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1971-03-25 第65回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十五日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 宇野 宗佑君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       奥田 敬和君    木部 佳昭君       木村武千代君    佐伯 宗義君       坂元 親男君    高橋清一郎君       登坂重次郎君    中島源太郎君       中村 寅太君    原田  憲君       坊  秀男君    松本 十郎君       吉田 重延君    平林  剛君       古川 雅司君    小林 政子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       大塚 俊二君         大蔵省関税局長 谷川 寛三君         大蔵省理財局長 相澤 英之君  委員外出席者         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 真一君         労働省職業訓練         局管理課長   石田 卓造君         日本専売公社総         裁       北島 武雄君         日本専売公社総         務理事     園部 秀男君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   貝沼 次郎君     古川 雅司君     ————————————— 三月二十四日  中国に対する関税差別撤廃等に関する請願外  十四件(佐藤観樹紹介)(第二八三六号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二九一九号)  個人企業税制改正に関する請願根本龍太郎  君紹介)(第二八三七号)  同外一件(八田貞義紹介)(第二八三八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送  手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に  関する通関条約TIR条約)の実施に伴う関税  法等特例に関する法律案内閣提出第七三号)  日本万国博覧会記念協会法案内閣提出第九六  号)  塩業整備及び近代化促進に関する臨時措置  法案内閣提出第二九号)      ————◇—————
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約TIR条約)の実施に伴う関税法等特例に関する法律案及び日本万国博覧会記念協会法案議題といたします。     —————————————
  3. 毛利松平

    毛利委員長 まず、政府より順次提案理由説明を求めます。中川大蔵政務次官
  4. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま議題となりましたコンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約TIR条約)の実施に伴う関税法等特例に関する法律案外一法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  まず、コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約TIR条約)の実施に伴う関税法等特例に関する法律案について御説明申し上げます。  政府は、最近におけるコンテナーによる貨物国際運送の実情にかんがみ、コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約に加入することとして、両条約の締結につきその承認を求めるため、別途御審議をお願いしておりますが、両条約実施するため、関税法及び関税定率法特例その他必要な事項国内法で定める必要がありますので、この法律案提出することとした次第であります。  以下、この法律案概要を御説明申し上げます。  第一に、コンテナーに関する通関条約規定により免税輸入しようとするコンテナー及びコンテナー修理用の部品について、輸入の際、必要に応じて関税担保を提供させることができることと  いたしております。  第二に、免税輸入したコンテナーが、本来の用途以外に使用されることを防止するため、使用状況記帳義務管理者が変わる場合の通知義務等を課すること、用途外使用を行なう場合には税関長承認を受けなければならないこと、所定の再輸出期間内に再輸出されなかった場合には関税を徴収すること等を定めております。  第三に、国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約に基づき国際道路運送手帳を発給する保証団体になるためには、大蔵大臣認可を要するものとするほか、その認可に関する手続業務に関する大蔵大臣への報告義務等について規定を設けております。  以上のほか、両条約の適用を受けることができるコンテナー型式承認手続を定める等、所要の規定整備を行なうことといたしております。  なお、この法律実施は、両条約わが国について効力を生ずる日といたしております。  次に、日本万国博覧会記念協会法案につきまして、御説明申し上げます。  「人類の進歩と調和」という統一テーマのもとに開催された日本万国博覧会は、アジアで初めての開催であることに加えて、世界の七十七カ国が参加し、入場者総数六千四百二十二万人という史上空前の記録を残して、無事終了いたしました。この間、平和と文明の進歩に努力する各国の姿が広く理解され、文化と産業の成果が相互に伝えられたことは、わが国国際交流の発展に新しい息吹きを与えたものとして、高く評価されるところであります。  このように、日本万国博覧会は大成功のうちに閉幕いたしましたが、これが真の意味において有終の美を飾るためには、そのあと地施設を今後りっぱに活用していくこともまた重大な課題であります。万国博覧会会場あと地は、諸外国の例を見ても貴重な国民的財産というべき性格のものとなっており、かつ、その位置、規模などに照らしても、あと地利用いかんは、地元近畿地方はもとより、日本の将来にとっても、重要な意味を持つものと考えられます。また、日本万国博覧会開催運営に当たった財団法人日本万国博覧会協会は、その目的を達成し近く解散することになりますが、同博覧会運営の結果生じた剰余金につきましても、これを国民全体のものとして、その運用については特に慎重な配慮が必要とされるところであります。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては、大蔵大臣担当大臣として広く各界の意見を聞くとともに、関係者とも十分話し合い、慎重に検討した結果、日本万国博覧会の残したこれらの財産は、大成功をおさめた同博覧会を記念し、その成果を長く後世に伝えるような事業に活用することが適当であると判断するに至りました。  このため、政府は、あと地記念公園として整備運営するとともに、記念基金を設けて管理する等の事業を有効かつ適切に行なう管理主体として、日本万国博覧会記念協会設立する必要を認めまして、ここに、この法律案提出した次第であります。この記念協会には国の財産が一部出資されるほか、その業務内容も多分に公共的性格を有しておりますので、これを法律に基づいて設立することとし、国の監督下に置いて、その適正な運営の確保をはかることとしたものであります。  以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず第一に、記念協会設立につきましては、学識経験を有する者及び同協会の行なう事業に関し密接な関係を有する地方公共団体の長五人以上が発起人となって、大蔵大臣設立認可申請を行なうこととし、大蔵大臣は、その申請内容を審査いたしまして、日本万国博覧会を記念するにふさわしい事業を適切に行なうことが確実であると認めるときは、その設立認可することとなっております。  第二に、記念協会資本金は、政府及び地方公共団体から出資される財産に相当する金額となっており、政府は、協会設立の際国の有するあと地内の不動産及びその他財産を出資することとなっております。  第三に、記念協会の行なう主たる業務として、第一は、あと地を緑地として整備し、これに各種の文化的施設を設置するとともに、これらの施設運営することであります。第二は、財団法人日本万国博覧会協会から承継した財産の一部をもって設ける日本万国博覧会記念基金を管理し運用することであります。  第四に、記念協会役員として、会長、副会長理事長理事及び監事を置くこととし、これらの役員は、定款の定めるところに従って選任され、その選任には大蔵大臣認可を要することとしております。また、運営に関する重要事項審議する機関として、同協会評議員会を置くことといたしております。  なお、記念協会に対する監督は、大蔵大臣が行なうこととしております。  以上が、コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物国際運送に関する通関条約TIR条約)の実施に伴う関税法等特例に関する法律案外一法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願いいたします。
  5. 毛利松平

    毛利委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 毛利松平

    毛利委員長 塩業整備及び近代化促進に関する臨時措置法案議題とし、質疑を続行いたします。平林君。
  7. 平林剛

    平林委員 塩業整備及び近代化促進に関する臨時措置法案につきましては、昨年来、法案検討段階からある程度私もこれに関与いたしましたので大体のことは承知しておりますが、若干この機会にお尋ねしておきたいと思う二、三の問題点について、公社当局の御見解を承りたいと思います。  この塩業整備及び近代化促進によりまして、法案に掲げてあるような整理が行なわれていくわけなのでありますが、結局イオン交換樹脂膜に基づく製塩方法工場がある程度残存するということになるわけであります。法案によりますと、今後事業近代化計画書公社提出をいたしまして、引き続き昭和四十七年一月一日以降塩を製造する者がきまるわけでありますけれども、この場合は製造方法あるいは一カ年の製造能力について許可を受けることになっておりますが、この製造能力の認定あるいは残存の製造者に対する割り当てといいますか、いろいろな調整が必要になってくるのじゃないかと思いますが、こういう場合、それらの作業を進める専売公社の基本的な考え方といいますか、基本的な態度といいますか、そういうことについて御説明最高責任者から承っておきたいと思います。
  8. 北島武雄

    北島説明員 今回の塩業近代化につきましては、塩田からイオン交換膜による製塩に転換をはかるわけでございますが、その際の目標といたしましては、当面といたしまして、現在国内で製造いたしております約九十万トンの塩をイオン交換膜によって製造しよう、こういうつもりでございます。ただ、その規模につきましては、合理化目標価格がございますので、この合理化目標価格を達成するためには、やはり一つの企業といたしまして大体十五万トン程度のものでないとあの目標価格は達成できないということになりますので、大体そういった考え方近代化企業が選定される  であろう、こういうふうに考えております。
  9. 平林剛

    平林委員 結局国内塩需要を満たす目標として九十万トン、そしてまた予定の昭和五十年の目標価格トン当たり七千円に達するためには、少なくとも十五万トン程度規模が最低限必要であるということになりますと、具体的には八工場、あるいはそれを縮小して七工場、六工場というようなことに一応想定されるわけなんでありますけれども、この取りきめをする場合に、つまり八工場残存させるか、七工場残存させるかあるいは六工場になるか、こういうようなきめ方はなかなかむずかしい問題が残るのじゃないだろうか、そのときにどういう基本的態度で臨むかということが私のお尋ねしたい点であります。
  10. 北島武雄

    北島説明員 現在八つの企業イオン交換膜製塩いたしておりますが、それが全部が全部申請するものと限りません。こういったきつい目標をはたして自分の能力で達成できるかどうかという点もございましょうから、一応四十七年一月以降引き続いてやりたいと思うものは事業近代化計画書提出していただいて、それを厳重に審査して、それから決定ということになります。この審査にあたりましては、公正を期するために適当な審議会を設けまして、それに十分内容を審査していただいて決定したい、こう考えております。
  11. 平林剛

    平林委員 わかりました。  そこで、十五万トン程度製造能力で、昭和五十年までに七千円というのはかなりきついというのは総裁お話しになったとおりでありまして、いろいろな資料から検討いたしますと、イオン交換樹脂膜能力から見ると、少なくとも三十万トン程度規模になりますといろいろコストの面では漸次低下していくという可能性があるわけです。問題は、規模が拡大すればするほどある意味ではイオン交換樹脂膜能力というものがフルに生かせる、そういう性格のものであろうと思うのです。それを十五万トン程度規模でありますと、樹脂膜のこれからの開発いかんによりましては、とてもこの程度ではなかなか近代化じゃない、もう縛られた程度作業しかできないというようなことになりかねない。この意味では、私はできるだけ工場の数は少ないほうが将来の製造工場の合理的な運営という点では理想に近くなってくるんじゃないだろうか、こう考えておるわけなんであります。そういうことを考えますと、私はこの審議会におきまして、かなり巨額の金額を出して行なうところの塩業整備近代化促進なんでありますから、その目的にかなうような結論をお出しになるように、それを私は期待をいたしたいと思うのであります。また中途はんぱな近代化あるいは塩業整備ということに終わりますと、何のために今日相当の金額をかけてイオン交換樹脂膜製塩方式に踏み切るのかということに疑問を持たれるということになりますから、私はその点はひとつ今後の審議会におきましても、十分その点の見通しといいますか判断をつけていただくように、総裁としても御留意をいただきたいということを希望をいたしておきます。  そこで、次にお尋ねしたいことは、将来国内の塩の需要のみならず、工業塩にまで余力が進出できるというような可能性が一体あるのかどうか。今回の法案ではさしあたり昭和五十年を目途にしてトン当たり七千円ということになっておりますが、さらに交換樹脂膜開発能力の向上ということを考えますと、その後においてさらに工業塩の方面の需要も満たし得るような形まで伸びる、そういう可能性は一体どの程度あるのかという点を、ひとつ見通しとしてお聞かせいただきたい。
  12. 北島武雄

    北島説明員 当面は昭和五十年度までにトン当たり約七千円という見当の価格を実現しようということでございますが、これは大体食料塩輸入塩に対抗できる程度ということでございますが、最近におけるイオン交換膜製塩方法技術進歩、今後の見通し等考えますと、これでとどまるものでは決してないものと私ども考えております。当面は食料塩分野ではございますが、この五年先以後におきましては、まあ工業塩にまでも進出し得る道は十分にあるものと、こう考えております。
  13. 平林剛

    平林委員 そこで今回の法律案によりますと、塩の製造者は、昭和四十七年四月一日以後当分の間、専売公社承認を受けて製造した食卓塩等の塩を公社許可を受けて塩元売人販売することができることとするとともに、塩元売人は、その塩を他の塩元売人との間で売買することができることとする、ということになっておるわけでございますが、塩専売法では、塩の販売ができる者を、専売公社またはその指定を受けた販売人に限るとともに、元売人専売公社以外の者から販売用の塩を購入することを禁止しているわけでありますから、この意味では、今回の法律はこれに対する特例ということになっておるわけなのでございます。かようなことを今回の法律で認めて特例の道を開くということは、一体どういう想定のもとに行なわれたのか。具体的に想像されるものはどういうものがあるか、そういう具体的な動きがあるのか、こういう点についてこの機会に御説明をいただきたい。
  14. 園部秀男

    園部説明員 先ほど平林先生からお話がございましたように、交換樹脂膜製塩技術は、これは最近におきましても年々進歩しております。先ほど総裁から話しましたように、塩の事業近代化計画書によって、少なくとも十五万トン規模設備許可をいたすということになるわけでございますけれども、ごく最近の、工業化されていない試験段階における技術水準を導入いたしますと、同じ設備規模で十五万トン以上できる。たとえばかん水濃度が一度上がることによって、十五万トン規模で一万トンぐらいよけいできる、しかも生産コストがたいへん低減するということが想定されます。そういう想定がございますので、そういう技術進歩を妨げないように、同時に、価格等関係における過剰というような問題が起こらないようにということを考えまして、この販売特例措置というものを当面の措置として設けたものでございます。  現在具体的にどんな動きがあるかということについては、まだ具体的にお話しするようなそういう段階にもございませんし、またそういう計画が実際公社のほうに申し出があったりというような段階ではございません。四十七年段階におきましては、初めの設備投資、相当巨額な設備投資を早期に償却をして資本回収をしなければならぬという点もございますので、四十七年段階あるいは四十八年段階では、この販売特例塩に相当する塩の量というものはそう見るべきものはないであろうかと思いますが、四十九年、五十年段階においては、先ほど総裁が言いましたように、単に食料塩分野にとどまらず、ほかの分野にまで、コストの低減とともに供給できるということになってくると、ある程度のまとまった量になるのじゃないか。そういう段階におきまして、塩業審議会においていわれておりますように、流通その他の問題点検討を含めて、これをどういうふうに定着させるかについては追って検討いたしたい、かように思っております。
  15. 平林剛

    平林委員 結局このことは米でいえば自主流通米のようなもの、塩でいえば余剰能力を、専売公社へ収納する以外に、製造者が直接必要な部分に売り渡すことができる道を開こうとすることになると思うのです。問題は昭和五十年ころの外塩外国から輸入している塩の価格がどうなるかということに私はかかってくると思うのです。つまり私どもとしては、今回の塩業整備近代化促進によりまして、昭和五十年にはトン当たり七千円ということを目標にいたしまして価格を設定するわけですが、そのころ輸入塩が大体どのくらいになるだろうかという点の見通しもやはりつけておく必要があると思うのでございますが、昭和五十年当時の見込みは、それは需要供給でなかなかむずかしいと思いますけれども、大体どんなことを想定しておられますか。
  16. 園部秀男

    園部説明員 五年先の輸入塩値段がどうなるかということはいまから予想することはたいへんむずかしいかと考えますが、ソーダ工業用塩におきましては、メキシコ塩等につきましては工業会のベースで長期契約を結んでおります。その長期契約によりますと、五年ぐらいの長期契約でございますが、大型船日本に持ってくるということにしましてCIF九ドル五十程度長期契約になっております。ただその中の約款で、石油の値上がりがあると修正するというような条項も入っております。そういう点から考えますると、昭和五十年度におきまして運賃がどうなるかということにもよるわけでございますし、あるいはまた五十年度へ向けてメキシコばかりでなしにオーストラリアの塩田開発メキシコ以上にたいへん進みますので、そういう点からいって日本輸入塩に対して、必ずしも数年前のように、あるいは数年前以前のように売り手市場のような様子には必ずしもならぬのではなかろうかというふうに思われます。かと申しましても、その辺、運賃というものが輸入塩値段の大宗を占めておりますので、いろいろ不安定な要素もあるわけでございますが、ソーダ工業用塩における長期契約等からいたしまして、食料用塩の場合必ずしも大型船で入着はできないという点、いろいろ勘案しましてCIF十ドルでこの全体の近代化計画考えておりますが、そう間違った考え方ではない、かように考えております。
  17. 平林剛

    平林委員 これはもう五年先、正確には四年ぐらい先になるわけでございまして、輸入塩価格がどういう推移をたどり、その当時どういう状態になるかという見通しをつけませんと、塩の専売制度という問題についてこういう問題からいろいろな判断分岐点に立つというふうに私は思いますから、昨日政務次官からもお話があったと思いますけれども、塩専売制度の存続か廃止かという問題はかなり慎重な態度をとるべきであるということをこの機会に申し上げておきたいと思うのでございます。  なお、この間、今回の特例を認めることに一応道を開いたわけでありますけれども、今日の塩専売法によりますと、塩の販売のできる者を公社指定を受けた販売人に限っておるわけでありますから、現在は塩専売法とこの臨時措置法と二つの解釈が存在することになります。塩専売法はこれだけに限らず、今度の措置法によりましてかなり背反する問題が残ることになるわけです。厳格にいえば塩専売法についてもその部分だけを訂正するというのがたてまえでございましょうが、今回これを残してあるわけですね。これはどういうお考えでございますか。監理官のほうから……。
  18. 大塚俊二

    大塚政府委員 今回の整備法塩専売法特例ということで予定しております事項は、ただいま平林委員がお触れになりました販売特例の問題と、それから法案の十一条の収納数量を割り当てるという問題が一番大きい特例であろうかと思います。平林委員御指摘のとおり、専売法を改正するという考え方ももちろんあるわけでありますが、たとえは十一条のほうであれは、これは塩専売法そのものを改正するという考え方も十分成り立つかと存じます。ただ十条のほうはいわゆる販売特例関係でございますが、塩種を現在のところ非常に限っておりまして、現在の段階ではこれに該当いたします塩量としましては大体十五万トン程度のものしか予定してないわけでございます。そういうことで、しかもこれを実際やりましてどのように現実が動いていくか、そういった点もこれから見きわめてまいりたいという考えからこの塩専売法そのものを改正するという方法をとりませんで、今回の措置法の中に特例として盛り込むことにいたしたわけでございますが、十一条の関係は、これだけで塩専売法を改正するということもなんでございますために、これらの事項がすべて実態として定着をしますればその際に塩専売法を改正することを考えたい、かように考えております。
  19. 平林剛

    平林委員 最後に塩事業会計についてお尋ねいたしますが、塩事業会計昭和四十四年度二十四億七千万円の赤字昭和四十五年度で約三十五億円の赤字になっておりますけれども、昭和四十六年度の見込みはどうなるでしょうか。
  20. 園部秀男

    園部説明員 昭和四十六年度におきましては、四十六年度に計上されております塩業整備交付金百三十九億九千五百万円を含みまして約百七十五億円の赤字を見込んでおります。
  21. 平林剛

    平林委員 結局今回の塩業整備及び近代化促進に関する臨時措置法案で百三十九億九千万円は国会として認めるということになるわけでございますから、それを差し引けば三十六億の赤字ということになるわけであります。塩専売は御承知のように、たてまえとしては、昔からの規定では財政収入という点も念頭に置いて規定をされておるわけなんでありまして、こうした赤字というのは好ましくないということは言うまでもございません。これから四十七年、四十八年、引き続いてこういうような赤字は出てくる見通しなんでしょうか。それともこうした赤字について何らかの措置をとる必要があるとお考えになっておるのでございましょうか。その点の基本的な考え方はいかがですか。
  22. 園部秀男

    園部説明員 四十七年以降につきましては、五十年にいわゆる近代化企業目標価格、包装並塩七千円という価格に向かっていまの一万二千五百円を引き下げてまいります。毎年千百円程度引き下げてまいります。五十年段階に九十万トンといたしますと約五十億の財源が出てくる。いまたとえば三十五億といたしますれば、二十億の差が出てまいるということに計算上なろうかと思います。したがいまして、四十七年以降赤字は年々減ってまいりまして、四十九年から五十年にかけて黒字に転換するというのが、ほかの条件がそのままであればそういうことになるのかというふうに考えられます。
  23. 平林剛

    平林委員 今回、私どもはこの法律によりまして、かなり大きな金額の支出を認めることになるわけでありますから、塩会計の赤字につきましては極力これをなくしていくという方向の御努力を希望しておきたいと思う次第であります。したがって、そのために必要な措置に何があるかということは、かねがね私は何度も委員会を通じて申し上げてありますので、そうした問題についても適当な審議会、あるいは公社の幹部間におきましても御検討をいただくようにこの機会に希望いたしておきたいと思います。特に私は、今回百三十数億円の塩業整備近代化促進に関するための予算措置をとるということは、その目的はどこにあるかということを考えますと、わが国塩業の将来もさることながら、塩専売法に定められてありますように、国民生活の安定、塩の国民生活に与える影響ということも配慮しての専売制であったわけであります。したがって、今回投ずる金額は、単に日本における特殊な立場を持つイオン交換樹脂膜による製塩工場を育成するためにわれわれはお金を投ずるわけじゃないんですね。この点はしっかり、間違えちゃいけないと思うのです。われわれは、今日これだけのお金を投ずるのは、決して寡占産業を育成するために投じているのではない。これは肝に銘じてもらいたいと思うのであります。この意味では、今後財政収入の面あるいはこうしたイオン交換樹脂膜による製塩方法が伸びるに従ってどういう態度をとられるかは慎重でなければならぬし、同時に、消費者に対して今日まで専売公社が果たしてきた役割りが、このために悪い影響を与えることが絶対にないということでなければ、今日投じたお金の値打ちというのは生きてこないわけです。われわれはそのことを考えますと、ひとつ国内における各消費者に対して、今回の法律措置をとった結果悪いことになってしまったということのないことだけは絶対に確保せねばならぬ、そういうことを考えるのでありまして、そういうことにつきましては言わずもがな、専売公社総裁をはじめ幹部の方は十分頭に入れてのことだと思うのでございますので、回答は求めませんけれども、私はそのことだけは最後にはっきりひとつ要望いたしまして質問を終わっておきたいと思うのでありまして、どうぞこの点は十分御留意をいただきたい。お願いをいた  します。  以上をもって私の質問を終わります。
  24. 毛利松平

    毛利委員長 関連質問がありますので許します。広瀬君。
  25. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 きのうやりましたので、一問だけ関連して、きのう残した問題をお伺いしたいのですが、この法案で、第六条で納付金というのがあるわけです。これは「交付金の交付に係る費用の一部をうめるため、」ということが目的になっておるわけでありますが、新しいイオン交換膜製塩企業というのにこれだけ国が環境整備をいわばやってやるというようなことで、総額では百八十億からの金を使う、こういうようなことですから、一部その負担をさせようという趣旨は理解できるわけであります。  そこで一つお伺いしたいのは、「一トンにつき七百円をこえない範囲」という、これが一体どの程度になるのか。これが四十七年以降三年間ということのようでありますが、四十七年四月一日から五十年の三月三十一日まで、こういう期間に、たとえば四十七年度では七百円にする、次は若干下げる、こういうようなことになるのかという点。それから、交付にかかる費用の一部に充てるというのですが、大体総額で、四十七年の四月から五十年の三月三十一日まで、ちょうどまる三年ですか、この間にどれくらいの納付金額を予定をして見込んでおるのか、この点だけ一問お伺いいたしたい。
  26. 大塚俊二

    大塚政府委員 七百円という金額につきましては、一応将来のイオン交換膜企業の十五万トン規模でやった場合の生産費を想定いたしまして、企業についても適正な利潤を見込みまして、その段階で七百円を公社のほうに納付をしても企業として存立できる、一応そういう推定計算のもとに定めた金額でございますが、法案にございますとおり、これは最高限度をきめて、具体的な金額は政令で定めることにいたしております。その政令で実際に幾らをとるかという点につきましては、今後近代化計画書が出てまいります。それから今後のイオン交換膜製塩企業規模なり、そういった実態を見ながら適当な金額を定めたい、かように実は考えておるわけでございます。この七百円というふうにもし政令でも定めました場合には、年間公社が収納いたします予定数量、現在の段階で九十万トンと考えておりますので、これを三年間でまいりますと二百七十万トンになるわけでございます。二百七十万トンについて七百円を納付させるという計算をいたしますと十八億九千万円、大体今回の塩業整備で一応予算化しております百八十九億の一割が限度ということであればまず妥当ではないかというふうな考えで定めたものでございます。
  27. 毛利松平

  28. 古川雅司

    古川(雅)委員 議題になっております塩業整備及び近代化促進に関する臨時措置法案につきまして二、三簡単にお伺いをしてまいりたいと思います。  最初に、先ほど来お話がございましたが、塩の専売制度の存続か撤廃かという問題と塩業の特別会計の赤字との関連で所見を伺ってまいりたいと思いますが、言うまでもなく、これは現在塩の製造者トン当たり収納価格の一万二千五百円と元売人に売る価格との百円の逆ざやと、公社の人件費等の諸経費の四千円、合わせて四千百円の赤字になっておるわけでございますが、いつまでに赤字を是正しようとするのかという見通しですね、もう一度確認をさせていただきます。
  29. 園部秀男

    園部説明員 先ほど申しましたように、買い上げ価格を毎年千百円ずつ引き下げていくという措置を講じてまいりますと、昭和五十年段階で約五十億円の財源になってまいります。現在三十五億ないし三十八億というような赤字を持っておりますので、四十九年から五十年段階、この五カ年の間において赤字が解消し得る、かように考えております。
  30. 古川雅司

    古川(雅)委員 物価安定政策会議の四十四年の提言を受けて、大体専売制度の廃止という方向に持っていくというような御意見でございましたけれども、イオン交換樹脂膜の製造方式が完全に軌道に乗ってから、その時点で廃止ということをはっきり打ち出していくというような御見解なのか。その辺のところをもう一度明確にひとつお示しいただきたいと思います。
  31. 大塚俊二

    大塚政府委員 御指摘のように物価政策のほうから、あるいは塩業そのものに関しますいろんな調査会、審議会等で、専売廃止ということが実はいわれておるわけでございますが、近代化措置といいますのは、製造業者につきましてはイオン交換膜製塩に全面的に転換する、これが一つの柱でございます。同時に、流通面の近代化という問題が一つございます。現在の塩の流通というのは、流通機能の大半を公社が持っておるという状況でございますので、これをすぐ専売廃止というようなことで公社流通機能をはずすということになりますと、消費者に従来のような安定した塩の供給ということが不可能になる、そういったおそれが多分にございます。そういうことで、生産者の面ではイオン交換膜製塩法への転換をはかってまいりますことと、もう一点流通面の整備といいますか、そういうことが十分に行なわれませんと、この塩専売廃止はそう簡易にはまいらない問題であろう、かように考えております。そういった両面の今後の姿を見なければ、軽々に塩専売廃止というわけにはまいらない、かようなことであろうかと存じます。
  32. 古川雅司

    古川(雅)委員 塩会計の赤字と、それから塩の専売制度の存続か撤廃かという、この関連についてはどのようにお考えでございますか。
  33. 園部秀男

    園部説明員 関連がないとは申せませんけれども、今次の塩業近代化そのものが、赤字であるから近代化をするということではなしに、塩事業全体の内容、あるいは国際化の時代に入って輸入塩価格、あるいはイオン交換膜製塩技術進歩というものに対応して塩事業全体が近代化し得るようにということを目ざして、現在、今後五カ年へ向かって国際競争力のある企業にしていきたい。国際競争力のある企業にするということは逆に申しますと、塩の専売法そのものが設立のときに財政収入と国内産業の保護ということの、二つの柱で出てまいりました一つでございます国内生産の保護という点がなくなってくるという関係では、その一つの要因、塩専売制度目的の一つが、少なくともその必要が薄れてくるということにはなろうかと思います。  赤字の問題につきましては、もちろんそういう段階になりますれば赤字の問題はなくなってまいりましょうし、赤字の問題の解決策としては、制度の問題で直接考えるというふうにするのか、あるいは生産の合理化をするのか、あるいは適正な販売価格にするのかという関係考えるべきかと思いますけれども、当面、そういう新しい技術というものがございますし、輸入塩価格ということがございますので、そういう面から赤字を解消していくと同時に、国内生産について、専売というものに寄りかかって生産しなくてもいけるような体制をつくっていくというのが私どもの考えでございます。
  34. 古川雅司

    古川(雅)委員 塩の専売制度の存廃につきましては非常に慎重な態度をお伺いしたわけでございますが、物価安定政策会議の提言としては非常にはっきりと、「イオン交換膜法の導入と製塩近代化、合理化を促進するとともに、輸入塩については、その増加を考慮し、塩専売制度は、これを廃止すべきである。」というふうに言い切っております。物価安定というたてまえからこの専売制度をはずすということについて、効果があるというふうにお考えを持っていらっしゃるか。公社側としては、物価安定という点から見解はいかがでございますか。
  35. 北島武雄

    北島説明員 物価安定政策会議のその提言でございますが、私は、主として生産面からいっているのだと考えております。と申しますのは、現在専売制度をやっておりますがために、非常に非能率な塩田というものを温存している。しかるにかかわらず、最近イオン交換膜法というのがどんどん伸びているじゃないか。専売制度でそういう非能率な企業を温存しているから専売事業赤字も出てくる。そしてこのまままいりますと、将来消費者価格の値上げをもたらすのじゃないか。そういうことから専売制度の廃止ということをいっておられるのでありまして、趣旨は全く、もっぱら生産面と私は考えております。
  36. 古川雅司

    古川(雅)委員 先ほど塩の流通問題を御答弁の中であげていらっしゃいました。具体的にどのように改善をしていくというお考えを持っていらっしゃるのか、それを伺わせていただきたいのでございますが、大体昭和三十四年以来ほとんど毎回、答申にもこの流通問題の改善をうたっておるわけでございまして、その内容についてのお考えを少し伺わせていただきたいと思います。
  37. 大塚俊二

    大塚政府委員 先ほども塩の流通機能のほとんど大半を公社が持っておるということを申し上げましたが、今回の塩業整備法におきまして、もちろん特殊な塩でございますが、食卓塩であるとかあるいは一般の工業原料塩とか、こういったものにつきましては、生産者が公社を通じないで直接元売人に売って消費者に渡すというような道をつくることにいたしたわけでございます。ただ、一般の食料塩国民の生活にどうしても必要な食料塩分野につきましては、いまの段階で直ちに公社を通じないルートに乗せるということにつきましてはまだ非常に不安がございますし、一般消費者に安定的に供給できるという点につきまして非常に問題がございますので、その分野につきましては従来どおり公社の機能を通じまして流通させるということを考えております。今回の措置としましては、ただいま申し上げました特殊な塩についてだけ公社の機能を通さない方法考えて、逐次そういった方向にこれから進めていきたいというふうに考えております。
  38. 古川雅司

    古川(雅)委員 塩業審議会昭和三十四年の答申以来、この流通問題の近代化ということは繰り返しいわれているわけでございますが、いまだに改善をされていないわけでございます。特に四十二年の答申では、これははっきり流通問題を一本化しろというような具体的な形で示されております。塩の元売人の合併とか統合といった点、あるいはもう一つ、塩の保管の問題ですね。専売公社が保管をする、さらに塩の元売人がこれまた保管をするという二段がまえになっておりますが、こういった点を近代化していく。ここでかかる手間とか経費とかを節減をしていくという、そういうもっとこまかい点で検討が加えられていないのか、この点の見通しはいかがでございますか。
  39. 園部秀男

    園部説明員 先生御指摘のとおり、三十四年以来たびたび流通面に対する合理化についての指摘がなされておりまして、今度の塩業審議会の答申におきましても、そういった点についてもっと明確な検討をすべきであるということで、この面についてもだいぶ時間をかけたものでございますけれども、最後的には問題点の指摘にとどまりまして、当面の生産面における近代化なり合理化なりを進めて、その生産面からの最小限の流通面への影響というようなことで販売特例塩というようなことが議題にのぼり、法案の中に入れたわけでございます。流通面につきましては、今後さらに具体的にこの五年間に詰めてまいりたいというふうに考えておりますが、御指摘のような統合の問題あるいは倉庫の問題等についてもやってまいりたい。統合ではございませんけれども、さしあたって事務の簡素化、合理化というようなことで、昨年来共同買い受けの推進とかあるいは包装の変更だとか、あるいは、最近の段階ではございませんけれども、同じ地域における公社の倉庫と元売りの倉庫の重複の是正ということをやっておりますが、御指摘の点、今後具体的に進めていきまして国民の期待にこたえてまいりたい、かように考えております。
  40. 古川雅司

    古川(雅)委員 そこで、今回の法案では塩業整備近代化をはかっているわけでございますが、この新しい方式を採用いたしまして、いわゆる採算ベースに乗せていくには年産大体十五万トン以上の規模が必要であるというようなお話がずっとございました。現在の二十七社が大体八社ないし七社、六社くらいに整理をされていくであろうということでございますが、現在、いわゆる事業計画書の提出を当局として求めておられるわけでございますが、この計画書に基づいて、どういう選定基準をもってこの指導監督に当たっていくのか、その点をお示しいただきたいと思います。
  41. 園部秀男

    園部説明員 近代化計画書の提出に伴いまして近代化企業をどういうふうに選定するかという点につきましては、この法案の成立次第、専売公社総裁の諮問機関として臨持塩業近代化審議会というようなものを発足させまして、そこでまずその選定基準についての考え方、引き続きまして目標価格なりあるいは計画書の具体的な審議というものに入りたいというふうに考えております。ただ、選定基準について審議会にはかってきめてまいりたい、こういうふうに思っておりますけれども、やはりこの法律の第一条にありますように、国際競争力を持ち得る体質と内容、七千円にとどまることなしにさらに発展し得る企業技術的に開発内容だとかそういった点について十分耐え得るものを予定して選定してまいりたい、かように思っております。
  42. 古川雅司

    古川(雅)委員 設備整備近代化には当然膨大な設備投資を必要とすると思いますので、そういった資金面での配慮、この点はどのようになっておるか、お伺いをいたしたいと思います。あわせて、いわゆるエネルギー源でございますが、電力等の需要に対してその供給の体制についても当然検討はしていらっしやると思いますが、その点、御説明をいただきたいと思います。
  43. 園部秀男

    園部説明員 資金面につきましては、塩業審議会の答申におきましても、近代化企業ができるだけ早く国際競争力のある企業になり得るように、低利融資等について配慮すべきことをうたっておりまして、今後におきましても農耕的ないままでの塩田企業から化学工業へ移るということでございますので、また同時に、今後国際競争力のあるという以上、自己資金調達力、そういったものを備えておりませんと、そういう特定の融資にたよっておらなければ成立しないというような企業ではいかぬわけでございますけれども、そういう企業であって、なおかつできるだけ早く近代化された企業で国際競争力のあるようにということで、従来の経緯もございますので、当面農林漁業資金の低利融資ということを考えてまいりたい、かように思っております。  エネルギーにつきましては、企業近代化計画書の内容がどういうふうに出てくるかわかりませんが、たぶんどの企業も、エネルギーにつきましては自力で自家発電設備を設置して、若干の買電も含めて電力を供給する。あるいはまたその蒸気につきましても、自家発電における蒸気を利用して煎熬の蒸気に充てるという計画が出てくるものと期待しております。
  44. 古川雅司

    古川(雅)委員 もう一度この点確認をさせていただきますが、設備投資に要する融資の問題であります。検討するということでございますが、いわゆる業者にとっては保証された問題として心配がないというふうに考えてもよろしいかどうか。もう一つ、エネルギーの問題についてはまだかなり研究の余地が残されておると思いますが、そうした総合的な研究体制、あるいはその研究に要する予算等、そういった裏づけがどうなっているか、重ねて御説明をいただきたいと思います。
  45. 園部秀男

    園部説明員 エネルギーの自家発電なり何なりの問題については、何も塩業に限ったことではないかと思いますが、逐次新しい研究が民間においてもあるいはその他の機関においても進められておりますので、それに即応して開発されていきますし、また、当面ではございませんが、長い目では、遠い将来はあるいは原子力発電におけるエネルギー、あるいは蒸気というようなものを期待しておる向きも一部にはあるようで、ございます。同時に、エネルギーと直接関係はございませんけれども、煎熬設備における材質の問題だとか、そういう点につきましては、公社といたしましても、民間その他の研究体制も含めまして開発していくことが将来における塩業近代化に役立つものというふうに期待しております。  資金につきましては、昭和四十六年度におきまして農林漁業資金の融資三十二億円程度のワクを用意しております。
  46. 古川雅司

    古川(雅)委員 時間がございませんので先に行かしていただきますが、これは先ほど来ございましたけれども、五十年度までにいわゆる収納価格を七千円にするという目標価格でございますけれども、これは確かに一つの目標でございますけれども、ここまで到達することができるかという、そういう不安がございます。昭和三十四年の整理をいたしたとき、いわゆる中小零細業を切ったわけでございますけれども、このときには三十七年までにトン当たり一万円にするということを約束していらっしゃるわけですね。こういったいきさつもございます。特にこのときには、三十四年の大蔵委員会におきましても総裁みずから非常にはっきり言い切っていらっしゃいますが、今回については、こういった公約違反というとオーバーでございますが、この目標価格に達することができるのかどうかという点をもう一度確認をさせていただきたいと思います。当然、人件費の高騰やあるいは物価の上昇、そういった要素も数あると思いますし、公社当局のいわゆる努力というものも相当大きな要素を占めると思いますが、はたしてこの公約を、お約束を果たせるかどうか、その点御説明をいただきたいと思います。
  47. 園部秀男

    園部説明員 五十年における七千円の目標が達成されるかどうかという点につきまして、前回整備関係の一万円との関連で御指摘でございますが、前回整備の一万円につきましても、物価修正をしてほぼ一万円に近い目標に達したわけでございますが、その後の物価上昇その他でまた一万二千五百円という値段に戻ってきたというのが現状でございます。今次における近代化企業におきましては、七千円になったらまた上がっていくというような企業であってはならない。さらに技術革新を含めて、裸で輸入塩に対抗できるような企業を選定して、そういう方向で考えたいということでございますので、あるいはまた現在までの技術水準のデータあるいは煎熬設備なりというものを計算していきましても、利益を見て七千円の達成を確信しております。ただ、もちろん十五万トンで設備投資をすればだれがやったって七千円ができる、そういう甘いものではございません。その点、御指摘のとおりの点を含めて可能性については私ども確信しておりますので、今後の指導なり選定なり、今後の持っていき方につきましては十分留意してまいりたい、かように思っております。
  48. 古川雅司

    古川(雅)委員 次に移らしていただきますが、今回の整理による退職金の支払いの問題でございます。この内容といたしましては、四十五年の基準内賃金の一一五%に、公務員の整理退職の場合に準じて計算した金額、さらに右のほかに、四十五年の基準内賃金の六カ月分を加算するという規定がございます。この内容についてでございますが、製塩業に従事する皆さんの賃金は非常に安いわけですね。これが一つ前提になると思いますが、この算定方法を公務員の整理退職の場合に準じてとしておりますけれども、これは製塩業の賃金そのものが非常に低いわけでありまして、さらに製塩業に従事する皆さんの年齢層、それから勤続年数、こういったものについても公務員と比較する、公務員に準ずるということにまたいろいろ問題があるんじゃないかというふうに感ずるのでございますが、この辺はどのようにお考えですか。
  49. 大塚俊二

    大塚政府委員 製塩業界の賃金べースが非常に低いという御指摘の点は、実態はそのとおりであろうかと存じます。実は三十四年、五年にも同じように、先ほど古川委員の御指摘のような整理を行なっておりますが、前回の例では、実は公務員の整理退職よりももっと退職者には不利なものとして助成を行なっておるわけでございます。その後、業界あるいは国の政策で措置をいたしますような同様の問題につきまして次第に手厚くなってきておるという状況も勘案いたしまして、今回は国家公務員の整理退職並みの措置にいたし、かつ四十五年の基準内賃金の六カ月分というものをさらにそれに加えるという措置をとったわけでござ  います。この交付金として製塩企業に交付をいた  します退職金の費用というのは、あくまでこれは企業に対するいわば原資を助成するという趣旨でございますから、企業にさらに余裕がありあるいは内部留保があるということであれば、それに上積みした退職金の支給もあり得るわけでございまして、私どもとしましては、今回の措置は前回の例に比較いたしましても、それからその他の例に比較いたしましても、必ずしも薄いものというふうには考えておりません。
  50. 古川雅司

    古川(雅)委員 御答弁の中で御指摘のように、賃金ベースそのものが非常に低いわけでございまして、そういった点では今回もまた、この退職金の支払いの算定方式にはいろいろ御注意をいただかなくてはならない点があると思います。非常にこまかい点になってしまいますが、二、三この点でお伺いしたいのでございますが、これは昭和二十九年から三十一年にかけてだと思いますが、いわゆる入り浜式から流下式への転換のときに、一部あるいは全員一応解雇という形をとって、退職金の形で支払ったところがございます。その製造方式の転換の工事が終わったあと復職をして現在に至っているということなんでございますが、このときの退職金の取り扱い、これは休業補償というような形あるいは一時金というような形、いろいろな場合でとっている形が違うと思いますけれども、この場合の勤続年数の取り扱いはどのようにお考えになっておりますか、この点をお伺いしたいと思います。
  51. 園部秀男

    園部説明員 恐縮でございますが、いまの御質問にお答えする前にちょっと一つだけつけ加えさしていただきますが、塩業労働者の給与水準でございますけれども、確かに四十三年ごろまではほかの産業の労働者に比べてたいへん低かったという実情でございますけれども、四十四年度の賃金構造基本統計調査の塩生産県の百人から九百九十九人というものの実態とその年齢別修正をいたしますと、ほぼそれに見合い、場所によってはそれを若干上回るというところまで来ておるということを一つだけつけ加えさしていただきます。  それから先ほどの御質問でございますが、確かに三十年前後に入り浜から流下式への転換が行なわれました。そのときの期間をどういうふうに見るかというのが御質問の趣旨かと思いますが、原則的に申しまして入り浜時代には各採かん人、塩業者に雇われておった、それが塩業組合に雇われるようになったというケースもございます。塩業組合そのものは塩業者の経営でございますので、その点につきましては同一主体と見て差しつかえないのではなかろうか、かような考え方が一つございます。それから、当時支払われました退職金あるいは一時金とか、そういったものの関係がたいへんところによっていろいろでございます。それこそ、たいへん極端な例は酒一本で縁を切ったというところから、七、八万円の退職金を払ったというところがございます。したがいまして、当時における一般産業の給与の実態、あるいは退職金制度における実態、あるいはその該当者の年齢、経験年数というものに照らして、もらったものが社会的に退職金と認められるかどうかということによって、社会的に退職金と認められないようなものであればそこの時点における解雇、中断というものがないというふうに見るのが適当ではなかろうか。もちろん原則的には、雇用期間の断絶ということがあれば通算されないというのが原則でございますけれども、実態に応じてそういうふうに考えてまいりたい、かように思っております。
  52. 古川雅司

    古川(雅)委員 お約束の時間が参りましたので、最後に簡単に御答弁をいただきたいと思いますが、この塩業離職者の再就職の問題。非常に高齢者が多いわけでございます。これは非常に不安を持っていらっしゃるわけです。このためにこれから職業訓練所に入るという希望も現に出ておるわけでございますが、その希望に応じた職種を訓練する機関がその地域にないというような一つの問題点もございます。これらを含めて、再就職に対してどのように対処していかれるか。簡単でけっこうでございます。  それからもう一つは、廃業、転業したいわゆるあと地の利用でございます。これは私有財産でございますから的確には方針はお示しになれないかもしれませんが、何らかの形でこれに助成をしていく、あるいは行政指導というようなことをお考えかどうか。この点について積極的に国あるいは地方公共団体が買い上げていくとか、公共用地として造成していくような方向に持っていくのか、あるいは各県が持っております都市開発計画に組み入れていくというようなお考えをお持ちかどうか。  非常に取り急ぎましたけれども、簡単に所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  53. 保科真一

    ○保科説明員 塩業の転廃業に伴いまして離職者の発生が予想されるところでございますが、先生が御指摘のように、中高年齢者が比較的に多いとか時期的に集中するという問題もございますが、これらの離職者の方々の再就職にあたりましては万全の対策を講じてまいりたいと考えておるところでございますが、離職発生時期になりまして職業相談を実施しまして、再就職の御希望あるいは訓練所の入所希望等を聞きまして、広域紹介を含めましたきめのこまかい職業紹介実施してまいりたいと思います。それから職業訓練を受けたいという方に対しましては、そういう職業訓練校への入所あっせん、それから訓練を受ける方々に対しまして訓練手当の支給等の職業転換給付措置がございますので、こういうような措置を活用いたしまして、再就職に対しまして対策の万全を期してまいりたいというふうに考えます。  なお、先生が御指摘になられました、訓練所への入所希望がございましても職種がないじゃないかというようなお話につきましては、訓練校の担当課長が参っておりますのでお答えいたします。
  54. 石田卓造

    ○石田説明員 離職された方々の再就職のための訓練につきましては、地元の公共の訓練施設に収容する配慮をいろいろいたしておりますが、特に中高年の方々につきましてはきめこまかに転職のための訓練をいたしております。しかし、訓練を受ける希望の訓練科がその施設にない場合、こういう場合には、民間のこれら訓練施設あるいは企業がみずから行なっております事業内訓練、こういうところに委託をいたしまして訓練を受けていただく、こういう配慮をいたしまして、離職者の発生時期あるいは希望等を十分考慮しながら訓練を受けやすくするように準備をしたい、こういうふうに考えております。
  55. 大塚俊二

    大塚政府委員 廃止塩田あと地の問題でございますが、現在のところ特に国が塩田を買い上げるというような具体的な計画はございません。廃止塩田あと地は、場所によって若干の違いはございますが、すべて海岸にございまして、各府県の工業開発計画区域に入っておるようなものもかなりございますし、そういった意味で、将来の転用という、大半のものについては見通しは非常に明るいのではないか、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、先ほど御指摘のようにこれは私有地でございますので、所有者の意向というものをあくまで尊重する必要がございますし.あと地の利用という面で具体的な計画が出てまいりますれば、それに必要な融資の面とか、そういうことについても、大蔵省、公社とも努力をしてまいりたい、かように考えております。
  56. 毛利松平

    毛利委員長 竹本君。
  57. 竹本孫一

    ○竹本委員 最初に、イオン交換膜製塩法というので、今度一つの近代化をやろうというのですけれども、それは生産コストの面ではどのくらいの切り下げができるか。そのほか、イオン交換膜製塩法というのはどういうメリットがあるか。
  58. 園部秀男

    園部説明員 イオン交換膜設備による製塩につきましては、現在塩田を中心にして国内生産を行なっております生産コスト並びにそれに見合った買い上げ価格でございますが、包装並塩一万二千五百円ということでございます。それに対してイオン交換膜製塩設備で十五万トン以上の規模であればトン七千円になり得るというのが、今次イオン交換膜製塩による近代化の基本でございます。  なお、イオン交換膜法のメリットということでございますけれども、イオン交換膜によって濃い塩水をとるわけでございますが、塩田で濃い塩水をとる場合は、海水の水分を追い出して濃い塩水をとっていくという方法でございます。イオン交換膜製塩による濃い塩水のとり方は、水のほうを追い出すのではなしに、海水の中にあるNaのインンなりClのイオンなりを膜を通じて集めて濃い塩水をとるという点で、たいへん違った行き方をしておるわけでございます。海水にはせいぜい三%ぐらいしか塩分がございませんけれども、その三%のものを集めていくというやり方でございますので、いままでの生産によるやり方とたいへん違っておるというのが第一点でございます。  そのほか、塩田でございますれば天候に左右されたりあるいはたいへん場所をとったりという点がございますけれども、そういう点がなくなってくる。生産性におきましても労働力におきましても、理想的に言いますと従来よりも十分の一ぐらいの人員でできるのではなかろうかという点もございます。  なおまた、イオン交換膜による濃い塩水は塩田による塩水よりもたいへんきれいな塩ができてくるという点により、煮詰める段階でも作業量が非常に少なくなる、自動化がたいへん可能になる。あるいは塩田製塩におきましては塩水の濃度がボーメ十三度から十五度というところでありますけれども、イオン交換膜製塩による濃い塩水は、現在操業しておりますのも十八度から十九度というふうにたいへん上がっておりますし、技術的には二十度以上も十分可能だというような研究も行なわれております。塩水の濃度がたいへん濃くなりますと、同じ煎熬設備で場合によっては従来の二倍の生産があげられるということがございますので、コストの低下という点にもたいへん寄与するものと、かように考えております。
  59. 竹本孫一

    ○竹本委員 トン七千円というのは十五万トンの規模でさえあれば直ちにできるかどうかということが一つ。  それから、専売公社の今度の新しい計画では、その十五万トンのものを幾ら備えつけるつもりであるか。それに対する資金はどのくらい要るのであるか。それに対して公の援助はどのくらいであるのか。
  60. 園部秀男

    園部説明員 十五万トン規模イオン交換膜設備をすれば七千円になることは、現在の計算でも可能でございますが、技術進歩もあり、流通における問題の究明もありということで、五十年へ向かってやっていくというのが私どもの考え方でございます。  十五万トン規模で、土地まで入れますと、投資額として約二十億円という資金が必要だと考えます。これを、九十万トンで十五万トンが六工場といたしますと、その六倍が必要だというふうにも考えられますが、すでに現在ある設備あるいは現在あるイオン交換膜等の利用がはかられれば、それよりたいへん少ない投資額で済むのではなかろうか。国の融資につきましては、現在のところ、四十六年度については三十二億円程度の低利融資を予定しております。
  61. 竹本孫一

    ○竹本委員 私が伺いたいのは、四十六年度だけでなくて全体としてどのくらいかかるかということと、それから、これはひとつ総裁に伺いたいが、これは専売公社が公の力でやるわけですからある程度できるのだけれども、交付金も入れ、新しい援助も入れ、あれもこれも入れて全部切りかえた結果、コストは七千円まで持っていくということであるが、入れた金全体としては、コマーシャルベースで考えた場合にはぺイするのかどうかということについての総合的な判断を聞きたい。
  62. 北島武雄

    北島説明員 今度の近代化企業は、専売の援助なく自立できるということを目標といたしております。コマーシャルベースでトン当たり七千円で輸入塩に対抗できるという見込みで計算いたしておるわけであります。専売公社の援助なく自力でもって達成できる見込み、こういうことでございます。
  63. 竹本孫一

    ○竹本委員 ちょっといまの説明をもう少し具体的に、たとえば交付金で百八十億使う、新しい金をこれだけ入れる、全部入れて生産数量と引き合わせてみればこのくらいペイしておるんだという、採算ベースにおける検討がどのようになされておるのか、あるいは親方日の丸で考えておられるのか、その辺どうですか。
  64. 北島武雄

    北島説明員 今度百八十九億九千五百万円の交付金を出すわけでございます。新しく近代化する企業についての援助はございませんが、総体的に考えますと、何もしないでこのままでまいりますと、専売会計といたしまして毎年三十五億から四十億程度赤字を重ねてまいるわけです。今度の措置によりまして、毎年トン当たり千百円ずつ収納価格を引き下げてまいりますから、年間約十億円程度ずつ専売事業赤字が減ってまいる。したがって五年後には専売事業赤字がなくなるというふうに考えておるわけでございます。
  65. 竹本孫一

    ○竹本委員 この辺で基本的な問題になりますが、塩の専売というのは何のためにやっておるのか、またどういう利益があるかという点についてお尋ねしたい。
  66. 北島武雄

    北島説明員 塩が専売になりましたのは明治三十八年、このときには財政専売ということでございましたが、大正八年にたしかその性格が変わりまして公益専売ということになりました。これは財政収入を目的とするよりも塩の需給の安定、価格の安定並びに生産者の保護、こういった目的で公益専売ということになったわけでございます。そうして現在に至っておるというのが実情でございます。
  67. 竹本孫一

    ○竹本委員 財政専売の意味は全くなくなった、これは御指摘のとおりだと思うのですが、今度は公益的立場においてと言うけれども、公益的立場において何を守っておるのですか。もう一ペん具体的に伺いたい。
  68. 北島武雄

    北島説明員 具体的に申しますと、たとえば、端的に申しますと塩の消費者価格でございます。これは昭和二十七年以降、引き下げはありましても引き上げは、ございません。これはおそらく専売事業であったからではなかろうかと私は考えております。その反面、最近におきましては専売事業赤字はだんだんふえてまいっております。これは公益的には非常に大きなメリットであったのではなかろうか。それと、全国津々浦々まで、戦後の混乱期にも塩の供給が確保できた。これはやはり専売であったからではなかろうか、このように考えております。
  69. 竹本孫一

    ○竹本委員 政務次官、どうですか。いま御説明になった財政専売というのは、財政収入があればいいけれども、これがなくなったからやめてしまった。いまは赤字だということで、財政専売という性格はなくなってしまった。公益専売だと言うのだけれども、いまお話しのような程度のことで、はたして専売にする価値や必然性があるのかどうか。そこにちょっと問題があるんじゃないか。いろいろ言われるけれども、津々浦々の問題だって、それこそいまは資本主義の機構ですし、ほとんど輸入ですから、輸入の量さえ確保しておけばあとは商人にまかしておいても津々浦々までいくでしょう。それから価格の点についても、合理化の問題等、これは、私企業なら絶対できない、専売ならこれだけできるんだということであるならばそれもまた一つの理由になるけれども、はたしてそうかどうか、私は非常に疑問だ。あれこれ考えると、塩の専売にはどこにどれだけの必然的な使命があるのかということについて、御説明だけでは十分納得できないように思いますが、いかがですか。
  70. 中川一郎

    中川政府委員 この点はきのう来議論があったところですが、専売の目的は、需給の問題と価格の問題、それから公益専売ですから生産者を保護するということがあったわけであります。ところがコストが高くなってきた。専売なるがゆえに非能率的な生産体制があったというところから、今回はその生産性の合理化という点についてだけひとつ近代化をはかって、矛盾を解消しようということになりました。そこで、生産者保護という点については交付金を交付して解決をした。今後残ります問題は需給の問題と価格の問題、すなわち流通の問題だけが残るわけです。この点についても、平林委員から、専売の制度は生産の面だけではない、流通の面も大事だから、専売制度をはずすなんということは軽率にやるなという議論が一方でございます。しかし、いまおっしゃるように、品物が豊富になって、値段も安定して、日本全国津々浦々まで塩が供給されるという体制ができるならまあいいではないかという意見もございます。そこで、この近代化計画を進めまして、五十年の姿を見た上で、両者の意見を配慮しつつ、専売制度をどうするか、改めるか廃止するか、これは長年の制度でありますから、軽率にやることなく、慎重に配意して対処いたしたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  71. 竹本孫一

    ○竹本委員 塩の専売というのは、それぞれの国の事情がありますが、外国ではそういうふうにやっているものかどうかということの例を聞きたい。  それからもう一つは、新しい製造方法を採用するにしても、日本で六百何万トンか七百万トンくらい必要なうち、国内の自給は百万トン程度でしょう。そうしますとたかだか一五%程度だ。これを今後はふやすのか減らすのか、大体横ばいでいくのか、そういうことについて、いま需給の問題もいろいろ出ましたけれども、総合的にはどういう見通しを持っておられるのであるか。
  72. 園部秀男

    園部説明員 外国における塩専売の例についての御質問でございますが、現在のところイタリア、オーストリア、ギリシア、トルコ、コロンビア、アルジェリア、シリア、ぺルー、台湾というようなところが専売をしております。いずれも供給の確保とか財政収入の確保、国によって違いますが、そういうようなやり方になっております。  なお、御指摘の十五万トン規模を固定させるのかという点につきましては、今後の技術進歩によりまして、同じ設備でもコストを安くしてよけい生産できるということがあり得るものというふうに期待しております。
  73. 竹本孫一

    ○竹本委員 自給度についてもう少し……。
  74. 園部秀男

    園部説明員 自給度につきましては、現在の段階におきましては国内生産において競争力のあるのが大体九十万トン程度というふうに考えておりますが、技術進歩価格の低減によりましてその自給度は増大するというふうに思っております。ただ、どこまでを目標にするのかという点につきましては、今後の技術進歩価格の低減によって考えていくのが妥当ではなかろうか、かように考えております。
  75. 竹本孫一

    ○竹本委員 たとえばこの目的の根本から考えてみて、財制専売だ、財制収入が目的だ、これはわかる。しかしいまそれはだめだ。公益専売で、特に供給の確保、需給のバランスをとることが目的だといわれるならば、そのために五百万トンか五百五十万トンを輸入しているので、ただ国内で生産し、国内で特に専売でやらなければならないという理由にはならぬと思うのですね。国内で専売をしなければならない理由を主として私が聞いているのだから。たとえば現在一五%程度のものを三〇%の自給に持っていくのだ、そのためには民間にまかせておくことはできないのだ、これなら話がわかる、そういう点はどういうことですか。
  76. 中川一郎

    中川政府委員 公益専売の性格のうちでおもに大事なのは食料塩、食卓塩といいますか、それが大事じゃないかと思います。その数量の大部分は大体国内製塩によるものである。したがって、大事なのはいまの国民の直接使う食卓塩。それからもう一つは工業関係の塩となりますが、これは大体外国から入ってきておりますものが多い。しかし、今度の近代化によって外国と競争できる値段になってくるわけです。いままでは非常な差がありましたから外国塩に押されておりましたが、今度の近代化計画によってとりあえず九十万トン、少ないものではありますけれども、近代化、合理化が進んでいきますと、技術の研究によって九十万トンをだんだんふやしていけるのではないか。いまどこまでふやすという目的はありませんけれども、そういう方向で努力し、国民の大事な塩の確保につとめていくということが大事なのじゃないかというふうに考えております。
  77. 竹本孫一

    ○竹本委員 私はその専売の必然性を聞いているのです。だから、自給が、少し能率があがったらふえるでしょうというのでは説明にならない。いま申しましたように、現在は一五%だけれども三〇%の自給にする必要があるとかりにして、それに持っていくのにはこれ以外に方法がないのだという説明がなければ、その説明にはどうもまだ納得ができないと思いますが、もう少し塩の専売の問題の−大体いまの食塩の問題にしましても、あるいは九十万トンの問題にしましても、これは国民に必要な欠くべからざるものであるから政府も補助してやろうと言われる、それはわかりますよ。しかし専売でなければならないということの必然性はただそれだけでは説明にならない。いまの段階において、私はどちらかというと国営論者だから、国営も賛成、専売も賛成なんですよ。しかしそれぞれ国営にしても専売にしても、経済全体の社会化のためとかあるいは計画化の橋頭塗を築くためとか、非常にはっきりした目的がなければまずいと思うのですね。ただ何となく需給の確保と言ってみたりあるいは財政専売だと言ってみたりしても、納得できるような説明にならない。もう少しきめのこまかい、詰めた御説明を承ってみたいと思うのです。
  78. 中川一郎

    中川政府委員 先ほど御説明したところでちょっと理解しかねたかと思いますが、塩のうちでも家庭用の塩については、四十四年度について言いますと四十六万四千トン必要なのでありますが、そのうちの四十五万九千トンについて、すなわち一〇〇%に近いものは国内塩でまかなっておる。この辺がまず国民食料塩——きのうから米塩という話がありましたが、米塩を確保するというところからいえば専売制度の意義があるのではないかというふうに思っております。その意義が、生産面についての確保ということは今度の近代化で解決いたしますが、もう一つ残っているのは、平林委員から御指摘があったように、簡単にこれははずせない大事な塩の制度で、価格の問題あるいは末端までも行き届くという制度が専売制度の意義であるから、その点は慎重にやるようにという御配慮もありました。したがって、今後この制度の推移を見守って、その両者の意見を配慮しつつ、先ほども申し上げましたように長年の制度でありますから、改廃についてはそう軽率なことはできないと思いますが、その辺を勘案して慎重に対処してまいりたいと存じます。
  79. 竹本孫一

    ○竹本委員 四十五万九千トンはわかりますが、北島総裁の声がかからなければそれができないのか、あるいは民間にまかしておいてもできるのかというところにやはり大きな問題があると思うのですよ。少し論理が飛躍しておるように思うのだけれども、大臣も見えましたし、時間がありませんから議論はこの辺でやめます。  ただ、もう一つついでに、これはもともと専売になっているから大いに政府がめんどうを見られる。御好意はよくわかるが、こういうものは一つの企業ですから、私は資本主義の一番いいところは、一つのプライスメカニズムでものを整備して追い込んでいく、合理化していくというところにあると思うのですよ。ところが政府のやられることを見ておると、たとえば石炭の例でもそうだ。あるいは、議論がいろいろあるけれども米でもそうだ。全部がプライスメカニズムの一番大事な、一番資本主義にとってプラスである役割りはむしろ殺してしまって、そして過保護で、政府まるがかえでいこう、極端に言えばそういうことが言えると思うのですね。だからこの塩の場合でも、それはある程度特別な因縁、三百年の歴史もあるとかなんとかいうようなことを言ってめんどうを見られることはぼくは理解できますよ。しかしながら、プライスメカニズムのいいところはほとんど生かさないままに、次から次へと財政負担をふやしていかれるような行き方そのものには、特に自民党の立場からいえば一ペん再検討があってしかるべきではないかと思いますが、大臣いかがですか。
  80. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 塩の専売を廃止するかどうか、これはいろいろその利害得失について見方はあると思います。しかし、さてそれじゃ専売にしておいてどこが悪いのだろうということにつきましてまた積極的な決定的な理由というものも私はまだ見つからないように思います。しかし、いろいろ議論のあるところでございますから、なお検討いたしましてその方針をきめたい、かように考えます。
  81. 竹本孫一

    ○竹本委員 これで終わりますが、七千円でコストがあがるようにやって、価格の国際化、さや寄せをしようという努力はそれなりに評価できると思うのですけれども、いまごろそれに取り組まれるということは、イオンの新しい製造方法というものの技術的な成果が最近までははっきりしなかったのでそれがおくれておるのか。大体日本の全体の国際的な水準へのさや寄せというか経済の国際化というものが、ぼくは非常に努力がおくれている、あるいは計画性が少なくともないと思うのですね。いまごろにこの新しいイオン交換膜製塩法を採用されるということは、技術的にはやはりこれがぎりぎりの最も早い方法であるのか、あるいはいままでは少しぼんやりしておった、と言うとことばが悪いですけれども、のんびりしておったというのか。とにかく新しいものによっていまの買い上げ値段のほとんど半分になるわけですね。そうするといままで倍近いものを使っておった、こういうことになる。あるいは買い入れておったということになる。そういう意味技術革新に対する努力というか、あるいは経済の国際化に対する取り組みというものが、日本の経済全体の運営においてぼくははなはだ計画性が足らないというか、おそいと思うのです。この場合には特殊な事情があって、最も早い機会にやってこの辺だということになるのかどうか、そこだけ伺って終わりにいたしたいと思います。
  82. 北島武雄

    北島説明員 イオン交換膜製塩法は、実は今回初めて導入するのではございません。すでに昭和三十五年度からいたしておりますが、その当時におきましてはイオン交換の膜の性能ははなはだ悪く、予期のような成果をあげることはできなかったのであります。その後の技術進展によりまして、昭和四十年ごろまたさらに試験的に導入いたしまして、それが最近だんだん芽をふいてまいりまして、この二、三年の状況を見ますと、これならいけるということを日本製塩技術者のだれもが抱くようになった、これが新しくイオン交換膜への大規模な転換をしようという理由でございます。  なお、イオン交換膜なら七千円になるなら、いままで高いのを買っていたのではないかというお話でございますが、いままではイオン交換膜製塩規模も非常に小さかった。これを今度は十五万トン以上にいたすことによりまして、コストが非常に下がる、こういうことでございます。
  83. 竹本孫一

    ○竹本委員 以上で終わります。
  84. 毛利松平

    毛利委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  85. 毛利松平

    毛利委員長 これより討論に入るのでありますか、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。採決いたします。塩業整備及び近代化促進に関する臨時措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  86. 毛利松平

    毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。おはかりいたします。ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十五分散会