○稲村政府
委員 円投機についてはどういう方法があるかというのは、これは私としてなかなか申し上げにくい点でございますが、非常に大きく資金が移動いたしまして、円に対して
外貨が入ってまいりまする道としましては、
一つの問題は
貿易の決済の
関係でございます。よくリーズ・アンド・ラッグズといわれておりますが、標準決済
規則によりまして
貿易の決済の
期間が定められておりますが、その
期間の中で場合によりましては早く
ドルを受け取るということが起こります。それがまとまってまいりますと一時に多額の資金が入ってくる、こういうことが起こりますが、これは恒常的な意味の
流入ではございません。いわばあとで入ってくるべきものが先に入ってくるという問題でございます。これもある
期間をとってみますとやはり
短資の
流入というかっこうになりますが、これは
貿易の
関係の
金融でございますので、現在の
制度の範囲内で、特に追加して何か
措置をとるという必要はないかと思われます。
その次は、
短期の証券に対する
外国からの購入というのがございましたが、たしか三月の初めでございましたか、これは原則としてとめましたので、その道は現在はございません。
それからあとは、これは
短資ではございませんが、たとえば
日本の株式あるいは公社債に対しまする
外国からの買い、これは相当の規模に起こっておりますが、これはまだ円投機であるとは言えないと思います。と申しますのは、円建ての
輸出がだんだんと多くなってまいって、長期の
輸出が多くなってまいること等によって、
外国で円の債務を持つ、インポーターで円の債務を持つというものがふえておりますから、したがいまして、そういうものは当然のこととして、他方で
通貨ヘッジのために円の債券を持ちたいということは取引上通常の
考え方でございますので、これは特に投機的というふうに申せないかと思います。ほんとうに円に対して投機が起こるという
事態になりますれば、円建ての確定利付の債券につきましては大規模な
外国からの購入が起こってくるという
可能性がございますが、現在までのところ特にそれが非常に投機的な様相のところまで至っているということではございませんので、注意深く見守ってはおりますが、特別な
措置をとる必要は現状ではないかというふうに
考えております。
それから、先生の御
質問に対しましては大体そういうことでございますが、
先ほど堀先生——いまおられませんが、基礎収支の問題に関しまして若干数字が不完全でございますので少し申し上げますと、実は基礎収支というのが、手元の資料で
各国ともなかなかそういうかっこうの分類をいたしておりませんのが多いので、必ずしも十分な御答弁にはならないかと思いますが、
日本の四十五年度の基礎収支の黒字十億八千五百万
ドルに対しまして、西独はむしろ基礎収支は赤でございまして五億三千九百万
ドル、カナダが十九億二千四百万
ドルの黒でございます。したがってカナダの基礎収支のほうが大きいということでございます。それからイギリスが経常収支が十五億一千九百万
ドルの黒字でございます。これも暦年でございますが、
先ほどのカナダも暦年でございまして、これに対しまして基礎収支という統計がございませんが、総合収支で三十四億八百万
ドルの黒でございますので、おそらく基礎収支というところにおきましても
日本の黒よりは大きい数字ではないかと思われますが、これは統計の
関係で、イギリスにつきましては基礎収支の数字がただいま手元にございませんので、御了承をお願いしたいと思います。