路原単位が半分以下に落ちているわけですね。今度の四十九年度最終年次を迎える第六次五カ年計画で、これをどの辺になるという予測のもとに計画がなされているのか。これは原単位がこういうように低下をしているということは、自動車の保有台数が激増をして、道路投資道路資産というものが追いついていかないということを端的に示しておるわけでありますが、五カ年計画でこれをどういうようなところまで持っていかれる計画になっておるのか、この点ひとつお聞きいたします。
  59. 吉田泰夫

    吉田説明員 道路原単位がここ十年ばかりの間に約半分になったという点は御指摘のとおりでございまして、今回の第六次五カ年計画、四十九年度までございますが、これを実施いたしましても現在一台当たり約五十万円という原単位は横ばい程度にしかなりません。つまり、原単位が向上することはちょっと望みにくい状態であります。非常に自動車の伸びが急激なものですから、残り四年でもって追いつく計画にはついにできなかったわけでございますが、その後におきましては自動車の伸びもかなり鈍化すると見込まれますし、一方道路投資を従来にも増して努力していけば、長期的には相当のところまで回復できる、このように考えております。
  60. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この道路原単位の推移にあらわれているように、道路が今日社会資本の中で、日本のこれからの経済発展にとってきわめて隘路を構成しているだろう。こういうような点についてはわれわれわかるわけであります。  そこで、六〇年代の日本の経済の高度成長は、いわゆる太平洋ベルト地帯といわれるところにきわめて過密工業都市がずっと集中されてきた。こういうようなところで、いまやもう動きのとれない、特に交通等の面におきましても東京やその他の大都市に見られるような交通渋滞あるいはスモッグ公害、人の命と健康にまで害を及ぼす問題を発生さしてきた。こういうようなことで、このままの状態ではもういかぬということで、旧全総から新全総に変わってきた。もう日本列島全体を総合的に開発を進めていかなければならぬ、こういうことになったと思うわけであります。そして、新経済社会発展計画、こういうようなものを土台にして、これからのいわゆる総合交通体系というようなものを整備をしていかないと、これからの均衡ある国土全体を通じての発展というものは期せられない。こういうことから、総合交通体系という問題が非常に急を要する問題として取り上げられてきたわけでありますが、そういう中で、とりあえず第六次道路整備五カ年計画が非常に先行する形で出てきた。  しかし、新全総なりあるいは新経済社会発展計画というようなものを見てみましても、至るところで書いておりますことは、高速道路というようなものであるとか、あるいは新幹線網、それから国鉄の在来線の強化というようなことがみな同列に扱われておる。こういうようなことに新全総などにおきましてもなっておるわけですね。たとえば、首都圏整備の関係でも、「主要整備開発事業の構想」というようなことで、「第二東海道新幹線鉄道および東京・日立間、東京・甲府間、東京・熱海間、東京・房総間の高速鉄道ならびに第二東海道高速道路、東京湾横断道路等の建設を図り、さらに航空輸送需要の増大に対処して空港および関連交通施設について総合的な整備を進め、首都交通網のいっそうの高速化と効率化を図る。」というような表現になっておる。さらに中部圏開発の場合におきましても、「関越自動車道、中央自動車道、東海自動車道、北陸自動車道、東海北陸自動車道および近畿自動車道を建設するとともに、基幹的な国道を計画的に整備し、鉄道については、中央本線、高山本線、関西本線等の主要路線等の電化、線増等の整備を行なう。」ということになっておる。さらに、近畿圏等についても、「道路については、北陸自動車道、近畿自動車道、中国縦貫自動車道、山陽自動車道および神戸・鳴門間の本州四国連絡橋を建設するほか、基幹的な国道を計画的に整備する。鉄道については、山陽新幹線、湖西線等の建設および関西本線等主要路線の電化、線増等を進める。」これは読み上げたら切りはありませんけれども、そういう、ように、道路というものと新幹線あるいは在来の主要幹線というようなものが統一的に少なくとも新全総ではとらえられておる。こういう新しい総合交通体系、総合交通政策のあるべき姿というものを、こういうように道路と鉄道というものを一体的にやはりとらえておるという感じがするわけでありますが、総合交通体系の中で非常に道路だけが今日の段階では先行しておる。こういう問題について、運輸省、その点について本来あるべき交通の姿、こういうものについてどういうようにお考えになっておられるのか、この点伺いたいと思います。
  61. 見坊力男

    ○見坊政府委員 総合交通体系と申します場合には、航空とか鉄道、自動車、海運、そういう各輸送機関がそれぞれの特質によりまして相互に補完し合い、機能し合って、全体としての便利性、効率性を確保し得るような交通体系ということを考えるべきであります。  いまお話しのそれぞれの交通機関をどう考えるかということでございますが、それぞれの輸送機関の特性に応じまして概括的に考えてみますと、航空は非常に高速性を持っている、それから途中の地形に影響されないというような特性から、長距離の旅客輸送及び速達性の貨物輸送、さらに離島輸送というような時間短縮効果の著しい輸送がおもな役割りになるのではないかと考えます。  鉄道はその大量性、さらに中長距離混合輸送が可能であるという特性からいたしまして、都市間の旅客輸送とか、中長距離の大量貨物輸送、大都市通勤通学輸送がおもな役割りと考えられます。  自動車につきましては、他の輸送機関にない機動性という利点がございますので、短距離面状的な輸送がおもな役割りになるのではないかと思います。  さらに海運につきましては長距離大量性、低廉性という特性がございますこと、さらに大都市及び重化学工業の大部分が臨海部に存在いたしておるというような事情から見まして、貨物輸送に果たすべき役割りは特に重要であろうというように考えます。特に道路の混雑化、自動車運転手の不足等から、長距離フェリーの役割りが一そう高まるのではないかと考えております。
  62. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 きわめて概括的なお話があったわけだけれども、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、このように、道路ももちろんでありますが、日本の七〇年代あるいは二十一世紀に向かっての、高度経済成長といわないまでも、安定成長をずっと続けていくというために、交通機関がバランスのとれた形での、しかも効率的な交通手段というものを整備していくということが総合交通体系という形で期待されている。これは国民が自由にどういう交通機関を選択するかというようなことだけではなしに、国全体で最もあるべき効率的な、しかも経済発展のためにプラスになる形での総合性というものを持った形で、陸においては道路、鉄道、空の航空、海の内航、そういうものがそれぞれバランスがとれて発展をしていかないと、やはり道路だけが先走っていって、その道路財源が足りないからといってどんどんつぎ込むというようなことをして——それはそれで今回第六次五ケ年計画までは進むであろう。あるいはそれ以降の場合も進むかもしれない。もうすでに全国新幹線鉄道整備法、こういうものが国会を通過している。これは議員立法ではあったけれども、国会で成立して、いまや政府の責任になっておる。それでは一体財源をどうするのだ。まあ道路の場合には自動車の使用者に重量税を設けて、そこから取るということになっているのだけれども、それでは一体新幹線というのもきわめて緊急に必要があるのだということがいわれて、すでにそういう法律も通っている。その他、航空あるいは内航等についてあとからあとから、空港の整備五カ年計画ももうでき上がって政府も認めている。さらに海のほうでもそれぞれの計画が進行している。こういうものの財源は、やはり今度の場合のように鉄道を利用する者にどういう形でか負担をさせるのか。運賃料金の引き上げという形でいくのか。そういう点について、やはり総合的に財源調達という面については考えていかなければならないと思うのですが、そういう点について大蔵大臣としては一体どういうようにお考えになっておられるのか。どういう構想を持っておられるのか。総合交通体系整備に伴う、またそういう審議会の答申なども近いうちに出よう、ことしの七月あたりには出るのではないかといわれる、そういうものを受けた後におけるこの財源調達方式というものにどういうお考えを持っておられるのか、この点をお聞きしておきたい。
  63. 福田赳夫

    福田国務大臣 交通社会資本といわず、あらゆる社会資本が均衡がとれた形で整備されなければならぬ、こういうふうに基本的に考えております。そういう考え方のもとに、政府は昭和六十年までを目標とする新全国総合開発計画を立てておるのです。これはもう財源につきましても、大まかではありまするけれども、これならばいけそうだという見当をつけておるのです。しかしそれだけでは十分でない、具体化しなければならぬというので、今度は五カ年の——新全総のほうは十五年でやりますが、五カ年の新経済社会発展計画を策定している。しかしさらにそれを具体的にしていかなければならぬ、これが年々の予算の任務である、こういうことなんです。大まかな見当、つまりこれはわが国の国力がこの程度の経済成長であればまかない得るという大きなスケール、これが新全総。それからそれをさらにやや具体化したものが新経済社会発展計画だ。それをさらに、ただいま具体化を急いでおりまするように、各事項ごとに具体化する手段は何だ。これはもうそれぞれそういう具体的手段を持たなければなりませんけれども、交通につきましては総合交通対策である。こういうふうに考えておるわけでありまして、逐次、そういうふうに長期的にまず事を考える、その中で中期的な、やや具体的なものを考える、さらにそれを個別個別に実行する手段を考える、そういうふうに考えていきたいと思っておるのです。そういうトレンドというか傾向の中におきまして、どうしても財政手段は今日の手段をもっては足りません。やはりこれは数年間において二、三%ぐらい国民負担の増高がないとこれはやっていけない、こういうふうに考えまして、その具体案をどうするかということに頭を悩ましておるというのが現状でございます。
  64. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 総合交通政策というものがまだしっかりしたものが決定してないということではありまするけれども、しかしそういうものがもうすでに中間報告も出ているという段階を迎えておるわけですから、これらについても、やはりもう少しある程度具体性を持った総合的な財源調達方式というようなものについて、大蔵大臣がいまだにそういう程度の答弁しかなさらぬということは、私は非常に遺憾であります。  ところで、焦点を一つしぼって聞きますが、国会を通った全国新幹線鉄道整備法、この財源は一体どうされるつもりなんですか。すでにもう国会を通っている法律であります。政府はこれをやらなければならぬ責任にいまなっているわけです。こういうものについてどういうようなお考えを持っておられるのか。この点にしぼってひとつ……。
  65. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 御承知のように、全国新線網の全体について、どのくらいの進捗度で事業をやっていくかということはまだきまってないわけでございまするけれども、これまた御承知のように、四十六年度から東北、上越、成田、その三本について新幹線の工事に着工するということになったわけでございます。この三本につきましても、運輸省としては一応のお考えを持っておられるようでございまするけれども、まだ、具体的にどのくらいの期間をもって、どのくらいの工事をやっていくかというめどはついていないという状況でございます。また採算の問題も一つあるわけでございまして、一体どのくらいの採算でこの工事ができるのか、したがって金を借りてやる部分と国の出資を必要とする部分というものがどのくらいになるかというようなことも、実はまだ十分見当はついておらないというような状況でございますので、これからさらにそこら辺の検討をまちまして、財源問題についても十分配慮してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  66. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大体、上越、東北あるいは成田空港から都心乗り入れの新幹線、これがとりあえず建設に着工しようというような計画がいま具体的に進んでいるわけです。これだけでも一兆六千億かかるだろうという概算の試算が行なわれているようであります。運輸省と国鉄に聞きますが、あなた方の立場でその財源をどういうようにして調達され、どういう構想をその点で持っておられるのか、これを両方に簡潔にひとつお聞きいたします。
  67. 秋富公正

    秋富政府委員 お答えいたします。  ただいま先生のお話しのように、東北新幹線、盛岡まででございますが、それから上越新幹線、成田新幹線、合わせますと約一兆六千億かかる見込みでございます。これにつきまして、本年度は合わせまして七十五億予算を計上いたしてございますが、そのうち三十億円を一般会計からの出資に仰ぎまして、四十五億円は財政融資に仰いでおります。
  68. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういうことではなくして、ことしの予算のあれは私ども百も承知しておるわけです。これから一兆六千億かかる。これは五年くらいの間に全部完成させようというわけですから、その間の財源をどうするかということで大蔵省にも要求をするというような考えを持っておられるのかということを聞いているわけで、そういうことを聞いているのじゃないのです。
  69. 秋富公正

    秋富政府委員 お答えいたします。  いわゆる一兆六千億でございますので、これを全額借り入れ金からと外部資金に仰ぎますことは、開業後の採算を見ますときに、資本費の負担というのはきわめて大きくなるわけでございまして、これは国鉄の財政状況にさらに悪化を招くおそれがございます。したがいまして、本年におきましてはとりあえず七十五億の中の三十億が一般会計からの出資ということになったわけでございまして、これは一兆六千億の中でまだきわめてわずかな額でございます。今後いかなる形——いわゆる出資と借り入れあるいはその金利、いろいろな問題があるわけでございますが、これはただいま総合交通体系の問題を関係各省といろいろ審議しております段階でございまして、それの検討と相まちまして、さらに新幹線の位置づけと申しますものの関連とあわせて、今後さらに検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  70. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ここで総合交通体系の問題を重点的にやっていますと、これだけで何時間もかかるわけですが、そういう点で財源の問題については全く見通しのない運輸省の態度、国鉄の態度というものがはっきりしてきたわけであります。  そこで主計局にお伺いいたしますが、ことし昭和四十六年度は四百二億、そのうち地方に四分の一の百億を譲与する、こういうことになって、あと三百二億残るわけであります。そのうち道路に入った分は、これはそこまで区分けができないという答えがあるかもしらぬけれども、どのくらいであり、道路交通安全施設、それから国鉄に入れた分が幾らだというようなこと、もしこの自動車新税があの予算編成の復活折衝の段階でなかったならばそういうところは落とされたであろうということを考えれば、これは出てくるわけなんだけれども、たとえば来年は千四百億になる。おおよそ地方に回す分はわかるけれども、千四百億のうち何億が地方に行って、あと道路にどのくらいというような考えを持っておられるのか、この点をひとつ明らかにしてください。
  71. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 どうもたいへんむずかしい御質問であれなのでございますが、四百三億のうち四分の一の分が地方に回ったことは確かでございますけれども、残りの三百億につきましては、この間から御答弁申し上げておりますように、本年度は一般財源ということで入っておりますので、これがどこに幾ら、どこに幾ら分けられたかということはなかなかわからない問題でございます。ただ、お話しございましたように、復活折衝の段階を通じまして、新税の四百億の金を予定したということによりまして、やはり道路その他の社会資本、公共事業にそのお金が回ったということは言えると存じます。なお、明年度以降千四百億の財源をいかに配分するかということにつきましては、これも再々申し上げておりますように、総合交通政策検討をまちまして、その全体の財源の調達の問題として考えてまいりたいというふうに考えております。
  72. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 言えない立場もわかるけれども、大蔵大臣、大蔵大臣はこの委員会でしばしば、四十六年度は一般財源でありますと、こういう表現なんですね。四十七年度以降はどうなるのですか。端的に伺います。
  73. 福田赳夫

    福田国務大臣 四十七年度以降につきましては、まず前提として総合交通体系考えます。その構想がきまった上で、特別財源あるいはさらに一歩進めまして特別会計にするかあるいは四十六年度どおり一般財源というようなことでいくか、その辺は十分その利害得失を検討した上きめていきたい、こういう考えでございます。
  74. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうしますと、四十七年度以降は、たとえばこれは仮定の議論になりますが、総合交通特別会計というものがおそらくできるのじゃないかと思うわけでありますが、総合交通特別会計ができたという場合にはこの自動車重量税というものは、特別会計目的に使うという形で特定財源になるという可能性はあるんだ、こういうことになりますね。
  75. 福田赳夫

    福田国務大臣 特別会計を設置するということになれば、当然この新税収入はその特別会計に収納される、こういうことになると思います。
  76. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大臣が参議院のほうに行く用事があるようでありますから、それでは大臣にもう一つ聞いておきます。一間だけであと行ってやむを得ないと思いますが、今度の自動車新税によって、運輸事業者の経営がいまでも悪化をしているということで、ごく簡潔に運輸省からいただいた資料をもとにして申し上げますと、大体原価計算対象事業者二百七事業者のうち赤字会社が百五十三、これはパーセントで七五%、こういうことであります。これをトラック事業者で見ましても、赤字会社が千二百二事業者の調査に対して七百十八あるということで、これも六〇%というようになっておりますし、また、最初に申し上げたのは乗り合いバスであります。それから、ハイヤー、タクシー関係でも大体六六%は赤字企業である、こういうことになっているわけですね。  こういうところで、たとえばトラック事業者にいたしましても、十台かで運行しているというような事業者が非常に多いわけでありますが、そういうところで大きいトラックを動かしているところでは、今度一台当たり三万七千五百円くらいの税金になるわけです。十台あれば三十七万五千円、これをかせぎ出さなければ税金を払い切れぬ。赤字であってもそういうことになるわけです。そうでなければ運行できない、こういうことになる。こういうことでは、交通運輸業者のそういう中小業者といいますか、こういうものに対する非常に過重な負担になるだろう。こういうことに対する配慮というものは今度の税制の中にはまるきりないし、こういう現況にあるものに対するきわめて過酷な追い打ち的な税制になっている。この問題については大蔵大臣としてどういうふうにお考えになりますか。  ここで公述された業界の代表も、運賃を上げてもらうか倒産するか、その二つしかありません、こういうことであります。そうなれば当然運賃値上げにはね返ってくる。運賃値上げは当然物価にもはね返ってくる。こういうようなことになるわけであって、〇・二%とか〇・六%くらいの上昇は考えられるというようなことを経済企画庁でもいっているけれども、総合的にも四ないし五%くらい物価引き上げの原因になる、そのくらいははじかれる。こういうことをいっているわけですけれども、それにしたって、この物価値上げという問題の非常にやかましい段階において、いまのような状況からこの新税が出れば運賃値上げか倒産かという、こういうことに対して大臣はどのような配慮をなさってこの新税提案に踏み切ったのか、この辺のところをお伺いしたい。
  77. 福田赳夫

    福田国務大臣 運輸業というお話ですが、そのうちでハイヤー、タクシー、トラック業者、これが非常にいま窮境にあるということは私も十分承知をいたしております。これに対しましては何らかの措置がとられなければならぬというふうに考えまして、昨年度の末におきましては、御承知のように未曽有というか、財投資金でこれらの窮境に対処するというような措置までとったわけなんです。  新税との関係につきましては、新税は御承知のように、トラック一台につきまして平均すると一万円だというような軽微なものである。しかもこの結果道路がよくなる。これは非常にまた業界も利便を得るわけでありまして、そういう関係で差し引きいたしますと、これは結局業界のためだというふうに私は思うわけでございます。  それはそれとして、しかし、業界がただいま苦境にあるということに対しましては、いろいろな面から対策がとられるべきである。現にただいま申し上げましたような金融措置もとっておる。また運賃問題というものも慎重に検討されなければならぬ問題になっておる、こういうふうに考えております。
  78. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大臣がいませんから、今度は中川政務次官にお伺いしますが、そうしますと大蔵省は運賃問題については慎重に検討するというわけでありますが、政務次官には結論的にお聞きしたいのです。  運輸省は、こういう現況と、道路運送関係のトラック業者あるいはバス業者、ハイヤー、タクシー業者、こういうような人たちのこういう状況の中で、この新税がさらに経営を悪化させる一つの大きな要素となってくるであろうということは容易にこれはわかるわけであります。その点について、認可運賃料金等につきまして値上げの申請がもう押すな押すなで運輸省には殺到しているという話をわれわれ聞くわけだけれども、これについて、どういうようにこの料金値上げの問題について対処されるおつもりがあるのか、この点についての運輸省考えをお聞きしておきたいと思います。
  79. 見坊力男

    ○見坊政府委員 運輸省といたしましては、それぞれの申請事案が出てまいりましたときに、各原価要素につきまして審査いたしております。バス、タクシー、トラック、それぞれ審査方針と申しますか、原価計算のやり方でございますが、たとえばバスであれば標準運賃制度を実施いたしておりますし、タクシーにつきましても全国をブロックに分けまして審査を進めております。トラックにつきましても路線と区域とそれぞれございますが、申請事案の処理につきましては、十分その申請内容を審査いたしまして、原価的に人件費その他コストの面、収入の面等を調査いたしまして、その処理に当たってまいりたいと考えております。
  80. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 政務次官、この問題について、おそらくこれは、赤字会社が六〇%、七〇%というように多い道路運送業者がこれだけ新しい負担を強制的に、しかも最優先の財源として取り立てられる、こういうものが負担として追加されるということによって、経営はより以上悪くなるだろう。それから逃げることは倒産するか運賃値上げを実現するか以外にはないのだという状況にあることは十分おわかりだろうと思うのです。そういう場合にあなたは、やはりこれは受益者負担原則をさらに拡大をして利用者に転嫁されても、運賃料金の値上げはやむを得ないだろう、物価上昇というものにそれが拍車をかけるというようなことになっていくということについてはもうやむを得ない、こういうお考えをお持ちでございますか。その点はっきりお答えください。
  81. 中川一郎

    ○中川政府委員 運輸業者が現在経営が楽でないという実態については認めざるを得ないと存じます。そこで、その上に自動車重量税負担をかけるということによって運賃値上げあるいはまた破産、いずれかに行くではないかという御指摘ではございますが、今回の負担はそういう点も配慮いたしまして、運賃値上げもしくは会社がつぶれるというような過度な負担にならないように十分配意をして、この程度であるならば許されるであろう。もう一つは先ほど大臣が申し上げましたように、日本の今日の運輸行政、いろいろ問題がありますが、交通混雑ということが輸送コストの増大、したがって、経営の不安ということにも非常な大きな原因になっておる。どうしても長期的に、どの程度の長期的になりますか、効果があらわれてまいりますのは三年、四年とかかってまいりましょうけれども、今日の日本の交通体系を見ますときには、若干の負担はしていただいて、将来は流通コストの低下ということにダイナミックに取り組んでいかなければいかぬというような観点考えまして、長期的な問題そして短期的な経費の軽減、負担の軽減ということを配慮して御提案を申し上げでいるところでございます。
  82. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 全く問題にならない答弁であったということを私は確認しておきます。これはもう必ず道路整備によってメリットを受け輸送コストも下がるだろうというような具体的な問題、そういうことが年次的にどれだけ道路が改善されどれだけメリットを受け、どれだけ交通渋滞が解消することによって、受益者じゃなくて被害者であるとすらいわれている業界に対して、これこれサービスが向上をして輸送コストに響くものになるのだというような、何の具体的な資料もなしにそういうお答えをしたところで、そんなものは私は答弁にはならないと思います。しかしこの問題は、時間も限られているので十分追及できませんが、この点はもう少しあと委員も触れられる問題だと思いますから、しっかりした資料についてやはりきちんとした答弁をしていただきたいと思います。  そこで、財源問題とからんでまず一つの問題は、当然前々からいわれておった今日の八種類あるいは九種類といわれる自動車関係諸税が非常に今日では混迷をしておる。体系もきわめてまちまちになっている。そういうような中でこれを見直す、洗い直すということを税調会長も約束をしておったし、大蔵大臣もこういう問題については、この委員会の冒頭におきましても整理すべきだということを表現されている。これはどういう形でやられるか。またこのやられるにあたって主税当局は、どういうぐあいに今日のこの自動車税体系というものはバランスを失ったりあるいは重複したりというような形で体系を乱しているという認識があるのか。この点について主税局長からお伺いをいたしたいと思います。
  83. 細見卓

    細見政府委員 非常に形式的なことで申し上げますと、たとえばガソリンにかかっておるものが揮発油税と地方道路税がある。税金としてはガソリン製造場で一括して払っていただいておるのでありますが、税の上では二つに分かれておるとか、あるいはまた、これは地方税にわたることでありますが、固定資産税の系統の自動車税でありながら、一方は自動車税といい、一方は軽自動車税といい、税自体が非常に技術的な面の複雑化というような要素がございます。ただしかしこの問題、たとえば軽自動車税自動車税をとりましても、課税の主体が府県と市町村と違うというような問題がございますので、この、税を総合的に何らかの形で簡素化を考えます場合には、課税の主体になっておる団体、国、府県、市町村というあたりのそれぞれの税でございますので、税源の移動ということが起こる。その辺をどういうふうに踏まえながら簡素化を考えていくかというのは、これはやはり、たとえば今回の第六次道路整備五カ年計画といったようなものが改定されます段階におきまして、国、地方——地方の中におきましても府県と市町村との事業分量があるいは変更になる、あるいはまた総合交通体系のようなものが設けられまして、交通社会資本整備の方向について新しい芽が出てくる、そういうような機会をとらまえましてより、新しい要諦に適合した財源調達の手投という一面も取り入れながら、しかも納税者にいろいろな形で何べんも何べんも税がかかってくるという感じをできるだけ与えないような方向で検討するのではないか、かように考えております。
  84. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この問題も講論すれば切りがないのですが、この委員会質問の中でも、主税当局は諸外国と比較してみてもそう高くないという資料を出されておるわけです。その中で、なるほど大蔵省が出した資料によりますと、日本におきましては今度の自動車新税、これを含めておるわけですが、それで一五〇〇ccないし一六〇〇ccクラスの自家用車が例にとられておるわけですが、年間七万三千三百三十八円の負担である。アメリカは極端に安くて二万六千三百二十九円、イギリスが八万八千円、西ドイツが六万七千円、フランスが十万三千円というような資料を出しておるわけです。これはなるほどこう見れば、アメリカとは比較にならぬけれども、西ドイツよりは少し多いということだが、フランスやイギリスと比べると安いのではないか、こういう説明をされておるのですが、これはさらに国民一人当たりの所得というようなことから比較するというような面も考えないと、この単純な比較だけではいけないのではないか、こういうように思うわけでありますが、その辺のところはどうなっておりますか。
  85. 細見卓

    細見政府委員 国民所得一人当たりと自動車負担と比較するような御議論を一部の方がなさっておることは承知しておりますが、私どもは自動車負担考えますときに、そういう観点というのがはたして適当なものかな。どうしてそういう観念が出るのか、むしろお教えいただきたいところでございます。
  86. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 連合審査のときにも、またこの委員会でも出ましたように、日本自動車保有者のパーセントが、勤労者、低所得者に保有台数がむしろ片寄っておるくらい、三十万円以下三・三%——これはあなたが言った数字であります。百五十万円以下の所得者、勤労者の乗用車を持っておる比率が七三・六%を占めておる、こういうような状況にあるわけですね。こういうことを見れば、国民一人当たりという非常に抽象的なものではなしに、こういう具体性を持ったものから比較してみても、担税力が一体あるのかどうかという問題については非常に疑問があると思いますが、その点はどうなんですか。
  87. 細見卓

    細見政府委員 この点につきましてはたびたびこの委員会でも申し上げておりますように、私どもは基本的に負担の大小、あるいは負担の重い軽いを考えますときには、やはり直接所得にかかってくる所得税といったようなもので考えるのが適当ではなかろうか。それにいたしましても、いわゆるフローでなくてストックで考えるべきだというような御議論もあることは承知いたしておりますが、だれもが同じ立場で払う所得税というような立場に立ってみますと、これはたびたび申し上げておりますように、三百万程度の所得以下でございますと、大体西欧諸国のいずれの国に比べましても安くなっておるというわけでございます。自動車のように、現在の日本におきましては道路事情その他から見てかなり必需品的になっておるとは申しましても、それなりの財だあるいはそれなりの便益品だという評価のあるものの負担というものがむしろ若干重目になっておっても、全体として所得税のほうが軽いというのが税制としては望ましい姿じゃないかと私どもは考えておるわけであります。
  88. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 もう一つ、やはり負担の問題を考える場合に、ヨーロッパのイギリスでもあるいはドイツでもフランスでも、直間の比率というもので間接税の比率が非常に高い。日本の場合では間接税の比率は三三・四%ぐらいだ。こういうのが向こうでは六〇%あるいは五〇%以上のところが大部分だし、フランスなんかはたしか七〇何%、いまこの資料を見ておるひまはないのですけれども、そういう状態なんです。そういう中でイギリスの八万八千円というようなものが出たり、ドイツの六万七千というようなものが出ているわけです。そういう点から考えましても、先ほどのような自動車保有の状況、七三・何%というようなものが百五十万円以下の人たちだ、そういうところに一体どれだけの担税力があるのか。税制においても、日本は直接税中心の国になっているけれども、向こうはむしろ間接税の比重が多い。こういうことになっておるわけですから、そういうことを比較しても、やはり日本の場合にはこれは非常に重いといわざるを得ないのですが、いかがですか。
  89. 細見卓

    細見政府委員 私どもも決して軽いとは思っておりませんが、たとえばいま自動車からあがっておる税収が全体の税収の中でどんな割合を占めておるかというのを試算いたしておるものが手元にございますので読み上げてみますと、日本の場合は一〇・六%になります。アメリカが七・二%、イギリスが約一二%、西ドイツが約一〇%、フランスが一二%、こういうわけでございまして、広瀬委員御指摘の、間接税が非常に重い国だから特に自動車が重くなっておるということにも必ずしもなっておらない。むしろ日本におきます税体系の特色は——これはだからといって法人税が非常に重いとかいうことを申し上げるつもりはございませんが、特にヨーロッパ諸国と比べまして非常な顕著な違いは、法人税収の地位が、日本の場合は全体の税収の中の三割ぐらいを占めるところを、西欧諸国におきましては大体一割前後にしかなっておらない、その違いが間接税になっておるというようなことであろうかと思います。
  90. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そこでこの税は、質問が飛びますけれども、公述人などからも、五年間の計画の中で三千億ぐらいの道路財源不足、こういうものに充てることを主たる目的にした税制だ、このくらいの金は幾らでも捻出する余地があったのではないか。この点は、たとえばその一つは先ほど阿部委員も触れましたように、金融機関の貸し倒れ準備金、こういうようなものは、なるほどすぐにということでは一年の効果しかないということにはなりますけれども、少なくとも千五百億ぐらいはあの中から求められる。そのぐらい捻出することは可能であるし、さらにまた輸出振興税制、円の切り上げ圧力が強くなってくる日本の場合に、特別な優遇をしておるという税制、諸外国には例のないほどのものをやっているということで、その問題もある。これも少なくともことしの予算ではまだ七百九十億ぐらいになっているけれども、これを海外資源開発というようなものについてはある程度残すにしましても、五百億以上の財源がそこから出るはずである。そういうようなことを考える。また法人税も四十年の不況の段階で三%引き下げた。これを今日の段階で、ずっと好況を続けてきた、いま、少しドロップしているといわれても、どんどん上向きになってきておる状況を踏まえれば、これも少なくとも法人の、特に大企業の負担能力というものは累増している。こういうようなものについて法人税をもとに戻すということで、まだ一・二五%のアローアンスが残っているわけだ。これをやったって少なくとも  一千億ぐらいは軽く出てくるだろうというようなことが考えられるわけです。  そういうようなことを考えれば、こういうように既存の税金の中にも混乱がある上に、その混乱の上にまた特定目的なのか一般財源なのかというような問題があり、またミクロの問題としては、先ほども車検登録税というようなことを通じ、あるいはまた重量課税基準にしているというような問題をめぐって、いろいろな矛盾が個別の問題としてある。こういうようなものを積み重ねていくというような無理をしないでも、総合交通政策が樹立された段階において、そしてそれに必要な特別会計というようなものの財源として、いろいろな角度から無理のない、国民の合意を得られるような形で新税考えていくということならば、筋としてもわかるし、話としてもわかる。国民の合意が得られるということになるのだけれども、そういうものなしに、今度非常に拙速をもってこういうものを出してきたということはわれわれはきわめて残念なんだけれども、そういう財源調達の手段というものは、先ほど大蔵大臣は、そのほかにも社会資本の充実をはからなければならぬ問題があるから、そういうものはそういうほうに使いたいんだ、交通の問題ではこれだというようなことを言われたのだけれども、この問題について、財源捻出はほんとうに真剣に考えるならば幾らでもできるのではないか、こういう考えを持つわけだけれども、政務次官は一体どう考えられておるか、お伺いをしたい。
  91. 中川一郎

    ○中川政府委員 この点につきましては、先ほど来阿部委員大臣との間でやりとりのあったところでありまして、そういった税制のいろいろな問題についてはまたそれなりの使用目的もありますし、道路に関連する社会資本の充実については現在どうしても必要だ、それぞれの観点からお願いをしておるというお答えがあったのでありまして、そのとおりでありますが、さらに広瀬委員から非常に貴重な意見として、そういう方面にも力点を入れよというアドバイスかと存じますので今後御意見を体して、そういう方面にも力をいたしてまいりたいと存じます。
  92. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あと質問者がつかえているようでありますから、私の質問は一応これで終わります。
  93. 毛利松平

    毛利委員長 坂井君。
  94. 坂井弘一

    ○坂井委員 数多くの問題点について連日論議がかわされているわけでございます。  まず、私は順序としてお尋ねしたいと思いますが、今回この自動車重量税が創設をされる、しようとするその理由をひとつ明確に示していただきたい。
  95. 細見卓

    細見政府委員 自動車が走りますことによりまして、道路建設、改良、維持をはじめ、道路混雑、交通安全、交通事故等に関連いたしまして社会に多くの費用をもたらしているわけであります。また、道路その他の社会資本の充実に対する要請が強く、特に道路につきましては、第六次道路整備五カ年計画の財源の問題がありまして、緊急にこれらの要請にこたえる必要がある。このような意味におきまして、広く自動車の使用者に対しまして負担を求め、その負担にあたっては負担が過重にならないように、必要最少限にしたわけであります。  従来、自動車についてはいろんな税があるから、既存の税の増徴によってそれをはかったらいいではないかという御質問の趣旨もあろうかと思いますが、それらの税につきましては、それぞれその税の性格とかあるいは課税の範囲とか課税の主体といったようなものが違いがありまして、それぞれの税に特有のものがございまして、いま申し上げましたように広く一般的に交通社会資本の充実という目的を適正に達成するのには困難であるというわけで、ここに新税をお願いしたわけでございます。
  96. 坂井弘一

    ○坂井委員 お話でございますと、自動車の増加に伴う社会的なコストの問題、同時にまた第六次道路五カ年計画の財源不足を補てんしなければならぬ、そういう理由、同時にまた交通社会資本の充実を期さなければならぬ、こういうようなお答えであったかと思うのですが、そういたしますと、そこで出てくる二つ、第六次道路五カ年計画の財源不足に充てるというその理由が主たるものなのか。それとも社会的コストなりあるいはその他の交通社会資本、これの充実を期さなければならぬという目的が主たるものなのか。その辺の観念についてはいかがでしょうか。どう判断されますか。
  97. 細見卓

    細見政府委員 大臣のお答え申し上げましたように、この税を起こす必要があるなということを考えましたときには、第六次道路整備五カ年計画の財源不足があるということでこの税の問題を考えたわけでございますが、でき上がりましたこの税は、一般会計財源でもございますし、その要請にもこたえ、さらにひいては、提案理由に申し上げておりますように、その他の交通社会資本の充実にもあわせて供え得るように、一般財源一般税として組み入れたわけでございます。
  98. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、この重量税法案の今回提出をされたという理由に、自動車その他の社会資本の充実云々とございますが、自動車及びその他の社会資本と、この二つに考えてよろしいのか。それとも、それは同列に、同じような同等の立場を持たしていまのような理由の表現になっているのかどうか。そこのところをひとつはっきりしていただきたい。
  99. 細見卓

    細見政府委員 いまの御質問自動車とございましたが、おそらく道路、という意味でお答え申したいと思いますが、財源の金額がどこに主として用いられるという意味では道路が主でございますし、考え方のという意味におきましては道路を含む社会資本の充実に充てるため、こういうわけでございます。
  100. 坂井弘一

    ○坂井委員 私はその辺の考え方がきわめてあいまいだといわざるを得ないのです。要するに、この自動車重量税の創設が今回提案された主たる理由目的は、いわゆる第六次道路五カ年計画の財源不足、国費分については三千億の不足を生じたので、したがってこれの補てんに充てるために新税を創設しなければならないのだというのが、今回のこの重量提案の主たる目的理由だったと私は思う。いまそういう御答弁でございますけれども、問題はこの財源をどうするか、ここに今回新税提案された根本的な理由があったのであって、いまの御答弁によりますと、これは額の問題ではなくして、道路その他の社会資本の充実と、こういうお答えでありますと、問題は不足した財源を一体どうするのか、ここに今回提案の根本的な理由があったのであって、その辺を明確にしてもらわないと、ただ、この法案の理由を見る限りにおいては、今後道路以外の社会資本の充実に今回のこの新税の新しい税収入がどういうような配分になっていくか。ことによるとその他の社会資本の充実に回すべき額が道路を上回るということも、これも考えられないことはない。一体、主目的であるべき道路財源、これに対して新税による税収をどの程度まで持っていくのか。そしてその他の社会資本の充実、この割合を一体どれくらいの程度にするのか。この辺のところが明確でないと、どこにも歯どめがない。いまのような問題に対しては、税の額の問題、これからのそういう道路なりその他の社会資本に、この新税による税収をどれくらい割り振りしていくのか。その辺のところをひとつもう少しはっきりとお答えいただきたい。
  101. 細見卓

    細見政府委員 現状の制度で推移いたします限りは、これは一般会計財源になりまして、九兆四千億の全体の税収の中に無色のものとしてほうり込まれていくわけでございますが、先ほど申し上げましたような基本的な考え方に立って、道路その他の社会資本の充実をはかるために新税を起こしたわけでございますから、この税が当然にそれらの使途に今後とも用いられていくように、これは予算を通じて年々政府としての案も提出いたし、ここで御審議をいただくことになるのではないか。その際に、この税を設けたときの趣旨に違ったような予算が組まれておるようなことは万ないと思いますが、そういうことのないように国会で十分御審議を願うことではなかろうか、かように思います。
  102. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまの御答弁ですと、要するに、今回のこの新税による税収入の使途というものが明確にされないままに、先ほどもお答えございましたけれども、従来ありましたが、いわゆる総合交通体系なるもの、これを総合交通関係閣僚会議でございますか、それらがこれから考えていく。中身はこれからの問題なんだ、それに先立ってこの新税を創設するのだ。これはきわめて不明朗な政治的処理ではないか、こう私はいわざるを得ないわけでございますが、そこでいまのその論議を重ねていってもこれはどうもかみ合いそうにございませんので次に移りますが、じゃ一体この新税の特徴といいますか、従来の例にない特徴はということになりますと、一体どのような特徴、性格づけのものなのか。これもひとつ明確にお答えをいただきたい。
  103. 細見卓

    細見政府委員 自動車重量税は、自動車車検を受け、または届け出を行なうことによりまして走行可能になるという法的地位、あるいは利益を受けることに着目いたしまして課税いたす一種権利創設税であり、従来各種の権利の得喪、移転等に際しまして課税が行なわれておりました登録免許税と同様の流通税であろうかと思います。登録免許税的と申し上げますのは、登記所で現在お願いしておるものを登録免許税と申しておりますので、税の性格としては登録免許税でございますが、登録免許税じゃなくて自動車重量税であるという意味で、登録免許税的と申し上げておるわけでございます。
  104. 坂井弘一

    ○坂井委員 登録免許税、いわゆる権利創設税ということでありますが、そういたしますとこれは目的税ではない。したがって一般財源だ。ですからこの使途を道路その他の社会資本の充実に充てるというようにしたのだ、こういうことだろうと思うのです。そうしますと、どうしても道路の社会的なコストなりあるいは交通社会資本の充実なりに充てるためには新しい財源が必要なんだということがそもそもの発端であるとするならば、今日現存する自動車関係税八種類、これの増税によってそういう税収をはかろう、いわゆる既存の税の税率の変更によって税収の増大をはかろうということを最初は検討されたであろうと思うのですけれども、それをやらなかったという理由は何なんでしょうか。
  105. 細見卓

    細見政府委員 端的に申せば今回の税が一番適当であったと考えたわけでございますが、どういう点が不適当だと考えたかということを申せといわれる意味でございますれば、物品税では、御承知のように物品税というのは便益品あるいは沿革的には奢侈品課税である。したがって、同じ車でありましても大きさ、その大きさというのは、奢侈といいますか、ぜいたくの度をあらわすという意味におきまして、大型、中型、小型と税率の差があるわけであります。したがってそういう便益的な要素がないといわれておるトラックであるとかというようなものが課税されておらない。この際の問題として、もし物品税の中にそういう課税を取り入れるということにいたしますと、これは従来私どもが申し上げておりました物品税の性格をかなり基本的に変えることになるので、結局新しく、物品税でなくて、トラック税とかあるいはバス税とかというようなものを設けなければならないことになろうかと思いますが、それらの自動車が流通手段あるいは旅客の輸送機関として非常に重要なものであるということを考えまして、トラック税とかあるいはバス税といったようなものを取り上げて新規課税するのでなくて、むしろ自動車走行が一般にいろいろな社会的コストをかけておる。その場合に、ある程度重量に応じて課税したほうがそういう社会的コストとのバランスというようなものもとれるのではないかというようなことで、重量を基準にして税をかけることにいたした。これがこの税の特色であり、従来の税が必ずしも今回の目的に適しないと考えたゆえんでございます。  そのほかの税につきまして、たとえば燃料税を上げるというようなことになりますと、今回のOPECとの交渉などにおきましても御承知願っておるように、先進諸国でそれだけ高い燃料課税がかけられるのに、なぜ発展途上国のガソリンを、あるいは重油をそんなに安く買うのかという批判が国際的に出てきつつある状況でございます。私ども必ずしもその状況を的確に読み取ったのではございませんが、OPECのいろいろな動きがあるということはある程度承知いたしておりまして、燃料課税というのは、その案を得て国会に御提出しておる間にいろいろ問題が起こるのではなかろうかと思った、予感をいたしておったわけでありますが、結果としてそういうことになっておることは御承知のとおりでございます。それ以外の税ということになりますと、これは地方団体の税でございまして、国と地方との財源配分というのはそれでなくてもなかなかむずかしい問題でございまして、道路整備に緊急にいま必要とされておる不足財源を調達するのには早急には間に合わない。そういうようなことで広く一般的な税として自動車新税を設けたわけでございます。
  106. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまお答えのようなことももちろん理由の中の幾つかでありましょうけれども、私はこの新税創設を提案してきたという理由はもっとほかにあるのではないか。意図するものはほかにあるのではないかという気がしてならないわけなんです。確かに、たとえば軽量車に比べて今日の重量車が現行法によっては費用の負担が軽いのではないか、この車種間の費用負担の公平化をはかろうというようなことも一つ大義名分の中に数えられているようでございますけれども、それはさておいて、先ほど申しておりますようないわゆるその他の社会資本の充実、しばしばこの委員会におきましても論議の焦点になってまいりましたいわゆる新幹線あるいはまた地下鉄等々、他の交通社会資本、これらを充実しなければならぬ、ここらに一つの大きな意図があったのではないか。したがって、そのためには一般財源としなければならぬ。ためにこの新税性格づけを、いわゆる権利創設税である登録免許税の範疇に入るものであるというようなことを理由にいたしまして、無理な性格づけをいたしまして、そうして間接税として一般財源。その意図は、その他の社会資本の充実に充てんがためというにおいがきわめて強いように私は思う。  いま既存の税が八種類ある。端的にいいまして、やはり税収増収をはからなければいかぬということであるならば、まずこの八種類の税の手直しができないものかということは当然考えられたであろうと思うのです。そういたしますと、一番増税しやすいのは何かといいますとガソリン税である。あるいはまた軽油引取税、その辺が増税しやすい税目ではないか。ところが揮発油税、ガソリン税を増税したのでは、これは道路特定財源である。また軽油引取税については、これは地方税である。したがって、それらは一般財源としては使えない、ということは道路以外のいわゆるその他の社会資本の充実に充てるわけにはいかないからというので、いまのような非常に回りくどい、無理をした性格づけをして、そして一般財源へ入れざるを得なかったのではないか。そういう意図がありありとしているような感じがしてならぬわけですけれども、それをお尋ねしても御答弁は的確な答弁は返ってこないだろうと思いますから、あえてそれ以上のことは申しませんが、いま申しましたとおり、いわゆるこの新税性格づけというものがやはり非常に問題になる。税体系上からいってもきわめてあいまいである。  そこで、ここらで最も常識的な議論のかみ合うやりとりを私はやりたい、こう思うのですが、そういうことでひとつお答えいただきたいと思うのですけれども、重量税というのは、本来的にいえばいわゆる道路利用者税といいますか、その一環であるには違いない。これは明らかだと思います。そうしますと、揮発油税にしましてもあるいは軽油引取税にしましても、ともに道路利用者税の体系を構成するものである。したがって、新税は当然のこと道路特定財源に充ててしかるべきだと思うのですけれども、この考え方は常識的に判断して間違っておりますか、いかがでしょう。
  107. 細見卓

    細見政府委員 さらに常識的に申しますれば一般会計考えればいいことで、特定財源にしなければならないとかあるいは目的税にしなければならないとかいうのは、より技術的に過ぎるのではないかと思います。
  108. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。そうしますと、いわゆる一般財源の対象にするには、重量税を道路利用者税と見ないで間接税と見なければならぬ、そういうことですか。——そうしますと、物品税あるいは自動車取得税との関係でございますが、従来の論議を聞いておりまして私は非常にわかりにくい。もっと納税者の立場に立ちまして、税の専門家として税理論の上から回りくどい説明をして無理やりに理論づけようというのではなくして、もう少しわかりやすい、納得のできる、簡単でけっこうですが、そういう御答弁をいただけないでしょうか。
  109. 細見卓

    細見政府委員 説明がへたなのでなかなかうまく御答弁ができていなかったのかと思いますが、物品税は奢侈品とかあるいは便益品というものを中心にいたしまして、課税物品の消費に占められる、つまりそういう物品が買えるあるいはそういう物品が消費できるという、背後にある担税力をとらまえる、これが物品税の性格であるわけでありまして、そういう意味におきまして営業用のものというようなものが課税対象から除かれてきておるという沿革があるわけであります。  また、自動車取得税はその自動車の取得という形で、そこにそういう一種の財産を取得したことについての取得税というものであります。これは先般来申し上げておりますように、固定資産税との対比、つまり自動車以外の財産でありまする固定資産税と対比しながらお考え願えればいいかと思うのでありますが、固定資産を持っておりますと御承知の固定資産税がかかります。それが自動車税でございまして、大きい自動車には自動車税軽自動車は軽自動車税が年々かかってまいるわけであります。それに今度は、不動産を取得いたしますと御承知のように不動産取得税というのがかかるわけであります。固定資産の場合に不動産取得税というのがかかる。それに見合うのが自動車取得税であるわけです。  そこでいま一つ最後に、せっかく取得いたしました家屋を自分のものとして登録いたしますときに登録税がかかるわけです。これは普通の家でありますから、正規に建築されたものであって国として保護に値する家屋であれば、普通の場合ごく自然にといいますか、何らの特別な検査等も要しないで登録が受け付けられるわけでありますが、自動車はその性質が特別でございまして、自動車を持って走行するという場合には特別な検査によって、交通安全上障害のない自動車であるということの検査を受けて、そういう自動車であれば走行してよろしい、あるいはその届け出をして初めて走行してよろしい、そういうことになっておる。ですから、普通の固定資産に対してどういう税がかかっておるというのと並べてごらん願えれば、自動車だけが特別な扱いになっておるということはないと思います。  現に外国を見ましても、西ドイツとかあるいはフランスとかいう国は七つとか八つとか、あるいは九つとかいうような種類の税をかけておるわけでありまして、わが国の自動車に対する税も、もし自動車燃料税ということになりますと、いま申しました揮発油税、地方道路税あるいはLPG税、あるいは軽油引取税というのは一つであります。と申しますのは、軽油を使うのはガソリンを使うわけではございませんし、LPGを使う自動車は軽油を使うわけじゃございませんから、自動車燃料税という一つの税にすればいまの四つも少なくとも一つになるとか、あるいは固定資産税に見合う税としてたとえば自動車保有税ということにいたしますれば、自動車税と軽自動車税は統合できるとか、そういうようなことで考えますれば日本の税があながち、名前は多くなっておりますが、制度としては諸外国に比べてそう複雑だということではない。ただ名前がいかにも多くなっていることは事実でございます。
  110. 坂井弘一

    ○坂井委員 まことにもっともらしいようなお答えですが、そうしますとこの新税は、保有税と利用税という二つの分け方をかりにすれば、どっちなんですか。
  111. 細見卓

    細見政府委員 税は、登録税ではございますが、利用者に、つまり車検を受ける人、現実には利用する人に課税になる。先般もここで御説明申し上げた場合、たとえばディーラーが月賦で自動車を売る場合があるわけでありますが、その場合ディーラーが所有権を留保いたします。その月賦で——月賦ということばが適当かどうか知りませんが、月賦払いで自動車を取得しておる方がある。その車検を受ける場合は、その月賦で取得して現に走行しておる人が車検を受け、車検税を、自動車重量税をこれから払っていただくということになるわけで、つまりディーラーは所有者ではありますが納税義務者にはならない。あるいは、さらに小規模の場合でありますと、先般堀委員から疑義を持たれたのでありますが、たとえば個人の家庭におきまして、子供に財力がないときに、親が車を買って、自分の車をむすこに運行さしておるというような場合に、むすこが使用者になって車検を受け、その車検の上にむすこが、現実に運転する子供が使用者として登録される。その場合には形の上の納税義務者は子供になる、こういうように思うのでございます。
  112. 坂井弘一

    ○坂井委員 車検時においてということでありますので、これは要するに権利創設税である。それから道路を利用しようという目的に対して課税をする、こういうことなんだろうと思うのです。先ほど家の例での説明がございましたけれども、自動車というのは保有した段階で、すでにそれを利用しよう、走らそうという準備段階に入っているわけですね。私は、その家の場合なんかと同じような考え方といいますか、その例は当たらぬのではないか。車を走らさないで車を持つばかはないですね。車を取得した段階、保有した段階で、すでにもう税は課せられておる。確かに諸外国においても税目は数多い。わが国においては八種目である。その辺のところを私は云々するわけじゃございませんが、どうも税体系上非常にこんとんとしているような感じがしてならぬ。重量税というこういう考え方を今回持ち出してきたということには、それなりの理由というものは、いまお聞きした範囲でもあったということ、これは認めます。そうであれば、この八種目の現行の税体系というものを整理した上において自動車重量税という考え方が出てきたというのならば、これは理解をするのにしやすいのではないか。しかし、現行の税体系をそのままにした上で自動車重量税を積み上げてきたところに、非常に税の性格そのものがあいまいでもあるし、同時にそのことは納税する国民の、あるいは自動車の利用者の側からいっても、いかにうまく説明されようとも何だかこじつけのような、そういう説明、感じにしか受けとめられないというところに非常に納得のしがたいものがある。まあこれをここでやりとりしてもこれはおそらくまた始まらぬでしょう。  もう一ぺん話をもとに戻しますが、新税創設というのは、私はやはり道路五カ年計画の財源不足が主目的であろうと思うのです。そこで、一つ考え方でございますが、道路予算というものはこれは単年度収支からなっておりますね。現在、毎年道路支出されるその支出の大部分というものはいわゆる道路資産の純増といいますか、道路建設道路そのものを延長していく、そういう部分が、道路資産の純増をもたらすということが大部分ではないか。そういう道路投資であって、反面、経常的といいますか、たとえば道路の維持管理、そういう部分に占める比率というものは非常に少ないのではないか。そういたしますと、毎年毎年税負担がほとんど道路投資、一〇〇%あるいは一〇〇%を上回る、こういう状態で、年々の自動車関係諸税による税負担が重なってまいりますと、先ほど申しました一方では道路の経常的な費用、損耗に対する維持管理、いわゆる道路のサービス的な費用といいますか、そういう経常的な費用、その部分は非常に少ないわけでありますから、道路の資産純増をもたらす費用が年々大きく伸びていく。そうしますと、いつかは道路整備が非常に進んだ、これ以上の道路資産というものは必要を見ないというような時点がくるのではないか。言いかえれば、いわゆる道路に対する新規投資、それが減少する、そういうふうなときが必ずくるに違いない。そうなった場合には、結論を簡単に申しますが、今日のこの道路関係諸税を、これだけ必要ではない、いわゆる減免してもいいのではないか、こういうような時点がくるのではないかということが考えられる。もしそういうような状態がくるならば——くるであろうということは理論上いま私は予測するのですけれども、その場合にはこれは減税してもよい、こういう考え方に立たれますか。いかがでしょう。
  113. 細見卓

    細見政府委員 坂井委員のおっしゃるように道路建設しなくてもいいような、非常に幸福な状態がくるのかどうか、私は実はわかりませんし、そういう仮定のことについていまお答えするのも非常にむずかしいわけでございますが、たとえばヨーロッパ諸国を見てみますと、自動車から収納された税金の三分の一あるいは半分というようなものが道路投資に回っておるというような国もあるわけでありまして、自動車の税を軽くするのがいいのか所得税を軽くするのがいいのか、あるいは法人税を軽くするのがいいか、それはそのときそのときにやはり国民の皆さんでおきめ願う問題であって、いまここで非常に目的税的に、あるいは特定財源的にお考え願うということではないのではないか、かように考えております。
  114. 坂井弘一

    ○坂井委員 午前中の時間が来たようでございますので、質問を午後に譲りたいと思います。
  115. 毛利松平

    毛利委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十五分休憩      ————◇—————    午後三時五十四分開議
  116. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂井君。
  117. 坂井弘一

    ○坂井委員 先ほどの質問に関連するわけでございますけれども、いわゆるイコールフッティング論なるものがございますね。このイコールフッティング論が持ち出されてきた背景のものは、今日の鉄道の財政の問題にからんで自動車新税ということがイコールフッティング論の立場で論ぜられているわけでございますけれども、この考えは、鉄道は用地をはじめすべてを自己負担によってまかなっておる。それに比べて自動車のほうは、道路の通路費といいますか、利用に対して全然負担をしていないのみならず、公害であるとか事故であるとか、そうした社会的なコストの負担も十分にはしておらない。したがって、自動車のほうは鉄道に比べたならば不当に優遇されているんではないか。したがって、同じような競争条件下に置くべきであるので今回自動車には新たなる課税をするんだ。そしてそれをもって鉄道その他の交通社会資本、当面はまず鉄道に投入するんだ。こういう考え方がいわれるところのイコールフッティング論である。こういうことに理解してよろしいわけですか。
  118. 見坊力男

    ○見坊政府委員 イコールフッティング論といわれる場合に、イコールフッティング論がどういう立場でいわれているか、いろいろな考え方がございます。  一つはハード・イコール・プッディング論といえるものだと思いますが、通路費その他、現在国または地方公共団体がその全部または一部を公共支出でまかなっている費用の負担にかかわる不均衡を是正するという意味のイコールフッティング論。それからさらに通路費負担のほか運賃規制あるいは兼業規制、公共負担等、そういう制度面をも一含めていう意味のイコールフッティング諭。さらに別な言い方といいますか、別な議論としては、通路費等の負担のほかに交通施設の整備または利用によって生ずる外部効果、これは外部経済及び外部不経済の両方を含んでおりますが、それを内部化せよというような意味のイコールフッティング論。いろいろな立場でいわれておりますが、資源の最適配分、利用ということから申しますと、交通サービスの供給のために投入されました資源の価値、これは外部効果を含んだ意味でありますが、そういう資源の価値にひとしい負担を当該市町村の利用者に負わせることによって、資源の配分、利用の適正化をはかるということが望ましいわけであります。  それで総合交通体系考える場合にあたりまして、運輸政策審議会の中間報告でもいわれておりますが、その中間報告の中でいわれておりますイコールフッティング論の考え方というのはこのように指摘いたしております。「各交通手段の効率的な利用、整備が、もしも交通市場における利用者の自由な選択を通じて行わるべしとすれば、すべての交通手段の各々においてその交通サービスを提供するに要した全社会的な費用を当該サービスの供給主体に正確に負担させるとともに、負担費用をそのサービス価格へ正確に反映させる必要がある。そうすればその価格を基礎にし、利用者をして各交通サービスを自由に選択せしめうることになるであろう。いわゆるイコオール・フッディング論の考え方が、すなわちこれである。」ということがいわれております。  そこで、運輸政策審議会並びに運輸省で現在総合交通体系の作業を進めておりますが、このイコールフッティング論の考え方、これは競争原理としてのイコールフッティング論でございまして、原理そのものとしてはこれはあくまでその実現をはかるべきものでございますが、作業の過程におきましては非常にむずかしい問題を含んでおります。通路費負担にいたしましても、鉄道と自動車考えた場合に、マクロでとらえたらいいのか、ミクロでとらえるべきなのか、その他そのイコールすべきものの範囲がどの範囲までであるのかというような非常にむずかしい問題がございます。しかし総合交通体系の策定という現在の作業におきましては「あるべき総合交通体系論は、その体系の内部に、要素間の競争原理や、特定の要素の役割り原理などを内包しつつ、体系全体としてのもつ調整の役割りに、立とうとするものである。」というふうに指摘をされておりますように、各輸送機関の持つ特質、特性を生かしながら、各輸送機関が補完し合い、機能し合って、便利性、効率性を高めていくということを目的にして作業を進めておるわけでございます。  ただ、このイコールフッティング論でございますが、これは原理でございますが、現実の交通のあり方考えてみますと、イコールフッティング論の適用できない分野がやはりあるわけでございます。国土の均衡ある発展をはかるための交通施設の先行的な整備であるとか、あるいは交通需要が絶対的に少ない人口希薄な地域におきますミニマムとしての交通サービスの確保というような分野におきましては、このイコールフッティング論を適用することは必ずしも適当ではないというふうに考えております。
  119. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまの後段の、必ずしも適当でない、私はその部分を考えるわけです。今回イコールフッティング論が云々されているのでございますけれども、重量提案にあたって出されたところのこのイコールフッティング論というものは、私をして言わしめれば、これが非常に不明確かつ御都合主義的な、かつは非常に稚拙なイコールフッティング論である。大体イコールフッティング論をこの場に出してくること自体に非常に奇異な感じを受けるわけであります。で、先ほどの質問に関連があると申し上げたのは、私申し上げましたように、いわゆる道路予算そのものが単年度収支から成り立っていて、そしてその毎年の支出のほとんど大部分が道路資産の純増をもたらすうな投資である。したがって、こういう投資を年年自動車関係税によってまかなってまいりますと、将来においては新規投資が減少するという時点を必ず招来するに違いない。道路サービス的ないわゆる経常費的な部分というものが非常に少ないわけでありますから、道路整備された、そういう段階には、道路の新規投資というものがもうある程度の限界に達したという時点がくるに違いない。そういうことを考えた場合に、むしろ道路に対しては相当大きな税負担によるところの投資が行なわれてきたということは事実であるし、また今後も行なわれていく。しかもこの道路そのものは、大きくはやはり国民的な財産である。その利益は広く一般に還元され、そして国民的な長期にわたる財産である一方、いまいわれるイコールフッディングは、その他の社会資本の充実ということでもっていまの国鉄財政再建に投入される、そこへからませてきたというところに非常に納得のできがたいものがある。鉄道そのものは、たとえば新線建設をする場合でも、年々の投資資金のすべてをその年度の収入でまかなっているかといえば決してそうではない。そこへなぜ道路から取り上げたところの——表現は適当であるかどうか知りませんが、そういう新たな税収でもって、しかもイコールフッティングということをそこに持ち出して、からませて、鉄道のほうに投入しなければならないのか。これはもう素朴な疑問として、当然納得できがたい疑問としてそこに起こってくる。これはもう私は理の当然だと思うのです。  そこで、このことについてこれ以上議論してみても時間の浪費のような感じがいたしますので、これに関連づけながら進めていきたいと思いますが、そういたしますと、今回自動車重量税の創設を提案したという背景一つには、いわゆる自動車の激増に伴いますところの事故あるいはまた公害、そうした社会的費用を道路利用者に負担させるということも一つ理由となっていると思うのですけれども、そういう意図があって提案された、こういうことであろうと思いますが、再度ひとつ確認をさせていただきたい。その点は間違いございませんか。
  120. 細見卓

    細見政府委員 自動車がそういう形でコストをもたらしていることに着目して課税が行なわれておりますが、そのことが即その負担を直接的に弁償するとか、あるいはそのコストをまかなうとかいうことでないことは、この税が一般会計の中に繰り入れられている一般間接税であるということからおわかりいただけようかと思います。
  121. 坂井弘一

    ○坂井委員 それがもしこの社会的費用を道路の利用者に正確に負担させるのならば、ある程度交通量は減るのではないか。ひっくり返して言いますと、今日道路の交通容量というものが不足を来たしているということは、現実にその負担させている額が下回っている、低いからです。ですから交通容量が不足しているのだ、そういう認識に基づいているのですか。
  122. 細見卓

    細見政府委員 この税はそういう抑止的なことは考えておらぬわけでありまして、おっしゃるような負担受益との関係を明らかにするような意味では単なる重量税でなくて、たとえば走行との関係ではガソリン税をあわせて考えなければならない。そういうような問題もありまして、この税はおっしゃるような直接の負担、直接の受益というようなものでなくて、税の背景になりましたのは、基本的にそういう関係があるからそこに新たな負担を求めたということでありますが、でき上がっておる税制といたしましては一般的な税であり、一般会計の中に入って広く交通社会資本の充実に充てられることになっている、こういうことでございます。
  123. 坂井弘一

    ○坂井委員 重ねて確認させていただきたいと思います。そういたしますと、重量税を提案した理由の中には、いささかも自動車の使用または保有を抑制する意図はない、こう受け取って間違いございませんか。
  124. 細見卓

    細見政府委員 税の目的ではございません。経済的負担がかかるという意味におきまして、物の価格が騰貴し、あるいは税負担がふえたときに、それが幾らかの抑制に働くという意味ではそういうこともあろうかと思いますが、税の目的はそういうことではないということを申し上げたいと思います。
  125. 坂井弘一

    ○坂井委員 すなおにそのことばそう了解しておきましょう。  社会的コストの問題ですが、確かに今日社会全体がモータリゼーション化されて、今日の自動車の激増、それに伴うところの事故あるいは公害の多発は大きな社会現象というか、社会的な深刻な問題になってきておる。そこで自動車に対してそういう社会的なコストを負担させよう、それは今回提案理由の中の一つだということは明らかなんです。そういたしますと、私は、一つ大きな問題を見落としているのではないかということを指摘したいわけでありますけれども、公害であるとかあるいは事故であるとかということは、ただひとり自動車の責めに帰すべき問題ではないのではないかということ、むしろそれは本来的には道路に起因するところの災害、いわゆる公害、事故というものが非常に多いのではないか。今日の日本道路事情というものが、車が安全にかつ円滑に、そして公害を発生させないような状態で走らせるというような道路ではない。非常に質の悪い道路というか、もっと端的にいいますと安全施設が完備されていない。そういう道路が非常に多い。一口に言って、よい道路というか、安全施設等も完備された、規格の整った道路とではおのずから事故や公害に対する費用は異なるはずであると思うのです。やはりここで問題にしなければならぬのは、道路の質の面の問題を取り上げなければ、ただ単に自動車が公害をまき散らす、事故を多発させる、したがって社会的コスト負担させる必要があるのだでは、それは一方的な見方であって、道路に対する責任ということ、道路の現状は一体どうなんだ、こういう問題を二面的に、両面から取り上げなければこの論議は進まないと思うのです。したがって、道路の質の面での向上ということは当然やらなければならぬ緊急課題でもあるし、同時にまた今日の事故なりあるいは公害なりをここまで激増させてきた責任は一これは建設省当局にもお伺いしたいと思いますが、今日までの日本道路行政にもその責任の一端はあったのだということはお認めになりますか。
  126. 吉田泰夫

    吉田説明員 御指摘のとおり、自動車の著しい伸びに対比いたしまして道路の構造の面で、歩車道の分離とかあるいは横断歩道橋の設置とかあるいは中央分離帯の設置とか、そういった交通安全的な施設に手が十分回りかねておりまして、それが現在までの交通事故の相当の要因になっておることは認めざるを得ないと考えております。
  127. 坂井弘一

    ○坂井委員 道路自体が非常に劣悪である。そのために今日の道路環境そのもの全体が非常に悪くて、そこで事故なりあるいは公害が多発しておるということは率直に認めざるを得ないし、またそういうお考えだろうと思うのです。  そこでさらに建設省にお伺いしますが、現在わが国における道路の容量そのもの、いわゆる国土面積なりあるいは可住地面積に対する道路容量は一体どれくらいあるのですか。パーセントでもけっこうですが、これをまずひとつ教えていただきたい。
  128. 吉田泰夫

    吉田説明員 国土面積の道路延長の資料が手元にございますが、これによりますと、日本は三十七万方キロに対して、一平方キロ当たり二・七キロという延長になっております。
  129. 坂井弘一

    ○坂井委員 第六次五カ年計画が完成した時点ではどのくらいになりますか。
  130. 吉田泰夫

    吉田説明員 第六次五カ年計画で新たに延長として伸びますものは、高速自動車国道が現在六百四十キロから千九百キロになります。千三百キロふえるとか、首都高速、阪神高速等の都市高速が約百五、六十キロ伸びるとかいうものが主でございまして、一般道路としては、市町村道まで含めて約百万キロといわれる道路の延長自体はふえないわけでございます。ただそれぞれの道路の改良率、舗装率がかなり伸びまして、たとえば一般国道でいえば舗装率七七・%が九三・五%になる一同じく一般国道の改良率が七七・八%から九〇・六%になる。主要地方道、一般都道府県道等もこれにならいましてそれぞれパーセントが一〇ないし二〇数%ほどよくなるわけでございます。  なお、今度の五カ年計画のあとに引き続き計画的に整備したいと思いますが、そういうものによりまして、たとえば一般国道につきましては昭和五十年には一部区間を除いて第一次改築が全部終わる。それから主要都市における交通渋滞個所のバイパス、これを大幅にやっていく。主要地方道などにつきましても昭和五十五年度には一次改築を終わる。こういうような計画をもって年次計画に配分しておる、こういうわけでございます。
  131. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、質問の意図は後ほど申し上げますけれども、可住地面積に対する道路容量の問題ですが、これは諸外国との対比の問題も含めて論議をしないと、私がいま考えております質問の趣旨というものは正確なものは出てこないのではないか、こう思うのです。あらかたのところの考え方を申し上げますと、いわゆる日本の国土面積ないしは可住地面積、ことにいわゆる山間部が非常に多い。可住地面積というのは大体三分の一であろう、こういわれるのですけれども、この限定された可住地面積に対して、一体道路の容量というものはどの程度まで許されるのか。その限界というものを明確に計画の中で踏まえておるのかどうか。その最終的な道路容量というものを考えた上に立っての第六次道路五カ年計画であるのかどうか。いまうわさされておるところによりますと、早晩この第六次計画は第七次計画に改定しなければならぬのではないか、一つの行き詰まりがあるというようなこともうわさに聞くわけでありますけれども、結論を申し上げますと、いま申しましたとおり、一体わが国における道路容量というものはどこまで許され、限界可住地面積に対してこれだけの程度は当然道路として必要なんだ、こういう明確な最終的なものを建設省はお持ちですか。その点をひとつはっきり教えていただきたい。
  132. 吉田泰夫

    吉田説明員 現行五カ年では、先ほど申したようにかなり改築、バイパス等が進みますが、それにしましても遺憾ながらまだ道路面積として完全にはふえない。つまり道路容量は自動車に比べて、たかだか現在の自動車道路面積の比率を維持する程度でございますが、さらに将来を考えまして、昭和六十年に全国の七千六百キロの幹線自動車道をはじめ、一般国道以下の一般道路につきましてもまず十分と思われる整備を完了しました暁の推定を申し上げますと、用地の面積は国土全体の面積の約二・七%になる計算でございます。可住地面積が国土面積の約三分の一とすれば、この程度は約三倍、八%程度になろうかと思います。そういうことでございます。なお、都市におきます街路の整備目標は約二〇%、つまり都市部におきましては道路率を二〇%まで持っていきたい、そうすることによりまして、経済活動、日常生活に必要とされる円滑で安全な道路容量というものが確保されるのではないか、このように考えております。なお、国土面積に対する二・七%という数字は、これは十分に考えられる可能な面積であって、決して過大なものとは考えておりません。
  133. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は最終的なものを聞いているわけですよ。日本の国土面積ないし可住地面積に対する道路容量は一体どこまでが限界と考えておられるのか、またその目標を持っておるのかどうか、こういう問題なんです。いまのお答えですと、昭和六十年に二・七%、可住地面積に対しては八%、こういうことですけれども、昭和六十年でもう道路容量というのは限界に達するのだ、これから先は必要ないんだ、こういうことではなかろうと思うのです。ですから、ずばりのお答えでけっこうなんですが、最終的には日本道路容量というものはここまでは許されるし、またここまでは道路容量を確保しなければならないのだという、明確なお答えをお願いしたい。
  134. 吉田泰夫

    吉田説明員 先ほど六十年の計画と申しましたのは、六十年における自動車台数を三千五百万台と前提いたしまして、それに対応する、まず満足できる道路容量、こういうことでございます。したがいまして、さらに年次が進めば、国民の自動車保有率は三千五百万台よりももう少しはふえると思いますので、四千万台とかあるいは四千万台をこすというような時代も先になればあり得ると思います。その場合には先ほどの数字よりももちろんそれだけ道路面積はふえるわけでありますが、極端に申せば、市街地におきましては道路率は二〇%保持し、またそれは可能であろう。地方部はといいますと、精細に積算、検討を加えておりませんので申しわけございませんが、国土面積に対して数%程度になることは、限度としては十分考えて差しつかえないと考えております。
  135. 坂井弘一

    ○坂井委員 あなた方はそういうような考え方で計画を立てるからおかしいのです。いいですか、日本の国土面積は倍にも三倍にもなるはずはないのですよ。自動車の台数は野放しに、ふえるのです。どんどんふえる。今日までの道路行政のあり方というものはどういうことかといいますと、自動車が生産される、それがどんどん道に出てくる、交通渋滞を起こす、それに従って道路を延長した。道路建設計画のもとというものは何かということを、そこから尋ねたいのだけれども、道路を利用する一番の交通機関がまず車である。車がどんどんあふれ出る、それに従って道路を延長せざるを得ないというような形で今日まででき上がってきた。押されて計画されてきたのが計画といえるかどうか。それが道路の一次計画から始まるところの第六次計画までの、今日までの道路行政のあり方である。そういう今日までと同じような姿勢をさらに今後も続けていこうとするところに問題がある。自動車はふえますよ。表現が適切であるかどうか知りませんが、自動車道路の戦争で道路が勝てるわけはないでしょう。国土面積は限りがあるのです。しかも日本は諸外国に比べても可住地面積はきわめて小さい。そういう国土の特殊性というものを考えて、ことに、あなたのほうのお説をかって、建設行政の中における道路行政というものが、あるいは道路建設計画というものが、日本社会資本充実の分野の中に占めるものが非常に高い要素を持つものであるとするならば、最も大事な一つの政策課題として、はたしてこの限定された日本の国土を総合的に開発し、利用していこうという計画の中で、道路はどこまで許されるのだという最終的なものを押えないで、ただ単に自動車がふえてくる。おそらく昭和六十年には三千五百万台に達するであろう。そういたしますと、先ほどの御答弁の二・七%、あるいは可住地に対しては八%、これぐらいでまかないがつくのではないか、その考え方がおかしいということを私は言っている。なぜ最終的なものを踏まえられないのですか。日本の国土が倍になるわけでもないし、可住地面積が倍になるわけでもないのです。幾ら埋め立てをしたって国土面積が何十%もふえるなんということは考えられない。そういう最終的なものを踏まえているのかどうなのかです。それだけでけっこうですから、お答えください。
  136. 吉田泰夫

    吉田説明員 先ほども申し上げましたように、いまのところ昭和六十年度三千五百万台、その後になりましても、人口、世帯数との対比から、たとえばその倍にもなるというようなことはないのではないかと私どもとしては考えておりますので、三千五百万台で二・七%という比率がさらに六十年以後ふえましても、それに対応する道路整備をいたしまして間に合っていくのではないかと考えておる次第でございます。  なお、将来のことですから見通しが大きく狂いまして、とても自動車の伸びに容量としての対応ができないということになれば、国土面積との対比でその限界点を十分検討いたしたいと思いますが、たとえば道路の使い方を、歩行者その他の緩速車を中心とした生活道路とそれから高速の道路に分けまして、高速道路を幹線として張りめぐらすというようなことによりまして同一の面積当たりの交通容量は著しくふえるというようなこともありますので、そういったことも考えながら、貴重な国土をできるだけつぶさない方法もあわせ考えつつ、道路整備につとめてまいりたいと考えております。
  137. 坂井弘一

    ○坂井委員 それはもう少しあとで詰めますが、その時点になって考えるなんということ自体がおかしいんだということを私は指摘しているわけなんです。  一方において、閣僚会議でもって交通機関別の内容を検討しつつ、それらが相互に相補完する関係にあるということから、最も理想的な交通総合体系体系づけるんだ、そういう総合政策をいま立案中なんだ。したがってそのためにも今回の新税が創設された意味はあるんだ、こういうような答弁を繰り返し繰り返しなさっておる。だから私はいま聞いている。それには重大な関係があるいわゆる国土面積あるいは可住地面積、貴重な国土資源を道路のためにどれだけ必要とするのか、その限界を押えないで議論をしても意味はなさぬじゃありませんか。そこを聞いているわけなんです。  それじゃもう少し具体的に入りましょう。わが国の可住地面積当たりの自動車保有台数は一体どれくらいのところにあるのか。同時に主要諸外国との対比で御説明をお願いいたしたい。
  138. 見坊力男

    ○見坊政府委員 可住地面積とは国土面積から森林地帯を除いたもの、こういう前提を置いておりますが、それを可住地面積といたしまして、自動車保有台数は陸運統計年報の四十三年版によっておりますけれども、日本が可住地面積当たり自動車保有台数は一平方キロ当たり八十五・七一台、アメリカが十九・三八台、西ドイツが七十・一八台、イギリスが五十四・二九台、フランスが二十八・七七台、イタリアが三十三・三六台、こういう状況でございます。
  139. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまの御答弁でありますと、可住地面積当たりの自動車保有台数は日本が一番高いわけですね。日本が一位、それから西ドイツ、イギリス、イタリア、フランス、アメリカ、大体そういう順位になろうかと思うのです。ですから、いまの答弁によりましても、もうすでに可住地面積当たりの自動車保有台数というのが世界第一位である。そうして限定された可住地面積を道路につぶしていくという表現がいいかどうか知りませんが、この貴重な国土をどれだけ道路に充てるか、これはきわめて重大な問題です。先ほどの質問に逆戻りするわけですけれども、したがって一体道路容量というのはどこまで許されるのか。すでにいまの可住地面積当たりの保有台数からいきますと、アメリカなんかに比べたら日本は四倍という高い率を示しているわけですね。しかも自動車そのものがさらにどんどんと生産され、それが使用される。道路に出てくる。これは追いつきませんよ。そういう中からあらわれたのが今回の、公害、事故の多発に伴う自動車の通行規制の問題、これは一種の使用制限でしょう。保有の制限ということではないでしょう。使用の制限ではとても今日のこの自動車の激増に対処するだけの道路建設というものには追いつかない。したがって今回の新税によって、ある意味では使用の制限、抑制と同時に、保有の抑制を意図しているのではないかということを勘ぐりたくなるということを先ほど申し上げたわけです。そうしますと細見さんがそうではないとおっしゃったから、それはすなおに受け取りましょうと言ったのですが、そういう中から基本的な問題かつ根本的な問題としてこの道路容量というものを一体どう見ておるのかということを明確にしておかなければ、この重量税の意図するものは一体どこへいくのかさっぱり見当がつかない。大蔵大臣もしばしば説明しているじゃありませんか、重量税そのものはいわゆる第六次道路五カ年計画の財源不足に充てるのが主目的なんだと。それはそのまま、そうですがと一応すなおにお聞きいたしましょう。そうしたときに、一体どこまで道路が必要なんだという最終的なものを押えないで、ただその場限り、今回だけの議論に終わったのでは、一体先々どうなるのかということがきわめて不安です。最初から予測が立てられないかというと決してそうではない。国土そのものは限定されたものである。絶対量は動かすことのできないものです。だからそれらを踏まえた上の、かつおっしゃるところの総合交通体系政策というものが検討されておらなければ、これまた同じように何ら意味をなさない。ざるにたとえれば底の抜けたざるみたいなものでしょうね。意味をなさぬじゃありませんか。  では、話を次へ移しましょう。総合交通体系というものが総合交通閣僚会議なるものでいま検討されておるやに聞くのですけれども、一体どこまでこれは検討されるのでしょうか。またいつになったらこの総合交通体系なるものができ上がるのでしょうか。
  140. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは来年の予算の編成の前に案をつくりたい、かように考えております。
  141. 坂井弘一

    ○坂井委員 その総合交通体系なるものができ上がりますと、今度は——大臣、せっかくいま御答弁いただきましたのであわせてお尋ねいたしますが、今回は一般会計、四十七年度は特別会計にという御答弁でございますけれども、そうするとこの特別会計というのは、総合交通特別会計なるもののような性格特別会計でございますか。
  142. 福田赳夫

    福田国務大臣 まだ、特別会計にいたします、こういうふうにはお答えしておらないのです。総合交通対策ができ上がりまして、そうしてその場合に、自動車新税による収入を特定目的税にするかしないか、そういう問題があります。また同時に、そういうことにいたした場合に、特別会計を設置いたしまして交通全体の収入支出を経理するということが妥当であるか妥当でないか、その辺の利害得失をよく検討してみたい、そういうふうに考えておる。まだ結論は出しておらないのでございます。
  143. 坂井弘一

    ○坂井委員 ではまだ何もきまってないのですね。盛んに総合交通政策あるいはまた体系ということをおっしゃいますからこちらも聞きたくなるわけですけれども、現実には総合交通体系なりその青写真なんかはいまのところ一切ない、あるいはまた検討の積み重ねといういわゆる行政ベースの努力も何もない。そういう中でもつ。ばら当面の課題を政治ベースにゆだねた、ここら辺が真相であろう。そういう中で総合交通体系というようなことがはなばなしく、さも当面の緊急課題のごとくいわれる。そうしてその大義名分といいますか美名のもとに、今回の税が必要であるのだということを意味づけておる、私はこういわざるを得ないのではないかと思うわけでございます。  そこで、総合交通体系ということでございますけれども、この総合交通体系ということばですが、これは一体いつから起こったのですか。
  144. 福田赳夫

    福田国務大臣 こういうことばがいつから使われるようになったかはっきりはしませんが、とにかくこれが政治課題というふうになってきたのは、昭和四十六年度予算の編成の過程において起こってきたわけであります。
  145. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣、そのとおりでしょう。この総合交通体系なる名称がいつ生まれたかといいますと、これはもう御承知なんでしょうが、昭和三十六年に発表せられました所得倍増計画及び全国総合開発計画、この交通部門計画の表題はそのものずばりで、総合的交通体系、こうなっているのです。これ以前に、昭和三十三年、新長期経済計画、これが作成されましたときにもこの交通部門につきましては、その中に「日本交通の現状と将来」、こういう発表がなされております。この「日本交通の現状と将来」の中で「輸送機関の特質や補完性や代替性を考えて、将来の総合的輸送体系を描く」云々と、非常にりっぱなことをいっているわけです。昭和三十三年、しかしてその後は昭和三十六年、すでに総合交通体系なる名称がずばりいわれておるのです。そうして非常に緊急かつ重要な政策課題である、こういうことがはなばなしくここにいわれておる。   〔委員長退席、上村委員長代理着席〕 昭和三十六年から数えてももうすでに十年経過する。一体この総合交通体系なるものは今日までどのような進展を経てきたか。最初に申しましたように、行政ベースでの努力というものも何ら、なかったのではないか。ここでこう言われた以上は、少なくともその総合交通体系の中の重要な交通機関の一環としての自動車、同時に道路、しかも道路そのものはこの限りある国土の中における重要な資源である。それが一体どこまで総合交通体系の中で位置づけられるのか。そのことによって道路そのものの容量というものもきまってくる。それらが何ら検討もなされないままに今日まで押し流されてきて、そうしていまにして初めて——初めてとは言わぬのでしょうけれども、いまにして総合交通体系が必要なんだ。おかしいじゃありませんか。きのうからきょうにとたんに自動車がふえたわけではない。何回かにわたる道路五カ年計画は、最終的なものを押えないでそのつどそのつど場当たり的に出されてきたのか。ただ自動車の数に押し流されて、そういう計画が流されたような形で出されてきた、こうしか言いようがないと思うのです。  ですから、総合交通体系なるものをいま検討し、これを立案し、そうして計画に移していくのだ、こう言われておりますが、本気になっておやりになる御意思はあるのですか。聞けばあるとおっしゃるでしょうけれども、どうも私はだまされるような気がしてならぬ。うまいぐあいに、総合交通体系は必要なんだ、だから新税が必要なんだ、こういう論理にすりかえられているような感じがしてならないのです。私がいま申しましたように、これはもうすでに十年あるいは十三年前からいわれておることなんです。だから本気になっておやりになる意思があるのかどうなのかという点が一つと、それから総合交通体系というのは、これを計画し立案していくところの責任機関といいますか、主体は一体どこにあるのでしょうか。この辺のところもさっぱりわからぬわけですけれども、それらをはっきりさせていただきたい。運輸政策審議会であるとか閣僚会議であるとか、あるいは経企庁長官が中心になり、窓口になるんだとか、いろいろなことがいわれておりますけれども、一体どこが責任を持っておやりになるのでしょうか。
  146. 福田赳夫

    福田国務大臣 総合交通対策は必ず策定をいたします。それからこれを取りまとめる中心官庁は企画庁であります。
  147. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうすると総合交通閣僚会議というのは一体どのような性格で、どういう意味を持たしておるのでしょうか。
  148. 福田赳夫

    福田国務大臣 交通手段が、あるいは建設省、これは主として道路になります。それから運輸省、これは道路の上を走らせる自動車の行政をやっている。それから国鉄の管理、私鉄の監督、そういうことをやっているわけです。そういう関係で運輸省。それから財政の関係で大蔵省。その他、たとえば交通安全という関係で総理府及び国家公安委員会。そういうようないろいろな関係各省があるわけです。それらの意見を総合してきめる必要があるというので、経済企画庁を中心に関係各省の長が参集をして協議をする。もとよりそれは非常に技術的なこまかい問題もありますから、事務的にこれを積み上げなければなりませんけれども、最終的には政治的な決断を要する、こういうようなことで閣僚会議を設置している、こういうふうに御理解願います。   〔上村委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣、こんなことをいわれているんですよ、閣僚会議は今度の新税財源ぶんどり合戦の休戦の産物である。いかがでしょうか。これは非常にきびしい言い方であるか、あるいはまた全然当を得ない言い方であるかはいざ知らず、そういうようなこともいわれておるというくらいに、総合交通体系なり、またこれを推進しようという今日の閣僚会議あり方なり、そういうことが非常に大きな批判を受けておるということは、率直に認識をしていただかなければならぬではないか。したがって、いやしくもそのようなことがないように、総合交通体系政策そのものが、片やいわゆる鉄道オンリーの利害関係に結びついたそういう一部の人たちや、あるいはまた道路に結びついた道路屋さん、そういう人たちの財源のぶんどりのためのえじきになるような、言い方は悪いかもしれませんが、新税であったのでは断じて許されない。それはどうかひとつ大臣、心していただきたいと私は思うのです。あえてそういうことを申し上げるということは、福田大臣に対してはまことに失礼な言い方かもしれませんが、しかし事実そのようなことがいわれておるということから、私は;口は申し上げておきたい、こう思って言ったわけでございます。  そこで進めてまいりますが、いま申されました総合交通体系の立案につきましては、ただ単に政府部内だけではなくして、これは広く交通の専門家なり学識経験者あるいはまた国会あるいはまた評論家、そういう幅広い国民各界各層の代表を網羅いたしまして、そういう中で国民的なコンセンサスをこの交通総合政策の中に盛り込んでいこう、こういうような考え方はいかがなものでしょうか。
  150. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは懇談会とか審議会とか、そういうようなものを設置しまして意見を聞くというような方法もありますが、各省あるいは各庁におきましていろいろ基礎資料の立案にあたります、そういう過程において、たとえば運輸政策審議会、これは大株主である運輸省でありますが、そこには運輸政策審議会というものがある。そういうところで広く各界の権威者の意見を聞く、こういうことになりますので、これを企画庁やまた大蔵省の中立的な官庁が中心になりましてまとめ上げる、つまり総合する。そういう段階でまた再び同じようなことをするかどうか、これはまた行政の能率の問題として問題があろうかと思うのです。その辺はなおよく考えてみさせていただきたい、かように思います。
  151. 坂井弘一

    ○坂井委員 次へ進みますが、今回、たとえば日本自動車工業会なんかが計算しますと、自動車の需要は急激に落ちるのではないか。急激とは私は思えない。ある意味ではスローダウンするのではないかというような御意見もあるようですが、たとえば自工会では一八%の減を見込んでいるようでありますけれども、これに対してはどうですか。これは通産省のほうですか、どういうような見方をされておりますか。
  152. 細見卓

    細見政府委員 通産省のほうからお答えするのが筋だと思いますが、その一八%とかいう数字を計算されましたときには、税が蔵出し税であり、しかも税のかけ方も、税額もかなり大きな数字になっておったわけで、今回の課税は蔵出し税ではなくて保有税になっておりますので、たしか前回の御答弁で、通産省としては、しいて計算すれば一%くらいになろうかというようなことを申しておったと思います。
  153. 坂井弘一

    ○坂井委員 やはりある程度はダウンするのではないか。主税局長はいま自工会のことをおっしゃっておりますけれども、大蔵当局としてはどういうように考えていらっしゃいますか。
  154. 細見卓

    細見政府委員 私どもとしては、ほとんど関係がない。この税は自動車の抑制を目的としたものでなくて、この税のあるなしというのはそれらにほとんど響かないというふうに考えております。
  155. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは考え方の相違だろうと思いますが、やはりある程度はダウンするのではないかということは当然考えなければならないのではないか。そうなりますと、ことに自動車産業というものが総括産業である。したがって波及効果が非常に大きい。それが関連産業、ことに部品製造等下請零細企業に及ぼす影響というものは必ずしもなきにしもあらず。そのこと自体は、基幹産業の自動車日本経済に及ぼす影響等々、やはりそういう点もかなり突っ込んだ分析をしなければならぬのではないか。当然そういうことである程度は国内需要も低減するであろうし、そうなりますと、自動車そのものが大量生産方式をとっておりますけれども、それによるところのコストダウンということも可能性が非常に乏しくもなってくる。したがって対外競争力というものが著しく低下するんではないかというようなこともいろいろ取りざたされているようでございますので、そういうことも一つの大きな今回の重量税創設に伴う課題としてとらまえて、ひとつ十分な検討をする必要があるんではないか。ほとんど影響はないと思います、これは感じでありまして、自工会が、少なくとも何%それに伴う減産が、額にしてこれだけは減産である、こういっているわけですよ。ですから、ある程度といいますか、かなりあるいは相当、そうした関連企業なり部品の下請工場なりが危機感を抱いておるということもこれまた事実なんですね。そういう部門に対してもっと説得力のある言い方をしてもらわないと、感じとしてはほとんど影響はないんではないかでは納得のいきがたい気がいたしますので、もう少し科学的に御答弁をお願いいたしたい。
  156. 細見卓

    細見政府委員 先ほども申し上げましたように、その自工会が一〇%程度の影響があるといっておりましたときには、蔵出し課税で、しかも税額が一台当たり二万円ぐらいの税額を想定したときの陳情の文章にあったかと思うのでありますが、今回の税は御承知のように保有課税になっておりますし、税額にいたしましても、乗用車であれば五千円、トラックであれば一万円ということであり、一方、道路整備五カ年計画がこれによって財源を確保されて進捗するわけでございます。先日のこの委員会におきましては、そういうことをすればかえって自動車がふえて道路を混乱させるじゃないかというような御議論がございました。それに対してはそういうことはないと思います。やはり自動車の運行の効率その他の自然制約がありますから、この税はほとんど自動車をふやすほうにも響かないし、自動車を減らすほうにも響かないでしょう。確かに予測にわたることでございますから、いろいろな議論はあろうかと思いますが、私どもはいろいろな方面と、産業官庁である通産省とも十分詰めまして、この税による影響はないということで通産省とも意見が一致しておるところでございます。
  157. 坂井弘一

    ○坂井委員 質問を変えますが、私は先ほど申しましたとおり、日本道路環境そのものが非常に劣悪である。したがってそれに伴って事故が多発する。いわゆる道路の責めに帰すべき部分が非常に多いんではないか。このこと自体が今日の日本道路行政のあり方に大きな反省を求めなければならぬ、こういう立場に立つわけです。そういう考えからいたしますと、むしろこの交通安全なりあるいはまた公害の発生を未然に防止するという積極的な、そういう道路環境そのものをよくしていくんだというような投資のために今回の新税が必要であるんだとするならばまだ許される点もある、こう思うのです。  本来、たとえば安全施設一つとってみましても、横断歩道橋であるとかあるいはガードレールであるとか、あるいは街路照明であるとか標識であるとか信号機であるとか、そういう一連の交通安全施設そのものは、歩行者には何らこれは責任のないものです。本来的にいうならば、車が道を走る、道路を走る、そのためにいまのような安全施設が必要だということであって、受益者負担原則からいうならばまさしく安全施設を設置しなければならない、その一番の受益者は道路利用者であるべきはずだと私は思うのです。その道路利用者である自動車から新税を取って、それを主としていわゆる道路資本の充実といいますか、道路建設のためにこの税収が充てられるということは、これは一般国民的な感情からしてもこれまたおかしなものがある、納得しがたいものがある。主として安全投資にこの新税を充てるのだというならば、まだこれは理解し得る面があるわけですね。だから、この新税道路投資に回すということは本末転倒している。道路そのものは、それは広くは全国民的にその利益が還元される。従来しばしば論議がかわされてきましたけれども、これは一般財源に回したっていいじゃないか、こういう議論がそこから出るわけでありますけれども、要するにいまいうところの自動車新税というものはなおさらのこと、立ちおくれている社会資本の充実、その中で最もおくれているところの交通安全関係の施設、そういう面に充てるのだ、そうでなければならぬと思うのですが、この私の考え方についてその是非を、ひとつ御意見をお聞かせいただきたい。
  158. 吉田泰夫

    吉田説明員 道路整備にあたりまして交通安全に最重点を置くという御趣旨につきましては同感でございます。道路の交通容量をふやすだけで足れりとすることはもはや許されないわけでございまして、そういう意味におきまして、今度の道路整備五カ年計画におきましても既存道路に対しての交通安全施設の整備、さらに今後新たに整備していく場合の歩道その他の設置の強化という点につきましては相当の経費を投入する計画でございまして、これによりまして、かたわらでは円滑な交通に資するとともに、同時にそれが交通事故の原因となるようなことの決してないように十分配慮する覚悟でございます。
  159. 坂井弘一

    ○坂井委員 まあ十分配慮するということをおっしゃっていますが、もっとも配慮してもらわなければ困るわけです。困るわけですけれども、話をもとへ戻して私は言っているわけです。本来的には、最初から道路建設の際にはそうした道路環境そのものを考慮して、安全施設の完備された道路というものが本来的な道路である。そういう考え方に立って道路行政が今日なされてきておらなければおかしいにもかかわらず、それができてなかった。単に舗装すればいい、拡幅すればいい、路盤を強化すればいいのだ、そして延長するのだ、そういうような姿勢に押し流されてきたところに今日の事故なり公害の多発があるのだということを私は指摘しているわけです。それを一方的に自動車の責めにして、社会的コスト負担させるべきだ——確かにいま反自動車ムードというものが非常に大きい、アンチ車なんていう、そういう論者もかなりあるようなんです。そういうことを巧みにここに引っぱり込んできて、そしてこの新税創設をさらにもっともらしく意味づけようというような、そういうことに対しては私は同調するわけにはまいらぬ。安全施設の全然完備されておらないような道路、必然的に事故は起こる、それは今日までの行政の責任ではないかということをここで率直に指摘したいわけです。完備していくと、こうおっしゃいますが、第六次道路五カ年計画を見ましても、これはむしろ延長、道路資本、道路新線の建設、それらが大きな計画の中身だろうと思うのですね。相当な交通安全に対する配慮.がなされるとしてもなかなか追いつかぬのではないか。したがって、そういう中でさらに第六次計画がどんどん進められていくとするならば、むしろあなた方がおっしゃるような方向とは逆に、さらに事故なり公害なりが多発するんではないかということを私は危惧するわけです。そういうことが根本的に解明されないままに、また計画されないままに今回の自動車重量税新税なるものが提案され、それがまた一面、総合交通体系というさながらもっともらしい話の中で正当化されようとするところに問題がある。そこになかなか納得しがたいものがある。  結論をお聞きいたしますけれども、一体この事故あるいは交通公害、これらがしからばこの新税の創設によって今後はこれだけ減少するんだ、必ず少なくなるんだ、こういう確たる見通し、計画をお持ちになっておりますか。
  160. 吉田泰夫

    吉田説明員 道路整備五カ年計画の一環として、一年ずれておりますが、昭和四十六年度から交通安全施設等整備事業の五カ年計画を発足させました。これの事業費は、国庫補助対象事業で二千二百五十億円、さらに千数百億円の地方単独を含め、さらに先ほど申し上げましたような一般の道路改築にあたっての歩道をつけた道路新設とか、そういった事業によりまして約六千五百億、そういった総投資の規模の交通安全対策を考えておりますが、こういった施設面での整備とあわせまして、信号機その他の公安委員会所管の事業の拡充もあわせまして、私どもとしては五カ年計画の終わります五十年に交通事故による歩行者の死亡数を半減させたい、このように考えておる次第でございます。
  161. 坂井弘一

    ○坂井委員 死亡事故を半減させたいということを考えているとおっしゃっていますが、これは半減にならないのですよ。交通安全特別委員会でも議論が集中したところでございますが、これだけのことで交通事故が半減するなんて思ったらとんでもないことです。たとえば警察庁だって三千七百二十六億ですかの予算要求に対して千六百億なんて、半分ですよ。それだけでもって事故の半減が期せられるかと言うと、決して期せられるとは確約できないというような意味合いの御答弁しか返ってこない。私はむしろ、新しく道路建設されることによって、それに比例して事故もやはりふえるのではないか。車がどんどん野放しに出てくるのですから、それに従って道路を延ばすんだ、あなた方はそういう計画でしょう。もっと極端にいうならば、車がふえれば日本じゅうが全部道路になってもいいのか、こういう議論もそこから起こってくる。そういう中での計画であるだけに、私どもは全然しりが抜けておるということを何回も何回も指摘しているわけです。非常に大きな深刻な問題です。この事故なり、あるいはまた最近におけるあの光化学スモッグも例年よりも早くあらわれておる。新税がそういう交通公害、災害というものを促進させる効果があったなんということになりますと、これはもう全くとんでもないことだ。そんな心配ないように、そういう点について十分な配慮をするんだ、こうおっしゃいますけれども、その配慮のしかたが予算的にもまことにみみっちいものであるし、またこの使途については明確にされておらないという問題点もありますし、その辺のところがきわめて不明確。したがって、私は、十分な効果を期するどころか、かえって逆な面でいま言ったような心配を増長さしていくのではないですかということを、ここで一つ指摘をいたしておきます。  そこでさらにお尋ねいたしますが、この道路そのものを全国のネットワークとして一回見直してみたらどうかという一つ提案であります。現在、この道路法というものは管理的な性格がきわめて強いのですね。この道路法に計画法的なそういう色彩を持たしまして、そうして、たとえば一般道から府県道あるいは市町村道に至るまで、将来の理想図といいますか、計画図といいますか、そういうものを描いてそれを一般に公表する。そうして、その公表をすることによって国民の納得と同時に協力を要請してみてはどうかという一つ提案であります。道路の計画は一部の人しかわからぬわけですね。  このことを申し上げる私の意図するものは何かといいますと、率直に申し上げます。道路建設に伴うこの投資額というものはばく大なも一のですね。そのほとんどは何かというと、これは用地の収用費である。場合によったら建設費の九割までが用地の買収費にかかっておる。しかも最近のハイウエー等を見ますと、一部は山林原野、そういうようなところにハイウエーが建設される。そういたしますとそこの地主なりあるいは周辺の地域に、ある意味では不当な利得をもたらす。ある意味ではまたそこに一部の悪徳不動産業者が介在する。そういうことでさらに地価をつり上げる。それに対して何ら見るべき土地政策がない。しかも税制上のそれらに対する手だてがない。私はこれまた一つの大きな課題だと思うのです。したがってそういう道路——これは鉄道もそうでありましょうけれども、こういう道路建設に伴うところのそういう不当な利得を得させないために、かつまた効率的な道路に対する投資がなされるために、一つの方法としてこの道路の今後の計画というものを公表してみてはどうか。そうして国民にそれを聞く、こういうような方法はとれませんか。いかがでしょう。
  162. 吉田泰夫

    吉田説明員 全国のネットワークとの関連で道路の網を見直してみたらどうかという御趣旨でございまして、おっしゃるとおり、全国の生活あるいは経済の情勢が地区的にも刻々変貌を遂げておりますので、絶えず振り返って、道路網のあり方というものを反省しながら進める必要があると思います。  次に、道路法が管理法的色彩の強い法律でございますが、これを計画法的なものにするとともに、道路整備の将来の青写真を国民に示して、国民の理解を得るとともに、道路建設に伴う不当な利得を防ぎ、ひいては効率的な道路投資が行なえるようにすべきではないかという御提案でございまして、全体の趣旨としてはおっしゃるとおりだと思います。まあ道路法そのものの中に計画法的なものを加味するということはやや道路法のねらいと違うので、そういう場合には別法体系がいいんじゃないかという気もいたしますが、できるだけ計画を国民の皆さまにもお示しして御理解をいただく、協力をいただく道路予定地はここであるということが明確になるような方途を一そう研究いたしたいと思います。なお、都市計画地域におきましては都市計画法という法律によりまして、道路の予定地は都市計画決定され、あらかじめ国民に示され、それに対するいろいろな審議会とか地元関係者の意見の提出の手続がございますので、まあ都市計画区域内におきましてはそういった体制が現在もできておると私どもは考えております。  道路建設に伴う用地費は、全国的に見れば全建設費の約一五%程度でございますが、これがいたずらにかさばりますことは、おっしゃるとおり道路投資そのものの効率を薄めることにもなりますし、非常に部分的な方々の不当に近い利得があるというようなことも不公平感を助長するわけでございますので、私どもといたしましても、道路予算のつぎ込み方につきまして、特に地価の騰貴の激しそうな地区につきましては用地の先行取得を大幅に行ないまして、先行取得した用地を二年ないし三年抱いて、用意した上で工事にかかるというようなことによって用地費の節減にも努力している次第でございます。
  163. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから、同じく提案いたしますが、先ほど申しておりますように、道路というものが輸送の手段の中の一つとしてどうしても不可欠のものなんだという考え方で、いたずらにどんどん延長するというのではなくして、いわゆる道路以外の他の代替交通手段というものをその間考慮しながら適切な道路建設を進めていく、こういう視点に立っての提案でございますけれども、たとえばパイプラインの建設あるいはまた共同溝であるとかあるいは高圧線、そういうものの普及との関係で道路計画を今後は練り直して、そうしてもう一度見直していくべき必要があるんではないか。これらもおそらく総合交通体系の中で検討されるのでしょうけれども、それに先立って当然建設省としては、いまの道路需要のそういう激増の状態から見て、代替交通手段というもの、パイプライン構想、共同溝あるいは高圧線等々も、その間関連して計画されているのではないか、私はこう思うのですが、そういう計画をお持ちなのかどうなのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  164. 吉田泰夫

    吉田説明員 激動する交通事情に対処するためには、各地域のいろいろな性格にもよりますが、もちろん道路だけでこれを担当していくということはないわけでございまして、あらゆる他の交通機関との連係を十分考えつつ、道路としての機能を求められている部門において所要の道路整備を行なっていくという態度でなければならないことは先生御指摘のとおりでございます。パイプラインとかいろいろ新しい輸送施設の構想あるいは計画も、世の進展とともにでき上がってまいりますので、そういった新しい効率的な、あるいは安全な輸送施設につきましては常に研究を怠らず、そういったものとの代替関係あるいはそういった施設との補完関係を通じまして、道路の特性に応じた役割りをになうような、そういう計画で邁進したいと考えております。
  165. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまはもう故人になりましたマッカーサー元帥が、日本には道路予定地はあるけれども道路らしい道路はないというようなことを評した。これは当時の、かつての日本道路事情をさしてそう言ったということでありますが、それ以来だんだんと舗装もされた、あるいは延長もされたということでありましょうが、今日なお、いまの日本道路というものは、自動車のこれだけの激増に対処し得るところの道路ではないということは先ほどからも指摘申し上げておりますとおりです。今日すでに都市交通においては自動車の通行制限等が行なわれておる。そのこと自体は、道路量をはるかに上回る自動車の激増、端的に申しましてここにあるわけですね。そういう中で、これからさらに激増するであろう自動車に対して道路を一体どうしていくのか、大きな問題であります。  そこで一つ、これまた提案申しますが、元来日本道路というものは、歴史的に考えてみましても、いわゆる人間の歩く道、歩行者の道、人道ですね。生活道路といいますか、発展の歴史の過程はそうであったはずでありますね。そこへ車が割り込んできた。いわゆる混合道路であります。そこでもって、いまやあわてふためいて歩道をつくらなければならぬ、こういうことを建設省もいっておられる。なるほど歩道は必要であります。しかしこれはまた考え方がさか立ちだと思うのですね、私をして言わしめれば。元来人間の歩いておった道です。自動車が新しく交通機関として出てきたというのならば、むしろ車道をつくるべきであって、歩道を分離するという考え方は本末転倒である。そういう形の中で、曲がりなりにも今日、道路自動車を受け入れるような道路に、だんだん道路自体を整備していこうという方向に進んできたわけでありますが、これをさらに進めて、いわゆる機能別に道路を明確にしてはどうか。たとえば一つのある種の機能を目的とした道路にはその他の交通を徹底的に規制していく。たとえばここは産業道路、あるいはまたここは歩道である、これは車道である、あるいは通学路である、そういうような機能別に道路を明確に分離をしたらどうだ。あまりにも混合道路が多過ぎる。そういう形のままではさらに事故は多発するであろう。いま規制をしていこうというような考え方、あるいは通学路だ、買いもの道路だとかいわれておりますが、これも一つの発想としてはけっこうなことだと思います。それらをさらに一歩前進させるために、いま申しましたような機能別に道路を分類していくという、こういうような考え方をお持ちになりませんか。どうでしょうか。
  166. 吉田泰夫

    吉田説明員 道路を通行する車とか人とか自転車とか、あるいは角度を変えて通学用とか、そういった意味の機能の分化につきましてはおっしゃるとおりだと思います。まあ私どももおくればせながら、たとえば道路法を改正し、あるいは道路構造令を改正する等の法的措置とともに、交通安全の計画におきましても、現在の道路で歩車道を分離し、あるいはガードレールを設けて保護するという、道路の機能にもよりまして道路そのものとしては分離しながらも、歩車道を持った道路として整備するところもございますが、町の中の裏通りとか、あるいは通学に主として使われる道路とか、そういうところにつきましては、これは初めから歩行者とかあるいは自転車とか、そういうその道路の機能に着目した整備をし、あるいは既存の道路につきまして所要の交通規制をするということによりまして、道路の機能の分化ということにつとめてまいりたいと思いますので、御指摘の点はさらに今後も一そうそういう方向で進めてまいりたいと考えております。
  167. 坂井弘一

    ○坂井委員 主税局長、簡単にお答えいただきたいのですが、自動車関係諸税の徴税コストは一体どのくらいになっておりますか。
  168. 細見卓

    細見政府委員 国税の徴税コストは一本といたしておりますので、税目別にはわかりません。
  169. 坂井弘一

    ○坂井委員 税目別にわからぬということですが、私が聞いた限りではかなりな徴税コストが必要になっているのではないか。東京都なんか徴税官七千人くらいですか——人数でいうとあれですけれども、二千人近くの人が自動車関係諸税の徴税に当たる。かなりな徴税ロストがついているのではないか。新税ということになりますと、今度は印紙収入というような形をとりますので、その辺の徴税コストについては何も新しく多額なものを要するのではない、こういうことなんでしょうけれども、すでに八種類の税目の自動車関係諸税の徴税コストというものがかなりな負担を占めるのではないか、こういうことも考えられますので、これは要望にとどめますが、その辺のところはひとつよく御検討されて、やはり徴税コストそのものを下げていくという御努力はなさる必要があるのではないかということであります。  それから、重量税そのものが税の先取りではないかということをいわれるのですが、一つ問題になりますことは、たとえば最近新車購入の際にはいわゆる下取り車が非常に多いわけです。五〇%ともあるいは六〇%ともいわれておる。その下取り車は車検の期限内に抹消登録をするということになりますと、残りの期間のすでに納めたところの自動車重量税そのものはこれは一体どうなるのか。いわゆる未経過分の還付ということはされないという形になっておると思うのですが、これは非常におかしいのじゃないかと思うのです。五〇%以上ある、こう聞くのですが、どうでしょうか、まずその辺から先に伺いたいのです。下取り車は何%くらいあるものでしょうか。
  170. 細見卓

    細見政府委員 下取りの場合に車検の利益を放棄したような形で処分するかどうかということは、いわゆる価格交渉の段階あるいはその人の自動車に対する考え方というようなことで違おうかと思いますが、車検のある自動車でありますれば、車検に関します限りは、その残存期間は走行が可能になるわけでありますので、下取りの自動車が運行できるものであれば、その車検料の残存期間に対応する部分はいわば価格に乗せて売買が行なわれる、こういうことになるのであろうと思います。  下取りの割合は後ほど調べましてお答えいたします。
  171. 高橋元

    高橋説明員 下取りの件数は直接わからないわけでございますが、自動車の抹消登録をいたしましたものの中で自賠責の有効期間が残っておりますもの、したがって廃車の際に自賠責の解約を行ないましたものの件数は、各車種を通じまして二七%くらいというふうに承知しております。
  172. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから、こまかいことになりますが、販売会社から自動車を購入する契約をする。ところが、これは販売会社のほうがあるいはまた自動車を購入する人、どちらのミスかわかりませんが、契約をいたしまして、そして車検なら車検、あるいはまたその際に重量税、これらの手続は実際問題としては販売会社が一切やるわけですね。ところがどちらかにミスがありまして解約をするという場合が往々にしてある。こういう話なんですが、そうした場合はまた新しく別の車ということになりますと、これは税の二重払いになりますね。当然そういうこともあるということでございますが、そういうことに対してはどうされますか。それはいたし方ないということでございましょうか。
  173. 細見卓

    細見政府委員 一方におきまして納税手続を非常に簡易にするために印紙納税にいたしておりますので、ほかの一般の場合の印紙納税の例と同様に、間違って印紙を張ったという場合は、印紙の貼付のときで納税は終わっておるという形になりますので、そこはむしろこれからそういうことのないように十分気をつけていただかなければならない、かように思っております。
  174. 坂井弘一

    ○坂井委員 ないように気をつけろといったって、実際問題、そういうことがあるわけですね。それは最初から重量税というものを意図して、そして契約するわけじゃないのですよ。たまたま車検の際にひっついてくるわけですよ。これは徴税の技術的な問題としてそういうような方法をとるのでしょうが、どうも実際問題、納税者の立場からいえばこれは二重に払わなければいかぬ。それを販売店のほうが負担するのか、あるいはまた購入者が負担するのか。その辺のところは、両者の話し合い等もそこであるのでしょうけれども、要らざる混乱を起こすのではないですか。その辺はもっとはっきりできないものですか。
  175. 細見卓

    細見政府委員 私も詳しくは知りませんが、いま聞いてまいりましたところによりますと、その場合は、Aという人がたとえば赤い車を注文しておられたが青い車が来た、したがっておれはそれは買わないということになりますと、Aという人でなくてBという人にその登録の上の名前を書きかえるということによりまして、廃車をしない限り二重払いという問題は起こらないそうです。特別の場合に廃車をすることがあれば、つまり車検上の廃車をしない限り名前を書きかえただけで足りる、こういうふうに私は聞いております。
  176. 坂井弘一

    ○坂井委員 この際運輸省に伺っておきますが、軽自動車については車検はいつからやるのですか。
  177. 細見卓

    細見政府委員 これもよその省の行政を差し出てお答えすることになるわけでありますが、いま担当者から聞いてまいりましたところは、早くて四十八年ぐらいを目途にして検討いたしておる、こういうふうに聞いております。
  178. 坂井弘一

    ○坂井委員 いま軽自動車の使用過程車には課税されません。非課税ですね。車検制度が今度採用されますと、重量税は当然新しい車からは全部取るということですね。この車検制度が始まる始まらないにかかわらず、軽自動車の新車は全部重量税の対象になる、こういうことですか。
  179. 細見卓

    細見政府委員 そのとおりでございます。その新車は登録をして走らなければなりませんので、その登録段階でかかるわけでございます。ただし、一回登録した方は、転売されても、転売の段階にはこの車検のような何年目に一回ということがないから、三年、四年先に転売されても課税は起こらない、こういうわけでございます。
  180. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから、これは運輸省一つ提案しておきますが、いわゆる重量税ですから、特に大型自動車なんかはその重量によって課税をする。そうすると過積載の問題が非常に大きな問題になるんじゃないかと思うのです。つい最近も積載過重でもって事故を起こした。ですからそういう自動車に対しては重量計ですか、そういうものを取りつけさせるようにしたらどうでしょうか。そういうお考えはございませんか。
  181. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま審議官がちょっと席をはずしておりますので、私の所管でございませんが、ただいまの先生の御趣旨、特に安全上の過積みのないように十分に関係の方面に伝え、今後また検討してまいりたいと思っております。
  182. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がないようでございますので私は終わりたいと思いますけれども、実は考え方の方向についてだけに私は質問の範囲をとどめました。部分的な問題については、ずいぶんたくさん問題点がございますが、時間がございませんので非常に残念でありますが次の関連の質問者に時間を譲りまして、これで私の質問を終わります。
  183. 毛利松平

  184. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間があと四分しかありませんから、主税局長にお願いいたします。  この徴税機構は絶対に問題はありませんか。簡単に答えてください。
  185. 細見卓

    細見政府委員 問題はないようにいたしたい、かように考えます。
  186. 貝沼次郎

    貝沼委員 ないようにということでありますが、これは十六日の報道によりますと「デタラメ車検」という記事で、茨城県の車検実態というものがずいぶんでたらめであったという行政監察局の記事が載っております。私は、車検だけでもこのようなでたらめが行なわれているのに、今後の徴税について、はたして安心してこれをまかせることができるのかどうか、この辺は非常に疑問だと思います。したがって、これからさらに指導するとか、あるいはこれは車検の検査項目が多過ぎて完全にチェックできなかったとか、いろいろ言っておりますけれども、こういうことでは大事な国の税金を扱うということは非常に問題があります。したがって何もいまそう急いでこの法案を通す必要はないと私は思う。なぜ政府はこれを急がなければならないのか。何らここには意味がありません。この点について大蔵大臣の見解をお願いいたします。
  187. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国の道路事情は一刻の猶予も許さぬ、そういう事情であるからであります。
  188. 貝沼次郎

    貝沼委員 では大蔵大臣道路事情が一刻も猶予がならないということであれば、金の面において間違いが起こっても大蔵大臣はよろしいというのですか。
  189. 福田赳夫

    福田国務大臣 徴税の面ではあやまちなきを期していきたいと存じます。
  190. 貝沼次郎

    貝沼委員 あやまちなきをということは希望でありまして、絶対にあやまちがないという確証はございません。現実車検においてあやまちが起こっているのです。これを正常な機構に戻すためにはどれくらいの期間が必要だと考えますか。
  191. 見坊力男

    ○見坊政府委員 御指摘の点は民間車検で問題があったことではないかと思います。今後民間車検のやり方等につきましては十分検討し、誤りのないように進めてまいりたいと思います。
  192. 貝沼次郎

    貝沼委員 今後というのはいつまでのことをさしますか。
  193. 見坊力男

    ○見坊政府委員 いつまでがいいということではございませんで、一日も早くやりたいということ−でございます。
  194. 貝沼次郎

    貝沼委員 いつまでと言うことはできないと言っております。大蔵大臣、いつまでかわからないと言っているのですが、はたしてそういうものにまかせてよろしいのですか。
  195. 福田赳夫

    福田国務大臣 本税の徴収が始まる前にはもう万全の措置をとります。
  196. 貝沼次郎

    貝沼委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、もし金の面で間違いがあった場合は、これは国税庁の責任になるのでしょうか、それとも運輸省の責任になるのでしょうか。
  197. 細見卓

    細見政府委員 車検の過程におきまするいろいろな間違いにつきましては、運輸省のほうにそういうことがないように責任をとっていただく必要があろうと思いますし、課税の問題につきまして連絡その他について国税当局が間違った御指示々しておるというような場合は国税局のほうに責任があるわけでありまして、したがいまして、税につきましても、間違った納付とかあるいは間違った措置については国税局のほうで訂正あるいは再処理ができるように、制度としてそういうものを導入いたしておるわけでございます。
  198. 貝沼次郎

    貝沼委員 理論的にはそうなるのですよ。だけれども、一人の人間、職員は色分けしているわけじゃない。たとえば右の手は赤で左の手は青色でこれは国税庁だとか、そういうことはないのですね。現実の問題としてこの一人一人を指導しあるいは万全を期していくための指示をする、訓練をする、こういうあれは一体どこの省になるわけですか。
  199. 細見卓

    細見政府委員 この税は、適正な重量の秤量さえお願いすれば、それに見合って非常に簡単な形で負担願う税はきまるわけでございますので、適正な秤量を運輸当局にお願いするように私どもも十分連絡をとってまいりたい、かように思っております。
  200. 貝沼次郎

    貝沼委員 もう時間がありませんので、最後に質問だけして終わりますが、お願いをしてまいりたいというのは、主体はどこにあるのです。お願いをしてまいりたいというのは、大蔵当局のほうに主体があるのですか、それとも運輸省のほうに主体があるのですか。お願いをする以上、そのお願いにさからった場合はどうなるのか。それに従わなければならないのか。その辺の関係はどうなりますか。その点を明確にお願いいたします。
  201. 細見卓

    細見政府委員 国の行政でございますので、運輸省といわず大蔵省といわず、ともに適正にやっていく義務があるので、その意味で両方とも義務がある、かように考えております。
  202. 貝沼次郎

    貝沼委員 両方義務があると言っていますけれども、直接運輸省の職員になるわけですね。その場合に、運輸省の職員に対して国税庁からお願いするということは、主体は運輸省にあるのでしょう。そうしたら、徴税の面において間違いが起こっても、これは運輸省の責任になるじゃありませんか。どうして国税庁はそのとき手をこまねいているのですか。徴税すること自体は国税庁の責任じゃありませんか。この辺について私はすっきりした点がないと思うのです。また、こういう事故が起こっているやさきになぜこう無理をしてまでこの税金を取り立てなければならないのか。私は、そもそも新税というのはいかなる理由があろうとこれは悪税であると思うのです。それを押し切ってやらなければならないところに、政治新税だといわれるような非常にすっきりしない点があると思います。こういうような点がすっきりしない以上は、われわれはこれに賛成することは絶対にできない。このことを申し上げまして終わります。
  203. 毛利松平

    毛利委員長 午後七時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後五時五十二分休憩      ————◇—————    午後七時七分開議
  204. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹本孫一君。
  205. 竹本孫一

    ○竹本委員 同僚委員から、この問題につきましてはすでに各分野、各方面から論議が進められておりますので、私は少し角度を変えて、最初にお伺いをいたしたいと思います。  主税局長にひとつお伺いしますが、われわれ野党は大体において新税というものに対しては常に批判的である。新税すべて悪税であるともいえませんけれども、おおむね新税というものはあまりいい税ではない。考えてみますと、議会政治の起こりというものは大体私は税金から出てきておると思うのです。いまさら歴史の勉強をする必要はありませんけれども、イギリスの議会政治というものは、かつて私は読みましたときに、なかなかうまいこと書いてある。代表なければ租税なし、こう書いてあった。すなわちわれわれの庶民の代表が出て、庶民に税金というものをどのくらいかけるがいいか、いかなる方法でかけるがいいかといった問題について論議をし、その意見が聞き入れられるという保証のないところでは、ノータクセーション、すなわち租税はないのだということを言っておったのを見て、非常に私は感銘を覚えて、いまでも記憶いたしております。代表なければ租税なし、これがすなわち議会政治あるいは租税はすべて法律だということの起こりであります。そうして集めた金は、国民の代表の承諾がなければびた一文といえども使うことは許さない。これが言うまでもなく今日の予算制度の起こりであります。そういうふうに考えてみると、われわれが今度の自動車重量税法案についてはずいぶん長い間論議を重ねてまいりましたけれども、あるいは二十五時間といい、正確にいえば三十時間になったかもしれませんが、そういう論議というものは、議会政治の起こりから考えてみればきわめて当然の過程である。与党の皆さんからいえば長過ぎるような御意見があるかもしれませんけれども、代表なければ租税なし、そもそもこれは議会政治あるいは議会に課せられた基本的な課題、任務である、私はそういうふうに思いますが、主税局長はその点について、まず第一にどういうふうに感じておられるか。  第二に、あわせて聞きますが、二十五時間あるいは三十時間展開された野党の議論で、それを聞いておられて一体何を感ぜられたか、何を考えておられるかということを具体的に伺いたい。感心したのか、ばかな議論が続いておると思って聞いておったのか、あるいはこの点とこの点はなるほど問題点があるなあと思われたのか。要するに、二十五時間あるいは三十時間にわたる論議はいかなる具体的な成果を生んだか、生まないのか。主税局長の立場においてどういうふうに受け取られたかということも、第二の問題で伺いたい。  最後に第三の問題がある。それは、この新税が出ましてからいろいろの団体、いろいろの業界から反対陳情というものがずいぶん出ておるだろう、主税局長のところにもそれが行っておるだろうと思うのでありますが、そういうものを主税局長は一事務官として、専門家の立場だけから受け取っておられるのか。あるいは専門家の立場自体からも、なるほどこれはやはり庶民の悩みとしてまじめな議論である、傾聴に値するのだ、われわれがそこまでは気がつかなかったというような意味において前向きに受けとめられた意見があるか。あるいは、民間の陳情とか反対のいろいろの動きというものは、ただかってのいいことだけを言っておるというふうに受け取られておるのであるか。すなわち、議会の論議をどう受けとめられたか、一般の反対運動はどう受けとめておられるか、ひとつ御意見を伺いたいと思います。
  206. 細見卓

    細見政府委員 たいへんむずかしい問題でございます。第一点の代表なければ課税なし、まさにそういうことによりまして、特権階級だけが課税を免れておった時代が、国民全体が税を払う、同時にその税については課税権の承認あるいはその支出について予算を通じて審議する、そういう形で議会制度が発達してきたことでございまして、そういう意味で、ここで非常に長い間にわたりまして自動車新税について御論議いただきましたことについては、私どもはさすがに日本国会はりっぱな国会で、税についてこれだけ綿密な御審議を願えると感心いたしておるわけでございます。  なお、反対のいろいろな陳情につきましては、確かにそれぞれの業界の立場にお立ちになればそれなりに理屈があることだなと……。私どもは先般来申し上げておりますように、道路なり交通社会資本整備にあたっては、受益者、あるいは原因者負担的な関係のより大きい自動車にこの際負担を求めるのは、いわばある意味では世論かというふうに受け取っておったのでございますが、やはりそれぞれの立場で、新たに負担を求めるということはその生活を脅かす一面は必ず、増税でございますので、あります。その点について非常に慎重に、ただ単に税は必要があるから徴収すればいいのだというようなことはいえないのだということをひしひしと感じておるわけでございます。
  207. 竹本孫一

    ○竹本委員 いずれにいたしましても、これから新税を起こされるという場合にはきわめて慎重に考えてもらいたい。事務的な立場だけで割り切ってお考えになりましても、税を課せられる側からいえばいろいろの深刻なる悩みがあるし、いろいろショッキングな影響もあるのだということをひとつあらためて認識をしてもらいたいと思うのです。  次に参ります。総合交通体系という問題がいろいろと先ほど来論議されております。私はその内容のこまかいことについては議論をいたしたくありませんけれども、先般も公述人にもお伺いをいたしましたけれども、日本の経済計画の中においてあるいは経済政策の中において、一番大きな隘路というものは交通流通問題だというふうに理解いたしております。そこでまず、総合交通という総合的な交通政策を言う前に、一体、交通そのものにあるいは流通の問題そのものに、認識が足らなさ過ぎるというふうに私は常々感じているわけであります。今日の物価の問題も流通の問題だということをだいぶやかましくいわれておりますけれども、はたしてどれだけの問題を理解した上で言っておるのかどうか、私はちょっとよくわかりません。しかし日本ぐらい——日本の中小企業なんというものも、ある意味において流通過程に流れ込んで、そこで小さく息をしておるといったような事情もありまして、とにかく経済の合理性を追求するということからいえば、交通政策あるいは流通政策というものをよほど真剣に考えなければならぬ。総合交通政策が何であるかということを問う前に、流通政策、交通政策そのものの重要性というものについて理解がなさ過ぎるから、経済社会発展計画でもいろいろの矛盾と行き詰まりを持つのであろう、私はそういうふうに考えておる。  そこで交通政策の担当の担当の側の方に、一体皆さん日本の政治の交通政策に対する取り上げ方、取り組み方といったようなものについてどういう悩みを持ち、どういう要求を持っておられるかという一般的な問題を伺いたい。例を引いて言いますけれども、ソ連の計画経済はうまくいくかうまくいかないか、いまではそれを否定する人はあまりおりませんけれども、ずっと前の第二次大戦のときでしたか、書いた書物を読みまして、まだソ連の計画経済が最初のころに、ニッカーボッカーという人がソ連の五カ年計画を批評いたしましたたとえ話が入っておりましたから、いまでも覚えておりますけれども、それは一人の人がドイツ人記者と一緒におりまして、ソ連の五カ年計画を非常に自画自賛した、何もかも五カ年計画のおかげで倍になったという話をした。ところがドイツ人が、何もかも倍になったというので、それは非常にけっこうであるといって感心をしました。これに対しまして調子に乗ってさらにソビエトの人が、小鳥まで倍になったと言ったそうであります。すかさずドイツ人が、鳥かごは何倍になったかと聞いたというのですね。鳥かごはもとのままだと言ったというのです。そういう話が書いてある。これはソ連の流通経済に対する認識不足というものをきびしく批判して、これではソ連の五カ年計画は多くの行き詰まりと矛盾を持つだろうということを指摘した書物でありました。最近のわが国の経済が、いわゆる高度成長で一二%も成長すると−ことしは一〇%かもしれませんけれども、その高度成長経済の中においても、この小鳥は二倍になり、五カ年計画で日本の経済も、御承知のように、福田大蔵大臣もしょっちゅう言っているように、五年間で二倍になっております。そういうような何もかも二倍になるというときに、一体流通運輸の面ではその機能は二倍になっておるかどうかということを考えてみると非常によくわかるのですけれども、これはニッカーボッカーに言わせれば、ソビエトを批判し、笑ったことばであるけれども、実は日本の高度成長もややそれに近い。ニッカーボッカーは何と言うか知りませんけれども、それに近い感じを私は持っておる。そこで、流通政策なり交通政策を担当される方に、日本の経済計画の中で流通政策の位置づけについていかなる不満を持ち、いかなる悩みを持ち、いかなる要求を持っておられるかということを、一般的な問題として承っておきたい。
  208. 見坊力男

    ○見坊政府委員 お答えいたします。  わが国が高度成長を遂げまして、経済的には非常に発展いたしておるわけでございますが、交通の面から見ますと、一方には鉄道、バス等、大衆交通機関が経営的に非常に苦しい状況になっております。これは大都市におきましても交通渋滞等の問題もございますし、また地方におきましては人口の減少、また一方モータリゼーションによりまして自家用車が非常にふえて経営的にも非常に苦しいということがございます。さらに、経済成長に伴いまして輸送需要はなお増大いたしております。空港における混雑であるとか港における船待ちであるとか、社会資本の不足が強く感ぜられるわけでございます。また将来の日本の経済を考えますと、情報化あるいは技術革新というようなことによりましてさらに内容的にも交通に対する需要が増加してくる。つまり質及び量の両面におきまして増加をしてくるということが考えられるわけでありますが、ただ、一方労働力不足、さらに環境問題、こういうような制約条件のもとにおきまして、将来の輸送需要にどう対応していくかということで、従来の個別輸送機関がそれぞれ需要に対応しておったというような、いわば個別対応式の輸送機関の発達ということでは、将来わが国の交通はその役割りを果たすことができないというふうに考えております。  そこで、いま申し上げたような状況から、総合的に交通体系というものを考えなければならない。すなわち、各輸送機関はそれぞれ特性を持っております。その特性を生かして各輸送機関がお互いに補完し合い、また機能し合って、交通全体として便利性、効率性をあげていくということが必要になってくるわけであります。したがいまして、将来の輸送需要というものを質、量両面におきましてこれを考え、それに対応していくには、それぞれ交通機関がどうあるべきであろうかということを総合的に考えなければならないわけでございます。そこでそのような状況のもとにおきまして、運輸省としましては昨年の六月に運輸政策審議会に、総合交通体系あり方及びその実現のための基本的方策ということで運輸大臣から諮問をいたしまして、審議をお願いしたわけでございます。昨年の十二月二十五日に中間報告が出されておりますが、その中間報告では、総合交通体系とは一体何であるか、その基本的な認識の問題から入りまして、総合交通体系実現のための基本的な問題並びにその解決のための基本的方向というものをそこで示唆いたしております。現在は引き続きその作業をいたしておりますが、施設整備の面、並びにその施設整備を実現し、また維持運営していくための制度、政策の面、両面にわたりまして作業を進めております。現在作業中でございますが、近く結論を得ることであろうと思います。  そこでどういう問題があるのかというお尋ねでございますが、これは総合交通体系の作業が終わりまして明確になることでございますが、作業といたしましては、フィジカルプランだけでなくて、その資金調達方式であるとか配分方式あるいは運賃、料金体系等につきましても検討しなければならないというように考えております。交通がいままで経済成長をささえるために努力を傾注してきたわけでございますが、結果としてはなお多くの問題をかかえております。環境問題をはじめ、経営的な問題その他資本的な問題いろいろございます。この原因考えます場合に、交通部門の側だけに責任があるのか。中間報告におきましてもその点は指摘いたしておりますが、国民が交通というものについてどういうふうに認識をしていくか。国民が交通の持つ役割り、たとえば特性といいますか、低廉、迅速、確実、安全というようなこと、このうちどれをどういうふうに選ぶかということで問題の展開も変わってくるわけでありますが、そういうような問題点を指摘しながら、なおあるべき総合交通体系を確立すべく現在努力しておるわけでございます。
  209. 竹本孫一

    ○竹本委員 端的に聞きますが、総合交通政策の中間答申が出た、その中間答申も含めて、私がさっき言ったように流通経済、交通政策の重要性が正しく理解されていないという立場に立って私は質問しておるんだが、あなたはどういう理解か知りませんが、とにかくあなたの立場から、中間答申のポイントは何と何と何か。項目だけ簡単に三つほど言ってもらいたい。  それから、その三つのものも中間答申ということになっておって、これは具体的に流通政策、交通政策の重要性を考えればむしろこれはまっ先に取り上げなければならぬのに、まだ中間答申が出ましたと言っておる程度の段階ではそこにまた大きな問題があろうと思うが、指摘された問題点の中で、日本の経済の前進のために、しかも総合的調和的前進のために何が一番大きな問題であるか。あなたの理解における三つの点を言ってもらいたい。しかも、それがいつ具体的になるかということについての注文なり悩みなりがあろうと思いますが、その点を言ってもらいたい。簡単でけっこうです。
  210. 見坊力男

    ○見坊政府委員 中間報告の要点を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、総合交通体系の問題の発端と課題の提起、それが第一点。それから個別体系による対応の破綻。さらに総合交通体系の持つ積極的な意味内容。総合交通体系の社会的要請、これは現状への対応と未来への対応がございます。それから、望ましい総合交通体系への接近の論理。結びといたしまして、総合交通体系実現のために、というような点を掲げております。で、中間報告が行なわれまして、まだ結論が出ておりませんが、近く結論が出る予定でございます。
  211. 竹本孫一

    ○竹本委員 あなたの答弁を聞いていると、総合交通政策の充実は前途なかなか遠いなという感じしか受けません。時間がありませんからこまかい議論はやめますが、ただ一つ問題点として、総理が本会議における私の質問に対して「新税は、本来総合交通政策が樹立されてから創設されるのが理想的ではありますが、」こういう前置きでいろいろ答弁をされました。私は、いまあなたの答弁でよくわからぬから結局どうにもならぬが、総合交通政策という立場から三つなら三つの大きなポイントがある。ところが、これを一番先に解決をしなければ、日本のほんとうの意味の物価問題も、ほんとうの意味の生産性の向上もぼくはあり得ないと思うのですね。そういう立場からいえば、この総理の答弁は若干形式、おざなりの答弁であって、私どもは総合交通政策が樹立されてから、それに対応する財源なり、それに対応するいろいろの施策というものが出てくるのがほんとうだ。本来それが理想でありましょうけれども。というのは、まだほんとうは総合交通政策の重要性が正しく理解されていないからだ、簡単にいえばそういうふうに私は思う。したがって、今回の新税の設け方というものはきわめてこれは事務的である。大蔵省の皆さんがきわめて事務的な良心において立案されたかもしれないけれども、それはそれとして意味がありますけれども、政府が政治家としてこの問題を取り上げるときは、政治家が経済総合計画の中における、しかも日本においては最も立ちおくれておる総合交通政策の重要性と緊急性を正しく理解するならば、それは理想でありますがといったようなのんきなことを言っておるひまはないはずなんです。だから問題は、これはむしろ総理に言うべきことでありますからこれ以上言えませんけれども、しかし、これは事務当局からもっとしゃんとして——総合交通政策の重要性とか日本における致命的な欠陥というものは、五分も十分も説明しても何言っているかわからぬような説明では、これははなはだぼくは遺憾だと思いますね。そういうことだから政治家はいつまでたっても問題の重要性を十分理解できないんだと思うのですね。理解しない政治家も悪いけれども、理解させ得ない事務当局も責任がありますよ。やはり交通政策というものは、いまの総理の答弁のように、あとからゆっくり考えればいいんですという答弁をしてはおれない緊迫性があるということを、私はもう少し熱心に理解してもらわなければいかぬから、理解させるためには本人がよく理解しなければいかぬ。私は残念ながら、疲れているせいかもしれませんけれども、ただいまの御答弁では何聞いたのかさっぱりわからぬ。こういういうことでは自民党政府も大いに反省してもらわなければならぬだろうと思いますから、ひとつ警告しておきます。  それから、時間がありませんから次にいきますが、第二番目は、いま申しましたように、総合交通政策というものにおける今度は道路の問題の位置づけというのがあるだろう。そこで道路整備計画の問題もいろいろ論議されてきたわけでございますが、ただ財源問題とか、調達だ配分だというような問題以外に、道路の持っている社会的な機能というものに対するこれも真剣な討議がなければならぬと思います。しかし、これも時間がありませんから私はこの際言いません。  そこで一つ伺いたいことは、道路整備計画で、いろいろ議論をいままでされたことと重複しないように伺いたいのだけれども、従来とも五カ年計画を立てた。しかし三年ぐらいやってみると、どうもこれはうまくいかぬとか、あるいは経済の発展のほうが実際のテンポがより大きい、より早いということで途中から計画をやり直すというようなことで、道路計画を立てている人自体が、日本の経済の進展の過程における道路の役割りというものに対して認識不足であったのではないか。具体的に聞くならば、道路整備計画というものは第一次以来常に予定のとおりいっているかどうか。あるいは継ぎ足しであり、あるいは途中からの改変であり、悩みの過程の連続ではなかったかということを聞きたいのだけれども、一体道路整備計画を立てている当局の方々は、自分たちの計画に対していかなる反省を持っておられるか、その点を聞きたい。
  212. 吉田泰夫

    吉田説明員 累次の道路整備五カ年計画を実施しておりますが、おっしゃるとおり中途年度で拡大、改定に迫られることがほとんどで今日に至っているわけでございます。自動車のこのような伸びが、私どもの推定を越えましてはるかに上回ったものですからそういう事態が繰り返されているわけでございますが、今後におきましては的確な推定をもって、五カ年計画を、自動車の伸び、交通事情に対応できるようにかっちりと固めてまいりたいと考えております。
  213. 竹本孫一

    ○竹本委員 従来の計画もほとんど途中で拡大、改変をしなければならなかったということは、私に言わせれば、先ほどのニッカーボッカーではないが、日本道路当局ですらも、道路問題の重要性に対応のしかたが不十分であったということを具体的に物語っていると思うのです。しかもそれが一回ならばいいが、ほとんど毎回じゃないか。一体前科何犯であるかということです。そういうことから考えてみると、今度いま言われているところの道路整備計画は、これはこれで間違いありません。日本の経済の発展が、先ほども言いましたように五カ年間で二倍になっている。その五カ年間で二倍になる日本の生産消費、これをまかなっていくだけの流通経済、その流通機能の中の道路計画としてこれでだいじょうだ、今度はあやまちはありませんと言い切れるかどうか、その点をお聞きしたい。
  214. 吉田泰夫

    吉田説明員 自動車の伸びの予測が、まことに申しわけないのですが、なかなかむずかしゅうございます。しかしながら従来のような大きな狂いなしに、現在の道路混雑を維持する程度には追いついていって、その後の五カ年計画につないでまいりたい、このように考えております。
  215. 竹本孫一

    ○竹本委員 戦争中に海軍の人は、経済の計画なんていうものはできるものではないといって、戦争中の経済企画についてえらいきびしい批判をしたことがあります。これはこれなりに一個の見識だと思うのです。それから吉田茂さんがやはり同じような議論をされたことも私は覚えております。しかし、いまはとにかく経済社会発展計画というか、政府も、資本主義経済の立場に立ちながらも一応の総合計画化というものをやっているわけだ。だから私が言いたいのは、もう初めからおよそ経済の計画化は自由主義経済の中ではできないというのなら、それも一つの立場だ。しかしできるのだという前提に立って第一次、第二次、第三次というような経済計画も立てる。またそれに対応する道路整備計画も第一次、第二次といったような形で何回か立てる。立てる以上はもう少し役に立つ計画を立ててもらわぬことには、国の予算からいってもわれわれのエネルギーからいってもきわめてむだになり過ぎると思うのですね。そこで私はいまも聞いておるのだけれども、今度の第六次五カ年計画というものは一体途中で改変することがあるかないか。絶対ないと言うだけの自信があるか、その点だけ一ぺんはっきり言ってください。
  216. 吉田泰夫

    吉田説明員 いまの段階で絶対ないとは私も申し上げかねるのでございますが、先ほど申し上げましたように、自動車等による道路交通の需要に対応するように一応つくってあるつもりでございますので、現在の段階ではこれで四十九年度までやっていけるものと考えております。
  217. 竹本孫一

    ○竹本委員 一生懸命やっておられる、対応の努力をされておるということは一つも疑いませんけれども、そのことがいままでの経過、経験から考えてみてなかなかむずかしいのではないか。そのことは、時間があってもっと具体的に議論をすればすぐ出てくることですけれども、省きます。  そこで、今度の五カ年計画が予定どおりにいったならば、その段階において、日本の経済をまかなうべき交通輸送の全体のウエートの中で、計画の中で、道路はもう第六次なら第六次で大体一応完結するのか、あるいは次のまた五カ年計画をすぐ引っぱり出していかなければならないのか。その点に対するあなたの見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  218. 吉田泰夫

    吉田説明員 建設省といたしましては、四十九年度までの道路整備五カ年計画ができましても、自動車台数との関係で、非常に悪化しつつある道路事情をかろうじて食いとめる、自動車の伸びにようやく追いついていくという程度でございます。しかしながら五十年以後におきましてはさらに道路整備の計画を継続さしていただきまして、六十年の目標をもって、その段階では全国の幹線道路もでき、あるいは都市交通も円滑にいき、交通事故も著しく減少するというまずまずの状態まで持っていきたい。そういう意味で、この五カ年計画だけではまだまだ満足すべき状態にはいきませんが、当面のところはこれでもって必死に追いすがっていく、こういうことでございます。
  219. 竹本孫一

    ○竹本委員 それでは主税局長伺います。  いまの道路計画というものはまだまだ拡大発展をしていくであろうし、それから一応やる者にしてもまずまずのところまでいくのが一仕事であるという答弁がありました。あるいはそれ以上に道路の問題はまた出てくると私は思います。そこで、新税道路目的税ではないのだけれども、「道路その他の」と書いて、「その他」のほうにウエートをどれだけ置くかということによってまた問題は違いますが、道路整備計画をどの程度に見て、道路整備財源をどの程度に考えて、そのうちのどの程度のものをカバーするというっもりでこの税を考えられたか。何となく、そんなものがあればあったほうがいいのだというようなでたらめな考え方ではないでしょう。道路整備計画はこうだ、それを裏づけするための必要な道路整備財源はこうだ、その財源の中において新税はこれだけのものをまかなっていくのでありますという計画があって案を立てられたと思うのだけれども、その辺のことをいささか具体的に伺いたい。
  220. 細見卓

    細見政府委員 御承知のように、第六次道路整備五カ年計画は十兆三千五百億の計画規模になっておるわけでありますが、それに対しまして財源といたしましては、揮発油税、石油ガス税等のいわゆる道路特定されておる財源を充てまして、なお国、地方を通じまして不足するものが、国において三千億、地方において千二百億余りというものであります。その間、新しく設けられます自動車重量税によりまして約五千億の財源が確保されるわけでありまして、第六次道路整備五カ年計画の財源としては、この税は十分な財源を確保することになったと思うわけであります。  その次の段階での新しい交通体系あり方につきましては、たとえば大都市に道路をこれ以上開発するというようなことが現実的であるかどうかとか、あるいはまた国民所得が倍あるいは三倍になりましたときに、いまのような道路を二本、三本新しく設けることができるかどうか。そういう問題も、土地の広さ等の関係もあるわけでありますから、そこを総合交通体系を樹立することによって、空陸海を通ずる最も合理的な輸送、さらにはおそらく立地調整というようなことも行なっていかなければならない。それは五年なり三年なり先の段階におきまして朝野をあげて御検討願って、その結論を待ってこの税をどうするか。卑近なものとしては国と地方との間の財源配分の問題もからめましてそれらを検討願って、その段階でそれぞれ何をなすべきか、そのためにどれだけの財源を調達すべきか、あるいはどれだけのものについて、歳出の削減その他のことを講ずべきかというようなことも御検討願うことではないか。とりあえずこの第六次道路整備五カ年計画が完成いたす。しかもその金額は相当な規模のものでありますから、やはり総合交通体系というようなものの樹立を待って、無際限に財源だけが必要になってくるというようなことがないようにしていただきたいというのが主税当局の考え方でございます。
  221. 竹本孫一

    ○竹本委員 私はこの点については二つのいわば矛盾したような考え方を持っているわけです。一つは、道路五カ年計画は従来の経験から見ると大体三年くらいで改変をしなければならなくなる。しかも財源の問題等から考えてみますと、いまは不足財源幾ら幾らというふうに、数字的にはきわめて正確に言われましたけれども、実際にこれを実践に移してみればなかなかそんななまやさしいものでは済まないことはさまっておる。そういうことから考えると、この自動車新税というものは、かりにその大部分を道路財源に充てるものというふうに理解をすれば、やはり時限立法にすべきではなかったか。すなわちとりあえず、三年において大体計画を変えるのですから、初めの三年間の計画の一つの部分を受け持つ、不足財源をカバーするということで考えるならそれも一つ考え方だろう。あるいは五年間だいじょうぶこのとおりやりますという確信があるならば、その五年間を裏づける財源としていけばいいじゃないか。それを永久一般税としてここに設けるということ自体に少しとらえ方の矛盾がありはしないか。道路は五年あるいは三年で計画を変えるのだ、その裏づけになる財源の一部を担当する自動車重量税であるということならば、この税がずっと永久にいくような形で、永久税、一般税の形で問題を提起されることには少し矛盾がありはしないか。  もう一つ、今度は逆になるかもしれませんが、もし一般税、永久税というような形で道路財源として位置づけて、大きな期待を持っていくのだ。そういうことがもしほんとうだとすれば、いま申しましたように第六次計画自体が、いま政府が考えられている数字のとおりにおさまりはしない。その場合には増税をするか。さらにはまた第七次計画が立てられる。物価の関係その他がありますから、第七次計画は第六次計画よりもさらに大きなものになるであろう。そうすると、その重要な財源として位置づけされておるところの自動車重量新税というものはさらにそれを引き上げていかなければならぬことになるが、第一には時限立法的な性格を持たせなかったのはどういうわけであるか。第二には、この税は道路計画の発展あるいは改変とともに引き上げられて、増税をされる可能性があるのかないのか。この二つを伺いたい。
  222. 細見卓

    細見政府委員 便宜、第二点のほうからお答え申し上げたほうがいいかと思いますが、道路に対しまする需要はおそらく今後ともかなり——無際限ということはないでしょうが、かなり続くもの、さらに増大して続くものと考えなければならないと思うわけでありますが、そういう意味で、第六次が終わりましても、あるいは第七次五カ年計画というような形をとるとらぬは別といたしましても、道路建設の事業は続けられていくもの。そのときにおきまして、その事業の切実性と、そのときにおきまする財政全般の状態とを勘案いたしまして、現在の税で足るか、さらに現在の税は減税ができるのか。これは竹本委員御承知のように、わが国の、少なくとも従来のようにかなり高度に成長をしてまいりました過程におきましては、税制改正というのはおおむね減税の歴史であったというような点からも御推察願うわけで、ただそうした減税が今後可能な経済情勢であるかどうかということは、これは経済の成長——日本の経済の成長力につきましてもいろいろな御議論のあるところで、いまにわかに予断することは困難であります。そういう意味におきまして、その第六次整備五カ年計画の終わった段階で国の財政需要全体がどういうようになるか。その中で道路建設はどういうように位置づけるべきかということをあらためて考えてみる。その場合、一般的に予測できますことは、高福祉高負担ではございませんが、やはり国のなすべき社会資本充実の仕事はかなりあるだろうということを考えますと、だからといって増税をもくろんでおるということではないのでありますが、限時法にして、その時をもって終わりとするということは必ずしも適当ではないのじゃないか、かように考えたわけであります。
  223. 竹本孫一

    ○竹本委員 第六次が終わった段階であらためて考えるということでございますけれども、いま申しましたように、道路計画が金額の面において小さくなるという心配は絶対にないというようなことを考えますと、やはりこの税は、そういう段階になればその段階できめるのだけれども、可能性からいえばさらに引き上げられる、増税の形になることの可能性のほうが多いと私は思うのだけれども、そしてまたこの税は、最初は処女のごとくなんとかというような形で、初めは千二百五十億ぐらいのところで敵前上陸するが、第六次、第七次と発展すればさらに拡大をされていく可能性があるのではないかという点について、一般も心配しているわけだ。あなたの御意見をもうちょっと具体的に伺いたい。
  224. 細見卓

    細見政府委員 先ほども申し上げましたように、その段階になりましたときに、さらに道路は不足しておる、さらに大規模の道路建設をやるべきだ、そのためには現在ある税を増徴してでも行なうべきであるかどうかというのは、そのときにおきまする責任者なり国会の皆さまなりが御検討になって、これは続けるべきだ、この辺で休むべきだというのは、国民の皆さまがおきめになることであろうかと思っております。
  225. 竹本孫一

    ○竹本委員 第六次が終わるときにはあなたは主税局長でないと思うから、それはそれでいいかもしらぬですが、しかし私が問題にするのは、この税は将来道路財源として位置づけられることになり、道路の重要性、また道路計画の金額の増大の必然性を思うときには、非常に引き上げられる可能性のほうが多いのではないか。またそれを意識して計画的に出しておるのではないか。その点をまた庶民は心配しておるのだ。こういうことを私はここで明確にしておきたいと思うのです。これ以上あなたに無理な質問をしてもしかたがありませんからやめますが、これは私は政策の立案の態度として、残念ながら賛成できない。  そういう意味で私が言いたいのは、こういう道路財源というものは、将来の交通——先ほど申しました交通政策の重要性あるいは道路計画の重要性、一般的にいわれる社会資本の充実の緊急性ということを考えると、これを税によってやるということ自体に発想が違うわけです。私どもはこういうほんとうの意味で将来をいろいろ考えまして、社会資本の充実、そのためには建設公債を出せということを言っておる場合に、その建設公債を出すに値するものは道路だとぼくは思うのです。しかも道路は、いま税金を少しふやすのじゃないかということを言いましたが、少々ふやしても間に合わない。間に合う程度で道路をつくり、港をつくるなんということになりますと、日本の交通輸送政策の矛盾と隘路は絶対に解決しない。これは時間がありませんから、日本における交通輸送の隘路とか、その政策の矛盾を指摘する時間がないのです。先ほど何か指摘してもらおうかと思って聞いたけれども、これはどうもお答えがなかったのでさっぱり要領を得なかったのだが、とにかく日本の経済は、七〇年代を終えまして八〇年代に入って、具体的に言うならば、日本の経済が今日二千億ドルのGNP総生産から、七五年には四千億ドルになり、それから八〇年には大体その倍の八千億ドルぐらいになって、いまのソ連の経済と大体タイになるのですよ。  ところがいまの日本人の頭というものは、八千億ドルの経済をまかなうような頭にはなっていないのです。失礼ながらなっていない。日本の政治もそういうふうになっていない。ロイド・ジョージの「大戦回顧録」というのがありますが、あれにうまいことが書いてあります。戦争のときにロイド・ジョージが一番悩んだのは何か。金にあらず、物資にあらず、何でもない、人だ。人で一番困ったのは何か。人の頭の切りかえだ。イギリス経済をまかなっておる経営者、指導者、財界人の頭も政界人の頭も大体スリー・トナーズ、三トン貨車だ。ところが戦争経済は予想以上にばっとふくれたものだから、いままで三百人しか使ったことがない人が二千人使わなければならない。その労務管理から経営管理ができないのです。そこに一番大きな悩みがあったということを「大戦回顧録」にロイド・ジョージは非常にきびしく書いておる。私はこれは非常にすぐれた経済についての見識だと思うのです。  日本の経済をまかなう、あるいは指導するというわれわれ自体が、八千億ドルのGNP総生産になって、ソ連と同じ経済の運営をするということになれば、われわれの頭はついていけないだろうという心配を私はしておるのです。たとえば資本金百万円の会社の社長が資本金一千万円の会社の社長になったらどうしていいのかわからないのと同じことになるのだ。日本の経済はへたをするとそういうふうに、この急激な高度成長のためにあと十年たてばかれこれ八千億ドルの総生産をあげるようになる。そうなれば、これをまかなうということのためにはわれわれはよほど頭の切りかえをやらなければどうにもならぬ。その切りかえをしなければならぬ場合に、一番切りかえを必要とするのは私は生産の面ではないと思う。むしろいまわれわれが忘れておる流通経済部門だ、あるいは消費の問題だ、あるいは余暇の問題なんです。そういう問題については、いま政治家のわれわれ自体も頭がそこまでなかなかついていっていないと思うのですね。  そういう意味から考えてまいりますと、あと十年たった後の日本の経済の大きさと発展のテンポ、そういうものをまかなっていくべき流通経済、その中の道路計画、そういうことを考えますと、それは自動車新税といったようなちょっと思いつきの案で、これをめちゃくちゃに広げていけば悪税になる。いまでさえ悪税なんだから、それをますます悪税にしちゃう。ところがそれではどうにもならぬ。そのときはそのときで考えてくださいと主税局長は言うのだけれども、私はいまから七〇年代の、あるいは七〇年代から八〇年代への政治を展望しながら、われわれはこれからの社会資本をどう充実していくのか、また財源はどう確保していくのかということについて、実はこの辺で真剣に考えなければならぬ段階ではないか、私はそう思うのです。  そういう立場から見れば、私の立場を強調し過ぎて恐縮ですけれども、私は建設公債に踏み切って社会資本の充実を思い切ってやる。そのかまえも、予算的な裏づけもこういうふうにあるのだという……。ことに七〇年代は六〇年代の延長として考えるのではなく、社会資本というものはただことばで言っておるだけで、どれだけ問題を理解して言っているか私にはわからない。ここでほんとうの意味での社会資本の充実、七〇年代の新しい経済の展望の中で新しいビジョンを持ってこれから問題に取り組もうというならば、私自身は、どうしても予算制度というものも変えなければならぬという意見なんです。  すなわち一つはタックス、主税局長の御苦労を願う税でまかなって、しかもできれば最大限度に倹約をしていかなければならない、節約を旨としなければならないそういう行政部門。それからもう一つは今日よくいわれる社会福祉の面です。これは民間の生命保険とかなんとかいうような資本も動員しながら、官民協力の形で福祉社会の建設のために予算的にも思い切った体制をとらなければならぬ、そういう部門。さらにもう一つは、キャピタルバジェットといって、資本勘定、将来の日本の経済の発展、ソビエトと同じような規模を持つところの、八千億ドルの日本の総生産をまかなえるような社会資本の充実ということは、われわれだけで解決し得る問題ではないのだから、思い切って建設公債に移すが、その公債をもってまかなうべき部門。私は予算の制度というものを三つに分けて、公債でまかなうべきキャピタルバジェットとしての部門、税金でまかなって節約第一で考えなければならない部門、官民協力で福祉を充実しなければならない部門、こういうふうに交通整理を、財政制度自体を整備再、編成しまして、その公債の部門、キャピタルバジェットの部門は、いわゆる社会資本充実の部門としてこれを公債を出してまかなっていく。そうでなければ、いま言ったように財源に不足して悪税を強化し拡充するような形でも困りますから。財源が足らなければ動きがとれないのだからなお困る。そういう意味でこちらは思い切ってやらなければならぬ。それを、最も倹約しなければならない租税部門で、その考え方でこちらをやろうというのですから、事の出発がまるきり交通整理ができていない。  そういう意味で七〇年代は、これは総理か大蔵大臣に聞きたいところですけれども、とにかく社会資本の充実ということは、六〇年代の延長でことばだけの社会資本の充実なんか言っているような段階ではないのだ。日本の経済はとにもかくにもソビエトと同じ大きさになるのだ。それをまかなっていくところの流通経済、それをまかなう港にしても道路にしても飛行機にしても、とてもなまやさしいことではついていけないのだから、いまにして日本財政制度を全面的に再検討して、特に社会資本の充実はわれわれの国家百年の大計だ。キャピタルバジェットとして、公債財源でちゃんとしたものを考えなければならぬという時代が来ておる。そういう段階に来ておるのに、目的税一般税か知らないけれども、そんなけちな税金でこれをまかなっていこうなんという取り組み方は交通政策の重要性を全然理解していないのではないか。私は非常に残念に思いますから、この点について、大臣も見えたからひとつ大臣から伺いましょうか。
  226. 福田赳夫

    福田国務大臣 日ごろ尊敬いたします竹本先生の貴重なる御意見として拝聴いたしました。
  227. 竹本孫一

    ○竹本委員 一般論は時間がありませんのでこのくらいでやめまして、今度は地方財源等から考えてみても、四分の一、百億ドルだけは地方に回すというのだけれども……。  なおちょっと大蔵大臣、本会議において私が質問したときに、公債政策は劇薬みたいなものだと大臣は御答弁になった。これが一番イージーゴーイングな行き方になるという心配をされた。これは私はついでに大臣に言っておかなければならぬ。本会議では答弁を承っただけでございますからこの機会に申し上げますが、確かにこの公債政策というものはいまの政治姿勢からいえば一番ルーズな、イージーゴーイングな行き方になると私は思うのです。そして、はなはだ失礼な言い方をお許しいただけるならば、私は自民党政府の間にはあまり公債政策に踏み切ってもらいたくないのです。それはなぜかといえば、陳情団が赤坂プリンスなんかに立てこもれば必ず予算は五百億、六百億とふえるのだから、そういうだらしのないと言っては失礼かもしらぬが、ある意味において無原則に予算が拡大される、圧力団体がまかり通るといったような政治姿勢の中では公債政策はあぶないと思うのです。だから私はその意味において、いまの政治姿勢が続くという前提ならば私自身はあまり公債政策には賛成でありません。私どもが言う公債政策というのは、いま大臣がいらっしゃったかどうか気がつかなかったのですが、私は、予算制度まで組みかえて、そうしてきわめて真剣に七〇年代の大きなビジョンを描いて、その全体的な計画の中で社会資本の充実を考え、それの財源として公債を、こう言っておるわけですから、私の言う場合においては、そういうイージーゴーイングで無原則にこれが拡大されていくということがあってはならぬし、ないだろうと思いますが、これは念のために申し上げておきます。  そこで、先ほどの地方の問題に返りますが、地方のほうも自主財源、自主財源とかいろいろいいますが、私はそれこそいまの資本主義経済の中では、地方の経済の自主財源というようなものはきわめて限界があると思う。しかも道路についていうならば、これは地方の自主財源ではまかない切れないのにかかわらず、財政には限度が非常にきびしいのにもかかわらず、人間が通るところは全部道路だと——この間も連合審査のときに建設大臣答弁がありましたけれども、それまでに全部舗装する必要があるかないかは一応別にしまして、一般的に県道にしても市町村道にしても、なおなおこれから整備をしなければならぬ。しかも地方の財政にはおのずから限界がある。一体それを将来どういうまかない方をしていくつもりでおられるか。自動車新税そのものをおすそ分け四分の一といったようなことで一体まかなえるのかどうか。これも私に言わせれば、ただ四分の一見当かなというようなことで、きわめて場当たり式に考えつかれた考え方ではなかろうか。やはり地方の社会資本の充実、道路整備ということを考えてみても、そしてまた地方の自主財源の限界ということを考えてみても、これもあまりにもその場過ごしの思いつき程度にすぎないのではないか。何か深遠雄大なる御計画があって、その一環としてこの四分の一の譲与税というのが考えられておるかどうであるか。その点についての御意見を伺いたい。
  228. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは十兆三千五百億円の地方道部分の財源が、ちょうど不足額がそうなるのです。そこで四分の一ということが出たので、これは何も場当たりできめたわけではないのであります。
  229. 竹本孫一

    ○竹本委員 これは先ほども、その計画は途中で変改され、拡大されることはないかとかいろいろ議論をしたわけです。それの一環ですが、もうこの上議論をする時間がありませんからやめます。  次に、自動車が国民生活にとって必需品であるという立場から見て、この自動車に税金をかけるということは大衆課税ではないかということが連合審査の場合にもいろいろと議論をされました。これについていろいろ御答弁があったわけでございまして、このくらいの負担力はあるかもしれぬというようなことをいろいろ御説明がありましたけれども、これはよくいわれるように、五十万円の自動車については五十三万円ぐらい五年間すればかかるじゃないかというようなことで、大衆一般は非常に不満も持ち、またそれがいま申しましたように道路財源ということになれば、いつ引き上げられるかもしれないのだといったような不安も持っておりますので、私としてはこの税金そのものに賛成ができない。しかし、少なくともこの審議の過程において、国民一般に無用の心配や負担をかけないようにしたいと思うのでございます。  国民の必需品であるということについても一応議論はありましたけれども、われわれが自動車考えるのと、いろいろ実際の情勢はさらに進んでおるということであります。私は、私の選挙区の関係で小型自動車なんかの話をよく聞くのでございますけれども、最近は労働力が非常に不足しておるために夜勤が多いのです。超過勤務が非常に多い。非常におそくなって帰るので交通手段がないのです。それで夜おそくなって帰るにはもう自家用車以外にはないので、みんな小型の自家用車を買う。自動車会社自身が、その自動車を従業員が持ち過ぎて、一人の従業員のためにある程度の、自動車一台分の土地をよけいに自動車置き場として用意しなければならぬ、その負担がたいへんだという話を聞いたこともあるのです。いろいろその際に聞いてみると、とにかく労働力が不足だ、超過勤務は必然だ、そうなればもう自動車は必需品で、われわれとしてはまたその自動車を使う人を一人雇うために、それだけの自動車置き場を用意するということで、会社としてもたいへんだということを言っておりました。話が横へそれても困りますが、そういう労働力不足からきた超過勤務、そして夜うちへ帰る場合にはほかには方法がないので、オートバイに乗るか、あるいは自家用の小さな小型で帰る以外にない。そんな点も、今日われわれが想像する以上に自動車は生活必需品になっておるということの一つの証拠だろうと思うのですね。  あるいはまた住宅事情、これも東京においてもそうでありますが、住宅事情から近くに住めないので遠くに住む。そうすると、いま申しましたような関係もあって、やはり自家用車がほしいということにもなる。そういう意味自動車は生活必需品であるということについて、どうもわれわれ一般、認識が足らないのじゃないか。そういう意味から、この必需品に税金をかけるということは、よほどの場合でなければかけてはならないと思うが、主税局長にお伺いするのだけれども、これは必需品としての認識はどの程度に持っておられたかということが一つ。  さらに二つ目には、非課税の対象というのがいろいろあるようですけれども、これはいろいろ議論がありましたから私は省きますが、耐用年数がある程度たってしまったようなものについて、この際課税はどういうふうにされるつもりであるか、方針はどうなっておるのであるか、その点について、だけお伺いしたい。
  230. 細見卓

    細見政府委員 生活水準が向上いたしてまいり、また住宅事情等も変わりまして、今日自動車が生活に欠くことができないものになっておる。生活に欠くことのできないものになっておるというのが必需品という意味であれば必需品であろうかと思いますが、もっと生活水準の低い段階で、たとえば衣食住の最低のものが必需品だといったような意味での必需品ではない。かなり便益を提供し、その便益をみんな社会一般でだんだん享有するようになっておるから、いわばそういうものにつられて、他人との生活のバランスからしてもどうしても必需品的に考えがちになっておるという意味で必需品的になっており、しかも勤労者あるいは中小企業等の人たちも、半分以上、七割とかあるいは七割五分とかいうような割合で自動車を持っておられることは承知いたしておるわけであります。  それから、自動車の古くなった新しくなったによって課税非課税の区別は出ないわけでありまして、非常に整備がよくて、古くなった自動車でありましてもこれが車検を受けてりっぱに道路走行するということでありますれば、これは課税されるわけでありまして、新しい自動車でありましても整備が悪くて車検に合格しないというようなことになれば非課税になるわけであります。ただ軽自動車のほうは、取得いたしましたときの登録をもって一回限りの課税といたしますので、軽自動車が非常に大事に使われて、六年、七年というような年数かりに使われるといたしますれば、何年使われても税は三年分だけの税で終わるということになろうと思います。そういう意味におきまして、耐用年数とこの税の課税関係とは関係がないということになるわけであります。
  231. 竹本孫一

    ○竹本委員 これは、いま主税局長の便益品か、必需品か、いろいろ議論はやめますが、いま申しましたように、大衆の生活の非常に重要なものであるということから考えると、いかにして税を取ってやろうという立場に立ってものを考えるのではなくて、大衆に課税をするこの税金であるから、なるべくかけないように、いかにあたたかい気持ちを持って、温情を持ってやろうかということでぼくは結論が変わってくると思うのですね。たとえばいまお話しになりました、古くなって、もう耐用年数も経過したような車について、これはだれが考えても——いまあなたは答弁の中では、新しいものといえども車検が通らないような車はかけないのだ。何だか議論のための議論のような感じをぼくは受けるのですね。そんな自動車が何台あるか知りませんけれども、そういうような三百代言みたいな言い方ではなくて、やはり大衆に、重税ではないかしらぬが、新税をかけるという立場から見れば、なるべく税は軽くかけてやるか、少なくとも小範囲にかけてやるかということが政治のあたたかい考え方だと思うのですね。そういう意味からいえば、新車でも車検に通らないようなものにはかけません、古いものでも役に立つものならばなおかけていきますと、こういう言い方はぼくはちょっといただけないと思うのです。しかし議論はいたしませんが……。  そこで最後にもう一つ伺いますが、この自動車重量税法案提案理由のところですけれども、「今次の税制改正の一環として、道路その他の社会資本の充実の要請を考慮し、」と、こう書いてある。そこで私が先ほど言いましたように、社会資本の充実ということになれば事は重大であるし規模も大規模になり過ぎる。そういうようなかまえでこの税を取り上げられることはやめて、やはり社会資本の充実ということについてはそれなりのキャピタルバジェット、投資勘定というものを考えるということにするのが本筋であるから、七〇年代の大きな分岐点に立ってそういうふうに考えてもらいたい。これを税金でまかなおうということになれば、大蔵省としてはそれも一つ考え方でありましょうが、しかし、少なくとも「道路その他の社会資本の充実」というように大ぶろしきを広げないで、目的をもう少し限定したらどうか。本税による財源の使途というものは、道路その他道路交通安全施設を充実するためにと、先ほども御議論がありましたけれども、そういうふうに道路もしくは道路の交通安全のためにというふうに、大ぶろしきを広げるのを少し押えられて、もう少し、目的道路だけというこまかい制限をしろというふうには言いませんけれども、道路もしくはこれに関連する道路交通安会施設等に制限したらどうか。社会資本の充実の必要性にかんがみなんというようなことでは、それこそどこまで問題が発展するのかさっぱりわかりません。この問題はどこまで広げて考えられるのか。また私が言っておるような道路交通安全施設といったような、ほんとうの使途はきわめて限定されたものであるのか。あるいは無限大に広がるような社会資本一般を考えておられるのか。ひとつこの辺だけ伺って質問を終わりたいと思います。
  232. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは提案理由では少し抽象的に申し上げておりますが、なお具体的に申し上げますと、交通社会資本、かように御理解願います。
  233. 竹本孫一

    ○竹本委員 先ほど来いろいろと申し上げましたけれども、われわれは交通だけではなくて、社会資本の充実というものにつきましては、この際異常な決意と大きな展望を持って取り組まなければならぬ時期に来ております。したがって、財政的な裏づけについてもそれ相当のすばらしい構想をお互いに検討すべき時期だろうと私は思います。したがいまして、われわれはそういう社会資本の充実の要請にこたえるにはこたえるような一つの対応のしかたをやりたい。この税金は大衆に対して著しく不安をもたらしておるし、また生活の便宜の上にも著しくきびしい条件をつけ加えてまいりますので、できる限り問題の財源の使途等につきましても限定をされて、不当な不安や不満を巻き起こさないようにひとつ考えてもらいたい。われわれは本来的にこの考え方には反対でありますけれども、当局の考え方にもその点はよく検討をしていただきたいと希望を申し述べまして、私の質問を終わります。
  234. 毛利松平

  235. 小林政子

    小林(政)委員 自動車重量税法案の問題につきましては、新税である、こういうことから、各委員皆さんから長時間にわたってたいへん熱心な御審議等が行なわれまして、この中で多くの問題点が指摘をされております。私はこれらの問題点の重複ということについてはできるだけ避けながらも、しかしますます矛盾を感ずるという問題等もございますので、これらの点等も含めて質問をいたしたいというふうに考えます。  自動車重量税というものは、その発想からあるいはまたいままでの質疑の経過から見ましても明らかなように、道路財源、それと交通関連の社会資本、その二つに支出目的というものを特定している、こういう財源である、こういうことがいえると思います。しかもこの財源につきましては、受益者負担だ、あるいはまた原因者負担だというような概念から、車の使用者に税をかける、こういうことが行なわれているわけでございますが、しかもその財源一般財源である、こういうことで御説明がされているわけです。第六次道路整備計画、これは新税によって三千億これに補充をしたい、あるいはまた地方道路財源として千二百五十億を充てたい、あるいは交通関連社会資本という特定支出にあくまで充てるということでございますが、私は、こういうことになりますと、これ自体は目的税ではなくても、少なくともひもつき財源である、こういうことがいえるんじゃないだろうか。ひもつき財源というものが一般の財源の中で拡大をしていくということになりますと、これは税収入そのものを大きく拘束するものであると同時に、またその使途というものがすでにもうきまっているというような状況の中では、議会の審議権というようなものに対しても大きな拘束を加えるということは明らかだろうというふうに私は考えます。こういうことは租税のたてまえからいっても、あるいはまた午前中阿部先生からの御意見もございましたけれども、財政運営という立場からいっても、このことはきわめて不正常な状態を招くというふうに言ってしかるべきであろうというふうに考えますけれども、まずこの点についての御意見をお伺いいたしたいと思います。
  236. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまの段階ではこれはひもつき財源、つまり特定財源じゃないのです。これは一般財源であります。ただ、これをつくろうとしたいきさつが、道路その他の交通資本を充実しようというところにあったというだけのことでありまして、たてまえ上はいかなる使途にも充当される。つまり九兆四千億円という一般会計財源の一こまである、こういうふうに御理解願いたいと存じます。
  237. 小林政子

    小林(政)委員 自動車新税が、原因者負担だとか受益者負担だという性格から自動車負担を求めているわけでございますけれども、私は、税の中に受益者負担だとかあるいはまた原因者負担というような、いわゆる応益の原則というようなものが拡大をされていくということは、税の公平のたてまえということから考えても、公平の原則そのものをくずしていくことになるんではないだろうか、こう考えますけれども、この点についてもお伺いいたしておきたいと思います。
  238. 細見卓

    細見政府委員 税制は、やはり基本が公平であり、税法の前にみんな平等であるということが一番望ましい税制であるわけでありますが、ただ社会生活が非常に複雑になってまいりますと、受益がある程度特定される、あるいは原因がある程度特定されるというような面も出てまいるわけでございまして、そういう面をとらえれば、受益者負担とかあるいは原因者負担とかいうようなものを、国民に負担を求める場合においてそういう要素を取り入れたらどうかという議論も学者などの間にかなりあるわけでありまして、それらの点は今後どういうふうに税制の中に取り入れていくかを検討すべき問題であろうと思います。この税はそういう意味で、道路自動車との間にある程度の関連があるということは着目いたしておりますが、基本的には道路走行が可能になる車検とかあるいは登録段階におきまして、そういうことが可能になる権利創設的なものを課税の対象とする一種登録税、一般間接税という形になっておる。その場合に、道路建設のための財源が不足するときに、所得税のようなものに財源を求めるか、自動車のようにある程度関連があるものに求めるかということにおいて、自動車が直接道路との間に関連を持ち、この際の道路整備が直接自動車受益になっていくであろうということを考えてこの税の創設を考えた沿革、あるいは考え方の基礎にそういうものがあったことは事実でございます。それをもって、現段階におきましてこの税が即受益者負担であるとかあるいは原因者負担であるということにはなくて、一般的な税に純化されておるわけでございます。
  239. 小林政子

    小林(政)委員 一点だけもう一度ちょっとお伺いしたいと思いますけれども、そうしますと、一般の税の中に受益者負担あるいは原因者負担的なそういう応益原則というようなものが入り込んでくるという余地というものは、学者の間でもいろいろと論議されている、こういうことでございますけれども、今後一般の租税の中にそういったものを積極的に取り入れていくというようなお考えがおありになるのかどうなのか。この点ちょっと確認をしておきたいと思います。
  240. 細見卓

    細見政府委員 この問題につきましては、現在税制調査会の基本問題小委員会で御検討を願っておるわけでございます。抽象的、一般的には、何か受益者負担あるいは原因者負担というような形で負担を求めることが公平にかなっておるように感ぜられるわけでありますが、その場合におきましても、どこまでを受益者と考えるか、どこまでを原因者と考えるか、その受益の度合いあるいは原因の度合いというようなものの測定がむずかしい。少なくとも国民的な納得を得るということが、客観的な尺度は求めにくいという面があるのでありまして、それらの点を今後詰めていかなければならないというふうに、主として基本問題小委員会のメンバーは学者でありますので、そういう意見が出ております。  ただ一方、小林委員御承知のように、地方税につきましては、たとえば事業税のようなものを受益者負担だとかいうような言い方をしており、あるいはまた住民税などにつきまして所得税との負担の割合が違う場合におきましても、受益者負担的な要素を持ち出して説明しておる。そういう要素は地方税などにつきましてはあるわけでありますが、これは御承知のように居住の区域が比較的狭いというようなことで、そういう受益とか原因というようなものの測定が比較的可能であるというようなことからこういうような原則がいわれておるのではなかろうか、かように考えております。
  241. 小林政子

    小林(政)委員 税の公平というものは、本来やはり担税力に応じて課税をするということが何といっても原則であろう、私はこういうふうに考えております。少なくとも税の中に受益者負担というような考え方が入ってくるということ、あるいはまた使用料的なそういったものが入ってくるというようなことにつきましては、これは税のたてまえであります累進課税という、租税の民主的な原則といわれておりますものを大きくとりくずしていくことになるだろう。今後こういう点については、このようなことがないというたてまえをはっきり打ち立てておくことが必要ではないだろうか。今回のこの財源の組み方等を見てみますときに、非常にしみじみとそういうものに触れる内容が感じられますので、この点について質問をしたわけでございます。さらにこういったことが取り入れられるということになりますと、やはり一般の公共事業というものは企業化の方向にこの性格が強まっていく、こういったようなことも出てくるわけでございますし、そうなってまいりますと、やはりそのこと自体は非常に財政を大衆負担に求めるものだというようなこともいわれております。  このことだけ申し上げまして、次に公共事業の中でも道路の投資というものはいままで相当多額に優先的に、道路が産業の動脈である、こういったようなことが一般にいわれております。道路の公共投資というものが他に比べてきわめて高かったということがいわれておりますけれども、財政的な立場から、一体道路投資と、住宅だとかあるいは下水だとかいう他の公共事業投資とのバランスというようなものについては、本来どうあるべきものなのか。そうして現状はどうなっておるかという点も含めて質問をいたしたいと思います。
  242. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 いわゆる公共事業の中の道路、住宅、大きな項目でございまするけれども、大体戦後の公共事業の様子というものを見てまいりますと、大ざっぱに申しますと、昭和二十年代はたとえば治水でございますとか治山でございますとか、そういう国土保全の関係の事業がかなり大きなウエートを占めておったのでございます。昭和三十年代になりますと、産業基盤の隘路の打開というようなことで、だんだん国力が回復してくるにつれまして、道路でございますとか港湾でございますとか、そういう関係の公共投資がだいぶ伸びてきた。昭和四十年代に入りましては、今度は住宅でございますとか下水道でございますとか、そういう生活環境関係の公共事業というものがだいぶふえてまいりまして、道路事業ももちろんかなりのウエートを金額的には占めておりまするけれども、相対の傾向から見ますと生活環境関係が最近においては伸び率が高いというような状況になっております。
  243. 小林政子

    小林(政)委員 時間も経過しておりますので、この問題については後ほど資料などでひとつお願いをしたいというふうに思います。  次に、陸運局にお伺いをいたしたいと思いますけれども、これも先ほど来お話ございましたけれども、車検の交付というのは何を目的に行なうものであるのか、もう一度御答弁を願いたいと思います。
  244. 隅田豊

    隅田説明員 先ほども御答弁申し上げましたが、車検の効果は、まず第一に安全性を確保いたしまして、自動車保安を確保するというのが目的でございます。同時に、この車検の結果、車検証を持たなければ運行することができないという  ことになっております。
  245. 小林政子

    小林(政)委員 車検の交付が車の運行にとって安全の確保をはかる、このことは社会的にきわめて必要であり、重要な問題だと思いますが、どうしてこの税金を納めなければ車検の交付がされないのですか。税を払わなければ車検を交付しないということは、私は道路運送車両法にきめられた車検交付の目的に反するのではないかというふうに思いますが、この点について質問をいたします。
  246. 細見卓

    細見政府委員 自動車重量税は、たびたび申しておりますように、自動車走行がいろいろな道路混雑その他の社会的なコストをもたらしておる。そこで重量に応じて重量税を払っていただきたいということにこの税が提案いたしておるわけで、その税をいつ払っていただくかというのは、車検の交付のときに払っていただきたい、こういうわけでございます。
  247. 小林政子

    小林(政)委員 従来は、車の安全性というようなものが確認をされれば、道路運送車両法に基づいてこれは当然車の車検を交付することができ、そうして道路走行することができたわけですけれども、今回の新税が創設をされますと、車体そのものはいわゆる車検にパスをいたしましても、税金が払ってない、こういうことによってこれが道路を走ることができないということになりますと、従来の道路運送車両法に定められた、はっきりとしたこれは目的を持って車検交付が行なわれているわけですけれども、これを大きく制限するものであり、車検交付の目的を持っております道路運送車両法に反するんじゃないだろうか。この点についてもう少し納得のいく御答弁をお願いいたしたいと思います。
  248. 細見卓

    細見政府委員 現在におきましても、たとえば自動車損害賠償保障法の九条におきまして、自動車損害賠償責任保険証明書の提示がなければこの車検証を交付してはいけないというような条文があり、また税につきましては、道路運送車両法九十七条の二に、自動車税なり軽自動車税の滞納がないことを証明するものがなければこの車検証を交付してはならないということになっておるわけでありまして、それに今度は自動車重量税の納付を証明する印紙が貼付されておらないときは交付してはならない。同じ従来のものに一項目加わった、こういうことでございます。
  249. 小林政子

    小林(政)委員 この重量税を払わなければいわゆる道路走行というものは認めない、こういうことになっておりますけれども、およそ税金の中で、税を納めなければ権利を即座に停止する、滞納も認めない、こういったような税金というものがあるだろうか。この問題は私は生活権にもかかわる重要な問題だというふうに思いますけれども、この点についてもお伺いをいたしたいと思います。
  250. 細見卓

    細見政府委員 およそ登録免許税は全部そうでございまして、弁護士になろうとされる方が登録税を払われなければ弁護士としての登録ができない。そういうわけで、登録免許税は一切、その際に納税がなければそういう権利が取得できない、あるいは権利登録ができない、こういうわけになっておるわけでございます。
  251. 小林政子

    小林(政)委員 このことについても、国民が納得をするというようないま御説明が得られなかったことを私は残念に思います。課税目的のために道路運送車両法に基づく道路を走るというこの権利が抑圧されることになりますと、道路の持つ公共性という立場からいっても、私はこれは大きな問題点になってくるであろうというふうに考えますけれども、この点についてもう一点お伺いをして、次に移りたいと思います。
  252. 細見卓

    細見政府委員 先ほど申し上げましたように、自動車重量税法は、その提案理由にも書いてありますような理由によりまして新しく自動車負担を求めるわけでありますし、その負担の求め方は車検の交付のときに求めるということにいたしており、税法におきまして、その納税が証明されないものについては車検を交付しないということに法律で、ここで定めたわけでありますので、私はその点は明確になっておるのじゃないかと思います。
  253. 小林政子

    小林(政)委員 次に、米軍関係の自動車、いわゆる軍の車というようなものは非課税になっておりますけれども、米軍の構成員の所有車というようなものはこれは課税の対象になっているわけでございます。特にこの場合、いま私が申し上げたのは自動車税、いわゆる地方税の対象でございますけれども、今回新たに自動車重量税課税されるということになりますと、この問題等も関連をしてくると思いますのでお伺いをいたしておきたいと思いますが、まず米軍構成員の所有車、課税対象にされている車というのは大体何台くらいあるのですか。
  254. 細見卓

    細見政府委員 この車は現在のところまだ調べが終わっておりませんので、調べることができますれば後ほど調査してお答えいたしたいと思います。
  255. 小林政子

    小林(政)委員 自動車重量税が当然適用されるということですね。
  256. 細見卓

    細見政府委員 地位協定におきまして道路使用税的な税は払うということになっておりますので、その線で、この法案が成立いたしましたときには交渉いたしたいと考えております。
  257. 小林政子

    小林(政)委員 この問題については、従来地方税、いわゆる地方の道路財源とされております自動車税は一応課税されていたわけでありますけれども、その課税額というものはいわゆる日米合同委員会の租税小委員会、ここの勧告に基づいて、日本で実施をいたしております税の、乗用車の場合には大体六分の一くらい、あるいはまた小型の車の場合には三分の一から四分の一、ライトバンなどの場合にも大体三分の一から四分の一というようなことが適用されているというふうに聞いております。このために地方の主要な道路財源であるいわゆる自動車税というようなものが、合同委員会の決定というようなことで非常に課税額というものが制限をされているという中で、地方の財源というものが大きく圧迫をされてきているのが事実でございますけれども、この財源の補てんというようなことについていままで国としては何か実施をされていたのか。それとも今後このような問題について何らかの措置をおとりになるお考えがあるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  258. 細見卓

    細見政府委員 たびたび申し上げておりますように、自動車税なり軽自動車税は府県なり市町村の一般財源としているわけでございまして、要するに固定資産税の見合いのものだという言い方をしているわけです。ただ最近に至りまして、その一面ある程度奢侈的自動車には重課するとか、あるいは道路使用税的な要素を取り入れるとかというようなことで、この自動車税は固定資産税的な要素を進めましてそういう要素がある。その要素をとらまえますと、先ほど申し上げておりましたような道路使用税的な税はアメリカ軍の要員といえども払うということになっておる。そこで現在におきましてはその自動車税の中の道路使用税的な要素を三分の一とか二分の一とかに想定して議論がされておるわけでありますが、地方団体側の切なる要望もございまして、私どももその間に立って、何らかの形で自動車税を全額払ってもらえないだろうかというようなことはときおり交渉いたしており、われわれもその線で交渉の応援をしておるのが実情でございます。
  259. 小林政子

    小林(政)委員 大臣が御都合がおありのようですので、一点お伺いしたいと思います。  大臣の午前中の御答弁の中で、いわゆる自動車新税と付加価値税との問題につきましては、付加価値税は直接自動車新税と関係はない、しかしこの問題については検討をいましておるし、付加価値税制を妨げるような新税は設けないという意味の御発言をされたわけでございますけれども、それは具体的にはどういうことなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  260. 福田赳夫

    福田国務大臣 付加価値税の創設につきましては、私は非常に慎重にかまえておるのです。これはしかし検討はしたい。いまEC諸国のみならず欧米においてもこれが検討を始めておる。わが国においてもそういう風潮を度外視することは適当でない、そういうふうに考えまして、これは検討したい。しかし、これが決定なり実施なり、そういうことは物価問題とかいろいろの問題を考えなければならぬ、そういうことで慎重にかまえたいと思います。ですからこれが一年、二年、三年先で実現されるというふうには考えておりませんけれども、とにかく検討する、その検討をしてこれはやらないという場合もあるかもしらぬし、やったらいいじゃないかという結論になる場合があるかもしれない。やったらいいじゃないかという結論が出る場合もあり得ることでありますので、それの妨げになるような消費税、この税制をいまとるのは適当でない、そういうふうに考えておるのです。今度の自動車重量税のごときは、かりに付加価値税を採用するというような際においてその地ならし的効果はある、そういう意味において障害にはならぬ、こういうことを申し上げたわけであります。
  261. 小林政子

    小林(政)委員 付加価値税を取り入れていく場合の地ならし、こういうことになりますと、いままでにも大臣から言われておりますとおり、間接税の方向をきわめて比重を高めていく、こういったようなことが関連してくるわけでございますけれども、そう思ってよろしゅうございますか。
  262. 福田赳夫

    福田国務大臣 ちょっとよくわからなかったのですが、付加価値税は消費税的傾向を深める、こういうことですか。
  263. 小林政子

    小林(政)委員 いわゆる間接税方向、間接税というものの方向を強めていく、いわゆる税の転嫁の有無というようなものが非常に大きなウエートを占めてくる、こういうことから考えてそういうふうに言えるのかどうか、このことについてお伺いをしたわけです。
  264. 福田赳夫

    福田国務大臣 ちょっとおっしゃることがよくわからぬので、もう一度願います。
  265. 小林政子

    小林(政)委員 御承知のとおり間接税の場合には、納税義務者が税の転嫁を行なうことができるわけですね。そういう点で、間接税方式というようなものの比重を今後税制の中で強めていくということは、一つには付加価値税への地ならし的なそういうものだというふうに受けとめてよろしいのでしょうか。
  266. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはそういう意味じゃないのです。まだ代加価値税のほうは採用するかしないか、これは慎重に検討したい。しかし、いま新しい税制をつくるという際に、あり得る付加価値税の採用、それを妨害する、阻害するような税制であってはならない、こういうことを申し上げているわけです。
  267. 小林政子

    小林(政)委員 今回の自動車重量税が、妨げるものでなくて地ならし的なものだということの根拠をお示し願いたいと思います。
  268. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは、一つ自動車という物品に対する課税、その付加価値税というのは、そういうような種類の税制を全般的に行なう、こういうことなんで、したがって、付加価値税を採用するという場合があった場合にその妨げにはならぬということを申し上げているわけです。
  269. 小林政子

    小林(政)委員 今回の自動車重量税負担者は一体だれなのかという点についてお伺いをいたしたと思います。
  270. 細見卓

    細見政府委員 車検証に登録されております使用者でございます。
  271. 小林政子

    小林(政)委員 これはちょっと私の聞き違いがあったかもしれませんけれども、もしそうであれば御訂正を願いたいと思いますけれども、主税局長は前回、この問題の事例として、自分は車を持っているけれども免許証を持っていないので車を使用することはできない。しかし自分のむすこは免許証を持って車を使用することができる、したがって車は常にむすこさんが乗り回しているんだ。したがって、納税義務者は自分ではなくてむすこなんだ、こういうふうにおっしゃられたように記憶をいたしておりますけれども、間違いございませんか。
  272. 細見卓

    細見政府委員 そのとおりでございます。ただし、使用者というのにつきまして、あのときも誤解がございまして議論が出ましたように、車検証に記載されておる使用者——現実にレンタカーを乗り回しておる人が使用者という意味の使用者ではなくて、車検証に常時使用する人として記載されておる使用者でございます。
  273. 小林政子

    小林(政)委員 そうしますと、自動車の所有者というものと車検証の所有者というものは当然異なってくると思うのですが……。
  274. 細見卓

    細見政府委員 整備部長がおられますから整備部長にお答え願うのが筋かもしれませんが、所有者と使用者が同一の場合のほうがむしろ多かろうと思います。ただ、概念として区別すればいま私が申し上げたような区別ができます。したがって、商店などで、自動車の所有者は商店の店主であり、非常に信頼できる番頭さんのような方がおられて、その方が使用者になっておる検査証の自動車はあります。しかし多くの場合、商店等の場合は所有者が商店の店主であり、それから使用者も店主になっていることが多い、だろうと思います。そういうわけで、例外的に観念として区別できる、こういうことを申し上げたのです。
  275. 小林政子

    小林(政)委員 そうしますと、たとえば最初の局長の事例で申し上げますと、たまたまむすこさんが車を運転している、したがって納税義務者はむすこさんである。しかしその場合に、それが学生さんかなんかであって所得がない、あるいは担税能力がないといった場合に、納税義務者はむすこさんであるけれども、いわゆる負担者は父親に当たる局長さんなり家族の者が負担をする、こういうことになるわけですか。
  276. 細見卓

    細見政府委員 第一次納税義務者はその使用者であり、所有者である私は連帯納税義務者になる、こういうわけでございます。
  277. 小林政子

    小林(政)委員 そうしますと、先ほど私が、自動車重量税の税の負担者というのは一体だれなんだ、これは車検証を持っている権利者といいますか、その者だということでございますけれども、たとえば低額の所得者で、いろいろな条件があってやむを得ず小さな車などを買って、そしてそれを持っている人、この人にしてみれば、自動車重量税というものは、直接自分が運転をしているし、自分が支払う。しかし一応営業車というようなもの、こういったようなものの場合には、これは一応会社の車であれば、会社の車の所有者が税を支払うということになるわけでありますけれども、この場合に、その税をいわゆる消費者なり乗客なりに転嫁をするというようなことば考えられませんか。
  278. 細見卓

    細見政府委員 営業車の場合に、そういう税がかけられてもなお所得、利益があがっておるというものをとらえまして転嫁と申せば転嫁といえましょうし、利益の中から払っているということであれば転嫁は行なわれておらないといえるわけでありまして、総じて転嫁の議論というものは一義的にこうきめるというのはむずかしいのではなかろうか、かように思います。
  279. 小林政子

    小林(政)委員 そういう点で、直接に税金を納める納税者、それからいわゆる税を負担する負担者、こういったものが異なるという税が、これが間接税というふうにいえると私は思いますけれども、自動車重量税の場合には、いわゆる税というものは一体だれが払うのだ、こういった点について非常にまだあいまいなような気がするのですけれども、この点について転嫁ができるのかできないのかということが一つの争点になってくると思いますので、その点について明確にひとつお答えいただきたいと思います。
  280. 細見卓

    細見政府委員 私どもが自動車を使用いたします限り、使用者である私どもが重量税を払うわけでありまして、それが営業の場合でありますと、たとえば私が自動車を一台買い、二台買いいたしまして、それでなお収益をあげたということであれば、その自動車のコストは転嫁したという言い方もありましょうし、そういう自動車を使用することによって営業効率をあげて利益をあげたという言い方もありましょう。ですからその辺のこととなりますと、転嫁というのが、それによって効率をあげて、収益をふやしたというのかわかりませんが、その自動車を買った場合に、従来は五十万円であったものが、自動車重量税が加わるからたとえば五十二万になりました。しかしその五十二万の自動車を使ってなお収益をあげた場合に、小林委員の言い方であれば転嫁ということになりましょうし、あるいは考えようによっては、そういう自動車をじょうずに使って効率をあげて、収益をあげて、営業能率をあげたという言い方もできましょうし、転嫁という議論は総じてむずかしい議論じゃないかと思います。
  281. 小林政子

    小林(政)委員 そうしますとこの自動車重量税というのは、体系別にいえば間接税の部類に入るということは確認してよろしいのですね。
  282. 細見卓

    細見政府委員 登録が間接税であるという意味におきまして間接税でございます。
  283. 小林政子

    小林(政)委員 私は、この問題がやはり付加価値税との問題で非常に関連してくる問題点だというふうにとらえまして、いま具体的にお伺いをしたわけでございますけれども、いわゆる租税法律主義のたてまえによれば、税というものはだれが負担するのかということを明確にしていくということが原則だろうというふうに思うのです。いまの主税局長の御答弁聞いておりますと、転嫁といえば転嫁だし云々というようなことで、一体この税をだれが払うものか、そして転嫁という問題についてはどうとらえるべきなのかという点についても非常にあいまいで、これが明らかになっていないわけでございます。私はこういう立場から考えますと、付加価値税というものを、これはどういう性格をとっていくかというふうに調べてみますと、この問題につきましても、付加価値税は取引の各段階で購買者に転嫁をされていく、結局は最終消費者である国民大衆がその税を負担するというような、簡単にいってこういったような制度をとっているようなことを考えますと、今度の自動車重量税法案というものが、大臣も、直接は関係がないけれども、土台といいますかそういうものをつくったのだというふうにもおっしゃられましたけれども、そういう点から考えると、これはやはり所得税の追加徴収的な色彩という点から考えても、私ども自動車重量税については賛成をすることができないわけでございます。  次に、もう時間がだいぶ過ぎておりますので、一、二点についてお伺いをいたしたいと思います。  まず私は、道路のいわゆる破壊だとかあるいはまた自動車の激増に伴う社会費用の負担というようなものを自動車に求める、こういうことがいわれておりますし、原因者負担受益者負担というようなことが盛んにいわれておりますけれども、一体、道路を破損するとかあるいは交通事故の発生だとか公害だとか、その他の社会費用というものはどの範囲のものであって、積算をされたことなどがあるのかどうなのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  284. 細見卓

    細見政府委員 たびたびお答えいたしておりますように、陸上関係の交通社会資本というのを考えておるわけでございます。
  285. 小林政子

    小林(政)委員 積算はされたことございませんか。範囲とか……。
  286. 見坊力男

    ○見坊政府委員 社会的費用の計算でございますが、事故損失及び安全対策に関しまして限界社会的費用を運輸省で試算したことがございますが、この試算によりますと、四十三年度におけるこの種の限界社会的費用は年間約七万円となっております。また自動車走行に伴って混雑という社会的費用も発生しておりますが、運輸省で東京都における自動車走行に伴う混雑費用について試算したことがございますが、この試算によれば、昭和三十八年度から四十二年度にかけて増加した自動車一台当たり年間約七万七千五百円に相当する混雑費用を発生していることになっております。
  287. 小林政子

    小林(政)委員 まあこの問題につきましては、先ほど来もお話があったようでございますが、私は一般の道路建設道路整備というようなものに入れるのではなくて、やはり生活環境を守っていく、生活道路を中心とする、こういった安全対策というようなものに発想を置いてこの経費を使うべきであろう、このように考えております。  さらに、政府の考え方の中で受益者というものは一体だれなんだ、こういった問題につきましても、いままでの質疑の中では、直接道路を使用する者、こういうことが答弁をされておりますけれども、私は、この直接道路を使用する者ということに限定をすることは、これを非常に狭くしているというふうに思わざるを得ないわけでございます。製品の輸送を数多く、トラック企業を使って運搬させている、いわゆる大量輸送需要の発生源となっているこういう企業にも、当然社会費用というようなものを、直接道路を使う云々に関係なく負担を課すべきではないだろうか、こう思いますけれども、この点についてお伺いをいたしておきます。
  288. 細見卓

    細見政府委員 この税を考えますときに、道路整備財源が足らないということからこの税の問題が起こったというわけではありますが、今日御審議を願っております税は、自動車重量に応じて車検の際に課税するという意味重量税になっておるわけでありまして、それは登録税である。したがって一般的な流通税であって、流通税を間接税と申し上げておる、その意味で一般間接税になっておる。  なおこの際、先ほどのときに御説明が十分でなかったので誤解もあったようでありますから補足させていただきたいと思いますが、転嫁が行なわれるか行なわれないかということを間接税の一つ考え方にする考え方も確かに沿革的にはございまして、むしろ間接税というのは転嫁論を中心に古い財政学は考えておったわけでありますが、今日におきましては、たとえば国連の統計などを見ますと、法人税も間接税でございますし、それから固定資産税も間接税である。しかしわれわれの古い観念から申しますれば、固定資産税はまさに財産税で、直接税である。あるいは法人税は、これをおいて直接税があるかというような感じがいたすわけでございまして、したがいまして、間接税であるとか直接税であるとかいうようなことを類型的に判断いたしまして、それと転嫁を結びつけて議論するのは必ずしも適当でなくて、その税その税の性格を直接ごらん願うというのが必要であろうかと思うわけであります。そういう意味で、この登録税は流通税であり、収益税と財産税を直接税といい、それ以外のものを間接税という意味におきましては間接税でございますが、間接税即大衆課税ということではないと思います。
  289. 小林政子

    小林(政)委員 最初の受益者負担の問題について、直接道路を使用するという範囲を狭めるのではなくて、その他にもいろいろございますけれども、その中で、製品の輸送というものの車を輸送業者に頼んで扱っております企業にも負担さすべきではないか、こういったようなことについてその必要を認められるのか認められないのか。この点ちょっと確認をしておきたいと思います。
  290. 細見卓

    細見政府委員 先ほどの竹本先生のお話にもございましたように、流通関係が日本の経済の発展のネックになっておる、その流通関係が改善されることによって経済全体がより効率のいいものになり、その便益というのが広く全体に及ぶという意味におきまして、法人であれ個人であれ、あるいは消費であれ生産であれ、直接間接に受益が及ぶことは当然でございまして、そういうものをとらまえて課税考えるというのも一つのお考えでございましょうが、そうしたものがなぜそういう形で受益になるかといえば、自動車その他の交通機関の走行がより効率的になることによってそういう利益を世の中にもたらす、その意味受益というものを端的にとらまえる限りは、やはり道路を使用する者であろうということになろうかと思います。  なお、先ほど法人税と申し上げましたのは法人事業税のつもりで、間接税の分類のところで申し間違いましたので、その点訂正させていただきます。
  291. 小林政子

    小林(政)委員 いろいろとお伺いをしてまいったわけでございますけれども、特に今回自動車重量税というものを新設したという問題については、私はやはり税体系の上だとか、あるいは財政運営のたてまえだとか、そういう点から考えても、あるいはまたこの自動車重量税と付加価値税との一つの関連というようなことを考えても、やはりこれは相当大きな問題がある税であり、しかもすでに述べられておりますとおり、非常に重い税負担を一般の自動車を持っておる国民に課すのだというような点から、いろいろと重大な問題だというふうに考えます。特に私は、この問題が国会を通過いたしましても、実際に税金を支払う負担能力というようなものを、マイカーの人たちや、あるいはまた公共交通機関、バスあるいはトラックというような営業されている方々がはたして持っているかどうかという点については、各委員の人たちからもいままでいろいろと、負担は無理ではないか、非常に重い課税であって、負担能力という点についてはもう無理があるのではないか、こういうことが言われていたわけでございますけれども、私はやはりこの負担能力というものはいままでの論議を聞いていてももう限度にきているというふうに思います。さらにこの上新税を加えるというようなことがはたして適正な課税だというふうに考えられるかどうか、その点についてだけお伺いをいたしておきたいと思います。
  292. 細見卓

    細見政府委員 現在の自動車で、たとえばコロナ一五〇〇のスタンダードでございますと、小売り価格が五十二万二千円——もちろんこれは新車でございますが、五十二万二千円で、これらの方々は現行の税負担で年に三万一千円程度の負担を願っておるわけであります。この人に五千円程度の負担をさらにお願いするということは、五十二万二千円の自動車をお買いになる方でありますので、何とか道路の現状等から見て忍んでいただきたい、かように考えております。
  293. 小林政子

    小林(政)委員 五十万からの車をお買いになる方なんだから、わずかばかりのことなんだから耐え忍んでくれ、こういうようなお話でございますけれども、私は、これはわずかばかりということですが、もう限度をこしているのじゃないだろうか、こういうふうに考えるわけです。特に、NHKが四十三年にマイカーの家計支出に占める交通費の割合という世論調査をいたしたことがございました。それを見てみますと、一般勤労家庭の場合には家計支出に占める交通費の割合というものは、ちょっと古い数字で、四十三年の数字でございますが、三・六%というふうになっておりますけれども、いわゆるマイカ一の方の場合を見てみますと一〇%以上、車の維持費だけにこれが費やされている。しかも月間所得十万の世帯の場合には、車を買うとき無理をしたという人が六割を上回っておるし、あるいはまた維持費が家計に大きな負担になっておるというような人が五割を上回っておる、こういう統計の数字が出ております。これらの点から考えましても、明らかに税負担というものについては、いままでも重い課税がされておりますし、さらにこのような現状の中で一そう新しい税を課税するということは、私はこれは大衆課税であり、やはり重税だといわざるを得ないというふうに考えます。この点だけ意見を述べておきます。  またタクシーやトラック業者についても、これもやはり公聴会等でいろいろと数字をあげられて、いかに負担能力の点について困難であるか、こういうことについてお話が述べられております。陸運局は、コストへの転嫁というものはタクシーでは〇・四%、バスでは〇・六%程度で、これもたいしたものじゃないんだというお話がございましたけれども、はたしてこの税が消費者に絶対転嫁されない、あるいはまたそれが運賃や物価にはね返らないというはっきりとした保証が得られるのかどうなのか。この点について明確な御答弁をいただいておきたいと思います。
  294. 小林正興

    小林政府委員 自動車重量税が新設されますと、それは運送事業にとりまして確かにコストアップになるかと思います。ただいま御指摘のとおり、タクシーにつきましては、試算いたしますと〇・二%、それからバス、トラックで〇・六%、その原価に及ぼす影響はその程度でございまして、したがいまして、事業運営上、経費面では経営の合理化というようなこともございますし、また収入の面等につきましては、先ほど社会資本の充実の話もございましたが、全体的な流通コストの低減というような作用もあろうかと思いますので、そういった点を全体的に見ますと、直接これが運賃にはね返るということは考えられない、こう申し上げる次第でございます。
  295. 小林政子

    小林(政)委員 絶対にそういうことはないということが保証できるのかどうなのか。ないと思いますということですけれども、私はやはりそこをはっきりさせなければ、いまタクシーの運賃値上げ問題等も出ているわけですし、また経営の実態から考えても、今度の新税を設けたことによって、これがいわゆる料金の値上げなりあるいはまた物価の値上げというものに絶対はね返らないということは私は断言できないと思うのです。
  296. 小林正興

    小林政府委員 運賃にはね返るかどうかという点につきましては、それぞれの運送事業のコスト計算をいたすわけでありますが、その際にこういった租税公課は、この税金に限らず、原価要素として計算をいたすわけでございます。その際のウエートといいますか、そういった点がきわめてわずかであるということでございます。今日、自動車運送事業は経営が非常に逼迫しておりますので、これに対します運賃の改定といいますか、こういった問題が現実に起きておることも事実でございます。その際にこの税が直接あるいは直ちに運賃の計算、原価の計算にはね返るというようなことはまずない。と申しますのは、経営全体でございますので、それにはいろいろの原価要素が当然あるわけでございまして、主として人件費の問題が今日では非常に大きなウエートを占めておるわけであります。そのほか資材の購入等につきましても、いろいろな合理化、くふうが講じられておるわけでございまして、こういった税金があるから直ちに原価が全体的にふえるというものではないということ、それからもう一つは、当然運賃の際には必要な原価をまかなうところの運賃収入を計算いたすわけでございますが、そういった際には需要の面から、あるいは運行の効率といいますか能率といいますか、そういったような点からそれぞれの計算をいたすわけでございますので、運賃というようなものを考えてみました場合に、その作業におきましてはこれはその中に溶け込んでしまうといいますか、きわめてわずかな部分で、この部分、税金の分で運賃が上がるというようなことにはまず直接つながってまいらないと思うわけでございます。
  297. 小林政子

    小林(政)委員 時間が参りましたので、一点だけ質問をして終わりたいと思いますが、総合交通体系の問題につきまして一点だけお伺いをいたしておきたいと思います。  私ども、従来の道路計画というものが、自動車交通の通行量というようなものを基準にして、幹線道路が優先政策というふうにいわれておりますが、いままで一貫してとられてまいりましたけれども、いまの時点で最も緊急を要する道路建設ということを考えますときに、やはり人間優先の立場に立ってその価値転換を明らかにした上で、この総合交通体系の計画というものを立てるべきであろう。こういうことを前提にいたしまして、いま行なわれております計画作成の中で、国鉄だとか地下鉄あるいはバスその他の大量輸送機関というものを中心にして、公共交通機関を重視し、国民がマイカーなどを必要としなくなるような、たよらなくてもよくなるような、通勤だとか通学、買いものの便利というようなものが得られるような、こういう体系というものが考えられ、しかもその中で道路の構造の改善基準だとか、あるいはまた道路投資の計画というようなものについても行なうことが最も緊急の課題として、いま多くの国民から要望をされているものであろうというふうに考えますけれども、このような構想について、今度の総合交通体系の計画の中にお考えがあるのかどうか、この点だけ一点お伺いをいたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  298. 見坊力男

    ○見坊政府委員 おっしゃるとおりでございます。総合交通体系を策定する場合には、公共輸送機関の効率的なあり方ということで策定を進めておるわけでございます。
  299. 毛利松平

    毛利委員長 次回は、明十九日水曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後九時二十三分散会