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1971-05-19 第65回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十九日(水曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 鬼木 勝利君    理事 大坪 保雄君 理事 神田  博君    理事 田中 六助君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 相沢 武彦君    理事 池田 禎治君       山崎平八郎君    川俣健二郎君       細谷 治嘉君    田畑 金光君       田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 阿部  茂君         労働省職業安定         局失業対策部長 遠藤 政夫君  委員外出席者         通商産業省鉱山         石炭局石炭部計         画課長     斎藤 光雄君         労働省労働基準         局監督課長   吉本  実君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 三月二十二日  石炭対策に関する請願菅波茂紹介)(第二  六四五号) 五月十五日  炭鉱閉山停止及び石炭産業再建にする請願外  一件(井野正揮君紹介)(第五九六九号)  同外二件(岡田利春紹介)(第五九七〇号)  同外一件(細谷治嘉紹介)(第五九七一号) 同月十七日  炭鉱離職者緊急就労対策事業存続等に関する  請願大橋敏雄紹介)(第六四九三号) 同月十八日  炭鉱閉山停止及び石炭産業再建に関する請願  (田代文久紹介)(第六九六九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月三十一日  炭鉱離職者緊急就労対策事業存続に関する陳  情書(第一  七九号) 五月十四日  産炭地域振興に関する陳情書  (第二九九号)  石炭産業再建策樹立に関する陳情書  (第三〇〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  石炭対策に関する件  請 願  一 石炭対策に関する請願菅波茂紹介)(    第二六四五号)  二 炭鉱閉山停止及び石炭産業再建に関する    請願外一件(井野正揮君紹介)(第五九六    九号)  三 同外二件(岡田利春紹介)(第五九七〇    号)  四 同外一件(細谷治嘉紹介)(第五九七一    号)  五 炭鉱離職者緊急就労対策事業存続等に関    する請願大橋敏雄紹介)(第六四九三    号)  六 炭鉱閉山停止及び石炭産業再建に関する    請願田代文久紹介)(第六九六九号)      ――――◇―――――
  2. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。相沢武彦君。
  3. 相沢武彦

    相沢委員 日収初石炭局長にお尋ねしますが、さきに四十六年度石炭鉱業合理化実施計画が出されましたが、これによりますと、四十六年度生産目標が三千四百万トン、閉山規模四百二十万トン、離職者数が八千七百人になっております。  生産目標につきましては、昨年の二月に四十八年度目標として策定された合理化基本計画生産目標は三千六百万トンとなっておりまして、これを下回っておるわけでありますが、このような計画変更と暗い見通し、さらには、閉山規模において、四十五年度の実績が計画の倍以上の六百五十万トンに達しておるという現状、またさらに、今後大型閉山が予想されるというような状況におきまして、政府の今回の実施計画は、一体どういう将来の見通しに立った決定をされたのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  4. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、四十八年度目標は、かねて三千六百万トンということで目標といたしておりましたが、この目標につきましては、状況の変化によってこの数字はある程度動くものであるという考え方一緒に示した決定を得たわけでございますが、今回、御指摘のように、三千四百万トンの生産ということになりましたにつきましては、今年の二月から、企業別炭鉱別に各社の計画をつぶさに聞いたわけでございます。自然条件あるいは炭量機械化の程度、それから労務者の確保状況生産原価動向等つぶさに聞きまして、これによって判断しながら、原料炭一般炭需要動向等も考慮して、三千四百万トンという数字をわれわれとして策定いたしまして、先般の四月二十六日の鉱業審議会合理化雇用合同部会了承を得たという事情に相なっておりまして、その際にも、四十八年度の三千六百万トンの、目標として一応考え数字に対して、かなり下回るということになったについては、各委員からもいろいろ説明を聞くと、それはそれで、事実として承認せざるを得ないというふうに御了承を得たわけでございます。
  5. 相沢武彦

    相沢委員 いま御説明によりますと、各企業からの計画を算定して出されたといいますが、そうしますと、今回のこの三千四百万トン案は、現在問題になっておりますところの住友石炭合理化案の波及を全く考慮されていないと思うわけなんです。すでに事実上閉出しております常磐炭礦や、北海道三省鉱業などの減産分を、閉山届け出の手続上本年度に計上したことが大きく響いて、三千四百万トンという計画を形づくったと思うわけであります。したがって、もしかこの住友三山合理化問題で、山に働く人たちが働く意欲をさらに低下していく、あるいはそれで離山ムードが広まるようなことになったとすれば、非常に大きな計画上の変更がまたあらわれてくると思うわけです。ですから、この点、四十六年度合理化実施計画は、結局デスクプランにすぎないということでありまして、少なくとも現在山で働いている労働者人たちが希望している、安心して働くことのできる環境をつくってほしいという、また現在の山は、安心して働くことのできない環境だという悩みを解消していこうという配慮、あたたかみに欠けている案だ、こう言わざるを得ないと思うわけなんです。  北炭も、資金繰りのワクから、三井物産と提携いたしましたし、現在住友は、人員整理あるいは一部の山を別会社にするということを主眼として、労使で話し合っておりますが、非常に難航が予想されております。こういった点がありましたときに、いま政府石炭政策を立てるにあたって最も肝心なことは、確固とした長期展望をもって、その線に沿って生産考えなければならないし、進めなければならない。  今日まで、政府の場合は、石油政策についても見通しの甘さを暴露しておりますし、何かいわれておりますが、石炭政策はまだまだ腰が定まっていない。この後こういうことでは、一体どうなるだろうかという点が非常に心配なわけでありますが、こうした石炭鉱業をめぐる一連の動きに対して、どのように政府は受けとめられておるのか。その点を再度局長にお尋ねしたいと思います。
  6. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  本年度の三千四百万トンは、御指摘のように、閉山のきまっておるものはその点を十分算入して考えております。住友につきましては存続計画いたしておりますし、われわれとしても、存続することについて、協力をしてまいろうということで考えておりますので、これは存続するということで入っておるわけでございます。  これらの見通しが、さらに変動的な要素を多分に含んでおって、非常に不安感を与えるものではないかという点でございますが、この点につきましては、われわれとしては、できるだけこの三千四百万トンは企業別炭鉱別にも見、適正な生産数量であるという判断をいたしておりまして、この達成について、われわれとしては強力に推進してまいろうという考えでおるわけでございます。
  7. 相沢武彦

    相沢委員 昨年十一月に体制部会から中間答申が出されまして、石炭鉱業産業政策上必要な産業とみなすべきである、このようにいわれましたが、実際には、まだ現在見直されてはおりませんし、特に北炭住友などは、大手原料炭炭鉱でありながら、現在経営危機が叫ばれている。こういうことは、結局、中間答申にある国内原料炭への再評価という点を、政府は無視しているのじゃないか、こういう声が非常にあがっているわけでありまして、その点、私たちも非常に疑問を感ずるわけでありますが、政府は、一体あの中間答申のとおりに、石炭鉱業というものを、日本の産業政策上必要と認めているのかどうか。また、第四次政策による、いわゆる撤退政策をそのままとり続けるのかどうか。この点、大臣から明確に御答弁をいただきたいと思います。
  8. 本田早苗

    本田政府委員 大臣のお答えされる前に……。中間答申で、産業政策上必要な産業であるということが、原料炭を中心に述べられております。この趣旨は、われわれといたしましては、他の産業基礎原料と同じように、今後の経済成長確保のために、原料炭の長期的、安定的な供給確保がきわめて重要である、そういう意味で、海外原料炭長期確保と並びまして、国内原料炭についても、可能な限り確保することが産業政策上重要だというふうに理解しておるわけでございます。  本年度の三千四百万トンの生産におきましても、原料炭生産は、全体の生産の減少にかかわらず、選炭設備その他の増強によりまして原料炭取得率が上昇して、むしろ四十五年よりも増産できる体制にあるということでございまして、そういう意味では、産業政策上必要なものだという線に沿った、石炭生産方向に踏み出しておるというふうに御理解いただきたいと存ずるわけでございます。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま鉱山石炭局長から申し上げましたような理解のもとに、中間答申考え方を尊重しておるつもりであります。と申しますのは、具体的な例を申し上げることによっておわかりをいただけると思いますが、ただいま御指摘になりました住友の問題でございます。普通でございますと、会社側が内部でいろいろ相談をして、ある案を具して、政府に対してひとつできるだけの援助をしてくれ、こういうのが普通の場合の順序だと思いますけれども住友石炭の場合には、中間答申にあるような趣旨にもかんがみまして、むしろ政府のほうから、私のほうから、とにかく法律に違反しない限り、できるだけのことを政府はする用意がある、その前提のもとに、ひとつ収拾策考えてくれてはどうか、こういうふうに実は申してありますので、この住友問題についての私どものそういう姿勢そのものが、中間答申にございますような、ただいま御指摘のような趣旨を踏んまえてやっておるつもりでございます。
  10. 相沢武彦

    相沢委員 私は、かねてから、四十九年以降の石炭政策についての本格答申を求めるべきであるということを訴えてまいりましたが、大臣は、これまでのたびたびの御答弁でも、事態が非常に流動的で将来の予測が立たない、また、不確定の要素が安定してからしたいということを繰り返しておっしゃっていたのですが、結局は、あまりその時期を待たないうちに、のっぴきならない情勢に追い込まれていると思うわけなんですね。結局、こうした政府のあいまいな態度が、石炭産業を不安におとしいれて、窮地に追い込んできた、これは免れない事実だと思うわけです。  いま問題となっております住友合理化対策にしても、根本は、政府石炭に対する位置づけ、長期政策というものが、ここではっきりしなくてはならないということでありまして、この住友問題の緊急対策と同時に、やはり国は、エネルギー政策の上から、今後石炭長期展望に立った第四次政策以降の転換策というもの、これをはっきり明示すべきである、こう思うわけであります。もう事態の推移を見守っているというような、ゆうちょうな時期ではないと大臣もお考えであると思いますが、早急に審議会本格答申を求めるべきであると考えるのですが、この点について、大臣はいかなる御所見をお持ちですか。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 情勢は依然として流動的であると思っておるわけでございますけれども、具体的に起こりました住友石炭の問題などで、私どもは先ほど申しましたような姿勢をとっておるわけでありますから、まあそういうところは、これは具体的な事実が実際に生まれてきて、それに対して、われわれの態度なり何なりをきめなければならないという事実のほうから、実はそういう態度のとり方が現実にしいられるようになったということでございますので、そうであるとすれば、事態は流動的ではありますけれども、もう一度体制委員会を再開をして、この事態をどう考えるかということを議論してもらうことが、やはり当面必要であろうかというふうに実はいま思い直しているところであります。
  12. 相沢武彦

    相沢委員 思い直しているという、いかにも歯切れが悪いのですが、新聞によりますと、すでに北海道の道庁あるいは道炭労のほうから、大臣に対しての折衝があって、住友問題が片づき次第、審議会を開くということを明言されたようなニュースなのです。住友問題、これは早急の問題でありますが、それと並行してというよりも、いますぐにでもこれは審議会を開いて、本格答申を求める時期に来ているのじゃないか、こう思うのですが、この点いかがですか。そういう決心はおありになりませんか。
  13. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 抽象的に石炭産業の将来をどう考えるか、何をすべきかということを議論いたしましても、現実にその企業のにない手、これは労使関係者全部でありますが、そういう意思がない、あるいはそういうことはできないということになってしまいましたら、それこそ先ほど御指摘のように、方針というものは抽象的な作文になってしまうわけでありますから、そういう答申を求めるとすれば、やはり具体性のある、現実性のあるものでなければならない、こう思います。時間的に、住友が片づいたらと申しましても、どのような片づき方をするかそれもわかりませんから、どっちを先にどっちをあとにということまで考える必要はないと思います。並行してやりましても差しつかえないことだと思いますが、それにしても住友問題の帰趨というものは、やはりこの将来をトとするのに相当大きな影響があると存じますから、両方切り離してというふうにはまいるまいと思います。
  14. 相沢武彦

    相沢委員 早急に本格答申を求められるように重ねて強調しておきたいと思います。  今回の住友経営危機の原因の一つとして、販売体制の不備ということがあげられておりましたが、同社の唯一のユーザーである住友金属が、炭質面の点で不安だということで引き取りを渋っておるということがいわれております。この改善にあたっては、経営者自体努力が必要であろうと思います。しかし、政府にあっても、原料炭供給確保という点だけの協調でなくて、販売面においても、需要業界協力を得られるような適切な指導が今後さらに必要になってくると思うのですが、これに対する措置を伺っておきたいと思います。
  15. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、住友鉱業の炭が生産されても、これが需要者との関係で、売れていくということが必要でございます。われわれといたしましては、すでに試験使用の段階は奔別の炭は終わっておるというふうに見ますし、現に取引も開始されておるわけであります。今後奔別炭砿の増産があります場合には、これの使用需要者側が十分協力してとっていただくという体制になることを期待いたしておりますが、特に大きな需要業界である鉄鋼業界では、現在生産が必ずしも順調に伸びないという状況、それから炭質で赤平、歌志内の炭に比較しまして、若干品位が落ちるというような点もございますので、この取引がスムースにいくかどうかという点は問題になるわけでございますが、この点については、御指摘のように、販売努力をさらに強化することが必要であろうと思いますし、政府といたしましても、先ほど申し上げましたような考え方に立ちまして、需要者に引き取りについて要請するというような措置も、必要に応じて講じたいというふうに考える次第でございます。
  16. 相沢武彦

    相沢委員 住友が出した合理化案の中に、奔別砿については分離をして新会社として発足させるということが出ております。地元では、この奔別砿分離は、閉山につながるものとして強い反対を示してきておりますが、確かに現在でさえも予定したとおりの出炭が確保できない、あるいは炭質の面で販売面に困難が伴うということにかかわらず、新会社による独立採算経営となると、非常に先行きに不安が伴うと思うのです。奔別砿の場合は、昨年春に二十二億に及ぶ国費を投じて原料炭に切りかえた山でありますし、それを閉山の不安の残るような別会社にするということは、政府の施策上から考えても、非常にこれは疑問になるのじゃないかと思うのですが、この点についてはどういう見解を政府はお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  17. 本田早苗

    本田政府委員 御指摘のように、住友再建策として、奔別分離、独立していくということで、具体策労使の間で協議されておるところでございます。現在会社考えておる案では、将来の再建が可能だということで策定しておるようにわれわれのほうは説明を受けておるわけでございます。したがいまして、そうした案によっても、御指摘のようなことにならずに、今後も独立して存続するというふうに考えておるわけでございまして、その方向で、政府も、また住友グループ援助を進めることが必要であるというふうに考えるわけでございます。
  18. 相沢武彦

    相沢委員 先ほど大臣は、住友問題は、先方から計画を出して政府が手当てをするのが普通のやり方なのだけれども住友鉱業の場合は、政府としてはこれを救済する用意があるので、そちらからの計画書を早く出すように言っているのだ、こういうような意味の御答弁をされたと思うのですが、これはそのとおりでけっこうですか。
  19. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもの心がまえ、姿勢としてはそのとおりであります。さらにもう少しふえんをさせていただきますと、さりとて、将来の見込みの全くないものについて政府が金を出すということは、国民の納税者の金でありますので、いわゆる、ただどぶに金を捨てるようなことはやってはならぬことでありますから、相当苦しくとも、ある時点になれば自立できる、採算が好転するというようなことをやはり示してもらいませんとならないと思っておりますけれども、取り組む姿勢としては、ただいま御理解願ったそのとおりでございます。
  20. 相沢武彦

    相沢委員 このたびの住友石炭鉱業合理化問題の意味するところは、単に一炭鉱会社経営危機ということだけにとどまらないで、現在の政府石炭政策根本にかかわる重要な問題をはらんでいるということは論をまちません。したがいまして、政府はこういった事態に対して、単に対症療法的な解決に当たるのではなくて、もっと抜本的な対策を立てる立場にきているわけでありまして、この点を十分踏まえての対策をお考えいただきたいと思うわけであります。  具体的には、先日も質問したのですが、いよいよここで、いわゆる体制問題というものにどうしても取り組まなければならない。いわゆる再編成問題ということがこれまでいわれてきましたけれども、いろいろな難点がありまして延び延びになってまいりました。現在の時点では、ほとんど限界に達した企業はすでに脱落をしておりまして、あと大手、また健全な経営をしている中小炭鉱が残っているだけでございまして、そういった観点から考えますと、この再編問題も非常に取り組みやすい、また取り組まなくてはならない時点にいまきているのではないか、このように思うわけであります。ですから、石炭産業政策上に必要な産業であるというならば、そういった産業政策の中に石炭そのものを含めて、いわゆる運命共同体という形、あるいはまた石炭企業グループ制、こういうような形でもって取り組んでいくということが非常に現実的な政策ではないかと考えられますが、政府としては、ユーザー側に、積極的に再編成に持っていくような働きかけをなさる気持ちがあるかどうか、そういう体制がとられているのかどうか、その点をお尋ねをしておきたいと思います。
  21. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  政府は、昨年体制委員会を設置することにきめまして、そして何を論議するかという問題は、体制委員会の当初に、問題点委員の間で整理願ったわけでございます。その際、体制委員会の設置を要望された一昨年の当時の事情とかなり変わっておるという事情もございまして、いま御指摘のような狭い意味体制問題にかかわらず、もっと広く、石炭鉱業の全般にわたっての重要問題を討議しようということで討議が始まりまして、経理問題その他を検討いたしました結果、ともかくも現在の石炭鉱業のためには、早急に解決を必要とする問題からまず整理しようということで、原料炭問題、一般炭の価格問題経理事情等いろいろ検討したわけでございます。それが中間答申に出たわけでございますが、今回体制委員会を開くという場合には、やはりもう一度その問題についても委員の間でまず問題点整理から御議論を願うことになろうと存じます。その際は、この問題も当然問題点整理の中に出てくる問題であろうと思います。その討議しかた等は、よく委員会審議会で御検討願うというふうに考えておる次第でございます。
  22. 相沢武彦

    相沢委員 労働省のほうに御質問したいのですが、現在住友問題をめぐって、炭鉱関係労働者方たちにどういう影響があらわれておるか、現状をどのように把握されているか、お尋ねしたいと思います。これまでは、閉山になりますと、各産業からの就職あっせんというものは相当激烈に行なわれてきた。私も現地へたびたび行っておりますので、よく事情を知っておるつもりでおりますが、これまでにも、まだ炭鉱存続しておるにもかかわらず、その炭鉱から、いろいろなってを求めて、特に京阪神方面へ就職された人が、友だちとかあるいは親戚縁者関係へ遊びに来て、そして一緒に向こうで働かないか、こういう誘いかけをする。それで、年間において他産業へかなり流動しているという事実がありますが、このままの状態でいくと、閉山にならなくても、そういった傾向はますます強くなるのじゃないかと思いますが、そういった事実を現在つかんでいるかどうか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
  23. 遠藤政夫

    遠藤政府委員 住友鉱山関係で、新聞等でいろいろと報道がなされました時点で、私ども、ただいま先生の御指摘のような閉山というような問題が起こる前に離山ムードが起こって、炭鉱労働者が、他産業へ流出するというような事態が起こるのではなかろうかと懸念をいたしておったわけでございますが、現在のところ、各関係の山ではそういった動きはほとんど出ておりませんで、一応安定した状態が続いているようでございます。
  24. 相沢武彦

    相沢委員 その労働省の把握が事実ならば幸いなんですが、もうすでに先日も、三菱の南大夕張、鉱の竣工祝賀式に出ましたときに二、三耳にしたのですが、あそこは原料炭の山として、これから非常に有望視されている。九十万トン体制を達成し、しかも百二十万トン体制までは十分能力があるということで、有望視されている山でありますが、その山の従業員に対して、うわさに聞くと、何か不安らしくてたいへんだから、早目就職運動をしたらどうかという問い合わせが、友だちからあったというような話を聞いております。これは、住友と間違って来たのならいいんですけれども住友と間違えたんじゃなくて、石炭産業全体に対しての不安感から、いずれ閉山になるならば、早く用意をしておいたほうがいいんじゃないかという、そういう同情、あるいは心配から言ってくれる、そういった知人あるいは肉親関係がいらっしゃるということは事実なわけでございまして、先ほどからたびたび申しましたように、ほんとに政府は、ここで住友問題の早期解決緊急策を講ずるとともに、長期政策を明示しなければならないということを重ねて強調いたします。大臣に最後にその御決心のほどをお伺いして、私の質問を終わりたいと存じます。
  25. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府としても相当な決心で事に当たるつもりでありますので、関係者におかれても、やはり相当の御決心をして、ひとつ今後の再建案というものをつくってもらいたい、こう思っております。
  26. 鬼木勝利

  27. 細谷治嘉

    細谷委員 具体的に二点程度お尋ねいたしたいと思います。  最初に、有明炭田の中の一つであります日鉄有明鉱の再開発の問題が地元でも議論されておりますし、要望もされておりますが、現状は一体どうなっているのか、まず簡単に要点を教えていただきたいと思います。
  28. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  有明炭鉱は、三十五年に開発工事に着手いたしておりましたが、四十三年四月に異常出水で開発工事を一時中止して、現在に至っておりますことは御承知のとおりでございます。その再開発問題を、昨年以来、石炭業界と鉄鋼業界との関係者によりまして、技術面、採算面等から検討を重ねてまいっております。政府といたしましては、できるだけ早急に開発体制を整えるように、企業に対して指導をしてまいったのでございます。政府といたしましては、将来の原料炭事情考えまして、需要業界協力を前提といたしまして、関係者による再開発の具体案の作成を積極的に支援するつもりでおりますが、現在その具体策関係者、これは日鉄と三井でございますが、これで新日鉄との協力のもとに具体案を作成しておるところでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの御答弁で、異常出水ということで、四十三年に開発を一応中止したわけですが、異常出水のこともありますけれども、原因はそれだけじゃなかったと私は聞いているのですね。たとえば、技術的なそういう問題もありますけれども石炭問題そのものについてリスクをおかすよりも、安全でいったほうがいいんじゃないか。すでに当時百億程度の投資をしているわけです。ですから、これ以上けがを深くしないようにという配慮も会社のほうにあったのだ、こう伺っております。このことは、どうもスクラップ・アンド・ビルドということでありますけれども、スクラップ・アンド・スクラップという形で進められてまいった一連の石炭政策関係があるのじゃないか、こう思うのですが、この点はどうなのか。  それからもう一つ、これから再開発をするということでありますが、よくいわれますように、日鉄有明炭鉱の鉱区は、埋蔵量は大体四億トンぐらいといわれておるわけですね。そして有明海の炭田は、北のほうにいくに従って硫黄分が少なくなる、こういわれておるわけでありますが、主として原料炭、こういうことでありますから、その四億トンのうち、可採炭量というのは、現状で一体どの程度見込まれておるのか、あるいは経営主体というのは一体どういうかっこうになるのか、あるいは揚炭なり選炭の場所というのは、一体どういうふうにいま構想されておるのか、その辺のこともひとつ教えていただきたい、こう思います。
  30. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  異常出水は、断層が非常に多かったための出水でございます。したがいまして、今後の採算性について問題があるということで、見送るということに相なったというふうにわれわれ理解いたします。しかしながら、当時と原料炭事情が変わってまいったということもございまして、御指摘のように埋蔵量としては相当ございますが、可採炭量としては五千ないし七千万トンというふうにわれわれは見ておるのでございまして、これだけの炭量があるとすれば、今後の国内原料炭の一つのソースとして、開発を進めるべきだという判断に立っておるわけでございます。今後は、経営主体としては、三井石炭の技術的な経験を生かすということで、日鉄と三井とで経営を行なっていくという考え方でおるようでございます。  それから選炭、揚炭の点でございますが、まだ最終的な案にはなっておりませんが、一案としては、三井の三川鉱に送炭して選炭するという案と、有明に別に基地をつくるという案とが現在検討されておるようでございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 最終的に固まっておらぬ点がたくさんあるようでありますけれども、これに要する資金というのは一体どのくらいになっているのか。巷間伝えられるところによりますと、一期計画、二期計画、こういうふうに考えられておるようであります。その一期計画なり二期計画に対する計画の骨格をひとつお答えいただきたいと思います。
  32. 斎藤光雄

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  ただいまのところでは第一期計画、御指摘のようなものでございまして、これは百万トン体制目標といたしておりますが、これに要します設備投資額は推定約百億円でございます。さらにその後、御指摘の北部等を施工いたします第二期計画が検討されておりますが、これに要する資金は、申しました第一期計画の百億にさらに加えまして、百ないし百五十億程度と推定されております。これができ上がりました段階での生産能力は、二百ないし二百五十万トン年産程度でございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 かなりの資金が要るわけですね。ですから新鉱開発資金等あったわけですけれども、一説には、四十三年に異常出水ということでやめた理由も、すでに投資した百億円というのは会社の自己資金なのであって、これが借りた金であれば、若干のリスクがあっても当時突っ走っちゃっただろう、こういっているわけだ。原料炭事情も変わってきたというけれども、四十三年から四十六年であまり変わっていないのだから、自己資金であったために、もうこれ以上リスクをおかすまい、こういうことになったともうわさされておるわけだ。ですから、かなりの資金が要る。その資金等の裏づけというものは、おそらく三井鉱山と日鉄有明炭鉱で一つの会社をつくるか何かしてやる、それに新日鉄等が資金を出すということになるかと思うのでありますけれども、やはり今日その資金のめどというものが非常に重要じゃないかと思うのですよ。この場合に、たとえば新鉱開発資金というのはどの程度裏づけされるものなのか、この辺もまず伺っておきたいと思うのです。
  34. 斎藤光雄

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  新鉱開発につきましての設備融資につきまして、簡単に御説明申し上げますと、合理化法第六十八条によりまして、将来大規模な開発が期待される有望な地域については、地域指定という制度がございます。この地域指定が行なわれました後に、審議会の意見を聞きまして、開発計画が同条によりまして定められることになっておりますが、これに準拠するようなりっぱな計画の提示のあったものにつきましては、開発資金と申しまして、長期無利子の金融が行なわれることになっております。合理化事業団を通ずる融資でございます。  ただいままでの新鉱につきましては、完成いたしました三菱南大夕張がこの五月に開所をいたしたわけですが、なお継続中のものとしては、北炭の新鉱がございます。これらに対する開発資金の供与はおおむね五割程度でございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 新聞等によりますと、五月中旬に最終計画ができ、そして、おそらくその百万トンの第一期計画というのは、四十九年か五十年くらいには出炭、こういうことが報道されておるわけであります。いまそれに要する資金というのは、おおよそ半分程度というものは新鉱開発資金で無利子で供与されるということですが、いま私が申し上げたような計画で進められるということですか。
  36. 斎藤光雄

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  先ほど本田鉱山石炭局長から御答弁申し上げましたように、ただいま設備投資計画、操業計画、その他経営の詳細につきましての最後の検討が行なわれております段階でございまして、なお、最終的な具体案を得ておりません。したがいまして、先生の御指摘の五月末ないし六月の時期につきまして、なお断言いたしかねる状態ではございますけれども企業のほうも急いで検討を継続しておりますし、私どもも先ほど申し上げましたように、できるだけこれを支援したいという気持ちは依然として持っておりますので、できるだけ早い時期にその成案の提出を受けたい、そのように考えております。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 外国から相当多量の原料炭が輸入されておるわけでありますけれども、長期的な安定的な輸入ということについても、いろいろなむずかしい条件というものが出てまいっておるわけでありますから、国内の原料炭確保するその有力な一つとしての日鉄有明炭鉱の開発というのは、やはりたいへん重要な問題ではないか、私はこう思うのです。ですから、これは通産省もしっかりと取り組んでいただきたい、こう私は思っております。  そこで、最後にこの点について、可採炭量、これはおそらく原料炭を見込んだのでありましょうけれども、五、六千万トン。あそこには何枚も層があるわけで、その層のうち三枚くらいが、かなり炭たけの厚いものなんです。その中には硫黄分が多いのと少ないのがある。製鉄用炭として適当な層を掘るということでありますが、新聞等では五、六千万トンという話もありますけれども、一億トンくらいは可能じゃないか。むろんいろいろな条件がありますが、その辺の通産省としての大体のめど、これも伺っておきたいと思うのです。
  38. 斎藤光雄

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  埋蔵炭量につきましては、先ほど冒頭に御説明いたしましたように、ここ一年程度にわたりまして、関係者によります詳細な検討を続けてまいりました。  この量の決定を左右する大きな要素としては三つあろうかと思います。第一は断層でございますが、先ほど触れましたように、四十三年の不時出水の経験にかんがみまして、断層付近の炭量をできるだけ排除をすると申しますか、安全炭柱として残す、それをどの程度に見るかという点でございます。第二は、先生ただいま御指摘のハイサルファの部分が一部ございますので、その部分をできるだけかわすということ。さらに第三は、海底が浅いために採炭方法が制限されて、そのために採掘率が違ってまいるという点がございます。  これらを総合しまして、私どもは、大体五千ないし七千万トン程度、手がたい数字ではございますけれども、そのように見ております。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 もう一点、労働省の基準局見えておりますか。——それでは、労働省は見えておらぬようですから……。通産大臣、いま私は、一連の原料炭としての日鉄有明炭鉱の問題について伺ったのでありまして、通産大臣としてのこれに対する熱意といいますか、あるいはこれに対する基本的な態度を一言承っておきたいと思うのです。
  40. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど事務当局から御説明いたしましたような事情でございますが、私どもとしては、できるだけ積極的に支援をしていきたい、こう考えております。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは委員長労働省が見えておりませんので……。
  42. 鬼木勝利

  43. 岡田利春

    岡田委員 先ほど局長から、今後の石炭政策について、六月に体制委員会を再開をする、そうして問題点整理しながら、この体制委員会問題点を議論をしていく、こういう答弁がなされているわけです。もちろん、体制委員会が六月に再開をされて、問題点整理をされて、その問題について討議をし結論を出していくわけですが、その結論を出した答申の目途は、一体今年じゅうを考えているのか、今年度じゅうを考えているのか、再開する以上その目途があってしかるべきだ、こう思うのですが、この面についてお聞かせ願いたいと思います。
  44. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  できるだけ早い審議が必要だということを考えておりますので、まだ最終的にいつまでということをきめておりませんが、できるだけ早く結論を得たいというふうに考えております。
  45. 岡田利春

    岡田委員 できるだけ早くということは、いままでのわれわれの常識からいえば六カ月ぐらい、大体半年内ということなんですけれども、そういう理解でよろしいのですか。できるだけ早くということは、一年以上に延びることもある、こういうことですか、いかがでしょうか。
  46. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  四十七年度の予算は、通常なれば十二月には案としてまとまりますから、それまでに、重要なものは考え方としては出ておる必要があろうというふうに考えます。
  47. 岡田利春

    岡田委員 先ほど住友問題が議論になっておりましたけれども、この際お伺いしておきます。  住友赤平及び奔別の可採炭量と実収炭量見込みについて、この両山はどう見ておられるか伺っておきたいと思います。
  48. 斎藤光雄

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  ただいまちょっと手元に数字を持ち合わせませんので、実収炭量のほうでお答えさせていただきたいと存じます。  赤平につきましては約八千万トン、奔別につきましては約四千万トン程度というふうに考えております。
  49. 岡田利春

    岡田委員 いままでずいぶん閉山が行なわれてまいりましたけれども、八千万トン、四千万トンというこれだけの実収炭量を持ち、すでにそのフィールドで展開をしている炭鉱で、閉山になった炭鉱がありますか。
  50. 斎藤光雄

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  実収炭量につきまして、数千万トンオーダーという炭鉱につきましての閉山は、ただいままでのところございません。
  51. 岡田利春

    岡田委員 奔別炭礦の場合、もちろん体質において赤平炭鉱よりも劣るわけでありますけれども、しかし、空知炭田のこれからの展望を考えてまいりますと、千メートルラインにいわゆる深部移行の方向をたどってまいるわけです。そういう意味で、この奔別炭礦というのは、夕張新鉱あるいはそれぞれの炭鉱が深部移行に入っていくわけですが、そういう意味では、地質条件や炭層条件あるいは採炭技術、採掘技術等を考える場合に、この炭鉱はすでに千メートルをこえているわけですから、そういう意味では空知炭鉱のこれからの深部開発に対して、先駆的な位置づけになるのではないか、こう私は思うのでありますけれども、そういう認識についてはいかがでしょうか。
  52. 斎藤光雄

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、千メートル水準に対する百数十万トンというスケールを持ち、挑戦という意味につきましては、初めてというふうに考えております。
  53. 岡田利春

    岡田委員 私は、この住友問題というのは、結局石炭政策企業対策に終始をしてきた結果として、象徴的に住友問題が今日たいへんな状態に立ち至っていると思うわけです。いわば産業的な視点に立つ政策を展開できなかった。もちろんその体質あるいは歩どまり、こういう点はそれぞれの炭鉱が違うわけですから、企業対策をしていけば企業格差が出てくることはもうわかり切っていることなんです。ですから、もしこれだけの可採炭量を持ちながら、この炭鉱閉山しなければならぬとするならば、日本の石炭政策は何をやってきたのか、こう言われるだろうと私は思うわけです。そういう意味で、住友問題は、当面再建するにしても、将来の安定対策考える場合に、もう少し産業的な視点に立って、そういう発想でこれからの政策を展開しなければならないということをこの問題は教えておる、私はこう考えるわけです。そういう点で、この住友対策について、政府当局としてもあらゆる観点から十分検討されて、従来の単なる個別対策という範囲ではなくて、石炭産業全体の視野に立って、住友対策を進められるよう強く要望いたしておきたいと思います。  次に、これからの石炭政策を進めていく場合に価格的な政策ですね。こういうものはある程度目途がなければ、なかなか政策は立てにくいのではないかと私は思うわけです。内外の石炭情勢、エネルギー情勢を判断いたしますと、日本の原料炭は弱粘結でありますけれども、流動性に富んでおる、そういう特徴が非常に強調されておるわけです。もちろん強粘結の石炭は高いし、あるいはまた、特に米炭イットマソの石炭のごときは、最高価格をいたしておるわけでありますけれども、しかし、日本の国内原料炭の問題を考える場合には、いますぐという意味ではありませんけれども石炭の価格の視点は、米炭イットマソ石炭あたりを目途として価格を考えていっていいのではないか、そういう視点を立てていいのではないか。同時に、国内の一般炭は、ローサルファ対策が今日確立をされておるわけですから、そういう意味では、昨今、ローサルファ・エネルギーを確保するために、それぞれの工場では、A重油を公害対策上たいておるという現状もあるわけです。国内エネルギーを保護するという観点に立つならば、ローサルファ石炭というものは、A重油価格というものを一応念頭に置いて考えていいのではないか。でないとするならば、一般のコストアップは企業努力によって吸収するとしても、労働者の賃金のノーマルな上昇分については、政策を立てる場合に当然そのことを織り込んで政策を立てなければ、石炭産業はいつまでも不安定な状態で問題が出てくる。この視点の確立が、私は非常に大切ではないかと思うのですが、この面についての見解を承っておきたいと思います。
  54. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  価格対策についての基本的な考え方といたしましては、昨年の中間答申では一応触れておりまして、ともかくも、炭価の引き上げで合理化不足をカバーするということだけでは必ずしも妥当ではないけれども政府の助成、企業努力にも限度があるから、コスト上昇分については、やはりある程度合理的な範囲内で、炭価の引き上げについて、需要業界協力を得て解決していくことが今後望ましいという考え方で、必ずしも御指摘のようにメリットベースで価格を考えるという線が出ておるわけではないわけでございますが、今後基本的な石炭対策考える際に、やはり価格対策、価格についての基本的な考え方というものを検討することは必要であろうと思います。ただ、イットマン並みに考えるべきかとか、あるいはA重油をベースにすべきかという点につきましては、一般炭の重要な需要部分が電力であるということ等を考えますと、すぐ御指摘のように考えられるというふうには考えられないわけでございますが、ある程度メリットを考慮に入れるべきではないかという点については、また検討を要しようというふうに考えるわけでございます。
  55. 岡田利春

    岡田委員 大臣にお伺いしたいのですけれども、炭価の値上げの動向は、たとえばドイツ、イギリスについても、おととし、去年二年連続でそれぞれ炭価値上げをいたしておるわけです。大体、イギリスでは一九六九年には一六%、七〇年には一八%、ドイツにおいては六九年−七〇年で二二%の価格が上がっておるわけです。世界的な傾向であります。もちろん、米炭についても八ドルも上がる、こういうのが諸外国の傾向であるわけです。そして日本の場合には、原料炭は昨年とことし五百円ずつ、千円上がったわけです。随伴しようが随伴しまいが、一般炭原料炭の安定補給金の格差は二百円あるわけです。そして、昨年電力用炭が平均二百円上がったわけです。この二年間で、原料炭一般炭の価格差があるのに、ストレートで見ても原料炭にさらに千円上積みされた。一般炭はそのまま据え置かれておるわけです。このまま放置していてやれるかやれないかということは、おのずから結論は私は見えておるのではないかと思うのです。原料炭確保をするということは、随伴一般炭をある意味でささえなければ原料炭確保できないのであります。同じ炭層から出てくるわけでありますから。  そういう意味で、今年の石炭政策の課趣は、第一には資金の問題であり、第二には、一般炭の炭価をどう扱うかということであり、第三の問題は、今後の政策答申を一体どう求めていくのか、この三つの課題が今年の石炭政策の課題であると申し上げておるわけですが、二年間で、価格の差があるのにさらに上積みして千円上がるわけです。そのままで当然だと大臣としても思われますか。しかも、わが国の原料炭は、同じ炭層を掘って、その中で選炭機で原料炭一般炭が分けられるわけですから、そういう点について、大臣としてどうお考えになるか、この機会に承っておきたいと思います。
  56. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その問題はむずかしい問題でありますけれども、確かに原料炭だけ掘れるものではございませんし、それに一般炭でも、硫黄分の低いものについては、需要もかなり安定しつつあるように考えます。これは、価格決定にはいい要素でございますが、やはりときどき是正をしていくというようなことは、現実の問題として過去にもやってまいりましたし、これからもある程度そうならざるを得ないであろうというふうには考えております。問題は、しかし非常にむずかしい問題でございますから、こうあるべきだ、こうするというようなことを、私どもがかってに言える問題でもありません。しかし、趨勢としては、おっしゃいますようなことは私どもにもわかっておるつもりでございます。
  57. 岡田利春

    岡田委員 石炭政策を進めた場合には、ローサルファ・メリットとか、そういうことは別に議論にならなかったわけです。最近エネルギーを考える場合には、油の場合でも、ローサルファ・メリットというものについて非常に厳格になってきておるわけです。しかもローサルファ・エネルギーは貴重であるという状況にあるわけです。そうすると、他のエネルギーがそうであるにかかわらず、石炭だけがローサルファ・メリットというものを強調されないというのは、私は非常におかしいのではないかと思うわけです。そういう意味において公示炭価、いわゆる炭価をきめる場合に、この時点ではそういう要素が入ってしかるべきではないか、こういうきわめて卒直な気持ちを持つわけですが、この点についてはどうお考えでありますか。
  58. 阿部茂

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  岡田先生御指摘のとおり、最近の公害問題の深刻化等を考えますと、逆に石炭におきましても、油におきますと同様に、ローサルファ石炭の価値というものを別途高く評価すべきであるということは、御指摘のとおりであると思います。ただ、いままでの段階におきましては、御存じのとおり、石炭の中にかなりハイサルファの石炭がかなりの量いまだにございます。したがいまして、従来一般炭を議論する場合には、あまりにそこを現実の問題として深刻に議論いたしますと、ついハイサルファの石炭が、逆にいま以上に苦しい立場におちいるということを非常に私ども考慮して、特にさような分析を避けてきたようなのが実態かと思います。しかし、御指摘のとおり、いまの時点になりますと、御指摘のようなことを検討する時期にきているのではないかと私ども考えるのでございまして、やがていろいろな問題を再検討する時期と場を持ちました場合には、十分皆さんの御意見を承って検討してまいりたい、かように考える次第でございます。
  59. 岡田利春

    岡田委員 今日までの石炭政策の基本は、スクラップ・アンド・ビルド方式である。そのスクラップ・アンド・ビルドをさらに一歩突っ込んでこれを考える場合に、この方式は、キャピタルマイン方式を政府は基本に据えて考えているのか、そういうことは考えていないのか、この点について見解を承っておきたいと思います。
  60. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、従来からの石炭政策としては、できるだけ効率的な炭鉱によって、石炭生産していこうということでまいったわけでございますが、需要業界との協力、あるいは結びつきによって、維持するかどうかという問題については、従来は、その協力は求めるという姿勢ではおりますけれども石炭産業経営の中に入って、協力してやるというところまでは考えていなかったということは事実でございます。
  61. 岡田利春

    岡田委員 しかし、新鉱の開発が進み、炭鉱の大型化が進み、今日の段階では、単なる従来の観念によるスクラップ・アンド・ビルドということでは、もはやユニークな漸進的な政策が出ないのであって、むしろこの段階にくればキャピタルマイン方式に、明確にそれを基本にして、これからの政策を進めなければならないのではないか。いまの体制でいくとすれば、その点が鮮明に打ち出されなければならないのではないか。政府はそれを明らかにしないけれども、腹の中にはそういうことを持っているのではないか、私はこう思うのです。私のこういう見方は間違いでしょうか。
  62. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  それも一つの考え方であろうと思いますけれども、先ほどの有明鉱についても申しましたように、資金的な協力という面までは従来ともやっておるわけでございますが、御指摘の線まで進む姿勢が醸成されておるかどうかという点については、なお疑問なしとしない状況でございます。方向として、一つの考え方としてはそういう指摘をする方もおられますし、先生のただいまの御指摘も一つの御示唆であろうと思いますが、あるいはそういう点についても、体制委員会としては確かに一つの問題として、問題点指摘をされることもあり得ようというふうに考えます。その際には十分検討して、意見を承ろうという考えでおる次第でございます。
  63. 岡田利春

    岡田委員 労働省が見えたそうですから……。
  64. 鬼木勝利

  65. 細谷治嘉

    細谷委員 労働省にお尋ねいたしますけれども、五月の十一日の地元紙に、三井三池炭鉱で起こりました問題として、警察及び地元の基準監督署が、強制労働が立証されたということで送検をいたしておるわけですね。その前に、 四月七日に、これは朝日新聞でありますけれども、「三井三池の組夫リンチ事件、借金で体しばる、逃げると北海道までも」という見出しでこの問題が報道されております。そして四月の十四日に、これは地元の西日本新聞でありますけれども、「労基署のおひざもと 大牟田」「まだある暴力飯場」こういう見出しで、タコ部屋問題という形で、きわめて前近代的な労働問題が報道されておるわけでありますけれども、これについて、労働省のほうでは事実をつかんでおるかどうか、まずお尋ねします。
  66. 吉本実

    ○吉本説明員 先生の御質問にお答えいたします。  私どもの出先の大牟田の監督署におきまして、いま先生のおっしゃるような事柄があるということで、五月の八日に毛利建設など二社、それからその労務係、社長等含めまして、二社四人を強制労働の疑いで福岡地検に送検をしてございます。  内容といたしましては、ただいま先生のおっしゃるような内容がそうでございまして、たとえば、前借金未済のために転職をしようとしたので、日本刀で左の大腿部にけがをさして、しかも四日目に就労させるとか、あるいは、まだ病気で入院加療中のところを、無理やり退院さして就労をさせたとか、そのほか暴行を加えましてけがをさす、そのけがもなおらぬうちにまた就労させる、こういうような事柄で、いわゆる強制労働という形の中で送検をしているような次第でございます。大体そんなような形で私どもは対処したということでございます。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 この新聞に書かれてあることはそのまま事実ですね。私はこの新聞を見て、まことに驚いたわけであります。まあ名前まで出ましたけれども、強制労働事件という形で、請負であります三井建設株式会社、その下請であります有限会社毛利建設、この二法人と、それから関係者もすでに逮捕しておるわけですね。こういうことについて、地元の監督署はどう言っているかといいますと、「事件内容はいくらか聞いたが、いまのところノータッチ。強制労働問題が出てきた時点で調べる」なんというのんきなことを言っているのですが、こんなことで、労働基準監督署としての役割りがつとまりますか。
  68. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えします。  いわゆるこの種の強制労働のような形の前近代的なやり方につきましては、私どもは、はなはだ遺憾なことでございますし、こういったことのないように、常々監督指導をしているわけです。本件につきましても積極的にそういった疑い、ニュースをキャッチしまして、警察とも連絡をとりながら、先ほど申し上げましたような送検の手続をとったというふうなことでございます。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 この新聞を読みますと、強制労働、暴力、あるいは日本刀でおどかした、あるいは借金をさしておいて、そして借金を返すということが話がついて、やめさしてくれと言うと暴行を加える。文字どおり、想像もつかぬような状態があるわけですけれども、そういうものが、四月の初旬に問題がわかっておるにかかわらず、監督署は全くことばで言っているようにノータッチなんですね。警察は、新聞ではこう言っているのです。「泰行、傷害事件の全容をつかむことが第一。それが明らかになり、なぜそんな事件が起こったかという段階で、初めて強制労働問題が浮かび上がってくる。いまのところ“強制労働”については何とも言えない」、こういうふうに地元の四月の十四日の新聞には書かれてあるわけですね。そして、五月の十日に労働基準法違反で書類送検をしたわけですね。そういう事態であるにかかわらず「いまのところノータッチ。強制労働問題が出てきた時点で調べる」、一向地元の監督署としては指導的な、労働基準法を守っていこうという姿勢はないじゃないですか。いかがですか。
  70. 吉本実

    ○吉本説明員 お答えいたします。  本件につきましては、先生のおっしゃるように、確かに署のほうとして、警察との関係におきましてはおくれたかと思いますが、この種の問題につきまして、警察のほうとしましては、ただいま御指摘のように暴力行為という形で、四月の七日に送検しているわけでございますが、それが具体的にいわゆる強制労働、基準法の規定にどうなるのかというような点につきまして、さらに検討いたしまして、先ほど申しましたように、五月の八日に送検をしたというふうなことでございます。結果的に見ますとおくれたような形になってございますが、警察署との関係におきまして、同一にこの問題を考えて対処しておるというふうに考えておる次第でございます。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 警察署と打ち合わせてやっておるということですけれども、労働基準法を守るために基準局もありますし、基準監督署もあるわけですね。ところが、そういう労働基準法違反の問題について、積極的に監督署長なりが取り組みますと、その監督署長が、いつの間にか無任所のところにほうりやられるという例だってあるのですよ。具体的に例をあげたいけれども、そこまであげませんけれども、言ってみますと、監督署というのは本来の任務というものをそこまでやる気がない。またやろうとするとすぐ左遷されてしまう、こんな空気がある、姿勢がある。これはひとつ問題だと思うのですよ。私の言っていることは間違いですか。
  72. 吉本実

    ○吉本説明員 ただいま先生から、いわゆる基準法を守る立場にある監督署としての心がまえなり態度につきまして御指摘ございましたが、私どもは、常々そういったことのないように強力な指導をしているつもりでございまして、先生のおっしゃるようなことがあるとすれば、そういった点については、十分是正さしていかなければならないというように存じております。  それから、全体の監督のあり方としましては、現在は、この種の問題は当然タッチしなければなりませんが、全体としましては、いわゆる生命、身体に一番問題があるということで、もっぱら安全衛生ということを大体中心にしながら、積極的な監督をしろというような形でここ数年続けてございまして、いわゆる前近代的な問題については、当然これは対処すべきことで、当然の前提として、監督の内容に含めて実施をしてきておる次第でございます。そういったような関係で、いま先生の御指摘のような点がかりにあるとすれば、もちろんこういった点については是正さして、今後とも対処してまいりたいというふうに思います。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 これは労働省なり通産省から資料もいただきたいと思うのですけれども、職業安定法に基づいて、坑内のある仕事については下請あるいは孫請、こういうものが許されておるようであります。私は、この辺からやはり問題が出てきていると思うのですね。そうして労働省自体が、安定局なりあるいは基準局なりが、この問題について消極的な姿勢をとり続けてまいっておる。でありますから、職業安定法に基づく、たとえば坑道の掘進ということでありますけれども、事実上はもう直轄夫と変わらぬような仕事をやってきておる、それが鉱山保安の問題にも関係してきておる、こういう強制労働の問題というものも生んできておる、こういうふうに私は思うのですよ。そこに問題があるのじゃないか。とにかく安上がりでいこうということで、安定法上には重要な制限がありますけれども、事実は出炭そのものに組夫をどんどん入れていく。そうして適当に賃金をピンはねする。安定法違反にならぬように形だけは整えているけれども、事、実上やはり安定法違反、そして基準法違反を犯しておる、こういうことだと思うのですよ。  そこで、そういう根源について、労働省は一体今後どういうふうに対処していこうとするのか。これに対して通産省も一体どういうふうに対処していこうとするのか、その辺を伺っておきたいと思うのです。
  74. 吉本実

    ○吉本説明員 ただいまの先生の御指摘でございますが、これは私ども所管でございませんが、職業安定法違反という形でなくして、むしろ石炭鉱業合理化臨時措置法の問題かと思いますけれども、いずれにしましても、実態的にそういったような形がとれ、それが強制労働に及んだり、前近代的な形で作業するということは好ましくないと思いますし、本来としましては、この種の労働力の確保をはかることが最大の任務というふうに私どもとして考えておりますので、そういった方向で対処してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  75. 本田早苗

    本田政府委員 御指摘の請負夫の使用につきましては、保安の確保の観点、それから直轄夫の雇用の安定という立場から、掘進、仕繰り、運搬に限って使用し得るという規制を現在行なっておるわけでございます。この点につきましては、最近の労働事情等もありまして、これを緩和せいというような御要請も一部にはございますけれども、いろいろ問題がありますから、慎重に考えるべきだという基本的な考えでおります。
  76. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題は、いつも慎重に対処する、こういう程度で終わっているんですけれども、問題はどうも果てしなく、しかも悪化の方向をたどっておる、こういうふうに私は思うのですよ。そこでいろいろお尋ねしたいんでありますけれども、時間がありませんから、ひとつこの問題について、詳しい事情を資料としてこの委員会に御提出いただきたいということを委員長に要望して、質問を終わっておきます。
  77. 鬼木勝利

  78. 岡田利春

    岡田委員 大臣の質問に、各委員がおりますから、私、一問だけこの機会に大臣に質問して、あとはまた各委員が終わってから質問したいと思います。  それは、日本の石炭政策というものは、言うならばヨーロッパの西ドイツの石炭政策、これと歴史的に非常に似かよっているわけです。いろいろな政策内容を検討してみますと、大体西ドイツの流れをくんでおる、こう申し上げても私は差しつかえないと思うのです。ただ、違ってきたのは、西ドイツは民有でありますけれども、ルール炭田株式会社をつくって一社に統合した。この段階に踏み切ったわけですが、わが国だけは、依然として個別企業対策に終始をしているという点が歴然として違ってきているわけです。そういうような点から考え、さらにまた、ヨーロッパの石炭対策というものは最近非常に視点が従来よりも変わってきているのではないか。ドイツで申し上げますと、一億四千万トンは維持をする。大体われわれが調査にまいりましたときは、八千万トン程度までダウンすることはやむを得ない。むしろ積極的に石炭を維持をする。そして今年六月に電力用炭法の改正もございますけれども、褐炭の増産をはかって、この電力用炭に回すという態度に出ておりますし、あるいはイギリスの場合でも、大体一億二千万トンと一九七五年に想定をしたのでありますけれども、最近では一億四千万トンから  一億五千万トンにむしろ引き上げる。これをささえるために、イギリスでは重油キロリットル当たり二千円の消費税、ドイツは二千五百円の消費税で、もちろん客体は違いますけれども、そういう方向に変わってきておる。ということは、やはり将来、特に原料炭については非常に供給が困難になってくる。一方においては、イギリスではインドあるいはザンビア、ベネゼラ、アルゼンチン、こういう国々の資源調査に入っている。西ドイツでは、南米の原料炭開発に注目をし、調査を開始をしている。結局そういう意味では、それらのヨーロッパの国々と原料炭確保のために競合段階に入っていく。これが七〇年代の情勢であろうかと思うわけです。私は、そういう意味からも、また今日の石炭政策を進めてきた総括の観点に立っても、ちゅうちょすることなく、わが国の石炭政策についても見直しをし、そして石炭の位置づけを明確にし、その政策を明確に確立をすべきときだ、そういう見方をするわけでありますけれども、もちろん、これらは体制委員会に期待するところではありましょうけれども、エネルギー全般の問題もあるでしょうし資源問題もあるでしょうけれども、そういう意味で、今日石炭政策を進めてきた段階における現時点で、大臣はこれらの動向から判断して、今後どういう対処をされようとするのか、どういう責任をお持ちになっておるのか、この機会に承っておきたいと思います。
  79. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ドイツあるいはイギリス、おのおのその国なりの石炭産業の沿革、それからことにドイツの場合で申しますと、わが国のように周辺が海に囲まれているといったような条件では必ずしもないといったようなこと、いろいろ一がいに比較できない点があろうかと思いますが、わが国の場合、基本的にはやはり経済法則上のメリットというものをはずして考えるわけにはまいらない。中間報告に述べられておりますところも、原料炭について、ことに世界的な需給関係などを言っておるものと思いますが、でありますから、戦後ずっと流体エネルギーのほうにかなり傾斜をしてまいりました。公害の問題もあり、また流体エネルギーそのものの世界的な需給という問題もありますし、原料炭については、これはそれに置きかえられない部分でありますから、そういったようなことを総合して考えていかなければならないと思いますが、基本的にはメリットというものを、短期的に考えろとは決して申しませんが、やはり長期的な指標として考えておくべきではないかと思っております。
  80. 岡田利春

    岡田委員 もちろんエネルギーに対しては低廉にしてかつ安定、しかし六〇年代は低廉のほうに重点が置かれて、安いエネルギーで日本が高度経済成長をなし遂げてきた。しかし七〇年代は、エネルギーというのは年々上がっていくことは、もう見通しは明らかになってきているわけです。そういたしますと、これらのエネルギーの問題については、低廉ということについては意識するけれども、やはり安定供給、セキュリティの問題が強く意識されなければならないのが、七〇年代のエネルギーに対する認識じゃないかと私は思うわけです。もちろんヨーロッパにおいても、臨海地帯に鉄工場ができ始めておりますし、そういう意味では、事情がいま大きく構造的に変わりつつある段階に入ってきている。ですから、当初予想している以上に私はエネルギー確保の問題、原料炭確保の問題というのは、年々競争が激しくなっていく、こう認識せざるを得ないのではないかと思うのです。欧州の石炭協会でいろいろ報告を出しておりますけれども、その中に、エネルギーというのは、いまお互いに競争し合うよりも、あらゆる形のエネルギーで補い合うことが必要になっているという認識、エネルギー供給に対して、広範囲なマネージを行なわなければならない。そのためには、現在保有してあるみずからの燃料生産を自衛しなければならない。そしてこれに失敗をすれば、世界のエネルギー市場の変動と、彼らのもはや影響力を持っていない世界の一部の地域で起こるであろう政治経済の危機の、なすがままになってしまうであろう、こういうものの考え方が七〇年代のエネルギーに対する基本的な考え方でなければならないのか。この欧州石炭協会から出されている報告書を読んで、やはりこういう態度考えなければならない。単に安いから安いものだけを選ぶというのではなくて、やはり国際連帯においても、エネルギーは大切に扱っていく、そういう国際連帯的な責任もわが国にあるのではないか。GNP世界第二位になったわが国でも、ある一定の石炭資源なら石炭資源を確保するという責任があるという認識に立たなければならないのではないか。こうしみじみ感じたのでありますけれども、この点について大臣の見解をもう一度伺っておきたいと思います。
  81. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かに安い価格ということのほかに、安定的供給ということが一つの大切な課題でありますから、わが国自身のエネルギー源を自分で開発して持つということは、国の内外において大切なことであると考えます。そういう意味では、石炭資源というものも、先ほど申し上げました短期のメリットではありませんが、長期のメリットをも頭に入れながら、ある程度のものは確保しておくことが必要だ、これは国の内外にわたって同じことを申し上げてよろしいんだと私は思います。
  82. 岡田利春

    岡田委員 それでは、あと大臣への質問が終わってから……。
  83. 鬼木勝利

    鬼木委員長 田畑金光君。
  84. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣に二点だけお尋ねいたします。  この国会が始まって、この委員会で過去二回同じような質問をいたしましたが、今度もまた念を押すために同じ質問をするわけです。  結論を申し上げますと、石炭事情も変わってきましたが、第四次政策の手直し、あるいは四十九年度以降を見通して、今後の石炭政策をどうすべきか、どうあるべきか、こういう点について、ひとつ、石炭鉱業審議会なりあるいは体制委員会等にすみやかに意見を求める、こういうことが必要であると考えますが、大臣としては、そういう方向石炭政策を進めるお気持ちがあるかどうか、この問題であります。  四十六年度石炭鉱業合理化計画を見ましても、この中に載っておる具体的な資料というものは、第四次政策の当時から見ますと大きな変化を遂げておるわけであります。また、この間のこの委員会でも申し上げましたように、OPECの原油引き上げに伴う、今後のわが国における重油を中心とするエネルギーの動きなどを見ました場合に、せっかく石炭特別会計の財源として確保されておる原重油関税の問題等についても、これは当然、財政当局の再検討課題として、俎上に乗せられることも見通さねばならぬと思います。こういうことを考えましたときに、やはりこの際、それに対する石炭の明確な位置づけ、このことが大事であると思いますが、大臣としては、今後の石炭政策について、石炭鉱業審議会等に諮問する意思ありやなしや、この点を明確にお聞かせをいただきたいと思います。
  85. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように情勢がかなり変わってまいりましたし、なお、まだ将来にわたって流動的ではございますけれども、相当基本的な変化もあることでございます。したがって、当面の住友の問題の決着がつきましたら、ただいま御指摘のような問題を体制委員会にはかりたい、こう考えております。  なお、その際、ひとつ自由な検討、討議をしていただきまして、それに沿って、その後の施策を考えたいと思っておりますので、あらかじめの予断を持たずに、弾力的に体制委員会でひとつ十分審議をお願いしたい、こう考えております。
  86. 田畑金光

    ○田畑委員 第二点でございますが、私は、特にこれからの石炭経営で注意せねばならぬこと、あるいは政府協力を願わねばならぬことは、金融の問題ではなかろうか、こう考えておるわけです。いま問題となっておる住友石炭を見ましても資金繰りがつかない。それが致命的な打撃になっておるわけであります。第四次答申以降、設備資金は原則として合理化事業団、運転資金は市中銀行に依存する、こういう形になっておりますが、出炭計画が狂ってくるとすぐ資金繰りに追われておる、こういう実情であります。  大臣、御承知のように、第三次答申において、元利補給金制度がとられたわけであります。また、第四次答申再建交付金制度がとられておるわけであります。現存する炭鉱がこの制度の適用を受けて、そうしてあらゆる物件が鉱業財団として、それぞれの金融機関に担保に提供されておるわけでありますが、かつて植村構想の中にもありましたように、この際、担保に入っておるこれらの物件等について、解除することにより、融資の道等を講じてやったら、もっと石炭経営について明かるい土台ができるんじゃなかろうか。大臣御承知のように、最近特に公害問題に関連いたしまして、硫黄分の高い石炭は引き取らない、売れない、さらにまた、過般の水質汚濁防止法に伴うて、特に炭鉱排水の中で選炭排水についての規制の強化、こういう問題等が起きまして、このための設備資金だけでも六十億もかかるという事務当局の説明等も聞いておりますが、こういうことを考えてみますと、炭鉱経営にとって最も大事なことは金融措置、こういうことになってまいりますが、大臣のいまのお話のように、こうした審議会等で今後の石炭のあり方を諮問されるにあたりましては、こういういま申し上げた金融措置等についても、最も大事な検討の素材として、十分これと前向きに取り組むように御努力を願いたい、こう考えておりますが、この点についての大臣の所見を承って、私の質問はこれで終わることにいたします。
  87. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 金融機関といたしましても、万一閉山があるような場合のことを考えますと、担保を確保しておきたいと考えることは、それは原則論としてわかることでありますが、どのくらいな掛け目でどのくらいの担保をとっておけばいいのか。過剰な担保をとるというようなことでは、かえって石炭産業そのものを殺してしまうことになりかねないのでございますから、適正な担保がどの程度であるかといったようなことについては、役所としてももう少し立ち入って、その間の行政指導をやれる範囲ではやはりやったほうがいいのではないか。私は詳しい実情を存じませんけれども、しばしばその担保の問題は私も耳にいたしますから、適正な担保を越えるものについては、なるべく流動化してやるということは、役所としても行政指導の一環として考えていくべきではないかと思います。
  88. 田畑金光

    ○田畑委員 終わります。
  89. 鬼木勝利

  90. 田代文久

    田代委員 二点だけ大臣にお尋ねします。  第一点は、石炭鉱業審議会が、四十六年度に三千四百万トン計画で実施をするということなんですね。政府としてはそういう方針で、しかも、それは労働の生産性としては六十トンから六十五トンに引き上げるというような中で、そういう形で進めるというような方針が出ているようですが、これを実行される御意図でございますか。その点ひとつ……。
  91. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一応四十六年度の出炭を三千四百万トンと想定をいたしておるわけでありまして、それをベースにいたしまして、いろいろな問題を考えていきたいと思っております。
  92. 田代文久

    田代委員 その三千四百万トンというのを大体ベースにされた根拠、どういう根拠でこういう数字が出ておるのかということをお尋ねしたいと思うのです。
  93. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  本年二月から、各企業別炭鉱別炭鉱側の御説明を伺いまして、その出炭見込み、適正な条件のもとの出炭量というものを考えまして、積み上げたのが三千四百万トンということでございまして、先ほども説明申し上げましたように、閉山が確定しておるものはもう落としております。住友につきましては、三山が稼働するという前提で計算をいたしております。
  94. 田代文久

    田代委員 その御説明は先ほどもお聞きしたのですが、結局それであるなら、それは計画でも何でもないじゃないですか。私どもは実際において計画のような気がしないですよ。いわゆる政府がとる石炭計画とか政策とかいう、はっきりした政策になるならば、こういうことで三千四百万トンというような数字は出ない。三千六百万トンが三千四百万になった、以前は四千万トンであった、こういうことに変わるというのは、政府としてはあるいは企業家としてはそういうことは実際あるかもしらぬけれども政府が、はっきり日本のエネルギー政策として、そうしてプランを立てるということになる場合には、こういう行き方では、政策というふうには私は理解できない。  なお言えば、政府は、日本のエネルギー政策として、この石炭産業をどういう位置づけにするか、そしてこういう民族の非常に重要な資源として、これはどうしても確保しなければならぬというような原則があるわけですね。そういう原則からいいましても、とにかく実際に、ただ利潤だけを中心にして、そうしてとにかく石炭産業でうんともうかったときには、製鉄とか、ほかの産業にどんどん利益を回してしまって、そうして炭鉱の維持なり発展、あるいはかりに、景気が悪くなった場合には、それが微動だもしないような、そういう構想のもとに、そういう形の独立採算制をとるということなら話がわかるのですけれども、景気のいいときはもうかったやつはどんどんほかの企業に回して、そうして景気が悪くなった時点においては、独立採算でこれをやらない。政府も金がほしいので、政府から実際においてやらないのだというような形になってきておる。そうすると、政府がいま立てられた三千四百万トンなる数字というのは、各炭鉱のあれに聞いてみたら、このくらいのことしかできません、ああさようですか、それでいきましょうか、こういうことになっておるのですね。来年あるいは再来年の計画はどうなるかということはわからぬけれども、これは後退以外にはないでしょう、実際において。これは政策でも何でもないですよ。  そうなると、われわれ国民として、日本の石炭産業の重要性から考えて、どのように確保し、どのように維持しということが、私たちの非常に憂慮するところなんです。したがって、そこで働いておられる炭鉱労働者をどのように安心して、そこで働けるような状態確保するかという点との関連におきましても、そこに私は政府政策がなくてはならないと思うわけです。ですから、もしこの三千四百万トンなるものの数字が、そういう形で出ておるとするならば、政府は、あるいは通産省は、どこでこの石炭産業のこれを食いとめるか。ここまでいけば絶対これは確保できるということを、はっきりここでお知らせ願いたいと思うのです。そうでなければ、ずっと幽霊のしっぽみたいになってしまって、結局日本の石炭産業は何もなくなって、パーになってしまうというような心配があるわけですが、これをどこで食いとめるのか。また、それを食いとめるには、どういう政策をもって食いとめるのかという点を伺いたいのです。  この点について、先ほど通産大臣が、これは住友閉山との関係で、政府も相当の決意をもってこれに臨むのだという、非常に大きな決意のあるようなことを抽象的にお述べになりましたが、その相当の決意——おそらくこれは重大なる決意だと思うのですが、その相当の決意というのは、具体的には大体どういう内容か。また、どういう方向をとっておるかということの御説明を願いたいと思うのです。
  95. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一般にエネルギー政策につきましては、やはり経済法則というものを基本に考えなければならないことは、しばしば申し上げておるところでございますが、ただ、石炭産業のようなものになりますと、非常に問題が複雑であり、かつ影響も大きゅうございます。そしてまた、低廉、安定といいますときの安定の中には、やはり自分たちのエネルギー源を持っておかなければならぬということも入りますので、短兵急な経済法則というようなことで割り切るべきじゃない、基本的にはそういう考え方をいたしております。  それから、住友の問題でございますけれども、私どもとしても、最善を尽くしたい、また関係者各位におかれましても、最善を尽くしていただきたい、こう考えております。その考え方のもとにございますものは、おそらく住友閉山を余儀なくされたというようなことになりますと、そのことから、連鎖的にいろいろなできごとが起こってくる。いわばときどきなだれ閉山というようなことがいわれますけれども、そういったようなことに発展をすることが、わが国としていいことであろうか、よくないことであろうかと考えますと、それは好ましいことではないというふうに考えますので、住友だけのためと申しますよりは、むしろ全体の今後の石炭政策、あるいはもう少しそれは幅の広い周辺を持ちますけれども、それらも考えました上で、政府としては最善を尽くしたい、こういう意味合いで申し上げたのでございます。
  96. 田代文久

    田代委員 ただいまの答弁を承りまして、この石炭産業に対する確信の持てるような気持ちがどうしてもしないし、また結論的に申しますと、これは無策で、とにかく時の流れに従っていくよりしようがないのじゃないかというような印象しか受けないのですね。しかし、その点につきましては、これはもう少し大臣の時間が十分ありますときに、とくと質問いたしたいと思います。  それとの関係で、現在まで石炭が維持されてきている中には、石炭特別会計の持っておる意義、それの果たした役割りというようなもの、これは非常に大きな役割りを果たしてき、また果たしつつあるわけなんですが、現実に、ただいま最初に申しましたように、三千六百万トンから三千四百万トン、あるいは来年は三千万トンになるかもしらぬ、こういうような状況変化の中で、いわゆる石炭特別会計法なり石炭特別会計というものは、これは手直しをするとかせぬとかいうようなことをちらちら聞くのですけれども、大体それを手直しをするというようなお考え方、そういう意見に対しては、大臣としては、どういう確たるお考えをお持ちであるか、お聞かせを願いたいと思うのです。
  97. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま第四次の施策が進行中でございますし、また将来、これですべての政策が打ち切りになるとも考えられませんので、いずれにいたしましても、必要な財源は確保しておかなければならない、こう思います。
  98. 田代文久

    田代委員 まあ必要な財源ということでは、私は理解できないのだな。これは現在の石炭特別会計、これを手直しして、その質を変えられるのか、現在のこの会計をそのまま堅持すべきであるというふうにお考えになるか、その点をお聞かせ願いたい、こういうことなんです。
  99. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまのところ、現在の特別会計をやめるというつもりはございません。一般的に申しまして、必要な財源は確保しておかなければならない、そういう前提のもとでならば、それがどういう形をとるにしても、それは二次的な問題だと思いますけれども、現在特別会計をやめるというようなことは考えておりません。
  100. 田代文久

    田代委員 つまり、手直しするような、そういうことはさらさらないというふうに理解いたしまして、私の質問を終わります。
  101. 鬼木勝利

  102. 岡田利春

    岡田委員 質問が飛び飛びになりましたけれども政府の第一次、第二次肩がわりについてお伺いしたいのであります。  現在、第一次、第二次肩がわりの総額はどうなっておるのか。いままでの支払い分、それから残っているもの、さらに第一次、第二次肩がわりで、まあこれは開銀が大体六割を担保は占めておると思うのですが、その肩がわりの担保の資産内容というものは、一体どう把握されておるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  103. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  第一次肩がわり、第二次肩がわりで、現在存続しておる企業の肩がわり残高でございますが、第一次が五百五十三億円、これは元本でございます。第二次が五百九十一億円、端数がございますが、合計千百四十四億円ということに相なっております。御承知のように、第一次肩がわりは一千億ということで発足いたしております。それから第二次は、金融債に関する限り七百三十五億、合計千七百三十五億で計画を進めたわけでございますが、現在の残高は、残っておるものについては千百四十四億強でございます。  それから、肩がわりの債務の担保の内容はどうかということでございますが、提供担保の総額としては千七百二十億円ということになっておりますが、このうち鉱業財団が千百八十二億になっております。そのうち三百三十六億程度は坑道と鉱業権でございます。これ以外の五百三十五億円がその他の一般財産ということになっておりまして、そういうのが担保の内容でございます。
  104. 岡田利春

    岡田委員 そういたしますと、今日までの第一次、第二次肩がわりの既支払い分は幾らになっていますか。
  105. 本田早苗

    本田政府委員 いま手元に数字がございませんので、後ほど御報告さしていただきたいと思います。
  106. 岡田利春

    岡田委員 まあ第三次政策を進めて、一般的には二千億、千億、千億肩がわりされた、これを含んで四千億財源と、大体こういう理解をしておるわけです。しかし、現実大型閉山が進められておりますから、残っておるのが一千百四十億程度、まあすでに払った分は一次が三年分ですか、二次が二年分ですか、おそらくそうなると思うのですが、そうするといわゆる俗にいわれている二千億肩がわりというのは、現実の問題として相当額が少なくなってきたわけですね。既支払い分を含めても。どうなんでしょう、おそらく一千五百億を切るのじゃないでしょうか。大体そういう認識になるんじゃないかと思うのですね。初めは第一次肩がわりは一千億、第二次肩がわりは金融債七百三十五億ですから、一千七百三十五億の肩がわり、元本だけですね。実際に閉山するとあと整理をしていますから、そういう点で私はいま質問をいたしているわけです。いわば肩がわりをした企業閉山をすることによって、肩がわり分が実質上軽減されているという点について、注目をしなければならぬのではないか。こう実は考えて、肩がわりの変動についてお伺いをいたしているわけです。  そこで、いま説明のありましたように、担保のうち、五百三十五億というのが一般財産である、あと鉱業財団がそのおもなものであるということでありますけれども、ではいままで明治、杵島、それから麻生、さらに雄別炭鉱閉山になっておりますが、大体この清算会社整理見通しは私はついたんだと思うのです。その場合における金融債務は大体どういう傾向をたどっておるのか、また帳じりはぴしっとしなくても、雄別のは相当進んでおりますから、結局は財産で整理がつく。あまりないだろうと思いますけれども……。まあつくというのは間違いがないのじゃないかと思うわけです。そうすると、明治や麻生の場合には一体どうなっているか、こういう点については一回総括しておく必要があると思うのですが、どのようになっておるんでしょうか。
  107. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  御指摘の四社は、清算業務が現在進捗中でございます。特にその際、金融債務についてどうかという点であろうと存じます。この四社が解放の日において負担しておった金融債務は、明治が九十五億、麻生が四十七億、杵島が五十二億、雄別が八十八億というふうに、きわめて大きな金額になっております。もちろん、これに対しまして、金融機関のほうは担保もしくは保証の提供を受けておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように鉱業財団が担保に入っておるという事情もありまして、清算の段階は、三年たった後に回収不能分を幾らかと見込んで、その二分の一を国が支払う、こういうことになっておるわけでございますが、担保の性質上、換価価値としては債務額に十分満たないという見込みでございまして、したがいまして、来年の四月以降に三年が経過するわけでございますが、その際、国が回収不足分の二分の一を逐次支給するという事態が起ころうというふうに予想しておるわけでございます。
  108. 岡田利春

    岡田委員 肩がわりを受ける場合には再建計画を出して、再建計画を認可をして、肩がわりを決定したわけですね。しかし、その後の事情の変化があって、たとえばAという炭鉱が二百万トンの生産をしている、そのうちに山がなかなかやれなくなって、逐次閉山をして五十万トンになった、それでさらに再建ができるのかどうか。肩がわりは一定の条件を前提にして肩がわりしたはずなんですね。重大な変更が当然出てまいるわけです。しかし、応それに触れなければ、いまの法律、制度では肩がわりはとにかく一応企業を通っていく形式にはなっていますけれども、ぱっと政府から毎年元利とも支払いされるわけですね。こういう点について、特に最近のいろんな動向から、何か通産省としてはそういう点検討しなければならぬと思っておるのか、いやそうではなくて、いわば実際問題肩がわりしたけれども、担保を押えられておる。おそらく五百三十五億のうち、有価証券だけで私の判断では二百億近くあるはずだ、こう見ておるのです。間違いかどうか知りませんが、私はそのくらいあるだろうと思うのです。そういういろいろな面から考えると、情勢はずいぶん変わってきておるのじゃないか。国民は炭鉱に金をくれてやった、二千億くれてやった、こう思っているのですが、実際はそうはなっていない。そういう土意味で、やはり第一次、第二次肩がわりの取り扱い方、あるいは政府のいまの保証の内容、こういうものについて、ある程度基本的な検討を加えなければならないのではないのか。いうならば、担保を受け取るほうは、鉱業財団では実質上あまり担保価値がないから、どうしても一般財団のほうが、土地であれば土地が年々上がっていくという点で放さないわけでありますけれども、そうであるならば、第三次政策の肩がわりをする場合は、一応いままでの合理化による債務は政府がこれを引き受けるという決意をしたのですから、政府がこれを引き受けるという決意を内容的にもきちっとするのか。それともそういう当初の前提がずいぶん変化があるわけだから、とことんまでそれを詰めて議論をし、その内容を変えるのか。いずれにしてもこの問題はこのままでいいんだということには今日の情勢はなっていないと私は思うわけです。そういう点についてどのようなお考え方を持っているか、お聞かせ、願いたいと思うのです。
  109. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  一次、二次の肩がわり制度によって、石炭鉱業が負っておる金融債務について、国が支払いを引き受けるという形にしたことによって、石炭鉱業企業として資金的な基盤が強化されるということを予定したわけでございますが、この点については、先ほど田畑先生からも、担保抜きが十分できないという事情が、資本調達の一つの隘路になっておるという御指摘があったわけであります。いま御指摘のような肩がわりをするについては、最終的に債務を引き受ける決意をしたことによって、とことんこれを引き受けるということにすれば、その問題か解決するのではないかという問題の御指摘であろうかと存じます。  われわれの聞くところでは、肩がわりについて、あとの担保の取り扱いについては当時かなり議論がされたが、なかなかそこまで踏み切りがつかなかったと聞いておりますが、この点については、先ほども指摘のように、資金問題というのは、きわめて重要な今後の石炭鉱業対策のポイントであるという意味で、よく御意見を承るようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  110. 岡田利春

    岡田委員 いずれにいたしましても、たとえば百億の第一次、第二次の肩がわりを受けて、当時二百万トンの生産規模があった。そうして十カ年の計画を提出して、それが認可になって、前期五カ年に重点を置いて審査をした。しかし、その後いろいろ情勢の変化もあって山を次々と閉山をして、極端にいえば年産十万トンの出炭規模になった。この合理化計画は通産省が認めてるわけだから、十万トンであろうと、山があればあと百億の肩がわりは毎年政府が支払うんだということになるわけでしょう、いまの制度は。いかがですか。
  111. 本田早苗

    本田政府委員 御指摘のとおりでございます。
  112. 岡田利春

    岡田委員 しかし、省令基準には、重大な変更がある場合には再検討するというのがあるから、それを通産大臣が発動すればまた別ですよ。それで持ち切るという御議論、そんなことは不可能なことでしょうけれども、やればやれないこともないようになっているはずなんですね。ですから、この肩がわり制度をやってここまできて、そういう内容の変化が目立っているわけですから、局長答弁されましたけれども、いままでの閉山に次ぐ閉山合理化しているものについて、その負債を政府が一応肩がわりするという決意をしたわけですから、そういう意味で資金の効率的運用という面で、やはり基本的に討議をして結論を出すべき問題であり、六月以降体制部会が問題にされていけば、まずこういう問題が特に中心の重点問題として議論が深められなければならないだろう、このように私は思いますので、当然大きな素材だと思うのですが、いかがでしょうか。
  113. 本田早苗

    本田政府委員 今後の資金調達問題の、一つの大きなポイントだというふうにわれわれは理解いたしております。
  114. 岡田利春

    岡田委員 この石炭政策を進めて以来、スクラップ方式に対して、いわゆる石炭企業側も拠出をし、政府もこれに金を出して、とにもかくにもこの閉山は一般買い上げ方式、そういう形で閉山を進めてきたわけです。その後第四次政策で二カ年間の期限を切って、企業ぐるみ閉山といわれる特別閉山制度が確立をされたわけです。それが今年の三月三十一日で法律が失効になりまして、今年度予算で、いわゆる一般閉山の特例措置というものが計上されたわけです。いわば閉山方式の流れからいえば三つの段階を経てきている。そして三つ目の、一般閉山の特例はまだ発動されていないわけですね。しかし現行の法律あるいは政令の改正がない限り、この発動はあり得ないのではないか、こう思うのでありますが、どういう御見解を持っていますか。
  115. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、一般閉山制度で炭鉱の買い上げを行なうと同時に、労務者等に対する対策も、資金としても考慮しつつ山を買い上げるという制度でまいったところ、四次政策におきまして、石炭対策の抜本的な対策ということで、特別閉山制度というのを二カ年間実施するということにいたしましたが、昨四十五年度でこの制度は期限切れで、なくなったわけでございますが、しかしながら、今後の労務者に対する配慮というものを考慮いたしますと、一般閉山交付金制度の中で、従来の特別閉山交付金制度を適用するケースにつきましては、特別の配慮を考えていくことが必要だということで、予算的措置を講じておるわけでございますが、この点につきましては、われわれとしては、法律の改正を行なうことなく実施できるという解釈のもとに、現在事務的に整理いたしておるわけでございます。
  116. 岡田利春

    岡田委員 ということは、事実問題としてお伺いしておるわけですが、大手に限って——中小でも肩がわりのところもありますけれども、結局いまの法律基準というのは、分離をしたところ、一部買い上げをやったところは、一般買い上げの特例措置の適用は受けられないわけですけれども、そうすると、北炭が全部やめるか三井が全部やめるか、大手でいいますと、この二つの場合しかないわけですよ。あとは三菱は分離をしている、太、平洋は分離をしたわけでしょう。松島の大島はその後閉山としているわけでしょう。ですから、こう考えてくると、住友は一部買い上げをやっている、今度また分離するというわけですね。だから事実問題としては、大手各社で見ますと、一般買い上げの特例措置を適用される部面というものは、三井鉱山が企業ぐるみ閉山する、北炭企業ぐるみ閉山する以外にないではないか。だから法律を改正しなくてもやれるといいますけれども、その場合想定されるのは、大手で見れば三井、北炭以外にない。北炭だって部分買い上げすれば、また別になってくると思うのですが、いかがですか。
  117. 阿部茂

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  今回の特別閉山制度が三月末になくなりましてから、四十六年四月一日以降に発生するものにつきまして、御指摘のような、実態上、過去の特閉制度と同じようなもの、つまり企業ぐるみ閉山と俗にいわれるものが生じた場合には、昨年の十一月にできました体制部会におきます中間答申によりまして そういったものについても 特に労務債の関係は、企業ぐるみ閉山の場合と同じような精神をくんで厚く見てやれ、こういうのを尊重いたしまして、ただいま局長が御答弁申し上げましたように、法律改正は伴わずに、あるいはまた政令等の改正も行なわなくて、現在の交付金の算定方式の範囲内においてできるだけ厚く見てあげたい。われわれは俗にこれを調整加算額という名前におきまして、いま財政当局との間に基本的了解はつけ、すでに予算化しておるわけでございますが、こまかい実施面につきまして、細部の最終的な打ち合わせをいま終えようとしつつある段階でありまして、最初の御質問のときにもありましたが、適用の実施のケースは、いままでのところまだ一件も出ておりません。  さて、ただいま御指摘の、しからばいまの実態から考えるならば、三井鉱山あたりが企業ぐるみやめる場合以外には適用できないのではないか、実際上無価値にひとしいのではないか、こういう御指摘でございますけれども、元来特閉制度というものは、分離した場合等には特閉制度自体を適用しない、こういうことであったことは御存じのとおりでございまして、この法の精神というものは、つまりその分離した会社等に対して、意識的にいろいろなものが累積されるというようなことを避けようというところにあったのではないかと思うのでございますが、とにかくさようなものは、一応特閉制度自体においてこれを認めていなかった、そういう意味合いにおきますと、特閉制度に準じてやろうという今回の措置は、御指摘のとおり、分離会社等については適用しない、こういうことはお説のとおりでございます。ただし、さればというて、三井鉱山程度のものだけか、こういうことに相なりますと、おそらくいろいろなケース、これはいろいろな場合があり得ると思いますけれども、わが国の炭鉱は、百は割ったとはいえまだかなりの数ございまして、中小炭鉱等数々あるわけでございますから、予想される件は一、二の大炭鉱だけであろう、こういう御指摘が必ずしも当たっているかどうかについては疑問に思うものでございます。
  118. 岡田利春

    岡田委員 いま各国の石炭産業で一番問題は何かというと、労働力の確保ができないというのが世界共通の問題社会主義の国は別でありますけれども、自由主義諸国でいえばこれは共通の課題なわけです。アメリカにおいても、いま原子力発電のおくれを挽回をするために石炭発電所を増設をし、石炭大増産計画をいたしておるが、一回散らした労働力が集まらないために、なかなか生産が上がらない。それでも増産傾向をたどっておる。アメリカの場合でもそうであります。また、オーストラリアの場合もそうでありますし、またヨーロッパを見れば、おわかりのように、イギリス、ドイツの場合でも大体イタリア、ユーゴ、トルコ等から外国人が入って、石炭を掘っているというのが現状であるわけです。わが国の石炭産業は、年々大型閉山を続けてまいりましたけれども、幸いなることは、労働力は不足しておりますけれども、一応労働力の把握は国内人だけで確保してきている、ここが非常に特徴的なところなんです。しかし、これも一度散らしてしまうと二度と集まらないということは、いままでの閉山の経過を見てもおわかりだと思うのです。そうすると、これからの政策で大きな課題は、労働力というものをどう安定的に確保するかということが重要な基本的な課題になるわけです。労働力を基本的に確保するということは、ノーマルなやはり賃上げというものを考えざるを得ない。ノーマルな労働条件の引き上げを当然考えなければならない。と同時に、客観的に非常に石炭産業そのものが不安定な状態にあるわけですから、しかしその歯どめとしては、やはり労働者の退職金等のものはある一定のものを確保してやらなければならない。だから、いままでの閉山制度も私はできてきたのだと思うわけです。そういたしますと、これからの石炭政策の大きな課題として、労働力を安定的にどう確保するのかということ、そうして労働力を安定的に確保するためには、ノーマルな労働条件の引き上げ、多少、一〇%政策的にはやってまいりましたけれども、とにかくやはりある一定の労働条件の引き上げと、退職金が中心になりますけれども、この面の保証というものがなくして、労働力の確保は、もはやむずかしいという認識を私は持っているわけです。ノーマルな労働条件の引き上げと退職金に対する保証がなくて、今後石炭産業の労働力の確保はできるとお思いになりますか、見解を承っておきたいと思います。
  119. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  今後の石炭鉱業再建、維持のために、労働力の確保が必須の条件であるということは、御指摘のとおりでございまして、また労働力の確保のために労働条件の確保といいますか、整備といいますか、そういう意味で、退職金についての支払いが保証されるような状態に置くことが必要であるという点も、御指摘のとおりだと思います。従来もこの点については、基本的考え方としてはそういう線に沿いつつ進んでまいったわけでございますが、現実的には必ずしもそれが満たされていなかったという点で、いろいろ問題があったと存じますが、基本的には御指摘のとおりだと思います。
  120. 岡田利春

    岡田委員 ぜひ、この問題も、いま局長答弁されたように、これからの石炭政策考える場合には労働力の確保、それともう一つの側面は、やはり社会的摩擦をできるだけ避ける。この二つの面が買い上げ制度であり、また企業ぐるみ閉山制度であり、また、今回の一般閉山の特例措置というものを生み出したと思うわけですね。それは、やはり一方においては、従的には社会摩擦を避けるという側面も非常に大きいわけですね、一般産業とのあれもありますから……。そういう二つの中で、特に労働力を確保するという面で、いま私が指摘しました点について、十分ひとつ検討を願わなければならぬし、大きな課題であるということが、いまの答弁で明らかになったのではないかと思われます。  そこで、この機会にお伺いしておきますけれども政府は、法律に定められているいわば再建炭鉱といいますか、管理炭鉱といったこともございますが、この法律条項を住友の場合に発動する考え方があるのかないのか。法律は生きておるわけです。厳然として存在をしておるわけです。いま住友は、グループとしかも政府、それにまた労使努力と相まって、再建をしようといたしておるわけですけれども合理化法に規定をしているこの再建炭鉱の指定を行なう意思があるのかないのか、この点をやはりこの段階になれば、明確にしなければならないのではないか。しかも住友再建は、タイムリミットは五月一ぱいということでありますから、こういう点について、当然私は検討し尽くして、その態度はきまっておるものと判断をいたしますけれども、見解を承っておきたいと思います。
  121. 阿部茂

    ○阿部政府委員 御指摘住友再建に関しまして、合理化法三十六条の二三という条文がございまして、再建資金の貸し付け制度というのがございます。しかし、これは先生はたいへん精通されておるので御存じと思うのでございますが、かつて、主として九州にございました明治、杵島、麻生、日炭と、こういった種類の会社の非常に経理窮迫のおりにこの法律ができまして、そうして各社にそれぞれ十億内外の再建資金という名の、主として運転資金でございますが、これが融資された実例がございます。これは大体昭和四十年から四十二年にかけてあった例でございまして、その後法律改正の機会にも、この条文はそのまま今日まで存置されておるのでございますが、その後、実は御存じのとおり、先ほど来幾度か御質問のございました、第一次、第二次の二度にわたる肩がわり制度が法律化した機会に、実態的にはこの再建資金というものは、むしろこういったほうの一次、二次肩がわり措置で吸収されていくものである、こういうようなおおむねの理解のもとに、この条文は存続しておりますけれども、その後、実際問題としては、予算上実は全然それに当たるものが予算化されていない。四十三年以後この四十六年度予算に至るまで、この条文を実際に運用する予算額というものが計上されてないことは、先生は御存じかと思うのでございます。したがいまして、今度住友再建につきましては、膨大な資金が要ることと予想しておるのでございますけれども、いまの法律の許す可能な、あらゆる措置をいろいろ検討しておるわけでございます。おそらく、一つや二つの項目の名の予算措置だけではとうていまかない切れない、こう考えるので、いろいろなことを法の許す範囲におきまして、最大限考えてまいりたいと鋭意検討を続けておるわけでございます。その中に、御指摘再建資金を再び数年ぶりにもう一回復活するかどうかという問題でございますけれども、これは、財政当局におかれましても相当の御意見があろうかと思うのでございますが、われわれといたしましては、その幾つかのうちの一つとして、これを当然検討の対象としなくてはならないだろう、こういう考えのもとに、すでにいろいろな角度から検討を加えておる、かようなことでございまして、結果がどうなるかにつきましては、いまの時点においてはなおとうてい予断ができない、こういうのが実態でございます。
  122. 岡田利春

    岡田委員 法律に制度があり、予算を計上されていないが、今年度予算は、予備費三十億が計上されておるわけです。だから、やるという意思があり、財務当局と了解がつけば、予算上の問題は、今年度予算の内容には三十億予備費があるわけですから、できないことはない。それが財務当局の了解を得られるかどうか、また、それを発動するかどうかということいかんにかかっておるのではないかと思うのです。やはり住友の、先ほどから若干質問しておりましたけれども、この赤平、奔別の主力の住友炭鉱再建するというならば、政府は、やはり歴史的な政策の経過にかんがみて、前向きでオーソドックスにこれを受けとめるという姿勢がないと、賃金は大体三・五%下げる、ベースアップはしない、こういういまの合理化の中では、住友再建というものはできないのではないか。こういう意味で、やはり住友のわが国の石炭鉱業における位置づけ、内容、こういうものを分析をし、そういう点でやはり政府はまず前向きで受けとめる。前向きで受けとめられないのは、法の弾力的な運用によって受けとめる。基本は、やはり前向きの法律制度によって前向きで受けとめて、それで不十分な点についてはむしろ現行法、現在の制度の弾力的な運用で補う、こういう姿勢がやはり基本でなければならないのではないのかと私は思うわけです。そういうものごとの考え方についても理解できますか。いや、そういうことではない、要するに金さえ都合すればいいのだ。ある一定の計画がきまれば、グループと政府でどうするかということでやればいいのだという考え方が妥当なのか。そういう制度がある以上、歴史的な経過もある以上、そういう前向きの姿勢に立って、足りない点については、弾力的な運用によってこれをまかなっていくというほうが、政策を進める観点としては非常に常道ではないかと私は思うのでありますけれども、そういう考え方については一致はできませんか。
  123. 阿部茂

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  住友再建問題は、従来いろいろな機会で数字等をもちまして御説明してまいっておりますとおり、一会社の問題としましては非常に大きな額になっておる次第でございます。したがいまして、単に観念論でいろいろ議論いたしましても、これだけのものを、実際に何十億という膨大な資金というものを短期間に調達してまいるということは、実際問題として予想以上に困難を伴うわけであります。したがいまして結論として、かようなピンチを乗り切るためには、まず第一に労使を含む企業自体が、非常に重大な決意を持ってこれを乗り切る。しかも当面だけでなくて、数年先にわたる長期的視野に立って、みずからのビジョンを関係者一同に示すということが第一であり、第二は、それと関連するいわゆる住友グループという立場におかれまして、十分な支援の手を伸ばされるということが第二であり、それがあってこそ、初めて世論の支援のもとにおきまして、政府からもかなりの強い支援というものが財政的に期待できるのではなかろうか、こうわれわれは考えておるわけでございます。  もちろん、われわれ石炭行政の事務に携わる者といたしましては、先生の御指摘のように、原料炭として非常に大事な資源でございますから、何とか再建の軌道に乗せたい、かように考えて、先ほどお答えを申し上げたように一、二の手段ではとうてい乗り切れないと思いまして、各種各様の法の許す範囲での手段を、目下検討の対象として、真剣に準備しておる次第でございます。
  124. 岡田利春

    岡田委員 一応私の考え方については質問した、いわゆる姿勢でありますので、この点特に十分ひとつ含んで検討していただきたいと思います。  次に、政策需要の安定供給の問題でありますけれども、電力用炭は御承知のように電炭会社があり、原料炭については、それぞれ石炭企業需要業界との協定に基づいて供給がきまっているわけです。ただ、いまの国会で原料炭の炭価の問題について議論しますと、それは石炭企業需要業界で話をしているのだ。きまればそれをぱっと石炭審議会に持ってきて、そして価格を確認をするわけですね。そうすると、これは政府が関与して決定した価格であるということになるわけですね。いまの審議会のたてまえはそうでしょう。自由にきめて、かってにきまったのではなくて、きまった結果、協定が成立すれば、これが審議会にかかって、一般炭の基準炭価と同じように、準じて炭価が確定するということをこの二年間やってきたわけですね。制度上、政府が関与して原料炭の価格をきめている。そういう理解がきわめて妥当だと思うのですが、それでよろしいですか。
  125. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  制度としてはそういうことでございます。
  126. 岡田利春

    岡田委員 そこで、私はこれからの問題として、政策需要の問題についてはある程度変化があれば、それに対応でき得る体制石炭企業みずからつくる、そういう積極的な姿勢が大事でしょうし、政策の支点としてもそういう点に十分留意をしなければならぬということが、これから検討する大きな一つの素材ではないか。そういう中で、電炭会社は、四十八年度でまた法律が失効するわけであります。しかも今日、原料炭一般炭はフィフティー・フィフティーになっているというマル近船の運用の状況、さらにまた、マル近船が今日の内航の実情からいえば、これが余るというような傾向が非常に強まってきておるという点、こういう点を考えますと、結局政策需要の安定供給、近代化専用船の合理的運用、電炭会社をどう扱うのかという点が、当然これから総合的に流通課題として検討しなければならない大きな課題ではないかと私は思います。  それと同時に、価格の問題でございますけれども、大体先ほどヨーロッパの問題について申し上げましたけれども、あるいはアメリカの場合でも、労賃が上がればスライドして炭価が上がっていく。大体これがもう常識化されつつあるわけですね。  そうなってくると、結局需要業界協力、もちろんそれには総合エネルギーの価格バランスの問題もあるでしょう。そういうものも当然しっかりしなければなりませんし、政策を立てる場合には、ある程度炭価の価格動向についても考えざるを得ないのではないか、こう私は思うわけです。一連の流通問題政策を立てる場合に、資本主義はしょせんは価格経済でありますから、ある程度価格についての確たるものが出ないと、これから安定した政策というものは成り立たない、こう私は考えるわけですけれども、そういう点については、当然、これからの政策検討をする大きな課題として議論されるポイントではないかと私は思うのでありますけれども、この際、政府の見解を承っておきたいと思います。
  127. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  流通問題について、今後問題点として検討を要するのではないかという御指摘でございますが、この点は御指摘のとおりでございまして、十分に検討をいたすようにいたしたいと存じます。  それから、炭価の問題について、スケジュール的に炭価をきめる配慮というものを、この際考慮に入れるべきではないかという点でございますが、この点につきましては、最近若干そういうものの考え方も出つつありますけれども、まだそこまで十分まいっておる情勢ではなかろうと思いますが、今後の石炭鉱業の問題として、炭価問題はきわめて重要なポイントでございますので、需要業界との関連で、十分意見を尽くすようなことにいたしたいというふうに存じます。
  128. 岡田利春

    岡田委員 今日の石炭企業をずっと分析いたしますと、特に第四次政策実施以来、企業格差が拡大をしてきた、また拡大をしていくだろう、こういう認識は正しいかどうか、見解をお聞きしたいと思います。
  129. 阿部茂

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  はなはだむずかしい御質問でございまして、なかなか答弁がむずかしいのでございますけれども、御存じのとおり、石炭鉱業は一般地上産業と違いまして、自然条件に支配される面がきわめて大きいわけでございます。昨日まで順調に出炭していたものが、はからざる断層にぶつかって、きょうから急に苦しくなる、こういうようなことは間々あることでございます。さようなことが、今日、地上産業の場合以上に石炭企業間におきまして、いろいろな格差をかなり大きくしているということは、現実問題として認めなくてはならぬのではないか、こう思う次第でございます。
  130. 岡田利春

    岡田委員 私は、いまこのまま放置していけば、ますます企業格差は拡大するだろうと思うのです。それは御承知のように、いつでも指摘をしますように、住友で見れば、一般炭原料炭がフィフティー・フィフティーだ、一方は千円上がったけれども一方は二百円、政策格差がある。北炭でいえば三分の一が一般炭だ。あるいは三井でいえば、三井は四十万トンのハイサルファの石炭を投げても、なおかつ歩どまりは三池炭鉱の場合は九〇%を維持できる。そういう動向から判断すれば、いわゆる企業格差が拡大していくことはきわめて当然だと思うわけです。そして、おそらく次の原料炭の炭価問題がもし出てくるとするならば、原料炭のいわゆる体質の問題、こういうものが当然問題になってくるだろうと私は思うのです。そうすると、またさらに一そう格差がついていく。賦存している石炭を変えるわけにはいかぬわけでありますから。  ですから、それをそのまま前提にしておくのであれば、石炭政策をやっても、結局は平均政策でありますから、上にあるものはいいけれども、下にあるものはいつでも問題が起きてくる。そして常に不安定だということにならざるを得ないわけです。これが石炭株式会社というようなもの一社であれば、それをトータルして平均するわけでありますから、平均政策があればやれるわけですね。ですから、いずれにしても、企業格差というものは、今日わが国の炭田状況炭質の問題、地質の問題、原料炭の得率の問題あるいは内陸運輸の問題等を判断すれば、これは動かし得ないところでありますから、何ぼ平均政策をやっても、格差が拡大していくということは常識だと思うわけですよ。  そうすると、これからの三千万トン程度になっていく石炭産業というものを安定させるとするならば、いわゆる石炭企業間の産業連帯性を十分把握した政策を立てない限り安定しないということは、もはや何人といえども疑う余地がないのではないか。逆にいうと、政府は、企業努力をせいというならば、企業が、これからもわが国の一定量の石炭を安定的に確保供給するためには、石炭経営者は相談して案を持ってきなさい、あくまでいまのままでいっていいのか、どこかつぶされてもいいのか、自分だけよければいいのか、そこをはっきりさせなければならない段階に来ていると思うのです。  一方、たとえばベルギーの合理化事業団がスクラップのジャッジ権を持っていて、やりたかったらやりなさい、ただし政策はつけませんよ、こういうスクラップジャッジ権を持っている制度にもなっていないから、大勢はあくまでも自主的に労使の話し合いです。実質はジャッジ権を持っているようだが、表面上はないというような中途はんぱなことをやっておったのでは、もはや石炭政策は成り立たないわけです。そして、今日の三千万トン程度にコンパクトになってきた石炭産業政策を進める場合には、その聖域に手をつけないで石炭政策は私は成り立たないと考えるわけです。  日本の場合と条件は非常に似ておりますけれども、フランスのような場合は、日本と同じような出炭でありますけれども、大体三千万トン程度になってきておる。しかし、フランスの場合といえども、当初の計画は、大体二千七百万トン程度でありますけれども、ほぼ三千万トン近いものは、何が何でもフランスとしては石炭資源は確保する、こういう決意をフランスの場合は固めておる。もちろん制度が公社でありますから違いますけれども、別にこれは公社にせいとかいう意味ではなくして、そういう産業の連帯的な視点で、日本の石炭産業のほんとうの最後といいますか、ほんとうにそういう改革を含む政策を立てない限り、これはとうてい安定はしないのだ、平均政策では格差はむしろ拡大していくのだ、この聖域に手をつけないで石炭政策は成り立たないというのが私の持論でありますけれども、いままで政策を続け、当面住友問題を扱い、各社の経理分析をしているあなた方は、そういうことは感じませんか。見解を承っておきたいと思うのです。
  131. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  第四次石炭政策の審議を通じまして、御指摘のような点が議論されたことは御承知のとおりと存じますが、結論といたしましては、一応やはりその体制問題を残しつつも、個別企業をベースにして石炭政策を進めるということに相なった経緯もございますので、御指摘の点、一つの大きなポイントでございますが、それでなければならないのかどうかという点をこの際ここで申し上げるのは、非常に問題があろうと存じますが、御指摘の点については、やはり十分検討することにいたしたいと存じます。
  132. 岡田利春

    岡田委員 時間もありませんからこれで終わりますけれども、アメリカのような場合は、一般炭のサルファは大体四%のをたいている。ハイ脱硫はこれはできないわけです。もちろん立地条件は規制されますけれども、なおかつ、それでも石炭の増産による火力発電所の増設、電力需要にこたえるという方針をアメリカではとっているわけです。先ほど、前に閉山された常磐あるいは日炭高松は、サルファ三・二%程度ということで、アメリカの一般炭に比べればサルファは少ないわけです。また、一般炭の総量のうち、三百六十万トン程度は大体二%、北海道石炭は〇・九%以下という大勢になってきているわけですから、そういう意味では、もちろん原料炭確保と同時に、このローサルファのエネルギーとしての確保の観点というものは、むしろアメリカあたりに比べると、日本のほうがそういう条件が整備されておる、こう申し上げることが私はできると思うわけです。これだけの条件が整っていて、石炭の位置づけができないということはないと思うのです。そして、一定のエネルギーを——この世界第二位のGNPの経済の発展を続けている日本が、一定量を確保しないで、単にこれは高いから放棄をするということは、これはもう国際的なエネルギー供給不足の段階に対する背任行為ですよ。その視点がぴしっとあるかどうかによって、これからの石炭政策というものが私は初めて生まれてくるんだと思うのです。価格を比べれば、値段はもう問題にならぬということになれば、もうそれで終わりですよ。何も高い税金を出して、高い石炭確保する必要はないんじゃないか。しかし今日のこの経済力からして、ドイツでも一億数千万トン、あるいはイギリスでは一億四、五千万トンも確保するという段階にあり、しかも原料炭、ローサルファの一般炭がある日本の場合には、もう一定量をとにかく確保する、そして有明海の開発をし、夕張新鉱の開発をされて、そういうものをやはり明確に位置づけする。位置づけをしない限り、日本の石炭産業は後退に後退を続ける産業であるという認識は改まらない。そういう認識を変えるのは、石炭産業の位置づけしかないんだ。もはやそれなくしては、労働力の確保もできなくなるし、そういう社会的なムード、社会的な見方というものも払拭することができないんだ。だから最終的に、基本的には、やはり何といってもこれからの政策を立てる場合には、そういうエネルギーの中における石炭の位置づけを、今度は明確にはかるという態度が私は必要であると思うわけです。最後に、この点について、特に政府当局の見解を承っておきたいと思います。
  133. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  さきの中間答申の際にも、安定補給金の改定について審議をしてほしいというような要望が最後に出たわけでございますが、これらの点につきましては、御指摘のような、エネルギーの中における石炭の位置づけというものを前提に、整理して考えざるを得ないというふうに存ずるわけでございますが、今後の問題としても、御指摘のような点を整理することが必要であろうと思います。ただ、イギリス、ドイツ等が一億五千万トン、あるいは一億二千万トンに目標を定めて、今後の国内エネルギーの確保をはかるということについては、やはり炭層の条件あるいは採炭条件等が、日本とは違った非常に有利な事情にあるというようなことも、大いに手伝っておると存ずるわけでございますので、これらの点もあわせて考慮することが必要であろうというふうに存じますが、御指摘のような点についても、議論があることを期待いたしております。
  134. 岡田利春

    岡田委員 終わります。
  135. 田代文久

    田代委員 二、三の問題点だけお尋ねしておきたいと思うのですが、先ほど通産大臣にお尋ねしたこととの関係になるわけですけれども、鉱害二法が期限切れになる場合、これの存続延長という問題について、大体どう考えておられるか、これをまず一点お尋ねいたします。
  136. 本田早苗

    本田政府委員 お答えいたします。  現行の臨時石炭鉱害復旧法、石炭鉱害賠償等臨時措置法は、四十七年、来年の七月で期限が切れることに相なっております。ところが、先般実施いたしました残存鉱害調査によりますと、四十四年度末で千三百億あるということでございまして、この処理には相当な期間を要することは否定できない事情にあるわけでございます。こういう事情がございますので、先般四月の二十三日に石炭鉱業審議会を開催いたしまして、鉱害二法の延長について諮問をいたしましたが、鉱害二法の審議会答申を待って、鉱害二法の延長の法案等の整備を考えている次第でございます。
  137. 田代文久

    田代委員 そのことは、通産当局としては、いまおっしゃいましたように、石炭炭量の推移いかんにかかわらず、当然この法案は存続維持すべきであるという見解であるというふうに理解していいわけですね。
  138. 本田早苗

    本田政府委員 鉱害復旧の現状から、そう御理解願っていいという考えでいるわけでございます。
  139. 田代文久

    田代委員 もう一点だけ。これは、この前のときに質問しておったのですが、白炭高松の閉山、あるいは過去の鉱害問題について、その処理問題が非常に停滞しているというようなことがあって、現地の陳情などを受けて、当然当局としてはよく現地のほうと話し合って、早急にそういう鉱害復旧あるいは公共施設、これなんかの復旧とか、あるいは住宅問題については善処して、すみやかにこれが処理されるように努力するというような御回答だったと思うのですが、その後、これはどのように進んでおりますか。これだけお尋ねして終わります。
  140. 阿部茂

    ○阿部政府委員 お答えいたします。  日炭高松の閉山に伴う、その後の北九州市あるいはその周辺の鉱害処理につきましては、非常に大きな問題が残っておりますので、特に力を入れて、いうなれば特閉制度の場合に準ずる——特閉制度は、先ほど来申し上げましたように、もうなくなりましたけれども、これに準ずるくらいのウエートを置いて処理いたすべく決意しておりまして、近いうちに、現地の通産局並びに事業団の出先等に対しまして、その具体的な処理の通達を出す予定にいたしておりまして、おおむねその成案もすでに得ている次第でございます。
  141. 田代文久

    田代委員 終わります。      ————◇—————
  142. 鬼木勝利

    鬼木委員長 次に、本日の請願日程を一括して議題とし、審査を進めます。  今国会におきまして、本委員会に付託になりました請願は、本日の日程となっております六件であります。  請願の内容につきましては、委員各位も文書表等により、御承知のことと存じます。また、先ほどの理事会におきましても、十分御検討いただきましたので、紹介議員の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと存じます。  本日の請願日程中、第一ないし第六の請願は、いずれも採決の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  145. 鬼木勝利

    鬼木委員長 なお、この際申し上げます。  今会期中、本委員会に参考送付されております陳情書は、炭鉱離職者緊急就労対策事業存続に関する陳情書外二件であります。      ————◇—————
  146. 鬼木勝利

    鬼木委員長 次に、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  石炭対策に関する件について、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、閉会中審査案件が付託になりました場合、審査のため参考人から意見を聴取する必要が生じました際には、参考人の出席を求めることとし、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、審査のため委員派遣を行なう必要が生じました際には、議長に対しその承認申請を行なうこととし、その人選、派遣地及び期間等に関しましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十一分散会