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岡田委員 私は、いまこのまま放置していけば、ますます
企業格差は拡大するだろうと思うのです。それは御承知のように、いつでも
指摘をしますように、
住友で見れば、
一般炭と
原料炭がフィフティー・フィフティーだ、一方は千円上がったけれ
ども一方は二百円、
政策格差がある。
北炭でいえば三分の一が
一般炭だ。あるいは三井でいえば、三井は四十万トンのハイサルファの
石炭を投げても、なおかつ歩どまりは三池
炭鉱の場合は九〇%を維持できる。そういう動向から判断すれば、いわゆる
企業格差が拡大していくことはきわめて当然だと思うわけです。そして、おそらく次の
原料炭の炭価問題がもし出てくるとするならば、
原料炭のいわゆる体質の問題、こういうものが当然問題になってくるだろうと私は思うのです。そうすると、またさらに一そう格差がついていく。賦存している
石炭を変えるわけにはいかぬわけでありますから。
ですから、それをそのまま前提にしておくのであれば、
石炭政策をやっても、結局は平均
政策でありますから、上にあるものはいいけれ
ども、下にあるものはいつでも問題が起きてくる。そして常に不安定だということにならざるを得ないわけです。これが
石炭株式
会社というようなもの一社であれば、それをトータルして平均するわけでありますから、平均
政策があればやれるわけですね。ですから、いずれにしても、
企業格差というものは、今日わが国の炭田
状況や
炭質の問題、地質の問題、
原料炭の得率の問題あるいは内陸運輸の問題等を判断すれば、これは動かし得ないところでありますから、何ぼ平均
政策をやっても、格差が拡大していくということは常識だと思うわけですよ。
そうすると、これからの三千万トン程度になっていく
石炭産業というものを安定させるとするならば、いわゆる
石炭企業間の
産業連帯性を十分把握した
政策を立てない限り安定しないということは、もはや何人といえ
ども疑う余地がないのではないか。逆にいうと、
政府は、
企業に
努力をせいというならば、
企業が、これからもわが国の一定量の
石炭を安定的に
確保し
供給するためには、
石炭経営者は相談して案を持ってきなさい、あくまでいまのままでいっていいのか、どこかつぶされてもいいのか、自分だけよければいいのか、そこをはっきりさせなければならない段階に来ていると思うのです。
一方、たとえばベルギーの
合理化事業団がスクラップのジャッジ権を持っていて、やりたかったらやりなさい、ただし
政策はつけませんよ、こういうスクラップジャッジ権を持っている制度にもなっていないから、大勢はあくまでも自主的に
労使の話し合いです。実質はジャッジ権を持っているようだが、表面上はないというような中途はんぱなことをやっておったのでは、もはや
石炭政策は成り立たないわけです。そして、今日の三千万トン程度にコンパクトになってきた
石炭産業に
政策を進める場合には、その聖域に手をつけないで
石炭政策は私は成り立たないと
考えるわけです。
日本の場合と条件は非常に似ておりますけれ
ども、フランスのような場合は、日本と同じような出炭でありますけれ
ども、大体三千万トン程度になってきておる。しかし、フランスの場合といえ
ども、当初の
計画は、大体二千七百万トン程度でありますけれ
ども、ほぼ三千万トン近いものは、何が何でもフランスとしては
石炭資源は
確保する、こういう決意をフランスの場合は固めておる。もちろん制度が公社でありますから違いますけれ
ども、別にこれは公社にせいとかいう
意味ではなくして、そういう
産業の連帯的な視点で、日本の
石炭産業のほんとうの最後といいますか、ほんとうにそういう改革を含む
政策を立てない限り、これはとうてい安定はしないのだ、平均
政策では格差はむしろ拡大していくのだ、この聖域に手をつけないで
石炭政策は成り立たないというのが私の持論でありますけれ
ども、いままで
政策を続け、当面
住友問題を扱い、各社の経理分析をしているあなた方は、そういうことは感じませんか。見解を承っておきたいと思うのです。