○
中川政府委員 この
新税が出てまいりましたのは、
道路第六次
計画の
財源、もう一つは
社会投資社会資本の
充実ということで、何らかの税
負担を
国民に求めなければならないということにおいては一致しておったわけでございます。そこで、この税
負担を一体どういう形でどこに求めたらいいかということで、各省にもそれぞれ
考え方もありました。また大蔵省内部においてもいろいろと、
国民の
負担あるいは税コスト、税徴収のあり方、あるいは税のたてまえというものをどういうふうに持っていったらいいのかというような、いろいろな議論がございました。
その中でありました一、二を申し上げますならば、一つはガソリン税をもう少し上げてはどうか。国際的に見ましても、ドイツ、イギリス、その他ヨーロッパ諸国に比べても、まだガソリン税、
揮発油税というのですか、燃料税が割り安である。そこでこれを上げたらどうかという議論もありましたが、ガソリン税、燃料税についてはしばしば上げてきた経緯もあり、特にこれを上げますと石油業界が経営の安定がいかないという
意見もありました。
もう一つは、ざっくばらんに言ってトラック税。トラックが
道路の破損あるいは
交通渋滞、交通事故の原因になっておる。一方、トラックからいただいております
税金は国際的にいっても極端に安い。であるから、もっとトラック税に求めたらどうかという
意見もありましたが、これは中小企業の育成、物価高に直接影響をするというようなところから、現段階においてトラックに集中的にかけることはちょっと実態に合わぬのではないかという、過程の議論もございました。
一方では公債論をいう議論もございました。しかしこれは大蔵
大臣から
答弁いたしておりますように、公債というものは時々の経済事情によって伸縮をしなければならない。一律に毎年公債をこれだけ出すというようなことは経済運営においてよろしきを得ない。一方、
道路等の公共
投資のために四千三百億という建設公債が発行されておる現段階においては、この程度の規模でよかろう。これ以上出すことはインフレ等にもつながるのではないかというところから、現段階では公債論もとるべきではない。
いろいろと考えました結果、
自動車の
重量に応じて、
走行する
権利を
取得したことにおいて税
負担を求めるということが
最大公約数として――特に議論のありましたのは
大衆課税になりはしないかということでありましたが、勤労者のお持ちになっております小型の
自動車では年間でわずか二千五百円程度であるということであるならば、今日の
所得からいってそれほど大きな
負担ではないのではないかというようなこと。それからトラックについて多く
課税という議論もありましたので、
重量に応じて
負担を求めていくということ。この程度でありましてもいろいろと議論はございます。先日来もいろいろと議論がありまして、特に低
所得者に対して重
課税にならないかというようなことがありましたが、いろいろといま言ったような各般を
検討いたしました結果、今日の
道路投資を中心とする
社会資本充実のためには、この程度のところが
最大公約数ではないかというふうに見て、この案を提出いたした次第であります。
ここで、
田中委員ざっくばらんなお話をされますから、私も蛇足でありますが若干ざっくばらんなお話をいたしますと、ドイツに参りまして、時速九十キロというと90というレッテルを張って一番端を小さくなって走らなければならない。まん中は百五十キロぐらいでたいへんなスピードで走っておる。そしてドイツの経済がスムーズに流れておる。あの姿を見まして、私は、日本もどうしてもああいう姿にしなければならぬ。それには当分の間
自動車の方々に税
負担をしていただいても、長期的にはああいう姿に持っていくことが
自動車を使われる方々にとってもいいことではないか。いまのように、渋滞をいたしまして、排気
ガスを吸って、また他人に迷惑をかけて、信号待ちをして乗らなければならぬというようなことを続けていったのでは、ユーザーの方にとっても、また日本の産業の発展のためにも、あるいは
社会一般の人にも、迷惑をかけるところではないか。そういうところからいったら、税
負担をしていただいて、よりよい、ドイツのような、アウトバーンといわれるようにすばらしい、片方が六車線も四車線もあって、対面交通の
道路をさがしても、見たくてもないというところに持っていくのが
ほんとうの
政治ではないかというふうに考えまして、今回のことは、これで解決できるとは思いませんが、少なくとも
道路第六次
計画を達成してこの
目的を達成することが、長期的には御納得がいただけるだろうと、
政治家としても私はこの案に賛成をし、また
国民の皆さんに御
理解をいただきたいと心から思っておるような次第でございます。