○佐藤(観)委員 第一点は、いまのでおかしいのは、運輸
政策審議会の総合部会では、運賃のこと、あるいは総合交通体系ができた際の財源の問題もひっくるめて全部やらなければだめなんだということをわさわざ——単なる日本国じゅうにどういう交通体系をつくるかという問題だけではなく、そういうフィジカルプランだけではなくて、こういう項目がわざわざできているわけですね。「総合交通施設整備
計画の策定」という項目で「(1) 交通部門に対する現在及び将来の社会的な諸要請に対応し、あるべき交通施設体系を策定し、これに必要な資金額を算定する。このため、交通施設体系についていつかの案を作成し、これらについて将来の交通
需要量によるチェックや、国土開発、環境保全、労働力需給等の視点からの評価等を行なう。この場合、第一次接近として、GNP百五十兆円(おおむね
昭和五十五年頃)の経済規模を前提とするケースを検討し、可能な限り他のケースをも検討する。」わざわざ「総合」とつけたのは——これは
総合農政の総合ですけれ
ども、「総合」とつけたのは単なるできないプランをつくるのではなくて、具体的にその資金的裏づけをも今後どうするか。資金的裏づけというのは、いま局長も言われましたように、道路をつくる場合には
ほんとうに自動車を使用する人が
負担をするのがいいのか悪いのか、あるいは
一般会計から出していくのかあるいは公債を発行するのか、そのほか民間資本をどういうふうに参加させていくのか、いろいろな次元があると思うのです。これにもそういうふうに書いてありますけれ
ども、あるんだと思うのです。
ただ、この審議会の答申をどれだけ実際に実行されるか。これは、各省にいろいろの審議会がございましてそのいろいろな経緯を見てみても、
自分の都合のいいところだけはうまく審議会の答申でございますといって使っていますけれ
ども、
自分の都合の悪いのは両案併記とか、あるいは
自分に非常に都合のよくないのは、審議会の答申ができても時間後ぐらいにはちゃんと
政府案というものができるような、そういうこともあるから、この審議会の答申をどれだけ参考にするか、あるいは取り入れるかということはこれまた私は
政府の独自な立場だと思うのです。そういう、いま細見さんが言われたように、この三千億が実際に足りないか足りるかはまた別の問題として、足りない道路をつくるのに、それでは自動車を持っている人が
負担をすべきなのか、それとももっと広い
意味で
一般会計の別の面からこれを出していくべきなのか、そういうことも現在運輸
政策審議会で私はやっているんだと思うのです。運輸
政策審議会の中間答申にはそう書いてあるのです。ですから、細見さんが言われるように、細見さんの立場としては、現在この道路をつくるのは道路を使用する車の所有者が
負担すべきであるという、これは確かに
一つの選択です。
一つの選択だけれ
ども、それがはたして過去のずっと長い交通体系の歴史の中でいいか悪いかということを全部洗い直してみなければいけないんだという作業を運輸
政策審議会の中で現在やっているんだと思うのです。ですからそれを待って——その結論が一般
国民的なコンセンサスになるかどうかわかりませんけれ
ども、いやしくも
政府の
一つの省の諮問機関であるところでその審議をしている過程の中で、この自動車トン税というものが一方的に自動車所有者にかけられてくる。しかもそれは、全体的な自動車というものあるいは道路というものが、交通体系の中で、都市交通の中で一体どういうふうになっていくのか、そういう
見通しもなく、ただ三千億道路の財源が足りないから自動車から取るんだということでは——一方でやってなければいいですよ、やってなければ私はこういうことは言わないけれ
ども、一方でわざわざ運輸
政策審議会ということで諮問機関を設けてここに諮問をし、そしていろいろな学者の方が集まって論議をしている過程の中で
一つのこういう
方針が出されるというのは、私は
政府としてはちぐはぐなことではないかと思うわけです。
運輸省の方、入られましたですか。——ではお伺いをしたいのですが、少し話をもとに戻しますけれ
ども、運輸省として今後自動車の交通機関における位置というか役目というか、それはもちろん道路も含めてでございますけれ
ども、
各種交通機関があるわけです、人を運ぶもの、貨物を運ぶものの中で、いろいろ競合するものもあるし、それから競争させなければいけないものもあるわけですけれ
ども、そういう中にあって、それでは自動車というものあるいは道路網というものをどういうふうに今後位置づけていかれるのか。運輸省の
方針というものは一体どういうところにあるのか。それをまずお伺いしたいと思います。