○木野委員 私は、
関税定率法の一部を改正する
法律案につきまして、そのうち特恵
関税に関する事項につきまして、
福田大蔵
大臣の御意見を聞きたいと思うのであります。
この特恵
関税の問題は、一九六四年に第一回の国連貿易開発
会議におきまて、南北問題解決の
一つの方策として取り上げられたものでありますか、いよいよ実施の段階に入ってまいりました。この特恵
関税の問題といいますのは、代償なしに
関税を一方的に引き下げるということでありまして、
関税政策としましては、私は異例なものであると思うのであります。この問題につきましてはまた南北問題の解決という大きな問題かありますので、広い視野から検討しなければならぬ問題である、このことも感ずるのでございます。それとともに、特恵
関税が施行になりました場合には、
国内産業に与えますところの影響がきわめて大きなものがある。ことにそれが中小
企業に対して深刻な打撃を与えるというのであります。私は、各国見てまいりますと、どこの国におきましても、この南北問題の解消という大きな問題と、もう
一つは
国内産業に摩擦なしにやっていこうというこの二つの命題、これをどの
ように調和するかということで努力をしていると思うのであります。
ことにそういった点から見てまいりますと、わが国の場合を具体的に考えてまいりますと、
大臣も御承知のとおり、わが国の輸出のうちの繊維、雑貨といったものの占める割合が三〇%である。アメリカでは一二%、西ドイツは一五%、そういった数字を見てまいりますと、非常にわが国の
経済が重工業化しておるといいましても、ほかの国に比べますといまだ軽工業に重点を置いた域にあるわけであります。そうしてまた、この軽工業品の輸出先を見てまいりますとアメリカが多いということもいわれると思います。そうして、アメリカの市場に対しまして東南アジアの開発途上国の輸出先が競合するわけでありまして、ただいま申しました
日本の国の
経済構造からいいましても、また輸出先からいってみましても、ほかの国以上に
関係が深いものがある、影響の大きいものがある、こういうふうに思うのであります。しかも、わが
国内の
産業を見てまいりますと、中小
企業が非常に多い。後ほどまた申しますが、九人以下の従業員をかかえておるところの中小の
企業が非常に多いということでありますので、あれやこれや考えてみまして、非常に
国内的な影響、深刻な打撃を与えるんじゃないかと思うのであります。この二つをどの
ようにマッチさせていくか、ここを
政府としましても十分にお考え願いたい、このことを思うのでございます。
それで、そういった意味から見てまいりまして、ただいままでの審議を通じまして、たとえば特恵
関税につきまして、一般
品目のほかに例外
品目を設ける、またSP
品目を設けるというふうに税率の調整をはかっておるということも出ております。また、農産物につきまして特別の課税を考えておるということも出ております。また、エスケープの条項も載っております。さらにまた、緊急
関税の
制度、これも考えておるということが条文に出ております。そういった条文を考えるということで、
政府としましても実情に即してやっていこうということはお考えなのでございますが、しかしながら、これの運用につきましてさらに考えていただかなければいかぬ点があるんじゃなかろうかと思うわけであります。要するに、この特恵
関税につきましては、開発途上国の援助といった大きな国際
経済的な問題と、
国内経済の摩擦をなくするという問題この二つがあるわけでありまして、実情に即して弾力的に運営していくということ、そうしてその必要性は
外国以上に強いと思うのであります。
そういった点につきまして、大蔵
大臣が特恵間税に対してどういう
ように考えておられるか、またどういう
ように運営していこうとしておられるか、まずもってお聞きしたいのであります。