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1971-02-24 第65回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十四日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 松尾 正吉君    理事 竹本 孫一君       奥田 敬和君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    坂元 親男君       高橋清一郎君    中島源太郎君       中村 寅太君    原田  憲君       坊  秀男君    松本 十郎君       吉田 重延君    吉田  実君       阿部 助哉君    佐藤 観樹君       平林  剛君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       伏木 和雄君    古川 雅司君       小林 政子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         外務省経済協力         局長      沢木 正男君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省国際金融         局長      稲村 光一君         通商産業省貿易         振興局長    後藤 正記君  委員外出席者         日本輸出入銀行         総裁      石田  正君         日本輸出入銀行         理事      奥村 輝之君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 二月二十三日  自動車重量税法案内閣提出第三九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七号)  入場税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第三五号)  日本輸出入銀行法による貸付金利息特例等  に関する法律案内閣提出第一五号)  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一六号)      ————◇—————
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案入場税法の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案、以上の各案を一括して議題といたします。     —————————————  所得税法の一部を改正する法律案  法人税法の一部を改正する法律案  相続税法の一部を改正する法律案  入場税法の一部を改正する法律案  関税定率法等の一部を改正する法律案   〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  3. 毛利松平

    毛利委員長 これより各案について、政府より提案理由説明を求めます。中川大蔵政務次官
  4. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外四法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  最初所得税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。政府は、昨年十二月税制調査会から提出された昭和四十六年度の税制改正に関する答申に基づき検討を重ねた結果、昭和四十六年度の税制改正におきましては、最近における国民負担状況にかんがみ、所得税負担軽減をはかるため、給与所得控除をはじめとする各種の所得控除引き上げ青色事業主特別経費準備金の創設、相続税軽減合理化等を行なうことにより平年度約二千億円の減税を行なうほか、当面の経済社会情勢推移に即応するよう、公害対策海外投資資源開発対策貯蓄奨励及び住宅対策企業体質強化等に資するため所要措置を講じ、輸出振興税制改正し、交際費課税を強化する等、税制整備合理化をはかるとともに、道路その他の社会資本の充実の要請を考慮して、自動車重量税を創設することといたしたのであります。  今回は、これらの税制改正一環として、ここに所得税法の一部を改正する法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきましてその大要を申し上げます。  第一に、最近における所得水準上昇等を考慮して、中小所得者中心とした所得税負担軽減をはかるため、課税最低限引き上げを行なうこととしております。  すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ現行の十八万円から十九万円に引き上げるとともに、扶養控除現行の十二万円から十三万円に引き上げることとしております。また、給与所得者について、その負担軽減するため、昭和四十三年以来据え置かれている給与所得控除定額控除現行の十万円から十三万円に引き上げることとしております。これらの結果、給与所得者課税最低限は、夫婦子供二人の場合では、現行の約八十八万円から約九十六万円に、夫婦子供三人の場合では、現行の約百三万円から約百十三万円に、それぞれ引き上げられることになります。  第二に、障害者控除等の特別な人的控除についても、一般的な控除に合わせて、引き上げを行なうこととしております。  すなわち、障害者控除老年者控除寡婦控除及び勤労学生控除をそれぞれ現行の十万円から十一万円に、特別障害者控除現行の十四万円から十五万円に引き上げるとともに、いわゆる母子世帯への配慮から、配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族控除についても現行の十三万円から十四万円に引き上げることとしております。  第三に、配偶者控除適用要件である所得限度引き上げを行なうなど、きめこまかい改正を行なうこととしております。  すなわち、配偶者控除及び扶養控除適用要件である所得限度について、実情に即するよう現行の十万円から十五万円に引き上げるとともに、給与所得者確定申告書提出を要しない限度についても、昭和三十三年以来長年にわたって据え置かれていることを考慮して、現行の五万円から十万円に引き上げるなどの措置を講ずることとしております。  以上のほか、少額貯蓄非課税制度について、貯蓄奨励をはかる見地から、非課税限度現行の元本百万円から百五十万円に引き上げること、生命保険料控除ワク内で控除していた心身障害者扶養共済制度の掛け金について、その全額を所得から控除すること、申告書公示限度現行の五百万円から一千万円に引き上げる等、所要規定整備を行なうこととしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、今次の税制改正一環として、法人税について課税所得の計算の合理化等所要整備合理化をはかるため、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきましてその大要を申し上げます。  第一に、完成工事補償引当金制度製品保証等引当金制度に改め、この引当金の設定を認める対象事業範囲建設業のほか、特定製造業を追加することとしております。  第二に、寄付金損金算入制度について、別ワク損金算入を認める特定公益法人範囲を拡充し、社会福祉増進等に寄与する法人を追加することとしております。  以上のほか、申告書公示限度現行の一千万円から二千万円に引き上げる等、所要規定整備を行なうこととしております。  次に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、今次の税制改正一環として、最近の夫婦問における財産の形成等実情に顧み、配偶者控除引き上げ中心とする贈与税及び相続税負担軽減を行なうほか、所要規定整備をはかるため、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきましてその大要を申し上げます。  第一に、贈与税配偶者控除引き上げ及びその適用要件緩和を行なうこととしております。  すなわち、夫婦間の居住用不動産贈与にかかる贈与税課税最低限現行の二百万円から倍額の四百万円に引き上げることを目途として、贈与税配偶者控除現行の百六十万円から三百六十万円に引き上げることとしております。また、その適用要件緩和し、現行婚姻期間が二十五年以上の場合に適用されることとなっておりますのを、婚姻期間が二十年以上であれば適用されることに改めることとしております。  第二に、相続税遺産にかかる配偶者控除引き上げ及びその適用要件緩和を行なうこととしております。  すなわち、贈与税配偶者控除引き上げ等との関連において、相続税遺産にかかる配偶者控除及びその適用要件を、現行婚姻期間十五年をこえる一年につき二十万円、最高限度二百万円から、婚姻期間十年をこえる一年につき四十万円、最高限度四百万円に改めることとしております。  第三に、生命保険金及び死亡退職金非課税限度引き上げを行なうこととしております。  すなわち、生命保険金非課税限度については、現行相続人一人当たり百万円から百五十万円に、死亡退職金非課税限度については、現行相続人一人当たり五十万円から八十万円に、それぞれ引き上げることとしております。  以上のほか、申告書公示限度引き上げる等、所要規定整備を行なうこととしております。  次に、入場税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、今次の税制改正一環として、最近における入場税負担の現状に顧み、入場税免税点引き上げを行なうほか、所要規定整備をはかるため、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきましてその大要を申し上げます。  第一に、映画演劇等一般興行場への入場について、その免税点引き上げることとしております。  すなわち、現行三十円の一般免税点昭和三十七年に設定されたものでありますが、その後における入場料金推移及び最近における入場税負担状況にかんがみ、競馬場競輪場等を除く映画演劇音楽等一般興行場への入場について、その免税点を百円に引き上げることとしております。  第二に、学校教員の引率による生徒等団体入場について、入場税を課さないこととしております。  すなわち、現行では、教員の引率する中学校、小学校幼稚園等生徒、児童または幼児の団体入場については、五十円の免税点を設けておりますが、学校における視聴覚教材の利用の重要性等を考慮し、その範囲高等学校生徒を加えるとともに、入場税を課さないこととしております。  以上のほか、興行場経営者事務負担軽減するため、免税点以下の入場券及び無料入場券交付義務を廃止し、入場券制度簡素化をはかる等、所要規定整備を行なうこととしております。  最後、関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近における内外の経済情勢の変化に対応し、物価対策輸入自由化対策に資する等の見地から、関税率について所要の調整を行なうこととするほか、開発途上国に対する特恵関税制度を新設するとともに、公害対策として脱硫重油製造用原油減税制度を拡充するなど、関税減免還付制度等について所要整備を行なうため、関税定率法関税法及び関税暫定措置法改正を行なう必要がありますので、ここにこの法律案提出することとした次第であります。  以下、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一は、関税率改正であります。  まず、物価への影響をも考慮し、ケネディラウンドで譲許されている千九百二十三品目につき、昭和四十七年一月から適用される予定の譲許税率を九カ月繰り上げて本年四月から適用することといたしますとともに、協定税率適用されない国の産品で従来関税格差解消を行なってきたもの等四百三十二品目につきましても、ケネディラウンドの繰り上げ実施に合わせて格差解消措置を継続することといたしております。このほか、バナナ、羊肉、馬肉、カラーフィルム等生活関連物資を含む百二十四品目につき関税率の引き下げを行なうことといたしております。  また、輸入自由化促進等関連して、豚肉に差額関税、グレープフルーツに季節関税を採用するなど、単純な増税は極力回避しつつ二十二品目について関税率引き上げを行ない、原則として自由化実施の日から適用することといたしております。  このほか、紅茶、大豆等七十五品目につきまして、暫定税率適用期限延長等を行なうことといたしております。  第二は、特恵関税制度の新設であります。  特恵関税につきましては、原則として国連貿易開発会議加盟国のうち開発途上にある国などでその適用を希望するものに対し、供与することといたしております。  まず、農水産品等につきましては、五十九品目限り特恵税率適用することとしておりますが、特恵供与により輸入が急増し、国内産業に損害を与える場合には、その適用を停止することができることといたしております。  また、鉱工業産品等につきましては、例外十品目以外のすべてを特恵関税対象としておりますが、このうち五十七品目は五〇%の関税引き下げ、その他は無税とし、品目ごと特恵供与ワク範囲内で特恵税率適用することといたしております。なお、価格変動が著しい基礎原材料等につきましては、緊急関税を若干緩和した要件のもとに発動し、特恵税率適用を停止することができることといたしております。  以上の特恵関税制度実施は、本年十月までの間で政令で定める日からとし、昭和五十六年三月末までの適用を予定いたしております。  第三は、関税減免還付制度等改正であります。  大気汚染防止対策一環として、重油脱硫減税制度を拡充し、脱硫重油一キロリットル当たり五百円の軽減を行なうとともに、製油用硫黄原油関税につきましても一キロリットル当たり百十円引き下げることとしております。  また、農林漁業用燃料油免税制度等につき適用範囲の拡大を行なうほか、現行減免還付制度適用期限を延長する等、所要規定整備を行なうことといたしております。  以上、所得税法の一部を改正する法律案外四法律案につきまして、提案理由、その内容を申し述べました。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 毛利松平

    毛利委員長 これにて各案の提案理由説明は終わりました。  各案の質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 毛利松平

    毛利委員長 次に、日本輸出入銀行法による貸付金利息特例等に関する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。竹本孫一君。
  7. 竹本孫一

    竹本委員 私は簡単に輸出入銀行法改正質問をいたしたいと思います。  まず最初スカルノ債権スカルノ債務の問題が爼上にのぼっておるわけでございますけれども、スハルト政権になってからインドネシア経済情勢はどの程度改善をされておるかということについてお伺いしたいと思います。
  8. 稲村光一

    稲村政府委員 スハルト政権になりましてから現在まで、どの程度インドネシア経済情勢改善したかという御質問でございますが、これは全体として申し上げますと、まだ完全にテークオフと申しますか、自立経済にいくというところまではむろんいっておりませんけれども、順調に改善の道を進みつつあるというふうに言えるかと思います。たとえば物価や何かについて申しましても、これは昨日も御答弁があったかと思いますが、スカルノからスハルトへの過渡期と申しますか、そのときには経済も非常に混乱をいたしまして、ことに非常に激しいインフレになり、物価騰貴は一年に六倍、七倍というようなこともあったわけでございますが、その後順調に物価騰貴も低くなってまいりまして、一昨年は大体対前年末比で一〇%程度、昨年末は一昨年末に比しまして八・九%くらいに非常に物価騰貴の率も下がってきた。インフレ収息という意味では大きな効果があがってきているというふうに言えるかと思います。その他財政国際収支の問題もございますが、いずれも、財政につきましては昨日も御答弁申し上げましたが、経常予算につきましてはこのところ均衡を回復いたしました。ただ開発予算につきましてはまだ大幅な赤字と申しますか、対外援助による支援が必要であるという状況になっていると理解いたしております。
  9. 竹本孫一

    竹本委員 物価問題等の御説明がありましたけれども、現段階におけるインドネシア対外債務の総額、それからもう少し具体的に国際収支、それから外貨保有高を結論だけお伺いしたい。
  10. 稲村光一

    稲村政府委員 対外債務の額は、スカルノ時代債務で現在まだ残っておりますものにつきましては、世界全体に対しまして約二十一億ドルでございます。それからスハルトになりましてから各国がやはり援助その他をいたしておりますので、現在それに関して十六億ドルくらいスハルトになりましてからの新規債務がある。その他、スカルノ時代でございますが、一般の二十一億ドルと申しましたもののほかに、オランダ政府及びシェルその他接収企業向けの支払いが、これは旧債務、つまりスカルノ時代でございますけれども、今回の政府とは別の二億ドルくらいでございます。したがいまして全部をトータルいたしますと、旧スカルノ時代及び新政権になりましてからのものを合わせまして三十九億ドルくらいのものであるかと思います。  それから外貨準備は昨年の十月末現在でグロスで一億八千九百万ドルでございます。この外貨準備推移につきましては、六三年が五千八百万ドル、それからずっと二千万ドルくらい、非常にわずかでございましたが、若干途中で外貨準備算定方式の変更などがございましたが、いずれにいたしましても最近のところは一億八千九百万ドルになっております。
  11. 竹本孫一

    竹本委員 大臣が参議院のほうへ行かれるそうでありますから、その前に一つだけ伺っておきたい。  一九七五年ごろになると日本GNPが四千億ドルくらいになるだろう。そうしますと、一%経済援助に振り向けるということになると四十億ドルの援助をやるということになるわけですけれども、それの経済効果をいかにあげていくかという問題なんです。一つは、アジアの全体の経済発展のために必要であっても日本のほうにあまり強引に言ってこないところと、そうでなくても強引に言ってくるところと、いろいろあるだろうと思いますが、強引に言ってきたものが勝ちだということでも困るという問題。それから与えた四十億ドルの援助というものがどれだけの経済的な効果を持つかということについて、そのあとからのアフターケアは日本としてはどういう制度的くふうをしておられるか、されるつもりであるか。その点をひとつお伺いしたい。
  12. 福田赳夫

    福田国務大臣 強引に言ってきたところには金を出すが静かに言ってくるところには、手薄である、こういうようなことじゃないと思います。何も言ってこないところに対しまして援助をする、これもおかしなことでありますので、そういうことはいたしておりませんが、強引だから高くなった、こういうふうな動きにはいたしたくないし、またいたすべきものじゃない、こういうふうに考えております。  数年後になってGNPの一%ということが実現される、その際における協力額は非常に多額になるわけでありますが、こういうふうな多額になる海外経済協力というものを行なう以上、お話しのように成果をトレースする、これは非常に大事なことになってくると思うのです。ただその際に気をつけなければならぬのはトレースのしかたなんです。つまり、これが内政干渉というようなそしりを受ける、またそれがひいては援助を与えた意味を減殺するということになりますので、その辺はよく気をつけなければなりませんけれども、いま関係各省協力いたしまして、その成果をトレースするということにつきましては、これはずいぶん努力をし始めておるわけです。大蔵省でも昨年の夏は、すでに与えた経済協力の総点検をいたしまして、さて今後どういうふうにしたらいいだろうというようなことも考えてみたような次第でございます。制度としてそういうことを持つということが、対外感触上どんなことだろうかという感触を持ちますが、制度は別としましても、実際上はそういう方向に目を転じておる、かように御承知願います。
  13. 竹本孫一

    竹本委員 経済専門家等をひとつ集めまして、内政干渉にならぬ形における実態調査といいますか、ミッションを出すというようなことも考えのうちにありますか。
  14. 福田赳夫

    福田国務大臣 それはもうしばしばやっているのです。たとえば北島調査団というのをインドネシアに派遣しました。これなんかは、援助側面から見てもらいたい、どういう欠陥があるだろうか、アドバイスをしてほしい、そういう趣旨のものであります。
  15. 竹本孫一

    竹本委員 大臣にもう一つだけお伺いしたいのですけれども、例の輸出入銀行基金との関係でございますが、それぞれ分野があるわけでありましょうが、従来その間に紛淆を来たしておるようなところはないか。また今後の、特に東南アジアに対する経済協力の面で、それぞれの分野をどういうふうに守っていくか、あるいは拡充していくかといったような問題について、輸銀と基金との関係中心にお考えを伺いたい。
  16. 福田赳夫

    福田国務大臣 輸出入銀行は、これは民間輸出、これが促進されるようにという趣旨におきましてつくられたものでありますが、民間金融機関において処弁し得ないという場合に、側面から輸出入銀行がこれに協力をし、資金調達を容易にするという趣旨のものです。それから基金のほうは、輸出ということもあります。ありますが、同時に政策的意味をもちまして海外協力をしなければならぬというような観点を主体としたものです。ひとしく輸出なものですから、輸出関係してくるものですから、これはどうしてもその分野が非常に明快にというわけにいかないので、ときたま論議が起こることがありまするけれども、これは運営上、できる限りなだらかにいくようにという点に気をつけていくほかあるまい、かように考えます。いま、この制度的な改正、これは検討対象にはしておりまするけれども、ただいま今日この時点において必要おくあたわざるものであるというふうには考えておりません。
  17. 竹本孫一

    竹本委員 スカルノ債務の先ほどの問題に返りますけれども、二十億もしくは二十一億ドルということでございますが、その中で共産圏関係はそれぞれどういうふうな債権になっておりますか。
  18. 稲村光一

    稲村政府委員 二十億ドルのうちで共産圏関係はどのくらいであるかという御質問でございますが、このうちソ連が七、八億ぐらいであったかと思います。それからその他につきましては、資料がはっきりいたしておりませんので明確な計数はわかりませんが、若干はあることと思います。
  19. 竹本孫一

    竹本委員 その、その他をちょっと聞きたいんですけれども、国でどのくらいか、大体のところもわからないのかどうか。
  20. 稲村光一

    稲村政府委員 国の内訳はわからないのでございますが、ソ連の八億七千万でございますが、それに対しまして、その他共産圏が四億三千五百万というふうに、一応の資料ではなっております。
  21. 竹本孫一

    竹本委員 これは、ほんとはもう少し検討したい問題なんですけれども、時間もありませんからこのくらいにとどめておきますが、次に、インドネシアだけでなくて、いわゆる開発途上国といいますか、後進国といいますか、そういう国々に対するこれからのあり方の問題に関係するわけですけれども、現在そうした開発途上国というのは、全体としてどのくらい公的債務を負っておっておるかという点について、何かわかりますか。——その数字を調べている間に、大臣にもう一つお伺いいたしますが、インドネシアに対して今回そういう無利子三十年というような形で特別破格の待遇をするということが、それらの国に対してまたそういう連鎖反応を起こしはしないかという点はどうなのでございますか。
  22. 稲村光一

    稲村政府委員 この点につきましては、連鎖反応ということはいまの段階では——私は現在の状況で判断いたしますと、そういう、ほかにこのような特別な債務救済の道を必要とする国は、現在の段階ではないのではないか。むろんこれは将来のことは何とも申せないと思いますけれども、やはりこれは特別なインドネシアスカルノ政権、それからスハルト政権への移譲というような、こういう特別なインドネシアの国の情勢によるところが大きかったと思うのでありまして、他の国につきましては、今後いろいろな、世銀、IMFその他国際機関を交えた多国ベースでの援助機構と申しますか、コンソーシアムその他ができておりまして、注意深く見守っておりますので、そういったものから判断いたしますと、現在のところ、その他の国につきまして同様な措置を必要とするという事態になる国は、当面ないというふうに考えます。
  23. 竹本孫一

    竹本委員 経済効果の問題についてもう一つお伺いしたいのでございますが、いわゆるインドネシア賠償二億二千万ドルが大体済んだようでございますけれども、この賠償は、インドネシア経済の復興なり発展にどの程度プラスになったと評価しておられるか。また、具体的にはこういう成績のあがったものもあるようだということがありましたらあげてください。
  24. 沢木正男

    ○沢木政府委員 賠償は、その本質といたしまして戦争の被害に対する弁償であるという考え方から、供与いたします物資の内容については、先方の主張をわりあい取り入れた供与をいたしております。そういう意味におきまして、お金の額に対して一〇〇%、日本の側から見まして十分な経済効果をあげたかどうかという点については疑問がございますが、賠償に関する調査団の報告その他を見ましても、その中には現在きわめて高く評価されているプロジェクトも含まれております。一部、スカルノ政権が倒れましてスハルト政権が発進いたすまでの間空白期間がありました。そのために立ち枯れになった工場その他も出たわけでございますが、全体としてはインドネシア側にも経済効果は十分にあげておるというふうにわれわれは解釈いたしております。
  25. 竹本孫一

    竹本委員 最後にもう一つだけ伺いたいのだが、IDAの関係だが、開発途上国に関するこれからの経済援助というものの内容と条件でございますけれども、これに類似したアジア開銀もある、世銀もあるということでございますが、それぞれの役割りと申しますか、受け持ち分野というものはどういうふうになっておるかということと、それから今後の経済援助協力というものはどの方式でいくのが一番いいのか、政府として一つのまとまった構想があるのか、その辺を伺いたい。
  26. 稲村光一

    稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、援助を担当いたします国際機関のそれぞれの分野はどういうふうに考えるかということでございますが、大体援助担当の国際金融機関といたしましては、世界全体と申しますか、グローバルなものとして、世銀とそれからIDA、第二世銀があることは御承知のとおりであります。この世銀につきましてはコマーシャルベースのローンが第一、したがいまして金利につきましても、市場で世銀が調達いたしました金利をもとにしまして貸し出し金利を定めます。ただいま七・二五%になると思います。したがいまして、通常の金融べースと申しますか、コマーシャルベースと申しますか、そういう収益性のあるものでないとなかなか十分にローンの効果をあげ得ないということであるかと思います。それからIDAのほうは無利子、五十年、手数料四分の三%だけという非常にソフトな条件でございます。これはそういう意味で収益性の少ない、つまりインフラストラクチュアなものでございます。その他ほんとうに援助的なものであります。それからアジ銀につきましては、これは地域的な銀行でございます。したがいまして、世銀、IDAと違いまして、地域の限定がございます。それで、そういうアジア地域におきまして、世銀、IDAと同じようなローンを与えるわけでございますが、アジ銀のほうにも二つございまして、一つは通常の資金でございます。これは世銀と同じようにコマーシャルペースト申しますか、やはり収益性のあるもの、金利が七・五%、そういうプロジェクトになっている。それに対しまして特別基金というのがアジ銀にございますが、これはIDAタイプと申しますか、ソフトなローンを与える。したがいまして、これはやはりインフラストラクチュア、その他そういう収益性のないものに対して非常にソフトなローンを与える、そういう国際機関がございます。  それでは、相手に対して、全体の体制からいたしましてそういうものをどういうふうに使い分けているか。ことに日本としてどうするかという点につきましては、先ほどからも御議論があったかと思いますが、わが国といたしましてはいままでバイラテラルな、二国間ベースの援助というものが現在においても大部分でございます。今後もやはりその重要性というものはあるわけでございますけれども、多国間援助というものの割合をだんだんとふやしていくと申しますか、たとえば援助の効率をあげる上におきましても、また受け入れ国側でのいろいろな事情等からいたしましても、多国間援助というのが色がつかないという意味で受け入れられやすいという面もございます。そういう意味で多国間援助のほうに重点をふやしていきたい、こういうふうに考えております。
  27. 竹本孫一

    竹本委員 以上で終わります。
  28. 毛利松平

    毛利委員長 藤田君。
  29. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、主として日本輸出入銀行法による例のインドネシアの焦げつき債権の問題に関連してお尋ねをしたいと思います。  まず、非常に初歩的な質問をして恐縮でありますけれども、経済協力というものと経済援助というのは具体的にどう違うのか。また、今回の長期延べ払い、無利子による債務返還は、そういう区分けからいけばどちらに該当するのか、御説明をいただきたいと思います。
  30. 沢木正男

    ○沢木政府委員 経済協力といい、あるいは援助と申しましても、法律用語でございませんので的確な定義があるわけではございません。御承知のようにソ連のシベリア開発も、新聞ではソ連に対する経済協力というふうにうたわれておる次第であります。ただ、最近の傾向といたしまして、真の意味後進国のためになる援助政府開発援助であるというふうにピアソン報告も申しておりますし、またDACにおける援助の分類につきましても政府開発援助を重視しておるわけでございます。今回の債権繰り延べは政府財政資金によって債務の救済をいたしますので、その一番重要であるといわれておる政府開発援助の中の一つの種類になります。
  31. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 概念的あるいは具体的な区分けはないということでございますが、それでは経済協力経済援助というものは、概念的にも事実行為としても、後進国開発の協力資金、協力援助というふうに一括して理解してよろしいかどうか。そういう理解の上に立つとすれば、贈与というものとの区分けについて伺いたい。
  32. 沢木正男

    ○沢木政府委員 DACで採用いたしております開発途上国に対する資金の流れ、これは大きく分けまして民間ベースの流れと政府ベースの流れとに分かれております。政府ベースの流れの中で、政府開発援助と、その他政府資金の流れとに区分されております。そして、政府開発援助はさらに二国間の援助と国際機関に対する出資、拠出とに分かれております。その二国間の政府開発援助の中で、援助として一番代表的なものが贈与でございます。贈与は無償資金の供与をいたします場合。わが国の賠償、支払いもその中の一つに入ります。それから政府実施いたしております技術協力は大部分贈与の形で行なわれております。それからさらに輸銀あるいは基金が出します直接借款、それから再融資、債権繰り延べ等が直接借款の中に含まれるわけでございます。
  33. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私はあとで具体的なことをお尋ねしたいと思いますが、ここ二、三日来の審議過程を通して、関連するわけでありますけれども、基本的には私は非常に理解しがたいことがあるわけであります。  それは、このインドネシアの焦げつき債権に対する返還のあり方について、特に今回の場合は三十年間無利子という形で、非常に異例な措置をとろうとしておるわけでありますが、そのことは、対インドネシアとの関係は一応留保して、国内的な問題として考える場合に、この種の焦げつきが生じるというような危険度、危険性というものは、ここまでひどい焦げつきで、三十年も四十年もかからなければ返還ができないというふうには当初は考えなかった。これは見通しの問題になりますが、このこともあとで触れたいと思いますが、本来、程度の違いはありましょうとも、日本民間商社がインドネシアの業界に対し、あるいは政府に対して物を売ってそうして焦げつきができたという場合に、本来的にそのめんどうを見るのは輸出保険ですね。その輸出保険でなぜこのめんどうを見なかったのか、この点まずひとつお尋ねしたいと思います。
  34. 後藤正記

    ○後藤政府委員 延べ払い輸出の場合、これは標準外決済でございますので、輸出承認制度にかけております。そして物が出ますときに、輸出者のほうではその危険を担保すると申しますか、その危険に対する保険のために輸出保険制度を利用いたしておるわけでございまして、このインドネシアに対しましても、やはり輸出保険の対象、特に輸出代金保険の対象になったものでございますが、これに関しましてはインドネシア国立銀行の保証を取りつけまして、それを担保物件といたしましてほとんど大部分が保険を引き受けたわけであります。事故事由を認定いたしまして、保険事故が起こったということになりましたとき、輸出保険の立場としては保険金を支払う、こういう実態でございます。
  35. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 どういう答弁をされたのか、私の質問に対してはさっぱり答弁になっておりません。  それではもっと具体的に言いましょう。いわゆるこの焦げつき債権のうち、一九六九年度までに期限が到来したものは五千八百八十万ドル、こういうふうに見て差しつかえないですね。そうして一九七〇年以降新たに期限が到来するものが千六百九十万ドル、こういうふうに理解しますと、合計で七千五百七十万ドルでありますが、結局そのうち五千八百八十万ドルは輸銀が肩がわりしたということになっておるんじゃないですか。そのように理解してよろしいかどうか。
  36. 後藤正記

    ○後藤政府委員 保険の立場から申し上げますならば、いま先生御質問の事故になったものにつきましては、これはちゃんと保険金を支払う。さらにまた今後、支払ってない分、あとに残っておる分についても保険金は支払う、こういうたてまえになっておるわけでございます。
  37. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 逆にいいますと、そうしますと五千八百八十万ドルに対して輸出保険では結局幾らめんどうを見ておるわけですか。
  38. 後藤正記

    ○後藤政府委員 保険金支払い額は、一九七〇年の、つまり昨年の十二月末までで、合計いたしまして四千四百三十四万六千ドル支払っております。
  39. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 そうすると五千八百八十万ドルに対して四千四百三十四万ドルと理解してよろしいのかどうか。私は時間的な関係もあって集約して質問をしたいと思いますが、本来この種の焦げつきが起こった、そして日本の商社が代金を受け取ることができなくなったという場合は保険でめんどうを見るのがたてまえではないか。保険でめんどうを見るべきものをいわば輸銀が肩がわりしたようなかっこうになっているのではないか。その点をちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  40. 後藤正記

    ○後藤政府委員 私のお答えのしかたが不十分と申しますか、まずい点で御理解があれかと思いますが、保険の立場といたしましては、これは保険はちゃんとめんどうを見ておるのでありまして、保険金は支払っておるわけでございます。
  41. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ただいまの御質問を承っておりますと、輸出代金保険の支払いというのは、日本輸出業者に対する支払いでございます。いまここで御審議いただいております五千何百万ドルとかという問題は、インドネシアから日本に対するお金の支払いに対するファイナンスという意味で、保険の支払いとは関係ないわけでございます。
  42. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それではこの肩がわり自身は、日本の商社に対して実質的に日本輸出保険でめんどうを見た以上のものを輸出入銀行の資金によってめんどうを見ておる分というのはないのですか。
  43. 沢木正男

    ○沢木政府委員 保険の付保額というのは契約額の一〇〇%ではございませんで、それよりもパーセントが少ないわけでございます。事故が発生しましたときに、輸出者が通産省のほうに事故発生を届けて保険金の支払いを受けるという性格のものでございます。  今度インドネシアに対しまして行ないますリファイナンスは、インドネシア日本に対して持っておる債務のファイナンスをしてやるということで、国内金融とは別個でございます。したがいまして、金額的にも保険金支払いとおのずから性格が、関係はつけにくいということでございます。
  44. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは日本の業者の債権に当たるものは、これはもう輸出保険の関係だけでめんどうを見るという関係で、それ以外は一切関係ない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  45. 後藤正記

    ○後藤政府委員 さようでございます。
  46. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 そこで私はこの輸出入銀行関係についてお尋ねしたいのでございますが、これもここ二、三日来質問のなされたところでありますけれども、輸出入銀行が貸し付けを行なう場合には、輸出入銀行法法律できめられておるワク内において輸銀が業務執行をやるというのが当然だと思うのです。その点について同僚の佐藤君のほうからも例の十八条の二の問題について質問があったわけでありますけれども、いわばスカルノ政権の末期あるいはスカルノ政権の政変前後の不正常なインドネシア経済状態から考えた場合は、インドネシアとの債権の問題について、たとえば何カ年でどの程度の条件で返済をさすかどうか、してもらうかどうかについての判断はなかなかむずかしいものもあろうかと思いますけれども、いわゆる政府が例の一九六六年の十一月のパリ会談あるいは一昨年の一九六八年の十二月のパリ会談、こういう形で、ここ四、五年のうちにやっていけば返済は可能ではなかろうか、こういうふうに判断したことが結果としては狂ってきたわけですね。そうして結果としては狂ってきたわけでありますが、輸銀がこの金を貸す場合には、いわゆる「債務の履行が確実であると認められる場合」以外は貸してはならぬということでありますが、先日来の答弁を聞いておりますと、いわゆる政府のほうが、政府の政治判断としてはインドネシアにこういった債務の貸し付けはやむを得ないと判断した場合には、これは政府金融機関としての性格上、輸銀としてはそれに従わざるを得ないというような答弁があったと思うのです。そういうことであれば、もしこれを民間会社に例をとって考えますと、民間会社でたとえば貿易をやる場合に、こういった相手国の商社あるいは相手国の経済状態あるいは貿易に関する諸般の情勢に対して今回のような大きな判断の狂いがあった場合には、民間の会社だったら私は担当重役は責任をとらされただろうと思うのですよ。これは官庁の場合、政府機関の場合であれば、こういう形で法律改正をやればそれで済むのだということに結果としてはなってきておるわけでありますが、この輸銀法のたてまえからいっても、これだけ大きな判断違いが生まれてくるほど債務の返済というものが実質的になされない。これは三十年で無利子ということになると、極端な言い方をすれば、私はただでくれてやるようなものじゃないかと思うのですよ。そういうことにならざるを得ないようなものに対して、この十八条の規定による「債務の履行が確実であると認められる場合」というものによって貸したとするなれば、結果としてこれだけ違ってきたわけですから、その場合の責任は政府機関の中ではどこが一番その責任を感じなければいけないのか、その点についてひとつ見解を聞かしてもらいたいと思うのです。
  47. 稲村光一

    稲村政府委員 いまの、輸銀といたしましては債務の返済が確実であるということが輸銀の貸し出しをいたします大前提と申しますか、必要な条件であることは輸出入銀行法に定められておるとおりでございまして、昨日も御答弁申し上げましたとおり、スカルノ時代の末期におきまして、そのときの判断といたしましてこの債務の返済は確実であるというふうに判断をいたしましてやったわけでございますが、その後クーデターが起こりまして、そして債務の返済があるいはあぶなくなるかもしれぬということがはっきりいたしましたので、六五年十二月でございましたか、輸出保険の付保を停止いたしまして、債務の累積をとめるという措置をとったわけでございます。その後国際間の話し合いが進みまして、インドネシア経済の発展のためには、そういう債権につきまして債権国同士で全部そろって債務の救済をしてやろう、そのことがインドネシアの将来のために必要であるという判断に達しましたので、それに基づきまして三回にわたりましてリファイナンスということが行なわれたわけでございます。その後、先ほど申し上げましたとおり、インドネシア経済は、まだ十分とは申せませんが、いいほうに着々と進みつつあるという状況になってきたわけでございますが、これに関しまして、やはりいろいろ国際収支その他の関係考えますと、従来のスカルノ時代債務、先ほど全部で二十億ドル程度と申し上げましたが、これを当初の予定どおりにインドネシアとして返していくということになりますと、やはりこれは、いまやっといいほうに進みかけているインドネシア経済の発展がなかなかむずかしいのではないか。むしろこの際、この旧債権につきましては、各国で共同して、さらに非常なソフトな条件で延ばしてやるということが、インドネシア経済の今後の発展を円滑にしていく上にどうしても必要ではないかということになりまして、そこで各国の代表が集まりまして、世銀、IMF等との協議もいたしまして、昨年の四月に、この三十年無利子ということで各国ともやってやろうということになったわけでございます。
  48. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 そういう経過でこうなったということはわかっているわけですよ。結果として、スカルノ時代にこういう援助をしたわけですね。その援助をしたのは、輸銀のたてまえからいけば債務の履行が確実であると認められる場合でなければ、輸銀法のたてまえからいったらできないのでしょう。結果としてはこれは確実でなかったわけですよ。それは、いまからまだ三十年もかかって入ってくるなんていう、そんな債権債務関係なんていうのは、私は輸銀法の十八条の二に該当するような性格のものでないと思うのですね。  それだけではない。スカルノ政変後において——先ほど指摘したスカルノ政変が一九六五年の九月三十日ですから、その後一九六六年パリ会談において、また一九六八年十二月のパリ会談においても、この輸銀のリファイナンスの形式で繰り延べを利子をつけた形でやっていけるだろう、こういうふうに見ておったものが、またそれ自体が違ったわけでしょう。それ自体見通しが狂って、そうしてこの三十年間無利子でその返済を求めていく、こういうことになったということは、私は輸銀法のたてまえからいっても、これは政府は重大な責任を感じなければいかぬと思うのですよ。その責任の所在は大蔵省にあるのか、それとも外務省にあるのか、日本輸出入銀行にあるのか、通産省にあるのか、その責任の所在というものを明確にしなければおかしいと思うのですね。これが民間の会社だったら、こんなでたらめなことになったら担当重役はその地位にとどまることはできませんよ。その責任を政府はどう考えておるのか。私がいま指摘したような関係部局がみんな同じように責任をかぶるべき性質のものか。それとも主としてこの責任はどこが、大蔵省だったら大蔵省、輸銀であれば輸銀、その責任の所在はどこにあるのか、これをひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。
  49. 稲村光一

    稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、インドネシアに対します債権が累積をいたしましたにつきましては、昨日からも御答弁申し上げておりますとおり、各省それぞれの責任におきましてベストを尽くしたわけでございます。どこが責任があるというような問題ではなくて、それぞれの権限と責任におきましてベストを尽くしたというふうに考えております。
  50. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 ベストを尽くしさえすれば、結果としてこういう事態が起ころうと、責任問題が起ころうと責任をとらなくていいということになりますが、そういうことでよろしいですか。これはどうですか、政務次官。そんなばかな話はないですよ。だれだって、民間だって、われわれ国会議員だって、お互いにそれぞれの職務に対してベストを尽くしているのですよ。しかし、ベストを尽くしてできないことがあるのですよ。その場合やはり責任をとらなければいかぬこともありますよ。そんなばかな話はないですよ。
  51. 中川一郎

    中川政府委員 ただいまの御質問、当然だと私も思うのです。こういう結果になったのだから、こういう結果を生じた責任者はだれであるか、こういうことになってまいりますが、責任者ということにはなりますが、ベストを尽くしたのだからという政府側の答弁、しいてだれかということになれば、それぞれ役所の立場、機構がありまして、通産省側においては繰り延べが適当である、あるいは保険に入ることが適当だと判断した責任は通産省にあろう。また、それは通産省が単独にやったことではなくして、外務省あるいは大蔵省にこういうことをしてはどうか、やりたいと思うがどうかという相談があったであろうと思うのですが、あった場合、それに同意を与えた外務省なり、あるいはまた大蔵省、ここも同意を与えた責任といいますか、いまからは判断すれば間違っておるのですが、その当時の情勢としては許可をしたということを追及されればそういうことになるのであって、どの役所が全責任がある、だれが責任をとってやめなければいかぬ、こういう性質のものではない、連帯的な責任がある、こういわざるを得ないと思います。
  52. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 連帯的な責任があるのであれば、それぞれの関係部局の責任ある立場の者が連帯責任をとったらどうですか。
  53. 中川一郎

    中川政府委員 倒産会社に出資して、あるいは投資して、会社が責任を負うという性質のものであるかどうか。この件については、なるほど当時の政情、容易ではないものではありましたが、何といっても、先ほど来御質問にもありましたように、協力あるいは援助という性質があるものでありまして、その当時の国際情勢といいますか、その国柄に応じてこうやることが一番いいと判断をしてやった結果がこうなったのであって、その当時もし、悪くなることはかまわない、出してしまえというような、援助の目的外のことをやったとしたら責任問題でございますが、当時の情勢としてはやむを得ない判断のもとにやった。今日そのあと始末をするようなかっこうにはなっておりますが、単なる倒産会社の再生ということではなくして、これを含めて今日の立場に立って考えると、今後インドネシアが立ち上がっていく上においてはこういった措置をやることが、三十年に繰り延べしてやることが今日の情勢としては判断が正しいというもとに立って、しかも国際的にもそれが認められているということから、わが国もそういうふうに踏み切ったということでございまして、うしろ向きの資金であるとは考えておらない。倒産会社のあと始末、損してしまったという性質のものではない、こういうふうに考えておるわけであります。
  54. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、将来に向けての三十年間繰り延べ支払いをやらすということについてのいいか悪いかの問題は、これはひとつ譲りましょう。むしろ私が問題にしておるのは、いままでのことを問題にしているわけです。それは政務次官の言われるような考え方もあるかもわかりませんが、インドネシア債権債務関係くらい、賠償、借款を含めてこれだけ政治的なものはないんですよ。不明朗なものはないのです。これは時間があれば私はいろいろなことをやりますよ。またあとでも資料要求もやりますけれども、この問題自身、いま問題になっておること自体が、一口で言えば国民の金で商社のしりぬぐいをやるような性格のものになっておるじゃないですか。これはあなたが言う民間の営利会社であれば損得だ、それは会社が営利目的でやっておるんだから、それでつぶれようとどうしようとしかたがないかもわからないけれども、これは輸銀の性格からいって国民の金でやっておるんでしょう。国民の金でやっておるものは民間一般の営利会社以上に責任を感じなければいけませんよ。そういう責任感がなくて、私も営利会社を例にとったけれども、それよりも何か責任の度合いが軽いような認識でこの問題を取り扱っておるとすれば、私は考え方自身に根本的な誤りがあるんじゃないか、こう思うのでありますが、どうですか。
  55. 中川一郎

    中川政府委員 その点については、一見しますと何か国民の税金によるしりぬぐいをして、商社保護じゃないかというふうに受け取られるわけでありますが、実は先ほど来答弁がありましたように、商社の保護については保険という制度でこれはもうすでに保護されておるわけであります。なぜ保護したかというと、これまたそういう危険なところへ商社が出さない、繰り延べの方法でやらないとするならば援助にもならない、協力にもならないというところから政府が保険をつくって援助をしておる。言ってみればもうすでに商社に対するしりぬぐいというのは制度としてでき上がっておる。今回お願いしておりますのは商社の保護ではなくして、再建に立ち上がっておるインドネシア債務についてめんどうを見てやろうというのでありまして、今回措置することは決して商社のしりぬぐいでないことだけははっきりしておるわけでございますので、その点御理解いただきたいと思います。
  56. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 問題が少しすりかえられてきたような気がします。私はその見解は、私がいま言ったような見解と政務次官の見解ということにしておいて、責任のとり方、そういうものについてひとつ明快にしてもらいたい、これが一つ。  それと、これは私自身の不勉強で理解のしかたが間違っておるかもわからないけれども、保険で商社に対してめんどうを見るのが九〇%。これはなるほど輸銀がインドネシア銀行に対しての関係ができるわけですから、日本の輸銀とインドネシア中央銀行との関係ですから、その関係でいきますと、結果的に商社に対しては一〇〇%見ることになるんじゃないですか。その点はどうですか。
  57. 後藤正記

    ○後藤政府委員 保険に関しましては、先ほど来お答えがありますとおりに、保険の引き受けのときの条件に基づきまして保険金を支払っておるわけであります。したがいまして今般のリファイナンスの問題とは、一応これはたてまえとしては別個になっておるわけでございます。
  58. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 さっきの責任問題はどうですか。
  59. 後藤正記

    ○後藤政府委員 通産省といたしましては、このインドネシアに対する延べ払いの輸出を承認したという問題と、それから輸出保険の立場からその保険を引き受けたということ、この二つであると思います。当時の時点においては輸出を承認することは適当である。同時にまた保険の立場からいって適当な担保物件をとり、法規の定めるところによってこれを引き受けたという事態については、当時としては十分に最善を尽くした、かように考えております。
  60. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 こういうことになりますと、失礼な言い方ですけれども、官僚というのはなかなかずるいといえばずるいし、りこうだといえばりこうだと思うわけですけれども、みずからもって、この問題についてはわが省の責任であります、わが局の責任であります、今後の問題についてはかくかくしなければなりませんという、こういう責任をとるような態度のないことを私は非常に遺憾に思います。何回も言うようですけれども、これは民間だったらこんなことで許されませんよ。その問題については、午後、大臣も出席されるようですから私は一応保留しますが、一応見解として聞いておきたいのです。通産省なり大蔵省なりあるいは外務省なり、それぞれ関係部局としてはどういうふうに責任の問題についてはいま考えておるか。その見解だけ聞いておきましょう。最後のけじめは大臣が来てからやることにいたしましょう。この点はひとつ輸出入銀行の総裁からも見解を承っておきたいと思います。
  61. 稲村光一

    稲村政府委員 大蔵省関係で問題になってまいります点は、通産省が延べ払い輸出の許可をいたしますに際しましては大蔵省も協議を受けるということになっております。当時協議を受けたわけでございますが、それにつきましては先ほど申し上げましたとおり、われわれのほうといたしまして各省と相談と申しますか、情勢の検討をいたしまして、最善と思われる判断をいたしたわけでございます。そうしまして承認をいたしたわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げておりますとおり、当時の判断といたしましては延べ払い輸出に対する大蔵省としての同意と申しますか承認をしたということは、われわれのほうも関係ございますが、当時はわれわれのほうとしては諸般の情勢を考えまして、同意を与えるのが適当であるという判断をしたのであります。
  62. 沢木正男

    ○沢木政府委員 昨日も申し上げましたとおり、後進国債務支払い能力と申しますか外貨準備インドネシアの場合と同様にきわめて少ない額でございます。そしてかつ政情が不安定であるのが常でありまして、したがって、そういう将来の危険を考えたならば、現在ほとんどあらゆる後進国に対して輸出することができないというような事態になるわけでございます。もっともIMF、世銀その他十分連絡をとっておりますので、どうも経済があぶなくなってくるような徴候が見えたときには、そういう情報を関係者に直ちに提供いたしまして、そこに対する延べ払いをとめるなり、そういう措置はとっておるわけでございますが、スカルノ政権があの段階においてあの時期に倒れる、そしてそのあとスハルト政権がああいう形において出てくるということは、当時の情勢判断といたしましてもきわめて予測困難であります。現在においても、インドネシア以外の後進国において今後六カ月どうなるかといわれれば、実際は判断がつけにくいというのが多々あるわけでございます。こういう問題はその一環である感じがするわけであります。  それからもう一つは、債権繰り延べは、現在一つの国だけが債権を繰り延べましてもほかの国が債権を取り立てるということでは、その国にとって何らプラスにならないということから、大部分世銀あるいはIMFが介入いたしまして国際会議を持ちまして、債権者全部が同じ条件で足並みをそろえて行なうというのが慣行になっております。したがって、インドネシア債権繰り延べにつきましても、三十年と申しますと非常に長いようにお感じでございますが、ピアソン報告で後進国の標準条件として提唱されておりますのは、二%四十年以上の借款を出せというのが定説になっているわけです。DACの六九年の援助条件にしましても、これは非常に専門的な用語を使っておりますので省略いたしますが、譲与条件というのを使っております。それでいきますと、二%三十年とかあるいは二・五%三十八年というような非常に長いのが後進国に対する援助の標準とされておるわけでございまして、債務の救済につきましては、新しくお金をたくさんやって、そうして旧債のほうはそのまま滞りなく払わせる方法と、それから今回のように債務を繰り延べる方法と、いろいろございます。ただインドネシアの場合は、ドイツの経済専門家でありますアプスに調査を依頼いたしまして、アプスから提案いたした結果、国際会議でこういうことをやろうということが債権者間できめられたという状況でございます。
  63. 後藤正記

    ○後藤政府委員 先ほど来お答えいたしておりますとおりに、通産省といたしましては、延べ払い輸出の承認と、それから輸出業者の申し込みによる輸出保険というものの契約を結んできたわけであります。したがいまして、当時の事情といたしまして、私どもの守備範囲におきましては最善を尽くし、かつまたやむを得なかった状況である、かように考えております。このやり方は、予測しない事態が生じて現在のこういうことになったという点は非常に残念に感ずるわけであります。しかし、当時としてはこれ以上にやりようがなかった、かように考えております。
  64. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 各省の見解を聞かしてもらいましたが、結果として、ベストを尽くしたのでこの責任はありませんというふうに私には聞こえるわけであります。きわめて残念でありますが、そのことは先ほど申し上げたように午後に留保いたしまして、それではお尋ねします。  まだ輸銀の総裁の答弁は残っておるわけですが、輸銀の総裁にお尋ねいたします。このインドネシア債権債務インドネシア援助の問題は、この三、四年前もずいぶん衆参両議院で問題になっております。過去の記録等を読んでみましても、輸銀が再融資すること自体が法律違反ではないかという有力な説があります。私は、そういう一つの観点からこの問題を検討いたしまする場合に、十八条の二をあえて論議の焦点にするわけでありますが、この債務の履行が確実であると認められることが有力な条件になっておるわけでありますけれども、この観点からいけば、この種の無利子で返済を求めるような債権というのはいわば不良債権じゃないかと私は思うのですよ。不良債権を輸銀が保有して肩がわりするような措置を講ずることは、これは厳格な意味からいって輸出入銀行法法律違反になるのじゃないか、私はこのように思いますが、その見解をひとつお尋ねいたしたい。  時間の関係で二、三質問を集約して質問をいたしますけれども、先ほど経済協力局長のお話では、私がこれから問題にする三十年延べ払いの問題について、ピアソン報告なりあるいはDACの例を引かれましたけれども、これなどはやはり利子というものがついておるわけですね。今度の場合無利子だということが非常な違いだろうと思う。なるほどアプスの提案によって、こういうことがいま債権会議の同意を得て、それぞれ一種の批准行為、ではないけれども、ここにこういう形で審議に上がっているわけですけれども、このアプスの考え方自身に対しては、債権会議の中でも西ドイツなりあるいはフランスあたりは、一・五%の利子をつけて十五年間で償還をするようにしてはどうか、こういう説もあったと私は報告書を理解しておるわけであります。そういう点について、債権会議の中でわが国の代表はどういう主張をなさったのかということをひとつ具体的な問題として聞きたい。これは後進国開発のあり方の問題として後ほど論議をしたいと思いますけれども、債権会議できまったから、そのことがすべて右へならえしなければならぬというようなものではないと思うのです。後進国開発のあり方については、わが国はわが国の一つの基本方針というものがなければならぬ。  そこで、三つ目の点としてお尋ねをしたいのですけれども、インドネシアの焦げつき債権に対してこういう特別な条件を認めるということになりますと、現在後進国開発の援助額は、数字はたしか一九六九年ごろの数字じゃないかと思いますが、アジア諸国の場合約五十億ドル程度というふうに——数字はあとで確かめたいと思いますけれども、相当多額後進国援助資金が出ておると思います。インドネシア以外の国との関係においても将来これは非常に問題が起こってくるのではないか。それらの関係については、それぞれ政府機関としてはどういうふうに対処していくお考えを持たれているのか。このあたりについてもお聞かせいただきたいと思います。
  65. 石田正

    ○石田説明員 問題になっておりますところの十八条の二の、債権の回収が確実であると認められる場合に限りファイナンスができるという規定でございますが、第一点といたしまして、これは、輸出信用でございますれば、われわれが貸します場合に業者に対して貸すわけでございまして、要するにインドネシア政府に対して貸すのとはわけが違うわけでございます。今度問題になっておりますところの問題は、輸出されて、そしてそれに輸出保険がついでおって、そして結果的に回収ができなかったもの、こういうふうなことに相なるわけでございます。われわれは政府機関でございますから、たびたび申し上げましたようなぐあいに政府の御意向も承りますし、また政府制度の上に乗ってやるわけでございます。輸出取引がございます場合におきまして、いわゆるこういう延べ払いを出していいかどうかという判断を国がされるわけでございます。それがあぶないとかできないということになりますれば、そこでとまってしまうだろうと思います。そういう場合にはわれわれのファイナンスの問題は起こらないわけでございます。  それから輸出保険の問題につきましては私どもが注意しております、と申しますのは、輸出保険は全額の保険ではございませんけれども、相当の大きな部分というものは政府が保証しておるわけでございます。それに見合って業者に出しますれば、これは問題なく大部分が回収できる。それからあとの、残りの一〇%か一五%かでそれぞれ違いますけれども、そういうものにつきましては、相手方が払うか払わないかという金融上の判断をして出すというのが実情でございます。これはその出します場合におきますところの話でございまして、今度問題になっておりますところの問題につきましては、要するにこれからリファイナンスの対象になるもの、われわれ銀行自体としまして債権になっておるものという両方あるわけでございまするが、リファイナンスの済んでいないものでございますが、そのリファイナンスの済んでいないものの中には、われわれの貸しておるものもあるわけでございます。そういうふうなものにつきましても、これは、もし保険が入ってくるということでございますれば、国内的にわれわれの円を貸しておるという立場からいいますれば、その円は入ってくるわけでございます。  そこで、大体われわれがやっておりましたところの、要するにスカルノ時代における輸出金融というものは、輸出入銀行自体としての債権の確保については大体心配はないのではないだろうか。こういうふうな考え方でおったわけでございます。  それから、リファイナンスの問題につきましては、これまた問題が出てくるのだろうと思いますが、リファイナンスの問題につきましては、輸出入銀行が全然関与していないところの貸し付けまで肩がわりするという形になるわけでございます。これは先ほど経済協力局長からお話がございましたようなぐあいに、われわれといたしましては決済するところの円というものをインドネシア中央銀行に貸すわけでございますが、インドネシア中央銀行が日本輸出業者に払う。そうしますとその金というものは、われわれの貸しておる分でございますればわれわれのほうに戻ってまいりますし、われわれのところで貸していないところのものにつきましては、これは業者がそれだけ金を取るというだけで、われわれの債権とは関係がない。こういうことになるわけでございます。  法律との関係におきましては、先ほど申しましたようなぐあいに、大体これは取れるだろうと思って貸したわけでございます。
  66. 沢木正男

    ○沢木政府委員 インドネシア債権会議におきまして、一撃の国がただいま先主が申されたような主張をある段階でしたことは事実でございます。日本の場合も、ほかの国に対する波及効果その他を考えまして、できるだけ通常の債権繰り延べ程度で済む問題であることが望ましいというふうに考えておりましたけれども、インドネシアはわが国にとりまして、政治的、経済的に現在及び将来におきましてもきわめて重要な国でありまして、インドネシア経済の安定という問題が東南アジアの安定のためにはきわめて重要な基盤であるというふうな認識のもとに、国際的な協調をはかるという意味におきまして、最終的にはアプスの提案に同意した次第でございます。  それから、今後債権繰り延べということが後進国について起こらないかと申されれば、これはいつ起こるかという予測はきわめて困難であります。できるだけそういうことのないように、われわれとしても今後とも注意して信用供与をやらなければならないわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、後進国経済状況は、一歩誤れば直ちに破産状態におちいるというようなのが後進国一般状況でございまして、かつ、政情が不安定であるということから、今後とも債権繰り延べの問題というのは必ず発生しないということをここで申し上げるわけにはまいらないと思います。ただ、その繰り延べのしかたがインドネシアのような条件になりますか、あるいはもっと違う条件になるかは、その規模、それからその国の経済状態、それから債務の額その他によってまたあらためて交渉されるべき問題であるというふうに考えております。
  67. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは、少し角度を変えてお尋ねします。  インドネシアの今回の債権額の対象になる、いわば輸銀が肩がわりをするその対象になる主たる商社及びその債権額、またその商社がどういうものをインドネシア輸出をし、あるいは製品を輸出しておったか。そういう大綱的なものについてひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  68. 後藤正記

    ○後藤政府委員 インドネシアに対しまして延べ払い輸出をいたしました商社全般につきましては詳細がわかっておりませんが、おもなものは約十社ほど保険金の支払い先等から、たとえば日綿実業、三井物産、同和海運、日本車輌、トヨタ自販、近畿車輌、野村貿易、川崎重工業、住友商事、丸紅飯田等々であります。延べ払い輸出でございますから、内容の詳細は持っておりませんが、おそらくプラント類、さらにまた設備等の機材、そういった重工業製品というものが内容になっておるか、かように考えております。
  69. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いま主たる商社、業者の名前が出たわけですけれども、この商社の取引額というか、いまの債権額、そういったものと主たる商品の名前、それをひとつ聞かしてもらいたい。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 そしてなお、いま言われたのは主たるものでありますけれども、この債権額に見合う具体的なリストについては、資料要求としてあとで要求いたしたいと思います。
  70. 後藤正記

    ○後藤政府委員 各商社ごとの対インドネシア債権額の詳細につきましては、私どもとしてはちょっと調べる方法がございませんが、そしてまた内容的にどれだけの取引をやったかということは、非常に長期間にわたりますし、個別的、具体的にわたっておりますので、そういうようなものを調べるのは非常にこれはむずかしいかと存じます。
  71. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私はいまの答弁を聞いて、非常に不明朗かつまた無責任な印象を受けました。これは率直に言って、事務レベルの段階では、どこそこ、ここそこということは言いませんが、その種の資料要求は、私、委員会質問が始まるまでにも要求もしてみたし、かつまた相談もしてみたわけでありますけれども、なかなかむずかしいといってどこも出そうとしない。しかし現実にこれだけの問題が国会で審議される段階で、通産省は通産省としてその認証を与えておる、インドネシアとの貿易については相談にあずかっておるその当局が——これは通産省だけではなくて、大蔵省も入りましょう、あるいは関係局としてはもちろん外務省の関係も起こってくるでしょうけれども、たとえば直接の所管省である通産省自身がそんなことでは、われわれ自身審議になりませんよ、そういう資料が出なければ。取引しておるどこの会社の焦げつき債権がどれだけあるのか、それに対して通産省のいわゆる政府保険である輸出保険でどれだけのものが支払われたか、そういう因果関係の中で輸銀との関係がどうなっておるか、そして将来に向けて、三十年なら三十年の無利子の延べ払いをせざるを得ないのだ。こういう具体的な経過は、むしろわれわれから求めなくして資料を提示して、そうして審議の資料に供するということは常識ではないですか。そんなことができなければ、委員長、悪いけれども私はここで質問を続行することはできませんよ、こういったことについていまのような答弁であれば。これは実に無責任ですよ。
  72. 後藤正記

    ○後藤政府委員 非常に長期間にわたりまして、かつまた内容が非常に複雑多岐でございますので、相当の時間をちょうだいいたしますれば詳細なものがつくれるかと存じますが、プラント類のおもなもの、それからさらに保険金を支払いました主要な対象のところについては、作成して御提出ができると存じます。
  73. 山下元利

    ○山下(元)委員長代理 午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ————◇—————    午後一時五十七分開議
  74. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林君。
  75. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はインドネシアに対する債務救済措置について二点ほど質問いたします。  インドネシアに対しての今回の債務救済の措置は、一九六六年までの政府並びに民間の延べ払いの債権で、その支払い期日がすでに到来しているものに対して、元本、利子についてその償還、債務の支払いについては輸出入銀行が再融資をいままで行なってきたわけでございますけれども、今回の債権会議でその債務救済の問題を処理する、そういうたてまえからいろいろなことがきめられ、特に三十年間の年賦払いあるいは繰り延べ、利子の無利子等がきめられているわけでございますけれども、日本債務残高は九千三百二十万ドルというふうにいわれております。  私はここでぜひお聞きをしておきたいのは、政府保証とはいえ、民間の延べ払いの債権のこげつきについて、輸銀を通すとはいいながらも、一般財源から支出する、こういった措置というものが妥当な措置なんだろうかどうだろうか、このことについてまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
  76. 稲村光一

    稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、金額につきましては、九千三百二十万ドルというのは国際会議のときにIMF、世銀のほうで出しました一応の数字でございますが、これは具体的な計数は二国間交渉で詰めてまいるわけでございまして、われわれのほうの調査によりますと、わずかでございますが、いま九千三百七十万ドルくらいになっているかと思われます。これはむろん計数といたしましては二国間交渉をいたしましたときにもっとはっきりしてまいると思います。  それからいまのお尋ねの一般会計から財源を出すということの妥当性いかんということでございますが、これはこういう国際的な合意に基づきまして、国としてこういうことをやるべきであるという見地に立ちまして、全額を輸銀の一般の通常の損益の中に入れて処理するということは、これは輸銀に対して非常な重過ぎる荷を負わせるということになりますので、この点につきましては、やはりこの分によります特別な措置でございますから、したがいましてそういう意味一般会計から無利子で貸し付けをする、こういうふうな措置にいたしたいと存じたわけであります。  これは形式といたしましては、輸銀にその分だけよけい出資をするというかっこうで処理することも一つの案であるかと思いますが、これは、昨日も御説明申し上げましたように三十年の間に順々に返ってまいります。したがいまして、返ってまいりますと輸銀としてはそれを一般会計に返してくるという関係になるわけでございまして、もしこれを出資といたしておきますと、そのときに減資をしなくてはならないということに相なりますので、やはり一般会計からの貸し付け、それで輸銀からの貸し付けが無利子でございますから、したがいまして一般会計からも無利子の貸し付けということで処理をいたしたい、こういう考えがございまして御提案申し上げている次第でございます。
  77. 小林政子

    ○小林(政)委員 今後もこのような事態が起こった場合には一般会計から——特に今回一般会計からの支出は、私ども考えますのに、繰り延べ、利子が無利子であるということで、今度の問題については一応法改正を行なって、そうして処理しているわけでございますけれども、この繰り延べ、利子の問題についてはこれを無利子でするために、今回四十二億の一般財源の繰り入れが必要になってきたわけでございますけれども、このような事態に対して安易な形で、それでは利子の伴わない金であれば、輸銀に対しては財投も使うこともできない、一番安直なのは一般会計だというようなことで、今後ともそのようなことが安易な形で行なわれることがあるのかないのか、見通しについてまず伺っておきたいと思います。
  78. 稲村光一

    稲村政府委員 ただいまの御質問でございますが、今後同じようなケースがほかの国につきましてたくさん出てくるかどうかという質問かと存じますが、これにつきましては当面、現在のところで判断いたします限り、ちょっとこれは起こらないのではないか。ただ将来のことでございますし、国によりましてそういう事態が起こらないとは断言できないかと思いますが、いずれにいたしましても今回のインドネシアの件につきましては、スカルノ政権からスハルト政権への移行、その間におきます非常に大きな政治的な変革というような特別な事情でこういうことになったわけでございます。したがいまして、それに関しまして世銀、あるいはIMF等国際機関が中心になりまして、各国がこれはひとつ特別な措置として何か特例的な措置を講じなければインドネシアの再建がスムーズにいかない、そういう判断のもとにやったわけでございまして、今度の各国の申し合わせ自体の中にもエクセプショナルな措置であるというふうに書いてございますが、そこからもわかりますように、こういう事態というのはそうなかなかほかに起こるということではないのではないかというふうに考えております。
  79. 小林政子

    ○小林(政)委員 今回の輸銀に対する四十二億円の貸し付けにつきましては、支出の計画、あるいはまたそれに対する返済の計画といいますか、そのようなものはどのような状態になるのか、その見通しも含めてお伺いをしておきたいと思います。
  80. 稲村光一

    稲村政府委員 四十二億円と申しますのは、来年度におきます一般会計から輸銀への貸し付けの予算額でございます。これは先ほど申し上げましたとおり、片方で従来の債権が期限が到来いたしまして、それに基づきましてインドネシアのほうから元来返してくるはずであったもの、それから今回の繰り延べによりまして、三十年にわたりますれば毎年毎年少しずつインドネシアから返ってまいります。その差額として一般会計から補てんをいたす、貸し付けを行なうということでございますので、したがいまして四十二億円と申しますのは来年度の所要財源でございます。再来年度はその時点でまた算定をいたしますが、四十二億円よりは少ない金額になると思います。こういうのがずっと毎年続いてまいりますが、先ほども申し上げましたとおり、インドネシアのほうは順調に返してまいりますから、したがいまして五十三年度かに至りますと、今度はこのインドネシアからの返済のほうが多くなってまいります。五十三年度がたしかピークになるかと思います。その後はずっと返済が多くなってくる。それに基づきまして一般会計のほうに輸銀からそれを返していく、そういうことになるかと思います。
  81. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうしますと、お話を聞いておりますと、インドネシアのほうから具体的に返してまいります分があるので、来年の分は一応一般会計から四十二億貸し付ければこれで何とかなるのだけれども、しかしその翌年にはどのくらい返してくるかわからないから一般会計からの差がどのくらいになるかわからないということですか。それとも、見通しを持って、来年度は四十二億であるけれども、今後はどうなのかという計画をお持ちになった上で今回四十二億ということも出てきたのだろうというふうに考えられますけれども、その点も含めてお伺いをいたしておきたいと思います。
  82. 稲村光一

    稲村政府委員 ただいま申し上げました来年度が四十二億で、その後は別途算定をいたしますと申しましたのは、非常に小さいところのこまかい数字のことでございまして、大筋といたしましてはぴたり返済計画はきまっておりますから、その点では問題がないはずでございます。
  83. 小林政子

    ○小林(政)委員 その問題については後ほど、計画の内容等については資料をひとついただきたいというふうに考えます。  私この際お伺いしておきたいのは、政府の保証のあり方と申しますか、経済協力等について輸銀が支出をいたしておりますこれらの資金についての政府の保証というような問題について、基本的に、インドネシアにはこのような事態が起こってまいりましたし、先般の委員会質疑を聞いておりましても、今後このようなことがふえる見通しなのか、ないと見るべきなのかという質問に対しましても、今後ともそのようなことが起こらないということは考えられないという御答弁の内容のように私は承りましたけれども、そういう点が非常に心配でもございますので、政府保証のあり方の問題について、基本的な考え方というものについてお伺いをいたしておきたいと思います。
  84. 稲村光一

    稲村政府委員 御質問趣旨が、インドネシアに対する今回のような措置がほかの国について起こるかどうかということでございますならば、先ほどもお答え申し上げましたように、現在のところそういうことが起こりそうな国は考えられない。しかし将来長い間につきまして同様なことが全く起こらないと断言できるか、こういうふうに言われますと、それは断言するわけにはまいらないかと思います、長い将来のことでございますから。ただ当面のところ各国の状況考えますと、こういう状態が起こる可能性は当面はないのではないか、こういうふうに考えます。
  85. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は特に、いまの点に関連もいたしますし、また対外借款のあり方を具体的に韓国の例をあげてお尋ねをいたしたいと考えております。  御承知のとおり、昨年の七月、日韓閣僚会議では、これは福田大蔵大臣も出席をされまして、その上で発表された共同声明、この中で第三次五カ年計画の遂行のため積極的に努力をするということがうたわれております。韓国では第三次五カ年計画の成功を外資導入にかけているということが韓国の新聞等によって報道されておりますが、そのうち特に二十八億ドルを日本の借款に期待しているというようなことが報道されております。このような事実、あるいはまた要請を受けられたことがあったのかどうなのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  86. 沢木正男

    ○沢木政府委員 わが国が第三次五カ年計画に基本的に協力するということは昨年度のコミュニケにありますとおりでございますが、いかなる協力をするかについてはまだ先方から要請を受けたことはございません。それから第三次五カ年計画自身は、まだ詳細がきまっておらない状況でございます。
  87. 小林政子

    ○小林(政)委員 一応積極的に努力をされるという基本方針はきめられた、しかし韓国側から具体的な要請はまだ一度も受けたことがない、こういうことでございますけれども、積極的な協力の努力を約束されたということは、今後政府はこの第三次五カ年計画等に対して具体的にどのような方針をもって臨もうとしているのか、まずその基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
  88. 沢木正男

    ○沢木政府委員 韓国はもとわが国の一部の領土であったというような特殊関係もございますし、かつわが国ときわめて密接な経済関係もございました。したがって、わが国から協力を得ることが地理的、歴史的にもきわめて自然でございますし、かつ距離の上からも日本から受ける協力が最も韓国にとってはふさわしいものである、そういうふうな観点から、積極的にできるだけのことはやっていきたいというのが政府の基本方針であるように了解いたしております。
  89. 小林政子

    ○小林(政)委員 その場合に、問題が具体化したときの判断の基準をどのように持たれるか、私はこの点について伺いたいわけでございます。韓国の第三次五カ年計画の遂行、この要請を、隣国でもあるし、あるいはまたがっては領土であったとただいまおっしゃったのですが、そういう点からもこれを積極的に進めるということは、そういう立場から五カ年計画の遂行というものを第一義的に尊重しその立場をとろうとしているのか。それとも日本の立場というものを、やはり実情のもとに基礎を置いて判断をして臨もうとされているのか。どのようなところに基準を置かれているのか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  90. 沢木正男

    ○沢木政府委員 わが国の経済協力あるいは援助と申しますものは、結局、わが国の援助効果的に使われまして、先方の経済の発展、政治の安定に資するというようなことを通じまして、ひいては世界平和に貢献し得るという理想のもとに行なわれるものでありますが、韓国の場合、特に隣国であります韓国が経済的にも発展し政治的な安定を得るということが、長い目で見まして日本の立場にとりましてもきわめて望ましいことであるという観点から、いかなる要請が韓国政府から参るかわかりませんけれども、参りましたならばその要請を受けて、わが国のできる範囲内でこれに協力していきたいという趣旨でございます。
  91. 小林政子

    ○小林(政)委員 いまたいへん理想的な抽象的な御意見を承ったわけでございますけれども、韓国の経済状況というものをいまどう見ているのか。この点を抜きにして、ただ理想的な御意見だけを承っても私は納得ができないわけです。一つ伺いたいのは、借款等についての返済の保証というような問題についていままでどのように考えてこられたのだろうか。韓国の返済能力というものを日本はどう見ているのか。これら韓国の経済情勢等ともあわせて、ただ抽象的な理想ではなく、もう一度お伺いをいたしておきたいと思います。
  92. 沢木正男

    ○沢木政府委員 韓国はもちろんその経済に問題がないわけではございませんので、非常にいろいろと問題はございます。第一がインフレーションをいかにして押え得るかという問題。第二は農民所得と都市生活者の間の所得の格差、かつそれの基礎になります韓国の輸出はどの程度達成できるか。それから同時に、もしベトナム戦争が終わりますればそれの影響というものも受けます。したがいまして、決して問題がないわけではございませんけれども、韓国につきましては世界銀行、IMFが韓国コンソーシアムというものを毎年編成して開いております。われわれはそういう場で、世銀の診断をもとにし、かつ各国の情報を交換いたしまして、従来まで供与した範囲内であれば、全体の韓国発展計画として返済の問題は起こらないという判断のもとに、ただいままでの借款を実施してきたわけでございます。
  93. 小林政子

    ○小林(政)委員 一九六八年の十一月世界銀行が行ないました韓国調査団の報告書によりますと、その返済能力を度外視した韓国の外資導入政策に警告を発しております。また一九七〇年の秋の外資導入に対する規制というようなものも継続して行なうべきだという勧告が出されていることは御承知だろうと思います。また通産省が出しております経済白書等にもこのことは載っております。このような世界銀行あるいはまた各調査団等が出しております勧告や警告に対して日本政府はどう考えているのか。非常に抽象的なお答えでわかりません。はっきりさせて、これを認められているのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  94. 沢木正男

    ○沢木政府委員 それは主として短期の債務の取り入れに関する問題でございまして、われわれは十分その勧告を承知した上で対処いたしております。
  95. 小林政子

    ○小林(政)委員 まだ具体的な要請は韓国から来ていないというお話ではございましたけれども、韓国の新聞などを見てみますと、七一年の二月十二日付けのソウルの経済新聞あるいは二月十五日付の韓国通信に掲載されている韓国企画院の発表によります第三次五カ年計画案によりますと、特に元利償還額につきましては、一九七一年には二億三千万ドル、そしてまた一九七六年には四億五千三百万ドルと、たいへん大きな額に達するわけでございますけれども、同計画案は七六年の輸出目標額、これも計画に発表されております三十五億ドルの一割に当たるわけでございます。このような膨大な額に対する支払い能力その他について、調査団あるいはまた関係世銀等でいろいろと警告を発していることを考えますときに、私はこの実態について日本政府が事実を明らかにしていただきたい。返済能力について、これはほんとうに確信を持ってあるということが言い切れるのかどうか、その点について明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。
  96. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ただいま御指摘の数字は、七六年に三十五億ドルの輸出が達成されれば、それの一割程度の対外弁済ということは、現在のIMFあるいは世銀等、国際援助機関で常識となっております債務返済能力の査定からいきましては、まだ余裕のある数字でございます。したがいまして、今後韓国が返済不能におちいるかあるいは返済不能におちいらないかということは、今後韓国の経済がいかにインフレを克服し、輸出を達成して外貨をかせいでいくかという問題にかかっておる次第でございます。
  97. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、このような中で各国が警告を発するということは、この内容を見てみまして当然であろうと考えたわけでございますけれども、日本政府は、このような実態についてはさほど心配することはない、こういうような態度で臨んでおられるわけですけれども、民間借款の保証というこの問題についてはどう考えていられるのか、この点についてもひとつお伺いをしておきたいと思います。
  98. 沢木正男

    ○沢木政府委員 私が申し上げたのは、絶対だいじょうぶというふうには考えておりません。ただいま申し上げましたように、いろいろ問題はございます。それから、先生御指摘の、外資の取り入れについての規制と申しますのは、短期の債務を取り入れることがあぶないということを世銀が言っておるわけでございまして、長期の債務の取り入れについては規制をかける段階にはないというふうに世銀は判断しておる状況でございます。したがいまして、民間の延べ払いの輸出の保証につきましても、その条件につきましては、そういうふうな韓国側の事情をいろいろ考えながらやっていくという点で、われわれは注意深く韓国経済の動向を見きわめつつやっておるつもりでございます。
  99. 小林政子

    ○小林(政)委員 特に日本の場合は、今後七五年までにGNPの一%の海外経済協力というようなことを打ち出しておりますし、また、私が先日、二十二日の予算の第二分科会で福田大蔵大臣質問いたしましたときにも、今後この経済協力の問題については民間ベース等についてもこれが多くなるであろうというようなことが言われておりますけれども、私は、このような中で、今後のこの保証の問題、いわゆる政府が保証していく、そして民間にどんどんこの経済協力あるいは直接投資というような形に道を開いていく、こういうことになれば、いまの韓国のこのような実態の中でもこれを推し進めていくというようなことになれば、今後、非常に好ましい結果ではなくてへ相手の国に対しても経済の自主的な発展を妨げると同時に、さまざまな、国民に対して、政府が保証を行なうというようなことで財政措置を伴わざるを得ないという結果が出てくるのではないか。私は、今回のインドネシアのこの問題等が、再び債権会議などというようなことで他の国に起きないという保証はないというふうに考えておりますが、それらの点も含めて確信のある御答弁をいただきたいというふうに考えます。
  100. 沢木正男

    ○沢木政府委員 先ほど大蔵省稲村局長からも御答弁申し上げましたし、今朝私も他の御質問に対して御答弁申し上げましたように、後進国経済というものは一般にきわめて不安定であります。したがいまして、将来債務の繰り延べあるいはリファイナンスというようなことが起こらないということは、われわれとしては申し上げられないと思います。ということは、外貨準備にいたしましてもきわめて少ない額でありますし、かつ、政情が不安定であるというような状況一般でございますので、インドネシアの場合のように、もし政権交代の間混乱が半年も一年も続くというようなことになれば今回のようなことになるわけでございまして、そういう危険性はあらゆる後進国について常に存在しておるというのがわれわれの考えでございます。
  101. 小林政子

    ○小林(政)委員 以上で終わります。
  102. 毛利松平

    毛利委員長 藤井君。
  103. 藤井勝志

    ○藤井委員 このたびの輸出入銀行法による貸付金利息特例等に関する法律案関連しまして、二、三意見を述べながら質問を申し上げたいと思うのです。  まず、何よりも、今度の輸出入銀行法による貸付金利息特例等に関する法律案につきましては、このインドネシア対外債務処理の経緯ですね、特に、元ドイツ銀行総裁のアプス氏のプランというものがもととなって、そして最終的には七〇年四月のパリ会談において取りきめが七項目ですかにわたって取りきめられて、そしてすでにそのいわゆるアプス案なるものによって具体的な結論が出て、それに沿って、オランダ及びフランスはすでに二国間協定を締結し、その後、債権会議参加国も近く二国間交渉を開始するような状態が進んでおるということがすでに趣旨説明でもあり、われわれもそのとおりだというふうに心得ておるわけでございます。また、特に債権会議参加国以外では、ソビエト連邦が債権会議の合意と同様の内容で協定を締結しているというこの事実を考えるとき、特にインドネシア援助と申しますか、最初は賠償からスタートをしたわけですけれども、ちまたにいろいろなうわさがあって、もしそういった過去のいきさつを根掘り葉掘りやっておれば、これは際限なく問題が展開してきて、私は、アジアの一貫としての日本が、いまのような経緯をたどったインドネシア債権問題に時期を失しては相ならないという政治的判断を考えた時分には、一刻も早く、この問題の処理は、われわれ日本の政治家として結論を出すべきである、このように考えておりますが、それについて大蔵政務次官はどのように考えられるか。
  104. 中川一郎

    中川政府委員 お説のとおりでございます。
  105. 藤井勝志

    ○藤井委員 この問題をめぐって、この法案の取り扱いにつきましては、きょう理事会で話が出、いま質問者が途中で資料提出を求められて、私がその合い間を拝借して質問に立ったわけでございまして、過去におけるいきさつについてただすべきことはただし、是は是、非は非として、ひとつ疑問を抱いておられる質問者に対しては、早急に誠意を尽くして、大蔵当局、関係当局はこれが問題の疑問を晴らす。私は、この問題についての取り扱いは、そういう過去のいきさつについての問題はひとつこの際切り離して、この問題の提案された政治的な意味、われわれ日本国としてのアジアの一員としてのつとめ、こういったことを考えて、ひとつ早急にこれが結論が出るように関係当局は全力をあげてもらいたい。われわれも与党として努力をせなければならぬ、このように思っておるわけでございます。  ところで、私はそういうことを考えながら、ひとつ輸出入銀行の総裁にお尋ねをしたい点がございます。いまさら、与党として、開き直って、六法全書などを持ち出して議論をしようとは思いませんけれども、念のため、輸出入銀行の目的、機関の性格、こういうことについて総裁としてはどのような認識をもって業務に当たられておるか、一応、ひとつ総裁のお立場において、当委員会において御所見を承っておきたい、このように思います。
  106. 石田正

    ○石田説明員 大体、われわれのほうの銀行というものは、国際取引に関係する業務を担当いたしておるわけでございます。国際関係と申しますものは、いわゆる後進国関係の問題もございますけれども、そればかりでなく、世界全体が大きく変動いたしておりまするので、情勢というものは始終変化いたしておるわけでございます。日本輸出入銀行ができましたときの状態と、それから現在の状態とは同じであるかというと、必ずしもそうでないという問題があると思います。輸出入銀行の立場といたしましては、設立当時の経緯もございまするけれども、法律の許す範囲において、やはり世界経済の変化に対応し、また政府の大体の大きな御方針に従いまして、輸出入銀行法上明らかにできないということ以外の場合におきましては、できるだけ独自に判断をいたしまするし、また政府の意向も御参考にいたしましてやっていくべきものだ、かように考えております。
  107. 藤井勝志

    ○藤井委員 一応輸出入銀行が変化に対応して、設立の、創立の趣旨考えながらやっているという、これは当然のことだと思うのですが、私は特にもう一度念を押してお聞きしたいと思うのですが、輸出入銀行法の第一条において、「一般金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」と、こう書いてあるわけでございまして、補完ということと奨励という二つが指摘されております。これに対して、実務に当たられる最高責任者としてどのようなかまえでその変化に対応されるか、いささかもうちょっと具体的にお答え願いたい、こう思います。
  108. 石田正

    ○石田説明員 輸出入銀行法ができましたときの経緯あるいは法律に書いてあることから申しますると、大体民間金融機関でもってすべてのことができれば一番望ましいのでありまして、そこへいくまでの間、経過的に輸出入銀行のファンクションがあるのだ、こういう考え方が根本にあったのではないかと思うわけでございます。その意味からいきまして、民間金融機関ができないところを補完するということもございますし、それからして、補完するだけではなくて、民間金融機関もだんだんと金融の割合を大きくする、こういうふうなことに持っていくのが筋道であろうかと思うのでございます。したがいまして、われわれといたしますれば、金融情勢が許しますればだんだんと市中金融機関に対しまして、奨励と申しますのはファイナンスという意味で、だんだん民間の融資比率を高くするということを考えることが必要ではないかというふうに思っております。それからして、またできるだけ政府金融機関といたしましてファイナンスします場合におきまして、奨励をするというふうな観点になるかもしれませんけれども、たとえば円借款のような場合におきましても、市中の銀行の協力を求めるというふうなことでやっておるような次第でございます。
  109. 藤井勝志

    ○藤井委員 それでは、問題を私ははっきりさせるために、具体的な資源開発にしぼって、ひとつ輸出入銀行の従来のやられた実績を踏まえながら、今後の方針、同時に私としてはこうあってほしいという私の希望を述べながら意見を伺ってみたい、このように思うわけでございます。  すでに御案内のごとく、私が申し上げるまでもなく、七〇年代の日本経済成長のいわゆるボトルネックは資源問題だということは、もうみんなが百も承知しておる冷厳な事実であります。特に最近のいわゆる石油戦争の火の粉をもろにかぶって、大消費国である日本はもうお手あげ同然の状態に置かれておるという情けない事態を直視すると、これに対してはわれわれは積極的なかまえをしなければならぬ、このようにだれしも思わざるを得ないと思うのでありまして、先般私的な場所でありましたけれども、大蔵大臣いわく、藤井君、おれはこの資源問題については、大蔵省の諸君に対して従来の考え方を百八十度転換すべきである、こうとくと私は話しておいた、こういう話でございました。これは私的な場所のみならず、堂々と公の場でその姿勢が見えたのは、最初の大蔵委員会のあの所信表明のとき、大蔵大臣のお話の中にも資源の重要性がにじみ出ておった、こう思っておるわけでございます。私は特に、従来の日本経済のここまで来た事情というのは、いわゆるガット体制ですね、商業ベースによって、ともかくお金を出してどんどんものが入ってきた。それをいわゆるわが造船力をフルに生かして、海外から輸送コストの低い利点を活用しながら、そうして臨海工業地帯に加工設備を設けて、そうして石油をはじめとして製鉄あるいは非鉄金属、こういった施設がいわゆる臨海工業地帯となって今日の経済発展の原動力をなしておるという、こういうことは多言を要しないと思うわけでございます。ちなみに、私は、皆さんすでに御承知だと思いますけれども、鉱物資源に限って具体的な事情の推移海外依存度の推移を調べてみると、昭和三十八年ごろ銅は六〇%、非鉄金属は七七%、原料炭は四七%、石油はその当時から相当高かったわけで、九八・八%、アルミ、ニッケルは当時から一〇〇%海外依存。これが昭和五十年にはどうなるかというと、銅は八三%になるであろう、鉄鉱石は九〇%、原料炭は八六%、石油は九九・七%、アルミ、ニッケル依然として一〇〇%。こういった状態をわれわれが考えるとき、またこれを具体的な数字で最近の実績を調べてみますと、銅、昭和四十四年度の実績は八十三万トンですね。亜鉛が七十三万トン、アルミが八十五万トン、石油は一億七千二百万キロリットル。ところが五十年にはどうなるかというと、銅が八十三万に対して百四十二万トン、亜鉛は七十三万トンに対して百十五万トン、アルミは二百二十八万トン、石油に至っては三億キロリットルという、こういった数字が先ほどの。パーセンテージと相呼応する数字であるわけでございます。  ところが、これに対して国内の資源はきわめて乏しい、こういう状態で、だれしも海外に資源を求めて自主開発をしなければならぬ。たまたまこれは経済協力と相呼応し、かつてわれわれがたどった道も同じであった。かつて日本は銅を輸出し、石炭、五平太炭を外へ出したという歴史もあるやに聞いている。これがやはりわれわれは工業国となり、敗戦の道をたどったけれどもあの当時ずっと伸びてきた、いわゆる経済離陸の原動力になったことを思えば、やはり海外に資源開発を経済協力の体制の一環として積極的にやるべきだ、このように思うわけでございますが、経済協力基金問題についてはこれは別途の問題として、私はここに輸出入銀行の役割りが非常に大切になってくるというふうに思うわけでございまして、輸出入銀行法の十八条には、この「業務の範囲」の中、第四号でありますが、資源関係中心に大いに輸出入銀行もやるのだということを書いてあるわけです。こういう日本経済が要請し、変化が対応を求めておるこの問題に対して、輸出入銀行の総裁としては、どのような時局の認識と具体的な今後の方針を、四十六年度予算編成のこの国会において、たまたま輸出入銀行法律案——これはうしろ向きの、しかもよその国のあとかたづけということでありますけれども、私はむしろ輸出入銀行というものがそういう時局の変化に対応して、その機関の機能を積極的に伸ばすために、この法律の現状ではどうもむずかしいというのなら法律改正を出してもらいたいし、現状でいけるならいけるように、どういうふうに積極的にやるのだというお考えをひとつ聞かしてもらいたい、こう思います。
  110. 石田正

    ○石田説明員 大体日本輸出入銀行というのは、過去の実績から申しますと、輸出中心としてやっております。しかしながら、輸出入銀行の業務といたしましては輸入物資の確保であるとかあるいは資源開発というふうなこともやれるわけでありまして、だんだんと輸出中心からいま先生がお話しになりましたような方向に向かっていくべきであろうと思います。これはわれわれもそう思っておりまするし、実際におきましていわゆる融資承諾、貸し出しとかというものにつきましてもだんだんふえております。また四十六年度の予算編成におきましても、予算要求をいたします数字というものはだんだん大きくなっている、こういうのが実情でございます。中身の点から申しますと、やはり一番初めは融資買鉱と申しますか、フィリピンにおきます銅山に対して輸入の前貸し金をファイナンスするというふうな問題につきまして、われわれやってきたわけでございますけれども、だんだんといま自主開発という問題が起こってまいりまして、自主開発の問題につきましてもやるというふうなことになりまして、だんだんといま融資承諾もいたしておるというのが実情でございます。ただ問題は法律改正云々というお話でございましたけれども、しかしながらこれは政府の御意向もございまして、何と申しますか、われわれといたしますれば金融機関でございますから、その案件がまずフィージビリティーにおきましていいだろうというものに対しまして金を出すということになるのでありまして、非常にどうなるかわけがわからないというふうなものになりますと、これは輸出入銀行ではいま取り扱い得ない、かように考える次第でございます。
  111. 藤井勝志

    ○藤井委員 きのうから総裁の御答弁には政府の御意向ということばがあって、ちょっと何かしら野党の諸君にはなおさら耳に抵抗を感じられるだろうし、与党の私にもいささか、それでいいのかという——これはやはり輸出入銀行、なるほど総裁の任命は総理大臣がするということで、総理大臣のごきげんを失ってはおれのポストがどうこう、そこまではお感じになっておるとは思わぬけれども、やはりその機関に立ったら機関本来の公法人としての性格に徹していただかなければならぬ。一々政府の鼻息をうかがっているのでは適当ではないのじゃないだろうか。しかし、政府の政策に相呼応するということは当然であろうと思うのでありますが、私は政府の政策に対して後ほど指摘したいのですけれども、どうも言われることと——輸出入政策金融機関であり、しかもあなたが時代の変化に賢明に対応しようということを一般論としては御答弁になりましたけれども、賢明な対応ができておるかどうか。いままでの日本の資金配分というものは、加工設備に集中しておったのです。ところが加工設備をフルに稼働する資源の確保に、日本の資金配分というものを賢明に方向転換しなければならぬ、かじ取りを転換しなければならぬ、このように思うわけでございまして、そういう点についてはあくまで自発的に、輸出入銀行の総裁としてこうあるべきだということを、積極的に総理にも進言し、やっていかなければならぬ。それが政府の御意向に、御意向に、こういうかまえでは、輸出入銀行本来の機関の性格上適当ではない。私はあえてことばじりをとらえて言うわけではないけれども、そういう点については一体どうなんですか。しばしば野党からも指摘を受けておりますし、私も一体そういうことでいいものかということを片や思い、また反面、それならなぜもっと政府の政策的なものにタイアップして、積極的な輸出入銀行の投融資に協力されないのか。どっちにもぴったりこないというような実例を実は、私の情報が誤っておれば訂正いたしますけれども、具体的に鉱物資源に関係を持ち出してから感じておるのです。こういう場においてはあまり具体的な指摘は遠慮します。遠慮しますが、そういうことについて、再度総裁としての御所見を承っておきたい、こう思います。
  112. 石田正

    ○石田説明員 どうも藤井先生のお気持ちには沿わないようなことで、はなはだ恐縮でございますけれども、われわれといたしましては、資源開発の問題は大切であるということを認識いたしておるのでありまして、政府云々のことを言うのはけしからぬというふうなお話でございますけれども、実際われわれのほうといたしましては予算の範囲内でこの仕事をしなければならぬわけでありまして、金がなければ仕事ができないという面もございます。したがいまして、私のほうといたしましてはできるだけ政府がそういう資源開発関係のものにつきましていろいろ金をよけいつけてもらうようなぐあいにお願いをいたしておるのが実情でございます。  四十五年度と来年度の関係を申しますと、初めに政府に予算をお願いいたしまして承認されましたのは、資源輸入関係といたしましては本年度は五百五十五億円でございますが、実際の問題といたしましては、われわれの見込みとしましては六百三十五億円ぐらいに伸びるのではないかというふうなぐあいに思っております。なお、明四十六年度のあれといたしましては、四十五年度の当初予算五百五十九億に対しまして、明年度の計画といたしましては大体八百六億ぐらいの計画になりまして、これは実績はあとで変わってくるとは思いますけれども、計画あるいは実績にいたしましても、たとえば計画だけで申しますれば、来年度予算は一四五・八%という予定になっておりますので、これは四割五分の増加でございます。また実績に対比いたしましても二七・四%増加ということに相なっているわけでございまして、これが少ないではないかという御議論もあるのではないかと思うのでありますけれども、われわれとしてはできるだけふやしたいということで努力をいたしておる次第でございます。
  113. 藤井勝志

    ○藤井委員 いまの四十五年度は五百五十九億、四十六年度は八百六億になる見込みであるというのは、石油資源も入っているのですか。非鉄金属だけですか。その点ひとつ……。
  114. 石田正

    ○石田説明員 たとえば、アラビヤ石油のような石油は、これも入っております。それから銅の関係も入っておるわけであります。たとえば、コンゴなんかにおきまして現に着手いたしておりますそういうふうなものは、資金手当てが実際に起こるわけでございまして、そういうものも入っておるわけでございます。
  115. 藤井勝志

    ○藤井委員 それでは私ちょっと質問しなければならぬのですが、四十二年度から四十五年度まで、四十五年度は一応見込みが入るわけですけれども、非鉄金属だけでどれだけの企業が海外資源開発のために資金要望を一応しておるかということの実態は把握されておりますか。把握されておるとすれば数字をちょっと御披瀝願いたい。
  116. 石田正

    ○石田説明員 非鉄金属につきましては、われわれのほうは、主として一番大きなものは銅でございますけれども、銅につきましてはこれは通産省とも相談いたしまして、大体どのくらいのものをどうしたらいいだろうかというふうな話を聞きまして、それを今度は通産省その他と御相談いたしまして、その中で、一番初め日本側が手をつけるとすれば、やはり有利なものも不利なものもございますから、有利なものと不利なものと分けて序列をつけまして、そうしてできるだけ有利なものからやっていくということでやっていきたい、こう思っているわけでございます。しかしながら、有利なものができないでそうして順位としましては下のほうのものの話がだいぶまとまってきた場合にどうするかということになりますと、これはそれ自体としてまずフィージビリティーがあるだろうということでありますならば、それをとっていくということであります。現在の状況から申しますと、また例をあげまして恐縮でございますけれども、たとえばマムートの銅鉱山の問題につきましては、話は大体進んでおりますけれども、まだファイナルにはなっておりませんけれども、そのほかのところにつきましては大体予定どおり入手できるという見込みが立っておるのではないかと私は思っておるわけでございます。
  117. 藤井勝志

    ○藤井委員 四十二年度、非鉄金属関係海外資源開発のためにどの程度金がいったかという、これがお手元でわかればひとつ説明していただきたい。
  118. 奥村輝之

    ○奥村説明員 いまの資料はあとでお届けいたしたいと思いますが、資源開発関係の全体の数字を、先ほど総裁が申しましたものに若干つけ加えて申し上げたいと思います。  開行以来四十五年十二月までに、私ども輸出入銀行が融資承諾をいたしました総額は二千八百四十九億円でございます。特に御注意いただきたいのは、四十四年度五百四十四億円、四十五年度、これは十二月まででございますが、千七十一億円でございます。それで、実は資源開発の数字というものは輸出の金額の中にも含まれております。それから輸入の金額の中にも含まれております。投資の金額の中にも含まれております。いろいろと計算のしかたが複雑でございまして、私どもとしては、いままでの実績が示すように、全体の輸出入銀行輸出承諾の中で、四十四年度におきましては一四%を占めておる、四十五年度においては二六%を占めているという実情でございます。  なお、こういうふうな傾向は今後ますます強まっていくと思われますので、これに対しては、資金的な関係で遺憾なからしめるように、計画と申しましても内部でいろいろとやりくりがつくわけでございますから、内部で十分需要に応ずるように措置するという心がまえでいるわけでございます。  なお、全体の資源の、ことに非鉄金属の需要につきましては、五十年度の数字を私どもは持っておるわけでございますが、全体としての需要と、国内の供給分と、海外の依存度という数字をにらみ合わせまして、しかも計画の進行に合わせて、いまさっき申しましたように、遺憾なからしめるように措置いたしたい、こういうふうに考えております。  詳細の資料はあとでお手元にお届けいたしたいと思います。
  119. 藤井勝志

    ○藤井委員 いままで資源開発は大体どういうふうな融資比率になっておるか。  それから同時に、いま資源関係については、ただ単なる買鉱ですか、石を買ってくるというか、鉱石を買ってくるというようなものも一緒くたに輸出入銀行は計算の中に入れているというような御説明だったのですが、いままではそれでよかったかしらぬけれども、日本経済の要請にこたえ、変化に賢明に対応するというならば、やはり輸出入銀行としては、単なる買鉱と、それから向こうに投資して積極的に自主開発をするという、この資金需要とは分けてやはり整理すべきではないか、こう思いますが、一つは私の単なる質問であり、一つは意見を述べて、それに対して総裁としてどのように考えるのか、お答えを願いたい。
  120. 石田正

    ○石田説明員 融資比率につきましては、輸出につきましてはわれわれが八割を出しまして、それから民間のほうが二割、大体そういう見当でいっております。それから投資の問題につきましては、これはむしろ民間のほうが多くて、大体四割、わがほうが六割、こういうふうな形でやっております。その考え方のもとは、資源開発というのは非常に大切な問題でございますことは、これはもう疑問の余地がないわけでございますけれども、われわれは民間金融機関に対しまして、できるだけ出すけれども、民間金融機関としても出すようにしてもらいたいということを言っております結果、そういうふうになってきておるわけでございます。  なお、われわれは、市中金融機関に対しましては、そういう計画を組みますところの会社がみんなそれぞれ銀行とつながりがあるわけでございまして、特にメーンバンクというものがあるわけでありますから、メーンバンクの人々が中心になって、そして民間金融機関としての資金集めについて御努力を願うということを期待しながら、いまのようなことをやっておる次第でございます。  融資買鉱につきましては、これはいま申しました投資買鉱と同じような考え方をとってやっておるわけであります。
  121. 藤井勝志

    ○藤井委員 これはあともう一回この場所で同じことを繰り返してもいけませんから、私の質問して意見を述べてなにしたのは、単なる買鉱と、融資買鉱と、それからいわゆる向こうへ投資して開発するという、三種類、このくらいに種類を分けて、輸出入銀行がどういう資金的な協力をしているかということがわかるように、また後ほどでけっこうですから、過去の実績をひとつ御報告を願いたい、このように思っております。いいですね。
  122. 石田正

    ○石田説明員 後刻提出いたします。
  123. 藤井勝志

    ○藤井委員 ところで、金を貸す場合には担保を必ず求められるというのは常識ですね。ところがこれ、自主開発ということになると、海外資産というのは輸出入銀行として担保になるのかならないのか。これはどうなんですか。
  124. 石田正

    ○石田説明員 われわれが金融機関として出します場合に一番困っております点は、率直に申し上げまして担保の点でございます。こういうふうな問題につきましては、いわゆる自主開発というふうなことをいたしますような——融資買鉱の場合におきましては、向こうに債務者がおるわけでございますから、それに対するところの債権と申しますか、貸し付け債権というものが一つの担保になるとは思いますけれども、しかしながら自主開発の場合におきましては、その開発が軌道に乗って、そうして実際に生産ができるという時期まではなかなか現地のものが担保にならないというところに悩みがあるわけでございまして、この問題につきましては、われわれといたしましてはできるだけ、いわゆる自主開発をやりましたところのそういう資源開発がうまくいきまして、それが担保価値が出てきて、それを担保に金が貸せるというところまで持っていきたいというふうなぐあいに考えている次第でございます。
  125. 藤井勝志

    ○藤井委員 そこで私は、前段で指摘をしたように、おそらく現在の法制上からいうと、海外資産は担保ということがむずかしいだろうということを想定しながら、質問したわけでございますが、大いに海外資源開発をしなければならぬという現時点の要請にこたえる場合、それでは担保を国内資産に求めようという場合、結局、現在の具体的な例として非鉄金属山と申しますと、これは非常に探鉱費やいろいろな設備の金がかかる。それだから、金を借りるためにまず担保を取られる。特に最近は公害問題で公害施設関係の投資が要る、こういうことで、対象になるべき国内資産はすでにそういう施設の融資の対象として、担保価値というものは全くなくなってしまうということになると、結局担保の問題でどうにもならないということになるおそれなしとしない。これに対して輸出入銀行は、やはり資源開発が必要だということはよくわかっておりますというふうに言われるならば、私は、大いにこういう問題に対して、輸出入銀行がこの十八条の業務の目的を達するために、必要な改正提案することができなかったものであろうか。これに対して輸銀の総裁としては、ただ、政府がこう言ったからこうするのですというふうな、いわゆるあなたまかせであり、この他立依存といいますか、そういったことではいかぬ。やはり現場の声を政府に反映し、あるべき姿に、時代の要請にこたえて機能が発揮できるように法律改正をすべきではないか、このように思うわけでございまして、これは輸銀法の改正では適当でないという考えでそのままにされておるのか、どういう事情か、その点をひとつ総裁にお答えを願いたい、こう思います。
  126. 石田正

    ○石田説明員 担保のない場合においてはなかなか出しにくいというのがあれでございますけれども、その間におきましてどういうふうな担保がこれから取れるかというふうな問題もあわせて考えておるわけでございまして、たとえば商社が資源開発をするというふうな場合におきまして、商社だけのあれとしてはぐあいが悪いということでありますれば、これを使うところの鉄会社をして会員になってもらうとか、いわゆる保証をしてもらうとか、そういうふうな形をとりまして、その担保関係でできるだけ、ファイナンスができないというようなことのないように努力はいたしておるわけでございます。  それからまた政府のお考えといたしましても、そういうことを言うとまたおしかりを受けるかもしれませんが、輸出入銀行に無担保貸し付けをやらせるということのほかに、たとえば石油関係で申しますと石油公団とかいうふうなものもできておるわけでございまして、そこいらとの関連におきまして、どうしてもいけないというふうなぐあいに判断いたしました場合には、改正について政府にお願いをしなければならぬかというふうに思っております。
  127. 藤井勝志

    ○藤井委員 私が次に質問しようという問題に関連をされたお答えがございましたが、総裁から、担保力がない海外投資企業の場合、たまたま資源関係では石油は石油公団があり、非鉄金属は金探事業団がある、これが担保の足しになるのではないか、こういうふうなお答えに私は承ったのでございますけれども、ここが非常に重大なポイントだというふうに、これから質問を本格的にせなければならぬ、こう思うのです。  私は、今度の輸銀の問題について、業務運営のかまえ方について、具体的には総裁に非常に言いにくいようないろいろな情報を耳にしているのです。何もスキャンダル的な意味ではございませんけれども、やはりせっかく金探事業団、これは債務保証ワクというものを新しい制度として最近設けたわけでございます。これは昭和四十三年に保証基金というのが、一応保証倍率は十倍で十億の保証規模ということでスタートしたわけでございます。四十四年は四億の保証基金を設けて四十億、四十五年は十一億、それを十五倍して百六十五億、こういった線でやっておる。四十六年は、いま予算案ができておるわけでございますけれども、審議中ですが、二十二億の基金に対して十五倍ですから三百三十億、こういったことになっておるのですが、四十五年度の実績は、十二月末ですからまだあと三カ月は残りがありますけれども、百六十五億の債務保証の規模があるにかかわらず実績は六十億、こういうことになっておるのですね。私は、日本鉱業がコンゴのムソシ鉱山開発の資金調達にあたっていろいろ苦労をした話を関係者から身近に聞いてみて、輸出入銀行というのは一体どこの銀行かというふうに疑いたくなるほどのいろいろな苦労惨たんを、借りるほうの側、保証を受けるほうの側はしておるのです。これから借りようというようなところはもう一切そういうことは口を重くして語らず、うっかり言うと江戸のかたきを長崎で討たれても困ると言わんばかりの印象を私は受けたのです。これでは輸出入銀行は、資源開発というものが必要であり、これからは単純買鉱ではだめである、海外で積極的に資源開発をするという、新しい時代の要請に対応した機能を発揮せなければならぬ輸出入銀行の態度としてはとんでもないことである、私はこのように考えざるを得ないのですが、これは間違いでしょうか。一体どういう御見解でしょうか。
  128. 石田正

    ○石田説明員 資源開発の問題につきましては、政府ないし政府金融機関だけでやるべきであるという考え方も一つあろうと思いますけれども、われわれといたしましては、資源開発につきましてはできるだけ民間の自発的なあれに基づいてやるということがまず基本ではなかろうかと思うわけでございます。われわれはしろうとでございまして、これはいいとか悪いとかいういろいろな判断につきましては民間のあれによりたい。それから民間もそういうことを遂行する能力のある人が実際に当たって、そうしてやる。それにつきましても、大ぜい集まってやるということにいたしましても、どこかの会社が全責任を持って、どこかの会社の責任においてやるという体制がありませんと、寄り合い世帯ではなかなかうまくいかなかったという経験を私いろいろ持っておるものでございますから、そういう点につきましてまず第一に体制固めをお願いするという点があろうと思います。  それから第二の問題は、先生のお話にありました担保問題はどうかという問題でございますけれども、これは金融機関その他と話をいたしまして、それぞれのいわゆる責任者としてやりますところの銀行があっせんいたしまして、保証その他によりまして補完ができますものでございますから、それによってやってきておる、こういうのが実情でございます。
  129. 藤井勝志

    ○藤井委員 一応総裁として、お答えはそのようなお答えしかお立場上できにくいということはわかるのです。しかし、私は繰り返し指摘をいたしますけれども、いろいろ専門的ななにだからまず民間の企業が全力投球をしなければならぬ、これはおっしゃるまでもない当然のことなんです。それに対していまのような輸出入銀行のあり方が、民間金融機関の出したもののあとを補完する、こういうふうな姿勢がまず表に出ておったんではないかというふうに私は思うのです。私があえて第一条を指摘したのは、補完並びに奨励という積極的なかまえも事と次第によっては出すべきである、こういう目的がはっきり明示されておるわけでございますから、ここに金属鉱物探鉱促進事業団というのが海外資源開発の必要性を確認して、その専門家のそろった事業団が保証いたしましょう、こういった線が出たら、積極的に輸銀が、補完でなくして奨励するというかまえでやるべきではないか。そのかまえがないから、石油公団の場合の実績はただ一件しかありませんね。金探事業団の場合は皆無ですね。せっかく債務保証の基金制度をつくっておっても活用されていないのですよ。輸出入銀行というものは何かいままではともかく物の売り買いであったのですからそれでいいのです。ただ二、三年前からそれはすでに方向転換をしなければならぬ。単なる商業ベースで物を買ったり売ったりするのではなくて、われわれは経済を運営するその原料資源、こういったものをわれわれみずからの手によって海外において開発してこなければならぬ、こういう時代の要請になっておるわけでございますから、これに対していまのようなお答えでは、実績が全然そうなっておりません。同時にいまのようなかまえでは輸出入銀行の本来の使命が——最初に総裁が言われたような、時代の要請にこたえて積極的にやるのでございますという抽象的なことばでは、幾ら与党の質問といえどもいささか満足できない、こう言わざるを得ないのです。ひとつその点、総裁はどのような認識をされておるか。これが政府の意向を体して、こういうことをよく言われる総裁とするならば、一体政府はどういう考えを持っておられるか。まずひとつ国際金融局長稲村君から話を聞かしてもらって——大蔵大臣は、資源に関する限り、従来の考え方を百八十度転換した、こういうことを、プライベートの席ではあるけれどもお話しになった。それを裏づけるごとく大蔵委員会で堂々と資源の重要性を指摘されたのです。それを体して、輸出入銀行の総裁、これはやはりそういうかまえになってもらわなければならぬ。だからまず局長が言われたあと、総裁にお答えを願いたい、こう思います。
  130. 稲村光一

    稲村政府委員 御指摘のとおり、海外資源開発の問題というのは今後も重要な問題でございます。大臣もしばしば御答弁されておるところだと思いますが、そのような関係によりまして、来年度の予算におきましても極力そういう点での配慮をいたしたわけでございますが、さらに今後の問題といたしましても、種々のところでこの海外資源開発が円滑にやれますように、どういう方法があるか、慎重に前向きで検討いたしたい、こういうふうに思っております。
  131. 石田正

    ○石田説明員 海外資源の開発につきましては、いわゆる探鉱段階とか試掘段階とかあるいはオペレーションの段階とか、こういう段階がありますが、そういうふうな段階の一番初めから、試掘の段階から輸出入銀行がやるかという問題につきましては、これはいまの法律の上ではできない。先生から申されておりますのは、初めからやりなさい、こういうことだろうと思いますけれども、いまの段階から申しますと、試掘段階はわれわれとしてはタッチしませんで、ほかの基金なり何なりがやりまして、そしていよいよ本格的な開発の段階になる、こういうときにおきましてわれわれのほうがその所要資金を出す、こういうふうな考え方でやっておるわけでございます。
  132. 藤井勝志

    ○藤井委員 輸出入銀行といえども銀行という名前がつくのですから、全く海のものとも山のものともつかないところへ金を出せなんという暴論を吐こうとは私は思わないのです。ただ政府のそれぞれの機関である、たとえば金探事業団、こういったものが保証をいたしますから輸出入銀行ひとつ融資を願いたい、こういう段階にきたときに、輸出入銀行としてはその使命にかんがみて積極的なかまえをすべきではないかということを私は言っておるのです。それに対して、私の質問をはぐらかされた意味じゃないと思うけれども、そういう全く海のものとも山のものともつかない、いわゆる山師を相手に——私が言うのはそういう話じゃないのです。やはり探鉱事業団がきちんといろいろの段取りをして、これならいけるということになった時点で、こういうものは、輸出入銀行はいままできわめて事務的にも手間どり、時間的にもたいへんだけれども、いろいろな気づかいをして融資を受ける者が苦労している。こういう事情を皆さん方は何とも思わないかもしれないけれども、そういうことが私の耳にはひんぴんと入ってくるのですよ。こういったところで取り上げること自体が、はね返りをおそれてなにしているという、それほどえらいしかけになっているのかなという感じが私はしましたからあえて質問をするわけでございます。その点、輸出入銀行として、金探事業団がせっかく保証基金を設け、四十六年度は三百三十億のワクをつくっておるわけですよ。万一のときには金探事業団が責任を持ちます、こういうことをやっているのですよ。金探事業団がいいかげんななにで保証するわけはないでしょう。そういったものまでいいかげんなものと同じような扱いをしてどうするこうするというのはよろしくない、私はそういう意味のことを言っておるのです。それに対してひとつ的確なお答えを願いたい。
  133. 石田正

    ○石田説明員 奨励の問題につきましては、コンゴの問題につきましても、市中金融機関におきましては、だいぶ渋っている問題がございましたけれども、市中金融機関とよく話をいたしまして、そして市中銀行の参加のもとに融資承諾をいたしたというのが実情でございます。  それからいま非鉄金属事業団のお話でございますが、これはおそらくマムートの問題ではないかと思います。マムートの問題につきましては私どもは積極的に金を出すつもりでおります。問題は、非鉄金属事業団がすべての現地の仕事をやるのがいいのか、あるいは特定の鉱山会社、実際に開発を日本の中でやっておる鉱山会社がやったほうがいいのかという問題がございまして、その問題がいま折衝中になっておるわけでございます。決して、マムートの問題につきまして、非鉄金属事業団等からの保証があっても金を出さないというような態度をとっているわけではございません。
  134. 藤井勝志

    ○藤井委員 それじゃ最後にひとつ、これは私の希望を述べて輸出入銀行運営の今後の参考にしていただきたい。  これは言わずもがなのことなんですけれども、金融機関は産業に奉仕すべき一つの立場があるという、機関創立の趣旨を忘れてもらいたくない。それがとかく、頭をぺこぺここごめて頼みにいくというようなところから、いかにもふんぞり返るようなことになり、まさに現在のいわゆる金融資本が系列化というようなことで産業をくわえてくるようなことになるのですが、少なくとも政府の直接息のかかった輸出入銀行というものは、今後は資源を大いに海外に求め、積極的にそういった手当てができるような方向に向かってひとつ全力を傾けて努力していく、奉仕する、こういう精神を、総裁はもちろんですが、担当の理事、職員の端に至るまで徹底してもらいたい。輸出入銀行というのは、ときたま法案の審議のおり顔をのぞかして初めて総裁の顔を見るというようなことで、いままでは物の売り買いの資金調達でなにだったのでしょうが、これからはそれだけでは済まされぬ。しかもそういう中で一生懸命現場で努力し、苦労している連中がいっでも相談に行けて、ざっくばらんにものが話せるような機関にならないと、うっかりこういうことを言って江戸のかたきを長崎で討たれる式になるようではとんでもないことだと私は思うのです。そういうふうに受け取った私が誤りなら訂正をいたしますが、そういうことも往々にしてありがちでございますから、金融機関の本来の使命をひとつ十分わきまえて、職員の端に至るまで、産業を伸ばすという、輸出入貿易立国の日本が、今後経済成長を遂げていくための大切な機関として、一線で働いている現場の諸君にあたたかい気持で協力し合う。それは金融ですから、できないことはできない、イエス、ノーはけっこうですよ。輸出入銀行だって何も奉仕機関ではない。単なる社会福祉施設ではないのですから、私はそんなむちゃなことは言いませんけれども、いままでの姿勢については十分に反省する必要がある、こう私は考えるがゆえに、一応このようなことを申し述べて、今後の輸出入銀行の運営のあり方を注意深く見守ることにしたいと思いますから、よろしくお考えを願っておきたいと思います。  以上、終わります。
  135. 石田正

    ○石田説明員 お話のございました点につきましては、私も含めまして、政府金融機関が非常に官僚的であるということにつきましては、今後そういう非難が出ないようにつとめたいと思っております。  私といたしましては、産業というものを育成することが大切であるということは重々承知いたしておりますし、またそういうつもりで職員一同を指導いたしておるつもりでございますが、あるいは違った感触がありましたら、その点は反省いたしたいと思っております。  先ほど来私が申しましたようなぐあいに、市中金融機関協力を求めます場合におきましても、われわれは先生と同じようなことを市中金融機関に言っておるのでございまして、非鉄金属の例をとりましても、日本の鉱物資源は少ない。これは都市銀行、メーンバンクがやっているではないか、それだけでは将来かえってあぶないのではないか。むしろ海外に非常に優位な資源を獲得して、それによって会社の基礎も固まり、金融機関としてもそのほうがベターであるということもお考え願わなければなるまいということで、いろいろ協力を求めて同意を得たというのが実情でございます。それを人にはいうけれども、自分では産業のことはほったらかしということでは、まことに首尾転倒しておるわけでありますから、いまお話しになりましたような点につきましては重々含めまして、今後の運営に当たりたいと思います。
  136. 藤井勝志

    ○藤井委員 後段に御説明が非常に御丁寧だったことで、ちょっと私耳にしてまたいささか心配でございますから、念を押す意味で申し上げますが、海外資源開発というのはある程度リスクを伴うという、こういったことは宿命的な問題だと私は思うのです。政変というようなこともありますけれども、それがインドネシアのこういう問題にからんでいろいろ議論が出たわけですけれども、やはりこれはどうしても積極的にやらなければならぬという場合には、民間金融機関、これがなにするということのあとを追うて、補完的な姿勢ではだめだということを私は言うわけなんです。だから、補完ということと同時に、むしろ資源問題の重要性を確認すれば、第一条に書いてあるように「一般金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」というこの奨励のほうにウエートを置いてもらわなければ、リスクのほうに何か民間金融機関が積極的にやれなんてなかなかやれない。そこは政府金融機関である輸出入銀行が、せっかく金探事業団であるとか石油公団であるとか、こういったものが債務保証をするための保証基金制度ができたのですから、これを有効に生かして積極的にひとつ推進する、こういうかまえでないと、何かあなたの言われた最後のくだりが、民間金融機関と云々というようなことを言われたので、私は気がかり、だからあえてつけ加えておきます。よもやそういうことについての御認識をお欠きになっているとは思わないけれども、ひとつとくと今後の御配慮を願いたい、このように思っております。
  137. 毛利松平

    毛利委員長 松本君。
  138. 松本十郎

    ○松本(十)委員 私は対外援助の問題一般について二つ三つ質問しまして、そのあとインドネシア債権関係について各論的な質問をいたしたいと思います。  まず第一に、現在いわれておりますように七五年ともなればわが国のGNPは四千億ドルをこえる。一%としても四十億ドルではないか。相当な額であります。もちろんこれらの大宗をなすものはプロジェクト援助であろうと思いますが、私どもはプロジェクトがどういうふうにきまっておるのか。よそながら、見ておりまして、これではたしていいのかという問題意識を持っておるわけでありますが、現在の援助対象としてのプロジェクトをどういうふうにきめていくか、この仕組みにつきまして、まず外務省、通産省、あと大蔵省と、各局長から、ひとつお伺いしたいと思います。
  139. 沢木正男

    ○沢木政府委員 具体的に借款を与えます場合に、どういうプロジェクトを選ぶかという問題につきましては、国により相当異なってまいります。インドネシアのような場合にはIGGIと申します国際会議がございまして、そこで年間のインドネシア実施すべきプロジェクトリストが提示せられます。その中から従来の関係あるいは日本の得意な分野、そういうものを選びましてプロジェクトを決定いたしておりますが、それ以外の国につきましては、原則としてその国の開発計画というものがございまして、その開発計画に基づいて先方からこのプロジェクトをやってほしいといってくる場合が通常でございます。そのいずれの場合におきましても、プロジェクトをきめます前に一応調査団、あるいはプロジェクトごとにクレジブルサーべーの調査をいたしまして、それがクレジブルであるという点を確認いたしましてから正式にプロジェクトとして取り上げて実行するという組織を現在とっております。
  140. 稲村光一

    稲村政府委員 大蔵省といたしましては、ただいま外務省のほうから御答弁がございましたとおり、第一義的には、外務省が先方との交渉で固まってまいりますプロジェクトにつきまして御相談を受けまして、通産省のほうとも相談をしながら、慎重に検討をいたしまして判断するということにいたしております。
  141. 後藤正記

    ○後藤政府委員 通産省といたしましては、外務省、大蔵省とも緊密に連絡をいたしまして、私どもの担当いたしております、たとえばそのプラントの内容、プロジェクトの内容関連して、プラント輸出等の延べ払い輸出承認を必要とする場合はそれをいたしております。
  142. 松本十郎

    ○松本(十)委員 私がかねてインドや。パキスタンの債権会議、対印、対パ・コンソーシアム、こういうところに出席した体験から申しますと、ドイツにしましてもあるいはアメリカにしましても、リストが出てからこれをとるかあれをとるかではおそいのでありまして、前の段階から、その相手の国に応じた、何と申しましょうか、開発計画あるいは経済何カ年計画というものについて相談を受けたり、またアドバイスをしながら、その中で必要なプロジェクトは、これはどうしても育てぬといかぬ、クレジブルにしないといかぬ、こういうことでプロジェクトを育てていきながら、その過程においてすでに、このほうはわれわれが出ていってやってやろう、こういう感じをもって進んでいるようなのであります。日本の場合は大体、出てきたおさらに並んだものを見て、あれを食べたい、あれがやれるならあの橋をやりたい、この港をやりたい、こういうふうにあとから商社的な感覚で出ていく場合が非常に多いのではないか。こういうことが、せっかく援助をしながら、相手国に対して、何か日本のやっていることは、どういうのですか、なかなかガメツイという印象を与えるのではないかと思うわけであります。この辺は、これまでは金額も少なかった。日本としてもなかなか余裕がありませんでしたから、そういう点、しかたがなかったかと思うのでありますが、これからはやはり量的にも多くなりますし、行く行くはアンタイドエイドに踏み切るわけでありますから、そういうことを考えますと、やはりプロジェクトを育てていく、そのために必要な経済的なアドバイスをしたり、あるいはミッションを送り込んで、全体としての経済の発展計画に参画をする、こういうことを考えなければ、日本経済大国らしい援助というものにならないかと思うのでございまして、その辺のことについてこれからどういうふうに持っていこうとしておられるか、それについて外務省、それから通産省に伺います。
  143. 沢木正男

    ○沢木政府委員 まことにお説のとおりでございまして、できるだけそういうふうにやっていきたいということで、はっきりそれがある程度実現しておりますのがインドネシアの場合でございまして、ここには世銀のジャカルタ駐在のオフィスにも日本人を入れておりますし、それからインドネシアのほうの経済企画庁あるいは海運省、農林省というようなところにもアドバイザーを入れております。したがいまして、今後技術協力を飛躍的に拡大していきたい、そして、それによって専門家をそういうところに長期に出しまして、そしてプロジェクトの形成段階から関与していくということをいたしたいということを念願いたしております。
  144. 後藤正記

    ○後藤政府委員 通産省の立場といたしましては、経済協力とそれから輸出の貿易の問題とが一番関連してまいります。現在のわが国の経済協力の中身というものが、しばしばDACの会議等でも指摘されておりますように、たとえば民間輸出信用供与が非常に多い部分を占めておるということで、日本経済協力というのは輸出振興のためだけではないかというような非難を一部受けております。しかしながら、これは一面から見れば確かにそういう点もございますが、経済協力というものの内容、特に民間の信用供与というものが輸出とうらはらをなしておることは確かでございますので、そういった非難にこたえますためには、先般来たびたび御議論がございますように、たとえば政府援助の割合をふやすとか、特にそれからまた経済協力輸出振興といったような印象を与えないようなこまかい配慮をすることが必要であると存じます一さらにまた、先ほど来藤井先生が御発言ございましたように、今後の資源の問題等につきましても、現在重要資源の保有パーセンテージは、世界全般を見ますと、いわゆる発展途上国に六十数%が現在のところでは押えられておるということでありますので、こういった資源開発というものと経済協力とどうからめていくか。それがまたしても日本の資源確保のための経済協力というような印象を与えないように、日本経済の立場からいうならば、現在資源がきわめて貧弱で土地が狭隘であるという日本自身の立場と、それからそういった資源を開発して、その発展途上国が今後経済的にテークオフしていくという、発展途上国自体の経済発展のためにも大切だという、相互の立場を十分に尊重し、これを理解していただくような方向に、今後の経済政策、対外経済政策、貿易政策というものを進めていきたい。したがいまして、一面そういうかつての輸出振興即経済協力であるというような非難が起こらないように十分注意しつつ今後の発展途上国対策を考え、同時にまた日本自身の産業政策、対外経済政策というものを進めてまいるべきであろう、かように考えております。
  145. 松本十郎

    ○松本(十)委員 いろいろの抱負を伺いましたが、何と申しますか、大蔵、通産、外務、またさらに経済企画庁と、前々からいわれておりますように諸省部局が相分かれておりまして、連絡会、協議会を進められておるのではありましょうが、何となくそこにちぐはぐのところがあるようでありますから、特にこれからの対外援助、いわれるまでもなく本腰を入れるべきときでもありますし、さらに十分連絡を密にされまして、これからの行き方については、これまでのままではどうしてもいかぬという問題意識に立って、新しい方向を早く打ち立てていただきたいということを特にお願いしておきたいと思います。  いま資源開発の問題も出ましたし、また先ほど藤井委員のほうから輸出入銀行総裁にも質問その他出ておりましたが、これはこれからのほんとうに大事な課題だろうと思うのであります。片方で南北問題を片づける、また日本の伸びていく経済に必要な資源を確保していく、両方の角度からもっと力を入れるべきだと思うのであります。これは輸銀の総裁にお聞きしてどうかとは思いますが、金額を聞いていますと、相当力を入れると言っておられても金額が少ない。これに対して、たとえば数年間以上世界第一の造船量を誇っているわが国の造船会社、数は数社だろうと思うのでありますが、その方面に輸出入銀行政府資金があんなにたくさんな額いついつまでも行かぬといかぬのかな、これはわれわれの偽らざる疑問でありまして、その辺について伺いたいと思います。その前にまず理事からでも、輸出船舶に対する輸出入銀行の融資額を、ここ二、三年の間わかればひとつ数字を言ってください。
  146. 奥村輝之

    ○奥村説明員 輸出船舶に対する日本輸出入銀行の融資の金額でございますが、昭和四十一年ぐらいからちょっと申し上げたいと思います。  計画額を申し上げますと、四十一年度は千三十一億円、四十二年度は千二百二十六億円、四十三年度は千四百七十億円、四十四年度は千四百九十億円、四十五年度は千六百八十億円、四十六年度の計画は二千六十億円でございます。この計画と申しますのは一応の数字でございます。
  147. 松本十郎

    ○松本(十)委員 いま伺いますと相当の金額が出ている。こういう制度を始めた当初は輸出振興ということで大いに意味もあったと思うのでありますが、現在の世界の造船界の実情あるいは日本の造船業界の力あるいは造船会社と外国の船主との契約のしかたなど、特に最近の姿を見ておりますと、いつまでもこういうことを続けるべきものなのかどうか。五カ年計画というのをこの前つくりましたので一つの方針はあるのでありましょうが、しかし長い目で見まして、そういったものはもしも削れるものなら削って、むしろアジアのために、資源開発のほうに回すべきじゃないか、こういう感じがするわけであります。これは全体としての財政投融資の編成方針ともからむと思うのでありますが、ひとつ石田総裁に、もしもお伺いできれば……。
  148. 石田正

    ○石田説明員 いま松本委員から話がございましたようなぐあいに、船舶に対する融資比率が輸出入銀行が非常に重い、こういうことで一体いいのかという問題につきましては、われわれとしてもその点を反省をいたしておるわけでございます。しばらくの間はこういう状況が続くのではないかと実は心配しておるわけでありますけれども、私どもといたしましては、一番重点を置きましたのは、いま融資量のお話がございましたけれども、実はその融資を何によってまかなうかという方面に相当注意をいたしまして努力をいたしてきたわけであります。  御承知のとおりに、輸出入銀行は出資とそれから資金運用部からの借り入れ金からなっております。したがいまして、それが込みになって融資が行なわれるわけでございますが、その形におきましては輸出入銀行が安い金利で出しているという分、要するに六分五厘で資金運用部から借りておりながら、片方造船会社に対しては四%で貸している、こういうことを続けていていいのかどうかという問題をまず第一に取り上げまして、その問題を何とかして解決いたしたいというのがこの数年間努力してまいったところでございます。  なお、これにつきましては、片方におきまして造船業が強くなっているけれども、やはり世界的な競争があるのであって、日本だけ変革すると非常に不利になるというような考え方が造船業界その他におきましてございます。これももっともな点があるのでございまして、その点におきまして、御承知のとおりOECDというところでもって、船舶のいわゆる対外条件というのをどうするかという問題が論議せられました。これに対しましてはいろいろと各方面で意見がございますけれども、輸出入銀行としては、ああいうものに乗って、対外条件、ことに海運企業というものは世界的にいい状況であるのだから、これは上げる方向に努力すべきではないかということで、輸出入銀行の意見は、そういうことにつきまして政府を通じ、あるいは直接パリにおける代表部にわれわれの意見を申し述べまして、いろいろと御努力を願ってきたわけでございます。それにおきまして対外条件というのはだんだん改善されていることは御承知のとおりでございます。  その間におきまして、それでは対外条件を変えました場合に、四分という金利をそのままにして融資比率を減らしていくという方法も一つあると思うのでございます。それからまた融資比率は変えないでおいて輸出入銀行の金利だけ上げていくという方法もあると思うのであります。率直に申しまして、輸出入銀行といたしましては両方できればいいのでありますが、どちらかの選択ということに相なりますれば、造船業界は相当競争力があるということでございますから、税金から援助をするということよりも、要するに普通の金融ベースで六分五厘という方向に近づけることが大切ではないか。それができますれば、その次の段階におきまして、それと市中金利との差が縮まれば、それは市中が担当していいという方向になるのではないかということで努力いたしてきたわけではございますけれども、まだ金利の点につきましては十分ではないというお考えもあるかもしれませんけれども、だんだんと改善されてきておる。最近のOECDの対外条件の引き上げに伴いまして、もうそろそろ融資比率のほうへも入っていいのではないかということで、そちらのほうにつきましても業界と話し合いをつけておる、政府の御了承も得ておる、こういう状況でございます。  ただ問題は、造船業界というものが世界的にいいましても非常に長い期間の注文をとっておる、こういう事情がございまして、そういうふうな過渡的なものをどうするかという問題がやっぱり続くわけでございます。それと同時に、国内造船につきましてどのくらいの量を手当てするかという問題もあるわけでございます。われわれは、開発銀行のほうにおきまして、要するに日本の造船につきましては日本の船をつくるという方向にいきますならばそれでけっこうだと思うのでございまするが、現実の問題としてわれわれのほうから申しますと、国内造船を予定されたところの船台が、いろいろな関係からいいましてあいてしまうという問題が今日たびたび起こっております。そういう場合に、問題はどうも日本の国内船の金融力の問題ではないかと思うのでございますが、そういう場合に外国の有力な資金力のあるところの、有力な金融力のあるものがまいりました場合には、その船台があけっぱなしにならぬようなぐあいに配慮する、こういう問題で処理してきたわけでございます。  なお、つけ加えて申しますならば、いまの状況でございますので、われわれは長い期間にわたりましてはだんだんと船舶の融資比率を減らしていきたい、わが行の融資量の中で船舶の融資比率を減らしていきたいという考え方で、努力をいたしておりまするけれども、それには時間がかかる要素があるのだということを御了解願えればありがたいと思います。
  149. 松本十郎

    ○松本(十)委員 方向としてはできるだけお願いしたいと思いますが、貿易量がふえてまいりまして、貨物の量がふえているのも関係しましょうが、日本船の積み取り比率というのはなかなか上がってこない、こういうことでありまして、これは大蔵省自身にお願いせぬといかんことでありましょうが、国内のライナーにもっとつくらせるという方向で、むしろ財政資金の配分についてやはり考えなければならぬところへきているという感じであるということを申し上げておきたいと思います。  それから、先ほどから民間資金の活用問題が出ておりましたが、かねがねからそういう線を打ち出しておりながら、なかなか現実問題としては、量的にも質的にも伸びていかなかったということが実情であろうかと思うのでありますが、こういう将来の国際経済の、特に金融の面におきまして、どのような条件が満たされれば民間資金というものがもっと活用できるのだろうか、またそういう方向に持っていくにはどういう点に配慮すればいいのだろうか、こういう点につきまして、国際金融局長あるいは輸銀総裁、何かお考えがありましたら伺いたいと思います。
  150. 稲村光一

    稲村政府委員 お尋ねは、前半の後進国援助についての民間資金の利用ということであろうかと思いますので、その点からお答え申し上げます。  これは御承知のとおり、日本のいまの後進国に対しまする援助というものは、大体三〇%強というのが政府開発援助でございます。それ以外は民間資金、ただしこれは民間資金と申しましても、若干輸銀資金等を通じます面もございまして、純粋の民間資金はやはり全体の三割ぐらいということかと思われますが、これは確かに民間資金の援助につきましては、その相手先によってだいぶ事情の違いがあろうかと思われます。と申しますのは、民間資金につきましては、やはり何と申しましても国内金融の関係その他がございまして、なかなか金利が援助的と申しますか、非常に安い金利というわけにはまいらないのでございます。そういう意味で、量の問題とそれから資金の質の問題、条件の問題、両方あろうかと思います。しかし、これは次第に、やはり日本の金融市場というもののこれからの発達に応じまして、量的にもまた質的にも豊富な資金というのがやはり海外に向けて使われるというふうになっていくように——これはまあ金融政策全体の問題でございますので、なかなか簡単に、一足飛びにというわけにはまいらぬかと思いますが、方向といたしましてはそういう方向で考えていきたい、こういうふうに考えております。
  151. 松本十郎

    ○松本(十)委員 総裁いかがですか。
  152. 石田正

    ○石田説明員 民間資金の活用の問題につきましては、私は結論的に申しますと、本行が設立せられて以来ずっと同じような状態が続いておるのだと思いますけれども、要するにいわゆる対外的な条件と、それから国内の金利条件というものがマッチしないというところに根本的な問題があるのではないかと思うのでございます。先ほど船について申しましたにつきましても、やはり六分五厘では、まだ国内ではちょっと市中金融機関はそれに乗ってこないというふうに思いますけれども、やはり、それをだんだんと近づけていくということがあって初めて民間金融機関に肩がわりができるということになるのではないかと思います。  結局、日本の金融市場というものが、資金量と金利の問題とは、これは関連いたしておりまして、需要に対して足りない、こういうのが根本にあるわけだと思います。その問題が解決されませんければ、ほんとうの意味の解決ということはこないだろうと思うのでありまして、それをどういうふうにやっていくか。われわれのほうはできるだけ、あまり甘い条件でやらない、それから市中金融機関は、資金を集めてだんだん金利その他を下げていく、こういうことがあって初めて期待しているような方向が出てくるのじゃないか。それにはやはり時間がかかるというふうに思っております。
  153. 松本十郎

    ○松本(十)委員 なかなかむずかしい問題でありまして、それだけにこれまで十数年間なかなか遅々として進まなかったといえましょうが、しかし方向としては、だんだんと日本外貨もたまり、民間金融機関の力もついてきたわけでありますから、金融政策、内外に分けていろいろ問題もありましょうが、方向としてはひとつ、政府当局もまた輸銀当局もこの方向で御努力を願いたいということを要望しておきたいと思います。  次に、インドネシア関係の各論について三、四伺いたいと思います。  アメリカとかイタリア、ドイツ、イギリス、こういったところはまだ繰り延べ措置についてはっきりした態度をきめてないかと思うのでありますが、大体どういうふうなやり方をしようとしていると観則しておられますか。あるいはキャッチしておられますか。
  154. 沢木正男

    ○沢木政府委員 アメリカは、先般の会議できめられたとおりの繰り延べと、場合によってはリスク条項に基づきます現利子の元本繰り入れをやらないでさらに引き延ばすという、より緩和された条件で合意をやるかもわからないというのが現在の情報でございまして、こちらのほうは二月終わりごろから交渉を開始するように、現在の情報は聞いております。それから、イタリアのほうも今後二、三カ月以内にインドネシアと、同様な交渉を開始するというのが現在の情報でございます。
  155. 松本十郎

    ○松本(十)委員 ドイツ、イギリスはどうですか。
  156. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ドイツにつきましてはまだ交渉が始まっておりません。これはいつ始まるかということにつきましては、いまのところちょっと情報を欠いております。
  157. 松本十郎

    ○松本(十)委員 それから、これまで共産圏もかなりインドネシアには貸した国があると思うのでありますが、共産圏諸国はどのような措置をとったのでありますか。大蔵省でもけっこうです。
  158. 稲村光一

    稲村政府委員 共産圏につきましては、ソ連が昨年すでにアプス案と同じ内容債務救済の取りきめを締結したというふうに聞いております。その他の共産圏につきましてはまだ情報を持っておりません。
  159. 松本十郎

    ○松本(十)委員 一部の考え方を持った方々は、今度、今度といいますか、インドネシアに対してリファイナンスする。これはインドネシア債務救済じゃなしに、むしろ日本の商社を救済するんじゃないか、こういうふうな言い方をしておられる向きがあるようでありますが、政府としてはそういうことに対していかなるお考えをお持ちか。
  160. 沢木正男

    ○沢木政府委員 これはけさほどの御質問に対しましてもお答え申し上げましたように、商社が決済する限りは、インドネシア側からの支払いがとまりましたときに輸出信用保険に基づく支払いを受けまして、それでもって完了しようということでございます。ただいま御審議いただいておりますインドネシアに対する繰り延べは、インドネシアのほうから日本に払うのをどういうふうに取りきめ、かつそれについて金融をつけてやるかという問題でございまして、商社の問題とは直接の関連はございません。
  161. 松本十郎

    ○松本(十)委員 インドネシアのデッドサービスレーシオというのはどのくらいになっておりますか。
  162. 稲村光一

    稲村政府委員 一九七〇年で九%でございます。
  163. 松本十郎

    ○松本(十)委員 かなり問題の数字だと思うのですが、そういったところで、七一年度はそれではどういう方針で臨もうとしておられるのか。これはなかなか他国の政情について憶測するのは避けたいと思いますが、外務省筋では、来たるべき選挙等を踏まえて、これからのインドネシアの政情というものについて、こういう委員会で答えられる範囲でひとつ答えてください。
  164. 沢木正男

    ○沢木政府委員 インドネシアは今年選挙が行なわれるわけでございますが、現在の情勢分析では、もしインフレとかその他、学生騒動というふうな非常な事態が発生しない限り、現在の政権は安泰で続くというふうに考えております。  七一年度の援助に関しましては、先般オランダのロッテルダムにおきまして世銀主催に基づきますIGGIの会議がございました。七一年度にインドネシア援助を必要とする額は六億四千万ドルでございます。その六億四千万ドルのうち、どれだけを日本が分担するかという点につきましては、政府部内において目下検討中でございまして、いまだ政府はきまった考え方は持っておりません。
  165. 松本十郎

    ○松本(十)委員 なかなか微妙な要素も含んでおるようでありまして、七一年度の援助方針についてはさらに念には念を入れて、後日に禍根を残さないようにひとつやっていただきたい。これをお願いして私の質問は終わります。
  166. 毛利松平

    毛利委員長 堀君。
  167. 堀昌雄

    ○堀委員 IDAに関する法律関連いたしまして、ちょっと当面する国際金融上の諸問題について、大臣の御見解を少し承りたいと思います。  最近、御承知のように累次にわたるアメリカの公定歩合の引き下げがございまして、私どもからはやや異常な感がするほどの短期間に反復して行なわれた公定歩合の引き下げというものは、これはやはりいろいろな意味で国際金融上に影響を与えずにはおかない、こういう感じがいたしておるわけであります。そのことと同時に、またアメリカがこのような短期間にこのような形をとらなければならなくなった問題点、このほうにも実はまた非常に問題があるのではないか、こう考えておるわけであります。ですから、現実に行なわれた公定歩合の引き下げによって起こると予想せられるところの一つの国際金融上の問題点と、そういうようなこともおそらくアメリカ政府としても十分承知の上で、なおかつこういう措置をとらなければならなくなっておる背景、そういう背景がもたらすところのその次の問題、こういうような点があわせてやはり、集約的にはやや長期的な問題になりますけれども、ドルの通貨問題ということに無関係には推移ができないのではないかという感じがしてならないのでありますが、これらについて、いま私何点かに少し整理をして分けましてお伺いしておきますので、それについてのお答えをちょうだいしたいと思います。
  168. 福田赳夫

    福田国務大臣 アメリカの経済政策、特に金融政策ですね、これはこの数年間に非常に幾変転かという過程をたどっておるように見ておるのです。つまり今日のインフレ、これはジョンソン政権のときに発生した。ジョンソン政権のころは主として金利政策によって克服するということを試みた、こう見ておるのです。ところが一昨年の一月ニクソン政権の誕生となり、ニクソン政権が、これは金利政策ということではとても解決できないんじゃないかという判断のもとに金融の量的調整、これを主軸にするインフレ克服対策というものをとった、こういうふうに見ておるのです。一昨年ジョンソン政権が成立してから一年間にわたる金融引き締め、これは堀さんもよく御承知のように非常にきびしいものであった。とにかく総貸し出しを一年間もふやさぬというくらいの状態だった。そこで倒産、破産、また失業率が高まってくる、こういうような状態になって、昨年の四、五月になると失業率が五%にも達する。そこで、これは社会不安につながる。これはほうっておくわけにいかぬ。こういうようなことからまた量的規制を緩和する政策を出した。しかし昨年は御承知のようにGNPがマイナスになるというような勢いで、一向に景気回復の徴が見えない。そこで量的緩和、これを進めると同時に金利政策もあわせ用いる、こういう手段をとった、こういうふうに見ておるのです。ただ、一体それでアメリカの景気が回復するかというと、今日なお低迷をいたしておる、こういう状態であります。なお景気浮揚政策をいろいろの角度から進めざるを得ない政治情勢にある、こういうふうに見るのでありますが、さて非常にむずかしいのは、あまり景気が浮揚すると物価対策のほうがむずかしくなる。物価対策に配慮しますと景気が浮揚しない。アメリカの経済というのは実にここ何年といいますか、近来まれに困難な状態にある、こういうふうに見ておるのであります。  そういう考え方のもとに数カ月の間に五回にわたる金利の引き下げをやる、こういう挙に出たわけですが、このアメリカの金利引き下げによる景気浮揚政策、これはアメリカのドルが世界の基軸通貨であるということにかんがみて国際的に影響するところもかなり大きい、こういうふうに見ておるのでありますが、現にヨーロッパ大陸なんかにおきましてはこれに対する批判の声も聞かれる、こういうような状態であります。私は公定歩合がなお下がるか下がらないか、この辺についてはあまり的確な判断もいたしかねるのでありますが、ますます底をついてくるというような気持ちがするんです。しかし、いずれにいたしましても、これは国際社会にかなりの影響のある問題でありますので、その波紋がどういうふうに広がっていくか、その辺はわが国といたしましても十分注視してかからなければならぬ状態である、こういう認識でございます。
  169. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、アメリカの問題というのは、いろいろな形でわが国も直接の影響を受けることになるわけであります。いま日本外貨が少しふえたから平価の問題をどうということは、私も全然考えていないのですが、それは西ドイツを見ればわかることであります。西ドイツは最近外貨準備が百四十億ドルにもなりまして、この前の切り上げのときよりも十数億ドルぐらいふえているのですけれども、いま別にだれも西ドイツの平価の問題に触れていないのと同じように、私はそういうふうに、問題そのものが実はそんなに大きな問題じゃないと思っているのですが、そういうふうにドルがどんどん流出をする状態というのは、対日本というだけでなくて、実は問題があるわけですね。その中で、ちょっと技術的なことですから事務当局に伺っておきます。  昨年IMFは大体五億一千万ドルぐらい南アから金を購入した、そうしてそのうち大体六億くらいを各国に交換をした、こういうふうに書かれておるものを読んだのですが、一体日本はこの中でどのくらいからIMFから金を交換をしたのか知りたいのです。
  170. 稲村光一

    稲村政府委員 ただいまちょっと手元に詳細の計数がございませんが、これは昨年は南アからIMFが購入いたしました金を、各国のIMFに対する債権額と申しますか、IMFポジションによりまして算定いたしました率に基づきまして配分をいたしました。正確な数字はちょっと調べましてからお答えしたいと思います。
  171. 堀昌雄

    ○堀委員 金の問題なんですけれども、実はいまアメリカは、日本と西ドイツに出ているドルはあまり心配はない。イギリスあるいはフランス、イタリア、オランダ、こういうところへ出ているのはやはり交換をされる条件が十分ある。ただ幸いにして昨年はこれらが対外債務を引き落とすためにドルを使って、過剰ドルがあまりなかったということが、金交換を求めることにならなかった条件のように書かれておるものがあるのですけれども、私もそれはそういうことなんだろうと思うんですね。要するに、どうして日本と西ドイツは別格で、あとの国は金の交換を要求されだらしなければならぬという可能性をアメリカが持っておるのかという点に、私は非常に奇異な感じがしております。フランスみたいに、そうでなくても金・外貨準備の中で金がうんと多い国と——日本は金があまりない国ですから、別にいまさら私は金を多くふやせということではありませんけれども、やはり日本も金と交換し得る条件を持っているわけです。アメリカが非常に困っているときにどうこうということではありませんけれども、やはりもう少し何らかの形で金の保有という問題も考えてみる必要があるのではないだろうか、こう思いますけれども、大臣、その点どうでしょうか。
  172. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は寡聞にして、アメリカがドイツの外貨の蓄積状態にわりあいと無関心であるというような話は聞きませんが、わが日本に対してはそういう状態があるだろうと思うのです。つまり、わが日本は短期資金の流入を規制しておる、そういうようなことですね、そういう状態の日本に対しては、わりあいに資金の移動については無関心であるということは想像できるわけでありますが、しかし、ヨーロッパ大陸は短期資金の規制につきましては大体同じような状態で、特にドイツあたりにおきましても、各国の金利の状態、あるいはマルクが切り上げられるんじゃないかというような思惑が起こった場合、あのときなんかずいぶん外貨の移動というものが行なわれたわけなんです。ドイツについても、アメリカはそういうことについてはかなり関心を持っておるところじゃないか。したがって、今度のアメリカの引き続く金利の引き下げというようなことにつきましては、ヨーロッパ大陸の中ではドイツで一番批判的議論が多い、そういうことを見ましても、アメリカもドイツの問題をそう等閑視していないような気がしているのですが、私もこの点はあまり詳しくありません。
  173. 堀昌雄

    ○堀委員 増加することの心配でなくて、これらの通貨当局が金に交換しないというふうに安心しておるようです、日本と西ドイツは。ほかのところはいつ交換を求められるかわからないという、不安と言えば言い過ぎかもしれません。権利があるのですから当然交換されていいのですが、西ドイツと日本というのはあまり交換をしないというふうに考えておるというふうな報道があるのです。日本というのはあまり金もないのにそんなふうに考えられずに、交換するかもしれぬなぐらいに考えてもらっておいたほうが、いろいろな関係の中ではいいんじゃないか。どうもやや向こうに一方的なぺースで押しまくられる場合もあるわけですからね。そこらはあまり安心されないような姿勢のほうが——私は金にかえなさいというわけじゃありませんよ。あまりあそこは心配ないと思われていると、どうも万事うまくないんじゃないかという気がするものですから、そこらはいろいろ外交的な問題もあるので、そういうふうに思われないほうがいいように思われるので、ちょっとその点を伺いたいと思うのです。
  174. 福田赳夫

    福田国務大臣 ドイツのことは存じません。しかし、わが日本は何といっても経済、金融、特に金融ですが、日米非常に深い関係がある、そういうようなことで、アメリカの外貨政策、これには日本としては協力するのが当然である、こういうふうに考えているのです。いま、アメリカとすると、終戦直後ぐらいにはとにかく三百億にも届くような金を蓄積しておった。それが百億ドルちょっとこすというような状態になっているわけです。百億ドルを割るか割らないか、これは大きな問題であると思う。アメリカの金がどういうふうに買われているかというようなことにつきましては、アメリカ政府としては非常に神経質であろうと思うのです。そういう状態で、わが日本といたしますと、アメリカの金政策にも協力をすることが妥当である、そういう考えを持っているのです。ただこれは、無条件で金にかえません、こういうのじゃありません。これはアメリカともよく話し合いをしながら、わが日本におきましても着実に金を増加させておるのです。しかし、その着実な増加がアメリカの金政策を脅かすというようなことであることは、これはわが日本の立場として妥当ではないのじゃないか、そういう考えでございます。
  175. 稲村光一

    稲村政府委員 先ほどの計数でございますが、昨年のIMFの南アからの金購入は六億四千万ドルでございます。そのうちで三億二千五百万ドルを九月に各加盟国に、先ほど申しました基準に基づきまして配分をいたしました。そのとき日本が買いました額は五千七百万ドル程度でございます。
  176. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、いま日本は総計で一体金を幾ら持っているのですか。
  177. 稲村光一

    稲村政府委員 この一月末現在で申しまして、金は五億三千二百万ドルでございます。
  178. 堀昌雄

    ○堀委員 私が多少金にこだわりを持ったような発言をしておりますのも、いまSDRですね、これはこの前、私ちょっと日銀の副総裁ともお話をしたのですが、私ども、創設当時はあまり賛成をしていなかったわけですが、最近、「オッソラ・イタリア中央銀行副総裁(IMFの新準備資産創出についての委員会の議長であった)はワシントンで演説し、ヨーロッパの通貨当局の間では近い将来SDRの第二次創出を行なうべきではないとの意見が強まっていると述べた。SDRの創出をとりやめないまでも、きわめて小額とし、シンボルだけにとどめるという意味と解される。」と、こういうような発言がワシントンであったというんですから、かなり欧州側の意向を強く反映しておると思います。この間河野日銀副総裁も言われたが、フランスのジスカールデスタン蔵相もこれらに似たような発言をやはりされております。どうも欧州全体としては、SDRに対する不信感と申しますか、そういうものがかなり強くなってきている、こういうふうに考えるわけです。そこで、これは欧州の通貨同盟の問題が今後どういう形をとって動いていくかはわかりませんけれども、今後の趨勢としては、この間のニクソン教書の中でも、一つはSDRの引き出し権以上に黒字をためる国はもうちょっと考えろという問題と、いま一つは為替の弾力化を進めるんだということの二点が実は強調されておったように私は思うのでありますが、全体の趨勢として、どうも今後の為替の変動幅問題というものは、現状の形ではだんだん困難になる。それは裏返していえば、要するにドルの力がだんだんと長期的には弱まっていくんではないだろうか。それをカバーするためにはどうしても、ちょうどカナダがいまとっているような、そういう変動相場の問題が当然日程にのぼってくるという全体としての客観情勢があるんじゃないか、私はこう考えているのです。  日本はこれまで——私もこの前福田さんと論議をしましたときも、固定相場でいきますと、こういうふうにはっきりおっしゃっているのですが、当面はそうかもしれませんが、少し長期的な見通しを考えると、これはどうしてもそれがクローリングペッグになるのか、あるいはワイドバダーのようなことになるのか、それは別といたしまして、何らかの為替変動幅の拡大というような式のことにならざるを得ないのではないか。そうしてまた私は、ある意味ではそういうことが行なわれたほうが、ちょっと日本のような場合に、どこかでばさっと上平価を動かすということよりも、自然な形がとり得る時間というものが残されることになるのではないか。こういうような感じを含めて、実はいまの為替変動相場の問題というものが、やがて実は具体的な日程にのぼるときが近くなってきているのではないか、こういう感じがしておるのでありますが、これらについて大臣の御見解をひとつお伺いいたします。
  179. 福田赳夫

    福田国務大臣 最近の国際社会での動きは、私もまだタッチしておりませんけれども、昨年秋のIMFの総会、この時点では固定為替相場、これが大勢である、そう御理解願っていいと思うのです。それから、わが日本も率先してこれを主張したわけです。ただ一部に為替相場の弾力化説を唱える国があったわけであります。しかしその一部の国といえども、為替相場について、これを野放しにするのだとか、あるいは変動幅を基本的に変えてしまうのだとか、そういう根本的な改革論、これは影をひそめまして、あなたがいまお話しになった、いわばワイドバダーというか、いま一%前後ということになっておるのをあるいは二%くらいにしたらどうか、大きくいうと三%くらいにしたらどうか、そういうような意見が残っておったのです。そのことは、大勢が変化しておりますか、これは承知しておりませんけれども、おそらくそう大きな変化は起こっておらないのではないか、そういうふうに思うのです。私は、日本の立場というよりは、世界全体をながめてみまして、変動幅が多い、あるいは変動幅にいろいろな屈折方式が導入される、これは為替に対するスペキュレーションを非常に誘発しまして、通商を阻害する、こういうような気がするのです。それからまた通商立国のわが日本といたしますと、これはどうしても通商に最も安定した為替交換方式、これを堅持するという態度をとるのは自然なことだ、こういうふうに思うのです。今日も為替固定方式、これは変えておりませんけれども、これから国際社会においてどういう議論が起こってきますか、そたはまだ私も予断を持っておりません。
  180. 堀昌雄

    ○堀委員 いますぐのことではなくて、おそらくそうした問題が出るのは、私はやはりドルの力がだんだん下がってきてからの問題になるのじゃないだろうか、こういうふうな感じがいたします。ですから、そういうのはことしの秋、十一月くらいからですか、そういうような時期からそういうことが起こってくるのではないかと思うのです。やはりこれらの問題については、いまの私どもがそう思っている感じと、よその国が日本の貿易収支の黒字をどう見ておるかということの関連では——昨日も私がスミトロ貿易相の発言を引いて、日本の通貨は強過ぎるのだということが、これはちょっと別の側ですが、ありますが、同じようにこれはやはり日本との関係で赤字国になっておる、貿易収支が赤字になっておる側としては、一番そこは関心の強いところではないかと、こう考えるわけです。そうだからといって、いま私どもがそういう平価切り上げをしなければならぬということではありませんけれども、そういう問題が背景にあるとすると、十分そこらも配慮しながら、いまの、もしワイドバダーというようなことになれば、その幅で二%なら双方で四%幅があるわけですから、そういう調節圏ができれば、それなりに、ドラスチックな切り上げという以前にそういう問題の処理が行なわれるという形があれば、そのほうが何か、今後の日本の通貨問題として、ストレートにすぽんとくるというよりも段階的な処置になるという意味では、いろいろな影響が少なくて済むのじゃないだろうか。日本はこれまでそういう経験がありませんし、実際に切り上げの問題がどういうふうな形でどこまでどういうふうに影響するかということについては、かなり問題を起こすことの可能性もありますし、それでは切り上げの問題は永久にこないかというと、これもまた必ずしもそういうふうには考えられない情勢を考慮しておかなければならぬ、こういうふうに思うので、私は、そこらの問題を含めてこれらの通貨対策については十分慎重な準備が必要ではないか、こう考えておりますものですからちょっと——問題が起きる直前になってものを言っても始まりませんので、大体一年か二年前にわれわれはものを考えながら、それに対する対策も含めて、それを発表するとかどうとかは別でありますけれども、十分慎重なる対策を諸般にわたって考慮しておくことはきわめて重要なのではないか、こう思いますので、きょうこれに関連して取り上げておるわけでありますが、いかがでありましょうか。
  181. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま円の切り上げということに触れられましたが、私はこれを切り上げするということは絶対に考えておりません。これを行なうことはあり得ないと御了承願います。  それから、いろいろ御意見が述べられましたが、私がこれに対して所見を述べることはいろいろ支障があるように思いますので、御意見として十分承っておきます。
  182. 堀昌雄

    ○堀委員 もう一つ、実は最近の諸外国の物価問題の中で、特にこれはアメリカの物価関係してくると思うのでありますけれども、金融をゆるめていくことは本来的には物価が上がるほうに影響するわけでございますね。それだけでなくて、昨年のゼネラルモーターズのストライキのあとでできた賃金協定というのは、これは限度なしのエスカレータークローズができておる。このままでいくと三年間に三〇%くらいアップするのではないかというふうに伝えられておるわけですね。ことしもまた鉄鋼の改定も起こるというようなことで、これはなかなかアメリカの賃金問題というのは日本に比べると深刻な問題、成長が小さいわけですから、非常に深刻な問題を含んでおると思います。そういう意味では、私がいまずっと問題を提起しておりますドルの問題というのは、結局アメリカの物価の問題に関係をしてくるわけでありますから、その点非常に私は問題があるのでこれ以上は触れません。触れませんけれども、ただもう大臣が、切り上げの方向は考えておりませんなんという——否定されたことはいいのですよ。それで私ちっともかまいませんけれども、それはそれとして、やはり客観情勢の動きというものがありますから、そこらはあなた答弁しなくてもいいけれども、ここらはやはりよほど十分に考えておいてもらわないと、もうああ言って国会でもどこでも公式に言っているからそのことは心配要らないという性格のものならいいのです。問題は客観的事実との関係で出てくる問題でありますので、そういう点は十分ひとつ配慮しておいてもらいたいと思います。  そこで、この法案の中身のことについてお伺いをしておきたいのですが、実は今度の出資は国債による出資、こういうことになっておりますね。国債によってわれわれが出資をする、しかしこれをどこかの国が借り入れをするということになれば、これは国債を借りてもどうにもならないことになってくると思うのですね。この際における通貨上の取り扱いというのはどういうことになるんでしょうか。
  183. 稲村光一

    稲村政府委員 先生御指摘のとおり、今回の出資は前回の増資と同じでございまして、国債によって出資をいたします。そういたしますと、具体的にそれをIDAのほうで使うと申しますか、必要が起こります場合にはIDAのほうから償還要求がございます。つまり国債を現金に振りかえる、そのほうは国債整理基金特別会計のほうでいたすわけでございます。これは従来から同じやり方でございます。
  184. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、今度のここに出す国債ですね、この国債というのは現在のいわゆる短期国債とは違いますね。そうすると、これは予算上としてはどこに計上してあるわけですか。
  185. 稲村光一

    稲村政府委員 国債による出資でございますから、したがいまして歳出予算には関係ございませんので、これは法律によりまして出資をするということでございます。
  186. 堀昌雄

    ○堀委員 歳出予算に関係がないといっても、これはしかし国債を出したらその見返りで当然それは国債整理基金特別会計の中から資金が出るということを予測されていなければ——これは永久に向こうが、出資をしたままで置いておくというなら話は別ですよ。当然それはその見返りになった部分が国債整理基金特別会計の中で歳出要項として立てられておらなければ、これは私は予算上問題があるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  187. 稲村光一

    稲村政府委員 ただいまの答弁で若干不十分でございましたが、私の申しました意味は、出資として一般会計の歳出予算に計上はする必要がないということでございまして、これが現金化されます場合の予算につきましては、むしろ国債整理基金特別会計のほうへ一応出すということでございます。
  188. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと私、きのうも時間がなかったのでそこまで見ていないのですが、国債整理基金特別会計のほうでは、そうすると何もあれがしてないわけですか。要するにいつ資金を引き出されるかわからなければ、これについては予算上の措置はしていない、事後処理だけでこれは処理をすると、こういうことになるわけですか。
  189. 稲村光一

    稲村政府委員 今回お願い申し上げております第三次の分につきましては、この法案の御審議をいただき御採決をいただきましてから出資をいたすわけでございますから、これが来年度内に現金化してくるかどうかと申しますと、これは実は必ずしもその可能性が多いわけではございませんので、これは従来から第二次までに出しております分の手当てもしてございますが、今回の分につきましては特に予算上、国債整理基金特別会計のほうで追加して何か措置をするという必要はなかろうというふうに判定をしておるわけであります。
  190. 堀昌雄

    ○堀委員 これは一体、向こうがいつ交換を求めてくるか、こちらで拘束できないもんじゃないですか。こちらが交換しませんよと言ったらそのときにはできないものならいいですよ。私もIDAの規約を詳しく読んでないもんだからあれだけれども、国債で出資をしたものは、向こうがどういう順位でそれを使うかわかりませんね。一番最初日本の国債を現金化してこれを引き出させるという場合があり得ると思うのですね。だから出資国債が行なわれた以上、当然それは整理基金特別会計にはいつ引き出されてもいい手当てがされていて相当であって、それがされていなければ、これは予算上瑕疵があるということになると思うのですが、その点はしてあるのですかどうなんですか。
  191. 稲村光一

    稲村政府委員 ただいまの私の答弁が若干詳細にわたっておりませんでした点をおわび申し上げますが、今回の増資分につきまして特別に手当てが必要でないと申しましたのは、この国債整理基金特別会計は非常に大きなプールでございます。国債償還財源が大きなプールになっておるわけでございまして、従来からの手当ての中で三百億円ぐらいは余裕がございます、このIDAの出資の関係といたしまして。したがいまして、そういうものが、国債整理基金が御承知のとおり繰り越されておりますので、特に今回の分につきましてあらためて国債整理基金の償還財源の上で特別な手当てをする必要はないという意味でございます。
  192. 堀昌雄

    ○堀委員 それではいまのあなたの答弁と違う。あなたは、当面は向こうが引き落とさないから心配ない、こういう話の答弁をしておるのです。引き落とすか引き落とさないかわからないので、資金に常に余裕がある、こういうことらしいですけれども、いま特別会計の中身を見てきていないものだからちょっとはっきりしないのだけれども、大体国債整理基金特別会計という会計は、一般には、御承知のように政府が出した国債というのは期限がついているわけですから、それの償還期限というものははっきりわかっているから、当年度に一体幾ら償還をしなければならぬかということは計画的に実はわかっていると思うのですよ。そのわかっている範囲内についての手当ては当然されておると思うけれども、いまのような不測の部分についての手当ては別途にしておかないで、たくさんそこに基金を積んだままで国債整理基金を置いておくなんということになっていると私は思わないから、そこでどうもいまあなたの答弁を聞いておると——私も資料を読んできていれば、いまもうちょっと詰めた議論ができるのだけれども、時間がないから法律だけを見て、ここはどうなるのか疑問があるなと思って伺っておるのです。もう少しわれわれがわかるように一ぺん答弁してもらいたい。いまのじゃどうもまだ納得がいかない。
  193. 稲村光一

    稲村政府委員 この出資国債につきまして現金化の要請が参りましたときの財源といたしまして、これは国債整理基金のほうで、そもそもから申し上げますと一応計画をつくりまして、そうしてこの手当てをいたします。ところが現実に——これはIDAだけではございませんでほかにも出資国債はあるわけでございますから、ほかのそういう国債関係全体を合わせまして、国債整理基金の中で償還財源の手当てをいたしておるわけでございます。ところが現実には、それが予定したとおりにこの現金償還の要求がこないという場合には、この国債整理基金特別会計の規定によりまして翌年度に繰り越して処理されるということになっおりますので、そういう関係でいまのように、現在こういう国債関係の償還財源として三百億円ぐらいは手当てされておるということでございます。  それからもう一つ法律上のたてまえを申し上げますと、もしその償還財源に不足を生じまして、非常に多額の償還が一ぺんに参るという不測の事態がある場合におきましては、これは日銀に対して買い取らせるという便法が法律上ございます。現在はそういうことは必要ございませんで、いま用意されております償還財源の中で十分まかなえるのではないか、こういうことでございます。
  194. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。  その次に、今度はIDAの貸し付けの関係でありますけれども、ちょっと伺いたいのは、IDAは貸し付けをする国を特定しておるのでしょうか。
  195. 稲村光一

    稲村政府委員 IDAの貸し付けにつきましては、特定をしておるわけではございませんが、御承知のとおりIDAのメンバー国は世銀などと変わりまして二部に分かれております。第一部と申しますのは十八カ国ございまして、これは援助を与えるほうでございます。これはまず受けることはございません。それから残りの八十九カ国でございますか、それが第二部でございまして、こちらのほうがIDA資金を受けられるということでございますが、ただこのIDAの融資条件は御承知のとおり非常に長期のソフトなものでございまして、これは後進国の中でも。パーヘッドの国民所得が非常に低い、そういうものに優先的に回す、こういう方針をIDAとしてはとっております。そういう意味で、後進国の中でもまあ後発と申しますか、そういうほうに主として資金が流れる、こういうことになっております。
  196. 堀昌雄

    ○堀委員 実はいただいた資料を見ますと、その他二十二カ国となっておるので、どうもその他の中に入っておるのかどうかわからないのですが、キューバというのは対象がどうなるのでしょうか。
  197. 稲村光一

    稲村政府委員 キューバは加盟国ではございませんから、いかないと思います。
  198. 堀昌雄

    ○堀委員 その加盟国でないというのですけれども、いまのIDAは、もしキューバが手をあげたら加盟国になれるのですか。
  199. 稲村光一

    稲村政府委員 キューバが手をあげまして——要するに国連に入っておりまして、そしてその加盟を申請いたせば、既存加盟国内での新規加盟国に対する、新規加盟国を認める条件に合っておりますれば可能性はあると思います。
  200. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、いまのあれは、まず国連加盟国であるということが前提条件ですか。
  201. 稲村光一

    稲村政府委員 はい。
  202. 堀昌雄

    ○堀委員 その次は、要するに手をあげたときに、これらの国がどの程度に賛成すればいいのですか。アメリカが拒否権を行使すれば入れない、こうなるのですか。
  203. 稲村光一

    稲村政府委員 答弁がおくれまして申しわけございません。三分の二の総務の投票と、それから投票権で四分の三の投票権ということでございます。
  204. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると多数があれば入れる。要するにどこかが拒否権を使ったからといっても、それを締め出すことはない、こういう仕組みになっておるわけですね。  このIDAの法律というのは、これが出ましたときに私ども実は反対をしたわけです。その反対をした理由というのは、当時はまだ南北問題というものが十分でない時期でもありましたけれども、どうもその国の体制によって、低開発国であるかないかの問題よりも、そこに焦点を合わせてこれを阻害するのは低開発国援助としてはおかしいのじゃないか。要するに、体制はどうあろうとも、低開発国であるならばこれに対する援助をするのが相当ではないか、こういう考え方で、そういうものが除外をされるという前提があったものですから、実は当時反対をしたわけです。しかし今日こうやってみると、たとえばインドにしてもセイロンにしてもチリーにしても、御承知のようにその国の政体は変わってきておるわけです。これらの国も融資対象になっておるという点もあり、情勢がやや変化をしてきておると思うのですが、どうもキューバがこの中に入っていないのはやや奇異な感じがしたものですから、いま実はそれらについてお尋ねをしておるわけです。社会主義圏の国というのは、一般的には東欧諸国のようにかなり水準の高い国もありますし、中国については別に、こちらからお貸ししましょうといっても、これはいろいろ問題もあるかもしれませんから、これは多少別の問題として考える必要もあるかもしれませんが、やはりこれらの問題については、私は今日の世界的な情勢からするならば、そういう体制によって区別をするというのではなくて、低開発国の援助という意味では、これはヒューマニズムの問題だろうと考えますので、そういう観点からこれらの問題が処理されることが望ましい、こう考えておるわけです。大蔵大臣、その点いかがでございましょうか。
  205. 福田赳夫

    福田国務大臣 御趣旨はそういうことでしょうが、そもそもIDAは国連の付属機関であるということで、国連に入ってないと問題にならないのです。国連に入っていれば、先ほどから話がありますように、手をあげる、それに対して皆さんが賛成する、こういうことで加入できるわけです。現にインドネシアなんかは入ってなかったのですが、スハルト政権ができてから加入するというようなことになりましたから、国連に入るか入らないか、その辺、世界機構のあり方の問題にもつながる、こういう問題かと思います。
  206. 堀昌雄

    ○堀委員 私がさっき拒否権の問題に触れたのは、そうすると巧みにできていて、IDAそのものは拒否権がなくとも、国連のところで拒否権を使っているうちはIDAの対象にならぬ、こういうことに実はなるわけですね。国連の問題とIDAの問題は多少角度が違うかもしれませんが、こういう純粋に低開発国援助というような性格のものが、あまりそういうような一部の拒否権が別のところで使われていると、結果としてはここへも入れないということになる。私はやはり低開発国援助の最大の目的というものは、人類共同の願いである、貧困から人類を解放したいという願いが私は基本的なベースにあるということだと考えておりますし、そのことは低開発国側としても強く主張されていることだと思うのですが、そういう人類の貧困をなくしていく努力をする一つの道筋として、それが政治形態による拒否権によって阻害をされておるということは私も非常に残念なことだ、こう思うのであります。どうかひとつ、いまの国連加盟の問題なんというのは、なかなか日本は中国問題ですらどうもすっきりしないという点で、私もたいへん遺憾に思っておるのでありますが、できるだけそういう意味では多くの国が国連の中に入る。もちろんソ連も東欧諸国も入っているわけでありますから、そういう一部の国が拒否権を使って——それも分裂国家の場合は多少問題があるかと思うのですが、キューバのような国は分裂国家でも何でもない。ただアメリカのそばにあるだけでああいう取り扱いをアメリカがしておるということは、私ども必ずしも適当ではないんじゃないかという感じがするので、これらの国がやはり国連に入り、低開発国でありますからそれなりにそういう恩恵に浴することができる道を開くためには、私はやはり日本としても一半の努力をしていいのではないか、こういう感じがするのでありますけれども、大蔵大臣、その点はいかがでございましょうか。
  207. 福田赳夫

    福田国務大臣 国連にはソビエトロシアも入っておりますし、社会主義国もずいぶん多数入っておるわけです。ですから、キューバもこのIDA機構に参加したい、こういうならば、その辺から解決したらどうだろうか。私、どうして国連に入っておらぬか、その辺はよく存じませんけれども、完全に閉ざされているわけじゃないのです。御説のとおり、これはおくれた国を開発する、そういうのですから、体制いかんによって差別をする、これは私は望ましくない、かように考えます。
  208. 堀昌雄

    ○堀委員 最後に、この問題終わりまして一点だけ、ちょっと新聞報道で拝見をいたしたので大臣に事実を確かめておきたいのですけれども、何かこの前、在外公館に出ております大蔵省関係者が集まりまして、ここ当分の間外債の発行は認めないんだというようなことを提案をしたとか取りきめたとか、何か記憶がはっきりしませんが、報道があったように記憶しておるんです。しかし私は、なるほど確かに日本外貨準備がふえるということは、これは一つの最近の情勢としてありますけれども、それだからこれまでいろんな関係で発行してきておった外債を——外債の発行というのはやはり一つの流れとして問題の処理がされておるのでありましょうから、それを外貨がふえてきたらストップ、外貨が減ったら大いにやれなどという発想は、どうも相手国との関係も適当でないように思うので、その点一体大蔵省はどういうことを取りきめられたのか、ちょっと事実関係についてひとつ局長から答えてもらって、大臣の御見解をお伺いして終わりにしたいと思います。
  209. 稲村光一

    稲村政府委員 外債発行に関しましては、御指摘のとおり単に国際収支上の問題で出したりとめたりというわけではいけないのでございまして、確かに外国市場との関係、そういうものを将来長い目で見て続けていくということは御指摘のとおりでございまして、ただ問題は、さしあたりまして当面の問題といたしまして、やはり国際収支の黒字が大きくなるというときに、さらにそれを借金で外貨がふえるというようなことはやはり適当でないのではないかという考慮も一つの問題であろうかと思われます。その間の調整をどういうふうにつけるか、非常にむずかしい問題でございまして、いろいろと部内でも論議をいたしました。結局、当面のところは原則としては外債発行をとめるべきではないか。これは原則としてということで、全くストップということはどうか、これは情勢によって考えるべきではなかろうか、こういうふうに考えております。
  210. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、原則ストップということは実は私相当大きな問題だという気がするんです。ケース・バイ・ケースで考えるというなら別ですよ。しかし原則ストップというなら例外しか出さないということになるのですから。これは、今後日本は永久に黒字国で絶対赤字国にならぬという保証があるわけでもないし、いろんな諸条件を考えますと、私はどうもそういうきめ方というのは必ずしも適切でないような気がする。大蔵大臣、どうでしょうかね。これはいろいろな企業の関係の状態もあるでしょうし、関連するいろいろな問題もある。同時に、確かにいま何も外貨がたくさんあるのに外貨をふやすという意味で外債を発行するのは必ずしも必要はないわけでありますけれども、たとえば、諸般の金利の情勢なりいろいろなものからして、そういう外債を発行することがその企業にとっては非常にプラスであるというような場合に、必ずしもそれも原則がこうだからだめということにはならないのです。そういう言い方をすると、例外というのは一体何だ、こうなってきますね。いまの局長の答弁ですと、原則だめ、禁止だから、では例外はどういうことを考えているのですか。ちょっと例外のほうを聞いてみましょう。
  211. 稲村光一

    稲村政府委員 ただいま原則として抑制してと申しますか、なるべく出さないように抑制ぎみに運用してまいりたいということでございまして、たとえば例外としては、これはそういうことができれば確かに一つの例外と考えていいと思いますのは、外債を出しますけれども、それを海外に使う、つまり海外の資源開発その他にやはり資金が要るわけでございますから、そういうもののために何も国内資金を持っていかないで、外国市場で調達した資金を使うということであれば、これは国際収支と全く関係ございませんから、その意味でこれは前向きに考えてもいいのではないか。ただし、そういうようなうまいプロジェクトがあるかどうかということは一つの問題であるかと思います。それは最も問題の少ない点でございまして、その他につきましても、これは先ほど先生も御指摘のとおり、必ずしも、全面的にとめるということが、やはり今後長い目で見た日本と外債市場との関係その他を考えまして、適当でないと思われる面もございますので、その点は若干、原則ストップと申しましたのはやや強く申し上げたと思いますが、きわめて抑制的に運用してまいりたい、こういうことでございます。
  212. 堀昌雄

    ○堀委員 日本語というのは非常に多様な使い方がありましてあれですが、私はもちろん、そんなにいまの時期に企業側としても外貨保有のために外債を発行しなければならぬとは思っていないと思うのです、実は。ただ日本の国内情勢として、御承知のように日本の起債条件というのはいろいろ非常に制限されておりますから、今年度はこのくらいしか出せないというようなことになると、やはりそういう債券を外国で発行したくなる企業もあるだろうし、いろいろあると思うのです。だから、私はやはりいまのような表現よりも、ケース・バイ・ケースでひとつ考えてもらいたいということのほうが実情に即しているんじゃないか。方向としてはひとつ遠慮してくださいはいいけれども、方向としてはいま外貨はふえるのだから遠慮してください、しかしあとはケース・バイ・ケースに検討して考えたいという程度でないと、原則抑制、例外、なんということは、こういう対外的な問題でもあるし、長期的な展望に立つと適切でないと思うのですが、大臣、その点いかがでしょうか。
  213. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは堀さんから、外貨急増の際でもこれあり、一部企業が外国から金を借りるなんて何事か、こういってしかられるのかと思っておりましたところ、まことに御理解のある御発言をいただいたわけでございますが、堀さんのおっしゃるとおりに私ども考えております。外債の発行なんというのは一朝一夕にできるものじゃないのです。今日、わが日本が外国から金を借りる、これはずいぶん古い沿革を経ておるわけでありまして、たとえばその外債発行の世話をしてくれる証券取り扱い業者ですね、こういうようなものは日露戦争のころから日本とつき合っておるのです。私は日露戦争のときに生まれたのですが、六十六年もの間、日本日本といってつき合っておるのです。その方々が、日本の企業が外債を発行したいというので一生懸命世話してきた。それが日本外貨事情で急にブレーキがかかって遮断をされた、こういうようなことになると、これから先の外債発行にも非常に支障があるのです。その辺を十分考えなければならぬ。  それからいま局長から申し上げましたように、これは抑制ぎみに運用しなければならぬ、そういうふうには考えておりますが、その抑制の結果そういう弊害もありますから、その辺のことも十分考えなければならぬ。またストップした場合におきまして国内で資金が調達できるかできないか、その辺の見当もつけなければならぬ。そういうふうにいま考え、昨年度におきまして外債を発行しておりますが、その辺を目途にしまして、その目途の中でケース・バイ・ケースというような行き方をしていきたい、かように考えております。
  214. 藤井勝志

    ○藤井委員 ただいまの堀委員の質問関連しまして、簡単に希望的な意見を述べておきたいと思います。  私も実はこの外債の取り扱い問題について、新聞紙上を通じまして、一体これはどういうことかと心配をしておったのです。いま質疑応答を聞きまして、非常に適切な大蔵大臣の御答弁で安心をしたわけでございますので、念のため申し添えておきたいと思いますが、やはり日本の現在の外貨準備高というものが、輸入額との割合においては欧米先進国と比較してきわめて比率が低いわけでございます。特に経済の健全な成長のためにはやはり従来の方針を堅持し、押えぎみという御配慮はわかりますけれども、あくまでケース・バイ・ケース、特にそのケース・バイ・ケースの中で海外資源問題あたりは、これまた局長から答弁になったように海外で使う、こういうふうなことは私は積極的にやらすべきである。それとあわせて御研究願いたいことは、いままで外貨準備高というのは輸入の支払い手段としてこれを活用する、こういうことが中心であったわけでございますけれども、お互いが精出して貿易立国のたてまえから外貨を蓄積してきた、黒字が定着してきたということはけっこうなことでありますが、私はこれをやはり海外資源開発に有効に活用する道を考えるべきではないか、こういうことが昨今頭に浮かんでまいっておりますので、専門家の当局においてひとつ適切な制度化を御検討願いたい。提案して、御答弁はけっこうでございますので、お願いしておきます。
  215. 毛利松平

    毛利委員長 ただいま議題となっております両案のうち、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  次回は、来たる二月二十六日金曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十四分散会