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1971-03-03 第65回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月三日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       奥田 敬和君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    木村武千代君       佐伯 宗義君    坂元 親男君       高橋清一郎君    登坂重次郎君       中島源太郎君    中村 寅太君       原田  憲君    福田 繁芳君       坊  秀男君    松本 十郎君       森  美秀君    吉田 重延君       吉田  実君    阿部 助哉君       佐藤 観樹君    平林  剛君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       古川 雅司君    春日 一幸君       小林 政子君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主税局長 細見  卓君         文化庁次長   安達 健二君  委員外出席者         国税庁次長   下條進一郎君         国税庁税部長 江口 健司君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 三月二日  個人企業税制改正に関する請願門司亮君紹  介)(第一三三五号)  同(天野公義紹介)(第一三五七号)  同外一件(小峯柳多君紹介)(第一三五八号)  同(櫻内義雄紹介)(第一三五九号)  同(笹山茂太郎紹介)(第一三六〇号)  同(田中榮一紹介)(第一三六一号)  同(地崎宇三郎紹介)(第一三六二号)  同(中尾栄一紹介)(第一三六三号)  同(中村庸一郎紹介)(第一三六四号)  同(長谷川四郎紹介)(第一三六五号)  同(浜田幸一紹介)(第一三六六号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一三六七号)  同(水野清紹介)(第一三六八号)  同(武藤嘉文紹介)(第一三六九号)  同(伊能繁次郎紹介)(第一四六一号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一四六二号)  同外一件(金丸信紹介)(第一四六三号)  同外五件(鴨田宗一紹介)(第一四六四号)  同(木村武千代紹介)(第一四六五号)  同(佐伯宗義紹介)(第一四六六号)  同外一件(塩谷一夫紹介)(第一四六七号)  同(菅波茂紹介)(第一四六八号)  同(田中榮一紹介)(第一四六九号)  同(丹羽久章紹介)(第一四七〇号)  同外一件(濱野清吾紹介)(第一四七一号)  同(松澤雄藏紹介)(第一四七二号)  同(粟山ひで紹介)(第一四七三号)  同外一件(山口敏夫紹介)(第一四七四号)  同(安倍晋太郎紹介)(第一五〇三号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第一五〇四号)  同(大竹太郎紹介)(第一五〇五号)  同(河村勝紹介)(第一五〇六号)  同(菊池義郎紹介)(第一五〇七号)  同(坂村吉正紹介)(第一五〇八号)  同外一件(始関伊平紹介)(第一五〇九号)  同(田川誠一紹介)(第一五一〇号)  同(堂森芳夫紹介)(第一五一一号)  同(中山利生紹介)(第一五一二号)  同(西岡武夫紹介)(第一五一三号)  同(古井喜實紹介)(第一五一四号)  同外一件(山村新治郎君紹介)(第一五一五号)  同(豊永光紹介)(第一五一六号)  所得税法の一部(税務職員質問検査権改正  に関する請願青柳盛雄紹介)(第一三三六  号)  同(青柳盛雄紹介)(第一三五六号)  元朝鮮、台湾両銀行の在外預金返済に関する請  願(江田三郎紹介)(第一四五七号)  同(安井吉典紹介)(第一四五八号)  同(山中吾郎紹介)(第一四五九号)  日本専売公社防府製塩試験場存続に関する請願  (大原亨紹介)(第一四六〇号)  映画等入場税減免に関する請願藤枝泉介君  紹介)(第一五〇二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七号)  入場税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八号)      ————◇—————
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。竹本孫一君。
  3. 竹本孫一

    竹本委員 まず、相続税について若干お伺いをいたしたいと思います。  最初に、相続税遺産にかかる基礎控除及び贈与税基礎控除引き上げたらどうかという問題についてであります。相続税遺産にかかる基礎控除は四十一年以来、贈与税基礎控除のほうは三十九年以来引き上げが行なわれていないように思いますが、最近の物価上昇等考えて、これを引き上げ考えはないか、またないとすれば、ないという理由はどういうわけであるか、お伺いしたいと思います。
  4. 細見卓

    細見政府委員 相続税基礎控除引き上げるということは、端的に申せば、相続税がかかっておる人たちは一体、死亡者に比べて何人ぐらいあるか、あるいはまた贈与税の場合でありますと、それが社会通念から見てどの程度金額であるかというようなことが判断の基準になろうかと思います。その場合、相続税納税人員は、日本で大体七十万人ぐらいの方がなくなられるわけでありますが、二万件ばかりの相続になりまして、一万五、六千件の相続件数でありまして、二%から三%ぐらいが相続税課税対象になるというのが現状でございます。これは外国の例でございますと、大体七%ないし六%ぐらいのところになっておるわけでありまして、もちろん日本外国とは資産の蓄積の状況も違いますし、家庭のあり方も違いますので、一がいな比較はできないと思いますが、二%前後ということは、外国に比べましてもかなり少ないと考えていいのじゃなかろうかと思います。そういうことでありますので、ことし配偶者控除につきまして、二百万円を四百万円に引き上げますと、大体相続の場合は五人の相続人が多いのでございますが、その例で申しますと、千万円であった免税点が千二百万円に引き上がるわけで、ほおっておけば三%近くなったものが、おそらくまた二%台の低い割合課税になるというようなことではなかろうかと思います。また、一方、四十万円の贈与税基礎控除は、これはいわば少額不追及という考え方でございますので、たとえば一時所得計算にあたりましても、従来までは三十万円までを少額ということで控除しておった。それを今度贈与税の四十万円に合わせて、四十万円までは一時的な所得についても控除しようじゃないかというぐらいになったようなことで、税法全体の中で見ましても、いますぐ四十万円を急に引き上げなければならないということは、所得税負担その他とのバランスから見ましても、もう少し検討の時間があっていいんじゃないか、かように思っております。ただしかし相続税につきましては、最近地価等が非常に騰貴いたしておりますので、これらのことを考えれば、ある程度引き上げは今後は考えていかなければならない、かように思います。
  5. 竹本孫一

    竹本委員 相続は、七十万人死にまして相続税対象になるものが三%であるという。だからこの問題については、社会的な公平の立場からもあまり力を入れる必要はないのではないかというようなお考えのようだけれども、しかし、すでに事の始まりにおいて相続税基礎控除というものを認めておるのだから、認めた趣旨からいえば——いまもお話がありましたように、人数が少ないのだから認めないのだといえばそれも一つ考え方です。しかし、人数が少ないなりに一応基礎控除はこれだけだと認めた以上は、その基礎控除あり方というものは、物価動き地価動き等に対応しなければ首尾一貫しないではないかという意味で、やはりこれは私はもう少し積極的に再検討するのがたてまえではないか、当然ではないかと思います。もう一度お伺いいたします。
  6. 細見卓

    細見政府委員 御指摘の趣旨はよくわかりますので、私どももこれを引き上げないというようなことを申し上げておるわけではなくて、四十一年にかなり大幅に引き上げをいたしておるわけであります。やはり数年に一度くらいの割合でこれを見直していかなければならない、かように考えておりますので、その意味で御意見のとおり考えておるわけでございます。
  7. 竹本孫一

    竹本委員 重ねて伺いますけれども相続税の場合には三十九年、四十一年と見直しているのですね。一方はもう三十三年、三十九年と見直している。そうすると、三十九年から四十六年、あるいは四十一年から四十六年ということになりますと、もうそれは見直すべき時期にきておるのではないかという見方も成り立つと思うのですが、いかがですか。
  8. 細見卓

    細見政府委員 御意見はごもっともでございますので、皆さんの御意見として見直すべき段階に来ておるということであれば、これはそういうものとして見直していかなければならないものと思います。そういう意味税制調査会などにもはかりまして、国民感情としてもう引き上げを行なうべき時期だということであれば、そういう方向で検討いたしてまいりたいと思っております。
  9. 竹本孫一

    竹本委員 次に、居住用財産相続の場合に、特例を認めるべきではないかという問題でございますけれども居住用財産相続して、そのまま引き続いて相続人がその家に住む、こういうときには、ある程度特別控除を行なって負担の軽減をはかるべきではないかと思いますけれども、現行はどういうふうになっておるか、またこれからはどういうお考えであるか、伺いたいと思います。
  10. 細見卓

    細見政府委員 先ほど申し上げましたように、相続税の場合の相続人の数は五人というのが、日本の標準的な相続の実例でありますが、その場合でありますと、従来であれば千万円、今回提案いたしておりますものがそのとおり改正されたといたしますれば、千二百万円に引き上がるわけでございまして、大都会の持ち家ということになればこれを上回るものもあるいはかなりあろうかと思いますが、普通の中都市程度のものであり、あるいは大都会でありましてもかなり小じんまりしたものであれば、きのうもお話が出ましたように、相続税評価での千二百万円でございますので、大体時価の五、六掛けくらいなところに評価されておる実情からすれば、相当の住まいというものは現状では大体非課税になっている。それらの評価がかなり大幅に引き上げられていきます過程においては、その免税点の問題もあわせて考えなければならぬ、かように考えております。
  11. 竹本孫一

    竹本委員 千二百万円で大体カバーできるだろうというお考えですけれども、必ずしもそれだけでないという問題については、やはりこれは前向きに検討されることを要望しておきたいと思います。  次にもう一つ障害者控除の問題でございますが、未成年者控除と同じように障害者控除というものを考えてみたらどうか。その新設をやる点についてはどういうお考えであるかをお伺いいたします。
  12. 細見卓

    細見政府委員 今回の改正に御提案いたしておりますように、心身障害者につきましては、心身障害者扶養共済制度というのがございまして、地方団体で一括してこの擁護をお願いしておるわけでありますが、それらのものにつきまして相続財産に課さないというような形で、そういう不幸な子供さんを持たれた親のあたたかい気持ちを、課税するというようなことにしないような措置をしておるわけでございます。
  13. 竹本孫一

    竹本委員 次に妻の座の問題を一つ伺いたいと思うのですけれども配偶者控除というものがいろいろ考えられて、妻の座の確立のために大蔵省それなりに御努力をいただいておるということは評価をいたしたいと思いますが、よくいわれる二分二乗方式の導入ということ等につきまして、私はこれをやるには相当の前提条件が要ると思いますけれども、この際あらためて主税局長のお考えを承っておきたいと思います。二分二乗方式を実現し、実施するためには、いかなる前提条件が必要であるかということであります。
  14. 細見卓

    細見政府委員 所得税のほうでの二分二乗方式といたしましては、これは課税単位の問題として、関係の司法の領域との調整というのはそれほど要らないので、むしろ税負担あり方をどう考えるかということで解決がつくのではないかと思うのです。しかし、相続税分野にいわば妻の財産は半分であるというふうなことを持ち込んでくるということになりますと、これはやはり民法につきましてもそれ相応の手当てを願わないと、相続税法だけの上でやっていくというのはむずかしいのではなかろうか。所得税のほうは、先ほど申しましたように税法独自の負担あり方ということで解決できようかと思っております。
  15. 竹本孫一

    竹本委員 次に、よくいわれるし、あるいは本委員会で問題になったかもしれませんが、中小企業農業の場合、特にむすこさんの場合なんかですね。一緒に財産形成をやっておるという場合の相続という問題について、妻の場合と同じような矛盾があると思うのです。今後はどういうふうにその特殊事情を考慮していくつもりであるか、その辺を伺います。
  16. 細見卓

    細見政府委員 農業につきましては、経営主体が老年になる段階において事実上その後継者経営主体が移っておるという実態に適応するように、また相続税の税の執行も容易で、つまり田畑でありますので、あるいは田畑が主でありますので、動かないというようなことで、生前贈与制度を認めて、ある段階からはいわば後継者が稼得した所得あるいはそれが財産になるものは後継者の名義で取得できるようになり、いわば先代のものはそれなりに土地あるいは田畑として固定化したものとして、いわば相続税段階まで、贈与されたものの贈与税を免除しておるわけであります。  ところが中小企業の問題になりますと、これは御承知のようにいずれも償却資産でございまして、天変地異などによってその家屋がいろいろな状態になるとかあるいは資産がいろいろ、たとえば非常に早い減耗、陳腐化現象によってすっかり置きかえなければならないといういろいろなむずかしい、つまり、贈与時の状態をもって相続時の状態と置きかえるということがなかなかむずかしいということで、中小企業についてはそういうむずかしい問題があって、執行上なかなか割り切れておらないというのが現状でございます。ただ、お話のように、中小企業におきましても、日本において、家産あるいは家業というような観念がいまなお強いということであれば、むしろ、民法が申しておりますような均分相続という考え方がこれらの分野には適さないというような面もあるわけでありまして、これらのことをどう考えるか、民法の問題、あるいは、それはすなわちいわば一般国民感情の問題でございますので、その辺をどう割り切るかというのは、税法のわれわれのほうよりも、もっと基本的に、わが国相続制度あり方ということでお考え願いたいということを、きのうもるる申し上げておったわけでございます。
  17. 竹本孫一

    竹本委員 その農業の場合の生前贈与の問題ですね、実際にはそれはどのくらい利用されておるか。
  18. 細見卓

    細見政府委員 後ほど、調べてお答えいたしたいと思います。
  19. 竹本孫一

    竹本委員 時間を節約して、次へ参ります。  入場税の問題ですけれども、今度入場税にいろいろ手を入れられた、改正をされたということはそれなりの御努力だと思いますけれども、結果的に見れば、たとえば百円の場合、入場税の一〇%がかからなくなったといってみても、たかだか十円の問題ではないかという意味からいうと、努力努力として認めてみても、その影響なり効果なりという問題について、非常に限界があり過ぎるではないかという問題はいかがですか。
  20. 細見卓

    細見政府委員 そのことは、一〇%でさほど税負担も重くなかったという裏側の面もあるわけでございまして、その辺はひとつ入場税制度というのが、わが国消費税体系の中で、サービス課税として、税体系として非常に重要な意味を占めておる。その中で、やはり三十円という免税点は、幾ら間接税には大幅な免税点というものを置くことが、間接税そのものの廃止につながるような問題であり、あるいはまた、趣味、娯楽にわたるものについては原則として間接税では免税点を置いておらないというようなこと、それらのことをも考えながら、しかしなお、三十円というのは、いかにも少額の税を徴収願うので煩瑣に過ぎるというようなことを考えて、まあ百円にいたして、一般興行館というのはそれなり入場税の徴収になれておられるのでありますが、臨時に開催した臨時催しものという場合には非常に御迷惑をかけるわけであるので、そういうもののかなりのものが落ちるということを考え改正をしたわれわれの意図をひとつおくみ取りいただきたいと思います。
  21. 竹本孫一

    竹本委員 いま主税局長の御答弁の中にありましたけれども間接税免税点を置くということについては、主税局長とちょっと意見が違うのだけれども間接税には免税点原則としてあまり置きたくないと特にいわれる根拠をもう一度言っていただきたい。
  22. 細見卓

    細見政府委員 私の言い方が不正確であったかと思いますが、免税点というものは、間接税の中に、執行上のことあるいは納税者の側に与える不便というようなことを考え免税点制度が導入されておるわけでありますが、私が申し上げましたのは、あまり高額な免税点を設けて、事実上大半のものは課税にならないというようなことでは、間接税そのものの存在につながる問題だ、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  23. 竹本孫一

    竹本委員 いまの点は重要な問題ですけれども、時間の関係がありますので、またあらためて議論いたしますが、いまの局長の話を聞いておると、どうしても大幅にかけなければ承知できないというような前提に立っておると思うのですけれども、まあこの点はあらためて論議をいたしたいと思います。  そこで、入場税の問題に関連しまして、舞台芸術等の問題について現在どういう配慮が行なわれておるかという問題をもう一度ひとつ……。
  24. 細見卓

    細見政府委員 舞台芸術の中でも、特に古典の継承という上からどうしても必要なものであり、そうしたものが商業劇場において実施されるということが、採算的あるいは観客の動員力からして不可能だ、しかし、大事な古典芸能として保存していかなければならないというようなものを取り上げまして、幸い国立劇場がそういうもののための施設として設けられておる、その国立劇場については非課税にする、こういうふうにしておるわけでございます。
  25. 竹本孫一

    竹本委員 国立劇場の問題はそれでいいとして、芸術性の高い音楽その他については、これからは人間疎外がやかましい管理社会の時代ですから、特にそれをむしろ広げていくべきではないかという点で、今後さらに積極的に努力をされるお考えはあるかないかという点をひとつ……。
  26. 細見卓

    細見政府委員 税のことでございますから、芸術云々を私どもがいろいろ判断するということはなじまないことであろうと思います。そういう意味で、芸術政策としてそういういろいろな措置がとられて、私どものほうがその措置の上に乗っかっていければ——税務当局が何が芸術的であるとかないとかいうことを判断しなくて済むような制度が出てくれば、その段階入場税あり方もあわせ検討願うことがいいのじゃないか、かように考えております。
  27. 竹本孫一

    竹本委員 関連してですけれども競馬競輪の問題ですけれども、これは各自治体等ではいろいろ問題を起こしておる、一方では貴重な自治財源になっておるということですけれども、現在における競馬競輪のウエートは、地方自治財政につてはどの程度のものになっておるか。
  28. 細見卓

    細見政府委員 はなはだ申しわけないのですが、ちょっと資料を調べる時間をいただきたいと思います。
  29. 竹本孫一

    竹本委員 先ほどの問題とあわせて、あとでひとつ教えていただきたい。  次に、この入場税の一〇%ということで先ほども十円だといれ詰も出たわけですけれども、この税率そのものについて再検討するお考えがあるのかないのか。いま大衆娯楽もみんな百円ではとても話になりませんから、三百円なり五百円なりのものがある、それが普通であるといったような問題と関連して、免税点引き上げるのか、それはいろいろ議論がある、それでは税率のほうを検討する意思があるのかないのか、そういう点についてひとつ……。
  30. 細見卓

    細見政府委員 わが国消費税は、原則として小売りと申しますか、消費者が支払う金額に対して一〇%というようなことになっております。たとえて申し上げますと、消費サービスに対する課税としましては通行税でありますとか、あるいは娯楽施設利用税、これはもう三割の税まであるわけでありますが、そういうもの。それから物品税などについて申し上げますと、御承知のように、製造・卸売り段階で一五ないし二〇の税率小売り段階になりますと大体一〇というのが基本になっておる。そういう意味で今後間接税あり方というものとの関連もございますが、諸外国のたとえば付加価値税のようなものを見ましても十数%、あるいはフランスのように二〇%を上回るというようなものもございます。そういう意味で、一〇%という税率は比較的消費税としては計算も簡易であるし、外国と比べましてもまあ妥当な税率じゃないか、かように考えております。
  31. 竹本孫一

    竹本委員 最後に、興行場その他、それだけではありませんけれども税務職員質問審査権ですね。その問題、職員の人も一生懸命やっているのでしょうけれども、またこれに対して一般市民の側、業者の側からはそれぞれいろいろ議論が出ておる。そういうことの現状をどういうふうに把握しておられるか、その点……。
  32. 細見卓

    細見政府委員 税務職員質問検査権の行使につきましては、慎重の上にも慎重でなければならないということを国税庁長官はたびたび部下職員に言っておるわけでありますが、多数の職員の中には、ときに質問検査権行き過ぎにわたるような事例もあるやに聞いておりまして、そういうものがあるたびに、国税庁全体としては行き過ぎにならないように——ただ必要にして適格な調査はいたさなければなりませんが、あくまでも納税者の協力を求めていくという態度を基本にして執行に当たっていくべきだということを絶えず申し上げておるわけであります。  なお、先ほどお尋ねございました農地等贈与件数がわかりまして、四十四年に五千九百八十七人になっております。この割合は大体年々ふえてまいってきておるのであります。  それからいま四十二年の地方財政状況がわかったわけでありますが、地財計画六兆一千七百九億円に対してギャンブルの収益が八百六十九億円、一・四%ということになっております。
  33. 竹本孫一

    竹本委員 いまの数字はしかし地方自治財政全体に対するパーセンテージじゃないですか。
  34. 細見卓

    細見政府委員 そうです。
  35. 竹本孫一

    竹本委員 その市なら市とかあるいは府県とかいうものに対するものを見ないとちょっとわからぬのじゃないかと思うのですが……。
  36. 細見卓

    細見政府委員 いまの点、各市の財政まで持ち合わせておりませんので、一、二のところにつきまして後刻調査して御報告させていただきたいと思います。
  37. 竹本孫一

    竹本委員 それからいまの質問審査権に関連して、税務職員に対する研修その他の努力というものはどうであるか。
  38. 細見卓

    細見政府委員 税務職員は、御承知のように普通科というところで、高等学校を出て公務員試験に採用された人たちを一年間税法、特に執務にあたっての心がまえということを中心にして教育いたしておりますし、それ以後におきましても、係ごとに、事務ごとに大体国税局単位での講習会、それからある段階まできまして中堅職員に近くなってまいりますと全国的な形で税務大学において講習を行なう、それから全部ではございませんが、相当部分の優秀な人たちは本科において再教育をするというような形で、それぞれの教育過程におきまして、何と申しましても税務職員基本的な職務というのはこの質問検査権と不可分のものでございますから、この行使のあり方については十分教育をしておるわけでございます。
  39. 竹本孫一

    竹本委員 国税庁のほうで何かつけ加えてお話しありますか。
  40. 江口健司

    ○江口説明員 私からお答え申し上げるのはどうかと思いますが、私も総務のほうをやっておりましたのでいささか御説明できるかと思いますが、いま主税局長からいわゆるルーチンな研修の方式を御説明申し上げたわけでございますが、そのほかに質問検査権につきましては、直接税、間接税あるいは滞納整理関係の徴収関係につきまして、それぞれ一週間から長いものにつきまして約三週間専門研修というものを年間たびたび開いて、その段階でさらに質問検査権あり方について趣旨を徹底するように十分注意をしておるつもりでございます。なお、最近の局長会議部長会議あるいはそれぞれの主務担当課長会議といったような場合にも、しばしば質問検査権の問題につきまして庁側の考え方あるいは第一線についていろいろ問題があった事例等を参考例にいたしまして、行き過ぎのないようにわれわれとしてはあらゆる機会を通じて十分指導をしておるつもりでございます。
  41. 竹本孫一

    竹本委員 これは要望を最後にいたしますけれども、いま行き過ぎのないようにというお話もありましたけれども行き過ぎてはもちろんいかぬと思うのです。しかし一方また、会社なんかでは税や経済の専門家を擁してそれに対抗する力をうんとつけているわけです。それに説き伏せられるようなことでもはなはだ遺憾だと思いますので、緩急よろしきを得て御努力を願いたい。要望いたしまして、以上で終わります。
  42. 毛利松平

    毛利委員長 関連質問がありますから、これを許します。広瀬君。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 前回も入場税法で質問をしたわけなんですが、いわゆるなまものということですね、演劇、舞踊、音楽などの場合、消費税体系で大体税率一〇%というのは一般的だということなんですが、物の消費でもこの委員会でもかつて十年近く前にだいぶ問題にした。化粧品の一部などについて、これはもはやぜいたく品である、奢侈品であるというようなことではない、むしろ健康のためにというような面も非常に強いではないかというようなことで、それらを五%という税率も設けたわけですね。それとは理屈で同じだというわけではないけれども、リプリントができて何ぼでも全国至るところの上映館で同じものを上映できるというようなものと、全く一回限り、しかも役者も演出家もほんとうに彫心鏤骨の、芸術的な良心に基づいてそういうものを出す。しかしそれはフィルムにおさめてリプリントするというようなものではない、一回限りなんですね。そういうものに対してその持つ芸術性というようなものに着目をし、またそういうものが国民の芸術的良心というか真善美に対する欲求にこたえるという意味で、一般論としてやはり大衆に対する非常にいい影響を持っていると見て大体差しつかえないだろうと思うのです。芸術というのは本来そういうものなんだということであるとするならば、そういうものに対して——なかなか事実認定というものはむずかしい点は確かにあるけれども、そういうなまもの、しかも一回限りだという、しかも国民の魂に触れるものだという性格があるのですから、こういうものに対して特別な軽減した税率を適用していこうというようなことは、これからの文化国家への指向という中では、それをとったって別に大きく消費税税率体系を乱しておかしくなるというものでもないだろう。そういうところに国家みずからも援助をしていくという姿勢を示すということは、国民大衆に受け入れられるきわめて常識にかなった道でもあろう、こういうように考えるわけですね。ですからそういう点だけでも、分離する、区分けをする作業というのは現実の問題としてはなかなかむずかしいかもしれぬけれども、これはまた時勢の動きに連れて役所も国民大衆の反響を見ながらある程度修正するということはあってもいいけれども、やはり常識的には分け得る限界というものは私はあると思うので、これについてどういうように前向きに検討される気持ちがあるか、そういう方向というものをひとつとりあえずここで、入場税改正法案が何年かぶりで出たということなんですから、そういうことについてやはり何らかなければ、単に三十円から百円に免税点引き上げたということではあまりにもお粗末であって、まさに大蔵大臣もしばしば言明したからそれをそういう形で実現した、大蔵大臣の言明がこういう百円ということになったのかということになると、大臣の言明というのもまことにお粗末過ぎるという批判もこの問題に関する限りきわめて一般化しているわけです。だから、そこら辺のところも踏まえてもう少しこの点考える余地はないのかということについて、これは主税局長と次官と両方からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  44. 細見卓

    細見政府委員 私もあまりこの分野詳しくはございませんが、たとえば実際に興行されておる場合を見ましても、映画となまものとが一緒に出ておる。たとえば私どもが一番知っているのでは日劇などではやっておるわけでございます。その場合に舞踊は違うというところまでいくのかどうかわかりませんが、そういうような事例が起こる。それから同じなまものと申しましても、おっしゃるように演劇、しかもかなり芸術性を持って劇団を組織しておられる人たちもございますが、それにつながるものとして軽演劇があるわけです。演劇はいいけれども軽演劇はコミックに過ぎるからだめだということにはなかなかいかないだろうと思いますし、一方大衆的なものとしては講談あるいは浪曲といったようなものもなまものなわけです。そういうようなものを、おまえは芸術的だ、おまえは芸術的でないということが分けられないというので、結局、前回のときもそういう御議論はあったのですが、芸術性の認定というのはきめられない。だから芸術的なものと非芸術的なものとは区別がつかない。なまものを優遇しようかといいますと、いま申し上げましたようにいろいろ混淆があって、最後には、適当なことばではないですけれども、ストリップのようなものもなまものになってしまうということで、ストリップはだめだ、どの辺から芸術性かということになって、結局無際限な議論に落ち込んでしまう、そういうことをそもそも税務当局に区別さすことが無理なんだという話で現在の一〇%のものになっておるわけであります。むしろなまもので健全なものというような意味で、しろうとのやるスポーツでかりに整理券のようなものを出しておっても、六大学のリーグ戦とかああいうものははずしていく。何か執行できる基準、しかも別の形で、税務当局じゃない別の人たちが何らか基準をきめていただいて、それでそれなり評価が社会的に確定すれば、おっしゃるような議論もできようかと思いますが、広瀬先生は最も芸術的ななまものをお考えになっておるでしょうし、映画界の人は最も芸術的な映画を考えて、軽演劇とおれのつくったこの映画、観客動員力はないけれども非常に良心的だ、これをどう比べるんだと言われれば、これはお手あげせざるを得ないというのが実情で、現在一〇%になっておるわけでございます。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あとで次官にはまとめて答弁してもらおうと思うのですが、なかなかむずかしいということは私もわかるのです。そういう問題について、なるほど大蔵省だけでというわけにはなかなかいかぬだろうと思うのです。日本でも文化庁というのが何年か前に設置されたわけですけれども、そういう専門に文化の問題を扱っているところなどとも十分相談をするというようなことによって、たとえばストリップというような風俗問題と接点になるようなものなどというものは問題があろうと思いますけれども、やはりどこかで常識的な線が何とか引けるのではないか。ですから純芸術だどうだとかそれ以外という分け方はなかなかむずかしいけれども、やはり見せものの中でなまものというものについては、これはやはり大きいものは付随してこれも出てきますということはあるにしても、やはり中心的な演劇というようなものなどが一番恩恵に浴することになるはずでありますから、その辺のところは、特別なものは除いていくというようなことは文化庁あたりの意見も十分聞くというようなことの中から、やはり何らか一歩踏み出した芸術に対するあるいはまたそれに近いもの、とにかく国民の気持ちをやわらげていくような、いこいになるような、しかも一回限りのものというようなものについては何らかやはり軽減税率を設けるということも必要ではないか、こういうように思うのです。  最後に中川次官の答弁をいただいて終わりたいと思います。
  46. 中川一郎

    ○中川政府委員 広瀬委員の御指摘、昨日来もあれはダンスパーティーですか、一回限りの常識的なものに課税するというのはおかしいという御意見もございました。ただいまの常識的な芸術的ななまものについてという御意見全く同感でありますけれども、いま局長が言いますように、常識的とは何だという線が社会的に引かれるというところがあるとやりやすいわけですが、その線の引き方が、国民大衆がそれならしかたがない、どの階層からも納得の得られる、たとえばいまやっております、文化財保護法により助成の措置を講ぜられた文化財だけを公開するとかあるいは国立劇場でやる芸術、これは国民的にすっきり線が引かれるということでそういう措置をしておる。またもう一つは学生野球のようなアマスポーツ、これも納得を得られるということでございますから、そういうことをやらないということではございませんで、納得が得られるものがありましたならばやりたい。やってきた例もあることでありますし、今後も、広瀬委員から御指摘もありましたので、そういった点について常識的にこれならばという線が得られることについてくふうをして御趣旨にこたえるように努力をしてまいりたいと思います。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 終わります。
  48. 毛利松平

    毛利委員長 小林君。
  49. 小林政子

    ○小林(政)委員 入場税の問題について質問をしたいと思います。  入場税改正法案、この提案理由の説明の中でもって、今回の改正は「最近における入場税負担現状に顧み、」云々ということが述べられているわけでございますけれども、「入場税負担現状に顧み、」ということはどういうことなのか、この点についてまず具体的にお聞きをいたしたいと思います。
  50. 細見卓

    細見政府委員 三十円から五十円、百円までの階層の入場料に対してまで入場税を払っていただいておるとか、あるいは学生の引率の場合にもそれを小中学生に限っておって高等学校の生徒であればだめだ、しかも小中学生の引率によるものにつきましても五十円以下くらいの安いものでなければだめだというようなことで、これが父兄の負担にもなっておろう。そういうようなことを考えたという意味でございます。
  51. 小林政子

    ○小林(政)委員 そのことが「入場税負担現状に顧み、」、この入場税負担現状をどう具体的に実情に合わせて分析をし、あるいはまた考え方の基礎に置いたのか、その結果いまのような御説明が出てくるのか、その点をまず私はお伺いをしたいと思うわけです。
  52. 細見卓

    細見政府委員 わが国消費税は大体消費者の支払われる金額の一〇%程度を標準的な負担あり方ということで課税をいたしてまいっておるわけでありまして、そういう意味におきまして入場税も、入場税のいわばきょうだい分とでも申します地方税に残っております娯楽施設利用税というようなものとのバランスからいたせば、むしろ向こうのほうが三〇%というような税率もあるわけでありまして、それに比べれば間接税全体のあり方としてはそれなりにおさまっておると思うわけでありますが、いま申し上げましたように、その間接税基本的なあり方としてはそれなりにおさまっておるとしましても、現在の価格からいたしまして三十円を免税点にしておるというのはいかにも低いではないかというようなこと、あるいは学生生徒の引率によるこうしたものの観覧につきまして、視聴覚教育の重視されておる現状からしまして、それに金額の制限を置くとか、あるいは学生も小中学生に限るというようなことでなくて広くそういう人たちに対して視聴覚教育を生かしていただく、その場合には入場税負担というようなことは求めないほうが適当だ、そういうことを全体として「入場税負担現状」と呼んだわけでございます。
  53. 小林政子

    ○小林(政)委員 いろいろと御説明になっているわけですけれども、国民を納得させるような、なるほど、だからこうしたのかという点についてはきわめて説得力というか、私も伺っていてもどうもはっきりわからない。ただ理屈に理屈をつけているような印象しか感じられないわけでございます。この問題について三十円から百円に免税点引き上げたんだということでございますけれども、いまの社会的、経済的状態から考えても、また理論的に、この問題三十円を百円にしたという、国民がほんとうに納得する根拠、こういったものを明らかにしてもらいたいと思いますし、それと同時に、この問題が税制調査会にかけられましたときに、この問題をめぐっておもに論議をされました中心問題、中心点といいますか、あるいはおもな意見はどんなものがあったのか、この点について御説明を願いたいと思います。
  54. 細見卓

    細見政府委員 入場税につきまして芸術性のあるものとないものとの区別がつかないか、それから先ほど広瀬委員から御指摘がございましたなまもの、つまり一回限りのものと複製して何回も行なえるようなものとの間に何か区別はつかないかということが、皆さんが一番関心を持って御議論願ったところであります。それからもう一つは、免税点引き上げた結果、娯楽施設じゃなくて、いわゆるギャンブル場への入場券が御承知のようにわりあい低額なものが多い、それがそっくり非課税になるというのはいかにも国民感情に反するではないか、それらの点が一番主になった議論でございまして、なまものあるいは純芸術というようなものを何か区別する方法はないかということでかなり突っ込んだいろいろな御議論を願ったわけでありますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、そういう、検閲ということじゃございませんが、およそ芸術的なものあるいは人が人の作品というものを評価するということはなかなか言うべくして困難であるというのが結果になりまして、やはりある程度の一律課税ということでいかざるを得ないなという点、それから、それじゃこういうものを廃止したらどうだというような議論につきましては、娯楽施設利用税あるいはそのほかの一般消費税とのバランスでやはり存続すべきものだというようなことで、結果として出てまいりましたものは、あまり見ばえはいたしませんが、三十円というのはいかにも低過ぎる、それを少なくとも百円程度にして、ただその場合にギャンブル場については百円にすることによって大半が落ちてしまう、それは除くべきだ、こういう結論になったわけでございます。
  55. 小林政子

    ○小林(政)委員 入場税問題については過去においても何回かの改正が行なわれてまいっておりますし、またそのつど速記録等を私よく熟読をいたしてみますと、大蔵委員会においても幾多の論議が行なわれているわけでございます。その趣旨というようなものを今回の改正では主税局は十分生かして改正されたものだというふうに一体考えているのかどうか。  また、この入場税廃止の請願等についても、私の調査いたしましたところによれば、かつての大蔵委員会においては一九六六年と六七年の二回にわたってその問題等についても採択がされております。こういう点から国会の議決というものに今回の改正案は十分こたえたものだというふうに考えているのかどうか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  56. 細見卓

    細見政府委員 国会の請願の件も承知いたしておりますし、それから大蔵委員会、衆議院でももちろんいろいろな議論がございましたし、参議院でもいろいろ議論がございました。それらを税制調査会においても十分御披露いたし、私どもも私どもなりに検討いたしたのでありますが、その結果として出てまいりましたものはこういうもので、それが要望されておられる方にどういうふうに受け取られるかは別といたしまして、それらの要望を全部考慮に入れて、しかしこういう結論が出た、こういうわけでございます。
  57. 小林政子

    ○小林(政)委員 ただいまのお話ですと、請願も尊重しあるいはまた国会の議決というものも十分尊重した上でこのような今回の改正になったんだということでございますけれども、私は今回の改正の内容がこれにこたえているというふうにはどう考えても考えられないわけでございます。  問題は後ほどに御質問するといたしまして、幾つかの問題点について先にお聞きをしておきたいと考えます。  文化庁にお伺いをいたしたいと思いますけれども、文化庁は芸術祭の充実とかあるいはまた地方芸術文化活動その助成とか補助、芸術文化関係の団体への助成などの施策を実施しておりますけれども、このことはどのような目的をもって行なっておられるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  58. 安達健二

    ○安達政府委員 芸術文化の振興という面で二つの面がございます。一つは芸術家によるところの芸術活動を創作的な活動を盛んにするという面、もう一つはその芸術文化の享受の機会を多くする、二つの面があるわけでございます。したがいまして芸術団体への助成というのは両面がございますけれども、どちらかといえばそういう創作的な活動を助成するということでございますし、地方の芸術文化活動の助成ということ、あるいは地方に移動芸術祭をするというようなことは、どちらかといえば芸術文化の享受の機会をできるだけ多くしてそして単に中央だけでなくて地方の方々すべてにひとしい機会を与える、こういう趣旨でございます。
  59. 小林政子

    ○小林(政)委員 芸術文化というのは人間形成の上で大きな役割りを果たすものだ、欠かすことができないというようなことがよくいわれておりますけれども、この点について人間生活あるいはまた人間形成の上でどのような関連を持つものかという点ついてお伺いをしたいと思います。
  60. 安達健二

    ○安達政府委員 たいへんむずかしい御質問でございますが、われわれは文化というものは、言うならば人々の心のゆとり、潤いというようなものであろうと思うのでございます。そういうゆとりとか潤いを高めるという面におきまして、芸術文化というものの果たす役割りが非常に大きいというように感じておるわけでございます。
  61. 小林政子

    ○小林(政)委員 文化の果たす役割りというものは非常に大切なものだということをお伺いしたわけでございますけれども、私、やはりわが国の文化の向上あるいはまた普及ということについては、まだまだきわめて不十分ではないだろうか、このように考えております。  これは一応四十四年度の入場税課税人員を基礎にいたしまして、機械的な計算になるわけでございますけれども、演劇の場合を一つ例にとってみますと、年間総入場人員は千八百一万八千人、そして十五歳以上ということに一応区切りをつけまして、十五歳以上の人口七千八百四万七千人ございますので、一人当たりでもってこれを見てみますと、入場回数はわずかに年間〇・二四回。それからまた、音楽の場合等を例にとって同じような考え方のもとに当てはめてみますと、音楽の場合は、年間総入場人員が二千五百九十六万九千人、一人当たりの入場回数は年間〇・三三回でございます。三年ないし四年に一回しか、音楽あるいはまた演劇というようなものに接していない、こういう結果になるわけでございますけれども、このことを見ましても、国民の文化芸術に接する機会というものがいかに少ないか、そして、わが国の文化水準というものが決して十分なものではなくて、まだまだ普及し高めていかなければならないということを、この数字は示しているというふうに私は考えますけれども、文化庁としては、今後の文化芸術に接する国民の機会、こういったようなものをもっとふやしていく必要があるのではないだろうかと私考えますが、この点について、現状を踏まえてお答えをいただきたいと思います。
  62. 安達健二

    ○安達政府委員 日本の芸術文化全体を考えてみますると、いま仰せの演劇とか音楽とか、そういうものになまに接するというような機会の問題をとらえてみますと、まことに先生の御指摘のとおりでございます。しかし、文化全体を考えてまいりますと、最近におけるテレビ、ラジオの普及によりますところの音楽の普及というような点は、相当多いのじゃないかということも考えられるわけでございます。それからまた、日本の文化の特色といたしましては、明治以降取り入れましたいわゆる西洋的な芸術のほかに、日本には邦楽、邦舞や歌舞伎、文楽、能というような伝統的な芸能がなお生きておるわけでございます。これはほかの国には見られない非常な特色があることでございます。それからまた、お茶とかお花とか、そういう生活芸術というような面におきましても、多数の人間がこれを享受しておるというようなことを考えますと、全体的に見ましてわが国の文化水準はそう悲観したものではないということも言われると思うのでございます。しかしながら、仰せのような点におきましては、実際なまの機会、複製芸術ではないなまの芸術に接する機会をさらに一そう多くすべきであるという御指摘については、まことに同感でございます。
  63. 小林政子

    ○小林(政)委員 主税局長にお伺いをいたしたいと思いますけれども、いま文化庁のほうからも、なまのものに接する機会、こういったようなものはますますこれから必要になっていくであろうし、また国民の暮らしにとって、ゆとりを持つとかあるいはまた潤いを持つということが人間形成の上できわめて大切なものなのだ、こういう点について、いろいろと文化、芸術というものの果たす役割りについてお話が出たわけでございますけれども、文化、芸術というものを娯楽的消費という見方から消費税課税するということについて、これは間違いではないか、私はこのように考えますけれども、この点についてお伺いをいたします。
  64. 細見卓

    細見政府委員 はなはだふえての分野の御質問でございますが、趣味、娯楽というものになりました場合に、何も娯楽ということばが非常にナンセンスなものを享受するという意味に必ずしも私ども考えておるわけでございませんで、先ほど文化庁のほうからは格調高く精神のいこいとおっしゃったそのことと、私どもが趣味、娯楽と申し上げておることとは同じことであろうと思っております。
  65. 小林政子

    ○小林(政)委員 それでは私伺いますけれども、同じ美術なりあるいは音楽なり、このような芸術の問題ですね、こういった問題について、美術鑑賞を課税対象からはずして、そして音楽の鑑賞ということについて課税するということは一体どういうことなのか。音楽と美術がどこが違うのか、その区別をした理由についてお伺いいたしたいと思います。
  66. 細見卓

    細見政府委員 理論的にはいろいろな考え方もございましょうが、課税にあたりましては、かなり沿革的なものも働いておるわけでありまして、美術品につきましては、所有者については別途書画骨とうについて物品税が課されておったわけでございますが、それが現在廃止にはなっております。そういう意味で沿革的なものはございますが、しかし当初におきましては、そうしたいわば日常最低限の生活を上回る何らかの消費について消費税課税するということで税が発足したときには区別はなかった、かように考えております。
  67. 小林政子

    ○小林(政)委員 しかし、現実にいま美術と音楽の場合には、音楽は課税対象になって、美術の鑑賞は課税になっていないのですね。私そこの点をもう少しはっきり、だったらなぜ区別をしているのか、その区別をした考え方というのはどういうことなのか、もう一度ひとつ説明していただきたいと思います。
  68. 細見卓

    細見政府委員 先ほど来申し上げておりましたように、沿革的には美術館の入場も課税になっておったわけでありますが、他のものとの関係あるいは美術館等が学生あるいは若い人たちに多く利用されておるというようないろいろな御要請があって、国会の御意思でこの展覧会の課税は廃止になっておるわけであります。沿革的には、できたときには同じものとしてこの入場税考えておった、こういうわけであります。
  69. 小林政子

    ○小林(政)委員 沿革的なお話はわかりますけれども、若い人の鑑賞が非常にふえてきている、じゃ音楽は若い人の鑑賞ではなくて、むしろ中年以上とかお年寄りの鑑賞ということなんですか。私は音楽も、最近若い人たちが非常に音楽に対する関心を強め、鑑賞度数も深まってきているというふうに考えますけれども、どうなんですか。
  70. 細見卓

    細見政府委員 私の説明が必ずしも適当でなかったのでありますが、趣味娯楽的と申しますか、そういう要素と合わせまして、入場料金が比較的低廉であるとかいろいろな要素、つまり社会的に支出される金額というようなものもある程度差があったというようなこと、いろいろなことが総合勘案されて、しかも、先ほど広瀬委員からの御指摘もありましたように、区別できるものについては文化政策的な考慮も考えたらどうかというような要請、それらを総合されて、展覧会場は非課税になっておる、つまり、単にものを見るということで、芸術的なかおりの高いものを見るというだけであって、ほかの入場料の支払われる場所におきますような、非常に趣味娯楽的な要素の強いものとの間に差別がつけられるというようなことで区別が行なわれる課税になった、こういうように考えております。
  71. 小林政子

    ○小林(政)委員 趣味娯楽性の問題とか、あるいはまた入場の料金の問題とかというお話でございますけれども、私はむしろ音楽会がなまものであり、その経費がかさむということは、これはそれだけの設備を必要とするものでもございますし、したがって経費がかさみ、それにある程度見合った料金というものを考えなければこれは開催できない、これは私は当然だと思うのです。だからといって料金が高いから美術とは差別するとか、区別をつけるのだとか、あるいはまた芸術性は同じだけれどもその料金がかさむ、こういったようなことだということになりますと、これはいままで御説明をされてきた考え方とはまた若干違って、むしろ奢侈的な消費だというような考え方からこれに対して課税対象になるのだ、こういうふうな考え方がそこには流れているのじゃないだろうか。そういうことになりますと、趣味だとか、娯楽だとか、そういったような御説明、あるいはまた奢侈的なものが入ってきているというような考え方、こういうことになってくると、何かいままでの説明というものは明らかに矛盾をする点が出てまいりますし、また、いままでの御説明を聞いておりましても、論理的に支離滅裂といいますか、一貫性がないといいますか、そういう印象を非常に強く受けるわけでございますけれども、こういうことは理屈はともかくどうあれ、何とかその入場税というものは残さなければならない、こういうような考え方からこのようなことが出てきているのじゃないだろうかというふうにすら私は考えられるわけです。国民がほんとうに納得するような明快な御答弁をひとつお願いいたしたいと思います。
  72. 細見卓

    細見政府委員 入場税は入場料金の支払いに示される消費者の担税力を課税標準にするわけでございまして、その意味におきまして芸術性云々というようなことは必ずしも直接その入場税分野には持ち込んでおらない、むしろそういうものを持ち込んで、かつて入場税あり方を文化政策的に純化しようとしましたがなかなかうまくいかなかった、執行の問題その他でうまくいかなかった。その結果、入場税についてはいわば催しものあるいは観劇その他一般の、つまり入場料金の支払いに関する一般課税という形に現在なっておるわけでありますが、その中にありまして展覧会とか博覧会というようなものについては、入場税が何と申しましても趣味娯楽的という要素、それがむしろ展覧会、博覧会ということになりますと社会教育政策、あるいは博覧会でありますと産業政策的な要請であって、むしろそのことが趣味、娯楽という要素をほとんど持っておらないというようなこと、展覧会と博覧会との区別はなかなかむずかしいというようなことから、現在はそれらのものが非課税になっておる、そういうわけでありまして、説明としては一貫しておるつもりでございます。
  73. 小林政子

    ○小林(政)委員 私、いまの御答弁を伺っておりましても、わが国入場税というものが、これは昭和十三年につくられたというふうにいわれておりますけれども、やはり臨時軍事費の財源調達という目的のもとに当時創設された、その後幾多改正を見まして、その趣旨等もいろいろと述べられておりますけれども、その文化を求め、豊かな趣味や教養など、国民生活に潤いを求めるということが、この戦前の創設という点から考えて、何かそれはぜいたくなことなのだ、いわゆる消費だというような見方というものが一貫してまだ根本的に流れているのじゃないだろうか。私はむしろ文化芸術というものは、ぜいたくだとか娯楽だとか消費だとかいうような見方ではなくて、趣味や教養あるいはまた国民生活上欠かせないものとして、人間形成に欠かせないかてとしてこの問題を見ていくということがきわめて重要だというふうに考えるのです。根本的に課税対象だというようなところから、趣味だ娯楽だ消費だというような考え方から出発するのか、それとも、人間形成に豊かな情操教育という立場からも、かおり高い文化というものを人間にとって欠かすことのできないものだというふうに見るのか、やはり根本的な考え方の問題であろうというふうに考えますが、今後とも考え方をお変えになる意思はございませんか、どうですか。その点について一点だけお伺いをいたしておきたいと思います。
  74. 細見卓

    細見政府委員 たびたび申し上げておりますように、入場税はサービスに対する課税といたしまして、地方税でありまする娯楽施設利用税、それから国税でありまする通行税等とつながっており、また物品税とも同じような性格のものでございます。むしろこれからの国民の支出というものが、サービス、しかも高度のサービスの享受というほうに向かっていき、しかもサービスを受けるということは、労賃が高くなっておる、あるいは労働力の少なくなっておる現状におきまして一番貴重な消費になるわけでありますから、サービス課税というものはそれなりに税制の中において育てていかなければならない、負担の公平を求める意味におきましても重要な税目であろうかと考えております。
  75. 小林政子

    ○小林(政)委員 三十七年の改正のときだと思いましたけれども、当時の水田大蔵大臣が入場税問題について述べられている個所がございます。私はそれをちょっと抜いてまいりました。「国民生活の水準を上げるということは、結局国民に文化生活を享受させるということとも通ずる問題でございますので、この入場税というようなものもやはり国民生活の推移と申しますか、実情によってだんだんに考え方を変えるべきもので、私はこの種の演劇その他入場税というものは、実際は税としては悪税で、これは将来撤廃すべきものだというふうに考えております。」このように当時大蔵大臣は述べているのです。現在の大蔵大臣はこのような当時の考え方とは違うのかどうなのか、また主税局はどう考えているのか、これは政務次官からお伺いをいたしたいと思います。
  76. 細見卓

    細見政府委員 水田当時の蔵相は、そのあとで付加価値税にかえていくということを言っておられるわけでありまして、したがいまして付加価値税につきましては、従来申し上げておりますように、そういう芸術性があるとかないとか、あるいはものの性質がぜいたくであるとかないとかいうことを議論するのはむずかしいから、こういう物価政策と連なるようなものについては付加価値税で置きかえていきたいということをお考えになっておるのだと思いますので、そういう意味におきまして税体系全体を見ますれば、いまの大蔵大臣も当時の水田大臣も変わっておらない、それぞれの税体系に対する考え方は若干変わっておりますが、基本的には同じであろうと思います。
  77. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はそれは詭弁というものだと思います。悪税だということをはっきり言っているのですね。このような入場税というものは、この種の演劇その他について課税することは悪税だ、これは将来撤廃すべきものだ。いま言われたように付加価値税に移すべきだなどというようなことは一言も言っておりませんよ。私はむしろ詭弁だと思うのです。悪税だというものはできるだけ廃止の方向へ持っていきたいものだ、こういう考え方を述べられたんだと思うのです。この考え方というものが現在は大きく変わってきているものなのかどうなのか、その点について次官からお伺いをいたしたいと思います。
  78. 中川一郎

    ○中川政府委員 当時の大蔵大臣水田さんがそういうようにおっしゃったと存じますが、その当時の情勢というのは、御承知のように消費税負担がかなり大きくて、直接税である所得税、法人税のウエートが少なかったという時代にそういうお気持ちを申し述べたものと存じますが、時代は変わってまいりまして、日本の経済が非常に大きくなる。そうすると直間比率、言ってみるならば直接税が大きくて間接税が少ない。そこで間接税の典型である付加価値税を採用すべきだという社会情勢の変化がございます。当時の水田さんもいま付加価値税をやるべきだという論者に変わっておることは御承知かと存じますが、そういうふうに社会、経済の進展、変化に伴って情勢が変わってきたということでございまして、できるならばこういった間接税についてはもっと重課すべきだというのがいまの税の全体的なあり方であるというところからいくならば、この入場税についても強化という方向が考えられるならばけっこうなんだが、そこまではいく必要もない、一割程度のものならばまあまあいいではないか。  そこで小林委員あるいは先ほど娯楽、趣味と違った芸術、これについては廃止してはどうかという御意見でございます。これはわれわれもそういうような気持ちはございますが、そこでその芸術、たとえばストリップ一つとりましても芸術であると論ずる人はこれは芸術だと言ってのける人がずいぶんいるわけです。われわれとしてはほんとうの芸術とは何だということの区分けがつかないために、やりたい気持ちはあってもえり分けができないところに根本原因があろうことは先ほど来しばしば申し上げたところであって、これがほんとうの芸術、だれが見ても、国民階層がはっきり芸術だといわれるようなものについては、たとえば国立劇場あるいは文化財保護の法律に基づき指定されたものの公開、あるいは先ほどお話がありました博覧会等のことについては国民の納得が得られるのじゃないかというところから、免税の措置を学生の入場等についてはやっております。それ以外のものについて広瀬委員からも御指摘ありましたが、えり分けしてみたくともえり分けがつかないところにむずかしさがありますので、水田大臣が悪税とまで言われたことについては若干問題があろうかと存じますが、かりに悪税だと指摘されましても、どれが悪税なのかどれが良税なのか、悪税部分を摘出することができない、国民の納得のいく区分けができないというところにむずかしさがあることを御理解いただきたいと存じます。
  79. 小林政子

    ○小林(政)委員 広く文化を普及するということが非常に重要であるという立場でわが国は一応文化国家を目ざしている、こういうことがはっきりと憲法でも保障されているわけです。こういう立場からいまいろいろと努力もされて、各民間の団体等においても一そう真剣な取り組み等が強められているわけですね。こういう状況からいっていまの政務次官の御答弁は、当時軍費の調達のために入場税が創設され、いま間接税を強化していくためにそういう問題を抜きにして課税対象として入場税考えている。このことは考え方の上では同じような、税をいかに取っていくか、かつては軍費の調達ということでこの税が創設され、いまは間接税というような方向を強めていくために文化、芸術、これらを普及しなければならない大事な要素を持っている問題等も課税対象にしていくんだ、これでは税という点で徴収をしていくということに焦点をしぼって考えていることであって、文化、芸術というものに対する理解というか、そういうものが全く考えられていないんではないだろうか。少なくとも娯楽だとか消費というようなものを、先ほどの文化庁の御答弁でも生活にゆとりを与え、心の中に豊かな情操をはぐくんでいくという上で欠かせない問題だということを言われているわけです。こういった問題を娯楽だとか消費だとかこういうような考え方でとらえること自体が問題だと思いますし、少なくとも文化というものについては風俗問題等を中心に据えて考えるべきじゃないというふうに思うのです。もっと高い、いわゆるよい芸術あるいは健全な文化、こういうものを基準に、どうこれを普及し発展させ、国民全体のものにしていくか、こういう立場から考えるべきであって、何か風俗的にいかがわしいそういうものがあるからできないんだとか云々というようなことは、本末転倒している政府の考え方じゃないだろうか。むしろ、文化というものは地域地域の中にも伝統的な文化がたくさんございます。そういう発祥したものを継承し、創造していく、こういったようなことまで含めて、非常に多面的なますますもっと力を入れていかなければならない大事な要素を持っているというふうに私は考えておりますけれども、こういう問題を全く抜きにして取り締まるというか、風俗的なものがあるという立場があるので入場税の問題も廃止できないんだということは、これは筋が通らないんじゃないか。むしろ自由に文化を発展させるところにこそ自然淘汰があり、よいものはますます発展し、そして悪いものは淘汰されていく、こういう現象が出てくることは当然でございまして、より選択の自由を国民に十分与えるということによって、よいものは伸び、おかしなものはなくなっていく、こういう立場に立って文化問題を考えるべきであり、単なる課税対象というようなことだけでこの問題を考えることは明らかに間違いであるというふうに私は考えます。私はこういう立場に立ってぜひとも今回入場税改正というこの機会に考え方を根本的にひとつ改めて、入場税の撤廃をすべきものだというふうに考えますし、すでに時代に適さない税法になってきている、このことを強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  80. 毛利松平

    毛利委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ————◇—————    午後二時七分開議
  81. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。奧田君。
  82. 奥田敬和

    ○奥田委員 久しぶりの質問でありますけれども入場税改正に関連いたしまして、私は消費課税あり方について二、三の問題点を提起してみたいと思います。  さて、過日大きな問題としてたいへん反撃を食いました二円五十銭の農地払い下げ問題は、この二十年間の社会、経済上の変遷というものを全くよそにして、化けもののような農地法にしがみついていた頑迷なと申しますか、農林官僚の非常識を国民の前に露呈したわけでございますけれども、しかし私は決してこのことはよそごとではないと思います。先日来論議されております入場税の問題一つを例にとりましても、国民の消費性向あるいは娯楽といった面が大きく変化しつつある今日におきまして、私はやはり時代性に合わないことにおいては、農地問題とは違いますけれども、同じ時代性に合わないという点においては、やはり誤りをおかしていくように思うわけでございます。つまり結論から言いますと、私は個別的な消費税そのものが限界点にきているんじゃなかろうかということを私なりに指摘してみたいわけであります。  そこで、ひとつ局長から少し数字を示していただきたいわけでございますが、大体四十六年度推定のわが国の国民総生産、そしてその中に占める個人消費、そういう消費額をちょっと示していただきたいと思います。
  83. 細見卓

    細見政府委員 四十六年の国民所得は六十六兆九千五百億円であります。そのうち個人消費支出に充てられておるものは四十二兆八千五百億円で、割合としますと六四%ということになっております。
  84. 奥田敬和

    ○奥田委員 四十二兆ちょっとの数字を示されたわけですけれども、もうちょっと詳しく、エンゲル係数がもしおわかりになったらエンゲル係数のパーセンテージ、そして私の聞きたいのは、生計支出の雑費支出の項目の中で特に教育、教養娯楽、交通通信、交際費とありますけれども、その中での教養娯楽が何%くらいに相当するか、もし最近の数字があったらお示しください。
  85. 細見卓

    細見政府委員 手元に実は二つの数字を持っておるわけでありますが、いま申し上げました国民所得と国民消費支出の割合は六四%になっております。エンゲル係数でありますが、これは全国全世帯をとりますと四十四年が三四・六%であり、雑費は三九・八%になっております。これを昭和三十八年と比較いたしてみますと、エンゲル係数は三八・七であり、雑費は三四・〇ということにその構成費がなっておるわけでありましで、これから非常に顕著なことは、三八・七%のエンゲル係数、つまり衣食住等の最低のと申しますか、生活費に充てられたものが三八・七%から三四・六%の構成に落ちてきておる。雑費のほうはそれに比べまして三四%が三九・八%にふえてきておる。その中でも顕著に大きなものは教育娯楽費あるいは交際費あるいはその他の雑費というようなものになってきております。これを額面どおりとりますれば、国民の生活は、何といいますか手から口ヘというものから、より精神的な生活を営める余裕が出てきておるということになろうかと思います。さらに手元に四十五年の、これはサンプルが違いまして全国勤労世帯でありますが、これによって見てみますと、四十四年のエンゲル係数は、この全国勤労世帯でありますと三二・八、さっき三四・六と申し上げたものが三二・八になっておりますが、その三二・八のエンゲル係数はさらに下がりまして三二・二というような指数になっております。この全国勤労世帯で見てまいりますと、やはり一番大きく伸びておりますのは雑費でございまして、一六・四%の伸びになっておる。これは食料費等の伸びが一一・九%、住居費の伸びが一二・一%、あるいは光熱費の伸びが一二・八%、被服費の伸びが一一・二%というものに比べまして一六・四%と大幅に伸び、この伸びは可処分所得がちょうど一五・三伸びておるわけでありますが、その伸びを上回っておる。こういうことで、いま申し上げた傾向はさらに四十五年、四十六年引き続いておるということになろうと思います。
  86. 奥田敬和

    ○奥田委員 いまほどの数字で、大体個人消費の中で占める雑費の支出が年々増大の傾向にあるということはよくわかりました。と同時に教養娯楽費が約七・五%、四十三兆円に近い個人消費の中で雑費支出が増大し、その中でも七・五%近い教養娯楽費があるということでございますけれども、七・五%というと約三兆円くらいの数字になると思いますが、その中で観劇、映画の占めるパーセンテージというものは一体どのくらいの形になるか、ということは、先般百三十八億円というような本年度税収の見込み額を入場税に関してお示しになっていただいたわけですが、こういう形の中でこの観劇入場税対象となる数字というものはまことに少ないと思いますけれども、この点について数字的にはどれくらいになるか示していただけますか。
  87. 細見卓

    細見政府委員 全体の消費支出の二・一%ということでございまして、この指数も昭和三十年代から傾向としてはだんだん下がってきておるということになっております。
  88. 奥田敬和

    ○奥田委員 いまわざわざこまかい数字で示していただいて、いかに今度の入場税改正によって一般大衆に及ぼす影響というものが、局長のほうでは相当な減税と思っておられるかもしれませんけれども、今日のように多様化してきた消費生活の中で、ミニ減税と言ったらおかしいですけれども、全く消費支出の実態にそぐわない。高校生あるいは視聴覚教育の振興のために非課税措置をとったとか、そういう形においては一歩前進を認めますけれども、このような小手先の税制改正によって、今日のようなこれほど目まぐるしく変わる消費支出の内容や、はっきり言いますと物より無形のサービス、レジャーなどの支出が年々ものすごい勢いで増大しつつある傾向を見るときに、全く時代にそぐわないのじゃなかろうか。こういう消費課税そのものに私は非常に疑問を持つわけです。特に先ほど入場税収見込みが百三十八億ということからさかのぼって考えますと、千四百億の全国的の興行収入ですね。その程度の数字になると思うのですけれども、これらの数字は全く今日の大企業一社の年間の売り上げ程度の数字にしかなっていないわけです。したがって斜陽産業である映画、観劇を対象にした入場税そのものが全く弱いものいじめに終わっているのではないか。税収のメリットがないのじゃないかということを感ずるわけです。しかしそのこと自体において、この入場税に限らず一つの価値観の相違というものもありますので、これからなお物品税その他について質問をしていきたいと思うわけですけれども、試みに局長のほうで数字がおありになりましたら、昭和三十年ぐらいからの観客数が約三分の一に減ったということを聞いておるのですけれども、おそらくこの入場税の税収の伸び率というものはほとんど停滞もしくは減っておるのじゃないかと推測するわけですが、どうでしょうか、その数字がおありになりましたら示していただきたいと思います。
  89. 細見卓

    細見政府委員 御指摘のとおりでありまして、たとえば、入場人員全体で申し上げますとかえって混乱が起きようかと思いますので、むしろ映画のようにわりあい盛衰のはっきりしたものを取り出して申し上げてみますと、昭和三十三年までは、昭和二十九年の六億六百万人の入場人員が十一億一千九百万人と約倍近く、二十九年から三十三年まで伸びてきておりますが、そこを境に三十三年以降ずっと逓減しておりまして、三十七年にはそれが六億三千、つまり二十九年の水準に戻り、それが現在に至りますと二億七千六百万と、そのころからも半減しておるというような状態になっております。そのほかの催しものにつきましては、大なり小なり盛衰はございますが、映画におきまするような、はっきりそれほど顕著なものは出ておらない、むしろ問題としてはギャンブル場の入場者のほうが年々ふえておるというふうなことが出ております。
  90. 奥田敬和

    ○奥田委員 斜陽産業であるということははっきりとした常識になっておるわけですが、私は、一般の経済成長あるいは税収の伸びが平均二〇%以上の数字を出しておるときに、全く入場税の税収の伸びというのは六%ないし七%程度の伸びしかしていないのじゃないかと思うわけです。そういう形というものは全く私たちも同情しておるわけです。それよりも私が非常に遺憾に思うのは、この入場税を払わなくて——最近のレジャー傾向をうまくつかんで、企業としても非常に大きなもうけをしておるのが、むしろ入場税を払わない形でどんどん繁栄しているという例をあげることができます。つまり、今日の大きなレジャー消費の中で税の形で捕捉できないようなものがたくさんあるのじゃなかろうかと思うわけです。たとえば、これはもちろん青少年の健全なレクリエーション施設ということで非課税にしておるのだと思いますけれども、子供のレジャーランド等は、全く、親子連れで行って、数千円の消費が間違いなく行なわれる。私自身もそういう適齢期の子供を持っておる関係上よく行くわけですが、たとえば民間のスキー施設に行きましても入場料を払い、しかもリフト使用が一回百円ぐらいのものを平均十回以上も乗って大きな支出をする、そういう形については全く非課税の形にしておりながら、ひとり斜陽産業である映画あたりの入場税に対しては、依然として一〇%の課税が行なわれる。むしろ、今日——これは失礼な言い方になりますけれども、時間とお金の制約を受けているような人たちだけが映画鑑賞に行く機会が多くて、むしろ今日の、お金とひまのある大型レジャーなり、大型のそういう消費施設に対しては、全く大蔵当局はそういう課税対象からはずしておるというのはどういう理由からですか。
  91. 細見卓

    細見政府委員 このごろはかなり興味本位のいろいろな施設ができておりますが、当初は少なくとも子供の健全な娯楽、あるいは子供の健全な遊戯心を満足させる程度施設であるから、そこまでは課税しなくてもいいじゃないかというのが、遊園地に課税をしなかった沿革でございます。
  92. 奥田敬和

    ○奥田委員 私も一例に遊園地をあげたことが非常にまずかったと思いますけれども、今日、先ほど来申し上げておりますように、非常にレジャーが多様化してまいりました、そういう関係の中で、私たちは、いろいろな今日の消費税そのものの体系からいいまして、物品税がかかっている品物とか、あるいは非課税の品物というものは、一体何を基準に線引きして、一定率をきめておるかということについては、非常に疑問に思う面が多いわけです。たとえば一例をあげますと、またレジャーのことにばかりなりますけれども、スキー用品ですね。スキー用品等は、この間行って、初めて気がついたのですけれども課税されていない。しかも最近のスキー用品というものは、相当高い。値段も、昔のような木製と違って、あるいはプラスチック製なりあるいはメタルの金属製なり、あるいはグラスファイバー製なりという形で非常に高額な形になっているわけですが、それに対しては課税対象になっていない。そのことは間違いがないでしょうか。
  93. 細見卓

    細見政府委員 スポーツ用品ということで課税になっておりません。
  94. 奥田敬和

    ○奥田委員 スポーツ用品ということで、スキー用品はなっていない。そうすると、同じことで、野球とかそういう形にもなっていないと思うわけですが、釣りの道具なんかが相当、最近いろいろな製品があって、高級化されておるわけですが、これに対してはどうですか。
  95. 細見卓

    細見政府委員 初めは釣りざおにはかかっておったのですが、中小企業製品でもあるし、やはり健全なスポーツということでかかっておりません。
  96. 奥田敬和

    ○奥田委員 健全なレクリェーション用品であるということでかかっていないとすると、これは趣味とか娯楽とかいうことになりますと、それぞれの主観によって違いますが、たとえばスポーツ関係は、戸外用具を使う形は健全であって、あるいは室内の娯楽性に富んだもの、そういう形、たとえばマージャンとかトランプなどはトランプ類税がかかっておるのはどういうわけでしょうか。
  97. 細見卓

    細見政府委員 これは釣りというのも、先ほど申しましたように、スポーツとしての釣りというわけでありまして、トランプ類でかかっておるのは花札、その他のものと同様、文字どおり娯楽といいますか、そういう娯楽のための物品であるということで課税しておるわけでございます。
  98. 奥田敬和

    ○奥田委員 私は、いままで商品価格というものは、その生産に必要な労働の量と質に適正なマージンを加えたものが一つの商品価格という形で認識をしておったわけですが、最近のように消費者運動なんかによって、はっきりと大衆の消費性向を利用して——私自身も不勉強であったわけですけれども、原価のからくりといいますか、そういうことがわかったわけですので、いままでの価格に対する認識というものは、全く自分の頭の中できめておったまぼろしの法則といいますか、そういう形でなかろうか。最近のような特に目まぐるしく価値観が変わっていくような情勢の中では——今後いろいろな意味で新製品が出てくると思うわけです。その中でこれが健全か健全でないか、あるいはそういういろいろな奢侈性、便益性あるいは娯楽性の中でいろいろな論争が行なわれると思うのですけれども、かかっていない物品とかかっている物品に対して、局長はいろいろな理由と理屈は述べられると思いますけれども、どこに厳密な基準と線引きの一つの根拠があるかということについては、いろいろな物品を一つ一つ例にあげるときに、確かにお困りになるのじゃないかと思うのですけれども、どうでしょう。
  99. 細見卓

    細見政府委員 現在課税になっておりますものにつきましては、多分に沿革的なものがございまして、そのある価格、特定の、かかっておるものとかかっておらぬものという比較になれば、奢侈性とかいうようなことで一義的に割り切れないものがあることは事実でございます。
  100. 奥田敬和

    ○奥田委員 決してことばじりをとらえるわけではありません。奢侈性というようないろいろな形でちょっとことばが出たので、私も一点お伺いしたいのです。  たとえば高級な織物を、一点十万も二十万もするような形の織物が非課税措置になっておることを私ども知っておるわけですけれども、そういう高級な、特に和服の系統ですが、そういう織物がどうして非課税になっておるのか。そしてたとえば一般の楽器には課税されていても、琴や三味線にはどうして非課税措置がとられておるのか、あるいは一点七万円、八万円するような家具あたりは全然非課税になっているわけですが、そういう形は一体どういうことになるわけですか。
  101. 細見卓

    細見政府委員 繊維につきましては、主税局としましては、実は三回法律を出したのでありますが、国会の皆さんが繊維に課税することは適当でないと三度も拒否されましたので、現在四度申し上げるのはなかなかむずかしいと感じておるわけでございます。  そのほかのものにつきましては、たとえば高級なものというのが、大体におきまして手間ひまのかかって仕上げたものという形になると、それが往々にして中小企業製品である。中小企業製品になりますと、日本の場合におきましては、なかなか消費者のほうへ転嫁していかなくて、むしろ税金部分がメーカーの負担になるというような議論がございます。そういうところから中小企業製品をある程度非課税にする、たとえば先ほどの釣りざおのような話もございますし、あるいはまた中小企業製品に、あるいは中小企業製品の中でも比較的大衆性の多いようなところを配慮することによって、中小企業に対する影響と、それから消費者に対して、ある程度高級なものは税負担をしてもらうということの両方をかね合わせたというような措置が多くとられておりまして、それぞれの税あるいは免税点というようなものは、極端に申せばそれぞれ一つの歴史を持っておるというくらいのことが言えようかと思います。
  102. 奥田敬和

    ○奥田委員 おそらく局長にそういう形で質問をすれば、いろいろな奢侈性なり便益性なり零細企業の保護なり、いろいろな形での理屈を言われて、そこにはっきりした根拠あるいはそのために物品ごとの一定率をどういう形できめたという基準ですね、そういうことがどうしても私は、あなたは非常にじょうずに答弁されますけれども、非常に無理があると思います。たとえば今日新製品がどんどん出ていく時代ですけれども、新製品に対してもけっこう野放しの品目があるように聞いております。たとえばカーステレオあるいは音楽テープ、私の調べたところでは、スプリット型ルームクーラー、こういう新製品というものが全く課税の中に入ってない、こういうことも一つの問題点を提起するわけですが、ともかくそれはさておいて、最近問題になっている電気製品、カラーテレビなんかも蔵出し価格という形で課税されるんだと思いますけれども、これは企業秘密にも属するところでしょうけれども、一体原価あたりははっきり把握されるわけでございますか。
  103. 細見卓

    細見政府委員 御承知のように、通常の製造過程のものにつきましては、通常の卸売り価格になるわけでありますが、その通常の卸売り価格というものはわれわれは常時把握につとめておるわけでございます。
  104. 奥田敬和

    ○奥田委員 しかし私のお聞きしたところでは、一定の小売り価格から逆算して、何十%かの適正マージンというものを差し引いて、そのあとの価格に一定率をかけて蔵出し価格という形になっておるように聞いておるわけです。自動車においても一緒のように聞いております。しかし私がいま言わんとするのは、一部ではそういう新製品は野放しになっておる。一部の蔵出しの基準も、物品それぞれによっていろいろな異なった形での一定率がかけられて、蔵出し価格においてもそういう形をとっておられるように聞いております。したがって私はいま局長さんと、ここでこの物品は娯楽性があるからだとかあるいはこの製品に対しては零細中小企業の擁護という観点から非課税にしたんだとか、いろいろな論拠をあげられてこれは切りがないと思います。はっきり申しますと、たとえばスキー用品一つにしても、当初はスポーツ用品であるとかあるいは中小零細企業の擁護というような大きな観点から非課税措置をとっておられるように聞いておるのですが、最近はスキーのストック一つにしても、ああいうグラスファイバーあるいはプラスチック製といったようなもので、大企業がむしろレジャー用品の部門に進出してきておるわけです。あなたの言われる零細企業云々という形は、現実にはもう決して当てはまってこない情勢にきておるということははっきりしています。したがって局長の答弁そのものにはなかなか苦しいところもありますけれども、今日きめられてきておるこの物品税の基準というものは、もう新製品は野放しである、抜け穴だらけである。しかも商品別によってはいろいろな理屈はあるけれども、もう公正を欠いておる。基準はでたらめとは言わないけれども、検討するのにたいへんむずかしい時期にきておるのではないかと思うわけですけれども、これについて局長の率直な意見を聞かしていただきたいと思います。
  105. 細見卓

    細見政府委員 先ほど来申し上げておりますように、それぞれの物品が課税になり非課税になりあるいは免税点が設けられておることにつきましては、この委員会をはじめ、いろいろな場所におきましてかなり慎重な御論議を願って、決して突然に出てきたようなあるいはだれかが頭の上で考えたというようなものでないわけであります。しかしこうしたものに対する評価は人によってかなり違うわけでありまして、いろいろな論議を経てきたものでありましても、立場の違う人あるいはそういう論議に参画しなかった人は、あれはおかしいというようなことが比較的言いやすい税の分野でございます。そういう意味におきまして、これらの問題について、国民の皆さんになるほどと思っていただけるような等差税率というか差等税率といいますか、異なった税率課税するというのはなかなかむずかしい。五%と八%とどう違う、それだけの負担の差を求めることが適正かどうかというような議論、これは人により立場によりそれぞれ違うものですから、やはり個別消費税を拡充していく、あるいは個別消費税の体系を維持していくというのはなかなかむずかしいということは痛切に感じております。
  106. 奥田敬和

    ○奥田委員 そういう個別消費税の形でこのまま捕捉していくということはたいへん技術的にもまた論理的にもむずかしい限界にきておるというような形に受け取ったのでございますけれども、それでよろしいでしょうか。
  107. 細見卓

    細見政府委員 そういうことでございまして、今回物品税法の改正は提案いたしておりませんが、決して中身を見直さなかったというようなことではなくて、ことしの税制改正で一番主税当局が頭を使って勉強したのは物品税であったわけですが、ある部分を訂正をいたすとすれば、他の部分に非常に波及していって、現に、現在かかっておる物品税の中で特に自動車だけは出ておりませんが、自動車を除きまして全部の物品について、非課税ないし免税点を大幅に引き上げてくれろということで、さらに端的にいえば自動車以外の物品税をやめてくれというくらいの意見であったわけでありまして、この状態ではとても物品税法を部分的に手直しするということはできないだろうということで、改正提案を見送ったわけであります。
  108. 奥田敬和

    ○奥田委員 私は税制改正という大きな視点に立っていろいろお話をお伺いしてきたわけですが、大体直接税中心の租税体系から関接税にウエートを移そうという試みは、すでに大蔵大臣もたびたび所信を表明されておることでございますし、今日の直間比率というものは少し手直しの印階にある。それには、ひっくるめて今日の消費税あり方そのものにも、やはり抜本的にさかのぼってこの問題にメスを入れなければいかぬ時期にきておるのではなかろうかということをお聞きしたかったわけであります。それについてこれからますます消費の面、レジャーの支出の面、そういう教養娯楽といった面の支出が増大していく傾向からいいましても、消費される財、あるいはサービス全般に、一般税としてある程度税率をかけていくような、たとえばEEC型といいますか、ヨーロッパ型の付加価値税あたりの体系を、局長はどういうぐあいに批判されますか。
  109. 細見卓

    細見政府委員 消費税の方向といたしましては先ほども申し上げておりますように、消費の態様に応じて異なった負担を求めるというようなことは、だんだんむずかしくなってきておるわけであります。しかし一方、いま奥田委員の御指摘のように、国民所得の中で消費の構成というのはだんだん大きくなってまいるわけでありますし、その金額も大きくなるわけでありますので、貯蓄にまで平均的にかかる所得税というようなものだけで税制を構成していいかどうかということは、かなり問題もあるわけで、そういう意味消費税についてさらに勉強をやっていかなければならない。その場合に現在の学者などの意見によりましても、消費税の一番完成した形といいますか、一番財政的に望ましい消費税というものは付加価値税であるといわれておるわけでありまして、そういうものについて絶えず勉強をしてまいらなければならないと思います。しかしこの税を執行いたしますにあたりましては、納税者の方にかなりの協力を求めなければならないことも事実でございますし、また物価に及ぼします影響につきましても十分配慮していかなければならない。間接税物価というものは別だということも、理屈の上では割り切れることでありますが、はたして国民感情としてそれを受け入れていただけるかどうか。あるいはさらに間接税の増徴にからみまして、便乗値上げが起こるというようなことがあっては断じてならぬわけでありまして、それらの点を総合的にいま慎重に勉強して、新しい消費税あり方というものは、主税当局としては、われわれの義務としていろいろな勉強をいたしておるというわけでございます。
  110. 奥田敬和

    ○奥田委員 最後に、次官の御意見を伺いたいのですけれども、私はマクロ的に見ていくとき、今日の経済問題あるいは物価問題等に関して、こういう付加価値税の論議というものは、たいへん単簡にここで論議してもだめだと思いますけれども、現在の所得減税というものはどうしても年々大幅にやっていかなければならない。これはもう国民的な大きな世論であり、これはまた政府の課題であると思います。そしてそのかわり先ほどから話しているように、今日の消費課税あり方そのものにはいろいろな矛盾点があるわけですから、そういう一部分を付加価値税に置きかえてもいいのではなかろうかと個人的な私見で思うわけです。私はどうしても今日のこの税制の体系と申しますか、税制は曲がりかどにきておると思う。いま、先ほどからの物品税の問題一つ取り上げてみても、非常にいろいろな論議をされますけれども、大きな矛盾をはらんできておる。従来の税制というものに結びついた固定観念から脱却して、もう新たな角度で日本の税制を検討すべき時期にきておると思うのです。特に最近の公害、いろいろな形の中の社会資本の不足、そしてやはり社会保障制度の貧困、こういう形も解決しながら、一方では所得減税を果たしていかなければならぬという二つの車を動かしていく場合には、こういう税制の根本体系にメスを入れるのはやはりいまじゃなかろうかというふうに思うのですけれども、これについて次官の抱負と決意を最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 中川一郎

    ○中川政府委員 私も結論的に言って、そうあるべきであり、もうそういう時期にきておるのではないかと思います。たとえば今回お願いいたしております入場税一つとりましても、三十円のものを百円に引き上げたのでは、これはもう減税にも何もなっていないじゃないか。これはすなおな受け取り方だと思うのです。しかし、よく考えてみると、これはなぜ三十円の免税点を置いておったかということになると、これにはこれの理由がある、というのは、ほんとうは税金一割いただくことになっておるのですが、三十円以下のもので、たとえば三円、二円を、一枚の券を売るたびにいただくというのは、どうも映画館あるいはその他の業者の人にお願いするというのも、ちょっとどうかと思うので、三十円以下については免税にしてもいいのではないかということでスタートしたところが、三十円というのはいまはないじゃないか、ないものを免税点に置くのはけしからぬから改正したらとうだ。それでは百円にしたら——きのうも申し上げたところですが、二百円くらいが適当か検討したところが、二百円に持っていくといわゆる風俗映画等が一番対象になって実質的な効果はないということで百円にした。そうしたら全廃したらどうだという声もありますし、四百円にしたらどうだ、千円にしたらどうだ。それも一つ意見ですから、非常に貴重な意見ですが、それをそのままいれていったのでは、もう入場税もやめるというのだから物品税取るのはけしからぬ。砂糖に税金かけるのはけしからぬじゃないか。全部ゼロにしたらどうだ。たとえば病院などで砂糖を牛乳に入れて飲ましている。病人からまで税金取るのは何事だ。こういう一つ一つあげれば税金を納める根拠、引き下げる根拠、これはなかなかしゃくし定木にはいかないところに、今日物品税についても非常な不満が国民の間にある。それが税に対する不満感。一方は今度は所得税が高い。物品税はだんだん、だんだん減ってしまって、所得税に依存をしておる。しかも勤労者大衆から取る。これもけしからぬということで、国をあげてけしからぬ、けしからぬということになっていく。しかも奥田委員のように税に理解のある人ですらそういう不満があるわけですかり、税に理解のない大衆においてそういう声が出てくることはもう当然でございます。しかも先ほど来局長との間にやりとりがありましたように、物品税一つ一つ、これは奢侈である、娯楽である、文化の関係、スポーツだ、いや教育だ、中小企業のめんどうを見るのだ、富の再配分だ、いろいろ理屈はつけておりますが、それではこれが絶対の理屈かというと、絶対性はない、まあまあこの辺のところじゃないか。しかもその上に社会が多様化してくる、新製品が日に日に出てくる、それとの比較はどうだということになったら、これは何ぼ主税局長がここで陳弁いたしても、明快にわかりましたということにはならぬであろうということを考え合わせますと、この機会にもうそろそろやはり消費税の典型的な付加価値税——ヨーロッパ諸国でもとってきております。ですからこの際はそこへ移行していけば、これはもう公平になるわけですから、まあ異論はないところになろう。そこでそういう方向にいまやりたいとは思っておりますが、局長からお話がありましたように、今度は物価の問題に影響する。言ってみればでこぼこになっておってアンバランスがあったわけですから、付加価値税になると一律になりますから、今度は低いほうのものが上がるというかっこうになる。高いほうが下がったのはあまり文句を言わないで、上がったほうだけが国民世論としていかぬ。諸外国でも付加価値税に踏み切ったら、ベルギーですか、大騒ぎをしているようなことがございます。日本でもそういうことになったのでは、せっかくいいことであっても目的は達成されないということで、いま、国民の皆さん方に奥田委員のような御意見をよく御理解いただいて、そういう機が熟したときにそういうふうに踏み切りたいと思っておりますので、何ぶんの御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  112. 毛利松平

    毛利委員長 阿部君。
  113. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 先般来、入場税の問題、たいへん評判が悪いのですが、今度三十円を百円にするということで三上六%、こうおっしゃるのですが、これは学校の生徒の団体の入場については免税するという。これを除いたら一体幾らなんです。
  114. 細見卓

    細見政府委員 先ほど御指摘の三・一%という数字は、これは純粋の映画館の百円だけの話で、学生のほうのやつは、これは不特定ですから、何%ということは実はわかっておりません。
  115. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 文化庁のほうにお伺いしたいのですが、いま映画館、演劇の劇場の数は、一応先進国と呼ばれる国の中では多いほうですか、少ないほうなんですか。
  116. 安達健二

    ○安達政府委員 現在演劇、舞踊、映画、音楽等に使用されるホールの数が七百八十五、それから映画館の数が三千六百ほどございます。諸外国との比較のための十分な資料を持ち合わせておりませんけれども、たとえば映画館等をとってみれば、その数は世界的に見ても少ないとはいえないほどあるのではないか。これは詳しい資料で申し上げたわけではございませんが、そういう感じがいたします。
  117. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 先ほど映画館への入場者の数が減っておるという答弁でありますが、演劇等の場合にはこれはどんなふうになっておるのですか。
  118. 安達健二

    ○安達政府委員 御指摘のように、映画館のほうは二億三千万でございますか、最近非常に減っておりますが、一般の劇場関係の入場数につきましての累年別と申しますか、そういう資料をちょっといま持ち合わせておりませんので、正確なお答えはいたしかねます。
  119. 細見卓

    細見政府委員 私のところに資料がございますので、補足して御説明いたしておきます。  昭和二十九年に一千五百万程度であったのでありますが、これが昭和四十四年には約二千五百万程度になってきております。その間若干のでこぼこがございますが、大体傾向としては漸次ふえてきておるという形になっております。
  120. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 最近は歌舞伎とか劇場等にはいわゆるテレビ会社の招待というような形でのお客さんは相当あるようでありますが、何かだんだん大衆との断絶の傾向のような感じもするわけですが、そういう点でどうなんですか。文化庁のほうにお伺いしますが、国民がテレビを見ることでそういうものからだんだん遠のくという傾向にあるような気がするのですが、そういうことはお感じになりませんか。
  121. 安達健二

    ○安達政府委員 世界的な傾向としまして、御案内のとおりテレビの普及に伴ってか、それとの関連において映画館の入場者数が激減しておる、これは事実でございますが、やはり一般のその他の演劇とか音楽等の入場者数は、必ずしもそれと比例して減っておるということは認められないのじゃないか、かように考えます。
  122. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私たちいなかにおります場合よく感じますのは、いなかでも、テレビを見ることで自分たちが歌ったり踊ったりというような、演劇等の文化活動というものがだんだんすたれていくような傾向にある、こう見るのですが、そういうことはないとおっしゃるわけですか。
  123. 安達健二

    ○安達政府委員 最近私どもは、特に公立の平化施設、文化会館とか市民会館とか、そういう施設の設置につきまして補助金を出す等いたしまして、できるだけそういう面での実際のなまの演劇なり音楽を鑑賞する機会を増大するように努力をしておりますし、テレビ等の影響でそういうものを見に行く者が減っていくということは必ずしも認められないのじゃないかという感じでございます。
  124. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 本来なら、日本の経済が伸びたということになれば、こういう文化的なものがより向上し発展していくということが当然だと思うのですけれども、私はそういう点で、あなたが見られるのと違って、ぼくらのほうのいなかはだんだんそういう傾向がなくなっておる、こういう感じがするのですが、あなたはそうは思いませんか。
  125. 安達健二

    ○安達政府委員 私どもそういう統計的な数字を持っておりませんので、的確なお答えはできかねると思いますけれども、しかし傾向として、減るというよりは逆に、先ほど主税局長からお話があったように、むしろ生活水準の向上によってそういうところへ行く者が多くなってきておるのではないか。たとえば国立劇場ができまして文楽などやるようになりましたけれども、非常に文楽の層が拡大されてまいった。あるいはわれわれのほうで青少年劇場ということで、青少年にただで見せるというようなことをやりましたり、あるいは芸術祭の地方公演などをやりました場合でも、音楽とか新劇、それからいま申しました文楽、歌舞伎、そういうものに対する需要が非常に多うございます。そういう面から見ますと、テレビ等でなくてそういうものは本物が見たいという気分がむしろ増大してきておるのではないかと私どもは推測いたします。
  126. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうしますと、文化庁のほうでは、日本現状について非常にいい傾向なので大体満足しておられるというわけですか。
  127. 安達健二

    ○安達政府委員 満足しているわけではなくて、さらに一そうそういうものをより芸能、芸術に接して心の潤い、余裕を持っていただくということはたいへんいいことであると思うので、この傾向をさらに促進するということで、実は本年度から移動芸術祭ということで八千五百万円の予算をお願いいたしておりまして、全国で五十公演くらいその種の公演をやろう、こういうような計画でございますので、われわれといたしましてはこの傾向をさらに一そう促進してまいりたい、かように考えております。
  128. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そういう形で、私は経済がここまで発展したことでもありますし、さらにそういう方向へ進むことを歓迎するのでありますが、どうもあなたのお話ではだんだんふえておるのだと言うけれども、映画の場合などは激減しているわけですよ。そうして日本の場合には昼間からテレビをやっておりますので、だんだんテレビにかじりついておるという傾向があるのじゃないかと私は案じておったわけでありますが、あなたの説明によるとそうでもない、こうおっしゃるのですが、テレビにだけかじりついているようになりますと、何か実際のものから断絶してくるんじゃないかという不安を私は持つわけです。特に若い小さな子供たちを見ておりますと、動物園へ行ってペンギンを見て、サンスターがおるというようなことになってしまう。これではたいへん困るのです。またテレビを通じて見る場合とそのものをなまで見る場合、これは私は違うと思うのです。もう一つは、ああいうものを見る場合に、一人で見る場合と集団で見る場合には、私はその受け取り方、雰囲気というものが非常に大切なものだと思うのですが、そういう点で私は違ってくるんじゃないかという感じがするので、まだまだ日本の場合には私は文化的な面が非常に貧弱過ぎるんじゃないかという感じを持っておるのですが、文化庁のほうは大体満足しているようでございますか、どうなんです。
  129. 安達健二

    ○安達政府委員 満足していると言われますと私どもの仕事がなくなるわけでありますが、私どもといたしましてはそういう複製芸術だけでなくて本物に接する機会を多くしたい、こういうことを念願いたしておりまして、そのために、先ほど申しました地方における公立文化施設の設置を促進するとかあるいはすぐれた芸能を地方に持っていくとかあるいは青少年に対してそういうものにただで接せられるようにするとか、こういうような施策を講じておるわけでございますけれども、私どもの施策がなお不十分でございますので、今後ともその拡充に努力をいたしたい、こういうことでございます。ただ日本は非常に人口が多うございますし、またこの芸術、芸能の市場から見ますと、いまや日本は音楽にいたしましても非常に大きな市場となって、ロンドン等よりはもっと大きい市場となって、世界の芸能家等もロンドンではなくて東京で実演したということがその評価があがるほどになってきたという事実もあるわけでございます。
  130. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そういうことはありますけれども、それは東京という、大阪という大都市を持っておるということであって、日本の各地域、農耕あるいは地方都市というときに、一体それがどれだけあるのだろうか。いなかにどれだけの音楽のサークルがあるだろう。私北朝鮮へ使節団で行ってまいりましたときに、あそこの国では音楽人口は世界一だ、密度においては特にそうだという自慢をしておりましたけれども、ほんとうに小さな子供たちからやっておる。ああいう姿を見ると、私たちの国はどうもそういう面ではずいぶん立ちおくれておるんじゃないかという感じを持ったおけです。  もう一つは、私は一番心配なのは、何かテレビというものにあまりにも影響されておる。しかもそのテレビが、宣伝と本物とがどこに境目があるかわからないような形で、スポンサーまかせになっておる。何か日本人、昔は奴隷は足に鎖をつけて統一した行動をとらされたけれども、近ごろの若い人たちは頭にアンテナをぶち込まれた、電波の奴隷にだんだんなっていくのじゃないだろうか。そして実際とあれとが、ブラウン管を通してはつながるかもわからぬけれども、だんだん断絶してくるのじゃないか。そして断絶してくればくるほど何か強い刺激的なものでないとこれに飛びつかないという傾向を持つのは私は当然のことだと思うのです。演劇を見て、感激をしておる、映画を見て感激をするというようなものがなくなって、あのブラウン管を通してくれば、何としても刺激の強いものでないとそれを見ないという傾向を持つ、そういうことがいま日本で文化的な面で一番心配をされる点じゃないだろうか。こういうことで、都会からいなかのほうへ行くとあなたはおっしゃるが、同時にいなかにも昔は文化的ないろいろな芸術的なものがあったわけでして、そういうものがさっばリ育成されないでおり過ぎるのじゃないかという私多少不満を持ちながら質問をしておるわけでありまして、そういう点にもう少し御説明を聞きたいのです。
  131. 安達健二

    ○安達政府委員 芸術、文化、そういう面につきまして、中央と地方と申しますか、東京とそれ以外の地、大都市は別といたしまして、そういういい芸能なり芸術に接する機会が中央とそうでないところでは非常に差がある。これはわが国の文化の一種のいびつな現象でございます。これはまことに御指摘のとおりでございまして、これを何とか是正をして、日本のどのところに住んでもそういう芸能、芸術に接する機会が与えられるようにするというのは私はいま文化庁の最大の課題であるというように考えておるわけでございます。  それから第二のテレビの問題でございますが、御指摘のような点もたいへん憂慮すべきことではあると思うわけでございます。これは教育の問題にもつながるわけでございますし、またその他日本の全体のメンタリティーにも関連する問題で、なかなかむずかしい問題でございますけれども、われわれといたしましては、御指摘のような、日本全国どこでもそういう実際のほんとうのものに接せられるような機会をつくるために今後とも努力をいたしたいということでございます。
  132. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私繰り返しませんけれども、ほんとうにこのままでいくと、テレビだけでいきますと、何か自分で考えることがだんだんなくなってしまう、何か真実と断絶するというような感じを受けるわけであります。  そこで、いま提案されております、入場税が三十円から百円になった、先ごろからの御質問でも少し意味をなさないじゃないかというような質問が繰り返しきょうまで行なわれてきておるわけですが、文化庁、百円になったらこれで文化はたいへん向上するというふうにお考えになりますか。
  133. 安達健二

    ○安達政府委員 芸術、文化の振興はまあ入場税そのものによってどうこうという直接の問題ではございません。ただわれわれといたしまして、芸術、文化、純粋な芸術、そういうようなものについてなるべくそういうものがなくあるいは軽減されて、そういうものに接する機会が少しでも多くなれかしということを念願はいたしておりまして、またいろいろな機会にお願いはいたしておりますけれども、けさほど来お話ございましたように、芸術とそうでないものとをどうやって区別するかということになりますとこれはなかなか名案が浮かばないというようなことで、われわれといたしましては軽減についてのいろんなお願いをいたしておって、少しでも免税点が上がれば、これはないよりはましだということで、われわれとして、これはけっこうである。しかし、満足かといわれれば、やはりそれはもう少しという気がしないわけじゃございませんけれども、それはまたいわゆる芸術以外の入場料との関係もございましょうし、あるいは入場税法の体系あるいは間接税の体系、そういうことでございますから、私どもは芸術、文化のほうが何とか少しでも普及するように御配慮を今後ともぜひしていただきたいものだという念願をいたしておる、こういうことでございます。
  134. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 芸術、文化の問題は、この税金問題だけじゃないことは私も承知しております。だけれども、皆さんのほうから、あまり大蔵省のきげんをとらないで、もう少し百円じゃしょうがないじゃないかというような御意見が出されたことがあるのですか。
  135. 安達健二

    ○安達政府委員 私どもは毎年そういう点でのお願いをいたしてきております。
  136. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どのくらい要求したのですか。
  137. 安達健二

    ○安達政府委員 これは私ども若干——これはお願いでございますから、私どもとしては、実は二百円にしてこれを控除していただきたい、つまり千円の場合には八百円だけにかけていただきたい、こういうことをお願いしたわけでございます。しかし、間接税ではそれはできかねる、こういうことで、われわれはそれで引き下がっておるわけでございますが、しかし今度百円の免税点ができましたので、これはないよりはいいことであるということで、ひとまずはこれで安心しておるわけでございます。
  138. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 この委員会でも、いままで与野党の各位がここで質問という形をとりながら、これは安過ぎる、こう言っておるのに、文化庁というのはまたえらい弱気過ぎるのじゃないですか。これでは、日本の文化を何とかしようなんといったって無理なんで、あとはもうテレビにおまかせするということになりますよ。こういうことじゃなしに、もう少し強い要求をされていいのじゃないですか。  税調でいろいろと税金の問題が論議されるが、一体文化関係の税調の委員というのはおられるのですか。
  139. 細見卓

    細見政府委員 文化ということばがなかなかわからないのでありますが、もし広い意味で文筆あるいは評論の仕事に携わっておられる方を文化という意味であれば、かなりおられます。
  140. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 学者はみんな文化人だといえばそうなんですが、文化の定義をここであなたとやってもなんだけれども——芸術関係といったほうがわかりやすいですね。そういう方はおられるのですか。
  141. 細見卓

    細見政府委員 いわゆる芸術を職業としておられるという方はおられませんが、芸術を愛好し、芸術に理解のある方は非常に多くおられます。
  142. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 苦しい答弁のようだからこれ以上申し上げませんが、皆さんにそれを求めるのは無理かもわかりませんけれども日本の将来のことを考えますと、経済が大きくなるというだけじゃなしに、やはりこういう問題もよい強く考慮をしていただかないと、日本の民族はエコノミックアニマルだ、こう悪口を言われるけれどもまさにそういう傾向にあるのじゃないか。入場税をこの程度のものでやるよりは、自民党の方々でも話をすると、みんな、こういうものは全廃したほうがいい、こういう意見のようでありますが、ひとつ次官どうです、これは全廃をするというくらいの決意をもって——ことしはここまで出したら皆さん引っ込みがつかぬだろうから、来年はこれは全廃する、そして日本の文化を向上さしていくのだというくらいの決意を私は述べてもらいたいのだが、いかがです。
  143. 中川一郎

    ○中川政府委員 ことしは御了解いただきましたので、まことにありがとうございました。(阿部(助)委員「了解はしていないけれども」と呼ぶ)  明年度以降といいますか、四十七年度以降税制につきましては、先ほども申し上げましたように付加価値税というようなことに取り組めるかどうか、また皆さん方の御意見も聞きつつそういう中であるいはなくすこともあり得るか。特に問題になりますのは、文化というもの、芸術というものをどう定義づけるかというところが、先ほどのように文化の問題で議論をしてもというようなところに落ちつくところに非常にむずかしさがある。どれが文化で、どれが芸術で、どれがスポーツで、どれが裸踊りという俗物であるという区別のつかないところに非常にむずかしさがある。この点だけはひとつ御理解をいただいて、午前中来御答弁申し上げましたように、国立劇場であるとか、あるいは文化財保護法による文化財、こういう画然としたものだけは取り入れる姿勢でおりますし、その点だけは御理解をいただいて、明年以降につきましては、御意見もありましたから、十分ひとつ検討さしていただきたいと思います。
  144. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そういう裸だからどうだこうだというのではないのですよ。表現はいろいろあれしていいのです。しかし、大衆はやはりそれを判断しながら前進をするのです。大体日本の歌舞伎にしたって、昔はやはり大衆がこれを見、大衆が育ててきたものです。しかし、だんだんたつうちに特別の人たちだけが見に行くというような傾向を持ってきては滅びていく。そうじゃなしに、こういう演劇だあるいは芸術だというものを大衆に普及さしていく、その中からまたいいものが出、保護していく、こういうことだと思うのです。そういう点で、私はこの入場税なんというものは、そういう民族の将来というものを考えると最大の悪税だという感じがするので、私はあまり無理を申し上げてもあれだから強くは言わなかったけれども、将来の日本の民族のあり方考えるときに、少々裸だからどうだこうだとか、次官はさっき風俗上どうだこうだと言うけれども、そういうものは大衆が判断をし、また淘汰されるものは淘汰されていくと思うのですよ。一体どこまでが芸術でどこまでがどうだなんということを税金を取るほうの皆さんの側に判断せいといっても、私は少し無理があると思う。それで特に政治家である次官にお願いしたわけでありまして、そういうあれじゃなしに、もっと大きな立場で、こういうものはほんとうの悪税だ。しかも一番問題が起きますのは、えてして労働者の労音であるとか、あるいはまた地方でやっておる、秋田のわらび座であるとかいうものが公演するときに、いつでも労働者の諸君とトラブルが起きるわけです。そういう点で、地域の問題を、文化を育成していくという観点からいけば、私は百円なんというものはいまの貨幣価値からいっても、現実のわれわれの社会生活からいっても、全くこの改正案はナンセンスに近いという感じがいたしますので、税務当局はもう少し反省をしていただきたいと思うのですが、局長どうです。
  145. 細見卓

    細見政府委員 入場税につきましてはなかなか皆さんの御納得を得られなかったということは、よく肝に銘じておきます。
  146. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それでは、次に相続税の問題に移りますが、先般貝沼委員から、二十年にしたのはどういう根拠か、こういう質問があって、細見局長から答弁がございましたが、どうもあの答弁を聞いておって私理解できないのですが、なぜ二十年だとか二十五年だとかいうことをきめたのか、ひとつもう一ぺんお願いしたいと思うのです。
  147. 細見卓

    細見政府委員 夫婦で共同して生活をいたしてまいりまして、その間両方の努力によりまして相当の家財が整っていくわけであります。その場合におきまして、もしそれが相続段階になりますれば、御承知のとおり遺言であればかなり有利なことにもなりますし、もし遺言がないといたしましても遺留分として三分の一は残されるわけですが、そういうことで待っておった場合に、このごろは親を養うというような風潮も薄れてきておるというようなことから、なるほど財産としては三分の一は渡るのだけれども、いま住んでおる家をたとえば出ていけというような話になると、それはいかにもお気の毒ではないかということで、現在の妻に対する贈与というのが立法化されてきたわけでございます。したがいまして、現に居住しておる家屋敷といいますか、家の贈与あるいはその家を買うためのお金というものを贈与対象として、その場合には、現在でありますと二百万円まではけっこうであります。特に相続税評価でまいりますので、現実に住んでおる家でありますれば、東京都でありましても周辺部であれば大体間に合う。借地権はそのまま借り上げになっておるような場合もありましょうし、だんなさん名義になっておるような場合もあるいはあろうかと思いますが、いずれにいたしましてもそういうことで家を提供する。それは夫婦の共同生活の間に積み上げた財産、それを生前に贈与しておこうというのでありますから、普通考えますと、二十年、二十五年くらいかかろうかと思います。しかし最近は給与水準あるいは収入、財産形成のスピードといいますか、そういうものも高くなってきておりますので、それらの点を考えて短くしたというわけでございます。
  148. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 前段は気の毒だということでやったというのですが、後段は財産形成に協力があった、だからこうだ、こういうことがウエートがあるようにお伺いしたのですが、そういうことですか。
  149. 細見卓

    細見政府委員 税の上で、理屈として申せば、財産形成に寄与された度合いを見たということでありましょうし、社会現象として見ればそういう風潮に対して税の上で対応策をとっておるということであろうと思います。
  150. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 財産形成に協力してきたということになりますと、ここらちょっと私はおかしいのじゃないかと思うのです。それは協力をしてきたというのは積み上げてきたのですね。妻の努力というものを評価するのだというならば、前からわが党の堀委員がよく言う初めから二分二乗方式とか、そういう形のものをとるべきであって、二十年たった瞬間に積み上げてきた効果が出たり、二十年たったあとで死んだ瞬間に初めてこつ然と妻の財産形成の協力を認めるというのは、私はどうも合点がいかないのです。矛盾があるのじゃないか。それならば積み上げる過程で妻の座をはっきりと認めるということが筋ではないのですか。
  151. 細見卓

    細見政府委員 妻の座をどう評価するかというのは、主として御主人がなくなった段階で起こる問題ではないかと思うのです。その所得を稼得しておる段階におきます財産形成につきましては、それぞれが自分の所得で得たものはそれぞれの固有の名義になる固有財産というのが現在の民法のたてまえになっておるわけでありまして、その民法のたてまえからすれば、私どもがいまとっておるのが現在の民法のたてまえと矛盾しない、しかも妻の地位を尊重する措置ではないか、こう考えるわけです。
  152. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 あなたはそう考えるのだろうけれども、私はどうも理屈が割り切れないのです。というのは、財産形成に協力をしていくのは、ずっと積み重ねでいくんですよ。その積み重ねておる段階で協力した部面を認めるのがほんとうじゃないか。現実に合うのじゃないですか。そうすれば、二分二乗方式がいいのか三分の一を認めるのかどうかはわかりませんけれども、その過程でもう認めておかなければいかぬのじゃないですか。
  153. 細見卓

    細見政府委員 現行の民法のたてまえからいたしますれば、サラリーマンに例をとりまして、夫が給料を得て、その給料で生活した残りでいろいろな財産を得たという場合は、たてまえとして夫の財産になることになろうと思います。そういう意味で、阿部委員のおっしゃるような意味で、それを特に共有財産とするような社会慣行が日本にできてまいりますれば、その段階税法もあらためてそういう社会の風習というものを前提にして考えるのでありましょうが、現在の民法のもとでは、夫が稼得した所得でそれが財産になっていく形においては、夫の財産であると考えるのがたてまえになっておりますので、いま申しましたように二十年目にきたときには、その現在の社会風潮を考えて奥さんに家程度贈与した場合に贈与税の上で非課税としていいじゃないかということで、現在の民法とそれからその後の世の中の移り変わり、しかもその移り変わりがまだ固定的な社会風習になりきっておらない、その辺の調和といいますか、まん中をとった制度になっておる、こういうことであるわけです。
  154. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いま社会風潮になっておらないというのは、あなたの主観じゃないのですか。それともう一つは、民法自体にも非常に古さがあるわけですよ。特に昔は妻になれば法律上の権利もなかったという時代もありました。しかしいまの新憲法下ではそういうものはなくなったとすれば、やはり新憲法の精神にのっとって、多少のリードする面があろうとも、もうそういう時代に私は入っておると思う。これはただあなたと私との見方の違いということになるのじゃないでしょうか。
  155. 細見卓

    細見政府委員 御指摘のとおり、私と阿部委員との見方が違う。そういうものが社会風習として固定化してきたものが民法でございますので、そういうふうに人間の基本関係を律する家族関係のようなものについて、法律的あるいは慣習法として確立しない段階税法だけが先走るのはいかがなものか、まさに見解が違うような状態民法を踏み越えた制度をやっていいかどうかということでございます。
  156. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうしますと、たしか税調でも二分二乗方式の検討を何がしかしたように私聞いておるのでありますが、これは民法が変わらないとだめだという前提で論議されたわけですか。
  157. 細見卓

    細見政府委員 所得税のかけ方といたしまして二分二乗方式をとるというのは、これは民法関係なくできるわけです。税負担計算のしかたということでございますから、納税主体を個人でとるか、消費主体を納税主体として考えるか、どういうふうに税額を計算するかということでありまして、さらに一歩先を申し上げれば、税負担はそういうふうになりましても、その残った貯蓄なり何なりが夫のものであるか、妻のものにするかというのは、これは別個の観点の議論になるわけでございます。
  158. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どうも私が不勉強なのか、そこはそれほどすっきりと割り切れないのです。私にはどうもわからないのですが、そういう税の負担の問題だとあなたはおっしゃるけれども、そういうふうにしていけば、私はある程度それならそれで納得はできるわけです。あなたは財産形成に協力したから云々とこうおっしゃるから、それならばその過程においても税の問題でも二分二乗方式にするとか、そういうことにしていけば、私は筋が通ると思うのです。ところが、あなたの話は、二十年という歳月は、財産形成に協力したからここである程度の恩典を与える、こういうことならば、税額のあれが、配分の分け方の問題だとかなんとかいうけれども、国民はそのほうが納得するのじゃないですか。あまり専門的なお話をされて、国民はさっぱりわからないではこれは困るのでありまして、税金の問題もなるたけ国民にわかりやすく理解のしやすいという税金でなければいかぬと思うのです。いつでも問題になるように、税法というのはむずかしいといわれるのはその辺なんで、私はあなたの話、どうも理解できないのですが……。
  159. 細見卓

    細見政府委員 もちろん所得税二分二乗を行なう場合におきましても、民法の上で共有財産制度といいますか、夫と妻のそれぞれ半分の所得なり財産として観念できるような、基本的家族関係を規定する民法がそういうふうになれば、それにこしたことはないと思います。しかし、それでなくても税の計算としてはできましょうということを申し上げておるので、むしろ税負担の公平という意味でそういう計算もできましょう、そういう二分二乗もあり得る、こう申し上げたわけです。
  160. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そこはなかなかあなたと私と一致しないのですが、せめてそれならば私に言わせれば、趣旨に合うように二分二乗方式を早く急いで検討し、提案をされるべきだ、こういう感じがするのです。
  161. 細見卓

    細見政府委員 所得税の次の大きな問題といいますか、一つの山は、税率改正とからみました二分二乗方式の導入ということになろうかと思いますが、いま申し上げました夫婦共有財産ということになりますと、きのうも民事局二課長が申し上げましたように、それでは夫がした借金の半分を妻の借金とみなしていいのかどうかとか、あるいは妻がかってに何かしたものについて全部夫がかぶっていいのかどうか。プラスのほうはお互いに分け合うということには皆さん賛成でございますけれども、マイナスが出てきたときに分け合うということについて、はたしていまの人たち全部が納得がいくような分け方ができるかどうか。その辺はやはりまだ国民感情がそこまでそれだけ習熟してきておらない。その辺が習熟してまいれば、確かに夫婦は共同で生活しておるわけでございますから、財産も共有していきたい。ただ、その場合に取引の安全という問題が出てくるわけです。たとえば夫の家を何かの関係で売った、しかし半分は女房のものだから女房がいやだと言ってだめになったというような、いろいろ取引の安全との関係その他を基本的に詰めてまいりませんと、民法はなかなかむずかしい。その意味で、税法だけが、ある意味での社会の感情を受け入れながら、現行民法の中でできることはどういうことかということで模索しておるわけでございます。
  162. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 二十年というその期間が私どうもちょっとわからぬのですが、そうするとどうです、これはたとえばここにおられる方々、だいぶ年配なんだが、たいへん失礼な話になるが、奥さんがなくなられた、後妻が来たというような場合、五年、六年の場合にはかえってこれは気の毒になるのじゃないですか、そういう点考えないのですか。
  163. 細見卓

    細見政府委員 もちろんいろいろなお考え方がございましょうが、むしろそういうのは税の上で免除すべき事柄であるというよりも、そういう形で再婚される方は、妻になられる方に、初めから、こういう意味でおまえにこれだけの財産をやっておるから安心しろというふうにお話しになればいいことで、税の上で考えることとはいささか違うのではないかと思います。
  164. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それでは次に、きのうもわが党の平林委員から農地の問題が出ましたけれども、市街化区域になりますと固定資産評価が変わりますね。変わった場合にやはり相続税がこれは響いてくると思うのですがどうですか。
  165. 細見卓

    細見政府委員 相続税は、むしろ農地である場合においても、非常に都市化された部分におきましては宅地並みの評価、もちろん宅地造成費等は控除いたしますが、そういうことをいたしておりますので、当然固定資産税より市街化の場合には先に影響が出ておる、もうすでに出ておるというわけでございます。
  166. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 これは皆さんの問題じゃないけれども、私はどうも市街化区域の線引き自体に矛盾を感ずるわけです。それは、相当な大都市周辺、そういうものと、純農村地帯の都市までが何かみんな線引きをしておるわけです。しかも市町村の役場等は、上から何かくるとまあ金科玉条のように、無理にその市街化区域をつくらぬと何か悪いみたいな話でこれを引いておるわけです。実際しかし、そんなのを市街化区域にしたからといって、いなか町の三万や四万の人口の、たんぼをよけい持っておるような町で、十年後にあそこに下水道ができるはずもないし、それほど都市化の施設が行なえると思えない地域までをこれはやっておる、線引きの中へ入れておる。これは大都市周辺の農地とはずいぶん違うと私は思うのです。たとえば十アール売って三千万も四千万にもなるところと、大体六、七十万のようなところせいぜいが十アール百万、そんなようなところが市街化反域へ入ってしまうということになりますと、私、この線引き自体の考え方も、まあいいかげんなあれを全国に押しつけたという感じがするわけです。それでいて固定資産税は重くなってくる。とても農業収入の——いままでの収益還元方式でいくのとは違いまして、まあ農業をやって米をつくってみたって、とてもその税金に見合うようた収穫があがらぬわけです。しかも、いまのように二年も三年も米価据え置きだということになれば、これは採算が合わないわけです。そうすれば結局税金だとかいろんな経費でたんぼは売り渡さざるを得ないというようなことに追い込まれるのでして、固定資産税の評価が上がってくる、それで都市計画税がここへかぶさってくる、そうしておいて相続の場合には相続税はさらに重くなってくるというと、だんだん農家というのは零細化してくるという危険性を持っておるわけです。いまの局長のお話、私もそうだろうと思ったのでありますが、これでは実際いうと純農村に近いところはやっていけなくなるのじゃないですか。何とか皆さんのほうは考慮をされる余地はないのですか。
  167. 細見卓

    細見政府委員 私の説明が不十分であったと思うのですが、固定資産税と違いまして、相続税は現在におきます売買価格を基礎にして評価をいたしておりますので、もし阿部委員の御指摘のようなかっこうで、固定資産の倍率で評価しておるところにおきまして、固定資産税が高くなりました場合には、倍率が低くなるという形で調整するわけでございまして、相続税のほうは市街化区域の線引きと関係なく、すでにその売買実例でそれなり評価をいたしておりました、したがって大都市近郊のようなところにおいては、農地でありましても高い評価をいたしておりました、というのでありまして、逆に純農村に近いようなところは、今度の線引きによって相続税評価が直接影響を受けるということにはならないと思います。むしろ倍数方式の倍数が減っていくというような形になるわけです。
  168. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 ところが、この倍率というのが、きのうもたしか平林さんから質問があったと思いますが、これは何も法律できまっておるわけじゃないのです。これは国税庁長官がきめるのですか、局長がきめるのですか、何かその辺できまるのじゃないですか。
  169. 細見卓

    細見政府委員 これは直税部長がありますから、もし詳しいことになりましたら直税部長が答えますが、国税局長が大体きめております。そして、その場合には、法律できめるというよりも、固定資産税との関係を時価との対比で倍率を見出すというわけでございます。
  170. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 税金は大体私は全部法律できめられると思うのです。あるいは比率が法律できめられておって、それでかけていく、あるいは法律で大体きめられておるのが、この農地の相続税だけは、倍率は局長権限できめるということになるわけですか。
  171. 細見卓

    細見政府委員 それは、たとえば所得税法で、税率その他は税法できまっておりましても、その人が幾らの所得であったかというのは調べて税務署の職員がきめるわけであります。それと同様に、その農地が幾らの値段のものであるかというのは、それを事実を調べるということでありまして、ただその事実を調べる場合に、およそ近接地域というのは、まあ地価でありますから大体似たものであるということで、一応倍率方式でやっておるわけでありまして、かかる最終的な負担というのは、そうした基準を法律で税負担を求めておるというわけであります。
  172. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、結論から言いますと、都市計画の中へ入ろうと、結局はいままで同様近傍類似価格で評価をするということになるから、まあ大体変わりはない、こういうことになるわけですね。
  173. 細見卓

    細見政府委員 事情にして同じであれば……。もちろん市街化区域になりまして変わってくれば別でございます。
  174. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 では、これで終わります。
  175. 毛利松平

    毛利委員長 堀君。
  176. 堀昌雄

    ○堀委員 文化庁に最初に伺って、お帰りをいただくために、まず入場税法第九条からひとつやることにしたいと思います。  入場税法第九条、非課税「文化財保護法の規定により助成の措置を講ぜられた文化財のみを公開する場所、国立劇場国立劇場法第一条に規定する伝統芸能のみを公開する場所」、あと学生、生徒の問題がありますが、これは直接関係ありませから省きまして、これ「への入場については、入場税を課さない。」  ちょっと文化庁にお聞きをしますが、「文化財保護法の規定により助成の措置を講ぜられた文化財のみを公開する場所、」というのは、一体これ、どこでしょうか。文化庁、御存じですか。わからなければ主税局でもいいですけれども
  177. 安達健二

    ○安達政府委員 いま文化財保護法の規定によって助成の措置を講ぜられておる文化財のみを公開する場所というのでございますが、これに該当するものとしまして、重要無形文化財に指定された芸能、この中には、そのほかに、記録の作成等について助成の措置を講ずべきものとして選択された文化財も入るわけでございますが、その「のみ」をその保持者に認定された者が公開するもので、雅楽、文楽、これは全面的に非課税になっておりますが、能楽につきましては、国税庁長官通達の適用基準によって実施されて、適用基準に適合しないで課税される公演もございます。歌舞伎についてはまだ適用基準の定めがございませんので、たとえば歌舞伎座で歌舞伎をやる場合については課税をされておる、こういうことでございます。
  178. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、雅楽と文楽は、どこでやってもいま非課税、こういうことになるわけですね。
  179. 安達健二

    ○安達政府委員 さようでございます。
  180. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、能楽はいま適合基準があるけれども、これで除外例がある場合とない場合、あとの歌舞伎ですね、歌舞伎は文化庁としては適合基準をつくる意思があるのですか、ないのですか。
  181. 安達健二

    ○安達政府委員 私どもとしては、歌舞伎についてもそういう適用基準をつくっていただいて、歌舞伎座でやる場合についても基準に合致する限りは非課税にしていただきたいということをお願いいたしております。
  182. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、今度はその次のほうにいきます。いまのは、そこまではよくわかりました。  その次の問題でありますけれども、「国立劇場国立劇場法第一条に規定する伝統芸能のみを公開する場所」とこう書いてある。主税局にお伺いいたしますが、この二項——二項というとおかしいですが、「国立劇場国立劇場法第一条に規定する伝統芸能のみを公開する場所」、こう書いてあるんですね。こう書いてあることは、二つの問題がここにあると思う。「国立劇場が」というのが一つあるわけですね。それから第一条の目的の、伝統芸能のみを、とこうかぶさって、二つある。これはいまの非課税対象にするための要件としては、あなた方は、これは二つなのか、一つなのかどっちか答えてもらいたい。
  183. 細見卓

    細見政府委員 国立劇場が主催者であり、出されるものが伝統芸能であるという二つの条件がかなっておるということで考えております。
  184. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、私はここでいまちょっと問題にしたいと思うのは、大体の趣旨としては、国立劇場法は第一条の目的で、「国立劇場は、主としてわが国古来の伝統的な芸能(第十九条第一項〔国立劇場の業務〕において「伝統芸能」という。)の公開、伝承者の養成、調査研究等を行ない、その保存及び振興を図り、もって文化の向上に寄与することを目的とする。」こうあるわけです。ですから、国立劇場は確かにわが国古来の伝統的な芸能の公開をするということが一つの任務になっております。今度は第十九条のほうには、「国立劇場は、第一条〔目的〕の目的を達成するため、次の業務を行なう。」「劇場施設(伝統芸能の公開のための施設をいう。)を設置し、伝統芸能の公開を行なうこと。」「その設置する施設において伝統芸能の伝承者を養成すること。」云々とこう書いてあるわけであります。そこで、一体国立劇場というものと——たまたま国立劇場というものを設けた趣旨というものは、第一条にあるように「主としてわが国古来の伝統的な芸能」の公開をするためにある。だから国立劇場というものが先にできているわけじゃないんですよ。わが国古来の伝統芸能の公開をするために国立劇場はできた、こういうことに法律ではなっていると思うんですね。いま法制局はいないからなんですが、文化庁はこれをどう解釈しますか。
  185. 安達健二

    ○安達政府委員 国立劇場は、御承知のとおり伝統芸能の保存、公開、伝承者の養成、こういうことをやるということでございます。したがって、もちろん伝統芸能というものがあって、それを公開すること、こういうかまえになっております。
  186. 堀昌雄

    ○堀委員 伝統芸能というものが先にあるんですよ、問題は。国立劇場が先にあって、伝統芸能があとにきているのじゃない。伝統芸能というものを要するに公開するということが日本における一つの文化的な主要な目的である。そこで国立劇場というものができた。いいですか。そうすると、この国立劇場法で、あなたは二つかかったと言っているけれども、これは実は一つなので、伝統芸能を公開するために国立劇場ができておるのであって、そうすると、発想としてみれば、国立劇場というのはただ単なる手段であって、目的は伝統芸能の公開にある。そうすると非課税の主体なるものは、この場合にはあくまでも伝統芸能の公開を非課税にしたということになると私は思う。いまの入場税法の第九条ですね、要するに、国立劇場が云々というけれども、それはたまたま国立劇場という一つの機関があるだけであって、目的は伝統芸能の公開にあるのだから、そこはそういうふうに解するのが私は相当だと思う。主税局長、どうですか。
  187. 細見卓

    細見政府委員 いまお読みになりましたように、国立劇場法は、「国立劇場は、主として」とありまして、そうでない場合があり得るというわけで、私どものほうは、こちらにおきまして「国立劇場国立劇場法第一条に規定する」云々というふうに明らかにしたわけでありまして、私どもはこの両方が必要な要件であろうと考えております。
  188. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、違うんですよ。いまのあなたの言うことは、国立劇場は、主としてわが国の芸能公開何々、その他その保存及び振興をはかることをもって目的とする——その他は、主としてというのは、その他に貸してもよろしいと書いてあるわけですよ。あとのほうの項にね。その他の目的に貸してもよろしい、伝統芸能以外に使ってもよろしいということがこの法律の中にちゃんと書かれているわけだから、そこでそうなっているということですね。だから「国立劇場が」というところにアクセントが実際あるんではなくて、国立劇場というものはたまたま伝統芸能をやるためにできた一つのものである。だからその国立劇場というものの中でやられておる伝統芸能の公開に私は非課税の主体があるのではないのかと思う。それでないと、要するにあなたのほうは二重にかぶせたつもりだと言うけれども国立劇場というものの本来の目的が国立劇場法第一条の考え方、それは、主としてであろうとなかろうと、これがもう伝統芸能の公開のために設けられた施設であることは間違いがないわけだから、その他は追従して出てきておる問題でありますから、だから少なくともこの考え方からすれば、私は非課税という発想は、いま文化庁が言うように伝統芸能の保持——文楽ならばどこでやっても非課税だ、雅楽ならどこでやっても非課税だ、そうなっているというわけでしょう。それならなぜ歌舞伎だけがいまの国立劇場だけであって、そのほかは、伝統芸能と同様であるのに適用基準が設けられないのか、これはどういう理由でしょう。
  189. 細見卓

    細見政府委員 この問題は、伝統芸能とは何かということの判定にもつながる問題でございまして、そういう意味で伝統芸能が何であるかということにつきましては、国立劇場で催しものが行なわれることであり、これが、その九条にいう国立劇場がその「第一条に規定する伝統芸能のみを公開」しておるということになっておるかどうかという判定を求めて行なっておるというわけでございます。
  190. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、文楽の場合にはそういう判定をするんですか。
  191. 細見卓

    細見政府委員 これはむしろ私よりも文化庁のほうからお答え願うのが筋かと思いますが、歌舞伎につきましては新作とか旧作とかいうような、これはむしろ堀先生のほうが詳しいと思いますが、そういうことで、伝統芸能に属するやいなやということについてはいろいろ議論もあるところで、そこを伝統芸能に属するかいなかを判定を求めておる、そういうわけでございます。
  192. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは文化庁に伺いますけれども、確かにいまの問題、新作は、確かに歌舞伎でも問題があります。しかし、ここに私がいただいた昭和四十五年度自主公演の歌舞伎の部、プリントが悪くて読めないからちょっと下へいきましょうか、「源平布引滝」それから「妹背山婦庭訓」もうちょっと下へいって「伊賀越道中双六、関白殿下秀吉、歌舞伎大老」それから「元禄忠臣蔵、神明恵和合取組」こういうふうにずっとあるのです。これ伝統芸能として処理されているわけですね。だからあなたのいまの言い方からくれば、伝統芸能であるということを文化庁が認定をすれば、それならばもう歌舞伎座であろうと明治座であろうとどこであろうとこれは非課税にするということにならなければ諭理が通らない、こういうことになりますね。要するに、適用基準をひとつつくってくれという文化庁の要望は、当然あなた方が適用基準をつくるべきだと思うのですけれども、その適用基準は本来、いまのように主税局が適用基準ということはおかしいのですよ。文化庁で適用基準をつくって、これをやりますよというように出してもらわなければ順序が逆になる。文化庁はそういう仕事をすべきところだから、そういうことでひとつ文化庁に出してもらったら、主税局はそれを受けて——いまそれは国税庁か、国税庁でも同じことだ。国税庁はそれを受けて、それではいまの雅楽や能楽、文楽は別だが、能楽が適用基準によって処理されているように、これは非課税で処理をするということにならなければおかしいですね。いいですか、その点国税庁は。
  193. 下條進一郎

    ○下條説明員 ただいまの問題につきまして、若干ほかの伝統的芸能と歌舞伎とは性格が違っておるようにわれわれは解釈しておる。と申しますのは、ほかの文楽等はそもそも古典的な芸術という点につきましては歌舞伎と似通った性格を持っておりますけれども、採算上きわめて苦しい、これは特に支援する必要があるというような性格を合わせ持っておるというようなことから、これが国立劇場で上演される場合も、それ以外の場合も除外するということでございますが、歌舞伎につきましては、御承知のように歌舞伎座で公演する場合は十分採算が立つわけでございます。したがいまして、これを国立劇場で上演する場合と同じように扱うということは——そもそも国立劇場においてそういう伝統的な芸能を上演するという性格とは異ってまいりますので、国立劇場でそういう伝統的なものを上演する性格を尊重して、そちらの場合では非課税、一方収益上十分採算が合うというようなことで歌舞伎が一般の歌舞伎座とかその他で公演されるという場合には課税をするというふうにいたしております。
  194. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと、そうするとこれは非常にむずかしい問題がいま出てきましたね。いまの次長の答弁によると、伝統芸能の問題のワクを越えて、そのものが収益性があるかないかが課税対象になるかならないかの境目になる。これは主税局長重要な問題ですよ、こうなってきたら。大体いまの税法の大部分のたてまえは、ずっと流れておる思想というものが、非課税にしようというのは要するに伝統芸能というものに一つのアクセントがかかっておる。だから伝統芸能でなければ国立劇場でやっても課税されておるじゃないですか。国立劇場が伝統芸能、こうなって、伝統芸能だからここは国立劇場でやっても非課税になっておる。収益性の問題からだけの問題じゃないですよ。これは伝統芸能だからじゃないですか。伝統芸能であっても収益性があるとかないとかで、所と場所では税金が変わるということになれば、課税対象が収益性いかんによって操作されるということになるのは、これは非常に重大だ。入場税法の精神から見ても非常に重要だと思う。
  195. 下條進一郎

    ○下條説明員 ただいまのことにつきましてなお補足的に説明させていただきたいと思います。  伝統芸能を国立劇場で上演した場合は、いま先生のおっしゃったとおりすべて課税しておりません。歌舞伎の問題につきましては歌舞伎の規定が非常にいろいろございます。したがいましてわれわれといたしましては、歌舞伎の範囲を国立劇場で上演した伝統的な歌舞伎ということにしておりますので、それの解釈をとっております。
  196. 堀昌雄

    ○堀委員 それはわかっているのです。私が言っているのは、あなたはいま歌舞伎の内容についていろいろ問題がある、こう言われたわけですね。問題があるかどうかは文化庁がきめることだから、文化庁としてはここでやられたと同じものを歌舞伎座でやったときにはあなた方のほうは非課税にしてほしい、こういうことでしょう。文化庁答えてください。
  197. 安達健二

    ○安達政府委員 国立劇場以外で行なわれる場合におきましては「文化財保護法の規定により助成の措置を講ぜられた文化財のみを公開する場所、」というわけでございまして、その場合には歌舞伎も入るわけでございます。つまり助成の措置を講ぜられた文化財に歌舞伎が入りますから、ぜひそちらのほうで適用基準に入れていただきたい、こういうことをお願いいたしております。
  198. 堀昌雄

    ○堀委員 どうですか、いまの答弁で文化庁が前段で助成の措置を講じている中に歌舞伎が入っている。入っていてなお、いまの次長の答弁のように収益性があったらだめで、国立劇場でやったら収益性がない。そんなことないですよ。国立劇場の入場料金は歌舞伎の場合には一体幾らになっているかといえば二千円からあるのですよ。入場料が国立劇場が格別に安くて千円、五百円で見ているということなら話は別だ。どうですか、これははっきりしなければこの入場税の法案の取り扱いはストップしてもらいたい。これはきわめて重要な問題だ、税法原則上の問題だから。
  199. 下條進一郎

    ○下條説明員 いま国立劇場以外で歌舞伎を上演する場合は文化財のみを公演するわけではございません。先ほど御説明したような趣旨と合わせましてこれは課税しておるということでございます。
  200. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、いまの歌舞伎だけ——これから調べますが、歌舞伎だけが番組にあった場合に課税していたらあなた方どうしますか。だれが責任とるのですか。大蔵大臣ですか、国税庁長官ですか。いまからずうっと過去にわたって調べるから。責任とりますか、歌舞伎だけの場合。
  201. 細見卓

    細見政府委員 文化財に指定された人たちだけが主になって行なわれておるものであればそれは別でありますが、そうでない人たちが大ぜい参加しておるというような場合になりますと、これは文化財保護法にいう文化財だけではないということになって課税はしかるべきかと思うわけです。
  202. 堀昌雄

    ○堀委員 いまあなた人たちというのは何ですか。人たちというのは芸能をする人が無形文化財でなければ課税するということですか。いまの人たちというのは何ですか、ちょっとそこをはっきり言ってください。
  203. 細見卓

    細見政府委員 無形文化財であります。無形文化財に該当する催しもの、こういうわけです。
  204. 堀昌雄

    ○堀委員 よろしいですか、あなた、もう一ぺん法律を読んでください。第九条「文化財保護法の規定により助成の措置を講ぜられた文化財」と書いてある。その文化財の中に歌舞伎は入っていると文化庁は言っているじゃないですか。だから歌舞伎でないもの、要するに現代劇と歌舞伎とを一緒に上演したというならこれは入りませんよ、「のみ」だから。歌舞伎だけをやったものについては課税してはならぬことになっているのです。しかしそれは課税したのは、さっきの次官の発言によったら、収益性があるから課税した、こう言ったじゃないですか、はっきりと。今度ここへきたらそれは違うのだと言ったって、そんなことあなた通らぬですよ。私がいま言っているのは、過去の例で、この第九条に基づいて、歌舞伎のみをほかの場所で上演したものについて課税をしたら、それは国税庁長官が違法な課税をしたということになるのだから、その責任は国税庁長官がとるのか、大蔵大臣がとるのか、どっちかと聞いているのですよ。課税の例は、これからはっきりさせるから、いまできないけれども……。これは、きょうは困ります。私、調査をしてまたやらなければいけない。
  205. 細見卓

    細見政府委員 歌舞伎と申しますのは、もう堀委員御承知のとおり、非常に広い範囲のものがございまして、先ほど来文化庁のほうで助成しておると言われる、まさにそのとおりでございますが、全部が助成されておるわけではないわけでございまして、その辺の区別というものがむずかしい。先ほど次長が、収益性云々と申し上げましたのは、いわば国民感情的な観点から申し上げたわけで、たてまえは助成されておるかいなかということが基本であろうと思います。
  206. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、それなら次長、発言を取り消すか、訂正をしなければ、あなた、これは重要な法案審議の中で誤った答弁をして——この間から大蔵省誤った答弁ばかりしておるわけです。この間のIDAでも誤った答弁をして、大臣がここでこの間陳謝したばかりじゃないか。だから取り消すなら、はっきりいまのは間違っておりました。収益性の問題は課税上の問題ではありませんと、あなたはっきり言ってくれなければ、私は了承できませんよ。
  207. 下條進一郎

    ○下條説明員 それでは、いまの点をもう一回御説明させていただきます。  歌舞伎の規定でございますが、文化庁のほうの規定でいろいろと基準がございます。その中で主として指定された演出者によりまして構成されておるということが基準になっております。しかし、そういうような形で実際に公演されておるということは非常に少ないわけでございまして、それ以外のものがかなりまじって公演しておるということになる場合があるわけでございます。そういう場合で歌舞伎座で上演されておるということになりますと、その場合には収益のほうが主になっていくということでございまして、収益がすべてその判定の基準であるわけではございません。いまのように歌舞伎座に出演する役者の構成のメンバーが、保存会の主たるメンバーで構成されておるということが一つの基準になっております。
  208. 堀昌雄

    ○堀委員 文化庁に伺いますけれども、そうすると、文化庁は要するにいまの役者に、何か構成メンバーに制限を設けておる。伝統芸能をやるということに、役者の中にそういう特定の範囲を設けているんですか、実際に。これは重大ですよ、そうなれば。要するに、それは無形文化財になっておる芸能者はおりますよ。それはあるが、無形文化財の芸能者以外がやらないのなら、全部それは伝統芸能ではないということにはならぬと思うのですよ。さっきの人々、それから演出者によって、出演者の構成メンバーとその資格というか、これらが伝統芸能を左右する条件なのかどうか。これは非常に重要な問題ですから、はっきり答えてください。
  209. 安達健二

    ○安達政府委員 無形文化財というものを、どうとらえるかということで、現在の文化財保護法では歌舞伎、文楽、そういうものにつきましては、つまり伝統芸能というのは、いわば無形のわざである、しかしわざというものは、人なくしてはあり得ない、したがって、無形文化財として歌舞伎を指定して、それをだれが保持しているか、そういう人によって保持されているような歌舞伎を保存する、こういうたてまえになっておるわけでございます。  それから次に、その歌舞伎の場合に、指定が二つございまして、一つは特定の名優を指定する場合、たとえば歌舞伎の立て役で、これは鴈治郎というように、その名優によって演技されるものを指定するというのが一つ。それからもう一つは、団体指定と申しまして、先ほど来出ておりますような文楽、それから能楽等につきましては、保存会というものをつくってもらって、そして保存会の会員がございまして、会員として、たとえば歌舞伎の場合は約九十名ぐらいでございまして、現在指定されている場合には、その演目の重要な構成人物の大部分が、この社団法人伝統歌舞伎保存会の会員であること、それが助成の措置を講ぜられている歌舞伎でございまして、大根役者がやるものまでも、これは指定の対象にはなっていない、こういう考え方になっておるわけでございます。したがいまして、いまこちらでおっしゃいましたような、指定されている対象は何かというと、九十名何がしの人たちがやっておるところの歌舞伎ということでございます。ただ私どもつけ加えさせていただきますれば、それがはたして歌舞伎座の場合は、そうでないかどうかということについては、必ずしも明らかでないと思います。
  210. 堀昌雄

    ○堀委員 だから、これは常識の問題で、われわれも、いなかを歩いている人たちが、いなか芝居で歌舞伎をやっている、われわれの全然名前の知らぬ人がやっているものを、ここで非課税にしろという議論をしているわけではない。ただ少なくとも伝統芸能としていまの九十名、しかし私は、いまの国立劇場で九十名以外の者が一名も参加してはならないということではないと思う。主たるものが九十名、それは人間は病気をしたり何かするから、だから主たる部分が、この九十名の中にあるならば、そうして演題そのものが、少なくともこれまでの伝統的歌舞伎というものであるならば、歌舞伎座であろうと、国立劇場であろうと、伝統芸能の保持という意味では、いまの文化財の前段のほうの助成を受けているものでもあるし、非課税が相当である。これは要するに文化庁の見解でしょう。どうですか。
  211. 安達健二

    ○安達政府委員 私どもは、いま先生のおっしゃったような見解で早く適用基準をつくって非課税をやっていただきたいということをお願いしておりまして、検討しよう、こういうことになっております。
  212. 細見卓

    細見政府委員 そこで、やっと見解が双方明瞭になってきたわけでありますが、国立劇場で行ないます場合には、国立劇場が伝統芸能を行なうときには非課税にするということになっているわけです。  もう一つ、文化財そのものが公演される場合には、どこであろうと非課税にしている。ただ、しかし歌舞伎のようなものになりますと、文化財に指定されたような人たち、あるいは九十名何がしの人たちだけで行なうということは、国立劇場で行なう場合でも困難な場合がございます。その場合は、しかし国立劇場で行なう伝統芸能であるということで非課税にしているわけで、その問題についてバランスの問題、歌舞伎座のものもまけろということは、お話としてはわかりますが、法律の解釈としては、私どもとしては、まあまあだと思っているわけでございます。
  213. 堀昌雄

    ○堀委員 まあまあとかどうとかいう話ではないのです、実はこの話は。なぜかというと、法律の規定が要するに前段のほうにちゃんと書かれているわけでしょう。いま私が言ったように「文化財保護法の規定により助成の措置を講ぜられた文化財のみを公開する場所、」こう書いてあります。そうすると、いまあなたが言うように、それはこの九十名だけでなければ伝統芸能といえないかというと、そんなことはないわけだ。これは主たる部分がそれであれば、あとともかくそこでちょこちょこと一回道を歩く人間が九十名の中でなかったら伝統芸能といえない、そんなことは常識の問題として考えられないわけだ。そうすれば、どちらかといえば、われわれが見ているところでは、国立劇場でやっているときよりも九十名の人間が歌舞伎座や何かでやっているときのほうがたくさん行っている。これは商品としてやる以上、当然伝統芸能としての体は、こっちのほうがより体をなしているにもかかわらず、いまの処置がされていないというのは法律上も問題がある、私はそう言いたいわけですよ。もう少しこれは法制的に詰めなければいけないしするから、法制局の部長でいいから入ってもらって、それからその続きをやります。  そこで次に問題が出てくるのは、そうすると確かに伝統芸能というものは、このように法律上において優遇されている。これは、われわれも伝統芸能を保持するという日本文化固有の問題としてこれは非常に重要だと思います。  そこで、文化庁にお伺いしますが、文化という意味では、伝統芸能だけが日本文化として今後に重要かどうか。伝統芸能を保持するということは、要するにその伝統芸能が時代の動きの中で、ややもするとそういう位置をそこなう条件が、社会的発展の中であるから、これはひとつぜひ保護しなければならぬ。しかし保護しなければならぬということと、国民に対する文化の価値という点においては、その他の各種の芸術、いま劇場その他で行なわれる音楽でもそうでしょう。それから新劇でもそうでしょう。あるいは新派の人たちでもそうでしょう。こういうような演芸あるいは音楽、そういう式のものですね。そういう文化というものの間には私は差はない。要するに伝統芸能を文化財保護でやっていることは、ほっておくと消滅するおそれがある。これは日本のわれわれの文化を保持する意味で保護しているだけであって、だからそれは保護という形ではこういう形で伝統芸能とかいろいろいわれているけれども、文化の質としての問題、国民に対する文化の質としての問題の中には、私はこれらとの間にあまり格差はないんじゃないかと思うのですが、文化庁はどういう見解でしょうか。
  214. 安達健二

    ○安達政府委員 筋合いとしては違うものではないと思いますが、ただ国家が助成の手をいろいろなところでする場合には、やはり弱いものといいますか、そういうささえがなければ残らないものにまず手を出さなければならない、こういうことでございます。
  215. 堀昌雄

    ○堀委員 だから助成の話は別です。なぜ助成しているかといえば、ほっておけばなくなるかもしれない。力が弱いということですから、その点はいいんですよ。ただ私が言っているのは、文化の質として、国民に対する文化の質としては差別を設ける性格のものではないんじゃないか、こう言っているわけです。その点もう一回はっきり答えてください。
  216. 安達健二

    ○安達政府委員 筋合いとしては御説のとおりだと思います。
  217. 堀昌雄

    ○堀委員 あとで法制局が入りますからこの問題を引き続きやりますけれども、やはりきょうまでのいろいろな議論の中で行なわれておる一つの問題の中に、入場税はなぜできてきたかという沿革がずっとありますね。私はこれは触れません。触れませんけれども入場税物品税もいずれも戦時中にできてきて、要するに財源確保の一つの手段として出てきたということですね。財源確保の手段であるし、戦時中であるから文化だとかそういう物品の購入ということは、戦争という一つの重大な国の行為の中ではきわめて低い次元でしか考える必要はなかったという客観的な情勢があったと私は思う。しかし今日やはり物質文明が非常に先行してきて、いまや人間がいろいろな意味で荒廃の中へ立たされておる今日、非常に重要なのは、もう一ぺんここにわれわれは文化の問題というものを本質的に考え直さなければならないところに立っているんではないのか。その意味では過去における六〇年代の文化の問題と七〇年代の文化の問題というのはおのずから質的に相違がある、私はこう考えています。政務次官どうですか。私は六〇年代における文化に対する国民の考え方と七〇年代の文化に対する国民の考え方は、より国を含めて文化というものの重要性の再認識に立たないと、物質文明だけでは問題が解決をしないという問題にわれわれがいまぶち当たっているということを私は深く反省をしておるわけですが、政務次官どうでしょうか、その点。
  218. 中川一郎

    ○中川政府委員 お説のとおりだと思います。
  219. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで今度は少し税のほうに入って伺うわけでありますけれども、私は非常に納得ができないのは、あとで稿田さんが入られたら福田さんに会議録を読んで申し上げるのですけれども、実は四十四年に福田大蔵大臣は参議院で木村さんの質問に答えて、入場税の問題はぜひ来年度やります、やりたい、こう言われたわけですね。昨年の予算委員会ではどう言っていられるかというと、お約束をしておったのに入場税はやれなかった。しかし実はこれは消費税体系として物品税と非常に重要な関係があるので、ここで入場税をやると物品税との関係が問題になるからやらない、しかし来年はやります、こう答えられた。減税をやると答えられた。ところが、主税局長にお伺いをいたしますが、まあ古いことはやめます。昭和三十七年に入場税が国税に移管をされました。このときに減税が行なわれました。同時に物品税も減税が行なわれました。これの減税率は一体幾らだったでしょうか。
  220. 細見卓

    細見政府委員 後ほど資料でお答えいたしますが、かなり大幅であったことは事実でございます。
  221. 堀昌雄

    ○堀委員 その次に、四十一年度に物品税の減税をさらに行ないました。これもあわせて、予定税収、減税額、それから減税率、ここらを、三十七年の入場税物品税、昭和四十一年の物品税の減税についてお答えをいただきたいと思います。時間がもったいないからあとでけっこうです。まあ私のほうから率だけ言っておきますが、昭和三十七年は四一%入場税は減税をいたしました。物品税は一四%であります。昭和四十一年度の物品税は一七・六九%の減税率であります。私は少なくとも間接税——直接税を通じてもそうですが、まあいまの直接税というか所得税の場合は根っこが非常に大きくなっているからなかなかそうはいきませんけれども、過去における間接税で三%の減税なんというものは、これは減税とは言わないのですね、この程度なら。私が言ったように、過去の四〇%はなかなか大幅な減税ですけれども、そうでなくても一四%なり一七%、せめて一〇%台をこえるぐらいが私は減税という名に値すると思いますが、政務次官どうですか。
  222. 中川一郎

    ○中川政府委員 減税したといわれるとすれば一七%ぐらいいかないといけないかと存じますが、ちょっと蛇足になりますが、われわれもそれぐらいはやりたいと思ったのですが、昨日来申し上げておりますように二百円あるいはその上にいきましても、減税する対象がどうも怪しい点があるというところから、いささか三%……。
  223. 堀昌雄

    ○堀委員 三%、三・一六。
  224. 中川一郎

    ○中川政府委員 三・一六、少ないものではありましたが、昨年来のお約束もありましたので、十分いばれるほどではありませんが、この程度は社会情勢その他を見てまあまあいいところじゃないかということで提案いたしたような次第でございます。
  225. 堀昌雄

    ○堀委員 それじゃ主税局長に、いま政務次官が答えられた問題があるというあれですけれども、問題があるというのは、あなたのことばによってもどうもストリップ劇場が非常にひっかかっておるようだけれども、ストリップ劇場の入場税収は一体幾らですか。ちょっと答えてもらいたいのです。
  226. 細見卓

    細見政府委員 税収として幾らだということはちょっとわかりかねますが、私どもがサンプル的にとっております入場料の調べによりますと、百五十円程度というところにそういうものがかなり集中的にあるということでございます。
  227. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのあなた方の発想ですと、いま私これは入場税の税収に関係があると思うのです。税収がネグリジブルであるにかかわらず、ストリップというものだけに問題があるから、そこで百円が二百円に上げられなかったというのは、これは入場税上としては重要な問題ですよ。よろしいですか次官。ストリップ劇場の入場税収入をひとつ答えてください。それでなければ論拠にならないわけだ、それは。百四十億中ストリップ劇場の入場税は一体幾らなのか。これが百円以上に上げられなかった理由だというならこれは重大ですから、そこのところをきちんとまず答えてもらいたい。
  228. 細見卓

    細見政府委員 税収で申し上げておるのではなくて、そういう階層にまで重点的に軽減されるというのが社会的判断としていいか悪いかということについて、各方面の御意見を聞いて、やはりそれは必要最小限のものにとどめて、その辺まで含めることは妥当でない、こういう判断をいただいたわけでございます。
  229. 堀昌雄

    ○堀委員 税制の政策は、その税の対象が税全体の中に占める割合によってものを判断しないと、それが千分の一のウエートしかないもののために千分の九百九十九が犠牲をこうむるような税制をつくっちゃならぬですよ。そう思いませんか、ストリップ劇場の話を別にして。千分の一か万分の一かいまからデータを出してもらう。データがもしなかったらこれまた入場税の審議をするわけにいかぬ、こんなことでは。だからその点はひとつデータをきっちり出してもらわないと、税の政策の判断というのはそういうところにあるべきじゃないのですかね。要するに一〇〇%すべてのものを補完するというようなことは私は税制はできないと思います。常に例外はあるのです。その例外のために多数がやむを得ないというなら、その例外が例外たるだけの重要性がなければいけませんよ。だからいまたまたま百五十円のところにストリップ劇場がある。しかし考えてごらんなさい。ストリップ劇場に行く人たち、これは特定の人が行っているわけです。全国にそんなにたくさんあるわけじゃありません。少しずつあるでしょう。あるでしょうけれども、映画館だとかその他のものに比べてそんなには問題になる対象ではないと私は思うのです。だからそれはひとつ出してもらってから議論をしましょう。  その次にお伺いをしたいのは、この間からずっと話の議論を聞いておりますと、入場税消費税体系全体との関連の話がたびたび出ておるわけです。そこでさっきも局長はこういう表現をしておられたですね。趣味、娯楽には免税点を設けていない、こう答弁している。これは私がメモしたのだから事実かどうかあなたにもう一ぺん確認しておきますが、趣味、娯楽には免税点を設けないかどうか、その点をちょっと答えてください、消費税全体の中で。
  230. 細見卓

    細見政府委員 その答弁の前にもう一つ申し上げておったかと思いますが、中小企業対策で設けておる特殊なものを除き、ということをその前日の答弁でお答えしておりましたので、繰り返しておらないだけでございます。
  231. 堀昌雄

    ○堀委員 ところが、さっきもすでに話があったわけですけれども中小企業という問題を非常に皆さん免税点のところでされておるわけですが、遊興飲食税というものも消費税の体系ですね。これは趣味か娯楽かということになると、遊興飲食というのは趣味だという人もあるだろうし娯楽だという人もあるだろうから、これは何だということはちょっとむずかしいと思います。しかし少なくとも趣味娯楽に類するものということだと思うのですが、主税局長、これは別ワクですか。
  232. 細見卓

    細見政府委員 やはり消費の態様が違いますが、広い意味で同じカテゴリーに入るものであろうと思います。
  233. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食免税点は現行千六百円が今度の改正案で千八百円に提案をされますね。さらに基礎控除というのは消費税にはあまりふさわしくない、こういう答弁があったのですが、しかしこれは現行八百円が今度改定で千円の基礎控除が、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食の免税点には採用されておるわけですね。それから飲食店、喫茶店等における飲食の免税点は現行八百円が今度は九百円になる。こういうことで免税点がある。そうすると、いまの消費税の中で基礎控除というのは望ましくない、免税点がないのだというけれども、これはあるのですね。これはいまの百円に比べて、八百円が今度は九百円にもなるのですね。これは一体どういうことでしょうか。
  234. 細見卓

    細見政府委員 それが答えたくてむずむずしておったのでございますが、まず基礎控除から申し上げたいと思います。基礎控除があるのは人間がどこで寝てもやはり人間である限り寝なければいかぬ、宿屋で寝たからといって、根っこからかけたのじゃいかぬ、自分の家のふとんで寝たときと同じにしようじゃないかというのが基礎控除でございます。これが宿泊の場合の基礎控除でございます。  それから免税点につきましても、うちで女房がつくったものを食ったところである程度の金はかかるわけです、人間が生きていく限りは。そういう意味におきまして、ある程度高い免税点を置かざるを得ない。ただその免税点の高さが適当な本のであるかどうかというのは、これはかってに御判断願うことだと思います。
  235. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。  そこで、そういうことで家で食べても外で食べても食べるに変わりはないから免税点ができた、こういうことですね。そうしたら、今度は物品税を少しやらせてもらいますが、物品税の中で、いまの消費の様態にかかわるものの中で免税点がかなりありますよ。では今度は物品税免税点は何ですか。
  236. 細見卓

    細見政府委員 ある程度大衆的に消費されておるようなものを排除したいとかあるいは中小企業対策として考えておるものとかいうようなもので主としたものはあろうかと思います。もちろんそれ以外にもあるものはあります。
  237. 堀昌雄

    ○堀委員 それじゃ伺いますが、いま新劇の劇団がたくさんありますね。これは中小企業でしょうか、何でしょうか。
  238. 細見卓

    細見政府委員 大きなものではないと思いますが、中小企業というカテゴリーに入るものかどうかはよくわかりません。
  239. 堀昌雄

    ○堀委員 中小企業というのは資本金が現行五千万以下従業員三百人以下ですね。新劇の団体、これは団体が株式会社になっておるか、社団法人になっておるかよくわかりませんけれども、しかしその基金となっているのは五千万以上であったり従業員が三百人以上というのはないですね。いまの一般通常概念で私は中小企業だと思うのですが、あなたはそう思いませんか。
  240. 細見卓

    細見政府委員 まあ比べようのないものではないかと思うのでございます。
  241. 堀昌雄

    ○堀委員 だってこれも、ここの収入に対して課税しているのでしょう。法人税をかけているのじゃないですか。そうしたらこれは一種の企業でしょう。法人税をかけているのじゃないですか。何をかけていますか。
  242. 細見卓

    細見政府委員 法人税を課しております。
  243. 堀昌雄

    ○堀委員 法人税がかかっておるものでどうして中小企業かないかの判定ができないのですかね。比べようがないというのはちょっとおかしくないですか。
  244. 細見卓

    細見政府委員 いわば団員をもって構成されておる同志的な結合であることも多いわけでありますので、いわゆる中小企業というカテゴリーで判定するのがいいかどうか、結果として収益が出てきたものについて課税しておることもございますが、商業劇場その他を除きますれば、やはり同志的な結合というもののほうがむしろ多いのじゃないか、かように思っております。
  245. 堀昌雄

    ○堀委員 同志的結合でできておる団体はそれじゃ中小企業と言えないわけですか。同族法人その他で同志的に結合してやっているものはたくさんありますよ。それじゃいまあなたの言う課税法人上の同族法人中小企業にならないのですか。法制局ちょっと答えてください。いいですか。いまこういう議論をしているわけです。私が新劇の劇団というのは中小企業ではないか、こう言ったら、どうも中小企業と答えたくないらしいのです。そこで中小企業だから新劇の劇団から税金を取っているでしょう、取っている、法人税取っています、そうすると「この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。」それでこの中では、法人のところは、内国法人、外国法人、公共法人、公益法人等、協同組合等、人格のない社団等、普通法人、同族会社、こういうふうにずっと書いてある。いろいろまだありますけれども……。そうすると主税局長はいま同志的結合によってできておる団体だから中小企業じゃない、こう言うけれども、同族会社というのは私は同志的結合によってできておる会社だ、こう思うのですが、法制局、同族会社に対する見解はどういう見解でしょうか。
  246. 荒井勇

    ○荒井政府委員 中小企業とはどういうものかというのは、それぞれの法律でそれぞれの立法の趣旨、目的に照らして対象範囲を限定して、中小企業基本法及びこれに基づいてたくさん制定されておりますところの各法律が、この法律において中小企業とは次に掲げるものをいうといって、資本金五千万円以下とかあるいは従業員数が何人以下というような組み合わせでいろいろな定義を設けておりますし、たとえば租税特別措置法で、中小企業についての特別措置を若干講じておりますが、そういう場合に適用する中小企業とはこういうものをいうのだということを書いているわけでございます。それで法人税を課税するかしないかというような問題、あるいはその他の租税法規を適用するにあたって、中小企業とは何かといって聞かれますと、それぞれの実定法に書いてあるものだという答えにしかならないだろうと思いますので、同志的結合というのはちょっとわかりませんが、同族会社の中にも同志的結合はありましょうし、ゲゼルシャフトとして営利的に結びついているというのもありましょうし、各種各様だとは思います。
  247. 堀昌雄

    ○堀委員 いいですが、やはり私はこういう問題はもっとすなおに考えていかなければいかぬと思うのですよ。私に言わせれば、小さな一つの企業体というか団体が営業性について必ずしも大資本の会社のように力もなければ収益力も十分にないというものを一般的概念として中小企業という。それをいまのように資本金を五千万円以下にするとか三百人以下とするとか、これは人為的に考えたものですけれども、私は中小企業という概念は普遍的に社会の中にあるものだと思うのです。そういう普遍的概念の中で、新劇の劇団というのは、この人たちは演劇だけで収益をあげることはできないから、テレビに行ったり吹きかえをやったり、いろいろなことをしながら収益をあげることによってその劇団を維持していこうというのですから、私はまさに中小企業だと思うのですね。だからさっきから一つの問題点の中に中小企業が出てくるから、中小企業のためにというならここにも一つ免税点の配慮というものが政策的に当然考えられるべきではないか、こういうことなんですが、文化庁気の毒ですから、早く帰したいので、さっきのところに戻ります。  ちょっと法制局にお伺いをいたしますけれども、どういう議論をしているかというと、入場税法の第九条に「文化財保護法の規定により助成の措置を講ぜられた文化財のみを公開する場所、国立劇場国立劇場法第一条に規定する伝統芸能のみを公開する場所」あとありますが、「への入場については、入場税を課さない。」こういう議論をいましておるわけです。そこで、ここで明らかになったことは、文化庁としては歌舞伎についても助成をしておりますということなので、前段のほうの非課税対象になっておると私は判断するわけです。ただその非課税対象になる歌舞伎というものについては一つの限界が引かれておる。その限界というのは、伝統歌舞伎保存会という会があって、その会員に九十名ばかりの人が登録されておる。そしてその演目も伝統歌舞伎であり、この保存会の会員が主たるメンバーとして出ておる歌舞伎というものを伝統芸能として助成の対象考えておる、こういうことでしたね。文化庁、いいですね。
  248. 安達健二

    ○安達政府委員 はい。
  249. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、いま言ったカテゴリーに入るものが歌舞伎座で行なわれておれば、当然これは入場税法第九条の前段のほうに該当するから、ここでやって——いまの範囲ですよ。いまの範囲でやられておるものに、私がこれから歌舞伎座なり明治座なりを調べて、過去に入場税を取っておるとするならば、これは第九条に違反する行為ではないのか。だからそういう入場税を取ったことについて、法律に違反をして課税をしたということに対する責任は国税庁長官か大蔵大臣に点るのではないかという議論をいましておるわけです。だから、文化庁の言っておる要するに歌舞伎の中に一つの範囲がある、その範囲は伝統芸能の範囲ですが、その範囲が第九条の前段にいったものにぴしゃっと合っておる限り、場所の指定はないのだから、要するに国立劇場であろうと歌舞伎座であろうと非課税対象になるべきものに課税をしたという問題については問題がありますよと私は言っているのですが、法律解釈はそういうことでしょうね。
  250. 荒井勇

    ○荒井政府委員 入場税法第九条の規定で見ますと、国立劇場関係は……。
  251. 堀昌雄

    ○堀委員 そこはあとです。前段で言ってください。
  252. 荒井勇

    ○荒井政府委員 前段で言いますと、「文化財保護法の規定により助成の措置を講ぜられた文化財のみを公開する場所、」ということでございますから、助成の措置を講ぜられた文化財以外のものもあわせて公開するような場所であるとすれば、九条の規定にぴたりとはいかないと思います。歌舞伎が国立劇場におきまして公開されるという場合には、歌舞伎が伝統芸能である、これは国立劇場法の中にも書いてありますけれども、そういう伝統芸能であるという限り、国立劇場で歌舞伎が開催される限りにおいてはこれが非課税になることはもちろんだと思いますが、他の開催主体、経営主体国立劇場において……。
  253. 堀昌雄

    ○堀委員 余分のことを答弁しなくていいです、時間がもったいないですから。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕私がいま言っているのは、「場所」というこの表現は、劇場を指定しているわけではなくて、その演目、演技が行なわれたその入場料を支払うに相対する時間と場所、それをここで規定していると思うのです。それはそういうことでしょう。要するにその入場税対象にならないときに、そこで何をやっておろうとそんなことは関係ない。たとえば三月三日当日、午前の部と午後の部とある。午前の部においていまここに書かれた伝統芸能として文化庁が認めておるところの歌舞伎のみが上演をされた。それに対して入場税を課したという例がもし過去にあったとするならば、これは入場税法違反の行為を国税庁がやっておることになりますねと聞いているわけです。
  254. 荒井勇

    ○荒井政府委員 国立劇場の……。
  255. 堀昌雄

    ○堀委員 国立劇場関係ありません。前段だけ言ってください。歌舞伎座の話をしているのですから。
  256. 荒井勇

    ○荒井政府委員 「助成の措置を講ぜられた文化財のみを公開する場所、」に当日当たっているという場合に、その入場について課税をすることはないであろうというお尋ねの趣旨であるとしますと、当該催しものではそういう助成の措置を講ぜられた文化財のみをその日としては公開している。しかし従来それのみは公開しておらず、今後もそれのみを公開するとは限らないという状態になりました場合……。
  257. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと待ってください。私が言っていることをよく聞いてください。いいですか。入場税というものはある一つの時間を限ってある一つの演目が行なわれることに対して入場料を取り、その入場料に相対した入場税があるというのが現行の状態です。わかりますか。よろしいですか。事実関係をよく聞いてください、ちょっと待つから。理解もされずに答弁されると時間がもったいない。
  258. 荒井勇

    ○荒井政府委員 途中で参りまして、事実関係をよく存じなかった点がございますが、その日だけは助成措置を講ぜられた文化財のみを公開するという状態になっておれば、それは非課税だと思います。それから、終始通じて文化財のみを公開する場所として、たとえば国立博物館があるというような場合にも、これは終始通じて非課税になるという趣旨で書かれているものだと理解しております。
  259. 堀昌雄

    ○堀委員 そこだけ聞きたかったわけです。  だから、いまここに書かれておることは、ある何月何日——大体歌舞伎座も一カ月ぐらいは興行しておりますから、何月何日という必要はないと思いますが、その午前の部なら午前の部、その中に少なくともいま文化庁が認定をする伝統歌舞伎だけがあるということが過去十分たくさんあると思うのです。過去数年にわたって調べれば調べられるのですから、これを調べた結果、もしそれが出てくれば、いわゆる顔見せ興行とかその他のそういう興行のときには、特にそういう特定して歌舞伎だけをやっている場合が十分あると思うのです。だから、もしそれをそうやってみて、その演目が文化庁の認定する伝統歌舞伎に合致している場合に税金を取っているとすれば、それは国税庁として入場税法違反の税を取ったのだ、こういうことになると思うのです。  それでけっこうですが、それについて政務次官、そうすると、そういう違法な税金を取り立てたという責任はだれにあるのですか。
  260. 中川一郎

    ○中川政府委員 そういうことがはっきりいたしておれば、これは少し問題としてあれしなければいけませんが、いまの堀委員の御指摘は、そういうことがあったとすればという仮定でございますから、これは違反であるかどうかは即断はできないのではないかと存じます。
  261. 堀昌雄

    ○堀委員 私が言っているのは、これから調べて、その調べた結果をここに出しますから、出して違法が明らかになればという前提ですよ。責任はだれがとるかと、言っているのです。
  262. 中川一郎

    ○中川政府委員 第一次的には国税庁であり、最終的には大蔵大臣ということになろうかと思います。
  263. 堀昌雄

    ○堀委員 法制局けっこうです。もうそこだけはっきりすればけっこうですから。文化庁も、これはどうせこれから調べてもう一ぺんやりますから、またそのときにひとつ御出席をいただきたいと思います。  そこで次の問題は、アメリカとイギリスで実は入場税が撤廃をされました。イギリスは一九六〇年四月十日以降廃止をされ、米国は一九六六年一月一日以降入場税が廃止をされました。  主税局長にお伺いをしますが、この両国がこの税制をなぜ廃止することになったのか。これはやはり税法ですから、法律によって出ておるわけですから、法律をもって廃止をしたのだと思います。その法律をもって廃止したときの主たる理由をちょっとここでお答えをいただきたいと思います。
  264. 細見卓

    細見政府委員 アメリカは、ジョンソン大統領が消費税減税教書というのを出しまして、消費税一般を引き下げたその理由は、上昇傾向にあった消費活動を維持するため、消費税全般につき大幅な整理縮小が行なわれまして、その一環としてほかのテレビ、冷蔵庫、毛皮等の消費税を一緒に廃止したものでございます。  それからイギリスについて申し上げますと、イギリスは御承知のように演劇、音楽等の入場税が、日本の年度で申しますと昭和三十二年にすでに廃止になっておりまして、映画だけが課税として残っておったというようなことで、この批判もあって三十五年に廃止されたというふうに承知いたしております。  ただ、アメリカの場合は連邦税としては廃止されましたが、州税として二〇%から三%に至るような課税が行なわれておるようでございます。
  265. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの州税ですけれども、私の調査したところでは、州税の最高四%、三%、二・五%、二%、一・五%、こうなって、四十八州中二十州がいまの遊興税については州税を課しておる。レストランその他においてもほぼ同率の州税が課されておるけれども、これが課されていないところが半数ある、こういうふうに私の調査ではなっておるのですが、二〇%の州税を課しておる州があったらちょっと答えてください。
  266. 細見卓

    細見政府委員 州というのが適当であるかどうかわかりませんが、プエルトリコです。
  267. 堀昌雄

    ○堀委員 そのプエルトリコ以外にはどうですか。あとは私が言ったように四%、三%じゃないですか。
  268. 細見卓

    細見政府委員 テキサスが一〇%、あとは堀委員御指摘のような税率になっているようであります。
  269. 堀昌雄

    ○堀委員 どうもいま答弁を聞いておりますと、二〇%以下三%くらいなんというと、二〇%の州がたくさんあるように聞こえますが、このプエルトリコというのは州じゃないですね。だから州税ではないですね。私のほうの資料は大蔵省の小松さんの書いた資料だけれども、これには残念ながらテキサスの一〇%が入っていなくて、最高四%以下に全部なっております。だからあれですが、いずれも実態は四%、三%の程度の州税が課されておるにすぎないということになっておるわけです。  それからその次に、フランスの付加価値税は、いまのテレビ、映画、それから演劇等は、一体付加価値税は幾らついているか、ちょっとお答えをいただきたい。
  270. 細見卓

    細見政府委員 付加価値税は、映画、テレビ等が一七・六%、演劇、コンサート等は七・五%という税率になっております。
  271. 堀昌雄

    ○堀委員 確かにアメリカなりイギリスはいま主税局長の答えられたようなことが表に出ておると思います。しかし実際にはテレビの普及というものが私は入場税の問題に非常に関係があると思っているわけです。要するにテレビで見ればただですね。入場税も何も払わないで同じものが、まあそれはテレビですから、現物を見たのとは違いますけれども、税金を払わないで片方では見られる。劇場に行くと入場税を払うということの中には、やはり課税上の問題として一つ問題がある。昭和三十七年の税制改正のときの税制調査会の答申をつぶさに読んでみたのですが、すでに三十七年当時において、このテレビ問題というのは税制調査会一つの論議の問題点になっている、こう思うのですね。ですからこの点が一つと、フランスでは、いまのようになまものに対しては七・五%、しかし映画やテレビに対しては一七・六%の付加価値税をかけておる。それはフランスのことだからあれですが、私ども考え方としては、やはりそういうなまものとその他の相違というものは、当然こういう形で何らかの区別があってしかるべきではないか、こういう感じがするのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  272. 細見卓

    細見政府委員 確かにフランスは非常に文化的なことにつきましても配慮が多くて、御承知のようにオペラ座だとかあるいは劇場とかいうものも国有になっておる、俳優といいますか役者といいますか、これはもう政府の役人である、政府から給料をもらっておるというようなことがございますので、そういう背景を含めて考えなければいけない問題じゃないかと思います。
  273. 堀昌雄

    ○堀委員 しかし、それはフランスが文化の問題を重視するということはいいことですね、どうですか。政務次官、文化を重視するというのは国の一つの政策としてはたいへんいいことだと思いますが、どうでしょうか。
  274. 中川一郎

    ○中川政府委員 原則的にはそのとおりいいことであろうと存じます。
  275. 堀昌雄

    ○堀委員 原則的というお答えですから、例外があるんでしょうね。例外がない意味原則的でしょうか。例外があるとするなら例外のほうもちょっと答えていただきたい。
  276. 中川一郎

    ○中川政府委員 原則的と言いましたのは、もうそのことばどおりを一般論として申し上げたわけでございまして、それだからといって税制でどうするこうするというところまでいくかどうかについてはまた議論の余地があるところではないか、こういう意味でございます。
  277. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでちょっといまのところまでにしておいて、今度は免税点を三十円に据え置いたものがありますね。これは競輪場、競馬場の入場とその他これに準じて政令で定めるものは三十円に据え置いた、こうなっていますね。この三十円に据え置いたとして、競輪場、競馬場の入場税収入というのは一体幾らですか。
  278. 細見卓

    細見政府委員 五億四千万ばかりでございます。
  279. 堀昌雄

    ○堀委員 もしこれが百円に引き上げられたらどうなるのでしょうか。
  280. 細見卓

    細見政府委員 百円にすればほとんどなくなります。
  281. 堀昌雄

    ○堀委員 実はこれは大臣が来られたらちょっと議論をしたいのですけれども、わざわざ三十円に残してもなおかつ入場税収入の中の五億ということは、百四十億ですから、これこそ三%ちょっとしかないわけですね。そして現在主として入場税負担をしておるのは、一体どこで負担をしておるのか。私は大体なまもので入場税の主たる部分を負担しておるのではないか、こう思うのでずが、なまものと映画と一体どういう比率になっておるのか、その他の興行もありましょうが……。
  282. 細見卓

    細見政府委員 四十四年度で見ましても、やはりまだ映画が圧倒的でございまして、構成割合としては六三%が映画になっており、なまものとしての演劇が約九・七%、演芸が八・四%、音楽が八・三%、音楽にはなまもの以外のものもあるいはあるかもしれません。スポーツが五・三、見せものが一・五というような構成で、やはり映画が圧倒的に多いようでございます。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  283. 堀昌雄

    ○堀委員 演劇ですが、実際には回数なりその他の問題、映画の回数と演劇の回数、演劇は御承知のように入場料が映画のようなわけにいきませんから、単位当たりの収入が大きいために、回数自身は、映画と演劇の場合にかなり違いが出てくるのじゃないか、私はこう思うのですが、その点との比較はどうなりましょうか。
  284. 細見卓

    細見政府委員 御指摘のように、一般的に演劇のほうが映画の入場料に比べてほとんど倍近く高くなっておりますから、一回の開催ごとの負担としてみれば、入場税は多くなっておろうと思います。
  285. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでこれは大臣が入られてからの問題にしたいのですけれども、いまのいろいろな問題の中では、免税点としては、さっきの話のところで、もう一ぺんストリップ劇場の収入がわかってから論議をしますけれども……。
  286. 細見卓

    細見政府委員 わかりましたので申し上げますが、入場料金が約百四十億ないし百五十億くらいであると考えられますので、その一割と見て十四億ないし十五億の収入というわけでございます。
  287. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、さっきの百円以上引き上げられないというのは、結局百四十億の中の一〇%、私、大体さっき九〇だろうと書っていたのですけれども、一〇%の問題、こういうことになるんじゃないですか、ウエートは。
  288. 中川一郎

    ○中川政府委員 それは違いまして、二百円以上の分もずいぶん入っておりますから、二百円までとすると、かなり二、三〇くらいのウエートになるだろう。百四十何億は、千円以上、二千円、三千円全部を含めての百四十何億ですから、二百円前後のものからするならば、二、三〇くらいのウエートは占めると見ていいのではないかと存じます。
  289. 堀昌雄

    ○堀委員 ストリップというのは、皆さんの項目では何に入るのですか。演劇ですか、演芸ですか、見せものですか。
  290. 細見卓

    細見政府委員 たいへんむずかしい御質問ですが、いわゆるストリップ劇場といわれておるようなものは、やはり演芸に入れております。それからいわゆるピンク映画といわれるものは同じ映画のカテゴリーで考えなければならない、こう思っております。
  291. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの売り上げ百四十億、税収十四億というのは、いつの年度の資料ですか。
  292. 細見卓

    細見政府委員 四十四年でございます。
  293. 堀昌雄

    ○堀委員 四十四年の大蔵省の資料で、いまのあなたの演芸というのは税額が十億八千九百万これは全部ストリップとして十億八千九百万。十四億というのはどういうことですか。
  294. 細見卓

    細見政府委員 いま申し上げましたのは、演芸の部門とそれからピンク映画の部門で、割合としてはピンク映画のほうがかなり多くなっております。
  295. 堀昌雄

    ○堀委員 私は映画のことを言っていないのです。ストリップ劇場という話をしているのです。なまものの話をしているんです。
  296. 細見卓

    細見政府委員 入場料金が約四十億でございすして、したがって税額は四億程度でございます。
  297. 堀昌雄

    ○堀委員 四億となると、さっきの話でこれは三%になってしまうわけですね。よろしいですか。ストリップ劇場の入場料は百五十円という話でしたから、映画の話はいましていないわけです。ここではずっとなまものの話をやっておるものですから。そこで、さっきずっと話を聞いているところでは、ここがひっかかるというなら、三%では非常にこれまた私は問題があると思うのです。実は三%のために、九七%の免税点引き上げられないということになると、その三%くらいのことよりもやはり九七%の問題、あなたがさっき言われた原則的には文化というものを国として重要視していかなければいかぬという問題から見れば、これはネグリジブルなものじゃないですかね。こうなるとどうでしょうか。
  298. 中川一郎

    ○中川政府委員 いま堀委員の言われた三%、百四十億ですから三%、四%ということになるのでしょうが、これを全部廃止してしまった、入場税を全部やめてしまったときに占めるウエートであって、二百円とか三百円の最低限にする場合にはかなり大きなウエートになるわけです。おわかりになりませんか。——いま百四十何億という入場税による税収というのは、入場税全体に対するあれですから、さっき議論したのは二百円か三百円に最低限を持っていくといいますか、そうした場合にどんなウエートになるかというと、そこによる減収とこの三億ないし四億を比較しなければならないわけですね。かりに今度、三十円を百円に上げましたその結果減収になるものは四億でございます。これをストリップその他なまものの多いそういったところまで持っていって、かりに二百円とやりました、二百円とやりましたら、百円で四億のものはたとえば十億とか十五億とか計算が出てくるはずです。その中の四億がこういった百五十円前後のストリップのものになるということになれば三〇%とか四〇%のウエートを占める、こういうことになるので、かなり大きいものではないか。  それからここで補足をいたしますが、私がこう言ったのは、これがあるから百円に押えた、二百円、三百円に引き上げなかったという唯一の理由にしておるわけではございませんで、そういうことも横にらみにし、まあ前国会でのお約束もあり、いばれる減税ではございませんが、ミニ減税といわれてもしかたありませんが、減税はしたということだけは言えるんじゃないか。自慢はできないけれども、そういう気持ちでやったということで御理解いただきたいと存じます。
  299. 堀昌雄

    ○堀委員 私はいまここで、あなたのおっしゃることはわかります。わかりますが、木村さんもすでに四十四年から言っておられるし、われわれも言っておるのは、二百円、三百円の免税点というのは実はあまり意味がないと思っているのです。もしかりにやるとすれば、幾ら少なくても五百円ぐらいやらなければなまものには影響しないのですね。ストリップのようなものには影響するかもしれません。しかし私どもが願っておる文化を重視するという意味から、国民にそういう意味で税金を取らないで開放したいというのは、さっき一番上に伝統芸能というのを持ってきていますけれども、伝統芸能の次にあるもののところに焦点を当てておるわけですから、これに焦点を当てた結果、いまのようなものが落ちるのはやむを得ない、こういうことなんですね。だからこっちに焦点を当てて私どもがいま入場税の減税をしなさいということを言っているわけじゃないのですから。いまのストリップの四億というのは、おそらく五百円に免税点が上がれば半分以下になるんじゃないですか。いまの入場税収入が五、六十億程度になるんじゃないかと思いますが、主税局、試算はどうなっていますか。
  300. 細見卓

    細見政府委員 大体料金シフトとかいうようなものが起こらないとしてそれぐらいでございますので、もしそういうところまでくればかなりの料金シフトの問題もあろうかと思いますから、もっと減るかもしれません。
  301. 堀昌雄

    ○堀委員 ですから問題は、私はやはりアメリカやイギリスの考えておるように、入場税そのものの問題ということが中心的な課題になっておると思うのですよ。財源として百四十億ですからね。あとでちょっとほかの問題を提起したいと思っていますけれども入場税が非常に多い、何百億もここで財源を負担しておるという財源なら別ですが、ここまでくれば、いまの八兆何千億という税収全体から見れば、百四十億というのはまさに誤差にすぎない程度のものになってきておるわけですから、私は重心は上にかけてものを言っているわけで、その点はまず免税相当ではないか。ただしかし急激な変化であり、おそらく大蔵省なり大臣の頭の中には、あるいは坊さんあたりの頭の中には、来たるべき付加価値税という問題を考えるときにゼロにしておいたらまた取るというのはまずい、まあひとつできるだけ間接税はあるものは残しておいてそれに移行させたい、こういう話ならば、私どもはそんなことは反対だけれども、こういう話があるならば、これは免税点の問題よりもひとつこの際税率を五%に下げたらどうか、入場税率を五%に下げたらどうか。付加価値税で私はこの入場税が五%以上取ることになるとは思わない、もっと低くなるんじゃないかと思うのです。いまのアメリカの州税程度に下げて相当だ、ものの性格から見てそう思うのです。だからやはりここらはもう少し、入場税というものがいまの日本の社会構造の中で政治的な判断をしなければならぬところに置かれておるとするならば、ゼロにするのは望ましいけれども、五%にすることは、将来もし福田さんなりだれかが考えておられるようなことを実施に移す場合についても問題のない範囲じゃないか、こういうふうに思うわけです。まあ大臣が来られてから伺うつもりですが、政務次官この点についてはどう思われますか。
  302. 中川一郎

    ○中川政府委員 実はこの入場税改正につきましては、まあ三十円というのはおかしいじゃないか。先ほども奥田委員から二円五十銭の議論もありましたが、いまのときに三十円の免税点というのはいかにもおかしい、改正すべきだという強い要請がありました。しかしいま堀委員おっしゃったように、実質なまものまで入場税を廃止せよというところまではいってなかったんじゃないか。もう一つは、三十円というのはそれじゃ何でできたかというと、三十円ぐらいのものに一割を映画館その他劇場の人たちに税金を納めてくれというものもいかがかというので三十円になりましたが、それが小さいから百円にするか二百円にするか、まあせいぜい三百円くらいがいけるところじゃないか。やってみたところが、いま言う百五十円、二百円のところはそういうようなこともあるので、この際三十円の手直しならば百円くらいのところにしておいて、将来いまの日本の文化向上とかあるいは付加価値の問題とか根本的な物品税制の改正のときにはもちろんそれらを含めて検討しなければなりません。なりませんが、今回はこの程度でひとつ御不満もありましょうが御了解をいただきたいということで、各界の意見を聞いて最終案としたような次第でございます。
  303. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、その五%問題はどう思うかということです。
  304. 中川一郎

    ○中川政府委員 五%問題につきましても、まあいまやったらどうかという御意見もあろうかと存じますが、付加価値、物品税といいますか、先ほど来言っておりますように、直間比率の関係間接税を強化しなければいかぬ、そういうやさきにそれを、これだけを引き下げの方向というのもいかがかということも配慮しつつ、せっかく堀委員から御指摘もありましたので、今後の課題として問題を残しておきたいのでありますが、今回としてはほかの物品税その他の手直しを行なわないということからいけば、まあ見送らざるを得ないのではないか、こういう考え方でございます。
  305. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとこれは角度が違うのですが、いま皆さんのほうで例の農地法八十条二項の問題というのがいろいろ取りざたされておりますね。これから相続税のほうに入るのですが、この農地法八十条二項に「政令で定める場合を除き、その土地、立木、工作物又は権利を、その買収前の所有者又はその一般承継人に売り払わなければならない。」こうなっておるのですが、この承継人というのは、もうおやじさんが死んでむすこになっていたりいろいろしているだろうと思うんですね。この場合の相続関係というのはこれはどういうふうに主税局は考えておるのでしょうか。
  306. 細見卓

    細見政府委員 相続段階では買い取り請求権、いわば潜在した買い取り請求権はございましたが、財産価格として評価できるような状態になかった、こう考えます。
  307. 堀昌雄

    ○堀委員 そうするとこの場合には実質的に農地が相続をされておっても相続税は払わなくても済む、こういうことですね。だからこの農地法八十条二項に該当する部分についてはその相続税は働かない。たいへんこれはもうかるわけだ、この相続人は。
  308. 細見卓

    細見政府委員 そういう扱いでいたしております。
  309. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、これはちょっと委員長に申し上げておきますけれども入場税はさっき申し上げたような案件は私はこれから調査をしてあとで論議をしますので、入場税についての質疑は保留をいたしますから、その点ちょっと御了承いただきたいわけです。
  310. 毛利松平

    毛利委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  311. 毛利松平

    毛利委員長 速記を始めて。
  312. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、先ほど入場税法第九条の非課税の取り扱いについては、いまちょっと文化庁がおりませんけれども、伝統芸能として認められておる歌舞伎について文化庁のほうで適用基準を明らかにして、そしてそれによって課税非課税相当と認めるという条件が明らかになった場合には、これは入場税法九条に基づいて非課税の取り扱いをするということを、この際ひとつ政務次官のほうからお答えをいただきたいと思います。
  313. 中川一郎

    ○中川政府委員 文化庁からその適用基準に当てはまるということがあり、そのとおりの演劇が行なわれている場合には非課税措置をとることと、いたします。
  314. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、相続税について資料要求をお願いしたいのです。過去に著名なる資産を持っておられると思われる方が相続をされた例があるのですが、どうも一般的に私どもの耳に入るのは、いわゆる著名な資産を持っておられる方の場合にはどうも相続税が必ずしもよく知られたようなふうになっていない、こういう実情があるので、ひとつ過去における著名なる資産を持っておるということが明らかであった方の相続税の資料をちょうだいをしたいと思います。国税庁いかがでしょう。
  315. 江口健司

    ○江口説明員 過去のというのはいつぐらいまでを考えたらよろしいか、また御注文をいただきたいと思いますし、それから著名な資産家というのはいろいろの考え方がございますが、一応私ども資料としてお出しできますのは、一応五千万以上の法人のものということで、その範囲の中で著名で大きなものということでございますから、おそらくその範囲に入ると思いますが、あまり古いと、いま税務署が混雑しておりますので、すぐにはお出しできにくいかと思いますが……。
  316. 堀昌雄

    ○堀委員 年数としては、ごく最近といえば人数が少なくて限られるかもしれませんが、過去十年程度の年数の中で例示をすれば、この間は三洋電機の社長ですか、死亡されて、週刊誌で美談をもってたたえられているようなのもありますし、たとえば西武電鉄その他の社長をしておられた堤さんだとかあるいは東急の五島さんだとか、そういうような著名人で、あると思います。ですから、そういう水準でいまの相続税の実態をひとつ資料としてちょうだいをいたしたいと思います。
  317. 江口健司

    ○江口説明員 さっそく、私どもの手元にありますもの、あるいは場合によっては国税庁に大口のもの等の資料があるかと思いますので、できるだけ早く調査をいたしまして、資料を作成してお届けしたいと思います。
  318. 堀昌雄

    ○堀委員 時間があれですから少し伺いますが、実はいまの問題に関連をいたしますのは、相続税の場合に税回避行為というものが事前にも行なわれる条件が非常に多いし、また課税になったときにも各種の租税回避行為が行なわれることがあり得ると思うのです。私がいまいろんなことの中で聞いたことですが、国債が個人にかなり売れておるという問題の裏には、要するに国債は御承知のように無記名でありますから、国債で相続するときには、たんす預金とは違った意味の金利があり、安定性があり、そうして同時にいまの価値もあるということで、国債が相続税回避行為に使われる可能性がある。回避行為に使うかどうかということは、そのときの話であって、国債を買うことそのものに問題はありませんけれども、そういうふうな話を聞いたことがあるのです。相続税に対する租税回避行為というものは、一般的にはどういう形で行なわれておるのか。ちょっと主税局のほうでお答えをいただきたいと思います。それでは国税庁
  319. 江口健司

    ○江口説明員 具体的な租税回避行為となるといろいろございますが、たとえば株式等の場合には名義の書きかえをすでにやっておる、あるいは死亡の寸前にやるという場合もございます。そうした場合には、なかなか資料等の収集がおくれがちでございますので、へたをいたしますと、回避行為の中に入ってしまう危険性がある。それから土地等につきましても、たとえば地方の場合によくある例でございますが、おとうさんがなくなりましてもすぐ登記名義をかえないという習慣と申しましょうか、そういう地方がかなりございます。そういたしますと、私どものほうでは、登記所のほうで移転登記が行なわれますと、通報することになっておりますし、来年度以降はわがほうでその資料を収集することになっておりますが、名義書きかえが行なわれていない、変更登記が行なわれておりませんと、通報の手続きがとられないためにわかりにくいという問題もございます。そうした点を考慮いたしまして、ふだんから所得税あるいは法人税の調査段階で大きな資産家等につきまして、あるいは特に有価証券あるいは不動産等につきましては、いろいろな場合にそれを資料化いたしておきまして、継続的な管理をするということをやっておるわけでございます。  それから最近の新しい例としまして私ども非常に苦慮しておりますのは、宝石、貴金属に生前置きかえておる場合がございます。これにつきましてはなかなか把握がしにくいということで、実はこれに対する対策をおくればせながらではありますけれども、いろいろな機会に検討を始めておるという状況でございます。
  320. 堀昌雄

    ○堀委員 この相続税の問題というのは、今度予算委員会で二回にわたって論議をした結果、今回の改正になったわけでございますけれども考え方としては、私は、水平に移動する相続税というものは本来もっと軽くしていいのじゃないか。どうせこれはやがては垂直に移動するわけですから、垂直に移動するときに十分課税をすればいいので、原則として相続税の水平課税——夫から妻へ、場合よっては妻から夫へということもあるかもしれませんけれども、この間の相続についてはどうせ何年かたてばやがてその子供たちのところに移動するわけですから、そういう意味では、出てきた資産そのものがそれらの人の努力によってつくられたものである限り水平移動というものはできるだけ税を安く、しかしその半面、垂直に課税するときはよりきびしく課税があってしかるべきではないか。要するに親の資産をまるまるそれだけによって、資産の獲得に何らの力を尽くしていない者が、言うなればぬれ手にアワのように受け取るという問題については、私はかなりきびしい課税があって相当ではないか、こういうふうに考えるわけですが、政務次官いかがですか。
  321. 中川一郎

    ○中川政府委員 私もそのとおりと思いますし、堀先生が数年来といいますか、私が大蔵に来ましたのは昨年ですが、堀委員の御主張、妻の座といいますか、奥さんのほうの地位を高めて、水平的な優遇措置を講ずるべきであるという主張がありまして、これをもっともだということから水平的なことに重点を置くこととして、今度上百万が四百万、まあ倍ですからかなり思い切った措置を講じたところでございます。また垂直について重くせよという御意見、これはかなり重くなっているところでありますし、ただ垂直の場合も、先ほど議論のありましたように、農業後継者であるとか、あるいはまた中小企業のおとうさんとともに働いたというような人もありますので、こういった点については配慮しつつ、垂直のほうは妻の水平よりは重くという考え方は正しいかと存じます。
  322. 毛利松平

    毛利委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  323. 毛利松平

    毛利委員長 速記を始めて。  次回は、来たる五日、金曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十分散会