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1971-05-07 第65回国会 衆議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月七日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       奥田 敬和君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    佐伯 宗義君       高橋清一郎君    地崎宇三郎君       登坂重次郎君    中島源太郎君       中村 寅太君    福田 繁芳君       坊  秀男君    松本 十郎君       森  美秀君    吉田 重延君       吉田  実君    阿部 助哉君       佐藤 観樹君    平林  剛君       藤田 高敏君    堀  昌雄君       貝沼 次郎君    坂井 弘一君       小林 政子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主計局次         長       竹内 道雄君         大蔵省主税局長 細見  卓君         農林大臣官房長 太田 康二君         食糧庁長官   亀長 友義君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君  委員外出席者         農林大臣官房参         事官      大場 敏彦君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五四号)  自動車重量税法案内閣提出第三九号)      ————◇—————
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。貝沼次郎君。
  3. 貝沼次郎

    貝沼委員 食糧庁がまだ入っていないそうですので、大蔵省関係からやれということでございます。  政務次官、まっ先にお尋ねいたしますが、この特別会計繰り入れをするということは、端的にいうと私ども税金を入れるということになるわけであります。私は、現在の政府農業政策の不備から、そのしわ寄せを国民に押しつけるという行き方については非常に不満を持っております。国民税金をこれから繰り入れるということについて政務次官はどのようにお考えなのか、その点をお伺いいたします。
  4. 中川一郎

    中川政府委員 御指摘のように、国民税金でこの始末をするわけですから、まことに申しわけない、大いに反省をしなければならぬというふうに考えております。しかしこの段階になりまして、これ以上かかえておりますとますます負担が大きくなりますので、この際お許しをいただいて、始末をするものは始末をさせていただいて、今後は余剰米のできないことに全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  5. 貝沼次郎

    貝沼委員 申しわけないということは、失敗であったということを認めるわけですか、その点お尋ねいたします。
  6. 中川一郎

    中川政府委員 こういう事態になりましたのは、四十二年以来の記録的な豊作予想もしなかった豊作が続いたこと、あるいは耕作技術が進歩したこと、もう一つ加えまして、国民経済の向上と反比例をして消費減退をしたというような事情が重なりまして、七百万トン余にのぼる想像以上の余剰米ができたわけでありますが、そういう事情はありましたにしても、もっと事前に長期的にこういうような事態予想して打つべき手がなかったかというと、いま反省をして足らざる点があったのではないか、ということも考えますと、率直にいって、ばく大な国民負担によってこれを処分しなければならないという事態に対しては申しわけないというふうに反省をせざるを得ないというふうに考えております。
  7. 貝沼次郎

    貝沼委員 率直に申しわけない、率直にいって失敗を認めた、私はそういうふうに解釈をいたします。  そこで、今回の米価のあの問題につきましていろいろと報道がされておるわけでありますが、この新聞報道によりましても、これは五月二日の新聞でありますが、「昭和四十六年産米生産者米価改定に伴う四百六十五億円の財政負担増について大蔵省は一日、直ちに財源手当見積もり作業を開始したが、いまのところ同省は、基本米価引き上げ分二百三十八億円については当面食糧管理特別会計予備費を充てておき、年度末に補正予算を組む、残りの政治加算については一般会計予備費の中から支出する方針である。ただ本年度景気情勢から自然増収があまり期待できないなどの事情もあるため、場合によっては補正財源捻出のためかなりの既定経費の削減、不要経費節約が必要になる見通し。」という記事があるわけでありますけれども、これによりますと、すでにもう補正予算を組むというのが項目になっているわけであります。ところが、昭和四十六年度予算はつい最近、四月から出発したばかり。一カ月少々でもってもうすでに補正予算を組まなければならないという政府予算組み方、ここには私は大きな疑問があると思うのです。これについては政務次官はどういうお考えでおられますか。
  8. 中川一郎

    中川政府委員 四十六年度予算は先般通過さしていただいたばかりでありまして、いまここで補正予算を組むというようなことを決定するとすれば、これは国会に対しても申しわけありませんが、いまのところ補正予算を組むという決定というか、そういうきめごとはいたしておりませんで、何とか既定経費節約その他によって、そういった措置がなされないで済むように努力してまいりたい、いま鋭意努力中でございます。
  9. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうしますとこの報道誤報ですか、その点をお聞きします。
  10. 中川一郎

    中川政府委員 そういう決定をしたという記事がございましたら、誤報ではないか。見通しとしてそういうふうにマスコミの方が判断された場合は、見通しとして一つのそういった考え方もあるいは成り立つのではないだろうかということからいけば、誤報というのか、推測ですから、これを拘束したりするわけにはいかぬのじゃないかと思います。
  11. 貝沼次郎

    貝沼委員 いろいろ言い方はあると思いますが、こういう記事を見ますと、国民一般はそう詳しいことを知らないわけでありますから、どうも政府予算組み方というものについてやはり心もとない、心配である、そういう感情というものは強く残ると思うのです。これは政治不信にもつながる重大な問題でありますので、今後のこういう点について当局のはっきりした見解というものを示していただきたい、私はこう思うわけであります。
  12. 中川一郎

    中川政府委員 そういう推測、あるいは国民から非難をされる、あるいは心配をされる事態がないように、今回はなるべくそういう予算を使わなくて済むようにずいぶん努力をいたしましたが、一方、農家の方の労賃などの上昇といういろいろな事態もありましてこういった措置をとらざるを得なかった。しかし、決していい方法だとは思っておりませんので、このようなことがないようにつとめてまいりたいというふうに考えております。
  13. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは食糧庁長官にお尋ねいたします。  ただいま大蔵政務次官からも聞いたわけでありますが、この過剰米処理について一般会計から食管特別会計に繰り入れるということは、結局国民税金を繰り入れることになるわけでございます。したがって、食糧庁長官としてはこれが当然だと思っているのか、あるいは申しわけないと思っているのか、この点が一つと、国民にとっては、米はどんどん余っておるにもかかわらず、今度は消費者米価が上がる傾向もあるし、また物統令廃止をするならばなおさら物価は上がるという見通しが強いわけでありますが、その上政府農業政策というものの失敗がしわ寄せされて、それがそのまま今度は自分たち税金でしりぬぐいをさせられるということになりますと、これはたまったものじゃない、こういう感情が強いと思うのであります。この点につきまして長官はどのようにお考えなのか、この点をお尋ねいたします。
  14. 亀長友義

    亀長政府委員 過剰米の処分につきましていろいろ損失が発生をいたします。これは結局御指摘のように国民税金から繰り入れていただかなければ始末がつかないということでございまして、もちろんこれは私ども、そういう結果になりましたことは、米を管理する者としてまことに、今後こういう問題には特に慎重に対処しなければならぬものであると考えております。したがいまして、要は過剰米を今後発生させないという政策が必要なわけでございまして、いままで過剰米が発生いたしました原因は、主として米価が他の農作物に比べて有利であること、さらに技術的にも米をつくるほうが安定をしておる、さらに食管制度というものがあって無制限に買い入れてくれる、マーケットも保障されておる、価格も保障されておるという状態のもとではどうしても米作依存をしがちである、その結果が今日の過剰米を招いたと思います。また片方には米の消費減退ということもございまして、この点につきましてはもちろんいろいろ原因はございますけれども、われわれとしてもさらに消費宣伝等努力しなければならないと思いますが、いずれにしましても過剰米を再発生しないための施策が必要でございまして、このためには、御承知のように本年度から無制限買い入れをやめる、買い入れ制限を実施する、そういうこともいたしております。さらに米価につきましても、米価の時期になりますといろいろ、上げろ上げろという声が強くなるのでございますが、私どもは極力これを、いろいろ抵抗はございましても、抑制的な方向で最大の努力をいたしておる次第でございます。いずれにしましても過剰米を再び発生しないということの施策をとる、米以外の政策へできるだけ転換をするというような方向でいろいろ努力をいたしておる次第でございます。これが過剰米処理についていろいろ国民負担をかけるということをなくする方法だろうと思いまして、総合農政という名前でいろいろ新しい施策を立て、また食管につきましても新しい買い入れ制限その他の方法をとって、こういう事態が発生しないよう努力をいたしておる次第でございます。
  15. 貝沼次郎

    貝沼委員 先日私はある老人と話をしたときに、こういう話をしておりました。戦後、米の足りないときには増産増産といって米をつくらした、そしていまになって米が余るからつくるな、やめろという、こういう政策であるならばこれはだれでもできる、何も頭のいい帝大出身の大臣を頼まなくても、これぐらいのことならだれでもできる、どうしてそれぐらいのことしか農林省はできないのか、非常にふしぎである、こういう話があった。これは現実の話です。したがって、この米の問題についてこういう場当たり的な政策というものは私は大きな問題だと思うのです。これはもういろいろ指摘されている点でありますからくどくど申し上げませんけれども食糧庁としてはこういう点についてどう考えているのか、その点お願いいたします。
  16. 亀長友義

    亀長政府委員 米につきまして、戦争中足りなかった、そのためにいろいろ努力をした。結局その足りなかったための努力が成果を生みまして、技術的にも今日国民需要をまかなって余りあるという事態になったのだと思います。私どもといたしましては、やはり農政という問題は経済社会の発展なりに配慮をしながら新しい行き方を見出していかなければならぬという考えでございまして、十数年前にとった政策が現時点に合わなければ、これはやはり新しい方向で修正をしていくべきだろうというふうに考えております。御承知のように総合農政ということで、私どもは二、三年来自民党の総合農政研究会ともいろいろ相談をしながら、「総合農政の推進について」ということもすでに昨年閣議でも御了解を得まして、そういう線で米の施策——米施策と申しますか、より広く米以外の作物も含めて、転作等各種対策を含めまして実施をいたしておる次第でございます。現在の需給関係から申しますと、米については需要をまかなってさらに余りがある。一方には園芸あるいは畜産物果樹等で不足の作物がございます。こういうものを、やはり国民の希望する食糧をつくるように転換をしていく、需要のあるものをつくるように転換をしていく、これがために各種の総合的な施策を講ずるという線で、農林省としてはここ二、三年来努力をいたしておる次第でございます。
  17. 貝沼次郎

    貝沼委員 農林省では食糧庁長官しかいま入っておりませんので、長官にお尋ねしますけれども、こまかいことは大体わかっておりますから、答弁の場合必要ございません。それで結論だけをお願いいたします。  まず第一番目に、食管制度はこれからどうするのか、この点であります。  それから減反とか休耕とかしているわけでありますが、あるいは買い入れ制限をやるわけでありますが、この買い入れ制限をして米が余った場合、その米はどうするのか、この二点についてお答え願います。
  18. 亀長友義

    亀長政府委員 食管制度をどうするかという問題は非常に大きなむずかしい問題でございます。私どもとしては、制度の形につきましては現在の食糧管理法のもとでも実際上の扱いはいろいろ変わってきておりますが、基本的にはやはり政府国民食糧を確保する、それに必要な集荷を行なうというたてまえはくずすべきでないだろうと思います。具体的にこれをどう扱うかは今後食管制度が持つ経済的な意味国民経済に及ぼす影響等を総合的に勘案をして慎重に検討すべき問題であろうと考えております。  次に、買い入れ限度数量を設けまして、それ以上の米ができた場合にどうするのかという問題でございますが、これにつきましては今国会におきまして農林大臣からもしばしばお答えしておることを繰り返すことに相なるわけでございますが、目下生産調整が進行中でございますので、生産調整が予定どおり進捗し、平年作であれば余る米というものはできないたてまえに相なっております。具体的にできた場合にはどうするのかという問題でございますが、これにつきましては生産調整進捗状況を見て、その時点において生産者団体と協議して取り扱いをきめるということの方針に現在決定をしておりまして、それ以上の具体的処理は今後の取り扱いにまたなければならないいうことでございます。
  19. 貝沼次郎

    貝沼委員 結局きまってないということですね。今後の問題だということですね。きまってなければ聞いてもしかたないので、それではさらにお尋ねいたしますが、生産量消費量関係でありますが、農林省統計調査部の「米の生産推移」とそれから「米の消費の動向」という表によりますと、米の生産がどんどん伸びているのは四十二年からですね。それから今度は消費が減っているのは三十八年からですね。そうしますと、この間に大体四年間の開きがあるわけでありますが、この点は間違いありませんか。
  20. 亀長友義

    亀長政府委員 私その資料をいま持っておりませんけれども、御指摘のとおりだと思います。
  21. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうしますと、先ほど、予想外に米ができた、それに比べて消費が減ってきたということでありますけれども、実はその間には四年間の差があるのです。米の専門家が集まって、四年間の差がありながらその方向がわからないということはないと私は思う。ほんとうに日本の農政ということを真剣に考えているならば、四年間というこれだけの差があらわれてきたらその方向づけというものがはっきりとして、そしてそれに対する予算を組んで、農業政策というものが打ち出されていくべきだと思うのです。国家百年の大計のもとに立った農業政策であるならば、それは見のがすはずがない。ところが実際は増産増産といってきて、そしていまになって大騒ぎをしているというふうに見えるわけでありますけれども、これは政府見通しが間違ったのか、それともそういう気持ちがなかったのか、この点を私は伺っておきたいと思います。
  22. 亀長友義

    亀長政府委員 米の生産需要見通しにつきましては、御指摘のようにその間にギャップがあるということもあります。ただ御承知のように、農業政策でございますので、やはり転換をするにもかなり長期の時間を要するという問題がございます。それから三十八年の御指摘でございますが、三十六年の農業基本法におきましてはすでに選択的拡大、米だけへの生産依存度をやめるということがすでに指摘をされていたわけでございます。しかしながら四十年当時に不作の年もあり、米の供給がオーバーになりつつあるという認識が社会的に徹底するまでにはやはりなかなか時間を要するという問題もございます。それから土地改良等投資につきましては御承知のように何年間かの計画でやるわけでございまして、やはりそこに計画のズレ、一たん着手したものは完成まではやらなければならぬ、こういう問題もございます。したがいまして御指摘のような、政策転換がおそ過ぎたではないかという批判は私どもは甘んじて受けなければいけないと思いますけれども、それにはやはり農業政策に特有ないろいろな事情があったということも御理解を願いたいと思います。
  23. 貝沼次郎

    貝沼委員 政策をつくるためにはある程度の期間の準備が必要であるということだと思いますが、最低何年くらい必要なんですか。私はいままでの農林大臣の任期をずっと調べてみまして、農林大臣が三カ月とか半年とかというのが多いのですよ。ほんとう政府農業に力を入れているのであれば、最低一年間はやらなければいけないのです。種をまいて、そして実がなるときには農林大臣がかわっておる、こんなことでは私はしょうがないと思うのです。そうして実際の政策の場合は何年も必要であるという理論でしょう。それは私は合わないと思うのです。また、何年も必要なのならば、現在やっていること自体が今後何年かの後において、はたしてこれが妥当なのかどうかという問題が議論されているのかどうか、非常に疑問であります。そういう面から見て私はやはり、現在の政府農業政策というものは場当たり的である、その非難は免れないと思うのです。農業政策だけではありません。実は経済政策もそうなんです。その両方の失敗をこの米作農家に転嫁しているということがはたして許されるのかどうか。私はこういう面に対しては非常によくないと思うのでありますが、この点につきまして、農林省官房長が出ていると思いますが、どういう見解をお持ちですか。
  24. 太田康二

    太田(康)政府委員 先ほど食糧庁長官からもお答え申し上げたわけでございますが、農業基本法をつくりました当時、米につきましては将来若干過剰になるであろうという見通しは持っておったのでございます。したがいまして、米につきましては必ずしも生産選択的拡大作物として大いに生産を奨励するというようなことではなかったわけでございますが、先ほど先生の御指摘のとおり、昭和三十八年までは実は需要がずっと伸びてまいりまして、三十九年から需要が実は若干減りぎみに推移をいたしておるわけでございますが、当時の生産数量が必ずしも需要に追いつかないというようなこともございまして、むしろ米につきましてはある程度生産に力を入れなければいかぬということで、土地改良投資等相当多額経費をつぎ込んだことは事実でございます。御承知のとおり、その後需要は年々二十万トンぐらいずつの平均数量で減ってまいりましたのに比べまして、生産のほうは、土地改良投資等の効果もございましたし技術水準も向上いたしまして、昭和四十二年、四十三年、四十四年と三カ年にわたりまして千四百万トン台の生産水準を維持するというようなことに相なりまして、いわゆる需要供給のアンバランスが生じたという結果に相なっておるのでございます。  そこで、農林省政策がどうも場当たり的ではないかというような御批判もあるわけでございますが、御承知のとおり、四十三年の十一月に「農産物需要生産長期見通し」を立てまして、米につきましては、その後、昨年の十二月の「農業生産地域指標の試案」におきまして、最近におきますところの需要伸び等も勘案いたしまして、昭和五十二年における需要量を千百六万トンというふうに押えまして、今後、米につきましては、昭和四十四年度を基準にいたしますと、おおむね九十万ヘクタールぐらい作付面積を減していく必要があるだろうということにいたしたわけでございまして、実は昭和四十六年度を初年度といたしまして今後五カ年間にわたりまして転作基本といたしました生産調整を実施いたすわけでございますが、その際におきましてもできる限り転作の定着というようなことを考えまして、五カ年間計画的にこれを実施するということで、今後すべての政策につきまして、いま申し上げたようなことを基本に置いて政策を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  25. 貝沼次郎

    貝沼委員 いろいろ言うことはあると思いますけれども現実に米が余って農村は非常に苦しんでいる。そして減反をしなさいとかあるいは買い入れ制限をする、物統令は廃止する、いろいろ言っておりますけれども、具体的にそれはどうなるのかというとまだきまっておりませんというのでは、一体米作農家は何をすればいいのでしょう。私は非常にかわいそうだと思いますね。政府のほうはただ数字を変えたりなんかしていればいいかもしれませんけれども農家生活がかかっている。自分たちのいまつくっている米がどうなるのか、農産物がどうなるのか、それに確信の持てない農業なんていうものは、もういままでずっとやってきた年寄りしかおそらくやらないでしょう。三ちゃん農業からいまは二ちゃん農業だなんていわれておりますけれども、これはしかたがない現象じゃないのです。当然起こるべくして起こっている現象だ。そうして、今度は農村危機意識というところから過疎問題なども起こっていると私は思うのです。過疎過疎だけの問題じゃないのです。あるいは、先日労働省が離農者実態調査という結果をまとめて発表いたしました。それによりますと、これは新聞に載っておりますが、農業の将来に不安を感じたから転職をしたという人が七五%です。自分の家を離れてわざわざ遠いところまで出かせぎに行きたい人なんかいないはずです。ところがそうせざるを得ない状態になっておるから、農業の将来に不安を感じているから、しかたなしに転職をしていかなければならない。そうすると、この原因、この責任もやはり農業政策にかかっている部分がかなりあるのではないかと私は思うのでありますが、この点について官房長はどのようにお考えですか。
  26. 太田康二

    太田(康)政府委員 基本法をつくりました当時におきまして、農業につきまして特に他産業との生活水準均衡を確保するというようなことを打ち出したわけでございますが、その後、米価等の値上がりもございまして、四十二年当時まではむしろ生産性格差あるいは相対比較生産性の問題は、順次格差を縮小するというようなことにもなりましたし、生活水準の問題につきましてもかなり格差が縮まるというような傾向にあったわけでございますが、何ぶん他産業部門経済成長が非常に旺盛でございますので、そういった意味におきまして、農業におきます場合よりも他産業に就業したほうが所得水準が高まるという、いま申し上げたような結果が出ていることは否定すべくもない事実でございます。しかし、われわれといたしましてはもちろんあらゆる政策を講じまして、できる限り農業におきますところの高い自給率を確保いたしまして、なおかつ農業者に対しまして他産業との均衡のある生活水準を確保するという政策を進めなければならないわけでありまして、このためにはやはり基本的には構造政策に重点を置きまして政策を進めてまいらなければならないと思っておるわけでございますが、構造政策自体につきましてはかなり長期を要するというようなこともございますので、その間におきましては、価格政策等の適正な運用によりまして所得水準を確保するというようなことに力を入れてまいらなければならないだろうと思っておるわけでございます。  そうはいいましても、すべての農家を他産業並みの所得水準を維持せしめるということを申し上げてもなかなか困難でございますので、昨年の二月に閣議了解を得ました「総合農政の推進」におきましては、いわゆる自立経営農家につきましてはこれによりまして他産業と同一の所得水準を維持せしめる。しかし兼業農家につきましては、やはり他産業部門におけるいわゆる兼業先の所得を安定せしめることによりまして、これらの兼業所得と農業所得を合わせまして、他産業の従事者と同一の生活水準を維持せしめるというような方向を打ち出したわけでございまして、これら両々相まちまして、基本法でいっておりますところの生活水準均衡というようなことを確保してまいらなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  27. 貝沼次郎

    貝沼委員 いま言っていることは、いろいろ言えるわけでありますけれども、それならば何年後において日本の農業というものを安定するのか、この見通しについて、きょうの議事録に残しておきたいと思いますが、一言お願いいたします。
  28. 太田康二

    太田(康)政府委員 他産業経済成長がどうなるか、国全体の経済成長の問題もあるわけでございますが、それらとの関連におきまして、いつの時代に均衡するかと申されましても、先ほど申し上げましたようにいわゆる自立経営農家と兼業農家に分けてこれを考えなければならないわけでございまして、われわれとしては、農業所得だけで他産業均衡する農家というのはやはり自立経営農家ということでございまして、これをできる限り数多く育成いたしまして、しかもこれらの農家によってになわれる農業生産のシェアをできる限り拡大するということが、今後の農政の目ざすべき方向であろうというふうに考えております。しかし、現在われわれが推定いたしておりますところの、先ほど申し上げました「農業生産地域指標の試案」におきましては、現在程度の経済成長でございますと、私たちの見通しでは、農家戸数が大体四百五十万百へ就業人口が六百万ぐらいに昭和五十二年にはなるだろうというふうに見ております。その際、現在の価格水準を一定ということで推定いたしますと、必ずしも全体の傾向といたしましては所得均衡というのはなかなか確保しにくいというようなことに相なっておるわけでありまして、われわれといたしましてはその間におきまして、先ほど申し上げましたような自立経営農家をできる限り数多く育成するという政策に重点を置いて進めてまいらなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  29. 貝沼次郎

    貝沼委員 それでは簡単な問題を二つばかりチェックしたいと思うのでありますが、現在政府減反を奨励しておりますけれども減反に見合うものは各地に示しておりますか、これが一つ。  それから転作をさせる場合、その転作をした作物の売り先というものについては政府はどういう態度で臨んでおりますか、この二点について。
  30. 太田康二

    太田(康)政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和五十二年を目標年次といたしまして、日本全国を十四地域に分けまして、各作物についての作付面積のおおむねの方向は示しております。そしていま先生のおっしゃいましたように、昭和四十六年度につきましては一応減反総面積が約五十万ヘクタール強、そのうち大体十五万ヘクタールくらいがとりあえず転作可能面積であろうということで、各作物別に申し上げますと、飼料作物で四万五千ヘクタール、永年性作物九千ヘクタール、大豆等の豆類四万五千ヘクタール、野菜四万ヘクタール、その他の作物が一万一千ヘクタールということで、一応全体の三割弱が転作に向かうであろう。もちろん将来といたしましては、五カ年間でございますから、転作作物の定着を考えまして、昭和五十年までにはおおむね九割程度が転作として定着するように考えておりますが、初年度といたしましてはいま申し上げたようなことを考えておるわけでございます。  そこで、これらの作物につきましての流通の問題があるわけでございますが、飼料作物にいたしましても永年性作物にいたしましても、特にこれらはそう価格心配はなかろうというふうに考えております。  それから野菜が一番問題でございますので、野菜につきましては御承知のとおり指定産地制度と結びつけたところの野菜の生産出荷安定法に基づきます価格安定制度があるわけでございますが、地方でそれぞれの特産の野菜につきまして価格安定制度を実施している県がございますので、これらを補強する意味におきまして予算も計上をいたしまして、価格安定をはかるということにいたしております。  これから大豆等の豆類につきましては、御承知のとおり不足払い制度がございますので、これらの適正な運営によってやってまいる。なおかつ、先生も御承知のとおり、これらの作物の普通転作につきましてはヘクタール当たり約三万五千円、集団転作につきましては四万円の奨励補助金の交付もいたすことになっておりますので、その間におきましての所得補てんといたしましてはこういったことを実行いたしますれば、一応農家としては安心して転作作物をつくれるのではないかというふうに考えております。  なおそれ以外に、四十六年度におきましては、転作作物を積極的に推進するために一般会計におきまして約四百二億円のいろいろな転作のための特別事業を仕組んでおります。これらの補助金と相まちまして、転作を定着せしめるということを基本政策を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 貝沼次郎

    貝沼委員 奨励金をもらうから安心してできるだろうということですけれども、これは、やる人はそうかもしれません。しかしなぜ出さなければならないかというと、農業政策が悪いから出さなければならないんです。それを一々税金から取られたのじゃ国民はたまったものじゃないということです。したがって、もっと考えて、国民の納得のいく政策というものを私は樹立しなければならないと思う。どうもいままでのいろいろな説明を聞いておりましても、ただ金を出せばいいという問題じゃないんです。その点はよくわかっていただきたい。そうして、野菜の問題あるいはその他の問題については価格心配はそうなかろうという話ですけれども、実際、官房長、一回農村を回ってみられたらいい、実際つくっているところを。それはそれはひどい生活をやっている。おそらく農村に行ってそういうことは言えないと思いますよ、こういう委員会でしゃべっているようなことは。したがって、もっと現地というものを把握して、そして現実に即した政策を出さなければ、私は日本の農村というものは将来たいへんなことになると思うのです。  それから最近、新聞にこういう記事が出ているわけですね、余っているはずのモチ米が一万トン極秘で輸入されていた。これは真実ですか。
  32. 亀長友義

    亀長政府委員 モチ米を本年度一万トン輸入をしたことは事実でございます。別に極秘でいたしたつもりはございません。通産省で輸入公表もいたしております。これは、モチ米の需給というのは一般米の需給とは別でございまして、現在のところ大体においてモチ米の生産がそう伸びるわけでもございません。米菓の、あられ、もち等とかいうようなものの需要のほうが多少伸びる程度でございます。そういう状況でございまして、私どものほうとしては、一つには政府が操作をする以上、若干手持ちをもう少し持ちたいということと、それから、一挙にここで従来使っておりました外モチをなくすということになれば原材料の値上がりも考えられるというような観点から、今年度一万トンの輸入をいたした次第でございます。
  33. 貝沼次郎

    貝沼委員 ちょっとおかしいですよ、その説明は。これは昭和四十六年度からは輸入しないことになっていますか。そういうことはありませんか。
  34. 亀長友義

    亀長政府委員 先般輸入いたしましたのは四十五年度予算で輸入いたしたものでございます。四十六年度予算では輸入をいたすことになっておりません。したがいまして、輸入の計画はいまのところございません。
  35. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいまの食糧庁長官の説明だと、生産が伸びるはずもない、若干の手持ちを持ちたい、こういうことでありますが、ほんとうにそれが根本的な原因であるならば、ことしもあったって私はふしぎではないと思うのです。ところが現実は余っているのでしょう。それが、食糧庁次長の談話が載っておるわけでありますけれども食糧庁は「四十五年度予算で一万五千トンの輸入ワクが残っていたので、予算が使えなくなる前に輸入した。国際相場は極端に安くなっており、いい時期に買ったと思う」と、こういう談話が載っておるわけでありますが、これは間違いありませんか。
  36. 亀長友義

    亀長政府委員 御説明のとおりでございます。
  37. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで私は、この余っている米をなぜ輸入しなければならないかというのは、国民感情からこれは非常に疑問ですね。  それからもう一つは、これは農林大臣にお尋ねいたしますから、大臣もよく聞いていただきたいと思いますが、この伸びるはずもない、若干の手持ちがほしいというならば、現在つくっている米の中からモチ米にかえるとか、そういう指導があってしかるべきじゃなかったか。あるいはまた、予算が余っているうちに買うという話ですけれども、こういう感覚も私はちょっと問題だと思うのです。自分の家に米が余っているが、安い米が出たからそれを買うという感覚なのかどうか。そういうことがはたして許されるのかどうかということですね。いずれにしても、安い米であろうとどうしようと、米が日本の国に多くなることは間違いない。それを一体どうしてさばくのか。その辺について大臣見解をお伺いをいたします。
  38. 亀長友義

    亀長政府委員 ちょっと私から先に一応お答えさせていただきますが、モチ米につきましては、これはもちろんウルチとは別でございますし、用途も違っております。ウルチ米につきましては非常な過剰でございますことはもう御承知のとおりでございますが、モチ米は簡単に言いますと需給とんとんくらいの線で来ております。それから増産を刺激すればいいではないかということでございますが、御承知のようにモチ米は一般のウルチ米に比べてわりあいに反収が低いのでございます。したがいまして農家も、足りないからといって積極的につくろうという意欲がなかなか出てまいらないということも言い得るわけでございます。もちろん私どものほうではできるだけモチ米をつくっていただくように呼びかけはいたしておりますけれども、簡単にはそうならないということもございます。しかし四十六年度にはできるだけ内地で自給をしたいということで、輸入の計画はもちろんいたしておりません。四十五年度につきましては、万一四十六年度に暴騰するような事態があっては困るというような手配から、手持ちをふやすという意味もありましてわずか一万トンを入れたわけでございます。御指摘のように長期的には国内で自給をするという方向で進みたい、われわれもまたさように考えておる次第でございます。
  39. 貝沼次郎

    貝沼委員 農林大臣、いままで大臣のいらっしゃる前にいろいろ議論をしたわけでありますが、要するにどれ一つつかまえても、いままでの日本の政府農業政策というものが場当たり的であるという証拠ばかりであります。現在のこのモチ米の件につきましても、要するにいま、いまの話だけなんです。将来ずっと見通して、あるいは過去からずっと見通して、そしてその計画の上でこうなったというものではない。こういうものでは農業政策が場当たり的であると非難されてもいたし方ないのではないかと思うのであります。こういう点から、大臣はこれについてどういうお考えなのか。そしてその場当たり的なものがそのまま国民税金にしわ寄せされるようであってはならないと私たちは思うのですが、この点について大臣見解をお願いいたします。
  40. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農業政策は御存じのように短期間にはなかなか解決のできない、きわめて長期見通しを持ってやらなければならないものでございますが、ただいまお話しのございましたモチ米のことにつきまして、私もこれを聞きましたときに何とかならないのか、手持ちは全然ないのかというふうなことを十分聞いたわけでありますが、御承知のように生産者側の団体である全販連等から私のところへ陳情も出ております。それはつまり、特殊なものをつくるためのモチ米がきわめて欠乏しておるので特別なお計らいを願いたい、こういうことでございまして、先ほどお話のございましたようにウルチ米について特段のことをいたしておるわけではございませんので、この点はそういう生産者団体及び需要家等の事情も勘案いたしまして許可をいたした、こういう次第であります。お説のように農政は場当たりではできませんので、私ども十分計画的にいろいろなことを進めておるわけでございますが、モチ米についてはそういう事情でございます。
  41. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間もあまりないそうでありますので、個条的に大臣にお尋ねいたします。  その一つは、俗に言われるつかみ金の問題であります。五月一日の新聞記事によりますとこういう記事が載っております。「政府、与党側は非公式にだが、その理由として」これは基本米価を動かすことについてですね。「その理由として「昨年産米への政治加算は実質的な生産米価の対価だから、その分を基本米価に繰り入れて引き上げても米価の水準を変えることにならない」といっている。しかし、昨年政治加算をした際には「加算分の二百三十八億円は、米価の引き上げではない。従って米価は据え置かれた」と何度か強弁したものだ。」「それが一年足らず後に、昨年の加算分は実質的な米価の引きあげだったというのでは、国民を完全にだますことになるのは明白だ。もし仮に二百二十八億円のワク以外に政治加算をつければ、来年また「あれも米価だった」ということを予想しないわけにはいかない。」こういうことで非常に不信を買っているわけでありますけれども、このつかみ金について大臣はどのように考えておられるか。これがはたして妥当なのかどうか、将来どういうふうにしていこうとなさるのか、その点についての見解を一点お伺いしておきたいと思います。
  42. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 本年産米価の決定にあたりまして、二百三十八億円の良質米奨励金の動かし方についてただいま御指摘がありました。私どもは昨年、米価決定のときに、二百三十八億円は良質米奨励金等で支出いたしたことは御存じのとおりであります。受けるほうの側にとりましては、生産者がこれを受け取るわけでありますので、米価として受け取るわけでないのでありますけれども、やはり米づくりの生産感情としては同じふところに入るわけでありますので、一般的にはこれは米価のような考え方をお持ちになったのは当然なことだと思っております。そこで、そういうふうになれてしまっておるわけでありますので、また同じようなことをいたすよりはこれは基本米価に算入するほうがいいではないか、こういう考えに立って基本米価に算入いたした、こういうことでございます。したがって、私どもといたしましてはいわゆるつかみ金というふうなそういう思想ではありませんので、いま申し上げましたような一般的常識をこの際基本米価に繰り入れてあげるほうがいいだろう、こういうことであります。
  43. 貝沼次郎

    貝沼委員 まあ政府のほうでも、ああ言えばこう言うというふうにいろいろ言うことはあると思いますけれども、しかし現実に現在米が余っており、農村は非常に困っておる。そういう農政を根本にして起こっている本案の問題については、私は、農政自体がはっきりしないことには全面的に賛成なんということは考えられないことであると思います。いままで終わってしまったことはしかたないにしても、これから先、ほんとう農村が希望を持って生活していけるような農業政策を打ち立てるのが大臣の使命であると私は思いますので、特にその点を要望いたします。  以上でございます。
  44. 毛利松平

    毛利委員長 阿部君。
  45. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 大臣たいへんお忙しいのでしょうから、新聞をごらんになっているかどうかわかりませんのでこれをちょっと読みますが、これは四月二十一日の新聞です。北海道で柏樹さんという方が自殺をされたわけです。この遺書の中には「長期的な望展もなしにクルクル変わる〃ネコの目農政〃への怨(おん)念がびっしりつづられていた。」そうして「もう百姓はいや。でも、ほかに生きる道はありません。小学生の末っ子が高校を出るまでは百姓を……。」こういっておるのであります。  それで、いまも貝沼委員からいろいろと話があありましたように一体日本の農業をどうしようとするのか、農民を一体どうしようとするのか、これがさっぱりわからぬわけです。ただ少し貧しくなったというだけで人間が自分の命を断つなんということはあり得ないのです。問題は、先の見通しが全くわからなくなってしまった、いままでやってきたこととこれからやろうとすることが混乱をしてしまったという中で、混乱をして命を断たれる、こういうことだろうと思います。そういう点で私はまず、いろいろな古米の処理もいいでしょう、だけれども、一体これからの日本の農業をどうしようとするのか、農民の生活問題をどう解決しようとするのか、その基本は一体何をもとにして政府のほうは政策を立てられるのか、そのことがわからぬのであります。そのことが農民全部がわからぬのであります。それをひとつ大臣から、何を基準にして、何に基づいていま農政を展開しておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  46. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほども貝沼さんにお答えいたしましたように、農業というのは長期的な展望を持ち、時間をかけてやらなければならないものであることは御存じのとおりであります。いま私どもは、農業ばかりではございませんで、ほかのあらゆる産業もそうでございますが、好むと好まざるにかかわらず大きな変化を生じておる時代であります。この変化に農業者も中小企業者も労働者もみずから対応していくということを考えなければ、生存競争には打ち勝っていくことはできないのでございます。しかし私どもは、計画経済ではありませんけれども、大体政府方針としてはこういう方針農業というものをやっていこう、中小企業とかそういうものをやっていこうという方向についての行政は当然やってまいります。私は農林省におりまして感じますことは、農林省がいろいろ考えておりますことを、関係団体はたくさんありますけれども、若干PRについては抜かっておった点もあるのではないかと感じられるのでありますが、私どもが出しておりますものを一とおり読んでいただいておる農業団体その他においては、政府の、つまり農林省方針というものはきわめて明白に彼らも理解をいたしておられます。  現に、農林省でやっております、去年までは米の生産調整協議会でありましたが、ことしからは生産調整というような消極的なことでなくて、前向きの生産対策協議会というものに切りかえろという希望がありまして、そういうものをつくりまして、やはり全国の都道府県知事の代表者数名あるいは県議会議長、町村長会あるいは町村議会関係、それから農業団体の全部の代表が参加をして熱心に生産対策について御協議を願っておるわけであります。そのほかに、これは内閣の諮問機関であります農政審議会等しばしば開催されまして、それらがわれわれに進言してくれることを取り上げつつ、いま著しい変貌を遂げようとしておる農政に対処いたしておるわけであります。私どもがそれを多くの人に徹底してないではないかというおことばがありますれば、私どものほうのPRの不足でありますが、要は先ほど来申し上げておりますように、好むと好まざるにかかわらずすべての産業は大きな転換期にきている。なかんずく農業においては私はそうだと思います。したがって、いままでは米に重点を置きました農業でございますので、米が非常に保護を受けて、そしてりっぱな生産をあげるようになった。技術が進歩してそして反当たりの収穫量が非常にふえるような時代になったときに、今度は逆に国民の食生活が非常な変化を生じてきまして、いままでと違いまして食肉であるとかあるいは野菜、くだものというふうなものが非常に要望されるようになってきた。それと反比例して今度は一人当たりの米の消費量が減ってきたわけであります。  そういう結果でありますので、農林省といたしましては米の生産調整計画的にやると同時に、他作物への転換については、本年度御審議を願いました四十六年度予算においても、もうすでにここでお話があったかと思いますけれども、従来にも増して大きな転換対策の予算を計上いたし、その方針に基づいて地域指標をつくり、それに基づいて農業団体や生産者に、あるいは地方自治団体の長等に、われわれの地域的な適地適産を選ばれる方法を講じながら、こういうふうな転換をしてもらいたいということでやっておりますので、農業団体の方々はそれに協力をしていっていただく、こういうことでございます。したがって、私どもは一応昭和五十二年の長期見通しはいままで出しておりますけれども、大体本年発表いたしました地域指標に基づいて、将来の農業の展望を皆さんに協力していただくように進めてまいりたい、これが、大ざっぱに申し上げますならば、私ども農政に対する基本的な考え方であります。
  47. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それを聞いても、おそらくいまの大臣のお話で、ここにおられる委員の方々も私自身も聞いておって、一体これで農民が納得するのか。これが農林省農業政策基本であるなんということをわかった人はだれもいないと思うのですね。大臣自体がわかっておらないのじゃないですか。私、一つは、皆さんどうお考えになるかわかりませんが、農業基本法をつくられましたね。あの農業基本法一つのやはり大きな柱だ、こう思っておったのですが、それは違うのですか。
  48. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまでも私は農業基本法農政の柱であると思っております。
  49. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 こまかくこれは読み上げなくてももう大臣はよく御存じだと思うのですが、この基本法の前文をひとつごらんになれば、いまのような、農民の苦しむような農政を立てるはずがたいと思うのであります。大臣、この前文をここで私読んでもいいのですけれども、これを見れば、今日まで日本のいろいろなものをささえてきた農民、これにこたえるということを書いてある。そうして第一条には、他産業の従事者の所得と農業者の所得の均衡をはかる。均衡ということばはいささかあいまいではありますけれども、平易に受け取るならばやはり所得が上がるということだと思う。  ところが、この農業基本法ができてからいわゆる出かせぎの問題が起きてきた。今日までもう十年間も、これだけ出かせぎの問題がいろいろな悲劇を生んでおるのに、一体政府のほうでは、特に農林省は、この出かせぎの問題に対してどういう対策を立てられたのですか。農業が規模拡大をしようとするならば、それはそれで手を打たれればいい。しかしそこからはみ出されていく者がこうやって締め出されて出かせぎをする。しかし家族を連れていくほどにはその職場は安定をしていないわけです。片一方は高度成長だ。そうしていろいろなビルは建つ。そこで繁栄をしておる。そしてその土の下では出かせぎの農民が地下鉄の工事に死んでいく。しかも家族別れ別れで農民が死んでいく。こういう政策を平然と十何年もやってきて、それで農業政策、農民対策が一体農林省にあるのかどうか、私はその点お伺いしたい。  そうして、いま苦しいなら苦しいでいい。しかし将来はこういう展望のもとで、こういうふうに農業をやっていく、転換する人たちにはこういう生活の保障があるんだということならば、この転換もまたやぶさかではないでしょう。しかし、いまのように農業生産の収入は、物価はどんどん上がっていく、農産物価格はさっぱり上がっていかない。そういう中で出かせぎというものをせざるを得ないでしょう。生きるためにはしかたがない。しかもそれは人間疎外といわれておる、家族別れ別れで行かなければいかぬ。家族を連れてくるだけの対策を立てて、その上で転換をしてくれというのならばこれは話はわかります。全くの日雇いだ、臨時雇いだ。しかも職場は転々とする。こういうものが一年や二年の現象ならば私はそう声を大にして申し上げませんけれども、もう十何年もこれを続けてきておるわけでしょう。農業基本法ができてからなんです、これは。そういう中で農林省は農民を一体どこへもっていこうとするのか、そのことを私はお伺いしておるのである。  あなたは、農業団体や地方の市町村長はみんな賛成して支持しておるなんと言うけれども、市町村長もみんな悩んでおる。しかし政府の言うことだから、何とか政府のこの要望にこたえてそれをやっていきたいという努力をしておるのはわかります。しかし、もうがまんができなくなったというのが今度の米審でしょう。生産者の代表は四人とも席をけって立たざるを得なくなったというほど、いま農政は混乱をしておるということじゃないでしょうか。どうしてあの米審を放棄してあの四人の方々が、生産者代表があの重大な米審から退去をするという決意をせざるを得なくなったのか。その辺にもう少し農林省方針をはっきりと明示すべきだと私は思う。大体方針がないのじゃないですか。  先ほど貝沼君の質問に対する答弁をお伺いしておっても一つもわからない。昨年は何と言いました。生産調整をしてくれ、食管の根幹を守るためだと、こう言った。ところがその食管の根幹自体をすりかえてしまって、国民生活のどうだこうだと言うけれども食管の根幹というのは、いままでいわれてきた常識はそういうことじゃないでしょう。全量買い上げでしょう、生産米価消費者米価の二重価格制でしょう、そうして政府の全量配給という、この三本が食管の根幹だと私たちは長いこと教えられてきておる。国民生活のどうのこうのということだったら、これは話は違ってきますよ。だからもう一ぺん私は、農林大臣農政をどうしようとするのか。それでなければこういうような問題、幾らでもこれから出てくるわけですし、農民の自殺者もまだこれからふえざるを得ないということだろうと思うのです。その点で、一番最高の長をしておる政府としてはもう少し農民に、こういうふうにして農業をこうする、そうして転換するものはこういうふうにやるんだというはっきりした指針を出すことが、私は大臣の一番重大なつとめであろう、こう考えるのですが、いかがですか。
  50. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、農業に限らず、すべてのものは毎日毎日変化をしてまいります。農業はなかんずく私どもにとりまして非常にむずかしい問題でありますが、著しい変化を遂げていることはもう申すまでもありません。  そこで、米の消費量現実に減ってきているのでありますから、そこでこれに対して、私どもといたしましてはそういう傾向をとらえながら、しかもなお、阿部さん先ほど来農業基本法のお話がありますが、基本法でもやはり選択的拡大のことをいっております。同時にまた、経営規模を広げて、そして自立経営農家を育成していくんだということをうたっております。これはわれわれが国会できめた法律でありますので、私どもの記憶にあるわけでありますが、農業基本法を制定いたしましたときに、私どもそれに参加いたしました国会議員の頭の中に、今日のように日本経済が急速度に成長していくであろうということを予測した者はわりに少なかったのではないか。あの当時の論議を思い出しても、速記録等を読んでも、私はそういうことを痛感せざるを得ないのです。非常な勢いでわが国の経済は発展をいたしました。そこで地価が非常に高騰してまいりました。そういうことのために、基本法を制定いたしました当時のわれわれ国会議員が想定いたしましたときよりもテンポは確かにおくれております。これは経済の状況がいろいろな障害をなしておることも認めざるを得ないことでありますが、それにもかかわらず、私ども農林省としては、やはり農業基本法が志向いたしておりますような自立経営農家を育成していくということをまず第一に考えざるを得ないのであります。それにもかかわらず今日の状況では、阿部さんもよく御存じのとおり、有業人口の中で純粋の農業人口というのは一六%そこそこしかありません。これはしかしヨーロッパの非常に進んだ国から比べますと、まだ有業人口の中に占める農業者の割合は多いほうでありますけれども、私はやがてはだんだんもっと減っていくだろうと思います。減ってもなおかつ農業生産力は増強してまいるでありましょう。そうでなければわが国の農産物価格が国際水準に比べて太刀打ちができないのでありますから、八割以上を占めておる消費者の犠牲においてわが国の経済というものを維持していくことは困難でありますので、やっぱりそういう国全体の経済の中で農業というものをどのように位置づけるかということはむずかしいことだと思いますが、私どもは、人口一億をこえる日本で、しかも主食であるものを全部外国に依存するようなことは非常に危険であると思いますし、そのようなことはやるべきではない。したがって、ある程度の保護をいたしながらも、やはり主食その他の重要な農作物についてはぜひ自給度を高度に維持してまいりたいというのが私ども考えでありますが、それだけを考えましても、やはり本年は二百三十万トン程度の調整はしてもらわなければならないというわけであります。  そこで、その他のものにつきましては、御存じのようにたとえば畜産、酪農、野菜、くだもの、養蚕、そういうものをいろいろとって考えてみましても、畜産をやるにしても濃厚飼料の原料の大部分は輸入にまつという次第であります。したがって、そういうことを考えますと、余っておる米の調整はしながらも、わが国で必要な農作物転換をしていくということのために、本年御決定を願いました四十六年度予算でも千六百九十六億、大体千七百億、直接にこれは転換のために五カ年計画転作を奨励いたしておることは御存じのとおりであります。これは個々別々の農家によって違いますけれども、いま地方地方によりましては、四万円の永久転作の奨励金をもらうことによって非常に一生懸命で転作をやっていただいてくれるところもあります。あるいはまた地方によりましては単作地帯でなかなか転換の困難な地域もあります。これは御承知のようにわれわれがつくりました地域指標によってもよくわかっておりますので、将来はそういう地域には米が重点的につくられるようになるでありましょうが、やはり国全体としては、わが国に必要なる物資である農作物の自給度をなるべく高めるためには、生産調整のほかにある程度の価格政策を採用いたしまして、国際競争力に打ち勝ってなおかつ生産ができるように進めてまいる。こういうことについては農業者の方々も、自分が何をどういうことでやるべきであるかということをくふうしていただく。そういうことのまた指導、協力をするのが農業団体でありますので、私どもといたしましては、農林省の出先とそれから農業団体、地方庁との連携を緊密にしながら全力をあげて転換に最大の努力をいたしておる、こういう次第でありますので、私は農林省のいま考えており、またやっております施策は、すでに農業白書で国会にも報告申し上げておりますように、あの方向をぜひひとつ皆さんに御協力を願ってやってまいりたい、こういうことであります。
  51. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いま大臣いろいろお話しになりました。適地適作、こうお話ありましたけれども、これにも出ておりますけれども、リンゴだ、ビートだ、米だといって、大体農民は農林省の言うことを聞くとばかを見る、農林省の言うことと反対のことをしていればもうかるというのが、最近もう常識になってしまったのですよ。それくらい農林省は信用はないわけです。それはもう御承知でございましょうね。実際、これをやれと言う。言ったたんびにこれは反対の方向にいく。  ある意味で、むずかしいという表現をされればむずかしいのです。この前大蔵大臣のだれかへの答弁にもありましたけれども、経済の合理性というのを非常に強調されるわけです。それは当然、農業というものは工場生産のように急速に生産性をあげることがむずかしい産業だということが私は前提だと思うのです。それだからこそ、アメリカであろうと、EEC諸国であろうと、イギリスであろうと、農業に対してはそれなりの価格支持政策というものを行なっておる。日本ではいままで、みな何のかんの言っても米だけが一番安定していたことから米をつくらざるを得ないんだ。それならばほかのものをやって採算が合うような指導をされたかというと、ただ内容は思いつきでやっている。農業基本法のころには、私たちのほうには農林省の指導で、桃植えろ、桃植えろと言った。計算してみれば、赤ん坊からおじいちゃん、おばあちゃんまで、一人一貫目ずつ食わないとこれは消化できないくらいの木を植えてしまった。案の定、いま桃の木は立ち枯れです。なってたってだれも取らない。そんなような指導されれば、農民は農林省の言うことを聞いたってこれはうまくいかないのです。  だから、農業基本法では大臣お話しのように、他産業との所得の均衡をはかるということ、自立農家の育成、そして経営基模の拡大ということをおっしゃっておる。しかし一体どういう形でいったら自立農家が成り立つのか。さっぱり自立農家、成り立たないじゃないですか。一番基本的に私がお伺いしたいのは、農業というものを一体どうするのか、なんぼあなたからいま説明を受けても私にもわからない。おそらく日本の農民の大半はこれがわからないために自殺をする方々までが出ておるんだと思うのですが、この問題がわからない。  もう一つは、私が先ほど言うように、農民自体を一体どうしようというのか。自立農家育成、経営規模拡大といえば、当然そこからはみ出される農民がおるわけです。これを大蔵大臣のように経済の合理主義でいくならば、これは生産しなくなったお年寄りはみんなおば捨て山に捨てると同じことなんですよ。いままさにそういう政策が行なわれているじゃないですか。農林大臣、もう少し元気を出して、きちんとした方針を示されなければ困るのですよ。大資本家のほうへは、私たちこの委員会で追及いたしましたように、何ぼでも金を貸してやる。五つか六つの準備金等の金だけでも、その年の財政投融資よりも大きな金が無利息で大資本のほうへ毎年毎年貸し与えられておるのですよ。そういうことからいけばもう至れり尽くせりだ。これだけ輸出が伸びておってもなおかつ輸出のためのとにかく特別措置は依然として温存されておるのです。そういうことを考えれば、資本家が一人で大きくなったんではなしに、あの手この手でとにかく政府の庇護のもとで大きくなっておる。  そうすれば、農民の場合にもう少し大臣は勇気を出して方針を示し、そうしてそれがある程度納得する中で困難な農業を指導されるのがほんとうなんです。ついこの前まで私の県なんというのは県知事が先頭に立って百万トン増産運動をやっておった。それが去年になったら手の裏を返すがごとく減反をしろと、こう言う。しかもその減反のときに、食管の根幹を守るためにこれだけはやってくれと、こう言うた。そうして今度は、ことしになれば、追い打ちをかけるがように一割減反がさらに二割減反になった。これでは農民、言うこと聞くわけがないですよ。だから私は、もうさっきから申し上げるように、農林省は一体どういう方向で、総合農政総合農政というけれども総合農政の中身は何なんですか。それをまずお伺いいたします。
  52. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農業についていろいろいまお話がございました。私ども、先ほど来申し上げておりますように、やはり基本法の精神というものは間違っておらぬし、またああいう考え方を中核にして行動いたそうとしておるわけでありますが、それにもかかわらず、先ほど私が率直に申し上げましたように、われわれの計画どおり自立経営農家をたくさんつくることは、今日に至ってなお成功しておらない。これにはいろいろ事情もありますが、しかしこれからもなおそういう方向に力を入れなければなりません。阿部さんも御存じと思いますが、先ほど私は有業人口の中の農業者人口のことを申し上げましたが、全体としてはやはりそういう農業者の中で、しかも御存じのとおり約八割近くは兼業農家であります。その八割近い兼業農家のうちのまた六割近いものは第二種兼業農家でありますので、そういうものをしからばどう考えていくか。  私どもの仕事としては、私はしばしば申し上げるのでありますが、いまさっき来お話のございましたような農業というものを考え一つの問題、農業をどうするか。農民をどうするかという問題が同時にあります。この人々が先祖代々いらっしゃる農村をどうするかという、まあよその国ではそういう地域で農務大臣の分担をきめておる国もあるようでありますが、とにかく農村の問題。これはひとり農林大臣だけではありませんが、そういう問題が一つあります。もう一つは、やはり国民全体に食糧供給し、消費者が、食管法でいっておりますように、家計の安定を旨として食糧を安全に配給してもらえるという、そういう立場からいくと食糧省的な面が農林省にはあると思うのであります。  そういういろいろなことを考えてみますというと、やはり私はいま、もうしばしば論じられておりますように——この間も何か三人の人の記念論文みたいなものが新聞に出ておりました。あの中の一人の意見によれば、そう近くない間に太平洋地域のメガロポリス的なもので大体七割近い総人口が集中するであろうというふうな傾向、そういう傾向は私、個人的には好ましくない傾向であると思っております。それよりも、もっともっとやはり人口というようなものは全国なるべく平均的に散在するほうがいいと思いますし、産業もまたそうありたいと思うのであります。したがって、いまわが国の特質だと思われておるような兼業農家、この人々はいろいろな考えがおありのようでありますが、やはり農地を離れて他の職業に転換したいと希望される方、そういう方のためにわれわれは農業者年金制度というふうなものを設けて、離農しやすくすると同時に、ただいま国会で御審議を願っております農村工業導入の法律、ああいう法律で、産業を地方に分散していこうとするものに特段の保護を与えて、公害を伴わないような産業をできるだけ地方に分散してまいるというようなことをすることによって、なお地方に住んでいたいと考えられる兼業農家の方々たちの雇用機会を増大するような措置を講じてまいるということ、これは日本だけがやっているわけではありませんけれども、やはりそういうことが必要ではないか。  結局農業、農民、農村というものを考えてみましたときに、やはりわが国の特質を十分に生かしながら、なるべくその地域に多くの人が定着していただいて、そして所得を増大いたしていくことを考えることがいいのではないだろうか。したがって、そういう方向に基づいていろいろな施策を講じてまいると同時に、農業の面では広域営農団地的なものを自立経営農家を中核にして、しかも兼業農家を協業その他の形でできるだけ定着をしてもらって、農業の所得もふやしていただくと同時に農業生産を高めていただくということ、こういうことが必要ではないか。大体私どもはそういう方向農政の展望を将来につないでおる、こういうことであります。そういう方向を目がけて、転作等に対する予算措置も逐次増大いたしてまいりたい、このように考えているわけであります。
  53. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いまのようなものが進められながら、それで農民に理解を深めながら、それからいまのような荒っぽい作付減反であるとかいうものが行なわれてしかるべきなんですね。農業基本法ができ、それ以来出かせぎ——いま皆さんの資料を拝見しても百二十万といわれる、これだけ多くの出かせぎ者をつくっていながら、いまになってそんな話をしたところで実際は立ちおくれなんですよ。そういう政策がかりにあるとするならば、それを進めながら、この雇用の安定度もはかりながら、そこで作付減反をやられるならば、それはまだ話がわからぬではないのです。それでなしに、いまばっさりやられれば農民が非常に生活が苦しくなるのは当然です。物価は上がっていく。かりに三等米八千三百円として計算をしてみたって、物価の値上がり、貨幣価値の低落をかけていけばこれは六千七、八百円、目の子算でいってもそうなるのじゃないんですか。七%物価は上がっていく、銀行等では一〇%も物価が上がる、とすればこれはたいへんな減収です。その上に二割も作付減反をするぞということになる。そこへ皆さんまた等級間格差をうんと開いて、下のほうの連中はますます収入が減るように仕組んでしまっておる。そういうことを考えれば農家の収入は四割ぐらいは減るのじゃないですか。そういう政策をいまここでやられれば、いまですら出かせぎがこれだけあり、悲劇をこれだけ生んでおるのに拍車をかけるだけじゃないのですか。いま大臣がおっしゃったような政策がもっともっと先行する中でこれが行なわれれば話がわからぬではないのですよ。ほんとうにそういう点では場当たり農政で、どうしようもないように仕向けてしまってから、ますます出かせぎをしていく。しかもその職の安定というものは一つもはかっていないでしょう。これでは農林大臣は農民殺しの悪代官みたいなものじゃないですか。それで日本の経済は大きくなった、大きくなった。実際私にもわからない。ましてやいまの農林省政策を納得するなんという一般の農民は私はおそらく一人もいないだろうと思うのです。それでも大臣は、農民は全部納得しておる、農林省政策はこれでいいんだ、こういうふうにお考えなんですか。
  54. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 人さんの前でものを言うときにはなるべく謙虚でなければなりませんから、私はそんなに自慢を決していたすわけではありませんが、先般農業団体の若い青年たちがヨーロッパ地方を歩いて農業状況を視察して帰りまして、長野県からも人参加しておりましたが、この人々はやはりいろいろ農業について疑問を持ち、心配しておった人たちでありますが、一たび外国を見てまいりまして、日本の農政というのがいかにこまかいところへ気を使ってめんどうを見ているかということを痛感したということを言っておりました。最近は全世界に農協の方々が視察に出ておられますので、いろいろな国の農政を見てこられた方が多いわけでありますが、私がまだ就任いたします前から、農林省においては先ほど私が申し上げましたように調整と並んで転換について非常な努力をし、計画を立てておりましたが、その間に選挙が行なわれたり、あるいはいろいろなことがありまして、政治情勢等で農林省事務当局が考えておりましたようなことがなかなか実行に移されなかったことは遺憾でありますけれども、ただいまは、先ほど来申し上げておりますように、四十六年度予算をごらんいただきましても、農林省の将来の農政に対するビジョンについて、またその情熱については十分御理解をいただけることであると思いますので、今後ともひとつこの方針に大いに御鞭撻、御協力をお願いいたしたいと思います。
  55. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 押し問答みたいであれですが、総合農政の中身がさっきのあの程度のことでは、これは農民は納得できないのですね。現実にいま生活が苦しくなって、出かせぎ農民がこれだけ出ておるわけですが、それに一体どうしようとするのか。これから工場を持っていきたいと思いますなんてことで何年も待っておるわけにいかない。しかも資本というのはもうかるところには出ていくけれども、皆さんがお願いをしたから、要請をしたからなんということで簡単にいくわけじゃないのですね。いかないから太平洋ベルト地帯に集中をしておるという現実があるわけです。これは、簡単に皆さんがこうしてもらいたいなんて言ったところで、出ていくのかいかないのか、これはわからない問題です。  だから、それならば、皆さん御承知のように農業生産というものは、先ほど申し上げたように工業生産のように急速に生産性を上げるというわけにはいかない業種であります。そういうことを初めからお考えになっておられるのだと思うのですが、そんなことはもうイロハのイです。それと、米というのは、皆さんが今日まで日本のあらゆる商品の中で最もきびしい統制のもとに置かれてきておったわけです。そうすれば、これだけ余りましたなんというのはもう少し早くからわからなければいかぬだろうが、それがないからこれの転換だって、先ほど政務次官、何かたいへんおわびの、見通しが悪かったみたいな話を貝沼君の質問で言っておられたようでありますけれども、全く見通しが立たない。  また、なぜ米にこれだけ集中をせざるを得なかったのかといえば、もう御承知のように、米の値段が安いとか高いとかいうよりも、とにもかくにも安定して政府の買い上げがあるということでいままで米に集中してきた。それならば、ほかの農産物、主要な農産物にももう少しきっちりした食管法に類似する政策を立てるならば、まあ中川政務次官のほうの北海道なんというのは米をつくるよりも酪農のほうに、いままでのようにもっと力を入れたであろうと思うのですけれども、それでは採算が合わなくなってきておる。乳業メーカーはだんだん大きくなるけれども、乳をしぼっておる農民のほうはだんだん食えなくなってくるから、まあ米のほうが安全だというわけで、それで米に移ったわけです。だからそういうものに、いまのようにうしろ向きに国民の金を使うのじゃなしに、ほかの農産物価格支持政策をもっととるということでいくならば、米への集中はこれは緩和をすることができると思うのです。  その上でなおかつ農業人口を減らさなければならないとするならば、それの就職の安定、住宅の問題というような社会保障をもっとやらなければいかぬのじゃないですか。あなた、農民年金というようなのは、いまおっしゃってみたって、二十年たって二万円あげますなんという農民年金は、一体二十年たったときに貨幣価値は幾らになるのですか。あれは全く農民をだますものだといっても過言ではないじゃないですか。いまの金で二万円くれるというのならまだ話はわかります。二十年たったときの二万円というのは、一体金の価値は幾らになってしまうのですか。二千円か三千円のたばこ銭になってしまうのじゃないですか。実際言うて、そんな年金を恥ずかしげもなくこれは社会保障のあれでございますなんということは言えた義理じゃないと思うのですね。金の価値が変わらないでいって二万円というのならわかりますよ。毎年毎年七%も一〇%も物価を上げる、貨幣価値を落としておいて、二十年たってから二万円あげますなんというのは、かけた金の金利にもとにかく足りないじゃないですか。そんなものはいま当てにならないですよ。そんなもので農民は離農しますと簡単に言うはずはないと思うのですね。もっときっちりとした政策を立てていただかないと困る。  まずこの農民に対する政策としては、出かせぎのこの人たちを一体どうしようとするのか。これからまだふえるであろう出かせぎ者をこのまま増加さして、いまのままぶん投げておくのかどうか。そのことを具体的にまずお伺いをしたいと思います。
  56. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 出かせぎの方にもいろいろありまして、これはむしろ外で働くことのほうを本業に心得られておる方もあり、いろいろでありますが、私どもといたしましても、農林省と労働省と常に連絡を保ちながら、その方々の待遇改善あるいは災害のめんどうを見るといったようなことについてはできるだけの措置を講じてまいりたい、このように考えておるわけであります。
  57. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いまのように災害の起きたときにどうのこうのというふうな問題じゃなしに、この農政とからめながら皆さんは自立農家の育成、経営規模の拡大、こうおっしゃっておる。農業基本法はそれでやっておる。そうすれば当然そこからはみ出されてくる。しかも物価は上がる中で米価の据え置きとなれば、農家のこの農業収入は減ってくる。そうすればますます出かせぎがふえるという傾向を持たざるを得ないわけです。そのときに、まあ災害のときにどうだこうだというのではなしに、もっともっと抜本的な対策を立てて、この人たちが場合によればほんとうに完全に農業から足を洗って、そこへ就職をし、つとめていく、家族を連れて就職ができるならできるという道を講ずるならば、これはまあ墳墓の土地であるから離れたくないという方もありましょう、しかし、思い切ってその家族を連れて移住するという人たちもこれは多いはずであります。そういう問題を抜きにして、ただ労働省と話をして、災害のときにはどうだこうだなんという、そんな小手先の問題を私は聞いておるのではないのです。もう十何年続いておるのですよ。十何年続いておるこの出かせぎの対策というものを、農民の出かせぎを、農林省は一体その程度しかお考えになっておらないのですか。それではあまりひど過ぎるじゃないですか。お粗末じゃないですか。もう少しその辺きっちり、これだけ苦しんでおる出かせぎ農民が納得するような御答弁をお願いしたいのです。
  58. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 一般論のお話のようでありますが、阿部さん御存じのように、最近の農家というのは非常にまちまちでありまして、これは実に安定した農業生産をしておられる家庭もあり、それからまたいまのお話のように、出かせぎのほうが主たる所得であるという方もあることはあります。したがって私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ、この自立経営農家に配するに協業等をまじえまして、そうして広域営農団地といったような形で、農業を続けていきたいというものはそういうような方向をとっていただくようにしむける。農業を離れて他産業に行きたいと思われる方々には、いま労働省では、今度法律に基づいて職業訓練、有給で勉強させて、そして他産業転換のできるように、それぞれの希望に応じてしむける、そういうふうなことをやって、いわゆる悲惨な出かせぎにならないように最善の努力をいたすために、地方に工業導入等の法律案もお願いをいたして、そういう方向で、いわゆる農工一体で地方の方々の余っておる労働力もそういう方面で所得をふやしていただくようにしたい、こういう考え政策を進めておる、こういうことを申し上げておるわけであります。
  59. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 何かあなたと同じことを言い合っているだけの話なんですが、そういう政策を立てられてから米価の据え置きであるとかあるいは作付減反というものをおやりになるならやればいいのであって、私の申し上げるのは、それでは農政不在じゃないか。希望的意見だなんというものを大臣が述べておるような段階じゃもうないのじゃないか。いまこの段階であなたが、将来農工一体のあれに持っていきたいと思いますなんという段階じゃなしに、もう自殺者が出るほどいまの農政というものに対しては農民は混迷しておるわけです。そうじゃなしに、それならば、米が余ったならこういう農産物はこういう価格支持政策をやるからこういうのをつくってくれということで、そこに移行していく中から減らしていくとか、現実に工場を農村に持っていくというのなら持っていってごらんになればいい。持っていって、とにかくある程度の生活のめどをつけながらこの作付減反というものが行なわれるというのが政治でしょう。実際あなたは、工場を持っていきたいということであって、持っていくということではないわけですね。そんなことでいまの出かせぎの問題やあの深刻な問題に対処することはできない。  一体、政府のほうでは日本の総生産が世界の二番目だ、三番目だなんという大きなことを言うけれども、これだけアンバランスな、これだけの国内の格差を持ちながら、それで対外援助なんということをやれば、国内のアンバランスのもとで対外援助をやるなんということは、これはもう必ず帝国主義的な進出になるということだけは、これは歴史の証明するところなんです。日本の対外援助は帝国主義だといわれ、軍国主義だといわれて非難されているのもまさにそれなんです。その一番の問題点は私は農林省だと思うのです。農林省自体政策が貧弱だからこういうことになるのじゃないですか。農林省はもう少ししっかりしてもらいたい。農産物見通しはむずかしいでしょう。去年みたいに、野菜は西高東低でございますなんといって、西のほうでは万博があるから高いけれども東のほうは安うございますというものだから、東のほうでも高くなって、これは西高東高みたいな野菜になってしまう。これはむずかしいかもわからぬ。しかしそれには十分に皆さんが農業というものを真剣にお考えにならない。全く大資本の言いなりになって農業をつぶしていこうというのがいまの農林省。まあそれは無理もないのですがね、佐藤内閣の農林省なんだから。佐藤内閣の資本家優先の政策に従属をしておる農林省だと私は思うので、その点はあれだろうけれども、それにしても見通しが悪過ぎるのです。  私、もう一つお伺いしますけれども、日本の米は、いまのままいけば、五十年をこえれば必ず不足するだろう、私はこう思っておるのです。これは不足しませんか。その不足したときに、また再び農民に増産をしてくれなんということでお願いをするようなことはございませんか。それはいかがです。
  60. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御批判は御自由でございますが、私ども国民全体、国全体の利益のために農業というものをどのようにしていくべきかということを考えておるのであります。つまり、全面積の六八%が森林であり、一八%が耕地だといわれております。この美しい先祖代々から受け継いでおる緑の日本を維持していくためには、やはり農林省所管の仕事というものをぜひ経済的にも合うように合理化しながら継続してまいりたい、こういうのが最終目標でございますので、一部に奉仕しているわけではありません。国民全体の総利益のために農政考えておるわけでありますが、そういう角度から考えてみましても、先ほど申し上げましたように、なるべく一億をこえる国民の主食はできるだけの自給度を維持してまいりたい。そのほかのものはやはり八割以上の消費者の利益も考えなければなりませんので、できるだけ農業の体質を改善することに努力をいたしまして、国際競争力を維持できるようにいたしたい。それがかなわない間は、自由化をいたしましても、やはり価格政策で若干の保護はやっていかなければなるまい。  こういうような立場でおりますが、米につきましては、私どもいろいろ技術方面とも相談をいたしまして、ただいま阿部さん御指摘のようなことのないように十分に心がけてやっておるわけであります。ただ、一つここで私どもが警戒をいたしておることを率直に申し上げますならば、大事な一種農地がスプロール化してしまうというふうなことは極力避けなければならぬと思っております。そういうことを避け、そうしてまた将来の展望を見て、それに計算を合わせながら食糧の自給度をある程度維持するために必要なる農地というものは絶対に確保してまいりたい、こういう立場で米に対する施策を推進してまいるのでありますから、ただいまお話のございましたようなことも農政当局としてはもちろん念頭に置きながら米の対策をやってまいる、こういうことでございます。
  61. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうしますと、まあ農政当局はいろいろ考えておるのでそういうことはないのだ、五十年を過ぎた段階でも内地米の不足するようなことはありません、こういうことでございますね。そういうふうに理解していいですか。
  62. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 そういうことついては十分計画的にわれわれは対処いたしてまいる決意である、こういうことでございます。
  63. 毛利松平

    毛利委員長 堀君に関連質問を許します。
  64. 堀昌雄

    ○堀委員 食糧庁長官に、さっきのモチ米の輸入の話の点、ちょっと確かめておきたいのですが、あなたのさっきの答弁によりますと、モチ米の生産というのは大体きまっておる。ふえない。そうすると、在庫がある程度減ってくると価格の高騰という問題が起きるおそれがあるから、そこで在庫をふやす意味で輸入した、こういうことのようですが、四十五年度はそれでいいのですが、四十六年度も同じ情勢がきたらそういうことになりますか。
  65. 亀長友義

    亀長政府委員 これは四十六年度需要消費等にも関連ございますが、私どもとしては基本的には内地米によって全部まかないたい、できるだけ内地米で、内地のモチ米を増産をして、これで国内の需要をまかなえるようにしたいという基本方針には変わりございません。予算もそういう趣旨で組んでおりますから、四十六年度は外国モチ米の買い入れを計上しておりません。具体的には農家消費量ともいろいろ関係してまいりますものでございまして、農家消費量も比較的減退しております。そういうような関係などを見きわめた上で四十六年度は実行上どう始末をするかという問題でございますが、私どもとしては四十六年度は実行上も入れないで済ましたい。農家消費等の動向、需要の動向等から見て大体政府操作で十分な量は確保できるのではないかというように考えております。
  66. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、それは努力目標ですから、必要があれば輸入するということもあり得るということですね。
  67. 亀長友義

    亀長政府委員 絶対にないとは申しかねますけれども、私どもとして入れないという方針で、国内の自主流通米制度にもモチ米は乗っかっておるものでございますから、そういう集荷のほうも完全にいたしまして、そういうことはないようにいたしたいという考えでございます。
  68. 堀昌雄

    ○堀委員 実は皆さんが国会に出されておる、農業基本法による「四十六年度において講じようとする農業施策」の中ではたいへんはっきり書いてあるのです。「四十六年産米の内地米については、配給等の需要量を基礎として、自主流通米の数量を百八十万玄米トン、政府買入数量を五百八十万玄米トンとする。外国産米の輸入は、もち米を含めて一切行なわないこととする。」こういって国会に皆さん報告しておるのです。「一切行なわないこととする。」という報告に対しては、私はどうも皆さんのいままでの感触がやや少し甘いような感じがあったものですから、皆さんの農業基本法の第七条に基づく国会への報告というのは、私はやはり皆さんの施策を拘束するものだ、こう考えておりますので、その点は十分考えて処置をとっておいていただきたい。  そこでちょっと農林大臣にお伺いしたいのですが、さっき農林大臣は、ことし二百三十八億を基本米価に繰り入れたのは、良質米生産奨励金と品種改良奨励金、合わせて二百三十八億、これを基本米価の中に入れたのだから別にあまり変わりがない、特別に値上げしたわけじゃないというような御発言をなさったわけですが、これは食糧管理特別会計法第一条で、米の取り扱いに関する資金については性格が違う問題があるのですね。一体農林省は、これまでの良質米生産奨励金及び品種改良奨励金というのは、これは食糧管理特別会計法関係がないというように考えていたのですが、これは性格としては特別会計の資金なのか、一般会計の資金なのか、ちょっと答えてください。
  69. 亀長友義

    亀長政府委員 四十五年度一般会計から支出をいたしております。支払いその他も一般会計からしておる。特別会計に関係ございません。四十六年度は御承知のように米価に入れるということでございますので、これは米の代金として食管特別会計において払う、かように考えております。
  70. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、大蔵省に聞きますが、四十六年度にも良質米奨励金と品種改良奨励金二百三十八億を一般会計で計上しておるわけですか。してないでしょう、これは。
  71. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 計上しておりません。
  72. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、さっき同じようにおっしゃったけれども一般会計の金と特別会計の金というのは基本的に違うわけです。特別会計法の第一条ははっきりとそういうことを規定をしている。第一条「食糧管理ノ為ニスル食糧、」ちょっと省略しますけれども、「買入、売渡、交換、貸付、交付、加工、製造及貯蔵並農産物検査法ノ規定ニ依ル農産物ノ検査ニ関スル一切ノ歳入歳出ハ之ヲ一般会計ト区分シ特別会計ヲ設置ス」こうあるわけですから、さっきこれとこれとは同じだからとおっしゃったんですが、金額は同じですけれども、これは性格が違うんですね。一般会計から出ておりますものは、これはたてまえとしては要するに補助金ですね、はっきりいえば。片一方は対価、米の対価ですね。だから明らかに一般会計で依然として二百三十八億を支出していらっしゃるなら、私どもは米の価格水準が変わらない、こう思いますが。ちょっとこれは法律的にいっても詭弁じゃないのでしょうかね。一般会計にあったものを特別会計へ持ってきたというならまだ話はわかりますが、ことしは一般会計で全然組んでなかった。新たに特別会計に持ってきたわけですから、これはやはり米の対価が上がったということを率直にお認めになったほうが私は合理的な答弁だと思うのですが、農林大臣、いかがですか。
  73. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまお話しのように、会計から申しますと確かに御指摘のとおりでございます。私どももそういう扱いをいたしておったのでありますが、御存じのように、昨年これを差し上げましたとき以来、農家のほうでは米の代金だというふうな考え方に立っておりましたので、ことしはこういうものを上積みするよりも、これをひとつ米価に入れるほうがいいではないか、こういうことになりましたというお話を申し上げたのでございまして、会計的には確かに御指摘のとおりでございます。
  74. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、会計的というより、何かこう、米価が変わっていないんだ、米価水準は動かしていないんだとおっしゃる考え方があるようですから……。これだけ動いたら幾ら何といっても水準が動いているわけですね。  それからもう一つ伺っておかぬと重大な問題になりますのは、皆さんの感触としては、農家が米代と同じような形で受け取っている。いま農林大臣そうおっしゃいましたね。この二百三十八億をそういう形で受け取っておるという感じをしておる。そうすると今度は、ことしの自主流通米の促進奨励金七十四億、生産調整協力費百億、自主流通米金利、倉敷料、これは農協へいくようですが、これが三十五億、その他こういうような合計二百二十七億組んであるわけです。これも大体米にくっついてくるんだから、その形では——去年と名前は変わりましたね。名前は変わったけれども、やはり米にくっついていく金だということには変わりはないわけですね。どうなんでしょうか、そこは。農林大臣、ことしの分のお答えをいただきたいと思います。
  75. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お話しの七十四億は御承知のように自主流通のためでございます。これは当然自主流通を円滑に流すためには必要なことでございますので、自主流通のために出しました。それからあとの百億は、やはり生産調整に協力していただくために、そういう協力をしていただいた方に奨励的な意味で差し上げ、そして生産調整をうまくやっていただこう、こういう精神でございます。
  76. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると去年のように、いまさっき農林大臣がお認めになったように、あたかも米の対価のような錯覚をもって受け取る金には今度のはなっていない、そこをはっきりしておいてほしいと思う。なっているのか、なっていないのか。ここをやはり、まあ来年のこともあるわけですから。要するに、昨年の良質米奨励と品種改良というのはおそらく全農家に平均配分のようなかっこうで割り当てたというかっこうになっているんだろうから、あなたがおっしゃったように農家は米の対価のような錯覚をもって受け取っておる。それを米価の中へ入れても変わりがないじゃないかということだろうと思うのですが、私はそれは問題があると思う。会計上は区別をされておる。会計上違うものならば米の対価は上がったということになる、こういうふうになるわけですから、その点を明らかにしておくわけです。来年また問題が起こるわけです。そうすると、来年また二百二十七億を移せばいいのだということにならないということで、いまここで詰めさせていただいておるわけです。  そうするとちょっと伺っておきますが、生産調整協力費というのはこういう形になっていますから受け取らないものもあるのだ、米の対価にはなっていない、こういうふうに確認してよろしいですか。
  77. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 それはこれから私どものほうでもどのようにいたすべきであるか十分研究しなければいけませんが、ただいまの感じではただいま御指摘のような考え方でおるわけであります。
  78. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、これはあくまで生産調整奨励金だから米にはくっついていない。よろしゅうございますね。もう一ぺん確認してください。米にくっついていない。良質米とかいまの品種改良なんというのは、これは米にくっついていたのだと思います、平均して。だからさっきの答弁があった。これは生産調整ですから米にくっついていない。これは確認してください、大臣
  79. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 そのとおりに考えております。
  80. 堀昌雄

    ○堀委員 そうするとこの自主流通米促進奨励費も、これは自主流通米を出さないものには関係ありませんね。だからこれも米にくっついていませんね。よろしいですね。ひとつそれをはっきりしてください。
  81. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 これは御指摘のように、自主流通を出すものだけであります。
  82. 堀昌雄

    ○堀委員 ですからそれを伺っておきますと、結局自主流通米金利、倉敷料、こういうのがあるのですが、この自主流通米金利、倉敷料というのは農協に出るのだというふうに新聞は伝えていますが、これは自主流通米を出しておる農協に、その自主流通米の量に見合って倉敷料を出す、こういうことになるのですか、具体的には。
  83. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 そのとおりでございます。
  84. 堀昌雄

    ○堀委員 そうするとことしのものは、中身をずっと点検をいたしますと、去年のように米についたものではない。明らかにこれはその他の生産調整費、ほかにたくさんまだ項目がありますが、これの部分の増額部分である、こういうことですね。いいですね、それで。
  85. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  86. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。それでは結局今度の問題は、昨年の問題は確かに米にくっついたかっこうでいろいろ資金がついていたからそれはきれいにしようということだ。しかし、米価の水準は上がっていないとおっしゃるのは、私はこれはどうしても詭弁だと思うのです。特別会計として計算上きちんと出るわけですからね。それが四百幾らですか、二万一千三百五円と二万八百五十五円でありますから約五百円ですね。五百円ぐらいは米価が上がっているわけですからね。百五十キロ当たり五百円上がって水準が動かないという話はないですね。大蔵大臣、あなたのほうは計数のほうはあれですから、どうですか大蔵大臣、五百円も百五十キロ当たりのものが動いたときに、要するに水準は動かないというのですから、大蔵省の数学というのはそういうふうになっているのですか。それはちょっと一ぺん確認してください。生産米価の水準は動かないということについて。
  87. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は去年のやり方、これはいろいろ議論がある。しかし実態的には二百三十八億円をパーセントに直して米価に繰り入れた、こういうのですから、形式的にはいろいろ御意見のようなことがありましょうけれども、実態は、私は水準というか、非常にまあぼやけたことばでありますが、水準据え置きぐらいは言わしてもらっても、これはまあお察し、御了解願えるのではあるまいか、さように存じます。
  88. 堀昌雄

    ○堀委員 農林大臣に、時間がありませんからあれですが、大蔵大臣はたいへんいまむずかしい答弁をしておられるのですが、私は実はこう思うのですね。よろしゅうございますか。農林省当局としてはことしも良質米奨励金とそれから品種改良の二百三十八億が一般会計に組んであった。いいですか。これが一般会計にあったけれども、どうも適当でないから、これはこの際こっちへ、特別会計へ移しかえたというのなら、私はまだいまの水準の問題というのは了解できると思うのです。なかったんですよ、実は一般会計には。去年あっただけの話です。ことしは全然予算には何にも組んでないでしょう。ことしの予算というのは、少なくとも私がいま申し上げた百五十キロ当たり二万八百五十五円というのが組まれているだけであって、それ以外のものは組まれていなかったものを組んで五百円ほど上がったのを、それはどうも大蔵大臣、そういう御答弁、ちょっと苦し過ぎると思うのですね。農林大臣、あなたのほうからはっきりした御答弁をいただいて、はっきり水準訂正しましたと——はっきりそうなっているわけですよ、計算上も。お答えをいただいて一応関連質問終わります。
  89. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 これはなかなか、解釈される方によっていろいろあるかと思いますが、農家の手取りの水準は変わってないわけでありますし、私どもはそういうことを言っているわけです。
  90. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。そうすると、国の支払う水準は変わりましたね。私ども食管特別会計の議論をしているわけですから、われわれは国民の側として、支出の側から見ているわけですから、そうすると、食管特別会計としては米価の水準は上がりましたね。農家のほうは変わりませんけれども。そこをはっきりお答えください。これはここで食管特別会計の審議をしているわけですから。——大蔵大臣のお話は聞きましたから、農林大臣のほうから……。大蔵大臣の御答弁はいただきました。
  91. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 これは、去年二百三十八億というのをあげたのは、さっきお話がございましたように良質米奨励金等でありますから、それはもうすでに米の所得である、こういうふうに農家一般が考えておりますので、そこでそれを食管会計の基本米価に繰り入れたということでございますから、いままでは一般会計であったものが、その点は米価に繰り入れられるのでありますから、米を買うときには食管の会計はそれだけふえる、こういうことは間違いないことだと思います。
  92. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、私が伺っているのは、総理大臣の施政方針演説で生産者の米価の水準を変えないと言っておられるわけですから。しかし、変えないというのは、いまあなたがおっしゃった農家の受け取り側としては変わっていない。それはいいですよ。確かに去年受け取りました、ことしもそれを受け取りますから、受け取り側の水準、これは変わらない。しかし私ども国民全体としては、いま私ども支出の側の話をしているわけですよ。生産米価の水準というのは何かといったら、国の払う金のことをいっているのです。それが生産米価の水準です。その生産米価の水準は明らかに五百円変わったわけですよ。私はこんなつまらぬこと、あまり時間をとりたくないわけですよ。だれが聞いたって、日本語の解釈であり、実態の解釈から見て、五百円あいて水準が変わりませんというのは詭弁というだけでして、これはだからはっきりおっしゃったらいいと思うのです。情勢で、しかたがなかったというならそれでいいじゃないですか。何もこだわることはありません。総理大臣も党議は尊重しなければと言っておるのだから、やはり三百議席の党議できまったら、これは政党内閣だから、私はそう国民に約束したけれども、政党の内閣だからしかたがありませんと言えばいいだけのことですから、何もそんなことこだわる必要はないと思うのですがね。農林大臣、そこをちょっと、水準は五百円だけ上がりましたと、事実をそのとおり答えてください。
  93. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 どうもよくわからないのですが、私は、米作農家の所得であると考えておりましたので、したがってそれを、一般会計であったものを基本米価に繰り入れたほうがいい、こういう考えに立った、こういうことでありますので、これは水準は動かしていないのではないか、こういうふうに思っておるわけです。
  94. 堀昌雄

    ○堀委員 じゃ、それはかまいません。そうすると、これから政府の使う「生産米価の水準」というのは農家の受け取り側の水準だ。よろしゅうございますか。これははっきり今度会議録に残りますから、今後はそういうことの場合にはわれわれは信用しません。そういうあれには政府は拘束されない。食管会計から見て五百円上がったものは、これは違うのだ。農家の受け取り側の水準しかわれわれは「生産米価の水準」ということばは使いません。これを限定してください。それならそれでもいいです。生産米価の水準というのはそういうことですと、ここでオーソライズしておいてもらえば、それはそれでけっこうですから。じゃそういうふうに答弁してください。
  95. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 堀さんの言われるようなふうにばかり言えないのじゃないかと思うのです。つまり、私どもが言っておりますのは、いままで米価の外にあったこれをやはり基本米価に繰り入れたほうがいいのではないかということで繰り入れたわけでありまして、農家としての所得には変更がありませんので、米価としての水準は変わってないのではないか、こういう解釈をしておる、こう申し上げておるのであります。
  96. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお話を拡大していきますと、いま生産調整をしておるところがほとんど大部分になっておると思いますね。これだけ広がってきたら生産調整奨励金も農家の所得なんですよ。そうすると、その農家の所得分というものはあげて米の価格と一緒になっておるようなことになったのでは、私はたいへんなことになると思うのです。受け取り側が米に関連して受け取っておる金というものは、時間がありませんから何ですが、ずいぶんいろいろなものを受け取っておるわけですよ。だからそれを機械的にいまおっしゃるような形で据え置いていくとすれば、幾らだって米価は上がりますよ。来年はこの分をこっちへ移してやればいいじゃないか、これをこっちへ移せばいいじゃないかということになれば、米価の水準を動かさないで国の支出はどんどんふえるということになるんですよ。ここは重大な問題なんですよ。だから私がここで一回詰めて御答弁していただきたいと思っておるのは、国が、支出をするほうが生産米価の水準なんですよ。受け取るほうの話になってないと私は思っておるわけです。  ちょっと、法制局か入っておりますから、法制局、もしいまの「生産米価の水準」ということばを法律で使うとした場合には、法律的にはこれをどうあなた解釈するか。いま農林大臣が言われる受け取り側の水準と解釈をするのか、国、支払うほうの水準と解釈をするのか。法律的解釈をちょっと聞きたい。
  97. 荒井勇

    ○荒井政府委員 売買行為というのは法律的には双方行為でございますから、動産を売り渡すほうが対価として現金を受け取るという面もございますし、それから米穀という動産を買い取る側にとっては対価を支払うという、双方の面があるというのが、売買という双方行為の法律的性格であると思われます。ただ、堀先生おっしゃっておられることは、食糧管理法第三条の規定の中では「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ価格ハ」こう書いてございます。その政府の側を中心にして書いているということは、指摘されればそのとおりだと思います。
  98. 堀昌雄

    ○堀委員 いま食管法にも特に書いてありますし、食糧管理特別会計法にも書いてありますけれども、それらの法律の体系をなしておるのは、国のほうからの処理の問題が常に書かれておるわけでして、農民主体の法律は書かれてないのです。そんな法律は日本にはないのです。農民主体に書かれておる法律があったらたいへんけっこうだと思うのですが、そんな法律はないのです。大体国が何らかの規制をするか、権利を制限するか、いろいろすることだけ法律に書かれてあるのが一般的なんですね。だから私はいろいろ考えてみても、農林大臣のおっしゃることは——ちょっと私よその委員会は知りませんけれども、大蔵委員会というところはきちんとものを処理したいということなんです。こうした不安定、不確実なことでものを済ませたくないので、こんなつまらないことに時間かけているのは私はたいへん残念だと思います。どうかひとつこれは詭弁を弄することなく、いまの食管法のたてまえから見ても、あらゆる面から見て、政府の買い入れ価格というのは要するに特別会計が支出する価格ですから、一般会計とは、ずっと別になっているということがはっきりしている以上は、私はそれは水準が変わったと言っていただくか、いまおっしゃるように、食管法とかそういうものに無関係農家が受け取る金額を水準だとおっしゃるのか。いずれか、どっちかにしてください。
  99. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私ども考え方は先ほどお答えいたしたとおりでございます。
  100. 堀昌雄

    ○堀委員 すみませんがもう一ぺん答えてください。先ほどと言われてもあれですから。いま私がだいぶ言ったことを受けて、もう一ぺん農林大臣、御答弁をお願いいたします。
  101. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 去年渡しました二百三十八億は、これは米の価格考えてずっとやってこられたようですから、したがってこれは本年の産米米価の買い入れには基本米価に繰り入れることがよかろう、こういうことでやっております。したがって、会計的には食管会計のほうの支出になるわけであります。したがって、私どもの申しておる米価の水準というものは変わったとは考えておりません、こういうことをお答えいたしたわけであります。
  102. 堀昌雄

    ○堀委員 それじゃ、さっき私が伺った百五十キロ当たり二万六百八十一円と二万一千三百五円、これはどちらが水準なんですか。それじゃこれはどっちがどの年の水準になるのですか。ちょっと農林大臣、お答えください。いま私が申し上げた二万六百八十一円ですか。いま私が申し上げた二万一千三百五円に見合う四十五年産米価格というのは幾らですか、事務当局ちょっと答えてください。
  103. 亀長友義

    亀長政府委員 二万六百八十一円と申しますのは、四十五年産の買い入れ価格でございます。そのほかにいろいろな奨励金があったということで、実質的な意味に着目して大臣が御発言になっておるのだと私は考えます。
  104. 堀昌雄

    ○堀委員 あなたはいいですから。大臣、いま話がありました二万六百八十一円というのが昭和四十五年産米の買い入れ価格の水準ではないですか。
  105. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 四十五年産米価は二万六百八十一円です。
  106. 堀昌雄

    ○堀委員 それが昨年の水準でしょう。昨年の水準が違うのですか。そこから聞きたいわけですから。昨年の生産米価の水準というのは何か、答えてもらいたい。それの金額は一体幾らなのか。
  107. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私どもといたしましては、先ほど来申し上げております二百三十八億、これは良質米奨励金等でありますから、それはやはり米の奨励金でありますので、私どもといたしましては、昨年、四十五年産米の平均水準というのは、そういう良質米奨励金等を加味したものを水準としていく、こういうことで、経済的な問題としてはそのように考えております。
  108. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、要するに去年は生産米価は据え置いた、水準で据え置いたということになっているのです。よろしゅうございますか。据え置いていなかったのに据え置いたという、うそを言ったわけですね、去年、四十五年に。そういうことですね。これはあとから会議録をもう一ぺんひっくり返して、後刻の時間にやらしてもらいますからあれですが、あなたがここでうそを言ったことになったら食糧管理特別会計法、われわれは通しませんよ。よろしゅうございますね。
  109. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 四十五年産米は御存じのように四十四年産米と同じでございますので、それを据え置いた、こう言っておるのでありますから、変わってはおらないわけであります。
  110. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、私はいま米価の話じゃなくて、皆さん、水準ということばを使っていられますから、そこでその水準ということをちょっときっちりしておきたいというわけです。ですから、いま大臣も御答弁になったように、去年の生産米価の水準ということばを皆さんが使っておられた中身は、要するに基本米価プラス二百三十八億円というものを加えたものがすでに昨年の米価の水準だったんだ、こういまお答えになりましたね。だから、そういう水準だったからことしは水準は動かないんだ。そうして、去年の生産米価の水準というのはその前の年と同じだ、こうなっておるわけですよ。同じじゃないですよ、実はね。だから、そうなればそこで食言が起こるわけですからね。だから私は、いまから四十五年分いろいろな問題の会議録を調べてみて、その点にもし違いがあるならば、われわれとしてはその重要な法案について、農林大臣が食言されているようなことでは困るから、ちょっとこの法律通すのはお断わりしますよと、こう言っているわけです。だからその点は責任ある答弁をひとつしてください。それならそれでいいのですよ、それは。
  111. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私も古い数字を記憶しておりませんでしていまあれですが、去年は二百三十八億つけました。それからその前の年は二百二十五億でございます。したがって、その前の年と去年とは、買い入れ価格においては変更はありませんので水準は据え置かれた、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  112. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの三百二十五億と二百三十八億、十三億違いますね。そういうのはもう違わないというのですね。ちょっと水準が違いますよ。
  113. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 まあ水準ということばは法律用語ではないかもしれませんが、大体われわれは、一−五等ございますので、それを平均して、その上に何がしかのものが、良質米奨励金のようなものがついておりますので、したがってそれの平均のところを水準と、こう申しておるわけであります。
  114. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと事務当局に聞きますが、四十四年の二百二十五億というのはこういう名前じゃありませんでしたね。名前、何でした。
  115. 亀長友義

    亀長政府委員 二百二十五億は稲作改善特別対策費補助金ということでございまして、実質的には肥料等の費用に充てるということでございました。しかし、一俵販売量に応じていくという点につきましては、二百三十八億の場合と同じように支出されておるわけでございます。
  116. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、名前は要するにどうでもいいわけですね。稲作改善何とかであろうと、良質米何とかであろうと、品種改良であろうと、名前のことは何でもいい。要するに農家に何らかの形で、国民をごまかして金をやったんだということですね。表向きの基本米価だけはこうですよということをたてまえにして、いろいろな名前をつけてこっそりと、一般の国民にわからないように農家に金をやったんだ。だからそのことにおいては同じことなんだぞ、ことしを含めて同じことだ、こういうことですね。
  117. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ごまかしというのはちょっと困るのですけれども、つまり、私どもといたしましては、その年、年にやはり必要なものが考えられるわけでございます。たとえば去年で申せば、やはり去年は等級間格差、それから銘柄格差をこの際採用すべきであるという意見がだいぶ強くございましたので、そういう方向を助成していくために特別な支出をしよう、こういうことで良質米奨励金というふうなものを出す、こういうことをいたしたわけであります。受け取るほうでどういう感じを持つかは別といたしまして、やはり良質米をできるだけ奨励したいという考え方に立って奨励金を出した、こういうことであります。
  118. 堀昌雄

    ○堀委員 事務当局にちょっと聞きますが、そうすると、要するに去年の品種改良奨励金というのと良質米生産奨励金というのは同じことをいっておるのですか。これは違うのですか。別に分けてありますね。
  119. 亀長友義

    亀長政府委員 品質改良奨励金のほうは一俵当たり二百円、それから良質米奨励金のほうは一等から三等まで金額が違っております。七百五十円、五百五十円、三百五十円というふうに支出されることになっております。
  120. 堀昌雄

    ○堀委員 四等以下はないのですね。
  121. 亀長友義

    亀長政府委員 最初申し上げました一俵二百円出ますものにはございますが、良質米奨励金は三等まででございます。
  122. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると非常に問題が出てきました。本年の一−三等までと四等以下の買い入れ数量は幾らに計算していますか。五百八十万トンの一−三等までの買い入れ数、それから四等、五等、ここはないと言うのだから、これを平均してそれにぶち込んだのは、相当重大な問題が先ほどの答弁としては出てきた。いまの三百円のように全部にいっているならいい、それをこう持っていったというなら話はわかる。ない部分があるのだから、いまの五百八十万トン、一−三等までとそれから四等以下と、幾らの買い入れ予定数量になっているか答えてください。
  123. 亀長友義

    亀長政府委員 一−三等とそれから四等以下の数字、ちょっといま持っておりませんが、大体半半くらいと御理解願いたいと思います。三等以上が半分、四等以下が半分、一般的にそういうことでございます。  先ほど私、二百円、七百五十円と申しましたのは、一俵当たりでなくて石当たりでございますので、これも訂正します。  それから、平均的にぶち込んだのは、三等以上しかないものを平均的にぶち込むのはけしからぬというお話ではないかと思いますが……
  124. 堀昌雄

    ○堀委員 それはいいです。  そうすると、さっき農家の手取りが、私は中身をつまびらかにしていなかったから、いまの石二百円と同じように、要するに良質米奨励金のほうも全部パーになっているのならおっしゃるような処理がされて私はちっともおかしくないと思う。しかしあなたのおっしゃるとおりに農家の手取りは違いますね。こうなってきたら、そうすると四等、五等までの米を受けておった人は、ことしは去年に比べてだいぶふえるのじゃないですか。ふえなきゃおかしいですよ。いまの金額、あなたの答弁では、石当たりでしょうが、七百五十円とか三百五十円とか、だいぶ差がある、片一方はゼロだから、それが今度は、多少差はくっついてくるのでしょうけれども、要するに基本米価の中に入った以上は、四等、五等にも本来なかったものがきているはずでしょう。
  125. 亀長友義

    亀長政府委員 その点は扱いとしまして、もちろん良質米奨励金は米価には入れますが、支給をする際には、御承知のように等級間格差というのが従来ございます。ちょうどあれと同じような支給のしかたをするわけでございます。したがいまして、従来どおり一等には七百五十円、二等には五百五十円、三等には三百五十円、四等以下には加算なしというかっこうで交付をいたすわけでございますから、実際上御指摘のようなことはございません。
  126. 堀昌雄

    ○堀委員 平均の米価の中へ積み上げる。そうすると、結局上のほうだけが得をする、こういうことになるだけですか。平均米価をことしこれだけさわったらよっぽど上のほうは高くなるということですね。平均で、私が見ても五百円ぐらい上がっていますね。五百何円か上がっているわけだから、平均で五百何円上がっているということは、半々だといえば高いところは千円以上上がるということですか。そして下のほうはゼロだということですか。
  127. 亀長友義

    亀長政府委員 結局昨年と同じような状況になるわけでございます。
  128. 堀昌雄

    ○堀委員 時間がちょっとあれですから、正確な資料で一ぺんいまのあれを提出してみてください。私ここに計算機を持っているので、すぐ計算をするから、資料にして出してください。それまで暫時休憩してください。無理ですよ、これでは。
  129. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 ちょっとよくおわかりにならなかった点があると存じますが、四十五年産米について良質米奨励金と品質奨励金と二種類出されておった。その中身は、先ほど亀長長官から御説明があったように、一等米には七百五十円、二等米には五百五十円、三等米には三百五十円、そのほかに一−五等米を通じまして二百円の品質奨励金というのが出ておったわけでございます。したがいまして、本来基本米価のほかに、一等米については九百五十円、二等米については七百五十円、三等米については五百五十円、それから四等米、五等米については二百円という奨励金がついておったというふうに考えられるわけであります。そういたしまして、今度の米価に関しましてはその形そっくりそのまま米価の中へ取り入れましたので、結局従来の基本米価二万六百八十一円は大体そのままの形で米価になっているわけでございますけれども、その上にいま申し上げた奨励金に当たる二百三十八億円を積んだわけでございます。したがって、各等米が幾らふところに入るかということにつきましては、四十五年度、四十六年度、大体大差ないというふうに考えてよろしいのではないかと思います。
  130. 堀昌雄

    ○堀委員 土台のほうに等級間格差というものがあるでしょう。等級間格差のあるところへまた上積みしておるわけですね。今度はそうすると等級間格差というのはどうなるのですか。それを全部横へ持ってきて上積みしたら等級間格差が広がる。それがそうならなかったのなら、一体それはどこへいくのかという問題になる。
  131. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 四十五年度におきましても等級間格差はございました。その等級間格差のほかにいまの九百五十円から二百円までの格差がついておりましたから、かりにこれを米価考えるならば、本来の等級間格差の上にさらに等級の格差がプラスされておったという状態であったわけであります。それと全く同じ状態が、四十六年度においても各等米について、ついてくるということでございますので、その点では四十五年度も四十六年度も変わりがないということであります。
  132. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。受け取りの中身はそうしたら去年と同じで、今度は基本米価の中に非常な等級間格差ができたということですね、第一点は。わかりました。  それでは、受け取りの側は全く昨年と同一だ、階層別に見ても全く同一だ。要するに支払いの側だけが変わった、こういうことですね。だから、皆さんそれじゃこういうふうに答弁してください。農家の受け取りの生産米価の水準は昨年と同じです、そう答えていただいたらこれに関する質問は私は終わります。農家の受け取りの生産米価の水準は昨年と同じです……。
  133. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農家の受け取りの生産米価の水準は、昨年と同様であります。
  134. 堀昌雄

    ○堀委員 私の質問はこれでいいです。
  135. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 大蔵大臣、いまお聞きのようで、こんな話は正直に、国民にもわかるように日本語をちゃんと解釈していけば二分か三分で終わる話を、これだけ時間がかかっておるのだ、一時間も。私一時間もこうやってちゃんとここへすわっておるのですよ。これがいまの農政の実態なんだな。農民はさっぱりわからない、何をするのか。総合農政やります、総合農政やりますと言っても、私何ぼ聞いたって農民が納得するような総合農政一つも出てきていない。これだけ苦しんで、家族別れ別れになって、日本の高度経済成長の中で地下鉄工事や何かで倒れていく出かせぎ農民、もう十年以上もこれを続けているけれども、農民のこの出かせぎの問題に対して何一つ手を打っていない。そして農林大臣のお話によりますと、これから工場がいくであろう、農村工場で何とかするであろう、何とかこれからこうしたいと思いますみたいな話では、現実農業で食っていけなくなってくる、作付減反だ、米価の据え置きだということになってくれば。そういう中で農政方向はいままで何を基準にして、これからどういう方向でいこうとするのかというものを明示し、その上で現実の問題を処理されるというならわかるけれども現実はもう農政が混乱しておるから、私先ほど申し上げたけれども自殺者が出ておるわけです。一体これをどうするのか。私はこれだけ聞けば私の質問を終わるのですよ。ところがいまの大臣の御答弁はただいまお聞きのとおりのような答弁で、総合農政が一体何なのか、そして出かせぎの問題にどう対処しようとするのか、これからどういうふうに農民を指導していこうとするのかというのが一つもわからないわけです。大蔵大臣は親分でありますし、農政のことは何やかやと大蔵省が御指導なすっておるようでありますので、農林大臣の答弁どうも不満足なので、大臣のおるところでひとつ大蔵大臣から、総合農政の中身はどうなんで、これからどうするのかということをお伺いして、農林大臣に帰ってもらいます。
  136. 福田赳夫

    福田国務大臣 農家は、わが国とすると非常に大事な社会基盤である、こういうふうに私は考えておりまして、これを、あらしが吹きすさぶというような、世界的な高成長経済下においてどういうふうに持っていくかということは非常に大事な問題だというふうに観念しておるのです。とにかく農業生産の半分は米だというから米に着目しなければなりませんが、米が過剰な状態である。そこでおおよそ二割の減反ということをする。しかし残った八割の米作に従事する農家につきましては、これは生活安定の方法考えなければならぬ。それから二割につきましては、これは農林省が明らかにいたしておりますように、転作を主体といたしました新たなる農政というものが展開されなければならぬというふうに考えておりまして、財政当局といたしましてもこの二つの方向につきましては大きく協力をいたしていきたい、こういうふうに考えておるのであります。つまり、農家はそういう形におきまして生産性を向上して、農業基本法がねらいとする所期の目的に到達するように、これが私の農政に対する基本的な考え方であります。
  137. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 大臣急ぐそうですから、事務当局にもう一つ大臣のおる前で聞きたいのです。  私は、三、四年たったらおそらく米は足らなくなるだろう、こういう話をしたのですが、大臣の答弁はどうも、もやもやして私はわからない。私の想像で、足らないようなことは絶対にあり得ない、こういうことですねと念を押したけれども大臣の答弁、はっきりしないのだが、皆さんのほうでは、この数年以内にまた米が足らなくなるだろう、そのときにまた増産してくれなんて農民にはお願いのできる筋でもないだろうが、そういうことはあり得ない、そういうことはもうお願いしない、こういうことで計算をされたと大臣は言っておるのですが、予てのとおりでいいですか。
  138. 亀長友義

    亀長政府委員 私どもは「米穀の需要生産長期見通し」というものを五十二年度まで作成をいたしております。この「需要生産長期見通し」をさらに精査をいたしまして、四十五年十二月にまとめました「農業生産地域指標の試案」というのを出しておりますので、両者の数値から判断をいたしますと、五十二年度には一人当たり純食料で八十・三キロの消費量である。総需要量は千百六万三千トン、こういう見通しでございます。したがいまして、現在の作付面積あるいは反収の水準、こういうものを前提に計算をいたしますならば、やはり原則的には、平年数量で千四百万トン程度の生産力は維持される、したがって、五十二年度までには相当量の生産調整を行なうという前提で需給均衡と申しますか、千百六万三千トンにおおむね達することができる、かように考えております。したがいまして、五十二年度までの見通しによりますといま御指摘のようなことはないものと考えております。
  139. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 もう私の質問も終わりますけれども、何べん聞いてみても、大臣のいまの御答弁でも、もう出かせぎの問題は十年も続いているわけです。しかもこれだけ日本は経済成長しているわけです。そうすると、このまま続けて米価水準は上げない、作付減反をしろといえば、農家農業収入が減ることは当然です。そうすると、家計の穴になった面をかせぐためにはますます出かせぎをしなければならない。こういうところにはまってくるわけです。それを十年もほったらかしておいたということ自体が私は不可解千万なわけです。いまここでそういう手当てをされた上で、いまのような作付減反であるとかあるいは作目転換であるとかいうものが並行的に、あるいはむしろ先行されてしかるべきものじゃないか。それが政治というものじゃないか。それなしに、まずいじめておいて、そこから生活苦でしぼり出すような形でやられることは、これは全く残酷な農政だ。私はさっきから指摘をするのですけれども、それに対する明快なものが一つも出てこないわけです。そこで農民は苦しくなる。先の見通しが立たないというところで自殺者が出る、こういうことになるわけです。そういう点を大臣はどうされようとするのか。これは農林省だけの問題じゃなしに、私、政府全体としての政治問題だと思うのですが、そういう点での明示を、ひとつ農業政策という点でお示しを願って、私は質問を終わりたいと思っております。
  140. 福田赳夫

    福田国務大臣 阿部さんのおっしゃるように、私は、農業施策はこの激しい世の中の動きにおくれがちである、こういうふうに見ております。やはり、農家が先々はどうなるだろうということについて不安を持っておる、これはどうしても解消して差し上げなければならぬ、こういうふうに思います。そういう見地に立って農林当局は、作付の転換でありますとか、あるいは全国にわたる新しい農業配置図というようなものを作成するなど、ずいぶん努力はしております。しかし世の中のテンポがあまりにも激しい、そこでいろいろ悩みも出てくるというというのが現状じゃあるまいか、こういうふうに思いますが、何としても私は、農業政策といたしましては、この大事な農家に、先々に対しましてはっきりした展望を持つような農政が実現されなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。せっかく政府といたしましてもそういう方向努力をいたしていきたい、かように考えております。
  141. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 だから私は、作付減反などという非常に乱暴な政策をおやりになる前に——この農業基本法ができた時点から出かせぎというのはふえ続けてきておるわけです。しかももう十年をこえておるわけです。その間になぜそういう政策がもっととれなかったのか。たとえば出かせぎや日雇いをやれば収入は入るかもしれません。だけれどもそれはあくまで非常に不安定です。しかもこの東京へかせぎに来ても、家族を連れてくるほどには職は安定しないわけです。そうすればいや応なしにこれはたんぼを捨てるわけにいかない。また帰らなきゃいかぬという不安定な職業についておる以外にないのです。そういうものをもっと安定をさしていくということになれば、政府がねらう規模拡大というものも当然そこから出てくるはずなのです。ところがそれをやらないで、低賃金で、しかも不安定な職業でこき使ってきた、こういうところに問題があるので、そのことをまずやるべきだ。そうして、米だけが余る余る言うけれども、日本の農産物の自給度はまだ非常に低いわけです。そうすればほかのものに対して、食管法のワクをむしろ逆に広げていく。農業の性格からいけば当然のことなのです。工場生産ほど生産性が上がらないということはだれでも知っておることなのです。そうすればそういう問題に対して、酪農であるとかそういう需要のあるものに対して、いまやっておるようなあんな支持政策ではなしに、もう少しきちんとした政策をやってそちらへ転換をするような指導政策があっても当然のことではないか。そういうものなしに、何にもかにも採算が合わなくして、米以外には安定したものがなくしておいて、それで今度米に集中していく、その米をやめろじゃ、これは農民に対して政治ではない。残酷なやり方じゃないか。しかも資本のほうには、大臣が一番よく知っておるように、あれだけ大きな準備金だ、引当金だ、いや開銀の融資だという、この至れり尽くせりの手を打っておるならば、この農業転換の道にも、転換のための政策が先行して、その上でいまのような政策がとられるのがほんとうじゃないか。私はもう少しほかの農産物にもまず価格支持政策をやるべきだ、こう思うのですがいかがですか。
  142. 福田赳夫

    福田国務大臣 価格支持政策ばかりに限定するわけにはまいりませんが、やはり転作対象農作物に対しましてはいろいろな施策を講じて、それによりまして、米はたとえやめましてもこっちでいけるのだ、こういう形の農業ができ上がらなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありまして、その具体化はこれは農林省のお仕事でございます。しかし財政当局といたしましてもそういう方向につきましてはできる限りの御協力を申し上げたい、かように考えております。
  143. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 これで終わりますけれども、もう一つは、先ほど来私が言っておりますように、出かせぎの問題もうこれだけ続いておるのですから。しかも農村では、働いても労働基準法の精神なんというものはみんな吹っ飛んでしまいまして、半年ごとに臨時雇い、臨時雇いの繰り返しですよ、実際いうて。一つも安定しないのです。同じように働いておる本雇いの人たちと何も変わらない。しかし退職金の問題であるとか、あるいは組合の結成がむずかしいようにするために、資本家の都合のいいようにやるのでしょうけれども、法の精神なんというものは一つもない。もう半年ごとに契約を切りかえては切りかえ、臨時雇いでこれをこき使っていくという制度がいまや日本じゅう蔓延してしまっておるわけです。これでは農民が安心をして、ある意味政府の御指導するような方向で転業をするとか、あるいは規模拡大をしていこうということには私はならぬと思うのです。そういう点であまりにもいまの政治が、資本家のわがままだけは目をつぶり、そうして農業のいままでやってきた問題、この基本法の精神からいってみてもおかしいし、皆さんがいま需給のバランスで価格をきめるなんといってみたって、あの強権供出した時代は、国際価格から見ても日本の米は安かったんですよ。そういうときには別な理由をつけて、民族の生命をどうだこうだというようなことで強権供出しておるわけです。現実にあの時代は国際価格よりも日本の政府のきめた米価水準は安かったわけです。そういう時代もあったわけだ。しかしそれもあえて農民は耐え忍んで今日まで来たわけですよ。それをいまこのような形で締め出していく、農業をつぶしていこうという政策は私は何としても合点がいかない。  そこでもう一つ私が言いたいのは、そういう国内のアンバランスの中で対外援助なんということをやれば、もう日本の政治は必ず帝国主義的な侵略的な性格を持たざるを得ないと思うのでありまして、私はいまのこの食管の問題にからむいまの政府の姿勢に対しては非常に大きな不満を持つわけであります。  私の質問を終わります。
  144. 毛利松平

    毛利委員長 堀君。
  145. 堀昌雄

    ○堀委員 いまから食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の質問に入りますが、実は食糧管理特別会計法の今度の改正案の中には、米穀の「輸出ヲ目的トシテ売渡スコトニ伴ヒ本会計ノ国内米管理勘定ニ生ズル損益計算上」云々とあります。実は輸出の問題がこの法律と関係がございます。ついては輸出に非常に重要な関係のございます国際的な金融情勢の問題を、これに関連をいたしましてちょっと最初に御答弁をいただきたいと思います。  一昨日来、西ドイツを中心として欧州の金融市場におきましては異常なマルク投機が起こりまして、各金融市場は一斉に閉鎖をされておるという実情のようでございますが、これに対する日本側としての当面する対応策その他について、現在の時点における大蔵大臣の御所見をちょっと承りたいと思います。
  146. 福田赳夫

    福田国務大臣 先般、ドイツの経済研究所、これが重要都市に五つある、それが連名で連銀当局に対して意見具申をいたしたわけです。つまり、この際為替変動制を採用したらどうか、こういうようなことですね。それに対する政府の対応のしかた、これがどうもはっきりしなかったようであります。これは私も十分事実をつかんでおりませんけれども、そのようなことがきっかけとなりまして、マルク買いの投機が始まりました。一昨日は為替市場が開かれると三、四十分にして、まあ五億ともいわれ十億ともいわれるのですが、その規模のマルク買いが行なわれる、こういうことになりました。ドイツ政府は為替市場を閉鎖する、こういうことになったわけです。その影響を受けまして、今度はスイスでありますとかオランダ、ベルギーあるいはポルトガル、そういうところで連動して動く、こういうことになったわけであります。  わが国に対しましてはどういう影響があるか。これは、わが国は短期資本の移動を厳重に管理をいたしております。そういうような関係からさした影響はありませんけれども長期資本と分類される株式の購入、これは多少従来よりは多かったか、こんな感じがいたします。また、これは気にとめる必要はないんじゃないかと思いますが、為替銀行の手持ちのドルを外為会計に売るという額がふだんよりも多かった、こういう状態でございますが、きょうになってみますとそういう状態が非常に静かになりまして、外為への売り、これなんかも、午前中私が聞いたところでは百何十万ドルというような程度のものになりまして、きわめて平静であります。わが国といたしましては現行為替相場を堅持する、かねがねそう申し上げておりましたし、その線を堅持してまいりたい、かように考えております。
  147. 堀昌雄

    ○堀委員 数日前、日本銀行が、新聞の伝えるところでは三億数千万ドルの買いささえをした、こういうことでもありましたし、それに、これはおそらくドルを持っておりましたものがヘッジのために売ったんだろうと思いますけれども、この前もちょっと公定歩合の操作の問題のときに触れました、またその前の国際金融のいろいろな問題のときにも、例の為替変動幅の問題というのが、今後なかなか重要な一つの、BISなりあるいはOECDなりあるいはIMFなりの課題になる可能性が非常に出てまいったと思います。この前も大臣は、日本としては為替変動相場制は反対だということをはっきりおっしゃっておりましたけれども、今日においてもそうだと思いますが、その点ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  148. 福田赳夫

    福田国務大臣 国際社会でワイダーバンド、つまり変動幅を拡大したらどうだ、こういう意見が一部にあります。しかしヨーロッパにおきましても、とにかく一番経済が安定しておると見られるフランスのごときはこれに反対しております。それから北欧諸国なんかもそういう行き方には反対だ、こういうことでありますので、なかなかこれが国際コンセンサスという形にはならないのじゃないか、そういうふうに思いますが、わが国としてはこういう国際社会においてどういう態度をとったらいいかというと、固定為替相場制度、これが一番いいんだ、こういうふうに思います。  それでわが国に対しまして、いろいろ経済のマナーにつきまして議論があるようであります。一つは輸入制限の問題。これは、日本は先進諸国、しかも輸出がますます増大している、にもかかわらず輸入は制限をする、けしからぬ、こういう御意見。それからもう一つは資本の問題なんです。これはいまスケジュール的に進めておりまするけれども、これも五〇%の自由化というようなことで、国際的にはかなり日本のやり方については不満を持っておる。それから関税ですね。これはわが国はケネディラウンド、これを実践したわけでございますが、それでもなお問題がいろいろ提起される。それからさらに問題でありますのは、日本の輸出というのが、ある商品ある時期を限って見ますると、ばかに一時的にふえるケースが非常に多いわけであります。その輸出節度というものに対する日本業界への要請、これは非常に強い状態であります。  そういう問題を一つ一つ片づけていかぬと、いろいろいわれるような外圧というものもあろうかと思うのでありますが、とにかく日本がほかの国と違います点は、ほかの国があるいはわが日本を見習うというような傾向になるかもしれませんけれども、短期資本につきましてはその自由な移動には弊害がある、こういうことで厳重な管理をしておるわけです。そういうようなことで、いかに外圧がありましても、ドイツがマルクのアタックを受けるというような状態にはわが日本としてはならないのですが、しかし国際社会でいろいろ評判を悪くしては、これはトレードというか、そっちのほうに影響があります。そのトレードの問題、これは十分気をつけて、ただいま申し上げましたような国際社会における不満、そういうものにつきましては——何も正しくない要請、これには応ずる必要はありませんけれども、省みてわが身に正しからざるところがあるという点がありますれば、これは率直に改めていかなければならぬ。のみならず関税ですね。こういう国際情勢下においては、わが日本のごときは関税障壁、これをさらに引き下げるという方向でぜひ国際社会においてはリードをとるべきであるとも考えまするし、また、そういま指摘されておるわけじゃございませんけれども、対外経済協力、さらにこれを積極化する。阿部さんからもいま御意見がありましたが、私どもは対外経済協力というものをこれからさらに積極化し、かつその内容を改めていかなければならぬ。いままでの対外経済協力というと輸出と連動して動くというような色彩が非常に強かったのでありますが、輸出は輸出、経済協力は経済協力。その経済協力の実をあげ、その与えられる開発途上国とわが日本との間に心と心とのつなぎ合いができるような形の援助のしかた、そういう援助の質的改革というものに踏み切っていかなければならぬじゃないか、そういうふうに考えておるわけであります。  それらをちゃんとやって、国際的に批判を受けるというような事態が起こらないというような状態でありますれば、わが国の為替政策、これはほかのどの国からも批判は受けないし、かりに不当な批判を受けるというようなことがありましても、わが国の為替管理法はわが国の立場をもう完全に貫き得る、そういうふうな確信を持っております。
  149. 堀昌雄

    ○堀委員 もう一点だけです。何か新聞の伝えるところによると、いま輸出はたいへん伸びておりますね。今期も、先月ですか二十億ドルぐらいの輸出認証があったというふうに新聞に伝えられておりますけれども、そこで何か輸出課徴金のようなことを大蔵省考えておるとかなんとかいうようなことが新聞に出ておりますが、私はこれはちょっとナンセンスだと思います。これはおそらくそういうことはないと思いますが、大臣はそういうことをお考えになっておるかどうか、それだけお伺いいたします。
  150. 福田赳夫

    福田国務大臣 私も新聞で見まして、大蔵省がそういう検討を始めておるがごとき記事があってびっくりしておるのです。わが大蔵省におきましては、さような問題につきまして検討いたしておるというような事実はありません。
  151. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、いまのことに関連をいたしまして、これはちょっと順序が少し逆でありますけれども、実は食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の中で、「輸出ヲ目的トシテ売渡ス」という項目に関して、農林省のほうでは四十六年度に大体四十万トンの米の輸出を想定して四十六年度食管特別会計が組まれておる、こういうふうに承知をしておりますが、いまのお話のように、米の輸出というのは発展途上国と非常に競合をする重要な問題の一つであります。世界的にも米の生産というのはだんだんふえてまいりまして、一九六五年を一〇〇として、一九六八年の推定というのが一四%くらい世界の米の生産量もふえておる、こういうようなことにもなっておるわけであります。資料によりますと、昭和四十五年の見込みとして八十三万トンであったか、そのくらいの輸出の見込みをしておられるようでありますが、ちょっと農林省にこの輸出関係のことを最初に伺っておきたいと思います。
  152. 亀長友義

    亀長政府委員 四十五年の見込みは、七十九万九千トンを積み出しベースで見込んでおります。このうち貸し付けを三十万一千トン、かように見込んでおるわけであります。
  153. 堀昌雄

    ○堀委員 実は相当多量なものが——貸し付けはちょっと違うでありましょうが、それを引きましても約五十万トンくらいが輸出ということになっておるのですが、この四十五年度の輸出の内訳ですね、国別とそれから数量別にちょっとお答えいただきたいのです。
  154. 亀長友義

    亀長政府委員 七十九万九千トンのうち、貸し付け三十万一千トン、これは韓国、パキスタンでございます。これを除きますと、残りはKR援助、緊急援助、延べ払い、かような形に相なります。KR援助は予定といたしましては六万四千トンを見込んでおります。これはインドネシア、韓国、パキスタン、その他三カ国ほど見込んでおります。緊急援助は日赤を経由するものでございまして、これは二万トンを見込んでおります。援助合計で、KRと緊急援助で八万四千トンでございます。延べ払いはインドネシア、韓国、パキスタンの三国を予定いたしておりまして、四十一万三千トンを予定いたしております。
  155. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしますと、これはあれこれ入っていて非常にわかりにくいのですが、韓国には結局——これは四十五年度というのですが、この前四十三年、四年の閣議できめた三十万トン、三十三万トンというのがありますが、それ以外にもなおかつ四十五年度のいまの三十万一千トンがあるというわけですか。
  156. 亀長友義

    亀長政府委員 ちょっと資料が複雑でございますので、順番に申し上げます。  韓国に対しましては、KR援助で四十年五月二日に取りきめをいたしましたものが……
  157. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと待ってください。これまでの総量を聞いておるのじゃないのですよ。実は四十五年の輸出の量を聞いているのです。四十五年度までの総量は聞いてもあまり意味がないのです。  皆さんのほうからいただいた資料によりますと、四十三会計年度は輸出実績が三万五千トン、四十四年が四十三万九千トン、四十五年見込み八十三万六千トン、こうなっているわけですよ。「米の輸出及び飼料」云々による米のほうですね。だから私は、この四十五年の八十三万六千トンの見込みで輸出をするというのは一体どこへ行くのか、こう聞いているのであって、四十四年に四十三万九千トンとありますから、おそらくこれは、いまの韓国の問題等は閣議決定が、終わりのほうが四十五年の二月の十五日か何かの閣議決定になっていますから、これは四十四年度処理になっていなければおかしいというように私は思うわけです。だからそこらでこれはどういうことになっているのか。ちょっとつまびらかにしていただきたいということなんです。
  158. 亀長友義

    亀長政府委員 ちょっと詳しい資料を持ってきておりませんので御説明いたしかねますが、船積みベースと契約ベースとございまして、予算上の処理は船積みベースでいたしております。
  159. 堀昌雄

    ○堀委員 いま四十五年の見込みの八十三万六千トンの中身は答弁できないですか。
  160. 亀長友義

    亀長政府委員 八十三万六千トンは、沖繩の延べ払い三万七千トンを先ほど申し上げました七十九万九千トンに足した数字だと思います。
  161. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると四十五年に、七十九万トンというものの中に韓国に対する貸し付けの問題があるのですが、韓国に対する貸し付けは何回やったのですか。
  162. 亀長友義

    亀長政府委員 二回でございます。
  163. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると四十四年の四十三万九千トンというのは一体どうなるのですか。私は、韓国に対してはいま言ったように二回目が四十五年の二月六日の閣議決定になっておるから、これは四十四年度かと思ったら、あなたは四十五年度だ、こういう話です。そうすると、四十四年度の第一回目が、契約が四十四年の三月十一日だから、これはやはり四十五年度でないとおかしいのじゃないかな。これは当然、実行は四十五年度になっておるとすると、韓国の分が三十万トン入っていなくて、四十四年に四十三万九千トンも実際輸出しているというのはどこに輸出したのでしょうか。具体的にちょっと答えてください。
  164. 亀長友義

    亀長政府委員 第一回の貸し付けは四十三会計年度で三万五千トン。四十四会計年度で二十九万八千トンでございます。それから第二回目の貸し付けは四十四年度で二万八千トン。四十五年度で二十七万二千トンでございます。
  165. 堀昌雄

    ○堀委員 これはしかし契約はどうなっているのですか。韓国の第一回目は二回に分けて契約されているのですが、閣議は四十四年三月十一日の閣議決定、調印となっているのじゃないですか。ここはどうなっているのですか。
  166. 亀長友義

    亀長政府委員 基本的な方針につきましては、これは閣議できめております。しかし契約担当官との契約は会計年度ごとに区切って行なっております。
  167. 堀昌雄

    ○堀委員 それではいまの四十四年の四十三万九千トンの中身をちょっと言っていただきたいのと、延べ払いでいまあなたのほうで四十一万三千トンと言われたのですが、これをちょっと明らかにしてください。
  168. 亀長友義

    亀長政府委員 四十三万九千トンという数字は四十四会計年度の、これは沖繩を含めました援助、延べ払い、貸し付けの合計額でございます。この四十三万九千トンの中には先ほど申し上げました韓国に対する第一回の貸し付け分の二十九万八千トン、それに第二回目の二万八千トンがその中に含まれております。
  169. 堀昌雄

    ○堀委員 その他は。
  170. 亀長友義

    亀長政府委員 それから四十万トンの場合は、これは四十五会計年度から四十六会計年度にわたって行なわれます延べ払いの数字でございます。
  171. 堀昌雄

    ○堀委員 いまあなた韓国が二十九万八千トンと二万八千トンと言われたから、三十二万六千トンしか出ていないのですよ。四十三万九千トンですから、あと残りは何があるか。
  172. 亀長友義

    亀長政府委員 それでは四十三万九千トンの中身をこまかく申し上げますが、インドネシアに対しましてKR援助で一万六千トン。緊急援助でナイジェリアに対しまして六千トン。援助合計二万二千トン。延べ払いはなし。貸し付けは韓国の二十九万八千トンと二万八千トン、パキスタンに八万四千トン。これを合計いたしますと、援助、延べ払い、貸し付けの合計で四十三万二千トンになります。この上に沖繩に対しまして七千トンございまして、四十三万二千トンに七千トン足しますと四十三万九千トンと相なります。
  173. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると韓国の問題というのは、これから四十万トン輸出として推計してありますね。これで見るとやはり大きいのは大体韓国の三十万トンというのが大きいのですが、毎年当分あるという想定ですか。
  174. 亀長友義

    亀長政府委員 韓国に対しましては、御承知のように四十五年に四十万トンの輸出契約をいたしまして、四十六年度にあるかないかははっきりいたしません。ただ四十五年分として約束をしたもので四十六会計年度処理しなければならぬものが二十五万トンございます。この二十五万トンは会計上は四十六会計年度処理をいたすことにしております。残り十五万トンにつきましては別に、韓国の四十六年度分が新しく四十万トンくらいあって、そのうち四十六会計年度処理が十五万トンくらいというふうに特定して見込んでおるわけでは必ずしもございません。その他の国もあるし、大体十五万トンくらいは見込んでもいいのではないかという観念で、四十六会計年度四十万トンと決定したわけであります。
  175. 堀昌雄

    ○堀委員 本会議まであと五分しかありませんから、ここでやめまして、本会議後にやらしていただきます。
  176. 毛利松平

    毛利委員長 午後三時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十五分休憩      ————◇—————    午後三時十三分開議
  177. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、来たる十日開会する大蔵委員会公聴会における公述人の件について御報告申し上げます。  自動車重量税法案についての公述人の人選等につきましては、さきに委員長に御一任願っておりましたが、理事各位との協議により、次のとおり決定いたしました。  すなわち、東京大学名誉教授今野源八郎君、明治大学商学部教授清水義汎君、横浜国立大学経済学部教授井手文雄君、会社員西内一君、全日本トラック協会副会長高橋憲太郎君及び日本自動車連盟常任理事マキノ正美君、以上六名に決定いたしましたので、御報告申し上げます。      ————◇—————
  178. 毛利松平

    毛利委員長 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  179. 堀昌雄

    ○堀委員 本日配付をされました「過剰米数量およびその損失について」というこの文書は、農林省の資料ですね。
  180. 亀長友義

    亀長政府委員 さようであります。
  181. 堀昌雄

    ○堀委員 この資料には間違いはありませんね。
  182. 亀長友義

    亀長政府委員 間違いないと思っております。
  183. 堀昌雄

    ○堀委員 大蔵省にお伺いをいたします。  この一番最初のページの二番目に「四十六年度以降における処理計画予算編成時における計画)」ということで、四十六年から四十九年までの四年間の処理数量、用途別、損失金額がここにあげられております。そこでお伺いをしたいのですけれども、玄米一トン当たりの現在の国内米の管理費の内訳というのを見ますと、管理費の合計で、四十一年は一万一千六百二円でありましたものが、もし現在の過剰米全部を含めた計算をするならば、四十六年度の一トン当たり玄米の管理経費は二万六千百六十二円と、こういうことになっておるということであります。大蔵省、これに相違ありませんね。
  184. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 そのように存じます。
  185. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、要するに国内米はいまのところずっとふえてきておるわけですし、これから二百万トンずつ予定どおり減るとすれば、この二万六千百六十二円は確かに多少減るだろうと思います。しかし、ここで計上されておりますのは、四十六年に二百万トン処理して、損失が千八百七億円、四十七年に二百万トン処理して、損失が千八百七億円、四十八年に二百万トン処理して、損失が千八百七億円。どうしてこういう計算になるのでしょうかね。そうすると、単位当たりの価格がだんだん下がってきておるということになるのか、処理するときの費用、要するに売れる価格がだんだん上がってくるのか。何らかの前提がない限り、これは予算編成時における処理計画ですから、計画である以上は、農林省としては要するにこれだけの管理経費が上がっておるということをすでに各種の資料で明らかにしておる以上、少なくともそれに見合う処理がされておらなければ、こんなもの計画と言えないのじゃないですか。私がこれは誤りないかと言って聞いているのは、千八百七億円というのがそのままずらずらずらと三年間並ぶようなことはあり得ない。計算してもう一ぺん出し直してもらいたい。
  186. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 ここで毎年二百万トンにつきまして千八百七億円の損失を計上しておりますのは、各年度食管特別会計に計上されておりますこの処分するお米の記帳価格から売買の価格を差し引いた残りにつきまして、毎年千八百七億円の損失が生ずるということでございまして、このほかにおのおの在庫である過剰米についての管理経費は別途毎年かかるわけでございますが、その分につきましてはこれを当年度の、毎年度の損失として食管会計の中で経理していこうというわけでございますので、ここで繰り延べの対象となる損失額の中には各年度過剰米全体についての管理経費は入っておらないと思います。
  187. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、要するに千八百七億円というののベースになった米の価格はトン当たり幾らですか。
  188. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 評価価格といたしまして、四十六年度で申しますとトン当たり十万九千百八円でございますが、それに対しまして、飼料用として処分いたしますものにつきましてはトン当たりの損失が八万五千二百七十六円でございます。それから、工業用として処分いたしますものにつきましてはトン当たり五万四千五百二十二円の損失、輸出用として処理いたしますものにつきましてはトン当たりの損失が六万六千七百三十六円、平均いたしましてトン当たり損失は七万八千四百九十三円というふうに計算いたしております。処分価格のほうの平均は、したがいましてその十万九千百八円との差額でございますが、三万六百十五円でございます。
  189. 堀昌雄

    ○堀委員 この十万九千百八円というのはどこから出ているのでしょうか。
  190. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 食管特別会計におきます庫米の帳簿価格でございます。
  191. 堀昌雄

    ○堀委員 在庫米の帳簿価格というのは四十二年から始まっているわけでしょう。四十二年、四十三年、四十四年、四十五年ですか、四十二年から入っていますね。一体これはどうやって出しているのでしょうね。年度年度で、四十二年にあった米、四十三年にあった米、四十四年の米、四十五年の米というのは、おのおの価格が違うはずですね。これはそうするとどこの価格ですか。
  192. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 各年産の平均でございます。これは単純平均でなくて、処分予定の産米につきましての加重平均でございます。
  193. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、まず第一点は、この十万九千百八円については、この計画の四十九年末まではそのまま、こっちのほうはスタンダードですね。いまの帳簿価格で計算したのはいいです。  そこで、残ってくる問題を少し具体的に伺いたいのですが、飼料用は二万三千五百三十三円に売れる、こういうことになっていますね。工業用が五万四千六百十五円、輸出用が四万三千四百二円に売れるのだ、大体そういうことですね、金額は。そこで、一体このほうはずっと動かないという保証があるわけでしょうか。片方は固定したからいいですが……。
  194. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 飼料用その他の価格につきましては、私から説明いたしますより農林省のほうが専門家でございますけれども、えさにつきましては、えさといたしまして処分いたします場合に飼料の輸入価格を参酌いたしまして、それと可消化養分総量というものを計算いたしまして、米だとどの程度のトウモロコシならトウモロコシに匹敵するかというような計算をして値段をきめていくわけでございますので、国際的な相場によってそのときどきの飼料の価格というものは左右されることがあると思います。それからまた輸出用につきましても、現在、米の国際価格はだんだん下がっておるわけでございますけれども、やはりそのときどきの国際価格に左右されるということがございますので、現実の売却といたしましてはこの金額を上下することはあり得るというふうに考えております。
  195. 堀昌雄

    ○堀委員 えさの最近の輸入価格をちょっと言ってもらいたい。最近三年ぐらいでいいですから。いまのこれはトウモロコシに大体なるのですか。大体何かを目安にしてあなた方はこの二万三千五百三十三円を出しておる。要するにこれの代替になるものとして、いま主計局の次長が答えたものの最近の価格の変動の状態をちょっと答えてください。
  196. 亀長友義

    亀長政府委員 米の払い下げえさ用売り渡し価格は、トウモロコシとマイロ、大豆かす等の代替飼料の価格の動向を配慮して、ピーターソン方式という方式で決定をいたしております。したがいまして、輸入飼料が上がれば上がる、下がれば下がるという代替関係を保つことになっております。トウモロコシにつきましては、昨年アメリカが非常に不足をいたしまして値上がりをいたしましたが、本年に入りましてからやや下がりぎみでございます。この具体的な数字をいま持っておりませんので、あとで御報告申し上げます。
  197. 堀昌雄

    ○堀委員 私の質問中に、ひとつ具体的な数字を取り寄せて答えていただきたいと思います。
  198. 亀長友義

    亀長政府委員 四十四年八月から九月までの月別の数字を、トウモロコシとマイロについていま持っておりますので、おも立ったところを申し上げますと……
  199. 堀昌雄

    ○堀委員 私はそんな月別のこまかい数字は必要でないのです。私のほうがいま伺っておるのは、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年というものの中の三カ年が二百万トンで、全部が同量に見込んでおるわけですね。飼料の場合は百四十万トン、工業用が二十万トン、輸出用が四十万トン、こういうように見込んで千八百七億の損失というように、ずらっと機械的に書いてあるものですから、私どもはどうもこれは計画として正当でないということでいまこれを論議しているわけです。年次的でないと、結局これは皆さんのほうも平均して処理をされることでしょうから、毎月毎月の値段が動くというならとてもこんな計画のもとにならないと思うので、過去三年くらいの上限下限でもいいですから、どういう状態で何%くらい動いているのか。
  200. 亀長友義

    亀長政府委員 調べて御報告いたします。
  201. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで次は、輸出が四万三千四百二円で四十万トン、こうなっておりますね。そこで、ちょっとここで法制局にお伺いをしたいのですけれども、この食糧管理法を見ますと、「貸付又ハ交付」ができるというように第七条の一項に書いてあります。これを受けて、食糧管理特別会計法の第六条で「食糧管理勘定ニ於テハ夫々国内産米穀、国内産麦及此等以外ノ国内産主要食糧並輸入ニ係ル主要食糧ノ売渡代金、調整勘定ヨリノ受入金其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ此等ノ買入代金並買入、売渡、交換、貸付、交付、加工、製造、貯蔵及運搬ニ関スル諸費、業務勘定及調整勘定ヘノ繰入金其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス」こういうふうに書かれておるわけですが、この「貸付」というのは、これは明らかに貸し付けているわけだから、確かに現状のものから外には出ておるけれども、これは返ってくるわけですが、この貸し付けという行為を歳出に立てるというときは、法律的には私は何かちょっと——外に貸してあるということは、要するに、裏返せばある意味では債権がこっち側に残っておるということになるので、会計的に見ると、それが歳出に立つというところが私はどうも法律的に疑問があるような感じがするのですが、ここのところは法律的にどういうことですか。
  202. 荒井勇

    ○荒井政府委員 この食糧管理特別会計法第六条に書いております「貸付ニ関スル諸費」というのは、その貸し付けによって米が政府の管理から貸し付け対象の者、ほかに移され、そこに貸借関係が生ずるというそのこと自体を言っておるのではございませんで、それに関する諸費ということが書いてあるわけでございますので、それに関して経費がかかるという場合には、その食糧管理勘定における経費を歳出とするということを言っているのだと思います。
  203. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、確かにいま韓国の米の場合でも、要するにFOBでやってCIFであとで受け取るということで、それによる運賃の費用その他は韓国が負担するのだという契約になっておりますから、そういう費用、要するに貸し付けに要する諸費用、こういうふうにここは読むのが相当ですね。
  204. 荒井勇

    ○荒井政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
  205. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、これまで韓国、パキスタンに貸し付けをした分は食管会計としては別に会計上の計算はない。大蔵省、そうなりますね。そのいまの諸費はいいですよ。諸費は当然立ちますが、米そのものに対する部分は出入りはないのだ。要するにあることとして処理されている、こういうことになると見ていいわけですね。
  206. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 貸し付け米につきましては、食管特会の国内産管理米貸借勘定表を見ましても、国内米の中に貸付米という項目があって、資産に計上されておるような次第でありまして、したがって、貸し付けたことによって、そのこと自身による損益というものは無関係であるというふうに考えます。
  207. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。そうすると、私がさっきちょっと触れましたのは、輸出用の価格というものがここで四万三千四百二円となっているのですが、少なくとも現在の大体の価格というのはトン当たりほぼ六万円くらいですから百八十ドルから百九十ドルですか、そこら辺になっていますね。そうすると、いまのこの四万三千四百二円というものが輸出用の対価としてここに計上されておる、これの積算の基礎というのはどういうところからきているのですか。農林省答えてください。
  208. 亀長友義

    亀長政府委員 輸出用として評価をいたしております四万三千四百二円というのは、四十五年九月当時の輸出価格のFOB百三十七ドルを基準にいたしておるわけでございます。貸し付け米の場合には、これは等質等量のものを返還しておるということでございます。
  209. 堀昌雄

    ○堀委員 貸し付け米は、何ですか、もう一回ゆっくりおっしゃってください。
  210. 亀長友義

    亀長政府委員 貸し付け米の場合には等質等量のものを返していただくという考え処理をいたしております。
  211. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの百三十七ドルというのは、四十五年の九月ですが、これも最近どういうフラクチュエーションがあるのか、わかっておりますか。
  212. 亀長友義

    亀長政府委員 四十五年の九月でございます。先ほども四十五年九月と申し上げたつもりでございます。最近の時点で申しますと、国際的には米の価格というのは一般的にはむしろ弱含みであるというふうに考えております。したがいまして、長期的には何年も後のことはわかりませんが、ここ近年は弱含みで推移するのではないかと考えております。
  213. 堀昌雄

    ○堀委員 その次には工業用のあれでありますが、まず輸出用のほうのさっきの四十万トン、これも非常に、私、不確定だと思うのでありますが、工業用の二十万トンというのは、これまた少し少な過ぎるのじゃないですか。皆さんのほうの資料を拝見すると、工業用にはもう少したくさんに過去には消費されておる、こういうふうに思うのです。酒類以外の原材料用用途別の消費量というところを見ますと、四十二年はたしかに二十万一千九百トンでありましたが、四十三年は二十五万七千八百トン、四十四年は二十四万六千七百トン、こういうことになっておりますね。これはおたくの資料だけれども、事実に違いありませんか。
  214. 亀長友義

    亀長政府委員 私どもここで工業用と申しておりますのは、米の工業用の需要全部をさしておるわけではありません。普通の一般の米の中から売却する分は除きまして、いわゆる過剰米の中から充当する見込みが二十万トン程度である、このように見込んでおるわけでございます。したがいまして、ここでいう過剰米からの工業用以外に、新米とかいわゆる一般売却で渡す工業用というものがございます。これは二十万トンの外数でございます。
  215. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、これまでのところで見ると、四十三年度に二十五万七千八百トンとか、四十四年に二十四万六千七百トンということは、この中の二十万トンは古米にして、あとの四万トンとか五万トンとかの端数は新米にする、こういうことですね。
  216. 亀長友義

    亀長政府委員 そのとおりでございます。新米でないとやはり、たとえば菓子等はどうしても新米がほしいというようなものもございますので、御指摘のようなことでございます。
  217. 堀昌雄

    ○堀委員 このいまの五万四千六百十五円というのは、これはどこからくるのでしょうか。
  218. 亀長友義

    亀長政府委員 これは工業用の売り渡します価格で、従来こういうものには主として輸入砕米が使われておりまして、その代替として古米を渡すというような考えでございます。したがいまして、輸入砕米の売り渡し価格を基準にいたしまして、この価格の基準で玄米換算をいたしますと五万四千六百十五円という価格に相なるわけでございます。
  219. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、いまのお話ですけれども、ここに酒類以外の「味噌、菓子、穀粉、染色糊、ビタミン強化米、その他」というのが「原材料用の用途別の米の消費量」になっていて、そうしてそれの中は、「水稲粳、水稲糯、陸稲粳、陸稲糯」ですか、小計として四十二年度は十万九千五百トン、それから「準内地米、普通外米、粳砕米」それからあとの「糯」のほうの「丸」と「砕」、こうあって、その砕米というのは、粳砕米というのでその年で五万九千トン、それから精米の砕で二千トンというようなことで、これまで、いま工業用というのは全部輸入砕米だとおっしゃるけれども、実態はそうなっていませんね。
  220. 亀長友義

    亀長政府委員 いままでもちろん輸入砕米ばかりではございません。準内地米もございますし、内地米でも充当されておるものもございます。特にモチ米につきましては、これは私ども過剰米売却の対象にはいたしておりません。ここで工業用と申しておりますのはウルチ米ばかりでございまして、モチ米はこの中には含めておりません。それから、もちろん輸入砕米以外にも準内地米、普通外米とか、いろいろなものが原料として使われておりまして、そういうものが現在なくなっておるという状況でございます。
  221. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしたらどうして、要するに輸入外米の砕米ですね、それを基準に計算をしてここへ価格が出たか。これはやはり四十五年産米までのを工業用に出すのですから、それは四十二年のようなものは非常にまずいかもしれないけれども、しかし年次別にあなたのほうの計画を見ると、少し先へ行けばかなり近いものも出てくるようになっているんだから、これはどうして輸入砕米の価格で計算をしておるのか。私はこれが輸入砕米で実際これまで全部まかなわれておるというのなら当然だと思うのですよ。そうでない価格体系のものがほとんど使われておるわけですね、実際の中身としては。さっき私が触れたように、これまでの実際の消費量というものが四十二年度は二十万トン、四十三年度が二十五万七千トン、四十四年度は二十四万六千トン、これだけしか、酒類以外の原材料用の用途別の米の消費というものはこれ以外のものはないと思うので、その中からあなたの言う二十万トンを古米でやるんだ、残りということになれば、いまのお話のようにモチ米というのはこれはいまの古米処理ではない、こういうことになりますれば、モチ米がここで、陸稲のモチが六万五千トンですか、水稲のモチが三万七千トン、こうなっているわけだから、これだけ引いても大かた十万トンくらいあるわけですね。だから十万トンここから引くと、これまで四十二年にモチ米以外のもので実際に消費されたのは十万トンくらいしかない。四十三年にくれば、やはりモチ米が四万四千トンと五万九千五百トンですから、やはり十万トンくらいある。四十四年は水稲のモチ米が三万トンで陸稲のモチ米が六万二千五百トンで、やはり約十万トン近くある。そうするとこの十万トンを引いてしまえば、十万トンから十五万トンくらいしか実際にはモチ米以外の消費はないのに、二十万トンというのはおかしいじゃないですか、そうしたら。
  222. 亀長友義

    亀長政府委員 御指摘のように実数からまいりますと、従来の例から申しますと二十万トン割る数字に相なります。私ども見込んでおりますのは多少希望的な面もございまして、古い米であるからなるべく工業用途の新規用途も拡大したらどうかという、その過剰米処理委員会での検討の御意見もございまして、やや欲ばった感じはいたしますが、一応二十万トンと見込んでおるわけでございます。たとえばライス・フレークであるとか新規用途を開拓したらどうかというような意味があったわけでございます。
  223. 堀昌雄

    ○堀委員 しかしそれにしてもちょっと、過去の実績から見ると過大なような気がしますね。私いまモチ米の丸、砕を除いて話をしていますが、モチ米については、そうなるんなら、モチ米の丸と砕というのがありますから、それが二万三千トンと一万トンで三万三千トンですか、そうすると約十四万トンくらいですから、実際のこれまでのモチ米を除いた、要するにウルチ米による四十四年度消費も十万トンくらいだ。各年度十万トンくらいしかないのに二十万トンに評価をしたというのは、これはいまの予算計画上としては過大に失するということになりますね。どうでしょうか。
  224. 亀長友義

    亀長政府委員 先ほども話がございましたが、私どもは工業用として、やはりこれは主として食用の場合が多いわけです。食用でないものもございますけれども、食用が多いので、なるべく新規用途を開発したいということもございまして、過剰米処理委員会でも、おおむね十五万トンぐらいかもしれないが二十万トンぐらい見込んだらどうかという御意見があったものでございますからさような計画でございましたので、御指摘のようにやや希望的ではないかという御批判はあろうかと思いますが、従来の実績と非常に離れたというわけでもなかろうかと私どもは思って、大体適当なところじゃないかと思っておる次第でございます。
  225. 堀昌雄

    ○堀委員 いまあなたのお答えになったライス・フレークの問題ですけれども、あなたのほうの過剰米処理委員会は「米のその他の用途としては、ライス・フレーク、パフド・ライス、ライス・クリスピー、米粉入りパン、米飯缶詰、玄米のり、飼料用ぶどう糖等が考えられるが、いずれもあまり大きくまとまるものはなく、さしあたりの過剰米処理の対象として多くを期待することはできない。」と、こう書いておりますね。これはあなたのほうの過剰米処理昭和四十五年十月七日の資料ですからね。だから、そんなものはすでに過剰米処理委員会のほうで、過剰米処理の対象として多くを期待することはできないと言っておるのを、多くを期待しておるというのはちょっと問題があるのじゃないですか。
  226. 亀長友義

    亀長政府委員 まあこの見込みの問題でございますが、私どもの実績から申しますと、たとえば四十三年度では工業用、これはモチ米も入っておりますけれども、酒類で五十万四千トン、酒類以外で二十五万七千トン、四十四年も大体それに近いような数字が「原材料用の用途別の米の消費量」というところでございまして、かような観点から、ウルチ米だけを引き出しましても、私どもそう過大な見積もりではないというふうに考えております。しかしこれはあくまでもちろん計画でございまして、私どもとしてはなるべくこの計画が一応妥当と認められる範囲で、実行もなるべくそれに近づけるように努力いたしたいと考えております。
  227. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと待ってください、きちんと計算してもう一ぺんやりますから。——正確に計算をしました。四十二年はモチ米の消費が十二万一千百トン、ウルチが八万八百トン。それから四十三年はモチ米が十二万七千六百トン、ウルチが十三万二百トン。四十四年はモチ米が十二万六千三百トン、ウルチが十二万四百トン。ですから、これは過去における三カ年の実態から見て、モチ米の消費が大体十二万トンぐらいだということはまず間違いないでしょう。だからこれをいま除いて、ウルチの八万トン、十三万トン、十二万トンというものをもとにして四十五年から二十万トンずつ四十六年、四十七年、四十八年と組んだというのはいかにも、それは希望かもしれないが、これはわれわれが大蔵委員会で計数でものごとを審議する場合にちょっと納得のできる数ではないということです。大蔵省どうですか、あなた方はこの計画でやっぱり納得しますか、こんなずさんなもので。
  228. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 ちょっとお手持ちの資料がどういうのかよくわからないのでございますけれども、私どもの持っておりますところでは、従来工業用につきましては大体十七、八万トン使われておるというふうに承知しております。したがってそれを一割ないし一割五分程度工業用がふえるということで二十万トンを見込んでおると承知いたしておるわけでございます。
  229. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとその資料を見せてもらおうか。そうすると私のほうの持っている農林省のは間違いだな。「過剰米処理に関する検討の報告」という中の資料についている分で私はいま言っているのですよ。これはたいへん具体的で、さっき申し上げたように「味噌、菓子、穀粉、染色糊、ビタミン強化米、その他」小計として、酒類以外の「原材料用の用途別の米の消費量」という中で四十二年、四十三年、四十四年と出ておるのだからこれは間違いがないと思うので、大蔵省の資料が間違っているのか。どっちが間違っているのか、さあ、それをはっきりきめてからいこう。
  230. 亀長友義

    亀長政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど堀先生御質問の御数字はそのとおりでございます。私どもの資料と一致をしております。同じ資料によりまして四十四年度について見ますと酒類四十五万三千四百トン。これとその他の工業用の二十四万六千トンの合計を足しますと七十万一千トンになるかと思います。これは精米の分でございますので、これを玄米換算をいたしまして内地米と輸入米とに分けます。そこで、先ほど十七万二千トンとおっしゃったのですが、それは工業用七十万一千トンを玄米換算いたしますと七十七万八千トン、このうち国内産が六十万六千トン、輸入が十七万二千トン、かような数字に相なるわけでございまして、この十七万二千トンについて竹内次長からお話があったのだと思います。
  231. 堀昌雄

    ○堀委員 要するに、いまのベースで出ておるのはこれは全部玄米換算のトン数、こういうことですね。そうすると皆さんのほうの計画数量のトン数というのは全部玄米ですね。
  232. 亀長友義

    亀長政府委員 この紙は玄米のつもりでございます。
  233. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、いま竹内さんが言われた四十四年が十七万二千トンでしたかね。十七万二千トンというやつは四十四年がそうですが、四十二年は幾らですか、それで見ると。
  234. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 四十二年は同じ数字が十八万三千トンでございます。
  235. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、私のほうの精米換算では八万八千トンの割合。そして今度逆に玄米換算では十八万三千トンというのはこれまたどういうことでしょうか。そうすると、いまあなたの感じで言うと大体一〇%増になるという感じもしますね。私のほうの、精米が七十万一千トンでしたかになっておるのが七十七万トンくらい、こういうお話だったから大体一〇%増くらいになる。それならば、四十二年の場合は八万八千トンですからまあまあ九万トンくらいであるのに、竹内さんのほうの資料で見るとこれが十八万三千トンになっておる。これはどういうわけですか。
  236. 亀長友義

    亀長政府委員 どうも数字が混乱してくるのでございますが、竹内さんのおっしゃっておりますのは、輸入米で工業用に使われたものだけをおっしゃっておるわけでございます。ですからいわゆる酒類以外の原材料用の数字とは違うわけでございまして、先ほど先生がお話しになっておりましたのは酒を除く工業用原材料米の数量は幾らかという御質問でございまして、その点について先生が私どもの資料で計算されたところは実は十二万トンくらいじゃないかという御質問でございました。私ども、その点はそのとおりでございます。ただ処理委員会のほうでは、もっと開拓できるのじゃないか、業界のほうは値段さえ下げれば三十万トンというけれども、大体いいところ二十ないし二十五万トンじゃないかという結論があったので二十万トンにしたということで、輸入だけが占めておるわけではございませんので、ちょっと混乱をいたしておるのじゃないかと思われます。
  237. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしたら、竹内さんの答弁していただいた数は正確には何ですか。
  238. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 昨年度におきまして輸入米のうち工業用として使われたものの数量でございます。
  239. 堀昌雄

    ○堀委員 それじゃさっきのものと合わないのはあたりまえです。それで私はちょっと伺いたいのですが、ここに水稲とか陸稲とかと書いてある部分、線より上の部分というのは内地米のことだろうと思うのです。そこから下のほう、準内地米、普通外米、粳砕米、それからモチ米の丸、砕、こう書いてある。この線から下のほうの小計に当たる部分が輸入で線から上は内地米だろう、私はこう見ていたんだけれども、これはどうなっているんでしょうか。全然計数が合わないのです。——わかりました。いまの線の下の酒米の五万六千百トンと酒類以外の九万二千四百トンを足して約十四万八千トンぐらいだから、それが玄米換算すると十八万トンになりますかな。十八万トンにはならぬでしょうね。
  240. 亀長友義

    亀長政府委員 すぐ調べましてお答え申し上げます。——外米の精米は内地と非常に歩どまり差がございまして、大体八〇・八%が歩どまりになっております。その歩どまりの差だと思いますが、正確に計算いたしましてお答えをさせていただきます。
  241. 堀昌雄

    ○堀委員 いま食糧庁が言われましたように八〇%の歩どまりで計算しますと、四十四年度が今度は十八万七千六百トンになるのですね。さっき次長が答えられたのは、四十四年は十七万二千トンが幾らでしたかね。−四十二年のところは確かに十八万五千トンになりますからやや答えられたのに近いのですが、今度は八〇%にすると、こっちは合うけれども下が合わない。どっちにしてもこれは非常に計数がおかしいですな。
  242. 亀長友義

    亀長政府委員 輸入砕米を玄米に換算いたします場合には八〇・〇八になるわけであります。しかし輸入砕米ばかりでございませんので、そこにございますように準内地米その他の各種の米がありますので、各種の米によって換算率も違いますので、その点を正確に計算申し上げたいと申しておるわけであります。
  243. 堀昌雄

    ○堀委員 これは、いま計算している基礎にしておりますのは、この線から下に書いてある準内地米その他の、要するに輸入のものだけの両方、酒と原料のほうを足しましたのが四十四年に十五万百トンであり、四十三年が十六万八千四百トンであり、四十二年が十四万八千五百トンである。要するに外米のほうだけを計算して、それはあなた方の八〇・幾らというのは倍率にしてみたら一二五%になるわけだから、それをかけてみるといまのような形になって出てくる。だからそれはあなた方のほうで砕米とそうでないものとに全部違いがあるというのならまた話が別かもしれないから、それはそれではひとつあとで私の質問の終わるまでに資料を出せますか。
  244. 亀長友義

    亀長政府委員 ええ、出せます。
  245. 堀昌雄

    ○堀委員 では質問の終わるまでにひとつ資料を出していただきたい。  そこで、今度は法案そのものについて少しお伺いをしたいわけでありますが、この法律の「加工食品ノ原材料ノ用」、これはいまやりました。「其ノ他食糧以外ノ用(飼料用ヲ含ム)ニ供スル為売渡シ」と書いてあるのですが、食糧用以外で飼料用以外に何かあるという法律の大意になっておると思うが、法制局、ここに書いてある文章では、これはそういうことでしょうね。「政府ハ其ノ保有に係ル昭和四十二年以降昭和四十五年以前ニ生産セラレタル米穀ニシテ配給ノ用ニ供スル数量ヲ超過セルモノヲ其ノ定ムル計画二基キ加工食品ノ原材料ノ用兵ノ他食糧以外ノ用(飼料用ヲ含ム)ニ供スル為」とこうあることは、「食糧以外ノ用」の中に飼料はあります。しかしここでこういうふうに書いた以上は、飼料以外にも要するに「食糧以外ノ用」というものがある、こういうことでしょうね。
  246. 荒井勇

    ○荒井政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  247. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、ここでいう「食糧以外ノ用」というのは一体何か。さっき私がちょっと見たところでは「玄米のり」というのがありますね。あとは「ライス・フレーク、パフド・ライス、ライスクリスピー、米粉入りパン、米飯缶詰」というのは全部食糧の用だが、ライス・クリスピーというのは私よくわからぬが、玄米のりは確かに食糧外、食糧以外の用だけれども、これだけですかね。農林省、わざわざここにこういうふうに書いたのは何かありますか。
  248. 荒井勇

    ○荒井政府委員 観念的には、ここに書いております「加工食品ノ原材料ノ用」でない、すなわち食品以外の工業用に使われるということがあり得るわけでございまして、それは米の中に含まれておるでん粉質を工業用に使うとかいうようなことが工業用ののりその他であり得るということで、「其ノ他食糧以外ノ用」ということを書いているわけでございますし、また「加工食品」というのはもちろん人間の食べる食品でございますけれども、そうでない家畜等のえさにするということも「加工食品ノ原材料ノ用其ノ他食糧以外ノ用」という中に入るというわけでこういう表現になっておるわけでございます。
  249. 堀昌雄

    ○堀委員 法制局はいいです。  農林省、具体的にここにこういうふうに法律で書いてありますから、「加工食品ノ原材料ノ用」、これはわかります。「其ノ他」ですから、これはいまのに関係ない。また「食糧以外ノ用(飼料用ヲ含ム)」ですから、飼料用はもちろんその中に入っていますが、「食糧以外ノ用(飼料用ヲ含ム)ニ供スル為売渡シ」ということになっていますから、それは一体何か。いまの法制局の答弁では、ライス・スターチというのはおそらくその中に入ると思うのですが、これで見ると、過剰米処理のところでは技術的に問題がある、こういうふうに書いてあるし、国内産でん粉との競合の問題等がある、こうなっているのですが、そこらは一体何を想定してここに書かれたのでしょうか。
  250. 亀長友義

    亀長政府委員 ただいま法制局からも御答弁がございましたように、工業用、現在ではのりでございますが、そういう米の用途を想定しておるわけでございます。
  251. 堀昌雄

    ○堀委員 ここの中には「染色糊」、こういうのが一つございますが、そうするとこの「染色糊」を大体さしているということですね。
  252. 亀長友義

    亀長政府委員 現在のところそのように考えております。
  253. 堀昌雄

    ○堀委員 それではその次にお伺いをしたいのは、これらのものの中で、だんだん四十二年産米、四十三年産米と保管をしておりますと、変質をしたり、要するに、もちろん食糧用としてもそうですが、使用にたえなくなるものもあるのではないか、こう思うのですが、それは大体はないという想定ですか。
  254. 亀長友義

    亀長政府委員 四十二年——四十五年以前、これはいわゆる古米、古々米でございますので、私どもはもちろんこれを最大限の努力をして保管をいたしておりますけれども、ごく微量には、いわゆる雨にぬれたとかいう事故米というのは通常の年にもございますし、これらの米についてもございます。
  255. 堀昌雄

    ○堀委員 大体いま保管されておるのは四十二年から四十五年まででいろいろな計数が出ておるのですが、去年の十月ですかのときには七百二十万トンというのがあるし、今度の皆さんのこの計画では六百五十四万トンだ、こういうことになっているのですが、一体どのくらいこの中でそういう損耗を見ておられますか。
  256. 亀長友義

    亀長政府委員 私がいま御質問にお答えいたしましたのがいわゆる通常の場合の事故米でございまして、これは全体の量から申しますればわずかなものでございます。またそれには農業倉庫等で保管なり契約上保険をかけておるような形になっておるわけでございます。七百二十万トン、六百五十万トンというのは、もちろん米は古くなっておりますけれども、米としては正常な形で保管されておるものでございます。七百二十万トンは四十五年の十月末、米穀年度末の数量でございます。六百五十万トンとか六十万トンといいますのは四十六年の三月末、会計年度末の時点におきまして、政府の在庫米のうち主食用には売却ができないであろう、すなわち余るであろうと見通される数量でございます。
  257. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、私がこれの質問をしたのは、損失として計上されるものがここに例示されてあるわけですが、六百五十四万トンもあるものがずっとこれからいくとすると、その中ではいまのような使用にたえないものもできるんじゃないかと思いますが、そういうふうに使用にたえなく、自然に変質をしたり何かするというようなものは保険で処理をされるから、この六百五十四万トンは全部これらの用途に充てられる、こういうことになりますか。
  258. 亀長友義

    亀長政府委員 自然減耗といいますか、いわゆる目減り、長い間置いておきますと水分が減りまして軽くなるというものは、これはまた別でございます。保険の対象にもなりませんが、火災であるとかいうようなものは農業倉庫でも保険をかけておりますし、通常の場合は一般の事故処理というようにして、通常の食管の、物を持っておる以上のあり得べき損失の処理という形で考えてまいりたいと思います。
  259. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、いま六百五十万トンというようにたいへんな数があるのですが、そういう自然減耗といいますか、乾燥してだんだん目方が減るというのは——六百五十万トンでこれは何年かいくわけですね。まあ六百五十万トンですけれども、四十六年末になればこれが四百五十四万トンになりますし、さらにそれが二百五十四万トンと減りますけれども、これはどのくらい減るのですか。そういう自然に目方が減るというのは一年当たり大体どのくらいのものなんですか。
  260. 亀長友義

    亀長政府委員 水分減による重量減といいますのは二年間に一%程度、それ以上過ぎればもう減らないというふうに考えております。
  261. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの千八百七億円のベースになっておるところが、売買の損が千五百七十億円で経費が二百三十七億円、こういうふうに皆さんのほうは内訳がつけられておりますね。この経費というのはこれはどういうことになりますか。
  262. 亀長友義

    亀長政府委員 御承知のように、それぞれの年につきまして一応処分の計画がございます。その処分する米を場合によっては加工したり場合によっては運送したりしなければなりません。あるいはその年の初めから処分時までの金利、倉敷を見る、このようなものだけに経費は限定いたしておるわけでございます。
  263. 堀昌雄

    ○堀委員 二百万トンを処理するために二百三十七億円というのは、経費としてはトン当たり約一万円の経費がかかるということですね。これはそれでいいのですか。
  264. 亀長友義

    亀長政府委員 年度当初から処分時まで保管し金利を払う。さらに加工をする。場合によっては横流れしないように加工するものもございます。さらに地域的には運送するものもございます。そういうものを考えますと年間約、トン一万円かかるということでございます。
  265. 堀昌雄

    ○堀委員 竹内さん、私さっきこれの問題の処理をしますときに、この米は要するに勘定の価格だ。要するに実態の処理でなしに、何年かの米のその時点においての勘定の平均値といいますか、十万幾らというのはそういうことだというふうに聞いたわけですね。ですからその米の勘定をするときは一種の理論計算値ですね。要するに勘定の中における計算値として出ておる。ところが今度は、こっちには実態のいまのものをどういう積算の基礎を置いたのか私もよくわかりませんからもう少しこまかく内訳について聞きますけれども、ちょっとこれとそれとが少しかみ合わないような感じが一つします、実際はね。  それからもう一つは、この千五百七十億というのを二百万トンというならば、これは大体いまの売買損ということで見た場合には、これは七万七千五百円というのが何か売買損に立つ、こういうかっこうになって、そうしてあとに経費がくっつくと、こうなるわけですね。理論的計算値でさっきの、私は十万幾らだというふうに話を聞いていたけれども、いまのここの中身の話へ入ってくると、これ個々に売り渡しの問題で、工業用、飼料用、輸出用で経費のあり方はいろいろ違ってくることになるのじゃないか、私はこう思うのですけれどもね。その点はさっきのお話だけ聞いておっていまここまで戻ってくるとちょっとおかしいような気がしますが、どうですか、大蔵省
  266. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 先ほど先生からお話がございましたのは、各年度の米の管理に要する経費が、コストが毎年上がっているじゃないかというお話、おそらくおっしゃいました数字は、過剰米あるいは新米の米で、食管で管理しております米全体についての毎年のコストが少しずつ上がっているじゃないか、こういうお話だったと思うのです。それからもう一つ申し上げましたのは、過剰米といまいわれておりますその七百万トン全体につきまして、その七百万トンがなくなるまでは毎年金利、倉敷がかかるわけでございますけれども、その過剰米の処分に至るまでの、——三年先に処分いたすといたしますと、そうするとこれから先二年間の金利、倉敷というものは、それは毎年の食糧管理勘定の損失として経理をいたしたい。ですからその分は延べ払いじゃなくて単年度で赤字を埋めていきたい。しかし当年度で処分いたしますものにつきましては、いま長官からお話がありましたように、処分までの金利、それから保管料、運搬費あるいは加工費というものをその過剰米にかかります損失といたしまして、売買損と合わせて延べ払いで処理いたしたいというふうに考えております。
  267. 堀昌雄

    ○堀委員 実はさっき私計算上の計数を伺ったときには、十万幾らというのをベースにしてコストがこうなるということになっていて、ですから十万九千百八円と、それから実はおのおのの原価を聞いたわけですね。そうしたら、要するに工業用のものは外米の砕米を基準にして何らかの計数をかけて出しました、こうなっているわけですね。それからさっきの輸出のやつは百三十七ドルのFOBで計算をいたしました。それからいまの飼料は何かトウモロコシなり何とかを計算をしました。そしてその計算をして残ったのがこうですと、こういう計算でさっき八万五千幾ら、五万四千幾ら、六万六千幾ら、こういうものが出ているわけですね。そうしたらこれといまの二百三十七億はどういうふうに結びつくのですか。二百三十七億をいまのこの飼料用、工業用、輸出用に一ぺん配分してください。さっきの話を聞いていたら、実は経費はここへ入ってくるすきがないようになっているのです。要するに、米の売り渡しのもとというのは具体的に聞いたのですから。輸出のときは四万幾ら、これはFOBの価格でございます、こうなっているわけですからね。それと、いまのこの二百三十七億との関係というのはどういうことなのか。これは大蔵省でも農林省でもどっちでもいいです、答えられるところで答えてください。
  268. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 先ほど申し上げましたのは、過剰米の評価価格の平均が帳簿価格で十万九千百八円、それに対してのトン当たり損失の平均が七万八千四百九十円であるということを申し上げたわけでございます。この七万八千四百円の二百万トン相当分——七万八千円は平均でございますから、それの二百万トン分がここにございます千五百七十億に相当するわけでございます。これは売買損の分でございます。
  269. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。  そうすると、私からさっき売り渡し価格をこう一つずつ聞きましたね。ですから、それを十万幾らから引いた残りが七万八千幾らということは、要するにいまのあなたのおっしゃったこの七万八千四百幾らというのが売買損の差だ、こういうことになるわけですか。——そうすると、いまの十万九千円との間に残ってくるものというのは原価の部分、要するにFOB百三十七ドルというのが残るだけになるのですか。いまの経費としてあなた方がおっしゃっているような輸送料だとか倉敷料だとか金利とかはこっちのほうに入ってなかったらおかしいんじゃないですかね。いま計算のもとになっておるのは、飼料用として二万三千五百三十三円、工業用五万四千六百十五円、輸出用四万三千四百二円、これが要するに売れる価格ですね。それを十万九千幾らから引いた残りがあなたのおっしゃったいまの八万五千二百七十六円になってくるわけですから、これの平均値が売買損だということになれば、いまの経費なんというのは、二百三十七億の経費が入るすきも何もないということになる。
  270. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 先ほど申し上げましたように、トン当たりの売買損失が、飼料用につきましては八万五千二百七十六円、工業用につきましては五万四千五百二十二円、輸出用につきましては六万六千七百三十六円で、平均して売買そのものに伴う損失がトン当たり七万八千四百九十三円ということでございますが、そのほかに飼料用につきましてはトン当たりの経費が一万二千四百九十四円、工業用につきましては七千六百十四円、輸出用が一万一千八百十七円でございまして、それを平均いたしますと、処分に伴います経費がトン当たり一万一千八百七十円でございます。この一万一千八百七十円がここの二百三十七億円に該当するものでございます。七万八千四百九十三円のほうは千五百七十億円のほうに当てはまるものでございます。
  271. 堀昌雄

    ○堀委員 どうもよくわからないのですが、私が最初に伺ったのは、要するに勘定上の米の価格がまずありまして、勘定上の米の価格から、たとえば輸出の場合には四万三千四百二円で売れるわけですから、それを引いた残りが出てきますね。それだけが実は売買損になるわけでしょう。ですから、それが売買損になるというので、私がいまの十万九千幾らを伺ったわけです。そうするとその十万九千幾らというのは、いまのあれからいくと、これからあれを引いているわけじゃないでしょう。十万九千幾らから四万三千円というのをもし引きましたら、十万九千百八円から四万三千四百二円を引くと六万五千七百六円となるのですが、しかしあなたはいま経費が一万一千八百七十円、これを足しますと七万七千五百七十六円になります。こういう形で計算していったら平均が七万八千幾らにはならぬですよ。これは違いますか。
  272. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 ちょっとごちゃごちゃしているようでございますから、もう一度繰り返させていただきます。  平均で申し上げたいと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、帳簿価格で十万九千百八円のものを、処分価格といたしましては平均で三万六百十五円で売るわけでございます。これはえさ用で売るものの値段が低いので、その分のウエートが高うございますから平均価格がわりと下がるわけでございます。したがいまして、売買に伴う直接の損失が七万八千四百九十三円でございますけれども、そのほかに当該過剰米の処分に伴いまして発生いたします経費でございますが、支出すべき経費が別に一万一千八百七十円ございますので、合計いたしますと九万三百六十三円になります。それに二百万トンをかけた千八百七億円が二百万トンの損失に当たるというわけでございます。
  273. 堀昌雄

    ○堀委員 その点はわかりました。  それではさっきの計算はできましたか。
  274. 亀長友義

    亀長政府委員 もう少しお待ちを願います。
  275. 堀昌雄

    ○堀委員 実は大蔵大臣、いまいろいろな計数の処理の問題をやっているのですけれども、今度の古米の処理に、損失がともかくこの計画だけで見ますと五千九百六十六億円四年間にかかるのですね。そうして、五千九百六十六億円かけても、全体的に見ましてこれはだれも全く得をしないんです。この米の問題で非常に重要な問題が財政上一つあると思いますのは、どうもこの米の対策の問題について、短焦点で目の前で処理をする考え方が非常に強い。そこで、皆さんのほうでは目の前で処理することにするためには米価を上げないでいくというのはいいだろう、こういうお考えだろうと思うのですが、私はやはりここに一つ問題なのは、ほかのものをつくったらもうかるという、そういう選択がなければ資本主義の世の中では——いまのうしろ向きに、つくるな、つくるなという形で、さっきからのいろいろな生産調整費として千百億を使い、こうやってこれも使い、言うなれば全部これはうしろ向けの経費がいま出つつあるわけですね。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 私は、今後の日本の農政全体を考えてみる場合に、どうもやはり財政制度審議会なんかにおける答申の発想が、やや農業のようなものをまま子扱いにするというか、ややそういう形で、もうちょっとほんとう意味投資をして、ほんとう意味投資から生まれてくるところの果実によって農民がそちらのほうを選択する、こういうことになるのが筋じゃないのだろうか。だから、いま三K問題というものの根本の中にあるのは、私は国鉄問題でもそうだと思うのですが、投資をしないでおいてもうからないという話はやはりまずいんじゃないか。だから、やはりどこかで一ぺん思い切った投資をして、その投資からくる利益というものによって問題を転換さしていくというのが財政的に見ても筋ではないのか。農業問題でも、どうもいまのところ見てみますと、全くうしろ向けの経費ばかりつぎ込んでいるという感じが非常に強いのですが、福田さんは、だれよりも農民を愛される福田さんですから、この考え方についてはいかがでしょうか。
  276. 福田赳夫

    福田国務大臣 その考え方は私もそう思います。つまり生産性向上ですね。この農作物生産性を向上するという方向への努力、これが主軸になった米の対策、これでなければならぬと思うのです。米ばかりじゃない、農作物全体に通ずる問題ですが。したがって、減反をやる、残った八割については生産性を大いに向上するというその施策が必要である、こういうふうに考えておるわけです。それから今度は転換するその転換作、どういう作物が有利であるか、その辺も十分考えて、それは生産性を大いに高めるという方向への農業投資——これはもう価格ばかり言っておったら、これは非常に長い目の農業政策を誤る、そういう認識でございます。
  277. 堀昌雄

    ○堀委員 ところが、いま生産性の問題をおっしゃったのですが、農業白書の資料によりますと、農業の比較生産性というので、三十五年から四十二年までは、だんだんと就業者一人当たりの生産性は上がってきておったのですが、四十二年に製造業対農業で三九・二%までをピークにして、四十三年は三五・六、四十四年は三三・七、こういうふうに製造業対農業は下がる。非農業農業で見ましても、四十二年にやはり三九・四と上がっていたものが、四十三年三六・三、四十四年三四・一と、どんどんこれは生産性が下がってきつつある、こういうことになっているわけですね。ですから、いまおっしゃるように、なぜそれでは生産性が下がってきているかというと、やはり私は、投資方向が、いまのうしろ向けのほうにばかり金が行って、本来の生産性を上げるための投資が行なわれていないところに、こういうふうに現実生産性が下がっていることを農業白書は明らかにしているのだと思うのですが、これについては大蔵大臣として、この生産性を上げるために今日何をすればいいのかという問題点は何かお考えはないのでしょうか。
  278. 福田赳夫

    福田国務大臣 確かに、生産性という統計を見ますと、農家生産性向上は頭打ちのような一面があるわけです。それはおそらく価格の据え置き、これが計算上そこへ出てきておるのじゃないか、こういう感じがしますが、とにかく生産性向上のための施策というものは十分進められておるわけですから、ほんとうの純粋な意味生産性というものは進みつつあるのじゃあるまいか、そういう認識をしております。
  279. 堀昌雄

    ○堀委員 実はこの中で、特にこういうことの問題があるわけですけれども農家総所得は前年度より一二%増の百四十万三千円で、都市勤労者世帯の実収入とほぼ同じ伸びを示し、その増加は八二%を農外所得が占めておる。このような傾向は四十五年度に入ってさらに強まっている。特に農業所得が四十三年度にはわずか三・三%の増加となり、四十四年度の稲作収入の伸び悩み等によって引き続き〇・四%の増にとどまっている。こういうことになっておるわけですね。ですからいまや、要するに所得が伸びたというのは農外所得が八二%伸びて、農業所得が一八%しか伸びないということは、いまの農業基本法による選択的拡大というのがかけ声に終わって、依然として米の生産のほうが全体として有利だというこれまでの農政の誤りじゃないか。特に農業基本法ができてからずいぶん時間がたつわけです。ほぼ十年たつわけです。十年たって依然としてこんなことになっておる。自立農家の問題についても農業基本法でいろいろ書いているけれども、いわゆる自立経営農家は四十四年度においては、農家経済調査の対象農家のうち、戸数で九%、農業生産額で二八%にしか至っていないなんということは、全くこれは農業基本法なんというものをつくってもほとんど実効があがっていない、こういうことじゃないかと思うのですが、今後の問題として一体これはどういう形で処理をされるのか。要するに、これだけの財政の負担をしなければなりませんが、しかし私は、うしろ向けだけに金を使っていたのではいつまでたっても問題の本質的解決にならないのじゃないか、こう思うので、その点を重ねてお伺いします。
  280. 福田赳夫

    福田国務大臣 私もそのとおりに思います。うしろ向きの金はつぎ込んでも意味がない、さように思います。ただ、そう理論的にばかり言えませんものですから、今回の米価というようなことにもなりますが、しかし、たとえば過剰の米が累積しておる、この処理をしなければ米の行政は前進しませんから、これにも金を使わなければならぬ、こう思いますけれども、気持ちの根本は、そういううしろ向きの金はあまり使いたくない。やはり農家の所得、生産性を向上する選択的拡大とか、あるいは農業基盤を整備する、そういう方向に多く金をつぎ込んでいきたい、そういう考え方です。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  281. 堀昌雄

    ○堀委員 数字は出たかな。
  282. 亀長友義

    亀長政府委員 二点御説明しなければならぬ問題がございまして、最初の輸入飼料の価格変動でございますが、トウモロコシとマイロと二種類調査をいたしました。  トウモロコシにつきましては、四十一年二万四千七百五十三円、四十二年二万三千九百五十六円、四十三年二万一千百二十六円、四十四年二万一千八百十九円。マイロにつきましては、四十一年二万一千百二十三円、四十二年二万二千三百五十二円、四十三年二万七百四十四円、四十四年二万三百三十九円でございます。これはいずれもCIFトン当たりでございます。四十五年は通関統計がまだ出ておりませんので、平均が申し上げかねます。  それからもう一つ、先ほどの工業用の数字の問題でございますが、大蔵省のほうから御答弁になりました需給資料の数字は、これはその年の工業用に使われたとみなされるすべての外米を計算をされておるわけでございます。それからもう一つの私のほうで御説明申し上げました数字は、これは入りました外米の中で明瞭に工業用に使われたとみなされるものだけを差し引きをして書いておる点と、さらに農林省のほうは精米トンでございます。大蔵省のほうは玄米トンでございます。この点が性質上違っております。  具体的に数字で御説明申し上げますと、四十二年度には、大蔵省の先ほど需給資料の御答弁では十八万三千トン、玄米トンでございまして、私がお答えしましたほうは十四万九千トンでございます。この違いは、四十二年に二万一千トンの普通外米が輸入されたわけでございますが、四十一年十一月から普通外米につきましては食管法上の流通規制をはずしましたために、販売業者以下の段階で主食用に使われたか工業用に使われたかという点が明瞭でございませんので、農林省のほうの、私がお答えしました資料には十月までの流通規制があった当時の数量、すなわち二万一千トンのうち三千三百トンだけを工業用として計上いたしました。したがいまして十四万九千トンの数字に普通外米で十月以降に使用されたとみなされる一万八千トンを足しますと十六万七千トンになりまして、これを玄米換算をいたしますと十八万三千トンになるわけでございまして、これは先ほど大蔵省の御答弁の数字と一致をするわけでございます。外米の玄米換算率につきましてはいろいろなものがございますが、一率に一割、九〇%掛けということで計算をいたしております。四十三年度につきましては需給資料では十九万三千トンでございますが、この年に普通外米以外のものが十六万八千トン輸入されておりまして、それが過剰米の数字に混入されております。このほかに普通外米が八千トンございます。これは流通規制がはずれましたので過剰米の量からは抜いております。これを加えますと十七万六千トンになりまして、これは同じように玄米換算率九〇%で計算をしますと十九万三千トンに相なりまして、需給資料のほうの数字と合致をする。四十四年につきましても同様でございまして、過剰米のほうの資料では七千トンの普通外米を、流通規制がはずれておりますので除外をしております。これを入れますと十五万七千トンになりまして、これも同じように玄米換算をいたしますと十七万二千トンになりまして、需給資料の数字と合致をする、かような計算の過程でございます。  資料の整理といたしまして大ざっぱに申し上げますと、需給資料のほうは普通外米は一応工業用に使われたものとみなして計算をしてあるのに対して、過剰米のほうで提出をいたしました資料は、四十一年十一月に普通外米の流通規制をはずしたために、それ以後の用途別の需要が把握できないので、過剰米の報告の数量の中では四十一年十一月以降分の普通外米を除外をしてあるという点が実質的な差異でございます。以上申し上げます。
  283. 堀昌雄

    ○堀委員 そうするとあなたがさっき何か、外米の換算八〇・幾らと言ったのは間違いですか。
  284. 亀長友義

    亀長政府委員 間違いでございます。訂正いたします。
  285. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  286. 毛利松平

  287. 小林政子

    小林(政)委員 四十五年度までの過剰在庫米の計画的な処分ということにつきまして、予算措置を明らかにするために食糧管理特別会計を改正する、この自体につきましてはさておきまして、今回の特別会計の改正には、たてまえとして四十六年以降は過剰米を発生させない、こういうことが明らかになっているわけでございます。この問題につきましては、昨年も減反の実施が行なわれましたけれども、しかし昨年の場合には、減反を行なうということは食管制度のたてまえを守っていくのだ、こういったようなことが一応口実になっていわれておりました。しかし今回の減反の問題につきましては、二百三十万トンの減反を実施する、それと同時に政令やあるいは施行令の改正等もこれを行ないまして、そして従来の全量買い入れ制というものを廃止をしていく、しかも政府買い入れ制限をことしから実施をする、こういうことになってきておると同時に、秋には一応物価統制令を消費者米価の場合ははずしていく、こういったようなことがいわれております。このことを考えてみますと、昨年の場合と異なりまして、食管制度のたてまえそのものをやはり大きくくずしていく、こういう立場に立っているのではないか、このように私は考えるわけでございます。であればこそ農民をはじめ、あるいは消費者団体の非常に幅広い人たちからも、この問題に対して重大な関心が寄せられているのであろうというふうに考えます。  私はこのような観点に立ちまして、何点かにわたって質問をいたしたいというふうに思いますが、お米が余っている、いまたいへん過剰米が出ている、こういうようなことがいわれておりますけれども、輸入食糧の問題、たとえばこれは麦だとかあるいはまた大豆だとか、こういった穀物の輸入量というものは毎年毎年その輸入の量を増大してまいってきておりますし、大量の外国農産物が、あるいは穀類が輸入をされている。このことが今日のお米の過剰というものを生み出した一つの主要な原因ではないか、私はこのように考えております。先はどの委員の質問等に対しての御答弁の中にも、やはり今後の農業政策として、主食をはじめ新鮮な野菜だとか、あるいは果樹だとかあるいは畜産など、国内で食糧の自給を確保していくということは、これは国民の食生活の安定にとっても、またわが国の農業政策にとっても、きわめて重要な課題であるというお話がずっと出ておりましたけれども現実にやはりいまのようなこの事態の中で、米が余っている、余っているといいながらも、実際には輸入食糧というものが増大をしている。しかも穀類が相当数輸入をされている。これらの問題等について特に最初、ここ数年来の雑穀あるいは小麦、大豆等の輸入量というものがどのような状態でふえてきているのか。またこのような事態の中で今後この輸入の問題等について具体的にどのような具体方針をお持ちなのか。この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  288. 福田赳夫

    福田国務大臣 確かにいまわが国では、一方においては米は余る、一方においては麦を、大豆を輸入しております。しかしこれはなかなか、米は皆さん召し上がっていただきたい、麦はやめていただきたい、これはもう戦時、非常の際ででもなければできないことだろうと思います。小林さんのほうではどういうふうにそういう事態に対処されるか、私も存じませんけれども、いまのこの民主社会、この中ではとてもそういうことはできないということを基本に申し上げたいと思います。ただその中におきましても、いまおっしゃるような努力はしなければならないと思います。たとえばパンに適した麦、いまほとんど輸入しておりますが、それを国産でできないか、こういうような努力、これはしなければならぬ、こういうふうに思います。そういう努力はしておりますが、これは風土の関係、地味の関係、そういうことがありまして、なかなかそう割り切ったようなことができない。いま農林省ではカナダ麦というようなものが国内ではできないかということを盛んに検討いたしております。また大豆につきましても、何とかもう少し油けの多い大豆はできないか、そういうようなことを検討しておりますが、なかなかそう一朝一夕にできない。そこへ米の過剰問題、しかも一方において米に対する嗜好が減ってくる、こういう問題がありまして、非常に苦慮しておるという状態ですが、いろいろ総合的に考えなければならぬと思います。ただ一方的に、米を皆さんいただきなさい、こういうようなわけには簡単にはまいらぬ、かように思います。
  289. 小林政子

    小林(政)委員 いま大臣からの御答弁でございますが、事務当局からもここ数年来の具体的な数字という点についてお答えをいただきたいと思います。
  290. 太田康二

    太田(康)政府委員 農産物の輸入について申し上げます。  四十一年から四十五年までの数字を持っておりますので、まず農産物の輸入金額で申し上げますと、四十一年が二十一億八千八百万ドル、対前年増加率一一六%、四十二年が二十二億七千九百万ドル、対前年の増加率が一〇四・二%、四十三年が二十三億三千九百万ドルで一〇二・六%、四十四年が二十六億九百万ドルで一一一・五%、四十五年が三十一億五千六百万ドルで一二一%、こういうことになっております。  内訳を見てまいりますと、穀物が、四十一年が八億二千四百万ドル、四十二年が八億七千五百万ドル、四十三年が八億三千四百万ドル、四十四年が八億四千三百万ドル、四十五年が十億二千百万ドル。その内訳は、先生が御存じのように、豚とか鶏が国内でかなりふえまして、濃厚飼料の原料になりますところのトウモロコシ、マイロ等は実は国内ではほとんど生産ができないわけでございまして、これらはほとんど輸入に仰がざるを得ないという結果に相なっております。  そこで、金額で申し上げますと、トウモロコシが、四十一年が二億四千四百万ドル、四十二年が二億七千百万ドル、四十三年が三億七百万ドル、四十四年が三億三千二百万ドル、四十五年が四億七百万ドル。それからグレーンソルガム、マイロでございますが、一億三千二百万ドル、一億六千百万ドル、一億三千六百万ドル、一億五千八百万ドル、二億三千百万ドル。それから小麦でございますが、小麦の中にはこれも飼料用の専増産の小麦もあるわけでございますし、粒用小麦もあるわけでございますが、二億七千九百万ドル、三億三千七百万ドル、二億八千九百万ドル、二億九千七百万ドル、三億一千八百万ドル。これもほとんどえさ用でございますが、大麦が三千百万ドル、四千万ドル、三千八百万ドル、三千四百万ドル、四千二百万ドル。  それからその他の農産物といたしましては、大豆が二億七千二百万ドル、二億七千二百万ドル、二億七千四百万ドル、二億八千百万ドル、三億六千六百万ドル。それから砂糖が一億二千六百万ドル、一億二千二百万ドル、一億四千七百万ドル、一億九千七百万ドル、二億八千四百万ドル。そういったところがおもな農産物の輸入の金額でございます。
  291. 小林政子

    小林(政)委員 いま金額でおっしゃったので、大体書くひまがなくて一応聞いておりましたけれども、額面だけはずっと年々ふえていっているわけですね。私は、もしそういうことであれば具体的に資料で出していただいてもけっこうだと思っていたわけです。具体的に私どもがその点を御質問したのは、この輸入の雑穀あるいはまた穀類というようなものが大体方向として相当量入ってきているけれども、どの程度の状態で増大してきているかという、こういう傾向について実は伺っておきたかったわけでございます。  それで、この問題について先ほど大蔵大臣から、なかなか気候、風土等、それらの問題もあって、日本の国内で全部まかなうというようなことはきわめて困難な問題だというお話がございましたけれども、私ももちろん国内ですべてまかなうということを主張するつもりはなかったわけです。やはりこの無制限の輸入というような問題については、これはやはり検討をしていく必要があるんではないか、こういうことを主張したいわけでございます。  特に私も、先日農林省の発表いたしました「食料需給表」等の数字を見てみましても、大臣言われるように、たとえば小麦の問題一つを取り上げましても、昭和三十五年当時には百五十三万一千トンの小麦が国内で生産をされていたわけでございます。それが、この統計の数字を見ますと、四十四年には七十五万八千トンになってきている。これは三十五年当時を一〇〇と計算いたしますと五二%に下がってきているわけです。あるいはまたその小麦の国内自給率、こういったようなものも見てみますと、三十年当時には四一%国内自給を満たしていたわけでございますけれども、これが四十四年の数字を見ますとわずか一四%に減少してきている。あるいは大豆などの場合にも、三十年当時には五十万七千トン国内で生産をされていた。それが実際に現在は十三万六千トンになってきている。しかもこの自給率等も、三十年当時は国内で必要な量に対する国内産の自給率というものが四一%あったものが、現在では五%しかない。穀類についてもこのようなことが数字として統計で出てまいってきております。  私はこういうことを考えますと、いかに最近この国内自給というような問題がパーセントの上でも低くなってきておるか、あるいはまた生産量そのものも十年前に比べまして相当量これは減少してきていることも事実で、むしろこういったような農業政策というものを政府がおとりになっている中で、今日のような米の過剰の問題こういったような穀物の問題等も私は大きなやはり問題点になってきているんではないだろうか、このように考えるわけでございます。二年にわたって減反をしろ、減反をしろということを申しましても、実際には小麦その他、あるいは大豆なども、農民が転換をしようといたしましても、外国農産物が市場にはあふれているというようなこういう現状の中では、あるいはまた他の作物に切りかえよう、自主的に転換をしていこうという計画を持ちましても、あるいは野菜などの価格保障というようなものなども十分保障されていないというような現状の中で、ただ米を減らせ、米を減らせというようなことだけを強制すれば、農家農業をやめろと言うこととひとしいんじゃないだろうか、私はこのようにすら考えております。したがって、今後の農業政策現実的に具体的な方針はどういうものなのか。そしてまた、いま私が幾つかの、農林省の食料需給表に基づいた数字で申し上げましたとおり、このような輸入の状態というものについて、具体的にどう今後方針をいままでと転換をしていこうとされているのか、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  292. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、農家農村はわが国の社会の中の非常に重要な安定基盤である、こういうふうに考えております。そういう意味合いで、家が他産業と肩を並べて伸びていけるようにというふうに考えるわけでございますが、一つ一つ農業をとってみまするといろいろと条件が違います。たとえば米につきましては、どうも米に対する国民の嗜好というものがだんだん減ってくる。その反面においてパンだとかあるいは肉だとか高級野菜だとか、そういうものに対する嗜好というものが伸びてくる。また米につきましては、食糧増産政策、これが功を奏しまして生産は伸びてくる、こういう状態でありますので、米の問題がまず非常にむずかしい事態に当面しておる、こういうふうに見ております。とにかく農業生産の中で米が半分ですから、半分の米の問題を処置しなければならぬ、こういうふうに考えまして、ただいま予算、また今度の米価等に見られるような考え方を出しておるわけであります。しかし、減反政策をその中に取り上げておりますが、減反をした場合にその転換作物をどうすべきかということについて、農家に安心していただけるような状態でなければならない、こういうふうに考えておるのであります。そういう方向施策を進める。そして要は、これは農業が他産業と並んでその生産性を向上し、やっていける、そういう形のものになってもらいたいのだ、こういうことでございます。そういう方向農業政策に全力を尽くさなければならぬ、かように考えております。
  293. 小林政子

    小林(政)委員 事務当局からもお話を伺いたいのですけれども、時間がございませんので先へ進みたいと思います。  いま大臣からの御答弁で、やはりいま米が一番重要だ、これについて一番先に解決しなければいけない。その場合に減反減反ということだけでは解決の道にはならないのじゃないか。そしてしかもそれに対しての転換の問題等について、これについて私は具体的にお伺いしたいわけですけれども自分のこの地域あるいはこの土地でこういったようなものをやったらいいんじゃないかというような農民の自主的な計画、希望などを積極的にお聞きになったりあるいは調査をされたりして、具体的な計画を立てるためのそういうこともおやりになったことがあるのかどうなのか。私は、上から押しつけるというようなことじゃなくて、あるいはまた二百三十万トンの減反だから買い入れ制限というようなことじゃなくて、自主的に転換をする場合の土台といいますか、ほんとうにその地域地域にかなった、気候だとかあるいは土地だとかあるいは自分の得意なものだとか、そういったようなもの等を十分調査し、そしてだれでもそれに応じていかれるような、喜んで参加できるようなこういう方向というものを具体的にやらなければ、やはり上からの一方的な減反だ、あるいは買い入れ制限だというようなことだけに終始したのでは、それこそ中身のないものになってしまうのではないか、このように強く考えるわけでございます。この点についてもう一度お答え願いたいと思います。
  294. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは小林さんのおっしゃるとおり、これは農林省が何とかして転換作物、つまり適当な方向農家に持っていただかなければならぬというので、たいへん精細にかつ熱心な調査をいたしております。そういう調査に基づきまして農林省といたしましては、急というわけにはいかぬ、急というわけにはまいりませんけれども、逐次いま農家に向かうべき方向をお話をする、こういう段階に進みつつあるわけであります。
  295. 小林政子

    小林(政)委員 米以外の農作物についての価格保障の問題について具体的なお考えをお持ちになっていらっしゃったら伺いたいと思います。  もう一点は、消費者米価に対して物価統制令の適用を廃止するということはやはり消費者米価の引き上げになるのじゃないだろうか。この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  296. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、農業政策価格政策基本にすべきじゃない、生産性向上政策基本にすべきである、そういうふうに考えております。しかし、生産性の向上というような施策の間に合わない、そういう場合のつなぎというような場合などにおきまして価格政策ということを加味すべきだ、基本的にはそういうふうに考えております。  それから物価統制令を廃止する、これはそういうふうに考えておりますが、これは末端の販売価格に対する統制を廃止する、こういうことなんです。食管から卸に売られているその米の値段は動くわけじゃないのです。末端で一体どういう現象になるか、こういいますと、やはり国民の間には、少しくらい高くてもうまい米をひとつ買いましょう、まずい米は安くなければ買いたくない、こういうような選好があるだろう、こういうふうに思うわけであります。その国民の選好を尊重する、これが今度の物統令廃止のねらいとするところであります。  なお副次的には、いま何が問題になっておるかといえば、生産米価の面におきましてはやはりこれは銘柄格差というか、そういうようなことも考えなければならぬじゃないか。うまい、いい銘柄のものは高く買う、また悪いものは安く買う、こういうことにならぬと米の過剰問題も解決しないのじゃないか。しかし、今日この段階ではその位置づけというものが各銘柄につきましてできない。できないのは国民の選好という問題がはっきりしないからだ。今度物統令を廃止するということになりますと、初めてここで国民はどういう米を好んでおるかというような嗜好もわかりますので、生産対策の上にも非常に重要な資料を提供するということになるだろうと思います。そういうことをいろいろ考えますときに、この措置は妥当な措置である、かように考えております。
  297. 小林政子

    小林(政)委員 生産性の向上ということが大切だというお話でございます。今日、米が過剰になったということは、農民がいろいろと苦労もあったと思います。技術の向上あるいは努力というものによって今日のような状態をつくり上げてこられたことはたいへん御苦労なことであったし、喜ばしいことだというふうに実は考えております。この問題につきまして、今日のように米の生産が豊かになったということを考えてみますときに、他の、米以外の農作物についてもやはり国が一定の価格の保障をしていく、そして育てていくというような措置をとることによって、米が豊かな生産量をあげることができたように、米以外の農産物について当然このようなことがいえるというふうに考えます。  それから物統令の問題につきましては、銘柄の格差というようなものを持ち込むことは、むしろ従来の二重米価を切りくずすことになるんじゃないだろうか。確かに、大臣もおっしゃったとおり、物統令は末端の消費者の米価というようなものに適用されるわけでございますけれども、私どもはやはりおいしいお米が食べたい、これはだれしも共通の望みだろうと私は思います。従来もやみ米も出ておりましたし、また自主流通米というようなものも出ておりました。しかし、米の流通というものは若干自由化をされていたわけでございますけれども、一般の配給米よりは自主流通米ややみ米は幾らか高かったわけです。しかし配給米が一応最高価格というもの、公定価格といいますか、こういったようなものが存在していたということで、著しい米価の高騰ということはやはり押えられていたというふうに考えられます。物統令が適用除外ということではずされれば、やはり銘柄格差というようなものを意識的につくり上げていく、そしてそれを持ち込んでいく。こういうことになれば、食管制度のたてまえであった生産米価消費者米価といったものに対して、農民の方々には再生産を保障していく、あるいはまた消費者の方々に対しては家計の安定をはかっていく、こういったような食管制のもとで保障されてまいりました二重米価制度というものが根本的にくずれるからこそ、多くの幅広い消費者団体が物統令の撤廃については相当真剣に皆さんが不安を持ち、心配され、そうしてこれはやめてほしい、こういうことを願っているんだろうというふうに私は考えております。私自身もいろいろ話を聞き、またいろいろなものを読んだりして調べたところが、やはりそうだという確信を持っております。ぜひともこれらの問題については、消費者米価の値上げにつながる物統令というものの廃止は私はやるべきではないのじゃないだろうか、こう考えますけれども、もう一度大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  298. 福田赳夫

    福田国務大臣 米がいま過剰な状態下ですから、これが自由価格にした場合に上がるという傾向を持つというのは非常に特異な状態じゃないか、こういうふうに思います。つまり、販売店を整備するとか、そういう自由機構が動くという状態になると下がってくる傾向を持つんじゃないか、そういうふうに思います。  それから基本的には、やはり時勢の流れに応じて食糧の管理のあり方も改善しなければならぬ。経済の原則に乗らない統制というのは私は長続きしない、こういうふうに思います。戦時中いろんな統制があった。繊維なんかにつきましても、幾ら統制いたしましてもやみ綿布というものが出てくる。そういうことはなぜかというと、経済原則に乗らない統制である、こういうことなんです。いまは国民の多数の人がおいしい米を多少金を出してもいただきたい、しかしまずい米にはそんなに金は払えない、こういうような嗜好じゃないか。こういうふうに思いますから、そういう国民の嗜好、選好の趨勢というようなものにならして管理制度も運営していかないとこれは長続きできない、こういうふうに考えるわけであります。ただいま申し上げたような考え方で、物統令は廃止する、こういうふうにいたしたいと思います。
  299. 小林政子

    小林(政)委員 物統令の廃止ということをはっきりおっしゃられたわけですけれども、これが廃止されれば消費者物価が上がると同時に、一つにはやはり米の買い占めということが多くの消費者の方々から心配されております。何かもう大阪のほうでも商社がお米の買い占めを行なったというようなことも新聞などに報道されておりますし、あるいは市場支配というようなことが行なわれるならば、これは結局農民はある程度安い価格に買いたたかれるでしょうし、あるいはまた消費者はお米の値上げによって高いお米を買わざるを得ないというような不安というものが、相当強いものが一般の消費者の方々の中にもございます。私はこういった不安を伴う、そして食管制のたてまえというものを大きくくずしていくような今回のこの問題については、ぜひともひとつ、意見として、これを実施というようなことはやめてもらいたいというふうに考えます。  もう時間だ時間だというたいへん催促なんですが、もう一点、確かに大臣のおっしゃった経済原則ですか、経済原則の伴わない統制というものは長続きしないのだということをおっしゃったわけでございますけれども、私はいまの国内米の管理勘定、この中一つを見てみましても、やはり赤字が相当出ておりますけれども、この赤字の中に、相当改正しあるいはもう少し検討する必要があるのではないだろうか、こういったようなことを感じております。というのは、たとえば四十五年度の国内米の管理勘定についての赤字の問題一つを例にとってみましても、その中で二千九百六十三億円、これは予算で、見込みとしては三千八百十二億円の赤字が想定をされておりますけれども、その中での経費部分ですね。この経費部分につきましても相当のウエートを占めているわけです。この経費の内容の中で、特に出荷だとか運賃だとか保管だとかあるいは事務費だとか、その他いろいろな項目に分かれておりますけれども、しかし事務費の中に人件費というものがどのくらい含まれているのか。この事務費の四十五年度の実績見込みというものを見てみますと、これは三百六十七億円というふうに計上されておりますけれども、この中に人件費というものがどのくらい含まれているのか、まずその点についてお伺いをいたしたいと思います。
  300. 亀長友義

    亀長政府委員 大体事務費全体のワクの九割とお考え願いたいと思います。
  301. 小林政子

    小林(政)委員 私は、やはりこういった事務費の中の九割がいわゆる食糧庁関係で仕事に直接携わっている職員の方その他だろうと思いますけれども一般会計負担すべき性質のこういった人件費について、経費上の赤字が出ているという中にこういうものが含まれるということはちょっとどうかと思うのですね。当然米はいままで政府の管理だというようなことで行なわれていたという問題でございますし、一般の役所の場合考えましても、たとえば健康保険の赤字という場合にも、厚生省や健康保険関係の事務に携わっている一切の職員、その人件費が赤字の中に含まれて、これだけ赤字なんだということになったらこれは筋が通らないだろう。やはりこの買い入れ価格あるいはまた売り渡し価格、こういったようなもの、あるいは倉庫の保管とかその他というような、だれが見ても当然の必要経費ということが赤字に含まれているということならともかく、一般会計で見るべき人件費が、九割を占めている人件費が全部赤字の中に含まれるというこのあり方というものはどういうものなのか、ひとつお聞きかせを願いたいと思います。
  302. 亀長友義

    亀長政府委員 この人件費と申しましても、食管の赤字の中に入れておりますのは、食糧庁の米麦の売り渡し、買い入れ並びに検査等に要する人件費でございます。したがいまして、食管特別会計が米麦の売り渡し、買い入れ等を行なう、あるいはその他の検査をやるということである以上、これは一般の行政費ではなくて、業務経費だというふうに私ども考えております。それを米なり麦なりの需要量に応じて金額を割り振って計算をいたしておるわけでございます。もちろんいろいろなお考えはあるかと思いますけれども食糧管理の業務に伴う経費という点においては間違いはないと考えております。
  303. 小林政子

    小林(政)委員 そうしますと、この職員というのは食糧庁の正規の職員ということではないということですか。その点確認だけしておきたいと思います。
  304. 亀長友義

    亀長政府委員 もちろん正規の食糧庁の職員でございます。食糧管理の業務に従事する食糧庁の職員ということでございます。もちろん国家公務員でございます。しかし食糧庁の全部が入っておるわけではございません。一般行政職というものも若干ございます。しかし大部分は食糧管理の業務に従事をしておるわけでございますから、食糧管理の業務に従事しておる者が食管特別会計負担に相なっておるということでございます。
  305. 小林政子

    小林(政)委員 考え方として、その業務に携わっている方、その直接業務に携わっているそういう職員に対して、いまのような御答弁ということもあり得るのでしょうけれども、会計制度上、食管制度は相当の赤字を出しているのだという赤字の中に、本来食糧庁の公務員である正規の職員の人件費が全部含まれるというようなことは、これはちょっと問題があるのじゃないだろうか。国家公務員の人件費全額を、いわゆる仕事に携わっているという職員の全部を入れるということになると、その人件費は年々ますます膨大になってまいりますでしょうし、大きくふくれ上がっていくのじゃないか。こういう点を考えると、これは検討の余地が、お考えになる意思が全然ないのかどうなのか、この点だけ伺っておきたいと思います。
  306. 亀長友義

    亀長政府委員 もちろん食管特別会計の赤字と申しましても、売買の逆ざやによる価格差あるいは人件費、集荷手数料、いろいろございますから、内容をお調べくだされば明瞭になる事柄でございます。ただ性質的にどうかと申しますと、これは直接米麦の買い入れ、売り渡し、検査等をやっておるのでございまして、もしかりに政府食糧管理というものがなくて民間でそういうものを管理をする、こういうような場合を想定をいたしましても、検査に要する費用、さらにその運送の計画をする人、売却をする事務に携わる人の人件費は、当然普通の品物においてもかかるべき経費であろうと思います。ただそれを国が管理をしているために、一部はもちろん農協でありますとか、お米屋さんであるとかいう方に分担をしていただいておりますけれども政府もその流通経費を分担をしておる。そういうものは、もし自由になっても、やはり流通経費として全体の米の価格体系の中においてどのように取り扱うかを考えていくべき性質のものである。かような観点から申しますと、食管特別会計の中にそれを計算に入れることをしても、これは別におかしいことでも何でもないと思います。ただ中身につきましてはそれぞれ計算を明らかにしてございますから、それは内容でごらんを願えればおわかりいただけると思います。
  307. 小林政子

    小林(政)委員 私、だいぶ時間を迫られておりまして……。じゃあと一点だけ、これは食糧庁にお伺いをいたしますけれども、先日の新聞等を見てみますと、今年度の配給米の問題につきまして、四十六年度は四月分は新米を七割に古米を三割まぜて、あるいは五月分は新米を八割に古米を二割まぜて配給をしていく、そして六月以降というものは一体どうなるのだ。昨年、四十五年の場合には四月分より全部新米だったということも新聞に書かれておりましたけれども、六月以降の方針について具体的にお伺いをいたしておきたいと思います。
  308. 亀長友義

    亀長政府委員 六月からは全部新米にいたします。
  309. 小林政子

    小林(政)委員 それじゃほんとうに一点にしぼります。  先ほど野菜の価格について、米以外のものについても価格保障ということを申し上げたわけですけれども、特にその中でも野菜の場合は非常に暴騰したり、いろいろな問題を起こしているわけでございますけれども、いま野菜に対しての価格保障を、ほんとう政府が農民に対して誠意を持ってそういう保障をとるかどうかということが重大なかなめになってきているであろうというふうに考えます。当面の問題として、野菜出荷の安定法というのが四十一年に制定されておりますけれども、この指定産地制度の栽培の面積一割というようなものを今後もっと拡大をしていく計画をお持ちになっているかどうか。あるいはまた指定野菜の品種というようなものも、四十六年度から二品目追加されまして一応十三品目ですか、これを拡大をしていくというようなことも計画としてお持ちになっているのかどうなのか。あるいはまた野菜価格の補てんの問題等につきましても、この保証基準というのが、いわゆる過去六年の平均市場価格の四分の三ということになっておりますけれども、これではやはり生産費に比較してほど遠いものだというふうに思いますし、やはり保証基準額というものを生産費に近づけるというような努力について具体的にどうお考えになっているのか。あるいはまた市場の価格が保証基準を割った場合に、現在の法律では八〇%補てんとなっているけれども、当面の措置としてこれを一〇〇%やっていく意思がおありになるか、あるいはそのことについて具体的な計画等をお持ちになったことがあるかどうか。その点について、これは農林省ですか、園芸局長にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
  310. 大場敏彦

    ○大場説明員 お答えします。  ただいま御指摘になりましたように、野菜法に基づきまして、四十一年から野菜の価格安定をさしております。おもな骨子は、御指摘になりましたように、指定産地制度でございまして、これは大消費地域を対象としたしっかりした産地をつくるということで、逐次、当初は三百地域でありましたが、生産地域が最近はその倍の五百九十一に四十五年末にはなっている。さらにそれを四十六年には六百四十にふやしていく計画にしております。  それから今後産地を増加するかどうかというお尋ねでございますが、もちろんそういう方向努力いたしておるつもりでございます。なお、単に増加するだけでなくて、質の向上、内容の充実という点も十分大切でございますので、あわせてやっていきたい、かように思っております。  それからもう一つのお尋ねの価格安定でございますが、これも対象地域、指定品目あるいは補てん基準、すべて万般にわたりまして逐年そのつど充実強化はしていっておるつもりでございますが、なお一そうの強化充実をはかっていきたいと思っております。ただし生産費を基準にするというようなことになりますと、これはいろいろ問題が多うございまして、やはり価格安定制度のねらいは、価格変動の農家に与える影響を緩和する、保護するというのが目的でございますので、やはり需給の均衡、需給の実勢を反映した価格保証というものがベースになるのではないか。この点については、著しく実勢を無視した生産費というような形はややもすれば硬直的になりやすい、こういうことがありますので、なお慎重に考えていきたいと思います。  なお、対象地域の拡大、要するに適用範囲を拡大する、あるいは保障の内容を充実していくということにつきましては、いま農林省で本部をつくって検討中でございますので、その検討の結果を待ちまして努力をいたしてまいりたい、かように思っております。
  311. 毛利松平

    毛利委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  312. 毛利松平

    毛利委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許します。阿部助哉君。
  313. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、日本社会党、公明党、民社党及び共産党を代表して、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。  われわれは今日まで、農政が場当たりである、農政基本方針を示せと質問をいたしましたが、中身のない総合農政のお題目だけで、納得する方針は遂に示されなかった。政府はMSA協定以来食糧の外国依存に終始し、農業の発展を阻害してきた。ことに、主要農畜産物価格支持なく、適地通産にネコの目のように変わってきた。わずかに食糧管理法のもとに米だけが比較的安定した農産物となり、農民が他の農畜産物を放棄しても米生産に移行せざるを得なかった。これはまさに政府の責任といわなければならない。  その上、毎年多量な外国産小麦の輸入が米過剰に拍車をかけてきた。経済の高度成長政策以来、農民の出かせぎ者は年々増加し、人間疎外の生活をしいられてきたが、これにも何らの施策も施されていない。それのみか、本法案の審議過程の中でも明らかになったごとく、今年の生産米価決定についても、農民の要求と期待にこたえることができなかったばかりか、その財政支出にあたっても、これをあいまいにしたまま、国民をごまかす答弁しかできなかったことはきわめて遺憾である。  かくのごとく、高度成長はすべて農民に犠牲をしいる政策となり、そのしわ寄せを農民と国民税金に求めてきた政府の無能と失政のあと始末をせんとする本法案に反対をするものであります。  以上であります。(拍手)
  314. 毛利松平

    毛利委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  315. 毛利松平

    毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  316. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  317. 毛利松平

    毛利委員長 次に、自動車重量税法案を議題といたします。  本案につきましては去る三月十二日、提案理由の説明を聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。中島源太郎君。
  318. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 自動車重量税につきまして御質問をいたします。大体、重量税につきまして基本的な考え方と、それからその内容と、さらに今後の進め方について、逐次お伺いをいたしたいわけであります。  まず第一に、重量税の提案理由でございます。ここに基本的な考え方が盛られておると思うわけでありますが、「道路その他の社会資本の充実の要請を考慮し、」ということばがございますが、この社会資本の充実というのは一体何をさすものであるか。この点をひとつ前提として伺っておきたいわけです。  大体自動車重量税が提案されます背景といたしましては、私どもの知る範囲では、第六次道路整備五カ年計画の十兆三千五百億円の補てん財源である、あるいは鉄道その他への支出も含まれておる、あるいはその裏には、昨今の道路事情からいたしまして、自動車保有量の増大への抑制ということも中には意味を含んでおるかもしれない。しかし、いずれにいたしましても国民負担が軽減いたしますことにつきましては、私どもも身命を賭すわけであります。少なくとも国民負担が増大をするということにつきましては、慎重にこれは審議せねばならぬわけでございます。まず歳出の規模が明確であるかどうか、そのコンセンサスがありまして財源措置がとられると思います。その歳出規模を規定いたします基本的な考え方の中に、道路その他の社会資本の充実というものは一体何であるか、これをまず伺いたいと思うわけであります。
  319. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会資本ということばは、まあ法律用語ではございませんけれども、これはやはりわれわれの生活環境、また産業環境、そういうもの、つまりわれわれの共同の施設ということを大体さしておるというふうな考え方をとっております。そういう意味の社会資本、これはわが日本では非常な立ちおくれをしておるわけです。その典型的なものは道路である、あるいは上水道、下水道である、あるいは共同の住宅というようなもの、特にその中でも道路をはじめ、交通機関、これは非常な立ちおくれをしておる。道路の舗装の問題なんかになりますと、戦前は舗装道路なんというものはほとんどないような状態だったと思うのです。道路を舗装してほこりの立たないようにしなければならぬという施策は、戦後になって初めて、しかもこの十年間ぐらいに大きく取り上げられておる、こういうふうに言っていいのじゃないかというふうに思いますが、いま非常な多額を投じて社会資本のおくれを取り戻し、これに取り組んでおる。その取り組み方の姿勢、これはわが国は世界第一です。その社会資本費、そういうものからいいますれば、国民生産の中におけるシェアあるいは財政の中におけるシェア、これは飛び抜けてわが日本が世界第一です。ですから私は、取り戻しというものはそう年月がかからぬで実現できると思いますが、とにかくいま、現時点に立って見ますときに、取り戻しはそう十分に進んでおらぬ。そういうことを考えますときに、われわれの共同の施設であるところの社会資本、これは今後財政運営の中において非常に大きな比重を占めなければならぬ問題だ、こういうふうに考えておるわけです。  それからもう一つの問題は社会保障、これも立ちおくれております。これも戦前には見るべき社会保障施策というものがなかった。それを戦後、おくれの取り戻し、これに取りかかっておる。まあしかし金目からいいますとやはり社会資本、これに非常にウエートがかかってくると思います。その辺をにらみながら今後の財政運営をしていかなければならぬ、そういうふうに考えます。そうするとやはりいわゆる国民の租税負担率、これはこの数年間の展望をしてみますれば一%になりますか二%になりますか、三%までいきますか、多少上がりぎみの傾向を持つであろう、私はこういうふうに思いますが、社会資本の取り戻しということは国民全体が待望していることだ。そういうことを考えますときに、国民の、そういう財政の運営に対しましてはコンセンサスというものが十分得られる問題である、そういう認識でございます。
  320. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 端的に伺いますが、この重量税の負います中に第六次道路五カ年計画の十兆三千五百億円、これを負うということは当然入ってくるわけですが、四十九年までの自動車重量税によります歳入規模、歳入額、それに見合います道路整備五カ年計画十兆三千五百億円のうち、必要とする、これに期待しておる額はどのくらいに当たるか、これをちょっと参考に伺っておきたいのです。
  321. 竹内道雄

    ○竹内(道)政府委員 お話しのように、道路整備五カ年計画で予定しております事業費十兆三千五百億円でございますが、その中でまず国費でまかなうべきものでございますが、これにつきましてはガソリン税の将来の収入等の見込みの問題もございますので必ずしもはっきりいたしませんが、大体従来の伸び率等から揮発油税の伸びを考えてみますと、特定財源でまかないきれないものが約七千億から七千百億ぐらい不足するというふうに考えられるわけでございます。そうして従来から道路財源といたしましては、特定財源だけでなくて一般財源からも資金を投入いたしておりますので、一般財源からの資金の投入につきましても一応の試算をいたしてみますと、かりにたとえば一つの試算でございますけれども、これから先毎年一般財源の投入を総額として一〇%くらいふやしていくというような計算をいたしますと、四千二百億円ほどの一般財源の投入になりますので、差し引き二千九百億あるいは三千億程度の資金が不足するというふうに考えられますので、大体その程度のものを自動車の新しい税に期待しておるという状況でございます。  収入のほうは主税局のほうから……。
  322. 細見卓

    ○細見政府委員 これも自動車の今後の伸びと申しまか、所有台数の増加を正確に見通すことは困難でございますので正確なことは申し上げかねるかと思いますが、一応の計算といたしましては五千億程度の税収が見込まれまして、そのうち千二百五十億、つまり三対一で分けた割合の千二百五十億程度のものが市町村に譲与されるということで、したがって国に残る財源は三千七百億円前後であろうかと考えております。
  323. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 そうしますと四十九年度に見合います歳入が三千七百億程度、それから道路財源として不足が三千億ということになりますと、大体自動車重量税創設によりましてその中から道路財源で負っていくのが三千億。約七百億というもの、これに対するものを大蔵大臣の頭の中では社会資本の充実と、こうお考えになることになりますが、社会資本の充実ということにつきまして国民的な合意に達するにはやや不明確なことばだと私は思うわけです。これを数字で回答を出しますと、七百億近いものが要するに大蔵大臣のお考えである社会資本の充実、こう受け取っていいのかどうか。この点はこれの今後のスライド問題もございますから、ちょっとその点を念のために……。
  324. 福田赳夫

    福田国務大臣 これはたいへんな数字の読み違いなのですが、私の言うのは、いま道路でいいますれば十兆三千五百億、これ全額が社会資本の充実のための費用である、こういうことです。
  325. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 社会資本の充実ということはもちろんそれを全部含めるわけでございますが、少なくとも第一番目にあげられました道路その他の社会資本の充実ということになりますと、この財源措置につきましては幾つかの考え方ができるわけです。健全なる建設財源であればこれを公債でまかなうということはどうであるかということは当然考えられ得る範囲だと思います。これは将来にわたります国民生活の充実に資する社会資本そのものの充実であれば、国民の意思によりましてこれを負っていくということで、道路公債の発行あるいは一般公債の増発ということでこれを負っていくという考え方についてはいかがであるか。少なくとも四十二年度では八千億の公債発行額が現在ではフィフティー近くなっておる、四千三百億円になっている。これについて大蔵大臣のお考えを一度確かめておきたい。
  326. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会資本の充実に公債を使う、これはときに私は考えなければならぬというふうに考えます。そこでいま公債を出しておるわけですね。とにかく四千三百億円、これは全部社会資本の充実のための財源であります。ただこれを増額しましてさらに社会資本を強化するかというと、これは景気との関連があるのです。いま物価が高くなるというようなこと、これは国民の最大の関心事の一つですが、それにはやはり総需要というものを抑制しなければならぬ。そういう際に公債をもって社会資本の充実をさらに強化するというようなことになりますと、これはまたそちらの方面に影響がある。こういうようなことになりますので、その時と場合によるのじゃないかと思います。いま今日四千三百億円すでに出しておる。出しているが、これを増額するかしないか、これはそのときの景気の情勢、また総需要の問題をどういうふうに考えるか、そういうふうな総合的な観点からきめていったらいいじゃないか、そういう考えでございます。
  327. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 総需要と景気の関連性ということでございますが、本年度一〇%ぐらいの成長率に押えたいという中で景気の鎮静ぎみの情勢もうかがえますので、これはこういう道路財源、社会資本の充実に関しまして公債というものは考えられてもいいんではないかという御質問を申し上げたわけであります。公債でないとすれば、一つの問題はこういった道路その他の社会資本の充実に対して根本的な問題は、なぜ自動車の保有者がこれは負わなければならぬのか、負っていくべきなのであるかという問題が一つあります。  そこで、現在自動車というものは、四十六年におきましては保有台数が千七百万台になんなんとしております。この内容を見ますと、すでにこれはおしなべてぜいたく品とは言えない状態に入っておる。現在の世帯数にして四世帯に一台の保有台数があるわけであります。勤労者世帯千六百世帯を見ますと、年間所得が約百五十万円以下の方々の保有率が七三%をこしておるわけであります。しかも四十四年度じゅうの出荷台数を見ますと、全部の約四百万台近い出荷台数のうち乗用車はそのフィフティーであります。そのうち営業用の乗用車ももちろんあるわけであります。おそらくこれは産業その他の、少なくとも働くための道具であり、ただこれはレクリェーションその他でいま自動車を運転するというものも非常に少ない数字がここに出ておるわけであります。少なくとも今後自動車重量税を考える上に、自動車そのものはぜいたく品であるか必需品であるか、これはひとつ大蔵大臣のお考えを確かめておきたいと思います。
  328. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは申すまでもなく大多数が必需品になってきていると思います。
  329. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 そういう必需品を持つ家庭というものは四世帯に一台ということになっております。この道路予算そのものを見ますと、要するに日勤車の関連税、これの道路投資額に対して負っておる比率というのは非常に私は高いと思うのです。たとえば四十五年度であります。国道におきましては国費が五千八百七十九億円、そのうち一般財源六百九十億円であります。特定財源五千百八十九億円を足しますと、自動車関連税といいますのは六千九百八十億、約一〇〇%をこしておる要するに負担比率をとっておる。地方におきましては六千七百七億のうち自動車関連税では五千三十九億、約七五%を負っておる。こういうことから見ますと、先ほどもお話がありましたが、道路予算に占める一般財源からの支出比率をもう少しこれは上げていくという努力がいますぐあらわれなければいけないのではないか。四十一年当時では一般財源の投入額は八百四十六億ということで、約二三%強が投入されております。四十五年度におきましてはいま申したように六百九十億、比率にいたしますと一一・七%、比率といたしましては漸次減少しておるわけであります。四十六年度において九百九十億の投入額とはいいますものの、これは新税による加算をここに一般財源として繰り入れた額でございます。それを入れましても約一三%。いまちょっと一〇%増ずつと、こうおっしゃったように伺いましたが、この道路予算に占めます一般財源からの支出、こういったものもやはり高めていくという努力がなければいかぬのじゃないかと思います。この点はいかがでございますか。
  330. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは特別会計において道路財源を処理しております。そういう関係ですが、これは何も特別会計にする必要が絶対的にあるか、こういうとそうじゃないのです。これは国の一般財源として処理するという考え方もある。ただ道路がいかにも立ちおくれておる。これに重点を置いてひとつ社会資本の充実をやっていこう、こういう趣旨から特に特定財源というものを設ける意味において特別会計をつくった、こういうことなんです。考え方によれば何も特別会計のワクに入れておく必要はないので、一般会計に入れて、そして一般財源として支出するというふうな仕組みをとっていいわけなんですが、とにかく道路が大事だ、とにかくこれを推進しよう、こういうことで特別会計主義をとっておるわけであります。そういう際に、今度は一般会計から不足する財源を入れないか、こういうことになりますと、これはほかの諸施策との権衡の問題になると思います。つまり社会保障費はどう、教育費はどうだ、そういう国の諸施策との権衡を考慮しまして、おのずから道路にまた一般財源から重ねてさき得る限度というものが出てくる、こういうように考えておりますが、今後といえども道路というものが非常に大事である、そういう基本的な認識に立って財政の配分に当たりたい、かような考えでおります。
  331. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 これも端的にお答えいただきたいのですが、道路投資額に対します自動車関連税の負担は外国の場合はどのくらいになってありますか。
  332. 細見卓

    ○細見政府委員 日本は、国、地方おしなべて平均いたしますと、道路投資額に対してそうした特定財源が九一%になっております。アメリカの場合でございますと、特定財源のほうが一七%投資額よりも多い。イギリスに至りますと約三倍の財源になっておって、投資額は三分の一であるというようなことになっております。西ドイツにおきましても一二%ばかり多い。フランスは約八〇%自動車から取り上げる税のほうが多い。ただ、しかしこれは自動車から徴収される税金という意味で、それぞれの国によりまして会計のシステムというものが変わっておりますので、特定財源ということであればことばは必ずしも適当ではございません。
  333. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 それは全自動車を含めたものですか。
  334. 細見卓

    ○細見政府委員 そのとおりでございます。
  335. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 その中には、フランス、西ドイツその他は、要するに付加価値税は当然含まっておるわけですね。
  336. 細見卓

    ○細見政府委員 そのとおりでございます。
  337. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 大蔵大臣も、現在の道路舗装率その他、日本の社会資本というものが立ちおくれておるということでございますが、道路の舗装率だけ見ましても、イギリスの九九・四%、西ドイツの七六%、イタリアの八四%と比べるまでもなく、日本の舗装率——舗装率のとり方がはっきりした標準であるかどうかは別といたしまして、一二・六%というのは非常に立ちおくれておるわけです。いま外国の比率から見ますと、むしろ日本よりは自動車関係税収が負っておる負担というのは高いようにも見られるわけでありますが、これを見ますとやはり歴史的なことを考えなければいかぬのじゃないか。たとえばほかの国で現在舗装率だけ見ましても、日本の一二%に対しまして少なくとも八〇%、九〇%という舗装率を全うしつつある国と、これからという国——他国におきましても、舗装率だけを例にするわけではありませんけれども、道路整備がこれほど立ちおくれておる時代におきましては、むしろ一般財源からの投入はより多かったのではないか。これは私はここにすべてデータを持っておるわけではございませんけれども、これについてはいかがでございますか。
  338. 細見卓

    ○細見政府委員 これは印象にわたることで、正確なことはなかなかむずかしいと思いますが、先進諸国といわれる国におきましては、過去に道路投資が多かったということは事実でございますが、また一方日本の舗装率を見ますと、たとえば市町村道路の二・五メートル以下というような、明らかに自動車が通らない道路が過半を占めておるものをおしなべて舗装率にするというようなことが、はたして国際比較に適当かどうか。この辺は統計の問題もございますので、なかなかむずかしいことだと思います。
  339. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 いまのは印象にかかわること、こういうことでございますが、そこで、大臣のおことばではございますが、社会資本の整備が非常におくれておる。おくれておるということを前提に、これを自動車の保有者が負担していくべきである、これは歴史的な形から見ましても、すぐ、イコールそう納得できるかどうかということには私は問題があると思うわけです。これはひとつぜひ研究課題としておいていただきたいのです。それをひとりおきましても、わが国の自動車関連税というものは、額も額でございますけれども、種類の上で非常に複雑多岐である。国税におきましても四種類、地方税におきましても四種類、その他関連を含めますれば、登録免許税あるいは関税、こういうものを含めますと十指に余る関連税がここにある。これは当然簡素化、見直しをしなければならない時期に来ていると思うのです。一部からすればこれは一本化することによってかえって重税感を与えるということでなかなか手を出せずに、複雑多岐にわたっておるということは十人ひとしく認めておりながら、なかなかこれが簡素化できない。この重量税創設にあたりまして、今後早急に自動車の関連税の簡素化——一本化というのは無理であっても、明快なる簡素化に手をつけなければいけないのではなかろうかと思いますが、いかがでございますか。
  340. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは私もそう思うのです。一つの自動車に対する税としてはどうも複雑多岐にわたっておる、こういうふうに思いますので、これは検討してみます。検討してみますが、今度はそれを総合してかりに一本にしましたという際の自動車に対する税負担、これが軽くなるんだということにはつながらない、この点はひとつ十分御理解おき願いたい。
  341. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 それはぜひ検討していただきたいのです。軽くなるとは私も思いませんが、一本化することによって、こんなに税金を払ったのかという重税感をもう一度目の前に見直させるということは不利であるという考えがどこかに働いて簡素化がならないというのでは、これは逆ではないかということを申し上げているだけです。  それから、検討してみようとおっしゃる中であれば、たった一つだけ申し上げておきたいのですが、その自動車税の見直しに関しまして、最近の道路事情が非常に込んでおる。自動車というものは一体何だということになります。これが必需品であるということになれば、国民にとりましてもより公害のない、しかも有効面積の大きい車——有効面積の大きいということは、車体が小さくとも居住性はある、あるいは運搬に適する、ということは当然合理性を考えていかなければならないのじゃないかと思います。この点で私は一言だけ申し上げたいのですが、たとえば道路運送車両法によりますと、軽自動車、小型車その他について、車体の長さ、幅というものがきめられております。たとえば軽をとりますというと、車両の長さが三メートル、幅一メートル三十センチというふうにきめられておるわけであります。これは道路事情がだんだん変わってまいります。あるいは高速化され、あるいは高速道路が直線よりはカーブがあったほうがむしろ安全であるというような人間工学上からもいろいろな設計がなされておるわけであります。この点で私は、重量税のちょっと関連でありますけれども、そういう面におきましては、今後の自動車の安全度というものを見た場合に、これは私どものほうの責任でもございますけれども、あれを、自動車関連税あるいは自動車の区分というようなものを、でき得れば今後は縦横の長さを単に規定するのではなくて、むしろ投影面積と申しますか、たとえば一メートル三十のところを技術的にはあと五センチ、あと十センチ車幅があればカーブにとって非常に安全だ、その場合には長さをあと五センチ削ってもいいというような人間工学上の要望が技術者から事実出ておるのです。しかし、軽であれば百三十センチ、小型車ならば百七十センチというふうに押えられておるのが人間工学上の安全なる自動車設計の上に何らかの壁になっておるとすれば、これは早く取り除かなければいけない。これは関連の質問でございますが、私どものほうも研究いたしますが、ひとつこれは研究に値するのではないかと私は思います。いかがでございますか。
  342. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは私もよくわかりませんが、当省所管の問題じゃありませんので、承っておきまして、運輸省あたりで検討してもらうことにいたします。
  343. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 これはそのとおりでございます。また国税、地方税にも問題がありますので、私どものほうの責任であるかもしれないがということでございますが、国民の代弁者として考えるべきことであるということで、ちょっと申し上げたわけであります。  自動車重量税が、社会資本の充実ということではございますけれども、これによりまして一般の保有者に対する税負担がふえるということは事実でございます。  次に、これが他に与える影響はどうであるかということについて多少伺いたいわけでありますが、少なくともタクシーですとかバス事業者に新たな負担をかけるであらう。幾ばくかかかることは事実であります。この点公共料金への影響はどうであろうか。あるいは料金引き上げについてどういうお考えを持たれておるのか。これは公共料金に直接には影響がないといたしましても、少なくとも自動車を必需品とするような、他に交通機関のない地方市町村におきましては、自動車にかわるべきバスそのものにいたしましても、バス事業者に負担がかかるということによりまして、バス路線がたとえば過疎地帯において廃止されてしまう、あるいは路線の権利を持ちながらそれに投資意欲をそがれるということであれば、これは大蔵大臣がせっかく社会資本の充実ということをもくろまれながら、しかもそういった自動車を一番必需品として必要とする地方市町村の御家族に対してかえって迷惑をかけることになりやしないか。その点も含めて、公共料金への影響、あるいは地方都市住民の国民の方々への影響をどう考えるか、これをちょっと伺いたいと思います。
  344. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは端的に申し上げますと、さしたる影響はない、こういうふうに考えております。とにかく乗用車では、平均では年五千円、それからトラックでは平均して年に一万円、この程度のことは、道がよくなるということが十分これを吸収する、こういうふうに見ております。
  345. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 次に、総合交通体系の見直しというものが非常にいわれておるわけでありますが、経済企画庁におきましても本年の三月に総合交通対策調査室というものをつくられ、あるいは四十六年の四月には総合交通対策閣僚懇談会でございますか、こういうものが開かれたというふうに伺っておるわけです。四十七年度から総合交通体系の見直しというものがいわれておりますけれども、この総合交通政策の進め方、あるいは具体的なものがここで開陳されるならば、私も今後の進め方の一環として総合交通政策というものをここでちょっと伺っておきたいと思うわけであります。
  346. 福田赳夫

    福田国務大臣 交通といっても道路、つまり自動車ばかりじゃない、もう飛行機の時代にもなります。また高速フェリーボート、そういうようなものの使用、こういうものも考えなければならぬ。都市では地下鉄という問題も考えなければならぬ。いろいろの交通手段があるわけです。それらの交通手段をこれから長い先を展望いたしましてどういう位置づけをするか、そこが問題なんです。いまそういう考え方がないと、さあ道が詰まったからその道をきれいにすればそれで事足れりというようなことになりがちであります。そうじゃなくて、少し長い目で先を考えて社会資本のむだづかいがないようにしなければならぬ、そういう考え方ですね。そこで交通事情というものを自動車という角度だけから考える、あるいは鉄道という問題になると鉄道だけの角度から考える、そういうのじゃなくて、総合的に考えておのおのの交通手段にその役割りを位置づけしよう、こういう構想なんです。これは四月の初めに政府にそういう協議機関をつくりまして、企画庁が中心になってこれを進めるということにいたしておりやすが、まだその方向だとか内容とか、それは決定するに至っておりません。
  347. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 そうしますと、総合交通というものはこれからということでございます。一部には総合交通の特別会計の問題を耳にしておるわけでありますが、こういうことはまだきまっておりませんか。
  348. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは総合交通政策というものがまずできて、これを実行するのにどういう財政の仕組みがいいかという判断にまつ、こういうことでございます。
  349. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 おそらく総合交通と申す以上は、道路はもちろんでありますが、鉄道あるいは海運、航空まで含めるものが総合交通であろう、その政策をこれから検討なさると思うわけであります。自動車重量税が道路を主眼といたしまして、道路その他の社会資本の充実にこれを充てるというおことばでありますが、結論を申しますと、私は道路そのものが一体何であるかということを考えるわけであります。何とお考えになりますか。道路とは何でありますか。
  350. 細見卓

    ○細見政府委員 道路というのはなかなか一義的に定義できないものでありまして、たとえば道路法で申しますと、「この法律において「道路」とは、一般交通の用に供する道で次条各号に掲げるもの」ということになりまして、高速自動車国道とか一般国道とか都道府県道とかあるいは市町村道ということで、むしろ道路の維持管理というような角度でこれは取り上げられているようでありますし、道路交通法になりますとそれがさらに広がりまして、いま申し上げました道路法で規定する道路のほかに、「道路運送法第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所」ということで、一般交通の用に供するその他の場所というようなものが道路交通法あるいは道路運送法というような法律となると出てまいります。したがいまして、それぞれ法律の目的によりまして、現実に車が走っており、人が歩いておるものは道路だと観念する法律の見方と、その維持管理というような点に重点を置いて道路を観念する方法と、二つあるようでございます。
  351. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 そろそろ結論に入る時間でありますが、いまちょっと伺いましたように道路というものはいろいろあるわけであります。道路法の第五条によりましても、一般国道というものは、少なくとも政治上、経済上、文化上の重要な都市を結ぶものである。これは要するに、言うなれば地域社会発展の動脈である、政治上、経済上、文化上の要点を結ぶものであるとすれば。同時に文化動脈であり、あるいは一朝事あれば避難の動脈であるかもしれませんし、救援の動脈であるかもしれませんが、少なくとも日常からいえば一億総福祉の動脈であると私は思うわけであります。一億総福祉の動脈であれば、高福祉高負担の原則を了といたしましても、一億総福祉は一億総負担でまかなってもしかるべきではないか。一億総負担を、世帯にいたしましても四世帯に一台の、国民一部の者が負担をするのはどうであろうか。これが自動車新税に盛られておるところでありますから、思い切って百歩譲るにいたしましても、今度総合交通体系を目ざされましたときに、道路自体が一億総福祉の動脈であるというならば、少なくともこれが道路、鉄道、さらに海運、航空ということになりますと、一億総福祉どころか国際的な福祉の動脈であると私は思うわけであります。これがまかり間違っても、この自動車重量税そのものの誕生の意味からいきまして、百歩譲ったといたしましても、道路のあとの社会資本の充実の中に総合交通体系まで負っていくということになれば、これは行き過ぎである。これは納得できないと私は思うわけであります。この点いかがでございましょうか。
  352. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういう議論があろうと思いまして、四十六年度予算では一般財源にして、まだ特定しない。そういういろいろの議論を尽くした上、これをどういう使途に使うかということをきめたいと思っております。しかし私の常識としては、これは大部分が何としても道路だ、そういうふうに考えておりますが、なお皆さんの御意見等を聞いて、将来のことですから将来の問題としてきめていきたい、かように考えます。
  353. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 大部分が道路だということでございますが、時間もございませんので、少なくとも総合交通体系と申しましても、一億総福祉、これを自動車保有者という一部の国民負担の増大で負っていくということはあくまでも一考を要するのではないか。百歩譲って道路は了といたしましても、ということであります。この点を切に要望いたしまして、時間も参りましたので一応私の質問を終わりたいと思いますが、この点、今後の考え方につきまして再度大蔵大臣のお考え方を、おもに道路であるということを確認をいたしまして質問を終わりたいと思います。
  354. 福田赳夫

    福田国務大臣 おもに道路でございますが、具体的な将来の使途につきましては、総合交通政策ができた上で最終的にはきめたい、かように考えております。
  355. 中島源太郎

    ○中島(源)委員 一応終わります。ありがとうございました。
  356. 毛利松平

    毛利委員長 佐藤君。
  357. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 大臣、私はきょうちょっと時間がかかるのですけれども、いま六時半で、お食事はよろしゅうございますか。私は大臣の年齢の半分以下でございますから一食ぐらい抜いてもかまいませんけれども、何ぶん私のおやじと同じ年の大臣でございますので、いたわらないといけないと思うので——よろしゅうございますね……。  それでは、まず大蔵省にお伺いしたいのですが、この自動車トン税、これで一体税収はどれだけありますか。
  358. 細見卓

    ○細見政府委員 四十六年から四十九年までで五千億、平年度で千二百五十億、それから初年度は約四百億を予定いたしております。その五千億のうち四分の一は市町村道として譲与されるわけでございます。
  359. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それで、自動車といってもいろいろ多いわけなんでありますけれども、五千億、これは平年度にして大体千二百億ですけれども、千二百億のうちバス、トラック、ハイヤー、タクシーというものは一体おのおのどのくらいの額になりますか。
  360. 細見卓

    ○細見政府委員 千二百五十億、つまり平年度のベースで考えてみますと、乗用車が約五百億、それからバスが四十四億、約四十億、トラックが六百億というようなことで、そのほかのもろもろの税が加わりまして千二百五十億。つまり、乗用車で五百、トラックで六百、バスで約四十というようなバランスになっております。
  361. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 あとの質問に関連してきますのでちょっと確認をしておきたいのですが、その場合の乗用車と申しますのは、いわゆる自家用のバスとか自家用のトラックというのはもちろん入ってなくて、乗用車というのは人が乗る車だということですね。自家用というのはこの際関係ないのですね。
  362. 細見卓

    ○細見政府委員 関係ございません。車の型で判断したわけでございます。
  363. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それでは本論に入りたいのですが、運輸省関係は運輸省が入ってからお伺いしますけれども、とりあえず大蔵省のほうにお伺いしたいのです。  これはちょっと的が違っているかもしれませんけれども、先ほどの中島委員のほうの質問にもございましたけれども、今後の輸送機関として車というものは一体どういう位置を占めるものなのか。つまり、乗客を運ぶ場合と貨物を運ぶ場合があると思うのですけれども、乗客の場合に、バスで運ぶのか鉄道で運ぶのか、タクシー、ハイヤーにするのかあるいはモノレールにするのか、あいるは路面電車をまた復活させるのか、そのほか、人を運ぶといってもいろいろな用途があると思うのです。その中で、車というものは今後の輸送体系の中で一体どういうふうに位置づけていくのか。あるいは物を運ぶ場合にトラックと鉄道との競合というような問題をどういうふうにしていくのか。この大きな位置づけがなければこの自動車トン税というのは論議できないんじゃないかと私は思うのです。その辺のところを、まず税金を取りたいといわれる主税局はこの車というものを今後どういうふうな位置づけとして考えられているのか、御答弁を願いたいと思います。
  364. 細見卓

    ○細見政府委員 専門的なことにつきましては、たしか運輸省の運輸政策審議会がそうしたいろいろな競合交通機関のあり方についての答申をこの七月ごろに出される。それを受けてさらに、先ほど大臣からお答え申しましたような陸海空を通ずる総合交通体系というのを考えるのだというふうな段取りとして承知いたしておるわけであります。そういう意味で、将来の基本的な構図につきましては、おっしゃるように総合交通体系あるいは陸上交通体系というようなものを前提にいたさなければなりませんが、私どもがこの税を考えましたときには、先ほど主計局なり大臣のほうから御答弁申しましたように、現実に第六次道路五カ年計画というものがございまして、そこでいまのガソリン税その他の推移を見ますと、現実に三千億を上回る、あるいは三千億前後の不足額というものはどうしても考えざるを得ない。それをいかにまかなうかということで、先ほど来公債の議論もございましたが、私どもはやはり、確定された計画を遂行するにあたってはそれなりに確定した財源をもって充てるのが財政の節だということで、今回の自動車税を考えたわけでございます。
  365. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私はその論議は逆だと思うのですね。いま局長自身も言われましたように、運輸省の運輸政策審議会でいまやっているわけですね。今後の総合交通体系というものは一体どうするかということをやっているわけです。中島委員の御質問にもありましたように、その総合運輸体系という中には道路も当然入っているわけです。日本の道路網をどういうふうに敷いていくのか。さらに道路網と港との関係、空港との関係、そういうものを全部含めて、第六次道路整備計画というのはそれを踏まえてしなければいけないと私は思うのです。それでいま局長も言われましたように、本来ならば運輸政策審議会での答申を待って、それを受けて出されるのがほんとうである。しかもこの運輸政策審議会の総合部会では、単なる、日本の道路網はどういうふうにするかあるいは空港をどこに置くか、港をどういうふうにするかという問題だけではなくて、もう総合交通体系というものはそれだけではいかぬのだ。いま細見さんが一番心配をしていらっしゃる、一体それじゃどこの財源でどういうふうにつくるのか、その問題も統一的にやっていかなければいけないし、それから運賃の問題にしても、いままでは個個別々でコスト主義でやってきたけれども、それではもう時代おくれなんだというところまで運輸省の運輸政策審議会では論議をしているわけですね。そしてその財源の見つけ方にしても、今度はもっと総合的にやらなければいけないのだということを論議をしているわけです。論議をしているのだけれども、ここに出されたこの自動車トン税というのは、もうそれも飛び越えてしまって、とにかく道路が必要なんだ、それじゃ三千億財源が足りないのだ、そのために新しい税金を自動車に課すのだ。それでその自動車に課すのだけれども、そういう取り方でいいか悪いかという論議を運輸省の運輸政策審議会のほうでやっている中でこういうことが出てくるというのは、どうもばらばらなんじゃないか。この答申が七月ぐらいに出るといわれておりますが、私は運輸省が来ましたらもう一度この問題を詰めていきますけれども、運輸省のほうでは今後の総合交通体系というものをどうしようか、それもいままでのように個々ばらばらじゃいかぬのだということをやっていながら、今度は主税局のほうでは、大蔵省のほうでは自動車から税金を取るのだ。どうもこの辺の基本的なところが私は納得がいかないわけなんです。聞くところによりますと、細見さんも主税局長という立場としては、この自動車トン税には本来は反対であったということを聞いております。その点についても私お伺いしますけれども、どうもその辺が、総合交通体系というものをどういうふうにするかということを運輸省のほうで審議している過程の中でこういう法案が出され、自動車に税金が課せられるというのはいかがなものか、こういうふうに思いますが、その辺のことはいかがでございましょうか。また私は運輸省が来ましたらもう少し具体的にこまかく詰めさせていただきますけれども、とにかく自動車から税金を取るんだという責任者は細見さんでいらっしゃいますので、その辺のところをどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  366. 細見卓

    ○細見政府委員 お名ざしでございますので私がお答え申しますが、運輸省の運輸政策審議会で総合交通の問題は、これはあるべき望ましい交通体系としての総合交通政策を論議なさっておるのでありまして、その財源論につきましては別でございまして、これはわれわれが考えるべきことでございます。また一方、御承知のように第六次道路整備五カ年計画はすでに発足いたしておりまして、この道路整備五カ年計画というものは少なくとも運輸省で審議されております総合交通政策の審議会において前提として取り入れられるものである。しかもその前提となるべき道路五カ年計画を実現するにあたっては本年のうちに新たな税を発足させて、明年度以降のさらに大規模化する財源あるいは本年の不足する財源を手当てしておく必要があるというわけでこの税を設けたわけであります。したがいまして、ここで出てまいります選択と申しますのは、道路整備五カ年計画を実現するのに一般会計に、一般の人たちに負担を求めるか、自動車を使用する人たち、自動車そのものに負担を求めるかという選択であるとすれば、私は自動車そのものに負担を求める選択が正しいのではないか、かように考えたわけでございます。
  367. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 第一点は、いまのでおかしいのは、運輸政策審議会の総合部会では、運賃のこと、あるいは総合交通体系ができた際の財源の問題もひっくるめて全部やらなければだめなんだということをわさわざ——単なる日本国じゅうにどういう交通体系をつくるかという問題だけではなく、そういうフィジカルプランだけではなくて、こういう項目がわざわざできているわけですね。「総合交通施設整備計画の策定」という項目で「(1) 交通部門に対する現在及び将来の社会的な諸要請に対応し、あるべき交通施設体系を策定し、これに必要な資金額を算定する。このため、交通施設体系についていつかの案を作成し、これらについて将来の交通需要量によるチェックや、国土開発、環境保全、労働力需給等の視点からの評価等を行なう。この場合、第一次接近として、GNP百五十兆円(おおむね昭和五十五年頃)の経済規模を前提とするケースを検討し、可能な限り他のケースをも検討する。」わざわざ「総合」とつけたのは——これは総合農政の総合ですけれども、「総合」とつけたのは単なるできないプランをつくるのではなくて、具体的にその資金的裏づけをも今後どうするか。資金的裏づけというのは、いま局長も言われましたように、道路をつくる場合にはほんとうに自動車を使用する人が負担をするのがいいのか悪いのか、あるいは一般会計から出していくのかあるいは公債を発行するのか、そのほか民間資本をどういうふうに参加させていくのか、いろいろな次元があると思うのです。これにもそういうふうに書いてありますけれども、あるんだと思うのです。  ただ、この審議会の答申をどれだけ実際に実行されるか。これは、各省にいろいろの審議会がございましてそのいろいろな経緯を見てみても、自分の都合のいいところだけはうまく審議会の答申でございますといって使っていますけれども自分の都合の悪いのは両案併記とか、あるいは自分に非常に都合のよくないのは、審議会の答申ができても時間後ぐらいにはちゃんと政府案というものができるような、そういうこともあるから、この審議会の答申をどれだけ参考にするか、あるいは取り入れるかということはこれまた私は政府の独自な立場だと思うのです。そういう、いま細見さんが言われたように、この三千億が実際に足りないか足りるかはまた別の問題として、足りない道路をつくるのに、それでは自動車を持っている人が負担をすべきなのか、それとももっと広い意味一般会計の別の面からこれを出していくべきなのか、そういうことも現在運輸政策審議会で私はやっているんだと思うのです。運輸政策審議会の中間答申にはそう書いてあるのです。ですから、細見さんが言われるように、細見さんの立場としては、現在この道路をつくるのは道路を使用する車の所有者が負担すべきであるという、これは確かに一つの選択です。一つの選択だけれども、それがはたして過去のずっと長い交通体系の歴史の中でいいか悪いかということを全部洗い直してみなければいけないんだという作業を運輸政策審議会の中で現在やっているんだと思うのです。ですからそれを待って——その結論が一般国民的なコンセンサスになるかどうかわかりませんけれども、いやしくも政府一つの省の諮問機関であるところでその審議をしている過程の中で、この自動車トン税というものが一方的に自動車所有者にかけられてくる。しかもそれは、全体的な自動車というものあるいは道路というものが、交通体系の中で、都市交通の中で一体どういうふうになっていくのか、そういう見通しもなく、ただ三千億道路の財源が足りないから自動車から取るんだということでは——一方でやってなければいいですよ、やってなければ私はこういうことは言わないけれども、一方でわざわざ運輸政策審議会ということで諮問機関を設けてここに諮問をし、そしていろいろな学者の方が集まって論議をしている過程の中で一つのこういう方針が出されるというのは、私は政府としてはちぐはぐなことではないかと思うわけです。  運輸省の方、入られましたですか。——ではお伺いをしたいのですが、少し話をもとに戻しますけれども、運輸省として今後自動車の交通機関における位置というか役目というか、それはもちろん道路も含めてでございますけれども各種交通機関があるわけです、人を運ぶもの、貨物を運ぶものの中で、いろいろ競合するものもあるし、それから競争させなければいけないものもあるわけですけれども、そういう中にあって、それでは自動車というものあるいは道路網というものをどういうふうに今後位置づけていかれるのか。運輸省の方針というものは一体どういうところにあるのか。それをまずお伺いしたいと思います。
  368. 小林正興

    小林政府委員 運輸省といたしましては当然、海陸空全体の各交通機関の総合的な、それぞれ役割りに応じた発展というようなものを期しておるわけでございまして、そういった点から、自動車は当然自動車としてこれが円滑な輸送というようなことに向かって諸種の政策を進めておるわけでございます。
  369. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 円滑な輸送ということでは答弁にならぬのであって、それでは都市交通、大都会の中で、たとえば東京の中で新宿から各勤労者の方々を職場に運ぶ、この場合にいろいろなことを判断をして、地下鉄がいいのか、自動車がいいのか、あるいはトロリーバスがいいのか、あるいはバスがいいのか、こういういろいろな選択がいま迫られているんだと私は思うのです。その中で、今後のたとえば大都市の中での交通輸送機関として自動車というもの、たとえばバスというものは一体どういうふうに位置づけられ、その位置づけによって将来それが活動しやすいような環境をつくっていかなければいけないと思うのです。それは輸送の場合でも、タクシーの問題もあります、あるいはバスの問題もあるわけですけれども、それではいわゆる自動車、バスならバスに限ってもよろしゅうございます。バスに限って、大都会における輸送機関としてのバスの役目というのは一体どういうふうにあるべきだと運輸省はお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  370. 小林正興

    小林政府委員 大都市の輸送に限って申し上げますと、従来はとかく鉄道は鉄道、地下鉄は地下鉄、あるいはバスはバス、あるいはまたタクシーはタクシー、それぞれ個別にそれの発展政策を講じてきたわけでございますが、今日では非常に都市交通が御承知のとおり渋滞してまっておるわけでございまして、これらの各種の交通機関を総合的に調整をとるべく、ここに新しく交通機関のあり方というようなものを見直すべく、現在運輸政策審議会に都市におけるバス及びタクシーのあり方を諮問してございます。現在関係各方面の諸先生方に集まっていただいて審議をやっている途中でございますけれども、大体の点を申し上げますと、地下鉄網、こういったものと関連してバスの路線網はどうあるべきか、あるいはタクシーはどういった役割りを与えるべきか。これを都心部あるいは周辺部、時間で申し上げますと昼間の場合あるいは夜間の輸送の場合、非常にきめこまかく、そういった場合を分けて検討をしておるわけでございます。バスは鉄道のいわば補助、補完機関というようなことで、地下鉄網の補助的なバス路線網を敷くべく、場合によれば現在の路線網を再編成するというようなことも必要ではなかろうかと考えておるわけです。
  371. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ということは、いま小林さんが言われましたように、地下鉄を中心にしてバスなりあるいはタクシーなり、おのおのの輸送機関というものを再編成するかどうか、こうかということは、まだ運輸政策審議会でやっている過程ですね。まだこれは何も結論が出ていないわけですね。いま自動車重量税、自動車トン税の問題でありますが、自動車に限れば、自動車の輸送機関というものがその中でどういう位置を占めるべきか。大都市に限るならば、大都市の中ではたしてどういう役割りを果たすべきか。その辺のことを総合的に検討しなければいけない。そして審議会のほうにそれが諮問されている、そういう段階ですね。
  372. 小林正興

    小林政府委員 現在運輸政策審議会といたしましてはそういった作業をやっておるという事実を申し上げておるわけでございまして、自動車新税ともちろん関連が全くないとも考えられませんけれども、当然運輸政策といたしましてはそういった都市交通問題というものを従来からもやってきておるわけでございますし、今日の時点に立っての新しい輸送体系のあり方というものを見直していきたい、こういうことで、当然運輸省の責任においてやっておるわけでございます。
  373. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そしてその運輸政策審議会では「総合交通体系に関する中間報告」として「その1」「その2」というのは昨年の十二月の二十五日に出されているわけですね。もちろんそれは小林さんよく内容を御存じだと思いますけれども、まだそれは、総合交通体系というのはまずこういうものである。それは先ほど私も細見さんに申し上げましたけれども、単なるフィジカルプランを立てればいいというものではなくて、それは「それをめぐる資金の調達方式や配分方式を併せて定め、運賃や料金体系のあり方を考え、さらにそれを一つの体系として運用するための諸元を明確にするなどの諸作業が併せて同時に一体的に構想されることを意味していると考えなければならない。」総合交通体系に関してはこういうふうに一番冒頭で述べられてあって、その個々のことについては、「総合交通体系策定についての今後の審議の進め方について」ということで二月の二十三日に運輸政策審議会総合部会での確認というか、今後の方向が出されているわけです。まだほんとうに総合交通体系というものの緒についたというか、端緒というか、まずもう一回総合交通体系をつくらなければいけないのだという段階にやっと入ったところだと私は思うのです。そういう認識でよろしゅううございますね。  ですから、その中では自動車というものがどういうふうにその交通体系の中で位置づけられなければいけないのか。今後の交通機関の中における自動車の位置、もちろんそれは道路網も含めまして、自動車というものがどういう役割りであるべきなのかということも、それを含めて審議中である。それはイコールフッティングと簡単に言いますけれども、鉄道とトラックを一体どういうふうに競合させていくのかという問題も全部まだ未解決、回答が出ていない。その審議会の回答が、失礼ですけれども、絶対的に正しいとは私は思いませんけれども、とにかく運輸省の諮問機関である運輸政策審議会でいま検討しているところである。この自動車重量税にも関係のある自動車行政全般及びその資金の調達方法、それも含めて審議中である、私はこう思うのですが、いかがでございますか。
  374. 小林正興

    小林政府委員 先ほど申し上げましたように、総合交通体系の確立ということは、最近の輸送情勢と申しますか、輸送の構造が非常に変わってまいっておりますので、これはこれとして当然目下の緊急課題でございますので、鋭意策定中であるわけでございます。
  375. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私が再三申し上げますように、鋭意作成中であるということは、自動車の交通機関における位置づけというのはまだ確定されてない。それは道路も含めて——私は同じことだと思うのです。その総合交通体系というのは実は、小林さん御存じのようにたいへんなんですね。たいへん多岐にわたるわけなんです。ここに対象施設として、国際交通として国際空港、貨物専用空港、外国貿易港湾、大規模工業港湾。それから幹線交通としては新幹線鉄道、それから在来の鉄道、高速自動車道その他の一般的な道路。それから空港、それから国内流通拠点の港湾その他の港湾。それから大都市交通としては都市鉄道、これはモノレールも含め、それから高速道路その他の道路。そのほか各種のターミナルとかパイプラインも含めて、とにかくたいへんいろいろな陸海空の問題が総合的にいま審議会の中で審議されていると私は思うのです。  そこで、さらにこの運輸政策審議会で注目をしなければいけない、あるいは委員の方々が特に強調をされていることは、いま申しました、単にそういう諸施設を日本の各地に計画的に配分すればいいという問題だけではなくして、さらに、従来の審議会と違うのは財政ですね、資金の調達のことまでここで審議しなければいけないという、大きく一歩を踏み出していることじゃないかと思うのです。それはこういうふうに書いてあるわけなんです。「総合交通体系実現のための政策制度等の検討」というところで、「交通投資財源の調達」「総合的な交通施設整備に要する投資財源の確保の観点から、おおむね次のような事項について検討する。」とあるわけです。これから検討するのです。「(イ)利用者と財政との負担関係の明確化」「(ロ)公債制度の採用」「(ハ)民間資本の参加」「(ニ)急速な構造変化に対処しうる資金調達方式」「(ホ)財源調達の一元化」。さらに第二項目に「運賃制度の総合的再検討」、運賃制度もこれも総合的に、単なる個々のバスならバス、タクシーならタクシーということできめちゃいかぬのだということも書いてあるわけなんです。  ところが私は、いまここで出された自動車トン税というのは、細見さん先ほど言われましたけれども、とにかく道路をつくらなければいかぬのだ、それには三千億足りない。額についてはまたあとで詰めるとしても、三千億足りぬ。その資金の調達方法については、先ほども(イ)から(ホ)まで申しましたように、公債を発行するのかいいのか——これもまたあとで私論議しますけれども、公債を発行するのがいいのかあるいは車を持っている人が負担するのがいいのか、あるいは一般会計から出すのがいいのか、いろいろなやり方もあるわけです。それも私は現在運輸政策審議会の中で討議しているのだと思うのです。そういう認識でよろしゅうございますね。
  376. 小林正興

    小林政府委員 総合交通体系の問題として、運輸省部内あるいは政府全体といたしまして検討いたしておる段階であることは先生御指摘のとおりでございますが、私の所管いたしております自動車関係に限って申し上げますと、ただいま先生も御指摘になりましたとおり、運賃政策あるいは、先ほどもちょっと触れましたが路線網の再編成、こういった直接運輸行政として検討しなければならない問題をやっておるわけでございまして、そういった意味合いから今後財政あるいは新税と関連が全くないとは申し上げられないと思いますけれども、これは当然現在の段階として運輸行政としてそういった新税との直接の関係ということでなくて、ただいま先生御指摘のとおり、運賃政策の問題あるいは路線網の問題というようなものをつかまえて、そして検討しておるわけでございます。
  377. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私は小林業務部長見解もわからぬわけではないんですが、ちょっと私、異なことだと思うんですね。これはちょっと大臣にもお伺いしたいんですけれども、運輸省の諮問機関で、道路をどうしようか、鉄道をどうしようか、飛行機をどうしようかという総合的な運輸体系をきめつつある。しかも資金の調達方法も、公債がいいのかあるいは利用者負担がいいのか、そういうこともこれから審議しなければいかぬ。同じ政府の中の運輸省の諮問機関でやっていることなんですね。やっている一方で、大蔵省のほうからは今度は利用者負担なんだ、あるいは道路をつくらなければいかぬのだというのは、自動車新税、自動車トン税と関係がないというのは私おかしいと思うんですね。やっていないのならいいけれども、運輸政策審議会のほうで何もしないで、このままいけばいいんですというような結論ならいいんだけれども、どうも全般的に、しかも私がさっき申しましたように、陸海空あらゆる次元で全部総合的にものを考えてみて将来の日本の交通体系というものを考えてみなければいかぬのだ。しかもそれが一体資金をどういうふうに出すべきかということも審議している過程の中で、今度は道路をつくらなければいかぬ、そして財源は利用者負担である、自動車に税金をかけるというのは関係がないというのは、どうも私はこれまたおかしな論議じゃないかと思うのです。大臣、いかがでございますか。
  378. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは総合交通体系、これができておれば話は非常にすっきりすると思うのです。しかし一日も、社会資本の整備、交通体系の整備、これは休むわけにいかない、そういうような事情。それからもう一つは去年の国会で、佐藤さんこれは御記憶だと思うのですが、一体道路の十兆三千五百億円の財源はどうするんだ、こういう御質疑がありまして、あるいは御質疑というよりは追及と言ったほうがいいかもしれません、そういう話がありまして、それで、この財源については三千数百億不足をいたします、これは四十六年度予算編成の際にこれを明らかにいたします、こう申し上げておるわけなんです。そういう国会に対する私どもの言明は厳粛にこれを実行しなければならぬ、こういうふうに考えるわけでありまして、総合政策はこれは急いで進めます。進めますけれども、さあこの自動車新税ができましたら総合交通体系の樹立が妨げられるというんじゃなくて、むしろこれは促進をされる、そういうふうに観念をいたしております。
  379. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 しかし、先ほど食管の問題で農業政策もあったわけですけれども、今度は道路をつくれ。道路をつくったはいい。しかし現在のように自動車には八つも税金がかかり、さらに自動車新税がかかるということになると、そのうちに、道路ばかりできたはいいけれども、今度は走る車がなくなっちゃう、というようなことはないでしょうけれども、どうもその辺がばらばらなんじゃないかという感じがするわけなんです。  それで、この総合交通体系について最後にもう一点運輸省にお伺いしたいのですが、その運輸政策審議会の答申、総合交通体系に対する答申というものは一体いつ出ることになっていますか。
  380. 小林正興

    小林政府委員 ことしの夏ごろを目途に現在いろいろ作業しております。
  381. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 確かに、ここにいただいた本年の二月二十三日の運輸政策審議会の総合部会のプリントには、「七月中に総合交通体系についての答申案をとりまとめるものとする。」ということになっているわけですね。だからそれからでも——どうせこれは、たとえば自動車トン税が通ったとしても施行期日は十二月一日ですから、こちらのほうがあとになるわけですね。総合交通体系というものが確立する、ということはちょっと語弊があることばかもしれませんけれども、ちゃんと出て、それが国会の審議の中で十分国民の中に定着してからでも私は全然おそいことはないと思うのですよ。それのほうが審議会というものを重んずることになる。審議している人が一流——私はこれは見た限り、たいへん失礼だけれども、一流な方だと思うのです。現在の日本の交通行政の専門の方が多いと思うのです。それが一生懸命やっている中で、片方では自動車新税だといって、自動車を持っている人から税金を取るという、そういうかってな——かってなと言うとおこられますけれども、つまり審議会の方々が一生懸命、どういう方法がいいのかということを検討している片方で、今度は主税局のほうからは、道路をつくるには自動車を持っている人に負担してもらわなければいかぬ、利用者負担であるということが出てくるというのは、審議会の人はどうもこそばゆい、何だ、私たちは何を審議しているのだという感を免れないし、これは私は審議会の方に対して失礼なことに当たるのじゃないかと思うのです。その辺のところを大臣に再度お伺いをして、これはいつまでたっても前へ進みませんので、総合交通体系についてはやめにしたいと思いますが、その辺のところ、大臣も内閣の筆頭大臣でございますので、こういう何か私にはばらばらに見えるし、これなら審議会で審議する必要もないではないかという感も免れないわけなんですが、その辺のところをお伺いしたい。
  382. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会が非常に変化しまして、交通体系がだいぶ変わってきておるのです。そういうものに即応しまして、総合的な観察をしてみる必要があるんじゃないか、そういうことが総合交通体系問題でありますが、とにかく道路一つを見ましても財源が不足をする。道路の整備、これはたいへんおくれているわけでありまして、これは急がないわけにはまいらない。そういうようなことで、総合交通体系の整備、これは取り急ぎます。しかしさればといって、それまで税の道路などの財源、これの充実を待つわけにはいかぬ、また国会に対する言明にも反する、そういうふうに考えまして、鋭意作案したものがこの自動車新税であります。おそらく審議会におきましても、これは道路財源をこの方法によって調達をするということに御反対というのではなくて、おそらくそういうことを前提にいたしましていろいろ御審議を願っておる、かように存じます。
  383. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 まあこの自動車トン税の出てくる背景には——あとからまた背景もちょっと御質問申し上げるわけですけれども、イコールフッティングの考え方があるわけですね。鉄道と自動車というものを競争させるには同じ条件のもとで競争させなければいけないというイコールフッティングの考え方があるわけなんです。ところがこれも、簡単に言いますけれども実は簡単ではないのだと、いろいろ専門の方は述べられているわけです。それは運輸政策審議会の方々でも述べられているわけで、たとえばこういうことが「総合交通体系に関する中間報告」の「その1」には出ているわけですが、「交通機関の場合には、製造業など一般産業の場合のように単純なマーケットメカニズムを生かすことが常に可能でなく、仮りに可能であるにしても、それを実現することが当面決して効率的な経済運用あるいは現実的な施設活用とならない場合が少くないと考えられる。」イコールフッティングという問題もそう簡単ではないんだ。しかも、岡野行秀さんという方は、これはたしか東大の教授の方ではなかったかと思いますが、この自動車新税に賛成の方でございますけれども、それにしてもこのイコールフッティングという問題というのは簡単ではないんだ。時間もございませんので中身をずっと言っているとたいへんになりますけれども、「イコール・フッティングの具体的施策として、欧州各国がもっとも意を用いているのは、通路費の負担である。鉄道、自動車、航空、海運の各交通手段について通路費の費用負担が異り、この費用負担の差異がサービス消費者の交通手段選択の基礎となるサービスの価格体系をゆがめているという認識にたっている。」結論だけ申し上げますと、イコールフッティングという考え方は確かに妥当性を持っているけれども——「むすび」で岡野さん書いていらっしゃるのですけれども、「基本的な考え方の妥当性については問題がないとしても、現実への適用に関しては検討すべき点が少なくない。以下主要な点について言及しておこう。」といって、これは二項目、三項目にわたって書いてあるわけですが、それをいま説明していてもしようがないんですけれども、とにかく、この自動車トン税が出てくる背景には、やはり他の交通機関との関連、それから、今後の交通機関のどのようなものに依存すべきであるかということも含めて、私はやはり論議しておかなければいけないと思うのです。また、道路が非常に舗装率が悪い、あるいはもっともっと道路網が必要である。あるいは今度の自動車トン税では新幹線もつくる、あるいは地下鉄もつくるということもありますが、これはまたあとで御質問申し上げるわけですけれども、そういうことも含めている限り、私は単なるそういう基本的な問題、たとえばイコールフッティングの問題なんかも、はっきりとした国民的なコンセンサスあるいは政府見解あるいは学者の見解、こういうものが一致しないうちに、とにかくつくらなきゃいかぬのだということで事を始めることは、せっかく税金を使ってもまたこれではむだづかいにはならぬかという心配があるわけなんです。その辺のところをこの問題について最後に、二度目の最後になりましたけれども、お伺いをして、次の観点に移らせていただきたいと思います。
  384. 福田赳夫

    福田国務大臣 佐藤さんのおっしゃることはわからぬわけじゃないのです。ないのですが、しかし、道路の非常な立ちおくれです。これは十兆三千五百億円を使いましても、これで先進国に追いつくかというと、なかなかこれでも追いつかない状態です。そういうことを考えますと、主として道路財源として使うこの自動車重量税、この税が、総合交通体系というむずかしい問題が解決されなければこれは実施すべからざるものである、こういうふうに私は考えません。やはりとにかく取り急ぐべきものは取り急いでやる。これと並行してその総合交通体系というものも検討し、なるべくすみやかに結論を得なければならぬ問題である。さように考えます。
  385. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 総合交通体系との関連ばかりやっていてもこれは前へ進みませんので、次の観点に移らせていただきたいと思うのです。  それは、細見さんでけっこうでございますが、この自動車重量税が出てくるまでにつきましては、二年間ぐらいずいぶんいろいろな経過を経ているわけです。それは私は無視できないと思うのです。その中でいろいろな問題で論議されてきたわけですが、そもそもは、四十四年の五月二十六日に田中自民党の幹事長がホテルニュー・ジャパンで語ったのが、いろいろその間経緯はございますけれども、この自動車新税についての私は発端だったと思うのです。その間に、トラック税にするんだ、いやその財源というのは道路と国鉄と地下鉄に使うんだとか、あるいはやはりトラック税で、あるいは自動車新税というのはまずい、揮発油税あるいはガソリン税というものを上げていくのが税体系上一番いいんだ。それで、税理論からいくとどうも自動車新税というのはあまりよくないというのは、これは私はたしか主税局の考え方で、主計局のほうはそれはやはり必要だというふうに、大蔵省の中でも賛成、反対が分かれたというのが、これはこれだけの新聞の切り抜きにも出ているわけです。  それで私は、この間のいろいろな、トラック税の問題、あるいはガソリン税、揮発油税の増税の問題、あるいはその財源を公債にしたほうがいいのかあるいはこういうような自動車新税にしたほうがいいのか、あるいはもっと一般財源から出すべきなのか、こういう問題というのは、私はやはりこれは非常に重大なことだと思うのです。その辺のところを、差しさわりがあるかもしれませんけれども、そもそも田中幹事長が打ち出されてから今日までの、この自動車重量税の思想的な変遷について御説明願えれば幸いと思いますが、お願いいたします。
  386. 細見卓

    ○細見政府委員 たいへんむずかしい御質問でございますが、道路整備五カ年計画が改定されまして、それに必要な財源が要るということで、その財源を何らかの形で求めたいという議論がございました。そのときに主税局の立場は、文字どおり税を考えるわけでありますから、国民負担は少なければ少ないほどいいという立場に立って省内で議論するのは、これはたてまえでございます。そういうわけで、いかなる増税も初めから私は賛成でございますということを申し上げかねるわけで、そういうことが新聞等に伝わったのかと思いますが、最終的に大蔵省といたしまして、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、第六次道路整備五カ年計画というものが必要なものであり、そのための財源というものが明らかに不足するということが明らかとなった段階におきましては、その財源を捻出する方法についてはいろいろ考える、これも私の仕事でございます。そういう意味でいろいろなことを考えまして、最終的にやはり政府の税制調査会のほうでも、「必要最少限度の負担を広く自動車の利用者に求める税制上の措置」を考えるのが適当ではないかというような答申もございました。そういう意味では、いろいろな増税案が出て世上で論議される過程におきまして、この税制調査会の答申をいただきましたものが一つのいわば国民的なコンセンサスであろうかと考えまして現在のようなものを提案した次第でございまして、その間に私どもは、税は少なければいいという立場はいつもとりたい、かように思っておるわけでございます。
  387. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いろいろ自民党との関係、経緯についてはまあお話がなかった。私も逐次お聞きしたいわけですけれども、ちょっといまの中で気になったことなんですが、それは、税調は自動車新税はかまわないと言われたと細見さんおっしゃいましたけれども新聞によりますと、それはかなり政治的に税調のほうに圧力をかけたんじゃないか。というのは、時間的に見ましても、税調に自動車新税いかがなものかと諮問を出してからわずかの間に税調のほうは出してきた。これもどうも異例な短さのようだったと思うのです。私は必ずしも、税制調査会というものが自動車新税というのを可とする、よろしいというふうに言ったとは認識しないのですが、その点ちょっとはっきりしておいていただきたいのですが……。
  388. 細見卓

    ○細見政府委員 答申を読み上げてみます。最後に「自動車新税」という答申がございまして、「自動車の増加に伴い、道路整備や交道渋滞に対する対策等広範にわたり多くの問題が生じている現状にかえりみ、第六次道路整備五か年計画を主とする交通政策上の所要の施策のための財源事情を勘案しつつ、必要最少限度の負担を広く自動車の利用者に求める税制上の措置を講ずるよう政府において検討すべきである。この場合において、地方道路財源とくに市町村道路財源の強化について配慮すべきである。」こういうわけで、その論議の過程でいろいろな議論をお持ちの方もございましたが、最終的に税制調査会としての御意見としてはここにございますように、政府の審議会でございますから、具体的にどういう税を税率でどうしてというようなところまでは、予算編成もまだ十分詰めに入っておらない段階での答申でございますのでこういう形になっておりますが、私ども政府の税制調査会において自動車新税を設けることあるべしということについて十分答申をいただいたもの、かように考えておるわけでございます。
  389. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私は結論だけ見れば確かにそうなると思うのです。しかし、税制調査会の臨時小委員会のほうに大蔵省が提示したのが昨年の十二月十九日に作成して、二十日に税調で答申が出ているわけなんです。違いますか。——それで、東畑会長は私と同じようなことを一つ言っているわけです。これは一つは、税調は自民党に引きずられたんじゃないかというふうにいわれているけれども、そうじゃないんだということと、もう一つは、道路整備計画で三千五百億程度の財源が不足するということなので、そのために自動車新税をつくることはやむを得ないと考えた。しかしその税が乱用されてはならない。総合交通体系のはっきりしたビジョンがないまま新税が国鉄、新幹線などの財源に使われることになれば、それは税調の答申の趣旨に反するということを、十二月の二十一日の記者会見で税調の会長である東畑精一さんは述べられているわけなんです。だから、結論だけ見れば、活字に書いてあるものだけ見れば確かに局長が言われたようなことかもしれませんけれども、必ずしも私はそうではないんじゃないかと思うのです。この問題、ちょっと本論からはずれますのでこれ以上——私も税調の答申のこまかいことまで調べてありませんので、ここで税調についてはやめますけれども、私の認識が違っていますか。時間的なこと、あるいは東畑会長が言われたこと……。
  390. 細見卓

    ○細見政府委員 自動車新税の問題につきまして論議を願ったのは九月からでございまして、決してそのまぎわになって自動車新税を持ち出したわけではございません。そういう意味で、具体的なその翌年の税制改正の案をいただきます税制調査会というのはおおむね一日ないし二日で、その間起草小委員会という委員になっていただく方々に一週間あるいは十日の間、世間に出ない形でいろいろ御検討願って、そこでおまとめ願ったものを審議会にかけた。したがいまして、結果的には一日か二日できまったかのような印象がございますけれども、実際は七月、八月からの連続した審議に引き続きまして、それをどういう具体的な改正案に取り込むかという起草小委員会の綿密なお仕事を経て答申になるわけでありますし、先ほどの東畑先生のおっしゃったのも、ここに答申にございますように「必要最少限度の負担を広く自動車の利用者に求める」ということをいっており、その前に道路整備五カ年計画によって財源が不足しておる現状にかんがみということをいっておられるので、この答申の趣旨は尊重してほしい。たしか会見のときも一部の記者の方からのいろいろな質問に対してこの答申の趣旨をふえんされたわけでありまして、積極的にそういう御説明があったというわけではなく、質問に対する一問一答の過程でこの答申の趣旨をパラフレーズされた、このように考えます。
  391. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 答申の問題はいまやるのは本旨ではないのでやめますけれども、「必要最少限度」といったって、これは国の防衛みたいなもので、一体どこが必要最少限度なのか、そんなことはだれもわかりゃせぬです。ただ自分の都合のいいように必要最少限度といっているだけの話で、細見さんは五年間五千億というものが税調でいっている「必要最少限度」だというふうに考えていらっしゃるだろうし、私は別の観点からこの法案は反対であるという趣旨からいろいろものごとをお聞きしているので、それはここで論議していても、幾ら時間があるといっても論議になりませんので、次の問いに移らしていただきたいと思うのですが、先ほど申しましたように、この自動車重量税が出てくる過程の中で、私は最初のこの原形というのはトラック税だと思うのです。トラック税、この考え方というのは、とにかくトラックというのは重くて道路をこわすわりには税金の面ではあまり納めてない。揮発油税もあまり納めてない。アメリカの五十三億円ですかかけた調査によれば、トラックというものはたいへん膨大な道路をこわしてしまうということで、トラックが少し優遇され過ぎているんじゃないかという発想がそもそもあったんだと新聞報道には見えているわけなんです。  そこで私は問題にしたいのでございますけれども、今度のこの自動車重量税の法案の精神というか、これはいま申しましたようなトラック税、つまりトラックというものが道路をこわす、これは一番ひどい、そのわりには負担をしていない、こういう観点からの発想と考えてよろしゅうございますか。
  392. 細見卓

    ○細見政府委員 トラック税の問題は、たしか堀先生からこの委員会で御質問を受けましたときに、タクシーに物品税がかかっておってバスにかかっておらないのはおかしいとかいろいろな議論が出まして、道路損傷というようなことがあると、それがトラックにかかっておらないのはおかしいじゃないか、こういう御議論があって、そういう意味では外国ではトラック税がかかっておりますということを申し上げたわけであります。そういう意味で今後日本の税制でトラックに対する課税をどう考えるか。いまの物品税の範疇の中ではなかなかむずかしいが、こうした問題は考えなければいけないという意味で、それにある意味ではこたえる意味におきまして、自動車一般が非常にふえました結果、新たに道路が必要になり、あるいは道路が破損するとかあるいはその補修が必要であるとかいうようなこと、あるいはまた道路が混雑して流通秩序を非常に混乱させるとか、あるいはまた交通安全、ひいては交通災害のようなゆゆしい問題も生じておる。そういう、つまり自動車がふえることによって、あるいは自動車が走ることによりまして社会にかけておる負担というものを広く自動車に求めるのは、いままでの物品税などと違った考え方として、特に道路整備というようなものの財源を考える場合には一つ考え方ではないかということは考えております。その場合に、自動車にはすでに幾つかの税がかかっておるわけでありますから、その意味で一番負担が軽くなっておるトラックだけをもう少し重課したらどうかというような考えもございましたが、一方また、トラックは国民生活に非常に緊要な物資の輸送に当たる、むしろ国民生活の必要度はより大きいというような、物価の問題等もございます。そういう意味でやはり広く自動車に負担を求めたほうがよろしかろうというので、今回のような提案をいたしておるわけでございます。
  393. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私はそこを問題にしたいんですよね。この法案の精神というのは確かにいま細見さんの言われたとおりだと思うのですが、広く今度自動車に求めるということならば、私は、トン税つまり重量によってその額を変えるという必要はないと思うのです。いままでのように、あるいはガソリン税なりあるいは自動車税なりの増税ということで、私は考え方としてはいいんじゃないかと思うのです。やはり重さによってこの税金の額を変えるというのはトラック税の発想と同じように、重いものは非常に道路をこわす、しかもトラックの場合には、こわすわりには税金を、揮発油税でも負けてもらい、あるいは物品税もかかってないということで、他の乗用車に比べると税金を納める額が少ない、そういうことで今度の自動車重量税というものが出されてきた。重量税というからには私はやはりそういう道路に対する破損度、これがあってもいいのじゃないか。  そうしますと、もう一つわからないのは、つまりトラックなりあるいは公共輸送機関というのは、これはいま細見さんも言われたように大衆が利用するものでございますから、大衆が利用するものは税金を安くして大衆が便利なようにするという一つ考え方があると思うのです。その考え方の一方に、いま申しましたトラック税のように、道路を破損するからだめなのだ、税金をもっと取るべきだという考え方がある。これはごちゃごちゃになってこの自動車重量税に入ってきていると私は思うのです。それでどうも大蔵省にとっては都合のいいところばかり吸収して自動車新税に入っている。だからこの辺のところをもう少しすっきりしてもらいたいと思うのですね。自動車重量税というのはトラック税の延長として、道路の破損を補う意味税金を課するのだと。そうしますと重量税、つまり重さに比例して税金をかけるというのは私は理屈と合ってくると思うのです。ところがただそれだけじゃなくてさらにもっと広げまして、負担を一般の乗用車まで——こんな乗用車にかけられているというのは諸外国の例を見ても、細見さんよく御存じのようにないわけですね。それについてあとからまた御質問申し上げますけれども、どうもその辺のところが大蔵省の、特に主税局の考え方というのは自分たちの都合のいい考え方ばかり全部ひっくるめちゃって、それでこの法案ができていると思うわけです。やはり税を取るからには税目というか、こういうために税金を取るのですよということをはっきりしないと、どうもこれはすっきりしないと思うのです。そう思いませんか。片方には、これは一般大衆が使うものだから税金を安くするのだという考え方がある。それで現にトラックは特に物品税もない。揮発油税も半分ですか負けられてきた。その考え方がある一方で別に、とにかくこれは道路を破損するからという考えもある。これは相反しているものなのです。相反しているものがこの法案の中に全部入っている。どうも私はこれが納得いかぬのです。これをもう少し御説明願いたいと思います。
  394. 細見卓

    ○細見政府委員 私の説明が悪かったのかもわかりませんが、現行の税では先ほど申し上げましたように物品税がかかっておるわけでありますが、これは奢侈品、便益品というような考え方が基本にありますので、したがって営業用のものは課せないということで、トラックのようなものには、奢侈品でもなければ便益品でもないということでかかっておらなかった。ところが一方、先ほど申しましたように、自動車がふえる、その走行に伴いましていろいろな社会的負担を生じておる。その負担を生じるということにつきましては、乗用車であると、あるいはバスであると、あるいはトラックであると、差別がない。そこでここに新しい税を設けたわけで、おっしゃるように、従来の税で何らか増税をすれば事が足りるということであれば新税を設ける必要がなかったわけで、まさにそこが新税を設けたゆえんだと御了承願いたいと思います。
  395. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 どうもあまり御了承もできないのですけれども、私の言っていることはわかりますでしょうね。つまり重量税という発想は、重いものは道路をこわすんだ、日本の調査でも、トラックは道路をこわすわりには半分しか税金負担していないという、たしか半分だったと思うのですが、調査がありました。アメリカでもその調査がありました。たしか五十三億か何かばく大な額をかけた調査をして、トラックというのは非常に負担が少ないということをいわれている。しかしトラックにしてもバスにしてもこれは大衆のものを運ぶ。またこれはあとで物価問題の観点から御質問申し上げますけれども、これを高くしますと、やはり輸送費ですから物価に影響しますので、税金の面で優遇する。これはものの一つ考え方であるし、一つ政策であると思うのです。それだからそういう重量税、つまり重さに比例して税金をかける、これならひとつ私はすっきりすると思うのです。今度それも一切含めちゃって、バスもタクシーもハイヤーも全部今度は納めていただくのだということになると、大衆的な乗りものと、そうじゃない個人用のものとの差別が全然ないのじゃないか。一方では重量税ということで、重さということで道路の破損率の問題にして税金を取る、さりとてやはりこれは大衆のものだといって、乗用車から一切自動車を含める、この辺のところが私はどうもすっきりいかぬのですが、もう一度、すみませんがお願いしたいと思います。
  396. 細見卓

    ○細見政府委員 この新税は決して道路損傷のいわば補償を求めるというだけのものではなくて、道路の混雑でありますとか、あるいは交通安全のいろいろな施設が車が走ることによって必要になるとか、あるいはまた交通災害等が起こって警察機関の発動とか、あるいはそのほか消防機関の発動とかいうようなものも求めなければならない。そういうふうに広く、自動車が走ることによりまする社会的な負担というものがある。それは自動車の区別に関係なく広く負担してもらっていいじゃないか。こういうのが新しい税で、従来の税は奢侈的なもの、あるいは便益的なものという色彩があるわけであります。したがって営業車に課するということは適当でない。税の性格を変えることになる。あるいは地方税に自動車税というのがございますが、これは固定資産税の系統にかかるものでございまして、いわばほかの固定資産との間の税のバランスというものがありまして、自動車だけを特に重課するというわけにも必ずしも適さない。そういうことでここに新しい税を設けた、こういうわけでございます。
  397. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 税のバランスということを言うならば、私は世の中でこんなに税金のかかっているものはないと思いますよ。それはあとでまた御質問申し上げます。  私はいま法案の背景として、今日までこの法案が出てきた二年間の歴史的な——歴史的というのはオーバーですけれども、ものについてお伺いしているのですが、その中で、ガソリン税の値上げによって道路をつくるのだ、あるいは揮発油税の値上げによるのだという意見もありましたね。ところがそれが却下されて、いろいろな判断によってこの自動車重量税というものは出てきたわけですから、ガソリン税の値上げ、揮発油税の値上げということは今後ありませんか。
  398. 細見卓

    ○細見政府委員 将来にわたる予断はなかなかむずかしいわけでありますが、たとえば今回原油の値上げをいたしましたOPEC諸国の言い分の一つに、文明国においてはガソリンに非常に高い税をかけている、あんなに高く税をかけられるものならおれたちはもっと高く売りたいということでございますので、国際的にも従来よりいろいろむずかしい問題が出てまいります。これだけは申し上げられるかと思います。
  399. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 この問題、ちょっと大臣にお伺いしておきたいのですが、いま申しましたように、この二年間の経緯の中には、ガソリン税を値上げして補ったらどうか、あるいは揮発油税を値上げしたらどうかという意見も実はあったわけですが、それがどういうかげんか、とにかく却下されて、自動車新税、自動車重量税というもので道路財源をまかなうということになったわけです。そうしますと将来は揮発油税の値上げあるいはガソリン税の値上げというものはないのだ——将来というのは、そうですね、五年にしましょう、五年間にはないのだというふうに考えてよろしゅうございますか。
  400. 福田赳夫

    福田国務大臣 かりに五年でどうだということについてはお答えいたしかねますが、私の頭の中にはガソリン税の引き上げをするという考え方はありませんです。
  401. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 その次に、これは先ほど中島委員もお伺いになりましたけれども、この法案の提案理由の冒頭に、「道路その他の社会資本の充実」に使うというふうになっているわけですが、「その他の社会資本の充実」というのは、巷間いわれておりますように新幹線あるいは地下鉄、あるいはエアポートなりバスのターミナルという、付属も含めたその他の交通機関というものをさしていると考えてよろしゅうございますか。
  402. 細見卓

    ○細見政府委員 特定の社会資本を考えておるわけではございませんが、ただ、先般来お話がございますように、交通問題は広く総合的に考えなければならないという段階に来ておるということは事実だと思います。
  403. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そこで私もどうもわからないのですが、この自動車新税というのは法律的には一般財源でございますね。
  404. 細見卓

    ○細見政府委員 そのとおりでございます。
  405. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 一般財源であるということになりますと、この法案の提案理由なりその他のところに書かれている使用目的というのか、財源の行き先というのは法律的にはどういう拘束になりますか。
  406. 細見卓

    ○細見政府委員 法律には特に目的をうたってございません。
  407. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 もう一度、すみません。
  408. 細見卓

    ○細見政府委員 一般財源でございますから、何何の目的のためにということは法律にうたう必要がないわけでございます。しいて言えば歳入のためにというわけでございますから、目的にならないと思います。
  409. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そうしますと、いままで論議してきた総合交通体系なりあるいは道路網の整備なりということは——金には名前が書いてございませんので、これは自動車からきたのか所得税からきたのか物品税からきたのかわかりませんから、ここで上がってきた平年度千二百億、当初の本年度約四百億の財源というのは予算の全部のワクの中で、つまり自動車新税がないとしてやってみるとどうも財源が足りぬ。何が足りないのかわかりませんよ。社会保障が足りないのかあるいは社会資本の充実が足りないのかわからないけれども、とにかく何か足りないのだ。三千億か四千億足りないから、今度は新しい税目をつくって自動車重量税というものをつくる。そういうことになってくると、いままで論議してきたあるいは道路をつくるのに三千億なり四千億が足りないから必要なんだ、利用者負担だというのはおかしいんじゃないですか。
  410. 細見卓

    ○細見政府委員 これは一般的な財源の不足、まあ道路の建設にあたって新しく所要額が増加した、その道路建設の財源を何に求めるかということで考えたときにこの自動車新税に求めるということになったわけでありますから、提案理由にも「道路その他の社会資本の充実」のためにとうたっておるわけでございます。
  411. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 これは非常に重大な問題だと私は思うのでさらに詰めておきたいのですが、しかしそれは予算の大きなワクの中で確かに何かの項目が三千億足りなくなるわけですね。三千億足りなくなってくるから新しい税の徴収方法、つまり税制を設けてそれを調達しようということになっているわけです。だからそれが細見さんが言われるように道路が足りないのか、あるいは社会保障が少ないのかあるいはその他のいろいろな財源が足りないのか、これは何が足りないかわからないけれども、ともかく総ワクでやってみると三千億ぐらい足りない。どうもその辺があれなんですが、一般会計であるということはつまり何に使ってもいいわけですね。取ってきたお金は、これは自動車新税でございますという判こを押してあるわけではないですから何に使ってもいいわけです。上がってくるお金というのは、当初、本年度四百億なら四百億上がってくるわけですから、そうすると、確かに趣旨としては道路をつくるためといいますけれども、道路をつくるためのお金というのは、所得税の中から出てきたかあるいはその他の税金から出てきたか、これはわからぬわけでしょう。
  412. 福田赳夫

    福田国務大臣 法的には、先ほど主税局長からお話がありましたようにこれは一般財源です。しかし、一般財源でありますが、いかなる政策目的でこの税が設けられたかというと、まずそもそもの発端は道路財源が不足しておる、こういうことなんです。しかし提案理由の説明でも申し上げましたが、道路その他の交通社会資本の不足に充当するという目的でこの税は設定する、こういうふうになってきておりますので、これは一般財源ではありまするけれども、何ゆえに政策目標としてこういうものをしたかというと、これは交通財源である、こういうふうに御理解願います。
  413. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それではお伺いしたいのですが、福田大蔵大臣は昨年の十二月の末に、自民党との協議の結果、四十七年度からはこれは特別会計にするということを言われましたですね。よろしゅうございますね。
  414. 福田赳夫

    福田国務大臣 そういう要請がありまして、それに対して検討するというふうにいたしております。
  415. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ここにも自民党の方たくさんいらっしゃいますから、いまの発言というのは私は問題になるんじゃないかと思うのですがね。新聞報道によりますと、四十七年からはこれは特別会計にする。そういうふうに自民党とはお約束なさったと私は新聞で、それも一紙だけじゃなくて、見ているわけなんです。再度、四十七年度からこれは特別会計になさるおつもりなのか、伺います。
  416. 福田赳夫

    福田国務大臣 総合政策をよく検討いたしました上結論を出しますが、自民党から強い要請がありましたことは事実であります。私も真剣に検討をしたい、かように考えております。
  417. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 検討しますということは、まだ四十七年度のことでございますから、福田さんは、失礼ですが大蔵大臣のままでいらっしゃるかどうかわかりませんわね。総理大臣になられるかもしれないし、それはわかりませんが、とにかく新聞報道では、いま申し上げたように自民党の強い要請によって四十七年度から特別会計にするということを了承した。検討するということは、これはなるかならないかまだフィフティー・フィフティーですわね。新聞報道が間違っているということならこれはまた別のところで論議しなければいけませんが、私が知っている限りでは、四十七年度からこれは特別会計にするということを自民党の強い要請によって了承なさったというふうに感知しているのでございますが、いかがでございますか。
  418. 福田赳夫

    福田国務大臣 自民党から特例会計にすべきだという強い要請がありまして、それを私は検討をしたいと思っております。まあ予算編成のときにはずいぶんいろいろなやりとりがありますが、その一こまとしてそういういきさつがあります。
  419. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それでは逆の聞き方をしたいのですが、盛んに大臣も、とにかく非常に道路はおくれているということを前の御答弁でも強調されているわけですけれども、そのくらいのことになりますと、ひとつこれは特別会計を設けてやらなければいかぬのじゃないかという気もするのですが、なぜこれは今度は一般財源になったわけですか。
  420. 福田赳夫

    福田国務大臣 それこそ総合政策を検討してみなければ結論は出ないです。それは新幹線にどう使うか、使うべきか使わざるべきか、そういうような問題ですね。総合政策として検討して結論を出したいと思います。それまではこれは一般財源だ、こういう趣旨でございます。
  421. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 その問題がはっきりしないとわからなくなってくるのは、先ほどから申しているように、予算の中にはこれが自動車新税からきたお金だというふうに書いてない。とにかく総額をはじいてみると、最終的には三千億足りないということでございます。そうしますと、道路をつくるのに特定財源なら利用者が負担をしなければならないということは合理的でわかるけれども、一般財源になると自動車を持っている人が取られていた税金というものがどこへ使われるかわからない、ということになるとこれは利用者負担ということではなくなるのではないかと思うのですが、その点はどういうことになりますか。
  422. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは道路財源というのが発端なんです。しかし、政府・与党の中に、これは新幹線だとか高速自動車道とか信号だとか、そういうものにも使えるようにしたらどうかというような意見もありまして、その辺がなかなか詰めがむずかしいのです。そこで一般財源にしてある、こういうことであります。
  423. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 これは細見さんでけっこうなんですが、そうしますと、つまりこういう財源、一般会計でありながら何か特別会計のような感じのものですね、こういうものがいわゆる利用者負担という考え方、これはどういうことになりますか。やはり政治的には特別会計、特定財源なのだから、これはある程度利用者が負担すべきであるという考え方になりますか。
  424. 細見卓

    ○細見政府委員 先ほど来申し上げておりますように、道路の建設が必要になり、あるいは道路交通、社会資本の充実が必要になった大きな原因一つは、やはり自動車が非常にふえてきておるということからくるわけでありまして、それを裏から申し上げますれば、先ほど申しましたように、自動車がふえて道路が混雑するとかあるいは道路の補修が非常に要るとか、あるいは道路を建設しなければならない、交通安全施設をつくらなければならない。そういう財源を求める場合に、一般財源でございますから、たとえば広く一般の納税者に所得税を増税して払っていただくのがいいか、道路を整備するためのいわば政策的目的が明らかな財源を自動車の使用者に求めたほうがいいかというのは、判断にわたることではございますが、先ほどの税制調査会の答申にもございますように、広く自動車の使用者にまず求めるべきではなかろうか、こういうことになったわけでございます。
  425. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 その次の点に移りたいのですが、先ほどもたびたび論議に出ておりますけれども、国と地方との問題はありますけれども、現在、車には物品税、自動車取得税、自動車税、軽には軽自動車税、それから四つ燃料に税金がかかっているわけです。燃料税という税があるかどうかは別として、物品税、それから地方税の自動車取得税、自動車税と軽自動車税——これは意味は私は一緒だと思うのです、大きさが違うから自動車税と軽自動車税になるだけの話で。この物品税、自動車取得税、自動車税、この三つの税金を取る行為、これはどういうものでございますか。
  426. 細見卓

    ○細見政府委員 これは地方税にわたることでございますので、大蔵省といいますか、主税局の見解を申し上げたいと思うのでございますが、御承知のように地方税に固定資産税というのがございます。固定資産税は土地、家屋あるいは償却資産にかかっておる。その固定資産税の系列の中に自動車を取り込んでまいりますと、自動車税と軽自動車税、これは課税主体は違いますけれども同じ税でございます。ただ自動車税の中には営業車が軽課されておるというようなことで、若干思想を複雑にいたしておりますが、いずれにいたしましても固定資産税でございます。それから御承知のように、家屋なり不動産には固定資産税がかかりましても、不動産、家屋を取得いたしましたときに不動産取得税というものがかかるわけであります。こういう同じ系列の税を自動車に持ってきたものが自動車取得税になるわけでございまして、これを広い意味での財産と観念いたしますれば、特に自動車にだけ多岐な税がかかっておるということでもないかと思います。
  427. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それから物品税をお願いします。
  428. 細見卓

    ○細見政府委員 物品税は、先ほど大臣はもういまや必需品と申しましたが、沿革的には奢侈品ということで自動車にかかっておるわけでございまして、したがいまして大型の自動車は小型の自動車よりも重い税になり、あるいはまた営業車は非課税ということでトラックはかかっておらない、そういうような形になって、沿革的には奢侈税的な色彩を持っておるわけでございます。
  429. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 まず物品税からお伺いしたいのですが、そもそも物品税というのは何ですか。
  430. 細見卓

    ○細見政府委員 便益品あるいは奢侈品といわれたようなものを購入する場合に、その購入によって代表される担税力を課税の客体、課税の標準といたしまして、現実的には物品の販売価格に対して一定の率で、しかも差等税率で課税しておるというものでございます。
  431. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 物品税については、今国会では法案がなかったものですからいろいろ洗い直すこともできませんでしたけれども、いまいろいろ不公平が物品税に関してはあるわけなんです。私は不公平と思うのです。  そこで自動車に物品税というものはかけられているということなんですが、いま局長が言われましたように、自動車は奢侈品である、便益品であるということでございますけれども、先ほど中島委員も言われましたけれども、はたして現在自動車が奢侈品あるいは便益品といって特別に税をかけなければいけないものかどうかということに、私は非常に疑問を持つわけなんです。たとえば昭和三十五年、都内では十六人に一台の車があったわけなんです。ところが四十四年の数字ですと、都内では五・五人に一台、つまり三倍もふえているわけですね。昭和五十年代になりますと四千万台くらいになるのじゃないか。もちろんこれはトラックもバスも含めてでございますけれども、これを国民の人口で割ってみますと、とにかく赤ちゃんもおじいさんもおばあさんも全部含めて、大体四人に一台くらいの割りになるのじゃないかというふうに見られているわけです。こういうものが奢侈品として、あるいは便益品として——便益というのは、特別にこれはその人が便利さを持つからという行為だと思うのですけれども、先ほど大臣も言われたように、現在でも必需品になっている、こういうものに物品税というものを課するというのはどうも時代おくれではないか。これから自動車の需要というものは、税金その他によっては鈍化するかもしれませんけれども、もう国民の中に十分入り込んでいると思うのです。それをいまだに古い、何か自動車というのはぜいたく品であるという考え方で物品税というのはおかしいんではないか、古いんではないか、こう思うのでございますけれども、税務担当としての局長の御見解をお伺いしたいと思います。
  432. 細見卓

    ○細見政府委員 かつてテレビも、あるいはそのほかの品物も、奢侈品あるいは便益品あるいは人がうらやむような品物であったわけでありますが、それが生活水準の向上とともにみんなの人が享受できるようになったということは喜ばしい現象で、私どもも自動車はやはり便益品のカテゴリーには入ろうかと思いますが、奢侈品だというようなことを申し上げるということはございません。そういう意味で個別物品税というのは、生活水準の向上に伴いまして消費が多様化しまた普遍化してまいりますと、その若干の奢侈性、便益性というものを見つけてそこに物品税を課税するということはなかなか困難になってまいります。その意味で間接税は大きく見直さなければならない問題もあるということはたびたび申し上げておるところでございます。
  433. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 見直さなければならないということは、将来——将来というのはどのくらいかわかりませんけれども、私はなるべく早くだと思うのですが、近いうちには自動車の物品税というのはなくす方向考えなければいけないという意味ですか。
  434. 細見卓

    ○細見政府委員 物品税一般の問題として、個別物品税でいくのがいいのか、一般的な消費税でいくのがいいのか、かなり広範な、しかも影響するところの大きい基本的な問題として検討しなければならない、かように思います。
  435. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 しかし細見さん自体も、私はずいぶん混乱があるんじゃないかと思うのです。というのは、私は先ほど物品税とは何かとあらためてお伺いしたのは、物品税法の総則の第一条に何にも書いてないのですね、物品税というのはどういう担税力に課すべきであるかということを。私は驚いたのですけれども、物品税というのは一体どういうものに課すべきか、これは政令で次の表に掲げるものは物品税を課する、こうしか書いてない、第一条には。これは驚いたのですけれども、それはさておきましても、先ほど言われましたように、つまり物品税というのは奢侈品または便益品の担税力に対して課するものである。ところが細見さん自体は、すでに自動車は奢侈品だとも私は思いませんしと申しておられますし、便益品ということは特別その人が便益さを得るものだと思うのですけれども、先ほどの大臣の答弁の中にありましたように、もうこれはもっともっと大衆の中に入り込んだものだ、そう思っておるのに、奢侈品でもない、あるいは便益的消費だとも思われないという自動車に物品税が課せられているのは、これはおかしいじゃないですか。
  436. 細見卓

    ○細見政府委員 やはり便益的なものであり、少なくとも現在の所得階層別に自動車の購入の状況などを見てまいりますと、五分位で切りました第五分位、一番高い階層になるほど購入の頻度が大きくなってくる、そういう意味でやはりある程度所得の大きさというものに比例いたしておりますので、便益品ではございますが、そういう意味で物品税の課税は今日でも正しい、かように思っております。
  437. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そのことを言うなら私も言いたいのですが、たとえばここに勤労者の所得階層別の乗用車の保有台数があるわけですけれども、これを見ますと、年間所得が三十万以下、この人の六十四万世帯に車があるわけですね。まあこまかくなりますからあれですけれども、とにかく百五十万円以下の人を車を持っているというのが七三・七%にのぼっているわけですね。ほぼ四分の三の方々というのは所得が百五十万円以下であるわけです。確かに所得の高い人が車を持つという傾向はありますけれども、しかしこの車を持っている人を分析してみますと、年間所得が百五十万円以下の人が四分の三を占めているということになれば、これは大衆課税ということはいえるけれども、奢侈品だとか便益品だとかいうことは私は納得がいかないのですが、どうですか。
  438. 細見卓

    ○細見政府委員 テレビなどにつきましても立場によりましては同様の議論ができようかと思いますが、現在の物品税にはかなり沿革的な要素もございまして、それなりに便益品の度合いというのは、テレビとか自動車とか横に並べてみた場合に大体バランスがとれているのではなかろうか、かように思っております。
  439. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 最後に、物品税のことについてでございますが、大臣にお伺いしたいのですが、先ほどももう生活必需品になっているということまで言われたのでございますけれども、こういうものに現在なおいかにも大正期の初めのように、自動車というものは高級なものである、奢侈品である、あるいは便益品であるということで物品税が課せられているというのは、どうも世界各国の例に見ると時代おくれじゃないか、時代に逆行するものではないか。そろそろ自動車の物品税というのはやめなければいけないのではないかというふうに考えますが、大臣のお考えはいかがでございますか。
  440. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は自動車は必需品だと思います。もうそういうふうに理解したほうが近代的だと思います。しかし、それに物品税がかかる、これが妥当であるかどうか。これは物品税にもいろいろございまして、たとえばたんす、これも定額以下のものは免税でございますけれども、これだって必需品だといえば必需品です。つまり便益というか、そういうような度合いに応じまして課税をするというので、自動車は必需品だから課税すべきではないという考え方、これは一般的に私はどうも採用できないのではないか、そういうふうに思います。ただ、先ほど主税局長が申し上げましたように、消費税体系についてはこれは全般的に考え直す、そういう時期に来ている。こういうふうに考えますので、そういう中の一環として自動車をどういうふうに扱うか、そういう問題は残るだろうと思いますが、いまの物品税体系、消費税体系の中で、自動車は必需品だからこれは当然除外しなければならぬ、こういうふうには考えておりません。
  441. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 この問題は、もう一回物品税をやるときにもう少し論議したいと思うのですけれども、どうも納得がいかないのは、現在タクシーにも物品税というものがかかっておりますね。違いますか。
  442. 細見卓

    ○細見政府委員 かかっております。
  443. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 営業用のバスやトラックには物品税がかかっていないで、どうしてタクシーには物品税がかかるのですか。
  444. 細見卓

    ○細見政府委員 タクシーに乗ることによって自分が車を運転して受けたと同様の便益を得るからと、こういうことでございます。
  445. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 しかし、そうしますとバスだって、これは歩くより早いんですよ。すわって行けるんですよ。すわって行けるか行けないかわからないけれども……。しかも現在のタクシーの情勢というのは、いまタクシーを使うということは、へたをすれば、五人で一緒に割り勘で乗ればバスより安いことがあるわけですね。こういうものまでそういうカテゴリーで物品税というものをかけているというのは、私は少し頭がかた過ぎやしないかと感ずるのです。バスとトラックには物品税がかけられていない、これはわかりますが——がや、あまりわからないのですが、さっき言ったように、物品税というものは車なんかにかけるべきではないと言っているのだから、わからないけれども、それでもタクシーにかけられていることを考えれば、まだ五歩か十歩わかるといえばわかるわけですけれども、タクシーにかけられているというのはどうもわからない。もう一つ私を説得できる理由をひとつ教えていただきたいのです。
  446. 細見卓

    ○細見政府委員 先ほども申し上げましたように、自家用車を運転いたしましたときに受ける使益と同様の便益をタクシーによって受ける。もちろん料金を払わなければならないという問題はございます。一方自家用車はその維持費あるいは運転費が要るということでございまして、自動車に乗るという行為、その便益性を課税の対象にしておるわけでございます。
  447. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それではもう一回お伺いしますが、バスとは一体どう違うのですか。へたをすればタクシーよりバスのほうが早く着くことがあるし、タクシーのほうがその行く目的地の近くまで行けて安いことも十分あり得るわけです。それではその理屈は通らないじゃないですか。
  448. 細見卓

    ○細見政府委員 バスとなりますと、電車に乗るのと同じようにサービスを多数で享受するわけでございまして、タクシーは、いまのように五人で乗ると言われましても気の合った者五人で乗るわけでありまして、そういう個別的なサービスであるわけであります。
  449. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ちょっと苦しいですね。そうすると一人でも気の合わない人が入っていたら物品税を取られないことになりますね、同じ営業車であるならば。タクシーというものは現在では特別奢侈品でもないわけですし、タクシーに乗るということは特別大きな所得のある人でなければ乗れぬということではないわけですから、私はこれもそろそろ考え画さなければいかぬと思うのです。  聞いたところによりますと、一説によりますと、タクシーに物品税がかけられているのは——これはタクシー業界の人はこういうふうに言っているわけなんですが、車をタクシー用といって買って横流しをしてしまう、そういうことがあるといけないのでタクシーには物品税がかけられているのだというふうに聞いておりますが、そういう理由はないのですか。
  450. 細見卓

    ○細見政府委員 そういう理由はないかと思います。
  451. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ただ、それを聞いておきたかったのは、そういう横流しをする危険があるので、タクシー用といって安く買って一般乗用車に使う危険があるので物品税がかかっているということならば、いまのタクシーというのはほとんどプロパンでありますから乗用車と十分分けられるわけなんで、そういうことならばどうもあまり納得いかないと思ったのですが、そうじゃなくてもタクシーに物品税がかけられているというのはこの御時世であまりにもうしろ向き的です。細見さん、ひとつ外国へ行って外国の税金の取り方というものを少し調べてきて、そしてもう少し前向きな考え方をしたらどうか。大正時代のように、車に乗る、車を買うというのは何か非常にぜいたくをしているんだというものの考え方、発想ではまたちょっと時代おくれではないかと思う。  それはさておきまして、この次は自動車税についてお伺いしたいのです。なおここで、軽自動車も同じでございますから、自動車税に代表してお伺いしたいと思うのです。  先ほどの御説明では、自動車税というのは、家にたとえれば固定資産税のようなものであるというふうに言われたわけなんです。これは言いかえるならば、自動車税というのはつまり持っていること、自動車を所有している事実に税金をかける、こういう性格のものであると思うのですが、そういうふうに認識してよろしゅうございますか。
  452. 細見卓

    ○細見政府委員 地方税として自動車税が課せられるといいますか、税体系的によく適しておるという意味におきましては固定資産税の系統であるということで申し上げたわけでございますが、現実の自動車税にはそのほかに、たとえば道路損傷的な要素を加味するとか、あるいは営業用の自動車を軽減するとかいうようなことで、その間に差等があることは御承知のとおりでございます。
  453. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 確認しておきたいのですが、自動車税が財産税的な性格をも持っているというこはありますか、ありませんか。
  454. 細見卓

    ○細見政府委員 固定資産税をどういうふうに概念するか、いろいろございますが、これを軽度財産税というふうに規定するといたしますれば財産税でございますし、むしろ財産というよりも、財産からあがってくる収益を本来課税の対象にしておるのだという意味におきますればもっと違う概念があろうかと思いますが、従来の財政学のたてまえでは、軽度財産税という形で一種の財産収益税を考えておるのが事実でございます。
  455. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ちょっと私、確認し忘れたのですけれども、自動車税というのは、その自動車を持っている、それはある意味では財産であるという意味もあるでしょうし、それから道路を破壊するということもあるでしょうし、営業用の車をそれだけ使わなくなるという意味もあるでしょうし、とにかくその担税力というのは、自動車をその人が持っているんだ、所有という担税力、所有という行為に対して税金がかかるのだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  456. 細見卓

    ○細見政府委員 そのとおりでございます。
  457. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そうしますと、これは哲学を論ずるわけではないのだけれども、所有というのは、自動車を所有したって自動車を床の間に飾っておく人は世の中にはおらぬと思うのです。自動車というのは車にガソリンを積んで走るわけですね。走らなければ意味がないわけです。そうしますと、この自動車重量税というのは一体どういう性格のものですか。
  458. 細見卓

    ○細見政府委員 そこが私も明らかにしておきたかったところでありまして、固定資産税は財産税でございます。つまり所有者がいかなる——床の間に飾る人はございませんでしょうが、たとえば免許証は持たなくて他人に貸与するというような場合も固定資産税でありまする自動車税はかかるが、自動車重量税のほうは使用者税でございますので、その自動車を使用する人、つまり車を走らしているという——その走る場合には、免許証については、御存じでございましょうが、所有者と使用者というのが明らかに区別して書かれるようになっております。その使用者を納税者といたしまして、その自動車を走らせることができる、その登録なりあるいは検査なりという行為を受けて走れるようになった、それに一種の登録税的に課税するものでありまして、税の性格は違うわけであります。
  459. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 だから私は床の間の例を使ったので、所有者というものはいま言ったように床の間に置いておく人はいないわけですよ。車を持っておるということは車を走らせることと同意義だと思うのです、現実的にはですよ。ですから車を所有するということは、所有という概念の中には使用する、ガソリン税を払って走らせるということが含まれているのじゃないか。ですからこの自動車重量税の考え方というのは自動車税と概念としてはダブっているんじゃないか。税金を納める人は二重に納めるのではないか、こう思うのです。
  460. 細見卓

    ○細見政府委員 私のことを申し上げて恐縮でありますが、私は自動車を私の名義で持っておりまして、私は運転免許を持たない。むすこは自動車を買えない。その場合に、自動車重量税は現実に運転免許を持って運転いたしまするむすこのほうにかかってくるわけでありまして、むすこが使用者として払うべきものだ、こういうことになっておるわけであります。
  461. 毛利松平

    毛利委員長 関連して、堀君。
  462. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの話ですと、非常に重要な問題のところにきていますが、いま車の取り扱い上は、登録をして所有者になっておる。車の登録の名前は所有者の名前だ。あとは、だれが乗るかということはどこにも書いてないのです。私のところにむすこが二人いるわけです。私もいる。秘書も二人いるわけです。五人が免許証を持っているわけです。そうしたら、車は私の登録している私の個人の車だから、それで五人乗るときは五人が払うことになりますね、あなたのいまの理論からいいますと。
  463. 細見卓

    ○細見政府委員 それは納税義務者はそういうことになりますが、税は、御承知のように車の検査を受け、あるいは登録するときに受けるわけでありますから、現実に使用者になられる方が納税していただく。自動車一台については同じ税額である、こういうわけでございます。
  464. 堀昌雄

    ○堀委員 自動車の車検を受けるときには、大体いまのところは所有者が登録をしている名前で処理をしているのです。その人が免許証があるかないかは、自動車の車検の場合は現在問われていないわけです。運輸省を呼んでちょうだい。自動車の免許に関する、車検に関する人をちょっと入れてください。これは非常に重要なところだから。私は自分で車を持って、車検もやってるし、みんなやってるから……。そんなことになっていない。
  465. 細見卓

    ○細見政府委員 ここに書式がございますのでごらんに入れてもいいのでありますが、所有者と使用者は区別して記載するようになっております。ごらん願いたいと思います。この使用者は納税義務者になるわけでございます。
  466. 堀昌雄

    ○堀委員 あなたはさっき使用者と言うけれども、使用者の中の一人がたまたまそういう名前を出しているだけであって、使用者が負担する性格だと言うけれども、使用者というのは一人だけじゃないわけです。あなたのさっきの場合ですと、私は乗れませんからむすこが乗りますと、こうなっているわけでしょう。そうしたら、むすこが三人おったらその三人が払う、こういうことになるわけですね。だから私がさっき言ったように、秘書も乗る、むすこも乗る、私も乗る。実際には車検を受けるときには私の名前で処理をする。しかし実際には所有者に免許証があるかないかを処理しているかどうかについては、ちょっといまから運輸省を入れて調べてみなければちょっとこの点はつまびらかにならない。
  467. 細見卓

    ○細見政府委員 私の説明が免許と登録との間に必然の関係があるようにあるいは申していたかもしれませんが……
  468. 堀昌雄

    ○堀委員 私が免許がないから、むすこが免許があるから。
  469. 細見卓

    ○細見政府委員 免許がないというのは蛇足でありまして、私は乗らないけれどもむすこに乗せている、そういう意味でございます。そういう意味で、自動車は御承知のように登録をするときに使用者——登録法上の使用者というのが明らかでございまして、その人が車検を受ける。車検は使用する人が受けるわけでありまして、その人が納税するわけでございます。
  470. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしたら、あなたのさっきからの発言は、私は車が運転できません、むすこは車が運転できます、そこでむすこが使用者ですと言うけれども、むすこに運転させてあなたが乗ったら、これは車の使用者じゃないですか。自分の車に乗って、車を運転さして走るときに、むすこが運転をするから使用者だと、あなたはさっきそう言ったのだから。
  471. 細見卓

    ○細見政府委員 どうも私の説明が毎回まずいのでありますが、使用というのは現実に物理的に乗るというわけじゃなくて、登録の上で使用者として、その自動車の車検上で記載される使用者という意味でございます。物理的に使用するということとはこの場合には関係ないわけでございます。
  472. 堀昌雄

    ○堀委員 あなたはさっき、私は車を運転できません、むすこは車は運転します、私は所有者です、むすこが運転しますからむすこが使用者ですとあなたは言った。これは全然間違いだったということですね。それは取り消してください。
  473. 細見卓

    ○細見政府委員 その場合はむすこが使用者として登録されるわけでありまして、そういう意味でむすこが使用者であるわけであります。
  474. 堀昌雄

    ○堀委員 そんなことないですよ。なぜかというと、車を使用するということと、運転するということは全然別なんだから。いいですか、運転をする人間は、たまたま秘書が運転してもいいわけです。私が免許証を持っているから運転してもいいわけです。あなただって、さっきの話だと、むすこが運転してもあなたの車だ。あなたが一切乗らないというなら使用者でないかもしれませんけれども、しかしあなたが使用者としてむすこを乗せているだけの話です。あなたが所有している車でしょう。だから使用ということと運転ということとは、この際全然話が違うことを、あなた自身はあたかも使用者というのは運転者であるかのごとく答弁するから、私はいまこの問題についてひっかかっているわけです。だから使用者というのは、あくまで所有者が原則としては使用者なんですよ。自分が使わないものをだれが買いますか。自分が使おうと思うから買って所有しているのだから、所有者が使用者であるということが原則なんです。これが車検の場合に一緒に書いてあっても、事実上はほとんど同じだということになる。
  475. 細見卓

    ○細見政府委員 現実的にはそういう事例が多いことはよくわかりますが、事柄の概念を明らかにする意味におきましては、私がいま申し上げましたような事例ができて概念的には区別できる、こういうことを申し上げたわけであります。その場合の使用者と申しますのも、堀先生はいかにも現実に運転する、つまり自動車を動かす人が使用者というふうにお考えになっての議論ですが、私が申し上げておりますのは、車検を受ける、請求する使用者、これは一人であります。何人の人が自動車を貸与されようと、これは全然別であります。だから納税義務者としての使用者はその人である。所有者はまた別に概念的にあり得る、観念的にあり得る、こういうことを申し上げておるわけであります。
  476. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの問題はほんとにおかしいですよ。自動車というのは一体それじゃ何のために——会社でなくて一般の個人にしましょう。一般の個人が自動車を買うのは何のためですか。何のために買うのですか。
  477. 細見卓

    ○細見政府委員 使用するためもありますし、たとえば子供がどうしても乗りたい、あるいは家内が足が悪いから子供が運転するというようなこともあります。その場合におやじが買うということもあります。その場合は例外だ。つまり概念を明らかにする意味で例外的な場合を申し上げておるわけであります。実際上は所有者が使用者になることが多いことは私もわかります。
  478. 堀昌雄

    ○堀委員 一般的にはものの概念というものは、一番大きな範囲を占めておるものが概念の基礎になるのであって、あなたの言う例外が概念の基礎になるという点をちょっと出してください。例外が概念になるということを少し出してください。
  479. 細見卓

    ○細見政府委員 たとえばディーラーが月賦で貸しておるような場合にはディーラーが所有者で、使用者は月賦で買っておる人、これはわりあい多いです。
  480. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それならレンタカーというのはどうなんですか。所有者はレンタカーの会社ですね。それで使用者というのはだれなんですか。これはさっきの話だと、レンタカーを一日借りてきた人が使用者ですか。
  481. 細見卓

    ○細見政府委員 その場合レンタカーの会社の人が所有者であり、使用者でありまして、現実に運転免許を持っている人が車を運転することは、これは車検法上でいう使用とは関係ないわけであります。
  482. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの話は、原則として自動車の場合には要するに所有しておる者がおおむね使用者なのですよ。実はレンタカーだって、レンタカーを買って、それを貸し与えることによって収益をあげるという目的で持っているわけだから、それを使用することによって利益を得るために所有者が使用することになるわけだ。だから自動車の場合には、一般的なあなたの言う概念は、所有者が使用者だ、その他は例外がある、これがほんとうですよ。そうすると、さっきの話の中にあなたは、使用者とそれから所有者は別だ、二つで、そこで自動車税と重量税は思うところへきたという話はおかしいわけだ。そこからひとつ佐藤君やってください。
  483. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そうしますと、たとえば運送業をやっている人、この登録されている人はおそらく運送店の主人が車の登録になっていると思うのです。これは私は所有者だと思うのです。それで実際にほとんど使う人というのは、これはそこに雇われている運転手さんですな。これが使用者ですね。そうすると、ここに納税義務者というのは確かに使用者と書いてあるわけだね。そうしますと、運送店に雇われている人が税金を納めることになるのですか。
  484. 細見卓

    ○細見政府委員 その車検の受け方によりますが、多くの場合運送店主が使用者に同時になっておりまして、現実に運転しておるのは使用人であっても、所有者と使用者は同じ人になっておるのが多いと思います。
  485. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ですからもとに戻るわけですよ。所有ということと使用ということは自動車の場合にはほぼ同意義ではないか。実態的にはほとんど一緒ではないか。所有という事実に税金がかけられ、使用という事実にかけられていることはダブルパンチじゃないかということです、私の言いたいのは。
  486. 細見卓

    ○細見政府委員 現実の自動車は御承知のように大半が月賦販売でありまして——大半というのはあるいは言い過ぎかもしれませんが、相当のものは月賦で売られておるわけでありまして、この場合は月賦販売の人が所有権者であり、そして現実に運転して、その自動車を使っておる人が使用者になっておる。これが月賦販売の通例でありまして、その意味で所有者と使用者というのはかなり違ったケースがある、そのように先ほど来申し上げておるわけであります。
  487. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そういうことを言うなら、それでは細見さんが言われるように月賦の車の場合に、所有者がディーラーであって、それでまだ名義が移っていない。つまり使用者に、買ったほうの人ですかな。そうなりますと、自動車税というのはこれはディーラーが払って、自動車重量税というのは、今度は買った人が払うということになるのですか。
  488. 細見卓

    ○細見政府委員 法律的にはそういうことになりますが、現実にはディーラーの手を離れるときに固定資産税、自動車税も買い主のほうで払ってくれという話に契約上なっておろうかと思います。たてまえは、いま申しましたように車検を受ける人が、つまり使用者として納税義務者となるわけであります。
  489. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと関連。  大蔵省、そうすると、現在の自動車の月賦販売に二とおりある。ディーラーの責任で月賦にしておるものと、要するに銀行その他でローンを設定して販売しておるのと、どういう比率になっておるのかちょっと答えてください。所有権についてはローンの場合は移転しておると思いますから。
  490. 細見卓

    ○細見政府委員 四十四年度の実績によりますと、割賦が六五%、それからローンが九%、現金が二一%、こういうかっこうになっております。
  491. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 細見さんが言われるのは、使用者と所有者が違う。おそらく世間では例外的な例ばかり言って、二重課税ではないのだということを言っておられるのですよ。それで先ほどの堀委員への御答弁にあったように、法律的には使用者と所有者が違うけれども実態的には同じだということは幾らでもあるわけですね。私はここでなぜこういうことを問題にしているかというと、これは税金を取る以上は国民の方々に納得していただかなければならないわけですよ。それにはそれだけの担税に値するだけの何か項目がなければいかぬわけですよね。ところが実態的には、所有者と使用者は違う場合もあるけれども、おそらく八割から九割というものは私は所有者と使用者が同じだと思うのです。そういうところで車を所有している。所有しているということは、先ほどから言っているように床の間に飾っておくということでなくて、所有ということは即使用なんですよね。ですからこの二項目をわざわざわけて担税力とするのは、現在の使用、所有という現状から見たらこれは二重課税ではないか、こういうことを聞いているわけです。細見さんの言われるのはそういう場合じゃないむすこさんの例をあげられましたけれども、使用者と所有者がそうじゃない場合ばかり言っているから何か二重課税でないかのように一見錯覚されますけれども、実態的には、先ほどの運送業のような場合にも、実際に使っている人は、これは先ほど言われた逆の場合で、実態的にはその登録にない名前の運転者が使っているわけだけれども、所有者は、使用者ということは、おそらく運送業の店主になっていると思うのです。ですからこの場合には、実際に使用しているのはその雇われた運転手だけれども、実態的には所有も使用も同じ運送業の店主である。そうしますと自動車税もそれから重量税も、つまり使用と所有というこのことについて、この二点が担税力になって税金を納めなければいけない、こういうことになると私は理解するわけなんです。ところが車というものは、先ほどから話がありましたように、非常に豪華なもので床の間に置いておくというわけじゃない。車を買ったということは、国民みんな動かすために買っているわけですよ。しかも揮発油税なりガソリン税を納めて車を動かすわけですね。ですから所有するということと使用するということとは私は実態的に同じことだと思うのですよ。
  492. 細見卓

    ○細見政府委員 現実的に自動車にかかる税でありますから、多くの場合自動車の所有者であり使用者である人に税がかかるということ、それは私も認めますが、税がどういう性格、性格的に重なったものであるかどうかというお話でありましたので、それは性格が違います。たとえば自動車税というのは財産税の系列に属しておりますので、これはたとえば高級な車であるとか、一五〇〇ccとかあるいは二〇〇〇ccとかいうような、そういう形で、排気量とかあるいはその他の形とかいうような、高級車重課というような思想が入っておるわけでありますが、この自動車重量税というものは重量ということを中心にして課税いたしておりますので、たとえば、例は適当ではございませんかもしれませんが、普通のライトバン式の、ある程度乗用にもなるような軽いトラックと、それからロードローラ式の非常に大きな重い自動車、これとは同じように重さだけで課税するわけでありまして、その効用というものは問わない。財産価値とかいうものは問わないというような点、したがいまして税の性格を理屈っぽく詰めれば違う、異なった税であるということを申し上げる。その異なったところを強調し過ぎまして、あたかも何もかも異なっておるかのように私の説明をお聞きになったとすればそれは訂正いたしますが、そういう意味で性格を論理的に詰める限りにおいては異なった税である、これだけは申し上げられると思います。
  493. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いや、細見局長の言われたことというのは、特にわざわざ分けて御答弁になったのじゃなくて、大体私は理解できると思うのです。ただ、いまの御答弁ですと自動車税というのはむしろ財産税——これは私は財産ということだって、持っている、所有という観念には間違いないと思うのですが、財産税的な性格のほうが強いんだということ、財産税の系列だということになりますと、財産税というのはこれは他の人よりもりっぱなものを持っている、ですからちょっと税金を納めてくださいということですから、これは私は物品税の概念と——取ることの次元は違うけれども、ある意味で奢侈品、豪華品という意味からいくならば、そういうことをいうならば、物品税と自動車税というのは、これまた概念としては、同じように奢侈品である、あるいは便益品であるということでの財産税という意味では、これまた私はダブってくるのではないかと思うのですが、いかがでございますか。
  494. 細見卓

    ○細見政府委員 先ほども申し上げましたように、ライトバンのような軽い車とそれからロードローラー式のかなり重い特殊自動車というものも、いずれも総重量を基準にして税を課するわけでありますので、その間に車の高級性とかあるいは性能の違いというようなものは一切捨象されております。その意味におきまして、物品税にはたとえば大型車、中型車、小型車との間に税率の差がある。つまり大型車はより高級であり、より便益であるという性格が入っておりますので、税としては異なった範囲の税と観念できると私は考えておるわけであります。
  495. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 頭のいい細見さん、ちょっとお疲れになったのじゃないかと思うのですが、私が比較しておるのは重量税と自動車税じゃないのです。いま自動車税というのは財産税的な系列に属するものだということなんで、財産税的というならば、これはある程度豪華な——豪華ということばは少しオーバーになりますけれども、奢侈品的な性格である。そういうことを言うならば物品税だって——物品税というのはある程度高いもの、豪華なもの、便益性のあるものにかけるのですから、そういう次元で言うならば、物品税と自動車税というのは同じようにりっぱなものというか高価なものということのためにかけられるのじゃないか。財産税といっても、所有という観念はその中に当然含まれているわけですから、それは譲りませんけれども、自動車税の性格は財産税的な性格であるというふうに言われるならば、これは取る次元が違います。つまり物品税というのは車の出荷のときに取られる。ところが自動車税というのは、保有しているがゆえにその所有者が取られるわけですから、次元は違うけれども一つの自動車がディーラーから出るときに物品税を取られ、それから所有していることによって所用している者が、豪華なものだからということで自動車税も取られる。そういうことになれば物品税だって自動車税だって、豪華なもの、奢侈品、便益的なものということで同じじゃないか、私はこう思うのですが、いかがでございますか。重量税に関係なく答えてください。
  496. 細見卓

    ○細見政府委員 物品税は消費に課するわけでございまして、その消費といいますか、高級な自動車が買えることによって示されておる担税力を課税の対象にする。したがって一種の奢侈税的な傾向のある、つまり差等税率を設けて課税しておるものであります。それから自動車税のほうは財産価値というような観点に重点が置かれるわけで、固定資産税がそうでありますように、評価の高いものは評価の安いものよりも税が高い、あるいはより広い土地はより狭い土地より税が高いというわけでありますから、そういう意味で財産価値に応じて課税されるわけです。ただ現代の日本の物品税の体系の中には、物品税が課税されて、それが家具とか調度とか、つまり固定資産税がかかる形になるものが比較的少ないことは事実でございますけれども、税としては物品税のほうは一回の消費にかかるわけでありますし、財産税のほうは年々の所有にかかるわけでありまして、税としては別のものだ、かように考えます。
  497. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ちょっとぼくも聞き漏らしたかもしれないのですが、消費にかかるというのが物品税だというのですね。消費にかかるというのだったら自動車取得税だって消費じゃないですか。つまりお金を使って——きょう車の模型を持ってきたが、車を買ったから、そのために取得という行為に対して自動車に税金がかかるわけでしょう。物品税というのは眼目は消費ではなくて、そこに高級なり便益性ということがあるから——この車の模型はもらったものですけれども、金のメッキです。この車は金でできている、だからあなたのところはそれだけの担税力がある。お金があるのだから、それだけ国のほうに納めていただきますよというのが私は物品税だと思うのです。これを買ったという場合、消費という行為に税がかけられるというのだったら私は自動車取得税じゃないかと思うのですが、どうですか。みんなあちこちダブっているのですよ。大体車に税金がかけられ過ぎているのです。どうですか、私はその点納得がいかないのですがね。
  498. 細見卓

    ○細見政府委員 物品税は御承知のように製造課税で、新しくこの世の中に製品が出てきたときに一回限り課せられるわけでありますが、自動車取得税のほうは流通税の系統にありまして、不動産取得税類似の性格を持っている。物品税は新車にしかかからないけれども、自動車取得税は中古自動車にもかかる。ここが違うところでございます。
  499. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いま言われたように生産過程にかかるということならわかるわけです。ところが消費ということばを使われると、自動車取得税との関係が非常におかしくなってくるわけです。  話をまたもとに戻しますけれども、とにかく自動車税の中に財産税的な——つまり五十万なり百万円なりというお金のかかったものを持っている。そういうものに課するのが妥当か妥当でないかは別としても、とにかく持っている。そういう豪華なものを持っていることに関して、担税力があるんだ、税金を課するんだ。私がこれを持っている、これは所有ということですね。これは自動車の形をしたたばこケースで、動かないから所有で済みますよ。しかし実際に持っているということは、だれも車庫のために置いておくのじゃなくて走らせるためです。ガソリン税をわざわざ払っていただいて、揮発油税を払っていただいて、そうしてこれを走らせるために所有するわけです。ですから使用することと所有することとは自動車の場合にはほぼ同意義であると思っていいと思うのです。使用者と所有者というのは例外的に違う場合もあるけれども、たいがいの場合には、先ほど局長も言われたように実態的には所有者と使用者は同じなんです。持って床の間に置いておく人はない。走らせるために買うわけですから、所有者と使用者は一緒なわけです。地方税ではありますが自動車税がある。国税の四分の一はまた地方に行くわけですけれども、自動車重量税というものはどういう行為の担税力に対してあるのか、どうしてそれが二重になっているのか。大臣、いかがでございますか。
  500. 細見卓

    ○細見政府委員 自動車は車検証がなければ走行できないわけでありますし、軽自動車のように登録をしなければならない自動車は登録がない限り走行ができない。そういう車検を受ける、あるいは登録をするということによって道路を走行する権利を得る。その権利は、先ほど来申し上げております自動車の使用者に対して税を課する、いわば一種の権利の創設であります。それに対する一種の税でありますから、登録税というカテゴリーにあるいは入るのかもわかりませんが、そういう意味で広い意味の間接税である、こういうふうに考えておるわけであります。
  501. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私はそれでも論理は同じだと思うのです。現在の日本の自動車の制度では、とにかく普通の乗用車なら二年ごとに車検を受けなければ走れないわけですから、そういう面では所有という行為がずっと続いていて、さらに新たに二年なり一年ごとに車検をとるときに車検税というものを設けた。つまり自動車重量税というのは別の名は車検税である。ところが車検の登録料というのはちゃんと取っているわけですよ。とにかく私は日本というのは自動車に対して税金をかけ過ぎていると思うのです。理屈はつきますよ。細見さんのように頭のいい人ですから理屈はつきます。あらゆる角度からものを言えばつくけれども、はたしてそれで国民の方々が納得していただけるかどうかということなんです。確かにいま言われたように、まずこれができてくる過程で物品税がかけられる。これはいま、物品税といわれてもそれほど高価なものではないと言われるけれども、とにかく物品税がかかる。今度これがディーラーの手から私なら私、つまり使う人のところ、使いたい人、あるいは所有したい人のところにいきますと、この過程で、これだけ動いただけで今度は自動車取得税というものがかかるわけですよ。左手に入ると、今度は自動車税、軽自動車の場合は軽自動車税。右手でできたときに物品税が取られ、右手から左にいく間に自動車取得税が取られ、左手にいけば今度は自動車税を取られる。これを走らせるめには軽油引取税、揮発油税を取られ、そうしてさらに、この所有という事実がずっと続いていれば、営業車の場合は一年、自家用車の場合には二年ごとに取られる。これでは息つくひまもないですよ。これでは税金の休むひまがないじゃないですか。大臣、どうですか、車にあまりにも税金が連続的ですからね。ほんとうに休む行為がないですよ。私は別に車の会社からお金をもらったわけじゃないから全然関係ないが、私も車を動かす者の一人として、車にあまりにも税金というものがかけられ過ぎているのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  502. 福田赳夫

    福田国務大臣 佐藤さんがおっしゃられる自動車税、重量税、物品税、そういうものがダブって同じ客体にかけられている。それは多くの場合に私はそうだと思います。多くの場合においてダブるという傾向がある。つまり、同じ客体に対しましていろいろな種類の税がかかり過ぎている、こういうことだろうと思うのです。しかし、これを国際的に見ますと、同じ一つの車にやはりわが国と同様にかなりの額の税がかかっている。むしろわが日本のほうが少ないくらいです。ただ、いま御指摘になりました点はこういう意味だと思うのですがね。総体の税としてはわが国においては低目であるが、しかしその税のかけ方が多岐にわたっておる、そういうことを御指摘になっておるのだとすると、私はそのとおりに思います。ですから先ほどもお答え申し上げた、どうも少し簡素化するようなことが考えられないか、こういうような御質問でございましたので、それに対しましては、これは検討するべき問題である、こういうふうに申し上げておるわけです。しかし、いろいろな名目の税になっておりますが、総体として合計するとこれは心ずしもわが国が高い税を課しておる、こういう状態ではない、かように考えるわけであります。
  503. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 大臣は、総体的に見れば自動車税は高くないと言われますけれども、私はそうは思わないですね。たとえば大都市におけるタクシー一台当たりの年間納税額——これは価格が、二〇〇〇ccの車で七十五万円くらいのタクシーの車ですが、これはタクシーですから月間一万キロ走るといたします。車両を二年間で減価償却するといたします。そうしますと、タクシー一台当たり大都市においては物品税が三万円かかります。自動車取得税が一万一千二百五十円、自動車税が八千円、LPガス税、これは先ほど申しましたように月間一万キロでございますので、LPガス税が二十三万五千九百円、これだけ合計いたしますと、二十八万五千百五十円、これが七十五万円の車の一年間にかかる納税額でございます。さらにこれだけで済まないわけです。御承知のように交通事故がありますので、強制的に自賠責がかけられることになっております。この自賠責はタクシーの場合は十五万二千三百円、以上合計しますと四十三万七千四百五十円というものが二〇〇〇ccの車、タクシー用につくっておる安い車でも、七十五万円の車に対して一年の間に合計、自賠責を含めまして四十三万七千四百五十円。さらに今度は、二〇〇〇ccですと一年間に七千五百円の自動車重量税をかけるということになるわけです。これは大臣、総体的に税金が高くないと言えますか。七十五万円の乗用車に、一年間に自賠責も含めまして四十三万七千四百五十円かかっておる。これは私は絶対に安いとは言えないと思います。これは一般車でも、五十万円ぐらいの車でも、サラリーマンの方の車の場合でも、五年間に四十五万円。五年間使うという人はめったに現在ないのですが、五年間に四十五万円。そうすると、月に割ってみますと、月に八千円の税金を納めることになると思うのです。さらにこれに保険料——強制保険、任意保険、こういうものがかかるわけです。私はこれは決して安いものではないと思います。税金の額として安いものではないと思います。こういうことをやって、自動車というのは奢侈品、便益品だといって物品税を取る。これは逆の面で私はおもしろい論理だと思うのですが、しかし大臣が言われるように、現在車の税金というものは他のものに比べて相対的に安いとは私は思わない。大臣の御見解はいかがでございますか。
  504. 福田赳夫

    福田国務大臣 私が申し上げておりますのは、先進諸国の、自動車に対しまして税をかけておりますそのかけ方が、わが国に比べて安い状態であるかと言うと、そうじゃない。大体どこの国でもわが国並みまたはわが国以上の税負担を自動車に負わしておるのだ、こういうことを申し上げておるわけです。
  505. 細見卓

    ○細見政府委員 いまの点、若干補足して御説明申し上げますと、大臣が申し上げておりますのは、一定の条件で——一定の条件といいますのは、同じ、たとえば一五〇〇ないし一六〇〇ccクラスの車を買ったといたしまして、それを一定距離走らせたということにいたしますと、この場合の自動車の負担はヨーロッパ諸国に比べて日本のほうが低いと申しておるわけでございます。いまの佐藤委員のおっしゃった、日本のタクシーのほうがそれだけの税金を払っておる、これはまさにおっしゃるようなことかと思いますが、しかしガソリン税は日本の場合はヨーロッパ諸国に比べまして低いわけでありまして、ましてLPGはさらに低いわけでありますから、このような条件を諸外国と比較すれば、自家用のような、つまり一定の、私どもの手元にあります資料で見ます場合に、負担関係が、同様の場合は日本のほうが低いのだということが言えるかと思います。
  506. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 きょうは残念ながら外国との比較を私も勉強してきておりませんので、その点については……。(「資料要求」と呼ぶ者あり)それでは、主税局のほうで、外国の自動車に対する課税の現状というものを出していただいて、またそのとき審議をするとして、私の申し上げたいのは、確かに、大臣が言われたように、いろいろの次元で取られておる税体系が非常に多岐にわたっておる。しかも今度加えて、自動車重量税もかかる。そうしてまた七十五万円の車でも、タクシーの場合には先ほど申し上げましたようにたいへんな税金がかかっておるということ、つまり七十五万円の物品に対する税金というものは少し多過ぎるのじゃないかという観点で言ったわけであります。  それでは大臣もお疲れでございましょうし、九時でございますので、もう火曜日にしたらいかがでございましょうか。まだ二時間ぐらいかかるのですから。
  507. 毛利松平

    毛利委員長 次回は、来たる十日月曜日、午前十時公聴会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後九時十分散会