○江口
説明員 どの
程度かというのはなかなかむつかしい問題でございますが、毎年調査をした結果につきまして、私
どものほうの事務年度分について新聞発表をいたしてございますが、それを御参考までに御
説明をして御判断をいただきたいと思います。
いろいろな形態の調査がございますが、一般的に査察を除きまして、直税部門での一番重い調査をいわゆる特調と申しておりますが、これを中心にして毎年十二月あるいは一月ごろに前々年分を前年に片づけたものとして新聞発表いたしておるわけでございます。
ちなみに昭和四十四年の七月から昭和四十五年の六月末までの一年間で、私
どもの手元で処理をいたしました事案の件数を申し上げますと、全体でいわゆる重い調査である特調事案が六千百九十七件あるわけでございます。これは十数日の日数をかけましてかなりの重い調査をやるわけでございますが、その結果把握されました
所得が四百億円でございます。これに対する税額が百八十億円ということになっております。
これに
比較いたしまして、納税者の数がふえて、私
どもの手元の事務量が非常に多いために連年実調率が減っておりますが、いま申しました重い特調以外の一般調査の件数を申し上げてみますと、この同じ時期に約六万七千五百件ほど調査をいたしてございます。これに対する増差
所得でございますが、これが六百三十三億円、これに対する税額が百五十七億円ということになります。
もう少しわかりやすく一件当たりで
比較をいたしてみますと、いわゆる特調事案というのは、最近の好況業種の中で特に多額の
所得があると認められるもの、そうしたものを中心にする。それからもう一つは、ここ数年間の
申告実績とわれわれの手元にありますいろいろな管理判断資料あるいは具体的な当該
事業者についての個別の資料等を総合いたしまして、ここ数年来
申告状況のきわめてよくないと思われるもの、こういうものが特調事案になります。そのほかに一般事案というのはそれに準ずるようなものということで、私
どもの意識の線ではそれよりはかなり軽いものということになりますが、これがいま申し上げましたように六万七千五百件
程度ということで、一件当たりにいたしますと、特調の場合には増差
所得が六百五十二万円ということになります。ところが一般調査の分につきましてはその約六分の一以下になりまして、九十四万円というのが去年一年間の実績でございます。
なお、どの
程度の
申告水準の差があるかという御指摘でございますが、これについては別に、営庶業だけの
所得金額の過去の推移を見てみますと、これも判断の一つの資料になろうかと思いますのでもう一つ御披露をさせていただきたいと思いますが、営庶業につきまして四十年についての
所得金額の総額は七千三百三十億円でございます。これに対しまして四十四年では約一兆五千百億円ということで、四年前と
比較いたしますと二
○六%になっておりまして、そのほかの一般的な経済指標等と対比してみました場合には、かなり顕著に
申告水準が維持されておるのではないかという感じがここ四、五年非常に強くなっておりまして、私
どもではそうした
意味で、
申告納
税制度というものがようやく、という言い方はどうかと思いますが、
日本に定着したのではなかろうかという感じを非常に強めておるという事績も確かにございます。
〔山下(元)
委員長代理退席、
委員長着席〕
なお、
青色申告につきましては、二十五年に発足した当時かなり積極的な宣伝その他をいたしたわけでございますが、それから数年はどうしても五%を出たり入ったりという
程度でございましたが、幸い一昨年の実績を見ますと営庶業者の五三%、約百五十万
程度の方々が
青色申告になっておられるというような状況を見ましても、御指摘のような状況というものはだんだん
課税の公平といいましょうか、適正な
申告の方向にかなり顕著に進行しておるのではないかという感じをわれわれは強く持っているわけでございます。